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2015年3月31日 第4回雇用政策研究会(議事録)

職業安定局雇用政策課

○日時

平成27年3月31日(金) 14:00 〜16:00


○場所

厚生労働省専用第23会議室


○出席者

委員

樋口座長、阿部委員、神林委員、黒田委員、佐藤委員、鶴委員、橋本委員、堀委員、宮本委員、山川委員
生田職業安定局長、勝田職業安定局次長、坂口職業安定局派遣・有期労働対策部長、広畑職業安定局雇用開発部長、北條職業安定局雇用開発部雇用開発企画課長、田畑労働政策担当参事官、宮下職業能力開発局総務課調査官、安達労働基準局総務課長補佐、中井雇用政策課長、黒田雇用政策課長補佐、藤井雇用政策課労働市場分析官

○議題

報告書の構成案の検討

○議事

○樋口座長 時間になりましたので、ただいまから第4回「雇用政策研究会」を開催いたします。皆様におかれましては、御多忙のところお集まりいただきましてありがとうございます。

 今回はこれまでの御議論を踏まえまして、雇用政策研究会報告書の構成案について検討したいと思っております。

 その前に、前回の研究会で各委員から出されました要望への対応及び事務局において新たに追加する事項がございますので、資料1と資料2に基づき事務局から説明をお願いいたします。

○黒田雇用政策課長補佐 課長補佐の黒田でございます。よろしくお願いいたします。

 今から、資料1と資料2に基づきまして、前回の研究会で委員の先生方から御要望のあった資料と事務局で追加説明をしたい資料について御説明申し上げます。

 資料1をごらんください。まず1ページ目ですが、前回の1212日の研究会におきまして、私ども事務局から高卒就職時と大学進学時の地域間の人口移動についての資料を出させていただいておりまして、それぞれ高卒就職時と大学進学時に三大都市圏に地方圏から人口が移動していることをご説明しました。

 資料の2ページ目と3ページ目は、前回の研究会において、堀委員が提出して下さった資料です。これは、若者の地域間移動について年齢別に見ていくと、60代の方から年齢が下っていくに従って、20代になるにつれて就職時に地方から三大都市圏に流出するという割合が減ってきているという内容でした。そして、前回の研究会において、委員の先生方から、この双方の資料について整合がとれていないのではないかという御指摘がありました。これにつきまして、整合がとれているということについてこれから御説明をいたします。

 4ページ目をごらんください。国勢調査で地方圏における年代別の人口の推移について、5歳刻みのコーホートで昭和30年生まれから昭和60年生まれまでの人口の地方圏への残存率を見た資料です。10歳のときに地方圏にいた人を100としたときに、5歳刻みで年齢が上がっていくと何%の人が地元に残っているのかということを折れ線グラフにしたものを御用意しました。

 一番左の「男女計」をごらんいただきたいのですが、赤い実線の折れ線グラフが昭和30年生まれです。20歳のところに着目していただきますと、10歳のときに100だったものが3割流出しまして、70が地元に残っているという状況になっています。

 これが赤い点線、黄色い実線、黄色い点線と5年ごとに生まれ年が遅れるにつれて、地元に残る割合が高まってきているということがわかります。これは男女とも同じような傾向にあるということであります。

 5ページ目ですけれども、同じように国勢調査で若年層の年齢別の転出率等、県外にどれだけ転出するのかということをデータでとっています。1519歳層、2024歳層、2529歳層について、県外への転出の割合が高いのですが、平成2年から平成12年、平成22年と10年刻みでデータをとってみますと、平成2年のときは、例えば2024歳の場合、一番左のグラフで男女計で見ますと、3割の人が県外に転出していた。それが平成12年には20%台前半になっているということで、県外への転出はし続けているのですけれども、少なくなっているということであります。

 4ページ目と5ページ目の資料で申し上げたいことは、例えば高卒就職時とか大学進学時ないし大学を卒業して就職するときについて、三大都市圏への流出は引き続き続いておりますけれども、三大都市圏へ地方から流出する割合、度合いが縮小してきているということがわかりますので、堀先生の資料とも、私ども事務局が出した資料とも、双方とも整合がとれていると言えるのではないかと考えており、ここに資料を御用意させていただきました。これが1点目でございます。

 2点目は6ページ目でございますけれども、前回の研究会で樋口座長から受理地別の有効求人倍率と就業地別有効求人倍率について、どちらのほうが雇用情勢の実態と相関が高いのかという御下問がありましたので御用意した資料です。就業地別と受理地別の有効求人倍率について、完全失業率との相関関係をとった資料です。

 右側の表を見ていただきますと明らかでございますけれども、どの年度も一番右の欄の就業地別の有効求人倍率のほうが左の受理地別有効求人倍率よりも相関係数が高いということになっております。

 以上が資料1の説明でございました。

 引き続き資料2について御説明します。

 事務局が今回、構成案に入る前に追加をしたいという資料を2枚御用意しています。

 おめくりいただいて1ページ目でございますけれども、運輸業について、これまで人手不足の分野ということで建設、介護、看護、保育という4分野について見てまいりましたけれども、日本の経済成長を支える根幹である物流のところについても人手不足が深刻だということもあり、運輸業の現状についても見ておきたいということで御用意した資料でございます。

 簡単な資料でございますけれども、運輸業の特徴は建設業に似ているのですが、女性比率が非常に低いということであります。下の表で言うと全産業平均が42.8%のところを、大体トラック、バス、タクシーそれぞれ2%前後ということで非常に低いという状況にございます。

 年齢構成についても、40歳未満の若い運転手が少ないという状況にあります。

 労働時間についてですが、下の表で言うと下から2段目ですけれども、全産業平均177時間に対して、トラックで言うと例えば220時間ということでかなり長時間労働であるということがわかります。

 所得についてはその下の欄ですけれども、全産業平均469万円に対して、トラック運転手で言うと418万円ということで、この年間所得も低い。長時間労働であるにもかかわらず年間所得が低いという状況にあります。

 上の箱の3番目の○がまとめですけれども、こういった状況ですので若者の新規参入が少なくて高齢化していく産業構造にありますということと、今の現役世代が引退した後に深刻な労働不足に陥るおそれがあるという産業の現状にございます。運輸業の現状についての資料をお示しします。

 引き続きまして別の話になりますが、2ページ目で「年齢階級別就業者数の推移と見通し」という資料をおつけしてございます。これは単純な資料でして、昨年の雇用政策研究会報告書に載せた2030年の就業者数の見通しの数字と、20年ごとに2010年と1990年の実績の就業者数の実績値を男女別で年齢階級別で人口ピラミッドのようにしたものです。左側が「経済成長と労働参加が適切に進まないケース」、右側が「経済成長と労働参加が適切に進むケース」ということで、右側のグラフを中心に御説明します。右側を見ていただければと思いますが、ここで申し上げられるのは主に50歳以上のところですけれども、2030年の黒い棒グラフが2010年とか1990年に比べて長くなっているのが50歳以上の層だということです。

 翻って言えば今後、2030年に向けては中高年の方々の活躍というものがどんどん高まっていきますし、こういった方々に活躍していただかないと、逆に言えば我が国の経済成長も維持できないという状況にあることが一目でわかるというグラフになっております。

 裏返しですけれども、若い層を見ていただきますと白い棒グラフが長いということで、どんどん少子化が進んでおりますので、2030年になったころには黒い棒のところは20年前、40年前と比べて短くなっていることがわかります。そういう意味では、企業が若い人が大量に採用して、その人たちを会社の業務に合わせて、内部で育て上げていくという従来の採用形態が、若い人を確保できないような人口構成になっていく過程で通用しなくなることが予想されるということもあります。

 あとは右側の女性のところはいろいろな年齢層で、例えば40代を見てもそれほど就業者は減らないということなので、女性の就業率が上がっていくということが予想されていますので、女性の活用というところも非常に重要な論点になって来ようかということでありまして、これは前回の報告書でも申し述べてきたことですけれども、人口ピラミッドをつくって視覚的に見ると、より理解が深まるであろうということでお出しさせていただいた資料であります。

 以上が追加の資料の説明でございました。よろしくお願いいたします。

○樋口座長 御質問、御意見がございましたらお願いいたします。

 堀さんのほうから何かありますか。今のでよろしいですか。

○堀委員 はい。

○樋口座長 私はまだよく理解していないです。

 資料1の4ページのこれは、母数は地方に住んでいる人が10歳以上の人口を100としてなのですか。

○黒田雇用政策課長補佐 はい、そうです。三大都市圏以外の方々が母数になっていて、その方々の人口です。下に注で書いたのですけれども、東京圏の南関東の4県と名古屋圏の愛知、岐阜、三重、関西圏の大阪、京都、兵庫、奈良を除く36の道県を地方圏と設定しまして、例えば昭和30年生まれの人が10歳のときの人口を100としたら、それが15歳、20歳となったときにどういうふうな数になっているのかということを国勢調査を用いてコーホートで追っていったものであります。

○樋口座長 そうすると、昭和45年まではだんだん20歳のときは上に行っているけれども、その後は変わっていない。

○黒田雇用政策課長補佐 20歳のところに着目すると、昭和50年生まれぐらいまでは上がっていくのです。ただ、昭和50年生まれから55年生まれ、60年生まれというところは余り変わっていない。昭和30年に比べますと一旦人口流出の度合いが縮小してきているのですけれども、そこから先の残存率は余り変わっていないということです。流出はずっと続いていますが、昭和30年と比べれば今はそれほどではないということです。

○樋口座長 どうぞ。

○宮本委員 今のことに係る質問なのですけれども、整合性があるというのはわかったのですが、整合性の解釈なのですが、一つは全体としては落ち着いてきているけれども、東京への集中的な流入が逆に目立ってきているということなのかということが一つです。

 それから、男女比が顕著な差が見られなくなっているということですが、これは女性も男性の減り方、つまり定着の相対的な拡大に比べるともう少し定着してもいいはずなのだけれども、ここは例の地方創生論議で言われるような、20歳から39歳までの女性の移動が続いている、つまり地方における女性の社会減が目立っているということなのか。これが2番目です。もし、その背景等も何か推測可能なデータがあればということです。

 3番目に、東京から流出、つまり20歳から30代後半くらいの女性が年ごろになって地元から呼び戻されるということが少なくなって、地元に戻っても相手もいない、仕事もないということで呼び戻されることが少なくなっているというのも一つ背景にあると思うのですけれども、そのあたりももし何かおわかりでしたら教えていただきたいと思います。

○樋口座長 お願いします。

○黒田雇用政策課長補佐 お答えします。

 一つ目の東京一極集中については、今回お出しした資料が東京圏と名古屋圏と関西圏の流入を見ておりまして、東京圏だけの部分を切り出したものは作成できると考えますが、今手元にない状況です。そういう意味では三大都市圏への流入が続いていますという意味での資料でございます。私どもの出した資料も堀先生が出した資料も三大都市圏への流入の話をしていましたので、その切り口ではご準備した資料であるということを御了承いただきたいということが1点。

 女性については、もともと宮本先生御指摘のとおりでありまして、昭和30年代のときにも定着率は7割5分あったわけですから、もともとは地元に定着していた。それが男性の定着の割合がかなり高まったということもありますけれども、女性がそこまで上がっていないというのは大体両方とも10歳のときの人口に対して8割5分ぐらいの人が20歳のときに残っているわけです。

 ここは男女差がなくなってきているというのは、地方創生の議論もそうでしょうけれども、大学進学のことを考えても女性も進学率はかなり上がってきていますし、逆に言えば東京に出る方も増えてくるということで、性差が余りなくなってきているのではないかと考えます。働く女性の方も増えてきています。そうは言ってもまだ女性のほうが残っている人が若干多いのですけれども、それでも性差が縮まってきているのではないかということで、それ以上の詳しい背景を調べているデータを持ち合わせてはございません。

 3点目の東京からの呼び戻しについては、このグラフでもわかるとおり、谷が20歳なのです。そこからもう一回地元に残っている人の割合が25歳から30歳のときに上がるのです。大学で一回地方から出て、就職を機に戻ってくるという人も一定程度いるのだろうと考えますが、戻る反発力というか傾斜については一目瞭然ですが、昭和35年生まれのときはかなり戻っていたのですけれども、逆に言えば今は横ばいだったり、昭和60年生まれの黒い点線を見ていただくと、25歳のときに逆に流出が進んでいたりするのです。

 東京から呼び戻しても、地元に結婚する人がいないから、呼び戻すこともなくなったというのも一つ理由としてあるかもしれませんが、呼び戻しというかUターン自体の力は実は弱まっているのではないかということが見てとれます。

 以上であります。

○樋口座長 よろしいですか。

 どうぞ。

○佐藤委員 今ので確認なのですけれども、男性のほうを見ると、例えば昭和55年だと今のお話があったように20歳のときで8384%で残存率はだんだん落ちてきますよね。まだその後も出ていく人がいるということで、60年もこの傾向が続くと、もしかすると55年、60年と見ていくと、今後は出ていく傾向になるという読み方もできなくはないですか。

○黒田雇用政策課長補佐 特に男性はそういう見方もできるかもしれません。

○佐藤委員 女性も近いですよね。

○黒田雇用政策課長補佐 はい。女性も特に昭和60年は25も下がっていますので、ここの原因が何かということを考えなくてはいけないと思っています。いろいろ考えたのですけれども、まだ何でここが下がっているのかというのは正直申し上げてわかっておりません。

○神林委員 よろしいですか。

 これは前回気づかなかったのですけれども、4ページの図というのはストックとストックを比べたときの、私たちの世界では残存率とかリテンションレートという言葉を使う指標になります。

 ストックとストックの間の差というのはインフローとアウトフローの差になって、アウトフローというのが次のページ、5ページです。これが一時点での転出率を計算したもので、県外転出率とか地域差とか、年齢区分とかいろいろあって直接比較は可能ではないのですが、これがアウトフローの変化になるわけですね。なので、これと同時にインフローの変化をもう一個つけてもらうと、多分わかると思います。

 ここから5ページで見えるのは20歳〜24歳のときのアウトフローのピークが大幅に減少したというのはわかるわけですけれども、これは多分4ページの20歳時点でのストックの残存率、残りぐあいがどんどん大きくなっているということと対応しているのですが、25歳の時点では、実はアウトフローの率というのは昔からほとんど変わっていないのです。

 4ページの25歳時点でのストックの残存、残りぐあいというのは恐らくインフローが変化したことによって生じているはずだとなります。ということは、多分先ほど来御議論になっているUターンといいますか、戻ってくる人たちの構造というのが25歳時点で戻ってくるという人たちが減っていることによって、25歳時点での残存率というのがコントロールされているというふうに解釈するのがいいのかなと思います。

○黒田雇用政策課長補佐 インフローの点についてもお調べしたいと思います。重要な御指摘ありがとうございました。

○樋口座長 よろしいですか。

 これも言い出すときりがないのですけれども、今、東京圏対そのほかという話になっているのだが、地方に行くと中核都市への集中という感じで、片方で小さいところがますます小さくなって、割と県庁あるいはまさに中核都市に集まっているというのが最近起こっているのではないかというのがあるのだけれども、そこら辺について調べたのがありましたら。

○黒田雇用政策課長補佐 お手元の前回の資料が載っているファイルの中で、一番上についている資料ですけれども、第3回の資料1の23ページ目をごらんください。

前回、地方中枢都市が存在する県の転入超過、転出超過の人口移動4というグラフをつけております。そこで北海道、宮城県、広島県、福岡県ということで県全体の人口のグラフを青で書いています。中核都市の人口の流入、流出を赤で書いていますが、今、座長の御指摘にあったとおりのデータでして、県全体で見ると、例えば北海道、広島は人口流出が続いていますが、中核都市を見ると、例えば札幌ですとか広島については若干ですが人口流入超過になっている。県外には人手が出ていっていますけれども、逆に中核都市の人口は増えているわけです。

 全体では相当減っていても、中核都市は人口維持なり若干増えているという状況が見てとれる。それは宮城や福岡でも似たような状況です。福岡は若干県全体でも人口はふえているので全く同じとは言えませんが、福岡市自体はふえていますので、そういう中核都市、地方拠点都市というところに人口の流入があるということのデータであります。

 よろしゅうございますか。

○樋口座長 どうもありがとうございました。

 よろしいですか。

 よろしければ、きょうの本題であります骨子案について御議論いただきたいと思いますが、まず雇用政策研究会の報告書の構成案について、事務局から説明をお願いします。

○黒田雇用政策課長補佐 それでは、引き続き資料3に基づきまして「雇用政策研究会報告書 構成案」というものをお出ししていますので御議論いただければと思います。

 もともとこの研究会を始めるときに、前回雇用対策基本指針を出すためにつくった報告書がかなり網羅的な幅広い報告書でございましたので、そのうち特に人手不足ですとか、雇用管理改善を通じた処遇の改善ですとか、地域雇用について地方創生の議論も始まるところでしたので、そういったところについて的を絞って深掘りしていきたいということで始めた経緯がございます。

 資料3の序章については、こうした考えについて、「報告書のコンセプト」としてもう一度書かせていただいております。ポイントとしましては今申し上げたとおり、雇用管理改善の一形態である「人的資本の向上」ですとか「全員参加の社会にふさわしい働き方の構築」という多様な働き方、そういったところを深掘りたいということと「人手不足産業」「地域の雇用機会の確保」等についてさらなる提言を行っていきたいというコンセプトでございます。

 今お示ししている構成案は2章構成でございまして、1章目が「雇用管理改善等による人的資本のポテンシャルの最大発揮」ということで、当然今後の人口減少下で、全員参加していただくためには、雇用管理改善をしていくべきということなのですけれども、そういったことで労働者一人一人が労働の質を高めて、さらには経済成長につなげていくにはどうするべきかということを書きたいと考えております。

 おめくりいただいて第2章については、3つの柱のうちの大きく2つ、「人手不足分野」と「地域雇用対策」について深掘りしたいということをまとめている章でございますけれども、「人口減少下での安定成長に向けて」というキーワードでこの2つのテーマをまとめてはどうかと考えております。

 人口減少によって労働力不足になるということが予想されておりますので、人手不足分野の対策は当然必要ですが、短期的な対策のみならず中長期的な観点からも人手不足ということは議論していくべきだということで人手不足を書くのと、昨秋以来、政府部内で地方創生の議論もございまして、人口減少下で安定成長していくためには地方の活性化、地方創生ということも重要でございますので、そこで雇用対策の観点から何が地域雇用対策でできるのかということの方向性について、事例等を交えながら何か書ければと考えておりまして、ここで地方雇用対策について触れたいと思ってございます。

 大まかな構成案はこういうことでございますけれども、また1ページ目に戻っていただきまして、第1章のそれぞれの項目について、もう少し詳しくどのようなことを考えているかということを口頭で補足したいと思います。

 「(1)人材育成・能力開発の取組」のところでございますが、1つ目の○に「学校教育段階等における学びの重要性」ということを掲げています。この項目についてまだこれからでございますけれども、例えばこういうことかなと考えておりますのは、社会人になってからの能力開発の取組の効果がより発揮されるためには、学校教育段階による基礎学力とか基礎能力の向上が極めて重要だということと、就学前の幼児期についても将来の人的資本蓄積等に影響を与える。そのために重要な時期であるという研究結果が国内外で存在してございますので、幼児期に家庭環境に対して行政として何か支援ができないのかということで、いろいろと厚生労働省も支援をしておりますけれども、やはり幼児期の家庭環境の大事さということも、前回の報告書でも若干は触れていますけれども、今まで余り触れていなかったので、こういうことが基礎能力というところで大事かなということを書かせていただきます。

 当然この中ではそれに加えて、旧来からの学校におけるキャリア教育というものも当然重要ですということは書かせていただきたいと考えております。学校教育において、勤労観とか職業観を醸成して、学習と将来の職業人生との関係を見出せる取組を行うことが必要だということを1つ目の○で書くことを考えております。これらの点について御議論いただきたいと考えております。

 2つ目の○につきましては、ここから先は能力開発の内容ですけれども「就職後の人材育成、能力開発」ということで、当然若者に対する能力開発というものはこれまでも申し述べてまいりましたけれども、ここでもしっかり述べたいと思います。若いうちに能力開発とか人材育成をすることは、その後の本人にとってもリターンが大きいですし、企業側もリターンが大きい。国家的に見ても若い人に研鑽を積んでいただくことは非常にリターンが大きいですので、若者の能力開発の重要性ということを述べた上で、それに加えて先ほど追加の資料で出させていただいた人口ピラミッドの話ですけれども、2030年ごろには中高年の方々の活躍が期待されるということで、中高年の方々が活躍するためには学び直しですとか、キャリアの振り返りということも必要だということを触れたいと思ってございます。

 一番下の「○更なる活躍が期待される層への支援」ということについては、正社員以外の人の能力開発、特に不本意で正社員以外という雇用形態になっている方々について、正社員化につなげるためには能力開発というものが必要であり、そこにはやはり公的支援もかなり入っていくべきだということで、そういったことを触れたいということを今のところ考えてございます。

 「(2)個々の能力が最大発揮される環境の整備」ということで一つ目の「○各主体の意識改革の必要性」ですが、ここはどちらかと言うと全員参加社会の実現を目指していく中で、一方で、ライフスタイルや価値観が多様化している状況ですので、そうした状況にどう対応していくかということを論じたいと考えております。例えば、育児とか介護等を抱えて働くといったある一定の制約を持ちながら働く人が増えて来ています。共働きも増えていますので、そういった制約を持ちながら働く人々が増えているということ。これについて、前回の報告書でもいつでも残業できる、それが正社員だという意識を変えよう、長時間労働イコール正社員という意識を変えていこう、それは単に労働者とか企業が変えるだけではなくて、取引先とか周辺の人々みんながその意識を変える必要があるということについて、しっかり書きたいと考えております。

 全員参加のためには意識改革が必要ですということを言った上で、2つ目の○ですが「全員参加の社会にふさわしい働き方の構築」ということで、3点黒ポツを挙げていますが、一つ目は「人材の最適配置・最適活用」ということで、企業内でも当然人材の適材適所というのは大事ですけれども、国全体でも人材の適材適所を考えていくことは大切で、各人のポテンシャルを最大限に発揮するためには、例えばマッチング機能をしっかり働かせてちゃんと自分の働きたいところを見つけて、生き生きと働けるということにつなげていくのが大事だということを書きたいと考えております。

 2つ目の黒ポツの「多様な働き方という選択肢を準備する必要性」というのは、育児や介護などのいろいろな制約を持った中で働くという中で、フルタイマーだけではなくて、例えば多様な正社員ですとか、いろいろ議論していたりしますけれども、そういうものですとか、先ほど申し上げた正社員以外の雇用形態、例えばパートを希望する主婦とかもいるわけですが、このようにいろいろな働き方があるはずです。その多様な働き方を許容する選択肢を社会や個々の会社が準備していく必要性があるということを述べたいと考えております。

 「長時間労働の抑制」については当然、時間当たりの労働生産性を高めるという工夫をすることが前提であり、だらだら働き続けるのは意味がないので、ちゃんと時間当たりきっちり生産性を高めた上での話になりますが、長時間労働の抑制を通じて、制約がある中で各人が生き生きと働ける環境をつくることが大切だということを申し述べたいと思ってございます。

 「(3)賃金の改善について」は、当然賃金は労使交渉によって決定されるものですが、企業収益の改善が賃上げへ結びついているという今の状況は、経済の好循環のあらわれの1つだろうと考えます。

 全員参加を実現して成長が維持、拡大されていく中で、先ほどの多様な働き方とも含めて成長の果実を賃上げへつなげていくことが重要だろうと考えております。

 一方で1回目、2回目、3回目の研究会で議論していただきましたとおり、例えば建設業とかでは労働市場のメカニズムがどうも働いていないようで、人手不足なのに賃金が上がっていないような現状もありますので、そこをどのようにこなすかということもありますが、いずれにしても賃金の改善ということにつながっていくような形が大事だということを述べていきたいと考えております。これが1章の大枠でございます。

 2章については、まず「(1)人手不足分野の現状と対策」についてです。これは「個別分野における現状と対策」で、これまでかなり現状については見てまいりましたが、現状と対策を述べていくときに注意しなければいけないのが、短期的なところは恐らく言いやすい。対策も言いやすいのですけれども、中長期的なところは結構難しいと思ってございます。

 それは何かと言うと、例えば介護で言えば2040年まで高齢化率が上がっていく中で、介護需要はずっとふえていくと思っています。これからの基幹産業になるということで、介護や医療は大事な分野ですけれども、介護はそうだと思っています。

 一方で、保育等については、今は人手不足ですけれども、今後どうなるかというと介護ほど長いスパンで人手不足が続くかどうかはわからないので、タイムスケジュールを見ていくと介護と保育というのは人手不足になる時期というのがもしかしたら違うのかもしれないと思っていまして、そこをどう整理するかという課題はあります。

 ただ、書けることとしてまず短期的なところの現状と対策を書いて、中長期的なところも課題は必ずありますので、課題については必ず触れなければいけないと思ってございますので、介護や保育や看護というのはそういったことで書こうと思っています。

 建設と先ほど見た運輸は結構似たような産業構造でございましたが、例えば建設は重層下請構造があるのでなかなか賃金が上がらないとか、運輸についても賃金がなかなか低い部分があって、価格に転嫁できない部分があるのかとかいろいろ考えておりますけれども、そういう労働市場メカニズムがなかなか働かずにその処遇が改善しない中で、若者にも人気がないというこの分野について、一方で日本の物流がとまると日本の経済成長はとまりますので運輸は大事ですし、建設も当然インフラ整備等が大事ですので、こういった分野の人手不足対策をどうやって考えていくのかということをここに記していくのだと考えております。

 最後に地域雇用対策につきましては、どちらかと言うと昨年の1227日に閣議決定された、地方創生の総合戦略についてはかなり意識しながら書かせていただくのだと考えておりますが、労働政策から言えば地域に良質な雇用を創出するというのが一つの大きなミッションだと思っております。その地域に良質な雇用を創出するために地域雇用対策に取り組むことは大切なのですけれども、三大都市圏に高卒就職時とか大学入学時に人が流入してくるという現状の中で、下に書いています人材還流、人材育成をどうしていくか。若い層だけではなくて、子育てが一段落したようなシニア層もUIJターンしてもらうとか、人材育成については地域に残る若者についてはメインターゲットであり、一定程度地域に残る若者がいるということも先ほどの資料でわかりましたので、そこにメインターゲットを絞って、例えば地域の産業を担う人材を育成するとか、新たな産業を創出するような人材を育てていくということが求められていくだろうということがあります。

 「安定した良質な雇用の創出」については魅力ある地元企業のPRとか、求人開拓とか、そういう地道な取り組みもそうですし、新しい雇用創出に取り組んでいくべきではないかということも当然言っていきます。

 一番下の黒ポツで「地域の特性に応じた対策」というのを何らか類型化して、結局地域の対策というのは、そうは言っても国で一律にできるものではなくて、各地域の特色で個々に処方箋が違うのであろうということだと考えますので、一概には言えないのかもしれませんが、例えば連携中枢都市ですとか、それよりは小さいですけれども一定の産業集積がある地域ですとか、産業集積がほとんどない地域で、多分それぞれ対策が違うのだと思いますけれども、そこを何らか事例を挙げつつ論証できたらよいのではないかということで、今は余りここで具体的な話はできないので恐縮なのですけれども、そういうことを考えてございます。

 駆け足でございましたが、構成案については以上でございます。

 それと、資料4にこれまでの研究会において、委員の皆様方から御発言いただいた内容について整理させていただいたペーパーを御用意しております。今申し上げた構成案に関連する資料は、1回目から3回目の研究会でも出させていただいているところですが、議論を振り返ってみますと、どちらかと言うと第1章の雇用管理改善ですとか、人材育成、能力開発のところについては余り議論が深まっていなかったと感じますので、今回の構成案の第1章については、特にこういうことが足りないとか、こういった資料も出すべきとか、こういったことを書くべきという御意見があれば、いろいろと御示唆いただければ大変助かりますので、よろしくお願いいたします。

○樋口座長 それでは、御意見をいただけますでしょうか。

 どうぞ。

○鶴委員 ありがとうございます。

 全体の構成案を見させていただいて、第1回に研究会は何をやるのかということで、最初のところの資料を見ると労働者の処遇改善、人手不足対策、地域雇用ということで3つのテーマを挙げられた。そのときに3つとも非常に重要なテーマと私も思いまして、最後に報告書をまとめるときにこれをどうやって全体横串を貫く形でまとめるかということについて、若干どういうふうになるのかということを当初思っていたのですけれども、今の構成案を見て、割とすっきりおまとめになっていただいているのかなと。特に人手不足と地域の話も人口減少という中で考えると割と整理しやすい。

 今回、労働者の処遇の話というのは1章の(2)、要は「全員参加の社会にふさわしい働き方の構築」ということだったと思うのですが、それに加えて人材育成と能力開発、人的資本の話も加えて1章にされるということになると、ますます人口減少というのが非常に大きな中長期的な一つの視点の中に、それに対して対応するのはどういうふうに考えていくのか。全員参加というのはまさにみんな頑張らないとだめだと。一人ひとり人的資本のポテンシャルをさらに高める。

 それから、人口減少の中でうまく資源配分がいかないと人材不足が出てくる分野とか、地域の話もそういう話が出てくるわけなので、割と全体的に人口減少という中で整理してしまうと、割と全体の話が通るのかなと。2章だけではなくて1章もそれをかぶせて議論してもいいのではないかなと、今お話を聞いていてそういうふうに思いました。

 以上です。

○樋口座長 それを参考にしてもらうということで、何かありますか。

○中井雇用政策課長 ありがとうございます。

 人口減少というのは一つのキーワードですし、今回一つ大きな話として人手不足という話が出てきて、研究会を始めたころには、景気動向もあってその後そういう状況が続くかどうかというお話もあったのですが、依然としてそういう状況は続いているという中において、短期的なものと人口減少というのは中長期的な構造的な問題で、そのあたりの整理というのをうまくしていくというのが必要だろうということを我々は思っていますが、その中で大きな方針として、長い目で見たときの人口減少というのは大きなキーワードになり得るというのはそういうことだと思っていますし、そういうことで言えば第1章についても暗に思っているところがありますので、整理の仕方を今いただいた御示唆を踏まえてもう少し考えてみたいと思います。

○樋口座長 どうぞ。

○佐藤委員 両方あるのです。

 一つは2章の(1)と(2)はばらばらで議論するみたいなのですけれども、例えば(1)の保育を取り上げると多分都市部の話ですよね。介護で言うと実際上、高齢化率も介護人材の確保の課題というのも都道府県ごとで相当違うので、(1)を議論するときも(2)で地域という指定がすごく大事かと。

 もう一つは、(2)のほうも前半のほうの多様な人材が活躍できるような雇用環境の整備という、例えば一つは女性だったり中高年だと思うのですけれども、それも都道府県別に女性の就業率は相当違いますよね。あと、活躍で言うと、女性が就業しているところが女性が活躍できているわけではなくて、女性管理職比率も都道府県別に相当違うので、(2)の地域というのをどうするか。この取り上げ方もほかでは一切触れずに2章の(2)だけで取り上げるというのが、難しいのはよくわかるのですけれどもどうかなというのが一つです。

 1章のほうで言うと、タイトルに「雇用管理改善等」についている「等」があるからいいのかもわからないですけれども「人的資本のポテンシャルの最大発揮」はよくわかるのですが「雇用管理改善等」と言うと、これはかなりそこだけ見ると狭い企業の中の話なので、(1)の入った後の人材育成とか、(2)の雇用管理改善はごく一部で、実はもっと広い取り組みが必要なので、そこをどうかなと思います。

 特に人的資本のポテンシャルの最大発揮といったときに、もちろん学校教育段階も大事なのですけれども、多分御説明があったリカレントのところです。中高年というのはどこで考えるかだけれども、高齢期になってからでは遅いので多分その前の年齢です。そうしたときに、多分リカレントのところは、もちろん中途採用で採るときに企業が必要な教育訓練をするというのはあると思いますけれども、基本的には個人が自己投資で、それを支援するような社会環境の整備だと思うのですけれども、いろいろな調査を見るとなかなかリカレントというのか自己投資をしないのです。

 聞くと時間がない、お金がないというのは本当なのかと。時間はつくればいい。お金については今度は自己啓発の助成金も変わりましたよね。確かにお金の問題はあるのですけれども、私は一番大きいのは本人が自己投資する必要性を自覚していない。本人がやる必要があると思わない限り、幾ら環境整備をしてもできないかなと思っていて、今ビジネススクールにいるのだけれどもそれはすごく実感していて、今回文科省のほうも新しい職業教育の大学をつくるとか言っていますけれども、あれは誰が行くのかと。高卒とかいろいろ出ていたけれども、つまり誰がいろいろな仕事につながるような職業能力投資のいろいろな機会をつくっていくのですが、本人たちが行くのかどうかというのがすごく私は疑問で、もちろん時間は、企業がある程度社員が自己投資するのを評価するとか、ある程度残業ばかりしなくてはと思うのですけれども、お金もあるので本人が長い職業キャリアの中で自己投資するということが大事なことだとどう思ってもらうかということを進めないとなかなか進まないと思っています。

 2点です。

○中井雇用政策課長 ありがとうございました。

 地域のほうについてはおっしゃるとおり、分野においても地域性があって絡むというのはそのとおりだと思います。

 そういう部分というのはやはり返っていくという話だと思います。そういった中で、地域として一つまとまりのあるところというのはつくっておきたい。今、これだけ地方創生が政府の重要課題となっている中において、そういう意味で書き方に工夫が要るかもしれませんけれども、うまくキャッチボールみたいな形をしながら整理をさせていただければ、というのを、伺って考えていたところでございます。それが地域の話でございます。

 もう一つのみずから自己投資をするという話については、これは多様な働き方というのも一つの大きなテーマだという話もありますが、今後、いわゆる終身雇用、長期雇用というのをどう考えていくのか。職業人生においてどこかで転職する機会というのがこれまで以上にふえていくという中において、ここにも意識改革という言葉も使っていますけれども、そこは社会の意識ということも、どういう形で我々として訴えていくかという話はあるにしても、そこをやはり変えていくということで、みずからいろいろな環境に対応できるような準備をするということは必要になってくると思いますので、そういう中においてどうすべきかということを整理していければと考えています。

○黒田雇用政策課長補佐 追加で、御指摘のあった雇用管理改善という言葉についてこちらの言葉の使い方がかなり甘かった部分がありますが、第1章のリード文のところの一番最後に「行政・企業ともにできること」ということを書かせていただいておりまして、企業だけの取組を書きたいわけではなくて、当然、行政側の取組も書きたいと考えておりますので、先ほど鶴先生から御指摘いただいた「人口減少下」というまとめ方が全体を通じたまとめ方として良いという御指摘も含めて、雇用管理改善というのをここに出さなくてもいいような形もあろうかと思いますので、タイトルのつけ方は工夫したいと考えます。

 また今、課長からも申し上げた中高年のリカレントのところについては、必ずしも転職促進をするというメッセージを強く打ち出したいわけではなく、いろいろな自分のキャリアを振り返りながら、自分がその会社の中で生きていくにもそうだし、会社の中でピラミッドの頂点まで行くのではなくて、専門職で生きていくということもあるでしょうし、その一つの類型で転職というのもあるでしょうしということで、そういったことをまず考える前提として、自分のキャリアを振り返るということもあろうかと思いますので、そういった視点も先生の御指摘に入っているかと思いますので、そういったことも踏まえながらまた御相談させていただければと思います。

 ありがとうございます。

○樋口座長 どうぞ。

○宮本委員 今の佐藤委員からのお話にも若干かかわると思うのですけれども、まず第1章の能力の最大限発揮。これについては今のお話の流れからして2つのポイントがあって、一つは労働時間管理等、長時間労働の抑制ということで能力を効率的に出していく。

 2番目に企業を超えた最適配置。この2つの流れがあると思うのですけれども、前者に関しては要望というかお願いなのですけれども、今の話の流れだと長時間労働が意識の問題というふうにも聞こえかねないところがありましたので、それは残業代だけが長時間労働の規制になっているような現状を超えていくのは大切だと思いますけれども、それにかわる規制の制度も必要だということを強調していただきたいのが一つ。

 2番目に最適配置のことなのですけれども、これは黒田さんからお答えがあったことにもかかわるのですが、要するに佐藤先生がおっしゃったように自己投資に対するインセンティブ等をどう高めていくかということにかかわっては、自分の企業の中で受けている評価というのを抗弁の余地も含めて客観的に捉えられる、議論できる環境というのが必要だと思うのですが、門外漢ですが、以前連合総研の調査があったと思うのですが、日本の上場企業で人事考課の結果を公開している企業が2割だとか、非常に少なかったことに驚いた覚えがございます。

 これは、恐らく労使いろいろな思惑があるのかもしれませんけれども、できるならばこれが客観的に合理的に議論できるような環境が整うことが望ましいと思うのですが、そのあたりを含めて項目として挙げられていることが一般論としてそのとおりだと思うのですが、雇用政策研究会の報告書として何か踏み込んだ環境づくりというところに議論を進める場合、何かそこに示唆するべきところがうかがえるかどうかというところもあわせて伺えればと思います。

 第2章のことはまた後で言及したいところなのですが、1点だけ。地域雇用対策という言葉なのです。

 地域雇用政策と言ってもいいかもしれませんけれども、この研究会に何年か出させていただいていて、余りこの地域雇用政策、対策という言葉がこういう形で使われたことはなかった。恐らくローカル・エンプロイメント・ポリシーということになるのでしょうが、それだけだと東京でも大阪でもローカル・エンプロイメントということになるのですが、恐らくそれとニュアンスが明らかに違うのです。この定義というのは何かなされるのだろうかということです。

 恐らく、生産性その他、少しバックワードの部分というニュアンスがあると考えていいのだろうかということを含めて、地域雇用対策の定義というのはどういうところになるだろうかということを教えていただきたいと思います。

○樋口座長 今の定義のところについて少し。

○中井雇用政策課長 地域雇用対策の定義ということで言えば、地域雇用開発促進法という法律があったり、あるいは一般的な予算事業で地域雇用対策ということを実施している場合、実際には日本全国を地域ごとに見たときに雇用機会が不足している地域をどうするかとか、そういう観点。景気が悪いときなどはそもそも各地域に雇用機会が不足しているので、ここは自治体がみずからの創意工夫によって地域に雇用をつくるために予算事業として実施するとか、そういう形で我々地域雇用対策ということでこれまでやってきたということを暗黙の定義みたいな形で考えていた部分があります。

 そういった意味で、大都市圏と地方圏という形で明確に考えたらどうかという話なのですが、扱いとしては我々はいつも各地域、都道府県あるいは市町村ということになりますが、ある意味横並びで見ながら、そこで雇用機会の過不足みたいなところで足りないところに重点的に事業を行うあるいは法律上の手当てを行うという形でやってきたという部分が地域雇用対策。一言で言うのはなかなか難しいのですが、そういう意味合いでこれまでやってきたという面があるのが現状かと考えています。

 今回、地域雇用対策という言葉を使わせていただいたのは、そういう意味で雇用機会が足りないという話があるのと同時に、今回の場合は地方創生ということで言えば、人の流れというのが東京を始めとした大都市圏に動いている一方で、地域においては人が流出しているという観点がつけ加わっている部分がありますので、そういうことも意識をしてどうするかということを視野に置いて考えたいと思って使っている部分がありますので、これまで使っていた地域雇用対策というところから少し範囲、概念が広がっている面があると考えています。

 雑駁でございますけれども、地域雇用対策ということで言えばそういうふうに考えております。

○樋口座長 地方創生というのも人によっては地域創生だという言い方をするときもあって、新聞でもどちらを使っているのかというのが両方ありそうで、地域創生というと、必ずしも東京に対する地方という意味での地方だけではなくて、東京も地域として抱えている問題というのがあるのです。今後の高齢化の急速な進展とか、医療、介護の話というようなことを考えてくると東京の問題は相当大きいというのがあって、そこまでここで扱うのかどうかということで、地方という話は日本全体の一部分を産業で取り出すのと同じように特定の地域を取り出して、そこにおける流出の問題をどう考えるのか。

 まさにそれぞれ地域の特性、問題点が違っていて、それぞれについて考えていくのだというスタンスをとるのかどちらかということで、私は東京の抱える問題というのはかなり大きい。特に長時間労働とか、通勤の時間の問題とか、女性が子供を産むまでは大手町へ通えるのに、遠くから再就職、今度は離職せざるを得ないというような問題というのは地方以上に大きいのではないかと思ったりしていて、そういう問題として扱うのだったらぜひ東京も含めて地域としたほうがいいと思うのですけれども、どうでしょうか。

○黒田雇用政策課長補佐 今の話を聞く前の話までのことをどう考えていたかを話します。

 東京の医療、介護の需要がかなり切迫するというのは目に見えているということについては、実は(1)の人手不足分野のところの介護とか看護のところで、当然都市部、特に東京は既にそういう事例が出てきています。杉並区も南伊豆町と提携したりしていますけれども、ああいう話がどんどん出てくるのだという話を、産業別という意味ではこちら側の課題で触れなければいけないと思っていました。

 地域雇用対策については、樋口座長の話を聞く前までは、座長がおっしゃった後者のほう、つまり、個々の地域で個々の対策が必要なのですけれども、その中でもいろいろなうまくいっている例もあるのでそういうのを紹介しながら、結局処方箋は自分たちで見つけるのだが、それでも国ができることとか、コツというかこういうことが成功につながっているという議論を展開していくのだろうと思っておりました。

 ただ、今おっしゃったように東京の問題は医療、介護に限らず長時間労働だとか子育ての分野についても広がって、特に育てにくいというか通勤もすごくしんどいとか、それは1回目、2回目の資料でも出していましたので、そういったことも含めて地域雇用対策の中でも東京という観点は今入れてなかったですけれども、それをどうやって吸収するか。東京という観点を入れることについては前向きに検討していきたいと思ってございます。

○中井雇用政策課長 先ほど申し上げたことの繰り返しになりますが、地域雇用対策といったときに雇用機会の不足という観点でニュートラルに見たときにそういう地域をまずは重点的にと申し上げましたけれども、そういう意味では東京というのは相対的に雇用機会がありますので、そういうところから事実上外れてきたという面はあろうかと思います。

 ただ、あとは雇用対策ということについては先ほどの労働時間等々を含めたときに、概念的にどこまで考えるかという話もあるかもしれません。言葉の使い方の問題だけかもしれませんけれども、座長のおっしゃるとおり、東京には東京の雇用労働面の課題があるというのはそのとおりだと思いますので、そういった観点で考えるということで言えば東京を排除するということにはならないと思っています。

○樋口座長 どうぞ。

○黒田雇用政策課長補佐 宮本先生の質問で2つ御指摘があったところについてお答えします。

 一つが長時間労働のところ。意識の問題だけではなくて、そういう問題ではないということです。規制とかちゃんとした監督指導、監督行政も必要だということだと思いますけれども、それはそのとおりだと思っています。もともと意識改革というのは先ほどの説明で強調しましたが、意識改革だけで労働時間が減るわけではないというのはわかってございますので、国としてできること、企業として自主的な取り組みでできること等々について書かせていただきたい。

 例えば、企業の事例でもある企業の話ですけれども、取締役会等に出す会議資料をきれいに作らなくて良いということを経営陣から会社全体にアナウンスして、資料作りに時間をかけないで、体裁が多少汚い資料であってもそれに基づいて意思決定をするという取組をしただけで、随分と下の人たちの労働時間が減ったみたいな事例もあるやに聞いていますので、そういったところで仕事量を減らすという取組をしながら、当然行政側で言えば監督行政が中心ですけれども、しっかりとした監督をしていくということは大事だと思いますので、そういった観点も盛り込んでいきたいと思ってございます。

 2点目の最適配置のところで、先生がおっしゃるのは恐らく企業内での労働者に対する人事考課というものを、企業側が労働者に若いうちに開示して、その後の職業人生を描くことに役立てるようにしてはどうかという御指摘だと受けとめましたが、ここは議論があろうかと思いますので他の先生方にもお知恵をかりたいのですが、今、私のこの瞬間の直感で申し上げますと、企業側に立ってみると、人事考課を早目に教えたことで、人事考課がいい人は、自分はこんなにできるのだと言って逆に転職してしまったり、悪い人が、会社にしがみつくというようなことが生じるかもしれないので、慎重になるのではないかと感じました。企業側にとって、それが受け入れられるものなのかどうかというのが、今のところすっと腹に入って来なくて、そこを企業に開示することをお願いすることまで書くのがなかなか難しいのではないかと直感的には思います。

 一方で、ここで何を言いたいかというと、そういう客観的な指標が見えないかもしれないけれども、常に働く側からすると問題意識を持ち続けて、人生は長いし中高年になっても活躍できるチャンスはあるので、常に考える意識を持たなければいけないという佐藤先生の御指摘はそのとおりだと思っています。問題意識がないので人材育成をしないというのはそういう面があろうかと思いますので、そういったことについてどう触れるのかということは考えていきたいと感じております。2点目は答えになってないかもしれませんが、よろしくお願いいたします。

○佐藤委員 今の評価の話で、宮本先生が言われるように、確かに僕は人事考課の結果についてできるだけ開示していくということがすごく大事だと思うのです。少しずつ進んできていると思うのですけれども、もう一つ今大事なのはこういうところの能力開発をしないとここが評価されていないだというそれがわかるのがすごく大事だと思うのです。

 もう一つの議論は、小池和男先生などが言われるように、いわゆる決定的な選抜、つまり部長以上になれるかどうかについて情報開示が日本の場合は遅いと言っているのです。これを早く教えるかどうかは一応別なので、今言われたのは早目に、例えば30代半ばぐらいとか30代前半に部長以上に行けるかどうかというのを教えれば、もう少し早く私はそんなことではもっと評価されるのだと転職するという議論はもう一つあるけれども、多分そのことと人事考課の本人への開示ということと決定的な選抜時期の情報開示をどこの時点でやるかというのは一応別で、日本はそれが遅いと言われているわけです。

 みんな課長になれるという幻想を持たせてやっている。これをもうちょっと早目に教えたらいいのではないか。これは議論としてはあると思います。

○樋口座長 神林さん。

○神林委員 よろしいですか。

 1点コメントと1点感想です。

 コメントのほうは第2章のほうなのですけれども、先ほど来の議論を聞いていると、(1)と(2)の議論が入れ子構造になっていてどうもわかりにくいということが率直な感想です。これを回避するためには、一つの試みとしては(1)のほうを地域という観点を抜きにして、こういう職種であるからあるいはこういう産業であるということから発生している問題というのに集中をする。

 その後(2)に行ったときに、こういった個別分野から派生してくる地域の問題というのを、それは(1)で議論が済んでいるという立場をとると、それでは説明できない地域固有の要因というのが出てくるはずなので、それを(2)のほうで取り上げるというふうな形式にすれば、議論はわかりやすいと思います。

 もちろんこれは相互に依存している要素というのは必ずありますから、こんな簡単には実際は切り分けられないのですけれども、議論の流れとしてはどちらかを先にして、それでは説明できない部分を後で説明するという格好をとると、少なくとも何がわかって何がわかっていないのかというのがわかるようになるのではないかと思います。これがコメントです。

 もう一個のほうの感想は第1章にかかわりまして、先ほど来議論されていることと関係するのですけれども、人的資本を蓄積するという抽象的な表現を具体化すると、それを意思決定するのは被用者であることはまず間違いないわけです。私たち自身で何をするかということを決めるわけなのですが、その意思決定にかかわる情報というのは誰が持っているのかというと、必ずしも自分だけではないのです。ほかの会社に行ったときに自分がどう評価されるかという情報も必要ですし、今の会社で自分がどういうふうに将来なるかという情報も必要です。

 こういう情報が全て開示されれば、その人に意思決定してくださいと言えばそれで済むわけですけれども、それぞれの主体というのは全員戦略的に動きますから、必ずしも本当のことは言いません。転職会社のアドバイザーというのはいろいろなことを言いますよね。将来の労働条件などに関しても、必ずしも現時点では決まっているわけではないですし、そういうようなところでどうやって本当の情報というのを本人に伝えていくのか、出させていくのかというのが今の流れでは必要になってくるのではないかと思います。マーケットに任せておけばみんな本当のことをきちんと適切なタイミングで言うかというと、恐らくそうではないのではないかというが私の率直な感想です。

 以上です。

○樋口座長 今のに何かありますか。

○中井雇用政策課長 整理の仕方の御意見をいろいろいただきましたので、参考にさせていただければと思います。

○樋口座長 山川さん、次いで阿部さん。

○山川委員 先ほどの佐藤先生、宮本先生、それから今の神林先生の御指摘と関連してですけれども、第1章について「行政・企業ともに」と書いてありますが、これは実質的にはかなり違う話になるはずだと思います。

 企業は、こういうふうに雇用管理を改善すべきだと言っても何となく迫力がないと言いますか、そうですかということで終わってしまう可能性があるので、問題は政策としてどうすべきかということなので、本来でしたらできれば(4)として雇用政策の役割と手法みたいなものを立てれば一番望ましいのですが、それは余り議論されていなかったかもしれません。

 このテーマについてどういうことが挙げられるかというと、雇用管理の改善というものをどうやって政策的に促進していくかで、一つは神林さんの言われたのは情報提供ということが一つあるかと思います。

 今回は余り中心ではないかもしれませんけれども、外部労働市場において有効な雇用管理をしているところに転職するというのが一つあると思いますし、個人のインセンティブを高める。キャリアアッププランとか、こういうシステムがうちにありますよということがあれば、インセンティブも高まるというような意味があると思います。その意味で、内部市場と言っていいのかわかりませんけれども、内部の問題と外部の問題にわたるような形での雇用管理にかかわる情報提供ということを政策的に促進していく。

 実は、これは前も言いましたけれども、女性活躍推進法でも一部やられていますし、今度の青少年雇用促進法でもそれと似たようなことをやっていて、例えばハローワークなどで情報提供をうまく結びつけていくというのがあるかもしれないという感じがします。それとの関係で外部市場の問題と個人のインセンティブの問題と、あと前も言いましたお金の出し方と言いますか、雇用管理の改善が促進できるようなお金の出し方を考えていく。これも助成金とかということと関係があります。

 本当は研究者が有効な助成金の要件設定の仕組みという研究をやれば一番いいのですが、しょっちゅう変わっていますし、何となく辛気臭い感じがして余り研究者がやらないということなのですが、本当はそういうのをやるとすごく有用な感じがします。

 例えば、それは厚労省だけの問題ではないのですが、地域雇用と関係しますが、条例で政府契約を結ぶときにこういうことをやれば加算しますよみたいなことを現に障害者雇用でやっていますけれども、それも一種の手法になるので、できれば情報公開とかインセンティブというものを政策としてどう位置づけていくかというのが本当は1項目あったほうがいいのですが、なければ中身の中で言及していただければと思います。

 以上です。

○樋口座長 ワーク・ライフ・バランスのあれも加点になるというのも大分出てきているし。

 阿部さん。

○阿部委員 私は今回の雇用政策研究が初めてでして、これまでずっとお休みさせていただいて大変申しわけございませんでした。ですので、もしかしたら皆さんの議論とかけ離れたことを言うかもしれません。

 私はこの報告書構成案を見て、1つ追加してほしいと思っていることがあります。それはキーワードとして一言なのですけれども、イノベーションです。第2章のところでそうなのですが、人材不足分野にしても地域雇用対策にしても、何らかのイノベーションを起こすことによって解決することも可能な部分が結構あるのではないかと思います。

 人材不足分野の場合ですと建設、介護、保育、看護、運輸と労働集約的にもありますし、先ほど事務局から説明があったように、賃金がなかなか上がっていない低賃金労働のところでもある。ここに人手不足対策だと言って、例えば何かインセンティブをつけて労働供給させるようなことがあると、ずっと資本と労働の相対コストが変わらないかあるいは低く抑えられて、イノベーションが全く起こらなくなるという可能性もなきにしもあらずで、むしろこれから絶対的に人手不足が起こっていくわけなので、その中ではある程度イノベーションを起こしてもらって、人手にかわる資本に変えてもらう。ロボットに変えるか人工知能になっていくのかわかりませんが、そういうことも必要だろうと思いますので、イノベーションも進めながら人手不足とどう対峙していくかという観点で、単に人手不足ではなくて、そういう観点も必要ではないかとお聞きしながら思っていました。

 実際、今言われているような技術革新の延長線でいけば、人手にかわらないと思っていたものがかわりそうだなと。例えば、将来トラックドライバーなどはいなくなってしまうかもしれません。将来と言ってもすぐあっという間かもしれません。我々も今、AIに取ってかわられようとしていますので、いつまでもここにいられるとは思っていませんが、そういうこともあるはずです。

 地域雇用対策もそれこそITをうまく使ったりすれば不可能なところはないわけですよね。ところが日本の場合、テレワークだとか在宅就業がなかなか進んでいないですとか、いろいろな問題が起こっているわけです。以前からこれがなぜなのかという議論はあるのですけれども、もう少し丁寧に考えていく必要はあるかなと思います。

 誰に聞いたのか忘れたのですけれども、もっと言うと地域雇用対策のところでは日本は出張が多い国ではないかと。それは高速交通網が発展している国であって、新幹線を見たら山手線並みに走っていて、しかも16両編成です。結構出張族ですよね。あれだけ人手が動いているわけで、意外と地域の雇用をそれによって奪っているところはあるかもしれませんし、逆に今度は固有名詞を挙げてはいけないかもしれませんが、YKKみたいに本社機能を北陸というか富山に移して、多分東京には出張でいらっしゃるのだろうと思うのですけれども、そういうふうになっていて地方が勝つのか、都市部が勝つのかよくわからないですが、そういった交通網のありようみたいなものを。今度、リニアなどをつくったら東京に人がふえるのか山梨に人がふえるのかよくわからないのですけれども、仕事は多分東京にあっても山梨から通勤できる、名古屋から通勤できるという可能性さえ出てくるわけですから、中長期的な課題として雇用政策研究会の報告書を書くのであれば、そんな点も視野に入れていただいて、お話でもいいので書いていただけたらいいなと思いつつ、中井さんの言うような吸収なのです。

○樋口座長 ありがとうございました。

 私はしゃべらないほうがいいのかもしれないのだけれども、人口減少というのが共通テーマだというのは多分間違いないし、問題は人手不足というのが構造的な話と景気循環的に景気がよくて起こっている人手不足というのは両方あるわけですよね。これに対する対策というのを考えるということになると、今度は長期的な対策を考えるのか、それとも今をどうするのかというような短期的な対策を考えるのか。

 人手不足という方向に走ると、これが出るときにもしかしたら景気がどうなっているかわからないという危惧があって、雇用政策研究会として考えるべきことというのは中長期的な対応をどうしていくかというような問題に焦点を絞っていくということが望ましいのかなと思います。

 今起こっている現象も、構造的要因と循環的要因の両方の効果というのが入っているわけですから、それは見きわめておいたほうがいいのではないでしょうかということです。

 その上で、例えば第1章から考えたときに、なかなか経済学者で考えるとすとんと落ちにくい目次立てとなっていて、例えば人口減少ということであればどういうふうに潜在成長率を上げるのかというような。

 そのための手法というのは、一つは産業間の移動の話も含めてマクロの議論。もう一つは、それぞれの企業の態様あるいは個人の態様。その中で産業別とかというのが出てくると思うのです。

 方法は幾つかしかないのではないか。一つは、働く人をどれだけふやすのだという問題。労働時間をそこではどう考えるのか。さらには労働の質をどう向上させて、生産性を向上させるのかどうか。生産性が向上したときに労働者の能力の向上というのもありますけれども、もう一つは先ほど出てきたような省力化の話。ロボタイゼーションというようなことも考慮に入れて、個別の企業としてどうするのかというのもあるかと思うのです。あるいは人の移動です。余っている産業から労働力の不足している産業に人を動かすというのもマクロの視点からは重要な話という形です。

 それぞれに対応する対策がどういったものがあるのだというふうに整理し直すと、1章のところは、割とはっきりと待遇の改善のところも含めてモチベーションの向上という形で出てくるのかなと思うのです。

 2章のほうは、むしろ個別事例。全ての産業ではなくて、特定の産業を念頭に置いてここでは議論していくということで、ここに出ているのは少なくとも短期的には省力化がしにくい産業になっているのです。長期的には阿部さんが言うようないろいろな形のイノベーションを通じてこういったものを促進しなくてはいけないということもある。

 中には、例えば今まで削り過ぎたゆえに需要がふえたら急に天井をついてしまったというようなところも産業によってはあるわけです。一方においてずっと伸びて、需要も伸びて、さらにまた高齢化が急ピッチ化したことによって必要となってくるというような、そこも分けて、ただ単に個別産業の人手不足問題ということではなくて、何が根本的な原因としてあるのかというようなところを少し掘り起こしたほうがいいのかなと。

 地域の問題は、東京も含めてそれぞれの違った対応が求められる。前のほうの章で言っているオールジャパンの話ではなくて、それぞれの地域でやるべきことというのはかなり違ってきているという人口減少の中での話という形でやると、腑に落ちましたということになるのかなというのを期待しているので、それぞれのここに挙げているテーマはすごく重要なのだけれども、そういう感じで整理し直すと、これはここに入れていくことができるのだという形で読み手のほうもわかりやすいのかなと思いました。

 山川先生がおっしゃったように、政策なのです。雇用政策研究会ですから、個別企業がやるべきことというのももちろんあるし、個別の労働者がやるべきことというのもあると思うのですけれども、具体的に難しければどういうことを念頭に置いたような政策を考えていくべきなのかという骨太を出されたほうがよろしいのではないかと思います。

○堀委員 今の座長の東京も地域と捉えるという地域雇用の概念は大変重要だと思っているのですけれども、今回直接生かすのは難しいとしても、ぜひ長期的に議論を深めていければと思いました。

 それとかかわりまして、前回若者の地域医療の資料を提出させていただいたわけなのですけれども、これは一般的に常識として若者は地方から都市に移動するものだ、そういう人たちがふえているという常識みたいなものが今あるかと思うのですけれども、切り口を変えたときにどんな実態が見えてくるのかということをお示しできればと思って提出させていただきました。雇用政策研究会では多様な切り口を意識して、今後考えられる多面的な政策をにらんだような記述にしていただければと思っております。これが第1点目です。

 第2点目としまして「人材育成・能力開発の取組」ということで「学校教育段階等における学びの重要性」ということが示されているのですけれども、この中で先ほど基礎学力とキャリア教育が主に示されたような気がしています。もしかしたら聞き落したかもしれないのですけれども、ぜひ労働教育も含めていただけないかと考えています。

 基礎学力という点につきまして、基礎学力まで踏み込んで雇用政策研究会が論じるということは珍しいことではないかと思うのですけれども、非常に重要だと思っています。企業の経営者は、勉強ができなくても元気で挨拶ができればいいといったことをおっしゃる方が多いかと思うのですが、結構これは真に受けられがちですが、本当は仕事をする上で基礎学力というのは非常に重要だということはみんな知っているのだけれども、それがうまく若者にも学校のほうにも伝わっていかないということがあろうかと思います。

 他方で、これだけ進学率が上がってまいりますと、勉強しないと大学に行けないぞという圧力で学力をコントロールすることができなくなっているというのが日本社会の現状ですので、一定の学力を担保するためには、仕事で役立つのだということを労働側から発信していくということが、実は長期的には重要ではないかと思っておりまして、今回、基礎学力について書き込んでいただけるということですので、幼児期の家庭教育などだけではなくて、仕事にも基礎学力は重要なのだということをぜひ書き込んでいただけないかと思います。

○樋口座長 要望ということでよろしいですか。

 橋本さん、どうぞ。

○橋本委員 先生方の議論に特につけ加えることもないのですけれども、全員参加型社会を目指し、ワーク・ライフ・バランスを実現するためには残業の抑制が必要だと思います。正社員がいつでも残業できるという意識を変えることが大切だという研究会報告書のポイントは私も非常に大事だと思っております。

 その上で、既に議論がありましたとおり、意識改革というのはとても難しいので、ここで法律の役割の重要性というのを報告書の中で盛り込んでいただければと思います。既に90年代後半に告示によって時間外労働の上限基準が設けられ、さらに2010年からは1カ月60時間を超える時間外労働分については割り増し率が5割に引き上げられるなどの規制の強化が図られていますが、これが長時間労働の抑制に有効だったのかどうか、もし可能であれば検証できればよいのではないかと思っております。

 その上で、さらに上限基準を法定化するとか、インターバルの休息期間を設けるべきではないかという意見も有力に主張されているように思いますが、さらに規制を強化すべきではないかということもこの報告書に盛り込めるのかよくわからないのですけれども、課題になるのかと思っております。

 見出しには特に載っていませんけれども、報告書の中には盛り込まれるかと思うのですが、多様な働き方という中で、最近パート労働法の改正や労働契約法における有期労働契約を理由とする不合理な労働条件の禁止など、雇用均衡処遇を進める立法も実現しておりまして、この均衡処遇というのがますます重要になっているかと思います。多様な働き方の上で公正な処遇が重要だということもぜひ強調していただければと思います。

 以上です。

○樋口座長 ほかにいかがでしょうか。

 鶴さん。

○鶴委員 ありがとうございます。

 阿部先生がおっしゃられたイノベーションの話と宮本先生がおっしゃられた地域の雇用政策というのは、私は非常に連関していると思っていて、地域がそれぞれ持っている固有の資源というのを再発見していくという過程、ある種産業政策的な部分というのもあるのだと思うのですけれども、それがないと結局地域の雇用と言っても、要はばらまきみたいな話でしかないわけです。必ず地域の雇用政策と真面目に考えると、阿部先生がおっしゃったイノベーションみたいなプロセスがないと有効なものが出てこないなという思いを非常に持っています。

 イノベーションということで、人手不足も先ほどおっしゃられた話だとロボットの話なども非常に重要だと思って、そういう話はこの中にも人手不足の解消としてもふわっとした話ではなくてちゃんと書いていける部分だとは思うのですけれども、私が申し上げたかったのは賃金の話なのです。

 賃金の話は1章の終わりに来ている。2章の人手不足の話も、賃金の話というのはこの研究会でも結構議論になって、ちゃんとマーケット・メカニズムが働くということが大事だというお話があって、きょうの日経の1面も介護の話で賃金の話が出ていますよね。

 実はちょっと悩ましいのは先ほどのロボットみたいな話がどんどん出ていくと、賃金というのはどうなっていくのでしょうかと、非常に中長期的に見ると難しい問題。ただ、ここでやっているのはちゃんと人的資本のポテンシャルをしっかり人材育成などをするとか、個々の能力を最大限発揮できる環境と、こういうのをちゃんときちっとしていくと、自然に生産性も高まるので賃金が伸びていくというような環境も当然できていくという流れの中でこの話があるのだと思うのです。

 その後、人手不足の話もあるので賃金がちゃんとマーケット・メカニズムの一つのシグナルとして、機能をしていくべきであるという話でいかないと次の章に結びついていかないということなので、実はこの賃金のところをどう書くのかという話は非常に大事だし難しいと思います。

 多分、今はマクロ的に樋口座長は政労使会議でもいろいろやられているお話というのは、もっとマクロの話でバランスのとれた賃金。実質賃金というのを労働生産性と分配率と交易条件という3つの要因を分けて、ある意味で分配率を変えない中でマクロ的にどうやって実質賃金のバランスをとってやっていくかというところのお話をされていると思うので、多分その話もこの中に入ってくるのだろうなということなので、1章と2章を接着するところにおける賃金の話というのが非常に、全体の報告書の何か大きなポイントになるのかなという感じなので、ここは多分事務局はかなり大変だと思いますけれども、工夫をぜひお願いしたいと思います。

 以上です。

○樋口座長 政労使会議は別にして、付加価値生産性の向上と賃金の関係というのをどう考えていくのかということだと思うのです。特にサービス産業の生産性向上と言ったのが、製造業における省力化の話と違った面があるのかなということを感じていて、それはある意味では価格引き下げ競争というか、料金引き下げ競争というものがデフレスパイラルの基本になっていて、付加価値生産性が上がっていかないというような、どう考えてもサービスの質はほかの国よりも日本は高いだろうと個人的には思うのです。にもかかわらず、それが付加価値につながらないというところに企業間の競争のあり方というところも含めた議論が割と深いところで関連している。

 ワーク・ライフ・バランスの議論でもこの間ある百貨店の経営者の人と話していたときに、1月1日に休みをするかどうか。2日から開店するかどうかというときに、幾つかの会社が走ると何となく走らないと競争にならないみたいなところがあって、そういうのを産業界として1月1日は休もうというこれはカルテルに違反するのでしょうかという話も出たところがあって、労働時間についても似たようなところがあって、それこそ一斉にやるということであれば法律の意義みたいなものになるのだろうと思うのですけれども、これはカルテルにかかわってくるのですか。

○山川委員 詳しいことは忘れてしまいましたが、時短促進法の中に若干事業主団体での協議みたいなお話は出ていたかと思います。橋本先生、もし何かありましたら補足をお願いします。

○樋口座長 ということは、そこで認められている。

○山川委員 そうです。一応、事業主間で話し合って時間について一定の。たしか、独占禁止法違反にはなりませんとまでは書いていなかったと思いますけれども、事業主団体ないし事業主の間での取り組みというのは法的な位置づけは既に促進法の中であったような記憶があります。細かいことは忘れました。

○樋口座長 先ほど、取引先との問題というのをワーク・ライフ・バランスの議論の中で扱うのだという話があって、特に下請というところの議論になってくると、下請間の競争であっちの企業はちゃんと納期を早くやってくれるのに、おたくはやってくれないのというこれは相当にプレッシャーで、ということを言うわけです。多分、価格競争だけではなくてそういった面があって、こういったものに対する考え方と、割と今回の議論というのは関連してくるところがありそうだなと。いろいろなところで議論を聞いていてもそこのところが割と出てくるので、賃金についても我が社だけではと言ってみんな一斉に上げるみたいなところがあるわけです。そこをどう考えるのか。

 介護などというのは官製的な料金体系だからそこでの問題というのはあるのかもしれないのですけれども、それが悩ましいところが。

 山川先生。

○山川委員 法律の枠組みとは別ですが、労働基準法の今回の改正法案をつくる中でも、運輸業が労働時間が長くなるということについて問題が提起されて、なかなか大変だった。手待ちが長いという業種特性がありますので、それについては例えば国土交通省とか業界団体とか、そういうことも含めて労働行政と交通行政が合体した形での取り組みをするとか、そんな形になったような記憶があります。

○樋口座長 タクシーのところはまさにそれが問題になっているわけですね。

 どうぞ。

○佐藤委員 どこまでいろいろな取引先との関係とかを書くかですけれども、訪問介護などで言うと、例えば利用者さんがいつも同じヘルパーさんに来てくださいと。日本はそういう形でやっているわけです。海外で行くと、そうではなくて基本的には来た人が自分はここへ行きます、その時間でとやると人材の効率運用ができる。個人も、あのヘルパーさんにいつも来てくださいというのではなくて、その時間にきちっと一定のサービスを提供してくれる人が来てくれればいいと変われば、マンパワーの配置が相当変わるのです。

 それは機械化ということもあるのだけれども、ビジネスモデルというのか、基本的に利用者さん第一みたいなことになって、それはサービス低下なのかどうかなのですけれども、例えば、必ず同じ時間に入浴介助で来てくれる。ただ、同じヘルパーさんではない。だけど、一定の質が共通でいいというふうに利用者さんが変わってくれるだけで相当介護業界での人の配置は楽になるのです。そういうこともちょっと書くというのもあるかと思っています。

○樋口座長 消費者からはクレームがつくかもしれない。

○宮本委員 テーマを変えてもよろしいでしょうか。

 やや地味なテーマになるかもしれませんが、あしたから生活困窮者自立支援法という法律が施行されるのですが、こんな法律のお手伝いをしていると一方で人手不足があって、他方で仕事につけない、いわゆるエクスクルードされたと言われる人たち、若者がふえているという矛盾みたいなものを強く感じざるを得ないのです。

 この研究会でも最初の第1回で出されたデータだったと思いますけれども、商工中金のアンケートで期待する能力に達する人が来てくれないという答えが60%以上あったということです。その場合、期待する能力ということなので同じ地域で中小企業でも圧倒的な人手不足と仕事につけない人たちが併存している現実の間の期待する能力というところに、これはもちろん先ほど来議論されているように、あくまでこの研究会としては政策を提起するので企業の指南役になるわけではないとは思うのですが、私は政治学の研究者なのですけれども、しかし同時になぜかそういう法律とかかわって、中小企業の経営者とか人事担当者とお話する機会がすごくふえて、彼らもそういう壁を感じていたのだけれども、一旦雇ってみると結構使えるではないかということがすごく多いのです。何かその架橋をするような誘導というのはあっていいのではないかと思います。

 障害者の法定雇用率は今は2%ですけれども、今度、2018年に精神障害者が雇用率の対象として入ってくると相当対象が広がってきて、恐らく法定雇用率も2%で済まないのではないか。そうなると、広い意味でのダイバーシティー・マネジメントみたいなものがもっと推進されて、いろいろな人を使いこなせなければいけないことになってくるのでないかと思うのです。

 やはり、期待する能力と言ったときに現場でいろいろな仕事があってそれができるかどうかよりも、人事部局が後でどこに配置しても文句を言われない人柄を含めた、そういう期待値というのがあって、どうもそこで壁ができてしまっているところがあるような気がします。

 人手不足の中で中小企業のいろいろな工夫というのも出てきているようで、例えば大阪のビルメンテナンス協会などはいつも人手不足なのですけれども、定着する人材に来てもらおうと思わない。ただ、自分のところに一旦来てもらって、腰かけにしてここでいろいろな資格とかをとってもらってどんどん出ていってもらう。そういう経過点として自分のところではいつも人が満たされているという形をつくっていくというように踏ん切ろうとしているのです。

 そんな企業の努力も含めて、中小企業が使ってみると使えるという経験にたどり着くような示唆があればいいかなと思います。同時に、あくまでその壁をどう崩すかという問題意識をどこか報告書に備えていただけるとありがたいと思います。

○樋口座長 ほかにどうでしょう。

 事務局から何かありますか。

○黒田雇用政策課長補佐 いろいろな御示唆をいただきました。どれも大変重要な御指摘だと思ってございますので、うまく整理したいと考えております。

○樋口座長 もしなければ、本日の研究会をこれまでにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○樋口座長 次回以降につきまして、事務局から連絡をお願いいたします。

○黒田雇用政策課長補佐 次回の日程、詳細につきましては、今後改めて御連絡させていただきますのでよろしくお願いたします。

 以上でございます。

○樋口座長 本日は以上で終了させていただきます。

 どうもありがとうございました。


(了)

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