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2015年2月26日 第88回労働政策審議会安全衛生分科会

労働基準局安全衛生部計画課

○日時

平成27年2月26日(木)10:00~


○場所

厚生労働省 省議室(中央合同庁舎第5号館9階)


○出席者

委員:五十音順、敬称略

明石祐二、犬飼米男、岡本浩志、小畑明、栗林正巳、城内博、新谷信幸、鈴木睦、角田透、土橋律、
中澤喜美、中村聡子、中村節雄、縄野徳弘、半沢美幸、三柴丈典、水島郁子、山口直人、
田久氏(勝野委員代理)

事務局:

土屋 喜久 (安全衛生部長)
美濃 芳郎 (計画課長)
田中 敏章 (安全課長)
泉 陽子 (労働衛生課長)
森戸 和美 (化学物質対策課長)
村山 誠 (労働条件政策課長)
井上 仁 (産業保健支援室長)
安達 栄 (調査官)

○議題

(1)労働安全衛生法の一部を改正する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備に関する省令案要綱について
(2)労働基準法等の一部を改正する法律案要綱(労働安全衛生法の一部改正関係)について(諮問)
(3)その他

○議事

○土橋分科会長 皆様おそろいですので、ただいまから「第 88 回労働政策審議会安全衛生分科会」を開催します。

 本日の出欠状況ですが、公益代表では桑野委員、労働者代表では勝野委員、辻委員、使用者代表委員では鈴木委員が欠席されています。なお、勝野委員の代理として、全国建設労働組合総連合の田久様が出席しています。

 それでは、議事に移ります。議題に沿って進めてまいります。本日の 1 つ目の議題は、「労働安全衛生法の一部を改正する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備に関する省令案要綱について」です。前回の分科会において、資料 1-1 の省令案要綱について、厚生労働大臣から諮問を受け、審議していただいたところですが、本日も引き続き審議いただきたいと思います。

 前回の分科会においていろいろと御意見を頂きましたが、更に御意見、御質問はありますか。

○明石委員 ストレスチェック制度について質問させていただきます。このストレスチェック制度は先般諮問された省令、それから今、指針がパブリックコメントにかかっています。この両方を読み比べてみたりしているのですが、なかなか中小企業というか、とくに従業員が特に少ない小規模事業場にとっては、これだけ読んでも、なかなか対策が打ちにくいと思っているのですが、行政としては何かこれに対応を考えられているでしょうか。

○井上産業保健支援室長 ストレスチェック制度については、もう少し簡単で分かりやすいパンフレットといったものも、来年度当初辺りから検討しまして、作成したいと思っています。それからストレスチェックを事業場で実施する際に活用できるようなツールとして、プログラムを厚生労働省として公表して、無料で使っていただくようにさせていただければと思っています。

○土橋分科会長 ほかにいかがでしょうか。

○栗林委員 要望です。今の質疑を聞いていても思うのですが、このストレスチェック制度はゼロから新設されるものですし、事業者にとっては非常に影響の大きいものです。省令案を前回諮問されましたが、先日、その指針のパブリックコメントが出されたところでもあるわけでして、この制度を実効性があるものにするために、事業者側としてももう少し整理、検討する時間を頂戴したいと思っています。以上です。

○土橋分科会長 御意見を頂きました。ほかにいかがでしょうか。

○犬飼委員 特別安全衛生改善計画制度については、前回でも意見を申し上げましたが、 1 点質問をさせていただきたいと思います。前回の第 87 回分科会の議題 3 として、「今後の労働時間法制等の在り方について」の報告がありました。事務局からは労働時間の客観的把握として、医師による面接指導制度に係る内容を規定すること、そして、いわゆる高度プロフェッショナル制度適用者について、面接指導の強化として、厚生労働省令で定める時間を超えるものに対して、医師による面接指導の実施を義務づけることが、労働安全衛生法に関係する内容であるということが報告されました。

 今後は報告に基づいて、関連法令の整備が進められるものと認識していますが、仮に新たに整備される法令の違反によって、本制度が想定する「同様の重大な労働災害」が繰り返し発生した場合には、指導等が行われるとの理解でよいのか、事務局の考え方を確認しておきたいと思います。

○土橋分科会長 事務局側はいかがでしょうか。

○美濃計画課長 この後御審議いただく法律案要綱にも関係することかと思いますし、あくまで現在御議論いただいている、法律案要綱に基づく改正法案が成立したという仮定の話ですが、仮に犬飼委員が御指摘のような事案が発生して、いずれも今回の改正省令案の要件に当てはまるということであれば、対象となり得ると考えているところです。

○犬飼委員 内容について、今の説明で理解したところです。前回の分科会においても意見を申し上げましたが、本制度の厳格な運用、万全な体制整備を是非していただきたいと、改めて御要望申し上げておきます。

○土橋分科会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。先ほど使用者側からの御意見もありましたので、この「労働安全衛生法の一部を改正する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備に関する省令案要綱について」は、引き続き議論ということにさせていただきます。

 それでは、次の議題 2 ですが、「労働基準法等の一部を改正する法律案要綱について」ということで、諮問案件となりますが、事務局から説明をお願いします。

○美濃計画課長 それでは、御説明します。 2 13 日に取りまとめられました「今後の労働時間法制等の在り方について ( 建議 ) 」について、参考資料 1 として、本日お配りしていますが、前回 2 16 日の分科会におきまして、報告をさせていただいたところです。

 それでは、資料 2 を御覧ください。その後、この建議を受けまして、 2 17 日に厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛てに、「労働基準法等の一部を改正する法律案要綱」が諮問されたところです。既に労働政策審議会労働条件分科会におきましては、この法律案要綱について、審議が始まっているところです。

 前回のこの分科会においても御説明させていただいたところですが、 2 13 日の建議のうち、参考資料 1 の中には、労働時間法制の見直しの一環として、労働者の健康確保措置を充実・強化するための労働安全衛生法の改正について、言及がされています。これを受けまして、本法律案要綱についても、労働安全衛生法の一部改正が盛り込まれているところです。本日はこちらについて、御審議をお願いするものです。

 それでは、資料 2 10 ページを御覧ください。労働安全衛生法の改正の部分ということでして、第二 労働安全衛生法の一部改正というところです。まず 10 11 ページにかけまして、一~三の部分ですが、こちらについては参考資料 1 の建議の 10 ページ、 < 面接指導の強化 > 1 つ目と 2 つ目のポツの部分に該当するものです。

 資料 2 の「要綱」を読み上げますと、「事業者は、特定高度専門業務・成果型労働制の対象労働者であって、その健康管理時間が厚生労働省令で定める時間を超えるものに対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導を行わなければならないものとすること」。注書きとして、「健康管理時間について、 1 週間当たり 40 時間を超えた場合のその超えた時間が 1 月当たり 100 時間を超えた労働者について面接指導を実施すべき旨を厚生労働省令で定めることとする」ということです。この「注」については、建議におきまして、今後省令において定めることが適当とされているものです。

 なお、特定高度専門業務・成果型労働制の対象労働者、その健康管理時間といった概念が出ています。こちらについては資料 2 で、少しお戻りいただく形になるのですが、法律案要綱の 6 ページからです。 6 の「特定高度専門業務・成果型労働制 ( 高度プロフェッショナル制度 ) 」の中に記載されています。こちらについては労働基準法で定めることとなる予定です。

 このうち、特定高度専門業務・成果型労働制の対象労働者については、 7 ページを御覧いただきますと、 (2) というのが最後の行にありますが、こちらにおいて定義されています。また、健康管理時間については、 8 ページの (3) というところで定義をされています。

 それでは、法律案要綱の 11 ページにお戻りいただきまして、二、三について引き続き読み上げさせていただきます。「二 一の労働者は、一の面接指導を受けなければならないものとすること」、「三 事業者は、一の面接指導の結果の記録、当該面接指導の結果に基づく必要な措置についての医師の意見の聴取、及びその必要があると認める場合の職務内容の変更、有給休暇 ( 年次有給休暇を除く。 ) の付与、健康管理時間が短縮されるための配慮等の措置を講じなければならないものとすること」。

 こちらについては、現行の面接制度と同様に、労働者が面接指導を受けること、事後措置等について規定を設けるものとすることです。なお、事後措置の例については、特定高度専門業務・成果型労働制の対象労働者の働き方に合わせた内容としています。

 続いて四ですが、こちらについては参考資料 1 の建議の 10 ページ、 < 面接指導の強化 > 3 つ目と 4 つ目のポツの後段の部分に該当するものとなっています。こちらの法律案要綱を読み上げますと、 11 ページ、「四 一に違反した事業者に対し、所要の罰則を科すことその他所要の規定の整備を行うものとすること」となっています。

 なお、建議の 10 ページ、 4 番目のポツの後段の部分ですが、「上記の時間が 1 月当たり 100 時間以下の労働者であっても、その申出があれば面接指導を実施するよう努めなければならない」との部分については、「その他所要の規定の整備」に含まれているところです。

 こちらは具体的には、現行の労働安全衛生法の第 66 条の 9 において、面接指導の実施に努める旨、既に規定されているところです。すなわち、 1 週間当たり 40 時間を超えた場合のその超えた時間が 1 月当たり 100 時間を超えた労働者以外についても、健康の配慮が必要な者について、面接指導の実施に努める旨の規定をされています。その対象者に、この法律案要綱一の面接指導対象労働者以外の高度プロフェッショナル労働制の対象労働者も加えるという改正を行うこととしています。

 最後の「注」を読み上げさせていただきます。「現行の面接指導制度に関し、全ての労働者を対象として、労働時間の把握について、客観的な方法その他適切な方法によらなければならないものとすることを厚生労働省令で定めることとする」ということです。

 こちらについては、建議の 3 ページになるのですが、この分科会でも先般御説明しました (3) の部分であり、「労働時間の客観的な把握」、 1 つ目のポツの部分に該当するものとなっています。労働安全衛生法の改正ではなく、省令である労働安全衛生規則の改正で対応することになるかと思いますが、「注」として記載させていただいています。さらに、建議の同じく 3 ページ、 (3) 2 つ目のポツの部分については、今御説明した「注」の省令の施行通達等でお示しさせていただくこととなる予定です。

 以上が今回の労働安全衛生法の改正内容となります。御審議のほど、よろしくお願いします。

○土橋分科会長 それでは、ただいま御説明いただいた法律案の審議に移りたいと思います。質問等はありますか。

○新谷委員 これは法律の今回の改正部分の中身というよりも、今の労働基準法上での労働時間の規制の考え方と、それと安衛法上の面接指導の時間との考え方について、お聞かせいただきたいです。

 労災の認定基準が厚労省から示されていて、 1 か月当たり 100 時間超え、 2 か月ないし 6 か月平均で 80 時間という時間が示されているのですが、数字が同じ 100 時間というのが出てくるものですから、非常に紛らわしいというか、労使関係の現場では混乱が出るわけですが、「労災認定の 100 時間」というのは、あれはいわゆる「時間外労働時間」として、法定休日の労働時間が含まれていないという扱いになっていたと記憶しておりますが、ここでの「安衛法上の 100 時間」というのは、週 40 時間を超えるということですから、法定休日も含めての労働時間ということになるわけですが、これは将来的にはどのように考えているのか、このままでいいと考えているのか、将来的には何らかの整合性を取るように考えているのか、そこの考えを聞かせていただけませんか。

○井上産業保健支援室長 労働安全衛生法の面接指導については、時間外・休日労働時間ということで、休日労働も含めて実際に働いた時間から週 40 時間当たりを差し引いた時間が 100 時間というようになっています。労災の認定基準とも、整合性は取れていると思います。これについて、今後新たな知見が出てきたということになりましたら、そういった場合にはその 100 時間というところをどうするか、ということは検討することもあろうかと考えています。

○新谷委員 労働基準法では、労働時間の限度時間について、 1 か月 45 時間という大臣告示が出ているわけです。もちろんこの限度時間の告示も、法定休日の労働時間が含まれない扱いでの時間なのですが、私ども労働側としては労働安全衛生法上の 100 時間という時間と、大臣告示の 45 時間とのギャップも非常に大きいと考えていまして、この 100 時間自体が長すぎるということは再々申し上げているところです。

 また、 45 時間の算出の根拠になる「法定休日の労働時間を含まない」という把握法と、「労働安全衛生法の 1 週間あたり 40 時間を超えた時間は全てを含んで 100 時間」だという把握法とのギャップが、労使関係の現場レベルでは認識されていない可能性があり、行政側では、同じ厚労省の労働基準局の中でも課が違う、部が違うということになっていて、実は管理する時間の基準が違うというままで今日に来ているわけです。

 今回の法改正には直接関係ない、とはいうものの、労働条件分科会において、私ども労働側は、その辺も主張してきたところであり、いずれかの段階では整合的な見直しをしないと、片や法定休日を含む、片や含まないというままに、今日まで来ている状況では、やはり現場の混乱を招きますので、是非ここも将来的な見直しをしていただきたいということを、要望として申し上げておきます。

 その上で、本日示された諮問内容についてですが、労働時間法制を検討しているメインの分科会は労働条件分科会でして、そちらの審議日程との関係で、本日の安全衛生分科会が先行しているわけですが、私ども労働側としては、全体的な労働時間法制の見直しについては、労働条件分科会の中で見解を申し上げることにしています。今回、本分科会に対して諮問された部分は、要綱の 10 ページの第二の部分、労働安全衛生法の部分だけだということですが、しかし、この 10 ページの第二の一には、「特定高度専門業務・成果型労働制」ということで、高度プロフェッショナル制度についての記述があるわけです。

 この高度プロフェッショナル制度については、労働条件分科会で集中的に論議していますが、参考資料 1 の建議の 8 ページ、 4 ポツのリード文の最後に、私ども労働側として、労働条件分科会の労働側委員の総意として、反対意見を付けさせていただいていまして、「新たな制度の創設は認められない」という前提での反対意見を付しています。

 ですから、そもそもこの第二の中に高度プロフェッショナル制度が入っていること自体が、私ども労働側としては非常に違和感があるわけですが、諮問内容は第二の部分だけで、かつ横書きの建議に対して、縦に置くということですが、ここの部分については、健康管理時間の創設等々を記載されていますし、制度の創設自体については労働条件分科会で改めて意見を申し上げますが、安全衛生分科会の分掌である第二の部分について意見を申し上げまして、今後の法律案要綱について、必要な改正がなされるように、要請として申し上げておきたいと思います。

 繰り返し申し上げているように、私ども労働側としては、この医師による面接指導については、今回新たに規定されるように、特定の対象者のみを対象として、面接指導の強化、あるいは刑事罰の付与を行うのではなく、全ての労働者を対象にすべきと考えています。医師による面接指導は、労働者の申出により行うのではなく、一律に時間外・休日労働時間が 100 時間に到達すれば受けさせるべきであり、現行では罰則が付いていない全ての労働者に対しても、刑事罰をもって実効性を確保するべきであるということは、再三申し上げているところでして、何も対象者を限定することなく、全ての労働者を対象にするべきであることも意見として申し上げておきたいと思います。また、そもそも高度プロフェッショナル制度については導入すべきではないという立場であり、そういう意見を付し、今後の政省令等が改正されることを要請しておきたいと思います。以上です。

○美濃計画課長 新谷委員から、全ての労働者に対する面接指導の強化について、貴重な御意見を頂きました。今回の改正について、本日諮問させていただいた法律案要綱については、高度プロフェッショナル労働者制の対象労働者に対する健康管理の強化の一環としての措置ということですが、貴重な御意見として賜わりますとともに、全ての労働者に対する過重労働防止対策全般について、厚生労働省の重点課題として、引き続きしっかりと取り組んでいきたいと考えています。

○土橋分科会長 ほかにいかがでしょうか。

○山口委員 確認の質問ですが、今の 11 ページの「注」の「健康管理時間について、 100 時間」というのは申出の部分がなくなっていますが、ほかの過重労働の、先ほどの 80 時間のこととか、それに加えてこれが付け加わるという理解でよろしいでしょうか。

○美濃計画課長 今回の高度プロフェッショナル労働者制の対象労働者については、 100 時間を超えている場合は申出を必要としないということです。

○山口委員  100 時間を超えていない場合の取り決めは、ほかと横並びということでよろしいのですよね。

○美濃計画課長 はい。

○土橋分科会長 ほかにいかがでしょうか。

○美濃計画課長 補足させていただきますと、 100 時間を超えていない場合であっても、申出があれば面接指導制度で対応するという、そういう趣旨で申し上げたということです。

○山口委員 もう 1 点、別の観点から質問させていただきたいのですが、今の過重労働でいろいろな取り決めがなされた際には、医学的、科学的な根拠をいろいろ精査して、 100 時間とか 80 時間とか、いろいろなことが取り決められたと理解しているのですが、今回の場合、時間のことも然りながら、より高い自由度を持ったお仕事をしていただくということについて、医学的にもプラス面、マイナス面、いろいろなことが頭に浮かぶのです。その辺について、科学的な根拠の精査をなさるという御予定はありますか。

○井上産業保健支援室長 今回、高度プロフェッショナル制度が出来まして、そういった働き方をする方が出てくるということになりますと、そういった方がどういった働き方をして、どういう健康管理が必要ということになるかというところ、その辺については過重労働対策全体として、どういうことが必要か、そういったことについては検証をしてまいりたいと考えています。

○新谷委員 今、山口委員が御指摘をされた部分は、非常に大事だと思います。この要綱の 9 ページに、「高度プロフェッショナル制度の対象者について、イロハのいずれかの措置を講じなければいけない」ということで、健康福祉確保措置が書かれているわけです。いずれかを講じなければいけないという中の 1 つ、イの部分というのは、いわゆる勤務間インターバル、継続した休息時間を与えるということですが、ただ、その一定の時間が「厚生労働省令で定める時間」と書いてありますが、まだこれについては具体的には決まっていません。 24 時間のうち一体、何時間の継続した休息時間なのか、御承知のように、 EU 労働指令では 11 時間ということで、既に運用されているところですが、では、我が国ではこの時間を一体何時間にするのかまだ決まっていませんし、深夜の回数制限についてもまだ決まっていない。

 それと、ロの部分というのは量的な上限規制として、 1 か月又は 3 か月について、その時間を超えないようにするということで、ここが健康管理時間という概念を導入したときに、一体何時間でリミットを掛けるのかということも、まだ決まっていないわけです。

 ハの所は 4 週で 4 日の休日、年間では 104 日ですが、 4 週ですから 28 日間のうち 4 日を与えればいい、かつ、アンド条件で 104 日を与えればいいということになっているのですが、これのどれを取っても、健康にどのような影響を与えるかというのが、まだ見えないのです。

 もちろん「一定の」とか、「厚生労働省で定める」というところの時間が決まっていないこともあって、これが本当にどの時間でリミットを掛けるか。あるいはハの部分を取ったときの健康時間。要するに 28 日のうち 24 日連続で働かせてもいいという仕組みになっていますので、イロハのいずれかの措置が本当に過重労働防止につながるのかということから考えれば、今回、第二の部分で定められている、一律的に 100 時間を超えれば医師の面接指導を受けさせるという仕組みについてはもともと、高度プロフェッショナル制度そのものの創設には反対ですが、やはりこの枠組みは重要だと思います。そういった意味では、これが施行されたときに、労働者の健康に対してどのような影響を与えるのかという実態調査を必ずやっていただきたい、ということをお願いしておきたいと思います。

 再三申し上げているように、もともと私ども労働側としては、高度プロフェッショナル制度は導入すべきでないという立場に立っていますので、本分科会で論議される範囲としての第二の部分についてだけ、本日は見解を申し上げていることを、重ねて申し上げておきたいと思います。以上です。

○村山労働条件政策課長 労働条件分科会の担当課長で村山と申します。ただいま山口委員、新谷委員から大変貴重な御意見を頂いたと思っていますし、事務局の回答、安全衛生分科会での回答は、先ほど井上室長からあったとおりということです。

 その上で、今の新谷委員から「建議報告書」の 9 10 ページにかけての言及がございましたので、この場で改めてということになりますが、 1 点だけ補足で申し上げたいと思います。 10 ページに、先ほど新谷委員から、まさにこの省令委任事項のお話がありました。まさに御指摘のあった、「上記1、2の『一定の時間』及び『一定の回数』については、法案成立後、改めて」、当然のことながら、「審議会で検討の上、省令で規定することが適当である。また、その審議に当たっては、各企業における現在の健康確保措置の取組実態も十分踏まえつつ、対象労働者の健康確保に十分留意することが適当である」とされており、この「対象労働者の健康確保」ということを考えていく上で、先ほど山口先生から御提起のあった医学的知見等の点は大変重要な視点であるということは、私どもとしても認識しておきたいということです。

 もう 1 つ、新谷委員から、この部分について、制度の創設に反対ではあるけれど、仮に施行という段階を迎えるならば、きちんと実態を踏まえてというお話がありました。恐らく新谷委員の御趣旨としても、この部分に限らず、全体としてということだと思っています。この制度全体の、また仮に法律が制定され施行される段階になりましたら、どのように全体としてフォローアップをしていくのかについて、各側の意見もお伺いしながら、また分科会間の連携も取りながら考えていきたい、このように考えているところです。以上です。

○土橋分科会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、法律全体を含めていろいろ意見を頂きましたが、この法律案要綱のうち、「労働安全衛生法の一部改正」に係る部分、これは第二の部分ですが、この部分については、概ね意見の一致が見られたのではないかと思います。

 当分科会としては、「労働基準法等の一部を改正する法律案要綱」のうち、「第二 労働安全衛生法の一部改正」に係る部分について、おおむね妥当と認め、労働政策審議会長宛てに報告したいと思いますが、よろしいでしょうか。

                                   ( 異議なし )

○土橋分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局におかれましては所要の手続きをお願いします。

 最後に議題 (3) 「その他」です。事務局からは特段の議題はないとのことですが、その他に何かありますか。よろしいでしょうか。

 それでは、これで本日の全ての議題が終了しました。熱心な御議論をありがとうございました。最後に事務局から連絡事項をお願いします。

○美濃計画課長 本日も、熱心に御議論いただきまして感謝申し上げます。御了解いただきました「労働基準法等の一部を改正する法律案要綱」のうち、「第二 労働安全衛生法の一部改正」に係る部分の、労働政策審議会長宛ての報告については、早急に所要の手続きを進めさせていただきたいと思います。

 次回の分科会については、 3 月の開催を予定していますが、追って御案内させていただきますので、何とぞよろしくお願いします。以上です。

○土橋分科会長 それでは、本日の分科会はこれで終了します。なお、議事録の署名については、労働者代表委員は犬飼委員、使用者代表委員は中村節雄委員にお願いします。よろしくお願いします。

 本日はお忙しい中、ありがとうございました。


(了)

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