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2015年2月13日 第125回労働政策審議会労働条件分科会 議事録

労働基準局労働条件政策課

○日時

平成27年2月13日(金)14:00〜16:00


○場所

専用第12会議室


○出席者

【公益代表委員】

岩村委員、権丈委員、野崎委員

【労働者代表委員】

神田委員、新谷委員、冨田委員、八野委員

【使用者代表委員】

池田委員、小林委員、鈴木委員、田中委員、平岡委員、宮地委員

【事務局】

岡崎労働基準局長、村山労働条件政策課長、古瀬調査官

○議題

1 報告事項
2 今後の労働時間法制の在り方について
3 その他

○議事

○岩村分科会長 それでは、定刻より少し早いのですけれども、御出席予定の委員の皆様が既におそろいでいらっしゃいますので、ただいまから「第125回労働政策審議会労働条件分科会」を始めることにいたします。

 本日御欠席の委員は、公益代表につきましては田島優子委員、村中孝史委員、守島基博委員、山川隆一委員でございます。また、労働者代表につきましては高松伸幸委員、春木幸裕委員、宮本礼一委員、使用者代表の秋田進委員となっております。

 それでは、事務局から定足数の報告をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○古瀬調査官 定足数について御報告いたします。労働政策審議会令第9条により、委員全体の3分の2以上の出席又は公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますが、定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。

○岩村分科会長 それでは、冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきたいと思います。

(報道関係者退室)

○岩村分科会長 それでは、本日の議題に入りたいと思います。お手元の議事次第にありますように、1番目の議題は「報告事項」となっております。

 2月9日に専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法の施行に必要な省令・告示案につきまして、厚生労働大臣から労働政策審議会に対する諮問及び労働政策審議会から厚生労働大臣に対する答申が行われました。それにつきまして、事務局から報告をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○村山労働条件政策課長 それでは、御報告いたします。資料No.1を御覧ください。

 1枚目は専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法の検討、成立、その後の経緯をまとめたものです。このうち衆議院本会議で1121日に採決・可決され、成立するまでの状況については、昨年1224日の本分科会で御報告したところです。

 その後、法律の施行に向け必要な省令・告示等について、有期雇用特別部会と、職業安定分科会の下に置かれている高年齢者有期雇用特別部会との合同会議で3回にわたり調査審議いただき、3回目の2月9日の回に議論の到達点を踏まえた省令・告示の要綱案を厚生労働大臣から諮問し、労働政策審議会から答申をいただきました。その内容について、次ページ以降の資料で御説明いたします。

 まず、2ページが労働政策審議会から厚生労働大臣への答申、3ページが両分科会長から労働政策審議会長への報告、4ページ目が両特別部会長から両分科会長への報告です。

 御覧のとおり、2月9日付で「厚生労働省案は、妥当と考える」旨の答申をいただいたということです。

 諮問した内容については、6ページ以降に具体的な諮問内容をつけておりますが、5点です。

 1点目が有期雇用特別措置法の施行規則の関係で、具体的には6ページから8ページです。

 その内容は、有期雇用特別措置法による無期転換ルールの特例対象となる、高度専門職に関する年収要件を1,075万円以上とすることが1つ。もう一つは、認定等の事務について必要な規定を定めるものです。

 2点目は9ページから11ページです。これは、特例の対象となる特定有期雇用労働者に係る労働基準法施行規則第5条の労働条件明示の関係の特例に関する省令案の要綱です。

 具体的には、労働契約を締結したときの明示事項は労働基準法施行規則で義務づけられておりますが、それに加えて、無期転換申込権が発生しない期間や高度専門職が従事するプロジェクト内容等について必ず明示していただくというものです。これは法律に基づくものではなく、昨年2月14日の労働政策審議会建議に則した省令措置です。

 3点目は12ページから15ページです。これは、高度専門職の方々の基準に関する大臣告示の要綱です。これについては、労働基準法第14条に基づく高度専門職の範囲に関する大臣告示を参考に定める旨が建議されていたことを踏まえ、この形で諮問したということです。

 4点目は16ページです。これは労働基準法第14条第1項第1号の規定に基づく大臣告示の一部改正で、具体的には国家資格における一部の試験の再編整理に伴う技術的な改正です。

 最後に、5点目が、17ページ以降の「事業主が行う特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置に関する基本的な指針案」です。これは、認定の前提となる雇用管理措置についての具体的な内容を定めるものです。

 告示の前半は、特定有期雇用労働者の雇用の動向に関する事項等を客観的に記述しております。法の運用に係る具体的な内容は23ページの第2以降で、「事業主が行う特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置の内容に関する事項」について、第一種特定有期雇用労働者、具体的には高度専門職の方、次に、第二種特定有期雇用労働者、具体的には定年後、継続雇用される高齢者の方のそれぞれに分けて記載しております。

23ページからは、第一種特定有期雇用労働者に関する措置についてであり、「教育訓練に係る休暇の付与」、「教育訓練に係る時間の確保のための措置」、「教育訓練に係る費用の助成」、「業務の遂行の過程外における教育訓練の実施」、「職業能力検定を受ける機会の確保」、「情報の提供、相談の機会の確保等の援助」が当てはまるのではないかと、職業能力開発促進法の体系などを参考に諮問したものです。

 併せて、この点に関しては、国会審議を通じ、参議院厚生労働委員会から附帯決議をいただいている事項等がありました。それに関して、25ページの(2)から事業主の雇用管理上の留意事項として特に強調して記載しております。

 アとして「一般の労働者との労働条件の均衡」、イとして「合理的な理由のない雇止めの回避」、ウとして「産前産後休業又は育児休業の取得促進のための環境整備」となっております。

 これらはいずれも国会の附帯決議や、その後の審議会での御議論を踏まえて特段の留意事項として特記したものです。

26ページ以降の「第二種特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置」ですが、その措置として、「高年齢者雇用推進者の選任」「第二種特定有期雇用労働者に対する配置、職務、職場環境等に関する配慮」の内容等について、以降28ページまでに記載しております。

 この点についても、国会での附帯決議やその後の審議会での御議論を踏まえて、「雇用管理に関する留意事項」として、28ページから29ページにかけて、「第二種特定有期雇用労働者の雇用管理を行うに際し、事業主が継続雇用制度を導入し、定年後に有期労働契約によって引き続き雇用する際は、原則65歳までは契約更新がされるものであるとの高年齢者雇用安定法の趣旨を踏まえ、適切な措置を行うことが望ましい」旨を明記しております。

29ページ以降で「その他の雇用管理等に関する留意事項」について、大きく2点に分けて記述しております。

 1点目が、建議に強調して明記された「個別労働関係紛争の未然防止」の関係で、先ほど申し上げた省令に基づく労働条件明示等の内容も含めて、29ページから30ページにかけて記述しております。

 さらに、30ページの(2)で「関係労働者の理解と協力」があり、これも国会での附帯決議等を通じて特に重視すべきということになった課題です。この点については、「関係労働者の理解と協力が重要であり、当該雇用管理の内容について関係労働者に対し意見聴取を行う、周知する等、関係労働者の理解と協力を得るように努めることが求められる」旨を記述した上で、こうした雇用管理を進めるに当っても、事業場での統一的な対応の観点から、就業規則の作成及び届出、あるいはその作成の手続に関することについてしっかり規定すべきという御意見があったことを踏まえて、そこに見ていただくような規定を留意事項として明記しております。

 これらの内容について、3回にわたって両特別部会の合同部会で審議を行っていただき、併せて労働基準法施行規則の改正がありますので、1月29日には公労使の公述人を参集しての公聴会を開催して、その経過も踏まえて御審議いただいた上で、「厚生労働省案は、妥当と考える」旨の答申をいただいた次第です。

 そして、審議の過程において、この法律の施行日が本年4月1日という確定日付になっており、施行まで時間が限られていることから、わかりやすい資料をつくった上で、しっかりとした周知を行うことについて、労使から特段のお求めが審議の中でありましたので、行政としてはきちんと対応してまいりたいと考えております。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいま御説明いただきました有期雇用特別措置法の施行に必要な省令案等の件につきまして、御意見あるいは御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。

 ありがとうございます。

 それでは、続きまして、議題の2番目「今後の労働時間法制の在り方について」に進みたいと思います。

 前回の労働条件分科会におきましては、報告書案について御議論をいただいたところでございます。本日は、前回の報告書案につきまして、各委員から頂戴しました御意見を踏まえて事務局が修正を加えるとともに、労使各側からさらに別途報告書案に対する御意見もいただきましたので、それを盛り込むという形で資料を準備していただいております。

 そこで、まず事務局から報告書案についての説明をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○村山労働条件政策課長 ただいま分科会長からございましたように、労使から附帯の御意見もいただいての最終的な案ということになりますので、まず読み上げた上で、調査官から説明を差し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。

○古瀬調査官(途中から米田労働条件政策課課長補佐に交代) それでは、資料2を読み上げて御説明に替えさせていただきたいと思います。

今後の労働時間法制等の在り方について(報告案)

 

今後の労働時間法制等の在り方については、労働政策審議会労働条件分科会において、平成25年9月27日以降○回にわたり検討を行い、精力的に議論を深めてきたところである。

 

我が国の労働時間をめぐる平成25年時点の状況をみると、一般労働者の年間総実労働時間が2000時間を上回る水準で推移する中、雇用者のうち週労働時間60時間以上の者の割合は低下傾向にあるものの8.8%と平成32年時点の政労使目標である5%を上回っており、特に30歳代男性では17.2%となっている。また、年次有給休暇の取得率は48.8%であり、平成32年時点の政労使目標である70%を下回っている状況にある。

こうした中、過労死等防止対策推進法が制定されるなど、労働者の健康確保に向けた一層の取組が求められるとともに、次世代育成支援や女性の活躍推進等の観点からも、長時間労働を抑制し、仕事と生活の調和のとれた働き方を拡げていくことが喫緊の課題となっている。

 

また、経済のグローバル化の進展等に伴い、企業において創造的な仕事の重要性が高まる中で、時間ではなく成果で評価される働き方の下、高度な専門能力を有する労働者が、その意欲や能力を十分に発揮できるようにしていくことなどが求められており、健康確保措置を前提に、こうした働き方に対応した選択肢を増やしていくことも課題となっている。

 

このような考え方に基づき、当分科会において労働時間法制等の在り方について検討を行った結果は、下記のとおりである。

この報告を受けて、厚生労働省において、平成28年4月の施行に向けて、通常国会における労働基準法等の改正をはじめ所要の措置を講ずることが適当である。

 

 

 

 

1 働き過ぎ防止のための法制度の整備等

法制度の整備の前提として、過重労働等の撲滅に向けた監督指導の徹底とともに、長時間労働抑制や年次有給休暇取得促進等に向けた労使の自主的取組の促進等に、引き続き積極的に取り組むことが適当である。

その上で、労働者の健康確保を図る観点から、以下の法制度の整備を行うことが適当である。

なお、時間外労働に係る上限規制の導入や、すべての労働者を対象とした休息時間(勤務間インターバル)規制の導入については、結論を得るに至らなかった。

労働者代表委員から、長時間労働の抑止が喫緊の課題となる中、過労死その他長時間労働による労働者の健康被害の予防とワーク・ライフ・バランスの確保を図るため、実効的な労働時間法制を整備すべきであり、とりわけ、すべての労働者を対象に労働時間の量的上限規制及び休息時間(勤務間インターバル)規制を導入すべきとの意見があった。

 

(1)長時間労働抑制策

1 中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率の適用猶予の見直し

・ 中小企業において特に長時間労働者比率が高い業種を中心に、関係行政機関や業界団体等との連携の下、長時間労働の抑制に向けた環境整備を進めることが適当である。

・ 上記の環境整備を図りつつ、中小企業労働者の長時間労働を抑制し、その健康確保等を図る観点から、月60時間を超える時間外労働の割増賃金率を5割以上とする労働基準法第37条第1項ただし書きの規定について、中小企業事業主にも適用することが適当である。

・ 中小企業の経営環境の現状に照らし、上記改正の施行時期は他の法改正事項の施行の3年後となる平成31年4月とすることが適当である。

 

2 健康確保のための時間外労働に対する監督指導の強化

・ 時間外労働の抑制のため、行政官庁は、時間外限度基準に関する助言指導を行うに当たっては、労働者の健康が確保されるよう配慮する旨を労働基準法に規定し、当該規定に基づき、長時間労働の実態に即した的確な助言及び指導を行うことが適当である。

・ 上記の法整備の趣旨を踏まえ、時間外労働の特別条項を労使間で協定する場合の様式を定め、当該様式には告示上の限度時間を超えて労働する場合の特別の臨時的な事情、労使がとる手続、特別延長時間、特別延長を行う回数、限度時間を超えて労働した労働者に講ずる健康確保措置及び割増賃金率を記入することとすることが適当である。

・ 併せて、時間外労働の特別条項を労使間で協定する場合、限度時間を超えて労働した労働者に講ずる健康確保措置を定めなければならないことを時間外限度基準告示において規定し、健康確保措置として望ましい内容を通達で示すことが適当である。

・ 健康確保措置の確実な履行を図る観点から、使用者は、措置の実施状況等に係る書類を作成し、3年間確実に保存しなければならない旨を時間外限度基準告示に規定することが適当である。

 

3 所定外労働の削減に向けた労使の自主的取組の促進

・ 労使の自主的な取組を促進する労働時間等設定改善指針に、週60時間以上の長時間労働が恒常的なものにならないようにする等の現行の規定に加え、「脳・心臓疾患の労災認定基準における労働時間の水準も踏まえ、『1か月に100時間』又は『2か月間ないし6か月にわたって、1か月当たり80時間』を超える時間外・休日労働が発生するおそれのある場合、適切な健康確保措置を講じるとともに、業務の在り方等を改善し、特別延長時間の縮減に向けて取り組むことが望ましい」旨を盛り込むことが適当である。

・ 上記の内容について、都道府県労働局に配置している働き方・休み方改善コンサルタント等による助言や各種の啓発の取組を通じ、周知徹底していくことが適当である。

 

(2)健康に配慮した休日の確保

・ 週休制の原則等を定める労働基準法第35条が、必ずしも休日を特定すべきことを求めていないことに着目し、月60時間超の時間外労働に対する5割以上の割増賃金率の適用を回避するために休日振替を行うことにより、休日労働の割増賃金率である3割5分以上の適用を推奨する動向については、法制度の趣旨を潜脱するものであり、本分科会として反対する。

・ 上記の趣旨について、(1)1の割増賃金率の適用猶予の見直しに先立ち、通達に記載し、周知徹底を図ることが適当である。

 

(3)労働時間の客観的な把握

・ 過重労働による脳・心臓疾患等の発症を防止するため労働安全衛生法に規定されている医師による面接指導制度に関し、管理監督者を含む、すべての労働者を対象として、労働時間の把握について、客観的な方法その他適切な方法によらなければならない旨を省令に規定することが適当である。

・ 併せて、面接指導制度の運用に当たり、管理監督者について、自らが要件に該当すると判断し申し出た場合に面接指導を実施することとしている現行の取扱いを、客観的な方法その他適切な方法によって把握した在社時間等に基づいて要件の該当の有無を判断し、面接指導を行うものとすることを通達に記載することが適当である。

 

(4)年次有給休暇の取得促進

・ 年次有給休暇の取得率が低迷しており、いわゆる正社員の約16%が年次有給休暇を1日も取得しておらず、また、年次有給休暇をほとんど取得していない労働者については長時間労働者の比率が高い実態にあることを踏まえ、年5日以上の年次有給休暇の取得が確実に進むような仕組みを導入することが適当である。

・ 具体的には、労働基準法において、年次有給休暇の付与日数が10日以上である労働者を対象に、有給休暇の日数のうち年5日については、使用者が時季指定しなければならないことを規定することが適当である。

・ ただし、労働者が時季指定した場合や計画的付与がなされた場合、あるいはその両方が行われた場合には、それらの日数の合計を年5日から差し引いた日数について使用者に義務づけるものとし、それらの日数の合計が年5日以上に達したときは、使用者は時季指定の義務から解放されるものとすることが適当である。

・ なお、この仕組みを設けることに伴い、労使において計画的付与制度の導入の促進の取組が一層進むよう、行政としてさらなる支援策を講じていくことが適当である。

・ 使用者は時季指定を行うに当たっては、1年休権を有する労働者に対して時季に関する意見を聴くものとすること、2時季に関する労働者の意思を尊重するよう努めなければならないことを省令に規定することが適当である。

・ また、以上のような新たな仕組みを設けることに伴い、使用者が各労働者の年次有給休暇の取得状況を確実に把握することが重要になるため、使用者に年次有給休暇の管理簿の作成を省令において義務づけるとともに、これを3年間確実に保存しなければならないこととすることが適当である。

 

(5)労使の自主的取組の促進

<労働時間等設定改善法>

・ 各企業における労働時間、休日及び休暇等の改善に向けた労使の自主的取組を一層促進するため、企業単位での取組の促進に向けた法令の整備を行うことが適当である。

・ 具体的には、労働時間等設定改善法に、企業単位で設置される労働時間等設定改善企業委員会を明確に位置づけ、同委員会における決議に法律上の特例を設けるとともに、同法に基づく労働時間等設定改善指針においても、働き方・休み方の見直しに向けた企業単位での労使の話合いや取組の促進を新たな柱として位置づけることが適当である。

・ このうち、労働時間等設定改善企業委員会における決議に関する特例は、労働基準法第37条第3項(代替休暇)、第39条第4項(時間単位年休)及び第6項(計画的付与)について設けることが適当である。また、この特例に係る手続としては、各事業場でこれらの条項について「労働時間等設定改善企業委員会に委ねること」を労使協定で定めた上で、同委員会で委員の5分の4以上の多数による決議を行うことを要することとすることが適当である。そして、特例の効果としては、当該決議を関係事業場における当該条項に係る労使協定に代えることができるものとすることが適当である。

・ 併せて、労働時間等の設定の改善を図るための措置についての調査審議機会をより適切に確保する観点から、一定の衛生委員会等を労働時間等設定改善委員会にみなす規定(労働時間等設定改善法第7条第2項)を廃止することが適当である。

なお、廃止に当たっては、みなし規定の対象となっている衛生委員会等に関して一定の経過措置を設けることが適当である。

 

<労働時間等設定改善指針>

・ 労働時間等設定改善指針について、既に1(1)3において記述した内容や、以下の内容を盛り込むことも含め、改めて労働政策審議会における調査審議の上で改正することが適当である。

その上で、都道府県労働局に配置する働き方・休み方改善コンサルタント等を活用し、指針に盛り込まれた内容の周知や関連の支援策の活用を促進することが適当である。

1 上記の法改正の趣旨を踏まえ、働き方・休み方の見直しに向けた企業単位での労使の話合いや取組の促進を、指針の新たな柱として追加すること(再掲)

2 現行指針における多岐にわたる取組の例示について、基本的な内容(例:労使の話合いの機会の整備、具体的な改善目標の設定及び取組のフォローアップ等)と応用的な内容(例:3に掲げるもの)、さらに企業・事業場の実情に応じて考慮すべき内容(例:特に健康の保持に努める必要があると認められる労働者が存在する場合の対応等)に整理するなど、労使にとって活用しやすいものとすること

3 労働者の健康確保の観点から、新たに「終業時刻及び始業時刻」の項目を設け、具体策として、深夜業の回数の制限のほか、「前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定時間の休息時間を確保すること(勤務間インターバル)は、労働者の健康確保に資するものであることから、労使で導入に向けた具体的な方策を検討すること」や、同様の効果をもたらすと考えられる「一定の時刻以降に働くことを禁止し、やむを得ない残業は始業前の朝の時間帯に効率的に処理する『朝型の働き方』」を追加すること

4 所定外労働を前提としない勤務時間限定の正社員制度を含む「多様な正社員」、適切な労働環境の下でのテレワーク等について追加すること

 

 

2 フレックスタイム制の見直し

フレックスタイム制の下で、子育てや介護、自己啓発など様々な生活上のニーズと仕事との調和を図りつつ、メリハリのある働き方を一層可能にするため、その導入及び活用の促進に向けた労使の取組に対する支援策を講じるとともに、より利用しやすい制度となるよう、以下の見直しを行うことが適当である。

 

(1)清算期間の上限の延長

・ フレックスタイム制により、一層柔軟でメリハリをつけた働き方が可能となるよう、清算期間の上限を、現行の1か月から3か月に延長することが適当である。

・ 清算期間が1か月を超え3か月以内の場合、対象労働者の過重労働防止等の観点から、清算期間内の1か月ごとに1週平均50時間(完全週休2日制の場合で1日あたり2時間相当の時間外労働の水準)を超えた労働時間については、当該月における割増賃金の支払い対象とすることが適当である。

・ 制度の適正な実施を担保する観点から、清算期間が1か月を超え3か月以内の場合に限り、フレックスタイム制に係る労使協定の届出を要することとすることが適当である。

・ 清算期間が1か月を超え3か月以内のフレックスタイム制においては、労働者が自らの各月の時間外労働時間数を把握しにくくなることが懸念されるため、使用者は、労働者の各月の労働時間数の実績を通知等することが望ましい旨を通達に記載することが適当である。

・ 併せて、今般の清算期間の上限の延長は、仕事と生活の調和を一層図りやすくするための改正であるという趣旨を通達に明記し、周知徹底を図ることが適当である。

・ 同時に、清算期間が1か月を超え3か月以内の場合、上記の1週平均50時間を超える労働時間という考え方を前提に月60時間を超えた労働時間に対する割増賃金率の適用があることはもとより、3か月以内の清算期間を通じた清算を行う場合においても月60時間相当の時間を超えた労働時間についての対応が必要になることや、月当たり一定の労働時間を超える等の要件を満たす場合に医師による面接指導等の実施が必要となることは同様であることも踏まえつつ、長時間労働の抑制に努めることが求められる旨、通達に明記し、周知徹底を図ることが適当である。

 

(2)完全週休2日制の下での法定労働時間の計算方法

・ 完全週休2日制の下では、曜日のめぐり次第で、1日8時間相当の労働でも法定労働時間の総枠を超え得るという課題を解消するため、完全週休2日制の事業場において、労使協定により、所定労働日数に8時間を乗じた時間数を法定労働時間の総枠にできるようにすることが適当である。

 

(3)フレックスタイム制の制度趣旨に即した運用の徹底等

・ 通達において、フレックスタイム制が、始業及び終業の時刻を労働者の決定に委ね、仕事と生活の調和を図りながら効率的に働くことを可能にするものであるという制度趣旨を改めて示し、使用者が各日の始業・終業時刻を画一的に特定するような運用は認められないことを徹底することが適当である。

 

なお、フレックスタイム制における「決められた労働時間より早く仕事を終えた場合も、年次有給休暇を活用し、報酬を減らすことなく働くことができる仕組み」については、年次有給休暇の趣旨に照らして慎重に考えるべき等の意見が労使双方から示されたことを踏まえ、引き続き慎重に検討することとする。

 

 

3 裁量労働制の見直し

裁量労働制について、企業における組織のフラット化や、事業活動の中枢にあるホワイトカラー労働者の業務の複合化等に対応するとともに、対象労働者の健康確保を図り、仕事の進め方や時間配分に関し、労働者が主体性をもって働けるようにするという制度の趣旨に即した活用が進むよう、以下の見直しを行うことが適当である。

なお、労働者代表委員から、企画業務型裁量労働制の対象業務に新たな類型を追加することについて、みなし労働時間制のもとに長時間労働に対する抑止力が作用せず、その結果、長時間労働となるおそれが高まる労働者の範囲が拡大することとなることから認められないとの意見があった。

(1)企画業務型裁量労働制の新たな枠組

・ 企画業務型裁量労働制の対象業務要件のうち、現行では「事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務」とされている部分について、近年のホワイトカラーの働き方の変化を踏まえ、以下の新たな類型を追加することが適当である。

1法人顧客の事業の運営に関する事項についての企画立案調査分析と一体的に行う商品やサービス内容に係る課題解決型提案営業の業務(具体的には、例えば「取引先企業のニーズを聴取し、社内で新商品開発の企画立案を行い、当該ニーズに応じた課題解決型商品を開発の上、販売する業務」等を想定)

2事業の運営に関する事項の実施の管理と、その実施状況の検証結果に基づく事業の運営に関する事項の企画立案調査分析を一体的に行う業務(具体的には、例えば「全社レベルの品質管理の取組計画を企画立案するとともに、当該計画に基づく調達や監査の改善を行い、各工場に展開するとともに、その過程で示された意見等をみて、さらなる改善の取組計画を企画立案する業務」等を想定)

・ なお、新たに追加する類型の対象業務範囲の詳細(肯定的要素及び否定的要素)に関しては、法定指針で具体的に示すことが適当である。否定的要素として掲げる内容は、例えば、「店頭販売やルートセールス等、単純な営業の業務である場合や、そうした業務と組み合わせる場合は、対象業務とはなり得ない」、「企画立案調査分析業務と組み合わせる業務が、個別の製造業務や備品等の物品購入業務、庶務経理業務等である場合は、対象業務とはなり得ない」といったものが考えられる。

 

・ 企画業務型裁量労働制の対象労働者の健康確保を図るため、同制度の健康・福祉確保措置について、一定の措置を講ずる旨を決議することが制度上の要件とされている。この健康・福祉確保措置について、現行の法定指針に例示されている事項(代償休日又は特別な休暇の付与、健康診断の実施、連続した年次有給休暇の取得促進、心とからだの健康窓口の設置、配置転換、産業医の助言指導に基づく保健指導)を参考にしつつ、長時間労働を行った場合の面接指導、深夜業の回数の制限、勤務間インターバル、一定期間における労働時間の上限の設定等を追加することも含め検討の上、省令で規定することが適当である。

 

(2)手続の簡素化

・ 企画業務型裁量労働制が制度として定着してきたことを踏まえ、1労使委員会決議の本社一括届出を認めるとともに、2定期報告は6か月後に行い、その後は健康・福祉確保措置の実施状況に関する書類の保存を義務づけることが適当である。

 

(3)裁量労働制の本旨の徹底

・ 裁量労働制を導入しながら、出勤時間に基づく厳しい勤怠管理を行う等の実態があることに対応するため、始業・終業の時刻その他の時間配分の決定を労働者に委ねる制度であることを法定し、明確化することが適当である。

・ 併せて、労働基準法第38条の4第3項に基づく指針において、「当該事業場における所定労働時間をみなし時間として決議する一方、所定労働時間相当働いたとしても明らかに処理できない分量の業務を与えながら相応の処遇の担保策を講じないといったことは、制度の趣旨を没却するものであり、不適当であることに留意することが必要である」旨を規定することが適当である。

 

 

4 特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の創設

時間ではなく成果で評価される働き方を希望する労働者のニーズに応え、その意欲や能力を十分に発揮できるようにするため、一定の年収要件を満たし、職務の範囲が明確で高度な職業能力を有する労働者を対象として、長時間労働を防止するための措置を講じつつ、時間外・休日労働協定の締結や時間外・休日・深夜の割増賃金の支払義務等の適用を除外した労働時間制度の新たな選択肢として、特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)を設けることが適当である。

なお、使用者代表委員から、高度プロフェッショナル制度は、経済活力の源泉であるイノベーションとグローバリゼーションを担う高い専門能力を有する労働者に対し、健康・福祉確保措置を講じつつ、メリハリのある効率的な働き方を実現するなど、多様な働き方の選択肢を用意するものである。労働者の一層の能力発揮と生産性の向上を通じた企業の競争力とわが国経済の持続的発展に繋がることが期待でき、幅広い労働者が対象となることが望ましいとの意見があった。

また、労働者代表委員から、高度プロフェッショナル制度について、既に柔軟な働き方を可能とする他の制度が存在し、現行制度のもとでも成果と報酬を連動させることは十分可能であり現に実施されていること及び長時間労働となるおそれがあること等から新たな制度の創設は認められないとの意見があった。

 

(1)対象業務

・ 「高度の専門的知識、技術又は経験を要する」とともに「業務に従事した時間と成果との関連性が強くない」といった対象業務とするに適切な性質を法定した上で、具体的には省令で規定することが適当である。

・ 具体的には、金融商品の開発業務、金融商品のディーリング業務、アナリストの業務(企業・市場等の高度な分析業務)、コンサルタントの業務(事業・業務の企画運営に関する高度な考案又は助言の業務)、研究開発業務等を念頭に、法案成立後、改めて審議会で検討の上、省令で適切に規定することが適当である。

(2)対象労働者

・ 使用者との間の書面による合意に基づき職務の範囲が明確に定められ、その職務の範囲内で労働する労働者であることが適当である。

・ また、対象労働者の年収について、「1年間に支払われることが確実に見込まれる賃金の額が、平均給与額の3倍を相当程度上回る」といったことを法定した上で、具体的な年収額については、労働基準法第14条に基づく告示の内容(1075万円)を参考に、法案成立後、改めて審議会で検討の上、省令で規定することが適当である。

・ 労使委員会において対象労働者を決議するに当たっては、本制度の対象となることによって賃金が減らないよう、法定指針に明記することが適当である。

(3)健康管理時間、健康管理時間に基づく健康・福祉確保措置(選択的措置)、面接指導の強化

 

<健康管理時間>

・ 本制度の適用労働者については、割増賃金支払の基礎としての労働時間を把握する必要はないが、その健康確保の観点から、使用者は、健康管理時間(「事業場内に所在していた時間」と「事業場外で業務に従事した場合における労働時間」との合計)を把握した上で、これに基づく健康・福祉確保措置を講じることとすることが適当である。

・ なお、健康管理時間の把握方法については、労働基準法に基づく省令や指針において、客観的な方法(タイムカードやパソコンの起動時間等)によることを原則とし、事業場外で労働する場合に限って自己申告を認める旨を規定することが適当である。

 

<健康管理時間に基づく健康・福祉確保措置(選択的措置)>

・ 健康管理時間に基づく健康・福祉確保措置について、具体的には、制度の導入に際しての要件として、以下のいずれかの措置を労使委員会における5分の4以上の多数の決議で定めるところにより講じることとし、決議した措置を講じていなかったときは制度の適用要件を満たさないものとすることが適当である。

1労働者に24時間について継続した一定の時間以上の休息時間を与えるものとし、かつ、1か月について深夜業は一定の回数以内とすること。

2健康管理時間が1か月又は3か月について一定の時間を超えないこととすること。

34週間を通じ4日以上かつ1年間を通じ104日以上の休日を与えることとすること。

 

上記1、2の「一定の時間」及び「一定の回数」については、法案成立後、改めて審議会で検討の上、省令で規定することが適当である。また、その審議に当たっては、各企業における現在の健康確保措置の取組実態も十分踏まえつつ、対象労働者の健康の確保に十分留意することが適当である。

 

<面接指導の強化>

・ 本制度の適用労働者であって、その健康管理時間が当該労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める時間を超えるものに対し、医師による面接指導の実施を法律上義務づけることが適当である。

・ 具体的には、労働安全衛生法に上記の趣旨を規定した上で、労働安全衛生規則において、健康管理時間について、1週間当たり40時間を超えた場合のその超えた時間が1月当たり100時間を超えた労働者について、一律に面接指導の対象とする旨を規定することが適当である。

・ なお、本制度の適用労働者に対する面接指導の確実な履行を確保する観点から、上記の義務違反に対しては罰則を付すことが適当である。

・ また、本制度の適用労働者に対し、面接指導の結果を踏まえた健康を保持するために必要な事後措置の実施を法律上義務づけることや、上記の時間が1月当たり100時間以下の労働者であっても、その申出があれば面接指導を実施するよう努めなければならないものとすることが適当である。

 

(4)対象労働者の同意

・ 制度の導入に際しての要件として、法律上、対象労働者の範囲に属する労働者ごとに、職務記述書等に署名等する形で職務の内容及び制度適用についての同意を得なければならないこととし、これにより、希望しない労働者に制度が適用されないようにすることが適当である。

 

(5)労使委員会決議

・ 制度の導入に際しての要件として、労使委員会を設置し、以下の事項を5分の4以上の多数により決議し、行政官庁に届け出なければならないこととすることが適当である(一部再掲)。

    対象業務の範囲

2対象労働者の範囲

3対象業務に従事する対象労働者の健康管理時間を使用者が把握すること及びその把握方法

4健康管理時間に基づく健康・福祉確保措置の実施

5苦情処理措置の実施

6対象労働者の不同意に対する不利益取扱の禁止

 

(6)法的効果

・ 以上の要件の下で、対象業務に就く対象労働者については、労働基準法第四章で定める労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定を適用除外とすることが適当である。

 

(7)制度の履行確保

・ 対象労働者の適切な労働条件の確保を図るため、厚生労働大臣が指針を定める旨を法定することが適当である。

・ 届出を行った使用者には、健康・福祉確保措置の実施状況を6か月後に報告すること、その後は健康・福祉確保措置の実施状況に関する書類を保存することを義務づけることが適当である。

 

(8)年少者への適用

・ 本制度は年少者には適用しないこととすることが適当である。

 

 

5 その他

(1)特例措置対象事業場

・ 週44時間特例対象事業場の所定労働時間の現状をみると、79.7%の事業場で所定労働時間が週40時間以下となっているが、一部の業種では過半の事業場で所定労働時間が週44時間前後という状況にある。

・ こうした状況や労働基準法第40条の趣旨を踏まえ、必要に応じさらに詳細な実態の調査を行った上で、特例措置対象事業場の範囲の縮小を図る方向で、法案成立後、改めて審議会で検討の上、所要の省令改正を行うことが適当である。

 

(2)過半数代表者

・ 過半数代表者の選出をめぐる課題を踏まえ、「使用者の意向による選出」は手続違反に当たるなど通達の内容を労働基準法施行規則に規定する方向で検討を続けることが適当である。また、監督指導等により通達の内容に沿った運用を徹底することが適当である。

・ 使用者は、過半数代表者がその業務を円滑に遂行できるよう必要な配慮を行わなければならない旨を、規則に規定する方向で検討を継続することが適当である。

・ 以上については、法案成立後、改めて審議会で検討の上、所要の省令改正を行うことが適当である。

 

(3)管理監督者

・ 管理監督者の範囲について、引き続き既往の通達等の趣旨の徹底を図るとともに、その健康確保の観点から1(3)の労働時間の客観的把握を徹底することが適当である。

 

(4)電子的手法による労働条件明示

・ 労働条件明示の方法は引き続き書面明示によることを原則とするが、労働者が希望する場合には、1ファクシミリの送信、2電子メールの送信(当該労働者が記録を出力することにより書面を作成できるものに限る。)により明示することを認める方向で検討を継続することが適当である。

・ 併せて、労働条件明示が事実と異なるものであってはならない旨を省令に規定する方向で検討を継続することが適当である。

・ 以上について、法案成立後、改めて審議会で検討の上、所要の省令改正を行うことが適当である。

 

 

6 制度改正以外の事項

(1)労働基準監督機関の体制整備

・ サービス経済化の進展や企業間競争の激化、就業形態の多様化といった経済社会の変化の中で、我が国労働者の最低労働条件の履行確保や労働条件の向上を図るために労働基準監督機関が所期の機能を発揮できるよう、不断の業務の見直しを行うとともに、その体制整備に努めることが適当である。

(2)労働基準関係法令の周知の取組等

・ 労働基準関係法令が十分周知されていないことに伴う法令違反が依然として多数みられることから、一層の周知徹底に取り組むことが適当である。また、使用者は、時間外・休日労働協定等を労働者に周知させなければならないとしている法の規定を踏まえ対応するよう、徹底を図ることが適当である。

以 上

○岩村分科会長 ありがとうございました。今、報告案について読み上げて説明をいただきました。

 修正箇所などにつきまして、事務局から補足説明がありましたら、お願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○古瀬調査官 それでは、報告案について補足説明をさせていただきます。

 お手元の資料No.3を御覧ください。

 前回からの変更点について青字で表示をしているものです。事務局から修正させていただいた点について、説明いたします。

 まず、2ページです。上から5行目から6行目に、労働者代表委員からの御意見を記載しております。

 また、中ほどの施行時期の記述について、前回、明確化すべきという御意見があったことを踏まえ、「平成31年度」から「平成31年4月」に修正しております。

 4ページと5ページは、内容的な変更はありませんが、字句の整理や小見出しをつける等の修正をしております。

 6ページです。「清算期間が1か月を超え3か月以内のフレックスタイム制」について、前回の労側委員からの御意見を踏まえ、1つ目として「労働者の各月の労働時間数の通知等をすることが望ましい」ということ。

 ポツの2つ目、3つ目ですが、長時間労働の抑制に努めることが求められることや、具体的な取り扱いについて通達に明記し、周知徹底を図ることとしております。

 7ページの上から5行目から8行目にかけてです。企画業務型裁量労働制に関する労働者代表委員からの御意見を記載しております。

 また、このページの真ん中から少し下の部分ですが、「単純な営業の業務」及び「そうした業務と組み合わせる場合」は、企画業務型裁量労働制の対象業務とはなり得ないことを明確化しております。

 8ページの(2)、(3)及び4の「高度プロフェッショナル制度」の5行目は字句の修正です。

 4の「高度プロフェッショナル制度」の7行目から、使用者代表委員からの御意見と労働者代表委員からの御意見を追記しております。

 その下の「(1)対象業務」の1行目は、「高度の専門的知識等」としておりました「等」の内容を明確化しております。

 9ページは字句の修正です。

 また、9ページの最後の行から10ページにかけては、内容の変更はありませんが、公益委員の御指摘を踏まえ、省令で規定する事項を整理した上で、まとめて記載しております。

 最後に、11ページの下から4行目です。過半数代表者について、これまでの御審議を踏まえ、「過半数代表者の選出をめぐる課題を踏まえ」を追記しております。

 簡単ですが、以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいま御説明いただきました報告案についての御意見あるいは御質問などをいただきたいと思います。

 今、事務局からも説明がありましたように、労使それぞれから報告案に対する意見も出されているところでございますので、それについての御説明ということも含めまして、御意見あるいは御質問をお願いできればと思います。いかがでございましょうか。では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 前回の論議を踏まえて、青字のように追加・修正をされた部分がありますので、そうした追加・修正箇所を中心に事務局の考え方を確認させていただきたいと思います。5点ほどありますので、順番に申し上げます。

 まず「2 フレックスタイム制の見直し」に関して、6ページに追加された最後のポツの箇所に、清算期間の上限期間が延長された場合の、月60時間を超えた労働時間に対する割増賃金率の適用について記述が追加されました。我々も1週平均50時間を超えた場合に各月で支払うこととなるという割増賃金のカウント方法と、清算期間が3か月に延長された場合における割増賃金のカウント方法、それぞれにおいて月60時間を超えた労働時間に対する割増賃金率の適用がどういう扱いになるのかというのは気になっていたところでありまして、それに関して今回記載をしていただいたわけです。

 1点目にお聞きしたいのは、最後のポツの文章で、「月60時間を超えた労働時間に対する割増賃金率の適用があることはもとより、3か月以内の清算期間を通じた清算を行う場合においても月60時間相当の時間を超えた労働時間についての対応が必要になる」と書かれている意味をもう少しわかるように御説明いただきたいということです。

 我々として懸念しているのは、今回の改正によって、現行法のもとにおいて月60時間超の時間外労働に対する50%の割増賃金率が適用される範囲が狭められることがないのかということであり、その確認をしたいというのが質問の趣旨です。

 2点目は、前回「清算期間を延長して3か月の中で労働時間の配分を労働者自身が行えるようにするというのであれば、労働者が自らの実労働時間の積算された状況を確認することができるよう、使用者が実労働時間数について労働者に通知しなければならないとする『通知義務』を課すべき」との意見を申し上げた点について、「使用者は、労働者の各月の労働時間数の実績を通知等することが望ましい旨を通達に記載することが適当」と書いていただきました。ただ、清算期間が延長された場合に、各月ごとに労働時間数の実績を示されても仕方がないわけでして、清算期間における実労働時間の積算された数値と総労働時間との差異を通知してもらわないと、労働者が自ら、あと何時間働く必要があるかを把握することは難しい。要するに、各月何時間働いたという通知だけはなく、清算期間における労働時間の貸し借り、すなわち各月でプラスとなる労働時間とマイナスとなる労働時間がわかるような通知でないと、労働者にとって非常に困る内容になると思いますので、その考え方を確認させていただきたいと思います。

 3点目は、「3 裁量労働制の見直し」に関して、7ページの(1)の1に記載されている企画業務型裁量労働制の新たな枠組みの1つ目です。1に、今回追加される法人間の取引、すなわちB to Bの営業が記載されており、前回から記載内容は変わっておりませんけれども、ここに書いてある「法人顧客の事業に関する事項についての企画立案調査分析と一体的に行う商品やサービス内容に係る課題解決型提案営業の業務」とありますが、ここで言っている「一体的に」というのはどういう意味なのかということを確認させてください。

 4点目は、「4 高度プロフェッショナル制度の創設」に関して、8ページの一番下から書かれている「(1)対象業務」と「(2)対象労働者」の部分です。今回、労働基準法第14条の条文を参考に、「(1)対象業務」については、専門知識に加えて「技術又は経験」という文言が追加されました。9ページに記載がある健康・福祉確保措置については、「決議した措置を講じていなかったときは制度の適用要件を満たさないものとすることが適当」と書いてあります。これも当たり前のことを聞くのですけれども、「(1)対象業務」と「(2)対象労働者」の要件が満たされない場合には、当然ですが、労働基準法第四章で定める労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定を適用除外するとの効果は発生せず、いずれも本則の規制に復するという理解でよいのか否かを確認させていただきたいと思います。

 5点目は、「4 高度プロフェッショナル制度の創設」に関して、9ページの「(2)対象労働者」の2つ目のポツです。この点は、先ほど冒頭に御報告いただいた有期雇用特措法の議論の際に使用者側委員から随分こだわりを持った質問をされていたので、私も同様にこだわりを持って確認をしておきたいと思います。「労働基準法第14条に基づく告示の内容(1075万円)を『参考に』」とありますが、ここでいう「参考に」というのは、一体何を参考にするのかということの確認です。

 ここでの「参考に」という意味は、あくまでも年収要件における「(1075万円)」という年収のデジタルな金額を参考にすることを意味すると思いますが、もともと労働基準法第14条というのは、御承知のように、有期契約労働者に対する1回の契約期間の上限を定める、それの特例を定める条文であるため、「労働基準法第14条に基づく告示の内容」と言った途端に、告示の内容という枠組みを参考にするようにも考えられます。

 ところが、「高度プロフェッショナル制度」の対象労働者は、有期であるか、無期であるかというのは関係ありません。労働基準法第14条の考え方は、法律に大まかな要件を記載し、具体的な内容については大臣告示で定めるという、非常に底が抜けていると言ってしまうと問題かもしれませんが、仕組みとしては、法律上に大まかな要件が記載されているものの、実際の具体的な中身については大臣告示で自由に書きかえができるという仕組みになっています。

 労働基準法第14条に基づく告示は、原則3年の上限に対し、最長5年の期間までの有期労働契約が特例的に認められる高度専門労働者に関する基準を定めたものであって、今回の「高度プロフェッショナル制度」とは制度趣旨を異にしているため、労働基準法第14条の告示の内容(枠組み)を参考にされてしまうことを懸念しています。要するに、せっかく基本的な要件を法定化して底が抜けないような規定としているのに、制度趣旨の異なる対象労働者を念頭においた告示の内容(枠組み)を参照することは問題であると考えます。よって、ここでの「参考に」というのは、今ある労働基準法第14条の枠組みを参考にするのではないという確認をさせていただきたいと思います。

 多岐に渡る質問となり、申し訳ございませんが、よろしくお願いします。

○岩村分科会長 それでは、5点の御質問だったと思いますので、事務局からお願いいたします。

○村山労働条件政策課長 では、順次お答えいたします。

 まず、フレックスタイム制の清算期間の上限を3か月に延長することとの兼ね合いで、6ページに追加した記述について御確認いただきました。前回のやりとりも踏まえて、改めて御説明いたします。

 追加している3つ目のポツ「同時に、清算期間が1か月を超え3か月以内の場合」の次の「上記の1週平均50時間を超える労働時間という考え方を前提に月60時間を超えた労働時間に対する割増賃金率の適用がある」という記述についてです。まず、一月ごとの時間外割増賃金に関して、清算期間を1か月超3か月以内に延ばした場合、1週平均50時間を超える分の労働時間に対しては、当該月に割増賃金を支払う必要が生じる仕組みといたしました。したがって、1週平均50時間を月に換算し、30日の月は「50時間掛ける7分の30日」、31日の月は「50時間掛ける7分の31日」をそれぞれ超える時間数が60時間を超えた時点から、大企業については、労働基準法第37条1項ただし書きに定める5割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない旨の規定が適用されることを記載しているものです。

 その上で、「3か月以内の清算期間を通じた清算を行う場合においても月60時間相当の時間を超えた労働時間についての対応が必要になること」が具体的にどういう意味なのかという御質問です。

 1か月の法定労働時間を超えた労働時間の調整を前提とする制度ですので、それが望ましいかどうかは別として、実態として清算期間が3か月の場合、仮に3か月長時間労働が連続したならば、毎月の1週平均50時間というスタートラインと、そもそもの法定の週40時間との間の時間数の累積分も含めて、その期間の最後の月、つまりこの場合は、3か月目にまとめて清算していただくことになります。

 その際に、月60時間相当を超えた部分については、仮に単月で既に支払った分があれば、その分は差し引いて相殺するという調整の上で、最終的に5割以上の率で計算した割増賃金を必要な分支払わなくてはいけないということを、この表現で読んでいただければという趣旨です。

 ただいまの新谷委員からの御質問は、制度趣旨を明確化するための御質問と思っておりますが、ここでも繰り返し強調し、また労使双方の共通理解になっている点と思いますが、今回の清算期間の上限の延長自体は、仕事と生活の調和を図りながら、メリハリのついた労働時間の配分を自律的に可能にするというフレックスタイム制の本旨をより伸ばす観点から行うものですので、長時間労働を抑制しながら制度が活用されることが重要であると考えております。ただ、そうした中で、仮に長時間労働となった場合には、先ほど申し上げたような取扱になるということです。

 2点目です。6ページの、追記した最初のポツ、「使用者は、労働者の各月の労働時間数の実績を通知等する」については、これまで企業それぞれの取組も含めて様々な蓄積があり、通知の方法も具体的には様々あるものと思います。御指摘のように、単月で労働時間数を通知するのでは、清算期間が3か月にわたるので、労働時間の差し引き計算がしにくいという面もあろうと思います。その点については、労使の工夫の中でしっかり対応していただくという趣旨でこのような記述にしていると御理解いただければと考えております。

 3点目です。7ページの「(1)企画業務型裁量労働制の新たな枠組み」の1です。「法人顧客の事業の運営に関する事項についての企画立案調査分析と一体的に行う商品やサービス内容に係る課題解決型提案営業」について、特に一体的ということも含めて具体的にはどういうことなのかという御質問です。

 先ほど新谷委員からもビー・トゥ・ビーのというお話がありましたが、法人顧客の事業の運営に関する重要な事項の企画立案調査分析の成果を活かし、まさに一連につながった意味での商品やサービス内容に係る課題解決型の提案営業を行うということです。その対象労働者の方が、括弧の中に記載している例で言えば、新商品開発、例えば金融商品や全社的なシステム運営に係る重要なシステム開発業務などの企画立案を行いながら、そのニーズに応じた課題解決型商品を開発の上、販売する業務です。単純な物品の販売など、企画立案調査分析と切り離された業務はここでは読んでいないということを御理解いただければと考えております。

 4点目です。「高度プロフェッショナル制度」の「(1)対象業務」と「(2)対象労働者」で、まず基本的な考え方を法定した上で、具体的には省令で規定するということが記載してありますが、これらの要件を満たさなかった場合にはどのようになるのかという御質問です。健康・福祉確保措置と同様に、要件を満たさなかった場合には制度の適用の対象にならないという法制上の要件にすることを考えております。これは企画業務型裁量労働制等においても同じ考え方ということで御理解いただければと考えております。

 5点目です。9ページの「(2)対象労働者」のいわゆる具体的な年収要件についてです。「参考に」という言葉の意味は、省令で定めるときに、ほかのものを引き合いに出して決めていくという意味で、日本語としての一般的な言葉遣いとして見ていただければと思います。また、そこはどこにかかっているのかという御質問ですが、端的に申し上げて、先ほどお話がありましたように、「(1075万円)」という額にかかっているものであって、法的な構造にかかっているものではありません。この文章をフラットに読んでいただければ、「1年間に支払われることが確実に見込まれる賃金の額が、平均給与額の3倍を相当程度上回る」という内容を法定するということで、明らかに労働基準法第14条の構造とは違っているということを御理解いただけるのではないかと考えておりますし、また、それを旨に置いて法案要綱の作成に当たってまいりたいと考えております。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 新谷委員、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

○新谷委員 はい。

○岩村分科会長 ほかにいかがでしょうか。では、鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 ありがとうございます。

 使用者側といたしましては、8ページの高度プロフェッショナル制度について補足意見をつけさせていただきましたので、簡単に趣旨を申し上げたいと思います。

 御案内のとおり、世界規模で競争が激化し、また、少子高齢化の進展によりまして、国内外の市場の変化が大変激しくなっております。そうした中、企業はイノベーションを通じて魅力ある商品・サービスを提供していくことが求められているところでございます。

 その担い手であり、企業の競争力の源泉である人材には、メリハリがあり、効率的な働き方をしてもらい、意欲と能力を十分発揮していただきたいと考えているところであります。

 各種調査におきましても、適用除外制度を求める声というのは少なくないというふうに思っておりまして、十分な健康確保措置を講じつつ、高い専門能力を有する労働者にとって働きやすい環境を提供するということは、企業の競争力と経済発展につながるものと期待しているところでございます。

 高度プロフェッショナル制度は、多様な働き方の選択肢を用意するという観点から大変重要であるということの御理解を賜りたいという思いで附帯の意見をつけさせていただきました。

 以上でございます。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 使用者側委員から補足意見についての説明をいただきましたので、私どもも反対意見をつけておりますので、その趣旨について御説明をしたいと思います。私ども労働側の代表委員7名の総意として、3点の反対意見をつけさせていただきました。

 1つ目は、報告の2ページの一番上の箇所です。これは前回も論議をさせていただきましたけれども、労働時間法制にかかわる喫緊の課題は、「過労死等に代表される長時間労働がもたらす弊害をどう克服できるのか」ということであろうと思います。その意味からすると、私どもとしては、過労死その他長時間労働による労働者の健康被害の予防とワーク・ライフ・バランスの確保を図るため、実効的な労働時間法制を整備すべきであり、このことは労働時間法制の見直しの中でぜひ実現するべく、すべての労働者を対象に「労働時間の量的上限規制」及び「休息時間(勤務間インターバル)規制」を導入すべきとの主張を、これまでの議論においては随分とさせていただきました。しかし、「1 働き過ぎ防止のための法制度の整備等」の平文の結論は、「結論を得るに至らなかった」いう中身だけで終わってしまっています。この点について、私どもとしては反対意見を付しておきたいと思っております。

 それと、先ほど「2 フレックスタイム制の見直し」に関しては、確認させていただいたので、反対意見を付しておりません。ここも問題はあろうかと思っておりますし、報告案を細かく見ていくと、当然、3点以外の箇所についても労側として申し上げたい点は多々あるところであり、反対意見を付した箇所以外は全て満足しているというわけではありません。あくまで、特に問題があると考える主な3点について反対意見をつけさせていただいたということもあわせて申し上げておきたいと思います。

 2つ目は、7ページの「3 裁量労働制の見直し」に関して、反対意見を付記させていただきました。意見の内容は、本文における(1)の1、2に該当する部分です。今回、企画業務型裁量労働制に新たな類型、1、2の類型を2つ追加するということになりました。しかし、これまでの論議の中でもありましたように、裁量労働制については、「労働時間の適正把握指針」が適用されておらず、企業の現場では、労働時間そのものが十分に把握されていないばかりか、一律の出退勤時刻を設定するといった制度の本旨に反する運用まで行われている実態があります。さらに、労働時間の客観的な把握については、今回労働安全衛生法の部分しか手当てができておらず、労働基準法での手当てができていない内容にとどめられています。裁量労働制の適用対象者は、数々の統計をとりましても、「休日労働が非常に多い、長時間労働にある」という実態もあるわけでして、長時間労働に対する抑止力は、「1 働き過ぎ防止のための法制度の整備」の内容だけでは、みなし労働時間制のもとでの長時間労働に対する抑止力が作用せず、その結果、長時間労働となるおそれが高まる労働者の範囲が拡大されてしまうということが懸念されますので、企画業務型裁量労働制の対象業務に新たな類型を追加することは認められないということを申し上げておきたいと思います。

 3つめは、8ページの「4 高度プロフェッショナル制度」の箇所です。この制度に関して、冒頭確認させていただきましたのは、当然ですが賛成の意味で確認をしたわけではありません。これまでも論議をさせていただいたように、現行制度の中でも既に柔軟な働き方を可能とする他の制度が存在し、現行制度のもとでも成果と報酬を連動させることは十分可能であり現に実施されていることから、新たな制度の創設は認められません。なお、労働基準法において労働時間の長さと成果をリンクさせているのは、時間外割増賃金だけであり、これは各社の人事処遇制度の中で十分解決できる話ですので、法制度として新たな制度を創設しなければ実現できないという話ではありません。

 さらに、「高度プロフェッショナル制度」は、労働基準法が規定する労働者の健康と命を守る労働時間規制をほとんど外してしまう新たな枠組みをつくるということですので、やはり長時間労働を招くおそれがあることなどからも、こうした新たな制度の創設は認められないということを意見として付しておきたいと思います。

 以上であります。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 そのほか御意見あるいは御質問はいかがでございましょうか。よろしゅうございましょうか。

 それでは、これまでのこの分科会での御議論を振り返りまして、全体を通じての御意見などがおありでしたら、お願いしたいと思います。では、鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 ありがとうございます。

 今回の報告案は、使用者側にとりまして厳しい内容も含むものでありますけれども、法改正を機に過労死防止に向けた取組強化と働き方の多様化に応じた環境整備に努める所存であり、使用者側委員の総意として報告書案を了承したいというふうに思っております。

 以下、総括的なコメントをさせていただきたいと思います。

 労働時間制度改革の第1の柱は、ただいま新谷委員からの御案内にございました過重労働防止対策ということでありまして、長時間労働の抑制と、年次有給休暇の取得促進の両面からしっかり進めるという社会的な要請に対し、どう応えていくかという点にございます。過労死でお亡くなりになるような方が出ないようにするという思いは、使用者側としても共有しておりまして、これまで臨検監督の実態調査ですとか、あるいは各種データ、さらには事務局のほうで対応いただいたヒアリング結果などに基づいて、現状分析と具体的な方策について何度も議論を重ねてまいりました。

 結果、報告案では、中小企業に対する月の時間外労働が月60時間を超える場合の割増率50%の適用、限度基準を超える労働者を対象とした健康確保措置の実施、個々の労働者の健康確保の観点からの監督指導の強化、管理監督者に対する医師の面接指導制度のための時間把握の明確化、一定日数以上の年休を使用者の責任で取得してもらう仕組みの導入といった法的措置が盛り込まれたところであります。

 特に中小企業の割増率引上げにつきましては、個人消費が本格的な回復に至っておらず、また、円安の影響もある中で、人手不足が顕在化している産業を中心に経営への影響も決して小さなものではないというふうに感じているところでございます。

 しかしながら、長時間労働を抑制し、そこで働く人が魅力ある職場であると感じてもらえる環境を整えることが重要な課題であるということに鑑み、最終的に了解をするところでございますが、総じて労働時間短縮の体制やノウハウが十分ではない中小・小規模企業では、相当念入りな対応、準備が必要になろうかと思っております。

 各経済団体としても法令周知に努めたいと考えておりますけれども、監督指導の強化だけではなくて、職場が抱える課題を解決できるような援助として、例えばコンサルタントの派遣、業界・地域での情報共有、さらには個別の企業では解決できない課題解決に官民挙げて取り組むということが、制度の実効性を高める意味からも必要であり、この点につきまして改めて行政機関の十分な対応をお願いしたいと思っております。

 また、年次有給休暇取得促進策に関しまして、今回、現在の法律と180度異なる発想の仕組みが入るところでございます。現状、平均取得率が6日台の産業に働いていらっしゃる雇用者が約半分を占めるというようなこと。実際に年0日の方も含めまして年次有給休暇を3日以下しかとっていない方が3割もいらっしゃるというような現状がございます。

 5日以上の年休を取得してもらう義務というのは非常に重いものだというふうに受けとめておりますが、働き方改革や休み方改革が社会的な要請であることに鑑み、経済界としても円滑な制度移行に万全を期したいと考えております。

 労働時間制度改革のもう一つの柱は、働き方の多様化に対応した労働時間制度の選択肢を広げるという点でございます。先ほど申し上げましたとおり、企業は、さまざまな変化に対応するため、付加価値を創造し、生産性を高めることを通じ競争力の維持・向上を図り、成長・発展を実現していかなければならないと思っております。この点は、雇用の安定でありますとか、労働者の方々の処遇の改善の原資をつくるという意味でも大変重要なことだと思っております。

 こうした成長の担い手は社員一人一人でありますので、労働者の働き方の特性に応じて、持てる意欲、能力を十分発揮していただき、ワーク・ライフ・バランスにも資する環境づくりが大変重要だと思っております。

 そうした観点から、健康確保に十分留意しながら、高度プロフェッショナル制度、裁量労働制の対象業務の追加、フレックスタイム制の清算期間の延長を図るということは、時宜にかなったものだと評価をしている次第でございます。

 今後の省令案等の議論では、濫用的な運用とならないようにするという観点も重要でありますけれども、それに加えて、各種制度の趣旨を十分踏まえて、円滑な有効活用が図られるような観点から議論をしてまいりたいと思っております。

 最後に、今回の労働時間制度改革は、各社、各職場における働き方や休み方のあるべき姿を考え直し、また、現場ごとに原因を掘り下げて労使の話し合いを活発化させながら、長時間労働の見直しでありますとか、年次有給休暇の取得促進、さらには働く実態に即した効率的な働き方を実現する機会にしていかなければならないと思っております。政府の支援・協力も得ながら、使用者側としても取り組んでまいりたいと考えております。

 私からは以上でございます。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 それでは、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 それでは、労働側としまして、日本に働く雇用労働者5,500万人を代表する7人の労働者代表委員を代表しまして、私から総括的な意見を申し上げたいと思います。

 今回の労働時間法制の見直しについては、本日も含めまして、一昨年の9月以降23回にわたる論議をしてまいりました。途中、昨年6月に閣議決定された「日本再興戦略 改訂2014」を受けての論議再開後でも、11回と多数にわたる回数を費やしてこの論議を行ってきました。

 本日、事務局から最終的な報告案の提出に至ったわけですけれども、端的に申し上げて、今必要とされる 実効的な長時間労働抑制策 が盛り込まれていない反面、長時間労働を生み出す懸念が多い「高度プロフェッショナル制度の創設」や「裁量労働制の対象業務の拡大」といった規制緩和策ばかりが盛り込まれた内容となっています。要するに、必要なものが入っておらず、要らないものが入っているということです。23回にわたります議論の中で随分と労働側として主張してきた内容が盛り込まれていないということから言えば、昨年12月末の分科会にて中間的な総括意見を申し上げた際と同様、私ども7人の委員は徒労感を禁じ得ず、非常にむなしさを感じています。

 すなわち、報告書には、我々が1年半にわたって論議し求めてきた、 すべての労働者を対象にした「労働時間の量的上限規制」や「休息時間(勤務間インターバル)規制」 といった 実効的な長時間労働抑制策 が盛り込まれていない一方で、反対してきた「高度プロフェッショナル制度の創設」や「裁量労働制の対象業務の拡大」といった労働時間規制の緩和策だけはしっかりと記載されているということです。1年半にわたって議論してきた結果がこうした内容であるがゆえ、労側としては、今回報告書の主要論点に反対意見を書かざるを得なかったということは極めて遺憾であります。また、労働側の意見を押し切る形でこういう報告書がまとめられたということについても、同じく極めて遺憾である旨を申し上げておきたいと思います。

 この労働政策審議会の中で再三申し上げておりますけれども、昨年の11月から施行されている過労死等防止対策推進法第4条は、過労死の防止対策推進が国の責務であることを規定しています。不幸にして毎年100人以上の方が長時間労働でお亡くなりになっている厳しい現状がありまして、政府として国民の健康と命を守るための法制度をどうするのかということが、立法府から行政府へ、そしてこの労働政策審議会に突きつけられた要請であったわけです。私たちはこの要請に基づいて法改正の論議をしてきたのでありますけれども、報告案にある働き過ぎ防止策をもって立法府の要請に本当に応えることができるのか、そして、この対策を行うことで本当に過労死がゼロになると自身を持って言えるのかということについて、私どもとしては非常に疑問であると言わざるを得ないと思っております。

 確かに、長時間労働抑止策については、「中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率の適用猶予措置の廃止」や「年5日の年次有給休暇についての使用者への時季指定の義務づけ」のように、私どもとしても前向きに評価できる部分はありますけれども、我々として一番求めており、かつ、最も効果的な施策と考える「時間外労働の量的上限規制」や「休息時間(勤務間インターバル)規制」が盛り込まれなかったことについては、極めて残念です。

 その点について、報告書には「結論を得るに至らなかった」とのみ書かれていますが、実はこの報告書の中には、「検討を続けることが適当」という記述がほかにもあるわけでありまして、 すべての労働者を対象にした「労働時間の量的上限規制」や「休息時間(勤務間インターバル)規制」についてのみ 将来の道筋すら示されることなく、「結論を得るに至らなかった」と書かれるにとどめられたということは、非常に残念です。今回報告書に対し、私どもの反対意見を付けるということになりましたけれども、政府は、時間的猶予を置くことなく、 実効的な長時間労働抑制策について 検討するべきであるということを重ねて申し上げておきたいと思います。

 一方、労働時間規制を緩める方の「高度プロフェッショナル制度の創設」や「裁量労働制の対象業務の拡大」、「フレックスタイム制の精算期間の上限延長」などは、いずれも現行法の規制を緩和するものであり、さらなる長時間労働を生む懸念が拭えないため、こうした制度見直しは不要であると、私どもは考えております。

 政府は、労働の規制は岩盤規制であり、それをドリルでもって穴をあけるのだということをおっしゃっているわけでありますが、労働者の健康と命を守る規制が、なぜ岩盤規制と言われ、ドリルで穴をあけられなければいけないのでしょうか。労働者の健康と命を守る規制は他の経済的な規制と異なり、生身の労働者が働き、その労働者を守る規制でありますので、経済規制と同一に論じるべきではないと私は思っております。

 特に「高度プロフェッショナル制度」については、上級の経営管理者について労働時間の規制を外すというのは世界共通のルールでありますが、専門職について、幅広く労働時間規制から適用除外としているのは、私の知る範囲では諸外国の中でもアメリカのみとの認識でおりますから、今回がおそらく世界で2番目の立法例になるのではないかと思います。そういった意味では、「高度プロフェッショナル制度」は日本版のホワイトカラーエグゼンプションであるというふうに私は捉えております。

 「高度プロフェッショナル制度」の年収要件についても、これまで随分論議をいたしました。年収要件についても、なぜ高い年収であれば、労働時間の規制を緩めることになるのか、労働者の健康と命を守る規制が、なぜ年収1,075万円以上であると緩むことになるのかという根本的な疑問に対する合理的で明確な答えを、いまだに誰からもいただいていません。

 さらに、使用者側は、「労働生産性を向上させ、競争力を強化するためには、この高度プロフェッショナル制度の創設が必要だ」と主張されているわけですけれども、私が申し上げたように、規制を緩めることが生産性を上げるという類例は今まで見たことがないわけです。 これまでの日本は、排ガス規制や円高といった、経営上の制約条件が課せられた中で、労使が 一生懸命工夫して、どうやればこれを乗り越えられるかと 知恵を出すことで生産性向上を実現し難しい課題を乗り越えてきた歴史があります。労働時間規制の適用除外や裁量労働制の拡大などの規制緩和ありきではなく、こうした規制強化がもたらす生産性向上に着目することが必要です。

 今回、まさしく労使で働き方改革を進める土壌ができるせっかくのチャンスであったのにもかかわらず、労働時間規制を緩めてしまうことは非常に残念であること、また、労働時間規制の適用除外制度を拡大することで本当に生産性が上がるのか疑問であるということを改めて申し上げておきたいと思います。

 こうした多くの疑問・懸念が全く解消されていない以上、反対意見を付させていただきましたように、「高度プロフェッショナル制度の創設」といった労働時間の規制緩和については反対であるということを改めて申し上げておきたいと思います。

 私どもは「高度プロフェッショナル制度の創設」といった労働時間の規制緩和については反対ですが、個々の労働者の能力や多様性を活かすことは重要でありますし、生産性の向上や競争力の向上に向けて労使で努力をするということについては、いささかも異論はありません。「21世紀にふさわしい働き方」というのは、労働者が多様な働き方を選択できることがそのあるべき姿だと思っております。多様な働き方を選択する中で、ワーク・ライフ・バランスを追求し、ディーセントワークを追求していくということでありますが、その際には、労働時間の上限規制がない中で、「労働時間がまさしくあり余る資源である」という、言ってみれば「20世紀型の働き方」を前提とする事業経営をするべきではないと思っております。それは法規制についても同じことでありまして、ワーク・ライフ・バランスを確保することのできる厳格な労働時間規制の下で、多様な働き方を追求するべきであるということを申し上げておきたいと思います。

 最後に、この労働政策審議会の進め方について、1点申し上げておきたいと思います。

 雇用・労働政策の在り方を検討するというのは、ILOの三者構成原則に従って、政府に加えて労働者の代表と使用者の代表、この三者の中で実質的な協議の場を持つというのがILOの精神であると思います。そして、これはグローバルスタンダードです。

 しかし、今回の「高度プロフェッショナル制度の創設」や「裁量労働制の拡大」、「フレックスタイム制の精算期間の延長」をいった労働時間の規制緩和策は、いずれも政府で閣議決定をされた内容です。しかも、その閣議決定の前段で産業競争力会議という、政府の委員と民間議員、経営者の代表で構成され、労働者の代表が1人も入っていない会議体の中で政策の基本的な枠組みを議論し、それを閣議決定した上で、その枠組みに基づいて労働政策審議会で議論するというやり方が取られました。

 私は、こうした雇用・労働政策の基本方針、大きな枠組みを、労働者の代表が1人も入っていない会議体の中で議論し、閣議決定した上で、その枠組みに基づいて労働政策審議会で議論するという今のやり方については、非常に違和感を覚えるところであります。こうしたやり方については極めて残念であるということを重ねて申し上げておきたいと思います。

 そうした中、我々がこの場にギリギリ立ちとどまって労政審での議論に臨んでいるのも、三者構成である労働政策審議会の持つ重みを感じているからこそであります。

 今後、事務局においては、今回の報告書に基づき法律案要綱の審議に入っていくと思います。私どもしても、本日以降、労働政策審議会の重みを十分受けとめながらその審議に加わってまいりたいと思いますので、この横書きの報告書のとおりに縦書きの法律案要綱を作成していただくよう真摯な検討をお願いしまして、私どもの総括的な意見とさせていただきます。

 以上であります。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 最後に新谷委員が触れられました労働政策審議会の重要性ということについては、これまでも公労使三者あわせて確認をしてきたところでございますので、その点について改めて述べさせていただきたいと思います。

 労働条件分科会では、一昨年の9月から今後の労働時間法制の在り方につきまして精力的に検討を行ってきたところでございます。

 さらに、今年の1月からは報告書の取りまとめに向けまして、労使双方の御意見やお立場がそれぞれ異なる論点もあったわけでありますけれども、しかしながら、労使双方ともに真摯に御議論をしてきていただいたところであります。その結果として今日お示ししました報告案に結びついたと思っております。

 したがいまして、分科会長としましては、このあたりで議論を終えることにいたしまして、本分科会の意見を取りまとめることが適当ではないかと考えておるところでございます。

 そこで、以下のような御提案をさせていただきたいと思います。

 今後の労働時間法制の在り方につきましては、この分科会の検討結果といたしまして、報告案の内容で労働政策審議会の本審に報告をし、さらに厚生労働大臣に建議をしたいと考えますが、いかがでございましょうか。よろしゅうございましょうか。

(「はい」と声あり)

○岩村分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように進めさせていただきたいと思います。

 では、事務局で建議と報告のかがみを配っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

(資料配付)

○岩村分科会長 それでは、お手元にございます建議と報告の案について御確認をいただきたいと思います。

 労働政策審議会令第6条第9項及び労働政策審議会運営規程第9条の規定によりまして、「分科会の議決をもって労働政策審議会の議決とすることができる」旨、規定がされております。

 そこで、ただいま配付いただきましたかがみ文のとおり、労働政策審議会長宛てに報告をし、この報告のとおり厚生労働大臣宛て建議を行うことにしたいと考えますけれども、それでよろしゅうございましょうか。

(「はい」と声あり)

○岩村分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように取り計らいたいと思います。

 これまで多くの回数にわたりまして熱心に御議論いただきました労使、公益の委員の皆様の御協力に改めてこの場で分科会長として感謝を申し上げたいと思います。

 それでは、ここで岡崎労働基準局長から御挨拶を頂戴したいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○岡崎労働基準局長 委員の皆様方におかれましては、一昨年の9月以来、この問題について御議論をいただきました。また、昨年9月以来は具体的な論点を踏まえた御検討をいただいてきております。労使それぞれの立場からいろんな御意見がありましたけれども、最終的に幾つかの御意見つきということでありますが、報告書を取りまとめていただきました。まことにありがとうございました。

 私どもとしては、今後、先ほど新谷委員からもございましたが、三者構成のこの分科会で取りまとめていただいたということを重く受けとめまして、これを踏まえた法律案要綱を作成して、その段階でまた御意見を伺うということにしていきたいと思っております。

 また、長時間労働、働き過ぎの関係につきまして、労使双方からコメントがございました。もちろん、これはこの法改正にかかわりなく進めていかなければいけない事柄であると認識しております。きちんとした監督指導を実施していく、その中で労働基準法を守っていただくというのは当然のことでありますし、昨年9月以来、長時間労働削減推進本部を厚生労働省に立ち上げました。現行の制度の中でも労使の努力によりまして企業の中で働き方の改革というのが進められると思っております。そういうことで、私どもは労使団体にお伺いしてお願いしてきておりますが、そういう取組も合わせて推進していきたいと思っております。いずれにしましても、よりよい働き方ができるよう今後も努力していきたいと思っておりますので、御協力をお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 それでは、事務局におかれましては、今日の建議に基づきまして法案作成作業を速やかに進めていただきたいと思います。その上で、この分科会に法律案要綱を諮問していただくよう、よろしくお願いしたいと思います。

 最後に、事務局から連絡事項がありましたら、お願いしたいと思います。

○古瀬調査官 次回の労働条件分科会の日程・場所につきましては、追ってお知らせをいたします。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 それでは、本日の分科会はここまでとさせていただきたいと思います。

 最後に、議事録の署名でございますけれども、労働者代表につきましては八野委員に、使用者代表につきましては田中委員にそれぞれお願いいたします。

 それでは、これで閉会といたします。本日はお忙しい中、長時間ありがとうございました。

 

 


(了)

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