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2014年12月24日 第121回労働政策審議会労働条件分科会 議事録

労働基準局労働条件政策課

○日時

平成26年12月24日(水)10:00〜12:00


○場所

共用第8会議室


○出席者

【公益代表委員】

岩村委員、田島委員、野崎委員、守島委員、山川委員

【労働者代表委員】

神田委員、新谷委員、高松委員、冨田委員、八野委員、宮本委員

【使用者代表委員】

秋田委員、池田委員、小林委員、鈴木委員、田中委員、平岡委員、宮地委員

【事務局】

岡崎労働基準局長、鈴木総務課長、秋山監督課長、村山労働条件政策課長、古瀬調査官

○議題

1 報告事項
2 今後の労働時間法制の在り方について
3 その他

○議事

○岩村分科会長 それでは、ほぼ定刻になりましたので、ただいまから「第121回労働政策審議会労働条件分科会」を始めることにいたします。

 本日御欠席の委員は、公益代表の権丈英子委員、村中孝史委員、労働者代表の春木幸裕委員と伺っております。池田委員につきましては、間もなく到着されると伺っております。

 それでは、事務局から定足数の報告をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○古瀬調査官 定足数について御報告いたします。労働政策審議会令第9条により、委員全体の3分の2以上の出席または公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますが、定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 それでは、カメラ撮りはここまでとさせていただきたいと思いますので、お願いします。

(報道関係者退室)

○岩村分科会長 お手元の議事次第に沿って議事を進めてまいります。本日の最初の議題は「報告事項」となっております。報告事項は3件でございますが、順次事務局から説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○村山労働条件政策課長 それでは、3件報告いたします。

 報告事項の第1は、「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法」の成立及びその施行に向けての関係です。本法律は、資料No.1のとおり、国家戦略特別区域法の附則の検討規定を踏まえ、労働政策審議会に設置された有期雇用特別部会において集中審議の上、本年2月14日に取りまとめられた建議「有期労働契約の無期転換ルールの特例等について」に基づき策定されたものです。

 先の第186回通常国会に予算非関連法案として3月7日に提出され、衆議院厚生労働委員会での採決を経て、6月5日の衆議院本会議で可決され、参議院に回付されましたが、6月20日で通常国会が会期末を迎え、継続審査議決がなされました。

 そして、第187回臨時国会において、参議院厚生労働委員会で趣旨説明の上、質疑及び参考人質疑を経て、可決されました。

 さらに、1029日の参議院本会議で可決されましたが、国会法第83条の5の規定、すなわち、甲議院の送付案を乙議院において継続審査して、後の会期において乙議院で可決したときには、これをもう一度甲議院に送付するという規定により、1118日の衆議院厚生労働委員会で再度採決され、1121日の衆議院本会議で可決、成立しております。

 2ページ以降が法律の概要等ですが、無期転換ルールの特例の対象となる専門的知識等の基準、年収要件、労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置と基本指針などは、省令や告示に委任されております。

 これについては、資料9ページから10ページの参議院厚生労働委員会において多数の議決で採択された附帯決議の趣旨も踏まえながら、改めて有期雇用特別部会で検討いただきたいと考え、既に特別部会で審議を始めていただいております。その状況については、本分科会にも今後節目で御報告していきたいと考えております。

 次に、報告事項の第2は、資料No.2の「都道府県労働局 働き方改革推進本部の設置について」です。既に本分科会にも御報告しておりますように、「『日本再興戦略』改訂2014」に「働き過ぎ防止のための取組強化」が大きな柱として掲げられ、また、過労死等防止対策推進法が成立するなど、長時間労働対策が喫緊の課題となっております。

 こうした中で、塩崎大臣の発意もあり、本年の9月末に、「長時間労働削減推進本部」を厚生労働本省に設置して、過重労働等撲滅をはじめとする各般の取組を進めてきたところです。

 働き方の見直しという問題についても、同本部で取り組んできておりますが、これは、雇用の質を重視した「しごとの創生」や、ワーク・ライフ・バランス支援による「ひとの創生」を柱とする「まち・ひと・しごと創生」にも資するものであり、「まち・ひと・しごと」の基本法が先の臨時国会で成立したことも踏まえ、本省での取組を全国展開するために、都道府県労働局に「働き方改革推進本部」を設置して、全国的に企業の経営陣の働きかけや、地域レベルで地方自治体、労使団体等との連携による働き方の見直しに向けた地域全体における気運の醸成等に一層取り組むこととしております。

 取組の概要は、都道府県労働局幹部が直接地域のリーディングカンパニーを訪問して企業経営陣に働きかけることや、好事例等を教えていただき、積極的に連携しながらそれを発信していくこと。また、情報発信の手段としてポータルサイトを活用していくことなどです。労使団体の皆様にはお世話になることもあるかと思いますが、よろしくお願いしたいと考えております。

 報告事項の第3は、内閣府特命担当大臣のもとに設置された「休み方改革ワーキンググループ」の報告書についてです。報告書本体は資料No.3−2にございますが、資料No.3−1の概要により御報告いたします。

 この「休み方改革ワーキンググループ」の設置経緯等については、既に御報告しておりますが、報告書の内容としては、「休むことがなぜ大事か」ということについて、「休みとは、平日の骨休めではなく、人生を最適化する手段」であるという観点から、中長期的な視点、短期的視点それぞれから休むことの意義について改めて説き起こされております。

 その上で、2ページ目に、先進的な取組として、地域におけるお祭り等のイベントと軌を一にして、地域で効果的に親子で触れ合う時間などをつくる観点から、親の休日や企業での年次有給休暇の計画的な付与と、子供の学校の休校日等をうまくマッチングして、その地域の活性化につなげている熊本県人吉市、静岡県島田市の事例が報告されております。

 さらに、3ページ目は、企業における労使の取組として、全国展開をしている大企業や地域の中小企業の、働き方の見直しを含めた実効性のある取組の好事例が紹介されております。具体的には、改革の推進力として、企業トップのコミットメント、リーダーシップが重要であること。中央や各事業所での労使の話し合いや協調が重要であること。働き方の見直しに関しては、社員の育成も含めて、業務の見直しや代替の効く人員体制の構築を計画的に実施していくことが重要であること。さらに、社員、職員の意識改革が重要であることについて、報告されております。

 その上で4ページ目に、そうした働き方、休み方の変革のための第一歩として、労使協調のもとで、3連休以上の連休が集中する秋を中心に、有給休暇を組み合わせて3日プラス1以上の連休を国民的な運動として実施する「プラスワン休暇キャンペーン」や、地域の取り組みとして、地域ごとの「ふるさと休日」の設定について提言されております。

 有識者、労使の代表者等を参集し、厚生労働省もオブザーバーとして参画した場で集中的に議論され、このような報告書が取りまとめられたことを念頭に置いて、今後の政策を推進してまいりたいと考えております。

 なお、資料No.3−3は、先般開催された経済の好循環実現に向けた政労使会議の取りまとめ文書です。この別紙の2ページ目に「5.休み方・働き方改革」として、先ほどの「休み方改革ワーキンググループ」の報告書の趣旨を勘案し、政労使一体となって長時間労働を是正する意識改革を進め、休み方改革を推進していくこととするという内容について、内閣総理大臣と労使団体トップの間で合意されております。

 報告事項は以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいま3点につきまして報告いただいたわけでありますけれども、順次御意見、御質問等をいただきたいと思います。

 まず、「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法」につきまして、御意見あるいは御質問がありましたら、お願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。特段よろしいでしょうか。

 それでは、次に報告事項の2件目でございますが、都道府県労働局における働き方改革のための本部の設置につきまして、御意見あるいは御質問がありましたら、お願いしたいと思います。では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 今、資料2で御説明をいただいた「都道府県労働局 働き方改革推進本部の設置について」に関しては、以前、本分科会において、厚生労働省の本省に大臣主導の長時間労働削減推進本部が設置されるというのはお伺いをしていたのですが、今回都道府県労働局にも本部を設置するということで、このような取組自体はいいことではないかと思います。ただ、従来から申し上げているように、長時間労働削減のために本来必要であるのは、「時間外労働の上限規制」等、長時間労働を直接取り締まる法規制であるという点は、この審議会の中できちんと論議をするべきだと思います。

 その上で、都道府県労働局に設置される「働き方改革推進本部」については、本省に設置されている「長時間労働削減推進本部」とかなり趣の違った名前になっていると感じました。本省と都道府県労働局とでなぜ名前が違うのか、その意図を教えていただきたいのが1点です。

 次に、資料2の裏面に「取組の概要」が記載されており、先ほど事務局より、「地域レベルで地方自治体、労使団体等との連携による働き方の見直しに向けた地域全体における気運の醸成等に一層取り組む」との説明がありました。このような取組もよいことだと思いますが、「1.労働局幹部による企業経営陣への働きかけ」という項目の中に、「所定外労働時間の削減」、「年次有給休暇取得促進」との記載があるのはいいのですが、その後に記載されている「多様な正社員等についての取組」という項目が気になります。すなわち、資料3−1および3−2「休み方改革ワーキンググループ」報告書にも、「改革の推進力となるトップのコミットメント」、「働き方の見直しとしての業務の見直」、「職場の意識改革として時間に対する意識を高める」、「代替の効く人員配置」など、かなり示唆に富む内容が書かれており、例えばこのような長時間労働を削減するための企業の取組を今後の行政運営に反映させていくことはとても意義があると思います。しかし、気になるのは、「働き方改革」の働きかけ内容の中に、「多様な正社員等についての取組や、運用に当たっての課題等についての意見交換」をするとされている点です。本省における長時間労働削減推進策ということに関連して、なぜ「多様な正社員」についての内容が入ってくるのかがよくわからないため、この点について御説明をいただきたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 それでは、2点にわたっての御質問だと思いますので、よろしくお願いいたします。

○村山労働条件政策課長 まず、1点目です。先ほどの説明では省略しましたが、本省における「長時間労働削減推進本部」は、資料No.2の1ページのとおり、3つのチームで構成されております。まず1つが「過重労働等撲滅チーム」です。この点は、根拠になる法律のあり方について新谷委員から御意見がありましたが、現行の法律を前提として相当の時間外労働が認められる事業場に対する重点監督の実施をはじめとしたさまざまな取組について、本省が指示を出し、都道府県労働局を通じ、各労働基準監督署で全国斉一的に取組を進めていると御理解をいただければと思います。

 この部分に関しては、9月30日に設置し、11月の重点監督については監督課長からも御報告しておりますが、既に各地域での取組を進めていると御理解いただければと思います。

 その上で、本省に「働き方改革・休暇取得促進チーム」があり、こちらは、最低労働基準の履行確保という、先ほどの「過重労働等撲滅チーム」の趣旨とは少し趣きが違い、働き方の問題、とりわけその中で問題となってくる所定外労働時間のあり方や年次有給休暇の取得促進について、企業経営陣に働きかけていくということで、これは大臣、副大臣、政務官も各経営者団体を訪問いたしましたし、また、その後、本省幹部が手分けをして、各業界のリーディングカンパニーや業界団体といろいろ意見交換を行っております。

 その上で、より地域の実情に即した形でこうした取組を進めるため、過重労働等撲滅の取組は、既に全国斉一的な労働基準監督体制のもとで展開をしておりますので、それは別にして、都道府県労働局においては「働き方改革推進本部」という整理にしいるということで、御理解いただければと考えております。

 2点目です。「働き方改革」の働きかけ内容の中に「多様な正社員」が入っているということですが、働き方の問題として、労働時間規制の問題を超えて幅広く意見交換をさせていただきたいということで、こうした内容も入れております。「多様な正社員」の中には、勤務時間をある程度限定した働き方、例えば所定外労働時間を前提としないが、期間の定めはない働き方なども含めて、有識者の懇談会から提言をいただいておりますので、そうした内容も含めて幅広く意見交換をさせていただいており、地方レベルにおいても、そうした好事例等があれば、議論の中でいろいろ深めていただければと考えております。

 以上です。

○岩村分科会長 いかがでしょうか。新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 内容については理解いたしました。働き方改革推進本部の取組内容のなかに「地方自治体、労使団体等との連携による」ということが書かれており、地方レベルにおいても労使の連携は重要であることから、我々もこうした取組に対する協力は惜しみません。長時間労働の削減に向けて、地域における「働き方改革」に向けた取組が進むように我々としても協力してまいりたいと思っております。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 では、鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 ありがとうございます。

 本件に関しましては、厚生労働省幹部の方から各経済団体に休み方改革、働き方改革の一層の取組について御要請をいただいたところでございます。

 私ども経団連といたしましても、早速、会長名で会員企業に恒常的な長時間労働の抑制でありますとか年次有給休暇の取得促進をさらに進めていただきたいというお願いをさせていただいたところでございます。

 この問題はとかく中央だけの話になりがちでありますが、やはり全国規模で労使の連携を深めていくことが大切であり、また、トップの働きかけから企業の現場の取組につなげていくということが大変重要ではないかと思っております。今後、地方の経済団体への要請等々が予定されているということでございますが、積極的に協力してもらうよう、私どもとしても呼びかけをしてまいりたいと思っています。

 私からは以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 2件目につきましては、いかがでございましょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、次に3件目の報告事項であります内閣府の休み方改革ワーキンググループの報告書等につきまして、御意見あるいは御質問がありましたらお願いしたいと思います。では、八野委員、どうぞ。

○八野委員 ありがとうございます。

 今、報告にありましたように、資料3−2「休み方改革ワーキンググループ報告書」は、先進的な取組を行っている企業6社からヒアリングを行って取りまとめたものだけあって、どのようにすれば企業の現場で実際に働き方・休み方を見直すことができ、ひいては長時間労働を縮減することができるかという点について、非常に示唆に富んだ内容を含んでおり、労働側としても非常に学ぶところがあると感じています。

 資料3−2の12ページ以降に「企業における取組」が8項目記載されております。見出しをひろっていくだけでも、本分科会の議論に大いに参考になると思います。例えば、1番目と2番目に挙げられている「トップのコミットメント」、または「労使協調による取組(働く者の立場に立った取組)」などは、現場での働き方改革を成功に導くための基本的な条件といえるものではないかと思っています。

 次に、労側として興味を引かれた、3番目の「従業員へのメリットの説明・提示」、5番目の「業務の見直し」、6番目の「時間に対する意識を高めるための取組」について、その具体的な内容を見ていきますと、「長時間残業等の働き方について見直しを行う場合、コストカットの手段として捉えられれば現場のモチベーションは下がってしまう」、あるいは「業務を不断に見直すことが必要であり、書類を減らす・会議はしないといったことをはじめとする間接業務のあり方等の業務改革とあわせてやらなければならない」、「時間に対する従業員の意識を高める」だけでなく「企業自身も勤務時間等のチェックを厳しく行う」といったことが挙げられています。これらのことを飽きずに、と言うとやや表現としておかしいですが、継続的に取り組んで、現場にいかに浸透させていくのかということが重要だと思います。まさに、こうした取組を行うことこそ、本分科会が最終的な目標とする長時間労働抑制・働き方改革を実現させるという意味では非常に重要なポイントだと認識をしています。

 以前も労側委員から意見を言わせていただきましたが、働き方改革の成否というのは、企業におけるマネジメントによるところが非常に大きいと考えております。企業のマネジメントの中でいかに現場の労働者と十分に意思疎通を図り取組を進めるのか、企業のマネジメントの中で生産性を向上させていくのか、ということです。逆に言うと、企業が一方的に労働者に対して働き方を押しつけたり、または働き方を労働者任せにしたりしているということではないと言えるのではないかと思います。

 分科会の議論の中でも何度か出てきておりますが、今、2012年の一般労働者の年間総実労働時間が依然として年間2,000時間を超えている現状にあり、このような過重労働の問題、有給休暇の低い取得率の状況といったことを見てきますと、これらの問題の中で見えてくるのは、「全ての企業において十分に企業のマネジメントができているとは言いがたい面もある」ということです。ですから、企業のマネジメントをさらに高めていくと同時に、量的上限規制などの実効性ある長時間労働抑制の法規制とをセットとしてやっていく必要があるのではないかと思っております。

 本日議論が行われる「新たな労働時間制度」に関する使用者側の御意見を聞いていますと、「企業の責任としての組織的なマネジメントをいかに行っていくか」という視点については、今まではあまり意見が出されなかったと思っております。

 新たな労働時間制度については、今日この後の議論において労働側委員より、個別具体の考えを改めて主張させていただきますが、「休み方改革ワーキンググループ」で得られたこうした知見を本分科会の中でも十分踏まえた議論を行っていく必要があるだろうと考えております。「限りのある時間内でいかに生産性を上げていくのか」、または「限りある時間内で労働条件をいかに確保していくのか」ということが非常に重要だと思っております。この場では意見として申し上げておきたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 そのほかにはいかがでございましょうか。では、鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 ただいま八野委員がお話になったところは、大いに共感するところでございます。企業のマネジメントが労働時間を短縮する上で大きなポイントになるというのは、おっしゃるとおりだと思っております。労使で把握方法をいかにするかというところはまだ溝があると思っておりますけれどもマネジメントの一つである、時間把握をしっかり行うということは大変重要なことでありますし、まだ徹底できていないところがあれば、それは監督行政も含めて徹底していく必要があると考えます。

 また、マネジメントにはさまざまな方法がございますが、とりわけ先進的な企業では目標管理の適正な運用をはかりながら時間外労働の抑制に成功している企業もございますので、事例紹介などを通じ、取組みを広げていく、全国展開していくということも重要ではないかなと思っているところでございます。

 1点付言させていただきますと、上限規制に関しましては、まだ長時間労働について話し合う場が持たれていない企業が4割ほどあるというような実態ですとか、あるいは手待ち時間が長い運送業界の実態、建設業界等でも人手不足が顕在化をしているということもございますので、上限規制を一律に入れるということが適切かと言われれば、その事業活動を阻害するおそれということを使側としては強く心配するということを改めて申し上げたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 それでは、よろしければ、報告事項につきましては、このあたりにさせていただきたいと思います。

 本日の議題の2番目は「今後の労働時間法制の在り方について」でございます。途中で総選挙が入り、前回からだいぶ時間があいてしまっておりますけれども、前回1117日の分科会の際に順次御議論をいただいてきてはおりましたが、最後、時間の都合上、幾つかの論点が積み残しになっております。今日は、それについて御議論をお願いしたいと考えております。

 また、本日は、これまでの御議論の中で、各委員から頂戴しました御質問への回答や御要望いただきました資料につきましても事務局で用意をしていただいております。こうした質問事項への回答や新たに用意された資料についての説明、御意見・御質問につきましては、積み残しになった論点についての御議論の後にしたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 まず、資料4をごらんいただきたいと思います。これは何回もお示ししております「労働時間法制の今後の検討について」ということで、検討課題を並べたものでございます。

 このうちの「新たな労働時間制度について」につきましては、前回の分科会では対象業務に関する御意見等が多く出たと記憶しておりますけれども、何せ1か月以上前の話でございますので、これに関してさらなる御意見がありましたら、お願いしたいと思います。

 また、健康確保のための仕組につきまして御議論を頂戴したいと思います。健康確保に関しましては、既に御議論いただきました業務量の自律的なコントロールの視点に加えて、7ページ等に書かれております「具体的な措置の在り方」についても重要な論点だと考えておりますので、今日、改めて御議論をいただきたいと思います。

 それでは、「新たな労働時間制度について」、特に対象業務について、前回言い残したことがあればということでお願いをし、その後、「健康確保等のための措置」、その他についてお願いできればと思います。

 いかがでございましょうか。では、鈴木委員、お願いします。

○鈴木委員 ありがとうございます。

 前回から時間が経っておりますので、前回労側委員から御指摘いただいた点も踏まえまして、新たな労働時間制度について申し上げたいと思います。

 まず、年収要件によってなぜ規制緩和がされるのかという御指摘を労側委員からいただいているところでございます。1,000万円以上の年収を得て、かつ職務範囲が明確で、なおかつ高い職業能力を有する方というのは、新たな付加価値を創造する担い手としてとりわけ貴重な人材だと思っております。当然会社としては処遇制度を魅力のあるものとするように最大限努力をいたしますし、健康確保にも十分意を払うと思っております。ただ、それでも御本人がそういう処遇とか健康確保措置の内容について満足されないということであれば、新たな労働時間制度の適用に同意をしないということになるのではないかと思っております。

 また、多くの企業では目標管理制度を運用しておるところでございます。期初、期中に上司とじっくり話し合いの場を持つ。そして期中にやや仕事量が多いということがあれば、仕事の優先順位を変えるというようなことを行っております。新たな労働時間制度は、交渉力が高い方が対象になるということでございますので、その際、過度な目標があるとするのであれば、拒否することができますし、また、次から次へと仕事をアサインされるような状況にはならないのではないか、業務量のボリュームコントロールがしやすいということが言えるのではないかと考えておるところでございます。

 次に、前回、労側から裁量労働制の対象者と重複するのではないかという問題意識について御指摘をいただいたところでございます。例えばということでお聞きいただきたいのですが、フレックスタイム制と裁量労働制、この2つの関係を考えた場合、対象が一部重複するところがございます。ただ、時間配分を柔軟化するというフレックスタイム制と、仕事の進め方も含めて労働者の裁量に委ねる裁量労働制とでは制度の目的・趣旨が異なるわけでございます。どちらの制度を入れるのか、あるいはどちらの制度も入れないのかというのは、個別企業労使の選択の問題ではないかと考えております。

 同様に、裁量労働制と新たな労働時間制も趣旨・目的が異なるわけでございます。裁量労働制の新たな枠組みの構築は、従来からも議論がございますとおり、上司から時間配分あるいは仕事のやり方の具体的な指示を受けないという点が制度の肝となるところでございますが、他方で、新たな労働時間制度というのは、例えば研究職、技術職、市場調査担当者、ソリューション型ビジネスの担当者など、発想力、企画力などのアイデアに基づいて生み出された成果で評価を受けたい、そういう社員の選択肢を用意する制度だと思っております。したがいまして、対象業務が一部重なるということはあろうかと思いますが、成果でダイレクトに評価されたいと思う社員がいらっしゃれば、その選択肢を設ける、そのことが、社員が能力を発揮しやすい環境を整えることにつながるというふうに思っております。

 私からは以上でございます。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 申し遅れましたが、今日、お手元には前回1117日の「労働条件分科会提出資料No.3」が配付されておりまして、先ほど私が7ページ等に書かれている健康確保ということを申し上げましたが、それはこの資料の7ページということでございます。

 それでは、いかがでございましょうか。では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 選挙でしばらく間があきましたし、前回は「新たな労働時間制度について」の論点のうちの主に年収要件について懸念を申し上げたと思っておりますので、その他の論点についても意見を申し上げたいと思っております。

 前回配られた資料3の3ページに対象業務の要件等が出ており、「新たな労働時間制度」の職務要件として、閣議決定された日本再興戦略に盛り込まれた「職務の範囲が明確で高度な職業能力を有する労働者」ということが示されております。

 今回この制度は、労働時間の長さと処遇とのリンクを切るということで、成果が評価の対象となるということになります。我々としては、成果、成果と、成果ばかりが求められて、労働時間の上限規制がない中でこのような制度が導入されると過重労働を招くといった発言をしてきたところであります。

 このような中、先ほど、鈴木委員から「新たな労働時間の対象となるよう労働者は交渉力が高いので、業務量のボリュームコントロールがしやすいということが言えるのではないかと」という御主張があったわけでありますが、どこを読めば対象業務のボリュームのコントロールができるのかというのがよく理解できないのですね。「職務の範囲が明確で高度な職業能力を有する労働者」であるということと年収要件を組み合わせれば、上から降ってくる業務量のボリュームコントロールができる労働者ということに絞り込みができるのかどうか。この関連性が全く見えないということです。

 もちろん、こういった専門職の方は高度な職業能力をお持ちでしょうから、対象業務の遂行のプロセスについては、まさしく御自分の判断、裁量をもってそのプロセスのコントロールができるかもしれません。しかし、たとえ職務範囲が明確で、かつ、それが高度専門的な内容であって、その業務遂行のプロセスに裁量が与えられていたとしても、労働者自らが業務のボリュームのコントロールができなければ、結果的にこれは過重労働に陥ってしまうことは必定です。もちろんワーク・ライフ・バランスの実現などということは通り越してしまって、下手すれば過労死につながるような状況になりかねないと思っているわけであります。

 そういった点から言えば、私どもが一番懸念しております対象業務のボリュームのコントロールという問題点に対して、今回示された職務要件の記述の中ではどのように実現していくのかということについて、事務局の見解があればお聞きしたいと思っております。

 以上です。

○岩村分科会長 では、事務局へのお尋ねですので、よろしくお願いいたします。

○村山労働条件政策課長 ただいまの新谷委員からの御質問は、この制度を議論いただくときの大きなポイントだと思います。閣議決定で、「職務の範囲が明確である」とされておりますが、その趣旨は、職務の範囲が明確であるということ、すなわち、その範囲外のことは職務ではないということを明確化して、さらに「希望しない人には適用しない」と総理も発言されておりますので、どの範囲の仕事が職務であるのかという入り口の時点で個別に同意を得ていくということと考えております。また、先ほど新谷委員からそれだけでは不十分と御指摘がありましたが、交渉力の観点からの年収要件を設ける必要があると考えております。さらに健康確保措置は、単なる健康診断や面接指導だけではなく、先ほど八野委員から御指摘のあった割増賃金とのリンクを外すと、保護にもとる懸念があるので、絶対的な心身を休ませる措置を導入することを絡めながら議論を深めていただければと考えております。

 よろしくお願いします。

○岩村分科会長 いかがでしょうか。では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 今、事務局に答弁いただいた中にも言及がありましたけれども、資料の7ページに健康確保措置についての記述があります。ここでの記載内容のうち、リード文のところに書いてある「割増賃金支払いの基礎としての労働時間管理の必要はないが、その健康確保のために労働している時間の管理は必要である」ということは、私どもが従来主張している内容ですので、そこの部分は反映されているとは思います。ただ、我々の主張は、「健康管理時間の把握」というのは何も新たな労働時間制度の対象者だけではなく、労働基準法第41条第2号で労働時間、休憩および休日に関する規定が適用除外になっている管理監督者についても、「健康管理時間」の把握を行うべきだと思っておりますし、もちろん裁量労働制の適用労働者についても「健康管理時間」の把握を行うべきだということは従来から主張しているところでありますので、このことは何も「新たな労働時間制度」対象者に限ってのことではないということを重ねて主張しておきたいと思っております。

 不幸にして過労死で毎年100人以上の方がお亡くなりになっている現状があるわけですけれども、過労死の問題は「新たな労働時間制度」の対象労働者だけに起こりうることではありません。今、全ての労働者に対して、こういった健康管理のための時間の把握ということが求められているわけですので、そういった意味では、「健康管理時間」を把握することが必要だと思っております。

 また、「新たな労働時間制度」の各論の論点の中に「制度導入に当たり講ずるべき措置」の例示として「『勤務間のインターバル規制措置』『健康管理時間の絶対上限規制措置』『一定日数の絶対休暇取得措置』など」と書かれているのですが、これらの措置についても「健康管理時間の把握」と同じように、何も新たな労働時間制度の対象労働者だけではなく、全ての労働者の健康を確保するという観点からこうした措置の導入が今回行われるべきであり、そのための法改正を実現するべきであるというのは繰り返し申し上げているところです。そもそも長時間労働抑制の大前提となる「勤務間のインターバル規制措置」や「健康管理時間の絶対上限規制措置」が全ての労働者に対してではなく、新たな労働時間制度の制度導入の要件とすることとされていること自体、私どもが主張してきたことと随分食い違っておりますので、改めてこの点については申し上げておきたいと思います。

 先ほど来、「新たな労働時間制度」は、「労働時間の長さと賃金を切り離し、成果だけで評価できるようにするための制度なのだ」という御論議があったわけですけれども、これまでも再々申し上げておりますように、なぜこの制度を入れなければ労働時間の長さと賃金のリンクが切れないのでしょうか、我々には全く理解ができません。労働時間と賃金のリンクを切り離した運営がしたいのであれば、既にある裁量労働制を活用することによって十分実現可能なわけですね。「みなし労働時間制度」によって労働時間の長さと賃金を切り離すということはもう可能になっておりますし、これも以前この場で申し上げたことですが、例えば賞与の支払い方が法律によって制限されていて、「年に2回以上ボーナスを払ってはいけない」といったことはないわけですので、成果が出た労働者に対しては、労使の話し合いの中で人事制度を改定して、年に3回でも4回でも5回でも労働者の成果に応じた報酬を払えばいいわけです。このように考えますと、なぜ労働時間の規制を外さないと、すなわち「新たな労働時間制度」を創設しないと、労働時間と賃金のリンクを切り離した運営が実現できないのかということに対する答えが全く出てきていないわけですね。

 これまでの論議の中で、生産性の向上のためには「新たな労働時間制度」は必要な制度であると意見がありました。その意見では、言葉にはされなかったものの、「生産性の低い労働者に対して、今まで支払っていた時間外割増賃金の支払いをしたくないからこの制度を入れたいのだ」ということが言外ににおわせていました。「新たな労働時間制度の創設」は改訂成長戦略の中で提起されたことでありますけれども、こうした制度が導入されたときに、我が国の生産性の向上や経済成長に本当につながるのか、その論理もいまだ不明確なのですね。もちろん、今まで時間外労働として払っていた分をカットしてしまって、一定年収について、それ以上の時間外賃金を払わないということであれば、それはそれで見方によっては生産性が上がったと見ることができるのかもしれませんけれども、これは生産性向上のための本質的な解決ではないと思っております。

 また、こうした専門職に従事する一般労働者について、いわゆる労働時間規制を外してしまうような仕組みというのは、世界中を見てもアメリカ以外には類例がないわけですね。なぜ我が国においてアメリカに追従してこの仕組みを導入する必要があるのでしょうか。アメリカを除けば世界に類例のないものとなる中、この仕組みを導入することで本当に生産性の向上や経済成長につながるのかという本質的な論議がなされておりません。この仕組みを導入した結果、単なる賃金カットや労働者に業務を丸投げするということが起こってしまい、過重労働の誘発を招くおそれがあるのではないかという懸念を持っているということを改めて申し上げておきたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 それでは、先ほど鈴木委員からお手が挙がっておりました。

○鈴木委員 ありがとうございます。

 まず、会社としては新たな労働時間制度の対象者には高い付加価値を生み出してもらうということを期待するわけでございます。そうしますと、具体的な仕事のやり方を上司が細かく指示するということではなく、例えば休み方改革とか働き方改革について、我が社の実態に合った形で考えてというような大きな目標、役割を達成してもらうために、裁量をもって働いてもらうということが想定されるところでございます。

 御本人としては、いろいろなアイデアを練りながら仕事のやり方、進め方も含めてみずから考えていくということですので、上司が具体的な指示をすることになじまない、そのためにそもそも次から次へと仕事がアサインされるというようなことがなく、過重労働という意味でも、一般の労働者よりは軽減されている面があるのではないかと思っておりますし、また、全く無条件に規制を緩和するということを私どもは申し上げているわけではございません。この点は強調したいと存じます。当然十分な健康確保措置を、今日も含めて議論させていただきたいと思っておりますし、また、実態に即した形で何らかの時間把握、健康確保のための把握は必要だと思っているところでございます。それが1点目でございます。

 2点目でございます。繰り返しですけれども、新たな労働時間制度というのは、職務範囲が明確で、かつ高い職業能力を駆使して仕事をするわけであります。企画力ですとか発想力などのアイデア勝負で成果を生み出していくというような特性があるわけであります。

 例えば製造ラインの改善を考えるような担当者は、深夜時間帯にもアイデアが浮かんで、現場を見ながらまたアイデアを練るというようなこともあろうかと思います。現行法上は、それほど時間外労働を行わずに成果を上げた社員よりも、長く時間外をされた社員のほうが年収が多くなり得るということもあって、処遇の公平感が払拭できないという面があるのではないかという問題意識を持っております。

 もとより、裁量労働制と新たな労働時間制度は制度の趣旨・目的が異なりますので、裁量労働制があればよいという話にはならないと思っておりますし、また、各種報道等の調査によりますと、おおむね3割の労働者が新たな労働時間制度に賛成しているということを考えますと、潜在的なニーズがあるのではないか。十分な健康確保措置を手当てすることを条件に選択肢を増やすということが重要ではないかと思っております。

 そういった方々に対して働きやすい環境を整えるということは、効率的な仕事を行う面でも、また成果を出しやすいということにもつながるというふうに思っております。

 そういう意味では、私個人の意見としてではありますが、付加価値生産性を上げるといった場合、分子を増やす点において新しい労働時間制度の創設が重要であり、有効なアプローチになるのではないかという問題意識を持っておるところでございます。

 私からは以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 時間の都合もあるので、新谷委員のお話を伺う前に1点だけ使用者側にお伺いしたいのですが、1117日の資料の7ページで健康確保の仕組みを設けるというのはどうかとなっていますが、これについて使用者側のお考えお聞かせいただいて、その上で新谷委員に御発言いただくということにしたいと思いますが、いかがでございましょうか。では、鈴木委員、お願いします。

○鈴木委員 前回も申し上げたかもしれませんけれども、とりわけ3のインターバル規制の措置、絶対上限規制措置、一定日数の絶対休日取得措置なども含めて、各企業において実効性のある健康確保措置というのは様々あると思っておりますので、それを選択的に要件化するということの方向性については、異論は全くございません。

 ただ、これだけで十分なのか。例えば健康確保時間に基づく産業医の医師の面接指導、法定を超えるような形での措置も選択肢の一つとして入れるということが考えられるのではないか、あるいはその他、連続休暇の取得を例えば1週間とか、ある程度まとまった休暇をとるという措置も対象に含めるというようなことも含めて引き続き議論をさせていただきたいと思っています。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 今、岩村分科会長から使用者側の健康確保の仕組みに対する見解を伺いたいということで、使用者側の意見を伺いました。私どもは、資料の7ページにある「勤務間のインターバル規制措置」、「健康管理時間の絶対上限規制措置」といった健康確保の仕組みはあくまで全ての労働者に入れるべきだという大前提のもとではありますが、仮に「新たな労働時間制度」を導入するということであれば、資料には「制度導入の要件」とのみ書かれているのですが、これは法律的な要件として入れるべきであり、もしこの要件が守られていないということであれば、これは刑事罰をもって対処するというほどの強い罰則を盛り込むべきだと思っております。

 この点について、先ほど、鈴木委員からは資料に記載されている以外の措置についての御発言もございましたが、私どもしては、「勤務間のインターバル規制措置」、「健康管理時間の絶対上限規制措置」、「一定日数の絶対休日取得措置」という3つが重要な措置となっておりますので、これより緩い要件がここに規定されることは考えにくいと思っています。

 また、先ほど「連続休暇の取得を例えば1週間とか、ある程度まとまった休暇をとるという措置も対象に含める」という御発言があったのですけれども、この点は休み方改革ワーキングの中でも出されておりますように、ワーク・ライフ・バランスや健康確保を考えたときに、あらかじめ平日の労働時間のリミットというのを考えておかないと、例えば「二週間はとにかく平日何時間働いてもいいけれども、業務が一段落したらまとまって休め」ということでは労働者の健康を確保することはなかなかできないと思います。よって、「平日のゆとり時間を確保するためにはどうあるべきか」という視点のもとに、これらの措置の必要性を考えるべきだと思っております。

 今、申し上げたのはあくまで「新たな労働時間制度」を導入するとすればということを仮定した発言ですので、導入を認めたわけではございません。しかし、今回論点として提示されていることから、仮に導入するのであればということで意見を述べた旨をご承知おきいただきたいと思います。

 もう一点、先ほどの鈴木委員がおっしゃった内容というのは、全てプロセスの裁量の問題、プロセスのコントロールの問題だと思っているのです。本当に「新たな労働時間制度」の対象労働者が業務のボリュームコントロールをすることができるのでしょうか。といいますのも、今、皆さんは、職場に制度の対象となるような、いわゆるスーパーマンのような高度専門労働者が1人しかいないという前提で考えておられるかもしれませんけれども、高度専門労働者が職場に複数存在する場合にはどうなるかということが問題なのです。対象労働者は単独で業務を行うわけではありません。対象労働者が似たような職務で、かつ、その職場に複数いたときでも「新たな労働時間制度」のもとでは成果だけが求められるということになりますので、「業務のプロセスコントロールは自分でやれ」、「業務のボリュームコントロールも自分で考えろ」ということになると、労働者同士の間で成果をめぐっての競争がかなり激化するということにほかならないわけです。労働者はその競争に勝ち抜くために、夜中でもアイデアが出るのではないかという思いから自発的に夜も惜しんで働く、そういうことになれば、昼夜問わすずっと働いているということになりかねないということです。

 こうした事態が想定されるということになると、労働者の健康確保ということだけでなくて、公正な競争条件の確保や公正な競争条件の基盤整備といった観点からも、「新たな労働時間制度」というのは非常に危うい制度と言わざるを得ないと思っておりますので、私どもとしてはこの導入に対しては反対ということを改めて申し上げておきたいと思います。

 また、先ほどの鈴木委員より、「現行法上は、それほど時間外を行わずに成果を上げた社員よりも、長く時間外をされた社員のほうが、年収が多くなり得るということもあって、処遇の公平感が払拭できないという面があるのではないか」、要するに、「効率の悪い、生産性の劣る人の労働時間が長くなって、それによって年収が増える可能性があるのではないか」という御指摘があったのですけれども、「新たな労働時間制度」の対象となる層はそのような鈴木委員の問題意識があてはまる層ではないと思っております。といいますのも、この層は年収に占める賞与や一時金の割合が非常に高い層だと思っています。ですから、月例賃金の支払いの中における時間外割増賃金が多少増減したとしても、それが年収の多寡に影響することがあまりない層であって、賞与は成果によって評価されるということでありますから、年収に占める賞与の割合の大きさを考えれば、多少労働時間が増えたからといって、それによって長く時間外をした労働者と年収が逆転してしまうということは考えにくいと考えております。よって、このような制度の必要性は乏しいということについても申し添えておきたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 ひととおり御意見を頂戴したと思いますので、時間の都合もございます。また後で戻っていただいて結構でございますので、一旦先に進ませていただきたいと思います。

 「裁量労働制の新たな枠組み」、「フレックスタイム制の見直し」につきましては、前回議論ができませんでしたので、今日、ぜひ議論をいただきたいと思っております。

 まず、「裁量労働制の新たな枠組み」につきまして、御意見、御質問がありましたら、いただきたいと思います。それでは、宮本委員、どうぞ。

○宮本委員 ありがとうございます。

 裁量労働制について、一言御意見を申し上げたいと思います。この裁量労働制は、休息時間、あるいは時間外・休日労働、あるいは深夜・早朝における労働については現行の労働基準法の規制が適用になっている一方で、労働時間の計算を実労働時間ではなくみなし時間によって行うことを認めていることにより、当該労働者に支払う賃金と労働時間とはほとんど切り離された仕組みです。

 それゆえ、仕事の進め方に裁量を持っている労働者をその対象にしているとはいっても、現行の裁量労働制においては、業務量とか仕事の納期などについては管理監督者あるいは使用者が決める現状があると思います。そうすると、実際には当該労働者が長時間労働を強いられ、かつ労働に見合った正当な賃金が支払われていないというケースも多く見られ、このような働き方をしている労働者に対する健康確保策の充実は避けて通れない課題だと思っています。

 資料No.3の9ページの2つ目の○の箇所には、健康・福祉確保措置の内容を明確化することなど3つの論点が記載されておりますけれども、これらの点については直ちに積極的な対応がなされるべき課題であると思います。また、裁量労働制のもとで働く労働者には「労働時間の適正把握指針」が適用されていないことから、労働時間の把握そのものが十分になされていない、こういうケースもあるわけであります。その一方では、当該労働者に対しても一律の出退勤時刻を設定している企業もあるというふうに聞いておりますし、この制度の本旨に反する運用がなされている実態も明らかになっているところであります。

 したがって、裁量労働制の拡大に向けた議論を進める前に、前回労側の委員からも意見を申し上げましたけれども、このような現行制度上の不備や不適切な運用を改める対策、あるいは過重労働防止対策を講じることを最優先に議論すべきだということを意見として述べさせていただきたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 それでは、池田委員からお手が挙がりましたので、池田委員。

○池田委員 この問題につきましては、以前にも申し上げておりますが、企画業務型裁量労働制の対象とするにふさわしい業務については、個別企業や労働者個人によって働き方の実態が様々でありますので、対象業務を限定的に列挙するのではなく、現場の実態をよく知っている個々の労使で決定できる仕組みとすることが望ましいのではないかと思っております。

 また、その際にこの制度が濫用されないように、対象とするにはふさわしくない業務について、国が一定の目安を示すということも必要ではないかと考えております。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 それでは、鈴木委員からお手が挙がっていましたので、どうぞ。

○鈴木委員 ありがとうございます。

 まず、健康・福祉確保措置に関して申し上げたいと思います。現行の、裁量労働制の健康・福祉確保措置に8割の対象者が満足をしているというデータを本分科会で確認させていただいたところであります。

 あるメーカーでは目標管理制度等を適切に運用することによって、同一社員で裁量労働制を入れた前と後で比較をして、労働時間が総じて短くなったという話も聞いているところでございます。

 したがって、現行の措置内容というのは十分機能していると評価できると考えておりますが、現在の措置内容のいずれかを講ずる旨を決議するという要件を制度導入の要件に変えるということについては、健康確保の重要性を導入企業に改めて認識してもらうという効果、意味も大変あることから異論はございません。

 ただし、現行指針の例示の中に、例えば夜の一定時刻以上の就労を禁止するような措置が入っておりませんので、多様な実態を反映すべく選択肢を増やすべきではないかと考えております。

 2点目、対象業務について申し上げたいと思います。対象業務は上司の指示を受けず、裁量を持って働くということを中核要件に据えて、具体的には個別企業労使が判断できるようにするということが適切ではないかと思っております。とりわけソリューション型ビジネスですとか企画立案、調査分析と推進業務が一体として行われる業務、これに対する適用ニーズというのは極めて高いものがございます。

 例えば生産ライン改善の計画を立てる技術者というのは、現場に入ってアイデアを練るということだけでなく、現場作業員を指導して計画の定着を図ったりしています。また、アフターサービスの向上計画を立てる担当者は、現場の担当者に対して指導・助言を行うとともに、現場の生の情報を得て次の計画の立案に役立てます。

 日本の企画職というのは、欧州と比べて現実的なプランを策定するという強みを持っております。そのため、対象業務から推進業務を排除するのでなく、実態に即した形で見直しを図る必要があると思っております。

 これまでメーカーの話ばかり申し上げていたところでございますが、例えば商社の海外資源開発の担当は、掘削場所や協力会社の選定、予算などを計画して、決裁がおりれば、掘削権を買う交渉をみずから行い、掘削の進捗管理、掘り当てた後には輸送ルート、販売計画を立てて交渉するなど、中長期的な計画と遂行業務を混然一体として行っております。

 さらに、製造業、非製造業に共通する管理部門にも、同様にPDCA型の業務がございます。例えば人事部門で、今日も話が出ております働き方改革・休み方改革の計画を立案する担当というのは、計画したノー残業デーとか一定時間以降の就労禁止を定着させるために、職場で説明会を開いたり、あるいは職場を巡回して、時には長時間働いていらっしゃる方の生の声を聞くことで次の計画の改善につなげていくということをしています。

 また、支店の現場の実態を見て、こうすれば連続出勤にならないようにできるとか、あるいは時間をこうすれば減らせるというような指南をしながら、管理者の時間管理に対する意識づけを行い、運用状況を見ながら次の改善計画を立てております。

 それから、ある運輸業の例を申し上げますと、安全計画を立案する担当者の例でございますが、死亡事故ゼロを目標に立て、自社の近年の事故の状況を分析しながら、目標達成のための取り組み計画に落とし込みます。計画実行に当たっては、みずから講師となって各支店の安全指導トレーナーを育成して、場合によっては、現場を見て定着状況を確認する。また、現場で事故が起きれば、みずから行って次の計画策定に役立てるというようなことがあると聞いております。

 これだけではございませんけれども、遂行業務を通じてアイデアを得て、次の新しい企画立案につなげる、あるいは業務遂行によって計画の定着を図ったり、計画の実現可能性を高めるなど、PDCAを回すため遂行業務が不可欠な場合があるということをぜひ御理解賜りたいと思っております。

 仕事量に関する裁量性を確保することの必要性ということは、再三労側委員から御指摘をいただいて、そのとおりだというふうに思っております。上司の適切なマネジメントが鍵を握りますので、例えば適切な目標管理制度とセットで裁量労働制を運用することを推奨するというようなこともあわせて考えていくべきではないかと思っております。

 私からは以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 それでは、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 この裁量労働制の現行制度の運営上の不備ということについては、先ほど宮本委員が発言したとおりなのですけれども、実は制度のインフラ、すなわち過半数代表者の選出に対する不備もあるということについて以前も指摘をさせていただいたところです。といいますのは、労使委員会の決議によってこの制度が運用できるわけですが、過半数労働組合がないところについては、従業員の過半数代表が指名した者によってこの労使委員会の委員が構成されているということになっているわけです。

 残念ながら労働組合の組織率は、直近で17.5%という数字になっておりまして、大半の職場で労働組合がないのが現状です。その中で過半数代表者が選ばれて、その過半数代表者が労使委員会の労働者代表委員を指名するというのがこの制度なわけです。では、過半数代表者というのはどうやって選ばれているのか。少し古いデータしかないのですけれども、JILPTの調査によれば、約4割の企業において、使用者が指名したり、社員会・親睦会の代表が横滑りでなったりといった不適切な選出が行われているという結果が出ています。要するに、そうやって不適切な選出をされた従業員の過半数代表者が労使委員会の委員を選ぶという、嘘に嘘を重ねた制度が現実にあるわけでありまして、集団的な合意ということで、そうした形で指名された労働者代表委員が、裁量労働制にかかる労使協定締結や労使委員会決議といった重要な意思決定に関与しているのです。

 私どもとしては、過半数代表者の選出にかかる不備に対して手当てが全くされていない中で新たな枠組みをつくるということを、非常に危惧するわけです。この問題に対する手当てがされない限り、結局また嘘に嘘を重ねた制度になってしまいかねないということです。

 したがって、労使委員会の労働者代表委員の選出については、平成15年の労基法改正前の手続きに戻すことを原則とし、「過半数組合がある場合を除いては、労働者からの信任手続きを必要とする」よう見直しを求めたいということを改めて申し上げておきたいと思います。

 この労使委員会では、いろんな決議がされるわけでありますけれども、私どもに寄せられた労働相談の中でこのような例がありました。「みなし時間については、所定みなしで行う。要するに、何時間働いても、所定労働時間働いたものとみなす。それ以下であっても、それ以上であっても、その時間でみなし、別途の手当は払わない。全ての時間外割増賃金の原資については、賞与、一時金という形で還元するということにした。ところが、まさしく一時金というのは成果評価なので、個人評価によってA、B、C、Dのランクがつき、最低ランクのDと評価された労働者については配分原資がゼロだということになった。そうしたときに、毎月幾ら働いてもみなし時間ということで時間外手当がつかないうえ、さらには、その原資も成果によっては本人のところにまったく回ってこない。要するに、何時間働いたとしてもその労働時間と報酬とがつながってこない。これをどういうふうに評価するのか」という相談が来たことがあります。現行制度のもとではこれが適法なのでしょうか。

 先ほど申し上げたように、不適切な選出をされた従業員の過半数代表者が労使委員会の委員を選ぶという嘘に嘘を重ねた制度のもと、今お話しした労働相談のような決議がされて全部原資が召し上げられたような場合、現行の法律ではどういうふうにカバーできるのでしょうか。事務局のほうで即答できなくてもいいのですが、お考えがあれば、お聞かせいただきたいと思っています。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 事務局からよろしくお願いします。

○村山労働条件政策課長 今、新谷委員から御提起があった個別の具体例に即した話は、また改めてきちんと整理したいと思いますが、処遇の観点も含めて、制度の趣旨に則った形で労使委員会で話し合い決議していただく仕組みが、この制度の基本的な性格であると理解しております。

 その上で、この制度を導入したときに、まさにそのような点も議論になったことを踏まえて法定指針がつくられ、その中で様々なことが規定されており、これをどのように考えていくのかということも含めて御提起をいただいたのだろうと受けとめております。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 ほかにはいかがでしょうか。もしよろしければ、「フレックスタイム制の見直し」に移りたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

 それでは、「フレックスタイム制の見直し」についての御意見あるいは御質問がありましたら、お願いしたいと思います。では、鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 ありがとうございます。

 フレックスタイム制について申し上げたいと思います。清算期間の延長につきまして、前回も申し上げたところでございますけれども、私どもは、育児や介護を行う社員の潜在的なニーズが大変強いと思っております。継続就労を支援する観点から、今から制度を整えていく必要性が高いということを改めて強調したいと思っております。

 現行法上は、御案内のとおり、清算期間は1か月でございます。そういたしますと、繁閑が1か月の中で平準化できるような仕事については、現行法でも対応は可能で支障はないわけでございますが、労働者自らが設定をする繁閑というのが月を跨ぐような場合、例えば今月はプロジェクトや、仕事が山場をむかえているので、一方の配偶者の方に主に育児・介護をお願いして、翌月はプロジェクトの山を越えるので、自分が主に育児・家事を担当するといったようなことが、清算期間の延長によって可能になる。そのことによって、ワーク・ライフ・バランスの支援ですとか、労働のめりはりにつながると思っております。

 育児・介護を行う社員というのは、長時間労働を行うような実態には一般的にはないというふうに考えております。したがって、清算期間の延長によって濫用的な利用が出てくるとは想定しにくいところでありますけれども、濫用的な利用の懸念があるとすれば、この点を払拭するために何らかの制限というのを検討することが一つのアイデアではないかと考えております。

 私からは以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでございましょうか。では、冨田委員、どうぞ。

○冨田委員 ありがとうございます。私からもフレックスタイム制について、2点申し上げさせていただきたいと思います。

 フレックスタイム制につきましては、先ほど鈴木委員からもありましたが、労働者自身が始・終業の時間を選択できる制度であり、自らの家庭事情などに応じて柔軟に働くことのできるすぐれた仕組みだと労側としても認識をしております。

 しかしながら、先ほど「今から制度を整えていく必要性が高い」との御発言もありましたけれども、このフレックスタイム制は1987年の労働基準法改正で導入されているわけですが、既に30年が経過している中で、いまだに適用労働者の割合が全体の7.9%にとどまっているという実態がございます。労働者のニーズに応えて、制度が活用されるべく見直すべきだということであれば、逆になぜ導入自体が進んでいないのか、この点につきまして、使用者側の御見解がありましたら、お伺いさせていただきたいと思います。

 ただ、その前に私からも清算期間の延長について意見を改めて申し上げておきたいと思います。お示しいただいている資料の18ページ目の上の四角の○の2つ目にありますように、清算期間を延長した場合、月をまたいだ弾力的な労働時間の配分が可能となります。その結果、業務量が多い時期などに集中的に長時間労働をせざるを得なくなるといったことが起きて過重労働につながりかねない懸念がありますので、労側としては清算期間の延長を認めるべきではないということを改めて申し上げておきたいと思います。

 また、先ほどもありましたが、「日本再興戦略」の中では「子育てや介護などの事情を抱える働き手のニーズを踏まえて検討すべき」と書かれてありますけれども、10月8日の第117回分科会でお示しいただいた資料の中に育児と仕事の両立に関するニーズの調査結果があったかと思います。こちらは、職場の子育ての支援としてフレックスタイム制に男性、女性ともに大変強いニーズを持っているにもかかわらず、実際にはそれほど利用できていない実態が書かれてあったかと思います。

 加えて、このときに提出された資料には、企業がフレックスタイム制を導入していない理由として、「取引先、顧客に迷惑をかけるおそれがあるから」、「業務遂行の効率性・生産性が低下するおそれがあるから」、そういった理由が多く挙げられていたと記憶してございます。

 子育てや介護などの事情を抱える働き手のニーズに応えていくためには、清算期間の延長などといった制度論で対処するのではなく、フレックスタイム制の導入に躊躇している企業の背中を後押しするような施策、例えば企業や組織の風土、業務の改革などに向けた支援、援助などを行っていく、こうしたことこそ優先すべきではないかと考えております。企業が導入しやすい環境を整えていかなければ、いくら制度を変えたところで活用にはつながらないのではないかということを申し上げておきたいと思います。

 以上でございます。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 それでは、鈴木委員と池田委員からお手が挙がっていますが、まず鈴木委員からお願いします。

○鈴木委員 ありがとうございます。

 まず、広がっていない理由は何かということでございますが、私の感覚からいたしますと、7.9%というのはそれほど低い数字だとは思っておりません。既に導入している会社の対象労働者がより使い勝手のよいものにするということは大変重要なことだと思っています。

 もちろん、顧客会社の協力がないとなかなか進まない面というのは当然あろうかと思います。そういう意味では、進める上でいろいろと障害があるということも事実ですし、制度以外の企業の様々な取組も重要だというのは、御指摘のとおりだと思いますけれども、より活用したいという潜在的なニーズを汲み取ることの必要性について御理解を賜りたいと思っております。

 もう一点、業務量が多い時期に時間が長くなってしまうのではないかということの御指摘でございますが、もとよりフレックスタイム制というのは、始業・終業を労働者の方に委ねるという制度でございますので、仕事のめりはりを自らつける点はフレックスタイム制の中核要件であり、この点を変えるつもりはございません。したがって、毎日何時に来てこの仕事をしてくれとか、何時まで残ってこの仕事を終わらせてくれという指示があるとすれば、行政指導の対象にもなると考えております。

 私からは以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 ほかにはフレックスタイム制について。では、高松委員、どうぞ。

○高松委員 ありがとうございます。

 フレックスタイム制の諸外国の状況ということで、少し御意見を申し上げたいと思っています。フレックスタイム制の発祥の国とも言われていますドイツでは、フレックスタイム制にはワーク・ライフ・バランスへの貢献が期待されていると聞いており、ドイツの全労働者の約2割から2割5分の方が現にこの制度を利用しているというようにお聞きしています。その点、我が国と比較しますと、我が国の適用労働者比率は大体7%後半ということですし、これもここ数年比較しましても一向に比率が上がってきていないということになっています。

 したがって、フレックスタイム制は本来労働者のニーズに即した制度と言えると思っていますが、それにもかかわらず、こうしたデータを見る限り、日本では企業サイドが十分に使いこなせていないのではないかなという感じを持っております。

 使用者側からはこの分科会の中でも「ワーク・ライフ・バランスや柔軟な働き方の実現のために、『新たな労働時間制度』を導入すべきだ」ということの主張も聞かれますが、やはりワーク・ライフ・バランスの確保をより効果的に進める、そういう観点からフレックスタイム制の活用促進、こういうことを優先しながら取り組むべきではないか、このように思っておりますので、意見として申し上げたいと思います。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 それでは、池田委員、大変失礼いたしました。

○池田委員 政労使会議とりまとめ文書の中で「平日の骨休めではなく、人生を最適化する手段である」ということが語られているのですが、これはこれからの労使のあり方、労働のあり方に大きな転換を求められているのかというような気がするのです。そういうことも踏まえまして、我が国の労働環境を見ますと、これから女性や高齢者に対してどのように労働参加を促していくかということをもう一度考えなければならないと感じております。そのためにも、フレックスタイム制を使いやすくすることが、絶対的に必要なことではないかと思っております。

 特に清算期間を長くしてほしいという要望が労使双方から上っています。これは、会社によっても業種によっても、労働者個人によっても、どの時期が一番忙しいかは様々であるということを理解されているからではないかと思うのです。その意味でも、やはり3〜6か月の範囲内で、労使で決定できるようにしていただきたい。これによって過重労働になるおそれがあるのであれば、1か月当たりの所定労働時間の上限を決めておくことも必要ではないかと考えております。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 では、秋田委員、どうぞ。

○秋田委員 ありがとうございます。

 いろいろな意見が出されているのですが、フレックスタイム等の制度下であっても経済活動、経営活動の中では業務が増えたり、減ったりするということは必然的に起こり得る内容のものでございます。そのときに、そういった新しい仕事の状態についてどのように労働者が出社時間を判断していくかというのは労働者に任された、そここそがフレックスタイム制の重要な点で、そこは上司から指示をされないということでございます。

 したがって、私はだいぶ極端な例というふうに受けとめますが、使用者が仕事をどんどん与えるのではないかとか、そういうお話がありますが、そのことについては、労働者の業務遂行能力の範囲内で仕事を与えるというのが、この制度に限らず、全ての労務管理の基本でございますので、そういったことを労使で十分協議をするということが非常に重要だということでございます。

 そういったことを踏まえて、この制度を労働者にとって活用しやすくする、中身の見直しであれば、ぜひやっていくべきだというふうに考えます。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 フレックスタイム制につきましては、以上で大体よろしいでしょうか。ありがとうございます。

 それでは、最後に、後回しにしておりました資料No.5「委員からの質問事項等について」でございます。

 まず、事務局から資料について説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○秋山監督課長 監督課です。お配りしています資料No.5について御説明いたします。

 前回の分科会で賃金不払残業の関係の御議論で2つ資料の御要望をいただきました。

 1つ目が、1ページから14ページまでの「監督指導による賃金不払残業の是正結果」で、今週月曜日に公表いたしました。

 1ページは、全国の労働基準監督署が平成25年4月からの1年間に労働者からの申告や各種の情報に基づいて監督指導を行い、その結果、不払になっていた割増賃金が支払われ是正されたもののうち、支払額が1企業で合計100万円以上となった事案の状況を取りまとめたものです。

 概要は、是正された企業数が1,417企業で、前年度比140企業の増。

 支払われた割増賃金の合計額が123億円強で、前年度に比べて19億弱の増。

 対象となった労働者数が114,880人で、これも前年度から1万人強の増。

 支払われた割増賃金の平均額は、1企業当たり871万円で、労働者1人当たり11万円。

 割増賃金を1,000万円以上支払ったのは201企業で、全体の14.2%、その合計額は87億円強で、全体の70%になっております。

 ちなみに、1企業での最高の支払額は4億5,861万円でした。

 2ページ以降は、業種別の支払状況などいろいろな表で、6ページ以下に参考として「賃金不払残業の解消のための取組事例集」を添付しております。内容の紹介は割愛いたしますが、今回発表した賃金不払残業の状況とそれに対する指導内容、その企業がどういった取組を実施したかを幾つか取り上げ、リーフレット形式にして周知を図っていきたいと考えているものです。

 以上が1つ目の資料でございます。

 もう一点が、資料の15ページです。こちらも前回の分科会の賃金不払残業の関係の御議論の中で御要望のありました、厚生労働省が1111日に発表した電話相談に寄せられた賃金不払残業の事例についてです。

1111日に発表したものは2つ中身がありました。1つは、9月から民間に委託をして実施している平日の夜間・土日に相談を受け付けるもの。もう一つは、11月1日の土曜日に全国の10労働局で職員が1日電話相談を受け付けたものです。

 今回の事例は、職員が対応した「過重労働解消相談ダイヤル」のもので、相談受付件数は280件でした。

 ここで1つ訂正があります。一番下の※印で「相談受付件数は280件(内、賃金不払残業に関する相談は第1位で147件)」としておりますが、一番多いのは、長時間労働、過重労働の関係でありまして、賃金不払残業に関するものは、第2位で147件でしたので、訂正の上、おわび申し上げます。

 賃金不払残業の相談件数は147件で、そのうち14事例を1111日の記者発表で紹介しております。さらにそのうちの代表的なものを類型化して、本日15ページで御紹介させていただいております。

 事例は4つで、1番目として、労働時間管理をしていないものについて1事例。

 2番目として、労働時間管理をしているが不適切なものについて、「支払意思なし」、「残業時間の足切り」、「労働時間の改ざん」の3事例を抜粋しております。

 説明は以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの御説明につきまして、何か御意見、御質問がありましたら、お願いしたいと思います。新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 資料をありがとうございました。この資料を見ても、賃金不払残業というのが非常に多いと感じました。資料1ページに記載のある監督した企業は、「労働者からの申告や各種情報に基づき監督を行い」ということでありますから、これは悉皆調査でなくて、情報提供があったところについて監督を行ったということですので、是正結果は氷山の一角ではないかなという懸念があるわけであります。

 実は先日、労働審判員のシンポジウムというのがあり、その関係で労働審判員をされている方と意見交換をする場があったのですけれども、労働側から審判員として推薦した方が「企業の経営者、使用者で労働基準法を守らない、ひどい事例が多い」とおっしゃっていました。労働基準法というのは取り締まり法規であり、たとえば労働基準法第37条違反は、同法第119条により、「六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金」という刑事罰の対象になる法違反にもかかわらず、一般の刑法犯と違って、「捕まらないから大丈夫だろう」と考える使用者が本当に多い。このような企業は最近、「ブラック企業」とかと言われているのですが、いわゆる「ブラック企業」というほど酷くなくても、資料にある「過重労働解消相談ダイヤルにおける賃金不払残業の相談事例」の最後に書かれている、「会社が労働時間を改ざんして、一切残業手当を払わない」ようなケースは、明らかに法違反であり、刑事罰の対象となるものです。こういうケースが実際に起こっているということであります。

 労働基準監督官の皆さんは、少ない人員の中で日々監督指導を頑張っていただいていると思います。全国三百数十カ所の労働基準監督署の3,000人強の労働基準監督官の方々が全国200万近い事業所を監督しているわけですから、本当に人手が足りないというのはよくわかるのですけれども、現状はあまりに労働基準法の違反というのが軽んじられている。これだけ悪質な違反がある現状を踏まえれば、法の履行、実効性を高めていくために、「違反をすれば懲役刑なのだ」というぐらいの気概で、もっと積極的に摘発や送検、立件をしてもらい、懲役なりその違反に応じた罰則を両罰規定できちっとかけていただくことが必要なのではないでしょうか。そうしないと、「労働基準法というのは違反しても見つからなかったらセーフ」といった意識の使用者が非常に多い現状が変わることはありません。その結果として、今の監督行政が軽んじられているような運営になっているのではないかと思います。

 やはり、現状の監督行政は、少ない人員の中でやっていただいているという認識はあるものの、まだ労働基準監督官の数が足らないように思います。今日は監督課長も出席されていますので、現状についてお考えがあれば、お聞かせいただきたいと思います。

○岩村分科会長 では、秋山監督課長、お願いします。

○秋山監督課長 ただいまの新谷委員の御発言、御意見は非常に重く受けとめました。私どもは、賃金不払残業は当然あってはいけないものだと思っていますし、ほとんどの場合、労働基準法違反と考えられます。御指摘のとおり、全国三百二十数カ所で3,200人ぐらいの労働基準監督官がおりますが、十分だとはとても申せませんので、毎年度増員の要望もさせていただいております。また、増員の努力もしつつ、できるだけ業務の効率的な運用に努めながら、数多い労働基準法の項目でありますが、賃金不払残業についても一層努力をして、これがなくなるように努めてまいりたいと思っています。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 よろしいでしょうか。

○新谷委員 はい。

○岩村分科会長 ほかにはいかがでございましょうか。よろしゅうございましょうか。

 それでは、今日お願いをしていました議論につきましてはほぼ終わったと思いますが、この後、次回以降に向けての御発言を労使それぞれにお願いしようかと考えているところでございますけれども、それに先立ちまして、今までの議論の中でもし言い残したことがある、あるいはどうしても言っておきたいということがございましたら、時間の都合上、申し訳ないのですが、簡潔にお願いできればと思いますが、それはいかがでしょう。では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 質問させていただいていいですか。

○岩村分科会長 どうぞ。

○新谷委員 今、分科会長からの御指示がありましたので、意見は後ほど申し上げるとして、一点事務局に伺いたいことがあります。労働時間法制については、昨年9月の労働条件分科会から継続して議論してきた中、今年の6月の閣議決定で「次期通常国会に必要な法的措置を講ぜよ」というのが官邸からの指示がありました。12月の選挙を挟んだため、約1か月空白期間がありましたけれども、本日の分科会をもって二巡目の論議がやっと終わったわけです。以前、事務局からは当初、「年内に取りまとめをしたい」という御意向もあったと記憶していますが、すでに本年も残り僅かとなっています。よって、今後のスケジュール感について、まずお聞かせいただきたいと思います。

○岩村分科会長 では、労働基準局長、お願いします。

○岡崎労働基準局長 スケジュールにつきましては、資料No.4にありますように、9月に具体的な論点の議論に入りました際に、次期通常国会を目途に所要の法的措置を考えており、そのためには年内にぜひ審議会での建議をまとめていただきたいとお願いしたところです。ただ、諸般の状況で1か月程度審議会が開催されない状況がありましたが、私どもとしては、新しい労働時間制度等や働き過ぎ防止については、しっかりとした法改正をしていきたいと考えておりますので、次期通常国会に法案を提出したいということに変わりはありません。

 国会への法案の提出期限、これは予算の提出の時期等にかかわってくるので明確ではありませんが、通常よりはやや遅れるというのが通例です。そういったことを考えますと、私どもとしましては、1月中にはぜひ議論を取りまとめていただき、次の通常国会の法案の提出期限までに法案を提出するということでお願いしたいと思っております。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 よろしいでしょうか。

 それでは、先ほども申し上げましたけれども、今、労働基準局長からも言及がありましたが、9月から行ってまいりました各論の議論がちょうど二巡目が終わったというところだと思います。この間、多くの議論をしていただいて論点も明確化してきたというように考えております。したがいまして、ここで二巡目を終わるに当たりまして、これまでの議論の総括的な御発言といったものも含めまして御意見等がありましたら、お願いしたいと考えております。

 労使どちらからにいたしましょう。それでは、使側からお願いいたします。

○鈴木委員 それでは、使側委員を代表して申し上げたいと思います。

 昨年9月から本分科会で労働時間制度改革、さまざまな観点から議論を重ねてまいりました。2020年までに週労働時間が60時間以上の雇用者割合を5%にする、あるいは年次有給休暇取得率を70%にするという政府目標を達成することを考えた場合、現状は道半ばであり、企業としても過重労働防止に向け一層取り組む必要がある、そういう思いで審議に臨んでおるところでございます。

 その方策につきましては、例えば労側から勤務間インターバル制度等の御提案もいただいておるところでございますが、労使の話し合いをしたものの事態に合わないという理由で導入を行わず、仮に深夜労働の回数について取り決めたような企業もあると聞いているところでございます。

 したがいまして、一律に規制をかけるということになりますと、各社の実効性のある多様な取り組みを阻害しかねないのではないか、そういう危惧を持っているところでございます。

 また、これまでの議論の過程で大変多くの統計でありますとか各産業の実態を皆様と確認してまいりました。その中で例えばインフラの未整備や人手不足、あるいは荷主との関係などから1企業ではなかなか対応が難しい運送業界などの例を聞くにつけ、強行的な措置で対応することの難しさを感じているところでございます。

 むしろ36協定の締結の徹底でありますとか、あるいは特別条項付き36協定の発動要件は年の半分までとするといった法令や通達の遵守・尊重が重要ではないかというふうに考えております。加えて、先ほど申し上げましたとおり、時間外労働削減を話し合う場が持たれていない4割の企業を一層減らしていくということ。また、話し合いの場があってもなかなか取り組みが進まない企業に対して、情報提供でありますとかコンサルティングなどの支援を行うこと、さらに労働者の権利である年次有給休暇が年に1日もとれていないような方に対して、一定日数以上の年休について、使用者が確実にとってもらう仕組みを入れることなど、実効性の高い対策を考えることが肝要だと考えております。

 中小企業に対する月60時間を超える時間外労働の割増賃金のあり方につきましては、中小・零細企業において円安に伴うコスト増が収益を圧迫するなど、今なお経営環境が一様に好転せず、人手不足感も高まる状況にあるほか、業種・業態によって経過措置への対応準備に差がございます。さらなる実態把握や経営への影響を検討しながら慎重な対応をお願いしたいと重います。

 次に、新たな労働時間制度の創設、裁量労働制の新たな枠組みの構築、フレックスタイム制の清算期間の延長は、いずれも生産性の向上でありますとかワーク・ライフ・バランスの促進に資する見直しであると考えております。

 例えば新たな労働時間制度は、繰り返しになりますが、交渉力の高い方に限って、時間でなく成果で評価されたいと思われる社員の選択肢を用意するものであり、市場の変化に対応し、魅力ある商品・サービスを提供する環境づくりとして大変重要だと思っております。あわせて、より短い時間で成果を出すという効率的な働き方を推進することから、労使双方にとってメリットのある仕組みであると考えております。

 さらには、対象労働者が活躍することで、我が国経済の成長と国民生活の向上にもつながるということが期待されます。その制度創設に向けて、労働者の保護に欠けることのないよう、十分に健康確保措置を講ずるなど、さらに議論を深めてまいりたいと思っております。

 最後に申し添えたいと思いますが、成長の担い手というのは、何といっても社員一人一人であり、企業にとって社員は一人一人貴重な存在であります。そうした社員が健康で生き生きと働き、ワーク・ライフ・バランスを図りながら、その持てる能力を最大限生かせるような職場環境を整えるということが喫緊の課題となっております。このたびの労働時間制度改革が、そうした課題解決に資するものとなるよう、さらに議論を深めてまいりたいと思っております。

 私からは以上でございます。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 それでは、労側からお願いいたします。新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 二巡目の議論が終わりまして、私どもとして中間的な総括的な見解を申し上げておきたいと思います。

 久々に労働政策審議会において、労働時間法制、労働基準法の見直しの論議を行ってきたわけでありますけれども、私としてはもう少し長いレンジで今回の見直しを捉えるべきだと思っております。長いレンジで捉えるというのは、「21世紀にふさわしい働き方というのは一体どうあるべきなのか」といった視点を持つことだと思います。我が国の労働時間法制の枠組みができたのは1947年に施行された労働基準法でしたが、もともと戦前の労働者保護の流れをくむ工場法に、初めて「労働基準」という考え方が盛り込まれました。労働基準法施行当時、事務局の皆さんの先輩である労働省の寺本課長が現在の労働基準法第32条の枠組みをつくられて、1日8時間、当時は週48時間という枠組み、すなわち「法定労働時間」の枠組みを法律で決められました。これはILO第1号条約に基づく当時の国際標準であったことから先進国と同じ規制を入れるという強い決意のもとに導入されたものでした。

 ただ、同時に、戦後復興を促進する観点から、集団的合意に基づく免罰協定(36協定)を締結することによって長時間労働の違法性を回避することを可能とする第36条の規定も設けられました。「集団的な同意の中で法定労働時間の規制を外す」ということが、当時の戦後復興の中で必要とされた枠組みであったわけです。結果的に、こうした政策対応は成功し、わが国の戦後の高度成長・復興へとつながりましたが、これはやはり「20世紀の働き方」と言うべきではないでしょうか。

 ところが、こうした「20 世紀の働き方」を続けた結果80年代半ば以降は過労死という痛ましい事象が問題となり、また、2000年代半ばにはワーク・ライフ・バランスという考え方が出てきました。こういった2つの考え方からすると、戦後レジームといいますか、今や「20世紀の働き方」を体現した第36条の枠組み自体が見直しを迫られている状況にあると考えます。使用者側がおっしゃっているように、確かに個々の労働者の能力や多様性を活かすことは重要です。しかし、今までのような青天井の中で労働が行われるということではなく、それらはあくまで一定の労働時間の上限規制の下で実現・許容されるべきであり、そういった視点から今後の労働時間法制の在り方を考えて議論していくべきと考えます。

 そういった視点からすると、まだまだ課題は多いし、今回の論議の中でも現時点で労使の意見には大きな隔たりがあり、議論は全く噛み合っていないのが現状ではないかなと思います。

 我が国の労働時間や休日・休暇の実態を見ると、いまだ一般労働者の労働時間は2,000時間を超えておりますし、長時間労働者の構成比も欧米諸国に比べて非常に高いのが現状です。また、年次有給休暇の取得率も長らく5割を下回っており、まさしくワークとライフのバランスがとれていないというのが現実です。

 それ以上に深刻なのは、毎年過労死で100人以上の方がお亡くなりになっているということです。一時減少したものの最近でも過労死は増加を続けており、歯止めがかかっていない現状にあります。

 こうした現状を直視すれば、今、公労使三者構成の審議会においてなすべきことは、言うまでもなく、先の通常国会で成立した過労死等防止対策推進法に定められた国の責務として、また公労使三者の責務として、今回の労働時間法制の見直し議論においては、実効性ある長時間労働抑制策を法規制として盛り込むことこそ最優先されるべきであるということを改めて労側として申し上げておきたいと思っております。

 その上で、各論について申し上げたいと思います。

 まず第1に、長時間労働の抑制は労働者の健康・安全の確保に直結する重大事であるため、使用者側が再三おっしゃっていた「労使の話し合いによる自主的取組」では不十分であり、実効性ある法規制によって担保されるべきであります。

労働者側の意見としては、9月10日の分科会に提出した「労働者代表委員として実現すべきと考える主な施策」に記載したとおりでありますが、なかでもとくに、「人たるに値する生活を営むための必要をみたすべき」労働基準法において、中小企業とそれ以外の企業で月60時間超の時間外労働にかかる割増賃金率が二重の基準となっている「労基法第37条の中小企業への猶予措置(労基法第138条)」は早期に廃止すべきであることをまず申し上げたいと思います。

また、「休息時間(勤務間インターバル)規制の導入」、またそれら労働時間規制の前提となるべき「実労働時間の把握義務の法文化(「健康管理時間制度の創設」)については強く実現を求めたいと思います。そして、その際には、罰則等の裏付けのない通達や大臣告示といった形ではなく、しっかりと法律上の規制として措置されるべきと考えております。

 さらに、これは休み方改革とも絡んでまいりますが、ワーク・ライフ・バランスの実現のために「年次有給休暇の取得促進策」、また、「法定休日の規制の強化」についてもあわせて法的な措置がなされるべきであると考えております。

 各論の2つ目でありますけれども、これは今、申し上げたことの裏返しでありますが、規制に穴を空ける「新たな労働時間制度」をはじめとする労働時間規制の緩和については、その政策目的が不明確なままである上、対象者をさらなる長時間労働に追いやるものである以上、認めることはできません。全ての労働者に対する長時間労働の防止策の論議が十分なされておらず、議論もまだまだ全然かみ合っていないという中では、労働時間規制の緩和ではなく、規制を強化するということ議論すべきだということ重ねて申し上げておきたいと思います。

 「新たな労働時間制度」の論点については、労使の意見が一向に溝が埋まっていません。私どもとしては、「なぜ年収が1,000万円以上であれば労働者の健康と命を守るべき労働時間の規制を外すことが許されるのか」という点に対する合理的な根拠がいまだに示されていないと思っております。これまでの分科会で、事務局にお聞きすると、「この『1000万円以上』という年収水準の根拠は閣議決定にある」ということを答弁として出されたかと思いますけれども、そうであれば、次年度以降、1,000万が800万に、翌年には600万というふうに、今後も閣議決定で年収要件が下がってしまいかねない点が懸念されるところです。

さらに、「裁量労働制の新たな枠組み」についても、「新たな労働時間制度」との関係で、対象業務や対象労働者等が重複しているにもかかわらず、両者の関係は十分に整理されていない状況です。使用者側は「時間と賃金を切り離す」ということを繰り返し主張していますが、こうした切り離しは現行の枠組みの中でも対応できる以上、新たな規制緩和は不要であると言わざるを得ません。

 いずれにしても、今後の労働時間規制については、「21世紀型の働き方はどうあるべきか」という視点から大きく構えた議論を続けていくべきではないでしょうか。最後に、先ほどスケジュール感については、労働基準局長から「1月を目途に取りまとめを行いたい。閣議決定を踏まえて、次の通常国会の法案の提出期限までに法案を提出するということでお願いしたい」との御答弁がありました。しかし、現在の議論の状況を見る限り、一致点を見出すことは難しい状況にあります。私どもとしては、着地点を見出す努力はやぶさかではないですけれども、期日を決めて議論をすることには無理があり、慎重な議論こそ必要であるということを重ねて申し上げておきたいと思っております。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 今、労使双方から二巡目が終わったところでの総括的な御意見というものを伺いました。これまでの議論の過程におきましては、それぞれのお立場になお隔たりのある部分もございますが、他方で、お考えの差はあるにしても、そう差の大きくない点、あるいはほぼ一致しているようなところもあるというふうに私としては認識しております。

 そういった状況を勘案いたしますと、第二巡目が終わって、この後の議論の進め方といたしましては、これまでの審議というものを基礎としつつ、事務局で報告書の骨子のたたき台というものを作成していただいて、次回の分科会で御提示いただき、そこからある意味での三巡目でありますけれども、その議論を始めさせていただきたいと考えておりますが、それでよろしゅうございましょうか。

(「はい」と声あり)

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 それでは、そのように進めてまいりたいと思いますので、事務局におかれましては、報告書の骨子のたたき台の作成をどうぞよろしくお願いいたします。

 事務局から次回の日程についての説明をいただきたいと思います。

○古瀬調査官 次回の労働条件分科会の日程、場所につきましては、来月中旬を目途に調整いたしまして、追って御連絡させていただきます。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 それでは、本日の分科会はここまでとさせていただきたいと思います。

 議事録の署名は、労働者代表につきましては神田委員に、使用者代表につきましては秋田委員にそれぞれお願いいたします。

 今年の労働条件分科会は本日が最後ということでございます。この1年間、公労使の三者の委員の皆様方、あるいは事務局の皆様方の御協力を得まして、かなり充実した議論をすることができたと考えております。改めて感謝を申し上げたいと思います。

 また、今日はクリスマスイブということでもございますので、どうぞ楽しいクリスマスイブと、それからよい年末をお過ごしいただき、そしてまたすばらしい新年をお迎えいただくということを心よりお祈りしまして、これで終わるということにさせていただきたいと思います。

 本日は、お忙しい中、どうもありがとうございました。


(了)

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