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2015年8月31日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

○日時

平成27年8月31日(月)15:00~


○場所

航空会館501+502会議室


○出席者

出席委員(17名)五十音順

○新 井 洋 由、 庵 原 俊 昭、 大槻 マミ太郎、 奥 田 真 弘
 川 上 純 一、 川 崎 ナ ナ、 菊 池   嘉、 清 田   浩
 鈴 木 邦 彦、 関 水 和 久、 田 村 友 秀、 中 島 恵 美
 濱 口   功、 半 田   誠、 増 井   徹、 森 田 満 樹
 山 口 拓 洋、◎吉 田 茂 昭
  (注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(3名)

 田 島 優 子、 前 崎 繁 文、 山 本 一 彦

行政機関出席者

 神 田 裕 二 (医薬食品局長)
 成 田 昌 稔 (大臣官房審議官)
 森   和 彦 (審査管理課長)
 矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
 俵 木 登美子 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
 山 田 雅 信 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
 武 田 康 久 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
 他

○議事

○審査管理課長 定刻になりましたので、「薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会」を開催させていただきます。本日は足元の悪い中、またお忙しい中、先生方には御参集いただきまして誠にありがとうございます。

 本日の委員の出席状況ですが、田島委員、前崎委員、山本委員より、御欠席との御連絡を頂いております。また、川上委員より遅れていらっしゃるという御連絡がありました。大槻委員は少し遅れているようですが、いらっしゃるものと思われます。そういうことで現在のところ、当部会委員数21名のうち16名の委員の御出席をいただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。

 それでは吉田部会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。

○吉田部会長 早速、議事の審議に入りたいと思います。まず、事務局から配布資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについての報告をお願いします。

○事務局 本日、席上に議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布しております。議事次第に記載されている資料1~18については、あらかじめお送りしています。なお、議題3、資料3のイムブルビカカプセルについては、議題確定後に安全性に係る新たな情報が報告されたことから、今回の部会での審議は見送りとさせていただきます。このため、資料3は本日配布しておりませんので、あらかじめ御了承くださいますようお願いいたします。このほかに、資料19として放射性医薬品基準の一部改正について、資料20として審議品目の薬事分科会における取扱い等の案、資料21として専門委員リスト、資料22として競合品目・競合企業リストを配布しております。

 続いて、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告いたします。資料22を御覧ください。本日は審議品目が多いため、簡潔な報告とさせていただきます。本日の審議事項のうち、7ページの議題8、オクトレオスキャン静注用セットと、8ページの議題9、アレルゲンスクラッチエキス陽性対照液「トリイ」ヒスタミン二塩酸塩については、同様の効能・効果を有する薬剤がないことから、競合品目はなしとしております。そのほかの議題1~7、議題1012の計9品目については、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

○吉田部会長 ただいまの事務局からの説明に、特段の御意見等はありますか。ないようですので、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆様の御了解を得たものといたします。

 それでは、委員からの申出状況についての報告をお願いします。

○事務局 議題1、リュープリンPRO。退席委員なし。議決には参加しない委員が大槻委員、清田委員、山口委員。議題2、ヨンデリス。退室委員なし。議決には参加しない委員が大槻委員、清田委員、田村委員、山口委員。議題4、ロコアテープ。退室委員なし。議決には参加しない委員なし。議題5、ミティキュアダニ舌下錠。退室委員なし。議決には参加しない委員が大槻委員、清田委員。議題6、シプロキサン注。退室委員なし。議決には参加しない委員が庵原委員、大槻委員、川上委員、清田委員、山口委員。議題7、ヴィキラックス。退室委員が大槻委員。議決には参加しない委員なし。議題8、オクトレオスキャン。退室委員なし。議決には参加しない委員なし。議題9、アレルゲンスクラッチエキス。退室委員なし。議決には参加しない委員が山口委員。議題10、ベダキリンフマル酸塩。退室委員なし。議決には参加しない委員が大槻委員、山口委員。議題11、ベバシズマブ。退室委員なし。議決には参加しない委員が田村委員、山口委員。議題12、ポナチニブ塩酸塩。退室委員なし。議決には参加しない委員が大槻委員、山口委員。以上です。

○吉田部会長 ただいまの事務局からの説明に、特段の御意見等はありますか。ないようですので、説明は皆様に御確認いただいたものとし、議題に入りたいと思います。本日は審議事項13議題、報告事項6議題と、議題の数が大変多くなっております。よろしくお願いいたします。

 それでは、審議事項の議題1に移ります。議題1について、機構からの概要説明をお願いします。

○機構 議題1、資料1、リュープリンPRO注射用キット22.5mgの製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。

 本剤の有効成分であるリュープロレリン酢酸塩は、黄体形成ホルモン放出ホルモンアゴニストであり、本邦において前立腺がん及び閉経前乳がんの効能・効果で、4週間持続型の徐放性製剤及び12週間持続型の徐放性製剤(以下、12週間製剤)が承認されています。今般、本剤は有効成分を22.5mg含有する24週間持続型の徐放性製剤として、前立腺がん及び閉経前乳がんを効能・効果として承認申請されました。平成27年5月時点において、本剤が承認されている国又は地域はありません。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料No.21にありますとおり5名の委員です。

 以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明します。今般の承認申請では、前立腺がん及び閉経前乳がんに関する主な臨床試験成績として、二つの国内第III相試験の成績が提出されました。

 有効性については審査報告書の12ページの上から18行目、及び25ページの上から13行目以降を御覧ください。内分泌療法既治療の前立腺がん患者を対象としたCPH-002試験において主要評価項目とされた、治験薬投与開始から48週間後まで、血清中テストステロン濃度が去勢レベルに維持された患者の割合について、対照群として設定された12週間製剤群に対する本剤群の非劣性が示されました。また、ホルモン受容体陽性の閉経前乳がん術後患者を対象としたCPH-202試験において、主要評価項目とされた、治験薬投与開始4から48週間後まで、血清中エストラジオール濃度が閉経期レベルに抑制された患者の割合について、対照群として設定された12週間製剤群に対する本剤群の非劣性が示されました。

 以上の結果等から、機構は内分泌療法既治療の前立腺がん及びホルモン受容体陽性の閉経前乳がん術後患者に対して、本剤は既承認の12週間製剤と同程度の有効性が期待できると判断しました。

 安全性については、審査報告書の15ページの上から11行目以降、及び25ページの下から6行目以降を御覧ください。前立腺がん患者及び閉経前乳がん術後患者に対する本剤投与時に注意すべき有害事象は、既承認の12週間製剤と同様であり、がん薬物療法に十分な知識と経験を持つ医師によって、有害事象の観察や管理等の適切な対応がなされるのであれば、本剤の忍容は可能であると判断しました。

 以上のような審査の結果、機構は前立腺がん及び閉経前乳がんを効能・効果とし、本剤を承認することは可能と判断しました。本剤は新剤形医薬品に該当することから、再審査期間は4年、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○吉田部会長 それでは委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。

○菊池委員 最初に事務局に、また文句を言いたいのです。金曜日のギリギリまでこの資料を読んでいて送っているわけですが、そこにメモなどが書いてあるのは今日、それが送られていないのです。私はウイルス系なのでこの部分は素人というか、何が何だか覚えていられないのです。金曜日の最終便で出していれば届いているはずなのに、手元にその資料がないのは遺憾です。

 この表もうっすらしていますね。002試験は内分泌を既治療の前立腺がん患者にやっていて、202試験のほうは閉経前乳がん患者でやっているだけですので、内分泌治療が未治療の前立腺がん患者に対しても使っていいという判断を、治験などを組まないで臨床試験もやっていないところで認可されて、いかがなものかと思います。

○機構 審査報告書の18ページを御覧ください。菊池委員の御指摘のとおり、前立腺がんに関しては内分泌療法未治療の前立腺がん患者で、また、閉経前乳がん患者に関しては、進行又は再発の閉経前乳がん患者を対象とした、本剤の有効性及び安全性を検証した臨床試験成績は得られておりません。

 しかしながら、審査報告書で記載させていただいたように、内分泌療法未治療の前立腺がん患者及び進行又は再発の閉経前乳がん患者に関しても、12週間製剤で有効性・安全性が示されていること、あるいは内分泌療法未治療・既治療問わず、前立腺がん患者に関してはテストステロンの分泌を抑制することが重要であると考えられていること、更に検証的試験ではありませんが、国内の第II相試験で同様に血清中テストステロン濃度の抑制効果が認められていることなどから、効能・効果からあえて除外する必要がないと判断しております。

 ただし、これらの臨床試験成績の対象患者について、添付文書の臨床成績の項に記載した上で、効能・効果に関連する使用上の注意の項において、臨床成績の項の内容を熟知した上で患者選択を行うことを注意喚起しております。

○吉田部会長 いかがでしょうか。

○菊池委員 例えば前立腺がんの患者の中で、内分泌療法をする人としない人の割合というのは、実際問題、臨床的にどれぐらいあるのですか。

○機構 今の御指摘は、内分泌療法の適応だけれども、何らかの理由でされない患者という御趣旨でしょうか。

○菊池委員 いいえ。前立腺がんを発症した場合に、内分泌治療をする人としない人との割合がどれぐらいあるのか。今回の場合は、内分泌療法が既治療の人に対してやったわけですね。既治療の人が90%で未治療の人が10%であれば、9割ぐらい多いほうの人たちの群であるわけだから、そういったことでくくっていいと思いますが、その辺がどうなのですか。

○機構 清田委員に御説明いただいたほうがよろしいかもしれませんね。よろしくお願いします。

○清田委員 私も正確な統計は存じ上げないのですけれども、全部の前立腺がんで内分泌療法が行われている患者は、75歳以上ですとこの治療の対象に入ってくるのです。というのは、手術の対象外の患者ということになります。もう一つは、悪性度によってグリソンスコアというのがあって、7以上だとこの治療に入れていいのですが、再燃の可能性が将来出てくるのです。どちらにしても75歳を境に手術はしなくなってくるので、この治療の対象に入ってくるのです。一応は年齢で区切られているということになろうかと思います。

 それから、既に内分泌療法をやっている患者しかスタディーをやっていないというような御指摘が先ほどあったのですが、もう既にリュープリンの12週製剤がここ20年ぐらい当たり前のように使われています。恐らくフレッシュな患者にも同じような効果があるということで、抵抗なく我々も使っていくのではないかとは思います。先生の御質問に対して、正確なドンピシャなお答えができなくて恐縮です。

○吉田部会長 しかし24週間は別にして、手術をするにしても放射線療法をやるにしても、まず内分泌療法はかぶるので、ほぼ100%使われてしまうのではないですか。

○清田委員 内分泌療法をしないで手術をする患者は、いきなり手術をします。というのは、内分泌療法をしてから手術をしますと、正確な病期が分からなくなってしまうことが多いので、多くの患者、手術をされる患者は普通こういう治療はしないでやられるのです。手術までにちょっと時間が掛かって待たせて、ちょっと不安だからやってくれという例外はありますけれども、原則、手術をする患者はこれをやらないですね。

○吉田部会長 誤解していました。手術をやる前に内分泌をやっておいたほうが転移のリスクなどがないので、そういうやり方をしているものだとばかり思っていたのですが、そうではないのですね。

○清田委員 逆にネオアジュバントで使ってしまいますと、正確な病期の診断ができなくなるのです。ですから、普通はやらないのではないかと思います。

○吉田部会長 分かりました。いかがですか。

○菊池委員 CTDの2.5の7ページに、治療のアルゴリズムが書いてあります。そういった中のものが大半を占めている治療群であるならいいのですけれども、そういうことも知らずに、ただ薬の審査だけをしているのでは困ると、臨床現場からは強く思います。

○吉田部会長 いかがですか。

○菊池委員 これはやはり先生に聞くのではなくて、機構が考えなければいけないと思います。分からなければ分からないで、この次にきちんと回答するなりしないとまずいのではないでしょうか。

○機構 内分泌治療既治療の患者に関する試験では、既承認のリュープリンでテストステロンが抑えられた患者を組み入れております。つまり、今回既治療とされたのは、今までの既承認製剤でテストステロンが抑えられた患者を、そのテストステロン濃度を維持できるかを検討した試験です。一方で、未治療の患者については、初回にこの製剤を使うことでの有効性が、検証的試験として得られていないところですが、先ほど御説明したように、第II相試験で同じようにテストステロンの濃度が抑制されていること等を踏まえますと、未治療の患者をあえて除外する必要はないと判断したところです。

○菊池委員 そうすると4週製剤、12週製剤から、24週の効能のある本剤にシフトするのはいいけれども、そうでない人には使ってはいけないという縛りが付かないとおかしいのではないですか。

○機構 先生のおっしゃるとおり、比較検証試験がないという点では、今回、前立腺がんの未治療の患者を対象とした検証的試験は実施されておりません。ただ、非対照試験ではありますが、国内第II相試験で、最初にリュープロレリンの6か月製剤を投与し検討しています。今回はテストステロン濃度というホルモン値を指標として考えており、それが閾値以下に維持されていれば、臨床効果が得られるだろうという考えに基づいています。既承認の3か月製剤のときにも、この考え方は受け入れていただいています。

 今回の国内第II相試験で、24週間製剤を投与した患者のホルモン値を見ますと、投与4週後には今回の第III相試験で設定した閾値、去勢レベルは維持しています。直接の比較ではありませんが、既承認の12週間製剤のときのテストステロンの濃度も、大体4週後ぐらいまでは100を超えていて、4週後以降に閾値を下回るという挙動が得られております。そういった点を考えても、今回はもともとの有効成分は同じで、既に1か月製剤と3か月製剤で有効性や安全性が認められているものという前提がありますので、御指摘のとおり、直接比較した臨床試験というのはないのですが。

○吉田部会長 ないのではなくてできないのですよ。臨床試験のルールから言うと、標準治療が確立しているところで新しい薬をやるときは、まず標準治療で駄目な人を相手にしなければいけない。あるいは、標準治療である程度安定したところにいる人を使わないと倫理に外れます。もし24週分が効かないとすると、えらいことになりますでしょ。そういうことで言うと、試験自体ができないのですよ。要するに、初回治療例をいきなりやるということが。

 普通は標準治療のある乳がんや何かでも、新薬が出たときは再発乳がんとか、前治療が無効だった場合とか、セカンドラインで承認するのですよ。今回はそうではなく、できないものはしようがないけれども、普通は今のように、既治療例に対して使うことというのが出るのがルールだけれども、なぜこれに関しては初回治療でもいいとしたかという論拠を聞いておられるのです。そうすると、あなたが言っている1か月投与分とか3か月投与分のデータと齟齬がないので、初回も使っていいと思っただけで根拠はないわけですよね。普通のルールからすると、初回までは認めないけれども、剤形が同じで同じような効果なので、それから類推したのですよね。ですからエビデンスはないのですよね。

○機構 御指摘のとおりだと思います。

○吉田部会長 私が気になったのは、アメリカやヨーロッパでも似たような薬があります。成分や含有量がちょっと違うとか、いろいろな違いはあるのですが、彼らの使い方はどうなっているかを教えてもらえますか。初回治療でもOKにしているのか。

○機構 少々お時間をください。

○吉田部会長 では、ほかの御質問はありますか。

○森田委員 すごく素人臭い質問で恐縮です。既に12週間のものがあって、今回は24週間という容量が大きく、いろいろな副作用や有害事象も想定されるものです。12週と比べて、新たに有害性の発現は認められていないとされているものの、12週のものを2回使えばいいのではないかと素人ながら思ってしまうのです。なぜこういうものがあるのか。

○吉田部会長 メリットは何かということですね。

○森田委員 メリットですかね。

○機構 前立腺がん患者及び閉経前乳がん患者においても、かなり病状が安定している患者が多いとされており、2回と1回の注射や来院の回数等の減少が、患者のQOLに寄与するのではないかと考えられています。

○吉田部会長 かなりの量を皮下に注射するので痛い、やはり痛い回数は少ないほうがいいということと、なるべく医療機関へ行かないで自由に過ごせる時間があれば、そのほうがいいでしょうという話になろうかと思います。しかし、今度は逆に、半年も医師に診てもらわなくてもいいのかという議論もありますよね。その辺のデータを、有害事象などのところで比べているようです。先ほどの件は分かりましたか。

○機構 先ほどの御質問に関して、米国及びドイツにおいて、前立腺がん患者に係る効能・効果ですが、既治療に限定しているということはありません。

○吉田部会長 未治療の患者でも使えるようにはしていると。

○機構 ということになっています。

○吉田部会長 では、そういうことも一応参考にしていただければと思います。ほかにありますか。ないようですので議決に入りたいと思います。なお、大槻委員、清田委員、山口委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。お諮りします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。

 御異議がないようですので承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。それでは議題2に移ります。議題2について、機構からの概要説明をお願いします。

○機構 議題2、資料2-1及び2-2、ヨンデリス点滴静注用0.25mg他の製造販売承認の可否等について、機構より説明させていただきます。

 本剤の有効成分であるトラベクテジンは、DNAの副溝部分に結合し、ヌクレオチド除去修復機構を阻害すること等により、細胞死及び細胞周期停止を誘導し、腫瘍増殖を抑制すると考えられています。悪性軟部腫瘍は、非上皮組織のうち、骨、歯、網内系、グリア及び実質臓器の支柱組織を除いた中胚葉由来の線維組織、脂肪組織、筋肉組織、血管組織、滑膜等、及び外胚葉由来の末梢神経等の全身の軟部組織から発生する腫瘍であり、非常に多様な組織型が存在することが知られています。

 今般、本剤は悪性軟部腫瘍のうち、染色体転座を有することが報告されている組織型である粘液型/円形細胞型脂肪肉腫等を効能・効果として承認申請されました。なお、本剤は平成23年5月の当医薬品第二部会における審議を経て、今般の承認申請における効能・効果と同義の「染色体転座を伴う悪性軟部腫瘍」を予定される効能・効果として、希少疾病用医薬品に指定されております。本剤は平成27年5月時点において、悪性軟部腫瘍に係る効能・効果にて、77の国又は地域で承認されております。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料21にあるとおり、8名の委員です。

 以下、臨床試験成績を中心に、審査の概要を説明いたします。今般の承認申請では主な臨床試験成績として、国内第II相試験である10045030試験(以下、30試験)が提出されました。有効性について、審査報告書37ページの下から2行目以降、42ページの上から14行目以降、72ページの上から13行目以降を御覧ください。化学療法既治療で、切除不能な染色体転座を有することが報告されている組織型の悪性軟部腫瘍患者を対象とした30試験において、主要評価項目とされた中央判定による無増悪生存期間(以下、PFS)について、対照群として設定されたBest supportive care群に対する本剤群の優越性が示されたこと等から、当該患者に対する本剤の一定の有効性は示されたと判断しました。

 安全性について、審査報告書の45ページの上から6行目以降、72ページの下から20行目以降を御覧ください。本剤の使用時に注意すべき有害事象としては、骨髄抑制及び発熱性好中球減少症、肝機能障害、消化管障害、横紋筋融解症、注射部位反応、過敏症、二次性悪性腫瘍並びに膵炎が認められております。これらの有害事象については、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師によって、本剤の安全性プロファイルについて十分に理解した上で、有害事象の観察や管理、本剤の投与中止等の適切な対応がなされるのであれば、本剤は忍容可能であると判断いたしました。ただし、日本人における検討症例は極めて限られ、承認審査時点における日本人での本剤の安全性情報は限られていることから、製造販売後には本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としております。

 効能・効果については、審査報告書の51ページの下から14行目以降及び73ページの上から3行目以降に示しますように、30試験では、悪性軟部腫瘍のうち一部の組織型のみが対象とされていたものの、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師が、これまでに得られている本剤の有効性等を考慮して患者を選択することが可能となるよう、30試験において組入れ対象とされた組織型等について添付文書で情報提供することを前提として、「悪性軟部腫瘍」を効能・効果として本剤を承認することが適切であると判断いたしました。

 本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、再審査期間は10年、原体及び製剤はいずれも毒薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。

 なお、審査報告書の6ページの上から13行目の「質量偏差試験(HPLC)」の記載につきまして、(HPLC)は誤記であるため、(HPLC)を削除して、「質量偏差試験」に修正させていただきます。御審議のほどよろしくお願いします。

 なお、事前に山口委員から、主要な試験として位置付けられている30試験について、「第II相試験ではありますが、有意水準が片側5%となっており、これは規制上は問題がないのでしょうか」という御質問を頂きましたので、機構から回答させていただきます。

 有意水準については、ICH-E9、すなわち「臨床試験のための統計的原則」に基づき、検証的な試験においては片側2.5%以下の値が設定されますが、30試験のような探索的な試験においては、2.5%よりも大きな値が設定される場合があり、そのこと自体については規制上の問題はないと考えております。本剤の有効性については、有意水準が片側5%と設定された探索的な試験である30試験の成績を基に評価しており、評価には限界がありますが、審査報告書43ページの下から3行目以降に記載させていただきましたように、主要評価項目とされた中央判定によるPFSの結果に加えて、治験責任医師判定によるPFSについても、本剤群で臨床的に意義のある延長が示されたこと等から、本剤の一定の有効性は示されたと判断しました。説明は以上になります。

○吉田部会長 山口先生、いかがですか。

○山口委員 確認でして、探索的な試験ということで、御説明はよく分かりました。ただ、位置付けとして、ある意味、検証的な意味合いも持っている試験の結果だと思いますので、機構でどういう判断されたかということの確認です。

○吉田部会長 最終的にはOSで評価するということになると思いますが、それでよろしいですね。ほかに御意見はございますか。

○菊池委員 企業が申請したときは、報告書の4ページにあるような下記の組織型に該当するsoft tissue sarcomaということになっているわけですね。それが今度は判断で、何も断り書きはなくて「軟部悪性腫瘍でいい」となっていますが、それでいいのですか。

○機構 先ほど述べましたが、効能・効果に関しましては、「悪性軟部腫瘍」と付けておりますが、CTDの1.8の添付文書の項を御確認いただけますでしょうか。「効能・効果に関連する使用上の注意」の項の2番目になりますが、「臨床試験に組み入れられた病理組織型以外の患者における本剤の有効性及び安全性は確立していない」と記載しており、「臨床成績」の項に、今回の申請における主要な臨床試験とされた30試験の組入れ基準となった組織型を記載しておりますので、確かに記載の方法は若干変わっているのですが、対象となった患者、今回この薬が推奨となる患者は、申請時の表記とずれはないと考えております。同一のものを表現したという形です。

○吉田部会長 その意味は何ですか。何で具体的に書き替えたのですか。

○機構 申請者が具体的に書いてきた理由は、30試験という今回行われた国内第II相試験の組入れ基準となった組織型の患者をそのまま書いてきたというところです。

○吉田部会長 要するに、分かりやすくするために申請者が書いてきたのですか。

○機構 具体的に申請者がどう思われたのかは分かりませんが、そういった面もあると思っております。

○吉田部会長 染色体転座を伴うsoft tissue sarcomaで、これ以外にどれぐらいあるか私はよく知りませんが、限定する意味がよく分からないのです。染色体転座を伴うsoft tissue sarcomaと書いて、医師が分からないということはないと思うのですね。意図がよく理解できないような気がするのです。

○機構 そのとおりでございますが、我々が今回「染色体転座を伴う悪性軟部腫瘍」と書かなかった理由に関しては、「染色体転座を伴う」と書くと、本来は試験に組み入れる前に転座の有無を確認することはあると思うのですが、今回の申請における主要な臨床試験とされた30試験ではそれはされていなかったことがあります。

○吉田部会長 そういう意味なのですね。そこを省いたのが大きいのですね。転座があってもなくてもいいですよということですか。

○機構 あくまでも過去に染色体転座を有していると報告されている組織型が30試験の対象とされ、30試験に入るために調べたわけではありません。

○吉田部会長 1回1回術前にサンプルを採ってきて調べたわけではなくて、過去にこういう染色体転座があると言われているので、そういったものを具体的に上げていこうということで、一応臨床試験に入った悪性軟部腫瘍を全部入れたということですか。

○機構 そのようになります。

○吉田部会長 田村先生、何かコメントを頂けますか。

○田村委員 臨床試験に実際に入らなかった組織型も含まれていますね。

○機構 今回の組入れ基準の中に非常にマイナーなものも入っておりまして、幾つかそういう組織型も含まれておりますが、そういった組織型の患者というのは、年間に国内でも非常に発現頻度が低くて、実際に臨床試験に全ての組織型の患者を組み入れるのは困難ですので、そういった患者は治療体系も同様であることも考慮し、今回の適応の中に含めさせていただいています。

○田村委員 この薬に限らず、軟部肉腫に対する薬剤は幅広い適応で承認してもらっており、我々にとって歓迎すべきことと思っています。しかし、軟部肉腫の組織型は多く、薬剤感受性にも大きな違いがあるようです。まず、幅広い適応で承認はよろしいのですが、将来的にどうするのか。製販後にもデータを集め、本当に効く組織型に絞る、あるいは効かない組織型を除外するなどはお考えでしょうか。この薬剤も相当量のステロイドを使いますし、副作用も結構ありますから。

○機構 補足させていただきますが、今回、効能・効果は「悪性軟部腫瘍」としておりますが、現時点における本剤の推奨対象としては、あくまでも、実施された30試験の対象の組織型の患者のみであり、以前に効能・効果を悪性軟部腫瘍とした薬剤では、全て悪性軟部腫瘍を含めて推奨としたのですが、今回の試験の対象とならなかった患者の部分に関しては、現在海外で第III相試験等も行われておりますので、そういった開発状況を含めて検討されていくことになると考えております。

○吉田部会長 あと田村先生が言われたように、市販後にある程度でも、対象となる肉腫を決めることができるのだったら、市販後でその辺を詰めてほしいという注文は出せますね。

○機構 全例調査を行いますので、その中で検討したいと思います。

○吉田部会長 そのときに必ず組織型を見て、組織型の有効なものを確認してほしいと。

○機構 はい。そちらに関しては企業のほうに指示いたしまして、組織型も含めて情報収集をすることを考えております。

○吉田部会長 よろしくお願いします。ほかにございますか。

○機構 補足させていただきますが、有効性に関しては、現状でどういった項目を収集するかということについては、企業とやり取りしている最中です。

○吉田部会長 やり取りしている最中であれば、そういう注文にも応えていただける余裕があるということですよね。

○機構 はい。

○吉田部会長 軟部腫瘍には特効薬がなかなかないので、是非きちんとしたデータをお願いしたいと思います。ほかにございますか。よろしいですか。御意見がないようでございますので、議決に入りたいと思います。なお、大槻委員、清田委員、田村委員、山口委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。

 御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは、議題4に移ります。議題4について、機構から概要の説明をお願いします。

○機構 議題4、資料4-1及び資料4-2、ロコアテープの製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。

 非ステロイド性抗炎症薬(以下、NSAIDs)であるラセミ体のフルルビプロフェン(以下、FP)製剤は、貼付剤や経口剤として炎症性の疼痛疾患に対して使用されています。本剤は、FPの活性本体であるS体のエスフルルビプロフェンと既承認のハッカ油を有効成分とする貼付剤として開発され、今般、変形性関節症(以下、OA)を効能・効果として申請されました。

本申請の専門委員としては、資料21に記載されています9名の委員を指名いたしました。

 主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡単に説明いたします。審査報告書40ページの()国内後期第II相試験2.の項を御覧ください。変形性膝関節症患者を対象としたプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験では、有効性の主要評価項目である貼付2週後の「椅子から立ち上がるときの膝の痛み」のVASのベースラインからの変化量は、40ページの表12のとおりであり、本剤40mg群と基剤群との対比較において、統計学的に有意な差が認められました。また、41ページの()国内第III相試験の項を御覧ください。先ほどと同様のOA患者を対象とした非盲検無作為化並行群間比較試験の結果、有効性の主要評価項目である貼付2週後の「椅子から立ち上がるときの膝の痛み」のVASのベースラインからの変化量は、41ページ表13のとおりであり、本剤群と対照であるFP貼付剤群との対比較において統計学的に有意な差が認められ、FP貼付剤に対する本剤の優越性が検証されました。

 以上より、膝に病変を有するOA患者に対する本剤の有効性は示されたと判断しました。また、本剤を2枚貼付したときの全身ばく露量は、既承認のFP貼付剤を上回り、FP経口剤と同程度になることが推定されており、既承認のFP製剤と同様に、膝以外の部位のOAに対する本剤の有効性も期待できると判断いたしました。

 次に、審査報告書の47ページ以降の()安全性についての項を御覧ください。OA患者を対象とした国内臨床試験の主な有害事象の発現状況は、48ページの表20及び44ページの表16のとおりであり、本剤投与例において貼付部位の有害事象等の発現が認められました。また、NSAIDsのシクロオキシゲナーゼ阻害作用に関連するリスクである消化管障害、腎機能障害、心血管障害等について確認し、本剤2枚までの貼付において安全性上の大きな問題は認められませんでした。

 ただし、本剤2枚貼付時の全身ばく露量は、既承認のFP経口剤と同程度になることが推定されていることを踏まえると、本剤はFP経口剤と同程度の安全性リスクを有する可能性があるため、同時に貼付可能な枚数は最大2枚までに限定するとともに、既承認のFP経口剤と同様の注意喚起を行う必要があると考えております。また、本剤については、1回の貼付枚数を遵守することや他のNSAIDs製剤との併用を可能な限り避けること等、適正に使用することが重要であることから、机上にお配りしました製剤の内袋等も用いて、医療関係者及び患者に対して、本剤の使用法に関する注意喚起を周知することを予定しております。

 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから再審査期間を8年、原体のエスフルルビプロフェンは毒薬、製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。以上です。よろしく御審議のほどお願いいたします。

○吉田部会長 それでは委員の先生方からの御質問、御意見をお願いいたします。

○関水委員 御説明いただいた表12について質問します。基剤群で58.4から28.4でマイナス30、それが本剤40mg群で57から21でマイナス35.5で、統計学的に有意な差があるということですが、基剤群で58.4から28に大きく値が下がっています。これは、基剤だけで著明な治療があったと考えてもいい条件で実験がなされたということですか。

○機構 著明な効果というのは、ベースラインからの変化量が約30変化したことに関してでしょうか。

○関水委員 そうです。この値の最終評価時、ベースラインから下がったというのは、下がれば下がるほど膝の痛みがなくなったということですね。それが58.428.4になるということは、著明な差があるわけです。本剤を使わなくても著明な治療効果があったと、理解してよいのでしょうか。

○機構 著明な差かを判断することは難しいですが、今回評価している痛みに関しては、患者の主観的な評価であり、それをVASで定量化しており、対照群と差が付くかを。

○関水委員 私は、58.428.4になったという結果から、基剤群で治療効果があったといってよいかどうかです。

○機構 少し御説明させていただきます。まず、基剤群に用いられた基剤にはエスフルルビプロフェンは入っておりませんが、有効成分の一つであるハッカ油が入っています。ハッカ油は消炎・鎮痛を目的とした一般用医薬品の有効成分の一つとしても使われていますので、その効果も基剤群の成績に少し入っているだろうと考えております。

○関水委員 基剤だけの場合に、58.4から28.4になっており、本剤を102040、使った場合、262421となるのですよね。ですから、基剤だけで十分なのではないか、という理解をした人に対して何と説明するのですか。

○機構 体重が重ければそれだけ膝に負担がかかりますので、患者さんには減量や日常生活で注意すること等の指導も行われています。このような生活指導とハッカ油の効果が合わさって、この成績になっていると考えております。全く無処置の状態ということではありませんので、そういう日常生活の指導等も含めて患者に指導していった結果、58.428.4に減ったと考えております。

○中島委員 先ほど機構の方もおっしゃいましたように、痛みのプラセボ効果というのは主観的な評価で、VASで見ておりますと60%ぐらい出てくることがあることが、プラセボ研究で分かっております。ですので、今回の5928まで減るというのはプラセボ効果としては妥当な数値ではないかと思います。

○吉田部会長 要するに、かなり主観的な症状をベースラインにして持っていくと、それぐらいは簡単に動くことがあるというお話ですね。ほかにございますか。

○奥田委員 個人的な興味にもなるかもしれませんが、31ページの組織移行性の試験で、この製剤の開発のそもそもの意図は、もともと市販されていた製剤がラセミ体であって、1対1のS体、R体の等量のもの、それの40mg製剤と比較して、今回の20mg製剤の組織移行性比較をしたときに、予想される移行性としたら、有効成分としてはほぼ同じ量がいくのかなと予想されると思うのですが、濃度を見ると30数倍と非常に差があります。この差というのはどのようにして生まれるのかということについて、お考えがあるのかどうかを教えていただきたいと思います。

 それと、このことが安全プロファイルなどに影響する可能性はないのかについて、例えば消化器症状等がこの製剤で出ることも示唆されていると記載されていますので、この組織移行性の情報が安全プロファイルの予想にどのようにつながるかについて、教えていただければと思います。

○機構 組織への移行が従来の貼付剤と比べて高くなっている点についてですが、本剤の開発コンセプトとして、貼付部位からの組織移行性を高めるということがあり、開発の過程において、製剤中の有効成分の溶解性が高くなる。また、皮膚透過性が高くなるような溶解補助剤が選択されております。

 その結果として、全身血中への移行も高い製剤になっておりますが、2枚までの貼付ですと、現在市販されているフルルビプロフェンの経口剤の全身ばく露と同程度になることが推定されております。臨床試験において、2枚までの制限であれば、高頻度に消化管障害が発現するとか、COX阻害による事象についても大きな問題となるような事象の発現は確認されておりませんので、2枚の制限を守って使用いただければ、おおむね忍容可能と考えております。

○吉田部会長 そこだと思うのです。痛い人は使ってしまいます。2か所といっても、こちらも痛いから3か所使うとなるだろうし、私が思うには1年、2年と貼り続ける人もいると思うのです。むしろ使いすぎに対するcautionを入れたほうがいいのではないかと思うのです。例えば原則として2か所までなら2か所まで、2枚までということを徹底するとか、例えば1年以上使った患者のデータについて、特に集めてもらうとかということは必要な気がするのですが、いかがでしょうか。

○機構 御指摘のとおりと考えております。添付文書の用法・用量で2枚までの制限を記載しておりますし、それに加えて資材であったり、今回は貼付剤という剤形なので製剤そのものに情報を書ける大きなスペースがありますので、2枚までを厳守するように、1日につき最大で2枚までということを記載して、患者さんに守っていただくことを考えています。

○吉田部会長 赤で大きく書くとか。

○機構 はい。また、医師や薬剤師にも、この製剤の特徴を理解していただき、処方される際、交付される際に、患者さんにも十分に説明いただくよう、申請者に指示したいと考えております。

○吉田部会長 ほかにございますか。

○鈴木委員 本剤に含まれているハッカ油は、昔からありますね。第1世代と言われているものは、主にこれで、スッとして効いたような気がする訳です。そちらの効果は、たまたまそうなったというような書きぶりですが、鎮痛剤の効果とハッカ油の効果、精神的なものを含めて、その両方で効果があるということを、高齢者などにはすごく喜ばれそうな気がするので、当初から狙っているということはなかったのですか。

○機構 申請者の説明では、□□□□□としてハッカ油を使用しており、その他の□□□□□も含めて適切な濃度を選択した結果、本剤の濃度になったと説明されております。ですので、開発当初は香や、有効性を助けるという目的ではなく、エスフルルビプロフェンの□□□、皮膚透過性を高めるためと説明されております。

○吉田部会長 一般用医薬品の貼付剤でもハッカの匂いはしますよね。ハッカ油を使うというのは、一般的な作法なのでしょうか。それとも、NSAIDsではほかにハッカ成分を含むような貼付剤というのはないのですか。

○機構 ほかの貼付剤で使われてはいるのですが、本剤はかなり高い濃度が使われており、薬用量に近似した濃度になっております。

○吉田部会長 先生がおっしゃったように、何かの意図があったかもしれないと。

○機構 結果的にハッカ油を薬効成分として用いている製剤と同程度の濃度が配合されていますので、先ほども申し上げたとおり、基剤効果として出ている可能性はあるかと考えております。

○吉田部会長 そうすると、配合剤のようなものなのですね。

○機構 ですので、新医療用配合剤として申請されております。

○吉田部会長 ほかにございますか。

○菊池委員 私は若い人を診ているからこういうのは要求されませんが、おばあさんなどはこういうのをたくさんほしがります。7枚入りでやっていますから、2袋とか4袋を限界にしておかないと、この医療費はすごく高いと聞いたことがあるのです。それは何か抑制などはあるのでしょうか。

○機構 当初は2週間処方の制限が付くかと思いますので、一度に大量に処方されることはないと考えております。

○菊池委員 それでいいと思います。あと、これに、ここにあるこれが書かれるわけですよね。これで1枚目を剥がして、2枚目、3枚目で、1日の最大量は2枚までとなっていて、ある意味ではいいことが書いてありますが、読んでくれないような気がするのです。剥がし方のほうが目に入ってしまうと思うのです。色を変えるとか。ほかの製剤でも、ずっと貼っていたりとか、ペタペタ貼っている人がいますが、この際、こういう新しい薬で「危ない」と言っていますが、ほかの薬にも貼りすぎに注意しなさいとか、そういう指導をするのが規制当局だと思うので、そこら辺は何か考えはないでしょうか。

○機構 他品目について、市販後の御指摘になるかと思いますので、関係部署に先生から御指摘いただいた内容はお伝えしておきたいと思います。製剤の2枚の制限の記載部分に関しては、患者さんに確実に守っていただけるよう、より目立つような形で更に工夫できないか、再度検討したいと思います。

○菊池委員 先ほど「基剤」とおっしゃいましたが、ハッカの成分が入っているところの、プラセボのところにも、このハッカが入っているのだったら、それは基剤ではなくて、もう薬が入っているということですよね。だから、この匂いだけで効いてくるような気がします。かなり強いですから、蓋を開けただけで分かりますから。若い女の人はハッカの匂がしないのをくださいという人がいます。だから、ハッカが入っていない薬もありますよね。そこら辺の使い分けというか、そういうものがあると思います。基剤というか、先ほどの表現は少し違うのではないかと思います。

○機構 分かりました。ご指摘ありがとうございます。

○吉田部会長 ほかにございますか。御意見もないようでございますので、議決に入りたいと思います。お諮りします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。

 御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは議題5に移ります。議題5について、機構からの概要説明をお願いします。

○機構 議題5、資料5、ミティキュアダニ舌下錠3,300JAU他の製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。

 本剤は、コナヒョウヒダニ及びヤケヒョウヒダニからそれぞれ抽出・調製した各ダニエキスを含有する舌下錠であり、ダニを原因アレルゲンとするアレルギー性鼻炎に対する舌下投与による減感作療法(SLIT)用製剤として開発され、海外においても現在承認審査中です。本邦では、SLIT用製剤として、スギ花粉を含有するSLIT用舌下液(シダトレンスギ花粉舌下液)及びダニアレルゲンを含有するSLIT用舌下錠(アシテアダニ舌下錠)が既に承認されております。本申請の専門委員としては、資料21に記載されております8名の委員を指名いたしました。

 主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡単に御説明いたします。審査報告書12ページ()国内第II/III相試験の項を御覧ください。ダニ抗原による通年性アレルギー性鼻炎患者を対象に、本剤6DU、12DUを1日1回52週間舌下投与したときの有効性及び安全性を検討するため、プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験が実施されております。なお、DUは開発単位(Development Unit)の略であり、1DUは表示単位として1,650JAUに相当します。

 有効性の評価項目は鼻汁、鼻閉、くしゃみ及びそう痒感を指標とするアレルギー性鼻炎の1日症状スコアと、レスキュー薬の使用を反映した1日投薬スコアの合計である、総合鼻症状薬物スコアと設定されました。12ページの表4に示すように、投与44週から52週における総合鼻症状薬物スコアについて、本剤6DU群、12DU群とプラセボ群との各対比較において、統計学的に有意な差が認められており、当該結果等に基づき、アレルギー性鼻炎の症状の改善に係る本剤の有効性は示されていると判断いたしました。

 なお、本剤6DUと12DUの有効性は同程度であり、症状に応じて12DUに増量可能と設定することを支持する臨床試験成績は得られていないことから、審査の過程において12DU(20,000JAU)の申請は取り下げられております。

 次に審査報告書16ページ以降の()安全性についての項を御覧ください。本剤の国内外臨床試験において、アナフィラキシー及びアナフィラキシーショックを発現した症例は認められておりませんが、17ページの表10に示すように、本剤群ではダニ抗原によるアレルギー関連反応と考えられる有害事象の発現率が高い傾向が認められたこと。また、アレルゲンを直接投与するという減感作療法の特性を考慮して、既承認のSLIT用製剤と同様の安全管理体制を構築する必要があると判断いたしました。したがって、審査報告書25ページの最下部から26ページにかけて記載してありますように、承認条件として「舌下投与による減感作療法に関する十分な知識・経験をもつ医師によってのみ処方・使用されるとともに、本剤のリスク等について十分に管理・説明できる医師・医療機関のもとでのみ用いられ、薬局においては調剤前に当該医師・医療機関を確認した上で調剤がなされるよう、製造販売に当たって必要な措置を講ずること」を付す予定です。

 以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本第二部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、また原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○吉田部会長 委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。

○庵原委員 これは、同じ成分を持った別のメーカーから出ていますね。そうした場合、このメーカーでスタートしたらこれでずっといかなければいけないのか、それとも互換性がある、その辺りはどう解釈されているのですか。

○機構 御指摘のとおり別メーカーからも、ダニから抽出されたアレルゲン舌下錠が市販されておりますが、基本的に切り替えは想定しておりません。ずっと同じメーカーの製剤で続けていただく予定です。

○吉田部会長 よろしいですか。

○関水委員 表4の結果で、統計学的な有意な差があるということですが、減感作療法が成立したために、差が生じたことを示すデータは、ないのではないですか。

○機構 御指摘は、これは一時的なものか、その後も有効性の維持が期待されるかということですか。

○関水委員 いいえ、そうではありません。これは減感作療法に基づく医薬品だということで、今は議論しているわけです。この結果が得られたのが、減感作療法が成立したためであることを示す証拠はどこにあるのでしょうか。例えば、この差がみられるのがダニに特異的だとか、何かそういう証拠があれば納得できるのですが、プラセボ群に比べて余り顕著な差だとは私には思われないのですが、そのようなものがなぜ減感作療法が成立したためによると言えるのかという疑問を持つのです。

○機構 この試験には、ダニアレルゲンに対する反応を持っている患者さんが組み入れられておりますので、ダニアレルゲン陽性患者さんでの有効性は示されております。またこのマイナス1点という群間差については、類薬と同程度の薬効と思います。今後、製販後調査等で、長期的な有効性は見ていきます。また1年間のこの試験の中でも、経時的に有効性が大きくなるという結果は得られております。減感作療法が成立したことを示す具体的なデータはありませんが、少なくとも1年以上の投与により更なる薬効の増大は想定できます。

○関水委員 ダニに関する減感作療法のエビデンスがあるのではないというお答えであれば、もうそれで十分なのです。その証拠は特にないのですね。私は何か勘違いして質問しているのではないかと恐れて、質問させていただいているのです。別にそのエビデンスがなくても、統計学的有意があるのだから、これを薬として承認しても差し支えないのではないかという、そういう論理は確かにあると思うのです。それだったら私としても納得できるけれども、何か減感作療法が成立していることが明らかになったかのように、錯覚するような説明が行われているように思うのです。

○大槻委員 皮膚科の大槻です。今の質問に関係して、皮膚科からのコメントです。皮膚反応でダニに対する反応が治療前後で変化しているとか、あるいはダニアレルゲンに対する特異的IgEのRASTが治療前後でどうなっているとか、そのようなデータがあるかというのが質問の主旨だと思います。何かそういったことをそれは調べているのでしょうか。

○機構 先生方にお配りしている資料には含まれておりませんが、投与後に抗原特異的IgE抗体や総IgEが上昇し、また、抗原特異的IgG抗体も投与後に上昇しているところから、減感作が成立しているという説明が申請者よりなされております。

○関水委員 それは逆だと思います。IgEのタイターが上がれば減感作が成立していないことになります。IgEのタイターが上がらないという証拠が得られていれば、減感作療法が成立しているというエビデンスになるのですが、おっしゃったことは逆です。

○機構 詳細なデータを確認した上で、後ほど御説明させていただきます。

○大槻委員 実は、そこは非常に間違いやすいところです。IgEというのはアトピー性皮膚炎で症状が良くなっても、逆に上がることがよくあります。総IgE値は治療の効果と関連しないのです。皮膚科ではTARCというケモカインを測るようになっていて、鼻炎ではちょうどいいメルクマールがないのかもしれませんが、皮膚反応を見るのは理に適った方法といえます。皮膚反応を前後で比較していなければ、臨床症状以外の十分な評価はできていないと考えた方がいいのではないでしょうか。

○吉田部会長 抗原を希釈したものを皮膚に打って、それで酷い反応がなければ、脱感作したことになりますが。

○機構 基本的に投与後、治療開始後にそのような評価を行っていないと思います。組入れのときには行っておりますけれども、そのようなデータは持ち合わせておりません。

○吉田部会長 例えば、フェーズ1のときにはやっていないのですか。

○機構 確認が必要ですけれども、恐らく検討されていないと思います。

○吉田部会長 また、例の横並びですか。他の所のSLIT製剤もそのようにやっているから、そのようにやったという感じなのですか。

○機構 このような治療をということでしょうか。

○吉田部会長 いや、そのような皮膚反応まで見ないで、脱感作ができたというように申請してくるのは、他のSLIT製剤も同じですか。

○機構 他の製剤がどのような評価が行われているか、今は情報を持ち合わせておりません。海外試験のデザインを参考に設定されていることが多いので、そもそも海外でそのような評価項目が設定されていない可能性はあります。

○吉田部会長 どうしましょうか。脱感作が成立したと考えられるエビデンスについて、企業側に説明を求めることはできますか。

○機構 脱感作が成立したと考えられるエビデンスについて企業に説明を求めることは可能です。ただ、1点付け加えさせていただきますと、今回の治療法は原因アレルゲンを舌下や皮下に投与するもので、このような治療法自体が減感作療法と言われております。この中で鼻水などの鼻の臨床症状がプラセボよりも良くなっているので、臨床的には減感作療法という表現を使ってよいのではないかと考えております。

○吉田部会長 脱感作状態にあったということを言えるかどうかについてコメントを求めて、一応返事を聞かせていただくということでよろしいですか。そういうことを条件に入れておきたいと思います。あとは、12歳未満の小児には使わないということですね。

○機構 はい、今回は12歳以上です。

○吉田部会長 だから、絶対に使っては駄目という話にはなるのですね。

○機構 はい。

○吉田部会長 その辺の規制もよろしくお願いします。他にないようでしたら議決に入ります。大槻委員、清田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づいて、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、脱感作状態が成立しているということに関するエビデンスを示していただくという条件を付記し、承認を可とすることにしたいと思いますが、可としてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 議題6に移ります。議題6について機構から概要説明をお願いします。

○機構 議題6、資料6、医薬品シプロキサン注200mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明いたします。

 本剤は、フルオロキノロン系抗菌薬であるシプロフロキサシンを有効成分とする注射剤であり、本邦では敗血症、外傷等の二次感染、肺炎等を効能・効果として承認されています。成人に対する本剤の用法・用量は、「1回300mg、1日2回投与」となっていますが、海外承認用法・用量である「1回400mg、1日2回又は3回投与」に合わせてほしいという要望と、小児の重症感染症の適応を追加してほしいという二つの要望が関係学会より提出され、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」での検討の結果、申請者に対して開発要請され、今般、承認事項一部変更承認申請がなされました。本申請の専門委員としては、資料No.21に記載の6名の委員を指名いたしました。

 申請内容について、臨床成績を中心に説明いたします。成人について、本申請における用法・用量は海外承認用法・用量と同一であり、海外診療ガイドライン等では、本剤が標準的治療法の一つとして推奨されています。日本人における有効性について、審査報告書16ページ冒頭の表9を御覧ください。表9の最下段の「治癒率」ですが、これは本剤1回400mgを1日2回又は3回投与した国内臨床試験において、治癒判定時の治癒率は、1日2回のBID群で66.7%、1日3回のTID群で80%でした。海外の状況及び国内臨床試験成績に加え、シプロフロキサシンの薬物動態や、臨床分離株の感受性に、国内外で明らかな差異はないと考えられることなどから、これらの用法・用量の下でも、本剤の有効性は期待できると判断いたしました。

 成人での安全性について、審査報告書16ページの表10を御覧ください。この表は、国内臨床試験で2例以上認められた有害事象を示しています。安全性プロファイルは、既承認用法・用量の1回300mg、1日2回投与時と大きく異ならないことから、本剤400mgを1日2回又は3回投与時の安全性は許容可能と判断いたしました。

 次に、小児での有効性について、審査報告書18ページの上の表12を御覧ください。複雑性尿路感染症又は腎盂腎炎患者を対象とした海外第III相試験において、治癒判定時の有効率は、「全体」の行に記載のとおり、本剤群95.7%、対照群92.6%であり、対照群として設定された抗菌薬に対する本剤の非劣性が検証されました。また、審査報告書19ページの下から2段目、「主要評価項目である」から始まる記載を御覧ください。嚢胞性線維症の急性肺機能増悪患者を対象とした海外第III相試験において、投与終了時の有効率は、本剤群及び対照群とも100%でした。

 これらの試験成績に加え、海外診療ガイドライン等の記載、シプロフロキサシンの薬物動態及び対象疾患の原因菌に国内外で差異がないこと等を踏まえ、日本人小児患者においても、本剤の有効性は期待できると判断いたしました。

 小児での安全性について、審査報告書18ページの表13及びその隣のページの表14を御覧ください。これらの表は、先ほど説明した海外臨床試験で認められた有害事象を示しています。また、審査報告書21ページの表16を御覧ください。この表は、国内使用実態調査で2例以上に認められた有害事象を示しています。小児を対象とした海外第III相試験及び国内使用実態調査で認められた有害事象は、関節障害を除き、日本人成人で認められる有害事象と大きく異なる傾向は認められていないと判断いたしました。小児に対する本剤の使用に際しては、関節障害発現リスク等を考慮し、投与の必要性を慎重に判断する必要があると判断いたしました。

 以上の審査を踏まえ、機構は本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は、小児の効能・効果及び用法・用量を新たに追加するものであることから、小児の効能・効果及びその用法・用量の再審査期間として4年間と設定することが適切と判断しています。なお、薬事分科会には報告を予定しています。以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○吉田部会長 未承認薬・適応外薬検討会議絡みの申請ということのようです。委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。

○庵原委員 これは、キノロン系だと関節毒性が絶えず話題になります。今回の中ではそういう症状はありませんでした。これで症例数が増えてきた場合に、この関節毒性に関しての調査等か、今後のフォローに関しては何か計画していますか。

○機構 審査報告書44ページを御覧ください。表27の上の段で、「特定使用成績調査(小児)」の所に記載しております。こちらで主な調査項目として、関節毒性及び関連する有害事象を重点的に収集するように計画されております。

○吉田部会長 小児というのは、何歳から何歳まででしたか。

○機構 下は決まっておりません。

○吉田部会長 それでは、乳幼児にも使うのですね。

○機構 はい。

○吉田部会長 新生児にも使う。

○機構 そうです。

○吉田部会長 要するに、どこまでも行けますということなのだろうけれども、気になるのは母集団のファーマコが合っているからといって、新生児にまで入れてもいいものなのだろうかが非常に気になるのですけれども、この辺はしようがないですか。むしろ、制限することによるデメリットのほうが大きいのかもしれないですね。

○機構 審査報告書27ページの臨床的位置付けや30ページの安全性の項に記載していますように、本剤を小児に使うときには、先生がおっしゃられるように関節毒性は非常に問題になってくる可能性があります。基本的には他に使える抗菌薬がない患者さんを対象に限定して本剤を使いましょうという形にしております。

○吉田部会長 最後の手段で使ってくださいと。

○機構 はい。そのため年齢を制限すると、現場では非常に都合が悪くなってしまいます。

○吉田部会長 そういう問題は、使用上の注意に反映されているのですか。

○機構 資料の1.8の添付文書案を御覧ください。効能・効果に関連する使用上の注意の枠内の「小児」の項に、関節障害が発現するおそれがあるので、リスクベネフィットを考慮し、本剤の適用は原則として他の抗菌剤を使用できない患者等に限定する旨を記載させていただいております。

○吉田部会長 分かりました。基本的には公知申請での承認を求めているということのようです。よろしければ議決に入ります。なお庵原委員、大槻委員、川上委員、清田委員、山口委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。

 御異議がないようですので、承認を可とし薬事分科会に報告とさせていただきます。

 議題7に移ります。大槻委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議題7の審議の間、別室で御待機いただくことといたします。

                                ( 大槻委員退室)

○吉田部会長 議題7について、機構より概要説明をお願いします。

○機構 議題7、資料7、医薬品ヴィキラックス配合錠の製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。

 本剤は、C型肝炎ウイルスのNS5A阻害剤であるオムビタスビル水和物、NS3/4Aプロテアーゼ阻害剤であるパリタプレビル水和物及びリトナビルの3成分を有効成分とする配合剤であり、今般、ジェノタイプ1のC型慢性肝炎及びC型代償性肝硬変を効能・効果とする申請が行われました。本年6月時点で、本剤はEUを含む36か国で承認されています。なお、本邦では、HIV感染症治療薬として有効成分の1つのリトナビルの単剤及び配合剤が既に承認されていますが、リトナビルは、CYP3A阻害作用を有することから、主にCYP3Aで代謝される他の抗HIV薬の血中濃度の上昇を目的として使用されることがあり、本剤においても、パリタプレビルの血中濃度の上昇を目的としてリトナビルが配合されています。本申請の専門委員としては、資料No.21に記載の9名の委員を指名しました。

 以下、審査内容について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。有効性について、審査報告書68ページの表42を御覧ください。この表は、ジェノタイプ1bのC型慢性肝炎又は代償性肝硬変患者を対象とした国内第III相試験における、投与終了12週後のHCV RNAの持続陰性化率(SVR12)を示しています。左側の「背景因子」の上から1段目、「全体」のSVR12率は未治療患者94.6%、既治療患者93.6%でした。また、その下の段の「代償性肝硬変」患者のSVR12率は、未治療患者100%、既治療患者87.9%でした。なお、本試験では、投与開始12週間はプラセボを投与する群が設定されており、プラセボを投与した患者におけるHCV RNA量の推移が確認されています。HCV RNA量の平均値は、投与開始前で6.7Log IU/mL、投与12週後も同じく6.7Log IU/mLとなっており、プラセボが投与された患者においてウイルス量の減少は認められていません。これらの試験成績等を踏まえ、ジェノタイプ1のC型慢性肝炎及びC型代償性肝硬変患者に対する本剤の有効性は期待できると判断しました。

 次に安全性について、63ページの表40を御覧ください。国内第III相試験において、2%以上又は2例以上に発現が認められた有害事象及び副作用を記載しています。右側の「副作用」の慢性肝炎では、本剤の投与により、末梢性浮腫、頭痛、悪心等が認められています。また、治験薬との因果関係がありと判断された重篤な有害事象は、C型慢性肝炎患者の本剤群2例に低血圧及び無尿が、C型代償性肝硬変患者1例に肺水腫が認められましたが、本剤の投与中止後に回復が認められています。これらの有害事象、その発現割合等を踏まえ、本剤の安全性は許容可能であると判断しました。

 以上の審査を踏まえ、機構は本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品及び新医療用配合剤であることから、再審査期間は8年、原体オムビタスビル水和物及びパリタプレビル水和物は毒薬、劇薬、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、製剤はリトナビルを含有することから劇薬に該当すると判断しています。なお、薬事分科会には報告を予定しています。以上、御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○吉田部会長 それでは、委員の先生方から御質問、御意見をお願いします。

○鈴木委員 この薬の前にハーボニー配合錠が出ており、先週、中医協でも問題になったのですが、1錠8万円台と、非常に高いのです。使用する想定人数が、その前に出たソバルディ錠と余り変わらなかったので、もっと数が多いのではないかという話をしたら、近々もう1種類出るということで、それがこれだと思うのです。この薬とハーボニー配合錠では、ハーボニー配合錠は、SVR12率が100%ということで、そこは非常に画期的だとは思うのですが、それに比べると、これは若干落ちるという感じですが、どうなのでしょうか。

○機構 ハーボニー配合錠との比較試験を実施していないので、厳密な比較は難しいと思っております。ハーボニー配合錠はNS5Bポリメラーゼ阻害薬とNS5A阻害薬で、本剤の場合は、NS3Aプロテアーゼ阻害薬とNS5A阻害薬ということで、含有している有効成分の作用機序が少し異なりますので、今後の薬剤耐性変異の出現等を考慮して、どの薬剤を使用するか等の判断はなされるのではないかと考えています。

○鈴木委員 そのときに、ソバルディ錠が6万1,000円ぐらいだったので、何でハーボニー配合錠が8万円でそんなに高いのだという話をしたら、配合剤のほうが、1日薬価合わせという昭和57年ぐらいに決めた規則があって、24週投与が12週になるので、値段を倍にしたという話が出ました。診療側の委員から、そのようなことで高くなるのはいかがなものかということで、それを見直してからもう1回出し直したらいいのではないかという話が出たところ、中医協の会長から「法的安定性を損ねるおそれがある」と、国会のような答えがあり、それで認められなかったのですが、同じようなことがこの薬でも起こる可能性があるのでしょうか。それについて説明していただけますか。

○審査管理課長 鈴木先生からの御質問は、多分、薬価算定のときの考え方の話になってくるものですから、さすがに審査部のほうでそれのお答えは。

○鈴木委員 もちろんここはリスクベネフィットを議論する場ということですが、余りにも高いので、この薬は世界中で話題になって、費用対効果評価のモデルのような話になっているのです。この時点でどのような状況なのかを教えていただいて、次の議論の場での参考にさせていただきたいと思うのですが、同じような問題が起き得るものなのかを教えていただけますか。

○審査管理課長 審査管理課のほうで少し関係部署に聞いて、鈴木先生に御説明を差し上げるようにしたいと思います。すみませんが、可能な範囲でよろしくお願いします。

○鈴木委員 今は分からないということですか。

○審査管理課長 すみません。

○吉田部会長 言いたくないらしいです。

○鈴木委員 言いたくないのですね。

○審査管理課長 この場で何を比較に持ってくるのかとか、算定根拠として何を取るのかなどという話の非常に微妙なところがありますので、余り不正確なお答えをするわけにはいかないということがちょっとありまして、慎重にお答えをさせていただきたいと思います。

○鈴木委員 我々としては少しでも薬価を下げたいのです。前回は法的安定性を損ねると言われてしまったので、それ以上の話ができなかったのですが、次は、その部分は分かっている話なので、そのようなことがあれば、前もって見直すべきではないかという話も出たのです。そこを少し詰めさせていただきたいということです。

○審査管理課長 その場の御議論も私も拝見して聞いておりましたので、承知しております。

○鈴木委員 よろしくお願いします。

○審査管理課長 ありがとうございます。

○清田委員 64ページに、副作用で無尿とあります。結構厳しい副作用だなと思っているのですが、いかがでしょうか。もし細かいことがお分かりでしたら、お知らせいただきたいのですが。

○機構 すみません、少しお待ちください。

○吉田部会長 分かりました。因果関係ありの無尿ですから、どういうメカニズムで無尿になったかということが気になられるということですね。それを調べていただいている間、ほかにありますか。

 菊池先生、こういう抗ウイルス薬をうんぬんするときに、みんなSVRで一応、有効性を判断していますが、これは臨床的効果としてのサバイバルとか何とかを見るということではなく、要するにウイルスの活動を抑えるか、抑えないかを見ようという話ですね。そういった評価でやるのが、例えばHIVとかHCVとかで標準になっていますが、それでいいのでしょうか。いつも不思議に思うのですよ。抗がん剤では、例えばがんを制御しているかどうかをみようとすれば、縮小率ということになるのですが、実際にはそんなことは問題にしなくてサバイバルを問題にしているのに、ウイルスの場合はその縮小率を問題にしているような気もするものですから。その辺りに齟齬はないのかどうか教えていただければ有り難いのですが。

○菊池委員 HCVとHIVはまたちょっと違いますが、多分、部分的に封じ込めている部分もありますから、その辺りの違いがあるかと思うのです。HCVなどの場合には、やはりSVRの12のところでうまくいっていれば、その後、大体うまくいくような形になっているので、それはそれでいいのだと思います。

 ついでに、余り聞くと今日も長くなってしまうのですが、これは1型のものは全部引っくるめてしまっていいわけなのですね。治療歴があってもなくても、aもbも。

○機構 そうです。

○菊池委員 海外などでは若干違っている国もありますが、これはこういう感じでという。

○機構 御存じのように、日本ではジェノタイプ1aの患者さんは非常に稀なので、海外データも参考にして、ジェノタイプ1aも承認できるだろうと判断しております。

○菊池委員 分かりました。選択肢が増えて、多分、現場も難しくて、どれを使うかとか。患者さんに、たくさん薬が出たということを例えば分かっていても、どれを使っていいのかというのが非常に混沌としていて、多分、専門医の先生たちも分かっていないというか、head-to-headのことなどは恐しくてお互いにできないでしょうし。でもやはりそういうことが必要で、日本人に対してどうなるかというのはどうしても必要なのではないかと思います。今だと、例えばHIVの人だとリトナビルを使っている。ほかの薬もありますが、これを使うのだったら別の製剤に替えてというようなことで、多分対応していくとは思うので、そういったことで選択肢が増える部分はいいとは思うのですが、まだたくさん考えなければいけないことがあるのではないかと思いました。

○機構 ありがとうございます。重複感染している患者さんに本剤を使うに当たっては、添付文書でも、HIVがきちんと抑えられていることを確認するということを注意喚起させていただいております。

○吉田部会長 先ほどの件は分かりましたか。

○機構 被験者の背景は72歳の男性で、過去の病歴としては脳梗塞、左不全麻痺と高血圧を有している患者さんです。本剤投与2日目から3日目にかけて排尿が認められなかったというところで、入院となり、その時点で本薬の投与が中止となっています。最終的には回復しているのですが、投与4日目の時点で退院されていますので、翌日には退院という形になっているかと思います。症状は速やかな回復が認められたと判断されています。

○吉田部会長 無尿になったけれども回復はしたと。

○機構 そうです。

○清田委員 なぜかは分からないのですね。それ以上のことが分からなければ結構ですが。

○吉田部会長 例えば腎臓の機能がどうのこうのなどということも、書いていないのですか。

○機構 BUNの測定がされています。BUNはほぼ基準値範囲内で変動はほとんどなかったとなっているので、この辺りが原因であったという話ではありません。

 本被験者はカルシウム拮抗薬を併用されている患者ですので、カルシウム拮抗薬によるものではないかという考察がありまして、本剤とともにカルシウム拮抗薬を中止すると、無尿の症状も改善したというような結果になっています。

○清田委員 それ以上のことは分からなそうですから、結構です。

○吉田部会長 それでも因果関係ありにしてしまったのですね。

○機構 そうです。

○吉田部会長 分かりました。ほかにありますか。よろしいでしょうか。それでは議決に入りたいと思います。お諮りします。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。

 御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。別室で御待機されている大槻委員を呼び戻してください。

                                 ( 大槻委員入室)

○吉田部会長 それでは、議題8及び議題13を一緒に審議いたします。医薬品機構からの概要説明をお願いします。

○機構 議題8、資料8-1及び8-2、オクトレオスキャン静注用セットの製造販売承認の可否等について、機構より説明させていただきます。

 オクトレオスキャン静注用セットは、スイス・サンド社により合成されたソマトスタチンアナログであるペンテトレオチドに放射性同位体である111インジウムをキレートさせた化合物を主成分とする神経内分泌腫瘍(以下、NET)を可視化する放射性の診断薬です。NETは神経内分泌細胞に由来する腫瘍の総称であり、NETの局在診断には主にCT、MRIが用いられていますが、原発巣の検出や転移、再発の確認には必ずしも十分とはいえない状況にありました。ここに本剤を用いたソマトスタチン受容体シンチグラフィが加わることで、NET診断の精度が向上すること等が期待されます。本剤は、1994年にシンチグラフィによるNETの診断薬として米国等で承認されて以来、2015年7月現在、世界30か国以上で承認されています。

 国内での本剤の臨床開発は、マリンクロットメディカル株式会社(現マリンクロットジャパン株式会社)によりなされ、国内第III相試験までの成績をもって□□年に承認申請がなされましたが、審査の過程で追過データが必要となったこと等から当該申請は取り下げられました。その後、日本内分泌学会等3学会により本剤の開発要望が「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」に提出され、厚生労働省からの開発要請を引き継いだマリンクロットジャパン株式会社とライセンス契約を締結した富士フィルムRIファーマ株式会社により、今般、国内外の臨床試験成績に基づき、本剤の製造販売申請承認がなされました。本剤の申請に関して、専門委員として資料21に記載されている6名の委員を指名しております。

 本剤の審査の概略について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。まず、審査報告書20ページ上段、()III相試験、1)国内追加第III相試験の項を御覧ください。本試験は、現在ではNETと称されている消化管ホルモン産生腫瘍を有する又はその疑いのある患者を対象として実施されました。審査報告書21ページの中段です。本試験では、本検査実施前に実施された既存の画像診断結果、又は本検査後の追跡調査結果を真のスタンダードとし、少なくとも一つの真陽性が認められた症例が「陽性」と判断されました。その結果、陽性の割合は、本検査実施前に実施された既存の診断方法により病巣の存在が確認されていた患者(A群)では93.8%、NETの存在が疑われるものの既存の診断方法では腫瘍の存在・局在が確認あるいは確定できない患者(B群)では26.3%であり、既存の画像診断方法により存在が明らかであった腫瘍が一定程度の感度で検出できること、及び本剤により新たに腫瘍が検出された患者が存在することが示されました。

 安全性については審査報告書36ページ中段、4「安全性について」の項を御覧ください。国内外の臨床試験、国内の個人輸入使用成績実態調査、海外での製造販売後の安全性報告で、重篤な有害事象等は認められなかったこと等から、本剤の臨床使用に大きな安全性への問題はないものと判断しております。

 以上のような検討を行った結果、神経内分泌腫瘍の診断におけるソマトスタチン受容体シンチグラフィの効能・効果で本剤を承認して差し支えないとの結論に至り、医薬品第二部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間を8年とすることが妥当と判断しております。また、原体のうち、ペンテトレオチドは劇薬に該当し、製剤は毒薬及び劇薬に該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。

 なお、事前に山口委員より、「国内第III相試験において、本薬がどの程度の診断能を有していれば有効な診断薬と考えて試験を計画しているのか教えてください」との御質問を頂いております。

 本剤については、□□年に承認申請がなされ、審査の過程で、当時の医薬品医療機器審査センターにより、既存の診断方法ではNETの病巣が確認できない患者における本剤の有効性を検討する国内追加第III相試験が必要と判断されました。しかしながら、追加第III相試験が実施された2000年当時には、海外試験を含め、当該患者を対象として診断薬の診断能を評価した試験は実施されておらず、また、NETに対する既存の画像診断方法はCT、MRIの形態学的な診断方法のみであり、ソマトスタチン受容体シンチグラフィが可能である本剤のような機能学的な診断方法は存在しなかったことから、国内追加第III相試験では本剤が有効な診断薬と考えられる診断能に関する事前の設定はなされておらず、本剤により新たにNETと診断される患者がどの程度いるのかという検討がなされております。

 一方で、本剤は海外で長年NETの診断の第一選択として使用され続けており、本邦でも個人輸入により使用されているという実態もあること、及び医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において医療上の必要性が高いと判断されていることを踏まえますと、本剤の有用性は既に確立しているものと判断できると考えます。

 以上を踏まえ、新たな臨床試験の実施は求めず、国内追加第III相試験において、本剤により新たに腫瘍が検出された患者の存在が確認できていることを基に、臨床的に本剤に求められる程度の有効性は日本人においても得られているものと判断しております。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

 なお、資料19として提示いたしました本申請に伴う放射性医薬品基準の改定案についても御審議いただきますようお願いいたします。

○吉田部会長 それで終わりですか。後のほうの説明がもう少しあってもいいと思うのですが。要するに核種が違うのですか。議題13の説明ですが、何が違うのですか。

○機構 議題13については、本薬が放射性医薬品に該当しますので、それに伴って放射性医薬品基準を改正する必要があります。生物学的製剤基準と同じような取扱いになります。こちらについても御審議いただきますよう、よろしくお願いいたします。

○吉田部会長 ですから、どう審議すればよいのかなと思って。

○事務局 すみません。資料19なのですが、こちらは今回新しくインジウムペンテトレオチド注射液というものを御審議いただきますので、そのときに同時に、放射性医薬品にあたりますので、製法や性状といった基準を具体的に承認の際に定めているという状況がありますので、それについても御確認、御審議を頂きたいというものです。

○吉田部会長 要するにインジウムそのものについては、放射性同位元素として、既にいろいろな薬はあるのだけれども、周りにこういう形で、例えばソマトスタチン等を付けるためにこういう構造を変えているので、これも併せて審議の対象にしてほしいということですね。

○事務局 そうです。

○吉田部会長 ということだそうです。よろしくお願いします。それでは、委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。山口先生、いかがですか。

○山口委員 未承認薬検討会議などの背景はよく分かるのですが、例えば21ページの表5を見て、何をもって良い診断だと判断すればいいのかというのが単純に。背景はよく分かるのですが、その辺りは、例えば海外の成績でこれぐらいなので日本でも同等の成績が得られているとか、多分何かしら判断根拠があったのかなと思ったのですが、その辺りはいかがでしょうか。

○機構 21ページの表5は、部位ごとの診断能に関する結果ですので、先ほど御説明した値とは異なるのですが、こちらの結果と対応する海外試験の結果は、審査報告書の25ページの表7になります。表5での真陽性及び真陰性の割合、表7での一致率をご確認ください。こちらは、既存の診断方法と本剤の診断方法によって診断結果が一致していた部位の割合です。つまり、既存の診断方法にて陽性であれば本剤で陽性、陰性であれば陰性として一致していた割合です。海外試験においては、既存の診断方法によって既に腫瘍の存在が明らかとなっていた患者が対象とされていましたので、国内試験では、A群での検討が海外試験での検討に相当するのですが、国内試験ではその割合が83.3%で、海外試験では78.9%で、同程度の値が得られており、既存の診断方法で明らかになっている腫瘍について、本剤である程度の割合で明らかにすることができるということが、まず示されております。

 続いてB群での検討は、既存の診断方法である、CT、MRI等では腫瘍の存在が分からなかった患者さんが対象とされ、こちらの患者さんでも、本剤により初めて陽性であるということが分かった患者さんの割合がある程度存在したことが明らかになりました。症例ベースで26.3%存在しており、既存のものでは分からなかったものが、本剤によって明らかになった患者さんが存在したことが明らかになりましたので、このような結果から本剤の有用性はあるのではないかと判断しております。

○吉田部会長 要するに、B群の19例が全部NETではないのです。要するに、NETかもしれない人たちを19人入れたうちの5例がNETだったのだけれども、ほかの診断法で見つかった患者さんが残り全部かというと、そうではなくて、どちらでも見つからなかった患者さんも入っているようなのです。その辺りの内訳を説明してもらえますか。

○機構 審査報告書21ページの中段の「有効性評価項目は」という段落に記載しています。陽性とされた患者さんというのが、既存の診断方法又は追跡調査でも本剤でも腫瘍だと検出できた患者さんとなりますが、そのような患者さんが26.3%5例いました。陰性とされた患者さんというのが、既存の診断方法では腫瘍が検出できたものの本剤では検出できなかった患者さんとなりますが、そのような患者さんが19例中の3例で15.8%でした。判定不能というのが、本剤でも既存の診断方法でも検出できなかった患者さんで、19例中の11例、57.9%存在したということです。

○吉田部会長 要するに、8分の5なのです。NETの診断が確実な8例に対して5例分かって3例分からなかった。あとの症例は何を使っても分からなかったという結果なのです。これは誤解する書き方ですよ。普通は、既存の診断法として、例えば超音波なら超音波で診断された人が何例いて、CTで診断された人が何例いて、新しい診断法で診断された人が何例いてというふうにして、その上で最終的に確診された人が何例いたから、それぞれの正診率がどうこう、というふうにするのですが。資料によれば、最初にはねられたというのがこれまたよく分からない。いろいろな診断をしてから手術をして、それで正しいか、正しくないかでやっておけば、そんなに変な話にはならなかったと思うのですが。

○山口委員 座長がおっしゃったとおりで、例えば感度特異度がどれぐらいかとか、これぐらいで設定したというのだったらすごくよく分かったのですが、その辺りが疑問に感じまして質問させていただきました。

○吉田部会長 ありがとうございました。ほかにありますか。

○菊池委員 国内追加第III相試験が2000年から2002年で行われていますよね。アメリカではずっと、ほかの国でも4か国ぐらいの、ドイツなどの添付文書も出ていますから、そこでの実績というので、もっと実際の診断率のようなものは得られているのではないのでしょうか。それは全然検討しないで、昔の資料で考えてしまっていいものなのでしょうか。

○機構 本剤が海外で承認申請されて以来、臨床研究ベースですが、いろいろな報告等がなされており、その中で診断能も検討されております。そちらの内容もCTDに含めており、有用性は一貫して認められているということを確認させていただいておりますので、そういった状況も含めて本剤の有用性はあると考えております。

○菊池委員 ですから、何が言いたいかというと、もっと新しいデータで、この件については国内データにこだわる必要はなくて、海外での診断率が出ているのだったら、海外での診断率がどれぐらいかということを今、伺っているのですが、それは分かっているのでしょうか。

○機構 海外での臨床研究の記載に関してのご質問かと思いますが、信頼性が担保されているものを審査報告書に記載しておりますので、審査報告書で記載している試験は少し古い試験になっております。

○吉田部会長 要するに、この申請は未承認薬・適応外薬検討会議絡みで上がって来ているわけじゃないですか。そういうことは公知申請ということになります。であれば、海外でも公知のはずではないかというのが菊池先生の質問です。ですから、どういう公知なのだということを教えてください。

○機構 既に海外で承認され、第一選択として使用されており、そういった内容も当ガイドラインには既に記載されている状況です。そういった状況を考えますと、診断薬としての有用性は既に確立されているというところかと思います。

 本剤については、国内では新有効成分扱いであるため、いわゆる医学薬学上公知ということでは進められないのですが、海外での承認申請販売後の、例えばガイドラインや研究報告の内容も確認し、有用性は確立しているということを確認しております。

○吉田部会長 要するに、表6、24ページがそれに相当するのですか。

○機構 24ページについては、海外での承認前に実施された試験になります。

○吉田部会長 今現在使われているデータではなくて、承認申請に使われたデータがこれだけあって、国内は10何分の1くらいだから余り頼りにならないので、海外の成績をみると、309例ぐらいの中で無効が13%ぐらいしかなかったという話ですよね。

○機構 そうです。

○吉田部会長 それで、有効性は担保があると判断しましたということのようです。よろしいですか。

○菊池委員 今、CTDの2.5の所の40ページぐらいの所を見ると、後ろ向きの論文報告ですが、ちゃんとある程度の正診率みたいなものが出ていたりしますから、そういったことも含めて、10年前の国内治験だけのことではなくて、こういったものを考えなくていいのですかという意味で伺っているところです。

○機構 御指摘ありがとうございます。この辺りについては、先ほど担当者も申しましたが、参考にしていないわけではなくて、当然、全般的にどのくらいの診断能かということはもちろん確認した上で有用性を判断しているということになります。

 もう1点の見方が、申請資料としての充足性というのですか、我々が評価資料として見るものについては、GCP下での試験を第1番目として見るということもありますので、臨床研究をこの評価資料と同レベルとするかというところでも、どういった順番付けで審査報告書に書くか、あるいは審査報告書にまでは書かないかを決めています。

 繰り返しになりますが、先生が御指摘のようにCTDにも入っていますし、その値自体も確認した上で、今回の試験と合わせてこの薬の有用性がしっかり出るだろうと、日本人でも得られるだろうという判断をしているところです。

○吉田部会長 ガイドラインはどこかで引用していましたか。それとも引用されていないのですか。3536ページぐらいですか。

○審査管理課長 一応、CTDの2.5の臨床概括評価という所の、冊子の3536ページ辺りが学会の診療ガイドラインです。36ページは国際的に標準とされる評価指標と。こういったところにあります。

○吉田部会長 資料に古いデータしか出ていないじゃないかという御指摘ですが、現在もアップデーテッドに使われているということで御理解いただきたいということですね。分かりました。ほかにありますか。

○川崎委員 議題13に関しては当日配布資料ですので、今、内容を確認したところです。製剤試験について質問させていただきます。この放薬基と申請書を二つ合わせても、製剤試験は無菌試験しかなされていないことになります。エンドトキシン試験と不溶性異物試験についてもどこかに記載が必要ではないかと思うのですが、それについてのお考えをお聞かせいただけませんでしょうか。

○機構 先生が御指摘の点について我々も検討いたしました。本剤が注射薬ということですので、どこまで放薬基の中で、あるいは規格の中で固めていくかというところについては検討したのですが。当然、無菌性等を担保はしなければいけないのですが、まず2点ありまして、メーカー側の話と、実際に最終的にでは無菌をどうやって担保していくか、投与する前の状況で無菌を担保するかということです。御存じのように、この薬は病院、施設で調製しますので、最終的な無菌性の担保というのは、無菌調製によります。あとは、割とすぐに使ってしまうということもありますので、その場では無菌試験等をするようなものではないと判断しております。

 出荷時の判定については、これまでの放射性医薬品の似たような品目の規格等も参考に品質を担保していくという考え方もあり、今回の品目も先生がおっしゃったようにエンドトキシンと無菌試験を規定しないようになっていますが、先ほど申しましたように、機構の内部あるいは厚生労働省との話の中でも、このままでいいのかということについては今後の課題になるのではないかと思っております。既存薬がある中での議論となりますので、今後の整備の中で、全般的な話とすることも含め検討していかなくてはならないかもしれないとは思っております。すみません、直接的なお答えではないのですが、我々の考えとしてはそのようになっております。

○吉田部会長 よろしいですか。ありがとうございました。ほかにありますか。ないようですので議決に入ります。議題8及び議題13について承認を可としてよろしいでしょうか。

 御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 議題9に移ります。議題9について医薬品機構からの概要説明をお願いします。

○機構 議題9、資料9、アレルゲンスクラッチエキス陽性対照液「トリイ」ヒスタミン二塩酸塩の製造販売承認の可否等について、機構より御説明させていただきます。

 本剤は、ヒスタミン二塩酸塩を有効成分とするアレルゲンを特定するアレルギー皮膚テスト実施時の陽性対照用製剤です。本剤は1985年にスイスで承認されて以来、2014年現在、欧州及び中国の18か国で承認されております。本邦においては、各種ガイドラインにおいてヒスタミン二塩酸塩溶液をアレルギー皮膚テスト実施時の陽性対照用として使用することが推奨されてきていましたが、個々の医師により、ヒスタミン二塩酸塩溶液が試薬から調製がなされておりました。このような状況から、日本アレルギー学会等2学会より、本剤の開発要望が「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」に提出され、厚生労働省から開発企業募集に応じた日本たばこ産業株式会社及び鳥居薬品株式会社により共同で開発され、今般、国内臨床試験等に基づき、本剤の製造販売承認申請がなされました。本剤の審査に関しては、専門医として資料21に記載されております4名の委員を指名しております。

 本剤の審査の概略について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。まず、審査報告書6ページの上段()III相試験の項を御覧ください。本試験では、健康成人を対象とし、本剤を滴下した結果、30例全例において、本剤により陽性対照として十分と考えられる3mm以上の膨疹が形成されることが確認されております。

 安全性については、審査報告書13ページの中段()安全性についての項を御覧ください。国内第III相試験では有害事象を発現した被験者は認められなかったことに加え、海外での製造販売後に特段の問題を認められていないこと、皮膚テスト実施時に体内に取り込まれるヒスタミン量がごく微量であること等から、本剤の臨床使用に大きな安全性上の問題はないものと判断しております。

 以上のような検討を行った結果、アレルゲンによる皮膚反応の陽性対照の効能・効果で本剤を承認して差し支えないとの結論に至り、医薬品第二部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。本剤は、新効能医薬品であることから再審査期間を4年と設定することが妥当と判断しております。また、原体は毒薬に該当し、製剤は毒薬及び劇薬に該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会で報告を予定しております。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いします。

○審査管理課長 審査管理課のほうから、補足の説明をさせていただきます。本品目については、従前より試薬として販売されているヒスタミンを、検査の際に陽性対照としてお使いになっていた長い歴史があるという背景のものです。これを今般承認をして、供給することで、品質上非常に安定なものが確実に供給される。あるいは、いろいろな情報提供がきちんとされるようになるという意味では、ずっと改善されるということであるのですが、既承認のものではヒスタミンを添加したグロブリンという製品があるだけで、その効能・効果は全く違うものです。今回その点、効能・効果については全く異質ということで、成分としては既承認のものに入っているのですが、効能が全然違うということに鑑み、薬事法の規定に従いますと、再審査をかけざるを得ないということです。

 内容的には、ただいま機構の御説明、審査部からの御説明ありましたように、安全性上の懸念すべき点はほとんどないということであり、一応リスク管理計画RMPを作成しないという方針でここまで来ているのではあります。ただ、関係部署の中での議論で、再審査をかけて、再審査の申請をする際の内容として、やはりRMPを最小限でもきちんと作ってもらって、それに基づいて必要最小限の製造販売後の調査を行ったものが出てくるという形に整えることが一応必要であろうと、こういうことに今なっております。これは企業の確認、了解も必要ですので、本日の時点では一応その方針でありますということを御説明させていただき、その取扱いの最終的な形については、基本的にRMPを作成するという形になるという見込みです。この点、御説明をさせていただきます。

○吉田部会長 私も、何でこれが新薬で、審査の対象なのか分からなかったのですが、そういう含みがあるようです。ということで、特段の御意見はないと思うのですが、いかがでしょうか。よろしいですね。

 それでは、議決に入りたいと思います。なお、山口委員におかれましては利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。

 御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは議題10に移ります。議題10、議題11、議題12について一括して、事務局からの概要説明をお願いします。

○事務局 まず、資料10から御説明させていただきます。資料10を御覧ください。審議事項、議題10「ベダキリンフマル酸塩を希少疾病用医薬品として指定することの可否について」という議題になります。最初に、諮問書の表紙ですが、その下の1行目に「多剤耐性結核」と書いてありますが、適応症は「多剤耐性肺結核」の誤りでした。この場をお借りして、訂正をさせていただきます。申し訳ございませんでした。

 それでは、機構からの評価報告書に沿って事務局より御説明をさせていただきます。事前評価報告書をお開きください。報告書1ページ中ほどにありますとおり、申請者はヤンセンファーマ株式会社、予定される効能・効果は本剤に感性の結核菌を適応菌種とし、多剤耐性肺結核を適応症としております。

 希少疾病用医薬品の指定要件のうち、まず対象患者数についてですが、2ページ目の上段から中段辺りを御覧ください。多剤耐性肺結核の患者さんは国内で約100人とされておりますので、患者数は5万人未満という基準を満たしているものと考えております。

 次に、2の医療上の必要性についてを御覧ください。結核は死亡に至ることもある重篤な疾患で、治療には通常リファンピシン、イソニアジド、ピラジナミドに加えてストレプトマイシン又はエタンブトールの4剤を併用しておりますが、リファンピシン、イソニアジドに耐性を示す多剤耐性結核については極めて治療困難で、予後不良のために死亡率も高い疾患とされております。多剤耐性肺結核に対しては新規作用機序を有するデラマニドが昨年承認されたところではありますが、治療選択肢が依然として限定的であることから、今回また新たに新規作用機序があります本剤の医療上の必要性は高いと考えております。

 最後に3ページの開発の可能性を御覧ください。本剤は、米国及び欧州では既に承認されており、現在本邦においても第II相試験が実施されていることがありますので、こういったことから本剤の開発の可能性が高いと考えております。以上から、本剤は希少疾病用医薬品の指定要件を満たすものと判断しております。

○事務局 続きまして、議題11、資料11、ベバシズマブ(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より追加で御説明いたします。

 資料の3「総合機構による事前評価報告書」のタブをお開きください。報告書1ページ、中段を御覧ください。申請者は中外製薬株式会社、予定される効能・効果は子宮頸がんとなります。

 まず、対象患者数について御説明いたします。1ページ目の下段を御覧ください。子宮頸部の悪性新生物の総患者数は約2万5,000人と報告されており、患者数が5万未満という基準を満たしているものと考えております。

 次に、医療上の必要性について御説明します。1ページ最後から2ページ目を御覧ください。本邦における子宮頸がんの治療法として、進行又は再発の子宮頸がん患者に対しては、国内ガイドラインで、白金系抗悪性腫瘍剤の単独投与又は白金系抗悪性腫瘍剤を含む2剤併用投与が推奨されており、シスプラチンとパクリタキセルとの併用投与の全生存期間(以降、OS)の中央値は12.9か月となっております。

 また、進行又は再発の子宮頸がん患者を対象に、白金系抗悪性腫瘍剤を含む2剤併用投与、シスプラチンとパクリタキセルの併用投与又はノギテカン塩酸塩とパクリタキセルの併用投与に対するベバシズマブの上乗せ投与の有効性及び安全性を検討する海外第III相試験が実施され、主要評価項目と設定されたOSについて、化学療法群12.9か月と比較し、本剤併用群16.8か月で有意な延長が認められました。以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。

 最後に、2ページ目の開発の可能性について御説明いたします。本剤は米国で2014年8月、EUで2015年3月に承認されており、本邦では2015年1月より、進行又は再発の子宮頸がん患者を対象に、本剤とシスプラチンとパクリタキセルの併用投与の有効性及び安全性を検討する国内第II相試験が実施中であることから、開発の可能性は高いと考えております。以上より、本剤は希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。

 続きまして議題12、資料12、ポナチニブ塩酸塩を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明させていただきます。

 資料の事前評価報告書のタブをお開きください。報告書1ページ目の中段を御覧ください。申請者は大塚製薬株式会社、予定される効能・効果は前治療薬に抵抗性又は不耐容の慢性骨髄性白血病、再発又は難治性のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病となります。

 まず、対象患者数について御説明いたします。慢性骨髄性白血病(以後、CML)の総患者数は約1万1,000人。急性リンパ性白血病(以後、ALL)の総患者数は約5,000人と報告されており、患者数が5万人未満という基準を満たしているものと考えております。

 次に、2ページ目の医療上の必要性について御説明いたします。CML及びフィラデルフィア染色体陽性ALLに対する治療として、メシル酸イマチニブ、ダサチニブ水和物等のチロシンキナーゼ阻害剤が使用されておりますが、既存のチロシンキナーゼ阻害剤に抵抗性又は不耐容の患者に対する有用な薬剤はないことから、当該患者に対する新たな治療薬の開発が望まれています。以上より、本剤は本邦における薬物治療に際して新たな選択肢となるものと期待され、医療上の必要性は高いと考えております。

 最後に、3ページ目の開発の可能性について御説明いたします。既存のチロシンキナーゼ阻害剤に抵抗性もしくは不耐容を示すCML及びフィラデルフィア染色体陽性ALLを対象とした海外第II相試験において、慢性期CMLにおける主要評価項目とされた12か月までの細胞遺伝学的大寛解率は56%であり、移行期CML、急性転化期CML及びフィラデルフィア染色体陽性ALLにおける主要評価項目とされた6か月までの血液学的大寛解率は、それぞれ57%及び34%であり、本剤による有効性が示されています。

 安全性については、当該試験において発現率が高かった有害事象は血小板数減少、腹痛、便秘、頭痛及び皮膚乾燥であり、重篤な血管閉塞性事象が16%に認められました。本剤は米国及びEUに、それぞれ201212月、2013年7月に、チロシンキナーゼ阻害剤による前治療に抵抗性又は不耐容のCML及びフィラデルフィア染色体陽性ALLを効能・効果として承認されましたが、本剤に関する臨床試験対象集団の長期追跡調査により、重篤な血管閉塞性事象及び心臓血管事象と本剤の関連性が懸念されたこと等から、米国では本薬の臨床的有用性に関する評価が再度実施され、201312月にABLチロシンキナーゼの315番目のスレオニンが、イソロイシンに置換される遺伝子変異であるT315I陽性CMLの成人患者、又はT315I陽性フィラデルフィア染色体陽性ALLの成人患者の治療、並びに他チロシンキナーゼ阻害剤の治療の適応がないCML、又はフィラデルフィア染色体陽性ALLの成人患者の治療に、効能・効果が変更されております。

 本邦では米国と同じく、前治療が無効なCML及びフィラデルフィア染色体陽性ALLの患者を対象として、本剤の第I/II相試験が実施中であることから、開発の可能性は高いと考えております。

 以上より、本剤についても希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。よろしく御審議のほど、お願いします。

○吉田部会長 委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。多剤耐性肺結核と子宮頸がんと白血病ということで、重症度は高い、開発の可能性もあるということですが、よろしいでしょうか。

 それでは議決に入りたいと思うのですが、議題10及び議題12については大槻委員、山口委員から利益相反に関する申出を頂いております。議題11については田村委員、山口委員から利益相反に関する申出を頂いているところです。御三名の方に議決への参加を御遠慮いただくようにして、この三つの議題、一括して議決に入りたいと思います。お諮りします。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。

 御意見がないようですので、指定を可とし薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは、報告事項に移ります。報告事項について、事務局より説明をお願いします。

○事務局 資料13を御覧ください。報告事項の議題1「医薬品ジャカビ錠5mgの製造販売承認事項一部変更承認について」御報告いたします。

 ジャカビ錠5mgはチロシンキナーゼ阻害剤で、ヤヌスキナーゼ2のリン酸化を阻害することで、ヤヌスキナーゼを介したシグナル伝達を阻害して骨髄線維症、真性多血症等における細胞増殖を抑制すると考えられており、現在は骨髄線維症の効能・効果で承認されております。今般、ノバルティスファーマ株式会社から、真性多血症(既存治療が効果不十分又は不適当な場合に限る)の効能・効果及び用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされたものです。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断したものです。

 続きまして資料14を御覧ください。報告事項の議題2「医薬品クラビット点滴静注バック500mg/100mL他一規格の製造販売承認事項一部変更承認について」、御報告いたします。

 本剤は、フルオロキノロン系抗菌薬でありますレボフロキサシン水和物を有効成分として含有する注射剤で、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染等を効能・効果として承認されております。今般、申請者により、外科領域の感染症、尿路感染症、胆道感染症、腹腔内感染症及び婦人科領域感染症患者を対象とした国内第III相試験が実施されており、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎等に対する本剤の有効性が示されたことから、製造販売承認事項一部変更承認申請がなされたものです。機構における審査の結果、資料14に示されました効能・効果にて承認して差し支えないと判断いたしましたので、御報告いたします。

 続きまして、資料15を御覧ください。報告事項の議題3「医薬品タキソール注射液30mg、同注射液100mg他の製造販売承認事項一部変更承認について」、御報告いたします。

 本剤はタキサン系の抗悪性腫瘍剤で、現在は卵巣がん、非小細胞肺がん、乳がん、胃がん等を効能・効果として承認されております。本剤については「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外検討会議」において、公知申請への該当性に関する報告書が取りまとめられ、平成27年3月5日に開催された本部会における事前評価を踏まえ、今般、ブリストル・マイヤーズ株式会社ほか6社より、胃がんに対する週1回投与の用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされたものです。機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断したものです。

 続きまして一つ資料を飛びまして、資料17を御覧ください。報告事項の議題5「医療用医薬品の再審査結果について」、御報告いたします。今回は販売名、ビリアード錠300mgの再審査報告書となっております。本品目については、製造販売後の使用成績調査等に基づき再審査が行われました結果、効能・効果、用法・用量等の承認事項について、変更の必要はないと判断されたものになっております。

○事務局 続きまして、議題が前後して申し訳ありません。議題4、資料16「優先審査指定品目の審査結果について」、事務局より御説明いたします。資料16を御覧ください。優先審査の取扱いについては資料の2ページに概要をお示ししています。この制度は医薬品医療機器等法第14条第7項の規定に基づき、希少疾病用医薬品やその他、医療上の特に必要性が高いと認められる品目を指定し、他の品目に優先して審査を行うものです。その指定に当たりましては適応疾病の重篤性、医療上の有用性を総合的に評価して、判断されます。

 資料の1ページ目にお戻りください。対象品目は販売名、オプジーボ点滴静注20mg、同点滴静注100mg。一般名、ニボルマブ(遺伝子組換え)。申請者は小野薬品工業株式会社です。

 本品目については本年7月7日付で切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん(非扁平上皮がんを除く)に係る効能・効果で優先審査品目として指定を行い、8月3日開催の本部会において報告させていただいております。今回7月21日に申請されました切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん(非扁平上皮がんを除く)に係る効能・効果と合わせて、記載のような切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんに係る効能・効果で承認申請がなされています。

 事前に取りまとめられた機構の報告書に基づき、当該薬剤の優先審査の該当性について御説明いたします。5ページから9ページは前回の部会において報告させていただいた内容で、現時点において優先審査の該当性を判断するに当たっての状況に変化はございません。

 続きまして10ページ以降が、切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん(非扁平上皮がんを除く)に係る効能・効果に関しての報告書になっております。

12ページ目を御覧ください。「適応疾患の重篤性」については、当該疾患は「生命に重大な影響がある疾患(致死的な疾患)」に該当すると判断されています。

 次に、13ページ下段の「総合判断」を御覧ください。医療上の有用性については白金系抗悪性腫瘍剤を含むレジメンによる治療歴がある切除不能な進行・再発の非扁平上皮非小細胞肺がん患者に対して、既存の治療法と比較して全生存期間の有意な延長が認められ、また、安全性については、現時点で得られている情報を踏まえると忍容可能であると考えられることから、本剤は「有効性、安全性、肉体的・精神的な患者負担の観点から、医療上の有用性が既存の治療法、予防法若しくは診断法より優れていること」に該当すると判断されています。

 以上を踏まえ、当該薬剤は優先審査品目に該当すると判断しました。当該薬剤の承認の可否については、今後機構での審査を経た後に、改めてこの部会で御審議いただく予定です。

 続きまして議題6「医薬品の承認条件について」、資料18-1を御覧ください。ギリアデル脳内留置用剤7.7mgに係る承認条件についての報告書になります。2ページ目を御覧ください。カルムスチンを有効成分とする医薬品ギリアデル脳内留置用剤7.7mgは、平成24年9月に悪性神経膠腫の効能・効果で承認されており、その際、本ページの中ほどに示しております全例調査に係る承認条件が付されております。この度、エーザイ株式会社から全例調査に係る報告書が提出され、機構において評価されましたので御報告いたします。

 3ページ目、()製造販売後調査の結果を御覧ください。報告された調査は、本剤を使用した全症例を対象に目標症例数250例、観察期間3か月として実施され、561例が登録されました。

 安全性については3ページ目下段、2)安全性を御覧ください。安全性解析対象症例558例のうち、副作用が199(35.7)、重篤な副作用が177(31.7)に認められました。また、4ページ中ほどの表にお示しした重点調査項目において、本調査における脳浮腫の発現率は海外第III相試験よりも高いものでしたが、国内第I/II相試験を上回るものではありませんでした。その他の重点調査項目については、海外第III相試験の発現率と同程度でした。いずれの重点調査項目についても、既に添付文書で「使用上の注意」の項において、重大な副作用として注意喚起を行っており、現時点で更なる対策は不要と考えております。

 有効性については5ページ目、3)有効性に記載しております。初発の悪性神経膠腫患者における本剤留置後6か月及び12か月の生存率は、本調査ではそれぞれ92.3%及び79.1%、国内第I/II相試験ではいずれも100%でした。また、再発悪性神経膠腫患者における本剤留置後6か月及び12か月の生存率は、本調査ではそれぞれ88.7%及び61.6%、国内I/II相試験ではそれぞれ87.5%及び62.5%でした。患者背景等に違いがあり、比較には限界があるものの、本調査と審査で検討された主な臨床試験に明らかな差は認められませんでした。機構において、本調査で収集された安全性及び有効性に関する情報を確認した結果、現段階で更なる製造販売後調査等の実施は必要ないと判断されています。

 以上を踏まえ、製造販売後調査が適切に実施され、患者背景、安全性及び有効性に係る情報が収集されていること、収集された情報に基づいて本剤の適正使用に必要な措置が講じられていることから、全例調査に関する承認条件については対応されたものと判断しております。

 続きまして資料18-2、ヴォトリエント錠200mgに係る承認条件についての報告書です。2ページ目を御覧ください。パゾパニブ塩酸塩を有効成分とする医薬品ヴォトリエント錠200mgは、平成24年9月に悪性軟部腫瘍の効能・効果で承認されており、その際、本ページの中ほどに示しております全例調査に係る承認条件が付されております。この度、グラクソ・スミスクライン株式会社から全例調査に係る報告書が提出され、機構において評価されましたので、御報告させていただきます。

 3ページ()製造販売後調査の結果を御覧ください。報告された調査は、本剤を使用した全症例を対象に、目標症例数300例、観察期間1年として実施され、602例が登録されました。

 安全性については4ページ、2)安全性を御覧ください。安全性解析対象症例584例のうち副作用が476(80.0)、重篤な副作用が171(29.3)に認められました。また、5ページの表1にお示しした重点調査項目において、本調査における副作用の発現率が、臨床試験と比べて高かった事象も認められましたが、当該事象でGrade3以上であった症例の多くで回復又は軽快しており、各事象において添付文書上の注意喚起等、既に必要な安全対策を講じていることから、現時点で更なる対応は不要と考えております。

 また、承認審査時の臨床試験において、対象から除外された集団である脂肪肉腫患者における安全性については、5ページ目下段を御覧ください。組織型別の結果から、副作用及び重篤な副作用が平滑筋肉腫患者172例において141(82.0)52(30.2)。滑膜肉腫患者において39例中31(79.5)10(25.6)。脂肪肉腫患者において119例中89(74.8)33(27.7)。その他の肉腫患者において254例中207(81.5)76(29.9)で報告されました。

 また6ページ、表2にお示しした重点調査項目において、脂肪肉腫で他の組織型と比較して、消化管穿孔及び消化管瘻について頻度が高い傾向にありますが、Grade3以上の事象が認められた4例中3例においては、腸への転移、肉腫の大腸浸潤等、原疾患に伴う要因も報告されており、当該事象は発現しやすい状況にあったことが推察されました。また、その他、特定の組織型での副作用の発現割合が顕著に高いといった特記すべき傾向は認められませんでした。

 有効性については6ページの3)有効性に記載しております。本調査における無増悪生存期間は3.5か月、組織型別では平滑筋肉腫3.4か月、滑膜肉腫5.3か月、脂肪肉腫3.3か月、その他の肉腫3.6か月。国際共同第III相試験では4.6か月であり、患者背景等に違いはあり比較には限界があるものの、本調査と審査で検討された主な臨床試験に明らかな差は認められませんでした。機構において、本調査で収集された安全性及び有効性に関する情報を確認した結果、現段階で更なる製造後販売調査等の実施は必要ないと判断されています。

 以上を踏まえ、製造後販売後調査が適切に実施され、患者背景、安全性及び有効性に係る情報が収集されていること、収集された情報に基づいて本剤の適正使用に必要な措置が講じられていることから、全例調査に関する承認条件については対応されたものと判断しております。以上です。

○吉田部会長 一部変更承認が3件、優先審査指定が1件、カテゴリー1の再審査結果が1件、承認条件の解除が2件ということです。委員の先生方から御質問はございますか。よろしいですか。ないようですので、報告事項については御確認いただいたものといたします。

 本日の議題は以上ですが、事務局から何か報告ありますか。

○事務局 次回の部会ですが、1029日、木曜日、午後5時から開催とさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○吉田部会長 それでは、本日はこれにて終了とさせていただきます。長時間、本当にお疲れ様でございました。

                                                   


(了)

備  考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された

連絡先:医薬食品局 審査管理課 課長補佐 井本(内線2746)

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