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2015年2月4日 障害福祉サービスの在り方等に関する論点整理のためのワーキンググループ

社会・援護局障害保健福祉部

○日時

平成27年2月4日(月)14:00~17:10


○場所

厚生労働省専用第22会議室(中央合同庁舎第5号館18階)


○出席者

佐藤進座長、大塚晃構成員、吉川隆博構成員、寺島彰構成員、野沢和弘構成員、山下幸子構成員

○議事

○佐藤座長

 定刻になりましたので、ただいまから第 5 回目の「ワーキンググループ」を開催いたします。

 皆さん、お忙しいところをおいでくださってありがとうございます。

 最初に、事務局より委員の出席状況と資料の確認をお願いします。

 

○福井企画課課長補佐

 まず構成員の出席状況ですが、本日は田村構成員と野沢構成員から、遅れて到着される旨の御連絡を頂いておりますが、皆様御出席の予定です。

 続きまして、前回も申し上げましたが、作業チームの構成員にも関係団体の意見を聞いていただいたほうが、今後、効率的・効果的に議論が行えるのではないかということで、本日も作業チームの構成員にも同席していただいております。また、事務局が少し遅れておりますことを御了承いただけますと幸いです。

 資料の確認をいたします。資料 1 から資料 10 まで、本日お集まりの各団体の御意見をお配りしております。過不足等ありましたら事務局までお申し付けください。以上です。

 

○佐藤座長

 早速、議事に入りたいと思います。今日はいつにも増して 10 団体という、大変多くの団体から御意見を頂きます。つきましては、予定を少し過ぎるぐらいまで時間を頂きたいと思っています。なお、御意見を頂く各団体の皆様には、先ほども申し上げたように大変数が多いので、 10 分という時間を厳守していただきますようお願いいたします。

 それでは最初の、全国精神保健福祉連合会より御意見をお願いしたいと思います。

 

○全国精神保健福祉会連合会本條理事長

 全国精神保健福祉会連合会理事長の本條でございます。今日はどうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず最初に、障害者総合支援法の見直しに向けて、一番目に要望というか、検討していただきたいことは、「障害者」の定義を明確にするということです。障害者権利条約に日本も批准したわけですし、少なくとも最低限、障害者基本法と同等の定義を明記し、それにのっとって制度設計をしていただきたいと思います。やはり、障害者というのは単なる個人の疾病であるとか怪我であることによる器官の欠損や機能の不全によるものではなく、社会の環境からの障壁も大きく左右しているわけですので、是非ともその辺を考慮に入れて、社会モデルへの転換を図っていただきたいかと思います。

 特に精神障害の場合は、障害と疾病が併存しているというか、両方からの作用があるわけですので、単に疾病だけを重視する医療モデル、医学モデルだけではなく、環境自体、例えば精神で言えば社会の偏見、精神障害に対する偏見、あるいは、もっと言えば差別や無理解というもの、更には法制度の未整備というものも障害の原因になっている場合があることを認識して、そういうものも考慮に入れて制度設計をしていただきたいと思います。

 さらに、障害者自身、これはもちろん当然のことですけれども、障害者と共に生活する家族も生活のしづらさ、ある意味から言いますと障害を被っているわけでありますから、その人たちのニーズを中心に制度設計を行っていただきたいと思っております。あくまでも障害者の方、あるいは生活のしづらさを感じている人が中心となって、これからの制度の見直しをやっていかなくてはいけないと思います。

 具体的なことに入りますが、やはり就労ということも非常に重要になってくるのではないかと思います。従来の障害者支援、特に就労支援につきましては、精神の場合は、まずは病状を安定させ、デイケアなどで生活面の訓練といいますか、支援をして能力を高めていきながら、段階的に行っていく。訓練を中心とした支援でございましたけれども、ここには書いておりませんが IPS(Individual Placement and Support) をまず配置させる。それからサポート、あるいはトレーニングをしていくことによって、英国等では非常に効果を上げている。例えば就職をしても離職率が少ない、反対から言えば定着率が高いというエビデンスもありますので、精神の場合、このところ割と就職率は以前に比べて高まってきておりますけれども、定着率が非常に低いということがありますので、まず職に就けて、それからジョブコーチなりが支援をしていくという方法も非常に効果があるのではないかと思います。もちろん、公務員のジョブコーチの方は非常に力量もあるでしょうけれども、第 1 号ジョブコーチ、第 1 号ジョブコーチというのは、私も正確ではないかも分かりませんけれども、社会福祉法人など、施設の側がジョブコーチを持っておられる方、その支援も非常に大事ですけれども、これからは企業の中でそういう資格を持っている 2 号ジョブコーチが焦点になってくるのではないかと思っています。まだまだ不足しているようですので、そういうジョブコーチの配置をし、しかもある程度、その方たちは身分的な保障がないと長続きはしないでしょう。

 もう一つ、やはり就職ということを考えてみますと、確かにここにも関係者の方がたくさん見えておられると思いますけれども、障害者支援施設として一般就労に向けた訓練をしていただき、それによって就職した方も多数いらっしゃいます。しかし、多くの障害者の就労は職安、ハローワークを通じて就職していく方が多いわけですので、是非とも、先ほど言いましたようなジョブコーチ制度も含めて、企業との連携をもう少ししていくべきではないか。したがって、ジョブコーチも本人に対する支援あるいは訓練だけでなく、企業に対して支援あるいは情報提供といったものも必要になってくるのではないかと思っております。

 教育について一言申し上げたいと思います。現在の療育といいますか、そういうものは障害児に対する教育でありました。そういうものだけでなく、オーストラリアでは Mind Matters と言って教員に対する研修、精神疾患などの研修が行われて、ある程度の効果を上げていると聞いております。義務教育段階からの児童・生徒に対する教育、それから教員に対する研修、地域に対する研修等も力を入れていただきたいと思っております。

 高齢障害者への支援です。現在は、 65 歳になりますと高齢福祉のほうに移行するわけですが、高齢者になったからといって障害者の支援の必要性が下がることはないわけですから、移行するのではなく、高齢者としての支援、それから障害者に対する支援を総合的に勘案した支援を考えていただきたいと思っております。

 最後に家族支援に対して要望したいと思っております。英国ではケアラーズアクト、日本語では「家族支援法」とあえて訳しておりますが、障害者を含む家族全体を訪問して支援することにより、病状の再発防止などの効果も上がっておりますし、社会参加に対しても効果を上げております。これは精神障害者だけでなく、障害者、あるいは支援を必要としている人に対する支援策として、是非とも検討していただきたいと思っています。以上です。

 

○佐藤座長

 ありがとうございました。一段階飛ばしてしまいました。今日お集まりいただいた 10 団体の御紹介と、今日それぞれの意見発表の段取りについて、前後しますが事務局からもう一度御説明ください。

 

○福井企画課課長補佐

 本日お越しいただいている団体の皆様を御紹介いたします。今、御発言いただきました公益社団法人全国精神保健福祉会連合会様、公益社団法人日本精神保健福祉士協会様、特定非営利活動法人全国精神障害者地域生活支援協議会様、一般社団法人日本精神科看護協会様、全国「精神病」者集団様、特定非営利活動法人 DPI 日本会議様、全国社会就労センター協議会様、全国就労移行支援事業所連絡協議会様、特定非営利活動法人全国就業支援ネットワーク様、きょうされん様。以上 10 団体の方々です。

 本日の進め方ですが、 3 団体又は 4 団体ずつ、 3 つのグループに分けてヒアリングを実施いたします。 1 団体 10 分以内で御発言いただき、そのグループ全体の御発言終了後 25 分程度、あるいは 4 団体の場合には 30 分強程度を質問等の時間とさせていただきたいと考えております。御発言が 8 分を超えた段階で、事務局から一度合図をさせていただきますのでよろしくお願いいたします。これを繰り返し、 2 グループ目の終了後に休憩をはさみ、全体で 3 時間強を見込んでおります。先ほど座長からもありましたように、本日は 10 団体お集まりですので、 15 分ほど延長するかと思いますが、よろしくお願いいたします。

 

○佐藤座長

 ありがとうございます。それでは 2 番目の御意見を、精神保健福祉士協会からお願いいたします。

 

○日本精神保健福祉士協会宮部副会長

 よろしくお願いいたします。日本精神保健福祉協会の副会長を務めております宮部と申します。今日は富山からまいりましたが、地活の1型、相談支援事業所、グループホーム等に所属をしながら、それぞれの管理などもさせていただいています。どうぞよろしくお願いいたします。

 論点整理に入る前に、精神障害の支援に係る現状と課題について、基本的な部分を若干押さえたいと思います。 1 ページと書いてあるページに 9 点にわたって書いております。

 まず御案内のとおり、 2014 4 月に精神保健福祉法の一部改正があり、一部、医療保護入院者に関してのみではありますけれども、退院後生活環境相談員の配置や退院支援委員会の開催、相談支援事業所や介護支援事業所などの紹介など、一部とはいえ、精神科病院における新たな社会的入院を生まない仕組みが導入されました。

 一方、 5) に書いておりますように、長期入院者の地域移行の問題は大きな課題となっています。個別給付となりましたが極めて低位にとどまっています。長期入院の中には 65 歳以上の高齢の方も多く占めており、その方々の地域移行も大きな課題となっています。これには介護保険の利用がスムーズに進まない、移行先の居住施設が選定できないなど、多くの課題があります。

 また、認知症のように高齢となってから発症して入院された方の長期化の傾向の問題、地域で生活をしていた障害者が高齢化により生活を維持できなくなって精神科病院に入院してしまう問題など、高齢精神障害者と言っても一括りにできない課題が多く存在しております。

 さらには、サービスの支給決定基準や併用の可否の不均衡、必要なサービスの不足など、市町村の格差があり、このような資源やサービスの地域偏在は、精神障害者の地域生活を困難にさせてしまう大きな要因だと考えています。

 先ほども御報告がありましたが、精神障害者は疾病と障害を併せ持ち、社会生活の状況も環境や支援に大きく左右されることが多くあります。障害者本人の持てる力を引き出して地域定着を推進していくためには、医療と福祉と介護の包括的な支援が求められると考えます。そのためには、精神科医療が急性期や回復期の入院医療と外来・在宅医療に人と財源を大幅にシフトしていくこと、障害福祉サービスにおいては、特に専門職やピアサポーター等の人材とそのための財源確保は欠くことができないと考えております。

 各検討項目について御報告させていただきます。まず、常時介護を要する障害者という規定についてですが、まずは、その対象者像を明らかにしていくことが必要であろうかと思います。精神障害においては、強度の行動障害を有さないものの、抑鬱状態や意欲低下により、常時介護を要する精神障害者が存在します。そのような方々に対し、支援の在り方については検討すべきであろうと考えますが、このことについては後ほどもう少しお話できればと考えております。

 移動の支援についてですが、現在の体系ではとても分かりにくい状況になっておりますので、是非、統合した体系に編成して、全て個別給付対象とすべきであると考えています。

 次に、障害支援区分の認定を含めた支援の在り方ですが、障害区分に基づく支給決定という現行のプロセスを見直し、相談支援専門員が御本人との「相談」の中から望む暮らしの実現のために、的確なアセスメントに基づいて作った計画を作成し、自治体担当者との協議・調整により支給決定を行う仕組みに転換すべきだと思っております。

 今般、災害の問題についてはとても大きな課題になっております。平時から地域での支援計画は作っている所が多いとは思うのですが、障害者御本人も自覚できるよう、サービス等利用計画の中に災害時の対応を盛り込んでいく必要があると考えております。

 何よりも相談支援専門員の質・量双方の確保に向けた方策が不可欠であろうと思います。まずは相談支援専門員の質を担保するために、精神保健福祉士及び社会福祉士を基礎資格として位置付けるべきであると考えます。

 ちょっと飛ばしていただいて、 4 ページの上段の資料に、障害福祉サービスの事業所等に配置されている精神保健福祉士数を示しております。相談支援事業に従事する精神保健福祉士は年々増えておりますが、事業所の財源的には、これ以上の専門職を増やしていくことは困難と考えている状況があります。

4) の就労支援に戻っていただいて、就労移行支援ですが、再利用という考え方を明確にすべきであろうと考えております。

 その他については、特に地域自立支援協議会の役割は大変重要であると考えております。その中でも、基幹相談センターというものが核になっていく必要があると考えておりますが、その設置基準が明確にされておりません。その設置基準を明確にしながら、障害福祉計画に盛り込み、推進していくべきだと考えております。

6) の意思決定支援についてです。当協会では意思決定支援あるいは権利行使支援、自己決定支援という考え方で、権利擁護の仕組みと支援をする人材について検討を今進めているところです。とりわけ、精神保健福祉法の改正の中で本人の意思決定に関わる、本人の気持ちを代弁する代弁者制度というものが検討されておりましたが、今回の改正には盛り込まれませんでした。代弁者制度が適当かということも議論はしておりますが、どのような形の人材か、ピアサポーターも含めて、意思決定の支援に関わる仕組みと人材の創設が必要であろうと考えます。

 成年後見に関しては、利用促進を図るためには、意思決定を基本とした成年後見活動の浸透とともに、全ての方に意思決定能力があることを前提とした成年後見制度に組み立て直す必要があると考えています。特に精神障害者の特性に鑑みると、法定後見の 3 類型を定期的に見直す仕組みが必要かと考えます。さらに、低所得者、生活保護における後見扶助の創設が必要だとも考えております。

 精神障害者に対する支援の在り方です。先ほど常時介護を要しないものの、見守りや助言指導、緊急時の支援等が必要な精神障害者が多くいるというお話をさせていただきましたが、精神障害者の特性に合わせた、医療と介護の連携による新たな包括的支援サービスを創設すべきであるという提案です。

 また 4 ページですが、下段に介護保険サービスにおける「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」をお示ししましたが、医療や看護サービスと連携しつつ、定期ということよりも、特に随時対応ということを考えて対応する仕組みを考えていく新しいサービスを作る必要があると考えます。

3 ページに戻っていただきまして、通所サービスについては、精神障害者の就労移行支援などには重度支援体制加算の対象とすべきであると考えております。また、訪問型の支援として生活介護の訪問型というものがありますが、とても重要な支援になっていくと考えてはおりますが、現在の体系を単独で設置できるものに改めていく必要があるのではないかと考えております。

 高齢者に対する支援について、まずは障害福祉サービスと介護保険サービスを柔軟に併用できることが必要です。また、サービス利用料の負担格差がとても大きくなっていて、介護保険になると負担が増えるという状況が多くあります。長期入院高齢者の地域移行を進めるためには、身体合併症も含めた医療ケアや見守り機能を強化したグループホーム、居住の場の創設が必要かと思います。ここにも看護職や介護職、福祉職といった専門職の配置が必要かと考えます。それから、移行先になった高齢者施設にコンサルテーションなどを行えるような仕組みも必要かと考えています。

 以上のように、当協会としては精神障害者の特性に対応すべく、医療・福祉・介護の包括的な支援体制の創設が必要であり、そのために新たなサービスの創設と、現行法の改正による柔軟な支援が可能となる仕組みを求めます。それと同時に、精神保健福祉士に代表されるような専門職配置が可能である体制も必要であると考えております。以上です。どうもありがとうございました。

 

○佐藤座長

 どうもありがとうございました。続きまして、精神障害者地域生活支援協議会から御意見をお願いします。

 

○全国精神障害者地域生活支援協議会田中理事

 座ったままで失礼します。全国精神障害者地域生活支援協議会「あみ」と略称で称しております所の理事をしております田中と申します。本日は大阪から寄せていただきました。本日このような場を設けていただき、まずはお礼を申し上げます。それと意見書提出に際して、非常に期日が遅れてしまい、事務局及び担当の方にはおわび申し上げたいと思います。

 時間のない中ですので、急いで意見表明をしていきます。まず最初に、当会は 1997 年に設立、まだそれほど歴史のない団体です。そして、旧小規模作業所やグループホームを運営していた団体が、後に社会福祉法人格、あるいは NPO 法人等を取得して、今の障害福祉サービス事業を行っているという、多くの会員がこういう経緯を持っているという、当会のカラーを少しだけ御紹介させていただきます。ちなみに私も、日常的な業務はグループホームのほうの世話人を担当しております。現在、全国広しといえども 400 ぐらいの会員の事業所で、精神障害者の地域生活支援に関わる者ならば誰でもが加入できるという成り立ちです。

 早速ですが、ワーキンググループにおいて意見をということで、一言で申し上げれば、骨格提言に示された、新たな施策・サービスの在り方等を一つ一つ確実に具体化していく、まずはこのことを行っていただきたい。意見表明としては、この一言です。

 ただし、それだけでは余りにも広範囲にわたり漠然としているので、もう少し詳しくということで、お手元の資料 3 1 ページ、「とりわけ」以降の所は読み上げて意見表明にしたいと思いますので、お願いします。

 とりわけ、精神障害者福祉の追求との視点から、早急に方策を講じていただきたい事項について申し述べます。

 早急に方策を講じていただきたい事項として、○1~○6がありますが、今回の見直しにおいて、検討すべき事項の全てを網羅していません。その点、御了承いただきたいと思います。ちなみに○1、○2については、常時介護を要する障害者に対する支援に関わるような内容であり、それ以下○3~○6については、精神障害者への支援という事項に関わる内容かと考えています。

 まず、○1精神障害者の特性である「可変性」は、おのずと支援の範囲・内容・数量等にも連動するものと考えますが、その点を踏まえた個別生活支援の創設です。補足すると、支援区分や調査項目の該当の点数等で見ると、「重度訪問介護」や「行動援護」が使えないが、日常生活場面において、そのような支援が必要な場合も発生するという実態があります。 2 つ目、「意思決定の支援」、あるいは「成年後見」の利用に際しても、支援の必要度が必ずしも固定的ではない。イメージとしては、骨格提言のパーソナルアシスタンス制度に近いということです。

 引き続き、○2移動介護の個別給付化をお願いしたい。また、入所あるいは入院中からの利用並びに通所・通学 ( ) のための利用を可能とする。説明としては、通所は、「通勤・営業活動等の経済活動に係る外出」ではなく、社会参加のありようだと捉えています。「社会通念上適当でない外出」には当たらないと考えますし、また、「通年・かつ長期」にならないよう、場合によっては期間を限定した上で特例的に認められないかというのが意見です。地域移行支援における、外出同行が十分かつ確実に行われることが必要という点については、移動に関する支援という部分になくても構わず、次にも登場しますが、地域生活への移行というところでの対応でも構わないと考えています。

 ○3精神科特例並びに医療法施行規則第 10 3 項の廃止と総合病院における精神科の設置に向けた検討。これは骨格提言にもこのままの文言の提言がありましたし、それをそのまま意見として述べたいと思います。もちろん言うまでもなく、精神医療の適正化、医療関係者・市民啓発の推進という意味合いです。

3 ページ、○4「地域移行支援型ホーム」の撤回。病院敷地内にその人の、いわゆる地域での生活の場はあり得ないと考えています。

 ○5入院者及び医療従事者に対し、地域生活に係る情報発信等に係る体制整備を図ることによる退院支援策の強化。「退院意欲が乏しい」とされる入院者への継続的なアプローチ ( 地道な関係作りのための訪問や生活保護・年金・障害福祉サービス等についての情報提供等 ) やピア活動。これは、実際に地域で生活している障害当事者の生の声を知ることで、地域生活への不安軽減やイメージ作りに極めて有効であると考えています。それらを通じた地域生活への動機付けに係る支援の確立を是非にお願いしたい。そして、かつてありました地域体制整備コーディネーター制度の復活を切に願います。

 最後に○6、これは住まいの場の確保に関わることですが、グループホームの拡充、公営住宅の活用、民間賃貸住宅の確保のための方策等による住居確保。これを、ともかく住む場所の確保の具体策を講じていただきたい。補足としては、グループホームへの「常勤」配置が可能となるような財源措置。民間物件を行政サイドが確保したり、あるいは公的保証人制度等による住居の確保策をより一層拡充していただきたい。

 足早に不十分ながら、検討すべき事項の部分的ではありますが、特に精神障害者の地域生活支援という、私たち「あみ」の方針の下に、取り急ぎ意見表明とさせていただきます。以上、ありがとうございました。

 

○佐藤座長

 ありがとうございました。それでは、ただいま御意見を頂いた 3 団体の皆さんの御意見に対しての質疑、意見を、こちらのサイドから申し上げたいと思います。時間は約 25 分ですので、どちらからでも質問や、確認のための意見の補充を求めていただければと思います。

 

○大塚構成員

 大塚です。 3 団体の方、ありがとうございました。特に公益社団法人日本精神保健福祉士協会さんに 2 点、質問したいと思います。ピアサポーターのことが出ていましたが、地域移行や、説明文の中では意思決定の支援も含めて、ピアサポーターの可能性というのは非常に大きなものがあると思っています。身近なピアとしての相談支援ということがあるのでしょうけれども、そうすると、精神保健福祉士の相談支援などの専門性との関係、どのような役割分担を考えながら精神障害の方を地域で支えようとしているのか。例えば、ピアサポーターの方も精神保健福祉士資格を取って、より専門的になってもらいたいのかどうかも含めて、 1 点お聞きしたいと思います。

 もう 1 点は、お話の中で、精神障害の方、 65 歳以上の方も含めて、医療・福祉・介護の包括的な支援システムが重要であるということを強調されていましたが、 65 歳だけではないかもしれませんが、これについては、介護保険の地域包括ケアシステムに非常に類似したものだと思っています。もちろん、 65 歳以上の方も含めて、障害の方もこのような地域包括ケアシステム、介護保険との関係において、もう少し合理的に整理されれば、もっと精神障害の方も支援が受けられるのではないかと考えるのですが、どのようにお考えですか。

 

○日本精神保健福祉士協会宮部副会長

 御質問ありがとうございます。ピアのことについては、私どもはピアサポーターの養成等にも各地でいろいろ支援をしていますが、ピアスペシャリストという考え方を持っていて、やはり踏襲性を大事にされながら、その経験から基づく支援が個別にあると考えています。

 ただ、やはりピアの規定というか資格というものを精神保健福祉士に求めるというよりは、やはりピアの中で養成を受けた方々のバックボーンになるような資格や認定などを養成しながら進めていく方向性を支援している形です。ただ、ピアの方々も病気や障害もお持ちなので、その活動について並走するような形で、ソーシャルワーカーが支援をしながら一緒に関わることも多く出ていますので、そういう資格ができたとしても、やはりサポートもしながらの支援を展開できるような仕組みなどを作っていきたいと考えています。

65 歳以上の方については、現在入院中の方や地域で生活をしている方も含めて、高齢化の問題が、特に精神障害だけということではないとは思うのですが、とても問題になっていると考えておりまして、私たちは日々支援をするときに、介護保険優先の仕組みがまだありますので、そこで先に支援をしていくと、横出しのサービスとして、障害福祉サービスを認定してくださる所とそうではない所と市町村格差がものすごくあり、そこで柔軟な形での仕組みができていないということが 1 点です。

 もう 1 点は、長い病気や障害もありますので、精神科以外の合併症の問題がものすごく高くなっていて、グループホームなどの中でも健康管理などの問題がとても大事になっていますし、見守りと、移動のことも含めて、受診同行など、そういったものがとても増えている状況です。そういう意味で、介護と、精神科医療だけではない一般医療も含めての医療、それと福祉の包括的なサービスというものが柔軟に組み合わせることのできる仕組みが必要ではないかと思って発言しました。

 

○佐藤座長

 ありがとうございました。

 

○吉川構成員

 吉川です。関連して精神保健福祉士協会の宮部さんに質問します。今の包括的支援サービスのことで、今の説明ですと、どちらかと言うと 65 歳以上の高齢の方を地域で支えるということが前提だったと思いますが、この見守りとか助言指導、緊急時の支援と考えたときに、例えば、これから精神科病院からの地域移行を更に進めていくときには、これまでよりも対象患者のニーズも、多分これから拡大していくのかと思います。手厚い支援を、そういった方々への地域移行を促進するという観点に立ったときに、包括的な支援に関して、何か意見があれば教えていただきたい。

 それと、ここに書かれている緊急時の支援が、例えばどのようなケースなのかも併せて教えていただければと思います。

 

○日本精神保健福祉士協会宮部副会長

 ありがとうございます。この例示は老健局で作られたものではあるのですが、これがそのまま精神障害の方にぴたりと当てはまるとは思ってはいないのですけれども、こういう形で連携しながら、地域の中でのネットワークと拠点を作ることで、そこに連絡が行くと誰かが訪問できるようなシステムがあると、一つ一つのグループホームや相談支援事業所が担えない部分も担えるのではないかと思っています。

 緊急の支援というのは、どちらかというと精神障害の方は定時巡回などが余り馴染まないというか、どちらかというと本人から要請があるときが緊急というか、そのときにタイムリーに対応できるようなシステムがあればいいかと考えています。そういうシステムは、例えば相談支援事業所なども地域移行する所は 24 時間の体制を取っていたり、医療では ACT のサービスなど様々あるのですが、それが点在しているような形で、やはりそれが地域の中に仕組みとしてきちんと存在する形にはなっていないと思います。

 

○佐藤座長

 その他に、いかがですか。

 

○木村作業チーム構成員

 木村です。 1 つ精神保健福祉士協会さんのほうで、常時介護を要する障害者の所で、対象者像を明確にするというのは非常に大切だと思うのですが、ここにある強度の行動障害を有さないものの、常時介護を要する精神障害者のこんな状態とか事例みたいなことも含めて、何か具体的なものがあるのでしたら教えていただきたい。 それともう 1 点、これは「あみ」さんのほうに質問です。同じように支援区分では「重度訪問介護」や「行動援護」を使えないけれども、日常生活場面で、そのような支援が必要な場面があると。こちらは対象者というよりは、そういう場面があるということになっているものですから、必要な場面とは、例えばどういった場面を考えたらいいのか、教えていただきたいと思います。

 

○日本精神保健福祉士協会宮部副会長

 常時介護を要することに関しては、まだ協会の中でも対象者像がはっきりしていない部分もあり、もう少しはっきりさせなくてはいけないという議論がある前提なのですが、自分からなかなか要望を発信されないというか、障害特性から、自分からアクセスされない方々が地域の中ではとても多くて、そういう方たちに関しては、常時の関わりを通して見守っていくなどの必要があるのではないかということです。悪化して本当に危機的な状況になる前に介入ができる等の体制を取る必要がある方たちがいらっしゃるのではないかと思っています。タイムリーな相談を受けていく体制が必要な方が多いのではないかと考えています。

 

○全国精神障害者地域生活支援協議会田中理事

 御質問ありがとうございます。具体的な例で申し上げると、例えば、通院同行のヘルパーさんが付いていないけれども、不調を強く訴えられて、通院同行が必要だという場合が緊急時、あるいは随時という形で発生するとします。よく似た形で移動だとか、次の○2でも入れていますが、通所という場面で、なかなか外に出にくい状態のときに、少し御自身で行けるようになるまでの間、当初だけ同行すると、少し安心して行きやすくなる。そうしたら、そこからは手を引く等の臨機応変な場面は実際にあります。

 まだ障害福祉サービスにつながっておらず、外出が非常に苦手な方が、家から一歩出て、近所の喫茶店や公園など外の空気に触れる際に、相談支援専門員が一緒に同行する。このように、必ずしも障害福祉サービスの利用につながっていない方の相談に対応する場面で送るなど、具体的な例として、私は経験上持っています。答えになっていますでしょうか。

 

○佐藤座長

 よろしいですか。ありがとうございました。

 

○藤井作業チーム構成員

 藤井です。よろしくお願いいたします。「あみ」さんと日本精神福祉士協会さんにお伺いします。意思決定の在り方について、 2 団体からお話いただきましたが、御指摘のとおり、精神障害の方は、時には一時的とは言え、なかなか自身で意思決定が難しい状態になり得るということで、この意思決定支援の在り方は非常に重要だとは思うのですが、「あみ」さんのほうで提言いただいているパーソナルアシスタンスに近い制度を、具体的に教えてください。

 それから、精神保健福祉士協会さんで、ピアサポーターさんや専門職の医療スタッフに加えて、他の人材が一緒に意思決定をしていくのは、チームで関わるというイメージなのか、少しその辺りを具対的に教えていただけますか。

 

○全国精神障害者地域生活支援協議会田中理事

 御質問ありがとうございます。まず最初に申し上げます。パーソナルアシスタンス制度について、当協議会内部で、例えば役員や会員事業所の方々に様々な意見を頂きながら、一定のイメージを作っているわけではありません。

 一言で申し上げれば、論議がほとんどされていない中で、今日は意見表明の中に含めたということは、正直に申し上げます。その上で、私見として答えるとすれば、相談支援専門員の業務、ガイドヘルパー、ホームヘルパーそれぞれの業務を臨機応変に、必要に応じて随時使えるようなことを、少々曖昧ですが個人の中ではイメージしています。

 ヘルパーは使っていないけれども、ヘルパーと同等の方の、先ほど申し上げた通院同行が必要なとき、相談支援専門員が訪問等しているけれども、なかなかそこに十分、今のケアプランのこともあるのですが、現場の事情からすると、濃密に必要だがその人に関われないこともあり得ると。

 ガイドについても、先ほど申しあげた、通所の場合には使えない。そういったところを隙間と申し上げていいのか、まだ痒い所に手が届かない、制度上では漏れてしまうところをすくい上げるようなイメージです。ただ、それを具体的にどういう役割でどういう範囲で、本人との関係性はどうなのかという論議は一杯しないといけないとは思いますが、イメージとしては、あえて今あるサービスの中で申し上げれば、相談支援専門員の役割、ガイドヘルパー、ホームヘルパー等の役割を併せ持つ、本人との個別の関係の中で、そういったことを臨機応変にできる方というイメージを、現実的には、あくまでも私見ですが、思い描いております。かえって難しくなったかもしれません。申し訳ありません。

 

○佐藤座長

 では精神保健福祉士協会からお願いします。

 

○日本精神保健福祉士協会宮部副会長

 今回書かせていただいた意思決定支援の人材に関しては、特に入院中の方々の意思決定の在り方について、少し書いた部分があるのですが、もう少し広い意味でのことも考えなくてはいけないと思うのですが、現在、千葉と福島の 2 か所で意思決定支援のモデル事業が展開されていると聞いています。そのときに入院中の患者さんの所に、相談支援専門員とピアサポーターの方が傾聴を基本にして訪問を繰り返すと、本人が最初はなかなか話されなかったのが、徐々に自分の気持ちや希望などが出てきて、病院のスタッフとは違う立場の人に話ができる点がとても有効だということと、あと、ピアの方たちと一緒に話をすることで、本人の希望が具体的になっていくというエビデンスはあったと伺っているので、やはり当事者の意思決定を支援していくときに、きちんと本人の気持ちを傾聴していくという仕組みと、そのときに寄り添う形で、ピアの方たちがその専門性を発揮できる部分が大きいのではないかと考えて、今回は書かせていただきました。

 

○佐藤座長

 ありがとうございます。私も 1 ついいですか。福祉会連合会の本條さんにお尋ねします。一番最後に「家族支援法」のような法律が必要だとおっしゃっていて、項目の 3 番目に、障害者自身とその家族が中心となって制度設計を担っていくのだという指摘がありましたが、これは非常に素朴な疑問に過ぎないのですが、どの障害をもっている方でも言えると思うのですが、本人と家族の要求は必ずしも一致しないことが多いと思うのです。それに関して、ここで提起されている問題とどのように整理をされているのでしょうか。団体によっては、家族も敵だと言われる所さえあるぐらいですから、相当難しい問題かと思うのですが、よろしくどうぞ。

 

○全国精神保健福祉会連合会本條理事長

 確かに御本人と家族というのは利益相反の関係になる場合も多々あると思います。私の言っているのは、家族と障害者自身というのはそれぞれ思いも違うでしょうから、当事者は当事者としての気持ちを十分に聞いてあげて、そのニーズに沿って本人とともに利用計画などを立てていくべきであると思います。また、家族は家族として別の意味で生活のしづらさを感じているわけですから、そのニーズなり困っていることを聞いてあげるのも必要ではないかと思っています。

 ですから 7 番目の、訪問による本人も含めた家族全体を支援するというのは、本人と家族が利益相反する場合もあるわけですが、それを専門職の人がお互いの気持ちを聞いてあげ、最終的には、本人と家族でコミュニケーションなり人間関係が円滑に築けるように支援していくということも、本人の精神の病の回復、あるいは再発の予防になるというエビデンスが確立しているわけです。そういう制度を、やはり日本も取り入れていくべきだという考え方です。

 それからもう 1 つピアサポーターですが、私のほうに質問がなかったので言わしていただきますが、私たちはみんなねっとというか、連合会では精神障害者相談員制度というものを長年にわたって要望しています。身体障害者には、身体障害者福祉法に身体障害者相談員制度というものがあります。これは昭和 42 年にできています。知的障害者については、知的障害者相談員。これは親御さんが相談員になっている場合が多いでしょうけれども、それは翌年の昭和 43 年頃に成立していますが、精神保健福祉法にはその規定はありません。やはりピア相談というか、ピアカウンセラー、ピアサポーターと言ってもいいかと思いますが、本人はもちろんですが、家族同士の相談ということも非常に有効なのではないかと思います。

 

○佐藤座長

 ありがとうございました。まだ僅かですが時間がありますが。

 

○寺島構成員

 寺島です。同じく、精神保健福祉会連合会の方にお尋ねします。 4 の所で、「最初から企業内でジョブコーチが付いて仕事に慣れるやり方にすること」と書いてあるのですが、私は精神障害者の就労について余り詳しくないのですが、これは関係者の中では合意されているような内容なんでしょうか。

 

○全国精神保健福祉会連合会本條理事長

 まだ日本では定着していません。しかし、米国、英国等では、そういうことをすることによって、例えば精神障害者であれば再発の予防、又は回復につながるという効果もありますし、当然のことながら、就職を既にしているわけですから雇用率が上がる。それから、精神障害は先ほども言いましたが、非常に定着率が他の障害者の方に比べても低いのですが、そういう方が身近に接していますから、効果があるのではないかと思います。

 

○佐藤座長

 ありがとうございました。それでは時間がまいりましたので、 3 団体の皆さん、どうもありがとうございました。

 続いて、次のヒアリングに移りたいと思います。まず最初に、日本精神科看護協会から御意見をお願いします。

 

○日本精神科看護協会塩田氏

 よろしくお願いします。私は、病院で看護師として 20 数年勤めまして、その後、地域で作業所を作ったり、グループホームを作ったりという活動をしてきまして、現在は、法人の管理者的な立場で、日常的には地域活動支援センターでの業務をこなしながら、管理者として今いる立場でございます。なるべく会長の意見に沿って、日本精神科看護協会のヒアリングに対する意見を述べたいと思っております。

 最初に、 1. 精神障害者の地域移行を進めるための社会資源の整備についてですけれども、これは日精看の方向を示すもので、これを読んでいただければ大体分かるかと思いますので、省かせていただきます。

 ただ 1 点、○2に「区市町村単位で官民が協働し、地域の社会資源を整備する仕組みづくり」と書いてありますが、これは、地域にいますと具体的に、例えば、地域のクリニックの先生方の連携を是非お願いしたいとか、患者さんが具合が悪くなってクリニックの先生に相談したときに、病院との関係作りが難しくて、入院できる病院がなかなか見つからないという現状もありますので、これは是非、官民といいますか、それぞれの他機関といいますか、その連携ができるように、是非検討していただきたいと思います。

 次に、私が一番関係しています、精神障害者が望む生活を実現するための方策についてですが、これ以降は全て、「御本人が望む生活を実現するための」という前提が付いた上で、以下のような意見を述べたいと思います。

 医療ニーズの高い精神障害者に対応できる体制構築についてですが、 (1) 計画相談支援や地域相談支援において、対象者の医療ニーズに応じたサービス利用調整が行える体制を検討する必要があると考えます。理由としましては、精神障害者は、環境の変化や対人関係等の要因が病状に影響を与える場合もあり、病状の変化にも対応できる支援計画を作成する必要があると考えます。これは当然ですけれども、支援計画というのは、あくまでも押し付けではなくて、本人の同意の下にということは言うまでもないと思いますが、病状の変化に対応できる支援計画を御本人と一緒に作っていくことが必要だと考えます。病状によって支援内容が変化する精神障害者に対して、一人の相談支援専門員が生活面と医療面と偏りなく支援を調整することが難しい現実があります。

 そこで、具体的な意見としましては、相談支援事業に医療ニーズが反映できる専門職の養成と配置を検討していただきたいと思います。 2 番目に、相談支援を行う際に、地域の相談支援事業所等から、必要に応じて医療機関や医療専門職に助言を求めることができる体制を検討していただきたい。これは、いわゆる、今までのヒアリングの中にも出てきたと思いますが、多職種の連携や、他機関との連携のための具体的な体制作りを検討していただきたいということだと思います。

(2) は、先ほどの団体の方もおっしゃっていましたけれども、 65 歳以上の高齢精神障害者には、必要に応じて障害福祉サービスと介護サービスを組み合わせた支援計画が立てられるようにする必要があります。理由としましては、高齢精神障害者は身体ケアの必要性が高い事例が多いため、介護と障害福祉の両サービスが柔軟に活用できることが必要であること。介護保険への切り替えに伴って利用できるサービスが限定され、支援の継続性が損なわれるとともに、それまで関わってきた支援者が替わることで病状への影響が懸念されることなのです。実際にこんなこともありますというお話もしたいのですが、ここでは省いておきます。

 具体的な意見としましては、市町村が一律に介護保険サービスに係る保険給付を優先することがないよう、自立支援給付と介護保険制度との適用関係等について周知を徹底していただきたいと思います。これは多分、平成 19 年度の通知かと思いますが。また、福祉、介護、医療など、複数制度の包括的な支援計画の立案や、事業者等が一体的なサービス提供ができる制度の創設を検討していただきたいことなどです。

(3) 精神障害者の地域移行を促進し、地域生活の定着を支援するためには、医療ニーズの高い精神障害者が安心してサービスを利用できる体制が必要であると考えます。理由としては、病状名への不安感などから、精神障害の利用者の受入れに不安を感じている通所又は居住系サービス事業所が少なくないということです。精神障害の利用者が一時的に病状不安定になったときに、その対応に困難を感じる状況があること。地域移行支援対象者の拡大に伴い、地域生活で手厚い介護を要するケースが増えることなどが挙げられます。

 具体的な意見としては、障害福祉サービスを提供する事業所に対し、医療職を配置した場合の評価 ( 例えば、医療専門職員配置加算 ) を創設していただきたい。

 ○2地域移行対象者の拡大に向けて、医療ケア付居住系サービス ( 例えば、共同生活援助 ) の創設を検討していただきたい。ここで、医療ケアの中身を少し補足させていただきますと、病院の延長とか、地域の病院化ではないということを、まず前提にしなければいけないと思います。今も近くにいますと、治療内容や服用している薬について、あるいは体調、病状についての相談が日常的にあります。生活の場においても、医療について、当事者が安心して相談できるようなケアとしての医療といった内容が付いている居住系サービスと考えます。そういった施設があるといいかと思います。

 ○3ショートステイ ( 短期入所 ) を行う事業所に医療職の配置が促進される制度を検討していただきたい。

 ○4医療連携体制加算の活用が促進されるような報酬体系を検討していただきたい。これは、先ほど述べました、 2 (1) の○2との関連で、相談支援を行う際に、必要に応じて医療機関や医療専門職に助言を求めることができる体制を検討していただきたい。具体的に医療機関との関係を作っていく際には、こういった報酬体系を検討していただきたいと考えます。

 ○5「重度訪問介護」のような、支援が必要な精神障害者に、手厚い介護が提供できるサービスを創設していただきたい。

 最後に、 2) 障害支援区分の認定及び支給決定の在り方についてですが、これは、ここに書いてあるとおりかと思います。平成 26 4 月より、精神障害者の特性をより反映するため、調査項目が追加になっていますが、長期入院精神障害者の地域移行を進める観点から、更なる見直しが必要であると考えます。理由としては、精神障害者の地域移行を進めるためには、対象者が地域生活に慣れるまでの間、日常生活や地域生活面において手厚い支援・介助や見守りを要します。

 具体的な意見として、障害支援区分によりサービス量の支給量の目安があることは必要ではあるが、あくまでも目安として考えるように周知を行っていただきたいと思います。

 最後に○2長期入院精神障害者の認定調査では、対象者の状態を理解している、ここには看護者と書いていますが、そういった理解している者からの聞き取りを行い、適切な評価を行うよう周知を行っていただきたいと考えます。以上です。

 

○佐藤座長

 ありがとうございました。続きまして、全国「精神病」者集団から、団体の御意見をお願いします。

 

○全国「精神病」者集団桐原運営委員

 全国「精神病」者集団の桐原です。全国「精神病」者集団は、 1974 年に結成した、今年で 41 年を迎える、精神障害者個人及び団体の全国組織です。この 3 つの作業チームというものが、より深く議論するということでできたものであり、ヒアリング団体に対しては、もう少し総合支援法全体に対して意見を言っていいということだったので、私たちの基本的なスタンスとしては、骨格提言が、段階的に計画的に進めていくということだったので、その中で議論されたことに従って要求することを列挙したものを読み上げて行きます。

 まず、移動支援についてですけれども、移動支援は、個別給付として、義務的経費にしてほしいということです。それから、精神障害者の場合、入院するとやはり医療機関によって介護を使えないというのがあるのですけれども、とは言っても、外出、外泊する人に対して、病院側が人的な資源を割くこともできないという現実なので、そうした支援を可能にするように医療関係の所轄と調整してください。

 次に、精神障害者の介護についてです。これは、 1 つは、重度訪問介護の対象に精神障害者はなったのですけれども、実質的に行動障害 10 点以上に限定されており、ほとんどの人が使えないという現状になっています。もう少し使える人が増えるように、行動障害 10 点以上とか、そういった制限は無くして、割と誰でも使えるようなものにしてほしいということです。

 現在、ほとんど人材不足があるからというのもあると思うのですけれども、実際に介護を利用するときには、 1 週間の何曜日、何時から入ります、 1 時間入りますという入り方しかできていないのですけれども、こうした入り方をする場合、精神障害者の場合は、体調、状態が非常に安定していないので、たまたまその日は体調を崩していて全くサービスを受けられないといった状況は考えられます。しかも、こうした状態が長く続くと、事業所から、利用しないんだったら一旦休止してもらえないかといったような要請が来たり、そういったことは、各地で起きています。ですので、待機、実際利用するかしないかではなく、利用を見込むということが精神障害者にとって、むしろ非常に支えになるので、そういったこともサービスの対象として捉えて給付の対象にしてほしい、使えるようにしてください。

 将来的にということですが、骨格提言が示すところのパーソナルアシスタントというものを求めます。そうした場合は基本的に、重度訪問介護従業者研修がありますけれども、非常に短時間で取れるようにはなっているのですけれども、これでもやはり、必ずしも直ぐ人に入ってほしいというときに研修を受けてから入ると、やはりタイムラグが生じるので、できれば自薦の場合、緊急性を要する場合には、そうした研修を免除して、従業者になれるような特別な措置を講じてください。

3 番目の介護保険との関係です。これについては、一応調整して柔軟に対応するという通達は出ていますけれども、とはいっても、条文上は、補足性原則が書かれてしまっているので、第 7 条の法令の「介護保険法規定による介護給付」の部分は削除してください。

4 のグループホームです。グループホームは、私たちは基本的に施設であると考えておりますので、障害者権利条約第 19 条には違反するだろうと思っているのですけれども、現状やむを得ないような場面も少なからずあると仮に認めたとした場合でも、大規模収容、大規模居住等を給付の対象としたルールは、とにかく報酬でも認めないでほしいということです。特に敷地内グループホームは新設可能になりましたけれども、これは精神保健福祉法改正によってできた「良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針」に、大規模反対運動がありました新聞報道でも見ている方は多かったと思うのですけれども、病棟転換型居住系施設というものの規定があります。こういったものを敷地内であればできる、かつ、大規模でもいいとしたら、実質的にグループホームがある程度地域生活に近い形のものとして、仮に容認されてきたとしても、これは完全な、ただの施設になってしまうだろうと。山奥の所で、大規模な人がいて、移動手段もほとんどないような所から、どうやって地域生活ができるんだと、そういう問題があると思います。ですから、地域生活・インクルーシブ社会と掛け離れたものにさせないためにも、上記 2 点については検討してください。

5. ショートステイ。ショートステイは入院予防のために使うと非常にいいというのが精神障害者にあるので、事業所が増えるように報酬体系と設置基準を見直してください。

6. 意思決定支援ですが、成年後見制度の利用促進は、基本的に障害者権利条約の 12 条に反します。成年後見制度の現行類型を見直すとか、柔軟に対応するということでは、結局のところ、障害を理由とした行為能力の制限は残されるわけで、行為能力の制限こそ問題であると思います。個人の能力、意思決定の能力は、確かに人間は違いますので、全員違うと思います。ただ、その能力の違いを理由にして、行為能力を類型ごとに一律制限する。それはやはり差別と言わざるを得ないと感じています。成年後見制度を支援の代わりに使うような形ではなくて、例えば重度の訪問介護など、障害者団体が出してきたアイディアの中には、身近な介助者との関わりの中で意思決定をしていけるような方法が含まれているので、そういったものを採用していくべきです。

 相談支援の枠に、新たに意思決定支援が規定されましたが、基本的に何らかの支援として実施していこうということではなくて、もう基本相談の中の理念ぐらいにとどめておいて、つまり本人の意思を聞くことぐらいの理念にとどめておいて、今後は、居宅介護や重度訪問介護などに対象を広げ、あらゆるサービスに関わる従事者の基本的な理念に据えていくことにして、具体的なサービスにしていくことは極力控えたほうがいいような気がしています。

 それから、障害者の権利主張をサポートするアドボケイトが必要だと感じます。これは骨格提言にもパーソナルオンブズパーソンというものがあったので、そういったものの創設、育成や派遣などができるようにしてください。

7. 精神障害者の支援○1、退院促進・精神科病床削減の部分です。地域相談の実務を担う相談支援専門員ですが、グループホームに退院させるのが基本的なパターンであると想定されている部分があり、そういった意味でグループホームが退院の阻害要因になっているという実態があります。相談支援専門員が実務でやっていることが現場の運用を規定していきますので、できればアパート退院が基本だということを政省令に書くなどして、グループホームという選択がまずありきみたいにはならないようにしてほしいです。

 自立生活センター等が実践してきた自立生活体験室や自立生活プログラムの活用などの方法を取り入れてください。

 退院支援に係る活動費 ( ヘルパー及び本人の交通費、外泊・外出の際の手当など ) を支弁できるようにしてください。

8. 精神障害者の支援○2、アドボケイトを制度的に保障するということですが、これは骨格提言にあるようなパーソナルオンブズパーソン制度を制度的に保障してくださいということです。

9. 精神障害者の支援○3、精神保健福祉法の部分です。障害者総合支援法には、第 1 条は「障害者基本法の基本的な理念にのっとり」と続き、「精神保健法と相まって」という形で精神保健福祉法との関係を規定しています。この骨格についても、精神保健福祉法について精神障害者の支援の在り方が問題になっています。障害者政策委員会では、病棟転換型居住系施設に対して非常に多くの反対意見が寄せられました。それは障害者基本法の理念にのっとって問題があったことを示しています。こうした問題を引き起こすものに関して、私たちは反対しています。

 最後に精神医療審査会です。第三者の機関に対してチェックをすることが提案されていますが、段階的に可能だとしても、今、外交場面で精神医療審査会は「 Mental health coat 」と説明されています。精神医療審査会は上告できませんが、上告ができない裁判所というのは、いわゆる特別裁判所です。これは憲法第 76 条にも違反しています。私たちは入退院制度の帰結として、こうした社会的入院の問題が出てきていると思っているので、第三者による審査体制といったものではなく、入退院手続規定の廃止を目指してほしいと思います。以上です。

 

○佐藤座長

 ありがとうございました。続きまして DPI からお願いします。

 

DPI 日本会議佐藤事務局長

 こんにちは。 DPI 日本会議事務局長の佐藤聡と申します。今日はお招きいただき、ありがとうございます。まず最初に、一言お礼を申し上げたいと思います。今般の報酬改定において非常に厳しい財政状況の中、引き下がりなく改定していただいたこと、本当に感謝しております。ありがとうございました。

 では、見直しに関する意見を述べさせていただきます。順番に沿って、少しポイン

トをしぼってお話させていただきます。

 まず1 . 見直しの基本スタンスです。権利条約の理念を踏まえて改正をしていただきたいと思います。権利の主体、障害の社会モデル、地域における自立生活の権利、こういったものを踏まえて見直しをお願いしたいと思います。 2 つ目は骨格提言の段階的・計画的実施です。

 2 . 常時介護を要する障害者等に対する支援についてです。対象者ですが、障害の種別を問わず、日常生活全般に常時の介護を要する全ての障害者が利用できるようにしていただきたいと思います。具体的には、重度の肢体不自由者、医療的ケアを必要とする者、重症心身障害者、強度行動障害をもつ者、触法障害者、重度知的障害でありながら行動障害関連項目の基準以下の者、盲ろう者等です。この中でも、取り分け現行の重度訪問介護ではカバーできていない者について、今回の見直しで対象に加えていただきたい。重度知的障害でありながら行動障害関連項目の基準以下の者については、 2014 年度の対象拡大においても積み残しの課題ですので、是非お願いしたいと思っております。

 次は支援の内容です。シームレスに利用できる仕組みにしていただきたいと思います。介助が必要な者は、どの場所においても介助が必要です。支給量の範囲内であれば、利用範囲を制限しない、利用場所を制限しない、そういう仕組みにしていただきたいと思います。

3 番目、入院時もヘルパーを利用できる仕組みにしていただきたいと思います。現在、障害をもつと在宅ではヘルパー利用できても、病院の中ではできません。しかし、介助が必要な人はたくさんいるわけです。医師が必要と認めた場合には、病院の中でもヘルパーを利用できるようにしていただきたいと思います。

4 番目、移動支援における車の運転です。地方に行きますと公共交通機関がなくて、なかなか移動ができないということがあって、そういう中で車の利用が余儀なくされております。こういう実情を考慮して、車を移動の手段として認めていただきたいと思います。

7 番目、一日の範囲を超える外出についてです。外泊を伴う一日の範囲を超える外出については、行き先は国内外を問わず認めていただきたいと思います。

(3) 、○1の財源の仕組みです。現在、国庫負担基準で市町村への国の負担の大枠が決まる仕組みになっております。このため、市町村は国庫負担基準を超える額の支給負担が増えることをおそれて、国庫負担基準を目安に支給量の上限を設けていることが多くあります。これは、掛かった費用を国が負担する仕組みに改めていただきたいと思います。

2 番目の「移動支援」です。これはもともと自立支援給付にあったものなので、是非こちらのほうに戻していただきたいと思います。

 飛びまして 4 番目、その他の福祉サービスの在り方です。障害の範囲ですが、現在、病名で対象を決める仕組みになっております。難病は 5000 とか 7000 とか、あるいは名前も付いていない病気もあります。そういう人も、状況に応じて支援が必要な方もいらっしゃいますので、名前で対象を決めるのではなくて、全ての障害者が利用できる仕組みに改めていただきたいと思います。

 4 . 意思決定支援の所に行きます。 (2) 意思決定支援に密接に関わるパーソナルアシスタンス制度の実現をお願いしたいと思います。こちらは別紙がございますので、見ていただきたいと思います。これは、実際に重度の知的障害の方の自立支援をしている事業所が集まって、モデルの図を作ったものです。御本人とヘルパーと、事業所のサービス提供責任者、コーディネーターと呼んだりしますが、そういう人たちが連携をして、チームで自立の支援をしております。ヘルパーが行うことは、この丸い表の右側になります。身体介護、家事援助、移動介護、電気製品の操作等の援助、コミュニケーション支援、危険の回避、様々な事態に対応するための見守りです。サービス提供責任者が行うのは、左の所です。家族との連絡、緊急時の判断や対応、行政手続の支援、通所先との連絡調整、ヘルパーへの助言・調整です。下が、サービス提供責任者とヘルパーが一緒に行うものです。意思決定の支援、予定を立て生活のリズムを維持するための支援、趣味的なことを行うための支援、社会的なトラブルを回避するための支援、健康管理と健康維持のための支援、金銭管理と日々の金銭利用の支援です。こういったことを、御本人とヘルパーとサービス提供責任者、あるいは相談支援事業者といった方がチームで対応して、自立支援の実践をやっております。是非こういう形でのパーソナルアシスタンス制度の実現をお願いしたいと思います。

4 ページ、6に飛びます。 1 の「精神障害者に対する支援」です。病棟転換型居住系施設の問題が昨年大きくなりました。敷地内グループホーム制度ですが、権利条約の理念にそぐわないと考えております。是非この制度は廃止していただきたいと思います。 2 番目は、地域移行を進めるためには地域の基盤整備が非常に重要です。受皿を作ってチームで支える。そういう体制作りが必要ですので、集中的に財源を投入していただきたいと思います。

 最後は「高齢の障害者に対する支援」です。自治体によっては、 65 歳になるとサービス水準の切り下げが強制される場合があります。介護保険併給の場合、国庫負担基準が極端に低くなります。実際どういうふうになっているか、お示しします。平成 20 年、 24 年から現在までの国庫負担基準ですが、重度訪問介護の区分 6 4 4,070 単位です。これが 65 歳で介護保険の対象者になりますと、 1 3,560 に引き下がります。約 70 %引き下がる、そういう実態があります。その結果、市町村は財源が非常に負担が大きくなって、引き下がりをしている。そういう制度的な問題がありますので、是非これを改めていただきたいと思います。

 最後に、長時間の見守り介助がないと施設からは出られない、そういった知的障害の方はたくさんいらっしゃると思います。私たちはそういう人たちを是非これからも支援していきたい。これまでも施設から地域へ移行してきましたけれども、これからもそういった人の地域移行を進めていきたいと思っております。以上です。

 

○佐藤座長

 ありがとうございました。ただいま、 3 団体から御意見を頂きましたので、これにつきまして御質問、あるいは御意見等ありましたら、どなたからでもお願いいたします。

 

○野沢構成員

 御苦労さまです。日本精神科看護協会さんに幾つかお尋ねします。最初のところで、精神障害者の地域移行を進めるための特別な財政措置 ( 基金の創設等 ) とあります。私、この辺りはとても大事なところだと思っていて、この前の精神の検討会で、敷地内グループホームのことばかり問題になっていますけれども、病床を削減して、社会的に入院している 20 万人の人を地域に出していこうというのは一番の大きな目的で、なぜこういうところをもっと議論しないのだろうと思っていたのです。具体的にこういうことを出していただいて、大変注目したいと思うのですが、基金の規模とか、あるいはどんな所にこの金が必要なのかみたいなことを、もう少し具体的に分かったら述べていただきたい。まず、 1 点はそこです。

 

○日本精神科看護協会塩田氏

 これに関しましては、基本的な方針として、日本精神科看護協会はこういう方針を持っているというのは聞いているのですが、具体的な規模の内容等に関しましては、私個人としてはちょっと把握しかねていますので、吉川委員のほうで、もし。

 

○佐藤座長

 どうぞ、御存じでしたら。

 

○吉川構成員

 私まだその具体的な規模感というのは、今すぐこの場でそういった意見を出すのは、団体としては多分難しいのかなというふうに思います。ただ、実際にその社会資源として、例えば何が一番不足しているとか、何の整備が一番必要というふうに思われているかという辺りの意見を言っていただければいいのかなと思うのですけれども。

 

○佐藤座長

 では、看護協会のほうから。

 

○日本精神科看護協会塩田氏

 そこで病棟転換型居住系施設なのですが、形ではなくて中身はきちんと検討する必要があると思いますね。例えば、では病棟外であればいいのかということになりますよね。具体的に言いますと、例えば病院が地域のアパートを借りて、そこをグループホームにして、そこに患者さんを退院させているという現状があるのですね。その中で、そこに退院した患者さんたちが、地域生活がきちんと本人の意思に基づいて送られていればいいのですが、実態としては、実は病院から退院したけれども、毎日デイケアに通って、休みの日だけは訪問看護師さんが見えるという、そういう生活をされている方がいらっしゃるわけですよね。

 そういったときに、病棟型になった場合、むしろその辺がどうなるのだろうか、私の個人的な意見ですけれども、危惧しております。そうではなくて、場所がどこであれ、そこに生活する人が本当にその人の意思で、その人らしい生活が送れるということが保障されるのであれば、そのことがまず大事ではないかなと思います。

 

○野沢構成員

 ちょっと質問の意図と違う答えが。いいですよ、そこは。次に、福祉、介護、医療など、複数制度の包括的な支援計画や、事業者が一体的なサービスとあって、更にその下に、いろいろな医療ケア付居住系サービスとか、ショートステイも医療職の配置とかあるのですけれども、恐らく医療職って、看護師さんのことですよね。だから医療職を一つ一つ配置していったら、やはりコストは相当掛かってしまうだろうなということが 1 つです。

 そして、その福祉とか生活の場に医療職が入ることの是非みたいなものはどうなのだろうか。やはりそれよりは、福祉や生活はそこできちんとあって、外付けの医療でコーディネートして、一体的な運用と言いますか、利用というものを図っていったほうがいいのではないかというような意見もありますが、その辺はどうでしょうか。

 

○日本精神科看護協会塩田氏

 まずは医療職なのですが、医療職をこういう所に配置するということよりも、入院医療のほうがむしろコストは高いというふうに考えております。地域に看護職だけではなくて、例えば OT さんでもいいですし、薬剤師さんでもいいですし、いろいろな医療の知識を持った方がそこに関与することで、入院している患者さんが地域で生活ができるのであれば、むしろそのほうがコストとしては下がるのではないかと思います。

 それと、現実的に病院から今、長期在院患者の方が退院されてきているのですが、これはやはり福祉だけではなかなかやっていけないという現実があります。例えば、 20 年入院してきた方が退院をされてきたことがあるのですが、まずは病院の退院の窓口はソーシャルワーカーさんですので、その方から照会があったのですが、そのソーシャルワーカーさんは 2 回しか会ってなくて、その方のいろいろな情報を実は把握されていなかったのですね。主治医も 1 年弱の担当で、 20 年間の生活に関してはよく御存じではなかった。そういった現状がありまして、病棟でカンファレンスをしたりしたのですが、その中でやはり一番身近で、その方のことをよく分かっているのが、毎日参加していた OT の方とか、あるいは病棟で生活を看ていた看護師さん。その方の人となりが分かった段階で、これは地域移行も地域定着もないのですが、地活として、取りあえず外泊の度に来てもらって、本人になじんでもらって、近々退院につながったのです。これも福祉だけではなかなか受けられなかったと思っております。

 

○野沢構成員

 入院じゃなければここだというのではなくて、私が言っているのは、医療付きの住宅ではなくて、住宅は住宅で、医療は往診とか訪問だとか、そういう外付けはどうかということなのです。

 

○日本精神科看護協会塩田氏

 それはもうそのとおりだと思います。医療連携体制加算というのは正にそういうふうに、例えば往診が気軽にしていただけるかというと、全くそれはなかなか当てにできなかったりとか、地域で具合が悪くなったときに、掛かり付けのクリニックの先生に相談したときに、入院が必要であれば入院先を探してくださいというふうな依頼があったりとか、今、医療機関と地域の施設がなかなか連携ができていない。それから地域のクリニックの先生方も、それぞれがきちんとした仕事はされているのでしょうが、連携と言いますか、そういった形が作れていないのですね。それで、もう少し地域とそういう医療機関も含めて連携できるような体制、今先生もおっしゃったのですが、そういったものができるためには、やはりこういった加算も必要ではないかというふうに思います。

 先ほどの医療ケア付住宅というのは、従来の医療というふうには、私は思わないのですね。医療的な情報も相談があったときには、私が病院にいるときに、患者さんが退院した後に言われたのですが、入院中にこういうふうに具合が悪いと相談したら、その時点で主治医に報告がいって、薬が増えたり、保護室に入れられるかも分からない、地域だからこそこういう相談もできるのですよということを言われたことがあるのです。そういうふうに地域だと、割と安心して医療的な内容も含めて相談できるのですね。そういうふうな医療的なケアという内容だと思います。医療ではなくて、医療的ケアというふうに考えます。

 

○野沢構成員

 具体的にいろいろな提言をしていただいているので、とてもいいと思うのですね。ありがとうございました。

 

○日本精神科看護協会塩田氏

 ありがとうございます。

 

○佐藤座長

 他の方、いかがですか。

 

○大塚構成員

 どうも 3 団体の方、ありがとうございました。大塚です。 DPI の方に御質問したいと思います。4の意思決定の支援ということで、意思決定支援に密接に関わるパーソナルアシスタンス制度の実現を、ということで御説明がありました。私も、身近な日常生活をよく知る人が意思決定の支援者となることは非常によく分かると思っています。御本人の生活を一番理解しているということで、先ほどの知的障害のある方の説明、別紙による説明もそう思います。

 一方において、身近だからこそ御本人の意見とぶつかることがよくあると思っています。例えば、知的障害の方で、自分自身はこういう生活がしたいということがあったとしても、御家族やあるいは支援者が、そうではなくてということによってぶつかるというか、異なる意見があると思っています。そうすると、身近な人というのは一番の理解者であるけれども、利益相反ということで困難な立場にあると。そうなると、このパーソナルアシスタンスをどう定義するかは分かりませんけれど、身近な人が意思決定支援者になる可能性と、あるいはその危険性というのが 2 つあると思うのですが、どのようにお考えでしょうか。パーソナルアシスタントは一体どういう存在だというふうに考えておられますか。

 

○佐藤座長

 では、お答えをお願いいたします。

 

DPI 日本会議佐藤事務局長

 ありがとうございます。御指摘いただいた件ですけれども、私たちがずっとやってきた仕組みというのは、チームで対応する仕組みを考えております。ですので、まず 1 つ、ヘルパーさんが長期間にわたって一定期間その介助に入って、その中で信頼関係を作っていく。そこで信頼ができたことによって、いろいろなことが話せるような状況になってくる。それが 1 つ。

 それともう 1 つは、サービス提供責任者ですね。こちらコーディネーターですが、こちらも介助に入っていて、それである程度経験を積んで、関係もできているという人が適切で、そういう人を配置するようにしています。

 こういう中でいくと、 1 人の方とぶつかっても、チーム全体で対応するということが可能になってきますので、ある程度そういった問題は防いでいけるのではないかなと考えております。以上です。

 

○佐藤座長

 よろしいでしょうか。それでは吉川さん。

 

○吉川構成員

 吉川です。全国「精神病」者集団の桐原さんに教えていただきたいことがあります。 5 番目のショートステイのことについて、御意見を先ほどお聞きしたのですが、確かにショートステイというのが、入院・再入院の予防に非常に重要な資源だと思います。

 ただ、私も現場の方にいろいろ聞いた限りで詳しいデータを見て申し上げているわけではないのですが、なかなかショートステイが増えないという現状があるのと、実際なかなかうまく活用されていないのではないかという、そういった印象を持っています。そこで、例えば桐原さんとしては、どのようなショートステイが地域の中にあれば、これが利用しやすいというか、当事者としてもいいというふうに思われるのか、その辺りについての御意見をお聞かせいただければと思います。

 

○全国「精神病」者集団桐原運営委員

 ありがとうございます。ショートステイを実際に利用すると、余り自由度は少ないというか、やや管理的な部分もあったりします。一重に予算がない、人手が掛けられないというようなことを、誰もが答えるのですけれども、端的に言うと、介護のほうでも同じような提言をしているのですけれども、利用した段階で報酬が発生するというモデルでやり続けていくと、やはり利用していない時間帯というのは報酬が発生しないわけですから、結局のところ、それを別の事業で埋めるか、赤字覚悟でやるかという、二者択一を事業所は迫まられることになるので、やはり待機中であっても、それは待機していることによって得られる利益というのが、やはり精神障害者側にあるのであれば、例えば支給決定している人がそれなりにいて契約できているのだったら、一定の報酬を入れるとか、あるいはもうちょっとグループホームの一部分を使えるようにするとか、設置基準を緩和するだとかして増やしていければ、ある程度入りたいときに入れるというようなことはできるのではないかと思っています。

 

○吉川構成員

 例えば、ショートステイを利用されている期間というか、その間に、何か必要なサポートというか、支援とか、そういったものがもしあるようでしたら、お考えをお聞かせいただきたいのですが。

 

○全国「精神病」者集団桐原運営委員

 疾病別の話になってしまうので、具体的というか、体感的な話なのですが、やはり鬱の人が入ると快適というか、心地よくて、テンションが上がっている人が入れるような感じではないなというのが正直あって、そういう意味で、 3 食昼寝付きじゃないけども、とにかく休める場所というのをショートステイに一番求めています。

 

○吉川構成員

 安心して休める所というところですね。

 

○全国「精神病」者集団桐原運営委員

 そうです。

 

○吉川構成員

 ありがとうございました。

 

○佐藤座長

 ほかにいかがでしょうか。まだ時間はかなり残っています。

 

○高木作業チーム構成員

 高木でございます。まず、日本精神科看護協会様。裏のページの具体的な意見の所で、事業者等が一体的なサービス提供できる制度の創設という部分がございます。他の団体様からもあるように、障害の中に訪問看護というものを位置付けてほしいというふうな御意見をたくさん頂いているのですけれども、精神科看護協会さんとしては、看護としての位置付けをどういうふうに見ているのかということですね。障害の報酬でやりたいのか、それとも、診療報酬のほうでやりたいのかというところをお聞かせいただければと思います。

 あと 1 点、 (3) の○5のところです。「重度訪問介護」のような、手厚い介護が提供できるサービスを創設ということで、この手厚い介護という部分、もう少し具体的にイメージをお示しいただければと思います。

 

○日本精神科看護協会塩田氏

 まず、訪問看護についてです。これは病院から行く場合には診療報酬請求が関わってくると思います。地方の地域の場合には医療制度の中にはあるのですが、例えば訪問看護ステーション等が今出掛けて関わってもらっていますけれども、これも診療報酬請求だと思います、医療ですので。ただ、また個人的な意見なのですが、その中身に関しましては診療報酬請求の中で、具体的に今やっていただいているのは単なる訪問看護と言ったらいいのかな。例えば、服薬確認とか、身体のチェックとか、そういったことではなくて、目の前で生活している障害をもった方にどういう支援が必要かという中で、地域で暮らしていくことへの支援というものをやってもらっております。ですから、訪問看護が、今の医療制度の中では医療の一部として行われているのだと思います。ここではそういったものも含めて、ただ、訪問看護だけではなくて、その前が 65 歳以上の高齢精神障害者のことだったかと思うのですが、これは実際には高齢者の場合に、例えば在宅支援センター等高齢者の部分が関わっています。その方と、それから障害者部門の我々とが一緒に、 65 歳近くになった方とか、あるいは 65 歳を超えて障害福祉サービスから介護保険のほうに移られる方について、共同で、その場所でどうするかという打合せをして並行して使ったり、あるいは、実際に介護保険のほうに移行された方もいますが、できれば、制度がそうなっているから 65 歳を超えたらということではなくて、その場で介護の方、我々福祉の関係者、そこに関わっている訪問介護の方、あるいはヘルパーさん等が、今後どういう支援をしていくかというのを、制度があるからというので替わるのではなくて、その人にどういう支援が必要かというところで一致してやっていきたいというのが、ここの提案なのですが、よろしいでしょうか。

 

○高木作業チーム構成員

 障害の中に一部入ってもいいということですか。

 

○日本精神科看護協会塩田氏

 介護保険制度に、 65 歳になったから移るのではなくて、これは平成 19 年の通知にあるように、もし介護保険制度の中にそういう制度がなければ、障害福祉サービスを使ってもいい、並行してもいいというのがありますよね。その辺がなかなか地域では徹底していないのですね。先ほども意見がありましたように、介護保険制度に移ったとたんにヘルパーの時間が短縮されたりとか、今まで受けたサービスが減ってしまうというのがあるので、そうではないように、福祉介護などが一緒になって、そういった支援計画が立てられるような、そういう仕組みにしていただきたい、そういう制度を作っていただきたいということです。

 

○高木作業チーム構成員

 だから訪問看護なら訪問看護で、そこを一体的にサービスを組んでやっていってほしいと、そういうことですか。

 

○日本精神科看護協会塩田氏

 訪問看護だけではなくて。

 

○高木作業チーム構成員

 はい、分かりました。それと、「重度訪問介護」のような、手厚い介護ですね、精神障害者に対する。

 

○日本精神科看護協会塩田氏

 これも難しいです。今の仕組みの中で、精神障害者に重度訪問介護は実際に、先ほどもありましたように使えないですよね。使える基準が結構レベルが高いと言いますか、本当に具合が悪くてという方でないと使えないです。その具合の悪さの程度なのですが、そこの基準がなかなか難しいと思います。精神障害の方で、こういう重度訪問介護のような介護が使えれば、一見なかなか社会生活が難しいような方でも、この制度を使うことによって社会の中で生活していける可能性が強いので、今の制度がもう少し利用できるような、そういうサービスができないかなというので、こういう提言をしています。

 

○高木作業チーム構成員

 分かりました。手厚い介護の内容が聞きたかったのですが、まあいいです。ありがとうございました。

 続いて、「精神病」者集団の桐原さんですけれども、今の話にもちょっと通ずるかもしれないのですけれど、重度訪問介護のニーズというのがどんなニーズかという話の中に、待機もという話があったかと思います。待機というと、実際的には見守っているというか、いわゆるそういう状況だと思うのですが、長時間のそういった見守りというところにも公費を投入すべきだと、そういうお考えということでよろしいですか。

 

○全国「精神病」者集団桐原運営委員

 はい、そうです。見守りというのは、一般的に重度訪問介護の中でいう場合は、同じ居室の中にいて、例えば別のスペースで見守ったり、あるいは直接そこにいて見守ったりという、利用者のさじ加減で距離は規定されるとは思うのですけれど、そういう同じ空間の中にいるという前提で見守りと言うのですけれども、僕たちが言っている「待機」という提案は、いわゆる同じ空間にいない状態での見守りということです。

 

○高木作業チーム構成員

 分かりました。もう 1 点だけ、 DPI 様なのですけれども、最後のページに、知的障害者の支援の状況というのを一日を通じて分かるように、常に支援が必要なのだよというところが分かるような図を御用意していただいたのですけれど、中身を見ると、例えば認知症高齢者の一人暮らしの方も、同じような状況かなとも思うのです。認知症の高齢者もこうあるべきだということになるわけですか。

 

DPI 日本会議佐藤事務局長

 私たち基本的な考え方は、地域の中で必要な支援を受けて生活をしていく、そういう仕組みが必要だというふうに考えています。ですので、今回障害のことで出したのですけれども、高齢もそういう必要があれば作っていくのが望ましいと思っています。

 

○佐藤座長

 私 1 つだけ聞いていいですか。 DPI 様にお聞きしたいのですが、意思決定支援と密接な関係にあるパーソナルアシスタンスということですけれども、私はむしろ分けないと駄目なのではないかと思ったのです。かなり濃密に関わって、関係ができて。だから、その人が意思決定の支援もしたほうがいい、あるいはできるというのは、逆に 1 つ間違えると、利用者の側はそれしか選択肢がないような、つまり、いつも自分のそばにいて面倒をみてくれている人が言うことというのは、かなり影響力が強いと思うので。例えば、全身性の障害の方で、コミュニケーションや、もちろん知的な問題もなく、そういう方は話相手や相談相手ぐらいにはなるかもしれないけれど、意思決定に関わることは介入させないですよね、恐らく。ということになると、相手が重度の知的障害がある人だ、あるいは重度でなくても知的障害がある人だという人の意思決定に関わるところに、そういう人たちが密接に関与するというのはおかしなことにならないかという疑問が、さっきの御意見を聞きながら感じたのですが、いかがでしょうか。

 

DPI

日本会議佐藤事務局長 おっしゃるとおり、全身性の知的障害のない身体障害の場合は、意思決定は基本的には御本人がされております。知的障害をおもちの方は、なかなか一人で明確にいろいろな意思を表明するということは困難だと思います。そういう中で、ある程度の期間一緒に身近で寄り添って介助する中で、関係を作って、そういう中で利用者のほうも心を開いてと言いますか、意思を表明しやすくなる、ある程度伝えやすくなるというところもあると思います。一方で、おっしゃいましたように、ヘルパーが主導的に影響が大きくなって、本人の意思とは違うところに引っ張っていく、そういう危険性もあると思います。それに関しては、できるだけチームで対応して、ヘルパーだけではなくて、サービス提供責任者あるいは相談支援事業所というところから連携をして、御本人に寄り添って意思決定の支援をするということが非常に効果的ではないかというふうに考えております。

 

○佐藤座長

 言えばそういうことになるのでしょうけど、お互いが。まあいいです。これは非常に微妙すぎて、すみません。

 

○野沢構成員

 私もちょっと似たような質問なのですけど、この図ですね。これ、すごくよくできた図だなと思って見ているのですが。そもそも、ではサービスを利用することに関する意思決定って誰がやるのだろうと。もっと端的に言ってしまうと、御本人が、このヘルパー嫌だと、あるいはこのサービス提供責任者嫌だと言ったときに、では誰が本人の意思決定をするのだろうかと思うのですが、どうでしょう。

 

DPI 日本会議佐藤事務局長

 実際に、おっしゃるように、この人は嫌だという例は、よくあります。そういうときは、御家族もありますし、相談支援の人もいらっしゃるし、そういう形で、できるだけチームで対応するというふうに考えています。

 

○野沢構成員

1 つだけ、「精神病」者集団の方にお聞きしたいのですが、パーソナルアシスタントって、どんな団体も大体言うのですけれども、よくよく聞いてみると、定義が全然違うのです、それぞれね。ここで言われているところの、重度訪問介護を発展させたパーソナルアシスタントとあるのですが、重度訪問介護とパーソナルアシスタントの違いを教えていただけますか。

 

○全国「精神病」者集団桐原運営委員

 パーソナルアシスタントと重度訪問介護をここで違いを言うとしたら、 1 つは、例えば移動、家事援助、身体というような類型がないこと、原則として自薦であることなどを想定しています。

 

○佐藤座長

 最後になりますが大塚さん、どうぞ。

 

○大塚構成員

 先ほどからの意思決定の支援の質問というよりは、今までの議論ということで、それを取って、日常生活などについては、その人の生活状態や様々な好みであるとかということを知るということでは、やはり身近な人が意思決定をしていくということは非常に妥当なことだと思っています。そして、そういう方が中心になるべきだと思います。ただ、例えばどこで誰と生活するかについてなど、人生上のことであるとか、少し話が大きくなる本人の人生に関わるような意思決定というのは、例えば事業所内だけのチームであるとか、あるいは家族だけでやるとか、あるいは支援者だけということは、私は非常に危険な状態になるのではないかと思っています。そういう意味では、そういうところについては、日常生活も少し関わるかもしれませんけれど、第三者の関与による支援の仕組みというのが重要ではないかというふうに、個人的には思っています。以上です。

 

○佐藤座長

 ありがとうございました。それでは時間もまいりましたので、ここで一旦御意見の表明については切りたいと思います。 3 団体様、どうもありがとうございました。では、約 10 分休憩を取って、最後のグループに移っていきたいと思います。 16 5 分には遅くとも再開できるようにしたいと思いますので、よろしくお願いします。                                                

 

( 休憩 )

 

○佐藤座長

 皆さんおそろいのようですので、議論を再開したいと思います。あと、 4 団体から御意見を頂きます。最初に、社会就労センター協議会、お願いします。

 

○全国社会就労センター協議会叶委員長

 全国社会就労センター協議会 ( セルプ協 ) の叶と申します。よろしくお願いします。本資料 7 1 4 ページが今回の意見で、 5 6 ページが参考資料となっていますので、御覧いただければと思います。限られた時間ですので、ポイントしか説明できないかと思いますが、 1 ページの真ん中に、セルプ協として一貫して以下の基本的な考えに立って意見してきたということで、次の 3 つを挙げているのですが、 1 つは、働くことを希望する全ての障害者のニーズや状態に応えられる制度設計をすること。 2 つ目が、働くことを希望する全ての障害者が地域で自立した生活を送ることができるよう、関連制度の拡充を図ること。 3 つ目が、一部の施策に偏ることのない、例えば一般就労のみとか、福祉的就労のみとかではなくて、住まいの場も含めてトータルな支援により障害者の就労を支えること。こうした基本的な姿勢を踏まえて、以下のとおり意見をしていきたいと思っています。

 大きく分けて、 1 つ目が障害者の就労支援の在り方、 2 つ目が支給決定の在り方、 3 つ目がその他の検討項目という大項目でまとめていますので、話をしていきたいと思います。

1 ページの下の障害者の就労の支援の在り方ですが、多様な就労の場を設けるという所で挙げています。○1で書いていますが、一般就労の促進はもちろん目指すべき方向としては重要だというようにセルプ協も位置付けていますが、それがどうしても難しい方や、一般就労等への就職後に短期間で退職される方とかがおられて、そういう意味でも就労継続というか福祉的就労の場は大事だと位置付けています。

2 ページの 1 つ目の○に書いていますが、企業が、全ての働くことを希望する障害者に合った働く場を提供することは、なかなか難しい現実があると思います。そういう意味で、一般就労が難しい方々の継続の場は欠かせないと。これは A 型事業のみならず、障害の重たい人や、その特性から常時見守りが必要な方を受け入れる場ということで、就労継続 B の役割も非常に大きいと位置付けています。

 ○2に入りますが、福祉的就労で働く障害者の権利向上を目指しつつも、ニーズや状態に合った働く場が失われないよう現実的な対応をするということで、平成 23 8 月に『骨格提言』が出されました。その中では「障害者就労センター」と「デイアクティビティセンター」という 2 つに再編成するという考え方が示されて、障害者就労センターに関しては、労働法規の全面適用と又は部分適用、あるいは最低賃金以上を確保することを目指すとされています。働く人たちにとって労基法適用であったりとか、最賃を保障していくことは、基本的な考え方としてはもちろん賛成ですし、大事ですが、ここでは一応 2 つ目の○にありますが、骨格提言でうたわれている労働法規や最低賃金の課題が、福祉的就労を底上げする十分な施策がないままに課せられた場合に、運営が立ち行かずに就労系サービスの廃止 ( 介護サービスを提供する事業に転換 ) に追い込まれる事業所も出てくるということです。

 要するに、例えば B 型事業所に最低賃金とかが課せられたときに、それを一気に払える状況になるのはなかなか難しいわけで、そうなったときに B 型をやれずに介護系になってしまったりとかいうことに追い込まれることを、セルプ協はとても心配しているわけです。現在働いている人たちが誇りを持って働く場を失わないことを、是非お願いしたいと思っています。

2 番目の多様な就労の場の 1 つである福祉的就労の底上げを図るということです。もちろん就労継続の場は大事ですが、とは言っても今のままでいいのかということを考えたときに、もちろんそうではないと。 2 の○1の 2 つ目の○で書いていますが、各事業者が創意工夫をもって高工賃を目指していく努力が大前提だということです。

 底上げする以下の制度が不可欠ですということで、 4 つのポイントを 3 ページの上に書いています。 1 つは「工賃向上計画の推進」ということで、本格的に工賃を上げていくために取組を進めていくと。 2 つ目が「優先調達推進法」ができましたが、官公需からの仕事の入る仕組み、これを更に充実させていくと。 3 つ目が「共同受注窓口の活用」ということで、官公需とか民間からの仕事を受ける窓口として、共同受注窓口の充実。 4 つ目が、官公需は優先調達推進法として作られましたが、民需、いわゆる民間企業から就労支援施設に仕事が入ってくる仕組みをきちんと作っていく必要があるということです。これらの工賃向上に向けて 4 つのことが是非重要だということで、セルプ協では思っています。

 ○2で福祉的就労の場で働く障害者の労働者としての権利向上を図る制度を導入するということで、これも 2 つ目の○ですが、福祉的就労で働く障害者の権利向上を図る当面の現実的な方法として、以下の対策が求められるということで、 1 つ目のポツが、 B 型利用者の工賃の向上を図った上で、最賃に達しない場合の所得保障の仕組みであったり、あるいは、福祉的就労の場で働く労災の問題とか、いろいろな保険とかの補償の問題とか、この辺の制度の導入も重要であると考えています。

 ○3ですが、所得保障の問題で言えば、工賃・賃金のみならず、障害基礎年金であったり、各種手当の組合せによって達成されるべきと書いていますが、特にグループホーム利用の際の家賃助成が、今、 1 万円を限度に出されるようになっていますが、この辺の更なる充実が必要かと。セルプ協では、ここには書いていませんが、少なくとも生活保護の住宅手当の水準にまで何とか持っていって、地域での生活が可能となるようにできないかということを思っているところです。

 大きい 2 つ目が、支給決定の在り方ということで、本人が希望する働く場の選択を保障するということで、これは、いわゆる就労継続 B に直接行くことの経過措置が終了しましたが、 2 つ目の○に書いています、その人に合った働く場がどこであるか、それを決定する上での客観性が制度運営上求められることは理解するけれども、本人の選択の自由を奪うというか、利用者に必要以上の負荷を掛けるような事態があってはならないと思っているところです。

4 ページの 1 つ目の○ですが、特に 65 歳以上の介護保険優先で働いている障害者に、もう駄目だとか、あるいは区分が低いから生活介護事業の利用は駄目だとか、本人のニーズや状態を大事にしない支給決定の在り方は、セルプ協としてはまずいと思っています。

 自立支援協議会等を活用したアセスメントの仕組みでは、今、就労移行支援事業によるアセスメントが打ち出されていますが、就労支援事業所もあるかもしれませんが、地域の自立支援協議会の就労部会とか、相談支援事業所とか、そういう所も活用して、本人に合った仕組みが必要だということです。

 最後です、その他の検討項目として 3 点挙げています。 1 つ目は、重度の障害があっても働くことを希望する人が、支援を受けながら働き続けることができる体制、重度支援体制加算がありますが、今、これは非常に不十分だということで、この見直しです。 2 つ目は、障害者の働く上での移動支援の問題です。 3 番目に書いているのが、先ほども言いましたが、 65 歳以上の方々が働くことにおいて、全国で差がなく実施されなければならないということで書いているところです。

 

○佐藤座長

 続けて、全国就労移行支援事業所連絡協議会からお願いします。

 

○全国就労移行支援事業所連絡協議会酒井副会長

 よろしくお願いいたします。まずは、このような場を当協議会に与えていただきまして、ありがとうございます。当協議会は、文字どおり就労移行支援事業を運営する組織の集まりです。ですから、組織の性質上、資料の表題にありますように、福祉から一般就労へより多くの人を送り出すための意見に限定したものであることをお許しいただきたいと思っています。

 頂いています 10 分間は、提出させていただいています意見書のポイントを御説明させていただきたいと考えています。御承知のように、平成 23 年に総合福祉部会で示された骨格提言においては、障害者の日中活動サービス再編に当たりまして、障害者就労センターとデイアクティビティセンターに区分され、就労移行支援事業については、その成果と課題を検証した上で、一般就労への支援の在り方について検討するとされていました。そのような経過を踏まえ、現在、総合支援法において、就労支援についても施行後 3 年間を目途として検討することとされていると、私たちは認識をしています。

 正直、この骨格提言を拝見したときには、「就労移行支援事業」の文字もなくて、議論の過程の中でもほとんど話題にも挙げていただけなかったと記憶をしているのですが、このままでは就労移行支援事業がなくなってしまうのではないかという危機感もありまして、この連絡協議会を発足させたという経緯もあります。

 骨格提言にうたわれています日中活動の再編に当たりましては、仮にそのままスライドされると、「福祉から一般就労へ」の流れを低下させるのではないかと、私たちは危惧をしています。どのあたりが駄目なのかというか、日中活動の再編については、現在も主張されている団体もいらっしゃいますので、余り大きな声では言えないのですが、後ほど時間があればそのあたりも御説明させていただきたいと思います。これは一般就労により多く送り出すという観点でのお話です。

 本題に入りますが、御承知のように、労働政策との連動によりまして、着実に障害者雇用が進んできていまして、平成 30 年からは精神障害者が基礎算定に含まれ、雇い入れる企業側としても、一層障害者雇用の機運が高まるのではないかと私たちは期待をしています。私も、もともとは現場のジョブコーチをしていまして、例えば 10 年前や 15 年前の障害者雇用の現状を見たときに、フィールドは随分変わってきていまして、当時だと障害者雇用のフィールドにはうまく乗っかれなかった方々も、企業の中で配慮を受けて、戦力となって働いている方が本当にたくさん出てきています。このような状況の中で、今後の就労支援の在り方を検討するに当たっては、「福祉から一般就労へ」という流れの重要性をもう一度再確認いただいて、福祉サービスからより多くの障害のある人が一般就労への移行を目指すことを、今後も就労系サービス制度の中核に据えていただきたいと考えています。

 まずはそのような骨子をお伝えさせていただいた上で、制度誕生時とは取り巻く状況が随分変わってきていますので、今後論点を整理される上で、是非議論いただきたい点を説明させていただきます。 1 点目は、先ほどから申し上げています「福祉から一般就労へ」の促進という観点です。資料の最後のほうにありますように、厚生労働省からの資料の発表からも、福祉から一般就労への移行は着実に進んできています。一方で、就労移行支援サービスを提供していながらも、障害のある人の社会の中で働きたいという思いに、ちゃんと応えきれていない事業所もまだまだ存在しているのも現実です。ここで制度誕生当初の目的を再確認いただいて、障害のある人にとって就労移行支援が適切に提供できるよう、制度設計をお願いしたいと考えています。

 一般就労への促進に向けて、最近もう 1 つ懸念していることがあります。それは就労継続支援 A 型事業所の急激な増加です。障害がある人に地域で働ける場所がたくさん用意されることは歓迎すべきことなのですが、一般就労が可能な方々も A 型を利用し、そこに滞留してしまっては本末転倒ではないかと考えています。このような安易な A 型事業所への選択とならないよう、例えばいろいろ課題もあるのですが、就労継続支援事業 B 型には高等学校から利用が直接認められないようなルールがあるように、 A 型利用に当たっても、第三者の立場から何らかの客観的な視点の入る仕組みがそろそろ必要なのではないかと感じています。

 先ほどの A 型事業所の問題と併せてですが、現状、何をもって就労実現なのか、その定義が曖昧な現状にあることも、 1 つ挙げさせていただきたいと思います。こちらも障害のある人にとって多様な労働形態が用意されるのは歓迎すべきことですが、それと就労移行支援の就労実現の定義が曖昧でよいのと同じ軸で議論するのは少しおかしいのではないかと思っています。ここで一旦、就労移行支援が目指すべき就労とは何かを議論し、定義を明確にされることを私たちは望みたいと思っています。

3 つ目が定着支援です。就労移行支援を提供していきますと、例えば就労実現された就職後のトラブルであったり、あるいは調整事項が出てきます。現行の仕組みでは、 6 か月は就労移行支援のミスマッチがないか確認することとなっていますが、 6 か月の定着後も問題や調整ごとが多々存在します。また、就労後にタイムリーに支援を提供するには、例えば本人や企業と継続的な信頼関係を築いていくことが大変重要であると考えています。増え続ける地域で働く障害のある人を支えるためには、定着支援の仕組みについて、来年度、報酬改定においても論点にしていただいていますが、定着支援の在り方については更に検討する必要があるかと考えています。

 最後に、連携についてです。就労支援は、性質上労働施策とも強い関係性を持つものです。また、教育分野との連携においても同じことが言えますが、それぞれは一般就労に向けた施策が行われていますが、それぞれの間で連絡調整がより一層スムーズに行くことを強く願いまして、私たちの意見とさせていただきたいと思います。

 

○佐藤座長

 続いて、全国就業支援ネットワークからお願いします。

 

○全国就業支援ネットワーク高井代表理事

 本日はこのような機会を与えていただきまして、誠にありがとうございます。初めに、全国就業支援ネットワークは、現在 240 団体で構成する NPO 法人です。私たちの法人の活動並びに概要については、スライド 1 ページに掲げさせていただいていますが、能開施設、ナカポツセンター、就労移行支援事業の 3 つの部会を持ち、今、特に力を入れているのは、生活支援ワーカーの研修をさせていただいています。

 次のスライドです。「施策の総合主体として」ということですが、これは労働行政、厚生行政、そして周辺領域にある施策ですが、これらは私たちの守備範囲として活動してきました。ただ残念ながら、総合支援法の中ではナカポツセンターという位置付けは見当たりません。

 次は、就労移行支援事業のフローチャートですが、自立支援法から総合支援法へ継承され、この事業は本当に福祉から一般就労の道筋をつけた意義ある大切な事業だと思っています。長期的な職場定着支援とか、就職者をたくさん輩出する中では、即定員を充足できず不安定な経営に陥いらないための対応策が急務です。また、中身については、スキルの修得も大切ですが何と言っても自分を知るであるとか、何のために働くかという「気持ちの支援」をしっかりサポートしなければならないと思っています。

 次の図です。よく見る図だと思いますが、これは企業で働いておられる方が 43 1,000 人しかいません。みんなこれほど就労、就労と言っていますが、これだけです。そして、 1 年間に 7 7,883 人就職したというにもかかわらず、この中には福祉施策の A 型事業所からの就職者がたくさん含まれているということです。でも、この数字の裏にあるのは、たくさんの離職者がいる、そして、その離職者の解決策を誰も持っていないところに、大きな問題があるのではないかと考えています。

 次です。 26 年度も好調な雇用状況です。そして雇用率も改善されていますが、先ほども申し上げましたように、ここで離職という問題があります。埼玉県から離職者について詳細な調査が出ていますが、私たちの仕事は就職する人を支えることも大切ですが、離職した人も含めてサポートしているということ、そして、ここでは離職された方が再就職するのはとても難しく、 6 割以上の方ができていないということです。そして、つまずく原因の初期は、仕事のミスマッチングですが、それ以降については、人間関係や生活上のことが多く生活支援がとても重要で、そのサポート体制の確立が必要です。

 次です。私たちが支援を対象とする人は、心身機能に障害がある労働者です。障害者権利条約が批准された今、私たちはこの条約の観点から、障害のある人たちも一般就労を推進する上で、この権利を守る姿勢を重視していかなければならないと考えています。

 次のスライドです。労働の効率性ということですが、先ほど権利を守ると言いながらも、働く能力がある人は労働側、そうでない人たちは厚生側という、今までこういった体制の中でやってきたのではないかと考えています。これでは障害のある人たちへの差別ではないでしょうか。

 次は、企業就労されている方の状況ですが、この表を見ていただきますと、その特徴がよく現れていると思います。

 次です。これもよく目にしていただく表ですが、平成 25 年度は精神障害のある人たちの就職件数が身体障害の方を上回りました。けれども、職場定着という点では、他の障害に比べて非常に低迷しています。平成 30 年の雇用義務化に向けて、生活支援も含めて、また、医療機関との連携も含めて、対応策を仕組みとしてきちっと作らなければならないと思っています。

1 ページ飛ばします。次は、当ネットワークの構成員の中で最も多い就業・生活支援センターです。これは平成 25 年度の事業実績ですが、当事者、家族、企業、地域と連携して大きな成果を上げています。しかし、体制としては福祉圏域1ヵ所で就業支援員2名、生活支援員1名の配置、ナカポツセンターの事業規模に比べて、求められる業務内容は多岐にわたり本当に脆弱な状況で事業が展開されています。けれども、先ほどの 3 枚目の移行支援事業のフロー図を見ていただいてもわかりますように、この事業と連携して総合支援法の就労に関わる様々な事業、相談支援事業、就労系アセスメント、就労移行支援事業、就労継続 A 型・ B 型事業、自立支援協議会等々、「就労」と名前が付けば何でもナカポツセンターにまわってくるという状況です。その辺は制度上の役割や棲み分けを明確に示していただきたいと思っています。

 ナカポツセンターは、労働行政と厚生行政の両方から成立した唯一の事業です。そのことも考えていただいて、人の暮らしや働きを支える事業は縦割りではできないわけです。でも、福祉側から出ているナカポツセンターの補助金、生活支援等事業費は毎年大きく削減されています。その対応策として国は新事業を創設してはいただいていますが、地域生活支援等事業の任意事業であるため、いくら新しいものをつくっていただいても、実際には絵に描いた餅のような事業になってしまっていますので、是非このことも含めて改善していただきたいと思っています。

 最後にですが、総合支援法に要望です。障害は誰にでも起こり得ることですので、一市民として誇りを持って社会参加できる仕組みが地域に必要だと思っています。そのためには、就業面も生活面も含めた相談支援体制の充実が必要ですが、現状ではその一端をナカポツセンターが担っています。一定の水準の支援が受けられるような、合理的な解決策を導いていただけるような制度にしていただきたいと思っています。

 そして、事業は人なりです。ナカポツセンター、能開施設とも、職員は非常に不安定な身分で働いています。もちろん障害のある方の労働者性も大事です。けれども、そこで働く職員処遇がきちんとできない事業は展望が持てませんので、専門性の高い職員配置ができるようにしっかりしていただきたいと思っています。

 そして、能開施設やナカポツセンター事業は大きな赤字を抱えながら法人の善意に基づいて事業運営しています。そこで働いている職員は、肩身の狭い思いで働いている人たちがたくさんおりますので、是非、将来展望の持てる安定した予算措置を強くお願いします。

 それから、能力開発施設ですが、これは労働側の事業ではありますが、当ネットワークの出発点の事業であり、日本の就労支援をけん引してきたと自負しています。時代は大きく変わりました。その事業の中身は、就労移行支援とほぼ同様のことをやっていますので、国として展望のある方向性、総合支援法下の事業として御一考いただければと思っています。

 そして、限りある財源です。毎年どんどん事業が増えていきますが、事業をし、選択しが増えることはいいことですが、規制緩和によりモラルが問われる事業所がたくさんあります。特に A 型事業所等事業内容の確認とこの事業に対する福祉行政と労働行政間の認識のズレが大きく現場は混乱しているため、国は統一見解を示して頂きたいです。また障害福祉計画で数値目標が達成されていても増え続けています。数を増やすだけではなく必要な量と質の担保に責任を持っていただきたいと思っています。

 

○佐藤座長

 御意見の最後になりますが、きょうされんからお願いします。

 

○きょうされん赤松常務理事

 本日は本当にありがとうございます。きょうされんは、成人期の障害のある人の働く場、暮らしの場、相談の場、こういった事業所の皆さん 1,850 会員が全国におられますので、そうした皆さんの御意見を代表する形で意見を述べさせていただきますが、本日、意見○1~○10ありますが、時間も限られていますので、かい摘んでの御報告となります。ただし、触れない項目に関しても、決して優先順位が低いということではないので、その点をまず冒頭に申し述べさせていただきます。

 意見○1、全体を通じてですが、今回の 3 年後見直しに関しましては、是非、総合福祉部会の骨格提言、障害者自立支援法意見訴訟における原告団と国 ( 厚生労働省 ) との基本合意文書、この 2 つの文書を実現する形で行っていただきたいことが、冒頭の 1 点目です。

 意見○3に移りますが、移動の支援の在り方です。特に障害のある人たちの移動支援、そのうちの通勤と通学、これを是非利用できるようにしていただきたい。子供の時期における学ぶ、成人期における働く、この社会参加に必須の要素の入口である通勤・通学、ここに移動支援が利用できないということに関しては、障害のある人たちの社会参加を非常に制約していると考えています。これを福祉サービスでやるのか、あるいは通勤に関しては、職場の合理的配慮で行うのか、こういったいろいろな論点がありますので、そういったことも含めて、是非、これを具体化する方向で検討を進めていただきたい。

 意見○4、就労の在り方に関してです。就労支援のための事業体系の見直しに向けて、骨格提言で示されました試行事業の実施や賃金補填、所得保障制度の在り方、こうした検討に具体的に着手をする必要があると考えています。その際、障害のある人の就労の実態に関する総合的で正確な調査、これが何より必要だろうと。今のところ、確かに大企業における一般就労の数は年々着実に増えていますが、中小企業においては実態がいったいどうなっているのだろうか。そういったことも含めて、障害のある人の一般就労の実態、福祉的就労の実態、こういったものを併せてトータルに把握する必要があると考えています。

 そして、ゴールとなる事業体系につきましては、そこの骨格提言の図を引用させていただきましたが、一般就労できる方、自営で働ける方、こういった方は、極力一般就労で働ける環境をつくろう。そして、障害があって、何らかの支援を必要とする、そういった方には障害者就労センターという形で働く場をつくろう。そして、障害がうんと重い方に関しては、デイアクティビティセンター、そこでも希望があれば働く環境を整えよう。こういった骨格提言が示した日中活動の体系、ここを目指した具体的な検討に着手をする必要があると、こういうふうに考えています。

 なお、当面の事業の中で、当面の体系において早急に改善する必要があると考えているところを 3 点書きました。まず、 A 型事業における短時間減算の問題です。これにつきましては、この短時間減算を一律に課すことで、精神障害の方が多く利用されている事業所等、障害の特性や本人の希望や合理的配慮を提供した結果でも、この減算で事業運営が困難になる、こういった事態がありますので、こういったことを何とか解消する手立てが必要だというのが 1 点目です。

B 型につきましては、本人の意思を尊重するのが自立支援法以降、総合支援法を含めて、一貫して重視されている点であるにもかかわらず、本人が B 型をすぐ利用しても、一般就労等を経験しなければ入れない。この問題に関しても、これを本人の希望に沿って、 B 型が直接ダイレクトに利用できる環境も整える必要があるのだろうと。

3 つ目が、地域活動支援センターを個別給付事業に位置付けて、数は随分少なくなりましたが、まだ幾つかの小規模作業所は残されていますので、これらを法内事業化に促進していくという取組も必要だと考えています。

 意見○5、その他の福祉サービスの所に 4 点書いていますが、その中でも 1 つは、 2 つ目の○です。利用者負担を算定する際に、収入認定の対象から配偶者を除外する必要がある。今、ほとんどの方が本人の収入のみで収入認定されるようになりましたが、配偶者は今もなお収入認定されています。この点を是非改善する必要があるのだろうということです。

 最後の○です。報酬の日払い方式に関しましても、見直す必要があるのだろうと考えています。基本報酬の抜本的な引上げ、これに道を開くことを検討する必要があると考えています。

 飛びますが意見の○9に移ります。精神障害のある方への支援の在り方に関してですが、 1 つ目、自立支援医療に係る利用者負担について、障害福祉サービスにおける軽減措置と同等の措置を講じる必要があると考えています。この点につきましては、基本合意文書を交わした当時、この問題は当面の重要な課題とされたにもかかわらず、この間ずっと改善されないまま来ていますので、是非、これを実現する必要があるだろうと考えています。

 意見○10です。高齢の障害者に対する支援の在り方についてですが、ここは介護保険優先原則を廃止して、ほかの団体の皆さんも 65 歳の問題に関しては矛盾を提言なさいましたので、私どもも同じ意見です。したがいまして、障害の特性を配慮した選択制の導入、これを骨格提言に沿って検討する必要があると考えています。

 最後、書いていないのですが、こういった場を設けていただいて、本当に見識ある先生の皆様方に論点を整理していただくのは、非常に貴重な場だと考えています。加えまして、是非、こういった検討、論点の整理に関しましても、今後は障害のある当事者の皆さんの参画を御検討いただきたいと強く思っています。親会議である社保審の障害者部会の中では、親会議のほうに当事者もおられるので大丈夫だという整理だったかとは思うのですが、私はこういった論点整理も非常に重要だと考えていますので、こういった場でも障害当事者の皆さんが実質的に参画をなさる。これは権利条約第 4 3 項に書かれている趣旨に沿ったら、そういったことが必要になるのではないかと考えていますので、今後、これにつきましては、是非、御高配いただければと思っています。以上で私どもの発言を終わらせていただきます。

 

○佐藤座長

 ありがとうございました。 4 団体から御意見を頂きました。 5 時までにあと 20 分ですので、皆さんの了解を得て、 10 分程度延長してもよろしいでしょうか。 4 団体の方からですので、少し討論の時間も必要かと思います。

 それでは、 4 団体の御意見に対して、御質問あるいは御意見がありましたら、どなたからでもどうぞ。

 

○野沢構成員

 時間が迫っているので手短に。セルプ協ときょうされんにお聞きしたいのですが、移動支援ですね、通勤・通学。私もこれはとても大事だと思っていて、特に通勤です。移動支援がないために家族の負担がどのぐらいなのかとか、あるいは、移動支援があったら一般就労できる人がどのぐらいいるのかとか、あるいは、移動支援がないために辞めざるを得なかった人がどのぐらいいるのかとか、そういうデータのようなものはないのですか。ちょっとしたことに移動支援を適用することによって、福祉の利用者から一般就労に行ければ財政的にも随分いいと思いますけどね。そういうエビデンスがないとこちらもいろいろ強く言えないので、是非そういうものが欲しいと思っているのですが、どうでしょうか。

 

○佐藤座長

 では、セルプ協からお願いします。

 

○全国社会就労センター協議会叶委員長

 ごめんなさい。ないです。ただ、企業とかに入るときに、自立通勤が可能な方とかいう条件が結構あるので、そこら辺がネックになって就職できなかったのもあって、重要な問題とは思っているので、是非、何か突破口を考えればと思います。

 

○佐藤座長

 ありがとうございました。では、きょうされん。

 

○きょうされん赤松常務理事

 現在のところ、私どももそれに特化した調査をしたことはなくて、今、貴重な提言を頂きましたので、是非そういったことも検討したいと思います。ただ、実際に一般就労している方の中でも、例えば、家族が通勤を一部支援している方が相当数おられると思います。私もそういう方を存じております。この方なども家族の努力で一般就労ができているわけですね。あるいは、私も出身の事業所は非常に田舎でしたが、本人も力がある、意欲もある、しかし、バスも 1 時間に 1 本あるかないかとか、公共交通機関が発達していないことで、やはり作業所で働いている利用者の皆さんもおられました。こういったことが現実としてあるのは、共通認識がある程度あると思いますので、これはエビデンスとして何とかまとめていきたいと思います。

 

○野沢構成員

 知的・精神の方は終盤に随分伸びてきて、通勤はなかなか難しいが、行けば仕事ができるという方が一杯出てくると思います。だから、新しい局面に合ったような提言ができそうだと思います。他の団体の方も含めて、是非、エビデンスの提示をお願いしたいと思います。

 

○寺島構成員

 寺島です。セルプ協ときょうされんの皆様にお聞きしたいことがあります。 1 つは、優先調達法ができてほぼ 2 年ぐらいになろうとしていますが、何か影響があったのかをお聞きしたいと思います。

 もう 1 つは、全国就業支援ネットワークにお伺いしたいと思います。障害者就業・生活支援センター非常に重要なセンターで、実際、障害者の就労には非常に役に立っていると認識しているのですが、お話の中で、具体的にこうすればいいというような御要望がはっきりわからなかったので、もしそういうものを列挙できるのであればしていただきたいと思います。

 最後に、就労移行支援事業所連絡協議会にお聞きしたいのは、就労支援において、経営的なノウハウが蓄積されていないためにうまく進まないというような話も聞くのですが、その辺の支援が必要ないのかをお聞きしたいと思います。以上です。

 

○佐藤座長

 それでは、セルプ協、きょうされん、それから、ネットワーク、最後に就労移行という順でお願いします。

 

○全国社会就労センター協議会叶委員長

 優先調達推進法についての質問ですが、我々は、官公需から仕事が入ってくる仕組みができたことに関して、とても歓迎して、うれしく思っているのですが、確かに、それぞれの事業所がそれぞれの行政を回りながら幾つか取れている仕事というのは、いろいろな報告を受けています。それと一方で、共同受注窓口といって、官公需とかの仕事をまず窓口として受けて、それを各事業所に分配する仕組みの立上げについて、国から毎年 2,000 万円の補助を付けていただいてできているのですが、今、 3 年目問題で、それを継続運営していく難しさみたいなところで少し課題となってきています。優先調達推進法は、前年度を超える金額をそれぞれの就労施設に出すということですので、これからますますこれを充実させていくことができればと思います。

 

○きょうされん赤松常務理事

 優先調達法は一定の成果があったことは確かだろうと思います。ただし、都道府県等の調達計画の策定などの率の低さを見ても、実効性が伴っているかどうかという点ではまだまだ疑問がありますので、この点の強化は必要だろうと。併せて、官公需は非常に重要です。併せて、企業からの発注なども増えていくような仕組みといったことも含めて、トータルで高めていくことが、障害のある方の所得保障につながるのだろうと考えています。

 

○全国就業支援ネットワーク高井代表理事

 全国就業支援ネットワークです。具体的に、人が少ない状況ということですね。

 

○寺島構成員

 どんなふうにしたらいいのかということについてのご意見はありますか。

 

○全国就業支援ネットワーク高井代表理事

 この事業は福祉圏域に 1 か所と位置付けられています。基準の職員配置は、就業が 2 名と生活が 1 名です。特に今、国のほうでは、精神発達の人たちの支援というところで職場定着支援の充実を言われておりますが、生活支援ワーカーはたった 1 名で、地域生活等支援事業の枠のお金しかないわけです。ですので、この不安定な、毎年減っていくお金では職員が雇えない状況なので、安定した予算確保と複数の職員が置けるような体制を作っていただきたいのが一番大きな希望です。また役割の整理が必要です。

 

○全国就労移行支援事業所連絡協議会酒井副会長

 就労移行支援の実績、ノウハウについてです。実際のところ、就労移行支援事業所は全国に約 2,600 か所ぐらいあるかと記憶しておりますが、そういう中でも、 1 人も就職させることができていない事業所が、今もなお 35 %あると聞いております。就労移行支援事業が誕生して 8 年たつわけですが、今もなおそういう状況が、実績の上がっていない事業所があるということは、我々就労移行支援事業の必要性を訴えていく団体としては非常に残念な思いをしております。

 実績の上がっていない事業所の背景には、もともと報酬単価の問題等もあり、余り積極的に就労移行支援をされていないのではないかと推測されるような事業所、又は、やる気はあるが、今なおノウハウがないという所もあると聞いております。このノウハウについては、我々事業所連絡協議会としても業界の底上げに向けて取り組んでいますが、その中で一部、先ほど先生がおっしゃった企業系の就労移行支援事業所では、実績の上がっている所も数多く出てきていると聞いております。ただ、実際にそれらのノウハウが、対象者の違いであったりとか、あるいは、背景、仕組みの問題等で、ノウハウを継承することは現実的になかなか難しいのではないかと思いますし、そもそも就労実績が上がっている企業系の事業所についても、就職実績は上がっているが、反対に定着率が低かったりとか、課題等もいろいろ聞いておりますので、一概にノウハウをそのまま継承するのは難しいかと私たちは考えております。

 

○佐藤座長

 ありがとうございました。よろしいですか。他の皆さん、いかがでしょうか。

 

○吉川構成員

 セルプ協の叶さんに、確認の意味でもお伺いしたいことがあるのですが。最初の、 1 の「障害者の就労の支援の在り方」の中で、最低賃金のことに触れられていて、最低賃金以上を確保することが大きな課題でありながら、一方で、これを追求することで事業所がなかなか立ち行かなくなって、介護サービスに替わるような状況も起きているという、非常に難しい状況かと思ったのです。その中で、 3 ページ、 2 の○2と○3の所に書かれている、最低賃金に達しない場合の所得保障の仕組みについて、ここで、そういった仕組みを設けるべきではないかと書かれていて、その下の○3に、障害基礎年金と各種手当の組合せによって達成するという御提案も書かれているのですが、仕組みを設けるというのは、下に書かれている○3のことを指していると理解していいのか、それとも、何かまた別の仕組みという御提案なのか、そこについて教えてください。

 

○全国社会就労センター協議会叶委員長

 具体的な内容として○3には書いているつもりです。基礎年金であったり、家賃手当であったり、先ほど言いませんでしたが、労働行政の特開金であったりとか、報奨金であったりとか、縦割りの部分をなくして、厚生サイドと労働サイドが連携しながら、そんなことの検討であったりとか、もう 1 つは、骨格提言の中でも出た、賃金補填の部分をどう考えるかとか、そういうことを通して、障害のある人が地域の中で暮らしていけることが基本になると思うので、所得保障が重要な問題と受け止めて考えています。

 

○吉川構成員

 ありがとうございました。

 

○佐藤座長

 他の皆さん、いかがでしょうか。

 

○山下構成員

 山下です。きょうされん様に質問させていただきます。資料 10 1 ページ目になりますが、意見○3「障害者等の移動の支援の在り方について」です。先ほど野沢構成員からも移動支援ということで、特に通勤や通学について言及がありましたが、きょうされん様の御提示の中では、そこにおいて福祉サービスでやるのか、あるいは、学校や事業所でやるのか、そこを検討してほしいとおっしゃっていたかと思います。もちろんそれは検討すべき内容なのですが、きょうされん様としてはどういうお考えかをお聞きしたいと思いました。

 

○きょうされん赤松常務理事

 基本的には、この場は総合支援法に関する 3 年後見直しの場ですので、障害福祉サービスとして取り組まれるのが望ましいのではないかと考えておりますが、この問題は長期にわたって議論されている問題で、そこの 1 つのポイントとして、雇用促進法に基づいての支援でやるのか、あるいは、こちらの福祉サービスとしてやるのかという議論は論点としてありますので、そこの議論を踏まえながらというか、これまでの議論を踏まえながらそこのところに決着をつけると、実際問題としての通勤支援を具体化することが必要だという趣旨で書いております。

 

○佐藤座長

 ありがとうございました。就労移行支援にお聞きしたいのですけども。 1 ページ目に、 A 型が急激に増加しているとか、あるいは、 A 型を安易に選択してしまうという、これは新規に A 型が増えているという意味でしょうか。

 

○全国就労移行支援事業所連絡協議会酒井副会長

 はい。新規に A 型事業所が、年々急増しているという。

 

○佐藤座長

 変な言い方だけど、就労支援移行から脱落して A 型に行くという意味ではなくて。

 

○全国就労移行支援事業所連絡協議会酒井副会長

 いいえ。新たに A 型事業所が開設され、その事業所数が増えていることと、それに伴い、 A 型事業所を利用する方が急激に増えていると。

 

○佐藤座長

 安易に選択というのは、利用者自身が、そっちのほうがいいだろうということで。

 

○全国就労移行支援事業所連絡協議会酒井副会長

 そうですね。私の説明の中でも話させていただきましたが、障害者雇用のフィールドは随分変わってきております。一般就労が可能な障害がある方もたくさんいらっしゃる中で、その方々も A 型を選択してしまわないだろうか、 A 型事業所から一般就労へ送り出すインセンティブは余りないものですから、一般就労ができる方もそこに滞留しかねないという危惧を持っております。現実に私たちは就労移行支援事業をやっておりますが、そういう中でも、 A 型に移っていきたいのだと。もう少し頑張れば一般就労が可能な方も、そういう選択をされていっている現状もありますので、この制度がこのまま続いていくのも、 A 型事業所というのは素晴らしいものだと思いますが、何らかの仕組みがいるのではないかと考えております。

 

○佐藤座長

 あともう 1 つ、数字だけなのですが。先ほど、就労移行支援事業所が全国に約 2,600 か所あるというお話でしたが、近年急速に、いわゆる社会福祉法人ではなくて、株式会社を含めたいろいろなセクターが作っていますよね。

 

○全国就労移行支援事業所連絡協議会酒井副会長

 はい。

 

○佐藤座長

 株式会社系の所は割と実績が高いと聞いているのですが、 2,600 事業所のうち何パーセントぐらいあるのでしょうか。

 

○全国就労移行支援事業所連絡協議会酒井副会長

 すみません。正確な数字は分かりませんが、もしかすると社会福祉法人よりも多いのではないかと感じております。

 

○佐藤座長

 分かりました。ありがとうございました。

 

○高木作業チーム構成員

 高木です。きょうされん様にお伺いします。先ほど移動支援の話があったのですが、御存じのように、移動支援というのはマンサービスです。ですから、介護とか援護が必要な方に人が付く制度なので、公共の交通機関がない所で人が付いたときに、通勤手段が解決するものではないのですね。そこの部分について、マンサービスという部分と輸送のサービスという部分と、きちんと分けて考えなければいけないのかと。これはきょうされんさんだけではなくて、これまで発言された皆さん方も同様で、そこは分けて考えられたほうがいいのではないかというのがあったのですが、それに対する御意見はありますか。

 

○きょうされん赤松常務理事

1 点だけ。例えば、基本的に郡部だと本人は移動に支援が必要なわけです。例えば、家の近くにバス停があって、そこからバスに乗れて、職場の近くまでバスが走っていれば、ちゃんと通勤に間に合うように何とか行ける人でも、バスがないが故に何らかの支援が必要だという意味でいうと、先生がおっしゃる、マンサービスを必要とする人と見ることができると思います。マンサービスだからとか、そういう形で区切るよりも、本人のニーズをどう実現するのかという観点で、通勤支援の方法の在り方について議論したほうが、より積極的ではないかと考えます。

 

○高木作業チーム構成員

 もう 1 点、デイアクティビティセンターというのが骨格提言で示されているわけですが、日本語でいえば日中活動事業所ということになると思います。その中でも、作業活動部門とそれ以外の部門とに分けています。それ以外の部門も、実は生活訓練だったり、機能訓練だったり、就労移行支援はどちらに入るのか、就労センターのほうに入るのか分からないのですが、様々な機能があるわけです。同じセンターということで統一してしまうと、人員配置基準や報酬の面で同じになってしまうわけですが、機能が違うのに報酬や基準が一緒で考えられているのか、それとも、やはり機能別にきちんと分けるべきだと考えられているのか、そこをお聞かせください。

 

○きょうされん赤松常務理事

 その点に関しては、もちろん機能を分化しているわけですが、機能に着目するというよりは、同じ障害の程度、あるいは同じ障害の種別であっても、御本人のニーズによって、やはり仕事をしたいのだという方、あるいは、年も大分いったので、仕事ではなくてゆっくりしたいという方と、いろいろおられると思います。デイアクティビティセンターにおいては、それぞれの方のニーズに応えられるような形を整える必要があるのではないかという議論が、こういった、分ける形につながったと思いますので、私もそう考えております。

 

○高木作業チーム構成員

 報酬等も分けるべきだと。

 

○きょうされん赤松常務理事

 報酬に関しては、当然、御本人の障害の程度等の関係で決まる部分もあると思いますので、今の段階で、その 2 つの報酬を完全に一緒にするとか、別にするとかという点では明確な見解を持っておりません。

 

○高木作業チーム構成員

 最後に B 型の利用について、就労移行支援事業のアセスメントはもう必要がないという話が出ておりましたけれども。これについて、自立支援法以前の話で、授産施設に利用者が滞留したという反省を踏まえて、就労移行支援事業で、どういった能力を持たれた方かをきちんと判定しようということだったと思います。これについては、今の B 型は性善説に基づいて、 B 型でなくて A 型の能力を持っている人であればきちんと送るのだという前提に立って、こういう意見なのかというのを少しお聞かせください。

 

○きょうされん赤松常務理事

B 型をダイレクトに利用できない問題に関してですね。性善説といいますか、本人の意思を重視しようというのが、この間の制度改革あるいは総合支援法においても重視されていることだと思います。その観点で、本人が B 型を希望するのであれば、そこは最優先されるべきであろうということが 1 つ。それから、一般就労や就労移行支援等を利用したが、あなたは駄目ですよ、向いていませんから B 型へ行きなさいというような、そういった仕組みは、本人にマイナスの烙印を押すような側面があるのではないか、そういうことを経験した上で、失意の中で B 型を利用することにつながるのではないかと。実際にそういう声も聞きますので、そういう制度設計に関しては疑問があるので、そこは改善するべきだと私どもは考えております。

 

○佐藤座長

 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

 

○寺島構成員

 度々すみません。セルプ協様ときょうされんにお聞きしたいのですが。私もよく経験するのですが、例えば、全盲の方などがどこかで作業訓練を受けたいと希望しても、住んでおられる地域に適切な訓練を実施している場所がないことがあります。高次脳機能障害の方も同じで、作業訓練を受ければさらに回復していきそうな方もかなりおられるのですが、通っていける所がないのですね。そういった場合に、例えば、この地域では、こういった人たちはこの施設で引き受けましょうというような施設間で横の連携のようなものはないのでしょうか。

 

○佐藤座長

 いかがでしょうか。知り得る範囲のことで結構です。

 

○全国社会就労センター協議会叶委員長

 根本的な問題の一つとして、区分 6 の人であったりとか、 5 の人であったりとか、支援の度合いが高い人でも働きたいという人がおられて、仕事以外の部分での支援の体制が、今の B 型であったりとか A 型であったりとかが十分に取れない。先ほどチラッと言ったのですが、重度支援体制加算は一応あるのですが、そこら辺で十分ではないというか、その辺の課題は 1 つあると思います。それがあれば、支援の度合いが高い人でも受け入れていけるような状況が少し作られていくのかと、今の話を聞きながら思いました。

 ただ、そこら辺の連携はどうなのでしょうか。関係の事業所等でいろいろ話して、こういう人がいるけどどう、というようなことを個人的に話すことはあっても、もう 1 つの仕組みとして、そういうのがきちんとできているという状況は余り聞いたことがないです。

 

○寺島構成員

 個人的な話になってしまうのですね。

 

○全国社会就労センター協議会叶委員長

 そうですね。

 

○佐藤座長

 そういう場合、自立支援協議会などでいろいろなメンバーが会っていたりとか、自立支援協議会の中に、それぞれの就労とかグループホームの部会とかいう形で、地域の中にある事業所がお互いの特色を出し合うような取組はないのですか。

 

○全国社会就労センター協議会叶委員長

 これは直接セルプ協とは関係ないのですが、この人はどうだろうかというときには関係団体が集まって、そこでの話合いの中で、ここを紹介したらどうだろうかとか、ここはどうだろうかというような話の場は、最近少しずつできてきましたね。昔は受け止めたそこの事業所だけで考えていたのが、ヘルパー事業所であったり、相談支援事業所であったり、幾つかの関係団体が関わりながら、その人の方向みたいなのを考えられるような状況は、以前と比べれば大分出てきたのかという実感は持っています。

 

○佐藤座長

 ありがとうございました。きょうされん、お願いします。

 

○きょうされん赤松常務理事

 セルプ協さんと同じようなお答えになってしまいますが、そういうことが定式化されたことは余り聞かないですね。でも、おっしゃるような仕組みは非常に重要だと思います。私どもの会員さんの所でも、田舎のほうで、隣の隣の隣のぐらいの町から時間を掛けて送迎して、通って来ておられる業者さんはおられますと。それは聞いてみたら、地元に事業所はあるんやけれども、あそこではなかなか応えてくれへん、そこの自治体の皆さんが、自治体の方がいろいろ探した結果、こっちに頼んだらどうやということで紹介なさったとかいうことは多々聞きますので、そういった意味では、そういう地域での連携した仕組みは当然必要になってくるのだろうと。自立支援協議会の中でも、そういったケース検討をなさっている所も随分増えてきているようですので、そういった所では、一部そのような仕組みといいますか、コーディネイトといいますか、それぞれの事業所の得意分野で利用者を受け入れる、分担するというようなことが地域によってはあるのかなということは考えられると思います。

 

○佐藤座長

 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。

 

○全国就労移行支援事業所連絡協議会酒井副会長

 先ほどの事業所数の割合ですけども、実績の上がっている就労移行支援事業所の中で株式会社等が占める割合は、もしかするとそちらのほうが高いかもしれないのですが、事業所総数でいうと、そういうことではないと思います。まだまだ社会福祉法人や NPO 法人等が多いと認識しております。すみません。先ほどの発言をちょっと変えさせていただきます。

 

○佐藤座長

 ありがとうございます。こんな言い方をしたら何ですが、負けているということですか、昔からある所が。

 

○全国就労移行支援事業所連絡協議会酒井副会長

 実績ででしょうか。何をもっての成功かというのは。

 

○佐藤座長

 就労移行支援での実績です。

 

○全国就労移行支援事業所連絡協議会酒井副会長

 そうですね。就労移行支援という中で定着させるところまでが我々の使命だと思いますので、その辺りも含めて評価いただきたいと考えております。

 

○佐藤座長

 すみません。挑発的なことを言って。

 よろしいでしょうか。それでは 4 団体の方々、どうもありがとうございました。以上で議論を終わりますが、一旦事務局にお返しします。

 

○福井企画課課長補佐

 本日は御多忙の中、ありがとうございました。次回の開催日程等については、また改めて御連絡しますので、よろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。

 

○佐藤座長

 それでは、本日はこれで閉会といたします。皆さん、どうもありがとうございました。


(了)

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