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2015年8月21日 独立行政法人評価に関する有識者会議 労働WG(第6回) 議事録

○日時

平成27年8月21日(金)9:28~11:53


○場所

中央労働委員会労働委員会会館講堂(7階)


○出席者

今村主査、酒井構成員、志藤構成員、柴田構成員、田宮構成員、戸田構成員、中村構成員、宮崎構成員

○議事

(以下、議事録)

○今村主査

 それでは、皆様お揃いになりましたので、ただいまから第6回独立行政法人評価に関する有識者会議労働WGを開催いたします。構成員の皆様におかれましては、お忙しい中、お集まりいただき誠にありがとうございます。本日は小西構成員、関口構成員、高田構成員、松尾構成員が御欠席でございます。それでは、本日の議事について事務局から説明をお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 それでは、本日の議事につきまして御説明いたします。本日の議事は、お手元の議事次第のとおり2つあります。まず1つ目として、平成27年度が中期目標期間の最終年度に該当する、労働安全衛生総合研究所の「中期目標期間見込評価」に係る意見聴取についてです。参考資料11ページを御覧ください。「中期目標期間見込評価」についてですが、こちらは独立行政法人通則法第32条第1項第2号の規定に基づきまして、中期目標期間の最終年度に実施される「中期目標期間終了時に見込まれる業務の実績の評価」であり、目標期間における達成状況等を考慮し、年度評価と同様に、項目別評定と総合評定により行うこととされております。これらは、通則法第35条の規定に基づき実施します「中期目標期間終了時の法人の業務の継続又は組織の存続の必要性その他その業務及び組織の全般にわたる検討」いわゆる「業務・組織全般見直し」や、通則法第29条の規定に基づき実施いたします「次期中期目標の策定」に活用することを目的として実施するものです。

 続きまして、2つ目として本日は、「中期目標期間見込評価」に加え、先ほど御説明をいたしました、業務・組織全般の見直しに関する内容につきましても、本WGの御意見を賜ることとしております。この業務・組織全般の見直しについてですが、通則法第35条の規定を根拠として、主務大臣が中期目標期間終了時までに、法人の業務の継続、又は組織の存続の必要性その他その業務及び組織全般にわたる検討を行い、その結果に基づき業務の廃止、若しくは移管又は組織の廃止その他の所要の措置を講ずるもので、次期中期目標の内容に反映することを目的として実施するものであります。

 なお、本WGにおける業務・組織全般の見直しに関する事項の取扱いにつきましては、参考資料1の別添13ページの「独立行政法人評価に関する有識者会議開催要綱」の3.意見聴取の対象の中には明示的には含めておりませんが、法人所管課の意向等を踏まえ、3.意見聴取の対象における第4(その他1から3までに掲げる事項に関し重要な事項)、この号に該当するものとして整理をした上で、本WGの御意見を賜ることとしております。

 また、本日御意見を賜わります労働安全衛生総合研究所につきましては、本年の4月に成立いたしました「独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備等に関する法律」の施行に伴い、来年の4月に労働者健康福祉機構と統合し、労働者健康安全機構となることが予定されております。このため、本日御議論いただきます「中期目標期間見込評価」そして、「業務及び組織全般の見直し」につきましては統合後の新法人、つまり「労働者健康安全機構」にかかる中期目標の内容に反映させていくことになりますので、よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。

 

○今村主査

 それでは、労働安全衛生総合研究所の中期目標期間見込評価について議論していきたいと思います。初めに、「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項に係る項目別評定」について議論したいと思います。法人及び法人所管課からポイントを絞って簡潔に御説明いただき、その後に、質議応答という流れで進めていきたいと思います。よろしくお願いいたします。それでは、法人のほうからお願いいたします。

 

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長

 労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長の永田です。説明させていただきます。まず、1-1労働現場ニーズの把握と業務への積極的な反映です。パワーポイントで言うと5ページです。最初の4枚分は、前回、第1回のときに御説明させていただきましたので省略いたします。評価書は47ページの所になります。これにつきましては、まず行政との連絡会議等右の上になりますが厚労省との意見情報交換会の実施、必要な調査研究課題の実施等を行っております。また、労働現場のニーズの把握ということでは、研究員が赴いた数が1,043という実績になっております。また、労災病院との協同研究ということで、保健医療職の交代勤務に関する研究、石綿に関する研究等も実施いたしております。それから、右の黄色い真ん中辺になりますが、関係業界団体、安全衛生関係団体との意見交換等も行いまして、ニーズの把握に努めたということで、着実に実施したということで自己評定をBとしております。以上です。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

 それでは、安全衛生部計画課釜石と申します。よろしくお願いいたします。評価書()5ページを御覧ください。主務大臣による評価、評定Bとしております。先ほど、法人のほうから説明がありましたように、あらゆる機会を利用して労働現場のニーズ、あるいは関係者の意見を積極的に把握している、そういうことに努めていると評価できます。また、把握したニーズ等を調査研究業務に反映しているということでBとしております。今後の課題につきましては、平成284月に予定されている、労働者健康福祉機構との統合に当たって、これまで以上に労災の臨床例等を調査研究業務に活用するということなど、より高い統合効果が得られる取組が求められる。また、これまで研究所において取り組んできた労働現場のニーズの把握については、統合によって取組が後退することがないように、調査研究体制の維持を求めるということです。以上です。

 

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長

 続いて、資料1-2の重点的な研究の実施です。この所は自己評定をAとしていることと、非常に重要な場所ですので、少し丁寧に説明させていただきます。

 まず、過労死センター、これは前回御説明させていただきましたが、昨年に急遽設立して、現在は、もう既に活動を始めております。過労死研究について、これから重要な研究成果を提示していけるものと考えております。

78ページ以降です。東日本大震災の件があります。これは若干年数がたちましたけれども、震災当初は非常にいろいろな問題、特に労働安全衛生上の課題が出てきましたので、従来実施していたプロジェクト研究の課題を方針変更、軌道修正して、温熱ストレスに関する研究は屋外の建設作業が対象でありましたが、原発の復旧作業のほうにシフトをし、オフィス環境の化学物質についての研究は、化学・生物因子から節電オフィスへの温熱因子へと、熱中症対策、それから節電対策に対応できるようにプロジェクト研究を修正して実施したということです。

8ページは、基盤的研究で実施したものですが、例えば、がれき解体工事における労働災害の分析、それから補修工事における屋根、建物からの墜落災害についての対策。被災地域における過重労働に対する研究、それから、石綿の廃棄物、船舶解体の石綿飛散が問題になりました。そういったものについて、震災が発生した年の平成237月から9月にかけて研究を立ち上げて実施いたしました。

9ページのがれきについての災害の分析は、真ん中より下のほうに書いてありますが、コンクリート建屋の解体時に、壁の倒壊の災害が多いということを把握し、厚生労働省に報告いたしました。屋根からの墜落災害については絵で示していますが、具体的にこの方法で行うと、安全に作業ができますということを提示しております。

10ページは、行政要請研究です。これは行政からの要請があって研究を開始したものです。除染作業を行うときに、放射性物質を吸ってしまって、内部被ばくするということで、被ばく線量の管理のために、浮遊粉じん濃度の評価をする研究をいたしました。

1112ページは、プロジェクト研究と基盤研究、これは前回も御説明させていただきましたので、省略いたしますが、着実に実施したということです。

13ページです。これは、後の行政への貢献の所にもちょっと関係がありますので、ここは丁寧に御説明いたします。食品加工用機械、鉄骨の切断機等、いわゆる建設用車両系建設機械に関する研究を行いました。食品加工用の機械は、従来から非常に災害が多いということが言われていて、どういう対策を講じたらいいかということについて研究を行いました。平成20年から平成24年まで、今の期間の前から開始していますが、結論が出たのがこの期間中ということで、その際にどういう対策が有効かということで、例えば、刃を囲うとか、インターロックをするとか、それから掃除するときに機械のほうがどういうようになったらいいか、つまり、動いてもいいけれどもゆっくり動くとか、単純に止めたらいいということではないので、そういったことについて提示させていただき、それを受けて、平成25年に食品加工用機械の安全対策の規則改正が行われました。これについては、例えば直ちに事故件数が半分に減ったというような数字は出ていないのですが、必ずや事故の件数が減ることを期待されているものです。

 車両系建設機械に関しては、鉄骨の切断機とか、コンクリートの圧砕機、解体用のつかみ機といったような物について事故が多いということ。また、その事故の内容を分析し、行政に報告して、それを受けて、それらの機械について対策が必要だということで、平成25年に改正が行われ、対策が進められているということです。また、これらについても、今後、必ず事故が減っていくことになろうかと思います。

14ページは、先般、御説明いたしましたので省略いたします。

 こういった過労死センターの設立、それから、震災時の緊急対応、またプロジェクト研究、行政要請研究等、着実に研究を行い、成果を出しているということで自己評定をAとさせていただいております。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

 評価書()8ページを御覧ください。こちらは当該項目の重要度、難易度の欄です。第1WGの年度評価のときは、ここは空欄でしたが、重要であると考えている旨、御説明したところです。過労死等の多発を受けて議員立法により、昨年6月に「過労死等防止対策推進法」が成立し、国に過労死等の調査・研究の実施というのが課せられたわけです。これは極めて重要なものだということで、その主要な役割を労働安全衛生総合研究所が担うことになったということで、重要度「高」を設定させていただいたものです。評定については9ページを御覧ください。

 主務大臣による評価はAということです。先ほど、法人からも説明がありましたように、プロジェクト研究を重点的に研究員の人員を投入しておりますし、基盤的研究もプロジェクト研究につなげられるような取組もしております。また、行政要請研究についても、先ほど説明で勧めがあったような食品加工用機械、あるいは車両系建設機械、さらに足場の研究をしていただき、規則の改正につながったということ。あるいは東日本大震災への対応、更に「過労死等防止対策推進法」の成立を受けて、111日の法の施行に合わせて過労死等調査研究センターを設置して、研究に直ちに着手したということで、高く評価できると考えており、そのようなことで評定をAとしております。

 今後の課題については、先ほども若干触れましたが、安衛研が持つ労働災害防止の基礎・応用研究機能と労災病院の持つ臨床研究機能との一体による研究の充実によって、統合による相乗効果を最大限発揮する。それから、その研究所の調査研究業務については、後退することがないように体制を十分に維持するということです。そのようなことが国会審議の際、参議院厚生労働委員会による附帯決議で求められたということで、今後の統合後の研究については、相乗効果を最大限発揮できるように、例えば、労働者健康福祉機構で収集している「病職歴データ」と略しておりますが、病歴、職歴データを活用した化学物質による健康障害の調査・研究など、幾つかの研究分野について、両法人の両研究部門が一体的に取り組める研究を開始するといった取組が求められます。

 また、日本バイオアッセイ研究センターで実施している化学物質の有害性調査を、新法人の業務として実施することになっております。これを研究所の行う基礎・応用研究の充実に活用するような取組も求められます。今までの研究についても、引き続き質、量の相当の取組が求められるということです。

 

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長

1-3、研究評価の実施及び評価、結果の公表です。これについては内部評価、外部評価の実施をしております。平成25年には内部評価規程、外部評価規程も改正して、現在は事前評価、中間評価、終了評価という3段階で評価を実施し、かつ外部評価の際には、内部評価の客観性・公正性が適切であったかということについても評価をいただいております。内部評価、外部評価は適切に実施していることと、それから、左の欄の下のほうに、内部評価の客観性・公正性について、平成25年度は3.57、平成26年度は3.83ということで、適切に実施しているという評価をいただいたと考えております。内部評価、外部評価について着実に実施したということで、自己評定Bとしております。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

 評価書()14ページを御覧ください。主務大臣による評価はBということです。先ほど法人の説明があったように、内部評価、外部評価を適切に実施している。また、関係の規程も適切に改正をしているということで、Bとしております。

 今後の課題については、附帯決議の指摘もあり、統合後の研究所の研究に係る内部評価、外部評価については、統合による相乗効果を最大限発揮できるような、法人の両研究部門が一体的に取り組む研究を評価する項目を追加して行うことなど、より高い統合効果を得るための取組が求められると考えております。

 

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長

1-4-1、成果の積極的な普及・活用です。国内外の基準制定・改定への科学技術的貢献ですが、中期目標期間の累計でその反映例が53件です。目標は、中期目標期間中に累計が50件以上になるようにということです。53件というのは4年での実績です。5年の予測では66.3になるということで、達成率が133%になります。反映の例としては、先ほど御説明した食品加工用機械、足場からの墜落の対策、それから車両系建設機械、また、労働衛生関係で、「職場における腰痛予防対策指針」という20年ぶりの改正をやっていただきましたが、それの基になる研究を行ったということで、非常に行政に貢献できたと考えております。また、JISISOの委員会等にも委員として参画し、協力させていただいているということで、自己評定をAとさせていただいております。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

 評価書()18ページを御覧ください。主務大臣による評価は、評定Aです。先ほど法人からも説明があったように、研究成果が労働安全衛生法令に反映されたものが4年間の累計で、既に中期目標期間中の達成目標を達成しており、また、内容についても、食品加工用機械、足場、鉄骨切断機等、また、腰痛といったもので、質の面でも国の安全衛生水準の向上に大きく寄与する改正に直結する研究成果を上げたということで、高く評価できると考えております。以上を踏まえて、評定をAとしております。

 

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長

1-4-2、パワーポイントで17ページです。学会発表等の促進ということで、論文発表については研究員1人当たりの実績が累計で16.9報になります。数値目標は中期目標期間中に累計で10報、現時点で既に170%の達成率になりますが、5年予測にすると、年210%となります。

 講演・口頭発表については、実績は累計で17.5回、中期目標期間中の目標が20回ですから、まだそこまでは達していませんが、予測でいくと21.9回ということで、達成率が110%です。論文発表と講演・口頭発表を総合的に勘案して、自己評定をAとさせていただいております。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

 評価書()21ページを御覧ください。主務大臣による評価はAです。今、説明がありましたが、講演・口頭発表数が目標を上回る見込みで推移していること。それから、論文発表については2倍を超える見込みであるということ。その内容についても、多くの論文賞を受賞しているということで、高く評価できると考えております。以上を踏まえて、Aとしております。

 

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長

1-4-3、インターネット等による研究成果の情報の発信です。まずホームページのアクセス目標が累計で325万件、実績として587万件ということで、既に大幅に目標をクリアしております。5年予測で計算すると、達成率が226%になります。メールマガジンについては、月1回、原則として発行しております。研究成果の公表については、毎年研究所の年報の形で公表しております。プロジェクト研究については、終了したものについて各年ごとに終了したものをまとめて、1つの報告書として公表しております。

 技術資料、技術指針という形で研究成果を広く皆さんに知っていただき、また活用していただくという形で本にまとめております。またそれをホームページに全部載せていますので、それをそのままダウンロードして印刷して、使っていただけるような体制を組んでおります。ホームページの目標達成も大幅にクリアしているということもあり、自己評定Aとさせていただいております。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

 評価書()23ページを御覧ください。主務大臣による評定は、評定Aです。評定に至った理由は、先ほど法人の説明があったホームページへのアクセス数が目標を大幅に超えているということ。それに向けて様々な工夫も凝らしております。また、メールマガジンも適切に計画どおり発行していることで、Aとしております。

 

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長

 パワーポイントの19ページです。講演会等の開催ですが、安全衛生技術講演会等目標は3回以上ということで、安全衛生技術講演会は11回、そのほかに、全国産業安全衛生大会等での積極的な発表も行っております。数値目標としては、3回以上ということと、技術講演会のアンケート調査の結果が「良かった」「とても良かった」というものを75%以上獲得するというものがありますが、これについては平均を取ると、80%になっているということで、その他一般公開、それから厚生労働省の「子ども見学デー」、今年も参加させていただきました。非常に好評でした。また、施設見学も非常に多数の所からおいでいただいており、これらについては目標どおり達成していることで、自己評定Bとさせていただいております。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

 評価書()27ページを御覧ください。すみません、評定の所がAになっていますが、これはBです。評定に至った理由は、今、法人から説明があったように、講演会など2倍以上の中期目標の設定した回数を上回って実施しており、それに向けての事前にメールマガジン等による幅広い周知という工夫もあるところです。また、平成25年度より厚生労働省の「子ども見学デー」に参加いただいており、研究成果を国民に積極的に普及している。それだけではなく、安全衛生に接点がなかった人の潜在的なニーズのくみ上げですとか、安全衛生の研究分野への関心を高めるといった効果を出しております。このようなことで、評定をBとしております。

 

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長

1-4-5、知的財産の活用促進です。これは、いわゆる特許権の関係ですが、平成26年度末現在で、保有している特許数は39件、出願中が10件です。また、右の下のほうに実施されていない特許の保有の見直し等も、きちんと実施しております。ということで、自己評定はBとさせていただいております。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

 評価書()31ページを御覧ください。評定はBです。今、法人より説明がありましたが、相談体制を整備している。あるいは知的財産のための研修も計画的に実施していることも踏まえて、評定をBとしております。

 

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長

1-5、労働災害の原因の調査等の実施です。これは当研究所の重要なミッション、いわゆる調査・研究と、災害調査の2つのミッションのうちの1つの大きな柱です。これについては、重大な労働災害が発生すると、厚生労働省からの要請を受けて現場に急行し、原因を究明し、報告をさせていただくことになっております。最近の大きな例は、大阪府での印刷工場での災害調査、いわゆる胆管がんの件です。それから岡山県のシールドトンネルの建設工事、もう事故としては大分以前になりますが、海底トンネルのシールドが壊れて多数の方が亡くなられたという事故です。これについては、後ほど、説明いたします。調査に時間がかかりましたが、きちんと原因を究明しました。それから、石綿繊維の有無等について、労災保険給付に係る鑑別の実施をしています。これは非常に高度な知識、経験が必要です。現在これは、当研究所と岡山労災病院でしかできないというものになっております。次ページで御説明いたします。

22ページ、大阪府の胆管がんの件です。これはいろいろ研究を進めて報告をさせていただきました。

23ページは、シールドトンネルの災害調査です。シールドマシーンを引き上げて、それについての調査を行いました。また、真ん中の所で、湾曲しているのが見えるかと思います。これがコンクリートで作られていて、これがぐるっとトンネルを巻く形で支えられて、それが順番に前に継ぎ足されて全体としてトンネルができるというものですが、これが壊れて、その断片を全部引き上げて調査をし、どの順番で壊れていったかとか、なぜそうなったかということをいろいろ解析しましたので、時間がかかりました。そういうシミュレーションをしたりして、最終的に報告ができるまでに2年半かかりましたが、災害調査については着実にかつ、きちんとした成果を出させていただいていることで、自己評定をAとしております。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

 評価書()34ページを御覧ください。評定はAとしております。ただいま法人から説明があったように、行政ニーズに応じて災害調査、あるいは刑事訴訟法に基づく鑑定を適切に実施したことは評価できます。また、岡山県の海底トンネルの水没災害、あるいは大阪府の胆管がんの調査・研究など、前例のない複雑困難な事案の原因を究明いただいたことは高く評価できると思います。また、下のほうですが、安衛研の報告書が役立ったという割合が年々高まっておりまして、平成26年度は98%、原因調査、研究結果の行政への貢献度は大きいと、高く評価できるということで、評定をAとしております。

 

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長

1-6-1、労働安全衛生分野の研究の振興です。まず、国際シンポジウムなども開催して、特に、アメリカ、韓国の機関とは非常に密接に連携を取りながら研究を進めております。

 それから、インパクトファクターですが、『Industrial Health』という雑誌を当研究所で刊行しています。これについてのインパクトファクターの数値目標は0.8ですが、4年間の平均で0.993ということで、達成率が124%になりました。特に最近、この3年間は着実にそのファクターが上昇していることもあります。ということで、自己評定をAとさせていただいております。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

 評価書()37ページを御覧ください。評定はAです。今、説明があったように、特に『Industrial Health』のインパクトファクターが4年平均で0.99、平成26年度は1.117ということで、国際学術誌の認知度は、ますます高くなっていることを高く評価できます。それらを踏まえて、評定Aとしております。

 

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長

1-6-2、パワーポイントの25ページです。労働安全衛生分野における若手研究者等の育成への貢献ということで、まず連携大学院制度を締結して7大学において、延べ49名の研究員が客員教授等として任命され、支援を行ったということです。その他の大学についても研究員を派遣しております。また、若手研究員の受入れということで、延べ232名の若手研究者等の受入れ研究指導等を行っております。また、労働安全衛生機関の支援ということで、労働大学校の研修で、特にここは、行政官の研修を行っております。労働基準監督署で実際に事業場を指導する産業安全専門官とか、労働衛生専門官の方々へ、その研究の成果、知見をお伝えするということで、また、最新の知見を教授することで行政官にも貢献させていただいております。また、そのほかいろいろ機関が実施する研修に講師としても参加させていただいていることで、自己評定Bとさせていただいております。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

 評価書()42ページを御覧ください。評定はBとしております。連携大学院協定を結んで客員教授等を派遣、あるいは大学院生の受入れをしておりますし、その他の大学、あるいは大学院についても研究員を非常勤講師として派遣していること、また、若手の研究者も受け入れて指導していることで、評定をBとしております。

 今後の課題については、年度評価と同様ですが、連携大学院協定を締結しておりますが、実際に客員教授等を派遣していない大学院もあるということで、その連携の再活性化の取組、あるいはその新規の協定、締結に向けた取組ということも必要かと考えておりますし、非常勤講師等を派遣している、その他の大学等との関係強化に向けた取組も進める必要があると考えております。

 

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長

1-6-3、研究協力の促進です。現在、協定を結んでおります機関が6か国9機関あります。そことの研究協力を推進していることで、具体的には、国際的な研究協力の推進ということで、「US NIOSH」とは、ほぼ毎年国際会議とか、意見交換のための会議を開いております。また、韓国については、労働安全衛生研究員、いわゆる当研究所と同様な活動をしている所がありますが、そこと、また、ほかにも大学等とも含めて幅広く定期的に会合を持ち、共同研究などを行っております。それから、国際シンポジウムへの参加ということです。それから、共同研究員の相互派遣については、共同研究の目標が15%、実績としては35%の比率になっております。達成率として233%です。また、若手研究員の派遣については、目標が年に20名、達成率が416%になっております。ここには書いてありませんが、例えば共同研究については、斜面崩壊の研究について民間企業とも連携を取りながら、斜面崩壊の防止のための行政が示されたガイドラインを、実際どのように実現したらいいかということの研究を進めております。もう既に成果も出つつありますし、そういったことを進めているという部分もあります。また、ロボットについては、行政側から示された規制緩和の関係もありましたが、それについての研究を実施し、JISのほうに取り入れられるという成果も得ております。

27ページは、米国、韓国等との活動を示しております。数値目標を達成しているということで、自己評定は、当方はAとさせていただいております。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

 評価書()45ページを御覧ください。評定はAとしております。量的な面については、先ほど法人から説明があったように、共同研究の割合が2倍以上になっている。あるいは外部研究機関等からの受入れ、派遣についても、4倍以上になっております。これについては、78日の第1回のWGの御審議において、平成26年度の業務実績評価では、1-6-3については、中村構成員から目標を120%はもとより、2倍を超えている。成果も上がっているので、Aではなく、Sではないかという御指摘もいただきました。そのようなことを踏まえて、量的な面もこの度、検討させていただき、こちらに記載しております。質的な面については、まず平成26年度に「国際研究協力協定のあり方」というものを取りまとめて、海外との研究機関との協力研究等を積極的に進めたということが、まず評価できます。そして、法人においては、共同研究を増やすための取組として、研究課題の選定方針を変更したということで、それまでは独創性とか、新規性のあるものを選定したということですが、それを労働現場のニーズ等を踏まえたテーマを選定するような取組をしております。あるいは、研究員の派遣、受入れの増加のために、協力先の大学への働きかけ、あるいはその受入れ環境の整備といったことを実施しているということ。自主的な取組により、創意工夫を凝らしているということで、こうした取組が評価できると考えております。

 また、政策実現への寄与という観点ですが、民間企業との共同研究として、平成26年から平成28年度までの予定で、「斜面崩壊による労働災害の防止対策に係る実態把握及びハード対策に関する検討」を実施しております。ここでは実用的な地山の補強工法の開発などを実施しております。これが広く普及すれば、目標策定時には想定していていなかった斜面崩壊による労働災害の防止という政策の実現に大きく寄与することが期待されるというものです。

 また、ほかの団体との共同研究としては、平成25年度に「ロボット介護機器開発・導入促進に係る安全基準の策定」というものを実施しております。その成果は、日本工業規格(JIS)に生かされるといった、一定の寄与が認められるものです。しかしながら、本項目は、重要度、難易度を高く設定していないということで、所管課としては、質的な面でも高く評価できるのではないかと考えておりますが、Aとしております。これについては後で御意見を頂ければ有り難いと考えております。

 

○今村主査

 ありがとうございます。それでは、ただいま1-1から1-6-3まで御説明がありましたが、この事項について御意見御質問等がございましたらお願いいたします。

 

○中村構成員

 非常によく作業がなされていると思うのですが、この資料1-227ページは誤記だと思うのです。評定がAになっていますが、評定をBとしたと。これは、見込評価の評定がAとなっています。これはBですね。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

 これにつきましては、法人の中期目標の達成が見込まれるということで、もともとBということなのですが、上のほうを間違えてAと書いていたところです。すみません。

 

○中村構成員

 評価項目一覧のこの参考資料6は、Bになっていますので、誤記だと思いますが、御訂正をお願いします。

 最後に御報告いただいた件ですが、私は前回、非常によくやっているのではないかとコメントいたしました。それに対して、非常に丁寧に評価していただきまして、これはありがたいと思います。一定の寄与が認められたところで「しかしながら、本項目は、重要度及び難易度を高く設定していない」という、あえてこれを書く必要があるかという気もしますけれども。一生懸命頑張っていると。総合的に判断してAであるということでよろしいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。一生懸命やっているのだけれども、これは重要度はあまり高くないんだよと、あえてここに書いて、だからAだという形でまとめておりますが、重要度が高くないうんぬんは別に、総合的に斟酌した中で評定をAとしたということで、いいのではないかという気がちょっとするのですけれども、感想です。

 

○労働基準局安全衛生部計画課長

 非常に貴重な御意見ありがとうございます。所管課の気持ちとしましては、先般、78日のこの会議においても御指摘いただきましたように、Sとしたいという気持ちは非常に強いのですが、ただ、重要度、難易度というところもあって、Aとしておりますが、先生御指摘のとおり、「しかしながら、本項目は重要度及び難易度を高く設定していない。」との記述は削除させていただければと思います。

 

○中村構成員

 はい、ありがとうございます。評価はAという形でいいと思うのですけれども、しかし、相対的に非常に研究所が一生懸命やられているということは、我々も十分了解しておりますので、今後とも頑張っていただければと思います。

 

○酒井構成員

 いろいろありがとうございます。厚生労働省の中の独法はたくさんあるのですけれども、とてもこの労働安全衛生総合研究所というのは、ユニークな独法だと感じていて、特に安研と産医研が合併して、しばらく時間が経ってきたのですが、とてもらしさがよく出てきているのではないかなと思って、先ほどの御説明を伺いました。それで、これは第2期の中期目標5年間のことなので、個別については非常によく話として分かりましたけれども、世の中の変化というのは、この5年間、経済状況はじめ、産業界の様子というのは変わってきて、そういうことによって、安全衛生のテーマも変わってきているのだろうと思うのですが、個々に取り上げていただいている研究テーマなり、調査テーマというのは、非常に適切だったと思うのですが、もう一度、5年間というスパンで見て、その変化に十分対応できてきたかどうかを、もう一度法人の御意見として伺ってみたいというのが1点目です。

 そういう意味で、世の中のニーズをどう把握するかというのは、とても大事なことになると思いますが、多くは、非常に重要な行政が必要とするもの、若しくは残念ですが、社会で大きな災害が起こったとか、大きな健康障害が起こったものを皆さんたちがしっかりとフォローする目ではとてもあるんですが、もう1つ、これからのことを考えたとき、予防がとても大事で、そうすると起こったことではなくて、これからどうしていくかというニーズをどうやって法人として把握していくのかが極めて大事だろうと。そういう意味からいくと、研究者の方たちが4年間にわたって千何箇所の現場に足を運んだ。これはとても貴重なことだと思うのですが、そういうことが5年間の皆さんのテーマ設定とか方法論に、どのくらいうまく結び着いているのか、今後、その辺はどういう見込みがあるのか、これが2つ目です。

3つ目として、推進協議会をやってきましたよね。私は、あれを最初に世の中にプレゼンテーションしたときは、とてもインパクトがあって、ということは、これからのこの日本の中のこういった産業安全保健の領域のテーマをマップをきちんと作って、それを重点的にやっていきましょうということで、スタートしていたと思っているのですが、そういったようなものの総括なり、これから5年間、これからのこととして、どう見てらっしゃったかを教えていただければと思います。

 

○労働安全衛生総合研究所理事長

 非常に重要な問題を提起されていまして、答えるのはそう簡単ではないと思うのですが、まず1番目として、5年間の変化に対して、どう対応してきたかということなのですが、1つは研究所自体の体制を社会的ニーズに素早く、素早くといってもいろいろなレベルがあると思うのですが、対応できる体制に組み替えていくという作業、それと並行して、更に社会の変化に対応しないといけないという2つの問題がありますので、まず1期目で体制を何とか組み替えていきましょう、そして2期目では、それを実態としてどう動かしていくかということであったと思います。組み替えでは、もちろん社会対応も重要ですが、衛生と安全をいかに融合して、効果的に研究システムを作っていくかというのが、それがまず、非常に大きな問題だったわけですね。2期目に、何とかその辺が動き出して、成果として出るようになった。すなわち、そういう両方が一体となって対応できるようになったからこそ、震災対応なり、それから過労死の対応とか、そういうのが一応できるようになってきたと思っております。

 ですが、先生がおっしゃるように、ではこれから先に向かってどう対応していくのかという2番目の問題ですが、そこまではまだ十分に整理できていないというふうに考えておりまして、これから、評価結果を含めた様々な材料を参考にしながら検討していかないといけないと考えています。この問題と関係すると思うのですが、研究者も随分と自己変革せざるを得ないと思います。やはり研究者というのは、最初に自分の考えがあって、これをやらなきゃというのを強く持っているわけですね。だから、そういう意味で、いわゆる一般の仕事をしている組織の人間とはちょっと違うところがあるのですが、それを変えていくには、そう簡単に直ぐには変えられない。研究者としての姿勢は守りながらも、それと並行して社会ニーズをどう取り上げて行くかを常に考える態度に変えていく、そういう中でやっといわゆる胆管がんにしろ、それから震災問題、原発問題、そういうものに何とか対応できるような体制ができてきたというのは、体制の問題だけではなくて、研究所自身もかなり自己改革をしてきたと私は考えております。だから、研究者もかなり努力をしていて、その結果として、こういう今回御評価いただいている成果が出ているように思っております。

 それから、3番目の推進協議会ですが、当初、いわゆる全国的に労働衛生の、それからその後は労働安全のほうも研究者の意見を取り入れて組み上げているわけですが、ただ、そちらのほうも先生がおっしゃるように、社会がどんどん変わっていくと、最初作ったものというのは、どんどん変えていかないといけないわけですね。それに関しては、それをまたオーガナイズして、変えていくだけの余裕がなかったと残念ながら言わざるを得ません。それは何故かというと、先ほど申したように、安全と衛生と研究を統合して、研究所として行政なり社会のニーズに対応していくために体制構築、そして研究者の意識改革が優先されてきたということです。ただ、今後、統合によって更なる自己改革もしていかないといけないわけですが、その中に今後の労働安全衛生研究の展開をも加味して検討も加えていくというのは、確かにそれは大きな宿題として研究所としても考えていかないと駄目だと思っております。

 

○酒井構成員

 ありがとうございます。よろしくお願いします。

 

○柴田構成員

1つお願いというか、意見があります。一番最初に資料1-210ページで、所管課の方から両法人の統合により後退することがないよう、十分維持した上でということがとても大切だと思いますし、皆さんはとても地道で素晴らしい活動を通して安全衛生に貢献する研究をやっておられるので、ここが後退するということは、とても大変なことだと思います。今後の目標設定には、さらに高い目標を掲げて頂きたいと思います。例えば1-4-2ですと、論文の発表とか研究員一人当たりの口頭とか講演も含めて、ものすごく目標に対してオーバー達成をしておられる。今後次期の中期計画のときには、前回の目標と同じというのではなくて、より高い目標値を設定していただかないと、せっかくここまで積み上がってきた活動が、またそのままずっと水平飛行になってしまう。そうではなくて、質、量、共にますます貢献していっていただきたいなと思ったので、是非目標の設定に際しては意欲的な目標を立てていただきたいというお願いをしたいと思います。

 

○田宮構成員

 非常に研究業績なども増えて、頑張っていらっしゃると思います。やはりこれからを見据えて、期待することも関連してコメントさせていただきます。パワーポイントの6ページにあります、過労死等調査研究センターの設立、これは本当に国民としてのニーズに基づいた、非常に重要な位置付けと拝見しています。まだ始まったばかりで、これから29年に向けて3年間ということで、とてもこれに期待して見せていただいています。その際に、ちょっとこの目標が過労死等の実態解明と防止対策に関する総合的となっていますので、対策まで含めた目標になっていることを考えますと、ちょっとデザインとしてのこの本当に図の言葉の問題かもしれませんが、過労死等の事実の解析、調査事例の解析と、それからコホート研究、介入研究、そしてラボにおける非験者実験となっていて、何かちょっと原因究明に力が置かれているのかなという感じがして、特に最後にラボにおける非験者実験というのがどういうのかちょっと分からないというのがありまして、それについて教えていただければということと、コメント的には本当に重要なことですので、生物学的な因果関係を調べることもすごく重要ですが、それを踏まえてやはり過労死を防止するには、働き方ですとか、ワークライフバランスとかストレスの対策ですとか、すごく働き方のシステム全体の問題でないと解決できないことが多いのではないかと思うのですね。そういうことも視点に入れて、是非取り組んでいただければと思います。特に、今度は、健康福祉機構との統合法人になるということもあって、それを踏まえた上での実施期間、2829とかぶりますので、是非、もう少し、この図だけで説明し切れなかったのだと思いますが、システムも含めた本当に過労死って重要な問題ですので、それの防止に具体的に一歩社会に本当の対策を問えるような、できればアウトカムにも影響できるような視点でやっていただきたいなと思います。

 

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部首席研究員

 今のことで、ここに書いてあるのは、平成27年~平成29年の計画で、3年間で終わるとは私どもも思っておりません。この研究は10年の計画でやろうと考えております。調査研究の初年度には、労災調査復命書事例の解析を行い、次に重要になってくるのが介入研究になってくるだろうと思っております。今、先生御指摘のように、どのような要因が過労死をもたらし、どう働いたら過労を予防できていくのかというような社会的な視点も含めて職場に介入していこうかと考えております。ここが多分研究期間の後半に非常に膨らんでくるところなのだろうと思っております。それで、ラボレベルの実験では、過重労働が循環器系にどういう影響を及ぼすとかという、これは労働生理学的に解明されていない点がまだかなりありまして、そういうことを含めて実験室で比較的長い時間の負荷、あるいは今後増えてくるであろう高齢の労働者を対象としたり、または疾病を持っている人を対象として、同様の負荷をかけた上で循環器に及ぼす影響を確認したい。この辺は、いろいろな文献を見ていくと、参考にできるような事例がないのが実情です。これらの成果は職場での健康管理に役立てる切掛けになるのではないかと我々は期待しております。このような研究計画のもとで様々な研究成果を積み重ねていって、それを3年ごとに見直してブラッシュアップして次の計画に結び付けたいというのが実はねらいでして、その際にはいろいろと御意見を伺いたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 

○今村主査

 今後のことについて、今まで出ていない論点でお伺いしたいのですが、一言で申し上げると、研究活動、今後統合することも前提としながら、こういう研究業務に関して、予算の配分の状況についてお伺いします。どういうことかというと、例えばこの資料1-121ページに「労働災害の災害調査等の実施」という所があります。それと、名前がちょっと似ているのですが、11ページで、「行政ニーズ等を明確にした上での研究課題の設定」の中に「災害復旧工事における労働災害における労働災害の防止に関する総合的研究」とありますが、これは別の予算です。つまり、要するにニーズ等を明確にした東日本災害復旧工事におけるというのは、これは研究独事の予算でやっていらして、21ページの方は、その都度行政のほうから予算と一緒に要請が来るということでよろしいでしょうか。

 それからもう1つ、こういう活動をするときに、予算というのはすごく大事ですが、26ページの1-6の評価批評で、先ほどからSでいいのではないかと議論が出ていますが、驚くべき数を実施しているのですが、当然旅費とかいろいろ発生すると思うのです。こういうことに関しては予算を立てるときには何回でいくらというふうに予算を立てられていたのか、それがこれだけ何百%という形で実施できるというのは、何かその辺の事情があったのかとか、その辺を予算の裏付けということで、お伺いしたいのですが。

 

○労働安全衛生総合研究所理事(福澤)

 予算に関連することですけれども、研究予算、例えば東日本大震災の研究予算に関しましては、通常の運営交付金研究費として組まれてくる運営交付金からやりくりして出しているということです。それから、災害調査に関しても、運営交付金の中に含まれておりまして、その総額、大体毎年20億ぐらいですけれども、その中から手当しているという状況です。その都度行政からいただくということではなくて、年ごとです。

 それから、最後のいろいろな旅費などは、研究予算の中に当初から組み込んでおりまして、やはりこれも運営交付金の中でやりくりしながらやっているという状況です。

 

○今村主査

 達成率が非常に高かったのは、やりくりの成果だと。あの数が200%など増えたのは、やりくりのおかげで数が増えたと。

 

○労働安全衛生総合研究所理事(福澤)

 後で業務の効率化のところで出てくるかと思いますけれども。

 

○今村主査

 分かりました。それからもう1つだけ。やはりお金の問題も絡んでくるのですが、労福機構とドッキングしたときの労災病院との、例えばこういう安衛研の場合や、プロジェクトが組まれて現地調査という形で行動されてきたと思うのですが、これからはむしろ臨床の現場で、その都度発生したことに対して対応するというのが研究の体制もありますので、その辺の見込み、うまくそういう臨床例、現場の調査等の絡み合いで研究をどうやっていくかということについては、決っして簡単ではないと思うのですが、その辺の見通しというのは、どのようにお考えになっているのでしょうか。

 

○労働安全衛生総合研究所理事(福澤)

 今後、十分検討させていただくということで。

 

○今村主査

 そう簡単ではないかもしれなので、是非いい結果を出していただきたいと思います。

 

○戸田構成員

 ありがとうございました。最初いくつか感想を述べさせていただいて、最後に質問を1つさせていただきたいのですが、拝見しておりまして、非常に妥当な評価をされているのかと思っております。先ほど中村構成員より1-6-3の研究協力の促進について評価がAではなく、Sではないかというような話がございましたが、私も同感でして、やはり主務大臣の指針にも、やはりS評価を付ける際には、質的にも顕著な事例が見られることが1つの要件だと載っておりますが、やはりそれに該当するのではないかと見ております。ただ、ここで先ほど中村委員の御意見の繰り返しですが、重要度、難易度の話とは別にS設定ができると認識しておりますので、やはりそういった説明はなさらないほうがいいのではと思っております。

 もう1点、過労死の話がありましたけれども、やはり、私自身も過労死の問題重要で、特に議員立法で設立されて、非常にここ数年の中でも社会的感心が高まっているというのは事実なのではと思います。こういった医学的研究というのは、やはり時間がかかるという中で、今年度からレコーズを設立されて、その研究を進められているということですが、途中何回でもかまいませんので、こういったことを進めてらっしゃるとか、ただ、センターを設立しただけではなくて、こういったような取り組みを具体的になされていて、今後、こういったことは成果として見込まれるということまで、より具体的に述べられると、より取り組みの重要度、意義が積極的に伝わってくるのではと思いました。ですが、今後、やはり現時点でどういったことを研究成果として見込まれているのかということについて、もしお考え等ありましたら教えていただければと思います。

 

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部首席研究員

 どうも、ありがとうございます。過労死センターは、そういう意味で内外からいろいろ注目されておりますので、どういう形で我々もデータを提供していこうかということは、非常に頭を捻ったところであります。片方は、この法律に従って協議会ができておりますので、そういう場で我々が国にこういう分析結果でしたと。その分析結果を踏まえて、協議会で提示して、それが社会的にいろいろ波及していくというような、1つのチャンネルが多分あるのだろうと思っております。

 それと、我々としては、研究所ですので、そういった成果をやはり学会とかいろいろな市民講座だとか、それから研究所の講演会だとか、そういうものを通じて、または中災防だとか関連団体を通じて、先ほどちょっと出ましたけれども、どういう衛生管理をすることが非常に重要なのか、どういう対象の人が特別なケアが必要なのかという、健康管理のこと。ただ単に労働時間が長ければ、非常にそれはまずいのだではなくて、もうちょっと言うと、質的にどういう仕事が過労につながるのかだとか、そういったところも少しずつ分かったところから例示、出していって、現場とのやり取りやコミュニケーションを図りながら、また逆にそういうものを研究の成果にしていきたいと思っております。いずれにしても、例えば、半年だとか、1年だとか、そういうタームで行政、あるいは社会とコミュニケーションを取りながら研究を進めていくのと、今度の研究の次の糧にさせていただければと考えております。

 

○中村構成員

 ちょっと、コメントというか、お願いなのですが、かつて産業安全研究所という時代、そのころは、機械安全に対しては研究所はその原理原則、こういうふうな形で、機械を組み立てなくてはならないのだと、これに違反すると危険性がありますよというようなことをきちんと解明されて、それで現場に対して業務普及活動をやったことがあるわけですね。ここで報告されるのは、個別の案件について、その背景にある原理原則なり、これを作り上げてきたということ自体が素晴らしい研究所たる活動だと思うのですね。そういうことを見たときに、理事長の先ほど安全と衛生を統合して社会ニーズに応えるのだと、ようやく体制ができてきたとおっしゃられましたが、その労働安全学みたいな形で、個別の案件で終わるのではなくて、これまでの研究成果を付款して、テーマとしてうんぬんではなく、どうあるべきかというところまで、位置付けてやっていただければ有り難いという気がいたします。かつて、労働安全の中で研究所が主導的な役割を果たしていた時代があったわけですから、労働衛生の面でもそういうものを打ち立てられれば有り難いという気がしております。せっかくここまでやっていながら、また組織が変わってしまったら大変だと思うのですが、研究をやっている方はずっと継続しているわけですから、そういう視点を持ってやっていただければ、社会に貢献するのではないかと期待しておりますので、是非頑張ってください。

 

○労働安全衛生総合研究所理事長

 どうもありがとうございます。我々、研究所ですので、先生がおっしゃるような、そういう視点がないと、研究員そのもののモチベーションも上がっていかないという面がありまして、その方面でも今後いろいろと御支援いただければと思っております。よろしくお願いいたします。

 

○中村構成員

 過去に貯えてきた高いポテンシャルをいろいろな分野でもって、それを使いながら貢献していると思うのですが、やはりそのポテンシャルのアップのための努力というものも必要だと思いますので、もちろんやっておられると思いますが、そういった面で我々も応援していきたいと思いますので、是非、よろしくお願いします。

 

○今村主査

 それではよろしいですか。次の事項に移りたいと思います。続いて業務運営の効率化に関する事項、財務内容の改善に関する事項、及びその他業務運営に関する重要事項に係る項目別評定について議論したいと思います。それでは、同様に法人及び法人所管課からポイントを絞って簡潔に御説明いただき、その後、質疑応答ということでお願いします。

 

○労働安全衛生総合研究所総務部長

 総務部長の藤本です。どうぞよろしくお願いいたします。私の説明は、パワーポイントの28ページ以降ですのでよろしくお願いします。最初に「業務運営の効率化に関する措置」ということで、「機動的かつ効率的な業務運営及びそれに伴う経費節減」について御説明いたします。

 左方の一番上にあるように柔軟な組織体制の実現と見直しということで、シンボリックに上げております。役員会を原則週1回、火曜日に実施しております。これは役員及び監事、その関係の幹部を招集して実施し、理事長の元で意思統一を図っている。それから人事の問題について検討しているということです。さらに両地区です。両地区というのは先ほど来出ているように、清瀬と登戸の両地区あります。この地区の9グループ、3センターあります。この9グループ、3センターを招集して、原則週1回、毎週金曜日に実施し、役員会で述べられたもの及びグループ長として是非実施していただきたい事項等々について検証しているところです。

 こういったことで、組織体制としては、理事長のリーダーシップの下で、各正員が成すべきことについてしっかりと理解できるような体制を整えているということです。

 続きまして、効率的な研究業務の推進についてです。これは各研究グループごとに日常的な進捗管理をするのは当然ですが、年3回行う内部評価、年1回開かれる外部評価。これは先ほどのパワーポイントの15ページでも説明させていただいた内容です。研究討論会については、年間大体12回ぐらい開催しております。労働災害調査報告会は年2回実施しております。さらに行政要請研究報告会等を開催して、調査研究の質の維持向上に努めております。

 一方、管理的な部分について申し上げますと、研究管理システムと我々は俗称で呼んでおりますが、研究の進捗状況等々についての把握を的確に行うように努めております。

 これはもっぱら私どもの組織の中の研究部で実施しますが、調査研究実施状況や業績等々について定期的な把握と同時に、予算の執行についても研究予算の中でパフォーマンスが十分であるかどうかについてのチェックも毎回行われております。

 続きまして、資質の高い人材の登用についてです。これは研究開発力強化法に基づいて、平成2311日より人材活用等に関する方針をホームページに公表しております。この方針に基づいて取組を実施しております。なお、ホームページについては18ページに書いておりますが、このトップページに説明が書かれておりますので、見ていただければ御理解いただけるかと思います。こういったものに基づいて、任期を付さない研究員として、4年間累計で14名の方を採用させていただいております。さらに過労死防止法、防止対策推進法に基づいて、本年41日にセンター長を配置しております。

 業務・システムの効率化については、いわゆるサイボウズやproself等々を利用したスケジュール管理と所定の業務実施上の必要な資料等々について、正員が見られるように、理解できるような体制を整えております。さらに電子決裁システムも一部導入して、業務の効率化を図っております。

 研究員の業績評価については、先ほど来いろいろと御説明させていただいておりますが、大きく言いますと、本人からグループ長に対して相談ないしグループ長の指示を受けて、研究を実施した上で、これらについては両域長もその内容を確認した上で最終的に役員等も把握するということで、重層的な評価の仕方を実施して、こういったものを踏まえて、先ほども申し上げた外部評価等々も導入して、客観的な業績評価に努めております。

 こういったものに基づいて、実績として総合業績優秀研究員を約10名、若手研究員9名、さらに研究業績優秀研究員10名を表彰してモチベーションの向上を図っております。

 次ページ、これはもっぱら経費節減の部分です。数値目標として、私ども、一般管理業務経費について、まず、一般管理費については計画の中に15%程度。業務経費については5%程度節減するということで目標を立てており、過去の4年間においては間違いなくこの数値を達成しております。平成27年の予測については、予算上も当然ですが、一般管理費については年3%ずつ低減して、15%達成するように作っておりますし、業務経費についても隔年1%ずつ、合計で5%低減できるようにセットされておりますので、この枠の中で現在進行中、おおむね達成可能であるということで考えております。

 目標数値2の常勤役職員の人件費については、毎年度1%以上削減することを目標にやっております。これは中期の計画どおり予算額を提言した上で、その範囲内で執行がなされております。これは下表にあるように、隔年1%ずつ予算額も当然削っておりますし、決算額もそれを上回ることがないような形で推移しておりますので、これも達成可能であるということで、私どもの自己評価はBとさせていただいております。以上です。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官 

 それでは前に戻っていただいて、3ページの「項目別評定総括表」を見ていただければと思います。これから御審議いただくのは、右のほうの2、3、4です。これについては、78日の平成26年度の業務実績評価の際には、2項目、3項目と細分化されておりましたが、第1WGの最後に今村主査のほうから、評価にウエイト付けして集計するという方法もあるのではないかという御指摘を受けたところです。私どもで検討した結果、項目の右側については統合して、2と3は2つあったのを1つ、4は3つあったのを1つということで統合しております。内容については、年度評価のときに項目を設定した全ての内容を含んでおりますが、項目数としては1つずつになったということです。

 その上で、2の「機動的かつ効率的な業務運営及びそれに伴う経費節減」については、先ほど法人から説明がありましたように、内部統制の充実強化、業務システムの効率化が図られていますし、運営費交付金の管理費の15%削減、あるいは業務経費の5%削減という目標について、目標に沿った削減を図っているということで、評定をBとしております。

 

○労働安全衛生総合研究所総務部長

 続きまして、3の「財務内容の改善に関する事項」です。パワポの30ページ、競争的資金の獲得等について御説明させていただきます。競争的資金、受託研究の獲得ですが、これは厚生労働科学研究費補助金及び日本学術振興会科学研究費補助金等の延べ141件を獲得しております。民間からの受託研究については合計で35件ということで、外部資金の合計金額についても赤字で表示しております。これについては右に表があり、各年ごとに比較しております。平成22年の数字が注目していただきたいところです。これは競争的資金の導入で、件数については23件金額は4,300万円の下です。受託研究等については14件に対して金額が26,000万円で、ここの所が非常に大きい。

 左側の全体における外部資金割合は、目標としては3分の1を設定する際に、平成22年の受託研究費を基準にしたということで、当然ながら、これは獲得できた金額ですので、これを指標にして非常に大きな金額を頂いたものですから、この獲得を踏まえて3分の1をやるということについて非常に苦慮しております。

 下のほうに赤字で書いておりますが、私ども、基本的には利益を追求することに直結するような研究を行っているわけではありませんので、そういう意味では、非常に難易度が高いということを御理解いただきたいということで書かせていただいております。ちなみに受託研究は2件頂いて、1件だけで24,879万円という大きな金額を頂いております。言い訳めいて大変恐縮ですが、ここの部分は非常に特異的な部分があったということです。

 次に自己収入の確保についてです。自己収入については、施設貸与、著作権、特許実施料と書いております。施設貸与については、大型のプレス、あるいはクレーンについて、実験の合間で、使わない時期について民間に貸し出す等によって貸与料を頂いております。著作権については、各種論文等の搭載といったものです。

 特許の実施については、人体の落下、衝撃、吸収補装具というものがあり、これに関する特許権の実施料を年間の中でこれだけ頂いております。

 続きまして、31ページ、予算、業務運営の実施に係る経費の節減についてです。まず、経費の節減については、一般競争入札を徹底しております。その中で電気等についても、一般競争入札による調達を行う等々、省エネ等に伴う光熱水料の低減等の経費節減に努めております。

 研究設備・機器の購入や、あるいはメンテナンス等々については、仕様書を大幅に見直していると同時に、入札広告については、厚労省の掲示板に掲示する等々によって周知を努めております。こういったことによって1者応札の割合について1つの基準にしているのが、平成20年に一定の1者応札等の抑制についての指示がなされております。この際、43件の1者応札があったのですが、現在のところようやく29件ぐらいまで落とすことができており、一定の効果が発揮できていると考えております。

 次は「全体の予算、決算」経費節減の達成等については、平成23年から平成26年の4年間の年平均で、人件費については予算額に対して93.9%。一般管理費は予算額に対して78.5%。業務経費は予算額に対して94.3%の執行ということで、一定の節減効果が御理解いただけるかと考えております。これらを踏まえて、自己評価はBということです。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

 それでは58ページを御覧ください。評定はBとしておりますが、先ほど法人より説明がありましたように、競争的研究資金の導入については、研究資金の3分の1以上外部資金によって獲得するよう努めることということで、大分努めてもらったということですがなかなか難しいという状況です。

 競争的研究資金、受託研究の獲得に向けた積極的な働きかけも行っていただいておりますし、一般競争入札による調達の推進、省エネの徹底も実施して、一定の成果を上げているということでBとしております。

 今後の課題の所には、今後、競争的資金を含む外部研究資金の獲得に向けて、役職員による、より一層の取組が必要と考えておりますが、やはり、利益を企業収益に直結するものではないということで十分な配慮が必要と考えております。

 

○労働安全衛生総合研究所総務部長

 最後にその他について、これはパワーポイントの32ページです。新研究員の採用については、先ほど申し上げたとおり、任期を付さない研究員は4年間で累計14名採用しておりますが、これらの採用に当たっては、研究者人材データベースや、学会誌への掲載、あるいは私どものホームページ、他のいろいろな手段を使った募集等によって達成されております。

 研究員の人事評価についても先ほど申し上げたとおりで、特に、重層的な形で、客観性を持った人事評価をさせていただいております。

 人事の指標については、私ども、平成26年末の常勤職員数は99名となっており、当年度末の常勤職員の見込みは数値目標の104名を下回っております。

 計画的な施設・整備については、平成23年度~平成26年度の計画については100%の措置を講じております。平成27年度分についても同様になるように今努力をしているところです。

 情報の管理については、セキュリティポリシーであるとか、セキュリティ管理規程等に基づいて、着実に実施しております。情報公開請求は1件しかありませんでした。

 研究倫理については、外部有識者を含む研究倫理審査会を開催して、111件の研究計画について厳正な審査を行っております。その結果として、変更勧告となったのは16件ありますが、これらについては計画の修正等も確実に行っております。

 動物実験審査委員会についても19件の計画、5件の計画変更等について厳正な審査を行っております。

 科研費等についても、内部監査を実施して不正防止に努めております。利益相反審査、管理委員会規程に基づいて、民間企業からの受託研究及び共同研究についても審査を行っております。以上です。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

 評価書()63ページを御覧ください。先ほど来、法人からも説明がありましたように、新規採用研究員の若手の者に対するチューターの任命とか、新たに在外研究員派遣規程を制定した。あるいは研究員の流動化についても必要な措置を講じております。施設整備の設置・改修についても計画どおりに実施している。情報公開、個人情報保護、公的研究費の不正使用防止などについても必要な措置を講じているということでBとしております。

 

○今村主査

 ありがとうございました。ただいま御説明がありました事項について御意見、御質問等がありましたらお願いします。

 

○戸田構成員

 細かいことで恐縮ですが、最後に御説明いただいた「その他業務運営に関する事項」の所で、新規研究員の採用ということで、4年間で14名採用されたということで、任期に就かない研究職員というのは常勤と認識できるかと思います。その一方で、人員の指標の所で、平成26年度末の常勤職員数は99名となっているという形で、その数値目標の104名より下回っているというお話ですが、この99名とか、104名と言っている常勤職員の中に研究員の方が含まれるという理解でよろしいのかということです。あとは、もし含まれるのであれば、新規に4年間で14名の方を採用されつつ、ほぼ常勤の職員数は目標を達成されているということは、その他の方は退職されているという理解でよろしいのかという点について教えていただければと思います。

 

○労働安全衛生総合研究所総務部長

 おっしゃるとおりです。

 

○今村主査

1つだけ、人事評価のことでお伺いしたいのですが、28ページと32ページにそれぞれ書いてありますが、ポイントは報酬にどの程度リンクされているかということですが、これを見ますと、昇格・昇給等の人事のときに報酬に反映されるということで、これはその都度ボーナスという形で報酬に反映されるということではないわけですよね。その辺のインセンティブ効果はあるかどうかというのを確認したいのですが。つまり、効率性というのは、コストを削減するだけではなく、それに対してアウトプットがちゃんと質的に組み合うかということが大事で、こういう研究所の場合には、よそではかなりシビアな業績評価をしていらっしゃる所もあるかと思いますが、その辺について教えていただければと思います。

 

○労働安全衛生総合研究所理事(福澤)

 主査御指摘のとおりで、現在のところ、ボーナス等の直接的な報酬に結び付いてはおりません。ただ、今後は若手研究者の育成と関連して、後ほど出てきますが、キャリア・アップを戦略的に考えないといけないのではないかと考えております。その中で、見合った報酬をどうするのかというのは、その中で検討させていただきたいと思います。現在のところは昇格・昇給に結び付いているということだけです。

 

○今村主査

 ありがとうございました。

 

○宮崎構成員

 資料1-128ページですが、業務運営の効率化の所で、柔軟な組織体制の実現と見直しの所に、「研究の進行管理を行っている」という記述があり、その下の効率的な研究業務の推進の中で、「研究の進捗状況管理」ということと、さらに下段に「研究企画調整部における研究予算の執行管理」という書き振りで書かれておりますが、御質問させていただきたいのは、「研究の進捗管理」というものが、今後新しい評価基準の中で達成度、進捗度、重要度とかいろいろな概念、アウトプットをどう見ていくかとか、いろいろなものを今後評価していく上で、進捗をどう捉えるかというのは非常に難しく、かつ重要なテーマだと思っております。

 その中で、今やっていらっしゃる管理というのは、いわゆる予算の執行率という意味での金額的な進捗率、評価のことを把握されているのか。あるいは研究のプロジェクトとして実証データを集めました、実験を行いました、原因を究明しました、対策を出しましたという、プロジェクトの内容的な進捗度が既に管理されているのか。そこはどのような管理が現状進んでいるのか。合わせて、金額の内容の紐付け、関連付けが非常に難しいと思いますが、その辺りを今後どう検討されているのかということです。

 さらに、資料の15ページの評価項目のほうで、事前評価、中間評価、終了評価ということで、研究の進捗度ということをAからDで評価するという形になりますが、15ページの評価と、28ページの現状の進行管理というものは、何かしら現状では関連付けを想定されているのか。そこは今後検討されていくのかという状況を教えていただければと思います。

 

○労働安全衛生総合研究所理事(豊澤)

 研究を始める際には、研究計画を立ててもらいます。その際には、具体的な達成目標、社会ニーズとか行政ニーズに対応した目標を示してもらいます。できるだけ具体的な数値を立ててもらって、それを評価していくことになります。評価は15ページにあるように、5項目についてそれぞれ進捗管理をしていくということです。

 予算管理については、研究計画に予算の執行計画を記載してもらっていますので連携はしているのですが、研究の中身とはまた別に予算を計画どおり使っているかということをチェックしています。研究管理と予算管理の両者を並行してやっているということです。

 

○宮崎構成員

 これはどこの独立行政法人でもかなり難しいところだと思いますが、新しい独立行政法人の会計基準の中では、従来、運営費交付金が、費用振興基準という、使った額だけを収益にするということではなく、予算に対しての進捗率や達成度を用いて交付金の財源を収益にしていくという処理が求められておりますので、金額的なところと業務的なところをいかに紐付けていくかということが今後の重要なテーマになってくると思いますので、その2つをどう組み合わせていくか、大いに検討しておく必要があるかと思いましたのでコメントさせていただきました。

 

○今村主査

 よろしいですか。それでは、続いて法人の監事長及び理事長からのヒアリングに移ります。法人の監事及び理事長から中期目標期間における中期目標の達成状況等踏まえて、今後の法人の業務運営等についてコメントを頂ければと存じます。まず最初に法人の監事から、次に法人の理事長よりお願いいたします。

 

○労働安全衛生総合研究所監事

 監事の海野です。中期目標期間の見込評価に関して申し上げます。私は昨年、平成264月から当研究所の監事に就任しております。約1年半見てきたところから、前任の監事からの引継ぎや、過去の関係書類を通じて把握したことを加えて判断しますと、平成23年度から今年度、今日に至る今回の会議のテーマである中期目標期間の業務実績というのは、私みたいに外部から参りました者が監事としてできるだけ客観的に見るというスタンスで見て、これまでの発表の内容のとおり、あるいは皆様からのお話のように、相当高く評価できるものと考えております。

 前回の年度評価の場でも申し上げましたが、当研究所は組織がコンパクトであるということもあって、業務運営実態の分かりやすさとか透明性など、非常に良い面が多いという心証を持っております。

 中期目標に対しても良い成果を生んだというのは、こうした研究所のマネジメント面での良い面と、各研究員の努力が相俟ってこういう成果につながったものだろうと考えております。

 現在、当研究所は唯一の産業安全労働衛生分野での総合的研究所であるわけですが、今度、統合して新法人におきましても安衛研から継承される研究業務というのは極めて重要なものとして位置付けられるわけです。統合後の新法人においても、研究面についてのマネジメント面での現在の好循環が継続されることが極めて重要であると考えております。私のコメントは以上です。

 

○労働安全衛生総合研究所理事長

 理事長の小川です。当法人は、中期計画に従って中期目標達成に努力してまいりました。そして、研究所職員一同の献身的な努力もありまして、プロジェクト研究、災害調査などにより、日本の労働安全衛生水準の向上に相応の貢献ができる成果を出しているのではないかと自負しております。

 また、平成26年度は過労死等防止対策推進法の成立に伴い、過労死等調査研究センターを立ち上げ、研究調査を開始しており、ニーズにも敏感に対応できる体制になっているのではないかと考えております。

 主務大臣による評価における課題にもあるとおり、参議院の附帯決議にある労働安全衛生総合研究所の労働災害防止に係る基礎・応用研究機能と、労災病院が持つ臨床研究機能との一体化による研究の充実、統合による相乗効果を最大限発揮できるよう有効な措置を講ずること。また、研究所の調査研究業務については、両法人の統合により後退することがないよう、十分な体制を維持するための必要な措置を講ずることという大事な課題を頂いておりまして、これを考慮して業務を今後遂行していかなければならないということになります。

 今までの研究活動を維持、発展させるとともに、労福機構との統合によって、更なる研究の質の向上と成果の普及を図るべく研究所としては、体制の整備はもちろん重要ですが、そればかりではなく、研究職員の意識改革も非常に重要だと考えております。

 労福機構との統合に合わせて、研究の幅を広げるためには、まず共同研究を通して労災病院、産業保健総合支援センターなどとの交流促進を図りたいと考えております。

 人材の育成、確保も非常に重要で、長期的視点の下で、大学院生の研究指導を活用して、戦略的に採用することや、海外派遣制度の導入による研究内容及び研究意欲の活性化につながる能力開発も進めてまいりたいと考えております。

 業務を効率的・効果的に推進するために内部統制システムの強化はもとより、研究職員全体が能力を最大限発揮できるように、目配りの行き届いた業務管理を進めていくことが重要だと考えております。以上、簡単ですが私のコメントとさせていただきます。

 

○今村主査

 ありがとうございました。ただいまの御発言内容について御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。よろしいですか。それでは、最後に項目別評定におけるこれまでの議論や、ただいまの法人の監事及び理事長の御発言などを踏まえて、法人全体の状況について評価する総合評定の議論に移りたいと思います。それでは法人所管課より、総合評定について説明をお願いいたします。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

 それでは評価書()2ページを御覧ください。1.全体の評定はAです。中期目標期間中における目標を上回っていると認められる。その理由としては、研究所の本来業務である研究に係る業務の質の向上に係る7項目のうち、1項目は重要度大としておりAとしております。その他、8項目はBということで、全体の評定を引き下げる事象もなかったということで、評価基準に基づきAとしております。

2.法人全体の評価については、労働安全衛生に関する国内基準、国際基準の規制改定に反映された研究成果が4年間で既に中期目標期間中の達成目標を達成していること。あるいは労働災害の原因調査の迅速、適切な実施。外部機関との研究交流が大幅な業績を上げていること。ホームページのアクセス件数の4年度目の目標達成ということが高く評価されていること。平成26年度には過労死等と調査研究センターを設置して、調査研究業務を開始したということです。これは当初の中期目標にはなかった事項であり、高く評価できるということです。特に業務運営上の問題は検出されておらず、全体として順調な組織運営が行われていると評価するものです。

 全体の評定を行う上で、特に考慮すべき事項としては、平成23年に起こった東日本大震災の対応と、過労死等防止対策推進法の平成26年度の成立を受けた対応ということです。

3.項目別評定で指摘した課題、改善事項は書いておりませんが、労福機構との統合による研究の面での相乗効果の最大限の発揮や、これまで安衛研が実施してきた研究が後退しないようにすること。あるいは年度評価でも指摘した連携大学院協定などの見直しというところが課題と認識しております。

 

○今村主査

 よろしいですか。ただいまの御説明について御意見、御質問等ありましたらお願いいたします。

 

○中村構成員

 全体的によろしいのではないかと思います。法人全体の評価の2ページの文言が少し気になったのでコメントしたいと思います。「過労死等防止対策推進法が平成26年度に施行されると同時に、センターを設置し、調査研究業務を開始したことは、当初、中期目標になかった事項であり、高く評価できる」とまとめていますが、これは当法人が主体的に行ったのではなく、法律によってできたわけですから、それをもって高く評価できるというのはいかがなものかと。直すのであるならば、「当初、中期目標になかった事項であり、その対応は高く評価できる」ということで、できたことではなくて、その後の対応が評価できるのだというふうにしていただければ、このまま使えるのではないかという気がしたので、コメントさせていただきました。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

 ありがとうございます。そのような形で直させていただきたいと思います。

 

○今村主査

 ほかにはいかがですか。よろしいですか。それでは、以上で労働安全衛生総合研究所の中期目標期間見込評価についての議論を終了いたします。法人所管課におかれましては、構成員の皆様から本日頂きました御意見等を踏まえ、評価書の内容の修正等について御検討いただき、内容の最終的な確定をよろしくお願いいたします。ここで法人及び法人所管課の出席者が代わりますので、皆様しばらくお待ちください。再開後、次の議題に移りたいと思います。

 

(法人所管課、出席者入れ替え)

 

○今村主査

 続いて、労働安全衛生総合研究所の業務組織全般の見直しについて、議論をしていきたいと思います。初めに、見直し内容について法人所管課からポイントをしぼって簡潔に御説明いただき、その後に質疑応答という流れで進めさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○労働基準局安全衛生部計画課長

 お手元の資料1-3に基づき、御説明申し上げます。内容としては4点で、1点目は事務事業の見直し、2点目が組織の見直し、3点目が運営の効率化、4点目が財務内容の改善となっています。

1ページ目を御覧ください。まず、「事務事業の見直しのポイント」です。労働安全衛生に関する調査研究に関して、労働災害防止等に資する調査研究の重点化等についてです。4点挙げており、1点目は厚生労働省との連携ということです。厚生労働省との連携の下に、労働安全衛生施策の推進のための調査研究を行う。それとともに、国内外の最新の知見あるいは動向を把握した上で、研究の高度化・効率化を図りながら、国内外の大学あるいは安全衛生調査研究機関との連携・交流を一層促進していくというものです。2点目は、労働災害防止の観点からです。労働災害の減少に結びつくプロジェクト研究を中核として推進する一方で、基盤的知見も必要ということで、競争的資金の活用も図りつつ、基盤技術を高度化するための研究、将来のプロジェクト研究につながるような萌芽的研究等を強化していくものが2点目です。3点目は、中長期的な観点から、未知の健康障害の解明、あるいは新たな安全衛生機器等の開発など、最先端の研究、チャレンジングな研究の実施に配慮していくものです。さらに、開発した機器等については特許の取得等々を通じ、広く普及されるよう努めていくものです。4点目は、昨年11月に設置した過労死等調査研究センターにおいて、過労死等に関する実態を把握するために過労死等の事例分析、要因分析、疲労の蓄積と心身への影響、健康障害に関する調査研究を行っていくことであり、過労死等の過重な業務負担による健康障害の防止対策に貢献できるよう、医学的知見から調査研究を着実に推進するものです。

3ページは労働安全衛生に関する調査研究の2点目、統合による相乗効果の発揮についてです。この法人は、平成284月に労働者健康福祉機構と統合することが予定されております。統合に当たり、バイオアッセイ研究センター事業の化学物質の有害性調査、発がん性調査などを統合後の新法人の業務に追加することとなっております。こうしたことを踏まえつつ、統合に当たり、安全衛生総合研究所が持っております労働災害防止に係る基礎・応用研究機能と、労働者健康福祉機構の労災病院が有している臨床研究機能とが、統合による相乗効果、シナジー効果を最大限発揮できるよう、5つの分野の研究課題に取り組んでいきたいということで、見直し内容として掲げております。

1点目が過労死等関連疾患、過重労働の関係です。2点目が石綿関連疾患、アスベストの関係です。3点目として精神障害、メンタルヘルス、4点目がせき損等、腰痛などもここに入ってくるかと思いますが、職業性外傷の関係です。5点目が、産業中毒等ということで、胆管がん等とありましたが、化学物質ばく露の関係です。統合による相乗効果を発揮するための研究については、運営費交付金のみならず外部研究資金の活用も考慮していくとしております。また、この統合による相乗効果を発揮する研究への取組を踏まえつつ、これまで研究所において取り組んできた労働現場のニーズ把握とか、あるいは行政の課題を踏まえた重点的な研究成果の普及・活用などを行うための体制を維持していくということです。これは附帯決議を踏まえた対応ということです。

4ページは事務事業の見直しの2点目、労働災害の原因の調査についてです。労働安全衛生法第96条の2等に基づき、災害調査等の実施について緊急時も含めた連絡体制の整備、あるいは高度な知見を有する研究員の現地派遣ということで、迅速かつ適切に労働災害の原因調査を行う。さらに、その原因調査結果を踏まえた再発防止策の提言、研究所の行う災害防止のための研究への活用・反映を行う。加えて、調査実施後ですが、調査内容については調査状況あるいはその企業の秘密、個人情報の保護といったことにも留意しつつ、その公表を積極的に行い、同種の災害の再発防止対策の普及に努めていく。また、災害調査の高度化のためにリスク評価・管理手法の開発等に努めていくということです。

5ページは大きな2点目、「組織の見直しのポイント」についてです。こちらについては労働者健康福祉機構との統合、平成2841日を予定しております。さらに、参議院の厚生労働委員会の附帯決議も踏まえ、統合による相乗効果を発揮する部門ということで、研究試験企画調整部、まだ仮称の段階ですが、こうした部門を新設していくということです。こちらが、組織の見直しのポイントです。

 見直しの3点目、6ページを御覧ください。運営の効率化についてです。まず1点目として、業務運営体制の整備ということで、業務運営の合理化を挙げております。労働者健康福祉機構との統合に当たり、統合効果を発揮していく過程の中ではありますが、管理部門の効率化等運営体制を合理化していきたいというものです。その際、附帯決議を踏まえて、研究所の調査研究業務が決して後退することないよう、十分な体制を維持していくというものです。2点目は優秀な人材の確保並びに育成ということです。様々な方が能力を発揮できる研究環境の整備に努めることはもとより、研究ニーズ、業績、経験、将来性等を考慮した柔軟な採用や計画的な研修に加え、若手職員、若手研究員による競争的研究資金の獲得の促進、さらに在外研究員派遣、多面的な業績評価といったことにより、柔軟な人材配置等を行ってまいりたいということです。加えて、研究員の能力開発を図るためのキャリア・アップを戦略的に実施するということです。3点目は外部研究資金の活用ということで、統合による相乗効果を発揮するための研究の活用も考慮しながら、機動的な研究促進のために、この法人の目的に沿い、かつ、社会的ニーズの高い分野に重点を置いた外部資金の獲得を図っていくというものです。

7ページは業務運営体制整備の続きですが、情報セキュリティの強化についてです。今後とも情報セキュリティ対策について、ハード並びにソフト両面での不断の見直しを行い、高い意識を保持するための適時・適切な研修を継続していくというものです。運営の効率化の2点目として電子化の推進ということで、WEB会議の運用拡大、あるいは研究所関連部署間において順次、電子決裁を拡大していく。その他として統合後の新法人のスケールメリットも活用しながら、新法人における共通的な事務用品の共同調達に向けた検討も含め、一層の業務の効率化を進めていくということです。

 最後8ページは、見直しの4点目、「財務内容の改善のポイント」です。自己収入の増大ということで、競争的研究資金の獲得を図っていくものです。社会的、行政的ニーズの高い分野に重点を置き、そうした資金の獲得を図っていくとともに、若手研究員による科研費等の競争的資金の獲得による研究促進や、若手研究員の方の育成も図っていければということです。以上です。

 

○今村主査

 ただいまの御説明について御意見、御質問等ございましたら、お願いいたします。いかがですか。

 

○酒井構成員

 どうもありがとうございます。統合に向けてこういったような形で調整していただくというのは大変意味があるし、期待したいところですが、1つ、5ページ目に、統合による相乗効果を発揮するための部門として、こういったようなものを新設と。これまで労働安全衛生総合研究所の中に研究企画調整部があったと思うのですが、あえて新設と書かれているのは、何か違った考え方で運用されるとお考えになっているのでしょうか。

 

○労働基準局安全衛生部計画課長

 現在で言いますと、労働者健康福祉機構が有しております臨床研究の機能がございます。それからバイオアッセイ研究センター事業ということで試験研究を行っているということで、それらも踏まえて総合的に企画調整を行っていくという意味で、「新設」と掲げさせていただいたということです。

 

○今村主査

 今のに関連してですが、それは場所はどこに設置されるのでしょうか、あるいは、その構成員とか、あるいは権限とか。その2つの旧組織にどういうふうに権限としてアクセスするのかとか、その辺の構想、分かっている範囲で教えていただければと思います。

 

○労働基準局安全衛生部計画課長

 場所という観点で申し上げますと本部ということで、今、労働者健康福祉機構がございます川崎の本部のほうに設置していく形になるかと思います。機能としては、繰返しになってしまうかもしれませんが、新法人における調査研究の企画あるいはその連携を統括、全般を統括していく新たな組織として予定をしているということです。

 

○今村主査

 もうちょっと立ち入ってお伺いします。旧安衛研の研究予算というのは随分あって。それから、労災病院の臨床研究の予算とかいうのはアンタッチャブルになるのか、それともそれをある程度境界を超えて再配分するとかいうことはお考えなのかを。

 

○労働基準局安全衛生部計画課長

 先ほどの重点の分野ということも関係してくるかと思うのですが、こうした5分野を、全体を統括していくということでありますので、これまで労働者健康福祉機構で行われていた研究も含めて、総合的に企画調整していくということになります。

 

○今村主査

 では、少し境界を越えてということもあり得るということですか。

 

○労働基準局安全衛生部計画課長

 はい。

 

○今村主査

 そうすると、統合効果がより期待できます。

 

○労働基準局安全衛生部計画課長

 正にそういうことが新設する研究試験企画調整部に求められるものだと受け止めておりますので、附帯決議を踏まえ、それから先生方の御意見も踏まえ、御指摘を踏まえ、そうした方向で行っていきたいと思っております。

 

○今村主査

 分かりました。ありがとうございます。

 

○酒井構成員

 どこで意見を言えばいいか分からなかったのであれですけれども、名前というのは非常に体を表わすということで、大事です。実は、労働安全衛生総合研究所という名前、特にJNIOSHという言い方で国際的に言ってきて。例えばアメリカに行っても、ヨーロッパに行ってもそうですが、日本語で言っても全然相手には通じないわけで。そのJNIOSHという言い方はとても大事です。これが、実は統合されて、全体としては労働者健康安全機構、とても良い名前だと思っていますが、そういうふうになるわけです。この労働安全衛生、今のJNIOSHの部分の名前が残るのか。機構ですから、労災病院の部分と産保センターの部分とこの研究所の部分、それを統合する、文字どおり1つにしてしまおうと考えていらっしゃるのか。ではなくて、今までの皆さんたちのこれまでの社会的にしっかりと確立した組織を、機構として3つにこうやって。JNIOSHという名前が残っていくことがとても大事なのではないかと、これは個人的な意見なのですが、もし、お考えがあったらお聞かせいただければと思います。

 

○労働基準局安全衛生部計画課長

 貴重な御指摘をありがとうございます。JNIOSHという名前は残していきたいと思っておりまして、全体を統括する法人として労働者健康安全機構という形になりますが、そのJNIOSHという名前、あるいは労働安全衛生総合研究所という名前は引き続き残していければと思っている次第です。

 

○宮崎構成員

 先ほど今村主査がおっしゃっていたことと同じ内容なのですが、そうしますと、この資料1-33ページです。統合による相乗効果を発揮するということで、重点項目を実施していくことのために、なお書きですが、「運営費交付金のみならず、外部研究資金の活用も考慮する」という書き方になっております。私の認識では、労働者健康福祉機構は労災病院ですので、などの運営ですと、いわゆる自己収入というか、診療報酬というか、交付金でも外部資金でもない運営財源で運営されているわけですね。労安衛研のほうは交付金で運営されている。そうすると、本当に統合して、この共同研究なり、相乗効果を出していくためには、この書きぶりだと、労安衛研の財源か外部資金でやってくださいというように読めます。自己収入、労働者健康福祉機構の側の収入も入れていくとか、お互いにその財源のほうも出して、一緒に良い成果を出していくというような方向性もあり得るという書きぶりにしないと、何かこれだと既存の交付金の範囲でやってくださいと。更に、その統合効果出すためには外部からお金を取ってきてくださいということでは、お互いにお金も少し出していかないと、良い成果が出ないのではないかという懸念があります。そこは書きぶりとして、先ほどおっしゃったように、予算は引き続き縦割でいくのであるということでなければ、表現は見直されてもよろしいのではないかと思いますので、そこは検討いただければと思います。

 

○労働基準局安全衛生部計画課長

 御指摘も踏まえて、検討させていただきたいと思います。

 

○中村構成員

 スケールメリットを生かして、共同調達等をやって、業務の効率化という文言があるのですが、新法人なるものが理事の数は5名以下ですというのはありますが、構成員、それがどういう形で成るのかという全体像がここから読めないのですが、教えていただけますでしょうか。どのくらいの規模になって、メインとなる事業所はどこと、どこと、どこに置かれてというような形のものが見えると、もうちょっと想像できるかなと思います。

 

○労働基準局安全衛生部計画課長

 規模としましては職員数で申し上げると、確か16000人ぐらいになるかと思います。そのうち安全衛生総合研究所の関係といいますと、100名程度ということですので、相当、法人の規模としては大きくなるかと思います。直接のお答えになるか分かりませんが、ガバナンスの機能としては理事の数は5名以内という形になっております。現在、労福機構は4名、安衛研が2名ということですが、統合ということで理事の数5名という形になるということです。

 場所としては、現在労福機構がございます川崎と、安全衛生総合研究所がある清瀬と登戸、さらにバイオアッセイは神奈川県の秦野にあります。主なところで申し上げますと、4つの場所にある。もちろん全国各地に労災病院等もございますが、本部機能ということで申し上げますと、そうした所になってくるということです。

 

○中村構成員

 ありがとうございます。

 

○労働者健康福祉機構理事(加藤)

 先ほど宮崎委員から御質問がありました研究費のことなのですが、労災病院が行っている研究に関しては診療報酬上のものからではございません。診療報酬によるものは飽くまでも病院の経営運営に関わるものです。今でも経営として非常に厳しい状況で、運営費交付金と競争的資金によって、労災疾病の研究にが行われているということでございます。そこは御確認いただきたいと思います。よろしくお願いします。

 

○今村主査

 条件としては同じだということですか。

 

○労働者健康福祉機構理事(加藤)

 条件としては同じということで、特に外部資金を導入するということに関しては今後交付金そのものを考えると、非常に重要になってくると思っていますので。私どもは今、競争的外部資金による研究を9つ獲得しております。

 

○今村主査

 そうしますと、労働者健康福祉機構のそういう疾病研究は、従来も交付金を持っていった部分があるということですか。

 

○労働者健康福祉機構理事(加藤)

 交付金による研究及び新しい労災疾病臨床研究事業費補助金、その他委託研究と、そういったものによって成り立っているということで、御理解いただきたいと。よろしくお願いします。

 

○今村主査

 今ちょっと統合効果について出て、特にカネですね。これに関してはヒト・モノ・カネ・情報と言いますと、モノやカネはいいとして、残ったのはヒトと情報の部分なのですが、この研究試験企画調整部で、そういった情報の流れとか、人の流れとかを全体的にどういうふうにお考えになるのかということについて、お伺いできたらと思うのですが。例えば、今労福機構の労災病院の現場で研究している研究者が、安全衛生研究所のプロジェクトと自分の関わりが深いとか、そういうのは企画調整部でトップダウンで見るのには限界があると思うのですね。要するに、統合効果としていろいろな資源を共有していくときに、現場でないと分からないというか、本人でなければ分からない部分とか、いろいろあると思うのです。例えば、そういうのをある所はやっていますが、ICTEの仕組みを導入して、データベースにして、フリーエージェントとかそういうふうにして、少しボトムアップで情報が共有できるような仕組みとか、そういうことをネットワーク的に考えていらっしゃるのか。あるいは、質問のポイントは、この企画調整部の中でどの程度ボトムアップの情報吸収して、全体として資源を再編成されていくという、特に人と情報に関してです。その辺のアイディアは今のところどうお考えになっているのか、教えていただければ。

 

○労働基準局安全衛生部計画課長

 研究試験企画調整部は研究試験におけるヘッドクォーター的な役割を担うことになるかと思うのです。もちろん労災病院の関係を担当するセクションとも連携を取りつつ、「こうした分野を得意とされている先生方がいる」と言った情報もお持ちだと思いますので、そういったセクションとも連携を図りつつ、研究試験企画調整部で、調整をしながら研究を進めていければと思っている次第です。

 

○今村主査

 是非そういった部分でスケールメリットというか、生かしていくような工夫をしていただければと思います。よろしくお願いいたします。

 

○労働基準局安全衛生部計画課長

 はい。

 

○今村主査

 ほかにいかがでしょう。よろしいですか。それでは、以上で、労働安全衛生総合研究所の業務組織全般の見直しについての議論を終了いたします。法人所管課におかれましては、構成員の皆様から本日いただきました御意見を踏まえまして、見直し内容の修正等について御検討いただき、内容の最終的な確定をよろしくお願いいたします。

 それでは最後に、法人及び法人所管課より一言いただければと思います。よろしくお願いいたします。

 

○労働安全衛生総合研究所理事長

 安衛研理事長の小川でございます。本日は、委員の先生方から多くの貴重な御意見、御指摘をいただきまして、ありがとうございます。研究所の今まで行ってきました調査研究業務に関しましては、今後、今まで以上に現場ニーズを把握しつつ、国内外の関連機関との連携の下に労働災害防止等に資する調査研究に重点化して、進めてまいりたいと思っております。社会的に注目されている過労死センター業務も、着実に推進していきたいと考えております。基盤的研究に関しましては競争的研究資金を活用しつつ、プロジェクト研究につながるよう、基盤的技術の高度化に努めるという方向で進めていくということでございます。また、統合による相乗効果を発揮するために5分野の研究課題に取り組むように求められており、これらに関しても労災病院等の臨床研究機能と一体化して成果が発揮できるよう、協力体制を整えながら進めてまいりたいと思っております。もう1つ我々研究所の非常に重要な業務であります労働災害の原因調査等に関しても、引き続き実施するとともに、その災害調査技術の高度化、それから調査結果の公表、そういうものが今後ますます重要になっておりますので、それを進めてまいりたいと思っております。このようにして、研究所としては期待に応えて、研究員一同意識改革の下で進めてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

○労働者健康福祉機構理事長

 労働者健康福祉機構の理事長、武谷でございます。今日は、労働者安全衛生総合研究所の統合を見込んだ見直し案ということで議論が進んだわけでございます。私どもも、次年度は安衛研と一体となるということで、この見直しに対しての責任を持ってコミットする立場だろうと、そういうことを認識しております。本日は、有識者の方々の産業医学、労働者の健康管理に対する非常に大きな期待、熱き思い等を肌に感じまして、何とかこの統合を成功裡に進めなければいけないことを決意しています。また、今日は安衛研のいろいろな業績を拝聴いたしまして、大変素晴らしいプロダクトが出ておりまして、大いに敬服した次第でございます。このように、ある程度は組織体として完成して、成熟したものを更に相乗効果を出すと。これは言うは易く行うは難しですが、私ども労働者の健康あるいは危険から身を守るという、同じ目標の山に向かって登ろうとしているわけです。アプローチが違うだけですので、そういう意味では統合に対するハードルもそんなに高くはないのではないかと思います。ただ、これはスケールメリットという話が出ましたけれども、単に量的にこのプロダクトを加算するということではございませんで、両組織がそれぞれの長い歴史・伝統を培ってきたわけですが、これが交配して遺伝子レベルで変容を遂げないと、似て非なる組織として相乗効果は期待できないのではないかと、そのように思っております。

 ただ、安衛研のこれまでの業務も労働者の健康、安全を守るための調査研究、あるいはその政策提言の裏付けとなる基礎データの集積ということを地道にやってこられました。私どもは、実践の場で労働者の健康をお守りすると、そんな場からいろいろな問題を剔出して、それをまた問題解決を図るということです。本来両組織のやってきたことを考えると、統合というのは当然の成り行きとも思えるわけでございます。これによって労働者の健康管理ということの理論と実践というのが更に高いレベルで融合するのではないかと。また、そうしなければいけないのではないかと、そのように思います。大変重い責任を我々負託されるわけでございますけれども、本日はいろいろ御指摘いただきました有識者の方々、あるいは行政に関わる方々には、以前にも増していろいろと御指導、御助言を賜れば幸いと存じる次第です。以上です。どうもありがとうございました。

 

○今村主査

 どうもありがとうございます。それでは法人所管課、安衛部計画課、労災管理課の順でお願いいたします。

 

○労働基準局安全衛生部計画課長

 有識者会議構成員の皆様におかれましては御多忙の中、労働安全衛生総合研究所の第2期中期目標期間の見込評価案並びに業務組織全般の見直し案につきまして、貴重な御意見、御指摘、さらには励まし、御評価をいただきまして、誠にありがとうございました。本日、御意見を賜りました見込評価、業務組織全般の見直し内容につきましては、今後事務局におきまして、本日の会議で御指摘いただいた点を踏まえて検討し、修正等を行った上で、総務省へ通知等を行っていきたいと思っております。特に、労働者健康福祉機構との統合による相乗効果を発揮するための具体的な方策等につきましては、構成員の皆様方から得難い貴重な御意見いただきましたので、今後更に検討を進めていく上で、是非とも生かしていきたいと考えている次第です。引き続きよろしくお願い申し上げます。

 

○労働基準局労災管理課課長補佐

 労災管理課でございます。本日は、有識者の皆様方から大変貴重な御意見を頂戴いたしまして、心よりお礼申し上げる次第でございます。今後、現在の労働者健康福祉機構の中期目標を変更し、作成することとなります労働者健康安全機構の中期目標につきましては、本日いただきました御意見を踏まえて作成してまいりたいと思っております。本日は、誠にありがとうございました。

 

○今村主査

 事務局から、今後の流れについて連絡をお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 今後の流れにつきまして、御連絡をいたします。本日御議論いただきました労働安全衛生総合研究所の中期目標期間見込評価につきましては、この後、本ワーキンググループにおける御意見や、法人の監事、そして理事長のコメント等を踏まえまして、先ほど課長のほうからお話がありましたとおり、必要に応じて評価書の修正等を行った上で、厚生労働大臣による評価として決定をし、法人及び独立行政法人評価制度委員会に通知をするとともに、公表をさせていただきます。

 また、業務組織全般の見直し内容につきましても、同様に本ワーキンググループにおける御意見等を踏まえ、厚生労働大臣が決定をし、独立行政法人評価制度委員会に通知をするとともに、公表をさせていただきます。決定をしますそれぞれの内容につきましては、最終的に構成員の皆様にもお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。なお、中期目標期間見込評価、そして業務組織全般の見直し内容につきましては、参考資料1の別添7に、今後の流れ図を今回、新たに資料として追加をしております。この流れのとおり、独立行政法人評価制度委員会へ通知をした後、同委員会において点検が行われ、その点検結果に基づき出される意見、昨年度までの名称で言うと、「勧告の方向性」というものがあったと思いますが、それとパラレルということでお考えいただければいいと思います。そういった意見を踏まえまして、厚生労働省において統合後の新法人に係る中期目標案を作成することとなります。そして、その中期目標案につきましては来年の1月以降、再度独立行政法人制度委員会の審議に付されることが予定をされております。そのため、統合後の新法人に係る中期目標案などにつきましても、今回の業務組織全般の見直し内容と同様に、来年の1月頃、ワーキンググループでの意見聴取を予定しておりますので、別途、そのタイミングになりましたら、日程調整等の御連絡を差し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。

 最後に、本日配布いたしました資料、同様に送付を希望される場合には机上にそのままにして御退席いただきますよう、よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。

 

○今村主査

 それでは、本日は以上とさせていただきます。長時間にわたりまして熱心な御議論ありがとうございました。どうもお疲れ様でした。

 


(了)

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