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2015年2月27日 化学物質のリスク評価結果と健康障害防止措置の導入に関する意見交換会【東京】 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

○日時

2015年2月27日(金) 13:30~16:30


○場所

日本化学会 化学会館7階ホール


○議事

○司会者(森田) それでは、定刻となりましたので、ただいまより「平成26年度第2回化学物質のリスク評価に係るリスクコミュニケーション」を開催いたします。

 私は、本日の司会を務めさせていただきます、テクノヒルの森田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 最初に、お手元の資料の御確認をお願いいたします。

 ホチキスどめの基調講演資料が1部、A4のピンクと水色のアンケート用紙が1枚ずつ、こちらのピンクは、休憩時間に回収させていただきます。あとは、はがき大の赤と青の厚紙が1枚ずつ、お手元におありでしょうか。大丈夫でしょうか。こちらについては、後ほど御説明いたします。

 さて、このリスクコミュニケーションでございますが、働く方の健康障害を防止するために、厚生労働省が行っております、化学物質のリスク評価に当たりまして、関係する事業者の方、また、事業者の団体の方等との情報共有、意見交換を行うために実施しているものです。

 厚生労働省からの委託を受けまして、私どもテクノヒルが昨年度に引き続き運営をさせていただいております。

 それでは、本日のスケジュールについて簡単に御説明いたします。

 まず、「リスク評価の結果について」というタイトルで、厚生労働省の検討会である、化学物質のリスク評価検討会で行われました検討内容につきまして、検討会委員でいらっしゃいます、慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教室の大前和幸先生に御講演を25分いただきます。

 次に、「化学物質のリスク評価を踏まえた健康障害防止措置の導入について~ナフタレン、リフラクトリーセラミックファイバー~」というタイトルで、厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質評価室長の角田伸二様に御講演を40分ほどいただきます。

 以上の基調講演が終わりましたら、一旦、20分程度の休憩をいただきます。その間に、1枚目のピンクのアンケート用紙を事務局で回収させていただきます。こちらのピンクのアンケートに、基調講演をお聞きになっての御感想、疑問点、御質問されたい点等についてお書きいただきまして、会場内におります事務局の者にお渡しいただきますようお願いいたします。いただいた御意見を踏まえた形で、後半の意見交換会を進めてまいります。

 意見交換会では、コーディネーターを長崎大学の堀口逸子先生にお願いしておりまして、パネリストとして基調講演をいただきました、大前先生、角田室長、ほか厚生労働省の方にお入りいただきまして、疑問点にお答えいただくこととなっております。

 意見交換は、まず、1時間ほどはアンケートにお書きいただいた御質問について御回答する形で行い、その後、30分ほどは会場から御質問を直接お受けする形で行います。

 なお、この講演会につきましては、後半の意見交換を含めて、議事録作成のために録音をさせていただいております。あらかじめ御了承いただきますようお願いいたします。

 録音の関係上、30分ほどの質疑応答のときには、マイクを持ってお席までお伺いいたしますので、マイクを通して御質問をお願いいたします。

 全体の終了は、4時半を予定しております。

 それでは、1つ目の基調講演「リスク評価の結果について」を、大前先生、どうぞよろしくお願いいたします。

 

基調講演

「リスク評価の結果について」

 

○大前 慶応大学の大前でございます。よろしくお願いいたします。

 私の受け持ちは「リスク評価の結果について」というところで、皆さんのレジュメの2枚目からでございます。

 

(スライド1

 お話しする内容は、この1、2、3です。

 化学物質の安全性確保についてのスキーム、今、やっておりますリスク評価の制度、やり方につきましてお話ししまして、それから、2つの物質、ナフタレンとリフラクトリーセラミックファイバーのリスク評価結果ということでお話をしたいと思っております。

 

(スライド2

 最初のスライドでございますけれども、労働現場で使っております化学物質はやたらとたくさんありまして、今は6万と言われております。

 毎年、新しい物質が入ってきますので、とてもこの化学物質全部に対応することができないことが現状になっております。

 

(スライド3

 これは化学物質による休業の統計でございますけれども、平成元年から25年まで書いてございますが、若干減りつつはありますが、今でも年間200例を超える方が化学物質によって何らかの病気を抱えている。特におととしあたりですか、例の胆管がんの騒動などがありましたけれども、あのような重篤なことも時には起こる。

 これが現状でございます。

 

(スライド4

 これは労働安全衛生法全体の化学物質の規則の体系でございますけれども、三角形で書いてあります一番トップが製造禁止物質です。それから、製造許可物質があって、特化則等々、特別規則による規制物質があって、黄色でございますが、SDS制度によって自主管理していただくものがある。それ以外のものがSDSの努力義務になっておりますけれども、このような形で、トータルすると、この三角形の中の数は6万などという数が入れられているわけです。

 このような形でやっておりまして、リスク評価とは、SDSのここのところに該当するものを、国としてリスクが少し高いと思われるので、国としてリスク評価をやりましょうということで、この物質が対象になっているわけです。

 

(スライド5

 今までは、ハザードベースの対策といいまして、何か起きた後に規制するという形が一般的でございましたが、最近は、それでは少し遅いということで、リスクベースの規制でやろうということで変わってきております。

 平成18年度くらいからこのような形でやっておりますけれども、リスクを評価しまして、もしリスクが高いことがわかった場合は、まだ何も起きていなくても、しっかりと規制をしていこう、措置をとっていこうということがこのリスクの考え方でございます。

 この考え方は、1980年の後半にアメリカから出てきたのですけれども、その全体像がこのような感じです。

 

(スライド6

 まず、この化学物質によって何が起きるかということを調べて、どのくらいの濃度で起きるかということを調べて、今回は労働現場の話ですので、労働現場ではその物質をどれくらい労働者はばく露しているのかということを調べまして、トータルとして、今、労働現場ではどれくらいのリスクがあるのかということを決めて、もしリスクが大きいということになりましたら、リスク評価から、今度はリスク管理、マネジメントのほうに行きまして、それで何らかの措置をとる。

 リスクマネジメントで何らかの決定がされましたら、それをリスクコミュニケーションの形で、きょう、やっているのはこの部分なのですけれども、お互いの意見交換をするというスキームになっております。

 これは別に日本だけではなくて、今はほとんどの先進国がこのような形のスキームでリスク評価をやっております。

 

(スライド7

 これは実際の国の制度、国によるリスク評価の話ですけれども、先ほど言いましたように、まず、何を使っているか。

 先ほど、SDSを交付する物質がありましたけれども、毎年、あの物質を選びまして、どこの会社でどれくらいのものを使っているのかということを報告していただくことが、この有害物ばく露作業報告です。この作業報告をいただきまして、実際のばく露実態調査をやって、ばく露評価を行う。

 一方、既存の科学的な文献を集めて有害性の情報を集めまして、有害性評価を行って、リスクを評価していくということで、先ほど出ましたように、リスクが高いことがわかれば、健康障害を防止するための措置を行うという形になっております。

 

(スライド8

 これも同じような絵ですけれども、21年4月から、企画検討会で何をやるかということを決めて、評価の検討会、措置の検討会になります。

 評価の検討会の中には、有害性とばく露評価と2つの検討会がある。

 先ほどこのような絵を出しましたけれども、この有害性の評価の部分がこの評価の小検討会、ばく露の部分がばく露評価の小検討会、それをあわせました全体のリスク評価がリスク評価検討会ということで、この2つをあわせてリスク評価の検討を行いまして、その結果、リスクが高いということになりましたら、リスク管理の検討会、このようなスタイルで今はやっているわけでございます。

 

(スライド9

 これはそれを絵にしたものですけれども、何をやるかということを決めて、報告をしていただく。

 

(スライド10

 それで報告していただいたものに対しまして、リスク評価は実は2つの段階でやっておりまして、最初は初期リスク評価ということで、先ほどの有害性の小委員会とばく露の小委員会で、まずは評価を行います。

 初期評価、第1段階の評価としましては、この両方をあわせまして、有害性評価委員会で2次評価値、1次評価値というものを作成します。

 ばく露小委員会で実際にばく露測定をしまして、そのばく露の濃度の結果とこの2次評価値を比較します。

 比較した結果、例えば、これはブルーが1次評価値、赤が2次評価値というイメージで書いてありますけれども、1次評価値よりも十分に低ければ、リスクが低いから何もやらなくてもいいですよと。

 もし2次評価値を超えるようなばく露があるようだったら、これはリスクが高いですねということで、もう少し詳しくやっていきましょうということで、詳細リスク評価に行きます。

 だから、ここは2段階になっているわけです。2段階評価になります。

 詳細リスク評価で、もう一度、ばく露評価、あるいは、新しい情報があれば、その新しい情報を加えまして、同じようなことをやりまして、やはり高いということになりますれば、何らかの措置が必要ということです。

 その高い中身を分析しまして、特定の場所、特定の会社だけが高くて、あとは全部高くないということになれば、それは全体の問題ではなくて個々の問題だということで、個別に該当事業場の個別の指導・監督になりますけれども、それがほとんどの会社に共通する問題であれば、トータルとしての措置を検討するというスキームになっております。

 

(スライド11

 このようなことをやった、一つの大きな理由は、今までは、リスクを評価する方とリスクを管理する方がごちゃごちゃになってしまうということが以前の体制でしたけれども、このリスク評価のシステムができてからは、リスク評価はリスク評価でしっかりやる、リスク管理はリスク管理でしっかりやるということで、このリスク評価とリスク管理をしっかり分けて行うことが、非常に重要な、今までと違うところになります。

 ここでありますように、先ほどの繰り返しになりますが、有害性の評価の委員会で1次評価値、これは発がんが最初はメーンでございました。発がんする可能性がある濃度です。

 労働現場の場合は、10のマイナス4乗というリスクを使っております。すなわち、労働現場で当該の発がん物質にばく露しまして、労働現場ですから、大体4045年くらい働くわけですけれども、その間に10のマイナス4乗、すなわち、1万人に1人の方がその物質によってがんが起きるというレベルを考えて計算した値が、この1次評価値になります。

 最近は、発がんだけではなくて、発がんももちろん重篤ですけれども、生殖毒性も子供に与える影響ということで非常に重篤な毒性でございますので、そのようなものも今は入れておりますけれども、生殖毒性、神経毒性の研究結果から得られた値も、時には1次評価値として使うことがございます。メーンは発がんでございます。

 2次評価値は、先ほど言いましたように、ほとんどの労働者が普通に仕事をしていまして、多分、大丈夫だろうという数字を2次評価値として使っております。

 2次評価値は、具体的には、日本産業衛生学会の許容濃度、もしくは、アメリカのACGIHという機関のTLV-TWAという、許容濃度みたいなものですけれども、このどちらかを使うことが原則になっております。

 この2つの数値は、労働者が1日8時間、週5日間、中程度の労働負荷で仕事をしても、非常に重篤な影響は起きないだろうということを評価して出てくる濃度ですので、それを2次評価値に使っているわけです。この2つを使っております。

 この2つの機関で数字が勧告されていない場合は、そのほかに、例えば、ドイツの許容濃度とか、イギリスの許容濃度とか、そのようなものを使うこともございます。いずれにしても、公の機関が出している濃度を2次評価値として使っております。

 これと、先ほど言いましたばく露の濃度を比べまして、リスクが大きいか、小さいかを判断する、もしくは、詳細リスク評価に移行するかどうかを判断するという形でやっているわけです。

 

(スライド12

 これは今年度の結果ですけれども、今年度は初期リスク評価でこのぐらいの物質をやりまして、詳細リスク評価でもこのくらいの物質をやっているということです。

 このうち、既に終わったものが、アルファ-メチルスチレンとか、2-エチルヘキサン酸とか、この3つに関しましては、リスクが小さいことがわかりましたので、特にこれ以上やることはないということで、措置までにはいかない。

 クロロメタンに関しましては、どうも高いリスクがありそうなので、これは27年度に初期リスク評価から詳細リスク評価に移行ということが決まっている物質です。残りの物質は、まだ終わっておりません。

 今年に関しましての詳細リスク評価で、ナフタレンとリフラクトリーセラミックファイバーをやったのですけれども、これは詳細リスク評価をやってもやはりリスクが高いという判定が出ましたので、健康防止のための措置検討会に行っている。リスク評価からリスク管理の委員会に行って、何らかのリスク管理の方法が出てくることになります。

 残りの物質、酸化チタンのナノ粒子とか、三酸化ニアンチモン、金属インジウムは、まだペンディングの段階です。継続検討でございます。まだ結論が出ていないということです。

 これが26年度の全体の結果になります。

 

(スライド13

 今、言いました2つの物質ですけれども、ナフタレンに関しましては、2次評価値が10ppm、これはアメリカのACGIHというところの数字が10ppmでございまして、ばく露評価をやりました結果、10ppmを超えるような推定値、17.3ppmが出てきましたので、2次評価値を上回るようなばく露濃度があるということで、リスクは低くない、高いということで、健康障害防止措置のための措置が必要だという結論に達しました。

 

(スライド14

 ナフタレンはこのような物質です。我々の身近な用途としては、防虫剤が一番身近な用途ですね。

 

(スライド15

 リスク評価をしました結果、人に対する発がん性に関しては、IARC2Bという評価をしている。

 吸入毒性は65ppmで、1時間のばく露ですけれども、半数の動物が死んでしまうという数字等々、さまざまな種類の毒性があります。

 

(スライド16

 これらの毒性を考えまして、先ほど言いましたACGIH10ppmという許容濃度、TLV-TWAと言っていますけれども、ばく露限界値を設定しております。

 なぜ10にしたかといいますと、これは皆さんに配った資料にはないのですけれども、これらの値は、目及び呼吸器の刺激、目の毒性、白内障、あるいは、視神経、レンズの混濁、網膜変性、そのような可能性を最小限にすることを意図した濃度である。

 ナフタレンの有害性には、そのほかに、頭痛とか、食欲不振とか、吐き気とか、あるいは、溶血剤、血液を溶かすという性質があるのですけれども、このようなものは、恐らく10ppmでばく露を管理してやれば、防げるだろうということで、ACGIH10と決めてあるのです。

 この値を使いまして、2次評価値として10と決めたことになります。

 1次評価値は、発がん性に関して、2Bということで、人に対する発がん可能性はあるのですけれども、評価ができないということで、今、1次評価値はつくっておりません。2次評価値の10だけが提案された数字になります。

 

(スライド17

 実際にばく露評価をしてみますと、152事業場から505の作業の報告がありまして、この時点で9,000人ぐらいの方がナフタレンを使っていらっしゃるそうです。ナフタレンのばく露があるということだそうです。

 局排を使っているところは56%、防毒マスクを使用しているところは半分で、割と少ないです。

 この中から、初期評価と詳細評価を2年間続けてやるわけですけれども、その間は、10事業場、40人の方に対して個人ばく露濃度をはかる。

 個人ばく露濃度だけではなくて、通常の作業環境測定法に基づく測定あるいはスポット測定、B測定に近いようなものですけれども、このようなものも7作業場と56地点でやったということでございます。

 仕事の中身としましては、当該物質を小口包装し、防虫剤にするような作業、ナフサの分解のところにいっぱいナフタレンが入っているということで、これを分留するような作業、コールタールも同じようにナフタレンが入っておりますので、これを分留するような作業のところでやったわけです。

 

(スライド18

 これがばく露評価の結果の一つです。

 このようなばく露の測定が、ナフタレンの製造所で11人、先ほどの防虫剤等々のところで23人、その他のところで6人、合計40人をやりまして、ここの-になっているのは、製造のところではほとんど出てこないということです。

 防虫剤等々のところでは、最大値は7.55ppm、その他のところで0.25ppm、トータルして最大値が7.55ということになります。

 スポットでは、9くらいの数字が出ているということです。

 

(スライド19

 1つ飛ばします。

 

(スライド20

 このようなばく露データから、数学的に90%の値を求めてやりますと、17ppmくらいになるということです。

 

(スライド19

 もとに戻しますが、これは実際のデータで、40人をはかっているのですけれども、上から22人分をずらっと並べたデータです。

 この下の部分は作業員それぞれ一人一人です。一番高い方が一番右側のバーでして、これが先ほどの7.55ppmで、2番目に高かった方が7.12ppmということで、2次評価値を切ってはいるのですが、分布から信頼率90%の数値を計算してやりますと、先ほどのこの17.3ppmとなりますので、2次評価値を超えているということで、2次評価値を超えるようなレベルのばく露濃度がありますから、リスクは決して低くはないという結果になるわけです。

 リスク評価の詳細評価で、措置検討会に行ったわけです。

 措置検討会の話は、角田さんが後でされます。

 

(スライド21

 今度は、リフラクトリーセラミックファイバーでございます。

 同じように、2次評価値が0.2f/cm3 、これもやはりACGIHの数字です。0.2f/cm3 に対しましてばく露評価をやった結果、個人ばく露の最大値が1.84ということで、0.2を大きく超えているということですので、同じように2次評価値を上回っておりますので、リスクが高いということで措置検討会に回ったわけです。

 

(スライド22

RCFのさまざまなものです。

RCFは、アルミナとシリカを主成分とした、非晶質の人造鉱物繊維でございます。

 ちなみに、ここにありますけれども、外観は無臭の繊維状の固体なのですが、1,000度Cを超えるような熱が加わりますと、分解いたしまして、結晶質の物質になります。

 これはシリカがメーンの物質でして、シリカと同様の毒性があるということなので、通常、使っている分には結晶質にはなりませんけれども、高温の場所で使う、もともとRCF自体が高温職場で使っている場合が多くございますから、そのようなところで使っているところ、特に炉の中で使っているところですと、1,000度を超えるような温度になりますので、そこでは結晶質のクリストバライトという、発がん性があるような物質に変わるということなので、RCFと、1,000度を超えるような場所で使った後のRCFの張りかえ作業といいますか、交換作業、そのようなところで作業者がばく露する物質は違っている、別のものにばく露していることになります。

 別のもののほうは毒性が強いことになりますので、ここのところは十分に注意しなくてはいけないことになります。

 

(スライド23

 この詳細リスク評価ですけれども、IARC2Bです。人に対して発がん性を示す可能性がある物質であるということです。

 それから、呼吸器への刺激性等々があります。喘鳴とか、息切れとか、このような症状が報告されております。

 ここには書いておりませんが、呼吸器に対する呼吸機能の低下も報告されております。肺活量が減ったり、1秒量といいまして、大きく息を吸って一生懸命に吐くという検査があるのですけれども、1秒間にどれだけ吐けるかというものが1秒量というボリュームがありますけれども、この1秒量も下がっているという報告があります。

 したがって、主として呼吸器系の影響と刺激がメーンの影響になっています。

 

(スライド24

 これをACGIHは先ほど0.2f/cm3 と言いましたけれども、ACGIHは何で0.2f/cm3 にしたかといいますと、ラットへの長期ばく露、発がん実験のあれの話ですけれども、そこで肺の線維化とか、胸膜の肥厚、肺がん、中皮腫、このようなものが実験で見られているということです。

 人では、もともとのRCF自体がそれほど古い物質ではありませんので、既往のデータはまだない。人が吸って、通常、肺がんになるまでは数十年かかるわけですけれども、例えば、石綿などですと、40年とか、50年とかと言われていますね。長い時間がかかるので、人ではまだ観察されておりませんけれども、ラットの実験ですと、このようなことが起きているということです。

ACGIHは、まだ観察期間が短すぎて、潜伏期間が余りよくわからないと言っております。

 このACGIHの許容濃度、TLV-TWAの決め方は、ある意味でいい加減な結論になっております。最後のところで、石綿よりは毒性は弱いだろうということで、石綿が0.1くらいなので、少し緩めようかといいますか、そんな感じで0.2くらいという決め方になっております。

 そのような意味では、この0.2は非常にフィックスした値ではないのですが、ほかの文献のレビューを見てみますと、0.2ぐらいで自覚症状がふえたり、0.2くらいで、先ほど言いました、呼吸器の低下が起きたりしてくるので、0.2はいい数字かなとは思いますけれども、ACGIHの言っている提案理由自体はそれほどサイエンティフィックなものではない感じはいたします。

 

(スライド25

 これも398事業所から850作業があるということで、全部で826人くらいが仕事をしている。この数字が若干よくわからないのですけれども、きっと同じ人がつくって仕事をしているのでしょう。

 延べ人数でこのぐらいの方が仕事をしておりまして、局排の設置率が54%、全体換気が16%くらいということで、この2年度にわたりまして、12事業場で51人のばく露測定をやりました。

 A測定は6単位作業場でやった、スポットは23でやったということです。

 やった調査対象の場所は、耐熱接着剤の製造とか、超高温用の無機繊維断熱材の製造等々のところでばく露濃度測定をやりました。

 

(スライド26

 これがその結果ですけれども、RCFの製造現場では、3事業場で8人の方に測定していただきまして、最大値が1.34、ほかの製剤等の原料として使用する9事業で43人をやりまして、最大値が1.84、スポットでも0.1とか、4.2とか、このような数字が出ております。A測定でも、最大値が3くらいいっています。

 ということで、先ほどの0.2という2次評価値と比べると、随分、濃度が高いですねということがわかりまして、リスクは大きいという結果でございます。

 

(スライド27

 これはその方々のデータですけれども、一番右側の方が一番高かったのですが、この方が1.84f/cm3 です。以下、ずっと行きまして、このラインが2次評価値なのですけれども、この人よりこちら側の人は2次評価値を超えるような濃度にばく露しているということなので、リスクは高いという判断になります。

 

(スライド28

 繰り返しになりますけれども、8時間の時間加重平均値でばく露濃度の最大値が1.84であったということです。

90%の信頼区間、上側5%ですと、1.60ぐらいであるということで、先ほどの2次評価値0.2を大幅に超えておりますから、リスクは大きいということです。

RCF自体は繊維でございまして、あちらこちらに飛散をします。荒っぽい取り扱いをすると、飛散をするということで、なおさらリスクは大きくなる可能性があるということです。

 ということで、RCFは措置検討会に回りまして、何らかの健康障害の防止措置をしなくてはいけないというリスク管理の委員会に回ったということでございます。

 

(スライド29

 措置検討会では、7回くらいやっております。2月6日、今月に報告書を取りまとめて発表をしております。

 

(スライド30

 これは今後の予定ですけれども、これは26年度分ですが、先ほど一番最初のほうにお見せしました、まだ終わっていないものが幾つかございます。

 それから、初期リスク評価でまだこんなにたくさん残っております。もう26年度は終わるのですけれども、まだ今年度の分は終わり切っていないことになります。

 これが終わったら、同じようにまとめまして、27年度になると思いますけれども、そこでまた結果の報告があるということでございます。

 

(スライド31

 これは今後の予定です。

18年からやっておりますけれども、26年度が17をやったということです。

27年度に関しては、まだここには書いてございませんけれども、27年度も恐らく十数物質、20物質前後の同じようなリスク評価を行うことになるのだろうと思います。

 

(スライド32

 先ほど言いました報告書は、ホームページ上に載っておりますので、厚労省のホームページに行って見ていただければ、すぐに入手することが可能です。

 以上でございます。

 ありがとうございました。

 

○司会者(森田) 大前先生、御講演をありがとうございました。

 続きまして、厚生労働省安全衛生部化学物質評価室の角田室長に、「化学物質のリスク評価を踏まえた健康障害防止措置の導入について~ナフタレン、リフラクトリーセラミックファイバー~」について御講演をいただきます。

 角田室長、よろしくお願いいたします。

 

○角田 厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質評価室の角田と申します。よろしくお願いいたします。

 本日は、このリスクコミュニケーションに御参加くださいまして、ありがとうございます。

 また、関係の事業者の皆様を初め、御参集の皆様におかれましては、日ごろより私どもの施策の推進に御協力いただいておりますことに、この場をおかりしまして、厚く御礼申し上げます。

 このリスクコミュニケーションですが、冒頭にお話がございましたとおり、化学物質のリスク評価に関する意見交換の場ということで開催をしてきているところでございます。

 ただいまの大前先生の御説明のとおり、先生もメンバーでおられます、化学物質のリスク評価検討会を初めとします、各種の検討会がございまして、当室では、その検討会でリスクを評価して、その評価の結果、リスクが高いと判断された物質につきましては、必要な健康障害防止措置を検討しまして、法令による規制につなげていくという仕事をしております。

 先ほど、大前先生からナフタレンとリフラクトリーセラミックファイバーについて、リスク評価検討会で取りまとめた評価結果についてお話がございましたので、私からは、そのリスク評価結果を踏まえて、必要な健康障害防止措置の検討が行われ、今般、その報告が取りまとめられましたので、それを御報告したいと思います。

 

(スライド35

 これは、先ほど先生の資料にもございましたフロー図でございます。

 特に、この右側のところのナフタレンとリフラクトリーセラミックファイバーにつきまして、リスクが高く、措置検討を要するということになりましたので、それを受けて、健康障害防止措置の検討会で検討が行われたところでございます。

 右下に「26年7月報告書取りまとめ(7物質)」と「27年2月報告書取りまとめ(4物質)」ということで書かれておりますけれども、これは、従来、年度前半にリスク評価報告書を取りまとめておりましたけれども、今年度からはリスク評価の加速化ということで、年度後半につきましても、リスク評価の検討をして報告書を取りまとめているということでございます。年度後半に検討しましたものが緑色の部分、前半のものが青い部分ということになっております。

 

(スライド36

 リスク評価書報告書の概要ということで先ほど御説明がございました、リスク評価の7月25日の報告についての概要をまとめているものでございます。

 まず、ナフタレンでございますが、ナフタレンの製造・取り扱い事業場におけるばく露最大値(区間推定上側限界値)ですが、これが2次評価値を超える水準となりました。また、スポット測定においても2次評価値に近い水準が確認され、ナフタレンの製造・取り扱い事業場において労働者の健康リスクが高いと考えられることから、健康障害防止措置の検討が必要ということになった次第でございます。

 リフラクトリーセラミックファイバーですが、製造・取り扱い事業場における個人ばく露測定の最大値及び区間推定上側限界値は、2次評価値を大きく超える水準となって、リフラクトリーセラミックファイバーの製造・取り扱い事業場において労働者の健康リスクが高いと考えられることから、健康障害防止措置の検討が必要とされたところでございます。

 

(スライド37

 ナフタレンの概要は、先ほども資料等がございましたが、簡単に取りまとめているところです。

 有害性、成分、性状、用途は、先ほどの資料の中にもございましたが、白色の固体で家庭用の防虫剤や合成樹脂、顔料、塗料などに使われているものでございます。

 これまでの経緯ということで、従来、どのような規制があったかということをまとめておりますが、平成12年以降、労働安全衛生法の規定に基づきまして、名称等を通知すべき有害物ということで指定されております。

 これは、御存じの方もおられると思いますが、譲渡、提供するときに、名称や成分、含有量、人体に及ぶ作用など、法律で定める事項を通知しなければならない物質とされているところでございまして、SDS、安全データシートによって通知されているものでございます。

 このほか、変異原性があるということで、関係する指針での必要な措置の指導が行われてきているところでございます。

 

(スライド38

 次が、健康障害防止措置に係る検討会報告書の概要ということで、2月6日に公表された報告書の内容でございます。

 先ほどの資料のとおり、昨年7月から12月まで、都合7回にわたりまして検討会を開催いたしまして、ナフタレンとリフラクトリーセラミックファイバーにつきまして、報告書が取りまとめられました。

 詳細につきましては、資料末尾にインターネットの厚労省のホームページのURLがございますので、またそちらを御確認いただければと思います。

 以下のページでは、その報告書から抜粋した概要ということで取りまとめてございます。

 まず、導入方針でございます。これが結論部分ということでございます。

 ナフタレン及びナフタレンを含む製剤その他の物を製造し、また、取り扱う作業については、リスク評価における有害性の評価及びばく露評価の結果を踏まえて、健康障害防止のため、特定化学物質障害予防規則の「特定第二類物質」と同様に、作業環境測定の実施や発散抑制措置等を講じることが必要であるとまとめられました。

 また、ナフタレンは人に対して発がん性の可能性があることを勘案しまして、作業の記録の保存、これは30年間でございますが、これが必要となる特化則の特別管理物質と同様の措置を講じることが必要であるとされました。

 さらに、同物質につきましては、吸入ばく露のほか、皮膚刺激性があり、人に皮膚炎を起こす場合もあることから、取り扱い時にこれらの有害性に留意する必要がある。これが導入方針でございます。

 

(スライド39

 今、特定第二類物質と同様の措置とまとめられておりましたので、特化物の全体の分類を整理したものがこの資料でございます。

 特化物は一番左にありますが、それから大きく3つに分けられております。第一類物質、第二類物質、第三類物質ということでございます。

 第一類は、製造許可物質で、PCB等が入っております。

 第二類は、図のように、さらに4つに分かれております。

 まず、色を塗ってあるところですけれども、特定第二類物質はアクリルアミドとか、ベンゼンとか、DDVPなどがございますけれども、慢性障害及び急性中毒の防止措置が必要な物質ということで、ナフタレンにつきましては、措置検討の結果、この特定第二類物質と同様の措置が必要となったところでございます。

 このほか、第二類物質の中には、下にありますような管理第二類物質とか、オーラミン等、特別有機溶剤等という分類が含まれてございます。

 特別有機溶剤の中には、昨年、政省令改正をいたしました、ジクロロメタンなど、10の有機溶剤とか、あるいは、一昨年に改正をいたしました1,2-ジクロロプロパンなどが入っているところでございます。

 第三類物質は、アンモニアとか、一酸化炭素等が入っているところでございます。

 一番下に、特別管理物質と書かれておりますが、これは、発がんという遅発性の健康障害を踏まえ、有害性の掲示や作業記録の作成・保存等の特別の管理を必要とする物質というものでございます。 上記の図の分類はまた別の観点からの整理なので、それぞれの分類の中にこれに該当するものが含まれているということでございます。

 ナフタレンにつきましては、右上のところに吹き出しで書いておりますけれども、特別管理物質と同様の措置が必要だとされたところでございます。

 

(スライド40

 次が、必要な健康障害防止措置でございます。

 まず、規制対象業務でございますが、ナフタレン及びナフタレンを含む製剤その他の物を製造し、または取り扱う作業でございます。これが規制の対象業務とされたところでございます。

 次に、規制対象から除外する業務でございますが、ばく露リスクが低いと書かれております。3つ書かれておりますが、密閉系で液状ナフタレンを製造し、または液状ナフタレンを原料として他の製剤等を密閉系で製造する工程におけるサンプリング等の作業、液状ナフタレンのタンクローリーまたは設備への注入・移送の作業、溶剤に溶けた状態のナフタレンを常温で取り扱う作業でございます。

 これらの業務につきましては、措置検討の過程でばく露リスクが低いという結論になりましたので、規制対象から除外して差し支えないという結論になったものでございます。

 

(スライド41

 次が、具体的な健康障害防止措置の概要でございます。

 概要でございますので、冒頭に申し上げましたとおり、詳細につきましては、措置検討会報告書や、その中に添付されております、健康障害防止措置の検討シートがございますので、そちらを御参照していただければと思います。

 基本的に、特定第二類物質としての規制措置と同様になっているところでございます。

 まず、表示でございますが、これは安衛法に基づいて、譲渡、提供する場合に、容器、包装に、名称、人体に及ぼす作用、貯蔵または取り扱い上の注意など、所要の事項を表示するものでございます。SDSにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、既に交付の対象となっております。

 次は、発散抑制措置でございます。労働者のばく露を防止するための次の措置ということで、製造工程の密閉化、ガス、蒸気もしくは粉じんが発散する屋内作業場での発散抑制措置等の措置が必要とされているところでございます。

 局所排気装置等につきましては、計画の届出、定期自主検査なども同様に必要になっております。

 

(スライド42

 その他の必要な健康障害防止措置ということで、4点を整理しておりますが、まず、漏えい防止措置でございます。特定化学設備の漏えい防止措置がございます。それから、不浸透性の床の整備、この2つにつきまして、漏えい防止措置が必要という検討結果でございます。

 特定化学設備といいますのは取り扱い設備で移動式以外のものでございますけれども、そこからの漏えい事故などによる健康障害を防止するための漏えい防止措置というものでございます。

 特化則では、腐食防止措置でありますとか、接合部の漏えい防止措置など、いろいろと規定されているものでございます。

 それから、作業環境の改善ということで、これには休憩室の設置なり、洗浄設備の整備が含まれるものでございます。

 次は、作業管理でございます。

 まず、作業主任者の選任ということで、これが必要な措置ということになりました。作業主任者は、現行特化則の規定では、定められた特化物等の講習を終了した方のうちから選任されまして、労働者が特化物を吸入したりしないように、作業方法等を決めて、労働者を指導するとか、局所排気装置の点検などを行うとなっております。

 そうした作業主任者の選任が必要であるという結論でございます。

 立入禁止措置とか、飲食等の禁止、適切な容器の使用、ぼろ等の処理、あるいは有効な保護具の備えつけ等、こうしたものも必要という整理がなされたところでございます。

 一番下でございますが、作業環境の測定です。

 これは、管理濃度につきましては、別途検討ということになっておりますけれども、本報告書では、必要な措置として下の3つに書かれておりますが、こうしたものが必要だと整理されております。実施と記録の保存、結果の評価と保存、結果に基づく措置でございます。

 

(スライド43

 先ほど申し上げました、特別管理物質としての措置ということで、これは発がん性を踏まえた掲示で、名称、人体に及ぼす影響、取り扱い上の留意事項、使用すべき保護具、こうしたものを掲示するということでございます。

 それから、作業記録の作成と、30年間の保存でございます。

 健康診断につきましては、別途検討ということにされているところでございます。

 ナフタレンにつきましては、以上が、必要な健康障害防止措置ということで整理されました。

 

(スライド44

 次が、リフラクトリーセラミックファイバーでございます。

 この物質につきましては、先ほど御説明がありましたが、用途のところをごらんになっていただきますと、炉のライニング剤なり、防火壁保護材とか、高温用ガスケット・シール材等、こうしたものに使われているところでございます。

 下に、従来の規制の内容ということでございますが、先ほどのナフタレンと同じように、SDSの交付対象物質になっているところでございます。

 

(スライド45

 同じように、措置の導入方針でございます。

 リフラクトリーセラミックファイバー及びリフラクトリーセラミックファイバーを含む製剤その他の物の製造・取り扱いを行う作業については、リスク評価における有害性の評価及びばく露評価の結果を踏まえ、リフラクトリーセラミックファイバーによる健康障害を防止するための措置を講ずる必要があるということでございます。

 このため、リフラクトリーセラミックファイバー及びリフラクトリーセラミックファイバーを含む製剤その他の物について、特化則の特定化学物質管理第二類物質と同様の措置を講じることが必要でございます。

 また、発がん性を踏まえまして、特別管理物質と同様の措置を講ずることが必要とされたところでございます。

 

(スライド46

 さらに、措置内容の検討過程におきまして、ちょっと長いので、RCFと読ませていただきますが、RCFを断熱材等として用いた設備等の施工・補修・解体等の作業につきましては、短期間の作業である場合が多い反面、作業の性質上、発じんのおそれが高いため、発散抑制措置等による場の管理を基本としつつ、別途、呼吸用保護具の着用を義務づけるなど、ばく露防止措置、また、湿潤化等による作業場外への飛散防止措置の規制化が必要であるとされたところでございます。

 その他、除じん装置からの粉じん回収や、床、器具、作業服等に付着した粉じんが舞い上がることによる2次発じんによる健康障害を防止するため、床の清掃や作業場外への持ち出しを防ぐための措置を講ずる必要があるとされたところでございます。

 この部分につきまして、若干、経緯を御説明しますと、RCFにつきましては、その製造、加工を行う事業所がある一方で、それを活用した設備、つまり、鉄鋼、金属工業や化学工業で用いられている工業炉でございますが、そこに断熱材、耐火材として用いられている実態がございます。

 このような炉を現場で施工したり、補修したり、解体したりする場合につきましては、RCFの製造、加工とはまた実態が異なりますので、措置検討会でも分けて検討すべきではないかということになったわけでございます。

 このため、検討シートの中にある、必要な措置についての様式についても、このように製造・取り扱いと、ここに書いてあります施工・補修・解体と分けて検討、整理されているところでございます。

 その結果、このように施工・補修・解体につきましては、発じんのおそれが高いので、呼吸用保護具の着用や、作業場所での発散防止のための措置についても言及されているところでございます。

 

(スライド47

 これも先ほどと同じように、管理第二類物質と同様の措置ということでまとめられましたので、同じような整理をしております。

 色を塗っているところでございますが、この中の第二類物質のうち、他の3つ以外のものでございます。特定第二類物質、オーラミン等、特別有機溶剤、これ以外のものということで、慢性障害防止措置が必要なものと位置づけられているところでございます。

 例えば、最近の改正でこの管理第二類物質に追加されたものとしましては、ここに書いてありますインジウム化合物でありますとか、コバルト及びその無機化合物など、このようなものが入っているところでございます。

RCFにつきましては、有害性やばく露実態等を踏まえて、この部分と同様の措置が必要とされたところでございます。

 それから、一番下にありますとおり、発がん性を踏まえて、特別管理物質と同様の措置が必要とされたところでございます。

 

(スライド48

 次は、規制対象となる業務でございます。

RCFはいろいろな形態のものがございますけれども、一部、規制対象から除外する業務も入っております。それが2つ目に書いてあります。

 まず、1つ目の規制対象業務でございますが、RCF及びRCFを含む製剤その他の物の製造・取り扱いを行う作業ということで、これが規制対象業務として整理されております。

 規制対象から除外する業務は、ばく露リスクが低いものでございますが、バインダー等で処理されたボードや、真空成型品等の発じんのおそれの低い製品を、切断等加工せず取り扱う作業でございます。

RCFにつきましては、繊維化されたものが1次製品としてございますけれども、これがいろいろな形態の2次製品に加工されている実態がございます。

 例えば、ボード、ブロック、ブランケット、真空成形品とか、そうしたものでございますが、これらのうち、ここに書いてありますとおり、バインダー等で処理されたボードなど、発じんのおそれの低い製品につきましては除外する。

 ただし、切断等の加工を行うと、そこから発じんすることになりますので、そのようなものは規制が必要ということにはなっておりますけれども、そうでないものは、規制対象から除外するという位置づけでございます。

 

(スライド49

 以下、必要な健康障害防止措置ということで整理されたものをまとめてございます。

 表示は、先ほどのナフタレンと同様でございます。

 発散抑制措置でございますが、これも労働者のばく露を防止するための次の措置ということで、製造工程の密閉化、ガス、蒸気もしくは粉じんが発散する屋内事業乗での発散抑制措置というところで、これらが必要だとされたところでございます。

 下に青い字で書いてありますが、RCFを断熱材等として用いる設備等の施工・補修・解体等の作業につきましては、湿潤化等作業場所以外への飛散防止措置というところでございます。

 これは、湿潤化等作業場所での飛散防止措置につきましては、こういった施工・補修・解体の業務につきましては、短期間の作業であることが多い反面、先ほど申し上げましたとおり、作業の性質上、発じんなどのおそれが高いことが考えられますので、作業場所から外に飛散することを防ぐために、湿潤化等の措置を行うということでございます。

RCFを含む断熱材を、水等を使って湿潤化するものが考えられると思います。

 

(スライド50

 次は、漏えい防止措置でございます。

 まず、これは不浸透性の床の整備がございます。RCFは固体ではございますが、再発じんの防止の観点から、床を清掃のしやすいものとする趣旨でございます。

 作業環境の改善でございます。これには、休憩室の設置なり、洗浄設備の整備、清掃などが必要とされているところでございます。

 清掃は、従来の管理第二類物質で規制はなかったものでございますが、これも発じん等のおそれがあることから、それを防止するために必要だという整理になったものでございます。

 作業管理につきましては、作業主任者の選任、立入禁止措置、飲食等の禁止、適切な容器の使用、用後処理、ぼろ等の処理等が必要な事項とされました。

 それから、有効な保護具、保護衣の備えつけでございます。

RCFを断熱材等として用いる設備等の施工・補修・解体の作業としましては、呼吸用保護具の使用や、保護衣の着用及びその適切な処理が必要ということになりました。

 これは、先ほどの施工・補修・解体等の作業につきましては、発散抑制措置を講ずることが困難な場合もあることから、呼吸用保護具の使用、保護衣の着用等について、必要である旨を規定しているところでございます。

 

(スライド51

 作業環境の測定が必要とされております。

 管理濃度については、ナフタレンと同様でございますが、別途、検討会がございますので、これもそちらで検討される予定でございます。

 なお、測定につきましては、従来、作業期間が継続して6カ月以上など、省令で定める測定間隔を上回る場合に実施することになっておりますので、これに該当する場合に実施することになると考えられます。

 作業環境測定を実施して記録を保存すること、結果の評価と保存、結果に基づく措置としたものが必要になってくるということでございます。

 特別管理物質としての措置ですが、これも発がん性を踏まえた掲示と作業記録の作成と30年間の保存ということでございます。

 健康診断につきましては、これも別途検討会がございますので、そちらで検討されるということでございます。

(スライド52

 次が、規制導入のスケジュールでございますが、これはナフタレンとRCF、両方についてのものでございます。

 これは報告書の検討シートに掲載している表でございますが、一番下に書かれていますとおり、措置導入に係る準備期間の目安ということでまとめております。予定がこれで決まっているということではございませんので、御参考としていただければということでございます。

 政省令改正を行う場合は、平成27年6月ごろ、改正案についてパブリックコメントを実施するということでございます。

27年8月ごろに、改正政令、規則の公布をいたします。

2710月ごろに、改正政令、規則の施行をするということでございます。

 ここに「一部猶予」と書いておりますけれども、これは従来より資格者の確保が必要な作業主任者の関係でありますとか、設備導入や、そういった準備期間を要するものにつきましては、従来から猶予期間を設定しておりますので、それと同様であれば、このようになるというところでございます。

 図の矢印の始まる部分が、スタート時に差がありますけれども、そこがそのような意味とお考えいただければと思います。

 

(スライド53

 これが通知による周知ということで、2月12日に安全衛生部長名で「平成26年度リスク評価結果等に基づく労働者の健康障害防止対策の徹底について」ということで、関係団体の皆様宛てにお送りした文書の抜粋でございます。

 以下について周知をよろしくお願いしますということで、幾つか項目を挙げておりますが、ここに3つございます。

 ナフタレン・リフラクトリーセラミックファイバーについてですが、措置検討結果を踏まえ、法令改正を待たず、速やかに有害性等の調査を行い、その結果に基づいた措置を講ずることにより、リスクの低減に取り組むこととなっております。

 ほかのリスク評価が終了したものが、先ほど、合わせて11物質ございました。資料の18ページ、35番のスライドでございます。

53番のスライドのところで、2つ目の○の初期リスク評価で高いリスクが認められたものが、35番スライドの左の初期リスク評価のところに書いてあります、エチレンクロロヒドリン、グルタルアルデヒド、タリウム及びその水溶性化合物、オルト-フェニレンジアミン、クロロメタン、の5物質でございます。

 3つ目の○の初期リスク評価の結果、リスクは低いものの、適切な管理を行うべき4物質とありますのが、左下のところにあります、メタクリロニトリル、アルファ-メチルスチレン、2-エチルヘキサン酸、フッ化ナトリウムという4物質でございます。

 こうしたものにつきましても、有害性等の調査を行って、その結果に基づいた措置を講ずることをお願いしているところでございます。

 

(スライド54

 これが、先ほどの資料にもありましたが、関係の掲載情報ということで御参考にしていただければと思います。

 特に、上から3つ目に「健康障害防止措置検討会報告書の公表(H27.2.6)」というものが、先ほどから申し上げております、報告書の結果が掲載されているURLです。

 「健康障害防止措置検討会での検討」がその下にありますが、これが措置検討会での7回にわたる検討の資料なり、議事録を掲載しているものでございますので、その中でどのような議論があったかということも御確認いただければと思います。まだ全部掲載できておりませんが、随時、掲載していく予定ですので、御参考になるかと思います。

 措置検討会での検討という、上から4番目のところには、措置検討会の並びで、措置検討会だけではなくて、労働基準局の各種検討会というところがございますので、そこにリスク評価関係のほかの検討会の資料等も全部掲載されておりますので、あわせてごらんになっていただければと思います。

 その中に、リスク評価に係る企画検討会というものがありますので、そこのところをごらんになっていただきますと、このリスコミの出した資料と議事録も掲載されておりますので、26年度の1回目の12月の分はまだなのですけれども、25年度の分は、そうした資料が、全部載っておりますので、御参考にしていただければと思います。

 皆様との質疑につきましても、お名前は伏せる形で掲載させていただいておりますので、本日の議論もそのようにさせていただければと思います。

 以上が、今回、取りまとめられました、措置検討会の結果報告でございます。

 どうも御清聴ありがとうございました。

 

○司会者(森田) 角田室長、御講演をありがとうございました。

 ここで休憩時間とさせていただきます。後半の意見交換会は、15時ちょうどから開催する予定とさせていただきます。

 お手元のピンクのアンケート用紙に御質問などをお書きいただきまして、できましたら、1450分までに、会場におります事務局にお渡しください。お書き終わりになられましたら、挙手で私どもにお知らせくださいませ。お声かけのほど、よろしくお願いいたします。

 

(  休 憩  )

 

○司会者(森田) それでは、お時間近くとなりましたので、後半の意見交換会を始めさせていただきます。

 コーディネーターは、先ほど御紹介させていただきました、長崎大学広報戦略本部准教授の堀口逸子先生にお願いしております。

 また、パネリストに、基調講演を行っていただきました、大前先生、角田室長、また、厚生労働省から高村化学物質情報管理官に御出席をいただいております。

 予定では、16時ごろまで、あらかじめ会場からいただきました御質問につきまして、先生から御回答をいただきたいと思います。

 堀口先生、どうぞよろしくお願いいたします。

○堀口 皆さん、こんにちは。よろしくお願いします。

 たくさんの質問をいただきました。どうもありがとうございます。

 手元に赤と青の紙があると思うのですけれども、準備をしていただいて、教えていただきたいのですけれども、今回、厚生労働省でこれまで実施してきましたリスクコミュニケーションのこのような場に、これまで御参加の御経験がある方は赤色、今回、初めて参加をされた方は青色を上げていただきたいと思います。

 お願いします。

(傍聴者 札表示)

(青札多数)

○堀口 わかりました。ありがとうございます。

 早速、始めさせていただきたいと思います。

 リスク評価についての御質問がありましたので、まず、そこからいきたいと思いますが、初期リスク評価で評価を実施する順番はどのように決めているのですかという御質問ですけれども、角田室長、お願いします。

○角田 リスク評価の初期リスク評価という意味でおっしゃっているのか、全体のリスク評価のことなのか、ちょっとわかりにくい部分もあるのですけれども、まず、全体のリスク評価につきましては、大前先生の資料の中の一番最後のほうの16ページをごらんになっていただきたいのですが、ここのところでリスク評価対象物質ということで、従来、どのようなものを対象にしてきたかということが書かれてございます。

 平成18年から20年は、主に発がん性に基づいて選定をしてきました。21年から23年は、発がん性、生殖毒性、神経毒性、その他(呼吸器感作性等)でございますが、こういったものを中心に選定をしてきた。24年は、発がん、ナノも入っております。25年が発がん性、生殖毒性、神経毒性、26年の選定17物質という一番大きな枠ですが、発がんと生殖毒性、神経毒性という、このような健康に重大な影響があるものについて、まずは発がん性を中心に選定をし、生殖毒性なり、神経毒性にも拡大をしてきているところでございます。

 こうした手順でリスク評価のものを選定してきております。

 こうしたもので選定し、ばく露作業報告を上げていただきますと、その上げていただいたものの中から、順次ばく露の実態調査を進めていくことになっておりますが、そちらにつきましても、毎年度、順次、選定をしてきているところでございます。

 御質問の趣旨に答えているかどうかはあれなのですが、何かあれば、また追加で言っていただければと思います。

○堀口 私から追加して、5ページ、8枚目のスライドにリスク評価の推進体制がありますが、私もそこに入っているのですけれども、リスク評価をする物質を決めるときの検討会は、化学物質のリスク評価に係る企画検討会というところで、物質の候補がたくさん出てきまして、充実した資料も出てきているのですけれども、その中で議論して、リスク評価の物質を選定している状況になっています。

 説明が不足でしたら、また後ほど挙手して御質問していただければと思います。よろしくお願いします。

 7ページ、13枚目のスライドのナフタレンの詳細リスク評価などについて、もう少し詳しく教えていただけないでしょうか。特に、白抜き文字のところがよく理解できませんということです。お願いします。

○大前 スライド番号の13のことをおっしゃっていると思います。

 白抜きのところですけれども、このリスク評価は、初期評価と詳細評価と2回あります。それは、24年度が初期評価、25年度が詳細リスク評価ということになります。

 それで、個人ばく露濃度をはかりまして、最大値が2次評価値は下回りましたけれども、区間推定といいまして、統計学的にどうしてもデータはばらつきがあったり、数が少なかったり、いろいろなことがありますので、データの分布から、分布曲線をつくって、上側5%、90%の値のところを一応、推定をしております。

 その推定値が、今回は、推定値の上側限界値が17.3になったということです。実測値の最大値は7.55だったと思いますけれども、その分布を見て、もとの分布から推測すると、17.3ppmくらいが上側5%ぐらいになるということなので、実際の濃度は、そこら辺まで行くのだろうということでございます。

 これは、例えば、A測定でもそのような考え方をしています。実際に何回かはかってみて、それからばらつきを見て、90%の限界を見て、E1とか、E2とかという、あれと全く同じ考え方になります。

 それをばく露評価に応用したといいますか、そのようなことになります。

○角田 追加でよろしいですか。

○堀口 お願いします。

○角田 それで、ここの白抜きの部分の書き方は、要するに、ばくろの最大値をどのようにして推定するかというルールがありまして、それに基づいてやっております。要するに、実際に測定したものの最大のものと、先生が、今、御説明されました、統計的に推定される区間を比較しまして、大きいほうをばく露の推定値としてとる形になっております。

 そのルールにつきましては、先ほどリスク評価報告書が、去年7月に公表されたということで、後ろにURLが載っておりますが、その中にばく露評価ガイドラインというものが載っております。

 そのばく露評価ガイドラインの中に、今、申し上げましたような最大値の推定との方法が、数式とともにかなり細かいものが載っておりますので、それもまた御参考にしていただければと思います。その手順に沿って整理したものが、今の白抜きの部分でございます。

○堀口 ありがとうございます。

 御質問ですけれども、2次評価値の決定についてというところで、日本安全衛生学会またはACGIHで定められた値を採択するとのことだが、どちらを優先するのか、あるいは、妥当性を評価した上で値を決めるのか、少し詳しく御教示くださいということです。

○角田 今、私が御説明しました、リスク評価報告書の中にリスク評価の手法というルールが載っております。その中で、そのルールに基づきまして評価を行っておりますが、その中で、2次評価値の設定方法として、今のACGIHと産衛学会の数値を踏まえて整理する形になっております。

 具体的には、産衛学会の許容濃度、ACGIHが提言しているばく露限界値のいずれかの濃度を選定することになっておりまして、両方が一致していれば、その値を、異なる場合は、最新の知見を考慮して、いずれかの値とする形になっております。

 もしそれがない場合は、先ほど先生のお話にもございましたが、米国のRELでありますとか、ドイツのMAKでありますとか、こうしたものを考慮して設定する形でございます。

○大前 2つの学会、ACGIHも日本産業衛生学会も、これは行政組織ではなくて、学会みたいなものなのですけれども、当然、2つの数字が違う場合があります。

 もう一つは、提案年度が違う場合があります。新しいか、古いかということですそのようなことに関しましては、根拠の確かさとか、そのようなものは、当然、考慮いたします。

 例えば、10年前に提案されたものと今年に提案されたものとでは、多分、今年に提案されたものは、新しい情報が入るので、根拠はよりしっかりしているはずです。そのようなことは、当然、勘案します。

○堀口 リスクの判定に際して、信頼率90%で区間推定しているが、全データを反映すべきであるが、実際は作業環境が良好である、定量下限値未満のデータを除いた計算値となっています。定量下限値以下のものについては除かず、下限値を用いて計算したほうが作業場の実態を反映すると思います。過剰に安全側に管理することになりませんか。

 誤解があれば、正してくださいとのことでした。

○角田 定量下限未満ということでの御指摘なのですけれども、御承知のとおり、定量下限未満は当該データが定量できる値に該当しない、要は、数値の信頼度の問題でございますが、ということから、従来はそれを除いて統計処理をしているところでございます。

 今のところ、そのようなルールにのっとって実施をしているところでございます。

○堀口 それでは、少し物質別で御質問が来ているので、まず、ナフタレンからいきたいと思いますけれども、溶剤に溶けた状態のナフタレンを常温で取り扱う作業は規制対象から除外されるということですが、この溶剤に溶けた状態のナフタレンを、強制排気装置を装備した乾燥機で行う乾燥作業は、どのように理解すればよろしいでしょうか。

○高村 おっしゃっている強制排気装置を装備した乾燥機というものがどのようなものなのか、具体的にちょっとわからないので、これについてどうということはお答えすることは難しいのですけれども、今回の適用除外の作業として御提示しているのは、常温で取り扱う場合が除かれるということで、何らかの加熱が、この作業で行われるということであれば、適用の範囲に入ってくると考えていただければと思います。

○堀口 よろしいですか。

 それでは、ナフタレンについてなのですが、発散抑制措置などで密閉が困難な場合は、経路の発散防止カバーなどで抑制措置としてよいでしょうか。

○高村 特化則で求めている発散抑制措置については、設備の密閉化もしくは局排等の排気装置の設置による発散抑制です。

 ですので、密閉が困難な場合であれば、そういった局排等の発散抑制措置をとっていただく必要があると考えていただければと思います。

○堀口 引き続きまして、不浸透性の床とは、コンクリート製の床でよろしいでしょうか。

○高村 以前から出ております解釈では、浸透性の材料として、コンクリート、陶製タイル、合成樹脂の床材、鉄板等ということで、対象の物が、特に特定第二類のものであれば、その床下に浸透していかなければよいということで、そういった床を整備していただくことが必要になります。

 ですので、ナフタレンを対象として考えれば、コンクリートで十分ではないかと考えております。

○堀口 引き続きまして、有効な保護具とは、具体的には何でしょうか。

○高村 例えば、ナフタレンを吸入しないための呼吸用保護具、ナフタレンを吸わないようにするための呼吸用保護具ですとか、皮膚刺激性があるということですので、実際に取り扱う際に、皮膚から吸収しないような手袋等、当然、保護衣等も入ってくると考えております。

○堀口 ナフタレンについて引き続き質問ですが、塗料製造の際、芳香族系高沸点溶剤がナフタレンを含有しています。塗料の製造は、溶解物、常温ですので、規制対象外です。

 これに対し、出荷検査業務及び研究部門では、加熱乾燥により、ナフタレンを揮発させる工程があります。

 出荷検査イコール品質管理及び研究部門に作業主任者の選任ほかの措置は必要になるでしょうか。

○高村 先ほどの御質問とも共通なのですけれども、具体的には、まだ法令の改正が終わっておりませんし、具体的な法令内容が決まっていないので、こうだということを申し上げることができないですけれども、今年度の措置検討会での結果、措置の適用除外の考え方としては、先ほども申し上げたように、常温で取り扱う場合ということです。

 ですので、加熱を伴うような作業については、規制の対象になってくると考えていただければと思います。

 また、作業主任者の選任については、特化物もほかもそうですけれども、試験研究の作業については安衛の施行令で適用除外になっておりますので、それは同じように踏襲されるのだろうと考えております。

 以上です。

○堀口 それでは、リフラクトリーセラミックファイバーについて御質問が来ていますので、そちらに移りたいと思いますが、まず、スライドの確認で、25ページのスライド49、「湿潤化等作業場所以外への飛散防止」とあるのですけれども、「湿潤化等」ということで、この具体的内容について御説明をお願いしますとのことです。

○角田 これは先ほど触れたかもしれませんが、要するに、断熱材として活用している設備について、それを解体したり、施工したり、補修したりするときの発じんを防止するということでございますので、具体的に、散水とか、薬剤等もあるかもしれませんけれども、そういったものを加えることによって湿潤化して、発じんが生じないようにするということと考えておりますが、これからまた中身を詰めていく必要があるのではないかと思います。

○堀口 このRCFの2次評価値についての御質問が来ています。

 多分、13ページの24のスライドに相当すると思いますけれども、ACGIH0.2f/cm3 を採用された理由について、曖昧な御説明でした。ほかの情報では、0.5などの根拠のあるデータもございました。

 事業者及びユーザーなどに対して、明確な基準の説明責任がありますということで、もう一度、御説明をお願いいたします。

○大前 まず、ACGIHは出しておりますが、産業衛生学会は出しておりませんので、採用するのはACGIHのデータであることが第1点です。

ACGIHのデータの設定根拠は、先ほど申しましたように、石綿よりは弱いだろう、石綿が0.1ぐらいですから、それを少し甘くしようというところで0.2くらいとなっております。

 人のデータは、発がんに関しましては、ばく露期間が短くてまだ評価できないということで、たしかこれは2001年くらいの提案理由だったと思いますけれども、その時点でそのような判断で0.2ということで、人のデータはまだ十分でないということです。

 動物のデータは、発がん実験がやられておりまして、ラットで幾つか出ていましたけれども、あれをもとにして初期リスク評価をやっているのですが、あれもとにしてやりますと、計算値として0.9くらいになるので、これは0.2よりも大きいですから、使わない、1次評価値にはなり得ないということで、0.2になっています。

 済みません。この0.5の根拠がよくわからないのですけれども、多分、このような数字を設定する、どこの機関も、使う元データは同じです。要するに、雑誌に公表されているデータを使ってつくりますので、元データは同じです。

 ただ、年度が新しくなれば、当然、新しいデータが出てきますから、もちろん、信頼できるという条件つきですけれども、そちらを使うことになると思います。

 例えば、この0.5は何年のものかあるいはどこの機関か存じませんけれども、そこの機関は、どこかのデータを使って、0.5でいいのではないかと判断しているということです。

 必ずしも機関によって同じ数字が出るとは限らないことは、先ほど申し上げました。産業衛生学会とACGIHで数字が違う場合もあります。それは各機関のフィロソフィーによりますから、0.50.2の差は、多分、そのようなところなのかもしれません。

○堀口 ありがとうございます。

 それで、RCFの製造、販売は既に50年がたちますが、人の発症報告がございません。研究データと実績のギャップはないと結論づけられるのでしょうか。

○大前 非常に難しい御質問なのですが、研究をするためには、当然、研究をさせていただくフィールドが必要なわけです。そのフィールドがつかまえられていれば、研究結果は恐らく出てくるものだと思います。

50年という、長い期間なので、多分、これは特に発がんのことを考えていらっしゃると思うのです。そこでデータが出てきていないということは、フィールドがうまくつかまえられていないということだと思います。

 このギャップ、実績のギャップとおっしゃいますけれども、人の発症報告がないという保証は実はないのです。というのは、これはよくある話なのですけれども、実はパブリケーションバイアスみたいなことがありまして、例えば、ネガティブなデータは出にくいということがやはりありますし、ポジティブに出ても、社内のデータ、企業のデータが出てこないということもずっと過去にはあったのです。

 したがって、我々が一生懸命探すのは、公に手に入るデータを使っているわけですが、公に手に入るデータの全てのデータではないということが実際にありましたので、50年間、幸いなことに公には出てきていないのだけれども、そのような可能性はあります。

 したがって、このギャップはやむを得ないのです。もし万が一、日本でRCFの工業会がこの機会にやってみようということで、人数にして恐らく数千人掛ける年数で、人年という単位を使うのですが、数十万とか、そのくらいのデータで、発がんに関するアウトカムがとれれば、あるか、ないか、結構しっかりわかると思いますが、残念ながらそのような情報はないということです。

 繰り返し申し上げますけれども、このような数字をつくるときは、公表データしか使いませんので、その公表データがなければ、情報として出てこない。

 ネガティブなデータは、すごく重要なのです。公表データでネガティブなデータがあれば、それは非常にいいことなのですけれども、なかなかネガティブなデータは公表されないというものもあります。そのような場合は、そのまま入ってきます。

○堀口 RCFは、世界中で50年以上の歴史を持って、広く省エネルギーに貢献する材料として使用されていることを情報として述べさせていただきますというコメントをいただきました。

 同じRCFについてですが、濃度測定はPCM法になるのでしょうか。安価かつリアルタイムに測定する方法はないのでしょうかという質問です。

○高村 作業環境測定の方法については、3月以降に予定しております、管理濃度の検討会、国のほうでやっております検討会がございますが、そちらで検討する予定にしております。

 ですので、作業環境の測定の手法については、そちらでの検討を御確認いただければと思います。よろしくお願いします。

○堀口 湿潤化した製品、防じんのためにシートなどで包んだ製品の取り扱いは適用除外となるのでしょうか。

○高村 措置検討会で適用除外の作業として結論をいただいたものについては、例えば、バインダー、のり等による発じん防止処理をしたもの等の発じんのおそれのない製品を、切断等の加工をしないで取り扱う作業については、この措置の適用除外として差し支えないという結論をいただいております。

 ですので、具体的にどの製品がというところを、今、申し上げることはできませんが、完全に湿潤化して、発じんがしないようなものであれば、それを加工せずに取り扱う作業については、この規制の適用除外になる可能性が高いと考えていただければと思います。

○堀口 適用除外作業の具体的な適用範囲はという御質問があるのですけれども。

○高村 今、まさに措置検討会の報告書に基づきまして、具体的な法令等の改正内容について検討しているところです。

 また、具体的な内容が決まりましたら、パブコメ等で御意見等をいただく場もありますので、そういった場でも御意見をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

○堀口 施工・補修・解体時の保護具、保護衣の選定はどのようにすればいいのか、また、作業時の周辺との隔離方法はという具体的な御質問です。

○高村 それについても、法令上でどのように規制をするかというところも含めて、現在、検討中でございます。

 ですので、具体的なものについては、もうちょっとお待ちをいただければと思います。

 また、検討会の中で、作業時の周辺との隔離方法ということで、作業場所以外のところに発散しないための措置として1つ上がっていたのは、周辺との隔離というか、RCFが作業場所以外のところに飛んでいかないように、飛散防止ということで、シートで囲う等の措置が必要ではないかという御議論があったことを、あわせてここで触れさせていただきます。

○堀口 RCFの規制により、廃掃法で焼却炉の管理基準の見直しの可能性はあるのでしょうか。

○角田 他法令の関係でございますので、具体的なことはちょっと私どものほうではコメントできないと思います。

○堀口 RCFについて、これまで厚労省での健康障害防止措置検討会を傍聴させていただき、内容は了解しておりましたが、この内容を顧客へ説明して、代替品への切りかえを試みていますが、鉄鋼業以外の業界(電気、自動車、化学、建設など)の方々の認知度は極めて低いことが現状です。

 アナウンスの仕方について、工夫できないものでしょうか。

○角田 これは、私どもはこうした場、このリスクコミュニケーションのような場を活用してPRさせていただいております。

 先ほど申し上げましたが、既に関係の業界の皆様のところに、通知を400を超えておりますけれども、お送りさせていただいて、周知を図っておりますし、また、パブコメの段階でありますとか、法令がそれを経て整理できました段階で、実際に公布された段階で、通知をまた発出しまして、PRをしていくという形で進めていきたいと思います。

 代替品への切りかえという御意見ですけれども、もちろん、代替品への切りかえも一つの手法だと思いますが、こうした適切な規制措置によって対応していくということで使っていくという判断も当然あるかと思いますので、そこはこういった規制の内容を適切にお知らせしていくということが必要と考えております。

○堀口 どこも情報を発信する難しさと、キャッチしてもらう難しさを感じていると思いますので、何かこのようなものがあったら情報が発信しやすいとか、皆さんが使いやすい情報の道具とかが別途ありましたら、またそういった御意見もいただければと思います。

 残りもいろいろあります。

 先ほどのRCFのところですが、考え方として、粉じん則との統合はできないのでしょうかという御質問がありました。

○高村 粉じん則は、じん肺を防止する目的で粉じん作業について規制措置を設けている規則で、特化則につきましては、その化学物質による慢性障害等、急性障害もそうですけれども、そうした障害を予防するための規則ということで、少し目的が異なりますので、統合ということは、現時点では、検討している状況にはございません。

○堀口 ありがとうございます。

 あとは、リスクアセスメントなどのお話もあるのですけれども、法律のお話では、特化則第5条での臨時の作業について、事業所内にある設備の補修は臨時の作業に当たるのかどうなのか、教えてくださいという、臨時の作業の定義を教えてくださいということです。

○角田 5条は局排の関係ではなかったかと思うのですけれども、要は、「常時」の定義ということだと思うのですが、明確に解釈例規等で書いているものはございません。「常時」は、例えば、継続して実施している場合でありますとか、定期的に反復して従事している場合などが考えられますけれども、今の御質問の部分でも、具体的な実態がちょっとよくわからない部分もありますので、個別の判断事項になるのではないかと思います。

 施工なり、解体なり、補修と一口に言っても、それが直ちに臨時になるとかという判断はなかなかできないので、そこは、現場に即して、実態に即して判断していくということになるかと思いますし、その過程で必要になってくれば、所轄の労働基準監督署にお聞きしていただければと思います。

○堀口 発がん性物質などを製造で取り扱う場合、作業者の記録が必要となりますけれども、作業場が極めて広い場合で、作業場内にはいましたが、作業には参加していなかった者は、どのように対応すればよいのでしょうか。場内にいた全ての作業者を記録するという意味で、職場の名簿を残すことで代用してはいけないでしょうかというお話です。

○高村 作業記録については、実際に取り扱い作業をやっていただいた方の部分について、残していただくということです。

 ただ、御質問のように、特化物を使っている作業場所が広くて、取り扱い作業はしていないけれども、作業場所が一緒で、吸入しているおそれがある場合は、そこでどれだけ作業されたのか、その場所で作業されたのかというところが残っていれば、仮に何十年後かに、もしその方が健康障害を生じたときに、実際にどのような特化物がどのように関与してきたのかというところは、当然、追っていけると思いますので、作業をされていなくてその場所にいたことについては、御質問のように、名簿を残して何時間勤務というところをしっかり記録しておけば、問題ないのではないかと考えます。

○堀口 全体的なお話になっていきますけれども、リスク評価にかかわる化学物質については、いずれもリスクアセスメントを実施し、必要な対応をとることが義務(努力義務を含む)づけられています。

 中小規模事業者にとって、リスクアセスメントの実施は、経済的、人的な制約もあり、十分に行うことが困難ですが、具体的にはどのように実施すればよいのでしょうか。例えば、コントロールバンディングを実施すればよいのでしょうか。実施しても、対策管理シートの記載項目の全てへ対応することができませんが、どうすればよいでしょうか。アドバイスをお願いしますということです。

○高村 まさに昨年6月に法改正のあった件だと思いますけれども、その具体的な内容について定める政省令の改正はこれから行ってまいります。

 ですので、今回、御質問いただいた具体的なリスクアセスメントの内容等は、今後、出していく、政省令で規定していくことになりますので、まずはそちらを御確認いただければと思います。

 ただ、一方で、法改正等の議論の中でもございましたが、中小規模の事業者でもできる手法というものをしっかり用意する必要があるということで、厚生労働省でもコントロールバンディングをより使いやすい形にするということで、今、そうしたものについても準備を進めている状況でございますので、それも出ましたら、あわせて御確認をいただければと考えております。

○堀口 そのお答えに関連していると思うのですけれども、リスクアセスメントの具体的な実施手順などは、近く指針などにより公表されると理解していますが、公表時期はいつごろでしょうか。

 また、実施手順以外には、どのようなことが定められるのでしょうか。

○高村 具体的な政省令の改正時期というものがなかなかはっきりとは申し上げられないのですけれども、リスクアセスメントの実施の義務が施行される時期が28年6月までには必ずということになっておりますので、準備期間を考えれば、来年度早々ぐらいにきちんとお知らせをしていかないと、事業場さんの準備ができないということで、そうした時期に向けて、現在、準備を進めている状況でございます。

○堀口 御要望としては、リスクアセスメントに関して、特に中小規模事業者は、定性的評価手法であるコントロールバンディングに頼らざるを得ません。

 しかし、対策管理シートに示される対応事項の扱い等、技術的な判断が困難です。

 したがって、今後も中小規模事業者を技術的にサポートする仕組みが不可欠です。現在、厚労省による支援が図られていますが、ますます需要が高くなるので、サポート事業を継続していただくようお願いいたしますという御要望でした。

 それから、物質が違ったりしておりますが、酸化チタン(ナノ粒子)などの詳細リスク評価の検討スケジュールが決まっていれば、御教示くださいということです。

○高村 予定では、来年度中には評価を進めたいと事務局としては考えております。

○堀口 塗装のお話で、キシレンとかエチルベンゼンの話なのですけれども、塗装業務に使用する塗料の濃度の決定方法について、電着塗装という技術では、混合キシレン(含むエチルベンゼン)溶媒の塗料を、分散剤を用いて水中に懸濁し、屋内のプールに入れ、自動車のフレームなどを漬け込んで、塗料のみを塗装した後、別室で、加熱乾燥、焼きつけ塗装を行います。

 この際に、特化則、有機則の外皮を判定する際の濃度は、水に分散した塗料全体の濃度(エチルベンゼン2~6%)か、自動車フレームに付着した塗料成分中の濃度(エチルベンゼン5~15%)のいずれになるでしょうか。

○角田 含有物の場合、特化物となる含有率の裾切り値を設定しておりますので、取り扱い業務の実態と含有率に基づいて判断することが基本でございます。

 エチルベンゼンのすそ切りの場合は、1%超のもの、1%以下でも有機溶剤との合計含有率が5%超のものは、特化物として塗装業務についての規制がかかってまいりますので、これらに該当するかどうかということは、個別に含有率や業務実態に即して判断するということではないかと思います。

 通常、塗装作業で使用する有機溶剤等の判断につきましては、塗装に使用する塗料の成分によって判断しておりまして、電着塗装であっても、基本的な考え方は同じではないかと思われます。

 つまり、プール内の塗料成分で判断することが一般的ではないかということです。

 ただ、反応や塗装特性によって、塗料の成分が変わってくることもありますので、法令の適用に疑義が生じる場合もあり得ますので、そこは具体的な事業場から所管の労働基準監督署に御相談していただくのが適切かと考えております。

○堀口 次に、試験研究時の塗装業務、洗浄について、以前にエチルベンゼンを含有する塗料の開発時の試験塗装や、塩化メチレンによる塗膜剥離、基板再生使用を、常時、行っていた従業員がおり、終了後に配置転換して雇用されている場合についての質問です。

 現に所属する事業所が、特殊健康診断の実施体制がなく、研究開発は一律に特化則の適用除外になるとして、特化則の特殊健康診断を実施しないことは正しいのでしょうか。

 また、上記判断が労働基準監督署によると言われている場合、従業員個人が疑問の問い合わせ先をする相談先は、都道府県労働局または厚生労働省のどこかの部署になるのでしょうか。

○高村 まず、研究開発は一律に特化則の適用除外になるとして、特化則の特殊健康診断を実施しないことは正しいのでしょうかとい御質問ですけれども、特化則で研究開発を一律に適用除外していることは一切ございません。また塗装業務ということでされているということであれば、エチルベンゼンについてであれば、塗装業務では配転後の健診の適用になりますし、1,2-ジクロロプロパン、ジクロロメタンにつきましては、洗浄払拭業務は配転後の健診の対象になるということでございます。

 また、従業員の方が御相談をされる、具体的な、自分がされている作業ですとか、置かれている状況等について疑問をお持ちで、それについての法の適用等を御相談ということでございましたら、最寄りの監督署の健康安全、安全衛生担当部署ということでお問い合わせいただく、もしくは、都道府県労働局の健康安全課もしくは健康課にお問い合わせをいただければ、具体的な内容をお聞きして、局の担当者もしくは署の担当者が御対応させていただくことになります。

○堀口 労働安全関係のリスク評価の流れが理解できました。今後、企業の実施すべきアクションの具体例についても、説明の機会をつくっていただけるとありがたいですという御要望がありましたので、このような会の内容についても、少し検討が必要かと思いました。

 最近、WHOが麻薬として規制すべきとして2物質が挙げられたが、これらは通知対象物質ではないため、原材料中の含有確認が困難である。この種の化学物質も通知対象にできなかったのでしょうかという御質問が来ております。

○角田 具体的にどのような物質かということは、もし差し支えなければ、教えていただけるとありがたいのですけれども。通知対象物の、今、SDSの対象になっているものについては、健康障害を発生するおそれがあるもので、ACGIH等が許容濃度等を設定しているものといった等の観点から選んできているものですので、中身については、またこれから内容を検討して拡大していくことは、当然、検討の対象にはなっておりますけれども、具体的にどのような物質と言っていただけないと、なかなかお答えできない部分はございます。

○堀口 それでは、後ほど教えていただけますかね。

 御要望として、作業環境の測定、特別管理物質としての措置、健康診断のデータが全て整ってから公表していただくと、事業所として準備しやすいという御要望です。

○角田 今のこの時点でのこうした措置検討会報告の公表のことをおっしゃっているという前提でお答えすれば、全て決まってからの公表ということではなくて、私どもはこういった検討の過程で、まずはリスク評価が終わった段階で世の中にお示しし、それに対する措置検討が終わった段階で、それをお示ししていくことが大事なことだと考えております。

 もちろん、検討会自体も全て公表で、傍聴することが可能でございますので、そうしたオープンな議論の中で、こういったリスコミの場でもいろいろな御意見を承って、それを踏まえて仕組んでいくことが大事ですので、むしろ全部決まってからこうなりましたというのは、余り適切ではないと考えております。

 そのような意味でおっしゃっているとすればですが。

○堀口 決意を書いてくださった方もいらっしゃいまして、弊社は塗料を製造しており、化学物質の製造はしていませんが、化学物質を直接扱う立場にあります。

 なので、今後もリスク管理をしっかりと行っていく必要がありますと同時に、規制に対して、把握し、対応していきますというコメントをいただきました。

 ということで、一応、出していただいたものを全部読み上げたと思うのですが、読み忘れがあったり、また、先ほどの麻薬の話もありましたが、追加で御質問等がありましたら、挙手をしていただければと思います。よろしくお願いします。

 何か御質問はありませんか。

○A氏 ありがとうございました。

 先ほど何件か出ていました、ナフタレンの溶剤に溶けた状態で、常温は除外ということなのですけれども、何らかの加熱が行われる場合は規制対象というお話がありました。

 この場合、例えば、完全密閉系もしくはそれに近いような状態でも、やはり規制対象になるのかということと、そのような具体的な例というか、具体的な内容については、今後、法律ができ上がったときに、その前にパブコメなどでこちらから質問するとか、法律ができ上がったときに、このような場合はどうなるのでしょうかとお聞きすればよろしいのでしょうか。

○高村 具体的な法令の内容が案としてほぼ固まった時点でパブコメをさせていただきますので、それについて、具体的な状況について御質問、御意見をいただければ、それへの回答ということで、考え方をお示しすることは可能だと思います。

○A氏 ありがとうございます。

 最初の完全密閉系の場合はいかがですか。

○高村 密閉系であることをもって、そのまま適用除外作業だということではないです。特化則の法令の中では、まず、発散抑制措置の一つとして密閉設備であることを求めております。ナフタレンの取扱作業について、密閉設備である場合の関連作業についての法令の適用関係についても、具体的な状況をもとに、御質問いただければ、その中でお答えをするということでさせていただければと思います。

○A氏 ありがとうございました。

○堀口 パブリックコメントで寄せていただいた御意見で、検討会で検討していることもありますので、ぜひ忌憚なくパブリックコメントでいろいろと情報提供、御質問、御意見などしていただければと思います。

 ほかに御質問はありませんか。皆さん、いかがでしょうか。

 どうぞ。

○B氏 所管の労働基準監督署についての考え方を伺いたいのですが、作業が実際にあれば疑義は発生しないのですが、特化則の場合、配置転換後のものについての適用があるのですが、その場合には、作業をした労働基準監督署と、その従業員が現に雇用されている事業場の労働基準監督署と、どちらが担当されるのが妥当なのでしょうか。

○高村 配転後の健診ということでお聞きになるということであれば、現に働いている事業場さんの所管のところでお聞きいただければと思います。

 もしもそれで違うということになっても、その場合は所轄の局署を御案内させていただくことになると思いますので、まずは現に働いている事業場さんの所轄の監督署にお問い合わせいただくということでお願いしたいと思います。

○B氏 そうしますと、先ほどの都道府県の関係で、東京都の場合には、場所が散っていて、非常に労働基準監督署がわかりにくいのです。

 あと、東京都の場合には、先ほど言われていた健康課が、都の労働局の中にある、そちらが適当だと考えてよろしいでしょうか。

○高村 具体的な事業場さんの指導等を行っているのは監督署ですので、その所轄の監督署については、労働局のホームページ等でも調べられると思いますので、まずはそちらでお調べいただくようお願いします。

 わからなければ、健康課に住所を言っていただければ、所轄の監督署を御案内することも可能ですし、局の健康所管課あて御質問していただくことも、当然、御対応させていただくことになると思いますので、いずれにしても、ホームページでお調べいただく、もしくは、局にお問い合わせいただく、局にそのまま御質問いただく、いずれでも構わないと思いますので、よろしくお願いいたします。

○B氏 ありがとうございました。

 東京都で監督課の方がセミナーをされていたもので、それで確認させていただきました。

○堀口 ほかに御質問はありませんか。

 どうぞ。

○C氏 先ほど、角田室長からお答えいただいているのですが、2次評価値の考え方で、定量下限値以下のデータをネグレクトした件で質問したのですけれども、多分、私の解釈が間違っているのだと思うのですけれども、要するに、管理されている状況だと、当然ばく露濃度は低いので、定量下限値以下になることを前提にすると、そういったデータは何点かあって、非常に多いデータをネグレクトしてしまう可能性も、制度上はありますね。

 そのようなときに、本当に現場実態を反映した統計がとれているのかということに、ちょっとそご感を感じたので、質問させていただいたのですけれども、制度は理解をしているのですけれども、実際にそのような定量下限値以下のデータが非常に多い場合、どのような解釈をしているのかというところがちょっとわからなかったのです。

○高村 定量下限値以下のものについては、値を決めるとするとゼロにするか、もしくは、定量下限の値とすることになると思います。

 そうすると、統計の考え方のばらつきが出てこなくなるため、それについては、ゼロ又は定量下限値のどちらかの値に寄せて統計処理のデータに含めることではなく、信頼できる数字ではないので、データから排除して統計処理を行うということで、今までも行ってきております。また、今後も原則としてはそのような形でやっていくということで考えております。

○C氏 先ほどお答えがあったものを理解した上で、本当は実際に自分で計算してみてから申し上げたほうがよかったのでしょうけれども、例えば、今回のナフタレンのケースでも、2次評価値の計算上のばく露推定評価で、90%信頼性のレベルを見たときには、実際の現場ではかった数字より高い数字だったので、今回のレベルになっているのですけれども、例えば、これがネグレクトした数字を、定量下限値のデータを全部入れて評価したときに、どのようなレベルになるのかということを、私としても見てみたかったのです。

 見た上で、ちゃんとお話ししたほうがよかったのかもしれませんが、そのようなことも懸念していたので、どうなのかなと。

 ガウス分布だと思うのですけれども、統計上、数字を見ていくという意味では理解できるのですけれども、数字をネグレクトしてきたことの意味は、どのように考えたらいいのかという疑問がまだ残っているのです。

 そこが誤解だというのであれば、私も勉強してみますけれども、もしここで正してもらえるのだったら、そこら辺もちょっと話を聞きたいと思って質問しました。

○角田 お話しした部分と同じ回答ではあるのですけれども、現場でばく露を生じないようにということで的確に評価するという意味では、それなりの信頼できるデータを使って範囲を推定することが、やはり大事なのではないかと考えておりまして、今までの議論も、大分前の話ですけれども、最初は最大値だけを設定して、実測の最大値と2次評価値を比較する形でやっていたわけなのです。

 ただ、それで本当にいいのかという議論になってきまして、評価値を超えていなくても、データのばらつきを見れば、そこは実際に範囲を超える可能性もあるのではないかという議論が出てきて、統計の専門家の方をお呼びして、検討会で検討した経緯がございまして、いろいろな試算をやってみたところ、データとしては、実測値としては評価値を超えていないのだけれども、区間推定をしてみるとそれを超えるというケースも幾つか出てきたものですから、健康障害を防止しないといけないということで区間推定値を導入することとし、平成21年にばく露評価のガイドラインができたときに、そのような区間推定値の上側限界値とばく露の実測の最大値のうち、大きいほうをとるとなった経緯がございます。

 今、御議論になっていますのは、では、その中でどうして定量下限未満の値を除くのかということだと思うのですけれども、そこは統計的なばらつきの推定という考え方からいけば、数値として計算に織り込める数値かどうかという判断になってくると、やはり定量下限未満のものについては除いて対応することが的確だという判断で、従来、そのような形でやってきた経緯がございますので、そのような数字の処理、ばらつきを推定するという統計上の意味と、あと安全を考慮するという、実測値は超えていなくても、それをオーバーする可能性だってあるではないかということで、まさに安全を見込んで仕組んだシステムでもございますので、そのようなことから考えると、現行のやり方で対応することが、現時点では適切ではないかとは思っております。

 お答えになっているかということはありますけれども。

○C氏 実態はよく理解できましたので、また考えてみます。ありがとうございます。

○堀口 ほかに御質問はありませんか。

○D氏 先ほど、大前先生からACGIHのことでいろいろとお話しいただいたのですけれども、リフラクトリーセラミックファイバーは、アメリカとか、ヨーロッパが先行して物を生産してきているのですけれども、そちらで管理濃度に関する、確度の高いといいますか、信頼度のある資料が出てきた場合には、そのような見直しの方向に進めていただけるのでしょうか。

○大前 このリスク評価をやっているときのルールブックといいますか、どのようにやるかという手順書があるのですけれども、その手順書に関して、2次評価値を決める場合に、一番最初に使うのは、今、言いましたACGIHか産衛のどちらかを使うということが第1となっていまして、それがなければ、その次のMAKなり、イギリスなり、そのようなところを使うというルールにはなっています。

 今、多分、おっしゃっているのは、数字の妥当性が非常にあやふやなときに、より妥当性が高そうなACGIH等さん以外のところの機関の数字は使うようになるのかどうかという御疑問だと思うのですけれども、今のルールですと、そうはならないのです。

 だから、今、例えば、そのような事例が出てくれば、当然、委員会でも考えますので、ひょっとしたら、ほかのACGIHと産衛以外のところのもののほうが、新しい情報が入っているし、しっかりしているかなというところが出てくれば、入れるべきだという議論も、それはあり得ると思います。

 ただ、現段階ではまだそこまで進んでいませんので、今はまだACGIH、産衛という状況であります。

○D氏 どうもありがとうございます。

 もう一つ、現場の施工をされたものを解体する場合なのですが、リフラクトリーセラミックファイバー単体で炉が構成されてない場合がありまして、例えば、バックのところにロックウールとか、対象になっていない、そういった繊維状の断熱材もあると思うのです。そういった場合、繊維が混在してしまいます。

 濃度測定の場合、そういったものをきちんと分離して測定はできるのでしょうか。FP法ではかなり難しいのかなと思うのです。

○大前 済みません。繊維が分離できるかということは、私は実は余り存じません。

 時々聞いているのは、顕微鏡で計測することが恐らくベースだと思うのですけれども、形状なり、あるいは、偏光などで多少は区別できるということは聞いておりますが、具体的には私は詳しくはございません。

○D氏 どうもありがとうございます。

○堀口 ほかに御質問はありませんか。まだ時間はありますが、大丈夫ですか。

 それでは、時間は早いのですけれども、室長などから、今の議論を踏まえて、つけ加えて何か情報提供がありましたら、お願いします。

○角田 きょうは、いろいろと御意見をいただきまして、ありがとうございました。

 実際にこのリスコミでも、過去にいろいろと御意見なりが出て、それを踏まえて仕組みの中身が変わったこともございます。

 また、先ほどお話がありましたとおり、実際に案ができた段階でパブコメも実施しておりますので、その際に出た御意見も反映させることもありますので、またこの中身につきまして御検討いただいて、そういった機会も活用していただければと思います。

 措置検討結果が出てまいりましたので、なるべく早く規制措置を導入していくことが必要でございますので、私どもも、先ほどスケジュールの見通しがありましたが、あれに沿って対応していきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 特に、先ほど通知(スライド53)がございましたが、ぜひよくごらんになっていただいて、お手元にない場合は当室に御連絡していただいても構いませんので、それに基づいた対応をよろしくお願いしたいと思います。

 以上です。

○堀口 ありがとうございました。

 皆さんに赤と青の紙で御質問をさせていただきたいのですけれども、このリスクコミュニケーションのこのような回を、当初、始めたころに、企業の方の取り組みを少し壇上でお話ししていただいたり、また、防護具について、十文字学園の先生に話題提供していただいたりしたことがあるのですけれども、そういった防護具のお話であったり、関連する企業さんの取り組みなどのお話を、こういった場でも聞いてみたいと思われる方は赤を、今のようなスタイルで、検討会のメンバーの先生方と厚生労働省という中で、このような意見交換というか、質疑応答をやっていくほうがいいかなと思う方は青を挙げていただいてよろしいですか。お願いします。

(傍聴者 札表示)

(両札同等)

○堀口 微妙なところですね。

 わかりました。

 どうもありがとうございます。

○司会者(森田) 先生方、厚生労働省の皆様、どうもありがとうございました。

 以上で、「第2回化学物質のリスク評価に係るリスクコミュニケーション」を終了いたします。皆様、御参加いただきまして、本当にありがとうございました。

 今後の参考といたしますので、できましたら、水色のアンケート用紙に御記入いただきまして、会場出口の係の者にお渡しいただきますようお願いいたします。

 また、お配りいたしました、赤と青のカードですけれども、これも同じように出口の係へお渡しいただければと思います。よろしくお願いいたします。

 本日は、お越しいただきまして、まことにありがとうございました。


(了)

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