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2015年5月25日 第5回過労死等防止対策推進協議会 議事録

労働基準局 総務課(過労死等防止対策推進室)

○日時

平成27年5月25日(月) 15:00〜17:00


○場所

厚生労働省 省議室(中央合同庁舎第5号館9階)
(東京都千代田区霞が関1−2−2)


○出席者

〈専門家委員〉

岩城穣委員、岩村正彦委員、川人博委員、木下潮音委員
堤明純委員、宮本俊明委員、森岡孝二委員、山崎喜比古委員

〈当事者代表委員〉

寺西笑子委員、中野淑子委員、中原のり子委員、西垣迪世委員

〈労働者代表委員〉

岸真紀子委員、新谷信幸委員、冨田珠代委員、八野正一委員

〈使用者代表委員〉

小林信委員、小林治彦委員、山鼻恵子委員、輪島忍委員

○議題

過労死等の防止のための対策に関する大綱(案)について

○議事

○岩村会長 定刻となりましたので、ただいまから第5回過労死等防止対策推進協議会を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

それでは早速、お手元にあります議事次第に沿って進めてまいります。本日の議題は、議事次第にもありますように、「過労死等の防止のための対策に関する大綱()について」となっております。前回の協議会におきましては、大綱の素案について委員の皆様方に御議論をいただきました。また、私の方からも、委員の皆様の意見を踏まえて、大綱の素案を修正するとともに、関係行政機関などとも調整をしていただいて、本日の第5回の協議会に向けて大綱の最終案を用意していただくよう、事務局に依頼したところです。本日はその作業の結果を受けて資料を用意していただいておりますので、まずその説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○総務課長 事務局でございます。資料1と資料2がありますが、そのうちの資料2が前回の素案からの変更点をお示ししたものですので、こちらに従いまして、主に変わった点について説明を申し上げたいと思います。

今回の大綱()ですが、大きくは3点について、修正させていただいております。1点目は、前回の協議会において、各委員からいただいた御意見を踏まえて修正させていただいた部分、2点目は、前回の協議会以降、各委員の先生方に個別に相談していく中で、ここを直すべきだという御意見を踏まえて修正させていただいた部分、3点目は、法制的なチェックとして、全体的に表記の統一を行うために文言を修正している部分があります。

 それでは、1ページから順次説明させていただきます。

まず1ページの冒頭について、前回の御意見を踏まえ、大綱に、「過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ」という副題を付けています。

続いて、第1「はじめに」についてです。2つ目のパラグラフの冒頭で、「過労死は、1980年代後半から社会的に大きく注目され始めた」という文言を追記しています。そのパラグラフの終わりのところですが、「過労死等は、人権にも関わる問題とも言われている」という形で、人権問題について、追記しています。また、その次のパラグラフの中ほど以降ですが、前回の協議会において、国連の社会権規約委員会の勧告について言及するよう御意見がありましたので、これについては、長時間労働防止のための措置の強化等についての勧告が出ておりますので、この内容を記述しています。また、143の地方議会が意見書を採択すると記載してありますが、これは前回、121の地方議会と出させていただきまして、その後、確認した結果、143の地方議会で採択されていることがわかりましたので、数字を修正しております。

2ページについて、1つ目のパラグラフのところで、過労死等防止啓発月間等々についての法律の内容を記載しております。これに加えて、国等の義務を記載すべきとの御意見がございましたので、2つ目のパラグラフのところで、国及び地方公共団体、事業主と国民、それぞれの努力義務について記載しております。なお、第2現状と課題の1労働時間等の状況のところで、毎月勤労統計調査と労働力調査との間に差があり、それぞれ、事業者に対する調査と労働者に対する調査となっておりますが、特に毎月勤労統計調査については、サービス残業の時間数が反映されていないのではないかという御指摘をいただいております。これについては、これまでの政府の見解としては、例えば、A事業所とB事業所の複数の事業所で働いている方がいらっしゃって、A事業所で30時間、B事業所で10時間働いておりますと、多分この労働者の方の調査票には40時間と書かれると思いますが、A事業所の回答としての調査時間は30時間、B事業所の回答としては10時間となり、調査方法にはどうしても差が出てしまうこともありますので、ここについてはそういった記述を割愛させていただいて、後の調査研究の項目の中でそういったことを踏まえるというような記述がありますので、そちらの方で取り組んでいきたいと考えております。

3ページについて、前回の協議会以降、森岡委員より、御提案がありました。まず1つ目は、雇用実数を記載すべきとの御意見をいただきましたので、週60時間以上の就業者の数が566万人、そのうちの雇用者数が468万人となっていることを追記しております。2つ目は、特に過労死については労働時間が長い労働者に起こるという指摘がありましたので、ここに記載しております。3つ目は、2つ目のパラグラフの後半です。正社員の16%が1日も年休を取得しておらず、年休をほとんど取得していない労働者については、長時間労働者の比率が高いということが、労働政策研究研修機構の調査にありますが、この点については、先日出された労働政策審議会の建議の中にも同じ内容が記載されておりますので、そこを引用させていただいています。

5ページについて、 (2)(3)の公務員の公務災害の状況のところですが、前回の協議会において、ここの部分について、公務災害も、厚生労働省が出している労働災害の統計と同じように、過労死等についての分析を行うべきだという御意見がありました。これについては定例で発表しているということもありますので、大綱に記載する話ではないと認識しており、記載しておりませんが、公務員制度を所管する関係行政機関に対しては、その趣旨について、委員からの御意見を伝えておりますので、前向きに対処いただけるものと考えております。

6ページの6課題について、2つ目のパラグラフの最後から2行目のところで、遺族が労災請求をためらっていることによって、労災の件数が少ないのではないかという御意見がありましたので、この位置に記載しています。さらに、その4行下ですが、過労死をもたらす1つの原因は長時間労働であることから、それを明記すべきという御意見がありましたので、ここに記載しています。特に公務員について、労働時間の把握が不十分であることが課題であるという御意見がありましたので、公務員に限定せずに、労働時間の把握については全ての対策の前提となると思われますので、ここには両方を含めて、その把握を客観的に行うよう啓発する必要がある、という問題認識を記載しております。

7ページについて、「仕事と生活の調和」という文言の後に「ワークライフバランスの確保」という文言を追記しております。また、「職場環境」については「良好な職場環境」という形で記載していて、これ以降は、このような文言が出てくるときには全てこのような修正をしております。

7 ページの2つ目のパラグラフのところで、目標を新たに設定したらどうかという御意見がありました。この御意見は以前からいただいておりますが、一方で、現行の目標をしっかり達成していくことで十分なのではないか、目標等については、先のことをやってから改めて考えるべきではないかという御意見も併せていただいており、この部分については元の文章どおり、これまでの数値目標を書くこととしております。ただし、この点に関連して、4つの御意見をいただいておりますが、いただいた御意見の中で、対策に反映すべきところが多々ありますので、それについては後ほどの対策のところで記述するという整理をしています。

7 ページの2各対策の基本的考え方の(1)調査研究等の基本的な考え方について、不規則勤務等の要因や短納期発注などの慣行等が過労死等の要因になっているという御意見がございましたので、それについて追記しております。

8ページについて、関連する疾患、療養者の状況についても調査をすべきということを、冒頭に明記しています。2つ目のパラグラフのところでは、特定の年齢層の労働者の調査研究について、特に若年者について記載してほしいという御意見がございましたので、「若年者をはじめとする」という記述にしています。

9 行目のところで、我が国の過労死等の状況や対策の効果を評価するための指標について、「妥当かつ効果的」という文言と「早急に検討すべき」という文言に修正しています。これについては、目標のところで、冒頭に申し上げましたように、調査研究を実施してから見直すべきではないかという御意見もありましたので、この文章のところでその指標を検討することによって新たな目標も生まれてくると考えています。そこを通じて、次回の大綱等について検討していくということも、ここで読み取れるのではないかと考えています。

8 ページの下の方の「教育活動を通じた啓発」について、啓発については労働条件だけではなくて、労働関係法令全体について記載すべきとの御意見がございましたので、追記しています。その下の「職場の関係者に対する啓発」について、労働者を管理する直属の上司に対する啓発や、入ってから間もない若い年齢層の労働者の啓発が重要だという御意見がございましたので、追記しています。

9ページについて、2つ目のパラグラフですが、主な原因の1つの「長時間労働の削減」の次に「賃金不払残業の解消」を追記しています。また、仕事と生活の調和(ワークライフバランス)については文言を整理しています。その下の「さらに」のところですが、先進的な取組事例については企業価値を高めること、それに反して、過労死等を発生させた場合には逆に企業価値を下げることにつながり得ることについて、両方書くべきだという御意見がありましたので、ここに並べて記述しています。また、(3)相談体制の整備等の基本的考え方について、相談窓口は民間団体と連携しつつ整備すべきだという御意見がありましたので、記載させていただいています。

11ページについて、過労死事案の分析の際に幾つかの御意見をいただいています。1つは、過重労働と関連すると思われる労働災害等の事案、すなわち、過重労働で交通事故を起こしたようなケースであり、現行では過労死の範囲に入りませんが、こうしたケースも関連する事案でありますので、記載しております。また、海外出張の際の対応について、こういったものも業務の過重性の判断の1つになりますので、そこについても同じ例示として加えています。なお、労災請求等を行ったものの、認定されなかった事案についても、分析をすべきという御意見がありましたので、そこについては最後のところで記述しています。さらに、(2)について、修文はしていませんが、3行目の気管支喘息等のストレス関連疾患の例示として、十二指腸潰瘍等を明示したらどうかという御提案がありましたが、これはストレス関連疾患に全部含まれますので、表現としては明記しておりません。

12ページについて、文言の整理を行っておりまして、一番下のところ、「長時間労働の削減のための周知・啓発の実施」について、まず、過重労働、賃金不払残業の疑いがある企業に対しては、法違反があった場合には監督指導等を徹底するという表現にしています。次に、過労死等を発生させた事業場に対しては、当該疾病の原因の究明や再発防止対策を徹底すべきではないかという御意見がございましたので、現在でも行っておりますが、そこについての記述を加えています。

13ページについて、2つ目のパラグラフのところですが、冒頭に申し上げたとおり、数値目標の際に、前回御提案いただいた4つの項目、すなわち、週60時間以上の労働者をゼロにするということ、45時間超える36協定を強く指導すること、80時間超えの36協定をなくしていくこと、勤務間のインターバル規制の推奨、裁量労働制対象者、管理監督者に対しての客観的な労働時間の把握という、4点について現行の措置等も含めて、周知・啓発で対応できる点がありますので、ここに記述しています。まず1点目として、月45時間を超える時間外労働や休日労働が可能である場合であっても、36協定における特別延長時間の見直しや、労働時間の縮減について啓発指導を行うということを記載しています。2点目として、過労死の認定基準をここに記載して、45時間を超えて、長くなればなるほど業務と発症の関連性が徐々に強まり、1か月間におおむね100時間を超える、若しくは、発症前26か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合については業務と発症との関連性が強いと評価できるとされていることに留意するよう周知・啓発を行うと記載しています。3点目として、目標のところで、週60時間以上の労働者を5%以下にするという目標になっていますが、これについて指導の際には、5%まで減らしてくださいという指導をしているわけではなくて、なくしていくという形で啓発指導をしておりますので、ここに明記することにより、週60時間以上の労働者をなくしていくように努めるという記述にしています。さらに「労働時間等設定改善指針」は、労使が労働時間等設定改善法に基づいて取り組むべき指針ですが、これについての周知・啓発を行うことにしています。これについてさらに説明させていただきますと、先般の労働政策審議会の労働条件分科会の建議において、労働時間等設定改善指針については、労働基準法等の改正が終わった後に労働政策審議会で改めて見直し、検討を行うことになっており、例えば、勤務間のインターバル制度の導入について、検討すべきというような規定を加えていくことを議論するという一文が入っていて、この指針が改正されれば、これに基づいて、勤務間のインターバル制度の推奨等を行うことになります。その下の、「また」の部分ですが、過半数労働組合のみならず、過半数代表者も含めて、協定が適切に結ばれるように周知・啓発を行うという記述を加えています。

 その下の(4)過重労働による健康障害の防止に関する周知・啓発の実施について、2つ目のパラグラフを御覧いただくと、裁量労働制や管理監督者についても、労働安全衛生法令に基づいて必要な措置を講じなければならないので、啓発指導を行うとなっておりますが、これにつきまして、こちらも同じく労働政策審議会の建議の中で、労働安全衛生規則を改正して、裁量労働制や管理監督者などについても、客観的な労働時間の把握をすべきという改正を予定しています。従いまして、この省令が改正されれば、裁量労働制や管理監督者も含めて、客観的な労働時間の把握が法令上の措置になります。

14 ページ、15ページ、16ページは文言修正のみとなっております。

17ページについて、第5国以外の主体が取り組む重点対策1地方公共団体のところに、本文の3つ目のパラグラフに「それぞれの職種の」という文言を追記しています。これについては前回、教育職員につきまして、地方公共団体と連携して、国がしっかりと教育職員についての啓発対策を講じるように、というような記述にすべきという御意見がありましたが、これについては関係の行政機関といろいろ相談して、これは教育職員に限らないだろうということで、それぞれの職種の職務の実態を踏まえた対策を講じるよう努めると修文しています。

18ページについて、2事業主のところで、労働契約法、労働安全衛生法に基づいて、労働者の健康確保措置が事業主の責務になっていることについて、記述をすべきという御意見がございましたので、「また」のところで記載しています。また、(1)の「また」のところで、若い年齢層に対しても取組を進めるべき、さらに、過労死等が発生した場合の原因の究明、再発防止対策の徹底に努めることを追記しています。

19ページについて、過半数代表者の記述を加えるべきという御意見がございましたので、労働組合等として、「また」のところで、「労働組合及び過半数代表者は、この大綱の趣旨を踏まえた協定又は決議を行うよう努める」という一文を入れています。また、対策の見直しとして、第62を新設しています。過労死等防止対策推進法第14条で、ここに記述しているような調査研究を踏まえて、法制上又は財政上の措置を講じるという規定があります。これに基づいて、本文の各所に散りばめておりますが、調査研究を踏まえて、この大綱に規定されている対策についても適宜見直すものとするということを、ここでまとめて書いています。簡単ですが、事務局からは以上でございます。

○岩村会長 ただ今、事務局側から説明のありました大綱()について、委員の皆様から御意見をいただきたいと思います。他方で、昨年11月に過労死等防止対策推進法が施行されてから既に半年以上過ぎております。したがいまして、そろそろこの大綱()をまとめる段階に入らないといけないと思っております。前回も最後に申し上げましたが、予算要求作業との関係で大綱をとりまとめ、そして適切な対策についての予算措置を盛り込んでもらう必要があります。本協議会として大綱()について意見を述べることに関しては、可能でありましたら本日の会議をもって締めくくることにさせていただきたいと考えております。そういうことを踏まえつつ、これから御意見を頂戴できればと考えております。どなたからでも結構ですので、御発言をお願いできればと思います。それでは、岩城委員どうぞ。

○岩城委員 弁護士の岩城です。今回、これまでの議事録を改めて全て確認をさせていただきました。ほかのそれぞれの方は自分の発言の部分ということで、またお話があるかもしれませんが、私がいろいろ提案させていただいたことについては、相当部分反映をしていただいたということで評価をしたいと思っております。

 もっとも、先ほどもお話がありましたように、前回、第31の後半の数値目標の部分について、4点を入れていただきたいということで、1つ目が、週労働時間が60時間以上の労働者をゼロにすること。2つ目が、週80時間以上の時間外労働の特別延長時間を定める36協定をゼロにすること。3つ目が、勤務間インターバル制度の導入についても数値目標を持って取り組むこと。4つ目が、全ての事業場、労働者について、労働時間を客観的方法により適正に把握させることなどを御提案をいたしました。けれども、これについては数値目標という形では入れることはできなかったということで、お話をお聞きしました。

 この点につきましては、過労死等防止対策推進法は具体的な権利義務を新たに規定するものではないということは承知しておりますが、政策目標として掲げ、それを政策的に指導誘導していくということは十分可能であって、大綱に数値目標として書き込むことには何ら障害はないと、私として意見は持っております。2020年までに週労働時間60時間以上の雇用者の割合を5%以下にするというのも、同じ性質の問題ではないかと考えております。とはいえ、今回は数値目標としては入れないということですけれども、これらの4点が過労死等の防止の鍵を握るという、重要な問題であることは異論のないところだろうと思います。

 そこで、3点について申し上げたい。1つ目は、大綱のそれぞれの箇所で、これらの4点をできるだけ取り入れていただきたい、現場で実践をしていきたいと思うわけです。これらについては、先ほど御説明の中で様々な形で各論で取り入れていただいていると認識をしております。唯一、勤務間インターバル制度については具体的な明言がありませんけれども、これは今の労働基準法等の改正の有無にかかわらず重要な問題だと思いますので、実践をお願いしたいと思います。2つ目は、これらの4点については調査研究の対象としていただいて、その結果を踏まえて、次回以降の大綱の見直しの際に取り入れていただきたいと思います。3つ目は、さらに3年後の法律の見直し、附則第2項に基づく見直し、ないし法第14条の法律上の措置として、近い将来、法で規定を、立法で決めていただくことを期待をしたいと思っております。

1点だけ確認の質問です。修正版の12ページから13ページに、「過労死等を発生させた事業場に対しては、当該疾病の原因の究明、再発防止対策の徹底を指導する。」という一文がありますが、ここで言う「事業場」には公務職場も含まれるのでしょうか。私が以前質問したときには、特に発生した後の指導はなされてないという趣旨の話があったように思いますので、その点確認をさせていただきたいと思います。以上です。

○岩村会長 今、御質問がありましたので、事務局のほうでお願いいたします。

○総務課長 まず、前半につきましては承りましたので、事業の実施にあたり、御意見を反映して実施していきたいと思っております。

 後半の13ページのところの質問ですが、これについては、まず労働基準法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法の施行に関しまして、私ども、対象としております民間の事業場に対しては、もしこういった過労死等が発生した場合には原因究明と再発防止については指導させていただいているところです。公務員制度官庁の関係については、これについて制度を所管しておりませんので、はっきりいたしませんけれども、それぞれのお立場に応じて、発生した場合にはこういう形での指導かは別としましても、当然再発防止のためのいろいろな措置を講じておるのではないかと考えております。

○岩村会長 よろしいでしょうか。ほかにはいかがでしょうか。

○新谷委員 ただいま岩城委員がおっしゃった御意見と、私どもほぼ同じ意見でございますが、労働側として、まず意見申し上げたいと思います。これまでの論議を踏まえまして、本日示された案には私どもの主張も含めて論議内容は盛り込まれたという点については承知しているところです。しかし、前回も、激しく論議をいたしました、この7ページの当面の目標については、岩城委員のおっしゃった内容についても入っておりませんし、もっと具体的な目標を設けよ、設定すべきであるという、私どもの主張も全く反映されてないということです。その点については非常に残念でありますし、また、この法律が「過労死等防止対策推進法」という名前であるにもかかわらず、その中身と今回の大綱の効果は一体どうなのかという面では全く不十分であるという認識を持っているところであります。ただ、岩村会長が仕切りをされたように、確かに予算との関係で論議の時間も限られているということでございますので、そういった面も踏まえまして、私どもとして意見申し上げたいと思っております。

 やはり今回示された7ページの3つの目標というのは、政府が2010年に決めた、法制定の5年も前の目標であって、そこから全然超えていないということです。もともとこの3つの目標は、今回の過労死等防止対策推進法には関係のない、正しく政府の意思として盛り込んだものでありますので、なぜそれをこのままで踏襲するのか疑問です。過労死等防止対策推進法という過労死を防止するための法律の成立を受けて、かつての目標を超えるような目標がなぜ出来なかったのかということについては、本当に残念の極みであります。国会での全会一致を基にこの法律が設けられた意義は一体何なのかということについて、今一度我々は考えないといけないと思います。非常に残念であるということを重ねて申し上げておきたいと思います。

 その上で、今示されているこの3つの目標、2020年までに60時間以上の雇用者の割合を5%以下、年次有給休暇取得率を70%以上、2017年までにメンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合を80%以上、それぞれ目標があり、それを早期に達成するということですが、今回のこの目標については概ね3年を目処に必要があれば見直しを行うということですので、この3年先をにらんで、やはり次の目標をどうするのか。当然この3つの目標はここに絞り込んだわけでありますから、これは必達をすることが、政府としての意思だと思います。そして3年後のその次の目標を、今後行う調査等も含めまして、どうあるべきかということを考える必要が出てまいりますので、この法律の立法府からの要請を、どう行政府として受け止めるのかということも含めて、目標設定の在り方について、是非お考えをいただきたいと思います。

 次にこの協議会の今後の在り方について、意見申し上げたいと思っています。この協議会はこれまでの論議を踏まえて、政府が作られる大綱策定に当たって意見を聞く場として設けられたわけです。政府として作られる大綱を閣議決定されて、それでおしまいということは当然ないわけでありますので、過労死のない社会の実現のために政府が様々取り組んでいくので、その経過、達成状況をこの協議会においても逐次御報告をいただきたいと思います。調査研究等の成果についても、この協議会の中で共有を図っていただきたい。それに対して私どもとしても、この協議会の中で発言する場を確保していただきたい。そういった意味では、継続的な検討の場として、この協議会を継続していただきたいということを要望として申し上げておきたいと思います。以上です。

○総務課長 御意見、大変ありがとうございます。後半のほうでございますが、この協議会について、確かに法律上は大綱について御意見を伺うということですが、大綱を作成いたしますと、それをそのまま放りっぱなしというわけにもまいりません。また、19ページにもございますように、推進状況のフォローアップについてはこの協議会において行うということになっていますので、法律に基づく年次報告の作成ですとか、この大綱に基づいて、実際に様々な事業についての予算編成の時期の御報告等々については、年間を通じて数回この協議会を開催させていただき、フォローアップをやっていきたいと考えておりますので、また皆様方の御協力をお願いしたいと思います。

○寺西委員 文言整理ですが、1ページ目の2段落目の5行目であります。赤文字の方で、「また、過労死は」という所に書いてありますが、「また」という表現は、この上に示されている内容と切り離されているように思うのです。その2行上に、「過労死等にも至る若者の使い捨てが疑われる企業等の」というところがございます。やはりこういった職場があるがために過労死、人権問題だということを言いたいので、ここは「また」ではなくて、「このような状況による過労死等は、人権に関わる問題である。」とし、この今の状態では、少し表現が弱いので、今御提案した形で修正していただきたいと思っております。

○岩村会長 では事務局、お願いします。

○総務課長 具体的な修文について、また後ほど御相談させていただきたいと思いますが、「このような状況による」と書くと、それ以外の過労死があって、それは人権問題ではないと読めるようになるのですけれども、いかがでございましょうか。案文自体はかなり広めに過労死を捉えて、全てのもの、過労死等は人権問題だということで書いているつもりです。あるいは、「また」を取ってしまうということもあるかと思いますが。

○岩村会長 もし直すのであれば、端的に「また」を取るというのが一番良いのかなと思います。「このように」とか、「このような状況による」というふうに付けると、どうしてもやや絞ってしまった感じが出てしまいますので。今、事務局からもありましたように、「過労死等」ということで広く取るのであれば、端的に「また」というのを取るというので、ただ今、寺西委員がおっしゃった趣旨は生かされるのではないかというようには思います。

○岩城委員 さっき寺西さんが言われたことは、「このような状況のもと」というのもあるのですけれども、「人権にも関わる問題とも言われている」というのが、やや弱いという趣旨も含まれていたので。今の会長のおっしゃるのであれば、「また」を取った上で、「人権に関わる問題である。」と、端的に書いていただくのが、寺西さんの趣旨に沿うのではないかと思いました。

○寺西委員 はい、それで結構です。

○岩村会長 ただ、なぜここで、「も」と入れて、「また、とも言われている」と事務局の方で書いた趣旨としては、これはある意味で意見にわたる部分でもあり、それぞれの立場によっても考え方が違う可能性があるということを、多分事務局の方では配慮したのではないかと思っております。ですので、お気持は非常に分かるのですけれども、他方で、そういう配慮も必要なところも場合によってはあるかなという気もいたしますので、あまり妥協案というのは良くないのかもしれませんが。事務局から回答をお願いします。

○総務課長 それで、御趣旨を踏まえるのでしたら、例えば「また」を取りまして、「過労死等は人権に関わる問題とも言われている。」ぐらいで、調整させていただければ。

○岩村会長 はい。今、正に私も同じことを申し上げようと思ったのですが、「人権にも」のところの「も」を取るということによっても、少し寺西委員がおっしゃっていた意味というのはもう少し反映されるかなというようにも思いますが、いかがでございましょうか。

○西垣委員 今の寺西さんの要望に関してですが、もしこの場で皆さんが御賛成ならば、20名が御賛成ならば、「過労死等は人権に関わる問題である。」というふうにしていただくというのも、1つの方法ではないかと思われますが、いかがでしょうか。

○岩村会長 私としては、議事の運営の仕方として、あまり個々の方々について、これで御賛成ですかということをお聞きするというのはちょっと避けさせていただきたいと思っております。そこは御理解をいただければというように思います。

○中野委員 今の寺西さんの意見ですが、「このような」とか、「このように」というふうに入れるのは、その前の事柄が限定されるというふうにおっしゃられましたけれども、「このような」ということは広い意味を含めているような感じがするのですが、どうでしょうか。

○岩村会長 ただ、「このような」というふうに付けると、文章表現として、普通は前の文を受けてしまうので、やはり前の文とのつながりで、次の「過労死等は人権にも関わる問題とも言われている」という文章が書かれているというように、多分理解されてしまうだろうというようには思います。

○総務課長 あとは、この「人権」という用語につきましては、これは担当は厚生労働省だけではございませんで、例えば法務省等々も関係しております。もし、よろしければ今の御意見踏まえて、引き取らせていただきまして、最終的に案を作るということでいかがでございましょうか。

○岩村会長 もちろんほかにも、もしかすると御意見があるかもしれないので、私としては最後、全部まとめて、どういう形で処理するかということを頭に置いていたものですから、はっきりとした形で今申し上げていないのですけれども。もし、よろしければ、今の寺西委員のほうから修文の御意見がありましたので、最後の取りまとめの仕方にも関係しますけれども、差し当たり今の段階の話として、御意見を踏まえて、今事務局からもありましたように、他の関連官庁との調整の問題等もありますので、それを基にして最終的に、できれば私に一任させていただくという形で引き取らせていただくということかなというふうには思っています。もちろん事前に、最終的に決断する前に、寺西委員ほかの方々には、こういう案でどうだということで伺うことにするのが通例でありますので、そういう前提でいかがかという気もいたします。よろしいでしょうか。ありがとうございます。

 それでは、ほかに御意見ございますか。

○西垣委員 失礼いたします。まず、質問を1点お願いしたいと思います。15ページの下から6行目に「労働条件や健康管理に関する相談窓口の設置に関して、産業保健総合支援センター」とございます。この産業保健総合支援センターとはどのような組織かということをお聞きしたいと思います。労働者にとっては健康管理に関して、自社内に相談しやすい体制があることは、理想的であると思います。しかし、往々にして、相談しにくい部分もあると思いますので、小規模事業所以外からの相談にも対応し得るセンターであるかどうか。また、相談があった場合、どのように対応してくださるのか。また、相談者に不利にならない配慮等があるのかということを、お聞きしたいと思います。もし、さらに対応し得るということであれば、広く広報していただきたいと思います。

 引き続き、全体に関してですが、第1回協議会から実労働時間の適正な把握、そしてIT企業における労働条件の改善、そして若者の労働条件の改善の課題、さらに過労死防止のための民間団体と国、地方公共団体、事業主、労働組合等の連携についての課題と、様々な要望をさせていただいてきました。

 さらに4つの対策を掲げた法律ではありますが、喫緊の課題として、過労死等の防止に取り組むという観点を含む大綱であることから、36協定の上限規制、または勤務間インターバル制度の導入についても要望してまいりました。そして、これらは長時間労働を削減することに直結する対策だと思います。

 また、一段と高い目標値についても、要望いたしました。残念ながら、取り入れていただけていない対策等もありますが、多くの要望を取り入れていただいたことは、評価できると思います。大綱に基づく4つの対策が実施される中で、反映されますことを期待しております。

 また、取り入れられていない対策については、岩城委員の発言どおり、今後、是非取り入れていただきたいと考えています。以上です。

○岩村会長 後半は御意見の表明ということで、ありがとうございます。では事務局のほうで、前半の御質問についてお願いをいたします。

○計画課長 産業保健総合支援センターのことについて御質問がございましたが、こちらは事業者、産業保健スタッフなどを対象に、専門的な相談対応、研修などを行う機関ということであります。地域窓口におきましては、労働者数50人未満の事業所を対象に、相談対応を行っているということでありますが、労働者の方からの相談についても対応しております。これからストレスチェック制度が12月に施行されるということでありますので、そうした制度の周知広報とも合わせて、今後さらに積極的な周知広報を図っていきたいと考えています。

○西垣委員 ということは、50人以下ではなくて、それ以上の事業所からの相談にも対応していただけるということになりますでしょうか。

○計画課長 はい、そのとおりです。

○岩村会長 よろしいでしょうか。

○西垣委員 はい、分かりました。では、広く広報をしていただきたいと思います。

○岩村会長 それでは、中野委員どうぞ。

○中野委員 よろしくお願いします。公務災害を担当しております中野と申します。

 まず、5ページと6ページにかけてです。「現状と課題」の5の国及び地方公務員の公務災害の状況について、発言いたします。前回も要望しましたが、脳・心臓疾患と精神疾患の公務災害の認定率が労災補償と比較して低いという状況が、要望したのですが、今回も記述されておりません。大変残念に思います。再度要望したいのですけれども、どうしてもその状況を書くことが不可能であるならば、その差が約10%程度あるのは事実なのですから、あとの調査研究、そして国の重点対策について、続けて言わせていただいてもよろしいでしょうか。

 まず、10ページ、第4の国が取り組む重点対策についてです。前回、次のような趣旨のことを盛り込んでほしい旨要望したのですが、これも入っておりません。それは教育公務員の職務の特殊な勤務実態を考慮して、地方公共団体との連携のもとに、より効果的な対策を講ずるように努めるという内容です。先ほど、事務局の方から、このことは教職員に限らないので、入れる必要はないという御回答がありましたが、地方公共団体の欄と関係しますが、やはり総務省の資料によりますと、平成21年度から平成25年度の平均では教職員の場合に、脳・心臓疾患の認定率は他の職種に比べて38.5%、そして精神疾患は30.7%に及ぶ非常に高い割合を占めております。学校教員の場合には、前回も申し上げましたが、時間外の持ち帰り残業、そしてクラブ活動とか生徒指導とか家庭訪問とか非常に多くの過重労働を時間外に行っており、実労働時間が非常に把握されにくいという状況があります。ですから、再度学校教員に対する国としての対策、そして地方公共団体との連携のもとに対策を取ってほしいということを要望しておきます。

 調査研究等の分析についてですが、11ページの過労死等事案の分析のところです。公務災害の認定事案も明記していただきまして、大変うれしいのですが、要望として、労災事案と同じように、必ず集約分析を実施していただきたいし、その結果を是非労災補償と比較して、検討していただきたい。その上で、認定に生かしていただきたいし、労災補償と同程度の認定率にされることを要望いたします。同じように、その結果の発信については、詳細な状況を労災補償の状況と同じように発信、公表していただきたいということをお願いしておきます。公務災害についてはくどく申し上げましたが、私の担当として、やはり公務災害、遺族の切実な思いを背負っておりますので、どうぞ私の真意も御賢察いただきたいと思います。特に、公務員制度官庁の皆様、よろしくお願いいたします。以上です。

○岩村会長 では、事務局お願いします。

○総務課長 公務災害については労災よりも、これまでは、例えばその調査研究が余り進んでいなかったということ、それから認定率についても認定件数がなかなか少なくて、サンプルデータの誤差もあるということも含めまして、今後の調査研究の課題だと、公務員制度官庁の皆さん方ともお話しをしています。また、これも前回も申し上げましたが、私ども厚生労働省が平成27年度から予算を確保しまして、調査研究の事業をスタートさせ、公務員についてはこれから予算要求していくということで、なかなかどこまでできるかという予算上の制約もあります。どこまでやれるかというのはあろうかと思いますが、皆さん、前向きに対応していただけるように聞いておりますので、ただ今いただきました御意見につきましては、公務員制度を所管いたします関係行政機関にしっかりやるようにということでお伝え申し上げたいと思っております。

○中野委員 よろしくお願いいたします。

○岩村会長 一応、この法律上は国の取るべき対策という形で掲げられているところでもあり、厚生労働省の方で、公務員制度官庁にもしっかり働きかけていただければとお願いをしておきたいと思います。山崎委員どうぞ。

○山崎委員 私は、職場環境の改善や良好化といったものが、本大綱の随所に盛り込まれることになったことに対して感謝し、高く評価しております。職場環境の改善や良好化というのは、過労死等の防止対策上、大きく寄与する可能性を示唆する論文や研究が、実際に21世紀に入って、国内外の産業保健分野で、健康職場づくりというような用語で「Healthy Workplace」、それは健康水準の高い人たちが集まっているという意味ではなくて、健康が支援され、疾病などの悪化が予防されるという条件の整った職場づくりだと理解されています。

 そういう概念が、国内外の産業保健分野で広がっており、その観点から見たときに、本大綱中にある職場環境の改善、良好化の意味内容や、取り組み方において、もう少し明確にしていった方がいいのではないかと、事前説明の段階で申し上げました。そんなに言うのであれば、ここで発言して記録に残すことで、その辺りのことを主に調査研究の段階で、そうした条件を整えることの効果の大きさが検討され、それが報告されて、実践の分野に還元されていくような方向を示唆されてはいかがですかとアドバイスを受けましたので、ここで2点について確認させていただきたい。それと、一部、やはりこの大綱全体からして、こういう文言を一言付け加えた方がいいのではないかと思う箇所が1か所ありましたので、計2か所、指摘させていただきます。

1点目は7ページです。これはある意味で素晴しい書き方になっていると思います。上から2行目、「過労死等防止は喫緊の課題であり」から「労働者の心理的負荷を軽減していくことは急務である」という文章ですが、長時間労働を削減し、そして、もっとトータルに仕事と生活の調和、ワークライフバランスの確保、それは睡眠や余暇や休息などを十分に確保するということを述べているわけで、そういう「ワークライフバランスの確保を図るとともに、労働者の健康管理に係る措置を徹底し、良好な職場環境を形成の上、労働者の心理的負荷を軽減していく」というように、「良好な職場環境」は、その後随所で使われています。しかし、「良好な職場環境」のイメージが、正直なところほとんどはっきりしてこないということを、もう一度丹念に読み直して思いました。

 つまり、過労を余儀なくされることの1つに、例えば、自分が今、本当にノーと言えないというか、これ以上仕事を抱えることが無理だということが主張できないというような雰囲気などは、無形ではありますが、やはり強力にその人たちを規制するのです。そういうことを考えてみたときに、やはり職場環境ではなくて、目に見えない1つの本人に対する圧力となっている職場風土や、コーポレートカルチャーというか、職場文化などというものの改良というか改善、あるいは良好化というものがうたわれる必要があるという意味で、私は「良好な職場環境・職場風土」と膨らみを持たせて、「職場風土」という言葉を是非入れてほしいと思います。ですから、ハラスメントもある意味では職場環境というよりも職場風土の中で、そういう眼差しをその人たちに対して注ぐという、そのこと自体がやめさせられなければならないということを、もっと言っていく必要があるのではないかということです。そういう意味で、「職場風土」という言葉を盛り込んでほしい。

 そして、お願いなのですが、労働者の職場環境や職場風土の改善というのは、「労働者の心理的負荷を軽減していく」だけではなくて、実際にはもっと積極的な効果が期待できると、21世紀に入って進んでいる数々の議論の中では言われているわけです。つまり、実際には軽減するばかりか、働く意欲を高めたり、職場の人間関係やコミュニケーションの良好化が図られるという点で、企業にとっても大変プラスになることなのです。そういう意味で、良好な職場風土の4つの条件のようなものが、今、私たちもそうですが、国内外で明らかになってきています。その4つの条件は何かということは、調査研究を通じて検証し、成果として明らかにしていきたいと考えております。そういう点で、ここでは具体的に、「職場風土」というものを是非入れていただきたいということです。

2点目は、「良好な職場環境」という場合に、今、御説明した、これは一般に「健康職場」と伝えられていますが、全体としてキャッチフレーズとして、「健康で生き生きと働き続けられる職場の条件は何か」というような形で問う研究が始まっているわけです。あるいは、いろいろな意味がありますが、健康で働き甲斐があり、誇りを持って働き続けることができる職場づくりというようなものを「健康職場」という言い方をしている人たちもいます。もう1つ、ここの大綱の中で、職場環境の良好化ということが、9ページの2段落目では「職場環境づくり」という用語で書かれています。要するにここは、仕事と生活の調和の取れた働き方ができる職場環境づくりを進める必要があるということを言っているわけです。ですからこれは十分イメージできます。

 そもそも、こういうワークライフバランスでは既にかなりキャンペーンが張られて、かつ、いろいろな所で、例えば私の知っている医療現場においても、こういった辺りの議論が実践を伴って進められています。ですから、これはもう1つのものとしてちゃんと明記されているのです。

1か所だけ、この職場環境づくりの1つの落とし穴があります。ワークライフバランスの取れた働き方の職場環境づくりというものを強調するときに、ワークライフバランスのライフの確保ということがあるわけです。ライフの確保というのを、どちらかというと、私的領域に属する問題として、それは一人ひとりの個人が気を付けて努力し、確保に努めるべきだというような個人責任に帰せられる傾向があるのですが、実際に個人責任に帰せられた場合、はっきり言って全然進みません。ですから、そういう文言が1か所だけ、13ページにありましたので、それを直していただきたいということです。

 何となく以前から少し感じていましたが、やはり、日本語的にも何かちょっとおかしな点があります。(4)の「過重労働による健康障害の防止に関する周知・啓発の実施」という所があります。3行目には、事業者が講ずべき措置については、「事業者に広く周知・指導徹底を図る」ということです。その次ですが、「その際、必要な睡眠時間を確保すること、生活習慣病など自らの健康づくりに取り組むべきことについても、事業者、国民に広く周知・啓発を行う」ということなのです。「自らの健康づくりに取り組むべきこと」を、仮に「事業者に広く周知・啓発を行う」となると合いません。事業者がやるのは、事業者としての責任においてしかできないことを事業者がやるという意味合いが入っていないといけないわけです。これはどういうことかというと、健康づくりにしても何にしてもそうですが、企業が行う健康づくりというのは、基本は、仮に自らが健康づくりに取り組むにしても、その健康づくりに取り組みやすい職場環境を整えるということです。ですから、それに支援的な環境を整備するということです。それに努めるということです。実際には「自らの健康づくりに取り組むべきこと」の次に、「それらの個人的努力、取組を支援すべきことについても、事業者、国民に広く周知・啓発を行う」というような文言を1つだけ加えていただければ、言ってみれば事業者のイニシアチブを期待します。あるいは、事業者がイニシアチブと責任を負うことでしか進まないのだということを送り届けることになるという点で、是非お願いしたいということです。

○岩村会長 ありがとうございました。大変貴重な御意見をいただいたように思います。1つ山崎委員にお尋ねしたいのですが、職場風土ということで、例えば山崎委員の御専門の領域であれば何を意味するかということが、その領域の人々には分かるという性質のものかどうかということだけ少しお聞かせいただければと思います。

○山崎委員 コーポレートカルチャーなどと言うと文化になりますよね。ですから、職場文化と言ってもいいのですが、やはり文化はちょっと高尚すぎるので、アトマスフィアのほうを採用したくて、風土と言う場合には、かなりアトマスフィアが強くなります。ですから、職場風土という言葉がふさわしいと思います。しかも形成というような形で、環境形成はそのまま使えますが、職場風土のほうは醸成という言葉が社会科学の用語では使われています。

 やはり職場風土の力はとても強いので、そういうものから改善していくことに本格的に取り組むぞということを、それは働いている人たちにとってもそうですが、企業にとっても必ずプラスになっていきます。ですから、そういう意味で、本当に、是非その辺りまで、この過労死等防止対策推進協議会で高らかに宣言していくようなことがあっていいのではないかということです。

○岩村会長 ありがとうございます。事務局から何かありますか。

○総務課長 的確な御意見ですので検討させていただきます。職場風土という言葉は、なかなか行政用語としてこれまで使ってきていなくて、大体そういった意味は職場環境の中に入れ込んで使わせていただいておりましたので、これで読めているのではないかということで申し上げていましたが、せっかくの先生の御意見ですので、ここについては検討させていただきたいと思います。

○新谷委員 今の山崎委員の御発言の中で、特に13ページの御指摘いただいたところで、私もよく読んでみたらちょっとおかしいなと思ったのが、(4)3行目で、「その際、必要な睡眠時間を確保すること」とあって、その後、今度は「生活習慣病など自らの健康づくりに取り組むこと」と書いてあります。これは一方は最後の締めが「事業主」となっていますので、必要な睡眠時間を確保するのは一体誰の責任でやるのかと考えたときに、労働者の責任で自分の睡眠時間を確保せよというのでは労働実態に合いません。労働者は使用者から業務の具体的な指揮命令を受けているわけですから、残業の命令を受けた者は働かないといけないということになりますので、必要な睡眠時間を確保させるための義務の主体は事業主であるべきだと思うのです。

 その一方で、「生活習慣病など自らの健康づくりに取り組むべき」と書かれていますが、これは一体誰のことを言っているのか。実は責任主体が違う、ばらばらのことが書いてあって、それを事業主にということになりますので、今御指摘をいただいて修文される際には、そこをうまく書き分けていただきたいと思います。睡眠時間の確保はあくまで労働者の責任でやれみたいなことになってしまうと本末転倒になりますので、その点だけ事務局においては注意をいただきたいと思います。

 もう1つ、せっかく今、職場風土という話をいただいたのですが、労使関係の中、集団的な話なのか、個別の話なのかというのはありますが、今の労働組合の組織率の実態から言っても、良好な職場風土をつくるということは、組合のない職場では、現実にはどうも良い話は聞きません。私どもにも多く相談が寄せられていますが、組合のない職場で非常にブラックな職場が多いものですから、良好な職場風土というのをどうやってつくるのかというところが実は問題であって、それは確かに総論としてはそのとおりなのですが、では各論でこれをどうするのかというところでいくと、確かに絵に描いた餅になりかねないのです。ですから、それをどうするのかというところは具体的に書き込まないといけないのですが、それは書き込まれていないので、冒頭に私どもが申し上げたように、非常に残念な内容になっているということです。

○総務課長 今の新谷委員の御発言の中で、必要な睡眠時間の確保について、確かに労働時間が長すぎると必要な睡眠を確保できないというのはありますが、生活時間の中にも睡眠時間と余暇時間とあって、そのバランスを考慮するという意味では労働者自らということもありますので、事業主がやるべきことは、その前の文章で書かせていただいた上で、これについては労働者自らも睡眠時間の確保と健康づくりという意味で、こういう書き分けをしているのですが、分かりにくいという御指摘でしたら、それが明確になるような形にやらせていただきたいと思います。

○川人委員 今の事務局の御説明は、睡眠時間を確保するところは主語が労働者になるのですか。私の聞き間違いでしょうか。

○総務課長 今のところは主語は労働者のつもりで書かせていただきました。事業者の関係では、その前の文章で指針等がありますので、そこがまず事業者の分で、労働者が気を付けるべきこととして、睡眠時間を確保することと生活習慣病などの健康づくりで、これについては事業主を通じた啓発もありますし、国民自体に知らしめるべき啓発もあるという構成の文章になっているということです。

○川人委員 そうだとすれば、そういう表現のものを今回の大綱にあえて入れる必要があるのだろうかと思うのです。かつ、「べき」ですよね。労働者が睡眠時間を確保すべきというようなところはいかがでしょうか。

○総務課長 今回の法律自体が、啓発の主体が国民に対する啓発ですので、事業者、事業主だけではなくて国民自らもという部分が当然あってもいいのではないかということで、ここに書かせていただいております。並びをみてこの位置が誤解を招くということでしたら、表現ぶりで若干工夫すべきところかと思いますが、対象として労働者に対するものを書いてはいけないということではないと思います。

○川人委員 私が過労死等防止対策推進法の制定の経過から今まで関わり合ってきた者としては、その場合、国民に対しても呼び掛けているという趣旨は、国民もとにかく職場全体が健康で良好なものにするように努力しましょうという意味で呼び掛けているのであって、個々の労働者が、睡眠時間を多く取るべきであるというようなことを、ある意味で教育するという趣旨が今回の法律の趣旨ではないと理解するのです。国民に対する啓発という意味はそのようには受け取ってはいないのです。いかがですか。その後の「すべき」というのは、主語が労働者だと言われるのであれば、ちょっといかがなものかと思います。

○新谷委員 今の事務局の答弁には私も非常に違和感があります。事務局の答弁を聞いていると、国民、労働者が、余暇時間がたっぷりあって、その中でも睡眠時間を削って何か自分の活動をしたり、飲みに行ったりなどを含めて、そんな時間があるから、ちゃんと睡眠時間を取れよということを啓発するというふうに聞こえるのですが、総務省が社会生活基本調査で、第一次活動時間、要するに睡眠や食事やその他の諸々の時間などの統計を取っていると思うのですが、実態から見ると、そうではないのではないかと思うのです。私は産業別労働組合にいたときに5,000人の労働者の調査をやったことがありますが、男性の一番働き盛りの方々は、実は残業によって帰宅時間が21時を過ぎるのです。就寝時刻は大体24時から24時半くらいですが、そうすると、自宅に帰ってからの生活時間はわずかに3時間しかなく、この時間で御飯を食べて、お風呂に入って、テレビでも見て、もう寝るだけという繰り返しなのです。それで、自分で残業時間を含めてコントロールせよなどというのはちょっと現実が見えていないのではないかと思います。今の厳しい労働の実態からいくと、方向が全く逆だし、もし労働者に自分の睡眠時間を充分に確保せよというようなことを啓発するのであれば、こんなところに載せる必要は全くないので、これは書き方をうまく調整しないといけないのではないかと思います。

○岩村会長 ありがとうございます。寺西委員に御発言いただいて、それから事務局にお願いします。

○寺西委員 その関連ですが、先ほど山崎委員から職場風土などというお話もありましたし、睡眠確保の部分ですが、やはり過労死をするような職場環境というのは、寝る時間を削って仕事をしているのです。仕事量が自分で調整できない、それだけ仕事に追われているということがあって、過労死に結び付いているのです。

 それと職場風土ですが、やはり職場風土というのが、個人がつくるものではなくて、会社が仕向ける環境なのです。そう申しますのは、やはり会社に入れば社訓というものがあります。この社訓で過労死を発生させている所は、これまでに「鬼の十則」とか「死ぬまで働け」といったひどい言葉が社訓になっているわけなのです。ですから、この職場風土にしても、自分ではつくれない。やはり事業主側から出されるものであり、睡眠時間にしてもそうです。睡眠時間を削って、寝る時間がないほど仕事をさせられる、これが過労死の実態なのです。ですから、やはりそこは、なぜかこういう書きぶりになりますと、個人が時間が十分あるのにほかのことをして、小学校の子どもに「早く寝ましょう」と言っているような形で、新谷委員がおっしゃったように、本当に違和感を感じます。

○総務課長 少しこの部分の経緯を申し上げます。これは第2回か第3回の本協議会において、労働時間だけではなくて、それの裏表である生活時間、特に睡眠の確保が非常に重要だという御意見がありまして、そうすると、睡眠の主体は、寝ることについては労働者であろうということで、これは事務局の誤解があったかもしれませんが、そういう趣旨で入れたものです。もし逆に誤解が多いようでしたら、この部分を削除という形でも結構ですが、その辺りは皆様方の御意見を踏まえたいと思います。

○川人委員 ですから、2001年の脳・心臓疾患の新しい労災認定基準が出る前の段階の200111月に専門家の検討委員会が出されたと。その際に、やはり睡眠時間の問題について論じているわけですが、それは、労働時間との関係で、睡眠時間が少なくなってしまうということを問題にしていると思うのです。ですから、少なくとも過労死等の防止のための対策に関する大綱の中で、この睡眠時間の問題を論じるのであれば、誤解を受ける表現は避けていただいた方がいいと思います。

○岩村会長 ありがとうございます。いろいろ御意見を頂戴しましたので、ここの扱いについてどうするかということについては、削除をすることも含めて、私どものほうに、後でまとめて御一任いただければと思いますが、それでよろしいでしょうか。

                                  ( 各委員了承)

○岩村会長 ありがとうございます。

○山崎委員 私はやはり、健康づくり、生活時間の確保というのは、用語として持ってくるのですが、問題は、ここは企業がどうしたらいいかということなのですが、それはやはり、そういう時間の確保を保証するということです。もう1つは支援するということです。ちょっと変な話ですが、企業としての従業員に対する健康配慮義務ということになるわけですよね。あるいは、先ほどもありましたが、就業時間の中で、例えばどうしても行かなければならない、受診しなければならないようなことになったときに、そういうのはやめてくれというような雰囲気があるような職場は、やはり改善されなくてはならないというようなことも含めて、実際に過労死の案件などの事例報告を読んでみても、みんな、それが行けない雰囲気であり、時間的に難しいという実情の下で過労死という事態を招いているというのが、正直なところ、私もずっとおかしいなと思っていましたので、そこにメスを入れるという点で、こういう個人的な営みとしてもとても大事な時間確保を会社としても保証するという、あるいは支援するという会社の1つの義務であり、責任なのではないかということを明確にする文言が、ここには必要なのではないかと思うのです。

○宮本委員 産業保健スタッフが企業でいろいろな過重労働による健康障害の防止対策をやるときには、必ず睡眠の重要性や健康づくり、あるいは健康管理対策、通常の健康管理対策の重要性についても言及しますので、それを考えると、この(3)が過重労働の削減であり、(4)が過重労働による健康障害の防止と、書き方が分かれていまして、その中でも前段のほうで、いろいろな対策を事業者がやるということが書かれていて、後段のほうで、「その際に」と書かれているわけですから、ここは「必要な睡眠時間を確保することの重要性」と一言入れていただき、「生活習慣病対策などの健康づくりに取り組むことの重要性」というように、「自ら」などと限定することを少し削除していただいて、より広く睡眠の確保の重要性や健康確保の重要性について書いていただき、取り組むことの重要性についても「事業者、国民に広く周知」とやっていただければあまり問題はないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○岩村会長 ありがとうございます。今いただいた御意見も踏まえて引き取らせていただければと思います。

○森岡委員 2点、要望的な意見です。1つは、労働時間について、6ページで、「労働時間の把握が様々な対策の前提になることから、その把握を客観的に行うよう啓発する必要がある」としておりますが、この場合の労働時間のとらえ方についてです。本当はこの大綱に書かれる必要があるかもしれませんが、今後の運用において、2つの労働時間について、どちらもそれを包摂するという意味でこの定義を解釈するべきだと思います。1つは時間外労働を含む、実際に払われるかどうかは別として、賃金が支払われるべき労働時間の把握です。もう1つは、賃金の支払いが伴わない、したがって残業代の把握の前提となる時間外労働以外の持ち帰り仕事、在宅労働、あるいは教員のような、そもそもエグゼンプション状態にあって、労働時間が法的に把握されない労働者、あるいは狭義の管理監督者のような除外対象者も含めて、健康管理上の労働時間が把握される必要があります。過労死防止で言う労働時間はこの両方を指すものと理解したい。そういうものとして労働時間を解釈し、把握するということを、運用上、要望いたします。

 もう1点です。この場は厚生労働省に設けられた協議会です。しかも、多くの過重労働対策や過労死等防止対策は、厚生労働省が主に関わって行うことです。大綱ができて、閣議決定されるということから言えば、全省庁に関わって、非常に広く、新しい行政施策として打ち出されるものだと思いますが、主管は厚生労働省です。しかし、厚生労働省という言葉は、大綱案には、資料の出所を除けば、1か所以外にはどこにもない。12ページに、「厚生労働省において作成した労働関係法令に関するハンドブックの活用」とあるだけです。厚生労働省は過労死等防止対策推進法が成立する前から、様々な過重労働対策を打ち出してきています。その打ち出してきたものがどんなものであるかということについて全部網羅することはできませんが、できれば、この大綱がアップされる段階で、関連するページとして、あるいはすぐに一覧できる形で表示していただきたい。例えば「若者の使い捨てが疑われる企業」となっているブラック企業についても、こういう対策を打ち出しているということが見えるような形で示していただきたい。

 もう1つそれに関連して、これはここだけの問題ではなくて、厚生労働行政全般に係ることですが、過労死等防止対策推進法が策定され、施行され、大綱ができたという新しい段階に対応して、過重労働対策の見直しを是非お願いしたい。それぞれの機関、委員会や審議会などがあるかもしれませんが、それぞれの所でそういう新しい段階の長時間労働の削減や不払い残業の解消、あるいは過労死等の防止という一番大きな課題について、積極的な施策を厚生労働省の関係機関が力を合わせて今後検討し、策定していくことを強く願っています。

○総務課長 まず1点目の労働時間の問題ですが、この大綱というか、この法律自体が、例えば民間の労働者、すなわち労働基準法上の労働者のみならず、公務員や、いわゆる労働基準法の労働者ではない自営業者や管理監督者なども含む働く人全般についての対策となっていますので、ここではほかに用語がありませんので労働時間と書いておりますが、ここで言う労働時間というのは、労働基準法上の賃金を払うべき時間のみならず、その他の働く方が活動される、就業時間とでも言った時間を全部含めて調査研究の対象にはしていこうと考えております。

2点目です。もしこの大綱をお認めいただき、それで閣議決定をした暁には、これをまた周知・広報するための関係資料等を作らせていただくことになります。それにはこの大綱の内容は漏れなく網羅させていただくとともに、関連する対策や、いろいろな統計資料等も含めて、紙ベースやインターネットのサイトでということもあろうかと思いますが、対応させていただく予定です。そうした際には今の御意見を十分反映させていただいて、分かりやすい広報資料を作ってまいりたいと思っております。

3点目の対策の見直しですが、これは大綱ができまして、以前のままの対策ということはあり得ないわけですので、これからも引き続きこの大綱の趣旨に沿う形で、必要な対策については随時見直していこうということです。先生の御意見のとおりやらせていただくということで考えています。

○八野委員 冒頭で新谷委員が労働組合のスタンスは、それを前提とした上でということでしたが、労働側から、意見を3点ほど述べさせていただきたいと思います。

 行政、労使の取組で過重労働対策が今までも行われてきたはずですが、長時間労働が改善されない現状とか、過労死でお亡くなりになっている方が毎年100名いらっしゃるという現実を考えていくと、かなり大きく進んだ対策を打たなければ過労死ゼロ、過労死がない社会の実現はできないと思っています。

 こうした視点から見たときに、この大綱()で本当に過労死がゼロになる、それが実現できる社会をめざせるのかというと、そこはやはり疑問と言わざるを得ないだろうと思っています。

2点目は、523日の土曜日に過労死防止学会のシンポジウムが開かれたと聞いています。その中で労働と雇用と安全衛生に関わるシステムの再構築について報告されたということで報告書を読ませていただきました。ここでも過労死又は過労自殺を予防するための対策として、長時間労働の解消、1日の最長労働時間の設定、勤務間インターバル規制の導入、割増賃金の率の引上げ等々、これらを組み合わせた規制の導入について、制度的対応が必要であるということが述べられていました。

 先ほど岩城委員から、我々労働側が言っていた点と同様な点で指摘があったと思います。その中で、現場での実践ということも非常に重要だと認識しておりますが、やはり本協議会の役割分担ということで、制度的な対応までは議論しないということですが、本当に過労死のない社会の実現を目指すということだと、こうした制度の対応を本協議会が、例えば労働政策審議会に求めていくことも必要ではないかと考えています。

3点目は、大綱()の内容に即して見ていきますと、12ページに労働基準監督署の体制を整備しつつ、監督指導等を徹底すると書かれています。こういうものをやっていくべきだといういろいろな項目が書かれているわけですが、本当に監督指導が高められる根拠が大綱には盛り込まれていないのではないかと思っています。指導強化ということは、法改正をせずともできる行政段階のもので、そこに対策とか指標が必要であると考えています。

 今後、調査研究が行われるということですが、そういう中での結果、又は各主体での取組をこの協議会にフィードバックしていただいて、今後、具体的な対策をしっかりと検討していく必要があるのではないかと考えています。以上、3点、意見として申し上げます。

○森岡委員 関連して、今、八野委員がおっしゃった最初の部分ですが、過労死防止学会で報告があった、今おっしゃった件については、個人の意見表明ではなくて、日本学術会議の特別チームが2011年春に発表した「労働・雇用と安全衛生に関わるシステムの再構築を―働く人の健康で安寧な生活を確保するために―」という提言が基になっています。その提言を担当の学術会議の座長をされた岸玲子教授が発表されたものです。以上です。

○岩村会長 それでは木下委員、どうぞ。

○木下委員 今回の大綱の取りまとめになった点で注目すべきことは、過労死の問題が労働者に対する労使の問題であるだけではなくて、企業社会において企業の価値の問題であることを明らかにしたというところだと思います。

9ページで啓発に関する考え方、積極的な評価、消極的な評価ということで、企業価値の問題である。企業の価値については、長年財務情報、収益を中心に考えられてきたわけですが、山崎委員の御発言にもありましたように、健康で永続的な企業が企業価値があるということを大綱は明らかにしたと思っています。その意味で今後企業評価として非財務情報の評価が取り入れられようとしておりますし、先進的な企業は既に統合報告書ということでレポートをまとめるようになってきています。

 この大綱を受けて、多くの企業がそういう方向に向けて自分の企業の中の健康度合いあるいは自分の取引先との関係においての健康度合いに注目する社会になっていくことが、この大綱において企業側に求められていますし、それはいわゆる労働規制とは、また別の意味の企業価値、企業のあるべき姿だということが明らかにできたと思っております。その点でこの大綱を評価していきたいと思っています。以上です。

○岩村会長 ほかにはいかがですか。それでは、冨田委員にお願いします。

○冨田委員 私からは要望を1点と、意見を1点申し上げます。以前のこの協議会の中でも、労働側の委員から申し上げておりましたが、違法な長時間労働を繰り返す企業についても公表をしていただけないかということですが、これについては518日に厚生労働大臣から都道府県労働局に対して、違法な長時間労働を繰り返す企業に対しては早期の是正の指導と、その事実の公表を行う旨の指示がされたと伺っています。このことは過労死等の抑止への効果という意味では、大変期待できると考えておりますが、残念ながら、今回の大綱()の中では、このことに触れられておりませんので、できましたら国が採るべき対策の、特に12ページの(3)1行目に「過重労働、賃金不払残業等の疑いのある企業等に対しては、労働基準監督署の体制を整備しつつ」というところがありますので、このあとにこういったことについても行っていくということを是非加えていただきたいと思っています。これが要望の1点目です。

 意見ですが、先ほどから何度か新谷委員も申し上げましたし、ほかの委員の方々からもありましたが、取り組むべき目標値では、7ページに週労働時間60時間以上の雇用者の割合を5%以下にすることが、当面の目指す目標として掲げられておりますが、そもそも週の労働時間が60時間以上の労働者は、月に直すと100時間を超えます。過労死の認定基準を考えれば、そうした労働者を今後も5%放置をしてしまうとも読めてしまいますので、そうした目標が過労死ゼロを目指す目標としてどうなのだということについては、もう少し強めの目標値にしていくべきではないかと考えているということを、意見として申し上げたいと思います。

 更に、もともと過労死防止の対策は、長時間労働、過重労働のない社会を実現するということです。7ページに「調査研究の成果が得られ次第、取り組むべき対策を検討し」とありますので、その内容については、この結果を踏まえて、この協議会で検討することをお願いしたいと思います。

○岩村会長 御意見の部分は承ることにしまして、要望の点は何か事務局のほうでありますか。

○監督課長 冨田委員からの御発言にありました、518日に大臣から労働局長に指示をいたしました公表の関係ですが、この運用上の取扱いということと、ここはいろいろ監督指導の徹底と書いてあります。そういう意味では、今まで昨年9月に長時間労働削減推進本部を大臣の下に設置して、それ以降、1月から100時間を超える残業が疑われる所については、全て監督をするとか、4月から東京と大阪に複雑な事案についての専任チームを設ける、その一連の流れの個別の政策の1つですので、担当としては、やや趣旨が違うかなという気がしますが、個々の御意見、御議論を踏まえて御検討いただければと思います。

○岩村会長 そういうことですので、これも引き取って検討させていただきたいと思います。恐縮ですが、川人委員、それから岸委員にお願いします。

○川人委員 1点質問した上に、意見です。事務局に質問ですが、15ページの(8)に商慣行等を踏まえた取組の推進とありますが、ここに発注者の問題が規定されておりまして、取引関係者に対する契約、働きかけについて言及されているわけですが、これは公共事業の発注者である国や地方自治体も当然含む趣旨で書いてあるということでよろしいですか。

○岩村会長 事務局いかがですか。

○総務課長 これについては、業界に応じていろいろ様々だと思いますが、特に排除したつもりはありません。

○川人委員 分かりました。それに関係して1つ事例を挙げて、大綱の重要性についてお話したいと思います。この協議会が始まってから約半年になろうとしています。この間も私は随分多くの過労死の御遺族の相談を受けております。明日、ある御遺族と一緒に労働基準監督署に労災の申請に行きます。その方は年が明けて、今年の1月に亡くなられています。昨年12月にパンチカード上、毎日の労働時間が18時間、16時間、17時間、17時間、24時間という状況が続きました。その頃から心身の疲労が極限の状況に達し、年が明けて1月に亡くなられています。

 先ほど睡眠時間の話がありましたが、私どもが計算した範囲で言えば、大体23時間ぐらいの睡眠時間が数週間にわたって続いています。これは当然のことながら、企業側の労務管理の結果として睡眠時間が取れなかったわけです。

 この事件で特に大綱との関係で2点原因背景を強調したいのです。1つは、公共事業が年末・年始に多いということで、あらかじめ変形労働時間制が引かれており、年末・年始の所定労働時間自体が大変長いものになっています。さらに、36協定等による労働時間も長くなっており、違法残業が加わる。そうした中で年末・年始は長時間労働になる。深夜労働を含めた超長時間労働になるのが当たり前のような状況が背景にありました。

 そういう意味では、この案件に関わりませんが、公共事業に関連する様々な過労死の事件は年末・年始あるいは年度末に起こっているということを、改めて背景として指摘いたします。そして変形労働時間制というのは、実に怖いものであると改めて思っております。今回の大綱の中にも書かれておりますが、調査項目として、変形労働時間制というものは、いかに働く者の心身の健康を蝕む危険があるか。この問題については、極めて重要な調査事項の中でも優先事項として取り上げて、速やかな調査と、それに基づく然るべき体制措置を講ずるべきであるということを強調したいと思います。

 この方も、まだ本当に幼いお子さんを2人残されたまま、亡くなったわけです。私どもこういう形で協議会で議論をしているわけですが、資料にもありますように、今でも年間2,100人ぐらい、1日に平均約6人が勤務に関連する自殺をしています。これは警察庁の統計でもこの資料で示されています。是非、この調査という問題あるいは調査に基づく措置という問題を、日々、人々の生命がかかっているという緊張感の中で、私ども実践していかなければいけないと自戒を含めて強調したいと思います。以上です。

○岩村会長 それでは、岸委員、お願いします。

○岸委員 これまで5回の協議会を通じて、公務職場の過重労働問題についても議論の俎上に上って問題点が明らかになったと思っています。労働時間の把握がきちんと行えていないという実態については、この間、何度も申し上げてきました。今回、6の課題に労働時間の把握を客観的に行うよう啓発する必要があるとの記載が追加されましたが、公務職場においても、このことが徹底されるよう、今後、公務員制度官庁と連携して取り組んでいただきたいと思います。その上で2点、できれば追加をお願いしたいことがあります。

1点目は、第4の国が取り組む重点対策で、10ページの2段落目の「併せて」の所に「併せて国家公務員に係る対策も推進するとともに、地方公共団体に対し、関係各省は十分な連携を図りつつ」という文言を入れていただければと思います。

 趣旨としては、地方公務員については、これまでも申してきましたが、総務省であったり、厚生労働省であったり、警察庁、若しくは文部科学省と関係する省庁が複数あることから、その省庁間が十分連携して地方公共団体に働きかけをすることが必要だと考えていますので、これも御検討をお願いしたいと思います。

2つ目は15ページです。15ページの(9)公務員に対する周知・啓発等の実施についての一番下の行の「地方公務員については、地方公共団体に対し、過重労働・メンタルヘルス対策等の推進」の次に「推進や安全衛生体制の整備などを働きかける」というようにお願いしたいと思います。これもこの間、発言してきましたが、地方公務員においては安全衛生体制の整備の遅れがありますので、このことを是非追加していただきたいと思っています。

 それと中野委員の発言に関連して、教職員の実態把握についてです。現在ある調査は、今から9年も前の平成18年度に文部科学省が行った教員勤務実態調査が最新です。是非、早急にこうした調査を行っていただきたいと思いますし、そういった調査を受けて、今後しっかりと実態把握を行い、効果的な対策につなげていただくことを強く求めて、私からの意見とさせていただきます。

○岩村会長 それでは、事務局から、御要望の点はいかがですか。

○総務課長 最初の2つの点について、御要望いただきましたが、いずれも公務員関係の記述の部分ですので、関係行政機関と御相談させていただきたいと思います。

3点目につきましては、これについてもこういった御要望があったことについて、所管する関係行政機関にお伝えしたいと思います。

○岩村会長 よろしいですか。

○岸委員 よろしくお願いします。

○中原委員 前回までに発言しました項目について、一部確認と質問をさせていただきます。最初に質問というか、私の認識としては山崎委員からも提言されたワークライフバランスに関して、過労死防止学会でも上がったことですが、8時間が労働時間、8時間が休息・余暇の時間、8時間が自由時間として捉えてよろしいのかどうか。私の認識が違っているのでしたら教えていただきたいと思います。

2点目以降は私の意見です。先ほど何人かの委員からも御意見がありましたが、1日の最長時間規制について、今回大綱について触れられていなかったことを、大変残念に思っています。これがインターバル規制という言葉につながるからなのか、いずれにしてもこういったことは調査研究が大変重要であると考えております。

 最後はずっと言い続けている医者の当直労働についてです。今回医療者という言葉では入っていますが、特に当直時に急患の対応をしたときには診療は労働時間とみなし、適正な労働時間としての対応が必要であると考えます。

 小児科医であった私の夫の労災認定をめぐる中では、そういった対応は一切なされず、患者1人につき15分の労働時間とみなすという不可解な説明を受けてきました。また、当直室や仮眠室があるからいいのではないかという意見も言われたのですが、そういうものがあっても休めない、眠れないのが実態です。また、小児科医だけではなく、特に産婦人科医の待機時間では特化して待機時間が長いと言えるかと思います。待機時間の労働性を実証できないために、2人の産婦人科医で月の半分待機をして、亡くなった事例に関しても、全く労働性を実証できないので労災認定されず、途方に暮れている遺族もいます。人の生命を扱う医療者の仕事に対して、私の夫の場合でもそうだったのですが、特に過重ではないという言葉をしばしば使われています。そういった判断は実態とは掛け離れたものと思われます。行政におかれましても医師の労働対策はなされていると伺っていますので、今後の調査研究で適正、かつ早急な取組を大いに期待するものです。以上です。

○岩村会長 御質問の点について、事務局からお願いします。

○総務課長 1点目の過労死学会の際には、私も出席していてその場の話は聞かせていただきました。確か、ILO1号条約とか、労働基準法のもともとの8時間、48時間の労働規制を挙げられて、おっしゃったように8時間、8時間、8時間の3分割の話が出されたかと思います。

 当初の8時間という規定の経緯については別に法律上、解釈したものがあるわけではありませんが、そういった趣旨で8時間というのが規定の中に上がってきているということは、そういう理解でもよろしいかと思います。

3番目の医療関係者についての御要望ですが、御指摘のような問題もあると思いますので、この大綱の中でも医療職については調査研究の重点対象にさせていただいております。その際には御指摘の点も踏まえて、十分な調査研究をやっていきたいと思っております。

○中原委員 よろしくお願いいたします。

○岩村会長 そろそろ時間もきておりますが、西垣委員お願いします。

○西垣委員 懸命に育ててきた、たった1人の子どもを過労死で亡くし、我が家は未来を失いました。また、仕事のために子どもたちから父母を奪うことがあってはならないことだと思います。私たち遺族の悲しみが癒えることは永久にないでしょう。多くの方々の生命の犠牲のもとに成立した法律と大綱です。若者までが過労死するこの日本と早くお別れすることを亡くなった彼らは何より願っていることだと思います。

 働く人々が健康に働ける職場であってこそ、企業も長い目で見れば繁栄する、ということも踏まえていただき、国、地方公共団体、労働組合、そして民間も様々な立場を超えて、この国から過労死をなくし、未来のある国になりますように、ともに協力してまいりたいと思います。皆様よろしくお願いいたします。

○岩村会長 ほかにはいかがですか。

○山崎委員 いろいろ討議されてきて、私は改めて自分は調査屋だ、方法論は調査だということもありまして、どういう調査研究を組むかということは非常に大きな課題になってくるかと思います。

 そういう点で、先ほど調査研究の成果の報告段階からここの協議会にも報告していただき、いろいろ議論をするという話がありましたが、ある面でフィットする調査研究が組めるかどうかは計画段階で、私も思うのですが、この協議会のメンバーの多数の目を通して、明らかにしたいこと、検証したいことをきちんと定めて、それを共有することをしないで委託する、つまり、協議会から、こういう討議を経ていない人たちによって委託調査みたいなものは行われるわけです。そういう意味で計画段階で、ちょっと言葉は悪いのですが、協議会のチェックがかかるような予算を是非組んでいただけないでしょうかという質問です。

○総務課長 御趣旨としては、協議会の皆さん方が御議論いただいてできた大綱ですし、各方面の専門家にもお集まりいただいておりますから、その趣旨を十分踏まえた調査研究ということです。予算をそれだけで取るかどうかは別としても、事業の実施段階においては、もちろんここにいらっしゃる方、皆さん方は有識者ですから、こういう協議会を開くかどうかは別としても、実施段階においては皆様方に御相談なり、御意見を賜って事業を進めていきたいと思っております。そこについては事務局から御相談に上がりたいと思っています。その際はよろしくお願いしたいと思います。

○森岡委員 先ほどILO1号条約に関連して8時間制の話が出ましたが、あのときに8時間、8時間、8時間の3分割を言ったわけではありません。もともとはニュージーランドの建築職人 サミュエル・パーネル が唱えたと言われています。今から見ると、大きな制約があります。近年日本で女性の社会参加を高める、女性の活躍をもっと支援するという点で労働時間の見直しも課題になっています。その女性の活躍戦略からいって、1つの大きな問題は、長時間労働のために男性の睡眠時間が減っているだけではなくて、世界の先進国で男性の家事参加が最も少ない国が日本だということです。

 そういう点でいうと、労働時間の問題は家事活動にも深く関わっていて、実は8時間、8時間、8時間の3分割論には男性が家事労働をするという視点は全く落ちているのです。そういう意味では時代遅れのスローガンだということも同時に考えておく必要があります。

○岩村会長 貴重な御指摘ありがとうございました。ほかにはいかがですか。よろしいでしょうか。各委員の方々、いろいろ思いもおありで、お考えもお持ちだろうと思いますが、先ほど事務局から回答がありましたように、事業を実施していく中で、この間、この協議会の中でお出しいただいた御意見も踏まえて実施していくということです。また、冒頭にも申し上げましたように、予算要求作業との関係もありまして、時間的制約も考慮せざるを得ないところがあります。

 今回は御承知のように、1回目の大綱の作成です。そして、この大綱に基づいて、今後の調査研究が行われていくわけですが、それを踏まえつつ、3年後をメドに大綱の見直しについて、改めて御意見をいただく機会があることになっています。

 皆さんの御意見は私も伺っておりまして、いろいろなものがあることを承知しております。残念ながらその全てを反映することは難しい部分があります。他方で大綱に盛り込まれている4つの対策の推進に当たっては、協議会でお出しいただいた意見を踏まえて関係行政機関におかれましては、しっかりと行っていただくよう、会長として改めて要望しておきたいと思います。

 そういったことを前提として、会長としては、今回の議論についてはこの程度のところでと考えますが、いかがでしょうか。

 よろしいでしょうか。今日、いくつか御意見をいただいて、修文等について検討しなければいけない部分があります。これについては先ほども申し上げましたが、会長に一任いただく。もちろん最終案の確定に当たっては事務局とも相談し、かつ委員の皆様方からの御確認もいただきたいと考えておりますが、そういう手順を踏むことを前提としつつ、会長に御一任いただくということで御了解いただければと思いますが、いかがですか。

                                   ( 各委員同意)

 ありがとうございます。それでは、ここで岡崎労働基準局長から御挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○岡崎労働基準局長 協議会の皆様、今日で5回目でございます。過労死の関係で様々な専門的あるいは当事者の立場から御意見をいただきました。昨年、法律が成立して以来、あるいは11月に施行されて以来、私どもとしてはこの法律の制定・施行を踏まえて、種々の対応、さらにしっかりやっていきたいと考えているわけでございます。

 そういう中で、この大綱が1つの方向性を示すという意味では、私どもは非常に重要だと思っております。これまで5回にわたりまして、いろいろな意見をいただきました。それを踏まえて修正してきたところではありますが、さらにいくつかの部分につきましては、修正をさせていただいた上で、かつ閣議決定でございますので、与党手続き、あるいは関係省庁との調整もございます。そういったことを踏まえつつではありますが、しっかりとした大綱を作らせていただきまして、対策を講じていきたいと思っております。

 協議会の中でも多くの委員の皆さんから御意見をいただきましたが、この大綱は今回の作成をもって終わりということではなくて、これを踏まえた特に調査研究は重要だということであります。調査研究をしていく中で、過労死等防止対策推進法第14条の規定にもありますが、分かったことを踏まえた法制上、財政上、その他の措置をとるのが基本的なスキームでございます。この点についてもしっかりとやっていきたいと考えております。

 また、労働時間の規制等の関係でいくつか御意見があったところです。現在、労働基準法の改正法案を提出しておりますが、法案の中でも、例えば年次有給休暇を確実に、少なくとも5日は取るとか、月60時間を超える時間外労働についての割増しの引上げ等、法律事項もあるわけです。それ以外にも実は労働政策審議会の中でも働き過ぎ防止については、種々議論がございました。

 そういう中で、例えば今日も労働時間の把握のお話が出ておりましたが、これについては従来は賃金の支払いの関係で、労働時間の把握義務が位置付けられ、それに伴って解釈通達も出してきたわけです。例えば管理監督者等、賃金との関係で労働時間の把握が必要ないという方について、どうなっているのかという意見があったわけです。審議会の中では、やはりそこは健康という観点からは賃金とは関係ない方々でも、しっかりとした労働時間あるいはそれに類似した形の把握は必要だろうということになりました。これは、労働基準法等の改正法案が成立いたしましたら、改正労働基準法の施行と併せまして、労働安全衛生規則の中で健康管理の視点からも労働時間の把握、これは管理監督者を含めて全ての労働者ということで決めていこうという考え方を、既に整理しております。

 また、勤務間インターバル制度の話もありました。これについては労働政策審議会の中で直ちにということでの結論は得なかったわけですが、やはりそういう考え方自体については、それぞれの立場でお話がありまして、これは労働時間等設定改善法に基づく指針の中で、そういった考え方も示しながら、今後、各企業における対応を進めていくことを考えているということです。

 そういう中で、労働基準法改正法案についても、種々の御意見がありますが、そういったことを含め、併せて私どもとしては過労死等の防止という観点から、しっかりとこの対応をしていく必要があるかと思っております。

 また、制度面だけではなくて、労働基準監督署の取組というお話もいくつかございました。私どもも過労死で労災認定された事案とか、100時間を超える時間外労働が行われている事業場については、原則として監督指導の対象にするという方針とか、企業風土のようなお話もありました。従来はどちらかというと、事業場での監督を進めてきたわけですが、そういうことではなくて、個々の事業場での対応が企業全体の姿勢とか風土というかどうかは分かりませんが、そういったことに関わっているということもありますので、企業単位という監督指導もしっかりやっていくという方針とか、いわばタイムカードを改ざんする等の種々のあってはならない事業場もあるわけです。そういった所については、通常の監督官の手法だけではなかなか迫り切れないということで、東京と大阪には特別のチームを作るという対応もいたしました。

 先ほど公表の話もありましたが、従来は検察庁に書類送検した段階で公表でしたが、総理からの指示もありまして、社会的な影響がある企業については、一定の要件のもとに指導段階でも公表することにしております。

 いずれにしましても、今後、調査研究を踏まえつつ、やっていくものがありますが、それにとらわれずに、やるべきことはしっかりやっていくということで進めていきたいと思っております。

 今後、必要な段階で協議会も3年間やらないということではなくて、何回かは御意見を聞く機会を作りたいと思っています。そういう中でも、また皆様方の種々の意見をいただきまして、とにかく最終的に過労死ゼロを目指すということですが、一歩一歩しっかりとした対策を進めていきたいと思っていますので、是非、今後とも御指導をよろしくいただきたいと思います。どうもありがとうございました。

○岩村会長 ありがとうございました。これまで委員の皆様方におかれましては、活発な御議論をいただきまして、本当にありがとうございました。今日も非常に多くの御意見を頂戴しましてありがたく思っている次第であります。

 それでは、これをもちまして、第5回過労死等防止対策推進協議会は閉会とさせていただきたいと思います。本日はお忙しい中を御参集いただき、かつ、御議論いただきまして、本当にありがとうございました。


(了)

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