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2014年12月25日 平成26年度第7回化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

○日時

平成26年12月25日(木)15:30~


○場所

厚生労働省専用第12会議室(12階)


○議事

○高村化学物質情報管理官 今から、第7回健康傷害防止措置検討会を開催いたします。本日は年末押し迫る中、大変お忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。本日は名古屋委員が御欠席ということで、御連絡をいただいております。

 それでは菅野先生に座長をお願いしておりますので、以下の議事進行につきましては菅野先生、お願いいたします。

○菅野座長 本日も、よろしくお願いいたします。まず、議事次第と資料の確認をお願いいたします。

○高村化学物質情報管理官 お手元に議事次第を1枚目に置いてある資料1綴り、御用意しております。委員の先生方には前々回、前回と同様にこれまでお配りしている参考資料等を1綴りでファイルに綴じたものも併せて置いてあります。

 議事次第で1綴りにしたものについて御説明をさせていただきます。まず、議事次第ということで、本日、議事はナフタレンの措置の検討についてとリフラクトリーセラミックファイバーの措置の検討についてということで予定をしております。配付資料一覧ですが、資料につきましては今、お手元にお配りしたものということで、資料1、資料2、資料3ということで用意をしております。資料1につきましては資料1-1、資料1-2、資料1-3、資料1-41綴りとしてそれぞれ資料1につきましては1ページ目が資料1-1、資料1-211ページ目から、資料1-317ページ目、資料1-419ページ目となっております。

 資料2ですが、資料2-11ページ目、資料2-211ページ目、資料2-3、これは委員の先生の非公開の資料ということで、別綴りでA3の形で御用意をしています。

 それから資料3ということで、こちらも別綴じで、パワーポイントを1枚に2つずつ打ち出したものの2枚ものです。それぞれ、右下にページを振っております。

 その他、今回、そのファイルに綴っているもの以外に、参考資料4ということで、こちらも実際の事業所さんのデータ等、入っておりますので非公開の資料ということで机上配布としておりますが、参考資料4ということでばく露調査の結果ということでA3の形で、次ページに実際に測ったところの現場の写真も併せて付けております。

 こちらが配付資料ですが、その他に本日、セラミックファイバー工業会のほうで御用意いただいている資料3についてカラーで打ち出していただいているものを机上に置いてあります。

 また、本日御欠席の名古屋委員のほうから事前に御意見ということで表裏A41枚のものを頂いておりますので、そちらについても配布しておりますがお手元にない方は。こちらについても委員限りで配布をさせていただいております。

○菅野座長 それでは、資料、お揃いでしょうか。

○高村化学物質情報管理官 お手元に資料1を御用意ください。まず、前回、提出いたしましたナフタレンの蒸気圧をお示しして、蒸発したナフタレンの濃度についての推計ということで蒸気圧だけでは不十分というお話もありましたので、資料1-3にナフタレンを含む混合有機溶剤についてのナフタレンの飽和蒸気圧濃度に含まれるナフタレンの飽和蒸気圧濃度ということで、少し計算したものを用意しましたので、こちらについて、まず説明いたします。

 資料117ページです。このナフタレンを含む混合有機溶剤の飽和蒸気圧濃度を考え、この溶剤の蒸気が飽和している場合のナフタレン濃度を以下のとおり換算できるということで、ナフタレンの蒸気圧が25℃で0.01kPaということで計算をしております。また、今回計算に用いた混合有機溶剤中のナフタレン濃度は14%ということで置いております。このナフタレンを14%含む混合有機溶剤を理想液体と仮定いたしますと、この溶剤におけるナフタレンの飽和蒸気圧は、モル分率×蒸気圧ということになります。

 また、ほかの溶剤を構成する物質の分子量が基本的にはナフタレンとほぼ同じくらいだと考えられることから重量%がそのままモル分率、そのままというか重量%、要は14100で割ったものがモル分率になると置いて計算しております。ということで、0.01kPa×0.14ということで、混合溶剤におけるナフタレンの飽和蒸気圧は0.0014kPaということで、この飽和蒸気圧を用いて飽和蒸気圧濃度を2段目の所で求めております。この飽和蒸気圧濃度は、飽和蒸気圧を大気圧で割ったもので求められますので、0.0014kPaを大気圧101Paで割りますと10ppmという値が求められます。

 このため混合有機溶剤を使用する際、作業環境における最大ナフタレン濃度、蒸気が飽和しているという状況ですが、約10ppmということで推定できます。ということで、スプレー塗装等の液滴が発生しない環境であれば、最大濃度を約10ppmと推定できるのではないかと考えております。なお、ここでは違う言葉を使っておりますが、スプレー塗装、吹きつけ塗装の場合は、液滴が空気中にある限り、この濃度を超えることができると考えられるので、ばく露濃度を実測しております。

 実測した結果については、資料1-4です。今回、御協力をいただいたのが1事業場様です。測定した作業者は5名の方にお願いすることができました。5人の方のデータを棒グラフで示しております。これはTWA8時間で測定値を換算した濃度ということでお示ししております。5人の作業者のうち最もばく露濃度が高かった方が0.014ppm0.0097ppm0.0059ppm0.0026ppm0.0025ppmという測定結果が得られております。具体的な作業内容については、先生方のお手元にお配りしております参考資料4で御確認をいただければと思います。

 先ほど実際に測定をしていただいた中災防の方に確認をしたところ、この吹きつけ塗装で使っている塗料中のナフタレン濃度は0.8%程度だということで、ただ冬場ということで、季節によって少し、使用している濃度が0.81.6%に変化するということで、お話を聞いております。今回、5人の方について測定ができておりますので、吹きつけ塗装についての統計データも何とか得られるということで、この吹き付け塗装に限定した形での区間推定上側限界値も求めていただいております。対数正規分布に適合するかどうかというところについては、適合するということで得られておりますので上側限界値を求めたところ、0.033ppmという結果が得られております。

 このような結果を踏まえまして、資料1-1健康障害防止措置の検討シートのリバイスをいたしております。4ページ目までは前回と同様の内容になっております。5ページです。(1)対象物質と作業です。適用除外の作業ということで前回お出ししたものから少し変更いたしております。適用除外作業と考えられるものということで、「液状ナフタレンを密閉状態で取り扱う作業及びナフタレンを含有する混合有機溶剤を取り扱う作業のうち一部の作業」ということで、基本的には混合有機溶剤をそのまま取り扱う場合、いろいろな作業があると思いますが、少なくとも常温で取り扱うものについては、ばく露リスクがそれほど高くないのではないか、ばく露のおそれのない作業ということで考えられるのではないかといことで、こういう形で入れております。措置内容については、前回お示ししたものと変わっておりません。

8ページです。(3)留意事項の丸数字1リスクが低いとされた作業にかかる規制の考慮です。今、適用除外作業ということで入れているものについて、リスク評価結果の概要を少し変更しております。液状ナフタレンを密閉状態で取り扱う作業については、液状のナフタレンは高温状態で取り扱う必要があることから密閉設備での取扱いとなり、こうした作業の性質上ばく露リスクは低いと考えられるということで、規制の考慮の減免の判定については可ということで案を作っております。

 その下の混合有機溶剤に溶けている状態のナフタレンを取り扱う作業のリスク評価結果の概要です。ナフタレンは蒸気圧が低く小さいことから、混合有機溶剤等に溶けているナフタレンの蒸発量は常温では極めて少ないと考えられるため、当該溶剤等を用いる作業のうち一部の作業、これは常温ということを考えておりますが、ナフタレンのばく露リスクは低いと考えられる。こちらについても、減免の判定については可ということで案を作っております。

 その上で、10ページに措置の導入の方針を一文入れておりますので読み上げます。ナフタレン及びナフタレンを含む製剤、その他のものを製造又は取り扱う作業については、リスク評価における有害性の評価及びばく露評価の結果を踏まえ、健康障害防止のため特定化学物質障害予防規則の「アクリルアミド(特定第2類物質)」と同様に作業環境測定の実施や発散抑制措置等を講じることが必要である。なお、液状ナフタレンを密閉状態で取り扱う作業及びナフタレンを含有する混合有機溶剤を取り扱う作業の一部の作業については、措置検討の過程において、その物理的性状等から蒸気等へのばく露リスクが認められなかったため、これらの作業については、ばく露のおそれのない作業として差し支えないものと考える。

 また、ナフタレンはヒトに対して発がん性の可能性があることを勘案し、作業の記録の保存(30年間)等が必要となる特化則の特別管理物質と同様の措置を講じることが必要である。更に同物質については、吸入ばく露のほか皮膚刺激性がありヒトに皮膚炎を起こす場合もあることから、健康障害防止措置の検討に当たっては皮膚の保護等の措置を併せて検討する必要がある。ということで、措置の導入方針を作っております。

(2)規制導入のスケジュールです。これは最も早く準備等が進んだ場合のスケジュールです。平成276月頃にパブリックコメント改正案について実施し、8月頃に改正政令、規則の公布を行い10月頃改正政令、規則の施行、一部の措置については猶予期間、経過措置を設けるということです。最も早いスケジュールとしては、こういうものが考えられるということで案を作っております。

 なお、前回の議論の中で、密閉状態で液状ナフタレンを製造、取り扱う作業についての中で、サンプリングやストレーナー清掃、ローリーでの受入れという作業もあります。これらについてどのように考えるかということで御意見を幾つか頂いたと思いますが、今回の検討の場でもそれについてどのように考えていくべきかということで、御意見を頂ければと考えております。検討に当たっては参考資料に用意しております、ばく露プロフィールを改めて御確認をいただいた上で御意見を頂ければと考えております。よろしくお願いいたします。

○菅野座長 ナフタレンの検討シートの内容について御審議いただきたいと思います。まず、措置内容について御意見を頂戴したいと思います。措置内容は5ページでしょうか。

○保利委員 先ほどの資料1-3で分かったのですが、これは25℃で0.01Paでよろしいのですか。

○高村化学物質情報管理官 はい。

○保利委員 資料1-120℃で11Paというのがありますが、大した問題ではないのですが。常温であればそれほど濃度は高くならないということですね、それはいいと思うのです。資料1-1の適用除外で一部ということにしていますが、常温としてはまずいのですか。

○高村化学物質情報管理官 そうですね。今回お出しする際に少し比較的に広く読めるような書き方ということで出しております。特に考慮すべき作業がなければ事務局として把握しております作業について、基本的には常温であれば大丈夫ではないかと考えております。

○保利委員 例えば、8ページでナフタレンの作業名と作業の概要では、そこでは常温とか一部というのは概要の所には入ってこない。そうするとそこだけ見ると、混合溶剤として扱う場合にはいいのかと思ってしまう感じがします。

○高村化学物質情報管理官 すみません。そこは両方、一部の作業ということで付け加えたいと思います。

○菅野座長 措置内容で申し上げましたが、今、8ページの(3)留意事項についてコメントを頂きましたので、こちらについても合わせてよろしくお願いいたします。閉鎖系の取扱についてもよろしくお願いいたします。

○唐沢委員 10ページの5の措置の導入方針の所までいってもよろしいのですか。

○菅野座長 はい。

○唐沢委員 5(1)で、これは表現上の問題だけですが、3行目に「以下特化則という。」の「アクリルアミド(特定第2類物質)」と同様にと書いてあります。これは、要するに特定第2類物質の1つとして作業環境測定での実施や発散抑制措置等を講ずることが必要だという意味ですよね。アクリルアミドは単に特定第2類物質の例示に過ぎないわけでしょ。だから、読む人が見るとなぜここでアクリルアミドが出てくるのかと奇異に感じます。例えば、今言いましたようにアクリルアミドではなくて、特定第2類物質の1つとしてと表現されたらいかがかと思います。

○菅野座長 それはよろしいですか。

○高村化学物質情報管理官 そうですね。アクリルアミドを消した形で特定第2類物質と同様にということで、措置の内容として「特定第2類物質と同様の措置」ということでいたしたいと思います。

○唐沢委員 いきなりアクリルアミドが出てくると、ちょっと。

○角田化学物質評価室長 従来、DDVPのときですね。去年少しそのような表現をしていましたので、それに少し倣ってしまいました。今のような形で修正をしたいと思います。

○保利委員 この前も言ったかもしれませんが、1ページの対処後の製造のところは定量確認値以下なのですが、ここは例外にはしないということですか。

○高村化学物質情報管理官 基本的には製造の所は全て密閉状態で取り扱われるということで。

○保利委員 これは、密閉のところに入るのですね。

○高村化学物質情報管理官 はい。

○菅野座長 製造は閉鎖系だと思いますが、先ほど御指摘がありましたサンプリングやストレーナーの清掃などの作業について、除外するといいますか、それでよろしいとお考えですか。よろしいですか。

○唐沢委員 短時間だし、そんなに頻度のある作業ではないと思いますので、やむを得ないと思います。

○菅野座長 そうしますと、常時行っていない作業についても、ばく露量としては時間が短いために小さくなるという理由で除外するということでよろしいですか。措置内容については、前に提示いただいた所と変更はないということですが、追加あるいは削除するというような項目はありますか。あと、個別の内容ではなく全体に関する御意見等があればお伺いしたいと思います。

(意見なし)

○菅野座長 それでは、今のところ御意見はないようですので、ここで一旦、ナフタレンに関する検討は終らせていただきまして、リフラクトリーセラミックファイバー(RCF)の措置の検討に移ります。本日もセラミックファイバー工業会が行っていただきました試験結果を御説明いただくということになっておりますので、事務局から御紹介お願いいたします。

○高村化学物質情報管理官 本日も前回に引き続きセラミックファイバー工業会で行っていただいた試験結果について、工業会から3名お越しいただいて御説明をいただくことにしておりますので、よろしくお願いいたします。

○菅野座長 それでは、よろしくお願いいたします。

○日本セラミックファイバー工業会 本日、前回に引き続きまして発じん性の防止処理品の取扱い時の作業環境の測定を行ってまいりました。資料3を環境委員長の戸塚から説明させていただきますので、よろしくお願いいたします。

○日本セラミックファイバー工業会 毎々、小出しで申し訳ございません。資料32ページを御覧ください。枠の付いた所です。一番右の枠は湿潤化製品ということで前回お話いたしました。真ん中の4つの製品群に対して枠を付けているうち、青い枠の欄のボードについては前回お話いたしました。それ以外のフェルト、成形品、成形品についてはこのような形のコーン。それからスリーブについては、発じんの防止処理をしたものと、そのままのもの。それからペーパーの5種類について実験をいたしました。

 発じん防止処理装置の実験としては、下のページに書いてあります、前回と同様の試験。セラミックファイバー製品の取扱作業として、ここではセラミックファイバーボードの単純取扱と書いてあるのですが、今回については先ほど言いました5品目の単純取扱作業を2m×2m×2.8m、非常に小さな狭い居室で模擬的に実施して、その際のRCFの発じん状況を確認しております。

 測定位置及び製品の状況です。何度も申し上げますが測定については、その際には換気を一切止めておりますので、全く換気のない状態で作業をしております。今回の作業もこういう品物をおおよそ1520用意しまして、最初は、それを箱から取り出して机の上に並べる。実際にその作業だけですと10分足らずで終わってしまいますので、取り出した物を横持ちするという作業を行いまして合計20分間の測定を実施しております。

 今回は、前回は発じん防止品を主に取り扱ったのですが、下の写真に書いてありますように、真ん中のスリーブの発じん防止品以外は、発じん防止等の硬化処理を全く行っていない製品です。取扱実験の様子としては、そのような形で前回同様行っております。最終ページの所に測定結果を掲載しております。成形品としては、押し出し成形品なのでスリーブとコーンです。どちらも一部スリーブの発じん防止処理を全くしていないもの、それからコーンについても一部だけカウントされた物はありますが、いずれも評価値の0.210分の1以下となっております。また、ペーパーとフェルトは定量下限以下という形になっております。

 前回、報告のボードと併せますと、全体的にこのような結果となっておりまして、ボードについては発じん防止をしないと若干、濃度レベルが上がっておりますが、それ以外の物については発じん防止、つまり表面を硬化させなくても濃度レベルが低いことが確認されております。なお、ボードについても実際に実験室内ではこの数値になっているのですが、20分間ずっとボードを取り扱うという作業は実際の工程では多分、見受けられないと思います。以上、報告いたします。

○菅野座長 ただいまの御説明について御質問等がありましたらお願いいたします。

○唐沢委員 実際にばく露濃度測定を行っていただいたのですが、それを実施した機関は、例えば作業環境測定機関に御依頼されたのですか。

○日本セラミックファイバー工業会 セラミックファイバー工業会でやっております。その実施に当たりましては、作業環境測定士がセラミックファイバー工業会の会員各社におりますので、作業環境測定士が実施しております。

○藤間委員 今日の御説明とは離れるかもしれませんが、いろいろなRCFの製品の解体時に発じんを防止するための薬液の処理に、アスベストと同じ形で薬液による飛散防止は可能ですか。

○日本セラミックファイバー工業会 これは一般的に主に工業炉で使われる製品ですが、工業炉は小さい物から大きい物があります。結局、全体を隔離するですとか、完全に密閉化するというのは不可能です。したがって、アスベスト並の吸引でばく露するというのは実情にそぐわないと思っております。

○日本セラミックファイバー工業会 実際には実測をしたことがありませんので何とも言えません。飛散処理防止剤を使うということは、まず湿潤である程度ができるわけですので、そのこと自体は炉を解体してしまうのであれば、特に何かしらの対策はできると思います。私は、よく詳しいことは存じ上げませんが、炉材の補修で、またその炉自体は使って、次に炉材だけを取って新しく貼り直すというときに、それが実際にできるかどうかというのは、炉によって、炉が少しでも湿潤化してしまうとよくないとか、薬液があるとよくないという制約があると思います。

 全ての物にできるとは思いませんが、完全解体の物なら何らか、そのような対策は可能ではないかとは思います。ただ、発じん防止剤は、アスベストの物がそのまま使えるとは思いません。

○藤間委員 ありがとうございます。

○菅野座長 ほかにはいかがでしょうか。それでは、どうもありがとうございました。続きまして、措置の検討を行いたいと思います。事務局から資料の説明をお願いします。

○高村化学物質情報管理官 それでは、資料2-1です。検討シートのリバイスした部分について御説明いたします。まず、4ページの3(1)必要な健康障害防止措置(事務局案)ということで、措置内容についての変更点等を御説明いたします。

 上から順ですが、特別教育について、前回までマスクの着用を義務付けるということもあり、特定粉じん作業と同様にこういった特別教育の義務化という措置を「○」という形で付けておりました。一方で、作業管理で作業主任者を選任する特化物を想定しておりますが、特化物で特別教育を求めているものがないということで、作業主任者のほうでの管理、労働衛生教育で呼吸用保護具について、しっかりと教育していただくことを周知をするということで、特別教育については、この措置内容には設けないということで、この部分については案を変更しております。

 続きまして、作業の湿潤化ですが、これは前回同様、解体作業については作業の湿潤化の措置が必要だということで「○」を付けております。そのほか、その下に作業場所以外への飛散防止のための措置ということで、この措置内容については湿潤化等も含まれるとは思いますが、要は作業場所以外に飛散していかないような囲いを設ける等の飛散防止のための措置が施工・補修・解体には必要ではないかということで、この3つの作業について「○」を付けております。

 そのほか変更点については、前回もお話の中ではいたしましたが、呼吸用保護具の使用は、作業管理の下のほうで色が付いておりますが、こちらで製造加工、客先での作業にならないようなものについては、場の管理を工学的な措置をきっちりととっていただくということで、呼吸用保護具の使用等について、措置は必要ではないということで「-」とし、一方で施工・補修・解体については、こういったものを措置内容として必要ということで「○」としています。同様に保護衣の着用及びその適切な処理についても、同じような考え方で「○」を付けております。

 関連しますが、6ページで今回措置内容から落した部分について、考慮すべき事項ということで6ページの(2)ですが、考慮すべき事項に付け加えております。1つ目に、特別教育で考えておりましたが、労働衛生教育で保護具の着用の義務化に伴い、保護具に係る内容が労働衛生教育で不足なく教育されるべきといったことについてきちんと考慮すべきということで書き加えております。

 作業環境測定ですが、炉の施工等など短期間の作業については、作業環境測定の対象とならないが、作業条件の記録のため、作業実施中に作業環境中のRCFの濃度を測定把握することをガイドライン等で促進すべきである。こういった形で濃度の把握について事業者にやっていただくということで促していることを考えていきたいということで、こういった案にしております。

 続きまして、7ページの(3)留意事項丸数字1リスクが低いとされた作業に係る規制の考慮ということで、事務局提案のものです。下の段のペースト状等の湿潤化された製品の取扱作業については、前回御議論いただいて、ここについては、のり状のもので、当該製品の取扱作業についてはリスクが低いと。それのみを吸り扱う場合ということですが、リスクが低いと判断できるということでさせていただいております。

 上ですが、セラミックファイバー工業会から模擬試験のデータを頂いておりまして、これについて少し反映した形で書いております。

 対象の製品について、今の御説明ですと、バインダー等で処理していない成形加工品についても、模擬試験の結果では、ばく露濃度はかなり低いと出ておりますので、その辺りについても御議論いただければと考えています。

 今のこの案では、バインダー等で処理された成形加工品等、発じんのおそれのない製品を切断等の加工をせずに取り扱う作業について、模擬的な作業環境測定を行った結果、評価値の10分の1程度の発じんしか見られなかったということで、リスクが低いと判断できるとしております。

 この対象製品、発じんのおそれのない製品をどこまで見るかというところが、少し御議論のあるところかと考えております。よろしくお願いいたします。

 続きまして、こうしたことを受けて9ページの措置の導入方針を事務局案ということで入れておりますので、読み上げさせていただきます。

RCF及びその製剤、その他のものの製造取扱いを行う作業については、リスク評価における有害性の評価及びばく露評価の結果を踏まえ、RCFの吸入性粉じんによる健康障害を防止するための措置を講じる必要がある。このため、RCF及びその製剤その他のものについて、特定化学物質障害予防規則の特定化学物質管理第2類物質と同様の処置を講じることが必要である。

 また、RCFが、ヒトに対して発がんの可能性があることを勘案し、作業の記録の保存(30年間)等が必要となる特化則の特別管理物質と同様の措置を講じることが必要である。

 更に、措置内容の検討の過程において、RCFを断熱材等として用いた炉等の施工・補修・解体等の作業については、短期間の作業である場合が多い反面、作業の性質上、発じんのおそれが高いため、発散抑制措置等による場の管理を基本としつつ、別途呼吸用保護具の着用を義務付けるなどのばく露防止措置、また湿潤化等による作業場外への飛散防止措置の規制化が必要である。

 その他、除じん装置からの粉じん回収や床、器具、作業服等に付着した粉じんが舞い上がることによる二次発じんによる健康障害を防止するため、床の清掃や作業場外への持ち出しを防ぐための措置を講ずる必要がある。なお、措置内容の検討の過程において、バインダー等で処理された成形加工品等の発じんのおそれのない製品を、切断等の加工をせず取り扱う作業においては吸入性粉じんへのばく露リスクが認められなかったため、ばく露のおそれのない作業として差し支えないものと考える。ということで案を作っております。

 規制導入のスケジュールですが、これもナフタレンと同様に、最速で準備が進んだ場合ということでスケジュール案を作っております。スケジュールとしてはナフタレンと同様のものとなっております。資料2-1の説明は以上です。

 続きまして、事務局から名古屋委員から事前に頂いております意見を簡単に御紹介いたします。先生方のお手元に詳しく書いていただいているものがありますので、そちらを御確認いただければと思います。

 名古屋委員からは「解体、改修及び施工作業時の濃度測定と防じんマスク等について」ということで御意見を頂いております。マスクの関係ですが、そういった作業時において測定を行わない場合には、電動ファン付きの呼吸用保護具を着用することを義務付けるべきではないかということ。また一方で、測定を行った場合は、その測定結果から防じんマスクの防護係数を求め、それに対応した防じんマスク等を選定する形で対応を考えたらどうかという御提案を頂いております。

 一方で、仮に測定した場合においても、測定結果が届くまでは現場の濃度状況が分からないので、その場合でも結果が届くまでの間は電動ファン付き呼吸用保護具を、取りあえず装着させた上で、測定結果を受けて防じんマスク等の選択ということで、御提案を頂いております。

 もう1つ、作業の湿潤化について、解体作業の湿潤化として、今、事務局でも案を挙げておりますが、一部の電気炉については、解体においても電気配線があるために湿潤ができない炉があるということで、御自身の経験からあるのではないかということで、御意見を頂いております。併せてそういったものについて、どういった対応が考えられるのかというものも含めて、炉のメーカーに確認をしてもらいたいという御意見を頂いております。

 そのほか、解体現場での測定に関して、先生のほうからは解体現場ではRCFのほかに、著しく粉じんが飛散しているのではないかということ。特にRCFの場合は、粉じん中に遊離けい酸(クリストバライト)が多く含まれるのではないかということで、そういったものもきちんと配慮すべきではないかという御意見を頂いております。

 また、解体の作業における工学的な対策で、粉じんが非常に多いことから、解体中の粉じん濃度を、粉じん測での粉じんの管理濃度以下で管理することはなかなか難しいのではないか。場の管理ということで難しいのではないかという御意見を頂いております。

 一方で、改修及び施工についてはRCFが主体で、粉じんについては特に考慮する必要はないのではないかということで頂いております。

 最後に、解体現場等で測定や工学的対策を実施することが必要であることは十分理解されているということですが、一方で、湿潤化、電動ファン付きの呼吸用保護具等の現場作業の状況に対応した防じんマスクで作業者の健康が維持できるのであれば、そこについては義務化を着実にすべきという御意見を頂いております。

 そういった対策については、ほかにあるのならということで追加することは考えることもできるのではないかということで、先生のほうからは、これから先、作業者は長い間作業を継続されるということで、作業者の健康がしっかりと守られる対策が優先、かつそれが実現できる範囲で現場の負担の軽減もしっかりと考慮していただければという御意見を頂いております。細かいデータと、先生から示されているデータ等については、お手元の資料を御確認いただければと思います。よろしくお願いいたします。

○菅野座長 どうもありがとうございました。それでは、RCFにつきましても、4ページの措置内容について、御意見を頂きたいと思います。先ほど一部修正と言いますか、手直しがありましたということですので。

○唐沢委員 4ページの措置内容の特別教育については、特定化学物質障害予防規則上、特定化学物質を製造し、又は取り扱う作業については、作業主任者の選任が義務付られているので、それに加えて特別教育というのは例がないという説明だったと思いますが、私はそうであっても、特別教育をしてはいかがかなという意見だったのです。残念ですが、そういうことであればしょうがないかなという感じがいたします。

 ただ、6ページの(2)の最適な対策の労働衛生教育で「保護具の着用の義務化に伴い、保護具に係る内容が不足なく教育されるべき」というのは、これはこれで構わないのですが、それに加えてRCFの有害性とか、名古屋先生もちょつと触れておられますが、イギリスの文献では、長年使っている炉の内部ではRCF等の一部がクリストバライトに変化しているということも書いてありますから、そういうことも含めて、労働衛生教育の中で対応していただけるようにしていただければ有り難いと思います。これは要望事項ですがお願いしたいと思います。

○高村化学物質情報管理官 それについては考慮すべき事項の所に記載したいと思います。

○菅野座長 いかがですか。些末なことですが、解体作業について、定期自主検査というのはどのように理解すればよろしいのですか。

○高村化学物質情報管理官 これは局排等の定期自主検査ということで、仮に局排等を設けた場合です。

○菅野座長 そういうことですか。

○高村化学物質情報管理官 はい、そういうことです。

○藤間委員 発散抑制措置の作業の湿潤化は名古屋委員もコメントされておられましたが、実際に完全に閉鎖するような工場であれば容易なのかもしれませんが、操業を続けたまま炉の解体や部分的にやる場合もあって、水に関する養生とかがちゃんとできるのかということがありまして、私どもも調べてみたのですが、できれば水を使いたくないという所はあるようです。そういう意味で先ほど質問させていただいた薬液などによる飛散防止の措置がもしとれるのであれば、そういうものも湿潤化等になるのかもしれませんが、飛散防止措置についてはいろいろな方法があり得るのではないかと思います。

 その次にあります作業場所以外の飛散防止という所は、多分に想定されているのは石綿のレベル3のような所での飛散防止と同じようなレベルのことを求めているのかと。成形板とか、そういうものの撤去のときの措置と同じような所なのかなと理解したのですが、それでよろしいでしょうか。

○高村化学物質情報管理官 おっしゃっている意味としては、もっと厳しい吹つけの石綿のように、密閉で、かつ除じん装置を付けてという厳しい所までではないのですよねということですね。

○藤間委員 そういうことです。

○高村化学物質情報管理官 想定しているのは飛散防止ということで、そういう意味では石綿則等で求めている除じん装置を付けて密閉してというところまでの措置を考えているわけではありません。

○菅野座長 項目が作業の湿潤化になっておりますが、断熱剤の湿潤化という意味ではないのでしょうか。

○高村化学物質情報管理官 すみません。そうですね。

○菅野座長 このように統一されているということでしたら、いいのですが。

○高村化学物質情報管理官 そうですね。はい。

○菅野座長 名古屋先生からメーカーに確認をというコメントがありましたが。

○高村化学物質情報管理官 そうです。もちろんそういった湿潤化がどうしても技術的にできないとか、製品の湿潤ができないとか、そういったものについてもやっていないことで、違反を問うということではありません。ただ、実態としてどういった状況にあるのかというのは炉のメーカーにも確認をしながら、措置の内容については検討していきたいと思います。可能な部分については、きっちりと発じん防止ということで湿潤化が必要ではないかという趣旨で「○」を付けさせていだいております。

○菅野座長 ほかにいかがでしょうか。

○田中委員 解体作業に関しては電動ファン付き呼吸用保護具の使用を義務付けるという形にするのは難しいのでしょうか。

○高村化学物質情報管理官 可能であれば団体のほうにも協力を頂きながら、炉の解体ではどういった状況なのかを、もう少し調べさせていただいた上で、適切な保護具の内容については考えていきたいと考えております。場合によってはその部分についてだけ先生方にお集まりいただいて、御検討いただくこともあり得るかなとは考えています。まずは適切な保護具ということで考えております。情況をしっかり把握した上で具体的なものについては考えていきたいということです。必要がありましたら、また先生方に御相談をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○菅野座長 そうしますと、本日保護具の選択方法について検討する必要はないということでよろしいですか。

○高村化学物質情報管理官 そうですね。

○菅野座長 それでは、適用除外の項目についてはいかがでしょうか。7ページ、(3)留意事項です。丸数字1の切断等加工等せず取り扱う作業という所に、製造以外で施工とか補修も入っているのですね。

○高村化学物質情報管理官 はい。

○菅野座長 そうしましたら、この成形品を取り付けるときに、どのようにして固定しているのかについてお伺いしたいのです。ボードの場合、支柱があって穴を通すような感じだったような気がするのですけれども。

○高村化学物質情報管理官 そういう意味では切断等加工の中に、そういった形を変えるような作業は入ってくると考えています。穴を開けたりといった作業が全くないようなもので据え付けることを考えていました。

○菅野座長 そうすると、少しでも加工した場合は除外されないと理解してよろしいということですか。分かりました。

○保利委員 バインダー等で処理された成形加工品等というのが、今日言われたこの4種類になるということですかね。

○高村化学物質情報管理官 この表現で、それまで全部含められるかというと、そうではないのかなという気もしているのですが、今回のデータを基に発じんのおそれのないものというところで、バインダー加工した製品又は成形加工品といったものを、発じんのおそれのない製品としてはどうかと考えています。

○藤間委員 なかなか表現が難しいと思いますが、発じん防止品でないものについてもデータ的には飛散していないと。そういう意味で、これを成形品のどこまでという、多分、そこが論点だと思います。何かそういう性能要件的な意味での成形品という表現で、具体的に飛散しないことを1つの要件にした上での成形品と、そういう表現にはできないのでしょうか。実際、このプロセスとしてのバインダー等で処理されたという表現は確かにあるのですが、それとはまたちょっと違う意味での成形品もあり得るのかなと、それがこの実験の結果かと思います。

○高村化学物質情報管理官 ボードも含めて成形品と読んでしまうと、発じん処理をしていないボードまでは読めないかと思いますので、表現の工夫が必要です。若しくは線引きをどういう形でするべきなのかはあるかと思います。一方で、ここでの考え方としては、発じんのおそれのない製品というところで、それの例示として、現在分かっているものとしてはバインダー等で処理をしたもの、それから、今回いただいたような機械に合わせて形を作っているような成形加工品と、ここまでは言えるのかなと考えています。そういった例示を受けた上で、発じんのおそれのない製品ということで、こうしたものを切断と、そのほかの加工を伴わない作業については、ばく露のおそれがないのではないかと。そうした意味合いでこういう書き方をしています。

○森戸化学物質対策課長 1点だけ確認させていただきます。資料の3-3ページに発じん試験の実施方法がありますが、今般、発じんのおそれのない製品を開発しようと企業がしたときに、どういう製品ができたら、発じんのおそれがないと判断していいのかというのが必要になってくるような気がします。その場合に、今回のやり方が適切であるのか、ないのかということだと思います。先ほどの御説明では、ある意味で密閉をして作業を行うということでしたが、そうでなくて、この測定点からするとサーキュレーターか何かで空気を少し動かさないと、実際に発じんするか、しないのかの判断が本当にできるのかという問題もあると思います。こういった方法を定めることができるのかどうかもあるかもしれませんが、一定の方法が決まれば逆にそういった製品がどんどん開発されるようになる。そういう意味では対策としていい方向に進むのではないかと感じます。

○唐沢委員 この辺は大変微妙な部分で、あとで「しまった」と思っても困るわけですから、7ページの(3)の丸数字1は、ただいま対策課長がおっしゃったようなこともありますので、具体的に発じんすることのない品物について、できるだけ具体的、例示的に挙げておいて、通達にするのかよく分かりませんが、それをきめ細かに書いておいたほうがいいと私は思います。

○高村化学物質情報管理官 今回、少なくともこの検討シートの中では、措置検討の過程の中で得られた模擬の測定で、十分低いというデータが得られた製品を例示的に挙げさせていただき、そういったもの等を発じんのおそれのない製品として措置の検討シートにさせていただきたいと考えています。

○菅野座長 発じん防止措置をしているということですので、その効果を見積る方法は会社がお持ちなのではないかと思いますが、そういうことはないのですかね。つまり発じんを防止する処理があって、それをわざわざやっているということは、その処理をしたから効果があったというデータがないといけないので、実際に製造している会社がその方法をお持ちなのではないかと思うのですが、そういうことはないですか。

○高村化学物質情報管理官 前回報告の所でボードの発じん防止品と、あと発じん防止の処理をしていないものの比較が出ていると思いますが、それ以外にということですか。

○菅野座長 通常、発じんがどのくらい起こるかというのは、擦るとか何らかの機械的な力を加えて、どのくらい発じんするかを見るかと思いますけれども、今回、実験的にお示しいただいたのは環境濃度がどうかだけですので、発じん性を測る方法としては迂遠な方法ではないかと思います。

○櫻井委員 標準的な検査方法を、何らかの形で検討するべきだろうなとは思います。切断的等加工にも孔開けとか、外力を加えるいろいろな方法があると思いますが、そうするとこの程度発じんするけれども、外力が加わらなければ今回のようなデータかになると。それ以外に乾燥の状況や風など、何か標準化する粉じんテストというのはよくやりますよね。全てに標準化というのは難しいと思いますが、この成形品に特化した先ほどの製品開発という点からいくと、そういう標準法を開発することは望ましいことだろうと思います。それが条件でどうのこうのというところまでは言っていませんけれども。

○小野委員 発じんについて、標準化までは望まないというお話。

○櫻井委員 当面はですね。

○小野委員 RCFでなくても、いろいろなコンポジットで素材に入れたものが出るか出ないかというのは、特に今、ナノではかなりやられているのですが、それがどういう作業をするかによって発じんのパターンが全く違うというのが出ていますので、それを今、この時点でそういうデータで区分するというのは現実的ではない。将来的に、もしそういうことがあれば標準化の方向にいくのは、それはもう労働衛生ではない。製品の発じんということで別の枠になるような気がします。ですから、そういう認証制度があればそれを採用するのは簡単というか、いいとは思いますが、現時点では先ほど唐沢委員からお話があったように、テストしていただいたものでこういう状態になっていて、それと同等品のものということしか現実的にはないと思います。

○菅野座長 現時点では方法がないということだと思いますが、規則としてそれでいいのかどうか問題があるという唐沢先生の御指摘だったと私は思っています。

○保利委員 今回、ブロックなどはバインダーでありますよね。こういうのは今回のこれに入ることになるのですかね、テストはしなくても。

○高村化学物質情報管理官 先ほどの御質問とも少し関係するかと思いますが、ブロックはどちらかというと炉の耐火材等で使われていることを考えると、それだけではないのかなと思います。以前の資料の写真でもありましたが、必ず棒で刺して押さえるというような形で作業していたかと思いますので。

○保利委員 作業によると思います。

○高村化学物質情報管理官 そうですね。今回、工業会さんのほうでも、この部分についてはということで囲っている所から外れていますので、そういう意味ではブロックは入らないかなと思っています。

○菅野座長 そうしますと、この項目について現在できることは、例示をするということでよろしいですか。全体と言いますか、導入の方針も新しく作られたところですけれども、導入の方針についてはいかがですか。導入の方針の説明で湿潤化というのが入っていますが、私は、湿潤化自体はばく露防止措置の一部だと思っていたのですけれども、この文章ですと拡散しないというふうに。

○高村化学物質情報管理官 飛散防止のでしか受けていないので、ばく露防止の観点でも湿潤化については書きたいと思います。そこは修正させていただきます。説明からは漏れていましたが、呼吸用保護具の着用の義務化に伴って前回、櫻井委員から使用状況の記録をしっかり付けることが必要ではないかとありました。それにつきましては今回、着用を義務化することで作業記録の中に当然入ってくるものだと考えています。具体的にどういった形で措置を講じるかは、今後、検討していくべきことですけれども、1つには、作業記録の項目の1つとして例示して、しっかり付けていただくことも考えられると思います。

○櫻井委員 それについて、どう発言したものかと実は思っていたのですが、調べてみますと電離放射線則などでも保護具着用の記録の保存は書いていないのです。

○菅野座長 書いてないということですね。

○櫻井委員 ないですけれども、あってもいいだろうと思います。と申しますのは、過去のばく露を、できるだけ客観的なデータに基づいて判断することが必ず必要になるわけです。それは事業者側にとっても、あるいは客観的に判断する立場からも保護具の着用というのは非常に重要なデータなのです。ただ、これからスタートするのは、今、おっしゃったように具体的に作業記録の中で記録される。もう1つ、作業条件の簡易な調査の中で保護具の着用を聞くことを求めていますが、それははっきり明記されていない。

○菅野座長 健康診断にですか。

○櫻井委員 ガイドラインの中で。必ず個人の健診記録の中には載る方向で実行してもらえれば、そういう方向に行くと思っています。それは30年、石綿だと40年の記録の保存が求められているわけですし、いいかなという感じです。

○菅野座長 いかがですか。

○高村化学物質情報管理官 今、お話をさせていただいたように、義務化に伴って作業記録の中に当然入ってくるものだと考えています。この措置検討シートの中では、6ページの(2)最適な対策、導入にあたって考慮すべき事項に、今は入れていませんが、呼吸用保護具の所で着用記録についても、作業記録等の形で記録することが必要であることに触れたいと考えています。

○菅野座長 作業記録の中に入れるということは使用者側がと言いますか、作業員の方でない方が記入するということですね。そうしますと、どのマスクを使ったかも記録できる。つまり作業者の方ですと、防じんマスクを使いましたという記録しかできないかもしれませんが、使用者側でしたらマスクを特定して記録することが可能かと思います。

○高村化学物質情報管理官 はい。やり方はいろいろあるかと思いますけれども。

○菅野座長 ちょっと細かい話になり過ぎました。

○大前委員 9ページ、導入方針の最後の段落で、1つは、2行目に「吸入性粉じんへのばく露リスク」と書いていますが、これは吸入性粉じんではなくRCFではないですか。

○高村化学物質情報管理官 そうです。申し訳ありません。

○大前委員 もう1点は、この文章で「バインダー等で処理された成形加工品等の発じんのおそれのない製品を」とあり、発じんのおそれのない製品をやって発じんしないのは当たり前ですが、資料34ページの測定結果を見ると、前回報告のボードで発じん防止品が発じんしているわけです。今回、成形品でやった上から3つ目がスリーブの発じん防止品で1回やっていますけれども、これは1回だけで判断していいのですか。発じん防止品と言いながらボードで出ているではないですか。

○高村化学物質情報管理官 発じん防止品。

○菅野座長 前回報告という所です。

○大前委員 前回報告のボードの所で、発じん防止品という報告が出ていますよね。

○高村化学物質情報管理官 これは、発じん防止品でないものですね。前回報告のボードの一番下。

○日本セラミックファイバー工業会 一番下は、発じん防止をかけていないです。

○大前委員 いいえ、発じん防止品で0.02というのがありますね。

○日本セラミックファイバー工業会 はい。

○大前委員 だから、定量限界よりも上の数字が書いてあるわけです。0.014が定量限界なのですよね。

○日本セラミックファイバー工業会 はい。

○大前委員 0.02という数字があるということは、定量限界を超えているわけです。

○日本セラミックファイバー工業会 そうですね。個人ばく露につきましては0.016まで出ていますので、ここではそういうふうに書かせていただいています。

○大前委員 そういうことですよね。そうすると、発じん防止品でも発じんしているということではないですか。

○日本セラミックファイバー工業会 申し訳ありません、1本たりとて駄目と言われると。

○大前委員 いや、そういうことではなく、発じん防止品を使う分には構わないという言い方はいいのかということです。発じん防止と言われている製品を使っているから全部外していいというふうに、防止のほうに書いてあるわけですが、これはよろしいのですか。

○高村化学物質情報管理官 今までの御議論の中で、リスクが高くない作業として7ページは、発じんのおそれのない製品について、今回、テストしていただいたものを例示し、それを受けた形で発じんのおそれのない製品と書き直すことを考えています。それに伴って9ページの部分についても、その内容を受けた形で書くことになります。そういう意味では、発じん防止品なら何でもという標準化した形で現時点では書けないと思いますので、そういった形にさせていただきたいと思います。

○大前委員 多分、書くとしたら、成形加工品等の発じんのおそれのない製品を、切断等で加工せず取り扱う作業においてはRCFの濃度が十分低いと。ばく露が認められなかったからでなく、十分低くてリスクがないぐらいだったためと、そういうような言い方になるのではないか。

○高村化学物質情報管理官 発じんが十分低かったためということ。

○大前委員 ええ。リスクが小さいから除外していいということだと思います。発じんが認められなかったからではなく、少なくともボードでは出ているので出るけれども、十分リスクが低かったから除外可という書き方になるのではないか。

○保利委員 発じん防止品のリスクが、発じん性が非常に低いということだと思う。

○大前委員 もともとリスクが低いから除外しようと、そういう話だと思うので。

○高村化学物質情報管理官 そうすると、「ばく露のおそれのない作業」という表現も行き過ぎということ。

○大前委員 そうだと思います。

○菅野座長 「ない」ではなく、「小さい」と。

○高村化学物質情報管理官 はい。「おそれの低い作業」という表現で、ではナフタレンのほうも、そういう形でさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

○大前委員 もう1点、先ほどの解体のところですが、クリストバライトにほとんどなっているわけです。現実的にはほとんど繊維がなくなっていて、名古屋先生の経験だと20%ぐらいは遊離けい酸になっているということがあるので、解体のに関しては、今の段階で電動ファンマスクを使えと言っても私はいいのではないかと思います。御存じのように普通のマスクは漏れがいっぱいあるし、クリストバライトの粒径のことが全然分かりませんから、大丈夫なレベルなのかどうか分かりませんけれども、今の段階から解体については電動ファンと決めてしまったらどうですか。

○菅野座長 はい。粉じんの濃度が高いという前提に立てば、それでよろしいと思いますが、アメリカのNIOSHが測った例ですとクリストバライトは1520%、粉じんに対して観測されていますけれども、絶対値としてはクリストバライトの規制値より低いとなっています。それはアメリカの例ですので、日本は粉じん濃度が高い。

○大前委員 どのぐらいのレベルが出ているか情報がないので、そこら辺は分からないですけれども。

○菅野座長 全体になっていますので。

○大前委員 でも相当、無理して壊すのではないですか。単純にハンマーとかノミとかで中側を剥がしていくわけですよね。一番外側は残すのでしょうけれども、中をやるときは昔の耐火煉瓦みたいなものと同じようなイメージになるわけでしょう。そんなにきれいな作業ではないはずです。

○菅野座長 そこは、そういうやり方を許していいのかという問題もあると思いますが、実際はそういう可能性も高いですね。先ほど、防じんマスクについては適切な性能のものを使用すると、そういう表現にするというお話でしたが、今の御提案でいかがでしょうか。PAPRを使ってと。

○田中委員 通常の防じんマスクですと、ここで防護係数を計算に入れようということで、防護係数をどこまで実際の発じんしている粉じんに対してと考えると、またそこで悩むところであろうと思います。

○保利委員 名古屋先生が書かれているように、原則、これでやるというのでいいかなと思います。

○田中委員 ただ、1つは電動ファン義務化にと、そこで揃えてしまうという考え方もあるのではないかと思います。

○大前委員 これは前も話しましたけど、こういう解体をやる方は同じ方が大体やるわけですね。今回の日本工業炉協会ですか、こういう所は作るところと壊すところと両方やるわけです。やっている方は、いつも同じ方がやっているわけですから、各会社にとっては短時間の非定常作業かもしれないですが、その人にとっては毎日やっいる作業になると考えると、この段階で安全を見込んで電動ファンが原則でいいのではないかと思います。

○菅野座長 いかがでしょうか。名古屋委員の御提言は、原則、電動ファン付きにして、実測をしてそれが必要でないと分かったら、もう少し低性能のものにもできると書いてありますので、こういう方式でしたら必ずPAPRを使えと、最初はそうですけれども、削減できるかもしれないということ。つまり環境の改善にも結び付く可能性があるかと思います。

○高村化学物質情報管理官 先ほど御説明したのは、あくまでも現状、実際の測定データがない中、そこまでの部分が書き切れないというところで、適切な保護具にさせていただきたいと考えたところです。仮に現状把握で非常にまずい状況がデータ等で把握できましたら、当然、それを防止するための措置として電動ファン付きの義務化も考えられると思います。そういったことをしっかりやっていかなければいけないと考えていますが、現時点で措置検討会の報告書の中では、そういった御意見があったことはしっかり書かせていただきます。内容としては適切な保護具ということで、書きぶりについては後ほど御説明しますが、報告書の中でどういった形でするか御相談させていただければと思っています。

○菅野座長 適切な保護具にはPAPRも含まれていますけれども。そのほか、いかがでしょうか。検討内容が多岐にわたり短時間で恐縮ですが、御意見がないようでしたら最後に、本日が平成26年度措置検討会の最終日となっていますので、事務局から報告書のことについて御説明いただきたいと思います。

○高村化学物質情報管理官 いろいろ貴重な御意見を頂きまして、ありがとうございました。報告書につきましては本日まで御検討いただき、ある程度形ができた措置の検討シートと、会議で頂いた御意見を反映させ作成するということで、最終的には座長に御一任いただくことで取りまとめさせていただきたいと思います。公表する前に、事前に先生方に一度御確認いただく場を設けたいと思いますが、メール等でお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○菅野座長 報告書の取りまとめにつきまして、今の御説明でよろしいでしょうか。私が急ぎ過ぎて時間が余っていますけれども、以上で本日予定の議事が終了しましたので、平成26年度の「第7回化学物質による労働の健康障害防止措置に係る検討会」を終了したいと思います。皆様、ありがとうございました。

○角田化学物質評価室長 最後に一言、お礼の御挨拶をさせていただきます。本日で検討が終了いたしまして、委員の皆様方に対しまして厚く御礼申し上げます。お陰様で措置検討会報告書の取りまとめに向けまして、検討シートをおおむね取りまとめることができました。今回は、合わせて7回という例年にない多い回数の検討となりましたが、委員の皆様には大変お忙しい中、御参集の上、熱心に御検討くださいましたことに重ねて厚く御礼申し上げます。また併せて、御協力いただきました関係団体の皆様にも、この場をお借りして御礼を申し上げたいと思います。これからは私どものほうで報告の取りまとめと公表の準備、それから来年度の制度改正に向けた準備を遅滞なく進めてまいりたいと思いますので、引き続き、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。


(了)
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(電話番号)03(5253)1111(内線5511)

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