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2015年8月31日 第7回介護労働安定センターの組織及び運営に係る検討会議事要旨

職業安定局 雇用政策課 介護労働対策室

○日時

平成27年8月31日(月)13:30~15:30


○場所

中央労働委員会507会議室


○出席者

委員

是枝座長、因委員、扇田委員、平川委員、松本委員

事務局

藤枝能力開発課長、中井雇用政策課長、下角主任職業能力開発指導官、
友安能力開発課長補佐、吉松介護労働対策室長補佐、久志介護労働安定センター理事長

○議題

(1)交付金依存体質の改善について
(2)中間報告を踏まえて平成26年度以降に介護労働安定センターが実施することとされた事項の取組状況について
(3)新介護雇用管理改善等計画の概要について

○議事


(1)交付金依存体質の改善について

資料1に沿って、久志介護労働安定センター理事長より説明。

(以下、委員発言を○、事務局発言を●と表示)

 

○扇田委員 交付金依存体質の改善のために総収入の 3 分の 1 を自主事業収入でやっていこうという中で、交付金依存率 68.13 %という数字は、ほぼできているのではないかと思う。それから平成 27 年度はこれを大幅に改善しようという計画でもあるようなので、よくやっていると思っている。

○是枝座長 随分介護業界も状況が変わってきており、とても厳しい状況にあるが、その点はいかがか。

○因委員 本当に厳しい状況の中で、現状維持するのが一杯一杯ではないかと思って資料等を見ていたが、本当によく頑張っていると思う。若干、達成できなかったということだが、この時代に大変なことはよく分かっているので、頑張られたなと思っている。

○松本委員 一層の効率化を図るということなので、私はいいと思う。

○平川委員 2つ質問がある。1点目は、賛助会員の加入に関して、平成 25 年に 2,685 口数で、平成 26 年には 2,726 口数と、計画どおりになっていないまでも徐々に増えてきており、地道に努力されていると思う。勧誘、事業所訪問等の際に、それぞれ個別に訪問や勧誘をしているということだが、どのような取組を行っているのか。もう1点は、 4 ページの、口頭での説明があった人材確保のための医療介護基金事業について、 7 県で事業の打合せが始まっているもの以外に、その他の県ではどのような状況なのか、やはり厳しいのかを含めて教えていただきたい。

●介護労働安定センター理事長 まず、口数の問題は、以前、当センターが助成金の窓口となっていた時代に入られた方については、申請手続上の一種のメリットを感じて入られたと思う。それ以降は、少し原点に戻ってというのか、当センターの事業にそもそも賛同していただいた皆様方という意味で、まず賛同を広げている。もちろん精神的なものだけではなく、例えばセミナー参加時や図書購入時に、若干のサービス価格で提供させていただくほか、基本的には事業所訪問で相談に乗る中で趣旨に賛同していただく方に入っていただいている。ホームページや、最近では関係団体の方を通じて加入の拡大にも取り組んでいるが、口数としては、どうしてもジワジワとしか上がってこないところ。

 また、会費の徴収方法が変わり、入っていただいた時点から残りの月数だけがその年度の収入になるため、どうしても金額的には「口数掛ける」が、丸ごとその年度の収入にはならないことがある。

 それから、医療介護の基金事業について、平成 26 年度の後半から、積極的に県に提案し進めてきた。昨年度提案したものについて、現状では 6 県で 7 つの案件を獲得しているのと同時に、 27 年度下期分と平成 28 年度分についても、少なくとも今以上には、自主事業として確保できるのではないかと考えている。具体的な金額や受託内容について、今日御説明するほどには至っていないが、次世代を担う介護リーダーの育成事業や介護職場復帰を希望する介護福祉士の再就職支援・実施といった形で、人材を掘り起こして確保するといった案件が、今、詰められつつある。ただ、我々が最初から参加して作るわけではなく、一定の段階で御相談があった中で、できることを提案していったり、あるいはでき上がった公募条件に沿って私どもが入札したりという形などいろいろあり、今日の所は細かいことは申し上げられない。

○是枝座長 今、進んでいるというところか。おおむね頑張っているという解釈でよろしいか。

 では、介護労働安定センターからの説明があったように、平成 27 年度の決算状況を踏まえた上で、交付金依存体質の改善について、当検討会の判断を行うこととしてよろしいか。

○全委員 異議なし。


(2)中間報告を踏まえて平成26年度以降に介護労働安定センターが実施することとされた事項の取組状況について

資料2に沿って、久志介護労働安定センター理事長より説明。

○平川委員 平成 26 年度以降の取組で、雇用管理などを含めて介護保険の保険者である市町村との連携は、どのような感じか。というのも、ハローワークや都道府県との連携は多分かなりやられているが、保険者もやはり雇用管理などを含めて関心が高いので、そことの連携はどうなっているのかを教えていただきたい。

●介護労働安定センター理事長 難しいテーマではあるが、現在地域包括ケアが推進されているので、都道府県よりも、現場として市町村ということでの御指摘かと思う。どちらかというと、介護保険そのものとなると、私どもよりも社会福祉協議会などがメインになっており、我々はどちらかというと労働側からのアプローチが多く、都道府県労働局との関わりのほうが強い。いずれにせよ、コラボレーションしなければいけない、包括的に対応しなければいけないと考えており、現在は介護労働懇談会等をベースに情報交換しているところ。

○是枝座長 そうすると、主に連携はハローワークということか。

●介護労働安定センター理事長 保険関係の方との関わりがないわけではないが、どちらかといえば太さからいうと労働局側ということになる。

都道府県や市町村が介護事業所の方を対象に行う集団指導等において、私どもの事業内容の説明など、積極的に PR をしている。いろいろな事業所にダイレクトメールで発送するよりも、そういう場で周知したほうが反応もいい。

 市町村との関わりでいうと、懇談会等に一部入ってもらっている。それから、今年度から医療と介護の両立において、協議会を各都道府県で設置するという形になっており、一部の支部では既に要請ということで動いている所もある。したがって、全く市町村と関係ないということではなく、やれる所は検討していきたいと思っている。

○平川委員 全ての市町村にやるというのは、体制的にとても無理だと思うが、「介護の雇用管理改善 CHECK&DO 」等の良い資料があるということを保険者に知ってもらうことは必要。やはり介護保険を安定的に運営するには人材確保は重要であり、保険者も事業者と同じように悩んでいる。どのような雇用管理が必要かということについて市町村はそんなにノウハウがないため、このような資料を活用できるということを知っていただければ、より良い取組ができるのではないかと思う。

●介護労働安定センター理事長 情報提供や情報共有に努めてまいりたい。

○扇田委員 私どもは、全国に介護事業者を配置しているので、地域における関係(取組)というのが、ここにきて非常に積極的にやられていると感じている。それから、資料についても私どもは会員各社にもいろいろな形で提供しているが、非常によくできている。私どもの会員各社が、これにも大分載せていただいているので、そういう意味で、各都道府県との連携もよくなってきたと感じている。

○因委員 介護労働安定センターは、以前はもっと自信を持って動いていたと思う。医療介護の連携基金は私どもの団体も 6 ついただいている。オープンになった情報をいち早く入手することは可能だと思うので、県に対してマメに足を運ばないと、今年度も達成できないのかなというのが気になる。基金は厚労省の中の予算なので、職業安定局と十分連携を取って、取れたらいいと思う。

 併せて、集団指導の話が出たが、昨年度は、私の地元でも介護労働安定センターの支部長が、介護労働安定センターの機能を事業所に説明して、利用を促していた。あれは、いいと思う。いろいろな事業所が集まってくるし、当然、市町村も集まっているので、こういうもの(「介護の雇用管理改善 CHECK&DO 」等)を見せることが、収益事業になるのかなと思っている。今は無料だが、有料でもよいと思う。自信を持って、動いたらいい。

○是枝座長 力強いエールを頂いた。因委員の団体では、県に対してどのような対応をされたのか。

○因委員 県から情報提供があった。もし、介護労働安定センターに情報が入ってこないとすれば、それは県との連携ができていないのでは。しかし、大きな流れの中で医療介護の 90 億のお金は流れてきているはずなので、その辺りの情報を頂かないといけないと思う。

●介護労働安定センター理事長 平成27年度事業については、県に私どもからオファーして6県(件数としては7件分)から内示をいただいている。もっと、各所でそういう情報を逆に取りに行くように指導してまいりたい。それから、「介護の雇用管理改善 CHECK&DO 」は本当に評判がよく、増刷できたということで、少しずつ幅広く配れるようになっている。そういう点でも厚労省の指導を頂きながら、広げているところ。

○是枝座長 これは、有料なのか、無料なのか。

●介護労働安定センター理事長 無料である。交付金事業、受託事業における研究会でのものがベースになっているため、安易に有料で販売できなかった。有料で販売の御相談を受けたりはするが、それはできないので、まずは印刷したものか、ホームページからダウンロードしたものを御利用いただくようにお伝えしている。

○因委員 資料 2 3/4 ページに、事業所見学会の写真が載っており、大変よい取組だと思うが、このお金はどこの補助事業か。

●介護労働安定センター理事長 特に私どものほうからは、経費の負担はしていない。共催というか、一緒にやっている。

○因委員 なぜ尋ねたかというと、先ほどの医療介護連携基金の中で、この事業にお金が回ってくるためである。バス代や、事業所にお願いしたときのお金や、その前のレクチャーなど、結構お金がかかる事業だと思う。したがって、こういう実績があれば、お金を取りに行かれてもいいのかなと思った。介護職員になった理由をアンケートしたことがあるが、現場を見て介護職員になろうと思ったという例が多い。非常に有効なやり方だと思うし、今からでも遅くないかもしれないので、各支部で取りに行かれたらいかがか。

●介護労働安定センター理事長 こちらで企画提案をしていくことは確かに必要であると認識している。なお、事業所見学会は非常に効果があるところであり、資料の写真はハローワーク主催のものである。

(3)新介護雇用管理改善等計画の概要について

資料3に沿って、吉松介護労働対策室長補佐より説明。

 

○扇田委員 すばらしい計画だと思う。しかし、例えば介護労働安定センターが訪問した事業所の離職率を 14 %以下にするとか、数値目標があるが、これは達成できる目標なのか。

●職業安定局雇用政策課長 当然、何もしないで達成するということではなく、この 6 年間の計画期間で、関係機関が努力をして現状よりも一歩前進させるという意気込みで目標を立てている。何もしなくても達成できるとは認識していないし、かといって現実離れした数字だとも認識してはいない。

○扇田委員 例えば、 2 番目の「相談業務の成果を出す」。介護労働安定センターが行かれる事業所は、まだ小規模な事業所や出来てすぐの事業所だと思うが、離職率を 14 %にするというのは、既存の事業所であってもハードルが高いはず。本当にこの数字がいいのかどうか、我々には少し分かりかねる。

●職業安定局雇用政策課長 その前提となっている介護職員の離職率は、 16.6 %である。調査は違うが、その同時期、全産業では 15.6 %ということで、 1 ポイント差まで縮まってきている。介護分野は昔から離職率が高く、 2 割を超えていた時代もあり、我々も問題意識をもって取り組んできたし、ここにいらっしゃる関係者の方々、介護労働安定センターのこれまでの実績や努力を積み重ねて、段々改善してきているという認識がある。

 今回、介護労働安定センターの関与する事業所において 14.0 %ということで、現状からさらに 2.6 ポイント上を目指すということで、努力は必要である。おっしゃるとおり、規模の小さい事業所のほうが雇用管理面で現実は厳しいが、先ほどのいろいろなツールを使いノウハウを提供して、ここまでもっていければと。そうすると、全体との差がなくなっていくという作りになっている。

○是枝座長 すごくハードルが高いが、久志理事長、大丈夫なのか。

●介護労働安定センター理事長 大丈夫かと言われると結果論なので、大変難しいが、今までは相談に乗った結果、前年よりも、あるいは前々年よりも何%離職率が改善したかという報告を厚生労働省に上げるようにしていた。今回は中期的目標として、そういうものを全部混ぜて平均値よりも約 2 %上げようということである。個別に言われると大変難しいが、頑張って取り組んでいきたい。

○因委員 第 4 で「施策の基本となるべき事項」とあるが、この関連がよく分からない。例えば、 11 番の「介護ロボットの開発支援」は介護労働安定センターが開発支援を行うということか、それとも厚生労働行政の中の施策の基本なのか。

●職業安定局雇用政策課長 基本的にはアンダーラインを引いているところが介護労働安定センターが特に関与するということであり、その他厚生労働行政、あるいは自治体でやっていくことを全部書いてあるという整理なので、介護ロボットについては厚生労働省として取り組んでいくという話である。

○因委員 介護ロボットは当然必要になってくるので、大変、期待している。

○松本委員 人材確保や育成は、あらゆる手法を使ってやっていかなくてはいけないと思う。介護労働安定センターが果たす役割は、しっかりやってくれているのではないかと思う。介護人材については、厚労省が、今までの饅頭型から富士山型への構造転換を図っていくということなので、どの層がどのぐらいいるのかとか、数字的なものが出てくれば有り難い。

○是枝座長 そういう、いろいろな数字を出してもらえるか。

●職業安定局雇用政策課長 当然出していくし、また、介護労働実態調査の中で専門家の方々の御意見も頂きながら実態を明らかにしていく。

○平川委員 別添 1 の「介護労働者の雇用の動向」の 4/8 ページについて、雇用状況は改善しつつあるが、年齢構成の 9 職種別で、特に訪問介護員について、 50 歳以上の方が 59.1 %を占めており、これはかなり厳しい状況だと思う。訪問介護の雇用管理をどうしていくのかということを今後の課題として考えていく必要があるのではないかと思う。

 特に女性の就業率を上げるために社会保険の適用拡大をしていくことになっているし、もう少しパートということではなくて正規職員、若しくは、若いときから、かつ、男女共に長く働き続けられるような雇用形態にするには、どのようにしていくのか。どうしても利用者から男性の訪問介護員は嫌だという声が結構ある状況なので、男女共に訪問介護という仕事で、プロとしてきちんと働き続けられるような雇用管理について、今後の課題として検討していく必要があるのではないかと思う。

●職業安定局雇用政策課長 私が個人的に事業所を訪問した経験も踏まえて、ここの部分はどのように考えていくのかが重要だと思っている。現実問題として 50 歳以上の女性の方の比率が高いということが事実としてあって、訪問介護の場合は、時間の融通が効きやすいというメリットから働いている方が多いという話も聞いている。

 ただ、この職種に限らず、先入観で男性向き女性向きということや、当然、ニーズという問題もあるにしても、働きたい人が働ける形態や職種という話の中において、今後もそういうことで続いていいのかという問題意識は持たなければいけない。あとは、現状として、先ほどの融通が効くということで言えば、 M 字カーブの日本の問題からすると、介護職はそういう方々のための 1 つの大きな有力な選択肢としてもなり得る分野だと思っており、そういう方々が働きやすい環境整備をさらに進めていく必要があるので、先ほど頂いた御意見も踏まえて、問題意識を持って取り組んでいければと考えている。

○因委員 雇用管理は、特に訪問介護に関して言うと、今からますます難しくなってくると思っている。新総合事業では、地域包括ケアに移行していくが、サービス B 型は準ボランティアなので、雇用されないヘルパーが出てくる。雇用管理が本当に難しくなってくると思うので、よろしくお願いしたい。

●職業安定局雇用政策課長 働くときにはどうしても、労働者性をどのように見るかが重要で、いつも有償ボランティアとか、そこら辺の境が非常に難しいところがある。実際に、労働者なのにその労働者性を認めず、というところで苦労する分野も出てきている。これから地域包括ケアが始まり、いろいろな形で参加されるということが重要になる中で、そこを曖昧にしたりとか変な形で、なし崩しにならないようにという観点は重要だと思っている。

○扇田委員 これは 6 年間の平成 32 年までの計画か。

●職業安定局雇用政策課長 これまでは 5 年間の計画だったが、今回からは、ほかの介護分野の制度のサイクルに合わせて、省内でそれぞれ介護を担当している老健局、社会・援護局と、より一体となって取り組むために、期間もそろえてやっていこうということで 6 年間としている。

○扇田委員  2025 年、これから 10 年後が介護職員の必要数の一番のピークである。今ですら介護職員数が足りていないが、この日本の人口の中で本当に 2025 年を乗り切れるのかということが問題。要は本当に 2025 年を乗り越えられるという長期計画がまずあって、この 6 年間はこうすべきだ、これをやろうという中期計画になっているべきである。

○是枝座長 本当に、この計画で乗り切れるという予測でやっているのか。

●介護労働対策室長補佐 資料 3 の計画期間の括弧書きにあるが、今回から実施状況を審議会に報告することになった。進捗状況を審議会の皆様に評価していただき、本当にこの計画でいいのかどうか、更に見直しが必要かという観点を 6 年間の中に入れ込もうということで、途中で検証する機会を設けることを今回初めて取り入れたので、この計画は硬直しているわけではなく、当然見直しも念頭に置いて進めていきたい。

●職業安定局雇用政策課長 御存じのとおり社会・援護局で、 2025 年の介護労働力について都道府県単位でそれぞれ見通しを作り、それを集約した形で公表しているデータでは、不足数が 38 万人ぐらいだったと思う。このまま自然体でいくとそれだけ足りないが、それを埋め合わせるために打ち出されている各種の施策とリンクしていく中で、我々がやっている介護労働者の雇用管理改善という部分ではどう貢献するか検討していきたい。

 先生が、おっしゃるように全体があって、その中でそれぞれの役割分担、果たすべき役割を考え、数値化すると、こうなる。それをきちんと達成していけるのかどうかは、 PDCA で見ていく。そういう意味では、省内の関係部局と連携する中で、お互いが総合的にやることをきちんとやっていくということだと思っている。

●職業能力開発局能力開発課長 補足すると、能力開発課の担当ということで言えば、正に人の育成、人材を送り出していく立場なので、 6 年間で何人送り出すというところまでの計画値としては書いていないが、先ほどもあったように女性の活躍の観点から、今家庭に入っていて職場に復帰したいと考えていらっしゃる方が介護の仕事に就きやすいように、例えば、託児所付きの職業訓練の設定を推進するなど、今進めている。そういう形で少しでも人材を確保して訓練を受けていただき、就職に結び付けていくという取組もさらに進めていきたいと思っている。

○扇田委員 第 5 で、その他施策の基本となるべき事項の 4 番目に書いてある経済連携協定 ( EPA ) 、外国人介護福祉士の活用というところで、ここへ来て急に外国人の技能実習制度を受け入れようという話になっている。介護業界は今、何のことか分からず、もたもたしているというのが実態である。その中で監理団体がどのような形で介護の戦力を技能実習制度で受け入れ、また国へ戻すのかということについて、この場でいろいろと考えてきちんとした仕組みを早々に作っておかないと、今まで他の業種であったように、終わりがたになるとそのまま失踪するとかいう社会問題にもなりかねず、非常に混乱するのではないかと思っている。

●職業能力開発局能力開発課長 私は直接の担当ではないが、外国人技能実習制度は今までいろいろとトラブルも生じてきたので、この制度をより適正化するという観点で、今、法案を国会に提出している。まだ審議入りしていないが、恐らく衆議院では、審議が始まるのではないかと聞いている。

 その中で、受入れの窓口になる監理団体については、法案の中で許可制にし、行政のチェックが入るようにして、受け入れていただく以上はしっかりと技能を身に付けていただき、また、適正に管理し失踪等を防止していただく。介護についても今後、導入の方向で検討することになっているので、まだ、すぐにスタートにはならないと思うが、いずれにしても監理団体は、しっかりとした団体が受け入れるということが、この制度の肝になってくるので、今後、法案が成立して施行されることになれば、行政の許可を得たしっかりした団体にそれぞれ役割を担っていただき、個々の事業者において受け入れる場合にも、きちんと許可を受けた団体から受け入れていただく必要があると思っている。

○因委員  3 年くらい前から東南アジアの各国を視察して回っているが、今、東南アジアもものすごく急激な高齢化が進んでいる。今は外国に労働者を出していたとしても、自国だけを賄うのが大変だという状況である。そういうときに日本の労働力として、東南アジアの人々を集めるというのは非常に厳しいのではないかと思っている。

 タイは、介護人材が足りなくなったら ASEAN と韓国で調整すると言っている。また、台湾では、主に住み込みの労働者をフィリピンやベトナム、インドネシアから集めているが、確か 7 年たったら一旦、帰さなければならず、帰すともう戻って来ないと言っている。中国は御存じのように一人っ子政策なので、大事な一人っ子を外国に出すのは難しく、中国の中で賄うのが精一杯だと言っていた。それで先ほど私は、介護ロボットに大変期待していると言ったのである。

 やはり日本人は日本人で見ていくという労働環境を整えなければ、私は回っていかないのではないかと痛切に感じている。くれぐれもよろしくお願いしたい。

●職業安定局雇用政策課長 少し話が逸れるかもしれないが、我々は定期的に将来の労働力の需給推計を行っている。最新のものでは、昨年の 2 月に公表したものがあるが、 2030 年は今の経済を前提として、一定成長するということを念頭に置いたときに、マクロでは大幅な人手不足は起きないとされている。

 個別分野で起きている人手不足に関して言えば、処遇の問題であったり、ミスマッチであったり、そういう所は政策的にきちんとやらなければいけない。実際にはミスマッチが解消された形で将来の姿を作ると、先ほどの女性の M 字カーブを解消するという前提は付くのだが、マクロで人が大幅に足りなくなるということにはならないという見通しを立てている。

 先ほどの人手不足分野の問題点はどうなのかというときに、雇用関連の問題について言えば、ロボットでの生産性向上ということもいろいろ話が出ている。全体としては、 AI 、ロボットが人の就職を奪うのではないかと言われている一方で、人が足りないとされている部分の生産性を上げたり雇用管理を改善したりするなど、どういう形で絵姿を実現していくのかというのは大きな課題だと思っている。

 そういう点でも、ここでいろいろ議論していただいていることは重要なことだと思っており、しっかり取り組んでいきたい。おっしゃるように、海外においてもそれぞれの国の事情で厳しいという話があるのだということもにらみつつ、単純な数合わせの発想でやるのではなく、政策努力で取り組んでいきたいと思っている。

○是枝座長 是非、期待したい。

                                                                        以上


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