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2015年11月2日 第4回化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

○日時

平成27年11月2日(月)15:30~


○場所

厚生労働省専用第14会議室


○議事

○北村化学物質情報管理官 定刻になりましたので、第4回「化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会」を始めさせていただきます。本日は、大変お忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。本日は、名古屋先生から所用により欠席との御連絡を頂いております。また、事務局のほうも、所用により室長と室長補佐が若干遅れますことを御了承ください。以降の議事進行は菅野先生にお願いいたします。

○菅野座長 本日もよろしくお願いいたします。まず、事務局から資料の確認をお願いいたします。

○北村化学物質情報管理官 本日の議事と資料の確認です。ホチキス止めの1枚目に議事次第があります。本日の議事は、「三酸化二アンチモンの健康障害防止措置の検討」ということで、関係事業者団体からのヒアリングを予定しています。その後に具体的な措置内容の検討を行います。

 次に配布資料の一覧があります。資料1「日本化学繊維協会提出調査票」が3ページから、資料2-1「健康障害防止措置の検討シート」が9ページから、資料2-2「関係事業者・団体への意見照会結果」が25ページから、資料2-3「措置検討の経過」が39ページです。A4判一枚もので資料3「今後の予定」となっています。

 参考資料については、事務局と先生方の机上配布となっています。参考資料1「特化則(抜粋)」、参考資料2「リスク評価報告書」、プロファイルが綴ってあります。資料は以上です。

○菅野座長 資料の不足はありませんか。ないようでしたら本日の議題に入ります。本日は、関係事業者団体からのヒアリングを行います。事務局から説明をお願いします。

○北村化学物質情報管理官 本日は、日本化学繊維協会から大松沢様、種谷様、山田様、羽木様においでいただいております。それでは、よろしくお願いいたします。

○日本化学繊維協会 日本化学繊維協会の大松沢です。本日は、このような機会を頂戴いたしましてありがとうございます。資料1に基づき、日本化学繊維協会の調査結果について御報告させていただきます。私ども日本化学繊維協会は、国内の化学繊維製造メーカー及び加工メーカー等で構成する団体です。会員企業数は43社です。そのうち今回の調査で三酸化二アンチモンを使用していると回答のあった企業数は8社です。用途については、PET(ポリエチレンテレフタレート)の重合触媒としての使用、それと難燃繊維製造での使用です。協会内には、環境安全委員会という組織があり、健康障害防止の取組も含め、こちらの委員会で取り扱っています。本日は、この環境安全委員会の代表委員と事務局担当で対応させていただきます。

4ページで質問4、事業者の自主的な取組について取りまとめた表です。ばく露作業の概要としては大きく3つに分けられます。1つ目は三酸化二アンチモンそのものの解袋・投入・計量作業です。8社中7社が回答しています。2つ目が、解袋・投入・計量作業で、三酸化二アンチモンを含有するレジンの取扱いであり、こちらは1社の回答になっています。最後に、製剤を含む溶液の調製ということで、ある機能性の物質に三酸化二アンチモンをコーティングした粉体があるのですけれども、これを含む溶剤の調製で使用しているということです。

 回答の仕方ですけれども、○が全社対応有りということで7/7、×は全社無しということで0/7、一部の会社が対応有りが△でそれぞれ何分の幾つという書き方にしています。項目を追って御覧いただきますと、作業場の屋外屋内の別では、全社が屋内です。主な作業項目である三酸化二アンチモンそのものの取扱いについての所で御覧ください。

 次に情報提供です。表示、文書の交付、掲示のいずれも全社が対応しています。労働衛生教育についても、同様に全社が対応しています。

 次に、発散抑制措置です。製造工程の密閉化、局所排気装置の整備については、それぞれ半数前後の会社が対応しています。それ以外のプッシュプル、全体換気等についてはほぼ対応できていない状況です。

 次は、作業環境の改善です。こちらについては、休憩室の設置が全社対応です。他に洗浄設備の整備、設備の改修等作業時の措置というところが、半数ぐらいの会社の対応となっています。

 次は、漏洩防止措置です。不浸透性の床の整備については、7社中6社が対応しています。

 次は、作業管理です。全社が対応できている項目は、飲食等の禁止、適切な容器等の使用と保管、有効な保護具の使用、不浸透性手袋、防護メガネの着用という項目で、これについては全社が対応しています。それ以外の項目については、一部会社での対応となっています。作業環境の測定では、実施と記録の保存が7社中5社、結果の評価と保存が同じく7社中5社です。健診については、独自の健診を実施が2/7社、特定健診の実施が3/7社という結果です。

5ページで質問5、措置の導入に当たって考慮が必要な事項ということで幾つか挙げています。表の一番上で、三酸化二アンチモンを起源とする触媒残渣をポリマー中に含むペレットの取扱いです。こちらについては、含有量が小さく、ばく露リスクは低いと考えられるため、措置対象から除外していただきたいという意見がありました。

2つ目は、触媒原料として既存繊維に使用していることによる風評被害があります。こちらの意見については、表の一番下でも同じ意見がありますけれども、三酸化二アンチモンの健康障害が過度に取り上げられると、繊維製品ではリスクが極めて低いにもかかわらず、不買化等に発展する恐れもありますので、規制は限定的に、また慎重にお願いしたいという要望です。

 表の上から3つ目の閾値についてです。0.1mg/m3 の閾値は世界的に見ても極めて厳しい値です。欧米並みに0.5mg/m3 に抑える方向で御検討いただきたいという意見がありました。

 その下の作業内容について、三酸化二アンチモンは粉塵が飛散するような作業に限定して、ばく露防止の措置を検討していただきたいという意見がありました。また、これに関してその下の、触媒として取り扱う業務はばく露量も少なく、適用除外とする方向で御検討願いたいという意見もありました。この他にその下で、立入禁止ということで、他の作業と重なるケースがあり、立入禁止は工場によっては困難であるという回答もありました。

 質問6、技術的課題及び措置導入の可能性についてです。こちらも幾つか挙げさせていただいています。まず、発生源の密閉化についてです。袋の包装や、トランスバッグの開封作業、粉体の溶解作業は密閉化が困難であるケースがあるということで、同様の回答が同じ表にあるように、全部で3件ありました。その下で換気装置についてです。他の作業を行う可能性があり、全体排気装置は現実的でないということ。また、作業箇所のみ囲んで局所排気する装置についても、対応するのも作業上困難なケースがあるということで、同様の回答がこちらも3件出されています。局所排気装置を導入したとしても、これだけで閾値未満にすることは難しく、保護具の併用等が必要だという意見も出されています。

 次のページで表の上から2つ目です。プッシュプルの換気装置です。取扱い場所から投入部全体を覆う形となって、技術的に難しいということ。また技術的に可能であったとしても、投資額が非常に高く困難であるという意見が2件ありました。

6ページで質問7、特殊な作業の概要と意見ということで4点ほど挙げさせていただきました。三酸化二アンチモンを触媒の残渣として含むペレットを用いた、合成繊維の製造作業についてです。合成繊維の製造は、射出成形と同様、ばく露のリスクが極めて低いことから、措置の対象から除外していただきたいという意見がありました。

2つ目は、三酸化二アンチモンをポリマー中に含むペレットの取扱い作業です。こちらについても、ペレット状になった状態でのばく露リスクは非常に低いので、措置対象から除外いただく方向で御検討願いたいという意見です。

3つ目は、PET重合触媒解袋・計量・添加作業について、1日当たりの作業時間が数回にわたり、合計数十分程度である。また、取扱量も1日数十キロということで少なく、作業時には防塵マスク、防護メガネ・手袋を着用し、集塵機を設置して対応している。ばく露量は、現状でも小さいと考えています。ばく露量の違いによる措置を考慮して対応いただくような方向でお願いしたいということと、「コバルト及び無機化合物」と同じように触媒として取り扱う業務は対象外としていただきたいという意見です。

4つ目は、当該物質を微量含有する製剤の投入・溶液調製です。三酸化二アンチモンを微量含有する製剤を調製用の容器に投入し、製剤を含む溶液を調製する作業があるということです。この作業は時間的にも短く、また頻度も少ないことから、例えば製剤に含まれる含有量が0.22%未満ということで非常に低く、直接接触しても人体に対する影響は少ないようなケースについては、別途御検討いただきたいという意見がありました。

 次のページで質問8です。産業活動への影響や、公正競争の観点からの意見ということで大きくは1点です。三酸化二アンチモンは、ポリエステルの重合触媒など、一般に広く普及していて、繊維・フィルム・樹脂に広く使用されています。規制化の影響は業界だけに限らず、川下産業、社会全体にコスト増加の影響を及ぼすこととなります。国際競争という点においても、日本にとって不利な影響を及ぼすと考えられます。ばく露リスクや、川下加工でのリスクを十分御検討いただいた上での規制範囲ということで御検討をお願いしたいという意見です。

 質問9、措置の方針について幾つか意見があります。まず、2つ目ですけれども、樹脂中に三酸化二アンチモンを触媒原料として含んだペレットやレジンを取り扱う作業や、それらを用いて製造した繊維・フィルム・樹脂等を取り扱う作業など、樹脂固形化以降の川下産業は、ばく露リスクが極めて低いと考えられるため、適用除外の方向で御検討いただきたいという意見がありました。

 その枠内の一番最後ですけれども、製剤のうち三酸化二アンチモンの含有量が一定濃度、例えば2%未満の場合は適用除外とすることなどについても御検討いただきたいということです。あるいは負荷が小さいということを示せる場合には適用除外とするようなことも御検討願いたいという意見がありました。

 以上、当協会関係各社からの意見の報告です。

○菅野座長 ありがとうございました。ただいまの御意見について、御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。

○保利委員 局所排気装置の所ですけれども、整備されているのが7社中5社ということで、2社は整備されていないということでよろしいですか。

○日本化学繊維協会 はい、そのような結果になります。

○保利委員 質問6で、局所排気装置に関することが2つ書いてありますけれども、これは整備されていない所からの意見なのか、それとも設置されているけれどもうまくいかないという所の意見なのか、その辺はいかがですか。

○日本化学繊維協会 整備されていない所からの意見です。

○保利委員 6ページでは、「現状では集塵機を使用」と書いてあります。集塵機があるということは、局所排気装置が設置されているのではないかと思うのですけれども、そうではないのですか。

○日本化学繊維協会 この集塵機は確認したところ、例えば袋を開けて投入するときに、手袋、メガネをして、いわゆる局所排気設備ではないのですけれども、何か大型の吸引装置みたいなものを使って、その部分を取り除くような対策は行っているという回答でした。

○保利委員 いわゆる局所排気装置という形にはなっていないということですね。

○日本化学繊維協会 はい。

○唐沢委員 御説明いただきましてありがとうございます。5ページの質問5の一番上の三酸化二アンチモンの触媒残渣の所で、「ペレットの取扱い」とあります。このペレットの大きさはどのぐらいですか。そのペレット中に含まれる触媒としての三酸化二アンチモンは、ウェイトパーセントはどの程度か、もし差し支えなければ教えていただけますか。

○日本化学繊維協会 一般的な量で言うと、大体150300ppmぐらいのものが一般的なペレットに使われると思います。

○唐沢委員 ペレットの大きさはどのぐらいですか。

○日本化学繊維協会 大きさは用途によって違うと思いますけれども、一般的には3mm2mm角ぐらいだと思います。

○大前委員 4ページの解袋・投入・計量というのがありますけれども、この作業というのは、触媒としてペレットを作るために行っている作業ということですか。今のお話を伺っていると、おおむねペレット若しくは重合物で繊維若しくは何らかを作っているようなイメージがあるのですけれども、そこでなぜこの粉が出るのかなと。この粉はどういう目的でやられているのですか。

○日本化学繊維協会 すみません、もう一度お願いいたします。

○大前委員 4ページに解袋・投入・計量とあります。袋を開けて、投入して計量するというのは粉の状態の三酸化二アンチモンを使われるということですよね。

○日本化学繊維協会 はい。

○大前委員 これは、ペレットを作るためにこういう作業をやるわけですか。それとも、別の用途ですか。これはどういう用途で計量等々をやられているのですか。

○日本化学繊維協会 これは、ポリエステルの樹脂を作るために必要な、触媒として入れるために必要な作業です。

○大前委員 モノマーをポリマーにするためにこれを使うことになるわけですか。

○日本化学繊維協会 はい。                                                

○大前委員 その出来たペレットの含有量が、今おっしゃった300ppmぐらいということになるわけですか。

○日本化学繊維協会 はい、樹脂中の濃度がです。

○大前委員 それを押し出し等をして製品を作るわけですけれども、製品の中の含有量も300ppmぐらいということになるわけですか。

○日本化学繊維協会 そうです。基本的にはペレットの状態から、例えば繊維だとそのまま押出成形されますので、その間の含有量は基本的に変わりません。

○大前委員 変わらないということですね。

○日本化学繊維協会 はい。

○大前委員 そうすると、実際に作業者が三酸化二アンチモンにばく露されるのは、今の解袋と投入の部分と、それから触媒残渣というのはよく分からないのですけれども、これを処理する所で、三酸化二アンチモンの粉体なり、あるいは何らかのものにばく露するというようなことですか。少なくともペレットになった後、若しくは、きれいになった後は非常に少ない量で、触ればあれかもしれませんけれども、空気中のばく露はないわけですよね。

○日本化学繊維協会 残渣というのは解釈があるとは思うのですけれども、そのまま三酸化二アンチモンの状態かどうかというのは、確認の上回答させていただきます。少なくとも三酸化二アンチモンとして、触媒として投入するところまでは三酸化二アンチモンではありますが、樹脂として使われて、その後に残渣として残るものが三酸化二アンチモンかどうかを確認します。

○大前委員 この残渣は粉体として舞う可能性があるということですか。

○日本化学繊維協会 すみません、この残渣という書き方がちょっと紛らわしかったのです。これは、モノマーをポリマーにする工程で触媒を投入して、触媒はポリマーの中に残留しなくても構わないわけなのですけれども、包埋されてしまうということです。そういう意味で、先ほど樹脂の中、繊維の中に300ppm程度と言いましたけれども、そのことを指している残渣という言葉です。

○大前委員 と、いうことは日本化学繊維協会の関連の会社の場合、実際に三酸化二アンチモンにばく露するのは、解袋・投入・計量のところだけということですか。

○日本化学繊維協会 はい、そういう理解です。

○藤間委員 6ページの質問6の個社のお答えなのだと思うのですけれども、局所排気装置とプッシュプルの所で、取扱い場所から投入場所までの局所排気装置は大掛かりと書いてあります。この取扱い場所と投入場所との違いはどういうことを実際には指しているのでしょうか。解袋と投入というのは、結構近くでできるような作業なのかとも思ったのです。

○日本化学繊維協会 個別的には確認が必要かもしれませんが、基本的には取扱い場所と投入場所は同じになります。

○日本化学繊維協会 これについては、この意見を出した会社に確認し、後日回答させていただきます。

○櫻井委員 先ほどの質問と同じなのですけれども、4ページの一番上に、7社が解袋・投入・計量作業、1社は解袋・投入・計量作業なのだけれども、その内容は三酸化二アンチモンではなくて、三酸化二アンチモン含有レジンと書いてあるのですが、そこの差がよく分からないのです。この1社の場合には、もう既にレジン化したものを投入しているというわけですね。

○日本化学繊維協会 はい、そうです。レジン化したものを投入するケースの回答です。

○櫻井委員 なるほど、そうするとこれだと更にその際の粉塵の発生は少ないということを意味しているわけですか。

○日本化学繊維協会 はい、そういうことです。もう既に樹脂中に包埋された状態のものですので、本来ここには回答しなくてもいいようなものなのかもしれないのです。

○櫻井委員 技術的にはそのほうが有利ですよね。

○日本化学繊維協会 はい。

○櫻井委員 その代わり、そういうペレット化されたものを購入して投入しているということですね。

○日本化学繊維協会 はい、そうです。

○櫻井委員 それから、7ページの質問92つ目のパラグラフで、「重合以後の三酸化二アンチモンからの化学変化も考慮し」と書いてあるのは、結局先ほども言っておられたように、三酸化二アンチモンとしての形ではない別の形になっている可能性があるということですか。

○日本化学繊維協会 そうです。

○櫻井委員 それが確認できていれば分かりやすいのですけれども、そこまでは分からない。想像というか、推定ということですか。

○日本化学繊維協会 推定といいますか、同定ができているかということですか。

○櫻井委員 はい。

○日本化学繊維協会 そこは、後日確認して回答させていただきます。

○田中委員 4ページの作業管理の呼吸用保護具、防塵マスクの使用が3/7。それも……確認中でしょうか。防毒マスクの使用は4/7というのは、こういうガス状、気体状物質も、この作業場で、この作業では存在するから、防毒マスクを使用しているという理解でいいのでしょうか。

○日本化学繊維協会 防毒マスクと防塵マスクが違うものを言っているのか、あるいは回答上このように回答されたのかを確認してから回答させていただきます。

○菅野座長 1つお伺いしたいのですが、質問7の一番下の所で、三酸化二アンチモンを微量含有する製剤の投入と溶液の調製というのがあるのですけれども、この溶液というのは何溶液なのですか。それを何に使うのですか。

○日本化学繊維協会 意見のあった会社に確認して回答させていただきます。取扱性を上げるために、ある物質の表面に、三酸化二アンチモンをコーティングした材料だと聞いています。樹脂中に分散させるために、一旦溶液で調製して、それをポリマー中に混ぜ合わせていくというものだと聞いておりますけれども、後日確認した上で回答させていただきます。

○菅野座長 細かいことで恐縮ですが、取扱量は1回に13kgとなっているのですけれども、この取扱量というのは、三酸化二アンチモンの量のことですよね。

○日本化学繊維協会 はい。

○菅野座長 溶液としてはどれぐらいできるのかは分かりますか。

○日本化学繊維協会 すみません、当該会社に確認してから回答させていただきます。

○菅野座長 先ほどポリエステルとか、PETの合成の触媒ということでしたけれども、触媒として使用するときには、その反応槽に粉体として入れるのでしょうか、それとも。重合反応するときにです。

○日本化学繊維協会 基本的には触媒として使うために定量入れる必要がありますので、粉のまま定量するのは比較的困難ですので、何らかの原料に使われるものに一旦分散させて、定量して入れるというのが一般的です。

○菅野座長 溶液というのは、有機溶剤なのでしょうか。

○日本化学繊維協会 PETの場合はエチレングリコールが一般的です。

○菅野座長 それそのものですか。

○日本化学繊維協会 はい。

○菅野座長 触媒としては、製造するポリマーの定量に対して300ppmぐらい使うということでよろしいのですか。

○日本化学繊維協会 三酸化二アンチモンとしてそのぐらいの量になるようにということです。

○藤間委員 日本化学繊維協会の中では、繊維の難燃剤としての使用はないということなのですか。

○日本化学繊維協会 難燃剤としての使用というのは、難燃助剤としての使用ということですか。

○藤間委員 はい。それとかその浸透とかによって防炎処理を行うようなことは、日本化学繊維協会の中ではないのですか。

○日本化学繊維協会 難燃剤といいますか、素材そのものが塩化ビニルをもとに作られていますので難燃です。三酸化二アンチモンは難燃助剤として入れております。この場合は浸透ではなくて、練り込みという形で入れています。

○藤間委員 それは、ここの中には入っているのですか。

○日本化学繊維協会 入っています。

○藤間委員 この8社の中に入っているのですか。

○日本化学繊維協会 入っています。

○藤間委員 それも入っているのですね。

○日本化学繊維協会 はい。

○藤間委員 触媒用途というだけではないということですね。

○日本化学繊維協会 はい、そういうことです。

○菅野座長 質問9の一番最後なのですけれども、「製剤のうち」と書いてありますけれども、製剤というのはどのようなものが含まれるのですか。質問9の箱の一番下の3行です。

○日本化学繊維協会 先ほど、物質の表面に三酸化二アンチモンをコーティングして、ハンドリングを高めると御説明しましたけれども、ここではそれそのもののことを指しているのだと思うのです。そういう剤については、一定濃度未満の場合には除外するようなことも御検討いただきたいという意見です。

○菅野座長 そうすると、先ほど御質問のありました、難燃剤としてというか難燃助剤として含まれている繊維というのはこの中には入っていないのですか。

○日本化学繊維協会 難燃助剤は、この回答の中には入っておりますけれども、この「製剤のうち」として記載しているものとは違います。

○菅野座長 これは、特定の会社のお答えということですか。

○日本化学繊維協会 はい、そうです。

○菅野座長 難燃助剤としては数パーセント含まれるのではないかと思いますが。

○日本化学繊維協会 グレードによって違いはありますが、おおよそその程度含まれています。

○小野委員 質問4の確認だけさせていただきます。三酸化二アンチモンを投入している7社は、三酸化二アンチモンの粉体を投入とか計量をする所ですね。

○日本化学繊維協会 そうです。

○小野委員 「製剤を含む溶液」という所は、ある物質か何かに三酸化二アンチモンをくっ付けたものを投入していると。

○日本化学繊維協会 そうです。

○小野委員 ただ、その粉体からは、恐らく三酸化二アンチモンだけよりは発生が少ないだろうけれども、コーティングしてあるだけのものですか。

○日本化学繊維協会 はい、コーティングがしてあるものだと聞いています。

○小野委員 ちょっとハンドリングが良いという感じのものになるのですか。

○日本化学繊維協会 詳しくはわからないのですが、そのように聞いています。

○小野委員 やはり、粉体として、100%三酸化二アンチモンではないけれども、数パーセント三酸化二アンチモンが入っている粉を扱っている作業場ということになりますよね。

○日本化学繊維協会 はい、そうです。

○小野委員 その2%以下の所は除外してほしいというのが、質問9の御意見ということですか。

○日本化学繊維協会 はい。取扱量も非常に少ないということもありますので、除外していただけないでしょうかという意見です。

○小野委員 そういう三酸化二アンチモンの付いた粉体を作っている企業というのが、また別にあるということになるのですか。

○日本化学繊維協会 そのように理解しています。

○菅野座長 溶液から作る。

○小野委員 溶液を作るために。

○菅野座長 コーティングというのは、物質の表面に粒子がくっ付いているということなのですね。

○日本化学繊維協会 そのように理解しています。

○菅野座長 ありがとうございます。他にはいかがでしょうか。よろしいようでしたら、これで日本化学繊維協会からのヒアリングを終わります。どうもありがとうございました。

(日本化学繊維協会退席)

○菅野座長 続いて、健康障害防止措置の検討シートの更新状況についての説明をお願いします。

○北村化学物質情報管理官 A3サイズの1枚物の資料2-3、通し番号で39ページを御説明いたします。こちらは三酸化二アンチモンに係る今までの措置検討の経過をまとめたものです。一番左側はリスク評価書の抜粋、真ん中が今までの検討会で頂いた御意見をまとめたもの、一番右が、今後の検討にあたっての視点等ということでまとめております。

 まず、一番左の「リスク評価書(抜粋)」の部分です。一番上の○の「測定結果」の下線を引いた所ですが、「個人ばく露最大値と区間推定上側限界値のうち、大きい方である区間推定上側限界値がばく露最大値となり、この値と二次評価値0.1mg/ 3 を比較した結果、二次評価値を超えるばく露が確認された。なお、個人ばく露最大値0.40mg/ 3 も二次評価値を超える水準となっている」ということです。

 続いて「リスクの判定及び今後の対応」ということで、下線部を読み上げます。「三酸化二アンチモンの計量、投入、袋詰め及び炉作業等において高いばく露が確認されたことから、製造・取り扱い作業全般について健康障害防止措置の検討が必要と考えられる。なお、アンチモンを含む樹脂の射出成形作業については、上記のガイドラインに基づくばく露実態調査とは別に、H26年度に実態調査を実施しているので、健康障害防止措置の検討に当たっては、その結果も踏まえて検討する必要がある」ということです。

 続いて、前回、前々回の検討会で頂いた御意見についてです。まず、831日に行いました第2回の検討会で頂いた御質問で、ばく露実態調査を実施した各事業場で三酸化二アンチモンの取扱いが実際にあったのかという御質問がありました。これについては確認をいたしまして、Iの事業場の一部を除いて全て三酸化二アンチモンの取扱いがあったということを確認いたしました。2つ目として、「酸化炉」、「溶融炉」、いろいろな言葉が出てくるのでということで、こちらは「揮発炉」に統一いたしました。

 続いて、第3回の検討会についての概要です。前回は3社の事業者団体様に御出席いただいて御意見を頂きました。具体的な御意見については、本日の資料2-2の通し番号2526ページにまとめております。それから、第3回に先生から頂いた御意見で、プロファイルの中に、「計量・投入作業」といろいろあるのですが、その個人ばく露測定結果について、粉状のものとペレット状のものとを書き分けてほしいという御意見を頂きましたので、そちらのほうは、今回お配りしましたプロファイルのほうで反映させていただいております。それから、事務局のほうから、リスク評価の結果にもありますが、平成26年度にばく露実態調査を実施しました三酸化二アンチモンを含む樹脂の射出成形作業の結果も合わせて、具体的な措置内容を今後検討したいということをお伝えしました。

 一番右側ですが、今後の「措置検討にあたっての視点等」ということで、1つ目が「業務ごとのばく露実態(測定等データ)」です。(1)個人ばく露最大値、(2)区間推定上側限界値といったデータを基に、業務ごとの実態を検討する。2つ目が「作業実態」です。(1)として、取扱いの形態が、粉状のもの、ペレット状のもの、それから量・工程の密閉状況、(2)として作業頻度・作業時間といったものも検討に当たっての視点といたします。それから、今回、事務局から用意した資料だけではまだ不足があるということであれば、先生方からの御意見を頂きまして、追加調査を実施するような事項、必要な事項があれば、それも検討するということを考えております。資料2-3は以上です。

 続いて資料2-2、通し番号25ページです。前回と今回の団体様の御意見をまとめたものです。2つ目、25ページの真ん中辺り、「事業者の自主的な取組み【質問4】」の所ですが、こちらは37ページにまとめております。別紙という所で一覧表になっております。前回の3団体様のアンケートに加えて、今回、ヒアリングしました日本化学繊維協会様のデータも加えたものとなっております。作業の実態については、全て屋内作業という結果になり、取扱いの製造工程や三酸化二アンチモンそのものの製造や試験研究用途、塗布作業、全て合わせると101件という作業となっております。実施状況等についてはこちらにまとめているとおりです。資料2-2の更新状況は以上です。

 資料2-1のほうは、資料2-2のデータをそのまま入れている形になるので、説明は省略させていただきます。

 資料2-117ページに、今後、健康障害防止措置の検討ということで、まだ事務局の原案ということでは何もお示ししておりませんが、本日は、この(1)対象物質等必要な健康障害防止措置という所の適用除外作業の部分について、先生方に御検討をお願いしたいと思っております。事務局からは以上です。

○菅野座長 ただいまの御説明について、何か御意見、御質問はありますか。

○大前委員 いろいろな粉体とペレット状のものを分けて記載したというのは、この表ですか。

○北村化学物質情報管理官 そうです。先生方のファイルの中にとじ込んでおりますが、プロファイルを置いております。右肩の所に「H27.11.2修正」となっている、一番手前の所に付いていると思います。プロファイルの「個人ばく露濃度測定結果」の所の「ばく露の可能性のある作業」の横に「形状」という1行を設けました。例えばA社ではa1の作業者の方は粉状のものを使っており、a2の作業者の方は液状のものと粉状のものという形で取扱いがあったということになります。ただ、測定自体は、ずっと付けて測っていますので、粉体のときのばく露量はどうというのは分からないのですが、検討のときに御参考いただければと思います。

○オブザーバー 少し補足と言っては何なのですが、調査を実施した中災防ですが、A33枚目の一番最後の所のN社の所です。「樹脂ペレット・粉」と書いてありますが、この「粉」は三酸化二アンチモンそのものではなく、樹脂が細かくなったものです。

○菅野座長 樹脂の粉ということですね。

○オブザーバー はい。樹脂の粉で、ほかの粉とはちょっと違いますので御注意いただければと思います。

○菅野座長 ということは、ペレットは使っていると理解すればよろしいということでしょうか。

○オブザーバー ペレットから加工していったもので、最終的には破砕して粉になったもので、製品は別に出来上がっています。

○菅野座長 ペレットを破砕しているということですか。

○オブザーバー ペレットを成形して、残った部分を破砕したところが粉になったといったものです。

○菅野座長 残った部分というのは。

○オブザーバー 不要な部分などです。

○菅野座長 はみ出したとか、そういう。

○オブザーバー そうです。

○オブザーバー 射出成形するので、プラモデルのパーツを外した部分みたいな所が、かなりたくさん出来るのを細かく砕いて、再利用若しくは廃棄にするということになっています。

○菅野座長 測定結果の表についてはよろしいでしょうか。

 それでは、措置内容の御議論に移ります。三酸化二アンチモンを含有する樹脂の成形作業等について、ばく露実態調査のデータを踏まえて御議論いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○藤間委員 プロファイルの中のM社のm1という所で、A測定の結果の最大値ですが、結構大きな値が樹脂ペレットの所で出ているのですが、この作業場は特別に高くなるような原因は、何かその現場ではあったのでしょうか。

○オブザーバー 特段に原因となる作業はなくて、破砕したプラスチックがかなり静電気を帯びているので、もしかしたら、その1粒が飛び込んでしまうと、極端に高い値がポーンと出る可能性があるということで、多分そういう事象が起きたのではないかと、測定に行った者としては考えています。

○藤間委員 結構、ほかの粉などを扱っている所に比べてこの値はすごく目立つ値で、それに引きずられているにしても、幾何平均がそんなに高くないですから。

○オブザーバー やはり、分析自体がアンチモンの金属量を分析して、三酸化二アンチモンに戻すという計算をしていますので、本当に破砕された粒、顆粒状になるのですが、それが1粒入るとものすごい量になってしまうので、そういうことが起きたのであろうと考えています。溶融する温度も低くて、ほとんど煙も出ていない状況で、非常にきれいな工場というか、雰囲気ですので、1つだけポーンと高くなるのは、多分その1粒が入ってしまったのだと考えています。

○菅野座長 幾何標準偏差が14とか18になっていますので、多分。

○保利委員 データ数が5点か6点で、幾何標準偏差が16などということは、やはりその点だけ極端に高かったということですよね。

○オブザーバー これ1つだけ高い値が出てしまったのですが。

○保利委員 対数正規分布ではなくて、違った分布をしている。

○菅野座長 ナノの物質名からすると、この最大値は無視しても。レスピラブルということはないですよね。

○オブザーバー そう思います。何らかの原因で、例えば、静電気を帯びている一片がと付いてしまうと、もう落ちなくなってしまうと思われますので。

○保利委員 先ほど言われていましたが、N社の樹脂ペレットの形状ですが、粉というのは、やはり吸入性粉じんに該当するような小さいものなのですか。

○オブザーバー ペレット自体は数ミリのものです。先ほどおっしゃった3mm4mmか、そのくらいのペレットをザーッとホッパーに入れるということはされています。

○保利委員 形状のところに、「樹脂ペレット・粉」と書いてあるのですが,この「粉」というのは。

○オブザーバー ここにある「粉」というのは、先ほど言いました射出成形した残りの部分、スプールやランナーなどという、その部分を機械的な粉砕機がすぐそばに付いていまして、そこに自動機が放り込んでガーッと壊したものが袋に溜まるようになっています。

○保利委員 気中に出てくるような感じのものではないと。

○オブザーバー はい。粉末として上がる感じではないのですが、多分、軽いものもあるのでしょうね。フィルム状に削られたものも見えていたので。

○菅野座長 では、これは濃度の測定値自体は低いということでよろしいのですよね。ちょっとよく見えないのですが、高い値は出ていないと。

○小野委員 サンプリングはオープンペース。

○オブザーバー フィルターのカセット。一応そうですね。

○小野委員 粒径的には。

○オブザーバー 分粒はしておりません。

○小野委員 分粒はしていないから、10μとか大きいものも入ってきている可能性はあるということですよね。

○オブザーバー はい。

○菅野座長 測定値自体が0.001以下ですので、余り発塵はしていないのではないかと思います。ペレットと溶液の取扱いの結果については、大体、0.01より1桁以上低い値になっていると思いましたが、ちょっと見誤りがあるといけないのですが。つまり、用途若しくは取扱い形態で規制から除外してもよろしいと判断できるものがあるかどうかということについて、御意見を頂きたいと思います。

○大前委員 今のこのデータがそうなのですが、ペレットみたいなものに関しては非常に濃度が低いので除外していいと思うのです。ただ、条件として、これはインジウムで経験したのですが、本来出てこない所でインジウムが検出されるのは、建屋が同じで、こちらから来るというのがあるので、発生源でしっかり止めてあるのだったら、このペレット等々の扱いの所は除外してもいいのではないかと思います。

○菅野座長 つまり、粉体を扱う作業については、ちゃんと局所排気装置を設置するという条件ならば除外できるということですね。適用除外を検討するとき、その場合には工程としてまとめるのでしょうか。それとも、三酸化二アンチモンの形状というか、粉体とそうでないものとを分けるのと、どちらでもよろしいのでしょうか。

○北村化学物質情報管理官 ニッケルのように「粉状に限る」という形にするものもあれば、今年度に追加した、RCFのように「粉じんが発散しない成形品であって、そのものを加工しない場合」という形もあります。また、コバルトのように「触媒の用途」と指定するという形もありますので、今の段階では特にこういったものでないと適用除外にできないということはありません。

○菅野座長 どういう形態でも構わないということですか。

○北村化学物質情報管理官 そうです。

○菅野座長 分かりました。

○大前委員 今の触媒に関しての御意見で、触媒として使うものはコバルトのように外してほしいというような御意見があったと思うのですが、今回、化繊協会のお話を聞いていると、そのものが触媒なので、そういうくくり方はちょっと大きすぎると思うのです。

○菅野座長 「触媒として」というと、触媒を加えるところも入ってしまうと。

○大前委員 量が相当多そうですから、触媒というくくりだと、やはりまずいと思うのです。

○菅野座長 そうですね。

○唐沢委員 例えば、資料通し番号13ページの6欄目の「三酸化二アンチモンを微量含有する製剤の投入・溶液調製」とあって、三酸化二アンチモン13kg/回程度という意味だと思うのですが、「製剤に含まれる含有量は0.22%未満」ということになっていました。ただ、我々の感じからすると、ウェイトパーセントで2%とは、今までの適用除外の濃度の考え方からすると、余り低濃度とは必ずしも言えないのです。

 それから、ほかの所でも数パーセント程度というのがありました。通し番号16ページの下から3番目の所で「三酸化二アンチモンの添加量が低い製剤の取り扱い作業」で、これは難燃剤・着色剤・触媒等の用途、いずれも添加量はそれぞれ5%、1%、0.1%と。普通からすると5%や1%というのは極めて低濃度とは必ずしも言えないのです。0.1%というのは1つの過去の適用除外の考え方からするとあり得るレベルだと思うのですが、その辺りが少し気になります。

○菅野座長 特定化学物質では、1%未満というのがありますが、それとはどういう関係になるのでしょうか。

○唐沢委員 そうですね。やや気になるところなのです。

○小野委員 三酸化二アンチモンが樹脂のマスターバッチみたいな中に入っている場合は、かなり出てこない可能性が高いと思うのですが、製剤で使っているナノにくっ付いているなどという場合は、中というよりは表面に付いているというイメージになりますので、含有量自体よりも、もし発散するとすれば、発散量が高くなる可能性はあると思いますので、そこがちょっとグレーゾーンです。溶液の中も多分大丈夫という形になると思うのですが、その製剤の扱いは、今までに余りなかったのか、気が付かなかったのか、ということなのですが、そこの扱いは課題になるかもしれません。どういうものが実際にあるのかというのがちょっと見えないものですから、そこはもう少し追加の情報が必要かもしれません。

○菅野座長 それから、頂いた御意見の中に、もちろん方向としては正しいと思うのですが、ポリマー中に含まれるからばく露のおそれが極めて小さいというのが何回か出てくるのです。あるいは触媒として扱うというところもばく露のおそれが小さいとありますが、実際に出てこないというデータがあれば非常にクリアに決定ができるのです。業界としてそういうデータをお持ちであれば、参照させていただくことが可能でしょうか。

○藤間委員 57条の表示の所で、最近、いろいろペレット状のものなどの除外などがいろいろ入ってきていると思うのですが、そのクライテリアはどうなっていますか。

○森戸化学物質対策課長 解釈では、粉状のものはインハラブル粒子以下のものをいうということになっており、それ以上のものは、粉状とはいわない。ここでいうとペレット状は粉状と取り扱わないという考え方です。

○藤間委員 ですから、例えば表面コーティングのものなどで、元の粒子形状によって、該当するか、しないかというところと、あと、それとは別に、粒子自身がこすれ合ってはがれるという、ちょっと別の問題なのかもしれないのですが。その辺りはうまく整理できるのではないかと思うのです。

○菅野座長 調査結果で、粉で扱う場合と樹脂に含まれる場合の区別は可能であろうと思いましたが、ほかに、作業頻度又は作業時間が非常に小さい所から除外をしたほうがよいという御意見もあったのですが、それについてはいかがお考えでしょうか。

○保利委員 年数回などというのは、やはり非定常の作業ですよね。だから、それと定常作業というのは区別していいのではないかと思います。

○菅野座長 作業時間についてはいかがでしょうか。

○小野委員 御意見だと、1度に50kgとか100kgは少ないので規制に入れないでほしいというものがあるのですが、50kg100kg1日と言われると、ちょっとそれは厳しいのではないか。

○菅野座長 そうですね。

○小野委員 設備投資をしないために、先ほども大前先生からの御意見があったと思うのですが、そこの作業だけはマスクで作業者が守れたとしても、粉体がその周りに行ってしまうということを考えると、やはり高リスクの所は何らかの囲い込みという形がなければ、やはり厳しいのではないかという。短時間とか少量だからフリーでよいというのは、ほかの作業場への影響を考えると、ちょっとそれは緩くしすぎというか、もう少し考えた規制が必要だと思います。

○保利委員 作業の内容に応じた対策を考えることは必要だと思うのです。

○大前委員 先ほど難燃助剤の話があったと思うのですが、難燃助剤の場合は、あえて入れて作るわけですよね。それが先ほど数パーセントから一番多いのは20%ぐらいとおっしゃいましたよね。そうすると、そういう難燃助剤を入れた繊維、製品ですよね、製品も規制するかということになると、これはちょっと、結構厳しいと思うのです。要するに、1%を超えているからということで、出来上がった先でそれを加工するところまでを全部入れてしまうのかと。その辺りの考え方を整理しないといけないと思うのです。1%を超えた場合でも、ポリマーの中に入っているというようなことがあれば、それは出てこないだろうと。それが三酸化二アンチモンの形なのか、あるいは、ひょっとしたら変わっているかもしれないとおっしゃっていましたが。そこのところを整理しておかないとまずいと思います。単純に1%だけだとまずいと思います。

○菅野座長 難燃助剤として、例えば最大値が20%入っているような繊維の場合、それを切断したりしたときに。

○大前委員 当然それを売るわけですから、売った先で使って何かやるわけですよね。

○菅野座長 出るか、出ないかというデータがないかと思うのですが。

○大前委員 多分、繊維片が回れば、それは当然出ますよね。

○小野委員 出ますけれども、三酸化二アンチモンがそのまま出るか、樹脂にくるまれた状態で出るか、そこですね。

○大前委員 そうなのです。アンチモンとして測れば出るに決まっているのですが。そういうタイミングのものは、体内に入っても大丈夫そうな気がするのですけれども。消化されないと思うので。

○菅野座長 おっしゃられたのは、要するに、アンチモンの粒があって、その周りにポリマーが付いているからということですよね。

○大前委員 はい。そのポリマーは、多くのものは、多分、消化されないと思うので、肺に蓄積というのはあるかもしれませんが、消化管から吸収ということは余り考えなくていいと思うのです。もし可能だったら、例えば、そういう難燃助剤を入れた繊維を、例えば人工胃液や人工腸液などに入れてもらって、どれぐらい溶けるかなどというデータがあると、吸収が大丈夫かどうかということは判断できますよね。

○菅野座長 胃のほうは、根拠がないですが私も大丈夫だと思うのですが、肺のほうがむしろ。

○大前委員 肺のほうは、人工肺胞液というのが作れますから、それでやってみて、溜ってしまうと別ですが。繊維が蓄積してしまって出てこないというようなことは、じん肺の話になってしまうので、ちょっと別の話ですが。そういうポリマーの中に含まれているようなものをどう扱うかというのは、やはりどこかで一回整理しなければいけないですね。それはコンパウンドみたいなものも同じだと思うのですが。

○小野委員 ナノ物質は結構、今、そういうデータが出てきているのです。

○大前委員 そうですか。

○小野委員 ヨーロッパのグループが、やはりナノの入ったコンパウンドといったものをガリガリやっていて、それで、くずが出て、それでナノが本当に出てくるかどうかというもののデータはあるのです。ただ、ほかの物質について、そこまでやっている研究例があるかどうかというのは分からないです。恐らくみんな、樹脂や繊維などに入っていれば大丈夫だろうと信じて測定しないでいるというのが現状だと思います。

○菅野座長 ナノについてはデータが出ているということですが。

○小野委員 はい。

○菅野座長 その場合はどうなのでしょうか。

○小野委員 細胞毒性も見たりとか、そういった研究もあるのですが、あるかどうかを調べてみることはできるかもしれません。

○菅野座長 難燃性の繊維を作っておられる会社には、そのようなデータがあるということはないのでしょうか。

○北村化学物質情報管理官 確認してみます。

○菅野座長 多分、繊維というか、布などにすれば、一般家庭で使うものもあるわけですよね。そうすると、そちらのほうで何かないのでしょうかね。

○小野委員 2008年や2009年のデータでは、ばく露量のデータがなかったので、niteのリスク評価などではそういう消費者ばく露や、製品からのばく露については無視するという形で。

○菅野座長 「無視できる」ではなくて「無視する」なのですか。

○小野委員 データがないので計算できないという扱いということになっているようです。これは2008年や2009年に出ている評価書ですが。

○菅野座長 確か感作性もあるということでしたので、一般家庭で広く使われていて、触ったりすれば、ある程度感作される人が出てきてもおかしくはないと思いますが。もしそういう事例がないとすれば、余り出てくることを考慮しなくてもいいということになるかもしれません。ただ、残念ながら、そのデータがないので、推定ということですよね。

 そうしますと、措置については、一応、粉を扱う作業とそれ以外のものは分けて考えることができるのではないかということでよろしいですか。作業頻度、作業時間については頻度が非常に小さいものについては定常作業ではないので別途考えるということで。

○保利委員 非定常の作業は分けて考えてよいと思います.ただし,何らかの対応は必要ですので、取扱いに関してはまた少し考えたほうがよいと思います。

○菅野座長 定常作業の場合、作業時間が短くとも、扱っている量がキログラム以上のオーダーであるということで、処理する必要があるということになるかと思います。それからペレットを扱う作業でも、同じ作業場で粉体を扱っているような場合については、粉体に対する対策を完璧にすることが重要という御指摘がありました。あともう1点は、触媒としての使用というところの測定データはないということですね。

○小野委員 そうですね、ばく露実態調査ではデータがないですね。

○菅野座長 何か御意見等はいかがでしょうか。それからもし可能でしたら、ばく露濃度が低いと思われるという御意見の所の、何かそれをバックアップするようなデータをもしお持ちでしたら、御提供いただきたいと思うのですが。

○北村化学物質情報管理官 はい。

○保利委員 先ほどのM社のA測定でポコッと高いのが出ていた部分です。あれは時々そういうことが起こるものなのか。それとも本当に異常なのか。個人ばく露では出ていないので、8時間測ってもそれほど出るようなものではないような気がするのですけれども。

○藤間委員 個人ばく露、240分ではちょっと高いですよね。

○保利委員 ちょっと高いですね。

○藤間委員 ちょっと高いですよね。

○保利委員 こういうのがある確率でポコポコ起こるものなのかどうかですね。であればペレットであっても少し注意しなければいけないのかなという気がするのですが。

○菅野座長 粉砕機があったというお話でしたよね。

○菅野座長 粉砕機って、シュレッダーみたいにこう、グルグル回って。

○オブザーバー かなりガラガラガラという派手な音を立てて砕いているふうに見えます。

○菅野座長 オープンになっているのですよね。

○オブザーバー いいえ、投入口がホッパー型になっていて、中に入るとシュレッダーみたいに自動的に検知するらしくて、中で歯が回っているような感じなのですが。出てくるのは何と言ったらいいのだろうか、砂粒みたいに丸くはなっていないのですけれども、大きさ的にはまあ、その程度。

○菅野座長 いや、そういう機械的な粉砕ですと、すごく細かい粒子にはならないとは思うのですけれど。

○オブザーバー そういうふうに見えます。

○菅野座長 確か100μmの直径ですと、それ1個で1μgぐらいありますと。起こり得ないとは言えないかと思います。このM社の一番上のデータについては1つだけなのですね。

○オブザーバー 1つというのは。

○菅野座長 つまり測定値が1つだけ大きいのですね。

○オブザーバー そうです。

○菅野座長 つまり2つ大きくて、3つ小さいなどというのではないと。

○オブザーバー そういうことでしょうね。

○オブザーバー そうです。サンプラーをこれは同時測定しているので、この数だけ。

○保利委員 a1-1a1-2と2か所とも高い値がありますが,これは別のところですか。それぞれにそういうところが出てきているのですか。

○オブザーバー 測定点にサンプラーを複数置いて、ヨーイドンで回してというやり方をしています。

○保利委員 a1-1a1-2というのは同じ作業場で,午前と午後でやっているということでよろしいですか。

○オブザーバー はい、全くそのとおりです。図面が付いていましたか。こういう大きな工場の中でモールド機が10数台ありまして、その広い所に測定器を6か所置いてサンプリングしています。午前、午後は同一の建屋の中でやっています。

○保利委員 ということは午前にも午後にも出てきているということですね。このポコッと高いのが。

○オブザーバー そうですね。

○保利委員 ということは,これは異常値というわけではなくて,ある頻度であり得るのですね。

○オブザーバー N社もM社もそうなのですが、ペレット樹脂中のアンチモンの含有率は両方とも5%でして、これを粉塵濃度に換算すると例えば、M社の0.26mg/m3 というのは粉塵濃度で換算すると5.2mg/m3 です。0.23のほうが4.6mg/m3 ということで、普通に考えるとものすこごい粉塵が、もうもうとした状態ということになりますけれども、実際に職場を見るとそうではなかったというのが、先ほど話があったとおりです。そういったことからも何か飛び込んでしまったのかなと思います。

○藤間委員 吸引されるようなものではないということですね。

○櫻井委員 幾何標準偏差がべらぼうに大きいですよね。18とか14とかね。だから本当に分布がどうのこうのという話ではないですね。ポンと何か入ったんですかね。

○菅野座長 実際に5つのデータを御覧になりますか。

○保利委員 そうですね、できれば。

○菅野座長 それでは恐縮ですが、次回にこの2つの事象について、11つの結果を。

○オブザーバー 生データを。

○菅野座長 はい、生データで。つまり5点測られたか、6点測られたかで、幾らか高いというのが、どのぐらいの割合になっているのかということを確認していただければ。

○オブザーバー 特異データとして外して、同じ計算をして結果を出すという。

○菅野座長 それもしていただいたほうが良いかと思いますけれども。通常、これだけ標準偏差が大きければ。

○オブザーバー まあ多分かなり小さくはなると。

○菅野座長 除外するものではないのでしょうか。

○保利委員 頻度が低いのは間違いないのですけれども。こういうことが、起こり得る。吸入される可能性がなければ特に問題ないと思うのですけれども。そこのところだけがちょっと気になる。

○オブザーバー 粉砕機で出てくる粉状になったもので、当然手にもしかざせばフワッと付いてくるという状況で、付いている粒粒は見えるのですが、残念ながら吸引性になると、出ていたとしても目には見えていないので、何とも言えないのですけれども。少なくとも機械的な破砕をしているので、余り細かいものはないであろうということを考えますと、もう目で見える範囲の大きさなので、パッとはたけば何となくフワッと落ちていくという状況ですが、プラスチックなので必ずしも砂粒のように、はたいた途端に下に落ちるというわけではない。ということは、人が動いたときにある程度、もしどこかに付着していたものが巻き上がる可能性はあるのかと思います。

 粉砕機というのはこのモールドの射出成形機のほとんど全てに付いていまして、機械の裏のほうにあって、ロボットで注入して出来上がったものの鋳型を外して、取り出して、カットして、製品を落とし、残ったものを粉砕機内に落とすということを、ロボットがずっと繰り返しやっていまして、落ちたときには中でガラガラガラというように粉にしている。ですので、もしかしたら少しは巻き上がってホッパーの近所に粉末が付いている、人が動いたりすると巻き上がるかもしれないという。これは全くの推定ですけれども、そういう可能性は考えられるというように現場を見て来た時点では思っています。現場自体は空気も澄んでいますし、煙っているというような状況でもなく、かなり大きな建屋で向う側までレーザー式の距離計がきちんと使えるくらい、何十メートルかあるのですけれども、そのぐらい澄んでいます。30mほど遠くのほうでもレーザー式の距離計のビームがきちんと行って帰ってくる。当然きれいだというように見えるので。レーザー光のビームが当然見えないぐらいの空気でした。ですので何とも。現状としてはそういうことなので。

○菅野座長 それ、ロボットというお話でしたけれども、作業者はほとんどいないということですか。

○オブザーバー いいえ、結構な人数が付いていまして、少なくともこのとき、3人の人がサンプラーを付けてくださった。それ以外にも数人働いておられたし、それから床の掃除をする、モップを持って、ずっとグルグル回る人がときどき回ってきていたので、延べでは10人ぐらいが出入りしている可能性があります。出来上がったものを取りに来る人もいますし。

○菅野座長 どうもありがとうございます。

○大前委員 今のプラスチックは、粉砕しているプラスチックですね、すごく硬くてバラバラになるタイプですか。あるいは結構粘性があってと言いますか。

○オブザーバー 作っているもの自体が。

○大前委員 例えば、こうやってぐっと曲げると曲がる。

○オブザーバー 曲がる。ある程度は弾性のあるタイプだと思います。セラミックみたいにカチカチで、要するにこう、圧力をやると粉になってしまうようなものではない。

○菅野座長 ほかにはいかがでしょうか。作業の区別という点については、御意見が出たかと思いますけれども、今日はこれでよろしいでしょうか。

○北村化学物質情報管理官 そうですね、先生方から頂いた御質問ですとか、もしその事業者団体様で何かデータがありましたら、それを頂きまして、次回の検討会で先生方にお示しできればと思います。

○藤間委員 違う点ですがよろしいですか。多分これ、一番ばく露が大きいのは三酸化二アンチモンの揮発炉ですかね。そこで前回御説明いただいた中では、いろいろ囲い込みとか、そういう措置が困難であるというお話がありました。多分これが一番やっかいなところではないかと思うのですが、ちょっと分からないのは何で囲い込みができないのか。あるいは今後いろいろ措置の検討に当たってどういうことができるのか、できないのか。その辺りを明確にしたほうが。単に著しく困難な場合として、そういうことができないという話になってしまうのか。いまいち、そこが分からなかったところです。今後そういう発塵するような作業場をどう封じ込めていくのか考える上で、やはりもう一度その辺りの構造とか、何度も言いますが、何ができるのかをお聞きしたいなという気がいたします。

○菅野座長 それは問い合わせていただくということですか。

○藤間委員 そうですね、ですから日本鉱業協会さんにその辺りのことを。

○北村化学物質情報管理官 はい。

○藤間委員 前回のところで分からなくて、全体の流れとしては工業協会さんは「できない」と、そういう措置はなかなか講じることができないという話で、一方でいろいろな鉛とか、そういう前例からいったら、できるのではないかという話があったのですが、そこに多分少し齟齬があったように思いますので、その辺りも認識をクリアにしたいと思っています。

○保利委員 例えば揮発のj3など、こういうところでは囲い式の局排は設置はされているのですよね。されているけれども効果がないという話なのですよね。これは設置の仕方が悪いのか、それとも本当にどうしようもないのかというところですよね。

○藤間委員 そうです。

○保利委員 そうでしょう。やはり確かにそうなのですね。一応、設置されているということは何とかしようと考えられているのだろうと思うのですが、その効果がどうしても駄目なのかどうなのかというところですよね。

○藤間委員 やろうとすると莫大な、エアのバランスなどのいろいろな関係がプロセスにはあるでしょうから、そういうところのお話を聞きたいなという気はいたします。

○角田化学物質評価室長 私どもから再度そこは確認させていただきますし、状況によってはまた御説明をお願いする形を考えたいと思います。

○菅野座長 ほかの粉体を扱う作業については、基本的に局排が設置可能であると考えてよろしいのですよね。

○保利委員 と思いますけれどね。

○菅野座長 ほかに御意見、御質問等があればお願いします。特に御意見、御質問がなければ本日の議論はこれで終わりにしたいと思います。よろしいでしょうか。では幾つか質問事項が出ましたので、どうかよろしくお願いします。最後に「その他」の項目について事務局から御説明をお願いします。

○北村化学物質情報管理官 それでは「その他」ということで、お手元の資料のホチキスで止めていないもの、資料3です。今後の予定です。まず、次回の予定の第5回は1130()、時間はいつもと違い3時から開始となっております。場所は経済産業省別館114号室ということで、場所も違いますので御注意ください。第6回は1214()1時半からということで、場所は未定となっております。そのほか予備日として1225()1時半からということで、残りは3回を予定しております。事務局からは以上です。

○菅野座長 それでは第4回の健康障害防止措置検討会を終わりにしたいと思います。ありがとうございました。


(了)

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