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2015年9月8日 第64回社会保障審議会年金数理部会 議事録

年金局

○日時

平成27年9月8日(火)10:00~12:00


○場所

厚生労働省 専用第22会議室(18階)


○出席者

山崎部会長、宮武部会長代理、浅野委員、牛丸委員、翁委員、駒村委員、佐々木委員、田中委員、野上委員

○議題

1.平成26年財政検証のヒアリング-厚生年金保険-
2.平成26年財政検証のヒアリング-国民年金(基礎年金)-
3.その他

○議事

○清水首席年金数理官 定刻になりましたので、ただいまから第64回「社会保障審議会年金数理部会」を開催させていただきます。

 審議に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。

 議事次第、座席図のほか、次のとおりでございます。

 資料1は「平成26年財政検証結果等について-厚生年金保険-」。

 資料2は「平成26年財政検証結果等について-国民年金(基礎年金)-」。

 参考資料1は「財政検証の根拠とした法令に関する参考資料」。

 参考資料2は「基礎数・基礎率の設定に関する参考資料」。

 参考資料3は「推計方法に関する参考資料」。

 配付資料は以上でございます。

 次に、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。本日は全員が御出席でございます。

 それでは、以後の進行につきましては、山崎部会長にお願いいたします。

○山崎部会長 委員の皆様には、お忙しいところ御出席いただきまして、大変ありがとうございます。社会保障審議会年金数理部会は、被用者年金制度の安定性及び公平性の確保の観点から、財政検証・財政再計算時における検証を行うこととされております。このため、平成26年財政検証・財政再計算につき、今回を含め3回に分け、制度所管各省に対し、順次ヒアリングを実施したいと思います。本日は、厚生年金保険及び国民年金(基礎年金)の平成26年財政検証につきまして、ヒアリングを行いたいと思います。

 カメラの方はここで退室をお願いします。

 

(報道関係者退室)

 

○山崎部会長 それでは、議題1「平成26年財政検証のヒアリング-厚生年金保険-」及び議題2「平成26年財政検証のヒアリング-国民年金(基礎年金)-」に入ります。

 説明者の方は、どうぞ席をお移りください。

 

(数理課長 報告者席へ移動)

 

○山崎部会長 本日は御多忙の中、年金局数理課の武藤課長にお越しいただいております。ありがとうございます。今回のレビューに当たり、昨年1219日の当部会において審議した資料の内容に基づきまして、レビューに必要な資料を作成、提出していただくよう、私から制度所管各省にお願いしておりました。厚生労働省年金局におかれては、お忙しいところ対応していただき、ありがとうございました。

 それでは、説明をお願いいたします。

○武藤数理課長 数理課長でございます。

 本日は、当方で行いました平成26年財政検証結果の詳細、あるいはそこで用いた前提や推計手法などについて年金数理部会からレビューをいただきますけれども、このレビューにつきまして、財政検証のクオリティーを維持するために当方でも大変重要なことと認識しております。5年ごとに行う法律で定められた財政検証自体は昨年6月に公表して終了しているわけですけれども、5年サイクルの財政検証一連の作業を考えてみますと、広い意味での財政検証作業はまだ続いているというか、財政検証が終わった後に財政検証結果報告書を当方で作成することとなっておりまして、それは今まだ作成中なのですけれども、それがあることとか、あるいは今回のこのレビューがありまして、こういうものをもって終了して、それを受けて、次の財政検証の作業に入っていくということでございます。

 このレビューに当たるものは、諸外国においても似たようなものがあると認識しておりまして、例えばアメリカの年金財政検証においてもテクニカルパネルというものがございますし、カナダにもピアレビューというものがございます。そういうものに当たるものと考えて、大変重要なものと考えておりますので、本日は委員の皆様にはよろしくお願いいたします。

 それでは、説明に入りますけれども、資料ですが、先ほど5種類あると首席より御説明ございましたが、資料1が厚生年金についての御回答資料、資料2が国民年金についての御回答資料、参考資料1・2・3がございまして、本日は基本的には厚生年金の資料に沿って御説明させていただきたいと思います。というのも、厚生年金、国民年金は一体として作業しておりますし、結果の数値の違いはありますけれども、そういう意味でかなりの部分がダブっておりますことから、厚生年金の資料1に沿って説明させていただいて、必要に応じて、国民年金の資料ですとか参考資料1・2・3を説明させていただきたいと思っています。

 なお、本日の朝、浅野委員より、本日御確認されたい事項ということで当方にメモをいただいたところですけれども、1時間ぐらい前にいただいたので、まだ余り詳細を確認できていないところですが、御質問いただいた事項についてはなるべく御説明の中で盛り込ませていただきたいと思っておりますので、必要に応じて後ほど御質問いただければと思っております。

 それでは、厚生年金の資料に入ります。

 資料1、1ページおめくりいただきますと目次がございます。大きく7つの項目に分かれてございます。1.が財政検証の枠組みに関する資料、2.が財政検証の実施体制に関する資料、3.が財政検証の推計方法に関する資料、4.が推計結果の分析及び結果の示し方の適切性の分析・検証に関する資料、5.が公的年金制度の安定性等に関する資料、6.が年金数理部会において前回のレビューで指摘された要留意・検討項目の反映に関する資料、7.が年金数理担当者の所見となってございます。

 早速1ページ目をおめくりいただきますと、枠組みに関する資料がございます。ここからは数理部会より御質問の事項がゴシック体の字体になっておりまして、私どもの回答が明朝体の字体になっているということでご覧いただければと思います。

 まず、1-1「今回の財政検証・財政再計算の基本方針」でございます。

 この辺は御案内のとおりの部分もあるのですけれども、平成16年改正で保険料水準を固定しました。それに伴いまして、従来の保険料引き上げ計画を策定するという意味での財政再計算が行われなくなったということですけれども、16年改正後の保険料固定方式のもとでも、人口や社会・経済情勢の変化に伴うさまざまな要素を踏まえて、財政状況を検証していくことは必要でございます。当たり前のことですけれども、こういうことから、少なくとも5年に1度、財政検証を行うこととされました。

 財政検証で行うことを法律上どう規定されるかということを分解してみますと、ここに書いてあるようなことをやらなければならないということになります。

 これをまとめて、次の段落で「すなわち」以下で書いてあるところですけれども、財政検証は、おおむね100年間の財政均衡期間の収支見通しを作成するということ。財政均衡期間の年金財政の均衡を図るためには、マクロ経済スライドによる給付水準調整をどの程度行う必要があるかを推計して、財政検証を行った時点で調整を終了しても年金財政の均衡が図られる見通しとなるときに、給付水準の調整を終了するということになります。

 こういうことですので、財政検証は、直近の人口や経済情勢を踏まえて財政の見通しを作成することにより、16年改正法に基づいた長期的な財政の均衡が図られているか、持続可能性の確認ということ、あるいは給付水準調整終了後の将来の給付水準の見通しが十分であるかどうかということを調べて、年金財政の健全性を定期的に、5年ごとに検証していくというものでございます。

 「また」以降ですけれども、財政検証において5年後までの間に、これはつまり、財政検証をやった5年後までの間に所得代替率が50%を下回る見込みとなった時点において、給付水準調整の終了について検討を行い、その結果に基づいて調整期間の終了その他の措置を講ずることとされ、あわせて、その際には、給付と負担のあり方についての検討を行い、所要の措置を講ずることとされております。

 最後、マクロ経済スライドのとめ方の部分ですけれども、財政見通しはおおむね100年間の収支をつくっていくわけで、今回の財政検証では平成122年度までを推計したものでございまして、平成122年度始めの積立金が支出の1年分となるようにマクロ経済スライドによる給付水準調整を行った上で、それ以上行う必要がないとなったところでマクロ経済スライドをとめるということになって、財政見通しを作成しているということでございます。

 1-2、1-3につきましては、財政検証の根拠とした法令・通知、その他の具体的な内容、あるいは調整期間の開始・終了の根拠となる法令・通知の内容及びそれらの具体的な考え方ということです。考え方は、今、1-1で申し上げたとおりなのですけれども、参考までに参考資料1を確認して法令を若干眺めておきます。資料の1ページが厚生年金の法律でございます。ちなみに2ページが国民年金で、ほぼ同じ構成になっておりますので、1ページの厚生年金のほうで御説明しておきたいと思います。

 2つ目の条文で第2条の4が出ておりますけれども、ここに100年の見通しをつくることが書かれているということです。つまり、政府は、少なくとも5年ごとに、ここに挙げてあるような収入・支出の見通し、これが財政の現況及び見通しということですけれども、これを作成しなければならない。その期間が、第2項におおむね100年間とされているところでございます。

 次の第34条がマクロ経済スライドの調整に係る部分でして、第34条第1項の2行目の真ん中以降ですけれども、財政均衡期間の終了時に保険給付の支給に支障が生じないようにするために100年後に必要な積立金を保有して、それを保有することができない場合には保険給付の額を調整するということになっておりまして、その調整を行う必要がなくなったと認められるときは、第2項ですけれども、調整期間の終了年度を定めるという構成になっております。

 2ページ目が国民年金で、ほぼ同じ構成ということです。

 3ページ目が給付水準の下限について定めたところです。16年改正法附則の第2条になるわけですけれども、第1項が基本的には所得代替率を定めたものでございます。ちょっとこれは読みにくいのですけれども、第1号が夫婦2人分の基礎年金額、第2号が老齢厚生年金の額で、これを足したものが第3号の公租公課を除いた標準報酬の額に対してどれぐらいの割合になっているかということで、第2条第1項が所得代替率を定義したものでございます。所得代替率を定義して、第2条の3行目に書いてありますように、その比率が100分の50を上回ることとなるような給付水準を将来にわたり確保するものとするとされております。

 具体的にどうするかということが第2項に書かれているのですけれども、第2項の3行目の真ん中以降で、財政の現況及び見通しの作成に当たって、次の財政の現況及び見通しが作成されるまでの間、つまり5年後までの間に、第1項で規定した比率が100分の50を下回ることが見込まれる場合には、飛んで第2項の下から2行目に行っていただきまして、調整期間の終了について検討を行い、その結果に基づいて調整期間の終了その他の措置を講ずるものとされている。

 第3項に、前項の措置を講ずる場合には、給付及び費用負担のあり方について検討を行い、所要の措置を講ずるものという構成になっているところでございます。

 続きまして、資料1に戻っていただきまして、2ページ、1-4「財政方式の考え方」でございます。

 このあたりも御案内のとおりで、平成16年改正でパラダイムチェンジが行われたということです。16年改正前は、給付水準をあらかじめ決めて、保険料をどう設定するかという仕組みだったのですけれども、16年改正以降については、将来の保険料率をあらかじめ固定するという中で、将来の給付水準がどの程度になるかという見通しを作成することにより、年金制度の運営に当たって指針を与えることが主な論点となったところでございます。

 長期的な年金財政の均衡については、永久均衡方式というのが16年改正の前までとられていたのですけれども、16年改正で有限均衡方式に転換して、法律上もおおむね100年間と規定されているところでございます。

 今回の財政検証では、おおむね100年間を財政均衡期間としているということですけれども、平成122年度、100年後の積立金が支出の1年分となるように将来見通しを作成している。賦課方式を基本としているのだけれども、支払準備金程度の積立金を保有するという考え方でやっているところでございます。

 開放集団方式か閉鎖集団方式かという御質問については、将来の新規加入者を見込むという意味で、開放集団方式によって財政の見通しを作成しているところでございます。

 1-5「財政構造について留意した点」でございます。

 これは、16年改正後の仕組みがまず1ポツに書いてあるのですけれども、財政単位の異なる国民年金と厚生年金の双方において、年金財政が均衡するまで給付水準調整を行う必要があるということです。ここで、国民年金と厚生年金で財政状況が異なりますから、1階部分の基礎年金と2階部分の報酬比例年金で給付水準調整の終了期間が異なるということは御案内のとおりでございます。国民年金については、支出の大部分が基礎年金拠出金でありますので、基礎年金の給付水準調整により財政の均衡を図る必要があります。そのため、国民年金財政が均衡するように基礎年金の調整期間を設定した上で、報酬比例年金も含めて厚生年金財政が均衡するように報酬比例年金の調整期間を設定しているところでございます。

 2点目は、基礎年金交付金についての注で、これは昭和60年改正以降こうなっているということですけれども、収入・支出の両面から控除して財政見通しを作成して、実質的な支出が見られるようになっているということです。

 1-6「その他財政検証・財政再計算の基本方針等に関する資料」ということで、年金部会で議論された際に、こういう資料を提出させていただいたということを確認させていただきたいと思っております。年金部会では、経済前提専門委員会における議論の経過報告を時々行っていたのはもちろんのことですけれども、それ以外でも財政検証の枠組みについての議論がなされたということです。この中の資料に例えばどういうことが盛り込まれたかというと、これは従来どおりですけれども、使う人口推計は日本の将来推計人口であると御確認いただいたり、労働力推計はJILPTの推計を使いますよということですとか、前提としての国民年金の納付率が焦点になっていた部分もありますので、納付率についてはこういう前提でいきましょうとか、もちろんですけれども、オプション試算の実施についても年金部会で確認しているということでございます。

 以上、1.の枠組みについての資料でございました。

 次が3ページでございますが、2.実施体制に関する資料です。

 実施体制については、平成26年6月3日の財政検証公表時点での体制をここに掲げております。浅野委員からもこのあたりについて御質問がありましたので、ちょっと丁寧に説明していきます。

 財政検証の作業は数理課長が統括しておりまして、作業のラインとしては、総括担当を除けば3つ、つまり、ここに書いてあるとおり、厚生年金担当と国民年金・基礎年金担当と共済年金担当がある。作業的には、厚生年金担当と共済年金担当はほぼ一体としてやっているということでございます。年金財政の見通しをつくるときに、基礎年金の仕組みを通じてやりとりがありますので、作業においても厚生年金の担当と国民年金の担当はデータのキャッチボールがあるということになります。キャッチボールしながら一体として作業をやっているということです。ここで総勢11名を上げさせていただいておりますけれども、諸外国と比べても割と小ぢんまりとした体制でやっているのかなというのが自分の感想でございます。

 続きまして、3.財政検証の推計方法に関する資料です。

 3-1「推計作業における制度間の連携状況」です。

 今回、この5年の間に一体改革が行われまして被用者年金一元化法が成立したので、今回の財政検証におきましては、厚生年金の推計は旧共済年金もあわせた大きな厚生年金での推計になり、その制度間の連携を図る必要があるということで、まず(i)基礎数・基礎率における連携作業ということでございます。ここにつきましては、平成26年財政検証では、被用者年金一元化の改正内容を織り込んだ財政検証を行っているということで、厚生年金の保険料収入や給付費は、現在の共済年金の1・2階相当分も含めて推計を行っているということですけれども、基礎数・基礎率につきましては、各共済制度から提供を受けた情報をもとに設定しております。

 その後の推計作業ですけれども、推計作業のうち、まず共済年金の加入者数見込みについても各共済年金で推計したものを用いているということです。そこから先は私どものほうでやらせていただくということで、各共済制度から提供を受けた情報をもとに、基礎数・基礎率、加入者数の見込み等を用いて推計を行っているということでございます。

 その作業を行っていくに当たって特記すべき事項としては、もちろん日ごろのメール等での情報のやりとりに加えて、打ち合わせも数回やったということで書いておりますが、平成25年2月から7月までの間に担当者間でデータの打ち合わせを3回行っております。

 続きまして、3-2「基礎数・基礎率に関する資料」で、まず、3-2-1「基礎数・基礎率の種類」ということです。

 ここは柱だけを確認しておきますが、1.が将来推計人口、2.が労働力率の見通し、3.が経済前提、4.に基礎数と書いておりますけれども、これは出発データ、初期データということですが、被保険者についてのもの、受給待期者についてのもの、受給権者についてのものということでございます。5.が基礎率で、ここに挙げているようなものがございます。

 3-2-2「基礎率設定の基本的な考え方」でございますけれども、3-2-4以降で具体的に表で御確認いただきたいと思っております。

 あと、参考資料2に基礎率の検討過程も含めて厚い参考資料を準備させていただいております。これは、今日は具体的には説明を省略させていただきたいと思っております。

 資料1にお戻りいただきまして、6ページ、3-2-4「基礎数のもととなる統計と基礎数の作成方法等」ですけれども、以下、基礎数・基礎率のところまでにつきましては、先ほど御説明したような共済年金との連携状況がございますので、基本的にはここでは厚生年金の旧厚生年金分のみを御説明させていただきたいと思っております。国民年金の1号と3号の統計につきましては、同じような構成で国民年金の資料に入っているということで御理解いただければと思っております。

 6ページの資料、基礎数ですけれども、ここは表が大きく縦に3行に分かれておりますが、ざっくり言うと、一番上の行が被保険者に係るもので、真ん中が受給待期者に係るもので、最後が受給権者に係るものということです。被保険者と受給待期者につきましては100分の1の抽出統計、受給権者については全数統計を用いているということでございます。

 浅野委員からの御確認事項にあったところで、共済年金と厚生年金のデータの質についてどう認識しているかなどの御質問がありましたけれども、基本的には同じような種類の質のデータを準備していただいておりまして、それをもとに私どもで推計しております。

 続きまして、7ページが3-2-5「基礎率のもととなる統計と基礎率の算出方法等」ですけれども、ここもざっと眺めていきますと、一番上には総脱退力というのが書かれております。これは、前年度の被保険者が当年度中に脱退して、当年度末にどれぐらい被保険者が残るかというときに使う率でございますけれども、具体的には制度の実績、日本年金機構からいただいた実績統計をもとにつくっているということです。

 以下、その手のものが並びまして、例えばこの表の一番下ですと、標準報酬指数というものが書かれてございます。これは年齢の変化に伴って賃金がどう変動していくか、定期昇給の効果を見るようなものでございますけれども、ここに書いてあるようなデータをつくっているということです。

 続きまして、8ページ、一番上が年金失権率でございます。年金失権率については1個ポイントがありまして、左から2つ目の列の「オ.年度等により率を変えている場合、その方法」ということですが、足下の年金失権率から将来推計人口における将来の死亡率改善をもととして失権率の改善を年度ごとに行うようにしております。

 以下、実績の統計をもとにいろいろな統計をつくっているということで挙げさせていただいておりまして、飛んで11ページに行きたいと思います。

 ここは基礎数の具体的な数値がどうかということで、どちらかというと生統計に近いものを挙げさせていただいておりますけれども、年齢が各歳ごとに被保険者期間、加入期間が何年かということでこういう統計がつくれます。上の表が男、下の表が女です。ここは被保険者についてのものですけれども、12ページが受給待期者について、13ページが受給権者についてのものということでございます。

 それをもとに見やすい統計表にしたものが14ページになりまして、被保険者の性別・年齢階級別の加入期間別人数等について、こんな形になる。あるいは15ページに受給権者の統計ということで、これも見やすいものにしたもので挙げさせていただいております。

 以下、今、数値で御確認いただいたものをグラフにしたものが16ページ、17ページということです。

 続きまして、18ページが基礎率で、グラフにしたものです。以下、しばらくこういう資料が続いておりますけれども、1点、特徴的なポイントを説明させていただきたいのですが、18ページ、厚生年金総脱退力ということで、上が男子、下が女子ということでグラフを挙げさせていただいています。年齢別に厚生年金の脱退力を見たときに、若年者では比較的高くて、それからしばらく落ちつくのですけれども、もちろん60歳前後になってからやめられる方が多いので、60歳と65歳のところで山があるという状況でございます。最近、高齢者雇用が進んできておりますので、65歳のほうの山が高くなっているということですけれども、このグラフに当たるものの5年前、さらに10年前と並べて見てみますと、実は5年前だとこの山の高さは大体同じぐらい、さらに10年前に行きますと、実は60歳のほうが高いということになりますので、こういうグラフを時系列で並べてみると、高齢者雇用の進展とかが見て取れるということなのかなと感じてございます。

 その手のたぐいのグラフがしばらく続きまして、27ページが、今、グラフで確認しました基礎率の具体的な数値ということで、男子の脱退力から始まっているということですけれども、これも数表なので、飛ばして55ページに参りたいと思います。

 3-2-7「基礎数・基礎率に関して特記すべき事項」ですけれども、大体今ここまでの資料を確認するときにさっと見たところですが、基礎数について被保険者、受給待期者については100分の1抽出統計、年金受給者は全数統計を作成していることでございますとか、基本的に基礎率は制度実績をもとにして、統計資料等をもとにして作成しているのだけれども、それで足りない部分も一部ありますので、国勢調査や生命表などの各種統計資料等も参考にして作成しているという状況でございます。

 その後は経済前提についてのことで、ここはもう御案内のところですけれども、今回の経済前提については、年金部会のもとに設置された年金財政における経済前提と積立金運用のあり方に関する専門委員会において作成された検討結果の報告をもとに設定しているということで、足下10年程度の経済前提につきましては、内閣府の中長期財政試算に準拠している。そこから先の長期の経済前提については、マクロ経済に関する試算が専門委員会で行われまして、それに基づいて設定されているという状況でございます。

 最後、死亡率改善について織り込んだか否かということについては、先ほど御説明したとおりで、将来推計人口における死亡率改善と同程度の改善を行っているということでございます。

 3-3「推計方法に関する資料」ということで、まず、全体構造がわかる資料ということを3-3-1でいただいております。

 これは参考までに、参考資料3の3ページをお開きいただきたいと思います。これが財政検証作業の全体像ということになるわけですが、細かい部分は省略して骨格を書いたものと御理解いただきたいと思います。一番上に被保険者データの実績から流れる矢印でフロー図があるわけですけれども、この被保険者データ(実績)が先ほど申し上げました基礎数に当たるもの、出発データでございます。さらには、左側にちょっと黒く塗ってある部分の一番上の受給者データ(実績)も、これが基礎数でございまして、これらのデータが入力されることによって作業が始まるということです。

 推計作業的にまず骨格を捉えてみますと、一番上に被保険者の将来推計というのがございます。二重線の長方形で書かれたのが推計作業でございまして、推計作業は3つあります。一番上に被保険者数の将来推計があって、次に下に行っていただきますと、給付水準調整を行わない場合の給付費等の推計を制度別に行うというのがございまして、最後に下に行っていただきますと、網かけしてある部分ですけれども、給付水準の推計及び財政見通しの作成がある。推計作業的にはこの3つがあって、その作業のために入力データがあるということです。

 左上から見てみますと、被保険者数推計のために将来推計人口や労働力率の見通しが入力されて、それで被保険者の推計がなされるのですけれども、これは将来推計人口を大枠として制度別の加入者を分けていくという意味で、数理課の中の方言では外枠推計と呼んでいたりするのですが、まず被保険者推計を行うということです。

 それで将来の被保険者数が出てきて、下の給付推計の枠に流れていくわけですけれども、そのために、先ほど申し上げました基礎数である受給者データ以外にも、被保険者や受給者の動向に関する基礎率が入力されたり、あるいは経済前提のうち賃金上昇率、物価上昇率が入力されたり、さらには、最も大事なことかもしれませんけれども、制度内容、法律の内容がここに織り込まれているということでございます。

 給付水準調整を行わない給付費の見通しでデータが出たところで、最後に給付水準調整を行うということです。そのために、積立金の初期値や運用利回り、最後に財政計画のための保険料率などが必要になるということで、最終的に皆さんがご覧になるような収支見通しが出てくるということでございます。

 先ほど実施体制のところでもちょっとお話ししようかと思ったのですけれども、こういう作業を行っておりますので、数理課の職員に必要とされる知識ということで考えてみますと、まずは公的年金制度の知識が大事になってくるということです。あと、もちろん年金数理の知識が必要になってきますし、コンピュータープログラミングを含む計算能力が大事になってくるということです。さらには、それに付随して人口学の知識ですとか統計学の知識、あるいは経済学の知識が必要になってくるというのが作業の全体像でございます。

 お戻りいただきまして、ちょっと時間もないので、ここら辺から巻いていきますけれども、資料1の55ページ、3-3-2「年次別推計の算定式レベルでの計算過程」ということですが、これは参考資料3の16ページ以降にプログラムで用いた配列とか漸化式等を記載させていただいておりますので、後ほど御確認いただければと思います。

 お戻りいただきまして、55ページ、3-3-4「将来推計の被用者年金一元化への対応状況」ですけれども、今回の財政検証におきましては、基本的には一元化後の厚生年金で推計しているということでございまして、ここに書いてある厚生年金拠出金とか交付金につきましては、推計に内在しているものでございます。ただ、推計に内在しているけれども、やりとりが大事になってくるものなので、そういう数値については細かい数字としても公表させていただいているということでございます。

 次に、56ページ、3-3-5「前回財政検証・財政再計算からの推計方法の変更・改善点等」ですが、2つ挙げさせていただいておりますけれども、社会保障と税の一体改革により成立した法律の改正内容を反映しているということでございます。ここに挙げたものが織り込まれているということでございます。

 2点目、賃金上昇率について工夫したのですけれども、これは経済前提専門委員会で、専門委員会のモデルとは直接は関係ないのですが、こういったことを考えてはどうかという議論がありましたので、それを踏まえて今回から改善したということです。男女別の賃金水準の差が傾向的に縮小していることを織り込んだらどうかということでございまして、その差が過去の傾向で2030年度まで縮小するものと仮定して推計を行っているということでございます。

 最後、3-3-6「その他推計方法に関して特記すべき事項」でございますけれども、ここは法定の財政検証にあわせてオプション試算を実施したということを書かせていただいております。

57ページ以降は推計結果の詳細項目となります。ここは既にホームページで各年の細かいデータを公表させていただいておりますので、基本的にはほとんどのものは載っているということなのですけれども、今回新しく準備させていただいたのは、受給者数でございますとか、あるいは既に出ている給付費の総額の区分の内訳を出させていただいたということです。以下、厚生年金の数字になっていますけれども、国民年金も同様の数字になってございます。

 ざっと新しく出た数字はどういうものかを見てみますと、59ページが受給者数の見通しということで、厚生年金の受給者数、老齢年金、障害年金、遺族年金の内訳でこういう受給者数があるとか、61ページが給付費の総額を内訳に示したもの、あるいは、67ページに区分別給付費の内訳ということで、給付費の合計額を過去期間分と将来期間分に分けて計上させていただいているというところあたりが今回の資料でございます。

 続きまして、4.に入りたいと思いますが、81ページ「推計結果の分析及び結果の示し方の適切性の分析・検証に関する資料」ということで、4-1「推計結果の分析及び結果の示し方に対する基本的な考え方」でございます。

 今回の財政検証の基本スタンスですが、幅の広い経済前提を設定して、どのような経済状況のもとではどのような年金財政の姿になるのかを幅広く示すことで、何が年金制度にとって重要なファクターなのか、持続可能性や年金水準の確保のためにどのような対応があり得るかなど、さまざまな議論のベースとなるものを提供することでございました。

 4-2「複数の推計結果を並列に位置付けて示したことの考え方と既存の平成16年改正財政フレームとの関係」でございます。

 まず最初の段落は16年フレームの確認でございますけれども、16年改正では、将来の現役世代の負担を過重なものとしないために、最終的な保険料水準を法律で定めて、その負担の範囲内で給付を行うことを基本にマクロ経済スライドが導入されたということです。財政検証は、この枠組みのもとで、給付と負担の均衡を自動的に図るという仕組みのもとで、厚生年金、国民年金の長期的な財政の健全性を定期的に検証するものでございます。

 また、これは従来の財政検証から認識していることですけれども、第2段落ですが、財政検証の結果というのは、将来の状況を正確に見通す予測というよりも、人口や経済等に関して現時点で得られるデータの将来の年金財政への投影という性格のものであることに留意して作業を行っているということでございますので、今回も複数のケースを前提として、その結果についても幅を持って解釈する必要があるものと考えております。これらの観点から、今回の財政検証では幅の広い8通りの経済前提を設定して、先ほど申し上げたような基本スタンスのもとで作業を行ったというところでございます。

 4-3「複数の推計結果の相対的な関係の妥当性に関する分析」で、所得代替率の高低の関係などの妥当性に関する分析をということで書いてありますけれども、今回の財政検証で成長率の高いケースAからEまでの5つの中で、最終的な所得代替率が一番高くなっているのはケースCとなっていることについてコメントさせていただいています。最終的な所得代替率について、基本的には実質経済成長率が高いほど給付水準も高くなると考えておりますので、そういう意味ではケースAから順に並ぶはずなのですけれども、今回、ケースCのほうが高い水準となっております。これがなぜかということにつきましては、これも年金数理部会で従来より認識されているとおり、実質的な運用利回りが大事だということでございます。公的年金におきましては、給付も負担も賃金に連動することから、運用利回りと賃金上昇率の差である実質的な運用利回りが財政に影響することになりますので、それらが相まって、このような結果になるということでございます。

 4-4「結果の表示方法の変更点」ですけれども、2点ございますが、1点目は、今回、幅の広い8ケースをお示しして、基本ケースを置かなかったということについてコメントをしてございます。

 2点目につきましては、先ほども申し上げたのですけれども、実質的な運用利回りが大事だという観点で、賃金上昇率を上回る運用利回りであるスプレッドを表示させていただいたということです。運用利回りについては、年金財政にとってはスプレッドが重要であるにもかかわらず、どうしても名目の運用利回りで議論されることが多いということがありましたので、今回このような表示とさせていただいているということでございます。

 続きまして、82ページ、4-5「平成21年財政検証・財政再計算からの変化の分析」ですけれども、21年財政検証後、社会保障と税の一体改革によりまして成立した法律を踏まえて推計を行っているというのが第1パラグラフに書かれております。

 その流れで、第2パラグラフですけれども、そのうち受給資格期間の短縮について、受給資格期間を満たさない者の状況を将来にわたって見込むことが困難であると、財政検証の作業においてはそういうことになりまして、保険料納付期間は全て将来の給付に反映するという前提で計算を行っているということになりますので、受給資格期間の短縮により増加する分は給付費をあらかじめ織り込んであって、やや保守的な推計になっているものと考えてございます。

 4-6「被用者年金一元化の影響についての分析」でございますけれども、被用者年金一元化をしますと、旧厚生年金よりも賃金の高い共済組合の被保険者が入ってくることになりますので、平均賃金が上がる。そうすると、所得代替率は若干下がりますよということを書いているのが前半でございまして、具体的に第3パラグラフで、従来モデルの男子の平均賃金を基準としたものから一元化モデルに変更すると、基準となる賃金水準が旧厚生年金男子から共済年金を含む男子へ変更となるため、手取りの平均賃金が1.3万円上昇する。そのことによって、所得代替率は従来モデルで見ると64.1%でございますが、一元化モデルで見ると62.7%となり、見かけ上1.4%低下するということでございます。

 その次のパラグラフは、実力の財政影響ということですけれども、共済組合の被保険者の平均報酬は旧厚生年金の被保険者よりも高いということや、共済は成熟度が高いということがございますので、その辺と相まってということでございますが、賃金が高いことは、一元化した厚生年金の財政にプラスの要素を持つことから、被用者年金一元化により厚生年金の財政が悪化するというものでもないと認識してございます。

 4-8は、既に財政検証結果として公表された資料やこれから公表する資料について書かせていただいていますけれども、基本的には、26年6月3日に財政検証を公表させていただいて、6月末に関連資料を公表させていただいて、それらは全てホームページに載っておるのですけれども、その後、財政検証結果レポートの作業が今も進行中だということでございます。

 4-9は、今申し上げたようなことを書かせていただいてございます。

 4-10「財政検証・財政再計算結果の制度加入者等への説明状況」、4-11「今後の情報の公開や方法の予定」ということで書かせていただいています。最初の段落は先ほど申し上げたことなのですけれども、第2段落に、厚労省ホームページにおいて公的年金の仕組みや財政検証のことをわかりやすく説明するために、平成26年5月に「いっしょに検証!公的年金」というホームページを開設しておりまして、漫画を使って財政検証を説明するという工夫をしております。

 第3段落ですけれども、さらに国民の皆様に年金制度について御理解いただき、制度に関する議論が深まるように、経済財政諮問会議の有識者議員との勉強会をさせていただいたり、あるいは各種シンクタンクの研究員の方と勉強会をさせていただいたほか、社労士さんを集めて意見交換を行う場を18回ぐらい設けて御説明し、御意見を伺うなど、情報発信に努めてきているということで、これらの取り組みを引き続きやっていくことが重要だと考えてございます。

 続きまして「公的年金制度の安定性の分析・検証に関する資料」ということで、84ページ以降、数値がございます。

 これは、従来から数理部会において分析されております年金扶養比率ですとか、あるいは総合費用率ですとか、各種指標がございまして、今回、数理部会における今後の分析のための資料を準備させていただいたという状況でございます。基本的には、これ以降、厚生年金の数値になっておりますので、国民年金は国民年金の資料にあるということでございまして、飛ばせていただきたいと思います。

 次に、115ページに行っていただきまして、6.前回のレビューで年金数理部会で御指摘された事項があるのですけれども、その留意点・検討項目の反映に関する資料ということで挙げさせていただいております。

 2点挙げてあるのですけれども、1点目は「国民年金の財政の詳細分析について」ということですが、もっと平たく言うと、国民年金の納付率の前提についてということです。国民年金の納付率は、5年前の平成21年財政検証のときは、当時の社会保険庁の目標ということで80%を使わせていただいていたところなのですけれども、いろいろな御議論もいただきましたし、数理部会からも御指摘いただいたことを踏まえまして、納付率については、今後の取り組み強化等により向上して、5年後には65%になると。これは日本年金機構の目標などもにらみながら設定しておりますけれども、それを基本として、参考として現状の納付率60%で推移した場合も設定し、推計をそれぞれ行ったということでございます。

 納付率につきましては、将来の受給者の年金権の確保という意味で、低年金にならないように大変大事なことだと思っておりますけれども、財政検証の結果としては、財政影響はそれほどないと、従来からお示しさせていただいている結果が確認されたところでございます。

 2点目ですけれども「経済変動の影響の計測」ということで、これも前回のレビューで御指摘いただいた点です。長期的な経済状況を見通すためには不確実性を伴うために、平成26年財政検証では、従来よりも幅広く高成長のケースから低成長のケースまで8通り設定して試算を行ったところですが、従来からやっています平均的に一定値と同水準の経済前提であっても、変動がない場合と変動が大きい場合でマクロ経済スライドによる調整の効き方が異なってくるという御意見をいただいて、平成26年財政検証では、長期的な経済前提を設定するだけでなく、変動を織り込む場合の経済前提も設定して試算を行っているということでございます。

 なお、今回行った一定の制度改正を仮定したオプション試算では、物価・賃金の伸びが低い場合でもマクロ経済スライドによる調整がフルに発動される仕組みとした場合の試算もあわせて行っているということでございます。

 なお、この御指摘につきましては、5年前に同じようにレビューしていただいて、数理部会から御指摘していただいた内容を、26年財政検証の経済前提に関する専門委員会が始まるときの第1回目、これは平成2310月ごろだったのですけれども、そのときの資料に、数理部会からはこういう御指摘をいただいていますよということでフィードバックさせていただいて、そこから経済前提に関する専門委員会の議論がスタートしているという状況で、参考までに御紹介させていただきたいと思います。

 最後に「数理担当者の所見」ということでございまして、ここに書いてある(i)から(iv)までの項目がございます。このうち(i)から(iii)までの内容、つまり、報告のもととなるデータの十分性・信頼性、報告で用いられた前提の合理性・妥当性、採用された手法の妥当性・数理的整合性については、私どもとしましては一応適切にやっているという認識でございますので、本日もお示しさせていただきましたけれども、御議論いただければと思いますが、特にコメントすることもございません。

 最後の「制度の持続可能性に関する所見」ですが、第1段落は基本スタンス、先ほど申し上げたとおりです。平成26年財政検証では、幅広い8通りの経済前提を設定して、そういう経済状況のもとでは年金財政がどうなるのかということを幅広くお示しして、年金制度にとって何が重要なのか、あるいは持続可能性や給付水準確保のためにどういう対応があり得るかというさまざまな議論のベースとなるものを提供しているということを基本スタンスとして臨んだということです。

 その結果、わかったことですけれども、2点、日本経済の再生と女性や高齢者の労働市場への参加が進めば、今の年金制度のもとで将来的に一定の給付水準を確保していけるということが確認された。また、今回は、女性や高齢者の労働参加が進まず、マイナス成長が続くような厳しいケースでも試算をしておりますけれども、まずは、子供を産み育てやすい環境の整備ですとか、女性や高齢者が安心して働ける環境の整備を進めて、日本経済を再生させ、持続的な成長を達成していくことが重要であると考えてございます。

 また、今回初めて行ったオプション試算というものがあるわけですけれども、3つのオプション試算、いずれも実施しようと思うとなかなかハードルもあるのですが、そのいずれもが上の観点からプラスの効果を持つということが示されたところです。すなわち、プログラム法に規定された諸課題の検討は、制度の持続可能性を高め、給付水準を確保する上で重要なものであることが確認できたというところかと思っています。

 一応、ざっと駆け足になってしまいましたが、私からは以上でございます。

○山崎部会長 ありがとうございました。

 ただいまの説明に関して御質問等をいただきたいと思います。

 最初に、浅野委員からお願いします。

○浅野委員 まず、大部にわたって資料をつくっていただきまして、ありがとうございました。我々というか、少なくとも私は、この細かい数字について、これを正しいかどうかチェックするということはできないので、体制がどうなっているのかとか、考え方がどうなのかというところを確認させていただきたいと思います。数は多いのですけれども、私だけで時間をとっては申しわけないので、後でお答えいただくのでも結構ですので、よろしくお願いします。

 まず、4ページでお伺いしているのは、各共済制度におけるデータの品質についてはどのように評価しているかということで、同じ質ですというお答えがあったのですが、実際それを、ほかの共済制度のデータについて何らかの検証をされたり、誤っていないとか、そういう確認をされているのかどうかと、その上で、これだったら使えるから計算しているという評価が行われているのかどうかを確認したかったということであります。

 あわせまして、連携ということでは、厚生年金保険と各共済制度とで将来人口の推計方法とかが違っていると思うのですけれども、それについては一つの制度の持続性を確認する上で問題ないのかどうか。モデルとして閉じていない可能性があるのではないかと思うので、そのあたりはどういう御見解を持っているのかということであります。

○武藤数理課長 ありがとうございます。

 まず1点目の共済年金のデータのチェックということですけれども、従来から共済とのデータのやりとりはございまして、まずは60年改正で基礎年金が入ったということがございます。共済の期間の部分の基礎年金を推計するということでございまして、従来からデータのやりとりはさせていただいております。あるいは、平成9年からJR共済が厚生年金に統合されたことなどがあって支援措置を講じておりますので、それも従来の財政検証に織り込まれていたということでございまして、今回、被用者年金一元化をやることとなって、厚生年金の推計が旧共済年金をあわせた大きな厚生年金でやることになったわけですけれども、それを機に初めてやったわけではないということがまずあります。

 従来からいただいたデータについては、その妥当性を事務的にチェックすると申しますか、それはやってきておりますので、従来からきちんと確認できていたものと認識しておりますけれども、今回、被用者年金一元化が始まってどうかという意味では、それと同程度の確認をさせていただいたということでございます。

 あと、人口推計等の関係。これは加入者数推計のことが主に関係してくるのではないかと思いますけれども、共済の加入者数推計と私どもの推計とで、日本全体で考えたときにバランスがとれているのかという御趣旨なのかと認識したのですが、共済年金の加入者数につきましては公務員政策等と関係してくるところがございますので、将来、旧共済組合の加入者数がどうなるかというのは、私どもよりももちろん従来の共済年金の方のほうが情報もお持ちですし、しっかりした推計ができるということですので、基本的には加入者数推計はそちらでやっていただくこととしております。

 ただ、やはり日本全体で考えたときに、雇用者数と、雇用者数のうち民間サラリーマン、公務員と合わせてその雇用者数になっているかという観点は大事になってきますので、これは従来からそうなのですけれども、労働力推計等を踏まえてつくった私どもの考え方と、共済組合からいただいたデータ及び民間サラリーマンの数が整合的かどうかというのは確認しておりますので、今回もそこは同じようなことをやって、きちんとできているものと思っております。

○浅野委員 続いて、7ページ、8ページの基礎率のところなのですけれども、7ページで、例えば総脱退力では3年平均ということで書かれているのですが、まずは、これは機械的に3年平均で設定しているのかどうかという確認、将来のトレンド反映とか総脱退力ですと異常値というのが出てくるのではないかと思うのですけれども、そういうものについては排除したりして、全てフォワードルッキングな基礎率になっているのかどうかという確認が2点目です。

 3点目が、標準報酬の推計と経済前提というのは整合性がとれているのかどうか。

 4点目が、少しラフな言い方になるのですけれども、基礎率はどの程度の保守性を持たれているのか。結構ぎりぎりなのか、それともかなり余裕を持たれているのか、そういう御担当者としての肌感覚をお教えいただければと思います。

 それから、一番右に前回との変更点というのがありますけれども、変更する場合のプロセス、どういう方が起案して、どういう形で妥当性を検証して、承認をとっていくのか。

 それから、ブランクのところは変更していないということだと思うのですけれども、変更していない基礎率については、変更していなくていいのかどうかという必要性の有無の検証をされているのかを確認したいと思います。

○武藤数理課長 可能な限りお答えさせていただきたいと思います。

 まず、基礎率を設定する際に3年平均で機械的にやっているのか、あるいは、その見込みで保守的になっているのかというあたりですけれども、これは基本的には3年平均をそのまま使うのですが、もちろん変動をならすといいますか、スムージングはするということです。あと、よほど何か特段のことがあれば、それはちゃんとチェックして、配慮してということになると思いますけれども、余り色をつけずに機械的にやっているというのがまずは基本でございます。

 標準報酬の推計と経済前提の整合性の話ですけれども、標準報酬の推計につきましては、先ほども申し上げた定期昇給の分とベースアップによる分とを分解して推計しているということになります。定期昇給の分は、定期昇給の指数に応じて上昇していくのですけれども、ベースアップの率につきましては、専門委員会でお決めいただいた経済前提の設定モデルの賃金上昇率を用いてやっているということなので、そういう意味で整合的になっていると思っております。

 前回の方法から変更したときのプロセスの妥当性とか、変更していない基礎率を検証しているのかとか、そういったたぐいのことですけれども、基礎率について周りから、特に年金数理部会が中心になると思うのですけれども、こう改善したらみたいなことは、特段御指摘いただくことがなかったので、特段の御指摘がないものは、従来使っているものを確認しつつ、そのまま検証して使っているということです。ただ、その中でも例外的なものとして、経済前提にはなるのですけれども、経済前提の変動を織り込んだほうがいいのではないかという御指摘を前回いただいておりますし、あるいは納付率について、納付率を実績に近いものにしたほうがいいのではないかという御指摘はいただいていますので、そういうものはちゃんと踏まえてやっているということです。

 課内の打ち合わせで基礎率の妥当性について担当者が上げてきたものを課長が確認するという、課内での検討会みたいなものがあるのですけれども、基礎率を設定するための会議、正確にはかっておりませんけれども、ざっと10回ぐらい、課長以下で打ち合わせしているという状況でございます。

○浅野委員 そうすると、3年平均で基本的にオートマチカルに設定するということなのですけれども、何か将来のトレンドみたいなものは、一部、受給者の死亡率は入っているようなのですけれども、脱退力とかそういうところは入れなくていいのですか。

○武藤数理課長 おっしゃったとおりで、死亡率改善について見込まれているというのは従来からそのとおりでございます。また、今回については、専門委員会の議論を踏まえて、男女別賃金水準の差が縮小しているのではないかという御指摘はいただきましたので、平均の伸び率から比べると、男子はそれほど伸びない、女子はそれより伸びるという形で近づくように一定期間させていただいて、ただ、そこは、そのときも思ったのですけれども、どこまでその傾向が続くのかは大変難しい問題になってきますので、続けるとしても一定期間かなと考えたところでございます。

○浅野委員 はい。

○駒村委員 部会長、今のに関連して質問をよろしいですか。

○山崎部会長 どうぞ。

○駒村委員 先ほど課長は、総脱退力は労働力の変化を反映するという御説明をされたような気がしますけれども、それはよろしいですね。これまでのこの数年間の、よろしいですね。

○武藤数理課長 そういう意味で申しますと、総脱退力の60歳退職と65歳退職の山が徐々にシフトしてきて、65歳のほうが高くなってきているという御説明をさせていただいて、過去を見るとこうだという御説明をさせていただいたところなのですけれども、これはある程度、やはり支給開始年齢の引き上げに伴って高齢者雇用が進んできたことの裏返しということで考えております。これも昔からそうなのですけれども、支給開始年齢引き上げ期間については、60歳脱退というのがだんだん減っていくだろうということが見込まれますので、支給開始年齢の引き上げが続くまでの間に60歳の脱退力を将来見通しでも確かにちょっと下げるような作業はしています。それは従来からやっていて、過去のデータでもそうなっているし、将来もそうしていく。

○駒村委員 確認したかったのは、参考資料3の3ページで、JILPTの労働力率の見通しの反映をどこのフレームでやっているかというところで、JILPTの予測というのは、女性の労働力率でかなりM字が解消されていくという話と、65歳以降の就労がかなり改善するというところを織り込まないで総脱退力は見ているということなのですか。そことの整合性はどうなるかということです。

○武藤数理課長 ですので、基本的には3年平均を使っていますけれども、JILPTの推計でも60歳代前半の雇用が進むでしょうということと整合的になるように、厚生年金の60歳の脱退力のところをある程度落とすという形で整合的にしているところでございます。

○駒村委員 その加工のプロセスというのは、この中に説明があるのですか。

○武藤数理課長 そこは従来からやっていて、今回特段意識していなくて。

○駒村委員 作業をされているなら、客観データではないので、それはやはりちゃんとノートを書いて、どういう作業をされたのかと書くべきではないかと思います。

○武藤数理課長 わかりました。

○翁委員 今の関連で、死亡脱退率についてはどのようにお考えですか。変えておられないですね。

○武藤数理課長 失権率は変えておりまして、過去の傾向を見ても平均寿命、あるいは高齢者の平均余命が延びているという傾向はございますし、日本の将来推計人口の余命の延びにつきましては、国立社会保障・人口問題研究所に死亡率推計の専門家の方がいらっしゃいますので、それを織り込んだ将来推計人口がなされる。つまり、日本の将来推計人口の中には平均余命が延びていく見通しになっているということです。財政検証の厚生年金とか国民年金の死亡率をどうするかということに当たりましては、専門家がお決めいただいた将来の死亡率改善と整合的になるように、足下の年金失権率を徐々に改善させて、平たく言うと死亡率を減らして推計するということになってございます。それも従来からやっております。

○翁委員 将来にかけても改善する形。

○武藤数理課長 余命が延びるということになっています。

○翁委員 そういうことも記載してあると非常にわかりやすいなと思います。

○山崎部会長 関連でございますか。では、お願いします。

○野上委員 受給権者の死亡率についてお尋ねします。

 ちょっと先走っているかもしれないのですが、死亡率については厚生年金と国民年金で同じものを使われていますね。

○武藤数理課長 はい。

○野上委員 厚生年金と国民年金ですと、年金受給額も違いますし、現役時代の所得も違うわけで、常識的といいますか、事実として、ありていに言うとお金持ちほど長生きしますね。昔は多分そこを分けて算定されていたと思うのですが、今回見ますと一緒にされていますので、この辺を御説明いただけますか。

○武藤数理課長 今、野上委員がおっしゃった話ですけれども、確かに世の中の所得と死亡状況の分析を見たときに、所得の高い方のほうが死亡率は低いという分析があったりして、昔、自分が聞いた話で言うと、生命保険のデータで、人数ベースの死亡率と金額ベースの死亡率を見たときに、金額ベースの死亡率のほうが低い。これは、所得の高い人が割と死亡率が低いということを反映しているような分析、その妥当性はちょっとおいておいてですけれども、聞いたことがあります。

○野上委員 そこは会社によりますね。

○武藤数理課長 実は、厚生年金の老齢年金失権率と国民年金の老齢年金失権率、従来は野上委員がおっしゃったような傾向があって、厚生年金の死亡率のほうが低いという状況があったのですけれども、それは徐々に縮小してきて、今回の財政検証をやるに当たりましてしっかりデータを見させていただきましたところ、もう余り差異をつけるほどの差はないと。これはサラリーマン化が進んできて、受給者の中にも厚生年金の加入者のOBがふえてきたことを反映してなのかと思ったのですけれども、今回はそれを見て一律のものとさせていただいているということです。

○駒村委員 やはりそれは説明を入れていただきたい。それも入っていますか。

○武藤数理課長 一応、資料1の8ページに、字が小さくて恐縮なのですけれども、あと、今日の御説明もはしょってしまったかもしれないですけれども、表の一番右上の前回との変更点で、65歳以上の老齢年金失権率については、被用者化が進む等により厚生年金、国民年金の当該率に大きな差がなくなってきていることを鑑みて、全体での失権率として作成しているということで書かせていただいております。

○野上委員 確かに厚生年金のほうも、例えば非正規の方が入ってきたりとか、いろいろな動きもありますので、そういう見方もできるかとは思うのですが、逆に、公務員の方の共済年金が一番よくて、厚生年金、国民年金の順番だったと思うのです。そこはむしろ、今後はいろいろ高齢者の動きとして、その辺はもしかしたら所得によって差がさらに広がる可能性もございます。健康保険等の動きもございますので、そこら辺はちょっと注意して見ていくべきではないかと思います。

○武藤数理課長 貴重な御意見をありがとうございます。今後の分析に当たって、そこは注視していきたいと思います。

○山崎部会長 関連ということで、田中委員。

○田中委員 関連質問なのですが、死亡率は人口問題研究所で出されたものを使われているわけですが、中位推計がメーンだと思いますけれども、高位、下位について、信頼区間という考え方をすると、何標準偏差ぐらいの差があるとか、どう検討されているのでしょうか。それから、出生率についても同じく中位、高位、下位があるのですが、その幅についてどのようなプロセスで考えられていますか。

○武藤数理課長 死亡率推計あるいは出生率推計につきましては、人口推計の専門家は国立社会保障・人口問題研究所にいらっしゃいますので、基本的にそれを使わせていただくことにしております。これは、諸外国の年金財政検証の体制とかを見てみると、人口推計の部分については自前でやっているアクチュアリー室と、そうでないアクチュアリー室とに分かれて、日本は別にやっているということで、一体でやっている国もあるのですけれども、基本的には日本においては専門家が社人研にいらっしゃるので、それをそのまま信頼して使っているということです。

 冒頭ありましたブレの幅につきましては、具体的にはどれぐらいのブレの幅に当たるのかということは、余りこちらでは意識したことがないというのが率直なところでございます。

○田中委員 前の財政検証レポートの後書きに、確率論的将来見通しという可能性について言及があったのですが、これから公的年金財政のリスクの分析にはおそらくそういった分析方法が必要になってくるので、今回、79通りもの多くのシナリオをやっていただいたので、大分イメージはできるようになりました。それぞれの発生確率などがわからないものですから、少なくとも死亡率とか出生率については幅で示していただくと、イメージしやすいのかなと思ったのですが、どうお考えでしょうか。

○武藤数理課長 今回の財政検証で幅広い8ケースを専門委員会で示していただいたわけですけれども、基本的にそこでの議論では、基本ケースを置かずに幅広く見ていただこうということでございました。

 確率的な将来見通しにつきましては、確かに意欲的な取り組みとか研究レベルのものであるとも思いますし、アメリカの財政検証だと参考資料として載っています。ただ、やはり政策決定のレベルでそれを主にして使うという性格のところまではまだ至っていないのかなと。アメリカも3通りですけれども複数ケース出していて、おまけに確率見通しがあるという性格のものになっていると認識しておりますので、なかなか具体的に使うところまではまだ行っていないかと思っています。

○山崎部会長 浅野委員。

○浅野委員 56ページなのですけれども、3-3-5で推計方法の変更点は、公的年金制度の改正の部分と賃金上昇率ということで、これ以外はされていないということなのですが、これ以外をしなくていいのかどうかを検討されているのかどうか。今、田中委員がおっしゃったような確率論的、またはそこまでいかなくても、やはりこういうものは不断に改善していくことが必要だと思うので、そのあたりはどういう議論をされたのか教えていただければと思います。

○武藤数理課長 財政検証の作業はいろいろな過程がございまして、基礎率・基礎数の設定、経済前提の設定、そこから推計作業に入って、先ほど申し上げた3つの推計があるということですけれども、基本的には従来からやっている方法をそれなりに確立されていると思っておりますので、特段の見直しの必要があるものについては検討して、対応して、ここに書いてあるような2点の修正を行ったということです。それ以外については、余り具体的に思い当たるものもありませんで、不断の検討はしているのですけれども、その過程の中で特段見つからなかったということかと思います。

 参考までに、経済前提の設定のところなのですけれども、これは年金局というよりも専門委員会でということなのですが、同じように検討されて、従来から使ったベースのモデルを改良していこうという結論になったのです。割と初期の段階では、従来から使ってきたモデルがどうかとか、諸外国の経済前提設定がどうなのかとか、研究レベルで進んだモデルでどういうモデルがあるのかということを広く御確認された上で、最終的にやはり諸外国よりも日本のモデルは工夫されているとか、先進的なモデルだと入力パラメータにどうしても恣意性が入ってしまうのではないかという議論があって、今のモデルをベースに改善できるところはしていこうということで、改善点が織り込まれたということになっております。直接のお答えではないかもしれませんが。

○浅野委員 諸外国でも、こういう財政検証のモデルは一度確立すると余り変えないということなのでしょうか。

○武藤数理課長 そこについては余り意識したことがなくて、詳細を承知してございません。

○浅野委員 わかりました。

 続いて、82ページ、4-6の一元化の影響というところで、最後に、必ずしも厚生年金の財政が悪化するというものではないという非常に微妙な書き方をされていると思うのですけれども、例えば、一元化しないで旧厚生年金だけだったら給付調整期間が前倒しになったとか、そういう計数的なものでこの辺の表現はできないのでしょうか。または、そういう情報は提供いただけるのでしょうか。

○武藤数理課長 厚生年金と共済年金、もう一元化されて、同じ給付、同じ保険料率ということになりますけれども、その前から枠組みとしては同じような設計になっていたということでございます。ただ、加入者の特性で違うところはございまして、つまり、これは年金数理部会でも御確認されている統計だと思いますけれども、年金扶養比率というか、支える側と受けとる側のバランスは、老齢年金相当で見ると共済年金のほうが成熟度は進んでいるということはございます。一方、賃金で比べてみますと共済年金のほうが高いということになりますので、そういうプラス・マイナスの要素があると認識しております。基本的にはそれほど大きな財政影響を与えるものではないと考えているところです。

○浅野委員 定性的にはその説明はわかるのですけれども、定量的には、そこは明示的には確認されていないということなのでしょうか。

○武藤数理課長 一体のものとしてやっておりますが、悪くなっているものはないと認識しております。

○浅野委員 わかりました。

 続いて、参考資料3、9ページから10ページで10ページのところですけれども、共済組合の被保険者数の将来推計は総人口に占める割合で落としていくということなのですが、正直ちょっとラフ過ぎないかなという印象があったのと、その率はずっと将来一定にしているのか、それとも何らかのフォワードルッキングな率にしているのか。仮に率が一定だとすると、それはちょっと保守的過ぎるのではないかと。要は、総人口が減っても、公務員の数がそれと並行して減るかというと、決してそういうことはないと思うのです。

○武藤数理課長 共済組合員数の見通しについては、先ほども作業分担の連携状況のところでお話しさせていただきましたけれども、基本的に共済年金で推計された結果を私どもとしては使わせていただいておりますので、明日以降の共済年金のヒアリングの際にお聞きいただければと思います。総人口比例になっていても、きちんとできているものと認識しているのですけれども、そこは明日以降、御確認いただければと思います。

 なお、ちょっと保守的ではないかというお話がありましたけれども、実は5年前の財政検証のときはもっと保守的でして、年金数理部会から、そこはちょっと保守的過ぎるのではないかという御指摘をされていた記憶はございます。5年前は、生産年齢人口に比例されておりまして、それだともっと減る見通しだったのですけれども、そこは一定程度、数理部会の御指摘を踏まえて共済年金側でも考えられているのかなと認識しております。

○浅野委員 制度の一元化の中で、財政検証の数値としては数理課で責任を持たれるのだと思うのですが、課長のお考えとしてはこれで妥当だということなわけですね。

○武藤数理課長 はい。

○浅野委員 わかりました。

 最後ですけれども、参考資料3の60ページ、共通財源とする積立金の仕分けということで、積立比率に相当する額を仕分けるということです。積立比率は何年分保有しているかということなのですけれども、概念的にはそういう考えはあるよなと思うのですが、実際にボリュームとして非常に大きい金額に対して、この率は有効桁数など、ものすごくラフな率で、それぞれの共済組合員の持ち分ということを考えると、手法として、もう少し別のきっちりした、それなりに、これだったら組合員もしようがないなと思うようなことをやられないと説明責任を果たせないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○武藤数理課長 積立金の仕分けについて、社会保障と税の一体改革で被用者年金一元化法が成立しまして、この仕組みで決められたということですけれども、実はこの考え方は、廃案になってしまったのですが平成19年当時に1回、被用者年金一元化法というものが立案されまして、そのときにさまざまな議論を経て関係者間で整理された結果と同様のものを使っているということです。

 確かに積立金をどう持ち合っていくのかというところは非常に難しい問題だと思っておりますけれども、やはり厚生年金も共済年金も賦課方式を基本としてやっている。基本的には当年度の支出は当年度の保険料収入で賄う。だから、当年度の支出に対して何倍の積立金を持っているかというのが、いろいろ議論された中で賦課方式を基本とする中での一番公平な方法ではないかと議論されたわけです。

 一元化に関して参考までに申し上げておきますと、今まで被用者年金一元化の前にもJRの厚生年金統合とか、あるいは農林共済の厚生年金統合とかが関係のある事項としてあったわけですけれども、そのときの事情と今回で事情が違うのもあるのかなと。例えば、どちらかというとそれ以前の厚生年金への統合は、救済するという側面が大きかったということがあります。救済する措置の中でどういう積立金を持ってきていただくかということに対して、今回は対等な合併であるということで事情が違うのかなということです。厚生年金と共済年金とで対等に合併しようということもありますし、もう一個あると思うのは、16年改正で財政フレームが御案内のとおりの仕組みになって、より賦課方式を基本とする方式に変わってきたというところもあって、それらの事情の変化と関係者の議論が相まって、こういう仕組みにそれなりに合理的に決まっていったものと認識してございます。

○浅野委員 わかりました。

 (これは議題外でもいいのですけれども、)数理担当者の経験年数が書かれていませんが、例えば私学共済のほうですと書かれているので、バランス的にどうかと感じます。

○武藤数理課長 申しわけございません。そこについては課内でも議論したのですけれども、私ども厚生労働省の数理職員は省内にも100人ぐらいいるのですが、年金以外の部局に異動したり、あるいは年金の中でもいろいろな部署で仕事をするということでございます。例えば経験年数と言うときに、数理課の経験だけを計上するのかと。例えば首席年金数理官室で制度間の公平性とか安定性を分析されている方がそのノウハウを生かせる部分は十分あると思うのですけれども、その経験年数をカウントするのか、しないのか。あるいは、やはり医療、年金共通するような社会保険の仕組みの中で、法令上も数理に係ることを仕事とすることになっていますので、保険局の経験はどうするのかということになってきますと、なかなか難しいところがございまして、人事異動の中でいろいろな経験をすることも相まって、ここではこのように整理させていただいたということです。

○浅野委員 我々にとっては安心材料なので、計算の前提を明確にした上で数値を出していただければ、よいのではないかと思います。

○山崎部会長 駒村委員。

○駒村委員 関連のコメントというか質問なのですけれども、やはり今のところは入省年次だけではわからなくて、どういうキャリアを持った方がやられているのかというのは明確にしていただいて、社会保険あるいは年金関連に延べ何年間従事したとか、あるいは数理の採用なのか、学位がどうなっているのか、資格をお持ちなのかとか、そのくらいは国民に対して、こういう人たちがと。今後、作業はどんどん難しくなっていくと思うのです。中にはかなり微妙なというか、専門的で、かなり判断を迷うところが出てきて、そこを経済前提専門委員会にしろ、いろいろなところでまた議論していかなければならないときに、やはりしかるべきノウハウを蓄積された方がやっているということを明らかにしてもらうためには、もうちょっとたくさん書き込んでいただいて、そのことによってほかの共済の記述内容も充実するのではないかと思うので、ちょっと最小限過ぎるかなという感じですね。

○武藤数理課長 可能な範囲で工夫させていただきたいと思います。

○山崎部会長 ちょっと関連して、被用者年金一元化によって厚生年金の財政がプラスであったか、マイナスであったかというのは非常に興味あるテーマなのですが、ただいまの説明で、報酬水準ははるかに共済のほうが高い。一方、成熟度が高いのでということで微妙だという言い方をされたかと思うのですが、前者の報酬水準は将来にわたってそういう差があるのだろうと思うのですけれども、成熟度に関しましては逆になる可能性もありまして、お手元の64ページで、厚生年金拠出金・交付金というものが収入・支出から控除されているというのですが、厚生年金一本になりますからそうなるのかもわかりませんが、旧厚生年金部分につきましては、日本年金機構を通して拠出金が入ってきて、交付金が支払われるというふうに見ますと、トータルで、当面はともかくとして、2110年までの総額を出せば割と客観的に出るように思いまして、公務員共済あるいは私学共済はそれが出ているので、こちらも出していただいたほうが非常にわかりやすくて、数字の上で国民に説明できるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○武藤数理課長 数理部会で分析される中でそういう分析が重要だということであれば、必要に応じてデータ等を。そもそも、拠出金、交付金のデータとかは公表されておりますので、そこを使ってどれぐらいの工夫ができるかということだと思います。

○山崎部会長 よろしくお願いします。ほかに。佐々木委員。

○佐々木委員 今回、多岐にわたるいろいろな分析をしていただいてありがとうございます。ただ、どう考えるかという点で、逆に多岐にわたるだけに難しいのかなということがあると思います。例えば賃金上昇ですと、前回の21年検証で中位が2.5、低位でも2.1あったということで、足下の5年間の累計ですと7%ぐらいですね。もともと賃金というのは97年をピークにしてずっと下がっているわけなのですけれども、今回、足下5年間で1%ですから、実態に近づいたかなという気はあるのです。今後の見通しも上位が2.3で、下位が0.7という、その中で8通りされているわけですね。

 前回も申し上げたのですが、2%上昇しますと、今世紀の半ばぐらいには2倍ぐらいの水準になるわけですから、今の年収400万が800万ぐらいで、生活の豊かさというのは賃金だけではないでしょうけれども、代替率ももちろん必要ですが、代替率が仮に多少下がっても、生活の豊かさが2倍になれば、その辺の弾力性といいますか、年金以外のことかもしれませんが、そういうことは考え得るのではないかと。

 これをどう判断するかという点で賃金という視点から見たのですが、1つお聞きしたいのは、そういうことを含めた国民に対するディスクロージャーというか、わかっていただくというのはこれまた重要なことだと思うのです。先ほどの83ページを見ますと、シンクタンクや社労士の方と意見交換とか勉強会をされたということがあったわけですけれども、そういう方と意見交換すると、どういった指摘なり意見が出されたのか、主なものだけで結構ですので、おわかりになればお聞かせいただきたいと思います。

○武藤数理課長 自分が意見交換会で話をしたのは三、四回程度あると思いますけれども、一番多かったのは、今回の財政検証をそれなりに評価してくださっている。過去の経緯をよく御存じの人であれば特にそうなのですけれども、幅広い8ケースでやったこと、あるいはオプション試算を実施したことに対して評価してくださった方が多かったです。一例として、ケースHについてなのですけれども、ケースHというのは幅の広い8ケースのうちの一番低いケースになるのですが、途中で積立金がなくなって賦課方式に移行するというケースです。これが従来だと、政府から出る見通しで一義的には出なかったですねと。お求めに応じて資料要求とかに対応したこととかはあるのですけれども、そこに対する評価が多かったですね。

 あとは、経済前提についても議論はあったと思いますけれども、割と幅広くやったことに対する評価みたいなものが多かったと認識しております。

○山崎部会長 田中委員。

○田中委員 これは質問なのですけれども、マクロ経済スライドの終了時期です。このメカニズムを詳しく御説明いただきたいと思うのです。というのは、シナリオがAからHまであって、それぞれ多分そのシナリオに基づいて終了年度を算定することになると思うのですが、5年に1度の財政検証のタイミングで、将来5年を見据えてという表現があったのですが、実際には、そこからまた100年シミュレーションをして、それで1年分の積立金があるというようなことを繰り返してやられるのでしょうか。その辺を詳しく御説明ください。

○武藤数理課長 マクロ経済スライドは、今のままの給付水準ですと、おおむね100年間の収支均衡が図られませんので、徐々に給付水準を調整していく必要があるための措置なのですけれども、どこで給付水準調整をとめるのかということにつきましては、ずっとマクロ経済スライドを続けていって、続けていくと100年後に残る積立金が徐々にふえていくわけですけれども、1年分になる見通しのところまで続けていって、それ以上マクロ経済スライドを続けると1年分以上残ってしまうという境目のところまで続けることになっています。

 あと、給付水準維持の関係で、今日の資料でもさっと御説明したところで、ちょっとわかりにくかったかもしれませんけれども、法律上は給付水準を将来にわたって50%確保することが理念としてうたわれているということでございます。ただ、どうやって確保するかという具体的な義務規定がどうなっているかということになりますと、実際に財政検証をやるときから5年までの間に50%を切りそうなときに手当てをするという法律構成になっております。今、足下の給付水準は所得代替率を見ると60%程度となりますので、今はそういう状況ではないということですが、それを徐々に続けていくと、ある時点で50%に近いところまで行きます。近くなったところからその5年後の間にマクロ経済スライドを続ければ、50%を下回るという見通しになったところでマクロ経済スライドをとめるかどうかという検討でありますとか、それにあわせて給付と負担のあり方をどう考えていくかというのを考えていくのが法律上の構成になっているということです。

 財政検証上の見通しはそういうことになっておりますので、基本的には50%を確保されているような理念がうたわれているということもあって、幅の広い8ケースの中でも、低成長のケースですと将来50%を下回るかもしれないという見通しになっておりまして、見通し上は、50%を確保するということでは50という数字がある。ただ、それだと給付水準の調整をしないと収支均衡が図れないという意味で、もっと続けていって、どこまで続ければおおむね100年間の収支均衡が図られるかという見通しをお示しさせていただいているということです。

 ケースHという一番極端なケースになってきますと、ずっと100年間マイナス成長が続くという前提になっておりますので、ずっとマクロ経済スライドを続けていっても、続けていっている途中に積立金がなくなるというのがケースHでございます。

○山崎部会長 どうぞ、関連で。

○駒村委員 今の件なのですけれども、資料2の97ページ、98ページ以降にマクロ経済スライドの効果が出るように書かれているのですが、この部分は厚生年金も基礎年金も同じ表示になっているのですけれども、例えば97ページで、基礎年金部分だけの代替率が表示されているようにも読めるわけです。36.8%が2014年時点、これが2050年には基礎年金部分は26%に落ちて、厚生年金部分は25%のままである。つまり、基礎年金に対して対賃金比で見ると大幅な価値の低下が見られる。これはなぜこういうことになったのかということを解説するようなものは挿入される予定があるのかどうか。

 それから、代替率50%が目標というのは、代替率の構成については何ら言及していないという問題点があるわけですね。対賃金で見るのか、対物価で見るのかというのは基礎年金の場合、評価が分かれると思いますけれども、厚生年金の加入者でも極めて報酬比例部分が薄い人にとってみても、極端な場合、国民年金のみの方はゼロですけれども、この基礎年金の落ちぶりは非常に深刻な問題があるのではないかと思うのです。その50%の目安しか出ていなかったことについてどう考えるかというのは、やはり議論はすべきだったのかなというか、何か書くことができたのかなということです。この辺について教えてください。

○武藤数理課長 まず、前半のほうの基礎年金のスライド調整期間と厚生年金のスライド調整期間に差があるのではないかということにつきましては、いろいろな要素があるのですけれども、一番わかりやすいのは、足下で基礎年金が上がったので、上がった分、将来に向けて給付水準調整期間が延びたということでございます。この足下の給付水準を見たときに、21年財政検証と今回の財政検証の基礎年金と報酬比例部分の内訳を見てみますと、報酬比例部分は同じなのですけれども、基礎年金の部分が高くなっている。

 これはどういうことかと申しますと、今の年金の仕組みが原則そうなっているということなのですが、物価が下がって年金を下げますというルールがありますけれども、ここ10年ぐらいを見てみますと、物価が下がった以上に賃金が下がったという状況がこの10年ぐらいの社会・経済情勢ではないかと思います。そのときに、今の年金の仕組みですと、物価が下がったところまでは下げるけれども、賃金が下がったところまでは定額の基礎年金を下げないという効果が将来に向かって残ることになっていますので、言ってみれば基礎年金のほうがきつい状況になった。報酬比例部分は、賃金が下がったら下がった分にその給付乗率を掛けて年金額を計算するということなので、将来にわたっての年金額が下がるという効果があります。その違いがあって基礎年金のほうが長くなったということです。そのあたりの資料については、場面に応じて準備させていただいているときがありますので、必要に応じて準備させていただきたいと思います。

○駒村委員 最終的な報告書の中に、その説明を入れるかどうかというのも大事だと思います。

○山崎部会長 関連して私のほうから。

 所得代替率50%というのが基準で、それはどのケースをとっても相当先になりそうですけれども、マクロ経済スライドの停止というのは、1階、2階、それぞれ分けて行われるわけで、ケースによっては2階が物すごく早いですね。5年以内というケースもありますね。そうすると、どれかのケースをとらないと、5年以内に政令で定めることになったのですが、その措置がとれないのですが、それはどのように読めばいいのでしょうか。

○武藤数理課長 今回、財政検証で経済前提専門委員会の議論を通じて幅広い8ケースを設定して、基本ケースを置かずにパラレルに見ていただこうということで議論が続いて、こういう財政検証になったわけです。部会長がおっしゃったような問題は確かにあることはありますが、基本的には年金の財政検証というのはプロジェクションで、幅を持って考えるべきだということもありますので、その幅の中で総合的にマクロ経済スライドの停止を考えていく話なのかなと思っています。つまり、特定のケースで、高い成長をするケースで早くとめてもいいという見通しがあったからといって、それをもって直ちにとめるということでもないのかなと。

○山崎部会長 ということは、うんと近い将来、現実にそういう事態が予想されるときに臨機応変に政策的にということになるのでしょうか。

○武藤数理課長 臨機応変に政策的にというところは言いようがないですけれども、総合的に考えられていくものと思います。

○山崎部会長 関連ですか。野上委員。

○野上委員 ちょっと手前みそな話になるかもしれませんが、従来から、1つは財政検証というのは法的には5年以内と決められているので、3年にしても、2年にしても、それは多々益々弁ずのという面もありますね。数理課の方はものすごく大変だと思うのですが、そういう検証も、特にアセットのほうは非常にボラタイルなポートフォリオになっていますので、その辺は非常にニーズが高くなっているのではないかと思います。

 それを補うような話で、今回、お願いの中でセンシティビティーテストといいますか、感応度の資料をお願いしたのです。それは前回のヒアリングのときに私からお聞きした話で、要は100年間、労働分配とか資本分配が一緒であると。そのときは幅が設定されているという御説明だったと思うのですが、いろいろ議事録等を見させていただくと、2つのレベルでは設定されているのですが、それぞれにシナリオがリンクしていまして、100年間一緒というのは変わらないのですね。ですから、結果として賃金上昇率と、要は資本分配がふえていない。例えばロボットに投資しますと、賃金分配が減って、資本分配がふえますね。そうすると運用利回りのほうも高く出ているのではないか。運用利回りの分母が少なく入っているという意味ですね。2つの影響で、結果としてかなり大きな影響があるのではないかということもあって、賃金上昇、運用利回りに関してのセンシティビティーの資料をお願いしたいということで数理部会内でお話ししておりまして、それを今回依頼させていただいたということです。

 出てきた話は、以前、年金部会で出された資料を出しておられますが、今後、数理部会で作業をする中で、首席年金数理官室と数理課は近くにありますので、いろいろ御協力していただいて、その辺、レビューのほうの御協力をお願いできないかなという質問です。

○武藤数理課長 主に経済前提の幅についてだと思いますけれども、前提が変化した場合に結果がどうなるかということで、もうちょっと感度分析ができるようになるのではないかということかと思います。確かに、今日お示しさせていただいた資料は、紙一枚で御説明しなければならない場面も想定して、ケースC、E、Gの3ケースでやっておりますけれども、その他ケースのこの結果に当たるものは、ホームページで細かいものを公表させていただいておりますので、この情報に当たるものも全て公表させていただいております。

 現行制度の財政検証とオプション試算とやったわけですけれども、現行制度の財政検証でもいろいろなケースを分けて、79通りの計算をしております。これは小野先生から去年の秋の年金数理部会でも言っていただきましたが、79通りあるので、かなりのケースには対応できて、メッシュにはできるのではないかと思っておりますので、そこは提供可能というか、そもそも国民に向けて提供できておりますので、御活用していただいて、分析はできるものと認識しております。

○野上委員 その辺は非常にありがたいと思っているのですが、特にセンシティビティーをやりたいなというところは2つございまして、一つは賃金上昇率、これは実質賃金上昇率と言ってもいいのですが、もう一つは運用利回りです。ですから、AからHのシナリオのそれぞれA、Aみたいなものをつくるようなイメージでお願いできないかと。

○武藤数理課長 今回の財政検証で8通りのケースですけれども、一番高いケースAは、これは専門委員会でも上限の上限ではないかみたいな話があったのですが、TFP上昇率で考えてみますと、バブル期の10年間ぐらいがずっと続くという前提でした。低いほうのケースHになりますと、これはまた低過ぎるという意見もあったのですけれども、失われた20年間のTFP上昇率がずっと続くような見通しで、100年にわたってずっとマイナス成長をする見通しで、かなりの幅にはなっていると思っておりまして、専門委員会で議論された結果、そうなっておりますから、それを御活用いただければ、かなりの分析にはなるのだと思います。

○山崎部会長 まだまだ御質問されたい方はたくさんいらっしゃるのですが、明日、まだヒアリングの機会がありますし、それから、もう一度あります。つまり、あと2回ありますので、武藤課長にはまた御出席いただいてということにしたいと思います。

 まだ数分ありますので、翁委員、どうぞ。

○翁委員 では、コメントだけなのですけれども、先ほど一元化に向けた連携についてお話があったのですが、一元化が実現していった後に各制度に数理が残って、どういう形で作業をしていくのかという方向感というか、全体としてのガバナンスというか、それについて、またぜひ一度、どのように考えておられるのか、どういう体制をとろうとしておられるのかということについてお話しいただければなと、またの機会で結構です。

 あと、平成21年検証からの重要な変化の分析、特になしとあったのですけれども、やはり足下いろいろ変化していることについて、一致していない理由とか、どこが寄与しているのかとか、そういった分析などもありますと非常に見せ方としてわかりやすくなるかなと感じましたので、コメントだけさせていただきました。

○武藤数理課長 貴重な御意見をありがとうございます。

○山崎部会長 牛丸委員、どうぞ。宿題だけでも結構です。

○牛丸委員 いくつかあったのですが、もうこの時間では言えないので、必ず設定していただけるならば、本質的なことでコメントしたいことがありましたので、そのときに申し上げます。

○山崎部会長 それでは、後日また御質問、御意見をいただくということで、本日は会議室の使用時間が参りましたので、終わりたいと思います。

 以上で厚生年金保険、国民年金(基礎年金)の財政検証につきまして、ヒアリングを終了いたします。

 説明者の方はどうもお疲れさまでございました。ありがとうございました。

 

(数理課長 関係者席へ移動)

 

○山崎部会長 それでは、最後に、今後の日程等につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

○清水首席年金数理官 次回の年金数理部会につきましては、明日9月9日水曜日の午前10時から、本日と同じこの専用第22会議室にて開催し、私立学校教職員共済制度の平成26年財政再計算について、文部科学省から説明を受ける予定としてございます。

 なお、台風が来ておりますので、場合によって、非常に厳しい場合には延期をさせていただく場合もございますが、その場合は御連絡を差し上げますので、よろしくお願いいたします。

○山崎部会長 それでは、終了いたします。


(了)

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