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2015年12月8日 第109回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録

職業安定局雇用保険課

○日時

平成27年12月8日(火)13:15〜15:15


○場所

厚生労働省職業安定局第1・2会議室


○議題

・雇用保険制度について
・その他

○議事

○岩村部会長 ただいまから、第 109 回雇用保険部会を開会いたします。お忙しい中をお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 本日の委員の出欠状況ですが、阿部委員、田島委員、橋本委員、青山委員、深澤委員が御欠席です。また、遠藤委員は、 1 時間ほど遅れての御出席と承っております。職業安定局長は、別の公務のため、遅れての出席となります。

 それでは、議事に入ります。なお、カメラの頭撮りはここまでとさせていただいておりますので、撮影のほうは終了して御退室を頂ければと思います。

 本日の議題ですが、お手元の議事次第にありますように、「雇用保険制度について」です。事務局のほうで資料を用意していただいておりますので、資料 1 、資料 2 について御説明を頂き、その後に質疑に入りたいと思います。それでは、よろしくお願いいたします。

○長良雇用保険課調査官 それでは、資料 1 と資料 2 の御説明をさせていただきます。資料 1 は、高齢者関係の資料で、資料 2 は財政運営についてです。なお、資料 3 については、雇用保険部会報告の素案でございまして、こちらについては後ほどの御説明とさせていただきます。

 まず資料 1 、高齢者の関係の資料です。 1 ページ目は、 65 歳以上の労働者に対する雇用保険の適用に関するヒアリングについてまとめたものです。これは前回までのこの部会での御指摘を踏まえ、 65 歳以上の労働者、当該労働者を雇用している企業に対して、雇用保険の適用に関連して、職業安定局から 15 社程度訪問をして、ヒアリングを行ったものです。設問としては、太字の所に書いてありますように「現在、 65 歳以降に新たに雇用された場合には、雇用保険に加入できない仕組みとなっていますが、 65 歳以降も雇用保険に加入できるようになることについて、今後働き続けていく上で良いことかと思いますか」ということで、「はい」「いいえ」の回答を設けたところ、「はい」が 34 人、 94 %、「いいえ」が 2 人、 6 %という結果となりました。併せて、自由記述を設けて、御意見を書いていただいたのですけれども、例えば 1 行目の「雇用保険料は安いので、保険として適用したほうが良い」、 3 行目の真ん中辺りの「昔のように年金だけで暮らすことは難しいというのが現状」、 4 行目の一番後ろからの「元気で働けるうちは勉強もできて、積極的に働ける環境づくりを検討していただきたい」、あるいは下から 4 行目の「雇用保険の拡充よりも、まずは高齢者が雇用されるための環境整備が必要ではないか。高齢者は思ったより働ける場が少ないので、高齢者が働ける環境整備をしてほしい」などの御意見が見られました。

 もう 1 問設問として、 65 歳以上の労働者を雇用する企業に対しまして、「どういった支援があれば良いと思いますか」という設問をしたところ、御意見の例としては、 1 行目の「全従業員の 3 割が 65 歳の者である当社にとっては保険料負担が重いので、高齢者を多く雇い入れている会社への助成金があれば良い」と。 2 行目の「 65 歳以上の方を雇用するに当たり、職場環境を整える必要があり、また、労災事故などのリスクも抱えることから、保険料の免除、軽減を考えていただきたい」、 3 行目の「助成金の支給要件を緩和してほしい」などの御意見がありました。

 続きまして、 2 ページ目です。高年齢求職者給付金の趣旨ですが、これは以前の部会に提出した資料の再掲となります。高年齢求職者給付金については、 4 つ目の○になりますが、基本手当と比較して、基本手当の支給は、受給資格者が雇用保険の被保険者となり得る雇用労働の就職を希望することを前提としており、公共職業安定所において、 4 週間に 1 回認定を行い、職業紹介を行うというシステムによって行われています。基本手当との対比で、 2 つ目の○ですが、 65 歳以降に離職した者が、離職後直ちに引退するのではない場合においても、その就労希望が短時間の就労など多様化している。このような状況を勘案して、一番下の○で、これらの者に対しては、基本手当に代えて、一時金を支給しつつ、様々な機会を捉えて本人が自由に多様な形態の就業について求職活動を行うことができるようにしたほうが合理的である。このような考え方に基づいて制度設計がなされているというものです。

 続きまして、 3 ページです。 65 歳以上の者に係る収支の状況です。こちらは、 11 月の部会で既に資料提出させていただいたものの再提出です。まず、現在の高年齢求職者給付金の支給実績は、 480 億円余りです。対比して収入、こちらは試算となりますが、仮に高年齢継続被保険者、今 143 万人の方から保険料を徴収した場合の保険料収入はどのくらいになるかということで、 65 歳以上の平均給与と現行保険料率を前提として試算いたしますと、約 350 億円程度、収支バランスは 1 1.4 というような結果になっております。

4 ページです。 65 歳以上の雇用保険の適用拡大に伴う財政影響の試算の前提として、新規適用者数がどのくらい出てくるかということを試算したものです。これはいろいろな試算方法がありますけれども、ここでは平成 26 年の労働力調査と、平成 26 年の高年齢継続被保険者を比較して、その差に加えて短期雇用特例被保険者、公務員などを除いて計算したところ、 64 万人程度と仮定したものです。

 以上を前提として、 5 ページ目です。 5 ページ目は事業主負担、これは失業等給付と二事業の雇用保険料率を合計して、 8.5/1,000 となりますが、この新規適用者 64 万人、それから、継続被保険者 143 万人から保険料を徴収した場合の事業主負担分の保険料収入がどのぐらいあるかということで、合計いたしますと、 432 億円程度となるということが見込まれています。

 続きまして 6 ページです。前回の部会でも多少議論になりました、高齢者を一定割合以上雇用する場合の助成金の枠組みについて、過去の例を参考までに提出させていただきました。これは、昭和 61 年以降、平成初期にかけまして、高年齢者多数雇用奨励金といった名前で、 60 歳以上 65 歳未満の高年齢者の雇用の割合が、当時は 6 %を超える事業主に対して、その 6 %を超える高年齢者の数に応じて助成をするというような枠組みを設けていたところです。

 続きまして、 7 ページです。こちらは平成 28 年度以降、来年度以降の高年齢者雇用対策の拡充についてということで、平成 28 年度、来年度の予算要求事項など、現在検討中のものも含まれている関係で、ラインナップのみというような資料となっていますが、項目は大きく分けて、企業に対する支援と、高年齢労働者に対する支援となっております。企業に対する支援としては、既にありますが、高年齢者雇用安定助成金の拡充、作業環境の整備、あるいは健康管理制度の導入などに対する助成金ですが、こういったものに加え、 65 歳以上の高年齢者を多数雇用する事業主や雇い入れる事業主への助成を、雇用保険料徴収免除の取扱いと併せて検討していく。それから、企業などを通じた高年齢者等の雇用創出を支援していくなどの枠組みで考えています。下の欄ですが、労働者に対する支援策としては、雇用保険の適用拡大に加え、高年齢者就労総合支援事業、ハローワークに、 65 歳以上を重点的に支援する、仮称ですが、「生涯現役支援窓口」を設置する。あるいは、これも仮称ですが、「キャリアバンク」として、高年齢退職予定者のマッチングを支援するというような内容の事項を検討するということです。

8 ページですが、対応の方向性として簡単にまとめたものですが、雇用保険料の徴収に当たりましては、高年齢者を多く雇う企業のインセンティブが損なわれないようにすることが重要ということで、過去の多数雇用奨励金などの要件、実績、効果を踏まえまして、雇用保険料の徴収に関する激変緩和措置が終了する時期、すなわち、徴収を開始する時期に併せ、高年齢者を雇用する企業に対する助成措置を強化することとしてはどうかとまとめています。

 続きまして、資料 2 です。財政運営の資料です。 1 ページから 4 ページ目は、既に提出した資料の再掲です。 1 ページ目は失業等給付の収支状況、平成 26 年度決算で、積立金残高が 6 2,000 億円余りとなっています。

2 ページは、積立金残高と受給者実人員の推移で、平成 26 年度の受給者実人員は 47 万人と、この 10 年で最低水準となっています。

3 ページは、雇用保険二事業の関係収支で、 26 年の決算は、差引剰余で 2,000 億円余りのプラス、安定資金残高は 8,300 億円余りに達しています。

4 ページは、雇用保険料率の弾力条項の説明資料ですが、平成 26 年度の決算値に基づく計算をいたしますと、 1.68 ということで、 1.5 を超えることから、平成 28 年度、来年度の料率は 3/1,000 に引き下げられるということになります。

5 ページ以降が、今回、新しく提出させていただく資料ですが、失業等給付費の今後 5 年間の収支見込みということで、 2 つの雇用情勢を想定しまして、保険料率を 1/1,000 、又は 2/1,000 引き下げた場合を想定して試算をしたものです。雇用情勢としては、まず実人員 61 万人、これは過去 10 年の実績を平均で取ったベースです。もう 1 つは 47 万人、これは平成 26 年、直近の実績をベースに取ったものです。もう 1 つ、試算の前提として、一番下に小さい字で書いてあるのですが、今年度の部会でいろいろ検討しております改正事項については、施行日、経過措置の内容、期間などが確定していないこと、それから、財政運営に与える影響が比較的小さいということから、この試算に当たりましては考慮しておりません。

 具体的には 6 ページですが、今年度、検討中の制度改正に係る財政影響額として、比較的大きいものを 3 つ並べています。 1 つは再就職手当、これは給付率の引上げを検討していますが、財政影響額としては、支出については 360 億円程度、一般求職者給付が早期再就職の促進により抑制されるという効果がありまして、 -160 億円程度となります。また、 65 歳以上の方の雇用保険の適用拡大については、新規適用者に関しての給付は 220 億円程度。新規適用者、高年齢継続被保険者に関して、保険料収入増ということで、 510 億円程度。 3 点目の介護休業給付ですが、給付率の引上げ、まだこれは雇用均等分科会のほうで検討中ですが、介護休業の分割取得に関して、制度改正を行った場合の財政影響額に関しては、介護休業の取得効果も見込みまして、支出は 70 億円で、収入・支出両方合わせても 500 億円程度ということで、収支であったらおおむねとんとんになるのではないかと想定しています。

 以上を前提として、 7 8 ページが試算です。 7 ページは失業等給付費の今後 5 年間の収支見込みで、こちらは、受給者実人員を過去 10 年平均の 61 万人で取りまして、それぞれ料率を 1/1,000 9/1,000 8/1,000 と設定したところです。 5 年後は 32 年度となりまして、 32 年度の積立金の残高をそれぞれ比較いたしますと、料率 1/1,000 の場合は 4 8,000 億円余り、 9/1,000 の場合は 4 兆円弱、 3 9,800 億円余り、 8/1,000 の場合は 3 兆円強、 3 1,700 億円程度になります。もう 1 つの前提として、受給者実人員を直近の実績、 47 万人で置いた場合の料率 1/1,000 9/1,000 8/1,000 、それぞれ見込みを試算いたしますと、 8 ページですが、料率 1/1,000 の場合は、 32 年度の積立金残高は 5 8,000 億円弱、 9/1,000 の場合は、同じく 32 年度の積立金残高が 5 兆円弱、 8/1,000 の場合は 4 1,600 億円程度ということになっております。

9 ページは、これまでの意見を前回の御議論も踏まえて、若干修正してまとめたものです。雇用保険料率を下げるという考えもあるが、まずは基本手当の改善と、国庫負担の本則戻しが課題ではないか。提示された試算は堅めの数字と思われるが、料率については、思い切った引下げも考えていただけないか。積立金が積み上がっているのは、平成 12 年及び平成 15 年の改正で、給付水準は引き下げたことが要因であることから、給付水準の見直しを行うべきではないか。積立金の残高は多くなる場合に、保険料の返金という制度が難しいということで、特定の受給者に戻すというよりは、広く戻せるように保険料を引き下げるというのが、姿としてあるべきではないか、というような御意見があったと認識しております。

 以上を踏まえまして、財政運営に係る論点として、 1 点目について特段変更はございませんで、積立金の今後の推移についてはどう考えるか。 2 点目は、先ほどの収支試算を踏まえまして、一定の雇用情勢を前提とし、仮に保険料率を一定の率に引き下げて、収支を試算した場合においても、少なくとも今後 5 年間は安定的な財政運営が見込まれることについて、どのように考えるかという形でまとめているところです。資料説明は以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。それでは、ただいま御説明いただきました資料 1 と資料 2 について、御意見、あるいは御質問がありましたらお願いをしたいと思います。

○三島委員 資料 1 7 ページに記載されている「平成 28 年度以降の高年齢者雇用対策の拡充について(予定)」について、 1 点確認をさせていただきたいと思います。下段になりますが、高年齢労働者に対する支援の 3 つ目の○に、キャリアバンク(仮称)の創設とあり、「高齢退職予定者のマッチングを支援」となっておりますが、ここでいう高齢退職予定者とは具体的には 60 歳代と理解をしてよろしいでしょうか。

 あとは、 8 ページに記載されている対応の方向性に関して、 2 つ目の○にある激変緩和措置については、雇用保険料の徴収の観点からの必要性が強調され記載がされている印象ですが、給付の観点からも激変緩和措置の必要性があると考えておりますので、こちらは意見をさせていただきました。

○奈尾雇用保険課長 御質問いただいた点について御回答申し上げます。資料 1 7 ページで、キャリアバンクの記載がありますが、私ども想定していますのは、産業雇用安定センターという法人がありまして、ここで高年齢者の退職予定者の情報をストックして、事業主に対して退職者の能力の活用を希望する場合に紹介するということで、マッチングを進めます。

 企業のほうからすると、例えば 65 歳を超えて継続雇用が可能な企業の情報をこのキャリアバンクに集めると。労働者の方からすると、就職希望がある方について、念頭に置いているのは 65 歳前の方ですけれども、その高年齢者のキャリアや能力や就業希望をストックしていくと。そういったことでマッチングに結び付けようとするものでございます。したがって、 60 歳代ということを中心に置いているのかなと考えています。

○岩村分科会長 三島委員、いかがでしょう。よろしいでしょうか。ほかにはいかがですか。

○山本委員 資料 2 の財政運営なのですけれども、今回、 9 ページに、これまでの意見のまとめと論点が記載されています。労働側の意見は、意見のまとめ 1 つ目の○の「雇用保険料率を下げるという考えもあるが、まずは基本手当の改善と国庫負担の本則戻しが課題」、この意見と、 3 つ目の○の「失業等給付の積立金が積み上がっているのは、平成 12 年及び 15 年度の改正で給付水準を引き下げたことが要因であることから、給付水準の見直しを行うべき」、この 2 つが労働側の意見となっています。この考え方には変わりはないことを改めて申し上げるとともに、 1 点質問なのですが、今回の財政運営関係資料で提出されている失業等給付費の今後 5 年間の収支見込みの試算は、雇用保険料率を下げるということでの試算を行い、この論点のまとめという形になっているということからすると、基本手当を回復した場合であるとか、平成 28 年度末までの暫定措置の恒久化、これらを踏まえた試算が示されていない中での論点整理となっています。資料 3 には部会報告が素案として提出されており、 3 ページには「引き続き検討する」という形で整理されています。論点ペーパーでは「安定的な財政運営」と言っていて、引き続き検討すると。部会報告素案では、雇用保険料率を下げるということに見えていまして、そこの部分の見解というか、今日の報告の素案はあくまでも素案としてのこの間の部分ということなのか、お伺いをしたいと思います。

○奈尾雇用保険課長 御指摘の資料 2 3 ですが、資料 2 については御指摘のとおり、給付については、今回のたたき台でお示しした内容についてはプラスマイナスで、プラス 20 億円程度で大きな影響がないということで、それを前提に出したものでございます。これまでは 12 年・ 15 年改正の効果検証といいますか、現在の給付体系の中で就職支援、生活の安定という観点から給付はどうあるべきかといった観点の議論を頂いております。現段階の私どもの考え方は資料 3 3 ページにありますような、基本手当暫定措置については、諸状況を勘案しながら今後引き続き検討かなと理解して資料を作っています。その辺り、資料 3 で御意見があればまた追ってと思っていますが、資料 2 の作りとしましては、何らかの試算を計算するに当たり、基本手当、あるいは就職促進給付については、これまでのたたき台でお出ししたようなものを前提に考えているということです。

○岩村分科会長 ほかにはいかがですか。資料 1 2 についてはよろしいでしょうか。ありがとうございます。

 それでは、事務局のほうからは、更に今日、資料 3 を御用意いただいておりますので、それについて説明をお願いします。

○長良雇用保険課調査官 それでは、資料 3 の説明に入ります。雇用保険部会報告の素案という形で事務局から今回示すものです。雇用保険部会報告については、過去何度か報告という形で本部会での取りまとめをお願いしてきたところであり、全体の構成は、そうした作りにならって、おおむね記載しているものです。

 第 1 は「雇用保険制度の現状」です。 1 つ目の○です。現在の雇用情勢は着実に改善が進んでおり、このような状況の中、基本手当の受給者実人員については減少傾向となっている一方、少子高齢化が一層進展する中、従来以上に若年者、高齢者、女性等の雇用を進めていくこと等が求められております。雇用保険制度としても、適切に対応していく必要があるとまとめております。 2 つ目の○は、財政運営の関係です。雇用保険の財政収支について見ると、失業等給付費の平成 26 年度末の積立金の残高は、 6 2,586 億円となっております。雇用保険二事業に関しては、平成 26 年度末の雇用安定資金残高は、 8,329 億円となっているという現状認識を書いております。このため、雇用保険の財政運営についても、その在り方を検討する必要があるとまとめております。

 第 2 は「雇用保険制度などの見直しの背景」です。 1 つ目の○です。平成 25 12 26 日付け雇用保険部会報告、これは前回改正の際の部会報告ですが、平成 25 年部会報告において基本手当の水準や、今後の暫定措置の取扱い、 65 歳以上への対処などの課題に関しての検討が求められています。 2 つ目の○です。日本再興戦略改訂 2015 において、 1 つ目のポツは、雇用保険の適用の在り方などについて必要な検討を進める。 2 つ目のポツは、働き手個人が「セルフ・キャリアドック ( 仮称 ) 」を受けた場合の経費の一部について、一般教育訓練給付の対象とすること等の検討が求められているものです。

 続いて 2 ページです。加えて、これは先月末出された一億総活躍社会の実現に向けての緊急対策においてです。 1 つ目のポツは、介護休業給付の給付水準について、育児休業給付の水準を念頭に引上げを検討する。 2 つ目のポツは、高齢者が安心して働き続けられる環境を整備するため、雇用保険の適用年齢の見直しを検討する。こういった中身が盛り込まれております。こうした状況を踏まえ、平成 25 年部会報告において引き続き検討をすべきとされた事項をはじめ、雇用保険制度全般について議論を進めてきたところであり、以下の結論を得た形でまとめております。

 第 3 が、具体的な見直しの方向をまとめたものです。 1 は、基本手当の水準及び平成 28 年度末までの暫定措置についてです。基本手当の水準 ( 給付率、給付日数 ) については平成 25 年度部会報告において、今後の暫定措置の取扱い、基本手当受給者の就職状況の動向、基本手当支給額と再就職時賃金の状況などを踏まえて、引き続き今後の在り方について検討すべきとされているところです。そこで、基本手当受給者の再就職状況、基本手当支給額と再就職時賃金の状況などについて、直近のデータを調査したところ、平成 12 年、平成 15 年の基本手当に係る制度改正の検証を行った 2 年前と大きな変化はなかったところです。これらのデータに基づき議論を行った結果、労働者代表委員からは現在の雇用保険の財政事情や、最低保障の考え方などから給付水準 ( 給付日数、給付額、給付率等 ) の見直しを行うべき旨の意見がありました。一方で、使用者代表委員からは、基本手当受給者の再就職状況などの指標について、前回改正時と変化が見られないことや、モラルハザードの観点などから、見直しの必要性が乏しい旨の意見があるとまとめております。

 続いて 3 ページです。一方、これまでの経済・雇用情勢を踏まえて実施してきた以下の失業等給付の暫定措置については現在、その期限が平成 28 年度末まで、具体的には平成 29 3 月末となっております。 1 つ目が雇止め等により離職した有期契約労働者等の給付日数の充実、 2 つ目が個別延長給付、 3 つ目が常用就職支度手当の支給対象者の追加、一定の若年者を追加したものの 3 つです。以上を踏まえ、基本手当の水準については、上記の暫定措置の取扱いと併せて、基本手当受給者の就職状況の動向、基本手当支給額と再就職時賃金の状況などを踏まえつつ、今後の雇用情勢なども勘案し、引き続き今後の在り方について検討すべきであるとまとめたものです。なお、正当な手続によらない労働条件の変更、一定の賃金の不払い、育児・介護休業法で定められた法的義務違反、男女雇用機会均等法で禁止されている妊娠・出産等を理由とした解雇その他不利益な取扱いが事業主に見られた場合、これらを理由として離職した場合であっても、現行の特定受給資格者の基準には該当しない事例が見られることから、これらの離職理由の取扱いについては、特定受給資格者として整理すべく、基準の見直しを行うべきであるとまとめております。

 続きまして 2 の就職促進給付です。 (1) が再就職手当についてまとめております。再就職手当については、基本手当の支給残日数に応じ支給残日数の 50 %又は 60 %を一時金として支給する制度です。これまでの制度改正により、再就職手当受給者の割合が上昇するなど、早期再就職に一定の効果が確認できる一方で、近年、特定受給資格者以外の給付制限期間中の再就職割合に大きな変化がない状況にあります。そのため、給付制限期間中の者に対する職業紹介の充実などの就職支援策と併せて、再就職手当の給付率を引き上げることとすべきであるとまとめております。具体的には 4 ページで、支給残日数 3 分の 1 以上の者については、給付率を 50 %から 60 %に、支給残日数 3 分の 2 以上の者については 60 %から 70 %に、それぞれ引き上げることとすべきである。また、平成 26 年に創設された就業促進定着手当の上限額について、再就職手当と合計して支給残日数の 100 %相当となるように措置すべきと整理しております。

 次は (2) その他の就職促進給付の➀移転費及び、広域求職活動費についてです。移転費は、公共職業安定所の紹介した職業に就く等のため、住所又は居所を変更する必要がある場合に、受給資格者等の移転に要する費用を支給する制度です。また、広域求職活動費は、公共職業安定所の紹介により広範囲の地域にわたる求職活動をする場合の交通費などを支給する制度です。これらの給付は、いずれも受給資格者が公共職業安定所の紹介により、求職活動をしたことに伴い発生する経費を措置する役割を果たしておりますが、現在実績が極めて少ない状況にあります。以上を踏まえ、受給資格者の負担軽減を図るとともに、例えば UIJ ターンを促進する観点からも、これらの制度の周知と併せて、給付について一定の見直しを行うべきである。具体的には、移転費の給付額について一定の拡充を図るとともに、広域求職活動費について現行の距離要件 ( 往復 300km) を往復 250km とするべきであるとまとめております。

 ➁「その他」です。この受給資格者の負担軽減などの観点からは、移転費及び広域就職活動費の対象となるケース以外についても、求職活動に伴う経費について基本手当とは別に措置する仕組みを設けるべきではないか。具体的には例えば、就職面接などに伴って、必要となる子の一時預かり費用、一般給付訓練の対象となっていない短期の資格講習等に要する費用などについて措置するべきであると整理したものです。

 次の 5 ページの 3 65 歳以上の者への対処についてまとめたものです。 (1) 65 歳以上の者の雇用保険の適用・給付の在り方です。 1 つ目の○です。現在、 65 歳に達した日以後に雇用される者については、雇用保険法の適用除外とされております。これは、当該措置を講じた昭和 59 年改正当時において 65 歳以上の高齢者については、労働生活から引退する者が大半であり、就業を希望する場合でも、短時間就労等の形態の就業を希望する者が半数以上を占め、特に 65 歳以降新たにフルタイムの普通勤務に就き、その後離職して再びフルタイムの雇用に就くための求職活動を行う例は極めて少ない実態に即した制度設計とするためと整理されているところです。

2 つ目の○です。また、同一の事業主の適用事業に 65 歳に達した日前から引き続き雇用されている者を高年齢継続被保険者とし、高年齢継続被保険者が失業した場合においては、基本手当日額の 30 日分又は 50 日分の一時金、高年齢求職者給付金を支給することとされております。これは、 65 歳以降に離職した者は、その就業希望は多様化しており、基本手当のように公共職業安定所において 4 週間に 1 回ずつ認定を行い、職業紹介を行う形式ではなく、一時金を支給しつつ、公共職業安定所の援助だけでなく様々な機会を捉えて、本人が自由に多様な形態の就業について求職活動を行うことができるようにしたほうが合理的であるというような考え方によるものです。なお、高年齢求職者給付金については、年金との併給が認められております。

3 つ目からが現状の整理です。しかしながら、現在の 65 歳以上の者の雇用の状況などを見ると、例えば 65 歳以上の雇用者数、完全失業者数、ハローワークにおける 65 歳以上の新規求職者数、就職件数、高年齢給職者給付金受給者数など、どの指標を取っても大幅に増加しており、特に近年、いわゆる団塊の世代が 65 歳以上に到達したこともあり、これらの指標は顕著な伸びを示しております。また、高齢者の就労希望年齢についても、半数近い者が 65 歳を越える就労を希望するとともに、特に近年は家計に関する心配や老後の収入の保障に関する関心の高まりなども確認できるところです。さらに、一番下の○です。制度面での対応として、平成元年にパート労働者に対する適用拡大が行われているとともに、当時創設された短時間労働被保険者区分は平成 19 年に廃止され、現在では雇用保険の適用要件は週 20 時間以上とされているとともに、パート労働者とそれ以外の者との間で給付面における制度上の差異は存在しない状況です。以上のような高齢者雇用などをめぐる状況変化を踏まえると、昭和 59 年改正当時において 65 歳以上の者を適用除外とする考え方については、現在においてそのまま当てはめることは困難であり、失業者のセーフティネット確保の観点から、新たに 65 歳以上に雇用される者についても雇用保険の適用対象とすべきである。その場合、 65 歳以上の者の求職活動は、就業希望や就職に至る経路なども多様であり、公共職業安定所において定期的に失業認定を行い、職業紹介を行うという形式には必ずしもなじみにくいといった状況に大きな変化はなく、また年金を受給しつつ働く者が相当程度存在するものと推測されることを踏まえ、新たに適用対象となる者についても現在の高年齢受給資格者と同様に、一時金 ( 高年齢求職者給付金 ) を支給することとし、引き続き年金と併給できるようにすべきである。併せてモラルハザードを防止する等の観点から、失業認定の取扱いの見直しをすべきである。さらに、教育訓練給付や介護休業給付など、 65 歳以上の者について、これまで対象とされてこなかった給付についても、今般の見直しに併せて対象とすることとすべきであると整理しております。

(2) 64 歳以上の者に対する雇用保険料の徴収免除の在り方をまとめたものです。現在、 4 1 日現在で 64 歳以上の者に対しては、高年齢者の雇用及び福祉の増進の観点から雇用保険料が免除されております。しかしながら、前回以前の部会でも資料を提出しましたが、企業に対する調査を行ったところ、雇用保険料の免除が 65 歳以上の雇用に「ほとんど関係がない」、あるいは仮に雇用保険料が免除されない場合、今後の 65 歳以上の雇用に「影響がない」と回答する企業が大半を占めており、高年齢者雇用を促進する観点から、雇用保険料の免除を行う政策手法は見直しが必要と考えられます。 7 ページの一番上です。したがって、今般新たに 65 歳に達した日以後に雇用される者を雇用保険の適用対象とすることを契機に、この雇用保険料の徴収免除についても廃止し、保険制度の原則どおり徴収することとすべきである。ただし、 65 歳以上の者は多くが中小企業において雇用されていることや、業種によっては雇用保険料の徴収免除の廃止の影響が少なからず生ずる可能性があることを踏まえ、一定の経過措置を設けることとすべきであると整理しております。

 次の (3) は、本部会でも適用の在り方と併せて議論のあった高年齢者雇用の促進の観点からの事業主への支援をまとめたものです。 1 つ目の○です。雇用保険料の徴収免除の廃止に併せて、例えば 65 歳以上の高齢者を一定割合以上雇用している事業主に対する助成措置を検討すべきである。その要件設定に当たっては、高齢者を多数雇用している事業主の実態などを踏まえて対応すべきであるとまとめております。 2 つ目の○です。また、高齢者の雇用には健康や安全性の管理に一定のコストが生ずることを踏まえ、高齢者向けに健康管理制度などを導入した事業主に対する助成措置を導入すべきである。さらに、新たに 65 歳以上を雇用する場合の雇入れ助成についても、一層の活用を図るべきと整理しております。

 次の 4 点目は、教育訓練給付です。経済社会環境が変化していく中、労働者が自らのキャリアについて主体的に考え、これに即して職業能力の開発、向上に取り組むことが重要である。これらを踏まえ、労働者の主体的な能力開発を支援する教育訓練給付制度において、一般教育訓練の受講に当たって、労働者が自己負担により企業の外部でキャリアコンサルティングを受けた場合に、一般教育訓練給付の対象とすべきである。その際、給付対象とするキャリアコンサルティングにおいては一定の質を担保する観点から、本年の職業能力開発促進法の改正により平成 28 4 月から、登録制の名称独占資格として位置付けられるキャリアコンサルタントである者が行うものとするとともに、給付の適正化を図る観点から一定の上限額を設けることとすべきである。併せて、企業内でこれまでのスキルを踏まえたキャリアコンサルティングを実施する場合についても、支援の拡充を行うと整理しております。

 次の 5 点目は、育児・介護休業給付についてです。 1 つ目の○は、育児休業制度及び介護休業制度については、現在、労働政策審議会雇用均等分科会において、➀介護休業の分割取得、➁有期契約労働者の育児・介護休業の取得、➂育児休業の対象となる「子」の範囲などについて議論が進められており、育児休業給付及び介護休業給付についても、これらの議論を踏まえて対処すべきである。こちらは [P] が付いておりますが、最終的に雇用均等分科会の結論を踏まえて対処する形で、報告書の記載を今後、必要に応じて時点修正をすることを想定しております。 2 つ目の○です。また、育児休業給付については、これまで少子化対策等の観点から順次給付率を引き上げ、現在は暫定的に休業開始後半年間は、休業開始前賃金の 67 %の水準に達しているが、介護休業給付については平成 13 年以降、給付率が 40 %とされております。急速な高齢化が進行する中、要介護 ( 要支援 ) の認定者数は増加傾向にある一方、家族の介護や看護を理由とする離転職者数は年間約 10 万人となっており、これらへの対処が急務となっております。加えて介護休業期間中の所得保障は、雇用継続に一定の効果が認められることを踏まえ、介護休業給付の給付率を育児休業給付と同様、暫定的に 67 %に引き上げるべきであるとまとめております。

 次の 6 の財政運営については、本日資料 2 で提出し、本日も御議論いただく形ですので、この報告書案の記載としては、次回以降と考えているところであり、現段階では [P] としていただければと思います。

 次の 7 のその他は、 (1) でマルチジョブホルダー等雇用保険の適用の在り方についてです。マルチジョブホルダーについては、社会保障・税番号制度の施行後も適用に当たっての労働時間の把握方法や、失業の判断といった課題が引き続き存在することも踏まえ、雇用保険の適用の在り方と併せて引き続き議論していくべきであると整理しております。 9 ページの一番上です。それに関連して、なお、現在 2 以上の雇用関係にある労働者は、主たる賃金を受ける 1 の雇用関係についてのみ被保険者となりますが、これらの者に関して、当該 1 の雇用関係が解除された場合についても、他の雇用関係が被保険者とならない一定の短時間就労の場合は、就労をしながら給付を行うことが可能なケースがある旨の周知を図るべきであると補足までに整理しております。

(2) の高年齢雇用継続給付です。こちらは 2 年前の雇用保険部会報告書と同様の記述をしており、今後の高齢者雇用の動向や社会経済情勢等を勘案しつつ、引き続き中長期的な観点から議論していくべきである。

(3) は求職者支援制度についてです。求職者支援制度については、雇用情勢の改善の中で、求職者支援訓練の受講者が減少傾向にあり、訓練受講より早期就職を優先する特定求職者のニーズなどに的確に対応していくため、先般、労働政策審議会職業能力開発分科会において、早期就職に結び付く訓練カリキュラムの設定、託児サービス支援付き訓練コースなど、育児等で離職した女性の訓練受講を容易にするための訓練の設定、建設機械運転などの人手不足分野の訓練の全国的実施、訓練実施期間の欠格要件の見直しなどに関して、求職者支援訓練の今後の在り方が報告されたところです。詳細は、参考資料として本日提出しておりますので、説明は省略いたします。

 こうした見直しを踏まえつつ、平成 25 年部会報告において盛り込まれた雇用保険の給付とのバランスや費用負担の在り方も含め、安定した就職の実現に向けた支援の在り方について引き続き検討すべきであるとまとめているところです。資料説明は以上です。

○岩村部会長 それでは、資料 3 について御意見や御質問がありましたら、お出しいただきたいと思います。

○秋元委員  2 点意見を申し上げます。 8 ページの 5 番、育児・介護休業給付についてです。今回、介護休業給付の給付率を 67 %に引上げということで大変有り難いことだと思っております。この間の議論でも労働側から再三申し上げておりましたが、給付率の引上げに係る財源は本来、一般会計により賄うべきと考えておりますので、意見として申し上げます。

 もう 1 点は、雇用均等分科会の議論になると思いますが、本部会でもあえて申し上げます。育児休業給付について同一事業主で 1 年以上雇用されているということが要件に入っておりますが、これまでの議論の中でマタハラによって退職を余儀なくされたケースがあるということも話題に出ておりましたので、そういう点から言うと、同一事業主要件に縛り過ぎるのはどうなのかということは意見として申し上げます。以上です。

○岩村部会長 ありがとうございます。御意見として承りたいと思います。ほかにはいかがでしょうか。

○浅見委員  6 ページの (2) 64 歳以上の者に対する雇用保険料の徴収免除の在り方について記載があります。この文脈を読みますと、企業に対する調査を行った中で、その結果として保険料の免除が 65 歳以上の雇用にほとんど影響がないという回答をする企業が大半を占めるから、徴収免除を見直すのであるという脈絡に聞こえます。これはどちらかというと付加的な理由であって、次のページにありますように、保険制度の原則というのは徴収等、給付と負担のバランスであるとか、前段に出てきている人口の高齢化の進展で 64 歳以上の労働者がかなり増加して、徴収免除を行ったときとは状況が大きく変わってきているので徴収を原則にするということが、本来は先にあるべきという気がしたものですから、これも意見として申し上げておきたいと思います。

○岩村部会長 ありがとうございます。御意見として承りたいと思います。ほかにはいかがでしょうか。

○亀崎委員 資料 3 7 ページ 4 の教育訓練給付の 2 つ目の○です。一般教育訓練の受講に当たって労働者が自己負担により企業の外部でキャリアコンサルティングを受けた場合に一般教育訓練給付の対象とすることについては、これまでの議論も踏まえて、本措置は雇用保険制度のみならず一般会計によっても支援すべきということで、これまでも意見を申し上げておりますが、改めてもう一度念押しという形で申し上げておきたいと思います。

○岩村部会長 ありがとうございます。雇用保険課長からコメントがあればお願いします。

○奈尾雇用保険課長  3 点ばかり御意見を頂いたものについて、簡単にコメントいたします。まず、最初の介護休業給付、それから今のキャリコンの話も同じですが、給付率の引上げや新たなキャリコンを給付の対象とするという話ですが、その財源をどのようにすべきかという御意見だったかと思います。これらについては、制度の趣旨から考えると、いずれ失業に準じたものとして保険事項として給付するということが、失業等給付でやる中の大原則で、その給付率引上げとキャリコンの対象化により、その給付の性格が変わるかというとそうも言い切れないということで、こういうまとめ方です。

 浅見委員から頂いた高齢者に係る徴収免除については、確かに原則として給付があるので徴収がセットであるということで、そういう中で給付と負担のバランスや徴収免除を開始したときの趣旨から見て現在はそれがどのようになっているのか、働く高齢者の数の増大に対して現状それに合致しているのかという観点から本来は考えるべきであるという御指摘はそのとおりです。 11 月の部会でお渡しいたしました企業調査については、確かに実態を反映するものですが、それが最大の理由ではないということはそうかと思いますので、書き方については精査いたします。

○岩村部会長 よろしくお願いいたします。ほかにはいかがでしょうか。

○村上委員  3 点あります。 1 点目は、 3 ページです。基本手当の水準については引き続き今後の在り方について検討すべきであると 2 つ目の○でまとめております。引き続き検討ということですが、労働側の意見としては先ほど山本委員から申し上げたとおりです。加えて再就職へのインセンティブを強化するという観点から、就職促進給付についても正に検討を進めていく必要があると感じております。更に給付制限についても検討していくべきで、自己都合離職であったとしても 3 ヶ月の待機期間という給付制限は大変厳しいと考えていますので、その点についても引き続き検討していくべきと考えております。

5 ページです。 65 歳以上の適用について、この間の議論の経過がまとめられております。何回にもわたって議論してきましたが、繰り返し説明されてきた内容は憲法第 27 条の勤労権保障の話であり、今回、適用除外をやめて原則適用に戻すということであれば、議論の足跡を残すという意味でも、また原則的な考え方という意味でも勤労権保障については報告書に記載しておくべきではないかと考えております。

8 ページです。 7 のその他にはマルチジョブホルダーについての記載があります。これまで何度も労働側として、例えば週 15 時間の仕事を 2 つ掛け持ちしている方について、雇用保険の適用から除外していいのかということを指摘してきました。この間、 6 ヶ月以上の雇用見込みから 1 ヶ月の雇用見込みにまで雇用保険の適用を拡大してきた中で、適用がされないまま残った方々がマルチジョブホルダーではないかと思っております。

 マイナンバー制度が導入されても労働時間の把握の問題、また、適用の問題もさることながら給付の問題もあるということは重々承知しておりますが、だからといって、この場でずっと検討し続けても解が出てこないということであれば、適用をどのようにするのかとか、基本手当の仕組みの中でやっていくのがいいのかどうかを含めて、諸外国の制度なども参考にしながら、どのように対応していくのかということをきちんと検討していく時期に入っているのではないかと思っております。引き続き議論していくべきということではなく、対応をはかるべく一歩進むことのできるような記載をしていただけないかと思っております。以上です。

○岩村部会長 ありがとうございます。

○遠藤委員 まず、資料 3 から意見と質問ということでお時間を頂ければと思います。 1 ページです。 1 つ目の○の所で、それぞれ対象という形で「若年者、高齢者、女性等」という形になっています。障害者雇用促進法の改正に関して来年の 4 1 日に施行になります。一部施行という言い方でもいいのかもしれません。担当者の皆様方をはじめいろいろな形で周知を図り混乱なきよう円滑な施行に向けて取り組んでいるところでもありますので、是非、ここは「等」の外に障害者という言葉を出していくことが厚生労働省として必要ではないかと思います。雇用保険の中でも障害者は就職に際して困難者という形で位置付けられていますので、明示しておく必要があると思います。これは意見です。

2 つ目です。ここ数年にわたって幾つものテーマが掲げられ、そのテーマについてかなりの時間を掛けて議論しながら合意に至ったものについては制度改正、法律改正という形になっています。合意に至らないものについては、継続検討課題に位置付けられています。今回も同様の対応であると認識しています。先ほど労側の委員から、仮に継続検討するにしても、その検討の方向性について記述ができないだろうかという御意見がありましたが、どのように検討していくのかということについても方向性を合わせていくことができなければ、報告書の記述として私は不適当だと思っています。

 また、 65 歳以上の方々の取扱いの所で、憲法第 27 条の勤労権の記述を加筆すべきであるという御意見がありましたが、私は反対です。確かにその議論をやってきたということは否定するものではありませんが、もともとこの議論の取っ掛かりは高齢者の雇用促進につながるのかどうなのかということを出発点にして議論し、私ども使側もその立場でこの議論に臨んできたという経緯があります。そういう中で雇用の促進につながるかどうかについては、雇用の促進を否定するものではないという形で、いつの頃からか雇用の促進という旗が見えなくなって、最終的にはセーフティネット確保の観点で整理されたと理解しています。私はセーフティネット確保の観点という記述があれば一応こと足りているのではないかと思います。

 もう 1 点、ここに書かれていないテーマで来年度以降議論していきたいということの御提案として給付制限の在り方について言及されました。使側としても、例えば高齢者雇用の関わりで申し上げると、高年齢雇用継続給付金は同一事業主という枠組みがありますので、その枠をグループ企業にまで広げていくという検討は、現場から聞いている案件でもあります。

 具体的にどういうテーマを追加していくのかということについては、タイミングを見て労使双方から意見を吸い上げる形での今後の議論展開をできればお願いしたいと思っています。

○岩村部会長 ありがとうございました。それでは、雇用保険課長、お願いいたします。

○奈尾雇用保険課長 お二人から、それぞれ何点か御意見、御質問等を頂きました。まず、最初の就職促進給付に関連して、給付制限の扱いについては両論の意見があったかと認識しております。就職促進関係の御意見については、 8 9 月の部会資料でお渡ししたところですが、現在の雇用失業情勢が比較的落ち着いている中では就職の支援は更に進める余地があるのではないかということで 8 9 月でも説明しました。今回の再就職手当、雇用求職活動費等の見直しもそういう問題意識にのっとってやったものです。

 これに合わせて、更に何らかの就職の促進のインセンティブ方策があるかという観点から言うと、現在給付制限中を含めて、これは 8 9 月によく出している資料で説明しましたが、その期間における再就職の割合を見ると受給中、受給前、給付制限中、より就職促進を支援していく余地があるのではないかという問題意識を一貫して持っております。そういう中では、引き続き検討していくことには意義があると思っております。どのような報告書記載、案にするかということは検討したいと思っておりますが、一定の意義があると思っております。

 勤労権の話は両方から御意見があったところですので、にわかにどのように考えればいいのかということは難しいのですが、勤労権については、検討の過程で憲法上の要請があって、それは憲法第 27 条第 2 項において、就職ができない場合における就職の促進は、憲法上の要請に含まれているという説明を差し上げたかと思います。そういう中で今回の報告書のまとめ方があったわけですが、セーフティネット確保の観点、これは高齢者の就労の促進、進展という中であるべきセーフティネットはどういうことかという観点で大きく議論しているわけですが、そういう中で書いております。

3 点目のマルチジョブホルダーの関係です。今日の資料 3 8 9 ページです。 9 ページは前回 25 年の報告書になかったわけですが、若干、収支的な話を書いております。 8 ページは、引き続き議論していくべきであるとまとめております。マルチジョブホルダーについてどのような課題があるのかと考えてみると、まず、収支上の課題があると思われます。雇用保険制度は週 20 時間就労していれば、その方は労働者性がある。その就労によって生計を維持していると評価ができると擬制しているわけですが、マルチジョブホルダーの方については、全員がそういう擬制ができるのかという収支上の問題があります。部分失業について、それをどのように評価して何らかの給付ができるのか、これは趣旨と技術上の論点の両方あり得るかと思います。

 そういう趣旨が絡む論点は置いておいて、適用上の問題等があるかということを次に考えてみると、まず、適用をどのようにするかということがかなり大きな問題になると思います。仮に制度を仕組むとすると、全ての事業主から 20 時間未満の労働している方全てについて、労働していることを何らかの形で届け出ていただくということが 1 つのやり方です。

2 つ目のやり方としては、労働者の方から週 20 時間未満でも全て御自身で届け出ていただく。 3 つ目としては、強制的な届出ではなくて労働者の特別加入という何らかの、その方々の意思を尊重して手続するというやり方があります。そのほかに、もし何らかの技術的な解決ができれば、何らかのシステムで自動的に把握する手段が将来的にあるのかもしれません。ただ、今考えられるとすると大体 3 つのやり方があると思います。 3 つ目の労働者の方が何らかの手続によって加入することができるというのは実質的には任意適用に近いわけで、雇用保険の場合は任意適用となるとどうしても逆選択の問題があり得ると思います。そういうことで適用の問題にかなり課題があります。

 次に保険料をどのようにするのかということは、今と絡めて問題が出てくると思います。仮に労使折半で保険料を頂くとすると、事業主負担の保険料はどのようにやるのかという問題があります。例えば A 事業所で週 15 時間、 B 事業所で週 7 時間働く方について、 7 時間の事業主の方から保険料を頂けるのかということで、 7 時間の事業主というのは、もう 1 個の 15 時間の就労をしていることが必ずしも分からない仕組みになっております。

 そうすると、 15 時間プラス 7 時間分の 7 時間は保険料を頂いて、マルチではなく、 1 つの事業所に 7 時間しか勤めていらっしゃらない方については保険料を頂けるのかと、これは均衡論が出てきて難しい問題があります。仮に労使折半ではなくて労働者だけの保険料でやるとすると、これは事業主都合離職の場合に事業主負担の保険料が入りませんので、やや構成に難があると思っております。

 少し考えただけでも大きな問題がいろいろあります。 1 つ言えることは、私どもとして、諸外国の制度等については、まだ詳細に把握できていないという反省があり、その辺りについて少し実態を調べた上で日本との違いや、どのようにして部分失業的なものができているのかということを把握することは意義があると思っており、そういう観点の議論はあり得ると思います。 1 ページに「若年者、高齢者、女性等」と書いてあります。例示の中に、「等」の中にいろいろ入っているところは恐縮ですが、この辺りの書き方は実態を見て工夫したいと思います。

 高齢者のグループ企業の話がありました。これは現在、御案内のとおり継続被保険者は同一事業主要件に掛かっております。これを仮に今日の資料 3 にあるような形で適用していくとすると、どの事業主に雇用されていても被保険者になるわけですので、そもそもグループ企業要件とか同一事業主要件は将来はなくなっていくという気も若干いたします。そこで不都合がもしあれば教えていただければと思います。長くなりましたが以上です。

○岩村部会長 ありがとうございました。今のコメントについて何かありますか。

○遠藤委員 説明するまでもないのですが、高齢法の高年齢者雇用確保措置にはどうしても法律的な枠組みがありますので、同一事業主なのか同一事業主を超えた場合にどこまで広げていくのかということは、制度の仕組みの中で大変デリケートな側面があると思っています。一方で、統計調査を見る限り、グループ企業を受皿として拡大したにもかかわらず、その対応が進んでいない。 1 つの要因としてあり得るのではないかという指摘を頂いたということで先程申し上げた次第です。

 それから、諸外国の事例で、マルチジョブホルダーの取扱いについては、今後見ていくことは必要かと思います。複数の仕事でどちらかを失った場合に部分的な失職としているだけにとどまっているのか、あるいは通常、正社員で働いている者でも何らかの事情で就労時間が短くなって所得が減るという場合についても、雇用保険で対応している実態があるのかどうなのかということも併せて調べていただければ有り難く思います。

○岩村部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。

○亀崎委員 先ほど給付制限の話もありましたし、 3 ページには特定受給資格者の基準見直し、要件緩和の話もあります。こういうケースはどうなのかということで意見を申し上げます。昨今、ブラック企業問題が話題となっているわけですが、就業規則にのっとってみても解雇に値するものではないにもかかわらず懲戒解雇を出してくるケースがあります。この場合、そのままハローワークに行くと、懲戒解雇だということで 3 ヶ月間の給付制限が掛かってしまうわけです。

 異議を申し立てることによって労働者側、会社側に調査が入るようなのですが、それが確かに懲戒解雇に当たるとなった場合には遡って制度として給付されると聞いております。ただ、多くの働いている人たちは、懲戒解雇とされてしまったときに裁判で争ったり、そういうところまでなかなか到達できなくて泣き寝入りしているケースがたくさんあります。そういう意味では、当該の懲戒解雇が違法かどうかは、異議を申し立てれば調査して調べると言いつつも、調査期間は 3 ヶ月間といったように結構長いので、特定受給資格者という形で一旦給付した上で、それが本当に懲戒解雇に値するということであれば、給付は返納するなどして少し緩やかな形で制度としてはやってみたらどうかということを意見として申し上げておきたいと思います。以上です。

○岩村部会長 雇用保険課長、お願いします。

○奈尾雇用保険課長 今の懲戒解雇の例ですが、これは特定受給資格者かそれ以外か、あるいは給付制限が掛かるか掛からないかという 2 つの場面がありますが、両方共通する問題かと思います。これは、私どもがハローワークの窓口で一番気を付けていることの 1 つですが、事業主が記載された理由のままに判定はしないということは従来から留意してやっております。

 細かくなりますが、具体的な様式の話をします。事業主から最初に頂く様式は、どのような理由で辞めたかということを項目にチェックしてもらう形にしております。それは 3 枚複写になっており、 1 枚目は事業主が書きます。カーボン複写されますので、御本人はそれを持って安定所に来られます。安定所は、事業主はここにチェックしているが実際はどうなのかという、次に労働者がチェックする欄が 2 枚目にありますので、そこでチェックいただく形にしております。そこで両方の言い分を聞いて実際に調査をする。

 そこで重要なのが、この調査は裁判や行政不服審査、労働保険審査会及び審査会法がありますが、その法律に基づく手続以前の話ですので、そういう法律上の審査請求等に行かなくても調査ができて、それで引っ繰り返ることは十分あり得ると運用しております。今おっしゃられたように、多くが泣き寝入りしている状態は確かに望ましくないと思います。これは私ども共通ですので、もう少し現場に、今までも留意してやってきましたが、そういうことは留意してやるように再度徹底したいと思っております。

 実際に受給資格を受ける個々の労働者の方についても必ずリーフレットを受給資格者のしおりという形で配っております。これは全ハローワークで配っているはずなのですが、その中でも離職理由によって給付日数が違うことや給付制限の扱いが異なるということは必ず記載しており、そこはかなり初回受給説明会という形で時間を取って全員に説明するようにしております。そういうことを再度、周知徹底してまいりたいと思っております。

○岩村部会長 よろしいでしょうか。そのほかいかがでしょうか。

○山本委員  8 ページの財政運営がブランクというか、今日この後も議論するということがあったのですが、この間、ずっと結構タイトなスケジュールで議論してきており、部会報告素案が出ると、素案に基づいて今日みたいにお互いの意見を含めて議論して、最終的な報告書になっていくという形だと思います。何らかの方向性が見えないとなかなか議論が、意見はそれぞれの立場で言っていて、個々の部分や一緒の部分もあれば違う部分もあるということなのですが、実際のスケジュールについて、そこが今回も肝になるかもしれないのですが、何か議論してくださいと言っても時間的にできないですよねという制約の中で、どのようにまとめていくのかというイメージが、この間参加していても分からなかったのですが、答えにくい部分だったらいいです。

○岩村部会長 いいえ、御質問の趣旨は非常によく分かるのですが、なかなか答えにくいところかと思いますが、雇用保険課長、お願いします。

○奈尾雇用保険課長 お叱りいただいたところですが、今日の 8 ページの財政運営は [P] でございます。これは手順という観点からいきますと、通例たたき台という形で私ども事務局としての素案の方向性を示した上で議論いただいて報告書という形が通常かと思っております。大変恐縮ながら今日の段階でたたき台を出すに至りませんでしたので、これは [P] になっております。当然ながら今は 12 月ですので、早急に方向性をお示しした上で、それを御議論いただいて報告書の形にすると考えておりますので、次回以降、お願いしたいと思っております。

○岩村部会長 そういう事情ですので、よろしく御理解いただければと思います。ほかにはいかがでしょうか。

○村上委員 先ほど奈尾課長からマルチジョブホルダーの適用の難しさや給付の難しさを御説明いただきました。そういう難しさがあることは重々承知しておりますが、難しいということを議論するためにこの場にいるわけではなくて、例えばリーマンショック時には雇用保険のセーフティネットにカバーされていない人たちに対して、どのようにするのかということを議論した結果、求職者支援制度が始まったように、今、一人親家庭の支援策も充実させなくてはいけないということが課題になってきていて、掛け持ちで仕事をせざるを得ない人たちがいるという現実を前にしたときに、その人たちには雇用保険が適用されていないがどう対応していくのかを是非検討しなければならないということです。

 ですから雇用保険制度では、もしかしたら今の仕組みのままでは適用できないかもしれないけれども、何か別の枠組みであればカバーできるのかもしれないという可能性も含めて、諸外国の制度も参考にしつつ検討していくことが必要であるということを、改めて御意見申し上げたいと思います。

○岩村部会長 多分、奈尾課長の趣旨は、いろいろな問題点があるからやりませんというお答えではなかったと私は伺っております。先ほど奈尾雇用保険課長からもありましたように、外国の調査をやるといったときに、ではどういうところがポイントになるのか、取り分け日本でもし仮にマルチジョブホルダーについて適用していくということになると、いろいろなポイントがあるので、そこのところは外国の場合どういう形でそれを乗り越えているのかとか、そういうところが調査研究の課題になりますという趣旨で述べられたと私は理解しております。一応、雇用保険課長に聞いておきたいと思います。

○奈尾雇用保険課長 ありがとうございます。正にそのとおりで、フランスなどは一部、部分的失業認定をやっているという話も側聞するわけですが、具体的にどのように適用して給付しているのか、正にその辺を知りたいところです。何をやれば制度になじむのかと、私どもはどうしても制度を仕組むという発想に立つわけですので、そういう課題をまずは知りたいということであろうかと思っておりますので、決して絶対にできませんと言っているわけではありませんが、いろいろな課題があるということをまず御理解いただいた上で、まず、実態の把握は重要かと思っております。

○岩村部会長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。今日のところは、この辺りでということでよろしいでしょうか。先ほど [P] があるのでという御発言もありました。なかなか議論を深めにくい部分もあると思います。それでは、本日はここまでということにいたします。最後にいつものお願いですが、本日の署名委員です。使用者側代表については遠藤委員、労働者代表については山本委員にそれぞれお願いいたします。

 次回は報告書案について御議論いただく予定です。次回の日程及び場所などの詳細については、事務局から改めて各委員に連絡いただくようお願いいたします。それでは、第 109 回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会を終了いたします。お忙しい中、皆様どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省職業安定局雇用保険課企画係
TEL:03-5253-1111(内線:5763)

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