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2015年7月24日 独立行政法人評価に関する有識者会議 労働WG(第2回) 議事録

○日時

平成27年7月24日(金)16:00~18:15


○場所

厚生労働省共用第8会議室(19階)


○出席者

今村主査、酒井構成員、志藤構成員、柴田構成員、関口構成員、高田構成員、戸田構成員、中村構成員、松尾構成員、宮崎構成員

○議事

(以下、議事録)

○今村主査

 ただいまから、「第2回独立行政法人評価に関する有識者会議 労働WG」を開催します。構成員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日は、田宮構成員が御欠席です。本日の議事について、事務局から説明をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 本日の議事について御説明いたします。本日の議事は、お手元の議事次第のとおり、労働者健康福祉機構の平成26年度業務実績評価に係る意見聴取についてです。参考資料11ページを御覧ください。年度評価についてですが、こちらは独立行政法人通則法第32条第1項第1号の規定に基づき、毎事業年度の終了後に実施される業務の実績の評価でして、当該事業年度における中期目標の達成状況や中期計画の実施状況等を考慮し、中期目標を定めた評価項目ごとに5段階の評語、SからDによる評定を付す項目別評定と、その項目別評定を基礎とし、法人全体の状況について評価をする総合評定により行うこととされております。これらは、法人の業務運営の改善に資することを目的とするほか、評価結果を役職員の処遇等に活用すること等を目的として実施するものでして、本日は労働者健康福祉機構の平成26年度業務実績評価について、本WGの御意見を賜ることとしております。事務局からは以上です。

 

○今村主査

 労働者健康福祉機構の平成26年度業務実績評価について、議論をしていきます。初めに、「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項」に係る項目別評定について、議論をします。これまで少しずつ新しい仕組みでやっておりますが、法人及び法人所管課からは、ポイントを絞ってできるだけ時間を有効に活用するように簡潔に御説明いただきたいと思います。その後に質疑応答という形で進めていきます。どうぞよろしくお願いします。

 

○労働者健康福祉機構総務部長

 資料1-11ページを御覧ください。パワーポイントの資料です。労働者健康福祉機構は、労災病院、産業保健総合支援センターの運営、並びに未払賃金立替払事業を主な事業とする中期目標管理法人です。平成26年度は、第3期中期目標期間の初年度となります。また、第1回有識者会議において、厚生労働省より御説明があったとおりですが、労働安全衛生総合研究所と統合する法案が今通常国会において可決、成立しています。これによりまして、平成284月ですが、労働者健康安全機構となることが決定されたところです。

2ページを御覧ください。1-1、「研究所の業務との一体的実施」ですが、これはただいま御説明したとおり、両法人を統合する項目です。労災病院が臨床を通じて収集します臨床研究の成果を研究所においてフィードバックしたり、また、機構が行います病職歴データを提供しまして、研究所の基礎研究に活かしていこうというものです。病職歴データは、労災病院の入院患者に対してその方の職業歴をお伺いし、これを記録した職歴データとその方の病歴・治療歴データをひも付けることによりまして、臨床研究に役立てているビッグデータです。このビッグデータを活用し、平成176月にアスベスト問題が社会問題化したときには、石綿と中皮腫との関係症例を導き出しましたし、また、平成24年に大阪の印刷工場で発生しました胆管がん問題が社会問題化した際には、オフセット印刷作業と若年労働者の胆管がん問題との疫学的研究を行ったものです。このように病職歴データは、労災疾病研究の貴重な財産となっております。

3ページを御覧ください。この統合を円滑に進め、シナジー効果を最大限に発揮するために検討体制を強化しまして、調査役、班長を総務部に置きました。また、法案の国会提出に向けまして、右側にありますように、法人の名称、役員数の削減、管理部門の職員数の削減割合、本部の研究試験企画調整部門の組織の新設などの検討を行いました。また、左側の3にありますように、既に研究所の研究員と機構の研究者とが一体的に研究を行っておりまして、石綿繊維の測定による診断基準の見直しを行っておりますし、また、左下にありますように、本年3月からは研究所の研究員も参加してもらい、先ほど申し上げました病職歴データ収集のための調査票の見直しなどの検討に着手したところです。

 これらのことから総合的に見て年度計画を達成しておりますので、B評価ですが、限られた期間での法人統合の検討であったということから、難易度が高いとして自己評定としてはAとしております。機構の説明は以上です。

 

○労働基準局労災管理課長補佐

 厚生労働省労災管理課の加藤から御説明させていただきます。お手元の資料1-2を使って説明をさせていただきます。資料1-2の業務実績評価書()5ページの右側の主務大臣による評価の欄を御覧ください。評定に至った理由といたしましては、以下の状況を踏まえ、中期目標の所期の目標を達成していると評価できることから、評定をBとしております。

 年度計画については、5ページの左から4列目に記載しておりますとおり、労働安全衛生総合研究所と労働者健康福祉機構の一体化による効果を最大限に発揮できる体制を構築するため、組織・業務の在り方等についての検討を実施することとなっております。

 これに対して業務実績については、評価の欄の記載のとおりですが、法人から説明があった内容と重複しておりますので、主なもののみ説明をさせていただきます。5ページの右下からですが、統合に当たりまして13回のワーキング等による協議の結果、統合による効果を最大限発揮できる体制として、研究所と労災病院それぞれが行う研究・試験全体の企画、実施及び普及について、調整を行う機能を有するための部門を新設・増強することなど、一定の方向性を打ち出したことが評価できるところです。

 なお、難易度については、総務大臣決定の「独立行政法人の目標の策定に関する指針」において、達成が難しいチャレンジングな目標とされておりまして、指針の中の記載例を見ましたところ、例えば前中期目標の水準を何パーセントか上げるチャレンジングな水準を目標として設定するなど、具体的な数値目標や成果を定める、それらが容易に達成できないチャレンジングな目標となっておりました。この点について、政策評価官室に確認したところ、難易度を設定する際には、具体的な数値目標や成果が定められており、それが容易に達成できないチャレンジングなものである必要があるとの見解でした。そのため、1-1の難易度については、本項目の中期目標では、組織・業務の在り方について検討するとされておりまして、指標となる具体的な数値目標がなく、達成が難しいチャレンジングな目標に相当するとは言えないことから、評価において考慮しないことといたしました。

 なお、以下の項目においても難易度の考え方、評価における考慮については、同様の取扱いとして評価させていただいておりますことを申し添えます。以上です。

 

○労働者健康福祉機構総務部長

 資料1-11-24ページを御覧ください。「すべての業務に共通して取り組むべき事項」です。バランス・スコアカードを用いての内部業績評価の実施を目標どおり実施しております。また、下にありますように、外部有識者による業績評価委員会を年2回開催しておりまして、業務の改善に活かしているところでして、総合的に見て年度計画を達成しているということで、自己評定をBとしております。機構の説明は以上です。

 

○労働基準局労災管理課長補佐

 資料1-210ページの右側の主務大臣による評価欄を御覧ください。評定に至った理由としましては、以下の状況を踏まえ、中期目標の所期の目標を達成していると評価できることから、評定をBとしております。業務の実績については、評価欄の記載のとおりですが、法人から説明があった内容と重複しますので、説明を省略させていただきます。

 

○労働者健康福祉機構理事(加藤)

 私から労災疾病等医学研究について、御報告いたします。本日、全てを説明する時間はありませんので、主な点についてお話させていただきます。資料1-15ページを御覧ください。第3期研究においては、労働災害の発生状況や行政ニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題について、時宜に応じた研究に取り組むために、3分野についての研究を行うことといたしました。当機構では、その3分野に対して9つの研究テーマを設定いたしまして、それらの研究を確実に実施していくための体制づくりを平成26年度に行ってまいりました。真ん中にあります研究体制の見直しといたしましては、疫学・統計学・公衆衛生等の専門家を本部研究コーディネーターとして招聘し、各研究者への助言・指導、又は研究協力者として研究へ参画していただくこととなりました。また、症例データ収集などの連携体制の構築といたしまして、当機構以外からも研究協力者を募り、国立病院から1名、大学病院から23名、それに加え労働安全衛生総合研究所から3名の研究者の参画を得ることができました。

6ページを御覧ください。こちらが3分野9テーマそれぞれの研究目的・概要になっております。第3期研究においては、これら9つの研究テーマのうち4つの研究テーマについては、今回の第3期からの新規の研究テーマとして採用いたしております。具体的には、左上の運動器外傷機能再建、その下の外傷性高次脳機能障害、作業関連疾患、睡眠時無呼吸症候群の4つです。この4つについて、簡単に説明させていただきます。

7ページを御覧ください。右側ですが、運動器外傷機能再建研究は、従来、顧みることがなかった外傷後の後遺障害を減らすための研究でして、本調査において研究協力者に膨大な症例データの収集を依頼することになり、その簡便化を図る目的で、本年はクラウド上で秘匿化した情報を逐次登録できるアプリケーションソフトを開発しました。

8ページを御覧ください。左下の作業関連疾患の研究においては、労災グループでは整形外科領域が非常に充実しているという特色をいかしまして、今回、上肢の典型的な作業関連疾患であるところの手根管症候群とコンピューター作業との関連性を解析するという目的で、症例の収集を開始いたしております。

 右下、睡眠時無呼吸症候群研究においては、未だ十分知られていない企業における本症候群の有病率等の疫学的情報を把握するために、各企業ごとの調査を要請しております。また、本症候群と生活習慣病は非常に関連が深いと考えられておりますので、具体的な併存率、性差、職業との関係について研究を進めている次第です。

9ページを御覧ください。左側です。外傷性高次脳機能障害研究においては、通常の画像診断では異常を認めないという高次脳機能障害がありますが、これを光トポグラフィー、あるいはreal time functional MRIという新しい手法で評価できるかを研究するため、開始しております。このような4つの新規研究以外に、昨今、報道されておりますアスベストに関わる研究についても、引き続き積極的に取り組んでおります。研究のみならず行政などへの貢献、国内研修、またメディア等の普及活動はもとより、中国、モンゴル、タイといった海外への知見の普及による国際貢献と活動のフィールドを広げているところです。

 以上の取組によりまして、平成26年度の第3期労災疾病研究を開始したところですが、本評価項目の目標である被災労働者の早期の職場復帰を促進するため、労災疾病等の原因と診断・治療に関する研究開発に取り組むこととは、社会学、基礎研究の専門家と連携しつつ、症例の収集・解析を行うことでして、日常の臨床を抱える医師・医療スタッフが臨床と研究の共存、両立をするという非常に難易度の高いものであると考えまして、上記評定を一段階引き上げて自己評定をAといたしました。私からの説明は以上です。

 

○労働基準局労災管理課長補佐

 資料1-214ページ、右側の主務大臣による評価欄に基づいて御説明をさせていただきます。評定に至った理由といたしましては、以下の状況を踏まえ、中期目標の所期の目標を達成していると評価できることから、評定をBとさせていただいております。なお、難易度については、先ほど説明をしたとおり、指標となる具体的な数値目標がありませんでしたので、考慮をしておりません。

 業務実績については評価欄の記載のとおりですが、主なもののみ説明をさせていただきます。一つは、労災疾病の原因と診断・治療、労働者の健康支援、労災保険給付に係る決定の迅速・適正化の3分野で新たに再編・計画した9テーマについては、テーマごとに研究計画書が作成されておりまして、業務評価委員会医学研究評価部会の事前評価が行われ、医学研究倫理審査委員会において承認を受けた上で、研究に着手されております。

 研究の中の一部といたしまして、アスベスト関連疾患の研究では、タイ人の医師等に対してアスベスト関連疾患への取組等の講義を行い、研究成果の普及に努めているほか、じん肺の研究では、中国人医師向けのじん肺アスベスト診断研究技術研修を行うなど、中国人医師の診断、技術向上に貢献しているという点です。それから、腰痛の研究では、スペインの学会での発表において最優秀賞を受賞するなど、労災疾病に係る研究成果については、タイや中国への普及がなされており、海外にも高く評価されていると判断しました。これらの労災疾病研究は、労災病院グループのスケールメリットをいかした症例収集や、これまで労災病院の医師が蓄積した医学的知見に基づくもので、他に研究実績が少ないチャレンジングな研究も見られるなど、その推進を図ることは高く評価できると判断しました。

 病職歴データの収集については、労災病院のスケールメリットをいかして収集されたもので、平成26年度において7件の学会での発表に活用されるなど、有用性が高いデータであり、その活用方法の整備・活用が図られていることは高く評価できると判断いたしました。以上です。

 

○労働者健康福祉機構総務部長

 資料1-110ページを御覧ください。1-4、「勤労者医療の中核的役割の推進」です。労災疾病に関する高度・専門的な医療の提供ですが、平成26年の診療報酬改定により認められました上位の施設基準として、より体制の充実したICU、特定集中治療室の病床を設けております。「ダヴィンチ」と呼ばれる内視鏡手術支援ロボットなど、高度医療機器の計画的な整備を自己資金により進めております。

 また、臨床評価指標ですが、認定意見書の作成日数という労災病院独自の評価項目も盛り込まれておりますが、臨床評価指標について平成25年度版をホームページで公表いたしておりますし、また、平成26年度についても四半期ごとに取りまとめを行いまして、各病院にフィードバックをし、労災病院グループにおける各病院の立ち位置が分かるようにしております。

(2)行政機関等への貢献ですが、国の設置する審議会等への参画ということで審議会等への参画をしておりますし、11ページを御覧いただければと思いますが、国が行います労災診療費レセプト審査事務の高度化、質の向上を図るために、労災医療担当者ブロック研修を行っておりますが、全てのブロックに労災病院の医師を講師として派遣いたしております。また、厚生労働省のみならず環境省の委託も受けまして、アスベスト関連疾患への取組を進めているところです。

 年度計画を達成しているとともに、経験豊富な医学的な専門知識が必要なアスベスト関連疾患に係る対応については、労災病院グループでないと取組が困難であるということで、難易度が高いと判断いたしまして、自己評定を一段引き上げてAとしております。機構の説明は以上です。

 

○労働基準局労災管理課長補佐

 資料1-226ページの右側の主務大臣による評価欄に沿って御説明をさせていただきます。評定に至った理由といたしましては、以下の状況を踏まえ、中期目標の所期の目標を達成していると評価できることから、評定をBとしております。なお、難易度については、先ほど説明したとおり、指標となる具体的な数値目標がありませんでしたので、考慮をしておりません。

 業務実績については評価欄の記載のとおりですが、主なもののみ御説明をさせていただきます。一般診療を基盤とした労災疾病に関する高度・専門的な医療の提供等については、地域の中核的役割を果たすため、「地域医療支援病院」や「地域がん診療連携拠点病院」の施設を維持するとともに、特定集中治療室等の拡充が図られていることに加え、各種学会認定施設数、専門医数、指導医数が増強されるなど、この点は高く評価できるところです。

 また、行政機関等への貢献といたしまして、労災病院の医師等が、厚生労働省が設置した55の審議会、委員会及び検討会に参画するとともに、当省の要請に応じて医員・委員を受嘱したほか、当省からの要請による「労災医療担当者ブロック研修」について、全ブロックに労災病院の医師を講師として派遣し、当省職員による労災診療費レセプト審査事務の質の確保及び向上に資するなど、その貢献度は高いものと評価しております。

 

○労働者健康福祉機構総務部長

 資料1-112ページを御覧ください。「円滑な職場復帰や治療と就労の両立支援の推進等」です。第1期・第2期の中期目標期間において、13分野の労災疾病の研究を行ってきたところですが、このうち、がん、糖尿病などの4分野については、研究段階から実証段階に入るということで、第3期中期目標期間の初年度である平成26年度から、治療就労両立支援モデル事業に取り組み始めたものです。

 平成26年度は、がん、糖尿病などの4分野の資料作成を行い、患者と企業との橋渡しをする復職コーディネーターの研修会を開催いたしまして、両立支援体制の構築の準備を進めました。研修会の有益度は、アンケート調査によりまして80.6%と評価を頂いております。

13ページを御覧ください。重度の被災労働者の早期職場復帰のための医療リハビリテーションセンター、及び総合せき損センターの運営状況です。医療リハビリテーションセンターについては、患者満足度調査は、僅かに達成率100%に満たなかったものの、社会復帰率の達成率は100%超えとなっております。一方、総合せき損センターについては、社会復帰率、患者満足度調査ともに、達成率100%超えとなっております。

 右側の例3にありますように、医用工学研究でも、総合せき損センターでは、携帯電話の操作補助装置について、平成26年度に商品化を図るなど、成功をいたしております。

 年度計画を達成していること、労災疾病等、医学研究で得られた高度で専門的な知識を実証段階に移すという取組は、難易度の高い目標ということで、一段階引き上げて自己評定をAといたしております。機構の説明は以上です。

 

○労働基準局労災管理課長補佐

 資料1-236ページの右側の主務大臣による評価欄に基づいて、説明をさせていただきます。評定に至った理由といたしましては、以下の状況を踏まえ、中期目標の所期の目標を達成していると評価できることから、評定をBとしております。業務の実績については評価欄のとおりですが、主なもののみ説明をさせていただきます。円滑な職場復帰や治療と就労の両立支援の推進等の観点から、がん、糖尿病、脳卒中、メンタルヘルスの4分野において、復職コーディネーターを養成するため、カリキュラムを策定した上でメディカルソーシャルワーカー等に対する研修会を実施したほか、糖尿病分野及びメンタルヘルス分野における事例収集のための手引きが新たに作成され、手引きに基づく事例収集が開始されるなど、本事業の普及・推進に向けての取組が計画どおり実施されておりました。以上です。

 

○労働者健康福祉機構総務部長

 資料1-114ページを御覧ください。調書項目1-6、「地域の中核的医療機関としての役割の推進」です。(1)地域で目指すべき役割の明確化として、地域の医療需要、あるいは近隣病院の診療機能等を十分に考慮した上で、病床機能の見直しを行っております。これによりまして、平成26年度診療報酬改定で新たに認められました地域包括ケア病棟について、4施設において導入をいたしております。

 地域の医療機関等との連携強化ですが、労災病院32施設のうち25施設が地域医療支援病院として都道府県知事の承認を得ておりまして、紹介率・逆紹介率ともに全国平均を上回る目標値を達成しております。産業医や労災指定医療機関の医師等を対象としました症例検討会の参加人数も、達成率が100%超えとなっております。

15ページを御覧ください。患者サービスの向上ということで、電子カルテの導入を進めております。400床以上の病院について導入率を90%以上にするという政府の目標があり、これの達成年度は西暦2020年度ですが、これを前倒しで昨年度達成いたしております。

(4)患者の意向の尊重と医療安全の充実ですが、日本医療評価機構の認定施設は9割を超えております。また、近隣労災病院での相互チェックにより、医療安全にも積極的に取り組んでおります。この結果、平成26年度は、前年度に比較しまして重大事故の事例は25件減少いたしております。

(5)治験の推進です。治験にも積極的に取り組んでおり、年度計画を大幅に上回る3,785件、達成率は173.6%となっております。

(6)病院ごとの目標管理の実施ということで、病院ごとに紹介率・逆紹介率等の目標値を設定しており、約7割の施設において達成をいたしております。

 以上のことから、年度計画は達成しているということと、労災指定医療機関等への医師とか産業医を対象にした症例検討会の開催など、労災病院ならではの地域医療連携に取り組んでおりまして、難易度が高いということで、一段階引き上げて自己評定をAとしております。機構の説明は以上です。

 

○労働基準局労災管理課長補佐

 引き続きまして、資料1-246ページの右側の主務大臣による評価欄に基づき説明いたします。評定に至った理由としては以下の状況を踏まえ、中期目標の所期の目標を上回る成果が得られていると評価できることから、評定をAとしております。

 業務実績については評価欄のとおりですが、主なもののみ説明いたします。地域の医療機関等との連携強化については、地域医療連携室において連携医療機関からの意見や要望を基に紹介受付枠の拡大、業務の改善に取り組んだ結果、紹介率は年度計画の60%をクリアし68.4%、達成率114%を確保し、逆紹介率についても年度計画の40%を上回る58%、達成率にして145%を確保できている点があります。また、地域連携パス導入件数については「脳卒中」「大腿骨頚部骨折」「その他」の3区分全てにおいて、前期中期目標期間平均の件数と比較して、120%を超える伸び率となっていることも評価できます。

 もう一つ、法人からの説明もありましたが、治験の受入れに関しても計画を大きく上回る達成率173%の治験を達成したところは、高く評価できるところです。以上です。

 

○労働者健康福祉機構総務部長

 資料1-116ページを御覧ください。「産業保健活動の積極的な支援と充実したサービスの提供推進」です。従来、機構が運営費交付金で行っていた産業保健推進センター事業、それから機構が国からの委託事業として受託しておりましたメンタルヘルス対策支援事業、そして都道府県医師会が受託し全国約350か所で実施しておりました地域産業保健事業、これら3つの事業を一元的に機構で実施することが、平成2512月の閣議決定で決まったところで、平成26年度は産業保健3事業の一元化の初年度です。16ページにありますように、専門的研修の開催数、研修受講者からの評価については110%を超える達成率になっており、事業主セミナーの開催数、左下にある効果の評価(アウトカム調査)は達成率が130%を超えております。

 次に17ページを御覧ください。新規事業としての地域窓口における相談です。相談利用者からの評価は、達成率117.3%となっており、相談件数も達成率が154%を超えております。訪問指導件数の達成率は75%ですが、実態が伸び悩むセンターに対しては好事例を収集し、必要に応じて本部が直接出向いたり、あるいは訪問した場合の1日の謝金の上限額の引上げなどの改善に取り組み、年度後半にかけて指導強化を図ったところです。

年度計画は達成していること、さらに目標の設定が第2期中期目標期間の平均値と比較して、いずれも1.2倍以上のチャレンジングな目標であることで、難易度が高いことから一段階引き上げて自己評定Aとしております。機構の説明は以上です。

 

○労働基準局労災管理課長補佐

 続きまして、資料1-261ページの右側の主務大臣による評価欄に基づき、説明いたします。評定に至った理由としては以下の状況を踏まえ、中期目標の所期の目標を達成していると評価できることから、評定をBとしております。

 業務の実績については評価欄の記載のとおりですが、主なもののみ説明いたします。事業所における産業保健活動の促進、産業保健関係者育成のため、メンタルヘルス、過重労働、化学物質による健康障害、腰痛対策等の労働災害防止計画の重要事項をテーマとした研修を実施しており、年度計画で定めた専門的研修回数を上回る回数を実施している点があります。

 もう一つ、小規模事業場等における産業保健活動への支援として、専門的研修や関係団体が開催するセミナー等を活用し、訪問指導を希望する事業場を募集したり、行政機関の協力を得て、訪問事業場に関する情報を入手して周知、勧奨に努めていることは評価できるところですが、訪問指導及び個別訪問支援の年度計画で定めた件数に対して、実施件数を見ますと達成率が74.7%であり、産業保健総合支援センターの産業保健関係者からの相談件数については、計画件数に対して少ない件数となって、未達成となっている状況がありました。以上です。

 

○労働者健康福祉機構総務部長

 資料1-118ページを御覧ください。「優秀な人材の確保、育成」です。18ページは医師の確保ですが、医師確保のために医師確保支援制度を設けております。また右側にありますように、院内保育所を平成26年度に2か所増設するなど、子育て中の医師が働きやすい環境整備にも努めております。

 次に19ページの看護師の確保・育成ですが、このために労災看護専門学校において勤労者医療概論など、将来多くの卒業生が労災病院で働いていただくことを見据えて、勤労者医療についてもカリキュラムに取り込んでおります。

 こうした成果も踏まえて、全国平均合格率を上回る99.4%と高い合格率を確保しております。

総合的に年度計画を達成したということで、自己評定はBとしております。機構の説明は以上です。

 

○労働基準局労災管理課長補佐

 続きまして、資料1-274ページ右側の主務大臣による評価欄に基づいて説明いたします。評定に至った理由としては以下の状況を踏まえ、中期目標の所期の目標を達成していると評価できることから、評定をBとしております。

 業務実績については評価欄の記載のとおりですが、主なもののみ説明いたします。臨床研修医を確保するため、臨床研修指定病院合同説明会に参加する等により、優秀な人材の確保に努めた結果、前年度よりも6名多い119人の初期臨床研修医を確保しており、集合研修では92.2%の理解度を得ており、全国労災病院研修指導医講習会では98.2%の理解度を得ている点を実績として認めております。以上です。

 

○労働者健康福祉機構総務部長

 資料1-120ページを御覧ください。「未払賃金の立替払業務の着実な実施」です。迅速な立替払の実施のために審査事務の研修会を平成22年度から順次行ってまいりました。平成26年度は、これまで受入れに必ずしも積極的とは言えなかった都道府県弁護士会の御理解も得て、全ての47都道府県で開催することができました。こういった取組により、請求書の受付から支払日までの期間を25日以内にする目標値がありますが、これよりも8.8日短い16.2日で行っております。下のグラフにありますように、累積の回収率も年々上昇しております。

達成率が135.2%ですので、達成率が120%を超えているので自己評定はAとしております。機構の説明は以上です。

 

○労働基準局労災管理課長補佐

 続きまして、資料1-282ページ右側の主務大臣による評価欄に基づいて、説明いたします。評定に至った理由としては以下の状況を踏まえ、中期目標、所期の目標を上回る成果が得られていると評価できることから、評定をAとしております。

 業務実績については評価欄に記載のとおりですが、法人から説明があった内容と重複しておりますので、主なもののみ説明いたします。A評価ですので、重複する部分もありますが説明いたします。今年度の目標の1つである請求書の受付日から支払日までの期間が中期目標の目標値である25日を大幅に上回る16.2日を達成していることは、企業が倒産したために賃金の支払いがないまま退職した労働者と、その家族の生活の安定を図るセーフティーネットとしての役割を有していることから、高く評価できるところです。また、立替払の対象となった事業所に延べ3,008回の求償通知を行い、確実な求償に努めると共に、裁判所へ907回の債権届出を行い、裁判所の破産手続に確実に参加し、その結果1,027事業所から延べ1,044回の配当を受けるなど、確実な回収に努めたことは評価できるところです。以上です。

 

○労働者健康福祉機構総務部長

 資料1-121ページを御覧ください。「納骨堂の運営業務」です。産業殉職者の合祀慰霊式について、昨年度は荒天のため一旦中止といたしました。しかし、御遺族の御所懐を考え、小規模にして後日開催したところです。目標値として、90%と満足度調査がなっていますが、これを上回る94.5%で「慰霊の場としてふさわしい」との評価を頂いております。

自己評定としてはBとしております。説明は以上です。

 

○労働基準局労災管理課長補佐

 資料1-289ページの右側の主務大臣による評価欄に基づいて、説明いたします。評定に至った理由としては以下の状況を踏まえ、中期目標における所期の目標を達成していると評価できることから、評定をBとしております。業務実績については評価欄の記載のとおりですが、法人から説明があった内容と重複しておりますので説明を省略いたします。

 

○今村主査

 これで一応、1-1から1-10までについての法人からの説明と、法人所管課からの評価、個別評定についての説明があったわけです。

 それでは、ただいま説明がありました事項について御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。今、法人からの説明で難易度と重要度という言葉が若干重複したかと思います。若干、意味が違うかと思いますが、難易度と重要度は同じ文脈でお使いになって。

 

○労働者健康福祉機構総務部長

 全て難易度で説明したつもりですが、誤解を招いたとしたら申し訳ありません。重要度の説明は今はしておりません。難易度で自己評定を一段上げてとの説明をいたしました。

 

○今村主査

 難易度で、一段上げるという申告ですね。分かりました。

 

○高田構成員

 パワーポイントの資料の5ページ目「研究開発の推進等」のところから始まる所ですが、様々な研究プロジェクトを実施しているのがよく分かりました。これらのテーマが選ばれた根拠といいますか、決定プロセスについて御説明いただけたらと思います。

 

○労働者健康福祉機構理事(加藤)

 今までの第2期までの13分野、19疾病の研究の中で、それを新たに再編成するに当たって、既にある程度結論がついているような問題、あるいは、また新たに出来してきている問題について取捨選択をして、また私どもの労災病院や機構の中での研究者のアクティビティを考えて、いろいろアンケートを取りました。その中でアスベストやじん肺、腰痛というのは今後もさらに続けていく必要があること。また新たに出来してきた4つのテーマに関しては、ちょぅどその時代そのものが、そのような問題点を、例えば睡眠時無呼吸症候群などは正にそのとき時事の問題で、運転手の交通事故などの問題があったのですが、それ以外にやはり労働者における睡眠時無呼吸症候群の実態はなかなか分かっていないことがあり、まずそれを解明すること。それからさらに、労働との関係、あるいは労働に関してどのように予防するかが出てきたところです。

 また運動器の外傷再建に関しては、今までの運動器の外傷そのものが比較的いわゆる救急救命センターの中での治療を優先にして行われてきており、その後の後遺症が必ず問題になると。そうすると、労働者については最終的に仕事をするのが難しいというようなことで選ばれました。新しく作業関連疾患に関しては、今までは上肢の作業関連疾患であるのですが、例えば今回選ばれたようなテーマに関しては手根管症候群、比較的年齢とも関係があり、今までの見方とまたちょっと違った見方をしなくてはいけないので、今後、今現在の高齢化社会の中で新たな労働関連疾患を見直すべきときが来る観点から選んで、また本省とも相談しながら選ぶといういきさつです。

 

○高田構成員

 我々というか、私は専門でないものですから、それぞれのテーマについての根拠について十分理解はできないのですが、ほかのテーマではなく、このテーマが選ばれた根拠が比較してどうなのかという観点で説明いただけると素人としては非常に分かりやすかったと思います。それと、現在の労災研究の現状がこのようなことであるので、これが選ばれたなどの研究動向との関連も含めて、素人に分かりやすい説明をいただけると幸いです。

 

○労働者健康福祉機構理事(加藤)

 すみません。個別なことばかり話したのがまずかったかもしれません。労災疾病そのものはたくさんあり、その中で全てをやるわけにはいかないので、その中で私どもができて、私どもの能力を活用できるようなものとして選ばせていただきました。

 その中で先ほど申し上げたように、私どもは整形外科領域が非常に強くて比較的症例もあることで選んだということで、その中の、それ以外にも睡眠時無呼吸に関しても今、社会で生活習慣病や過労死の問題が非常に注目されていますが、周辺領域の中で選んだと御理解いただけますでしょうか。以上です。

 

○中村構成員

 非常に頑張っておられるという印象ですが、書き振りに関係すると思いますが、非常に難しい施設を持っているのをかなり書いてありますが、難易度が高いという形でですね。先ほど難易度なのか重要性なのかと話がありましたが、その施設を持っていることそのものが、それでもって評価かというとそうではないと思います。それは確かにほかにないようなものを持って、さらにどのようなアウトプットを出したのかが問われると思います。その書き振りが、資料の1-1では結構書いてありますよね。それを使って具体的な数字を元にこういうことをやりましたと。しかし、実際の評価シートでは記載が余りなくて、全国に2つしかない。そういう重要な非常に難易度が高いという説明で終わっているところが残念に思いました。

 それに対して主務大臣による評価は、それを踏まえてどのようなことを出したか。迅速な対応をしたのかということまで踏み込んでいますので、これは適切な感じがしています。主務大臣の評価は、具体的な数字に基づいて、たとえ数値的には少ない値であったとしても、それは非常に難しいのだということまで踏み込んだ判断で、単なる数字だけではないことからも非常に適切な評価をされていると判断いたしました。

 

○今村主査

 例えば、資料1-228から29ページに「全国で当機構を含め2か所しかない等、非常に難易度が高い」とある書き振りについての御指摘だと思いますが、難易度という文脈の使い方について、どのような意図であったかをお答えいただければと思います。

 

○労働者健康福祉機構総務部長

 確かに、ここの書き方として全国に2つしかないのでという説明が、難易度の説明の仕方として不十分であったと思いますので、今後の表現ぶりは工夫したいと思います。やはり、ほかの民間では取り組めないという意味においては難易度が高いのではないかということで、書かせていただいております。

 

○今村主査

 そして、所管課か、あるいは評価官室になるかと思いますが、こちらの参考資料4の「独立行政法人の目標の策定に関する指針」の中の5ページ(2)でチャレンジングな目標にチャレンジしやすいという意図を持って、重要度、優先度及び難易度が異なるものについて記述する、明確に記載すると書いてありますが、これについて法人側は全部で5つ、6つぐらいに関して難易度が高いと自己申告しているわけです。それに対して、1つを除いて所管課は難易度を認めないということでしたが、この辺の難易度の解釈をもう少し簡単に説明していただければと思います。意図としては、法人側がチャレンジングな目標にチャレンジしやすいと。それをどう評価するかは今後の問題かと思いますので、今の質問に関連して簡単に説明していただければと思います。

 

○労働基準局労災管理課長

 難易度につきましては、所管大臣の評価としてはできるだけ客観性をもたざるを得ないという立場から、例えば数値的に見て非常にチャレンジングであるなどをある程度客観性があるとみなせるものについては、そうできるのですが、そもそものこの中期目標があって、それに伴う中期計画があって年度計画が作られているわけです。しかしながら、この法人の年度計画は平成26年度からスタートしていることもあり、このような評価がされることを前提として計画が作られていなかったことで、極めて定性的な形での目標になってしまっていることがあり、私どもとしてはなかなか難易度を付けることが難しかったところです。

 ただ一方で、個別の小項目を見ていくと数字的に120%を達しているなど、客観性をもってAと評価できる小項目がいろいろ並んで全体の運営として高いと評価したものについてはAとしたところです。今後、中期目標や、あるいは中期計画・年度計画を作るに当たっては、こうした今後の評価に資するようなものとなるよう努めたいと考えております。

 

○今村主査

 重要なことなので少し時間をいただけますか。先ほどから議論になっている法人の研究で新規とあるポンチ絵の789ページ辺りですが、法人として新規の事業をかなり積極的に取り入れられています。これはチャレンジングではないかと思うのですが、この辺が具体的にBになっているわけです。逆に、立替払に関しては法人側の難易度の申告を受け入れてAとしている。この辺を見る限りは重要性としてはどちらが重要かが分からないので、説明していただけますか。

 

○労働基準局労災管理課長

 繰り返しで恐縮ですが、この研究は私どもも非常に重要なものだと思っております。残念ながら、これを客観的に数値ではなかなか評価しづらいのが正直あり、それで今回はどうしても難易度が高いという評価が私どもとして客観的に説明するのが難しいのでできなかった次第です。

 一方で、立替払につきましては、いわゆる申請期間の短縮などが極めて明解に達成されて成果が出ているので、Aという高い評価ができたところです。御指摘のとおり、今後それをどううまく評価していくかは、今後私どもも課題として検討していきたいと思っております。ただ、今回のルール上は、なかなか難しかったというのが正直なところです。

 

○労働者健康福祉機構産業保健・賃金援護部長

 念のため。立替払は、重要度はつけていますが、難易度は付けていません。

 

○今村主査

 すみません。こちらは、一覧表に○が付いていたので。ありがとうございました。どうも失礼いたしました。訂正いたします。ほかに、いかがでしょうか。

 

○宮崎構成員

 資料の18ページの「医師の確保・育成」ですが、医師の確保支援制度の中で労災病院間の人材交流で7件派遣実績があった記載と、その右側に働きやすい環境づくりということで短時間勤務制度で利用が7人あったとなっておりますが、労災病院の数から考えると、個人的にはどうも少ないような気がしており、やはり同じ法人としてネットワークで病院をやっているわけですから、この辺りをもう少し柔軟に人員の配置や、公務員であれば辞令1つ出せば、本来的には病院を移動してもらうなどの対応もあるかと思います。派遣協力を依頼している言い方も非常に不可思議な気はしておるのですが、この辺に関して、いずれにしろ、もう少し柔軟な運営や、より人の配置の流動化に関して少なくとも今後は数値目標を設定し、より柔軟に運営していくことが重要ではないかと思っております。その辺りに関して、どのような認識かを伺えればと思います。

 

○労働者健康福祉機構総務部長

 医師の派遣ですが、本来的には医師の派遣制度を使わなくても、その地域で医師の確保ができれば一番いいのですが、如何せん、東北や北海道は、わりと医師の確保に難渋を極めている地域です。その一方で、都市部も、医師は必要な所はありますので、そこの医師の方と不足地域のニーズとをうまくマッチングできれば医師派遣ができると考えております。不足地域からすれば宮崎構成員が御指摘のようなことができればいいのですが、一方で、足りなくなってしまう所は、また収入が減ることもあり、痛しかゆしのところがあります。

 数値目標を設定するのは非常に難しいと思いますが、できるだけ医師の不足が解消できるように、グループ内での協力をやっていかなければいけないとの御指摘ごもっともであると思っておりますので、御指摘を踏まえて何ができるか考えていきたいと思います。

 

○柴田構成員

 根本的なところを確認したいのですが、難易度や重要度は、目標を設定した段階で、これは難易度のある目標設定だと設定しているのですか。

 

○政策評価官

 独法通則法の改正に伴って、平成27年度以降に目標を策定する場合には、難易度や重要度を目標の中に定めることとなりました。労働者健康福祉機構の場合には、平成26年度からの計画になっておりますので、目標の中には難易度や重要度の設定は基本的にされていません。しかしながら、評価については今年度以降、難易度や重要度を勘案して評価をするということで、評価の時点において、重要度、難易度について説明がなされれば、それに応じた評価をすることができるとされております。

 それについて、有識者の委員には、前回、別の法人の評価の際に、参考資料2の中で御説明させていただいたところですが、改めて確認をさせていただきます。参考資料21枚めくっていただくと、「項目別評定」というところに、定量的指標を設定している項目についてはB標準で、100%~120%の場合はB。それ以上、以下の場合には、各々そこに書いてあるような評価にするとされています。そして、一番下の※の所で「難易度が高いとされた項目は、評定を一段階引き上げることを考慮」とされております。

 参考資料4が目標の設定に関する指針、参考資料3が評価に関する指針です。難易度の部分を確認させていただきたいのですが、参考資料310ページの上から12行目に、「目標で設定された難易度の高い項目に限り、評定を一段落引き上げることについて考慮する。ただし、評定を引き上げる場合は、評定を引き上げるのにふさわしいとした根拠について、量的及び質的の両面について、具体的かつ明確に記述するものとする」とされております。また、今回は目標で設定されていないのですが、目標で設定されなくても評価書の中で書かれればいいということが総務省から示されています。

 また、目標の設定について、先ほど労災管理課長から説明がありましたが、個別の項目を拾うと、定量的にかなり上回っているものがあることなどを、主管課として見ているということであったかと思います。

 

○柴田構成員

 すみません、分かっていなかったので申し訳ありませんでした。

 

○政策評価官

 制度の移行期のため、わかりにくくて申し訳ございません。

 

○今村主査

 資料の確認ですが、参考資料7に重要度、難易度とあって、重要度のほうに○が付けてあるのですが、これは正しいのですか。

 

○政策評価官

 正しいというのは、主管課が基本的にそれについては付けていますので。

 

○今村主査

 この重要度は主管課が、この項目は重要であるというところに○を付けた。

 

○政策評価官

 はい、そうです。正しいです。

 

○今村主査

 難易度は空欄ということですか。

 

○政策評価官

 そうです。

 

○今村主査

 分かりました。

 

○酒井構成員

 機構のこれまでの労災病院の運営であるとか、産業保健総合支援センターの活動は、非常にこれまでもしっかり取り組んでいただいて評価するところです。私の関心は、これから労働安全衛生総合研究所と一体になるということで、そのことでより研究開発推進というような分野で、これまでの皆さんたちの研究に加えて、飛躍的な飛躍があるのではないかと期待しているのです。

 スライドの2ページ目のところに、統合後の新独立行政法人として、それぞれのいわゆるポンチ絵が描いてあって、上には統合による効果を最大限に発揮できる体制の構築ということがあって、そのことを大変期待しているのですが、これを見ただけではよく分からないと言いますか、これまでのそれぞれの法人のやってきたことをまとめて書いてあって、何となく線で上と下がつながれているのですが、これがまだ一体になっていないわけですが、これからのことだと分かっているのですが、この辺をどういうふうな運営になっていくのかということの説明をもう少ししていただけると嬉しいと思います。

 その点、先ほど御意見にもありましたが、7ページ以降の労災疾病等に関わる研究開発の推進等で、いろいろな課題があるわけです。この課題の多くのものは、労働安全衛生総合研究所も研究している分野で、これまで非常に積極的に取り組んできているテーマでもあると思います。この辺がまず統合化の中で一緒にやっていけるようになることを保障していただけるといいなと。

2つ目は、現在は労働者健康福祉機構ですが、新しい法人名が労働者健康安全機構になるというお話ですが、ここの「安全」というのは、これまでの機構の研究ですと、ここにあるように、労災疾病で、世の中の分類からいくと、どちらかというと、健康という分野での研究開発に見えるのです。今後、労働安全衛生総合研究所と一体になることによって、いわゆる労働災害の怪我系の研究開発というのは、今、安衛研では非常に得意としているだろうと思うのです。その辺はどういうふうになっていくか、若しくはどういう議論がされているのかということを御紹介いただけますか。

 

○労働者健康福祉機構総務部長

 まず制度的なことを申し上げますと、2ページ目の資料については、法案の統合に向けたときに作成した資料で、今、酒井構成員が御指摘のとおり、ただ単に2つの法人のやっていることを並べただけということになっているように見えるかと思います。ただ、これはこれから、本日労災管理課しかこの席におりませんが、安全衛生部の計画課のほうで、昔で言う「勧告の方向性」の取りまとめに向けて、独立行政法人評価制度委員会のほうに、今後の中期目標、中期計画をどう作っていくかということの改革案を、この8月末に厚生労働省として出していくことになっております。その中で、今、酒井構成員の御指摘のようなものを含めて、所管課にもお伝えさせていただいて、今後の研究が、労働安全衛生総合研究所の研究は一切後退することがないように、逆により良い研究になるような形での統合法人を作っていって、そのことを独立行政法人評価制度委員会に御説明させていただきたいと思います。平成284月のスタートには、現在の労働者健康福祉機構の中期目標、中期計画の変更になるかと思いますが、その中に盛り込んでいくことで対応したいと思っております。

 

○労働者健康福祉機構理事(森岡)

 先ほど総務部長からお答えさせていただいたことに補足させていただきます。まず、資料1-13ページの2番の(4)にあるように、新しくできる労働者健康安全機構の本部のほうに、研究試験企画調整部(仮称)が研究について一体的に行えるように、本部のほうでまずしっかりと見ていこうということで、本部でこういった形の部を作って、研究全体のコーディネートのようなことも図っていきたいと考えております。

 これによりまして、当機構のほうで、今でもアスベスト等については共同で始めておりますが、更に労働安全衛生総合研究所のほうで行っている過労死問題。また、産業中毒等についても、当機構のほうで産業中毒のデータベースの大きなものを持っております。こういったものを活用の仕方、また共同研究という形によって、本部のほうでコーディネートしながらより大きな成果を上げたいと考えております。また、安全衛生研究所のほうで行っている安全部門についても、転倒の災害等についても、当機構のほうでは、脳外傷のデータなどもありますし、更にはせき損、吉備リハ等において工学士のほうでいろいろな機械等も作っておりますので、こういった面においても共同的な効果を出せないかということで、これから検討していきたいと考えているところです。

 

○労働者健康福祉機構理事(加藤)

 今のに補足させていただきます。全くそのとおりです。安衛研でやっているのは、どちらかというと基礎的なというか、労働、仕事から見た病気ということです。そういった意味で多彩なことです。

 一方、労災病院は病院という窓から見た仕事という関係で、実際、ウインドーが違うということを含めると、非常に両者統合して考えますと、基礎医学と臨床、応用医学の統合みたいなことで、そういった意味では違う側面から見ることができる。あとフィールドそのものが安衛研にとっても、労災病院で年間20万人の入院患者がいる。外来に行くと更に34倍です。そういったことが良いフィールドになるのではないか。そういった意味では共同研究としてはより活発になることを期待しております。

 

○今村主査

 今のに関連して、最後の言葉尻をとらえて恐縮ですが、私が心配しているのは、むしろ安衛研の建物は残るわけです。組織としてはそのままの形で残って、法人として統合されるということは、逆にこの統合されたことで、統合された目的はシナジーを期待されているわけです。しかし、今言ったレベルが違うとか、場所は残っているということで、逆に2(4)の試験企画調整部というのがうまく機能しないと、そのままシナジーの効果が出ないという、逆にそういうリスクもあるのではないかと心配をしているのです。その辺は是非調整部門でしっかりとやっていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 

○志藤構成員

 私はいつも細かなワーディングのようなことにこだわって申し訳ありません。14ページと15ページに関する部分です。「地域の中の中核的医療機関としての役割の推進」というところで、地域のほかの医療機関とも連携をしながらということをうたっておられて、そして「病院ごとの目標管理の実施」というところで、紹介率、逆紹介率、緊急の搬送数というのがあります。これは多分それぞれの病院ごとに、目標値を設定して、それが達成できたかどうかということをお書きになっておられるのだと思います。

 例えば、紹介率というのは、地域のほかの小さなクリニックなどから紹介されて来る方が、どのぐらいの数がいるべきだという目標値を作って、そこに達成したかどうかということ。逆紹介率というのは、労災病院のほうから、例えばクリニックなどにもう少し急性期を経た慢性期の方を戻したとか、それこそ地域包括につなげるというようなことかなと想像はできるのですが、3番目は救急搬送数ということですが、そもそもこの目標値を設定すること自体の意味がよく取れません。

 それから、数としては昨年よりも3,276件多く救急を受けているが、目標を達成した病院の割合が41%ということは、目標値の設定自体もよく意味が分からなくて、とにかく来た者を全部受けるということなのか、1か月に100件は受けろということなのか、そこがよく理解できない上に、しかも、41%という数字がこういうふうに出てしまうと、今言われている救急車のたらい回しでお断りしているのが多いという印象を与えかねないと思います。この辺りのワーディングと、実態が実際どういうことなのか少し御説明いただければ有り難いです。

 

○労働者健康福祉機構医療事業部長

 まず、救急搬送の数値の目標をなぜこういう数値にしたのか。地域の中では救急を受け入れるというのは、原則一次から三次までありますが、基本的に労災病院は救急指定医療機関になっておりますので、原則受け入れるということです。ただ、どうしても診療体制等でできない場合もありますので、そこは低めの設定です。この設定の仕方については、2月、3月に開かれる本部と病院との協議の中で、具体的にこういう活動をやっていきましょうという指針の中で決めていくものです。

 ですから、全体の中でどれぐらいできるかというのは、1つの努力目標みたいな形での記載になっております。ただ、御指摘のとおり、逆に41%しか達成できていなかったとなると、何をやっているのだという話に取られますので、記載ぶりは御指摘のとおりかと思います。ありがとうございます。

 それと包括ケアについては、政独委からありました、地域における役割や機能を分析・検証し、実情に応じた医療を確実に提供してくださいということと、昨年同じようにアドバイスを頂きまして、それを昨年の10月に機関決定して、各病院長に指示したところです。それで早速包括ケア等も動き始めたというところです。以上です。

 

○志藤構成員

 ありがとうございました。

 

○今村主査

 よろしいですか。それでは、ここで法人出席者が1名交替します。皆様は少しお待ちください。再開後次の事項に移りますので、よろしくお願いします。

 

(法人出席者入替え)

 

○今村主査

 続いて、「業務運営の効率化に関する事項」「財務内容の改善に関する事項」及び「その他業務運営に関する重要事項」に係る項目別評定について議論をしたいと思います。それでは、先ほどと同様に法人及び法人所管課からポイントを絞って簡潔に御説明いただき、その後、質疑応答ということでお願いいたします。

 

○労働者健康福祉機構総務部長

 資料1-122ページを御覧ください。「業務運営の効率化に関する事項」の2-1です。中期目標上は、平成26年度と比較して、一般管理費・事業費が節減できているかどうかを判断することになっておりますので、平成26年度の定量的な指標はありません。

 そこで参考値として、平成25年度との比較をしております。一般管理費については、特殊要因を除けば、0.02%の減となっております。また、事業費のほうは21.9%の減となっております。また、医療リハビリテーションセンター、総合せき損センターの運営費交付金の割合の維持については、医師の退職や医療機器の故障等によりまして収入が減ったということで、交付金率は0.9%となっております。平成20年度の割合を超過しております。

こういうことで、パワーポイント資料はありませんが、国の指定職において勤勉手当が引き上げられたにもかかわらず、機構の役員の勤勉手当を据え置くこと、あるいは職員に対して厳しい経営状況を説明して、労働組合をはじめとする職員の御理解を得て、職員の期末勤勉手当について人事院勧告即ち国家公務員の支給月数を下回る月数で合意したという対応は難易度が高いのではないかということで、自己評定を一段引き上げたAとしております。機構の説明は以上です。

 

○労働基準局労災管理課長補佐

 引き続き資料1-292ページ右側の主務大臣による評価欄に基づいて御説明いたします。評定に至った理由としては、以下の状況を踏まえ、中期目標の所期の目標を達成していると評価できることから、評定をBとしております。業務実績については、評価欄の記載のとおりですが、主なものを御説明いたします。

 全国15か所の産業保健推進センターで行っていた会計業務を8か所に集約したことや、財務会計システムの改修等により、業務の効率化が図られており目標が達成されていると思います。また、医療リハビリテーションセンター及び総合せき損センターの運営費交付金の割合については、平成20年度の運営費交付金割合を超えていることなどを勘案しますと、初期の目標を達成していないものの、一般管理費については特殊要因を除けば、平成26年度においては前年度比約300万円減であること、事業費については、前年度比59,300万円減となっているという状況です。

 

○労働者健康福祉機構総務部長

 資料1-123ページを御覧ください。3-1、「財務内容の改善に関する事項」です。平成26年度は経常損失が66億円となっております。臨時損失を加えますと、当期損失81億円となっております。その原因については、真ん中の青い欄に損益悪化の要因について分析をしております。収益面では、診療単価は増えたものの、平均在院日数の短縮化によりまして、患者数が減少したこと。また、費用面では、給与特例減額措置の終了による給与費の増加、あるいは抗がん剤等の高額医薬品の増加等によりまして、医療材料費が増えたことなどが挙げられます。特に、消費税の引上げによる影響が費用増加の大きな要因となっております。

 単年度で81億円ということで、繰越欠損金は501億円となっております。この繰越欠損金の主な原因としては、下の赤い欄に3つ書いておりますが、(1)世界的な金融危機の影響、サブプライムローン、リーマンショック等の影響による年金資産の減少に伴う退職給付費用の増加です。

24ページを御覧ください。「経営改善に向けた取組」については、収入確保・支出削減対策として、経営改善推進会議を毎月2回開催しております。近隣病院に比べて、各労災病院の強み、弱みを情報共有しながら、病床機能の見直しなどを行い、個別病院の経営指導、フォローアップに当たっております。

 また、民間経営のノウハウを入れるために、経団連から経営監を迎え入れまして、経営改善推進会議にも参加していただき、御助言を頂いております。また、支出削減策として、国立病院等との共同購入に取り組みまして、36,500万円の支出削減をしております。あるいは後発医薬品の採用促進にも努めておりまして、いわゆるジェネリックですが、平成25年度は47.2%でしたが、病院ごとに数値目標を設定して、平成29年度末には60%にするというのが厚生労働省の目標ですが、この目標を前倒しで昨年度達成し61.7%となっております。また、平成26年度からは新たに個別病院ごとの財務諸表を作成し、これを公表することが第3期中期目標に定められております。資料1-3に「平成26年度業務実績参考資料」を用意しておりますが、病院ごとの財務状況を示しております。

 繰越欠損金の解消に向けた取組については、単年度の経常損益の改善だけではかなりの時間を要します。このため、厚生年金基金のうち、代行部分についての国への返上を進めるということで、労使で何度も協議をいたしまして、昨年7月には法改正内容の説明、10月には労使合意を得て、代行部分の国への返上、新制度への移行について合意をしたところです。本年2月には基金の代議員会の議決を経て、平成294月に国への代行返上、新制度移行が決まったところです。これによりまして、平成28年度を目途とした繰越欠損金の解消への道筋を、昨年度付けることができたと考えております。総合的に年度計画を達成していることから、Bとしております。難易度が高いと考えておりますが、繰越欠損金が拡大したということで、難易度で一段上げることはせずに、自己評定はBとしたところです。機構の説明は以上です。

 

○労働基準局労災管理課長補佐

 引き続き資料1-2103ページの右側の主務大臣による評価欄に基づいて御説明いたします。評定に至った理由としては以下のとおり、他法人の事例を参考とした取組、本部事務所の移転に係る事項等については、年度計画で定められた事項が実施されており、目標の水準を満たしているものと評価されます。一方で、財務内容については、繰越欠損金解消計画が未達成であり、総合的に勘案し、評定をCとしております。

 業務実績については、評価欄の記載のとおりです。評定がCですので説明をさせていただきます。医療の質と安全の確保から、看護師、医療職等を充足し、上位施設基準の取得、診療報酬改定への迅速な対応及び高度な手術の件数増等により診療単価が増となり、経常収益は平成25年度と比較し増となっております。しかし、給与特例減額措置の終了に伴う役職員給与の増、抗がん剤等の高額医薬品の使用量増や、高度な手術の件数増に伴う薬品費、診療材料費等の増、消費税の増を賄うには至らなかったところです。この結果、平成25年度同様、経常損失を生じるとともに、繰越欠損金が平成25年度比81億円増の501億円。平成26年度に計画した解消計画18億円は未達成となった状態でした。以上です。

 

○労働者健康福祉機構総務部長

 資料1-125ページを御覧ください。4-1の「その他業務運営に関する重要事項」です。内部統制の確立です。毎年61日現在の障害者の雇用状況について、ハローワークを通じて国に報告することが法律上の義務となっております。独立行政法人である当機構もこの法律の規制の下にあります。しかしながら、報告内容が長年にわたって虚偽であったことが、平成268月末内部調査により発覚いたしました。

 この障害者の虚偽報告を行っていた事実を、理事長の決断により記者会見を開いて公表いたしました。その後直ちに機構と利害関係を有しない外部の弁護士からなる第三者委員会を立ち上げて、虚偽報告の真相究明を図り、関係者の厳正な処分を行うとともに、そこに掲げている再発防止策を種々講じたところです。

また、障害者雇用についても、理事長自ら院長会議において、各院長に指示するなど、組織を挙げて取り組んでまいりました。平成2661日現在では法定雇用率を満たすには74人不足していたわけですが、平成26111日現在では法定雇用率を達成したところです。また、民間の障害者支援施設所属の方を雇い入れるなど、現在もなお雇い入れた障害者の定着に向けた取組も進めております。

26ページを御覧ください。「適切な情報セキュリティ対策の推進」です。政府の情報セキュリティ政策会議決定を踏まえて、情報セキュリティポリシーの見直しを、昨年81日付けで行っております。また、サイバー攻撃を想定した訓練を昨年の秋に全施設で実施しております。

総合的に見て、年度計画を達成しているところですが、内部統制の確立について、障害者雇用状況の虚偽報告事案が発生したことを踏まえて、自己評定はCとしております。機構の説明は以上です。

 

○労働基準局労災管理課長補佐

 資料1-2116ページ右側の主務大臣による評価欄に基づいて御説明をいたします。評定に至った理由としては、以下のとおり、内容を総合的に勘案して評定はCとしております。業務実績については、評価欄の記載のとおりですが、評定がCですので説明をさせていただきます。

 リハビリテーション作業所の完全廃止、決算検査報告指摘事項への対応及び適切な情報セキュリティ対策の推進については、おおむね年度計画で定められた事項が実施されております。

 一方、内部統制の充実、強化に関しては、障害者雇用状況の虚偽報告事案があったこと及び法定雇用率が達成されていないという事実を平成2610月に公表したところです。その後、組織を挙げて障害者の採用に積極的に取り組んだ結果、同年11月に法定雇用率を達成し、また、外部の弁護士で構成される第三者委員会による報告書の内容を踏まえ、同年12月には再発防止策が講じられるなどにより、内部統制機能を確立しております。以上で説明は終わります。

 

○今村主査

 それでは、ただいま御説明がありました事項について御意見、御質問等ございましたらお願いいたします。

 

○関口構成員

 いろいろと個別病院ごとに事情はあると思うのですけれども、資料1-3のほうで拝見しますと、人件費率が、例えば鹿島ですと116.8%といったような状況になっておられるわけですが、こういった人件費率がこれだけ高くなってくると、病院経営上は非常に大きな問題ではないかなというように思います。その辺りについていろいろ御努力はされていると思うのですが、今後の対策等について何かお考え等あれば、是非お聞かせをいただければと思います。

 また、同時にやはり400床未満のところですと、かなり人件費率も高くなっております。この辺りのことについて、中長期的にもいろいろと対策を取らなければいけない部分もあるかと思います。併せて御教示いただければと思います。

 

○今村主査

 今、御指摘の数字は9ページの下から6行目、鹿島が116.8という数字です。お願いします。

 

○労働者健康福祉機構理事(森岡)

 委員御指摘のとおりでございまして、鹿島につきましては、ここについては人口等もある程度増えている地域でございます。その中で、一方、非常に医師不足の鹿行地域というところでございまして、基本的には大学のほうから医師が派遣といいますか、大学の医局に所属している医師が鹿島労災病院に採用されるという形で来るわけでございます。そこについて現在非常に医師不足になっており、鹿島につきましてはそういう意味で患者さんはいるけれども、ほかの地域に回らなければいけないという地域になっております。地域を挙げまして、神栖市ですが、神栖市のほうからも寄附講座等応援していただきまして、現在、まず医師確保に努めているところでございます。今年度もそういうことで3名増えており、これから医師を確保して、経営を立て直したいというように考えております。

 また、400床以下のところで、非常に人件費率が厳しくなっているという御指摘を頂いております。労災病院、従来の炭坑地域であるとか、産業地域の背景の下に建っている所がございます。そういう中におきましては、やはり人口等も減少しているという地域もあります。今後地域のほうで地域の医療計画を作っていくということに今なっておりますので、そういった状況と合わせまして、病床の在り方といったものについて検討しまして、体制を整備していく必要があろうと考えているところでございます。

 

○宮崎構成員

 今、お話しいただいたところなのですが、資料1-4の決算書の32ページを拝見しますと、職員の方が大体15,000名ほどいらっしゃって、非常勤の職員というのは123名となっております。これはやはりほかの、例えば国立病院機構ですとか、高度医療センターに比べると、かなり非常勤職員が少ないのではないかという印象を受けております。先ほども人員の配置など、もうちょっと柔軟な運営をというお話をコメントさせていただいたのですが、例えば、国の政策の中でも育児とか、いろいろなものがある中で、短時間勤務であるとか多様な働き方の提供という観点もあろうかと思うのですが、この辺りがやはりもしかすると人件費が高くなっている要因の1つなのではないかなという印象も受けており、この辺をどう今後取り組まれるのかということの御質問が1点です。

 あとは、24ページに「ベンチマーク資料を用いた契約交渉の推進」と掲げているのですが、内容的に主に材料費のことが書かれているように思われるのです。この辺も、今申し上げたような多様な働き方とか、短時間勤務といったものも、ほかの国立医療機関と対比のベンチマークであるとか、そういったことで分析していく。いかんせん先ほどの資料を見ますと、人件費だけで半分ぐらい占めておりますので、この部分も必ずしも給与を下げろという話ではないのですが、いろいろな働き方とか、効率を高めるということの観点から、非常勤職員を増やすですとか、いろいろな恐らく施策はあるのだと思いますが、そういったことを材料費以外についても、もう少し踏み込んで検討していく必要があるのではないかなと思いますので、どのようなお考えかということを御意見伺えればと思います。

 

○労働者健康福祉機構総務部長

 この32ページの表で、非常勤の人数が書いてございますが、これは実はそこの括弧の中の数字だけではなくて、注意書きの6番のところに書いてございますが、嘱託職員の給与等を、この金額で整理しているということで、実際にはこの中にかなりの人数の非常勤職員で対応しているというものでございます。上の表の非常勤と正規職員の人数だけですと誤解を与えるかと思いますので、そこはまた今後工夫したいと思います。

 

○労働者健康福祉機構理事(森岡)

 先ほど総務部長から御説明したとおりでございまして、労働者の数、職員の数につきまして15,000という数字でございますが、これは障害者の雇用率のときにも、嘱託職員を合わせますと、嘱託で障害者雇用の分母になるような、常用的な働き方をしているような人を入れますと、約2万、当機構いるということでございます。そういう意味で、正規職員が15,000で、それに対してそうでない方が4,000少しいるというのが現状でございます。また、今後女性の活用の問題等とも絡みますが、社会保険につきましても、今度厚生年金、社会保険のほうで現在週30時間がないと保険に入れないというところが、20時間に下がるということもありますので、そういったことも踏まえていろいろな働き方の組合せというのを考えていきたいと考えております。

 

○今村主査

 そうしましたら、本文のポンチ絵のほうにも書いてある謝金対応の医師というのは、これは嘱託の医師ということですね。22ページの右の下のところに、「運営費交付金率維持への課題と対応」とに書いてあって。これは医療リハビリセンターの所に、「謝金対応の医師を確保し」と書いてあるのは、これは今おっしゃった、その嘱託の医師ということですね。

 

○労働者健康福祉機構医療企画部長

 そうです。

 

○今村主査

 そういうことですね。分かりました。いかがでしょうか。

 

○戸田構成員

 資料1-124ページについて、2つ質問です。ここの経営改善に向けた取組等ということで、こちらに記載されている事項というのは既に実施されているという理解で、よろしいのでしょうかというのが、1つです。

 もう1つ質問は、この24ページの下に、厚生年金基金の新制度への移行というところで、「解消達成に道筋をつけた」と書いてありますが、この点について具体的にもう少しどういったことが決められてきたのかということについて、教えていただければと思います。以上です。

 

○労働者健康福祉機構経理部長

 収入確保・支出削減対策でございますが、これにつきましては、平成26年度に全て取り組んだ事項でございます。

 

○労働者健康福祉機構理事(森岡)

 厚生年金基金の代行返上でございますが、厚生年金基金で現在当機構のほうは年金基金を持っているわけでございます。これについて、厚生年金のほうの代行部分がございます。代行部分と、いわゆる上乗せ部分、3階建て、2階の部分というのがございます。これの部分について、代行部分を国に返上することによりまして、この運用の国に返上する金額と、それから債務として現在積んでいる金額がございます。それにつきまして、債務として現在積んでいる金額に比べ、国に返還する額というのが少なくてよいというのが、今回の法律改正の事項になっております。そのことをやることによりまして、現在のいわゆる累積欠損500億ございますが、これに相当する分、これは年金の運用をやっております信託銀行のほうで計算したところによりますと、この繰越欠損金の解消はできるということを言われているところでございます。現在、詳細については組合とこれから交渉する事項でございますので、内容については少しなかなか言えないところでございます。この代行部分を国に返上することについては、現在、組合と約束しまして、平成272月の代議員会においても議決をしているところでございます。

 

○今村主査

 ほかにはいかがですか。特にないでしょうか。

 

○関口構成員

 資料1-1のほうの24ページなのですけれど、収入確保・支出削減対策のところの真ん中の一番下で、ジェネリック医薬品の採用促進というところがあるかと思うのですが、こちらの達成度の部分はどこが含まれるのかというところで、基本的に院内薬局は今は認められていないといいますか、やっていないかと思うのです。入院対象者への医薬品の部分で、後発医薬品を採用促進したことによって、支出が削減できたと捉えてよろしいのかということが1点です。

 それであるならば、ほかのところが削減効果がいくらということで、具体的な数字が出ているのですが、ここについてはなかったので、参考のためにお聞かせいただければと思います。

 

○労働者健康福祉機構経営企画室長

 まず、この対象なのですが、これは労災病院で使っている後発医薬品の全部についてです。入院、外来関係なくです。

 あと削減対象なのですが、これは計算の方法の問題がありまして、ちょっと難しいです。なぜかと言うと、今まで先発医薬品を使っていて、それを後発に代えるわけなのですが、そうなった場合にDPCで飲み込まれたりするのがあって。いくら得したとかいうのは、ちょっと計算できなくなってしまうので、どうしてもこのところはこういう形になります。申し訳ございません。

 

○今村主査

 よろしいですか。それでは、ただいま御説明いただきましたが、最後にこれでよろしいですね。

 次は法人の監事のほうです。業務の監査結果を取りまとめた監査報告について御説明いただくとともに、監査等を踏まえた現在の法人の業務運営の状況や今後の課題、改善方針等について、コメントをお願いいたします。最初に、事務局から、続いて法人の監事及び監査報告について、説明をお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 法人の監事につきましては、法人の理事長と同様に、主務大臣から任命された独立の機関でありまして、法人の業務を監査することによって法人の適切な業務運営を確保し、統治体制の確立に資する責務を負っております。このため監事が監査等において把握した業務の運営状況や問題点等について、直接監事から意見を聴取するなどの機会を設けることについては、独立行政法人の評価に関する指針などにも記載されているとおり、主務大臣による評価に資するものであることから、本日は通則法第19条第4項の規定に基づき作成される監査報告、資料1-5になりますが、監査報告について御説明をいただくとともに、監査等を踏まえたコメントをいただくこととしております。それでは、法人の監事より説明及びコメントをよろしくお願いいたします。

 

○労働者健康福祉機構監事(高野)

 監事の高野と申します。私のほうから、平成26事業年度の監査報告について御説明をさせていただきます。資料1-5を御覧ください。1枚おめくりいただき、監査の方法及びその内容については、監査報告の中ほど、1にあるとおりです。他の独法法人と大きく変わるところはございません。ただ、労福機構の場合は労災病院や産業保健総合支援センターなどの施設が全国に多数存在しますので、施設往査にも多くの時間を取っております。

 監査の結果につきましては2のとおりです。読み上げますと、1 機構の業務は、別紙に記載した事項を除き、法令等に従い適正に実施され、また、中期目標の着実な達成に向け効果的かつ効率的に実施されているものと認める。2 内部統制システムに関する業務方法書の記載内容は相当であると認める。また、内部統制システムに関する理事長の職務の執行について、指摘すべき重大な事項は認められない。3 別紙に記載した事項を除き、役員の職務の執行に関する不正の行為又は法令等に違反する重大な事実は認められない。4 会計監査人有限責任あずさ監査法人の監査の方法及び結果は、相当であると認める。5 事業報告書は、法令に従い、機構の状況を正しく示しているものと認める。

 また、次のページの3に記載のとおり、独立行政法人整理合理化計画など、過去の閣議決定において監事による監査が必要とされている事項については、指摘すべき重大な事項は認められません。

 次に別紙を御覧ください。障害者雇用状況の虚偽報告の件です。障害者雇用状況報告制度の概要は、1(1)にあるとおりです。この報告に当たって、機構においては(2)にありますように、常用雇用労働者数を実際よりも少なく、常用雇用障害者数を実際よりも多く計上することで、障害者の法定雇用率を達成しているかのように虚偽の報告を行っていた事実が、平成268月に判明いたしました。対応は先ほども説明がございましたので重複する部分がありますが、(3)にあるとおり、平成26102日に厚生労働大臣への報告、記者発表、機構ウェブサイトにおいて公表を行い、平成261010日には第三者委員会を設置して、その真相を究明し、厳正な処分を行い、再発防止策を講ずるための調査を開始しております。他方、機構の障害者の雇用確保への取組といたしましては、平成26107日に臨時の全国労災病院長会議の開催、122日に本部に障害者雇用専門職、また、障害者雇用改革プロジェクトチームを設置して、障害者の法定雇用率を達成することのみならず、障害者雇用のモデル的な事業所となるための検討に着手しております。

 更に、次のページにあるように、平成261226日付けで、関与した役職員の処分を行う一方、平成27120日には理事会において、不正の再発防止策を審議、承認しております。以上のように、事実の判明後の機構の対応については、2にあるように、障害者雇用状況の虚偽報告に係る事実関係、原因究明及び再発防止策に関する公表内容に、特に指摘すべき不適切な点は認められません。また、3にありますように、役員の善管注意義務に照らして、再発防止に向けた役員の業務執行の状況に指摘すべき重大な事項は認められません。 

なお、機構の障害者の雇用状況については、平成26111日現在で法定雇用率が達成され、以降平成2761日現在においても2.78%と、法定雇用率がクリアされていることを確認しております。また、第三者委員会の報告に基づく虚偽報告の不正防止策も、法定雇用率の達成とともに構築されておりますが、独立行政法人たる機構において、障害者雇用の虚偽報告はあってはならないことです。今後とも理事長のリーダーシップの下、役職員の一人一人のコンプライアンス意識の醸成とともに、構築されました不正再発防止策に沿った業務処理に努め、法定雇用率の達成、適正な障害者雇用状況の報告、更には障害者の雇用のモデル的な事業所となられるよう、期待するものです。監査報告は以上です。

 監査報告に合わせまして2点ほど機構に監事としてお願いしたいことがございます。1点目は、機構の内部統制の仕組みと運用の確保に関することです。独立行政法人通則法の改正を受けまして、機構も業務方法書に内部統制システムの整備に関する事項を新たに規定するとともに、関係規程の新規制定、所要の改正が行われました。今後とも、機構が与えられたミッションを達成していくためには、理事長のリーダーシップの下、機構本部の役職員一人一人、特に幹部・管理職職員間で、適正な業務執行の確保に向けた内部統制の仕組みと運用の在り方について認識の共有化を図るとともに、本部の施設に対するガバナンスを構築、強化いたしまして、機構全体の内部統制が適切に機能するように取り組まれるよう、お願いしたいと思います。

2点目は、労災病院の財務内容に関することです。これにつきましては先ほどもありましたが、労災病院は平成28年度を目途といたしました繰越欠損金の解消が求められておりますが、平成26年度の当期損益は、先ほど御説明にあったとおりで、繰越欠損金が平成26年度において501億円に膨らんでおります。これは前年度に引き続き、目標が後退しているという状況でございます。機構におきましては、この繰越欠損金の解消に向け、日々の経営努力に加え、厚生年金基金制度の見直しを進めており、繰越欠損金解消への道筋はつけたと先ほど説明がございましたが、労災病院は国費の投入を受けておらず、独立採算による病院運営が前提となっております。経営基盤の確立なくしては存続し得ないことを改めて御確認いただいた上で、機構本部のイニシアティブの下、特に経営が悪化している病院の経営改善、経営改革に強力に取り組んでいただければと、お願いしたいと思います。ちょっと長くなりましたが、以上でございます。

 

○今村主査

 続いて、法人の理事長より日々のマネジメントを踏まえ、現在の法人の業務運営の状況、今後の課題、改善方針等についてコメントを頂ければと思います。よろしくお願いいたします。

 

○労働者健康福祉機構理事長

 内容が内容なだけに、起立して御挨拶させていただきたいと思います。まず、初めに、先ほど御報告いたしました、障害者雇用の虚偽報告という、誠に恥ずべき醜態をさらしましたこと、組織あるいはその責任者として深く反省いたしているということでございます。この件は、昨年8月末に発覚いたしましたが、既に第三者委員会の調査によりまして事実の解明がなされまして、それに基づいて関係者の処分を済ませております。

 しかし、長年にわたる機構組織自体にそのような失態を生ずるような環境が醸成されたのかもしれません。職員全員が二度とこのような不祥事が起こらないように、肝に銘じているということでございます。

 この件を受けまして、直ちに内部の体制を整備いたしまして、再発防止に関しましては二重、三重の防止策を構じたということでございます。その結果、発覚後約2か月で、法定雇用率を十分に超えることができまして、その後コンスタントに雇用率を維持しているということでございまして、私ども毎月雇用率をチェックしております。今や雇用確保に向けて、私も檄を飛ばすことは全くなくて、通常の状況で自ずと雇用率が維持されていると。そういうほぼ制度化されて、自動的にこれは達成すると言っても過言でないような状況になっております。

 それから私どもの機構のミッションの性質上、単に障害者の雇用を維持することにとどまらず、やはり医療現場において障害者の方々が個性を発揮いたしまして、自律的に社会に参画していただくということを是非支援したいと。これを奇貨といたしまして、むしろ私どもが研究課題として今取り組んでいるということを御報告申し上げます。

 さて、変わりまして、私ども機構は、労働者の健康をお守りすることを目指しているというわけでございますが、全ての労働者が各自の健康状態に応じて、可能な限り仕事をしていただきたいと。もちろん全員が健康ならば申し分ないのですけれども、不幸にしてやはり健康を害している方もおられます。何とか職に就いていただきたいと。つまり、病気を得た人を救済するというよりは、仕事をしている人、人と仕事を一体のものとみなしまして、両者から病気と関わっていくというものが、私どもの基本的なスタンスだということを御理解いただきたいと思います。病気の一次予防としては、全国に網羅した産業保健事業を通じまして、健康維持のための啓発活動、健康診断などを行っております。また、不幸にして病を得た場合にも、できるだけ早く職場復帰できるような治療を行うように努めております。健康を取り戻すのが理想でございますが、慢性疾患、完治が望めない疾患も実際には数多くございます。こういう方々にも個々人の状態、希望に応じて治療と仕事の両立を支援いたしているということでございます。

 また、職業関連疾患に関する様々な研究を行っているのは、御紹介いたしたとおりでございます。アスベストがもたらす健康被害というのは未だ収まる兆しがございません。その診断基準の確立、早期診断法の開発などは当機構の研究者の寄与が大変大きいものでございます。また、今でこそ労働災害による脊髄損傷、その結果である四肢麻痺、あるいは下半身麻痺は減少したとはいえ、脊髄損傷自体は年間約5,000件発生しているということでございます。したがいまして、必ずしも労災というわけでございませんが、私ども長年にわたる脊髄損傷の急性期治療、リハビリ、社会復帰といったノウハウの蓄積がございますので、脊髄損傷の治療実績は全国的にも際立っているということでございます。いかにして社会復帰を支援するか、あるいは再生医療、あるいは先端技術を駆使した神経機能を回復させようとする研究を今、鋭意進めているところでございます。

 また、職場環境や仕事の内容と病気との因果関係を究明すると、常にこういうスタンスで患者さんを診ているわけでございまして、その成果をミクロ、当該患者ですが、あるいはマクロ、これは公衆衛生的レベルと言ってもよろしいかもしれませんが、そのレベルで還元いたしまして、病気の再発あるいは新たな病気の発生を未然に防ぐということを目指しているわけであります。

 また、慢性疾患を患った場合にはどうしたら治療と就労を並行して進めていくかということも、大きな研究課題となっているわけでございます。

 更に、女性の就労に関する健康上の配慮、あるいは多くの勤労者を悩ましているメンタルヘルスの不調。更には、依然として解決しない過労死などにも学術的なアプローチを行っているわけでございまして、このように労働者の健康を下支えするということは、当人の満足度、あるいは幸福感につながることは申すまでもありませんが、国や社会の活力を高めるものでもございます。私どもにとって勤労者の健康というのは、いわば水や空気と同様に、普段は気付かないけれども、それが損われると大変なことになると。こういう極めて重要なミッションを付託されていると、このように考えているわけでございます。

 更に、人々が健康を良好に保つということと、仕事をしながら社会に貢献できるということは、車の両輪でございまして、片方が損われると他方にも影響が及び、逆も真なりということでございます。したがいまして、我々の取組は単に労働者の就労支援をするということのみならず、医療本来の目的であります健康維持という観点からも、大変重要と考えているわけでございます。いわば、医療の現場で求められている全人的医療、あるいはQuality of Life、最近はQuality of Working Life、こういうことも言われています。そういう観点からも重要でございます。また、勤労者の個々人の生き方を考慮した医療を展開していきたいと考えています。

 これ以外に、会社の経営不振のため給与を支給されない労働者への賃金立替、あるいは職務上の事故で不幸にして殉職された方々の慰霊など、労働者本人のみならず、その家族に対しても様々な形で援助をしているということでございます。

 また、直近の課題といたしまして、先ほど話題になりましたが、明年度、労働安全衛生総合研究所との統合が決定しております。いかにして双方の特徴をいかすかと。これは大変重要なことでございますが、更にこれまでにない何か付加的なものを、また何とか積み上げたいということでございます。既にアスベスト等で共同研究の実績がございまして、それから私どものやっている研究にもその基礎的な手法、アイディアを注入していただきますと、双方がプラスになるような形で研究が展開されるのではないかと、私はこのように期待しているわけでございます。

 また、病院の経営に関しては正直申しまして、最大の努力を結集しております。ほとんどの会議はこれに投入されていると、正直なところをお話し申し上げます。残念ながら、収支を好転させることはできませんでした。これは多くの病院経営に、民間病院を含めて共通の要因もございます。また、それに加えて勤労者医療を担うというミッションを帯びた本機構特有の構造的な要因もございます。現行制度の枠内で自助努力で経営改善を克服できる部分と、勤労者医療を担う枠組みそのものの大胆な改変を必要とする要因がございます。後者に関しましてはこの場で申し上げることではないので、これは控えたいと思います。

 ただ、1つ私が是非申し上げておきたいことは、私どもは病気と仕事を一体化して捉えようとする組織体であるということは、お話したとおりでございます。そのため、その産業保健、両立支援事業、あるいは勤労者医療の研究が病院内で限定されて実践される、いわゆる一般医療と不即不離な関係にありまして、有機的に結びついているわけでございます。したがいまして、医療のみを切り取って、その部分のみの黒字化をするという経営手法に高いプライオリティを置き過ぎると、勤労者医療がいびつなものになることを危惧いたすということでございます。

 私個人は長きにわたりましてアカデミアに身を置いた世間知らずでございますが、私の目から見まして、職員一同は勤労者医療の一層の充実を目指して、本当に職務に精励しておりますことを明言いたしたいと思います。その有能な職員を多く抱えている私の重要な役目は、職員が目的意識、士気を高めるということでありまして、このためにもやはり機構が何を目指すのかという原点をきちんと皆で理解を共有しなくてはいかんということでございます。私は経営とともに、この点にも一番意を注いでいるということでございます。なかなかこういう機会に、外部の方々にお話する機会が余りないもので、つい私見を長々と述べましたこと、お許しいただきまして、私のコメントといたしたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

 

○今村主査

 ただいまの監事及び理事長の御発言内容について、御意見、御質問等がございましたらどうぞ。

 

○志藤構成員

 また、ちょっと細かなことかもしれないのですが、これを先ほど拝見させていただいて気がついたことがありましたので1点、大変もったいないことではないかと思いましたので申し上げます。円滑な職場復帰や治療と就労の両立支援の推進ということで、今ほど理事長からも、不幸にして病を得ても、病と折り合いをつけながら就労するというようなことを目指していくというお話がございました。1213ページに、そういった記載もあるかと思います。

 こちらのほうの横のパワーポイントの資料1-1です。ここで円滑な職場復帰や治療と就労の両立支援と。ただし、ここに出ているのが、脊髄を損傷した方の総合センターと、それから吉備のリハビリテーションセンター、この2か所の記述だけです。全国にこれを見ますと、治療就労両立支援センターが9か所ある。この9か所の活動についての記載が、この横のほうの事業の概要のところに1か所も、センターの名前も、活動も出ていないというのは大変にもったいないと言いますか、多分私が想像しますに、医療リハビリ、吉備のセンターやせき損センターは、例えば工事現場とか、あるいはそういうハードなお仕事の中で怪我をなさったりしたような方々のリハビリだと思うのです。あと9か所の、北海道から九州まである両立支援センターというのは、例えばがんとか、糖尿病とか、腎臓、人工透析とか、そういった方々の就労を支えるためのいろいろなサポートをしておられるのだと思うので、どちらかと言うとそちらのほうが、我々の日常の中では心強いサポートシステムだと思うのです。それが、ここに記載されていないのは大変もったいないことだと思いましたので、もう少しこれをPRなさってもよろしいのではないかと思いまして、あえて申し上げました。

 

○労働者健康福祉機構理事(加藤)

 ありがとうございます。1-5の前の12ページに、治療就労両立支援モデルの事業がございまして、がん分野、糖尿病分野、脳卒中リハ、メンタルヘルスというのを中心に、治療就労両立支援の9施設、そのほかに全ての病院に、それぞれの担当した部署を設けておりますので、そういった意味では全国的な労災病院が全て何らかの形でこれに関わっているということで、御理解いただきたいと思います。

 

○志藤構成員

 ただ、これも私見ましたら、医療側が医師とそれからメディカルソーシャルワーカーなどということだけで、センターのお名前をやはりお出しになるべきだと思います。そういったセンターをもって、それに当たっているということで。ここだと、医療側だと、医師とメディカルソーシャルワーカーの名前しか出てないですよね。その支援センターという名前が、治療就労両立支援センターという名前がどこにも出ていないのは大変にもったいないと。

 

○労働者健康福祉機構理事(加藤)

 このポンチ絵の中に。

 

○志藤構成員

 そうです、そうです。

 

○労働者健康福祉機構理事(加藤)

 実は、もう平成26年度から治療就労両立支援センターという名前をつけて、活動しておりますので、これをつけなかったのがちょっと申し訳なかったです。

 

○今村主査

 ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。

 それでは、続きまして法人所管課より総合評定について説明をお願いいたします。

 

○労働基準局労災管理課長補佐

 資料1-22ページを御覧ください。全体の評定といたしましてはB、全体としておおむね中期計画における所期の目標を達成していると認められる。評定に至った理由。項目別評定は13項目中A2項目、B9項目、C2項目であることと、全体の評定を引き下げる事象の程度を考慮した上で、総合評定の評価基準に基づき、Bとしました。法人全体に対する評価。法人全体の評価の欄ですが、全体としておおむね中期計画における所期の目標を達成していると認めます。特に、中期目標に基づく「労災疾病等に係る研究開発の推進等」、「勤労者医療の中核的役割の推進」及び「円滑な職場復帰や治療と就労の両立支援の推進等」などの重要度の高い事項については、目標を達成する取組がなされています。

 次に、全体評定を行う上で、特に考慮すべき事項です。平成2610月に障害者雇用状況の虚偽報告事案があったことを公表し、その後、組織を挙げて障害者の採用に積極的に取り組んだ結果、同年11月には法定雇用率を達成し、また、外部の弁護士により構成された第三者委員会による報告を踏まえ、再発防止策を講じるなどにより、内部統制機能を確立しています。この事案を含む、その他業務運営に関する重要事項の項目別評定はCと評価しましたが、自ら事案を公表した上で、改善等に取り組んだものであることから、全体の評価を引き下げるまでには至らないものと判断したところでございます。以上で説明を終わります。

 

○今村主査

 ただいまの御説明につきまして御意見、御質問等がございましたら、お願いいたします。1つだけ今日の整理ですけれども、これは参考資料の目標策定のほうです。参考資料4のほう、先ほど説明のありました。それから参考資料7を見ていただければ分かると思います。確認ですが、重要度については、この○が付いているのは、法人所管課が重要であると認めた項目だということですね。それから難易度について○が付いていないのは、法人側からそういう申請があったけれども、所管課としては認めていないということですね。そうしますと、参考資料45ページに「重要度、優先度及び難易度」と書かれていて、優先度という言葉が入っているのですが、これは今回は考慮されなかったということですか。

 

○政策評価官

 優先度は目標の設定においては重要なことでございますが、評価において影響するというものではありませんので、項目を設けておりません。

 

○今村主査

 分かりました。では確認をしますと、我々はこれを見てやればいいということですね。

 

○政策評価官

 左様でございます。

 

○今村主査

 よろしいでしょうか。ありがとうございました。本日の議事を終了いたしましたので、最後に法人及び法人所管課より一言頂ければと思います。まず、法人理事長からお願いいたします。

 

○労働者健康福祉機構理事長

 本日は長時間かけまして、私どもの業務内容について大変建設的、かつ前向きな助言を賜りまして、心より御礼申し上げたいと思います。私ども日々勤労者医療に邁進しているつもりではございますけれども、今日のいろいろな評価をお聞きいたしまして、まだまだ至らぬ点があるということを痛感した次第でございます。それはそれとして、私どもの力量が不十分であることを差し置いて申すのもいかがかと思いますけれども、先ほど来お話しております勤労者医療というのは、個々人の幸福度あるいは社会全体の活力活性化につながるものでありまして、私ども、是非その中心となってその旗手として頑張っていきたいと思います。是非ここに出ておられる委員の先生もまた折に触れまして、勤労者医療に御理解いただき、それにエールを送っていただければ、幸甚と存ずる次第でございます。本日はどうもありがとうございました。

 

○今村主査

 では、法人所管課からお願いいたします。

 

○労働基準局労災管理課長

 本日は有識者の皆様方から大変貴重な御意見を、評価の在り方を含めまして頂戴いたしまして、心より御礼申し上げる次第でございます。今後、労働者健康福祉機構の評価書の作成に当たりましては、本日頂いた意見を踏まえまして、作成してまいりたいと考えております。本日は誠にありがとうございました。

 

○今村主査

 どうもありがとうございました。ただいま御発言ありましたように、法人所管課におかれましては、構成員の皆様から本日頂きました御意見等を踏まえまして、評価書の内容の修正等について御検討いただき、最終的な確定をお願いしたいと思います。

 それでは事務局から、今後の流れと次回の開催について、連絡をお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 今後の流れにつきまして、御連絡いたします。本日御議論いただきました労働者健康福祉機構の平成26年度業務実績評価につきましては、この後、本WGにおける御意見や、法人の監事、そして理事長のコメント等を踏まえまして、先ほど労災管理課長からもお話がありましたように、法人所管課において必要に応じて評価書の内容等の修正について検討を行った上で、厚生労働大臣による評価として最終的に決定をし、その評価結果について法人に通知をするとともに、公表をさせていただきます。決定した内容につきましては、後日構成員の皆様にもお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。

 次回の開催につきましては、727()15時半からを予定をしております。場所は、厚生労働省6階の専用第23会議室でございます。議題といたしましては、労働政策研究・研修機構の平成26年度業務実績評価について御意見を賜ることとしております。

 最後に、本日配布いたしました資料の送付を御希望される場合には、前回と同様に机上にそのままにして御退席いただきますよう、よろしくお願いいたします。事務局からは以上でございます。

 

○今村主査

 それでは、本日は以上とさせていただきます。本日は雷鳴のとどろく豪雨の中御参集いただきまして、本当に御苦労様でした。長時間にわたりまして熱心な御議論、ありがとうございました。どうもお疲れさまでした。


(了)

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