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2015年3月17日 第26回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会港湾労働専門委員会

職業安定局建設・港湾対策室

○日時

平成27年3月17日(火)13:30~


○場所

中央労働委員会会館第205会議室


○出席者

公益代表

鎌田座長、内藤委員、渡邉委員

労働者代表

玉田委員、西川委員、松永委員

使用者代表

鈴江委員、鶴岡委員、花島委員

事務局

広畑雇用開発部長、上田建設・港湾対策室長、富永建設・港湾対策室長補佐

○議題

(1)港湾雇用安定等計画の進捗状況について
(2)人付きリースの解消に向けた取組みについて
(3)港湾労働者派遣制度における就業日数の上限緩和について
(4)その他

○議事

○富永補佐 ただいまから「第 26 回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会港湾労働専門委員会」を開催いたします。私は建設・港湾対策室長補佐をしております富永です。

 本日は、今年度初めての開催で、専門委員の交替がありますので、冒頭は事務局が進行させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 まずは、配付資料の確認をお願いいたします。配布資料は資料 1 から資料 6 、参考資料 1 と参考資料 2 を付けております。御確認いただきまして、もしお手元に足りない資料がありましたら、お申し出いただければと思います。

 次に、今回新たに選任されました委員の方の御紹介をさせていただきます。資料 1 が最新の港湾労働専門委員会の名簿となっております。平成 26 7 9 日付で、堺沢委員に代わりまして、鈴江コーポレーション株式会社代表取締役会長兼社長の鈴江孝裕委員が使用者代表委員として就任されました。当委員会の出席は今回が始めてですので、一言御挨拶をお願いいたします。

○鈴江委員 ただいま御紹介いただきました鈴江です。今後とも、御指導のほど、よろしくお願いいたします。

○富永補佐 ありがとうございました。また、国土交通省より、オブザーバーとして国土交通省港湾局港湾経済課の大野課長に御出席いただいております。一言御挨拶をお願いいたします。

○大野港湾経済課長 御紹介がありました、国土交通省港湾経済課長の大野です。どうぞよろしくお願いいたします。

○富永補佐 ありがとうございました。次に、事務局である厚生労働省職業安定局におきましても異動がありましたので御紹介いたします。雇用開発部長、お願いいたします。

○広畑部長 昨年の夏の人事異動で、雇用開発部長を拝命いたしました広畑と申します。よろしくお願いいたします。

○富永補佐 続きまして、本日の委員の出欠状況の報告をさせていただきます。本日は全員出席されております。事務局からは以上です。

 以後の進行は座長からお願いいたします。

○鎌田座長 前回からの引き継ぎで座長を続けさせていただきます。うまくできるかどうか分かりませんが、何とぞ御指導、御協力のほどをよろしくお願いします。  

議事に入る前に、今回退任された堺沢委員におかれましては、これまでの当専門委員会の運営に対する御尽力につきまして、この場で感謝申し上げたいと思います。

 また、新たに委員に就任されました鈴江委員におかれましては、当専門委員会の運営に御協力いただきますよう、私のほうからも何とぞよろしくお願いいたします。

 それでは、議事に入ります。議事次第にありますとおり、議題は 3 つありまして、 1 つ目は「港湾雇用安定等計画の進捗状況について」、 2 つ目は「人付きリースの解消に向けた取組について」、 3 つ目は「港湾労働者派遣制度における就業日数の上限緩和について」です。それでは、 1 つ目の議題である港湾雇用安定等計画の進捗状況について、事務局から御説明をお願いします。

○富永補佐 「港湾雇用安定等計画の進捗状況について」御説明いたします。資料 2 の「港湾雇用安定等計画の進捗状況等について」です。今年度から始まった雇用安定等計画の各項目に関する実績の数値を載せております。この数値につきましては、参考資料 1 の「港湾労働関係資料」のデータの「安定等計画」の各部分についての関連部分を項目別に載せています。この資料 2 及び参考資料 1 について、逐一御説明いたしますと、非常に時間がかかってしまうということで、事前に各委員にお渡しし、あるいはお話させていただいておりますことから、本日の議事の都合上、説明を省略させていただきます。

 資料 3 「港湾雇用安定等計画において取り組んでいる主な事項について」を御説明させていただきます。現行の港湾雇用安定等計画を策定する際に作成した「港湾労働専門委員会報告書」において、対応が必要であるとされた項目について、その現状を記載しています。まず、 1. 日雇労働者問題への対応についてです。港湾雇用安定等計画の中におきましても、日雇労働者の就労が増加傾向にあることに留意し、直接雇用の日雇労働者の減少に努める旨が記載されているところです。これにつきまして、業務統計を見ますと、日雇労働者の就労割合は、平成 24 年度が 3.2 %、 25 年度が 3.1 %、平成 26 年度 ( 3 四半期まで ) 3.0 %と、わずかながら下がってきています。今後も、四半期ごとに実績を把握して、就労状況の推移を、注視していきたいと考えています。

2. 人付きリース問題への対応についてです。人付きリースにつきましては、ここ数年、労使の御努力により、大幅に減少しております。そのため、現行の港湾雇用安定等計画では、項目を削除しましたが、「専門委員会報告書」には、新規計画には盛り込まないものの完全に解消しているわけではないことから、引き続き継続的な個別指導を行いつつ、事業主等と連携し、解消に向けて更に努力するとされております。詳細は後ほどの議題で御説明いたしますが、今年度末をもって「人付きリース」は解消する予定です。

3. 雇用の改善を促進するための方策についてです。港湾労働者証の発行など、港湾労働法の適用については、各港湾の慣習等もあり、各港湾のばらつきがどうなっているか、文書で明記していない慣行もあり、把握に時間がかかっています。各港湾の視察などによりまして、状況をきちんと把握した上で、引き続き検討してまいりたいと考えております。

4. 能力の開発及び向上を促進するための方策についてです。豊橋の港湾技能研修センターに、ガントリークレーンのシミュレーターを導入するというものです。このシミュレーターは、昨年の 12 月に設置され、来年度の 4 月から、シミュレーターに係る講習を実施する予定となっております。実施に当たり、港湾労働安定協会におきまして、研修センターで実施している既存のガントリークレーン講習のカリキュラムの見直しを検討していただいております。具体的には、船舶の種類別や、悪天候の再現というシミュレーターの特性をいかしたカリキュラムの構築等をすすめています。また、講習の実施に当たりましては、スーパーガントリークレーンモデル、メガガントリークレーンモデルなど、大きなガントリークレーンを設定した関連の技能を想定して講習を実施するという予定になっております。今後もこういったカリキュラムの充実や、改善を図っていきたいと思っております。

 最後に、 5. 港湾労働者派遣制度の適正な運営を確保するための方策に関する事項についてです。派遣労働者が派遣就業する日数は、 1 人、 1 月あたり 7 日とされていますが、その日数の上限緩和についての検討です。これも後ほどの議題において詳細を御説明したいと思います。以上です。

○鎌田座長 ありがとうございました。本件について御質問、御意見がございましたら自由に御発言ください。

○渡邉委員 すみません。ちょっと教えてほしいのですが、 4 番のシミュレーターの対応は、例えば 2 個づりとか、 45 フィートとか、現実に則した形のことは可能なのですか。技術的なことなのですが。

○富永補佐 スプレッダーは 20 フィート、 40 フィート、 45 フィートの設定が可能と聞いております。

○渡邉委員 ではノーマルなコンテナ 1 個ですね。分かりました。

○鎌田座長 ほかにございますか。

○玉田委員  1 点目の日雇いの減少傾向の問題なのですが、例えば、組合でパトロールすると、職安紹介がバッと増えて、直接雇用の日雇いがバッと減るわけです。そういう意味では、これはもう常用派遣をどう活用していくかということも絡むと思うのですが、常用、常用派遣、職安紹介、直雇用の順という原則の真ん中が飛んでしまっています。もう少しパトロールの方法なり、何か考えられないかなというのが疑問なのです。パトロールする日とパトロールしない日の差が何なのかというのを、次の機会でもいいですけど、少し研究してみませんかというのが 1 つです。

 それと併せて、常用派遣のあっせん不調の理由ですが、ここの議論は、やはり常用派遣制度をより充実させようという方向の中での議論なはずですから、なぜうまくマッチングしないのか、単純に言えば、よそが忙しいときは自分も忙しいよと。これはよく分かるのです。でも、常に忙しい日はみんな忙しいのだろうかというと、多分そうではないのかなと。あるいは求められる労働者の技量なり、免許なり、職種なりとの関係があるのか、その辺はもう少し、具体的にヒアリングするなりして、つかむ必要があるのかなと思うので、研究したほうがいいのかなという気がしています。検討してみてください。

○鎌田座長 今の段階で何かコメントがあれば。

○上田室長 玉田委員のお答えになっているかどうか分からないのですが、実態上、パトロールしているときとパトロールしないときとの違いは取ったことがあるわけではないので、実態は分からないのですけれども、そこのところは分かる限りの中で、労働局などと検討してまいりたいと思います。

 それから、派遣の紹介のマッチングの関係ですが、実は御存じのとおり、大分昔と変化してきている点があると思います。それは、ハローワークに登録している日雇いの労働者が相当減ってきているのが現状です。そういった中で、ハローワークの紹介よりも、直雇用の日雇いが多くなってきているのが現状だと思うのです。そこについて、中身がどのようになっているのかとか、詳しい知識があるわけではないので、そこも労働局に確認はしてみますが、大きい現象としては、日雇いの登録者が減っているということが大きい原因なのかなと思っています。

 あと、日雇いの減少に関しては、 97 %が常用労働者になっています。大きい見方をすると、非常に成果は上がっているし、この問題を、この状態で続けていくというのが、この業界においては大事なことだと思っているのですが、細かい中身については、例えば日雇労働者の業務が、 1 年間を通して同じ業務をやっているとか、そうすれば、常用労働者にしていったほうがいいのではないかという。強要や強制ではないのですが、推奨やお願いをできると思いますので、そういった中身については、今後どういう業務が行われているのかとか、そういった調査もしたらいいのかなと考えています。

○鎌田座長 はい、どうぞ。これに関連しても結構ですし、また別にでも。

○花島委員 全産業では非正規労働者が 3 分の 1 を占める中で、波動性の高い港湾で、日雇労働者の割合が 3 %程度であるということは、評価すべき状況だと認識しています。それと、日雇労働者の割合が他港に比べて高い横浜港においても、 10 %弱であり、昨年の夏以降、低下しつつあるということの認識をよろしくお願いいたします。

○玉田委員 それは私どもも努力なり、国土交通省、厚生労働省の御指導もあって、努力していく方向なので、おっしゃるとおりだと思います。

○上田室長 今日は細かく説明していませんけれども、日雇労働者の数を見ると、東京と横浜が他港より多いのですが、東京については、微増しているぐらいで現状維持になっているのですが、横浜については、かなりの数で減ってきていますので、そういったことの数字に変化が出てきていると思っております。

○玉田委員 そういうふうに大きな評価をしつつ、例えば、貨物量と港湾労働者証の発行数は、大阪港と東京港で、貨物の量はコンテナだけでいうと倍ぐらいになりますかね。しかし港湾労働者証の発行数というのは、ほとんど変わらない。これは何なのか。全体として努力いただいているという点については非常に評価しているのですよ。労使でいろいろな努力をして、常用を中心の港を作ろうよと。これは大いに評価しているわけですが、そうしたデータからすると、説得力がないとは言いませんが、そうならないようにしたいものだなというのは、思います。

○上田室長 労働者証の発行については、先ほど 3 番の雇用改善を促進する方策の所で少し触れていましたが、各港の慣行等によって、いろいろ出し方が違っていたり、ルールが違っていたり、そういうものがある中でこういうことが起こっているのだなと思います。

 もう 1 つ、労働者証の発行については、結局、働けそうな人がどんどん登録して発行しているので、全然働いていない人もいらっしゃいますし、そこのところについては微妙なので、どういう数字なのか、今後見ていかないと分からないと思います。港ごとのばらつきについては、慣行とかそういったものの中で起こっている現象だろうと理解しています。

○鎌田座長 よろしいですか。そのほか。

 それでは、次の議題に移ります。 2 つ目の議題は、人付きリースの解消に向けた取組についてです。また事務局から御説明をお願いします。

○富永補佐 人付きリース問題への対応についてです。資料 4 を御覧ください。現在の港湾雇用安定等計画からは、人付きリースの解消についての記載がなくなっております。個別に対応していくということにしておりました。資料 4 を見ていただきますと、赤字で書いてありますが、平成 4 年度には月平均延べ数が 1 万台を超えていましたが、平成 26 年度の 1 月末現在では 67 台まで減少しております。今年度につきましては、人付きリース契約を行っている各事業所へ、その解消について労働局管轄の安定所から指導いたしました。

 次ページに、この指導の結果を記載しています。リースの受入れ事業所につきましては、この資料の中の東京と神奈川の枠の中で 3 事業所から 0 事業所とありますが、東京については 2 事業所について既に解消、神奈川については 1 事業所について既に解消と記載しております。残りは東京 1 事業所、神奈川 2 事業所となっておりますが、いずれの事業所につきましても、今月末で解消するという確約を取り付けております。つまり、今年度で全て解消する予定となっております。解消の方法としては、そこに記載していますが、機械のみをリースして作業は自社の社員で賄う。あるいは、機械は買い取るが、作業は自社の社員を配置するといった方法によって解消すると聞いております。ただ、今年度末で解消はする予定であるというものの、再び人付きリースが復活することがないように、行政として引続き注視していきたいと思っております。

○鎌田座長 ありがとうございます。いよいよゴールが見えてきたということですが、この点につきまして御質問、御意見があればお願いします。いかがですか。感想でも結構ですが。

○花島委員 人付きリースの解消については、解消に向けた事業主の自主努力を尊重しながら、進めていきたいと業側でも思っています。

○鎌田座長 何か労側でコメントありますか。

○西川委員 この間、業側で、よく頑張ってくれてますと前回もコメントしましたね。結果が如実に表れていると。

○上田室長 去年の段階で大分、減ってきていましたので、最後は、去年の夏ぐらいから、労働局が詳しい契約内容とか、実際にいろいろ聞いて、お話している中で、企業側も、法律の内容などを理解していただいて、問題のあるところは直すと言っていただきましたので、こういう結果が出たのだと思います。今のところトラブルは聞いていないのですが、何かありましたら、またお耳に入ったら教えていただけたらと思います。

○鎌田座長 このように効果がはっきり出てくるという分野も余りないのではないかと思います。なかなかゴールが見えるところまでにいくというのは難しいですが、そういう意味では労使の、行政も含めて、大変な御努力によって、結果が出て、非常に誇るべきものだと私は思います。

 それでは、この点はよろしいでしょうか。それでは、 3 つ目の議題に移ります。「港湾労働者派遣制度における就業日数の上限緩和について」です。事務局から御説明をお願いします。

○富永補佐 それでは、資料 5 、「港湾労働者派遣制度における就業日数の上限緩和について」を御覧ください。港湾労働者派遣事業の上限日数を緩和するかどうかについて検討するため、平成 25 年度の派遣実績データを分析し、その内容として、資料 5 別添を付けています。そこに、分析したデータをまとめています。

 この別添資料の 1 ページに「賃金形態」を記載しています。何らかの形で「日給月給」を導入している事業所が、 1 ページの右側の円グラフを見ていただくと、大体 6 割ぐらいです。 2 ページに「派遣労働者の派遣実績」を棒グラフと折れ線グラフで表わしています。派遣対象労働者として登録されている労働者のうち実際に派遣された労働者が、そこの表の合計の派遣割合ですが、全体の約 35 %となっています。 3 ページ、「派遣労働者の平均年齢」です。大体どの港においても 40 歳から 45 歳ぐらいという結果になっています。 4 ページ、派遣労働者の 60 歳以上の割合です。 6 大港全体で 60 歳以上の割合は 6.2 %です。東京、横浜では 10 %を超えていますが、全体として見ると、 6.2 %となっているという結果が出ています。 5 ページの➄は「平成 25 年度就労日数別派遣状況 (6 大港 ) 」の棒グラフと折れ線グラフです。実際に、月何日派遣就労している人が多いかという調査結果になっています。棒グラフが、派遣されていた人の延べ日数で、人日です。折れ線グラフが人数となっています。折れ線グラフを見ていくと、月 1 日という方が一番多くて大体半数近くで、就労割合としては 48.1 %となっています。 1 日という方が大体半分ぐらいで、目一杯の 7 日の方が 6.8 %となっています。次ページ以降は、各港の派遣人日と人数のグラフになっています。

 資料 5 に戻ります。 2 ページの 3. 分析内容を踏まえた対応方針についてです。➀として、 6 大港全体で見ると、月 5 日以上派遣されている人の割合が 18.5 %です。先ほど、目一杯の 7 日の方が 6.8 %と言いましたが、 5 日、 6 日、 7 日を全部足しても 6 大港全体で 18.5 %にとどまっていることが分かりました。

 ➁として、 6 大港において、常用労働者の月平均就労日数が 19.0 日となっている中で、神戸港では 18.4 日、関門港については、月 15.9 日という状況になっています。この派遣の上限日数を緩和してしまうと、派遣先で就労する日数のほうが雇用されている事業所で働く日数よりも長くなってしまうという状態が発生する可能性があることも言えるのではないかと、そういうこともあり得るのではないかと考えました。

 ➂として、高齢者の就業機会確保の観点から、派遣制度を利用するというのも 1 つの方法と考えますが、派遣労働者のうち 60 歳以上の割合が 6.2 %にとどまっていること。そうなっているので、高齢者の派遣割合が高くはなく、低いということもあって、➀➁➂の理由から日数の上限緩和は行わないことにしたいと考えています。ただ、実態は引き続き調査し、把握していきたいと考えています。

 また、昨年度開催された福岡の地労審ですとか、当専門委員会において、育成教育に限って派遣上限日数を引き上げるなどの運用も必要といった意見がありました。そういうことから、育成教育の実態について関係者に確認しました。その結果、派遣制度を利用した育成教育はそれほど多く行われていなかったのですが、当室としては、技能者の育成訓練は必要であると考えています。育成教育については、個別の企業間の研修という枠組みで整理することによって対応が可能であると考えていることから、今回の上限日数緩和の議論とは別の枠組みとして検討する必要があるのではないかと考えています。以上です。

○鎌田座長 ありがとうございます。それでは、この件について、御質問、御意見ありましたらお願いします。

○鶴岡委員 派遣日数の上限緩和が派遣の活用促進につながらないということであれば、現段階では上限緩和を行わないことを了承したいと思いますが、現状の派遣制度の使いづらさ等もありますので、できましたら、今後、活用向上策の検討をお願いしたいと思います。

○西川委員 使いづらさというのは、具体的には。

○鶴岡委員 先ほどの波動性の話もあるし、それから、相手先がどこでもいいというわけではないではない。例えば、サトウさんという人間が行く所はもう決まっていると、そことのマッチングができるかどうかというと、非常に確率が低いということもあるし、 7 日間という日数に関して言えば、月のうちの約 3 分の 1 という限定された日数の中で需要と供給が合うのかという使いにくさは確かにあるとは思います。例えば鶴岡という人間が、今日は仕事がないからと、職安に出して、どこかの会社でマッチングできるわけでもなく、基本的には限定された相手とのやりとりなので、その辺の難しさはあるなとは。

○西川委員 上限を取っ払うということではなしに、港湾においても繁忙期があると思うのです。例えば、 3 月の年度替わりのときとか、ゴールデンウィークのときとか、 12 月とか、この繁忙期のときは港によってこういう特色があるからとか、そういう考え方も必要になってくる時代になったのではないかとか思うときはあります。

○鶴岡委員 あとは、派遣される人間の適応能力もあるのではないですか、仕事の内容において。それがまた、マッチングを更に低くしていると。

○西川委員 決して上限を緩和するということではなしに、違った意味の考え方でね。今、鶴岡委員が言われたマッチングという意味で考えたときに。

○鎌田座長 何か、大きな玉が飛んで来たなという感じなのですが、全体に関わる話ですね、これは。

○西川委員 全然違った視点なのですが。少子高齢化の中で、港湾に入ってもいついてくれないという声がちょくちょく聞こえてくるのです。せっかく仕事を覚えて、 2 年か 3 年たって、これからというときになって、ぱっとどこかへ行ってしまうというのは。

○上田室長 今、おっしゃるとおりに、実は鋭い所を突かれたという気がしているのです。参考資料1の「港湾労働関係資料編」の中の 4 ページに、 (1) 「六大港別港湾労働者派遣状況」があります。棒グラフの緑で示しているのが派遣の受入を希望している会社なのです。うまくいった率というのが、下の赤と青の所なのです。希望しているけれどそれがうまくいっていないという実態は見受けられています。どういうところに原因があるのか、手続の問題なのか、実態の中の問題なのかについては、今後、検討していくことについてはやぶさかではありません。実態についてはおっしゃるとおりだと思います。

○花島委員 例えば、香港でコンテナを 1 本上げると 1 時間に 20 本ぐらいしか揚がらないのです。日本でやれば 40 本から 50 本揚がると。腕がいいというのですか、やはり、そういう腕のいい労働者はなかなかよその会社に派遣したがらないから。そこら辺もミスマッチにはつながると思うのですが。

○玉田委員 少し話が違うかもしれないのですが、資料 5 の別添の丸い図の下に、「日給月給制の労働者が派遣により就業した場合、賃金の面で労働者にメリットとなることが想定される」と解説してあるのですが、よく理解できないので、説明してもらえませんか。

○上田室長 港湾の世界は基本的には月給制が多いのです。月給制の者が他社に派遣されたとしても、手当みたいなのがなければ収入は増えていかないわけだから、別に派遣される必要はないわけです。一方、日給月給の者であれば、派遣されれば、派遣の日数が多くなれば多くなるほどお金がもらえるわけですから、本人に入ってくる利益は高くなるのではないかと思っていたわけです。しかし実態は、日給月給で払っている人がいたり、月給制でやったりとかやっているので、これについては余り参考にならなかったのです。実態的には、こういうような捉え方で、様々な形で組み合わされて給料は支払わられていて、何か統一性がはっきりしなかったというのが現状になっています。

○玉田委員 これをパッと見たときに、例えば、仕事がないときに常用労働者で日給月給でもらっている、しかし、今日は仕事がありませんと。そうすると、その日の 1 日分は日給月給ですから、 8 割ぐらいになりますと。ところが、不就労になるのだけれども、この日は派遣にしてくれと言った場合はフル稼働になりますから、 1 8 割になるところが 2 割足されて増えることになって、それは労働者にメリットになると。こういうことを言わんとしているのですか。

○上田室長 ということで、そこを検証したかったのですが検証できなかったのです、結果として。

○玉田委員 基本的に日給月給で 25 日は保障としているのでしょ、ちゃんと。

○鶴岡委員 ですから、賃金の計算方式だけの問題で、基本的には月給と変わらないはずなのです。日給月給という言い方をしているけれども、今、玉田さんが言われたように、今日は仕事がないから八掛けとかをやっている所は今どきはないと思いますが。

○上田室長 メリット、デメリットを考えてしまうと、先ほど言ったように、日給月給であれば、どんどん働く機会が多ければ労働者も賃金が増えていくわけですし。聞いていると、月給制でやっているケースが結構多かったものですから、そこのところが明確になれば、この調査の結果で、労働者にとってメリットはあるのではないかということは 1 つの利点になるかと思ったのですが、実際には、こういう賃金形態を調べてみると、まばらであったり、先ほど言ったように人によって違ったりいろいろしている観点から、なかなか統一した見解を出せなかったというのが、この表の実態です。

○鶴岡委員 であれば、この「想定される」は外しておいてもらったほうがいいかもしれない。想定されないのではないかと思う。

○鎌田座長 港ごとの特色とかそういうのはあるのですか、この派遣に関しては。

○玉田委員 余りないですね、港ごとには。

○上田室長 派遣の日数は、 6 大港全体のほかに、港ごとにも出しています。実際に行われている日数は、差があります。あと、東京は、派遣を使っている例というのは少ないです。もう 1 つ、派遣のことで見ると、年齢のことも出しましたが、非常に趣旨に沿っていて、能力がある人が行くということで、 40 代の人がほとんど行かれているので、一番働き盛りで、仕事のできる人がきちんと行かれているので、適正に運営されているのではないかということは思いました。

○鎌田座長 分かりました。いかがですか。今日の全体を通じてでも結構ですが。何かありましたら。

○玉田委員 全体を通じてということなので。資料 2 の所は説明されなかったのですが、このところで聞いておきたかったのは、 7 ページになります。真ん中辺に、 5. 港湾労働者派遣事業の適正な運用を確保するための事項の真ん中の欄ですが、派遣事業の許可の取得率が平成 20 年度末で 27.95 %、平成 25 年度末で 28.67 %だということで、ほとんど伸びていないわけですが。結局、うちは派遣事業をしてもいいよという企業が 4 分の 1 強しかない。そういう意味で言えば、各港ごとで言えば、総ぐるみで派遣し合おうよと、この港はそういうふうにしようよというような図式になっていないわけですね。

○上田室長 いません。

○玉田委員 もっとデータを見ると、東京、神奈川は労働者数との関係でいくと少ないですね。でも、名古屋、神戸辺りは高いですね、派遣してもいいよという会社、あるいは労働者数が。この辺がアンバランスで、実は、ここがもっと増えていって、派遣あっせん不調にならない可能性を増やさない限り、実はうまくいかないのですよね。というふうに読めばいいのかなと思ったのですが、その辺どうなのですか。

○上田室長 東京と横浜が、もう少し派遣を活用しながらやっていけば、日雇いの数がもう少し減っていくということはあり得ると思います。

○玉田委員 いや、活用するというよりも、活用できる会社が少ないわけでしょう。そこの分母のところは根っから少ないのですね、実は。ですから、 5 年たって、もっとここが増えていかないと、ちょっとなかなか先行きが見えないということになる。

○上田室長 先ほどの、鶴岡委員がおっしゃられたように、やはり使いづらさと言われているみたいなところは、そういうことなので。

○玉田委員 はい、それがあるから登録しなければ駄目だと、こうなります。

○上田室長 そういうことを、やはり考えていく必要性というのはあるのかもしれないですね。

○鶴岡委員 東京の場合は、見ていただくと、人数が少ないのですが、 7 日の派遣が一番多いわけです。

○上田室長 はい、もう一杯一杯になっていますね。

○鶴岡委員 ということは、ある決まった人間が、ある会社に上限の日数で行っていると。現実的と言えば現実的なのです。あとは、貨種別に、東京の場合はコンテナがメインですから、難しいのです、派遣のやり方が、業種別にも。ほかの在来船荷役がほとんどないですし、そういう形から言うと、派遣でというシステムを取れる企業はどれくらいあるのか、労働者も少ないですし、それが先ほどの一言ですが、一番使える人が行っているというのは少し語弊があると私は思って。 60 代以降でも使える人はいっぱいいますので。 60 代以降を派遣に回しているということはあり得ないし、仮にそうだとしたら、受け入れる側の企業もそれは断りますから。基本的には、 40 代が働けて 60 代がだめだということには、異論を唱えます。 60 代はベテランですよ。

○上田室長 失礼しました。

○鎌田座長 そのほかありませんか。

○玉田委員 同じ資料 2 で、 2 ページの「今後の港湾労働対策の課題」の右側の所で、コンテナ化率が少し増えていると。確かに、一昔前でしたらアルミのインゴットなどは在来船だったが、今はもうコンテナ化がどんどんされているということは、分かるのですが。一番左の欄が計画ですね。「規制改革の影響や、貨物運送のコンテナ化等の近代化~」となって、データとしてコンテナ化率が書いてあるのですが、規制改革の影響が港湾労働という部分にどのように出ているかというのは、余りデータ化されていないのです。ですから、国土交通省の方がいらっしゃるからあれですが、例えば、料金が下がっているだとかというようなことで、港湾労働を安定化させるのが大変難しくなっているとか、計画の段階では規制改革というのは 3 つか 4 つ出てくるのですが、その影響の中で港湾労働の安定がどうやって阻害されているかとか、むしろ良くなっているとかという評価がちょっとないのです。一般論としては、何となく想像がつくのですが、そういうのは調べられるものなのですか。

○鎌田座長 これは国土交通省の方に聞くのですか、誰に質問をしているのですか。

○玉田委員 いや、厚生労働省さんのほうで、難しい、いや、多分難しいだろうと思っているのですが。影響とは一体何なのかということをもう少し具体的に詰めてみないと、実は何を調べるかが出てこない。一般的に言うと、私らは国土交通省のほうに向かって、料金が下がっているではないかと、あるいは上がっていないと。それが、原資が足りないものだから私らに回ってこないのだという議論もするのだけれども、これもある意味では一般論ですが。港湾労働という側面に目を向けると、実は規制改革をしていないのです、港湾労働の分野は、多分、 1999 年以降なっていないはずです。港湾運送事業は規制緩和になりましたが、港湾労働分野には一般派遣を導入したわけでもないし。そこは、事業者の皆さんにも御協力いただいて何とか頑張ろうねと、来ているわけです。ただ、しかし、やはり影響はあるのだろうと思うのです、規制改革の影響というのは。そこをどのように見ればいいのでしょうかというのが、よく理解できないので。少し、そこに焦点を当てた何か調査はできないものなのですか。

○鎌田座長 これは計画にこの文言を入れたときに、何か議論の経緯の中でありましたか、資料とか。そもそも、まず、規制改革の影響という場合の規制改革とは何を指しているのかという。

○玉田委員 やはり規制緩和のことをイメージされたのだと思うのです、私もそうだし、業界の皆さんも多分そうかと思うのです。そのときに、少なくとも料金というのが届出に変わった、参入も自由になった、そういう意味で、事業者の皆さんが、より効率的な事業が求められるようになったのはそうなのだろうと思うのです。では具体的に、それをどのように検証するのですかと言ったときのデータというのはないし、非常に抽出しにくいのです。

○鶴岡委員 この規制改革は我々ではないのではないですか。要するに、派遣法とかいろいろ変わっているではないですか。規制改革は港湾ではなくて、ほかの労働法の改革は確かにいろいろ進められている部分もあるので、その意味ではないのですか。

○上田室長 余り詳しく議論がされていないのですが、今、鶴岡委員がおっしゃったようなこともあると思います。従来から引き続き用いている文言であり、全体的な規制改革について抽象的な考え方を記載しております。

○玉田委員 そうは言っても、中にいるとジワーッと何となく真綿で絞められているような感じがするのです。

○鶴岡委員 だから、玉田さん、ここに「港湾労働を取り巻く環境」と書いてあります。それが正に真綿の部分です。それが、確かに緩んできていることは事実なので。

○玉田委員 なるほど。

○鶴岡委員 ですから、労働者証の発行の件についても、私が言いたいのは、もう水際まで外資系の倉庫がきている。同じようなことを道路を隔ててやっていて、片方は、いろいろな規制を受けながら保護もされている状況、片方は全く無制限でやっているという状況が、港の、ほんの 50m 先で起こっている。どの港でも同じだと思うのです。港湾倉庫の問題も然り、全体的な労働法の問題がどこまで、どちらがどうなのかという議論になってくると、非常にその辺はシビアにいかざるを得ないし、労働者証の発行についても、港湾倉庫の問題もあるので、数だけで論議できないと私は理解しています。一応、東京の場合は、労働者証の発行先を港運協会で全部チェックしています。そういう形で、どこにどういう形で労働者証が発行されているかの把握はしています。ですから、今の玉田さんの言う真綿の部分、これが首筋まで来ているし、ちょっと食い込んでいるかぐらいとの気持ちはお互い共有していると思うのです。

○玉田委員 そうですね。だと思うのです。

○西川委員 ですから、今後の港湾労働対策ということを指しているわけでしょう。今、鶴岡委員が言われたように、先ほどの港湾労働の安定した運営とか、雇用の基盤とかを守る意味で、港湾は今後何ができるかというあれですね。いわゆる、全体的な流れの規制緩和か規制改革に左右されずに、また、港湾のよい所もありますし、伝統を守りつつ、新しく打って出る方法は何かないかということです。そういう意味で言ったら、先ほども言った、ニーズに合ったマッチングの方法とか、 1 つの試験のところにあるのではないかと思うのです。

○鶴岡委員 では、現実的に、 96 %以上常用化されている産業はないわけで。それがなぜなったかということなのです。それが、他産業においてなぜできないのかという議論。ですから、今、西川さんがおっしゃるように、港湾の場合は、ある程度こういう形があったお陰で、今、そういう正常な状態になっている。逆に、それがないお陰で他産業の常用化がどんどん落ちているということなのではないかと。我々はその中にいるので、思うのですが。世間は逆に見られるかもしれないですが。

○玉田委員 最初、料金ぐらいかと思ってみたのですが、それでも確かなものがあるわけではないし、何かなというふうに。

○上田室長 いろいろなものが、やはり先ほどからのようにあると思うのです。個別案件などを見ていくと、例えば、港湾倉庫の中での働き方は変わってきているわけです。今まで、はっきりと、これだ、これだと分かれていたものが、今度は兼ねてやるようになったとか、それを機械がやるようになってしまったとか、そういうような状況もありますから、状況的には変わってきていて、今は昔決めたことが少しグレーになっていることがあるとか、新たに決めなくてはいけないところとかという枠組みは、少しずつ出てきているのは感じています。そういうことを踏まえて、どうやって整理をしていくのかというのがやはり課題になっていくのかという気はしますが。

○西川委員 この規制緩和か規制改革かは別にして、貨物輸送のコンテナ化等の近代的荷役の進展というのは、これは何も港湾だけに限らず、一般産業でも、別に規制緩和されようがされまいが、当然近代化はこうなっているわけです。これは、規制緩和とか規制改革になったら、どうしても国の政策とか、そういう部分が入ってくると思います。非常に抽象的になるかもしれませんが。

○広畑部長 ちょっといいですか。今、おっしゃったコンテナで、我々の頭にあったのは、昔、 31 フィートコンテナもそうなのですが、それを、とにかく外国から持って来てそのまま道路を走らせろから始まって、今から 25 26 年前ですか、そういうことも何となく記憶にありますし、あとは、 24 時間稼働の話ももう決着済みかもしれませんが、そういうことも一時随分、わあわあと言われた時期もあったのですが、その頃から使っているのではないのですね、多分、想像ですが。規制緩和、規制緩和というので槍玉に挙げられた記憶があって、それで、コンテナに結び付くのかと、少し過去の推測ですが。

○鶴岡委員 いや、正直申し上げて、コンテナ化によって、先ほどの話にも出ましたが、力仕事がほとんどなくなってはきているのです。数物と言われるものも、重いものも、機械荷役になっていますし。ですから、そういう意味で、西川さんがおっしゃるみたいに、別に規制緩和ではなくてもそういう状況に追い込まれてきている。ですから、今まで 10 人かかったものが 3 人でできるとか、そういう仕事の内容になってきていますから、これは仕方のない話です。ただ、どんどん日本の労働法が、ある程度、我々は経営者ですが、余りにもそちらに寄りすぎると、また問題が起きてくるのかという気はしますが。

○鎌田座長 私などの体験から言うと、御存じのように、今、派遣というのは禁止業務になっています、建設と港湾は。医療なども。いつでしたか、今の改正法案の議論が始まる前に、ある方から、禁止業務の撤廃をなぜしないのですかと言われました。そのときには、その方は、規制緩和の考え方で言われていたのです。そのとき私が答えたのは、いや、建設も港湾も労使ともに現状を是としていまして、イデオロギーはともかく、そういう、今のものを変えるというニーズは業界としてはないのではないですかと答えました。多分、そういうふうに理解している人がいると思います。ですが、どうも禁止業務を解禁することが、今は何て言うか、表に出てきていないのですが、私のところには、そういうふうに、なぜ開けないのですかという声が届いています。港湾はそれほど心配はしていないのですが、建設は、今、人手不足とかいろいろ言っていますので、何かいろいろなこと、法案が今かかっていますが、これが終わった後にどういう流れになるのかというのは分からないとは思っていますが。

○鶴岡委員 建設とは似ているのですが、ただ、我々は事業法で再下請けは禁止されていますが、建築の親方制は無制限ですから、建設と我々の違いは。

○鎌田座長 ただ、規制緩和という場合には、禁止業務というのは、そういう建設と比較して港湾はどうかという議論ではなくて、そもそも禁止業務を解禁するという、そういうような考え方の方もいらっしゃいますので。実際、諸外国を見ますと、ドイツは建設は例外的に禁止していますが、それ以外の国では禁止業務というのはほとんどないのです。

○鶴岡委員 正直言わせていただければ、正常に機能している所をわざわざ規制緩和する必要はないと私は思います。機能していない所の議論はいいですが。おっしゃるように、労使で別に問題なく進んでいるわけですから。

○鎌田座長 つまり、そういうことで納得している段階と言うのですか。でも、御存じのように、規制緩和というのは、やはり政府の方針もあって、非常に大きなところから議論はされていますので、もう少し注意深く見ていかなければいけないかとは思っています。私個人の考えとしては、今、私がそのように申し上げたような理解をしているということです。では、もし、この規制改革の影響ということで、議論の経緯で何か分かることがあれば、終わった後でも結構ですので、情報提供ということで。

○上田室長 分かりました。

○鎌田座長 いかがですか、このほかありますか。それでは、なければ、もう 1 つ議題があるのですかね。

 最後の議題として、 3 13 日金曜日に閣議決定されました労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案に係る港湾労働法への影響について、事務局から報告があります。

○富永補佐 資料 6 になります。先ほど座長からもお話がありましたように、派遣法の一部を改正する法律案が 3 13 日に閣議決定され国会に提出されました。本来でありましたら、この委員会において事前に御承認いただくところですが、以前から説明しておりましたとおり、今回の改正案の内容について、港湾のほうにも影響がないこと、それから、本日の専門委員会開催の日程の関係から、御報告という形を取らせていただきました。その点については御容赦ください。

 資料についてご説明させていただきます。「労働者派遣法改正法案に係るこれまでの経緯」です。去年の 3 月と 9 月にそれぞれ改正法案が提出されていますが、国会閉会に伴い廃案になってしまい、今年の 3 月に、三度目となりますが、国会に改正法案を提出しました。今回の提出法案については与党合意を踏まえ、前回の臨時国会提出法案から一部修正している部分があります。主な修正点として、 2 つ挙げております。 (1) 派遣法を運用する際の考慮事項として、現行法では、厚生労働大臣が派遣法を運用するに当たり、能力の有効発揮と雇用安定に資する雇用慣行を考慮する旨が規定されておりますが、考慮すべき事項として、派遣就業が“臨時的・一時的”なものであるという原則を追加した点が 1 つです。

 それから、 (2) 雇用安定措置の内容として、改正案では、派遣元に対し、派遣期間終了時に派遣労働者に、雇用安定措置 (➀ 新たな派遣先の提供、➁派遣元での無期雇用、➂それ以外の雇用継続が図られる措置 ) の実施を義務化となっています。➂の中で、派遣先への直接雇用の依頼というのを省令で定める予定でしたが、法律に格上げして、➀➂の次に、派遣先への直接雇用の依頼を法律で規定したことです。それから、➀の「新たな派遣先の提供」につきましては、どこでもいいというわけではなくて、派遣労働者の能力、経験などに照らして合理的なものに限る旨を法律に明記したのが主な修正点です。

2 ページに、派遣法改正法案の港湾労働法への影響の概要を列記しております。 5 点あり、 3 番については、今回新たに修正案が加わりましたので、ここはまだ説明していませんが、 1 2 4 5 番については従前から説明したとおりとなっております。 1 番につきましては、派遣法本体において、今までは常用派遣のみの届出制の特定派遣事業と、登録制でやる許可制の一般労働者派遣事業とを区別していたわけですが、一般と特定の区別を廃止して、全ての派遣事業を許可制とするとしたものです。これについては、もともと港湾労働者派遣事業は許可制の下で常用派遣のみとなっておりますので、関係なく適用しないことになっておりますが、労働者派遣法から特定派遣事業という定義を引っ張っているので、その特定派遣という定義が派遣法からなくなりますので、港労法の条文も常用労働者のみを派遣対象とするということです。従来であれば、派遣法である特定派遣と書いていたのですが、派遣法での特定派遣の定義がなくなることから、港労法の条文そのものが変わるという違いが出てきます。

 次に、 2 番の派遣労働者の雇用安定とキャリアアップです。派遣労働者の正社員化を含むキャリアアップ、雇用継続を推進するための措置についてですが、派遣労働者に対する計画的な教育訓練や、希望者へのキャリアコンサルティングを派遣元に義務付けるという部分については、原則適用する。港湾労働者派遣事業の派遣労働者についてもキャリアアップの機会を確保することは望ましいと考えられるため、原則適用することにしております。派遣期間終了時の派遣労働者の雇用安定措置を派遣元に義務付けるという部分につきましては、原則適用しない。これは個人単位の期間制限を適用しないことになっているため、従来から努力義務としてあるのですが、努力義務のみ適用するとしております。これは従来より変わっていないと。

3 番の、今回新たに、「派遣就業が臨時的・一時的なものである」と明記した所につきましては、これは港湾派遣でも適用すると。港湾派遣についても派遣就業日数に制限を設けるなど、もともと港湾労働者派遣事業は、臨時的・一時的なものであるため、そのまま適用する。実質では港湾派遣は変わらないのですが、これについては適用することにしております。

4 番は、派遣期間の制限についてです。事業所単位の期間制限については、従来と同じように適用する。現行でも、派遣先事業所単位の期間制限を最長 3 年ということで、適用しているということです。これは常用代替防止のために適用しているわけです。それから、個人単位の期間制限については、派遣先の同一組織単位における同一の派遣労働者の受入れは 3 年を上限ということについては適用しないということです。港湾派遣につきましては、派遣労働者 1 人当たりの就業日数制限、 1 月当たり 7 日以内というのを設けているために適用しないとしています。

5 番の「派遣労働者の均衡待遇の強化」については、適用するということです。従来、現行でも均衡待遇推進のための努力義務は課されているため、今回も変わらず適用しています。

 ちなみに、この施行期日は今年の 9 1 日の予定となっております。以上、御報告でございます。

○鎌田座長 ありがとうございました。これは、閣議決定して国会に提出される法案の、港湾労働法への影響なのですが、審議事項なのですか。どういうことですか。

○富永補佐 本来であれば、ここで審議していただいて承認ということですが、従来と比べても、実質的に港湾労働法への影響がありませんので、一応御報告という形でお知らせしたいと思います。

○上田室長 今回は、一番最後の、 2 ページ目に書いてあるように、 1 番から 5 番まで関係する箇所を抜き出していますが、これらについては既に 1 度了解を頂いていております。今回は、 3 番の所に ( ☆印を付けています ) 関係している事項が加えられたので、ここの部分について、適用はするが、もともと言っていることを書いているだけだから、承認という形をとらないで、ご報告とさせていただきます。

○鎌田座長 なるほど。昨年、ぎりぎりのところで、改正条文も含めて、審議いただきましたから、それで、もうクリアしているわけですね。

○上田室長 そうです。

○玉田委員 これは、読み方としておかしいのかな。 1 は、つまり、一般労働者派遣事業の許可制のところをベースにして、この法ができていますよと。ただし、法案の中には、特定派遣事業のところでこうなっているから、そこの分は変わるので、港労法の条文は変わると、そういうことですね。

○上田室長 そうです。やっていること自体は変わらないです。

○玉田委員 そういう意味では、適用するのですよね。そして、 2 以下は適用されているのですよね。

○上田室長 そうです。

○玉田委員 つまり、雇用安定とキャリアアップの問題は、今回の法律案ではこういうふうに書かれているが、港労法の中では既に、例えば、キャリアアップのためにうんぬんだと書かれているし。

○上田室長 やっていることがあるので、関係ないですということですけど。

○玉田委員 派遣就業日数だって、制限を設けているし、適用するというか。私たちの理解としては、もう既に適用されているという。

○上田室長 そういうことです。

○広畑部長 もっと厳しい制限がかかっているので、適用はしないと。今回の派遣法の改正の適用はしないけれど、そもそももっと厳しい規制がかかっていると。

○上田室長 すでに自分たちでやっているということです。

○広畑部長 そういう意味では、適用するのが分かりにくくて申し訳ありません。

○鎌田座長 それでは、本件については、ご報告を受けたということでよろしいでしょうか。その他、全体をとおして何かありますでしょうか。

(異議なし)

特にないようでしたら、事務局、何かありますか。

○富永補佐 当専門委員会については通常年 1 回の開催になりますが、次回の開催については各委員の方と日程調整をさせていただきまして進めていきたいと思います。こちらから別途御連絡さし上げますので、よろしくお願いします。以上でございます。

○鎌田座長 それでは、本日の委員会はこれで終了します。最後に、本日の会議に関する議事録の署名委員につきましては、労働者代表は玉田委員、使用者代表は鈴江委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

 それでは、お忙しいところをどうもありがとうございました。


(了)

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