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2015年1月15日 第2回東電福島第一原発作業員の長期健康管理等に関する検討会  議事録

○日時

平成27年1月15日(木)
15:30 ~ 17:30


○場所

厚生労働省専用第14会議室(12階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議事

○前田電離放射線労働者健康対策室長 本日は大変お忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまより「第 2 回東電福島第一原発作業員の長期健康管理等に関する検討会」を開催いたします。初めに、本検討会では全議事カメラ撮影を認めさせていただきますが、議事進行の妨げとならないよう指定の場所から撮影いただきますよう報道関係者の皆様へ事務局よりお願い申し上げます。

 本日は、前回御欠席でした公益財団法人放射線影響研究所主席研究員の児玉委員に御出席いただいておりますので、初めに御紹介いたします。

○児玉委員 放射線影響研究所の児玉でございます。前回、思わぬ事態になりまして欠席せざるを得ないということが起こってしまいました。大変、御迷惑をお掛けして申し訳ないと思っております。これからは、そういうことのないようにいたしますので、どうかよろしくお願いいたします。

○前田電離放射線労働者健康対策室長 また、本日、伴委員が欠席とのことで御連絡を頂いております。また、前川委員におかれましては遅れる旨の連絡を頂いております。それでは、本日の議事進行は森座長にお願いいたします。

○森座長 よろしくお願いいたします。それでは、本日も議事進行に御協力をお願いいたします。非常にたくさんの論点があります。時間が限られておりますが、その中でも積極的な御意見を期待しております。まず、議事に入ります前に事務局から本日の資料の確認をお願いします。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 まず、 1 枚目が次第です。 1 ページは資料 1 です。 3 ページからは、資料 2 で前回の議事録です。こちらについては、訂正等がありましたら後ほど事務局にお聞かせいただきたいと考えております。 19 ページからは、資料 3 です。 23 ページは、資料 4 です。 25 ページからは、資料 5 「検討に当たっての論点」です。参考資料ということで、第 1 回の検討会資料をお配りしております。参考 -1 ページは、前回資料の 9-1 です。参考 -8 ページは、前回資料の 9-2 です。参考 -15 ページからは、前回資料の 9-3 です。参考 -22 ページは、前回資料の 10 です。参考 -23 ページは、前回資料の 11 です。参考 -28 ページは、前回資料の 13 です。参考 -29 ページは、前回資料の 17 です。参考 -32 ページは、前回資料の 18 です。参考 -34 ページは、前回資料の 19 です。 37 ページは、前回資料の 20 です。参考 -57 ページは、前回資料の 21 です。資料は以上です。

○森座長 資料の不足等ございましたらお願いします。よろしいでしょうか。それでは早速、議事に入りたいと思います。本日は、追加資料が若干ありますが、主に 25 ページからの資料 5 を用いまして、検討に当たっての論点の中で具体的な検討のポイントを議論していきます。事務局に前回のコメントや意見、その他を基に追加してまとめていただいてどります。論点について御説明いただく際に、前回、質問という形で出ているものについては、それについても御回答を頂くという形になります。

 項目数が多いために、前回と同じように区分を分けてやっていきたいと思います。時間が限られておりますので、ざっと広く御意見を頂いた上で、時間がある程度きましたら、次にという形で進めていくことになろうかと思います。追加の意見等は、また会議が終わった後でも出していただいて、次回の検討会までにまとめていただいて、更に次にいくという形でやっていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。それでは、まず、項目 1 3 について、事務局から説明をお願いします。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐  25 ページの資料 5 です。 1 の「健康診断等、離職後も含めた長期的な健康管理の在り方」です。こちらについては、前回の資料の一覧を付けております。前回の主なコメントとしては、固形がん以外の疾病としては、資料 9-1 8 9 の慢性腎疾患、 10 の脳卒中、資料 9-3 C-1 の甲状腺の良性疾患、自傷、アルコール関連疾患、 C-5 の白血病、 C-8 の多発性骨髄腫などがあります。検診項目に関する検討項目としては、腎臓疾患、メンタルヘルス、アルコール関連疾患に注目するべきであるという意見がありました。原爆の被ばく者の調査は、寿命調査については、生活習慣に関する交絡因子の調整は限られた範囲ですので留意する必要がある。

 検討のポイントとして、アは指針に基づく健診の対象者に変更の必要があるかです。放射線業務従事者には、一般健診と電離健診は義務付けられている上で、その上乗せとして緊急被ばく線量が 50mSv 超で眼の検査、緊急被ばく線量が 100mSv 超でがん検診、甲状腺の検査が追加されております。この対象について御意見があればということです。イは現行の指針のがん検診について、検査項目の追加あるいは不必要の検査項目はないか。ウは現行の指針の非がんの検査項目について追加の必要、不必要という項目はないかです。エはメンタルへルスの関係もありましたので、ストレスチェックをどのように運用すべきかです。これについては、「安衛法に基づくストレスチェック制度に関する検討会」の報告書で、 2 つの対応方法が検討されております。 1 つは、労働者個人に対してストレスチェックを実施して結果を本人にフィードバックして、高ストレス者に面接指導を行うというやり方、いわゆる「個人対応」と、労働者個人の結果を集団的に分析して職場環境改善にいかす「集団的対応」があります。

27 ページです。「緊急作業従事期間中の健康管理の在り方」です。前回のコメントとしては、健康診断の実施は人手を要するため、頻度の検討に当たっては、緊急作業の実施との兼ね合いが必要ではないか。これについては、若干、振り返ってどのような議論があったかということを説明いたします。参考 -25 ページです。前川委員の提出資料の中の 3 の「急性放射線障害に関する検査に関する医学的指針」ということで、血液検査等のものが 25 26 ページについて列記されております。参考 -28 ページです。その他皮膚障害等に影響する関係の資料が出ました。

 参考 -22 ページです。福島第一原発の事故のときに行われた臨時健康診断の項目と頻度です。これを踏まえた上で 27 ページに戻っていただきますと、検討のポイントとしては緊急作業期間中の検査の項目として、放射線の被ばくによる急性の障害を把握するために必要な検査項目は何か、検査の頻度をどのように定めるか、あるいは定め方について作業内容や被ばく線量に応じて検査項目や頻度を変更する必要があるかないかです。もう 1 つ論点は、緊急作業が長期化した場合の健康管理です。当然、睡眠、食欲、疲労の蓄積、熱中症等を把握するということになり、検査項目をどうするのか。この場合の検査の頻度をどのようにするかです。

 続きまして、 3 つ目の検討項目です。「緊急作業中の原子力施設内の医療体制確保の在り方」です。これについては、前回のコメントとして防災基本計画等では、医療で特化されております。労働衛生管理、要するに予防という観点がないので、きちんとやるべきであるという御意見が出ております。この検討のポイントについては、別途、事業者と救命救急の専門家の方からヒアリングを行っております。その取りまとめ結果を次回の検討会で、お示しする予定にしております。

 検討のポイントとしては、 5 点あります。各原子力施設での緊急時対応の準備状況。緊急時に原発内に派遣される人材養成の在り方。原発内外の患者の搬送の連係を強化するための協議組織の在り方。労災被災者の搬送訓練の在り方。現在、東電福島第一原発を対象に活動する医師の派遣を行っております「ネットワーク」の属性の確保等、ほかの原発への対象拡大の運営の方法の在り方。この 5 点について、現在ヒアリングで検討を行っております。説明は以上です。

○森座長 論点の 1 から順番に御意見をいただいていきたいと思います。論点 1 の検討ポイントは、大きく分けると、指針に基づく検診についてとストレスチェックです。先に指針に基づく検診について検討したいと思います。現行から、変更する必要があるか。更に個別項目としては、がん検診と非がんの検査項目についてどうあるべきか、ということについてです。これについて御意見があれば、是非お願いいたしたいと思います。いかがでしょうか。現行のままでもいいという意見でも結構です。

○祖父江委員 がん検診ですよね。被ばく線量で 100mSv 以上で、それが適当かどうか分かりませんが、現行のがん検診が具体的には胃がんに対してレントゲン、大腸がんに関しては便潜血検査、肺がんに関しては胸のレントゲン、胸部単純です。項目としては古くなってきていて、胃がんに関しては内視鏡、大腸がんに関しては便潜血検査もいいですが何年かに 1 回の内視鏡による検査、肺に関しては胸部 CT という濃度の高い検査も考慮すべきではないかと思います。

 がん検診は早期発見を目的としていますが、それだけではなくて、がんに関して言うともっと予防も念頭に置いて考えたほうが良いと思います。具体的に言うと、胃がんに関してはピロリ菌の除菌。肝炎ウイルスのチェックをして、 C 型肝炎の駆除をする。あるいは、大腸がんの内視鏡を通じてポリペクトミーをすると大腸がんの罹患が減少できるということもあります。肺に関しては、禁煙です。禁煙治療を積極的に行うということも想定した中身を盛り込んではどうかと思います。

○森座長 ありがとうございました。がん種の問題というより、それをどう取り扱うのか、どのような検査をやるかという中身の御意見でした。

○児玉委員 祖父江委員に質問です。私は、がん検診について余り知らないものですから、教えていただきたいですが、がん検診をただやればいいということではなくて、恐らく健診の有効性が確認されているがん、この場合は更に、放射線の影響が確認されているがんについて、検討すべきだと思うのです。今言われた胃がん、大腸がん、肺がんは有効性が確認されていると思います。ほかに何かあれば、考慮していいのではないかと思いますが、どうでしょうか。

○祖父江委員 そうですね。一般の人に推奨されているがん検診で、男性ということになると、今の部位が主な所だと思います。女性は、またあります。有効性とともに考慮すべきは、検診をやれば必ず不利益の点があります。精密な検査をすれば過剰診断の問題が出てきますので、そこのバランスは常に考えて提供すべきだと思います。ただ、今言った胃の内視鏡、大腸内視鏡、胸部 CT に関しては、そのバランスを考えても今はかなり推奨できるレベルにあると思います。胃の内視鏡に関しては、最近研究班でも推奨グレードを B に変えていますし、まだ変えていないかな、そういう案を出しています。大腸内視鏡、胸部 CT に関しては、諸外国では推奨している点もあります。その点を考えると、それほどバランスは悪くないと思います。

○森座長 よろしいでしょうか。ほかにいかがですか。

○前田電離放射線労働者健康対策室長 今の胃がん検診の項目については、胃の X 線透視検査又は胃内視鏡検査が大臣指針に定まっております。胃の内視鏡は既に取り入れております。ただ肺がんについては、胸部 X 線検査及び喀痰細胞診、大腸がん検診が便潜血検査となっております。肺の CT や大腸内視鏡が入っていないところですが、こちらは、今、健康局でがん検診の検討会が進められていると思います。対策型検診として推奨できるものかどうかという検討がされていると伺っております。その辺りは祖父江先生、いかがですか。

○祖父江委員 やはり一般の方に関してよりは、若干リスクが高いという想定で、それよりは少し上乗せという意味での発言です。対策型検診としては大腸内視鏡や胸部 CT は、まだ推奨できないレベルだと思います。

○森座長 もう 1 点は今の予防対策の話です。ほかの方よりリスクが高くなれば、その分、放射線に直接関係ない生活習慣についても予防していこうという趣旨だと思います。その点は検診としてやるのか、検診の事後措置をやっていきましょうという提案なのか、どのような趣旨で捉えたらよろしいのですか。

○祖父江委員 ピロリ菌ですと、やはり検査するということになりますね。肝炎ウイルスも皆さん受けているかもしれませんが、それも検査するということになります。ですから、病気を発見するという意味ではなくて、リスクを評価するという意味での検査を加える。

○森座長 禁煙になると指導ですものね。

○祖父江委員 そうですね。

○森座長 当然、検診は事後措置されて初めて検診という意味があるので、その辺りを少し何らかの形で評価しないといけないと思います。ほかにいかがですか。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 ピロリと肝炎ウイルスとの検査ですが、これは当然、毎年行うという想定ではなく、 1 回だけやればいいということですか。

○祖父江委員 はい。

○児玉委員 禁煙指導についてです。この 2 3 年の結果の報告ではないのですが、数年前に肺がんにおいては、放射線と喫煙が相加的ではなくて、相乗的に近い交互作用、英語で言うと Joint Effect があることが報告されています。ですから、放射線被ばくと喫煙が合わさるとリスクはより高まりますから、是非、喫煙に関しては指導を徹底していただけたらと思います。

○森座長 ありがとうございました。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 確認です。それは保健指導で検診会場で保健指導するというイメージなのですか。要は禁煙外来へ通うというところまで踏み込むのですか。

○祖父江委員 それはある意味、段階を経てやるべきだと思います。もちろん検診の会場で、非常に短いアドバイスをすることから始めて、禁煙の準備ができている人については積極的に禁煙治療へ回っていただくという、もう少しシステマティックなプログラムが考えられたらいいのかなと思います。

○森座長 検診項目に関して、ほかにいかがですか。非がん項目も含めて何かございましたら、お願いいたします。では、順番に進めていきたいので、次にストレスチェックについて。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 非がんの項目に腎臓疾患の話があったのですが、これは。

○祖父江委員 確かにトピックとして放射線と腎疾患が挙がっています。それが、特に因果関係をもってリスクが上がるというわけではないと思います。一般の検診の中に含まれているものに加えて、簡便な検査について言えば、腎機能検査に関わるものを加えてもいいのではないかと思います。

○森座長 今は尿たんぱくは入っていると思いますが、それだけでは足りないという趣旨でクレアチニンを測定するという話ですか。

○祖父江委員 クレアチニンぐらいを測るのはいいと思います。

○児玉委員 今の御発言ですが、最近は CKD 、英語で言うと Chronic Kidney Disease 、慢性腎疾患です。この診断は、血清のクレアチニンを測って簡便法ですが、されています。腎臓の働きを見るという意味ではクレアチニンを加えるというのは考慮していいのではないかと思います。ただ、先ほどお話にあったように、今そういう報告が出ましたが、まだ放射線と慢性腎疾患との関係は確立されたわけではありませんので、その点は考慮する必要があると思います。

○森座長 ほかにいかがでしょうか。この辺りは、恐らくクレアチニンを測定して eGFR を計算しましょうとか、やるとしても多分そこまでの範囲を超えてはできないと思います。よろしいでしょうか。できれば、そういうことを入れていったほうがいいということですね。

それでは、次にストレスチェックについて何か御意見がありましたらお願いします。この論点としては、アルコールを含めてのメンタルヘルス上の問題が被ばく者の中にはある。今回、法令改正でストレスチェックが入ります。ストレスチェックに関しては、個人のストレスそのものを測って面接指導する方法と、集団に対してアプローチする方法があります。個人についてどのように対応するかという話と、集団については、会社ごとならまだできるのですが、それ以上になると難しいです。それをどのようにメンタルヘルス対策として入れたらいいかという趣旨だと思いますが、いかがでしょうか。

○児玉委員 この領域については、専門知識がありません。

○森座長 恐らく、ストレスチェックの場合、今回、法改正では 50 人以上の事業場においては義務になっているので、そういう所ではやって事業場単位の活用はされるということになると思います。一方、 50 人未満の事業場においても、きっと当然努力義務になると思います。原発内ではその実施をより強く推奨すべきかどうかということと、あと大きな論点としては、集団対応と言ったときに個々の事業者ごとにやるので、例えば、元方と下請事業者ごとに分析すると、ばらばらでデータが存在する形になるわけですが、それをせめて元方単位ぐらいできちんと集計しましょう、それでアプローチしましょうみたいな、そういう踏み込み方をするかしないかという辺りが、私が考えるポイントではないかと思います。どうですか。

○道永委員 ストレスチェックは、事業者の義務ですよね。

○森座長 はい。

○道永委員 労働者は、必ずしも受けたくなければ受けなくてもいいというものです。でも、この場合に関しては、事業場がとにかく全員受けてくれという方向に持っていってほしいと思います。やはり、職場の環境はすごく大事だと思います。今、先生がおっしゃったように集団対応は難しいと思います。

○森座長 個人レベルでは、できるだけ全員やるようにしてほしいと。

○道永委員 はい。

○森座長 ほかにいかがでしょうか。電力会社本体としては、恐らく、集団できちんとされるのでしょうが、福島第一原発の中でも元方に、下請けの人について、どこまで責任を持たせるかというところが、通常の場面と違うので重要だと思います。かといって、心の問題まで踏み込めるかどうかというところをどのように考えるかだと思います。結構、いろいろなことを元方に今回もお願いしているという経緯があります。そこまで踏み込むかどうかということが、論点であろうということを整理したところで、今回のところはよろしいでしょうか。

○森座長 それでは、続きまして、緊急作業従事期間中の健康管理の在り方です。緊急作業中の検診について、今回は検診をかなりの回数実施しましたが、まず、どんな項目が適当かということや頻度がどうなのか、項目・頻度が定まったときに一律、対象で全員にするのか、例えば先ほどありましたように被ばくがあった人だけとか、何らかの判断を与えた上で一部の人にやるのかという辺りが、緊急作業中の検査についてのポイントかと思います。この点についていかがでしょうか。アの緊急作業期間中の検査項目についてです。

○明石委員 放医研の明石です。急性障害、例えば、もし被ばくがあったかもしれないというときに、 1 回血液の検査をしただけでは、別にそれが低いのか高いのか分からないので、やはりこれを把握するためには、その人のバックグラウンド、特に染色体にもバックグラウンドがないと低い線量は評価できません。ただ、染色体のバックグラウンドを取る必要があるかという議論が別にあるのですが、やはり急性障害を見るということであれば、通常リンパ球の数がどれぐらいであるかということを取っておかないと検査の意味が薄れてくるような気がします。

○森座長 それは、緊急被ばくに従事する方は最初の段階で、そのデータを取っておこうという趣旨ですか。

○明石委員 そのほうが、もし被ばくがあった可能性があれば分かりやすいです。もともとリンパ球が少ない方もいます。もし、そこまで狙うのであれば、そういうデータがあったほうがベターだと思います。

○森座長 ほかにいかがでしょうか。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 確認です。今の話はあらかじめということですか。作業に従事する前にということですか。

○明石委員 そうですね。皆さんはもう従事してしまっているので、ここはどのように考えるかですね。今後、急性障害がでるかということではなくて、今までの急性障害を見るというのであれば、今の検査から見るのはかなり難しい部分が多いと思います。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 例えば 1 か月ぐらいの頻度でやって、その推移を見るというのでは遅いのですか。

○明石委員 私は、 1 か月に 1 回もやれば十分だと思います。それ以上の頻度でやる必要はないと思います。

○森座長 よろしいでしょうか。

○前川委員 先ほど来の検診のことは、大体オンサイトでやることではなくて、オフサイトでやられることだと思います。分けなくてはいけないと思ったのですが、急性障害を把握するための検査項目となると、非常に特殊な部分もあります。ただ、低線量被ばくであれば一般の健康診断のときの内容とほとんど変わらないと思うので、その辺は検討のポイントのアの 丸3になってしまうのですが、被ばく線量に応じた検査項目は当然変わってくると思います。ですから、議論が緊急作業期間中の検査項目と引っくるめてありますが、作業者がある程度の被ばくをした場合と、つまり急性障害を起こす可能性のある場合と、そうでない場合に分けたほうが、余り議論が交錯しなくていいのではないかと思います。

○森座長 ありがとうございました。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 例えば、その場合、急性障害の可能性がある場合に付け加えるべき項目としては、どのようなものがあり得ますか。

○前川委員 例えば、線量評価のゴールドスタンダードであります染色体異常分析は必ずやらなければいけないことです。かといって全部の緊急作業者にやる必要はないわけです。ある程度以上の被ばくがあったと考えられる人には、当然やるべきだと思います。ですので、緊急作業者全員を対象としてやる検査とすれば、一般の健診プラス、低線量のときでも変動があるかもしれない、例えば末梢血のリンパ球数とか、その程度はどうしてもやらなくてはいけない。それ以上のことは、ある程度以上の線量被ばくのあった人になると思います。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 例えば、ある程度の線量というと大体どれぐらいが目安ですか。

○前川委員 難しいですが、リンパ球数に変動があるとすれば、それこそ 300 400mSv ぐらいからはひょっとするとあるかもしれない。一過性の変化はあるということは言われておりますので、少なくともそれぐらい以上であればと考えます。それから、一過性の不妊も考えられますが、そこまでやるかどうかは分かりません。リンパ球は比較的どの医療機関においても実施可能な検査の 1 つですので、それは、ある程度以上の被ばくをされた方は、全員見ておいたほうがいいのではないかと思います。

○森座長 先生に前回御提出いただいた、今回の参考 -25 ページで、急性放射線障害に関する検査に関する医学的指針というところに項目が並んでいます。血液検査で血球検査や生化学検査があり、また染色体異常分析が入っています。血球検査ぐらいまでは、ほとんど全て一定の被ばく検査はやったほうがいいけれども、それ以上の障害そのものを見る検査は、今言った一定のばく露を考えたほうがいいという理解でよろしいですか。

○前川委員 そう思います。

○森座長 頻度はどうですか。今回はかなり 1 日目、 2 日目、何日目と細かくされています。

○前川委員 当然、ある程度以上、つまり 1Gy 以上になると思います。それぐらいの高線度被ばくの場合には、やはり頻回にリンパ球数を見て、その減衰曲線から線量評価をすることも 1 つの臨床的な線量評価の方法です。 4 8 時間、あるいは 6 時間という教科書もありますが、数日間はそれを見るということになります。それは、飽くまでも、恐らく 1Gy 以上の吸収線量で急性障害を疑っている人と限定されると思います。ただ、それ以下の場合でも変動する場合もあるし、一過性の変化は見られますので、 6 12 時間ごとに数日見れば、もういいのではないかと思います。

○森座長 この点について、ほかにいかがですか。事務局から何か追加で聞いておきたいことはありますか。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 リンパ球につきましては、白血球分核はもともと特殊検診の項目に入っていますので、それをやるのは従来からやっておりますので、できると思います。頻度の関係で、例えば 300mSv 400mSv の方については高い頻度になるのですが、先ほど明石先生がおっしゃった 1 か月などの頻度でいいのか、もっと高い頻度でやるべきなのかという、スクリーニングとしてどれぐらいの頻度でやるべきかということです。

○前川委員 例えば、非常に高線量被ばくの人でも直後に取れば全然下がってないです。ですから、 JCO の人たちだって一番高い線量被ばくの人でも 3 日目ぐらいで 0 になるわけですから、直後に取っただけでは、 1 回だけでは何とも評価ができないのではないかと思います。そういう意味でバックグラウンドが分かっていれば、それこそ下がり具合は分かるでしょうが、少なくともたとえ最も放射線感受性の高い細胞といえ、すぐに死滅するわけではありません。体内のレーザー防護から出てくるものがありますから、やはり何回か見なくてはいけないので、もし、そういうことで線量を追って見るということであれば、 6 12 時間ごとに 2 3 日は見るべきではないかと思います。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 例えば、もともと外部線量については測定を行っておりますので、非常に高い線量を浴びたかどうかは原則把握できるという前提に立つと、 2 日か 3 日に 1 回測らなければいけないという人は限定していいということですか。

○前川委員 恐らく、もし個人線量計を持っていらっしゃって、線量が高いということになると、当然、医療機関に搬送されますよね。外部被ばくですからね。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 線量限度を超えた場合は、そういう話になります。

○前川委員 そこでの話ですので、ですから、ここでの議論がどこで何を実施するかという議論になってくると思います。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 被ばく限度は一時的に 250mSv に上がった時期もありましたが、例えば、 250mSv に上がっている中で、取りあえず、その範囲内でコントロールできていることを前提にしたスクリーニングを今は議論しております。もちろん論点 3 は、そうではない場合も含めて考えるわけです。ここはコントロールできているのを前提にして御議論いただいているということです。

○森座長 よろしいですか。今の最後の事務局から質問があった被ばくのない方は、 1 か月間隔ぐらいでいいですかという話について、多分まだ意見が聞けていないと思います。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 先生は 1 か月とおっしゃっていたので、そういうことかと思いましたが、何かあれば。

○森座長 それを前提に検討するということですか。

○明石委員 そんなに頻回にやる意味はないと思います。

○森座長 分かりました。では、イの緊急作業が長期化した場合の健康管理に必要な項目です。ここでは、睡眠、食欲、疲労の蓄積、熱中症と挙がっています。これは、恐らく、どちらかというと問診、診察的な対応だと思います。ここについては、いかがですか。もし、 1 か月単位で被ばくがそれほど高くない方のフォローをしていくのであれば、当然そこにこういう問診が入って、ある程度把握ができるということにもなろうかと思います。ここについて、何かございますか。

○前川委員 これを客観的に表す検査項目はないと思うので、問診以外ないです。

○森座長 問診しかないですよね。頻度を多くやっても、またこれも余り意味がない、というかストレスになるということもあるので、検査をやる頻度の一番長いものというか、それに合わせて聞いていくというのが現実的かなということですね。よろしいでしょうか。

 続いて、 3 の「緊急作業中の原子力施設内の医療体制確保の在り方」については、現在ヒアリングをしていただいております。次回、具体的にヒアリングの項目を出していただくということになっておりますので、今回については、前回のコメントに追加して何かコメントがあればという形で取り扱いたいと思います。何か追加のコメントがございましたらお願いいたします。医療体制にプラスして予防的なことも少し合わせて検討いただいているということで、次回、詳しく資料を提出していただいて議論を進めるということにいたします。

 それでは、続いて、項目 4 5 に移りたいと思います。項目 4 5 に関連して事務局から説明お願いします。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 まず 29 ページの 4 です。これについては振り返りということですが、参考 -29 ページの ICRP の考え方で、緊急時の被ばく状況と線量限度は作業内容、緊急救助活動ということになっていますが、そういう場合に、線量限度は別に定められているということ。

 それから、参考 -30 ページですが、 ICRP Publication75 の中で、緊急時に線量限度を超えてしまった場合に、一定の制限を行うことについて、一定の規定が ICRP にはあります。参考 -31 ページですが、同じく ICRP Publication60 に、通常被ばくと緊急被ばくの区別ということで、基本的には長期的な防護のレベルを下げることなく対応することが書いてあります。 Publication60 のほうでは、総実効線量が 1Sv を超えないようにという数が出ています。

 参考 -32 33 ページについては、参考 -32 ページの (2) にあるように、脳・心臓疾患あるいは眼に関しては 0.5Gy という数字も出ています。これは Gy ですので、当然外部被ばくということになろうかと思います。

 参考 -34 ページ以降は IAEA BSS です。そちらのほうに ICRP より詳しくした内容のものがあるということです。参考 -37 ページ以降は杉浦委員から OECD に御確認いただいた内容が並んでいます。それを日本語にまとめた資料については、後ほど御説明いただけるということです。

 それの振り返りですが、 29 ページに戻って、それを踏まえて前回どういう議論があったということです。資料 17 ICRP の線量限度は、平常時におけるリスクが不当に高くならないようにという限度を定めたものであって、それを超えたから必ず影響が出るということではない。これは確率的影響だという意味ですが、事故に当たっては柔軟に対応すべきであるという御意見。医療的な介入というのが ICRP にも出てきますが、これは確率的影響というよりは確定的影響あるいは組織への影響に対する介入であるということ。

 白内障と脳・心臓疾患については、線量の分割効果を考慮せず、積算線量で考える。これは被ばくの頻度というか、間隔が空いていても積算で考えるという考え方を ICRP は採っています。しかもこれは急性影響ではなく、 10 15 年たってから発症するということで、これについてはメカニズムがはっきりしていないということで、そういう判断をしているという御意見です。

 皮膚の局所被ばくについても、等価線量限度の中で御議論すべきだということ。 IAEA BSS 200mSv を超えて線量を受けた場合は、メディカルドクターの助言を受けてから仕事に復帰する。 200mSv という根拠は、通常 5 100mSv のところを、次の 5 年分は見てしまったからというところを根拠にしているのではないかという御意見。資料 20 OECD 各国の対応については、通常限度を超えた場合、基本的には仕事には就かせますが、何らかの制限を掛けて就くというのが基本的な考え方です。

 検討のポイントですが、まず生涯線量の考え方として、放射線業務従事者の生涯線量については、 1Sv を目安とする ICRP の勧告に準拠するかどうか。現に、今回の緊急作業で 100mSv を超えた方がおられますので、そういう方が今後この 1Sv を超えないように、どのようにコントロールするのか、管理するのかという方法について、御検討いただきたいということで、まず実効線量による管理なのか、等価線量も含めて考えるのか。あるいはそもそもどのような方法で管理するのかについて、御意見を頂きたいということです。

31 ページの 5 の「緊急作業従事期間中の被ばく線量の管理の在り方」です。前回のコメントは、資料 17 ICRP 勘告では、事故時の線量は限度ではなくて、参照レベルで管理することになっております。これは、作業計画を立てるときに予測される線量がこれを超えないようにコントロールしなさいという意味だということです。また資料 20 によれば、多くの国で参照レベルとなっているというか、限度としている国もあるということです。これについては後ほど杉浦委員から御説明いただきます。

 同じく ICRP 103 で、高い線量限度を認めている活動で「救命活動」とか「その他の救命救助活動」といった表現で、これは救急隊員 ( 救急要員 ) 、消防などの隊員が行う、あるいは医療者が実施する作業内容であって、一般的な緊急作業とは少し違うのではないかという御意見があります。

 それと関連しますが、 IAEA BSS は「重篤な確定影響と異常事態の進展を防止」とか「大規模集団線量回避のための措置」となっていますが、これは ICRP の分類と合致しないように見えるという御意見がありました。

ICRP の第 1 のカテゴリーについては、救命救急のところですが、誰かを救出するために自分がどうなってもいいという状況で、第 2 のカテゴリーは、誰かが行かなければ破局的、破滅的な状況に陥るという状況を想定しており、こういう状態・状況はかなり限定されているという御意見がありました。

IAEA BSS については、緊急時の線量は実効線量ではなく、 1 センチメートル線量当量、いわゆる外部線量の測定値で管理をするということですが、今回、 1F の事故に関しては内部被ばくが相当多かったということがありますので、これを使えるのかどうかというところが議論ではないかという御意見。それから、 OECD 諸国での緊急被ばくの上限は、警察・消防といった職業や作業内容といった様々なカテゴリーで分類されて、被ばくの上限値も異なっています。

 検討のポイントですが、まず第 1 点目は、 ICRP の正当化原則を踏まえた緊急被ばく限度の考え方です。そもそも 100mSv を超える被ばく限度がどういった場合に許されるのかです。諸外国の方法ですが、 ICRP の緊急被ばく限度の条件、あるいは諸外国の緊急被ばく限度適用の条件とその限度値、諸外国の緊急被ばく限度の限度適用の判断の主体について御議論を頂いて、参考にさせていただきたい。

 もう 1 つは、 ICRP の最適化原則を踏まえた緊急被ばく限度ですが、当然緊急被ばく限度も必要最小限にするということで、これをどのように考えているのか。諸外国の方法では、作業者の専門知識等によって分ける、カテゴリーで分ける考え方と、作業の内容の緊急性によって分ける考え方とあるようですが、これを踏まえてどういった考え方があり得るのか。

3 つ目が ICRP の線量限度の原則を踏まえた適用ということですが、これについても前回は個別具体的な、つまり、 1F の事故が発生して、 100mSv ではやっていけないということが分かった段階で特例を定めて引き揚げたわけですが、そういった適用の在り方についても御議論いただきたいということです。以上です。

○森座長 ありがとうございました。続きまして杉浦委員に前回用意していただいた諸外国の状況について、改めてまとめていただいておりますので、御説明をお願いいたします。

○杉浦委員  19 ページの資料 3 です。前回は英文のまま、何も加工せず提出してしまい、失礼いたしました。全部の訳ということではなくて、先ほどの論点に従って若干抽出したところを述べています。

 まず、 1 の「線量制限」、我が国の限度ですが、そうではない所もあるので線量制限という言い方をしています。緊急時にどこまで浴びることを許すのかという基準があるかということです。まずは全ての国において緊急時に適用される線量基準、クライテリアを持っているということで、多くは参考レベルとして定められていますが、英語では Reference level という言葉ですが、明確にそのように定義されているわけではなくて、この数字を超えないように、超えたくない数字というように定まっているようです。

 しかしながら、そこに挙げたアメリカ、フランス、フィンランドについては、 dose limits 、あるいは upper-value limit で、いずれにしても limit 、限度値、上限値ということで定めている国があります。

 先ほど論点でも安井さんから説明がありましたように、カテゴリー分けをしていて、適用される限度が分かれているようです。まずカテゴリー 1 は、いわゆる放射線作業従事者。放射線を浴びるような職業ということで、今までの放射線についての管理をされている人が緊急時に作業をするということで、しかも誰でもがということではなくて、スペシャルチームを編成しておいて、それは年齢とか健康状態から医師によりあらかじめ定められていることとか、チームと言っても技術、医療・保健衛生の専門家を含み、あらかじめ特別な訓練を受けていることの要件が課せられた上で、線量限度が 2 種類になっています。これは状況の違いと言ってもいいかもしれません。

 国ごとの違いはあるにせよ、通常時の限度としては 5 100mSv と、単年度の 50mSv ということがあります。それを超えるためにということで、一番右側の財産保護、重篤な健康損害の防止、大きな集団線量の回避。ここは少し言葉が足りなくて申し訳なかったのですが、原子炉の安全機能とか、安全系の復旧、モニタリングシステムということで、壊れる前の話です。そういうことを担保するためのことということで、原子炉の安全計という言葉を少し補足しておいていただきたいのですが、そういったものについてはスイス、ルーマニアは通常時の限度でやりなさいと言っていますし、フランス以下の国では 100 という実効線量です。目や皮膚の等価線量について、特別な定めをしている国は、実効線量の定めをしている国よりは少し少ないようです。ただ、イタリア、イギリスなど、そういうところをきちっと考えている国もあります。

 今、申し上げた少しまずいぞという状況から破滅的な状況になるということで、 2 番目の表ですが、人命救助とか、大きな人口を防護する、あるいは原子炉が炉心溶融とか大規模放出をするような破滅的な状況になっているときには、それを食い止めるためには、先ほどの限度を超えて浴びることもあり得るだろうということで、 200 のロシア、オランダは 750 、韓国は無制限ということもあります。イギリスについても全身線量の上限値ということで、これが実効線量なのかというのは分からないところがありますが 500 という数字が出ています。これが職業人、いわゆる放射線作業従業者に対して定められている数値です。

2 番目は、明確には書かれていなかったのですが、職業的、 professionally ということです。上のほうは occupational exposures ですから ICRP などの我々の領域で言っている職業被ばくですが、 professionally に被ばくするということで、ここは書いてない所の注釈で、警察・消防が今回も活動されていますので、そういった方たちを対象としており、消防士については私の注釈ということで書かせていただいています。それらの方については今までの放射線の取扱いの経験、知識もあって、線量は低い形で定められているようで、フランス、スペインについては 10 とか 50 ということで、これは参考レベルとして使っているということで、区分を別個に定めている国もあります。

 次ページです。ただし、カテゴリー 2 の方々についても、人命救助等については例外的に超えることもあるが、 1Sv を生涯線量として超えてはいけないし、皮膚のいかなる箇所の等価線量も 5Sv を超えてはならないという定めを行っている国があります。

 ということで、人のグレードと言いますか、人の区分によって数字も違ってきます。次の表は活動の内容で、先ほども原子炉の安全系を見る所なのか、炉心溶融を止めるのかということで使っていたようなところがありますが、アメリカ、オーストラリアについて、少し段階的に数字が変わっている例が、後のほうの表からピックアップできましたので書いております。

 単年度 50 では、もちろん全ての作業で良いわけですが、 100mSv になると、アメリカ、オーストラリアを横目で見ると価値ある財産の保護、大規模被ばくの回避、破滅的状況の防止ということで、アメリカ、オーストラリアで若干活動の質的内容の差があるように思います。また 250mSv になりますと、人命救助という言葉が出てきて、オーストラリアは更にその上に 500mSv という数字があります。アメリカの場合は 250mSv 以上と書いてありますので、どういう場合で、どのように適用していくかは、もう少し調べなければいけないかもしれません。

 それが限度のところで、超えたあとの管理はどうかということが 2 番目です。これについては線量限度を超えた作業者について、その後の放射線作業に就かせないということではないのですが、何らかの制限を設けて放射線作業に就いていただくということです。その何らかの制限というのは、医学的検査を行うこと、放射線作業を行うことを事業者や医師が許可を与える。必要に応じてその後の被ばくする線量制限、通常の被ばく線量よりも低い値として管理をしていくということです。特にアメリカでは法律で規定していて、年線量、生涯線量から既に事故で浴びた線量を割り当てられている線量限度から差し引いた中で管理をしていくことが決まっています。妊婦への特別な制限はありますが、男性と妊娠可能な女性でも違いはないというのは、働く権利というところで考え方の違いがあるのかなと思います。

 具体的な数字になりますが、スロベニアについては 12 か月間は作業に就けない。イタリアでは 100mSv 以上のときは 10mSv でやってください。ロシア、アルメニアについては、 100mSv を超えたら、 20mSv でやってくださいということ。ブラジルは線量のことは書いていませんが、医学的助言が必要だと。次は 200mSv のところですが、潜在的に有害と考えられて、被ばくのある区域の立入りを禁じて、医学的検査を受ける。その後の作業の就業については、作業者の事前の同意があった場合に、厚労省に相当するような規制当局によって許可がなされるということが記述されています。

 最後のページは、その他の国で、オーストラリアからいっぱい並んでいますが、基本的には限度を超えても次のタームに入った場合には制限をしないけれどもということで、アメリカがダブっていて線量制限はアメリカについてはあるようで、※を付けていますが、基本的には制限をしないが、ケース・バイ・ケースで考える必要があるという注意書きがあるようです。

 最後の健康診断については、一般的な規定で健康診断をしましょうということで、細かい検査については、あまり具体的には聞けていません。というよりも、ケース・バイ・ケースで判断していくしかないのかなということがあるようです。これについては以上です。

○森座長 ありがとうございました。資料の御説明をいただきましたので、 4 の「通常被ばく限度を超えた者に係る中長期的な線量管理の在り方」について、まず御議論いただきたいと思います。 30 ページにありますように、検討のポイントが、生涯線量の考え方と 100mSv を超えた者の、そのあとの生涯線量の管理をどうするかという 2 点です。まず 1 点目の 1Sv という原則を準拠してよいかということですが、これについてはいかがですか。

○杉浦委員 それでいいかどうかの判断というよりも、 1Sv になっている理由と言いますか、 1Sv で被ばく時年齢と、到達年齢で発がんのリスクは変わってくる分布があって、 60 70 歳ですか、 ICRP 1990 年勧告の後ろのほうに、考察がきちんとしてありますが、一時期がん後発年齢みたいなところは、年リスクとして 1000 分の 1 を多少短い期間は超えるかもしれませんがそのぐらいで他の職業と比べてという考察があって、生涯 1Sv だから、大体 50 年間、人は働くので 1 年ごとの限度ではなくて、 1Sv 5 年ずつで 50 年を割ると、 5 年で 100mSv 。だけど 5 年も 20mSv ずつではなくて、多少浴びる年があってもいいので、 5 100mSv 1 50mSv があるという定め方になっているので、トータル最後に 1Sv に戻るというところは、事故でたくさん浴びてしまったから、 1.5 でいいですという話には私はならないのではないかと思っています。

○森座長 ということは、生涯被ばくは 1Sv が原則で、次の話は考えていくべきだということですね。ほかにいかがですか。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 伴先生が出された ICRP のステートメントで、脳・心臓疾患の関係で 0.5Gy という数字がありますので、これをどう考えるかということについて、御意見をいただきたいと思います。

○杉浦委員 私ですか。すみません保留でいいですか。なぜ保留と言っているかというと、 1 つには心臓・血管系の 0.5Gy というのは ICRP も、しきい線量と言っているだけで、線量限度はどうだという議論に発展していないというところで、 ICRP も最終的な安全というか、規制の在り方までについて考えが及んでいないのかなと思っているところがあります。

 がんのほうは、今までもいろいろな考察があり、生涯 1Sv ということで確率的影響の制限という話で、多分確定的影響のところは分けて考える話ではないかということで。

○前川委員 それも確定的影響というよりも、 ICRP は、 Tissue Reaction という組織反応という言葉にあえて置き換えて、しかも急性で 1 年、 2 年ではなくて、数年たっても起こる可能性があるということの概念を新たに提案したわけで、その 1Sv というのはどちらかというと、確率的影響を基盤にトータルに考えた値と考えたほうがいいと思います。

○杉浦委員 どちらかというよりも、遺伝的影響を含むのですが、がんしか考えていない。

○前川委員 それを基盤に考えた考え方であって、一方の神経科系に及ぼす 0.5Gy 0.6Gy というのは Tissue Reaction 、局所の組織反応という概念で捉えるべきなので、それは議論をする根拠が違うと私は思うのです。どうなのでしょうか。

 もしも確率的影響の立場で 1Sv ということを言うならば、当然 0.5Gy の値もそこに含まれるべきものではあると思います。 Tissue Reaction も起こすかもしれないが、それに蓄積したトータルの線量として 1Sv というのはリスクにつながると思うので、それを除外すべきではなくて、 1Sv という生涯累積線量の一部として考えるべきではないでしょうか。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 論点が幾つかあると思います。まず ICRP が言っている 1Sv は実効線量であるということと、確率的影響だからということは思うのです。あと Tissue Reaction のほうは Gy なので、多分組織別の等価線量だと思いますので、そういう意味では、我々の具体的な当てはめになりますと、実効線量というのは内部被ばくが入ってくるのですが、 0.5Gy で議論するときは内部被ばくの関係はあまりなくて、例えば脳・心臓ということになると外部被ばくしかないと思います。そういった被ばく別の区分にもちょっと議論はあるのかなということで、実効線量と等価線量という観点での議論もまだあり得るのかなとは思っております。その辺について、何か御意見があればいただきたいと思います。

○森座長 いかがですか。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 こちらが専門の伴先生が今日はおられませんので、第 3 回に持ち越しというのもあるかもしれませんが、何かあればという感じでお願いしたいと思います。

○森座長 この点については第 3 回でということでいいと思いますが、ちょっと考えていただいて、次回に向けて意見を頂くところなので。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 次回までに御意見を頂けると助かります。

○森座長 ということでよろしいでしょうか。その点についてはそうさせてください。続いて、既に 100mSv 超えたものについて、生涯における被ばく線量を超えないようにするという、基本的には 1Sv ということを前提にした場合の話ですが、これについてはいかがですか。諸外国にはいろいろな例があるということですが、杉浦委員、これについてはいかがですか。

○杉浦委員 働けない状況は作ってはいけないというのが、厚労省の健康みたいな立場を優先すべきなのかもしれませんが、まずは作業者の働く機会ということをきちんと考えてあげるのが優先して、それでは安全を確保するのはどうなのかということで、放射線の先生がいっぱいいらっしゃるので、そこの部分の判断は私よりも御意見を頂きたいと思います。放射線防護と言いますか、管理の立場からはそのようなことを考えます。

○前川委員 その点に関して質問したかったのですが、非常にプリミティブな質問です。実は前回の資料 16 で、厚生労働省の労働基準局長通達で、平成 23 12 22 日というのがあるのですが、そこでは、福島原発でやむを得ない緊急作業による被ばく線量が 100mSv を超えた労働者のその後の緊急作業以外の放射線業務への従事については、当該期間を含む 5 年間の残りの期間について、それ以上被ばくさせない。つまり、放射線業務に就いてもいいが、ゼロ被ばくでいろよということですよね。

 ところが、 ICRP のほうでは、例えば緊急時に受けた線量のために電離放射線を扱う作業におけるその作業所の将来の雇用が妨げられるべきではないということも書いてあるのです。それがかなり矛盾するので、もしも国がそういう方針であるならば。杉浦先生の発言で今のことを思い出したのですが、 ICRP の書いていることと矛盾することを、厚生労働省では健康優先ということで。これは非常に重要なことなのです。

 ある人が「 20mSv 、つまり、子どもたちの年間の被ばく線量の 20mSv を超えるような所には作業者も行かない」と言った人がいて、某審議会を辞めた人がいましたが、それは 5 年間で 100mSv なので、年間 20mSv を超えないように作業者たちは、あえて恣意的にしているわけです。危険だからではなくて、 20mSv に抑えないと仕事がなくなってしまうわけです。そういう意味で、杉浦先生がおっしゃったように、 100mSv を超えたら、もう駄目よと言うのが本当にいいのか、それはどうなのかということを議論してあげるべきではないかと私は思いました。

○森座長 そうすると、超えた人の雇用を守る、ただ、一方で 1Sv は生涯で超えないようにする。その両立をどうするかということで、選択肢がいろいろ出てくると思いますが、いかがでしょうか。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 そうです。 4 22 日の通達は、御案内のとおり、 100mSv 越えの方については、緊急被ばく状況においては 250mSv まで働いていいのですが、それがほかの原発において働いていいかということについては、基本的には認めないというスタンスを厚生労働省は当時は示しました。これは ICRP が示している将来というところの解釈によると思いますが、もちろん未来永劫我々も就業を制限する予定はなかったのですが、当時は取りあえず 5 100mSv という枠をはみ出ている人になりますので、それに対してどういう対応を採るのかということも明確ではなかった状況の中では、取りあえずそういう制限をするという判断をしたということです。

 ただし、もともと平成 28 年度の次の 5 年ブロックにおいては、一定の措置をするということは、もちろん当時から考えておりましたので、緊急的に行った、通常は全然考えていなかった 100mSv を超える方々に対する対応として採ったということです。

○前川委員 確かに 100mSv を超えている人は東電の人が百何人で、それ以外の人は 30 何人だったか、その程度ですよね。そういう意味では少数ではあるけれども、ある意味で原発関連のプロフェッショナルな作業者なのです。その人たちが 100mSv を超えたら、次の 5 年間は食べられなくなるということもあり得るわけなので。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 その点につきましては、実際に指導するときに十分考慮いたしまして、先生の御説明のとおり、ほとんどが東京電力の社員であったことと、それ以外の方については元請、若しくは一時請と、いわゆる大企業の社員であることを確認して、雇用に影響することはないという判断をした上で、それも判断条件に入れた上で指導したというのが事実です。

○前川委員 分かりました。

○森座長 そうすると、いずれにしても雇用ということも十分重要なこととして、この方策を考えましょうということで意見を頂いていると思いますが、具体的な管理をどうするのか、 1Sv を超えないようにどう管理をするのかということについて、何か良いアイディアはないかということだと思います。諸外国の例を見てあとはどうかということですね。

○前川委員 そこは緊急作業者ですので、基本的には事業社内の作業者ですよね。アメリカなども作業内容別の線量限度を決めたりしているのは、かなりテロ対策が背景にあると思います。ですから、最初に人命救助がきたりするわけで、その意味で考えるときに、その辺は差し引いて議論すべきではないかと思います。

○森座長 今ありました緊急作業の際の被ばく限度をどうするかという話は 5 でもう一度議論をさせていただきたいと思います。ここでは、既にばく露してしまった人の通常の業務に戻るということ、又は今後であれば廃炉の作業にどう戻るかということにも関わることについて、議論を続けたいと思います。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐  1 つの考え方としては、例えば 680mSv などを被ばくされた方で言うと、残りが 320mSv ということになって、その方があと何十年間働くかということが分母になって、その上で、例えば 5 年ブロックなら 5 年ブロックでどのぐらい被ばくできるのかを分子として乗せて考えていくという考え方が 1 つあります。この場合はそのアプローチを取ると、個別にそれぞれ数字が違うというアプローチになります。あるいはもう少し一般的に、正にイタリアとかロシアとかアルメニアみたいに 10mSv とか 20mSv とか一律の数字を決めてしまうようなやり方もあるみたいですが、そういう一律の決め方をするのか、そういったところについて御意見を頂ければと思います。

○森座長 この点はいかがですか。管理がしっかりできる企業で、特別な場合で特定の人の管理ができるから、その管理の能力に委ねるか、管理の能力というのは放っておくとうまくいかないので、一律でやるかという選択肢だと思うのですが、杉浦委員、いかがですか。

○杉浦委員 先ほどの 1Sv が生涯の確率的影響のリスクに準拠していて、それを一定の率で浴びるという前提でリスクが評価されているということを考えると、参考 -30 ICRP の記述があります。 Publication 75 で、これは 1990 年勧告に基づくそれをブレークダウンした作業者に対する勧告です。

61 項には「引き続き被ばくが許される場合には、事業者は、作業者と協議しかつ規制機関の要件に従って、残りの管理期間に適用される正式な線量制限の制度を確立することが適切であろう」ということで、その次に「線量限度が関係する残りの期間に比例して一時的な線量制限を行うことが適切であるかもしれない」ということですから、先ほど安井さんがおっしゃったように、生涯 1Sv から緊急時に浴びた線量を引いて残りの期間で割ってしまうというのが、これからは読めるわけです。その数値が幾つかということで、それが現実的なのかどうか、管理ができるのかということも考え合わせる。ですから 100mSv をちょっと超えているような方でしたら、ほとんど関係がなくなってくると思いますし、だけど、そういうことでウォッチする必要があるのであれば、外国の例にあったように 10mSv とか 20mSv とか。年 20mSv であれば何も制限が掛かっていないのと一緒ですから、そういったところで見ていくのかなと思います。ですから、ここの部分については百何人と限られていて、対象が分かっているので、そこを見つつというところの視点が大事なのかなと思います。

○森座長 ありがとうございました。ほかにいかがですか。

 今の話は、実際のケースからすると、先ほどありましたように東電と大手の元方企業ということなので、管理能力もあることを前提にという話かということですよね。

○前川委員 当然、被ばく時の年齢も問題になってきますよね。

○杉浦委員 ただ、一応、均等にあびてというところが前提で Sv が出てきているというところで、余りそこは考えなくてもいいのかと。そこをやり出すと、もう 1 回計算してみましょうかという話になると、ちょっと大変かと思うのです。

○森座長 この点について、もう 1 点、等価線量の管理はどうするのかという論点が 1 つあるのですが、これについては。

○前川委員 今までずっと実効線量で議論してきたのが、途端に 1 cm 当たりの等価線量になるとかなり。とにかく水晶体については別として、個別の臓器については等価線量が当然なのですが、それ以外の議論はやはり実効線量でいかないと混乱するのではないでしょうか。どうなのでしょう。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 今、 ICRP のステートメントで言われているのは、目の白内障と脳・心臓疾患になっております。現実問題として、原発事故が起きたときの場合を考えますと、目は ベータ被ばくの可能性がありますが、脳・心臓疾患になるとほぼγ線になるという理解になります。そういう意味では、結局、外部被ばく線量に近い議論になってくると。つまり、内部被ばくを含まない議論になってくるのではないかという理解をしております。ですので、内部被ばくを含めた実効線量をどうするかという議論と、外部被ばくだけを捉えた、それについて何らかの制限を加えるかどうかという議論かと考えております。

○前川委員 でも今までは 100mSv というのは実効線量で来たわけですよね。それを超えて、生涯蓄積線量も実効線量ですよね。なのに、これからは 1 cm 等価線量で議論しようというのは、何かつながらないような気がするのです。

○森座長 実効線量の基準を作った上で、更にプラス外部被ばくという趣旨だと。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 そうです。要するに実効線量だけでいいのか、実効線量と等価線量、両方見るのかということだと思います。

○前川委員 水晶体に関しては、とにかく等価線量で見る以外はもうないと思いますよね。

○杉浦委員 あるべきかという話と、実際にできるかという話で、国の制度の話に戻って申し訳ないのですが、もし目の水晶体で何らかの制限を設けて管理していこうということになると、現行の我が国で放射線の被ばくを測るシステムとして 70 μの皮膚と実効線量の 1 cm のどちらか適切なほうで測りなさいということで、目そのものの 3 mm を測る仕組みになっていないのです。巷に出回っている個人線量測定器で 3 mm をそのまま測るという仕組みにはなっていないので、そこが本当に大事だったら、やはり 3 mm を測る仕組み、昔に戻して、そういうので構成された測定器がないと、そのシステムがない所で 3 mm でやりましょうと言っても、それは非常に長い話になってしまいます。ですので、 ICRP のステートメントでまだ出て、放射線審議会でも線量限度の取入れについて議論が進んでいないようです。そこの話がまずありきで、ここの場では目に注目して、こういう特別な状態だからということは言ってもいいのですが、それをどう測っていきますかというところはすごくいっぱいある、後ろに控えているところがあるということも事実だと思います。測れないからやらなくていいと言っているわけではないですけれども。

○森座長 今日の段階では、この点いいですか。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 そうですね。骨子を作る段階では論点整理でいいと思いますので、その後で、また第 3 回で伴先生も来られると思いますので、再度御議論いただければと思います。ただ、ここについても次回まで御検討いただければと思います。

○森座長 今ありましたように、こうあるべきだというほかに、それをやる上でこういう問題点もあるということも含めて、御意見を頂くということでお願いしたいと思います。

 続きまして、 5 番の「緊急作業従事期間中の被ばく量線量管理の在り方」ということで、これは非常にいろいろな考え方のある重大な問題だと思います。これについて、どのような緊急被ばく限度の考え方にするのかということですが、いかがでしょうか。

○前川委員 特にヨーロッパもそうだと思いますが、とにかく福島原発の起こる前までは核テロ一色だったわけなので、緊急限度の考え方で、特にライフセービングだとか、破滅的な事態を回避するためのということが書いてあるわけなのです。しかも、アメリカは特に活動別の線量限度を決めてあるのは、国を上げての核テロ対策ということでやったことだと思うのです。その辺をちょっと差し引いて考えないと、全てここに盛り込むかどうかはちょっと難しい問題です。特にこれは原発内での緊急作業に従事する人について、しかも救急救命士や医師や警察、消防の人たちを対象としたものではないという限定条件を付けた議論にしたほうがよろしいのではないかと思います。

○明石委員 私もこれは前、別の場所で議論したときも、ボランタリーとか、本人の同意ということが可能な職種と、指揮命令系統で動く職種がいるので、そこは今、前川先生が御指摘されたように、きちんと分けないと働くシステム、何かを作業するシステムとぶつかってしまって、結局良い線量限度を守ることができない、有効な仕事ができることにならないと思うので、ここは作業員という立場とそうでない人は、やはり分けて考えないといけないかと思います。

○森座長 これは基本的には、今回、作業員ということで限定した議論でよろしいのですか。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 作業員に限定はしておりませんが、作業員は必ず含まれる議論にしていただきたいということと、明石先生に確認ですが、例えば作業指揮の職種というのは、作業員は作業指揮だからという今の御発言でしょうか。

○明石委員 例えば消防とか警察の場合、ボランタリー、自分の意思でということが果たして可能かという議論は、多分、現場の消防、警察の方は出てくると思うので、そこを考えないで、ここで一律に考えるのはちょっと難しい。もちろん、そこは消防、警察と議論をするということでないと難しいのかという気がします。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 確認ですが、一般作業者については同意を取れるという理解ですか。それとも同意を取る、作業指揮だからということですか。

○明石委員 同意を取れるというか、ある程度自分の意思なり同意が使えるのか、使いやすいのかということです。使えるかどうかというよりも、実効性として。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 消防や警察は必ずしもそうでもないのではないかということですね。

○明石委員 でないかという気が私はします。それは職種別によって違うので、もう少し検討しないといけないのかという気がします。

○前川委員 今回の福島のときにはどうだったか、私はちょっと分からないのですが、例えば中央管理棟で最初の数日間の指揮命令系統は分からないのですが、 JCO のときの臨界状態を止めるために、当時の原子力安全委員会の委員長が率先して、それは作業者ですよね。あのときの作業者は JCO の作業者でしたか。 JCO の作業者に、やはり志願をさせたのですね。志願をさせて、時間と被ばく線量で交代交代で、うまく水抜きをしてホウ酸水を入れるという作業に従事して、被ばく線量が非常に低減したという経過があるのです。そういう職種であれば、今、明石先生がおっしゃったように志願という言葉は生きてくると思うのです。

○森座長 ほかにいかがでしょうか。 1 つ、今、志願という取扱いについてのお話だったのですが、志願以外に 100mSv を超える被ばく限度が許容されるような場合とか、基本は 100 までにしながら、何らかの判断で上げるのだとか、そのような手順も含めて御意見があればお願いしたいと思います。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 杉浦先生がまとめていた 19 ページの資料になりますと、例えばカテゴリー別に分けているものの場合は、 100mSv を超える線量が許されてくるのは人命救助とか、これは large populations と書いてあるのですが、大きな人口の防護とか、あるいは大規模放出の防止ということが書いてあります。作業別、活動内容別になってくると、人命救助又は大規模住民の保護ということになっております。人命救助の話はさておくと、これを見ると、どうも多人口の防護というのは、どう見ても原発の周辺の住民の防護のような気配がすごくあって、現実問題としては多くの原発、周辺の住民の方々を救うためにやむを得ない場合というように読み取れるのですが、こういったところの考え方について何かあれば、教えていただきたいと思います。

○森座長 これは杉浦委員にということですか。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 どなたか御存じであれば。 ICRP では人命救助しか出てこないものですから、 IAEA だと、まだ多人数の防護、要するに large populations が出てくるものですから、これが ICRP IAEA で考え方がどのように違うのかとか、その辺りについても、もし分かればと思ったのですが。

○杉浦委員 策定に関わった人にも少し背景なりを聞いてみたいと思います。

○前川委員 大規模住民の保護というのは、桶屋が儲かる的に言えば、それは確かに事業所が関係あるかもしれないですが、実際これに従事する人は違う人たちですよね。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 はい、自らのためではないということ。周辺住民のために自ら犠牲にするというロジックがあるのですけれども。

○前川委員 人命救助とか、大規模住民の保護に当たる人たちは、これは緊急作業者ではないですよね。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 そこはちょっとよく分からないのですけれども。

○前川委員 それは風が吹けば桶屋が儲かる式で、事故がなかったらこういうことはないわけなので、それは責任は責任なのですが、実際、大規模住民の保護には、それこそ消防、警察、自衛隊、軍隊という人たちがそれに当たるわけでしょう。むしろ破滅的な状況の防止ということは、確かに、例えば 20 ページの言葉で言うならばね。しかも、例えばここに書いてある価値のある財産の保護なんて、これは別に緊急作業者のやることではないですよね。だから、その辺はちょっと。

○森座長 作業者に限って言うと、作業者がどういう事態でどのような仕事をするかということを明確にあって、それが許されるか許されないかという話ということですね。今の破滅的状況の防止というのはありますと。また、作業者にとって、原発内の中での人命救助というのはあり得るのか。そういうことに対して、 100mSv を超える理由として許すか、許さないかという話です。

○杉浦委員 状況としてあるのかどうか、工学的というか、技術的に分かりませんが、例えばあのバルブさえ締めに行けば炉心溶融が防げるのだというようなときに、そこに入っていくというのが正に人命救助ではないですが、短期間で行ってというのはあるかもしれないですけれども。

○前川委員 正に破滅的な状況の防止ですよね。つまり、人命救助というと、ライフセービングというのは、ある種の特殊な技能を持っていないとできないわけなので、研究者同士が平均的に持っている能力ではないのですね。

○杉浦委員 ちょっと論点がずれてしまったら申し訳ないのですが、多分今までの ICRP IAEA も、例えばそこに線源が転がっているとか、空間線量が高い所で人が転がっていて、それを一時的な、 1 回の作業での線量を定めていると思うのです。今回は 12 月で切っていただきましたが、どのぐらいの長い期間の作業が緊急被ばく状況なのか、緊急時作業なのかというところは、今回の経験したものとしてはどこまでですかというのがあると思うのです。もう少し言わせていただくと、今日ここは緊急時だけの話なのであれなのですが、長くなってくると計画被ばくと緊急時があって、現存被ばくですか、長く続くような状況のことも、もう 1 つ考える必要があるのではないかと思います。

○森座長 今回、緊急被ばく作業期間が、ある意味、人為的でここまでということを決めているわけだから、どこからというのは難しいところだと思うのですけれども。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 前川先生の御意見を見て、しみじみと活動内容などを見ると、確かに風が吹けば桶屋が儲かるのように、目的・理論的に書いてあるような記載と、破滅的状況の防止、あるいは人命救助みたいに、具体的に書いてあるものが入り交じっていて、確かに国によって規定ぶりが全然違うなというのは思いました。それから、杉浦先生の御意見のとおり、もともとこれが非常に短期的な活動を前提にしているというのは、言われてみれば確かにおっしゃるとおりという気がします。そうなると、各国の基準とか IAEA の基準は、日本が想定したような状況とうまく当てはまらないということですかね。

○杉浦委員 まあ、リスクは一緒ですから、 1 年開いていようが 1 回で浴びようが、確定的、基本のところを議論しないのであれば。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 先ほどの繰り返しですが、例えば大規模な被ばくの回避とか、大規模な人口の保護、あるいは価値のある財産の保護みたいに、明らかに目的論的に書いてあるものと、破滅的情報の防止を具体的に書いてある国が分かれてはいるのですが、これは考え方として、破滅的な状況というのは結局は周辺に住民がいることを前提にしているような気がするのです。結局そういうことを前提にしているという理解ではいいのかと思うのですが、それはいかがですか。

○杉浦委員 そうだと思います。というか、いろいろな意味で 100mSv というのは従来も我が国で認めていたような数字があって、それを超えるというのはそれなりの正当化されるきちんとした理由が必要なのだと思うのです。それは理由があれば守るべきものがあるので、こうやって諸外国も決めていると。それが何で、何のときに幾つかということが、本当に一般的に決められるのかというのは、こういうことはあり得べし。なおかつ前回伴先生なども気にされていたのは、限度として決められるのか、それがケース・バイ・ケースであるのであれば、限度ではなくて Reference level みたいな形で決めておいて、このぐらいの値でやって、とにかくその状況を納めるということのほうが重要だから超えていいという状況が出てくると思うのです。ですので、その辺がまとめて活動内容別とか、人のカテゴリー別になっていると、あらかじめ決められるのかなどと思っているのが作業していたときの感想です。

○森座長 この部分については、伴先生もいらっしゃらないし、情報を更に詳しく実際に策定に関わった方から聴取いただいて、その情報に基づいて次回、引き続きということでいかがでしょうか。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 そうですね。もう 1 点だけ、例えばアメリカの例ですと、条件、コンディションというのがあって、要はこれ以下の線量では実行困難、英語ですと not practical と書いてあるのです。これを具体的にどう判断するのか非常に興味があって、何をもってこれで判断するのか、あるいは誰が判断するのかというところが正当化という概念からいうと重要なのかと思うのです。これについても、もし何か分かれば。

○森座長 毎回、杉浦委員に宿題が出て申し訳ありませんが、よろしくお願いします。

5 について、これは非常に重要なところなので、もう一度、情報収集して引き続きということにさせていただきたいと思います。

 続いて、 6 の「緊急作業従事者に対する特別教育の在り方について」、事務局から説明をお願いいたします。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 続きまして、資料の 33 ページです。これについては振り返りですが、参考 -57 ページに加工施設、次ページに原子炉施設において核燃料物質等を取り扱う業務における特別な教育ということで、これはいわゆる一般的な放射線業務従事者に事前に求められている教育の内容ということです。これについて紹介して説明したところですが、見ていただくと分かるように、非常時を前提にした内容には全然なっていなくて、これが参考にならないのではないかという議論がありましたので、今回新しく資料を付けております。

23 ページの資料 4 です。除染等業務特別教育ということで、これは 1F の事故が起きた後に、除染を行う場合にあらかじめ行う教育ということで、放射性物質が散らばっていたり、比較的、緊急作業に近い状況を想定した特別教育になっておりますので、こちらのほうがむしろ参考になるかなということで入れております。例えば電離放射線の生体に与える影響と被ばく影響ということですが、ここには 丸4までの内容があります。これは基本的には電離則と同じですが、電離則は 30 分のところ、 1 時間になっております。これは素人が多いだろうということで増やしているということです。

 除染の作業方法に関する知識ですが、 丸6に至るところはかなり具体的に線量の測定の方法とか、線量当量の監視の方法とか汚染防止、汚染状況の検査、保護具とかなり具体的に書いてあって、そういう教育をやっていることになります。次は実際に使う機械がありますので、これは省略させていただきます。

 実技教育も、作業の方法のみならず、放射線測定器の取扱いであるとか、線量当量率の監視の方法、汚染防止措置と汚染検査及び汚染の除去、保護具の取扱い、そういったかなり具体的な内容について教育をしていることになりますので、こういったことを 1 つたたき台にして考えていくのかと考えているところです。

33 ページに戻って、御検討いただきたいポイントは大きく 3 つありまして、 1 つは教育対象者の選定プロセスですが、これはそもそも緊急作業従事者をあらかじめどうやって選定するのかということです。それから、前川先生の御議論ともちょっと関係があるのですが、役割と資質ということで、多分、人命救助とかそういうことではないと思うのですが、そもそもどういう作業をする人間で、どういう資質が求められるのかと。非常に高度な専門知識が要る人なのかどうですかと。そういったそもそも論の前提条件を付すかどうかという議論があります。

 教育の実施については、あらかじめということになりますと、例えば 1 回だけやってしまうと、 30 年前に受けたからそれでいいのかという話もあり得ますので、これは例えば定期的な実施にするのか、そういった議論があります。

 あとは教育内容です。先ほど説明しましたが、健康影響に関する知識は、 IAEA とか ICRP で必ずリスクを理解した上でというのが出てきますので、これは要ると思うのですが、それ以外に、例えば保護具はあると思いますが、そういった付け加えるべき点があれば御意見を頂きたいということです。以上です。

○森座長 これは、基本には緊急事態が起こる前に、緊急作業に付ける可能性のある人に、先に特別教育をしておくという趣旨の理解ですよね。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 そうですね。現時点ではそういう特別教育がないものですから、実際の 1F の事故が起きた後、必ずしも十分な教育を受けないまま作業に投入されたという事案が、少なくとも最初、数か月間ありましたので、そういった反省を踏まえた議論です。

○森座長 受けていない人であっても、そのときに更に追加で受けてということもあり得るということですか。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 そうですね。実行上どうなるかというのは確かに難しくて、いきなり 3,000 人必要ですというときと、 100 人で済みますというときでは話が全く違うと思いますが、一応ここで想定している状況は事前教育ということです。

○前川委員 これも例えば命題の長期健康管理等に関する検討会での議論として、対象となるのが今後の廃炉に向けた作業者も含めてということを前提に置いたほうがいいのでしょうか。それとも全く違う次元の話で、他の原発事故における緊急作業者という一般論で言ってもいいのでしょうか。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 緊急作業の定義としては、緊急被ばく限度が適用されているということですので、今の 1F については通常被ばく限度でやっていますので、そういう状況ではなくて、また新たに緊急被ばく限度が適用されるような事態が発生した場合に備えた議論です。

○前川委員 そういう意味ですね。そうすると、やはり今回の反省を含めて言うと、どのように選定するかは別として、内容として力説しておきたいのは、危機管理ということの考え方を、ある程度教育すべきだと思うのです。もちろん、どの現場でもやっていらっしゃると思いますが、特に原発事故対応は非常に特殊な防災体系になっているということからしても、そういう現場での危機管理対応も知っておくべきだと思います。あとは大体いいと思いますが、少しは応急手当も入れたほうがいいかなという気がします。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 ちょっと確認ですが、危機管理とか事故対応というのは、例えば今、防災基本計画とか、そういうので定まっている内容などということですか。あるいは各企業ごとに定められている危機管理マニュアルとか、そういう意味ですか。

○前川委員 そういうことです。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 分かりました。

○森座長 今回の高線度被ばくは内部被ばくがほとんどで、全てとは言いませんが、多くの場合、マスクが適切に着けられていなかったということに起因するという大きな反省があります。その反省に基づいて教育を具体的に改善していなければ、何をやったかということになるのだと思います。実際に、マスクをはめましょう、はめましたという教育だけでは不十分であったということも明らかで、どこまで締めないと漏れがあるのかというところまで、あらかじめ緊急作業に付く可能性のある特定の人にやるのであれば必要ですね。そこまで踏み込まないと、一番問題だったことが改善したということにならないのではないかと私は思います。

○佐藤原子力規制企画課長 ( 原子力規制庁 )  原子力規制庁でございます。今、厚生労働省はこうやって従事者がやっていますが、私どもは事業者を指導する立場として、福島の事故を踏まえて、今、御意見が出ましたような、内部被ばくをしないように、全面マスクをどのようにしっかり装着するとか、そういう類のものは私どもも事業者に対する事故対応の観点から、訓練などを義務付けておりますし、それに対して私どもも評価をすることもしております。そうした一環の中で、全面マスクの着用を含めた身を守るようなことをして、事故対応に当たることはさせていただいているということを補足させていただきます。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 先生、今の話は例えばフィットテストみたいな、そもそもちゃんとできているかどうかということを、かなり突っ込んで教育しなければいけない、そういうことですね。

○森座長 そうですね。特定の緊急作業に付けることを前提にしている。もう 1 点、事前にということなので、どんな状況でどんな事態が起こるかは分からない状況でやるわけですが、実際に起こってみると、起こってくる健康の問題は、熱中症が非常に大きなリスクだったわけで、その状況になってみないと分からない問題点が当然あります。事前に教育をやることは重要ですが、事前に教育をやっているから、それ以上教育をやらなくても、受けた人だからいいよという話にはきっとならないと思うので、状況に応じた教育を何らかの形で担保しておく必要はあるのかとは思います。それをルールでやるのか指導でやるのか分かりません。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 状況に応じた教育と一言書くのは簡単です。それを義務付けられた事業者は困惑すると思いますので、何らかもうちょっと指針的なものは要るかと思います。

○森座長 そうですね。今回は春先から夏にかけてだったのですが、あれが冬だったら、別に熱中症の話は要らなかったでしょうしね。いずれにしても、現実の被ばくに応じた具体的なものを少し踏み込んで、今回の反省に基づいてやっていただきたいということです。

○明石委員 「訓練の定期的」というのは、定期的に実施するのか、一度のみという、こういう質問というか疑問が出ているのですが、緊急時というのは通常ないので緊急時なわけで、やはりこれを一度のみでいいということは、なかなかできないのではないでしょうかね。定期的にとは言わないけれども、やはり繰り返しみたいなところがないと、緊急時の対応は役に立たないような気がしますけれども。さすがに一度でいいということは言えないだろうと思いますよね。

○森座長 恐らく知識ベースの話と訓練的なものと両方あるとしたときに、全ての知識に関することをずっと定期的にやっていくかどうか、多少は議論がありますから。

○明石委員 そうですよね。でも、一応ここは訓練と書いてありますから、訓練は一度でいいということにはならないですね。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 教育対象者の選定プロセスですが、求められる役割と資質も含めて、例えば杉浦先生に御説明いただいたあれですと、エキスパートチームを事前に作るみたいなのはありますが、そういうエキスパート的なものなのか、そうではないのかというところも、御意見があればと思いますが。

○森座長 いかがでしょうか。限定的に捉えて吟味しておくかということですが。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 そうですね。エキスパートチームとそうでない人に分けて、教育内容を分けるという考え方もあるかもしれませんし、それはいろいろあると思いますけれども。

○前川委員 それは事故の内容によって、作業内容が違うのではないでしょうか。ちょっと難しいかもしれませんね。

○杉浦委員 今、正に申し上げようと思ったことは同じことで、先ほど申し上げたとおり、 IAEA なり ICRP が言っていることは、一時期の短期間の作業で、そういうチームを組んで作業に当たりなさいなので、原子炉の復旧作業に当たるような、ある程度の長期の大人数が動くようなところは多分想定されていないので、 ICRP の記述と IAEA の記述で増えている部分の意味合いも聞いた上で、次回また意見したいと思います。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 ちょっとしつこいですが、例えば求められる知識とかあるのですね。非常に高度な技術者なのか、そうではないのかとか、正に事故によって作業内容が違うということであれば、事故の内容によって柔軟に対応できるというとエキスパートですよね。要するにその現場を知り尽くしているような人に限定されるとかいう議論にもなってきますので、そういう求められる作業員像というのも、それは教育内容ではなくて、資格というか、こういう人でないと緊急作業に付けないのだと。高い被ばく限度を前提にした上ですが、そういう議論もあるのかとは思うのですけれども。

○杉浦委員 だから、その壊滅的な状況を押さえるために、そこに行って役に立つ人は誰かということですよね。その事故の状況で知り尽くしている人であるとか、熟練した作業員であるとか、緊急作業を行っていただくべき方も、資質としてあるのでしょうね。

○森座長 その人が一定レベル以上の知識はあるわけですよね。だから、それを前提にした人と、その後、いろいろな作業で 12 月まで入ってしていた人たちとは少し異質です。放射線に関する知識がないことを前提にこれから入る方と、もう十分熟知していて、ただ一方でより危険な作業をするというのと、どうも対象が 2 種類あるように思われるのですが。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 そうです。被ばく限度ともちょっと絡む話かもしれないのですが、本当に非常に高度な知識を持っているグループとそうでないグループで、教育内容も違うし、作業内容も違うということになってくると、与えられるリスクも違う、限度も違うという議論につながってくる。現にそのようにカテゴリーを分けている国もありますので、そういった整理もあり得るのかとは思っているのですけれども。

○森座長 準備をしていく場合には、高度なそういう作業を行う人が中心でしょうが、実際に起こった後に追加的に入る人たちはそうではない人たちも当然いるという。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 そういう段階別にする考え方もあるかもしれません。

○森座長 それでは、また情報の追加がありましたらお願いいたします。ここについてはよろしいでしょうか。

7 の「その他」がありまして、これは前回のコメントはどのように取り扱ったらいいですか。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 ここは「志願」の話がありまして、先ほども志願の話が大分出てきましたので、もう包含されたような気はいたします。志願の話も含めた形で、論点 5 の中、あるいは論点 6 に入るのかもしれませんが、それをどうするのかというところにしたいと思います。ただ、 1 点だけちょっと確認したいのですが、志願といっても 2 種類あるのではないかと思っていまして、包括的な志願ですね。あなたは緊急作業に従事しますみたいに、非常に抽象的な志願と、 A という仕事、 B という仕事に行く前に取る志願とあると思うのですが、 IAEA などが前提にしているのは多分後者だと思うのです。そういう前提にしてしまうと、ものすごく運用が難しいという議論もありますし、その志願の考え方もちょっと教えていただきたいと思うのですが。

○前川委員 これは IAEA ICRP も、志願というのは、当然、高線量率の場所に行って、人命救助とか、つまり被ばくする線量が高い可能性のある、そういうリスクのある作業行程のときには、恐らく志願ということになるのではないかと思うのです。ただ、一般的に緊急作業に携わるときには、それこそ今おっしゃった包括的なことかもしれませんが、非常に限定的な、非常に高い線源の近くに人がいる所、何とか線源から人を離したいというのが、放射線管理の現場では人命救助の 1 つだと思うのです。例えばそこで大出血をしているから人命救助というのは、余り想定できないのですが、とにかく自ら高線量率の場所に行って、そういう危険な作業に携わるときには、やはり志願になるのではないでしょうか。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 今のお話ですと、かなり具体的に志願をしていただくということですか。それとも個別具体的に。

○前川委員 個別各論です、と私は思いますけれども。

○森座長 杉浦委員の調べられている範囲で、志願というのはいかがですか。

○杉浦委員 そこについてはちょっとまだ。

○森座長 ここに関しては、よろしいですか。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 そうですね。労働法でいうと、結局、労働条件の明示ということになってきますので、多分、労働法の世界は非常に包括的かつ一般的な志願しかもちろんとれませんので、日本の雇用の実態として、ものすごく細かく作業の内容を事前に決めておくという雇用形態はとっていませんので、個別の話になってくると、労働の世界からちょっと離れていくかなという気はちょっとしまして、そこは別のそれこそ原子炉のオペレーションみたいに、そういう議論をやってくるのかなというのはちょっと思いますけれども。

○森座長 ここに関する志願についてはそれでということで、 7 の「その他」で、それ以外に検討すべき項目があるかということについてはいかがでしょうか。これについて、今の時点でもし何かありましたらお願いします。特にこの段階でなければ、また追加であれば出していただくという形にしたいと思います。先ほどから何度もお話ししましたが、情報が足りない部分がかなりあったり、この場でなかなかアイディアがなくて、幾つかの選択を示すにも、まだちょっとこの場では議論できないものがたくさんありました。次回までの間に御意見を頂いて、またそれを盛り込んで論点メモを更に精度を上げていただく形になろうかと思います。追加の意見を頂くのは、いつまでにお願いをしたらいいですか。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 次回は 2 20 日と大分間が空きますので、 1 月中であれば十分かと思います。具体的に言いますと、 30 ( ) で結構です。

○森座長 とりあえず 30 ( ) で、杉浦委員はまたいろいろ聞いていただくというのは、 30 日が難しければそれを超えてでも、ということで。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 難しければ。

○森座長 よろしくお願いします。基本的に 1 7 について、今日の議論は 1 回で終わるということではなくて、次回も併せて検討することを前提にしていましたし、今日は伴委員が御欠席であったので、少しここの参加者だけでは議論しにくかった部分もありますので、次回にこの残りは持ち越すという形になろうかと思います。よろしくお願いします。それでは、これで終了させていただきますが、今ありましたように 1 30 ( ) まで、もう少し時間がかかる場合は次回までに意見を頂きまして、事務局のほうは本日の議論と追加意見をまとめて、骨子案を作っていただいて、次回、更に具体的に議論を深めていくという形にしていきたいと思います。今もありましたが、次回の予定については、もう一度、事務局から御確認、御説明をお願いいたします。

○前田電離放射線労働者健康対策室長 次回の予定ですが、第 3 回検討会は 2 20 ( ) 午後 2 時からの開催予定です。よろしくお願いいたします。以上で、第 2 回東電福島第一原発作業員の長期健康管理等に関する検討会を閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。


(了)

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