ホーム > 政策について > 審議会・研究会等 > 労働政策審議会(職業安定分科会雇用保険部会) > 第103回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録(2015年9月8日)




2015年9月8日 第103回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録

職業安定分科会雇用保険課

○日時

平成27年9月8日(火) 13:00〜15:00


○場所

厚生労働省職業安定局第1・2会議室


○議題

・雇用保険制度について
・その他

○議事

○岩村部会長 ただいまから、第 103 回雇用保険部会を開催いたします。皆様、お足元の悪い中、お忙しいところを御参集いただきまして、誠にありがとうございます。

 本日の委員の出欠状況ですが、阿部委員、橋本委員、青山委員、深澤委員、秋元委員、三島委員、山本委員が御欠席です。また、生田職業安定局長は別の公務のためにやはり御欠席です。

 それでは、早速議事に入ります。お手元の議事次第にありますように、本日の議題は「雇用保険制度について」です。事務局で、資料 1 3 を用意していただいておりますので、まずそれについての説明を頂きたいと思います。その後、質疑・議論に進みます。それでは、事務局、よろしくお願いいたします。

○長良雇用保険課調査官 お手元に資料が 3 点あります。資料 1 は、「再就職手当について」。資料 2 は、「雇用保険の適用、マルチジョブホルダーについて」。資料 3 は、「第 102 回雇用保険部会で委員から頂いた御指摘に関する資料」です。本日のテーマである再就職手当は、就職促進給付の一形態で、前回の御指摘、これは基本手当に関する議論ですが、一体で御議論いただいたほうがよろしいかと思い、資料 1 の再就職手当、資料 3 の委員からの御指摘に関する資料をまとめて説明申し上げます。

 まず、資料 1 の「再就職手当について」です。 1 ページ目は、制度の概要です。再就職手当は、受給資格者が 1 年超の雇用見込みのある安定した職業に就いた場合、所定給付日数の 3 分の 1 以上を残して再就職した場合に支給残日数の 50 %、 3 分の 2 以上の場合に支給残日数の 60 %に基本手当日額を乗じた一時金が支給される制度です。平成 26 年の改正で、就業促進定着手当を創設いたしました。これは、基本手当受給者で早期再就職して、再就職後 6 か月間定着した場合に、離職前の賃金から再就職後の賃金が低下していることを要件とし、低下した賃金の 6 か月分が支給される制度です。

 下の段は、主な制度変遷です。平成 21 年改正で再就職手当の給付率を 40 %、 50 %。平成 23 年改正で 50 %、 60 %という形で引上げを行い、先ほど申し上げたように、平成 26 年改正で就業促進定着手当を創設したという経緯をたどっているところです。

2 ページ目は、再就職手当等の支給状況をデータでまとめたものです。左側は、再就職手当過去 10 年、年度別に受給者数を取っております。雇用情勢の影響を受けて、若干の変動の影響を受けておりますが、おおむね増加傾向にあるといえるかと思っております。就業促進定着手当については、平成 26 年の 10 月から受給者が出だしまして、平成 27 年に入り、月で受給者数が 1 2 3,000 人辺りとなっております。

 右側の再就職手当の月別の受給者数と大雑把に比較していただきますと、再就職手当の受給者のうち 3 割から 4 割程度が、この定着手当を受給している状況かと存じます。定着手当の支給金額は月ごとで御覧いただけると、大体 20 億台で、平年度化いたしますと 200 億台後半の支給実績となろうかと存じます。

3 ページは、再就職手当の支給状況を少し詳細に整理しております。一番左の受給者数は、今申し上げたとおりですが、残日数、 3 分の 2 以上、 3 分の 1 以上の数字、割合をそれぞれ示しております。人数構成比で見ますと、残日数 3 分の 2 以上の方が 7 割から 8 割、残日数 3 分の 1 以上の方が残る 2 割強といった割合になっております。

 もう 1 つ、右から 2 番目は、基本手当の受給資格決定件数を B で示しております。これは、雇用情勢の影響により増減があり、平成 26 年度は 156 万件と大分減ってはいるのですが、この受給資格決定件数に占める再就職手当の受給者数を一番右の欄、受給率という形で整理しております。それを経年で見ますと、おおむね受給率に関しては上昇傾向。特に、平成 21 年度、平成 23 年度は、先ほど申し上げた再就職手当の給付率の拡充を行った年度ですが、その前後辺りを比較しますと、受給率の上昇が確認できるのではないかと考えております。

4 ページ目は、「特定受給者の再就職手当の受給状況」を給付テーブルごとに見たものです。特定受給資格者全体では、受給率が 27.0 %です。それぞれを見ますと、おおむね給付日数と比例して受給率が上昇しております。

5 ページ目は、特定受給資格者以外の再就職手当の受給状況です。全体の受給率は 23.8 %と、特定より若干低くなっております。なお、この特定以外の再就職手当の受給者には、給付制限期間中に再就職をして手当を受給する方が含まれてきますので、前のページの特定受給資格者で所定給付日数 90 日の方と比較いたしますと、特定以外の方の受給率のほうが高い状況になっております。

6 ページ目以降は、前回の基本手当の議論のときにお出しした資料を再度提出しております。詳細の説明は省略いたしますが、 6 ページは基本手当受給者の再就職状況の全体で、おおむね 5 割前後の方が支給終了までに就職。また、平成 21 年度以降、支給終了までに就職した方の割合が増加傾向にあるということです。

7 ページ目も同様で、うち特定受給資格者の再就職状況で、おおむね 5 割前後の方が支給終了までに就職しております。

8 ページ目は、特定受給資格者以外の方の再就職状況で、こちらもおおむね 5 割前後となっております。帯グラフの一番左が待機期間中、左から 2 つ目が給付制限中の方で、給付制限期間中まで、つまり受給前に再就職をした方の推移を見ますと、若干の雇用情勢の変動はありますが、おおむね 3 割程度の水準で推移していることがうかがえます。

9 ページ目以降は、同様に支給終了後 1 年超を経過して就職した者を除いた数字となります。支給終了までの就職した方の割合がおおむね 6 割前後です。これは、時系列で見ますと余り大きな変動が見られない特徴になります。 10 ページは、うち特定受給資格者の再就職状況で、同様におおむね 6 割前後。 11 ページは、特定受給資格者以外の方の再就職状況で、同じく待機期間及び給付制限中の再就職割合を比較いたしますと、こちらは 3 割を若干超える数字になっておりますが、数字としての大きな変化はない状況になっております。

12 ページは、「再就職手当受給者の職場定着率」をまとめております。これは、各年度に就職して再就職手当を受給した方の、今年の 5 月末時点の状況を特別に調査したもので、就業促進定着手当の受給の有無を問わない形です。再就職手当受給者の再就職後の職場定着率は、 6 か月で定着する方が 8 割強、 1 年定着する方が 7 割程度という数字になっておりますので、これは時系列によっても、あるいは支給残日数 3 分の 2 以上、 3 分の 1 以上、それぞれ比較しても大きな変動がほとんどない状況です。

 以上をまとめたものが、 13 ページの「まとめ及び論点」です。再就職手当の受給者数や受給率は近年増加傾向にある。特に、給付の拡充を行った平成 21 年度及び平成 23 年度の前後を比較すると、受給率の上昇が確認できる。平成 21 年度以降、支給終了までに就職した者の割合が増加傾向にある。特定受給資格者以外の者の待機期間・給付制限期間中の再就職割合は、おおむね 3 割程度の水準で推移している。再就職手当受給者の職場定着率は、 6 か月定着する者が 8 割強、 1 年定着する者が 7 割程度となっている。以上を踏まえ、再就職手当について、早期再就職の促進効果などの観点からどう考えるかという形でまとめております。

 引き続き、資料 3 「第 102 回雇用保険部会で委員から頂いた御指摘に関する資料」の説明をいたします。 1 ページ目は、「基本手当受給者の再就職状況」を性別・離職理由別に整理したものです。性別計は、先ほど説明したものと同じです。男性と女性それぞれ比較いたしまして、女性のほうが、給付制限中あるいは支給終了までに就職した者の割合が、平均しておおむね 10 %近く低い状況が見られます。

2 ページ目は、所定給付日数別、すなわち年齢階層別の再就職状況の特定受給資格者をまとめたものです。特定受給資格者全体の就職率は、 57.3 %。括弧は個別延長給付を除したものの就職率で、 50.8 %となっております。おおむね、所定給付日数に比例して就職率が高くなる傾向にありますが、同じ所定給付日数で比べますと、年齢の若い方のほうが若干就職率が上がる傾向が見受けられるかと存じます。

3 ページ目は、同じ所定給付日数別、年齢階層別の再就職状況のうち、特定受給資格者以外をまとめたものです。全体の就職率は 53.5 %と特定より若干低く、同様に年齢の低い方のほうが就職率が少し高くなる傾向が見られます。

4 ページは、「求職者が求人に応募しない理由について」です。これは、過去平成 14 年の厚生労働省調査をまとめた資料で、求職申込み時が平成 13 12 月、調査時が平成 14 6 月で取ったときの、希望する条件を満たす求人がなかった理由別の求職者割合をまとめているところです。年齢でも整理しておりますが、おおむね共通して職種が合わない、あるいは賃金が安い、労働条件が悪いといったところが少し高い傾向になっております。

5 ページが同様の調査で、調査時点が平成 14 6 月から平成 15 1 月までの期間。希望する条件を満たす求人がなかった理由別求職者割合となっております。職種が合わない、賃金が安い、今申し上げた幾つかの理由については、おおむね同様の傾向が見られます。また、能力、経験を生かせないという割合も比較的高く、前のページの調査と比較しても少しここの割合が上がっていることが確認できます。

6 ページ目は少し類似の調査ですが、これは労働力調査の平成 26 年、最近の詳細集計をまとめたものです。「完全失業者の仕事につけない理由について」です。これは、年齢階層別に整理をしております。全年齢で共通して比較的高いのが、希望種類・内容の仕事がない。それから、高い年齢の方に関して言うと、求人の年齢を理由にしている方が非常に高いことが特徴になります。

7 ページ目は、 JILPT の調査で「長期失業者の求職活動と再就職状況」をまとめたアンケート調査です。この長期失業者は、求職活動が原則 1 年以上に長期化している方を対象としているものですが、求職活動において大変だったことは、高い割合になっているのが同じような傾向が見られ、希望する職種や仕事の求人が少ない。あるいは、実態として年齢制限が厳しいといったところが高くなっているように見えます。

 下の段が、 3 段階で年齢階層別に整理したものです。こちらを見ますと、同様に希望する職種や仕事の求人が少ないなどが高い割合を示します。それから、年齢の高い層に関しては、実態として年齢制限が厳しいという回答が非常に多い。逆に、年齢の若い方の回答割合が多いのは、技術・経験が求人条件に達していないといった状況が確認できるかと存じます。

8 ページ目は、平成 11 年の雇用保険部会で提出した資料で、年齢階層別に完全失業率と基本手当の受給率を比較してまとめた資料です。なお、これは平成 11 年の資料ですので、平成 12 年の雇用保険法改正、すなわち特定受給資格者制度導入前の状況がまとめられているものと思っていただければと思います。年齢階層別に見ますと、大きく申し上げて 29 歳以下、若年層に関しては、基本手当受給率が完全失業率よりも相当下回っております。それが、年を追うごとにだんだん近づいてきて、 45 59 歳層でほぼ一致すると。 60 から 64 歳までの層は、完全失業率と受給率が逆転しまして、基本手当の受給率の割合のほうが相当高くなっている傾向がうかがえます。

9 ページ目は、「雇用保険受給者のうち支給終了後に就職した者の就職時期」、平成 21 年の雇用保険部会に提出したものです。支給終了後の就職した方全体を 100 と取り、いつ就職したかをパーセンテージとしてまとめたものです。支給終了後 1 か月以内、 2 か月以内で大体過半数となり、支給終了後 6 か月以内で 75 %。 6 か月を超える方の割合は 25 %という形で推移しているものです。

10 ページは、「離職理由別個別延長給付受給状況」です。個別延長給付は、特定受給資格者と雇止めの特定理由離職者の 2 つの区分がありますが、特定受給資格者の受給者数については、平成 23 年度から 26 年度までに、相当程度大きな減少となりました。全体に占める構成割合も若干低下傾向にあります。雇止めの特定理由離職者に関しても減少傾向にありますが、特定受給資格者ほど大きな減少とはなっておりませんので、構成比については相対的に上昇をしております。それから、特定理由離職者に関しては、個別延長受給率。これは、受給資格決定件数に占める個別延長給付の初回受給者数の割合を整理したもので、特定受給資格者と比べて特定理由離職者については、この受給率が各年度において若干高くなっている傾向が確認できると思います。

11 ページ目は、「所定給付日数別個別延長給付受給状況」です。 30 歳以上 60 歳未満かつ所定給付日数が 90 日の方、比較的短い方に関して、この個別延長給付の受給する割合が高くなっており、 3 割弱から 4 割というような水準にあることが確認できます。なお、 60 代の方に関しては、この所定給付日数にかかわらず、ほぼ一定の割合、 3 割弱の方が受給している傾向が確認できます。

12 ページ目は、「個別延長給付受給者の就職状況」です。個別延長給付は 60 日の延長ですが、受給期間中に就職した方の割合はおおむね 2 割強です。人数としては、 2 から 3 万人という状況になっております。平成 24 年度の 2 4,901 人の方はいつ就職しているかを下の段で整理しており、支給残日数の 10 日以内、あるいは 20 日以内の辺りで就職している方が半数近くを占める傾向が確認できます。

 再就職手当、それから前回の御指摘に関する資料の説明は以上です。よろしくお願いいたします。

○岩村部会長 ただいま、資料 1 及び資料 3 について説明をいただきました。これについて、御意見、あるいは御質問がありましたらお願いいたします。

○新谷委員 前回からの論議を踏まえ、資料 3 をまとめいただき、ありがとうございます。非常に有意義なデータをそろえていただいたと思います。ただし、今日は資料 1 に記載されている再就職手当が検討のメインテーマになっておりますので、まずはそちらの意見を申し上げたいと思います。

 資料 1 には、再就職手当に関する各種データを踏まえ、最終ページに「まとめ及び論点」が示されております。この論議をする前提となりますが、資料の 1 ページ目にあるように、再就職手当に関連しては、昨年の雇用保険法改正で就業促進定着手当を新設しました。この改正は、就業促進定着手当を創設することで、再就職手当の本体の部分と合わせて一定の条件で早期再就職をした場合に、日数的には所定給付日数のほぼ近い水準まで給付を行うという大規模な改正でありました。この改正の施行日は、資料の 2 ページにあるとおり昨年 10 1 日ですので、施行日以降の就業促進定着手当の給付状況についてのデータは出していただいておりますが、広い意味での再就職手当の論議をするに際しては、この制度の新設を行った就業促進定着手当がどのような政策効果を果たしているのかという分析が不可欠ではないかと思います。もちろん、施行から日が浅くデータの蓄積が十分ではないことは理解していますが、既に 9 か月分の給付実績のデータがあるわけですから、この給付実績のデータをベースに、再就職手当や、新設した就業促進定着手当がどのような影響や効果を生んでいるのかという検証を進める必要があると思います。

 昨年の法改正の際に、この再就職手当と新たにできた就業促進定着手当の創設に際して論議をした際には、早期再就職に向けてのインセンティブを強化するということを政策目的に掲げ、一定の条件で早期再就職した場合に基本手当に残日数とほぼ同じ日数を全部渡し切るというような政策を打ったわけです。この点、労働側としては、余りに早期再就職へのインセンティブ効果が強すぎて、再就職時の労働条件の低下を受け入れてしまうような反作用、弊害が出てはいないかという懸念を感じており、その検証を進めるためにもデータの検証が必要であると考えているのです。

 今申し上げた見方を、どうすれば今頂いているデータの中で見れるのかですが、資料の 12 ページに「再就職手当受給者の職場定着率」のデータが出ております。これは、基本手当の所定給付日数を 3 分の 2 残して就職した方と、 3 分の 1 を残して就職した方の職場定着率の比較がなされています。 3 分の 1 残した方というのは比較的相対的には長く求職活動を続けておられた方ということになるわけです。このデータをよく見ると、サンプルサイズも小さくなく、標本誤差が少ないと仮定すれば、職場定着率は所定給付日数を 3 分の 1 残して再就職した方のほうが、 3 分の 2 残して再就職した方に比べて職場定着率が有意に高いというデータが出ているわけです。このデータを素直に読み取れば、やはり求職活動の期間をより長く取ったほうが、再就職後の職場定着率は高くなるということではないかと思います。そういった意味で、じっくりと時間をかけて就職活動を行って再就職をしていただくほうが、労働者本人にとっても納得性の高い労働条件の下での再就職が実現しているのではないか。こうした点がデータから読み取れるのではないかと思いますので、その点も含めて昨年の法改正の政策効果の検証、データの精査などを進めていただきたいと思います。

 また、再就職手当の在り方は、就業促進給付全体の中でどのように捉えるかという見方も必要であると思います。加えて、就業促進給付は当然本体となる基本手当の在り方とも密接に関連すると思います。昨年の法改正は、一定の条件下で早期再就職をした場合に基本手当の残日数分の給付を渡しきってしまうという大きな改正であったことを踏まえれば、再就職手当についてはもうやれるところまでやり切ったという感じもしますので、これら手当の在り方は基本手当も含めて離職者が安心して求職活動できるための政策効果を目指してトータルであり方を検討する必要があると思います。その意味で、この就業促進給付のうち再就職手当以外の手当、例えば移転費や広域求職活動費といった他の給付項目も含めて、トータルで就業促進給付の在り方の検討を進める必要があるということを冒頭に申し上げておきます。以上です。

○岩村部会長 ありがとうございました。それでは雇用保険課長、お願いします。

○奈尾雇用保険課長 何点か御意見を頂戴したところで、現段階でコメントできる点についてお答えいたします。まず、就業促進定着手当ですが、資料の 2 ページの左下で月別の受給者数等の数字を出しております。去年の 10 月、 11 月については、支給申請期限というものがあり、その期限の中でできるだけ早期に手続をされた方は載ってきているのですが、やや数字としてはまだ安定していないということで、最近数箇月の 1 3,000 人程度というのが比較的安定してきた数字かと思います。これの評価はなかなか難しい面がありますが、基本的に、就職してから定着した後に支給しているものですので、支給したということと政策効果はそんなに大きくずれないのではないかというのも 1 点あります。

 その上で、あえて少し補足しますと、予算上、平成 26 年度、平成 27 年度で見込んでいた受給者数よりも、恐らくこの 1 3,000 人というオーダーは小さいのではないかと見ております。この原因としては、予算上は再就職手当を受給するような人の大体 6 割ぐらいは、この就業促進定着手当の対象になるだろうと見込んでいたわけですが、実際は恐らくそこまでいっていないということかと理解しています。

 この要因としては幾つかあろうかと思うのですが、賃金が低下した場合に、この就業促進定着手当が出るわけですが、そこまで賃金が低下していない実態が一部あるのではないかということが 1 つ推測であります。それは厚労省の調査で言えば、例えば雇用動向調査で転職入職者の賃金という項目があるのですが、大体、賃金が上がった方と、変わらない方と、下がった方というのは、雇用動向調査で、大ざっぱに言うと 1 1 1 という関係になっているということもあり、そういう中でこの受給者数になっているのではないかと少し考えられるところです。

12 ページのデータについて御意見等がありました。これも残日数が 3 分の 2 以上と 3 分の 1 以上で、大体、平成 25 年度で言えば 0. 数パーセントから 1. 数パーセントぐらいの差があるということで、若干の差が見られると考えております。この数字については、本当は一番厳密に検証しようとすると、再就職賃金で見るのがいいのではないかと思うのですが、これは数箇月単位ではなかなか資料ができないという制約があり、本日の 12 ページのような資料になっているわけです。このデータ等を基に御議論いただければと考えているのですが、受給者計で見て、あるいは支給残日数別に見て、やはり 6 か月定着と 1 年定着では大体 8 割と 7 割弱というのがあるという効果をどう見るかというところかと思います。

 その上で、本日は再就職手当を中心に資料を作成しているわけですが、今、新谷委員がおっしゃったとおり、当然、ほかの就職促進給付、移転費、広域求職活動費といったものもありますので、その辺りについては引き続き御議論をお願いできればと思っているところです。

○新谷委員 ありがとうございます。就業促進定着手当の給付実績が、予算策定時よりも少なかった原因として、再就職時賃金が離職前賃金から下がった人が少なかったのではないかという事務局答弁を頂いたのですが、その一方で、前回第 102 回部会で示された離職前賃金と再就職時賃金のデータでは、基本手当受給者の再就職時賃金は離職前賃金に比べて大きく下がっているというデータが示されているわけです。こうした点を踏まえると、冒頭に申し上げたように、論議の素材となるようなデータをそろえていただいたほうが良いと思います。明らかに前回頂いているデータと先ほどの答弁は齟齬が生じており、ストンと落ちないところがありますので、資料の準備をお願いしたいと思います。

○奈尾雇用保険課長 どういうデータができるか少し検討いたしますが、今の政策効果的な面、あるいは就業促進給付的な面について、当面何ができるかというのをまず考えさせていただきたいと思っています。

○岩村部会長 よろしくお願いいたします。ほかにはいかがでしょうか。

○亀崎委員 新谷委員の意見に関連する部分もありますが、資料の提出を含めて意見を申し上げます。再就職手当の効果を見極める上では、単純に早期に再就職できたかという時間的な側面だけではなく、新谷委員が指摘したように、 12 ページの職場定着率が重要であると考えています。幾ら早く再就職できても、再度離職に至るというケースを避けなければならない。しかし、 12 ページの表は、単純に再就職手当の受給者の中での所定給付日数 3 分の 1 残しの者と 3 分の 2 残しの者を比較しているだけでしかなく、本来、再就職手当の効果を分析するというのであれば、再就職手当受給者の中の 3 分の 1 残して再就職した方と 3 分の 2 残して再就職した方の職場定着率を比較するのではなくて、再就職手当受給者と、再就職手当を受給しないで就職した者、すなわち所定給付日数を残さずに再就職した者とを比較する必要があるのではないかと思います。この分析資料を是非提出していただきたいと、要望として意見を申し上げておきます。

○奈尾雇用保険課長 この 12 ページの資料ですが、 ( ) に書いておりますように、各年度の就職者で再手を受給した人の平成 27 5 月末以前の状況を特別に調査したということで、プログラムを組んで数箇月掛かって調査したものです。再手を受給しない人の雇用保険受給者の定着率となりますと、また同じようにプログラムを組んで、その上でデータを精査していく必要がありますので、かなり時間を要することが考えられます。その中で、例えば 1 つの方法ですが、雇用保険という制度によらない何かほかの厚労省の調査等によって同様の比較ができないか、少し考えてみたいと思います。

○岩村部会長 よろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。

○亀崎委員 是非お願いします。

○浅見委員 ただ今の 12 ページに関連して、数字をどう見るかにもよりますが、平成 21 年度に再就職手当については支給残日数の 40 %に増額になって、平成 23 年度にはやはり 50 %の増額になっています。この 12 ページの資料を見る限りは、平成 21 年度のインセンティブ、平成 23 年度のインセンティブが定着率にどのように影響しているかという観点で見ますと、ほとんど影響していないのではないかと見ることもできると思います。したがって、再就職促進のためのインセンティブを増やすことが、結果としてあせって就職させて定着率を下げるということにはつながっていないのではないか、という見方もできると思うのです。この辺りについて、事務局に何か見解があればお伺いしたいと思います。

○奈尾雇用保険課長 この 12 ページについては、雇用情勢等そこに書いているわけではありません。当然ながら、定着についても、その時々の雇用情勢の影響を受け得るのではないかと思っております。

 あえてほかのデータで御説明しますと、例えば資料の 2 3 ページの特に 3 ページです。まず、再就職手当を受給した方がどのぐらい受給者の中にいらっしゃるかというのを、 3 ページの一番右側の受給率で比較したものがあります。そこで見ますと、一番右下の平成 26 年度ですが、受給率すなわち受給資格決定件数のうちの再就職手当受給者数は大体 24.6 %ということで、これは過去 6 年ほど一貫して大体上昇していると評価していいのではないかと思われるわけです。この中で、特に平成 23 年度から平成 24 年度について増え方がやや大きいところかと理解できるわけで、これは平成 23 8 月に再就職手当の改正が施行された影響がかなりあるのではないかと思っております。

 そうして見ますと、受給率が大体上昇しているという中で、先ほどの 12 ページの受給者計の欄に占める 6 か月定着の割合、あるいは 1 年定着の割合というのは、 3 ページの一番右の欄ほどには変動がないと見ることも可能かと思っており、大体ここ数年間で 1 2 %程度の違いだろうと見ているわけです。この辺りは雇用情勢がどうかによってもかなり上下されるところですが、定着の割合は比較的安定して推移しているのではないかと、私どもとしては見ているところです。

○岩村部会長 ありがとうございます。細かい実証データを得るとなると、先ほど雇用保険課長が説明されたように、かなり大掛かりな作業も必要だというところもあるので、代替的なデータがあれば、それをベースに検討することにならざるを得ないのではないかとは思います。

 もう 1 つ、再就職手当についてはどう理解するかというもう 1 つの仮説としては、多分、就職しやすい人が比較的早くに就職をして再就職手当をもらっているというのも、仮説としてはあるのではないかという気がします。そうすると、賃金の下がる率も結局少ないので、したがって、就業促進定着手当の受給というのが、当初、事務方で想定したよりも率が少ないということになるのかもしれませんが、これも実証データがないので、あくまでも 1 つの仮説にすぎないということになろうかと思います。その辺りは、これからどの程度、限られた時間の中で検証できるかということかと思います。ほかにはいかがでしょうか。

○遠藤委員 まず、再就職促進に関わる給付の在り方については、先ほど労働側委員からありましたように、他の給付の状況等も併せて見ながら検討してまいりたいと思っています。

 その際に、使側委員としての関心事項で申し上げますと、例えば移転費や広域求職活動費が、他の給付に比べるととても少ない状況にあります。今後も広域的な求職活動を押し進めるという意味では大変重要な機能を持っているものでもありますので、なぜ使われないのかという分析も含めてデータを出していただければと思っています。

 それから、基本手当の議論はまだ後ほどということになるのでしょうか。

○岩村部会長 いいえ、もし関連することであれば、前回も申し上げましたが、本日も基本手当の議論はしていただいて結構ですし、そのために本日は資料 3 も出ていると、私としては考えております。

○遠藤委員 分かりました。前回、労働側委員のほうから追加の資料をお願いし、その資料を基に次回、要するに今回、御議論をするということでしたので、本日頂いた資料を踏まえて、使用者側委員の意見ということで申し上げたいと思っております。

 基本手当の受給終了までに就職している者が、前回検証した状況と変わることなく、およそ 5 割であるということです。平成 21 年度以降になると、 55 %になっていることが新しくデータとして明らかになったわけです。また、受給終了後 1 年を超えて再就職した方々は一定程度、常にいますが、先ほどの資料を見てみますと、その理由が、基本手当の在り方というよりは、希望する仕事が少ないなど、個別の理由に基づいて長くなったと思われます。その 1 年を超えて再就職された方々の部分を除けば、受給終了までに再就職される方の割合が、 6 割前後まで達するという状況、これも前回の検証と何ら変わっていないわけです。こういった一連の状況を見る限りにおいて、使用者側委員としましては、雇用保険が、セーフティネットとして一定の機能を果たしていると評価したいと思っています。

 さらに、受給終了後 1 カ月以内に再就職しているグループというのか、この方々が、時系列で見てみますとやはり一定程存在しています。こういった方々は、給付日数や給付水準に影響を受けない方々だと思われる層ですので、基本手当の水準を引き上げることになれば、更に後ろにずれていくということも容易に想定できるわけです。

 現状では、基本手当の水準を引き上げるということになりますと、むしろそれは再就職促進という機能を阻害する形に働くのではないか、使用者側としては大いに危惧するところです。

○新谷委員 使用者側から、資料 3 に基づいて基本手当に関する御意見がありましたので、労働側としても意見を申し上げたいと思います。

本日の資料 3 で、基本手当受給者の再就職状況に関する性別毎のデータや、離職者が仕事に就けない、あるいは応募しない理由等を調査したアンケート結果を示していただきました。こうしたデータを見るに、遠藤委員がおっしゃる基本手当受給者の約 55 %が給付受給終了までに再就職できたではないかという点については、労働側としては、基本手当支給修了までには半分の方しか再就職できず、その後は無収入で求職活動を行わざるを得なかったという見方にならざるを得ないと考えています。

 それはなぜか。雇用保険制度は、勿論、常にモラルハザードとの関係を念頭に置く必要があると思いますが、基本手当をもらい切ってから就職するなどという発想ではなくて、本日頂いた資料 3 の統計資料にあるように、離職者が求人に応募しない理由や仕事に就けない理由は、年齢が高く厳しくなっているとか、希望職種・内容がない、あるいは労働条件が悪いといった理由が上位に入ってきているわけです。本日のデータを踏まえれば、離職者は就職の意欲がなくて就職しない、基本手当をもらい切って就職するということではなく、就職に向けて求職活動を行ってもなお再就職ができない方がいる、と見るべきだと思います。

 そういった中、基本手当の給付満了後 1 か月以内に再就職を決められる方が少なくないというデータをどう見るかということです。この見方としては、基本手当の給付が終了し無収入になり、御家族があれば御家族の生活も支えながら求職活動をして、早く再就職しなくてはいけないという方が少なくなかったと見るべきだと思います。

雇用保険制度は、正しく遠藤委員がおっしゃったように、離職者が安心して求職活動を行うことを支えるというセーフティネットとしての機能を十分果たし得ているのかということを考えるべきです。基本手当受給者の半数が給付期間中に再就職できていないという実態に照らせば、基本手当の給付日数の引上げを検討するといったことが筋ではないかと思います。

 また、失業されて求職活動を行う中で、だんだんと給付日数の終期が迫ってきて再就職を決断するという際に、本日示されたアンケートのデータを踏まえれば、労働条件が悪い、あるいは賃金が安いと思いつつも、生活の糧を得るために再就職に踏み切らざるを得ないという実態なのではないか。そしてこうした実態が数字の上でも出ているのではないかと思います。それは、先ほども申し上げましたが、第 102 回部会の資料で、離職時賃金と再就職時賃金のギャップが示され、特に主たる生計者が多いと思われる離職時賃金が高い人ほど、再就職時賃金が大きく低下しているというエビデンスが示されているわけです。こうした点を考えれば、生活を支えながら安心して求職活動を行うことを支えるという基本手当の政策目的を改めて意識し、給付率や給付日数の在り方について、今一度セーフティネット機能を真に発揮させる観点から見直しが必要であると思います。

 関連して、第 102 回部会で示された離職時賃金と再就職時賃金のグラフは、前回部会で申し上げたように、横軸が法定賃金日額の上限である 1 5,700 円の部分で終わってしまっており、それを超える部分は全部 1 5,700 円に収斂させてしまっています。一方で、保険料は離職前賃金に保険料率を乗じて上限を設けることなく徴収し続けています。これは前回申し上げたように、標準報酬月額という概念で保険料負担と給付をバランスさせている厚生年金や健康保険とは異なり、雇用保険は保険料は天井を設けることなく取り続ける一方、給付は法定賃金日額の上限を約 1 5,700 円に設定して上限を設けるという仕組みになっているわけです。

 前回部会の資料は、法定賃金日額に押し込めるために離職前賃金が 1 5,700 円の層で右側のグラフが全部切られてしまっているのですが、トレンドで見ていったときに、離職前賃金と再就職時の賃金はどのような関係になっているのかというデータを是非示していただきたい。離職前賃金日額が 1 5,700 円の方の賃金月額は 30 倍して 47 万円程度になると計算できますが、賃金月額 47 万円の方は賃金センサスで見ると全労働者の 10 %程度が該当します。賃金分布の 10 %以上のところは全て賃金月額が 15,700 円に収斂させてしまっているのが現行の雇用保険の仕組みであるわけですが、給付と負担の関係が明確な保険制度の中で本当にそういった取扱いで良いのかということも含めて、データの提示を頂きたい。

 その上で、特定受給資格者とそれ以外、年齢別、給付日数別等の離職時賃金と再就職時賃金を分析する必要があると思います。先ほども指摘したように、収入を得るために労働条件の低下を受け入れてやむを得ず再就職してしまうという者がいるのではないかという点を是非検証したいと思っています。

○岩村部会長 ありがとうございます。今、労使双方から御発言いただきましたが、事務局のほうで何かコメントその他ありましたらお願いいたします。

○奈尾雇用保険課長 幾つか事実関係等について少し補足させていただきます。まず、広域延長給付等については、現在、例えば平成 25 年度で言えば、年間の支給件数はそれぞれ数十件とか数百件というオーダーです。この辺りですが、考えられる要因としては、安定所というのは、一般論として、できる限り住所を移転しないような職業紹介をするのが原則ですので、そういった運用の中でやっているので今のような件数になっているのではないかと推測はいたします。いずれにしても、この辺りの議論は次回の本格的議論かと思っています。

 再就職ができない理由、あるいは失業期間について労使双方からコメントがありました。この辺りの評価はさて置きまして、これも事実から言えば、例えば本日の資料 3 6 ページや、その前の 4 5 ページもそうですが、幾つか応募しない理由や仕事に就けない理由を、それぞれ回答いただいているわけです。これは 1 つずつの回答項目の中でも、なかなか評価は一義的に決まらないという特色はあろうかと思っております。例えば資料 3 6 ページに、 1 つの回答として「希望種類・内容の仕事がない」という回答欄があって、これはかなり大きな回答数になっているわけですが、この評価 1 つ取ってみても、その深刻度なり度合というのは、かなり個々人でばらつきがあるような回答になり得る。これは当然そうかなと思うのですが。そういう中で、なかなか精緻な分析は難しいというのは大変恐縮に思っているのですが、そういう制約の中でどう見ていくかという話かと思います。

 新谷委員からコメントがありました前回の資料の 21 ページ、基本手当日額と再就職賃金日額の状況です。前回も御指摘いただきましたとおり、基本手当日額については上限額で頭打ちになっていて、グラフも頭打ちで作成させていただいたというところで、この中のグラフで言えば、再就職賃金日額を年度別に書いているわけですが、この数字については、離職の際の賃金日額が上限より上の人も、一番上の一番右の所で切れていますが、その折れ線グラフで切れている所で全部収斂させた数字になっています。この辺りの数字を含めて、再就職促進効果なり生活の安定なりにどういう影響を果たしているのかというものを評価いただくのかなと思っております。事実関係だけのコメントで、以上です。

○岩村部会長 ありがとうございます。新谷委員が触れておられた保険料と給付の関係ですが、そこは何か事務局のほうでありますか。

○奈尾雇用保険課長 前回少しお話したつもりだったので恐縮ですが、基本は私どもの労働保険の徴収は労災保険と一括に労働保険料として実務を行っていまして、そこで総賃金に一定の保険料率を掛けていく。それを労災と雇用保険一括して徴収するという仕組みです。そういった中で、総報酬で全部やっていますので、そこは全体の報酬、標準報酬ではなくて総報酬で掛けていくという考え方です。

 一方で、給付日額については、御指摘のとおり上限額、下限額を設けているところで、これは前回少し申し上げたかもしれませんが、あえて他の社会保険との差を言うと、私どもとしては早期再就職促進というものが法目的の 1 つにある中で、その逆転を避けるという必要性からこういった制度になっている。少し前回申し上げたかもしれませんが、そこにあえて言うと、他の社会保険との違いがあるのだろうと理解しております。

○岩村部会長 もう 1 点私のほうで付け加えますと、保険料と給付との関係をどう考えるかというのは、幾つか考え方はあると思いますが、保険料については、例えば賦課する賃金の上限を設けずに取る、しかし、給付についてはベースとする賃金の条件を設けるというのは、先進諸国を見てもあるのです。それはやはり、ある意味、被保険者集団の中での連帯というか、高所得者、高賃金の人には多く払ってもらって、その分で低賃金の人の所に給付を厚くするというような発想での制度設計というのは、あり得ることなので、そういう保険制度の組み方をどうするかということとも結び付く問題ではないかとは考えています。それは結局のところ、今、雇用保険課長が少し触れられた、 1 つは雇用保険というものの性格をどう考えるか、在り方をどう考えるかという基本的な発想のところに関わる問題ではないかとは思います。

○新谷委員 ありがとうございます。特に最後の点については、事務局の答弁、それと今、岩村先生にまとめていただいたところ、特に岩村先生のおっしゃるところもよく分かるところです。ただ、事務局の答弁にあったような、総報酬という労働保険の徴収実務もよく分かるのですが、事業主にとっては、一方では標準報酬月額方式での社会保険の納入を行っているわけで、だから、納付の仕方が総報酬だから、あるいは労働保険は総報酬なのだからということでは、それは当然納得できないわけです。

 今回おっしゃるように、被保険者集団のリスクの分散という考え方、それと、所得再配分ではないですが、考え方を整理する必要があるとは思いますが、今回は、積立金の残高が 6 兆円を超えるという状況の中で、保険料の扱いをどうするかということも、当然、論点になってくるわけです。こういう 6 兆円を超える中で、保険料の徴収の仕組み、あるいは給付の仕組みを、やはり原点に遡って見直しすることも論点の 1 つになるのではないかということでの課題提起ということで申し上げておきたいと思います。

○遠藤委員 再就職のときの労働条件について、重きを置かない人はいないということは御指摘のとおりだと思います。ただし、必ずしも労働条件にだけこだわっているということではなくて、本人が今後やってみたいこと、あるいは従事してきた仕事を生かしていきたいといったこと、あるいは再就職先の将来性に期待している、そのような諸々の事情があります。そういった中で、転職という事象が発生するわけです。

 もちろん解雇、倒産というのは御本人の選択ではないわけですから、その事象は分けなければいけないと思いますが、労働条件以外の部分についても、再就職の動機としてしっかり位置付けられているのだということがあり、そのことは雇用保険の中で解決できる話ではありませんので、雇用政策全体の中でどう解決していくのかということに関わるものです。雇用保険の中で解決すべきものと、雇用保険を超えて解決すべきものということに分けて、今後議論の中で整理をして議論を進めてまいりたいと、使側委員は思っているところです。

○新谷委員 私も全く同感です。十分な論議をすべきであると思います。前回部会で示された資料、具体的には先ほども指摘した 21 ページの資料ですが、この資料を厚生労働省が作られた意図は、離職時賃金と基本手当日額の逆転現象の説明することにあり、過去作られたもののリバイズ版です。このデータを見るに、逆転現象などは当然解消しているわけですが、再就職時賃金と離職時賃金とのギャップが顕著に出ているわけです。例えば、離職前賃金が 1 5,000 円の層の再就職時賃金は 9,500 円に届いておらず、賃金額が大幅に低下した中で再就職をされている実態が浮かび上がってくるわけです。こうした背景には、遠藤委員もおっしゃるように、労働市場の構造や我が国固有の賃金体系の問題など様々な要因があるということは想定するものの、離職前は賃金日額 1 5,000 円はその金額をベースに生活や家族を支えていた方であり、そうした方が再就職後は 9,000 円弱の水準で生活や家族を支えざるを得なくなった。この背景には、先ほど申し上げたように、早期再就職へのインセンティブが過度に効きすぎて、早めにふん切りをつけて労働条件の低下を受け入れて再就職してしまう者がいるのではないかということを検証したいのです。その上で、離職前賃金と再就職時賃金との大きなギャップがある中で、政策的にどのように手当すべきかということを考えていきたいということです。

○岩村部会長 ありがとうございます。そのほかはいかがでしょうか。この資料 1 と資料 3 について、よろしいでしょうか。

○遠藤委員 使用者側委員からも個別延長給付に関わる資料をお願いし、今回データとしてお出しいただきまして、ありがとうございます。この資料を求めた背景は、 2009 年度からの暫定措置が延長を 2 回挟みまして、今日まできている状況をどう判断するのかということです。機能していないことはないわけですから、その機能している対象が、ターゲットとして絞り込める状況にあるのであれば、ということでお願いしたという経緯がございます。

 現状、そこまでの議論ができるほど十分読みこなせてはいませんが、 1 点だけお尋ねさせてください。資料3の 12 ページの「個別延長給付受給者の就職状況」について、法律上の規定もあって、基本的には 60 日の単位で支給し、 330 日の基本手当受給者は 30 日という前回の御説明がありました。私どもも 1 つの仮説を立てています。個別延長給付も、実は残日数を残した形で早期に再就職した場合に、一時金が出れば満額受給しないで再就職を図る方々が一定程度あらわれるのではないかという仮説です。事務局は、どのようにお考えになっていますか。

○岩村部会長 雇用保険課長、いかがでしょうか。

○奈尾雇用保険課長 これもなかなか評価は難しいわけですが、 12 ページの資料で見ると、確かに御指摘のとおり、支給残日数が一番右の 60 日以内というように早期再就職をされた方は非常に少ないと。一方で、一番左の支給残日数は 10 日以内というのが 4 分の 1 程度ということで、これが多くなっているということです。

 今、遠藤委員の御指摘のような一時金を仮に創設すると、そこは効果がゼロということは多分ないだろうとは思いますが、まず趣旨としてそれはどうなのかは、まず 1 点あります。延長給付に入った段階で、そこは早期再就職は目的なのか、あるいはほかの給付なのかという、給付の内容についてどう考えるのかという問題がまず 1 点出ると。

2 点目としては、そもそも個別延長給付の対象者は前回御提示したとおりです。基本は、再就職が困難な方に対する給付だろうと思っておりますので、その方に、早期に就職をするというインセンティブを付ける意味がどの程度あるのかなということです。それから見ると、もともと入ってくる段階で、やはり就職が困難というのは一定程度下げられない方ですので、 12 ページのような分布になり得るのかなというように私どもとしては理解しているところです。

○遠藤委員 このデータを見る前の段階では、 60 日以内の就職者が、もっと少ないのではないかということがあったのですが、現状、適宜御判断されているということであり、安堵の思いもありました。

 もう 1 点は、個別延長給付は 60 日間でセットされますが、 28 日ごとにハローワークで対応していく場合、個別延長給付がなされる前のハローワークでの対応と、個別延長給付がなされてからのハローワークの対応は、明確に違うところが政策上あるのでしょうか。

○岩村部会長 雇用保険課長、どうぞ。

○奈尾雇用保険課長 その辺りは、現場でどういう運用をしているかにもよるわけですが、御案内のとおり、個別延長給付は大きく分けて 3 つほど類型があります。例えばその中の 1 つとして、安定所長が特に計画的に再就職支援を行う必要があるという方が対象になる 1 つの類型です。その方については、当然のことながら個別延長給付に入られた後でも、安定所長が計画的に、更に計画的にフォローするという場合は大いにあろうかなと思っております。ただ、そのほかの今の類型以外の方々についても、一般論で言うと、最初の受給資格決定の段改で、各ハローワークでは重点的に早期再就職を支援する必要がある方をある程度目星を付けまして、そこで早期再就職支援を進めているのが現場の運用です。

 それは結果として、個別延長給付に入るかどうかは結果論ですけれども、直接関連はしませんが、そういった方については最初から、つまり個別延長給付に入るより前に、あるいは早い方は給付受給期間中から、その方について計画的なものを現場で作って、そこで運用をしているような実態もありますので、この辺りは個別の人による差のほうが、むしろ大きいかなと思っております。

○遠藤委員  1 年を超えて求職活動をする方々の対応についても、使側委員として検討テーマに考えています。兼ね合いで申し上げると、やはり就職が困難な状況に置かれている方々については、ハローワークの従来対応にプラスアルファの形のものを、余り大掛かりにすることなく、例えば、通常行っているハローワークでの対応時間を 5 分でも 10 分でもその方についてはプラスアルファをしていく。何かプラスアルファをすることが本人の背中を後押しし、本人が通常では話しえなかった事情も、そこで展開するようなことがあるのではないだろうか。使側委員の中での意見交換で出てきた話です。○岩村部会長 新谷委員が手を挙げそうな気がしましたが、どうぞ。

○新谷委員 遠藤委員がおっしゃったような 1 年以上の長期にわたって求職活動をされている方に焦点を当てて検討することは、労働側も賛成です。長期失業者に対してどういった支援の在り方が適当であるかということは、前向きに検討していきたいと思います。

同時に、労働側として懸念するのは、特定受給資格者のように離職を想定していなかった方についてです。解雇や倒産によって突然離職をしてしまう方に対する手当が、現行制度で適当なのか、という懸念があります。特定受給資格者は突然の離職により収入の道が断たれ求職活動を行う方であり、その中でも例えば非正規雇用で働いていた方はスーツなどは持っておらず、面接に行くときに苦労をしているという話も聞きます。また、貯金があまりないという中で、求職活動を行うことになるわけです。もちろんハローワークでは 28 日ごとに求職の申込み等の対応をしていくことも当然やるわけですが、いわゆる急性期対応が本当に今のように基本手当の日額の給付をすることだけでいいのか。特に倒産・解雇等によって突然の離職を迫られた特定受給資格者を中心とする急性期への目配りがどうあるべきかを、長期失業者の方への対応とともに論議したいということです。以上です。

○岩村部会長 ありがとうございます。雇用保険課長、お願いします。

○奈尾雇用保険課長 これも事実関係を少しお話を申し上げておくと、今、両委員から御指摘がありました長期失業者への対応、あるいは長期失業の防止の対応ということかと思いますが、これは私どもとしても、現場を含めて問題意識は強く共有しているところです。まず、数字的には、年度の雇用保険受給者の早期再就職促進ということで、 PDCA サイクルを作って目標値を立てて数字を検証しているわけですが、ここ 2 3 年のところ、概して数字は上がっている傾向はあります。これは雇用情勢の影響もあるのだろうと思っております。

 実際の安定所の窓口の運用を少し御紹介いたします。まず一番最初に安定所に来られると、そこで保険の窓口と職業紹介の窓口に来るわけですが、そこの段階で、私どもの言葉で「緊要度」と呼んでいますが、それを個々人について把握することにしています。これは、特定受給資格者か特定以外かはそれほど意識しないで、その方々の状況に応じて対応していることがどうも多いようです。そこで「緊要度」が高い方については、多いパターンは、大体職員の担当制を決めて、その上で必要によって応じて計画まで立ててやっていると。呼び出す回数も 4 週間に一遍ではなくて、必要に応じてもっと高い頻度で呼び出して、その方に合った適職紹介をしているのが現場の運用です。

 そういうことを通じて、長期失業の防止であるとか、あるいは長期失業者への対策ということでやっているわけですが、いずれにしても、これは職業紹介部門と雇用保険部門が連携しないとできないというのは、これはどの労働局も恐らく同じ感触だろうと思います。そういったことで、現場もそうですし私ども安定行政、本省もそうなのですが、オール安定行政として考えていくべきかなと思っております。以上です。

○岩村部会長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。公益委員から何かありますでしょうか。

○野川委員 基本手当の受給者の就職状況の動向とか、基本手当の支給額と再就職時賃金の状況等については、前回及び今回で事務局より資料を頂きましたが、これは 2 年前にもこの議論をしていまして、そのときの状況と劇的な変化を生じているというようには私には思えません。したがって、少なくとも今、抜本的に何かを変える、見直していくという状況には必ずしもないのではないかと思います。

 それを踏まえて、何度かこの委員会も議論を進めてまいりましたが、基本手当については労使から多くの意見が出されていますが、先月の部会で提出された、この本部会で議論すべき論点というのは非常に項目が多岐にわたっております。そこで、この基本的手当については、これは提案ですが、一旦、事務局で引き取っていただき、少し議論を進めていく。この部会のタスクというか、少し前に進めていくという意味からも、ほかのテーマについても議論を進めていったらどうかと思っております。そうして一通り、そういった別の我々のタスクとして挙がっている別のテーマについても議論を行った上で、後日、全体について改めて事務局に整理していただくという、こういうことが生産的な議論のためにも必要ではないかという印象を抱いております。意見です。

○岩村部会長 ありがとうございます。今、野川委員もおっしゃられましたが、基本手当を巡る問題は、その他の手当等とも密接に関連する問題でありまして、全体としてどう考えるかという視点を欠くことができないかというようにも私も思っております。ですから、今、野川委員からも御意見を頂戴しましたが、今までの議論を一旦、事務局で引き取っていただき、全体の議論が進んだところで、それとも合わせて整理をしていただき、後日改めて事務局から提示していただくことで進めさせていただければと考えます。よろしいでしょうか。ありがとうございます。

 本日、事務局から資料 1 、資料 3 のほかにも資料 2 も提出いただいており、そちらに移ります。資料 2 の説明を事務局にお願いします。

○長良雇用保険課調査官 それでは、私から説明いたします。表題は「雇用保険の適用、マルチジョブホルダーについて」です。 1 ページ目は「雇用保険の適用範囲」をまとめたものです。雇用保険の適用事業に雇用される労働者は、原則、被保険者ですが、ただし、 1 週間の所定労働時間は 20 時間未満、あるいは同一の事業主に継続して 31 日以上雇用されることが見込まれない者については、適用除外という整理になっております。

 適用基準の考え方は、下の段にまとめています。雇用保険は、自らの労働により賃金を得て生計を立てている労働者が失業した場合の生活の安定等を図る制度であって、保護の対象とする労働者を一定の方に限っている。保険の一般論としては、同種類の偶発的な事故による危険にさらされている人々が、その危険の分散を図るために集団を構成するというものですが、雇用保険制度においては、この同種類の危険にさらされている人々として、週の法定労働時間が 40 時間であることなどを考慮し、 20 時間を適用の下限としているという現行制度の考え方です。

2 ページは、「 2 以上の雇用関係にある労働者の雇用保険の適用の取扱い」を整理したものです。同時に 2 以上の雇用関係にある労働者については、当該労働者が生計を維持するに必要な主たる賃金を受ける 1 の雇用関係についてのみ被保険者となることとされております。この当該 1 の雇用関係については、週所定労働時間が 20 時間以上などの適用要件を満たすことが必要になってくるものです。なお、この 1 の雇用関係が解除されたとしても、他の雇用関係が被保険者となりうる形で維持されている場合は、失業状態に当たらない場合も出てきて、その際、給付は行われないという整理になっています。

3 ページは、これまでの雇用保険の「適用範囲の変遷の比較」です。昭和 50 年の当時は、いわゆる通常の労働者のおおむね 4 分の 3 以上の要件となっています。平成元年に短時間労働者への適用拡大を行って週所定労働時間が 22 時間以上、平成 6 年に 40 時間制の施行に伴い 20 時間以上、平成 13 年にこれまであった年収要件を廃止し、といった変遷を経て、平成 21 年度に雇用期間が 1 年以上の見込みであったものが 6 か月以上、平成 22 年に 31 日以上の見込みの要件という形で漸次、適用を拡大してきたということです。

4 ページは、平成 22 4 月の雇用保険の適用範囲が拡大された際の周知用のリーフレットです。

5 ページが、この雇用保険の適用拡大、平成 22 年改正に伴う新たな資格取得者数を届出の様式により把握したものです。平成 22 7 月からデータを取りまして、 1 年間通算して、 31 日以上 6 か月未満、ここが新たな資格取得者数となります。約 221 万人が適用拡大の効果として整理されたものです。

6 ページ、現状を申し上げると「雇用保険被保険者数の推移」です。これは 1 回目に提出した資料と一緒です。今申し上げた適用範囲の拡大の前後を比較すると、例えば、平成 20 年度の一般被保険者数は 3,678 万人余り、それが平成 26 年度に関しては 3,862 万人余りとなっています。この 6 年で 200 万人程度の増ということが確認できるかと存じます。

7 ページ以降は、「マルチジョブホルダーの現状について」です。 8 ページは、「平成 24 年就業構造基本調査」で統計数字として表れているデータを整理したものです。本業も副業も雇用者である労働者数、直近の 2012 年は 105 万人、雇用者全体に占める割合は 1.8 %となっています。この 2012 年の雇用者数の内訳は、正規従業員が 24.4 %、パートが 26.8 %、アルバイトは 18.0 %といった分布を示しております。

9 ページは、「本業の所得階層別でみた副業をしている者の数」を整理したものです。本業の年間所得の 100 万円以下から 1,000 万円以上までの分布で、それぞれ区分し数字を見ると、年間の所得として本業で 299 万円以下の階層が、全体の約 7 割を占めているという状況です。

10 ページは、同じく「本業の所得階層別でみた雇用者の総数に対する副業をしている者の割合」を整理したものです。こちらになると、本業の年間所得が 199 万円以下の階層、それから、逆に 1,000 万円以上の階層で副業をしている者の割合が比較的に高いことが確認できます。

 続いて、マルチジョブホルダーの議論に際して、過去の雇用保険部会の報告で、いわゆる「社会保障・税番号制度」との関係について、部会報告で記述されていますので、直近の現状について御報告いたします。

12 ページは、社会保障・税番号制度、いわゆる「マイナンバー」ですが、マイナンバー法は法律が既に通っており、それに伴う雇用保険業務の改善事項、以下の 3 点を想定しているところです。被保険者期間あるいは適用事業所の名称確認を、年金機構のデータと突合させるなどによる適正給付。あるいは介護休業給付などの支給に当たっての住民票関係情報の取得。傷病手当の保険者間の併給調整というような仕組みを想定しております。

 なお、マルチジョブホルダーの議論で 1 つネックになっている労働時間の把握の状況ですが、これに関して言うと、マイナンバー法によって、何かその複数の事業所における労働時間を把握できるような仕組みにはなっていません。

 それから、下の段には、現在、ハローワークが保有する雇用保険の被保険者情報に関しては、マイナンバーの紐付けに必要な基本 4 情報、氏名、性別、生年月日、住所ですが、このうち住所情報が含まれていないということです。被保険者情報とマイナンバーとの紐付けを、直ちに行うことは困難な状況にあります。このため、資格取得届や、あるいは給付の支給申請書の様式にマイナンバーを記入する欄を設けて、随時、ハローワーク窓口での雇用関係の各手続の際に、個人番号と被保険者番号の紐付けを今後行っていく予定としております。なお、この個人番号の記載は、これ自体に関して義務があるという制度ではありません。

13 ページは関連して、制度の施行のスケジュールです。個人番号の通知に関しては、御案内のとおり本年の 10 月以降ということで法律が成立している形です。今、申し上げた雇用保険手続の個人番号の対応の開始が平成 28 1 月以降です。それから、他の行政機関との情報連携の開始が平成 29 7 月以降の予定となっております。直近、マイナンバー法の改正の関係の議論で、一部に年金機構との情報連携に関して、延期の見込みが新聞報道等でされておりますが、この延期に関しては政令定めになっているところですので、もしかすると平成 29 7 月の情報連携に関してはまだ遅れる可能性もあるという状況です。

14 ページは、過去の雇用保険部会の議論、雇用保険部会報告書をまとめたものです。直近、平成 25 12 月に関しては、マルチジョブホルダーについて、労働時間の把握方法あるいは失業の判断といった課題もあって、番号制度のシステム運用の状況を考慮しつつ、中長期的な観点から議論をしていくべきであるという形で整理されております。

 以上を踏まえて、 15 ページに「論点」を整理しています。雇用保険の適用に係る考え方・現状や、これまでの適用拡大の効果などに鑑み、現在の雇用保険の適用基準、すなわち、週 20 時間以上、 31 日以上の雇用見込みについてどう考えるかというのが 1 点。それからマルチジョブホルダーについては、適用に当たっての労働時間の把握方法や失業の判断といった課題があるが、現時点での社会保障・税番号制度の施行状況などを踏まえ、どう考えるかという形で整理しております。以上です。

○岩村部会長 それでは、今、説明いただきました資料 2 について、御意見、御質問がありましたらお願いいたします。

○亀崎委員 前々回の 8 4 日の第 101 回部会で、私から被保険者の範囲の拡大に向けた検討の必要性について意見を申し上げました。具体的には、雇用保険の適用要件の1つである週労働時間 20 時間以上の要件を 15 時間程度に引き下げることを検討してみてはどうかということを述べたところです。その際、雇用保険課長からは、週の労働時間が 40 時間という中で、雇用保険は、その就労によって生計を維持している人を対象にしており、 40 時間の半分程度働く場合に適用するという考え方があるという旨の答弁がありました。この考え方について 2 つの質問をしたいと思っております。

 まず 1 点目です。課長に答弁をいただいた、雇用保険は就労によって生計を維持している者を対象とするという点についてですが、短時間就労であったとしても、その就労によって生計を維持している者は存在するのではないかということです。例えば、生計維持者であっても育児や介護の問題で、やむを得ず週 20 時間未満の短時間就労をせざるを得ない者もいるのではないか。現に就業構造基本調査でも、 450 万人もの方々が週労働時間 20 時間にも満たない働き方になっているということもあります。このデータを見ても、一概に週労働時間が 20 時間未満であるから雇用保険の適用外とするという取扱ではなく、そうした者が生計維持者であるか否かをきちんと分析した中で検討していくということが、筋としてあるのではないか。この点をまず申し上げておきたいと思います。

 続いて 2 点目は、通常労働者の半分の時間を働く方に雇用保険を適用して、失業リスクへのセーフティネットを準備するということが、雇用保険制度に通底する考えなのであれば、例えば、子供を養育するためには昼も夜も複数の仕事を掛け持ちでやっている母子家庭の母や、正に複数の仕事の労働時間が合算して 20 時間以上となる、いわゆるマルチジョブホルダーについても適用対象とすべきではないかということです。マルチジョブホルダーへの雇用保険適用については、確かに労働時間の把握や失業の認定という点に課題はあるのだろうと認識していますが、だからといってそういう人たちを適用対象外とするのはいかがなものかと思います。是非セーフティネットのらち外に置かないような何らかの検討をしていくべきであると思います。この点について厚労省としての御意見をお聞かせいただければと思っています。以上です。

○岩村部会長 ありがとうございます。雇用保険課長、お願いします。

○奈尾雇用保険課長 まず、 1 点目ですが、週 20 時間要件のお話です。これは前々回も御質問いただいたところです。本日の資料にも付けておりますが、基本は所定労働時間が 40 時間労働ということで、その半分、これが平成 6 年より前は 44 時間労働だったので、その半分であったわけですが、その半分で来ているというところです。例えば、平成 22 年から雇用期間要件を 31 日以上に緩和したわけですが、その辺りの時期においても所定労働時間も若干、議論になったと聞いております。そこで言っていた答えが、前々回、私が申し上げたことと大体同じで、 40 時間の半分は働く方を適用するというのが雇用保険の考え方ということで考えております。

 この理由としては、まず、 40 時間なり 20 時間以上、それ以外の制度上の線引きは極めて難しいという技術的な点に加えて、やはり保険ですので原則は強制適用ということからすると、個別の方を見ると 20 時間未満で生計を維持している方はいないかというと、それは否定し切れないと思います。ただ、週所定労働時間が 10 時間台で生計を維持していない人をどのように見るかという問題でも逆に見るとあろうかと思います。

 強制適用ですので、保険料を頂きます。保険料を頂くからには、これを滞納されると国税の滞納処分の例によって処分するという規定があり、かなり強い規定になっております。そういう中で、果たして強制適用とするためにはどの程度の線引きが必要かということで 20 時間という線が決まっているのだろうと思っています。

20 時間要件については、平成 22 年の法改正において法律に規定するようにいたしました。それより前は解釈でやっておりました。この趣旨の 1 つとしては、 20 時間要件も雇用期間要件と合わせて法律に規定しようということかと理解しております。あえて、そのときの議論をもう 1 個紹介しておきますと、やはり給付と負担のバランスも無視できないのではないかということが国会等でも議論になりました。就労所定労働時間が 20 時間未満の方も適用されるとすると、やはりそこは給付と負担のバランスは現実的に考慮せざるを得ないということもあろうかと思っております。

2 点目の複数の仕事の掛け持ちですが、正にマルチジョブホルダーで、本日、資料を付けております。この辺りについては、 2 つの仕事を掛け持ちすることで生計を維持している方がいらっしゃるというのは御指摘のとおりかと思います。本日の資料で若干出ておりますが、前回、 2 年前の議論を少し見てみますと、マイナンバーの制度の導入によって何らかこの制度について検討の余地があるのではないかと言ったのが、 2 年前の議論であったと見ております。簡単にはこれが進まないというのは、本日の 12 ページ辺りに書いている点です。

 ただ、そうは言っても現実にマルチジョブによって生計を維持している方は現にいらっしゃるだろうと思っていますので、そういう方については、やはり制度の適用の在り方等について検討を進めるべきであるということで、前回の平成 25 12 月の報告書において、マルチジョブホルダーについては中長期的観点から議論していくべきであるとまとめております。そういう流れの中で本日も御議論いただきたいと思っております。

○岩村部会長 亀崎委員、よろしいでしょうか。

○新谷委員 今、亀崎委員から課題提起があった被保険者の範囲の在り方について意見を申し上げたいと思います。

過去の法改正における適用拡大の経緯は先ほど説明を頂いたとおりであると思います。平成 22 年改正で適用拡大を行った際にも給付と負担のバランスの観点も踏まえて論議しており、当時は適用拡大により約 250 万人増えるという試算が行われました。本日の資料では、平成 22 年改正によって約 220 万人の被保険者数が増加したという実績が示されており、概ね想定に近い被保険者の拡大が行われています。

しかし、本日の資料の中では、国会でも論議となった給付と負担のバランスについての資料が全くない。要するに、適用拡大によって収入たる保険料と支出たる給付が各々どれくらい増えて、雇用保険財政にどの程度影響があったのかということの資料がない。課題としてお持ちであれば、資料として示していただかないと分からないのではないかと思います。平成 22 年改正における適用拡大は、本部会で喧喧諤諤で論議をやってきたわけですので、是非財政影響に関するデータを示していただきたい。

 それと、先ほどの答弁の中で、週所定労働時間の 20 時間以上の要件の根拠として、雇用保険は強制適用であるということや滞納処分の問題について触れられましたが、強制適用である雇用保険の保険料は源泉徴収されますので、滞納するのは事業主です。労働者が滞納すると聞いたことがなく、滞納問題という点では事業主への対応を考えることが重要であると思います。確かに雇用保険制度は、生計を支えているという層を主な対象層として、そうした層が失業中も安心して生活を送りつつ求職活動を行っていただくことを支えるということは理解するのですが、週労働時間が 40 時間以上であっても主たる生計者ではない方も当然被保険者の資格を認めているわけです。逆に言えば、週労働時間が 20 時間を下回る方で本当にその生計を支える人がいないと言い切れるのか。先ほど亀崎委員が指摘したように、介護や育児の問題等、シングルマザーで子供の面倒を見るために短時間就労をせざるを得ない方もおられるわけです。そうした中で、一律に週労働時間 20 時間以上という線を引いて雇用保険制度というセーフティネットのらち外にすることは適当なのか。短時間就労者の中には、確かに主たる生計維持者の割合は少ないとは思いますが、主たる生計者であっても短時間就労を選択せざるを得ない者をどのように救うのかということについて、光を当てる必要があるという点を労働側は提起しているわけです。

 雇用保険財政の影響と雇用保険というセーフティネットを張る必要がある層を、もう少し目線を下ろして見ていただきたいと思います。もちろん、適用拡大するとなると事業主側の雇用保険料の負担が拡大するということも念頭に置きながら論議をする必要があると思いますが、労働側としては今申し上げたことを考えているということです。以上です。

○岩村部会長 ありがとうございます。それでは、雇用保険課長、お願いします。

○奈尾雇用保険課長 これまでのほかの適用拡大もそうなのですが、適用拡大をするというのは基本的に保険ですので広く薄く適用を掛けて、全体から保険料を頂くという仕組みです。そういうことで週所定労働時間に限らず適用拡大した場合に、その適用拡大によるその部分の給付と負担がどうかという議論は、これまでもしていなかったものとして理解しております。

 その上で、先ほど足らなかったかもしれませんが、週 20 時間未満の就労の方についても、それによって生計を維持している方は絶対にいないかというと、そうは言い切れないだろうと思っています。ただし、逆に考えるべきは、 20 時間未満の就労の方で労働者性がないと言いますか、それによって主たる生計の維持はない場合も当然多いのだろうと思っていて、その辺りのバランスの中でどういう線引きをするかということで、現行の適用基準が決まっているのではないかと思っております。

○岩村部会長 先ほどの新谷委員のお尋ねは、データがあるかということでした。

○奈尾雇用保険課長 すみません、データはございません。ない理由は、広く適用した上で全体の中でバランスを見ていくべきだという考え方があるからではないかと理解しています。

○新谷委員 てっきりあるのかと思ってお聞きしました。平成 22 年改正で 20 時間要件を法定化したということなので、改正に併せて業務統計の中でも従前から適用となっていた層と新たに適用拡大した層の区分を作り、それぞれの被保険者集団毎に収入と給付の統計を取ったのかと思ったのです。国会で論議されたことも踏まえれば、当然にあると思ったのですが、どうでしょうか。

○岩村部会長 雇用保険課長、お願いします。

○奈尾雇用保険課長 人数は確かに取っています。この人数を取るために省令様式を改正してやったわけであります。負担と給付となりますと、全体の考え方として保険料全体で被保険者全体を見るという考え方があるものですから、そこは部分に限定してのデータがないと御理解いただければと思います。

○岩村部会長 ほかにいかがでしょうか。

○浅見委員 使側委員としては、基本的に被保険者の適用拡大に関し、リーマンショック後の雇用保険を巡るいろいろな制度改正の状況、あるいは社会保障制度の影響等についてきちんと見ていく必要があると思っており、拙速な議論は避けるべきではないかと考えております。被保険者の範囲拡大は、今、速やかに議論すべき優先課題ではなくて、むしろ保険料率の引下げを先に考えるべきではないかと考えております。

 もう 1 点のマルチジョブホルダーについては、ここにありますように適用に当たっての労働時間の把握方法が現実的に困難な中で、雇用保険の関係がいずれの事業なり企業で成立するのかという技術的な課題が常にあると思っています。そうした状況の中で、雇用保険の対象にするというのは現実的ではないのではないかと、むしろ雇用保険が適用される働き方に移行できる雇用政策に福祉的な政策も加えて総合的な検討をしていくべきなのではないかと考えます。

○岩村部会長 ありがとうございます。

○新谷委員 今、浅見委員から保険料の引下げを検討するべきではないかという御提起を頂きました。私どもも保険料率の議論を行うことは吝かではないのですが、以前も申し上げたように、もともと今回の部会や平成 26 年改正の議論の発端となったのは、平成 12 年と 15 年の法改正によって、保険料の収入と給付の支出のバランスが狂い、積立金の残高が平均的な給付の 3 年分以上となる 6 兆円を超えるまで積み上がってしまったということがあるわけです。これが見直し論議の一番のきっかけであって、 2 年前と全く変わっていないわけです。

 保険制度における財政を考える上での要素は収入と支出なので、使用者側が指摘するように収入たる保険料を抑制して財政的なバランスを図るという考え方もありますが、労働側としてはセーフティネットとしての給付が非常に薄いのではないかと考えているわけです。それは過去の見直し論議でも申し上げたとおりであり、また、先ほど申し上げたように基本手当の給付期間中の就職率が半分程度であるという事実を見ても、セーフティネットとしての厚みが足りないという問題意識があるわけです。

ですから、保険料収入をどうするかという論議をする前提として、まずは給付の在り方の見直しの論議をすべきです。その上で、給付の再設計をする中で保険料がどうあるべきかということを論議すべきです。労働側としては、まず給付の在り方を検討し、その中で、給付を支える財政的な裏付けである保険料の水準がどうあるべきかという論議をしたいと思うのです。そんなに差異はないと思いますが、労働側としては論議の順番としては今申し上げたとおりにすべきであると、指摘しておきたいと思います。以上です。

○岩村部会長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。

○小林委員 今回の問題のテーマは被保険者の拡大ということです。亀崎委員の御提案の週 15 時間にするというお話がありましたが、その答弁で、雇用保険課長の説明の方が私は納得いくということでお話を聞いておりました。

 先ほどマルチジョブホルダーの話もありました。週 40 時間の中で 20 時間以下の 2 つの仕事を持っていたマルチジョブホルダーがいて、片方の仕事が失業となり、片方の仕事は残る場合、このマルチジョブホルダーが 1 つの生計費がもう 1 つある場合には、支給しない。 2 つの仕事を持っている場合の方であれば、なおさらのこと適用範囲を拡大しても受給を受けないという可能性もあるため、この件についてはいろいろな関連も含めて考えなくてはいけない。

 もう 1 つ考えなくてはいけないのは、前回の改正のとき、雇用保険の範囲を拡大したことによって、厚生年金も範囲が同等の取扱いになったこともあります。そのような他の保険制度と関連する部分もあるわけですから、その部分も考慮しながら総合的に判断したほうがいいというのが意見です。総合的な判断をした上でどのように考えるかといったら、使用者側では今反対だという意見を言っていましたが、そういう方向が 1 つあると考えます。

 もう 1 つ、マルチジョブホルダーについて、当時、マイナンバー制度が導入されるということで、先への検討ということになりました。先ほどの説明の中で、マイナンバー法によって複数の事業所における収入は分かります。収入は所得というので納税関係では分かるが、そのデータとして雇用保険上、幾ら払ったかとかそういうものは来ないという話ですよね。それと、それが何時間働いたかというのが分からない。

 もう 1 つ大きな点は、雇用保険上は名前や就業者、性別、生年月日は分かったとしても、住所が分からないので最終的に名寄せができない。同じ名前の持ち主で生年月日が一致していて住所が違う場合には、その人と判明が付かないため正確にはできないということなのです。その辺をもう少し分かりやすくお願いいたします。

○岩村部会長 雇用保険課長、お願いします。

○奈尾雇用保険課長 資料 2 12 ページで少し書いている点です。私どもの持っている雇用保険の被保険者情報は、漢字氏名、性別、生年月日があります。例えば、マイナンバーですとそれに住所があるので、そこの 4 情報と呼んでいますが、私どもは 3 情報しかないということです。

 仮に適用していくことをシミュレーションするとどうなるかといいますと、方法は幾つかあると思うのですが、まず 1 つが、マイナンバーが仮に使えないとした場合、 1 つが、事業主は労働者を雇った場合には、所定労働時間にかかわらず全部を届出してくださいという、これは 1 つのやり方だと思います。例えば、週 5 時間雇った場合であっても全部届けてくださいと。そうすると被保険者について、安定所でどうやって名寄せするのかがあるのですが、それを合算するというのがまず 1 つの手段です。もう 1 つの手段は、週 20 時間以上の労働者を雇用している事業主については、その労働者のほかの就労については全部、届け出てくださいという義務を課すのが 2 つ目のやり方です。

 この 1 つ目、 2 つ目が難しければ、ハローワークが持っている被保険者情報とマイナンバーの情報を連結するという手段が取れれば、それは 1 つ目、 2 つ目の手段を取らなくても済むと思っているのですが、そこは難しい。基本的に私みたいな名前だったら多分、重複はいないと思うのですが、通常でしたら重複はかなりあり得ると思うますので、そこは名寄せができないということで、給付を置いておいて適用だけを見ますと今言ったような方法が一応、理念的にはあるのですが、どれも困難かというところかと思います。

○岩村部会長 小林委員、いかがでしょうか。ほかの委員の方も今の点について御質問等がありましたら、お願いいたします。

○小林委員 当時、マイナンバー制度ができるということで、所得のバランスとか納税関係、健康保険などいろいろなものがマイナンバーの下にということで、雇用保険もそれに乗ると思っていたのですが、お話を聞いていると、現状の制度の中では今マイナンバー制度をもってマルチジョブホルダーの就労の状況は把握できない。多くの企業では専従義務を課している企業は多いと思います。とは言いながら、就労している方がいらっしゃると思いますし、複数の所から所得のある方も多分あるのでしょう。税はマイナンバー制度でいろいろな補則をする形になると思うのですが、現状では雇用保険の制度ではマルチジョブホルダーの就労状況の把握ができないということであれば、これも引き続き、今後どうしていくのかも含めて検討していく課題と感じた次第です。以上です。

○岩村部会長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。

○新谷委員 先ほど小林委員が指摘した前段の部分は理解するところです。雇用保険の被保険者範囲の変動が他の社会保険の被保険者範囲にも影響するのではないかという懸念は、既に事例が出ておりますのでよく分かります。また、適用拡大によって事業主の保険料の負担分が増えるということは理解いたします。

 一方で、実際に今現場で起こっているのは、社会保険の適用を避けるために、労働時間を従来 20 時間以上であったものが 19 時間の契約に切り替えるということです。社会保険の適用をある意味潜脱して保険料負担を回避したいという一部の事業主の考えがあるのでしょうが、雇用保険という仕組みは、失業というリスクを労働者、使用者、国の 3 者が分担して負担する制度として発足したわけで、週労働 20 時間以上の者は適用するものの 19 時間以下であれば適用しないという線引きは政策的に決めているに過ぎないのではないか。失業という労働者にとって最大のリスクに対してどのようにセーフティネットを張っていくのかとことをもう少し大局的な見方を是非お願いしたいということを改めて申し上げておきます。以上です。

○遠藤委員 そのような議論を続けていくと、 15 時間に下げれば 14 時間の話が当然出てくるので、そちらの議論に私どもは引っ張られたくないと思っています。被保険者の範囲拡大については、給付と負担のバランスの議論の中で一定の線を引かざるを得ないので、それが 20 時間であることは、使側委員として重く受け止める必要があると思っています。先ほど社会保障への影響という指摘がありましたが、例えば、障害者雇用でいうと、週 20 時間以上の場合が常勤換算できる基準になっており、それは雇用保険の影響を受けているということです。余り簡単な形でこの時間は譲れないという考えです。

 先ほど浅見委員が指摘したことですが、正直、私ども使側の会合で雇用保険の話をすると、どうして雇用保険料率はもっと下げられないのですかという点を率直にお尋ねされるし、場合によっては厳しい意見を受けることがあります。その背景は、リーマンショック後に、例えば、特定理由離職者の区分を設けたり、あるいは、求職者支援制度を恒久化していくという形で、雇用保険の中でセーフティネットとして対応する必要性のある取組みについてはやってきましたが、雇用情勢がここまで改善しているのに雇用保険料率を何でもう 1 段下げられないのですかという思いです。

 そういう意味で冒頭申し上げたように、私どもとしては雇用保険の被保険者範囲を議論すること自体は妨げませんが、範囲拡大に向けては慎重な姿勢を取りたいと思っていますし、より優先すべきことは保険料率の引下げであるというのが使側委員の一致した考えです。

○岩村部会長 ありがとうございました。

○新谷委員 使用者側の主張もよく分かるところですが、私どもの主張を重ねて申し上げれば、保険財政を考える上では、収支のバランスが重要です。保険料を下げるということは、給付に見合う収入なのかということだと思うのです。積立金が 6 兆円を超える中、更に毎年収支の乖離が生じて黒字が積み上がっていくのであれば、収入たる保険料を下げるべきではないかという論議は当然起こってくると思います。一方で、収支のバランスという観点からすれば、給付に絞り込みを掛ければ収支のバランスは改善するわけで、労働側の認識としては、 6 兆円を超えるまで積立金残高が積み上がった要因は、平成 12 年と 15 年の法改正で緊急避難的に給付の引き下げと保険料率の引き上げを行って以降、給付の水準は引き下げたまま今日まで至っていることによる、という認識なのです。他方、保険料は弾力条項を発動して下限、つまりは現行制度上はこれ以上引き下げる余地がないというところまで引き下げています。労働側としては平成 12 年と 15 年の改正で緊急避難として下げ、非常にシャビーな内容となっている給付がそのまま放置されていると考えているのです。先ほどの基本手当受給期間内の就職率が 5 割という数値の見方についても、 5 割も就職できたと見るのか、 5 割しか就職できていないと見るのか、その評価こそが重要です。もう一度、雇用保険のセーフティネット機能の在り方を検討し、あるべき姿としてこういうセーフティネットを張るべきだという設計をし直した上で、それに見合う保険料の収入はどうあるべきかという論議をするべきではないかということを申し上げているのです。労働側としては、まず、保険料の水準ありきではないということを出発点にしている点を意見として申し上げておきたいと思います。

○岩村部会長 ありがとうございます。どうしてもこの議論に戻ってしまいますので、やむを得ないところはあろうかと思いますが、今のテーマは雇用保険の適用とマルチジョブホルダーの話なのですが、この点についてほかに御発言はございますか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。

 それでは、本日、用意した議題は以上です。最後になりますが、本日の署名委員です。使用者代表は浅見委員、労働者代表は亀崎委員にそれぞれお願いしたいと思います。

 次回の日程ですが、既に委員の皆様とは調整していただいており、 9 25 ( ) ということになっております。次回は、引き続き本日議論いただきました就職促進給付について御議論いただきたいと思っております。更に進めて教育訓練給付などに関して、事務局から関連資料を報告する予定としております。場所などの詳細については、事務局から改めて皆様に連絡を差し上げるということになっておりますので、よろしくお願いいたします。第 103 回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会を終了いたします。委員の皆様方、お忙しい中、本当にどうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省職業安定局雇用保険課企画係
(TEL)03-5253-1111(内線:5763)

ホーム > 政策について > 審議会・研究会等 > 労働政策審議会(職業安定分科会雇用保険部会) > 第103回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録(2015年9月8日)

ページの先頭へ戻る