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2015年2月6日 第124回労働政策審議会労働条件分科会 議事録

労働基準局労働条件政策課

○日時

平成27年2月6日(金)14:00〜16:00


○場所

共用第8会議室


○出席者

【公益代表委員】

岩村委員、権丈委員、野崎委員、守島委員、山川委員

【労働者代表委員】

神田委員、新谷委員、高松委員、冨田委員、八野委員、春木委員

【使用者代表委員】

秋田委員、池田委員、小林委員、鈴木委員、田中委員、平岡委員、宮地委員

【事務局】

岡崎労働基準局長、大西審議官、鈴木総務課長、村山労働条件政策課長、古瀬調査官

○議題

1 今後の労働時間法制の在り方について
2 その他

○議事

○岩村分科会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから「第124回労働政策審議会労働条件分科会」を開催することにいたします。

 本日御欠席の委員は、公益代表につきましては田島優子委員、村中孝史委員、労働者代表につきましては宮本礼一委員でございます。

 それでは、事務局から定足数の報告をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○古瀬調査官 定足数について御報告いたします。労働政策審議会令第9条により、委員全体の3分の2以上の出席又は公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますが、定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 それでは、カメラ撮りはここまでとさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

(報道関係者退室)

○岩村分科会長 それでは、早速本日の議題に入りたいと思います。

 お手元の議事次第にございますように、今日の議題は「今後の労働時間法制の在り方について」ということになっております。前回、前々回の労働条件分科会におきまして、報告書骨子案について御議論を頂戴したところでございます。

 本日は、これまでの御議論で各委員の皆様から頂戴しました御意見を踏まえて、事務局で報告書案を作成していただいております。そこで、この報告書案についての議論をいただきたいと考えております。

 では、まず事務局から今日御提出いただいている報告書案につきまして、報告書骨子案からの変更点を中心に説明をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○古瀬調査官 資料No.2の見え消し版に基づき御説明いたします。資料No.2の青字の部分が骨子案からの変更点です。

 まず、1ページです。冒頭に前文を追加しております。前文には、これまで審議会で確認いただいた我が国の労働時間をめぐる状況や求められている課題について記述しております。

 また、前文の最後の2行に「平成28年4月の施行に向けて、通常国会における労働基準法等の改正をはじめ所要の措置を講ずることが適当である」としております。

 1ページの最後の行から2ページにかけて、「時間外労働に係る上限規制の導入や、すべての労働者を対象とした休息時間(勤務間インターバル)規制の導入については、結論を得るに至らなかった」と追加しております。

 (1)1の3ポツ目です。中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率の適用猶予の見直しについて、「施行時期は他の法改正事項の施行の3年後となる平成31年度とすることが適当」としております。

 次に、下から4行目です。この項目では「労働時間等設定改善指針に「『1か月に100時間』又は『2か月間ないし6か月にわたって、1か月当たり80時間』を超える時間外・休日労働が発生するおそれのある場合、適切な健康確保措置を講じるとともに、特別延長時間の縮減に向けて取り組むことが望ましい旨を盛り込むことが適当である」としている部分ですが、その前提として「週間60時間以上の長時間労働が恒常的なものにならないようにする」ということが現行の労働時間等設定改善指針に明記されていることを、労側委員の御意見を踏まえ追記しております。

 3ページの(2)です。これは、「月60時間超の時間外労働に対する5割以上の割増賃金率の適用を回避するために休日振替を行うことにより、休日労働の割増賃金率である3割5分以上の適用を推奨する動向については、本分科会として反対」と記述している部分について、(1)1の中小企業の割増賃金率の適用猶予の見直しに先立って、この旨を通達により周知徹底するものという旨を、当分科会でも事務局より口頭で回答させていただいておりますが、追記しております。

 次に、(4)の「年次有給休暇の取得促進」についてです。まず、1ポツ目の部分は、「いわゆる正社員の約16%が年次有給休暇を1日も取得しておらず、また、年次有給休暇をほとんど取得していない労働者については長時間労働者比率が高い」という本分科会でも確認いただいたデータについて追記しております。

 2ポツ目、3ポツ目ですが、使用者による年次有給休暇の時季指定について、仕組みの考え方を骨子案から変更しておりますので、その内容を御説明いたします。

 資料No.3をご覧ください。この図の上が骨子案における考え方、下が報告書案における考え方です。

 まず、骨子案では、使用者の時季指定を年間●日として、棒グラフの上3本ですが、塗り潰しの部分が使用者の時季指定で、チェックの部分が労働者の時季指定、縦線の部分が計画的付与で、こういった年次有給休暇がある場合でも、使用者の時季指定の日数は年間●日のままとしておりました。

 ただ、その下の3本にありますように、年間●日の計画的付与を行っている場合や、労働者が一定割合、▲割合以上の年次有給休暇を取得した場合は、使用者は時季指定の義務から解放されるという仕組みとしておりました。

 この案について、前回の分科会において、仕組みが複雑になり、運用が非常に難しいという御意見がありましたので、案を下のように修正しております。すなわち、下の「報告書案」の部分ですが、取得方法を問わず年間●日の年次有給休暇が取得されれば、使用者は時季指定の義務から解放されるとしております。

 併せて、●日の日数については、労働者の時季指定の日数を最低でも5日確保する等の観点から「5日」としております。

 また、この仕組みの対象労働者の範囲については、比例付与の方も含めて年次有給休暇の付与日数が年間10日以上である労働者とすることとしております。

 資料No.2に戻ります。

 4ページの上から3行目から5行目です。年次有給休暇取得促進のため、この仕組みの創設だけでなく、「労使において計画的付与制度の導入の促進の取組が一層進むよう、行政としてさらなる支援策を講じていくことが適当」ということを追加しております。

 次のポツの、労働者に対する意見聴取については、労側委員からの御意見を踏まえ、「意見を聴くものとする」と修正し、原案の「速やかに聴くよう努めなければならない」から一段強い表記としております。

 また、次のポツは、この仕組みの導入に伴い、年次有給休暇の取得状況を確実に把握することが重要になるため、「使用者に年次有給休暇の管理簿の作成を義務づけるとともに、3年間確実に保存しなければならないこととすることが適当」としております。

 次に、5ページです。ここは、労働時間等設定改善指針に盛り込むことを、今後、調査審議いただく内容について記述しております。その中の3について、労側委員からの御意見を踏まえ、新たに「勤務間インターバル」について、「労使で導入に向けた具体的な方策を検討すること」を追加しております。

 また、このページの下から3行目です。フレックスタイム制において、清算期間の上限を3か月に延長することとしておりますが、1か月を超える清算期間を設定する場合の過重労働防止措置について、「清算期間内の1か月ごとに1週平均50時間を超えた労働時間については、当該月における割増賃金の支払い対象とすることが適当」としております。

 次に、6ページの下から4行目です。企画業務型裁量労働制について、新たに「法人顧客の事業の運営に関する事項についての企画立案調査分析と一体的に行う営業の業務」を追加することが適当としている部分ですが、労側委員の御意見等を踏まえ、「課題解決型提案営業の業務」と修正し、対象範囲を明確にしております。

 また、7ページの上から7行目から8行目です。「新たに追加する類型の対象業務範囲の詳細に関しては、法定指針で具体的に示すことが適当」としておりますが、その例示として、使側委員からの御意見を踏まえ、新たに「店頭販売やルートセールス等、単純な営業の業務等は対象業務とはなり得ない」旨を追加しております。

 7ページの2ポツ目について、企画業務型裁量労働制の対象労働者に対する健康確保措置は、今後検討の上、省令で規定することが適当としておりますが、労側委員の御意見を踏まえ、措置の例示を列挙している部分に、新たに「深夜業の回数の制限、勤務間インターバル、一定期間における労働時間の上限の設定」を追記しております。

 その下の「(3)裁量労働制の本旨の徹底」について、労側委員の御意見を踏まえ、2ポツ目を追加しております。具体的には「『所定労働時間をみなし時間として決議する一方、所定労働時間相当働いたとしても到底処理できない分量の業務を与えながら相応の処遇の担保策を講じないといったことは、制度の趣旨を没却するものであり、不適当であることに留意することが必要である』旨を規定することが適当」としております。

 7ページの下から2行目、「4 特定高度専門業務・成果型労働制」の通称について、言いやすさの観点から「高度プロフェッショナル制度」と修正しております。

 8ページ、高度プロフェッショナル制度の「(1)対象業務」ですが、「高度の専門的知識等を要する」と「業務に従事した時間と成果との関連性が強くない」の2つの性質については、「または」ではなく「かつ」で結ばれる条件です。骨子案ではそれが十分に表現されておりませんでしたので、表現を適正化するとともに、この性質は法律で規定するということにしております。

 また、「(2)対象労働者」の2ポツ目の年収要件については、「平均給与額の3倍」として、法律で規定することとしております。

 (3)の表題について、選択的措置の表現を「健康管理時間に基づく健康・福祉確保措置」と大きな概念でまとめております。

 併せて、小見出しを付けて整理しております。

 9ページの上から6行目から7行目です。労側委員からの御意見を踏まえ、健康・福祉確保措置を強化しております。具体的には、労使委員会の決議で定める措置について、骨子案では1から3は、「例えば以下のような措置」と例示の位置づけとしておりましたが、「以下のいずれかの措置」と限定しております。併せて、「決議した措置を講じていなかったときは制度の適用要件を満たさないものとする」旨を追加しております。

 さらに、1から3の選択的措置についても修正しております。

 1については、勤務間インターバルに加え、「1か月について深夜業は省令で定める回数以内」としております。

 2については、「健康管理時間が1か月又は3か月について一定の時間を超えないこととする」としております。

 また、3の下に、「1、2の省令事項」、つまり、勤務間インターバルや上限時間の時間数の審議に当たっては、「各企業における現在の健康確保措置の取組実態も十分踏まえつつ、対象労働者の健康の確保に十分留意することが適当である」と追記しております。

 次に、10ページの上から3行目、対象労働者の同意について、骨子案では、書面上の署名に限定する記述となっておりましたが、署名に相当する方法であれば、必ずしも排除しないという趣旨で「等」を追加しております。

 また、高度プロフェッショナル制度の法的効果をきちんと記載すべきという御意見がありましたので、「(6)法的効果」として追記しております。

 最後に、11ページの上から4行目、週44時間特例措置対象事業場について、「検討」の表現が重複しておりましたので、適正化をしております。

 説明は以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいま説明をいただきました報告書案につきまして、委員の皆様から御意見あるいは御質問などをいただきたいと思います。

 議論を整理するために、前回と同じように項目ごとに順を追って伺ってまいりたいと思います。

 最初の前書きの部分は最後にお伺いするということにしまして、まず1番目の「働き過ぎ防止のための法制度の整備等」につきまして、御意見あるいは御質問がありましたら、お願いしたいと思います。では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 1月16日に骨子案が示されて以降の労使の論議内容を盛り込んでいただき、本日、報告書案という形で示されたわけでありますけれども、全体として私どもとしては非常に残念な内容になっているということを申し上げざるを得ません。すべての労働者を対象とする「労働時間の量的上限規」や「勤務間インターバル規制」といった長時間労働抑制策が盛り込まれておらず、働き過ぎ防止のための法制度の整備について全く不十分であり、また、労働時間規制の弾力化、柔軟化の部分については、私どもとしては創設するべきではないと主張しておりました高度プロフェッショナル制度が盛り込まれているということから、残念な報告書となっているということを申し上げておきたいと思います。

 その上で、「1 働き過ぎ防止のための法制度の整備等」について申し上げます。最初の前書きの部分については後ほどということでしたが、今回加えられました前文の3段落目を見ますと「過労死等防止対策推進法が制定されるなど労働者の健康確保に向けたいっそうの取組が求められるとともに、次世代育成支援や女性の活躍推進等の観点からも長時間労働を抑制し、仕事と生活の調和のとれた働き方と拡げていくことが喫緊の課題となっている」ということが前文で触れられているわけであります。

 しかし、前文ではこうした現状の分析なり喫緊の課題であるといったことが書かれているにもかかわらず、「1 働き過ぎ防止のための法制度の整備等」としては、私どもが随分主張させていただいておりますような、直接的な法的強制力を持ち、最も効果的であるはずの「労働時間の量的上限規制」や「勤務間インターバル規制」が盛り込まれていないわけです。

 1ページの一番下に、なお書きとして、「時間外労働に係る上限規制の導入や、すべての労働者を対象とした休息時間(勤務間インターバル)規制の導入については、結論を得るに至らなかった。」という記述が追加をされたわけですけれども、労使双方で合意・結論に達していないというのは、2ポツ目以下の「フレックスタイム制の見直し」における清算期間の延長や、「裁量労働制の見直し」、「高度プロフェッショナル制度の創設」といった労働時間規制を緩和使用とする諸論点についても同じです。労働時間規制を緩めようという論点については労使の合意が形成されていない中で一定の結論が書かれているのに、「時間外労働に係る上限規制の導入や、すべての労働者を対象とした休息時間(勤務間インターバル)規制の導入についてだけが「労使の結論を得ることができなかった」という記述に留められているわけでして、なぜこういう記述になっているのかということをまず事務方にお聞きかせいただきたいと思っています。

 以上です。

○岩村分科会長 では、事務局にお尋ねということですので、村山課長、お願いいたします。

○村山労働条件政策課長 御質問について、前文のとおり、労働者の健康確保の重要性に関しては、公労使各側が一致した共通理解でした。また、上限規制や勤務間インターバルの導入については、労側からの重点的な提起を踏まえ、真摯に調査審議をいただいたこと自体、大変重要な経緯だと考えており、このように記述しておりますが、この2点については、全労働者を対象にする労働基準法上の規制をするという結論を得るには至らなかったということから、その状況をこのように記載しているということです。

○岩村分科会長 では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 今、答弁いただきましたけれども、その内容で納得せよといわれても、納得できません。これも再々申し上げておりますように、昨年11月から施行されております過労死等防止対策推進法に基づく協議会は、大綱を策定する協議会ですので、実質的な法改正はこの労働政策審議会で行うという枠組みのもとで今回の論議が進んでいるわけです。過労死等防止対策推進法によって過労死の防止対策推進が国の責務とされている中で、まさしく国民の健康と命を守るのが政府の役割だと思いますけれども、そうしたときに、今回示された報告書案の「1 働き過ぎ防止のための法制度の整備」の内容は、間接的な行政指導を行っていくというアプローチにすぎず、私どもとしては非常に不十分だと考えております。

 ですから、報告書1ページの一番下のところになお書きで「結論を得るに至らなかった」と書かれている「労働時間の量的上限規制」などの部分については、毎年100人以上の方が不幸にして過労死でお亡くなりになっている現実を考えれば、こうした厳しい現実を直視し、もう少し責任を持った政策判断をするべきではないかと考えているところです。「労働時間の量的上限規制」など長時間労働の抑止に向けた実効性ある法規制の整備へと切り込みがなされていないことから、なお書きの部分の記述について、私どもとしては反対ということをまず申し上げておきたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 1の点について、ほかにはいかがでございましょうか。では、鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 ありがとうございます。

 使用者側としても、長時間労働の抑制でありますとか、年次有給休暇の取得促進の取組を強化していかないといけないと思っているところでございます。

 ただ、例えばただいま新谷委員からお話がございました年間の上限規制ということを考える際、時間外労働の原因は何かということを、個々の企業、職場で究明する必要があると思っております。

 中小企業ではなかなか話合いの場が持たれていない、あるいは企業に組合がないということで諦めるということではなしに、話合いの場が持たれていない企業が現在4割あるという実態に向き合って、原因分析とそれに伴う話合い、そして実効性のある取組を進めるということが重要ではないかと思っているところでございます。

 話合いをするといっても、何を話し合ってよいかわからないということもありましょうから、長時間労働の分析ツールなりを行政機関が提供する、あるいはコンサルティングを派遣するということ、また、使用者団体として長時間労働抑制に向けて取組で成功した事例を収集して周知をしていくということ、そして個々の個別企業労使の話合いと取組が必要だということを改めて強調させていただきたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 ほかにはいかがでございましょうか。では、高松委員、どうぞ。

○高松委員 ありがとうございます。

 「(1)長時間労働抑制策」について意見を申し上げたいと思います。特に「1中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率の適用猶予の見直し」についてでございますが、この間、この労働政策審議会の中で再三にわたって、他の項目と同時に施行すべきということを申し上げてきました。しかし、残念ながら今回の報告書においても「3年後」ということで明記されているということでございます。

 内容的には「中小企業の経営環境の現状に照らし」と書かれているわけでありますが、この間、同時施行というものを求めてきた立場からすれば、この説明だけではなかなか納得できません。特に前回も申し上げましたが、この猶与措置がとられた平成22年4月からは、この4月で5年が経過することになります。したがって、この間、中小企業にとっても、適用猶予措置の廃止に向けた準備を行う時間は十分あったのではないのかと思っています。

 そうした中、仮に今回も3年後の施行ということになれば、結局、中小に働く労働者のみにしわ寄せがなされて、猶予措置ができた時から通算すると、約10年近くにわたって中小企業で働く労働者は置き去りにされるということでございます。

 そういったことからも、改めて、「同時に施行すべき」ということを申し上げておきたいと思っています。

 こうした現状があるのに、今回の報告書ではなぜ施行時期を遅らせることとしたのか。また、遅らせるとした場合、なぜ3年という期間になったのか。改めて事務局から合理的な説明を伺いたいと思っています。

 もう一点、前回の骨子案では、3年遅らせた場合に「平成●年」という表示だったと思っていますが、今回の報告書では「平成31年度」ということで、「度」の文字が追加されています。前文に書いてありますとおり、全体の項目が「平成28年4月施行」ということであれば、その3年後といえば「平成31年4月」ということになるはずと思っているのですが、「度」の持っている意味合いについて伺いたい。年度内ということであれば、例えば平成3110月といったように、さらに施行時期を引き延ばすようなことも考えられる。こうした対応もあり得るのかどうなのかということについて、質問をさせてもらいたいと思っています。

 以上です。

○岩村分科会長 では、2点事務局にお尋ねでしたので、村山課長、お願いします。

○村山労働条件政策課長 お答えいたします。これまで、繰り返し御提起いただいている大企業と中小企業における基本的な労働条件に関する、いわゆるダブルスタンダードの解消や、特に長時間労働が見られる中小企業における労働者の方の労働条件をめぐる問題について、これに対応しなくてはいけないということについては、私どもも同じ気持ちです。一方で、これまで、使用者側から繰り返し御提起いただいているとおり、特に中小企業で著しい長時間労働が見られる産業においては、当該産業の自己努力だけでは長時間労働問題についての解決は困難であり、厚生労働行政の分野における対応のみならず、課題として、例えば取引関係への踏み込みやインフラ整備などの課題も指摘されてきたところです。これらについては、確かに関係労使のみでの対応では解消しがたい課題であることも事実と思います。

 このような状況を踏まえ、関係団体や関係省庁と調整の結果、施行時期について一定の時間を確保し、また、そうした機関や団体等との連携の下に、環境整備策を進めることを前提としつつ、一方で、現行の猶与されている状態について、今回終止符を打つ時期を明確にしたいという調整の結果、このような記述になっていることを御理解いただければと思います。

 2点目の御質問です。この法案の全体的な施行日については、年次有給休暇の問題なども含めて、施行に向けて下位法令の制定だけでなく、入念な周知や運用面についても、労使と意識合わせをし、また、行政としてもいろいろ準備をしていかなくてはいけないため、仮に通常国会に法案を提出し、そして成立した場合には、平成28年4月が施行時期としてぎりぎりのタイミングではないかということで前文に明記しております。

 一方、中小企業については、先ほど申し上げた特に長時間労働者比率が高い業種の課題もあり、原則的な施行から一定期間、集中的な支援や業界独自の取組も含めて期間が必要というお声にも照らして、原則の施行日から3年間の期間をとるということで、「平成31年度」とさせていただいております。

 合理的な説明をという御指摘に対して、実情の説明ということになりますが、御理解いただければと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 それでは、池田委員、お願いいたします。

○池田委員 今回いろいろと法律を変えようとしているわけですけれども、最近、とみに中小企業の仲間から聞きますのは、監督署の指導が非常に厳しくなったということです。

 今、3年間の問題も出ましたが、やはり中小企業には組合のないところが殆どであり、なかなか制度改正の周知が行き渡らないということがありますので、施行までにはある程度の期間が必要です。

 税制などが変わると、組織率の高い法人会などを通じて周知徹底されるのですが、労働政策については、そういう機関が少ないわけです。

 私が申し上げたいのは、これだけの内容が変更される場合には、時間的な猶与をしっかりとっていただく必要があるということです。急激な変更には中小・小規模企業ではなかなかついていけないというのが実情であると思います。

 年次有給休暇につきましても、制度的に大きな転換でありますし、この管理を会社側が行うというのは、中小企業では対応に苦慮するところも出てくると思いますので、制度の運用につきましては柔軟なものにしていただいて、事前の周知、広報などを十分にやっていただきたいと思います。

 社員の健康管理の重要性につきましては、長時間労働が社会的な問題になっている今日、中小企業の経営者も十分認識していると思います。そういう点も踏まえまして、監督をする前に十分な指導期間をとっていただいて、実施していただきたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 十分な周知期間ということについては重要な御指摘だと思います。ありがとうございます。

 では、高松委員、どうぞ。

○高松委員 先ほど労働条件政策課長から、「仮に通常国会に法案を提出し、そして成立した場合には、平成28年4月が施行時期としてぎりぎりのタイミングではないかということで前文に明記している」と御答弁いただいたものの、その答弁では分からないところがあります。前文では「平成28年4月」ということで明記されているわけでして、ここが4月になるのだったら、その3年後ということであれば「平成31年4月」ということになってしかるべきではないのかと思っているのですが、報告書案では「平成31年度」となっているわけです。その点をもう一度教えていただきたいというのが1点です。

 それと、今、池田委員からご発言がありました。周知徹底の時期が必要であることも確かに理解はするのですが、もっと言えば、今回、新たに創設しようとしている「高度プロフェッショナル制度」等の方が、長時間労働抑制策の中身よりもっと複雑奇怪な中身だと思いますので、「高度プロフェッショナル制度」等が平成28年度から実施できて、「1中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率の適用猶予の見直し」の部分ができないということにはなり得ないだろうと思っていますので、意見として申し上げておきます。

○岩村分科会長 では、御意見は承るということにしまして、質問のお答えを村山課長、お願いします。

○村山労働条件政策課長 記述が一致しておらず恐縮です。趣旨としては、平成28年4月、つまり、平成28年度から原則的に施行し、一部については3年後となる平成31年度となる時点から、つまり、平成31年4月から施行ということです。

○岩村分科会長 それでは、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 今、答弁として「度」をつけ加えたのは、平成31年4月からという意図でお答えをいただいたと思います。もともと報告書の1ページの「平成28年4月」との記載によって、もちろん政令で施行日を決めるとはいえ、法律を施行する時期が影響を受けるわけであり、そこには立法府の意思が関与するところです。ですから、施行時期のベースになるところについて、「1中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率の適用猶予の見直し」の部分だけぼかして「度」とするのは、やはりおかしいと思うので、労働条件政策課長から答弁いただいた内容であるのなら、「平成31年4月」と、紛れのないように記載を合わせていただきたいというのが1点です。

 もう一点は、「2健康確保のための時間外労働に対する監督指導の強化」のところで、先ほど監督指導について池田委員が御発言されたので、監督指導についてお伺いします。報告書では、「行政官庁は、時間外限度基準に関する助言指導を行うに当たっては、…長時間労働の実態に即した的確な助言及び指導を行うことが適当」と書いてあるのですが、このような監督指導だけで今回議論となっている労働時間の抑制が本当にできるのか疑問であるということは再三申し上げているところです。厚生労働省が、1月の下旬に去年11月に実施した過重労働解消キャンペーンの重点監督結果を公表しており、これによると、重点監督を実施した4,561事業所のうち違法な時間外労働があったものが2,304事業場と、約5割であったという結果が出ています。そのうち、時間外労働の実績が最も長い労働者の時間数が月100時間を超えるものが715事業場で31%、賃金不払残業があった事業場が955事業場と約20%あったということです。

 監督指導を行う監督官の数は全国で3,200人弱ということなので、今回の法改正に合わせて監督官の増員はされるのでしょうけれども、現実問題としてはなかなか増えない中で、今回の法改正に併せて監督指導を本当に強化できるのか、どのようにするのかという点を、労働基準局長にお伺いしたいと思います。

○岩村分科会長 では、労働基準局長、お願いいたします。

○岡崎労働基準局長 当然のことながら重点監督は、対象をどうやって見極めるのかが非常に重要であります。したがって、いわゆる調査的監督ではなく、しっかりとした情報等を収集しながら、違法な残業が行われている可能性が高い事業場を目指して実施しております。さらに言うと、その精度を高めていくということも一つ監督指導の強化だと思います。

 我々もこれまで蓄積した情報をはじめ、様々な情報、我々にもたらされるものもあれば、インターネット等の中で飛び交っている情報もございます。そういったものをどうやってしっかりと把握して、より問題のある事業場を的確に捉えて監督指導していくか。これが一つですので、人数を増やせない分については、いろんな創意工夫の中で補っていくというのが一つでございます。

 もう一つは、先ほど池田委員からもありましたが、各企業に法律の条文だけではなくて、考え方を含めてしっかり知っていただくということが非常に重要だと思っています。

 これについては、従来から労使団体にも御協力いただきながら取り組んできておりますが、今般また大きな改正がある場合には、これをしっかりと周知していきたいと考えております。その点はいろいろな知恵を出し、労使団体の御協力もいただきながら、そして、長時間労働をなくさなければいけないというのは、共通の理解であると思っておりますので、我々行政もしっかり取り組んでいきますが、ぜひ皆様の御協力もいただきたいと考えております。

○岩村分科会長 では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 今、労働基準局長から答弁いただいたわけでありますが、かつてこの分科会にも示されたデータで、平成25年度では、定期監督等の実施によって、何らかの労働基準法令の違反が認められた事業場数が9万5,500件あったのに、そのうち司法処分をした件数は1,000件程度にとどまっています。平成23年から、毎年1,000件程度の送検数という状況です。

 ここから言えるのは、取締法規としての労働基準法を事業主は重く見ていない風潮があるのではないか、ということ。一般刑法犯の場合には、一般司法警察職員、すなわち警察官による逮捕、送検がなされ、国民一般の認識においても「刑法犯を犯すべきでない、捕まったら大変だ」ということになるのですけれども、同じように取締法規である労働基準法違反の場合には、労働基準監督官の数が少ないということもあって、違反が見つからなかったらセーフ、見つかっても大したことないというような風潮がどうもあるように思えて仕方がないのです。事業主にこのような認識がなされているがゆえに、違反が全然減らない。

 こうした風潮の改善のためには、約1,000件しか送検されていない中で起訴され有罪が確定した件数がどれほどあるのかわかりませんけれども、もう少し司法処分を行っていただきたいと思います。労基法に罰則が規定されている以上、懲役刑なり罰金刑が適切に発動されて、「労働基準法というのは、違反をすると本当に処罰されるのだ」と事業主が認識するように運用を行っていくのが監督行政を担う労働基準局、労働基準局長ではないかと思うのです。

 司法処分についても抑止力の観点から厳罰主義とし、違反に対しては現行法で規定している刑事罰を違反事由に応じて適切に科す。このように運用することで法の実効性を確保するということを改めて御検討いただきたいと申し上げておきたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 ほかにはいかがでございましょうか。では、小林委員、どうぞ。

○小林委員 新谷委員の言っていることも確かな部分があるのですが、なかなか厳しいなと感じているところです。

 長時間労働の抑制、これは私どもがいろいろ主張していた中小企業の月60時間超の時間外割増賃金率の適用除外、これを猶与してもらっていたのを今度3年後という話ですけれども、私どもが言って、厚生労働省がいろいろ業界団体を調べていただいて、御相談いただき、また、所管する行政庁とも御相談いただいて、3年という数字が出たのかもしれないですが、過去のいろいろな審議会で見ていて、大企業は先行してやっていて、1.5倍しても残業時間が減らないのです。減らなかった過去があるわけです。本当に減るのか、この3年間で解決がつくのかというのは、本当に心配しているところです。

 特に運送業ですけれども、労働時間法制での制度強化によって、どうも減るとは思えない。物流二法の改正というのが平成2年に行われたのですが、規制緩和をされたことが根本にあって、競争社会になって、価格、運賃の引き下げが起こって、その競争になってしまった。そのしわ寄せが労働者にいっている。労働時間、給与の側面でも影響しているわけです。労働規制だけでなくて、運輸の規制強化という側面について、分科会から発信できればいいのですけれども、そういう側面も含めて行政がしっかり取り組んで、社会全体で解決するという仕組みづくりをしていかなければいけない。

 ほかに労働時間が長いのが医師。過去の資料を先ほど見ていたのですけれども、医者は、月でなくて週の労働時間でいけば、60時間超になっているのが38.1%というデータがありましたし、生活衛生従事者、教員というのは労働時間数が多いのです。

 医者、人の命を救う人間の労働時間が長いというのは非常に問題があるのですが、これも解決しなければならない問題としてあるのでしょう。

 生活衛生従事者は、理容とかそういう人だと思うのですけれども、そういう方々の今の置かれている立場を改善するのも、業界個々の店だけでなく、いろいろな規制というのを加えていかなければいけないのかもしれないです。理容関係も規制緩和によって競争環境になっていて、こういう状況になっているのだと思います。

 教員も大きな問題になっています。少人数の学級の中でということで、いろんな問題があって、教員の残業時間というのは増えている。朝早くから夜遅くまで働いている。教員を取り巻く周りの従事支援者というのも減らされている状況がありますし、先生、大学関係でいけば、研究職の方々は有期雇用が増えているとか、そういう問題から労働時間が長くなっているという問題もあるわけです。

 これは労働規制で解決するのでなくて、行政とかいろんな規制強化というのがあって、はじめてできる側面というのも多分に多いのだと思います。ですから、その部分の発信をしていかない限り、過労死の方々が増え続けるというのは止めることができないでしょうし、過労死である脳疾患とか、自殺に進むような方を抑えることはできないと思うのです。

 ですから、今回の対策はこれでいいのですけれども、この3年間で特に運輸を初め、しっかりやっていただく。そのほかの業種についても、この分科会で検討するのか、過労死の協議会で検討するのかわからないですが、実態を調べた上で、ぜひともその対策をとっていただきたいというのが感じているところです。

 ちょっと大きな話になりましたけれども。すみません。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 今の小林委員の御発言は非常に重要な指摘だと思いますし、今日、この場で発言していただいたことによって、大変大きな発信になっていると私自身は思います。

 それでは、村山課長、お願いします。

○村山労働条件政策課長 分科会長御指摘の点は、御意見のとおりだと思います。

 運輸関係について申しますと、具体的にはこれから関係省庁や関係団体と調整しながらですが、小林委員の御指摘にもありましたように、業所管官庁も、安全な運転、運行の確保の観点からすれば、競争環境や取引環境について、非常に難しい実態、課題があるということです。私どもとしては、安全で安定的な運送の確保と労働者の労働条件の確保については、連携して取り組める部分があると思います。

 一方で、取引関係の中で荷主や消費者など様々な主体とのかかわりがあるため、構造的な対策が必要であるということです。まずは、小林委員の御指摘のような実態に照らして、どこに問題があり、どういう手を打っていくことが必要なのかを話し合う場を中央及び地方で立ち上げるなど、連携体制を整えていくところから始めて、効果的な対応に向けて取り組んでいきたいと考えております。

 もう一つは、労働条件の対策からというのは限界があるという御指摘もありました。一方で、例えば労働時間等設定改善法の枠組みは、最低労働条件の確保にとどまらない、自主的な改善、底上げの観点からも、厚生労働省は業所管官庁と連携して取り組むべしという、行政に対するメッセージのあらわれと思いますので、そうした点を踏まえて改めてしっかり対応してきたいと思います。

 また、先ほど例示の挙がった業種への対応について2点申し上げておきたいと思います。まず第1点目ですが、就業日200日以上で週60時間以上の長時間労働が多い職種として、自動車運転業務従事者をはじめ御指摘の職種が存在し、そうした実態は、過重労働問題や脳・心臓疾患等で労災補償される方々の実態と結びついているということについては、過労死等防止対策推進法の策定過程においても光の当たったデータであったと思っています。

 第2点目ですが、その中で、例えば勤務医の方々をはじめ、コメディカルの方々も含めた医療関係従事者の労働条件確保対策について、現在、都道府県と連携しながら医療従事者の勤務環境改善に向けて、労働基準監督機関による関係法令に基づく取締りとは別に、改正医療法に基づき、勤務環境改善、雇用管理改善の自主的取組について働きかける枠組みを、各都道府県に立ち上げていただいているところです。そうした分野横断的な対応もますますしっかりやっていかなくてはいけないと考えているところです。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 今日の案では、「(4)年次有給休暇の取得促進」が前回の骨子案からかなり変わっているということと、「(5)労使の自主的取組の推進」も5ページに新しい内容がつけ加わったりしておりますので、そこについてもぜひ御意見をいただければと思います。小林委員、どうぞ。

○小林委員 引き続いて申しわけございません。年次有給休暇の点、何割とか複雑だったのが「5日間」ということで、かなりわかりやすくなったと思います。

 ただ、1点だけわからないのが、労働者が時季指定した場合、計画付与というのと同じように、使用者に時季指定の義務というのが今度あるわけです。時季指定しました、休んでくれとお願いしたのに休まなかった。使用者から労働者の方にこの日休んでくださいということでお願いしたのですけれども、その指示以降、突発的な仕事が出てきてしまったという場合、これは指定したからオーケーになるのか。いやいや、出てきたから、これはだめになるのか。使用者のほうの義務という観点からいくと、わかっていただけたかどうかわからないですが、指定をしたら、その記録が残っていれば、使用者は義務を果たしたということで認めていただけるのか。いやいや、実際指定した上で、休まないと、結果として義務を果たしたことにならないのか。その辺がわかれば教えていただきたいのですか。

○岩村分科会長 では、村山課長、お願いします。

○村山労働条件政策課長 小林委員の御提起について、現行の仕組みで参考になるのは、労使で計画的付与を協定した場合の取扱いだと思います。事前に計画的付与の労使協定をした日に出てきた労働者の方がいた場合に、労務の提供を拒否することは差し支えないという取扱いになっています。

 ただ、実務的な観点から、使用者が気づかないうちに出勤して、以前に命じられた仕事をその日やってしまった人がいた場合に、そこまで年次有給休暇が取得されたとするというのも難しい面はあると思いますが、建前としては先ほど申し上げたような整理としております。また、公益委員から補足があればお願いしたいと思いますが、私どもとしてはそのように考えております。

○岩村分科会長 山川委員、お願いします。

○山川委員 基本的に労働条件政策課長の言われたようなことだと思います。現在の時季指定権の効果を使用者側が代わりに果たすということであるとすると、時季指定によって労働義務が消滅します。労働義務が消滅している以上、働く義務がないということなので、その受領を拒否することはできます。しかし、現実に働いた場合に、それを受け入れたということは、恐らく時季指定の効果はなくなって、それが労働と評価されるということになると思います。受け入れてしまった以上は、それについて年休日数は残るということですけれども、受け入れたというのをどういうふうに認定するかというのは、ケースによって異なると思います。例えば全く知らないうちに働いていたという場合は受け入れたということにはならないかもしれません。そのあたりは事実によって微妙かなと思います。

○岩村分科会長 では、鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 ありがとうございます。

 年次有給休暇のところでございますが、ただいま小林委員からもご発言がありましたように、大分シンプルになり、また、年次有給休暇がほとんどとれていない方への底上げの立法事実という点が明確になったと思っております。

 1点事務局に質問でございますけれども、見え消し版の報告書案の4ページの上から4行目に「計画的付与制度の導入の促進の取組が一層進むよう、行政としてさらなる支援策を講じていく」という文言がございます。具体的に何かイメージされているものがあれば、お教えいただきたいと思います。

○岩村分科会長 では、村山課長、お願いします。

○村山労働条件政策課長 労使のOBにも御協力いただき、現在、人事労務や経営の専門的知識やノウハウを持った「働き方・休み方改善コンサルタント」を各都道府県労働局に配置しております。そのコンサルタントが、年次有給休暇の計画的付与に関して、様々な企業の好事例や業種別のモデル事例、一斉休業が難しい業種が、カレンダー方式で時期を分けて取り組んでいる事例等について、要望に応じて企業を訪問し情報を提供したり、講習会で説明するなど、行政運営の中で、情報提供等の支援に努めております。

 さらに、この御提案している仕組みが入ることに伴い、中小企業を含めた各企業の経営者や労務担当の方々が様々な御懸念を持たれると思いますが、一方、骨子案から今回の報告書案の方法に変えたことにより、5日間以上の計画的付与が事業場全体で行われて、きちんと年次有給休暇の取得につながっていれば、その使用者は新たな義務づけから解放されることになります。そうした点も含めて、先ほど申し上げた取組をさらに推進する中で周知していくことをイメージしております。

 以上です。

○岩村分科会長 では、鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 ありがとうございます。

 ここの年次有給休暇の規定ぶりは、「年5日については、使用者が時季指定しなければならないこと」とあり、ここだけ見れば、ちょっと仰々しいというか、使用者側とても身構えてしまうようなところがございます。ただ、今回新しく修正いただきました仕組みとしては、労働者の方がとる年次有給休暇でも計画年休でもよいということでございます。

 前回もちょっと申し上げたところでございますが、使用者側としては、なるべく労働者がとりたい時期にとっていただくことを思いとして持っているところであり、実際の対応としては、年次休有給休暇を自主的にとってくださいというリコメンドを強化する対応になろうかと思います。

 そういう意味では、言い方が悪いかもしれませんけれども、使用者の時季指定というのは、事実上は伝家の宝刀ではないのですが、最終的に年休をとれていない方に対して使うツールという位置づけになろうかと思っております。

 今、労働条件政策課長から御説明がございました計画的付与制度というのは、労使で話し合いをした上で、前もって時期を決めるという仕組みであり、使用者側の一方的な時季指定とはならないという方法だということを、この改正を契機に普及を図っていくことも望まれると思っているところでございます。

 ただ、計画的付与制度と申しますと、とかく事業所一斉の特定の年休日を年初に決めてしまうというようなイメージが強いのではないか、現場ではそういうイメージを持たれるのではないかという印象がございます。当然部単位とか課単位、そういったところで上司と話し合って、例えば半年後、あるいは翌月の年次有給休暇を話し合って決めていくような、いわゆる個人別のカレンダー付与方式というのが、現在でも計画付与制度の一形態として認められておるところでございます。

 労使協定を締結するということと、それから事前に年次有給休暇を決める、この大前提は置くとして、ある程度個々の職場の実態に応じて制度設計ができるということを改めて周知いただけると、計画的付与制度を活用しようという個別企業労使も出てくるのではないかと思っております。

 この制度普及は大変重要なことでありますが、そういった点もあわせて強調して周知していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 では、春木委員、どうぞ。

○春木委員 ありがとうございます。

 先ほど小林委員がおっしゃったように、「せっかく時季指定しても、労働者が出勤してきてしまった」という状況や、今、鈴木委員が言われたように、「労働者が取りたいときに取れるようにできるだけ配慮をする」ということは非常に重要なことだと思っています。

 そうであるがゆえに、私は、年休の時季指定をするにあたって労働者の意見をしっかり聴くことが大事だと思っています。この点、前回も労側から、「使用者が年休の時季指定を行うにあたっては、少なくとも労働者の意見を聴くことについては義務づけるべき」ということを強く主張させていただきました。

 この点について、前回までの骨子案では「意見を速やかに聴くよう努めなければならない」という文言でしたけれども今回の案は「意見を聴くものとする」という形になっておりますので、努力義務に留まる書きぶりからは一歩前に進んだのかなという感じはします。

 ただ、このように「意見を聴くものとする」と法律に規定した場合に、それで果たして我々が主張してきた義務づけを行ったことになるのかどうなのかという点が明確にはわかりません。そこで、この点をぜひとも事務局に伺いたいと思っています。

 運用時にいろんな齟齬が生じないようにするためにも、「時季指定にあたっては労働者の意見を聞く、それは使用者側の義務なのだ」ということを明確にしていくことが重要というふうに思っています。

 加えまして、これは揚げ足をとった言い方で申しわけないのですけれども、意見聴取のタイミングとして、前回の骨子案では「速やかに聴くよう」と書いてあったのですが、今回は「速やかに」という言葉がなくなっているのです。この言葉を削除した意味合いというものは何かあるのでしょうか。あわせてお伺いしたいと思います。

○岩村分科会長 では、事務局への御質問ですので、村山課長、お願いします。

○村山労働条件政策課長 「聴くよう努めなければならない」から「聴くものとする」への変更は、労側が主張されている「聴かなければならない」という罰則つきの義務づけという意味ではなく、通常の法令の努力義務の並びから、より強い努力義務としての位置づけ、行政指導も含めて対処していくことを含意したものです。

 春木委員の御質問に正面からお答えすれば、法律的な意味での義務づけではありませんが、極力労働者の意見を聞いていただくように、私どもとしては徹底してまいりたいという姿勢を示しているものです。

 次に、「速やかに」の削除についてです。前回の骨子案は、義務づけの内容をふまえ、労働者に対して、基本的にいわゆる年休年度の期初に聴いていただくこと、以前の本分科会での御議論で言えば、ヨーロッパ流の年休年度当初に割り振るイメージで、速やかに意見を聞くよう努めていただくことを考えていたわけです。

 一方、今回の報告書案の場合は、計画年休も含め、ほかの対応によって●日間、例えば取得しやすい環境をつくっていく、あるいは計画年休で労使で決めてしまうことによっても、使用者の時季指定と同じように義務の解放に至る効果が出てくるものですので、あえて「速やかに」とは書いていないということです。

 以上です。

○岩村分科会長 では、春木委員、どうぞ。

○春木委員 ありがとうございました。

 先ほど、運用時にいろんな齟齬をきたさないためにも、労働者の希望をあらかじめ聴取することを義務化すべきと申し上げました。もともと年休取得は労働者の権利であるところ、今回の案のように使用者に時季指定義務を課すというのはこれまでの考え方を大きく変えるものでありますが、年次有給休暇の取得促進を実効的に図ることを目的に導入しようとしているわけですので、年休の本来趣旨と齟齬をきたさないためにも、しっかりとした労働者の意向聴取義務というものが必要ではないかと思います。この点はもう一度調整をお願いしたいと思います。

 加えて、使用者が労働者の意見と異なる時季を年次有給休暇として指定することができるケースについては、労働基準法第39条第5項に「事業の正常な運営を妨げる場合」とあることに照らし、この要件に匹敵する場合に限定をするべきだと考えます。使用者に時季指定義務を課すわけですが、そのことで年休取得に関する労働者の権利がこれまでとは全く違う状況の中で運営されないような仕組みをつくり出していただくことが望ましいと思っています。この点についてもあわせてもう一段の調整をお願いしておきたいと思います。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 私の理解では、使用者側に年次有給休暇の時季指定を義務づけるというのは、従来の労働者が時季指定権を持っているというものとは全く別の仕組みです。したがって、労働者側の意見を聞いた上で、それと違った時季指定をするということについて、従来の労働者が時季指定権を持っているということを前提とした上での時季変更権の考え方というのは当てはまらないというふうに私は理解しております。

 では、秋田委員、どうぞ。

○秋田委員 ありがとうございます。

 質問なのですが、4ページの3つ目のポツで使用者に年次有給休暇の管理簿の作成というのを義務づけるということになっておりますが、管理簿というのは、別個の帳票のことを意味しているのか、あるいは実務的には賃金台帳等に年休取得日数と残日数等を管理してやっているという例もかなり多いと思いますので、そういうものでも可能なのでしょうか。

 また、その後段に「3年間確実に保存しなければならない」と書いてあるのですが、確実にというのは何か特別な保存方法を意味しているのか、あるいは単に強調しただけなのでしょうか。

 よろしくお願いします。

○岩村分科会長 では、村山課長、お願いします。

○村山労働条件政策課長 お答えします。

 1点目の「管理簿」については、ほかに適切な用語がなかったので「管理簿」という言い振りとしておりますが、秋田委員から御指摘があったように、賃金台帳の中で括弧をつけて年次有給休暇の取得日を明らかにして管理している例もあると思いますし、労務管理に係る情報システムの中で独自な形で管理されている事業場も多々あろうと思います。もちろん、事業場によっては紙の年休簿として管理されているところもあると思います。

 いずれにしても、今回の仕組みの導入に伴って、今までにも増して個々の労働者について、5日なら5日についてきちんと取得されているかどうかについて、客観的にわかるようにしていくことが重要となってまいります。その際、これまで積み重ねてきた方法を変えていただくことまでは考えておりませんが、そうした書面やシステムできちんと管理していただきたいという趣旨で記載しております。

 2点目の御質問について、重要書類の保存の観点から記載しており、新しい話なので強調して書いていると御理解いただければと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 よろしいでしょうか。

○秋田委員 はい。

○岩村分科会長 では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 今、岩村分科会長からまとめをされたわけですけれども、先ほど春木委員が申し上げたように、労働基準法第39条第5項が規定する時季変更権は、労働者の時季指定に対する使用者の対抗権です。もちろん、権利として労働者が時季指定権を持っている場合と、今回の使用者に時季指定義務を課した場合との関係がきれいに対になっていないというのは法理論上はその通りでありますし、当然私どもも理解はしています。

 ただ、今回、1の労働者の意見聴取とあわせて、2に「時季に関する労働者の意思を尊重するように努めなければならないことを省令に規定することが適当」とあります。確かに、「尊重を義務づける」という規定を置くのは理論的には難しいのでしょうが、やはり本来年休が労働者の権利であることに鑑み、使用者が時季指定するにあたっては労働者の意思を尊重するように誠実に努めなければならないものと考えます。

例えば、「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当するといった理由で労働者が希望した日に時季指定ができないというケースは想定し難く、基本的には使用者が労働者の意見と異なる時季を年次有給休暇として指定するようなことは少ないだろうとは思います。しかし、使用者が「『尊重するように努めなければならない』とされているだけだから、労働者の意見を聴くことは聴いたが、時季の指定は勝手にやらせてもらう」と考えてしまう事態もありえます。それゆえ、「時季に関する労働者の意思を尊重するよう努めなければならない」ということには、労働者に対する誠意を持った説明なりというのが含まれていないと意味がありません。

したがって、使用者側に年次有給休暇の時季指定を義務づけることと、従来の労働者が時季指定権を持っていることとはもちろん対にはならないものの、誠意をもった説明といった考え方を2の中に盛り込まないといけないのではないかということを主張させていただきます。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 もちろん、使用者が労働者の意見を聞いた結果として、しかし、それと違った日を時季指定した場合について、具体的な労使関係の中でその理由を説明することが望ましいということは、そのとおりだと思っておりますので、そのことだけつけ加えさせていただきたいと思います。

 あと八野委員と田中委員からお手が挙がっているのですが、できれば1についてはお二人で終わらせていただきたいと思いますので、御協力をいただきたいと思います。

 それでは、まず八野委員に御発言いただき、その後、田中委員ということでお願いいたします。

○八野委員 どうもありがとうございます。

 今回の案を見ていきますと、使用者が時季指定しなければならない年休の日数について「年5日」とされています。労働側は8日、使用者側は3日ということでそれぞれ主張してきたことから、その間をとって5日ということなのかなというところもあるのですが、前文にも書いてあるように、年次有給休暇の取得率を平成32年時点で70%にするという政労使の目標があるところです。先ほど、年休を取得したいという思いがあってもなかなかとれないというような発言もありましたが、皆様御承知のように、現在の年次有給休暇の取得率は50%を下回って48.8%となっており、この政労使目標を下回っている状況にあります。

 平成284月施行ということで法改正を行った場合、政労使目標である平成32年までは4年しか残されていません。このような時間的制約があることを踏まえれば、今回の法改正を行うにあたって、政労使目標に到達しないような日数設定では問題であると考えます。

そこで、「年5日」とした場合の取得率が今後どんな見通しになっていくと考えているのか、事務局の考え方がもしあれば教えていただきたいと思います。

○岩村分科会長 では、村山課長、お願いします。

○村山労働条件政策課長 お答えいたします。制度の枠組が固まっておらず、精緻なシミュレーションは難しいところですが、以前本分科会でも御紹介した、年次有給休暇を1日も取れていない16%の方や、0から25%しか取れていない13%の方についての底上げにはなると考えております。その効果を機械的に計算すると、恐らく50%台の半ば以上になるだろうことは、皆さんにも御理解いただけるのではないかと思います。

 ただ、先ほど使用者側委員からも御指摘がありましたが、これに併せて計画的付与制度の活用をもっと促進していくとか、年次有給休暇取得の意味や重要性を周知広報していくことによって、政労使で掲げている取得率70%以上という目標に向けた道筋をつくっていくことに、行政としてもしっかり努めていかなくてはいけないと考えております。

○岩村分科会長 では、八野委員、どうぞ。

○八野委員 ありがとうございました。

 長時間労働を抑制し、仕事と生活の調和のとれた働き方を拡大していくことが喫緊の課題となっている中で、罪悪感があって年休をとれていなかったり、職場の環境によって年休取得をためらっていたりするという非常に大きな問題があって、そこが改善されていません。そのために年次有給休暇の取得に関しては、なかなか取得率が上がっていないという現実があり、それゆえ、この場では「使用者による時季指定義務」という新しい施策を検討しているわけであります。そのほかにも要員の問題や業務の運営の問題だとか、年休を取得できない要因にはさまざまあると思うのですが、こうした現場の状況を踏まえ、意識改革やマネジメントなどといったソフトな方法においても年休の取得率を向上させていくということが、公労使または政労使の中できちんと確認されないといけないと思います。“グローバルな働き方”ということを一方で言われている中で、法改正とあわせてマネジメント改革を行っても政労使目標の70%にほど遠いということであれば、70%でさえグローバルの中では下位水準ですから、法改正によってきちんと世界標準にまで引き上げていくという認識を労使双方が持つべきだといったこともあわせて確認をさせていただきながら、日数についての議論を進めていきたいと考えております。

○岩村分科会長 貴重な御意見をありがとうございます。

 それでは、田中委員、どうぞ。

○田中委員 ありがとうございます。

 今の最後の八野委員の御意見に賛同するところであるのですけれども、今、いろいろな議論をさせていただいているように、法律を新しい考え方を入れて変えようとしているのはなぜか。というと、やはり年次有給休暇の取得が進んでいない。という事実にあると思います。では、なぜ進んでいないかというと、皆さんといままでに共有させていただいたのは、1つは仕事があるから休めない。もう一つは職場の雰囲気があって休みづらい。もう一つは休みたくない。この3つだと思います。この3つを一つ一つ解決していかないと、結果にはつながっていかないというふうに私自身は考えております。

 例えば最初の仕事があるから休めないということであれば、お客様との関係もあります。社会全体が、「休む」ということを受容するような社会にしていかなければいけない。あるいは小林委員が先ほど別のところでお話しになったように、ビジネスの環境を、あるいは業界として、休むためことをまずは受容し、可能にする仕組みづくりを議論していかなければいけないと思います。

 2番目の職場環境のところは今、八野委員がおっしゃったとおりで、マネジメントとコミュニケーションの問題ですので、これについて労使で議論を深めていきたい。こういう制度ができると、パンフレットができて、テクニカルに「取り方」とか、計画的付与は、こうなったら、こうなります、という説明があり、では、会社はどういうシステムで対処しましょうという話になり、説明会は大体それが中心になるのですけれども、そうではなくて、そもそもなぜこういう法改正が議論されたのかというところをもう一回皆さんに問題提起するようなものとセットでPR周知いただく。こういったことを通じて社員本人の気持ちも休みたいというほうに動いていく。そういうPR、あるいは進め方をぜひ皆さんと確認をさせていただきたいなと思っております。

 以上、意見として聞いていただければと思います。

○岩村分科会長 大変有益な御意見をありがとうございます。

 では、池田委員、どうぞ。

○池田委員 今回の答えではないのですけれども、この問題で先ほど私が申し上げた柔軟な運用にしていただきたいということと、もう一つ、ここにあります支援策なのですが、具体的にどのような支援策を考えられているのか、次回にでも教えていただければと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 それでは、時間の関係もございますので、「2 フレックスタイム制の見直し」について御意見あるいは御質問がありましたら、お願いしたいと思います。では、冨田委員、どうぞ。

○冨田委員 ありがとうございます。

 新たに出された報告書案でございますフレックスタイム制における清算期間の3か月への延長ということについては、これまでの議論の中でも労側から繰り返し、「3か月のうちの特定の月において過重労働になってしまう懸念が払拭できないということから賛成できない」ということを申し上げてきましたが、今回の報告書の案でもなお「延長する」という提案になっています。この点については大変残念に思っているということを最初にお伝えしておきたいと思います。

 その上で、仮に清算期間の上限延長を行うということであれば、私どもが申し上げてきました過重労働防止策をいかにとっていくのかという観点が大変重要になってくると思っております。

 そうした中で、今回の案では、「清算期間内の1か月ごとに1週平均50時間については、割増賃金の支払い対象とする」と記載されていることに関して、3点ほどお伺いさせていただきたいと思っております。これは当然抑止策の一つだと思うのですけれども、そもそも「1週平均50時間を超えた労働時間」の「50時間」という数字は、どういう理由からこの水準が導き出されているかというのが1点です。

 2点目は、さらにここに「割増賃金の支払い対象とする」と書いてあるのですが、そのときの割増賃金率についてはどういったものを想定されているのかということです。

3点目は、例えば割増賃金率につきましては、今、一番高いところが月60時間超の時間外割増率だと思いますけれども、そうした特別に長い割増率を設定するという措置を採るおつもりがあるのかどうか、という点です。

 この3点についてお伺いしたいと思います。

○岩村分科会長 では、村山課長、お願いします。

○村山労働条件政策課長 お答えいたします。まず、「50時間」についてです。最初「●時間」としていた骨子案の段階で、例えば既存の制度の援用等でどういうことが考えられるかという御質問をいただき、私から、例えば1年単位の変形労働時間制と同じように、一定のラインを超えたら当該月での割増賃金の支払いが必要な時間のラインを設ける案ということで、「48時間」という数字を援用することも考えられるのではないかとお答えしました。これに対し、使用者側からは、より柔軟にしてほしいという御意見を頂戴したという経緯がありました。

 また、1年単位の変形労働時間制の例をここに引き移す場合、今回フレックスタイム制について御提案しているのは1か月から3か月への期間延長なので、より長いものを無理に持ってきている嫌いがあったとも思います。

 ですが、より短い変形労働時間制について現存する「52時間」というラインを当てはめることについては、過重労働防止の観点からはいかがなものかという面があろうと思います。つまり、1週平均で52時間となると、52時間引く法定の40時間で12時間、掛ける7分の30日又は31日で計算すると、その数字は36協定の限度基準告示の1か月45時間という基準を超えてしまいます。限度基準告示の1か月45時間を超えてなお過重労働抑止策として入れるラインが発動されないことについては、いかがなものかということが課題となると考えております。

 ここで、「50時間」というラインは、50時間引く40時間を行い、その上で掛ける7分の30日又は31日を計算すると、31日の月でも限度基準告示の1か月45時間の枠内におさまるため、抑止効果を発動する基準として考えられるのではないかということで、本日、御提案したものです。

 併せて、フレックスタイム制は、以前も御議論がありましたように、比較的規模の大きい事業場のホワイトカラーの方々によく使われている制度ということで、対象者の多くには、完全週休2日制が導入されております。週の所定労働日5日で50時間を割り戻すと、1日2時間ということで、例えば、行き帰りに介護施設や託児施設に寄る用があるといった時期と、そういう事情が比較的少ないとか、配偶者等が代わってやるといった時期で2時間ずつの差をつけられるということです。そうしたことが、月45時間の枠内でできることになろうかと思いますので、今回は「50時間」をお示ししております。

 2点目及び3点目です。この場合の割増賃金率をどうするかですが、月60時間超のような特別な場合に発動される50%のラインをここで発動するのは、変形労働時間制等との均衡からいかがなものかという面があろうかと思います。したがって、単月で週平均50時間を超えた分については、単月清算であり、持ち越せないため、割増賃金率は25%以上とせざるを得ないと考えております。

 それをどう設定するかは、労使の自治の問題であると思います。

 念のため申し上げますが、それが望ましいと申し上げているのではなく、先ほどの計算式で、その月自体が60時間超の場合には、50%以上の割増賃金率の適用を避けることを考えているわけではないということです。

 以上です。

○岩村分科会長 ほかにはいかがでしょうか。では、冨田委員、どうぞ。

○冨田委員 ありがとうございました。

 今、お話を聞いていても、やはり過重労働の防止の実効性をどこまで担保させるかということで考えれば、高い割増賃金率の設定は必要だと思います。3か月の延長について反対であるということは先ほど申し上げておりますので、その立場は変わらないのですけれども、仮に清算期間の上限延長を行うということになるのであれば、ここについては、やはり割増賃金率の設定は高くあるべきだろうということを労側の意見としてもう一度改めて追加させていただきたいと思います。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 今、冨田委員が発言したとおり、労側としては清算期間の延長については反対であるという立場から、報告書の「清算期間内の1か月ごとに1週平均50時間については、割増賃金の支払い対象とする」という点に関して、もう一度確認させてほしいと思います。1週あたり50時間引く40時間、すなわち10時間に7分の30日又は31日という数字を掛けると、31日の月でも限度基準告示の1か月45時間の枠内におさまるということでした。そこでここでは分かりやすく日45時間としますけれども、先ほどの事務局の説明は、45時間から60時間までの割増賃金率は25%、60時間を超えたら50%の割増率が適用になるということで間違いないところでしょうか。これは確認です。

○岩村分科会長 では、事務局、お願いします。

○村山労働条件政策課長 法定の週40時間がスタートラインではなく、1週平均50時間からスタートして月60時間を超えたところ、つまり相当長く労働されたときに、そこが50%のラインになってくるという考え方です。

○岩村分科会長 では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 それはとてつもない長時間労働を行うケースでない限り、50%の割増賃金率という抑止力が働かないということですか。

○岩村分科会長 では、村山課長、お願いします。

○村山労働条件政策課長 どういう働き方を新谷委員が御想定されているかにもよりますが、仮に「とてつもない長時間労働」の状態が3か月続けば、変形労働時間制と同じで、3か月目に清算の時期が来ますので、御想定されているのが、「とてつもない長時間労働」の状態が3か月続く場合、3か月目に25%分も50%分もまとめて相当の割増賃金の支払いが必要にならざるを得ないということです。

○岩村分科会長 新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 お聞きしたいのはそういうことではなくて、「1週平均で50時間超の労働時間」ですから、1か月31日の月ですと、計算すると時間外労働は44.1時間になるはずなのですね。ですから、限度基準告示の1か月45時間の枠内におさまる制度設計になっているとの説明でした。

 仮に清算期間の1か月ごとに労働時間が45時間を超えて、その単月で60時間をも超えて、65時間になったときに、60時間を超える部分の5時間分については50%の割増賃金の適用になるのか、ならないのかということをお聞きしたいのです。

○岩村分科会長 では、村山課長、お願いします。

○労働条件政策課長 この制度設計上、直ちにはならないです。

○岩村分科会長 では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 制度設計上、直ちにはならないということは、25%の割増賃金率の抑止効果は清算期間の1か月ごとに時間外労働時間が45時間を超えて、さらにその45時間を起点にしてプラス60時間を超えないと50%の割増賃金率の抑止効果が働かないということになります。先ほども中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率の適用猶与の見直しについて議論しましたが、月60時間超の50%という割増賃金率のもつ長時間労働抑止効果が、フレックスタイム制の清算期間の上限延長の部分についてはほとんど効いてこないということですね。そういう制度設計になっているという理解でいいのですか。

○岩村分科会長 では、村山課長、お願いします。

村山労働条件政策課長 再三の回答になりますが、長時間労働の状態がずっと続けば、3か月目で1か月目、2か月目の分も含め、全部取り戻す分の60時間超50%以上の分を、まとまって支払う必要が生じるということです。

 そうではなくて、1月、2月、3月の3か月について、1月がとても長く働いて、2月が逆にほとんど働かないような状態で労働時間の波動が打ち消されたら、1月の長時間労働分に単月の割増賃金の抑止効果が効かないではないかという意味でおっしゃっているのであれば、その点は否定しないということです。

○岩村分科会長 では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 清算期間を3か月に延長した場合、使用者が考えるとすれば、たぶん経理部門において決算期にこの制度を使うのではないかと懸念しています。例えば、3月末決算の場合、経理部門では決算書類をつくるのに4月、5月は死ぬほど働くわけですよ。本当にものすごく働きます。そのかわり、6月になれば業務量が落ち着くことになりますから、労働時間の波動の調整は6月で行うことが可能になるわけです。

 ここで、現行法のように清算期間の上限が1か月単位である場合には、単月で時間外労働が60時間を超えれば、50%の割増賃金を払わないといけないわけですね。ところが、今回の報告書案のように、清算期間の上限が延長された場合には、先程の経理部門の例で考えますと、労働時間が超えた4月、5月は、単月の時間外労働時間が45時間を超えても、そこを起点にプラスしてさらに60時間を超えないと60%の割増賃金率が適用されないということですから、これは完全に抑止効果がないということになりかねないと思うのです。仮に業務量が落ち着く6月に幾ら労働時間を調整したとしても、4月・5月については割増賃金率のもつ長時間労働の抑止という効果がなくなるということだと思います。先程の答弁を改めて聞いて、労働者にとってかなり厳しい制度になるのではないかと思ったというのが1点です。

 2点目は、実労働時間のカウントを一体誰がやるのかという問題です。前回も労側から発言したのですけれども、清算期間を延長して3か月の中で労働時間の配分を労働者自身が行えるようにするというのであれば、労働者が自らの実労働時間の積算された状況を確認することができるよう、使用者が実労働時間数について労働者に通知しなければならないとする「通知義務」を課すべきです。清算期間は1か月ですと、賃金台帳で労働時間を把握することが可能です。しかし、これを3か月単位で管理するということになると、1か月目で時間外労働を45時間キャリーオーバーして、翌月もまた45時間やれば、3か月目については90時間分の所定労働時間の減少ができる。いってみれば労働時間のプールができるわけです。要するに、3か月という清算期間の中での労働時間の貸し借りをやる制度になるわけですけれども、労働者が自らの実労働時間の積算された状況を確認することができる仕組みがないと、労働者にしてみれば、清算期間の最終月に一体どのくらい労働時間を減じることができるかということが全くわからないわけです。実労働時間の管理については全て労働者自身で行えということになるのかもしれませんが、そのような制度にした場合には、清算期間を延長してもワーク・ライフ・バランスを進めるといった効果を期待することは難しいと思います。

 当然ながら、労働時間の管理は使用者の義務としてあるわけですから、こうした「通知義務」といった仕組みがないと、労働者にとって「メリハリのある働き方を一層可能にする」ということは期待できないと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 では、村山課長、お願いします。

○村山労働条件政策課長 1点目は、フレックスタイム制ですので、あくまで始業・終業の時刻を選ばれるのは対象労働者の方御本人であるということが制度の本旨であることを申し上げておきます。

 2点目は、ドイツで労働時間の口座を行っている場合も、管理の方法は事業場ごとに相当異なるようです。口座の状況をどのように本人に知らせるかは、事業場の実情の中でやっているということです。先ほどの御質問の点についてですが、一律にこういう方法でなければならない、と規定することになじむかどうかはあると思いますが、この制度を円滑に運用していくためには、御指摘の点は重要な視点だと思いますので、この点については、使用者側の皆様とも調整をしていきたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 私も新谷委員の御意見、御懸念もよくわかるのですが、他方で、これはフレックスタイム制が前提だということも、もう一つ考えておくべきことかなという気はいたします。

 それでは、恐縮ですけれども、3番目の「裁量労働制の見直し」に進ませていただきたいと思います。これにつきまして御意見あるいは御質問がありましたら、お願いいたします。

○新谷委員 「1 働き過ぎ防止のための法制度の整備等」の「(3)労働時間の客観的な把握」の項目で、「労働安全衛生法上の面接指導に関し、…労働時間の把握について、客観的な方法その他適切な方法によらなければならない」との記載があるのに関連して、事務局にお聞きしたいと思います。労働基準法でも「労働時間の適正な把握のための講ずべき措置に関する基準」というのがあります。この基準は、裁量労働制のようなみなし労働時間制の適用労働者については適用除外となっているのですが、今回の「裁量労働制の見直し」によって、当該基準の適用労働者についても見直しをするつもりがあるのかどうかというのをお聞かせください。

○岩村分科会長 では、村山課長、お願いします。

○村山労働条件政策課長 裁量労働制の健康・福祉確保措置の基盤となる労働時間把握に着目して、いわゆる「四・六通達」と呼ばれている「労働時間の適正な把握のための講ずべき措置に関する基準」について、見直す考えがあるかという御質問です。適正把握基準は、基本的に適正な割増賃金の支払いや、適切な賃金台帳への労働時間の記入の担保という観点から発出されている通達です。今回は、管理監督者の問題も含めて、あらゆる労働者の方々に対する健康確保の観点から客観的把握の措置を講じたいと考えており、通達を部分的に広げるとか改正するということではなく、「1 働き過ぎ防止のための法制度の整備等」の「(3)労働時間の客観的な把握」に記載しておりますように、「過重労働による脳・心臓疾患等の発症を防止するため安全衛生法に規定されている医師による面接指導制度に関し、管理監督者を含む、すべての労働者を対象として、労働時間の把握について、客観的な方法その他適切な方法によらなければならない旨を省令に規定する」としているということです。したがって、この「省令」は、労働安全衛生規則を念頭に置いております。

 以上です。

○岩村分科会長 では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 今、お答えいただいて明確なように、労働基準法における適正な把握に対する基準について見直しはしないということですから、裁量労働制の適用労働者については適用除外のままということになります。

 この点については、以前当分科会において裁量労働制のあり方について論議をした際に、実労働時間の把握方法についてのアンケートの結果が資料として出されていました。その結果によれば、専門業務型裁量労働制の場合、実労働時間の把握方法が自己申告制であるとする事業場が約4割であるとか、企画業務型裁量労働制に至っては、4割以上の事業場で労働時間の把握方法を使用者がわからないという現状にあるわけですね。

しかし、今回の報告書案では、このような現状があるにもかかわらず、労働時間の把握について労働基準法における対応は行わない上に、企画業務型裁量労働制の新たな枠組みとして、1、2というような類型を追加するということを提示しているわけです。

それゆえ、裁量労働制の本旨に従った抜本的な対応ができていない現状で、制度の領域を広げるということでありますから、私どもとしては反対であるということを申し上げたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 では、鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 ただいまの新谷委員からの御発言について申し上げたいと思います。今、裁量労働制の対象者については、御指摘のとおり、「四・六通達」そのものは適用になっていないということ。ただ、これは1分単位での把握をしていないというところでございまして、例えば労働安全衛生法上の安全配慮義務、あるいは裁量労働制の勤務状況の把握の義務が課せられております。そういった点では、今でも何らか把握をされているというふうに理解しておりますし、そこは今後その枠の中で徹底を図っていくということが重要ではないかと思っております。1分単位での把握というのは、あくまでも割増賃金の支払いという目的で創設された仕組みということからすると、やや違うのではないかということだけ申し上げたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 鈴木委員から「四・六通達」についてのご発言がありましたが、私が申し上げているのは、その通達の結果、現状の実労働時間の把握がどうなっているかということです。今回の見直しで、専門業務型裁量労働制の場合、実労働時間の把握方法が自己申告制であるとしている事業場が約4割にのぼっている現状が改善されるのか、ということを最初にお聞きしたわけです。

 昨年4月3日に開催された第111回労働条件分科会にて配られた資料が手元にあります。JILPTの調査かと思いますが、いずれにしても、企画業務型裁量労働を行っている全事業場調査で事業主に対して労働時間の把握方法を聞いたところ、「不明」と答えた事業場が42.6%あったとあります。今回の制度の見直しによって、労働時間の把握がわからないという事業場が減るのかどうかが問題なのです。

報告書案にあるように、労働安全衛生法の医師による面接指導制度に関して、労働時間の客観的な把握を義務付けることにも一定の意義があるとは思いますが、残念ながら、それは労働基準法の改正そのものではありません。したがって、「裁量労働制の拡大」に向けた議論を進める前に「労働時間の適正把握指針」が適用されていないという現行制度上の不備、あるいが不適切な制度運用といったものを改める対応こそ今は採られるべきでありまして、それに反して企画業務型裁量労働制の対象業務に新たな類型を2つ追加するということについては我々としては反対だということです。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでございましょうか。では、村山課長、お願いします。

○村山労働条件政策課長 企画業務型裁量労働制も専門業務型裁量労働制も、健康・福祉確保措置をしっかりと講じていただくという法律上の仕組みになっております。その前提として、健康確保の観点から、客観的な把握が一定求められているという点はなんら変わるものではないということが1つです。

 もう一つは、7ページの真ん中あたりに記載しておりますが、企画業務型裁量労働制の対象労働者の健康確保を図るため、健康・福祉確保措置について、現在は法定指針の例示を参考に決議していただくことになっておりますが、これを省令に格上げして、労側の御主張も取り入れた事項のうちの何らかを、必ず何か実施していただく枠組みとしていることを御理解をいただければと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 よろしいでしょうか。

 それでは、4番目「特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の創設」につきまして、御意見あるいは御質問をいただければと思います。新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 労働時間の長さと成果を切り離した制度を創設したいというのが、もともと政府が言われていた内容であり、今回も、労働時間の長さと成果を切り離すことによって生産性を上げるという名目で「高度プロフェッショナル制度」というものが提起されてきたのですけれども、これらの問題点については再三申し上げてきたとおりです。まず、弾力的な労働時間制度は現行制度上もすでに数多く導入されているので、制度を創設する必要は全くありません。また、専門職の労働者を幅広く労働時間規制から適用除外としているのは、諸外国の中でもアメリカのみとの認識していますが、今回がおそらく世界で2番目の立法例になるのではないかと思います。こうした問題があり、また「高度プロフェッショナル制度」においては対象労働者がさらなる過重労働に陥ってしまう懸念が払拭できないことから、改めて制度の創設には反対であるということを強く申し上げておきたいと思います。

 ただ、「高度プロフェッショナル制度の創設」には反対であると言って終わってしまったのではここでの議論自体が終わってしまいますので、私どもとしては反対であるということを前提とした上で、報告書案の懸念点についても申し上げておきたいと思います。

 まず、報告書8ページの「(1)対象業務」について、以前は省令で規定するとしていたものを、今回表現ぶりが変わり、「『高度の専門的知識等を要する』とともに『業務に従事した時間と成果との関連性が強くない』といった対象業務とするに適切な性質を法定した上で、具体的には省令に規定する」としておりまして、法律に書き込むとの修正をいただいているわけであります。これによって制度の安定性は格段に高まると思いますけれども、それでも、対象業務について「高度の専門的知識を要する」といったところを読んでも、どの程度高度な業務を想定しているのか、その強弱とか高低とかといった判断基準が分からないわけです。

 せっかく法律に一定の要件を書き込むということを判断いただいたということであれば、「(1)対象業務」の2ポツ目に高度専門職としての業務類型が幾つか書いてあるのですけれども、どの程度高度な業務を想定しているのかということが法律を読んだだけで普通の人にも具体的にイメージすることができるように、そのうちの何らかの業務を例示として1つでも2つでも法律の中に書き込むべきだと考えます。現在の書きぶりでは、何が高度なのかということがわかりにくいので、法律への規定の仕方を工夫していただきたいと思います。

 次に、「(2)対象労働者」についても、「1年間に支払われることが確実に見込まれる賃金の額が、平均給与額の3倍を相当程度上回る」という年収要件が法律に書き込むということが記載されたわけですが、ここにいう「平均給与額」とは誰の平均給与額で、一体どれくらいのものを想定しているのでしょうか。また、「相当程度上回る」とありますが、「相当程度」という用語は法律的にどのような解釈をすればいいのでしょうか。これらの点についてお聞かせいただきたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 では、村山課長、お願いします。

○村山労働条件政策課長 では、2点目は御質問と思いますので、御回答いたします。対象労働者に確実に支払われると見込まれる賃金の額の関係の御質問でした。雇用保険法や労災補償保険法など他の法令の給付額や補償額について、一般的な給与の額から法定の基準をつくる場合、調査対象が広く安定的な統計であることから、毎月勤労統計調査が使われております。このため、今回も毎月勤労統計調査を使えるのではないか、と考えております。

 次に、支払われることが確実に見込まれるという基準として何がいいのかということですが、通常平均的に支払われている給与の額ということから、例えば特別に支払われた給与を除いた、決まって支給される給与の額の3倍程度を相当程度上回るということが一つの参考になるのではないかと考えております。

 具体的には現在、毎月勤労統計調査で「決まって支給する給与」は平均26万円余です。その12か月分掛ける3倍で、約937万円前後になります。

 それを相当程度上回るというのがどういうことなのかという御質問でした。3倍を相当上回るということは、3倍に張りついてもいないし、逆に4倍に張りついてもいないと使われるのが一般だろうと考えております。他の立法例を見ても、おおむね3割ないし4割離れているということで使われているところかと思います。

 そうしたことを参考にして、併せて先ほどの「高度な」というお話もございましたが、「高度な専門的な知識等」と使われている労働基準法第14条に基づく告示の内容も参考にして、具体的には省令で規定する。ただ、法定の底が抜けない水準として立法府で定めていただく際の基準としては、先ほど申し上げたようなことが考えられるのではないかということで、このような記述にさせていただいております。

 以上です。

○岩村分科会長 では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 省令に委任するだけでなく、法律上に年収要件の下限を規定するということですから、底が抜けることを防止するという意味ではプラスに働くと思います。ただ、「相当程度」ということでありますので、このように「相当」という法律用語が出てくると、例えば相当因果関係などのように非常にわかりにくい概念となってしまって、それだけでは一体どの程度なのだろうということが一見してわからないのですね。

 先程、「3倍を相当上回るということは、3倍に張りついてもいないし、逆に4倍に張りついてもいないと使われるのが一般」、「他の立法例を見ても、おおむね3割ないし4割離れているということで使われているところかと思う」との答弁をいただいわけでありますけれども、私どもは、3倍に張りついてしまうという点を懸念しており、この点をどのように払拭するのか、そういった手だてもぜひ事務局として考えておいていただきたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 一般論としては、もし3割に張りつけてしまった場合は、たぶんこれは告示ということになって、委任を受けた一種の法規範という形になりますので、法律に基づく委任の範囲を超えたという形でもってその告示の効力が否定されるということは、一般論としてはあり得るだろうと思います。

 それでは、鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 ありがとうございます。

 私どもも繰り返しの発言になろうかと思いますが、例えばグローバルに研究開発を行うような業務なども含めまして、必ずしも日本の労働日ですとか労働時間帯に縛られないようなことで働き、山場を越えたらまとめて休むというようなメリハリのついた働き方というのが一部でございます。

 職務範囲を明確にして、高い職業能力を駆使する業務に対象を限る。なおかつ各企業における現在の健康確保措置の取り組み実態も踏まえた十分な措置を手当てしながら、高度プロフェッショナル制度を創設するということは、働き方が多様化する中で、それに対応する環境を整える観点から大変重要ではないかと私どもは思っているところでございます。

 1点、先ほど新谷委員から対象について高度の専門的知識等を要するということで、「高度の」ということの御指摘がございましたので、簡単に私の考えを述べさせていただきたいと思います。

 たとえば、「企業・市場等の高度な分析業務」というのがございます。この場合、会社分析というのは、「会社四季報」だけで調べるというものから、高度なIT技術、ネットワークを使いながら調べるというものまで幅広いわけでございますが、法律上「高度な」ということを明確にすることにより前者のようなものは含まないことが分かるようにすることはあっていいのではないかなと思っております。

 ただ一方で、何が高度かというのは、個別具体の業務に照らして考えざるを得ないような面もございますので、そこは個別企業労使が具体的に判断し得る仕組みを残すことについても御理解を賜われればというふうに思っております。

 私からは以上です。

○岩村分科会長 では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 対象労働者について、社内でどういう人を対象にするかということは、この法律の条文の規定を受けて労使で話し合えばいいのですけれども、私が申し上げているのは法律の枠組みについての話です。何が「高度である」のかということが紛れなくイメージできるようなものを条文の中に例示的に書いておかないと拡大解釈される懸念があるのではないか、ということを申し上げているのです。例えば、とある国家資格が、特級から始まって、1級、2級とある場合、一体どこからが高度ということになるなのか。簿記などもランクが幾つかあるわけです。また、国家資格ではありませんけれども、ITスキル標準についてもランクがあるわけです。

 ですから、何が高度なのかというところを想定できるようなものを法律に書いておかないと、労使で解釈するにしてもいろんな解釈が生じかねません。そうならないように、何らかの業務を例示として法律の中に書き込み、法律的な安定を図るべきだというのが先ほどの私の発言の趣旨です。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでございましょう。では、秋田委員、どうぞ。

○秋田委員 質問なのですが、今、出ていました部分でいくと、「1年間に支払われることが確実に見込まれる賃金の額が」ということなのですが、確実に見込まれるということは、最低保障といった意味合いなのでしょうか。

 それともう一つ関連するのですが、次のポツのところで「本制度の対象となることによって賃金が減らない」とあります。ということは、この制度を今度高度専門職に適用した場合に、従前は違う制度で払っており、それで一定の成果を上げていたとします。今度この制度になったときに、事情によっては前年より極端に成果が落ちる場合もあると思うのですね。当然上がる場合もありますけれども。そういったときに、前制度のときの賃金を絶対下回ってはいけないということであるとすると、この制度になると、常に賃金は下方硬直的になって、上に行くしかないことになります。そうなると、成果との関連があるのかないのか、わからないような場合もひょっとしたら考えられるのではないかと思うのですが、その辺について、どうでしょうか。

○岩村分科会長 では、村山課長、お願いします。

○村山労働条件政策課長 お答えいたします。秋田委員から2点の御質問をいただきました。

 まず、1点目が「確実に見込まれる賃金の額」です。これは労働基準法第14条に基づく告示の内容を参考しておりますので、各側にもある程度共通に御理解いただいているのではないかと思います。労働基準法第14条に基づく高度専門職の大臣告示の中で、換算した額1,075万円が出てくる方々の「支払われることが確実に見込まれる賃金の額」に関しましては、先ほどまさに秋田委員からお話がございましたように、個別の労働契約や就業規則等において、名称の如何にかかわらず、あらかじめ具体的な額をもって支払われることが約束され、支払われることが確実に見込まれる賃金は全て含まれるということで、何々手当は含む、含まないとか、賞与は含む、含まないとか、そういったことではなく、支払われることが確実に見込まれるか否かということで実態判断を積み重ねてきております。また、それが基準として定着していることを踏まえてこのように記載しているということです。

 2点目です。法定指針に明記する基本的な考え方として、この制度は、時間外、休日、深夜の割増賃金の支払義務の適用が除外される仕組みです。この制度に移行することによって、直ちに割増賃金の見合いの額が減じられることなく、基本的に原資は同等ないし、あるいは制度に入るのだからということで、増えることもあるかもしれませんが、そういったことでお考えいただくよう記載しております。

 以上です。

○岩村分科会長 よろしいでしょうか。

 ほかにはいかがでございましょうか。では、神田委員、どうぞ。

○神田委員 ありがとうございます。

 「高度プロフェッショナル制度」の法的効果について、報告書の10ページで明記いただきました。今回の報告書案では、前回の骨子案に引き続きまして、「深夜の割増賃金の支払義務」に関する規定を適用除外とするということになっております。しかし、深夜労働が心身に及ぼす強度に鑑みて、管理監督者であっても適用除外をしないとされているこの深夜労働の規定について、「高度プロフェッショナル制度」の対象労働者を適用除外とすることには、やはり慎重であるべきだと考えてございます。

 労側としまして、長時間労働抑止の観点、あるいは心身の健康をいかに保持していくかという観点から、「深夜の割増賃金の支払義務」の適用除外には反対だということを改めて申し上げておきたいと思います。

 なお、深夜労働との関係について、「(3)健康管理時間に基づく健康・福祉確保措置」のところで、1の措置として、「一定時間以上の勤務間インターバル(休息時間)を与えるとともに、1か月の深夜業の回数を一定以内に抑える」との措置が規定されております。この健康・福祉確保措置につきましては、前回までは「例示」に過ぎないといった書きぶりでありましたけれども、今回は「決議した措置を講じていなかったときは制度の適用要件を満たさないもの」ということで、1から3のいずれかの措置を必ず講じなければならないとの書きぶりに修正をされております。その点については、事務局の調整の労を率直に受けとめておきたいと思っておりますが、これらの措置が実際に対象労働者の健康保持につながるものとなるか否かは、省令に定める「一定の時間」の水準次第だと考えておりますので、この点、改めてしっかりとした「一定の時間」という水準について議論をすべきだと思っております。

 先ほど新谷委員からもありましたように、労側として反対の意を申し上げてきたとおりでありますけれども、万一「高度プロフェッショナル制度」の制度化を強行するということであれば、「一定の時間」の水準感について法律の中で規定すべきものであると考えておりますことを改めて触れておきたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 そのほかいかがでございましょうか。では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 事務局に質問したいと思います。今、神田委員も触れたところですが、9ページの健康・福祉確保措置のところの4行目に「決議した措置を講じていなかったときは制度の適用要件を満たさないものとする」ということを書き加えていただきました。これで、ここの部分もかなり明確になったと思います。ただ、私どもとしては、1、2、3いずれかの措置を講じれば良いということではなくて、3プラス1、3プラス2であるべきだと常々申し上げております。

その上で、お聞きしたかったのは、1〜3のいずれかの措置を講じていなかったときは制度の適用要件を満たさないものとするということで、そのときの効果をどう考えるのかということです。これは適用要件を満たさない以上、労働時間規制の適用除外ではなくなるということですから、私としては、本則に戻って、労働基準法第32条、第36条、第37条が全て適用されるということになろうかと思っています。

また、「34週間を通じ4日以上かつ1年間を通じ104日以上」について、ここの「4週を通じて4日」というのは、法定休日の変形休日制と同じ書きぶりですが、ここの休日というのは、この前もお聞きしました際には、「暦日単位で考え、必ずこの日は休ませなければいけない絶対休日である」とのことでありました。そこで、そのように絶対休日であるこということの意味は、例えば法定休日のように、割増賃金率35%を支払って経済的な代償措置を支払えば労働させるといったことが可能となる休日ではない、この日は必ず休ませる必要があるという趣旨だと思いますけれども、その点も改めて確認もしたいと思います。

 それと、「1年間を通じ104日以上」ということになっていますけれども、1年たってみたら結果的に103日しか休ませていなかったといった場合には要件を満たさなかったということになるわけですが、その場合には遡って所要の割増賃金の支払い等が必要となるのか否かということもあわせて確認させていただきたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 では、村山課長、お願いします。

○村山労働条件政策課長 お答えいたします。3の休日は、休日割増を支払えば労働させることができるというものではなく、絶対休日という意味で使っているということです。法的効果は、(6)を見ていただきますと、一般的な休日の規定は一旦適用除外した上で、法定の制度の要件としますので、帰結として先ほど申し上げたようなことになるということです。

 併せて、実務上どのように履行確保するかは別としまして、考え方としては、年間休日が104日に満たなかった場合は、新谷委員がおっしゃるように、労働基準法第32条、第36条、第37条等に戻るという形になりますので、所要の割増賃金の支払い等が必要になるということだと理解しています。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 ほかはいかがでございましょうか。よろしいでしょうか。

 私から細かいことを1点だけなのですが、9ページの1番目の黒ポツの1のところで「省令で定める回数以内」として、その後、また「省令で規定することが適当である」というふうにちょっとダブりがありますので、文章を整理していただければと思います。

 それでは、時間もちょっと経過しているのですが、今日、この報告書案につきましては一通り御議論いただきたいと思いますので、若干延長することをお許しいただければと思います。

 次に、10ページの5番、11ページの6番につきまして、御意見あるいは御質問がありましたらと思いますが、いかがでございましょうか。では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 11ページの「(2)過半数代表者」については、今回の報告書案では加筆がなされなかったわけです。この過半数代表の問題には、JILPTの研究会でも貴重な御示唆をいただいておりますけれども、現在の組織率が17.5%であることを考えれば、8割以上の職場には労働組合がないというのが現状であります。その一方で、36協定の締結をはじめとする法定基準の解除機能といった非常に多くの領域で、いまや過半数代表というのが登場する場面が多く出てきているところです。

 今回の改正の中でも、先ほどの「高度プロフェッショナル制度」の制度導入する際には、労使委員会の決議がベースになってくるわけですが、労使委員会の労働者代表の委員は、この過半数代表が指名した者とされています。

このように過半数代表は一定の役割を担うべきとされているにもかかわらず、JILPTの過半数代表者に関する調査結果を見ると、約4割のケースで民主的手続きによることなく「会社による指名」で選出されているなど、その選出に問題があるのが現実です。

 今回の報告書案には、「使用者の意向による選出」は手続違反に当たるなどの通達の内容を労働基準法施行に規則するということが記載されていますけれども、まずはこの民主的手続きによる選出の強化をしないといけないと考えています。

また、36協定一つとっても、現在の仕組みでは開示義務がありませんので、一体使用者が何時間で協定したいのかというのが、分かりません。一体何時間で協定したいのかというのがわからない中で、過半数代表を選出した後に、全てがその選出された過半数代表に一任されるという仕組みになっているのです。  

12 ページの「(2)労働基準関係法令の周知の取組等」の項目には、「使用者が、時間外・休日労働協約等を労働者に周知させなければならないとしている法の規定を踏まえ対応するよう、徹底を図ることが適当」とありますが、これらの前段階、すなわち協定締結にあたっては、予めその内容について周知をしておかないと、例えば過半数代表者が時間外・休日労働協約は何時間で協定したいという意向を持っているのかというのをセットで周知しないと、事業場における労働者の総意がこの過半数代表者には伝えられないのではないかというふうにも思っています。この事項についても再考をお願いしたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 それでは、池田委員、どうぞ。

○池田委員 最後に「労働基準監督機関の体制整備」とありますけれども、悪いところを見つけて徹底的に是正させるというように見えるので、先ほども申し上げましたとおり、事前の周知、十分な広報をお願いします。単に強化、強化ということですと、経営者団体としても非常に難しい局面がありますので、その辺を十分考慮していただきたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 よろしいでしょうか。

 そうしますと、時間がちょっと超過しているのですが、全体を通して一通り御議論をいただいたわけでありますので、最初の前文について御意見があればと思いますが、いかがでございましょうか。よろしいでしょうか。

 労使から特段の御意見がないようですが、もし労使の御同意が得られるようであれば、今回のこの議論の一つの始まりであった閣議決定について言及するのはどうかと思いますけれども、その点はいかがでございましょうか。よろしいでしょうか。

 新谷委員はちょっと首をひねっていますが。どうぞ。

○八野委員 それはどういう意味ですか。

○新谷委員 いいですか。

○岩村分科会長 では、まず新谷委員からどうぞ。

○新谷委員 この論議が始まる際に申し上げましたが、産業競争力会議という政府の会議体においてさまざまなワークルールの見直しの論議をされてきたことがベースになって、今回閣議決定をされたという認識であります。この産業競争力会議には使用者団体の代表が二人も入っている中で、私ども労働者の代表は1人も入っていないという中でワークルールの見直しの検討が進められてきたわけです。

 今回の報告書の1ポツから始まる4つの項目は閣議決定の柱立てと同じであり、特に2ポツ以下、「2 フレックスタイム制の見直し」であるとか「3 裁量労働制の見直し」、さらに「新たな労働時間制度」と当初は呼ばれておりました「4 特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の創設」といったものがそのまま入ってきたわけです。私どもとしては、労働政策審議会という三者構成原則が適用される議論の場があるにもかかわらず、産業競争力会議という労働者の入らない会議体で、このような労働政策の基本方針が決定されてきたプロセスに対して非常に違和感を持っております。

 ですから、今、分科会長から「今回のこの議論の一つの始まりであった閣議決定について前文の箇所で言及してみてはどうか」との御発言がありましたけれども、三者構成原則を維持するという観点からは、労働政策審議会で「今後の労働時間法制等の在り方について」議論をしてきたということが非常に重要だと考えておりますので、私どもとしては、産業競争力会議に端を発する閣議決定について触れるということには非常に違和感があるということを申し上げたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 別にこだわりませんが、他方で、閣議決定の中では労働者の健康確保という点についても触れられていたところだと思いますので、そういう観点から、その点も含めて閣議決定を一つの議論の出発点として入れるというのはどうかと思った次第ですが、今、申し上げたようにこだわりはしません。

 では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 これも申し上げるまでもないのですけれども、報告書の柱立ての内容は閣議決定された順番になっていると思いますが、1ポツの「働き過ぎ防止のための法制度の整備等」に対応する閣議決定内容は、「我が国の課題である働き過ぎの改善に向けて、長時間労働抑制、年次有給休暇取得促進策等の検討を労働政策審議会で進める」としか書かれていないですね。2ポツ以下の労働時間規制の弾力化に関しては、「労働政策審議会で検討し、結論を得た上で、次期通常国会を目途に所要の法的措置を講ずる」とありますから、既に始まっている今通常国会に所要の法的措置を講ぜよというのが閣議決定の内容だったのですね。

 ですから、もともと「フレックスタイム制の見直し」なり「裁量労働制の見直し」なり「『新たな労働時間制度』の構築」というのは、とにかく結論をこの労働政策審議会で出した上で今通常国会に改正法を提出せよというのが、閣議決定、すなわち首相官邸からの指令でありまして、私どもとしては、そうした枠組み自体に違和感があるわけです。もともと1ポツの長時間労働抑制策・年次有給休暇取得促進策等については、国会への提出時期も記載がなく、「所要の法的措置を講ずる」との一文もありません。何度も申し上げていますが、そうした意味からも、この閣議決定自体に非常に違和感を覚えているところであります。

 以上です。

○岩村分科会長 わかりました。

 では、私の意見は撤回するということにしますが、今の新谷委員の御発言について言えば、1番については、その意味では、この労働政策審議会でまさに真摯に議論をして、今回こういう形でまとめる方向に今なってきているという意味でも重要だろうというふうに思っております。そういう意味では、閣議決定の趣旨からさらに労働政策審議会としては独自の考え方で踏み込んだものだというふうに理解しておりますので、その点についても意味があるのかなというふうには思っていたところでありますが、労側が御賛成ではないということですので、今の点、私の考えは撤回するということにさせていただきたいと思います。

 そのほかいかがでございましょうか。よろしいでしょうか。

 ありがとうございます。

 時間がだいぶ超過して申しわけございませんでしたが、報告書案の内容につきまして一通り御議論をいただいたところでございます。

 事務局におかれましては、今日までの御議論を踏まえまして、取りまとめに向けた調整と必要な修正を行った上で、次回のこの分科会で報告書案の修正版を提示していただくようにお願いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、事務局から次回の日程について説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○古瀬調査官 次回の労働条件分科会の日程・場所につきましては、調整いたしまして追って御連絡いたします。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 それでは、本日の分科会はこれで終了とさせていただきたいと思います。

 最後に、議事録の署名でございますけれども、労働者代表につきましては冨田委員、使用者代表については鈴木委員にそれぞれお願いしたいと思います。

 今日はお忙しい中、長時間にわたりましてありがとうございました。これで終了とさせていただきます。


(了)

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