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2015年11月26日 第2回透明かつ公正な労働紛争解決システム等の在り方に関する検討会 議事録

労働基準局労働条件政策課

○日時

11月26日(木)18:00〜20:00


○場所

専用第22会議室


○出席者

委員

荒木 尚志(座長) 石井 妙子 垣内 秀介 鹿野 菜穂子
小林 信 高村 豊 土田 道夫 鶴 光太郎
徳住 堅治 斗内 利夫 中山 慈夫 長谷川 裕子
水島 郁子 水口 洋介 村上 陽子 八代 尚宏
山川 隆一 輪島 忍

○議題

(1)当面の進め方について
(2)労働分野における裁判外紛争解決手続(ADR)等について
 ・土田委員プレゼンテーション
 ・全国社会保険労務士会連合会よりヒアリング
 ・日本弁護士連合会よりヒアリング

○議事

○荒木座長 それでは、定刻より少し早いようですけれども、皆様お揃いということですので、第2回「透明かつ公正な労働紛争解決システム等の在り方に関する検討会」を開催いたします。

 委員の皆様におかれましては、本日も御多忙のところ、御参集いただき、ありがとうございます。

 本日は、大竹文雄委員、岡野貞彦委員、小林治彦委員及び中村圭介委員は御欠席であります。

なお、土田道夫委員におかれましては、途中で御退席の予定ということですので、御了承いただければと存じます。

 また、前回は御欠席でしたが、今回より法務省の筒井健夫民事法制管理官にも御出席いただいておりますので、併せて、御紹介させていただきます。

 それでは、お配りしました資料について、事務局から確認をお願いいたします。

○松原労働条件政策推進官 それでは、配付資料の御確認をお願いいたします。

 資料は、資料No.1からNo.4までと参考資料でございます。

 No.1が、当面の進め方について()でございます。

 No.2は、土田委員の御提出の資料でございます。

 No.3は、全国社会保険労務士会連合会様から御提出された資料でございます。

 No.4は、日本弁護士連合会様から御提出いただいた資料でございます。

 最後に、参考資料といたしまして、労働分野における裁判外紛争解決手続(ADR)等に関する資料でございます。この資料につきまして、先般の第1回検討会参考資料から今回の議題関係部分を抜粋させていただいたものでございます。

 不足等はございますでしょう。

 以上でございます。

○荒木座長 ありがとうございました。

 それでは、本日の議題に入ります。

 まず、きょうの進め方でありますけれども、この検討会の当面の進め方につきまして、前回、委員の皆様から御意見をいただきました。これを踏まえて私から事務局にお願いしまして、資料No.1「当面の進め方について(案)」をつくっていただきましたので、これをまず御確認いただきます。

 次に、「労働分野における裁判外紛争解決手続(ADR)等」について、土田委員にプレゼンテーションをいただき、質疑応答と意見交換を行いたいと思います。

 さらに、全国社会保険労務士会連合会及び日本弁護士連合会からヒアリングを行い、質疑応答と意見交換を行いたいと思います。

 最後に、委員の皆様から自由に御議論をいただくという形で本日は進めたいと思っておりますが、よろしいでしょうか。

 それでは、そういうことで進めたいと思います。

○松原労働条件政策推進官 それでは、資料No.1をごらんください。「当面の進め方について(案)」でございます。

 座長からお話がございましたように、座長の御指導のもと事務局において精査させていただいたものでございます。読み上げをいたしまして、説明にかえさせていただきます。

 第1回検討会においていただいた御意見を踏まえると、当検討会の当面の進め方としては、以下の論点について、委員によるプレゼンテーションや関係者のヒアリングを交えつつ、検討を深めていくこととしてはどうか。

 第2回(1126日)。本日でございます。

 ○労働分野における裁判外紛争解決手続(ADR)等について

  ・土田委員プレゼンテーション

 その後ですが、修正でございますけれども、「社会保険労務士会連合会」と書いてありますが、これは「全国社会保険労務士会連合会」でございます。お詫びと訂正をお願いできればと思います。大変申し訳ございません。

  ・全国社会保険労務士会連合会よりヒアリング

  ・日本弁護士連合会よりヒアリング

 第3回以降

 ○労働審判制度について

 ○既に制度化されている個別労働紛争の解決手段がより有効に活用されるための方策(各解決手段の関連性等)について

 ○諸外国の労働紛争解決システムについて

 ○解雇無効時における金銭救済制度について

 以上でございます。

○荒木座長 ありがとうございました。

 ただいまの事務局からの説明がありました「当面の進め方について(案)」につきまして、御質問・御意見等がありましたら、お願いいたします。

 鶴委員、どうぞ。

○鶴委員 どうもありがとうございます。

 私のほうから、前回の議論に少し関係いたしまして、1点御提案というかお願いをさせていただければと思います。

 本日、御事務局から御提示いただきました「当面の進め方について(案)」によりますと、第3回以降、少しまだ気は早いですけれども、いずれかの段階で、解雇の金銭救済制度をテーマにした回が開催されると理解をしております。

 そこで、前回第1回の検討会で、大竹委員からも御発言がありましたけれども、本検討会の開催に先立って、労働政策研究研修機構から発表された「労働局あっせん労働審判及び裁判上の和解における雇用紛争事案の比較分析」のもとになったデータを利用いたしまして、解決金の水準について、さらなる計量分析を行い、本検討会に御報告をさせていただけないでしょうかというのがお願いでございます。

 分析結果が出てきましたら、解雇無効時の金銭救済制度をテーマにした議論を行う際に御参照いただけるのではないかと思っております。

 分析につきましては、まずは、そのデータ利用について関係各所の御了解を得ることは非常に重要だと思いますけれども、そうした上で、大竹委員と私の責任で行うことを考えております。

 座長初め委員の皆様御理解のほどをよろしくお願いできればと思っております。

 一言ちょっとつけ加えさせていただきますと、前回、議論のポイントで、いろいろなエビデンスに基づいた分析をしなければいけないというのは、この中でも結構出たと思います。データを少し計量経済学的に幾つかのいろいろな属性がございますので、どういう分析が出てくるのかというのを少し見てみたいなという感じを持っております。ただ、属性と言っても結構限られているのですね。これは規制改革会議等で弁護士の先生方から、いろいろ解決金の水準がどれぐらいになるのかというお話も我々聞いたことがあります。実際にどれぐらい解雇無効になるのか、それとも、そこは判断がなかなか難しいですが、そうしたところでかなり水準が違ってくるというお話も我々は聞いております。非常にこの問題杓子定規に経済の分析で割り切って答えが出るというふうには私は全く思っておりません。ただし、いろいろ分析してみて、どういう結果が出るのかということについては、やってみないとわかりませんし、そういうものをいろいろやった上で皆様に御提示して、ここはじっくり議論をしていただければなと、そういうふうに思いまして、この御提案を少しさせていただきました。

 以上でございます。

○荒木座長 ありがとうございました。

 ただいまの御意見もありましたけれども、何か委員から御発言はありますか。

 水口委員、どうぞ。

○水口委員 弁護士の水口です。

 第3回以降の進め方で、前回、労働審判は平均審理期間7576日で解決をしており、この実情を踏まえて検討するべきだと申し上げましたので、労働審判を取り上げることは大賛成です。

 ただ、金銭救済制度もテーマにされるということであれば、裁判は本筋は本案訴訟です。解雇が無効として確定されるのは本案訴訟においてです。したがって、労働審判だけではなくて、労働民事訴訟(本訴)はどういう形で行われているのか、を知った上で議論することが必要です。そこで、労働審判制度だけではなくて、労働事件の本案訴訟についての実情も、第3回以降、労働審判と併せてという形になるのか別かはともかくとして、検討をすべきだろうと思います。

 それと、つけ加えますと、今、鶴先生からのお話ですけれども、前回も申し上げたとおり、解雇の金銭解決は私どもは実務として調停や和解としてやっております。その場合に、さまざまな企業側の属性、労働者側の属性以上に、解決金の水準に本質的に影響を与えるのは、その解雇、あるいは雇い止めが有効か無効かという心証です。解雇が有効な場合と解雇が無効な場合とは、これは解決金の水準は全然違ってきてしまう。労働政策研修機構のもとになったデータはどういうものかわかりませんが、私の実務の感覚でいけば、裁判所の調停調書なり和解調書を見ても、当該事件について解雇が有効なのか無効なのかというのは、これは全くわかりません。私は統計の専門家ではありませんけれども、そういう解雇が有効か無効かという心証が素材に含まれていない分析結果が、果たして、どれだけ実務的に役に立つものなのかは非常に疑問に思います。

 さらに、つけ加えますと、解雇有効・無効、法律的な判断は、労働契約法16条で客観的・合理的な理由があって、社会通念上相当でなければいけないという基準で行われます。私ども実務家は、裁判官もそうですが、解雇に客観的・合理的な理由がそもそもないとして解雇無効な場合には、その解雇の金銭救済の水準は高まります。これに対して、客観的・合理的な理由は一応あるが、社会通念上相当ではないというような場合で解雇が無効となる金銭解決の水準もまた違ってきます。さまざまな解雇の心証以外の諸事情も加味しますけれども、何よりも解雇の心証、また、無効となる要素やプロセスを分析的に検討するのが実務の在り方なのです。そういう解雇の有効無効の法律的な判断、これをどういうふうな形で統計的あるいは経済学的に分析されるのかというのが非常に疑問に思うところです。その分析結果自身がひとり歩きをする危険性もありますので、分析は慎重に考えるべきです。

 以上です。

○荒木座長 鶴委員、どうぞ。

○鶴委員 今、水口委員のおっしゃった点は、私も全く同感なのですね。非常に重要なところの情報がなかなかわからない。わからないから、ただ放っておいていいのかという、そういうことではなくて、できるだけ分析した中で、今おっしゃった点を十分留意しながらどこまでできるのかなということは、私も少し工夫をしてみたいなと思っています。データをちょっと見てみないとわからないのですけれども、先ほどおっしゃった心証ということで、大体弁護士の先生方は、例えば1年以上とか半年ぐらいとかいろいろな形でいろいろなそれまでの相場観を持っていらっしゃると思うのですね。データを見ながら、むしろ、そういう水準というところを見ながら、さらに、ある一定のグループのところでそれぞれの属性はどう関係するのか。私はいろいろ手法があると思っていますので、むしろ、一定の何か結論を出すということよりは、いろいろやってみた中で、データを見た中で、そういうところから何が言えるのかということは、ここにいらっしゃる委員の皆様と一緒に考えていって議論をしていきたいなと、そういう議論のための素材を御提供したいと、そういうような趣旨でございます。

○荒木座長 ほかに御発言はございましょうか。

 どうぞ、村上委員。

○村上委員 前回の検討会にて、「いろいろな関係者・関係機関からヒアリングをしていただきたい」という意見を申し上げましたところ、労働審判についてもヒアリングの機会を設けていただきまして、ありがとうございます。

 今後、労働審判についてヒアリングを行う際に、先ほど水口委員から本訴の民事訴訟についてもというお話がありましたけれども、あわせて利用者の視点も大事かと思っております。東大社研で利用者調査をされておりますので、その方のヒアリングなどもさせていただけると、労働審判とはどんな制度なのか、なぜ利用者の満足度が高いのかということについて、私たちがより実態的に共通認識を持てるのではないかと思っております。

 また、前回、「都道府県労働局のあっせんについても、できればお話を伺いたい」と申し上げたつもりだったのですが、相手もあることなのでなかなか大変かもしれませんけれども、すぐにとは申し上げませんので、準備が整えば、ぜひヒアリングを行っていただきたいと思っております。

 それから、解雇無効時における金銭救済制度について、議論のテーマにしていくことは当初から予定されていたことではございますけれども、私どもとしては、新たにこのような制度を設ける必要はないということだけをまずもって申し上げておきたいと思います。

 以上です。

○荒木座長 ほかに御発言はありますか。

 それでは、まずデータの点について鶴委員から御提起がございましたけれども、これについては、そのデータをどう評価するかということについては慎重にという御発言もありました。とりあえずは、その分析をしてみると一体何がわかって、何がわからないのかということもございますので、これは鶴委員と大竹委員お二人の責任で分析されたいということですので、それはそういうことでやっていただきまして、それが我々の議論にどう関係するのかということについては、さらに、この場で慎重に議論をしていくべき問題かと考えております。

 それから、当面の進め方に関連して、労働審判を第3回に取り上げるということでありますけれども、併せて、本訴のほうについてという話もありました。それから、都道府県の労政事務所等についても御発言がありました。これについては、第3回目以降、労働審判に併せて、どの程度ふくらませるかということをさらに事務局とも相談して検討をさせていただきたいと思っております。その中で検討をさせていただければと考えております。

 ということで、大筋、当面の進め方については先ほど御説明いただいたようなことで進めさせていただくということでよろしゅうございましょうか。

 それでは、そういうことで大筋進めさせていただきたいと思います。

 それでは、さきほど第2回目として提示されていたところでもありますけれども、「労働分野における裁判外紛争解決(ADR)等について」のヒアリングを行いたいと思います。

 最初に、土田委員に、前回御発言いただきました、労働局あっせんと労働委員会あっせんの比較や課題等について、改めて整理していただいておりますので、御説明をお願いしたいと思いますが、それに先立ちまして、事務局から、労働局あっせん、労働委員会あっせんを含む個別労働関係紛争解決制度の全体の概要について、配付されております参考資料に基づいて、簡単に御説明いただき、その後に土田委員から御説明をお願いするということで進めたいと思います。

 それでは、まず事務局から御説明をお願いします。

○松原労働条件政策推進官 それでは、参考資料をまずごらんください。ページはめくって、3ページ目をご覧いただければと思います。

 前回の資料でもお示ししましたけれども、全体像のペーパーでございます。右側の「個別労働関係紛争」をごらんください。個別紛争の発生の後、自主解決、企業内紛争解決システムがある一方で、個別労働紛争解決制度で、ここが本日土田委員にヒアリングさせていただきます内容でございますけれども、この個別労働紛争解決制度の中に、都道府県労働局が行います総合労働相談、助言・指導、あっせん、あとは、都道府県労働委員会が行っております労働相談、あっせんがございます。もちろん、これ以外にも労働審判制度があり、さらには、いわゆる民事訴訟がございますので、このどこで解決しているかというのは、また、それぞれの事案ごとに異なるわけでございます。

本日は、この全体の中の個別労働紛争解決制度と、あとは、下の*にございますように、弁護士会、社会保険労務士会が行っているような相談・調整サービス、これについていわゆるADRという形のものがございますので、そこについても本日ヒアリングをさせていただくということでございます。

個別労働紛争解決制度ですけれども、めくって、5ページ目をごらんください。労働局が行っております個別労働紛争解決制度がこの5ページでございます。この中には、総合労働相談コーナーにおける情報提供、相談がございまして、都道府県労働局長による助言・指導、紛争調整委員会のあっせんということでございますけれども、一足飛びにあっせんに行くわけではございませんで、基本的な流れとしては、まず総合労働相談コーナーにおいて、情報提供、相談をする。これが平成26年度は103万件ほどあるということでございます。このため、相談等の段階で紛争と申しますか、その前段階のものが解決しているというものが相当程度存在するということでございます。その後に、都道府県労働局長における助言・指導が9,000件ほど、紛争調整委員会によるあっせんは約5,000件ほどです。これらの数値は平成26年度のものでございますが、そういう形で解決を図っているということでございます。

次に7ページですけれども、もう一つの個別労働関係紛争解決制度として御提示させていただいております都道府県労働委員会の個別労働関係紛争解決制度でございます。こちらはあっせんのことを書かせていただいておりますが、各都道府県労働委員会におきましては、都道府県労働委員会独自のシステムとして相談を行っているところもございますので、そういう形であっせんに行く前に、相談により解決を図っている事例も、データはございませんけれども、存在するということでございます。

私からの説明は、以上でございます。

○荒木座長 ありがとうございました。

 それでは、土田委員からの御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○土田委員 土田でございます。よろしくお願いいたします。

 本日は、プレゼンテーションの機会をいただき、ありがとうございます。資料No.2に沿ってお話をいたします。

 まず最初に、「前提」にありますとおり、今日のプレゼンテーションはあくまで京都府における私の経験ですから、労働局あっせん・労働委員会あっせんに関する一般化は当然できません。あくまでも私の経験に基づくお話だということを前提にお聞きいただければと思います。

 1(英数字)の「労働委員会あっせんの特長」は、前回お話しした3点をまとめております。

 1点目は、「事務局による事業所事前調査」によって、使用者側の参加応諾率を高めている可能性があるということです。これは京都の場合、ざっくりした数字を言いますと、例年、あっせんが20件前後、多いときに30件弱ですけれども、応諾率が大体7080%という数字です。個別あっせんのほうが応諾率は高く、8割強という数字が出ております。これは、事務局が事前調査の際に、ある意味参加を説得する、もちろん強制はできないのですけれども、そういった効果があらわれているのではないかと思われます。

 次に、2の「労使参与委員の参加」です。およそあっせんの中で、あるいはADRの中で三者構成で行っているのは労働委員会のあっせんだけで、大きな特色かと思います。私の経験では、三者構成にはかなりのメリットがあります。レジュメの「労使の観点を摂取した公平な紛争処理」ということですが、労働者・使用者に「寄り添いつつ」はかなり情緒的な言葉でミスリーディーングかもしれませんが、括弧内にあるとおり、労使参与委員は「労・使の身になって考えつつ」ということです。しかし、あくまで中立公正のスタンスで、当事者の主張・言い分・愚痴を聞いていただく。そして、公労使合議体にフィードバックしてさらに議論し、当事者を説得する。こういうプロセスです。

労働局のあっせんの場合には、これはもちろん中立・公益の立場で紛争処理をするわけです。私個人は労働者側の訴えには同情心を持って臨みますけれども、当然ながら、中立の立場であるがゆえの限界があります。労働委員会のあっせんの場合、労使の参与委員は労使の身になって考えてその主張を聞くというところが中立の立場の者との大きな違いかと思います。こうしたスタンスは、労働委員会の場合、不当労働行為の審査についても同じですが、あっせんの場合には、とりわけ労使参与委員の役割が大きいと思われます。

 ただし、「労・使の身になって考えつつ」という表現ですけれども、重要なことは、労使参与委員は何ら労使の利益代表になるということではないということです。利益代表になってしまいますと、労使の参与委員の間で利害対立ないし意見対立が生じます。そうしますと、迅速かつ公正な紛争解決は難しくなります。そうではなくて、あっせんの目的は、あくまで迅速かつ適正な紛争処理ですから、そのために労使の参与委員に当事者の意見をしっかり聞いていただく。それをフィードバックしていただき、そこからさらに議論し、当事者を説得していく。そういうことが労使委員の参加の大きな意義と思います。これが下手をすると利害対立になってしまう可能性があるのですが、私はそういう経験はありません。労使委員には、先ほど述べたように、紛争処理に向けた公正な立場で努力をしていただいているということです。その結果、あっせんにおける当事者の納得性の向上をもたらしている可能性が高いという評価ができるかと思います。

 次に、3点目ですが、「考慮期間の提供」で、これも前回申しました。労働局が原則1回の期日で解決するのに対して、労働委員会では複数回行うところに特色があります。このことがどのような効果を持っているのかといいますと、特に労働者側に冷却期間を提供し、冷静に検討する、あるいは家族や法曹関係者に相談する時間的余裕を提供するという意味があります。当然、迅速性では劣る結果になりますが、冷静に考える機会を提供しているということになります。

 これが3の矢印(→)2つ目に書きました「交渉力・情報格差の是正」につながります。若干大げさですけれども、一回の期日で労働者に対して即決を迫る状況では、交渉力や情報格差はあまり埋まっていない状況にあります。しかしながら、考慮期間を置いて、使用者の提案について熟考する。あるいは関係者と相談する機会を持つということで、交渉力の格差・情報格差がある程度是正される結果になると思います。つまり、その場でいわば即決を迫られず、熟考した上で今後どうしていくのかという対応策を考えることができるという意味で、交渉力・情報格差の一定の是正が可能となるのではないか。その意味で、対等な交渉に基づいてあっせん・合意を行う環境を整備するという意義があると思います。

 以上をまとめまして、4の「評価」ですが、「適正なあっせん」の定義についてはさまざまな考え方があるかと思いますけれども、私のレジュメでは、1として任意性、2として互譲性・適正性を挙げております。2は、「当事者の互譲を前提とする適正な解決」であります。先ほどの2の「労使参与委員の参加」及び3の「考慮期間の提供」は、1,2の要素の充足性を共に高めている可能性があると考えております。すなわち、労・使当事者の身になって考える労使参与委員が存在する。それから、熟考期間を提供することによって、まず1との関係では、形式的な合意あるいは形式的な交渉ではなくて、実質的な合意による解決が可能となる可能性があります。また、同じ理由から当事者間の歩み寄り、すなわち、互譲が可能となり、それによる適正な解決の可能性が高まるという評価ができるのではないかと思います。

 なお、このペーパーには書いておりませんが、「適正さ」ということの意味ですけれども、これは前回、中山委員から御発言があったと記憶しておりますけれども、ADRにおいても、労働法の実体的な要件なり判例法理を踏まえた適正性が重要ではないかという指摘がありました。「適正性」という言葉は使われなかったかもしれませんが、そういうスタンスが重要ではないかという御発言がありました。

 「適正さ」という場合に、私自身は労働法の要件ないし判例法類を前提とすることは当然であると考えています。したがって、常にそれは意識しております。ところが、そういう意味での適正さを重視すると、実は任意性とか互譲性と食い違うケースが当然出てくるわけですね。合意による解決とな法に則した適正な解決とは異なる場合が当然あります。ですから、そこのところをどう考えながら解決に導くかということがポイントの1つかと思っております。

 それから、これも前回水島委員が御発言になったことですけれども、そういう意味の客観的な法に則した適正さを追求する場合に、あっせんの場合は当然訴訟あるいは労働審判と比べて、主張・立証の厳密な吟味が難しいという限界があります。あるいは、法的な評価の限界があるということがあります。そこは悩ましいところですね。一方で、法的な意味での客観的な適正さを追求しつつ、今の悩ましい点をどうクリアし、かつ任意性と迅速性と互譲性をどう調整していくというところが重要です。ここはいろいろ御意見があるでしょうけれども、私自身は、法的な評価は大前提とした上で、その上で、今の幾つかの要素を調整しながら適正に解決していくかということを念頭に置いて処理に当たっております。ですから、私なりの法的評価については、事前に、労使の参与委員にもお話ししますし、場合によっては当事者にも説明します。その上で進めているということです。

 それから、ペーパーに戻りまして、1(英数字)の最後ですが、労働委員会のあっせんについては、もちろん長所ばかりではありませんで、基本的に長期化するという問題がありますし、先ほど述べた適正なあっせんの要請に反する結果が発生する可能性もあります。これは後の事例研究で申し上げます。

 そこで、事例研究をざっくりとお話ししますが、「労働局あっせん」については、「成功事例」2例、「問題事例」を御紹介し、2の「労働委員会あっせん」については、「成功事例」と「成功事例?」の2点を御紹介したいと思います。

 まず、1ページの一番下の「成功事例1」は、雇止めの金銭解決の事案です。労働者主張の下限と使用者主張の上限の間を調整して、相当額を提示して迅速に解決し、当事者も満足して帰られたというものです。労働局のあっせんも、実際に参加を応諾された企業に限れば、解決意欲はかなり強いので、そういう状況ではこういった迅速な解決が可能になります。労働局あっせんのメリットが出た例かと思います。

 それから、(2)「成功事例2」は正社員の解雇事案で、金銭解決です。これが成功した一つの要因は、社会保険労務士が参加されたということです。その方は、労働法の知見を有する優秀な方でしたので、会社(使用者)ではなくて、その方ともっぱら交渉しました。そして、その社会保険労務士が使用者を説得し、適正な金額で解決できたというケースです。このように、有能な社会保険労務士が参加してくださると、解決が促進されるケースが増えると思います。ただ、これはケース・バイ・ケースで、社会保険労務士が能力不足の場合は、これは全く逆効果となり、かえって紛争処理の邪魔になるというケースもあります。ですから、社会保険労務士の参加の効果は、あくまでケース・バイ・ケースかなと思います。

 それから、(3)の「問題事例」。これが私としては気になっている事例です。解雇の金銭解決事例で、使用者(会社)自身が解雇に関する帰責事由を認識して相当な金額を提示してこられました。しかしながら、労働者は若干の考慮期間ではありません、考慮時間です、せいぜい30分ですね。これを提供して検討していただいたのですが、結局、拒絶ということであっせんは不調に終わりました。後でも申し上げますが、こういったケースについては、考慮期間を提供・提示する、活用することで適正に解決できたかもしれないという事案です。私の場合は、労働局あっせんでも考慮時間を置きますが、せいぜい今のような時間になります。このケースでは、労働者は非常に悩み、迷っておられたので、考慮時間ではなくて考慮期間を置くことで何らかの解決ができた可能性がある。そういう意味で問題事例だという評価をしております。

 次に、2の「労働委員会あっせん」(1)が「成功事例」で、ハラスメントの事案でした。これは、当事者が金銭解決を望まず、職場環境整備に向けた内容であっせんをするというケースでした。こういうケースで非常に難しいのは、あっせん案の内容をどうするのかということですね。金銭解決でしたら、「何月何日に幾ら振り込みます」ということで終わるわけですけれども、職場環境を整備して、お互いがどう努力し協力していくかという解決内容ですから、あっせん案の内容は非常に難しいわけです。

そのために何が重要になるかというと、ここに書いていませんが、まず第一に時間が必要となります。第二に、労使双方は文章表現に非常に神経質になりますから、その意向確認が必須となります。時間が必要だということについては、先ほどの「労働委員会あっせん」の特長の3が役に立ちます。また、労使双方が神経質になるがゆえの意向確認が極めて重要だということについては、2の「労使参与委員の参加」が重要な要素になります。公益委員が言うよりは、むしろ、労使委員にそれぞれの当事者の意向を酌み取っていただいてフィードバックして、最終的にあっせん案を作成していくという、そういうプロセスが可能となります。

 2の(1)に書きましたとおり、本件は、2つ目の「・」にあるようなプロセスをたどって、係属期間が大体1か月であっせん解決ということになりました。その意味では、「労働委員会あっせん」の2と3のメリットが奏功して解決されたという意味で成功事例という評価ができるかと思います。

 また、このようなあっせん内容の解決は、当然裁判ではなかなか難しい、ADRのまさに妙味というケースです。そこに先ほどの「労働委員会あっせんの特長」が加わって上手く解決できたケースと評価しています。

 次に、(2)の「成功事例?」で、何で「?」がついているのかということですけれども、これは差額賃金請求事案です。これは使用者側の法令違反がかなり明確で、そのことを前提に使用者が相当の金額を提示されました。そして、労働者に考慮期間を提供して、持ち帰られたのですが、拒絶し、ほぼ満額を改めて要求して来られました。これには驚きましたが、さらに驚いたのは、使用者側がそれを応諾したということです。この事例の評価ですが、先ほどのあっせんの要素のうち、任意性という点では、当事者が合意しているわけですから、確かに成功事例です。しかし、逆に、あっせんの1つの要素である互譲性というものは欠けています。他方、客観的な適正さという点では、これは何とも言えないところがある。しかしながら、少なくとも「?」をつけた意味は、「労働委員会あっせんの特長」の3である「考慮期間の提供」が逆に奏功し過ぎたのかもしれない。あっせんの要素の1つの互譲性はこのケースでは余り十分ではなかったという意味で「?」をつけています。

 最後に、3(英数字)の「提言」ですが、労働局のあっせんについては、労働委員会あっせんからの示唆ということが挙げられます。先ほど御説明があったとおり、実は労働局の場合は、あっせんの事前に助言・指導がありまして、そこで非常に多数の紛争を解決されています。そのことと併せて考えると、労働局のあっせんは非常に迅速な解決という意味で大きなメリットがあります。だからこそ、基本的に原則1回期日になっていますし、労働委員会のようなじっくりとした解決は、労働局のあっせん件数は非常に多いので、そもそも難しいところがあります。しかしながら、例えば労働局あっせんの(3)の問題事例として挙げたケース、つまり、労働者が非常に悩んでおられるケースであるとか、労働委員会あっせんの(1)の成功事例、つまり、複雑で解決に時間を要するケースについては、労働委員会あっせんの長所である考慮期間の活用は検討する価値が十分にあると考えています。つまり、労働局のあっせんのモットーである簡易・迅速な紛争処理は大原則ですけれども、ケースによっては、少し時間を掛けてじっくり解決を図ることがあってよいのではないかと思います。都道府県労働局によっては、既にそういうところをなさっているところがあるのかもしれませんが、恐らく少数だと思います。そういう意味では、事案に応じてそうした柔軟な対処があってもいいのではというのが3(英数字)の1の提言になります。

 それから、3(英数字)の2の「労働委員会あっせんについて」「・認知度の向上」ということです。労働委員会あっせんについては、先ほど来述べたような、労働局のあっせんを補完するようなじっくり型のあっせんが可能ですので、その特長をPRして認知度を高めることが課題と思います。

ただ、1119日に第70回全国労働委員会連絡協議会があって、出席しましたが、地方の労働委員会は、不当労働行為事件が激減しているものですから、個別あっせんにいわば存在意義を求めて非常に熱心に取り組んでおられるわけです。そこで聞いた話ですが、労働委員会あっせんは、いろいろな努力をしてもなかなか認知度が上がらない。そこで、ゆるキャラを使ったり、グッズを販売したりして認知度を上げる努力をしておられるのですが、そもそもなぜ労働委員会の認知度がそんなに低いのかということが理解できないところがあります。労働委員会は地味な機関だからということはあるかもしれないのですけれども、だったら、労働局はPRもしなくてもいいほど派手かという疑問がありまして、もし何かご存知のことがあれば教えていただきたいと思います。

  最後に3ですが、労働局と労働委員会の間の交流あるいは意見交換の必要性。これについても、先日の全労委におけるある県の労働委員会の御報告の中に、そういうことをしているという御報告がありました。これは非常に重要と思います。それぞれのあっせんについてわからないところ、それぞれのメリット・デメリットについて直接話をして、まずはお互いを知るところから開始するのが重要と思いますので、これはぜひ今後各都道府県で行われるといいのではないかと考えています。

 私からのプレゼンテーションは以上です。

○荒木座長 ありがとうございました。

 それでは、皆様から何か御質問等ありましたら、お願いいたします。

 八代委員、どうぞ。

○八代委員 ありがとうございました。

 今の先生のお話だと、労働局と労働委員会のあっせんの一番大きな違いは、考慮期間の提供というか、じっくり考えられるというお話だったと思うのですが、他方で、案件の違いといいますか、これで挙げられました労働委員会あっせんは、ハラスメントとか、差額賃金請求とか、はっきり言って、明らかに使用者が労働法に違反しているケースで、一方の労働局の成功事例はまさに解雇であって、解雇というのはお互いに言い分があるわけで、それについて考えるということで、解雇の場合はどっちかが一方的に悪いという問題ではないのではないかと思うのですね。ですから、そこのテーマの違いがどう影響するのかというのはちょっとお話しいただければありがたいと思います。

○荒木座長 いかがでしょうか。

○土田委員 その点は、私は必ずしもそう考えていません。まず、労働委員会のあっせんとして挙げた事案はたまたまハラスメントと賃金請求ですが、解雇事案ももちろんあります。ただし、今回お話しするのにちょうど適した事案がたまたまこれだったということです。次に、ハラスメントの事案はある意味で解雇以上にお互い言い分があるケースですので、むしろ、そちらの解決のほうが非常に難しいところがあります。解雇についても、例えば労働局あっせんの問題事例として挙げた解雇については、使用者みずから責任を感じていたというケースですから、解雇についての客観的な法的評価が可能だったケースです。ですから、ここはさまざまでして、解雇についても、先生がおっしゃるように、グレーゾーンというケースもありますから、一概に、労働局あっせんと労働委員会あっせんについて、事案がこうだからそれぞれのあっせんに適しているということは難しいと思います。

○荒木座長 よろしいでしょうか。

 ほかにはいかがでしょうか。

 中山委員。

○中山委員 私、弁護士ですが、労働委員会のあっせん手続に行ったことはございませんので、大変参考になりました。

 1つ、実際のあっせんで終了する、和解率といいますか、それは京都の場合どのくらいでしょうか。毎年20件ぐらい出ているだろうというお話でしたが、成功事例等も御指摘ありましたが、そのうちどのくらいが実際に解決しているのでしょうか。

○土田委員 ちょっと今、正確な数字はありませんけれども、約20件として、約7割は解決です。

○中山委員 かなり高いですね。

○土田委員 そうですね。これはざっくりですよ。

○中山委員 はい。

 それと、もう一点、これも私は経験がないのでよく知らないのですが、三者構成について、実際には、そう1年もやるような案件はないので、総体的に長くても1か月とか半月とかその間に、三者の間で当事者の紛争の事情聴取とか協議しますね。それは回数とか、あるいは、それぞれの役割分担みたいなものがおおむねあれば、教えていただきたいのです。

○土田委員 回数は、これも最大公約数で大体2回〜3回程度ですね。2回目にあっせん案を提示して解決するケースもあれば、2回試みて、3回目にあっせん案を提示して解決するケースもある、そういうのが平均的な状況かと思います。

 ただ、期間について言えば、これは関係者の都合が合えばいいのですけれども、合わないとどうしても長くなるということはあります。しかし、上手くいくと、例えば2の(1)の「成功事例」は1か月くらいで済んだというケースです。

 公労使の役割分担ですが、1(英数字)に若干書いてありますけれども、これも一般化できないですよ。私の経験で言えば、私は公益ですから、基本的に、先ほど言いましたような法的評価はします。事前に参与委員とお話をするときに、その意見は伝えることが多いです。それも踏まえて、労使参与委員はそれぞれの当事者とお話をして主張・言い分を聞きます。そういう役割分担です。労使委員がそれをまた持って帰ってこられて、ここが大事なところですが、先ほど言いましたとおり、ここで利害対立をしてはいけないので、利益代表ではなく、当事者の意見を聞いてきて、最終的にどのように適正かつ円滑に紛争を終了させるかというところを公労使3人でもう一度考える。そういうプロセスです。

○中山委員 三者で意見が食い違うということは余りないのですか。

○土田委員 それは、もちろん初期段階ではありますね。主に事実の評価です。事実の評価については、これはこうではないか、Aではないか、Bではないか、Cではないかという、そういう事実の評価についての食い違いは当然あります。当然ありますが、そこは3人の合議体で調整して、最終的にまとめていきます。また、その事実の評価の違いが最終的に、例えば金銭解決のときに、その相場に影響を与えることがあります。使用者側にこういう状況やこういう言い分がある。労働者側にはこういう言い分があるというときに、最終的に3人で合議して評価になった段階で、事情の評価が使用者側に有利であれば、金銭解決の相場は下がりますし、逆であれば上がるというようなことはありますね。ただし、法的評価について意見が対立することはあまりないと思います。

○中山委員 ありがとうございました。

○荒木座長 ほかにはいかがでしょうか。

 徳住委員。

○徳住委員 都道府県労働局のあっせんは1回きりの手続であり、大変迅速だと思います。、その際「熟考時間」を与えることは分かりますが、熟考期間を与えて、2回目の手続に入ったケースがあるのですか。私が聞いている限りでは、熟考期間を与えるために、1回目にあっせん案を出が、労使に持ち帰って、受諾の有無の回答を後日文書で行う形で熟考期間を設けることはあるということですが、手続回数をふやす場合があるのか、また、熟考期間を確保するために何か工夫されている点がありましたら、教えて下さい。

○土田委員 もう一回、回数の件を。

○徳住委員 2回、3回とやるのはありますか。

○土田委員 もちろんあります。

 つまり、それはケース・バイ・ケースです。1回目にあっせんの基本的な考え方を提示することもあれば、1回目では無理で、2回目に提示することもあります。後の場合は、3回目に結論を出すことになります。

 それから、2点目は何でしたか。

○徳住委員 持ち帰って、文書で回答する。

○土田委員 それもあります。それもケース・バイ・ケースです。文書で回答してもらって、次の回に決着をつけることももちろんあります。

○荒木座長 垣内委員、どうぞ。

○垣内委員 東京大学の垣内でございます。第1回の会議は、ほかの会議と重複してしまいまして、欠席をさせていただきまして、どうも申しわけありませんでした。

 私、民事訴訟法を専攻しておりまして、ただ、研究を訴訟上の和解という問題から始めたものですから、裁判外の紛争処理についても関心を持ってまいりましたけれども、労働紛争等について、必ずしも主たる研究テーマとしてきたわけではございませんので、ここでの先生方の御議論等を伺いながら、私自身も勉強をさせていただくところがあろうかというふうに思っております。

 ただ、実際ある法制度ができたときに、それがどのような形で機能するかというのは、実体的なルールが決定的な意味を持つことはもちろんですけれども、それがどのような手続で運用されるのかということも重要な要因かと思いますので、微力ではございますけれども、そういう面で何か議論に貢献できることがあればと考えている次第です。

 ちょっと質問をさせていただきたいと思いまして、発言させていただいたのですけれども、1つは、先ほど冒頭にいただいた事務局からの概要の御説明に関して1点です。あるいは土田先生のプレゼンテーションも関係するところがあるかもしれませんが、御説明の中で、非常に多くの相談があって、しかし、相談限りで処理をされていると申しますか、そういうものが大多数であるという御紹介があったかと思います。相談限りで、その先には進まなかった案件が、実際にどういう形で終息しているのかということについて、何か調査あるいはデータをお持ちなのかどうかというのが質問の第1点でございます。

 と申しますのは、相談限りで両当事者が納得するような形でその案件が解決したということであれば、それは非常に望ましいということになるわけですけれども、相談の結果、いろいろ解決に至るハードルが高いことがわかってきて、そこまでは、ということで、紛争をそこで回避するというような判断がされるということもあり得ることかと思いますので、その点について何か情報をお持ちかどうか、というのが質問の趣旨でございます。

 それから、土田先生のプレゼンテーションは、大変私勉強させていただきまして、どうも、興味深いお話をありがとうございました。

 若干お聞きしたいのは、最後に、労働委員会あっせんの「成功事例?」という形で御紹介をされた点について、金額は客観的には適正な可能性はあるかもしれないけれども、互譲性という面でやや問題があったのではないか。なぜ、このような問題が生じたのかというと、考慮期間の提供がやや功を奏し過ぎたのではないかという分析を御披露されていたかと思うのですけれども、お尋ねしたいのは、確かに労働者の側に考慮期間が与えられて、それで、いろいろ考慮をした上でこういう態度に出てきたということは一方であるかとは思うのですけれども、使用者側についても、持ち帰って、考慮はしていただいていたということかと思いますので、使用者側は考慮期間を余り活用されなかったということなのか、考慮期間の提供がもっぱら労働者側に有利な解決になるような要因が、この事案で何かあったのかという辺りについて、お考えのところがあればお聞かせいただければありがたいと思います。

 以上です。

○荒木座長 では、まず土田委員から先にお答えいただきましょうか。

○土田委員 ありがとうございます。

 このケースは、もちろん使用者側も考慮期間が提示されたわけで、使用者側も熟慮をされたわけですね。ですから、考慮期間の提示がもっぱら労働者側に有利に働くかというと、そうでもないと思います。また、事案によっては、使用者側が一度あっせんの基本的な内容に合意したのに、この考慮期間を経て、再び蒸し返して、元に戻ってしまったというケースもあります。そういうケースについては、使用者側に考慮期間を提供したことが使用者側に有利に働き、ただし迅速なあっせんの妨げになったという評価ができると思います。ですから、問題状況は複雑ですけれども、労働局あっせんと比較する限りでは、明らかに労働者側の交渉力を促進しているという評価はできると思います。

○荒木座長 事務局からお願いします。

○大塚室長 地方課の大塚と申します。垣内委員の御質問の1点目についてお答えいたします。

26年度の総合労働相談件数の総数は、先ほど松原労働条件政策推進官から説明がありましたとおり、1,033,047件あるのですが、これは大きく3つの類型に分かれます。1つが、一番多いのですけれども、法令や制度の内容の問い合わせ。これが623,503件ございます。次に多いのが民事上の個別労働相談件数で、これが物によっては民事紛争として助言・指導やあっせん手続に進んでいくものでございます。この件数が238,806件でございます。最後の類型が、労働基準法等の違反に係る相談で、これが205,247件あるのですけれども、要すれば、同じ解雇の紛争であっても、解雇の有効性ではなくて、解雇予告手当の問題とか、あるいは、解雇の際の解雇理由の明示の問題とかそういった労働基準法等の法令に記載している内容に違反しているのではないかということで、行政指導等によって解決していくべきものにつきましては、労働基準監督署等の所管部署に取り次がれることになります。それに係る相談件数が一番最後に述べた類型でございます。

 民事上の個別労働相談の23万件ですけれども、この中身は、必ずしも紛争状態になっていないものもございまして、むしろ、そちらのほうが多うございます。実際に労働者側が何か不満を持っていて、事業主側と具体的な紛争状態になっているものは大体7万数千件ですけれども、何らかの不満は持っているけれども、もやもやしているというようなものが16万件で多数を占めます。こういったものについては、相談して、具体的な法令上のアドバイスあるいは交渉の際のアドバイスをすることによって解決しているものも相当多くあるのではないかと思われます。具体的なデータがあるわけではないのですが、それでもまだ解決に向けてのハードルが高いと、委員御指摘のようなことがございましたら、労働局では、さらに、助言・指導し、あっせんという手続があることを教示して、それの申出・申請があった場合に、それぞれの手続に進むと、そういうような取扱いをしているところでございます。

 以上でございます。

○荒木座長 ありがとうございました。

○青山参事官 労働委員会の関係は、自治体のほうですから、なかなか詳細なデータは持ち合わせておりませんけれども、基本的にはパラレルで、法令の問い合わせから法令違反と思われるものなど多々相談などに来ていると思いますので、それに関する適切を紹介するなどをしているのではないかと思われます。

 恐縮です。以上です。

○荒木座長 ありがとうございました。

 それでは、時間もありますので、土田委員のプレゼンテーションに対する質疑応答は以上といたします。どうもありがとうございました。

 それでは、引き続きまして、全国社会保険労務士会連合会からのヒアリングに移りたいと思います。

 全国社会保険労務士会連合会からは、石谷隆子副会長、村田毅之理事・社会保険労務士総合研究機構所長のお二方においでいただいております。

 それでは、御用意いただいたプレゼンテーションをよろしくお願いいたします。

○石谷副会長 全国社会保険労務士会連合会から参りました石谷でございます。本日はこのような機会を与えていただきまして、誠にありがとうございます。

○村田理事 全国社会保険労務士会連合会の理事をしております村田でございます。よろしくお願いいたします。

○石谷副会長 御説明に関しましては、石谷がさせていただきます。

 本日は、社労士会の裁判外紛争解決制度は、どのようなものかということを御説明するということで参っております。現在、私は、先ほど御説明がありました労働局のあっせん委員と、裁判所の調停委員もさせていただいていますので、民間の場合の特長をより御説明出来ると思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 お手元に資料No.3をごらんいただきたいと存じます。

 我々、社会保険労務士会の個別労働紛争解決制度といたしましては、2ページをごらんいただけますでしょうか。まず1つ目として、総合労働相談所を47都道府県の社会保険労務士会に設置しております。その中で、労働者と事業主等から労働条件等に関するいろいろな御相談を社会保険労務士が相談員としてお受けし、対応しております。2つ目に、本題になっております社労士会労働紛争解決センターを設置いたしまして、そこであっせんを行っているというのが現状でございます。現在は、ここにありますように、青森、栃木、佐賀、大分を除く各都道府県にセンターが設置されております。このセンターは、ADR法に基づきまして法務大臣の認証を受け、厚生労働大臣指定を受けまして、運営をしている円満解決を図る機関でございます。我々は労働問題の専門家でございますので、社労士があっせん委員となりまして、労使双方から個別の意見を伺って、そして、双方納得できる和解案を提示して、労使関係の回復を促しているのが現状でございます。

 解決センターの特徴と申しますのは、1つ目は手続が裁判等に比べ迅速かつ簡便である。費用は有料であるところ、無料であるところいろいろございます。一番最後のページに、現在、各県会の費用一覧がございます。現在は、28の都道府県では無料でやっております。このように労働問題の解決を促すということに尽力している次第でございます。

 2点目は、申請の提起があったものとみなす「時効の中断」の効果があります。

 3点目は、手続は非公開ですし、プライバシーを保護しております。

 4点目は、あっせん案が合意した場合は、民法上の和解の効力を有しております。

 ただ、先ほどからお話がありましたように、どうしても一方が参加なさらない場合は、手続は終了となってしまいます。

 5点目は、原則、あっせんの期日は1回でございますが、合意の可能性が見込まれる場合は、2回、3回と開催することもございます。

 このような制度でございます。次に3ページをごらんいただけますでしょうか。

 これが進行のフローチャートです。紛争が起きますと、センターへの御相談。電話とか来所とかでございます。その中で、センターの担当事務局員が御説明をします。御本人がいらっしゃる場合又は代理人がいらっしゃる場合、内容を聞きまして御説明をさせて頂きます。そして、必要な書類等の御説明も致します。それをお持ち帰りになりまして、実際、申請が上がりましたら、受理をして、そして、被申立人に御連絡をするという形になっております。その中で、期日を指定いたしまして、同時に、あっせん委員を指名致します。次に、あっせん室で期日がありまして、あっせんを行うという形になっております。その結果は和解が成立する場合、それから、申立人の取下げとか、終了するという場合です。それから、センター長によりまして、手続終了、打切りにするというケースに分かれるわけでございます。

 次おめくりいただきまして、5ページをごらんいただけますでしょうか。これはあっせん申立事案の状況でございます。現在、データとしては26年度の状況をお示し申し上げております。受理をした件数が208件でございます。処理をしているのが181件。この差は、まだ今は準備中であるということでございます。

 それから、あっせん委員になります者と労働者や事業主といった当事者のあっせん代理を行います者は、現在、特定社会保険労務士だけが行うことができるものとされております。これは法律が、19年4月1日に施行されて、このようになりました。社労士で、かつ、ここにありますように厚生労働大臣が定める研修を修了し、手続代理業務試験に合格した者が特定社労士の資格を有するということでございます。その後、全国社会保険労務士会連合会の社労士名簿に付記をしなければ、実際にあっせん代理を行うことができない制度になっております。資料の下段に書いておりますように、現在、センターのあっせん手続においては、紛争価格が120万を超える案件までは、特定社労士が単独で当事者を代理することができるようになっています。

 それから、2番にありますように、都道府県労働局のあっせん手続の代理も行うことができます。3番にありますように、雇用機会均等法とか、育児・介護休業法及びパートタイム労働法等に基づきます労働局が行う調停の手続の代理もすることができるということでございますし、都道府県の労働委員会が行う個別労働関係紛争のあっせんの手続の代理もすることができます。これが特定社労士に認められているあっせん代理の範囲でございます。

 特定社労士数は、27年3月31日現在で11,381名が付記しております。その方々が活躍をしているということでございます。

 次おめくりいただきますでしょうか。6ページになります。これが現状ですけれども、申立の大半は労働者側であるということで、数字に直しますと、93.9%は労働者側からの申立であるということです。ただ、事業主からの申立も6.1%ございます。

 それから、申立人の代理人の利用ということですが、図2をごらんいただきますと、代理人なし」という割合が77.9%となっております。その後、例えば特定社労士と弁護士を両方御依頼になるケースとか、弁護士さんを御依頼になるケースだとかというふうになりますが、今現在としては、御自身が申立をなさるというケースが8割弱になっているということでございます。これが申立人側です。

 被申立人側に関しても、直接企業なり御本人がというケースが84.5%でございます。

 総合労働相談所と両方やっているわけですので、総合労働相談所においでになった方に関して、あっせんをお勧めするというケースがありましたら、進んであっせんを御説明してお勧めするというケースになっておりますので、申立の経緯はどういうことかといいますと、相談所を経由してくるのが37.6%、社労士が持ち込んでくるのが27.1%、本人により直接が19.3%、相談ダイヤルとかが12.7%となっているのが1つの特徴でございます。

 次おめくりいただきまして、8ページでございます。申し立てて来る方がどういう状況の方かというと、退職者が大半でございまして、退職者の方が116件、現在従業員である方が49件ということでございます。トラブルがあって退職された結果という経緯が多いようでございます。

 次、6番には「あっせん終了事由」を書かせていただいております。あっせんが上がりましても、不応諾が46.4%でございます。和解成立したものが37.6%でございます。どうしても強制力がございませんから、不応諾というケースがこうなっているわけでございます。先ほど御説明ありました労働局のあっせん委の和解率も37.6%だとお聞きしておりますので、ほぼ同率なのではないかと連合会としては考えている次第でございます。如何せん、この不応諾を少しでも少なくしていくのが今後の方針であると思っております。

 それから、あっせんの内容はいろいろでございますけれども、特徴的に見ますと、図7にございますように、解雇、退職、雇止めが40.9%、賃金未払、不払残業、退職金が23.8%、それから、パワハラ、セクハラ、いじめが23.8%というような特徴を示しております。

 次の10ページも、それの分類を表にさせていただいています。この中で1つ特徴として見れるのが、事業主側からが、賃金未払とか不払残業、退職金に関して7件あったというケースがございます。解決しようというのは、労働者だけではなく、企業側からもそういう御意向があると我々社労士会としては考えております。

 次、11ページですが、双方合意した場合の和解金額でございまして。連合会としては、合意した件数が68件でございまして。その中で、和解金ありの事案が63件、和解金のない事案が5件という結果になっております。和解金がないというのは、この下にありますように、例えば離職事由の変更とか、懲戒解雇の撤回とか、職場環境の改善とかというようなことで解決したという結果でございます。この辺は非常に細やかなことでございますが、我々は労働問題の専門家としてやっている関係で、そういう対応も解決の方向として持っていっているケースもあるということでございます。

 金額ですが、図9をごらんいただきますように、100万円未満が90.5%となっています。労働審判とか裁判に比べれば低額であると言えるかもしれませんけれども、26年度の実績としてはこういう形になっております。ただ、ずっとごらんいただきますと、251万円以上もあるというケースがございますし、今年のデータとして、今聞いておりますのは、5001,000万の枠で2件解決したとのことです。

 おめくりいただきまして、12ページでございます。受理件数はわずかではございますけれども、徐々にふえているという傾向にございます。ただ、我々としては、もっとPRをして、受理件数をふやしていこうということで全力を挙げて努力している次第でございます。

 次は、それを分析したような結果でございます。

 内容の特徴は14ページですけれども、解雇、退職、雇止め、賃金、それから、パワハラが代表的な形になっているということでございます。

 最後になりますが、我々、社労士会労働紛争解決センターへの有効性と活用されるための課題といたしましては、16ページでございます。

 労使紛争の当事者が簡便に利用できる選択肢をもっとふやしていくことが課題ではないかと思っておりますし、現在、28センターが無料で行っているという実績もあるので、もっとふやしていきたいと考えております。

 それから、公的な民事訴訟とか労働審判などに事件が集中するものを我々が吸収できれば、もっとそういう御負担を軽減することも可能ではないかなと考えております。我々は労働問題の専門家でございますので、このように特化した形でもっと社会貢献ができればということで、無料であることも問題なくやっているという現状でございます。

 それから、利便性としては、平日の夜間とか土曜日もあっせんの期日を設けております。

 それから、我々が設置しております総合労働相談所とか中小企業経営労務支援センターと連携してADRを行っているという経緯でございます。

 それから、今後活用されるための課題としては、公的な広報をお願いしてやっていかなくてはならないのではないかなと思っている次第でございますし、処理実績を上げて、労使双方、一般の信頼を高めていくことが大切であると思っております。

 現在、未設置のところもございますが、これを全国展開にしまして、国民の方々の利便性を高めることが必要であると考えている次第でございます。

 雑駁ですが、以上でございます。ありがとうございました。

○荒木座長 ありがとうございました。ただいまご報告に対する質疑については、次の日弁連の報告の後に、まとめて行いたいと思います。

 引き続きまして、日本弁護士連合会からは、渡部晃ADRセンター副委員長にお越しいただいておりますので、御用意いただいた資料に基づいて、御報告をお願いいたします。

○渡部ADRセンター副委員長 ありがとうございます。日本弁護士連合会ADRセンター副委員長の渡部晃でございます。資料No.4の1ページから31ページまでございますので、それを参照しながらお話ししたいと思います。

 資料No.4ですが、2ページを見ていただきますと、我々は日弁連ADRセンターでございまして、日弁連ADRセンター自身は現業を持っておりません。日本弁護士連合会は、弁護士会と弁護士個人が会員でありまして、日弁連ADRセンターはそこの「目的」にありますように、ADR関係の調査研究とか、各弁護士会のADR関係の連絡調整を行うために設置されたものでございまして、設立が2001年6月であり、名称は200611月に変わりました。

 活動の現状は、毎年「仲裁ADR統計年報」が発行されておりまして、それは日弁連のホームページに、掲載されております。各地弁護士会は仲裁センター及び紛争解決センターを開設しておりますが、今のところ、全国には52弁護士会がありまして、この52弁護士会のうち32弁護士会に紛争解決センターや仲裁センターがございます。32弁護士会で35センターと3ページの上の段に書いてありますが、これは1つの弁護士会の支部で紛争解決センターを設けている部分もございますので、32弁護士会で35センターということになっております。2014年度は申立件数が、全部合わせた総合ADRですけれども、990件ございます。1,000件前後が毎年の申立件数でありまして、応諾率が71%。そのうちの解決率が52.9%。35%から40%ぐらいの申立に対する解決率ということになります。

 近年の状況としては、総合ADRでございますから、それぞれさまざまなものがあります。3ページを見ますと、「医療ADR」を設置している。厚生労働省で「医療ADR」に関する協議会も何年か前に行っておりまして、そこで、弁護士会の仲裁センターなどが高裁所在地に「医療ADR」を設置したということで、ホームページなどで掲げられているところでございます。

 それから、総務省により設置されました「地デジADR」は、受信障害の関係で、アナログから地デジに変わったときに、それもADRで紛争解決しましたのが「地デジADR」です。

 それから、金融庁関連では、2010年には、弁護士会ADRが「金融ADR」の設置をしまして、多数の金融機関等と協定書を締結して解決しました。

 日弁連ADRセンターとしては、2011年の文科省傘下の「原発ADR」の組成に協力しておりまして、日弁連から280名余の仲介委員を出しております。それで、今のところ18,000件余の申立があって、9割以上の解決をおこなっています。20151113日現在ですね。また、ADRの研究会(仲介委員研究会)も行っています。

 それから、2014年4月には「ハーグ条約」の国内法施行で、外務省の補助を受けて国際間の「国際家事ADR」事業で、「スカイプ」を用いての「子の返還」や「面会交流」についてのADRを行っています。

 それから、201511月には、やはり外務省の補助を受けて、「ハーグ条約」にもとづく「二国間調停」がありまして、これは外国のADR機関と提携して調停を行うもので、今契約締結交渉しているのが、ドイツのMiKK、イギリスのReuniteですが、そのうちドイツのMiKKと日本の弁護士会ADRセンター(具体的には第一東京弁護士会仲裁センター)が提携しまして、その機関同士がスカイプでつなぎながら調停を行うという事業を行おうとしております。今月末にもドイツに2人の弁護士を派遣する予定であります。

 それから、次のページの4ページで、弁護士会ADRは総合ADRですけれども、日弁連はさまざまな専門分野に対応していこうということで、弁護士会ADR同士の連絡調整を行っていく。金融ADRでは、スカイプで各地をつなぎまして、各地の弁護士会に顧客または金融機関に来ていただいて、東京三弁護士会とつないで、隔地者間の金融ADRを行っている状況でございます。労働ADRを含むADR全体の発展に寄与したいと思っているところでございます。

 4ページの下段には、「弁護士会労働ADRの実情」ですけれども、残念ながら、いつも労働局と毎年会合を重ねるのでございますけれども、弁護士会ADRは余り労働ADRに関心がないと言っては語弊がありますけれども、余り主たるものではないものですから、関心が少ないということで、今回、私ここに出て来るについて、1週間前にここに来るように言われて、急遽、全国主たる弁護士会ADRにアンケートをして、3日ぐらいで回答せよということで回答をしてもらって、仲裁ADR統計年報をまとめたりして、この資料をつくっているわけですけれども、5ページを見ていただきますとおわかりのように、2014年度の990件のうち、労働関係申立は55件でした。ほとんどないのかと思ったら、これぐらいはあることがわかりまして、5.6%です。2010年からずっと見ていきますと、全申立件数に対する労働ADRの申立数は4.3%から6.6%でした。それから、2014年度を見ますと、全解決件数381件のうち労働解決は16件となっております。そういうことですから、ほかの案件と比べて少ないことは間違いありません。なぜかというと、労働局がやられている相談・あっせん事業と裁判所の労働審判という立派な制度があり、労働局の方は無償ですし、社労士さんが始められた当初は有償だったのですけれども、無償で始められているところがあります。日弁連及び各弁護士会は、全社連及び各社労士会のところには、協定書を締結し、ADR65号所定の助言弁護士として派遣させていただいている部分がありますけれども、労働ADRとして弁護士会が主たる活動をしているかというと、それほどでもない。ただ、今回調べましたところ、そこそこやられているのだなというのが全国的に見るとわかりました。

弁護士会ADRのうち労働ADRを一定程度やられているところというと、5ページの一番下のところの東京、愛知、大阪、仙台がある程度の件数をやっていることがわかりました。東京三弁護士会で5年間で61件、愛知県弁護士会で53件、大阪は総合紛争解決センターという弁護士会が入っている別の団体ですが、29件、仙台弁護士会が57件。仙台弁護士会は、震災ADRがありましたので、震災があって非常に多くの事件があって、そのうちの労働事件もふえていたということがあるのですね。ですから、そういう意味で解決率を見ていただいても、仙台弁護士会の申立に対する解決数は73.7%で、さらに高率になっています。震災ADRの場合は、100%解決という場合が多くあるものですから、そういう解決率となっています。解決率として39.6%から73.7%は、申立数から言うと非常に高い解決率です。4割以上あれば、もう一回使ってみたいという利用者が出てきますので、4割をキープしていれば、再度起用しようという気持ちにもなると思いますので、そうなるだろうと思います。

6ページですが、弁護士会は少ない事例ながら、特色としては、使用者側の申立がある程度ある。これは東京三弁護士会からの事例のアンケートはサンプルとして多くあつまらなかったものですから少ないものしか出てきておりませんが、使用者側の申立がある程度あるのは、いろいろな案件を内密にADRで話し合いながら解決したいという需要はかなりあるのだろうという気がいたしました。労働局や社労士さんに比べて、弁護士会ADRは有償ですから、お金を払ってでもここで解決したいという需要があるのだろうと、今回調べてみて感じました。パワハラ・セクハラによる賠償請求がかなりある。じっくり解決したいという部分もあるのでしょう。仙台は震災ADRで多いということでございます。申立数は低いけれども、解決率が非常に高いというのが弁護士会ADRの特徴であろうと考えます。

そこで、まとめとしては、ADRの多様性・柔軟性を生かした労働ADR制度の設計と運用が必要である。弁護士会ADRと他のADRの棲み分けが必要で、利用者はそのニーズに応じてADRを選択すればいいのではないかと思っているところでございます。

弁護士会によっては、労働ADRを個別に設定しようという動きも各地にありまして、行く末を見守りたいというところであります。

以上です。

○荒木座長 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの2つの御報告について、御質問等がありましたら、お願いいたします。

 鶴委員。

○鶴委員 どうも、御説明ありがとうございました。

 社労士会の御説明で、ちょっと御質問をさせていただければと思います。

 お話を聞いていると、センターの和解率、それから、和解金額、もともと申立も無料でやっているセンターさんもたくさんあるということで、労働局のあっせんと代替的なものなのかなという印象は私自身受けたのですけれども、実は、結構棲み分けが行われているとか、利用者の方々は、本当は労働局のあっせんを利用しようと思ったのだけれども、実はこちらのほうに来られたと。こちらのほうは具体的にこういうメリットがあるからこちらのほうに来られたとか、何かその辺についてお考えとか御示唆がありましたら、教えていただければと思います。

○石谷副会長 ありがとうございます。

 先ほど申しましたように、開催期日の日程でございますね。夜とか土曜日という形は、これは現在のお勤めの方とかですと、そういう御要望が非常に高うございます。

 それと、労働局様と棲み分けているというわけではないと思います。要するに、行きやすいという感覚、敷居は高くないというところは確かにあると思います。事細かに御説明をして、もちろんあっせんに至らない事案もございますけれども、そういう形で担当者は努力をしております。非常に簡便だということと日程の件は大きいのではないかなと思っております。

 以上です。

○土田委員 社労士会に2件質問ですが、8ページで、申立人については、退職者からの申立が64.1%と多数になっています。私はこれはちょっとおもしろいなと思ったのですが、労働局にしても労働委員会にしても、現役の方がハラスメントや賃金不払や解雇を争っていて、むしろ現役の従業員の申立てのほうが多いのかなという気がするのですけれども、退職者の方の割合が多い理由について、何か推測される点があったらというのが1点です。

 もう一つは、退職者の方は何を求めておられるのか。図7で言うと、解雇、退職、雇止め、あるいは退職金があるのですが、退職した後に何を求めてあっせんを受けに来ておられるのかということについておわかりであれば、教えてください。

○石谷副会長 具体的な分析はございませんけれども、退職してから、退職事由が不当であるからこれだけ賠償金を請求するとかですね。それから、働いていた間の未払残業代、退職金をもらえると思ったのにもらえなかったとかいうケースなどが多いと思います。

 トラブったから辞めた。しかし、納得いかないというのは、私がやりました件でもひしひしと感じられる部分でございます。その程度で申しわけございません。

○荒木座長 よろしいでしょうか。

 八代委員。

○八代委員 ありがとうございました。

 社労士さんのほうで、11ページの双方合意した和解金額の分布ですが、これを見ますと、厚生労働省から出た労働局あっせんとほぼ等しいのかなという感じを受けているのですが、若干高いですかね。そこが労働局と比べて、もし高いとすれば、労働者にとってより有利になっているのかな。あるいは、それはケースが違うのかなということで、もしおわかりになったら、その点を教えていただきたいのと。

 日弁連さんのほうではこの数字はないのですが、東京弁護士会だけでも、感覚として、和解したときの金額は、社労士さんのケースと比べて、高いか低いかおわかりになれば、教えていただきたいと思います。

○村田理事 特段、社労士会に持ち込まれるものが額が大きいかというと、たまたまこういう事例もあったということではないかなというふうに、印象的には思っております。

 以上でございます。

○渡部ADRセンター副委員長 回収率が低いものですから正確なことは言えないのですが、委員限りでお渡ししているものが、その当該弁護士会の5年間の全件のを見ると、使用者側の申立は非常に金額が高いということがわかりました。だから、使用者側はいろいろ考慮されて申し立てたのかなという気がいたしました。そのくらいです。

○八代委員 その意味がよくわからないのですが、使用者側が考えて申し立てているから、金額が高いということですか。

○渡部ADRセンター副委員長 というか、弁護士会ADRは有償ですので、ある程度の金額にならないといけないかもしれませんし、金額が低いと余り申し立てた意味がないのかなとも思います。しかも、有償でもよいというなんらかのニーズが使用者側にあったのだろうと思います。

○荒木座長 ほかにはいかがでしょうか。

○徳住委員 社会保険労務士会の8ページですが、あっせんの終了事由がここに書かれています。不応諾が46.4%ありますから、その他が応諾した結果の和解したかそれ以外かということになると思います。打切り、取下げ等の合計があっせん不成立のパーセントと理解していいのか。

 また、打切り・取下げなどの不成立になった場合に、次のステップにどういうアドバイスなりサジェスチョンしているのか、教えて下さい。

○石谷副会長 比率は、今、先生がおっしゃったとおりでございます。打切りとか取下げがそうなっておりまして。結局、打切り通知を送りますときに、次の段階の御案内ですね。例えば、労働審判とか裁判所とかの御案内を同封するという形を現在とっております。決して、どこそこへ行きなさいとかそういうことは一切申し上げませんけれども、そういう御案内の通知を入れております。

○徳住委員 わかりました。ありがとうございます。

○垣内委員 社労士会の御説明につきまして、大変細かい点の確認で恐縮ですけれども、今も御質問のあった8ページの申立人の内訳に関してですけれども、例えば、解雇をされたけれども、それは違法な解雇で無効であるというようなことを主張している申立人の場合には、これは従業者というカテゴリーで分類されるということでしょうか。それとも、退職者のほうになるのでしょうか。

○石谷副会長 退職者ですね。一旦、雇用契約は終わっておりますので、退職者でカウントしています。

○垣内委員 わかりました。ありがとうございます。

○長谷川委員 社労士会の方にお聞きしたいのですけれども、8ページの申立人のところで、労働者の場合ですと、退職者からの申立てが多いとありますが、事業主が申し立てているケースも約6%あります。このように事業主の方が社労士会労働紛争解決センターに申し立てる場合は、例えば自分の企業に顧問社労士がおり、その顧問社労士から紹介されたということなのでしょうか。それとも、自分で社労士会労働紛争解決センターを見つけて申し立てたのでしょうか。事業主の方が申立てに至る経緯を教えていただきたいです。

それと、もう一点、申立て事案の内容から見てみた場合の相談に至る経緯を教えていただきたいと思います。資料を見ますと、申立て事案の内容は、賃金未払や不払残業とあるのですけれども、このようないろいろな相談をするにあたって、いくつかの紛争処理機関があるなかで社労士会ADRを選択する経緯について、何かしらデータはお持ちでしょうか。このように相談者がどういう理由で社労士会ADRを選択したのか、その点を調べたことはございますか。

○石谷副会長 どういう経緯で来られたかというのはお聞きはしておりますけれども、詳細はわかりません。今現在、ホームページとかいろいろなところでPRしております。総合労働相談所においでになれば、こっちへ御案内するという形もとっておりますし、いろいろなところに御案内のパンフを置いていただいているというのが現状でございます。それをごらんになって、行ってみようというケースではないかと思います。

 事業主さんも同じことだと思いますし、事業主さんがあっせんを申し立てられるのは、先ほど弁護士会様も言われたように、やはりいろいろ内部でもめているけれども、事業主から見れば非常に論外の金額が挙がっている、当事者同士はまとまらない。だからというようなケースもあるように思います。

 それと、もう一つは社労士が持ち込んで来ているケースが、7ページにございますが、パーセントにしますと27.1%です。ですから、顧問の社労士さんが、そうであれば、ADRこういう形がありますよという御案内をしているというケースも非常に比率は高うございます。

○村田理事 追加で申し上げますと、社労士さんが自分のところでホームページをつくって、そこで労働者からの相談を受けながら代理人になって、ここに持ち込むというケースが過去にはかなり多かったと思います。

 以上でございます。

○水口委員 社労士会の方に質問ですが、どうもありがとうございました。何と言っても、土日に実施をされていることには驚きました。それは労働者側にとっては非常に便利ですばらしいと思います。実際に、土日は盛況という感じになるのでしょうか。

○石谷副会長 必ずしも盛況というわけではないですが、ケース・バイ・ケースでございますし、その方の事情でございます。

○長谷川委員 本日日弁連のヒアリングを聞いて、初めて弁護士会ADRにおいて労働ADRも担当していることが分かりました。今まで、労働相談は労働弁護団だけが実施しているのかと思っておりましたので、その認識が違うことが分かりました。その上で、資料の「20102014年度労働紛争受理・解決事件数」に記載されている数字は、弁護士会ADRで扱っている事件数ですね。そうすると、確認ですが、ほとんどの都道府県で労働弁護団の人たちが労働相談を行っていますけれども、そこと労働ADRの件数とはダブってはいないのですね。

○渡部ADRセンター副委員長 労働弁護団の人たちの「労働相談」とはダブってはおりません。ここで申し上げているのは、中立公正な「弁護士会ADR」です。要するに、「弁護士会労働ADR」は使用者側でも労働者側でもない、第三者の中立公正な「民間の調停機関」です。その前提となる労働相談は弁護士会で行ったり、労働弁護団の方が関わっていたりして、そこを契機として「労働ADR」へ来る場合(申立をする場合)があるのかもしれませんが、全く別の機能をもっている第三者の中立な機関が「弁護士会労働ADR」でございます。

○中山委員 社労士会の御説明、大変参考になりました。

 先ほど長谷川委員から、申立の経緯についてのお話がありまして、この資料ですと、7ページの図4で、ちょっと趣旨がわからいのでお聞きするのですが、「労働局の紹介」は、4件ですから少ないのですが、労働局は一方であっせんをやっているわけですから、その役割分担関係で、労働局が社労士会の紛争センターへ紹介というのはどういう理由なのでしょうか。

○石谷副会長 済みません。現在のところ、よくわかりませんけれども、日程的なものもあるのではないでしょうか。労働局様の場合はウィークデーで時間も限られておりますから、その辺のこともあるので、もし、それだったらあっちへ行かれればというようなケースもあるのではないかと思います。

 労働局様と我々とは常に意見交換会をやったり、いろいろな情報交換をして、こちらもお願いをしているというケースでやっておりますので、そういうケースがたまたまここで4件出ているのではないかなと思います。

○中山委員 その1つの想定としては、日程的な、週末を望むという御相談であれば、それは労働局はやってないので、そういうのをやっている社労士会のセンターのほうへどうですかと、そういう紹介があるのではなかろうかということですか。

○石谷副会長 はい。例えば、現役の方ですと、時間が取れないというケースもあります。いろいろなケースがございます。

○中山委員 ありがとうございました。

○荒木座長 ちょっと関連して、私もお聞きしたいのですけれども、社労士会でやっていらっしゃる事件は、紛争を最初に持ち込まれたのか、それとも、ほかであっせん等が不調になってこちらに来られた事件は結構あるのか。それはむしろまれなケースなのかという、そこの感触はいかがでしょうか。

○村田理事 ほかを経由して来るという例は余りないと思います。

○荒木座長 ありがとうございました。

 どうぞ、輪島委員。

○輪島委員 ありがとうございます。

 私ども不勉強で、社労士会とか日弁連でこのような紛争解決の仕組みが実施されていることをきちんと理解をしておりませんでした。多様な選択肢が既にいろいろなところで用意をされていることは非常に大事なことではないかと考えております。

 その点で、参考資料の3ページですけれども、今ほどずっと話の中にもありましたが、3ページの右側の「個別労働関係紛争」のまさに個別の紛争が発生したときの振り分けといいますか、自然に振り分けられているのか、どういう経過でどこに行き着くのか。自分の事案はどこが適切なのかというようなことをどういうふうに判断するのか、誰が判断するのか、誰のアドバイスに従って行くと適切な解決になるのかというような分析がもう少し必要なのではないかなと感想を持った次第です。

 それから、もう一つ、土田先生のところに戻って恐縮ですが、2ページ目の最後の「提言」の2の「労働委員会あっせんについて」の「・認知度の向上。」これは私どもも大変重要に思っております。経団連として中労委の委員の推薦、各県の労働委員会の委員とも連携しております。そういう意味で労働委員会のあっせんの認知度を高めることは非常に大事なことではないかと思っておりまして、その点も、さらに、いろいろ検討を加えていく必要があるのではないかと思っている次第です。

 以上です。

○山川委員 社労士の労働紛争解決センターさんの御報告は非常に興味深かったのですが、9ページと11ページの図7の事案の内訳の割合の合計が100%になっていますけれども、訴訟などの場合、解雇無効確認とともに、在職中の割増賃金を請求したりして100%にならないということが多いのですが、これはどこかの請求を主要なものとして位置づけて100%になるようにしているのかというのが1点。

 もう一つは、一部関連するのですけれども、11ページの金額で、これもどういう事件かは問わないといいますか、解雇の金銭解決そのもののデータではないという理解でよろしいでしょうか。

○村田理事 第1点目ですが、先生のおっしゃるとおり、事案の主要内容で分類して、カウントすると。

 第2点目ですが、11ページの金額は、解雇の金銭解決事案における和解金額だけを集計したものではございません。

○山川委員 ありがとうございます。

○荒木座長 それでは、きょうのプレゼンテーションに対する質疑は一応ここまでといたしまして、残った時間で、きょうお聞かせいただいた点も含めて御自由に御発言いただくという、そういう時間にしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 水口委員。

○水口委員 実は、東京労働局で、今年の11月5日に、平成27年度労働相談個別労働紛争解決制度関係機関連絡協議会が持たれました。これは恐らく毎年全国で実施をされているのでしょう。ちょうどきょうのように、東京社労士会、それから、東京の三つの弁護士会、法テラスや東京地裁からも参加して個別労働紛争手続機関間で協議、情報交換が実施をされました。東京の労働局、東京の個別労働紛争解決は1,100件で、応諾率が割と高くて59%、あっせんを実施したもののうち73%が合意をしていると報告もありました。

 私そのときに関心を持ったのは、そこで解決しなかった事件はどうなっているのだろうかということです。質問をしたところ、労働局は打切りになったような場合に利用者にペーパーを渡すそうです。そのペーパーには、最初に裁判所の調停、その次に労働審判を説明しています。その中で次の相談先として、一番先に出てくるのが「法テラス」です。次に弁護士会の法律相談、社労士会の相談も紹介されていました。法テラスの方の報告を聞きますと、結構、労働事件の相談は多いのですね。

平成25年度の「法テラス白書」を見てきたのですけれども、法テラスの法律相談援助は、全事件中に労働事件が5%を占めている。これは「相談援助」です。その相談の後、弁護士が事件を受任して裁判等の委任を受ける「代理援助」、法テラスが事件を審査して、弁護士に委任することに対して援助をすることになります。代理援助を受けると、弁護士費用を、例えば、労働審判だったら、着手金12万円プラス実費2万円程度が援助されることになります。これは立替制ですけれども。その際に、法テラスの方の発言では代理援助率が15%ぐらいだということなのですね。これは高いか低いかはよくわからないのですけれども。

今後、議題になる解雇の金銭解決も、想定されているのは「解雇無効時」における解決金ということですので、結局は裁判所を利用しての解決手続です。しかし、裁判を利用する際に、どうしても弁護士の援助が必要になってきます。その場合に、労働者が裁判を利用するための一番の相談窓口、受け皿になるのが法テラス、日本司法支援センターです。法テラスは法律で創設されたものです。そうなると、仮に労働者が解雇金銭解決を利用する際に、弁護士を利用しなければならない以上、法テラスの代理援助の実態は、これは非常に重要なことです。今後の既存の労働紛争の解決手段の活用でも、実際上、弁護士をつける必要が高い労働審判や本訴になったときに、この日本司法支援センターでの代理援助は労働者のために必須です。その実態はどうなっていて、審査の状況はどうなっているかということも、今後の検討課題の中に、法テラスの代理援助あるいは労働相談についての援助の実態はどうなのかという実態を踏まえて我々は議論しなければいけないのではないかなと思いまして、問題提起したいと思います。

○荒木座長 ありがとうございました。

 八代委員。

○八代委員 本日は非常に貴重な情報をいただきまして、大変勉強になりました。

 ただ、この検討会の本来の目的を考えたときに、例えば、先ほどもありましたが、賃金未払とか退職金不払とか、パワハラ・セクハラというような、事実認定は別にして明らかに労働法違反の個別紛争にどれだけ時間を割くのか。それは、むしろ、労働基準監督署の仕事であって、ここでは解雇無効時における金銭救済制度の在り方について、例えば、先ほど鶴委員がおっしゃったような計量的な分析とか、もう少しそこに焦点を絞らないと、今おっしゃった法テラスも、労働紛争と言っても、それは労基法違反に関わるものがかなり多いのではないかと思いますので、第3回以降の議論についても、私は少なくとも全体の半分以上の時間はこのメンバーによって、解雇無効時における金銭救済制度に議論を集中していただきたいと思います。

 ヒアリングも大事ですけれども、我々は勉強によっていろいろ恩恵はこうむるのですけれども、世の中に求められていることは、この金銭救済制度について賛成・反対の議論を尽くすということであって、我々の勉強だけではないかと思いますので、確認させていただきたいと思います。

○荒木座長 この点について、事務局はいかがですか。

○村山労働条件政策課長 解雇無効時の金銭救済制度については、一方で冒頭、村上委員から御意見の表明のあったところであり、また、一方で八代先生からただいま異なる御意見も頂戴したところでございます。

 本日の今後の進め方の資料に書きましたが、第1回検討会の御議論を踏まえた今後の進め方として、座長の御指示の下、本日皆様に確認いただいたペーパーの背景にある考え方は、前回の御議論の到達点を尊重しようということです。前回、八代先生御指摘の立法政策上の課題と、一方で、現行あるさまざまな紛争解決システムの実態や課題は有機的に関連しており、その相互の関係についてインタラクティブに見ていく必要があるということも前回御確認いただいた訳です。その上で、座長の御進行のもと議論をお進めいただいていこうという話になった経緯もあろうかと思います。ただいまの御意見も含めて、改めて、事務局としてもよく整理し、座長とも御相談して、委員の皆様に諮りつつ、円滑な進行に努めていきたいと、このように考えております。

 以上でございます。

○荒木座長 ほかには何か御意見等はございましょうか。

 村上委員。

○村上委員 ありがとうございます。

 次回検討会の要望です。本日、土田委員から労働局のあっせんの御説明があったのですけれども、全国の紛争調整委員会の委員の皆さんはどういう属性の方々がいらっしゃるのか、男女の比率等も含めて、その辺りの統計を出していただけないでしょうか。

 あっせん委員の皆さんはプロであり、労働法制にお詳しい弁護士の先生もいらっしゃいますけれども、中には労働専門ではない方々もいらっしゃると思いますので、あっせん委員のトレーニングや研修などはどのように実施されているのかということをお聞きしたいと思います。

 あと、あっせんの申請書等、あっせん申立時の書類のひな型を見せていただけると、あっせんと審判との違いがよくわかるのではないかと思いますので、そのようなモデル様式も出していただければと思います。

 以上です。

○荒木座長 ほかにはいかがでしょうか。

 鶴委員。

○鶴委員 先ほど八代委員がおっしゃった話は非常に重要な話なので、それをこっちにのけてということではなくて、きちんとやっていくことと。全体をきっちり見ていくことも私は非常に重要で、先ほど輪島委員がおっしゃった点は、私も全く同感で、きょう土田委員がおっしゃられた話、私は、連絡協議会というだけの仕組みだと、せっかくいい労働委員会の仕組みをさらに強化していくとか、ベストプラクティスを拡散させていくというためにはちょっと不十分なのかなと。それはどういうような組織的なやり方で強化していくというのは、きょうのお話を聞いていると、そこが一番大きなポイントになってくるのではないかなと、そういう印象を持ちました。

 それから、今は、いろいろな各種紛争解決制度があって、それを一つ一つ見ていくということを少しやっているのだと思うのですけれども、多様なものがある。それに応じて、どこに行くのが適切かという人たちがいて、そのマッチングが非常にうまくいっているのであればいいのですけれども、問題は必ずしもそのマッチングがうまくいってないというところにいろいろな問題が、私はひずみの根本があるような感じがするのですね。それは適切に本当にうまくマッチしているのか。そして、もし全部うまくマッチしているからといって、今のようなそれぞれのところの解決の仕方が本当にそれでいいのかという話も多分その先にあると。そういったことともに、最後、解雇無効のときの金銭救済という話も一緒にあわさって議論がされていく話ではないのかなと。そういう印象を持っていますので、前回も申し上げましたが、個々ばらばらにどうなっているとただやっていってもだめで、その連関をきちんと再度考えていくことがここの検討会の基本的な取り組み方ではないのかなと思います。

 以上でございます。

○荒木座長 ありがとうございます。

 ほかには御発言はありましょうか。

 長谷川委員。

○長谷川委員 前回の会議でも「労働相談ではどのように対応しており、紛争解決機関としてはこのような機関があり、その機関では何を行っているのかということを、もう少し生き生きと分かるように、ヒアリングを実施していただきたい」と申し上げましたけれども、まずは委員の現状認識・共通認識を合わせることが必要だと思っているのですね。例えば、先ほど八代先生がおっしゃいましたとおり、明らかな労基法違反であれば、法テラスではなく労働基準監督署の仕事です。しかし、現実に法違反があった場合を考えてみますと、労働者はまず都道府県労働局・労働基準監督署内にある総合労働相談コーナーに相談に行くわけですよ。そこで相談してみて、「このケースだと法違反です」だとか、「この事案であれば民事訴訟の提起ですね」とかアドバイスを受けるわけです。そこから、この紛争をどこに持ち込むかを考え、都道府県労働局あっせんを利用しようか、それとも労働審判にするのか、紛争の解決に向けての動きが始まっていくのだと思うのです。ちょっと失礼な言い方をして申しわけないのですけれども、私は、まずは「現行システムの紛争解決機関にはどういうものがあり、そこではどのような解決をしているのか、どのような人が紛争解決を担っているのか、そこでの問題点は何か」という共通認識を持つことが先決であると考えます。それなくして、解雇無効時における金銭救済制度の在り方とその必要性の有無を議論するということにはならないのではないでしょうか私自身、本日初めて日弁連ADRセンターの存在について話を聞いたわけですけれども、お互いにわからないことはわからない、そのことをきちんと認識しながら次のステージに行くという順序立てた進め方が必要になるのではないかと思います。

○荒木座長 ありがとうございました。

 それでは、そろそろ時間になりましたので、きょうはここまでにしたいと思いますけれども、それぞれの紛争機関で、まさに解雇の問題についてもそれぞれの解決がどういうふうになされているかという認識は共通にして、その後のことも考えることがよいかと思いますので、きょういただいた御意見も踏まえながら、今後の運営について、さらに、検討してまいりたいと思います。

 それでは、次回の日程等について、事務局からお願いします。

○松原労働条件政策推進官 次回、第3回の検討会の日程でございますが、ただいま、12月の下旬を目途に調整中でございますので、確定次第、開催場所と併せて御案内させていただきます。

 以上でございます。

○荒木座長 それでは、本日は以上といたします。

 お忙しい中お集まりいただいて、どうもありがとうございました。

 


(了)

労働基準局労働条件政策課

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