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2014年7月4日 平成26年度第1回管理濃度等検討会議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課環境改善室

○日時

平成26年7月4日(金) 9:57~11:30


○場所

経済産業省別館 各省庁共用114会議室


○議題

平成25年度第2回管理濃度検討会の検討結果について
1,2-ジクロロプロパンの管理濃度及び測定方法について 等

○議事

○大淵環境改善室長補佐 本日は、大変お忙しい中、御参集いただきまして、ありがとうございます。定刻より若干早いのですが、委員の皆様がおそろいですので、ただいまから「平成26年度第1回管理濃度等検討会」を開催いたします。なお、本日は大前委員におかれましては所用により御欠席です。また事務局につきましては、前回から人事異動等がございまして、環境改善室長補佐は、私、大淵が4月から担当しております。また、係長は工藤に代わりましたので、どうぞよろしくお願いいたします。

 初めに事務局を代表しまして、徳田環境改善室長より御挨拶申し上げます。

○徳田環境改善室長 おはようございます。本日は大変お忙しい中、また足下の悪い中、御参集いただきまして、ありがとうございます。本日は本年度第1回目の検討会になります。今回を含めて、今年度も複数回の開催を予定しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 既に御承知のことと存じますが、先月25日に改正労働安全衛生法が公布となりました。その中で、化学物質に関しましては、リスクアセスメントが義務化されることが規定されております。施行自体は少し先の話になりますが、新たな化学物質管理の方法が導入されるということになるわけです。この検討会におきましても、化学物質を中心としまして、新しい知見を収集して、遅れることなく規制の見直しを行ってまいりたいと考えておりますので、その点、どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、管理濃度の見直しと、新しい測定方法の導入について、御議論いただくこととしております。限られた時間ではございますが、よろしくお願いいたします。

○大淵環境改善室長補佐 それでは、ここからの議事につきましては、座長の櫻井先生にお願いいたします。

○櫻井座長 それでは、議事進行を務めます。よろしくお願いいたします。まず最初に、事務局から資料の確認をお願いいたします。

○大淵環境改善室長補佐 それでは、資料の確認をいたします。

 資料の作りですが、「会議次第」という1枚紙で、表に議題、裏側に配布資料一覧となっております。資料自体は、資料というグループと、参考資料というグループに分けてホチキス留めをして右下に通しページを付けております。

 資料本体から簡単に御確認をお願いします。資料1-1が通しページの1ページから、資料1-25ページから、資料1-37ページから、資料1-411ページから、資料1-515ページから、資料1-617ページから、資料1-719ページから、資料1-827ページからとなっております。このうち、資料1-21-3については、修正があり、差し替え用を別途テーブルの上に置いておりますので、実際の議論の際には差し替え用を御覧いただければと思います。

 参考資料も通しページを1ページから付けています。参考資料1-11ページから、参考資料1-23ページから、参考資料1-35ページから、参考資料1-49ページから、参考資料1-529ページから、参考資料1-645ページからとなっています。このうち参考資料1-41-51-6については著作物のため、委員と事務局のみの配布となっています。資料は以上です。

○櫻井座長 お手元にそろっていると思いますので、早速、本日の議題に入りたいと思います。まず、議題1「平成25年度第2回検討会での検討結果について」事務局から説明をお願いします。

○大淵環境改善室長補佐 それでは、資料1-1に基づきまして説明をいたします。平成25年度の第2回の検討会の結果について、今年の213日に開催した管理濃度検討会の概要について御報告いたします。

1.冒頭に平成25年度の第1回の検討会の結果について報告をいたしました。2番として、ジメチル-2,2-ジクロロビニルホスフェイト(DDVP)について、労働安全衛生法施行令を改正して、DDVPを特定化学物質の第二類物質に追加する予定であるということから、作業環境測定の対象になりますので、それに合わせて管理濃度、測定方法等について検討しております。

 結論としては、(1)管理濃度は0.1mg/m3 とする。(2)測定方法は、試料採取方法は固体捕集方法とする。分析方法は、ガスクロマトグラフ分析方法とする。(3)局所排気装置の性能要件は抑制能度により定めることとし、管理濃度と合わせて0.1mg/m3 とする、という決定がありました。

3の「発がんのおそれのある有機溶剤10物質について」は、見直しということで、労働安全衛生法施行令を改正し、発がんのおそれのある下記の10物質を有機溶剤から特定化学物質の第二類物質、特別管理物質に移行する予定であることから、これらの物質の現行の管理濃度について検討したということで、クロロホルムから始まり、メチルイソブチルケトンまでの10物質について検討をしております。

 結論ですが、(1)管理濃度については、次の1物質のみ管理濃度を変更する必要があるとされたということで、テトラクロルエチレンについて、現行50ppm25ppmに改正すべきとされております。(2)測定方法については試料採取方法、分析方法ともに変更は必要ないとされています。(3)混合有機溶剤の評価方法については既に、エチルベンゼン、1,2-ジクロロプロパンについて、既に特化則に入っており、その中で測定したときの混合有機溶剤の評価については、有機溶剤のルールに従ってということでやっておりましたが、混合をどのようにするかについてのやり方については、発がんのある有機溶剤というのが新しくグループとしてできた場合に、エチルベンゼン、1,2-ジクロロプロバンと同じような形で対応するということで、特定化学物質と有機溶剤を合計して5%を超える場合、現行の有機溶剤の評価方法を用いつつ、「特定化学物質それぞれの評価」と、「混合有機溶剤全体としての評価」の両方を行うこととなりました。

4「ニッケル化合物について」は、平成25年度第1回の検討会において、管理濃度は数値ではなく下記の数式で示すことで概ね合意が得られていたものの、「水溶性ニッケル」の定義や測定方法について課題があるため、平成25年度の第2回検討会でこれについて検討しましたが、結論には至らず、引き続き検討することとなったということです。

53'-ジクロロ-4,4'-ジアミノジフェニルメタン及びベータープロピオラクトンについて」で、こちらは既に規制されているものの見直しです。この2物質については、平成7年の「作業環境評価基準」の改正により、管理濃度を定めた物質です。本来ですと、管理濃度を定めた際に、局所排気装置の性能要件を制御風速方式から抑制濃度方式に切り換える必要があったのですが、その作業が当時手続き漏れがありまして、前回の検討会の中で御議論いただいたものです。局所排気装置の性能の要件として、2物質とも現行では制御風速により規定されていますが、改正()としては、2物質とも抑制濃度により定め、具体的には抑制濃度は管理濃度の値と一致させるということで、数値としては3ページの3,3'-ジクロロ-4,4'-ジアミノジフェニルメタンが0.005mg/m3 、ベータープロビオラクトンが0.5ppmということです。

6「その他」です。以下の事項について、事務局から報告しました。(1)ベリリウムの管理濃度等の検討については、平成25年度第1回検討会からの継続案件となっておりますが、疾病事案の情報収集の最中であり、それが済んだ段階で改めて議題に掲げる予定であること。(2)作業環境測定士の資格については、管理濃度検討会の議題の範疇からは測定士資格については外れるのですが、発がんのおそれのある10種の有機溶剤が特定化学物質に移行した場合の測定資格について円滑に移行できるよう検討していること。以上が前回の結果についての報告です。

○櫻井座長 前回の検討結果についての説明でしたが、何か御意見、御質問等はございますか。特にコメントはないようですので、それでは次の議題に進ませていただきます。

 議事の2「平成26年度の当検討会での検討の進め方について」です。事務局から説明をお願いします。

○大淵環境改善室長補佐 それでは、資料1-2「平成26年度の管理濃度等の設定・見直しの検討について」です。毎年、年度の最初の会議で当該年度の検討予定等について、御説明をさせていただいておりまして、今回もそれと同じということです。資料については、1の作業環境測定の実施義務についてですが、これは年々記載しているとおりですが、一応読み上げをさせていただきます。

 労働安全衛生法においては、事業者に対して職業上のばく露により、労働者に健康障害を生じさせるおそれのある物質のうち、有害性が高く、管理措置が必要なもの及び製造許可が必要なものについて、作業環境測定の実施を義務付けている。現在101の物質が対象となっている。

 なお、測定対象物質については、化学物質による労働者の健康障害防止に係るリスク評価の検討結果により、順次追加される。

2「管理濃度の設定」について。労働安全衛生法においては、事業者に対し、作業環境測定の結果を作業環境評価基準に基づき評価することを義務付けている。その作業環境評価基準において、物質ごとに「管理濃度」を定めている。現在、作業環境測定の対象となっている101物質のうち、92物質について管理濃度が定められている。

3「管理濃度等の設定・見直し」について。(1)管理濃度は次の値を指針として設定する。丸数字1日本産業衛生学会が勧告している許容濃度。丸数字2米国産業衛生専門家会議(ACGIH)が提言しているばく露限界(許容濃度)。管理濃度等検討会における専門家による検討を踏まえ、原則として、日本産業衛生学会の許容濃度とACGIHのばく露限界が一致している場合にはその値を、また両者の値が異なっている場合には、いずれか一方の値を管理濃度とする。

(2)測定基準、局所排気装置の性能要件の設定・見直しは、作業環境測定の実施が必要な物質については、作業環境測定基準により試料採手方法及び分析方法を設定する。また、局所排気装置の設置により有害物のばく露防止措置を講ずる必要がある物質については、局所排気装置の性能要件(抑制濃度又は制御風速)を設定する。

4は、今年度の「検討スケジュール()」についてです。第1回は本日74日ですが、検討内容は丸数字1検討方針、丸数字2検討スケジュール、丸数字31,2-ジクロロプロパン管理濃度等の検討。丸数字4技術的検討の結果を踏まえた測定方法の見直し(検知管方式による測定対象物質の拡大等)になります。

 第2回目は9月頃、これから日程調整になりますが、「ベリリウム及びその化合物」の管理濃度等の検討を予定しています。その後、必要があれば第3回を開催する予定です。

 参考として、今年度検討予定をしている物質についての主な用途、生産・輸入量、管理濃度、ACGIHや日本産衛学会の数値等について、7ページからの資料1-3にデータ等を付けています。平成26年度の予定については、以上です。

○櫻井座長 ただいまの説明について、御意見、御質問がありましたらお願いします。特にないようなので、それでは、事務局案のとおり、平成26年度の検討を行うことといたします。

 次に、議題3「個別物質の管理濃度等の検討」を行います。まず最初に、丸数字11,2-ジクロロプロパンの管理濃度及び測定方法について検討します。事務局から説明をお願いします。

○大淵環境改善室長補佐 それでは御説明いたします。資料1-4、通しページで11ページの1,2-ジクロロプロパンの管理濃度等の見直しについて、1で、これまでの経緯について御説明いたします。(1)1,2-ジクロロプロパンについては、平成258月に労働安全衛生法施行令特定化学物質障害予防規則等の改正が行われ、この物質が特定化学物質(第二類物質)に追加され、作業環境測定及び結果の評価の対象となりました。施行は、平成25101日です。ただし、作業環境測定については平成26101日から施行となっています。

(2)これに関し、1,2-ジクロロプロパンの作業環境測定方法及び管理濃度について、平成25年度第1回管理濃度等検討会において検討を行い、同年101日付けで「作業環境評価基準」、「作業環境測定基準」等の関係告示の改正を行っております。

 告示の内容は次のとおりです。1,2-ジクロロプロパンの管理濃度は10ppm、測定方法については試料採取方法を直接捕集方法又は固体捕集方法。分析方法については、ガスクロマトグラフ分析方法ということで告示で定めております。

 これを定めたときの検討の中身について、少し補足をさせていただきたいと思います。備考1です。管理濃度検討会での検討内容ですが、これを議論したときには、1,2-ジクロロプロパンについて、ACGIHTLV10ppm、日本産業衛生学会の許容濃度については1ppmが昨年5月に提案されて、まだ暫定値という状況でした。産衛学会の値のほうが、より新しいデータに基づいており、望ましい値であるのですが、まだ暫定値ということで、すぐに管理濃度として採用することはできないため、当面の管理濃度はACGIHの値を採用して10ppmとし、産衛学会の許容濃度が確定値になった段階で見直すということで、昨年の管理濃度検討会では、御議論をまとめていただいております。

 また備考2で、測定方法の関係ですが、管理濃度検討会では1,2-ジクロロプロパンの捕集方法として、固体捕集方法、ガスクロマトグラフ分析方法ということで議論をしましたが、その後の検討で固体捕集に限定せず、直接捕集でやって、同じようにガスクロマトグラフを使った場合についても管理濃度10ppm10分の1まで精度よく測定できることが確認されましたので、最終的に告示の段階では、捕集方法については固体捕集方法だけではなくて、直接捕集方法を並記する形で記載をしております。ただし、直接捕集方法が適用できるのは管理濃度が10ppmの場合までであって、1ppmに下げる場合には直接捕集方法では不適であることが、昨年の議論の段階で既に分かっております。

12ページの2の「今回の見直しの理由」です。今、申し上げた1のとおり、告示改正を昨年10月に行っておりますが、平成265月に日本産業衛生学会の1,2-ジクロロプロパンの許容濃度が1ppmということで確定しましたので、管理濃度を見直す必要があります。また、現行の測定方法のうち、直接捕集方法を用いる方法では、新たな管理濃度を1ppm10分の1まで精度よく測定することはできないため、測定方法についても、併せて見直す必要があります。

 ということで事務局としての3の「改正()について」ですが、(1)1,2-ジクロロプロパンの管理濃度を、現行の10ppmから1ppmに改める。(2)1,2-ジクロロプロパンの捕集方法を、現行の「直接捕集方法又は固体捕集方法」から「固体捕集方法」のみに改めるということです。

 表で比較をしたものが13ページです。現行が上の段、改正()が下の段です。繰り返しになりますが、測定方法の関係では、試料採取方法が、今は直接捕集方法と固体捕集方法を併記しているものを固体捕集のみにします。分析方法はガスクロマトグラフで変わりません。管理濃度のところが、現在は10ppmとしているものを1ppmに改めるということです。右側は変化はありませんので、改正の中身としては事務局案は以上です。

○櫻井座長 いかがですか。ただいま今までの経緯、備考の説明と改正()が提示されましたが、これについて御質問、御意見がありましたらお願いします。

 局排の性能はエチルベンゼンも同様ですか。

○大淵環境改善室長補佐 そうです。有機則を準用し、制御風速で規定するということです。

○櫻井座長 測定方法、管理濃度の数値等は、既に議論されてきて、その規定の方針に従って今回このように改正ということです。

○小西委員 これは以前からですが、管理濃度が1ppmで、その10分の1を測定するために直接捕集では無理だと。直接捕集は1ppmまではできますということになっているわけです。ただ、今までも何回か昔からこういう議論があるのは、例えば2ppm3ppmも全て固体捕集のガスクロマトグラフなのですか、それに統一されるのですかということなのです。要するに濃度が低いところではなくて、高いところの濃度でも、全てこの方法に統一しなければいけないのか。逆に言うと、高ければ直接捕集でも精度は取れるということがあるのでね。もちろん、あらかじめ濃度が分かってないと、どちらを選ぶかはできないことだと思います。

 以前の例えばTDIの分析法などについても、液体捕集との、これは残しましょうということもやっていた時期があると思うのです。ですから、今のやり方というのは、全て低い管理濃度の10分の1というところにはシフトしているのですが、高いところの濃度も全てそれでやらなければいけないのか。

 現場で濃度が高い場合に「直接捕集でもできるのではないですか」と言われてしまったときは、いわゆる測定の方法に関して、ここで議論することではないと思います。

 例えば有機溶剤と特化の有機があるのですが、大臣告示で測定機関の備え付けるべき機器というところとみんな関連してくる可能性があるので、今回はガスクロなので、そんな影響はないと思いますが、新しい分析法が入ってきたときに、古いのを残すのかどうか。高い濃度測定のものを残すのはどうかということが、まだ完全に交通整理されていないように思います。これは反対しているのではありませんが、そんな状況のときにどうするのかということです。

○名古屋委員 直接法というと、いろいろなものがなくなってきていますよね。時代的に、直接捕集するものがなくなってきている部分と、例えば今、濃度が高いときに吸引流量を変えることによって対応できるのだったら、固体捕集方法にして、吸引流量を変えていき、この分を対応できるという時代が来ているので、できたら固体捕集のほうがいいと思います。

○小西委員 固体捕集でいいと思います。一番安定して取れるし、直接捕集みたいにすぐ分析しなければいけないということから見ると、安定して取れるのでいいと思うのです。ただ、高濃度のところは使ってはいけないのかと言われたときに、精度よくできるということが証明されているということであれば、そこのところはどう考えたらいいのかというのがありますので。

○菅野委員 小西委員の言われる意味は分かるのですが、この場合は1,2-ジクロロプロパンが直接捕集方法で測定できるというのを決めようとしているのは、管理濃度を超えている値ですので、この場合は実際の環境では、なかなか難しいかなと思います。管理濃度と実際の濃度の割合によってはおっしゃることが適用できる場合が多いと思いますが、この場合はちょっと難しいかなと思います。

○小西委員 そうですね。

○松村委員 測定法の現状とは余り関与していないのですが、ガスクロマトグラフでも、キャピラリーガスクロで直接捕集のサンプルをかなり大きく入れても冷却捕集で濃縮することができますよね。ああいう手法というのは表記法に入っていないのですか。消泡ガスクロで濃度が薄くても、少し大量にサンプルを入れて、入口の所で濃縮させて、それから除々に消泡していくと、かなり薄いのでもサンプルとしては濃縮できるというのがありますよね。

○菅野委員 オーブンを冷却して分析するという方法を使えばできるとは思いますが、そのような装置をお持ちの機関は非常に少ないのではないかと思います。

○松村委員 そうですか。キャピラリーに関しては余り使いまんか。

○菅野委員 いや、キャピラリーガスクロマトグラフは既に使われておりまして、ここに書いてあるのも実際はキャピラリーを使った分析方法です。

○松村委員 ああ、そうですか。

○菅野委員 ただ、冷却装置がないと空気を1mL注入するのは難しいですので、そちらのほうもあるのですが、実際にお持ちの測定機関が少ないということで使われていないと思います。

○松村委員 標準方法としては考えてない。

○菅野委員 作ることは可能ですが、実際に使われることがないだろうと思います。

○松村委員 そうですか。

○櫻井座長 そのほか何かありますか。それでは、この議題については、改正について案として提示されているものについて、そのように決定するということでよろしいでしょうか。

(異議なし)

○櫻井座長 それではそのようにいたします。

 次に、議題3の丸数字2の「技術的検討の結果を踏まえた測定方法の見直しについて」検討します。事務局から説明をお願いします。

○大淵環境改善室長補佐 17ページの資料1-619ページからの資料1-7で御説明します。

 資料1-6「技術的検討の結果を踏まえた測定方法の見直しについて()」を御覧ください。事務局の考え方ですが、「平成25年度新たな作業環境測定方法の実証的検証事業(以下「検証事業」)」の結果、資料1-7の結果を踏まえ、作業環境測定の方法を次のとおり改正したいということで、大きく2つに分けて御提案します。

1「捕集方法、分析方法の見直し」です。検証事業において3物質、具体的には弗化水素、ホルムアルデヒド、塩素について検討を行い、定量下限、保存安定性等の条件を満たす2物質である、弗化水素、ホルムアルデヒドについて、現行の測定方法に加え、新たな捕集方法、分析方法の組合せによる測定方法が可能となるように改正をしたいと考えております。具体的には、丸数字1弗化水素は管理濃度が0.5ppm、現行の測定方法と試料採取方法は分析方法が吸光光度分析方法と液体捕集方法ですが、試料採取方法を、液体捕集に加えて固体捕集方法も追加し、固体捕集の場合の分析方法として高速液体クロマトグラフ分析方法を組み合わせる測定方法を追加してはどうかということです。

 丸数字2ホルムアルデヒドは、現行の管理濃度が0.1ppm、現行の測定方法が固体捕集方法で、高速液体クロマトグラフ分析方法となっております。この改正案ですが、捕集方法は固体捕集で現行と同じですが、分析方法に、新しい手段のガスクロマトグラフ分析方法も追加してはどうかという案です。

 補足として、後ほど説明する検証事業の報告書において、弗化水素の分析方法の所に「イオンクロマトグラフ分析方法」について検討したとの記載があります。イオンクロマトグラフ分析方法は、位置付けとしては高速液体クロマトグラフ分析方法の一種であるため、法令上は「高速液体クロマトグラフ分析方法」という言葉を使っているので、そちらに位置付けられるかと考えております。

18ページ、2「検知管方式による測定の採用」です。検証事業において、10物質について検知管方法が可能かどうかの検討を行い、管理濃度の1/10付近及び管理濃度の1/2付近の指示精度の条件を満たす次の5物質について、現行の測定方法に加えて検知管方式による測定方法が可能になるように改正したいと考えております。検知管方法を可能にしたい具体的な物質は、丸数字1メチルエチルケトン、丸数字2テトラヒドロフラン、丸数字3臭化メチル、丸数字4ノルマルヘキサン、丸数字5イソブチルアルコールです。

 こういった改正を考えておりますが、その根拠となる資料ということで、19ページからの資料1-7の検証事業の報告書について簡単に御説明します。検証事業報告書の「まとめ」を抜粋しておりますが、弗化水素、ホルムアルデヒド、塩素について、それぞれ最初は実験室での方法で検討し、弗化水素の場合は、具体的にはシリカゲル管を用いる固体捕集方法-イオンクロマトグラフ分析方法について検討を行いました。検討している項目は、丸数字1捕集管の種類、丸数字2サンプリング流量、丸数字3脱着溶媒、丸数字4分析装置等、丸数字5定量下限、丸数字6保存安定性の6項目で、その結果を整理したものを20ページに記載しております。検討結果に○や△、右側に結果概略を記載しております。

(2)ホルムアルデヒドの測定、作業環境測定方法についてですが、こちらはDNPH(dinitrophenylhydrazone)管を用いる固体捕集方法-ガスクロマトグラフ質量分析方法について検討を行ったということです。検討項目は、先ほどの弗化水素と同じような項目について検討しており、こちらも実験室的な検討ですが、その結果を書いております。検討結果を表の形でまとめているのが22ページです。

3つ目の検討としては、(3)塩素の作業環境測定方法です。検討は、銀メンブランフィルターを用いる濾過捕集方法-イオンクロマトグラフ分析方法ということで検討しておりましたが、こちらについては実験室レベルでの検討ではうまくいっていないところがあります。最終的な結論については、この実験室的な検討に加えて実際の現場での検証も行って、その上での結論も導き出しております。

 それが24ページの(4)新たな試料採取方法及び分析方法の可否です。丸数字1弗化水素ですが、最終的な結論だけマーキングした所を読み上げると、「これより検討した分析法は、(1)弗化水素の作業環境測定方法の結果である実験室レベルの検証では、実証不足であったが、現場の実証試験においては、実際の作業環境測定で利用可能と考えられる結果であった」ということです。

 丸数字2ホルムアルデヒドですが、最終結論としては、25ページのマーキングしてある所ですが、「これより、検討した分析方法は、ホルムアルデヒドの作業環境測定方法の結果である実験室レベルでの検証では、実証不足であったが、現場の実証試験においては、実際の作業環境測定で利用可能と考えられる結果であった」ということです。このような結果が出ましたので、弗化水素とホルムアルデヒドについては、これを踏まえて先ほどお示しした改正案の方向で考えていきたいと思っております。

 一方、採用はまだ難しいのが丸数字3の塩素です。こちらはマーキングはしていませんが、現場での実証実験ができなかったということで、実証実験の代わりに実験室での検証も少しやろうかということでしたが、銀メンブランフィルターに含まれている塩素の洗浄が十分でなく、標準ガスを安定して発生させることができなかったため、捕集、分析法の検証には至らなかったということで、塩素については、今すぐ採用できる状況ではないことを確認しております。

 続いて26ページです。検知管の関係ですが、委託事業において表丸数字1~丸数字10に書いてある10物質について検討しております。表の中で誤記がありまして、丸数字10が「メシクロヘキサノール」となっておりますが、「メチルシクロヘキサノール」が正しい表記です。こちらの10物質について、G社とK社の2社のもの、検知管を取り寄せ、管理濃度E1/10付近、管理濃度のE1/2付近について指示値、平均値がそれぞれ次数の基準に基づいて判断をし、条件をクリアするかどうかを○×で表により説明しております。今回、私どもが検知管法として採用したいのは、0.1E付近、0.5E付近、G社、K社のもの全てが○になっているものを採用したいということで、この中では丸数字1メチルエチルケトン、丸数字4テトラヒドロフラン、丸数字5臭化メチル、丸数字6ノルマルヘキサン、丸数字7イソブチルアルコールです。この5物質については、2社の製品とも条件を満たすということで、検知管方法を採用できるのではないかと考え、先ほどのような提案をしております。測定方法の検討結果については以上です。

○櫻井座長 ただいま測定方法の見直し案及びその根拠等について説明がありました。何か御意見、御質問等がありましたらお願いします。

○大淵環境改善室長補佐 補足をさせていただきます。前半の弗化水素とホルムアルデヒドですが、説明の中でも申し上げたように、実験室レベルの検討ではまだ少し検討の余地が残っているということでしたが、私どもの判断としては、現場での実証がうまくいったということなので採用したいと考えております。ただ、この方法を認めていただいた場合でも、実験室での検証等についてはもう少し確認をさせていただければと考えております。

○松村委員 実験室では実証できなかったけれども、現場では実証できたという考え方がよく分からないのですが、実験室で十分実証できなかったということは、どこが問題なのでしょうか。標準ガスの信頼性とか再現性とか、そういうことでしょうか。

○菅野委員 一番の問題は、弗化水素については、標準ガスが安定的に発生できなかったということです。反応性があるので、ガス発生装置に入れてすぐに出るものではありませんが、つまり、安定させるのに期間が必要なのですが、それを十分に足りるほど実験に時間的余裕が持てなくて、残念ながら、弗化水素についてはそういう理由で、実験的にはそこの検証ができていないということです。

 現場の測定がうまくいっているのは、現場の測定はキャリブレーションは溶液でやるので、実際に標準ガスを発生させてやるわけではないので、その点では問題がなかったということです。既存の方法との相互関係性も非常に高くて、0.99とか0.98ぐらいになっていたと思うのです。

○櫻井座長 相関性が高いのですね。

○菅野委員 現場の値としては高すぎるぐらい高いというか、非常に良好な値だと思います。

 もう1つ付け加えると、この方法は20年以上前からNIOSH資料を採用していて、実際に使われている方法で、日本との唯一の違いは、サンプリング時間が実際的には10分程度になっているところだけが問題なので、定量下限がクリアされれば大丈夫なのではないかと思います。つまり、実験室的に検証することだけが比較的時間を要する作業で、実際に測定するよりずっと時間を要しますが、時間的には制約があって、なかなかうまくいかないということです。

○松村委員 そうすると、IHIオゾン層との相関がいいということが根拠ですね。

○菅野委員 ホルムアルデヒドについても、方法自体は液クロ(液体クロマトグラフ)で測るというのは使われている方法で、今回はそれをガスクロ(ガスクロマトグラフ)で測定したいという要望が測定機関からあったそうで、それに従ってガスクロで測定するところを検証するということでしたが、実際的にはサンプリング方法等については確立されていると考えてよろしいと思います。

 この方法も10数年以上前から実際に使われている方法で、最後の測定を行う分析機器が違うだけなので、方法自体に対して問題はないと考えております。これも併行測定によって非常に良い相関が得られているので、もう少しサンプラー自体のブランクか、もしくは使った溶媒にアルデヒドが含まれていることがあるそうなので、どちらかは確定できませんが、その点でうまくいかなかったということです。ただ、サンプラーに必ずブランクがあるわけではなくて、現場で使用したサンプラーにはなかったようなので、問題のあるほどはなかったようなので、実際にはブランクに注意を払うことによって実質的には十分可能であると思っております。

○松村委員 もし、使う試薬が、どこの何社の何のクラスでなければいけないといった制限があるのであれば問題があるのではないですか。

○菅野委員 サンプラーについては複数の会社から市販されていて、ある程度ブランクも測られているのではないかと思うのですが、今回の検証では特定の会社のものを使っていて、その1種類しか使っていないので、その点については調整する必要があるかと思います。

○松村委員 そういうことはあり得ると思うのです。例えば、具体的に何のクラスの何を使わなければうまくいかないということは過去にもあるようにも思いますので、それが本当に必要ならば、好ましいかどうか分かりませんが、書いておかないとうまくいかないかもしれません。

○菅野委員 ですから、今回使った会社名と製品とは分かっていますが、ほかにも複数の製品があるので、どれが一番いいという判断は現時点ではできませんが、実質的には問題がないだろうと思っております。

○松村委員 問題がないだろうと言われても、実証ができていないので、従来法と相関するということで。

○菅野委員 アメリカでは使われている方法なので、その点では問題ないかと思います。

○松村委員 そう言われると全部終わってしまうのですが、いかがでしょうか。

○小西委員 今の菅野委員の発言の内容に関して、もし、実際にこれをまだ更に検証するのであれば、この方法がある程度使えると分かっていれば、メーカーが幾つかあるというお話だったので、そういうものを扱っているメーカーのほうに、うちのも使えるのではないかということで出してもらって、それを検証するというシステムがあってもいいのかなと思います。こちらで探してこれだけ選ぶということではなくて、何か1つ目安があれば、そういうものを受け付けて、試験の中に組み込んでいくという方法ですね。

○松村委員 固体のサンプルの捕集化みたいなことをですね。

○小西委員 何かそういうものもあると、安心してメーカーのほうがデータを出せるのかなと思います。試験をされる時に、何かそういうシステムがあってもいいかなと思います。

○菅野委員 ただ、その場合、もしうまくいかなかった場合、試験した機関が責任を負わなければいけないことになるのではありませんか。

○小西委員 だけど、このメーカーのものと同じデータの取り方としてやったときに、実際に同じ土俵のものでやって、そのとき差が出てくるというのは、ある程度分かるわけです。それはメーカーとしてきちんとできるような状況に改良してもらうなりといったアドバイスはできるのではないかと思います。

○菅野委員 いや、申し上げたのは、ブランク等で製造の管理がどのぐらい行き届いているかの問題ですので、もし通常うまくいっていても、特定の場合うまくいかなかった場合に、試験した機関あるいはメーカーどちらかが責任を持たなければいけないかという問題があるのではないかと。つまり、品質を保証しますよと。

○小西委員 方法論として、今、松村委員が言われたように、このメーカーのものでなければ駄目だというものが存在するのであれば、そのメーカーを出すとなると、どちらにしても出したものを使うことになりますからね。そこはきちんと言ってあげないとまずいのではないかと思います。駄目なものは駄目と言ってあげないと、間違ったデータを出す可能性が出てくるので。

○菅野委員 方法として、ブランクの場合は、必ず事前にブランクを測定するのが通常であって、この会社のものだったらブランクは必ず低いとは言い難いので、実際に測定する機関ではブランクをチェックする必要はあると思います。ですから、分析法としてそのように記述する必要はあると思います。

○松村委員 標準ガスの発生法というのは、これは実際どこでやられたのか知りませんが、作業環境測定の測定方法を検証するときに、標準ガスの発生には幾つか方法があると思います。今は何が標準になっているのでしょうか。ガスクロの場合、パーミエーターですか。

○菅野委員 はっきり覚えておりませんが、パーミエーターを使ったと思います。ただ、通常、別のことに使われているパーミエーターなので、なかなか難しかったのかなと思います。

○松村委員 塩素がうまくいかなかったのですか。

○菅野委員 塩素もそうですね。弗化水素と塩素は、標準ガスの発生が安定しないところが問題です。塩素の場合、メンブランフィルターのブランクもありますが、これはもともとブランクが問題になるレベルになるまで洗浄してから使うことになっているのです。ただ、これもいろいろな制約があって、きちんと洗浄されたかどうかを確認するのに非常に手間がかかる状況でしたので、なかなかうまくできなかったと、言い訳になってしまいますが、そういうところが問題でした。

○松村委員 パーミエーターの装置は、あまりセルの温度コントロールが良くないのです。ヒーターのオン・オフだけで、ヒーター・クーラーになっていないから、温度幅がオンとオフで結構変わるのです。

○菅野委員 そういうレベルではなくて、もっと大きな問題があって、なかなか難しいかったのです。

○松村委員 それでは標準ガスで。

○菅野委員 ですから、できなかったということです。

○名古屋委員 出たガスをちゃんと測って、設定はしているけれど、出てきたものをちゃんと測りますから、別段問題はないですね。

○菅野委員 それが一定で出てきていれば、設定と違っていてもいいのですが、そうなっていなかったということです。確かに反応性のある物質の標準を出す場合、慣らし期間というか、反応物が全部反応し切るまで置いておかないと一定にならないので。

○松村委員 だから、安定するまで1日とか2日とか流しっ放しのものがありますね。

○菅野委員 塩素については、私は昔やったのですが、1週間以上放っておいてやった覚えがあります。

○中明委員 いずれにしても資料をパッと見せられて、どこでどう検討したのかがないのです。

○名古屋委員 「平成25年度新たな作業環境測定方法の実証的検証事業」は委託事業ですから。

○中明委員 だから、例えば委託事業で改善室から出してやってもらったら、どこでこういうデータを出してもらいましたというのを出しておいてくれないと、その出てきたデータが、実際にこちらは検証するつもりはないのだけれど、ペーパーにするならペーパーにして、出すのだったら出して、それをどこかでちゃんとチェックできるようにしておいてくれないと。こういう結果が出てきて、ああそうですかで数値を決めるなり測定法を決めることはいいのですか、ということです。

○松村委員 そうですね。

○中明委員 今、菅野委員がおっしゃったように、塩素は2週間置いておいても標準ガスが出ないとか、そういうものが中にはあるわけです。それをパーミエーターなりで出して、これは標準ガスですよというのは、本当にそれでいいのかということが出てきてしまうわけです。その辺りをもっとクリアにしておいてもらわないと、いろいろ出てきて、「いいですよ」と簡単には言えないと思うのです。例えば、文献はこういうものが出してありますと。学会発表が即、文献だと私は思いませんが、少なくともデータとしてはありますよね。それはそれでそれを見ればいいということが分かるけれど、それがないと検討のしようがないというのが印象です。そういう方法を考えなければいけないと思っています。

○名古屋委員 1-7は日測協に委託しているし、菅野委員が委員長だから、それを書いておけばよかったのですね。
○中明委員 その委員会を、どのぐらい何回やったとかいう詳しいことはいいのですが、こういうところでやって、こういう結果が出て、これはこういう形でオープンにしたとか、そういったものがないと分からないですね、これだけ見せられたのでは。良い悪いの判断は、少なくとも環境改善室でやったのだと思いますから、ああそうですかということになるわけです。

○菅野委員 御趣旨と関係ないかもしれませんが、この2つはNIOSHの分析法で公開されております。

○中明委員 だから、それをNIOSHの方法で資料のどこにありますとか。少なくとも、これは菅野委員のところでかなりやっていたものだとか、そういうものがあれば、菅野委員がやっているのだったらいいなということがあるわけです。例えば、小西委員がアスベストをやったのなら、信頼性が高いのでそれはいいよと言いますが、他の化学物質をやったら、大丈夫なのということがあるわけです。その辺りを少しクリアにしておいてもらわないと判断のしようがないかなと思います。。

○大淵環境改善室長補佐 当然、これは委託事業の報告書の形でまとまったものがあるので、各委員にこの会議資料とは別にもう少し詳しい報告書レベルぐらいのものを御提示した上で御議論いただいたほうがいいですか。

○中明委員 それぞれの委員がそう考えるかどうかですが、私は詳しいものがないと判断できないと。だから、環境改善室としても少し考えておいてください。

○大淵環境改善室長補佐 分かりました。

○櫻井座長 そのほかに何かありますか。

 それでは、2物質について新たな試料採取方法、分析方法を導入するということと、5物質について検知管法を導入するということでよろしいですか。

○中明委員 検知管については、これでいいのですか。両方の2社が作って、日本ではそれ以外はないけれども、環境改善室としては両方で測れればそれでいいという判断ですね。

○徳田環境改善室長 そう判断してやっております。

○中明委員 使えたほうがいいことはいいのですが。

○松村委員 そういう意味では、検知管は、妨害物質がなければメーカーがそれなりに標準ガスを検量しているから、そう大きな数値の間違いは出てこないと思うのです。

○中明委員 現場サイドで、ものを使ったら、本当にそれだけなのかということもあるでしょう。

○松村委員 そうですね。だから、妨害物質があるかどうかは分からない。

○中明委員 だから、妨害物質があったときに本当にどうなのか、場合によっては問題になってくるのかなと。高く出る分にはいいと思うのです。高ければ「悪いよ。直せ」と言えばいいのですから。

○徳田環境改善室長 告示の記述でも、現行でも妨害物質がない場合に限って使用可能と規定しているので、その並びに違いはありません。

○明星委員 この検知管は専用の検知管ですか、それとも何かを転用しているのですか。

○菅野委員 これは、多分専用だと思います。

○松村委員 検知管は、変色原理はそんなに種類があるわけではないのですが、それを塩素なら塩素で検量すると塩素用の検知管という名前になるのです。だから、当然ほかのガスでも、検量すると、少しメモリが違ってくるけれども、色が変わる検知管になることはなるのです。

○明星委員 一応、この名前で使うということで売っているわけですか。

○櫻井座長 そうですね。

○明星委員 分かりました。

○櫻井座長 その物質について、濃度はキャリブレーションしてあるわけですね。

○菅野委員 検知管の基準は、現在のJIS規格そのものです。判定基準です。

○明星委員 例えば、エチルベンゼンの検知管はトルエンから転用するとか、そういう格好で使われているのかなと思ったのですが。

○菅野委員 それはあると思います。ですから、メモリが対象物質用に振ってあるだけの場合もあり得なくはないですね。

○松村委員 そうですね。だから、メタノールの流用した検知管ということですね。

○明星委員 全部駄目なものが売られているのかなと思ったのですが。

○名古屋委員 共存は駄目だと。ただ、そこを謳っているのではないですか。共存すると、本来トルエンを測っているかも分からない。

○松村委員 でも、もっと混合濃度は測れるでしょうからね。

○明星委員 はい。

○小西委員 菅野委員にお聞きしたほうがいいのかもしれませんが、検知管は普通の吸引ポンプ式の検知管ですね。今、検知管の種類で、連続吸引型のものも結構出ていますね。10分間とか、それはどちらですか。

○菅野委員 実験では、1種類連続のものだったかと思いますが、ここに書いてあるのは通常のミリリットル吸引するものだと思います。

○櫻井座長 検知管については、もうよろしいでしょうか、追加の質問は。

○櫻井座長 特にないようですので、もう一度申し上げますが、2物質について新たな試料採取方法、分析方法を導入すること、もう1つは、5物質について検知管法を導入するという結論でよろしいでしょうか。

(異議なし)

○櫻井座長 御異存はないようですので、そのように決定します。

 次に、議題4「その他」に移ります。事務局から説明をお願いします。

○大淵環境改善室長補佐 「その他」として、2点御説明いたします。まず1点目はベリリウムの管理濃度についてですが、本日資料は用意しておりません。ベリリウムについては、平成25年度の第1回検討会において検討を開始し、平成25年度の第2回検討会では疾病の事案について情報収集中であるということを御報告しております。それ以降の状況ですが、引き続き調査中であり、現場での調査、測定を含めた情報収集を行っておりますので、今後その整理を行い、次回、平成26年度の第2回検討会から検討を再開する予定です。第2回検討会の日程調整については、近々先生方に御連絡をさせていただきます。1点目は以上です。

○櫻井座長 ベリリウムについて、御質問はありますか。

○名古屋委員 疾病の事案というのは、管理濃度を決めたものは、アメリカのものはものすごく厳しいと。そこまでいくのは難しい。だから、現場のデータを使って、今回初めてそういう形の管理濃度を決めたと。そうすると、疾病の事案というのは、それで管理されていても、もしかしたら疾病が出るかもしれないので、調べましょうということと考えてよろしいですか。疾病の事案というのはどういうことなのか、よく理解できないのですが、それはどういうことなのですか。

○徳田環境改善室長 実際にどのように管理されていて疾病が発生したかということも含めて。

○名古屋委員 疾病が発生しているのですよね。

○徳田環境改善室長 労災が発生しております。

○名古屋委員 労災が発生しているということは、その濃度で管理されているわけではなくて、以前はもっと高かったから。管理濃度は零点幾つでしたね。

○徳田環境改善室長 それも含めて実際の作業中に測定を行って、実際にどれぐらいの濃度になっているかを検証するために、現場に行って調査をするということです。

○櫻井座長 ほかに何かありますか。

 それでは、ベリリウムについては次回から検討を再開できるように、事務局で準備をお願いします。引き続き、「その他」の2点目について説明をお願いします。

○大淵環境改善室長補佐 その他の2点目として、ニッケル化合物の管理濃度について御説明いたします。通しの27ページにある資料1-8、「ニッケル化合物の管理濃度について」に沿って説明いたします。1番の現行の管理濃度の制定経緯について、簡単に復習させていただきます。(1)ですが、ニッケル化合物として、法令上の定義としてはニッケルカーボニルを除き粉状のものに限るというものが、特定化学物質第二類物質の特別管理物質に追加され、作業環境測定の対象になったことから、平成213月に管理濃度を定めております。そのときはニッケルとして0.1mg/m3 と定めております。なお、告示上ではないのですが、具体的な測定方法は通達に記載しています。測定方法は、試料採取方法として固体捕集方法ということで規定しており、微細部分については吸入性粉じんを採取するために一定の面速で捕集すると記載しております。つまり、吸入性粉じんを捕集するということです。

 このような管理濃度と測定方法を定めているわけですが、それを定めた当時の学会等の値はどのような状況だったのかということです。日本産業衛生学会については、この告示を定めた当時、ニッケルという大きな括りで1967年に定めたもので1mg/m3 でした。ACGIHについては、1998年に吸入性粉じんということで入れられているものがあります。参考として金属のニッケルも書いてありますが、ニッケル化合物に関しては水溶性・不溶性・二硫化酸ニッケルの3つに分けて定義をしております。水溶性ニッケル化合物がニッケルとして0.1mg/m3 、不溶性が0.2mg/m3 、二硫化酸ニッケルが0.1mg/m3 という値です。

 大きな2番が「不溶濃度改定に伴う管理濃度の見直し作業」です。(1)として、日本産業衛生学会の不溶濃度は2011年の改定により、ニッケル化合物が独立した項目として設けられました。金属ニッケルのほうは、数値については上に書いたものと変更はありません。新しく設けられたニッケル化合物の内容ですが、「総粉じん」でのカウントの仕方で水溶性のもの、水溶性でないものという2区分です。水溶性のものがニッケルとして0.01mg/m3 、水溶性でないものがニッケルとして0.1mg/m3 ということで、上のACGIHのほうは水溶性と不溶性で2倍の開きしかないのですが、産衛学会の値とでは10倍の開きがあるということです。ACGIHは「吸入性粉じん」で定義しているのが、産衛学会では「総粉じん」として定義しているというところが、大きな違いかと思います。

(2)として、日本産業衛生学会の不溶濃度が改定されたことから、平成25年度よりニッケル化合物の管理濃度の見直しに着手しました。これまでの議論では、管理濃度は次の計算式で定める案が示されました。M=0.1で、Mが管理濃度、Nが水溶性ニッケルの含有率です。こういった計算式も示されたわけです。なお資料にミスがあります。(0.09N+1)という形で、分母の括弧が落ちております。申し訳ございません。

 しかし関係業界から、計算式に用いる「水溶性ニッケル化合物の含有率」について、事務局が示したクエン酸アンモニウム溶液に溶解させる方法では難溶性のニッケル化合物が溶解してしまうという御意見、あるいは日本産業衛生学会の許容濃度は「吸入性粉じん」ではなく、「総粉じん」を対象にしている等の御意見・御指摘を頂いております。また、本検討会委員の先生方からは、「難溶性ニッケル化合物であっても作業環境のような低濃度であれば水に溶解する」、あるいは「体内では酸によって難溶性ニッケル化合物も溶解する可能性がある」という御意見を頂いております。このような状況で前回の平成25年度第2回では、まだ結論まで到達しないという状況でした。

 こういった状況を踏まえて、今までもいろいろ調べてきましたけれども、今回ニッケル化合物の測定方法と管理濃度の見方については、第3「今後の方向性」の事務局案として、更なる知見の収集、必要な調査等を行い、管理濃度を改正するという考え方が関係者の合意の下で得られるまでは、ニッケル化合物の管理濃度は現状どおりとしてはどうかということを提案したいとおもいます。管理濃度の改正についての検討を始めたのですが、いろいろな状況を考えると、今すぐ数字をいじるのは難しいのではないかというのが、事務局の考え方です。これについて本日、先生方の御意見を伺えればと思っております。よろしくお願いいたします。

○櫻井座長 いかがでしょうか。

○名古屋委員 管理濃度が「吸入性粉じん」と書いてあるけれども、これは「吸引性粉じん」で「インハラブル」ですので、ここは間違っていると思います。

○大淵環境改善室長補佐 「吸引性」ですか。

○名古屋委員 はい。それだと、ACGIHの値も「吸引性」と「吸入性」と分けてあったので、この資料だと、どうして0.1mg/m3 を採用したかが、よく分からないと思うのです。もともとは0.2mg/m3 で決めたのですが、粒子が大きいのです。作業ばく露だったら0.2mg/m3 でもいいけれども、作業環境だったら、発生源から飛んだときに0.2mg/m3 にしてしまったらリスクが低いだろうということで、では厳しくしようということで0.1mg/m3 にしたという経緯があるのです。

 このデータはもう少し前からあったと思いましたよ。最初は多分、0.2mg/m3 で決めたのではないかと思います。その後で0.1mg/m3 に変えていると思います。それで0.1mg/m3 にしたのだろうと思います。リスク評価だと、多分、発生源近くだから0.2mg/m3 だったけれども、作業環境というのは広いですよね。大域的に作業しますよね。発生源から粒子状物質を測ったときに0.2mg/m3 だと、リスクとして過小評価するのではないかということで、0.1mg/m3 に変えたと記憶しております。ましてやインハラブルの大きな粒子でしたから。内容は問題ないけれども、吸入性粉じんだけが間違っていると思うのです。

○大淵環境改善室長補佐 管理濃度の所の「吸入性」を「吸引性」に直して、ACGIHの所は?

○名古屋委員 これはこれでいい。まだほかに資料がいっぱいあったと思います。これは吸入性粉じんのデータですよね。

○櫻井座長 ACGIHは「吸引性」とはっきり書いてありますね。

○大淵環境改善室長補佐 今、管野委員から御指摘いただいたのですが、ほかにも事務局の資料で記載ミスがありました。27ページの1(1)の●の管理濃度の下の※です。試料採取方法が「固体捕集方法」と書いてありますが、「濾過捕集」の間違いです。申し訳ございません。

○中明委員 櫻井先生、2(1)ですが、産衛学会でニッケル化合物を2011年に改訂したときに、ここのところはどうしたのでしたっけ。どういう議論があったのか覚えていないのです。ニッケル化合物は「総粉じん」だと書いてありますよね。

○櫻井座長 ニッケル化合物(総粉じん)と書いてあります。

○中明委員 それはそれで、「総粉じん」の場合の許容濃度を決めたわけではない。その中で水溶性ニッケルと、「水溶性でないもの」と書いてあるけれども、不溶性のものとに分けたのでしたっけ。

○櫻井座長 そうです。

○中明委員 「総粉じん」は「総粉じん」で、ニッケルはそれでいくということですか。それとも「総粉じん」の中の不溶性と水溶性を分けるということだったのですか。

○櫻井座長 どちらも。ちょっと、そもそも参考資料を見ていただきたい。

○大淵環境改善室長補佐 参考資料の19ページに、産衛学会の提案理由書を記載しております。

○名古屋委員 余りよく覚えていないけれども、「吸入性粉じん」だったのでやめて、1回ペンディングにして、それから変えましたよね。

○櫻井座長 この24ページの左の一番下に結論が書いてあります。ニッケル化合物でまず最初は「製練粉じん」。いま問題にしているのは製練粉じん触媒以外での許容濃度です。括弧して「吸入性粒子」と書いてありますが、それを消して出ているのです。なぜこれを消すことになったのか、その意味は、私は記憶がなかったのですが、先ほどインフォーマルに明星委員に話を聞いたのです。何か覚えておられますか。

○明星委員 私は産衛学会の許容濃度等委員会の委員ではないので。

○櫻井座長 と言いますのは、この0.01mg/m3 という数字を出した根拠が、左のカラムの真ん中辺りに書いてあります。2年間の吸入性粒子ばく露試験で得られたNOAEL0.027mg/m3 を不確実性係数2.5で除いた数字を提案しているわけです。そうすると、これは吸入性粒子なので、正確には「吸入性粒子」と書いておくのがいいのではないかと、私はそう思うのです。消した理由ですね。ところが日本では、実際にこういう粒子状の物質の測定をやった結果は、インハラブル粒子は含まないそれ以外のほぼトータルかもしれないので、吸入性粒子よりは少し多く含んでいる可能性があるのですよね。

○明星委員 はい。

○櫻井座長 ですから安全サイドになっているわけです。吸入性粒子と限定すると、もう少し数字が低くなるのです。それを消してあるので、通常の一般的な測定でやっておりますと。ですから「総粉じん」と言っているけれども、「総粉じん」とは書いていないから。

○中明委員 枝葉末節の話になるかもしれないけれども、この表現でいくと「総粉じん」などと書かれると、「総粉じん」のうちの何なのかというのは出てくる。それを水溶性と不溶性に分けたのかという。それぞれで違うのかと。

○菅野委員 鼻腔がんが起こると書いてありますので、それで「吸入性」ではないようにしたのではないでしょうか。違いますか。

○櫻井座長 ACGIHは、鼻腔がん、あるいはその他の炎症等もあるので、あえて「吸引性」というように指定しています。それを測定するためには面速を上げるなどして、数字は大きくなるわけですよね。

○菅野委員 しかし、ACGIHは「吸入性」と「吸引性」の2通りの規制値があったような気がしたのですが、違いましたか。

○名古屋委員 前のニッケルのときのデータがここにないので、何とも言えませんが、多分その値を使ってうまく組み合わせて、0.1mg/m3 にしたと思います。

○菅野委員 「トータル」と「レスパイラブル」を比べると、濃度の値が2倍から3倍ぐらい違うということで、確かあれは2倍ぐらいになっていたと思います。つまり、「総粉じん」にしたときには規制値が2倍ぐらい高くなって、「レスパイラブル」だったら低いと。

○櫻井座長 小さいというか、低いということになります。

○名古屋委員 ただ、「総粉じん」だと粉じん扱いで、ちゃんとした定義がありますが、金属等の場合は「総粉じん」などという値がなくて、10Lで引くか30Lで引くかというだけの話で、規定には「総粉じん」は何も書いていないはずです。「総粉じん」と書くと、粉じんの規定になってしまうので全然違います。だから、扱いとして「総粉じん」という話をしてはいけないのではないですか。

 「インハラブル」なのか、「吸入性粉じん」などは入るけれども、それ以外は普通の粒子として扱わないと、「総粉じん」とすると粉じんの定義になってしまって、どこか違った話になってしまうので、では、今まではどうなのかという話になってしまう。では、粒子は全部「総粉じん」ではないかということではなく、測定において10L30Lに決めているだけであって、そこを誤解されてしまうとまずいのではないでしょうか。だから「総粉じん」というのは、この金属では使ってはいけないのではないかと思います。「インハラブル」なのか、「吸入性粉じん」にはちゃんとした規定が要るけれども、特化則の粒子の場合は「総粉じん」という定義を使ってしまうと、おかしな話になってしまうと私は思います。

○中明委員 事務局が3で今後の方向性を出して、もうちょっと考えますと言っているので、私はそれでいいと思いますから、ここら辺のことも今言ったことも、もうちょっとちゃんと気にしておかないといけないかと思っております。

○名古屋委員 もう1つ思ったのは、提案理由書を読むと、この物質について水溶性ニッケルと決めて、それに対して0.1mg/m3 で出しているのだから、この物質を規定するというのも1つの手ではないかと思うのです。我々の根拠は、0.1mg/m3 を何でしていますかといったら、これを使ってしているわけです。そのデータはここで出しているものについて、0.01mg/m3 にしようとしているのだから、水溶性ニッケルという物質に対して規制を掛けるというのも、1つの手なのかなと思います。ほかの物質については粉じんなのかどうかは別にしても、この物質を扱うときに対しては0.01mg/m3 を使いなさいという形だったら、根拠は何ですかといったら、これを出しますよと。

○菅野委員 この物質というのはどれですか。

○名古屋委員 最初の提案理由書に書いてあります。金属ニッケルから始まって一酸化ニッケルとか、物質が細かく全部書いてあります。ニッケル類については酢酸ニッケル、炭酸ニッケル。

○大淵環境改善室長補佐 19ページですね。

○名古屋委員 そこに全部書いてあります。このニッケルは水溶性ニッケルでしょうと。ニッケルカーボン以外は対象ではありませんと書いてありますが、その物質は水溶性ニッケルとして扱って提案理由書を出しているのだから、そのニッケルを水溶性ニッケルとして扱ってやるというのも、1つの手かなと思います。あえて分析でやると、いろいろなことが起きて分からなくなってしまいます。その辺を細かく議論しているかどうかは知りませんよ。それは分からないけれども、提案理由書の1つの案として、そういうことがあってもいいのかなと思います。

○中明委員 「総粉じん」と言われるよりもいいですよ。

○名古屋委員 「総粉じん」はちょっと違うと思います。

○櫻井座長 それと、粒子の大きさの問題がありますね。

○明星委員 「インハラブル」とか「レスパイラブル」という、「吸引性」とか「吸入性粉」じんという定義は割と新しくて、1990年代です。厚労省が対応したのも2000年以降ですが、毒性試験の測定として、「総粉じん」というのは前からあったのです。そちらの意味付けとは少し違って、「インハラブル」や「レスパイラブル」というのは、基本的に肺のどこにどれぐらい捕まるかということをベースにしています。ただ産業衛生学会も、必ずしもその辺をクリアに切り分けてはいないのです。それをベースにすると管理濃度の方が「レスパイラブル」とかを、むしろクリアにやっているので、逆にその部分、特に「総粉じん」や「インハラブル」の値がくると、若干混乱しているように思います。

 やはり「インハラブル」なり「総粉じん」なりですると、結構大きな値になって、「レスパイラブル」というのは、その大きいほうを全部捨てた結果として出てくる値ですので、例えば設定濃度がある値だとすれば、「総粉じん」なり「インハラブル」で取ると、厳しい結果になることもあるのです。実際には「総粉じん」や、「インハラブル」を取ると、環境からかなり大きな値が得られるということは、逆に厳しい結果になると思うのです。しかしこの場合、逆に「インハラブル」なりを使うということになると、エンドポイントとしての肺の病変ではなく、別に、鼻とか消化器系のエンドポイントになるわけです。ですから逆に全体としては、矛盾がどんどん増えていくように思います。ですから、どうしたらいいかと言われると、私も困るのです。現状維持がいいように思います。

○小西委員 これを見ているだけではなく、では、今までの金属はどうするのかという話が出ていたのですよね。

○名古屋委員 要するに、金属については、ニッケルの定義を決めましょうという話をしていたのです。

○小西委員 「総粉じん」という書き方でやると、議論がそれまで巻き込んでしまうことになる。

○櫻井座長 この際、その辺りも十分議論をしておくほうがいいだろうと思うのです。

○名古屋委員 今までそこら辺が少なかったですよね。

○櫻井座長 なくても何とか済んでいたのです。ただ、だんだんと実際に低い数字でいくのかということになると、そこら辺ははっきりさせないといけないと思います。例えば、産業衛生学会の根拠になっているのが0.027mgニッケル/m3 この実験データなのです。これは「吸入性」粒子だと書いてあるのですが、「吸入性」粒子だから相当小さいものだけれども、その中でも、うんと小さいか中ぐらいかという差はありますよ。ナノ粒子だとこれぐらいで、もっと低くても炎症が起こるというデータもあるということを、先ほど明星委員は言っておられたのです。そうだろうと思います。ですから粒径が非常に効いてくる領域ですから、みんなの意見が一致するところまで、これから少し議論をしなければいけないと思います。

○名古屋委員 前も言われたように、金属類の粒径は何もしていなくて、現場の濃度に合わせて1030Lに応用して測定させていただきましたよね。そこではなくて、ニッケルができたときに初めてインハラブルという定義ができたので、そのときに金属類についても粒子の定義を考えましょうという話はしていたのですが、そこが置き去りにされている部分があって、まだしていなかったのでしょう。ニッケルの場合も、最初はこのデータを使って「吸入性粉じん」を出したけれども、1年間ペンディングになって消えましたよね。それで初めて水溶性が0.01mg/m3 になったので、では議論しましょうという過程になっているのですから、やはり粒径の議論はちゃんとしておかないとまずいのではないかと思います。

○中明委員 それで私たちが人に言われているのは、なぜニッケルだけそこで測って、ほかは測らないのかというのはあるのです。

○名古屋委員 粉じんニッケルのときは、エアゾルサンプラーはIOMサンプラーを使って規定を出しています。そうすると「インハラブル」を測りましょうと。それに合わせると、日本の場合はIOMサンプラーを使っていないので、面速を合わせましょうということで私が以前、厚生科研の委託研究の中で面速を合わせて粉じんを発生させてみたときに、面速19にしたらちょうど合いますねと。18でも20でも駄目なので合わせたというだけです。ただそれが良いかどうか。今度、除染則のときの粉じんの場合は面速を19にすると、インハラブルにならずに18にしていますよと。だから物質によっても違うので、それが良いかどうかは分からないということはあると思うのです。ただ、ニッケルのときは比重が重いので、当時としては19でやったらちょうど合ったということです。

○中明委員 やはり、10Lで採るか、ハイブローみたいに0.5m3 で採るか、それによって全然違いますからね。

○小西委員 ローブローとハイブローとで同じ場所で採っても、何か濃度が違うという議論が、相当昔にありましたよね。

○明星委員 特に10μを超えるような大きい粒子というのは、基本的に落ちるわけです。ですから、それなりのスピードで引かないと届かないという非常にシンプルな理由で、やはり面速が結構重要になります。

○櫻井座長 ただ、労働者がそれを吸い込みますかね。

○明星委員 すぐ近くならば吸い込む。

○中明委員 そうなると、その分もまた別に考えておかないといけない。

○名古屋委員 だから、この前0.2mg/m3 より0.1mg/m3 にしたのは、多分そこではないかというように記憶しております。

○櫻井座長 あと、いろいろなニッケルの作業現場で本当にどれぐらいの粒子なのかというところが、大きな問題なのです。粒子の大きさと分布です。

○名古屋委員 分粒ニッケルのリスクのときは、粉じんニッケルは秤量しているときのばく露が一番高かったので、そこで規定しているので、結構大きなものがかなり入っていました。

○櫻井座長 大きなものがかなり入っていますよね。

○名古屋委員 はい。

○中明委員 使用する側の条件も、これからは少し加味していかないといけないのかもしれないですね。

○櫻井座長 そうかもしれないですね。いろいろな粒子が考えられるけれども、こういう現場ではこういう流動分布のものを対象としていると。その場合、小さいものばかりの所とは、基準が違って当然ですよね。難しいですね。

○中明委員 ここら辺をやはり考えておかないといけない。

○櫻井座長 考えないといけない時代になってきていると思います。

○明星委員 私も事務局の最後の提案でいいと思うのですが、強いて言えば水溶性と非水溶性を1つの管理濃度でまとめるというまとめ方には、とても違和感があります。大きさなりでエンドポイントが違うとすれば、それを管理の便利さだけで「ニッケルはこれだけ」という言い方は少々乱暴な議論のように思います。

○中明委員 分かりました。それはそうです。

○菅野委員 多分、この式は可溶性ニッケルの毒性しか考慮しない場合に成立する式で、不溶性と言われているものが別の毒性を示すのでしたら、これでひと括りで規制するのは間違いだと思います。

○名古屋委員 これは前にも申し上げましたけれども、同じだというレベルが分かっていたから式を提案しただけです。要するに、肺に入ったときに水溶性と非水溶性の区別はないという形だったので、この式は通用するということで提案した式だと思います。それを櫻井座長、大前委員が出してくれたので、ではシリカゲルと同じ扱いに、粉じんと同じ扱いでいいのではないでしょうかということが基本になって、同じ式でいきましょうという話になったのです。違うのだったら、この式はもともと成立しないということです。

○菅野委員 違うのではないかと思うのです。

○名古屋委員 違うかどうかは大前委員と櫻井座長が判断されて、そういう話を聞いたのです。

○櫻井座長 そのときはそうだったのです。

○名古屋委員 そのときはそうだったので、そういう判断の式を出したということです。もともとそこが基本になっていますから、そこが違っていたら、多分違うということです。

○菅野委員 それが同じということでしたら、やはり溶けた分だけを測ればいいということで、異論は全くなくなると思うのです。溶けるスピードもありますので、そんなに簡単ではないのですが。

○櫻井座長 溶けるスピードで、肺の表面でどれぐらいの濃度になるかが決まりますので、それを2つに分けるのはもともと困難だけれども、一応分けたのです。

○菅野委員 一旦体に入ったとすると、溶解しなければ排出されませんよね。ですから最終的には溶けるのではないかと思います。

○名古屋委員 これも委員会報告があります。そのときのデータを見ていると、非水溶性と言われているものでも、短い時間だったら溶けないけれども、30時間置くとほとんど溶けているというデータがあるのです。逆に言うと、肺の中で同じ時間で溶けるのだったら、みんな0.01mg/m3 でもいいのではないかという議論もないわけではないということになります。

○菅野委員 ただ別々にやったら、マキシマムな濃度は違ってきますので、そこで毒性が違うかもしれないということになります。

○名古屋委員 当初とは違うことから考えると、やはりいろいろなところを議論した方がいいということだけは間違いないと思います。その時その時に応じて出したのですが、それがまた経過して違ってきたら、違うように変わってくるのは当たり前のことなので、変えたほうがいいのではないかと思います。

○櫻井座長 その他、何かありますか。ざっくばらんに話ができて良かったと思います。事務局案の「今後の方向性」については、更なる知見の収集、必要な調査等を行って、管理濃度を改正する考え方が関係者の合意の下で得られるまでは、現状どおりとするということになっておりますが、それでよろしいでしょうか。

(異議なし)

○櫻井座長 では、そのようにさせていただきます。

○中明委員 関係者というのは誰ですか。

○大淵環境改善室長補佐 この委員会と、業界の方の御意見を聞くのも非常に重要だと思っておりますので、その両方をさせていただきたいと思います。

○櫻井座長 業界の方は現場のこともよく御存じなので、それも大事だと思います。それでは、そのように決めさせていただきます。以上で今日の議題は全て終了いたしました。では、これで閉会とさせていただきます。本日はどうもお疲れ様でした。


(了)

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