ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(労働条件分科会)> 第122回労働政策審議会労働条件分科会 議事録(2014年12月24日)




2015年1月16日 第122回労働政策審議会労働条件分科会 議事録

労働基準局労働条件政策課

○日時

平成27年1月16日(金)16:00~18:00


○場所

共用第8会議室


○出席者

【公益代表委員】

岩村委員、田島委員、野崎委員、村中委員、守島委員、山川委員

【労働者代表委員】

神田委員、新谷委員、高松委員、冨田委員、八野委員、春木委員、宮本委員

【使用者代表委員】

池田委員、小林委員、鈴木委員、田中委員、平岡委員、宮地委員

【事務局】

岡崎労働基準局長、大西審議官、村山労働条件政策課長、古瀬調査官

○議題

1 今後の労働時間法制の在り方について
2 その他

○議事

○岩村分科会長 定刻より少し早いのですが、本日御出席予定の委員の皆様方がおそろいですので、始めたいと思います。それでは、ただいまから「第122回労働政策審議会労働条件分科会」を開催することにいたします。

 本日御欠席の委員でございますけれども、公益代表の権丈英子委員、使用者代表の秋田進委員ということでございます。

 なお、使用者代表の池田委員におかれましては、所用によりまして、途中で御退席なさると伺っております。

 それでは、事務局から定足数の報告をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○古瀬調査官 定足数について御報告いたします。労働政策審議会令第9条により、委員全体の3分の2以上の出席、または公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますが、定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 それでは、カメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

(報道関係者退室)

○岩村分科会長 それでは、本日の議題に入りたいと思います。

 当分科会におきましては、一昨年の9月から、今後の労働時間法制の在り方について検討いただいてきてまいりました。

 特に、昨年の秋以降は各側委員の御協力を得つつ、個々の論点ごとに御議論を2巡行っていただくなど、精力的に審議を進めてまいったところでございます。

 前回の労働条件分科会におきましては、労働者代表、使用者代表から取りまとめの御発言をいただいたところであり、そして私から、次回は事務局から報告書骨子案のたたき台を示していただくようにお願いをしたところでございます。

 本日はまず、その報告書骨子案を事務局から説明していただいた上で、皆様に御議論をいただければと考えております。

 それでは、事務局から説明をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○古瀬調査官 それでは、資料No.1「今後の労働時間法制等の在り方について(報告書骨子案)」について御説明いたします。

 最初に、全体の柱立てを御説明いたします。

 全体を1から6までに分けており、まず1ページからが「1 働き過ぎ防止のための法制度の整備等」、4ページからが「2 フレックスタイム制の見直し」、5ページからが「3 裁量労働制の見直し」、6ページからが「4 特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル労働制)の創設」、8ページからが「5 その他」、最後9ページが「6 制度改正以外の事項」としております。

 この柱立ての順番については、昨年9月10日の本分科会において各側に御確認いただいた資料「労働時間法制の今後の検討について」の順番に即したものです。

 では、1ページから項目ごとに、これまでの審議経過にも触れつつ、内容を御説明いたします。本日は説明時間を若干長目にいただきますが、御了承いただければと存じます。

 まず「1 働き過ぎ防止のための法制度の整備等」です。

 我が国の労働時間については、一般労働者の年間総実労働時間は2,000時間を上回る水準で推移するとともに、週労働時間60時間以上の雇用者割合は低下傾向であるものの、8.8%と、政府目標の5%を上回る水準となっております。また、年次有給休暇の取得率については5割を下回る水準で推移している状況にあり、労働者の健康確保に向けた一層の取組が求められております。

 また、平成26年6月に閣議決定された「『日本再興戦略』改訂2014」においても、働き方改革の実現の項目の冒頭に、働き過ぎ防止のための取り組み強化が改革の大前提として位置づけられております。

 以上のことを踏まえ、「働き過ぎ防止のための法制度の整備等」を1番目にしております。

 まず「(1)長時間労働抑制策」の「1中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率の適用猶予の見直し」です。

 前回の労働基準法の改正において、月60時間超の時間外労働の割増賃金率の引き上げは、中小企業事業主については適用しないこととされ、改正法施行後3年を経過した場合、検討を加え、必要な措置を講ずるとされておりました。これを踏まえ、平成25年に調査を行い、時間外労働が月60時間を超える事業場の割合は、最長の者について、大企業で8.1%、中小企業で4.4%との結果等を御報告いたしました。

 一方で、自動車運転業務に限ると、中小企業事業場の42.2%が月60時間を超える時間外労働を行っているなど、業種によって違いがあるということもあわせて御報告いたしました。

 さらに、運輸業界など関係する業界団体の御意見も本分科会に御報告した上で御審議をいただき、「中小企業の現状については一定程度理解できるものの、全雇用者の66%が割増賃金率5割の適用猶予となっている状況を解消すべき」との御意見や、一方で、「業種によっては自助努力だけでは改善できない問題があり、関係省庁や業界団体と連携して、総合的な政策的対応をお願いしたい」との御意見をいただきました。

 こうした審議を踏まえ、骨子案を御覧いただきたいと思いますが、「特に長時間労働比率が高い業種を中心に、関係行政機関や業界団体等との連携の下、長時間労働の抑制に向けた環境整備を進めることが適当。」、「環境整備を図りつつ、中小企業労働者の長時間労働を抑制し、その健康確保等を図る観点から、月60時間を超える時間外労働の割増賃金率を5割以上とする規定について、中小企業事業主にも適用することが適当。」と記載しております。

また、3つ目のポツは、中小企業の経営環境の現状に照らし、施行時期について具体的な年数は入れておりませんが、他の改正項目の施行時期とずらすという趣旨での記載をしております。

 次に「2健康確保のための時間外労働に対する監督指導の強化」です。

 一般労働者の年間総実労働時間が2,000時間を上回る水準で推移するほか、昨年11月に過労死等防止対策推進法が施行された等の状況の中で、当分科会において、長時間労働抑制策の一層の充実の重要性について認識が共有されていると存じます。

 他方、その手法については、「長時間労働抑制のためには労働時間の量的上限規制を設けることが必要である」という御意見と、「量的上限規制は事業運営やコンプライアンスの観点から極めて困難である」との御意見とがありました。

 こうした状況を踏まえ、健康確保のための時間外労働に対する監督指導の強化について、労働基準法を初め、関連の省令・告示等をパッケージで改正することにより取り組むこととしております。

 具体的には、1つ目のポツが労働基準法の改正で、「行政官庁は、時間外限度基準に関する助言指導を行うに当たっては、労働者の健康が確保されるよう配慮する」旨を規定し、併せて、「当該規定に基づき、的確な助言及び指導を行うことが適当。」と記載しております。

 次に、2つ目のポツと3つ目のポツです。現行では三六協定を締結している事業場のうち、特別条項付き協定を締結している割合は大企業で62%、中小企業で26%となっておりますが、特別条項部分の様式は定められておらず、三六協定の省令様式の余白に特別条項の内容を記載するなどしていただいております。そこで、この法改正に併せて、三六協定の省令様式に特別条項部分の様式を新たに追加してはどうかということです。

 また、記入すべき内容として、限度時間を超えて労働した労働者に講ずる健康確保措置等を新たに追加することとし、この「限度時間を超えて労働した労働者には健康確保措置を定めなければならない」ということについて、時間外限度基準告示において規定することも盛り込んでおります。

 また、4つ目のポツは、「健康確保措置の確実な履行を図る観点から、使用者は、措置の実施状況等に係る書類を作成し、3年間確実に保存しなければならない旨を時間外限度基準告示に規定することとすることが適当。」と記載しております。

 次に「3所定外労働の削減に向けた労使の自主的取組の促進」です。

 労働時間の量的上限規制について、先ほど申し上げたように意見に隔たりがある中で、長時間労働の抑制を進めるための改正事項の一つとして、「労使の自主的な取組を促進する労働時間等設定改善指針に、『脳・心臓疾患の労災認定基準における労働時間の水準も踏まえ、“1か月に100時間”又は“2か月間ないし6か月にわたって、1か月当たり80時間”を超える時間外・休日労働が発生するおそれのある場合、適切な健康確保措置を講じるとともに、業務の在り方等を改善し、特別延長時間の縮減に向けて取り組むことが望ましい』旨を盛り込むことが適当。」と記載しております。

 次に「(2)健康に配慮した休日の確保」です。

 月60時間超の時間外労働に対する5割以上の割増賃金率の適用を回避するために休日振替を行い、休日労働の割増賃金率の3割5分以上の適用を推奨する動向があることについて分科会で御指摘があり、公労使各側から、適切ではないとの御見解が示されました。

 こうした動向については、「法制度の趣旨を潜脱するものであり、本分科会として反対」の旨を記載し、あわせて、その趣旨について「通達に記載することが適当。」と記載しております。

 次に「(3)労働時間の客観的な把握」です。

 これまでの御議論の中で、労働者の心身の健康確保の観点から、適正な労働時間の把握に関する現行の通達では対象外となっている管理監督者やみなし労働時間制適用者も含めて労働時間の適正な把握を行うことを盛り込むことが必要という御意見がありました。

 これを踏まえ、管理監督者等も対象となる労働安全衛生法の体系の中で、「医師による面接指導制度に関し、管理監督者も含む全ての労働者を対象として、労働時間の把握について、客観的な方法その他適切な方法によらなければならない旨を省令に規定する」案としております。

 次に「(4)年次有給休暇の取得促進」です。

 本分科会において、1年次有給休暇の取得率の状況は、労働者の取得に対するためらい等を背景に、5割を下回る水準で低迷していること。2長時間労働の人ほど年次有給休暇の取得率が低いという相関関係が見られること。3また、年次有給休暇の取得率の向上に効果のある計画的付与制度については導入率が低迷していることなどの御議論があり、これらを踏まえ、年次有給休暇の取得促進を確実に進める新たな方策が必要であるという御議論がありました。

 また、欧州諸国では基本的に使用者が年次有給休暇を与える義務を負っていること等を踏まえ、一定日数の年次有給休暇の時季指定を使用者に義務付けることについて議論を重ねていただいてまいりました。

 こうしたことを踏まえ、まず1つ目のポツに、「年次有給休暇の取得が確実に進むよう、年●日間の年次有給休暇の時季指定を使用者に義務づけることが適当。」と記載しております。

 また、2つ目のポツに、「具体的には、労働基準法において、計画的付与の規定とは別に、有給休暇の日数のうち年●日については、使用者が時季指定しなければならないことを規定することが適当と記載しております。

 また、3番目のポツですが、「1年●日以上の年次有給休暇の計画的付与を行っている場合、2当該年に新たに発生した年次有給休暇の▲割以上の日数を取得した場合、使用者は上記の義務を果たさなくてよいものとして取り扱うことが適当。」と記載しております。

 さらに、4つ目のポツですが、制度をより円滑に運用する観点から、使用者が時季指定を行うに当たっては、労働者の意見を速やかに聴くよう努めなければならないこと、労働者の意思を尊重するよう努めなければならないことを省令に規定するという案にしております。

 次に「(5)労使の自主的取組の促進」です。

 労働時間の削減や年次有給休暇の取得促進については、現場の労使で対策を進めることが重要であるとともに、企業トップのリーダーシップによる取組をあわせて行うことが重要であり、効果的であるという御意見がありました。このため、企業単位での取組の促進に向けた法令の整備を行うことを記載しております。

 また、「マネジメントの果たす役割が重要」という御見解が労使双方から示されたことを踏まえ、2つ目のポツのとおり、企業単位で設置される労働時間等設定改善企業委員会を明確に位置づけること、また、3つ目のポツのとおり、決議に関する特例を設け、代替休暇、時間単位年休及び年休の計画的付与に係る企業委員会の決議を、労使協定に代えることができるものとすること、等としております。

 あわせて、5つ目のポツのとおり、労働時間等設定改善指針について、4つ目のポツまでの内容に加え、指針を活用しやすく、より充実したものとするため、「改めて労働政策審議会における調査審議の上で改正することが適当。」としております。

 また、指針に盛り込む内容の案として、1から4までありますが、3に、「新たに『終業時刻及び始業時刻』の項目を設け、具体策として、深夜業の回数の制限のほか、『朝型の働き方』を追加すること」などとしております。

 次に「2 フレックスタイム制の見直し」についてです。

 労働者が自らの出社・退社時刻を自由に決めることができるフレックスタイム制については、労働者のワーク・ライフ・バランスの実現等の観点から一層の普及が期待されている一方で、適用労働者の割合は最新の数字で8.3%となっております。このため、制度がより使いやすくなり、また普及していくよう、見直しを行うことを盛り込んでおります。

 具体的には、まず(1)です。

 一層柔軟でメリハリをつけた働き方が可能となるよう、過重労働防止措置を講じつつ、清算期間の上限を、現行の1カ月から3カ月に延長する案です。これにより、例えば子供が夏休みの8月は働く時間を短くして、子供との時間を確保し、8月に短くした分、前後の月に長目に働くようにしたいというニーズに応えることができるようになるとの御意見がありました。

 一方で、過重労働になりかねないとの御意見もありましたので、過重労働防止の観点から、2つ目のポツのとおり、「●時間」としておりますが、一定以上の労働時間については、その月の割増賃金の支払対象とする案としております。

 次の(2)です。

 法定労働時間の計算方法について、完全週休2日制の下では、1日8時間相当の労働でも法定労働時間の総枠を超える場合が出てくるという課題に対応するため、労使協定により、所定労働日数に8時間を掛けた時間数を法定労働時間の総枠にできるようにするというものです。

 次の(3)です。

 フレックスタイム制でありながら、始業・終業時刻は労働者に委ねられていないケースもあるというデータも本分科会において示されましたので、通達において、制度趣旨を改めて示す等、制度趣旨に即した運用を徹底することとするものです。

 なお、「決められた労働時間より早く仕事を終えた場合も、年次有給休暇を活用し、報酬を減らすことなく働くことができる仕組み」については、年次有給休暇の趣旨に照らして慎重に考えるべき等の御意見が労使双方からありましたので、「引き続き慎重に検討」としております。

 次に「3 裁量労働制の見直し」についてです。

 裁量労働制の見直しについては、働き方が多様化する中で重要な制度である一方、対象業務が狭く活用しにくいとの御意見や、対象者の拡大は慎重であるべきとの御意見がありました。また、時間配分を労働者に委ねるという制度の趣旨が損なわれているおそれのあるケースも存在することが議論の中でも取り上げられたところです。

 このため、まずホワイトカラー労働者の業務の複合化などの働き方に対応するため、現行の企画業務型裁量労働制の対象業務は、企画、立案、調査、分析に限定されておりますが、仕事の進め方や時間配分における裁量度の観点から、新たに2つの類型を対象にすることを案として盛り込んでおります。

 1つ目が1の、いわゆる提案型営業の業務です。現行では個別の営業の業務は対象外とされておりますが、営業の業務のうち、取引先企業のニーズを聴いて、社内で新商品開発の企画立案を行い、そのニーズに応じた商品を開発、販売するような業務については追加すべきとの御意見があり、裁量度の観点等も踏まえ記載をしております。

 2つ目が2の、分科会において裁量的にPDCAを回す業務として御意見をいただいた業務で、企画立案内容の実施の管理と、その実施状況の検証結果に基づく事業の運営に関する企画立案等を一体として行うような業務です。

 また、2つ目のポツで、新たに追加する類型の範囲の詳細については、法定指針で「認められる場合」、あるいは「認められない場合」を具体的に示すこととし、「認められない場合」の内容としては、「例えば『企画立案調査分析業務と組み合わせる業務が、個別の製造業務や備品等の物品購入業務、庶務経理業務等である場合は、対象業務とはなり得ない』といったものが考えられること。」としております。

 さらに3つ目のポツで、対象労働者の健康確保措置については、現行では法定指針に措置の内容が例示として載っておりますが、この指針の例示内容を参考にしつつ、健康確保措置の内容を検討の上、省令で規定することとしております。

 次に、6ページの「(2)手続の簡素化」です。

 これは企画業務型裁量労働制が制度として定着してきたことを踏まえ、1つ目として、労使委員会決議の本社一括化を認めるとともに、2つ目として、定期報告についは6か月後に一度行い、その後は書類保存を義務付けする案としております。

 次の(3)です。

 裁量労働制を導入しながら、厳しい勤怠管理を行うという実態があることも分科会の中でデータに即した議論を通じて明らかになったところです。このため、裁量労働制は「時間配分の決定を労働者に委ねる制度であることを法定し、明確化することが適当。」としております。

 次に、「4 特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル労働制)の創設」です。これまで分科会で「新たな労働時間制度」として御議論いただいてきた新制度について、その名称を記載しております。公式な文書で使う名称としては「特定高度専門業務・成果型労働制」、通称として「高度プロフェッショナル労働制」とする案です。

 内容ですが、本件については、これまで労使各側からさまざまな御意見がありました。使用者側からは、ごく一部の業務に限定されることなく、幅広いスキームとすべきとの御意見、労働者側からは、長時間労働を助長する制度であり、到底容認できないとの御意見がありました。

 また、使用者側からは、対象者に対する十分な健康確保措置を手当てすべきとの御意見があり、この点については労働者側からも、仮に新制度を導入するのであれば、その要件として健康確保措置の導入が必要であるという旨の御意見がありました。

 こうした状況を踏まえ、以下の案を記載しております。

 まず、制度の趣旨は、「時間ではなく成果で評価される働き方を希望する労働者のニーズに応え、その意欲や能力を十分に発揮できるようにするため、一定の年収要件を満たし、職務の範囲が明確で高度な職業能力を有する労働者を対象として、長時間労働を防止するための措置を講じつつ、時間外・休日労働協定の締結や時間外・休日・深夜の割増賃金の支払義務等の適用を除外した新たな労働時間制度の選択肢として、特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル労働制)を設けることが適当。」としております。

 その上で、「(1)対象業務」です。

 1つ目のポツで、「『高度の専門的知識等を要する』や『業務に従事した時間と成果との関連性が強くない』といった対象業務とするに適切な性質をみたすものとし、具体的には省令で規定することが適当。」としております。

 また、2つ目のポツで、具体的には、金融商品の開発業務等、例示を幾つか挙げておりますが、これらの業務等を念頭に、「法案成立後、改めて審議会で検討の上、省令で適切に規定することが適当。」としております。

 次の「(2)対象労働者」です。

1つ目のポツは、「まず、使用者との間の書面による合意に基づき職務の範囲が明確に定められ、その職務の範囲内で労働する労働者であることが適当。」としております。

2つ目のポツは、「また、対象労働者の年収について、『1年間に支払われることが確実に見込まれる賃金の額が、平均給与額の●倍を相当程度上回る』といったこととした上で、具体的な年収額については、労働基準法第14条に基づく告示の内容(1075万円)を参考に、法案成立後、改めて審議会で検討の上、省令で規定することが適当。」としております。

3つ目のポツは、「労使委員会において対象労働者を決議するに当たっては、本制度の対象となることによって賃金が減らないことを十分に考慮するよう、法定指針に明記することが適当。」としております。

 次に「(3)健康管理時間、長時間労働防止措置(選択的措置)、面接指導の強化等」についてです。

 まず、本制度の適用労働者については、割増賃金支払の基礎としての労働時間を把握する必要はなくなりますが、健康確保が重要ですので、その観点から、「使用者は、健康管理時間を把握した上で、これに基づく長時間労働防止措置や健康・福祉確保措置を講じることとすることが適当。」としております。

 また、「健康管理時間の把握方法については、労働基準法に基づく省令や指針において、客観的な方法によることを原則とし、事業場外で労働する場合に限って自己申告を認める旨を規定することが適当。」としております。

 次に3つ目のポツですが、長時間労働防止措置について、「制度の導入に際しての要件として、例えば以下のような措置を労使委員会における5分の4以上の多数の決議で決めるところにより講じることとすることが適当。」としており、1が、24時間についての、いわゆるインターバル規制。2が、健康管理時間について1か月の上限時間の設定。3が、年間の休日日数を104日以上とすることとしております。なお、1と2の「一定の時間」については、「法案成立後、改めて審議会で検討の上、省令で規定することが適当。」としております。

 また、健康管理時間について、1週間当たり40時間を超えた場合のその超えた時間が1月当たり100時間を超えた労働者について、一律に面接指導の対象とし、さらに、面接指導を行わなかった場合の罰則を付すことが適当としております。

 また、面接指導の結果を踏まえた必要な事後措置の実施を法律上義務づけることや、この時間が1月当たり100時間以下の労働者であっても、申出があれば面接指導を実施することを努力義務とすることとしております。

 次に「(4)対象労働者の同意」については、「制度の導入に際しての要件として、法律上、労働者ごとに、職務記述書等に署名する形で職務の内容及び制度適用についての同意を得なければならないこととし、これにより、希望しない労働者に制度が適用されないようにすることが適当。」としております。

 次に「(5)労使委員会決議」ですが、制度の導入に際しての要件として、労使委員会の5分の4以上の決議の手続を設けることとしております。

 また「(6)制度の履行確保」としては、厚生労働大臣が指針を定めることとすること。そして、長時間労働防止措置及び健康・福祉確保措置の実施状況については6か月後に報告し、その後は関係書類の保存を義務付けることとしております。

 なお、「(7)年少者への適用」として、「本制度は年少者には適用しないこととすることが適当。」としております。

 次に「5 その他」の事項についてです。

 まず「(1)特例措置対象事業場」について、週44時間特例対象事業場については、そのうち約8割の事業場で既に所定労働時間が週40時間以下となっておりますが、一部の業種では過半の事業場でまだ所定労働時間が週44時間前後という状況であることが本分科会でも議論されたところです。

 こうした状況を踏まえ、「必要に応じ更に詳細な実態の調査を行った上で、特例措置対象事業場の範囲の縮小を図る方向で検討を続け、法案成立後、改めて審議会で検討の上、所要の省令改正を行うことが適当。」としております。

 次に「(2)過半数代表者」です。「『使用者の意向による選出』は手続違反に当たるなど通達の内容を労働基準法施行規則に規定する方向で検討を続けることが適当。また、監督指導等により通達の内容に沿った運用を徹底することが適当。」としております。

 また、「使用者は、過半数代表者がその業務を円滑に遂行できるよう必要な配慮を行わなければならない旨を、規則に規定する方向で検討を継続することが適当。」としております。

 次の「(3)管理監督者」です。

 管理監督者については、その範囲について、「引き続き既往の通達等の趣旨の徹底を図るとともに、その健康確保の観点から1(3)の労働時間の客観的な把握を徹底することが適当。」としております。

 また「(4)電子的手法による労働条件明示」です。

 先行事例等も参考に御審議いただいておりますが、「労働条件明示が事実と異なるものであってはならない旨を省令に規定する」ことと併せて検討を継続し、「法案成立後、改めて審議会で検討の上、所要の省令改正を行うことが適当。」としております。

 最後に「6 制度改正以外の事項」です。

 まず「(1)労働基準監督機関の体制整備」として、「労働基準監督機関が所期の機能を発揮できるよう、不断の業務の見直しを行うとともに、その体制整備に努めることが適当。」としております。

 また「(2)労働基準関係法令の周知の取組等」について、三六協定を知らない事業主が全体の約16%というデータもあったことを踏まえ、「労働基準関係法令が十分周知されていないことに伴う法令違反が依然として多数みられることから、一層の周知徹底に取り組むことが適当。また、使用者は、時間外・休日労働協定等を労働者に周知させなければならないとしている法の規定を踏まえ対応するよう、徹底を図ることが適当。」としております。

 なお、この資料は、表題にも「骨子案」とありますように、御議論のたたき台として事務局で用意させていただいたものですので、これを出発点といたしまして活発な御議論をいただければと思います。

 以上で説明を終わります。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 ただいま事務局から報告書骨子案の説明をいただいたところでございます。これから委員の皆様から御意見・御質問などを受けてまいりたいと思いますが、限られた時間の中でできるだけ効率的に議論を進めたいと思いますので、御協力をいただければと思います。

 その上で、効率的に議論を進めるために、今日事務局から示されたこの骨子案の論点ごとに区切って、以下、議論を進めていきたいと考えます。

 そこで、最初がこの骨子案1ページ目の「1 働き過ぎ防止のための法制度の整備等」ということで、ここにつきまして御意見あるいは御質問がありましたらお願いしたいと思います。

 では、鈴木委員どうぞ。

○鈴木委員 ありがとうございます。

 各論に入る前に、総括的なコメントをさせていただいてもよろしいでしょうか。

○岩村分科会長 はい。どうぞ。

○鈴木委員 ありがとうございます。

 これまで19回にわたりまして、働き過ぎ防止のための措置をはじめ、幅広いテーマについて真摯な議論を重ねてまいったところでございます。使用者側といたしましては、全体として、この報告書骨子案の内容をベースに議論していくことが適切であると考えております。

 ただ、報告書骨子案には、これまで話し合いが行われてきたものの、具体的な制度内容自体は必ずしも議論されていない点が含まれております。先ほど事務局からも御説明がございましたとおり、この骨子案は、あくまでも報告書取りまとめに向けて、議論を建設的なものとして深掘りするためのたたき台であるということを確認したいと思います。

 以下、若干、問題意識を申し上げたいと思います。

 第1に、年次有給休暇取得促進や労働時間の把握などの働き過ぎ防止のための措置に関しましては、新たな法的措置等を講ずる方向で議論を深めてまいりたいと考えております。ただし、年次有給休暇の取得促進一つをとりましても、業種・業態によって取得状況ですとか未消化の原因というものは異なり、その対応には職場の意識改革でありますとか上司のマネジメントの見直しなど、労使の積極的な取組が必要になってくるかと思います。

 また、産業や企業規模によって関係者の協力が必要となるなど、個社だけでは対応しにくいような状況もあると思っています。したがいまして、具体的な仕組みにつきましては、働き過ぎ防止のノウハウを十分持っていない企業にとって対応の困難を強いることにならないようにするという視点が重要ではないかと思っています。

 あわせまして、先にまとまりました政労使会議の合意文の中で、長時間労働を是正する意識改革を進め、休み方改革を推進することの重要性がうたわれております。年次有給休暇取得促進につきましても、現場の意識改革が進むことが不可欠でありますので、現場実態に根差した仕組みとすることが重要であると思っております。

 第2に、高度プロフェッショナル労働制の創設、あるいは裁量労働制の見直し、フレックスタイム制の見直しに関して申し上げたいと思います。

 労働基準法は、労働者と使用者の交渉力に格差がある中で、劣悪な労働条件が設定されることがないよう、工場法をベースに設けられた労働者保護の立法であります。その存在理由というものはいささかも変わっていないと考えております。ただ、メリハリのある働き方をしながら、創造性や想像力など、アイデア勝負で成果を出す働き方や、育児や介護を行う労働者にとって柔軟な就労が可能となる働き方など、労働者が求める働き方が多様になってきております。

 今回、働き方の多様化に対応した新しい制度の選択肢を増やす案が示されたことは、労働者の持てる意欲と能力を発揮する環境を整えるという意味で、我が国経済の再生にも資するものであり、まことに時宜にかなった内容であると思っております。

 その具体的な仕組みの検討に当たりましては、十分な健康確保措置や濫用を防止するための措置・手続は必須と考えますが、その内容が余りに厳し過ぎたり、対象となる範囲が狭過ぎたりしますと、せっかく労使にとってニーズがあるような措置が使われなくなってしまうおそれもございます。労働者保護の観点をないがしろにすることなく、他方で多くの企業あるいは労働者が選択できる観点も盛り込みながら、バランスのよい仕組みとすることが大切であると思っています。

 最後に、これまでも繰り返し申し上げてまいりましたが、成長の担い手は何と申しましても社員一人一人であり、企業にとって社員は貴重な財産であります。健康で生き生きと働き、ワーク・ライフ・バランスを図りながら、その持てる能力を最大限発揮していただくことが企業の競争力強化、ひいては我が国経済の再生につながると思っております。こうした観点から制度の詳細を詰めてまいりたいと思っております。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 ほかにはいかがでしょうか。

 では、新谷委員どうぞ。

○新谷委員 私も、各論に入る前に総括的な意見を申し上げたいと思っております。

一昨年の9月から計19回にわたって、この労働時間法制の在り方について論議を行ってきました。本日、事務局から骨子案が示されたわけでありますけれども、これまで議論を続けてきた結果がこの骨子案なのかと思うと、非常に徒労感を覚えます。この骨子案全体を通して見たとき、私たちが一貫して求めてきた、すべての労働者を対象とする「労働時間の量的上限規制」、「休息時間(勤務間インターバル)規制」といった長時間労働抑制策が盛り込まれていないことについては、極めて遺憾であるということをまず申し上げておきたいと思います。

 今、鈴木委員もおっしゃっていたように、ワーク・ライフ・バランスを図りながら労働者が生き生きと働くということを実現するためには、これまでの労使の自主的な取組だけではなく、実効性ある長時間労働抑止策を講じることが何よりも優先して論議されるべきであるということは再三、私ども申し上げてきたところです。今回示された骨子案では、そうした実効性ある長時間労働抑制策が全く講じられることなく、「高度プロフェッショナル労働制の創設」や「裁量労働制の見直し」といった、いわゆる労働時間の規制緩和策が中心的な内容になっており、非常に残念であるということもあわせて申し上げておきたいと思います。

 過労死が毎年100名を超える水準で発生している厳しい現実がある中、昨年の11月に施行された過労死等防止対策推進法において、過労死防止対策の推進が国の責務である旨が明確化されました。これは、立法府の総意として、過労死防止のための効率的な取組を国の責務として行うべしということを行政に突きつけたものであると思っております。この過労死等防止対策推進法第7条では、「政府は、~大綱を定めなければならない。」と規定されており、この大綱を定めるために既に過労死等防止対策推進協議会が設置されているわけでありますけれども、この協議会の場では法改正の論議は行わないとの整理がなされています。つまり、法改正に関する論議はこの労働政策審議会で行うという整理がなされておりますので、まさにこの労働条件分科会での論議が待たれていたことに鑑みますと、この過労死等防止対策推進法の持つ重みを、政府のみならず、労働法制の在り方を議論する労働政策審議会を構成している公労使の三者委員全員が真摯に受けとめるべきではないかと思っています。

 そうした観点から、事務局に対して、今日示された骨子案の内容でもって過労死防止対策の推進が国の責務として突きつけた課題に対する回答であると言えるのか、ということをまずお聞きしたいと思います。残念ながら毎年100名を超える方が過労死で亡くなっている現実がある中、この骨子案の内容で、本当に長時間労働に苦しめられて亡くなっている労働者の数を減らすことができるのか、事務局の見解をまずお聞きしたいということです。

 私どもとしては、今日示された骨子案には、「1 働き過ぎ防止のための法制度の整備等」の柱書に「法制度の整備の前提として、~監督指導の徹底とともに、~労使の自主的取組の促進等に積極的に取り組むことが適当」と書かれていますが、こうした認識自体に問題があると考えています。なぜなら、法治国家において行政監督の根拠となる法規制を設けることなく「監督指導の徹底」を行うことは不可能だからです。それゆえ、少なくとも、労働者の生命・健康にかかわる事項については「労使の自主的取組」に委ねるのではなく、労働条件の最低基準を定める労働基準法の中に明確に実効的な法規制を規定すべきであるということは重ねて申し上げておきたいと思います。

 さらに事務局に重ねてお聞きしたいのは、先ほどの点に加えまして、私どもが再三申し上げてきた、「労働時間の量的上限規制」や「休息時間(勤務間インターバル)規制といった長時間労働抑制策が、なぜこの骨子案に盛り込まれなかったのかということについて、見解を伺いたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 それでは、2点の事務局に対しての御質問ということでしたので、課長からよろしくお願いします。

○村山労働条件政策課長 新谷委員の御質問にお答えいたします。

 先ほどの資料説明にもありましたように、労働基準法で全労働者に対して労働時間の量的上限規制を設けることや、インターバル規制を設けるという趣旨の御主張をいただいたことは、重く受けとめております。一方で、これらの点について、特に量的上限規制を設けることに関しては、労使の隔たりが極めて大きいところです。一方、公労使各側の意見が一致している点として、過労死等防止対策推進法が施行されたことも踏まえ、働く人の心身の健康確保によりしっかりと取り組まなくてはいけないということがございます。

 そこで、労働側から御提起のあった労働基準法の改正項目のうち、量的上限規制については、労使の意見の隔たりが大きく、また、全ての労働者に適用される規制としてコンセンサスを得られないものが実効性を伴うのかという点も含めて考慮した上で、(1)の2の特別条項の部分については、健康確保措置も講じながら、履行確保も図っていく制度に関して、法令体系の中に位置付けることを、建設的な提案としていただいてきた経緯もあったと記憶しております。

 そうした内容をしっかりと位置付け、また労使の自主的な取組の促進策などの政策も含めて総合的に進めることによって、行政に突きつけられている過重労働対策について前進を図っていきたいという思いであることは、まず申し上げておきたいと思います。

 そして、いわゆる勤務間インターバル制の問題に関しては、分科会の中で実態に沿った議論も必要だということで、この間、個別の事例についても突っ込んだ詳細な調査を行った上で御報告してきたところです。その趣旨について前向きに捉えるべき点もあるということについては、皆さんの間で一致している面もあろうかとは思いますが、実態としてそれがどこまで広まっているのかという課題もあろうかと思います。

 こうした先端的な取組がより広まっていくよう、労働時間等設定改善指針の中で、終業時刻及び始業時刻の項目を設け、そうした取組事例を記載していくことや、高度プロフェッショナル労働制の健康確保策として盛り込んではどうかという案をお示ししていますが、長時間労働の防止のための一定の量的上限の問題と同じく、全ての労働者、全ての企業に適用される法令の中で、必ずしも十分な実態が伴っていないものを強行的に位置付けることが円滑な施行に資するかという点などさまざまな御意見も踏まえて、このように提示させていただいていると御理解いただきたいと考えております。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 ただいまの御説明をもって、それでわかりましたというわけにはまいりません。私どもとしては引き続き、長時間労働抑制のための実効性ある施策として「労働時間の量的上限規制」や「休息時間(勤務間インターバル)規制」を導入すべきであるということは、意見として重ねて申し上げておきたいと思います。

 以上であります。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 それでは、今日のこの骨子案の1につきまして、ほかに御意見あるいは御質問はいかがでございましょうか。

 では、鈴木委員から手が挙がりまして、その後、高松委員ということでお願いいたします。

○鈴木委員 ありがとうございます。

 3ページの年次有給休暇に関して、事務局に質問をさせていただきたいと思います。

 3ページの1行目のただし書きの終わりのほうに「上記の義務を果たさなくてよいものとして取り扱う」とございますが、これは義務がなくなるという趣旨なのか、具体的な法的な効果について教えていただきたいのが1点目でございます。

 2点目に、義務を果たさなくてよいケースの2つ目といたしまして、2で「年次有給休暇の▲割以上の日数を取得した場合」とございます。これまで日数の議論というものは行ってきたところでございますが、割合の話は今回初めて出てきたものであり、やや唐突感を覚える次第でありますが、割合の具体的なイメージがあれば御教示ください。

 3点目は、使用者が時季指定義務に違反した場合、罰則を想定されているのかどうか。それに関連しまして、諸外国で会社の時季指定義務を定めている国があるというお話でしたけれども、そうした海外で同じく違反時の罰則はあるのかどうか。

 最後に4点目ですが、比例付与対象者の扱いについて書かれておりませんが、それはこれからの議論という理解でよろしいのかどうかについて。

 以上4点をお聞かせいただきたい。

○岩村分科会長 では、事務局でお答えをお願いいたします。

○村山労働条件政策課長 4点のお答えに入る前に申し上げますが、骨子案は、一つのたたき台として、これから議論を深めていいただきたいと考えております。したがって、鈴木委員から、やや唐突感が否めないという趣旨の御指摘をいただきましたが、骨子案は、一つの案としてお示ししているということを御理解いただきたいと思います。

 その上で、4点についてお答えいたします。

 まず1点目ですが、(4)3つ目のポツの「上記の義務を果たさなくてよいものとして取り扱う」というのは、使用者に時季指定の義務を課した上で、この条件を満たす場合に使用者はその義務から解放されるという趣旨で記載していると御理解いただければと思います。

 次に、2の「▲割以上」のイメージに関しては、年次有給休暇の取得率が低迷している中で、基本的に全ての労働者の方に対し一定の日数は使用者に時季指定していただいて、確実に年次有給休暇を取得していくということを考えたいというのが基本的なコンセプトです。一方で、もう既に御自身の年次有給休暇を自ら時季指定して使っている労働者の方について、さらにこの使用者の義務付けが上乗せされると、本当に病気などのためにとっておきたい自由年休に食い込んでしまうということを防ぐために、一定のラインを設ける必要があると考えます。

 逆に言うと、ここら辺まで取得していれば、使用者の義務は解放するほうが適当ではないのかという一定のラインを考えていく必要があるのではないかという観点に立った記載ということです。そしてその一定のラインとしては、例えば政労使のワーク・ライフ・バランスの目標として、年次有給休暇取得率70%を2020年度までに目指すということもありますので、例えば議論の出発点として7割としたときに、労使からそれぞれどのようなお考えをいただけるか、御相談していきたいと思っております。

 御質問の3点目で、仮に条文化をした場合に罰則がかかるのかということです。年次有給休暇の規定自体、労働基準法の中に置かれているものですので、使用者に義務付ければ何らかの罰則がかかってくるという前提で御議論を深めていただければと思います。

 4点目です。比例付与対象者の取扱いについては、以前、このテーマについて御審議いただいたときに、使用者側から御提起のあった点であると記憶しております。その上で、基本的には等しく権利として構成されている年休権であることに鑑み、たたき台として記載していない、すなわち、出発点として比例付与対象者にも適用するところから、今後議論を深めていただきたいと考えていると御理解いただければと思います。

 回答は以上です。

○岩村分科会長 外国の例についてのお尋ねがありましたが、もしわかればということで、わからなければ次回ということでお願いします。

○村山労働条件政策課長 詳細は次回御報告したいと思いますが、年次有給休暇の規定について、労働基準法のような最低労働基準を定めている法律に位置付けている国とそうでない国がさまざまあり、特に純粋に民事の世界で規定している国もありますので、正確な資料に基づいて、お許しをいただければ次回以降、御報告申し上げたいと考えております。

 以上です。

○岩村分科会長 では、鈴木委員どうぞ。

○鈴木委員 ありがとうございます。

 今の御説明を私なりに整理いたしますと、これまでの年次有給休暇とは異なって、企業指定の年次有給休暇と労働者指定の年次有給休暇を色分けして会社が厳格に管理をしていくというイメージになろうかと思います。

 例えば、比例付与の日数が20日あった労働者がいらっしゃったとします。会社としては、気兼ねなく年次有給休暇をとるような環境を整えた上で、労働者が労働者本人の指定で7割に満たない、例えば20日の6割ですので12日をとったとします。それとは別に使用者が時季指定義務を課せられているということで、仮に使用者の指定をする一定日数が3日とした場合に、2日は会社が時季を指定したとします。結果、最初に労働者側がとった12日と、使用者側が指定した2日、合計14日とっているけれども、使用者側の時季指定義務の一定日数が3日。それに1日欠けるということで罰則が科せられることになるのではないかと思います。

 もとより、使用者としてこの制度を入れる方向性について賛成をしてきたというのは、年次有給休暇が1年の間でも一日もとれていない、あるいはとれていたとしても数日の方がいらっしゃる。しかも、そういった方々は長時間労働になっているということに対して何らか手当てをする必要があり、そうした方を対象に年次有給休暇の底上げをする必要性を感じたからであります。14日もとっているのに罰則をもって履行を強制するような仕組みが、果たして最低基準を定めた労働基準法のルールとしてふさわしいのか、違和感を覚えるところでございます。

 使用者が確実に年次有給休暇をとってもらう仕組みは、全労働者にかかわる、関係し得る、実務への影響の大きいテーマでございます。労働基準法制定以来、労働者の時季指定権と使用者の時季変更権のセットでスキームが構成されているものとは異なる仕組みを入れるということでございますので、この点は実務対応が可能となるよう、柔軟かつシンプルな仕組みにすることをよくよく考えないといけないという問題意識を持っております。

 最後に、比例付与対象者の件での御回答をいただきましたけれども、比例付与対象者は週30時間未満の所定労働時間ということで、そもそもそれほど過重労働が心配されるおそれがない方で、しかも所定労働日数、年次有給休暇の取得率もそれほど低くないというデータもあったかと記憶をしておりますので、この点は対象から除くような形での議論をしたいということを改めて申し上げたいと思います。

 私からは以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 1点つけ加えておきますと、今日の骨子案の中では、今、問題にしていた年次有給休暇の日数についてはどうするかというところで、3ページ目の一番上のポツの「ただし」のところでは1も入っておりますので、その点も含めて御検討いただければと思います。

○神田委員 すみません。この項目で少し意見があります。

○岩村分科会長 高松委員は別の項目でいらっしゃいますか。同じ項目でいらっしゃいますか。

○高松委員 いえ、同じ1の中の項目です。

○岩村分科会長 そうではなくて、今、年次有給休暇の話だったのです。

○高松委員 年次有給休暇以外の件です。

○岩村分科会長 それでは、神田委員お願いします。

○神田委員 ありがとうございます。

 年次有給休暇の取得促進に関しては、以前の審議会の中でも発言をさせていただきましたが、今回報告書骨子案としてご提示いただきましたので、改めて意見を申し上げます。年次有給休暇の取得は、本来、労働者の権利であるものの、年休の取得率は、平成12年以降、5割を下回る状況が長らく続いています。こうした現状を踏まえますと、年に一定日数の年次有給休暇を取得させるよう使用者に義務づける仕組みの導入については、私たち労働側としても前向きに捉えていくべきと考えております。

 ただ、その場合も、骨子案で●になっている日数が一体何日とされるのかという点が、我々にとっても極めて重要であり、この日数が余りに低い水準で規定されたということになれば、全く効果のない仕組みとなってしまいます。

 ついては、先ほども公労使三者による政策目標のご説明があり、年次有給休暇取得率70%を2020年度までに目指すということでしたけれども、年次有給休暇の取得率が5割弱、取得日数では9日程度にとどまっている現状を踏まえますと、目標と実態のギャップを埋め合わせるに足るだけの日数が規定されるべきであるということを重ねてお願いをしておきたいと思います。

 また、使用者が時季指定を行う場合について、骨子案では、「労働者への意見聴取」と「労働者の意思尊重」の双方ともに努力義務とされておりますが、これらにつきましては努力義務にとどめるのではなくて、義務とすべきです。さらには、「意見聴取の方法」についても、省令で規定することとすべきであると考えております。

 年休の取得、時季指定は、本来、労働者の権利であるところ、今回はその考え方を一部逆転させ、使用者に時季指定義務を課すとの大きな決断をしようとするものである以上、「労働者への意見聴取」、「労働者の意思尊重」を義務づけるのは当然であると我々働く側としては考えております。

 また、使用者において労働者の意思を尊重せずとも許されるのは、「事業の正常な運営を妨げる場合」に相当するような重大なケースに限られるといったことも、あわせて措置されるべきであるということを意見として申し上げておきたいと思います。

 ありがとうございました。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 ただいまの神田委員の意見に対するコメントでございますけれども、ある同一時に複数の労働者の時季希望が重なった場合については、これを義務づけ規定としてしまいますと、使用者としては動きがとれないということになってしまいますので、その点を考える必要があるだろうと思います。

 また、同じように、業務の正常な運営を阻害するかどうかというのは、あくまでも労働者の側が時季指定権を持っているときの話でありますので、このような使用者側が時季指定権を持っている場合については必ずしも当然に当てはまらないのではないかと私自身は理解しております。

 これはまた、労使の間で御議論をいただければと思います。

 続きですか。

 それでは、新谷委員どうぞ。高松委員、申しわけありません。

○新谷委員 先ほど、神田委員が年次有給休暇の取得促進に関する意見を申し上げて、その意見について岩村分科会長から補足をいただいたところでありますが、今回提起いただいた骨子案では、1「労働者の意見聴取」も努力義務でありますし、2「労働者の意思尊重」ですら努力義務になっています。

 我々としては、年次有給休暇の取得は、本来、労働者の権利であり、労働者の時季指定によって行使されるという法構成でこれまで来たものの、年休の取得率が5割を下回る状況が長らく続いていることから、これまでの法構成を大転換させて一定日数の年休を取得させるよう使用者側に義務付ける仕組みを提案したわけでありますので、この仕組みにおいて、労働者の意見を聞かずに指定をするような、要するに制度を悪用するケースをどう防止するかということは非常に重要な課題であると思っております。世の中にはいろいろな使用者がおられますので、こういう法制ができたときに、労働者の意見を聞かずに、あるいは労働者の意思も尊重もせずに、どんどん使用者側で勝手に年次有給休暇の時季を決めてしまい、「指定したから、その日に休みをとれ」といった事態になることがあり得ることも当然想定しなければいけないと思っております。

 岩村分科会長からご指摘いただいた、「業務の正常な運営を阻害するか否かという判断基準は、あくまでも労働者の側が時季指定権を持っているときの話であるので、今回のように使用者側に時季指定権を持たせる場合については必ずしも当てはまらないのではないか」という点については、私どもとしても当然に理解はしております。労働者の権利である場合の時季変更権の考え方と、労基法に規定されたことによって刑罰を伴う使用者側の義務という形になったときの時季指定義務の考え方とは、当然には一致しないというご意見は確かにそうかもしれません。しかし、年次有給休暇の取得(時季指定)は、本来、労働者の権利であることに鑑みれば、使用者の時季指定義務という制度においても、「労働者の意見聴取」と「労働者の意思尊重」が、努力義務ではなく義務として規定されない限り、我々としては、受け入れがたいということを重ねて申し上げておきたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 それでは、お待たせしました。高松委員、どうぞ。

○高松委員 ありがとうございます。

 私のほうから(1)の「1中小企業における月60時間超の割増賃金率の適用猶予の見直し」について少し意見を申し上げたいと思います。

 今回の骨子案では、業種を問わず、全ての中小企業について割増賃金率50%を適用するという書きぶりになっています。これはこの間、労働側として求めてきた内容ですので、その点では評価させていただきたいと思っています。

 ただ、最後のポツのところで、施行時期については、「中小企業の経営環境の状況に照らし、上記の施行時期は平成●年とする」ということで曖昧に記載がされております。先ほどの説明の中では、「他の改正項目の施行時期とずらすという趣旨での記載をしている」ということで、やや遅らせて施行するという説明であったと理解しています。ただ、同じく骨子案の説明の中では、今回幾つか法改正されるポイントがある中、平成26年6月に閣議決定された「『日本再興戦略』改訂2014」においては働き過ぎ防止のための取り組み強化が改革の大前提であると、すなわち、改革の大前提としてこの「1 働き過ぎ防止のための法制度の整備等」があるとされている、という説明であったわけでありますから、「1中小企業における月60時間超の割増賃金率の適用猶予の見直し」を他の項目との関係で施行時期を遅らせることについて、「中小企業の経営環境の状況に照らし」という理由だけでは、少し根拠として足らないのではないのかなと思っています。

 もう既に、月60時間超の割増賃金率の適用猶予は、2010年の法施行以来5年も経過していることでありますから、もちろん中小企業の経営環境は大変であろうということは十分承知していますけれども、やはりそこの企業で働く者の大変な過重労働、そして低賃金の中で長時間労働にならざるを得ない状況の解消を図るということは、まさに待ったなしの課題であると思っています。

 したがって、施行時期に関して、ここの●となっているところについては、他の改正事項に遅らせることなく、同時に施行すべきと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 それでは、小林委員どうぞ。

○小林委員 今の長時間労働抑制の、60時間超の時間外労働に関する割増賃金率50%の適用猶予の件なのですが、これは一番上のポツに書いてあるように、中小企業において特に長時間労働比率の高い業種、運送業を例に挙げて話はさせていただき、独自の企業では解決できないためいろいろな形で関係行政機関とか業界団体と連携しながら解決に臨んでいきましょうと申し上げました。これはやはり十分な時間をとらないとできない側面があると思います。ですから、施行に関しては十分な時間をとるようにひとつお願いしたいというのが1つです。

 それから、先ほどの年次有給休暇の取得促進について、意見を申し上げさせていただきます。

 年次有給休暇の時季指定を使用者に義務付けることというのは、異論はございません。しかし手続について、今までの分科会の中ではそう突っ込んで議論をしてこなかったというのがございますし、日にちも何日であるというのも議論してこなかった。これから考えていかなければいけないとは思うのですけれども、ちょっと見る限り、年次有給休暇の何割以上を取得した場合には使用者の義務が解かれるという仕組みなど、これは、年次有給休暇というものは個人ごとそれぞれ違う現状になっています。新規で入って、雇用されて、6か月継続勤務をして、それで10日という付与になっていますし、その10日付与がスタートで、一定年数ごとに加算していくという状況があって、新人から入って、それぞれの従業員ごとに日にちが異なるというのもございますし、先ほど鈴木委員が言っていた、短時間労働者については比例付与という仕組みをとっているわけです。

 それぞれの方々が何日休んだか、全体で何日で、何日休んだかというのも含めて言いますと、企業側も管理は徹底しなければならないのですけれども、やはり複雑な仕組みで現状でも有給の管理は行っているところであると思います。その中で今度、手続面で時季指定というものが加わりますと、これは事業者にとっても、それから、労働者にとっても、かなりシンプルでわかりやすい仕組みであったらいいのですが、複雑なものになるとなかなか守れないという状況があるので、その点は十分考えて御検討いただきたい。

 使用者側の鈴木委員が前回、この年次有給休暇取得の時季指定権のときに、一日も年次有給休暇をとらない方が企業の中にいらっしゃったりとか、年2日、3日ぐらいしか年次有給休暇をとらない方がいるという現状を申し上げました。私どもの職場でもそういう方はいらっしゃいます。休んでくれと言ってもなかなか休まない。これは休めないという環境と、休まないという環境があるのだと思うのです。その中でこの時季指定権ということで、実際に指定はしたけれども休まないケースもまたあるかもしれないです。そういう場合には罰則がどうだというのも含めて、シンプルな形で、わかりやすい形のものを検討していく必要があると思いますし、この点については十分議論いただきたいというのがお願いでございます。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 では、山川委員どうぞ。

○山川委員 1つは、使用者の義務ということの意味の問題ですけれども、指定をすること自体が義務というよりも、結局のところ、今の労働基準法の構造のもとでは年次有給休暇は付与しないことになった場合に義務違反として罰則の問題になる。それで、指定というものは特定の方法であるというふうに考えるのかなと。特に罰則まで考えるとそうなるのではないかというのが1点で、この辺りは理屈の話でもあるので、具体的に考える必要があると思います。

 もう一つ、先ほどの尊重の話ですけれども、尊重することを義務付けて罰則をかけるのは法令的にそもそもできるのかという問題が結局、同意みたいなきっちりとしたものになるとすると、そもそも提案の趣旨からはずれてくるので、少なくとも尊重に関しては、やはりかなりふわっとした法律構成にならざるを得ないのかなという感じがします。

 もう一つ、これは先ほど鈴木委員が具体的に12日というふうに例をおっしゃっていて、その点は興味があるので、もう一度御説明いただければと思いますけれども、すみません、お願いです。

○岩村分科会長 では、鈴木委員お願いいたします。

○鈴木委員 これは理解が違っていれば、ぜひ事務局からフォローいただきたいと思うのですけれども、私どもは義務が解放されるものが、例えば使用者の時季指定の日数が仮に3日であったとして、労働者の指定する年次有給休暇であろうと、使用者が指定する年次有給休暇であろうと、色をつけずに何らか3日以上とっていればいいですということであれば違和感はないのです。

 しかし、労働者の時季指定の年次有給休暇が多少多くても、7割に達していない場合、使用者が3日なら3日を指定するということになりますと、これはそもそもの議論の出発点である、3日ぐらいもとれていないような方々に対して、過重労働防止のために確実にとってもらおうという性格の議論から外れてしまうのではないかという思いを持っているということでございます。

○山川委員 この辺りは、具体的にさらに今後検討したほうがいいかなという気がするのです。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 では、村山課長お願いします。

○村山労働条件政策課長 鈴木委員から、事務局からも少し可能なら補うようにとのお話もありました。問題の構造について申し上げます。今、山川先生の御質問に対して鈴木委員が主張されたのは、年X日というラインがあり、計画年休であれ、計画年休プラス自由意思による労働者の時季指定であれ、何らかの形でX日まで年休を取得したら、この新しい義務からは解放されるというのがかねて使側が主張されてきたところであり、今後もそれをベースに細かい要件を詰めていきたいという御主張ということです。

 すなわち、X日未満しかとれていない人はX日まで必ず時季指定し、既にX日を超えている人に対しては特段今回の枠組みは適用しないという整理で議論を出発させるのが使側の主張であるという理解です。

 一方、この骨子案に記載しているのは、全ての人に対して基本的にX日プラスしていくことです。全体の取得率が低いので底上げという際、年休がほとんど取れていない人をイメージするのか、全体を上げていくのかという出発点が、使側の主張とこの骨子案で異なっていて、まず、そこに論点があるということが1つです。

 その上で、小林委員から複雑であるという御指摘もいただきましたが、全ての方についてX日はプラスする考え方だと、先ほど鈴木委員も具体的な例を挙げられましたが、年休自体は一定の日数であるわけです。使用者による時季指定は、気持ちとしてはなるべく年なり年度の早いうちにしていただければと思いますが、事業の運営上、そうもいかない場合があり、年なり年度の途中で使用者が、新たな義務を履行しようした場合に、もう既にその労働者の方はたくさん年休を取ってしまっているとしたら、その場合にさらにX日を使用者が指定すると、ほとんど自由に取れる分がなくなってしまうことになります。それでは労働者のニーズに合わないので、どこかで頭打ちのラインを入れるべきではないかというのが、先ほど複雑であるという御指摘もいただいた、2の考え方です。

 これはあくまで、これから議論を深めていただくためのたたき台ですので、何割かと言われれば、政労使の目標があるということを先ほど付言したということです。

 そして、細かい話で恐縮ですが、先ほど鈴木委員が挙げられた例で、仮に20日のうち12日は既に自由に取得されるなり、計画年休の対象という場合に、私どもが言っているのは、残りの2日について使用者に指定していただけば義務から解放されるということで、その場合まで、3日なら3日としてしまうと7割のラインを超えますので、骨子案ではそこまでは求めていないということを申し上げております。

 最後は少しテクニカルな話ですが、基本的にどこを出発点にするかという2つの主張を元に、これから議論を進めていただければと考えております。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 非常にテクニカルな話の部分もございまして、もう少し議論を細かいところについて詰める必要はあると思うのです。ただ、先ほどの鈴木委員の御意見の根底にある、要するに年次有給休暇が取れていない人に新たにプラスするという発想で考えるのか。

 あるいは、事務局の背景にある考え方は、当然、年次有給休暇が取れていない人に年次有給休暇を取ってもらうとともに、政労使合意で70%という取得率の達成目標があるところ、それが極めて低迷しているということも考慮した考え方というものを一つ、たたき台のたたき台という形で示されたということかなと思っております。大きな線で言うと、そのどちらにより重きを置いて考えるかというところかなと思っております。

 年次有給休暇ばかりを議論していると先が進まないのですが、先ほど山川委員が御提案されたように、もう少し詰めたところを考えていく必要があると思いますが、新谷委員はこの関連で、では少しだけということで、よろしくお願いします。

○新谷委員 年次有給休暇の取得促進は、重要な論点だと思います。そして、使用者の時季指定義務は新しい概念ですので、労使共通のコンセンサスをとるためにも、ぜひ事務局にはポンチ絵を準備いただきたいと思います。

 先程、岩村分科会長に考え方をまとめていただきましたけれども、我々としては、年次有給休暇の取得率がこの20年来、40%台にとどまっている中で、いかに年次有給休暇の取得率を上げていくかという考えのもと、年に一定日数の年休を取得させるよう使用者に義務付ける仕組みの導入というものを提起したわけです。使用者側が主張されるような、「使用者が指定する年次有給休暇であろうとなかろうと、何らかの形で年3日以上とってさえいればいい」、「3日を超えればこの義務が履行された」というのであれば、長時間労働の抑制策として果たして意味があるものなのかという思いがあり、このことを欧米諸国の労使が聞けば、「日本ではたった3日の年休取得しか義務化されていないのか」という違和感を感じられると思うのです。やはりこうした面も踏まえた上で、日数については、「長時間労働の抑制をどうするか」という視点からぜひ検討いただきたいと思います。

 事務局には、ぜひポンチ絵のご用意をお願いしたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 できれば次のフレックスタイム制に移りたいと思いますが、あとお二方、お手を挙げていらっしゃいますので、お二方に御発言いただきまして、一旦フレックスタイム制の見直しに移りたいと思いますが、また後ほど1のところに戻っていただいても構いませんので。

○新谷委員 いや、まだ申し上げたいことがたくさんあります。

○岩村分科会長 ただ、1のところはたくさんあるということも重々承知はしておりますけれども、他方で2以下についてもできる限り、今日は労使の御意見を聞いておきたいという思いもございます。ですので、一旦はお二人に御発言いただいた後、フレックスタイム制以下に進んでいただいて、また1のところについては御発言をいただく機会を持ちたいと思います。

 それでは、恐縮ですけれども、まず八野委員からどうぞ。

○八野委員 ありがとうございます。

 先ほど新谷委員から発言がありましたように、働き過ぎ防止のための法整備は非常に重要であるというところで「(1)長時間労働抑制策」の「2健康確保のための時間外労働に対する監督指導の強化」の項目に関して、事務局に確認をしたいと思います。

 冒頭ありましたように、「実効的な長時間労働抑制策を講じることを最優先にすべきである」という労側の考え方からすれば、この項目は非常に重要な意味を持っていると位置付けています。

 まず骨子案の1つ目のポツですが、「労働基準法を改正し、行政官庁が、時間外限度基準に関して的確な助言・指導を行うことが適当」ということが出ておりますが、時間外限度基準そのものは、今後もそれに違反したとしても使用者が処罰されることのない、いわゆる強制力のない告示の形式のままで据え置かれることになるのか。それとも、使用者は行政の助言・指導に従わなかった場合には処罰されることになるのか。まず、その辺をお聞きしたいということです。

 基本的な労側の考え方としては、時間外限度基準というものは告示ではなく、やはり法律へと格上げすべきであろうと考えています。時間外労働の上限規制を法定化し、それに違反した使用者を処罰することで実効性を確保すべきであるということです。

 次に、「時間外労働の特別条項を協定する場合の様式を定める」と書かれていますが、新たな様式のもとに使用者が記入するとされています健康確保措置等の事項について、仮に使用者が届け出たとおりにそれらを実施しなかった場合、どのような取り扱いになるのか。すなわち、届け出たとおりの措置を行うべきことは罰則等で担保されるのかということです。

 これらの点については、先ほども言いましたように、これまで同様に強制力のない告示のままである場合には、あるいは、罰則等で担保されるわけではないということであれば、やはり長時間労働の抑制の観点から見ますと、実効性に欠けてしまうのではないかという疑念があるということです。

 また、今度は骨子案の3つ目のポツですが「健康確保措置として望ましい内容を通達で示す」とありますけれども、具体的にはどのような内容を規定することを想定しているのかということをお伺いしたいと思います。

 先ほどから何度も申し上げているように、使用者にとって強制力を持たないスキームであれば、我々が求めている実効性ある長時間労働の抑止策にならないと考えております。そういう意味で、やはり健康確保措置を講じるということで見ていきますと、低いレベルのものであっても許されるということであればまったく意味がないため、ある程度の高いレベルにしていくことが必要であろうということで、この点についても事務局の見解をお伺いしたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 では、事務局でお願いいたします。

○村山労働条件政策課長 3点のお尋ねをいただきましたので、順次回答いたします。

 まず1点目です。八野委員から御説明いただいたとおり、現行の労働基準法第36条の関連の規定は行政の助言及び指導の根拠規定であり、罰則での担保という意味では、強制力はありません。この性格を変えない前提でここは記載しております。

 2点目です。その前提での法律体系の中で実施していく案ですので、仮に様式を改めた場合にも強制力は持たないということです。

 ただ、1点申し上げておきたいのは、以前の回で調査的監督の状況も御紹介いたしましたが、時間外限度基準告示が法律に行政指導根拠を持つ形になってからの一連の粘り強い監督指導の結果、特別条項にかからないところの延長時間はほとんどの事業場で、月45時間、年360時間の中に収まっておりますし、また、それに向けての監督指導、法律の言葉で言えば助言及び指導に努めてきているのは事実です。

 労使で自主的に結ばれる協定について、行政が指導や助言をすることによって、より、一定の枠の中に時間外労働をとどめていくという取組を一層追求していきたいという気持ちでお示ししていることは申し上げておければと思います。

 3点目の健康確保措置については、現行のさまざまな制度の中で、さまざまな健康確保措置が規定されておりますが、それらも踏まえながら、この場合の健康確保措置としてどういうものが望ましいのかについて、現下の長時間労働の実態等に照らして、今後議論を深めていただければと考えております。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 宮本委員にということでお願いしていたのですが、冒頭に申し上げましたように、池田委員が17時半で退席されるということですので、今、池田委員で御発言があればお願いいたしたいと思います。

○池田委員 私のほうは、フレックスタイム制について意見と質問を申し上げたいと思います。

 以前も申し上げましたが、清算期間の延長とセットで、過度な長時間労働にならないように、所定労働時間に一定の上限を設けて、それを超えた部分については割増賃金の支払対象にすることについては、異議はございません。

 この骨子案では、1週平均または1カ月●時間となっておりますが、事務局で何か想定しているものがあれば教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○岩村分科会長 では、事務局でお願いいたします。

○村山労働条件政策課長 2の(1)の●の部分に関しては、具体的な数字の議論にまだ入っていないところですので、これからの議論と考えております。この要件を設ける政策的な意図は、上にも記載しているように、子育てや介護、自己啓発などさまざまな生活上のニーズと仕事との調和を図っていくという観点に照らせば、あまりにこの時間が長いと、この制度が、労側がかねて懸念されているように、業務量が多い時期には過重労働に陥りやすくなる可能性もあるのではないかという懸念をしっかりブロックする数字であることが必要ではないかなと思っております。

 例えばですが、1年単位の変形労働時間制で、対象期間が3か月超のケースが多くなっていると思いますが、こうした変形制でも、これを上回ったら割増賃金を払っていただくというラインは、週48時間です。こうしたものも一つの参考になるのではないかと考えております。週48時間ですので、48引く法定の40で8時間、掛ける7分の3031ということで、月に換算すれば3435時間というラインになります。

 この定め方についても(又は1月)と記載しており、今、月に換算する計算をしましたが、時間外限度基準告示等の履行の中で、1月で運用がなじんでいる面もあるのではないかという御意見もあるでしょうし、また、その1月の時間数との兼ね合いをどう考えるかという御意見もあるのだろうと思います。そうした点について、これから労使の御議論を深めていただければと思いますが、事務局としては例えば先ほどのラインを想定しているということです。

 以上です。

○池田委員 わかりました。

 よろしいですか。

○岩村分科会長 池田委員、どうぞ。

○池田委員 この制度については、対象の労働者に始業・終業の時刻の決定を委ねるものであると思いますので、この上限時間につきましても柔軟に設定してもよいのだろうかと考えておりますが、具体的にはまた次回以降、意見を表明させていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 それでは、宮本委員、申しわけありませんでした。どうぞよろしくお願いいたします。

○宮本委員 ありがとうございます。

 それでは、長時間労働抑制策の、2ページの「3所定外労働の削減に向けた労使の自主的取組の促進」について一言意見を申し上げたいと思います。

 ここに記されている文章そのものを読みますと、「労使の自主的な取組を促進する労働時間等設定改善指針の中に『1か月に100時間』又は『2か月間ないし6か月にわたって、1か月当たり80時間』を超える時間外・休日労働が発生するおそれのある場合、適切な健康確保措置を講じる~ことが望ましい」云々という旨の趣旨が盛り込まれているわけであります。

 しかし、「1か月100時間」といえば、まさに過労死につながるような、心身の健康を確保することが極めて困難な労働時間の水準であると思うわけでありますし、また「2か月間ないし6か月にわたって、1か月当たり80時間」もの時間外労働が続いた場合、それこそ脳・心臓疾患のみならず、ストレスですとか、あるいは睡眠障害などの症状が慢性的に続くおそれもあるわけであります。心身の健康にもたらす弊害は極めて大きいように思っています。

 過労死認定基準を超えるほどの時間外・休日労働に達するころになって、ようやく初めて適切な健康確保措置を講ずるというのではあまりにもタイミングが遅過ぎるのではないかと思いますし、労使が自主的に時間外労働の削減のために取組を促すのであれば、過労死認定基準に達する前の段階、例えば月60時間といったタイミングで何らかの健康確保措置を講ずるといった方が望ましいのではないかと思うわけであります。

 特に労働組合のないような企業などでは、労使が時間外労働の削減について協議をする機会はほとんどないと思いますので、経営トップが時間外労働の削減に関与する、そういった仕組みなども必要ではないかと思っています。労側としてこれまで何回も主張してきましたけれども、所定外労働を削減するためには、全ての労働者を対象に労働時間の量的上限規制ですとか、あるいは勤務間インターバル規制のようなものを導入することが、この健康確保をするために最も効果的であるという点については繰り返して強調しておきたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。御意見ということで承りたいと思います。

 それでは、また1に戻ることもあるということで、恐縮でございますけれども「2 フレックスタイム制の見直し」に移りたいと思います。ここにつきまして、御意見あるいは御質問がありましたら、お願いしたいと思います。

 では、八野委員どうぞ。

○八野委員 意見として述べさせていただきたいと思います。

 ここにも書いてありますように、やはりフレックスタイム制度の活用というものは、これから子育てや介護といった事情から非常に重要になってくると思います。団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる 2025年問題ということもありますので、介護をしながら働かれる方も非常に増えてくると思っています。ワーク・ライフ・バランス等の観点に照らしても、その活用促進を図っていくことについては非常に評価をしております。ただし、その活用促進を図るに当たっては、制度の緩和を行うのではなく、骨子案の柱書に書かれているところの「フレックスタイム制の活用促進に向けた労使の取組に対する支援策を講じる」ということがまずもってなされるべきではないかと思っています。

 以前、分科会の資料の中でも、フレックスタイム制を導入していない理由として、「取引先・顧客に迷惑をかけるおそれがあるから」や、「業務遂行の効率性・生産性が低下するおそれがあるから」という理由が多く挙げられていたと記憶しております。やはり導入が進んでいない原因を十分に究明した上で、フレックスタイム制の導入に二の足を踏んでいる企業の背中を押すべく、企業や組織の風土、または業務の改革に向けた支援・援助がまずは優先されるべきだと考えています。

 今回の議論の取りまとめに当たっては、予算措置を講じた支援策を含め、「労使の取組に対する支援策」の具体的な内容についてしっかりと詰めていくべきであると考えています。

 以上です。

○岩村分科会長 貴重な御意見をありがとうございます。

 ほかにはいかがでございましょうか。

 それでは、新谷委員どうぞ。

○新谷委員 1の項目でまだ申し上げたい点はあったのですけれども、2の項目に移るということですので、フレックスタイム制に関して、まず申し上げたいと思います。

 フレックスタイム制について、「清算期間の上限を1か月から3か月に延長する」ことについて、私どもとしては賛成できないということをまず申し上げたいと思います。なぜかということでありますけれども、清算期間の延長を認めるということであれば、3か月という期間の中で、その総労働時間の枠内に労働時間が収まればいいということになりますので、1か月という期間で見ると特定の月に長時間労働となってしまい、現行制度に比べて過重労働となってしまうという懸念がやはり否めないということです。

 現在、1週間40時間の上限規制がありますので、清算期間が1か月の場合であって、清算期間の日数が31日である月に関しては、当該1か月における法定労働時間は、40掛ける7分の31177.14時間というのが計算上出てくるわけでありますけれども、3か月に清算期間が延長された場合には、その3倍分の53142時間が総労働時間数として考えられるわけでして、その総労働時間内で労働するように調整すればいいことになるわけです。

カレンダー上、1か月の日数が31日の場合が3か月続くことはありませんので、 1か月における法定労働時間は177.14時間よりは少ないかもしれませんけれども、いずれにしても、その3倍近い法定労働時間中で調整が図られるということになりますので、特定の月に過重労働が生ずる懸念は高まってしまうということであります。

 また、骨子案の4ページの2のリード文に、「子育てや介護自己啓発など様々な生活上のニーズと仕事との調和を図りつつ」を書かれており、あたかも見直しは労働者のニーズに合致するのだという書き方がされています。しかし、会社がこの制度を導入していなければ、いくら労働者に子育てや介護のニーズがあったとしても、そして労働者が手を挙げたとしても、この制度が適用されることはありません。例えば子育て中の人が権利と考えて、企業に対してこの制度を適用してほしいと言ったとしても、それだけでは制度が適用されるわけでもないのに、このような書き方としたのではミスリードするのではないかと思います。

 それでは、清算期間の上限を3か月に延長すればどういうことが起こるかといいますと、この制度の対象者はホワイトカラーの方が多いでしょうから、例えば経理部門の方で考えた場合に、決算期が3月末決算だとしますと、決算発表にあわせて4~5月は長時間働いて、6月は2か月間長く働いた分だけ労働時間を減らすようにすれば、使用者にとっては時間外労働対する割増賃金の支払いが回避できることになります。私は、このような使い方が想定されるのではないかと見ております。このような形で制度を利用した場合は、過重労働の防止という観点からすると、かなり逆行することになります。このことは、2つめのポツで「1か月ごとに1週平均●時間を超えた労働時間については割増賃金の対象とする」とある「1か月ごとに1週平均●時間」の部分、すなわち当月単位での清算時間を何時間にするかということにもかかってくるわけですけれども、そういった懸念があるということをこの場では申し上げておきたいと思います。

 それから、仮に清算期間を3か月に延長するというのであれば、今の1か月単位の労働時間管理とは異なる管理が必要になってくるわけです。1か月単位であれば、毎月の賃金台帳でその月の労働時間が労働者にも通知されるわけですけれども、これが3か月単位になった場合には、清算期間における各月の労働時間を3か月にわたって積算していかないといけません。要するに、清算期間中の3か月の労働時間がどうなっているのか、3か月目に入ったときに、労働者自身にとって調整可能な労働時間の枠が一体何時間残っているのかというところが分からなければ不都合であるわけです。ですから、これは仮にこういう制度を運用するのであれば、当該清算期間中において、適宜、労働者自身が自らの労働時間の積算された状況を確認することができるよう、使用者側に実労働時間の状況について労働者に通知しなければならないとする「通知義務」を課さないと運用上問題があるのではないかという懸念もあわせて申し上げておきたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 ほかに、フレックスタイム制について、いかがでございましょうか。よろしゅうございましょうか。

 では、田中委員どうぞ。

○田中委員 今のフレックスタイム制のところなのですけれども、フレックスタイム制を導入する企業はそれほど多くないという御報告があったと思いますが、このフレックスタイム制は働く人にとっては働きやすい選択肢の一つであることは間違いがないと思うのです。むしろ、今回の見直しによってフレックスタイム制を導入する企業が増えるほうが働く方の働きやすさが拡大するのではないでしょうか。もちろん清算期間延長にどう対応するかテクニカルな問題はありますし、先ほどの有給休暇と同じで、複雑にするとかえってなかなか根づかないので、シンプルにわかりやすくしていく必要はありますが、この清算期間延長によってフレックスタイム制を導入することを検討する企業が増えることが、この見直しの一つの目的ではないかと考えております。

 そういう意味で、ミスリードと新谷委員はおっしゃいましたが、、これがトップに来るのがいいかどうかは、ダイレクトにすぐに結びつくものではない部分もありますから検討する必要はあるとは思いますが、この見直しをした結果、フレックスタイム制度を入れる企業が増える、その結果として、育児や介護の局面で働いている人たちが選択するオプションが増えるという流れで理解をしていき、かつ、そういった効果がつながるように、テクニカルな清算の方法であるとか、それに対する規制の方法であるとか、通知方法を検討していく議論をしていったほうがいいのではないかなというふうに意見として考えております。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 では、新谷委員どうぞ。

○新谷委員 先ほど八野委員も申し上げましたように、労働側としても、このフレックスタイム制度自体は、ワーク・ライフ・バランスの観点から言えば、これは私どもとしても評価をしているわけでありまして、そのために活用促進を国としても図るべきであると申し上げております。

 ただ、この示された骨子案の「子育てや介護」といった書きぶりですと、一般の国民が見たときに、自分が手を挙げればフレックスタイム制が適用されるのかというふうに読まれかねないわけです。その意味で、今、田中委員もおっしゃっていただいたような、もう少し誤解を招かないような書きぶりにかえないと誤解を与えてしまいかねないという懸念を申し上げたということです。

 以上です。

○岩村分科会長 田中委員の御意見も、また新谷委員の御意見もそれぞれ大変貴重なものであると思いますので、今後、骨子案をさらにまとめていくに当たっては、今の御意見を勘案しつつ文案を考えてまいりたいと思います。ありがとうございます。

 ほかにはいかがでございましょうか。

 よろしければ、次に5ページの「3 裁量労働制の見直し」について御議論いただきたいと思います。御意見あるいは御質問があればと思います。

 それでは、高松委員どうぞ。

○高松委員 ありがとうございます。

 それでは、3の「裁量労働制の見直し」について、若干の意見と、事務局への質問をしたいと思います。

 まず、裁量労働制の見直しについて、5ページの柱書前段の書きぶりの中で、「組織のフラット化」などいろいろと背景事情らしきものが書かれているわけでございますが、これまでの審議会でも申し上げてきたとおり、この文章を読んでもいまいち、必要性といいますか、なぜ裁量労働制の拡大をすることが必要なのかということが理解できない、という点を、まず申し上げておきたいと思います。したがいまして、実効的な長時間労働抑止策を講じない中、裁量労働制の拡大をする必要性が理解できない以上、制度の拡大については反対であるということについて、まず基本的スタンスとして申し上げておきたいと思います。

 その上でということでございますが、骨子案には企画業務型裁量労働制の対象業務として、新たに2つの類型を追加する旨が書かれてございます。そのうちの1点目の類型についてでございますが、法人顧客を相手にする営業の業務という書きぶりになっていますが、これが具体的にどういったものを指すのかがわかりづらい。「法人顧客を相手にする営業の業務」とした場合、読み方によっては、顧客が法人でありさえすれば結局のところは全ての営業業務が該当してしまうのではないかという懸念があるということでございます。

 すなわち、営業という業務であれば、営業相手のニーズを聞いて、そのニーズを踏まえつつ、相手が抱えている課題を解決し、商品を販売します。これは営業の業務においては極めて普通に見られる姿であり、一般的な業務なのだろうと思っていますから、企画業務型という名にふさわしい業務に本当に絞り込めるのかどうなのかという観点からしますと、この1つ目の類型事案のような書き方ではなかなか難しいのではないのかなと思います。

 次に、2点目の類型についても、「事業の運営に関する事項の実施の管理」と「企画立案分析調査」を一体的に行う業務という書きぶりになってございます。このように「事業の運営に関する事項の実施の管理」ということになってきますと、このような管理業務を行っている労働者であれば、既に管理監督者に該当する方なのではないのかと考えます。そうであるとすれば、これは裁量労働制の対象とする必要のない層であり、あえて新たに書きぶりを変える必要はないのではないかと思っておりますから、この点についてどういう考え方なのか、事務局の見解をお聞きしたいと思っています。

 いずれにしても、この両者とも、意見を述べた点は一例にしかすぎないと思いますが、対象業務についての書きぶりを見る限り、業務について厳格な枠をはめることができるようになっているとは思えないと考えます。こうした意見でございますので、よろしくお願いしたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 では、お尋ねであったと思いますので、村山課長お願いします。

○村山労働条件政策課長 高松委員から御指摘のあった点について、これから詰めていくべき点も多いと思います。いずれも使用者側からの必要性の御主張があり、分科会全体としても、こうした類型自体を論点として受けとめてきた経緯もあるのではないかということで記載しましたが、規定ぶりの詳細等については、また今の御指摘も踏まえて御議論いただきたいと考えています。

 その際、1について、法人営業であれば何でも対象になるということは意図しておらず、そこの法人顧客の事業の運営に関する事項としております。実施的なものではなくて運営にかかわる重要な事項についての企画、立案、調査、分析を一体的に行うような営業の業務ということで、相当の絞り込みを置いているつもりではありますが、例示も含めて、さらに詰めていくことができればと考えております。

 また、2は管理監督者をイメージしているわけではなく、実際に企画立案をやりながら、実際にその企画立案した内容を展開して、それでまた次の企画立案に結びつけていくという、ホワイトカラーの働き方の複合化が進んでいく中で、現場を支えるプレイングマネジャー的な層の方々について、一つの具体例とともに記述したものですが、とりわけ、高松委員の御指摘の中では管理という言葉がどのようにとらえられるかという御提起もあったと思います。引き続き議論を深めていただければと考えております。

○岩村分科会長 あと、もう一点つけ加えますと、今日の骨子案の中ではもう一つ、さらにポツがありまして、対象業務範囲の詳細については、法定指針で具体的に示すことが適当という一節が加わっていることについても御留意をいただければと思います。

 そのほか、いかがでしょうか。

 では、春木委員どうぞ。

○春木委員 ありがとうございます。

 今ほど高松委員が主張したとおり、この裁量労働制の安易な拡大については労働側として反対であるということを再度申し述べた上で、意見を申し述べます。今回の骨子案には、「裁量労働制の本旨の徹底」ということが示されておりますけれども、この裁量労働制の問題点は、働く側が業務の遂行方法、いわゆるプロセスについては裁量を持っていたとしても、業務量、ボリュームのコントロールは自らが行うことはできない、それゆえに過重労働の問題が生じかねないという点にあるということを、労働側として再三再四、繰り返し主張させていただいてきております。

 そういう点を踏まえますと、この6ページの(3)の箇所を見ますと、「始業・終業の時刻を労働者に委ねる制度であることを法定し、明確化する」をあって、これ自体は当然に措置すべき内容であると思いますが、これだけでは裁量労働制の本旨を徹底したり問題点を改善したりするには不十分であると言わざるを得ないと思います。

 そこで、業務量に係る問題点の改善を図るために、「みなし労働時間内では処理できない分量の業務を与えていながら、適切な処遇担保策や健康確保措置を講じないような運用はやはり許されるべきではないという旨を法定指針に規定する」ことが必要であると思いますし、この点について、ぜひとも取りまとめの文書にも明記をいただくことを労働側としては要望しておきたいと思います。

○岩村分科会長 ありがとうございます。御意見ということで承っておきたいと思います。

 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 ありがとうございます。

 先ほど高松委員から、裁量労働制の拡大に対しての御懸念の御意見がございました。私どもも、例えば飛び込み販売のように訪問回数を高めて受注につなげるような営業については、それを裁量労働制の適用とするということであれば、そもそも裁量の本旨に従ったものにならない。さらには健康面でも心配も出てくるかもしれないと思いますので、足で稼ぐような営業ですとか、量産品を単に店頭で販売するような営業を対象にするつもりはございません。その点はぜひ御理解をいただきたいと思います。

 また、骨子案にありますように、法人顧客の事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査、分析と一体的に行う商品やサービスに係る営業という大きな定義を定めた上で、もちろん、これから詰めないといけないと思いますけれども、肯定的要素、否定的要素を示すということで対象の外縁ははっきりするものと思いますので、無限定に対象が拡大するおそれはないのではないかと思っております。

 現行法は、営業の業務という理由だけで仕事のやり方、それから、時間の配分の裁量性があっても一律に対象外となっているところであります。例えば顧客のニーズを聞いた上で、自社の技術をもとに、研究者と一緒に高機能素材を提案するような営業ですとか、あるいはメーカーから製品のデザインだけでなくて、他社と差別化した宣伝方法も含めた提案を行うような営業等、仕事のやり方、時間の配分の裁量のある営業というものはあると思っておりますので、ぜひその点、御理解をいただきたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 では、高松委員どうぞ。

○高松委員 おっしゃることはわかるのですが、前回も鈴木委員から例示されたのですが、今の例示を聞きますと余計わからなくなるのですよ。「足で稼ぐような営業ですとか、量産品を単に店頭で販売するような営業を対象にするつもりはない」というのは当たり前のことではないですかということなのです。これまでのご説明を聞く限り、わざわざ裁量労働制の対象業務の拡大をする必要があることの理屈づけには、私はなっていないと思っています。そういう意味で、ここの書きぶりのあり方も含めて先ほど発言させていただいたということでございます。引き続き議論していくということですから、そちらのほうにまた委ねますけれども、そういうことだけ申し上げておきたいと思います。

○岩村分科会長 では、新谷委員どうぞ。

○新谷委員 使用者側は新しい概念を導入したいとおっしゃっているわけでありますけれども、我々の懸念は対象業務に厳格な枠をはめることができるようになっていないという点にあって、まさに対象業務の線引きをどうするかということを問題としているわけです。

 これも「法人顧客を相手とする営業の業務」と書かれているのですが、法人顧客の営業であっても、厳格な厳しいノルマが課されて、月に何件契約をとってこいということで、本当にボリュームコントロールができなくて、過重な労働につながりかねない営業もあるわけでして、そこの線引きを本当に明確に引かないと、みなし労働制のもとで処理し切れない業務が押しつけられることにもなりかねません。こうした懸念については重ねて申し上げておきたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 ほかに、裁量労働についてはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、次に6ページの「4 特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル労働制)の創設」というところでございます。御意見あるいは御質問がありましたら、お願いしたいと思います。

 では、新谷委員どうぞ。

○新谷委員 今回「高度プロフェッショナル労働制」と新しく名前がつけられたわけですけれども、再三申し上げておりますように、これは法定労働時間規制の適用を外す仕組みでありまして、さらなる長時間労働を誘発するものであることから、労働者の健康確保の観点に照らし、容認することはできません。また、弾力的な労働時間制度は現行制度上も既に数多く導入されていることから新たな制度を設ける必要性は全くないのではないかということをまず基本的なスタンスとして申し上げておきたいと思います。

 骨子案を見ておりまして理解できないのは、「(1)対象業務」にはじまり、「(2)対象労働者等」が続いて書いてあるのですけれども、結局何が法律上の効果として与えられるのかというところが明確に書かれていないという点です。リード文の下から3行目ぐらいに、「時間外・休日労働協定の締結や時間外・休日・深夜の割増賃金の支払義務等の適用を除外した」と書いてあるのですけれども、その「等」に当たる法律上の効果が一体何なのかということも示されていません。このような中でどうやって論議をしていくのかという気がいたします。ですから、「高度プロフェッショナル労働制」において適用除外となる規定は何であるのかを明確に示していただきたいと思います。

 次に、この(1)対象業務について、リード文に「時間ではなく成果で評価される働き方」との記載があり、(1)の項目でも「業務に従事した時間と成果との関連性が強くない」と書かれています。労働基準法の中で賃金の支払いと労働時間を関連づける条項があるのかどうかという点を事務局にお聞きしたいのですが、もともとそうした条項はないのではないかと思っています。つまり、労働基準法の体系において、賃金と労働時間との関連づけは労基法第37条の割増賃金の規定によって初めて発生するだけであり、それ以外は月例賃金で幾ら企業が払おうが、一時金で幾ら払おうが、労働基準法には何も規定がないわけです。そのような中で、わざわざこういった「時間ではなく成果で評価される働き方」や「業務に従事した時間と成果との関連性が強くない」といった記述をする意味はどこにあるのかということをまずお聞きしたいと思います。

 また、(2)に対象労働者のことが書いてあるのですけれども、対象労働者について、具体的には省令で規定を行うと書かれています。しかし、こうした重要な労働時間の規制を適用除外するということであれば、対象業務等が省令改正を通じて安易に拡大したり、切り下げられたりするようなことがないよう、法律によってしっかりと規定をするべきであると思いますので、省令に委任してしまうとする点については再検討をお願いしたいと思います。

 その際、対象業務については、「具体的には」ということで幾つかの例示が書かれてあるわけでありますけれども、これらの具体的例示を全部省令に規定するとなると法律はどういう書きぶりになるのか。その点は今後の論議になるのかもしれませんが、やはり全部を省令に委任されるということではなくて、法律の中に具体的なイメージなり業務の範囲、対象者の範囲が明確になるような具体的な例示を列記していただきたいと思います。

 最後に一つ質問ですけれども、年収要件について、(2)対象労働者の項目の上から4行目のところに●で、「平均給与額の●倍を相当程度上回る」と書かれてあるのですが、この「平均給与額」はどの労働者のものを指しているのでしょうか。「平均給与額」の取り方は幾つかの調査方法から算出することが考えられるのですが、そのとり方によって変動するということであれば大変なことになりますから、一体、何の平均給与額をとろうと考えているのかということを開陳いただきたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 何点か御質問がありましたので、事務局でお願いいたします。

○村山労働条件政策課長 順次お答えいたします。

 まず、全体に書き方の再構成も含めての御意見であったと思いますので、その点についてはまた改めて各側と御相談していきたいと思います。

 その上で、法律効果について、適用除外するものとして、時間外・休日労働協定の締結と時間外・休日・深夜の割増賃金の支払義務の2つを特出ししたのは、この制度の議論の出発点である改訂成長戦略でも、賃金と労働時間のリンクを切り離すとされていることも踏まえ、この2つを例示したものです。

 そのあとの「等」について、具体的には、例えば休憩の問題についてどうするのかという点は一つ論点であろうと思います。この点、前回の労働基準法改正についての調査審議をしたときの自己管理型労働制の法律効果でも同様の論点になった点です。

 また、実際の効果としては、具体的には割増賃金の話になりますが、理念的に言えば、例えば労働基準法第32条の1週40時間、1日8時間原則や、労働基準法第35条の休日といった根本的な部分が、健康管理時間を基軸にした措置等に置きかえられるという整理です。

 御質問の2点目です。(1)の鍵括弧の2つ目で「業務に従事した時間と成果との関連性が強くない」ということについて、新谷委員がおっしゃるように、確かに労働基準法第24条のような賃金の支払いの関係の規定がクリアされている限りにおいて、その点について、法律の中で考え方の整理なり、そういったものが今まで用いられているわけではないというのは御指摘のとおりであると思います。

 一方で、対象業務について、後の御質問とも関連しますが、現行の裁量労働制でも、基本的に対象業務の考え方はまず法律で外縁を切り、その上で、例えば労働基準法第38条の3であれば、外縁を法律で切った上で、個別の対象業務については下位法令で押さえるスタイルになっております。

 その外縁の切り方として、「高度の専門的知識等を要する」に関しては、例示の御発言の部分を除けばそういうことなのだろうと思いますが、一方で、この「業務に従事した時間と成果との関連性が強くない」という部分に違和感があるとの御指摘と受けとめましたので、この点については、精査をしていきたいと考えております。

 3点目ですが、法律の中で、「高度の専門的知識等を要する」について例示すべきとのことですが、おそらくおっしゃっているのは、下に記載しているような大まかな分野を示すという御趣旨ではなく、高度というものがどういう観点で高度なのかということであろうと思っております。

 これは、今までの議論で各側の委員の皆様の中にも何となくのイメージはあるけれども、結局、高度というものが曖昧で、押さえになっているのかどうかというお話だと思います。法律上の規定の問題なのか、考え方の整理の問題なのかも含めて、よく各側とも御相談していきたいと考えております。確かに、高度がたくさん並んでいるという面もあろうと思いますので、その点はよく御相談をしていきたいと思っております。

 4点目で、平均給与額についてですが、これも基本的な考え方をまず法律で定めた上で省令に規定するというときに、1つ考えられるのは、働かれる方々の平均的な給与額があって、それに対して相当程度高く、なおかつ、具体的には下位法令で定める額という定め方であろうと思っております。

 いろいろな法律にこういった規定の並びもあろうかと思いますので、その点も精査したいと思います。例えば毎月勤労統計調査の決まって支給される給与等をベースとして、労災保険法上のある種の給付の目安を規定する手法も用いられているかと思いますが、他にもいろいろな方法があると思いますので、この点は様々な法令の並びを見ながら、各側とよく相談して、議論を深めさせていただければと思っております。

 雑駁ですが、以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 それでは、鈴木委員どうぞ。

○鈴木委員 ありがとうございます。

 高度プロフェッショナル労働制の年収要件の、参考値として今回初めて1,075万円を参考にという具体的な数字が出ておりますが、この1,075万円を参考にされた理由と、それから、1,075万円の算定の時期、算定の根拠についてお聞かせいただけますでしょうか。

○岩村分科会長 では、事務局でお願いします。

○村山労働条件政策課長 まず前段の、引用した理由ですが、同じ労働基準法の体系の中で「専門的な知識、技術又は経験であって高度のものとして」という基準を労働基準法第14条に基づいて定めている大臣告示において、一部の方についての年収の要件が定められております。高度な専門的知識等を要する場合に、同じ法律の体系上にあり、かつ、閣議決定されている「少なくとも1,000万円以上」という内容もクリアしている数字であるということもあり、議論の出発点としてお示ししたものです。今後、議論を深めていただければと思っております。

 その上で、御質問の後段ですが、この労働基準法第14条に基づく告示は平成15年に、本分科会で調査審議を重ねた上で決定された経緯があります。この労働基準法第14条は、1回の有期契約の契約期間の上限を定めている条文で、現行は、原則は3年上限で、高度専門知識等を有する方や60歳以上の方の場合は5年上限となっております。

 この高度専門知識等を有する方について、平成15年の労働基準法改正前は、原則が1年で、ある種の高度の方等も含めて3年という時代がありました。このときは、一部の方の年収要件として575万円という数字が定められていました。国会、さらにそれを受けた審議会の審議の中で、575万円では、交渉力という観点からやや低いのではないかという意見が示され、その当時の技術系の一定の管理職層の方々、具体的には課長級の方々の確実に支払われる給与の額で見た年収として、上から4分の1をとって1,075万円ということであれば相当程度の交渉力が認められるのではないかという意見で審議会がまとまり、このような数字が審議会への諮問を経て大臣告示に定まった経緯がございます。

 同時に、その後、かなり年数も経つ中で、制度の成熟を見て、こうした数字が労働基準法の体系の中で、交渉力のある方々にとっての年収要件ということで定着してきている経緯もあるということも考えられるのではないかということもあり、この数字を掲げております。

 雑駁な回答ですが、以上です。

○岩村分科会長 あと、計算の時期とか、そういうお尋ねもあったかと思います。

○村山労働条件政策課長 失礼しました。

 平成15年当時の告示ですので、平成15年当時の最新の人事院の職業別民間給与実態調査等に基づく統計数値から算出しております。

○岩村分科会長 では、鈴木委員どうぞ。

○鈴木委員 御説明ありがとうございました。

 労働基準法第14条と今回の高度プロフェッショナル労働制とは制度趣旨が異なるほか、労働基準法第14条の年収要件というものは一部の業務の対象となる要件ということで、交渉力を考える上での一つの指標であるとは思っておりますけれども、果たして、その参考とすべき指標かどうかというのは今後検討していきたいと思います。

 もとより、高度プロフェッショナル労働制の年収要件というものは、職務範囲が明確で、なおかつ高い職業能力を持っているということと相まって、使用者との関係で交渉力があるというふうに考えられる数字を検討すべきであると理解をしております。当然、閣議決定された1,000万円以上というのは大前提であると思っておりますが、私自身は他の要件と相まって、年収1,000万円でも十分交渉力があるようにも感じているところでございます。骨子案では、1,075万円が唯一の参考指標のように見れるところでございますけれども、参考指標の一つとして位置づけ上で、法案成立後、改めて本審議会で総合的に検討させていただければと思っております。

 もう一点、対象についてでございますけれども、これまでも高度プロフェッショナル労働制の例として、例えばサイバー攻撃を受けた場合にリアルタイムで対応し続ける必要があるホワイトハッカーの業務、あるいはビッグデータを分析するデータサイエンティストの業務などを申し上げてまいりました。それ以外でも、例えばデータサイエンティストの分析結果をもとに新たなビジネスモデルを考えるデザインシンキング人材といった新しい専門職種のニーズも顕在化しつつあるようにも聞いております。したがいまして、限定列挙だけではこれからの時代の変化に対応するのは難しい面があると考えております。

 骨子案に示されております「高度の専門的知識等を要する」という要件、それから「業務に従事した時間と成果との関連性が強くない」という要件、さらには一定の年収要件を満たす場合、個別企業労使の話し合いで対象が決められるような仕組みということが考えられてしかるべきではないかと思っております。高度プロフェッショナル労働制の対象は、例示されている業務を念頭に、ここに書いてあるように、法案成立後、改めて審議会で検討し、省令で適切に規定すべきものと考えます。

 私からは以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 では、宮本委員どうぞ。

○宮本委員 ありがとうございます。

 (2)対象労働者の3つ目のポツのところ、6ページの一番下から7ページに渡る箇所で、「本制度の対象となることによって賃金が減らないことを十分に考慮するよう、法定指針に明記する」と書かれております。このことについては、これまで安倍総理が、「働き方の選択によって賃金が減ることが無いように適正な処遇を確保する」という発言をされてきたと記憶しております。「賃金が減らないように制度設計する」ことは、安倍総理の発言ですから、政府としての約束であったと思います。この点について、事務局として、安倍総理の発言とこのような書きぶりとの整合性をどう考えていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。

 また、「十分に考慮する」という書きぶりでは、総理の発言に比べて少し後退をしている感も拭えない。ここは少なくとも、「賃金が減らないように適切な処遇を確保する」ということを担保するような記載とすべきであると思うわけでありまして、意見として申し上げたいと思います。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 では、村山課長お願いします。

○村山労働条件政策課長 総理が産業競争力会議で5月28日に御発言以来、国会答弁等でも繰り返されている今の点について、こうした形で具体化してはどうかという御提案であり、その書きぶりについては今後、審議会で議論を深めていただければと思っております。

 以上でございます。

○岩村分科会長 実は、会議の閉会の定刻を既にオーバーしております。それで、もし委員の皆様方で御支障がなければ18時半ごろまで延長して、議論ができるところまで続けたいとは思いますけれども、いかがでございましょうか。よろしいでしょうか。

(首肯する委員あり)

○岩村分科会長 そうしましたら、少なくとも、この高度プロフェッショナル労働制についてはなるべく今日中に議論を終えて、18時半までの間で時間が余れば1に戻りたいと思います。

 それでは、新谷委員どうぞ。

○新谷委員 年収要件に関して、鈴木委員からは「当然、閣議決定された1,000万円以上というのは大前提であると思っておりますが、私自身は他の要件と相まって、年収1,000万円でも十分に交渉力があるように感じている」という御発言がございました。これを聞いて、また値切り交渉か、という感じがするのです。第1次安倍内閣のときに出された自己管理型労働時間制の議論の際には、たしか経団連さんは400万円という年収要件を主張されたと思いますけれども、またそれの繰り返しになるのかという思いがいたしました。

 鈴木委員の御発言の中で、「年収1,000万円でも十分交渉力があるようにも感じている」という御発言があったのですけれども、再三申し上げているように、なぜそういう風に言えるのかという根拠が全くわからないのです。「なぜ年収1,000万円なのか」ということ自体に明確な答えがないわけで、以前事務局に確認した際には、閣議決定された改訂成長戦略の中に「時間ではなく成果で評価される制度への改革」として「一定の年収要件(例えば少なくとも年収1,000万円以上)」という形で書かれた数字であるからということで、それ以上のものではない、という回答でした。しかし、以前から私どもは「なぜ1,000万円なのか」という質問をしておりますけれども、なぜ1,000万円だったら労働時間の規制が緩和されるのか、その合理的な答えはいまだに聞かせてもらっていないわけです。司法判断が一体どうであったのかということから言えば、モルガン・スタンレー・ジャパン事件では、 たしか基本給として月額約184万円で、12カ月で約2,200万円というような事例は確かにあったと思うのですが、 外資系金融機関の年俸制社員について、「時間外労働に対する対価は、毎月の基本給の中に含まれて支払われていた」と解釈したこの裁判例はごくごく特殊なケースに過ぎません。今回、法律としてのわかりやすさや整合性の観点から、労働基準法第14条に基づく告示の数字(1075万円)が出されてきたわけですが、先ほどのような値切り交渉になるのであれば、裁判例のような上限値まで行くのかということになりかねないのです。

 ですから、年収要件について、どこで線を引くのかということを考えたときに、確かに使用者側委員のおっしゃるような御主張もわかりますけれども、1075万円というのは交渉力のメルクマールとして出している数字でありますので、どこに線を引くかという考え方をきちんと整理することが大事であると私は思います。

 その上で、骨子案7ページに示されている長時間労働防止策について申し上げたいと思います。

 今回、「健康管理時間」という考え方が対象者限定で導入されたわけでありますけれども、私どもとしては、安全配慮義務という義務が使用者に課されているわけでありますから、全ての労働者に対して健康管理時間を導入するべきであるという主張は今でも持っているわけでございます。何も健康管理時間の把握は対象者限定でやる必要はないと思っております。

 その上で、骨子案では真ん中あたりに「例えば以下のような措置」ということで、1休息時間(勤務間インターバル)規制、2量的上限規制、3絶対休日規制の3つが例示されたものとの位置づけで記載されているわけでありますけれども、私どもとしては、これらの措置は例示ではなくて、使用者は少なくともこれらの措置を必ず講じなければならないという義務づけを行うべきであると考えています。

 そのうちの3絶対休日規制については、これは前回の平成1819年に本分科会で論議された自己管理型労働制の議論の時にも入っていた措置であると思いますけれども、新たに私どもの主張をある程度酌んでいただき、1休息時間(勤務間インターバル)規制、2量的上限規制が追加されております。健康確保のための長時間労働抑止策は最優先で措置すべき事項であることから、その3つのいずれかを講じることを義務化するということに留まらず、1と3、2と3という組み合わせも当然考えられるわけでありまして、例示にとどめるのではなく、使用者は必ずこれらを講じなければならないとの義務化についても行っていただきたいと思います。

 また、骨子案に1「24時間について継続した一定の時間以上の休息時間を与えるものとする」と書いてあるのですけれども、この「一定の時間以上の休息時間」というものが全くイメージのしようがないわけです。勝手にイメージしろというのであれば、我々としては主張した連続11時間ということになりますけれども、「一定の時間」と書かれているだけでは、124時間の範囲で一体何時間なのかが全くイメージできないわけです。ですから、これは今後の論議に当たっては、現時点において、どのような考え方に基づいて数値を考えていくのか、といった基本的な方向性や目安が示されないと論議しにくいのではないかと思います。

 同様に、2量的上限規制についても「一定の時間」というものが書いてありますけれども、これも同様に一体何時間なのかわからないということでありますので、これについても目安を示していただきたい。そして、この1、2、3の長時間労働防止措置については、いずれも法律に書き込んでいただきたいということを考えており、そのことによって歯どめをかけていく必要があるということを申し上げておきたいと思います。

 それから、これは事務局に確認ですけれども、3「4週間を通じ4日以上かつ1年間を通じ104日以上の休日」と書いてあるのですが、ここの休日のとり方といいますか、与え方は一体どの単位でこれを考えるのか。使用者側の御発言を聞いていますと、朝も夜も昼も24時間働けといったような労働者を想定しているように感じました。しかし、絶対休日規制における「休日」とは、やはり暦日を単位とすることが現行の法定休日の付与の大原則でありますので、我々としては暦日単位での付与を前提とするというふうに考えております。その点も事務局のお考えを伺いたいと思います。

 最後に、この書きぶりを見たときに、使用者がこの1、2、3の長時間労働防止策を講じなかった場合には、法律上どのような取扱いになるのか。冒頭にも申し上げましたように、高度プロフェッショナル労働制の法律上の効果がどうなっているのかがまだ明確になっていないので、そのこととの関係もありますけれども、例えば労働基準法第32条の違反であるとか第37条の違反に戻っていくのか、刑事的には罰則を科されることになるのか、行政取締的には適用除外の効果が遡及的に失われるのか、民事上の効果はどのようになるのかという点が明らかでないと思っておりますので、こうした点についてお聞きしたいと思います。私どもとしては、こういった長時間労働抑止策、健康確保措置がとられていない場合には当然、刑事罰の対象とするべきであるということを考えておりますが、その辺の考え方についてお聞かせをいただきたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 何点かの御質問でしたので、事務局でお願いいたします。

○村山労働条件政策課長 明確に事務局に御質問いただいた点について絞ってお答えいたします。

 まず、4週間を通じて4日以上というのは、労働基準法第35条と同じ考え方です。原則的な考え方としてはおっしゃるとおりで、その上で、運用面でどのように考えていくのかというのが御提起の趣旨であると思います。

 使用者側でもいろいろ御意見のあるところであると思いますので、これから審議会で議論を深めていただければと考えております。原則的には労働基準法第35条と同じ趣旨で記載しており、暦日を基本とし、さまざまな運用上、どのように取り扱っていくかは今後の課題であろうと考えております。

 2点目で、こうした措置を講じていない場合の法律効果についてですが、考える準拠枠としては、例えば裁量労働制であっても同じように法定の要件を満たしていない場合は原則に戻るということで、例えば労働基準法第32条の関係で言えば、第32条の原則に戻るわけです。そのときに暦日で9時間の労働がなされていれば、必要な手続きが取られていない以上労働基準法違反となります。

 ただ、常に直ちに刑罰の適用になる訳でもないとも思っております。例えば、成果型の方で、1日5時間働いて高い報酬をもらっていた場合に、一部の要件を満たしておらず、労働基準法第32条に戻ったとしても、時間外労働協定が必要でも、割増賃金の必要があるわけでもありません。またそうした点についても公益委員の御意見も含めて議論を深めていただければと思っております。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 では、鈴木委員どうぞ。

○鈴木委員 ありがとうございます。

 ただいま、高度プロフェッショナル労働制の健康確保措置に関してお話がございました。この選択制というものはやはり意味があると思っておりまして、この上限を1で1日単位、2で1か月単位、3で年間単位ということで言いあらわせると思いますけれども、専門職の業務の特性によって、その選び得る措置も変わってまいりますので、この選択制というものは維持すべきと思っております。

 あわせて、このプロジェクト型で、四半期タームで仕事を回すような方がいらっしゃって、そのため、現在でも健康管理のための時間把握を、1か月ではなくて、例えば3か月タームでしっかり見ていくという会社もあると聞いておりますので、2については1か月に加えて3か月ということも御検討いただきたいと思っております。

 私からは以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 では、冨田委員どうぞ。

○冨田委員 大きく2点お伺いしたいと思います。

 少し戻ってしまうかもしれないのですが、今ほどありました4の「(3)健康管理時間、長時間労働防止措置等」の、上から2つ目のポツのところに、「健康管理時間の把握については、労働基準法に基づく省令や指針において、客観的な方法によることを原則」という記載がございます。同様に、最初の項目である1の(3)労働時間の客観的な把握の中にも、「労働安全衛生法に規定されている医師による面接指導制度に関し、管理監督者を含む、すべての労働者として、労働時間の把握について、客観的な方法その他適切な方法によらならければならない旨を省令に規定することが適当」と書かれています。双方の項目にかかると思いますけれども、この労働安全衛生法上の面接指導の制度を見直すことによって労働基準法も使用者に対して労働時間の客観的な把握の義務が課されることになるのかということについて、1点お伺いしたいと思います。

 その上でまた双方の項目にかかると思うのですが、仮に、労働基準法上は労働時間の把握の義務を課すものではないとするのであれば、使用者の安全配慮義務のベースとなるべき労働時間の把握について、実効性のある措置にならないのではないかと思っております。

 あわせて、これは私もなかなか、全て理解できているわけではないのですが、最初の1(3)では、労働時間の客観的な把握について、「管理監督者を含む、すべての労働者を対象にして、労働時間の把握について。客観的な方法」とあるのですが、4の高度プロフェッショナル労働制のほうになりますと、その適用対象者に対してのみ客観的な方法で健康管理時間を把握するとあるのです。

 さらに、その客観的な労働時間の把握の方法についても、4の高度プロフェッショナル労働制については、原則としてタイムカードやパソコンの起動時間等によるとの明確な規定があるのに対して、全ての労働者が対象となる、1の働き過ぎ防止のための法制度の整備等の箇所になりますと、「客観的な方法その他適切な方法」といった形で方法論が2つ書かれております。その対象者如何によって把握の方法が異なるということについても少し疑問があるかなと思っています。

 逆に、この1(3)にある労働時間の客観的な把握について、その他適切な方法というものに対して何か事務局のほうでお考えのものがあればお尋ねしたいと思います。

 これが質問の1点目です。

 もう一点、4の高度プロフェッショナル労働制の「(4)対象労働者の同意」のところでございますが、こちらの箇所を見てみますと、「法律上、~労働者ごとに、職務記述書等に署名する形で職務の内容及び制度適用についての同意を得なければならない」ということが書かれております。そこで、この「職務記述書等」という概念が、これまでの法律上にもあったのかどうかという点をお尋ねしたいと思います。仮になかったのだとすれば、今回具体的にはどのような形で法律の中に位置づけることを想定しているのか、お伺いしたいと思います。

 また、使用者が、この「職務記述書等」に記載した範囲を超える職務を対象労働者に行わせた場合には、これがどのような扱いになるのか。この点については制度設計上も明確にしておくべきではないかということを意見として申し上げておきたいと思います。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 大きく2つの御質問であったと思いますので、よろしくお願いします。

○村山労働条件政策課長 お答えいたします。

 特に1点目は多岐にわたる詳細な御質問でしたので、基本的な考え方を御回答することでお許し願いたいと思います。

 今回のこの報告書骨子案全体を貫く考え方として、これまでの19回の審議の中で公労使一致して、健康確保は重要であるという点は明確であると思います。その基礎になるものは、割増賃金の支払の有無は別として、みなし労働時間制が適用される方や管理監督者、さらに今回、議論いただいている新たな制度の適用の方も含めて、健康管理の観点からの労働時間の客観的な把握は重要であるということが出発点ではないかと思っております。

 その上で、冨田委員の御指摘にありましたように、どの規定をどこに位置付けるのがよいかということの整理も必要です。今の労働安全衛生法の体系は、管理監督者も含めて、労働者の皆さんの健康確保の観点から、面接指導等の制度が設けられております。そのため、月100時間とか80時間という数字や、疲労の蓄積を感じて自ら申し出る手続などについては全て省令事項ですので、省令にできるだけ客観的な方法という考え方をまず入れたいということです。これによって現行の労働安全衛生法上の取扱の中でも、管理監督者については悩ましい部分がある訳ですが、より明確に、そういう方々を含めて、健康管理のためには客観的な労働時間の把握ということをベースにしていただきたいという基本的な考え方を打ち出せると考えております。

 そして、賃金と労働時間のリンク、割増賃金というものと全く切り離して設ける今回の新しい制度においても、健康をしっかり確保することは何よりも重要な前提なので、その点については同じような考え方で記載しております。テクニカルに違って見える部分があるかもしれませんが、根底にある考え方は、同じであるということを御理解いただけるとありがたいと思います。

 その上で、より多くの方々にかかわる部分で言うと、1の(3)で、客観的な方法は括弧で記載しているような、タイムカードやパソコンの起動時間などいろいろあることはわかるが、その他適切な方法は例えば何なのかというのが一つの御質問であると思います。

 これまでの運用の中で、通達等にも明記していますが、客観的な方法によることは原則であるとはいいながら、事業場外で労働する場合などは自己申告によるほかなく、全体としての労働時間をカウントできない部分が出てくるのは事実であろうと思います。そうした部分については「その他」で読んでいるということで、骨子案の1で記述している内容と、4で記述している内容が考え方として違うものではないということです。基本的な考え方については、そう申し上げておきたいと思います。

 その上で、多岐にわたる御質問に十分答えていないところはあると思いますので、またそこは今回のみならず、次回も含めて御議論いただければと思います。

 それから、第2点の(4)で、職務記述書等に署名する形で職務の内容及び制度適用について同意を得るという点についてです。これも基本的な考え方ですが、業務のボリュームコントロールという観点から、職務の範囲が明確であるということは、その職務の範囲でボリュームをコントロールすることができるということではないかと考えております。

 こういった方々については、あなたの職務はこれです、それでそこに同意します、ということが確保される形で、また明確な文書に残るような形で同意していただくことが望ましいのではないか。それが「希望しない人は適用しない」という、この制度に要請されている点への答えにもなるのではないかということで、このように記載しているところです。

 具体的に、この部分を、どの法令レベルで担保していくかについては、また今後の議論の中で深めていただくべき点ではないかと思っております。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 この高度プロフェッショナル労働制の議論を終えて、実は1に戻ろうと思ったのですが、高度プロフェッショナル労働制についてはいろいろ御疑問も御意見もございまして、かなり活発に御議論いただきました結果としまして、残念ながら今日は1に戻る時間がとれませんでした。

 それから、多分、この4の部分についての御意見・御質問があるかもしれませんし、今日の骨子案にございます「5 その他」、それから「6 制度改正以外の事項」については議論していただく時間をとることができませんでした。

 今日は、先ほど18時半までということで申し上げましたので、ここまでとさせていただきたいと思いますが、次回はまだ御質問・御意見をいただいていないものがあろうかと思いますので、1と4についてはなお続けて御議論いただき、あわせて5と6についても御意見・御質問があればお願いしたいと思います。その上で、可能な限り取りまとめに持っていければと考えているところでございます。

 本日は本当に熱心に、多くの論点にわたりまして御議論いただきまして、大変ありがとうございました。

 それでは、事務局から次回の日程についての説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○古瀬調査官 次回の労働条件分科会の日程については、今月の下旬を目途に調整させていただき、追って御連絡いたします。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 最後に、本日の署名でございますけれども、労働者代表につきましては新谷委員に、使用者代表につきましては小林委員にそれぞれお願いしたいと思います。

 本日は、予定の時間を大幅に延長いたしまして、大変熱心に御議論いただきまして、まことにありがとうございました。

 それでは、これで閉会といたします。


(了)

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