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2015年8月5日 第106回労働政策審議会職業安定分科会

職業安定局総務課

○日時

平成27年8月5日(水) 10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 厚生労働省省議室(9階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議事

○総務課長 定刻になりましたので、ただいまから、第106回「労働政策審議会職業安定分科会」を開催いたします。今回は、職業安定分科会長の選出の手続をまずさせていただきます。職業安定分科会長は、労働政策審議会令第6条第6項により、労働政策審議会の本審に所属する公益委員の中から、本審に属する委員により選出されることとなっております。事前に阿部委員が選出されておりますので御報告申し上げます。以降の議事進行は、阿部分科会長にお願いいたします。

○阿部分科会長 阿部です。よろしくお願いいたします。まだ未熟な点もあるかと思いますが、この審議会の議論を真摯に行い、そして取りまとめていきたいと思いますので、どうぞ御協力のほどよろしくお願いいたします。

 早速、労働政策審議会令第6条第8項により、分科会長代理を、公益委員の中から分科会長である私が指名することになっております。こちらは、岩村委員に事前にお願いしております。よろしくお願いいたします。

 議事に先立ち、職業安定分科会の委員に新たに就任された方を御紹介いたします。一言御挨拶をお願いいたします。公益代表委員として、独立行政法人労働政策研究・研修機構主任研究員の小野委員です。

○小野委員 JILPTの小野です。未熟者ではありますが、頑張って務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

○阿部分科会長 使用者代表委員として、株式会社フジマック代表取締役社長の熊谷委員です。

○熊谷委員 株式会社フジマックの熊谷です。弊社は、業務用の厨房機械を製造販売している会社です。よろしくお願いいたします。

○阿部分科会長 鈴江コーポレーション株式会社代表取締役社長の鈴江委員です。

○鈴江委員 鈴江です。日本港運協会からの選出でこれから参加させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

○阿部分科会長 全国中小企業団体中央会理事の森下委員です。

○森下委員 中央会から推薦をいただきました、日本複写産業協同組合連合会と申します。印刷業に代わる新しいプリントオンデマンドということで、皆様のオフィスに対していろいろなサービスを提供していく、そういう業体です。委員に選ばれましたので、これから勉強をさせていただいて、皆様と一緒に討議させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○阿部分科会長 以上です。また、当分科会の下に置かれている各部会に所属する臨時委員については、労働政策審議会令第7条第2項の規定により、分科会長である私が指名することになっております。配布している名簿のとおり、事前に指名させていただいておりますので、新しい名簿について席上配布しております。

 本日の委員の出欠状況ですが、公益代表の岩村委員。労働者代表の勝野委員、清水委員、松原委員。使用者代表の上野委員、河本委員が御欠席です。勝野委員の代理として、全建総連の小倉様が出席されております。なお、林委員は遅れて参加すると聞いております。

 議事に入ります。本日の議題は「一体的実施事業及びハローワーク特区の進捗状況等について」、「ハローワークの求職情報の提供及び人材銀行の廃止について」、「2014年度の評価及び2015年度の目標設定について」、「地方における企業拠点の強化を促進する税制措置の創設について」です。まず、「一体的実施事業及びハローワーク特区の進捗状況等について」です。事務局から説明をお願いします。

○公共職業安定所運営企画室長 公共職業安定所運営企画室長の溝口です。資料No.1-1で、ハローワークの地方分権に係る状況について御報告いたします。去る630日に内閣府の地方分権改革有識者会議において、全国知事会として平井鳥取県知事より、「ハローワーク特区等の成果と課題の検証について」ということで御説明がありました。これは、本日御議論いただく一体的実施等について、全国知事会が独自に検証して発表したものです。今後、知事会の報告を踏まえ、内閣府の有識者会議において、何らかの検証が行われることになると考えています。

 知事会の報告の内容に軽く触れます。全体としては、これまでのハローワークと地方自治体との連携について成果が上がっていると評価している一方で、早期の国としての検証の実施と、それを踏まえたハローワークの早期移管の実現も引き続き求めています。青矢印が下にありますけれども、それの下の段に、「一体的実施とハローワーク特区」、「求人情報のオンライン提供」について個別の要望も出されています。

 次のページで政府としてということですが、ハローワークの地方移管については、今年1月の、「平成26年の地方からの提案等に関する対応方針」という閣議決定において、ハローワークと自治体が一体となった雇用対策をこれまで以上に推進し、その上で成果と課題を検証していくこととなっています。厚生労働省としては、引き続きハローワークと自治体が一体となった雇用対策の成果を上げていきたいと考えています。

 一体的実施事業等の成果です。資料No.1-2を御覧ください。2ページは、一体的実施事業についてです。一体的実施事業は、平成23年から始まっていて、既に3年を経過しています。左側の図を見ると、実施自治体数も24自治体から156自治体まで拡大しています。拠点別で見ると、27拠点から286拠点まで増加しています。その間の実績が右側の図です。職業相談件数、就職件数は、拠点数の増加も伴い、順調に増加しています。就職率も36.7%から、平成26年度は42.4%ということで高い水準になっています。

3ページは、平成26年度の実績の概要です。マル1で実施自治体数は、平成26年度は146自治体、268拠点で実施しています。前年度と比べて29自治体、66拠点の増加です。右側の円グラフを見ると、多くは市区町で実施しています。マル2は実績です。平成26年度は約8万人が就職しました。この事業については、自治体と国で協議して目標を立てて、その達成状況を評価する、いわゆるPDCAサイクルで実施しています。多くの自治体、拠点でその目標を達成しています。マル3は利用者の評価です。95%に近い利用者から「満足」という回答を得ています。後ほど御説明いたしますが、地方の労使からも高い評価を得ています。

4ページは、一体的実施の目標達成の状況をもう少し詳しく見たものです。自治体種別に見ると、その他市区町で、特に目標達成割合が高くなっています。これは、特に評価が高い生保受給者等への就労支援が、基礎自治体である市区町で行われているためではないかと考えています。目標達成状況と自治体へのアンケート結果をクロスすると、連携強化ができている自治体では、目標の達成状況が高い結果となっています。連携強化が事業の成果を高める効果があるのではないかと考えています。反面、連携が不十分である要因を労働局にヒアリングしたところ、やはり「役割分担の整理が不明確」とか、「拠点内での意思疎通に問題が見られた」という課題がありました。

5ページは、これまで取り組んできた業務改善の状況です。課題としては、一体的実施施設の現場レベルでの連携強化、利用者ニーズを踏まえたサービス内容の充実を挙げています。これまでも、これについては共同研修の実施、職業訓練相談の実施などのサービスの拡大、求職活動の状況の共有を進めていて、これらに引き続いて取り組んでいきたいと考えています。なお、成果を上げている拠点では、下のほうに書いてあるように、様々な連携強化の取組を行っていて、こういう好事例を横展開していくことが効果的かと考えています。

6ページです。これは知事会の提言の中にもありましたが、一体的実施施設における求職活動の情報共有の状況です。調査したところ、70%以上の自治体、拠点で情報共有が行われています。その効果は真ん中の「基本的な情報共有の方法」のマル1~マル3に示したとおり、「チーム支援に役立った」、「ハローワークと自治体の業務連携が円滑にできた」ということです。これについても下の段にあるように、好事例がありますので、こういうものを展開していって、更なる改善の取組を進めることが効果的ではないかと考えています。

7ページは利用者の評価です。先ほど御紹介したとおり、約95%の利用者が「満足」と回答しています。8割以上の施設で、90%以上の利用者満足度を達成しています。

9ページは、今年特に新しく調べたものです。労働局に設置している、地域の公労使で構成されている「地方労働審議会」があります。今回、その審議会に一体的実施事業の実績等を報告して、意見を求めました。その結果を取りまとめたものですが、9割を超える審議会で「評価する」という意見が出ています。具体的には、主な意見のところにあるように、「国と自治体がそれぞれ長所をいかした連携が深まっており、地域住民へのサービス強化につながっている。地域住民や労使の意見を踏まえたサービス改善、目標管理を徹底し、引き続き実施していくべき」との御意見を頂いています。

 その下の○にあるように、「一体的実施事業を超えて、地域における雇用対策の強化や地域住民へのサービス強化のための連携を更に深めるべき」という御意見を頂いております。「一体的実施事業等の成果と課題の検証を行うに当たっては、利用者である労使の意見を十分に踏まえることが必要」という御意見を頂いております。

 まとめとして12ページです。平成26年度事業の評価です。評価については上段に書いてありますが、今、縷々御説明させていただいたものがまとめて書いてあります。今後の方向性ですけれども、まずは現場レベルでの連携を一層強化すること。特に、求職者の同意を得た上で、求職活動の情報を共有し、国と自治体がより一体的にサービス展開できるようにする。自治体と国で協議して設定する目標がありますので、それをまず達成する。それに伴って業務改善を引き続き進める。地域の課題に対応したサービスを発展させるために、地域の重点分野とか、人手不足分野への取組、ひとり親世帯への支援等の強化を図る。

 右側で、一体的実施以外でも、より包括的な連携を行う。雇用対策協定の締結を今進めておりますので、そういうものを進めていきたい。好事例の横展開を図る。こういうことに取り組みつつ、引き続き一体的実施事業については継続をしていきたいと考えています。

 次のページからは、一体的実施を実施している自治体へのアンケート結果ですので、かい摘まんで御説明いたします。14ページで、事業の継続を希望する自治体は100%です。98.6%の自治体が「とてもよい仕組み」「よい仕組み」と回答しています。雇用対策に対する効果も93.2%の自治体で「あった」「まあ、あった」と回答しています。

15ページで、具体的な効果は何だったのかです。95.2%の自治体が「ワンストップ支援」を挙げています。77.4%の自治体で「就職件数が増えた」と回答しています。

18ページは、一体的実施施設で、今、ハローワークが実施している職業紹介業務がありますけれども、こういうものについて、自治体業務として実施できるかを聞いたところ、88.1%の自治体は「困難」と回答しています。理由は、専門的なノウハウ、人材育成、全国ネットワークの活用が不可欠と回答しています。

24ページで、ハローワーク特区の成果について御報告いたします。ハローワーク特区については、平成2410月から、埼玉県と佐賀県のそれぞれ1施設において開始されていて、今年で3年目を迎えています。実績を見ると、利用者数も、就職件数も順調に増加しています。

2526ページに、それぞれの拠点での事業内容を書いてあります。埼玉では「若者コーナーの充実」とか、「障害者支援の取組」、佐賀では「コンシェルジュの設置」とか「職場定着支援の強化」「職業訓練窓口の新設」ということで、事業、対象者、支援メニューをそれぞれ拡大しています。

 なお、ハローワーク特区については知事が、労働局長に指示できることが特徴ですが、これまでに指示は1件ありました。その内容は26ページの佐賀の所に青い吹き出しで書いてあります。内容は、「佐賀県において、県が実施していたキャリアカウンセリングをハローワーク側に移して、同一の相談員が一貫して対応する担当者制を強化する」という指示がありました。

27ページは、平成26年度の実績です。下の四角囲みの所で、埼玉では事業目標は全て達成しております。おおむね昨年度の実績も上回っています。佐賀では、中心となっている若者支援、若年者支援については全て目標を達成して、昨年度の実績も上回っています。障害者支援と生活保護受給者の数は少ないのですけれども、一部目標を下回っています。埼玉も佐賀も、連携自体は強化されていて、サービス強化も図られています。今後の方針としては、連携強化に取り組みつつ、引き続きこの特区事業も継続していきたいと考えています。

 求人情報のオンライン提供の関係で、30ページを御覧ください。求人情報のオンライン提供については、昨年9月に開始されましたので、まだ11か月経過ということで、駆け出しの状況の御報告です。現在、834団体が利用しています。そのうち自治体が219団体、職業紹介事業者が330団体、学校等が285団体となっています。9月から3月までの7か月間の実績を集計したところ、1,549件の採用決定がありました。内訳は、自治体が760件、民間職業紹介事業者が257件、学校等が532件です。

31ページ以降に、このオンライン提供を利用している自治体に対し、労働局を通じてアンケート調査を実施しましたので、その現時点での利用状況をまとめた資料を付けております。これもかい摘まんで御報告します。ほとんどの自治体でデータ提供方式を採用しています。そのうち約9割以上の自治体は、特にデータ加工はしていないということです。ハローワークの求人情報検索端末とほぼ同じ画面のまま利用しているということかと思います。データのダウンロードの回数は、「毎日」が半分あります。「週に12回」「月に12回」というのもあります。

32ページは利用方法についてです。求職者が自ら端末を操作して閲覧するのは少なくて、自治体職員が手持ちとする場合や、求人情報を印刷したものを掲示・配布するといった使い方が多いということです。オンライン提供を受けることとした理由について、「自治体では十分な求人が確保できないため」が最も多く、それに続いて「より詳細な情報が知りたかった」「リアルタイムの情報が欲しかった」となっています。

33ページで、求人情報オンライン提供に関する評価を聞いています。6割以上の自治体が「有意義である」と評価している一方で、まだ11か月ということもあり、「評価するには期間が短い」という意見も頂いています。以上です。

○阿部分科会長 本件について、御質問、御意見がありましたら御発言ください。

○熊谷委員 一体的実施の成果において、3ページに記載のある実施自治体の内訳をみますとして、33都道府県となっています。これは全国で実施するということではないのですか。

○公共職業安定所運営企画室長 この事業については、自治体からの提案を受けて開始しているものです。今のところ33の都道府県から提案があったということです。

○熊谷委員 利用者アンケートの結果では、90%以上の方が満足と回答するなどと非常に良い結果ですが、他に浸透しないのは何か理由があるのですか。

○公共職業安定所運営企画室長 なかなか答えが難しいところがあるのですけれども、都道府県によっては、自分の所でやりたいという意向もあるかもしれませんし、まだこの事業を御存じないということもあるかもしれません。いずれにしろ、我々としては連携してやっていくことで、成果が上がっている状況ですので、広めていきたいと考えています。

○阿部分科会長 他にはいかがでしょうか。新谷委員どうぞ。

○新谷委員 資料No.1-1、資料No.1-2に基づいて、特に資料No.1-1は、全国知事会がまとめたポイントについて御報告を頂きました。知事会のほうの資料を拝見すると、1枚目の中段以降に、「ハローワークの地方移管の早期実現」ということが課題として書かれています。一体的実施とハローワーク特区については、それまでの間のつなぎ的なものなのだというのが、知事会の御意向ではないかと読み取れます。

 ただ、これを拝見しても、知事会の姿勢というのは、もともとこれの発端が非常に強く主張されるある県の知事さんがおられて、これの動きになったと思います。地方移管ありき、権限移譲ありきというのが見て取れると思います。その際にも我々は論議をさせていただいたのですけれども、財政責任を負わずに、窓口の業務だけよこせということになると、もともと保険の原則で動いているハローワークの業務が、非常にいびつな、アンバランスなことになりかねない、濫給防止ができるのかという懸念もありました。

 仮に、これを地方に完全に移管したときに、その失敗例というか、先例として我々が気になるのは、地方労政行政の現状だと思います。雇用保険事業がまだ4事業と言われていたときに、職業安定行政の中に、地方労政事務所への支援が、雇用保険事業から地方へお金が流れて、地方労政事務所の維持をやっていたと思います。そのお金の流れが途絶えた途端に、県独自の事業でそれをやるとなった途端に、多くの地方の労政事務所の閉鎖が相次ぎ、労働者にとっての相談窓口であるとか、勤労者向けの様々なセミナー、講座の開講が途絶えてしまったという現実もあります。本当にどこまで地方が責任を持ってこの事務をやっていただけるのか。財政上の問題として、多分真っ先に切られるのは、こういう勤労者向けの施策ではないかというのは先例としてあります。

 ハローワークの運営というのは、国が責任を持って、全国一体のシステムとして維持していくことであるべきということを、改めて強く申し上げておきます。

 ただ、資料No.1-2で示されているように、一体的実施というのは求職者、あるいは求人事業主にとっても、そういう利用者目線から言うと、アンケートの評価等でも出ているように、非常に効果を発揮しているのではないかと思います。ただ、これも申し上げたように、国が一元的な体制の中で、こういう一体的実施を行うという意味では、住民サービスの直接の窓口である基礎自治体が中心となって行うほうがより効果を上げるのではないかと思います。要するに市町村レベルの窓口とハローワークとの融合によって、ワンストップ・サービスが提供できるのではないかと思っています。

 そういう意味では知事会のほうの資料だと、一体的実施が37団体と書いてありますし、資料No.1-2では33団体と書いてあって食い違いはありますが、県が行う一体的実施というものと、基礎自治体が行う一体的実施というのは、もう少し詳細な分析が要るのではないかと思います。

 ハローワーク特区は、埼玉と佐賀ということです。私どももこれが立ち上がったときに、現地に視察に行きました。2つしかありませんのでどっちかというのは分かりますけれども、埼玉のほうは立ち上がったときに、実際には県の職員がフロントには座ってはおらず、バックオフィスで何か事務をされていて、フロントに座っている方々は人材派遣会社から来られた方でした。これも競争入札で、私が見に行ったときには、ちょうど業者が転注で替わったばかりのときでした。そういう、もともとハローワーク特区がねらっている、知事が指示して、ハローワークと一体となって業務を行うということは、県のほうにノウハウが残るのかどうかというところが、前々から問題でありました。資料No.1-2の中でも、民間事業者との関係が課題として書かれています。この辺はもう少し突っ込んだ、本当に自治体の方々、それと民間への委託が非常に多いということですけれども、民間との関係、それとハローワークとの関係をもう少し整理をして、分析をされたほうがいいのではないかと思います。

 この中に書かれていないのが、特殊な関係で政令指定都市の意見ということで強く出された中で、広島市と厚生労働大臣が協定を結んで、あれは一体的実施の内数なのかもしれませんけれども、あれもちょっと違和感があります。大臣と市長が直接協定を結ぶというのは他にはなかったと思うのです。あれの評価が全然出てこないのですが、あれはどうなっているのかを聞かせてください。以上です。

○阿部分科会長 最初の3点は御意見で、最後の1点が御質問と私は認識しました。最初の3点は御意見としてお伺いしました。最後の1点の御質問にお答えください。

○公共職業安定所運営企画室長 政令指定都市については若干お触れいただいたとおり、分析の仕方で出てきたり、出てこなかったりしています。基本的には市区町のほうに入って、一体的実施としてカウントしております。いろいろ御意見を頂きましたので、その分析についても取り組んでまいりたいと考えております。

○阿部分科会長 新谷委員、よろしいですか。

○新谷委員 はい。

○阿部分科会長 その他にはいかがでしょうか。

○澤田委員 資料No.1-229ページ以降にある、ハローワークの求人情報のオンライン提供についての所で1つ質問します。31ページ以降にアンケートの結果があります。自治体を対象にしたものである。そもそも今回のアンケートの目的が、37ページにあるとおり、求人情報のオンライン提供の利用状況や課題等を確認し、今後の在り方検討のための基礎資料とするというようにあります。この点を見て、30ページにもあるとおり、今年の731日時点での利用数が834団体であると記載されています。最も大きい割合を占めているのは、職業紹介事業者であると書いてあります。求人情報のオンライン提供の今後の在り方の検討のための基礎資料とするわけですけれども、ここの所で最大のユーザーとなるための民間職業紹介事業者のアンケートを行うほうがいいのだと、それが当然ではないかと考えています。職業紹介事業者に対するアンケートの実施予定というようなものはあるのかどうかも伺います。

○阿部分科会長 御質問ですのでお答えください。

○公共職業安定所運営企画室長 今回は、まだ1年を経過していない中で、自治体のみを調査したものです。今後は民間職業紹介事業者を含む、事業全体の実態調査については、これまで安定分科会でもいろいろ御意見を頂いているところも踏まえつつ、実施する方向で検討していきたいと考えています。

○澤田委員 民間の職業紹介事業者の利用の実態をつかんでいないということはよくないと思いますし、今後の在り方を検討しようというのであれば、しっかりと対応していただきたいという要望を伝えておきます。

○阿部分科会長 ありがとうございました。他にはいかがでしょうか。新谷委員どうぞ。

○新谷委員 私も、ハローワークの求人情報の点について質問と意見を申し上げます。もともとハローワークの求人情報のオンライン提供は、国のほうの規制改革会議とか、産業競争力会議等々の議論を踏まえ、官邸からこういう弾が飛んできたのだと認識しています。もちろん発端がどうであれ、そのユーザーにとってジョブマッチングの機会が増えるということは、これはこれで評価したいと思いますし、その政策目的自体は異論のないところです。

 質問は、本日頂いている資料の30ページに、利用団体の数が834団体というのがあり、平成269月から3月の実績として1,549件という採用決定数があったということです。これを単純に割ると834団体で約1,600件ですから、1団体当たり採用決定数が2件という数字になります。これは立ち上がったばかりということがあるかもしれませんけれども、どのようにこの評価をされているのかをお聞きしたいというのが1点目です。

2点目は、今回示していただいた資料の中に、この834団体のうち民間の職業紹介事業者が330団体あって、そのうち有料職業紹介をやっている団体が307団体あります。採用決定数の内訳も、それぞれの団体ごとに書かれていて、民間職業紹介257件のうち、有料が255件です。これはジョブマッチをしたうちの、有料での職業紹介がこれぐらいの数字があったということです。これは導入の際にも随分論議をさせていただいて、もともとハローワークに集まってきた求人情報というのは、多分足で稼がれて、ハローワークにおられる方々が集めた分もあるでしょうし、国のコストで集めた情報を、国が整備したオンライン情報システム、これは1213億円のお金をかけたということです。それをもらった民間職業紹介事業者が、有料で職業紹介をやって業としてお金を頂戴しているというのがここに出てきているわけです。

 お聞きしたいのは、この255件の成立した職業紹介の有料の部分というのは、一体1件当たりも含めて、総額でもいいのですけれども、どのぐらいの紹介の手数料を徴収されたのかを教えてください。それはなぜかというのは、これも従来から申し上げておりますように、もともとの情報の出元は国がコストをかけて集めてきたもの、あるいは国の看板で信用して求人事業主がハローワークに持ち込んだものを、国がお金をかけて整備をしたオンライン情報に乗せて、しかもそれは民間がただで使って、今のところただですので、ビジネスとして展開する。これは受益者負担という考え方がここには全く入っていないわけです。

 これは二事業のお金が動いていますので、そちらに座っている事業主団体の皆さんがお金を出し合ったものを、特定の業界団体の、特定のサービスを受けている方々だけが受益を受ける。全くただでこれをフリーライドするわけですから、これはいかがなものかということを前々から申し上げているわけです。その金額の多寡は一体どうなっているのか。その事業主の皆さんが納得のいく水準になっているのかどうかを知りたいのでお聞かせいただきたいと思います。

○阿部分科会長 2点ありましたのでお願いします。

○公共職業安定所運営企画室長 1点目は、2件をどう評価するかということです。正直申しまして、2件というのは意外と少なかったと思っています。ただ、御質問の中にもありましたけれども、まだ事業が始まって11か月ということで、どう使っていいか分からないところもあるように聞いておりますので、その辺が今後どう影響してくるのかと考えています。

 民間職業紹介事業者、有料のほうですけれども、そこの料金です。申し訳ありませんが、255件にかかる料金は把握しておりません。これについては先ほど申し上げたとおり、今後詳細な実態調査をやろうと思っております。料金のみならず、どういう使われ方をしていて、どこの部分で料金を取られているのかということもしっかり把握した上で、この事業の成果は何なのかを見極めていきたいと考えておりますので、その時にしっかりと対応したいと考えています。

○新谷委員 今後調査をしていただけるということですけれども、これは振り返ってみると201312月の第94回のこの分科会において議論をしました。その時に阿部分科会長からのお指図もあって、事務方のほうで、その辺の統計も含めてデータを取るということがまとめとしてありました。私どもがお聞きしたいのは今申し上げたとおりですので、是非その点についてもデータを取って、この分科会にお示しいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

○阿部分科会長 分かりました。他に御意見、御質問がないようでしたら、次の議題に移ります。「ハローワークの求職情報の提供及び人材銀行の廃止について」です。これについても事務局より説明をお願いします。

○首席職業指導官 首席職業指導官の浅野です。ハローワーク求職情報の提供サービスについて、及び人材銀行の廃止について説明いたします。まず、求職情報の提供ですが、資料No.2-1を御覧ください。ハローワークの求職情報の提供サービスについては、昨年の5月から6月にかけてハローワークの求職情報の提供に関する検討会が開催され、取りまとめが行われたところです。こちらで取りまとめた結果については、昨年6月の第100回の安定分科会に報告したところです。その後、求職情報を提供する仕組み、利用していただくための利用規約などを具体化すべく準備を進めてきたところです。全体として、ほぼ取りまとめを踏襲しているものですが、説明いたします。

1ページ目の「事業の趣旨・目的」は、取りまとめに記載したとおり、オールジャパンとしての外部労動市場全体のマッチング機能の最大化を図り、求職者が早期に良質な雇用機会を確保していくことを目的としております。

2ページ目の「提供の仕組み」は、求職情報を提供することを希望する求職者について、求職情報提供サイトに求職情報を提供するわけですが、その際、氏名あるいは連絡先といった個人情報は提供しないことを考えております。対象団体は、一定の要件をクリアした対象団体等、具体的には紹介事業者である、自治体であるなどといったところです。要件をクリアしたところのみが、求職情報提供サイトの求職情報を閲覧することができるという仕組みを考えております。この対象団体等が求職情報を閲覧し、特定の求職者がいいなということで連絡を取りたいという場合については、求職情報提供サイト経由で団体の案内を送信いたします。これを受信した求職者は、匿名のまま対象団体に質問したり、やりとりをしたりすることができる仕組みを考えております。また求職者側では、いつでもこの団体からの受信を拒否することができる仕組みにすることを考えております。こうしたやりとりを行った結果、求職者が対象団体等への登録を希望する場合については、サイトの外になりますが、こちらで黒地にABCと書いております。Aは、求職者から直接対象団体に連絡を取る、Bは、対象団体ではこれを受理する、Cは、職業紹介行われるというような仕組みを考えているところです。分かりやすいようにサイトの外のものについては、黒地に白字で書かせていただいております。

3ページ目は、利用規約等に盛り込もうと考えている事項について書いております。対象団体向けとしては、民間職業事業者用のほか、自治体用のものも作成しようと考えております。まず事業者ですが、職業紹介事業を行う事業者であること、一定の実績があることといったような要件を課すことを考えております。自治体では、自ら職業紹介を行う場合のほかに特例として、紹介事業者に職業紹介事業を委託するような場合、それから紹介は行わないものの就職の相談あるいは面説会などを行う場合についても、対象とすることを考えているところです。その下にある「サービスの開始時期」ですが、来年3月ということで調整しているところです。対象となる求職者は、求職情報の提供を希望する者ということです。新規の中卒、高卒の者、障害者として求職登録を行っているような方については、対象としないことを考えているところです。

4ページは「提供対象となる情報」です。個人が特定されるような情報や最初の段階からは必要ないというような情報以外の情報と考えており、具体的に何かについては、※に書いております。希望の職種、希望の条件、職歴等、こういったような事柄で、こういったようなもので閲覧するほうは検索できるようにしたいと考えているところです。その下にある「対象団体等の利用・更新手続関係」ですが、手続は事業者単位、自治体単位で行うことを考えているところです。労働局に申請を出していただき、また利用規約への同意書を出していただくことを考えております。その下にある「求職者の利用希望の確認」ですが、ハローワークで求職を受理する場合に、自治体、民間とも可なのか、自治体のみ可なのか、民間のみ可なのか、どちらも不可なのか、この4類型で把握することを考えております。希望の有無を確認する際に、このサービスの仕組みについて十分説明するとともに、対象団体と一覧表を配布し、こういう団体が対象になるのだということを示すことを考えております。その際に、一覧にはプライバシーマークがあるかどうか、昨年の分科会での議論なども受け、職業紹介の優良事業者のマークがあるかどうかといったようなことについても分かるようにしたいと考えております。

5ページの「求職情報取得・利用のルール」については、自治体を除いて自ら行う職業紹介への案内のみを目的とする、不正の手段で個人情報を取得しない、意に反する営業活動を行わない、求職情報を第三者に提供しない、また時期が来たら情報の削除・廃棄を行うことを定めることを考えております。マル6は、団体がこの方にという求職者に最初は案内を送るわけですが、最初に案内を送付する際に、紹介の実績、取り扱っている求人情報、手数料あるいは個人情報、管理者などの情報をシステム上で自動的に送るような仕組みとすることを考えております。マル7は、1つの団体がサイト上で送信できる数です。最初に求職者に送る案内と、求職者からの質問に対する回答、案内と回答の両方を合わせて上限を設けて、1日辺り1,000件までとすることを考えているところです。

6ページの「職業紹介を行う際の原則」は、安定法にのっとること、有料のサービスが発生する場合は求職受理前に説明することといったようなことのほか、少し飛んでマル5は、求職者に派遣労働者としての登録を働きかけないことを含めることを考えております。それから、サイト上のやり取り、その後のサービスといったようなことは、全て対象団体等の責任で実施するものですが、求職者からの苦情を受けた場合は労働局、ハローワークが、どういうことだったのかという報告を求めたりあるいは是正を求めたりすることを書くことを考えております。また「利用状況の報告」ですが、定期的に求職申込件数、紹介件数、就職件数のほか、マル7に書いておりますが、有料職業紹介事業者には手数料の金額、件数についても報告を求めることを考えております。

7ページの「苦情などがあった場合の対応」については、安定法違反が疑われる場合は、労働局の需給調整担当が対応いたします。2番目の「利用規約違反」があった場合は、過剰な営業活動など、利用規約違反があった場合については検討会の取りまとめに沿った形で、利用停止、又は利用の解除を行うこと、3番目は「法違反、利用規約違反が疑われる場合の労働局、ハローワークの対応」について書いております。2つ目のパラグラフにありますように、そういった場合は対象団体に事実確認を行った上で判断するわけです。判断の内容については、対象団体にきちんと説明する、また判断の結果サービスを停止したという場合は、対象団体等一覧表にその旨を記載する、また利用解除という場合は、利用解除の一覧表に記載することを考えております。さらに4番目は、求職者はサイトで特定の団体からの受信を拒否することができるわけですが、受信拒否の数が一定数以上の場合は、ハローワークで利用状況の確認や指導を行うことを考えております。8ページ以降には参考として、事業の要領のほか、民間の職業紹介事業者用、自治体用、求職者用の利用規約を付けております。

 引き続き、資料No.2-2を用いて人材銀行の廃止について説明いたします。人材銀行とは、おおむね40歳以上の管理職、技術職、専門職を希望する求職者の方と、こういった人材を必要とする求人とのマッチングを行う機関です。現在ここに書いてある6か所に設置されているところです。ページをめくっていただくと、人材銀行が取り扱う技術職、専門職等というのは、民間のビジネスが得意とする領域であることもあり、人材銀行は、このところ市場化テストの対象などとなることが多くありました。平成19年度から3年間、官民で競争したこともありましたが、その後も検討の対象となっており、本年の7月に改定された公共サービス改革基本方針においても、事業の見直しについて検討する旨、記載がなされました。

 最後のページでは、こういったような中で先ほど説明があったように昨年の9月から求人情報の提供を実施しておりますし、私から説明したように、今年度中に求職情報についても提供を開始することにしたところです。さらに、先ほども申し上げましたが管理職、技術職、専門職というのは民間ビジネスの事業運営に適する分野と重複していますし、また民間のビジネスも成熟してきているところです。

 こういったことを踏まえ、民間人材ビジネスの更なる活用をしていく観点から、人材銀行を廃止することにしたいと考えているところです。ただ、現在人材銀行を利用している方もおりますので、まずは民間の人材ビジネスの利用について周知する、またハローワークの利用を希望をされる方については、引き続ききちんとしたサービスを提供していくこととしていきたいと考えているところです。説明は以上です。

○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは本件について御質問、御意見がありましたらどうぞ。

○森下委員 ハローワークの求職情報の提供というのは、求職者にとっては早期に良質な雇用機会を確保するということで、これは大変有用なことだと思います。ただ、今、話にあったように今回の民間職業紹介事業者の方々に情報提供する中で、職業紹介事業としての一定の実績を有していることや求職情報の取得、利用のルールを原則に適用していただくことが重要ではないかなと。求職を望む方にとって、どこに責任の所在があるのか非常に分かりにくいことが予測されますので、この辺については求人、求職のマッチングは、非常に大切なことだと思いますが、不適正な対象団体が登録されないようなきちんとした仕組みを配慮していただきたいと思います。

 それと質問ですが、今、何社くらいの事業者が登録をしそうだと想定しているのか。先ほども本文にあったように、ハローワークはそういうトラブルが起こったときには責任は負わないというようなことも書いてあります。一方では調査は行うというようなことで、その辺の関係がちょっと不明確なのかなと思いましたので、意見とさせていただきます。

○阿部分科会長 1点御意見と、1点御質問がありました。

○首席職業指導官 まず、どのくらいの事業者の利用があるかということですが、実際のところは初めての試みですので、始めてみないと分からないのではないかと考えております。求職者の方について言えば、安定所では今現在も安定所の中で求職情報の公開をしており、公開をすると言っている求職者の方が大体全体の2割、平成26年度で36万人ぐらいいらっしゃいます。一応そういった方が、ある程度ベースになる数と考えられるのではないかと考えます。ただその一方で、求職情報の提供のサービスについて検討するに当たり、求職者の方のニーズ調査をやっております。こちらは、平成25年に行ったものですが、65%の求職者の方が提供を希望すると回答しています。いずれにしても、実際にどのぐらいになるのかを見込むのは、今の段階では難しいと考えているところです。

○森下委員 この紹介事業者は、今、日本中でどのぐらいあるのか。また、外国系の会社が入ってくるのか、我々全く想定できないのですが。そういう意味で、やはり厳格な窓口の審査というものがないと求職者にとっては、逆にマイナスに働く可能性があると考えます。

○阿部分科会長 ありがとうございました。御質問、御意見ございますか。

○新谷委員 今、森下委員が発言された部分とも関係しますが、この制度が当初、この分科会に提案されたのが昨年6月で論議したと思います。そのときにも、今日の資料の3ページ辺りに書かれている対象団体としての認定の基準や、あるいは先ほどの求人情報のところでも申し上げたように有料職業紹介の事業者からの料金徴収の在り方等が論点になって、その際も阿部分科会長の判断で今後の検討課題となったと思います。それから既に1年はたって、今日示して頂いたようなスキームが大分、具体化されてきて、本日提案されたということで承知しているところです。先ほどの求人情報も求職者の情報もそうですが、確かに政策目的としては分かります。ジョブマッチの機会がハローワークだけではなく、地方自治体、民間もそれを開放することによってマッチングの機会を増やすというのはよく理解をするところですが、特に求職者の情報は個人情報の固まりみたいなものですから、これの扱いは本当に厳格に行う必要があると思いますし、特に民間の事業者にとってはビジネスのチャンスですので、本当に変な流用がされないように、あるいは事業者自体の適格についても厳格な運用が求められると思います。その上で、国が整備する求職者のシステムについても先ほどの求人情報は確か13億で、今回は12億とお聞きしたと思います。これも成功報酬として、有料職業紹介がハローワークに来た求職者の情報に基づいて自分たちが持っている求人情報とのマッチングをして、そこで成功報酬を得ることなので、先ほどの求人情報とはまた違うかもしれませんが、いずれにしても国が作ったシステムの下で、ビジネスを広げていく、しかも今のところ無料となっております。民間の有料職業紹介の手数料の金額というのが、事業報告書の統計を取っていますが、単純平均すると前回申し上げたように1件当たり52万円程度というのが出てくると思います。届出制の上限値になると、年収の100%や年収の50%で届け出られておりますが、かなり高額な成功報酬が動いていると想像するところです。そういった意味でいくと、このシステムが運用された段階で6ページに報告書が書かれておりますが、やはり、この金額の実態をきっちり把握する中で、それを本当に無料で受益者の負担を考えずに、ハローワークでの求人情報を国が作ったシステムでただで使わせるというのが、国民に対して納得性を持って説明ができるのか。一旦、雇用保険二事業の金といっても国庫に入りますと国費ですから、国費の流し方として、本当に無料でいいのかということも検討が必要になってくると思いますので、統計の報告をきちっと取っていただきたいのが1点です。

 もう1点は、これも森下委員がおっしゃった点と絡みますが、3ページに対象団体としての認定要件が書かれております。これは職業紹介事業者として一定の実績を有しているというのは2ポツに書いてあり、利用申請日から起算して、過去3か月以内に実績を有することが書かれてありますが、気になるのは、この認定がされると3年間使えますが、更新基準がどこに書いてあるのかがあり、認定の際に利用申請日から起算してと書いてあるので、利用申請日が3年たったらもう3年前の話になるので更新のときも同じような基準で、過去3か月あるいは3年間の認定を受けた期間内で実績があるのかどうかを更新基準に盛り込まないと、実績がなくても取りあえず情報が流れてくるから情報だけ取っておくということで、申請しましょうということで認定されたら、これはビジネスチャンスの情報だけがどんどん流れていくということになり兼ねませんので、ふさわしい事業者の認定をするための更新基準を厳格に設ける必要があると思います。その辺の考え方があれば、お聞かせいただきたいです。以上です。

○阿部分科会長 ありがとうございました。1件は御意見、もう1件が御質問ということで、最後のほうの質問をお願いします。

○首席職業指導官 今、新谷委員からお話がございましたように、昨年の職業安定分科会で、更新の際どうするのかといったようなお話がございました。いろいろ御議論いただいた上で、まずは1年間運用して、実際にどのぐらいの実績が出るものかといったようなことも見て、それで更新要件に実績を加えるかどうかといったことは検討するということで、そのときにお取りまとめをいただいたところでございます。それを踏まえまして、まずは、このサービスを運用していく中で紹介の実績を御報告いただいて、それを見た上で、更新要件をどうするかといったことについて検討してまいりたいと考えております。

○新谷委員 その方向で、お願いします。ただ、これは、去年の取りまとめの報告もそうですが、取りあえずやってみて、実績を踏まえて今後の対応を考えましょうということになっていますので、今は無料ですが、その結果を踏まえれば一定の利用料を徴収することになることもあり得る、ということも含めて制度の周知をしていただかないといけない。後出しで、「何だ、金を取るのか」というようなことにならないように、その辺の周知も間違いなくやっていただきたいと思います。以上です。

○阿部分科会長 はい。それでは、そのようにお願いしたいと思います。ほかに御意見、御質問ございますか。

○玄田委員 1点、御質問申し上げます。資料2-12ページ目です。大変分かりやすい提供の仕組みの御説明で、よく理解できましたが、伺いたいのは、マル4の「案内送信等と求職者からの質問」の、両方の矢印のある項目です。このやり取りの内容について、労働局でその内容についての把握を、恒常的若しくはランダムにチェックするようなことをお考えなのか。それとも、この情報は当事者間の閉じられた情報として、特段労働局等がチェックをするということはお考えでないのか。その点をまずお聞かせいただければと思います。

○首席職業指導官 マル4のやり取りでございますが、通常やり取りをされている分には、恒常的には労働局、ハローワークのほうでチェックをするということは特に考えてはおりません。ただし、いろいろな問題が生じた場合、これは仕組みとして把握可能でございますので、そちらについては、必要であれば把握をするということも考えているところでございます。

○玄田委員 了解いたしました。一方で、同じ資料の7ページ目「苦情の種類と利用の制限」のところに、様々な対応策を御検討いただいているということは理解しましたが、この場合、苦情、トラブルが「主に求職者からの苦情の申出等により」と書いてありまして、つまりは、トラブルが起こったあとの事後的な対応に最善を尽くすと書いてあるように読み取れます。ただ、問題は、ハローワーク情報のオンライン提供をするというときに、ある種、事前的にチェックができるような仕組みも検討すべき必要はないかと。もっと言い足せば、日常的なある種のパトロールのようなことをする必要はないのかということは、若干気になるところであります。

 私の知るところでは、民間の、いろいろなサービス情報を提供しているようなところでは、法令遵守を考えて、例えば、常に提供主体が適切な提供をしているか、ということをチェックするようなことをなさっているようで、それが情報の信頼にもつながっているというようなことを伺っています。ちなみに、インターネット情報のサービス提供をしているその会社は、特例子会社をつくり、知的障害の方にパトロール機能をお願いしたところ、非常に好評を得ているということもあるようです。今後、進捗度を見ながら、事後的な苦情申出だけではなく、問題が起こる前にそのようなパトロール的なことも検討することが、業務コスト上可能であれば、少しそういうことも合わせ見ながら御検討いただくことが必要だと思います。以上です。

○阿部分科会長 ありがとうございました。

○首席職業指導官 今、玄田委員から御指摘いただいたことについてですが、パトロールまでではないのですが、最後の7ページに「4 指導等」と書かせていただいております。サイト上で、どの団体が何件案内送信をしているのか、どのぐらい受信拒否されているのかといったようなことは把握することができますので、その数が多い場合については、利用状況を確認したり、指導したりしたいと、今の段階でも考えているところでございます。

○太田委員 求職申込書の記載事項についてなのですが、これは現段階で、特に「個人が特定されるもの及び初期段階において提供の必要がないと考えられるものは対象としない」という形で書かれていると思います。対象となる求職情報として幾つか4ページに書かれているわけなのですが、これは、どの程度公開するかというのは、求職者の方の判断によって、例えば非常に多くブランクが発生するということがあっても構わないという形になっているのか。あるいは、必須の項目として幾つか、ここだけは書いてほしいという形になっているのか。その辺りを少しお教えいただけますでしょうか。

○首席職業指導官 求職情報については、求職者の方に求職申込書というものを書いていただくことになっています。さらに、公開をして詳しい情報を提供したいという場合は、求職公開申込書というものがあります。求職申込書と求職公開申込書という情報を提供することができるのですが、求職申込書だけにするか、求職申込書と求職公開申込書の両方を提供するかということは、求職者の方が決められるのですが、システムのいろいろな都合がございまして、求職申込書のこの項目だけにするとか、求職公開申込書の中のこの項目だけにするということは、できないことになっております。その辺りのことについても、求職者の方にはよくよく説明をしたいと考えているところでございます。

○太田委員 ありがとうございます。

○斗内委員 労働側の斗内でございます。先ほども御議論のありました7ページの「苦情処理と利用制限」のところで、若干確認をさせていただければと思います。「様々な違反等々が疑われる場合」というところで、3の※に、まずは「停止中」という旨を出すのだということが書かれています。そうしますと、これは、調査の段階のところは「停止中」という表示がされますが、調査の段階が終わりましたら、この「停止中」というのは消えてしまうということなのか。履歴が分かるのか、分からないのかという点と、もう1つ、その下に4点目で「指導等々」がありますが、そういった指導等々様々なことを今後やられていくと思いますが、利用する側からすると、そういう指導を受けた履歴などが提供されてしかるべきではないか、ということも考えております。

 上のところでいいますと、そういったことがあれば利用解除だということが書かれておりますが、一発利用解除で、そのまま例えば3年間再申請できないということになるのか。利用する側の立場から、その事業者についての履歴というものをある程度公開していくべきではなかろうかと思いますが、御見解のほどをお聞かせ願えればと思います。

○首席職業指導官 まず、停止中の関係では、先ほど少し説明を端折らせていただいてしまいました。本当に法違反あるいは利用規約違反があったという場合については、これはもちろん、それぞれの事柄に応じて、その期間停止としたりするのですが、それとは別に、こちらに事実確認に時間を要する場合、一時的に停止することも緊急的にできるようにしたいと考えていると書いてありますが、確認のために時間が掛かるために停止をしている場合は、そこが本当に違反があるかどうかということについては分からないということで、その場合は「停止中」という記載まではしないと考えております。停止中というのは、ある意味、労働局、ハローワークのほうで事実確認を行って、何らかの違反があったということを確認し、それが停止に値する事柄であったという場合のみということでございます。

 それから、停止をしたり利用解除をしたりといった履歴をきちんと見えるようにするのか、書くのかということですが、私どものほうでは、そこまでは今のところ考えておりません。停止を解除するときには、改善されているということをしっかり確認をした上で行いたいと考えております。

○新谷委員 今のところは、7ページの2ポツに、利用規約違反があった場合の対応として「停止は一定期間、6か月」と書かれていますが、先ほどの御説明ですと、3ポツの「停止中」という表示をする際は、単なる調査の場合には出さない、はっきり停止という処分が下ったときに「停止中」と書くのだ、ということでした。そうすると、利用停止期間が終わったあとは、この履歴が消えてしまうという説明であったと思うのです。確か派遣法等々の行政処分等は、都道府県労働局でやられて、情報公開されていますよね。厚労省が作られている人材サービス総合サイトでも履歴が残っているのですが、ここは、停止期間が終わったら履歴は残らないと。

 翌日から営業を再開すれば、それはもうなかったものという扱いになるというのは、事業者の信頼度をどう測るかといったときに、利用者側からいくと、そういう情報があったほうが、過去にそのような処分を受けたのだということが分かったほうが、よろしいのではないかと思います。なぜそれは出さないのかというところを、もう一度教えてください。

○首席職業指導官 検討会の取りまとめの中で、法違反、規約違反についてはかなり厳しくしようということになっております。その中では、1度目に停止に値することをした場合は停止、2度目は利用解除ですと。そのような厳しい対応にしていたということもございまして、今のところ履歴のことまでは考えておりません。

○新谷委員 利用停止処分を受けたことを公開することによって誰が不利益を受けるのか、その情報を開示することによって誰が利益を受けるのかということを、考えていただきたいのです。圧倒的多くの利用者である求職者が、その情報を知ったほうがいいわけですので、これは明らかに違反があって停止処分を受けるわけですから、その情報を停止期間中が終わったら消してしまうというところが、どう考えても分からないと思います。意見として申し上げておきます。

○鎌田委員 今の件ですが、随分前のことなので、私も細かいことは忘れてしまったのですが、利用規約違反に基づく利用停止は、当時の検討会の中で一番議論になった1つなのです。いわゆる法律上処分に当たるかどうかと。今、新谷さんがおっしゃったのは正に法律違反による処分で、これは、しかるべき規定に基づいて履歴も残すということなのですが、利用規約違反というのは、処分としての位置付けは明確にはしなかったのですが、少し性格が違うだろうということで整理をしていた。その中で、今のような話になっていったと思います。その後の履歴については、具体的にどのようにするかということを決めてはいなかったのですが、性格の上で、法律上の違反による処分と、利用規約違反による一定の不利益取扱いというのは、少し分けて考えなければいけないということだけ、付け加えておきたいと思います。

○新谷委員 ありがとうございます。鎌田先生に整理していただいたので、理解が深まりましたが、さっき申し上げたように、この行政上の規約違反に対する情報を公開しないことのデメリットと、公開したときのデメリット、メリット、デメリットをそれぞれお考えいただきたいということなのです。求職情報という個人の情報が民間事業者に流れていく。そこで利用規約の違反があった。その事実が利用者にとって必要な情報ではないかと、我々は思うのです。それをなぜ公開しないのかということを、改めてよくお考えいただいて、対応をお願いしたいということです。

○阿部分科会長 ありがとうございました。これがどういうサービスになっているのか、私がまだ詳しく分からない点もあるのですが、履歴を残すことによって、例えば求職者が、この企業には情報を提供しないというようなシステムになっていれば、履歴を残すことというのは非常に大事なことだろうと思うのです。ところが、今お話を伺っていると、この企業には、あるいは、この団体には情報を提供しないという形にはなっていないのではないかと思うのです。その辺りはどうなっているのか、ということだと思うのです。

○首席職業指導官 提供しないというのとは、ちょっと違いますが、求職者のほうで、どういった対象団体であれば案内をもらっていいかということは、一応選べるようにしております。

○阿部分科会長 それは、民間と公共団体かどうかという区切りではなくて、民間企業の中でも、数百社ある中で、この企業は駄目ですと言うこともできるということですか。

○首席職業指導官 まず固まりとして、こういう分野とか、こういう地域の、ということが指定できます。それから、それとは別に、特定のA社は嫌だ、というように受信を拒否することができますので、求職者のほうで、ここからは案内を受けない、ということはできます。

○阿部分科会長 そうですか。分かりました。そうすると、新谷委員が言うようなメリットというのはある、ということでよろしいですか。

○首席職業指導官 求職者側から見て、自分のところに案内を送ってもいいとするかどうかということは、指定できますので、そういう意味では、意味はあろうかと思います。

○阿部分科会長 分かりました。それでは、今の点も含めて、いつも先送りという批判を受けることになるかもしれませんが、これはまだ始まっていない仕組みですので、一応やってみて、アンケート等でいろいろ情報を収集していただいて、今日伺った御意見を全て、また議論していきたいと思います。求人側、求職者側、両方ともデータをお集めいただいて、今後の議論の参考にさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○鎌田委員 人材銀行の廃止について、少し質問したいと思います。人材銀行については、現在、全国6か所に設置されていて、これを廃止するという内容の御提案であります。ただ、資料の2枚目の裏面を見ても、実績としては一定程度存在する中で廃止をするということでございます。1枚目の「事業概要」で示されているような「管理的職業、専門的・技術的職業を希望する求職者と、当該職業に対する専門的技術を有する人材を必要とする求人とのマッチング」ということは、今後もハローワークの業務の中で位置付けて実施をしていく、という方針には変化はないと理解してよろしいのでしょうか。これが1つです。

 もしそうだとすれば、そういった方たちに対するマッチングから撤収するということではなく、正にその部分については今後ともハローワークは民間事業者との競争関係の中で業務を遂行し、正に求職者、利用者の雇用機会を確保するという方向性でいくのだ、と理解されるわけです。

 ただ、1点気になるのは、廃止理由の中で、「日本再興戦略において、ハローワークと民間人材ビジネスそれぞれの役割と強みがあり、補完関係による相乗効果を発揮し」と書かれていることです。恐らく、これは、専門技術者、管理的な管理者等のマッチング機能については民間が一定の強みを発揮できるのだということですが、これについて、ハローワークとしても、撤収をするということではなく、競争関係にありながら補完関係による相乗効果を発揮する、というニュアンスで理解すべきではないかと思うのです。この点について、もし意見があれば、考え方についてどのように捉えているのか、お聞かせいただきたいと思います。

○阿部分科会長 大きく2点ありました。お願いします。

○首席職業指導官 まず最初の御質問ですが、人材銀行を廃止することによって中小企業や専門的・技術的職業の求職者の方に影響が生じることがないように、中小企業からの専門技術人材のニーズが高いような地域のハローワークには、窓口をきちんと設けて、1ページ目に書いていますような、中小企業の人材ニーズや求職者の希望能力をしっかり把握したり、担当者制などのきめ細かないろいろな支援をしたり、そういった専門的・技術的人材のマッチングについては、しっかり行っていくことを検討しているところでございます。

2つ目のお尋ねですが、撤収してしまうというのではなくて、人材銀行というのは、専門店を置いてやっています、ということだったわけですが、専門店までは置かないのですが、官民相まって求職者の方の雇用機会についてはきちんと確保していくというところについては、変わりはないということでございます。

○鎌田委員 この最後の4ページに書いてある廃止理由というのは、日本再興戦略のまとめと、ここでの議論のまとめと、どのように位置付けていいのか分かりませんが、今お答えのとおりであれば、民間人材ビジネスの更なる活用を推進するという観点から人材銀行を廃止するということですが、今言いましたように、ここでの議論としては、ハローワークにおいてもそのような機能を果たしつつ、民間人材ビジネスの更なる活用を推進する、というようなニュアンスでまとめるほうがよろしいのではないか。何か、この部分については撤収するというニュアンスが出てくるような感じがしたので、そのように思いました。

○阿部分科会長 ありがとうございました。ほかには、よろしいでしょうか。それでは、次の議題に移りたいと思います。やや時間が押しておりますが、2014年度の評価及び2015年度の目標設定について、事務局から説明をお願いしたいと思います。

○雇用政策課長 私から2014年度の評価及び2015年度の目標設定について御説明いたします。資料3-1から資料3-3、参考資料3-1から参考資料3-3を適宜御覧ください。御承知のとおり、参考資料3-3にもありますとおり、日本再興戦略等で中期目標を設定して、それに基づいて毎年PDCAによる政策評価を行うということで、参考資料3-1にあるようなスケジュールで進めさせていただいております。その中で、今回2014年度の年度評価ということで、今年の3月に1度中間評価を頂いたところですが、それを踏まえて、その後の実績を受けて、今回年度評価をしていただければと思っております。そのためのたたき台として、事務局で資料3-1を用意させていただきました。併せて、資料3-2は評価シートで、各項目ごとの目標、目標設定における考え方、施策の実施状況分析、達成状況を踏まえた評価、今後の方針などについて記載しており、主に資料3-1、資料3-2に沿って説明させていただければと思っています。なお、お手元の資料の一番最後に「意見記入用紙」というものをお配りしております。御意見がある場合には、本日御発言いただくのはもちろんですが、こちらの用紙で御提出いただくことも可能ですので、用紙に御意見を記入いただき、席に残していただく又は812日までに事務局宛てに御提出いただければということです。委員の皆様から頂いた御意見は、資料3-2の評価シートの中に「分科会委員の意見」という欄がありますので、そちらに記載させていただき、取りまとめた年度評価については、事務局から労働政策審議会の本審に報告するとともに、ホームページにも掲載し、広く一般の方々からの意見を募集するという流れにさせていただいております。

 資料3-11ページ、資料3-22ページから御覧ください。評価項目の1番目、「ハローワークにおける職業紹介等」です。これを御覧になっていただくと、就職率は30.9%ということで、前年度実績の30.6%を上回りましたが、目標の32%を下回っております。これについては資料3-1にも書いておりますが、長期にわたる雇用情勢の改善の中で、相対的に就職困難性の高い求職者の割合が高くなる傾向や景気回復局面においては、一定程度の時間をかけて求職活動を行う在職求職者数が増える傾向にあり、そういったことが就職率を押し下げる方向に働いた面もあると整理しております。

 次の求人充足率についても20.4%で、前年度実績の22.2%、目標の22%を下回り、こちらは雇用情勢が改善する中で、新規求人数の増加、求職者数の減少という影響が想定していたよりも大きかったということだと理解しております。

 資料3-12ページです。「正社員求人数」「雇用保険受給者の早期再就職割合」「マザーズハローワーク事業の重点支援対象者数、就職率」「就職支援プログラム事業の開始件数、就職率」とそれぞれありますが、これらについては全て目標を実績が上回り、目標を達成いたしました。このうちマザーズハローワークは中間評価の段階ではやや下回っておりましたが、年度後半は努力をし、最終的には目標を達成しております。次の「求職者支援制度による職業訓練の就職率」については、現時点では年度前半に開講したコースの値で、これも途中段階の実績ですが、基礎コース、実践コースともに、目標を下回っているということです。なお、この数字については、資料3-23ページの下の備考の「※4」にあるとおり、2014年度から実績の取り方を変えておりますが、参考として従前の方法で計算した就職率を掲載していて、基礎コース83.3%、実践コースは84.3%ということで、ほぼ2013年度の実績並みの数字となっております。

 以上を踏まえて、資料3-13ページの一番上の斜体字の部分に評価の案を示しております。「ハローワークにおける職業紹介等の目標については多くについては達成したものの、就職率・求人充足率等については、目標を下回る実績となった。このため、引き続き求職者へのきめ細かな就職支援を行うとともに、求人充足を図るための積極的・能動的マッチングの推進等、求人者サービスの充実に向けた取組を行う等、目標の達成を目指した取組を進めるべきである」という案にさせていただいております。

 続いて評価項目の2番目、「失業なき労働移動の推進」です。資料3-1の先ほどの下、資料3-28ページからです。こちらは数字を御覧になっていただければお分かりのとおり、2つの指標について、いずれも目標を達成しております。ですので、資料3-13ページの下の斜体字の部分ですが、「全て達成しているという中で、引き続きそれぞれの制度の活用促進でしっかりと政策目標の趣旨実現を図るべきである」という趣旨を記載しております。なお、労働移動支援助成金については、真ん中の段に助成金の拡充の影響について、「労働者の安定的な雇用に結び付いているかどうかを検証していく必要がある」ということも書かせていただいております。

 続いて3番目の「若者の就労促進」です。資料3-14ページ、資料3-212ページからです。これについても数字を御覧になっていただければお分かりのとおり、フリーターの数、ジョブサポーターの正社員就職者数、新卒応援ハローワークの正社員就職者数は、いずれも目標を達成し、「これらについては引き続き関連施策により、しっかり取り組んでいくべきである」という評価の案にさせていただいております。

 続いて評価項目の4番目です。資料3-15ページ、資料3-2では15ページからです。これについても数字を御覧になっていただければお分かりのとおり、高年齢者総合相談窓口のチーム支援による就職率、シルバー人材センターにおける契約受注件数について、それぞれ達成しております。その中で、特に高年齢者のチーム支援による就職率は、それまでの担当者制からチーム支援にシフトしたということで、雇用情勢が改善しているということも背景にはありますが、きめ細かな対応がよりできるということで、それが功を奏して、想定していた目標を大幅に実績が上回るという成果になったということですので、そういった状況の中で、資料3-15ページの一番最後の斜体字ですが、「それぞれにおいて引き続きしっかりと取り組んでいくべきである」という評価の案にさせていただいております。2014年度の評価については以上です。

 引き続いて、2015年度の目標設定について御説明いたします。資料3-3、考え方ということで参考資料3-2も適宜参照していただければと思います。基本的には資料3-3を御覧になっていただければと思いますが、前年度の実績を踏まえて今年度をどう考えるかというところです。そういった中で、景気、雇用情勢、これまでの傾向なども判断し、資料3-3にあるとおりに目標設定しております。マザーズハローワークのように箇所数を拡充しているところについては、「対象者数を増やしてしっかりと実績を上げていく」としている一方で、8番の就職支援プログラム事業、2ページの若者の就労促進の関係のジョブサポーターの対象者数といった、そもそも雇用情勢の改善の中で母数が減少しているところについては、それを踏まえた目標設定にしております。

 その中で、特にマル4の「ハローワークにおける正社員就職件数」を今回新たに設定いたしました。これは3月の中間評価の際に、「雇用については質もきちんと見ていくべきである」という御意見を頂いたことを踏まえ、新たに設定した目標数値です。

10番目の「求職者支援制度による職業訓練の就職率」については、目標数字は前年度と同様なのですが、ここの数字の取り方について、なかなか実績が出てこなくて評価しづらいという、これも前回に御意見を頂いたことを踏まえて、これまでは当該年度に開始した訓練について見ていたものですが、今後の取り方としては、実績を早く取るために当該年度に終了したコースで見ていくことを考えております。時間の関係で細かな話については少し省略させていただきましたが、そのような考えで全体的に設定させていただいているということで、御質問等がありましたら、この後に頂ければと思います。

○阿部分科会長 本件について、御質問、御意見がありましたら御発言ください。

○澤田委員 資料3-32015年度の目標について、先ほど事務局から御説明があったように、今年の3月の労働側からの意見として、「雇用の質に関することも大切だ」ということを申し上げました。そして、今回の表の中のマル4に新たな項目として、この項目を追加していただいていることについては、一歩前進と受け止めております。今後については、目標達成に向けて厚生労働省としての取組を強力に進めていただきたいと思います。

○阿部分科会長 ほかにいかがでしょうか。

○林委員 若者の雇用に関する目標に関して、質問と意見を述べさせていただきます。資料3-32ページに目標が掲げられております。まず質問として、2014年度において若者の就労促進で掲げた目標はいずれも達成しているということを考えますと、この点は一定程度評価するというところだと思います。ただ、学卒ジョブサポーター、新卒応援ハローワークが高校や大学と連携して就労支援を行う中で、現場から出てくる課題や問題点などがあれば、お聞かせいただきたいと思います。これが質問です。

 続いて意見です。今、申し上げました2ページに、2015年度においては若者の就労促進に係る目標として、13番、14番、15番が掲げられています。これに関して3つの意見を申し上げたいと思います。1つ目は、学卒後初めて職に就いた者の約4割が非正規であるというデータが出ております。ハローワークでのフリーター対策、学卒ジョブサポーターの支援ごとに正社員の就労数を目標に掲げることは非常に重要ですが、同時に初めての就職先が正社員であることの数を目標として掲げることも重要ではないかと思います。また、就職したらそこで終わりということではなくて、就職後の定着率も是非目標に掲げていただきたいと思います。

 これは少し別の視点になるかもしれませんが、地方創生という考え方、今はUターン、Iターン、Jターンといった就職が重要視されている中で、出身地の地元に就職を希望している新卒者のうち、何人が希望した地元で就職できたかというところも、是非指標として掲げていただければ、地方創生という意味でもデータが取れていくのかなと思います。以上3点、意見と冒頭に申し上げました質問について、御回答いただければと思います。

○雇用政策課長 今の御意見について、現場における特徴ということで言えば、申し訳ないのですが、今、手元に整理したものがございません。今後何らかの形で整理をし、お示しすることも検討したいと思います。

 あとの御意見については、今後整理する上で参考にさせていただければと思います。ありがとうございます。

○林委員 よろしくお願いいたします。

○阿部分科会長 ほかにいかがですか。

○斗内委員 今の若者雇用の関係で、直接目標設定とは関連しないかもしれないのですが、最近の時流について、厚生労働省の御見解をお聞かせ願えればと思っております。既に御案内のとおり、2016年の春の入社の採用活動は、日本経団連の会員企業を中心として、選考が8月解禁と、大幅に後ろ倒しになっています。

 ただ、私ども連合の調査によると、6月時点でおおよそ3分の1程度、35%ぐらいが内定若しくは内々定を受けているという状況ですし、また、いわゆる就職情報サイトの登録時期についても、現在の社会人1年生の方々が就職活動をしていたときは、大学3年の12月がピークでした。今の大学4年生の方々も、インターンシップの情報が出てくる大学3年の6月がピークということが出ております。もともと大学生は学業を優先すべきだということで、政府の要請にも応えて、就職活動は今回は8月が解禁となったということがありますが、結果としてはそのことが就職活動の早期化、又は長期化につながっているのではないかという指摘も出ているところです。この時流について、厚生労働省の御見解をお伺いしたいと思っております。

 また、既に一部報道では内定等が出ている学生に対し、8月解禁を待たずして、いわゆる他社の就職活動に行かないようにというか、いわゆる「オワハラ」というものが報道等でされている状況です。文部科学省の調査でも、7割近くの大学と短大が、オワハラの相談を受けているということもあり、オワハラについて相談窓口やキャリア・カウンセラー、キャリアセンターでの対応、支援などを今後どう考えていくかなどを含めて、厚生労働省としての御見解をお聞かせ願えればと思います。

○総務課長 今日は直接の担当の室長が来ておりませんので、私から分かる範囲でお答えさせていただきます。まず、1点目の就職活動時期の変更による影響です。こちらについては、今年からスケジュールが変わったということで、その影響がどのように出ているかについては情報収集し、注視していきたいと思っております。

2点目の、いわゆるオワハラの関係です。こちらについては、先般厚生労働大臣から、そういったオワハラという動きがあることを踏まえ、就職活動の自由を妨げるような、強要するような行為がないようにということで注意を呼び掛けたところです。こちらについても、今後実態把握に努めていきたいと思っており、大臣が呼び掛けた際には、何か問題があった場合にはハローワークなどに相談するようにということで申し上げたところです。

○高橋委員 目標の件です。新設されたマル4と、従来からあったマル13の関係です。マル13も含めてマル4が90万件と設定されているのでしょうか。

○雇用政策課長 これは業務統計で把握しているということからすると、それぞれの定義に当てはまったものが集計されますので、おっしゃるとおり重複する部分があると思います。

○高橋委員 目標の立て方として、そういう内数があるような立て方で本当にいいのかと疑問を感じました。もし、仮に両方立てるということが必要であるとするなら、マル13が32万人以上としたら、マル4はフリーター等は除いたベースで58万件以上といった形の立て方もあるのではないかと思いました。意見です。

○阿部分科会長 御検討ください。ほかにいかがですか。それでは、当分科会の年度評価については、本日の議論を踏まえ、まず資料3-2の各項目について、委員の皆様からの御意見を資料3-2の各項目の「分科会委員の意見欄」に記載し、この各項目についての御意見等を踏まえ、資料3-1をたたき台として修正することで、分科会としての年度評価とさせていただきたいと思います。なお、各委員におかれましては、本日御指摘の点以外にも御意見があれば、来週の812()までに、事務局に追加で御提出をお願いいたします。また、机上にシートが配布されていたと思いますが、そこに書き込んでいただき、こちらに残していただいても結構です。皆様の御意見も踏まえ、私と事務局で相談し、当分科会の年度評価として取りまとめていきたいと考えております。

 また、2015年度の目標について、様々な御意見がありましたが、私と事務局で検討させていただき、年度目標について取りまとめていきたいと思いますが、大筋はこの線でいくということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。そのようにさせていただきます。

 最後、「地方における企業拠点の強化を促進する税制措置の創設について」です。事務局より説明をお願いします。

○雇用政策課長 「地方における企業拠点の強化を促進する税制措置の創設について」の御報告です。資料4を御覧ください。3月の分科会において、1度地方創生の一環として、平成27年度税制改正において、地域再生法の改正を前提に、雇用促進税制の拡充を含む、地方拠点強化税制を創設し、地域における良質な雇用の場の確保に対し、税制上の優遇措置を講じることとなった旨御報告させていただくとともに、今後本税制の施行が必要となる雇用促進税制の省令様式の改正に伴う諸手続き等についての御説明をさせていただいていたところです。具体的な内容としては、資料41ページにあるとおりで、従来の雇用促進税制1人当たり40万円の税額控除であるわけですが、今回の拡充により、地方における企業の本社機能の拡充に伴う雇用の創出、1人当たり50万円、雇用者増加率が10%以上は50万円、それに満たない場合でも20万円の税額控除という形で拡充させていただいております。さらに移転型ということで、東京23区から移転する場合、一部の大都市圏を除いてですが、本社機能を移転し、雇用創出に資する場合は、それに1人当たり30万円、最大3年間の上乗せ措置を行うという仕組みになっています。

 これについて、地域再生法の改正法案については、324日に閣議決定されていたところですが、619日に成立し、これを受け厚生労働省として620日から719日の期間、資料の2ページ以降に省令改正についての案、様式を4ページから示しておりますが、これについてパブリックコメントを実施したところですが、特段の意見はなく、今月の上中旬には、地域再生法施行令等の関係法令とともに、雇用対策法施行規則の一部を改正する省令の交付・施行を行うという予定にしているところです。

 その中で、具体的に様式については資料の4ページの「雇用促進計画-1」の真ん中に、21があり、「他の法令に基づく労働者の雇入れを促進するための計画を作成しているか否か」という欄がありますが、これが今回新たに設けた欄で、そこに書いてある計画を具体的に申し上げると、地域再生法第172に規定する地域活力向上地域特定業務施設整備計画という計画があります。特定業務施設というのが本社機能ということです。ここのチェック欄を使うことにより、今回の地方拠点強化税制の対象になり得るものなのかどうなのかということを判断する形になっているということです。

 また、地方拠点強化税制の対象となる特定業務施設に○を付けていただくということで、必要に応じて労働者数の増加が分かる資料を添付いただくという仕組みになっております。そこが、「はい」「いいえ」で分けるということで、「いいえ」については、従来の雇用促進計画の対象にするという仕組みで、今回整理をさせていただこうと考えているということです。

 なお、一番最後の参考資料1、参考資料2の表と裏がありますが、今回の地域再生法の一部を改正する法律の概要ということで、先ほど申し上げた地方拠点強化税制に加えて、遊休工場用地を有効利用するとか、小さな拠点を整備していくための支援措置を今回定めているということで、参考にお付けしたところです。

○阿部分科会長 それでは、本件について御質問、御意見がありましたらお願いいたします。よろしいですか。それでは、このように進めていただきたいと思います。ありがとうございました。

 本日予定されている議題は以上で終了いたしましたが、ほかに御発言があればお願いいたします。特にないようでしたら、本日の分科会はこれで終了いたします。本日の会議に関する議事録については、労働政策審議会運営規程第6条により、分科会長のほか、2人の委員に署名を頂くこととなっております。つきましては、労働者代表の澤田委員、使用者代表の熊谷委員にお願いしたいと思います。本日もどうもありがとうございました。


(了)

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