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2015年4月21日 平成27年度第1回遺伝毒性評価ワーキンググループ

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

○日時

平成27年4月21日(火) 15:30~


○場所

経済産業省別館850会議室


○議事

○北村化学物質情報管理官 本日は、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。定刻になりましたので、第1回遺伝毒性評価ワーキンググループを開催いたします。本日は西川先生が御欠席との御連絡を頂いております。

 以下の進行は、清水先生にお願いいたします。

○清水座長 議事に入る前に、事務局から議事次第と資料の確認をお願いいたします。

○北村化学物質情報管理官 議事次第を御覧ください。本日の議事ですが、1つ目が平成27年度に実施する非遺伝毒性発がんスクリーニング試験の対象物質について。2つ目が、平成26年度に実施した構造活性相関結果について。3つ目が、平成26年度に実施したエームス試験を実施した物質に関する遺伝毒性の総合評価について。4つ目が、平成26年度に実施したBhas42細胞を用いる形質転換試験の評価について。5つ目は、その他となっております。

1枚めくっていただきますと、配布資料の一覧になっております。資料1、資料2とグループごとにホチキス留めをしております。資料1-11ページから、資料1-23ページから、資料1-3-15ページから、資料1-3-29ページからになります。次に、資料2のグループです。資料2-115ページから、資料2-2-117ページから、資料2-2-219ページからです。次が資料3のグループです。資料3-121ページから、資料3-223ページからです。

 それから、机上配布になりますが、資料3-3ということでエームス試験の安衛法届出様式の陽性の結果のみ、先生方にお配りしております。資料3-4は資料番号を振っていないのですが、平成26年度の文献調査資料ということで、通し番号S-0060と、S-0495をお配りしております。

 次に資料4のグループです。資料4-125ページから、資料4-227ページから、資料4-336ページからです。こちらも机上配布になりますが、資料4-4として平成26年度に実施しました形質転換試験の報告書を、16物質分先生方にお配りしております。資料545ページとなっております。

参考資料はページ番号を振っておりませんが、参考資料1、参考資料2、参考資料3-13-2となっております。資料は以上です。

○清水座長 欠落しているものはありませんか。それでは、議題1に入ります。平成27年度に実施する非遺伝毒性発がんスクリーニング試験の対象物質について、事務局から説明をお願いいたします。

○北村化学物質情報管理官 資料1の説明の前に、本日検討いただく議題の全体像を説明いたします。参考資料の3-2を御覧ください。職場で使用される化学物質の発がん性評価の加速化ということで、平成24年度に方針を検討し、平成25年度から新しい取組を始めております。図の真ん中付近に色塗りをしておりますが、これらがリスク評価の流れ自体はもともとありましたが、それらに新しく加えて文献調査やスクリーニング試験を新たに追加しております。本日検討いただくのが、平成27421日の遺伝毒性ワーキンググループ検討事項です。

 まず1つ目は、エームス試験の評価です。平成25年度はエームス試験を33物質実施しております。その結果、強い変異原性のものはありませんでしたが、陽性が4、陰性が29という結果でした。平成26年度は25物質実施しており、本日その試験結果について評価を頂きます。

 その下の枠が、形質転換試験になります。平成26年度に16物質実施をしており、こちらの16物質については平成26年の4月に行いましたこのワーキンググループで選定していただき、委託事業で実施したものです。本日、この16物質についての試験結果を検討していただきます。

 その隣の枠の平成27年に実施します形質転換試験の対象物質を選定する作業も、本日行っていただきます。本日の議題の全体像は、以上になります。

 それでは、資料1の説明をいたします。資料1-1、平成27年度非遺伝毒性発がんスクリーニング試験対象物質の選定方針です。この選定方針については、昨年4月に行いましたワーキンググループの方針と大きく変わったところはありません。遺伝毒性評価ワーキンググループの評価で、遺伝毒性なしと判断した物質について、委託事業により行います非遺伝毒性発がんスクリーニング試験については、プロモーション試験のみとなっておりますが、こちらを行うことを決定しております。

Bhas42細胞を用いる形質転換試験の対象物質については、次の観点から優先順位付けを行います。平成27年度の試験は、平成26年度と同じく16物質を予定しておりますが、昨年の遺伝毒性評価ワーキンググループで遺伝毒性なしと判断されました460物質の中から、試験候補として約20物質を絞り込むことを行っていただきます。

 絞り込む際の観点ですが、1 労働者ばく露の観点から次の(1)(2)を総合的に判断する。1つ目は、国内の製造・輸入量。量が多い物質を優先いたします。2つ目が用途で、幅広い用途で使用される物質や開放系での使用が予想される物質を優先いたします。1が大前提なのですが、2の除外の条件があります。1つ目は、常温で気体の物質です。現時点で、ガス状物質に対しての形質転換試験の方法は確立されていないため、常温で気体の物質は除外されます。また、試験を行いますので、天然物由来や構造類似物質などの混合物については、試薬が入手できないため、こちらも除外されます。3番目の条件として、例えばアルカン酸C、炭素の数が4から30というのに、化審法で同じグループに属するような化学物質については、まず炭素数が小さいものについて試験を行い、その結果が陰性であれば、炭素数の大きいものについては試験を省略いたします。逆に炭素数の小さいもので陽性という結果が得られた場合には、次に炭素数の大きいものについても試験を行って確認をするという方針になっております。

 次に、資料1-2です。こちらについては、昨年度の文献調査等で先生方に評価していただき、遺伝毒性なしという結果になったものです。試験結果が全て陰性のものは、事務局で機械的に陰性という判断にしておりますが、試験結果の中に擬陽性や陽性など専門家の判断が必要になるものについては、先生方に評価をしていただいております。460物質全てを載せるのは大変なので、抜粋して1枚だけを載せております。

 次に、資料1-3-1です。資料1-1の条件を当てはめて、460物質について分類をしたものになります。資料1-3-1は、平成24年度の製造・輸入量が5,000トン以上のグループです。この中から、その物質の状態、液体や固体といったものや、蒸気圧や主な用途を入れております。例えば、通し番号のS-1507は、アルカノールC、アルカノールの炭素が538というグループになりますが、上のS-1266の方が炭素数は少ないので、S-1266を優先しております。

 こちらの表の右から3列分が、試薬が入手できるかどうか、試験が実施できるかどうかについて書いてあります。試薬入手可否の欄が○になっているものは試薬が購入できるもの、×となっているものは現段階では試薬の購入が分からない、若しくはできないというものです。試験の実施の可否の欄ですが、○となっているものは水に溶解するもの。形質転換試験が今の段階でできることが分かるものになっております。バーになっているものは、水には難溶なのですが、ほかの溶媒に溶けるかどうかは試験をしてみないと分からないということです。こちらの5,000トン以上のグループが、資料1-3-1で、同じ形で分類しているのが資料1-3-2になります。この中から、先生方に約20物質を選んでいただきたいと思っております。事務局からの提案なのですが、試験実施の可否が既に○となっているものが、5,000トン以上のグループで11物質あり、1,000トン以上5,000トン未満のグループで13物質ありますので、これを合計すると24物質です。約20物質ということで特に問題がなければこの選定条件でよいかと思っておりますが、先生方の御意見をお伺いしたいと思います。事務局からの説明は以上です。

○清水座長 それでは、平成27年度に実施する形質転換試験の対象物質の選定について、何か御質問、御意見がありましたらお願いいたします。

○本間委員 前回の記憶も曖昧なのですが、平成26年度も対象物質を絞り込みましたが、今回の対象物質というのは、昨年できなかったものなのでしょうか。それとも、何か新しくリスト化されたものから選ぶことになっているのでしょうか。

○北村化学物質情報管理官 平成26年度に選定したものから漏れているものは、状態が気体のもの等でしたので、その中から今回選べるものはありませんでした。

今回選んでいただくのは、昨年文献調査した中、新しいリストから選んだものということになります。

○清水座長 ほかにはありますか。事務局から11物質、それから1,000トンから5,000トンまでが13物質、合計24物質と。これを全部選んでも大丈夫だということですか。

○北村化学物質情報管理官 そうです。実際にその試験を実施する前に、本当に試薬が購入できるかと、試験が実施できるかというところは精査をした上で、委託事業の実施に進むことを考えております。

○清水座長 いかがでしょうか。特に御異存ありませんか。

○本間委員 もう1つ、あとでまた昨年度の評価の議論になるかと思うのですが、候補化合物の中で構造からして明らかにこれはプロモーション活性がないとかというのは、専門家から見て予想ができるようなものがあるのでしょうか。もし、そういった情報があれば、やる必要がないというか、無駄になってしまう可能性があるのですが。私自身が形質転換試験の経験がないので、こういったようなものは全てプロモーション効果がある候補として上げられるものかどうか、その辺りの意見を聞きたいのですが。

○清水座長 いかがでしょうか。

○食品薬品安全センター 少なくとも、私自身が……の試験に入ったこともありますが、まず構造式からこれは効きそうだとか、効きそうでないとか、それはちょっと無理ではないかと思います。例えば、構造でスクリーニングしたら、……はちょっと構造式からものすごく、……コントロールしたPTAなどはものすごく活性がありますし、あとは全然活性のないものなどもありますから。やはり、重要なのはエームス試験とか動物実験とか医学的な情報などが、より有用だと思います。

○本間委員 ただ、中には金属や例えば酪酸とか、かなり低分子で一般的には非常にGRASというか安全と考えられるようなものもかなりあるのですが、こういったようなものに対してもプロモーション活性というのは存在する可能性はあるのでしょうか?

○食品薬品安全センター そのぐらいになっていれば、大丈夫だと思います。

○本間委員 ただ、それでもリストアップされていますので、その辺りの意見をお聞きしたいのですが。

○食品薬品安全センター ですから、物質にもよると思います。

○本間委員 もし24の中から16を選ぶのであれば、そういった情報を考慮した上で専門家に選択していただければと思います。もちろん全部やれれば構いませんが、もし数が限られているのであれば、そういった情報を使って専門家の中で16に絞り込むようにしていただけると、非常に有用ではないかなという気がいたします。

○清水座長 ほかの委員の先生方、何かありますか。ある程度優先順位を付けてというようなことになりますかね。特に御意見がなければ、とりあえずは24物質を候補に上げておいて、あとは専門的に見てこれはやる必要はないというものであれば、それはしないと。優先順位を付けておくと。

○北村化学物質情報管理官 では、後ほど今回試験実施をしていただいたバイオアッセイ研究センターと食薬センターの担当者と協議して、その結果についてはまた先生方にメール等で御連絡するということでよろしいでしょうか。

○清水座長 委員の先生方、よろしいですか。では、そういうことでお願いいたします。平成27年度の形質転換試験の対象物質は、今後事務局からメール等で御連絡を頂けるということで、この件に関しては終了としたいと思います。

 次に、議題2に移ります。平成26年度に実施した構造活性相関の結果について、事務局から説明をお願いいたします。

○北村化学物質情報管理官 資料2-1を御覧ください。発がん性スクリーニングにおける遺伝毒性の構造活性相関結果の評価基準ということで、平成25年度第1回のワーキンググループで決めております。こちらの方針については、特に変わったところはありません。 発がん性情報、遺伝毒性情報のいずれもない物質については、まず遺伝毒性の構造活性相関について計算をして、その予測結果によって試験実施の優先順位を判断することとしております。具体的には、1つ目は構造活性相関の計算に使用するプログラムということで、1から33つのプログラムを使用して行っております。その結果について、まず第1優先順位として3つのプログラム全てで陽性の予測結果が得られた場合は、エームス試験実施のための優先順位が上になります。2つ目は、3つのうち2つのプログラムで陽性の予測結果が得られた場合も、優先順位が上がるということです。3つ目については、今は対応していないのですが、今後の検討として3つのプログラム全ての陰性の予測結果が得られた場合は、非遺伝毒性物質と判断、推定することができるのではないかということも、今後は検討していきたいと思っております。

 次に、資料2-2-1です。こちらも物質数が多いので抜粋になるのですが、平成26年度構造活性相関を実施したのは、トータルで662物質ありました。真ん中の太枠で囲っている所が、3つのプログラムの試験結果を表しております。通し番号S-0006は、3つのプログラムでマイナスが出ているので、判定もマイナスとなっております。次の通し番号S-0026は、2つがマイナス、1つだけ+ということで、判定としてはマイナスとなっております。

 予測不能のものもありますし、備考の欄に例えば無機化合物のため計算できないものや、ポリマー系で構造が不明確なものについては掲載できないという結果となっております。こちらについては、抜粋版です。

 次は資料2-2-2です。先ほどの構造活性相関実施物質のうちから、判定が+のもののみを抜粋しており、43物質ありました。こちらは、先ほどの基準に従って判断し、平成27年度に実施しますエームス試験の候補物質になるということです。まずは、試薬が購入できるかということがありますので、そちらを検討し、43全てできるかどうかは分かりませんが、平成27年度実施する予定の物質ということです。資料2については以上です。

○清水座長 何か御質問、御意見はありますか。1枚目の判定+になっているものは、2枚目にも入っているのですか。ダブッているのでしょうか。

○北村化学物質情報管理官 +になっているものがダブッていると思います。S-0074は判定が+ですので、資料2-2にも載っております。

○清水座長 ダブッて載せてあるわけですね。

○北村化学物質情報管理官 そうですね。

○清水座長 では、資料2-2-2を見ていただければよろしいわけですね。

○北村化学物質情報管理官 はい。

○清水座長 いかがでしょうか。一応、これは43物質をエームス試験の平成27年度の候補物質ということで御提案ですが。何かありますか。

○北村化学物質情報管理官 すみません、資料に不備があります。資料2-2-2の裏がありません。失礼いたしました。

○清水座長 19物質ですね。

○北村化学物質情報管理官 すみません、あとで資料2はきちんとしたものを先生方にお送りいたします。ホームページも修正したものを掲載いたします。

○清水座長 いずれにしても、後ろのページに関しても、全部+判定のものということですね。

○北村化学物質情報管理官 そうですね。

○清水座長 今、事務局からの御提案で、43物質を平成27年度の候補物質にするということで、よろしいですか。

○若林委員 テーブルの中に、多分大丈夫だと思うのですが、純度のことが書いてないのですが、これはほとんどのものは純度が高いものだと考えればいいのですか。時折、コンタミのものが活性を示すような可能性がある場合もあるのですが、これらのものについての純度の保証はいかがですか。

○北村化学物質情報管理官 それは、試薬が購入できるかどうかのときに、試験に耐えられる純度なのかどうかも判断してもらいます。純度が余りにも低いものしか手に入らないということでしたら、そちらについては試験の実施は保留にすることになります。

○若林委員 それは、何パーセント以上の場合ですか。

○北村化学物質情報管理官 労働安全衛生法の届出上は、9割以上あればよいとなっております。ただ、不純物がどういったものが混じっているかも影響はするので、それにもよるのですが。

○若林委員 分かりました。

○清水座長 ほかに御意見はありますか。よろしいでしょうか。特になければ、次に進みます。次の議題3は、平成26年度に実施したエームス試験を実施した物質に関する遺伝毒性の総合評価について、事務局から説明をお願いいたします。

○北村化学物質情報管理官 資料3-1を御覧ください。平成26年度にエームス試験を実施した物質に関する遺伝毒性の総合評価についてです。1 これまでの経緯についてです。ワーキンググループでの評価と試験の実施についてです。平成26年度の遺伝毒性評価は、ワーキンググループにおいて先生方に評価していただきました。1つ目は、エームス試験が実施されていないため判断は保留となったもの。又は、エームス試験は実施されているものの、遺伝毒性の有無の判断が困難とされたような物質。2つ目として、平成25年度に実施しました構造活性相関で+の判定となった物質のうち、試薬が入手可能だった物質、それら25物質について、平成26年度の委託事業でエームス試験を実施いたしました。

 エームス試験結果の評価ですが、本日のワーキンググループの前に先生方に報告書をお送りしまして、試験結果についての内容については確認を頂いております。25物質について、試験方法はいずれも妥当ということ。13物質が陰性、12物質が陽性という結果でした。そのうち、強い陽性、強い変異原性がある物質が8物質ありました。また、陽性の物質の最大比活性値についても妥当ということで、御判断いただいております。

 本日のワーキンググループにおける検討事項ですが、平成26年度に実施したエームス試験の結果と文献調査の結果の両方を踏まえ、25物質それぞれについて、遺伝毒性の総合評価15について判断を行っていただきます。エームス試験を実施しておりますので、実質は1から3の判断ができるとは思っておりますが、こちらについて評価を頂きたいと思っております。

 次に、資料3-2です。こちらが、本日評価いただきたいリストになっております。右から3列目の所に総合評価という枠があります。こちらに全て遺伝毒性についての判断を入れていただくことになります。事務局で既に入れているものは、ワーキンググループで評価が保留になっていますが、エームス試験の結果自体は妥当という判断になっておりますので、例えば通し番号S-0056についてはエームス試験が陰性なので、総合評価は遺伝毒性なしと事務局で記載しております。

 次に、2列目のS-0060は、遺伝毒性の評価がワーキンググループにおける評価とエームス試験の結果が相反する結果となっておりますので、こちらについては先生方に御議論いただき、最終的な評価を決定していただきたいと思います。もう1つ、S-0495については、エームス試験では1.19×104 ですので、強い変異原性ありという結果になっております。一方で、文献調査の結果は、弱い遺伝毒性ありという結果になっており、こちらについても判断がずれておりますので、最終的な評価はどうなのかを議論していただきたいと思います。このS-0060S-0495については、補足として資料を置かせていただいております。資料番号を振っておらず申し訳ないのですが、S-0060は個票が付いており、先生方のお手元だけなのですが、文献を付けております。それから、今回エームス試験を実施しましたので、そちらの報告書を付けております。S-0495についても、同じように個票を置いており、こちらについては文献がありません。一番後ろのページに、平成26年度の第3回ワーキンググループでの議論を添付しております。S-0495については、微生物を用いたエームス試験で陽性のデータがあり、強さは不明であるということで、最終的には平成26年度の文献調査の結果では、弱い変異原性という結論となっております。事務局からは以上です。

○清水座長 資料3-2の全部で25物質に関して、ほぼ委員の評価と試験結果が一致していましたが、2物質のみ、通し番号ではS2番目と9番目が若干判定が異なるということで、ここについて議論、評価をしてほしいということです。まず、2番目のS-0060、荒木委員の所ですが、いかがでしょうか。

○荒木委員 S-0060ですが、最初の委員会のときに使った文献が本日添付されております。中を見たのですが、試験に用いた溶媒が読み取れません。多分DMSOが使われているのだろうと思うのですが、今回試験に出されているバイオのデータで見ると、安定性のところでは水とDMSOとの反応性が疑われるということで、3ページにその旨書かれております。構造的に見ても酸クロリドなので、反応性があり、もし反応するとすればDMSOの反応率が変異原性を示す可能性があるというのはいろいろな文献でも出ておりますので、可能性があるのではないかと思います。そういう意味で、アセトンを使ったデータのほうが信頼性がおけるのではないかと思います。多分、バイオのほうで溶解性試験を必ずやっているはずなので、その治験があるのではないかと思うのですが、ここでお聞きすることはできますか。

○北村化学物質情報管理官 今回、エームスの担当者は来ていただいていませんので、後ほど、こちらで確認をしまして、またその結果をお知らせいたします。

○荒木委員 多分そうではないかと思います。

○北村化学物質情報管理官 ちょっと、試験報告書ではDMSOは書かれていませんので。

○荒木委員 白濁するか熱が出るか、どちらでしょうか。

○清水座長 用いた溶媒が問題であるということで、DMSOを使うのは余り好ましいことではないということですので、そうしたらこれは保留にして、あとでその辺りを確認して、最終判断をいたします。それから、もう1つ、通し番号9番目のS-0495ですが、これは太田委員いかがでしょうか。

○太田委員 机上配布の一番最後の所の前回の議論のまとめがあります。S-0495、微生物を用いたとき、突然変異原試験の陽性のデータがあるけれども、強さは不明であると。これは、強さ不明というのは+という表現だけであり、数値がないので計算ができないと。一方、in vivo試験の小核試験、優性致死試験、トランスジェニックマウスの試験、全てin vivoでは陰性です。ということで、in vivoでは陰性、in vitroではエームスが陽性という結果が訂正があるということで、強さは不明であるけれども、強さが判定できないけれども、ここでは弱い変異原としたと。少なくとも、強いという根拠は取れませんので、変異原性はないともいえません。強いともいえないということで、弱い変異原としたということが前回の判断です。

 今回、エームス試験をやり、非活性を出すことができ、それが104 を超しているということで、これはもう強い遺伝毒性ありというカテゴリーに入るとなったと思います。

○清水座長 では、これは強い遺伝毒性ありという評価でよろしいわけですね。それが、3ということになりますね。ほかの委員の方、よろしいですか。ほかの物質に関して、何か御意見はありますか。それぞれ御担当の所があったと思いますが。特にないようでしたら、一応2番目の物質はペンディングで、後ほどまた事務局から問い合わせていただくということで、後ほど判定をいたします。ほかに御意見がなければ、これで通し番号9に関しては強い陽性ありということで判定いたします。以上で、この議題に関しては終わります。

 次に、議題の3番目ですが、平成26年度に実施したBhas42細胞を用いる形質転換試験の評価について、事務局から説明をお願いいたします。

○北村化学物質情報管理官 資料4-1を御覧ください。平成26年度にBhas42細胞を用いる形質転換試験を実施した物質についてです。これまでの経緯についてですが、平成25年度の遺伝毒性評価ワーキンググループにおける評価で、遺伝毒性なしと評価された物質のうち、資料1で御説明した基準に基づき、資料4-2と資料4-316物質を選定しております。平成26年度委託事業において、Bhsa形質転換試験を実施いたしました。

 本日のワーキンググループにおける検討事項としては、16物質の試験結果について御評価を頂くということと、その試験結果が陽性と評価された物質については、この次のスクリーニング試験であるラット肝中期発がん性試験の候補物質とするかどうか、この2点について評価を頂きたいと思います。

 資料4-2、資料4-3については、試験を実施した日本バイオアッセイセンターと食薬センターから御説明をお願いします。

○日本バイオアッセイ研究センター 日本バイオアッセイ研究センターの佐々木です。資料4-227ページの表を使い、説明させていただきます。タイトルが、「非遺伝毒性物質に対する形質転換試験の実施事業(その1)の試験結果一覧」です。左側の列に、試験に用いた8物質の物質名を記載しています。上から2-メチルブタン、硫酸アルミニウム、2-ペンタノン、シクロヘキサノール、イソフタル酸、オクタン酸、硫酸鉄(2)、硫酸アンモニウムの8物質です。太字で示した3物質が陽性の反応を示した物質です。

 右から2列目に純度の欄がありますが、試薬として、高純度の試薬を被験物質として購入し、選択し、使用しています。

 一番右の列が溶媒の欄で、使用した溶媒を記載しています。溶媒選択の際の優先順位は、水、DMSO、アセトンの順番としており、各溶媒に対する溶解性を実際に調べた後で、溶媒を決定しております。表の説明は以上です。

 次に、各物質の試験データをグラフで説明させていただきます。その前に、グラフでは省略させていただいた陽性対照群のデータについて補足させていただきます。

 全ての形質転換試験において、陽性対照群の形質転換率はStudentT検定で有意に高かったことを最初に報告させていただきます。

 次のページを御覧ください。これ以降は、1ページに1物質の試験データをまとめた資料となっています。ページの右上に被験物質の構造式を表示しました。グラフを上下に分けて表示しています。上が細胞増殖試験、下が形質転換試験です。細胞増殖試験の結果を基に、形質転換試験の用量設定を行っています。

 まず、図1です。2-メチルブタンの細胞増殖試験は最高用量を10mMの用量まで実施しました。この結果を基に、形質転換試験の最高用量も10mMに設定しております。

 続いて、図2です。形質転換試験のグラフは、2種類のデータを2つの縦軸で表しています。形質転換率のデータは棒グラフを用い、左の縦軸の目盛で表しています。相対細胞増殖率のデータは折線グラフを用いて、右の縦軸の目盛で表しています。

2-メチルブタンの各処理群と陰性対照群での形質転換率は、ダネット検定で有意差が認められませんでした。そのため、形質転換試験の結果は陰性と判定しております。

 次のページです。硫酸アルミニウムの構造式は右上のとおりです。図3の細胞増殖試験は、最高用量10mMの用量まで実施しています。この結果を基に、形質転換試験の最高用量を0.8mg/mlに設定しました。

 下の図4です。形質転換試験の用量設定について補足させていただきます。細胞増殖促進作用が認められた場合の用量設定は、細胞毒性を示さない用量を1用量、増殖促進作用を示す用量を3用量、そして弱い増殖抑制作用を示す用量を1用量、合計5用量以上を設定することとしております。図4の試験の用量設定はこの基準に沿った設定となっております。硫酸アルミニウムの形質転換率は統計学的に有意な増加を示さなかったため、形質転換の結果は陰性と判定しております。

 次のページを御覧ください。2-ペンタノンの構造式を右上に示しております。図5の細胞増殖試験は、最高用量を10mMの用量まで実施しております。この結果を基に、形質転換の最高用量も10mMに設定いたしました。下の図6を御覧ください。2-ペンタノンの形質転換率は、統計学的に有意な増加を示さなかったため、形質転換率の結果は陰性と判定しております。

 次のページを御覧ください。シクロヘキサノールの構造式を右上に示しました。図7の細胞増殖試験は、最高用量10mMまで実施しており、この結果を基に形質転換試験の最高用量も10mMに設定いたしました。図8を御覧ください。シクロヘキサノールの形質転換率が統計学的に有意な増加を示さなかったため、形質転換試験の結果は陰性と判定しております。

 次のページから3物質続けてが、陽性判定の物質です。イソフタル酸の構造式を右に示しました。図9の細胞増殖試験は最高用量10mMの用量まで実施しており、この結果を基に形質転換試験の最高用量も10mMに設定しております。図10を御覧ください。イソフタル酸の形質転換率は3用量で、統計学的に有意に高くなっており、かつ濃度依存的に増加をしております。そのため、イソフタル酸の形質転換試験の結果は陽性と判定しております。

 次のページを御覧ください。オクタン酸の構造式を右上に示しております。図11の細胞増殖試験は、最高用量を10mMまで実施しております。2用量で増殖率120%を超える増殖促進作用が認められた後、一旦増殖率が97.6%まで下がり、その後に2.9%まで急激に減少しております。この2.9%と97.6%を示した用量の2用量間の間に、形質転換試験の最高用量を設定し、0.50mg/mlを形質転換試験の最高用量に設定しております。図12を御覧ください。オクタン酸の形質転換率は、2用量で統計学的に有意に高くなっており、かつ濃度依存的に増加しております。そのため、図2の結果は陽性と判定しております。

 しかしながら、最低用量でも有意であったために、それ以下でのプロモータ作用も詳しく調べる目的で、補足的に確認試験を実施しており、それが図13の試験です。その際に最高用量を有意差が認められた上限の用量よりも少し高い0.12mg/mlに設定し、より広範囲でプロモータ作用を調べる確認試験としています。確認試験の結果、形質転換率は5用量で統計学的に有意に高くなっており、かつ濃度依存的に増加しており、この結果についても陽性と判定しております。

 次のページを御覧ください。硫酸鉄の構造式を右上に示しています。図14の細胞増殖試験は最高用量10mMの用量まで実施しております。増殖促進作用が最低用量でも認められてしまいましたので、促進作用を示す用量の下限を調べる目的で、右側の2回目の細胞増殖抑制試験を実施しております。その際に、増殖促進作用の上限側の用量域についても処理を追加して行い、図15に示したデータを得ています。それらの結果から、形質転換試験の最高用量は0.60mg/ml、最低用量は0.0025mg/mLとし、下の左の図16の実験を行っています。

 図16を御覧ください。硫酸鉄の形質転換率は2用量で有意に高くなっており、かつ濃度依存的に増加しております。そのため、試験結果は陽性と判定しております。しかし、0.2mg/mlで細胞の形態変化が激しく、形質転換巣と形質転換巣の境界が不明瞭であったため、より詳細な形質転換作用の用量、反応関係を調べる目的で、最高用量を0.20 mg/mLより低い用量として、狭い公差に用量を設定した上で、補足的な確認試験を行っております。それが図17です。

 図17を御覧ください。確認試験の形質転換率では、4用量で統計学的に有意に高くなっており、そのうちの3用量で濃度依存的に増加しております。この結果についても陽性と判定しております。

 次のページを御覧ください。硫酸アンモニウムの構造式を右上に示しております。増殖抑制試験は最高用量10mMの用量まで実施しております。形質転換の試験も最高用量を10mMに設定しております。硫酸アンモニウムの形質転換率は統計学的に有意な増加を示さなかったために、形質転換試験の結果は陰性と判定しております。

 これで資料の説明は終わらせていただきます。なお、ただいまの資料はお手元の最終報告書のデータを要約したものとなっておりますので、詳細データについては、最初の表の所で目的の物質の試験番号を確認していただいてから、当該試験番号の最終報告書を引いていただくと、見付けやすくなっております。以上です。

○清水座長 ただいまの御報告に関して、御質問、御意見はございますか。

○若林委員 イソフタル酸、オクタン酸、硫酸鉄は大体0.1mgのところでポジティブが出ていますが、これらの活性は、他のポジティブコントロールとか、ほかの陽性物質に比べて、活性としては強いのですか、中ぐらいですか、弱いのですか。

○日本バイオアッセイ研究センター 表で見てみますが、イソフタル酸は一番高いところで。

○若林委員 大体0.1mg/mlぐらいでポジティブになっていますよね。

○日本バイオアッセイ研究センター TPA50ng/ml

○若林委員 TPA20個ぐらいですね。

○日本バイオアッセイ研究センター そうですね、19.3個です。

○若林委員 これら化合物は100μgで大体20個ぐらい出ていますよね。TPAに比べるとngとこれは100μg

○日本バイオアッセイ研究センター TPA50ng/mLですね

○若林委員 他の陽性化合物はどのぐらいですか。

○食品薬品安全センター TPAとか、レセプタ……ですから、ng/mlでものすごく効くのです。例えば……とか、そういうものはやはりng/mlですね。このぐらいの物質というのはそうではなくて、レセプタが……普通の化学物質だと、mg/ml

 例えば芳香属炭化水素とか、そういう……ているものだとμg/ml。ですから、桁違いに物質の性質によって違ってきます。

○若林委員 そうしますと、これぐらいの濃度ですと中程度から弱い部分に入るのですか。

○食品薬品安全センター そうですね。

○清水座長 ほかにいかがでしょうか。

○本間委員 8化合物の中で3化合物が硫酸化合物ですよね。そのうちアルミニウムとアンモニウムが陰性、鉄が陽性ということは、2価の鉄にプロモーション活性があると考えるわけですが、これまでの既存のデータで、2価の鉄イオンにプロモーション活性があるというようなデータというのは、これまでにありますか。

○食品薬品安全センター 動物実験であります。

○本間委員 動物実験で。

○食品薬品安全センター 発がんです。

○本間委員 2価のイオンが。

○食品薬品安全センター はい。

○本間委員 形質転換ではやられていますか?

○食品薬品安全センター 我々の研究室で硫酸のほうではなくて、塩化第2鉄であります。

 それで問題は、先ほど佐々木さんがおっしゃいましたが、形態がものすごく変わるのです。例えばBhasはラス遺伝子を入れているので、それは樹立したときにはTPAを入れることによって、処理して3日間ぐらいで形質転換する細胞でスクリーニングしてきたのですが、普通の親株のBALB/c3T3では、3日間などでは形質転換してこないわけです。

 ですから、例えばTPAなどはラススペシフィックなのですが、鉄とかほかの金属、例えばフッ化ナトリウムとか、バナジウムナトリウムなど、そういう幾つかの金属は親株のバルブにでも入れて、ものすごく形が変わってきます。密度が高くなってくるという特徴を持っています。

 ですから、これはラススペシフィックではなくて、普通の細胞全体に、こういう細胞密度が高くなって、多分DNA5,000などは促進しているのではないかと思っているのですが、そういう特徴はあります。

○本間委員 質問は、鉄イオンがプロモーション活性があって、少なくとも動物では発がんに関与している可能性があるか?ということです。

 あと、用量依存的に上がるのと、さらに用量依存的に抑えられるようなケースというのが一部に見かけられます。例えば硫酸アンモニウムなどは、細胞毒性などに関してはそれほど変わらないのですが、用量依存的にかなり下がっています。これから、いわゆるアンチプロモーション効果といったことを科学的に論じるということはできるものなのですか。

○日本バイオアッセイ研究センター アンチプロモーション効果は分からないのですが、増殖率のところは3日間処理の時点で判定している結果なのですが、(形質転換は)そこからさらに7日間の処理を実施しているので、印象として(3日目の)増殖率がすごく激しかったものは、激しかった用量で7日後にはだいぶ抑制作用に転じている印象が、やっている側の観察の感想としてはありますので、そちらという可能性が私は高いような気がして見ていました。

○本間委員 遺伝毒性だと、例えば図8のシクロヘキサノールなどを見ると、細胞毒性に従って形質転換が下がっています。こういった下がりは恐らく細胞毒性の影響だろうということを思うのですが、形質転換の場合は必ずしもそうではなくて、増殖が逆に抑えられる可能性もあるということですか。

○日本バイオアッセイ研究センター (3日間処理で)すごく増えたところが、もう7日後には増えすぎて逆に抑制方向に転じてしまっているものもありますし、(3日間処理では増殖促進の無い)低濃度側に(7日後の)増殖活性がシフトした感じで、陽性に出た物質もありましたので。

○食品薬品安全センター 先ほど本間さんがおっしゃったアンチプロモータのことがありましたが、そのように考えていいと思います。

○本間委員 そうですか。

○食品薬品安全センター ですから、この場合は細胞増殖しているほうで抑えているのですが、普通は細胞毒性がないような濃度で形質転換が抑えられれば、それは抑制効果していると。ですから、そういう実験結果を見るときには、わざと出るようなTPAなどを入れて、その後に調べたい物質を入れて、それで毒性がないような濃度で形質転換が抑えられれば、この物質は抗プロモーション作用を持っているという実験系は組むことはできます。

○清水座長 ほかにはございますか。特になければ、次に、食品薬品安全センターの方からお願いいたします。

○食品薬品安全センター 食品薬品安全センターの佐々木です、よろしくお願いいたします。最初の表ですが、上から名称名、略名とあって、用量設定試験です。これは形質転換試験というのは、10日間3回検体を処理するのですが、そうしますと非常に時間がかかりますので、用量設定試験では3日間だけ処理して、それで用量を設定しています。

 クリスタルバイオレット法で見ているのですが、1回目の濃度で、割ときれいなドーズレスポンスを取れれば、それで本番の形質転換試験を設定しているのですが、いきなり細胞が死んでいたりすると、そこをもう少し細かく濃度設定しなければならないので、2回目の用量設定試験を行っています。

 今回の試験で8つの化学物質のうち、G-14-0092-ジメチルアミノエタノール、もう1つはG-14-012、ヘキサメチレンジアミンが、2回目のクリスタルバイオレット法試験においても、非常に増殖の活性が見られ、次の濃度でストンと落ちてきていましたので、もしかしたら増殖というのが、確かに増殖しているのかもしれないのですが、もう1つの可能性として、このクリスタルバイオレット法というのは単純に細胞が染まれば紫色に染まって、ですから同じシャーレ当たり100万個の細胞があったとしても、細胞の大きさが2倍になっていれば、細胞数は変わらなくても吸光度は2倍になって、見掛け上細胞数が2倍に増えたと見られてしまうわけです。

 そういう不安もありましたので、3回目の用量設定試験では、血球計算板でいちいち細胞を剥して測定しました。そして、形質転換か試験、10日間処理して行ったわけです。

 次のグラフです。一番最初はプロピレングリコールのグラフです。上のものが用量設定試験の結果です。最高濃度は10mMでやっていますので、この場合は10mMでも全然毒性がありませんでした。そういうことで、形形質転換試験も10mMを最高濃度として行いました。その結果、プロピレングリコールは全然形質転換の誘導は起きませんでした。

 次はアセトンです。これも同様に10mMで毒性は出ませんでした。形質転換試験では10mMでやったところ、毒性は出ないのですが形質転換は徐々に落ちてきました。これが先ほど本間さんがおっしゃった、抑制効果のほうを見ているのだと思います。

 次は、1,3-ブタンジオールです。これも10mMまで毒性が出なくて、形質転換試験もほとんど変わらないという結果です。

 次は2-ジメチルアミノエタノールです。これは陽性に出たのですが、上にある3つのグラフの一番左側が一番最初の試験ですが、10mMでほとんど全滅し、次の濃度の5mMでは増殖が見られました。そこで2回目の試験として、10mMから細かく取って行いました。これでもやはり増殖が見られて、再現性があったわけなのですが、本当に増殖しているのかどうかということで、細胞数を数えて測りました。それが一番右の用量設定試験です。

 そうしますと、細胞数を数えても、細胞はある程度増えているということが分かりました。それで真ん中のグラフですが、実際に形質転換試験を10mMまでやりました。そうしますと、10mMでは細胞はもう死んでいるのですが、1mM2mM、ちょうど細胞増殖が開始されるような濃度のところで、形質転換の増殖が見られました。

 それで図3ですが、これが実際の形質転換のウェルに見られた写真なのですが、一番左側がコントロール、数個の形質転換巣が見られます。真ん中がポジティブコントロールのTPA、一番右が被検物質の2,1-メチルアミノエタノールです。このように形質転換巣が誘発されました。

 次のグラフです。プロピレングリコール-1-モノメチルエーテル2-アセタートです。これも10mMまで毒性が出ませんでした。それで形質転換試験も10mMまでやったところ、全然変化が見られませんでした。

 次に、2-(2-メトキシエトキシ)エタノールです。これも10mMまで毒性が見られず、また形質転換も10mMまで見られませんでした。

 次のヘキサメチレンジアミンも、一番最初の用量設定試験のときは10mMではほとんど全滅したのですが、5mMでは増殖の傾向が見られました。そこで2回目の試験で、今度はもっと細かく、1098と取ってやったのですが、それでもいきなり9から10でストンと落ちてくるような細胞毒性作用であって、それで3回目も同じように、今度は細胞数を数えてやったのですが、やはり109mMでは、いきなり細胞が死ぬような作用を持っていることが分かりました。それで、8とか7の辺りで増殖活性をするということが分かりました。

 実際に形質転換試験をやったのが下の図です。処理濃度1から、ほとんど形質転換巣が出ていないという性質です。これが、例えば6mMぐらいまでは全然細胞増殖作用も変化していませんので、これも形質転換巣の増殖を抑えるような物質ではないかと考えられます。

 最後が、フタル酸ジイソノニルです。これは最初に実験したときは、10mMから2分の1ずつ濃度を減らしてやったのですが、非常に低い濃度まで増殖が見られました。そこで、今度は3.3倍ぐらいずつ濃度を減らしていったのですが、それでも0.01mMと非常に低い濃度でも増殖が見られました。そこで、今度は10倍ずつ濃度を下げて、最低濃度が0.0001mMまでやりました。そうしますと、こういう化学物質は初めての経験なのですが、10mMで一番濃い濃度ではちゃんと細胞は生きているのですが、真ん中ぐらいの濃度、0.1mMでは細胞が死んでしまって、評価できませんでした。並行して行っている細胞増殖試験、●のほうを見ると、一番薄い濃度から濃い濃度までグラフを描けていて、0.1mMでは増殖の促進が見られるのですが、これは3日間処理すると、このように細胞は生きています。ところが実際の形質転換試験をすると、10日間処理しますので、10日間処理し続けると、ちょうど真ん中の0.1mM辺りで毒性が強く出てしまって、評価できませんでした。

 これの原因なのですが、この物質というのはDMSOに溶かして培地に入れると、細かい油が浮いたような形になって、10mMとか濃ければ、顕微鏡で油滴が見られるような観察がされるのですが、濃度が薄くなってくると、それがどんどん小さくなってくるわけです。ですから、0.1とかそこら辺の濃度では、多分小さくなって細胞に浸み込むというか、効果、影響を与えているのではないかと思っています。ですから、途中の中ぐらいの濃度のところでは、細胞にダメージを与えて殺してしまっているのではないかと考えています。全体的に見れば、この物質も形質転換率には影響は与えませんでした。ですから、我々の研究所でやった8検体のうち、1つだけ陽性に出ました。

○清水座長 ただいまの御報告に関して、何か御質問はございますか。特にございませんか。報告ありがとうございました。

 ということで、平成26年度に実施された形質転換試験では、4物質が陽性ということになり、試験そのものも妥当であるということになにるかと思います。この陽性物質に関しては、ラットの肝中期発がん性試験の対象物質にするということで、御異議はないでしょうか。

(異議なし)

○若林委員 本質的な化学の話ではないのですが、前半と後半で、片方は「mg/ml」で、片方は「mM」で、表示の仕方も随分違うので、できれば結果を2か所で情報交換して同じ表示にして出していただければ、大変理解しやすいと思います。

○清水座長 報告書の段階では調整していただくということですね。中期試験に関しては特に問題ないということですので、事務局で手続きを進めていただきたいと思います。

○北村化学物質情報管理官 ラット肝中期発がん性試験の実際の対象物質を決めるのは、発がん性評価はワーキンググループで決定することと思いますので、今回の陽性になった4物質については、候補としてリストに載って、そのほかのエームス試験で強い陽性となった物質からも選んでいただくことになると思います。

○本間委員 平成27年は何物質ぐらい、中期発がん性をできるのですか。

○北村化学物質情報管理官 6物質です。

○清水座長 ほかに何か御意見はございますか。特になければ、議題5に移ります。「その他」について、事務局から御説明をお願いいたします。

○北村化学物質情報管理官 資料5です。今後の予定についてです。まず、行政検討会の予定ですが、58日に第2回を予定しておりました。こちらは本日の形質転換試験の評価が終わらないようでしたらということで、予備日としておりました。本日全て評価いただけましたので、こちらについては開催しないということで、第2回は行いません。

 第3回は平成27714日を予定しております。こちらについては25年、26年と行った文献調査に関する評価を引き続き行っていただくことを考えております。平成26年度の委託事業で収集した文献がありますので、また遺伝毒性に関する評価を頂きたいと思います。

2つ目が、委託事業の予定等です。まず、遺伝毒性情報の収集整理についてです。平成26年度の委託事業で、第1段階で情報収集した300物質ぐらいがあり、その物質について詳細な発がん性と遺伝毒性に関する情報の収集を行うことを予定しております。遺伝毒性情報につきましては、比活性値やD20値の確認・計算を行うことを予定しております。

2つ目が、遺伝毒性試験です。エームス試験の実施です。先ほど報告しました構造活性相関の結果でプラスと判定されたもの、文献の評価を行っていただき、昨年度エームス試験なしで判定が保留になっているものとか、陽性の強さが分からないようなものについては、エームス試験を行うことを考えております。物質数は約50を考えておりますが、試薬の価格などにより、物質数については変動することになります。また、ガス状の物質や揮発性の液体につきましては、ガスばく露法によるエームス試験を実施することを予定しております。

3つ目が遺伝毒性に関する構造活性相関の計算ですが、こちらにつきましても2526と行ったとおり、27年につきましても1,000物質程度を予定しております。

 最後の非遺伝毒性発がんスクリーニング試験、こちらが資料1で議論いただいた候補物質です。本年度は16物質について試験を実施する予定としております。今後の予定につきましては以上です。

○清水座長 何か御質問はございますか。

○本間委員 今回のデータの扱いはどのような形になりますか。将来的には公開するとか。

○北村化学物質情報管理官 形質転換試験の報告書をWEBサイトのどこのページに載せるかというのはあるのですが、まずは本ワーキンググループの資料として、個人情報などは削除した形で公開するということは考えており、最終的には職場のあんぜんサイトなどに掲載していくことを考えております。

○清水座長 ほかには何か御質問はございますか。

 それでは、次回の58日はなしということです。特にご意見がなければ、本日のワーキンググループは終了したいと思います。どうもありがとうございました。


(了)

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