2014年10月29日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録
日時
平成26年10月29日(水) 17:00~
場所
厚生労働省専用第23会議室
出席者
出席委員(12名) 五十音順
小川聡、 奥田晴宏、 川上純一、 神田敏子、
佐藤 田鶴子、 鈴木邦彦、 内藤幹彦、 野田光彦、
林邦彦、 ◎松井陽、○松木則夫、 山田清文
(注) ◎部会長 ○部会長代理
欠席委員(9名)
加藤総夫、 木村剛、 佐藤 雄一郎、 武田正之、
平石秀幸、 古川漸、 増井徹、 村田美穂、
本橋伸高
行政機関出席者
神田裕二 (医薬食品局長)
森和彦 (審査管理課長)
宇津忍 (安全対策課長)
矢守隆夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
梅澤明弘 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構副審査センター長)
俵木 登美子 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
山田雅信 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役 他)
小川聡、 奥田晴宏、 川上純一、 神田敏子、
佐藤 田鶴子、 鈴木邦彦、 内藤幹彦、 野田光彦、
林邦彦、 ◎松井陽、○松木則夫、 山田清文
(注) ◎部会長 ○部会長代理
欠席委員(9名)
加藤総夫、 木村剛、 佐藤 雄一郎、 武田正之、
平石秀幸、 古川漸、 増井徹、 村田美穂、
本橋伸高
行政機関出席者
神田裕二 (医薬食品局長)
森和彦 (審査管理課長)
宇津忍 (安全対策課長)
矢守隆夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
梅澤明弘 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構副審査センター長)
俵木 登美子 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
山田雅信 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役 他)
議事
○審査管理課長 それでは定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会を開催いたします。本日は先生方におかれましてはお忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。本日の委員の御出席につきましてですが、加藤委員、木村委員、佐藤雄一郎委員、武田委員、平石委員、古川委員、増井委員、村田委員、本橋委員より御欠席との御連絡を頂いております。また、鈴木委員より少し遅れていらっしゃるという御連絡を事前に頂いております。現在のところ当部会の委員数が21名のうち11名の委員の御出席を頂いておりますので、ぎりぎりなのですが定足数に達しておりますことを報告いたします。それでは松井部会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。
○松井部会長 まず、事務局から配布資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて説明してください。
○事務局 本日席上に議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布しております。また、議事次第に記載されております資料1~15については、あらかじめお送りいたしております。このほか、資料16「医薬品第一部会における薬事分科会における取り扱い、毒薬・劇薬の指定の要否及び生物由来製品/特定生物由来製品の要否について(案)」、資料17「専門委員リスト」、資料18「競合品目・競合企業リスト」を配布しております。
続きまして、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについてです。資料18の1ページです。パリエット錠5mg、同錠10mgですが、本品目は低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
2ページです。オーファディンカプセル2mg他2規格です。本品目は高チロシン血症I型を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから競合品目はなしとしております。
3ページです。アイリーア硝子体内注射液40mg/mL他1規格です。本品目は糖尿病黄斑浮腫を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
4ページです。インスリングラルギンBS注カート「リリー」他1規格です。本品目はインスリン療法が適用となる糖尿病を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品として選定しております。
5ページです。carglumic acidです。本品目はN-アセチルグルタミン酸合成酵素欠損症等が関与すると考えられる血中アンモニア濃度の上昇抑制を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
6ページです。teduglutide(遺伝子組換え)です。本品目は短腸症候群を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから競合品目はなしとしております。
7ページです。一酸化窒素です。本品目は心臓手術の術前、術中及び術後における肺動脈圧低下、右室機能改善及び肺の酸素化改善を目的とした肺高血圧の治療を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤がないことから競合品目はなしとしております。
8ページです。イソプロピル・ウノプロストンです。本品目は網膜色素変性を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
9ページです。エクリズマブ(遺伝子組換え)です。本品目はNMO-IgG陽性の再発性視神経脊髄炎の発症抑制を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから競合品目はなしとしております。
10ページです。サリドマイドです。本品目はクロウ・深瀬症候群を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから競合品目はなしとしております。以上です。
○松井部会長 ただ今の事務局からの説明に対して御意見はございますか。特にないということでよろしいでしょうか。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、委員の皆さんの御了解を得たものといたします。それでは、委員からの申出状況について事務局から報告してください。
○事務局 各委員からの申出状況については、次のとおりです。
議題1「パリエット」退室委員は内藤委員、議決には参加しない委員は野田委員です。
議題2「オーファディン」退室委員なし、議決には参加しない委員なしです。
議題3「アイリーア」退室委員なし、議決には参加しない委員は野田委員です。
議題4「インスリングラルギンBS」退室委員なし、議決には参加しない委員は野田委員です。
議題5「carglumic acid」退室委員なし、議決には参加しない委員なしです。
議題6「teduglutide(遺伝子組換え)」退室委員なし、議決には参加しない委員なしです。
議題7「一酸化窒素」退室委員なし、議決には参加しない委員なしです。
議題8「イソプロピル ウノプロストン」退室委員なし、議決には参加しない委員なしです。
議題9「エクリズマブ(遺伝子組換え)」退室委員なし、議決には参加しない委員なしです。
議題10「サリドマイド」退室委員なし、議決には参加しない委員なしです。以上です。
○松井部会長 ただ今の事務局からの各委員の申出状況についての説明に、御意見ございますか。よろしいですか。よろしければ、委員の皆様の御確認を得たものといたしまして、早速これから議題に入ろうと思います。本日は審議事項が10議題、報告事項が5議題です。各委員の申出状況、出席状況を踏まえ、順番を少し変えまして議題2から順に審議して議題1を最後に回したいと思います。それでは審議事項の議題2に移りますので、事務局から説明をお願いします。
○機構 それでは、審議事項議題2、資料2「医薬品オーファディンカプセル、同カプセル5mg及び同カプセル10mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定について」機構より御説明いたします。
本剤の効能・効果であります高チロシン血症I型は、チロシン分解経路の最終段階にあるフマリルアセト酢酸ヒドロラーゼが欠損することで、肝臓や腎臓において有害な中間代謝物としてマレイルアセト酢酸及びフマリルアセト酢酸並びにこれらの代謝物でありますサクシニルアセトン及びサクシニルアセト酢酸が蓄積する常染色体劣性遺伝子疾患となります。
本疾患は重度肝機能障害や凝固障害、疼痛性神経性発作、腎尿細管機能障害の発現や肝細胞がんの発症リスクを有するとされております。2014年7月現在、本邦で確認されている高チロシン血症I型の患者は1例のみとされております。本剤の有効成分でありますニチシノンはチロシン分解経路の第2段階にある4-ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼの阻害薬であり、高チロシン血症I型におけるフマリルアセト酢酸ヒドロラーゼ活性の遺伝的欠損に起因する有害な中間代謝物の産生や蓄積を抑制する薬剤となります。
本剤は2002年1月に米国、2005年2月に欧州で既に承認されておりまして、2014年7月現在、世界37か国において承認されており、欧米では高チロシン血症I型に対する第1選択治療法とされております。以上の背景から「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」におきまして、未承認薬等開発支援事業による開発支援品目に選定されました。本品目の専門協議では、資料17に示す先生方を専門委員として指名させていただいております。
以下、本剤の有効性及び安全性について臨床試験成績を中心に説明いたします。チロシン及びフェニルアラニン制限食事療法を実施しております高チロシン血症I型患者250例、うち日本人患者1例に、推奨開始用量として本剤1mg/kgを1日2回に分けて経口投与し、その後、臨床検査値に基づいて適宜調整して投与するNTBC試験が実施されました。
有効性については、審査報告書の43ページの図2に示しましたように、NTBC試験の生存率は投与6年後においても94%と高く、チロシン及びフェニルアラニン制限食事療法のみを受けた高チロシン血症I型患者に関する国際的調査コホートの推定生存率と比較しますと、本剤による生存率改善の可能性が示唆されております。また、審査報告書の38ページの表14に示しましたように、本剤の投与によって尿中サクシニルアセトン等の疾患特異的な生化学パラメータが基準範囲となり、チロシン及びフェニルアラニン制限食事療法と併用することで、コントロールが安定する傾向にあること等から、本剤の有効性が示唆されたと解釈して差し支えないものと考えております。
安全性については、審査報告書の45~50ページ「2)安全性について」の項に記載しましたように、NTBC試験における有害事象の発現状況及び海外の市販後データから、眼障害、白血球減少症、顆粒球減少症や血小板減少症等について検討を行いまして、本剤とチロシン及びフェニルアラニン制限食事療法を併用し、適切な注意喚起がなされることを前提とすれば安全性は許容可能と判断いたしました。
製造販売後調査については、審査報告書の55~56ページ「(5)医薬品リスク管理計画(案)について」の項の表23に記載しましたように、眼障害や血小板減少症、白血球減少症、顆粒球減少症等について製造販売後調査にて情報収集される予定です。なお、審査報告書の56ページ「III.総合評価 承認条件」の項に記載しましたように、日本人患者の使用経験が極めて限られていることから、製造販売後は再審査期間中の全症例を対象にしまして、使用成績調査を実施して、本剤の安全性や有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じる旨、また、医薬品リスク管理計画を策定し、適切に実施する旨の承認条件を付すことが適切と判断いたしました。
以上のとおり、機構での審査の結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であるため、再審査期間は8年が適当であると判断しております。原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しております。また、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。以上、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 小児科医として多少付け加えるといたしますと、この病気は以前から遺伝性高チロシン血症と言われている常染色体劣性遺伝の病気で、新生児期早期から非常に重篤な胆汁うっ滞型の肝機能障害と腎障害を来す疾患です。大変珍しくて私自身も直接経験したことはないのですが、もしかすると診断されずに不幸な転帰をたどっている患者がいるかもしれません。そういう患者に対しての治療に相当するのがこの案件です。
それでは、委員の皆様から御質問ございますか。
○佐藤(田)委員 先ほど部会長の御説明のように報告書の3ページにもある生後数週間から様々な兆候があって診断ができるようになっているようです。そこで、添付文書の剤形についてお伺いしたいのです。添付文書にあります製剤の性状で、準備されるのが硬カプセル剤の3種類は、分量によって変わってくるのでしょうか2mg、5mg、10mgが全て硬カプセルという剤形で出てきています。乳児、もしくは出生間もなくの乳児が本疾病と診断された場合に投与をする形態としては、シロップ剤か何かの準備がされなくてもいいのでしょうか。それともこのカプセルを服用できるのでしょうか。
○松井部会長 機構からお願いいたします。
○機構 先生の御指摘のとおり乳児の、非常に小さいお子さんが早期から発症するということで、本剤はカプセル剤ですが、実際にNTBC試験においては脱カプセルをして乳児に投与されているという状況でありました。この点については、実際の臨床現場でも、今後脱カプセルをして投与される可能性もあることから、資材等で脱カプセルの手順等について情報提供される予定です。なお、今現在の本邦の1例の患者さんはカプセル剤で投与されております。
○佐藤(田)委員 専門家ではないので、脱カプセルというのは単純に言うとどういうことですか。カプセルから抜き出して飲み物に溶かして、成分変化はないのですか。
○機構 先ほどの説明に加えまして、御説明させていただきます。本剤については、脱カプセルをしたときの安定性については、□□□□□□□□□□□□□□□□□です。したがって、患者には脱カプセル後の安定性は確立されていないことを情報提供した上で、脱カプセルをした後にすぐに投与するように情報提供資材で対応される予定です。
○川上委員 製品が2~8℃の冷所保存になっているので、一般的に冷所保存しなければいけないくらい安定性が悪いものかなと思われます。そういう意味では脱カプセルをして調剤したものが時間の経過を経てから患者が飲まれるということに、医療現場では一定の懸念を持つのですが、その辺りに関してはいかがですか。
○機構 御指摘のとおり、本剤は2~8℃で冷蔵保存する薬剤となっております。海外の添付文書に記載されている情報ですが、25度以下で保存したときに2か月安定であるというデータがあります。しかし、そのようなデータも医療関係者に情報を共有しつつ基本的には冷蔵で保存しまして、投与した後すぐに冷蔵庫に戻すような対応が必要と考えております。
○松井部会長 よろしいですか。ほかにございますか。
○神田委員 この患者さんは発症率が不明で現在確認されているのが1例であるということを前提にしながら、今後症例について調査をして安全性、有用性に資するデータを集めるということですね。患者が出ないほうがいいわけですが、極めて少ない中でこうした情報が収集できるのかどうかという辺りが矛盾として感じられたのです。先ほど来のお話を聞いていますと、今後は診断についてきちんとできるように並行的に、そういう手立ても取られていくので情報を収集できると解釈してよろしいのでしょうか。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○審査第一部長 今御指摘があったように非常に患者が少ないものですので、まずは国内で発生した全ての症例について情報を取っていただくこととしております。また、この期間に海外でも投与がなされると思いますので、製造販売業者を通じてそういう情報も幅広く集めていきたいと思います。診断については特に大きく変わることはありませんが、先ほど御指摘もありましたとおり、もともと余り治療法がないもので、かなり早く亡くなってしまうケースも、このような治療法が出てくると投与いただくことによって多少延命ができるかと思いますが、いずれにしてもそういう患者さんがいらしたら投与された場合にはできるだけ幅広く情報を取って、再審査の時点等に状況の報告をいたしたいと考えております。
○松井部会長 よろしいですか。ほかにございますか。
○川上委員 製剤が3規格あって、□□□□□□□□が大変低いようです。これは海外からの輸入品なのでどうしようもないという理解でよろしいですか。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○審査第一部長 海外から入ってきていること、日本での患者さんも大変限られているというところから、なかなか厳しい状況かと思います。
○松井部会長 ほかにございますか。よろしいでしょうか。御意見、御質問がないようなら議決に入ろうと思いますが、よろしいですか。本議題について承認を可としてよろしいですか。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。それでは、議題3に移ります。機構から御説明ください。
○機構 続きまして議題3、資料3「医薬品アイリーア硝子体内注射液40mg/mL他の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について」機構より御説明させていただきます。
本剤の有効成分であるアフリベルセプト(遺伝子組換え)は、ヒト免疫グロブリンG1のFcドメインにヒトVEGF受容体の細胞外ドメインを結合した組換え糖タンパク質です。本邦において、本剤は2012年9月に「中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性」、2013年11月に「網膜中心静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫」、2014年9月に「病的近視における脈絡膜新生血管」の効能・効果で承認されています。
今回の申請効能・効果である「糖尿病黄斑浮腫」(以下、「DME」)につきましては、本邦において20 □年□月より臨床試験が開始され、今般、有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。海外では、2014年8月現在、DMEに対して米国、欧州連合及びコロンビアで承認されています。本申請の専門委員としては、資料17に記載している4名の委員を指名いたしました。審査内容について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
第III相試験として、レーザー照射療法を対象とした無作為化二重遮蔽並行群間比較試験である海外試験のVISTA-DME試験及び日本人DME患者を含む国際共同試験のVIVID-DME試験が実施され、さらに、日本人DME患者に対する本剤長期投与時の安全性を確認することを目的とした非遮蔽非対照試験のVIVID-Japan試験が実施されました。VISTA-DME試験及びVIVID-DME試験では、本剤群として、本剤2mgを4週ごとに1回硝子体内投与する2Q4群、本剤2mgを4週ごとに連続5回、その後は8週ごとに1回の硝子体内投与する2Q8群の2群が設定され、VIVID-Japan試験では、本剤2Q8群の1群が設定されました。
有効性について、審査報告書10ページの図2及び13ページの図3を御覧ください。主要評価項目は使用52週目の最高矯正視力(以下、「BCVA」)、スコアのベースラインからの変化量とされ、図2はVISTA-DME試験、図3はVIVID-DME試験における治療52週目までのBCVAスコアのベースラインからの変化量の推移を示しております。いずれの試験においても、52週目のBCVAスコアのベースラインからの変化量について、レーザー群と比較して統計学的な有意差が認められ、レーザー照射療法に対する本剤の優越性が示されました。
安全性につきまして、審査報告書20ページの表12を御覧ください。第III相試験においてVIVID-Japan試験ではVISTA-DME試験及びVIVID-DME試験と比較して、有害事象の発現割合が低い傾向が認められていますが、VISTA-DME試験及びVIVID-DME試験においては、本剤各群とレーザー群で眼の有害事象、眼以外の有害事象のいずれの発現割合においても、有意な違いは認められませんでした。
次に、審査報告書21ページ、表13を御覧ください。既承認の疾患を対象とした臨床試験成績と比較したとき、DMEを対象とした臨床試験で比較的多く認められた有害事象は結膜出血、高血圧、鼻咽頭炎でしたが、結膜出血は滲出型加齢黄斑変性と同程度、高血圧については、対照群であるレーザー群においても同程度に発現していることから、DMEの原疾患である糖尿病を含む患者背景に起因するものと考えております。また、鼻咽頭炎につきましては、ほかの対象疾患と同程度でした。以上の審査を踏まえ、本剤の糖尿病黄斑浮腫の効能・効果を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。
本申請は新効能医薬品及び新用量医薬品に該当し、再審査期間は中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性の効能・効果等に係る再審査期間の残余期間である平成32年9月27日までとすることが適切と判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。以上です。よろしく御審議のほど、お願いいたします。
○松井部会長 委員の先生方から、御質疑をお願いいたします。いかがでしょうか。
○川上委員 用法・用量の記載の記載に関することです。先にあった適応の加齢黄斑変性には「導入期」「維持期」という表現があるのですが、今回の糖尿病黄斑浮腫にはそういった概念はないのでしょうか。
○機構 機構よりお答えさせていただきます。糖尿病黄斑浮腫につきましては、連続して投与する場合もあり、加齢黄斑変性のような導入期と、その後に続く維持期というような考え方はありませんので、このように記載させていただいております。
○松井部会長 私からですが、21ページの表13の有害事象の発現状況の中で、高血圧はともかくとして死亡が少なからず認められるように思うのですが、これはどのように考えたらいいのでしょうか。
○機構 機構よりお答えさせていただきます。DMEの試験において死亡例が、実薬投与群で6例認められております。この中で5例については、治験薬との因果関係が否定されております。残りの1例については、治験薬との因果関係が完全には否定されておりませんが、その症例の詳細を調べてみましたところ、治験薬の投与開始から1年後以降に発症しているということ、当該患者においては合併症で高度の高血圧を持っており、それが一因と考えられるということから、本薬の安全性に対して大きな影響はないのではないかと考えております。
○松井部会長 原疾患によるものだろうという御説明ですね。ほかにいかがですか。
○松木部会長代理 投与方法ですが、添付文書を見ると2mgを1か月ごとに1回、連続5回で、通常はその後2か月ごとに1回になります。これは臨床試験の2Q8の方に近いと思うのですが、2Q4でも効果は余り変わらないように見えるのですが、こちらを採用したということですか。
○機構 機構よりお答えさせていただきます。2Q4に比較して2Q8の方が総投与回数が少なく、硝子体内投与の手技による侵襲を回避する観点から、同じ効果が得られることを前提とすれば、総投与回数より少ない方が望ましいと判断して、2Q8を採用しております。
○松木部会長代理 分かりました。長期を前提ということですね。
○松井部会長 ほかにございませんか。それでは議決に入ります。なお、野田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。
本議題につきまして、承認を可としてよろしいですか。御異議はないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。議題4に移ります。
○機構 審議事項議題4、報告事項議題1について機構より説明させていただきます。資料4、11の二つの番号が入ったこちらの資料を御覧ください。
まず、報告事項議題1、「医薬品インスリン グラルギンBS注カート「リリー」及び同BS注ミリオペン「リリー」の製造販売承認について」報告いたします。本剤は、インスリン グラルギン(遺伝子組換え)[インスリン グラルギン後続1]を有効成分とする製剤であり、持効型インスリンアナログ製剤であるランタスを先行バイオ医薬品とするバイオ後続品として、日本イーライリリー株式会社により、製造販売承認申請がなされました。
機構における審査の結果、本剤とランタスの同等性/同質性が認められたことから、バイオ後続品の品質・安全性・有効性確保のための指針に基づき、本剤はランタスのバイオ後続品に該当すると判断いたしました。したがいまして、ランタスの有する効能・効果である「インスリン療法が適応となる糖尿病」の効能・効果で、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。
続きまして、審議事項議題4「医薬品インスリングラルギンBS注カート「リリー」及び同BS注ミリオペン「リリー」の毒薬又は劇薬の指定の要否について」説明させていただきます。同じ資料の最後の1枚紙を御覧ください。先行バイオ医薬品のランタスは原体・製剤ともに劇薬に指定されていることから、ランタスと同等/同質である本剤につきましても、原体・製剤ともに劇薬とすることが適当と考えております。本剤の毒薬又は劇薬の指定の要否について、御審議のほど、よろしくお願いいたします。以上です。
○松井部会長 そうしますと、資料11は報告ということですね。
○機構 はい。
○松井部会長 この報告について、何か御意見はございますか。なければ、審議議題4の劇薬の指定に関することですが、委員の先生方から御質疑をお願いいたします。よろしいですか。
御異議がないようですので、議決に入ることにいたします。なお、野田委員におかれましては利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮ください。本品目の劇薬の指定を可としてよろしいですか。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告といたします。議題5に移ります。
○事務局 審議事項議題5、資料5「carglumic acidを希少疾病用医薬品として指定することの可否について」事務局より御説明いたします。
申請者は株式会社ポーラファルマ、予定される効能・効果はN-アセチルグルタミン酸合成酵素欠損症、イソ吉草酸血症、メチルマロン酸血症、プロピオン酸血症が関与すると考えられる血中アンモニア濃度の上昇抑制となります。希少疾病用医薬品の指定要件について、順に御説明いたします。
まず、対象者数ですが、1ページ下より2ページ目にわたり、本剤の対象疾患に対しての説明がございますが、全体の患者数の合計は100人程度と推定されております。また、次に医療上の必要性については、本剤の対象疾患はN-アセチルグルタミン酸合成酵素の欠損又は阻害によって尿素サイクルに異常を来し、高アンモニア血症を発症して、脳浮腫や昏睡から死亡に至ることがあります。既存の医薬品としては、尿素サイクル以外の経路でアンモニアを排泄するフェニル酪酸ナトリウムがありますが、イソ吉草酸血症、メチルマロン酸血症及びプロピオン酸血症の効能・効果はなく、また投与することで必須アミノ酸が減少することで、発育障害等を起こすおそれがあるとされています。本剤はN-アセチルグルタミン酸の類似体であり、対象疾患の病態に特化した機序であることから、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
最後に4ページですが、「3.開発の可能性について」は、本剤はN-アセチルグルタミン酸合成酵素欠損症に関する効能・効果で2003年に欧州、2010年に米国で承認されています。また、イソ吉草酸血症、メチルマロン酸血症及びプロピオン酸血症に関しましては、2011年に欧州において承認されており、米国においても現在、第II相及び第III相試験が実施中です。本邦では、予定効能・効果に該当する患者を対象とした第III相試験の実施を計画中です。以上から、本剤は希少疾病用医薬品の指定要件を満たすものと判断しております。御審議のほど、よろしくお願いします。
○松井部会長 この議題5から議題10までの6議題ですが、いずれも希少疾病用医薬品の指定の可否についての審議でありますので、5から10の6議題について、続けて説明してください。
○事務局 審議事項議題6、資料6「teduglutide(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について」事務局より御説明いたします。
申請者はNPS Pharma Japan株式会社、予定される効能・効果は短腸症候群となります。指定要件について順に御説明いたします。
対象者数は2011年の厚生労働省の患者調査によると、短腸症候群の患者数は約195人とされております。医療上の必要性について、短腸症候群患者は腸管からの吸収阻害により、高度栄養失調、下痢及び脱水を来し、多くは中心静脈栄養による継続的な水分及び栄養補給が必要となります。しかし、中心静脈栄養は腸管機能に対する直接的な効果はなく、また治療が長期に及ぶとカテーテル関連感染症などの重篤な合併症のリスクがございます。現在、国内で短腸症候群を効能・効果とする医薬品は承認されておらず、本剤は小腸粘膜の増殖促進により、消化管吸収機能を維持する生体内ペプチドの遺伝子組換え体であり、短腸症候群に対する直接的な作用機序を有することから、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
最後に、「3.開発の可能性について」は、本剤は米国及び欧州で2012年に短腸症候群を適応として承認されております。また、小児短腸症候群患者を対象とした臨床試験も併せて進行中です。本邦では、日本人の短腸症候群患者を対象とした臨床試験が計画されているところです。以上より、本剤は希少疾病用医薬品の指定要件を満たすものと判断しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
議題7、資料7「一酸化窒素を希少疾病用医薬品として指定することの可否について」事務局より御説明いたします。
本品目の名称は一酸化窒素、吸入用のガス製剤です。予定される効能・効果が、成人及び小児(新生児を含む)に対する心臓手術の術前、術中及び術後における肺動脈圧低下、心機能改善及び肺の酸素化改善を目的とした肺高血圧の治療と、主に心臓外科手術時に発作的に発生する肺高血圧症状、PH症状をターゲットとしております。申請者はアイノセラピューティックス エルエルシーです。
対象患者数です。本薬の対象となる術式としては、先天性心疾患手術、左心室補助人工装置(LVAD)装着手術、弁置換・形成術及び心移植が挙げられます。そこから3ページの中程まで、各手術における患者数を推計しており、3ページの中程ですが、合計で最大でも2万7,768名と推定しております。
医療上の必要性については、周術期のPHに伴う症状は慢性期PHと同様ですが、外科手術の侵襲下において、心不全を伴ううっ血や血圧低下が起こると、極めて短時間のうちに致死的な合併症を誘発することになります。ほかの治療法としては、ニトログリセリン、ニトロプルシドナトリウム及びプロスタグランジンE1等の血管拡張薬などが使用される場合がございますが、全身血圧の低下が懸念されるところです。本薬は肺に一酸化窒素を直接吸入させることから、肺血管系を選択的に拡張し、既に学会ガイドライン等でも記載があるところです。以上から、医療上の有用性は高いものと考えております。
最後に開発の可能性につきまして、海外においては2011年3月に欧州において当該効能の承認を取得しております。また、本邦では機構の対面助言を踏まえ、非盲検非対照試験を現在実施中ですので、開発の可能性は高いと考えております。以上より、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。
議題8、資料8「イソプロピル ウノプロストンを希少疾病用医薬品として指定することの可否について」事務局より御説明いたします。事前評価報告書の1ページを御覧ください。
申請者は株式会社アールテック・ウエノ、予定される効能・効果は網膜色素変性となります。希少疾病用医薬品の指定要件の三つについて、順に御説明いたします。
まず、1ページ「1.対象者数について」です。平成23年度の全国調査における視覚障害者数は31.6万人とされております。また、視覚障害の原因が網膜色素変性であった視覚障害者は全体の12.0%であったことなどから、現在の患者数は多く見積もっても約3万8,000人と推定されております。したがいまして、患者数が5万人未満という基準を満たしているものと考えています。
次に、2ページ中程からの「2.医療上の必要性について」です。網膜色素変性については、遺伝子変異により視細胞が変性消失し、発病初期には夜盲と視野狭窄が生じ、病態が進行すると視力が低下し、失明に至る可能性がある疾患です。本邦における網膜色素変性に対する治療薬としてはヘレニエンがありますが、確立した治療法は存在しておりません。本剤は臨床試験の結果等から、細胞変性から錐体細胞を保護し、疾患の進行を抑制することは期待できると考えられております。以上より、医療上の必要性は高いと考えております。
最後に、「3.開発の可能性について」です。本邦において第II相試験が実施されており、現在は第III相試験が実施されているところですので、本剤の開発の可能性は高いと考えています。以上より、本剤は希少疾病用医薬品の指定要件を満たすものと判断しております。
審議事項議題9、資料9「エクリズマブ(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について」事務局より御説明いたします。
報告書の1ページの中程です。申請者はアレクシオン ファーマ合同会社、予定される効能・効果は□□□□□□□再発性視神経脊髄炎□□□□□となっております。希少疾病用医薬品指定要件の三つについて御説明いたします。
対象患者数は、2ページの最初の段落を御覧ください。平成24年度に実施された全国疫学調査によりますと、視神経脊髄炎の患者数は2,000~2,500人と推定されており、また視神経炎又は脊髄炎のみを呈する場合も含めた視神経脊髄炎関連疾患と考えられる患者数としても、3,000~4,000人程度と推定されております。したがいまして、患者数が5万人未満という基準を満たしているものと考えております。
「2.医療上の必要性について」です。視神経脊髄炎は急性視神経炎及び横断性脊髄炎を特徴とする疾患で、再発を繰り返すことにより失明、対麻痺、膀胱直腸障害等の持続的な神経学的機能障害が生じる場合もあります。本邦においては、本疾患に関する効能・効果を有する治療薬は存在しておりません。本疾患の原因は抗体等を補助する免疫システムである補体系の活性化と考えられておりますが、本剤はその補体系を構成するタンパク質の一つである終末補体C5に対する活性阻害作用により、視神経脊髄炎の再発を減少させることが期待されます。以上より、医療上の必要性は高いと考えています。
最後に開発の可能性についてです。現在、視神経脊髄炎に対する有効性等の評価を目的とした国際共同第III相試験が実施されていることなどから、本剤の開発の可能性は高いと考えております。以上から、本剤は希少疾病用医薬品の指定要件を満たすものと判断しております。
議題10、資料10「サリドマイドを希少疾病用医薬品として指定することの可否について」事務局より御説明いたします。
申請者は藤本製薬株式会社、予定される効能・効果はクロウ・深瀬症候群となっております。希少疾病用医薬品の指定要件の三つについて、順に御説明させていただきます。
対象患者数は、2004年に実施された全国疫学調査により340人と推定されております。したがいまして、患者数が5万人未満という基準を満たしているものと考えております。
2ページ「2.医療上の必要性について」です。クロウ・深瀬症候群は多発性骨髄腫の類縁疾患で、多発ニューロパチー、臓器腫大等の特異な症状を呈する全身疾患です。最初に記載されているとおり、本邦におけるクロウ・深瀬症候群に対する治療法としては、放射線療法等のほか、多発性骨髄腫に準じたメルファランとプレドニゾロンの併用療法などが実施されてきたものの、効果は限定的であり、近年では自家末梢血幹細胞移植の有効性も報告されておりますが、移植療法は高齢者や多臓器病変を有する患者には施行できないことから、引き続き新しい治療法が望まれているところです。本剤は血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の産生抑制効果により、クロウ・深瀬症候群に対する有効性が期待されます。以上より、医療上の必要性は高いと考えています。
最後に、「3.開発の可能性について」です。現在、医師主導治験が終了した被験者を対象とした継続投与試験が実施されていること、また本剤の安全性及び有効性を検討する臨床試験が実施されていることなどから、本剤の開発の可能性は高いと考えています。以上から、本剤は希少疾病用医薬品の指定要件を満たすものと判断しています。以上、6品目になります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 資料5~資料10までの6品目につきまして、一気に報告してもらいました。御質疑をお願いいたします。いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、議題5から議題10までの6品目について、希少疾病用医薬品としての指定を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告いたします。
議題1になります。なお、内藤委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議題1の審議の間、恐れ入りますが別室で御待機いただきます。機構から御説明をお願いいたします。
○機構 議題1、資料1「医薬品パリエット錠5mgの製造販売承認、並びに同錠10mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について」機構より御説明いたします。低用量アスピリンは、抗血小板剤として狭心症、心筋梗塞、虚血性脳血管障害等における血栓・塞栓形成の抑制に広く用いられておりますが、アスピリンは上部消化管等の粘膜障害を引き起こすことが知られており、消化性潰瘍や消化管出血等の副作用が問題となります。そのため、低用量アスピリンによる治療を継続しつつ、副作用である消化管粘膜障害の再発を予防することが重要と考えられており、低用量アスピリン投与下での胃潰瘍及び十二指腸潰瘍の再発防止にはプロトンポンプ阻害剤を用いることが推奨されております。
本邦では、2010年7月にランソプラゾールが、また2012年6月にエソメプラゾールマグネシウム水和物が、それぞれ「低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制」の効能・効果を取得しております。本剤の有効成分であるラベプラゾールナトリウムは、プロトンポンプ阻害剤の一つであり、本邦では1997年10月に承認され、現在は「胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助」等の効能・効果を有しております。
今般、胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の既往を有する低用量アスピリン投与患者を対象とした国内第II/III相試験及び長期投与試験により、当該患者に対する本剤の有効性及び安全性が確認されたとして、当該効能・効果及び用法・用量の追加等に係る承認申請が行われました。
なお、2013年11月時点において、本剤は海外103の国又は地域で承認されていますが、低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制の効能・効果で承認されている国又は地域はありません。本品目の専門協議では、本日の配布資料17に示す専門委員が指名されております。
以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明いたします。主な臨床試験成績として、国内第II/III相試験及び長期投与試験の成績が提出されております。有効性に関しては、報告書11ページの表4及び12ページの図1を御覧ください。胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の既往歴を有し、低用量アスピリンの長期投与が必要な患者を対象とした国内第II/III相試験の主要評価項目である投与24週後の胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の累積再発率を示しています。表4より、対照薬であるテプレノン群と比較して、本剤5mg群及び10mg群で、統計学的に有意な差が確認されました。以上より機構は、胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の既往歴を有し、低用量アスピリンの長期投与が必要な患者において、本剤の有効性は期待できると判断しました。
安全性に関しては、報告書12ページ表5を御覧ください。国内第II/III相試験における有害事象の発現状況を示しております。対照薬であるテプレノン群と比較して、本剤群で特異な事象及び傾向は認められませんでした。また、本剤の長期投与により有害事象の発現割合が大きく上昇する傾向も認められませんでした。
以上より機構は、既承認の効能・効果と同様の安全対策を講じることで、胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の既往歴を有し、低用量アスピリンの長期投与が必要な患者における本剤の安全性は許容可能と判断しました。ただし、本剤長期投与時の安全性、骨折に関する有害事象の発現状況、本剤とクロピドグレル併用時における安全性等については、製造販売後調査において情報収集する必要があると考えました。
以上、機構での審査の結果、胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の既往歴を有し、低用量アスピリンの長期投与が必要な患者に対する本剤の有効性は期待でき、安全性は許容可能と考えられたことから、医薬品リスク管理計画に係る承認条件を付した上で、効能・効果等の追加について承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。
なお、本申請は既承認の効能・効果とは異質の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品としての申請であることから、再審査期間は4年と設定することが適当と判断しました。また、パリエット錠5mgは、パリエット錠10mgと同様に、原体及び製剤は、いずれも毒薬及び劇薬に該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断いたしました。薬事分科会では報告を予定しております。
なお、事前に平石委員より、用法・用量について御質問を頂いておりますが、続けて説明させていただいてもよろしいでしょうか。
○松井部会長 お願いします。
○機構 御質問の趣旨は次のとおりです。『今般の適応に対する用法・用量は、「通常、成人にはラベプラゾールナトリウムとして1回5mgを1日1回、経口投与するが、効果不十分の場合は1回10mgを1日1回、経口投与することはできる。」と設定…』。
○松井部会長 それは添付文書に書いてある部分ですね。
○機構 そうです。
○松井部会長 それを指摘したほうがいいのではないでしょうか。
○機構 資料1の1.8添付文書を御覧ください。
○松井部会長 添付文書の2ページです。
○機構 平石委員からの御質問は、『今般の適応に対する用法・用量は、「通常、成人にはラベプラゾールナトリウムとして、1回5 mg を1日1回経口投与するが、効果不十分の場合は1回10mgを1日1回経口投与することができる。」と設定されており、これは最初に本剤5mgを投与し、潰瘍に対する再発抑制効果が不十分の場合には10mgを投与することも可能であるというように読める。しかし、再発抑制効果が不十分であることを症状や兆候からどのように判断するのか疑問であり、また予防効果確認の目的で上部消化管内視鏡検査を実施することは現実的ではない。アスピリン潰瘍のリスク因子として、潰瘍の既往、高齢、アスピリン以外の抗血小板薬あるいは抗凝固療法の併用、副腎皮質ステロイドあるいは非ステロイド性抗炎症薬の併用が報告されており、低容量アスピリンの内服者は、潰瘍の既往以外に、複数のリスク因子を有することも多いと思われる。潰瘍の既往を含めた複数のリスク因子を有する患者、すなわち臨床医が特に消化管ハイリスクと判断する患者には、臨床薬理試験において本剤5mgよりも強い胃酸分泌抑制効果が示された本剤10mgを最初から投与することも可能であるならば、医療現場での混乱を回避できると考える』、以上のようなものでした。
この点について、機構より回答させていただきます。結論から申し上げますと、医師が個々の患者におけるリスク因子等を勘案し、5mgでは効果不十分と判断される状況では、必ずしも5mgの投与を必要とせず、10mgを投与することも許容されると考えております。
以下、今回御提示した用法・用量を設定するに至った背景を説明いたします。報告書25ページの最終段落を御覧ください。今般提出された第II・III相試験では、胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の累積再発率がテプレノン群に比べて本剤5mg群及び10mg群で、統計学的に有意に低いことが示されましたが、5mg群に比べて10mg群の有効性が優れることは確認されませんでした。一方、安全性については、長期投与試験も含め5mgと10mgに臨床的に問題となる大きな差は認められませんでしたが、有害事象及び副作用の発現割合は、10mg群のほうがやや高い傾向が認められました。
また、低用量アスピリンに併用される本剤は、長期間の使用も想定されますが、長期使用によりプロトンポンプ阻害剤で関連が示唆されている骨折のリスクが高まることも懸念されます。以上より、薬剤の不要なばく露は可能な限り避けることが望ましいことも考慮し、本適応に対する本剤の中心用量は5mgとすることが妥当と判断しました。
続いて、報告書30ページ、「(4)用法・用量について」を御覧ください。専門協議においては、まず基本的に不要な薬剤の曝露は避けるべきという点について、合意がなされました。その上で、平石委員からも御指摘いただいたとおり、専門協議においても臨床試験では必ずしも高リスク患者で有効性は検証されていないが、本剤の薬理作用や本剤10mgが再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法における既承認用量として広く用いられており、これまで安全性上、大きな問題は生じていないこと等も踏まえ、これまでのエビデンスで潰瘍発生に関して明らかなリスク因子を有する患者には10mgの投与を許容すべきとの御意見もありました。
以上から、10mgを今般の用法・用量に含める臨床的な意義はあると考え、「効果不十分の場合は1回10mgを1日1回、経口投与することはできる」との用法・用量を設定することといたしました。今回の御指摘を踏まえて、販売時には10mgの投与が適切と想定されるケースについて、医療現場で混乱が生じることのないよう、製造販売業者から丁寧な情報提供を行うよう指示することといたします。この機構の見解については、平石委員より御了承いただいております。機構からの説明は以上となります。御審議、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○松井部会長 今の平石委員の御質問に関連して、何か御意見・御質問はありませんか。もしなければ、その他の点についてお願いします。
○佐藤(田)委員 私は長期投与におけるオステオポローシスによる骨折が気になります。報告書の21ページの辺りに書かれているのですが、2010年というと、そんなに昔でない段階で、FDAからかなり骨折に関する警告が出ているということですが、その後のシステマティックレビューとかメタアナリシスで、検討してみるとそれほどではないということで、その下のほうの段落で、特定使用成績調査をやってみたところ、2年間までで0.4~3.6ぐらいだったとか書いてありますが、それほど高い率ではありませんでしたので、大丈夫なのでしょうか。ただ、アメリカでこれだけ高い、危険だという報告、警告を出したもので、それで我が国では大丈夫なのかということがあり、添付文書の4ページ「9.その他の注意」の(4)に今のことが書かれています。今後、もちろん使用後の調査を行うようですが、もしこういうものが起こってくる可能性があったとしたら、どういう扱いになるのでしょうか。ここのところがまたどこかに上がって、強く注意をするということの添付文書に変わってくるだけなのか、少し危惧するところがありますが、その懸念はあるのでしょうか。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○機構 現在のところ骨折については本剤との因果関係が明確でないため、「その他の注意」に記載しております。ただし、今後製造販売後調査等から、本剤との因果関係が明らかになり、副作用と判断される場合には副作用の項目へ記載することを検討していくことになります。
○松井部会長 今の答えでどうですか。
○佐藤(田)委員 今のお答えだと、別にこれを書き直してくれと言っているわけではないのですが、投与する側が割合と軽視しがちになりそうな気がするので、そういう質問をいたしました。それほど重要ではないというとおかしいですが、そういうぐらいのことで、データからは解析した結果、安全とは言わないけれども、それほど強い警告ではないという判断ということでよろしいでしょうか。
○審査第一部長 今の回答を補足させていただきます。現時点では必ずしも因果関係がはっきりしていないので、こういう書き方になっております。先生からの御指摘は市販後の調査なりで、もう少し強い因果関係が明らかになった場合の取扱いということでよろしいでしょうか。先ほど申し上げましたように、当然、副作用として、もう少し高いレベルの注意喚起をするとともに、その結果次第にはなると思いますが、本来この薬が目的としているベネフィット、治療効果との比較をする中で、例えば投与の期間を制限するとか、あるいはもう少し極端に言うと、やはりリスクが大きすぎるということであれば、この薬の存在意義そのものも検討していかなければならないということになると思います。いずれにしても、市販後の結果を十分検討して、また御報告をすることになろうかと思います。
○松井部会長 よろしいですか。ほかの委員の先生方、よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。
○小川委員 先ほどクロピドグレルとの併用で、抗血小板作用を低下させる可能性があると、今後、引き続き情報収集をしていくというお話でした。23ページの表16で気になるのは、長期投与試験で5mg群が重篤な心血管イベント、クロピドグレルと併用しているグループで30%発現していますが、これは非常に多いと思います。質問したい点は、ほかの類似薬ではクロピドグレルの抗血小板作用を減少するのですが、このパリエットの場合にはそういう作用がないというように言い切っていいのかということが一つです。もう一つは、用量依存性にクロピドグレルの作用を減少させる効果があるのかという質問です。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○機構 機構より回答させていただきます。本剤の主要な代謝経路については、非酵素的に代謝されることが分かっております。一方で、オメプラゾール等で問題になっているクロピドグレルの効果低下については、オメプラゾール等やクロピドグレルがCYP2C19により主に代謝されるため、両薬剤を併用した場合CYP2C19の競合的阻害によりクロピドグレルの効果が低下すると考えられております。したがって、本剤についてはクロピドグレルと併用してもCYP2C19の競合的阻害が起こる可能性は小さいことから、クロピドグレルの効果を減弱しないと、機序的には考えられるところとなります。1点目はよろしいでしょうか。
○小川委員 分かりました。もしそういうことがないと、むしろオメプラゾールなどよりは、この薬が推奨されるという見解でよろしいのですね。我々臨床では、2剤併用、クロピドグレルとロードースのアスピリンの併用を行わなければいけない患者、特にコロナリーの患者では、より重症、あるいはより急性期、ステントを入れた直後、そういう患者なので、このパリエットと併用することによって、クロピドグレルの効果がもし落ちるとすると非常に問題があります。
もう一つ、臨床的に問題なのは、最近、2剤併用というのは余り推奨されずに、なるべく早く1剤に切り替える場合に、削除するのはアスピリンの方です。クロピドグレルだけが残るので、その場合にパリエットとの併用相互作用があれば、重篤な合併症を起こすリスクが増えるのではないかというところなので、これは注意深く情報収集というのはいいのですが、少し本当に相互作用がないのであれば、情報を集める必要もないと思います。その辺りを明確にしていただいた方がいいのではないかと思います。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○審査第一部長 ありがとうございます。そのように対応させていただきます。なお、1点、補足ですが、あくまで低用量アスピリンを服用している間に潰瘍を予防するということで、この薬が処方されますので、アスピリンの服用が終わるときには、この薬も一緒にやめていただくようにはなるかと思います。
○小川委員 現場では一旦処方された薬、普通の胃薬として処方しているドクターも多いので、アスピリンをやめた後も続いてしまうことが多いと思います。もしやめるならそれを推奨しないといけませんし、アスピリンをやめるときにはパリエットも一緒にやめなさいというように指摘するといった対応をしなければいけないと思います。恐らく現場で使われて、飲み続ける方が多いので、本当にクロピドグレルとの相互作用がないのだったらいいのでしょうか。もし少しでも可能性があるとすると、アスピリンが抜けた後の心血管事故のリスクが上がるのではないかという気がするのです。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○機構 機構より回答させていただきます。クロピドグレルと本剤との相互作用の件ですが、薬物動態的には大きな問題はないかと思います。しかしながら、疫学的な情報、のようなかなり莫大な情報からみて、本当に影響がないかというのは現時点では完全には未確認な状況です。製造販売後調査等を踏まえて、臨床的にも問題ないのかということについては、更に確認を行って慎重を期したいと考えています。
○松井部会長 今のお答えでよろしいですか。ほかにいかがでしょうか。
○川上委員 少し細かい点になるのですが、添付文書5ページ「薬物動態」の項です。CYP2C19の遺伝子型のEMとPMで動態を分けて表示していただいていまして、こういった細かい情報を頂くことは大変有り難いと思います。例えばCYP2C19の更にどういった遺伝型がEMなのかPMなのかといった情報がないと、患者を目の前にしたときに、その人がどちらに分類されるのか分かりにくいかもしれないのですが、これに関してはこの程度の表示で十分だとお考えですか。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○機構 機構より回答させていただきます。今御指摘いただきました、EM、PMのゲノタイプの型ですが、他の薬剤の添付文書で書いている品目もあり、記載されていない場合医療現場において分かりにくい可能性もありますので、この点は企業に修正を検討するよう指示したいと思います。
○松井部会長 よろしいですか。ほかにはいかがですか。
○小川委員 先ほどの問題に戻るのですが、オメプラゾールは添付文書上、このクロピドグレルとの併用は注意というように書いてあるのですか。
○松井部会長 いかがですか。
○機構 機構より回答させていただきます。オメプラゾールでは、併用注意の項目にクロピドグレルが記載されています。
○小川委員 分かりました。
○松井部会長 よろしいですか。この点については非常に重要な問題であるという認識が機構側にもあるようですので、フォローするということですね。ほかに御意見、御質問はありますでしょうか。この点についてはいかがでしょうか。ここで十分に注意をしてフォローアップすると、市販後調査をするということで、委員の先生方は御納得ということでよろしいでしょうか。ほかの点について御質疑がありましたら出していただきたいのですが、ありませんでしょうか。なければ、議決に入ろうと思いますが、よろしいですか。なお、野田委員におかれましては利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議ありませんか。ありがとうございます。この承認を可として、薬事分科会に報告といたします。別室で待機されている内藤委員をお呼びいただけますか。
—— 内藤委員入室 ——
○松井部会長 報告事項に移ります。
○事務局 報告事項議題2、資料12「医薬品シュアポスト錠0.25mg及び同錠0.5mgの製造販売承認事項一部変更承認について」報告いたします。本剤は、レパグリニドを有効成分とする速効型インスリン分泌促進薬で、本剤の単独使用、アルファ-グルコシダーゼ阻害剤との併用療法等が既に承認されているところです。今般、大日本住友製薬株式会社から、本剤と他の経口血糖降下薬とを併用投与した際の試験成績が追加されて、2型糖尿病へ効能・効果を変更する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされたものです。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤と他の経口血糖降下薬を併用した際の有効性及び安全性が確認されたことから、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。
報告事項議題3、資料13「医薬品インデラル錠10mg及び同錠20mgの製造販売承認事項一部変更承認について」御報告いたします。本剤は、交感神経ベータ受容体遮断剤でありますプロプラノロール塩酸塩を有効成分とする素錠で、1966年以降、本態性高血圧症、狭心症等の効能・効果で承認されております。本申請は、本剤に新たに右心室流出路狭窄による低酸素発作の発症抑制の効能・効果を追加するものですが、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成26年5月30日に開催された本部会における事前評価を加えて、アストラゼネカ株式会社から製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされたものです。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。
報告事項議題4、資料14「医薬品ミレーナ52mgの製造販売承認事項一部変更承認について」報告いたします。本剤は、レボノルゲストレルを有効成分とする子宮内黄体ホルモン放出システムで、本邦では平成19年に避妊の効能・効果で承認され、平成26年に過多月経の効能・効果が追加されております。本申請は、本剤に新たに月経困難症の効能・効果を追加するものですが、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成26年5月30日に開催された本部会における事前評価を加えて、バイエル薬品株式会社から製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされたものです。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。
報告事項議題5、資料15「医療用医薬品の再審査結果について」報告いたします。一般的名称はインジセトロン塩酸塩、販売名はシンセロン錠8mgです。こちらの品目について、製造販売後の使用成績調査等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について、変更の必要がないカテゴリー1と判定されたものです。報告事項は以上です。
○松井部会長 ただいまの報告事項について、御質問があればお願いいたします。
○野田委員 報告事項の議題2ですが、これは本薬以外のその当時承認されていたクラスの中で、SU剤については通常は併用しないということで、行っていないという理解でよいですね。その点はもともと添付文書に書いてないと思うのですが、ありましたでしょうか。
○松井部会長 いかがですか。
○機構 機構より説明させていただきます。資料12のシュアポスト錠についての御指摘と思いますが、別紙(2)添付文書(案)を御覧ください。SU剤との併用については、同じ作用点ということで相加・相乗効果の観点から併用しないことということを2ページの「2.重要な基本的注意」の項で、「(6)本剤は速やかなインスリン分泌促進作用を有する。その作用点はスルホニルウレア剤と同じであり、安全性が確立されていないので併用しないこと」とあるように、既に注意喚起ということで記載しております。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○野田委員 これからは効能・効果が2型糖尿病のみの記載になりますので、その点がもう少し目立った方がよいのではないかと思うのですが、そのあたりはお任せいたします。
○松井部会長 よろしいでしょうか。報告事項について、御意見はほかにありますか。以上、報告事項については、御確認いただいたものといたします。本日の議題は以上なのですが、事務局から何か報告がありますか。
○事務局 次回の部会については、11月21日(金)午後5時から開催させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 本日はこれをもちまして終了といたします。先生方どうも御苦労さまでした。
(了)
○松井部会長 まず、事務局から配布資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて説明してください。
○事務局 本日席上に議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布しております。また、議事次第に記載されております資料1~15については、あらかじめお送りいたしております。このほか、資料16「医薬品第一部会における薬事分科会における取り扱い、毒薬・劇薬の指定の要否及び生物由来製品/特定生物由来製品の要否について(案)」、資料17「専門委員リスト」、資料18「競合品目・競合企業リスト」を配布しております。
続きまして、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについてです。資料18の1ページです。パリエット錠5mg、同錠10mgですが、本品目は低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
2ページです。オーファディンカプセル2mg他2規格です。本品目は高チロシン血症I型を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから競合品目はなしとしております。
3ページです。アイリーア硝子体内注射液40mg/mL他1規格です。本品目は糖尿病黄斑浮腫を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
4ページです。インスリングラルギンBS注カート「リリー」他1規格です。本品目はインスリン療法が適用となる糖尿病を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品として選定しております。
5ページです。carglumic acidです。本品目はN-アセチルグルタミン酸合成酵素欠損症等が関与すると考えられる血中アンモニア濃度の上昇抑制を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
6ページです。teduglutide(遺伝子組換え)です。本品目は短腸症候群を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから競合品目はなしとしております。
7ページです。一酸化窒素です。本品目は心臓手術の術前、術中及び術後における肺動脈圧低下、右室機能改善及び肺の酸素化改善を目的とした肺高血圧の治療を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤がないことから競合品目はなしとしております。
8ページです。イソプロピル・ウノプロストンです。本品目は網膜色素変性を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
9ページです。エクリズマブ(遺伝子組換え)です。本品目はNMO-IgG陽性の再発性視神経脊髄炎の発症抑制を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから競合品目はなしとしております。
10ページです。サリドマイドです。本品目はクロウ・深瀬症候群を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから競合品目はなしとしております。以上です。
○松井部会長 ただ今の事務局からの説明に対して御意見はございますか。特にないということでよろしいでしょうか。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、委員の皆さんの御了解を得たものといたします。それでは、委員からの申出状況について事務局から報告してください。
○事務局 各委員からの申出状況については、次のとおりです。
議題1「パリエット」退室委員は内藤委員、議決には参加しない委員は野田委員です。
議題2「オーファディン」退室委員なし、議決には参加しない委員なしです。
議題3「アイリーア」退室委員なし、議決には参加しない委員は野田委員です。
議題4「インスリングラルギンBS」退室委員なし、議決には参加しない委員は野田委員です。
議題5「carglumic acid」退室委員なし、議決には参加しない委員なしです。
議題6「teduglutide(遺伝子組換え)」退室委員なし、議決には参加しない委員なしです。
議題7「一酸化窒素」退室委員なし、議決には参加しない委員なしです。
議題8「イソプロピル ウノプロストン」退室委員なし、議決には参加しない委員なしです。
議題9「エクリズマブ(遺伝子組換え)」退室委員なし、議決には参加しない委員なしです。
議題10「サリドマイド」退室委員なし、議決には参加しない委員なしです。以上です。
○松井部会長 ただ今の事務局からの各委員の申出状況についての説明に、御意見ございますか。よろしいですか。よろしければ、委員の皆様の御確認を得たものといたしまして、早速これから議題に入ろうと思います。本日は審議事項が10議題、報告事項が5議題です。各委員の申出状況、出席状況を踏まえ、順番を少し変えまして議題2から順に審議して議題1を最後に回したいと思います。それでは審議事項の議題2に移りますので、事務局から説明をお願いします。
○機構 それでは、審議事項議題2、資料2「医薬品オーファディンカプセル、同カプセル5mg及び同カプセル10mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定について」機構より御説明いたします。
本剤の効能・効果であります高チロシン血症I型は、チロシン分解経路の最終段階にあるフマリルアセト酢酸ヒドロラーゼが欠損することで、肝臓や腎臓において有害な中間代謝物としてマレイルアセト酢酸及びフマリルアセト酢酸並びにこれらの代謝物でありますサクシニルアセトン及びサクシニルアセト酢酸が蓄積する常染色体劣性遺伝子疾患となります。
本疾患は重度肝機能障害や凝固障害、疼痛性神経性発作、腎尿細管機能障害の発現や肝細胞がんの発症リスクを有するとされております。2014年7月現在、本邦で確認されている高チロシン血症I型の患者は1例のみとされております。本剤の有効成分でありますニチシノンはチロシン分解経路の第2段階にある4-ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼの阻害薬であり、高チロシン血症I型におけるフマリルアセト酢酸ヒドロラーゼ活性の遺伝的欠損に起因する有害な中間代謝物の産生や蓄積を抑制する薬剤となります。
本剤は2002年1月に米国、2005年2月に欧州で既に承認されておりまして、2014年7月現在、世界37か国において承認されており、欧米では高チロシン血症I型に対する第1選択治療法とされております。以上の背景から「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」におきまして、未承認薬等開発支援事業による開発支援品目に選定されました。本品目の専門協議では、資料17に示す先生方を専門委員として指名させていただいております。
以下、本剤の有効性及び安全性について臨床試験成績を中心に説明いたします。チロシン及びフェニルアラニン制限食事療法を実施しております高チロシン血症I型患者250例、うち日本人患者1例に、推奨開始用量として本剤1mg/kgを1日2回に分けて経口投与し、その後、臨床検査値に基づいて適宜調整して投与するNTBC試験が実施されました。
有効性については、審査報告書の43ページの図2に示しましたように、NTBC試験の生存率は投与6年後においても94%と高く、チロシン及びフェニルアラニン制限食事療法のみを受けた高チロシン血症I型患者に関する国際的調査コホートの推定生存率と比較しますと、本剤による生存率改善の可能性が示唆されております。また、審査報告書の38ページの表14に示しましたように、本剤の投与によって尿中サクシニルアセトン等の疾患特異的な生化学パラメータが基準範囲となり、チロシン及びフェニルアラニン制限食事療法と併用することで、コントロールが安定する傾向にあること等から、本剤の有効性が示唆されたと解釈して差し支えないものと考えております。
安全性については、審査報告書の45~50ページ「2)安全性について」の項に記載しましたように、NTBC試験における有害事象の発現状況及び海外の市販後データから、眼障害、白血球減少症、顆粒球減少症や血小板減少症等について検討を行いまして、本剤とチロシン及びフェニルアラニン制限食事療法を併用し、適切な注意喚起がなされることを前提とすれば安全性は許容可能と判断いたしました。
製造販売後調査については、審査報告書の55~56ページ「(5)医薬品リスク管理計画(案)について」の項の表23に記載しましたように、眼障害や血小板減少症、白血球減少症、顆粒球減少症等について製造販売後調査にて情報収集される予定です。なお、審査報告書の56ページ「III.総合評価 承認条件」の項に記載しましたように、日本人患者の使用経験が極めて限られていることから、製造販売後は再審査期間中の全症例を対象にしまして、使用成績調査を実施して、本剤の安全性や有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じる旨、また、医薬品リスク管理計画を策定し、適切に実施する旨の承認条件を付すことが適切と判断いたしました。
以上のとおり、機構での審査の結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であるため、再審査期間は8年が適当であると判断しております。原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しております。また、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。以上、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 小児科医として多少付け加えるといたしますと、この病気は以前から遺伝性高チロシン血症と言われている常染色体劣性遺伝の病気で、新生児期早期から非常に重篤な胆汁うっ滞型の肝機能障害と腎障害を来す疾患です。大変珍しくて私自身も直接経験したことはないのですが、もしかすると診断されずに不幸な転帰をたどっている患者がいるかもしれません。そういう患者に対しての治療に相当するのがこの案件です。
それでは、委員の皆様から御質問ございますか。
○佐藤(田)委員 先ほど部会長の御説明のように報告書の3ページにもある生後数週間から様々な兆候があって診断ができるようになっているようです。そこで、添付文書の剤形についてお伺いしたいのです。添付文書にあります製剤の性状で、準備されるのが硬カプセル剤の3種類は、分量によって変わってくるのでしょうか2mg、5mg、10mgが全て硬カプセルという剤形で出てきています。乳児、もしくは出生間もなくの乳児が本疾病と診断された場合に投与をする形態としては、シロップ剤か何かの準備がされなくてもいいのでしょうか。それともこのカプセルを服用できるのでしょうか。
○松井部会長 機構からお願いいたします。
○機構 先生の御指摘のとおり乳児の、非常に小さいお子さんが早期から発症するということで、本剤はカプセル剤ですが、実際にNTBC試験においては脱カプセルをして乳児に投与されているという状況でありました。この点については、実際の臨床現場でも、今後脱カプセルをして投与される可能性もあることから、資材等で脱カプセルの手順等について情報提供される予定です。なお、今現在の本邦の1例の患者さんはカプセル剤で投与されております。
○佐藤(田)委員 専門家ではないので、脱カプセルというのは単純に言うとどういうことですか。カプセルから抜き出して飲み物に溶かして、成分変化はないのですか。
○機構 先ほどの説明に加えまして、御説明させていただきます。本剤については、脱カプセルをしたときの安定性については、□□□□□□□□□□□□□□□□□です。したがって、患者には脱カプセル後の安定性は確立されていないことを情報提供した上で、脱カプセルをした後にすぐに投与するように情報提供資材で対応される予定です。
○川上委員 製品が2~8℃の冷所保存になっているので、一般的に冷所保存しなければいけないくらい安定性が悪いものかなと思われます。そういう意味では脱カプセルをして調剤したものが時間の経過を経てから患者が飲まれるということに、医療現場では一定の懸念を持つのですが、その辺りに関してはいかがですか。
○機構 御指摘のとおり、本剤は2~8℃で冷蔵保存する薬剤となっております。海外の添付文書に記載されている情報ですが、25度以下で保存したときに2か月安定であるというデータがあります。しかし、そのようなデータも医療関係者に情報を共有しつつ基本的には冷蔵で保存しまして、投与した後すぐに冷蔵庫に戻すような対応が必要と考えております。
○松井部会長 よろしいですか。ほかにございますか。
○神田委員 この患者さんは発症率が不明で現在確認されているのが1例であるということを前提にしながら、今後症例について調査をして安全性、有用性に資するデータを集めるということですね。患者が出ないほうがいいわけですが、極めて少ない中でこうした情報が収集できるのかどうかという辺りが矛盾として感じられたのです。先ほど来のお話を聞いていますと、今後は診断についてきちんとできるように並行的に、そういう手立ても取られていくので情報を収集できると解釈してよろしいのでしょうか。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○審査第一部長 今御指摘があったように非常に患者が少ないものですので、まずは国内で発生した全ての症例について情報を取っていただくこととしております。また、この期間に海外でも投与がなされると思いますので、製造販売業者を通じてそういう情報も幅広く集めていきたいと思います。診断については特に大きく変わることはありませんが、先ほど御指摘もありましたとおり、もともと余り治療法がないもので、かなり早く亡くなってしまうケースも、このような治療法が出てくると投与いただくことによって多少延命ができるかと思いますが、いずれにしてもそういう患者さんがいらしたら投与された場合にはできるだけ幅広く情報を取って、再審査の時点等に状況の報告をいたしたいと考えております。
○松井部会長 よろしいですか。ほかにございますか。
○川上委員 製剤が3規格あって、□□□□□□□□が大変低いようです。これは海外からの輸入品なのでどうしようもないという理解でよろしいですか。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○審査第一部長 海外から入ってきていること、日本での患者さんも大変限られているというところから、なかなか厳しい状況かと思います。
○松井部会長 ほかにございますか。よろしいでしょうか。御意見、御質問がないようなら議決に入ろうと思いますが、よろしいですか。本議題について承認を可としてよろしいですか。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。それでは、議題3に移ります。機構から御説明ください。
○機構 続きまして議題3、資料3「医薬品アイリーア硝子体内注射液40mg/mL他の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について」機構より御説明させていただきます。
本剤の有効成分であるアフリベルセプト(遺伝子組換え)は、ヒト免疫グロブリンG1のFcドメインにヒトVEGF受容体の細胞外ドメインを結合した組換え糖タンパク質です。本邦において、本剤は2012年9月に「中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性」、2013年11月に「網膜中心静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫」、2014年9月に「病的近視における脈絡膜新生血管」の効能・効果で承認されています。
今回の申請効能・効果である「糖尿病黄斑浮腫」(以下、「DME」)につきましては、本邦において20 □年□月より臨床試験が開始され、今般、有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。海外では、2014年8月現在、DMEに対して米国、欧州連合及びコロンビアで承認されています。本申請の専門委員としては、資料17に記載している4名の委員を指名いたしました。審査内容について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
第III相試験として、レーザー照射療法を対象とした無作為化二重遮蔽並行群間比較試験である海外試験のVISTA-DME試験及び日本人DME患者を含む国際共同試験のVIVID-DME試験が実施され、さらに、日本人DME患者に対する本剤長期投与時の安全性を確認することを目的とした非遮蔽非対照試験のVIVID-Japan試験が実施されました。VISTA-DME試験及びVIVID-DME試験では、本剤群として、本剤2mgを4週ごとに1回硝子体内投与する2Q4群、本剤2mgを4週ごとに連続5回、その後は8週ごとに1回の硝子体内投与する2Q8群の2群が設定され、VIVID-Japan試験では、本剤2Q8群の1群が設定されました。
有効性について、審査報告書10ページの図2及び13ページの図3を御覧ください。主要評価項目は使用52週目の最高矯正視力(以下、「BCVA」)、スコアのベースラインからの変化量とされ、図2はVISTA-DME試験、図3はVIVID-DME試験における治療52週目までのBCVAスコアのベースラインからの変化量の推移を示しております。いずれの試験においても、52週目のBCVAスコアのベースラインからの変化量について、レーザー群と比較して統計学的な有意差が認められ、レーザー照射療法に対する本剤の優越性が示されました。
安全性につきまして、審査報告書20ページの表12を御覧ください。第III相試験においてVIVID-Japan試験ではVISTA-DME試験及びVIVID-DME試験と比較して、有害事象の発現割合が低い傾向が認められていますが、VISTA-DME試験及びVIVID-DME試験においては、本剤各群とレーザー群で眼の有害事象、眼以外の有害事象のいずれの発現割合においても、有意な違いは認められませんでした。
次に、審査報告書21ページ、表13を御覧ください。既承認の疾患を対象とした臨床試験成績と比較したとき、DMEを対象とした臨床試験で比較的多く認められた有害事象は結膜出血、高血圧、鼻咽頭炎でしたが、結膜出血は滲出型加齢黄斑変性と同程度、高血圧については、対照群であるレーザー群においても同程度に発現していることから、DMEの原疾患である糖尿病を含む患者背景に起因するものと考えております。また、鼻咽頭炎につきましては、ほかの対象疾患と同程度でした。以上の審査を踏まえ、本剤の糖尿病黄斑浮腫の効能・効果を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。
本申請は新効能医薬品及び新用量医薬品に該当し、再審査期間は中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性の効能・効果等に係る再審査期間の残余期間である平成32年9月27日までとすることが適切と判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。以上です。よろしく御審議のほど、お願いいたします。
○松井部会長 委員の先生方から、御質疑をお願いいたします。いかがでしょうか。
○川上委員 用法・用量の記載の記載に関することです。先にあった適応の加齢黄斑変性には「導入期」「維持期」という表現があるのですが、今回の糖尿病黄斑浮腫にはそういった概念はないのでしょうか。
○機構 機構よりお答えさせていただきます。糖尿病黄斑浮腫につきましては、連続して投与する場合もあり、加齢黄斑変性のような導入期と、その後に続く維持期というような考え方はありませんので、このように記載させていただいております。
○松井部会長 私からですが、21ページの表13の有害事象の発現状況の中で、高血圧はともかくとして死亡が少なからず認められるように思うのですが、これはどのように考えたらいいのでしょうか。
○機構 機構よりお答えさせていただきます。DMEの試験において死亡例が、実薬投与群で6例認められております。この中で5例については、治験薬との因果関係が否定されております。残りの1例については、治験薬との因果関係が完全には否定されておりませんが、その症例の詳細を調べてみましたところ、治験薬の投与開始から1年後以降に発症しているということ、当該患者においては合併症で高度の高血圧を持っており、それが一因と考えられるということから、本薬の安全性に対して大きな影響はないのではないかと考えております。
○松井部会長 原疾患によるものだろうという御説明ですね。ほかにいかがですか。
○松木部会長代理 投与方法ですが、添付文書を見ると2mgを1か月ごとに1回、連続5回で、通常はその後2か月ごとに1回になります。これは臨床試験の2Q8の方に近いと思うのですが、2Q4でも効果は余り変わらないように見えるのですが、こちらを採用したということですか。
○機構 機構よりお答えさせていただきます。2Q4に比較して2Q8の方が総投与回数が少なく、硝子体内投与の手技による侵襲を回避する観点から、同じ効果が得られることを前提とすれば、総投与回数より少ない方が望ましいと判断して、2Q8を採用しております。
○松木部会長代理 分かりました。長期を前提ということですね。
○松井部会長 ほかにございませんか。それでは議決に入ります。なお、野田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。
本議題につきまして、承認を可としてよろしいですか。御異議はないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。議題4に移ります。
○機構 審議事項議題4、報告事項議題1について機構より説明させていただきます。資料4、11の二つの番号が入ったこちらの資料を御覧ください。
まず、報告事項議題1、「医薬品インスリン グラルギンBS注カート「リリー」及び同BS注ミリオペン「リリー」の製造販売承認について」報告いたします。本剤は、インスリン グラルギン(遺伝子組換え)[インスリン グラルギン後続1]を有効成分とする製剤であり、持効型インスリンアナログ製剤であるランタスを先行バイオ医薬品とするバイオ後続品として、日本イーライリリー株式会社により、製造販売承認申請がなされました。
機構における審査の結果、本剤とランタスの同等性/同質性が認められたことから、バイオ後続品の品質・安全性・有効性確保のための指針に基づき、本剤はランタスのバイオ後続品に該当すると判断いたしました。したがいまして、ランタスの有する効能・効果である「インスリン療法が適応となる糖尿病」の効能・効果で、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。
続きまして、審議事項議題4「医薬品インスリングラルギンBS注カート「リリー」及び同BS注ミリオペン「リリー」の毒薬又は劇薬の指定の要否について」説明させていただきます。同じ資料の最後の1枚紙を御覧ください。先行バイオ医薬品のランタスは原体・製剤ともに劇薬に指定されていることから、ランタスと同等/同質である本剤につきましても、原体・製剤ともに劇薬とすることが適当と考えております。本剤の毒薬又は劇薬の指定の要否について、御審議のほど、よろしくお願いいたします。以上です。
○松井部会長 そうしますと、資料11は報告ということですね。
○機構 はい。
○松井部会長 この報告について、何か御意見はございますか。なければ、審議議題4の劇薬の指定に関することですが、委員の先生方から御質疑をお願いいたします。よろしいですか。
御異議がないようですので、議決に入ることにいたします。なお、野田委員におかれましては利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮ください。本品目の劇薬の指定を可としてよろしいですか。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告といたします。議題5に移ります。
○事務局 審議事項議題5、資料5「carglumic acidを希少疾病用医薬品として指定することの可否について」事務局より御説明いたします。
申請者は株式会社ポーラファルマ、予定される効能・効果はN-アセチルグルタミン酸合成酵素欠損症、イソ吉草酸血症、メチルマロン酸血症、プロピオン酸血症が関与すると考えられる血中アンモニア濃度の上昇抑制となります。希少疾病用医薬品の指定要件について、順に御説明いたします。
まず、対象者数ですが、1ページ下より2ページ目にわたり、本剤の対象疾患に対しての説明がございますが、全体の患者数の合計は100人程度と推定されております。また、次に医療上の必要性については、本剤の対象疾患はN-アセチルグルタミン酸合成酵素の欠損又は阻害によって尿素サイクルに異常を来し、高アンモニア血症を発症して、脳浮腫や昏睡から死亡に至ることがあります。既存の医薬品としては、尿素サイクル以外の経路でアンモニアを排泄するフェニル酪酸ナトリウムがありますが、イソ吉草酸血症、メチルマロン酸血症及びプロピオン酸血症の効能・効果はなく、また投与することで必須アミノ酸が減少することで、発育障害等を起こすおそれがあるとされています。本剤はN-アセチルグルタミン酸の類似体であり、対象疾患の病態に特化した機序であることから、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
最後に4ページですが、「3.開発の可能性について」は、本剤はN-アセチルグルタミン酸合成酵素欠損症に関する効能・効果で2003年に欧州、2010年に米国で承認されています。また、イソ吉草酸血症、メチルマロン酸血症及びプロピオン酸血症に関しましては、2011年に欧州において承認されており、米国においても現在、第II相及び第III相試験が実施中です。本邦では、予定効能・効果に該当する患者を対象とした第III相試験の実施を計画中です。以上から、本剤は希少疾病用医薬品の指定要件を満たすものと判断しております。御審議のほど、よろしくお願いします。
○松井部会長 この議題5から議題10までの6議題ですが、いずれも希少疾病用医薬品の指定の可否についての審議でありますので、5から10の6議題について、続けて説明してください。
○事務局 審議事項議題6、資料6「teduglutide(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について」事務局より御説明いたします。
申請者はNPS Pharma Japan株式会社、予定される効能・効果は短腸症候群となります。指定要件について順に御説明いたします。
対象者数は2011年の厚生労働省の患者調査によると、短腸症候群の患者数は約195人とされております。医療上の必要性について、短腸症候群患者は腸管からの吸収阻害により、高度栄養失調、下痢及び脱水を来し、多くは中心静脈栄養による継続的な水分及び栄養補給が必要となります。しかし、中心静脈栄養は腸管機能に対する直接的な効果はなく、また治療が長期に及ぶとカテーテル関連感染症などの重篤な合併症のリスクがございます。現在、国内で短腸症候群を効能・効果とする医薬品は承認されておらず、本剤は小腸粘膜の増殖促進により、消化管吸収機能を維持する生体内ペプチドの遺伝子組換え体であり、短腸症候群に対する直接的な作用機序を有することから、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
最後に、「3.開発の可能性について」は、本剤は米国及び欧州で2012年に短腸症候群を適応として承認されております。また、小児短腸症候群患者を対象とした臨床試験も併せて進行中です。本邦では、日本人の短腸症候群患者を対象とした臨床試験が計画されているところです。以上より、本剤は希少疾病用医薬品の指定要件を満たすものと判断しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
議題7、資料7「一酸化窒素を希少疾病用医薬品として指定することの可否について」事務局より御説明いたします。
本品目の名称は一酸化窒素、吸入用のガス製剤です。予定される効能・効果が、成人及び小児(新生児を含む)に対する心臓手術の術前、術中及び術後における肺動脈圧低下、心機能改善及び肺の酸素化改善を目的とした肺高血圧の治療と、主に心臓外科手術時に発作的に発生する肺高血圧症状、PH症状をターゲットとしております。申請者はアイノセラピューティックス エルエルシーです。
対象患者数です。本薬の対象となる術式としては、先天性心疾患手術、左心室補助人工装置(LVAD)装着手術、弁置換・形成術及び心移植が挙げられます。そこから3ページの中程まで、各手術における患者数を推計しており、3ページの中程ですが、合計で最大でも2万7,768名と推定しております。
医療上の必要性については、周術期のPHに伴う症状は慢性期PHと同様ですが、外科手術の侵襲下において、心不全を伴ううっ血や血圧低下が起こると、極めて短時間のうちに致死的な合併症を誘発することになります。ほかの治療法としては、ニトログリセリン、ニトロプルシドナトリウム及びプロスタグランジンE1等の血管拡張薬などが使用される場合がございますが、全身血圧の低下が懸念されるところです。本薬は肺に一酸化窒素を直接吸入させることから、肺血管系を選択的に拡張し、既に学会ガイドライン等でも記載があるところです。以上から、医療上の有用性は高いものと考えております。
最後に開発の可能性につきまして、海外においては2011年3月に欧州において当該効能の承認を取得しております。また、本邦では機構の対面助言を踏まえ、非盲検非対照試験を現在実施中ですので、開発の可能性は高いと考えております。以上より、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。
議題8、資料8「イソプロピル ウノプロストンを希少疾病用医薬品として指定することの可否について」事務局より御説明いたします。事前評価報告書の1ページを御覧ください。
申請者は株式会社アールテック・ウエノ、予定される効能・効果は網膜色素変性となります。希少疾病用医薬品の指定要件の三つについて、順に御説明いたします。
まず、1ページ「1.対象者数について」です。平成23年度の全国調査における視覚障害者数は31.6万人とされております。また、視覚障害の原因が網膜色素変性であった視覚障害者は全体の12.0%であったことなどから、現在の患者数は多く見積もっても約3万8,000人と推定されております。したがいまして、患者数が5万人未満という基準を満たしているものと考えています。
次に、2ページ中程からの「2.医療上の必要性について」です。網膜色素変性については、遺伝子変異により視細胞が変性消失し、発病初期には夜盲と視野狭窄が生じ、病態が進行すると視力が低下し、失明に至る可能性がある疾患です。本邦における網膜色素変性に対する治療薬としてはヘレニエンがありますが、確立した治療法は存在しておりません。本剤は臨床試験の結果等から、細胞変性から錐体細胞を保護し、疾患の進行を抑制することは期待できると考えられております。以上より、医療上の必要性は高いと考えております。
最後に、「3.開発の可能性について」です。本邦において第II相試験が実施されており、現在は第III相試験が実施されているところですので、本剤の開発の可能性は高いと考えています。以上より、本剤は希少疾病用医薬品の指定要件を満たすものと判断しております。
審議事項議題9、資料9「エクリズマブ(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について」事務局より御説明いたします。
報告書の1ページの中程です。申請者はアレクシオン ファーマ合同会社、予定される効能・効果は□□□□□□□再発性視神経脊髄炎□□□□□となっております。希少疾病用医薬品指定要件の三つについて御説明いたします。
対象患者数は、2ページの最初の段落を御覧ください。平成24年度に実施された全国疫学調査によりますと、視神経脊髄炎の患者数は2,000~2,500人と推定されており、また視神経炎又は脊髄炎のみを呈する場合も含めた視神経脊髄炎関連疾患と考えられる患者数としても、3,000~4,000人程度と推定されております。したがいまして、患者数が5万人未満という基準を満たしているものと考えております。
「2.医療上の必要性について」です。視神経脊髄炎は急性視神経炎及び横断性脊髄炎を特徴とする疾患で、再発を繰り返すことにより失明、対麻痺、膀胱直腸障害等の持続的な神経学的機能障害が生じる場合もあります。本邦においては、本疾患に関する効能・効果を有する治療薬は存在しておりません。本疾患の原因は抗体等を補助する免疫システムである補体系の活性化と考えられておりますが、本剤はその補体系を構成するタンパク質の一つである終末補体C5に対する活性阻害作用により、視神経脊髄炎の再発を減少させることが期待されます。以上より、医療上の必要性は高いと考えています。
最後に開発の可能性についてです。現在、視神経脊髄炎に対する有効性等の評価を目的とした国際共同第III相試験が実施されていることなどから、本剤の開発の可能性は高いと考えております。以上から、本剤は希少疾病用医薬品の指定要件を満たすものと判断しております。
議題10、資料10「サリドマイドを希少疾病用医薬品として指定することの可否について」事務局より御説明いたします。
申請者は藤本製薬株式会社、予定される効能・効果はクロウ・深瀬症候群となっております。希少疾病用医薬品の指定要件の三つについて、順に御説明させていただきます。
対象患者数は、2004年に実施された全国疫学調査により340人と推定されております。したがいまして、患者数が5万人未満という基準を満たしているものと考えております。
2ページ「2.医療上の必要性について」です。クロウ・深瀬症候群は多発性骨髄腫の類縁疾患で、多発ニューロパチー、臓器腫大等の特異な症状を呈する全身疾患です。最初に記載されているとおり、本邦におけるクロウ・深瀬症候群に対する治療法としては、放射線療法等のほか、多発性骨髄腫に準じたメルファランとプレドニゾロンの併用療法などが実施されてきたものの、効果は限定的であり、近年では自家末梢血幹細胞移植の有効性も報告されておりますが、移植療法は高齢者や多臓器病変を有する患者には施行できないことから、引き続き新しい治療法が望まれているところです。本剤は血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の産生抑制効果により、クロウ・深瀬症候群に対する有効性が期待されます。以上より、医療上の必要性は高いと考えています。
最後に、「3.開発の可能性について」です。現在、医師主導治験が終了した被験者を対象とした継続投与試験が実施されていること、また本剤の安全性及び有効性を検討する臨床試験が実施されていることなどから、本剤の開発の可能性は高いと考えています。以上から、本剤は希少疾病用医薬品の指定要件を満たすものと判断しています。以上、6品目になります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 資料5~資料10までの6品目につきまして、一気に報告してもらいました。御質疑をお願いいたします。いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、議題5から議題10までの6品目について、希少疾病用医薬品としての指定を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告いたします。
議題1になります。なお、内藤委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議題1の審議の間、恐れ入りますが別室で御待機いただきます。機構から御説明をお願いいたします。
○機構 議題1、資料1「医薬品パリエット錠5mgの製造販売承認、並びに同錠10mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について」機構より御説明いたします。低用量アスピリンは、抗血小板剤として狭心症、心筋梗塞、虚血性脳血管障害等における血栓・塞栓形成の抑制に広く用いられておりますが、アスピリンは上部消化管等の粘膜障害を引き起こすことが知られており、消化性潰瘍や消化管出血等の副作用が問題となります。そのため、低用量アスピリンによる治療を継続しつつ、副作用である消化管粘膜障害の再発を予防することが重要と考えられており、低用量アスピリン投与下での胃潰瘍及び十二指腸潰瘍の再発防止にはプロトンポンプ阻害剤を用いることが推奨されております。
本邦では、2010年7月にランソプラゾールが、また2012年6月にエソメプラゾールマグネシウム水和物が、それぞれ「低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制」の効能・効果を取得しております。本剤の有効成分であるラベプラゾールナトリウムは、プロトンポンプ阻害剤の一つであり、本邦では1997年10月に承認され、現在は「胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助」等の効能・効果を有しております。
今般、胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の既往を有する低用量アスピリン投与患者を対象とした国内第II/III相試験及び長期投与試験により、当該患者に対する本剤の有効性及び安全性が確認されたとして、当該効能・効果及び用法・用量の追加等に係る承認申請が行われました。
なお、2013年11月時点において、本剤は海外103の国又は地域で承認されていますが、低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制の効能・効果で承認されている国又は地域はありません。本品目の専門協議では、本日の配布資料17に示す専門委員が指名されております。
以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明いたします。主な臨床試験成績として、国内第II/III相試験及び長期投与試験の成績が提出されております。有効性に関しては、報告書11ページの表4及び12ページの図1を御覧ください。胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の既往歴を有し、低用量アスピリンの長期投与が必要な患者を対象とした国内第II/III相試験の主要評価項目である投与24週後の胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の累積再発率を示しています。表4より、対照薬であるテプレノン群と比較して、本剤5mg群及び10mg群で、統計学的に有意な差が確認されました。以上より機構は、胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の既往歴を有し、低用量アスピリンの長期投与が必要な患者において、本剤の有効性は期待できると判断しました。
安全性に関しては、報告書12ページ表5を御覧ください。国内第II/III相試験における有害事象の発現状況を示しております。対照薬であるテプレノン群と比較して、本剤群で特異な事象及び傾向は認められませんでした。また、本剤の長期投与により有害事象の発現割合が大きく上昇する傾向も認められませんでした。
以上より機構は、既承認の効能・効果と同様の安全対策を講じることで、胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の既往歴を有し、低用量アスピリンの長期投与が必要な患者における本剤の安全性は許容可能と判断しました。ただし、本剤長期投与時の安全性、骨折に関する有害事象の発現状況、本剤とクロピドグレル併用時における安全性等については、製造販売後調査において情報収集する必要があると考えました。
以上、機構での審査の結果、胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の既往歴を有し、低用量アスピリンの長期投与が必要な患者に対する本剤の有効性は期待でき、安全性は許容可能と考えられたことから、医薬品リスク管理計画に係る承認条件を付した上で、効能・効果等の追加について承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。
なお、本申請は既承認の効能・効果とは異質の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品としての申請であることから、再審査期間は4年と設定することが適当と判断しました。また、パリエット錠5mgは、パリエット錠10mgと同様に、原体及び製剤は、いずれも毒薬及び劇薬に該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断いたしました。薬事分科会では報告を予定しております。
なお、事前に平石委員より、用法・用量について御質問を頂いておりますが、続けて説明させていただいてもよろしいでしょうか。
○松井部会長 お願いします。
○機構 御質問の趣旨は次のとおりです。『今般の適応に対する用法・用量は、「通常、成人にはラベプラゾールナトリウムとして1回5mgを1日1回、経口投与するが、効果不十分の場合は1回10mgを1日1回、経口投与することはできる。」と設定…』。
○松井部会長 それは添付文書に書いてある部分ですね。
○機構 そうです。
○松井部会長 それを指摘したほうがいいのではないでしょうか。
○機構 資料1の1.8添付文書を御覧ください。
○松井部会長 添付文書の2ページです。
○機構 平石委員からの御質問は、『今般の適応に対する用法・用量は、「通常、成人にはラベプラゾールナトリウムとして、1回5 mg を1日1回経口投与するが、効果不十分の場合は1回10mgを1日1回経口投与することができる。」と設定されており、これは最初に本剤5mgを投与し、潰瘍に対する再発抑制効果が不十分の場合には10mgを投与することも可能であるというように読める。しかし、再発抑制効果が不十分であることを症状や兆候からどのように判断するのか疑問であり、また予防効果確認の目的で上部消化管内視鏡検査を実施することは現実的ではない。アスピリン潰瘍のリスク因子として、潰瘍の既往、高齢、アスピリン以外の抗血小板薬あるいは抗凝固療法の併用、副腎皮質ステロイドあるいは非ステロイド性抗炎症薬の併用が報告されており、低容量アスピリンの内服者は、潰瘍の既往以外に、複数のリスク因子を有することも多いと思われる。潰瘍の既往を含めた複数のリスク因子を有する患者、すなわち臨床医が特に消化管ハイリスクと判断する患者には、臨床薬理試験において本剤5mgよりも強い胃酸分泌抑制効果が示された本剤10mgを最初から投与することも可能であるならば、医療現場での混乱を回避できると考える』、以上のようなものでした。
この点について、機構より回答させていただきます。結論から申し上げますと、医師が個々の患者におけるリスク因子等を勘案し、5mgでは効果不十分と判断される状況では、必ずしも5mgの投与を必要とせず、10mgを投与することも許容されると考えております。
以下、今回御提示した用法・用量を設定するに至った背景を説明いたします。報告書25ページの最終段落を御覧ください。今般提出された第II・III相試験では、胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の累積再発率がテプレノン群に比べて本剤5mg群及び10mg群で、統計学的に有意に低いことが示されましたが、5mg群に比べて10mg群の有効性が優れることは確認されませんでした。一方、安全性については、長期投与試験も含め5mgと10mgに臨床的に問題となる大きな差は認められませんでしたが、有害事象及び副作用の発現割合は、10mg群のほうがやや高い傾向が認められました。
また、低用量アスピリンに併用される本剤は、長期間の使用も想定されますが、長期使用によりプロトンポンプ阻害剤で関連が示唆されている骨折のリスクが高まることも懸念されます。以上より、薬剤の不要なばく露は可能な限り避けることが望ましいことも考慮し、本適応に対する本剤の中心用量は5mgとすることが妥当と判断しました。
続いて、報告書30ページ、「(4)用法・用量について」を御覧ください。専門協議においては、まず基本的に不要な薬剤の曝露は避けるべきという点について、合意がなされました。その上で、平石委員からも御指摘いただいたとおり、専門協議においても臨床試験では必ずしも高リスク患者で有効性は検証されていないが、本剤の薬理作用や本剤10mgが再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法における既承認用量として広く用いられており、これまで安全性上、大きな問題は生じていないこと等も踏まえ、これまでのエビデンスで潰瘍発生に関して明らかなリスク因子を有する患者には10mgの投与を許容すべきとの御意見もありました。
以上から、10mgを今般の用法・用量に含める臨床的な意義はあると考え、「効果不十分の場合は1回10mgを1日1回、経口投与することはできる」との用法・用量を設定することといたしました。今回の御指摘を踏まえて、販売時には10mgの投与が適切と想定されるケースについて、医療現場で混乱が生じることのないよう、製造販売業者から丁寧な情報提供を行うよう指示することといたします。この機構の見解については、平石委員より御了承いただいております。機構からの説明は以上となります。御審議、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○松井部会長 今の平石委員の御質問に関連して、何か御意見・御質問はありませんか。もしなければ、その他の点についてお願いします。
○佐藤(田)委員 私は長期投与におけるオステオポローシスによる骨折が気になります。報告書の21ページの辺りに書かれているのですが、2010年というと、そんなに昔でない段階で、FDAからかなり骨折に関する警告が出ているということですが、その後のシステマティックレビューとかメタアナリシスで、検討してみるとそれほどではないということで、その下のほうの段落で、特定使用成績調査をやってみたところ、2年間までで0.4~3.6ぐらいだったとか書いてありますが、それほど高い率ではありませんでしたので、大丈夫なのでしょうか。ただ、アメリカでこれだけ高い、危険だという報告、警告を出したもので、それで我が国では大丈夫なのかということがあり、添付文書の4ページ「9.その他の注意」の(4)に今のことが書かれています。今後、もちろん使用後の調査を行うようですが、もしこういうものが起こってくる可能性があったとしたら、どういう扱いになるのでしょうか。ここのところがまたどこかに上がって、強く注意をするということの添付文書に変わってくるだけなのか、少し危惧するところがありますが、その懸念はあるのでしょうか。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○機構 現在のところ骨折については本剤との因果関係が明確でないため、「その他の注意」に記載しております。ただし、今後製造販売後調査等から、本剤との因果関係が明らかになり、副作用と判断される場合には副作用の項目へ記載することを検討していくことになります。
○松井部会長 今の答えでどうですか。
○佐藤(田)委員 今のお答えだと、別にこれを書き直してくれと言っているわけではないのですが、投与する側が割合と軽視しがちになりそうな気がするので、そういう質問をいたしました。それほど重要ではないというとおかしいですが、そういうぐらいのことで、データからは解析した結果、安全とは言わないけれども、それほど強い警告ではないという判断ということでよろしいでしょうか。
○審査第一部長 今の回答を補足させていただきます。現時点では必ずしも因果関係がはっきりしていないので、こういう書き方になっております。先生からの御指摘は市販後の調査なりで、もう少し強い因果関係が明らかになった場合の取扱いということでよろしいでしょうか。先ほど申し上げましたように、当然、副作用として、もう少し高いレベルの注意喚起をするとともに、その結果次第にはなると思いますが、本来この薬が目的としているベネフィット、治療効果との比較をする中で、例えば投与の期間を制限するとか、あるいはもう少し極端に言うと、やはりリスクが大きすぎるということであれば、この薬の存在意義そのものも検討していかなければならないということになると思います。いずれにしても、市販後の結果を十分検討して、また御報告をすることになろうかと思います。
○松井部会長 よろしいですか。ほかの委員の先生方、よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。
○小川委員 先ほどクロピドグレルとの併用で、抗血小板作用を低下させる可能性があると、今後、引き続き情報収集をしていくというお話でした。23ページの表16で気になるのは、長期投与試験で5mg群が重篤な心血管イベント、クロピドグレルと併用しているグループで30%発現していますが、これは非常に多いと思います。質問したい点は、ほかの類似薬ではクロピドグレルの抗血小板作用を減少するのですが、このパリエットの場合にはそういう作用がないというように言い切っていいのかということが一つです。もう一つは、用量依存性にクロピドグレルの作用を減少させる効果があるのかという質問です。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○機構 機構より回答させていただきます。本剤の主要な代謝経路については、非酵素的に代謝されることが分かっております。一方で、オメプラゾール等で問題になっているクロピドグレルの効果低下については、オメプラゾール等やクロピドグレルがCYP2C19により主に代謝されるため、両薬剤を併用した場合CYP2C19の競合的阻害によりクロピドグレルの効果が低下すると考えられております。したがって、本剤についてはクロピドグレルと併用してもCYP2C19の競合的阻害が起こる可能性は小さいことから、クロピドグレルの効果を減弱しないと、機序的には考えられるところとなります。1点目はよろしいでしょうか。
○小川委員 分かりました。もしそういうことがないと、むしろオメプラゾールなどよりは、この薬が推奨されるという見解でよろしいのですね。我々臨床では、2剤併用、クロピドグレルとロードースのアスピリンの併用を行わなければいけない患者、特にコロナリーの患者では、より重症、あるいはより急性期、ステントを入れた直後、そういう患者なので、このパリエットと併用することによって、クロピドグレルの効果がもし落ちるとすると非常に問題があります。
もう一つ、臨床的に問題なのは、最近、2剤併用というのは余り推奨されずに、なるべく早く1剤に切り替える場合に、削除するのはアスピリンの方です。クロピドグレルだけが残るので、その場合にパリエットとの併用相互作用があれば、重篤な合併症を起こすリスクが増えるのではないかというところなので、これは注意深く情報収集というのはいいのですが、少し本当に相互作用がないのであれば、情報を集める必要もないと思います。その辺りを明確にしていただいた方がいいのではないかと思います。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○審査第一部長 ありがとうございます。そのように対応させていただきます。なお、1点、補足ですが、あくまで低用量アスピリンを服用している間に潰瘍を予防するということで、この薬が処方されますので、アスピリンの服用が終わるときには、この薬も一緒にやめていただくようにはなるかと思います。
○小川委員 現場では一旦処方された薬、普通の胃薬として処方しているドクターも多いので、アスピリンをやめた後も続いてしまうことが多いと思います。もしやめるならそれを推奨しないといけませんし、アスピリンをやめるときにはパリエットも一緒にやめなさいというように指摘するといった対応をしなければいけないと思います。恐らく現場で使われて、飲み続ける方が多いので、本当にクロピドグレルとの相互作用がないのだったらいいのでしょうか。もし少しでも可能性があるとすると、アスピリンが抜けた後の心血管事故のリスクが上がるのではないかという気がするのです。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○機構 機構より回答させていただきます。クロピドグレルと本剤との相互作用の件ですが、薬物動態的には大きな問題はないかと思います。しかしながら、疫学的な情報、のようなかなり莫大な情報からみて、本当に影響がないかというのは現時点では完全には未確認な状況です。製造販売後調査等を踏まえて、臨床的にも問題ないのかということについては、更に確認を行って慎重を期したいと考えています。
○松井部会長 今のお答えでよろしいですか。ほかにいかがでしょうか。
○川上委員 少し細かい点になるのですが、添付文書5ページ「薬物動態」の項です。CYP2C19の遺伝子型のEMとPMで動態を分けて表示していただいていまして、こういった細かい情報を頂くことは大変有り難いと思います。例えばCYP2C19の更にどういった遺伝型がEMなのかPMなのかといった情報がないと、患者を目の前にしたときに、その人がどちらに分類されるのか分かりにくいかもしれないのですが、これに関してはこの程度の表示で十分だとお考えですか。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○機構 機構より回答させていただきます。今御指摘いただきました、EM、PMのゲノタイプの型ですが、他の薬剤の添付文書で書いている品目もあり、記載されていない場合医療現場において分かりにくい可能性もありますので、この点は企業に修正を検討するよう指示したいと思います。
○松井部会長 よろしいですか。ほかにはいかがですか。
○小川委員 先ほどの問題に戻るのですが、オメプラゾールは添付文書上、このクロピドグレルとの併用は注意というように書いてあるのですか。
○松井部会長 いかがですか。
○機構 機構より回答させていただきます。オメプラゾールでは、併用注意の項目にクロピドグレルが記載されています。
○小川委員 分かりました。
○松井部会長 よろしいですか。この点については非常に重要な問題であるという認識が機構側にもあるようですので、フォローするということですね。ほかに御意見、御質問はありますでしょうか。この点についてはいかがでしょうか。ここで十分に注意をしてフォローアップすると、市販後調査をするということで、委員の先生方は御納得ということでよろしいでしょうか。ほかの点について御質疑がありましたら出していただきたいのですが、ありませんでしょうか。なければ、議決に入ろうと思いますが、よろしいですか。なお、野田委員におかれましては利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議ありませんか。ありがとうございます。この承認を可として、薬事分科会に報告といたします。別室で待機されている内藤委員をお呼びいただけますか。
—— 内藤委員入室 ——
○松井部会長 報告事項に移ります。
○事務局 報告事項議題2、資料12「医薬品シュアポスト錠0.25mg及び同錠0.5mgの製造販売承認事項一部変更承認について」報告いたします。本剤は、レパグリニドを有効成分とする速効型インスリン分泌促進薬で、本剤の単独使用、アルファ-グルコシダーゼ阻害剤との併用療法等が既に承認されているところです。今般、大日本住友製薬株式会社から、本剤と他の経口血糖降下薬とを併用投与した際の試験成績が追加されて、2型糖尿病へ効能・効果を変更する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされたものです。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤と他の経口血糖降下薬を併用した際の有効性及び安全性が確認されたことから、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。
報告事項議題3、資料13「医薬品インデラル錠10mg及び同錠20mgの製造販売承認事項一部変更承認について」御報告いたします。本剤は、交感神経ベータ受容体遮断剤でありますプロプラノロール塩酸塩を有効成分とする素錠で、1966年以降、本態性高血圧症、狭心症等の効能・効果で承認されております。本申請は、本剤に新たに右心室流出路狭窄による低酸素発作の発症抑制の効能・効果を追加するものですが、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成26年5月30日に開催された本部会における事前評価を加えて、アストラゼネカ株式会社から製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされたものです。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。
報告事項議題4、資料14「医薬品ミレーナ52mgの製造販売承認事項一部変更承認について」報告いたします。本剤は、レボノルゲストレルを有効成分とする子宮内黄体ホルモン放出システムで、本邦では平成19年に避妊の効能・効果で承認され、平成26年に過多月経の効能・効果が追加されております。本申請は、本剤に新たに月経困難症の効能・効果を追加するものですが、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成26年5月30日に開催された本部会における事前評価を加えて、バイエル薬品株式会社から製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされたものです。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。
報告事項議題5、資料15「医療用医薬品の再審査結果について」報告いたします。一般的名称はインジセトロン塩酸塩、販売名はシンセロン錠8mgです。こちらの品目について、製造販売後の使用成績調査等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について、変更の必要がないカテゴリー1と判定されたものです。報告事項は以上です。
○松井部会長 ただいまの報告事項について、御質問があればお願いいたします。
○野田委員 報告事項の議題2ですが、これは本薬以外のその当時承認されていたクラスの中で、SU剤については通常は併用しないということで、行っていないという理解でよいですね。その点はもともと添付文書に書いてないと思うのですが、ありましたでしょうか。
○松井部会長 いかがですか。
○機構 機構より説明させていただきます。資料12のシュアポスト錠についての御指摘と思いますが、別紙(2)添付文書(案)を御覧ください。SU剤との併用については、同じ作用点ということで相加・相乗効果の観点から併用しないことということを2ページの「2.重要な基本的注意」の項で、「(6)本剤は速やかなインスリン分泌促進作用を有する。その作用点はスルホニルウレア剤と同じであり、安全性が確立されていないので併用しないこと」とあるように、既に注意喚起ということで記載しております。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○野田委員 これからは効能・効果が2型糖尿病のみの記載になりますので、その点がもう少し目立った方がよいのではないかと思うのですが、そのあたりはお任せいたします。
○松井部会長 よろしいでしょうか。報告事項について、御意見はほかにありますか。以上、報告事項については、御確認いただいたものといたします。本日の議題は以上なのですが、事務局から何か報告がありますか。
○事務局 次回の部会については、11月21日(金)午後5時から開催させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 本日はこれをもちまして終了といたします。先生方どうも御苦労さまでした。
(了)
- 備考
- 本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。
照会先
医薬食品局
審査管理課 課長補佐 井本(内線2746)