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2015年9月14日 2015年9月14日 第13回社会保障審議会介護給付費分科会介護事業経営調査委員会議事録

老健局老人保健課

○日時

平成27年9月14日(月) 10:00~12:00


○場所

ホテルグランドアーク半蔵門 華の間


○出席者

井口、田中、千葉、堀田、山本(敬称略)

○議題

1.介護事業経営実態調査等について
2.介護保険サービスに関する消費税の取扱い等について
3.その他

○議事

○森岡介護保険データ分析室長 それでは、定刻となりましたので、第13回「社会保障審議会介護給付費分科会介護事業経営調査委員会」を開催させていただきます。

 初めに、本日の委員の出欠状況ですが、藤井委員以外、5名御出席いただいております。藤井委員からは遅れるということで御連絡いただいております。

 続きまして、6月開催の第12回委員会から事務局に異動がありましたので、紹介させていただきます。

 佐藤高齢者支援課長でございます。

 

○佐藤高齢者支援課長 よろしくお願いいたします。

 

○森岡介護保険データ分析室長 辺見振興課長でございます。

 

○辺見振興課長 よろしくお願いします。

 

○森岡介護保険データ分析室長 それでは、議事に入る前にお手元の資料について確認させていただきます。

 まず、お手元に、座席表、議事次第、委員会委員名簿がございます。

 資料1 介護事業経営実態調査等について

 資料2 介護保険サービスに関する消費税の取扱い等について

 参考資料1 介護保険サービスに関する消費税の取扱い等に係る審議報告

 参考資料2 診療報酬調査専門組織・医療機関等における消費税負担に関する分科会の設置について

という資料がございます。資料の不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。よろしいでしょうか。

 それでは、以降の進行を田中委員長にお願いいたします。

 

○田中委員長 改めまして、おはようございます。

 早速、議事次第に沿って進めてまいります。

 最初に、議題1「介護事業経営実態調査等について」事務局から説明をお願いします。

 

○説明者 資料1から御説明をさせていただきます。

 1ページでございます。介護事業経営実態調査につきまして、過去、介護給付費分科会等において指摘された課題ということで1ページのほうにまとめさせていただいております。

 まず、1つ目の丸の「平成27年度介護報酬改定に関する審議報告」の中においては、介護事業経営実態調査についてこれまでの審議における意見、ここは「例えば調査期間など」というふうに記載されておりますが、それも踏まえ、次期介護報酬改定に向けて、より有効に活用されるよう、引き続き調査設計や集計方法を検討することとされております。

 2つ目の丸の「平成26年度介護事業経営実態調査結果の概要」で幾つかピックアップさせていただいております。例えば1つ目のポツでございますが、「施設系サービスの収支は本体サービスで基本的に完結している一方、居宅サービスは利用者が複数のサービスを組み合わせて利用し、また、事業者も複数のサービスを一体的に提供していることが多く、これらのサービスに係る費用が適切にサービス毎に按分できない場合がある等の調査上の限界がある」。そのほか、幾つか指摘をいただいております。

 また、3つ目の丸の「平成27年度予算編成における大臣折衝事項」の中においても、「次回の介護サービス料金改定(介護報酬改定)に向けては、サービス毎の収支差その他経営実態について、財務諸表の活用の在り方等を含め、より客観性・透明性の高い手法により網羅的に把握できるよう速やかに所要の改善措置を講じ、平成29年度に実施する『介護事業経営実態調査』において確実に反映させる」という御指摘をいただいております。

 おめくりいただいて、2ページ目でございます。「介護事業経営実態調査等に係る当面のスケジュール(現時点での案)」という形でお示しをさせていただいております。前回開催されました6月25日の介護給付費分科会において、論点等についてまずご議論いただいております。27年9月、今回から11月ぐらいにかけて、いただいた御意見も踏まえて、経営調査委員会のほうで調査対象期間などの具体案を検討します。この間、適宜、介護給付費分科会においても検討を行うこととしております。年末、12月ぐらいには、平成28年度調査の調査票等の具体案を経営調査委員会のほうで取りまとめて、介護給付費分科会のほうに諮り、来年度、介護事業経営の調査実施というスケジュールで考えております。

 ページをめくっていただいて、論点ごとに幾つか整理をさせていただいております。前回、介護給付費分科会にお諮りした資料をもとに、いただいた御意見を少し書き加えて資料の構成とさせていただいております。

 まず、論点1のマル1「調査対象期間」の「1.現状」のところでございます。経営実態調査については、今、介護報酬改定前年3月、1カ月分の収支の状況を調査しています。これについては、アスタリスクで書いてありますとおり、可能な限り、直近の事業所の収支状況を反映させるためにそういう作業をしております。

 それにつきまして「2.これまでの指摘」というところで、単月の調査では季節変動や特殊要因の影響を受けるということもあって、1年分の収支を把握すべきではないかという御意見をいただいております。

 「4.分科会での意見」に6月25日の分科会でいただいた御意見をまとめさせていただいております。分科会のほうでは「単月ではなく1年分とすることが妥当である」「単月では実態の把握ができないので、複数月にすべき」という御意見もいただいております。

 最後の御意見の「集計が遅くなるというが、医療経済実態調査では1年分が把握できている。調査のやり方次第ではないか」というのは、「5.論点整理」にもかかわってきますが、ちょうどデメリットのところに書かせていただいております。26年、前回の調査ですと3月の収支の状況を見るということで、3月末に調査票を配布して、4月末に調査票を出してもらっていました。それにつきまして、1年分という形にすると、決算の状況を把握するということから、社会福祉法人や医療法人の決算時期が5月末ということもあって、それが後ろにずれ込んでくるのではないか、調査時期、集計が遅くなるというデメリットもあるのではないかということを整理させていただいております。

 また、同じように、集計期間が短くなった場合は現在の有効回答率の低下が見込まれるのではないかというところもあります。

 めくっていただいて、5ページの「6.経営調査委員会で検討頂きたい事項」でございます。1年分の収支の状況の調査を行う場合、特殊要因や季節変動等の影響を排除して平準化されるというメリットもあります一方、今御説明したとおり、従前より調査時期や集計が遅くなるといった課題も踏まえて、どのような対応が考えられるかというところが一点でございます。

 6ページにあるのは簡単にそれをイメージにしたものでございます。中段が前回の介護の分野での実態調査の実績です。調査票配布を3月末に行って回収を4月末日ということで、督促・集計作業が8月末ぐらいまで、5カ月間ぐらいでそういう作業ができていたという一方、一番上でございますが、今回、社会福祉法人や医療法人等の決算作成期限を踏まえるとどうしても5月末ぐらいからの調査票配布という作業になりまして、集計期間がある一定限られて短くなるのではないかという表でございます。下段は、医療のほうの状況を参考に書かせていただいております。

 続きまして、7ページでございます。論点は幾つかありますが、その中で論点1のマル2「複数年のデータの把握」、論点1のマル3「実態調査と概況調査の関係」ということで1枚に整理しておりますので、まず複数年のデータ把握というところから御説明させていただきます。

 複数年のデータ把握では、先ほどマル1のところで御説明したとおり、介護報酬改定の前年3月(1カ月分)の収支の状況を調査しているという現状でございます。それに対してこれまで分科会等の御指摘では、同一の病院や診療所などについて医療のほうは改定前後、複数年の収支を把握している。経営実態調査のほうではどのように考えているのか、そういった御指摘をいただいております。

 「論点」のところでございますが、複数年のデータ把握について、医療経済実態調査と同じように同一の事業所の複数年の収支の把握をどう考えるか、また複数年とすることによって、当然、集計や分析項目も増加しますので、集計等がこれまでよりさらに遅くなるということで、分科会の議論に影響を及ぼすおそれがあることについてどのように考えるかということでございます。

 これにつきまして、分科会のほうでは、9ページでございますが、複数年のデータ把握という観点から、概況調査と実態調査で、今、異なる事業所を対象としていますが、異なる事業所を対象とするのでは調査間の比較ができないので、例えば実態調査で3年分調査するなどの方法もあるのではないか、そのような御意見をいただいております。

 そういったことから複数年調査の実施時期と調査対象の期間についてどう考えるかということで、複数年の収支等の状況を把握する場合、集計や分析項目が増加し、集計がこれまでより遅くなることが想定されることから、どのような影響が考えられるか。また、実際の介護報酬改定の検討スケジュールを踏まえた具体案として、10ページにカラーでお示ししていますが、論点1のマル1の調査対象期間の問題から、複数年、また実態調査と概況調査の関係というところも踏まえて、10ページのとおりにしてはどうかということでございます。

 お戻りいただいて、7ページで実態調査と概況調査の関係を少し補足させていただきたいと思います。実態調査は何回も御説明させていただいているとおりでございますが、概況調査については、基本的には改定後1年目の1年分の通年調査としております。これは、介護報酬改定後の概況、全体的な傾向を把握するためということで実施しております。

 「論点」のところにもありますとおり、実態調査と概況調査の関係ということですが、実態調査を概況調査と同様に仮に通年調査とした場合、概況調査の実施をどのように考えるかというところもございます。考えられるメリットとしては、改定後1年目のデータにより、分科会の検討開始時点から収支の概況が把握できる。そのほか、実態調査とあわせることで、より多くの収支等の状況が把握できるのではないか。複数年のデータ把握のような集計に時間を要する調査について、時間的に余裕のある概況調査で対応することが考えられるというところもございます。

 そういったところも踏まえて、今回の経営調査委員会のほうでは、先ほど「検討頂きたい事項」というところにありましたが、具体案としてどのような手法が考えられるか御検討いただきたいということが一点でございます。

 続きまして、11ページの「論点2 法人単位での収支等の実態把握」です。「現状」は、サービスごとの収支等を調査対象としております。これは、サービスごとに要する費用等の実態を明らかにするという本来の目的のためです。

 「これまでの指摘」においては、1ポツ目にあるように、採算部門と不採算部門をバランスさせていく、総合的な事業展開を視野に入れた報酬のあり方を検討すべきであるとか、法人は借り入れなども含めて経営しており、キャッシュフローなども把握する必要があるのではないか、そういった御指摘をいただいております。

12ページの「分科会での意見」につきましては、法人単位での収支等の把握について、サービスごとに報酬単価が決まっているので、調査を行う意味は余りないのではないか、介護事業経営実態調査の趣旨には合っていないのではないか、まずは研究事業等で行ってみてはどうか、そういった御意見もいただいております。そのほか、キャッシュフローの把握ということについても、医療経済実態調査ではキャッシュフローの把握をしているので、そういったものを参考にやってみたらどうか、内部留保や借り入れも把握すべきではないか、借入金の返済に係るキャッシュフローは報酬で勘案すべきではないか、そういった御意見もいただいております。

 それにつきまして、「論点整理」では、法人単位での収支等の実態把握について具体的にどのような方策が考えられるかということです。

13ページの「経営調査委員会で検討頂きたい事項」として、法人単位での収支等の実態把握について、その必要性をどのように考えるか。把握するとした場合、どのような方策が考えられるか。もう一つ御指摘をいただいているキャッシュフローについて、キャッシュフローの状況、内部留保や借入金の状況把握の具体的な活用方策についてどのように考えるかというふうになっております。

 続きまして、14ページの「論点3 収支における介護報酬以外のものの取り扱い」です。「現状」として、施設・居住系サービスについては、介護保険外のサービスもあわせて提供され、費用の按分が困難なことから、介護報酬以外の家賃、管理費等を含んだ事業全体の収支の状況を調査しています。

 それにつきまして、「これまでの指摘」ということで、現在の調査では、介護報酬以外の家賃、管理費等を含んだ事業全体の収支を調査しているが、介護報酬部分のみで比較していく必要があるのではないかという御指摘をいただいております。

 「分科会での意見」ということでは、切り分けを行うことが可能であれば切り分ければいいと思うが、それも困難ではないかという御意見、介護以外の収支の状況を見ることは不適切ではないかという御意見、それと前回の御意見にも出てきましたが、実態調査の趣旨に合っておらず、無理があるのではないかという御意見です。

 めくっていただいて、15ページの「論点整理」ですが、介護報酬以外の収支による部分について収支の切り分け方も含めてどのように考えるかということです。

 「経営調査委員会で検討頂きたい事項」として、介護事業と不動産等事業など収支の按分が困難な事項を切り分けることについて、その手法も含めてどのように考えるかという形になっております。

16ページの「論点4 その他の指摘」として幾つか御指摘をいただいております。まず、介護報酬の設定については、税等の費用を控除する前の収支差率を勘案しているが、法人税が課税されている法人と非課税の法人は不公平ではないかということ、そのほか、これは社会福祉法人に特有のことかもしれませんが、収支差率を計算するに当たって、国庫補助金等特別積立金取崩額を控除していることについてどのように考えるかということです。

 「分科会での意見」では、税や借入金元金の返済を考慮した上で収支差率を考えるべきである、そういった御意見をいただいております。

 「論点整理」として、税制上の取り扱いや国庫補助金等特別積立金取崩額の取り扱いについてどのように考えるかということです。

 めくっていただきまして、17ページの「経営調査委員会で検討頂きたい事項」では、介護サービスを担う事業者に対する現行の税制、法人税が課税されている法人や非課税になっている法人、そういった法人があるということは大前提として、課税・非課税の取り扱いと介護報酬との関係についてどのように考えるかということ、そのほか、こちらは積立金取崩額の話でございますが、会計上は、国庫補助対象となった資産の減価償却費の計上に対応して、その同額を国庫補助金等特別積立金取崩額として収益計上することになっているということでございます。一方、経営実態調査においては、事業者が得た補助金に相当する部分を除外した事業活動に関する収支を把握するため、収入・支出から、ともにこれらの額を除外しているが、これらの取り扱いについてどのように考えるかというところでございます。

 最後になりましたが、18ページの「論点5 集計精度の改善」です。現状は、回収率の向上に向けて、回答用紙の簡素化やインターネットを活用した回答の受理、問い合わせサポート体制の強化、そういったことに取り組んでおりまして、有効回答率は、前回、前々回と比べて比較的高くなっているという状況でございます。

 「これまでの指摘」として、有効回答率の御指摘ではないのかもしれませんが、全数調査をしたにもかかわらず有効回答数が少なかったサービスや、記入不備が多く見られた調査項目について、引き続き次回の調査に向けて改善を進めていくということです。

 「論点」としては、さらに回収率・有効回答率を上げる取り組みとしてどのような方策が考えられるかということでございます。

19ページは、同じような「論点整理」や「検討頂きたい事項」となっております。

20ページは、これまでの経営実態調査についてどのようにやってきたか、21ページは、経営実態調査や概況調査、医療経済実態調査について比較できるような表を参考資料としてつけさせていただいております。

 資料1についての御説明は以上でございます。

 

○田中委員長 ありがとうございました。

 論点5はやや実務的ですが、それ以外は、それぞれどのように考えるかと問われています。事務局と手順を打ち合わせていませんでしたが、それぞれ大切なので、論点ごとに議論いたしましょうか。

 論点ごとではなくて全体を通じて何か質問おありですか。

 それぞれ論点について本委員会で「検討頂きたい事項」と書かれたページがあります。それごとに議論してまいりましょう。今日は結論を出す必要はなくて、それぞれについてどのような考えでこれから検討を進めるべきかという指摘で結構でございます。

 初めに、論点1のマル1、5ページに考えてほしい事柄が書かれていますが、これについてそれぞれの委員から御意見を求めます。また、質問でも結構でございます。

 千葉委員、お願いします。

 

○千葉委員 まず、質問なのですけれども、調査対象期間を1年にした場合のメリット・デメリットが4ページに書かれています。デメリットのところで、集計期間がかかる、または集計が遅くなるとあります。6ページにスケジュールのイメージ図が描いてあるのですが、3段あるうちの真ん中のところが現在の調査のやり方で、4月に配布して、最後、8月に集計が終わる、もし改善するとしたら、決算が固まるのを待って調査実施という形でこの矢印になっていると理解したのですが、一番上の段の矢印の起点は、今、6月になっています。確かに法人が決算として回答できるというのは、理事会で承認されて法人としてこれで大丈夫ということになって初めて対外的には出せるわけですが、調査実施主体として配布すること自体は、6月を待たなくてもあらかじめ配っておいて、決算が固まり次第書いて出してくださいというふうにすれば、例えば6月末を回収締め切りとしても、実際上、決算が固まるのは、法人によっては例えばゴールデンウイーク明けだったり、5月末だったり、いろいろばらついていますので、逐次、回答がスタートしていきますから、いいのではないか、なぜ配布スタートを6月にしたのかというのが質問です。

 

○説明者 今の御質問について御回答させていただきます。

 社会福祉法人や医療法人の決算が5月の末までに法人の理事会なりで固まるという状況から、起点を5月末にさせていただいている形です。今、千葉委員がおっしゃっていただいたとおり、問い合わせに関するサポートの期間とか十分に時間をとるといった意味では、早目に調査票を配るというのも非常に大切なことだと考えております。

 

○千葉委員 特に6月頭でなければいけないという設定ではなくてということですね。わかりました。であれば配布スタートは早目にしてもいいのではないかと思います。

 

○田中委員長 確かに作業は大変になるかもしれないけれども、1年分にすることのメリットは大きいだろうかという問い合わせはいかがですか。

 山本委員、どうぞ。

 

○山本委員 会計的にも1年単位にしたほうがメリットがあると思います。といいますのは、法人の決算は通常、1年単位で組んでおられますので、決算の過程で年度決算でだけ反映する、いわゆる決算整理仕訳、引当金やさまざまな見積もりに関する項目が決算の時に正確に反映いたします。月次でも、これは見積もり上考慮するようなワークシートにはなっていたかと思いますが、やはり年度決算でしっかり検討していただいた数字のほうが数字の正確性というのはより高まると思います。

 今、議論もありましたとおり、年度決算の数字ですと、理事会、評議員会なり、法人のしっかりした意思決定機関でその数字を承認していただいて、数字の正確性自体も担保されますし、法人によっては、監事の監査、会計監査人の監査等も受けた数字と整合性を持った報告をしていただけるというのは非常に数字の精度が上がりまして、その数字を使った調査というものも、より精度が、実効性も高まるのではないかということで、メリットのところの特殊要因を排除できるという以外にも、会計上のメリットもあると考えます。

 

○田中委員長 御専門の立場から言っていただきました。

 どうぞ、千葉委員。

 

○千葉委員 関連してですが、私も同感で、1年単位のほうが季節変動や特殊要因というのが、年間通してやりますから、特に季節変動などの影響を受けなくなるということはあると思います。この調査は、単価を決める、最後に反映させる、かなり微妙なというか、センシティブな調査であるということであれば、やはり関係者の納得というのも必要だろうし、こういう特殊要因などという、批判ができてしまうようなものというよりは、やはり合意を得るという意味では1年のほうがいいのではないかと思います。

 その関係で一つ気になるのが、今、先生がおっしゃったように、年間決算のほうが正確性は上がるし、ミスとか無効サンプルになるものも減ると思いますが、4ページに書いてあるデメリットの2ポツ目の「集計期間が短くなった場合、有効回答率の低下が見込まれる」というのは、無効になる、変な記入したものが集まってくるというのか、あるいはこんな短いのでは答えられないといって回答を拒否されるというほうを想定されているのか、どちらの話でしょうか。

 

○説明者 お答えいたします。

 従来、調査については、調査票配布から回収までは1カ月ぐらいの期限を切っておりますが、1カ月で皆さんが出してきていただいているわけではなく、督促・集計作業の間に、いわゆる誤ったものというのか、各事業者さんにお問い合わせをして有効回答率を上げる取り組みが集計の直前まで行われているわけでございます。期間が短くなってくるとその取り組み期間というのも短くなるので、必然的に有効回答の割合も下がってくるのではないかということをデメリットとして書かせていただいております。

 

○千葉委員 となると、これは両面あるのだろうと思いますが、単月の試算表から引っ張ってきて拾い上げる勘定科目を誤るとかということよりは、決算書で確定してちゃんとした形のものから拾ったほうが、回答する側の方も勘定科目の取り違え等も起きにくいだろうと思います。そういう意味では、決算にしたほうがより改善されるけれども、回収した後、疑義照会とかで追っかける期間が短くなるという部分については確かにそうなのかもしれない。ただ、もともとのデータの誤りが減れば、不備照会の期間が短くなっても結局プラス・マイナス相殺でいって来いになるのではないかという気もするので、余りここの部分は気にしなくてもいいのではないかという気がしております。

 

○田中委員長 そうですね。月単位だと人工的な計算をしなくてはいけないけれども、年単位なら自動的に決算処理から拾えるから、そちらの作業量は減るのではないかということですね。月単位の収入は間違いないにしても、費用をどの月に計上するかは人為的である場合があるので、年単位にするとその問題は確かに消えますね。この点、ほかに御意見いかがですか。

 また戻っていただいても結構ですので、次に、差し当たり、移ることにいたします。次は9ページに問いかけがあります。論点1のマル2、論点1のマル3に対する問い合わせがありますが、御質問、御意見あればお願いいたします。

 

○千葉委員 確認ですが、7ページの「現状」の2つ目の「実態調査と概況調査の関係」というところで、今の概況調査をやっている趣旨と実態調査、ちょっと先のほうの話になってしまいますが、概況調査というのは改定後の状況、平たく言ってしまえば、改定の影響がどうだったかを振り返るということだと考えてよろしいのでしょうか。

 

○説明者 そのとおりだと思います。

 

○千葉委員 であれば、改定前後のほうについては、同一事業所でやったほうがより変化という意味では的確に捉えられる。概況は2年というのが一つ考えられる方策ではなかろうかという気はします。

 ただ、複数年やると、今のお話ではないですけれども、集計に時間がより多くかかる、これはやむを得ないことだろうと思います。2倍になったからといって単純に不備照会の量が2倍になるかというとそうではなくて、先ほどの話で、もし勘定科目の取り違え等があるのであれば、多分同じ場所で2カ年連続間違えているケースのほうが多く、一度の照会で対応できるため負荷は2倍にはならないのではないかと思います。

 そういう意味では、2カ年分になったからといっても、もともと社会福祉法人にしても医療法人にしても、会計基準上基本的に財務諸表は2カ年比較の表をつくれということになっているはずなので、そこから単純に転記するということであれば、9ページの6に書いてあるような集計期間に手間がかかるということは考えなくてもいいのかなという気がします。逆に、そこをどうしてもということなのであれば、これは無茶な話かもしれませんけれども、コストさえかければ幾らでも、委託業者が力をかけてくれれば、5人でやっていたところを10人で聞けば半分の時間でできるということもあるかもしれません。そこはちょっと無茶な言い方ですが、その辺は本当に必要ならばコストをかけるだろうし、そうでなければそれなりのやり方というのは、やり方の工夫もあるのではないかという気もします。

 

○田中委員長 堀田委員、どうぞ。

 

○堀田委員 先ほどの論点1のマル1もあわせてということになりますけれども、基本的に収支状況をしっかりと把握するという観点からは、通年でかつ複数年のデータを把握するという方向性には賛成です。

 ただ、今、千葉委員の御指摘もありましたけれども、まず概況調査の目的を改定の影響をしっかり把握するということに置くとすると、他方で集計あるいは記入に係る負担ということも考慮すると、事務局が出されている10ページの案が妥当なのかなということになるのだと思いますが、概況調査について改定の前年度と改定直後の2年間を把握して、実態調査もまた遡ってということになると、これは負担も集計も遅れる可能性があるのでということで、実態調査については1年分、概況調査で前後をとるというのが現実的な案なのかもしれないと思います。

 

○千葉委員 堀田委員と同じ繰り返しになりますが、スケジュールや物理的な制約からいえば、実態調査は1年、これはいいのではないかと思います。

 先ほど申し上げたように、概況調査ということで改定の影響を調べるなら同一事業所で2カ年、これも理にかなっている。

 もう一つ言うと、同一事業所を比較すべきということで、一部の意見の中には実態調査も含めて2カ年分やればいいのではないかという話もあるのですが、この辺はどうなのでしょうか。統計的にある程度の数を集めれば、同一事業所でないことの影響というのがそんなに大きく出るのかというのは、にわかには理解しがたいと思います。そういう意味では、結論から言えば、技術的にも可能な10ページの案のやり方というのがいいのかなという気がしております。

 

○田中委員長 私も委員長でなくて一委員として質問していいですか。

 2年間調べる場合、社会福祉法人や医療法人では余りないかもしれないけれども、民間事業者の場合、法人の合併とか譲渡とかがありえますね。次々と新設される事業所もありますね。そういう時に、2年間とも安定した経営をしているところだけが対象になるのでしょうか。つまり、2年続ける調査にすると、26年度の半ばにできたところは対象外にせざるを得ないのかなと思うし、27年度で経営母体がかわったら、またそちらの影響が出てしまうから排除していくと、回答の対象が減ってしまうのではないかとの危惧をちょっと感じたのですが、いかがでしょうか。

 

○説明者 お答えさせていただきます。

 まず、経営実態調査の、概況調査も同じですが、スキームとして全国の影響を把握するということから、母集団の名簿をつくって、そこから事業所を抽出しています。その母集団の名簿は介護サービス施設事業所調査から抽出しますので、これは特性上、余り直近にできた事業所は、対象にならない状況になっております。ただ、例えば2年とることによって、経営主体がかわったとか、設置者がかわった、そういうことになってしまうと、御指摘のように調査対象から外れてしまいますので、そこのところで少し有効回答が少なくなるということは考えられると思います。

 

○堀田委員 今の件ですが、多分、従前のこの調査でも概況調査は改定後1年分を調査していたわけですね。調査対象の中に実際には、田中委員がおっしゃったように、改定前年度に何か変化が新たにできたとか、経営者がかわったというところも全く含まれないかどうかというと、それは含まる可能性もきっとあるのだと思います。ただ、集計をする時に、改定後1年目の1年分についてはという時には全ての母数を集計対象にして、2年分の変化を見るという時には、前年度何らかの変化があったところは集計から排除するということで、この調査をやって全部捨てざるを得ないということにはならないと思います。変化を見る対象は、2年間にわたって経営母体なり、そういった変化がなかったところ、あるいは新設事業所ではないところに絞ることになりますが、1年分の調査については一定程度のほぼ全部が確保できるということになるのではないかと思います。

 

○説明者 堀田委員がおっしゃったとおりだと思います。ありがとうございます。

 

○迫井老人保健課長 委員長、恐縮です。

 

○田中委員長 どうぞ。

 

○迫井老人保健課長 1点だけ、資料には記載しておりませんけれども、分科会で一つ御意見というか、アイデアとしてこれもあわせて考えてみてはどうかという御指摘をいただいたのが、2年一緒に調べるということを概況でやるのだったら、3年目に例えば3年分調べれば一遍に調べられるではないか、そういう対応もあり得るのではないかということなのです。

ただ、我々としては、現在のやり方と比較して期間を延ばすというワークロードの増え方もありますし、さらに複数年をとるということになりますと、最終年で検討の時間をなるべく増やしたいということからしても、複数年調べるということについてはかなりいろんなリスクがあるのかなと考えておりますけれども、このあたり、有識者の先生方から見て、例えば3年分を最終年で、あるいは複数年を最終年、27年度、28年度について29年度調べるというようなアイデアについてはどんなふうなお考えか、お聞かせいただけると助かります。

 

○田中委員長 3年分まとめて調べるというオプションもあり得るけれども、どう考えるかですが、いかがですか。

 

○千葉委員 質問ですが、それは概況、実態という2本でなくて、一本化して3年分を3年目に一気に調べるということですか。

 

○迫井老人保健課長 いろんなことを考えてみるべきだという分科会の御指摘がございましたので、補足的にお聞きしたかったのですが、概況、実調というのは、名称上は、今は例えば通年で2年目にやるのが概況で、単月で最終年にやるのが実調ということなのですが、概況、実調という呼び方によらず、通年で調査するものを一度にまとめて複数年調べることは随時できるわけですから、最終年に複数3年分調べることだって理屈の上で可能ではないかということについて、特に最終年のワークロードの増え方と、なるべく審議を早く進めたいということからすると、現在、事務局で御提案させていただいているような形が一つ現実的な対応かなとは思っておりますが、その点についても分科会で具体的に御指摘をいただきましたので、資料にはないのですが、もしよろしければ考え方なりをお示しいただけると助かります。

 

○千葉委員 やり方のパターンにもよりけりなのですが、今お伺いした範囲で考えると、10ページの絵のように、概況でとりあえず2年分を押さえておく。ここである程度、改定後の新しい姿というのがわかって、審議会等で論点も絞りやすくなるのではないか。仮にそれを一本にして3年分で、3年まで待たないとわからないとなると、仮説そのものをつくり出すことがそれを待たないと出てこなくなるかもしれない。仮にそれを避けるために毎年のように3年分拾っていく、これまたコスト的な問題もあり、2年ではなくて3年にしなければいけない特段の理由というのはほとんどないのではないのか。

 もしあるとすれば、先ほど指摘の一部にあったような同一事業所の比較ができるか、できないかというところの問題なのかと思います。先ほど申し上げたように、少なくとも概況のところで同一事業所の影響さえわかれば、あとは、直近の動きと統計的な妥当性さえあれば、同一事業所にそこまでこだわる必要はないし、技術的にもむしろ、2年、1年のほうがいいのではないかなという感じはしますが、いかがでしょうか。使い方の問題ではないですかね。

 

○田中委員長 堀田委員、どうぞ。

 

○堀田委員 結論としては同じなのですが、名前はどうあれ、改定前後をきっちりとるということに加えて、毎年できるだけフレッシュなデータもとっておきたいということになると思うので、一つは仮説が立てられない、立てにくいということもそうなのですが、3年分振り返ってというふうになると、先ほどの話と通じるのですが、名簿が古くなる可能性が高くなるということが一つあります。3年分答えてもらうために間をやらないと死に票が結構ふえてきてしまって、毎年分のフレッシュなデータも使えなくなってしまう可能性があるということ。

 これは事業者側の負担感なので、私が答える意味は余りないかもしれないのですが、3年分振り返って全部転記せよというのは回収率が下がらないかなと、調査を一般的につくる側としては非常に不安を覚えるところです。前後のきっちり変化と、できる限りプラス毎年フレッシュなデータを実態としてとるという考え方からしても、振り返り3年分ではなくて10ページが妥当ではないかと思います。

 

○田中委員長 山本委員、どうぞ。

 

○山本委員 私も結論は同じなのですが、変化の状態を見ていくという意味では複数年とるのは理想だとは思いますが、先ほど田中先生もおっしゃったとおり、途中途中で事業の組みかえがあるというのも長ければ長いほど考慮しないといけない。さらに、細かい会計技術的なところを申し上げますと、会計方針の変更もその間に入ってしまうこともあり得ると思います。そういう意味で、理想ではあるのですが、統計調査としては少し難しいのではないか。その法人だけを特別に個別に取り出して、そこの法人固有のことを理解しながら特別に調査をするということであれば追いかけられると思いますが、広い範囲でということになると少し難点も出るのではないかと思いますので、ここはちょっと費用対効果を見ながら議論される必要があるのではないかと考えます。

 

○井口委員 既にほかの委員の皆さん方お話しのとおりだと思いますが、できるだけ長い期間を、しかも全ての事業者を対象にできれば、それはそれで意味があると思いますが、現実問題、なかなか難しいわけであります。また、集計するに当たっても有効回答率の低下という話がありますが、回答する側の負担とか、あるいは実際に集めて、それを集計するまでの時間等も考えますと、やはり10ページに示していただいた形がベストかと思いますので、これで進めていただいたらいいかと思います。

 

○田中委員長 ありがとうございました。

 一渡り意見を伺ったので、今日はここまでとして、次に移ります。

 次は、13ページ、論点2です。論点2は2つ、法人単位にするという話とキャッシュフローの話、やや性質の違うことが一緒に含まれて書かれています。これについていかがでしょうか。御質問、御意見をお願いします。

 山本委員、お願いします。

 

○山本委員 これは確認事項ではありますけれども、12ページの「分科会での意見」の「キャッシュフロー等の把握について」の一番下の点のところですが、「返済に係るキャッシュフローは報酬で勘案すべき」という記載がございます。厳密に会計上の議論でいいますと、損益計算上キャッシュフローというのは区分けをして考えておかないと誤解を生むのではないかと考えております。通常、損益計算上、減価償却費の中でキャッシュフローというのでしょうか、自己金融効果で担保しながらキャッシュフローを勘案しておりますので、ここは損益計算の話なのか、キャッシュフロー計算の話なのか、区分けしながら議論しないと、報酬で勘案すべきということで単純にプラスしますと二重になりますので、ここはちょっと議論を整理しておく必要はあると思っております。

 

○田中委員長 損益計算書の話とキャッシュフロー表の話を一緒にしてはいけない、どちらかできちんととるかをさらに検討すべきだとのご指摘、ありがとうございます。

 千葉委員、どうぞ。

 

○千葉委員 今の話の絡みでいきますと、キャッシュフローについては山本先生がおっしゃったのと同じ意見です。もっと言うと、12ページの「キャッシュフロー等の把握について」に書いてある話の文脈をいろいろ読むと、肝心なのは内部留保論の批判、特に社会福祉法人に対する昨今の内部留保の批判というところの議論だとすれば、キャッシュフロー的な側面を忘れないでねというのは、ある意味、理解できる部分があります。

 キャッシュフローというのはそもそもファイナンスの問題なので、資金がショートしても、ちゃんと財務バランスを崩さない状態で他人資本を使いながらキャッシュを借り入れして運転資金を回していければ良いわけで、それはファイナンス上の問題なので、キャッシュフローそのものは問題にならないのです。

 ただ、一部、法人制度、特に社会福祉法人が借り入れをする場合、例えば担保、抵当権をつけなければ貸してくれないという時に、それを所轄庁の承認まで得てやらなければいけない。日々の運転資金まで借り入れる時に、そう機動性がない。だから自分の力で利益を無理してでも上げてという、そういう論理で結果として内部留保が生まれているということまでは多分正しいと思います。では、それを介護報酬改定の議論の中でどういうふうに捉えるべきかというと、ちょっと文脈が違うのではないかという気がしております。そういう意味では、キャッシュフローの把握というのは、そんなに積極的に介護実調なり概況調査の中で意識すべきなのかどうか、いま一つわからないというのが私の感想です。

 

○田中委員長 最初に申しましたように、今日は、結論でなくて、それぞれの観点があると御指摘いただければ結構です。

 

○千葉委員 続いて、法人単位という話のところです。「これまでの指摘」の中の「採算部門と不採算部門をバランスさせていく」というのは、これはある意味、事業者の経営管理というか、事業ポートフォリオをどう考えるかという問題なので、法人調査が必要ということはむしろ法人に対してそこを補填した状態を前提に介護報酬の水準を設定しろと言っているような気がして、問題の所在が違うと思います。補填を前提にしなければならないような報酬単価の設定になっていることのほうが問題なので、補填というお化粧した後の状態を調査で捉まえて、このサービスは収支は大丈夫だというふうにするのはミスリードしてしまわないか。サービスだったらむしろサービスとして、原価計算上、原価を十分カバーできているのかできていないのかというところに純粋にフォーカスを当てたほうが正しいのではなかろうかという気がします。

 

○堀田委員 ここは難しいと思って、少なくとも介護事業経営実態調査の目的が、11ページの現状にも書かれているとおりですが、サービスごとの費用の実態を明らかにするというところからすると、論点2で書かれている法人単位でとか、先ほどの千葉委員の御指摘のとおりですけれども、キャッシュフローの状況までというのは、本来、介護事業経営実態調査に期待されている趣旨とはやや異なるのかもしれないと思うというのがまず一点です。

 他方で、この何年間かの委員会の中でも、法人単位で何らか把握してみたほうがいいのではないかということを私、申し上げていまして、それは即座に介護事業経営実態調査をそのように組みかえていくということではなくて、現状の事業のあり方、サービスの組まれ方、支払いのあり方ということを前提にした実態を把握するという観点からすると、法人単位でというのはこの実態調査にはフィットしないのではないかと思います。

 ただ、どこかの指摘に、もしかして自分で言ったのかもしれないですが、分科会での意見の中か何かにもありましたけれども、将来的に、サービスモデルという点でも、事業体のモデルという点でも、支払いのあり方という点でも、より地域単位で統合をという方向性が必要だという潮流になれば、それはそれでまずは研究事業として始めていくというような感じではないかと思います。現状の事業のあり方、支払いのあり方、それに基づいた形でサービスごとの費用を明らかにするという経営実態調査の趣旨からすると、6番の法人単位では趣旨が合わないだろう、キャッシュフローの状況もちょっと合わないかもしれないという感じです。ただ、研究事業として考えていく必要があるのではないかと思います。

 

○田中委員長 このような実態を把握する方法はいろいろとあって、この実態調査の目的とは違う研究事業等で調べる方法も考えられますね。実際の法人の経営管理の単位からすると、大きいところの場合、法人だけではなくて、ある地域の事業所群、特養を中心にサテライトがあり、デイサービスも行い、小規模多機能も隣にある、それが一つのビジネスユニットでなら意味があるけれども、特養を県の中に10軒持っているものの合計値の調査はほとんど意味をなさないし、研究上も余り意味をなさない。むしろ小学校区や中学校区の地域包括ケアを単位に一体として経営管理しているところのデータに意味があります。ただし、それは経営実調の目的ではないでしょうね。堀田委員言われるように、研究事業等を起こすべきでしょうね。

 どうぞ。

 

○千葉委員 ちょっと繰り返しの議論かもしれませんが、法人単位というところで12ページの下の論点ではなくて、11ページの論点のところに「本部会計への繰入(法人本部に帰属する役員報酬等)について」というくだりがあって、ここのところはちょっと気にしておかなければいけないのかなという気がします。

 何かというと、これは山本先生にお伺いしたいのですが、医療法人などですと役員報酬等があった場合、複数病院を持っている場合、共通経費として各病院に配賦していると思います。実際、病院の収支損益の中の費用を構成した状態のものが決算書として上がってきています。ただ、社会福祉法人の場合は、制度的な制約から、これは今、社会福祉法の改正等で議論されているようですが、役員報酬の部分は施設を実施している費用には直接は組み込まずに、まずは分けて法人本部に計上しろと、それを後で施設から法人本部に繰り入れろ、まさにそのことがここの法人本部への繰り入れと書いてあるのだろうと思います。共通経費に本来認識すべきものが認識されていないという事態が起きていることにおいては、多分、法人種別の間で厳密に言うと公平な調査ができていないのではないかという指摘は聞いたことがありますし、私もそのような思いをしております。

 なおかつ言うと、では繰り入れた後のデータを入れればいいではないかという話もありますが、社会福祉法人の場合、本部等に繰り入れる場合の制約条件があって、繰り入れるもとになる施設が、資金収支計算上、当期資金収支差額がプラスであって等々、つまり資金的余裕がなければ繰り入れできないという、費用配賦とは全く発想が逆なのです。費用配賦の場合は、資金的余裕があろうがなろうが、それは費用として考えて、結果として損益が赤字になるということも可能性としてはあり得るのですが、社会福祉法人の場合、資金収支が赤字になる場合は繰り入れてはだめとなってしまいますから、繰り入れがそもそも存在しなくなってしまう。だから、そこのところの扱いというのは、社会福祉法人の制度の問題なのかもしれませんが、そこのバイアスがあるということは少し理解した上で、調査を読み解くほうの問題なのか、設計するほうの問題なのかわかりませんが、考える必要があるのではないかという気がします。

 

○田中委員長 山本委員、追加で解説というか、教えていただければと思います。

 

○山本委員 仰るとおり、法人ごとに会計基準の考え方が少し違いますので、共通経費の按分の仕方もその制度的な制約によって、ばらつくというと本来あってはいけないのですが、現状ではやむを得ないところがあるかと思います。そういう意味では、おっしゃったとおりかと思います。

 質問に対する私の考えですけれども、皆様の考え方と同じでございまして、基本的には、調査の目的からするとやはり全体と個別というのは分けて考えるべきですし、この調査自体は個別的にということだと思います。ただ、特別的な目的として、今おっしゃった配賦の影響、どれくらい含まれているのかというのを将来的には見ていく必要がございますので、別途やはり法人単位でも比較するというデータを横に持ちながらやっておかないと、そこだけを見て調査だけが進むと、大きな誤りというか、見逃してしまうところもあるかと思います。

 特に配賦の意味で申し上げますと、会計基準の影響もございますけれども、法人の事業規模によっても配賦の困難性というのは違ってまいると思います。どういうことかといいますと、ある程度法人の事業規模が大きくて、それぞれの事業が単独して、それぞれセグメント的に会計が独立しているのであれば、配賦する品目というのは少なくて済むのですが、小規模なところで多数営んでいらっしゃる場合には、共通費の幅が非常に大きくなって、按分基準が、恣意的というと変な言い方ですが、非常に難しくなってくる。事業がある程度大きく整理されている状態で事業ごとに見ていけば比較可能なのですが、小さいものをある意味無理やり分けている状態で比較しているという状態であれば、少し見誤ってしまうところもありますので、そういう意味で、特別的な意味合いで両方をデータとして見ながら、修正できるところは修正していくという考え方が一番望ましいのではないかと思います。

 

○田中委員長 ありがとうございます。

 考えるための視点を皆さん言っていただきました。

 次に、14ページ、15ページに移りまして、論点3に関してはいかがでしょうか。

 千葉委員、どうぞ。

 

○千葉委員 論点3のところの「介護報酬以外のもの」は、具体的に言うと家賃というふうにこの文脈から読めるのですが、それでいいですか、まず、1点、質問です。

 

○説明者 そもそも論点3に出てきているのは、御要望として一番よく上がってくるのが、特定施設のものでございます。特定施設の入居一時金、そういったちょっと介護報酬とは異なるものについて、現状、費用の按分がなかなか困難なので、一括してやっているというところから端を発した議論でございます。

 ただ、家賃や食費といったものについても同様のことがあると思うのですが、そういったものについては特定施設だけ議論するというよりも、それ以外、例えば特養やグループホーム、そういったところにも同じような問題があると考えております。

 

○千葉委員 わかりました。その上での意見というか、私なりの受けとめ方なのですが、まず、ここで議論になるのは、こういった収益、売り上げに対して費用がうまく対応できていないようなものがあって、結果としてそれが利益を構成してしまう形になったゆえに、介護報酬上、収支差がいっぱい出ていて、だから切り下げろ、こういう議論につながっているというふうに捉えられているのではなかろうかと思います。

 そういう意味では、居住費とそれ以外ということで、例えば食費等々のお話もあったのですが、食費については、食費収入の部分は利用者等利用料収入の中に入っていますし、そこに関する給食材料費というのも別途費用として対応できていますから、これは別に費用が按分できないとか、そういう問題ではないと思います。

 そういうので問題になってくるのは、多分、家賃だと思います。では、家賃はどうかというと、これも簡単に言ってしまえば、入居一時金という一括でどんと入居の時期にもらってしまうものの扱い、これは何の費用に対応している売り上げなのだというのがわからないものは確かにあるかもしれません。例えば、一時金がなくて月払い家賃だけで入っていますなどというのは、有料老人ホームとか軽費老人ホームがありますので、そちらのほうについて対応する経費というのは、会計上は減価償却費が家賃収入とのツーペイになっているはずなので、費用が分けられないということはない。

 ただ、一番問題なのは、入居一時金としてどんと来たものはどうなのというところで、これに対応するのが単年の減価償却費というコストだと、売り上げは何カ年分のものが一気に来て、費用は1年分しか出ないからというので、利益をその年は構成してしまうということがあるのかもしれないということだと思います。ですから、ここのところをどうするか。

 ただ、それは通常、会計処理でいえば、入居時一時金は本来長期預かり金、前受収益かわかりませんけれども、預かり金等で負債計上した上で、返却義務のなくなったものから逐次売り上げに上げているはずなので、売り上げそのものは、入居一時金があっても、ちゃんと1年分の売り上げとして毎期毎期負債に上がったものを取り崩しながら売り上げに上げているはずです。そういう意味では、費用と売り上げも対応しているのではないか。それが対応しない場合はどうなのかというと、預かり金処理ができていない、要は会計処理がちゃんとできていないところが結果として利益を生んでしまっているということなのかもしれない。もしくは、税法上、たしか入居一時金はその期の益金にしなくてはいけないとなっているように聞いたことがあるのですが、そこのところの調整の問題なのかもしれません。税務会計上の問題、これは営利企業の話でしょうけれども、そういうところが影響しているのかなという気もしています。

 ここの論点というのは結局そんなに大きなものではなくて、入居一時金をどう考えるのかと絞ってもいいのではないかという気がします。それだって会計をちゃんとしていれば問題は生じないのではないかという感想です。

 以上です。

 

○田中委員長 ありがとうございます。

 どうぞ。

 

○説明者 あと一つ、付け加えさせていただくと、論点のところの今御指摘の特定施設のお話なのですが、同じように、特定施設入居者生活介護の建物の中に、特定施設以外の方が入られている場合に費用の按分をどうするか、現状は按分が困難であるというところがございます。そこら辺についてもどのように考えていくかというのが一点、問題としてあります。

 

○千葉委員 なるほど。

 

○田中委員長 いかがですか。介護報酬以外の収支が比較的ある大きさを占めているタイプの事業所についてどう考えるかですね。ほとんど介護報酬だけなら問題はないわけですが、特に特定施設でしょうね。一つの可能性として、やはりこれも研究事業で行ってみてはどうかという案も持っています。

 

○堀田委員 私は素人なのでよくわからないのですが、切り分けたほうがよいとして、切り分けて把握する手法というのは具体的にあるのですか。現状で切り分けて把握というのはできるものなのでしょうか。

 

○山本委員 法人の管理会計として切り分けていただいて、まさに特別調査的にはなりますけれども、管理をするというのはあるかと思います。

 あと、法人の運営者側としては、そのあたり、ある程度切り分けながら運営をされていらっしゃると思いますので、全く資料がないとか、検討するための数字感として全く数字がないことはないと思います。ある程度、減価償却費でしたら、面積的なところであるとか、いろいろな按分基準を各施設ごとに持ちながら検討されているのではないかと推測はいたします。

 

○千葉委員 まさに仰るとおりでありまして、これは結局、費用按分をどうするかという話で、建物にかかわるようなものであれば面積按分とか、電気代もそうなのでしょうか。ちょっと記憶があやふやなのですけれども、この問題は、介護保険がスタートした当初に実は一回議論があって、たしか振興課だったか、共通費用の按分のあり方の方法についての通知が出ていたはずです。例えば面積按分しなければいけないものとか、人数按分しなければいけないものとか、通知上、こんなふうにしてくださいというのが出ていたような記憶があるのですが、それを徹底していくというのもこういう調査を的確に実施する上では一つの方法なのかもしれないですね。

 

○田中委員長 山本委員に質問ですが、法人の管理会計のあり方については特段に、例えば費用按分の基準を何にするかを決めた規定はないわけですね。

 

○山本委員 特段、強制的な規定はございません。

 

○田中委員長 各法人の判断である。ただし、そういう制度に絡むから、通知でこれはどうかと定めることはあり得るけれども、会計の世界では特段に規定はない。

 

○山本委員 管理会計は法人ごとに御判断いただくという建て付けでございます。

 

○田中委員長 今日は結論が出ないと思いますが、そういうことがわかってまいりました。

 次に、16ページ、17ページ、「論点4 その他の指摘」についてはいかがでしょうか。

 法人税課税か非課税かという非常に大きな話と、やや実務的な国庫補助金等特別積立金

取崩額、2つ載っています。

 お願いします。

 

○千葉委員 私ばかりしゃべって申しわけありません。税金のこの議論については何をもって公平と考えるかということなのですけれども、少なくともサービス単価の決定ということで考えたときは、税前のほうが、課税法人、非課税法人が存在している以上、公平なのではないか。税引き後に、片や、税金を取られていないあいつらは手元にいっぱい残っていてうらやましいというような議論であるとすれば、これは報酬の調査とか、報酬制度の問題ではなくて、税制度そのものの問題として、非課税がある、ないということをどう考えるかという、むしろそっちの議論ではないのか。

 そういう意味では、純粋にサービスの原価だけを捉えていくのであれば、もちろん税を原価と捉えるかどうかという認識の問題もあるのかもしれませんけれども、少なくともサービスの原価をカバーできるかどうかということで調査するのであれば、この指摘の真逆ですが、税前のほうが公平なのではないかという印象を受けました。

 ついでにもう一つよろしいでしょうか。国庫補助金のほうについては、収入と支出から国庫補助金を控除していることについてどう考えるかは、これでいいのではないかという気がします。

 なぜかというと、国庫補助金の議論が出てきている背景には、国庫補助金等特別積立金取崩額は社会福祉法人固有の勘定科目なのですけれども、これは昔の会計基準や指導指針で言えば売り上げのほうに上がって、売り上げのプラスの勘定になっていたので、これが入ってたため売り上げが大きく見えますが、実際、国庫補助金等特別積立金取崩額というキャッシュのインフローがあるわけではない。つまり、売り上げとしてキャッシュインするようなものではないということなので、売り上げが過大に評価されるのではないか、多分そんな思想なのではないかと思うのです。もしその伝で言うのであれば、費用側にある減価償却費というのはキャッシュアウトしない費用が計上されているわけなので、国庫補助金取崩だけを外すべきだというのは変な話だと思います。それは費用配分とか期間損益計算という意味では適切ではないと思います。

 そもそも国庫補助金等特別積立金というのは、過去、施設整備の時にもらった補助金を交付年度に全額一気に計上するのではなくて、補助の対象資産を使う期間にわたって収益配分するというもともとの発想があったはずなのです。費用も逆に、支出として固定資産取得支出が出たものを毎期の費用に費用配分していく、どの期の費用に幾ら帰属させるかという帰属計算の問題になってくるわけなので、国庫補助金だけ外せというのはちょっとおかしな話です。むしろこれをしっかり入れておいたほうが適正な期間損益計算ができるという意味では、私は、調査としてはちゃんとこのとおり、今までどおりやるべきではないかという気がしております。

 以上です。

 

○田中委員長 ありがとうございます。

 期間損益計算の話とキャッシュフローはやはりきちんと分けろと、先ほど山本委員が別な論点について言われたこととこれについても同じ論理が当てはまるとの御指摘ですね。

 法人税をどうするかは、経営実態調査の話ではなくて、もっとずっと大きい制度論なの

で、我々がどちらがいいとの結論を、ここでどちらにするにしても役割を超えていると感じます。

 では次に、資料1の最後です。こちらは集計の精度をどう上げるかという極めて実務的な話です。19ページの問い合わせについてはいかがでしょうか。インターネットを駆使してとか、こういうのに反対する人はいないと思いますけれども、何か意見はおありでしょうか。

 

○千葉委員 これも先ほど一番最初のところで申し上げたとおりなのですが、年間の年度決算にしてしまえば、多分、転記ミス等そんなに起きにくくなるのではないかというのと、今、決算書現物をもらって、調査される方が入力している、業者さんが入力しているという形ですか。

 

○説明者 今は決算書現物をいただいてということではなくて、全て調査票に記入していただいています。決算書はいただいておりません。

 

○千葉委員 なるほど。考えられるのは、そこでの転記ミスというのがあるかなと思うのですが、これは介護保険制度全般の提案にはならない、非常に部分的な提案にはなってしまうと思いますが、今、社会福祉法改正で社会福祉法人制度が変わっていこうとしている中で、経営の透明性の確保ということで所轄庁に出す現況報告書に添付する決算書というものも今後見直されていくと聞き及んでおります。

 そういう意味では、そこがどのレベルの決算書、例えば法人全体だったら全く使い物にならないのですが、社会福祉法人の場合だと、会計基準の建て付けとしてはサービス区分、つまりこちらでいえば、サービスごとの単位まで、セグメント会計、会計基準の様式でいえば基準別紙4という形で法人としてはつくることになっています。今後の社会福祉法人制度改革で所轄庁にサービス区分までのレベルを出すことになるのであれば、所轄庁に出すものも一応エクセルでという電子化されたものですし、勘定科目も統一されてくるのだろうと思いますので調査の効率化、回収率の向上にもつながるのではないか。これは社会・援護局のほうでやっていらっしゃることだと思うのですが、そこはどこまでどういう報告体系にするのかというのにもよってきてしまうと思いますが、一つの提案としては、仮にそういうものがある程度、制度基盤としてでき上がるのなら、直接、所轄庁に出しているようなサービス区分の別紙4をそのままもらってくれば、ある意味、かなり精度の高い、転記ミスもない、しかも調査処理速度も速いデータが得られるのではなかろうかという気はしております。

 ただ、これはあくまで社会福祉法人ですから、医療法人とかNPOとか株式会社は該当しないのですが、株式会社の場合でもe-Taxなどで、XBRLなどの仕様のデータもあるはずなので、もし仮にそういうサービスのセグメント情報まで区分できるような体系になっているのであれば、そういうのを使う手もあるかもしれません。株式会社のほうは私も詳細は知悉しておりませんが、少なくとも社会福祉法人についてはそんなことの余地があるのではなかろうかという気がします。

 

○田中委員長 では、一渡り資料1について御意見を伺いました。今後の検討の参考になる貴重な御意見を頂戴しました。

 次に、議題2「介護保険サービスに関する消費税の取扱い等について」事務局から資料の説明をお願いします。

 

○説明者 それでは、「介護保険サービスに関する消費税の取扱い等について」ということで、資料2でございます。

 おめくりいただいて、1ページ、2ページにつきましては、消費税の仕組みということでまとめさせていただいております。

 1にあるとおり、消費税とはということで、消費に広く公平に負担を求める間接税ということで、平成元年に導入されて以来、平成9年、平成26年の引き上げということで、現在8%で、29年4月に10%への引き上げが予定されているというところでございます。

 2ページでございますが、その中でも非課税となる取引がございまして、課税対象になじまないもの、社会政策的な配慮から課税することが適当でない取引については非課税取引とされております。3のマル2でございますが、社会政策的な配慮から課税することが適当でないものということで、1ポツ目に医療保険の関係、2ポツ目に介護保険の関係について非課税取引という形にされております。

 非課税取引である介護保険サービスについては、介護事業者は納税義務者とならないということで、当該介護保険サービスについて、仕入れ分に係る仕入税額控除を行えないため、その税負担は介護報酬で手当てされているという現状になっております。

 3ページ、4ページにつきましては、先日、8月7日に中医協の消費税に関する分科会で示された「消費税の基本的な仕組み」という表を添付させていただいております。

 5ページでございます。これまで介護給付費分科会において確認された検討の進め方ということで、まず、本年4月の介護給付費分科会において、平成29年度に予定される消費税10%引き上げに向けた対応については、消費税8%引き上げ時の考え方及びその後の事業所等の実態等を踏まえ、必要な対応を検討し、2812月までに方針を策定となっております。

 同じように、5月の介護給付費分科会においても、前回8%に引き上げたときの対応方針の確認等を行うとともに、医療保険における議論の動向も踏まえて適宜検討するという形になっております。

 では、8%に引き上げた時にどのような対応をとったのかというのが、6ページ以降でございます。

 丸の1つ目でございますが、消費税の引き上げにより施設・事業所の仕入れ等に係る消費税負担が増大するということで、その影響分を補填するため介護報酬への上乗せ対応を実施した。

 丸の2つ目でございますが、対応の検討に当たり、医療において、いわゆる高額な投資を行っている個々の医療機関等において負担感があるという御指摘も踏まえて、高額な投資の状況について調査を行うこととされたということで、介護についても同様に、関係団体のヒアリング及び介護サービス施設・事業所の設備投資に関する調査を実施したということです。

 丸の3つ目については、調査結果でございます。介護サービス施設・事業所の高額な投資は基本的に建物が大宗を占めている。総額や件数ともに小さい傾向にあるということ、それと投資総額、収入に対する投資額比率ともに年度による変動が非常に大きいということで、本調査結果や対応に伴うメリット・デメリットを踏まえて、介護報酬とは別建ての高額投資対応は行わないこととしたということです。

 丸の4つ目でございますが、改定率については、平成25年度の概況調査によって各サービスの人件費割合や非課税品目等のデータを取得して算出しているといった具合でございます。

 7ページ、8ページにつきましては、その当時の介護給付費分科会の資料を記載させていただいております。

 7ページが、高額設備投資に関する調査結果の概要です。1の1つ目の丸でございますが、投資総額にばらつきがあるということです。

 2の丸の3つ目でございますが、1件当たり1億円以上の資産に対する投資は、若干介護用機器等があるが、ほぼ全てが建物となっているという状況です。

 8ページは、各サービスごとの費用構造推計の結果についてということです。非課税費用と委託費等の課税費用、減価償却がどのぐらいになっているか、それをまとめた表です。一番下に書いてあるとおり、改定率としては0.63%となるということを御説明しております。

 9ページ以降が少し細かい御説明になります。

 9ページは、消費税率8%への引き上げ時における介護報酬による上乗せの具体的な対応ということです。まず、介護報酬全体として見た場合には、基本単位数のみならず、加算分への影響分も含めて適切に手当てされることが必要であるとの考え方から、基本単位数の上乗せを基本としました。あわせて消費税負担が相当程度見込まれる加算があれば、それらも上乗せを実施しているということです。以下、具体的な対応でございます。

 まず、基本単位数の上乗せについては、人件費、その他の非課税品目を除いた課税割合を算出し、これに税率引き上げ分、先ほどの0.63%を乗ずることによって基本単位数への上乗せ率を算出しました。

 それと加算の取り扱いということですが、基本単位数の割合で設定されている加算については基本単位数への上乗せで手当てされること、福祉用具貸与に係る加算については、これは離島等における交通費の加算ですが、交通費相当額と設定されていることから、これらの加算については上乗せの対応を行わない。

 それ以外の加算のうち、課税費用の割合が大きいと考えられるものについては、基本単位数への上乗せ率と同様に課税費用に係る上乗せ対応を実施する。

 さらに、課税費用の割合が小さいものや、もとの単位数の設定が小さくて上乗せ分が1単位に満たないものなど、個別に上乗せ分を算出して対応することが困難なものについては、基本単位数の上乗せに際して、これらの加算に係る消費税相当分を含めて上乗せ対応を行ったというのが具体的な介護報酬に係る上乗せの説明でございます。

10ページは、そのほか、基準費用額・負担限度額・区分支給限度基準額の取り扱いということです。基準費用額については、平成25年度の概況調査により、食費、居住費の実態を調査した結果、現行の基準費用額を設定した際の費用額と、消費税引き上げの影響を加味した費用額に一定の変動が認められるものの、第5期介護保険事業計画期間の中途において見直しを要するほどの変動幅ではないということから、そこについては据え置くこととしたというのが1点目です。

 負担限度額については、そもそも入所者の所得状況等を勘案して決めていることを踏まえて、見直しは行わないこととしたというのが2点目です。

 区分支給限度基準額については、要介護度別の支給限度額と平均的な利用率を把握した上で、従前と同量のサービスを利用しているにもかかわらず、区分支給限度基準額を超える利用者が新たに生じること等から、それについては引き上げたということが3点目でございます。

 特定福祉用具販売と住宅改修に係る支給限度基準額については、公定価格ではないことから引き上げないことにしたというのが4点目でございます。

11ページ、12ページについては、基準費用額、負担限度額、区分支給限度基準額についてまとめた表でございます。

 最後、13ページです。消費税8%への引き上げ時における対応を踏まえて、現時点においてどのような対応が考えられるかという論点でございます。参考として、平成26年度の消費税8%引き上げ時における論点ということで、3つのことを挙げさせていただいております。

 参考につけさせていただいた資料の特に参考資料2でございますが、先日、中医協の消費税負担に関する分科会が開かれまして、最後の85ページにつきまして、医療のほうの取り組みということでまとめてございますので、御紹介をさせていただきます。

 医療のほうについては、消費税8%への引き上げに伴う補填状況の把握ということで調査を行います。補填状況の把握対象及びデータについてということで、現在実施している医療経済実態調査について、補填状況の把握に使用するデータの部分ですが、費用のうち、いわゆる課税経費の消費税相当額について医療経済実態調査を用いて平成26年度のデータを使用する。また、入りの部分、収入については、いわゆるレセプト情報、特定健診等情報データベースから抽出した算定回数等のデータを使用する。医療のほうではこのように、現在、診療報酬に係る8%の引き上げの状況について入りと出の状況を調査していて、11月を目途に調査を報告するというような形で作業が進められております。こちらは参考として御紹介でございます。

 以上でございます。

 

○田中委員長 ありがとうございました。

 こちらについても、今日、すぐ結論を出す話ではありませんが、ただいまの説明に応じて質問をしていただき、また、現時点で可能な御意見があれば伺って、今後の議論の進展に役立てたいと存じます。どうぞお願いいたします。

 山本委員、お願いします。

 

○山本委員 1点、10%引き上げに向けた検討課題ということで述べさせていただきます。

 建築単価の上昇というのは、ある程度考慮しておく費用があると思っております。オリンピックに向けて各建築の単価が今どんどん上がっていると聞いております。先ほど御説明いただいた資料の8ページのところ、前回の引き上げ時の対応ということで、減価償却費の割合を含めて、これに改定率を掛けて上乗せ分を考えられたということなのですけれども、今後、建築単価が上がっていきますと、ここに出てくる減価償却費の率が今までより大きく上がってくるのではないかと思います。これは、あくまで過去の投資パターンで減価償却費を計算しておりますので、今後、新設される施設、建物については、建築単価の影響があって、その分やはり減価償却費が上がってくる。ですので、従来の調査ですと、どうしても会計のデータというのは過去のデータからしか減価償却は出てきませんので、将来の建築単価の予想をどのように見込むのか、どれぐらい続くのかということを将来予測して、建物投資に係る消費税の影響を加味して、そこを乗せておかないと、この計算方法ですと場合によっては足りなくなる可能性もあるのではないかと危惧いたします。

 ある建築関係の業者の方に伺いますと、オリンピックの後も、道路や上下水道等の社会インフラが、前回のオリンピックの時に整備されたのが多いので、更新時期がどんどん迫ってくるとも聞いておりまして、オリンピックだけがピークになるわけではなくて、ある程度、建築単価は高止まりするような懸念もおっしゃっていましたので、こういう建築単価が上がってくる時代も考慮対象にした計算ロジックというのでしょうか、こういうのも検討しておく必要があるのではないかと感じております。

 

○田中委員長 ありがとうございます。

 数年前の減価償却費と違ってくるから、報酬を考えるに当たってはそれもどうするかを今から少し検討しておきましょうとの御意見ですね。

 

○山本委員 将来予測のような形になって、データ取りが難しいとは思います。

 

○田中委員長 ありがとうございます。

 千葉委員、どうぞ。

 

○千葉委員 建築単価とか、今、施設整備コストがかかって大変だというのは事実の動きであると思います。ただ、報酬上、どういうふうにそこの部分の乗せを見るかというところなのですが、言ってしまえば、全施設が一斉に建てかえをするというような類いのものであれば、それは一気に影響が出ると思うのですが、報酬改定直前ぐらいまでに新築したようなものというのは、そこからさらに20年とか30年使い続けていくわけで、それが実際、建築費高騰で影響を受けるのはかなり遠い将来になるし、逆に20年前に建てたものは29年4月に建築工事を契約して高い単価でやらなければいけないという人も入ってくるだろうし、いろんなものが入ってくる中で、介護報酬としてその個別事情をどこまで反映させるのかというのは難しい部分もあると思います。

 逆に言うと、ここの表の中で、委託費の課税費用と減価償却費を加えたもので22.1%を検討しているということは、将来にわたっても減価償却費というのは介護実調等で調査し続けることになると思うので、じわじわ多くの施設の建築単価が高くなった状態になれば、自動的に減価償却費の比率がだんだん上がっていくという効果になっていくと思います。今、殊さら、そこだけの断面を取り上げてやるよりは、減価償却を通して今年度出てくるものに適切に対応していくという形さえとれば、一時的に何か切りかえ時期のところでやらなければいけないということにはならないのではないかと思うのですが、どうでしょうか。

 

○山本委員 仰るとおり、消費税ですので、広く負担していくというところですので、長期的な視点は必要かと思います。ただ、今後新設される施設等、建築がふえてくるということも予想されますので、そういう影響も少し加味しながらというふうに私としては考えております。

 

○千葉委員 確かに建築費が上がって、本当は建てようと思ったのだけれども、踏みとどまったという意味で、基盤整備ということを考える時に消費税がアゲインストになるということは十分にあり得ると思います。その場合は、例えば交付金等と施設整備に出ていますが、そういうところに多少色をつけていくというほうで、とりあえず施設整備のほうのブレーキにならないようにすることがあれば、後は取得原価の中に消費税込みで構成されますから、今年度、費用になっていくのではないかという気がしております。

 

○田中委員長 課長、お願いします。

 

○迫井老人保健課長 非常に有意義な御議論ありがたいと思っております。

 1点だけ、山本委員の御指摘を確認させていただきたいのですけれども、今日御提案といいますか、御審議をいただきたいと考えているのは、消費税に係る消費税率の増に対する対応ということなのですが、建設に係るさまざまな建築コストの増というのは、消費税の問題というよりもオリンピックに代表されるような市場の動向によるものだろうと思います。通常、市場の動向は何も建築費だけではなくて、さまざまな人件費的なことも含めて政策改定で対応するのが筋だと思うのですけれども、消費税に係る話について建築コストを云々ということなのか、それともあくまで消費税の話と別という言い方をしていいのかどうかわかりませんけれども、そういった要素があるという御指摘なのか、そのあたりについて少し明確にしていただければありがたいと思います。

 

○山本委員 今、申し上げましたのは、8ページの計算方法が、減価償却費も計算要素に入れながら、それに改定率を掛けるような算式でございましたので、この減価償却費の数字自体が今後動いてくるのではないかと思ったので申し上げた次第でございます。減価償却費というのは、会計上、過去の投資の結果で生まれる数字でございますので、どうしても最新の情報に少しタイムラグが出てきてしまうということで、その部分、少し考慮する必要があるのかないのか、こういう形で問題提起をさせていただきました。

 

○迫井老人保健課長 ありがとうございます。

 確認なのですけれども、8ページは、課税対象品目に関します控除外の税負担を適切に補填するために計算していますが、順序としては、山本委員の御指摘と私の理解はもしかしたら違っているのかもしれません。先にむしろ実体の減価償却費を積み上げて、それでもって改定率を設定しておりますので、改定率がありきで減価償却費をその中に押し込む、押さえ込む、あるいは入れ込むという作業ではございません。ですから、必要な減価償却費に係る課税分をしっかり計算して、その必要な分は全て改定率に入れましたというのが前回の作業手順でございますので、その点は、御懸念については、我々としてはそんなに間違った方向ではないのかなという理解をいたしております。

 

○田中委員長 ほかにいかがでしょうか。差し当たり、中医協側の動きも視野に入れながら、こちらでも検討を進めることになりますね。

 どうぞ、堀田委員。

 

○堀田委員 質問ですけれども、今、中医協の話がありましたが、先ほど参考資料2の85ページで、医療のほうではまたこういう調査をやるというような御紹介がありました。これを御紹介くださった趣旨というのは、介護のほうでもこういう調査をまたやろうというようなことですか。

 

○迫井老人保健課長 この資料は、まずは事実関係として中医協のほうでこういう御対応をされるという御紹介であります。冒頭、委員長からもお話がありましたが、今後、介護保険のほうでどういうふうに対応していくのかということを、分科会での御審議を踏まえながら、我々としても検討していくことになるということでございます。したがいまして、これに関する調査と同様のものをやるとかやらないとかということを前提にしているわけではございません。

 ただ、御留意いただきたいのは、診療報酬と介護報酬の場合の消費税の対応の仕方が全く違うということでございます。若干補足的に御説明させていただきますと、今回の資料でお示しをしましたとおり、介護報酬につきましては、消費税に係る負担部分については、極めてニュートラルというよりは機械的と言ったほうがいいかもしれませんけれども、先ほど山本委員が御指摘をされましたように、資料2の8ページにありますように、全てのサービスにつきまして、給与費のような非課税のものを除きまして、課税対象で本来は控除されなければいけないものが控除できていないというものを全て出して、これも機械的にといいますか、加算の部分も含めて個別に考慮しつつ、満遍なく対応させていただいています。私どもの理解では、診療報酬につきましては同じような対応ではなく、報酬ごとにそのあたりについては対応を異なった形にされている。したがいまして、こういう調査が必要なのだということで、今回やられているということでございます。

 そういったことも踏まえまして、今後、給付費分科会のほうで御相談することになりますけれども、現時点でやるとかやらないとか、そういうことではないということでございます。

 

○堀田委員 介護のほうでは、前回改定の時に、8%引き上げに向けてということで調査が行われていて、その後、特に費用構造が大きく変わるというようなことが起きているわけではないと思いますので、今日の前半の議論でも、いずれもできるだけ調査に御協力いただきたいという状況でもありますので、いたずらに調査負担を増やすということにならないように配慮する必要があると思います。

 

○田中委員長 消費税については、一渡りよろしゅうございますか。

 では、本日御議論いただいた2つのテーマについて、後日開催される介護費給付費分科会に報告し、引き続き検討を進めていきます。報告する資料については、私に一任していただくことでよろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

○田中委員長 それでは、本日はこれにて閉会いたします。お忙しいところ御参集いただき、また活発な御議論ありがとうございました。


(了)

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