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2015年3月27日 第104回労働政策審議会職業安定分科会

職業安定局

○日時

平成27年3月27日(金) 15:00~17:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 厚生労働省省議室(9階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議事

○阿部分科会長 定刻になりましたので、ただいまから第104回労働政策審議会職業安定分科会を開催いたします。本日の委員の出欠状況ですが、公益代表の橋本委員、労働者代表の斗内委員、林委員、使用者代表の上野委員、川本委員、田沼委員、深澤委員が御欠席です。なお、新谷委員、坂倉委員は、所用のため、途中退席の予定となっていますので、あらかじめ御承知おきください。

 それでは、議事に入ります。最初の議題は、雇用保険法施行規則及び建設労働者の雇用の改善等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱及び雇用保険法施行規則第110条の31項第1号ヘの規定に基づき厚生労働大臣が定める者の一部を改正する告示案要綱についてです。本件については、本日付けで厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛て、諮問を受けております。では、事務局より説明をお願いします。

○総務課長 それでは、議題1につきまして御説明をいたします。資料は1-11-21-31-4になります。1-11-2が本日お諮りするものです。1-126年度末をもって廃止する助成金についての雇用保険法施行規則の改正省令案です。1-2は、27年度に新設・拡充をいたします助成金等に係る雇用保険法施行規則及び建設労働者の雇用の改善に関する法律施行規則の省令案、また、告示案の要綱でございます。

 内容につきましては、資料No.1-3に沿って御説明を申し上げます。また、1-4が現行制度と改正後の制度の対比表になっておりますので、適宜そちらも御覧ください。まず、資料No.1-31.労働移動支援助成金です。労働移動支援援助金につきましては、受入れ人材育成支援奨励金について見直しをいたします。円滑な労働移動を促進するためには、離職を余儀なくされた労働者が早期に安定した再就職を実現することが重要ということから、新たに早期雇入れ支援コースを設置いたします。離職後3か月以内に期間の定めのない労働者として雇用した事業主に対して、30万円を助成いたします。

2.高年齢者雇用安定助成金です。(1)高年齢者活用促進コースの見直しです。建設、製造、医療、保育、介護の分野に係る事業主については、現在も60歳以上の雇用者1人当たりについて助成額の上限を20万円としておりましたけれども、こちらを30万円に引き上げます。また、同じ5分野の事業主につきましては、現在70歳以上への定年の引上げ等の措置を実施した場合には、費用が100万円かかったと見なしていますけれども、こちらの70歳以上を67歳以上に要件を緩和いたします。

 同じく高年齢者雇用安定助成金の(2)です。高年齢者労働移動支援コースは、実績を踏まえまして、また、労働移動支援助成金のほうにその趣旨を組み込むということで、こちらのコースは廃止をいたします。

2ページ、トライアル雇用奨励金です。こちらについては、安定的な就職を促進する必要がある者として厚生労働大臣が定める者については、助成額を拡充して、1人当たり月額5万円といたします。この厚生労働大臣が定める者につきましては、告示で定めることとしておりまして、飛びますけれども、同じ資料の10ページを御覧ください。こちらに告示を書いてございます。対象者として、母子家庭の母等又は父子家庭の父としておりますので、こちらについて助成額を5万円に引き上げるという改正になります。

2ページにお戻りください。4.教育訓練受講者支援資金融資事業の創設です。こちらは、雇用保険法で専門実践教育訓練を受ける者に対して、労働金庫が低利の資金の貸付けを行うという制度がございます。これについて、その信用保証を行う法人に対して、当該保証に要する経費の一部補助を行うというものです。

 次に、中小企業労働環境向上助成金の見直しです。こちらについては、対象は中小企業以外にも拡充するという見直しを行いますので、名称を職場定着支援助成金に変更いたします。団体助成コースにつきましては、こちらは内容は変更はありませんが、名称を中小企業団体コースに変更いたします。

 続きまして、3ページ、個別中小企業助成コースです。こちらについては、対象事業主を中小企業以外にも拡大をします。それに合わせて名称は個別企業助成コースに変更いたします。また、助成対象となる制度として、メンター制度を追加します。併せて助成額も全体に見直しをしており、現在の助成額は下に書いてありますように、40万、30万、30万ですが、導入時点でまず10万円を支給するということで助成額を見直します。併せて制度導入後に、離職率を低下するという目標を達成した場合に、60万円の追加支給を行うということで、目標達成助成を創設しております。

 続きまして、キャリアアップ助成金です。こちらについては、正規雇用等転換コースを見直します。従来、派遣労働者を正社員として直接雇用した場合に、10万円を加算しております。この加算額を30万円に拡充をいたします。

 続きまして、4ページの(2)短時間正社員コースの見直しです。こちらは、短時間正社員だけではなく、勤務地・職務限定正社員も対象とするということで、多様な正社員を対象にしたコースに見直します。内容としては、勤務地・職務限定正社員制度の新規導入をし、適用した場合の助成を創設いたします。また、有期契約労働者等から勤務地限定・職務限定正社員に転換、又は直接雇用した場合に助成をいたします。また、派遣労働者をこの多様な正社員として直接雇用した場合の加算を創設いたします。加算額は1人当たり15万円としております。

 続きまして、(3)処遇改善コースです。こちらにつきましては、現在、全ての賃金テーブルを増額改定、幅としては2%以上を増額改定した場合に、1人当たり1万円の助成をしておりますが、こちらを3万円に引き上げます。また、雇用形態別、職種別等の賃金テーブルを増額改定した場合の助成を創設しております。こちらの場合には助成額は1.5万円としております。

 続きまして、5ページ、障害者雇用促進助成金です。障害者の関係は、障害者雇用促進助成金と障害者職業能力開発助成金の見直しがございます。今回の新設見直しを行った考え方についての御説明をします。障害者の雇用関係につきましては、改正障害者雇用促進法により、平成30年の精神障害者の法定雇用率の算定基礎への追加が行われることとなっております。これに伴いまして、企業支援の大幅な充実が求められております。また、本年1月に難病新法が施行されまして、難病患者の就労支援の充実も求められております。一方で、近年の障害者雇用の急速な進展に伴いまして、納付金財政が逼迫しているという状況もございます。こういったことを踏まえまして、27年度の予算案におきましては、中途障害者や難病患者の職場復帰、障害者の定着支援、能力開発の更なる促進につきましては、雇入れの促進や雇用の維持に資するということから、雇用保険二事業で新たな助成金を設けることとしております。今回はその関係の省令の改正でございます。

 それでは、各助成金について説明をいたします。(1)の精神障害者雇用安定奨励金ですが、こちらは事業実績が上がっていないということで、実績を踏まえて廃止をいたします。

(2)重度知的・精神障害者職場支援奨励金です。こちらにつきましては、障害種別によらず対象とするということで、身体、知的、精神、発達、難病、高次脳機能障害、こういった方に拡大をしております。名称も障害者職場定着支援奨励金に変更をいたしております。職場支援員の廃止につきましても、これまでの助成金では、職場支援員を直接雇用する場合に限定しておりましたが、改正によりまして、業務委託や委嘱によって、外部から職場支援員を確保する場合も支給対象とすることとしております。

 続きまして、6ページの(3)障害者職場適応援助促進助成金です。こちらの助成金は、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の地域障害者職業センターが、障害者の職場適応の観点からの課題を解決するために、支援内容やその程度を勘案して、職場適応援助計画を作成又は承認をして、その計画に基づいて職場適応援助者、ジョブコーチと呼んでおりますが、この職場適応援助者による支援を提供する事業主に対して、助成金を支給するものです。障害者の職場適応、また職場定着の促進を目的としたものです。対象障害者は、身体、知的、精神、発達、難病、高次脳機能障害等のある方のうち、計画が策定された方としております。

 続きまして、(4)障害者職場復帰支援助成金の創設です。本助成金は、雇用する労働者が、難病の発症や事故によりまして、中途障害等によって長期の休職を余儀なくされ、かつその復帰に当たって、雇用の継続のために必要な職場適応の措置を講じた事業主に対して助成金を支給するものです。障害者の職場復帰定着の促進を目的としております。対象障害者は中途障害が想定される種別ということで、知的、発達の方は除いて、身体、精神、難病、高次脳機能障害のある方としております。

 続きまして、(8)障害者職業能力開発助成金の創設です。こちらの助成金は、障害者の職業に必要な能力を開発し、向上させるため、障害者職業能力開発訓練事業を行うための施設、若しくは設備の設置、又は運営を行う事業主に対して、経費の一部を助成するものであり、障害者の職業能力の向上を目的としております。対象障害者は、身体、知的、精神、発達、難病、高次脳機能障害のある方としております。

 続きまして、8ページ、建設の関係です。建設労働者確保育成助成金につきまして見直しを行います。(1)認定訓練コースの見直しです。こちらは、助成対象となるキャリア形成促進助成金にメニューが追加されるという見直しです。

(2)雇用管理制度コースの見直しです。これは先ほど説明いたしました、職場定着支援助成金と同趣旨の見直しで、制度導入助成の対象にメンター制度を追加することと、助成額を見直しておりまして、導入時に10万、離職率の目標を達成した場合に60万としております。目標につきましては、離職率だけでなく入職率の目標も合わせて達成をしていただく120万の助成としています。また、助成対象に、中小建設事業主以外も追加をしております。

(3)若年者に魅力ある職場づくり事業コースの見直しということで、女性の入職・定着を促進するためのメニューの追加をしております。また、対象に、中小以外の事業主、また、中小建設事業主団体以外も追加をいたしております。

 続きまして、9ページ、建設広域教育訓練コースの見直しです。こちらは、広域的な職業訓練を実施する職業訓練法人への経費助成の拡充ということで、建設業の人手不足の状況を踏まえ、より広く建設業における職業訓練が行われるよう推進するということで、経費助成を拡充するものです。助成金の見直し関係では以上でございます。

○阿部分科会長 それでは、本件について御質問、御意見がありましたら御発言ください。

○松原委員 今、御説明いただきました資料No.1-32ページ目から3ページ目に記載のある、職場定着支援助成金に関連して、2点御質問させていただきたいと思います。

 まず、1点目。今回の見直しでは、中小企業労働環境向上助成金を職場定着支援助成金へ名称変更した上で助成対象を大企業へ拡大することとしています。この点について、一般論からすれば、大企業ではこの助成金の支給対象とする処遇制度や研修体系制度は雇用管理制度として既に整備されているケースがほとんどなのではないかと思います。そういう中で、今回、大企業に助成対象を拡大することにした意義、政策効果について、厚労省の見解を伺いたいと思います。

 続いて、2点目。3ページ目の職場定着支援助成金の助成対象の拡大の中のマル2の個別中小企業助成コースの見直しの上から4つ目の○ですが、「離職率の目標を達成した場合に、60万円の追加支給を行う」との記載があります。この達成すべき離職率の目標について、企業が自由に目標値を設定すること、つまり例えば低い目標値などを設定することができる余地はあるのか。また、目標値は厚生労働省が定めるとしても、あまりにも低い目標値であれば、結局、助成金の濫給が起こるだけという結果に終わってしまわないか。この点を懸念しています。そういう意味で、離職率の目標値の定め方と、その水準は重要ですが、厚労省として離職率の目標値をどのように設定しようとしているのか。この点の厚労省の見解を伺いたいと思います。

○雇用開発企画課長 職場定着支援助成金の関係ですが、大企業は中小企業に比べて相当いろいろ制度整備が進んでいる中で、なぜ助成をするのかということです。この施策の拡充をするに当たって基礎的な調査を行ったところ、大企業でも全てが全て、今、メニューとしているような措置を講じているということではなく、例えば業績評価制度は、1,000人以上の規模の企業では3割程度が未導入です。研修体系制度も15%程度が未実施です。健康づくり制度についても1割弱で未実施であるということがあり、こういうところの制度を改善することによって、政策効果を上げることに一定の意義があるのではないかということで、今回、大企業にも対象を広げたということです。

2点目で目標値の定め方ですが、おっしゃるように各企業において自分の所の目標を低めに設定することによって、易々とクリアをして支給を受けてしまうと乱給になるのではないかという御指摘は、確かにあろうと思います。そういうことのないように私どもも定着率の実態を調べてみました。そうしますと、産業別、職業別、規模別、いろいろなマトリックスで見ると相当千差万別です。一時期は、それぞれごとにマトリックスで、この数字が目標数字ですとして設定することを考えたわけですが、そうしますと、逆に利用者の便ということから考えると、なかなか複雑な制度になってしまうという問題もあり、これはある1年間を取って、その1年間の離職の状況から、原則3%を離職率として下げることを目標に掲げることを設定したわけです。ただし、中小企業になりますと、3%というのは1人、2人が辞める、辞めないで相当ぶれが生じてきてしまいますので、例えば10人規模の所であれば10%ぐらいだろうとか、企業規模別によって、このパーセンテージにグラデーションを付けることをきめ細かくやっていますが、基本的には3%の低下を原則に設定し、各企業ごとに自分で定めたものを下げてくださいという中身になります。

○阿部分科会長 松原委員、よろしいですか。

○松原委員 2点目の質問については、基本的に3%という離職率低下目標を定め、企業規模によってポイントを変えることも想定されているようですが、その詳細はまだ決まっていないということですか。

○雇用開発企画課長 一応、今のところ念頭に置いているのは、300人以上では3ポイント、100299人では5%、3099人では7%、1029人では10%、19人では15%ということで、雇用保険のデータを取ってみてどのぐらいの分布があるのか、どのぐらいのパーセンテージが妥当かということを、きめ細かく分布図から算出して設定いたしました。

○松原委員 雇用保険のデータを元に設定したとのことですが、結果的に安易な目標とならないように、運用でも厳格にチェックをしていく必要があると思います。是非、よろしくお願いします。

○雇用開発企画課長 分かりました。

○阿部分科会長 ほかに、いかがでしょうか。

○澤田委員 キャリアアップ助成金について、質問をしたいと思います。

キャリアアップ助成金については昨年度も見直しを行っており、その諮問・答申が行われた昨年の3月に開催された第99回の本分科会において、私より運用上留意すべき点を指摘させていただきました。具体的には、OJT実施費用に関する助成措置を講ずるに際し、OJTと通常業務の切り分けを厚労省が事後に判断するのが非常に困難であるため、結果として助成金の濫給が起こりやすい。そのためにOJTを受けた労働者に対する抜取りでのヒアリング調査を行うなど、不正受給を防ぐ仕組みの構築の必要性がある、ということを指摘させていただきました。この指摘を受け、厚労省としては何らか取組をされたと思うので、どのような措置を講じたのかをお聞きしたいと思います。

○阿部分科会長 御質問ですので事務局、お願いします。

○企画課長 OJTと通常業務、正にOJTという名前どおり、一見、業務に見えるということです。昨年の御指摘を踏まえ、今、結果を手元に持っていませんが、定期的に抜打ちで立入り調査を行うことを指示し、それを行っているところです。

○阿部分科会長 澤田委員、よろしいですか。

○澤田委員 措置は進んでいると受け止めます。結構です。

○阿部分科会長 それでは、それ以外に。

○新谷委員 今、澤田委員からも質問のあったキャリアアップ助成金について、確認をしたいと思います。

資料No.1-34ページの「(2)短時間正社員コースの見直し」についてです。同じ内容が資料No.1-48ページに書かれていますが、まず資料No.1-4の見方として、左に平成26年度、右に平成27年度とありますが、平成26年度には記載があるにもかかわらず、平成27年度に記載のない項目があります。この資料の見方は、平成26年度の項目は継続しつつ、平成27年度に書いてある項目を新たに追加するという見方で良いのか。この資料の見方を教えてほしいという点が、1つめの確認です。

 続いて、仮にそうであれば、平成27年度に制度創設する項目の中身が8ページのマル2に書いてあることになりますが、短時間正社員から多様な正社員コースに名称を変更し、「勤務地限定・職務限定正社員制度」の新規導入・適用した場合に助成を行うと書いてあります。しかし、資料のどこを見ても、勤務地限定正社員や職務限定正社員制度の定義や助成要件が記載されていない。これでは、一体何なのか分かりません。この点を教えてほしい。勤務地限定・職務限定正社員の定義や、具体的にはどのような要件を満たせば、制度導入として助成されるのかを教えていただきたい。

 更には、平成26年度のコースの中で、8ページの真ん中の所に「短時間正社員コース」という記述があります。キャリアアップ助成金は、非正規労働者のキャリアアップ、正しくアップグレードが行われた場合に助成を行うものですが、理解できないのは、「有期・無期→短時間正社員」の中の無期雇用から短時間正社員になった場合に助成を行う点です。この場合、1人当たり30万円を助成すると書いてありますが、無期雇用から短時間正社員というのが本当にアップグレードになっているのか。これも短時間正社員の定義によるわけですが、無期雇用から短時間正社員への転換について、その定義や要件を教えてほしい。

 これまで厚生労働省では、雇用政策研究会や非正規雇用のビジョンに関する懇談会が取りまとめた「望ましい働き方ビジョン」の中で、正規と非正規の定義付け等の論議がなされてきました。その中で、労働契約の期間の定めがない、所定労働時間がフルタイム、直接雇用という3つの主な要件と、勤続年数に応じた処遇・雇用管理体系、勤務地や業務に限定が無く残業が命じられる可能性があるという要件を満たした者を正規雇用と言っていました。そうした中で、今回、キャリアアップ助成金の助成対象とする短時間正社員と、単なる無期雇用との違いは、どのように捉えているのか。定義をはっきりしなければ、本当に非正規労働者のキャリアのアップグレードに政策誘導する制度であるのかわからない。現状では情報として不足しているので、説明していただきたいと思います。

○企画課長 キャリアアップ助成金についての御質問がありました。平成26年度と平成27年度、資料No.1-48ページの対比の見方についてですが、平成26年度のものから平成27年度に見直しする部分を予定として書いているということで、まずこの資料の見方としては御理解いただければと思います。

 その上で2点目として、勤務地・職務の限定というのがどんなものなのかですが、勤務地を限定するものについては、勤務の場所について特定の事業所なりに限定していることが明らかになっているものということです。その他の賃金の水準あるいは支給の方法、形態、あるいは賞与、退職金、休日等々についての労働条件は、いわゆる正社員と同様のものとなっているということで、もちろん、合理的な理由によって決定されていることを求めるということです。

 もう一方の職務限定の部分についてですが、こちらについては事業主に雇用されている正規の方、いわゆる正社員ですけれども、この方に比べて限定されていることが明らかになっている。その他については、今、申し上げた勤務地限定で勤務地が変わっている以外は、同じということと同様に確認させていただくことを考えています。

3点目に短時間正社員についての御質問がありました。これについては資料の見方で御説明申し上げましたが、今回、特に改正するというわけではなく、この部分を変更して多様な正社員にするということです。短時間正社員についても、特に無期と短時間正社員の差という御質問かと思います。これについても、言われているように契約期間が無期だけでなく、それ以外の労働時間以外の部分について、いわゆる正社員と同様の形でその他の処遇なりが決定されていることを、これまでも要件としていますので、特に変更することを考えているわけではありません。以上の3点でよろしかったでしょうか。

○新谷委員 説明いただいて初めて分かった事実が幾つかあります。この職業安定分科会で審議するに当たっては、今、口頭でおっしゃったことが大事な要素なのです。特に賃金の決定の仕組みは大事なポイントであり、そこが明確でなければどのように政策誘導するのか分かりません。今後資料を提供される際には、肝の部分の情報を明記していただくことをお願いしたいと思います。

 その上で、今の御説明では、職務限定・勤務地限定正社員については、いわゆる正社員と賃金の決定の仕組みや水準は同様で、合理的な理由によって決定されていることが必要との説明がありました。この合理性の判断は、行政としてどのように行うのか。事務局の説明は、例えばいわゆるピカピカの正社員と、勤務地限定・職務限定正社員が存在するとき、賃金の決定の仕組みは同様と言いながらも、結果としての賃金の水準に関する合理的な差異については容認するような御発言にも聞こえます。この合理性の判断を労働局としてどう判断するのか教えていただけますか。

○企画課長 繰り返しになりますが、決定の方法なりは当然同じだという前提で、昨年の夏だったと思いますが、労働基準局を事務局として多様な正社員の考え方が整理されています。そうしたものを基本として正社員という言葉が混乱を招きますけれども、きちんとした処遇と認められるものを、きちんと運用していく必要があると考えているところです。最終的には委員が御指摘のように個別の判断になってきますけれども、基本的なところは、きちんとした考え方を各労働局にも示して運用していきたいと考えています。

○新谷委員 労働側としては、厚生労働省が考える勤務地限定・職務限定正社員に、必ずしも賛成をしているということではありません。また、合理性の判断要件も示されていません。

そもそも勤務地限定正社員は、10年以上前、ITバブルが弾けた頃に企業に普及した例がありました。振り返れば、この制度は手挙げ方式で希望する者は勤務地限定に契約を切り替えというものでしたが、切り替える際に賃金を約3割カットするという例が起こったのです。また、勤務地限定正社員に切り替えた者についても、結局景気の悪化等によって限定した勤務先が守れず、解雇や希望退職を募集せざるを得なかった例が幾つもあるのです。

 改めて申し上げたいのは、厚生労働省は、職務や勤務地を限定した者について、なぜいわゆるピカピカの正社員との労働条件に差異を認めるのか。正しく合理的な理由は何なのかという点が、解明されていない。例えば有期雇用労働者と正規労働者の労働条件の差については、かつて丸子警報器事件のように、有期雇用労働者の賃金が正規雇用労働者に比べて8割以下となるときは許容される賃金格差の範囲を超えて違法であるといった判決もありました。この事件については最終的に和解したのでよく分からなくなりましたが、賃金格差の合理性について、労働局はどのように判断するのか。個別具体的に判断するとおっしゃっているのですが、個別事案毎にどのような判断要素でどのように判断するのか非常に気になるところです。実際にこの助成金を運用するに当たって、どのようにお考えになっているのか、改めてお聞かせいただきたいと思います。

○企画課長 まず1つ、申し上げておく必要があると思った点があります。今回、拡充をしようと考えている勤務地あるいは職務を限定する正社員についてですが、ここは有期あるいは無期の非正規の方から、ここで言う多様な正社員に移る場合についてのみ、まず助成を行うということを考えているということを申し上げておく必要があるかと考えています。

 その上で、新たにこの仕組みが有期・無期、そういった非正規の方から職務限定あるいは勤務地限定という形で、正に名前がありますようにキャリアアップしていく場合について、私どもとして一般的には8割ないし9割程度と、そこについて議論があることは承知していますけれども、非正規から職務・勤務地を限定する形での正社員にキャリアアップした場合について、助成を行うということで考えています。

○新谷委員 資料には今御説明いただいたことも全然書いていない。また、先ほどから指摘しているいわゆるピカピカの正社員から勤務地限定・職務限定正社員へのダウングレード事例については、助成対象にしないということであれば、それも書いておくべきです。資料のどこをどうやって読めば、今、御説明いただいたことが出てくるのか。質問して初めて分かるという状況で、どうやって審議ができるのか。資料は、より詳細なものを作っていただきたい。

○企画課長 すみません。私ども資料がきちんとお示しできていなかったことを申し訳ないと思っています。口頭で補った上で形が全容になるということのないように、キャリアアップ助成金を所管している立場からも、申し上げさせていただきたいと考えています。申し訳ありません。

○阿部分科会長 では、これ以外で御質問、清水委員、どうぞ。

○清水委員 障害者雇用促進助成金について発言させていただきます。

厚生労働省が公表した平成26年障害者雇用状況の集計結果によれば、障がい者の法定雇用率達成企業の割合は44.7%と、半数にも及んでいません。また、平成25年度障害者雇用実態調査を見ても、雇用形態が正社員である者は身体障がい者で55.9%、知的障がい者で18.8%、精神障がい者が40.8%に留まっており、いずれも5年前の調査と比較して正社員として働く障がい者の割合は減少しています。

 一昨年6月に障害者雇用促進法が改正され、20164月から雇用の分野における障害者に対する差別の禁止及び合理的配慮の提供が、20184月からは精神障害者を雇用義務制度の対象とすることが、それぞれ施行されます。こうした状況を踏まえれば、障がい者雇用については、より一層の取組が求められていると考えています。

 今回の助成金の見直しは、雇用保険二事業を財源とした障がい者雇用の助成制度と、障害者雇用納付金制度を財源とする障害者の雇用促進の助成制度について、両者の内容を精査し、新たな助成金の創設を含め、必要な見直しを行うものと理解をしています。この見直しの方向性自体は理解しますが、助成金の目的はあくまでも障がい者の雇用促進、職場定着の促進です。今回、助成金を見直すにあたって、今後は職場への定着率向上や正社員比率向上などが図られたのか否かといった観点を含め、施策が政策効果を上げているのか十分な検証を行うべきであると考えます。その結果、見直しが必要であれば適宜、見直しを行っていくべきです。この点を意見として申し上げさせていただきます。

○阿部分科会長 ありがとうございます。ほかには、いかがでしょうか。

○高橋委員 資料No.1-33ページ、キャリアアップ助成金の正規雇用等転換コースの見直しについて、最初に質問ですが、この30万円に加算するというものについては、例えば派遣契約の途中で中途解約で正規雇用者になった場合でも、加算がなされるのかどうか質問させていただきたいと思います。

○企画課長 キャリアアップ助成金という観点から申し上げると、この派遣契約の中途かどうかというところは見ないと、その意味では途中で解約されている場合についても対象にするということで考えているところです。

○高橋委員 そうしますと、例えば引抜きをめぐるトラブルといったことも生じかねないと思いますし、助成金制度がそうしたものを奨励しかねないおそれもあるような気がしています。もし仮に、どうしてもそういう形でも認めていきたいとした場合でも、有期労働契約というのはその期間を定めていますので、その期間、しっかりと雇用もしますけれども、労働者の方も働いていただくことが原則となりますから、満期で正規雇用になった場合は30万円で、中途の場合は通常どおりの10万円といったように少し差を付けて、しっかり満期まで働いた場合と、そうでない場合とに分けていくことも考えられますし、むしろそのほうが無用なトラブルも避けられて、よろしいのではないかと思っています。これは意見ですが、引抜き等のトラブル防止策についてどのように考えているかを、後ほどお知らせいただきたいと思います。

 もう1点、その上の先ほど労側からも質問があった件で、個別企業助成コースの関係の3番目の○に関わる所ですが、メンター制度を対象に追加するというところです。雇用管理の施策として、メンター制度は大変有効な施策であることはよく理解していますが、果たしてメンター制度を導入することが何らかの費用を発生し得るものなのか。それはかなり私としては疑問があります。もしこれを助成制度として認定していくときに、メンター制度が本当に入ったのかどうかということを、どのように行政として確認していくのか。今までの評価・処遇制度や研修体系制度、健康づくり制度といったものとは異質な形が感じられる気もしますので、その辺り、かなり曖昧になりかねないという危惧を持っています。その辺りの考え方についても併せてお知らせいただければと思います。

○阿部分科会長 それでは事務局、よろしくお願いします。

○企画課長 先にキャリアアップ助成金の関係について、今、時限措置で派遣についての加算を行っていて現行も10万円ということです。これにつきましても、先ほどキャリアアップ助成金の観点からという言い方を申し上げましたが、その意味では、そこは特に契約の中途かどうかについて差を設けていません。もちろん、委員が御指摘の有期契約というのは、それぞれ両当事者が、その期間について拘束を受けるものであることは十分承知しているところですし、そうしたことで今回、この制度を考えています。もちろん引抜きに関して、表現が適当かどうかはありますが、中途の解約の部分については労働者派遣制度の中で1つの論点になっていて、取りまとめられている建議の中でも、そこについて触れられていることは承知しています。その意味では、そうしたことを意識しながらそれぞれの観点と申し上げたのは、この助成金としてはそうであったとしても、全体としてトラブルが起こることを誘発することは適当でないという認識を持っていますので、そうしたことを意識しながら詳細については、もちろんこれから様々な点を考慮して運用してまいりたいと考えています。そうした意味で、制度を整理させていただきたいと考えているところです。

○雇用開発企画課長 職場定着支援助成金のメンター制度の関係です。費用がどういったところで発生するのかということと、制度としてどういうふうに担保するのかという要素があったと思います。費用の点につきましては、この制度を導入するに当たって、メンターとなり得る人にメンター研修を受けてもらう。それからメンター養成講座のメンター技法の習得ということで、研修の中で習得していただくことを義務化しますので、そこの部分に一定の経費がかかると、それに対する助成という形になります。

 制度としてどのように担保されるかという話につきましては、ほかの制度と同様に就業規則上で明文化するということで、単なる慣例ではなく、明文化することを要件とするということで考えています。

○阿部分科会長 多分、関連して新谷委員から質問があります。

○新谷委員 先ほど高橋委員から、派遣労働者を正規雇用した場合のキャリアアップ助成金の加算の在り方について、引抜きのトラブル防止という御発言がありましたが、たしかに助成金が労働紛争発生を助長してはいけないと思います。ただし、引抜きと言うと、派遣労働者を物扱いしている感じがします。労働者には職業選択の自由が当然あるわけで、無期雇用であっても民法上は2週間前に解約を申し入れれば労働契約は解除できます。また、有期雇用であっても、1年を超えれば損害賠償請求を受けることなく労働契約の解消が可能です。勿論、合意解約で円満に労働契約の解除をして、新たな就業先に移ることが一番望ましいのですが、今申し上げたように、労働者は職業選択の自由がありますし、派遣労働者については引抜きだからと言って何らか規制するというのも行き過ぎではないかと思いますので、意見として申し上げておきます。

○阿部分科会長 ありがとうございました。ほかに御質問、御意見はございますか。

○岩村委員 先ほど新谷委員から質問のあった、キャリアアップ助成金の短時間のところで正社員コースから多様な正社員コースということで、勤務地限定・職務限定正社員制度を導入した場合についての助成を新たに創設することが、先ほど話題になりました。もともと正社員のコースがあるのに、なぜそれを分化させて勤務地限定・職務限定というものを新たに導入しなければいけないのかが、そもそも私は理解できていなかったのですが、これはよく考えると非常に重大な意味を持つものかなと思います。恐らく従来は勤務地あるいは限定正社員というのは、あくまでも事業主の雇用管理の問題として議論されてきていて、法的な制度としてこのことについて正面から議論することは、多分、どこでもやっていないのではないかという気がします。そうすると、これは初めて我が国の法制度の中で正面から勤務地限定・職務限定正社員というのが入ることになり、そうすると、これは一体、法的な定義は何かというのをきちっと詰めないと、ものすごく大きな影響を持ってしまう。かつ、助成金を付けるわけですから、厚生労働省あるいは国として雇用保険の会計のお金をここから支給して助成し、それを推奨すると、押し進めるのだという意味合いを持ってしまうことになると、これが事実上、勤務地、それから職務限定正社員というもののデフォルトスタイルを決めることになると思います。ところが、では一体、何がデフォルトなのかというのは、先ほどの新谷委員と事務当局とのやり取りの中でも全く明確になっていない。これは非常にまずいのではないかと私は思うのですが、その点、事務方のきちっとしたお考えをお聞きしたいと思います。

○企画課長 これまでキャリアアップ助成金として、いわゆる正社員について、そこに向けてこれを支援していくということで助成金が組まれていたということです。それに対して今回、これまで短時間正社員という形では一部ありましたけれども、勤務地、それから職務ということで新たにこれを拡充しようということですが、背景としては、転勤先なり勤務先が限定されない形、あるいは職務が限定されない形というのが、我が国においては程度の差はありますけれども、相当程度を占めていると言われてきている。それに比べて勤務地を限定する形、あるいは職務を限定する形で、もちろん契約内容としてそれをきちんと明確にしていただくことを要件とするということですが、そうした形での働き方で、これはフルフルと言うのが適当かどうか分かりませんけれども、そうした形でない正社員での働き方、ワークライフバランス等々を勘案した形で正社員を位置付けて、これに対して助成を行っていくことが適当であろうという考えで、今回、勤務地を限定する。あるいは職務を限定する場合について、この助成措置の対象としていこうということです。この趣旨としてはそういうことです。

○岩村委員 趣旨はよく分かっているのですが、問題は助成の対象にするので、その対象に該当するかどうかの要件を、一体、どう設定されるのかというところなのです。先ほどの新谷委員との質疑でその点が全然明らかになっていない。そうすると、厚生労働省としてはまだ決めていないという話なのか。そうだとするとそれは極めて重大な問題で、先ほど申し上げたように正にこれがデフォルトになってしまう可能性があって、そこのところは具体的にどういうふうに要件設定を考えているのか。きちっと明確な形で説明をしていただく必要があると思うし、その上でないと賛成する、しないはできないのではないかという気がします。その点をきちっと事務方で説明していただきたいと思います。

○企画課長 まず勤務地について、勤務地を限定する正社員についてですが、これについては勤務地を特定の事業所に固定する異動がないもの、あるいは勤務地を通勤可能な事業所に限定する、転居を伴わない異動の範囲に限定すもの、さらには勤務地を一定の都道府県内などに限定する、こうしたものが明確になっている場合について、これを勤務地限定正社員として助成の対象としていきたいというものです。

 それから、職務限定正社員についてですが、これにつきましては同一の事業主に雇用される正規雇用労働者、いわゆる正社員の職務に比べて、これが限定されている場合について、これを職務限定正社員として助成の対象にしていきたいと考えているところです。

○岩村委員 それは先ほど新谷委員の御説明で伺ったところで、問題は、それがどうして正社員になるか、その正社員要件のところがどういう要件設定になっているのか、そこなのです。新谷委員の先ほどの質問にもあったように、一番大きな問題は賃金のところなので、そこのところはどういうふうに要件設定をされて審査するのか。そこが一番の要で、ほかのものもあると思いますが、それが結局、先ほど申し上げたように、これがデフォルトになってしまうでしょうという話なのです。そこのところをはっきり、通達でやられるのでしょうが、どういう通達を発出するつもりなのか。その辺のところを明確にしていただかないと非常にこれは気掛りだと私は思います。

○新谷委員 勤務地限定・職務限定正社員制度導入への助成について、岩村先生がおっしゃっているように、私どもとして一番気になるのは、賃金の決定方法が本当にピカピカの正社員と同じ仕組みになるのか、加えて、結果としての賃金水準が同じなのかどうかということです。先ほどの課長の答弁では、賃金水準はいわゆるピカピカの正社員と同水準であるというお答えを頂いた後に、それが合理的な決定方法によることも必要であると追加でおっしゃいました。この答弁を聞く限り、合理的な方法によって決定されていれば、賃金の水準について、いわゆるピカピカの正社員と違う結果も出てくると思います。そのときに一番気になる点は、勤務地や職務を限定することが、賃金格差を合理的に説明できることに足りるのか。この合理性の判断を、労働局がどうやって判断するのかお聞きしたい。

 繰り返しになりますが、労働側としては、勤務地や職務を限定するからといって、結果としての賃金の相違があることに合理性が極めて乏しいと思っているのです。仮に代償措置として賃金の減額を伴うのであれば、合理的な理由が説明できなければ契約自体についても合理性がないと思います。この点をお聞きしたい。

○企画課長 まず賃金の水準なり算定方法、繰り返しになりますけれども、支給の形態、賞与、退職金、休日、その他について、基本的には同一の事業主に雇用される、いわゆる正社員待遇と基本同等ということをベースにして考えていくと。一方、全て同等でないとしても合理的な範囲であると認められるのであれば、これを認めていくことが適当であろうと考えているところです。これは最後、個別に判断する必要があると考えていますが、その際、いわゆる勤務地あるいは職務を限定する場合には、8割ないし9割ぐらいの水準の賃金が支払われているところを勘案して、これを運用していきたいと考えているところです。

○阿部分科会長 鎌田委員、どうぞ。

○鎌田委員 必ずしも皆さんの御意見が噛み合っていないのではないかと思うので、私の理解した範囲で問題を少し整理してみたいと思います。事務局から冒頭に定義ということで御説明いただいて、今、ほぼ同じような御説明ですが、職務限定・勤務地限定が明らかであって、これ以外については正社員と同等であると。ただし、それが合理的な理由によって労働条件が異なっている場合も、一定の範囲で認めるという御説明があったと思います。それで私の理解が正しいかどうか分かりませんが、そうすると、少し言葉として明確でないなと私も思ったのは、この提案の内容は「勤務地限定・職務限定正社員制度の新規導入」と書いてありますね。だから個別の話と制度の導入の話をまず切り分けなければいけない。個別の場合というのは、その制度の中で例えば労働条件が合理的な範囲で変更しているかどうかは個別にあるかもしれませんが、制度の導入ということになれば、個々の労働者について勤務地限定あるいは職務限定が明らかであるかどうかでなく、正に就業規則等でその制度、あるいは契約上、その制度が存在することが前提になるのではないか。その上に立って、その制度に基づいて具体的にそういった労働者のコースの見直しがあることが、ここでの給付の対象になってくるのではないかと思います。その辺、まずそういった個別具体的に明らかというレベルの話でなく、制度の導入の話と切り分けて考えてもよろしいのかお聞きしたい。

○企画課長 今、御指摘の点についてですが、この資料の中で制度導入という場合の助成と、それからもう1つ、その下に有期・無期からの転換の対象に勤務地限定・職務限定正社員を追加と書いています。まず、この上の部分は御指摘のとおり制度が導入されて、それが実際に適用者が出た場合に、これを助成するという部分です。その下の部分につきましては、その制度が導入された上で、それ以降、有期あるいは無期のいわゆる非正規の方が、ここで言う勤務地限定・職務限定正社員の対象になった場合に、これを1人当たりという形で助成する仕組みを設けたいというものです。

○鎌田委員 制度がないところで個別具体的に限定がなされているというのは、対象ではないのでしょう。

○総務課長 いろいろと御指摘を頂戴いたしました。まず、今回の説明資料ではなかなか制度の全容が分からない点があったという点については、お詫び申し上げまして、次回以降、また資料の在り方についても改善を図らせていただきたいと思っています。また助成金の詳細につきましては、今、施行に向けて支給要領なりマニュアルを用意しているところです。もちろん、中身は固めた上でそれを作成しているのですが、その内容に今日、御指摘いただいた点がちゃんと反映されているか、担保できているかを改めて確認させていただき、また委員には、その点の御報告を個別にさせていただきたいと思っています。

○新谷委員 そういうことであれば、本日の諮問内容は中身が確定しないということですので、労働側としては見解を表明できないことになります。それでよいですか。

○総務課長 職務限定・勤務地限定につきましては、先ほど代田課長から口頭で説明いたしました。また正社員の定義につきましては、これまでも正社員への転換という仕組みがございまして、それと特に変えているところではありません。ただ、それがちゃんと支給要領上、分かりやすくなっているかということについては、事後的にこちらのほうで施行までに確認させていただきたいと思います。

○新谷委員 労働側からの指摘以外にも、岩村先生からも問題ではないかという御指摘もあります。また、資料が整っておらず、総務課長も後日整理するということを言われたのですが、後日資料提出されたとしても本日の分科会として審議のしようがない。口頭での説明ばかりで、何をどうしたいのか分からない中では、本分科会として答申できないのではありませんか。本日については、労働側として判断がつきかねますので態度を保留したいと思います。

○総務課長 今日、2つお諮りをいたしておりまして、資料No.1-1のほうは年度末をもって助成金を廃止するというものです。今、御議論いただいているキャリアアップ助成金は資料No.1-2のほうになりますが、こちらは平成27年度の本予算の成立と同時に施行ということで予定しています。お願いできるのであれば、少なくとも資料No.1-1の廃止につきましては、本日、御答申いただければと思います。

○阿部分科会長 それでは、今、御提案がありましたように、資料No.1-1の諮問案件について、皆さんから御意見を賜りたいと思います。よろしいですか。ありがとうございます。それでは、資料No.1-1については妥当と本分科会は認めたいと思いますが、皆様、よろしいでしょうか。混乱していますので、一旦、ここで休憩を入れまして、415分に再開したいと思います。よろしくお願いします。

(休憩)

○阿部分科会長 415分に再開すると申しましたが、皆さんおそろいですから、再開させていただきます。

○総務課長 今後の進め方について御提案させていただきます。本日諮問しております、資料No.1-1ですが、先ほど申しましたように、こちらは平成26年度末をもって廃止する助成金に係るものですので、できましたら本日御答申を頂きたいと思います。資料No.1-2でお諮りしている部分についてですが、この中で障害者に係る助成金の部分については、30日に開催される予定の障害者分科会でもお諮りするものと関係しております。本日の審議会でも、その部分についてはこれまでのところ御異論はないようです。障害者の関係の部分についてはお認めいただくような答申を頂きたいと思います。

 今、そういう内容の答申を用意していて、考えておりますのはキャリアアップの助成金の部分を除いて妥当、すみません、障害者の部分を認めると申し上げましたが逆で、今いろいろ御意見を頂きました、キャリアアップ助成金の部分を除いて妥当と認めるという答申を、よろしければ用意させていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

○阿部分科会長 よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 それでは、異議がないようですので、そのようにさせていただきます。まだ答申文の準備が整っていません。時間もありますので、この次の議題に。

○高橋委員 手続について異論はありませんけれども、せっかく時間もありますので、先ほど議論になりました、短時間正社員コースの見直しの所です。正社員とは何なのかというところが大分話題になっております。現在、企業でも結果としてはこのような名称にふさわしいかどうかは別にして、柔軟に雇用が創出され、維持されている実態があります。そこに対して今回の助成金制度を導入することで、明確なガチガチの要件を入れることにより、現在の雇用が大きく影響を受けることは避けるべきではないかと思っております。

 その観点から、処遇が何十パーセントが適当だとか、そういうのは杓子定規に決めるべきものではないので、今後、資料等を整備していただくのかもしれませんけれども、余りそこのところで明確な、ガチガチな基準等を、政府がこの助成金制度の導入に当たって入れることに対しては、明確に反対します。

○新谷委員 手続については総務課長がおっしゃった点で結構です。

ただし、高橋委員が指摘した、今ある雇用に大きな影響を与えないようにしなければいけないという思いは同じです。先ほど来論議している、勤務地限定・職務限定正社員制度は、今までは各企業の労使で話し合い、人事管理上導入するものでした。これを政府としてこうあるべきというように決めつける、ましてや先ほど説明があったように、いわゆる正社員との賃金格差を、政府としてお墨付きを与え是認し、各企業の人事管理に影響を与えることはあってはならないと思います。

 今までの各企業人事管理の問題であればそれぞれの労使の判断ということでしょうが、こういう助成金を払う際の要件で、国がお墨付きを与えて、賃金の格差を是認して、政策として打ち込むことに対しては強い違和感を覚えます。この点については、今後提出いただく資料に基づき論議させていただきます。

○玄田委員 今の御発言に関連してです。私も、先ほど説明のあった8から9といような具体的な数字を出すことについては、やはり慎重に検討すべきだと思います。経済学的な観点から言うと、この水準というのはあくまで勤務地の内容、職務の内容及び労使の位置の問題で、一律にこの水準がということを理論的に導き出すことは極めて困難だろうと。

 仮に水準に大きな差が、新谷委員の言葉で言う、ピカピカの正社員に比べて出たとしても、それが改めて拡充された時間において、個人が別の意味でのキャリアアップをするために使うために、そういうときの賃金引下げを受け入れるケースはあり得るかもしれない。また、職務を限定することにより、より高い生産性を発揮することになり、結果的に従来の正社員よりも賃金が上がるケースだって、経済理論的にはあり得る。そうだとすると、重要なのは、非常に杓子定規な言い方になりますが、それぞれの限定正社員制度に移ったときの、個別の労使の合意が一体どうなっているのか、そこが一番のポイントです。今ここで水準がどうあるべきだという議論というのは、1つの例としてはもちろんあり得ると思いますが、こうであるべきだという議論とは一線を画して今後は議論していくべきだと感じます。

○企画課長 私の説明が混乱を相当招いているところは大いに反省しております。先ほど数字を申し上げたのは、そういう例が多いということを御紹介するつもりが、その議論の中での御説明が適当でなかったのかと思っております。鎌田委員から御指摘いただきましたように、それぞれの企業の中で制度が導入されたことを評価し、また、それが導入されるということについて、制度を前提として、その勤務地あるいは職務の限定がある正社員として働く場合について、これを助成することは何ら変わりはないわけです。私の説明が相当の混乱を招いたことを反省をしております。いずれにしても、整理させていただきたいと思います。

○阿部分科会長 この点は次回以降議論させていただければと思います。先ほどの総務課長の提案のとおり、キャリアアップ助成金を除いて、厚生労働省案を当分科会は妥当と認め、その旨を私から労働政策審議会長に御報告申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。答申文案を配布してください。

(報告文案配布)

○阿部分科会長 報告文案が、それぞれお手元に配布されたかと思います。雇用保険法施行規規則の一部を改正する省令案要綱については、厚生労働省案は妥当と認めると記されております。もう一方、雇用保険法施行規則及び建設労働者の雇用の改善等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱及び雇用保険法施行規則第110条の31項第1号ヘの規定に基づき厚生労働大臣が定める者の一部を改正する告示案要綱についての部分では、記として、厚生労働省案は第17(1)(2)を除きおおむね妥当と認めると記されております。

 この報告文案により、労働政策審議会会長宛て報告することとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。そのように報告をさせていただきます。議題2に移ります。次の議題は、雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱及び職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱についてです。本件については、本日付けで厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛てに諮問を受けております。事務局より説明をお願いします。

○雇用保険課長 雇用保険法施行規則の一部改正案等について、資料No.2-1から資料No.2-4に基づいて御説明いたします。順番が前後して恐縮ですが、資料No.2-2を御覧ください。今回の改正案の概略を資料No.2-2でまとめてあります。趣旨を一言で申しておりますのが、1番の改正の趣旨です。雇用保険法の各種給付のうち、雇用保険法施行規則、この省令上で支給申請期限、支給申請期間を規定している給付について、この支給申請の期間の取扱いを明確化、統一化する改正です。

2番は改正の内容です。1つ目のポツで、以下の各給付の支給申請期間について、まず現状はどうなっているかというと、そこに書いてあるとおり「・・・の提出は○○以内に」、例えば支給申請月の4か月以内にとかそういうことです。「○○以内にしなければならない。ただし、天災その他提出しなかったことについてやむを得ない理由があるときにはこの限りではない」というのが現在の規定ぶりです。資料No.2-2の真ん中辺りに書いてあるマル1からマル14までの給付について、基本的にこのパターンで書いてあります。

 これで、現在どう運用しているかというと、天災その他提出できなかったやむを得ない理由を限定的に解していて、この期限内に持ってこられないと2年間の時効の範囲であっても受理しないというのが今の扱いです。

 口頭で恐縮ですが背景を説明しておきます。高年齢雇用継続給付の支給申請期限について、最近まで裁判で争われた例が1つあります。支給申請期限、省令上の期限を徒過したもの。時効の2年の範囲内であったのですが、省令上の期限を徒過したものが1件あり、それが法律の委任、つまり省令に手続を委任している委任の範囲を超えていないかというのが争われた事例が1個あります。

 これについて23日付けで最高裁で上告棄却の判決が出ました。したがって、現在の省令の取扱いでも問題はないとされたわけですが、改めて私どもも部内で検討したところ、遅滞なく労働者本人に給付するという趣旨、給付の公平性の趣旨から見て、現在のように限定的な解釈を取らなくてもいいのではないかという判断をし、今回提案した次第です。

2番の1つ目のポツの3行目以降ですが、現在の取扱いについて、単に「○○以内に支給申請を行うこととする」という省令を変えたいという提案が本日の事項です。

2番の真ん中のマル1からマル14までの給付が対象です。2番の2つ目のポツ「その他所要の改正を行う」とありますが、これは様式の改正を予定しております。様式において、各給付について注意書きがあります。今は「期間経過後に提出した場合は、特別の事情があると認められない限り受理されない」という注意書きがありますが、これを削除しようというのが2つ目のポツです。

 資料No.2-1に戻って3ページを御覧ください。これは省令案要綱です。第1に掲げられている給付について、「天災その他やむを得ない理由があるとき」と規定しているところを、当該規定を削ります。

 第2「その他」ですが、「その他所要の規定の整備」というのは、先ほど申しました様式改正を考えております。この省令は、平成2741日から施行です。これは、予算の成立が遅れた場合であっても41日ということで考えております。

 資料No.2-3と資料No.2-4ですが、資料No.2-3の最後のページを見ると、「職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律施行規則の一部改正」です。内容は、職業訓練受講給付金について、同じく支給申請を行うべき期限を限定的に書いていたものを、当該規定を削るということで、これも平成2741日からの施行で考えております。以上です。

○阿部分科会長 本件について御質問、御意見がありましたら御発言ください。澤田委員、どうぞ。

○澤田委員 一般論として、「この限りでない」というただし書を削除するということは、例外は認めないと考えられます。要するに、法律で決めた原則に基づき厳格に運用するということです。しかし、先ほどの説明を聞く限り、少し運用を柔軟にするように理解をしました。まず、ただし書を取ることによって厳しくするということではないのか、その辺りを聞かせてください。

○雇用保険課長 ただし書を削り、例えばこれこれから1か月以内に提出するものとすることといった規定になります。その趣旨としては、支給申請の期限というのは、本人にはなるべく早く給付したほうがいいという趣旨がありますので、1つの目安期間として運用するということです。したがって、その期間を徒過したからといって、時効の範囲内であれば受理するということで考えております。その扱いについては先ほど申し上げたとおり、様式の注意書きも削除しますし、地方労働局に対してその趣旨を徹底したいと思っております。

 特に、私どもとして、今回取扱いを変えて、1つの目安期間として運用し、2年の時効内であれば受理しますということについては、リーフレットを全安定所に配布する予定です。それによって周知を図っていきたいと思っております。

○阿部分科会長 よろしいでしょうか、厳しくなることはないということかと思います。

○澤田委員 柔軟にしたと受け止めたいと思います。地方労働局に対しては、施行規則上は但し書きを削除するものの、今言われたような改正意図があるということを示すべきです。この点はしっかりと現場職員に対して周知をお願いしたいと思います。

○阿部分科会長 その他にはいかがでしょうか。勝野委員、どうぞ。

○勝野委員 私も同様の意見です。「ただし」以降の削除によって、支給の申請が現行よりも狭められることがないように、必ず窓口等に対する周知徹底をお願いしたいと思います。

○阿部分科会長 ほかにはいかがでしょうか。特にないようでしたら、当分科会は、厚生労働省案を妥当と認め、その旨を私から労働政策審議会会長に御報告申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、報告文案の配布をお願いします。

(報告文案配布)

○阿部分科会長 お手元に配布された報告文案により、労働政策審議会会長宛てに報告することとしてよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告させていただきます。次に移ります。次の議題は、2014年度の年度目標に関わる中間評価についてです。事務局より説明をお願いします。

○雇用政策課長補佐 雇用政策課長の中井が、急遽国会の用務で参上できなくなりましたので、課長補佐の黒田から御説明させていただきます。議題3について、資料No.3-1と資料No.3-2に基づいて御説明いたします。資料No.3-1は、2014年度の中間目標について文章で書かせていただいております。資料No.3-2と並べて見ていただくと分かりやすいと思いますので、資料No.3-21ページを御覧ください。

1「ハローワークにおける職業紹介等」については9つの項目があります。資料No.3-1の文章で、目標の達成度合が高い順に並べて御説明いたします。マル6雇用保険受給者の早期再就職割合については、目標値は二重線の左側の欄で、年度目標30.0%以上に対して、10月までの実績が31.6%ということで目標を上回って推移しています。マル8就職支援プログラム事業の就職率についても、目標80.0%以上に対して、実績は82.9%ということで順調に推移しています。マル7就職支援プログラム事業開始件数については、目標が105,000件以上に対し、半年間で6万件余の実績を出していて、これも順調に推移しています。マル3正社員求人数の目標は412万余に対して、10月までの7か月間で243万人余の実績が出ています。ちょっと分かりにくいのですが、7か月分を12か月で割り戻すと420万件弱ぐらいになりますので、目標を上回る水準で推移しています。マル4マザーズハローワーク事業(重点支援対象者数)は、目標7万人以上に対し、9月までの半年間で37,112人の実績ということで、これも目標を上回る水準で推移しています。

 一方でマル1マル2マル5について御説明します。目標に対して若干実績が下回っている項目です。マル1就職率については、目標32.0%以上に対し、実績は31.0%となっております。マル2求人充足率は目標22.0%以上に対し、実績は21.5%となっております。年度後半に向けて、このそれぞれの目標達成に向け、求職者の状況等に応じたきめ細かな就職支援とか、未充足求人に対するフォローアップなどに更に取り組んでまいりたいと思います。マル5マザーズハローワーク事業(重点支援対象者の就職率)については、目標87.5%以上に対し、実績は1ポイント下回って86.5%です。これまで以上に、年度後半は積極的にきめ細かい就職支援に取り組む必要があることを、資料No.3-1に書いております。

 資料No.3-22ページのマル9求職者支援制度による職業訓練の就職率です。資料No.3-11ページの一番下の段落の説明です。求職者支援制度の職業訓練の基礎コースと実践コースは、それぞれ55%以上と60%以上という目標値を掲げておりますが、基礎コースの実績は53.2%、実践コースの実績は55.7%です。ただし、それぞれの実績については7月までの4か月分の実績です。資料No.3-1で、2014年度に開講し、20147月末までに終了した訓練コースの実績です。残りの期間が、他の指標と比べて長いので、まだまだ挽回の余地はあると思っています。目標の達成に向けて、就職支援をより一層強化することで、これは目標を上回る実績が出せるのではないかと期待しております。以上が、1番のハローワークにおける就職紹介等の実績の状況です。

 続いて資料No.3-12ページです。資料No.3-26ページをお開きください。2「失業なき労働移動の推進」ということで、上から順に御説明いたします。1番の労働移動支援助成金(再就職支援奨励金)による再就職者に係る早期再就職割合です。目標を65%以上と掲げておりますが、実績は「-」になっています。今、実績を取れないことについて御説明します。20143月に制度改正をしていて、再就職支援奨励金については、45歳以上について、従来は離職後5か月以内に再就職した者を支給対象としておりましたが、その要件を緩和し、離職後9か月以内に再就職した者に緩和いたしました。10月の時点では、まだ4月から9か月たっておりませんので、奨励金の支給実績が計上できないため「-」にしております。

 マル2産業雇用安定センターの出向・移籍の成立率は、目標60%以上に対し、実績は61%ということで順調に推移しております。引き続き産雇センターにおける、出向等支援協力員によりきめ細かなアドバイスやカウンセリング等を実施することで、この目標水準を上回っていることについて維持していきたいと考えております。

 資料No.3-29ページに進んでください。資料No.3-1は、3「若者の就労促進」の所で3つの項目について御説明します。マル1ハローワークの職業紹介による正規雇用に結び付いたフリーター等の数です。年度目標は302,000人に対し、9月までの半年間の実績は158,841人ということで、目標達成に向けて順調に推移しております。学卒ジョブサポーターによる支援(正社員就職者数)の年度目標は大卒と高卒を合わせて183,000人です。それぞれ内数が大卒13万人、高卒53,000人という目標があります。10月までの実績で、それぞれ資料No.3-2にあるとおり108,000人余、76,000人余、31,000人余の実績が出ています。それぞれ目標達成に向けて順調に推移しておりますので、引き続きこの水準を維持したいということで頑張ってまいります。

 マル3新卒応援ハローワーク(正社員就職者数)については、目標98,000人に対し、10月までの7か月で58,354人ということで、これも目標達成に向けて順調に推移しております。引き続き、若者ハローワークをはじめとした支援拠点において、若者就労促進等を徹底してまいりたいと思います。

 最後に、資料No.3-212ページを御覧ください。資料No.3-12ページの一番下から御説明します。4「高齢者の就労促進」です。マル1高年齢も総合相談窓口でのチーム支援による就職率については、目標値が51.0%に対し、10月までの実績が62.7%ということで目標を上回っています。

 マル2シルバー人材センターにおける契約受注件数については、2014年度目標は360万件余の契約受注件数を掲げておりますが、9月までの半年間で、既に2268,292件ということで、これも目標達成に向けて順調に推移しております。今後も、シルバー人材センターにおける積極的な就業開拓を推進し、高齢者の就業機会の確保・提供に取り組む必要があると考えております。以上です。

○阿部分科会長 本件について、御質問、御意見がありましたら御発言ください。清水委員、どうぞ。

○清水委員 ハローワークに関する各種指標については、事務局の説明を伺う限り、就職率や求人充足率などの一部の指標を除き、多くの指標が年度途中としてはおおむね良好な進捗となっております。これは厚生労働省の施策の効果もあると思うわけですけれども、最大の要因は雇用情勢が回復基調にあるのではないかと思います。

 本日公表された、今年2月の雇用情勢の概況でも、完全失業率は3.5%、有効求人倍率は1.15倍であり、これはリーマンショック時に記録した過去最悪の水準であった5.5%、0.42倍というものに比べて大幅に改善しています。リーマンショック以降の職業安定行政は、いかに雇用の数を増やすか、失業を防止するかという観点からの施策が中心に据えられてきましたが、雇用情勢が回復基調にある今、職業安定行政についても新たな切り口で目標設定も含め、施策の在り方を考えるべきではないかと考えています。

 その際に重要な観点は、雇用の質という点であると思います。そうした意味で、次年度以降の目標の設定にあたっては、例えば正社員での雇用労働者数など、雇用の質、雇用の中身に関する目標設定が必要であると思います。例年どおりであれば、夏以降に本分科会の審議を経た上で、次年度の目標を設定することとなりますけれども、その際には是非雇用の質という観点を踏まえた目標を設定するよう是非お願いしておきます。

○阿部分科会長 その他にいかがでしょうか。高橋委員、どうぞ。

○高橋委員 私も1点意見を申し述べます。資料No.3-26ページのマル1の目標です。先ほどの説明のとおり、まだ実績が出ていませんと。なぜならば備考2にあるとおり、確認には相当程度の時間がかかります。この目標は来年3月に年度が締まった後も、またその実績値に相当程度時間を要する目標です。中間評価を行って、それでチェックをして、また更に行政からしっかり対応していただくのは好ましいことだと思います。中間評価ができないような目標を立てることには余り意味がないのではないかと思います。来年度の目標設定に当たっては、中間評価も可能となるような目標を立てていくという考え方も十分踏まえ、この場で皆さんで御審議をしていただきたいと思います。

○阿部分科会長 ほかにはいかがですか。松原委員、どうぞ。

○松原委員 「失業なき労働移動の推進」の所で質問させていただきます。

年度目標には、産雇センターの出向・移籍の成立率が掲げられていますが、一方、政府では失業なき労働移動という名目で、民間人材ビジネスへ資金を流し込むと言わざるを得ないような労働移動支援助成金の大幅拡充を行っていると認識しております。この点、「失業なき労働移動の推進」ということであるならば、まずは産雇センターが労働市場の中で機能を発揮させていくことが第一義にあるのではないかと認識しております。

 そういう中で、現在、産雇センターの労働市場におけるプレゼンスをどのように発揮しているのか、厚労省の認識を伺いたい。つまり、現在、労働市場全体としては年間で約300万人程度の転職・入職数があるわけですが、その中で産雇センターによる出向・移籍のあっせんの成立件数がどのぐらいを占めているのか。その上で、厚労省としては、産雇センターの労働市場におけるプレゼンスをどのように評価しているのか、この点を教えてください。

○阿部分科会長 御質問ですのでお願いします。

○雇用開発企画課長 産業雇用安定センターのプレゼンスの関係ですが、正にこれは出向・移籍をあっせんするということで、企業間でこれをあっせんすることにより、失業なき労働移動をダイレクトに実現するという機能を持った機関かと思います。ハローワークのほうは、求職者個人、求人者個人を扱ってマッチングするわけですが、企業同士のマッチングで、失業期間をできるだけ経ない形で労働移動を図るということで、大変高い機能を果たしています。我が国の労働慣行にとって、なくてはならない存在であると思っております。

 その実績ですけれども、平成25年度で9,400件の移籍・出向を実現しております。おっしゃるとおり、労働移動全体、入職者の数で数えると294万人います。そのうちの9,400人という数字ですけれども、ものの見方として、例えば出向で移動した人の数を、雇用動向調査で捉えてみると15万人なのです。15万人のうち9,400人と考えていくと、これは相当な数で大体6%ぐらいになります。この6%というのは、一度企業間で出向のルートが出来上がると、2年目以降は、わざわざ産雇センターを経由しなくても、バイで調整をして、次の労働者を送り込むことができます。新規、新規で、どんどんこの6%を開拓しているという実態から見ると、これは相当高いパフォーマンスを挙げているのではないかと私どもは評価しています。

 産雇センターについては、もっともっとこれを拡充し、失業なき労働移動の実現に向けて私どもも頑張っていかなければいけないと思っております。

○阿部分科会長 松原委員、よろしいですか。

○松原委員 はい。

○阿部分科会長 ほかに御質問がなければ、皆様のお手元にも意見記入用紙があります。各委員におかれましては、本日御指摘の点以外にも、意見がありましたら410日までに事務局まで追加で御提出していただいて結構ですのでお願いいたします。当分科会としての中間評価については、本日の議論及び追加で御提出いただいた御意見を踏まえ、私と事務局で相談して取りまとめたいと考えておりますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。次に移ります。議題の「その他」として資料が配布されております。事務局から説明をお願いします。

○雇用政策課長補佐 「その他」ということで、今般、地方創生の一環として、平成27年度税制改正において、地域再生法の改正を前提として、雇用促進税制の拡充を含む、地方における企業拠点の強化を促進する税制措置を創設いたしました。地域における良質な雇用の場の確保に対し、税制上の優遇措置を講ずることとなりましたので、その内容を御報告いたします。

 なお、説明に先立って地域再生法の改正法案については324日に閣議決定がなされており、今後、地域再生法改正法案の成立後、これは内閣委員会で審議することになりますが、成立後にパブリックコメントを実施し、本税制の施行に必要となる雇用促進税制の省令様式の改正を行う予定です。併せて申し上げます。

 資料No.4を御覧ください。カラー刷りの一枚紙の左側の下の所の、従来の雇用促進税制について説明が必要ですので若干触れさせていただきます。現行の雇用促進税制は雇用増加数5人、中小企業の場合は2人以上ということと、10%以上その企業で雇用の増加等が認められるという要件が課せられております。要件をクリアした場合に、雇用増加人数1人当たり40万円の税額控除が受けられる制度があります。

 これについて、今回は地方創生の観点で、2段階の上乗せ措置が認められました。1段階目が、左側の「拡充型」と書かれている措置です。具体的な内容は、地方における事業拠点で雇用者を増加させた場合に、増加雇用者1人当たり50万円の税額控除を行うということです。52人要件についても、1人以上増えていればいいということで要件緩和をしております。

 現行では10%以上の雇用増という要件がありましたけれども、これを満たさない場合であっても増加雇用者1人当たり20万円の税額控除が受けられることになっています。

2段階目の上乗せ措置は、右側の「移転型」です。本社機能を東京23区から指定の地域に移転させた場合に、拡充型に加えてマル2の雇用増1人当たり30万円の税額控除の上乗せになります。この30万円部分の上乗せ措置については、要件を満たせば3年間継続可能ですので、下の図にあるとおり初年度は30万円+50万円ということで最大80万円までの税額控除。3年間では80万円+30万円+30万円で最大140万円の税額控除が認められております。説明は以上です。

○阿部分科会長 本件について、御質問、御意見がありましたら御発言ください。特にはないようですので、予定されている議題は以上で終了いたしました。他に御発言はありますか。ないようですので、本日の分科会はこれで終了いたします。本日の会議に関する議事録については、労働政策審議会運営規程第6条により、分科会長のほか2人の委員に署名を頂くことになっております。つきましては、労働者代表の勝野委員、使用者代表の高橋委員にお願いします。本日はどうもありがとうございました。

 


(了)

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