2014年11月21日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録
日時
平成26年11月21日(金) 17:00~
場所
厚生労働省専用第23会議室
出席者
出席委員(14名) 五十音順
小川聡、 加藤総夫、 川上純一、 神田敏子
佐藤 雄一郎、 佐藤 田鶴子、 鈴木邦彦、 武田正之、
野田光彦、 古川漸、 増井徹、 村田美穂、
◎松井陽、 ○松木則夫
(注)◎部会長 ○部会長代理
欠席委員(7名)
奥田晴宏、 木村剛、 内藤幹彦、 林邦彦、
平石秀幸、 本橋伸高、 山田清文
行政機関出席者
神田裕二 (医薬食品局長)
森和彦 (審査管理課長)
宇津忍 (安全対策課長)
梅澤明弘 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構副審査センター長)
俵木 登美子 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
山田雅信 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
武田康久 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役 他)
小川聡、 加藤総夫、 川上純一、 神田敏子
佐藤 雄一郎、 佐藤 田鶴子、 鈴木邦彦、 武田正之、
野田光彦、 古川漸、 増井徹、 村田美穂、
◎松井陽、 ○松木則夫
(注)◎部会長 ○部会長代理
欠席委員(7名)
奥田晴宏、 木村剛、 内藤幹彦、 林邦彦、
平石秀幸、 本橋伸高、 山田清文
行政機関出席者
神田裕二 (医薬食品局長)
森和彦 (審査管理課長)
宇津忍 (安全対策課長)
梅澤明弘 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構副審査センター長)
俵木 登美子 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
山田雅信 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
武田康久 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役 他)
議事
○審査管理課長 「薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会」を開催させていただきます。先生方、本日もまた、お忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。本日の委員の出席についてですが、奥田委員、木村委員、内藤委員、林委員、平石委員、本橋委員、山田委員より欠席との御連絡を頂いています。武田委員からは、30分ほど遅れられるとの御連絡を頂いています。現在のところ、当部会委員数21名のうち13名の委員の御出席を頂いているので、定足数に達していることを御報告いたします。松井部会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。
○松井部会長 皆さん、こんばんは。早速ですが本日の審議に入ります。事務局から、配布資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて、報告してください。
○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日、席上に議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布しています。また、議事次第に記載されている資料1~9については、あらかじめ送付しております。このほか資料10「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料11「専門委員リスト」、資料12「競合品目・競合企業リスト」を配布しています。
本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて、報告いたします。資料12の1ページを御覧ください。ジャディアンス錠10mg、同錠25mgですが、本品目は2型糖尿病を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
2ページを御覧ください。ノピコールカプセル2.5μgですが、本品目は慢性肝疾患患者におけるそう痒症の改善を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしています。
3ページを御覧ください。タケキャブ錠10mg、同錠20mgですが、本品目は胃潰瘍、十二指腸潰瘍等を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
4ページを御覧ください。メチレンブルー静注50mg「第一三共」ですが、本品目は中毒性メトヘモグロビン血症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしています。
5ページを御覧ください。ベピオゲル2.5%ですが、本品目は尋常性ざ瘡を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
6ページを御覧ください。ビミジム点滴静注液5mgですが、本品目はムコ多糖症IIIIA型を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしています。
7ページを御覧ください。ボセンタン水和物ですが、本品目は全身性強皮症に伴う皮膚潰瘍を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしています。
8ページを御覧ください。エクリズマブ(遺伝子組換え)ですが、本品目は難治性全身型重症筋無力症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
○松井部会長 今の事務局からの説明に特段の意見はありませんか。よろしいですか。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、委員の皆さんの御了解を得たものとします。委員からの申出状況について、これも報告をしてください。
○事務局 各委員からの申出状況について報告します。
議題1「ジャディアンス錠」、退席委員なし、議決には参加しない委員、小川委員、武田委員。
議題2「ノピコールカプセル」、退席委員なし、議決には参加しない委員なし。
議題3「タケキャブ錠」、退席委員なし、議決には参加しない委員、武田委員、野田委員。
議題4「メチレンブルー静注」、退席委員なし、議決には参加しない委員、小川委員、川上委員、武田委員、野田委員。
議題5「ベピオゲル」、退席委員なし、議決には参加しない委員、村田委員。
議題6「ビミジム点滴静注液」、退席委員なし、議決には参加しない委員なし。
議題7「ボセンタン」、退席委員なし、議決には参加しない委員なし。
議題8「エクリズマブ(遺伝子組換え)」、退席委員なし、議決には参加しない委員、武田委員、野田委員、以上です。
○松井部会長 今の事務局からの説明に何か御意見はありますか。よろしければ、皆さんに御確認を頂いたものとして議題に入ります。本日は審議事項が8議題、報告事項が1議題あります。早速、審議事項の議題1に移ります。よろしくお願いします。
○機構 審議事項議題1、資料1「医薬品ジャディアンス錠25mg及び同錠10mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、機構より御説明申し上げます。
本剤は、ナトリウム・グルコース共輸送担体2、いわゆるSGLT2の選択的阻害薬であるエンパグリフロジンを有効成分とする糖尿病治療薬です。SGLT2は、腎臓の近位尿細管におけるグルコースの再吸収を担っており、SGLT2を阻害することで尿糖排泄を促進し、インスリン非依存的に血糖を降下する作用を示しています。本剤は、2014年8月現在、アメリカ、欧州を含む世界37か国において既に承認されています。
本品目の専門協議では、資料11に示す先生方を専門委員として指名しています。以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明いたします。
有効性について、審査報告書の58ページの表24を御覧ください。単独療法に関する国際共同第III相試験の結果、主要評価項目とされたベースラインから本剤投与24週時までのHbA1c変化量について、プラセボ群に対する本剤10mg群及び25mg群の優越性が検証されました。また、同じページの表25に示したとおり、日本人集団についても、全集団と大きな違いのないことが確認されています。単独療法の長期投与試験については、国際共同第III相の延長長期投与試験が実施されており、審査報告書の63ページの図2に示したように本剤の効果の持続性も示されています。
審査報告書の67ページの図3を御覧ください。本剤とスルホニルウレア薬とビグアナイド薬、チアゾリジン薬、アルファ-グルコシダーゼ阻害薬、DPP-4阻害薬、速効型インスリン分泌促進薬との併用療法が国内第III相長期投与試験として実施され、各併用療法の効果の持続性が確認されています。
安全性については、審査報告書の59~60ページの表28~31と、63~64ページの表34~37、また、68~69ページの表40~41に示した第III相試験における有害事象及び副作用の発現状況について、また、76~94ページに記載しているとおり、本剤の低血糖、尿路感染症、性器感染症、体液量減少症や多尿・頻尿等といった個別の品目について検討した結果、適切な注意喚起等がなされることを前提とすれば、本剤の安全性は許容可能と判断しました。
製造販売後調査については、審査報告書の111ページと112ページの「(7)医薬品リスク管理計画(案)について」の項を御覧ください。3年間投与の評価症例として3,000例の長期特定使用成績調査と、発売日から3か月間に本剤が投与された高齢者を対象とした特定使用成績調査が計画されており、111ページの表65に示した検討事項に関する情報が収集される予定です。
以上のとおり、機構での審査の結果、2型糖尿病を効能・効果として、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。本剤は、新有効成分含有医薬品であるため、再審査期間は8年が適当であると判断しております。なお、原体及び製剤はいずれも毒薬又は劇薬に該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。
○松井部会長 委員の先生方から御質疑をお願いします。いかがですか。
○佐藤(田)委員 有害事象について教えてください。今回、先ほど競合品目3剤が出てきましたが、SGLT2阻害薬の3剤の中で、1剤に有害事象の5名の死亡例があったようですが、今回、本薬については、先ほどの表25あたりの有害事象では、大した有害作用はないとあります。
ただし、これは40数例のデータですが、先ほどの前出の3剤のどれかの死亡例との関連で、類薬から類推して考慮をする必要はないのかどうか、教えてください。
○機構 先生がおっしゃったのは、恐らく脱水による死亡例に関する情報が、市販後で報告されている件だと思います。脱水を含め体液量減少症については、審査報告書の83ページに記載しているとおり、審査の中で本剤についても検討しております。
脱水の発現状況については、日本の2型糖尿病の単独と併用療法の併合解析でプラセボ群1例、本剤10mg群4例、25mg群1例が認められていますが、プラセボ群と比較して本剤の脱水に関する発現割合が極端に多い傾向ではありませんでした。SGLT2のクラスエフェクトというか脱水については、浸透圧利尿で尿量が増加することから脱水についても懸念されていますが、その点については、注意喚起ということで、資料1の1.8の添付文書(案)を御覧いただければと思います。脱水については、資料の1.8の添付文書(案)の23ページの左側の「重要な基本的注意」の下、(8)に記載しています。
本剤は、「体液量が減少することがあるので適度な水分補給を行うように指導し、観察を十分行うこと」と。また、「脱水等の異常が認められた場合は、休薬や補液等の適切な処置を行うこと」と注意喚起を行っています。また、高齢者では生理機能が低下しており脱水が起こる可能性があることや脱水の認知が遅れることがあるため、その点についても添付文書で注意喚起をしています。また、情報提供資材についても、患者に脱水による注意喚起を行うように企業から資材を作成していただいているといった状況です。
○佐藤(田)委員 そうすると、投与する方の医療情報上の常識として、この添付文書があれば、そこには特に注意をするから大丈夫ということですか。
○機構 はい。現時点ではこのような添付文書等での対応を考えていますが、先生がおっしゃったとおり市販後の死亡例も認められていることから、現在、類薬も含めて添付文書の注意喚起を強化するように検討中です。
○松井部会長 いかがですか。脱水の症状が御本人に分かりますか。それは説明の文書の中に書かれていると。これは脱水だと御本人が判断できますか。
○機構 それについては資材等で、脱水の症状として、喉の渇き、体のだるさ、尿量の減少などが起きた場合には、注意してくださいというところで注意喚起をしています。
○松井部会長 佐藤委員、よろしいですか。
○佐藤(田)委員 はい。
○野田委員 SGLT2阻害薬の市販直後調査で、予想されていなかった、比較的というか、かなり多く見られる障害として、薬剤性の皮膚障害があると思うのですが、これについては111、112ページの「医薬品リスク管理計画(案)について」の表67、68で言うところの、「その他の有害事象等」に含まれて、ここでサーベイランスをするという理解でよろしいのですか。
○機構 はい、御指摘のとおりです。本剤については、審査報告の108ページで皮膚症状の状況について検討した事項を記載しています。審査報告書の108~109ページの上段に記載していますが、本剤ではSJS等、皮膚症状に関する重篤な有害事象は日本人で認められていません。また、海外と日本の併合解析でも、本剤で極端に皮膚症状が多いといった結果ではありませんでした。しかし、これらについて、臨床試験成績という限られたデータでもありますので、市販後調査にて情報収集を行い、皮膚症状についても情報提供資材等で注意喚起をする予定です。
○野田委員 最初の薬剤くらいであればそれでもよいかもしれませんが、これは6薬目ですか。それでこれまでの薬剤に関しては、かなり重篤な有害事象として、市販直後調査で、全身性の皮膚の紅斑とか、そういったものが出ていますが、それは管理計画を変更するまではいかないかもしれないけれども、特に情報収集をする必要があるのではないかと思いますので、そのあたりをよろしくお願いできればと思います。
○機構 はい、市販後の状況で注視していくように企業に伝達いたします。
○松井部会長 よろしいですか。
○野田委員 はい。
○川上委員 規格のことです。10mg錠と25mg錠を予定されているということで、同効薬で既に市販されている薬剤5つのうち三つは、通常のちょうど2倍の刻み幅の規格が市販されていると思うのですが、こういった半分でない規格のものを市販されるということで、医療現場に混乱を与えることはないのか、確認させてください。
○機構 先生の御指摘のとおり、本剤は10mg錠と25mg錠というところで、刻みが割り切れないところです。その点については、開発の用量設定の段階で、20mg錠が設定されていなかったというところから、25mg錠が設定されたという背景があります。
○審査第一部長 今の点、少々補足をします。審査報告の53ページに用量を検討した国内第II相試験があります。先ほどの説明と同様になりますが、用量の検討の段階で、53ページの表20の中ほどですが、5、10、25、50mgということで検討した中から、この2用量が選ばれたということで、国際的な共同開発ということで製剤の開発なども進んでいたので、結果が出てきてから用量をまた変えるのはなかなか難しいですので、注意をして使っていただければと考えています。
○川上委員 開発の経緯は理解できるのですが、例えば通常は10mgで、25mgまで増量できるという表現ですと、医療現場では10mg錠二つで20mgでいくのか、それとも25mg錠1錠でいくのか、増量時の判断としては迷うのですが、そこに対してはどういったサジェスチョンを頂けるのですか。
○審査第一部長 私どもは、あくまで今まで得られた臨床試験成績から情報を提供させていただくことになろうかと思うので、これまで検討されているのは10mgと25mgの関係ですので、10mgで不十分な場合には25mgをお使いいただくということで、基本的に情報提供はさせていただきたいと考えています。
○鈴木委員 SGLT2阻害剤は、体重減少効果があると思うのですが、本剤は何パーセントぐらい減少するのか、プラセボと比較してどのぐらいになるのか、教えていただけますか。できればパーセントで教えてください。
○機構 一番分かりやすいのは、パーセントではないのですが、添付文書の28ページに臨床試験成績が記載されていますが、例えば日本人の用量反応試験を実施した単独療法の成績が左上に記載されていますが、用量反応試験で体重の投与前値からの調和平均変化量のプラセボとの差は、本剤10mg群と25mg群でそれぞれ-1.70kgと-1.97gであったというところで、全体的に他の試験成績も見ると、体重が大体2~3kgぐらい減少するといった状況です。
○鈴木委員 それがどのぐらいのパーセントなのか。やせ薬を出したいと言っている所もあるようですので、教えていただきたいのですが。
○松井部会長 数字がありますか。
○審査管理課長 具体的な数字ですが、審査報告の59ページの表26などに具体的な数字が掲載されていて、これはプラセボが幾らで、本剤10mg、25mgそれぞれでどうだということの数字が出ています。実数で体重として、プラセボでも少し減っていて0.3kg、10mg群で2.24、25mgで2.47という減少があったと、そういう数字自体が出ています。これは元の体重が80kgぐらいの方々なので、パーセンテージにすると結構小さいかと思います。
○松井部会長 大体お分かりになりましたか。
○鈴木委員 一応わかりました。
○機構 審査報告書の59ページの表26から計算したところ、大体2、3%程度の減少が認められているといった状況です。
○松井部会長 それを頭に入れてということですかね。
○松木部会長代理 資料11の専門協議の委員の数が多いかと思ったら、「依頼時」と書いてあって、ほかが「指名時」というので、これは「依頼時」と「指名時」を書き分ける理由は何かあるのですか。非常に違和感を感じるのですが。
○松井部会長 御質問はお分かりですか。
○審査管理課長 多分、肩書の方が後で変わることがあるので、それで所属が変わったりするものですから、指名したときにはこの所属でしたという意味で書いているのだと思うのですが。
○松木部会長代理 依頼は依頼した時点ですか、最終的に担当した人を書けばいいのではないですか。
○審査管理課長 はい、指名時と依頼時は同じです。ただ、実際に依頼をしたときにどういうポジションにおられて、その上でこの方が適切と判断したという意味ででも記載しているのかと思うのですが。
○松木部会長代理 そうですか。なぜ、そのような質問をしたかと言うと、先ほど108ページの皮膚障害で「一部の専門委員より」という表現があって、これが引っ掛かるのです。多分、日本語で、一部の委員はそう言ったけれどもマジョリティーはそうではなかったというときに、こういう表現を使うと思うのです。ですから、多分、専門協議においてこういうことが少し問題になったという表現の方が適切だと思うのです。これと先ほどの資料から推察すると、一部の委員が反対をして協議に参加しなかったのかと思ってしまったものですから。
○審査第一部長 申し訳ありません。この専門委員の中には、品質とか、薬物動態であるとか、臨床の専門の先生方がおられるということですので、今、御指摘のあったように、一部というのは、臨床の先生方から御指摘があったという趣旨で書きましたが、確かに誤解を招くような部分があったかと思いますので、今後、記載ぶりについては気を付けてまいりたいと思います。
○神田委員 安全性の監視ということで、長期使用に関する調査が設定されていて、3年間と設定されているかと思います。2型糖尿病の場合には、薬を飲み始めたら、ずっと飲み続けなければならないということを聞いたりするわけですが、この3年間の設定が適切なのか十分なのかが気になりました。どこかの資料の中にこの病気のことについても、慢性病的であるとか、完全に治ることはないのだという説明がありましたので、もしかして、もっと長く飲み続けるのかと思ったものですから、確認したいと思いました。よろしくお願いします。
○審査第一部長 確かに人によっては多少長く飲み続けることがあるかと思いますが、ここでお願いをしている特定使用成績調査は、あらかじめ患者を登録して定期的にデータを頂く形での安全性の監視になります。3年間、副作用、服用当初に出てくるものも多いので、比較的早期の部分については重点的にしますが、当然、その後についても何か副作用が起こったら、ドクターから自発的な報告を頂く形で、引き続き監視は続けてまいりますので、そういった中で長期的なものの心配があれば、また計画を変えるなどして対応してまいりたいと思います。
○松井部会長 ほかにありませんか。議論は出尽くしたように思います。議決に入りますが、よろしいですか。なお、小川委員、武田委員においては、利益相反に関する申出に基づいて議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいですか。
ありがとうございました。異議はないものとして、承認を可として薬事分科会に報告といたします。それでは、議題2に移ってください。
○機構 審議事項議題2、資料2-1、2-2「医薬品ノピコールカプセル2.5μgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より御説明します。
本剤の有効成分であるナルフラフィン塩酸塩は、選択的 κ オピオイド受容体作動薬であり、本邦では、本剤と同一製剤であるレミッチカプセル2.5μgが2009年1月に、血液透析患者におけるそう痒症の改善(既存治療で効果不十分な場合に限る)の効能・効果で承認されています。本剤の申請効能・効果である慢性肝疾患患者におけるそう痒症の改善(既存治療で効果不十分な場合に限る)については、本邦において20 □年より臨床試験が開始され、今般、有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認申請が行われました。海外では、2014年8月現在、ナルフラフィン塩酸塩製剤について、同効能・効果で承認されている国はありません。
本申請の専門委員については、資料11に示す5名の委員を指名いたしました。
審査内容について、臨床試験成績を中心に説明いたします。第III相試験として、難治性そう痒症を有する慢性肝疾患患者を対象としたプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験が実施されました。この試験においては、プラセボ、本剤2.5μg又は5μgを1日1回、原則として夕食後に経口投与すると設定されました。
有効性について、審査報告書13ページの表8を御覧ください。主要評価項目は、投与4週目のかゆみに関するVAS変化量とされました。プラセボ群と本剤群のVAS変化量の群間差は、表8の一番下に示しているとおりであり、本剤5μg群、2.5μg群いずれにおいても、プラセボ群に対して統計学的に有意な差が認められました。
続いて、安全性について、審査報告書21ページの表16を御覧ください。血液透析患者を対象とした臨床試験成績と比較して、慢性肝疾患患者を対象とした臨床試験において新たに発現が認められた主な有害事象は、夜間頻尿、頻尿、血中抗利尿ホルモン増加及び総胆汁酸増加でしたが、そのほとんどが軽度の事象でした。そのほかの有害事象の発現状況も勘案し、全体として、慢性肝疾患患者における本剤のリスクは、血液透析患者と比較して明らかに高い傾向は認められていないと判断しております。
薬物動態に関する検討により、本剤は、肝機能障害の程度に応じて、血漿中未変化体濃度が増加する傾向が示唆されたことから、中等度以上の肝機能障害患者における安全性について検討いたしました。審査報告書26ページの表22です。臨床試験における中等度の肝機能障害であるChild-Pugh分類グレードBの患者数は少なかったものの、軽度の肝機能障害であるグレードAの患者と比較して、有害事象の発現率が高い傾向が認められました。しかしながら、投与中止に至る事象や、高度な事象の発現はなく、安全性に特段の問題は認められておりません。本剤が既存治療で効果不十分な場合に使用される薬剤であること、グレードBの患者において本剤の有効性は示唆されていることを勘案し、グレードBの患者に対して本剤の投与を可能とすることの臨床的意義はあると判断しております。
また、重度の肝機能障害であるChild-Pugh分類グレードCの患者は、臨床試験に組み入れられませんでしたが、これらの患者においても、かゆみに対する治療が必要な状況が生じる可能性はあると考えられることから、リスク・ベネフィットを勘案した上で、投与の可否を判断すること、投与中は継続して十分な観察を行うことを注意喚起した上で、グレードCの患者に対しても、医師の判断の下で投与可能とすることが適切と判断いたしました。
グレードB及びCの患者への投与については、使用成績調査で安全性・有効性を引き続き検討することを求めており、調査の中で重要な報告があればその時点で、使用成績調査の中で特に報告がない場合は再審査の時点で、データを確認する予定です。
以上の審査を踏まえまして、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は、既承認のナルフラフィン塩酸塩製剤とは異なる効能・効果に対する申請であることから、再審査期間は4年、製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。以上です。よろしく御審議のほど、お願いいたします。
○松井部会長 委員の先生方から質疑を求めます。いかがでしょうか。
○川上委員 教えていただきたいのですが、今回の薬剤と全く同一の成分、同一の製剤が同じメーカーから市販されているのですが、なぜ、既存薬の効能・効果の追加ではなくて、新薬として出てきているのか、その背景を教えていただきたいのです。
○事務局 審査管理課からお答えします。レミッチについては既承認なのですが、そちらは製造販売業者としては東レ株式会社、そして今回は東レ・メディカル株式会社ということで、製造販売業者自体が違うということです。今回の慢性肝疾患患者におけるそう痒症の改善の開発については、レミッチの製造販売業者である東レ株式会社と□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□を行っていたという状況です。しかしながら、開発の途中で□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□されたために、本剤は東レが□□□□□□□□□ものです。
レミッチについては、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□になっていますので、レミッチについては、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、レミッチの承認を取得している東レとは別法人の東レ・メディカル株式会社が申請を行ったということです。説明としては以上です。
○松井部会長 よろしいでしょうか。製造販売会社が異なるということです。
○審査管理課長 要するにこれは企業間の開発の、そういったいろいろな提携関係の結果として、やむなくこういう形を取らざるを得なくなったということです。医療現場的には、同じ物なのに違う効能で、名前が違っていてということで、どうしても混乱を生じやすいのではないかということについて、私どももその点はかなり懸念はしております。実際にどのような販売をし、現場に情報提供するのかということについて、今回の申請の経緯を踏まえて、実際に持っていく先が、透析を主にやっている領域と、肝疾患でも肝硬変を中心とした、かなり進んだアドバンスの疾患の患者さんを診ている診療科ということで、エリア的には大分違うのです。ただ、総合病院、大学病院の大きな所になると、全く同じ所に行ってしまいますので、そういった所で、現場的には非常にお困りなることがあるのではないだろうか、恐らくあるだろうということは想定されます。したがって、これを現場に持っていく際の説明は、かなり丁寧にさせていただくように、企業側に対して指導していきたいと考えております。現状ではそれが限界だと思いますので、よろしくお願いいたします。
○川上委員 今の説明で結構ですが、多分、医療現場から見ると、極めて似た名称の会社が、全く同じ製剤を別の新薬として市販されるということなので、混乱を生じたり、場合によっては薬価対策として別の新薬として出してきたのではないかと誤解するかもしれません。適用する患者は血液透析と慢性肝疾患で異なりますけれども、実際に使うのは同じような症状に対して使う薬剤ですので、決して疑うというわけではないのですが疑問を持たざるを得ない部分もあるかと思います。その辺りに対して、適切な御説明を、規制当局側からもよろしくお願い申し上げます。
○松井部会長 ありがとうございます。ほかにありますか。特段ありませんか。それでは議決に入ります。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告いたします。次は議題3です。お願いいたします。
○機構 審議事項議題3、資料3「医薬品タケキャブ錠10mg及び同錠20mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、機構より御説明します。
本剤の有効成分であるボノプラザンフマル酸塩は、胃粘膜壁細胞のプロトンポンプを可逆的かつ、カリウムイオン競合的に阻害することにより、胃酸分泌を抑制する、新しい阻害様式のプロトンポンプインヒビターです。今般、胃潰瘍等の既承認のプロトンポンプインヒビターと同様の効能・効果について申請されています。なお、2014年9月現在、海外において本剤が承認されている国又は地域はありません。
本品目の専門協議では、本日の配布資料11に示す専門委員が指名されています。以下、本剤の有効性・安全性について、臨床試験成績を中心に説明いたします。
まず、有効性についてです。逆流性食道炎の治療について、報告書62ページの表39を御覧ください。主要評価項目である投与8週後までの逆流性食道炎の治癒率について、ランソプラゾール群に対する本剤群の非劣性が検証されました。逆流性食道炎の維持療法について、報告書63ページの表41を御覧ください。主要評価項目である維持期投与24週後における逆流性食道炎の再発率について、ランソプラゾール群に対する本剤群の非劣性が検証されました。胃潰瘍について、報告書66ページの表46を御覧ください。主要評価項目である投与8週後までの胃潰瘍治癒率について、ランソプラゾール群に対する本剤群の非劣性が検証されました。ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助について、報告書68ページの表51を御覧ください。主要評価項目である一次除菌投与終了4週後のヘリコバクター・ピロリ一次除菌率について、ランソプラゾール群に対する本剤群の非劣性が検証されました。低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制について、報告書70ページの表54を御覧ください。主要評価項目である投与24週後の胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発率について、ランソプラゾール群に対する本剤群の非劣性が検証されました。非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制について、報告書76ページの表62を御覧ください。主要評価項目である投与24週後の胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発率について、ランソプラゾール群に対する本剤群の非劣性が検証されました。
十二指腸潰瘍について、報告書67ページの表48を御覧ください。主要評価項目である投与6週後までの十二指腸潰瘍の治癒率について、ランソプラゾール群に対する本剤群の非劣性は、統計学的には検証されませんでした。しかしながら、機構は、以下に述べる理由から、十二指腸潰瘍に対する潰瘍治癒効果がランソプラゾール群に比べて本剤群で臨床的に問題となるほど劣る傾向は認められていないと考えました。この点については、報告書の83~85ページに記載しております。
まず、報告書の84ページの表73の1段目です。FAS、すなわちFull analysis setを対象とした主解析の結果を示しております。本剤群の治癒率は95.5%であり、臨床的には十分な有効性が認められており、この点については、専門委員からも御賛同いただいております。同じく表73の2段目から4段目です。副次的解析等の結果を示しております。これらの副次的解析等においても、ランソプラゾール群との群間差は非劣性限界値とされた-6%を大きく下回っておらず、この試験の非劣性限界値は-6%と比較的厳しく設定されていたことも踏まえると、本剤の潰瘍治癒効果がランソプラゾール群に大きく劣るものではないと考えております。
最後に、今般申請された胃潰瘍を始めとした他の胃酸関連疾患ではランソプラゾール群に対する非劣性が検証されており、有効性が認められていること、また、臨床薬理試験成績から、本剤10mg以上の投与において胃酸を抑制することが期待されることから、機構は、十二指腸潰瘍を含む各申請効能・効果に対する本剤の有効性は示されたと判断いたしました。
次に、安全性に関して、報告書90ページの表81を御覧ください。各第III相試験における重篤な有害事象の内容や発現傾向については、本剤群とランソプラゾール群で明らかに異なる傾向は認められませんでした。また、各第III相試験における有害事象の発現割合も、ランソプラゾール群に比べて本剤群で高い傾向は認められず、長期投与においても本剤の長期投与により有害事象の発現割合が明らかに上昇する傾向も認められませんでした。
次に、報告書93ページの図1です。長期投与試験における血清ガストリン値の推移を示しています。本剤群(●及び■)では、ランソプラゾール群(○)と比較して、血清ガストリン値は経時的に上昇し、かつ、持続的に高い傾向を示しました。機構は、現時点では本剤の長期投与時において、血清ガストリン値が持続的に高いことに伴う神経内分泌腫瘍発現等のリスクは明確でないことから、臨床試験において血清ガストリン値がランソプラゾール群と比べて本剤で高い傾向を示したことについて、医療現場に適切に情報提供を行うとともに、本剤投与による高ガストリン血症及び神経内分泌腫瘍の発現等については、製造販売後調査において情報収集する必要があると考えました。
以上より、機構は、血清ガストリン値の上昇について注意が必要なものの、既存のプロトンポンプインヒビターの安全性情報も参考に適切な注意喚起を行うことで、本剤の安全性は許容可能と判断いたしました。
以上、機構での審査の結果、本剤の有効性は示され、安全性は許容可能と考えられたことから、医薬品リスク管理計画に係る承認条件を付した上で、本剤を承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。なお、本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、原体は劇薬に該当し、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、また、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断いたしました。薬事分科会では報告を予定しております。
平石委員からの事前にいただきました御質問についても、続けて説明してよろしいですか。
○松井部会長 お願いします。
○機構 本剤の説明は以上になりますが、本日御欠席の平石委員より、事前に御質問を頂きましたので説明させていただきます。なお、平石委員は、当委員からの申出状況に基づき、本剤の審議においては退席委員となります。平石委員からの御質問は2点あります。
1点目の御質問は、報告書105ページの「(2)安全性について」の項を御覧ください。御質問は、「3段落目において、『現時点では、本薬長期投与時における血清ガストリン値の持続的高値に伴う神経内分泌腫瘍発現等のリスクは明確ではないことから、本薬を長期投与する際には、定期的に内視鏡検査を実施するなど、より慎重に観察を行うべきである』との専門委員の意見が記載されており、4段落目において、機構は当該意見を踏まえ添付文書において注意喚起するよう求めている。この対応の内容が添付文書(案)のどの箇所に反映されているのか確認したい」というものでした。
この点について機構より回答させていただきます。資料中の1.8の添付文書(案)を御覧ください。5ページ目の左段上部に記載されている「2.重要な基本的注意」の(2)において、「本剤の長期投与にあたっては、定期的に内視鏡検査を実施するなど観察を十分行うこと」と注意喚起しております。なお、臨床試験における血清ガストリン値の推移についても、添付文書(案)8ページの中段にグラフとして示しております。
続いて、2点目の御質問です。御質問は、「ランソプラゾール等の既存のプロトンポンプインヒビターは、ウレアーゼ活性を阻害することが報告されており、ヘリコバクター・ピロリ除菌治療において、プロトンポンプインヒビター服用中や投与終了直後では、尿素呼気試験の判定結果が偽陰性になる可能性がある。本剤に、このようなウレアーゼ活性阻害作用があるかどうか確認したい」というものでした。
この点について機構より回答させていただきます。報告書13ページ下部の「7.ヘリコバクター・ピロリのウレアーゼ活性に対する作用の検討」の項を御覧ください。当該非臨床薬理試験において、本剤はウレアーゼ活性に対する阻害作用を示さないことが確認されております。
以上2点の回答については、平石委員より御了承いただいております。説明は以上になります。御審議、どうぞよろしくお願いいたします。
○松井部会長 聞き違っていたら教えてほしいのですが、本議題については、分科会で審議を希望していると途中でおっしゃったような気がするのですが、最後は「報告」と。
○機構 分科会は報告を予定しております。
○松井部会長 報告でいいのですね。
○機構 はい。
○松井部会長 委員の先生方から質疑をお願いいたします。
○鈴木委員 本剤は、タケプロンの後継薬だと思うのですが、普通だと、ではタケプロンよりももっと効果があるのだろうと思うのですが、そうでもない薬のようです。十二指腸潰瘍と□□□□□□□□□□□において、タケプロンに比べて非劣性が検証されなかったということですが、十二指腸潰瘍については申請をし、□□□□□□□□□□□については申請しないと対応が分かれたわけです。これについては、うがった見方をすれば、十二指腸潰瘍はまさか適用として落とせないけれども、□□□□□□□□□□□は、とりあえず落としておこうかというようなことも考えられます。これはどのような理由で、そのように対応が分かれたのか。
また、先ほど少し御説明はあったのですが、十二指腸潰瘍については非劣性が検証されなかったにもかかわらず、有効性は示されたと判断されたということですが、それについてもう1回説明をお願いしたいと思います。
○機構 1点目の質問については、資料中の1.5の23ページを御覧ください。表の下に「申請効能以外での開発」という項があります。ここに記載されているとおり、今回、□□□□□□□□□□□については承認申請されておりませんが、こちらの開発については一時中断を検討している状況で、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□判断する予定と、申請者からは伺っております。
2点目の御質問ですが、十二指腸潰瘍の有効性について再度説明させていただきます。報告書84ページの表73です。先ほど説明させていただいた表ですが、まず1段目のFull analysis set(FAS)の結果、こちらが本試験の主解析ですが、右から3列目にあるとおり、本剤群の治癒率は95.5%と、高い有効率が認められています。
続いて、同じページの上から3段落目の記載を御覧ください。本試験で非劣性が検証されなかった理由の一部が記載されています。本試験CCT-102試験では、未治癒例が本薬20mg群では8例、うち6週間の投与を完了した症例が1例、投与中止例が7例、ランソプラゾール群では3例、うち6週間投与完了例が1例、投与中止例が2例おりました。これらは薬効とは関係なく投与中止された症例となります。また、これらの中止例は、治験薬投与期間が1~18日と短かったため未治癒であった可能性が考えられております。
そこで申請者は、表73の2段目から4段目の解析を実施しております。まず、2段目と3段目ですが、これらは、先ほどの投与中止例の影響を排除するために実施された検討となります。2段目の右から二つ目の列の結果を御覧ください。治験実施計画書に適合した集団(PPS)における本剤群とランソプラゾール群との有効性の群間差の結果を示しております。この95%信頼区間の下限値は-4.7%となっていまして、非劣性限界値とされた6%を上回ることが確認されています。同様に、3段目の結果、すなわち、FASのうち、治験薬の投与終了状態が完了の患者についても、群間差の95%信頼区間の下限値は-1.6%であり、-6%を上回ることが確認されております。
最後に、1段目のFAS、2段目のPPS、3段目のFASのうち、治験薬の投与終了状態が完了の患者を対象とした解析では、解析から除外されていた症例がおり、比較可能性が低下している可能性が考えられましたので、その点を確認するために感度分析が実施されました。その感度分析の結果が4段目です。こちらのランソプラゾール群との群間差の結果については1段目の主解析の結果と同様であり、これらの結果を総合的に考えると、ランソプラゾール群に対して本剤の有効性が大きく劣るものではないと考えております。
機構は、以上の試験成績等を踏まえ、本剤の十二指腸潰瘍に対する有効性はあると判断しており、以上の判断については、専門協議において、専門委員の先生からも支持されております。
○鈴木委員 説明は分かりましたが、最初の□□□□□□□□□□□の開発が中断された理由はどういうことでしょうか。
○審査第一部長 すみません、この説明にある以上のことは把握をしておりません。
○鈴木委員 非劣性が検証されなかったということがあるのではないかと思いますが、ただ、今後これが承認されれば、次の段階に移っていくと思いますけれども、タケプロンに比べて優れた薬とは言い切れないと思いますので、それが薬価にも反映されるように、その情報はきちんと伝えていただきたいと思います。中医協に出てきたら、必ず質問しますので、是非、伝わっていなかったということがないようにしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○小川委員 確か、前回に出てきた薬剤でも申し上げたのですが、クロピドグレルとの併用に関してです。95ページからの記載で、クロピドグレルの作用を減弱させる可能性があるという記載があって、その次の96ページで幾つかイベントを比較している一番上の数行があって、その下の「機構は」という所です。「提出された臨床試験において特に大きな問題となる事象が認められていないことから、現時点では添付文書において注意喚起を行う必要はないと考える」と書いてあるのです。ただ、その下に患者が限られているということ、それから、患者としても、特に冠動脈のステントを挿入した後の患者さんにどのくらい使われていたのかということがはっきりしない時点で、その後に、CYP2C19に対する阻害作用に起因する相互作用が生ずる可能性が完全には否定できないということが書いてあるのです。これは市販後調査で見るだけで、もしその冠動脈内のステントを入れた患者さんに使って、急性の冠症候群が合併するようなことがあると問題なのです。どうなのでしょうか、こういう可能性については否定されていないので、特にこういう疾患については注意すべきだということを添付文書に記載する必要があるような気がするのですが、そこはいいのでしょうか。
○松井部会長 先生がおっしゃるのは、この情報収集を記載する必要があるだろうと。
○小川委員 はい。今のところはまだ分からないので、可能性はあるという。もし可能性が残されているのであったら、ということなのです。
○審査第一部長 報告書の110ページを御覧ください。正にこのLDA潰瘍の再発抑制なのですが、御指摘のありましたとおり製造販売後調査で確認が必要なところではあるのですが、まず、現時点では情報が十分でないということで、製造販売後の調査、1000例3年間の中で「主な調査項目」の4番目ですが、「LDA以外の併用薬」ということでクロピドグレルを特出ししまして、使っているかどうかということを重点的に調査させていただきたいと思います。これの経過も確認しながら、そういったものが出てくれば、素早く対応させていただくということで、まずは注意深く情報を集めさせていただければと考えております。
○小川委員 もし、こういう表が出ているのであれば、これは一つの大事な情報だと思うのですが、ステント挿入直後の患者さんをあえて追加して記載するということはどうでしょうね。クロピドグレルを併用しているのはいろいろな疾患であるのですが、やはり急性の挿入直後の患者というのは一番使われるケースが多いものですから、それを調査の対象に特記しておくということはどうでしょうか。
○機構 そういった患者さんは、今回の調査に入られる可能性がありますので、情報が取れるような形で、調査票を修正するように、企業の方にお伝えしたいと思います。
○小川委員 よろしくお願いします。
○松井部会長 委員の先生方もそれでよろしいでしょうか。ほかにありますか。
○佐藤(雄)委員 先ほどの平石委員の御質問の1点目について、背景となっている医学的な知識がないものですから、少し伺いたいのですが、報告書の105ページです。血清ガストリン値が高いということと、神経内分泌腫瘍の発現等の関係は必ずしも明らかでないので、本件では、薬が漫然と使われることがないように内視鏡検査をする。そのことは恐らく93ページのところに関係してくるのだと思うのですが、薬を止めて2~8週間すると血清ガストリン値は元に戻るので、きっとこれで問題ないだろうと。ですから、内視鏡検査をきちんとやってもらうことで、漫然と投与されることがないようにという注意喚起だと理解してよろしいでしょうか。
○機構 ガストリンの値そのものを経時的に追い掛けることそのものは、既存のPPIの長い、広く用いられてきた歴史の中でもPPIの投与を中止すれば下がるということが分かっていますので、問題になることがないと考えられます。それを前提にして、本剤については何に対して注意が必要なのかというのが、恐らく平石委員の御質問であったと考えられます。既存のPPIについては非臨床で、幾つかの神経内分泌腫瘍の発生が見られていたものの、人では起こらないということが長い使用経験をもとに分かってきていることは確かなのですが、それについて、今回申請された新しいPPIについて、もう一度改めて内視鏡検査を行うことで、そのようなことがないということを確認したらいかがですかという御指摘だと理解しております。
○佐藤(雄)委員 その最後の点なのですが、内視鏡を繰り返すことで、そういうことが起こらないというのは、つまり、治れば薬を止める、そのことによって起こらないという理解でよろしいですか。
○機構 御指摘の点も、もちろん広い意味では入ってくるのですが、平石委員の御質問の主旨は、新しい事象、腫瘍系の発生が起こらないということを確認したらいかがかという御指摘ではないかと理解しております。
○佐藤(雄)委員 もう少し直接的に伺うと、内視鏡によって神経内分泌腫瘍自体は分かりませんね。
○機構 それを認識するのが内視鏡の作業の一つということです。
○佐藤(雄)委員 分かりました。そうすると、薬を途中で止められない長期使用に関する特定使用成績調査については、内視鏡で神経内分泌腫瘍の確認をすると。恐らく人では起こらないだろうと思われるけれども確認をするという理解でいいですか。
○機構 おっしゃるとおりです。
○佐藤(雄)委員 分かりました。ありがとうございます。
○松木部会長代理 しつこいようですが、私もやはりガストリンのところが少し気になってます。従来の非可逆的なプロトンポンプインヒビターに比べたら、もっと速やかに戻ると思っているのですが、やはり投与終了後2~8週間たたないと元に戻らないということで、もしかしたら、このガストリンに対するダイレクトなエフェクトが何かあるのではないかと。やはりガストリンは最近、長期的な作用として、増殖作用があるということはいろいろ指摘されているところなので、この神経内分泌腫瘍以外、例えば壁細胞の増殖などが結構起こってくると言われています。機構の方も十分認識はしているようですので、その点の市販後調査をしっかりやっていただきたいと思います。
○松井部会長 市販後調査でよろしいということですね。
○松木部会長代理 そうです。そういう可能性があるということを十分認識していただきたいと思います。
それから別の点です。細かな点なのですが、添付文書の1.8の4ページの右側の用法・用量の二つ目の「逆流性食道炎の場合」という所です。最初の「通常、成人には」というところで「4週間で」と、「効かないときは8週間まで」ということはいいのですが、次の「さらに」という接続詞が非常に気になります。「さらに」で「再発・再燃を繰り返す場合」というのがあって、これは「さらに」ではつながらないと思うのです。これは別のことを言っているのであって、前は投与期間のことを言っているのに、その次は、10mg、不十分の場合は20mgと言っていて、これは非常に分かりにくい文章だと思うのです。ここを読むと、先ほどのガストリンのことも、8週をマキシマムとしてということで理解してよろしいということですか。
○機構 資料中の1.7の5ページを御覧ください。右の段にランソプラゾール、タケプロンの用法・用量が記載されています。その上から二つ目の○に「逆流性食道炎の場合」という記載があり、その3行目「さらに、再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法において」と記載があります。同様の使用方法をされるランソプラゾールと同一の記載としております。
○松木部会長代理 いつも議論になる。前例があるからそれでいいのだということにはならない。何か、前例が間違っていたら次も間違わなければいけないことになると思うので。やはりここは「さらに」ではないと思うのです。検討いただきたいと思います。
○審査第一部長 補足させていただきます。これを御覧いただくと、元の文章からレイアウトが違うのです。恐らくランソプラゾールの方は、改行をして、「さらに」という部分が、一度、行を変えて、別の話であることが分かりやすくなっているのですが、本剤については、そのまま続いているようなところもあって、書き方を変えるのはなかなか難しいのかもしれませんが、タケプロンの書き方などを見ながら、少なくとも改行するなどの工夫をさせていただければと思います。
○松井部会長 どこを改行するのですか。「さらに」の前ですか。
○審査第一部長 「さらに」の部分で改行させていただければと思います。先ほど御覧いただいた資料中の1.7同種同効品一覧表の5ページです。
○松井部会長 分かりました。では、これは検討していただくということでいいですか。
○松木部会長代理 ほかがそうだとしょうがないですね。
○松井部会長 では、よろしくお願いします。ほかにありますか。
○川上委員 教えていただきたいのですが、作用機序として可逆的で競合阻害型の薬剤ということで、一方で体内動態の半減期が6~7時間ぐらいですので、1日1回投与では作用が切れてしまうのではないかというのが通常の理解なのですが、例えば薬理学試験などで胃内pHを24時間継続して見られた場合に、例えば既存薬のランソプラゾールに比べて、この薬剤の薬効が早く落ちてくるとか、そういったことはないのか。もし何か情報があれば教えてください。要するに、1日1回投与が適切かというところも含めて疑問を持ったものですから、教えていただければと思います。
○機構 先生がおっしゃられたpHの評価に関しては、本剤の臨床薬理試験で得られたpHホールディングタイムの結果を踏まえると、24時間の投与については、おおむね合理的であろうと判断しております。
○神田委員 逆流性食道炎の場合の用法・用量のところで、先ほども「さらに」という話がありましたが、私も、これでは漫然と使われるのではないかという気がしましたが、そこは検討されるということでしたので、別のことをお聞きします。
8週までということで最長期限を切っていますが、維持療法については、いろいろ注意喚起がなされるということなので心配ないのでしょうけれども、これは最長期限を切る必要がないのでしょうか。
○機構 逆流性食道炎の患者さんの病態については、もちろんこれはほかの剤でもそうですが、なるべく短い治療期間で済めばそれでよいのですが、一般には、一定の割合の患者さん、おおむね3分の1程度の患者さんは、再発・再燃を繰り返す、あるいは、通年とまではいかずとも、相当長い期間にわたって実際に治療を必要とされる患者さんがおられることは確かだと思います。そういう意味で、既存のPPIの場合には、全ての患者さんではありませんが、御指摘のありました逆流性食道炎の患者さんの維持療法が長期に継続される場合があるということは私どもも認識はしております。ただ、この剤が果たしてそのようなところの位置付けになっていくかどうかについては、今の時点では不明の点もありますし、少なくとも当座の間は、そこにも書いてあるように、比較的短い期間の使用が望まれるのではないかと考えております。その辺りについては、企業の方にも申し伝えて、過剰な投与が継続しないように注意を払うべきと考えております。
○松井部会長 是非そのようにしていただきたいと思います。ほかにはありますか。大分、議論が盛り上がりましたが、本議題について議決に入りますがよろしいでしょうか。なお、武田委員、野田委員におかれては利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただきます。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告という形にいたします。議題4に移ります。よろしくお願いします。
○機構 審議事項議題4、資料4「医薬品メチレンブルー静注50mg『第一三共』の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、機構より御説明申し上げます。
メトヘモグロビン血症は、様々な原因により血中のメトヘモグロビン濃度が上昇することにより、ヘモグロビンを介した組織への酸素供給が障害される疾患であり、頭痛、悪心、意識障害等の症状が発現し、血中メトヘモグロビン濃度が70%以上になると致死的な転帰となります。メトヘモグロビン血症の原因としては、遺伝子異常による先天的なものと、中毒性の後天的なものに大別されますが、大半は後天的なものであり、ジアフェニルスルホン等の医薬品やアニリン等の化学物質等が中毒を起こす原因物質として知られています。
本剤の有効成分であるメチルチオニニウム塩化物水和物(以下、「メチレンブルー」)は、生体内でメトヘモグロビンをヘモグロビンに還元します。メチレンブルーは、国内外の教科書に代表的な中毒治療剤として記載され、広く使用されていますが、本邦では、現時点で医薬品として承認された製剤がないため、試薬を用いて調製した院内製剤等が使用されてきました。このような状況を踏まえ、一般社団法人日本中毒学会及び一般社団法人日本救急医学会から、中毒性のメトヘモグロビン血症に対するメチレンブルーの開発要望書が提出され、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、「医療上の必要性が高い」と判断され、申請者により開発が行われることとなりました。なお、本剤は、欧州において2011年5月に承認されています。
申請者は、メトヘモグロビン血症の発生頻度は低く、かつ散発的であるため、患者を対象とした臨床試験の実施は困難であること、また、メチレンブルーは遺伝毒性を有するため、健康成人を対象とした臨床薬理試験の実施も困難であることから、欧州承認申請資料、国内外の公表論文及び教科書等から申請データパッケージを構築し、本申請に至りました。
本品目の専門協議では、本日の配付資料11に示します専門委員を指名いたしました。
続いて審査の概要です。有効性に関し、報告書28ページの冒頭を御覧ください。機構は海外臨床試験、公表論文、国内外の使用実態調査及び症例報告において、メトヘモグロビン血症に対するメチレンブルーの投与により、メトヘモグロビン濃度の低下やメトヘモグロビン血症の臨床症状の回復及び改善が報告されていることから、中毒性のメトヘモグロビン血症に対する本剤の有効性は期待できると考えました。
次に、安全性について、報告書28ページ中ほどから29ページを御覧ください。海外臨床試験等に基づくと、メチレンブルーの主な副作用として、悪心・嘔吐、腎機能障害、溶血性貧血等が認められておりますが、機構は、メトヘモグロビン血症は、適切な治療が行われない場合には死亡に至る可能性があることを考慮すると、適切な注意喚起の下で本剤が使用される限り、本剤の安全性は許容可能と判断しました。
続いて、報告書39~40ページを御覧ください。グルコース-6-リン酸脱水素酵素欠損症等の先天性の酵素欠損症の患者では、本剤の投与により溶血を起こす可能性があること、また、塩素酸塩によるメトヘモグロビン血症の患者及びシアン中毒の解毒を目的として投与された亜硝酸化合物によるメトヘモグロビン血症の患者については、本剤の投与により、それぞれ次亜塩素酸塩及びシアンによる毒性が生じる可能性があることから、添付文書の禁忌の項等において適切に注意喚起する必要があると考えました。
また、今般申請された製剤の本邦における中毒性のメトヘモグロビン血症に対する使用経験はないことから、製造販売後には、本剤が投与された全例を対象に本剤の安全性及び有効性に関する情報を収集し、医療現場に適切に情報提供する必要があると考えました。
以上のような機構での審査の結果、中毒性メトヘモグロビン血症に対する本剤の有効性は期待でき、安全性は許容可能と考えられたことから、再審査期間中に本剤が投与された全症例を対象とした製造販売後調査に係る承認条件を付した上で、承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。
なお、本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、原体は毒薬、製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断いたしました。薬事分科会では報告を予定しております。
御審議、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質疑をお願いします。
○佐藤(田)委員 この病態の中で、先天性の酵素欠損ではない中毒について教えてください。かなりこの中毒で頻度があるように今お話されました。特に、38ページからの所で、「授乳婦への投与」についてということも重ねて書かれております。実際にこの中毒、後天性に起こる中毒というのは、まさかこのメチレンブルーがこのように使われているとは夢にも思わずで、これが出たときにびっくりしたのです。簡単に何が起こって中毒になって、このメトヘモグロビン血症を起こすのか。ということは、かなり使用頻度が高いのでしょうか。
○機構 いえ、頻度としてはそれほど高いものではありません。報告書の26ページに国内の使用実態についてまとめたものがあります。報告書26ページの中ほどに、国内使用実態調査の結果を提示しています。これは中毒学会と救急医学会により実施された使用実態調査ですが、各施設を対象に遡及できる範囲で過去10年ほど(中央値:8年)の間に、メトヘモグロビン血症に対して、メチレンブルーを使用した症例が調査されました。
これによりますと、15施設、27症例から報告がありまして、この27症例のうちには、手術等で染色目的で投与された例も含まれておりましたので、それらを除きまして、医薬品や化学物質等による中毒性のメトヘモグロビン血症が明らかな患者を特定しますと12例です。大体、今までの遡及可能な症例を集めましても、日本で12例ほどというような感じになっております。頻度が高いという状況ではありません。
○佐藤(田)委員 今、拝見して、もしかすると化学構造上、このものの原因になっているのが一つに括られてくるのかどうか。化学構造式は分からないのですが、排気ガスから、何か結構な範囲の所があるのだと思いました。これは学会の今の報告から取り出したということですが、使用頻度としては、かなりあるものと推定されますか。教えていただきたいのです。
○機構 頻度としては、極めて低いと思います。
○機構 頻度は少ないのですが、医療現場に置いておかないと緊急時に使用できないというところで、救急医療センターなどの所には置いていただくことになるかと考えております。
○松井部会長 メトヘモグロビンですから、臨床的には、チアノーゼを来たすわけです。それで、私の間接的に経験したというのは、前任者のときに、私が赴任する前に来た患者で、粉ミルクを井戸水で作ってメトヘモグロビン血症を起こしたという例があったようです。井戸水の根本的な原因を今すぐには思い出せないですが、そういうことでもあり得る。粉ミルクを井戸水で作る、溶かすというのは、通常考えられないですね。ほかにありますか。
○松木部会長代理 添付文書の「適用上の注意」として、「析出する場合があるので、体温付近の温度で約3分間振盪し」とありますが、こんなに色が濃いのに析出しているのが分かるのですか。これが製剤サンプルですね。
○機構 はい。
○松木部会長代理 非常に大きな粒として析出するので、アンプルの底に残るとか、そのくらいのことを想定しているのですか。
○機構 投与するときに注射器に取るので、分かるのではないかと思っています。
○松木部会長代理 使う人は、多分非常に特殊な立場の人なので、使い慣れているのかもしれないですが、本当に析出して見えるかどうかというのは確認しておいてもらいたいと思います。
○機構 分かりました。では、企業には伝えます。
○松井部会長 ほかにありますか。
○古川委員 国内の症例は8例で、安全性について検討したのは1例と書いてあります。27ページの上の方です。
○機構 症例報告ですか。
○古川委員 国内小児例は8例で、「安全性については、国内小児1例が検討対象となった」とあります。症例が少ないからというのはもちろんよく分かるのですが、非常に小さな子供、3か月前の乳児に使ったりするに当たって、国内小児例1例ということでは心配です。外国の論文を引用して使っていいよということになっているかと思うのです。例えば、この専門委員に小児科医などを入れる必要があったのではないでしょうか。
○機構 そうですね。小児の先生は入れています。
○古川委員 いらっしゃるのですか。どなたがそうですか。
○機構 はい。配布資料11の国立成育医療研究センターの中村秀文先生です。
○古川委員 松井先生の所ですか。そうですか。では、よろしいのですかね。
○松井部会長 私は今、成育ではありませんが。
○機構 国内の経験は限られていますが、海外では比較的小さなお子さんに投与した経験が豊富なので、それらを参考にして、今回は安全性については許容可能と考えました。
○古川委員 分かりました。
○松井部会長 ただ、注意しなければならないのは、先ほどの御報告にあったように、1時間たって、効き目がない場合には別のことを考えなくてはいけないということは、強調しておかなければいけない。
○機構 そうですね。投与量が過剰になるとメトヘモグロビン血症の憎悪や溶血を起こすおそれがあります。そこは添付文書案において、まず小児の患者については、「用法・用量に関連する使用上の注意」の3番目に注意喚起を記しております。残念ながら、最大累積投与量に関する情報は限られているのですが、その分、十分に注意してほしいということを、「新生児及び生後3か月以下の乳児では、本剤によりメトヘモグロビン血症の増悪や溶血を起こしやすいため、繰り返し投与を行う場合は、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること」と記載しております。慎重投与の項にも、同じような注意喚起を記載しております。そこはやはり、十分注意が必要だと思っております。
○松井部会長 ほかにありますか。特にないようでしたら、議決に入っていいでしょうか。なお、小川委員、川上委員、武田委員、野田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。本議題につきまして、承認を可としてよろしいですか。
ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告といたします。議題5に移ってください。
○機構 審議事項議題5、資料5「医薬品ベピオゲル2.5%の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、機構より御説明を申し上げます。
尋常性ざ瘡、いわゆるニキビですが、ニキビについては、その病因として、皮脂分泌の亢進や男性ホルモン等の分泌的要因、アクネ菌の増殖による炎症等があります。本剤の有効成分である「過酸化ベンゾイル」は、分解過程でフリーラジカルが生じ、尋常性ざ瘡の原因となるアクネ菌等に対して、抗菌作用を示すものと考えます。今般、申請者は、尋常性ざ瘡の患者に対する本剤の有効性及び安全性が、国内臨床試験成績等から確認されたものと考え、承認申請に至りました。なお、過酸化ベンゾイルを含有する外用剤は、本年4月現在、欧米等の41か国において承認されています。
本品目の専門協議では、本日の配布資料11に示します専門委員が指名されています。
以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に御説明申し上げます。主な臨床試験成績としては、国内で実施されました第II/III相試験の成績が提出されています。
有効性に関しては、報告書24ページの表12を御覧ください。表12のとおり、主要評価項目である炎症性皮疹数の減少率について、2.5%群及び5%群のプラセボに対する優越性が認められたことから、機構は、本剤の有効性は示されたものと判断しました。
安全性に関しては、報告書30ページの表の20を御覧いただければと思います。この表の20ですが、第II/III相試験における有害事象を示したものです。過酸化ベンゾイル製剤の投与により、「一般・全身障害及び投与部位の状態」、「皮膚及び皮下組織障害」に分類される有害事象が、プラセボ群に比べて多く認められました。機構は、有害事象のほとんどが軽度であり、また休薬等により回復していることから、適切な注意喚起を行うこと等の対応により、本剤の安全性は許容できるものと判断いたしました。
また、本剤の用法・用量については、報告書37ページを御覧ください。この上段の1)の部分ですが、適用部位の刺激感の発現状況等から、2.5%製剤を選択したことは妥当と判断いたしました。
以上、機構での審査の結果、尋常性ざ瘡に対する本剤の有効性が示され、安全性は許容可能と考えられたことから、医薬品リスク管理計画に係る承認条件を付した上で、承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。
なお、本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、原体及び製剤はいずれも毒薬及び劇薬に該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断いたしました。薬事分科会では報告を予定しています。
御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
○松井部会長 ありがとうございます。委員の先生方、質疑をお願いします。日本での承認が遅れた理由は何かあるのでしょうか。
○機構 推測にはなりますが類薬がかなり出ていたため、本剤の承認申請が我が国においてなされなかったということではないかと思います。
○松井部会長 何か、御質疑がありますでしょうか。
○松木部会長代理 用法・用量でも、必ず洗顔後に使用と書いてあるので、顔面の使用しか想定していないということですか。
○機構 基本的には顔面の使用を想定しています。
○松井部会長 よろしいですか。ほかにありますでしょうか。それでは、議決に入ってよろしいでしょうか。なお、村田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づいて、議決への参加を御遠慮ください。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告といたします。それでは、議題6に移ってください。
○機構 審議事項議題6、資料6「医薬品ビミジム点滴静注液5mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、機構より説明申し上げます。
本剤の適応対象であるムコ多糖症IIIIA型は、ケラタン硫酸やコンドロイチン-6-硫酸等のグリコサミノグリカンを分解する酵素であるN-アセチルガラクトサミン-6-スルファターゼの活性が低下する常染色体劣性遺伝疾患です。グリコサミノグリカンが組織に蓄積することで、骨格形成不全、筋骨格障害又は呼吸機能不全を呈し、進行が速い患者の場合は10歳から20歳で死亡に至ります。本剤はムコ多糖症IIIIA型に対する酵素補充療法に用いる薬剤であり、ヒトN-アセチルガラクトサミン-6-スルファターゼに高マンノース型糖鎖及びリン酸化高マンノース型糖鎖を付加させた酵素製剤です。
本邦におけるムコ多糖症IIIIA型の患者数は約30例と推定されており、本剤は希少疾病用医薬品に指定されています。現在、本邦において、ムコ多糖症IIIIA型に有効な治療薬は承認されておりません。本剤は本年2月に米国、4月に欧州で承認され、2014年8月現在、世界30か国以上において承認されております。
本品目の専門協議は、資料11に示す先生方を専門委員として指名させていただいております。以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明いたします。
まず、有効性については、審査報告書30ページ表11を御覧ください。国際共同第III相試験であるMOR-004試験において、主要評価項目とされた第24週の6分間歩行試験における歩行距離について、プラセボ群に対する本剤毎週投与群の優越性が示されました。日本人症例数は6例と少数例でしたが、審査報告書31ページ表14に示したように、個別症例ごとに検討した結果、本剤毎週投与群で改善傾向が認められました。以上を踏まえると、本剤の有効性は示されたと解釈して差し支えないと考えております。
安全性については、報告書44~53ページの「(3)安全性について」の項に記載したように、国内外の臨床試験における有害事象及び副作用の発現状況、並びに過敏症、Infusion associated reaction、抗体産生による影響等の個別の事象について検討した結果、適切な注意喚起等がなされることを前提とすれば、本剤の安全性は許容可能と判断しております。
なお、国内での治験症例が極めて限られておりますので、製造販売後、再審査期間中の全投与症例を対象に使用成績調査を実施して、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講ずる旨の承認条件を付すことが適当と判断しております。
以上のとおり、機構での審査の結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。本剤は、希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、生物由来製品に該当すると判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。
御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○松井部会長 ただ今の議題6について、質疑をお願いいたします。
○村田委員 効果について教えていただきたいのですが、表14を拝見しますと、例えば被験者1とか2は、第12週、6m歩行の歩行距離ですから長い方がいいと思われますが、12週よりも24週が意味があるのかどうか。でも、ベースラインの値を見ると、やはり意味があるとも思いますが、むしろ下がっているようにも思えます。このような酵素欠損の状態は、当然、酵素を入れてあげれば良くなるわけですから、早期に治療をした場合に非常に良くなるでしょうし、逆に生きている限りは、エンドレスに使うことになると思うのです。一方で、ある程度の年齢になられてから診断された場合というか、治療を開始した場合は、どこがマックスなのかと。ほかの病気もそうなのですが、どこまでやったらいいのだろうと思うことが結構あるのですが、それでも、例えばポンペ病などですと、大人になってから私たちが治療を始めても、3年ぐらいは間違いなく良くなって、それがキープできているという印象です。なので、結構高齢の方でも治療を続けることに意味があると思ってやっているのですが、6か月程度で3か月をピークに効果が下がってしまっているように見えているものに関して、本当に酵素が補充できているのかというか、この疾患に対しての酵素補充療法はどの程度のものと考えておられるのか。また、呼吸機能が問題になっていることが多いかと思うのですが、呼吸機能に関しては、この場合は評価はされていないのですか。日本は6例しかないですが、海外国際共同で全体がもう大きいと思うのですが、その方たちは6か月後もかなり。できれば6か月だったらより良くなってほしいと思うのですが。というような結果だったのでしょうか。
○機構 機構よりお答えさせていただきます。まず、1点目で審査報告書31ページ表14の被験者1と2の患者のことをお伝えいただいているかと思います。第12週と24週の値はベースラインよりは高いのですが、第12週と24週で差が見えてしまっています。6分間歩行距離は、患者が6分間の間に限りなく努力した上での歩行距離を見るもので、今回は2回測定していますので、ある程度ばらつきは抑えるようにはしているのですが、やはりそのときによってばらつきが生じてしまいます。しかしながら、全体集団で見ますと、毎週投与群でプラセボ群に対する優越性が示されています。
また、長期有効性についてですが、こちらは審査報告書42ページで議論しております。図1の一番上の点線が本剤毎週投与継続群になりますが、こちらについては24週、36週と6分間歩行距離は増加しており、ある程度の効果は維持できていると考えておりますので、本剤についての有効性は確認できていると考えております。
御質問いただいた2点目は、年齢に応じてそれぞれ違うのかということかと思います。こちらについては、臨床試験では5歳から57歳の方が組み入れられております。審査報告書55ページに安全性になってしまうのですが国内外の臨床試験の併合解析での例数を記載しております。臨床試験で検討された多くが18歳未満で、年齢の高い患者についての検討は不十分ですので、製造販売後の全例調査において有効性・安全性を検討していきたいと考えております。
臨床試験で呼吸機能を測っているかについてですが、審査報告書30ページの表12に示している「最大換気量」を測っております。ベースラインからの変化でいうと、プラスの方向に動いております。残念ながら有意差はありませんでしたが、改善傾向は示されていると考えております。
○松井部会長 よろしいでしょうか。村田委員にお聞きしようと思っていたのですが、ポンペ病などのときにも、すなわち病気によっても、製剤によっても、抗体のでき方は違うようですね。抗体ができると、一般に効果が落ちるのかと思うと、モルキオの場合もできているようですが、特に抗体と症状とは余り相関していないのでしょうか。機構の方で調べられましたか。
○機構 機構よりお答えさせていただきます。抗体産生の影響については、審査報告書51ページ以降において議論しております。52ページの上から4行目になりますが、総抗体陽性・陰性の被験者で、6分間歩行距離とか3分間の昇段試験の昇段数、また最大換気量について大きな違いは見えていないという結果が得られております。
ただ、やはり臨床試験内での検討であり、試験期間が不十分です。製造販売後調査において抗体を測定することになっており、審査報告書60ページ表46の「主な調査項目」の最後になりますが、「抗エロスルファーゼアルファ抗体産生の影響」を検討していく予定です。
○松井部会長 増井委員、何かコメントはありますか。特にありませんか。ほかに御意見はありますか。
○加藤委員 今の抗体のことについて、販売後調査をするということがもうお答えになったようなのですが、よく分からなかったのは、例えば報告書の26ページ、「抗体産生による薬物動態の影響」で、004試験と005試験では、いずれの投与群においても、24週までに全例陽性になっているということで、27ページの表9を見ても、24週の所でほとんど100%に近いぐらい総抗体は陽性で、中和抗体もかなり高い。だから、ほとんどの患者で抗体ができているということになっていると思うのですが、先ほど御説明に使っていただいた52ページの表39を見ると、私は見方が間違っているのかもしれないのですが、抗体陰性の分はN=49になっているにもかかわらず、抗体陽性の分はN=9と、これだけ見ると陽性が非常に少ないような、要するに大部分が陽性になっているにもかかわらず、この解析は大部分のうちのほんのわずかな陽性群だけしか使っていないような感じに私には見えるのですが、この陰性群が49例で陽性群が9例というバランスは、何か意味があるのか。どうしてこのようになっているのか教えてください。
○機構 私の説明が足りなかったかもしれないのですが、表39はベースラインにおける抗体陽性ですので、先ほどのお答えはベースラインでの抗体陽性と陰性の被験者についての説明です。この記載の上の段落において、中和抗体の陽性率と6分間歩行距離、3分間昇段数、最大換気量のベースラインからの変化についても相関を確認していますが、明らかな関連は認められておりません。
○松井部会長 以前にどこかで治療を受けているということですか。
○機構 いいえ、審査報告書27ページの表9を見ていただくと、総抗体について、プラセボ群でもベースラインで20.3%の人が陽性であり、ほとんどバックグラウンドレベルではあるのですが、N-アセチルガラクトサミン-6-スルファターゼを認識しているのではないかと考えております。本剤群でもベースラインにおいてバックグラウンドレベルで検出されていますが、本剤を投与することにより抗体価はかなり高くなっています。
○松井部会長 梅沢先生、成育の副研究所長として何かコメントがあれば。
○副審査センター長 特にありません。
○松井部会長 抗体のことについては、きちんと明確に記載しておくことが必要だということだと思います。それから、アナフィラキシーも起こり得るのでしょう。
○機構 はい。本剤は蛋白製剤であり、臨床試験においてもアナフィラキシーが認められております。したがって、1.8の1、添付文書(案)の1ページの「警告」欄において、重篤なアナフィラキシー反応が発現する可能性があるので、まず緊急時の十分な対応のできる準備をした上で投与を開始していただくということ。また、投与中だけでなく、投与終了後も十分に観察していただくこと。また、発現した場合には、直ちに中止して適切な処置を行うことを注意喚起しております。
○松井部会長 ほかに御質疑はありませんか。議決に入ります。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
ありがとうございます。承認を可として薬事分科会に報告といたします。議題7に移ってください。
○事務局 審議事項議題7、資料7「ボセンタンを希少疾病用医薬品として指定することの可否について」、事務局より説明いたします。
資料の評価報告書のタブをお開きください。名称がボセンタン水和物です。こちらはエンドセリン受容体拮抗薬で、現在は肺動脈性肺高血圧症の治療薬として承認されております。予定される効能・効果は、全身性強皮症に伴う皮膚潰瘍で、全身性強皮症による血管障害に基づく末梢循環不全が原因で皮膚潰瘍が発生するものです。申請者はアクテリオンファーマシューティカルズジャパン株式会社です。
まず、対象患者数について説明いたします。資料の2ページ目、初めの段落に記載のとおり、全身性強皮症、お手元の資料ではSScと略してありますが、その患者数は約28,000人と推定されております。強皮症患者のうち、皮膚潰瘍を合併する患者の割合から国内外の文献を踏まえ、治療対象患者数は約5,600人と推定されております。
次に、医療上の必要性について、2ページ後半から述べられております。全身性強皮症に伴う皮膚潰瘍は、一度形成されると血管障害・創傷治癒遷延などの要因により、極めて難治な潰瘍です。また、指の先端や関節部に生じるため痛みが強いことが多く、重症例では壊疽となることも少なくありません。
2.の2段落目から記載してありますとおり、我が国のガイドラインでは重症度分類に応じた治療法として、カルシウム拮抗薬、ベラプロストナトリウム、抗血小板薬などが記載されておりますが、国内では全身性強皮症に伴う皮膚潰瘍の治療や予防に対する効能・効果を持つ医薬品は存在しない状況です。また、本薬は日本皮膚科学会から要望がありまして、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議を経て、開発要請がなされております。
最後に、開発の可能性について、3ページ下の方から記載があります。海外においては、プラセボ対照無作為化二重盲検試験が2試験行われ、新たに発生する潰瘍の数を有意に抑制する結果を得ております。我が国については、4ページ目の下から3段落目に記載がありますが、機構の対面助言を踏まえ、国内非盲検非対照試験を現在実施中です。
以上より、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○松井部会長 御質問等あればお願いします。特段ありませんでしょうか。もしなければ、議決に入りますが、よろしいですか。本議題について、指定を可としてよろしいですか。
ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告といたします。議題8に移ってください。
○事務局 審議事項議題8、資料8「エクリズマブ(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について」、機構からの評価報告書に沿って事務局より説明いたします。事前評価報告書のタブをお開きください。
報告書1ページ中ほどにありますとおり、申請者はアレクシオンファーマ合同会社、予定される効能・効果は「難治性全身型重症筋無力症」となります。希少疾病用医薬品の指定要件三つについて、順に説明いたします。
まず、「対象患者数」についてですが、1ページの最下段から2ページの上段を御覧ください。平成24年度の重症筋無力症に対する特定疾病医療受給者証交付件数は19,670件と報告されており、その他、疫学調査の結果を踏まえると、患者数が5万人未満という基準を満たしているものと考えております。
2ページの「2.医療上の必要性について」です。重症筋無力症は、外眼筋麻痺等が初期症状として発症し、約85%の患者で3年以内に症状が四肢を含む全身に拡大する疾患です。本邦においては、本疾患に対する治療薬として、コルチコステロイド及び免疫抑制薬が主に使われており、より重症の患者に対してはシクロホスファミド等が使用されております。しかしながら、これらの治療を行っても症状が改善しない患者が存在することから、難治性全身型重症筋無力症の患者に対しては、新たな治療法が必要とされております。本剤は、補体に結合し、抗アセチルコリン受容体抗体の作用を抑制することによって、重症筋無力症の治療に有用であると期待されます。以上より、医療上の必要性は高いと考えております。
最後に、3ページの「3.開発の可能性について」です。外国人患者を対象にした臨床試験において有用性が示唆されており、現在実施中の、国際共同第III相試験及びその継続長期投与試験に日本からも参加していることから、本剤の開発の可能性は高いと考えております。
以上から、本剤は希少疾病用医薬品の指定要件を満たすものと判断しております。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○松井部会長 御質疑をお願いします。村田委員、何かありますか。
○村田委員 数は少ないですが、難治の方はいらっしゃいますので、開発されると有り難いと思います。
○松井部会長 ほかに御質疑はありませんか。それでは、議決に入りますが、よろしいですか。なお、武田委員、野田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮ください。本議題について、指定を可としていいでしょうか。
ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告といたします。
残るのは報告事項ですが、大分時間を超過していますので、一括してお願いできますか。
○事務局 報告事項を説明いたします。医療用医薬品の再審査結果について、報告いたします。資料番号は9-1~9-6になります。
資料9-1、一般的名称は「フォリトロピンベータ(遺伝子組換え)」となります。販売名は、含量が抜けておりますが、正しくは「フォリスチム注50、同注75、同注150、同注300IUカートリッジ、同注600IUカートリッジ及び同注900IUカートリッジ」です。訂正させていただきます。
資料9-2、資料9-3は、一般的名称は「ソマトロピン(遺伝子組換え)」、販売名は「ジェノトロピンTC注用5.3mg、同TC注用12mg、同ゴーリック注用5.3mg及び同ゴーリック注用12mg」です。
資料9-4、一般的名称は「ソマトロピン(遺伝子組換え)」、販売名は「グロウジェクト注射用1.33mg、同注射用8mg及び同BC注射用8mg」となります。
資料9-5、一般的名称は「ソマトロピン(遺伝子組換え)」、販売名は「ノルディトロピンS注10mg、同フレックスプロ注5mg、同フレックスプロ注10mg及び同フレックスプロ注15mg」となります。
資料9-6、一般的名称は「アムロジピンベシル酸塩/アトルバスタチンカルシウム水和物」、販売名は「カデュエット配合錠1番、同配合錠2番、同配合錠3番および同配合錠4番」となります。
これらの品目については、製造販売後の使用成績調査等に基づいて、再審査申請が行われて、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられております承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はないカテゴリー1と判定されております。今回は以上です。
○松井部会長 委員の先生方から御質疑がありましたらお願いいたします。特にありませんか。これらの報告事項については、御確認をいただいたものといたします。本日の議題は以上なのですが、事務局から何か報告がありますでしょうか。
○事務局 次回の部会ですが、1月30日(金)午後3時から開催とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○松井部会長 本日はこれで終了といたします。どうもお疲れさまでした。
(了)
○松井部会長 皆さん、こんばんは。早速ですが本日の審議に入ります。事務局から、配布資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて、報告してください。
○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日、席上に議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布しています。また、議事次第に記載されている資料1~9については、あらかじめ送付しております。このほか資料10「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料11「専門委員リスト」、資料12「競合品目・競合企業リスト」を配布しています。
本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて、報告いたします。資料12の1ページを御覧ください。ジャディアンス錠10mg、同錠25mgですが、本品目は2型糖尿病を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
2ページを御覧ください。ノピコールカプセル2.5μgですが、本品目は慢性肝疾患患者におけるそう痒症の改善を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしています。
3ページを御覧ください。タケキャブ錠10mg、同錠20mgですが、本品目は胃潰瘍、十二指腸潰瘍等を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
4ページを御覧ください。メチレンブルー静注50mg「第一三共」ですが、本品目は中毒性メトヘモグロビン血症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしています。
5ページを御覧ください。ベピオゲル2.5%ですが、本品目は尋常性ざ瘡を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
6ページを御覧ください。ビミジム点滴静注液5mgですが、本品目はムコ多糖症IIIIA型を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしています。
7ページを御覧ください。ボセンタン水和物ですが、本品目は全身性強皮症に伴う皮膚潰瘍を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしています。
8ページを御覧ください。エクリズマブ(遺伝子組換え)ですが、本品目は難治性全身型重症筋無力症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
○松井部会長 今の事務局からの説明に特段の意見はありませんか。よろしいですか。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、委員の皆さんの御了解を得たものとします。委員からの申出状況について、これも報告をしてください。
○事務局 各委員からの申出状況について報告します。
議題1「ジャディアンス錠」、退席委員なし、議決には参加しない委員、小川委員、武田委員。
議題2「ノピコールカプセル」、退席委員なし、議決には参加しない委員なし。
議題3「タケキャブ錠」、退席委員なし、議決には参加しない委員、武田委員、野田委員。
議題4「メチレンブルー静注」、退席委員なし、議決には参加しない委員、小川委員、川上委員、武田委員、野田委員。
議題5「ベピオゲル」、退席委員なし、議決には参加しない委員、村田委員。
議題6「ビミジム点滴静注液」、退席委員なし、議決には参加しない委員なし。
議題7「ボセンタン」、退席委員なし、議決には参加しない委員なし。
議題8「エクリズマブ(遺伝子組換え)」、退席委員なし、議決には参加しない委員、武田委員、野田委員、以上です。
○松井部会長 今の事務局からの説明に何か御意見はありますか。よろしければ、皆さんに御確認を頂いたものとして議題に入ります。本日は審議事項が8議題、報告事項が1議題あります。早速、審議事項の議題1に移ります。よろしくお願いします。
○機構 審議事項議題1、資料1「医薬品ジャディアンス錠25mg及び同錠10mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、機構より御説明申し上げます。
本剤は、ナトリウム・グルコース共輸送担体2、いわゆるSGLT2の選択的阻害薬であるエンパグリフロジンを有効成分とする糖尿病治療薬です。SGLT2は、腎臓の近位尿細管におけるグルコースの再吸収を担っており、SGLT2を阻害することで尿糖排泄を促進し、インスリン非依存的に血糖を降下する作用を示しています。本剤は、2014年8月現在、アメリカ、欧州を含む世界37か国において既に承認されています。
本品目の専門協議では、資料11に示す先生方を専門委員として指名しています。以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明いたします。
有効性について、審査報告書の58ページの表24を御覧ください。単独療法に関する国際共同第III相試験の結果、主要評価項目とされたベースラインから本剤投与24週時までのHbA1c変化量について、プラセボ群に対する本剤10mg群及び25mg群の優越性が検証されました。また、同じページの表25に示したとおり、日本人集団についても、全集団と大きな違いのないことが確認されています。単独療法の長期投与試験については、国際共同第III相の延長長期投与試験が実施されており、審査報告書の63ページの図2に示したように本剤の効果の持続性も示されています。
審査報告書の67ページの図3を御覧ください。本剤とスルホニルウレア薬とビグアナイド薬、チアゾリジン薬、アルファ-グルコシダーゼ阻害薬、DPP-4阻害薬、速効型インスリン分泌促進薬との併用療法が国内第III相長期投与試験として実施され、各併用療法の効果の持続性が確認されています。
安全性については、審査報告書の59~60ページの表28~31と、63~64ページの表34~37、また、68~69ページの表40~41に示した第III相試験における有害事象及び副作用の発現状況について、また、76~94ページに記載しているとおり、本剤の低血糖、尿路感染症、性器感染症、体液量減少症や多尿・頻尿等といった個別の品目について検討した結果、適切な注意喚起等がなされることを前提とすれば、本剤の安全性は許容可能と判断しました。
製造販売後調査については、審査報告書の111ページと112ページの「(7)医薬品リスク管理計画(案)について」の項を御覧ください。3年間投与の評価症例として3,000例の長期特定使用成績調査と、発売日から3か月間に本剤が投与された高齢者を対象とした特定使用成績調査が計画されており、111ページの表65に示した検討事項に関する情報が収集される予定です。
以上のとおり、機構での審査の結果、2型糖尿病を効能・効果として、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。本剤は、新有効成分含有医薬品であるため、再審査期間は8年が適当であると判断しております。なお、原体及び製剤はいずれも毒薬又は劇薬に該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。
○松井部会長 委員の先生方から御質疑をお願いします。いかがですか。
○佐藤(田)委員 有害事象について教えてください。今回、先ほど競合品目3剤が出てきましたが、SGLT2阻害薬の3剤の中で、1剤に有害事象の5名の死亡例があったようですが、今回、本薬については、先ほどの表25あたりの有害事象では、大した有害作用はないとあります。
ただし、これは40数例のデータですが、先ほどの前出の3剤のどれかの死亡例との関連で、類薬から類推して考慮をする必要はないのかどうか、教えてください。
○機構 先生がおっしゃったのは、恐らく脱水による死亡例に関する情報が、市販後で報告されている件だと思います。脱水を含め体液量減少症については、審査報告書の83ページに記載しているとおり、審査の中で本剤についても検討しております。
脱水の発現状況については、日本の2型糖尿病の単独と併用療法の併合解析でプラセボ群1例、本剤10mg群4例、25mg群1例が認められていますが、プラセボ群と比較して本剤の脱水に関する発現割合が極端に多い傾向ではありませんでした。SGLT2のクラスエフェクトというか脱水については、浸透圧利尿で尿量が増加することから脱水についても懸念されていますが、その点については、注意喚起ということで、資料1の1.8の添付文書(案)を御覧いただければと思います。脱水については、資料の1.8の添付文書(案)の23ページの左側の「重要な基本的注意」の下、(8)に記載しています。
本剤は、「体液量が減少することがあるので適度な水分補給を行うように指導し、観察を十分行うこと」と。また、「脱水等の異常が認められた場合は、休薬や補液等の適切な処置を行うこと」と注意喚起を行っています。また、高齢者では生理機能が低下しており脱水が起こる可能性があることや脱水の認知が遅れることがあるため、その点についても添付文書で注意喚起をしています。また、情報提供資材についても、患者に脱水による注意喚起を行うように企業から資材を作成していただいているといった状況です。
○佐藤(田)委員 そうすると、投与する方の医療情報上の常識として、この添付文書があれば、そこには特に注意をするから大丈夫ということですか。
○機構 はい。現時点ではこのような添付文書等での対応を考えていますが、先生がおっしゃったとおり市販後の死亡例も認められていることから、現在、類薬も含めて添付文書の注意喚起を強化するように検討中です。
○松井部会長 いかがですか。脱水の症状が御本人に分かりますか。それは説明の文書の中に書かれていると。これは脱水だと御本人が判断できますか。
○機構 それについては資材等で、脱水の症状として、喉の渇き、体のだるさ、尿量の減少などが起きた場合には、注意してくださいというところで注意喚起をしています。
○松井部会長 佐藤委員、よろしいですか。
○佐藤(田)委員 はい。
○野田委員 SGLT2阻害薬の市販直後調査で、予想されていなかった、比較的というか、かなり多く見られる障害として、薬剤性の皮膚障害があると思うのですが、これについては111、112ページの「医薬品リスク管理計画(案)について」の表67、68で言うところの、「その他の有害事象等」に含まれて、ここでサーベイランスをするという理解でよろしいのですか。
○機構 はい、御指摘のとおりです。本剤については、審査報告の108ページで皮膚症状の状況について検討した事項を記載しています。審査報告書の108~109ページの上段に記載していますが、本剤ではSJS等、皮膚症状に関する重篤な有害事象は日本人で認められていません。また、海外と日本の併合解析でも、本剤で極端に皮膚症状が多いといった結果ではありませんでした。しかし、これらについて、臨床試験成績という限られたデータでもありますので、市販後調査にて情報収集を行い、皮膚症状についても情報提供資材等で注意喚起をする予定です。
○野田委員 最初の薬剤くらいであればそれでもよいかもしれませんが、これは6薬目ですか。それでこれまでの薬剤に関しては、かなり重篤な有害事象として、市販直後調査で、全身性の皮膚の紅斑とか、そういったものが出ていますが、それは管理計画を変更するまではいかないかもしれないけれども、特に情報収集をする必要があるのではないかと思いますので、そのあたりをよろしくお願いできればと思います。
○機構 はい、市販後の状況で注視していくように企業に伝達いたします。
○松井部会長 よろしいですか。
○野田委員 はい。
○川上委員 規格のことです。10mg錠と25mg錠を予定されているということで、同効薬で既に市販されている薬剤5つのうち三つは、通常のちょうど2倍の刻み幅の規格が市販されていると思うのですが、こういった半分でない規格のものを市販されるということで、医療現場に混乱を与えることはないのか、確認させてください。
○機構 先生の御指摘のとおり、本剤は10mg錠と25mg錠というところで、刻みが割り切れないところです。その点については、開発の用量設定の段階で、20mg錠が設定されていなかったというところから、25mg錠が設定されたという背景があります。
○審査第一部長 今の点、少々補足をします。審査報告の53ページに用量を検討した国内第II相試験があります。先ほどの説明と同様になりますが、用量の検討の段階で、53ページの表20の中ほどですが、5、10、25、50mgということで検討した中から、この2用量が選ばれたということで、国際的な共同開発ということで製剤の開発なども進んでいたので、結果が出てきてから用量をまた変えるのはなかなか難しいですので、注意をして使っていただければと考えています。
○川上委員 開発の経緯は理解できるのですが、例えば通常は10mgで、25mgまで増量できるという表現ですと、医療現場では10mg錠二つで20mgでいくのか、それとも25mg錠1錠でいくのか、増量時の判断としては迷うのですが、そこに対してはどういったサジェスチョンを頂けるのですか。
○審査第一部長 私どもは、あくまで今まで得られた臨床試験成績から情報を提供させていただくことになろうかと思うので、これまで検討されているのは10mgと25mgの関係ですので、10mgで不十分な場合には25mgをお使いいただくということで、基本的に情報提供はさせていただきたいと考えています。
○鈴木委員 SGLT2阻害剤は、体重減少効果があると思うのですが、本剤は何パーセントぐらい減少するのか、プラセボと比較してどのぐらいになるのか、教えていただけますか。できればパーセントで教えてください。
○機構 一番分かりやすいのは、パーセントではないのですが、添付文書の28ページに臨床試験成績が記載されていますが、例えば日本人の用量反応試験を実施した単独療法の成績が左上に記載されていますが、用量反応試験で体重の投与前値からの調和平均変化量のプラセボとの差は、本剤10mg群と25mg群でそれぞれ-1.70kgと-1.97gであったというところで、全体的に他の試験成績も見ると、体重が大体2~3kgぐらい減少するといった状況です。
○鈴木委員 それがどのぐらいのパーセントなのか。やせ薬を出したいと言っている所もあるようですので、教えていただきたいのですが。
○松井部会長 数字がありますか。
○審査管理課長 具体的な数字ですが、審査報告の59ページの表26などに具体的な数字が掲載されていて、これはプラセボが幾らで、本剤10mg、25mgそれぞれでどうだということの数字が出ています。実数で体重として、プラセボでも少し減っていて0.3kg、10mg群で2.24、25mgで2.47という減少があったと、そういう数字自体が出ています。これは元の体重が80kgぐらいの方々なので、パーセンテージにすると結構小さいかと思います。
○松井部会長 大体お分かりになりましたか。
○鈴木委員 一応わかりました。
○機構 審査報告書の59ページの表26から計算したところ、大体2、3%程度の減少が認められているといった状況です。
○松井部会長 それを頭に入れてということですかね。
○松木部会長代理 資料11の専門協議の委員の数が多いかと思ったら、「依頼時」と書いてあって、ほかが「指名時」というので、これは「依頼時」と「指名時」を書き分ける理由は何かあるのですか。非常に違和感を感じるのですが。
○松井部会長 御質問はお分かりですか。
○審査管理課長 多分、肩書の方が後で変わることがあるので、それで所属が変わったりするものですから、指名したときにはこの所属でしたという意味で書いているのだと思うのですが。
○松木部会長代理 依頼は依頼した時点ですか、最終的に担当した人を書けばいいのではないですか。
○審査管理課長 はい、指名時と依頼時は同じです。ただ、実際に依頼をしたときにどういうポジションにおられて、その上でこの方が適切と判断したという意味ででも記載しているのかと思うのですが。
○松木部会長代理 そうですか。なぜ、そのような質問をしたかと言うと、先ほど108ページの皮膚障害で「一部の専門委員より」という表現があって、これが引っ掛かるのです。多分、日本語で、一部の委員はそう言ったけれどもマジョリティーはそうではなかったというときに、こういう表現を使うと思うのです。ですから、多分、専門協議においてこういうことが少し問題になったという表現の方が適切だと思うのです。これと先ほどの資料から推察すると、一部の委員が反対をして協議に参加しなかったのかと思ってしまったものですから。
○審査第一部長 申し訳ありません。この専門委員の中には、品質とか、薬物動態であるとか、臨床の専門の先生方がおられるということですので、今、御指摘のあったように、一部というのは、臨床の先生方から御指摘があったという趣旨で書きましたが、確かに誤解を招くような部分があったかと思いますので、今後、記載ぶりについては気を付けてまいりたいと思います。
○神田委員 安全性の監視ということで、長期使用に関する調査が設定されていて、3年間と設定されているかと思います。2型糖尿病の場合には、薬を飲み始めたら、ずっと飲み続けなければならないということを聞いたりするわけですが、この3年間の設定が適切なのか十分なのかが気になりました。どこかの資料の中にこの病気のことについても、慢性病的であるとか、完全に治ることはないのだという説明がありましたので、もしかして、もっと長く飲み続けるのかと思ったものですから、確認したいと思いました。よろしくお願いします。
○審査第一部長 確かに人によっては多少長く飲み続けることがあるかと思いますが、ここでお願いをしている特定使用成績調査は、あらかじめ患者を登録して定期的にデータを頂く形での安全性の監視になります。3年間、副作用、服用当初に出てくるものも多いので、比較的早期の部分については重点的にしますが、当然、その後についても何か副作用が起こったら、ドクターから自発的な報告を頂く形で、引き続き監視は続けてまいりますので、そういった中で長期的なものの心配があれば、また計画を変えるなどして対応してまいりたいと思います。
○松井部会長 ほかにありませんか。議論は出尽くしたように思います。議決に入りますが、よろしいですか。なお、小川委員、武田委員においては、利益相反に関する申出に基づいて議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいですか。
ありがとうございました。異議はないものとして、承認を可として薬事分科会に報告といたします。それでは、議題2に移ってください。
○機構 審議事項議題2、資料2-1、2-2「医薬品ノピコールカプセル2.5μgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より御説明します。
本剤の有効成分であるナルフラフィン塩酸塩は、選択的 κ オピオイド受容体作動薬であり、本邦では、本剤と同一製剤であるレミッチカプセル2.5μgが2009年1月に、血液透析患者におけるそう痒症の改善(既存治療で効果不十分な場合に限る)の効能・効果で承認されています。本剤の申請効能・効果である慢性肝疾患患者におけるそう痒症の改善(既存治療で効果不十分な場合に限る)については、本邦において20 □年より臨床試験が開始され、今般、有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認申請が行われました。海外では、2014年8月現在、ナルフラフィン塩酸塩製剤について、同効能・効果で承認されている国はありません。
本申請の専門委員については、資料11に示す5名の委員を指名いたしました。
審査内容について、臨床試験成績を中心に説明いたします。第III相試験として、難治性そう痒症を有する慢性肝疾患患者を対象としたプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験が実施されました。この試験においては、プラセボ、本剤2.5μg又は5μgを1日1回、原則として夕食後に経口投与すると設定されました。
有効性について、審査報告書13ページの表8を御覧ください。主要評価項目は、投与4週目のかゆみに関するVAS変化量とされました。プラセボ群と本剤群のVAS変化量の群間差は、表8の一番下に示しているとおりであり、本剤5μg群、2.5μg群いずれにおいても、プラセボ群に対して統計学的に有意な差が認められました。
続いて、安全性について、審査報告書21ページの表16を御覧ください。血液透析患者を対象とした臨床試験成績と比較して、慢性肝疾患患者を対象とした臨床試験において新たに発現が認められた主な有害事象は、夜間頻尿、頻尿、血中抗利尿ホルモン増加及び総胆汁酸増加でしたが、そのほとんどが軽度の事象でした。そのほかの有害事象の発現状況も勘案し、全体として、慢性肝疾患患者における本剤のリスクは、血液透析患者と比較して明らかに高い傾向は認められていないと判断しております。
薬物動態に関する検討により、本剤は、肝機能障害の程度に応じて、血漿中未変化体濃度が増加する傾向が示唆されたことから、中等度以上の肝機能障害患者における安全性について検討いたしました。審査報告書26ページの表22です。臨床試験における中等度の肝機能障害であるChild-Pugh分類グレードBの患者数は少なかったものの、軽度の肝機能障害であるグレードAの患者と比較して、有害事象の発現率が高い傾向が認められました。しかしながら、投与中止に至る事象や、高度な事象の発現はなく、安全性に特段の問題は認められておりません。本剤が既存治療で効果不十分な場合に使用される薬剤であること、グレードBの患者において本剤の有効性は示唆されていることを勘案し、グレードBの患者に対して本剤の投与を可能とすることの臨床的意義はあると判断しております。
また、重度の肝機能障害であるChild-Pugh分類グレードCの患者は、臨床試験に組み入れられませんでしたが、これらの患者においても、かゆみに対する治療が必要な状況が生じる可能性はあると考えられることから、リスク・ベネフィットを勘案した上で、投与の可否を判断すること、投与中は継続して十分な観察を行うことを注意喚起した上で、グレードCの患者に対しても、医師の判断の下で投与可能とすることが適切と判断いたしました。
グレードB及びCの患者への投与については、使用成績調査で安全性・有効性を引き続き検討することを求めており、調査の中で重要な報告があればその時点で、使用成績調査の中で特に報告がない場合は再審査の時点で、データを確認する予定です。
以上の審査を踏まえまして、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は、既承認のナルフラフィン塩酸塩製剤とは異なる効能・効果に対する申請であることから、再審査期間は4年、製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。以上です。よろしく御審議のほど、お願いいたします。
○松井部会長 委員の先生方から質疑を求めます。いかがでしょうか。
○川上委員 教えていただきたいのですが、今回の薬剤と全く同一の成分、同一の製剤が同じメーカーから市販されているのですが、なぜ、既存薬の効能・効果の追加ではなくて、新薬として出てきているのか、その背景を教えていただきたいのです。
○事務局 審査管理課からお答えします。レミッチについては既承認なのですが、そちらは製造販売業者としては東レ株式会社、そして今回は東レ・メディカル株式会社ということで、製造販売業者自体が違うということです。今回の慢性肝疾患患者におけるそう痒症の改善の開発については、レミッチの製造販売業者である東レ株式会社と□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□を行っていたという状況です。しかしながら、開発の途中で□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□されたために、本剤は東レが□□□□□□□□□ものです。
レミッチについては、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□になっていますので、レミッチについては、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、レミッチの承認を取得している東レとは別法人の東レ・メディカル株式会社が申請を行ったということです。説明としては以上です。
○松井部会長 よろしいでしょうか。製造販売会社が異なるということです。
○審査管理課長 要するにこれは企業間の開発の、そういったいろいろな提携関係の結果として、やむなくこういう形を取らざるを得なくなったということです。医療現場的には、同じ物なのに違う効能で、名前が違っていてということで、どうしても混乱を生じやすいのではないかということについて、私どももその点はかなり懸念はしております。実際にどのような販売をし、現場に情報提供するのかということについて、今回の申請の経緯を踏まえて、実際に持っていく先が、透析を主にやっている領域と、肝疾患でも肝硬変を中心とした、かなり進んだアドバンスの疾患の患者さんを診ている診療科ということで、エリア的には大分違うのです。ただ、総合病院、大学病院の大きな所になると、全く同じ所に行ってしまいますので、そういった所で、現場的には非常にお困りなることがあるのではないだろうか、恐らくあるだろうということは想定されます。したがって、これを現場に持っていく際の説明は、かなり丁寧にさせていただくように、企業側に対して指導していきたいと考えております。現状ではそれが限界だと思いますので、よろしくお願いいたします。
○川上委員 今の説明で結構ですが、多分、医療現場から見ると、極めて似た名称の会社が、全く同じ製剤を別の新薬として市販されるということなので、混乱を生じたり、場合によっては薬価対策として別の新薬として出してきたのではないかと誤解するかもしれません。適用する患者は血液透析と慢性肝疾患で異なりますけれども、実際に使うのは同じような症状に対して使う薬剤ですので、決して疑うというわけではないのですが疑問を持たざるを得ない部分もあるかと思います。その辺りに対して、適切な御説明を、規制当局側からもよろしくお願い申し上げます。
○松井部会長 ありがとうございます。ほかにありますか。特段ありませんか。それでは議決に入ります。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告いたします。次は議題3です。お願いいたします。
○機構 審議事項議題3、資料3「医薬品タケキャブ錠10mg及び同錠20mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、機構より御説明します。
本剤の有効成分であるボノプラザンフマル酸塩は、胃粘膜壁細胞のプロトンポンプを可逆的かつ、カリウムイオン競合的に阻害することにより、胃酸分泌を抑制する、新しい阻害様式のプロトンポンプインヒビターです。今般、胃潰瘍等の既承認のプロトンポンプインヒビターと同様の効能・効果について申請されています。なお、2014年9月現在、海外において本剤が承認されている国又は地域はありません。
本品目の専門協議では、本日の配布資料11に示す専門委員が指名されています。以下、本剤の有効性・安全性について、臨床試験成績を中心に説明いたします。
まず、有効性についてです。逆流性食道炎の治療について、報告書62ページの表39を御覧ください。主要評価項目である投与8週後までの逆流性食道炎の治癒率について、ランソプラゾール群に対する本剤群の非劣性が検証されました。逆流性食道炎の維持療法について、報告書63ページの表41を御覧ください。主要評価項目である維持期投与24週後における逆流性食道炎の再発率について、ランソプラゾール群に対する本剤群の非劣性が検証されました。胃潰瘍について、報告書66ページの表46を御覧ください。主要評価項目である投与8週後までの胃潰瘍治癒率について、ランソプラゾール群に対する本剤群の非劣性が検証されました。ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助について、報告書68ページの表51を御覧ください。主要評価項目である一次除菌投与終了4週後のヘリコバクター・ピロリ一次除菌率について、ランソプラゾール群に対する本剤群の非劣性が検証されました。低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制について、報告書70ページの表54を御覧ください。主要評価項目である投与24週後の胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発率について、ランソプラゾール群に対する本剤群の非劣性が検証されました。非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制について、報告書76ページの表62を御覧ください。主要評価項目である投与24週後の胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発率について、ランソプラゾール群に対する本剤群の非劣性が検証されました。
十二指腸潰瘍について、報告書67ページの表48を御覧ください。主要評価項目である投与6週後までの十二指腸潰瘍の治癒率について、ランソプラゾール群に対する本剤群の非劣性は、統計学的には検証されませんでした。しかしながら、機構は、以下に述べる理由から、十二指腸潰瘍に対する潰瘍治癒効果がランソプラゾール群に比べて本剤群で臨床的に問題となるほど劣る傾向は認められていないと考えました。この点については、報告書の83~85ページに記載しております。
まず、報告書の84ページの表73の1段目です。FAS、すなわちFull analysis setを対象とした主解析の結果を示しております。本剤群の治癒率は95.5%であり、臨床的には十分な有効性が認められており、この点については、専門委員からも御賛同いただいております。同じく表73の2段目から4段目です。副次的解析等の結果を示しております。これらの副次的解析等においても、ランソプラゾール群との群間差は非劣性限界値とされた-6%を大きく下回っておらず、この試験の非劣性限界値は-6%と比較的厳しく設定されていたことも踏まえると、本剤の潰瘍治癒効果がランソプラゾール群に大きく劣るものではないと考えております。
最後に、今般申請された胃潰瘍を始めとした他の胃酸関連疾患ではランソプラゾール群に対する非劣性が検証されており、有効性が認められていること、また、臨床薬理試験成績から、本剤10mg以上の投与において胃酸を抑制することが期待されることから、機構は、十二指腸潰瘍を含む各申請効能・効果に対する本剤の有効性は示されたと判断いたしました。
次に、安全性に関して、報告書90ページの表81を御覧ください。各第III相試験における重篤な有害事象の内容や発現傾向については、本剤群とランソプラゾール群で明らかに異なる傾向は認められませんでした。また、各第III相試験における有害事象の発現割合も、ランソプラゾール群に比べて本剤群で高い傾向は認められず、長期投与においても本剤の長期投与により有害事象の発現割合が明らかに上昇する傾向も認められませんでした。
次に、報告書93ページの図1です。長期投与試験における血清ガストリン値の推移を示しています。本剤群(●及び■)では、ランソプラゾール群(○)と比較して、血清ガストリン値は経時的に上昇し、かつ、持続的に高い傾向を示しました。機構は、現時点では本剤の長期投与時において、血清ガストリン値が持続的に高いことに伴う神経内分泌腫瘍発現等のリスクは明確でないことから、臨床試験において血清ガストリン値がランソプラゾール群と比べて本剤で高い傾向を示したことについて、医療現場に適切に情報提供を行うとともに、本剤投与による高ガストリン血症及び神経内分泌腫瘍の発現等については、製造販売後調査において情報収集する必要があると考えました。
以上より、機構は、血清ガストリン値の上昇について注意が必要なものの、既存のプロトンポンプインヒビターの安全性情報も参考に適切な注意喚起を行うことで、本剤の安全性は許容可能と判断いたしました。
以上、機構での審査の結果、本剤の有効性は示され、安全性は許容可能と考えられたことから、医薬品リスク管理計画に係る承認条件を付した上で、本剤を承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。なお、本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、原体は劇薬に該当し、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、また、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断いたしました。薬事分科会では報告を予定しております。
平石委員からの事前にいただきました御質問についても、続けて説明してよろしいですか。
○松井部会長 お願いします。
○機構 本剤の説明は以上になりますが、本日御欠席の平石委員より、事前に御質問を頂きましたので説明させていただきます。なお、平石委員は、当委員からの申出状況に基づき、本剤の審議においては退席委員となります。平石委員からの御質問は2点あります。
1点目の御質問は、報告書105ページの「(2)安全性について」の項を御覧ください。御質問は、「3段落目において、『現時点では、本薬長期投与時における血清ガストリン値の持続的高値に伴う神経内分泌腫瘍発現等のリスクは明確ではないことから、本薬を長期投与する際には、定期的に内視鏡検査を実施するなど、より慎重に観察を行うべきである』との専門委員の意見が記載されており、4段落目において、機構は当該意見を踏まえ添付文書において注意喚起するよう求めている。この対応の内容が添付文書(案)のどの箇所に反映されているのか確認したい」というものでした。
この点について機構より回答させていただきます。資料中の1.8の添付文書(案)を御覧ください。5ページ目の左段上部に記載されている「2.重要な基本的注意」の(2)において、「本剤の長期投与にあたっては、定期的に内視鏡検査を実施するなど観察を十分行うこと」と注意喚起しております。なお、臨床試験における血清ガストリン値の推移についても、添付文書(案)8ページの中段にグラフとして示しております。
続いて、2点目の御質問です。御質問は、「ランソプラゾール等の既存のプロトンポンプインヒビターは、ウレアーゼ活性を阻害することが報告されており、ヘリコバクター・ピロリ除菌治療において、プロトンポンプインヒビター服用中や投与終了直後では、尿素呼気試験の判定結果が偽陰性になる可能性がある。本剤に、このようなウレアーゼ活性阻害作用があるかどうか確認したい」というものでした。
この点について機構より回答させていただきます。報告書13ページ下部の「7.ヘリコバクター・ピロリのウレアーゼ活性に対する作用の検討」の項を御覧ください。当該非臨床薬理試験において、本剤はウレアーゼ活性に対する阻害作用を示さないことが確認されております。
以上2点の回答については、平石委員より御了承いただいております。説明は以上になります。御審議、どうぞよろしくお願いいたします。
○松井部会長 聞き違っていたら教えてほしいのですが、本議題については、分科会で審議を希望していると途中でおっしゃったような気がするのですが、最後は「報告」と。
○機構 分科会は報告を予定しております。
○松井部会長 報告でいいのですね。
○機構 はい。
○松井部会長 委員の先生方から質疑をお願いいたします。
○鈴木委員 本剤は、タケプロンの後継薬だと思うのですが、普通だと、ではタケプロンよりももっと効果があるのだろうと思うのですが、そうでもない薬のようです。十二指腸潰瘍と□□□□□□□□□□□において、タケプロンに比べて非劣性が検証されなかったということですが、十二指腸潰瘍については申請をし、□□□□□□□□□□□については申請しないと対応が分かれたわけです。これについては、うがった見方をすれば、十二指腸潰瘍はまさか適用として落とせないけれども、□□□□□□□□□□□は、とりあえず落としておこうかというようなことも考えられます。これはどのような理由で、そのように対応が分かれたのか。
また、先ほど少し御説明はあったのですが、十二指腸潰瘍については非劣性が検証されなかったにもかかわらず、有効性は示されたと判断されたということですが、それについてもう1回説明をお願いしたいと思います。
○機構 1点目の質問については、資料中の1.5の23ページを御覧ください。表の下に「申請効能以外での開発」という項があります。ここに記載されているとおり、今回、□□□□□□□□□□□については承認申請されておりませんが、こちらの開発については一時中断を検討している状況で、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□判断する予定と、申請者からは伺っております。
2点目の御質問ですが、十二指腸潰瘍の有効性について再度説明させていただきます。報告書84ページの表73です。先ほど説明させていただいた表ですが、まず1段目のFull analysis set(FAS)の結果、こちらが本試験の主解析ですが、右から3列目にあるとおり、本剤群の治癒率は95.5%と、高い有効率が認められています。
続いて、同じページの上から3段落目の記載を御覧ください。本試験で非劣性が検証されなかった理由の一部が記載されています。本試験CCT-102試験では、未治癒例が本薬20mg群では8例、うち6週間の投与を完了した症例が1例、投与中止例が7例、ランソプラゾール群では3例、うち6週間投与完了例が1例、投与中止例が2例おりました。これらは薬効とは関係なく投与中止された症例となります。また、これらの中止例は、治験薬投与期間が1~18日と短かったため未治癒であった可能性が考えられております。
そこで申請者は、表73の2段目から4段目の解析を実施しております。まず、2段目と3段目ですが、これらは、先ほどの投与中止例の影響を排除するために実施された検討となります。2段目の右から二つ目の列の結果を御覧ください。治験実施計画書に適合した集団(PPS)における本剤群とランソプラゾール群との有効性の群間差の結果を示しております。この95%信頼区間の下限値は-4.7%となっていまして、非劣性限界値とされた6%を上回ることが確認されています。同様に、3段目の結果、すなわち、FASのうち、治験薬の投与終了状態が完了の患者についても、群間差の95%信頼区間の下限値は-1.6%であり、-6%を上回ることが確認されております。
最後に、1段目のFAS、2段目のPPS、3段目のFASのうち、治験薬の投与終了状態が完了の患者を対象とした解析では、解析から除外されていた症例がおり、比較可能性が低下している可能性が考えられましたので、その点を確認するために感度分析が実施されました。その感度分析の結果が4段目です。こちらのランソプラゾール群との群間差の結果については1段目の主解析の結果と同様であり、これらの結果を総合的に考えると、ランソプラゾール群に対して本剤の有効性が大きく劣るものではないと考えております。
機構は、以上の試験成績等を踏まえ、本剤の十二指腸潰瘍に対する有効性はあると判断しており、以上の判断については、専門協議において、専門委員の先生からも支持されております。
○鈴木委員 説明は分かりましたが、最初の□□□□□□□□□□□の開発が中断された理由はどういうことでしょうか。
○審査第一部長 すみません、この説明にある以上のことは把握をしておりません。
○鈴木委員 非劣性が検証されなかったということがあるのではないかと思いますが、ただ、今後これが承認されれば、次の段階に移っていくと思いますけれども、タケプロンに比べて優れた薬とは言い切れないと思いますので、それが薬価にも反映されるように、その情報はきちんと伝えていただきたいと思います。中医協に出てきたら、必ず質問しますので、是非、伝わっていなかったということがないようにしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○小川委員 確か、前回に出てきた薬剤でも申し上げたのですが、クロピドグレルとの併用に関してです。95ページからの記載で、クロピドグレルの作用を減弱させる可能性があるという記載があって、その次の96ページで幾つかイベントを比較している一番上の数行があって、その下の「機構は」という所です。「提出された臨床試験において特に大きな問題となる事象が認められていないことから、現時点では添付文書において注意喚起を行う必要はないと考える」と書いてあるのです。ただ、その下に患者が限られているということ、それから、患者としても、特に冠動脈のステントを挿入した後の患者さんにどのくらい使われていたのかということがはっきりしない時点で、その後に、CYP2C19に対する阻害作用に起因する相互作用が生ずる可能性が完全には否定できないということが書いてあるのです。これは市販後調査で見るだけで、もしその冠動脈内のステントを入れた患者さんに使って、急性の冠症候群が合併するようなことがあると問題なのです。どうなのでしょうか、こういう可能性については否定されていないので、特にこういう疾患については注意すべきだということを添付文書に記載する必要があるような気がするのですが、そこはいいのでしょうか。
○松井部会長 先生がおっしゃるのは、この情報収集を記載する必要があるだろうと。
○小川委員 はい。今のところはまだ分からないので、可能性はあるという。もし可能性が残されているのであったら、ということなのです。
○審査第一部長 報告書の110ページを御覧ください。正にこのLDA潰瘍の再発抑制なのですが、御指摘のありましたとおり製造販売後調査で確認が必要なところではあるのですが、まず、現時点では情報が十分でないということで、製造販売後の調査、1000例3年間の中で「主な調査項目」の4番目ですが、「LDA以外の併用薬」ということでクロピドグレルを特出ししまして、使っているかどうかということを重点的に調査させていただきたいと思います。これの経過も確認しながら、そういったものが出てくれば、素早く対応させていただくということで、まずは注意深く情報を集めさせていただければと考えております。
○小川委員 もし、こういう表が出ているのであれば、これは一つの大事な情報だと思うのですが、ステント挿入直後の患者さんをあえて追加して記載するということはどうでしょうね。クロピドグレルを併用しているのはいろいろな疾患であるのですが、やはり急性の挿入直後の患者というのは一番使われるケースが多いものですから、それを調査の対象に特記しておくということはどうでしょうか。
○機構 そういった患者さんは、今回の調査に入られる可能性がありますので、情報が取れるような形で、調査票を修正するように、企業の方にお伝えしたいと思います。
○小川委員 よろしくお願いします。
○松井部会長 委員の先生方もそれでよろしいでしょうか。ほかにありますか。
○佐藤(雄)委員 先ほどの平石委員の御質問の1点目について、背景となっている医学的な知識がないものですから、少し伺いたいのですが、報告書の105ページです。血清ガストリン値が高いということと、神経内分泌腫瘍の発現等の関係は必ずしも明らかでないので、本件では、薬が漫然と使われることがないように内視鏡検査をする。そのことは恐らく93ページのところに関係してくるのだと思うのですが、薬を止めて2~8週間すると血清ガストリン値は元に戻るので、きっとこれで問題ないだろうと。ですから、内視鏡検査をきちんとやってもらうことで、漫然と投与されることがないようにという注意喚起だと理解してよろしいでしょうか。
○機構 ガストリンの値そのものを経時的に追い掛けることそのものは、既存のPPIの長い、広く用いられてきた歴史の中でもPPIの投与を中止すれば下がるということが分かっていますので、問題になることがないと考えられます。それを前提にして、本剤については何に対して注意が必要なのかというのが、恐らく平石委員の御質問であったと考えられます。既存のPPIについては非臨床で、幾つかの神経内分泌腫瘍の発生が見られていたものの、人では起こらないということが長い使用経験をもとに分かってきていることは確かなのですが、それについて、今回申請された新しいPPIについて、もう一度改めて内視鏡検査を行うことで、そのようなことがないということを確認したらいかがですかという御指摘だと理解しております。
○佐藤(雄)委員 その最後の点なのですが、内視鏡を繰り返すことで、そういうことが起こらないというのは、つまり、治れば薬を止める、そのことによって起こらないという理解でよろしいですか。
○機構 御指摘の点も、もちろん広い意味では入ってくるのですが、平石委員の御質問の主旨は、新しい事象、腫瘍系の発生が起こらないということを確認したらいかがかという御指摘ではないかと理解しております。
○佐藤(雄)委員 もう少し直接的に伺うと、内視鏡によって神経内分泌腫瘍自体は分かりませんね。
○機構 それを認識するのが内視鏡の作業の一つということです。
○佐藤(雄)委員 分かりました。そうすると、薬を途中で止められない長期使用に関する特定使用成績調査については、内視鏡で神経内分泌腫瘍の確認をすると。恐らく人では起こらないだろうと思われるけれども確認をするという理解でいいですか。
○機構 おっしゃるとおりです。
○佐藤(雄)委員 分かりました。ありがとうございます。
○松木部会長代理 しつこいようですが、私もやはりガストリンのところが少し気になってます。従来の非可逆的なプロトンポンプインヒビターに比べたら、もっと速やかに戻ると思っているのですが、やはり投与終了後2~8週間たたないと元に戻らないということで、もしかしたら、このガストリンに対するダイレクトなエフェクトが何かあるのではないかと。やはりガストリンは最近、長期的な作用として、増殖作用があるということはいろいろ指摘されているところなので、この神経内分泌腫瘍以外、例えば壁細胞の増殖などが結構起こってくると言われています。機構の方も十分認識はしているようですので、その点の市販後調査をしっかりやっていただきたいと思います。
○松井部会長 市販後調査でよろしいということですね。
○松木部会長代理 そうです。そういう可能性があるということを十分認識していただきたいと思います。
それから別の点です。細かな点なのですが、添付文書の1.8の4ページの右側の用法・用量の二つ目の「逆流性食道炎の場合」という所です。最初の「通常、成人には」というところで「4週間で」と、「効かないときは8週間まで」ということはいいのですが、次の「さらに」という接続詞が非常に気になります。「さらに」で「再発・再燃を繰り返す場合」というのがあって、これは「さらに」ではつながらないと思うのです。これは別のことを言っているのであって、前は投与期間のことを言っているのに、その次は、10mg、不十分の場合は20mgと言っていて、これは非常に分かりにくい文章だと思うのです。ここを読むと、先ほどのガストリンのことも、8週をマキシマムとしてということで理解してよろしいということですか。
○機構 資料中の1.7の5ページを御覧ください。右の段にランソプラゾール、タケプロンの用法・用量が記載されています。その上から二つ目の○に「逆流性食道炎の場合」という記載があり、その3行目「さらに、再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法において」と記載があります。同様の使用方法をされるランソプラゾールと同一の記載としております。
○松木部会長代理 いつも議論になる。前例があるからそれでいいのだということにはならない。何か、前例が間違っていたら次も間違わなければいけないことになると思うので。やはりここは「さらに」ではないと思うのです。検討いただきたいと思います。
○審査第一部長 補足させていただきます。これを御覧いただくと、元の文章からレイアウトが違うのです。恐らくランソプラゾールの方は、改行をして、「さらに」という部分が、一度、行を変えて、別の話であることが分かりやすくなっているのですが、本剤については、そのまま続いているようなところもあって、書き方を変えるのはなかなか難しいのかもしれませんが、タケプロンの書き方などを見ながら、少なくとも改行するなどの工夫をさせていただければと思います。
○松井部会長 どこを改行するのですか。「さらに」の前ですか。
○審査第一部長 「さらに」の部分で改行させていただければと思います。先ほど御覧いただいた資料中の1.7同種同効品一覧表の5ページです。
○松井部会長 分かりました。では、これは検討していただくということでいいですか。
○松木部会長代理 ほかがそうだとしょうがないですね。
○松井部会長 では、よろしくお願いします。ほかにありますか。
○川上委員 教えていただきたいのですが、作用機序として可逆的で競合阻害型の薬剤ということで、一方で体内動態の半減期が6~7時間ぐらいですので、1日1回投与では作用が切れてしまうのではないかというのが通常の理解なのですが、例えば薬理学試験などで胃内pHを24時間継続して見られた場合に、例えば既存薬のランソプラゾールに比べて、この薬剤の薬効が早く落ちてくるとか、そういったことはないのか。もし何か情報があれば教えてください。要するに、1日1回投与が適切かというところも含めて疑問を持ったものですから、教えていただければと思います。
○機構 先生がおっしゃられたpHの評価に関しては、本剤の臨床薬理試験で得られたpHホールディングタイムの結果を踏まえると、24時間の投与については、おおむね合理的であろうと判断しております。
○神田委員 逆流性食道炎の場合の用法・用量のところで、先ほども「さらに」という話がありましたが、私も、これでは漫然と使われるのではないかという気がしましたが、そこは検討されるということでしたので、別のことをお聞きします。
8週までということで最長期限を切っていますが、維持療法については、いろいろ注意喚起がなされるということなので心配ないのでしょうけれども、これは最長期限を切る必要がないのでしょうか。
○機構 逆流性食道炎の患者さんの病態については、もちろんこれはほかの剤でもそうですが、なるべく短い治療期間で済めばそれでよいのですが、一般には、一定の割合の患者さん、おおむね3分の1程度の患者さんは、再発・再燃を繰り返す、あるいは、通年とまではいかずとも、相当長い期間にわたって実際に治療を必要とされる患者さんがおられることは確かだと思います。そういう意味で、既存のPPIの場合には、全ての患者さんではありませんが、御指摘のありました逆流性食道炎の患者さんの維持療法が長期に継続される場合があるということは私どもも認識はしております。ただ、この剤が果たしてそのようなところの位置付けになっていくかどうかについては、今の時点では不明の点もありますし、少なくとも当座の間は、そこにも書いてあるように、比較的短い期間の使用が望まれるのではないかと考えております。その辺りについては、企業の方にも申し伝えて、過剰な投与が継続しないように注意を払うべきと考えております。
○松井部会長 是非そのようにしていただきたいと思います。ほかにはありますか。大分、議論が盛り上がりましたが、本議題について議決に入りますがよろしいでしょうか。なお、武田委員、野田委員におかれては利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただきます。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告という形にいたします。議題4に移ります。よろしくお願いします。
○機構 審議事項議題4、資料4「医薬品メチレンブルー静注50mg『第一三共』の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、機構より御説明申し上げます。
メトヘモグロビン血症は、様々な原因により血中のメトヘモグロビン濃度が上昇することにより、ヘモグロビンを介した組織への酸素供給が障害される疾患であり、頭痛、悪心、意識障害等の症状が発現し、血中メトヘモグロビン濃度が70%以上になると致死的な転帰となります。メトヘモグロビン血症の原因としては、遺伝子異常による先天的なものと、中毒性の後天的なものに大別されますが、大半は後天的なものであり、ジアフェニルスルホン等の医薬品やアニリン等の化学物質等が中毒を起こす原因物質として知られています。
本剤の有効成分であるメチルチオニニウム塩化物水和物(以下、「メチレンブルー」)は、生体内でメトヘモグロビンをヘモグロビンに還元します。メチレンブルーは、国内外の教科書に代表的な中毒治療剤として記載され、広く使用されていますが、本邦では、現時点で医薬品として承認された製剤がないため、試薬を用いて調製した院内製剤等が使用されてきました。このような状況を踏まえ、一般社団法人日本中毒学会及び一般社団法人日本救急医学会から、中毒性のメトヘモグロビン血症に対するメチレンブルーの開発要望書が提出され、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、「医療上の必要性が高い」と判断され、申請者により開発が行われることとなりました。なお、本剤は、欧州において2011年5月に承認されています。
申請者は、メトヘモグロビン血症の発生頻度は低く、かつ散発的であるため、患者を対象とした臨床試験の実施は困難であること、また、メチレンブルーは遺伝毒性を有するため、健康成人を対象とした臨床薬理試験の実施も困難であることから、欧州承認申請資料、国内外の公表論文及び教科書等から申請データパッケージを構築し、本申請に至りました。
本品目の専門協議では、本日の配付資料11に示します専門委員を指名いたしました。
続いて審査の概要です。有効性に関し、報告書28ページの冒頭を御覧ください。機構は海外臨床試験、公表論文、国内外の使用実態調査及び症例報告において、メトヘモグロビン血症に対するメチレンブルーの投与により、メトヘモグロビン濃度の低下やメトヘモグロビン血症の臨床症状の回復及び改善が報告されていることから、中毒性のメトヘモグロビン血症に対する本剤の有効性は期待できると考えました。
次に、安全性について、報告書28ページ中ほどから29ページを御覧ください。海外臨床試験等に基づくと、メチレンブルーの主な副作用として、悪心・嘔吐、腎機能障害、溶血性貧血等が認められておりますが、機構は、メトヘモグロビン血症は、適切な治療が行われない場合には死亡に至る可能性があることを考慮すると、適切な注意喚起の下で本剤が使用される限り、本剤の安全性は許容可能と判断しました。
続いて、報告書39~40ページを御覧ください。グルコース-6-リン酸脱水素酵素欠損症等の先天性の酵素欠損症の患者では、本剤の投与により溶血を起こす可能性があること、また、塩素酸塩によるメトヘモグロビン血症の患者及びシアン中毒の解毒を目的として投与された亜硝酸化合物によるメトヘモグロビン血症の患者については、本剤の投与により、それぞれ次亜塩素酸塩及びシアンによる毒性が生じる可能性があることから、添付文書の禁忌の項等において適切に注意喚起する必要があると考えました。
また、今般申請された製剤の本邦における中毒性のメトヘモグロビン血症に対する使用経験はないことから、製造販売後には、本剤が投与された全例を対象に本剤の安全性及び有効性に関する情報を収集し、医療現場に適切に情報提供する必要があると考えました。
以上のような機構での審査の結果、中毒性メトヘモグロビン血症に対する本剤の有効性は期待でき、安全性は許容可能と考えられたことから、再審査期間中に本剤が投与された全症例を対象とした製造販売後調査に係る承認条件を付した上で、承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。
なお、本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、原体は毒薬、製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断いたしました。薬事分科会では報告を予定しております。
御審議、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質疑をお願いします。
○佐藤(田)委員 この病態の中で、先天性の酵素欠損ではない中毒について教えてください。かなりこの中毒で頻度があるように今お話されました。特に、38ページからの所で、「授乳婦への投与」についてということも重ねて書かれております。実際にこの中毒、後天性に起こる中毒というのは、まさかこのメチレンブルーがこのように使われているとは夢にも思わずで、これが出たときにびっくりしたのです。簡単に何が起こって中毒になって、このメトヘモグロビン血症を起こすのか。ということは、かなり使用頻度が高いのでしょうか。
○機構 いえ、頻度としてはそれほど高いものではありません。報告書の26ページに国内の使用実態についてまとめたものがあります。報告書26ページの中ほどに、国内使用実態調査の結果を提示しています。これは中毒学会と救急医学会により実施された使用実態調査ですが、各施設を対象に遡及できる範囲で過去10年ほど(中央値:8年)の間に、メトヘモグロビン血症に対して、メチレンブルーを使用した症例が調査されました。
これによりますと、15施設、27症例から報告がありまして、この27症例のうちには、手術等で染色目的で投与された例も含まれておりましたので、それらを除きまして、医薬品や化学物質等による中毒性のメトヘモグロビン血症が明らかな患者を特定しますと12例です。大体、今までの遡及可能な症例を集めましても、日本で12例ほどというような感じになっております。頻度が高いという状況ではありません。
○佐藤(田)委員 今、拝見して、もしかすると化学構造上、このものの原因になっているのが一つに括られてくるのかどうか。化学構造式は分からないのですが、排気ガスから、何か結構な範囲の所があるのだと思いました。これは学会の今の報告から取り出したということですが、使用頻度としては、かなりあるものと推定されますか。教えていただきたいのです。
○機構 頻度としては、極めて低いと思います。
○機構 頻度は少ないのですが、医療現場に置いておかないと緊急時に使用できないというところで、救急医療センターなどの所には置いていただくことになるかと考えております。
○松井部会長 メトヘモグロビンですから、臨床的には、チアノーゼを来たすわけです。それで、私の間接的に経験したというのは、前任者のときに、私が赴任する前に来た患者で、粉ミルクを井戸水で作ってメトヘモグロビン血症を起こしたという例があったようです。井戸水の根本的な原因を今すぐには思い出せないですが、そういうことでもあり得る。粉ミルクを井戸水で作る、溶かすというのは、通常考えられないですね。ほかにありますか。
○松木部会長代理 添付文書の「適用上の注意」として、「析出する場合があるので、体温付近の温度で約3分間振盪し」とありますが、こんなに色が濃いのに析出しているのが分かるのですか。これが製剤サンプルですね。
○機構 はい。
○松木部会長代理 非常に大きな粒として析出するので、アンプルの底に残るとか、そのくらいのことを想定しているのですか。
○機構 投与するときに注射器に取るので、分かるのではないかと思っています。
○松木部会長代理 使う人は、多分非常に特殊な立場の人なので、使い慣れているのかもしれないですが、本当に析出して見えるかどうかというのは確認しておいてもらいたいと思います。
○機構 分かりました。では、企業には伝えます。
○松井部会長 ほかにありますか。
○古川委員 国内の症例は8例で、安全性について検討したのは1例と書いてあります。27ページの上の方です。
○機構 症例報告ですか。
○古川委員 国内小児例は8例で、「安全性については、国内小児1例が検討対象となった」とあります。症例が少ないからというのはもちろんよく分かるのですが、非常に小さな子供、3か月前の乳児に使ったりするに当たって、国内小児例1例ということでは心配です。外国の論文を引用して使っていいよということになっているかと思うのです。例えば、この専門委員に小児科医などを入れる必要があったのではないでしょうか。
○機構 そうですね。小児の先生は入れています。
○古川委員 いらっしゃるのですか。どなたがそうですか。
○機構 はい。配布資料11の国立成育医療研究センターの中村秀文先生です。
○古川委員 松井先生の所ですか。そうですか。では、よろしいのですかね。
○松井部会長 私は今、成育ではありませんが。
○機構 国内の経験は限られていますが、海外では比較的小さなお子さんに投与した経験が豊富なので、それらを参考にして、今回は安全性については許容可能と考えました。
○古川委員 分かりました。
○松井部会長 ただ、注意しなければならないのは、先ほどの御報告にあったように、1時間たって、効き目がない場合には別のことを考えなくてはいけないということは、強調しておかなければいけない。
○機構 そうですね。投与量が過剰になるとメトヘモグロビン血症の憎悪や溶血を起こすおそれがあります。そこは添付文書案において、まず小児の患者については、「用法・用量に関連する使用上の注意」の3番目に注意喚起を記しております。残念ながら、最大累積投与量に関する情報は限られているのですが、その分、十分に注意してほしいということを、「新生児及び生後3か月以下の乳児では、本剤によりメトヘモグロビン血症の増悪や溶血を起こしやすいため、繰り返し投与を行う場合は、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること」と記載しております。慎重投与の項にも、同じような注意喚起を記載しております。そこはやはり、十分注意が必要だと思っております。
○松井部会長 ほかにありますか。特にないようでしたら、議決に入っていいでしょうか。なお、小川委員、川上委員、武田委員、野田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。本議題につきまして、承認を可としてよろしいですか。
ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告といたします。議題5に移ってください。
○機構 審議事項議題5、資料5「医薬品ベピオゲル2.5%の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、機構より御説明を申し上げます。
尋常性ざ瘡、いわゆるニキビですが、ニキビについては、その病因として、皮脂分泌の亢進や男性ホルモン等の分泌的要因、アクネ菌の増殖による炎症等があります。本剤の有効成分である「過酸化ベンゾイル」は、分解過程でフリーラジカルが生じ、尋常性ざ瘡の原因となるアクネ菌等に対して、抗菌作用を示すものと考えます。今般、申請者は、尋常性ざ瘡の患者に対する本剤の有効性及び安全性が、国内臨床試験成績等から確認されたものと考え、承認申請に至りました。なお、過酸化ベンゾイルを含有する外用剤は、本年4月現在、欧米等の41か国において承認されています。
本品目の専門協議では、本日の配布資料11に示します専門委員が指名されています。
以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に御説明申し上げます。主な臨床試験成績としては、国内で実施されました第II/III相試験の成績が提出されています。
有効性に関しては、報告書24ページの表12を御覧ください。表12のとおり、主要評価項目である炎症性皮疹数の減少率について、2.5%群及び5%群のプラセボに対する優越性が認められたことから、機構は、本剤の有効性は示されたものと判断しました。
安全性に関しては、報告書30ページの表の20を御覧いただければと思います。この表の20ですが、第II/III相試験における有害事象を示したものです。過酸化ベンゾイル製剤の投与により、「一般・全身障害及び投与部位の状態」、「皮膚及び皮下組織障害」に分類される有害事象が、プラセボ群に比べて多く認められました。機構は、有害事象のほとんどが軽度であり、また休薬等により回復していることから、適切な注意喚起を行うこと等の対応により、本剤の安全性は許容できるものと判断いたしました。
また、本剤の用法・用量については、報告書37ページを御覧ください。この上段の1)の部分ですが、適用部位の刺激感の発現状況等から、2.5%製剤を選択したことは妥当と判断いたしました。
以上、機構での審査の結果、尋常性ざ瘡に対する本剤の有効性が示され、安全性は許容可能と考えられたことから、医薬品リスク管理計画に係る承認条件を付した上で、承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。
なお、本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、原体及び製剤はいずれも毒薬及び劇薬に該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断いたしました。薬事分科会では報告を予定しています。
御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
○松井部会長 ありがとうございます。委員の先生方、質疑をお願いします。日本での承認が遅れた理由は何かあるのでしょうか。
○機構 推測にはなりますが類薬がかなり出ていたため、本剤の承認申請が我が国においてなされなかったということではないかと思います。
○松井部会長 何か、御質疑がありますでしょうか。
○松木部会長代理 用法・用量でも、必ず洗顔後に使用と書いてあるので、顔面の使用しか想定していないということですか。
○機構 基本的には顔面の使用を想定しています。
○松井部会長 よろしいですか。ほかにありますでしょうか。それでは、議決に入ってよろしいでしょうか。なお、村田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づいて、議決への参加を御遠慮ください。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告といたします。それでは、議題6に移ってください。
○機構 審議事項議題6、資料6「医薬品ビミジム点滴静注液5mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、機構より説明申し上げます。
本剤の適応対象であるムコ多糖症IIIIA型は、ケラタン硫酸やコンドロイチン-6-硫酸等のグリコサミノグリカンを分解する酵素であるN-アセチルガラクトサミン-6-スルファターゼの活性が低下する常染色体劣性遺伝疾患です。グリコサミノグリカンが組織に蓄積することで、骨格形成不全、筋骨格障害又は呼吸機能不全を呈し、進行が速い患者の場合は10歳から20歳で死亡に至ります。本剤はムコ多糖症IIIIA型に対する酵素補充療法に用いる薬剤であり、ヒトN-アセチルガラクトサミン-6-スルファターゼに高マンノース型糖鎖及びリン酸化高マンノース型糖鎖を付加させた酵素製剤です。
本邦におけるムコ多糖症IIIIA型の患者数は約30例と推定されており、本剤は希少疾病用医薬品に指定されています。現在、本邦において、ムコ多糖症IIIIA型に有効な治療薬は承認されておりません。本剤は本年2月に米国、4月に欧州で承認され、2014年8月現在、世界30か国以上において承認されております。
本品目の専門協議は、資料11に示す先生方を専門委員として指名させていただいております。以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明いたします。
まず、有効性については、審査報告書30ページ表11を御覧ください。国際共同第III相試験であるMOR-004試験において、主要評価項目とされた第24週の6分間歩行試験における歩行距離について、プラセボ群に対する本剤毎週投与群の優越性が示されました。日本人症例数は6例と少数例でしたが、審査報告書31ページ表14に示したように、個別症例ごとに検討した結果、本剤毎週投与群で改善傾向が認められました。以上を踏まえると、本剤の有効性は示されたと解釈して差し支えないと考えております。
安全性については、報告書44~53ページの「(3)安全性について」の項に記載したように、国内外の臨床試験における有害事象及び副作用の発現状況、並びに過敏症、Infusion associated reaction、抗体産生による影響等の個別の事象について検討した結果、適切な注意喚起等がなされることを前提とすれば、本剤の安全性は許容可能と判断しております。
なお、国内での治験症例が極めて限られておりますので、製造販売後、再審査期間中の全投与症例を対象に使用成績調査を実施して、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講ずる旨の承認条件を付すことが適当と判断しております。
以上のとおり、機構での審査の結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。本剤は、希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、生物由来製品に該当すると判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。
御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○松井部会長 ただ今の議題6について、質疑をお願いいたします。
○村田委員 効果について教えていただきたいのですが、表14を拝見しますと、例えば被験者1とか2は、第12週、6m歩行の歩行距離ですから長い方がいいと思われますが、12週よりも24週が意味があるのかどうか。でも、ベースラインの値を見ると、やはり意味があるとも思いますが、むしろ下がっているようにも思えます。このような酵素欠損の状態は、当然、酵素を入れてあげれば良くなるわけですから、早期に治療をした場合に非常に良くなるでしょうし、逆に生きている限りは、エンドレスに使うことになると思うのです。一方で、ある程度の年齢になられてから診断された場合というか、治療を開始した場合は、どこがマックスなのかと。ほかの病気もそうなのですが、どこまでやったらいいのだろうと思うことが結構あるのですが、それでも、例えばポンペ病などですと、大人になってから私たちが治療を始めても、3年ぐらいは間違いなく良くなって、それがキープできているという印象です。なので、結構高齢の方でも治療を続けることに意味があると思ってやっているのですが、6か月程度で3か月をピークに効果が下がってしまっているように見えているものに関して、本当に酵素が補充できているのかというか、この疾患に対しての酵素補充療法はどの程度のものと考えておられるのか。また、呼吸機能が問題になっていることが多いかと思うのですが、呼吸機能に関しては、この場合は評価はされていないのですか。日本は6例しかないですが、海外国際共同で全体がもう大きいと思うのですが、その方たちは6か月後もかなり。できれば6か月だったらより良くなってほしいと思うのですが。というような結果だったのでしょうか。
○機構 機構よりお答えさせていただきます。まず、1点目で審査報告書31ページ表14の被験者1と2の患者のことをお伝えいただいているかと思います。第12週と24週の値はベースラインよりは高いのですが、第12週と24週で差が見えてしまっています。6分間歩行距離は、患者が6分間の間に限りなく努力した上での歩行距離を見るもので、今回は2回測定していますので、ある程度ばらつきは抑えるようにはしているのですが、やはりそのときによってばらつきが生じてしまいます。しかしながら、全体集団で見ますと、毎週投与群でプラセボ群に対する優越性が示されています。
また、長期有効性についてですが、こちらは審査報告書42ページで議論しております。図1の一番上の点線が本剤毎週投与継続群になりますが、こちらについては24週、36週と6分間歩行距離は増加しており、ある程度の効果は維持できていると考えておりますので、本剤についての有効性は確認できていると考えております。
御質問いただいた2点目は、年齢に応じてそれぞれ違うのかということかと思います。こちらについては、臨床試験では5歳から57歳の方が組み入れられております。審査報告書55ページに安全性になってしまうのですが国内外の臨床試験の併合解析での例数を記載しております。臨床試験で検討された多くが18歳未満で、年齢の高い患者についての検討は不十分ですので、製造販売後の全例調査において有効性・安全性を検討していきたいと考えております。
臨床試験で呼吸機能を測っているかについてですが、審査報告書30ページの表12に示している「最大換気量」を測っております。ベースラインからの変化でいうと、プラスの方向に動いております。残念ながら有意差はありませんでしたが、改善傾向は示されていると考えております。
○松井部会長 よろしいでしょうか。村田委員にお聞きしようと思っていたのですが、ポンペ病などのときにも、すなわち病気によっても、製剤によっても、抗体のでき方は違うようですね。抗体ができると、一般に効果が落ちるのかと思うと、モルキオの場合もできているようですが、特に抗体と症状とは余り相関していないのでしょうか。機構の方で調べられましたか。
○機構 機構よりお答えさせていただきます。抗体産生の影響については、審査報告書51ページ以降において議論しております。52ページの上から4行目になりますが、総抗体陽性・陰性の被験者で、6分間歩行距離とか3分間の昇段試験の昇段数、また最大換気量について大きな違いは見えていないという結果が得られております。
ただ、やはり臨床試験内での検討であり、試験期間が不十分です。製造販売後調査において抗体を測定することになっており、審査報告書60ページ表46の「主な調査項目」の最後になりますが、「抗エロスルファーゼアルファ抗体産生の影響」を検討していく予定です。
○松井部会長 増井委員、何かコメントはありますか。特にありませんか。ほかに御意見はありますか。
○加藤委員 今の抗体のことについて、販売後調査をするということがもうお答えになったようなのですが、よく分からなかったのは、例えば報告書の26ページ、「抗体産生による薬物動態の影響」で、004試験と005試験では、いずれの投与群においても、24週までに全例陽性になっているということで、27ページの表9を見ても、24週の所でほとんど100%に近いぐらい総抗体は陽性で、中和抗体もかなり高い。だから、ほとんどの患者で抗体ができているということになっていると思うのですが、先ほど御説明に使っていただいた52ページの表39を見ると、私は見方が間違っているのかもしれないのですが、抗体陰性の分はN=49になっているにもかかわらず、抗体陽性の分はN=9と、これだけ見ると陽性が非常に少ないような、要するに大部分が陽性になっているにもかかわらず、この解析は大部分のうちのほんのわずかな陽性群だけしか使っていないような感じに私には見えるのですが、この陰性群が49例で陽性群が9例というバランスは、何か意味があるのか。どうしてこのようになっているのか教えてください。
○機構 私の説明が足りなかったかもしれないのですが、表39はベースラインにおける抗体陽性ですので、先ほどのお答えはベースラインでの抗体陽性と陰性の被験者についての説明です。この記載の上の段落において、中和抗体の陽性率と6分間歩行距離、3分間昇段数、最大換気量のベースラインからの変化についても相関を確認していますが、明らかな関連は認められておりません。
○松井部会長 以前にどこかで治療を受けているということですか。
○機構 いいえ、審査報告書27ページの表9を見ていただくと、総抗体について、プラセボ群でもベースラインで20.3%の人が陽性であり、ほとんどバックグラウンドレベルではあるのですが、N-アセチルガラクトサミン-6-スルファターゼを認識しているのではないかと考えております。本剤群でもベースラインにおいてバックグラウンドレベルで検出されていますが、本剤を投与することにより抗体価はかなり高くなっています。
○松井部会長 梅沢先生、成育の副研究所長として何かコメントがあれば。
○副審査センター長 特にありません。
○松井部会長 抗体のことについては、きちんと明確に記載しておくことが必要だということだと思います。それから、アナフィラキシーも起こり得るのでしょう。
○機構 はい。本剤は蛋白製剤であり、臨床試験においてもアナフィラキシーが認められております。したがって、1.8の1、添付文書(案)の1ページの「警告」欄において、重篤なアナフィラキシー反応が発現する可能性があるので、まず緊急時の十分な対応のできる準備をした上で投与を開始していただくということ。また、投与中だけでなく、投与終了後も十分に観察していただくこと。また、発現した場合には、直ちに中止して適切な処置を行うことを注意喚起しております。
○松井部会長 ほかに御質疑はありませんか。議決に入ります。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
ありがとうございます。承認を可として薬事分科会に報告といたします。議題7に移ってください。
○事務局 審議事項議題7、資料7「ボセンタンを希少疾病用医薬品として指定することの可否について」、事務局より説明いたします。
資料の評価報告書のタブをお開きください。名称がボセンタン水和物です。こちらはエンドセリン受容体拮抗薬で、現在は肺動脈性肺高血圧症の治療薬として承認されております。予定される効能・効果は、全身性強皮症に伴う皮膚潰瘍で、全身性強皮症による血管障害に基づく末梢循環不全が原因で皮膚潰瘍が発生するものです。申請者はアクテリオンファーマシューティカルズジャパン株式会社です。
まず、対象患者数について説明いたします。資料の2ページ目、初めの段落に記載のとおり、全身性強皮症、お手元の資料ではSScと略してありますが、その患者数は約28,000人と推定されております。強皮症患者のうち、皮膚潰瘍を合併する患者の割合から国内外の文献を踏まえ、治療対象患者数は約5,600人と推定されております。
次に、医療上の必要性について、2ページ後半から述べられております。全身性強皮症に伴う皮膚潰瘍は、一度形成されると血管障害・創傷治癒遷延などの要因により、極めて難治な潰瘍です。また、指の先端や関節部に生じるため痛みが強いことが多く、重症例では壊疽となることも少なくありません。
2.の2段落目から記載してありますとおり、我が国のガイドラインでは重症度分類に応じた治療法として、カルシウム拮抗薬、ベラプロストナトリウム、抗血小板薬などが記載されておりますが、国内では全身性強皮症に伴う皮膚潰瘍の治療や予防に対する効能・効果を持つ医薬品は存在しない状況です。また、本薬は日本皮膚科学会から要望がありまして、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議を経て、開発要請がなされております。
最後に、開発の可能性について、3ページ下の方から記載があります。海外においては、プラセボ対照無作為化二重盲検試験が2試験行われ、新たに発生する潰瘍の数を有意に抑制する結果を得ております。我が国については、4ページ目の下から3段落目に記載がありますが、機構の対面助言を踏まえ、国内非盲検非対照試験を現在実施中です。
以上より、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○松井部会長 御質問等あればお願いします。特段ありませんでしょうか。もしなければ、議決に入りますが、よろしいですか。本議題について、指定を可としてよろしいですか。
ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告といたします。議題8に移ってください。
○事務局 審議事項議題8、資料8「エクリズマブ(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について」、機構からの評価報告書に沿って事務局より説明いたします。事前評価報告書のタブをお開きください。
報告書1ページ中ほどにありますとおり、申請者はアレクシオンファーマ合同会社、予定される効能・効果は「難治性全身型重症筋無力症」となります。希少疾病用医薬品の指定要件三つについて、順に説明いたします。
まず、「対象患者数」についてですが、1ページの最下段から2ページの上段を御覧ください。平成24年度の重症筋無力症に対する特定疾病医療受給者証交付件数は19,670件と報告されており、その他、疫学調査の結果を踏まえると、患者数が5万人未満という基準を満たしているものと考えております。
2ページの「2.医療上の必要性について」です。重症筋無力症は、外眼筋麻痺等が初期症状として発症し、約85%の患者で3年以内に症状が四肢を含む全身に拡大する疾患です。本邦においては、本疾患に対する治療薬として、コルチコステロイド及び免疫抑制薬が主に使われており、より重症の患者に対してはシクロホスファミド等が使用されております。しかしながら、これらの治療を行っても症状が改善しない患者が存在することから、難治性全身型重症筋無力症の患者に対しては、新たな治療法が必要とされております。本剤は、補体に結合し、抗アセチルコリン受容体抗体の作用を抑制することによって、重症筋無力症の治療に有用であると期待されます。以上より、医療上の必要性は高いと考えております。
最後に、3ページの「3.開発の可能性について」です。外国人患者を対象にした臨床試験において有用性が示唆されており、現在実施中の、国際共同第III相試験及びその継続長期投与試験に日本からも参加していることから、本剤の開発の可能性は高いと考えております。
以上から、本剤は希少疾病用医薬品の指定要件を満たすものと判断しております。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○松井部会長 御質疑をお願いします。村田委員、何かありますか。
○村田委員 数は少ないですが、難治の方はいらっしゃいますので、開発されると有り難いと思います。
○松井部会長 ほかに御質疑はありませんか。それでは、議決に入りますが、よろしいですか。なお、武田委員、野田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮ください。本議題について、指定を可としていいでしょうか。
ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告といたします。
残るのは報告事項ですが、大分時間を超過していますので、一括してお願いできますか。
○事務局 報告事項を説明いたします。医療用医薬品の再審査結果について、報告いたします。資料番号は9-1~9-6になります。
資料9-1、一般的名称は「フォリトロピンベータ(遺伝子組換え)」となります。販売名は、含量が抜けておりますが、正しくは「フォリスチム注50、同注75、同注150、同注300IUカートリッジ、同注600IUカートリッジ及び同注900IUカートリッジ」です。訂正させていただきます。
資料9-2、資料9-3は、一般的名称は「ソマトロピン(遺伝子組換え)」、販売名は「ジェノトロピンTC注用5.3mg、同TC注用12mg、同ゴーリック注用5.3mg及び同ゴーリック注用12mg」です。
資料9-4、一般的名称は「ソマトロピン(遺伝子組換え)」、販売名は「グロウジェクト注射用1.33mg、同注射用8mg及び同BC注射用8mg」となります。
資料9-5、一般的名称は「ソマトロピン(遺伝子組換え)」、販売名は「ノルディトロピンS注10mg、同フレックスプロ注5mg、同フレックスプロ注10mg及び同フレックスプロ注15mg」となります。
資料9-6、一般的名称は「アムロジピンベシル酸塩/アトルバスタチンカルシウム水和物」、販売名は「カデュエット配合錠1番、同配合錠2番、同配合錠3番および同配合錠4番」となります。
これらの品目については、製造販売後の使用成績調査等に基づいて、再審査申請が行われて、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられております承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はないカテゴリー1と判定されております。今回は以上です。
○松井部会長 委員の先生方から御質疑がありましたらお願いいたします。特にありませんか。これらの報告事項については、御確認をいただいたものといたします。本日の議題は以上なのですが、事務局から何か報告がありますでしょうか。
○事務局 次回の部会ですが、1月30日(金)午後3時から開催とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○松井部会長 本日はこれで終了といたします。どうもお疲れさまでした。
(了)
- 備考
- 本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。
照会先
医薬食品局
審査管理課 課長補佐 井本(内線2746)