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2015年9月18日 第107回労働政策審議会職業安定分科会 議事録

職業安定局総務課

○日時

平成27年9月18日(金) 16:00~18:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 厚生労働省職業安定局1・2会議室(12階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議事

○総務課長 定刻より少し早いのですが、皆様おそろいですので、ただいまから第107回労働政策審議会職業安定分科会を開催いたします。本日の委員の出欠状況ですが、公益代表の阿部委員、岩村委員、太田委員、玄田委員、労働者代表の林委員、使用者代表の河本委員、熊谷委員、鈴江委員、深澤委員が御欠席です。

 本日は分科会長である阿部委員が御欠席です。そのため、労働政策審議会令第6条第8項に基づき、分科会長代理にその職務を代理していただきます。分科会長代理については、同条項により、分科会に属する公益委員の中から分科会長があらかじめ指名することとなっております。本分科会の分科会長代理については、阿部分科会長より鎌田委員を指名する旨の御連絡がありましたので御報告申し上げます。以降の議事進行は、鎌田分科会長代理にお願いいたします。

○鎌田分科会長代理 今御説明いただいたとおりのことで、本日は私が分科会長を代理して議事を進行したいと思っていますので、御協力のほど、よろしくお願いいたします。カメラ撮影はここまでとさせていただきます。

 それでは、議事に入ります。最初の議題は「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律の施行等について」です。本件については、本日付けで厚生労働大臣から労働政策審議会長宛て諮問を受けており、本日開催された労働力需給制度部会において報告が取りまとめられていますので、事務局から報告をお願いいたします。

○派遣・請負労働企画官 需給調整事業課より、派遣法の施行に伴う政省令等の要綱について御説明いたします。資料No.1-11ページ目が厚生労働大臣から労働政策審議会宛ての諮問文です。派遣法の施行に関して、政令1本、省令1本、告示4本の計6本について審議会の御意見を求めるものです。以下、その内容について順次御説明いたします。

 別紙1です。政令案の要綱についてです。第一は派遣法の施行令の一部改正です。これは、いわゆる26業務について削除するというものです。

 第二は「経過措置」です。一は、労働者派遣の許可に関する経過措置で、今回の派遣法の改正法の施行日前に、一般労働者派遣の許可の申請をした者の許可の基準については、なお従前の例によるものとするものです。

 二は、許可の有効期間に関する経過措置です。1で、改正法の施行の際、現にされている改正前の派遣法の規定によりされた許可の有効期間の更新の申請は、改正後の派遣法の規定によりされた許可の有効期間の更新の申請とみなすものとすること。2は、有効期間の更新の基準については、なお従前の例によるものとすること。

 三は「特定有期雇用派遣労働者等の雇用の安定等に関する経過措置」です。1は、新法により、派遣元は派遣先に対して、特定有期派遣労働者に対して労働契約の申込みをすることを求めることなどが規定されていますが、こうした規定については、改正法の施行日以後に締結される派遣契約による労働者派遣あるいは派遣労働者について適用するものとすることとしております。2は、新法による労働者派遣の役務の提供を受ける期間に関する規定は、改正法施行日以後に締結される派遣契約による労働者派遣及び派遣就業について適用し、改正法施行日前に締結された派遣契約による労働者派遣及び派遣就業については、なお従前の例によるものとすること。3は、改正法施行日前に締結された派遣契約に基づき行われる労働者派遣については、次に旧法の規定がありますが、これは期間制限を超えて派遣労働者を使用する場合、労働契約の申込みの義務の対象となるといった規定です。そういった規定については、なおその効力を有するものとすることというものです。第三の「施行期日」は、平成27930日から施行としております。

 別紙2です。これは省令案の要綱です。第一「労働者派遣事業の許可等」の一「許可の申請等の添付書類」ということで、許可の申請書に添付すべき書類として、()の派遣元責任者講習を修了したことを証する書類。あるいは()の派遣労働者のキャリア形成の支援に関する規程などを追加しております。

 二「労働者派遣事業の許可の基準」です。これは許可の基準の中に、「派遣労働者の雇用管理を適正に行うに足りる能力を有する者」というものがありますが、その基準を省令で定めるものです。次のページで、派遣労働者のキャリア形成を支援する制度や、そのほか、派遣労働者に係る雇用管理を適正に行うための体制が整備されていることなどを規定しております。

 三は、許可申請書に記載した事項の変更の届けに関するものです。四は、特定労働者派遣事業の廃止について規定しております。

 第二「労働者派遣事業」の一「事業報告」です。中身として、提出期限や、()で、記載する事項として雇用安定措置の実施状況、キャリアアップ措置の実施内容等を追加することとしております。

 二「労働者派遣契約」です。1は、派遣契約締結の際に定める労働者の配置の区分についてで、名称のいかんを問わず、業務の関連性に基づいて派遣先が設定した労働者の配置の区分であって、配置された労働者の業務の遂行を指揮命令する職務上の地位にある者が、当該労働者の業務の配分及び当該業務に係る労務管理に関して直接の権限を有するものとすることとしております。2は、派遣契約締結の際に定める事項として次の事項を追加するというもので、()として、労働者派遣の役務の提供の終了後、当該労働者派遣に係る派遣労働者を派遣先が雇用する場合に、派遣元事業主にあらかじめその旨を通知すること。手数料を支払うことその他の派遣元事業主と派遣先との間で紛争が生じないようにするために講ずべき措置。()として、派遣労働者を、無期雇用派遣労働者又は60歳以上の者に限定するか否かの別を規定しております。3は、海外派遣に係る派遣契約締結に際し講ずる事項として、次のページにかけて規定しております。

 第三「雇用安定措置」です。一「特定有期雇用派遣労働者等」としておりますが、雇用安定措置の対象となる者についての規定です。1で、派遣先の事業所その他派遣就業の場所における同一の組織単位の業務について、継続して1年以上の期間、当該労働者派遣に係る労働に従事する見込みがある者であって、当該労働者派遣の役務の提供の終了後も継続して就業することを希望しているものとすること。2は、1の関連で、1の派遣労働者の希望は、派遣元が、当該派遣労働者の役務の提供が終了する日の前日までに、派遣労働者に対して聴取するものとすること。3は、その他、雇用の安定を図る必要性が高いと認められる者について、当該派遣元事業主に雇用された期間が通算して1年以上である有期派遣労働者とすること。4は、派遣労働者として期間を定めて雇用しようとする労働者であって、雇用の安定を図る必要性が高いと認められるものについては、当該派遣元事業主に雇用された期間が通算して1年以上である派遣労働者として、期間を定めて雇用しようとする労働者とすることとしております。

 二「雇用安定措置の実施」です。12がありますが、これは雇用安定措置の実施方法について定めているものです。1で、派遣元事業主は、これは法律上幾つか措置があるのですが、そのいずれかの措置を講ずるように努めなければならないものとするものです。2は、派遣元事業主は、継続して3年、派遣で業務に従事する見込みがある場合については、そのいずれかの措置を講じなければならないものとすることなどを規定しております。

 三「雇用安定措置の内容」です。1は、中身としては、雇用安定措置の中に、派遣労働者としての就業の機会の提供というものがありますが、その就業について、省令で定める事項に照らして合理的なものに限るとされており、その事項について定めるものです。具体的には、特定有期雇用派遣労働者等の居住地、従前の職務における待遇その他、派遣労働者の配置に関して通常考慮すべき事項と定めております。2は、雇用安定措置の中の教育訓練についてですが、新たな就業の機会を提供するまでの間、継続して雇用して行う教育訓練(当該期間、特定有期雇用派遣労働者等に対して賃金が支払われる場合に限る)とすることとしております。3、その他の雇用安定措置として、例えば()で、派遣元事業主による紹介予定派遣と規定しております。

 第四「労働・社会保険の適用の促進」です。一は、派遣元が派遣労働者を雇用する場合の待遇に関する事項の説明です。その中で、健康保険法の被保険者資格の取得の見込み等に関する事項を追加することとしております。

 二「派遣先及び派遣労働者への通知等」です。1で、派遣元事業主は、健康保険等の資格取得届が提出されている場合については、派遣先に対して、その事実を証する書類の提示等によって示さなければならないなどを規定しております。2で、派遣元事業主は、資格取得届が提出されていない場合には、その具体的な理由を派遣労働者に対して明示しなければならないものとすることとしております。

 第五「その他の派遣元事業主が講ずべき措置」です。一「派遣元責任者の基準」として、過去3年以内に派遣労働者に係る雇用管理の適正な実施のために必要な知識を習得させるための講習として、厚生労働大臣が定めるものを修了していることとしております。

 二「派遣元管理台帳に記載すべき事項」として、1で教育訓練、2で、これは相談の機会等の確保等の援助を行った日や、その内容を追加するということとしております。

 第六「均衡待遇の推進」で、一「派遣先の教育訓練の実施の配慮の例外」です。これは派遣先による適正な派遣就業の確保について、教育訓練の実施について配慮するという規定があるのですが、その例外ということで、当該教育訓練と同様の訓練を派遣元において既に実施された又は実施することが可能である場合とすることとしております。二は、業務の円滑な遂行に資する福利厚生施設として給食施設等を規定しております。

 三「派遣労働者の賃金の適切な決定のため派遣先が講ずるように配慮すべき措置」として、()派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事する当該派遣先に雇用される労働者の賃金水準に関する情報の提供。()派遣労働者の従事する業務と同種の業務に従事する一般の労働者の賃金水準に関する情報の提供などについて規定しております。

10ページの第七「労働者派遣の役務の提供を受ける期間」です。一「労働者派遣の役務の提供を受ける期間の対象外」として、期間制限の対象外となる者として、60歳以上の者とすることとしております。

 二、派遣可能期間を延長する際の過半数労働組合等からの意見聴取手続についてです。1で、過半数労働組合等の意見を聴くに当たっては、次に掲げる事項を書面により通知するものとすることとして、()派遣可能期間を延長しようとする事業所等。()延長しようとする期間としております。2で、過半数代表者は、次のいずれにも該当する者とすること。()監督、管理の地位にある者でないこと。()意見聴取される者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の民主的な方法による手続により選出された者であることとしております。3で、派遣先は意見を聴いた場合には、次に掲げる事項を書面に記載し、3年間保存しなければならないということで、記載する事項として、()から()までの事項を規定しております。4は、3に掲げる事項の周知についての規定です。

 三「過半数労働組合等への説明その他の派遣可能期間の延長に当たっての事項」として、1は、異議が述べられた場合の説明事項は次のとおりとすることということで、()派遣可能期間の延長の理由及びその期間。()過半数労働組合等の意見への対応に関する方針としております。2は、派遣先は過半数労働組合等に対して説明を行った場合には、説明を行った日及び内容を書面に記載し、3年間保存しなければならないものとすること。3については、その周知についての規定です。

13ページの四「不利益取扱いの禁止」です。派遣先は、労働者が過半数代表者として正当な行為をしたこと等を理由として、当該派遣労働者に対して不利益な取扱いをしないようにしなければならないものとすること。

 五「派遣可能期間の延長の際の通知」ということで、派遣先から派遣元への通知は書面の交付等により行わなければならないものとすることとしております。

 第八「特定有期雇用派遣労働者の雇用等」です。一「特定有期雇用派遣労働者の雇用の対象」ですが、派遣先に雇入れの努力義務が掛かる特定有期派遣労働者について、法律の規定の第30条第1項第1号の措置、具体的には、派遣元から派遣先に対して労働契約の申込みを求めるといった措置が講じられた特定有期雇用派遣労働者とすることとしております。

 二「派遣先に雇用される労働者の募集に係る事項の周知の対象」として、中身としては継続して3年、派遣労働者に従事する特定有期雇用派遣労働者であって、先ほどの法第30条第1項の措置が講じられた者を対象とするということです。

14ページの第九「派遣先管理台帳」ということで、台帳に記載する教育訓練については次のとおりとするということです。()業務の遂行の過程内における実務を通じた実践的な技能及びこれに関する知識の習得に係る教育訓練であって、計画的に行われるもの。()業務の遂行の過程外において行われる教育訓練。二として、台帳の記載事項に派遣労働者が派遣就業する組織単位を追加することとしております。

 第十「労働契約申込みみなし制度」です。今回の派遣法の改正後の、平成24年改正後の法律に基づく規定ですが、この第34条第3項の規定により、就業条件等の明示に当たって、みなし制度に該当する行為があったときは、労働契約の申込みをしたものとみなされることなどの明示について、書面の交付等によって行うといった中身になります。

 二は、この中身ですが、労働契約申込みみなし制度の対象から除かれるものについて規定しており、今回の改正で設けられる派遣可能期間を延長しようとする際に過半数労働組合から意見を聴取する手続について()から()が行われない場合については、申込み制度の対象から除かれるといった内容です。三は、助言等に係る厚生労働大臣の権限を、都道府県労働局長に委任するというものです。

 第十一「職業安定法施行規則の一部改正」ということで、労働者派遣の許可を受けた者が有料紹介の許可を申請するとき等は、定款、寄付行為、登記事項証明書等の添付書類は要しないというものです。二は、有料紹介の許可申請書に記載した事項の変更に係る規定です。

16ページの第十二「その他」ということで、施行期日、この省令を平成27930日から施行するものとすること。ただし、第十については同年101日から施行するものとすることとしております。

 別紙3です。ここから告示になります。中身としましては、法律で派遣の許可基準について、派遣労働者の雇用管理を適正に行う能力を有する者というのもあるのですが、さらに省令の中でその基準として、派遣労働者のキャリア形成支援制度を有するというものがあります。告示ではその基準を更に定めるものです。

 第一「キャリア形成を支援する制度の基準」、1、労働者派遣を行うに当たり、対象となる派遣労働者のキャリア形成を念頭に置いて派遣先の業務を選定する旨を明示的に記載した手引を整備していること。2、その雇用する全ての派遣労働者が利用できる、派遣労働者の職業生活の設計に関する相談窓口を設けていること。3、相談窓口にキャリア・コンサルティングの知見を有する担当者を配置していること。4、教育訓練の実施計画を定めていること等を規定しています。二「適用期日」で、この告示は平成27930日から適用するものとすることとしております。

 別紙4です。これは派遣元責任者講習について定める告示です。第一「派遣元責任者講習」の一の1では、講習機関の施設、設備、講習の実施方法その他の講習に関する事項は、講習の適正かつ確実な実施に適合したものであること。2は、講習機関の経理的及び技術的な基礎が、講習の適正かつ確実な実施に足りるものであること。

 二として、派遣元責任者講習は、この告示で定める講習機関が行う派遣労働者に係る雇用管理を適切に行うに足りる能力を養成するための講習とすること。第二「適用期日」で、この告示は平成27930日から適用するものとすることとしております。

 別紙5は派遣元指針です。第一「派遣元が講ずべき措置に関する指針の一部改正」として、労働者派遣契約の締結に当たって講ずべき措置に次の内容を追加する。中身ですが、派遣元事業主は、労働者派遣の終了後に派遣労働者を派遣先が雇用する場合に、派遣先が当該労働者派遣の終了後に、当該派遣労働者を雇用する意思がある場合には、当該意思を事前に派遣元事業主に示すこと。また、派遣元事業主が職業紹介を行うことができる場合には、派遣先は職業紹介により当該派遣労働者を雇用し、派遣元事業主に当該職業紹介に係る手数料を支払うこと等を定めるよう求めること。

 二は、労働者派遣契約の終了に当たって講ずべき事項として次の内容を追加すること。()派遣元は当該労働者の派遣の終了のみを理由として、当該労働者派遣に係る無期雇用派遣労働者を解雇してはならないこと。()派遣元事業主は、労働者派遣が終了した場合であって、当該労働者派遣に係る有期雇用派遣労働者との労働契約が継続しているときは、当該労働者派遣の終了のみを理由として、当該有期雇用派遣労働者を解雇してはならないこととしております。

 三は、派遣先との連絡体制の確立についてです。派遣元事業主は、派遣労働者の就業の状況が労働者派遣契約の定めに反していないことの確認等を行うとともに、きめ細かな情報提供を行う等により、派遣先との連絡調整を的確に行うこと。特に労働基準法の時間外、休日労働に関する協定の内容等、派遣労働者の労働時間の枠組みについては、情報提供を行う等により、派遣先との連絡調整を的確に行うこと等を定めております。

 四は、派遣労働者の雇用の安定及び福祉の増進等についてです。()無期雇用派遣労働者について留意すべき事項です。募集に当たって、無期雇用派遣という文言を使用すること等により、無期雇用派遣労働者の募集であることを明示しなければならない。()は特定有期派遣労働者等について留意すべき事項です。イ、派遣元事業主が、第30条第2項ですが、これは雇用安定措置の適用を避けるために、業務上の必要性等なく、同一の派遣労働者に係る派遣先の事業所等における同一の組織単位の業務について継続して労働者派遣に係る労働に従事する期間を3年未満とすることは、同項の規定の趣旨に反する脱法的な運用であって、義務違反と同視できるものであり、厳に避けるべきものであること。ロ、派遣元事業主は、雇用安定措置を講ずるに当たっては、当該雇用安定措置の対象となる特定有期雇用派遣労働者等に対して、キャリア・コンサルティングや労働契約の更新の際の面談等の機会を利用する等により、労働者派遣の終了後に継続して就業することの希望の有無及び希望する雇用安定措置の内容を把握すること。ハ、派遣元事業主は、当該雇用安定措置の対象となる特定有期雇用派遣労働者等の希望する雇用安定措置を講ずるよう努めること。また、派遣元事業主は、特定有期雇用派遣労働者が、法第30条第1項第1号の安定措置ですが、これは派遣元が派遣先に対して労働契約の申込みをすることを求めることですが、これを希望する場合には、派遣先での直接雇用が実現するよう努めること。ニ、派遣元事業主は当該雇用安定措置の対象となる特定有期雇用派遣労働者の労働者派遣の終了の直前ではなく、早期に当該特定有期雇用派遣労働者等の希望する雇用安定措置の内容について聴取を行い、十分な時間的余裕を持って当該雇用安定措置に着手すること。

()は、労働契約法の適用について留意すべき事項です。イ、派遣事業主は、派遣労働者についても労働契約法の適用があることに留意すること。ロ、派遣元事業主が、その雇用する有期雇用派遣労働者について、労働契約法による期間の定めのない労働契約の締結の申込みを妨げるために、当該有期雇用派遣労働者に係る期間の定めのある労働契約の期間の更新を拒否し、また、空白期間を設けることは、同条の規定の趣旨に反する脱法的な運用であること。ハ、有期雇用派遣労働者の通勤手当に係る労働条件が、期間の定めがあることにより、同一の派遣元事業主と期間の定めのない労働契約をしている労働者の通勤手当に係る労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働契約法第20条の規定により、労働者の業務内容及び当該業務に伴う責任の程度、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものではあってはならないこと。

()は「派遣労働者等の適性、能力、経験、希望等に適合する就業機会の確保」です。派遣元は、派遣労働者等について、当該派遣労働者の適性等を勘案して、最も適した就業の機会の確保を図るとともに、当該派遣労働者の希望と適合するような就業機会を確保するよう努めなければならないこと。また、派遣労働者等は、その有する知識、技術、経験等を活かして就業機会を得ていることに鑑み、派遣元は、労働者派遣法の教育訓練等の措置を講じなければならないほか、就業機会と密接に関連する教育訓練の機会を確保するよう努めなければならないこと。

()は「派遣労働者のキャリアアップ措置」です。イ、派遣元は、その雇用する派遣労働者に対して教育訓練を実施するに当たっては、教育訓練計画に基づく教育訓練を行わなければならないこと。ロ、派遣元事業主は、派遣労働者として雇用しようとする労働者に対して、労働契約の締結時までに教育訓練計画を周知するよう努めることなど。ハ、派遣元は、その雇用する派遣労働者が教育訓練計画に基づく教育訓練を受けられるよう配慮しなければならないこと。特に、教育訓練計画の策定に当たっては、派遣元は教育訓練の複数の受講機会を設け、又は、開催日時、時間の設定について配慮すること等により、可能な限り派遣労働者が教育訓練を受講しやすいようにすることが望ましいこと。ニ、派遣元はその雇用する派遣労働者のキャリアアップを図るため、教育訓練計画に基づく教育訓練を実施するほか、更なる教育訓練を自主的に実施するとともに、当該教育訓練に係る派遣労働者の費用負担を実費程度とすることで、派遣労働者が教育訓練を受講しやすいようにすることが望ましいこと。ホ、派遣元はその雇用する派遣労働者のキャリアアップを図るとともに、その適正な雇用管理に資するため、派遣労働者に係る労働者派遣の期間及び就業した日、従事した業務の種類、教育訓練を記載した書類を保存するよう努めること。

()は「派遣先の労働者との均衡に配慮した取扱い」です。イ、派遣元はその雇用する派遣労働者の賃金の決定に当たっては、当該派遣労働者の従事する業務と同種の業務に従事する派遣先に雇用される労働者の賃金水準との均衡を考慮しつつ、当該派遣労働者の従事する業務と同種の業務に従事する一般の労働者の賃金水準又は当該派遣労働者の職務の内容、能力若しくは経験等を勘案するよう努めること。また、派遣元は労働者の職務の成果、意欲等を適切に把握し、当該職務の成果等に応じた適切な賃金を決定するよう努めること。ロ、派遣労働者の従事する業務と同種の業務に従事する派遣先に雇用される労働者の賃金水準との均衡を考慮した結果のみをもって、当該派遣労働者の賃金を従前より引き下げるような取扱いは、派遣法第30条の3、これは均衡を考慮した待遇の確保という規定ですが、その趣旨を踏まえた対応とは言えないことということです。ハ、派遣元は労働者派遣に関する料金の額に係る派遣先との交渉が、当該労働者派遣に係る派遣労働者の待遇の改善にとって極めて重要であることを踏まえ、当該交渉に当たるよう努めること。ニ、派遣元は労働者派遣に関する料金の額が引き上げられた場合は、可能な限り当該労働者派遣に係る派遣労働者の賃金を引き上げるよう努めること。ホ、派遣元は労働者派遣に係る業務を円滑に遂行する上で有用な物品の貸与、教育訓練の実施等をはじめとする派遣労働者の福利厚生等について、当該派遣労働者の従事する業務と同種の業務に従事する派遣先に雇用される労働者の福利厚生等の実情を把握し、当該派遣先に雇用される労働者との均衡に配慮して必要な措置を講ずるよう努めること。ヘ、派遣元は、派遣労働者が派遣法第31条の2第2項、これも待遇に関する事項について説明を求めたことを理由として、当該派遣労働者に対して不利益な取扱いをしてはならないこととしております。

()「同一の組織単位の業務への派遣」です。派遣元が派遣先の事業所等における組織単位の業務について、継続して3年間同一の派遣労働者に係る労働者派遣を行った場合において、当該派遣労働者が希望していないにもかかわらず、当該派遣労働者の派遣の終了後3か月が経過した後に、当該派遣先の同一の組織単位の業務について、再度、当該派遣労働者を派遣することは、派遣労働者のキャリアアップの観点から望ましくないこと。

 五は安全衛生に係る措置です。派遣元は、派遣労働者に対する雇入れ時及び作業内容変更時の安全衛生教育を適切に行えるよう、当該派遣労働者が従事する業務に係る情報を派遣先から入手すること。健康診断等の結果に基づく就業上の措置を講ずるに当たって、派遣先の協力が必要な場合には、派遣先に対して当該措置の実施に協力するよう要請すること等、派遣労働者の安全衛生に係る措置を実施するため、派遣先と必要な連絡調整等を行うこと。

 六は情報の提供に次の内容を追加することとして、マージン率の情報提供に当たっては、常時インターネットの利用により広く関係者、取り分け派遣労働者に必要な情報を提供することを原則とすること。また、労働者派遣の期間の区分ごとの雇用安定措置を講じた人数等の実績、教育訓練計画については、インターネットの利用その他の適切な方法により、関係者に対し情報提供することが望ましいこと。第二「適用期日」は、平成27930日から適用するものとすることとしております。

 別紙6は派遣先指針の改正です。第一「派遣先が講ずべき措置に関する指針の一部改正」の一は、労働者派遣契約の締結に当たって講ずべき措置に次の内容を追加すること。派遣先は労働者派遣の終了後に、当該労働者派遣に係る派遣労働者を雇用する場合において、派遣元の求めに応じ、派遣先が当該派遣労働者の終了後に当該派遣労働者を雇用する意思がある場合には、当該意思を事前に派遣元に示すこと。派遣元が職業紹介を行うことができる場合には、派遣先は職業紹介により、当該派遣労働者を雇用し、派遣元事業主に紹介に係る手数料を支払うこと等について定め、これらの措置を適切に講ずること。

 二は、適切な苦情処理についてです。()派遣先が適切かつ迅速な処理を図るべき苦情には、セクシュアルハラスメント、パワーハラスメント等が含まれることに留意すること。()派遣先は、労働者の苦情の処理を行うに際しては、派遣先の労働組合法上の使用者性に関する代表的な裁判例や、中央労働委員会の命令に留意すること。また、派遣先は、派遣労働者の苦情の申出を受ける者、派遣先において苦情処理する方法、派遣元事業主との連携を図るための体制等を労働者派遣契約において定めるとともに、派遣労働者の役務の受入れに際し、説明会等を実施し、その内容を派遣労働者に説明すること。さらに、派遣先管理台帳に苦情の申出を受けた年月日、苦情の内容、苦情の処理状況について、苦情の申出を受け、及び苦情の処理に当たった都度、記載するとともに、その内容を派遣元に通知すること。また、労働者から苦情の申出を受けたことを理由として、当該派遣労働者に対して不利益な取扱いをしてはならないこととしております。

 三として、労働者派遣に関する料金の額についてです。派遣先は、労働者派遣に関する料金の額の決定に当たって、派遣労働者の就業の実態、労働市場の状況等を勘案し、派遣労働者の賃金の水準が、派遣労働者の従事する業務と同種の業務に従事している労働者の賃金水準と均衡が図られたものとなるよう努めなければならないこと。また、派遣先は、派遣契約の更新の際、労働者派遣に関する料金の額の決定に当たっては、派遣労働者の就業の実態、労働市場の状況等に加え、派遣労働者が従事する業務の内容及び責任の程度、当該派遣労働者に要求する技術水準の変化等を勘案するよう努めなければならないこととしております。

 四は教育訓練・能力開発についてです。派遣先は、派遣労働者に対して、派遣法第40条第2項に規定する教育訓練を実施するよう配慮するほか、派遣元が派遣法第30条の2の第1項に規定する教育訓練を実施するに当たり、派遣元から求めがあったときは、派遣元と協議等を行い、派遣労働者が当該教育訓練を受講できるよう、可能な限り協力するとともに、必要に応じた当該教育訓練に係る便宜を図るよう努めなければならないこと。派遣元が行うその他の教育訓練、派遣労働者の自主的な能力開発等についても同様とすることとしております。

 五は、派遣元との労働時間等に関する連絡体制の確立に次の内容を追加することとしております。派遣先は、派遣先管理台帳に、派遣就業した日ごとの始業及び終業時刻並びに休憩時間等を記載し、これを派遣元に通知しなければならないこととされており、派遣先は適正に把握した実際の労働時間等について、派遣元に正確に情報提供すること。

 六は、労働者派遣の役務の提供を受ける期間の制限の適切な運用についてです。派遣先は、派遣労働者による常用労働者の代替及び派遣就業を望まない派遣労働者が、就業先に派遣就業に固定化されることの防止を図るため、次に掲げる基準に従い、事業所ごとの業務について派遣元事業主から、派遣可能期間を超える期間、継続して労働者派遣の役務の提供を受けてはならず、また、事業所等における組織単位の業務について、派遣元から3年を超える期間、継続して同一の派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を受けてはならないこと。()事業所等については、工場、事業所等、場所的に他の事業所その他の場所から独立していること。経営の単位として、人事等において、ある程度独立性を有していること。一定の期間継続して、施設として持続性を有すること等の観点から実態に即して判断すること。()事業所等における組織の単位については、期間制限の目的が派遣労働者の組織単位の業務に長期間にわたって従事することによって、派遣就業を望まない派遣労働者が派遣就業に固定化されることを防止することにあることに留意しつつ判断すること。すなわち、課、グループ等の業務としての類似性や関連性がある組織であり、かつ、その組織の長が業務の配分、労務管理上の指揮監督権限を有するものであって、派遣先における組織の最小単位よりも一般に大きな単位を想定しており、名称に捕らわれることなく実態により判断すべきものであること。ただし、小規模の事業所等においては、組織単位と組織の最小単位が一致する場合もあることに留意すること。()派遣先は労働者派遣の役務の提供を受けた当該派遣先の事業所ごとの業務について、新たに労働者派遣の役務の提供を受ける場合には、当該新たな労働者派遣の開始と、当該新たな労働者派遣の役務の受入れの直前に受け入れていた労働者派遣の終了との間の期間が3か月を超えない場合には、当該派遣先は、当該新たな労働者派遣の役務の受入れの直前に受け入れていた労働者派遣から継続して、労働者派遣の役務の提供を受けているものとみなすこと。()派遣先は、労働者派遣の役務の提供を受けていた当該派遣先の事業所等における組織単位ごとの業務について、同一の派遣労働者に係る新たな労働者派遣の役務の提供を受ける場合には、当該新たな労働者派遣の開始と、当該新たな労働者派遣の役務の受入れ直前に受け入れていた労働者派遣の終了との間の期間が3月を超えない場合には、当該派遣先は、当該新たな労働者派遣の役務の受入れの直前に受け入れていた労働者派遣から継続して、労働者派遣の役務の提供を受け入れているものとみなすこと。()派遣先は、当該派遣先の事業所等ごとの業務について、派遣元から3年間継続して労働者派遣の役務の提供を受けている場合において、派遣可能期間の延長に係る手続を回避することを目的として、当該労働者派遣の終了後3月が経過した後に、再度、当該労働者派遣の役務の提供を受けるような、自主的に派遣労働者の役務の受入れを継続する行為は、同項の趣旨に反するものであること。

 七は、派遣可能期間の延長に係る意見聴取の適切かつ確実な実施を次のとおりとすること。()派遣先は、過半数労働組合等に対し、派遣可能期間を延長しようとする際に意見を聴くに当たっては、当該派遣先の事業所ごとの業務について、当該業務に係る労働者派遣の役務の提供の開始から、当該業務に従事した派遣労働者の数、及び当該派遣先に期間を定めないで雇用されている労働者の数の推移に関する資料等、意見聴取の際に過半数労働組合が意見を述べるに当たって参考となる資料を過半数労働組合等に提供するものとすること。また、派遣先は、意見聴取の実効性を高める観点から、過半数労働組合等からの求めに応じ、当該派遣先の部署ごとの派遣労働者の数、それぞれの派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を受けた期間に係る情報を提供することが望ましいこと。()派遣先は、過半数労働組合等に対して意見を聴くに当たっては、十分な考慮期間を設けること。()過半数労働組合等からの異議への対処に当たっては次のとおりとすること。イ、派遣先は派遣可能期間を延長することに対し、過半数労働組合等から異議があった場合に、当該意見に関する対応を説明するに当たっては、当該意見を勘案し、当該派遣可能期間の延長について再検討を加えること等により、当該過半数労働組合の意見を十分に尊重するよう努めること。ロ、派遣先は、派遣可能期間を延長する際に、過半数労働組合から異議があった場合において、当該延長に係る期間が経過した場合に、これを更に延長する場合に当たり、再度、過半数労働組合等から異議があったときは、当該意見を十分に尊重し、派遣可能期間の延長の中止又は延長する期間の短縮、派遣可能期間の延長に係る派遣労働者の数の減少等の対応を採ることについて検討した上で、その結論を一層丁寧に当該過半数労働組合等に説明しなければならないこと。()派遣先は、()から()までの内容を含め、派遣可能期間を延長する場合における過半数労働組合等からの意見の聴取及び過半数労働組合等が異議を述べた場合の、当該過半数労働組合等に対する派遣可能期間の延長の理由等の説明を行うに当たっては、誠実にこれらを行うよう努めなければならないものとすること。

 八は安全衛生に係る措置についてです。派遣先は、派遣元が健康診断等の結果に基づく就業上の措置を講ずるに当たって、当該措置に協力するよう要請があった場合はこれに応じ、必要な協力を行う等、派遣労働者の安全衛生に係る措置を実施するために必要な協力や配慮を行うこと。第二「適用期日」です。この告示は平成27930日から適用するものとすることとなっています。長くなりましたが、以上が要綱案の内容です。

 次に、労働力需給制度部会での議論の状況について御説明いたします。同部会では、911日から政省令、告示事項について御議論をお願いしまして、それぞれの事項に関し、御質問、御意見等を頂戴いたしました。本日の同部会において、ただいま御説明しました内容の政省令案等の要綱をお諮りし、同部会としまして、資料1-2ですが、厚生労働省案はおおむね妥当と認めるとの御報告を取りまとめていただき、部会から分科会宛ての御報告を頂いております。

 なお、報告については、労働者代表委員から、法律の施行準備期間が極めて短いため、現に従事する派遣労働者の保護に欠けることがないようにすべき。下位法令に係る審議時間と周知期間を十分に確保できたとは到底言えない。国会付帯決議を尊重して、行政により措置や検討等が誠実かつ確実に講じられなければならないとの意見がありました。私からの説明は以上です。

○鎌田分科会長代理 今、御説明があった本件について、御質問、御意見がありましたらどうぞ発言をしてください。

○新谷委員 事務局からの御説明のうち、資料の最後に添付いただいた需給制度部会の報告文案に関して、労働者代表委員の意見について、若干、申し上げたいと思います。

 御説明の中にありましたように、911日にこの改正法案が成立し、その4時間後から労働力需給制度部会での審議が始まったわけです。本日でちょうど1週間ですが、途中4回にわたる審議を重ねてまいりました。法の施行日は930日ということですので、本日の諮問内容にある政令・省令・指針・告示がセットされないと施行されないということですので、本当に限られた時間の中で論議をしてきたわけです。この間、限られた時間の中で、鎌田部会長には御苦労いただいたと思いますが、我々労働側としても十分な論議が行えたとは到底考えておりません。ここの意見にありますように、本当に大きな改正で、かつ国会での大変多くの付帯決議を受けた内容ですので、その内容をただいま諮問があった内容にどのように盛り込むか。もちろんそれは告示よりもう1段階ブレイクダウンした「業務取扱要領」での対応も含めて確認をしてきたところです。しかし、本当にこれは論議の時間と周知の時間とのトレードオフの関係の中で、苦渋の決断の下でこうした取りまとめを行ってきたというのが正直なところです。

 意見として付したように、既に問題が出ておりますが、現に26専門業務で有期雇用の方に雇用に対する影響が出てきておりますので、是非、短期間の周知という中で、派遣労働者の保護に欠けるようなことにならないように、厚生労働省としては全力を挙げ、取り組んでいただきたいと思います。

 また、立法府からもたくさんの付帯決議が付いておりまして、行政府に対し要請が来ているわけです。その要請の中には、措置を求められているものと調査・検討を求められているもの、といった内容もあります。この派遣法以外にもいわゆる同一労働同一待遇法が議員立法で同時に成立しており、あの中にも検討事項が入っているかと思います。立法府からの要請を誠実にかつ確実に実施をしていただくことをお願い申し上げて、補足の意見とさせていただきます。この内容をもちまして、私の意見とさせていただきます。以上です。

○鎌田分科会長代理 ほかに御質問、御意見はありますか。特にないようでしたら、当分科会は、厚生労働省案を労働力需給制度部会からの報告のとおり、おおむね妥当と認め、その旨を私から労働政策審議会会長に御報告申し上げたいと思います。よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○鎌田分科会長代理 ありがとうございます。次に報告文案の配付をお願いいたします。

                               (報告文案配付)

○鎌田分科会長代理 お手元に渡っておりますか。お手元に配付された報告文案により、労働政策審議会会長宛て報告することとしてよろしいですか。

(「異議なし」と声あり)

○鎌田分科会長代理 ありがとうございます。それでは、そのように報告させていただきます。次の議題は、「勤労青少年福祉法等の一部を改正する法律(青少年の雇用の促進等に関する法律関係)の施行等」についてです。本件については、本日付けで厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛て諮問を受けており、本日午前中に開催された雇用対策基本問題部会において、報告が取りまとめられておりますので、事務局より報告をお願いいたします。

○若年者雇用対策室長 若年者雇用対策室長の牛島です。どうぞよろしくお願いいたします。お手元の資料No.2-1、資料No.2-3を使いながら御説明いたします。No.2-1はまず、諮問文、諮問事項3項目です。1点目が青少年の雇用の促進等に関する法律施行規則案要綱。2点目が、勤労青少年福祉法等の一部を改正する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等に関する省令案要綱。3点目は、青少年の雇用機会の確保及び職場への定着に関して事業主、職業紹介事業者等その他の関係者が適切に対処するための指針案。以上、3項目です。

 別紙1が青少年の雇用の促進等に関する法律施行規則案要綱です。第一は「認定事業主の申請手続等」となっておりますが、101日から法律に伴って、青少年の雇用の関係で優良な中小企業について大臣が認定する仕組みを法律上設けております。その基準や申請方法等々についてが省令事項になっております。一「認定の申請」については、申請書に所要の添付書類を付けて労働局長へ提出するということが書いております。二「認定の基準」については、要綱は非常に大部になっておりますので、資料No.2-31ページをお開きください。こちらについて、まず、中段に現行の若者応援宣言企業の宣言基準があります。御案内のとおり、現行、予算事業等で実施している事業について、拡充を図る形で認定制度を設けております。

 マル1適用単位については、認定制度におきましては、現行の応援宣言企業の仕組みから法人単位にしたいということです。マル2若者向けの求人・募集については、宣言企業と同様、新卒者向け又は35歳未満を対象とした正社員求人・募集を行っていただくということです。併せて、これまで宣言企業はハローワーク求人に限定しておりましたが、ハローワーク求人に限定しない形での見直しをやらせていただきたいと考えております。また、求人の提出は認定申請時のみの要件という形にしております。この認定制度は中小企業を対象にしておりますので、毎年度中小企業が求人を出すとは限らないので、初回の認定時におきましては、正社員求人を出していただくことを要件としつつ、2年目以降はそこは不問という形にさせていただくということで書いております。マル3は若者の採用・育成に積極的に取り組む企業であること。マル4は教育研修制度で、人材育成方針、どのように若い人を雇ってから育てていくかというような企業としての方針ないし教育訓練計画、雇ってからステップアップを図っていく段階ごとに、どういった研修を計画的に行っていくかということを計画にまとめていただくことを認定基準に位置付けております。マル5新卒者の採用・定着状況ですが、3年度分の採用実績・定着状況の公表に加えて、過去3年度間の就職者の離職率20%以下という要件を設定しております。ただ、中小企業ですので、過去3年間に新卒者を採用していない場合もありますので、その場合は要件を不問という形で構成を考えております。マル6新卒者以外の正規雇用労働者について、採用実績及び定着状況を公表していることを、宣言企業と同じような形での要件としております。マル7所定外労働時間の実績については、月平均所定外労働時間の公表に加えて、月平均所定外労働時間が20時間以下又は週労働時間60時間以上の者の割合が5%以下という要件を設定したいと考えております。マル8有給休暇の取得実績については、有給休暇の取得日数の公表に加えて、取得率が年70%以上又は年平均取得日数が10日以上。マル9育休については、育休の取得実績公表に加えて、3年度間の男性取得者1人以上又は3年度間の女性の取得率75%以上。こちらは、くるみんの認定制度は男性取得者1人以上かつ女性取得率75%以上と書いておりますが、中小企業を対象にしている認定制度を鑑みて、部会におきましては「又は」という形で整理しております。マル10は、上記に加えて、男女別の新規採用者数や、平均勤続年数といった諸々の情報についてオープンにしていること、公表していることを要件としております。マル11~マル16については、企業の性質等々に鑑みて、例えば認定取消しから3年を経過していないこと、採用内定取消しをしていること等々の該当企業については、認定基準から排除するという構想になっております。要綱のほうでは、そういった中身が3ページから10ページまで記載されております。法令上の用語に書き換えておりますが、今申し上げた内容のことが書かれているということで御承知置きいただきたいと思います。

10ページの三は、認定企業については大臣がマークを定める、表示を定めることになっておりますが、その表示をすることのできる商品等について()()が掲げられております。くるみん制度と同様な整理という形で位置付けております。

4番目、「毎事業年度の報告」。先ほど申し上げたような認定基準があります。数値要件については、企業において年度ごとに変動することがありますので、認定事業主は毎事業年度終了1か月以内に認定状況報告書に書類を添えて、労働局長に提出しなければならないものとすることとしております。ただし、やむを得ない場合については1か月以内に認定状況報告書が提出できないと労働局長が認めた場合にはこの限りではないという形にしております。5番目は、労働局長に対する申出ということです。基準に適合しなくなったときは、自主的に労働局長にその旨を申し出ることができるものとすることということを設けております。

 第二「承認中小事業主団体の申請手続等」については、認定企業については、委託募集の特例というものが法律上設けられております。承認中小事業主団体に募集を委託する場合は、届出により実施することができることとされております。その関係の承認中小事業主団体の範囲や、承認中小事業主団体の基準、承認中小事業主団体の申請の方法といったものについて、縷々の規定を置いております。

 第三「その他」、省令の施行期日は平成27101日からの施行という形で記載しております。

 次に別紙2、整備省令については、資料No.2-32ページ以降を適宜御参照いただきたいと思います。認定企業については、若者の採用に積極的に取り組むという中小企業ですので、国としてもそういった取組を促進する。また認定取得のインセンティブを鑑みて、関係する助成金について認定企業についての額の拡充を準備しております。1項目、トライアル雇用奨励金です。資料No.2-32ページにあるとおり、若者雇用促進法の認定企業で若年者を雇い入れた場合については、通常トライアル雇用奨励金は月額4万円ですが、1万円増額して5万円という形で整理しております。

 次ページ、同様にキャリアアップ助成金については、非正規労働者の正規雇用転換について助成を行っている助成金ですが、こちらについても通常いろいろなケースごとに有期から正規に移行した場合50万円といったこと等々ありますが、認定事業主の若者にこういった該当があったときについては、それぞれここに枠囲みに書いてあるような10万円ないし5万円の加算と整理しております。

 同様にキャリア形成促進助成金については、職業訓練などを実施する事業主への助成措置です。若年人材育成コースで、採用後5年以内かつ35歳未満の若者への訓練を行った場合の助成措置については、通常の助成率2分の1、大企業は3分の1ですが、1段階引き上げて3分の2、大企業は2分の1といった形での額の割増しをさせていただければと考えております。

 それを踏まえての別紙2、資料No.2-115ページです。要綱上、トライアル雇用奨励金制度の改正、キャリアアップ助成金制度の改正、キャリア形成促進助成金制度の改正ということで、今申し上げたような内容を整理しております。なお、この省令は、平成27101日からの施行ということです。

 別紙3、青少年の雇用機会の確保及び職場への定着に関して事業主、職業紹介事業者等その他の関係者が適切に対処するための指針案ということです。19ページから33ページまで大部になっております。恐縮ですが、資料No.2-35ページの概要で御説明いたします。こちらについては、指針の策定方針にあるとおり、法律に基づいて事業主、職業紹介事業者等の関係者といった方々が適切に対処するために必要な指針を大臣が策定することになっております。現行、雇用対策法に基づく指針がありますが、それをベースに今年の1月にまとめていただいた建議、ないしは国会審議でのいろいろな答弁等々、所要の事項を盛り込んでいるという形になっております。

6ページ、(1)事業主が青少年の募集及び採用に当たって講ずべき措置という形で位置付けております。イの「募集に当たって遵守すべき事項」については、労働条件の明示に関して募集時ないし労働契約締結時にいろいろなルールが職業安定法、労働基準法、法律に基づく指針等々にちりばめられているという状況がありましたので、新しく作る指針の中で一覧的に明示していくことを建議で御指摘いただいております。

 それを受けて、四角囲みに書いてあるような職業安定法第5条の3、労働条件の明示、第42条に基づく分かりやすい的確な表示に努めるというような内容や、罰則付きで虚偽の条件表示等に対する罰則があります。こういったものの中身と併せて、国会の審議におきましては、固定残業代について明示事項を明確にすべしというところがありましたので、下に書いてあるような※の内容を指針の中に入れ込んでいるということです。

 また、労働契約締結時の労働基準法第15条の規定、募集から労働契約締結に至る過程において、職業安定法の指針におきましては、明示した労働条件が変更になったときは求職者に対して速やかに通知するといった項目であるとか、締結時から就労実態との関係で、明示された労働条件が事実と異なる場合は、基準法第15条第2項の即時に労働契約を解除可能等々の規定。こういった諸々の規定について、指針上一覧的に記載を設けております。具体的には、資料No.2-1の別紙3の第二の一です。19ページから23ページの()の手前までです。

 採用内定、労働契約締結に当たっての遵守すべき事項については、資料No.2-37ページで、基本的には現行の雇用対策法に基づく指針の記載をそのまま引き写している形になっております。例えば内定を行うに当たっては、採否の結果を明確に伝えるとともに、確実な採用の見通しに基づいて行うよう努めること等々の記載を引き写しております。

 あとは、学校等の卒業者の取扱いで、既卒3年の方を新卒扱いにしていただくという内容であるとか、新卒者に係る採用方法として通年採用、秋採用の導入等を積極的に検討いただくといった内容です。これに加えて、こちらは建議での御指摘事項ですが、「国、地方公共団体等の施策を活用しながら、いわゆるUIJターン就職等による就職機会の提供に積極的に取り組むことが望ましいこと」という記載を盛り込んでおります。

8ページ、選考に当たってのフリーターに対する評価基準については、現行の雇用対策法の指針を一部文言を追加しておりますが、そのまま引き写してきている構造になっております。ヘとして、インターンシップ・職場体験の機会の提供は、建議におきましてインターンシップの積極的な協力ないし、そういった場面における労働関係法令の適用の改めての留意について御議論がありました。3省が策定しているインターンシップの推進に当たっての基本的考え方も引用しつつ、「学校や公共職業安定所等と連携し、インターンシップや職場体験の受入れを行う等の積極的な協力が望まれること」。また、併せて「労働関係法令が適用される場面もあることについて留意が必要である」という記載を盛り込んでおります。

(2)事業主が青少年の職場への定着促進のために講ずべき措置については、要綱では28ページ、第三、雇用管理の改善に係る措置ということです。資料No.2-3で申し上げますと、賃金不払い等の労働関係法令違反が行われないように適切な雇用管理を行うこと等々の記載を設けるとともに、イの一番下のポツですが、国会の御審議等におきまして、新入社員研修の機会を捉えて、労働法制の基礎的な内容の周知を図ることが望ましいということが御指摘としてありました。こういったことについて、指針の中でも望ましいことという形で入れ込んでおります。

 職業能力の開発及び向上に係る措置については、要綱では29ページです。()OJTOff-JTの計画的な実施や、実習併用職業訓練の活用と併せて、必要に応じての教育訓練休暇の付与、始業・終業時刻の変更、勤務時間の短縮措置等の必要な援助を行うよう努めること。各企業の状況を踏まえてのジョブカードの活用、事業内職業能力開発計画の作成、職業能力開発推進者の選任を行うよう努めていただくといったことを、職業能力開発促進法の規定をなぞりながら、引き写している構造になっております。

 第四、職業紹介事業者等が、青少年の雇用機会の確保及び職場への定着促進のために講ずべき措置については、要綱の31ページの第1項目で、青少年の主体的な職業選択・キャリア形成の促進ということです。職業紹介事業者等々については、青少年の希望等を踏まえながら、個々の状況によって支援を行うことが望ましいこと。

 第2項目の中退者・未就職卒業者への対応については、32ページの職業紹介事業者・地域サポートステーションの方々が、学校や各公共職業安定所と協力しつつ、相互に連携して、中退者に対する自立支援を行っていただきたいということ。また、未就職卒業者についても職業紹介事業者、個別支援や面接会開催などの支援の充実を行っていただきたいということを書いております。

 募集情報提供事業者による就職支援サイトの運営については、要綱は32ページ、資料No.2-3では10ページです。3項目ほどの位置付けです。1つ目が就職支援サイトで提供する情報は分かりやすいものとすること。また、提供する情報の量を適正なものとすること。青少年の主体性を尊重したサービスの提供を行うこと。こういったことに御配慮いただきたいという点。2項目は、相談又は苦情について、適切に対応いただきたいという点。学生・生徒等を対象とした事業といった形が就活サイト等に多いですが、学業への影響を考慮した適正な事業運営を行っていただきたいという点。こういった事項を盛り込んでおります。

 次の職業能力の開発及び向上、職業生活における自立促進のための措置については、訓練期間については効果的な職業訓練の実施、ジョブカードの活用による円滑な就職に向けた支援ということの位置付けです。地域若者サポートステーションは、いわゆるニート等に対して、特性に応じた適職の選択や、職業生活に関する相談の機会、職場体験機会、その他の必要な措置を講じていただくことが盛り込まれております。

 次が青少年の希望及び状況に応じた関係機関の紹介についてです。諸々の関係者については、青少年の希望・状況に応じて、適宜連携しながら、切れ目なく必要な支援を受けられるように配慮いただきたいという点。

7番目、要綱の33ページです。以上のほか、諸々の指針、法令に留意しながら、希望に応じての雇用機会の確保、職場定着の促進のために必要な支援を適切に行っていただきたいということが位置付けられております。要綱と参考資料が行ったり来たりの説明になってしまいまして、分かりにくくなり恐縮ですが、内容については以上です。

 資料No.2-2を御覧ください。915日、918日に職業安定分科会の雇用対策基本問題部会で御検討、御議論いただきまして、本日付けで、厚生労働省案は妥当と認める旨の御報告を頂いております。私からは以上です。よろしくお願いします。

○鎌田分科会長代理 今、説明のあった件について御質問、御意見がありましたらどうぞ御発言ください。

○高橋委員 内容ではないのですが細かい点です。この法律の略称について質問させていただきたいと思います。資料No.2-32ページ、トライアル雇用奨励金の資料を見ると、「若者雇用促進法」となっています。一方で、4ページのキャリア形成促進助成金では、「若者法」となっています。どちらが略称として正しいのか教えていただくとともに、今後はできれば統一した略称の使用をお願いできればと思います。私からは以上です。

○鎌田分科会長代理 この点について事務局お願いいたします。

○若年者雇用対策室長 こちらの法律の正式名称は、「青少年の雇用の促進等に関する法律」という形になっておりますが、やはり、各方面から、「青少年」という言葉は法令用語としては理解できますが、一般の方にとっては少し分かりにくいという御指摘等もありまして、私どもとしては「若者雇用促進法」という名称を使いたいと考えているところです。そういう意味では大変申し訳ありません。資料上の略称の使い方が十分統一できておりませんで、今後はきちんと統一するように十分注意をしてまいりたいと考えております。

○鎌田分科会長代理 そういうことです。よろしいですか。そのほかございますか。

○新谷委員 今、高橋委員がおっしゃったように、名前がよく分からなくて、どうやって言えばいいのかいつも思うのですが、従来の勤青法を改正して、若者雇用促進法、我々はこれまで「若者新法」と呼んでいた法が成立しました。その施行に向けて、施行規則、省令案、指針というものが、今、説明を頂いた内容でした。

 この内容については、国会での付帯決議、あるいは質疑の内容を踏まえて、雇用対策基本問題部会で論議をされ、資料No.2-2で添付いただいているように、厚生労働省案については妥当と認めるという報告が上がってきております。私ども労働側としては、この内容を了承したいと思いますが、対象者が若者ということですので、できるだけこの法律の中身を対象となる若者に分かりやすく伝える努力をしていただくことをお願い申し上げて、私ども労働側としては了承したいと思っております。以上です。

○鎌田分科会長代理 ほかにありませんか。特にないようでしたら、当分科会は、厚生労働省案を雇用対策基本問題部会からの報告のとおり妥当と認め、その旨を私から労働政策審議会会長に御報告申し上げたいと思いますが、よろしいですか。

(「異議なし」と声あり)

○鎌田分科会長代理 ありがとうございます。それでは、報告文案の配付をお願いいたします。

                               (報告文案配付)

○鎌田分科会長代理 お手元に配付された報告文案により、労働政策審議会会長宛て報告することとしてよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○鎌田分科会長代理 ありがとうございます。それでは、そのように報告させていただきます。予定されている議題は以上で終了いたしますが、ほかに御発言はありますか。

(「異議なし」と声あり)

○鎌田分科会長代理 最後に事務局から何かありますか。

○職業安定局長 労働者派遣法に基づく政省令案、あるいは告示案については、おおむね妥当であるという御答申を頂きまして、また若者雇用促進法については、省令案、事業主等支援について妥当であるという御答申を頂きありがとうございました。

 双方の法律とも、法律の成立から施行日まで非常に短く、時間が限られている中で、労働力需給制度部会、雇用対策基本問題部会、職業安定分科会におきまして精力的に御議論を頂きまして、本当にありがとうございました。

 そして、非常にタイトなスケジュールの中で御議論をお願いする結果になりまして非常に申し訳ないと考えております。答申に際して頂きました御意見、審議の中で頂いた御意見をしっかりと踏まえて、改正法の具体的内容の周知徹底、円滑、適切な施行に努めてまいりたいと考えております。

 また、労働者派遣法については、日雇い派遣に係る議論、あるいは若者雇用促進法については、来年3月の施行などもありまして、これらについてはまた後日御審議を賜りたいと考えております。

 労働者派遣法改正法については、派遣労働者の一層の雇用の安定と保護を図るための法律と考えております。そのために派遣元事業主の方、あるいは派遣先に多くの新しい義務を課すということです。こういった義務がしっかりと果たされるように、そうした派遣労働者の雇用の安定の保護が欠けることのないように、適切な運用に全力を上げてまいりたいと思います。

 若者雇用促進法については、若者の雇用対策に係る初めての個別法です。労使それぞれの団体の皆様方のお力もお借りしながら、本旨に沿った施行ができるように周知を始めまして、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。引き続き、お力添えを頂けますようにお願い申し上げて、御挨拶とさせていただきます。本当にありがとうございました。

○鎌田分科会長代理 以上をもちまして、本日の議事は終了とさせていただきます。本日の会議に関する議事録については、労働政策審議会運営規程第6条により、分科会長のほか2名の委員に署名を頂くこととなっています。つきましては、労働者代表の勝野委員、使用者代表の上野委員にお願いいたします。それでは本日はどうもありがとうございました。


(了)

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