ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(年金積立金の管理運用に係る法人のガバナンスの在り方検討作業班)> 第6回 年金積立金の管理運用に係る法人のガバナンスの在り方検討作業班議事録(2014年12月17日)




2014年12月17日 第6回 年金積立金の管理運用に係る法人のガバナンスの在り方検討作業班議事録

年金局

○日時

平成26年12月17日(水)9:00~11:00


○場所

東京都港区新橋1-18-1
航空会館(大ホール)7階


○出席者

植田 和男 (座長)
伊藤 隆敏 (座長代理(専門委員))
岩間 陽一郎 (専門委員)
柿木 厚司 (委員)
菅野 雅明 (専門委員)
出口 治明 (委員)
花井 圭子 (委員)
堀江 貞之 (専門委員)
山口 修 (委員)

○議題

GPIFのガバナンス体制について

○議事

○植田座長 それでは、定刻よりちょっと前ですが、皆さんおそろいになりましたので、始めさせていただきたいと思います。GPIFのガバナンスの在り方検討作業班の第6回目の会議になりますが、お忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。

 では、事務局から出席状況等の御確認をお願いいたします。

○大臣官房参事官 おはようございます。担当参事官の森でございます。

 本日の会議の出席状況でございますけれども、本日は藤沢委員から御欠席との御連絡を受けております。

 それでは、お手元の資料について御確認させていただきます。

 本日、配付資料でございますけれども、事前に委員各位のほうは、座長からの御指示で配付させていただきましたが、座長と座長代理のほうで御提出いただいた資料がメーン資料でございまして、机上配付資料としまして、未定稿でございますけれども、第5回の検討作業班の議事録を配付させていただいております。

 もし不足等ございましたら、適宜事務局までお知らせ願います。

○植田座長 それでは、カメラの方はここで御退室をお願いいたします。

(報道関係者退室)

○植田座長 では、議事に入りたいと思います。

 前回、最後に取りまとめさせていただきましたように、私と伊藤座長代理でこれまでの議論を簡単に整理しまして、さらに議論が尽くされていないところもなるべく明示するような簡単なメモをつくらせていただきました。できれば、きょうはこれに基づきまして、まだ議論が不足している部分等を補いつつ、あるいはここに載っていない論点でも必要があれば御指摘いただいて議論したいと思いますが、なるべく詰められるところまで議論を詰めていきたいと思います。

 それでごく簡単に、事前にお読みいただいているとは思いますが、ポイントを御説明いたしますと、一番上の0というところから一応、議論の取りまとめということであれば、ガバナンスの改革をすることの背景は何かということを書いておかざるを得ないので、これまでに出た議論の中から2つ、そこではポイントを挙げさせていただいております。

 すなわち、1つは要求利回りをなるべくリスクの低い形で実現するためには、さまざまな高度な金融的工夫、あるいは進んだ分散投資が必要になる。それを一段の専門的な体制で実現するということと、それを監視する体制が必要であるということが1点。

 それから、中長期的にはもちろん、厚生労働大臣が責任をとるという体制ではあるわけですが、短期的に何らかの恣意的な政治的な介入で運用がゆがめられてはいけないということで、それを防止するような体制の確保も必要であるということ。

 この2点が主な議論であったかなと思います。

 そういう点を重視しますと、権限が理事長に集中している独任制では不十分で、次の1のポイントに移ってしまいますが、理事会のようなものをつくって、そこを組織の最高意思決定機関とするという議論の流れであったかと思います。

 続きですが、もう一つ議論がまだかなと思っているのは、その理事会の基本的な機能としてどういうことを決めていくのかということで、具体的な仕事の例がそこでイタリクスで幾つか書かれております。

 あと、ここで書き忘れて、事前に何人かの委員から御指摘いただいた点としまして、組織の予算にかかわることをどうするかという点があるかと思いますし、これは政府との関係というところともかかわりますが、予算については認可が必要な事項かどうかという論点もあるかと思います。

 そういう理事会の基本機能と、それから、執行部がそのうちのどこを決められるのかというあたりの線引きの話も多少残っているかなと思います。

 それから、そうした理事会の機能の一部を下部委員会に移譲することが適切かどうかという議論もかなり行われましたが、結論は必ずしも出ていなくて、余り必要ないのではないかという御意見も複数あったかと思います。

 ある程度、議論がありましたが、理事あるいは執行部に関して、コンプライアンスの点からきちんとしたルールを決めるという点に関しては多くの方、御異存はなかったとは私は判断しております。

 それから、第2の節「理事会、執行部の姿」というところに移りまして、理事については、適切な資質規定を設けた上で、大臣が任命する。ただ、2つ3つポイントがありまして、適切な資質規定というものはどういうふうに書くのかという点がまだあるかと思います。それから、大臣が任命する場合に、指名委員会のようなものをつくるのか、あるいはどういうふうにつくるのか。それから、大臣による理事の解任権を付与するか。付与する場合に、ちょっとイタリクスで書いてありますが、余り短期のパフォーマンスで解任ということでは問題ではないかという論点もあるかと思います。

 続きまして、御議論あった中では、金融の専門家、マクロの専門家、それから「年金制度」とうっかり書いてしまいましたが、議論に出た点は年金財政のほうの専門的な知識がある程度議論に反映されることが望ましいのですけれども、理事を選ぶ過程で、こういう知見、こういうエクスパティーズを持った方々をどういうふうに選んでいくかという難しい問題があるように思います。

 それから、執行部のトップクラス、CEOCIOと理事会とのかかわりのところについては、かなり熱心に御議論がありましたが、議論は必ずしも収束していないということだと思います。

 その下は伊藤座長代理による整理ですが、幾つかの案に集約して議論していただいて、必要があれば人数の分布を後で調べるということをさせていただくのはどうかという感じに思っております。後でここのところは、そこに行ったときに詳しくもう一度御説明させていただきたいと思います。

 最後に、3の「政府との関係」というところですが、財政検証との関係のところをきちんとやるというポイント。

 それから、大事なポイントですが、基本ポートフォリオは承認制とするのか、報告制とするのかという点も御議論がかなりあったところです。両者は形式的には大きく違いますが、ここでの議論では、承認制とするとしても、大臣が拒否する場合には、その理由をはっきり述べる、説明責任を負わせることにすればそんなに違いはないのではないかという議論もあったところかと思います。

 最後に、理事会に政府代表が、例えばオブザーバーのような形で出席することが望ましいかどうかという論点も残っているかと思います。例えば日銀の場合は政府代表がこういう形で出席していますが、恐らくちょっと意味が違って、日本銀行の場合は金融政策という大事なマクロ政策を決める場ですので、出席が求められている。GPIFは政策ではない、基金の運用ということですので、これが必要かどうかという点はあるとは思いますが、一方で厚生労働大臣が責任をとるという中で政府は出席していて、情報を吸い上げるという役割もこういうことで果たせるかもしれません。

 そういうようなものが私と伊藤先生の取りまとめであります。

 それで、きょうは上のほうから御意見のある範囲で議論していきたいと思いますが、全体について、何か今の時点で御質問・御意見はございますでしょうか。

 どうぞ。

○出口委員 細かい点ですけれども、2ページ目の、私は(C)の案が一番いいと思っているのですが、CEOは無条件に理事会のメンバーとなるし、執行部も理事になる。それで、CEOは理事長にもなれるという案がいいと思うのです。

 これは理事会と執行部の意志疎通を円滑にすることもありますけれども、シンプルな組織、できるだけ、今、90人ぐらいの組織ですから、これが大きくなっても、当面は多分100人とか200人の間ですね。そうしますと、そういう組織にとっては、やはり国民の目から見たら、できるだけシンプルであることが望ましいというのも理由でございますので「理事会と執行部の意志疎通を円滑にするため及びシンプルな組織が望ましいと考えるため」というようにしていただければより意が通じるかと思いました。

○植田座長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 全体の話になると思うのですけれども、それと先ほど座長がおっしゃった予算に関連する話になると思います。

 これまで、執行部隊の暴走を防ぐという意味で牽制や規律づけといった議論をしてきたわけですけれども、それではそもそも理事会は何によって牽制され、規律づけられるかといったことを確認しておく必要があると思っております。

 恐らく、それは前回、野村顧問からもお話がありましたような、他の立法例の紹介がありましたように、その立法の最初のところで法律の趣旨とか目的といったことを規定していくと思うのですけれども、その中に前回、国民に対する受託者責任の実現といったことも書くことができるということでお話があったのですけれども、そういった枠組みがあって、それを受ける形で具体的な行動規範、理事会についてもそこで述べていく。そういう中で効率的な運用を遂行するということが最大の使命になると思うのです。

 しかしもう一つ、組織運営のほうの効率性といったことについても明定しておく必要があると思っております。皆様御案内のとおり、GPIFの運営の費用というものは資産運用業務費とか一般管理費とかがありますけれども、全てこれは国からの交付金ではなくて、運用収益を含む積立金の中から支弁されているということでございます。もともと、年金の積立金は全て給付に充てることが本来でございまして、皆様御記憶にございますように、以前グリーンピアとか福祉施設というものに流用されていて、社会的にも非常に大きな問題になったことがございました。これらの施設は今、厚生年金病院等の病院施設を除いて全て売却されて、その代金は年金会計に戻されている状況になっているわけです。

 公的年金に係る仕事としては、このほか、日本年金機構が担当しています保険料の徴収でありますとか、記録管理であるとか、年金給付の裁定であるとか、あるいは受給者への送金といった年金の管理運営に係る業務というものがあるのですけれども、実はこれらの業務は、日本年金機構が担当しており、その費用については全て国からの交付金によって賄われているのが現状でございます。したがって、GPIFの運営費だけが年金給付の原資である積立金から、流用と言うと言葉は悪いですが、支出されているという状況になっているわけです。

 ですから、積立金は本来、受給者の年金給付に充てられるものでありますから、GPIFの経費支出にはやはり厳格な効率性が求められるということであると思います。したがって、ぜひ組織運営であるとか経費支出の効率性についても法律の中で明確にして、ある意味、理事会を規律づけするといったことは必要ではないかということであると思っています。その上で理事会の役割として予算案をつくって、さらにそれを最終的な保険者である厚生労働大臣が承認するという規定を明確にしておくといったことが、やはり年金積立金を使うということからすれば、当然考えておくべきことではないかと思っております。

○植田座長 そこは後で御議論いただきたかった点ではありますが、ほかに全体はよろしいですか。

 どうぞ。

○花井委員 全体にかかわる内容として、ぜひともここの場で確認として記載していただきたいことがあります。

 1つは、GPIFが行っている積立金の管理・運用というものは、あくまでも公的年金制度の一部であるということ。そして、厚生年金保険法及び国民年金法に記載されているように、専ら被保険者の利益のために行われているということ。そして、5年に1回、財政検証を行い、それに基づいて厚生労働大臣が中期目標を策定し、それをGPIFに示すという仕組み等々についてです。それから、GPIF法第3条の目的等々については、今後も引き続き、それに基づいて行うのだという、年金積立金の運用についての大きな原則というものを、ぜひとも、このペーパーに記載していただきたいと思います。

○植田座長 どうぞ。

○岩間委員 運用といいますか、運営の効率性を何で捉えるのかということもちょっと御議論いただきたいと思います。

 といいますのは、やはりベストの体制でいいパフォーマンスといいますか、与えられたマンデートをちゃんとクリアするとなりますと、それにはやはり、それなりの体制を持って当たらなければいけないということだと私は思っておりまして、これは私、細かいデータは今、手元には持っておりませんけれども、例えばアメリカの大学の、エンダウメントの運用で見ますと、規模の大きいところほどパフォーマンスがよくなっているということです。

 例えばハーバード大学のエンダウメントは3兆円を超えるぐらいの資産規模になっているわけですけれども、そこの運用コストというものは100億円を充てている。0.3%のコストを充てている。一方で全体のパフォーマンスはどうなっているかといいますと、要するに平均で見ますと7%を出しているということなのです。ですから、絶対量のコストをもちろんできるだけ効率的にキープしなければいけないというのはそうだろうと思いますけれども、その与えられたGPIFのマンデートを確実に達成するために必要なものはやはりしっかりとそろえなければいけないということだと私は思います。

 特に新しいアセットアロケーションが示されて、さらにはこれからいろいろなアセットクラスに投資していくという方向性が示されている現在、そういった運営をしっかりと見ておかないと、コストができるだけ低ければいいというのは一般的にはそうだと思いますが、それはパフォーマンスとの相対比較にあって決められるべきであると私は思っておりますので、その点も御議論いただければと思います。

○植田座長 全体というよりは、今、恐らく理事会が決めることになる予算、そして、その大もとにある組織運営の効率性を達成するという目標、それから、そのできた予算を厚生労働大臣の承認事項とすべきかどうかというあたり、複数の御意見がありましたので、とりあえずそこについて御意見のある方は集中的にいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 どうぞ。

○伊藤座長代理 今、いただいた御意見についてちょっとコメントした上で、今、座長の言われた点に入っていきたいと思うのです。

 花井さんの言われた、大原則を確認するというのは多分、まとめる文章のときには頭に書くことになると思うのですけれども、きょうの文章には入っていないので申しわけないのですが、全く問題ない点だと思います。被保険者の利益は多分そのとおりですし、財政検証を経て年金制度の一部であるということは十分確認して、それから各論に入っていくということでよろしいかと思います。

 それから、グリーンピアの問題が山口さんからお話が出て、これも過去5回の中で何回か言及があったわけですけれども、あのような問題を引き起こさないためにもガバナンスの体制というものは非常に重要で、チェック機能が働くようにする。特定の利益、被保険者以外の利益が混入するということを防ぐためには、やはり理事会と執行の緊張関係、あるいは理事会と政府の緊張関係を保つことが重要であるということが言えると思います。

 したがって、ある程度の組織というものは必要なわけで、これから130兆円をいかにうまく使って年金制度の、現在の被保険者に加えて、将来の被保険者も含めて、なるべく、この年金制度というものをよりよいものにしていく、基金を生き長らえさせるということを考える上では、やはりそれなりの組織の数は必要であると思っています。

 岩間委員が言われた点ですけれども、全く例えばですが、それなりの世界に冠たる年金基金がどれくらいベンチマークを超えたパフォーマンスを出していて、そのためにどれくらいの組織をつくっているのかということは、少し数字で出してみるというのはいいかと思いますけれども、全くラフにこの場で考えれば、130兆円を運用しているわけですから、それでパフォーマンスを0.5%ポイント上げるために0.1%ポイントを使うというぐらいのことはそんなに難しい話ではないと思うのです。

 それで、0.1%といえば1,300億円ですから、そんなにも要らないかもしれない。今、我々が議論している組織改革のコストということで、我々が議論している、先ほど100人から200人というお話がありましたけれども、増員がどれくらいかわかりませんが、そんなに負担になるようなコストでは、ちょっと計算すればそんなに負担になるコストにはならないと思います。

 とりあえず、以上です。

○植田座長 出口委員、どうぞ。

○出口委員 予算の考え方については、今の法制度の建前上は、私も山口委員のおっしゃるとおりだと思います。

 たまたま年金と生命保険の運用は長期の運用という面で似ているような気がしますけれども、例えば生命保険の運用でも、効率性をどう見ているかといえば、これは金融庁の御指導もあるのですが、資産運用の収益から資産運用の費用を引いたネットで見るということですので、その点を踏まえれば、基本的な考えは、私は山口委員のおっしゃるとおりでいいと思います。

 多分、山口委員のおっしゃった効率性という意味も岩間委員の言われたネットで考えて、資産運用収益から資産運用を引いて、そこがベストになるように考えればいいのではないかなと私は思います。

○植田座長 どうぞ。

○岩間委員 私が申し上げたのは、効率性をどういう具合に考えればいいかという点でございまして、そういう意味で言いますと、法律の建前、これからどういう法律になるかということもあると思いますけれども、そういう枠組みの中で考えていくというのはそのとおりであろうと思っております。

○植田座長 どうぞ。

○菅野委員 ただいま出口委員から御指摘のありました、ネットで考えるという、ここが非常に重要な点なのだろうと思います。

 ですので、やはりこのGPIFが今、保有している130兆円の資金というものは多分、世界の有数な、メジャーな年金基金、あるいは公的年金、私的年金も含めて、普通、一般的に言われる、目にするよりはるかに大きな金額でもあり、しかもこれは国民から拠出された資金を預かっているわけですので、それなりの効率性と同時に、個々の資金の経費の使い方はしっかりと監視する必要があることは言うまでもないことです。

 ただ、同時に、余りにそういう部分部分のコストを削減しようとしますと全体の運用パフォーマンスの劣化につながりますので、やはりネットの収益を最大にするにはどうしたらいいかという、ここは私も全く賛成でありますので、なるべくそういう観点から議論をすべきなのだろうと思います。

○植田座長 そこは理事会が決めるのだと思うのですが、その決めた結果を大臣の認可事項とするかどうかはいかがですか。

 どうぞ。

○出口委員 私は、山口委員のおっしゃるとおり、今の建前では認可事項で問題はないと思います。

○植田座長 どうぞ。

○花井委員 私も同じように、認可事項とすべきであると考えます。

○植田座長 どうぞ。

○菅野委員 認可については、白か黒ということでも必ずしもないのだと思うのです。私も認可という言葉を使うことに必ずしも反対ではありませんけれども、仮に大臣が認可しない場合は、その理由をはっきり説明するという、そこのプロセスが必要なのだろうと思いますので、その場合、はっきりそれを明示するということがあれば認可でもいいかと思います。単に一方的に認可という一方通行であってはいけないと思います。

○植田座長 どうぞ。

○花井委員 やはりGPIFが行う運用は、あくまでも公的年金制度の、年金積立金をもとにして行うのであって、公的年金制度全般を管理しているのが国であるとすれば、必要な予算等々についてはやはり大臣の認可であるべきです。もし認可しない理由を説明する必要があるのでしたら、当然、なぜこういうことで認可するのだという理由も、そこは両方が必要なのだろうと考えます。

○菅野委員 GPIFの予算については、一番最後の「政府との関係」という論点の中の重要な一項目ですが、GPIFの予算というものを政府に全部一任してしまいますと、結局、予算認可を通じて事実上のかなりの干渉が行える可能性が出てきますので、やはりここのところはGPIFの自主性の尊重とのバランスが必要になるのだろうと思います。

○植田座長 どうぞ。

○山口委員 済みません、先ほどのお話で、ネットのパフォーマンスで判断するというのは私も全くそれでいいのだろうと思っております。ただ、やはり私たちは過去のいろいろな失敗の歴史から学ばなければいけない部分もあると思うのです。グリーンピアとか年金の流用のときに、国民から大変大きな批判を受けたわけです。そういう意味で、130兆円は確かにそうで、それから見れば経費というものは、比率で言えば大したことはないといえばそうだと私も思います。

 ただ、やはりそういった国民の出した保険料の、本来、これは給付に充てるべきお金を使わせていただいているといった緊張感の中で物を考えなければいけないということを申し上げているわけでありまして、そういう意味では、やはりきっちり厚生労働大臣が最終責任者として承認をしていくというのは、ある意味でGPIFにとってもありがたい話ですね。それでオーソライズされるわけですから、そういう考え方でこれはきちんとやっていく必要がある。そういう思いを、この仕事に携わる人も、これは保険料の積立金なのだということを常に認識していただく必要があるということを申し上げているということであります。

○出口委員 私は、何回も申し上げているのですけれども、ネットで見るということと、130兆円もあるのだからちょっとぐらいという考え方は全く両立しない考え方であると思っています。大原則の中に効率性というものはもちろんありまして、それはネットで見ればいい。でも、同時に極力、組織をシンプルにする。これは、行政組織についてはシンプリシティーというものは私は大原則であると思っていますので、効率性と同じように極力シンプルでわかりやすいものをつくる。それから、効率的な運用を心がける。

 このように柱を立てれば、例えば130兆円もあるのだから、このぐらいは大したことはないという議論は成り立たないことは明らかであると思います。ですから、私が申し上げているのは、効率性はネットで見ればいいけれども、やはり大原則として、政府の組織をつくるときはシンプルであるという大原則を貫くべきであると思います。

 それから、もともと、この政府の関与というものが何で問題かといえば、私はやはり堀江委員が言われたことが一番印象に残っているのですけれども、今のままではPKOのできる可能性がある。それが私は一番ひっかかっていますので、やはり政府が関与するところは、ポートフォリオの運用とかそういうものについては、私は、大臣は承認・認可権を持っているけれども、運用のプロに任せるというのが基本的な理念ですから、承認しない場合には反対の理由を言うべきである。これはこの前、伊藤座長代理の御提言のとおりであると思います。

 ただし、予算権とかそういうものについてまで全て大臣の疎明が要るのか。それは、私は違うと思っていまして、花井委員や山口委員の言われたように、これは大臣の理事会に対する牽制でもあり、どういう組織でやるかということについては、最終責任を持つのは大臣ですから、これは私は純粋な承認もしくは認可で十分であると思います。

○菅野委員 山口委員がおっしゃられた、国民が経費の使い方によって不安を感じる、あるいはそれに対して疑念を覚えるような可能性があるとしたら、これは絶対避けなければいけないと思いますが、ただ、そのために大臣の認可があれば全てよしというのも、またこれは、そこは議論が飛躍していると思います。

国民の理解を得るためにこそ透明性の確保、それから、国民に対して直接いろいろな形で情報開示をしていくが必要になります。それから、カナダの例にあったような公開討論会のようなことをやって、相互に理解を深めることも重要です。そういう中で考えるべきですので、むしろ大臣の認可があればそれで全て説明責任を果たしたということには全然ならないと私は思います。

 次に、出口委員がおっしゃられたシンプリシティーの話ですけれども、まず第一には機能性というものを考えることが必要で、順番から言いましたら、シンプリシティーというものは一つの大きな原則ではありますが、まず機能性の議論をして、機能性の次に来るものだと思います。

 車で言えば、ちゃんとハンドルがあり、ブレーキがあり、アクセルペダルがあるというのは必要ですけれども、シンプリシティーなためにはブレーキがなくてもいい、あるいはブレーキが不十分でもいいというのはやはり暴論であるのは明らかですので、そういった意味で、どういう機能が必要なのかということを議論しないでシンプルかどうかというのはいかがなものかと思います。

○植田座長 どうぞ。

○出口委員 説明不足だったかもしれませんが、ブレーキのない車をつくろうとは全く思っていませんので、私自身は、機能が発揮できるということは組織をつくる以上、当たり前のことなので、組織をつくるときに機能発揮できないような組織を考える人は世界中にいないと思っていますので、その大前提はもう言わずもがなである。

 その上で、やはり今までの、山口委員も言われたように、過去の組織というものはいろいろな例もありますけれども、ついつい組織は肥大していくという、我々は経験則を持っているわけですから、ミニマムのシンプリシティーというものは、私はどんな組織を政府がつくっていく上でも最優先されるべきであるということを申し上げた次第です。

○植田座長 岩間委員、どうぞ。

○岩間委員 過去のいろいろな問題が起こったということについては深く反省しなければいけない。それを教訓としなければいけないというのはそのとおりだと思いますが、それが何ゆえに起こったのかといえば、やはりガバナンス体制がしっかりしていなかったということに私は尽きると思います。実際にそういったことをやることについて、正当な判断ができればこういうことは起こらなかった可能性がある。もちろん、仮定で言うのはあれですけれども、私はそういう感じがしております。

 それで、先ほどから議論がございます、機能とシンプリシティーという問題と承認の問題について、私の考えとしましては、やはり承認をするということであって私は当然いいだろうと思いますが、承認しないで否認するというのは予算の問題だけではなくて、例えば人事の問題でも起こり得るわけでございます。そういう状況の中で、やはりお互いに透明性を高めて、国民の目が行き届く、納得できるということを担保するとすれば、やはり否認するときには否認の理由が何であるかということは明らかにすべきであろうと私は思います。

 それから、機能と効率性の問題につきましては先ほど申し上げたとおりなのでございますが、やはりどういうことをやっていかなければいけないかという課題がありまして、それをどういう具合に解決していくかというときに、どういう体制が必要になるかというのは当然出てくるわけでございます。それは最低限具備しなければいけなければ、具備すべきである。ただし、それは肥大化につながらないようにチェックする必要がある。多分、こういうことなのではないかと思います。

○植田座長 それでは、よろしければ、章立てで0と1のところは大事な問題がいっぱいあるのですが、先に2の「理事会、執行部の姿」のところを議論して、その後も議論して、また後で最後のほうで0と1にできれば戻っていきたいと思います。

 そういうことで、第2節に入りまして、執行部と理事会のかかわりのところは後でやることにしまして、前半の理事の資質規定、任命のあり方、指名委員会、大臣による解任権等のあたりで御意見があれば伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

 菅野委員、どうぞ。

○菅野委員 今、座長からお話のあった中で、2の第二点目のところについて簡単に意見を申し上げたいと思います。

 この中で「理事は総体として、金融・マクロ経済・年金制度の専門家の知見、労使の年金基金運用に関する考え方を反映することが望ましい」というところについてですけれども、申し上げるまでもなく、GPIFの使命というものは、与えられた目標利回りをいかに達成するか、そして、資金を如何に効率的に運用するかというところですので、理事の資質規定中にそのところが果たして十分に入っているのかなという印象を持ちました。

 理事の資質として最も重要なのは、資金運用に高い見識を有するという文言ではないか、と思います。すなわち、GPIFというものは何も年金制度全体を議論する組織ではありません。それはむしろ財政検証とか、そちらのほうで与えられる話ですので、理事のバックグラウンドは何であっても、基本的には必要な文言は年金資金の資金運用に高い見識を有する方というのが一番重要なポイントではないかと思います。その資質要件を満たした上で、金融・マクロ経済・年金制度についての専門家が理事に就任すべきと思います。

 第2点は、労使の年金基金運用に関する考え方を反映するという文言がありますが、何でこれが理事の資質のところと関係しているのか、私はこの文章からだけでは十分に理解できません。基本的に、理事に求められる資質とバックグラウンドというのは切り離して議論すべきと思いますここで「労使の」という言葉が入っているのがちょっとうまく理解できませんので、ここは御説明いただきたいと思います。

○植田座長 確認ですが、今の前半は、資金運用に高い見識をというのは全ての人に係るという意味ですね。それから、後半は私が書いたのですけれども、ここでの議論で労使を代表するという表現があったかと思いますが、そういう方々が多く入っていることが望ましいという意見が複数あったと思いますので、それをやや曖昧な形で書いているということです。

 どうぞ。

○菅野委員 私も、労使の代表の方に入っていただくことは決してやぶさかではありませんし、海外の例を見てもありますので、そこはいいわけですが、ただ、それはほかの理事の方にも共通しますが、その方の出身母体等に関係なく、まず理事として必要な資金運用に関する一定の資質が労使を含む全ての理事に求められると思います。

○植田座長 出口委員、どうぞ。

○出口委員 私は菅野委員の意見が全く理解できないのですけれども、資金運用の基本はマッチングですから、どういう性格の資金を運用するのかということが当然の前提ですので、年金基金はまさに労使のお金ですので、国民のお金と言ってもいいのですけれども、労使を代表する人が入るのは私は当然だと思います。

 でも、これは野村顧問からこの前のペーパーをいただいて、fit and Proper規定を入れれば、労使といっても当然、その中には運用の高い知見を持つ方もたくさんいらっしゃるわけですから、労使の代表が理事会に入ることは、資金の性格から考えて当たり前である。

 ただ、これは委員の方はやはり専門的な運用の話をするわけですから、その中から知見の高い方を指名委員会で選んでいただいて、大臣が任命するということで全く問題はないと私は思います。

○植田座長 菅野委員、どうぞ。

○菅野委員 この点は多分、実はこの会合の第1回目からそれとなく議論になり、実は余り議論されていなかったことですので、今、出口委員からもかなり具体的にお話がありましたので、もう少し詰めた議論をさせていただきたいと思います。

 まず、出口委員と私の意見の違いは、GPIFが運用する資金は労使が拠出したお金では必ずしもないと言う認識に起因すると思います。GPIFの資金は、基本的に国民のお金です。

 労使が一応出したような形にはなっていますが、以前、伊藤座長代理からも御指摘がありましたように、国民一般のお金である税金がこの資金の中にはもう既に入っているわけです。それから次の世代、さらにはこれは少なくとも、年金制度は100年はもたせようというフレームワークの中で、今、議論をしているわけですから、今の我々の世代だけではない、次の世代、さらにその次の世代の年金給付にもかかわってくるお金です。

 そういう意味では、まさに国民の全体の意見を反映し、国民に対してあまねく議論の結果を説明し、そして、まだ生まれていない世代に対しても説明責任がありますので、そういう意味で国民全体であって、狭い意味での労使ではないと思います。ただ、繰り返しになりますが、資質要件を満たす労使の方々が入っていただくのはウエルカムです。

○植田座長 どうぞ。

○伊藤座長代理 それほどギャップは大きくないと思うのですけれども、結論から言いますと、労使各1名が入るのは全く問題ないと思います。

 それと、出口委員が言われたように、fit and Proper規定を入れるというのも適切だと思います。

 恐らく菅野委員が一番ひっかかったのは、考え方を反映するというところがひっかかったのだと思いまして、では、その考え方、あるいはもし利害というものがあるとして、労働者側の利害、使用者側の利害というものは何かなと考えると、これは余りはっきりわからない。もし利害があるとしたら、使用者側は使用者側の払う保険料を下げてくれとか、労働者側は労働者側の保険料を下げてくれということが利害なのかもしれませんけれども、それはGPIFの場で議論する話ではなくて、もっと別のところの話です。

 ですから、GPIFのときにはそういった利害というものは恐らく入らないで、労使ともにやはり運用を、リスクを管理した上でリターンは確保するということで収束するから、そんなに利害対立があるわけではなく、むしろやはり菅野委員が、済みません、以前、私が言ったことを繰り返していただいたように、次世代あるいは次の次の世代のまさに利害というものをどうやって反映させてあげようかということは我々が考える必要があると思うのです。

 それで今の、これも前々回ぐらいに言った話の繰り返しになりますけれども、万が一、今の年金を受け取っている人たちの利害だけを最大化するのであれば、国債で全部運用して、あと30年で使い切るというのが多分、彼らにとっては一番安心できる話なのですけれども、それは次の世代、次の次の世代には基金は残らないという意味で適切ではない基金の運用の仕方になると思うので、そこでやはり次の世代、次の次の世代のためにどうやって長期的な運用方針を立てるかというところが鍵で、それがfit and Properできちんとした人を持っていきましょうという話につながると思います。

 ですから、結論をもう一度繰り返しますと、労使代表がそれぞれ1名ずつ入るけれども、fit and Properの原則は貫いていただき、理事の構成はそれ以外にも、ここに書いてあるような、金融・マクロ経済の高い見識を持って、いろいろな立場から長期的な基金の運用のためを考えることができる人たちを集める。これが理事会であるということでよろしいかと思います。

○植田座長 どうぞ。

○花井委員 前回、理事会に求められる専門性と執行機関に求められる専門性は違うのではないかというお話があったかと思います。そのような意味で言いますと、理事会が、全て運用の知見の高い人を集めるべきかどうかというのは少し議論が必要ではないかと思います。

 むしろ、多様なステークホルダーが参画して、その中で運用について検討し、もちろん全く知らないということはあり得ないとは思いますが、私は専門家ではないのでどの程度かはわかりませんが、高度な専門性を持つ人だけで理事会を構成するものではないだろうと思います。

 加えて、労使については、国民のお金であるというお話がありましたが、年金財政には税金も入っているわけですが、ただ、私たちが見ている積立金は、中小企業の労働者あるいは中小企業の経営者が日々努力して保険料を払って、それを積み立てたお金であることは間違いないわけです。ですから、そのような意味で言いますと、お金を払った者が、そのお金がどのように使われていくのか、運用されていくのかということに対して、参画することは当然であろうと思います。

 その上で1点質問ですが、2、の1つ目のポツのところにあります、理事会の理事について「適切な資質規定」とありますが、資質とは何をもって資質というのでしょうか。これはどういうことなのか質問させていただきたいと思います。

○植田座長 幾つかポイントがあると思うのですが、今の御質問の点も含めますと、英語でfit and Properと皆さんおっしゃっているのは、日本語ですと適切な資質規定ということだと思うのですが、その内容をもう少し具体的に書くかどうかというのは一つのポイントだと思います。

 それから、それを書いた上で、それ以外に理事になるべき人は、こういう人が含まれていることが望ましいということを書くかどうか。例えば、労使代表が入っているということを明示的に書くべきかどうかというポイントだと思います。

 堀江委員、どうぞ。

○堀江委員 植田先生がおっしゃったとおりで、これは海外の年金でも全く同じ問題があり、代表性と専門性をどうバランスするかという問題で、非常に重要な問題です。

 代表性は、やはり皆さんおっしゃっているように労使の代表も含めて、英語でrepresentativenessといっていますが、反映させる必要がある。これは多分、グローバルスタンダードなので、そういう形でそういう代表の方が入っていただくのはいいと思うのです。

 2番目の専門性は、まさに植田先生がおっしゃったところで、どういった専門性なのかということなのですが、執行に対して、今回の議論のポイントですけれども、監督責任をちゃんと果たすに足る専門性です。従って、実際に運用をやったことがあるとか、そういったことでは私はないと思います。

 ただし、今回決めたアセットアロケーション及びバウンド、乖離許容幅は非常に広く、今の時点で言いますと、かなり執行部門の裁量権が大きい。それをちゃんと監督権限を持つに足る資質となると、リスクマネジメントに関するチェックも必要ですし、それなりの投資に対するある程度の、これは自分でやれということではなくて、知見を持った人でないと適切な監督権限を果たせないと私は思います。従って専門性の部分は、花井さんがおっしゃったように、実際、自分で手を動かして運用するということではないのですが、執行が適切にちゃんと機能しているかどうかを確認するという意味で言いますと、一定程度の投資に関する知見はないといけないと思います。

 ですので、代表性と専門性をいかにバランスするかという観点で言いますと、指名委員会のようなものを作り、そこで例えば労使の代表の何人かの候補の中から、今の監督権限を果たすに足る資質を持っているのかどうかというのをチェックしていただき、最終的に大臣の承認を得るという形で決めるのがいいのではないかなと思っています。

○植田座長 菅野委員、どうぞ。

○菅野委員 花井委員からの御意見・御質問は極めてごもっともだと思います。私も以前の会合のときに申し上げましたけれども、この理事会の構成メンバーである理事の専門性と執行部の専門性は違って当然であるということだと思いますし、特に理事の重要な役割というものは国民に対する説明責任であると思いますので、その説明責任を果たすときには、運用について何も知りませんというのでは説明責任を果たすことができないという意味で、やはり運用に関する資質というものは最低限必要です。最初から理事を任命するときに運用に関する極めて高度な資質が必要かと言われれば、多分それではないと思います。そこはハードルを少し下げてもいい。ただし、基礎的な知識はお持ちであっていただきたい。

 私は、この資質に関するところでは2つの段階に分けて考えるべきであると思います。

 まず第1は、任命のときに要求される運用に関する資質で、これはある意味で、抽象的な言葉ですけれども、必要最低限のものでありまして、何もそれは過去に運用の経験があるとかないとか、そういうことでは必ずしもない。ただし、理事になられたら、かなり高いレベルを目指していただきたい。日本でも一般にコーポレートガバナンスで取締役の役割ということがいろいろ議論されていますけれども、一般の企業でも取締役になっても、果たして、その方が取締役として必要な資質を十分に備えているかどうかというのは現実問題としてやや疑問だというケースもあると思われます。ただし、そういう方々は取締役になられてからいろいろな研修を受けるなり、それから、いろいろな実践的な経験を積むことでそういう資質を磨いていただけるという仕組みをつくることが大事です。

○植田座長 柿木委員、どうぞ。

○柿木委員 先ほど花井委員から出ましたが、理事会メンバーの専門性と、執行に求められる専門性は違うのではないかということが1つです。

 それと、伊藤座長代理からも出ましたが、世代間で考えますと、将来の人も対象になるということではありますが、現実的に今の積立金は国民や企業が出しているわけで、やはり我々使用者側としては、肌身感覚として、ここに労使の代表が入らないというのは考えられない。

 先ほど2名というお話がございましたけれども、本当に2名でいいのかどうかというのも私はちょっとわからない。もちろん、この人選につきましては非常に難しかろうと思います。ですから、労使の中にこういった資質のある人がいればいいのですけれども、もちろん労使が推薦した人でもいいわけです。もちろん、ある一定の資質はなければいけないと思います。

 しかし現行、端的に言ってしまえば、企業、それから従業員にとっては、自分たちの年金である。それから、自分たちの積み立てたお金である。それは先ほどお話にあったように、税金も入っているわけですから、必ずしも全部そうではないわけですが、そういった今の現実感覚から言いまして、やはり拠出者代表というものはある一定の数が入っていないといけないのではないか。

 資質に関しては、非常に重要なことだと思いますので、もちろん労使団体の中から選ぶというのも一つの手ですし、労使が資質の高い人を推薦するというのも一つの考え方であると思います。

 人数については、本当に2名でいいのかというのは私の考えであります。

○植田座長 岩間委員、どうぞ。

○岩間委員 私も、労使の代表が理事会にいるということ自体は全く問題はありませんし、それは当然あるべきであると思います。

 専門性について言いますと、端的に言えば、理事会が執行部の人選を適切にやれるか。あるいは執行部のやっていることにちゃんとガバナンスを効かせることができるかという、そこの能力が全体として発揮できるかという話だと思います。そういう観点で言いますと、もちろん運用について、ある程度、知見の高い人が必要であるということもあるかもしれませんし、実際に大きな組織を動かした経験のある人も必要でしょうし、一般的な経済情勢について卓見を持っておられる方も必要であろうと私は思います。余りモノカルチャー的なものにしないで、幅の広い知見が集約できるような形にするべきであると思います。

 それで、理事会としましては、人数はできるだけ少なくしたほうがいい。議論が余り拡散するようなことになってはいけないだろう。適正規模がどのぐらいなのかということについては御議論があると思いますが、その規模によっては労使代表がそれぞれ1人ずつであっても機能するということもあるのではないかと思います。

○植田座長 出口委員、どうぞ。

○出口委員 基本は、資質規定は私は入れたほうがいいと思いますが、この意見は皆さん大体、意見を言われたので、この部分で1つわからなかったのは、大臣による理事の解任権を付与するかという問題が指摘されていますが、これは理屈から考えれば、任命権があって解任権がないというのは私はあり得ないと思うので、解任権は当然あるのではないかと考えるのです。

 ただ、ここも解任権については、確かにPKOの問題とかを考えれば、書かれているように、例えば1年の投資結果を理由にはしないとか、何らかの歯どめはある意味では必要かもしれませんけれども、解任権はあって当然であると私は思いました。

○植田座長 でも、例えば日銀は政府が任命するわけですけれども、解任権はないのですね。

○出口委員 はい。

○植田座長 だから、そういう例もあり得るのではないですか。

○出口委員 確かに例外はありますけれども、GPIFはあくまで年金という制度の中で、そこで全責任を持てるのは大臣だけですから、その全責任を持つということとの関係で言えば、私は歯どめをかければ解任権はあって当然であると、考えます。

○植田座長 花井委員、どうぞ。

○花井委員 言い落としたことを言っておきたいと思います。

 労使の数につきましては、私も1名ずつでいいのかどうかは検討の必要があると思います。そのことと、年金財政という、先ほど座長に修正いただきましたが、やはり年金制度の専門家も入っているべきであろうと考えます。それから、解任権につきましては、当然、私も任命権があるのだったら解任権もあるだろうと考えますので、そこは必要であろうと思います。

 それから、指名委員会ですが、確かにカナダではそういうものがあるという御説明を受けましたが、指名委員会を設置するのがいいのかどうかというのはちょっと判断がつきません。具体的にどういう方法で、指名委員を誰が指名して構成するのか、そこにどういう権限が与えられるのか、その辺は全然まだ検討されていないのではないかと思います。したがいまして、設けることに絶対反対とか、そういうことではありませんが、そもそも指名委員会を設けるかどうか、その有無も含めてさらに検討が必要であるという形でまとめていただけないかと思います。

 以上です。

○植田座長 今の指名委員会について、何かございますでしょうか。

 どうぞ。

○岩間委員 どういう人を任命するのかについての透明性と説明力を担保するために、通常、指名委員会というものはできるということであると思います。ですから、そういうことが薄れると指名委員会というものはない。

 どういう筋道で、どういう形で指名をしたのか。候補を選ぶのかということについて、例えば大臣が全権をお持ちになるとすれば、大臣が指名するということに、指名委員会というところでの議論なしにそういうことが行われるということで、果たしてそういうことが担保できるのかということが議論の焦点なのではないかと私は思います。

○植田座長 どうぞ。

○花井委員 済みません、質問ですが、今、GPIFには理事会はなく、運用委員会はありますが、今の指名のあり方では何か大きな問題があるのかということが1つです。

 それから、指名委員会について、前回の説明でカナダの例が出されていましたが、連邦政府の財務大臣と各州の担当大臣が指名した人で構成されるというようなことだったかと思いますが、逆にそういうことでありますと、政治的介入が非常に強くなるのではないかと、あり方に疑問を持ちました。ですから、今のあり方がなぜ問題であって、そういうものをつくる必要があるのかということです。

 さらに、つくるとすれば、誰がどういう形で指名委員会の委員を指名して、その権限はどこまで持つのか等々を今後議論していく必要があるのではないかという意味で発言いたしました。

○植田座長 どうぞ。

○堀江委員 今の花井さんの質問に対しての答えですが、今のプロセスは、私も運用委員をやっていますが、何で選ばれたのか明確ではありません。私にクオリフィケーションがあるのかどうかもちょっと外部の方から見て疑問を持っている方もいらっしゃると思うのです。

 そういう意味で言いますと今のプロセスは、透明性という観点で言いますと、私は極めて透明性が低いと考えています。今回CIOになられる方もどういう経緯で任命されたのか、どういうクオリフィケーションを持ってされたのかということに関して、私も一般国民として、どういうプロセスで決まったのかということに関して極めて透明性が低いと思っています。今のプロセスは、私はやはり課題があると認識しているのが1点。

 それで、岩間さんがおっしゃったように、理事のクオリフィケーションを何らかの形で決めて、それに合った方かどうかをどういう手順で、この人にはそういうクオリフィケーションがあるのですということを国民に知らせるといった意味合い、説明責任を果たす意味で指名委員会というものがあるのではないかなと思います。指名委員会の人選は私はそんな大きな問題ではないと思っていまして、クオリフィケーションがちゃんと規定されているのであれば、なぜ、この人が選ばれなかったのか、どうしてこちらなのですかということが普通の人にも多分わかるのではないかなと思います。指名の透明性を担保するのは、理事の方も、その下の執行部のほうは理事会が選ぶのだと思うのですけれども、やはり一般国民の目から見て非常に重要な点なのではないかなと思います。

○植田座長 どうぞ。

○花井委員 済みません、今の選び方について、労使は確かに入っていますが、不透明であると御自身がおっしゃっていますので、そういうことであるとすれば、透明性の確保というのは確かに必要ではないかと思いました。

 ただ、指名委員会は、やはりどういう形でつくられるのかということについて、もう少し何か具体的にイメージできないかということも一方で思っていますので、そのことを述べておきたいと思います。

○植田座長 柿木委員、どうぞ。

○柿木委員 仮に指名委員会をつくるとすれば、現在ある年金部会や経済前提の専門委員会の委員の中から構成するというのも一つの手ではないか。現実的に年金に関して議論をしているわけですから、一番ありうる形ではないかと思うのです。選任のプロセスの透明化も図られると思います。

○植田座長 どうぞ。

○岩間委員 指名委員会というものをどういう形でつくるのかということに今の御議論はなるのだろうと思いますけれども、私のイメージとしては、理事会の中に指名委員会ができるということが1つ。そうでなければ、大臣がお決めになるときに、大臣に対して諮問するという形での、理事会の中にない指名委員会というものもあり得るといえばあり得るのだろうと思うのですが、これはどういうイメージでまとめておられるのか。質問でございます。

○出口委員 大臣の諮問委員会です。

○植田座長 ここでは、どちらかといえば大臣の諮問委員会です。

○岩間委員 わかりました。

○植田座長 よろしければ、具体的にどうつくるかというところは残っているわけですが、ちょっと先に進ませていただきまして、第2節の後半で大分議論しましたけれども、完全には詰まっていないポイントとしまして、いっぱい下線が引いてありますが、理事会に執行部がどれくらい入れるかという問題です。

 これまでの議論をまとめますと、そこにありますように(A)案の、執行部は理事会メンバーにはなれないという案。一方で(C)案の、複数の執行部メンバーが理事会に入るということはオーケーである、あるいはむしろ積極的に入るべきであるという意見。それから、間に(B)案としまして、CEOだけは理事となることがオーケーであるけれども、理事会議長にはなれないという案も議論されたかと思います。

 ただ、このほかに執行部が理事のメンバーになれる場合に、その人たちを誰がどう任命するのかという問題がまた残っているように思いますが、それはそれとしまして、ここについて大分議論いただきましたが、さらに御意見をおっしゃりたい方がいらっしゃればお願いいたします。

 堀江委員、どうぞ。

○堀江委員 これは、今の運用委員会が多分、ここでイメージされている理事会に結構近いのです。それで今回、アセットアロケーションを決めた際には当然、通常の運用委員会には理事長も出られていますし、理事の方も出られていますけれども、アセットアロケーションを決める際には、今回は運用委員の投票という形で、多数決で今回の決定をしています。

 会議には理事長も出席され、議論の中に入っておられます。しかし、最後の決定は運用委員だけで行い、それをGPIFの決定としていただいたというプロセスは、私はワークしていると思っています。執行部の方を理事にすることについて、私はそれにこだわる理由が余りわからなくて、実際に議論の中にちゃんと執行部の方が入っていて、その内容は十分議論に反映されていますので、執行部の方を理事会のメンバーにするとか、それの投票権を入れるということに余りこだわらなくても実質的に私は機能するのではないか。

 そこを、私は最後に賛否をとられたり、最後はこだわるつもりはありませんが、CEOが入られるというぐらいのイメージであれば当然いいと思うのですけれども、余りそこにこだわることが、実質的に理事会の機能を何か損ねるとか、この方は代表権はないとまずいとか、それは実際に、今、運用委員をやっていて余り感じないものですから、一言申し上げました。

○植田座長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 私が一番思っていますことは、私はどちらかといいますと(B)案に賛成なのですけれども、CEOを理事にすることは、先ほどの厚生労働大臣の解任権の問題とも関連していまして、実務部隊の最高責任者に対して理事にすることによって厚生労働大臣の解任権が及ぶということが非常に重要である。

 厚生労働大臣が保険者としての最終的な責任を果たすという限りにおいて、実務部隊のCEOに対して直接的な、そういった解任であるという行為ができない状態のままであるというほうが私は不自然であると理解していますので、これを濫発とか濫用されるということではないと思っていますけれども、最後のところではこういったことができるような仕掛けをしておく。そういう意味では、CEOを少なくとも理事に加えておくということが大事ではないかと思っております。

○植田座長 どうぞ。

○厚生労働省顧問 理事を解任しても当然にCEOを解任することにならないのではないですか。

○山口委員 いや、CEOは理事であるという前提であるとしたら、理事の解任によって執行役の解任も実現される。

○厚生労働省顧問 CEOは理事会によって選任・解任されるのだとすれば、大臣によって理事を解任されても、CEOの地位は残るのではないですか。

○山口委員 理事を解任すれば、CEOもやめなければいけないということですね。

○堀江委員 それは違うのではないですか。そこは、CEOは誰が決めるかということの議論と区別しないといけません。執行役は解任していないわけですからね。

○厚生労働省顧問 CEOは必ず理事の中から選ぶと法定するわけでしょうか。

○山口委員 そういうふうに書くわけです。CEOを理事にするというふうにしておいて、理事でなくなったらCEOの要件を満たさなくなるので、やめざるを得ないということですよ。

○厚生労働省顧問 趣旨はわかりました。

○植田座長 菅野委員、どうぞ。

○菅野委員 そもそも、両方の考え方があると思います。といいますのは、私も暗黙裡に前提にしていましたのは、執行部は理事会が任命するというのが基本的な大前提の議論であったと思いますので、だとしますと、理事会がCEOを任命するというふうにしておけば一つの割ときれいな形ができるわけですけれども、ただ、その場合には大臣が理事は解任できるけれども、CEOは解任できないという形になると思います。

 山口委員のような形で、CEOと理事というものは一体であるというふうにしてしまうと、理事会が執行部の長であるCEOを任命する、という考え方と矛盾が生じます。

 そもそも、執行部と理事会との関係ですけれども、理事会の機能にはいろいろありますが、いわゆる内部管理面の責任というものはやはり理事会がとるべきであろうと思います。その中には、この人事の話もあれば、それから内部組織をどうするかとか、費用の面とか、あるわけですので、そこははっきり認識すべきであろうと思います。

 それであれば、そこから導き出される答えは、CEOは理事ではないという形になると思います。といいますのは、例えばCEOの人事を理事会が議論するときにCEOがいるというのは、これは明らかに矛盾していますので、やはりそこにCEOは、理事会の場にはいるべきではないと思います。

 そして(B)のところに「執行部人事など議題によっては」とありますけれども、ここの部分をもう少しはっきりと(B)の場合には規定しておくべきなのだろうと思います。やはり組織の問題及び内部管理の問題を理事会が議論する場合には、基本的にはCEOは出席すべきではない。ただし、その議論の過程においてCEOの意見を聞くのは極めて当然であると思います。

 そして、特に(C)のところにあります「理事会と執行部の意志疎通を円滑にするため」というものが(C)案としてありますけれども、ここは私は全く理解ができません。意思疎通を円滑にするというのは極めて重要な点であると思いますから、ここについては何ら異論はありませんし、ぜひ意思疎通はしっかりやっていただきたい。ただ、だからといってCEOが理事会のメンバーになるという必然性はないと思います。

 私も、海外で聞くいろいろな事例の中に、年金のパフォーマンスが余りうまくいっていなかった原因として、理事会と執行部の関係がうまくいっていなかった例があるやに聞いていますけれども、そういうことはあってはいけないと思いますので、ここはぜひ円滑にしていただきたいと思います。だからといって、CEOが理事になる必要はないのであって、ここはかなり論理的な飛躍があると思います。

 それと、以前の議論に戻って恐縮ですが、シンプルということについて言いますと、先ほどブレーキの例を出しましたのは、まさに今ここで議論していることと関係がありまして、出口委員の議論はやや本末転倒ではないかなと思います。

 まず、機能として考えますと、やはり執行部は基本的には理事会のメンバーにはならないということが原則です。出口委員の意見は、先に簡素さ、シンプルというものが優先順位で上位に来ています。執行部が理事会のメンバーになると、一見シンプルに見えるかもしれませんが理事会の重要な機能が損なわれます。その意味で、まず機能を議論すべきであるという点で先ほど申し上げましたので、誤解のないようにお願いいたします。

 それで結論を申し上げますと、私は(A)がいいと思うのですが、もし(B)であっても、どういう場合にCEOは理事で投票権を執行できるのか、この点をはっきり規定すれば(B)でもいいと思います。

○植田座長 ちょっとあれですけれども、CEOを理事とする場合に議論になった点ですが、理事になってしまうということは大臣に任命権があるというふうになりそうですけれども、そこは違うのですか。

○岩間委員 その点でちょっと質問があります。山口委員のお話にちょっと質問をさせていただきたいのですけれども、要するに、今、植田座長がおっしゃったように、理事の解任権・任命権は大臣にあるということになりますね。そうしますと、CEOが理事会のメンバーになるときに、理事会と執行部隊の間で言いますと、理事会が執行部を解任できるということに当然しなければ、監督と執行のバランスがとれませんね。

 それで、CEOが理事会のメンバーになった途端に、理事会がCEOを解任できない。そういうことになるのは、私は不都合なのではないかと思うのですが、その点はどうお考えでございますか。

○山口委員 その点は余りよく私も整理できていない部分があるのですが、例えば理事会がCEOを解任して、そのCEOを理事の一員としても適切でないということを議決される。

○岩間委員 理事ではなくて、CEOとしてです。

○山口委員 CEOとしてですね。そして、大臣に彼を理事から解任すべきであるといったことを具申することはできると思います。

○岩間委員 でも、大臣は否認できるわけですね。

○山口委員 ですから、そういう、大臣は彼を適任として守りたいけれども、理事会が彼はだめであると言っているといったようなケースが生じたとしたら、理事会はその権威をどう守るかという問題で、これはある意味架空の事態を想定されて議論されるというのではないかと思いますが。

○岩間委員 いや、これは架空とは思えません。これはかなり重要なところだと思います。

○植田座長 どうぞ。

○厚生労働省顧問 失礼いたしました。私が口を挟んだので混乱したかもしれませんが、現行の株式会社の仕組みを御理解いただければと思うのですけれども、代表取締役は取締役会が選ぶことになっております。したがって、株主は代表取締役を解任して、単なる取締役にすることはできません。言うまでもなく代表取締役が執行者でございますけれども、執行というものを監督する取締役会の最大の監督権限は解任をするという権限ですので、それを取締役会が保持しているという仕組みになっています。それは株主総会で解任させますと、めったに株主総会は開かれませんので、そこでかえってガバナンスが緩むという判断になっております。

 その上で、定款で代表取締役の解任権限を株主総会に移譲することはできるかという古典的な論点がございまして、この場合に議論しなければいけないのは、解任権をもし株主総会に移譲するのであれば、選任権もそこに移譲しないと、専任と解任は、先ほど議論がありましたけれども、同じ人がやらないと矛盾するという話になりますので、結局、そこに集中することになります。

 そうしますと、今のケースでいきますと、株主総会に当たるものが国民を代表している、一人株主である大臣というふうに考えていただきますと、大臣がCEOの選任と解任を担うという形になると思います。そのときに、先ほど来から議論がありましたように、ガバナンスの面から見ますと、それが理事会という組織によって常に監視されていて、その監督権限が解任権という伝家の宝刀によって裏づけされているという仕組みに比べれば、ガバナンスが緩んでしまうのではないかというのが会社法的な伝統的な議論でありまして、したがって、定款による権限移譲は禁止すべきであるというのが通説的な見解になっております。

 ただ、この仕組みの下でも、代表取締役は取締役の地位を前提としていますので、代表取締役が株主によって取締役から解任されてしまいますと、代表取締役の地位を失うことになります。他方で、指名委員会等設置会社の場合には、代表執行役は取締役の地位を前提としていませんので、仮に取締役の中から代表執行役が選ばれていたとしても、株主はその者を取締役から解任することはできますが、代表執行役から解任することはできません。

○山口委員 ただ、今のお話をよく聞いてみますと、株主総会はそう頻繁に開けない。したがって、規律づけが緩むのではないかという話ですね。ですから、株式会社において株主総会を開催するという話が、厚生労働大臣が権限を発動するという話と同じ根拠の例として話されているようにも聞こえますが、この場合、当たらないのではないか。つまり、それがなかなか実行できないから規律づけが緩むと言っているわけですから、それはこの厚生労働大臣の権限発動の場合の例としては適切ではないと思われますけれども、いかがですか。

○厚生労働省顧問 そういう御意見も当然あると思いますが、他方において、今回の議論でございますと、政治による直接的な介入という問題が今度は増大してまいります。そういう意味ではワンクッション置いて、理事会という知見のある方々によって、背後から常時監視をしてもらうという仕組みの意義も大きいかと思います。これまでの議論ではそういう発想が前提とされていたわけですから、理事会から事実上解任権を奪う結果になるような議論については、その政策の是非に立ち返って御確認をいただきたいと思い、先ほど口を差し挟んでしまったということでございます。

○植田座長 出口委員、どうぞ。

○出口委員 私は(C)案が一番ワークすると考えているのですが、もう一回、理由を整理して申し上げますと、基本的には大臣が理事をお選びになればいいと思います。その理事の中で制約を設けずに、CEOCIOCOOを選べばいいと思っていますので、日本銀行の場合とは少し異なりますけれども、日本銀行は、総裁や副総裁は政府が決めますし、政策委員も決めますが、私は大臣が理事を決めて、その中で代表権のある理事長を決める。

○植田座長 理事長は政策委員会が決めるのですね。

○出口委員 はい。ですから、理事は大臣が決めて、理事会でCEOCOO、あるいはCIOを選べば何も問題はないと考えます。

○植田座長 解任した場合は、ほかの理事からCOOをまた選び直すということになりますね。

○出口委員 はい。解任がもし起こった場合はです。

 それで、大臣が理事を解任されれば、それは何らかの理由があるわけでしょうから、当然、それは理事会を開いて執行部をつくり直すことは普通はおかしくはないと私は思います。

 それで、まず何で兼任することが望ましいかということを3点ほど申し上げますと、まず第1は、この委員会でも国会や国民に対する説明責任をちゃんと果たすということをるる皆さんおっしゃっています。そのときに、執行責任を持たない理事長が説明するのか、あるいは執行責任を持つCEOが説明するのか、極めてわかりにくいですね。理事長がポートフォリオについて説明し、具体的な執行についてはCEOが説明する。私が国民であれば、まず極めてわかりにくいというのが第1点です。

 日本銀行の例を見ても、黒田総裁がきちんと説明されることで国会でも国民でも納得がいっていると私は思いますので、まず説明責任という観点から言えば、意思決定をする理事長と実際に執行するCEOが2人いて、常にどちらの話も聞かなければいけない。これは本当に国民にとってわかりやすいのかどうかというのがまずあると思います。これがまず第1点です。

 第2点は、この前の菅野委員の御指摘では、理事は全部社外だけれども、常任の理事が3人ぐらいいたほうがいいという御意見がありましたが、今のGPIFの規模、それから、さらに大きくなるとしても100人、200人で、そこでCEOCIOCCOChief compliance officer)というものを含めて、さらに常勤の理事が3人いて、業務執行権は持たない。これは今の状況で国民から見たら、すごく大きい政府で、何でこんな頭でっかちな組織をつくるのかという批判が来ることは目に見えていると思います。

 3点目の意見は、これは企業でもそうですけれども、いわば常任の常勤取締役と非常勤の社外取締役の関係になぞらえればいいと思いますが、例えばCEOCIOChief compliance officerの3人ぐらいが企業でいえば取締役に入っているわけです。それで、労使を含めて社外にちゃんとチェックされる方がそれより数がたくさんいる。そうすれば多数決でいつでも否決できるわけですから、私は十分ワークすると思っていて、何の問題もないのではないか。

 そう思いますので、私は(C)案が一番現実的で、合理的であると考えますし、この前、申し上げましたように、なるべく意見の一致を見るように集約したいと考えていますけれども、これは大きい考え方の問題ですので、両論を併記して我々は作業班ですから、こういう根拠でこういう意見があったということで年金部会にきちんと上げて決めていただくのが一番フェアであると思います。

○植田座長 ちょっと整理しますと、先ほどからの議論で、CEOを理事としますと、理事なので大臣が任命するから、解任権も大臣に行って、ボードによる執行部の監視機能が落ちるのではないかという議論に一応なったわけですが、出口委員から、大臣は理事としての任命だけ行って、理事会が全体として理事の中からCEOを選ぶということにすれば、その場合、場合によっては理事の外から選んでもいいわけですか。そこは決めなくていいわけですけれどもね。

○出口委員 逆に言えば、場合によってはそれも別に理事会に任せればいいと思いますが、私は実際に、先ほど申し上げたように説明責任を考えると、これはすごく大きい規模のお金を国会や国民に対して、例えば菅野委員が言われたように、国民の公聴会というものを想定されているようですので、それを考えれば、理事長がCEOであって、国民に説明をするという形が今の日銀の総裁や副総裁の例でありますし、政策委員も説明をやられていますけれども、一番納得しやすいのではないかと思います。

○植田座長 私が申し上げたのは、大臣が理事としてのメンバーだけ任命して、理事会が、そうやって選ばれた理事が互選でCEOを決めるというプロセスをとれば、CEOの解任権は理事会にあるということで最初の問題は一応形式的にはクリアできるということですね。

○出口委員 はい。クリアできると思います。

○植田座長 ただ、現実問題として、そうやるとすると、大臣は理事を任命するときに、暗黙のうちにCEO候補を考えた上で理事を選んでくるという効果を持つことは否めないなとは思いますが、形式的にはクリアできるということですね。

○出口委員 はい。暗黙のうちには、でも人間の組織ですから、それはあり得ると思いますが、この理事会に選ばれる方が適切な資質を持っていて、ちゃんとした方が選ばれるのであれば、そこは十分担保されるのではないか。社外役員がいわばしっかりしていれば、そこのところは私は問題がないのではないかと考えています。

○植田座長 野村顧問、今の整理は正しいですか。

○厚生労働省 考え方は幾つかあると思います。理事と執行者というものが制度的に分かれていることを前提にしますと、本来、別々に任命されるわけですが、その際、理事を任命する者が、理事の中にCEOを入れたほうがいいと判断した場合には、CEOを理事と兼任させるという判断をする。そういう柔軟な運用の仕方もあろうかと思います。この場合には、制度上、理事の中に必ず1人CEOがいなければいけないということが法律上書かれていなければ、大臣が当該者を理事から外したとしてもCEOの地位が残るというつくり方はできると思います。

 他方、今、植田座長のほうからお話がありましたように、法律の条文の中に、理事の中に必ずCEOがいなければならないという条文を書いたとしますと、当該者を理事から外すということはCEOからも外すということと連動する形になることになりますが、その場合には、今、座長からお話がありましたように、空席になりましたCEOを理事会で互選という形で選ぶというCEOの選び方を残せば、大臣の牽制を間接的なものにとどめることは理論上可能です。ただ事実上は座長がおっしゃられたとおり、理事の中には多様な人材がおりますので、CEOにふさわしい人というのは暗黙のうちに固定されているという現実はあろうかと思います。

 それから、先ほど議論がありましたように、理事としての資質の問題とCEOの資質の問題というものがございますので、果たして理事にふさわしくないという判断がCEOとしてふさわしくないという判断になるのかどうかということは御整理いただくことが必要なのかなとは思っています。この点からすれば、CEOは大臣が直接選任・解任するとした上で、CEOは自動的に理事を兼ねると規定し、大臣がCEOを解任すると連動して理事ではなくなる仕組みにするのが一番すっきりしますが、何度も申しましたように、CEOを大臣が直接選ぶと言いうことがPKOとの関係で問題がないのか、そこをご議論いただければと存じます。

○植田座長 どうぞ。

○伊藤座長代理 今、出口委員から3点ほど理由が述べられたわけですけれども、その第1の点の説明責任については、私はこれは理事会とCEOがはっきり分かれていることが重要であると考えます。

 といいますのは、執行部隊が執行しているわけですが、これは前にも話したことがあると思いますけれども、損失が出た場合、一番、その説明責任を求められるのは、非常に運用がうまくいっているときに説明しろという人は余りいないと思うので、損失が出たときに、執行の失敗なのか、理事会の大きな判断の誤りであったのかということはやはり峻別する必要がありまして、損失が出たといっても、執行が悪いのではない。大きな判断を間違えましたというふうに理事会が言う場合もあるでしょうし、いや、これは執行部隊が暴走した結果ですという場合もあるかもしれませんし、理事会に対して何か隠しているということがあるような場合も想定できますので、これははっきり分けて、どちらの責任であったのかというのがわかったほうがいい。

 特に理事会として、執行部を守りたいという状況もあり得ると思うのです。そういう場合には、理事会がそういった説明をすることで国民に対して納得感を与える。ですから、それが一体化しているとむしろ説明が本当に信用されない可能性がありますので、私はここはやはり国民に対する納得感というものは、むしろ分かれているほうが納得感が出ると思います。

 2点目は、3人入っても多数決で負けるから執行部が理事会を支配するわけではないというのは、これはそもそも理事会と執行部の資質が違うであろうということを今まで議論していたわけで、これはなるべく、数がもし入るとすれば、やはりCEO1人がせいぜいであって、それ以上入るというのはやはり渾然一体として、その資質のところで大きな判断と、それから、執行というところの区別というものが曖昧になってくる可能性があるのではないかと思います。

 2番目の理由、3番目の理由のところに係りますけれども、先ほど来の議論で、やはり理事の資質と執行部隊の資質というものが違うということであれば、理事を先に任命して、その中から互選でCEOというものは適切ではない仕組みになってしまうと思いますので、私としては、今、言われたような理由で(C)案を推すというのであれば、私としては、それはない、のではないかなと考えます。

○植田座長 花井委員、どうぞ。

○花井委員 私がよくわからないのは、GPIF自体が大きな意味で執行機関であると捉えることができるのではないかと思います。意思決定機関というものは、もっと大きな意味で言いますと厚生労働大臣であり、政府であろうと考えます。そうしますと、大きな意味での執行機関であるGPIFの代表は誰なのかといったら、やはり1名なのだろうと思いまして、その中で意思決定機関と執行機関を明確に分離できるのかということは非常に疑問なのです。むしろ、そのことによって、今度は政府との関係がどうなっていくのかということがなかなか見えなくなってしまうという思いがあります。

 したがいまして、私は出口委員がおっしゃったような形がより望ましいと思います。なぜかといいますと、日本的な組織のつくり方として、明確に執行機関と分離したような運営で本当に成功できるのだろうか。むしろCEOが理事会に入って、場合によっては理事長を務めることもあり得るのではないかと考えます。したがいまして、ここにつきましては一定の集約をするのはなかなか難しいと思いますで、何論か併記して、年金部会で検討いただくことが一番いいのではないかと思います。

○植田座長 菅野委員、どうぞ。

○菅野委員 今の花井委員の御発言の中でわからない点があるので、質問させていただきたいのですが、なぜ日本的だとうまくいかないのでしょうか。今、おっしゃられた中で、どうしてなのかなという理由を考えながら花井委員の御意見を伺ったのですが、どうも余り理由がはっきり述べられていないように思いましたのでご説明いただけますでしょうか。

 この(C)には、意思疎通を円滑にするため。それから、先ほど出口委員から、シンプルな組織にするために(C)がいいということをおっしゃられましたけれども、花井委員が(C)がいいと考えられる理由を御説明いただけますか。

○花井委員 私がさまざまな会社のあり方、あるいは労働組合とか生協とか、いろいろあるのですが、聞いている限りにおいて、執行部の長というものは必ずここで言う理事会に入っているのが普通の姿であると思います。

○菅野委員 どうして、それが普通なのですか。

○花井委員 普通といいますか、それが多いという、そのことが今の組織運営にマッチしているということです。そこを明確に分離して、逆にうまくいっているケースがあるのか、多くはやはりそういう形態ではないかと考えるからです。それが根拠がないと言われたら、もう仕方がないです。

○菅野委員 それは余り根拠が感じられません。

○出口委員 今、ファクトをおっしゃっているのだから、それは根拠の問題ではないと思います。

○菅野委員 いや、ではなぜ、そのファクトがこのGPIFという資金運用を目的とする組織と共通性があるのか。その点を明らかにしていただきたいと思います。それで、実際にグローバルに見ますと、多くの年金基金が執行部と理事会の機能を分けているのはこれ極めて明確です。それから、出口委員は日銀との、組織との類似性をおっしゃられましたけれども、これは明らかに違うと思います。

 といいますのは、日銀の場合にも、一見すると、例えば2%のインフレ率目標を与えられて、それを達成するのが日銀の役割であるというのは一つの考え方としてあり得ると思いますけれども、ただ、それをどうやって実現すればいいかというのは、必ずしも万人が納得する方法が確立されているわけではありません。今、日銀はいろいろ模索してやっているわけです。

 これに対して、資金運用の世界は極めて明確です。与えられている目的は日銀の2%インフレと明らかに違います。与えられた運用利回りを実現するための手段・方法は世界的に確立されたものがあり、それをどのような組織で実現するかというのも大方でコンセンサスが形成されています。執行部に対する牽制機能を理事会が果たしたほうがいいというのがグローバルな見方です。

 こういう整理をしていたわけですけれども、先ほどの出口委員のような組織にしてしまうと、牽制機能というものはかなり失われ、国民からの信頼を失いかねない、という非常に大きなリスクが出てきます。

○植田座長 野村顧問、どうぞ。

○厚生労働省顧問 ごめんなさい、ちょっと議論を整理させていただきたいのですけれども、花井委員がおっしゃったことは非常によくわかるのですが、アメリカも日本もそうだったのですが、経営をする人と監督をする人が一緒であるというものから世の中のガバナンスはスタートしてきまして、それが幾つもの問題を起こしたために、監督をする人と執行する人を分けましょうという流れになったわけです。これは、例えばスポーツの試合で監督が選手として一緒にプレーをしていますと、その試合の中での失敗は、選手である監督自身の失敗でもあるため、選手に対し監督者として厳しい指摘はしにくくなるのではないかというのが基本原理であります。それに対し、監督はあくまでも監督として外から監視しており、プレーヤーはプレーヤーとして独立して活動していますと、監督はそのプレーの巧拙について厳しく指摘をして、選手の交代等を行うという仕組みになる、つまりガバナンスが効くというのが一般的な説明です。

 それで、先ほど出口委員のほうからもお話がありましたように、この仕組みをとったときに説明責任を負うのは、選手ではなくて、監督だというのが、今、到達している世界のガバナンスの仕組みです。今回もし、花井委員のおっしゃられるように、日本ではこうした分離型ではなく渾然一体型が多いので、GPIFもそのような形にしますということにした場合には、他方で分離型という仕組みが存在しているのに、今回、如何様にでも新しい組織を作れるにもかかわらず、なぜそれを採用しなかったのかということを立法段階で国民に対して説明しなければいけない形になります。ある意味では厳しいガバナンスの仕組みを採らずに、その一歩手前のガバナンスの仕組みを採用したということについての説明をしなければいけないことになります。

 理事会のほうは国民の代表ですので、むしろ国民の代表である人たちが厳しい監督をするという仕組みのほうが国民にはわかりやすい説明になります。そこを、あえて国民の代表の中にプレーヤーをまぜるという形で、監督とプレーヤーとを分離しなかったということの説明が必要になります。是非とも、その点を御議論いただきまして、あえてその形をとることの根拠を明確にしていただけますとありがたいと思います。

○植田座長 時間もあれですので、出口委員、手短にお願いします。

○出口委員 まず、日銀とGPIFは全然違うという議論ですが、2%の目標達成もプラス1.7%の目標達成も、同じように大変難しい。GPIFの目的だけが明確で、簡単な仕事であるような理解はまずできませんし、もう一点、ちょっと気になる点は、実際に意思決定と業務執行というものは民間の企業でもやっているわけですね。例えば一つの方向としては、意思決定は全部社外役員でやって、執行役は別途という組織もありますが、グローバル企業も含めてほとんどがミックスになっている。それはなぜかということは、やはりそれは非常にシンプルで、執行しやすいという事実があるからであると思います。

 それからこれは、私はちょっと気になるのですけれども、個人的に野村顧問はよく存じ上げていて、見識も大変尊敬しておりますが、私の理解では、事務局は問われたときに意見を言うのが私は基本ではないかと思っていますので、それは少しおかしいのではないか。よけいなことですけれども、やはりこれは委員が議論する場ですので、委員の意見を集約して、それをこういう意見があったということで年金部会に上げるのが我々の役割であると思います。

 以上です。

○植田座長 花井委員、どうぞ。

○花井委員 出口委員にまとめていただいたので、それで菅野委員に一言だけお話しさせていただきたいのは、GPIF自体が厚生労働大臣から中期目標を示されて、その一つとして賃金上昇率プラス1.7%が示されているということであります。それを実行する、実現するためにどうするかということがGPIF全体の目標、それが中期計画なのだろうと考えているということです。

 その中で、当然、意思決定と執行というものは分かれるでしょうが、しかし、それは全く完全に独立したものではなく、GPIFという中での一体のものではないかという意味であるととっていただければと思います。

 以上です。

○植田座長 柿木委員、どうぞ。

○柿木委員 一言だけお話しします。

 監督と執行の関係について、先ほど、野村顧問のほうから監督と選手の話が出ましたが、実態的に日本の企業の中でなぜ監督と執行がうまくいっていないかといいますと、やはり基本的に言えば、私は情報だと思うのです。この理事会、もちろん企業経営とは違うわけですけれども、理事が何人になるかは別にしまして、非常勤の理事もいる中で、執行の持っている情報を本当にこの理事に伝えられるか。私は、これは現実的な企業経営の中で考えても非常に難しいと思います。

 そういう意味で例えば、先ほど出口委員がおっしゃりましたけれども、国会で説明する際に、伊藤座長代理がおっしゃったように、一体化で納得感がかえって出ないのではないかという御意見もありますが、聞かれたときに具体的な執行の中身について、本当に代表理事といいますか、理事が答えられるのだろうか。そこまで日常的に情報を持ち得るのだろうか。それに非常に疑問を感じるということであります。

 以上です。

○植田座長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 私も先ほど野村さんがおっしゃった点にちょっと違和感を感じたのは、監督とプレーヤーという話がありましたけれども、一言だけ申し上げておきたいのですが、運用の場合は、アセットアロケーションをどういうふうに決めるかということは、実はパフォーマンスに対する寄与度という面では非常に大きいわけですよ。ですから、理事会は実はプレーヤーなのです。

 この資産運用をどういうふうにやっていくかという意味において、全体的な計画を立てる。それが結果として、運用パフォーマンスをかなり支配するという意味です。ですから、そういう認識でこの問題を考えないと、現実的に野球の例が適切ではないと私は思います。むしろ、理事会はプレーヤーの一団の中の重要な役割を占めているといった認識をすべきであると思います。

○植田座長 岩間委員、どうぞ。

○岩間委員 アセットアロケーションが大半を決めるというのはまさしくそのとおりであると思いますが、そもそも、この議論というものは、堀江委員のほうからもお話がありましたけれども、PKOが現実のリスクとして今の状態では存在し得るかどうか。そういうものを排除するために監督と執行を分離する必要があるということにあったと思うのです。

 そういう意味で言いますと、理事長とCEOが兼務するということになって、なおかつ厚生労働大臣が全ての任命権・解任権を持つということになりますと、これはそこは担保できないことになる危険があるのではないかと思いますが、この点について花井委員はどうお考えでございますか。

○出口委員 ちょっといいですか。

○植田座長 どうぞ。

○出口委員 今の御質問ですが、PKOのリスクはあくまで大臣とGPIFという議論から始まったのであって、監督と執行の分離という議論ではなかったので、そこは認識が間違っているのではないですか。

○岩間委員 要するに、監督と執行の分離がしっかりされていないと、そこでなおかつ非常に大きい権限者がいて、そこがいろいろな圧力をかけるということをどうやったら遮断できるかということです。これは多分、遮断できないことになると思います。

○出口委員 もともとの議論は、PKOのリスクがあるから、厚生労働省とこのGPIFの関係をどうするかという議論が一番のスタート点であって、それはやはり独任制よりも合議制のほうがいいですねという議論の流れであったので、先ほどあった、この議論のスタートがPKOのリスクを避けるために監督と執行の分離というものは認識が違うのではないですか。

○植田座長 どうぞ。

○岩間委員 これは、私は截然と分けられないと思います。

○出口委員 分けられませんけれども、もともとの問題意識は何かということです。

○岩間委員 要するに、そういう可能性が増大するのは間違いないであろうと私も思います。それをできるだけ最小化しなければいけないということが出発点であると私は思います。

 したがって、そこがどこまでやれるかということについて、最終的に皆さんが合意しなければいけないということであろうと思いますが、私の考えでは、そこはやはりかなり分けておかないと、その危険性が高まるであろうというぐあいに思っておるということでございます。

○植田座長 どうぞ。

○花井委員 質問されましたので。

 私もちょっとびっくりしたのですが、まず、なぜ改革なのかといったときに、PKOのおそれがある、その政治的介入を防ぐという理由から合議制なのだということでスタートしたと思います。私自身は、政治的介入というものは、合議制にしようが、独任制であろうが、いつであってもあり得るため、それをより防ぐよりどころとして合議制はあり得るということを述べてきたと思います。

 ですから、意思機関と執行機関を分離することがPKOを防ぐ、防止することであるというのは、全く関係ないとは言わないですが、もともとの出発点は、なぜ合議制にするのかということの理由としてはPKOであったのではないかと思っております。

○植田座長 どうぞ。手短にお願いします。

○岩間委員 合議制であるということはもちろん、その点は一つの進歩であると思います。ただし、理事長がCEOを兼ねるなどということになれば、理事長兼CEOというのは非常に大きな権力を握ることになりますね。しかも、任命権と解任権が一義的に厚生労働大臣にあるということになれば、これは極めて大きな影響力が及ぶと考えるということが妥当ではございませんか。

○植田座長 もう時間もあれですので、ちょっと整理したいと思います。

 今のところで、基本的には(A)案に近いような考え方の人と(C)案に近いような考え方の人、両方いらっしゃって、必ずしも歩み寄りは見られていないということであると思います。

 それで、間みたいな案として(B)案があるのですが、これについてはきょう出てきた問題として、CEOが理事になった場合に、そのCEOの任命権とか解任権がどうなるのかという問題が複雑になる。ただし、やり方としては技術的にいろいろあり得るという議論があったかと思います。

 つけ加えて私が考えますのは(C)案をとった場合は、今の問題は一段と複雑になってしまうということのように思います。CEOに加えてCIO等も理事であるということになりますと、任命・解任がどういうふうになってしまうのかという問題は複雑になるということはあると思います。

 それは申し上げた上で、しかし(A)と(C)で。

 伊藤座長代理、そのことについて何かありますか。

○伊藤座長代理 済みません、今の議論の中で、やはり一番重要なのは緊張関係であると思うのです。それで、緊張関係というものは監督と執行の間だけではなく、GPIFと政府の間の緊張関係もあるから、暴走する可能性は執行部にもありますし、理事会にもありますし、大臣といいますか、政治にもあるわけで、それをお互いにチェックしてバランスすることが非常に重要なので、大臣は常に善人であるとか、理事長は常に善人であるとか、執行部は常に善人であるという仮定は置かないほうがいいと思うのです。そういう意味では、なるべくそういったお互いのチェック機能が働くような仕組みにするべきであるということです。

 あと、PKOもそうですし、グリーンピアもそうですけれども、最悪の事態を防ぐということを考えますと、例えば大臣が理事を全員解任します。この理事会はとんでもないということになったときに、そこで執行がとまってしまったらまずいわけですよ。少なくとも基本ポートフォリオはある中で、執行部隊はそのままの、日々執行しないといけないわけで、GPIF全体が機能不全に陥ることは絶対に防がなければいけないということで、執行部隊というものはやはり理事の解任権を大臣が持つのであれば、これはやはり執行部隊というものは完全にそこから切り離してあげないと非常に大きなリスクを抱えることになると思います。

 もう一つは、やはり理事会と執行部隊というものの資質は違うでしょうということはほぼ全員が合意いただいていると思いますので、それはやはり、人選というものはかなり違うプロセスを経なくてはいけない。柿木委員から、理事長は説明できるのかということでしたけれども、これは説明できる人を選ぶのが当然である。細かいデリバティブの、この日にこういうことがあってということは説明できないし、する必要もないと思うのですが、やはりなぜここでデリバティブをこういうふうに使ったのかぐらいは説明できる理事長でないと、それはとても理事長は務まらないと思います。

○植田座長 今、執行部のほうから、11時半くらいまではこの場所を使っても大丈夫ですというありがたい御提案があったのですが、もう30分くらい延長させていただいてもよろしいでしょうか。もちろん、御用がおありの方は途中退席してくださって結構ですが、それではよろしいですか。

 それでは、もう一回やるというよりは、恐縮ですが、もう30分ちょっと御議論いただけたらと思います。

 それで、これは収束していないのですが、両論併記くらいにならざるを得ないかなと私は今、伺っていて思うのですが、堀江委員どうぞ。

○堀江委員 これは何度も申し上げているのですが、今のGPIFの現状を踏まえて議論をしていただきたいということです。

 山口先生もおっしゃったように、130兆円という規模ですと、やはりアセットアロケーションが九十何%以上のリターンを決めますので、説明責任という観点で言いましても、今回は運用委員が決めたわけですけれども、運用委員のメンバーが、悪くなったときのほとんど99%の理由は、アセットアロケーションを決めたGPIFと運用委員の責任です。

 それを説明するという意味で言いますと、やはり理事会、今は運用委員ですけれども、理事会のメンバーが十分に説明できますし、国民に対しても、なぜ、こんなに株が下がっているときに入れたみたいな話について説明するのは当然、運用委員を含めてGPIFがやる。今回のたてつけですと、理事会がやるということになるので、それは十分、理事会が私は説明責任を果たすことができるのではないかなと思います。

 もう一点は、そうすると、やはりアセットアロケーションを決めるところが130兆円の規模ですと非常に重要で、しかしながらその中で、何度も言っていますように、非常に許容乖離幅もありますので、その中で執行部が上げ下げを政治的な思惑でやるリスクというものは排除できませんので、それを理事会が、何で今、この比率からこのぐらい乖離しているのかということを監督責任という形でちゃんとチェックする形が、今のこの130兆円という金額の運用体としてはやはり一番いいのではないか。

 そうしますと、やはり執行と監督は明確に分けるほうが、冒頭に話しましたPKOのリスクをかなり、今よりは減らせる形態なのではないかなと思います。

○植田座長 そこは、ちょっと話が飛んでしまうのですが、きょうの、理事会が何を決めるかというテーマの中で、許容乖離幅の幅そのものとか、あるいはそれをどう運用するかについての基本的な方針は理事会が決めて、その上で執行部に授権するというプロセスですね。

 どうぞ。

○出口委員 今の座長の整理でいいと思うのですけれども、そういうふうに乖離幅を理事会で決めたと仮定します。そうしますと、そのチェックは基本的にはコンプライアンスの問題ですね。執行で考えれば、ある幅を決めて、その枠内でしっかりやるということはChief compliance officerの牽制の話ですね。

 それで、先ほどの議論で、確かに理事の資質と執行の資質というものは理屈上は違います。でも、よく考えていただきたいのは、その理事の資質の中にも執行ができる人がいても全然おかしくないわけですよ。例えば、また日銀の黒田さんの例ですけれども、金融経済に大変お詳しい、国際的にも知見を持っていらっしゃる。でも、マネジメントもちゃんとできる。

 そういう人もいるわけですので、理事の資格はこうあるべきである、執行の資格はこうあるべきである。でも、理事と執行を兼ねる方はたくさんいらっしゃるので、それが実際に民間企業では取締役会に入り、それから、ちゃんとCEOとしてもお仕事をされている。それは何も矛盾しないような感じが私はします。

○植田座長 どういたしましょうか。新しい論点があれば提示していただきたいと思いますが。

○出口委員 次の論点も、3もありますね。

○植田座長 はい。3とか、0や1もあるので、菅野さん、何か。

○菅野委員 (C)案を賛成の方は、アメリカの企業もそうでしょう、日本の企業もそうでしょうと、企業のガバナンスとの類似性の観点から議論されていましたが、それは余り説得的な議論ではないと思います。といいますのは、明らかに企業のガバナンスと、資金運用で目標利回りを追求する、このGPIFのガバナンスは違う、あるいは世界の年金基金の運用のガバナンスとは違うということです。資金運用のために望ましい組織の姿と言うのは、各国の年金ファンドがいろいろと試行錯誤した結果、執行部に対する牽制機能を発揮したほうが良い、という結論に到達したわけです。これに対し、企業のガバナンスは、企業も一定の利益率を達成することが求められていますが、その企業の事業内容は各企業ごとに大きく異なりますので、単純ではありません。ある意味、資金運用の世界はメカニカルな側面が強いと言えるかもしれません。

 先ほど野村顧問の発言内容について出口委員から御発言がありましたけれども、野村顧問には、我々がここでよかれと思ってやっている議論が時々、何か世の中の流れ、あるいは世間の少なくとも常識の線からかなり外れてしまうような議論に行ったときに、やはり問題提起を行っていただくという意味では、積極的な御発言をしていただくことが全員の理解を深める上で非常に重要であると思いますし、先ほどの御発言は極めて適切な御発言であったと私は理解しております。

○植田座長 どうぞ。

○伊藤座長代理 ここのところを(A)案、(B)案、(C)案にまとめたのは私ですので、最後にもう一度、今の皆さんの御意見を伺った上で、改めてこういうふうにまとめた意味を述べておきたいのです。

 やはり執行と監督を分けるということですと、なるべく、これは分かれていたほうがいいということで、出発点は(A)案かなと思ったわけです。

 一方、日本的という言葉を使うかどうかは別ですけれども、渾然一体でいいではないかというのが(C)案であったと思うわけです。

 (B)案というものは何かといいますと、その間をとったといえば間をとったことになるわけですが、CEOに関しては、やはり執行部隊を束ねる人ですから、これが理事会に出席するのは、ある意味、当然であろうということで、それを理事と呼ぶか、呼ばないかというところが何か工夫はできないかなというところです。

 それで、CEO以外はやはりCEOがみんなを束ねているわけですから、CIOであろうとChief compliance officerであろうと、それはCEOがこれを理事会に持ってきて代弁する。細かい必要なことがあれば、CIOCOOに出席を求めて説明させるのは全く問題ないというふうに、出席については全く、これは制限をかけていないわけですので、そこは出口委員の、情報についてなどの心配は(B)案で十分カバーできていると思っています。

 問題は、理事会に出るCEOを理事と呼ぶか、呼ばないか。理事と呼んだ場合に、全く理事長にもなれるような立場か、あるいは分けているわけですから、執行部に関する人事についてのときには席を外すということで(A)案と(C)案の折衷といえば折衷なのですけれども、このあたりで何とか皆さんの意見集約ができたらいいなと思って書いたのが(B)案ですので、皆さんの意見を聞いて、きょうの議論を踏まえた上でも、やはり私としては(B)案でいけるのではないか。

 あとは、法律的なところでどういうふうに書くか。解任権は多分、理事についての解任権は大臣が持つ。解任委員会というものをつくるかどうかは別として、その日に突然、勝手に解任されたらたまらないと思うのですけれども、解任権は大臣が持つとして、それは私はCEOには及ばないような仕組みのほうがよろしいかと思います。そこは法律的な、技術的な話ですので、立法化のときに書いていただければと思います。

○植田座長 出口委員、どうぞ。

○出口委員 私は、ここまで意見が分かれている問題は、この議事録を全部丁寧に付記した上で、両論併記で年金部会に上げていただきたいとお願いいたします。

○植田座長 どうぞ。

○花井委員 (A)(B)(C)と提示された中身は、執行機関が具体的にどこまでやるかによってまた違ってくるかと思います。

 まだ議論になっておりませんが、自家運用ということが出ておりまして、そこについてはほとんど議論していなかったのではないかと思うのです。そこまで想定すれば、もっと執行機関と理事会のあり方というものはもう少し違う議論になってくると思います。

 ただ、そこまで議論を行っていない段階で、やはり意見が違いますので、そこはきちんと違うということを明らかにして年金部会に上げていただきたいと思います。

○植田座長 一応の判断としては、事前に伊藤先生と相談しまして(B)案でまとまるならそれが望ましいけれどもという考えはあったのですが、今、御議論いただいた感じではちょっと無理かなと思いますので、基本的には(A)か(C)かということ。それで(B)及び(C)については、先ほど私が整理させていただいたような技術的な問題、あるいは任命・解任について複雑な事態が発生するという問題はあるということは付議させていただいた上で、両論併記という形に。

○伊藤座長代理 人数をとらなくていいのですか。

○植田座長 分布をとってもよろしいですけれども、大体明らかではないですか。

 (B)というものを落としておきますと(A)の方と(C)の方が4人と4人くらいですか。

○伊藤座長代理 ですから(A)もしくは(B)というものが。

○植田座長 (B)を入れると複雑になってくるのです。

○伊藤座長代理 では(A)と(C)でとりますか。

○植田座長 (A)と(C)ですと4対4ですね。

 山口委員はどちらに。

○山口委員 私は(B)です。

○菅野委員 (A)と(B)は1つの中に入れてもいいのではないですか。

○植田座長 それでは、一応やりますか。

○伊藤座長代理 では(A)と(B)と(C)でとればいいではないですか。

○植田座長 (A)案に賛成される方は。

○菅野委員 例えば(A)と(B)は受け入れられるが、(C)だけは受け入れられない、という場合(A)と(B)に計2回手を挙げてもいいですか。

○出口委員 (A)(B)(C)でいいではないですか。せっかく整理されたのですからね。

○菅野委員 でも、それだとニュアンスが出ないと思うのですよ。

○出口委員 全部、議事録を付議すれば問題ないでしょう。

○菅野委員 議長にお任せしたいと思います。

○植田座長 では一応、とりあえずは(A)(B)(C)で御希望が出ましたので、決ではないですけれども。

○岩間委員 2回挙げてもいいわけですか。要するに、どちらでもいいという考えで。

○植田座長 そういうとり方でもよろしいですか。

 それでは、お一人3つはなしで、2つまで、1回でも結構ですが、そういうことで(A)に賛成の方、挙手をお願いします。

(堀江委員、岩間委員、菅野委員挙手)

○植田座長 3名ですね。

 それから(B)でもいいという方。

(堀江委員、山口委員、岩間委員、柿木委員、菅野委員、伊藤座長代理挙手)

○植田座長 6名ですね。

 (C)がいいという方。

(花井委員、柿木委員、出口委員挙手)

○植田座長 私も投票するとしますと、理屈の上では(A)案が一番すっきりしているような気がいたしました。(C)案もあり得るのですが、どうしても執行部を理事会に入れなくてはいけないという根拠がもう一つ理論的にはっきりしないような気がいたしましたので、私は投票するとしたら(A)か(B)かというふうに思いますが、大体、今の幹事を年金部会にお伝えするということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○植田座長 それでは、時間も15分くらいですが、あとは御自由に、3の「政府との関係」で残された論点、全体の改革の背景にまつわる問題、あるいは1の理事会、執行部のするべき、果たすべき基本機能、その分業体制のあり方あたりについて、御自由に御意見があれば御提示いただきたいと思います。

 花井委員、どうぞ。

○花井委員 済みません、残された課題の議論に入る前に、11時半までと限られていますので、確認をお願いしたいのです。

 きょうの議論をどのような形でまとめて年金部会に上げるのでしょうか。今は決をとりましたが、そのほかでもいろいろな意見が出ていたかと思うのですが、どういう形でまとめられるのかということが1つです。

 といいますのは、この作業班が今後どのぐらい開かれるのかわかりませんが、普通に考えたらきょうで終わりではないかという気もしておりますので、そのような場合、最終的な文章のまとめのチェックといいますか、確認というものはどこで行ったらいいのでしょうか。そのことの確認をお願いしたいと思います。

○植田座長 一つの御提案としましては、私と伊藤座長代理でこれまでのいただいた御意見、特にきょうの御意見をまとめて、きょうお配りしたような紙をもう少し膨らませたようなものをつくりまして、ですから、物すごく長いレポートというよりは要点、そして対立している論点についてを明確化し、その理由も明確にして整理したものを作成させていただきまして、皆さんに配付させていただき、多少の意見の集約をまたいただきまして、もう一回整理させていただくということで年金部会に上げさせていただこうかなと思います。

 どうぞ。

○花井委員 これは要望ですが、違う意見、共通した意見、さまざまな形があったかと思うのですが、できるだけ全部、議事録ではなくていいので、象徴的にどういう意見があったかということを少し丁寧に書き込んでいただくか、あるいは資料としてつけていただくか、そのような取り扱いもお願いしたいと思います。

○植田座長 菅野委員、どうぞ。

○菅野委員 この3のほうに入ってしまってよろしいですか。

○植田座長 その前に、まとめ方について、一度配付させていただいて、皆さんから御意見をいただいて、完全に対立したままで集約できないところもあるかもしれませんが、最終的なバージョンは私どもにお任せいただくということでよろしいでしょうか。

○出口委員 結構です。

○植田座長 それでは、残された時間、その他の論点で、菅野委員お願いします。

○菅野委員 この3の「政府との関係」というものは、いろいろなところでもう既に議論になってきたものがいろいろあるかと思うのですけれども、その中でまだ議論になっていないのは、この3つのポツの一番下にある、下線の引いてあるところで、具体的に政府がどの程度、理事会と距離を保ち、あるいはどのような情報を共有するかという点です。多分、皆様方の意見も私の意見もそんなに変わらないと思いますが、基本的にははっきりとした距離を置く、という点は確認しておきたいと思います。政府のいたずらな干渉はあってはいけない。ただ、政府との情報共有は、ある程度は必要であろうという、ここは多分、ある程度、皆様と私の意見がそんなに違わないのではないかなと思います。

 具体的に、この下線のところについて申し上げますと、政府の方が理事会にある程度、出席されるのはむしろ望ましい。問題は、そのある程度というところなのですが、実際、理事会がどの程度の頻度で開かれるかというのは、以前に海外の例もありましたけれども、実は結構、幅が広いのだと思うのです。それは理事会が何を決めるかとか、そういうことにもよるかと思いますが、政府の方がオブザーバーとして理事会に出られるのは、その中でも、節目となるような理事会で、そういうときにはぜひ出ていただきたいと思います。

 では、全ての理事会に出るかというと、そこまでは多分必要ないのだろうと思いますので、また抽象的な言い方ですが、日銀の場合は、月に1回ないしは2回のこともありますが、金融政策決定会合には政府代表がオブザーバーとして出られるけれども、ほかのときの政策委員会会合には出られないという理解ですので、そういうところは似ているのではないかなと思います。

○植田座長 どうぞ。

○出口委員 今の点は珍しく菅野委員と意見が一致したのですけれども、私自身も、基本的には大臣が責任を持つ以上、理事会に出ることは当然ありだと思いますが、ここは理事長の判断で、下線に書かれていますように、特に必要がない場合には政府委員の退席を求めることができるということは、もともとの議論はPKOのリスクを避けるということでしたので、理事会に出てもいいけれども、理事ではないわけですから、投票権がないことは当然であると私は思いますが、議題によっては理事長が退席を求めることができるという形が一番きれいなのではないかなと思います。

 最後に一致できるところがあって、よかったです。

○植田座長 どうぞ。

○堀江委員 今回、リークの話も出口さんから質問がありました。アセットアロケーションの議論だけは関係者が多くなると、今回もそうでしたが、リークの可能性がありますので、アセットアロケーションの、これは多分、5年に1回ぐらいしか決めないとは思うのですけれども、そのときは中のメンバーだけでやるということを明記していただければありがたいと思います。

○植田座長 どうぞ。

○柿木委員 今回のガバナンス改革はこれまで運用と切り離した形で議論が進んでいるということですが、1ページ目の「新組織の概要」の中にあります「自家運用分のマネジメント等」という文言は、現行法で認められていない株式のインハウス運用を可能とする改正をある程度意図したものであるという理解ではないということでいいですね。

○植田座長 これは私が書いたのですが、具体的なことは特に頭に、私が抽象的に書いただけです。可能性としてということです。

 どうぞ。

○伊藤座長代理 今の柿木委員の御質問は、自家運用分についての議決権行使があるかというお話ですか。

○柿木委員 はい。

○伊藤座長代理 ですから、議決権行使について決めるかどうか。

○植田座長 それは既に運用委員会では前から、議決権行使をどれくらいやるべきかというのは重要な議題の一つとしてあって、もちろん個別株投資はしていないですけれども、それは否定できないのだと思うのです。

○柿木委員 現在は、債券のみインハウス運用が認められており、株式は認められないというふうに理解しているのですが、これについて改正を何か考えられているというのでこの項目が入っているということではないですか。

○植田座長 そこは具体的なことは何も。

○柿木委員 何も決まっていないということですね。

○植田座長 はい。

 どうぞ。

○菅野委員 この会議ではまだそこまで議論は及んでいないと思うのですが、ただ、昨年出た有識者会合の最終報告書の中には、自家運用を展望してということで、その自家運用をする場合には、ただしっかりとした組織をつくり、内部の牽制体制もはっきりした上でということで議論をしました。そして、やはり自家運用にも、ある一定のメリットはあり、全部アウトソースしてしまうよりも、ある程度、自家運用をしたほうが人材が育つということに加え、効率的な資金運用に資するという議論が大勢であったように私は記憶しています。

 その後、ただ新しく起きた事態としては、現在のGPIFが、たしかスチュワードシップコードにサインをしておりますね。ですので、その2つを基準に考えればいい話でありまして、有識者会議での議論は、自家運用を初めから除外するのではなくて、自家運用ができるような体制ができたところで自家運用をやるということだったと思います。

 そうしますと、せっかく出口委員と意見が合ったところでまた違うというふうに申し上げるのもなんですけれども、そうなるとGPIFの人数は100人、150人の体制ではない。自家運用をやっているところはもっと大きくなります。ただ、問題は効率性との関係もありますので、どの程度の自家運用が最も効率的なのか。やはり自家運用が肥大するのはよくない。ここは出口委員のおっしゃるとおりであると思います。やはり自家運用とアウトソースのバランスが重要だと思います。

 そして、スチュワードシップコードにサインしたGPIFがどのような形で日本企業のコーポレートガバナンスにかかわるのかというのは、おのずから結論は明らかであると思います。

○植田座長 どうぞ。

○伊藤座長代理 自家運用の比率で、今でも債券についてはやっていますけれども、自家運用をどこまで広げるかという話と、それから、自家運用をしている場合にスチュワードシップコードをどれくらい厳密に行使するかという話と、これは別にイエス、ノー、それから、パッシブか、アクティブかという話と、全て関連はしていますが、別の話であると思います。スチュワードシップコードが一つの基準になるわけで、程度問題とは思いますけれども、その中でどれくらい、それを積極的に行使するかどうかという話が出てきまして、それはやはり、まさに理事会で考えればいいと考えています。

 今、菅野さんが言われた有識者会議でもこの話はいたしまして、そこでの議論も全部入った形で有識者会議の報告は書かれています。その中で、有識者会議のときに私が申し上げたのは、やはり個別の会社の個別の案件について全部精査するなどというのは到底無理ですし、コストパフォーマンスはよくないわけですので、そういうことは多分、そちらの方向には行かないだろうと思うのですけれども、全く排除するということでもないだろうというところで、そこはやはり理事会でマンパワーと、それこそ効率性というものを考えながら判断していくことになるだろう。現実的に今の人数、100人、200人にもうちょっとふやしたとしても、多分そこで、今、言ったような形での厳密な決定というものは難しいのではないかと思っています。

○植田座長 花井委員、どうぞ。

○花井委員 今の自家運用についてですが、債券ではやっているということですが、株式までするかどうかというのはここで決めることではないと思います。今後のアクティブ運用についてもどうしていくかという話があると思いますので、余り詳しく書かれないほうがいいのではないかというのが1つです。

 それから、質問なのですが、理事会のイメージとして、運用委員会を格上げするということが書いてありますが、今の運用委員会のメンバー構成とか、また先ほどの話と違ってくるのですが、そのイメージみたいなものをもう少し御説明いただけないでしょうか。例えば今の運用委員会というものは、大臣から言われた中期目標を達成するとか、運用状況を監督・監視するとか、いろいろ任務が法律で規定されているのですが、そこにとどめるものなのか、それ以上にするものなのか、もう少しイメージがあればと思います。

 それから、最後のほうで利益相反等々のことがあったかと思います。利益相反について記載いただいているのですが、それと同時に、例えば業界の方が入った場合はそこの会社と取引しないとか、やはり外から見た場合の透明性や公平性とかが大事です。確かにこの人はそういう位置でやっているということがわかるような、コンプライアンス的なものはもっと明確にしたほうがいいのではないかと思います。どこまで具体的にするかというのはさらに今後の議論かと思いますが、意見として述べさせていただきたいと思います。

 以上です。

○植田座長 前半の点については、現行の運用委員会を理事会に格上げという表現は最終的には使わないほうがいいかもしれませんけれども、イメージとして私が思いましたのは、現在の運用委員会で議題として上がっているようなことは今後も理事会で議論される。ただ、現状との大きな違いは、いろいろなことに関する決定権限が、現状であれば、現在の仕組みであれば運用委員会というところに、今はありませんけれども、今後は付与されて、それが大きな違いを持つであろう。

 現状では、基本ポートフォリオの決定のところは一応、権限があるわけですが、それは先ほど堀江委員がおっしゃった、運用委員会委員だけで投票して決めたというのはこれまでなかった方式でして、現状では決定をするというところに関する権限は非常に限られたものになって、そこが広がるというところが基本的には一番大きな違いのように私は思います。

 それから、後半におっしゃったことは、私は個人的には賛成でございます。

 ほかにいかがでしょうか。

 どうぞ。

○伊藤座長代理 花井委員がおっしゃられた2番目の点は、植田座長も賛成ということですが、私も賛成ですので、そういう利害関係のあるところから入る場合には、例えば3カ月なり6カ月のクーリングオフを置くとか、やめた場合も、先に行く前に3カ月とか6カ月の、クーリングオフという言葉が適当かどうかわかりませんけれども、間をあけてから行くというのは規定として入れることには私は賛成です。

○植田座長 それでは、30分追加でお時間をいただいて議論させていただきました。まだまだ最後のほうに大事な問題が幾つか出てまいりましたように、議論し尽くしていないところもあるかと思いますが、全体のスケジュールに限りもありますので、とりあえず、先ほど御提案させていただいたような形で取りまとめ案を私と伊藤さんで作成いたしまして、皆さんに回覧させていただき、その結果を年金部会に上げるというプロセスに進みたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○植田座長 それでは、年末の大変忙しい中、熱心に御議論いただきまして大変ありがとうございました。この後、年金部会の議論にも多くの方が参加していただくということになるかと思いますが、よろしくお願いいたします。

 事務局から何かあればお願いいたします。

○大臣官房参事官 本日は本当にありがとうございました。

 今後、また審議していただくことが、もしくは年金部会の御紹介がございましたが、また追って御連絡させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○植田座長 それでは、本日はありがとうございました。


(了)

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