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2015年8月10日 薬事・食品衛生審議会  日本薬局方部会 議事録

○日時

平成27年8月10日(月)14:00~


○場所

厚生労働省講堂


○出席者

出席委員(11名)五十音順

阿 曽 幸 男、 伊 藤 美千穂、 川 崎 ナ ナ、○川 西   徹、
木 内 文 之、 北 田 光 一、 谷 本   剛、◎橋 田   充、
花 田 賢太郎、 福 原   潔、 堀   正 敏
(注)◎部会長 ○部会長代理
欠席委員(0名)

行政機関出席者

成 田 昌 稔 (大臣官房審議官)
森   和 彦 (審査管理課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
 他

○議事

○審査管理課長 それでは定刻になりましたので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会日本薬局方部会」を開催させていただきます。委員の先生方におかれましては、本日も大変暑い中、またお忙しい中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。初めに、本会議は基準作成、制定に関する審議ですので、公開で開催することを御承知おきください。

 さて、本年1月の薬事・食品衛生審議会の委員の改選があり、この部会においても新しく委員の任命が行われております。つきましては、お手元にあります「日本薬局方部会名簿」に即して、委員の先生方を御紹介いたします。名簿の順で読み上げます。

 新しく委員に御就任いただきました阿曽幸男委員、伊藤美千穂委員、川崎ナナ委員、川西徹委員、木内文之委員、北田光一委員、谷本剛委員、橋田充委員、花田賢太郎委員、福原潔委員、堀正敏委員です。

 なお、この日本薬局方部会の部会長については、本年1月26日に開催されました薬事分科会におきまして、橋田充委員が部会長に選出されておりますので、御報告申し上げます。さらに、薬事・食品衛生審議会令第7条第5項の規定に基づき、「部会に属する委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理する」とされており、部会長代理については、部会長から御指名いただくこととなっております。橋田部会長、よろしくお願いいたします。

○橋田部会長 日本薬局方の作成に非常に重要な役割を果たしていただいております川西委員に、引き続き部会長代理をお務めいただきたいと思います。いかがでしょうか。

○橋田部会長 ありがとうございます。それでは、川西委員に部会長代理をお願いいたします。川西委員には、こちらの部会長代理席に御移動をお願いいたします。

○審査管理課長 ありがとうございます。それでは現時点で、委員の先生方の出欠について御報告申し上げます。現在、当部会委員11名のうち11名全員が御出席であり、定則数に達しておりますことを御報告いたします。

 続きまして、事務局にも人事異動がありましたので、紹介させていただきます。独立行政法人医薬品医療機器総合機構規格基準部長の宮崎です。

○機構 宮崎です。よろしくお願いいたします。

○審査管理課長 それから私、厚生労働省の医薬食品局審査管理課長の森でございます。よろしくお願いいたします。本日は、この日本薬局方の全面改正ということで御審議いただく予定でございます。それでは橋田部会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。

○橋田部会長 橋田でございます。本日は委員の先生方におかれましては、大変お忙しいところ、日本薬局方部会に御出席を賜り、まことにありがとうございます。

 それでは議事に入ります。最初に事務局から、本日の配布資料の確認をお願いいたします。

○事務局 資料No.1「第十七改正日本薬局方()について」、資料No.2「日本薬局方新規収載候補品目()について」、資料No.3「日本薬局方の参考情報・附録の改正()について」、これは事前に先生方に送付させていただいたものを改めて配布しております。また、机の上に重ねて置いておりますが、資料No.1-1「通則・生薬総則・製剤総則・一般試験法(1.7.)」、資料No.1-2「一般試験法(9.標準品、標準液、試薬・試液、計量器、用器等)」、資料No.1-3「医薬品各条 化学薬品等(ア~コ)」、資料No.1-4「医薬品各条 化学薬品等(サ~ノ)」、資料No.1-5「医薬品各条 化学薬品等(ハ~ワ)」、資料No.1-6「医薬品各条 生薬等」、資料No.1-7「参照紫外可視吸収スペクトル」、資料No.1-8「参照赤外吸収スペクトル」、資料No.3-1「参考情報・附録改正()」についても、本日配布しております。また、さらに当日配布資料ですが「議事次第」「座席表」「委員名簿」「諮問書」のほか、当日配布資料No.1「薬事・食品衛生審議会薬事分科会における審議参加の取扱い等について」、当日配布資料No.2「第十七改正日本薬局方()の正誤表」を配布しております。以上が本日の資料です。過不足等がありましたら、お知らせいただければと思います。

○橋田部会長 非常に大部の資料ですが、先生方、資料はおそろいでしょうか。では審議に入ります前に、薬事・食品衛生審議会薬事分科会における審議参加の取扱い等について、事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 お手元に右肩、当日配布資料No.1と記載されておりますPress Releaseの資料を御覧ください。薬事分科会の分科会、調査会におきまして、規程に沿った対応が行われていなかったことが判明し、本年6月5日に公表しておりますので、報告させていただきます。

 1の()は、薬事分科会委員8名が、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任していた事実が判明し、これらの8名の委員について、辞任いただく運びとなったということです。

()は、昨年度開催した審議会について、寄付金・契約金等の申告内容を確認したところ、8名の委員について、受領なし又は50万円以下の受領と申告されていたものが、正しくは50万円を超えて500万円以下の受領であったことが判明いたしました。このため、本来は議決に参加できない委員が議決に参加した事例がありました。

()については、同じく16名の委員について、受領なしと申告されていたものが、正しくは50万円以下の受領であったことが判明したというものです。

 今後の対応といたしましては、既に御案内のとおり、寄付金・契約金等の申告内容を製造販売業者に確認する運用を試行的に開始し、また申告様式の見直しを行っているところです。さらに、企業の顧問等に就任した際の辞任など、会議の開催の度に注意喚起させていただくこととしており、先生方に送付いたしますので、自己点検に御活用いただきますよう、よろしくお願いいたします。

 こうした事例が発生したのは、事務局による規程の内容の周知徹底や委員就任時の確認が不十分であったことも一因であり、審議会の事務局として至らなかったことをお詫び申し上げるとともに、委員の先生方におかれましては、今後とも規定の遵守に御協力いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

○橋田部会長 ただいまの事務局からの説明について、御質問等ございますか。よろしいですか。それでは審議の議題に入ります。今回の第十七改正の全体像を、これから御説明いただくという意味で、審議事項1の議題の「第十七改正日本薬局方()について」及び、報告事項2の「日本薬局方の参考情報の改正()について」、この両方を合わせて事務局から説明をお願いします。

○事務局 まず資料No.1、「第十七改正日本薬局方()について」を御覧ください。1ページです。最初に「日本薬局方の作成」について説明します。日本薬局方は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第41条の規定に基づき、医薬品の性状及び品質の適正を図るために作成されている規格基準書です。近年、日本薬局方の改正は5年ごとに全面的な改正を行っております。本年は平成23年に告示された第十六改正日本薬局方公示後の5年目に当たることから、今回、全面的な改正を行うものです。今回の改正版は改正数が一つ上がり、第十七改正日本薬局方となります。

 次に2「改正歴」を御覧ください。日本薬局方は、改正された公示年月日と収載品目数の変遷をまとめております。明治19年の初版の公示以来、日本薬局方は既に130年近くの歴史を重ねていますが、今日に至るまで医薬品の開発、試験技術の向上に伴って、改定が重ねられてきております。

 次のページの収載品目数については、現在の第十六改正第二追補で、1,896品目が収載されています。第十一改正から追補による改正も行い、また、第十四改正からは、その間に一部改正を行っております。収載品目は改正ごとに増加が図られていて、今回は第十七改正で審議されるものとして、新たに76品目の追加、10品目の削除、また、審議の結果、66品目が増加することになるかと思います。

 続いて2ページの3「第十七改正日本薬局方の作成基本方針等」についてです。こちらは、平成23年9月に当部会において審議した結果を基に、日本薬局方の改正について作成基本方針を取りまとめています。詳しくは、この資料の5ページ以降に参考資料として事務連絡ということで基本方針を付けております。

 7ページからは、基本方針において日本薬局方の作成の5本の柱として、「保健医療上重要な医薬品の全面的収載」、「最新の学問・技術の積極的導入による質的向上」、「国際化の推進」、「必要に応じた速やかな部分改正、及び行政による円滑な運用」、また、「透明性の確保や普及」を掲げております。この基本方針を受け、今回の第十七改正日本薬局方()が作成されております。

 3ページに戻り、4「第十七改正日本薬局方の審議経過」についてです。第十六改正第二追補以降の審議経過について記載しています。平成16年に独立行政法人医薬品医療機器総合機構が設立され、日本薬局方の原案の作成は機構において行うこととされ、必要な委員会を機構において設置しております。平成2510月から本年7月までの間に計166回の委員会が開催され、原案が取りまとめられ、本年7月に機構から厚生労働省に報告がなされました。この報告に基づき、本日、当部会において御審議いただければと考えております。

 続いて、「第十七改正日本薬局方()の概要」についてです。資料の13ページから改正の概要を記載しています。今回の改正案の要約ですが、国際調和等の観点から、通則の見直し、また、生薬総則への品目追加、製剤総則の改正を行いました。一般試験法は五つの試験法を新規収載しております。例えば13ページの() 丸2 に当たりますが、通則34については、新たに追加したものです。

 資料の21ページに今回の通則の新旧対照表を掲載しています。21ページの下から5行目からですが、残留溶媒の管理についても新たに追加をしております。また、これに併せて、一般試験方法の中に、ICH-Q3Cの残留溶媒ガイドラインを取り込み、局方の指針について残留溶媒の適切な管理を行うとするものでございます。この適用に当たり、リスクの高いクラス1溶媒を先にして、クラス2及びクラス3溶媒については、次の第十七局第一追補の公布時から適用する旨を施行通知で示す予定です。

 さらにそのほかに、製剤総則では新たに製剤包装通則を設け、その一般的な原則、考え方を示しております。

 戻って16ページです。医薬品各条の関係ですが、新規収載が76品目、改正が472品目、削除10品目という案になっております。これら原案、また、通則、総則それぞれのスペクトル等については、資料No.1-11-8に掲載しています。また、報告事項2になりますが、日本薬局方の参考情報の改正についても、資料No.1の3637ページに一覧があります。新規に11項目、また改正を9項目としています。これらの具体的な改正内容については機構から説明があります。

○機構 それでは機構のほうから今回の改正の具体的な内容について説明させていただきます。資料No.1の1317ページの所を主に説明していきます。こちらの資料ですが、19ページからが新旧対照表、35ページ以降に一覧表として、今回の収載・改正の一覧を添付しております。また、本日はお手元に当日配付資料No.2というものも配付しております。こちらは第十七改正日本薬局方()の正誤表ですが、資料作成後に、試薬・試液の所での記載の誤りが見出されたものです。こちらで訂正していただければと思います。

 それではまず、資料No.1の13ページ、第十七改正日本薬局方()の概要に基づいて、説明させていただきます。最初に()通則の部分です。通則は日局全般に係る共通のルールを定めたものです。第十七改正においては、日局原案審議委員会において、近年の医薬品流通の国際化、品質管理の多様化を踏まえた対応について議論が行われました。具体的には国際化として海外からの原薬の供給の増加などに伴い、例えば、グリセリン中のジエチレングリコールの混入のように、不正に有害物質が混入された原材料、あるいは十分な品質管理が行われていない原材料が海外から持ち込まれる可能性を想定して、日局において、より適切な形での品質担保が可能となるよう、各条の枠組みについて議論が行われました。もう一方で、医薬品製造の品質管理の進歩の中で、日局がこれらの科学的進歩の阻害要因とならないよう、複数の製造工程の原薬や、複数の包装形態の医薬品を受け入れることができるような日局の在り方について議論が行われてきました。これらを踏まえ、通則が改正されております。

 その主な改正箇所について説明します。13ページの〈新規〉の所を御覧ください。まず 丸1 通則12ですが、こちらは「製造要件」の項を新たに定めたものです。具体的な文言については、21ページから新旧対照表の所に記載がありますので、御覧ください。医薬品の中では、最終製品の出荷規格のみならず、中間体や製造工程における管理の重要度が高い品目が存在することを踏まえて、こちらの「製造要件」の項を新たに設け、その各条における記載箇所を定めました。

 次に丸2の通則34ですが、ただいま事務局からも説明がありましたが、本邦ではこれまで新薬を対象として適用されてきた「医薬品の残留溶媒ガイドライン(ICH-Q3C)」を日局収載品に適用するというものです。

 丸3通則35は、「意図的混入有害物質」の項を新たに定めたものです。具体的な文言については、これも21ページを御覧ください。悪意を持って意図的に混入された有害物質に対する管理の各条における記載箇所を、欧州薬局方のpotential adulterationの項を参考に定めたものです。

 次の丸4通則40は、日局十六まで一般試験法等に記載のあった「無菌」「滅菌」「無菌操作」の定義を通則で定めたものです。これに関する具体的な文言については、22ページの通則40の所に記載しています。これに併せて製剤通則の改正を行い、無菌、滅菌、無菌操作、最終滅菌の用語・考え方を整理し、明示しました。その具体的な内容については、25ページの「製剤総則の新旧対照表」をあわせて御覧ください。

 なお、事前に川崎先生から、今回の通則35の「意図的混入有害物質」の具体的な文言の中で、管理戦略について言及しているところに関し、コメントを頂いております。先生からのコメントの趣旨としては、ここで「個々の医薬品において別に規定する」というものが、通則11の「別に規定する」と同様に承認の際に規定することを指すものなのかということです。それから、「その試験の要否や頻度等は、品質リスクマネジメントの一環として構築される管理戦略に応じて、個々の医薬品において別に規定する」とあって、この「別に規定する」に基づいて、日局に規格及び試験法を記載するけれども試験の要否や頻度は全ての製品において、変更承認により対応されるという意味なのかというコメントを頂いております。先生としては、「管理戦略」というものに応じて、個々の医薬品で別に規定するといった記載になった場合に、それぞれの医薬品ごとに記載の内容がばらついて適切な管理ができなくなってくる可能性があるのではないかといった懸念をお持ちだと認識しております。

 日局の中では、「意図的混入有害物質」の所で、包括的に管理が必要な内容について、まず記載し、個々のものについては個々の医薬品の承認の際に内容を記載することになるかと思います。ただ、そこに記載する内容に関しては、基本的には適切な、意図的混入有害物質を検出できるような中身を記載することとしており、個々の医薬品でのばらつきを、それほど大きく許容することは考えておりません。日局の管理戦略に応じてという記載は、実際の最終規格製品のみならず、様々な製造工程での管理を許容するといった趣旨で記載されております。

 続いて、13ページの〈改正〉を説明します。通則の主な改正として、 丸2 の通則5では、生薬関連製剤を除く医薬品各条の製剤の容器の規定を保存条件とともに適否の判定基準から外すこととしました。この改正については、製剤の容器の要件は処方や製造工程に依存するもので、医薬品各条で一律に保存の手段として規定することが、製剤技術の進歩を阻害する要因となり得ることを考慮したものです。以上、ここまでが、通則の主な改正の内容です。

 次に、()の生薬総則は、生薬に係る共通のルールを定めたものです。 丸1 の生薬総則1においては、生薬総則及び生薬試験法を適用する生薬を規定しており、今回の改正では、医薬品各条の生薬の新規収載に伴い、これらの総則及び試験法を適用する品目を追加しております。また、 丸2 の生薬総則4、5においては、性状の適否判定について、分かりやすいように記載を整備しました。

 次に、()製剤通則について説明します。第十七改正においては、製剤総則に、製剤包装通則の項を新たに設けました。具体的な文言については、資料No.1-1の1.則-6に記載があります。近年、新技術の導入により医薬品の容器、包装の進歩が著しいことを踏まえ、日本薬局方において、その一般的原則を明示するとともに、関連情報を充実させることが必要と考え、この項を新たに設けました。現在の国内外における製剤包装の設計、包装工程の開発、製造販売後における管理等から抽出した要素に基づき、製剤包装に係る一般的原則、考え方を、こちらの製剤包装通則に取りまとめております。

 次の14ページ、製剤総則の改正についてです。〔1〕製剤通則については、通則40に合わせて、無菌関連用語に関する記載を設けております。その下の〔3〕製剤各条に関しては、一連の改正に伴って記載の整備を行いました。

 次に()一般試験法について説明します。一般試験法とは、医薬品各条に共通する試験法で、医薬品の品質評価に有用な試験法及びこれに関連する事項を定めたものです。今回の改正において、新規に5項目が収載され、18項目が改正、1項目が削除されました。

 主な内容について説明していきます。新規の収載丸1の2.64「糖鎖試験法」は、糖鎖に係る規格及び試験方法の設定において必要な事項、留意点を記載したものを新たに収載しております。 丸2 の2.65「色の比較試験法」は、目視による比較について、既存の9.23色の比較液に加えて、37種類の比較液を追加し、操作法を整備し、一般試験法としたものです。 丸3 の3.05「収着-脱着等温線測定法及び水分活性測定法」は、これまで参考情報として収載されていた「固体-水間の相互作用:吸脱着等温線と水分活性の測定」を一般試験法として整備し、収載したものです。丸4の6.12「粘着力試験法」と、 丸5 の6.13「皮膚に適用する製剤の放出試験法」は、それぞれ貼付剤、皮膚適用製剤の試験方法として新たに収載されたものです。

 一般試験法の主な改正として、1415ページに記載がありますが、 丸2 丸4 丸8 11 12 について、ここでは説明していきます。

 丸2の2.46「残留溶媒」は、通則34の新たな規定を踏まえ、残留溶媒試験法の全面的な改正を行ったものです。資料に記載のとおり、 I .残留溶媒の管理では、ICH-Q3Cガイドラインに示される考え方、限度値を規定し、 II .残留溶媒の確認、定量法では、標準品を用いた試験法を記載しております。十六局では、試験法名は「残留溶媒試験法」となっていましたが、十七改正ではICH-Q3Cガイドラインに基づく管理の考え方を導入することになり、試験法という項目名がなじまないのではないかと意見があり、委員会でタイトルを残留溶媒に変更しています。丸4の2.52「熱分析法」は、PDGでの国際調和を踏まえ、全面的な改正を行ったものです。 丸8 の5.02「生薬の微生物限度試験法」は、タイトルを変更するとともに、4.05の国際調和した微生物限度試験法との整合化、生薬特有の試験法の規定の記載が行われました。 11 の6.06「注射剤の不溶性異物検査法」は、国際的整合性の観点から、白色光源の明るさの見直し、観察条件の新たな設定が行われました。 12 の9.01「標準品」は、日局十七以降、定量用以外の用途、目的に使用する標準品が必要とされることを鑑み、標準品の定義を明確化するための改正が行われております。

 最後に、15ページの〈削除〉の項を御覧ください。 丸1 の8.01「滅菌法及び無菌操作法」は、通則及び製剤通則の関連する記載と重複することから、削除することにしました。以上が一般試験法の改正の概要です。

 また、一般試験法に関して、川崎先生から事前にコメントを頂いております。一般試験法のNMRですが、資料で申し上げると2930ページになります。30ページの5「1H NMR及び13C NMRの各種測定法」です。「NMR測定法には」という書き方がありますが、もともとの29ページのほうでは、NMRスペクトル測定法になっているかと思います。その辺の省略した使い方が適切かといったコメントを頂いており、指摘された点を踏まえ、今後、記載の統一について検討したいと考えております。

 また、下線部の「このような測定法は定量1H NMRと呼ばれている」という所ですが、生薬試験では、定量NMR(qNMR)となっていて、用語の統一が必要かと思われるというコメントを頂いており、これについても今後、検討していきたいと考えております。以上、ここまでが一般試験法の改正の概要です。

 次に資料の16ページ、()医薬品各条について説明します。「医薬品各条」とは、個々の医薬品原薬や製剤の規格を規定しているものです。別添5の別紙1の39ページからになりますが、こちらから一覧として収載品目を並べております。新規・改正、それから変更箇所について、どのようなものがあったかを示しております。

16ページに戻り、概要ですが、今回、新規収載品目としては76品目を収載することを予定しております。資料に記載のとおり、内訳として、化学薬品が50品目、抗生物質が9品目、生物薬品が4品目、添加物が3品目、生薬等が10品目です。

 改正については472品目になります。複数の各条にわたる主な改正内容は3点で、資料16ページに<各条横断的改正> 丸1 丸3 として記載しています。

 まず丸1ですが、有効成分含量25mg以上かつ質量比25%以上(200mg以上かつ70%以上を除く)という個別承認品目がある製剤各条の製剤均一性については、国際調和された一般試験法の記載との整合性の観点から、「質量偏差試験又は含量均一性試験のいずれかを行うとき、適合する」という記載に改正しました。 丸2 ですが、医薬品各条のうち、不要な別名を削除しております。 丸3 は、通則34の追加に伴い、残留溶媒に係る管理は一律に規定されることとなったので、個別の記載を削除しました。

16ページの〈削除〉を御覧ください。市場に流通していない品目等、全10品目を今回の改正で削除する予定です。以上が第十七改正日本薬局方改正()について審議していただきたい内容です。

 次に、報告事項2の第十七改正の参考情報の改正についても、説明させていただきます。資料No.1の3637ページの表の中で、参考情報の一覧を掲載しております。参考情報については、十七改正においてグループ分けを変更しました。37ページのG9として「標準品関連」というものを新設し、G10を「その他」としました。また、G7として、容器・包装関連を「医薬品包装関連」というグループにしました。項目としては、新規に11項目を収載し、9項目を改正しております。

 これらの具体的な内容に関しては、資料No.3「日本薬局方の参考情報・附録の改正()」を御覧ください。1~2ページにかけて今回の参考情報の概要を記載しております。こちらの概要に基づいて説明します。

 まず、G3「生物医薬品関連」では、糖鎖試験法の一般試験法収載に伴い、〈新規〉丸1にある「単糖分析及びオリゴ糖分析/糖鎖プロファイル法」を新たに収載し、関連する情報を記載しております。 丸2 の「表面プラズモン共鳴法」を新たに収載し、物質間の結合特異性や結合親和性の解析、試料中の分析対象物質濃度の測定に用いられる当該試験法について概説するとともに、留意点を記載しております。

 次に、G4「微生物関連」のグループとして、丸3の「微生物迅速法」を新たに収載しております。こちらの参考情報では、培養によらない新たな細菌検出法、計数・計量法に関する情報、留意点を記載しております。

 G5「生薬関連」については、丸4~丸6になります。丸4の「生薬及び生薬製剤のアフラトキシン試験法」ですが、食品衛生法の規定などを参考に生薬製剤でのアフラトキシンの汚染検出に係る試験法を記載しました。丸5の「生薬及び生薬製剤の薄層クロマトグラフィー」では、生薬等での使用を中心として、薄層クロマトグラフィーの試験法に関する情報を記載しております。丸6の「生薬等の定量指標成分」については、多成分系である生薬等の特性を踏まえた定量指標成分含量測定の考え方を記載しております。

 次に、G6「製剤関連」では、丸7の「溶出試験装置の機械的校正の標準的方法」を新たに収載します。

 また、G7「医薬品包装関連」では、丸8の「医薬品包装における基本的要件と用語」を新たに収載します。この参考情報では、製剤包装通則に記載された考え方について、具体的な例を提示しながら情報を補足しております。

 G9「標準品関連」として、一般試験法9.01標準品の改正に合わせて、 丸9 の「日本薬局方における標準品及び標準物質」を新たに収載し、標準品と標準物質の定義と解説、求められる要件、使用上の注意等を情報提供しております。

 G10「その他」として、 10 の「医薬品原薬及び製剤の品質確保の基本的考え方」と、 11 の「品質リスクマネジメントの基本的考え方」を新たに収載しました。これらは日局における品質確保の基本的考え方を示すものとして、ICH-Q6A/Bで述べられている品質確保の考え方、ICH-Q9の品質リスクマネジメントの考え方を日局の参考情報に取り込んだものです。

 次に、1ページの下から2ページにかけて、改正の項目を記載しております。ここでは主なものについてだけ説明します。丸1の「SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法」は、国際調和の中身を反映した改正です。丸2の「バイオテクノロジー応用医薬品/生物起源由来医薬品の製造に用いる細胞基材に対するマイコプラズマ否定試験」は、基本試験法である培養法及びDNA染色法の代替法として、PCR法を用いる場合の留意点等を記載したものです。 丸6 の「保存効力試験法」ですが、製剤のカテゴリーの見直しとともに、米国薬局方の改正を見つつ、国際的整合性の観点からの見直しを行いました。参考情報に関しての報告は以上です。長くなりましたが、御審議、御確認のほど、よろしくお願い申し上げます。

○橋田部会長 「第十七改正日本薬局方」及びその参考情報について、概要と具体的内容の説明をしていただきました。それぞれの説明に対し、御質問、御意見を頂きますが、最初に川崎委員から、「意図的混入有害物質」の話と、「NMR」の話がありましたので、ただいまの説明に対して追加する点はありますか。

○川崎委員 御回答ありがとうございました。NMRの件については、どうぞよろしくお願いします。通則の件なのですが、品質リスクマネジメントとの関係については分かりました。ヘパリンの場合は、上市後、かつ各条収載後にOSCS混入があったもので、当時は日局一部改正によって対応が行われたと思います。当時は、このような通則はなかったのですが、もし今後このようなケースが起きたとき、今回の通則第35条が追加されたということで、日局の対応として何か変わることはありますか。

○機構 基本的にはリスク案件ですので、速やかな対応を原則とすることになろうかと思います。ヘパリンのときと異なる内容として、記載箇所がヘパリンのときには純度試験だったのに対し、それが今回は意図的混入有害物質の所に移ります。その部分が変わりますが、他の迅速な対応については変わらないと考えております。

○橋田部会長 ただいまの説明で大体よろしいでしょうか。特に、この案の修正ということではなくて、そういう対応をしていただくということです。追加を川西委員からお願いします。

○川西部会長代理 この点ですが、緊急のときは強制的でも何でも、規格及び試験法に入れるという話もあろうかと思います。こういうものに対してどのように局方で規定するかということで言えば、確認試験に設定すると、いつまでたってもロットごとに出荷試験を行うというような運用に、ともすればなりがちです。緊急時を過ぎれば、個別の製品試験を行う必要がないものも製品によって出てくると思います。その辺り、柔軟な対応を選択する仕組みをつくるための項ということで設けました。

 ヘパリンへの混入事件の際に、実は局方の委員会で大激論があって、日局では意図的混入物質を規定すべきではないというような非常に強い意見もありました。そういうこともあって、こういう項目を各条に作ったという意図があります。それぞれのケースについては、これから個別に各条を設定、適切に運用していけばいいのではないかと考えています。

○川崎委員 よく分かりました。御説明をありがとうございます。

○花田委員 川崎委員からの質問のところで、本当に基本的なところで教えてください。通則第35条について、資料No.1の13ページには、「悪意を持って意図的に混入」とされていて、実際の案のほうでは、「悪意を持って」という部分がなくなって、「意図的に混入され」となっています。有害物質ですから、悪意だろうが意図的であろうが、最終的に入っていたら困るので、品質管理をしなければいけないと思うのです。「悪意を持って意図的に」ということを、ただし書きをわざわざ付けなければいけない理由は何なのでしょうか。

 何か海外の規定にそういうのがあって、その翻訳が「悪意を持って」なのでしょうか。「悪意を持って」というところが、こういう医薬品には馴染まないような文言だと思いましたので教えてください。

○川西部会長代理 これは私流の意見ですけれども、残るのは通則のほうですので、「悪意を持って」というのはむしろ抜いたほうがいいのではないか。通則には入っていませんので、それは、そういうことだと考えたほうが、恐らくこの規定を将来的に適用するときに困らないのではないかと思います。

○花田委員 私もそう思います。品質上原料の安定性として、意図的に入れる物質でも、最終産物というか、医薬品になったときに残ってはまずい有害物質があると思うのです。そういうところは、最終的に管理しなければいけないという意味で、意図的に入れたものはちゃんと管理しなさいというのだと非常に分かりやすいのです。「悪意を持って」と付いてしまうと、それではないのというので。

○川西部会長代理 原案審議委員会の議論では、「有害」というのもどうなのだろうという議論もありました。一応今回は、「有害である」ということも入れておこうということにしてあります。将来的にいろいろなケースが出てきたときに、また考え直すことがあるかもしれません。

○花田委員 最終的な医薬品の性能に影響を及ぼしてしまうものがある。もう一つは、川崎委員に指摘していただいたところで、「スペクトル」という言葉です。もともとNMRスペクトロメトリーという英語のスペクロトメトリーを、スペクトルとカタカナで翻訳したのだと思われます。いろいろな試験法の中には例えば質量分析法が出てきます。これは、英語で言うとマススペクトロメトリーであり、それには質量分析法という和訳を使っていますから、「NMR分析法」と単純に書くのが良いのではないかというコメントを申し上げます。

○機構 そこの部分は、担当する委員会のほうで、用語をどのように統一するかを議論させていただければと思います。

○橋田部会長 先ほどの通則第35条は、御説明頂いたような意味で、この文言をそのように理解して運用していくということです。その他お気付きの点、御質問がありましたらお願いします。ただいまのように、御専門の領域でお気付きの点もたくさんあると思います。また、改正の基本方針に関わる部分、プロセスに関わる部分でも御質問、御意見等があるかと思います。

○花田委員 資料No.3の3ページの新旧対照表の中で、非無菌医薬品の微生物学的品質特性の中の真ん中辺りの文言で、「グラム陰性菌、大腸菌及びサルモネラ」と書かれていますが、これは「サルモネラ菌」ではないでしょうか。例えばインフルエンザというのは病気の名前、インフルエンザウイルスが病原体というように、後ろに「菌」とか「ウイルス」を付けていただいたほうがいいと思います。

○機構 確認して、適切に対応させていただきます。

○川西部会長代理 これは、特に質問ということではないのですけれども、残留溶媒の規定に関してコメントさせていただきます。残留溶媒に関しては、5年前に局方の原案審議委員会で、既に一度は局方医薬品にICH-Q3Cを当てはめるほうがいいのではないかという結論となり、方向性は既に5年前にきめられていました。ところが業界側も、規制側も、これをすぐに運用するのは難しいという意見があり、局方への採用を延期しました。

 実は、第十六局の施行通知の中に、次の改正では適用するので準備を怠りなく、という意図の文言を入れてありました。残留溶媒ガイドラインICH-Q3Cは、国内的には新薬に関しては平成10年頃に通知が出されています。ICH品質ガイダンスの場合は、日本では局方品に適用することはないのですけれども、残留溶媒に関しては、局方品にも同じ原則を適用すべきではないかということで、5年がかりで局方に規定したということです。

 ただし適用範囲については、まずクラス1から適用し、クラス2と3は日局十七の第一追補からということです。このことは別に通知で示す予定ということですが、こういう措置をとると、ともすれば何か事情が生じると、ずるずると延期されることが起こりがちのような気がします。

 残留溶媒の管理は、国際的な視点からみても、非常に基本的な部分ですので、是非とも予定通りのスケジュールでやっていただきたいと思います。恐らく、これは当局の問題でもあろうかと思いますので、くれぐれもよろしくお願いします。

○事務局 先ほど御説明させていただいたとおり、第一追補では段階的にということなのですが、クラス2、クラス3もということで、施行通知でお示しし、更に今は業界と一緒に細かい運用の関係のQ&Aとか、その辺りもまとめております。今回は5年かかったことになるのですが、十七局の改正に併せて、そういう細かい部分も一緒にお示しをして、局方品に関して適用していくということで、漏れがないようにしていきたいと思います。

○橋田部会長 残留溶媒については、そういうことで滞ることなく、これからも進めていただくということでよろしくお願いします。

○谷本委員 参考情報のほうで微生物関連の領域の、今回新規に入る「微生物迅速法」という名前は適切でしょうか。「迅速法」というのは何ですかと。例えば、微生物の迅速検出法ならまだ意味が分かるのだけれども、微生物の迅速法と言っても何のことか分からないのではないか。試験法というか、方法の名称としては不適切ではないかと前から思っていました。できれば、この名称はちょっと考えたほうがいいのではないかと思います。

○機構 御指摘を踏まえ、これを作成した委員会の委員の先生方にも確認し、この名称でよいかどうか再確認したいと思います。

○川西部会長代理 恐らく、これは蛍光プローブなどを使って、時間をかけずに微生物を検出するような方法だと思いますから、確かに。先生がおっしゃるように、いずれにしても調べてください。

○谷本委員 微生物の迅速というのは意味がないのです。何を迅速にやるのかということだから、そこの名称はちゃんとしたほうがいいのではないかと思います。

○橋田部会長 これは、改めて御検討いただくということでよろしくお願いします。確認してください。非常に大部な内容ですので、お気付きの点も多いかと思います。

○川崎委員 資料No.1の8ページの3.b)の収載時期一番下に、「後発品に関しては速やかな収載を行うよう検討する」との記載があります。次のページの新規開発医薬品についても「速やかに収載検討の対象とする」となっています。バイオ後続品についても、後発品と同様に先行品の速やかな収載について御検討いただいてはどうかと思います。

○事務局 御指摘の点は、十七改正の基本方針のところで、十八改正に向けてというお話かと理解いたしました。やはり、魅力のある日本薬局方ということで、今後十八改正に向けた作成方針の御議論を頂くということかと思います。御指摘のポイントは今までにも話題に上がってきたこともありますので、そこも含め、また先生方の御意見も伺いながらと考えています。

○橋田部会長 検討をよろしくお願いします。

○川西部会長代理 今のポイントなのですけれども、バイオ後続品を局方でどう扱うかというのは、今のところEPにしてもUSPにしても、どのようにやったらうまく、特に各条に収載できるかという妥当な方法が見い出せない状態です。先日も、ある国際的な集まりの中で、EPのスーザン・カイテルさんから、方針は定まっていないというコメントがありました。

 ただ、日本が先行してやって悪いことはありませんから、どうか川崎先生が原案審議委員会の生物医薬品委員会で、ある良い方法、これをどうやったらいいかという方法を提案していただけると非常に良いのではないかと、個人的には思っています。

○川崎委員 バイオ後続品の先行品については、幾つか各条収載されているものがありますけれども、されていないものもあります。抗体医薬品のように、今後はバイオ後続品として承認される医薬品が増えてくると予想されているものもあります。後続品や先行品の日局収載に向けて応援していただきたいと思います。

○橋田部会長 生物医薬品、抗体医薬品はこれから非常に重要な医薬品になっていくわけですので、局方でどのように整理していくかは引き続き検討していきたいと思います。

○花田委員 資料No.1の7ページから12ページの文章は大変練れていて素晴らしい内容だと思います。この文章は、十七局法の初めの割と目立つ所にちゃんと残るのでしょうか。7ページから12ページにわたる基本方針で、施行時期に関する箇所以外の文章です。

○事務局 御質問は、この局方本体にこれが掲載されるかということでしょうか。

○花田委員 はい、そういうことです。そういうことはないのですか。

○事務局 局方は告示で出させていただくのですが、基本方針自体は、これまでこういう形で事務連絡でお出ししております。告示の中に、この文章そのものは入ってこないかと思います。ただ、十六局の局方が机上に配布されていると思います。毎回の改正の経緯といいますか、前文に改正概要が載ってまいりますので、その中には入ってくるぐらいかと思います。

○花田委員 なるほど。私は、特に1.のタイトルと、ここに書かれていることは薬局方とはなんぞやを端的に表しています。特に最初の2行はそうだと思うので、この辺は、むしろ念のために書いていただいたほうがいいのではないかと個人的には思いました。

○橋田部会長 沿革とか、いろいろな形で背景が書いてある所があります。そういう所にどれだけ反映していただけるかということになると思います。

○谷本委員 これは、事務局が回答するのがいいかと思うのですけれども、前書きの所には同じ文章ではないのですが、ここの精神・趣旨は前書きの所に全部入っていると理解していました。

○花田委員 もちろん、私も前書きの所にあるだろうと思っていたのですけれども、実際に読んでいただけると分かるのですが、歴史みたいなところから入っています。今のいろいろな技術的な文章というのは、一番重要な結論みたいなものを最初にドンと出すという流れになっています。要旨みたいなものです。そういう意味で私は、7ページの1.にある文章というのは、一番最初に出てきてもいいのではないかと思います。それでないと、沿革をいろいろ述べられても、薬局方とは何だろうと読み手に判然としないという気がしないでもないのです。

○機構 現在の局方の25ページから記載があります。

○花田委員 これは、答えを頂くようなものではなくて、事務局に今後考えていただければいい話なのです。こういう意見もあったということです。

○川西部会長代理 この基本方針というのは、十八局に向けてのものは、もうすぐ改正版を作成予定です。先生がおっしゃったように、基本は20年ぐらい前からこの文章があって、ここ20年ぐらい変わっていないのではないかというぐらい完成度が高いものです。確かに先生がおっしゃるように、EPもUSPにも、日局にある沿革部分はありません。人によっては、これを抜いてはという意見がないわけでもありません。ただ、こういうのは抜くにしても難しいので、その辺りはよく考えてやるべきです。先生がおっしゃったように、分かりやすいメッセージはどこか分かりやすい場所に残すというのはあるかと思います。これは、個人的な意見です。

○事務局 御意見ありがとうございます。今回は全面改正で、前書きも含めて告示の対象になっています。経緯のところもありますし、基本的なメッセージというのは、繰り返し分かりやすく書けないかということを意識して作業を進めさせていただければと思います。

○橋田部会長 局方の細部のスタイルをどのぐらい動かせるかというのは何とも言えないところもあると思います。基本的な精神や、作成に当たってのスタンスみたいなものはきっちりアピールして示すことは大事だと思いますので、そのやり方を検討していただければと思います。基本的な方針のお話も出ましたけれども、作成の5本の柱といいますか、そういう方向で最新のいろいろな試験方法なども今回の改正で加わっております。それから、各条の収載品目も、全体で2,000近くに及んでいます。あるいは、国際調和も随分進んでいると伺っています。そういうことも含めて何かありますか。御質問、あるいは御説明を追加していただいても結構です。

○川西部会長代理 今回の十七局で、先ほど説明にあったように、製法管理を各条の中にとり入れるための項を新たに作りました。これは今までの局方と違った対応です。通則は改正しましたが、各条にまだ反映されていませんけれども、これからこの項を利用することになります。今までの局方は最終規格及びその規格試験法を中心とした品質基準書でした。一方新薬の品質管理の方策、即ちICH品質ガイダンスというのは製造工程での管理と、最終製品の規格試験での管理が相まって、品質を確保するということが基本です。製造工程は個別の製品によって違いますから、新薬はそういう考え方でやっています。局方では今まで一つの規格にまとめ上げて、新薬の管理方法とは齟齬が出てきている部分もあります。

 先ほど御説明した国際調和という視点だけではなくて、新薬と局方医薬品の品質管理の方策の齟齬という視点でも、ICHの考え方をとりいれる方向に局方を変えてゆくということとしました。旧来の局方に馴染んでいる先生方から見ると、それは局方のとるべき方向ではないのではないかという意見も一部にはありました。とはいえ、医薬品品質管理の現代化という視点からも製造工程管理の導入はさけられないのではないかと考えました。この方向性が今回の改正の一つの大きな特徴です。導入したのは今のところは枠組みだけであり、運用はこれからの問題ですので、そこは先生方も注視して御覧になっていただいて、その方向はどうかなということがあれば、おっしゃっていただければと思います。

 もう一つの問題は、標準品です。標準品についての参考情報を谷本先生が今回おまとめになりました。また、別途これからは純度試験に不純物の標準品をとり入れていくという考え方を出しており、それを供給するということも局方にとっては非常に重要なことになります。そこは議論を進めて、うまく体制を整えていかないと、国際的な整合性という点で日局が行き詰まる可能性があります。その辺りはまた相談させていただきつつ、標準品供給体制を作っていったらと思います。

○橋田部会長 ただいま、製造要件の問題を御説明いただきました。残留溶媒、あるいは意図的混入有害物質というのも、リスクマネジメントに対して非常に能動的にといいますか、むしろ積極的に管理していこうという姿勢が出ております。これは、新しい一つの姿勢かと思います。

 ただいま、先生方からいろいろな御質問、御意見を頂きました。それでもう一度、用語の統一などの検討をさせていただくということ、あるいは確認が必要なところが幾つかありました。一つずつは挙げませんけれども、そういうことを検討することを前提にして、特に御意見がないようでしたら議決に入らせていただきます。第十七改正日本薬局方については、今言いましたような幾つかの条件を付けて、案のとおりとすることで御承認いただけますか。ありがとうございました。

 御異議がないようですので、本案について、条件付きではありますけれども、御了承いただけたものとさせていただきます。

 報告事項2で報告をしていただきました、日本薬局方の参考情報の改正についても、併せて御了承いただいたということですが、こちらも御意見がありましたので、もう一度確認していただきます。どうもありがとうございました。

 以上で、本日の審議事項は終了しました。次に報告事項に移ります。報告事項1の「日本薬局方新規収載候補品目()」について、機構から説明をお願いします。

○機構 資料No.2を御覧ください。新規収載候補品目等は、前回平成2510月の日本薬局方部会での報告以降、新たに追加するリストをこの部会で報告させていただくものです。新規収載候補品目案は、日本薬局方原案審議委員会の総合委員会において、第十七改正日本薬局方作成基本方針に基づき、審議・了承され、機構での意見募集を経て、厚生労働省に今回報告したものです。

 内容に関しては1ページ以降を御覧ください。丸1製造販売企業から新規収載の要望のあった24品目。 丸2 機構にて医療上の汎用性及び必要性の観点から選定された51品目。 丸3 丸5 日本薬局方原案審議委員会の各委員会において選定された11品目です。

 4ページのオキシコドン塩酸塩除放錠については、製造販売企業から、製剤変更の計画があるため、収載要望取下げの依頼があり、新規収載候補品目から削除するものです。こちらについても、併せて御報告させていただきます。

 なお、機構で選定した丸2の選定基準は5ページにその内容を記載しております。こちらでは、以下にありますが、主に二つの観点に基づいて選定しています。1番は、医療上汎用性があり、必要性が高いと考えられる医薬品として、「処方せん数」に基づき、上位に位置付けられた品目を中心に、原薬及びその代表的製剤を選定しております。2番目は、米国薬局方や欧州薬局方等に収載され、国際的に広く使用されている医薬品として、EPとUSPに収載されており、JPに未収載の品目のうち、WHOのエッセンシャルドラッグリストに該当している品目を中心に原薬を選定したものです。以上、御確認のほどよろしくお願いいたします。

○橋田部会長 ただいまの報告に対し、御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。薬局方に新規に収載する候補の品目86品目と、逆に1品目はその候補から削除するということです。製造販売している企業から選定されたもの、それから機構の規格基準で選定された品目、薬局方の原案審議会の委員会で選定された品目ですが、よろしいでしょうか。特に御意見はないようですので、この報告については御了承いただけたものとさせていただきます。どうもありがとうございました。

 以上で本日の審議、報告事項は終了いたしました。事務局から連絡はありますか。

○事務局 本日御審議いただきました第十七改正日本薬局方については、今後、所要の手続を踏まえた上で、9月開催の薬事分科会の審議を経て、改正作業を進めさせていただき、平成28年2月か3月に告示を行う予定としております。次回の本部会の日程については、改めて事務局で調整をして御連絡させていただきます。

○橋田部会長 先ほど局方の案、参考情報の案を御承認いただきましたけれども、幾つか条件を付けさせて頂きました。それについては対応していただき、できましたら御質問を頂いた委員の先生と、もう一度御確認を頂く形で進めていただければと思います。本日の部会はこれで終了させていただきます。委員の皆様どうもありがとうございました。


(了)

備考
本部会は、公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 審査管理課 課長補佐 井上(内線2737)

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