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2015年10月7日 第3回化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

○日時

平成27年10月7日(水) 15:30~


○場所

厚生労働省共用第9会議室 (19階)


○議事

○北村化学物質情報管理官 定刻になりましたので、第3回化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会を始めます。本日は大変お忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。

 本日は、大前先生が所用により御欠席という御連絡と、保利先生が若干遅れるという御連絡を頂いております。

 以下の進行につきましては、座長の菅野先生にお願いいたします。

○菅野座長 本日もよろしくお願いいたします。議事に入ります前に、事務局から資料の確認をお願いいたします。

○北村化学物質情報管理官 本日の議事次第と資料です。資料は、クリップ留めで一まとめにしています。本日の議事次第ですが、まず、「三酸化二アンチモンの健康障害防止措置の検討について」ということで、関係事業者・団体様からのヒアリングを予定しています。その後、関係事業者・団体様からの意見照会結果等について御報告いたします。「その他」となっています。

1枚めくりまして、資料一覧となっています。今回、参考資料はありませんで、資料の束だけとなっています。右下に通し番号を付けています。まず、資料1-1「健康障害防止措置の検討シート」が1ページからとなっています。次に資料1-2「関係事業者・団体への意見照会結果」、こちらが17ページから。資料2は関係事業者・団体提出資料等で、資料2-1、化成品工業協会様から提出いただいた調査票及びその資料が29ページから。資料2-2、日本難燃剤協会様から提出頂きました調査票と参考資料、こちらが37ページから。資料2-3、日本鉱業協会様から提出頂きました調査票と参考資料、こちらが55ページから。最後に1枚紙ですが、資料3として「今後の予定」となっています。資料は以上です。

○菅野座長 ありがとうございます。資料の不足はありませんでしょうか。

○名古屋委員 すみません。資料2-1-2ですか。

○北村化学物質情報管理官 資料2-1-2番。少々お待ちください。

○名古屋委員 1に付いている。では、大丈夫です。

○菅野座長 それでは、本日の議題に移りたいと思います。まず三酸化二アンチモンの措置の検討ですが、本日は化学事業者・団体からのヒアリングを行うことになっています。事務局から御説明をお願いいたします。

○北村化学物質情報管理官 関係事業者・団体からのヒアリングということで、最初に、化成品工業協会様にお願いしたいと思います。化成品工業協会の上村様に今回御出席いただいています。

 事務局から補足です。本日の検討会では、この後、事業者団体様から御発言いただくことになっていますけれども、本日の議事録にはほかの検討会と同様に、この後、厚生労働省のウェブサイトに掲載することになっていますので、あらかじめ御了承ください。それではよろしくお願いいたします。

○化成品工業協会 化成品工業協会の上村でございます。今回いろいろ発言の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。資料にのっとってお話させていただきます。先ほど御紹介あったように、化成品工業協会の資料2-1-1ですから、通しページ29ページからになります。

 我々の会員企業は現在128社でございます。業容はその下に書いていますように、活動内容の所に書いていますが、ここに掲げたのは、主に製品でいいますと、合成染料、あるいは有機顔料、有機ゴム薬品、医薬中間体、農薬中間体、有機写真薬品、その他の有機中間物。これはバルクでフェノールとか無水フタル酸、無水マレイン酸、クロロベンゼン類。あるいは個別商品として熱媒体、有機熱媒体ですが、こういったものが背景にありまして、そういう意味では非常に幅の広いといいますか、1つに絞り込めない業界になっています。そういう意味では、化成品のいろいろなものがいろいろな所に使われているといった形の業界になります。だから今回のヒアリングにつきましても、まとまったような意見でなかなか返ってこないということもありまして、ちょっと分かりにくい点があるかもしれませんので、そういう場合は遠慮なく御質問いただければ、分かる範囲でお答え申し上げます。

 アンチモンを使用しているおおよその会員企業数というのは、細かく言いますと、具体的に拾ったのは8社ですけれども、案内に対してリプライがない会員もございますので、多分10社余りあると思います。正確ではございませんけれども、一応、「10」という数字を立てております。

 次の30ページ以降の表について簡単に。縦の内容は、特化則がかかってくるとこういった項目に網羅して対応しなければいけない項目ですけれども、我々の作業は例のばく露作業のコードで整理させていただきました。作業の幅がどれくらいあるかを見たのですが、化成品工業協会の場合は分かりやすくて、要するに粉の三酸化二アンチモンを購入か、あるいは自分たちで何らかの形で調達をして混ぜ物にする。あるいは反応の基材として使うと。この2つなのです。そういう意味での計量、投入という、ばく露コード33になりますけれども、そういった工程が1つあります。

 そしてその横に書いてある2つですが、混練作業、ばく露コード49に相当するもの。充填・袋詰、これは製品のほうですけれども、ばく露コード35。こういったものにつきましては、実は8社に聞いたうちの2社がラボ使用なので、残り6社がプラントで使っています。

 その6社のうちの1社が具体的にはこういう混練と充填という作業イメージをもって答えてくれたのですが、その他の所は、実は計量、投入の段階で、粉である三酸化二アンチモンの使用が終わっています。そういう意味で樹脂に混ぜる形になるとか、あるいは反応物として使うといった形であるとか、そこで終わっておりますので、そこから川下の作業、袋詰に至っては粉物で扱われていないという、練り込まれている、あるいは反応物として扱われているという関係上、ばく露作業と認識していませんので、計量、投入というところに大体回答が集中いたしました。それ以外、プラント作業以外では、先に申し上げました研究用途が2つあります。これについては後でどういうものがあるか述べさせていただきます。

 ここの○、×は実は1つの具体例で言いますと、ある1社の外注先の、規模でいうと非常に小規模の事業所さんの回答の中身になります。そして例えば作業コード33のラインに1/5とか4/5とか分数みたいに見えるのは、全体が母数ですから分母になりますので、5社のうちの例えば一番上の表示であれば、1社が対応しているという回答になったということ。その横にある×は、先ほど申し上げた規模の小さい事業所さんがこの作業をしているときにこの項目に対応していないと。その横に×とありますけれども、ばく露コード49については、この作業イメージを持っておられる事業者さんが中小規模の事業者さんで、三酸化二アンチモンを原料にして、それを樹脂と混ぜて最終的なペレットのようなものを作って出荷しているという形になります。

 そういう1つの事業者さんについて○×を付しています。だからほとんどの場合、我々の回答をもらった所は、計量、投入のみとの認識なので、5社中どれだけ対応したかというのがその左の欄に分数のような形で掲げたものです。

 質問4の右の31ページについては研究用途だけのことで書いておりまして、試験・研究で作業内容としては3つに分かれるので、分母を3にして、採用しているという所を分子にしています。その中身については後で具体的に申し上げます。右に書いていますが、そういう成形物で評価、溶媒への溶解業務という形で。ラボはそういう使い方です。

32ページの質問5について、ここは「健康障害防止措置の導入に当たって考慮が必要な事項」に対する意見になります。ここでの意見としては、立入禁止の措置があると作業が実際できないということをちょっと申し述べていて。ほかの物質で、複数の粉物を練り込む作業がありますので、そういうプロセスにおいては特定の物質のために立入禁止措置をすると作業ができなくなってしまうので、「当該物質のみの作業場所とすることは困難であるため立入禁止措置はできない」と、こういう書きぶりになっています。

 その下の質問6「技術的課題及び措置導入の可能性」についてのコメントは、「密閉化」という措置に対するコメントです。技術的課題としては、密閉された空間での粉体投入作業は、実質上いろいろなスペースの問題もありますし、作業の内容にもよりますが、実際はこの密閉された空間での動きができないと。ただし、措置導入の可能性というか、事業者としての対応ができるものとしては、局所排気装置の設置並びに呼吸用保護具の使用による作業の対応は可能だろうと、この事業者さんからコメントが返ってきています。我々の中で言ったら、中からやや大きいと、大企業という意味ではないですが、数百人規模です。

 質問7は「特殊な作業(少量取扱い等リスクが低いと考えられる作業)の概要と意見」の所ですが、ここは物性評価用試料を、先ほど申し上げたラボでの使用の例を具体的に書き下ろしています。1つは物性評価用試料の成形及び物性評価ということで、作業は試料の作成・成形と物性評価という2つの作業があるのですが、ここで1つにまとめており、三酸化二アンチモンが配合されたペレットを購入原料として買ってきて、それを熱成形、プレス成形して物性評価用試料を作って、その試料を恒温室の、常に定められた温度の中で試験を要求されるものですから、恒温室で物性試験を行う作業が1つあります。それと先ほどの成形する作業が1つあるということです。こういった一連の作業を1つの事業者さんのラボでやっていると。いずれも樹脂から三酸化二アンチモンが単離されることは考えられないので、ここでのばく露は起こらないと考えるのが合理的であろうというように思っております。

 あと、溶媒への溶解作業という、これは具体的な溶媒名まではなかなかヒアリングできなかったのですが、これは将来プラント使用するための予備検討という形で、継続的に過去からやっていたのではなくて、今現在やろうとしていて、うまくいけばこういう用途になるかもしれないという開発検討の1つでした。分析室内で三酸化二アンチモンを溶媒に溶解する作業で、発散防止装置並びに保護具を着用していることから、この作業自体ではばく露低減策を講じた条件下で使っているから、ばく露による作業者の健康障害は防止できるのではないかと。これは個別案件として取り扱ったらどうかというように考えました。

 質問89については特にコメントが返ってこずに、最後の質問10は、先ほどの割と小規模の、いわばコンパウンド屋さんですけれども、その三酸化二アンチモンの粉を樹脂等に練り込んで製品を作っていく事業者さんで、事業規模が小さいということが背景にあります。そこでここに書いたことは、○×記載の情報は、先ほどの小さな事業規模の事業者さんの実態を反映したもので、×が非常に多くあります。そうした意味で、障害防止措置がそのまま当てはめられると、多分、費用面あるいは人的対応が非常に困ると。作業主任の、特化物の人の手当てが今できていないということから見ても、いろいろ困難な部分が出てくるだろうと思います。これらの事業所の作業実態の把握をもう少し時間があれば進めていただくか、あるいは設備改善などへの補助金制度のような、こうした中小規模事業者が法を守りながら設備対応等をしていけるような、何らかの施策が非常に必要ではないかと、会員からもそういう声が挙がっていますので、ちょっと御紹介いたします。

 今まで申し述べたことを簡単に資料2-1-235ページに1枚ものでまとめています。我々の会員数と回答があった27社のうち、実際に三酸化二アンチモンを使っていた所が8社です。うち試験、研究が2社と、その他顔料など、又は難燃剤用途の原料として使用する難燃剤関係6社という形です。そしてAからHまでの社名にしていますけれども、社名と分類。推定ですけれども原料使用とあるいはコンパウンドとラボ、これは研究使用です。皆、原料使用で、原料その物として、あるいは副原料的に使われるという意味です。ばく露作業コードも先ほど申し上げたとおり、初期の投入、混合、計量の所でほぼ収斂しているという形です。

 補足事項は書いてあるので、ここでは細かく申し述べるのをやめます。対応状況の所ですが、これは非常に定性的なものですが、措置検討がそのまま適用されて対応が今の状態でもいけるだろうと思われるところがα。少し手を加える必要はあるけれども対応ができないわけではないなというのがβです。γは先ほど申し述べたように、対応がそのままでは難しいだろうと。そのような事業者さんのことですけれども、今回のヒアリングの8社のうちではG社の外注先の話だけは、ちょっとそういう意味では気がかりであったということです。

 下に書いてあることは今、口頭で申し上げたことになりますので、後で確認のために、参考までにしていただけたらと思います。言うなれば原料としての使用であって川下使用、どちらかというと上流は粉を作るという、真ん中辺で加工をしてそして製品にして、下はその販売製品を使用して作る、さらに川下に作っていくといった事業者さんが化成協の場合は多くありました。原料としての三酸化二アンチモンを使って、例えばほかの性質を持った顔料を合成していく、そういった用途も一部ありますけれども、今回の回答の中ではそう多くは返ってきませんでした。簡単ですけれど、以上です。

○菅野座長 ありがとうございます。ただいまの御発表につきまして、御質問がありましたらお願いいたします。顔料と難燃剤の使用はどのくらいの割合なのでしょうか。

○化成品工業協会 すみません、今回は数量的なところは十分把握できていないのです。回答があった例から考えると、思っていた以上に顔料の原料として使用というのは余りなくて、樹脂原料の難燃性を期待して練り込まれたものを使っていくという、更に川下側の作業が結構多かったように思いますので、数量ベースでいうと圧倒的にそういった川下の使用といいますか、そっちのほうがかなり多いと考えております。

○菅野座長 そうしますと、難燃剤を付加した製品を作るためのペレットを作るというのが業務ということで。

○化成品工業協会 2つあると思うのですが。先ほども申し上げたように、自社で、我々の会員の社内で、三酸化二アンチモンを粉で買ってきて自社中でブレンドするという工程を持っておられる事業者と、ほかの練り屋さんのそういった処理が終わっているブレンド原料を購入して、それを更に加工して別の製品を作っていくという、そういった2つの流れがあると考えています。

○菅野座長 どうもありがとうございました。

○櫻井委員 難燃剤としての使用というのは、全体の重量の中でどれぐらいを占めるものになりますか。例えば10%台とか、数%台とか、どうなのでしょうか。

○化成品工業協会 我々が使用している。どのような前提で今、先生おっしゃったのですか。

○櫻井委員 とにかく難燃剤として練り込むわけですね。練り込まれているものがほかでまた使われるわけですが、練り込むときのパーセンテージはどのくらいなのかなと、イメージが分かりません。

○化成品工業協会 これはちょっと間違っているかもしれません。多分、パーセントオーダーであり、数十%というオーダーでは使われていないと思います。恐らく難燃剤協会の方がお詳しいと思います。当方では、正確に把握していません。

○櫻井委員 はい。

○菅野座長 御質問はいかがでしょうか。

○オブザーバー 実際に調査をさせていただいた中災防ですが、ちょっとお聞きしてよろしいでしょうか。今のお話では粉とブレンド材料という形であるというお話でしたが、私どもが調査したときに、三酸化二アンチモンそのままの粉の状態と、それから水溶液になっている状態、もう1つはペレット状になっている状態という形で、粉じんと言うよりもそれ以外に加工されたものを取り扱っている場合があったのですが、今のお話でしたら、そのものの粉を使っている場合がありますというのと、後、ブレンドされたときには、それはもうペレット状なのか、それとも粉状なのか、液体状なのか、どういう場合が一番多いのでしょうか。風下に行けば行くほど、どういう状態。

○化成品工業協会 多分、ペレットが一番多いと思います。

○オブザーバー ペレット状という感じですか。

○化成品工業協会 おっしゃるように、私がちょっと説明していなかったように、液体の中にというか、液状で粉が入っているといいますか、そういった加工もありますし、ドライと言っているのは一部というか、結構あるのですが、ドライだけではなくて、今のおっしゃるように確かにペレットであるとか、ドライで練り込んだ結果ペレットになりますから、そういう意味では、粉を練り込んでいる我々の会員がいるということは、ドライブレンドなのでパウダーになっている。若干そこで舞うのですけれども。ペレットで買ってくるのは全然舞いませんから、そういう意味ではばく露のチャンスは、あるとしたら粉で実際に加工機に入れて、そこでブレンドを始めてやると、その工程だけからと。

○オブザーバー ということは、全体の工程としては、粉を取り扱うのは余り頻度は高くないと考えておられますか。

○化成品工業協会 初期の部分だけだと思います。

○オブザーバー そういうことですか。分かりました、ありがとうございます。

○田中委員 1つ、30ページの表の所の見方、解釈を教えてください。作業管理ですか、そこの下から4番目、「有効な保護具の使用」が5/5という、この「有効な保護具の使用」というのが何を指しているのか。その下が防毒マスクの使用が5社中の1社、送気マスクの使用が5社中の1社という理解ですか。

○化成品工業協会 これもそのままで、細かい調査は実は突っ込んで個別に聞いているわけではありませんので、彼らの回答をそのままコピーしていますけれども、そうは言いながら、呼吸用保護具が、防毒マスクを、あるいは送気マスクをというのは1社、1社が対応しているというような答え方なので、それ以外は通常の粉用の防じんマスクを。

○田中委員 防じんマスクという理解ですか。

○化成品工業協会 はい、という理解でいいと思います。それは比較的そういう作業が多い所は、業界としてそこは対応できているという考え方です。

○田中委員 ありがとうございます。

○菅野座長 いかがでしょうか。よろしいですか。

○櫻井委員 先ほどの「密閉化」の所で、32ページの「密閉された空間での粉体投入作業は困難である」と書いてありますが、ちょっと意味が分かりにくいのですが。

○化成品工業協会 そうですね。密閉化ということを非常にリジッドに多分この回答者が考えていることによって、私のほうもちょっと転記しようか迷ったところですけれども、密閉化とは一般的にはある容器の中に密閉していると。外に漏洩を防ぐという意味で。

○櫻井委員 密閉して、そこで投入するとしたらやはり開けなければいけないからというようなものですか。

○化成品工業協会 そうですね。だから非常にオープンに、クローズで人が入ってという意味ではなくて、装置として物の投入、それと練込みの段階では閉めますから、そういった状況の装置をそのまま1つのチャンバーで密閉化するというのは、実際にはいろいろなプロセスを見てみると、必ずしもそうなっていない部分というか、大きな建屋にはなっていますけれども、ある練込みの部分だけを密閉化して作業しているというのはほとんど業界にはないと思いますので、そういう意味でちょっと書いています。言葉で誤解があるかもしれませんけれども。

○角田化学物質評価室長 その上の所の「立入禁止措置」ですが、これは先ほどの御説明で複数の粉物を練り込むような場合があるのでということでしたが、30ページの混練作業を出された所から出てきたという、そういう理解でよろしいですか。

○化成品工業協会 これは粉を投入するまでで、そこから先は、例えば樹脂とペレットを練り込んでいくというイメージなんですね。だからこの樹脂と練り込むまでの作業でイメージしていただけたらと思います。

 そういう意味では先ほどのオブザーバーからも意見があり、確認をしていましたけれども、流れの中では初期の段階で、我々の会員では多分それ以降はオープンになってこないだろうと、そういうところは終っているとそのように考えています。

○角田化学物質評価室長 要するに原料として異なったものを扱っている方がその場におられると、そういうことですか。

○化成品工業協会 同じ作業員が違った原料を持ち運んで行くというイメージです。

○角田化学物質評価室長 なるほど、そういうことですね。

○化成品工業協会 複数の原料もありますので。

○オブザーバー 粉物を取り扱うときには、ハンドリングするときに、フレコンバックのような形で500kgとか、そういう形で取り扱うことが多いのか、それとも紙袋のような形で10kgとか20kgの感じで取り扱うことが多いのかというのは、どんなもんなのでしょうか。

○化成品工業協会 回答された所に確認はできていないのですが、事業規模によって作る製造ラインの大きさが決まってきますので、日に何トンもこういうものを生産しているというか、数十トン生産しているような所は、多分フレコン対応でしょうけれど、ここの非常にバッチ数が小さいような、日程、日で数百kgとかそういうものは多分紙になっていると思います。ここではどちらかというのは、すみません、確認できていないです。

○オブザーバー はい、分かりました、ありがとうございます。

○菅野座長 よろしいでしょうか。ほかにはいかがですか。それでは、御説明ありがとうございました。

○化成品工業協会 ありがとうございました。

○菅野座長 続きまして、日本難燃剤協会からヒアリングをお願いします。

○北村化学物質情報管理官 続いて、日本難燃剤協会様に御説明をお願いいたします。日本難燃剤協会様からは、益森様、鈴木様、南様に御出席を頂いております。どうぞ、よろしくお願いいたします。

○日本難燃剤協会 今回は発言の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。説明については、難燃剤協会事務局の益森からいたします。質問の内容に応じて、会員企業の鈴木、南から返答させていただく場合もありますので、よろしくお願いいたします。

 私どもは、会員企業数が30社、正会員、製造会社が21社、商社が5社、賛助会員が4社という団体です。今回、三酸化二アンチモンを使用しているおおよその会員企業数は、このあと報告があります日本鉱業協会に所属しております製造メーカー3社のうちのトップと第2位の2社があります。それから、その他、取扱いが4社の計6社から回答を頂いております。

 活動内容としては、主に難燃剤の製造・販売及び取扱業からなる団体ということで、国内外の難燃剤に関する調査及び情報の収集、並びに難燃剤の普及、啓蒙、技術向上に取り組み、関係省庁、関係諸団体との連携に努めております。

 「業界団体としての取組み」については、関係省庁と意見交換をして、業界としての具申をしております。会員を通して、作業者に対するSDS等により安全教育を実施するとともに、ばく露低減のために特殊マスクでもほとんどが防じんマスクが主体だと思いますが、その使用、局所排気等の措置を講ずるよう、協会を通じ会員企業に指導しております。

 「事業者の自主的な取組み」のうち、「製造2社」については、後ほど鉱業協会からの答えと全く同じになりますので割愛させていただきます。

 「調合」は、単純な混合複合品から樹脂あるいは先ほど話が出ました液状品への混ぜ物などの製造、取扱いの4社の回答になっております。情報提供、労働衛生教育、発散防止、作業環境、漏洩、作業環境は、一般的な化学物質、有機物などを取り扱っていますので、一般的な対応をされていることと、作業環境測定については、規制がない所等もありますし、4社中の3/42/4というのは、4社中の2社が特にじん肺健診や防じんマスクを使用されております。

 質問5ですが、「健康障害防止措置の導入に当たっての考慮が必要な事項」について、上の2つが後ほど説明があります鉱業協会の関係で統合されておりますので、その2つについては割愛させていただきます。それから、断っておきますが、今回、鉱業協会所属の製造メーカー2社以外に、7社。先ほどの取扱い4社、その他ハロゲン系難燃剤などの7社から意見を頂いております。協会としては、特段、統合調整などはしておりませんので、明らかに誤っているところは修正しておりますが、そのままの形で添付しておりますので、類似の意見がある点については、御容赦いただきます。

3段目の「考慮を要する事項」ですが、臭素系難燃剤との併用ということで、広く三酸化二アンチモンは臭素系難燃剤との共働剤。要するに、難燃助剤の相乗剤としてのプラスチック、繊維、テキスタイル等に使用されており、代替品で同等の効果を持つ物質は見つかっていないこと。今回の措置により、使用が実質制限されることになれば、難燃剤メーカーとしても大きな機会損失、要するにビジネスチャンスを損失するにつながる可能性が危惧されるということです。

 それから、難燃性、樹脂物性の低下の観点で、プラスチックをハロゲン系難燃剤で難燃化する場合、三酸化二アンチモンを難燃助剤として添加するが、何らかの規制により添加できない、若しくは添加量を減少させた場合、難燃性あるいはプラスチックの物性が著しく低下し、難燃規制を満足する物性が得られないことが危惧されます。

 それから、適用の範囲並びに保護具による管理基準の緩和の措置の観点です。衛生的なリスクは、粉末を製造・取扱いの特定の業種・工程に限られるものと考えるので、できるだけ狭い範囲に限定していただきたい。また、三酸化二アンチモンを使用するコンパウンド業界のばく露は、特に海外の基準値、これは例えばアメリカのACGIH0.5mg/m3よりも低いと考えられ、全工程で管理基準以下の作業環境改善を図ることはコスト及び日程上も厳しく、保護具の使用等で措置緩和にしていただきたい。

 導入に当たっての猶予期間の設定という切り口で、従来リスクが少ないと考えたものに対し、特化則の義務を履行することになると、設備面、教育面、運用面での様々な課題が発生するため、導入に当たっては十分な猶予を設けていただきたいということを出しております。

 質問6については、ほとんど製造メーカーの発散源や対応等の記載ですから、この項目については割愛させていただきます。

 質問7については、「特殊な作業(少量取扱い等リスクが低いと考えられる作業)の概要と意見」に関してです。これについては、作業名が固体あるいは液状化製剤の適用除外ということで、三酸化二アンチモンの主なリスクは、粉じんの吸入リスクが主なリスクと解釈しており、樹脂への封入、要するにペレットの中に入ってしまったもの、あるいは液状化してコンパウンドされた製剤を取り扱う場合、粉じん飛散の可能性は低く、特化則の規制措置は必要ないと考えております。

2番目と3番目は、鉱業協会、メーカーの発言ですので、これも割愛させていただきます。それから、これは共通するのですが、試験、分析あるいは研究機関業務などの適用除外です。製造・取扱いと試験、分析用あるいは研究機関での取扱いは、少量かつばく露可能性が低く、局所集じんあるいは保護具も使用されていることから、適用を区別すべきと考えております。

 質問8の「産業活動への影響や公正競争の観点からの意見」です。それ以前に、後ろのほうに参考資料として添付しているものから簡単に説明いたします。そのほうが業界の全体図が少し分かるかと思いますので、それを踏まえて意見書を読み上げたいと思います。

 資料2-2-2「三酸化アンチモンを難燃助剤として使用する樹脂等とその用途」です。左側に樹脂等が書いてあります。塩ビからオレフィン、スチレン系樹脂(PSABS)、汎用エンプラ(PET/PBT)、ポリアミド、発泡材、ウレタンフォーム、エポキシ樹脂、ゴム、あるいは繊維ということで、用途については電線、ケーブル、ワイヤーハーネス、帆布、工事用のシート。スチレン系樹脂は、筐体材料、トナーカートリッジやテレビハウジング、OA機器となっております。汎用エンプラのPET/PBT、ポリアミドは、コネクター・スイッチ等の弱電部品。ウレタンフォームについては、車両発泡材や建材等。エポキシは、ICの封止剤。ワニスは、木材の表面を塗装する塗料の一種です。接着剤。ゴムについては、コンベアベルトや弱電部品。繊維も非常に大きな使用分野で、自動車のシートバッキング、のぼり旗、宣伝幕、重布。重布というのは工事用の帆布、屋外テントの倉庫。ブラインド、布張り家具やローパティション、間仕切り。カーペット、特殊衣服などに使用されております。

 次のページは、「三酸化アンチモン取扱事業者サプライチェーン概要図」ということで、海外からアンチモン鉱石がアンチモン製錬事業者から、地金あるいは三酸化アンチモンとして輸入しまして、アンチモンメーカーが三酸化アンチモンに製錬します。それから、三酸化アンチモンの直接輸入業者があり、難燃剤メーカーから難燃剤を購入して、複合的な難燃剤メーカー、混合やペレット化することもあります。その下に、樹脂・ゴムメーカーは約300社です。それから、コンパウンドメーカー、繊維関係(液状系)の会社に、難燃剤が三酸化アンチモンあるいは難燃剤メーカーからいくということです。樹脂・ゴムメーカー、コンパウンドメーカー繊維関係の投入箇所が、粉体の取扱いが関わってきます。樹脂ペレット、あるいは液状コンパウンドの形で、成型メーカー(樹脂加工)、あるいは繊維難燃加工にいきます。

 私どもの解釈としては、特定化学物質障害予防規則に仮にされたときの対象範囲はここまでの範囲が規制されるという解釈をしております。それから、それらの成型や繊維加工された部品、製品等が、自動車、電気機器メーカー、建材・インテリアファブリックメーカーに流れると解釈しております。

 次のページは、京都工芸繊維大学の特任教授、それから難燃材料研究会の会長であります大越先生から資料を頂き、使用してもいいという了解、公開してもいいということで頂いております。時間の関係で割愛して説明しますと、難燃化の目的は、簡単に言いますと、火災防止ということで、火災から逃げる時間を確保して、国民の生命と財産を火災から保護することを目的としております。

3番目の「難燃樹脂材料の性能」については、ハロゲン系難燃剤を酸化アンチモンと組み合わせるというのが、性能とコストからベストプラクティスとなっております。

7ページは、オレフィン樹脂で代表的に使われておりますが、ハロゲンと酸化アンチモンの併用が気相反応で酸素遮断やラジカルトラップ反応ということで、非常に難燃効果が高く、ノンハロゲン、リン系に対して難燃効果が高いということです。ハロゲン系単独でもV-2止まりということで、酸化アンチモンと併用することによって、難燃基準のV0、高難燃をクリアすることができることになっております。

8ページは、産業へのインパクトということで、川上産業へのインパクトが大きく、海外シフトが進む可能性があること。特に、中小企業設備投資への負担が増大。技術へのインパクトということで、技術流出の可能性があります。難燃剤及びその樹脂コンパウンドの海外生産シフトが加速し、同時に技術もシフトする可能性がある。酸化アンチモンはハロゲン系難燃剤と併用して効果があるものであり、酸化アンチモンのみの海外シフトでなく、ハロゲン系難燃化樹脂の技術ごと海外へシフトする可能性があります。

 酸化アンチモン代替物質探索の困難さということで、約70年前から開発されておりますが、ハロゲン/アンチモンの併用効果を超える物質系は現在見つかっていない。下の「産業インパクトの懸念」、メーカー、あるいは樹脂/コンパウンドメーカー、商社、部品メーカー、セットメーカーが、国内の生産が縮少、そして海外へのシフトなどが増加することが懸念されるということです。

 そのような背景、業態図の中で、「産業活動への影響や公正競争の観点からの意見」ということで、上の2つが鉱業協会メーカーの関係ですから割愛いたします。3段目から読み上げます。三酸化アンチモンは、難燃剤の助剤として配合されるが、その役割は重要で、三酸化アンチモンなしでは十分な難燃性を発揮することはできない。世界の他の国々を見ても、三酸化アンチモンに対するこのような措置はなく、日本国内の難燃剤に関連する産業のみが制約を受け、競争力を損なうことになる。

 難燃剤及び難燃加工に付随する事業が日本国内から海外に移行し、日本国内の経済へ影響を与える可能性が高い。具体的には、日本国内で製造/販売されている臭素系難燃剤が年間約4万トンあります。三酸化アンチモンは、約1万トンが海外に移行し、また難燃剤を使用した加工自体はコンパウンド量などで、推定40万トンが海外シフトする可能性がある。三酸化アンチモンは、臭素系難燃剤と併用して使用され、樹脂の難燃加工に用いられております。今回の特別規則は、日本が独自にばく露基準値を設定したことに起因するため、制限を受けるのは日本のみである。加工業者が、その加工場所を海外にする可能性が高く、日本の経済の空洞化が発生する。

 他国との制限濃度とは、二次評価値あるいは管理濃度の点ですが、制限濃度の違いにより国際競争力が失われ、三酸化アンチモンを使用した加工が海外に移転されることが懸念される。また国内においても、対象の業務を行う企業には規模の格差があり、小さな企業体の場合、是正措置を満たすための投資を行うことが難しいケースが想定される。その場合は、是正措置を行える企業体に加工が集中し、淘汰が起こる可能性がある。

 当該物質は難燃助剤として優れた薬剤です。それに代わる薬剤が見つからない状況で、日本だけが国際基準より厳しい基準になると、日本国内での使用が非常に厳しくなります。まずは、第1段階は国際基準で様子を見るべきではないでしょうか。

 現状、三酸化アンチモン単体だけが毒劇法の劇物指定以外は法的規制がないことから、特化則規制化に関わる設備投資面はもちろん、運用面でもコスト競争力は低下し、国内産業が消滅してしまう可能性がある。海外規制と比較して国内規制が著しく厳しい場合、コスト負担による競争力の低下を招くおそれがあるので、国際的な統一基準にしていただきたい。また、国際的な制定がなされるまでの間、公平性が保たれるように、暫定的な救済措置が必要である。

 樹脂あるいは繊維などの難燃化においては、三酸化アンチモンの併用は必須であり、代替剤がない中で、日本だけが先行規制される場合、国内での管理費用やコスト負担上昇などから、三酸化アンチモン含有製剤を使用した成型部品・半製品を使用する国内自動車、電子、電気メーカーの海外(特に中国)との国際競争力低下や生産拠点の海外移転が促進される可能性があります。

 それから、風評被害の可能性が、仮に特化則規制ということになれば、健康障害のおそれなどの風評被害の可能性が懸念される。

 廃棄物の取扱いについて、自動車、電子・電気機器などのシュレッダーダストにも大きく影響することになるということで、その適用基準、適用範囲を明確にする必要があると考えております。

 「措置の方針に対する意見」については、日本以外の国とも整合性が取れる措置を採用してほしい。OECDに基づいた有害性評価はあるのですが、今回、日本は独自の評価値、許容濃度を採用しております。作業者の安全を確保する姿勢は理解できるのですが、OECDとも十分に意見交換を実施し、世界で整合性が取れる措置にしていただきたい。日本のみが先行しての措置があると、海外との競争において不利益を生じることになる。

 今回の評価値0.1mg/m3に設定された場合、かなり高度な新規設備導入が必要になる。この会社では40年以上にわたり三酸化二アンチモンを取り扱っているが、事務系従業員のみならず、現場作業員にも特段の健康被害、これは重篤な健康障害、発がん性などを指しているかと思いますが、それは認められていない。同業他社においても同様に聞いたことがない。3番目は、鉱業協会メーカーの回答ですので割愛いたします。

 最後は、労働者の健康障害リスクが指摘されているのは、主に三酸化二アンチモンの製造及び粉末取扱い作業である。繊維を含めた樹脂コンパウンドの難燃化では、三酸化アンチモンはハロゲン系難燃剤と併用され、広く一般的に使用されており、アンチモンの代替剤がなく、ULというのは米国の難燃基準で世界的な、アメリカも州などが公的に認めているということで、UL難燃基準をクリアするために欠かせない物質であり、何らかの規制措置が必要となると、自動車、電子・電気業界など広範囲な業界に大きな影響を与える可能性がある。難燃加工のために樹脂コンパウンドに封入あるいは液状化された場合、粉末としてのばく露は考えられない。したがって、仮に特化則で規制される場合については、ニッケル化合物と同じような粉状品に限るというような特例措置を設定すべきであると考えております。すなわち、ばく露実態に即した対象範囲を明確に区別していただきたいと考えております。

 質問10「その他の意見」ということで、電気・電子製品及び自動車、建材、インテリア等の難燃化助剤として三酸化アンチモンは不可欠であり、代替品がない。0.1mg/m3以下に設定されると、質問8で既述したように設備導入が必要になる。作業を海外に委託する会社が増加し、国内で取り扱う業者が激減すると予想される。三酸化二アンチモンの資源国である中国に加工先が移転し、技術やノウハウの流出が懸念される。この分野における国内産業の空洞化を招き、失業者の拡大のおそれがある。0.1mg/m3以下の設定は、国内難燃剤生産加工業者や一次ユーザー(混練加工業者)のみならず、難燃剤の下流サプライチェーン(電気・電子機器、自動車メーカー)へのコストアップや代替品の検討等、余分なコスト、労力を強いることになり、競争力を失わせる要因となります。

 今回の二次評価値については、日本産業衛生学会の許容濃度2013年、1991年のものをそのまま採用したものとなっておりますが、その主論文は三酸化アンチモンではなく、三硫化アンチモンである。その他、4つほどの文献を根拠にされているわけですが、その他の根拠論文も信頼性に多くの問題を抱えているものである。また、詳細リスク評価書に引用されています米国のEPAIRISというデータベースの資料は、三酸化アンチモンに関する欧州のリスク評価書(2008)、あるいはアメリカのリスク評価書の公開以前の古いデータに基づくものであり、より最新の欧州リスクアセスメント評価情報、あるいは鉱業協会の説明にありますが、OECDSIAP初期スクリーニングプロファイル、あるいは米国ACGIHTLV-TWA数値0.5mg/m3基準とばく露実態実測値に勘案して、健康障害防止措置の検討をしていただきますようお願いいたします。

 繰り返しになりますが、まとめて難燃剤協会として言いたいことは、三酸化アンチモンに関わる有害性評価あるいは健康障害の基準となる評価値、ばく露限界値に関して、科学定量的な信頼性の問題を抱えており、国際整合性が取れていないことがまず第1点です。それから、昨日、厚労省の改正労安法の概要あるいはポイントに関するセミナーで、化学物質対策課の寺島専門官の講演などを聞きましたが、その中でリスク評価におけるばく露量が重要という話がありました。

 今年の812日公開の三酸化アンチモンの詳細リスク評価書中のばく露実態の調査集計表によれば、個人ばく露測定結果は、製造4事業者の測定の幾何平均値のみが、0.1mg/m3をわずかに超過しております。スポット測定結果では、同じく製造事業所の短時間作業の単位作業場算術幾何平均値、0.1mg/m3を超過しているだけで、製造事業者の8時間TWA平均値は最高で0.068mg/m3であり、他の短時間作業の単位作業算術平均値は、0.022で、他の個人ばく露測定結果も含めて、はるかにそれ未満の数値レベルとなっております。

 それらは全て世界的なばく露限界値であるACGIHTWA0.5mg/m3未満であることから、一律の特化物指定の規制の必要性は低く、仮にばく露限界値を0.1mg/m3としても、超過可能性がある製造事業者は、非鉄金属の副産物製造を含めましても56社であり、国際整合性が取られるまでは特化則規制ではなく、行政指導にとどめていただきたいということです。

 有害性評価値の結論は出されているわけですが、これらのことはばく露実態測定値、平均値が最大で0.1mg/m3レベルであり、全てが国際的なばく露基準値0.5mg/m3未満であるという大前提の中で、先ほど来繰り返し意見書の中で述べましたように、難燃用途に対して代替剤がなく、国際的な難燃規格であるULV0をクリアできないこと。また、幅広い用途へののオールマイティーな難燃配合がなく、サプライチェーンを含めた日本の製造業だけがその国際競争力を失い、産業空洞化あるいは雇用喪失の可能性がありますので、第1段階は国際的なばく露限界値であるACGIHTWA値の0.5mg/m3基準で規制措置の検討を是非ともお願いしたいと思います。時間を超過して申し訳ありません。

○菅野座長 ただいまの御意見について、御質問等がありましたらお願いいたします。

○藤間委員 繊維の加工が樹脂の含有以外にもあるかと思うのですが、例えば樹脂と繊維加工の部分とのアンチモンの出荷量の比率とか、もう1つは多分、繊維に固定化させるような工程があるかと思いますが、どのような形で扱っておられて、その段階での飛散の可能性があるかをお聞きしたいと思います。

○日本難燃剤協会 数量比率はデータがないのですが、圧倒的に樹脂プラスチックのほうが多いと。エイヤー的にはどうですかね。82ぐらいですかね。

○日本難燃剤協会 もっと少ないと思います。繊維のほうが1割前後ではないかと思います。

○日本難燃剤協会 あと、繊維の状態は。

○日本難燃剤協会 繊維に今、難燃処理する場合、三酸化アンチモン単体では繊維の上に固着できません。したがって、三酸化アンチモンと、ハロゲン系の難燃剤と繊維に固着させるためのバインダー、通常アクリル系のものが一般的には多いのですが、それを水に分散した状態で、簡単に言いますと塗料の状態にしたものを加工屋さんが布の上に塗っていくというような処理をしております。今まで何度もお話が出ておりますように、塗料にする段階では粉体のものを扱うのですが、それがいわゆる液状、水に分散した状態で塗られる状態では飛散する可能性はほぼありません。そういう状況です。

○藤間委員 はい。了解いたしました。

○名古屋委員 例えば、この資料の46ページを見ていると、これが一番流れでよく分かるのだと思うのですが、言われていることは、要するにここで見ると、川上の粉剤の取扱いは濃度は別にしまして、ある程度リスク評価でも本当は高い濃度が出ていますよと。しかし、それから下のペレットにしたりコンパウンドにした所は意外と濃度は低いから、要因分析をすると粉体には規制をかけるけれども、その下の所については規制をかけないでくださいよという主張と考えてよろしいですか。分け方としては、そういう分け方で結構なのですか。要するに、粉体の取扱いはある程度リスクが高いことは分かっておりますが、ただ今言ったように、そのあとペレットとしたりコンパウンドした所は、リスク評価の濃度は低いから、そこは規制から外してほしいという形でしょうか。

○日本難燃剤協会 この図で言いますと、要するに樹脂・ゴムメーカー、コンパウンドメーカーの粉体を投入する箇所は、確かに飛散の可能性、ばく露の可能性があるのですが、私どもが推定しております厚労省の実態調査ですと、平均値では0.1未満であるとと推定しております。ましてや今言われたように、樹脂あるいは液状の中に入ったものは、はるかに低い濃度ですから、これは完全に区別していただきたいということです。

○名古屋委員 多分、化学物質のリスク検討会でリスクを検討したときは、粉剤の取り扱いとペレットにしたりコンパウンドにした所を分けるような要因分析はせずに、本委員会で、今議論しているような要因分析を行ってもらいましょうとということになったと思います。リスク評価の濃度を見ると、この表で見ると上のほうは濃度は別にしても、ある程度規制をかけてもしょうがない。下の所はいいという形ですね。ありがとうございます。

○唐沢委員 ただいまの資料の45ページですが、難燃助剤として三酸化アンチモンを使用する樹脂等と書いてあり、ハロゲン系という御説明でしたが、この樹脂を見ていくと必ずしもハロゲン系の樹脂でないものもありますよね。そいうものの中にも、この三酸化アンチモンを助剤として入れるという意味ですね。もう1つは、45ページの表現上の問題ですが、使用難燃剤として一番上のPVCのポリビニルの所で、三酸化アンチモンと書いてあり、下に「以下、記載割愛」となっておりますが、この下は一応三酸化アンチモンが全

○日本難燃剤協会 はい、そういうことです。塩ビについては、樹脂の中に塩素が入っていますから、ハロゲン系が入っていますから、三酸化アンチモンの添加のみで難燃効果が出ます。

○唐沢委員 PVCはハロゲン物ですから分かるのですが、、ABSや幾つかポリエステル樹脂などにはハロゲン剤と三酸化アンチモンを入れるのですね。

○日本難燃剤協会 使用難燃剤については、一番右側に書いてあるのは、全て代表的なハロゲン系の難燃剤です。ハロゲンが入っております。

○唐沢委員 全部一応、ああ、そうですか。

○日本難燃剤協会 上のほうにあるビス(ベンタブロモフェニル)

○日本難燃剤協会 これらは全て、酸化アンチモンが併用されております。

○唐沢委員 そのように理解すればいいわけですね。

○日本難燃剤協会 はい。

○唐沢委員 分かりました。

○櫻井委員 TBBAというのは、何の略なのですか。

○日本難燃剤協会 これは、テトラブロモビスフェノールAです。

○櫻井委員 はい、分かりました。

○小野委員 ハロゲン化難燃剤と難燃助剤としてのアンチモンということなのですが、割合的にはどのぐらいというか、ある程度は決まっているのでしょうか。

○日本難燃剤協会 おおむね31とか。

○日本難燃剤協会 理論上は31です。

○小野委員 大体重量ベースで、31ぐらいですか。

○日本難燃剤協会 臭素含有量に対してですね。

○小野委員 臭素に対して、アンチモン。

○日本難燃剤協会 そうですね。例えば、今、御質問があったTBBAというものは、大体60%ぐらいの臭素含有量なのですね。その含有量に対して21とか31とか、おおむね決めていくのですが、また使われる樹脂によっても違うので。これは、コンパウンドメーカーや我々難燃剤メーカーが実際樹脂に練り込んで、どの辺りの比率が一番いいかを評価して比率を決めることですが、大体おおむね難燃剤に対しては31とか21という比率が多いですね。

○小野委員 ありがとうございました。

○櫻井委員 臭素系3に対して、アンチモン1

○日本難燃剤協会 多いほうがハロゲン系です。

○小野委員 もう1つよろしいですか。先ほど、テキスタイルは、水溶液を塗って、糸ではなくてテキスタイルのほうに塗るという考えでよろしいですか。その乾燥のときなどに、脱離とかそういうことはどうなのでしょうか。多分、全部がまとまってバインダーなどとゴトッとした感じで脱離してくるとは思うのですが。

○日本難燃剤協会 テキスタイルの場合は、今御指摘のように、糸を作るときに難燃化する、いわゆる原糸の段階で難燃化するという考え方もあります。その場合と別にして、今回の場合は後処理と言っているのですが、普通の糸を織って布状になったものに、後から難燃処理をする場合を想定してお話させていただきます。今おっしゃったように、臭素系の難燃剤とアンチモンとバインダーといわれている樹脂を塗料にしたようなものを塗っていくわけです。厳密に言えば、乾いていくわけですから、バインダーの中に封入された状態で、一緒にボロッと塗料面として落ちてくることは可能性としてはありますが、三酸化アンチモンのみが単独で遊離していくことは普通は考えにくいです。

○小野委員 ありがとうございます。

○唐沢委員 いろいろ御主張を伺ったわけなのですが、特に国際基準との関連や、日本だけが独自に規制されるのはいかがなものかという趣旨の発言もあったと思うのですが、私はイギリスの有害物管理規則と、ドイツの規則を調べてみたのですが、イギリスは既に規制していますよね。ただ、濃度値は0.5mg/m3ではあります。それから、ドイツは明示的に三酸化二アンチモンという化合物記載はないのですが、ドイツの有害物管理規則は非常に包括規則で、有害物であれば全部適用されますから、一応イギリスとドイツでは既に規制しているということは事実としてあると思います。念のためです。

○日本難燃剤協会 私の理解が少ないかも分かりませんが、私は昨年の10月までアンチモンのメーカーにいたのですが、イギリスあるいはドイツにも国際アンチモン協会の会員がおられますし、ドイツの需要はかなりの数量の酸化アンチモンが使用されておりますが、規制されているという理解はしてはいないのですが。

○唐沢委員 ドイツの規則がここにありますが、それは規制対象になっていますよ。ただ、明示的には化合物として挙げてありませんが。

○角田化学物質評価室長 御存じのとおり、OSHA(米国労働安全衛生庁)ではアンチモンとその化合物で許容ばく露限度のルールがあります。水準の問題はありますが、規制対象にはなっています。

 それと、先ほど評価値の関係の御発言がありましたので、評価値について補足させていただきます。評価値は有害性評価小検討会で昨年に0.1mg/m3 と設定いたしまして、昨年5月の議事録に経過は載っているのですが、新しく2013年に勧告された産衛学会の数値を使うことになった次第です。

 その1年前から小検討会でいろいろと議論があり、ACGIHと産衛学会の許容濃度のどちらを評価値に選ぶかという検討があったのですが、ACGIHは三酸化二アンチモンではなくて、五塩化アンチモンの健康影響を踏まえて設定していました。産衛学会のものも当然俎上に乗ったのですが、平成25年当時は産衛学会の許容濃度の根拠としてのデータが、詳細が不明なソ連の文献を含んでいるということもあり、結果的に平成25年は評価値の設定ができなかった経緯があります。

 産衛学会が再度2013年に勧告をいたしまして、数値は0.1と変わらなかったのですが、根拠を見直し、不確かな文献は根拠から除かれました。根拠としては、先ほどお話がありました硫化アンチモンの労働者のデータ、ろう付け棒の製造工場での皮膚炎のデータ、動物実験のラットへの三酸化二アンチモンの1年間の吸入ばく露試験の結果を踏まえて総合的に判断すると0.1が妥当だということで、以前の数値は適当だという判断になったわけです。これが、産衛学会の許容濃度です。

 冒頭に申し上げました有害性の小検討会で、この新しい産衛学会の数値を使うこととなりました。ACGIHの数値は五塩化アンチモンの健康影響を踏まえたものであるということ、それから、動物実験のNOAELを踏まえると、0.5という水準は少しマージンがきついのではないかということ。それから、もちろん安全性を見込むということもあり、こういったことを総合的に判断して、リスク評価の水準として二次評価値が0.1となったところです。

○菅野座長 ほかに御質問、御意見等はいかがでしょうか。それでは、どうもありがとうございました。難燃剤協会からのヒアリングを終わらせていただきます。

○日本難燃剤協会 どうもありがとうございました。

○菅野座長 続いて、日本鉱業協会からヒアリングを行います。

○北村化学物質情報管理官 それでは、次に日本鉱業協会様にお願いしたいと思います。日本鉱業協会様からは、佐藤様、若林様、吉田様、樫脇様に御出席をいただいております。どうぞ、よろしくお願いいたします。

○日本鉱業協会 資料2-3-1の調査票に関しては、私、吉田が説明いたします。資料2-3-2に関しては若林が説明いたします。私どもは、先ほどの話ではありませんが規制化していただきたくないということで説明いたします。

 まず、質問2です。アンチモン環境安全対策協議会は、国内で3社の製錬会社があるわけですが、全部網羅しておりますので、この調査票の回答、意見についてはアンチモン製錬会社の総意ということです。それから、先ほど難燃剤協会からありましたが、国際アンチモン協会があり、日本側事務局としても活動しております。

 問3です。一般的に、行政あるいは国際アンチモン協会からの会員への情報提供や共有化。また、ファクトシートなどによる啓発を行っております。

 続いて次のページの質問4です。票に書いておりますように製錬会社ですから、まとめて三酸化二アンチモンの製造ということで1本で売っております。

 取組に関してはいろいろやっておりますが、特にここで説明しておきたい所は、発散抑制装置の製造工程の密閉化に関しては理論的に不可能です。局所排気装置は、ばく露に対する措置としては有効だと思います。そのほか三酸化二アンチモンは、医薬用外劇物として毒物及び劇物取締法に従い管理を行っております。

 続いて、次のページの質問5です。日本のアンチモン製造業の維持、及びその従業員の雇用の確保が重要であると考えております。先ほどからありますように、日本だけが国際基準に比べ厳しい規制を課すことになれば、企業の存続が危ぶまれ国際競争力が大きく損なわれます。また、企業は従業員の健康を守るため、作業環境改善のための投資や呼吸用保護具の管理強化等の対策を講じております。特化則の規制化によらない措置を強く要望いたします。

 質問6です。ここも全て書いておりますが、ポイントは発散源の密閉化です。アンチモンの揮発製錬においては、多額の投資が行われたとしても設備の密閉化は理論的にも技術的にも不可能です。局所排気装置はいわゆる莫大な設備投資が必要で、技術的な課題もあり早急な対応はできませんが、改善効果は期待できます。それから呼吸用保護具です。防じんマスクは使用しております。技術的な課題等はなく、有効な手段だと思っております。電動付ファンの防じんマスクは必要ないと思っております。

 次のページの質問7です。スラリー化したもの、湿潤したもの、樹脂で固めたもの、例えばペレット化にしたものです。これは発じんしないので、ばく露はしません。

 質問8です。三酸化二アンチモンは、自動車・家電・OA機器・建材などの各種プラスチックの難燃剤、ポリエステルの重合触媒など、我々、国民生活の必需品として広く使用されております。したがって、規制化の影響が我々製造メーカーのみならず、顧客である多数の中小の樹脂コンパウンドを含むプラスチック業界、繊維業界等へ多大なる影響を及ぼします。繰り返しになりますが、日本だけが国際基準に比べ厳しい規制を課すことは、国際競争力を大きく損ない、国内においては三酸化二アンチモンの製造会社のみならず、川下産業であるコンパウンドや加工メーカーの存続が危機に瀕し雇用の損失を招きます。

 また、三酸化二アンチモンは、技術的・経済的に難燃剤として非常に優れており、代替品がありません。したがって、三酸化二アンチモンを使用した難燃化ができなくなれば、社会に与える影響も大きく、発火事故等による火災発生のリスクが高まるのが実情です。

 質問9です。日本だけが先行して三酸化二アンチモンの製造又は取り扱う業務の全てを措置の対象にすると、製造会社はもとより取扱いになる幅広い自動車、家電、OA、建材等の川下産業への影響が大きく、国際競争力が低下し、いわゆる国内で製造することができなくなります。国内産業は空洞化し雇用の損失を招くため、規制化しないことを望みます。

 質問10です。仮の話ですが二次評価値0.1mg/3を管理濃度とした場合、現時点で技術的な目途が立たず、それを守ることができないということもありますので、規制化によらない措置を要望します。なお、労働者の健康を守るため、呼吸用保護具等の労働安全衛生管理の向上は、引き続き鋭意図る所存でございます。

 次に資料の説明をいたします。

○日本鉱業協会 日本鉱業協会の若林です。よろしくお願いします。資料2-3-25973ページについて、調査票の補足として、三酸化二アンチモンの国内及び国内における市場動向や製造メーカーの状況等について説明いたします。

61ページです。2項目です。国内産三酸化二アンチモンの製造メーカーは、2003年に大手非鉄金属製錬メーカーが撤退後は、いずれも中小の3社のみとなっております。

63ページです。4項です。「業界の置かれている状況」ということで、三酸化二アンチモンの原料はアンチモンメタルを使用し、原料の9割以上を中国に依存しております。更には、国内市場は年間、三酸化二アンチモンが1万トン使用されており、その中で半量近くは中国からの輸入品ということになっております。

67ページの8です。このように中国競争にさらされながら、三酸化二アンチモンの国内メーカーのシェアは50%以上を占めております。といいますのは、国内のお客さんは非常に細かい品質要求があります。国内メーカーの非常に信頼性の高い品質対応を実施しているということが、評価されていると考えております。

65ページです。これは先ほどの難燃剤協会さんからの説明もあったのですが、三酸化二アンチモンの主な用途は、自動者や家電等に使用されているプラスチック類を燃えにくくするための難燃助剤としての用途が9割以上となっております。この技術・処方は今から70年以上前、第2次世界大戦の後半にアメリカで生み出された処方で、今現在、技術的に経済的にもこの処方を代替できる化学物質がまだ見つかっていないのが現状です。逆にそれだけ優れた難燃処方ということがいえると思います。

 製法の所を6870ページに示しております。先ほどの説明にありましたように密閉化が困難という辺りについて、製法の詳細な説明はここでは省略させていただきますが、三酸化二アンチモンの製造方法は、アンチモンメタルを1,000℃以上に溶融して、そこに空気を接触させて酸化物蒸気として、それを冷却して三酸化二アンチモンの粉末を回収するという揮発製錬という製錬方法が使われております。非常に高温溶融のメタルを保持する炉体の密閉化は、技術にも困難となっています。

 更にその操業を管理するためには、揮発製錬の特性上、今検討されている二次評価値の0.mgという数値を維持することは現実的には不可能となっています。当然ながら我々も、従前より粉じん飛散を抑制するための集じん管理等は実施しておりますが、それに加えて、粉じん吸入を避けるためのマスク等の着用をして作業をせざるを得ないという状況になっております。

66ページです。したがって、このように当然ながら三酸化二アンチモンの製造メーカーの粉じんばく露機会は、先ほどのユーザーに比べて非常に高いのが現実ではあります。当然、先ほどの樹脂メーカーさん等については、樹脂ペレット等でばく露の機会は非常に少ないと考えております。

7172ページです。これも先ほどの難燃剤協会さんと少しダブるのですが、三酸化二アンチモンのリスク評価に際しては、有害性評価や二次評価値の採用など、日本独自の評価指標によって日本だけが国際整合性のない厳しい評価結果を用いることに対しては、繰り返しになりますが、我が国の国際競争力の観点からも再検討をお願いするものです。

 最後ですが、以上のように製造メーカーの製造状況及び使用ユーザーの状況を踏まえ、改めて次のように要望いたします。日本だけ国際基準に比べて厳しい規制を課すことになれば、メーカー、ユーザー含めて国内産業維持の観点から大きな影響を与えることになります。労働者の健康を守るため、企業が存続を図れる範囲での作業環境を存続していきたいと考えておりますので、三酸化二アンチモンの特定化学物質指定及び管理濃度を設定しない対応を要望いたします。以上、簡単ですが補足説明です。

○菅野座長 ありがとうございました。ただいまの御意見について、御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。

○名古屋委員 1点聞かせてほしいのは、69の所で製造しているときに、要するに粉体になりますよね。その粉体をサイクロンで捕集して製品を作るのですが、サイクロンのあとに付いているバグフィルターは、サイクロンで捕集できないような小さな粉体が屋外環境に出さないようにするために使うのですか。それともバグに取った小さい粉体もサイクロンで取った粉体と一緒に混合して全部製品にするのですか。

○日本鉱業協会 製造メーカーさんも各社微妙に違うのですが、当然、粒子の大きいものから捕集していきます。

○名古屋委員 製品として取っていくのですね。

○日本鉱業協会 最終的には、バグフィルターによって空気と粉体の小さいものが出来ます。

○名古屋委員 分離してね。結局、全部を製品にするということですか。

○日本鉱業協会 そういうことです。全部、製品になります。

○名古屋委員 あともう1つ。その下の再処理品の所が飛散すると書いてあるのは、これは要するに製品を取り出すときにばく露する可能性がありますよということなのですか。

○日本鉱業協会 そうですね。当然、製品の場合は途中、製品を取り出してほかの工程に回すとか、細かいところは少し省略していますが、そういう工程もあると表現しております。

○名古屋委員 この工程は、別段三酸化二アンチモンではなくても、こういう工程は一般的に結構たくさんあるとおもうんですよね。だから途轍もなく難しい防じん対策をしなくてもいい工程と思います。要するに一般的にこうした工程はあるから、途轍もなく技術の要るような形とは思えないのですが、何が難しいのですか。

○日本鉱業協会 一番難しいのは炉体の密閉の不可能な部分であり、その程度の問題についていえば一番炉体の部分ということになります。

○名古屋委員 先ほどから言っているように、例えば、これは評価値が0.5だったら大丈夫ですが、評価値が0.1と厳し過ぎるので、なかなか対応できないという考え方でいいですか。

○日本鉱業協会 そうです。具体的な数字になると、今言った0.1では非常に厳しいということになります。

○櫻井委員 炉体というと、上の真ん中の熔解・酸化冷却の所ですね。

○日本鉱業協会 その部分です。

○名古屋委員 そこが難しいのはよく分かるのですが、そのほかはそれほど難しくないのではないかと。

○日本鉱業協会 あと、メンテナンス作業、当然あって。

○名古屋委員 それはありますね。

○櫻井委員 炉体の周辺で、作業者はどれぐらいの位置で、どれぐらいの時間働いているのでしょうか。

○日本鉱業協会 基本的には、ずっと密着しているわけではないのですが、当然、焼結物は非常に高温ですから、管体に焼結物等が付きますので数時間に1回ぐらいメンテナンス作業等は必要です。

○櫻井委員 数時間に1回ということですか。

○日本鉱業協会 はい。

○小野委員 三酸化二アンチモンの製造の炉は揮発製錬というか、これは完全に連続になりますか。

○日本鉱業協会 連続とバッチの繰り返しです。といいますのは、原料を入れておきますと原料中の不純物がエンプレンティアに濃縮していきますので、ある頻度でメタルを流してもう一度スタートするという形です。その頻度はメーカーによって違うのですが、大体、2472時間ぐらいの間隔の中で、その繰り返しを行っています。

○小野委員 作業者の方は、当然、1,000℃になっているときには傍に近付いていない。

○日本鉱業協会 先ほど申しましたように、定期的にメンテナンス等で。

○小野委員 やはり、かき落としていうか、そういう作業で入ることがある。

○日本鉱業協会 更に炉を止めた後でのメンテナンスになりますから、そういう場合は炉の中とか等で作業をすることもあります。

○唐沢委員 全体的な空間の配置が分からないのですが、炉があって捕集のサイクロンがあってホッパーがあってとかというのは。

○日本鉱業協会 基本的には、1つの建屋の中にレイアウトされていると御理解いただければ。

○小野委員 作業者は、その辺、全体的に動き回るという理解でよろしいですか。

○日本鉱業協会 はい。先ほど申しましたように、もし炉体から飛散物があると全体の濃度は高くなってきます。

○保利委員 局排装置で設備投資が必要と書かれています。56ページの所では、局所排気装置の整備の所は○になっているのですが、これは、局排が設置されている所は整備できているということでよろしいのですか。

○日本鉱業協会 設備としてはあるが、数字は守れていないという。

○保利委員 あるけれども、守れていないという意味ですか。

○日本鉱業協会 はい。守れていないから。

○保利委員 局排があることはあるということですね。

○藤間委員 最初出てくるときの粒径ですが、どのぐらいの分布になっているものなのでしょうか。

○日本鉱業協会 要は飛散している紛じんの粒子径ですか。

○藤間委員 はい。

○日本鉱業協会 0.1ミクロンから数ミクロンです。

○藤間委員 凝集して二次粒子のような形になった。

○日本鉱業協会 基本的に少し凝集していますが、0.1から10ミクロンぐらいは、ほぼ一次粒子と御理解いただければ。

○櫻井委員 基本的にヒュームのような形になっているわけですね。

○日本鉱業協会 そうです。

○櫻井委員 それが凝集する程度ですか。

○日本鉱業協会 ヒュームではないです。パックになっております。

○櫻井委員 蒸気が。

○日本鉱業協会 蒸気がエアーに触れてフィルティングポイントが630度ですから、それ以下になると固体になるということです。

○櫻井委員 それはそうなのですけど。ヒュームというのは固体、小さい固体なのですけれど、そうでしょう。ヒューム以上ですよね。

○オブザーバー 最初、ヒュームが出てきているのですが、空気に触れると白い粉という感じで。

○櫻井委員 酸化して少し大きくなる。

○日本鉱業協会 最初、アンチモンメタル自体が蒸気圧を持っていますので、メタルが蒸気して酸素に触れると、酸化物の蒸気のヒュームになります。それが先ほどの温度以下に冷えると粒子になるということです。その大きさは先ほど申しましたように0.1~数ミクロンです。

○櫻井委員 数ミクロンぐらいになりますね。

○小野委員 先ほど、電動ファン付のマスクまでは必要ないだろうという判断をなさっているとおっしゃっていたのですが、環境測定も自主的になさっているようなのですが、その辺の濃度との兼ね合いで必要ないという判断をなさったという理解でよろしいですか。

○日本鉱業協会 基本的に当然マスクの漏れ性などを鑑みて、問題ないと判断いたしました。

○櫻井委員 炉体というのは、1つの建屋の中に複数あるのですか。

○日本鉱業協会 各社の詳細はあれなのですが、複数ある所もあるし単体である所もあり、様々です。

○櫻井委員 たくさん何台も並んでいるという感じではないという想像です。

○日本鉱業協会 何台もある所もありますよ。

○田中委員 今日は話題になっていないのですが、皮膚炎の問題についてはどうでしょうか。

○日本鉱業協会 アンチモン自身のお話でしょうか。

○田中委員 文献にありますよね。

○日本鉱業協会 はい。

○田中委員 それについては、どのように考えていますか。

○日本鉱業協会 我々、鉱業協会ではほとんど先ほどありましたように洗浄設備、当然持っているということなので、頻度良く洗浄するとかシャワーを浴びるとかお風呂に入れるとか、そういうことを極力ないようにしています。

○田中委員 例えば、手袋に関して少し工夫しているとか、あるいは保護衣について考えているとか。

○日本鉱業協会 かなりの熱を扱うものですから、当然、熱にも強くて、ばく炉を防ぐような材質の手袋をしているということになります。

○菅野座長 68ページの写真が、酸化する炉だと思うのですが、空気というのは、室内の空気をそのまま入れているのですか。

○日本鉱業協会 これは、空気中の空気です。

○菅野座長 室内の空気をそのまま入れているということですか。

○日本鉱業協会 はい。管内を陰圧管理しています。自然に流入するということで冷却をしています。

○菅野座長 そうしますと、この周りに完全に囲うのではなくて、何か遮蔽物を入れれば室内への粒子の飛散はかなり防げるのではないかという気がします。

○日本鉱業協会 かなり細かい工夫はしているのですが、先ほどのかなりの頻度でメンテナンスをしなければいけないとかということもありますし。

○菅野座長 この写真は何か模擬的なもので、実際には囲って。

○__ 下などで煙が上に行って、引っ張っているという状態がありますよね。

○菅野座長 はい、

○__ 引っ張っている間は、多分出ないでしょう。

○菅野座長 ただ、先ほど2472時間ぐらいは連続して。

○日本鉱業協会 連続なのですが、途中メンテナンス等は当然入ります。

○菅野座長 そのときには吸引をやめるということですか。

○日本鉱業協会 吸引はやめません。例えば、炉内のメンテナンスもあるので、そのときに少し陰圧が弱くなったりとか、あと、当然バグフィルター等は定期的に粉をたたき落とさないと逆染するとかということもあります。

○菅野座長 定常的ではないということですか。

○日本鉱業協会 吸引は定常的で、先ほど言った2472時間のスパンでやっているのですが、途中のメンテナンスはかなりの頻度で入ります。そのときに、陰圧管理している陰圧が少し弱くなる状況が生じるというのが現状の製錬の。

○櫻井委員 陰圧管理といったら、どこの圧力のことですか。

○日本鉱業協会 陰圧というのは吸引側の。

○櫻井委員 全部マイナス。

○日本鉱業協会 吸引のことです。もし何か補足がありましたら、どうぞ。

○日本鉱業協会 おおむね、同じような製造方法でやっています。我らの場合は72時間以上製造していて、やはりメンテナンス等のときに粉じん等が発生、ばく露する可能性が高まります。ほかは大体同じような状況です。

○名古屋委員 1点、お聞きしたいのですが、メンテナスンのときも防じんマスクで大丈夫なのですか。

○日本鉱業協会 はい。

○名古屋委員 一般的に考えると防じんマスクで大丈夫だったら、対策はできると我々は考えてしまいます。要するにそういう形で駄目なので電動ファン付き呼吸保護具があって、インジウムはそうだったのです。要するに評価値が0.1だったら環境改善等の対策は大丈夫だけれども、それより低い、0.0003まで低くなってくると、これはどうしても環境改善対策では対応できないから電動ファン付き呼吸保護具で対応しましょうとことになりました。普通、防じんマスクで対応できる作業環境であれば対策は比較的容易だと思います。一般的に、いや濃度は別にしましても、固体だと普通防じんマスクで対応できる所だったら、多分、漏れ率や防護係数から考えてそんなに難しくないのではないかと、ちょっと分かりませんよ、粒径が何とも言えません。

 ただ、防じんマスクで対応できる、解体か何かだったら防じんマスクが対応できないぐらいの所。メンテナンスでできると考えると、対策はできそうなのではないかという感じはしますけれど、粒子を扱っている感じからすると。完全密閉は多分できないと思うのですが、ただ、局所排気でかなりのことはできるのではないかという気はします。

○藤間委員 通常の作業の中にも多分メンテナンスがいろいろ入ってきていると思うのですが、その中で防じんにしたり、呼吸用保護の半面のものを使ったり、実際には使い分けはされているのではないのですか。

○日本鉱業協会 防じんマスクの使い分けですか。

○藤間委員 はい。

○日本鉱業協会 いいえ。防じんマスクは規格品で指定されたものなので、使い分けはやっておりません。

○藤間委員 メンテナンス作業とか通常の製造のプロセスと。

○日本鉱業協会 この作業はRL2とかRL1という使い分けはしておりません。1つの規格のものを使っております。

○オブザーバー 調査を行った中災防の人間なのですが、まず、お聞きしたいのは、今回の場合、全ての原料はアンチモン金属のインゴットから始まっていると考えていいのですか。

○日本鉱業協会 今、国内ではそうなっています。

○オブザーバー ほかの金属が混ざっているものから精製していくということはないと考えてよろしいですか。

○日本鉱業協会 それはないです。

○オブザーバー 鉛バッテリーの回収とか、そういう形ではないということですよね。

○日本鉱業協会 我々は国内以外からはやっていないです。

○オブザーバー 全部、金属のアンチモンのインゴットを買ってきて。

○日本鉱業協会 はい。

○オブザーバー ということであれば、三酸化二アンチモンを一番、製造されて出荷されているメーカーだと思うのですが、出荷のときの荷姿は、先ほど粉状と液体に分散しての油に溶かしてという話がありましたが、今現在は粉状がほとんどと考えてよろしいでしょうか。

○日本鉱業協会 一部そうでないものもありますが、ほとんどが粉状です。

○オブザーバー それはユーザーが粉状にしてほしいということですか。

○日本鉱業協会 途中のコンパウンドメーカーでそういう形にしております。

○オブザーバー では、使い方としては粉のほうが使いやすいから、そういう荷姿になっていると考えてよろしいですか。

○日本鉱業協会 我々、メーカーとしての使いやすさということですか。

○オブザーバー いいえ。出荷先のユーザーはどの様な形状を望まれているかとのことです。その辺のところの情報は何かお持ちなのでしょうか。

○日本鉱業協会 買うほうがそのほうが使いやすいというので、その形で買いたいということではないのですか。

○日本鉱業協会 ユーザーの使用される樹脂によって様々な配合がありますので、アンチモンはやはり単体のほうがユーザーとしてはいろいろな配合に使いやすい。

○オブザーバー ということで、使いやすいということになるのですね。

○日本鉱業協会 粉での販売が、我々の通常の形となっています。

○オブザーバー ベースは粉ということですね。分かりました。それと、調査していて思ったのですが、メンテナンスのときに生成されたアンチモンをかき落とすという作業と、エアー抜きで粉を飛ばすと言う様な作業をされるような所も少しあったりしたのですが、圧縮エアーを使うということは普通にやられるのでしょうか。

○日本鉱業協会 調査されたのは、多分、平成24年当時だと思うのですが、当然その後にかなりいろいろ改善をしてきています。そういう作業は極力ないような形で今はしております。

○オブザーバー 分かりました。ありがとうございます。

○菅野座長 もう1つ、69ページで、できました三酸化二アンチモンは「目的の品質に調合され」とありますが、これはどういう意味ですか。純品ではなくて何か混ぜてあるということですか。

○日本鉱業協会 4の所ですか。

○菅野座長 10の終わりの。

○日本鉱業協会 先ほどの回収で考えると粒子径が異なるものがありますから、それを目的の粒子径に合わせるような比率で混ぜて、ロット立てしていくということになります。それと、当然、品位も品質の1つになっていますから、目的となる品質、品位、不純物のレベルに合うような調合をしていくということで表現しております。

○菅野座長 実質的には、三酸化二アンチモンで粒径範囲が違うとかということですか。

○日本鉱業協会 三酸化二アンチモンでも粒子径とか品質の違うものがありますので、それをロット立てして製品化する場合に、目的の範囲に合わせるようにロット単位で調合してブレンドしていくということです。

○菅野座長 不純物としては、どのようなものがあるのですか。

○日本鉱業協会 粒子径ですか。不純物は主に鉛ですが、0.0Xのレベルの数値です。

○菅野座長 0.1数%。

○日本鉱業協会 0.0Xです。

○菅野座長 0.01%。ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。これで日本鉱業協会からのヒアリングを終わります。

 続きまして、その他の団体からの意見内容とそれを踏まえた健康障害防止措置の検討について御意見を聞きます。事務局から説明をお願いします。

○北村化学物質情報管理官 それでは資料1-2、通し番号で17ページを御覧ください。今回御発言いただきました3団体様のほかに、7団体様に御協力いただいてまとめた意見となっております。時間が押しておりますので、抜粋して御説明いたします。

 まず2「事業者の自主的な取組み」ということで、三酸化二アンチモンを取り扱っている事業場の健康障害防止措置の状況をまとめております。27ページを御覧ください。作業内容です。屋内・屋外の別ですが、アンケートで御報告があった作業は全て屋内作業でした。作業内容を分類するのがなかなか難しくて、三酸化二アンチモンを含有する製品を何らか製造している工程、三酸化二アンチモンそのものを製造している工程、あとは、試験研究用途、塗布作業ということで整理しております。

 まず、現在の三酸化二アンチモンの規制ですと、SDSの交付が義務付けられているものですが、実施の割合は、52.3%という状況となっております。局所排気装置の整備につきましても、5割ぐらいは設置しているということで御報告を頂いております。そのほか、作業環境の改善等で休憩室の設置や洗浄設備等も割と高い値となっていますが、休憩室の設置というのはアンチモンのためだけに使っているというわけではなく、その事業場に設備としてあるということであろうと思います。

 作業管理としての所ですが、作業主任者の選任(特化物)ということで、2割を超える値となっています。これについては、例えばニッケル化合物とか、三酸化二アンチモン以外で規制がかかっている物質がありまして、それに対しての作業主任者がいるというような回答も含まれております。このほか、作業管理の下から4段ぐらいですが、有効な保護具の使用、呼吸用保護具(防毒マスク)の使用、呼吸用保護具(送気マスク)の使用、不浸透性手袋、防護メガネとなっております。

 ここは、団体様によって幾つか混在している所があるので少し注意していただきたいのです。防じんマスクと明示されているものにつきましては、集計を送気マスクに移しております。防毒マスクにつきましては、樹脂を使用した団体様から回答が多くありました。先ほどの回答で有効な保護具の所に防じんマスクも含まれているという所もありましたので、ここは単純に分離するのが難しいのですが、ここは総合的に見ていただければと思います。保護具としては、保護メガネとか防災面、手袋として、ゴム製、皮革、サニメント、、軍手等という回答がございました。

 次に、作業環境の測定です。こちらは、粉じん則の適用がある事業場がありますので、その場合の記録を保存されているということです。

 健康診断についても同様で、三酸化二アンチモンについてやっているというわけではなく、じん肺検診やニッケル化合物等のほかの特定化学物質の使用がある場合は、その特殊健康診断をされているということです。その下の特定健康診断につきましては、深夜営業とか、鉛を使用している、高熱物体の取扱いがあるということで実施されている団体様があるという状況となっております。

17ページに戻っていただきまして、「健康障害防止措置の導入に当たって考慮が必要な事項」です。先ほど御発言いただいた3団体様の御意見は省略させていただき、18ページからです。項目としては、取扱作業によるリスクの評価ということで、三酸化二アンチモンそのものを製造している場合と、そうではなく、購入したものを原料としてほかの原料と配合して使用しているような場合、そういった場合はばく露リスクが低減されるので、取扱いについて適用除外としてほしいというような御意見がありました。作業環境許容濃度につきましては、先ほどのヒアリングの中にもありましたので割愛させていただきます。

 三酸化二アンチモンの添加量が低い製剤の取扱作業としまして、樹脂の用途として、難燃剤、着色剤、触媒等の用途があるということで、これらの添加量としては5%、1%、約0.1%といった、添加量が低い領域ということです。添加量が低いこと、生産量がそれほど多くないことから懸念は低いと予測され、また、触媒用途では、既に規制が行われているコバルト化合物と同じようにリスクは低いと想定されました。そのほか、極端に、砒素のように低濃度に設定されると取扱いに大きな障害となるということで御意見を頂いております。

 次に、衣類・保護具の使用です。衣類・保護具に付着した場合を考慮した着用保護具の指定、例えば汎用品の使い捨て、手袋やマスクの許可などをしていただきたいということです。

 床面の不浸透性につきましては、床面に不浸透性材料を用いることが義務化されると大規模な改修工事が必要となることから、除外としていただきたいという御意見を頂いております。樹脂ペレットの取扱い等につきましては、先ほどヒアリング内にありましたので割愛させていだきます。

 そのほか、三酸化アンチモン含有製品の風評被害ということで、アンチモンの健康障害が過度にクローズアップされると、リスクが極めて低い樹脂ペレットや成形品の不買化に発展するおそれがあるので、規制は限定的にすべきと考えるという御意見を頂いております。

 次に、4「技術的課題及び措置導入の可能性」についてです。まずその発散源・作業工程等の密閉化ですが、先ほどのヒアリングにあったところは省略させていただきまして、装置が非常に大型であり密閉化が困難というような御意見も頂いております。

 次に、20ページ、局所排気・換気装置等についてです。25kg入りの紙袋から定量供給機に手で投入をしているということで、定量供給機の開口部直径は40cm、投入高さは1mの高さにある、投入するときには開口部真上に局所排気の吸引口を設置することはできないということで、局所排気装置は設置しているのだけれども、このような課題が残っているという御意見がございました。

 また、アンチモンとほかの材料の比重差によって排気効率が現在の排気装置できちんと対応できるか、というところで疑問があるという御意見を頂いております。以降については、先ほどのヒアリングで御発言がありましたので省略させていただきます。

 次に、5「特殊な作業(少量取扱い等リスクが低いと考えられる作業)」です。三酸化二アンチモンの樹脂ペレットの製造作業については、比較的ばく露が高いのは、計量とか投入の作業、そういったものが中心であろうと。その後、押し出し機を使用した樹脂製造作業においては粉じんに接することがほとんどないので、ばく露は限定した作業になるということです。次の射出成形作業についても同様です。

 配合・混合の作業につきましては、三酸化二アンチモンをサービスタンクや混合機に補充・投入する作業は、1日当たりの作業時間は数十分程度、局所換気や防じんマスクの対応で十分と考えるという御意見や、三酸化二アンチモンを100kg仕込む作業があって、混合時間は約20分、袋に付着した分は集じん機により吸い取り、空袋はメーカーが引き取る。工場内で防じんマスク及びメガネを使用して14回行う、というような作業を記入していただいております。

 次に、計量・袋詰作業です。こちらは粉体ではなくて、ペレット状のものです。三酸化二アンチモンを含有するマスターバッチを取り扱う作業など、ばく露するリスクのない作業は健康障害防止措置の対象から外していただきたいという御意見を頂いております。

 コンパウンド全般のお取扱いとしては、取扱量が少ない一方で、年々厳しくなる対策の負担が大きいので緩和する策の提示を期待したいという御意見です。

 次に、粉じんの発生しない二次製品の取扱いです。2つ目の○ですが、三酸化二アンチモンを含有するマスターバッチを取り扱う作業など、ばく露するリスクのない作業は健康障害防止措置の対象から外していただきたいという御意見を頂いております。

 次に、研究や分析業務についても御意見を頂いておりまして、年間の使用量などが非常に少ないということです。例えば、開発試作品(ゴム)の配合混練作業です。取扱頻度と取扱量については、開発品試作で年間数日、使用量は年で10kg程度と、リスクの見積りとしては取扱頻度並びに使用量が少なく、ばく露のリスクは少ないというような状況です。

 次の触媒としての取扱作業も、同様に量は非常に少ないという御意見を頂いております。作業の概要としては、溶媒に三酸化二アンチモンを混合し、溶液を調製するような作業があると。頻度としては年に1回程度、1回当たりの取扱量は10100g程度ということです。作業環境は、屋内、局所排気装置内のドラフトで作業する。保護具は保護メガネ、防じんマスク及び保護手袋着用というような作業があるということです。

 次に、23ページの「産業活動への影響や公正競争の観点からの意見」です。23ページは既に御発言いただいておりますので、24ページを御覧ください。内容としましては、三酸化二アンチモンを難燃剤として使用しているという御意見です。三酸化二アンチモンは合成樹脂の難燃助剤として非常に有効・有益であり、不燃・防炎製品の製造には代替の難しい薬剤であり、これを製造使用できないと、国際的に製品競争力を失うばかりか、国内で高まる難燃材料需要にも応えられず、輸入品に押されて社会経済活動に大きな損失を生じるおそれがあります。労働安全面においても、経済活動に対し突出した制約とならないよう、国際的な整合性を確保しつつ進めていただきたいというような御意見を頂いております。下2件についても同様の御意見となっております。

 次に、7「措置の方針についての意見」ということで頂いております。こちらについては既に御説明した部分と重複しているところがありますので、省略させていただきます。以下の部分についても重複しているところがありますので、説明については以上とさせていただきます。

○菅野座長 今の御説明につきまして、御質問等がありましたらお願いいたします。

○小野委員 措置そのものではなくて別紙27ページです。丁寧におまとめいただいているのですが、この79件の三酸化二アンチモン含有製品製造工程の所を、粉体原料を使う所とそうでない所で、分けて見せていただくことはできますでしょうか。現状でも対応の仕方が恐らく違うと思うのですが。

○北村化学物質情報管理官 そうですね。計量とか袋詰がその粉体、要するに、樹脂を作る前の段階の計量なのか、樹脂がペレット状になった状態の計量なのかは回答の中からは読み取ることができなくて、こういった、言葉を合わせる形となっております。

○田中委員 説明にはなかったのですが、資料1-21「業界としての取組み」の3「ばく露低減のために、特殊マスクの使用」という表現があるのですが、先ほどの御説明だと、これは防じんマスクであると。「特殊マスク」という名称がちょっとギクッとするものですから、もう一度協会と確認して、もし良ければ「防じんマスクの使用」という形で書いておいたほうがいいかと思うのです。

○北村化学物質情報管理官 はい。

○菅野座長 プロファイルの説明もあるんですよね。

○北村化学物質情報管理官 はい。すみません、先生方のお手元に、前回、紙ファイルを置いていかれた先生方の分は既に中に差し込んでおりまして、机上配布の紙ファイルをお持ち帰りになった先生方には、テーブルの上に置かせていただいております。リスク評価書の抜粋のものとプロファイルを修正したものを置かせていただいております。前回、小野先生からの御質問で三酸化二アンチモンを取り扱っているかどうかを確認していただきたいということで、確認をいたしました。プロファイルのほうを御覧ください。

 まず、A社です。前回、三酸化二アンチモンについて明示されていなかったのですが、ばく露実態調査報告書を確認したところ、これは、焼成の工程で三酸化二アンチモンが出来て、最終製品には510%含有しているということが確認できました。

 次に、E社です。こちらも取扱物質は、三酸化二アンチモンを13%含有する製剤であるということです。

 次に、I社です。こちらについても三酸化二アンチモンの取扱いがあるのですが、取扱いがある作業場が限定されております。右側の所、横長で読みづらいですが、作業場の所です。K-3工場については、三酸化二アンチモンの取扱いがあるということです。下側のF-4工場、F-1号棟という所ですが、こちらについては確認が取れないということで、削除させていただいております。プロファイルの修正は以上になっております。

 それから、リスク評価書です。こちらは、修正というよりかは補足という形で大前先生から、酸化炉とか揮発炉とか、いろいろな言葉が出るので統一をということで、揮発炉ということで統一させていただいております。修正については以上となっております。

○菅野座長 ありがとうございます。ただいまの御説明につきまして何か御質問、御意見等はありますか。

○保利委員 i4i5というのは、アンチモンではないかもしれないということですか。

○オブザーバー そうですね。十分確認が取れませんでした。

○北村化学物質情報管理官 追加で申し訳ありません。プロファイルのほうですが、前回のプロファイルに2事業場分を付け加えております。もう一度御確認いただければと思います。3枚目のプロファイルの所で「107日追加」と書かせていただいておりますM社とN社についてですが、難燃剤としてアンチモンが使用されているプラスチックの射出成形の作業についてばく露実態調査を行っておりまして、それについてのデータを追加しております。

 これにつきましては、本来、ばく露実態調査ですと、コントロールバンディングでばく露の高い所から調査に行くのですが、射出成形についてはばく露が十分に低いのではないかという話もありまして、確認ということで、追加で調査を行っているというデータです。次回、措置を検討していただく際には、こちらの射出成形等のデータも考慮いただいた上で検討を進めていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○藤間委員 これ、MNは両方ともペレットでの扱いということでしょうね。

○オブザーバー はい。

○菅野座長 粉体で取り扱っている所と、そうでない所を区別することはできるのでしょうか。区別して集計していただくことはできるのでしょうか。

○北村化学物質情報管理官 確認をしてみます。

○オブザーバー すみません、今のはペレットについての話ですか。ではなくて。

○北村化学物質情報管理官 全体です。

○オブザーバー プロファイルの全体の話でしょうか。

○菅野座長 はい、このファイルを、お手数ですが、粉体だけを扱っている所と、例えば懸濁物とかペレットとかを扱っている所と分けて。

○オブザーバー はい。

○菅野座長 ほかにはいかがですか。それでは事務局から、その他といいますか、御通知をお願いします。

○北村化学物質情報管理官 それでは資料31枚ものですが「今後の予定」です。次回、第4回化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会ということで、日時が、112()3時半からということで予定しております。場所は未定となっておりますので、決まり次第、先生方に御連絡いたします。次回は、本日、説明する時間がなかったのですが、資料1-1の健康障害防止措置の検討シートについて、具体的な健康障害防止措置について検討していくことを予定しております。よろしくお願いいたします。

○菅野座長 それではありがとうございました。これで第3回化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会を閉会します。


(了)

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