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2015年7月29日 独立行政法人評価に関する有識者会議 年金WG(第2回) 議事録

○日時

平成27年7月29日(水)13:56~15:58


○場所

中央労働委員会労働委員会会館講堂(7階)


○出席者

山口主査、大野構成員、川北構成員、引間構成員、光多構成員、安浪構成員

○議事

(以下、議事録)

○山口主査

 ただいまから、第2回独立行政法人評価に関する有識者会議年金WGを開催いたします。構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。本日の議事について事務局から説明をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 本日の議事は、お手元の議事次第のとおり、年金積立金管理運用独立行政法人の第2期中期目標期間の業務実績評価に係る意見聴取についてです。参考資料11ページです。中期目標期間実績評価は、独立行政法人通則法第32条第1項第3号の規定に基づき、中期目標期間終了時に実施される「中期目標期間全体の業務の実績の評価」であり、中期目標期間における中期目標の達成状況等を考慮し、年度評価と同様に「項目別評定」と「総合評定」により行うこととされております。

 これらは、中期目標の変更を含む法人の業務運営の改善等に資すことを目的とするほか、評価結果を役職員の処遇等に活用すること等を目的として実施するものであり、本日は平成26年度が中期目標期間の最終年度に該当する年金積立金管理運用独立行政法人の「中期目標期間実績評価」について、本WGの御意見を賜ることとしております。以上です。

 

○山口主査

 それでは、年金積立金管理運用独立行政法人の中期目標期間実績評価について議論してまいりたいと思います。初めに、「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項」に係る項目別評定について議論をしたいと思います。法人及び法人所管課からポイントを絞って簡潔に御説明いただき、その後に質疑応答という流れで進めてまいりたいと思います。まず、法人からお願いいたします。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人審議役

 資料1-1を主に用いて説明いたします。なお、第2期中期目標期間に係る自己評価については、平成26年度の自己評価と同様に、総務大臣が新たな評価の考え方を示された独立行政法人の評価に関する指針を踏まえて行っております。

1ページです。評価項目1-1の「管理・運用の基本的な方針、運用の目標」です。平成26年度の自己評価をAとしたことは先日、説明申し上げましたが、第2期中期目標期間の自己評価は次に申し上げることを考慮いたしました。まず、第2期中期目標期間の運用実績を端的に示すデータをこのページの下に記載しております。平成24年度以降の国内外の株式や為替の市場環境の影響が大きく、また、そのような市場環境の中で基本ポートフォリオの変更を行ってきたことは寄与しているわけですが、第2期中期目標期間において収益率は年率換算で6.53%、累積収益額は39400億円余となっております。当法人で管理・運用しております資産額は、キャッシュ・アウトがあった中ではありますが、増加しており、平成26年度末には1374,700億円余となりました。

2ページです。先般、説明申し上げましたように、昨年度においては国共済、地共済等と鋭意検討し、調整を行い、被用者年金制度の一元化法の施行より約6か月早く、本年3月にはモデルポートフォリオを策定・公表することができました。これは中期目標期間における所期の目標を大きく上回る成果と考えております。

3ページです。一方、第2期中期目標期間においては、資産ごとにベンチマークを適切に設定し、国内株式を除く3資産はプラスになっておりますが、おおむねベンチマーク並みの収益率を確保いたしました。表の一番右側に年率換算した超過収益率を記載しております。また、管理運用方針については、下段にありますように、いずれの年度も必要に応じて速やかな改正を行いました。

4ページは、評価項目1-2の「リスク管理」です。平成26年度の自己評価をBとしましたが、第2期中期目標期間の自己評価はBとしました。先日、昨年度の対複合ベンチマークの超過収益率の要因分析について説明いたしましたが、平成25年度以前についても同様の要因分析結果を下段の表に記載しております。

5ページです。各種リスク管理については、従前から説明いたしました内容です。第2期中期目標期間におけるリスク管理面の機能強化は、下段に記載のとおり、平成22年度に調査室の体制強化を行いました。平成26年度には先般も説明しましたが、経済環境コンサルタントの採用と経済・市場動向の分析を週次で行うこととしております。

6ページです。評価項目1-3「運用手法、財投債の管理・運用」です。第2期中期目標期間の自己評価は、次に申し上げます理由により、Aといたしました。すなわち、キャッシュ・アウト等対応ファンドの設置、インフラ共同投資の開始、「JPX日経400」等のインデックスを新たに採用するなどにより効率的な運用を図り、当初想定した以上の政策を実現したと考えております。これに加え、昨年度は日本版スチュワードシップ・コードの受入れなど、法人の自主的な取組による創意工夫を行ったほか、外国株式におけるベンチマークの変更、物価連動国債の運用開始など、より効率的な運用を図りました。以上から、第2期中期目標期間における所期の目標を上回る成果を達成したと考えております。

7ページです。パッシブ運用及びアクティブ運用の割合の推移です。また、財投債の管理・運用については適切に行ってまいりました。

8ページです。評価項目1-4「透明性の向上」です。平成26年度の自己評価もAといたしましたが、第2期中期目標期間の自己評価はAといたしました。自己評価の理由を申し上げますと、中期目標期間を通じて当法人の役割や管理・運用の仕組みについて分かりやすく説明した資料をホームページに掲載したほか、「業務概況書」などの迅速な公表に努めてまいりました。平成23年度にはホームページを全面的に見直しました。平成25年度のインフラ投資の開始時には記者会見を行っており、平成26年度の基本ポートフォリオの変更時には理事長が自ら記者会見を行い、パネルを使用した説明で分かりやすい情報公開につながったものと考えております。なお、特に平成25年度や昨年度は、全般に英語版資料の充実にも努めております。更に昨年度は、先般説明申し上げましたとおり「投資原則」及び「行動規範」を策定し、国民向けの分かりやすい説明と合わせて、ホームページに掲載いたしました。

9ページです。運用委員会です。議事要旨については委員会開催から12か月後に公表してまいりましたほか、その議事録は7年後に公表することとして、議事録の作成確認等の準備を行ってまいりました。また先般、説明申し上げましたように、運用委員会の下に、投資原則の立案等を任務とする「ガバナンス会議」を設置しております。運用委員会の開催回数は下段に記載のとおりです。特に昨年度は運用委員会を15回、ガバナンス会議を5回開催しております。以上の取組を踏まえますと、「透明性の向上」という項目については、中期目標期間における所期の目標を上回る成果を達成したと考えております。

10ページです。評価項目1-5「基本ポートフォリオ」です。第2期中期目標期間においては、法人の自主的な取組による創意工夫を生かした昨年度の基本ポートフォリオの変更などにより所期の目標を上回る成果が得られたと考えております。更に、基本ポートフォリオの策定変更は積立金運用の根幹となるものであり、重要かつ難易度の高い目標と考えられることから評価を1段階引上げて自己評価をSといたしております。

 より具体的に申し上げますと、平成223月に策定しました旧基本ポートフォリオ(1)については、その後、平成2410月の会計検査員報告に基づき、厚生労働省より定期的に検証を行うよう要請がありました。このため、各資産のリターンの検証やリスクの見直しを行った結果、より効率的なポートフォリオの存在が確認されたため、旧基本ポートフォリオ(2)に変更いたしました。このことは当初想定した以上の政策を実現したものと考えております。

 昨年度の基本ポートフォリオの変更については、前回、説明いたしましたので詳しい説明は差し控えますが、11ページに記載のとおり、当初考えていた平成274月から5か月程度の前倒しで変更を行えたこと、また、上限を含めたオルタナティブ資産の明記や乖離許容幅の中で機動的な運用ができるようにしたことなど、法人の自主的な取組による創意工夫を行ったことから、所期の目標を大きく上回る成果が得られたと考えております。

 下にありますように、平成223月に策定した旧基本ポートフォリオ(1)で中期目標期間の5年間運用したと仮定して推計しますと、年率換算で収益率は5.17%となりますが、実績は6.53%ですので、両者の年換算では、1.36%の差が5年分生じております。中期目標期間の2回にわたる基本ポートフォリオの変更により、このような効果が生じております。

12ページです。評価項目1-6「市場及び民間の活動への影響に対する配慮」です。第2期中期目標期間を通じ、市場及び民間の活動への影響については、12ページに記載の取組を行っており適切に配慮いたしました。また、13ページの上段に記載のとおり株主議決権の行使についても、当法人として適切な対応を行い、各年度とも良好な結果となったものと考えております。これらに加え、平成265月に日本版スチュワードシップ・コードを受け入れ、運用受託機関を通じてスチュワードシップの責任を果たしていくこととするなど、法人の自主的な取組による創意工夫を行いました。具体的な取組状況は、13ページの下段に記載のとおりです。これらを踏まえますと、この項目についても所期の目標を上回る成果を達成したと考えられることから、本項目の自己評価はAといたしました。

14ページです。評価項目1-7「年金給付のための流動性の確保」です。下の折れ線グラフで、実線はネットのキャッシュ・アウト額の年次推移を示しておりますが、平成21年度から国の年金特別会計がキャッシュ・アウト局面に入りました。財投債の減少も進み、その償還金、利金だけでは必要な流動性が確保できなくなる中で、年金給付に万が一にも支障が生じないようにするため、市場の価格形成に細心の注意を払いつつ、必要な時期に巨額の流動性を確保するということについては、重要で難易度の高い課題と考えております。

 この課題に対応するため、平成23年度にはバイ・アンド・ホールドのキャッシュ・アウト等対応ファンドを10兆円規模で設置し、翌年度の平成24年度には増額を行いました。なお、平成25年度には基礎年金の国庫負担上乗せ分に係る国の資金繰り手当に関し、当法人は流動性確保に異例の対応が求められたところですが、情勢が変化する中、そういう点についてもそのときどきで必要な対応を取ることができたものと考えております。

 平成2324年度については、独立行政法人評価委員会から本項目についてはS評価を頂戴したところです。平成2526年度においては、キャッシュ・アウト等対応ファンド、財投債という枠組みにより市場運用資産の売却なしにキャッシュ・アウトに対応することができました。実際に平成26年度までの3か年の推移を見てみると、キャッシュ・アウト額全体に占めるキャッシュ・アウト等対応ファンドからの元利償還金の割合が36割へと、過半を確保するという形となっております。そういうことから減少する財投債からの償還額の不足を補っているところです。

 更に、平成26年度におけるキャッシュ・アウト等対応ファンドの増額により、第3期中期目標期間においても市場運用資産の売却によらない対応が見込めるようになってきております。本項目に関する以上の取組は所期の目標を大きく上回る成果を得たものと考えており、さらに先に申し上げましたように、本項目は重要かつ難易度が高いと考えられることから、自己評価を1段階引上げ、Sといたしました。なお、平成22年度には、資金の回収、配分を主業務とする課の新設等を行ったこと、また、キャッシュ・アウト等対応ファンドの増額の推移については15ページに記載しております。

16ページです。評価項目1-8「内部統制の一層の強化に向けた体制整備等」です。この項目については、基本ポートフォリオの見直しとともに日本再興戦略改定2014にも盛り込まれており、重要度、難易度の高い項目と考えております。1617ページは前回、説明申し上げましたので重ねての説明は省略いたします。昨年度は内部統制の体制整備について多数の取組を行っており、この両ページに記載しましたように、法人の自主的な取組による創意工夫を行っております。

18ページの「内部統制の基本方針」は、平成23年度に策定したものですが、当法人が法令等を遵守し、その使命を有効かつ効率的に果たす上で重要な役割を担ってきたものです。この方針の策定運用なども中期目標の初めに想定した以上の政策実現になるように考えております。また、管理及び運用能力の向上も、この評価項目に含まれており、20ページの専門人材の確保がその一環です。これも前回、説明申し上げましたが、昨年度は給与体系の見直し、理事の任命、CIOを設置、運用専門職員の募集を開始するという取組を行っております。職員の採用については、20ページの下側に前中期目標期間中の実績を示しております。その下ですが、研修についても記載のとおり研修計画に基づき着実に実施してまいりました。以上のことから、本評価項目全体について見ると、当法人に関する法制度の下で所期の目標を上回る成果が得られたものと考えており、さらに重要かつ難易度の高い目標を達成したことを考慮して自己評価を1段階引上げ、Sとしております。

21ページです。評価項目1-9「調査・分析の充実等」です。自己評価は平成26年度同様Bとしております。大学との共同研究については、平成23年度に開始して基礎的な研究を継続し、基本ポートフォリオの策定方法等の検討に活用しております。委託調査研究は、年度ごとにテーマを変えて行っており、各年度の研究テーマは記載のとおりです。平成24年度のオルタナティブ投資に関する調査研究や平成25年度の非時価総額加重平均型ベンチマークに関する調査研究の成果等については、実際の運用に十分活用できたものと考えております。また、市場動向に関する分析強化についても、昨年度における経済環境コンサルタントの採用などを進めてまいりました。

22ページは、「情報セキュリティの強化等」です。自己点検については、平成22年度以降、毎年度職員のチェックシートによるセルフチェックを励行しております。組織体制については、昨年度における「情報システム部」の創設等、前回、説明いたしたとおりです。また、平成23年度及び24年度には情報セキュリティ規程を整備いたしました。システム関連では、平成25年度にグループメール等の禁止の徹底を図ったほか、平成26年度は、前回も説明いたしましたが、Security Operation Centerのサービスなどを用いた不正アクセス防御の導入等を行ったところです。第1グループの説明は以上です。

 

○大臣官房参事官(資金運用担当)

 引き続き、資料1-2、中期目標期間業務実績評価書の事務方()について説明いたします。一番最初の所は総論ですので、後で説明いたします。

 まず、1-1「管理運用の基本方針、運用の目標」です。そこの一番右側の所、下の所ですが、「主務大臣による評価」という所を説明いたします。評定に至った理由ですが、今、中期目標期間については、この委員会の前身となる厚生労働省の独立行政法人の評価委員会において、昨年の818日ですが、4年間について暫定評価をやっていただきました。暫定評価結果において、どのような記載があるかといいますと、国内株式についてはベンチマークを下回ったものを運用資産全体の収益額とベンチマークの収益額では暫定評価期間におきましてプラスの超過収益率を得ることができたとして、高く評価されております。1つ段落を飛ばしていただき、「なお」書きの所です。本項目について、中期目標においての年金積立金の管理及び運用の具体的な方針を策定することが書いてありますが、基本ポートフォリオ策定の前倒しなど、いろいろなことがありましたので、第2期中期目標期間に、合計で13回の改正を行っておりますので、過去を相当程度上回っているということで法人ごとへの自己評価を付けてきていますので、事務方()としてはAの評価をしております。

 次は、1-2「リスク管理」です。暫定評価については、市場に影響を与えることなくリバランスを実施して適切な管理を行ったということで、先生方から高く評価されたところです。法人はB評価でしたので、主務大臣よりの評価はB評価です。ただし、今後の課題としては、リスク管理の一層の強化に鋭意取り組むことが望まれるということで課題を示しております。

 1-3「運用手法、財投債の管理・運用」です。評定に至った理由は、暫定評価結果において、平成24年度にエマージングの株式運用を開始したことや、平成25年にはインフラクトラクチャー共同投資等を開始したことということで、収益確保や運用効率の向上に取り組んだとして、高く評価されております。1段落飛ばしていただき、「また」の所ですが、第2期中期目標期間に運用手法の見直しを17回行っており、定量的にも過去を上回っているということで、法人からはAの評価が出てきて、私ども事務方()としてはAの評定をしておるところです。

 1-5「基本ポートフォリオ」です。基本ポートフォリオについては、基本的には、この期間に1回ということで、何か特段の変化があれば見直すという形になっているのが立付けです。評定に至った理由ですが、策定の暫定評価において会計検査員の指摘があり、平成2410月に、より効率的なポートフォリオを策定したということで高く評価いただいております。

 その次の所ですが、前回のこの場でも説明いたしましたが、昨年10月のポートフォリオについては、閣議決定等に基づいて迅速に実施したということで評価できる。更に、「なお」書きの所ですが、迅速性です。基本ポートフォリオについては、例年ですと10か月かけるところですが最後のポートフォリオについては5か月で実施しています。また、回数をどうこう言うのもおかしいのですが、この期間中に2度もポートフォリオをやったということで、S評価としています。今後の課題としては、マクロ経済や市場等の動向を注視しつつ、今回、設定した長期的な前提に変化がないか、年金財政も踏まえて定期的に検証を行い、必要に応じて見直しを検討することが望まれると記載しております。

 1-6「市場及び民間の活動への影響に対する配慮」です。評定に至った理由ですが、暫定評価については、運用受託機関への資金配分や回収に当たって、時期をうまく分散させて慎重に工夫して行ったということで、高く評価されたところです。ここに関しては、スチュワードシップ・コードもありました、株主議決権の行使の状況という言葉がありますが、1つ段落を飛ばしていただき、ミーティングで評価の結果、平成22年度においては国内株式について議決権行使をしなかった件数は132件であったのですが、平成26年度が0件。外国株式において1935件であったのが平成26年度は742件と、顕著に低下しております。法人でA評価を付けてきましたので、Aと認められるということで事務方()としてはAとしております。

 1-7「年金給付のための流動性の確保」です。これは先ほど、法人から御説明がありましたが、年金の給付に関して適切にキャッシュ・アウトすることはGPIFの使命で、特に平成21年の財政検証においてキャッシュ・アウトの増加が見込まれた。また、それまで財投債があって、満期償還によって行えた面があるのですが、それは残高が減少する中で市場影響に配慮しつつキャッシュ・アウトを実施するというのは、非常に難易度が高く重要な課題であったと存じております。

 評定に至った理由は、昨年の暫定評価においても、満期まで債券を保有し、その償還金及び利金を活用することで市場へ影響を与えることなく流動性を確保するキャッシュ・アウト等対応ファンドを設置したというのは法人の創意ある取組として、先生方から高く評価していただいたところです。また、キャッシュ・アウト等対応ファンドの必要性を書いてありますが、一番最後の段落で、平成22年度のキャッシュ・アウト額に占める市場売却額の割合は、このときはこういうものがありませんでしたので、58%の市場売却で賄わなければいけなかったわけですが、キャッシュ・アウト等対応ファンドを設置した結果、平成23年度は4%、平成24年度は0.3%となり、ほぼキャッシュ・アウト等対応ファンドで賄えるということで、非常に定量的な効果が顕著に認められる。これは法人がS評価を出してきましたが、私どもも非常に重要かつ難易度の高い項目であり、顕著な成績が上がったということでS評価という形で事務方()としては記載しております。

 1-8「内部統制の一層の強化に向けた体制の整備等」です。評定に至った理由ですが、昨年の暫定評価においては、平成23年度に法人で内部統制の基本方針を策定し、理事長によって重要情報の適時適切な把握、及び役職員への周知徹底のための体制の整備を行った。経営管理会議等を活用して四半期ごとにちゃんと計画の推移もチェックして、適切に指示を出した。受託者責任についても徹底し、運営リスクについても適宜、洗い出し管理等を行っていたということで、高く評価していただいたところです。

 前回も説明しましたが、運用体制の強化については、ポートフォリオの見直しとともに適切に実施する旨、閣議決定されていましたので、そういうものについて昨年度、取り組んでいただいたと考えております。ただ、前回、御意見がありましたように、これだけで昨年度の評価についてSと見るのはいかがかという意見もありましたので、主務大臣の評価については、評定をS又はAという形にしております。今後の課題ですが、ガバナンスの強化については不断の課題であり、引き続き鋭意取り組むことが望まれると付しております。

 1-9「調査研究の充実」です。主務大臣による評価ですが、暫定評価結果においては、平成2425年度についてもオルタナティブの調査研究を含め、業務に活用したとして高く評価いただいているところです。これについては、法人でB評価を付けてきましたので、そのままB評価ということで、先ほど御説明がありまして、昨今もいろいろ言われていますが、今後の課題としては、情報セキュリティの確保については、国民の関心も高く、引き続き鋭意取り組むことが望まれるという形で付しております。私からは以上です。

 

○山口主査

 ありがとうございました。最初に私のほうから確認の意味も含めて質問させていただきたいのですが、従来、独立行政法人評価委員会で、厚生労働省の中でやっていたのが、今回は各府省の大臣が評価されると。その際に総務省がベースになって、同じ基準でやるということで、従来の厚生労働省の独法評価が、もしかしたら若干、A評定が平均のような感じになっていた場面もあったといえるかと思うのですが。それを厳密にBを新基準の平均とするといった考え方があったと思います。

 そういう意味では、平成25年度までの評定と、平成26年度の評定というのは、質的に変化しているということだと思います。先ほど、御紹介のあった暫定評価というのは以前の独法の中でやりましたので、そういう意味では厚生労働省の独立行政法人評価委員会としてやったということだったと思います。

 そういったことを前提に質問したいのですが、例えばの例として、一番最初の1-1で、今のことをどのようにお考えになったかを聞きたいのですが、平成2225年まではA評価、平成26年は新基準で自己評価Aということでやっていらっしゃると。先ほど評価官からも、以前は5年間の評価をする場合には、各期のものを平均して計算してやっていたのですけれども、必ずしもそうではなくて、新たに5年間を見てどうなのかという観点でやっていただくといったお話がありましたけれども、そういう意味では、A評価と5年間分をまとめてやられている背景について、少し説明していただきたい。つまり、平成26年度だけが新基準のAであるということですね。

 それと、3ページに書いてある各資産のベンチマーク収益率、つまりこの自己評価Aを、ある程度説明するための資料として付いている部分でありますが、これを見ますと、アセットクラスごとの評価で見れば、ベンチマークに対して国内債権で3ベーシスプラス(+0.03)して、国内株式でマイナス16ベーシス(-0.16)、そして外国債権で9ベーシスプラス(+0.09)で、外国株式で1ベーシスプラス(+0.01)だということで、アセットクラスごとに見た場合には、これはそんなに優れている成績を上げているとはなかなか説明しにくい。平均ぐらいであるというようになっていると思います。

 ですから、新基準でいえばBになると思うのですが、もしアセットクラスごとの評価ではなくて、ポートフォリオの変更に伴う効果があったと、アセットアロケーション効果であるというのであれば、そのように書くべきですけれども、それがないといったようなことも含めて、全体の話をする前に、ちょっとこれを例にして、法人のお考えを説明していただけますか。なぜAにしたかという。

 

○大臣官房参事官(資金運用担当)

 立付けだけを所管課のほうから御説明させていただきます。総括表の3ページを見ていただくと、今回の期間評価についての全体像や目標期間の評価があります。先生もおっしゃったとおり、前回の暫定評価では、これらの各項目については、平均すると全てAでした。ただし、今回、説明がありましたように、より客観的にということがありましたので、私どもが法人のほうに申しまして、「そこはきちんと見てくれ」と指摘しましたので、見ていただくと、リスク管理の所はずっとAが続いていたのですが、期間実績評価としてはB、また、調査・分析の充実等についてもBということでした。私どものほうでは、先ほど高く評価されているという所について申し上げた内容については、主として定性的な所を御説明させていただきました、

 また、これから1-1について、法人のほうから具体的な御説明があると思いますけれども、この項目については、各アセットの超過収益率だけではなくて、紹介した具体的な基本方針の策定というのがありましたので、これについては13回もやっているということで、顕著な定量的なものが見られたということです。私からは以上です。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人審議役

 法人の自己評価については、評価項目1-1で申し上げると、資料24ページの「自己評価」という欄の所に記載があるわけですが、この「評価指標」や「評価の視点」も左側の欄にあります。それが56ページに続いておりますけれども、11つこれらの点について、右側に記載しているとおり、法人としてどういう取組をして、どう考えているかというのを記載しております。これを踏まえて、最初の4ページの下の「自己評価」にあるような理由により、「自己評価・評定」をAとさせていただくという考え方です。

 

○山口主査

 より厳密にするという前提でやっていただいているということですよね。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人審議役

 はい。

 

○山口主査

 分かりました。それでは構成員の皆様方の御意見、御質問を承りたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○引間構成員

 ちょうど今、評価基準に類する話が出ましたので、その関係で、続きでお伺いしたいのですけれども、別途、評価のガイドラインみたいなものがありましたよね。その中に、特に定量評価項目については、目標の120%以上の達成でAとすると。それで、100120%でBという記載があったかと思うのですけれども、それに照らしてみて、今回特に、先ほど議論になった1-1の最初の項目、つまり、定量という所で一番関係があるのが、最初の2つぐらいの項目だと思います。

 その点で、例えばAと付けられたということは、目標の120%以上の達成があったということでAと規定しているわけですから、そこの所が何をもって120%なのかというのが、やはりもう一つ分かりません。書かれたものを見ると、「主な定量的な指標」のところ、「第2中期目標期間においては、4資産中3資産において、おおむねベンチマーク並みの収益率を確保し、所期の目標を達成していると考えている」と、こういう記載があるものですから、やはりこれだとベンチマーク並みであればAなのかという記載に読み取れるのですけれども、そこのところが先ほどの評価基準の120%以上というところとどのようにつながるのかというのが、もう一つよく分からない。

 ベンチマーク並みでということであるならば、これはちょっと前回申し上げたことと重複しますけれども、やはりパッシブが8割以上占めているわけですから、大体ベンチマーク並みになってしまう蓋然性が非常に高いということで、この辺りは評価基準としてはどうなのかなということを申し上げたいと思います。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人審議役

 法人のほうといたしましては、この評価項目1-1については、主な定量的指標として、各資産ごとのベンチマーク収益率の確保ということが掲げられていると。その1つが掲げられてはおりますけれども、この項目については、もう少し幅の広いもので、評価の視点にありますようなポイントが多数あるという中で、そういった評価の視点ごとの評価も踏まえ、基本ポートフォリオの策定も大分、早くできたということも捉えて、これは数量的にどうこうという捉え方には必ずしもならない部分もあるかもしれませんけれども、相当早くできているということもありまして、そういった評価の視点の各点の評価、また、自己評価の所に書きました、モデルポートフォリオの策定等を踏まえて、自己評価をこのようにさせていただいたものでございます。主務大臣による評価案のところでは、更に定量的な観点でも評価を頂いていると承知しております。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人理事(総務・企画等担当)(大江)

 私のほうからちょっと補足させていただきます。資料1-1A3縦長の資料の4ページです。右から2つ目の「法人の自己評価」で、左が「業務実績」、右が「自己評価」です。この「評定」という自己評価の所を御覧いただくと、「定量」と「評価の視点」と、それぞれごとに全体として見ようという評価のやり方をしております。御指摘の定量評価については、おおむねベンチマーク並みということで、御指摘のとおりですが、全体として見た場合に、特に平成26年度、目標設定時に想定していなかった、ただ前回、光多構成員からも「いろいろありましたよね」という暖かい御指摘も頂きましたが、そういったことで、目標設定時に想定していなかったモデルポートフォリオを作らなくてはいけないといった目標について、その施行日の前に早く、それを適切に実施して、法律に基づいてやらなくてはいけないようなものを、しっかりと前倒しをして作れたと。こういったことも合わせて、全体として評価をいたしまして、私どもとしては全体としてAだということで、個別の項目だけでなくて、全体としてそのような自己評価を提案させていただいているというところでございます。

 

○光多構成員

 最初に座長がおっしゃったことの確認ですが、今日の会議では、中期の実績評価にかかる意見についてということですから、一応、今日の会議は我々がこれについて、こういうことを申し上げたという意見があったということになるのですか。それとも、この意見を踏まえて、厚生労働省側で評価をもう一遍見直してやるということで、我々の意見はここで埋もれてしまうという形になるのでしょうか。要するに、今の議論をやって評価されるほうと、それに対する意見を言うほうが一致するということは有り得ないわけですよね。ですから、我々の意見というのは、そうすると、ここで埋もれてしまって、あとは厚生労働省がおやりになるときの参考意見になるのか。それとも意見として、こういう意見があったという形が、またどこかに残るのでしょうか。

 

○大臣官房参事官(資金運用担当)

 平成26年の先ほどの前回の会議のときの事務方の評価案についても調整させていただいたと思いますが、先生方から今日の会議で頂いた意見については、また座長等皆様と相談させていただきたいと思います。先ほどもちょっと評価の所で御紹介いたしましたけれども、内部統制については、前回の事務方がSという形でしたが、先生方の意見を踏まえまして、S又はAという形で書いております。

 

○光多構成員

 今日の議論で、やはりこの年金の運用というのは、国民又は関係業界の関心が非常に高いと思うのですね。したがって、そこに対して十分なアカウントアビリティがあるような形が望ましいと思うのですが。例えば先ほど座長がおっしゃいましたように、ここの全体として、運用評価について、国内株式、特にアクティブの所がマイナスになっているわけで、これは別に、だから駄目ということではなくて、そこに対してこういうことだったということの説明を、もちろんいろいろ事情があるでしょうけれども、できる範囲で、もう少しやる。場合によれば評価のここについては、公開される以外のペーパーを出してもいいですから、例えば、アクティブの評価の仕方というのは非常に難しいと思うのですね。ですから、そこを例えば、具体的にこうだったという形を考えていただいて、それで次の期間の評価の参考にするというような形を考えていただいたほうがいいというのが1つです。

 それから、このリスク管理が、確かに評価が平成26年度が変わっているということですけれども、これだけがほかとのバランスで自己評価Bとなると、何かこれは国民からすると、「全体として運用はいいのだけれど、リスク管理がちょっとBだな」という形で、これは、ややまずい印象を与えかねないという感じがいたします。リスク管理というのは法人として非常に大きなウエイトを占めていると思うので、ここについてはちょっとほかとのバランスの中でいくと、逆に、例えば、運用は多少落ちても、リスク管理だけはきちんとしたということが、むしろ法人に期待されていることかもしれません。

 それから、ポートフォリオの所がSという形なのですが、これは確かに御苦労があったと思うのですが、実際にポートフォリオを変えるときに、かなり国会でもいろいろな議論があったわけですよね。そのときにこの法人としてそこをSと評価するというのは、例えば、前ずれにいろいろと検討したというのはあると思うのですけれども、では具体的に何を検討したからSなのだと、具体的に事務的なことを検討されるかもしれませんけれども、法人自体がそこでアクティブな形をおやりになったということなのか。又は、やはり、そこについてのSというのは、国会でのいろいろな議論があったと思うのですが、そことの関係も踏まえて、ここについては、もう少し説明していただいたほうがいいと思います。

 最後ですが、先ほどおっしゃったガバナンスの所ですけれども、現状でいくと、確かにこれは新聞でも取り沙汰されています。議長に決定権限が集まり過ぎているのではないか等ありますが、例えば運用委員会がガバナンスの1つの大きな役割を果たそうとしている。ただ、本当に、それで今後の課題として、そこについては、ややよそ行きの課題の表現になっているという印象を受けるのですけれども。そもそも運用委員会というのは、ガバナンスを目的として組成してきた委員会ではないのではないかと、私は理解していたのですね。

 したがって、本当に法人のガバナンスを担っていくような委員会というのは、今後の課題の中に非常に大きな課題として残っているのではないかという感じがしているわけですけれども、これはちょっとそういう点でいくと、現在の運用委員会をガバナンスの中心委員会として認め、なおかつ、その方向で今後の課題として引き続きやっていくという形ですが、そういう形で対外的に本当によろしいのかどうか。いろいろと上げましたが、意見として申し上げさせていただきます。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人審議役

 まず、各資産別の超過収益の要因の説明が不十分で申し訳ございませんでしたが、この資料で申し上げますと、13ページ以降に、各資産ごとに、国内株式も各年度ごとに追っていただければと思うのですが、こういった形では一応、記載させていただいているところでございます。

 それと、基本ポートフォリオについては、先ほども申し上げましたけれども、私どもとしては総務省の指針なども踏まえて、財政検証等を受けて早期に見直しをしたとか、あとは法人独自の創意工夫を加えた基本ポートフォリオの策定を行った。これが平成26年度の変更ですけれども、それ以前の平成25年度の基本ポートフォリオの変更についても、同様の観点で評価をさせていただいて、これも含めて全体として重要度も高いということで、S評価とさせていただいたものでございます。

 あと、ガバナンスについては、運用委員会につきましては、GPIF法上、当法人の運用の管理、積立金の管理運用の監視ですとか、あるいは意見具申等を行う機関として、位置付けられている組織でございまして、私どもとしては運用委員会も当法人に係るガバナンスの重要な一環であると考えているところでございます。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人理事長

 光多先生のおっしゃることは、いちいちごもっともな点もあるのですけれども、まず最初の国内株式のアクティブの話ですが、これは私も非常に困っているのですよね。何とかならんかと。ただ、正直言って私どもは法律上、何も口出ししてはいかんと。選定してしまえば、あとはお任せするしかない。もちろん途中でモニタリングはしますけれども、かといって「お前の所の運用がおかしいじゃないか」とか「こうやったらどうか」ということは言ってはいけないことになっているのですね。全て投資一任でやりなさいと。

 したがって、その選定のときに、もうちょっと慎重にやればいいのではないかということでありますけれども、やはり、そのときそのときの市場の環境によって、運用の仕方がうまく合っているのかどうかということで、なかなかこれは正直言ってうまくいかないのです。これは本当に私も問題意識をずっと持っていまして、何とかこの間のマネージャ・ストラクチャーとの見直しのときも、工夫は相当したつもりなのですが、それでもうまくいっていないということではあるのですけれども。

 ここは、私どもの努力でできるところと、制度的にできない部分というのが相当あって、そこのところはちょっと御理解を賜ればと思うのです。別に、我々がさぼってやっていないわけでは全くないということです。

 それから、2番目の基本ポートフォリオの話ですけれども、これは私は前からこの席でもときどき申し上げていたのですけれども、これまでの基本ポートフォリオというのは、今の経済環境から見ると、国内の債券については絶対的に高過ぎる。御承知のとおり、直近で言いますと、国内債券の平均利回りというのは、我々は基本ベンチマークがNOMURA-BPIですので、大体、残存期間が8年程度ということですから、たかだか0.3%しか利回りが付かないのですよね。しかも、これから先を考えると、これは金利が上がって価格が大幅に下落するリスクこそあれ、これ以上金利が下がる余地というのはほとんどない。もちろんマイナス金利なんていう国もありますから、絶対ないとはいえないわけですけれども、いわば、金利の下限に近い所にいて、これは収益もほとんど生まないし、将来的には値下がりリスクだけを抱えているような資産だということで、私は着任して以来、いかにしてこの国内債券のウエイトを落としていくかというのが、非常に大きなテーマだと思っていました。

 したがって、機会を捉えて、それまでの理屈のつく範囲内で、突然に理屈を全部引っ繰り返してしまうと、これはなかなかうまくいかない面もありますから、例えば、一昨年の基本ポートフォリオの見直しのときには、従来の手法を使いながら、工夫できる範囲以内で国内債券のウエイトを落としてきたと。昨年の基本ポートフォリオの見直しの際には、これまでと違って、「もっとフォワード・ルッキングでやりなさい」と。それを、今、いってみれば、将来、国債の金利はこれ以上下がらないと、上がることは十分有り得るということを念頭に、いろいろな工夫をして、新しい基本ポートフォリオを作ったということです。別に誰かに言われたからやったとか、そういうことでは全くなくて、ただ勝手にどんどん進めようとしても、これはやはり世の中の理解ないしは主務官庁の理解がなければできないわけですから、そういったムードの変化を捉えて、こういうことをやってきたということであります。

 それから、3番目の運用委員会の話ですね。これは今、審議役からも話しましたけれども、先生のおっしゃることはよく分かるのですが、我々は今の法律の中で生きているわけですね。したがって今の法律の中で、これ以上、内部統制を強化するのに何ができるかと。

もちろん新しい組織に切り換えて、もっとガバナンスの効いた組織に作り直すということはできる、立法論的にはできるわけですけれども、今の状況ではそういうことはできないわけです。したがって、今の法律の中で、ぎりぎり可能な範囲内で、私としては最大限工夫して、今のような運用委員会の活用も含めて、内部統制の仕組み、ガバナンスの仕組みを改めたということでありまして、残念ながら立法論的におっしゃれば、まだまだ私もこれで十分だとは思っていませんけれども、今の仕組みということを前提にすれば、最大限のことはやってきたと、これ以上何かできることがあったら是非、教えていただきたいというぐらいの気持ちでございます。

 

○川北構成員

 いろいろ議論のあるところだと思うのですけれども、私の感じているところを申し上げますと、1点、基本ポートフォリオの所です。これについて平成26年度としてS評価ですが、私自身はそうかなと思っています。ただし、中期目標期間全体を通じて本当にSかといわれると、たまたま去年の10月にポートフォリオを変えて、それで年度としては半年たったわけですが、このポートフォリオが本当にいいのかどうかというのは検証されていないわけです。非常に難しい中で作られたというのは評価できるわけで、平成26年度はそうかなと思うのですけれども、5年間の実績として、本当にそうなのかといわれると、そこの説得性をもう少し高めていただかないと、なかなかS評価というのは難しいのかなと思います。

 それと、もう1点、内部統制に関しては、今、理事長がおっしゃったところは非常によく理解できます。そういう意味で、S若しくはAということで、全体の評価を厚生労働省としては書かれているわけですけれども、ここは外からの見え方としての問題が結構大きいのかなと思います。ですからSとすると、私としてはSでも、おっしゃったように、今の制約の中で精一杯努力されているという意味ではそうかなとは思うのですけれども、でも、外から見ると、本当にこれで十分なのかという意見が非常に強いのだろうと、私自身はいろいろなところを見聞きするにつけて理解しているので、もし、Sを付けるのであれば、この部分の説明が更に必要なのかなと思っています。

 それともう1点、ちょっと細かな点になって恐縮なのですけれども、年金給付のための流動性の確保の部分です。少し前に質問すればよかったのですが、現在26兆円ですか、キャッシュアウト等対応ファンドを持たれているということで、全体が約130とかそのぐらいの資産規模だったと思うので、全体の20%ぐらいになっているわけですね。

 この部分が債券の効率性に対して、若しくは他の資産で持たれているのかも分からないですけれども、全体の効率性に与える影響がどの程度あるのか。極論すれば、現金を持っていればいいということになるわけですけれども、効率性に与える影響の部分を少し補足していただいたほうがいいのではないかと思います。もちろん金利が低いから、現金を持つのと、そんなに効率は変わらないということもあると思いますが。以上、質問とも意見とも付かない点です。その3点が少し気付きました。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人理事(総務・企画等担当)(大江)

3点のうち大きな話を2点、私からお答えさせていただきます。まず基本ポートフォリオは、国の財政検証で5年に1回の見直しが行われる機会に見直すのが基本です。そういう意味で、5年間に1回の大きなチャンスがあるかどうかが基本です。そういった中で、その間の年でもマーケットが急変したり、現在は定期的に検証をするようにというような御指摘を頂いているわけです。国の目標としても。ですから、そういった中で見ると、平成22年度の中期目標が始まってから、いろいろな期間に検証しながらいってきまして、資料1-110ページ、評価項目1-5の図でいくと、平成22年の旧基本ポートフォリオ以来、いろいろな検証をしながら変えずにきて、平成25年になって、このときには国のほうが財政検証の見直しをやっているのですが数字がなかなか出せないという中で、そろそろ現状を見て見直しをしてはどうかという指摘もありまして、逆に言うと、目標が特に新たに示されない中、そういった制約の中で検証し、大変難しい困難な状況の中で、先ほど理事長が申し上げたように国内債券を67から60に落としていくという基本ポートフォリオの見直しを一度させていただきました。

 それから、昨年10月に国のそういった目標変更という動きを踏まえて、時間が限られている中、更に見直しを行ったと。その際には、具体的には本編のA3にも書いているのですが、例えば、ポートフォリオを選ぶ際に、賃金上昇率を下回るときの平均的な、条件付き平均不足率だとか、それから、オルタナティブ投資を少し5%を上限にやるとか、いろいろな工夫をしながらやったということです。私どもとしては、通常、5年に1回の財政検証が、どちらかと言うと定期的にやられる中で、その間の年は検証ということですが、この5年間でこういったいろいろな動き、それはどちらかと言うと割合、足の早いと言うか、急な動きといったことも踏まえながら、しっかり対応できたというところがS評価、自己評価としては、そういった動きも踏まえた適切な対応ができ、また、新しい工夫ができたのかと思っているところです。

 ガバナンスについては、繰り返しになるかもしれませんが、運用委員会からも基本ポートフォリオの見直しに併せて建議が出てきた中で、現行の法制内でできる最大限のことをやってきたというところで、私どもは自己評価をSとしています。補足するとすれば、現行法制の枠の中で、できる最大限のことをやったということを重ねて申し上げさせていただきました。流動性については、部長からお答えいたします。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人企画部長

 流動性について追加ですが、今、川北先生から御指摘いただいたのは、キャッシュ・アウト対応に備えると、その分、収益性が犠牲になるだろうという御指摘だったかと思います。私ども基本ポートフォリオの建付けとしては、キャッシュ・アウト対応がまず有りきで、どこか別に分けられているというわけではなくて、国内債券の中に含まれている1項目ですが、あくまでその4資産の中で、最適なポートフォリオを組むということをやっております。そういう意味では、実際のキャッシュ・アウト等対応ファンドを含む国内債券のパフォーマンスがどうなっているかということを見ていただくことで、流動性の確保というものと効率性といったものが、どんな形で両立できているのかといったことへの回答に代えることができるのではないかと考えております。そういう意味では、色刷りの資料1-13ページに、国内債券の全体的な超過収益率という観点では、中期目標期間内で、+0.03ということです。また、キャッシュ・アウト対応ファンドを組成した以降、若干プラスマイナスがありますが、総じて見た場合には、大きなマイナスといったことが出ていないものと、現時点では評価できると考えております。

 

○安浪構成員

 川北構成員が質問されたキャッシュ・アウト等対応ファンドに関連の質問ですが、キャッシュ・アウト等対応ファンドは名前のとおり、キャッシュ・アウトに対応されるファンドとして設定されていて、御社の決算書から見ると、キャッシュ・アウトというのは、国庫納付金と寄託金の償還、これが大きなキャッシュ・アウトです。平成26年度は国庫納付金が32,000億円で、寄託金償還が15,000億円ですから、48,000億円。平成25年度もキャッシュ・アウトが両者を合わせて45,000億円ですから、今年度は15兆円の利益が出ているから納付金が増えるかも分かりませんが、年間48,000億円、それに対して、26兆円のキャッシュ・アウト等対応ファンドが置かれていると。

 これを読み直すと、第3期中期計画期間中のキャッシュ・アウトに対応するために26兆円のキャッシュ・アウト等対応ファンドを設定している。これは去年より10兆円増えているのです。キャッシュ・アウトに見込まれる金額に対して、持たれているキャッシュ・アウト等対応ファンドは26兆円ですから、年間48,000億円の支出と見ますと、6年分近く持たれているということになります。その支出の時期と金額を細かく計画を立てていけば、もう少しキャッシュ・アウト等対応ファンドを抑えることによってもっと収益性を上げることができるのではないかという気がします。キャッシュ・アウト等対応ファンドを支出する時期と、その金額の計画性というか、そこら辺を細かく見直しをしていけば、このようなたくさんのキャッシュ・アウト等対応ファンドは必要ないのではないかという気もしますので、そこら辺を教えていただけたらと思います。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人企画部長

 御質問ありがとうございます。我々は、キャッシュ・アウト対応という意味では、財政検証を踏まえた今後の見通しということで、例えば毎年5兆円といった数字のキャッシュ・アウトの計画の数字をいただいて、ちょうど同じタイミングに元本の償還があったり、それから、利息の受取りがあったりという形で、そこがピッタリ合うようにしているわけです。5年間とか6年間を見通すと、確かに一見、足もとの5兆円のキャッシュ・アウトと比較すると残高が多すぎるように思われるかもしれませんが、これは今年、来年だけの話ではなくて、要は5年間保有する債券を途中で売らずに、そこで返ってくる満期金や利息を活用すれば、毎年キャッシュ・アウトに対応する形になると、そういう形をあらかじめ仕組んだ、あらかじめ準備したファンドです。1年間ではなく5年間とか、長い期間を見通しておりますので、単年度のキャッシュ・アウトと比較すると、少し大きな金額に見えてしまう、このように御理解いただければと思います。御説明になっておりますでしょうか。

 

○安浪構成員

 キャッシュ・アウトをするというのは、国庫納付金と寄託金の償還で出る分ですね。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人企画部長

 はい。

 

○安浪構成員

 それに備えてのファンドを持っているということだから、当然、支出とその残高を常に見直ししていくという、企業であれば通常、運転資金というのは23か月分持っているとか、そういう感覚から言うと、持たれている残高がちょっと大きすぎるのではないかという気がします。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人理事(管理運用業務担当)CIO(水野)

CIOの水野でございます。御質問ありがとうございます。GPIFのこのような運用に対して、1つ特殊な要因が、他の運用機関に比べてあるとすると、正に評価項目の1-6になりますが、「市場に対する影響を配慮せよ」ということがあります。おっしゃったとおり、今のような寄託金の償還は持っている債券の売却によって賄うこともできるわけですが、私どもは市場への影響を配慮しつつ、できるだけ市場での売却によって資金を作ることなく、満期の償還金をそのような償還に当てるために、売らないポートフォリオを持っておりますという意味ですので、そこにアイドルキャッシュがあって運用されていないということではないことを御理解いただければと思います。

 

○大臣官房参事官(資金運用担当)

 我が国の年金制度については、付加方式に積立金を持っているという制度ですので、給付については、その年の保険料収入が非常に重要です。ですから、保険料収入で足りない分については、先ほどおっしゃられた積立金を取り崩す、若しくは国庫納付を当てるという形です。積立金の年金だけの年金としては違い、いわゆるキャッシュ・フローが、その時々の保険料収入によって変わるところがありますので、当初の予算で5.5兆円で予定しても、税収がそれより良かったら取り崩さなくてもいい。逆にこの期間の最初のほうは日本経済がかなり悪かったので、保険料収入が見込めなかったので、予定外のキャッシュ・フローのようなところも見込んだところもあるのですが、年金制度の仕組み上、必ずしもキャッシュ・フローが固定的ではないということについては申し上げさせていただきます。その上で、水準が適正かどうかというのは、また別の議論があると存じます。

 

○山口主査

 よろしいでしょうか。

 

○光多構成員

 しつこいようですが、2つだけです。1つは、先ほどガバナンスのところは確かに理事長がおっしゃるように、現在の組織規定、現在の制度では、法人としてはここがベストであろうと。ここが限界だろうという形で、これは分かります。ただ、所管勘定の厚労省として、やはりこの100数十兆円を運用する組織のガバナンスとして、これで本当に良いという評価をされるのかどうか。確かにこれ、どう書いても難しいところだというのは分かります。ただ、ガバナンスの強化は不断の課題であり、「引き続き、鋭意頑張ってください」というのは、これはこれでまた誤解を生む可能性もありますので、何かここについては、むしろ書かないほうがいいかなという感じがするぐらいなのですね。要するに、ガバナンス、特に今、いろいろな問題が起こっている中で、組織のガバナンスとして本当に、これを最高位の評価とするという形は、慎重にしていただいたほうがいいのではないかと改めて申し上げさせていただきます。

 もう1点は、先ほどのポートフォリオの話ですが、今、正に理事がおっしゃったように、私はやはり法人は運用のプロだと思うのです。したがって、例えば、基本ポートフォリオが変更した、私、変更するところについて、法人がS評価をするというのは、未だに納得していないのですが。ただ、変更された所に対して、マーケットに非常に大きな影響を与えないで、うまくそこに対して近づけていくと。そこについて、やはり私はいろいろなことを配慮しながら、かつ技術を使いながらやっておられると思うのですね。そこは全然この評価に出ていないのです。ですから、その辺は、むしろ改定されたポートフォリオに対して、プロとして、こういう形をやっているのだということは、私はそこは堂々と述べていただいていいのではないかと思います。以上です。

 

○大臣官房参事官(資金運用担当)

 ガバナンスの所だけを申し上げます。これはあくまで、法人の中期目標等に基づくところの評価ですので、その趣旨でということがまず1点です。

 今、御存じのとおり、年金部会において、法人形態の変更に向けた議論をやっておりますが、仮に変わったとしても、例えば形、器を作って中身伴わずでは困りますので、ガバナンス形態の如何にかかわらず法人の取組については、引き続きしっかりやっていただきたいとは考えております。以上です。

 

○山口主査

 時間の関係もあって次にいきたいのですが、1つだけ、先ほど光多委員から御発言があって、理事長からも御説明がありましたけれども、アクティブ運用の超過収益率の評価については、これは毎年どのようにしたらいいかという議論がありまして、今年はこういう理由で銀行株をたくさん持っていたとかという話があって、この評価をどういうふうに取り扱うべきかというようなことがあると思います。川北先生、どうですかね、こういうアクティブファンドを毎年単純に見ていくというのではなく、何かよい方法とかはないのでしょうか。

 

○川北構成員

 結果論でしかないと思うのですね。法人のほうも委託先のパフォーマンスを3年とか、5年、多分3年ぐらいだと理解しているのですが、そのぐらいで評価されて、それで委託するかどうかを決められている。そういう意味でも、法人全体として、アクティブのところがどういうパフォーマンスだったかというのは、結果として3年とか5年ぐらいのところで評価するのが妥当なのかと思います。

 これは理事長さんが口出しできないのだとおっしゃっていましたが、それはどの公的年金も同じで、具体的な銘柄に関しては、なかなか言えないと思いますが、例えばスタイル的なことを委託されていて、そのスタイルがドリフトしているようなことを客観的に、つまり運用の哲学的な、若しくは運用のスタイル的なところを評価されて口出しをされるというのはあり得るのかと思います。そういう意味では、なるべく市場に影響を与えないような評価、調査や研究とかそういう努力なのかなと思いますけれども。

 

○山口主査

 ありがとうございます。これについてはよろしいです。引き続きこれは課題だと思います。では、先に進めたいと思います。

 続いて、業務運用の効率化に関する事項、それから、財務内容の改善に関する事項及びその他業務運用に関する重要事項に係る項目別評定について議論したいと思います。では、先般と同様の流れで、法人及び法人所管課からポイントを絞って簡潔に説明いただき、その後に質疑応答と進めます。それでは、法人からお願いします。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人審議役

 資料1-1の 23ページ以降です。この項目は評価項目の2-1「効率的な業務運営体制の確立」です。平成22年度はキャッシュ・アウト対応等の機能強化のため、キャッシュマネジメントを司る資金業務課の新設、市場動向分析のための調査室の増員を実施しました。平成25年度は、オルタナティブ投資の開始に向けて運用部を増員し、1,000人体制を構築しました。平成26年度は、効率的・効果的な業務遂行に向け、体制整備を加速しておりまして、CIOの設置、投資委員会の設置、運用リスク管理課の設置、高度な専門的人材を円滑に確保できるようにするための給与水準の改定を行いました。

 これらを踏まえれば、本項目については、第2期中期目標期間における所期の目標を上回る成果を達成したと考えられることから、自己評価をAとさせていただきました。

24ページは、評価項目2-2「業務運営の効率化に伴う経費節減」です。経費節減及び契約の適正化については、適切に取り組んでおりまして、所期の目標を達成したと考えられることから、B評価とさせていただきました。

 具体的に申し上げると、一般管理費・業務経費については、中期目標期間の最終年度での昨年度の予算額は、平成21年度と比較すると、それぞれ15%と5%の節減としたことから、当初の削減目標は達成しております。なお、給与水準は地域・学歴勘案で平成23年度から国家公務員を下回って推移しております。

 契約については、一般競争入札、随意契約における価格交渉による節約を図っています。更に具体的に申し上げると、資料の記載のとおり、事務所借料の平成24年度、平成25年度における引き下げ、年金積立金データ管理システムの保守・運用にかかる業務委託費の引き下げ等を実現しております。また、中期目標期間を通じて、管理運用委託手数料の節減を図ったということがあります。その他としては、平成25年度にはオランダの株式配当金にかかる過去の源泉税について、同国の租税当局と交渉し、48億円の返還を受けることができました。

25ページは、評価項目3-1「財務内容の改善に関する事項等」です。この項目には、重要な財産の譲渡等が含まれております。当法人については、実物資産の関係があり、以前2つの宿舎を保有していましたが、いずれも25ページの記載のとおりです。平成22年度、平成23年度に不動産鑑定価格を超える価格で売却を完了しており、所期の目標を達成しています。この項目全体としては、資料1-2130ページに自己評価を記載しておりますが、財務内容の改善並びに予算、収支計画は適切であり、所期の目標は達成していると考えられることから、自己評価をBとしております。

 最後、資料1-1にはありませんが、評価項目4-1がありまして、「その他の業務運営に関する重要事項」という項目です。資料1-2133ページ以降に記載していますが、主たる事務所の移転等に関して、平成2512月の独立行政法人改革等に関する基本的な方針などを踏まえまして昨年度は適切に取り組むなど、その他業務運営に関する重要事項については、適切な取組を行ってきたと考えており、所期の目標を達成していると考えられることから、自己評価をBとしております。法人からは、以上でございます。

 

○大臣官房参事官(資金運用担当)

 続いて、法人所管課から、資料1-2116ページです。2-1「効率的な業務運営体制の確立」の右側の「主務大臣による評価」を説明いたします。

 この法人については、御存じのとおり、平成2512月に人件費、経費とかについては弾力化というのが行われましたが、それ以前については、他の独法と同じような形で厳しく抑制されておりまして、その中で運用強化ということで、そこに書いてありますが、暫定評価結果においては、資金業務課の新設とか、調査室の体制強化や、管理部門の縮小等をバーターで行ったということで、これは高く評価していただいたということです。

 定量的に評価してみると、2つ下の段落ですが、確かに運用規模が大きくなってもバックオフィスを削減することが、それ自体いいことかどうかということは議論がありますが、総枠が限られておりましたので、平成25年度に管理部門の人員については、平成21年度比で、29.4%の削減という、かなり大きな取組をしたことで、法人からはAの評価が出てきましたので、そのままAで評価させていただいております。

 2-2「業務運営の効率化に伴う経費削減」です。主務大臣の評価については次ページですが、暫定評価においては、これも前回のこの会議において議論がありましたが、運用効果の変化ということもありまして、このときについては、運用受託機関構成の見直しの際に管理運用委託手数料率の更なる低減を図った結果、引き下げが実現したとして高く評価されております。法人からB評価が出てきましたので、そのままBという形で、引き続き、適正かつ効率的な運営に取り組むことが望まれるという形で、課題提示しております。

 3-1「財務内容の改善」に関しては、昨年の暫定評価結果において、法人の中期目標の一般管理費、業務経費については、それぞれ12%と4%という形でやっております。非常に高く評価されているということで、法人からB評価が出てきましたのでB評価、引き続き、適正かつ効率的な運営に取り組むということです。

 その他の業務運営については、先ほど法人から説明いただきましたが、職員宿舎とかについては、きちんと売却せよという話がありましたので、これについてもきちんとやったということで、B評価としております。以上でございます。

 

○山口主査

 ありがとうございました。それでは、2-1から4-1の説明をいただきましたが、ただいまの説明事項について、構成員から御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。

 

○光多構成員

 実際にかなり実業的なビジネスをやっておられて、ほかの独立行政法人の皆さん立派なことをやっておられると思いますが、そこと同じ形の経費節減、それから効率化を図るということに対して、法人からは、何ら問題提起はされないのでしょうか。例えば、何らかの形で経費について、ただ全体として節減するだけではなくて、例えば特別勘定を作って、これについては収入との関係で、収入と支出を一体とするとか、何かいろいろな形の、何かここだけ非常に暗い自己評価もやっておられるような感じがして、少しこの辺については、これだけ実際の実業について、それなりにやっておられるとすれば、少し開き直られる、あおるようなことになるかもしれませんが、でも、いいのかもしれないなと。要するに、例えば、これからデフレからの脱却のようなことがあったりしたときでも、たたいても、ひっくり返しても何も出てこないというところから、やはりこういうことをやらなければいけないのか、そこについては逆に法人として知恵を出されるようなことを、ここでお書きになったらいかがかなと、これはちょっとイレギュラーな発言で恐縮ですが、ちょっと前の前半のほうと比べると、何のためにこれを評価しているのかという感じがしてしようがないのですが。失礼しました。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人理事(総務・企画等担当)(大江)

 私のほうからお答えします。今、光多構成員が御指摘の点は、先ほど参事官のほうの御説明でも経費の弾力化というお話があったかと思いますが、現行の4月から始まっている新しい第3期の中期計画においては、例えば経費の中でも、これからどんどんプロ職員を採用しなければいけないということで、その専門的な人材に関わる人件費は、こういう経費の節減対象外にしましょうとか。それから、システム関係はやはり私どもの運用の基盤になりますので、そういった情報システムに投資する経費は、そういう削減対象外にしましょうとか。新たな事業をどんどんやっていくものですから、事業をやりながら、必要な事業は増やしていって、そこからどう削減していくかというような、いわば発射台を上げていきながら、そこから下げていく方法など、いろいろと国のほうの了解も頂きながら、新しい工夫はしてきております。

 ただ、この第2期のときには、10月に新しい萌芽として、専門人材のところだけは弾力化を一部しておりますが、結局そういう、これまで実は、前の独法評価委員会で先生方から逆に力強く後押ししていただいた経緯からすると、むしろ弾力化すべきではないかというようなことは、実は第3期の中期計画の中では少しそれが花開いてきたというところです。むしろ皆様方の後押しがあって、そういうことができたのではないかと考えております。ただ、第2期のときにはそれが、言わば、まだ間に合っていなかったものがあるというところで御理解いただければと思います。

 

○川北構成員

 全体に関することで少し伺ってよろしいですか。

 

○山口主査

 どうぞ。

 

○川北構成員

 今、光多構成員がおっしゃったこととも関連するのですが、これだけの大きな組織になり、それだけに責任が非常に重いわけだと私は理解しています。そういう意味で、組織全体として、自主性というのか、何かそういうものを発揮し、前面に押し出していただくのがいいのではないかと思います。

 先ほどの基本ポートフォリオの所にも関連するのですが、私の理解では、言われたから対応したという面が結構強かったような印象を受けているのです。組織としてどういうふうに評価されているのかはともかくとして、会計検査院から言われたから対応したとか、財政の観点から指摘されたから、それに対応したとか、そういうふうに私自身は理解しています。

 ですから、環境が時々刻々変化していく中で、どういうふうな基本ポートフォリオが本当に望ましいのか、今後のことを考えると、自主的に基本ポートフォリオの在り方を検証していただいていいのではないか。これは別の公的年金のところで提案したものの実現はしなかったのですが、例えば、海外と国内の株式の比率について、公的年金は全部11にしているわけですが、それがいいのかどうか。世界全体として日本の時価総額が10%を割っている中で、本当に11がいいのかどうか。これは国民の目線からするとなかなか理解し難いところなので、そこを本当に検証されて、若しくは公的年金としては円資産がいいのだというところをきちんと検証されて、それを公表していく、そういう姿勢です。常に世界の環境を見てポートフォリオを決めていく。そういうところを積極的にやっていただければ、更に、よい組織になるのではないかと私自身は思っています。以上です。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人理事(管理運用業務担当)CIO(水野)

 ありがとうございます。今、光多先生、川北先生にエールを頂いたと私は思いまして、有り難く思っております。まず、例えば経費についての弾力化もしております。アセットマネージャーへのフィーの支払いに関しても、今まではとにかくそれを下げるということでやってきたのを、パフォーマンスベースのフィーを導入して、リターンが上がれば、我々はフィーもたくさん払いますが、上がっていない分には払いませんよという形のものを導入したり、そういう意味では、今までの独法の毎年毎年、経費をただ下げていけばいいというものと、我々の業務との整合性が若干なくなっているだろうということは認識しております。その辺りは年金局も同意してくださっていると思いますので、徐々にそういうものが見える形になっていけばいいのではないかと思っております。

 一方で自主性のところですが、実は基本ポートフォリオの決定時には私は運用委員会側におりまして、運用委員として、執行部の基本ポートフォリオ設定の活動を見ていたわけですが、極めて自主的にいろいろなアイデアを取り入れていて、正直、私が入ったときには、思ったよりやるなと思ったぐらいでした。ちょっと外からは、押し付けられてやっている感じがどうしても見えやすい組織ではあります。というのは、今の仕組みの範囲を超えたところでいろいろ活動しています、あるいは検討していますと言うことそのものが、なかなかはばかられる組織ですので、常に何となく受け身の印象を与える組織ではありますが、実際は私も中に入ってみまして、かなり先を見て、内部では自主的に動いているということはフェアに見て申し上げられるのではないかとは思っております。

 ただ、ステークホルダーとのコミュニケーションも含めて、もう少し分かるような形で、その辺りを出していければいいのではないかというふうには心掛けていくようにしたいと思っております。

 

○大野構成員

 若干、感想めいた意見になってしまうのですが、この評価というのが、中期目標の目標の立て方にかなり依存してしまうようなところがあるかと思います。ですので、目標に対して120%以上達成させられているかどうかというところがAかどうかというところですが、もともと高い目標を、もともと難易度の高い作業に関して、その目標を120%以上達成させるということが難しいというのは当然のことです。その辺りの、今、第3期中期計画を立てられて、目標を作られていらっしゃるというお話を伺いましたが、そういった点で、法人の独創性などといったところを是非、もっと前面に出せるような形で作成していただければとも思いました。

 若干、印象めいたことで申し訳ないのですが、例えば、評価項目の中の「調査分析の充実」などは、やっている内容は難易度の高いことだと思います。ここでの実績を、実際の運営に反映されて。新しい運用手法が導入されたというようなところで、導入というところでも様々な難易度の高い作業があるかと思います。ですが、これは目標と照らし合わせてBだというような評価が今回されていらっしゃるわけです。それと比べて、例えば「透明性の向上」、これも重要な項目でもありますが、日本語から英語の情報ディスクローズを増やしたといったようなところで、いろいろな大変なというか、作業量も増えたところもあるかと思いますが、私の視点から見れば、「調査分析の充実」等のほうが難易度の高い分析であって、でもこれは、しっかり実際に活用されたというところで評価されていらっしゃいますし、これは今後の法人の創造性を高めていくところにも十分につながっていくようなお話だと思います。

 どのような活動をされて国民に貢献しているかというところの評価が、SABというようなことで記号化されて伝達されるということになるかと思うのですが、そもそも目標に対する達成度というところですので、その目標の立て方、あとは各項目の重要度や難易度の違いがそもそもあるかと思いますので、単純にこのSABの羅列を見て、この法人の頑張っていらっしゃったそこの業績を、果たしてそれで評価できるのかという、光多委員が先ほどおっしゃったリスク管理がBであるというのは、多少問題のある、国民に対して発する情報としてはいかがなものかというようなお話もありましたが、そういった各項目の重要度、難易度と照らし合わせながら目標設定といったところの御検討を頂けるとよろしいのではないかと。若干、感想めいた話で恐縮ですが、以上です。

 

○引間構成員

 今のお話とも少し絡みますが、やはりどうしてもこの会議というのは、あらかじめ決められた目標なり、その評価の視点というのが前回のペーパーでも出ていたと思いますが、評価の視点を所与のものとして、それに対してどうだったかという評価になっているわけです。同じように重要なのは、評価の視点自体も、あるいはその目標自体も、不断に見直しをしていかなければいけないのだろうなということが、会議の場でもいろいろなケースで出てきていると思うのです。

 今回も話がありました、例えばパフォーマンス評価の在り方1つ取ってみてもそうですし、リスク管理の仕方1つ取ってみても、評価の視点の適切性自体に議論の余地があります。例えば現在であれば、いわゆるベンチマークに対する相対的なリスクの管理というのは非常にしっかりやられている。株式にしても、そのベータであるとかトラッキングエラーであるとか、債券の場合はデュレーションなどの管理はしっかりやられているのだけれども、より重要なポートフォリオ全体のリスクプロフィールがどういうふうになっていて、どういうふうに変化しているのかとか、各アセットクラスのベンチマークそのもののリスク特性の変化がどうなっているか、といったあたりは分析として見えてきていません。先ほども、例えば国内債券のベンチマークの話で、デュレーションが8年で非常に長期化していてという話も出ましたが、その辺りのペンチマークそのものが持つ、例えば内在しているようなリスクが時系列的にどういうふうに変化しているのかといったようなリスク管理を、やはり多面的にやっていく必要がある。そういうようなところも、評価の視点の中に新たにどんどん取り入れていくことが重要ではないかと思います。

 更に申し上げますと、アクティブ・パッシブ比率の辺りも、「パッシブが中心の構成になっているか」という評価の視点になっているわけですが、これはもう、運用資産規模からいってもパッシブ中心にならざるを得ないわけで、より重要なのは、いわゆるアクティブ・パッシブの比率というのは、各資産クラスごとにどういった比率がこのサイズのポートフォリオにとって適切なのかというところは突き詰めてみると、かなり大きなテーマであったりするわけです。現状でも、例えば4資産を比べてみると、外債のところのアクティブ比率がほかの3つよりも高くなっている。それは、しっかりした考え方の下にそうなっているのかとか、あるいは、23年前に円債のところのパッシブの比率が10ポイントぐらい上がっているわけですが、これはどういう考えの下にそうなっているのかとか、そういったような、単にパッシブ中心になっているかどうかというような視点ではなくて、「より適切なアクティブ・パッシブ比率というものを不断に検証している」といった形の評価の視点を、やはり不断に見直していくのが今後必要なのではないかと感じました。

 

○山口主査

 何か法人のほうからはよろしいですか。ほかに構成員の皆さんのほうから御意見、御質問等はありますか。

 

○光多構成員

 いろいろ申し上げましたが、そもそもこの評価は何のためになるのかというと、これでボーナスを決めるためではなくて、本当に御苦労が多かったこの期間で、いろいろな形で悪戦苦闘して、いろいろな形で創意工夫してやってこられて、では、どういう形が、今、課題になったのか。ではどうしたら次の期間は良くなるのかということ、要するに、より良き状態に行くために評価しているのだと私は思うのです。

 私も実際に企業の中で自己評価して、上役といろいろにらみ合ったりしたのですが、要するに、何のために評価しているのですかというと、やはり、より良きシチュエーションのためにやるわけであって、したがって、何かこの評価の中で、例えばこういう形でこれは大変だったとか、こういう形でやったとか、この辺りはやはり問題だと。次はどういう形に持っていくか。そこにつながるような評価、自己評価又は我々との議論という形がないと、これは何のためにこの評価をやっているのかというのが、それ自体が評価されるのではないかという感じがいたします。

 それから、私が前回申し上げたのは、この総合評価というのは、全体の平均ではなくて、例えば、ここのところは中期計画との比較で技術的に評価していかざるを得ないかもしれないのだけれども、要するに、全体としてどうだったのか。ここの中期計画の中の評価項目にないことも含めてという形で総合評価という形。例えば、ここの評価はそれぞれやるとして、全体として中期計画ではとても見通せなかったようなことがあって、そこに対して総合的にはやはり限度いっぱいやったのかなという形の評価も含めて総合評価をやっていいのではないかという形で、前回は申し上げたつもりです。以上です。

 

○山口主査

 ほかにはよろしいでしょうか。それでは続きまして、法人の監事及び理事長から、中期目標期間における中期目標の達成状況等を踏まえて、今後の法人の業務運営等についてコメントしていただければと思います。最初に法人の監事から、続いて法人の理事長よりお願いいたします。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人監事(吉江)

 法人の監事の吉江でございます。2点申し上げたいと思います。1点目は、今後の法人の業務運営についてですが、これは前回、17日に申し上げたものと同じです。平成27年度からの中期計画を達成するために、本日も構成員の先生方から御指摘がありましたように、より自主的に、そしてより創造的に運営していくためには、内部統制システムを計画どおりに整備・運用していくことが非常に重要だと認識しております。

 次に、監事業務自体です。今回の通則法改正による独立行政法人改革においては、法人の内部ガバナンス強化が大きな柱の1つでしたが、その中に監事機能の強化があります。これは、独任制の長を牽制して、法人がミッションを遵守し、効果的かつ効率的に業務運営を行うためには、監事の役割が非常に重要であるとの考えによるものだと理解しております。このような法改正の趣旨に十分に留意して、新制度に対応した適切な監査を行い、また、監査の妥当性についての説明責任を果たしてまいりたいと考えております。以上です。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人理事長

 理事長の三谷でございます。先ほど来、個々の評価項目について細かく御議論いただいてまいりましたが、私としては、この第2期中期目標期間において全体として特筆すべきものは、期間中、金額にして39兆円強、年率で見て6.53%の高収益を確保したことだと考えております。運用環境に恵まれたこともありますが、国内債券の利回りが著しく低水準にある中で、国内債券の比率を基本ポートフォリオに比べて低めに維持するとともに、2度にわたって基本ポートフォリオの見直しを行ったことが、運用利益の拡大に相当程度寄与したことは間違いありません。年金積立金の運用は、長期的な観点から評価すべきことは言うまでもありませんが、第2期中期目標期間において、私どもの運用が、その目的である年金事業の安定に大きく貢献したと、私としては自負しているところです。

 次に、今後の課題です。これは前回も少し申し上げましたが、まず挙げられるのが、分散投資を一層進めていくことだろうと思います。債券運用がほとんど運用という形をなさない中で、いかにリスクとリターンのバランスを図りつつ運用していくかというのが大きな課題ですが、そういった中で、やはり、非伝統的な資産も含めて、いろいろな形での運用の多様化、分散化を進めていくことが是非とも必要だろうということですし、そういったことを着実に進めていきたいと考えております。

 このほか、直接、運用とはやや離れた部分ではありますが、より適切なスチュワードシップ・コードの責任の在り方の検討や、ESG投資の導入如何とか、インハウス運用の一層の活用、リスク管理体制の一段の充実等々、様々な課題を引き続き抱えておりまして、第3期中期目標期間を通じて、これら一つ一つにしっかりと取り組んでいきたいと考えております。

 その際、重要なのは、それぞれの分野での専門家をどうやって採用し、育成していくかということですが、一昨年末の閣議決定を受け、昨年、外部コンサルタント会社を活用して、任期制の運用専門職員の給与体系を定めたところです。今後、各分野ごとに逐次、専門人材の採用を進めるとともに、一般の職員についても、採用や研修を通じて専門性の一段の向上に努めていきたいと考えております。以上です。

 

○山口主査

 ありがとうございました。ただいまの御発言について御意見、御質問等ありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。

 それでは最後に、項目別評定におけるこれまでの議論や、ただいまの法人の監事及び理事長の御発言などを踏まえまして、法人全体の状況について評価する総合評定の議論に移りたいと思います。最初に、法人所管課より、総合評定について御説明をお願いいたします。

 

○大臣官房参事官(資金運用担当)

 資料1-2「中期目標期間業務実績評価書()」を御覧ください。1ページの4に、この法人に対する評価に関する重要事項が書いてあります。これは評価方法が変わりましたが、前の独法評価委員会の暫定評価においては総合評定はAになったという歴史的事実。あと、前回も御説明がありました、今、理事長からもありましたが、この法人については、他の独法と違いまして、法律で、年金積立金の運用が年金財政に与える影響をちゃんと評価しなさいということが規定されている。3つ目は、前回と同じで、閣議決定で、法人の取り組むミッション等について付与されているという前提があります。

2ページです。それを踏まえた総合評定ということで、まずは「2.法人全体に対する評価」です。これは項目別評価に並ぶところですが、ここについては、閣議決定に基づくところの取り組むべき事項についてきちんとやっている。あとは、私どもは年金の給付については、おおむね名目賃金上昇率で上昇しますので、名目賃金上昇率からどのぐらい上回っているか。これは現行では、長期では+1.7になっているわけですが、5年間の平均では+6.13という形になっていますので、大きく上回ったということで評価させていただいています。

 このような評価からいきますと、全体評定のところですが、暫定評価結果も踏まえ、閣議等において法人が取り組むべきとされた事項に関する実施状況、年金財政に与えた影響の評定等に基づき、先ほど光多先生からもお話がありましたが、このような事情等に鑑み、所期の目標を上回る成果が得られたと認められるため、評定としてはAにしております。以上です。

 

○山口主査

 ありがとうございました。ただいまの御説明について、構成員の皆さんのほうから御意見、御質問等ありましたらお願いいたします。

 

○光多構成員

 「課題、改善事項など」という項目があるわけですが、これは「運用改善等とガバナンス強化は不断の課題であり、引き続き鋭意取り組むことが求められる」と。これは個々の項目の中で、この「課題、改善事項など」という形で書かれたのは、この2つだったということでしょうか。

 

○大臣官房参事官(資金運用担当)

 いいえ。項目別評定については、いろいろ個々にその箇所でそれぞれ書かれていますが、GPIFの運用については、うちの大臣はいつも運用の改善とガバナンス強化ということで、この運用改善の所に「等」は付けてはありますが、そういう中身のものと、器のガバナンスは一体ということですので、総括的に表現させていただいたところです。

 

○光多構成員

 そういうことですね。前は、評価していながら、何かやはり、運用改善とガバナンス強化のところだけがちょっと欠けているような印象を受けたものですから、「不断の課題であり」という所がちょっときつすぎるのかもしれませんね。「重要な課題である」とか「永遠の課題である」とか、何かそういう形なのかもしれませんが、後の項目の中で、その2つを特に重要視して大きく書いているということで、これに書かれたということですね。

 

○大臣官房参事官(資金運用担当)

 おっしゃるとおりで、例えば、1-1の所で、何回か御議論がありました超過収益率の話につきましても、概括的ですが、個別項目の所では課題として挙げさせていただいたところです。

 

○川北構成員

 その課題の所の「運用改善」の「改善」というのが多少気になるのですが、何かいい言葉がないのか。むしろ、「運用とガバナンス強化」というのが、つまり不断の課題だというほうがいいのではないか。上のほうの評価の所で、「評価は中長期的に行うべきものであるものの、第2期中期目標期間の平均で名目賃金上昇率を6.13%大きく上回る」と書いてあるので、これはかなり良い数字だと思うのです。ですから、そことの対比で言うと、更に改善するというのは、ある意味では非常に酷な目標というか、もっとリスクを取れなどというような目標にも受け止められかねないので、「改善」というのを少し変えていただいたほうがいいような印象を持ちました。

 

○山口主査

 そのほかに御意見はありますか。第2期中期目標期間の評定がAであるということについては、特に異論はないということでよろしいでしょうか。

 それでは、以上で本日の議事を終了したいと思います。最後に、法人及び法人所管課より一言頂ければと思います。よろしくお願いします。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人理事長

 本日はお忙しいところ、ありがとうございました。私どもに対しては、様々な立場からいろいろな御意見、御批判があるところですが、私としては、本年3月に定められました投資原則、行動規範を遵守しつつ、第3期中期目標期間を通じて、年金保険者の利益のため、受託者責任を全うしてまいる所存です。引き続き、よろしく御理解、御支援のほどをお願い申し上げます。

 

○大臣官房参事官(資金運用担当)

 法人所管課でございます。今回は、前回もそうですが、新しい検討方法の中、非常に活発で建設的な御議論を頂きましてありがとうございます。この御意見を踏まえまして、評価書の事務案はさることながら、法人の実質的な運営に、先ほど来、将来的に実のある話という形がありましたが、将来につながるような形になるよう、私どもとしても法人ともども取り組んでいきたいと考えております。

 この後、事務方()については、また座長等とも御相談させていただきますし、また、大臣のほうで最終的な評定という形がありましたら、それについても送付させていただきますので、よろしくお願いいたします。以上です。

 

○山口主査

 ありがとうございました。ただいまも御発言がありましたように、法人所管課におかれましては、本日の構成員の皆様から頂きました御意見等を踏まえて、評価書の内容の修正等について御検討を頂き、内容の最終的な確定をよろしくお願いいたします。

 事務局から、今後の流れについて連絡をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐

 今後の流れについて御連絡いたします。本日御議論いただきました年金積立金管理運用独立行政法人の中期目標期間実績評価につきましては、この後、本WGにおける御意見や、法人の監事、理事長のコメント等を踏まえまして、先ほど参事官からもお話がありましたとおり、厚生労働大臣による評価として最終的に決定をし、その評価結果につきましては、法人に通知をするとともに公表いたします。決定した内容につきましては、後日、構成員の皆様にもお送りいたしますのでよろしくお願いいたします。

 最後に、本日配布いたしました資料の送付を御希望される場合には、前回と同様に、机上にそのままにして御退席いただきますようよろしくお願いいたします。事務局からは以上です。

 

○山口主査

 それでは、本日は以上とさせていただきます。長時間にわたり熱心な御議論を頂きまして、ありがとうございました。


(了)

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