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2015年1月14日 第2回蚊媒介性感染症に関する小委員会

健康局結核感染症課

○日時

平成27年1月14日(水)18:00~20:00


○場所

厚生労働省 省議室(9階)
(東京都千代田区霞が関1丁目2-2)


○議題

(1)蚊媒介性感染症に関する特定感染症予防指針の策定について
(2)その他

○議事

○梅木結核感染症課長補佐 それでは定刻となりましたので、ただいまより、第 2 回蚊媒介性感染症に関する小委員会を開催いたします。本日は、委員 11 名中、 10 名の方々に御出席いただいております。本日は、調委員より御欠席の連絡を頂いておりますが、調委員のコメントを机上に配布しております。資料の最後にとじてあります。机上のみですが、御覧いただければと思います。現時点で、定足数以上の委員に御出席いただいております。会議が成立することを報告いたします。

 ここからは、大石委員長に議事をお願いいたします。

○大石委員長 国立感染症研究所感染症疫学センターの大石でございます。では、まず議事に先立ちまして、事務局から資料の確認をお願いします。

○梅木結核感染症課長補佐 資料は、議事次第、配布資料一覧のほか、資料と参考資料、一部ずつ御用意しております。不足等がありましたら事務局までお申し付けください。申し訳ありませんが、もしカメラでお撮りになられている方がいらっしゃれば、冒頭のカメラ撮りについては、ここまでとさせていただきます。御協力をお願いいたします。

○大石委員長 では、議事に入る前に、本日の議題を確認させていただきます。議題 1 として、「蚊媒介性感染症に関する特定感染症予防指針の策定について」、議題 2 は、「その他」となっております。委員の皆様には、円滑な議事進行に御協力をよろしくお願いします。

 では、議題 1 の「蚊媒介性感染症に関する特定感染症予防指針の策定について」、事務局から資料の説明をお願いします。

○梅木結核感染症課長補佐 お手元の資料は「蚊媒介性感染症に関する特定感染症予防指針 ( ) 」となっております。こちらの資料は前文から始まり、第一から第八までの章立てで構成の資料です。前文が 3 行目から次ページの 47 行目の構成です。 5 つのパートになっています。 3 行目から 6 行目については、蚊媒介性感染症に関して紹介している行になります。その次の段落ですが、 8 行目から 21 行目までは、昨年のデング熱に関する記載を初めとして、蚊媒介性感染症に関する現状、課題、対策の重要性について記載しているところです。

 その次の段落、 23 行目から次ページの 37 行目で、蚊媒介性感染症について、それぞれについての具体的な説明を記載しています。本指針において、デング熱とチクングニア熱を重点的に対策を取る必要がある蚊媒介性感染症に位置付けるということにしています。

 それから、少し読み上げをいたしますが、 32 行目の所ですが、本指針では、デング熱及びチクングニア熱を重点的に対策を取る必要がある蚊媒介性感染症に位置付け、これから感染症の媒介蚊 ( ヒトスジシマカ ) が発生する地域での対策を講じることにより、その発生の予防とまん延の防止を図ることを主たる目的としている。なお、その他の蚊媒介性感染症についても、共通する対策については適宜採用することが期待される。このような形で記載しています。

 その次の段落の 39 行目から 42 行目にかけては、本指針そのものの位置付けについて書いてあります。その次の段落の 44 行目から 47 行目は、指針の見直しの検討の規定が書いてあります。そのような内容で前文が構成されています。

 続いて、「第一 平常時の予防対策」は 49 行目から 77 行目までです。「一 基本的考え方」が 50 行目から 54 行目まで、「二 一般的な予防方法の普及」は 56 行目から 62 行目まで、「三 国内未発生時の対応」が 64 行目から 77 行目まで記載があります。

 「第二 発生動向の調査の強化」は 79 行目から 116 行目までです。「一 基本的考え方」が 80 行目から 83 行目まで、「二 蚊媒介性感染症の発生動向の調査の強化」は 85 行目から 88 行目まで、「三 医師による蚊媒介性感染症の診断・届出」が 90 行目から 98 行目まで、「四 日本医師会との協力」が 100 行目から 104 行目まで、「五 病原体遺伝子検査等の実施」が 106 行目から 109 行目まで、「六 国際的な発生動向の把握」が 111 行目から 116 行目までです。

 続いて、第三に移ります。「国内感染のまん延防止対策について」は 118 行目から 142 行目までです。「一 基本的考え方」が 119 行目から 122 行目まで、「二 国内発生時の対応」が 124 行目から 142 行目までです。

 続いて、「第四 医療の提供」は 145 行目から 164 行目までです。「一 基本的考え方」が 146 行目から 149 行目まで、「二 診断体制の整備」が 151 行目から 158 行目まで、「三 医療関係者に対する普及啓発」が 160 行目から 164 行目までです。

 「第五 研究開発の推進」が 166 行目から 193 行目までです。「一 基本的考え方」が 167 行目から 170 行目まで、「二 ワクチン等の研究開発の推進」が 172 行目から 180 行目まで、「三 疫学研究の推進」が 181 行目から 184 行目まで、「四 研究機関の連携体制の整備」が 186 行目から 189 行目まで、「五 研究評価の充実」が 191 行目から 193 行目までです。

 「第六 推進体制と普及啓発の充実」が 195 行目から 217 行目までです。「一 基本的な考え方」が 196 行目から 198 行目まで、「二 都道府県における蚊媒介性感染症対策の会議」が 200 行目から 206 行目まで、「三 普及啓発の充実」が 208 行目から 217 行目までです。

 「第七 人材の養成」 219 行目から 234 行目までです。「一 基本的考え方」が 220 行目から 225 行目まで、「二 都道府県等及び市町村における蚊媒介性感染症に関する人材の養成」が 227 行目から 230 行目まで、「三 国による支援」が 232 行目から 234 行目までです。

 「第八 国際的な連携」が 236 行目から 252 行目までです。「一 基本的考え方」が 237 行目から 241 行目まで、「二 諸外国との情報交換の推進」が 243 行目から 245 行目まで、「三 国際機関への協力」が 247 行目から 252 行目までで、こういった形の段落構成になっております。これら大枠としては、前回、第 1 回目の会議で御審議いただいた論点をこの中に含めて、こういった形に記載している事務局 ( ) になります。事務局からは以上です。

○大石委員長 それでは、指針案について、まず全体的な構成とか、指針の対象範囲と総合的なコメントがありましたらいただきたいと思います。その後に、段落、小見出しごとの詳細について検討していきたいと思います。いかがでしょうか。

○小森委員 日本医師会の小森でございます。麻しん、風しんに関する予防指針については、最初に目標を提示すべきではないかという議論があって、提示していることがあります。結核に関する予防指針にはそういった記載はないということがありますけれども、目標あるいは理念を提示すべきではないかについて皆様の御意見をお尋ねしてもいいのではないか。

 あと、若干細かいことですが、いろいろな字句の整理はこれからするのだと思いますが、国内未発生と言っても、特にデング熱は 200 症例を超える輸入症例というのは毎年ありますので、その辺りの字句の整理について、少し皆様で御検討いただければと思います。

 それから御承知のように、特にこういった感染症ということに関する対策等については、各医療機関、医師が個別に行うということではなく、行政なり、諸団体とともに連携をして医師集団として、全体的に行動を起こすということが極めて疫学的にも大切なことであります。そういった観点から、風しんに関する予防指針については、「日本医師会」という語句が 9 回、また、麻しんについては 7 回の記載になっています。このようにしつこく出ているのは、何度も申し上げますように個別の医療機関、個別の医師が個別の対応ということではなくて、あくまで感染症については、疫学的な、あるいは集団的な、あるいは面としての対応が重要であるというような観点から、そのような記載になっています。現実にこれまでも感染症に関する対策については、個別の国の財政的な支援がなくても日本医師会としては、医療者を代表する団体として、全ての医師とともに、自律的な努力として、財政的にも自分たちが担いながら、研修会等の対応をしているということがあります。そういった記載について、格段の御配慮をお願いしたい。この 3 点を申し上げておきます。以上です。

○大石委員長 ありがとうございました。小森委員から御指摘があった目標について、昨年策定した風しんに関する特定感染症予防指針の中でも、 2020 年を目標とした CRS 及び風しんの排除を目指すということが記載されたかと記憶します。皆さん方からの御意見はいかがでしょうか。目標を入れてはどうでしょうか。

○前田委員 本日、参考に東京都の蚊媒介感染症対策会議の報告書が添付されておりますけれども、こちらを検討をする際に、私ども目標というものをどう考えるかということについてもかなり議論いたしました。この会議の座長をされている尾身先生から、目標というものを定めるべきであるという御意見があって、検討をいたしました。ただ、今、麻しんのお話が出ましたが、私どもが、この下敷きとして考えたのは、新型インフルエンザ対策のように、ある程度発生するのが必然で阻止し難いもので制圧というよりは、いかにその被害を少なくするかというところに目標を置くべきであろうというようになりまして、そういう観点からそれぞれの発生の状況に応じたこうした形の目標で対策を取ろうというものを記載すべきだというような考えに至りました。

 お手元にちょうど、東京都の報告書の参考資料をお配りいただいておりますが、この中の 21 ページに各発生段階ごとの目標というものを示させていただいております。ここにありますように、今後とも日本国内に、これは蚊媒介性感染症全般、特にデング熱ですが、こうしたものについては国内で発生するという必然性については阻止し難いと。ただ、それぞれの段階ごとにできるだけ被害を少なくするということで、患者未発生時対策については、できる限り発生リスクを減らすということが目標である。患者発生時については、できる限りの感染拡大、伝播を抑える。そして、アウトブレイク、明確には記載しなかったのですがここに至らないということが実は、、基本的な目標としながら、そうなってしまった場合については、重症者に対して、適切な医療をするということを目標ということで掲げさせていただきました。ですので、私ども、都道府県が実務的に対策を推進する上では、こうした目標を考えて実施していくべきではないかというように考えております。

○大石委員長 ありがとうございました。ただいまの前田委員の御意見もありますが、皆さん方から、東京都の指針では、このような未発生期、発生期、アウトブレイク時、この辺に応じた目標を設定したということですが、ほかの委員からの御意見はありますでしょうか。事務局から何かありますか。

○梅木結核感染症課長補佐 事務局ですが、補足で説明いたします。 2 ページの 39 行目から 42 行目の段落の中に「目標」という言葉が出ておりますが、本指針はこのような状況を受け、「蚊媒介性感染症に関する対策を、適切なリスク評価を行った上で、必要な範囲において実施することを目標とし」という形で、目標という言葉は出てきております。そこだけ説明させていただきます。

○小森委員 よろしいですか。麻しん及び風しんについては、目標という言葉で特出ししたのは、別途の理由がありますね、排除という。そういうことであっても、正に前段で長い前置きがありますので、その中で事務局が、今、触れられたことについては、そういう形で目標というように記載をするというのは、最初にまず未発生というところでスタートしているわけですが、東京都の方が御説明されたように、どのような法律でもそうですが、理念とか、目標ということをどの程度書き込むかということを今、十分記載されているので、そこのところを特出しとして形としてもってこられてもいいのではないかと、そういう提案です。

○大石委員長 小森委員の意見としては、前段の部分に少し目標の部分を書いたらどうかという御意見でよろしいでしょうか。

○小森委員 はい、前段の初めの長いところにありますので、そこのところの目標に当たる部分をピックアップされて。

○大石委員長 ピックアップして挿入するということですね。

○小森委員 最初に目標として、スッとお書きになったほうがすっきりしていいのではないかということですね。

○大石委員長 事務局はいかがですか、

○感染症情報管理室長 いろいろな一番大事なところの御意見を頂きまして、ありがとうございます。具体なところ、東京都さんの 21 ページにあるような考え方というのも、我々、参考になるのではないかと考えております。梅木から 2 ページ目を説明させていただいた目標の部分等を、どのような形で書き加えることができるか、少しここの所は検討させていただくことを考えます。ありがとうございます。

○大石委員長 よろしいでしょうか。目標以外の点、全体に必要な部分とか、総合的なコメントがありましたら。特にありませんか。ないようでしたら、これから小見出しごとに内容を見ていきます。細かい文章については、事務局でも対応すると思いますので、記載すべき項目が抜けていないかどうか、そういったところを中心に議論いただければと思っております。

 最初は資料 1 で、まずは前段の所の 3 行目から 21 行目について記載漏れがないか、この内容についてコメントがありましたらお願いいたします。

○松井委員 松井です。デング熱に関しては、特に臨床的な重篤度というか、重症度に関する記載があったほうがいいかなと思います。

○大石委員長 はい、確かに、デングウイルス感染症については、デング出血熱という病態もあります。昨年の事例では、重症デングという位置付けの症例はなかったのですが、今後、そういう重症例の発生もあるかもしれませんので、デング出血熱の病態について記載する必要があろうかと思います。よろしいですか。では、重症例の存在についても、記載していただくということでお願いしたいと思います。ほかに、この 21 行目までで特にありませんでしょうか。

○角田委員 東京都医師会の角田でございます。前段で読んでいて気になった点が、その 11 行目に、「国内感染症例の迅速な把握」というような文章があります。先ほど、小森先生もおっしゃっていたように、 2 ページの 64 行目、国内未発生時、これは、つまり輸入症例なのか、それとも国内で感染した症例なのかというところで、きちんと明確にしたほうがいいのではないかと思います。

 あと、今、国内感染症例ないしは国内未発生時というのは、つまり輸入症例は除くのか、含むのか、というようなことをしっかりと例記したほうがよろしいと思いますし、あと、この 11 行目、 12 行目の所で、国内感染症例の迅速な把握と発生時の的確な蚊対策。症例を把握すれば、それの管理ということも入るのかもしれませんが、蚊の対策とその感染された方に対する対応もしっかり行うということを明記したほうがいいのではないかというように、ちょっと読んで感じました。以上です。

○大石委員長 ありがとうございました。これについてはいかがでしょうか。事務局から何かありますか。

○梅木結核感染症課長補佐 国内未発生時の所ですが、まずこちらの前文の 11 行目の、国内感染症例というのは、国内で感染した症例ということです。輸入症例ではありません。

 それから、未発生時については、今後、第一の所で中に入っておりますが、輸入症例についての記載があるので、そちらについては、明確化をしていきたいと考えております。

○大石委員長 よろしいでしょうか。ほかにありませんか。なければ、次のパラグラフに進みます。 1 ページの 23 行目から 2 ページの 37 行目までで、いかがでしょうか。

○澤邉委員 感染研の澤邉です。よろしくお願いします。文言の細かな所で、 25 行目の「日本国内に常在するヒトスジシマカ」と書いてありますが、蚊が常在するとは余り言いませんので、広く分布するとか、何かそういう文言に変えていただければと思います。

○大石委員長 ありがとうございます。事務局、よろしくお願いします。

○大石 ( ) 委員 西宮市の大石です。 32 行目、 33 行目辺りに、デング熱及びチクングニア熱を重点的に対策を取る必要があるので、その他の部分、共通する対策については、適宜採用という分で、これ、形的には非常にすばらしくていいと思います。ただ、感染が拡大する可能性が低い理由の所で、ウエストナイル熱が、ヒト - - ヒトではないという理由を挙げられていますが、ヒト - - ヒトでないということは、一度ウイルスが入ると、なかなか無くならないという理屈になるかと思うのですね。それで、ちょっと表現を工夫していただければというように思います。以上です。

○大石委員長 この点は事務局、よろしいですか。

○感染症情報管理室長 無くならないというのは、ごもっともな指摘ではないかと。高崎先生のほうがお詳しいかと思いますけれども、我々のほうも書き方のところを少し工夫させていただこうかと思います。

○高崎委員 ここは、人から人への感染環というよりは、ウイルス血症が、人のウイルス血症が高い低いという感じで書かれたほうがいいかと思います。

○感染症情報管理室長 確かウエストナイル熱の場合には、患者さんを蚊が刺したとしても、その蚊が感染能力を持たないぐらいしか、人の体にはバイレミアは起きていないというような形でございます。

○高崎委員 はい。

○感染症情報管理室長 分かりました。そのようなことも工夫させていただこうかと思います。

○大石委員長 ありがとうございます。そのほかはありませんでしょうか。よろしいですか。それでは、 2 ページの 39 行目の所、本指針のほうは位置付けの部分と、今後、 5 年ごとに再検討を加え変更していくというところがありますが、その 2 つのパラグラフについていかがでしょうか。特にないようでしたら、「第一 平常時の予防対策」の所に入ります。最初に「基本的考え方」、 2 ページの 50 行目から 54 行目の所でいかがですか。特になければ、その小見出しの「一般的な予防方法の普及」の点はいかがでしょうか。

○澤邉委員  58 行目の「個人レベルで実施可能な予防方法」に、「ワクチン」ということが書かれています。これは基本的にはデング、チクングニアの媒介蚊を中心としていますので、ここに日本脳炎等というのは分かるのですが、日本脳炎のワクチンもデングに効くのかなと読めなくもないでしょうか。

 その次も、「マラリア予防薬の服薬等」と媒介蚊全体の話になっておりますので、これは少し書き方を変えられたほうが、マラリアの予防薬もデングの予防薬も、日本脳炎のワクチンも効くような書きぶりに読めます。少し御検討していただければと思います。

○大石委員長 事務局、いかがでしょうか。

○梅木結核感染症課長補佐 御指摘を踏まえて修正をしたいと思います。

○大石委員長 ただいまの御指摘は、疾患対象が蚊媒介性感染症なのですが、デング、チクングニアが中心であって、そう言いながらもウエストナイルとかマラリアなども入っているところで、そこが分かりにくくなっているというご指摘です。ほかはございませんでしょうか。

○前田委員 どこまで書き込むかですが、東京都でいろいろな今後の対策、特に発生前の対策を検討する際に、このデング熱対策、特に蚊の発生を抑制するという対策においては、住民の力というのも非常に重要であると。当然、商店街等のある程度の団体のレベルになったものもございますが、そうしたものも必要であるということになりました。そういう意味では二の「一般的な予防方法の普及」の部分になるのか、あるいは前段の 41 行目辺りの「関係者」の所か分かりませんが、住民自身の自助共助というものも必要だという内容は盛り込めないかと考えるところです。

○大石委員長 前田委員のおっしゃるとおりだと思います。事務局で御検討いただければと思います。

3 番目の小見出しの「国内未発生時の対応」という所で、 2 ページ目の 65 行から 3 ページ目の 77 行の所までについて、御意見はございますでしょうか。

○松井委員 「高リスク地点」という記述がございますが、その前に昨年の夏ですが、 1 つ前のシーズンに集団発生が起こった地域は、翌年は重点的対策を入れたほうがいいかどうかを御検討いただければと思います。

○大石委員長 松井委員から、昨年発生した地域ということを記載するかどうかということですが、いかがでしょうか。

○前田委員 私どもも検討する中で、ただ単純に前年度に発生したということにするのか、私どもは幾らかリスク分析をしたのですが、そこの地域に発生する蓋然性がある、そういうリスクがあったのかどうかという分析の下に対応すべきだと考えており、そういう意味では今年度発生した地域だけでなく、同様のリスクを持つ地域については重点的に行うという考え方はあると思いますので、前年発生地という直接的な表現よりは、そういう内容のほうがいいのかなというように考えています。

○大石委員長 大変いい意見だと思います。リスクの高い地域というところでまとめてはどうかというところです。

○大石 ( ) 委員 西宮市の大石です。総合的なリスク評価を行い、高リスク地点におけるうんぬんという対策を書いているのですが、リスク評価について、 76 行目の「積極的疫学調査等に関する手引」の中に記載されると捉えていてよろしいのでしょうか。

○福島結核感染症課長補佐 委員のおっしゃるとおりでございます。リスク評価の詳しい基準につきましては今年度中、来年の蚊が始まるシーズンの前までに、感染研の先生方の御協力を得ながらまとめて、また新たに都道府県向けの手引を更新していきたいと考えています。

○澤邉委員  66 行目に高リスク地点の例として、「訪問者数が多く」と書いてありますが、これは海外からのというだけではなくて、日本国内の人もたくさん集まる所と読んでよろしいのでしょうか。

○福島結核感染症課長補佐 海外からのお客さんが多いという所もそうだと思いますし、必然的に国内の方の訪問客が多ければ海外から帰っていらっしゃる方も多くなると思いますので、両方を含める形で記載しています。

○大石委員長 ハイリスク地点の要件として、「頻回に利用する」という事項もいかがでしょうか。御検討いただければと思います。ほかはございませんでしょうか。

○大石 ( ) 委員 個々の対応ですが、「都道府県等は」と都道府県が実施する内容になっており、適宜市町村と連携し、対応ということなのですが、高リスク地点が、実施する県や連携する市が管理しているような施設であれば、「行うものとする」という表現でいいかと思うのですが、民間が管理しているような施設が、手引により評価した結果、高リスクの地点だとなった場合は都道府県等が直接実施するということにはならないのかなと思います。

 モニタリングであるとか、幼虫及び成虫蚊対策とか、長時間滞在する者に対する対応と、いろいろな種類があるのですが、特に幼虫、成虫の対策などは、県の保健所が直接民間の施設なりについてやるのは難しいのかなと思いますので、表現を工夫していただければと思います。

○梅木結核感染症課長補佐 御指摘のとおりであり、あくまでも主語は「都道府県等」になっており、適宜必要がある、適宜市町村と連携して行うということになっておりますので、必ずしも市町村がこういったことをやるということは考えておりません。あくまでも都道府県等が主語で、やることをやると。

○大石 ( ) 委員 高リスク地点が民間が管理している民有地であった場合の対応について、指摘をさせていただいたところです。

○感染症情報管理室長 代々木公園周辺にも民有地はあったと思いますが、そのときにも自治体と民有地を管理している団体といろいろと相談させていただいたことがあったと記憶しています。大石委員からの御発言も、そういった内容の所を加味できるような形でということでよろしいでしょうか。

○大石 ( ) 委員 そのとおりで、特に実際に症例が発生したときには駆除してくださいという話で直接話ができるのですが、ここの部分については未発生のときの内容が書かれていますので、未発生の平常時に蚊の駆除についてという内容ですので、民間の所については、都道府県等が実施するのは難しいのではないかと考えました。

○感染症情報管理室長 なかなか難しい部分の 1 つかなと存じます。どういった心構えで臨んだほうがいいか、こちらのほうも検討させていただければと思います。

○前田委員  1 つは「幼虫及び成虫蚊対策」という記載になっているのですが、これは駆除あるいは発生防止対策と、この文言だけで読み込むのか、もう少しはっきりとそういう点を記載するのかについてお聞きします。もし、そうした発生防止の駆除等でない対策ということであれば、それは明確に記載していただきたいと思ういますが。

○大石委員長 ここは、これ以上書き込めないのですかね。

○福島結核感染症課長補佐 基本的には前田委員がおっしゃったように、幼虫蚊対策であれば、例えば藪を剪定するなどして蚊の生息源をなくす、あと成虫であれば駆除をすることを想定して記載しておりますので、それはもう少し最初の所で分かるような形で、具体的な記載ができるように工夫したいと思います。

○大石委員長 それ以外の事項はいかがでしょうか。ないようでしたら、次の「発生動向の調査の強化」に移ります。 3 ページの 81 行目ですが、まず「基本的考え方」についていかがでしょうか。

○前田委員 「第二 発生動向の調査の強化」なのですが、これでいくと、主語がないような気がするのですが、いかがですか。 86 行目からですが。

○大石委員長 小見出しの二の所ですか。

○前田委員 はい。

○大石委員長 今は「基本的考え方」の所だったので、これからそこにいきます。

○前田委員 すみません。

○大石委員長 「蚊媒介性感染症の発生動向の調査の強化」という所で、主語は何かという御質問ですが、事務局からいかがですか。

○梅木結核感染症課長補佐 主語の明確化ということですか。

○前田委員 普通であれば、例えば「国及び都道府県等は」みたいな話なのかなと思ったのですが。

○梅木結核感染症課長補佐 その認識でおりますので、追加させていただきます。

○大石委員長 小見出しの二の所ですが、ほかはございませんか。ないようでしたら、「三 医師による蚊媒介性感染症の診断・届出」、 90 行目から 98 行目までです。

○小森委員  92 行目から 93 行目に向けて、「体外診断用医薬品の広範な利用に向けて、必要に応じ支援を行うこととする」、これは具体的にはどういうことを想定してこういう文章をお書きになったのか。支援を行っていただくのは大変有り難いことではありますが、イメージとしてはどういうことをお考えなのでしょうか。

○感染症情報管理室長 現行、この迅速診断キットというのが、どこの医療機関でも使えるような状況にはないというのが、現在の状況ではないかと考えています。この指針ができるまでの間にそれが改善されていればよろしいのですが、そこを次期シーズンに向けて、そういった状況を作れるように国ができるところを「支援」という言葉で書いたのですが、改善をできればなというところで書いたところです。平たく言えば、次期シーズンに NS1 抗原キットが使えるようなところを目指しているという心でございます。このような表現で若干分かりにくいのですが、書かせていただきました。

○小森委員 保険収載等の問題もありますし、デング熱を主体とはいえ、それだけに限定して書いているわけではないということもございますので、十分に理解をいたしましたので、あえてその表現で結構でございます。

○大石委員長 ほかはございませんでしょうか。ないようでしたら、 4 番目の「日本医師会との協力」という所で、 100 行目から 104 行目までですが、いかがでしょうか。

○小森委員 これは様々な指針にこういった記載をしていただいているわけですね。先ほど申し上げましたように、個別にどこということではありませんが、先ほど来申し上げているように、私どもとしては必ずしも国や都道府県の支援がなくても、自らの財源をもってしてでも、様々な研修等を現場の医師に対して行っているわけです。

 ですので、ここに必ずしも記載することは適当とは思っておりませんで、先ほど全般的に申し上げましたし、逐一こういった課題について申し上げませんが、そういった部分については「日本医師会等関係団体と協力をし」というようなことについての記載をお願いしたいということです。

 ここの部分との整理については、全般的な整理において、事務局とお考えいただければいいと思っています。

○大石委員長 ほかにありませんでしたら、「五 病原体遺伝子検査等の実施」という所に入ります。この部分では、先ほど御紹介のあった、今日御欠席の調委員のコメントがあります。これをお読みいただいて、調委員のコメントについて何か御意見がございますでしょうか。高崎委員から、特に調委員のコメントについて御意見はありますでしょうか。

○高崎委員 調先生のコメントは、 conventional で増幅して遺伝子配列を決定するということもできるというところはあるのですが、感度の面からはリアルタイムの PCR のほうが非常に感度がいいと。

 それから、ウイルス血症が抗体が上昇するとスーッと下がってきますから、そういうところの検体の場合はなかなか sequence まで持っていけないということもありますので、基本的には conventional を使ってはいけないということはないのですが、リアルタイムでいいかなと思っています。

 ただ、指針の文章にはそこまで細かくは書いていないので、これはこれでいいかなと思いますが。

○大石委員長 そうしますと、病原体遺伝子検査等の実施についての記載については、特に問題はないでしょうか。

○前田委員 このように遺伝子検査を実施というのは、要するに診断のための検査と理解されるものなのでしょうか。今のお話にあった部分で、 108 行目にある「病原体の遺伝子検査を実施」というのは、感度の問題をお話されると、何か診断のための検査のようにも伺えるのですが、ここに書かれたものはもう少し疫学的な分析のための遺伝子検査ということではないのでしょうか。

○大石委員長 症例の探知だけではなくて、クラスター、ウイルスの同一性ということについても、必要に応じてシークエンスして、ウイルスの同一性について見ていく必要があろうとは考えているところだと思いますが。いかがでしょうか。

○高崎委員 ウイルス分離すればいいわけですから、低ければということで、それをもって遺伝子解析をすればいいということです。

○前田委員 これに関して、先日東京都が厚生労働省に幾つか要望を出した部分があるのですが、その中で、こうしたことを各地方衛生研究所が行うに当たっては、できるだけ統一した検査方法で行えるように、そういうマニュアル等の整備をしていただきたいという意見を出したところですので、この文言にその辺を書き込むかは別として、是非そういう御配慮はお願いしたいと思っております。

○高崎委員 遺伝子検査などに関しては基本的にはマニュアルで統一はされているわけですが、キット類に関しては、抗体検査等に関しては「このキットですよ」というのは言いにくいところもあるかなと思います。

○感染症情報管理室長 今の前田委員、高崎委員の御発言に関連してです。今日の資料の中で、前田委員からございましたところ、東京都様から厚生労働省に頂いた「緊急提案」という中の 3 番目の所と承っております。

 今回の感染症法の改正でも、「病原体サーベイランスの強化」という所で、来年の 4 月が目途なので少し先になってしまうので、なるべく前倒しという形で、病原体検査指針等の中で、そういったところを明確にして、全国に標準的なところは出せるように感染研の高崎先生などと相談して進めてまいりたいと考えています。よろしくお願いいたします。

○松井委員 確認です。 108 行目の「検体全例について」というのが、最後の「遺伝子の配列」にまで掛かるのかどうか、いかがでしょうか。

○福島結核感染症課長補佐 高崎委員にも御確認をお願いしたいのですが、基本的には遺伝子の配列の解析は必要に応じて、ということでよろしいでしょうか。

○高崎委員 (検体採取時期によっては)できない場合もあるので。

○福島結核感染症課長補佐 それでは、そのように読めるように修正したいと思います。

○大石委員長 よろしいでしょうか。それでは、「六 国際的な発生動向の把握」、 111 行目から 116 行目です。いかがですか。よろしいようでしたら、次の章に入っていきます。

 第三章の「国内感染のまん延防止対策」の 119 行目から 122 行目の「基本的考え方」です。いかがでしょうか。特に御意見がありませんようですので、小見出しの「国内発生時の対応」、 124 行目から 142 行目です。

○椎野委員 熱海市の椎野です。 122 行目から 127 行目なのですが、「発生地の近隣住民等への注意喚起を実施することとする」と書いてあるのですが、保健所のない市町村の場合はどういう扱いになるのでしょうか。

○梅木結核感染症課長補佐 確認ですが、保健所がない市というのはないと思うのですが。

○椎野委員 県の保健所はあるのですが、市で保健所を持っていない市が。

○梅木結核感染症課長補佐 そうであれば、県方の保健所で行うことになるのではないかと。

○椎野委員 そうすると、市としては一緒にやらないとまずいかなという気もするのですが、その辺はどのようなお考えでしょうか。一番住民と身近なのは、県もそうなのですが、市町村が住民への広報ですとか、いろいろな面で住民とは近いと思うのですが。

○梅木結核感染症課長補佐 例えば今保健所と連携して、何かおやりになるということはあるのでしょうか。実際にそういったものが動いているのであれば、ここに書きやすいのかなと思うのですが。

○椎野委員 昨年、熱海市内でデング熱が発生したときは保健所と一緒に行動しましたが、県のほうは県のほうでホームページに出して、熱海は熱海でホームページに出しました。報道関係が、熱海市役所のほうに多数見えられて、説明等をしました。

○梅木結核感染症課長補佐 こういった注意喚起に当たっては、例えば「市町村への協力を依頼する」とか、そういったことが一文入るほうが望ましいということですかね。

○椎野委員 入れていただいたほうがいいと思います。この文章だけですと、市町村の役割というのがはっきり見えてこないのではないかと思います。

○大石委員長 ほかはいかがでしょうか。

○高崎委員  135 行目に「都道府県等は、国内の同一地点や同一集団内で複数例が発生する」とあるのですが、これは基本的には国内発生だけではなく、輸入症例が町内に 2 例、 3 例と、団体旅行か何かで帰ってきても、結構リスクはあるかなと思うので、そこのところを考えておく必要があるのではないかと思います。

○感染症情報管理室長 国内発生時の所で書いていいか、輸入時対策の所かもしれないですよね。

○大石委員長 そのような仕切りでよろしいですか。

○高崎委員 はい。

○前田委員 その関連ですが、先ほどスルーしてしまったのですが、海外感染例が国内で発症した際の対応の所には、感染刺咬歴の調査の記載があったのですがその駆除については明確な記載が余りなかったような気がするのです。その点について、今高崎先生から「複数例であれば」という話もあったのですが、手元の資料で確認すると、第一の三の所に刺咬歴の確認までは書いてあるのですが、その先が書いていませんので、その点はどうなのだろうということです。

 ちなみに東京都の考え方としては、その際にも刺咬歴に対応した形で、場合によっては成虫蚊対策を行うという形で取りまとめたわけです。高崎先生、澤邉先生がおやりになった中で、こういう形でまとめているのですが、この指針においてはいかがなのでしょうか。

○大石委員長 デング熱の輸入症例が発生し、さらに同一家族内に別のデング熱患者が発生するような場合以外であっても、ということなのでしょうか。

○前田委員 その辺のリスク分析次第だと思うのです。例えば大量に、明確にこの場所で刺されたという話があったときについては、状況によっては駆除もあるのかなという形で記載しています。

○大石委員長 事務局のほう、いかがでしょうか。

○感染症情報管理室長 ここも難しい問題の 1 つかなと存じております。発症されるという方は、恐らくデング熱の場合には感染した方の半分から 3 割ぐらいで、そのほかに半分以上の方が発症せずにバイレミアを起こしている方もいらっしゃるようなところで、どこまで徹底したことが必要なのかというところは、国内感染、輸入例にかかわらず検討しなくてはいけない部分なのかなと思います。

 そういったリスクの評価と、取れるマネジメントのオプションを考えていたほうがいいかと我々も考え、先ほど福島からも少し御案内させていただきましたが、なるべく早々に、今年度に動いている研究班で、感染研の方たちが中心なのですが、そこで自治体の方、東京都さんにも是非お願いをしたいのですが、入っていただいた上で、その辺の整理、それに基づく机上訓練みたいな形のものを取っていきたいと考えています。具体的には、松井委員にもそのような形で研究班に持ち掛けているところです。

 ですので、そういったところも含めて、これは手引書に記載を改訂版で出していければなとは考えているところです。

○松井委員 すみません、国内発生の所、 136 行目に戻ります。同一地点、同一集団内での複数例という限定はありますが、期間的な情報、一定期間に発生するという時期的な情報も大変大事かと思います。それから、東京都からの国への緊急提案の内容にもあるとおり、蚊と人の両方が関わるリスク評価ですから、 137 行目については蚊の密度調査や人の利用状況等の評価を行う、という人の情報も入れたほうがいいかなと思います。

 引き続き、リスク評価を実施する「何の」という所が、感染拡大のためのリスク評価と少し定義をしたほうがいいかなと思います。以上です。

○大石委員長 リスク評価について幾つかの指摘がありましたが、事務局よろしいでしょうか。

○梅木結核感染症課長補佐 修正させていただきます。

○大石委員長 ほかは、いかがでしょうか。

○松井委員 もう 1 点は、感染地の絞り込みに当たっては、先ほど 109 行目にも出ておりますが、 sequence の情報も大事だと思いますので、そのこともこのリスク評価に入れてはいかがでしょうか。

○大石委員長 松井委員の御意見は、いかがでしょうか。シークエンスの情報も入れるということで、よろしくお願いいたします。それ以外は、いかがでしょうか。

○澤邉委員 もう 1 つ質問なのですが、 127 行目の「発生地の近隣住民等への注意喚起を実施する」ということは、これまではできなかったことだったと思うのですが、ある程度患者のお宅というか、推定感染地が分かってもいいということですね。

○大石委員長 事務局、いかがですか。

○感染症情報管理室長 実際に、昨年の都内での発生については、我々の公表資料の中には番地まで入れるということはしておりませんでした。ただ、実際に住宅地で起きた事例も何例かあったかと考えております。その際には、実際に区役所の方とそれを指導いただく感染研の先生方で、薬剤散布の場所等を周辺の所を含めて御検討いただいたかなと考えております。そのような形の中で、この近隣の住民の方に情報が伝わっていく、伝えていくところが大事なところかなと考えております。昨年と同様な形が本当にいいのかどうなのかはあるのですが、そのような形で我々は注意喚起ができればと考えています。

○大石委員長 次に第四章の「医療の提供」にいきます。最初に「基本的考え方」、 146 行から 149 行ですが、いかがでしょうか。よろしいようでしたら、次の小見出しの「診断体制の整備」の 151 行から 158 行までですが、いかがでしょうか。

○前田委員 医師会関係の先生方から御意見が出なそうだったので、あえて質問いたしますが、この記載の考え方ですと、基本的には一般医で診断、診療あるいは治療まで行い、それを専門医がサポートするような想定の内容になっているかと思いますが、基本的にそういうお考えなのかどうかです東京都で検討した際には、初期の診断はなかなか十分に全ての医療機関ではできないのではないかという想定の下に、一定程度の専門医療機関がその対応をするという形での医療体制を想定しているところです。この点としては、どういう体制を想定していらっしゃるのかを確認したいと思います。

○梅木結核感染症課長補佐 御指摘の所ですが、今のこの書きぶりでは、基本的には手引を広く周知することによって診断能力の向上につなげていきたいと。例えば、東京においては専門の医療機関はある程度選べるという可能性はあるのでしょうが、全国津々浦々そういった形ができるのかどうかについては、少し東京都のそういったシステムで対応できるかは、ちょっと検討しなければいけないのかなというところです。

○前田委員 というのは、 NS1 抗原検査の保険収載について、まだ不透明な部分があるということや、あるいは収載されたとしても各医療機関が自前で揃えられる、全ての医療機関が院内に置かれていくという状況は、なかなか想像できないのではないかという懸念があります。また、民間検査機関に検体を出せば、それだけまた一両日を経過してしまうことを考えると、全て一般医療機関でという体制は、できる所はできるにしても、やはりそれが不可能な医療機関についてのサポート体制としては、単にアドバイスというよりは、後方支援的に対応するという医療機関も存在するということが必要ではないかというのが、東京都の考え方です。

○大石委員長 前回の委員会でも、既に提出しておりますデング熱診療ガイドラインに記載しておりますような診療の流れを記載しております。一般医療機関を支援する専門医療機関があり、そこで入院の必要性についてのコンサルテーションを実施する体制を考えているということだと思いますが、事務局、よろしいですか。

○梅木結核感染症課長補佐 大石先生のほうで、何か取組があるかは聞いておられるのでしょうか。

○大石委員長 デング熱診療ガイドラインに沿った形で、日本感染症学会で蚊媒介性感染症専門医療機関ネットワークを立ち上げようとしております。これは、現在一次医療機関がこのようなデング熱等の蚊媒介性感染症の疑い症例の診断や治療のコンサルテーションが必要になっている現状を踏まえた上で、こういった体制を取っていこうということを考えています。専門認定医療施設に対して、手挙げ方式でこういう専門医療機関を決めて、蚊媒介感染症の専門医療機関を決めます。日本感染症学会としては、このネットワークをバックアップする形を取って、参加に同意していただいた専門医療機関に対しては、蚊媒介性感染症に対する対応能力向上を目指した講習会などをやっていこうと、考えております。

○小森委員 基本的に、学会というのは学術的な観点から医療提供体制全体にサゼスチョンをする。また、学問的な背景を伴うと。また、医療提供等については、基本的に日本医師会が最終的に責任を持つものであるという立場があります。そこは、深い連携の下に行っていくわけですが、全般的に日本医師会の役割等について、したがって、最初に申し上げると、一つ一つについては同じことを繰り返すことになりますので、あえて今、委員からも御指摘を頂いたにもかかわらず、申し上げなかったというのは、そこにあるということですが、そういった意味の整理を全般に対して行っていただくことを当初申し上げました。また、チクングニア熱とデング熱の 2 つを重点的に書くとしても、チクングニア熱についてはまだ現在国内感染症例はないと。それから、デング熱については迅速診断キットが薬事承認をされた上で、保険収載は恐らくこれはまだ手順を踏まないといけないということですが、恐らく保険収載をされることが相当高い確率で行われるというような現状や、様々なレベルがありますので、それは 1 つのことに書き切れないということがありますから、ある部門のみの特出しの記載はなかなかできないのだろうと思うのですね。正に、一般診療ができない状況の中で、専門医療機関のみが行うようなフェーズもあれば、そういった迅速診断キットが広く薬事承認をされ、また保険収載をされ、広く一般医療機関でも行われるような事象のところまで全てを網羅して書き切ることはなかなか難しい観点の中で、先ほど申し上げましたような理念等について申し上げました。したがって、 1 つの事象についてなかなか難しい書き方なのだと思いますので、前田委員が御指摘のことは全くそのとおりだと理解をしております。事務局にお願いしたいのは、そういったことを踏まえて記載全般についてお考えいただければという要望です。

○大石委員長 事務局、よろしいでしょうか。

○感染症情報管理室長 承りました。また御相談させていただきながら、工夫したいと思います。

○大石委員長 小見出しの「診断体制の整備」については、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。次に、 3 番目の「医療関係者に対する普及啓発」、 160 行から 164 行の所はいかがでしょうか。特にないでしょうか。

○角田委員 東京都医師会の角田です。現場を預かる立場で前回もお話したのですが、今のことにも関連するのですが、普及啓発ということで積極的な情報提供、特に一般医療機関に対するものは非常に重要だと思います。そして、正確な情報を基に、本当のデング熱症例は少ないかもしれませんが、ある程度世の中が少しパニックになったときに、心配された方が例えばお子さんを連れてくる可能性は考えられるわけです。そうしたときには、先ほど前田委員もおっしゃっていましたが、 1 つは個々の医療機関がこういう人たちと一緒に、本当に疑われる症例はきちんと地域でどこどこへ紹介するという形ですね。確かに、ここには学会医師と関係諸学会等が連携と書いてありますが、やはり行政も主体になって区分けなどをしながら、きちんと専門医療機関に紹介できるシステムの構築も考慮していただきたいということは明記していただけたらと思います。

○大石委員長 事務局、いかがでしょうか。

○梅木結核感染症課長補佐 検討ということで、よろしくお願いします。

○大石委員長 続いて、「第五 研究開発の推進」に移ります。「基本的考え方」、 167 行から 170 行について、いかがでしょうか。特にないようでしたら、小見出し「二 ワクチン等の研究開発の推進」、 172 行から 180 行目までは、いかがでしょうか。

○前田委員 こちらも、東京都の緊急提案に絡むものですが、今年度はかなりデング熱に対する一般の恐怖感が強いこともあり、対策については一般事務員の方からは是非推進しろという御意見もありました。一方では、こうした薬剤散布をかなり大量に行うことに対する拒否反応的な御意見も存在することも事実です。その点を踏まえて、私ども東京都としては緊急提案としては、この薬剤散布に当たっては、生態系の教育が確認される方からその影響調査を行うことというような文言を入れさせていただいたところです。ですので、今後ともデング熱対策としては、一定の駆除は必要になってくるとは思いますが、そうしたものの安全性についても十分対策を行う中で明らかにしていくというような緊急体制も必要ではないかと考えております。

○大石委員長 この記載については、これでよろしいでしょうか。

○前田委員 若干、そういう点も入れていただければと思います。

○大石委員長 環境に配慮したというポイントですね。

○前田委員 そうですね。あるいは、安全性の点についてです。

○大石委員長 事務局、よろしくお願いします。

○感染症情報管理室長 我々も、なかなか東京都さんから頂いたもの、それからいろいろな御意見を頂いているところを踏まえて、どのように書いたものかなというところで、有効かつ適切な形の中で、それから薬剤によらない新たな駆除方法のような形では少し検討したところなのですが、具体にそのようなところをどのような書きぶりがいいのかは少し検討はさせていただこうと思います。薬剤について、私どもは澤邉委員などにいつも聞いていて、難しいなと伺っていましたが、少し検討させていただきます。

○澤邉委員 薬剤に関しては、基本的に認可されている時点で安全性はある程度保障されていると認識しております。ですから、やはりこの書きぶりのように認可されたものをどのように使うかといったことのほうが重要ではないかと思います。

○前田委員 あえて言わせていただければ、安全と同時に安心というところが私どもとしても、求められるところです。

○大石委員長 研究開発の所は、よろしいですか。それでは、小見出しの 3 つ目、「疫学研究の推進」です。 6 ページの 181 行から 184 行までですが、いかがでしょうか。特にありませんか。では、次の小見出しの「研究機関の連携体制の整備」ということで、 186 行から 189 行目については、いかがでしょうか。特に問題はないですね。では、「五 研究評価の充実」については、 191 行から 193 行目、よろしいですか。

 そうしましたら、続いて「第六 推進体制と普及啓発の充実」に入ります。「基本的考え方」、 196 行から 198 行については、いかがでしょうか。よろしいですね。続いて、小見出しの「都道府県における蚊媒介性感染症対策の会議」についてです。特にないようでしたら、小見出し「三 普及啓発の充実」、 209 行から 217 行についてです。

○澤邉委員 少し戻りますが、 203 行目からの「三 普及啓発の充実」の所に、「媒介蚊の専門家」という文言がありますが、ここは普及啓発だけではなく、蚊媒介性感染症対策の会議、 1 つ前の項目の所にも、このような文言が入ったほうがよろしいのではないでしょうか。といいますのは、感染症の専門家若しくは蚊防除関係者という所には入らない専門家の方が多いのではないかと思うのですね。ですから、この文言が下にあるのであれば、上にも入れていただいたほうがいいと思います。

○大石委員長 よろしいですか。

○福島結核感染症課長補佐 はい、修正させていただきます。

○大石委員長 ほかは、よろしいでしょうか。そうしましたら、次は「第七 人材の養成」です。「基本的考え方」、 121 行から 125 行までについては、いかがでしょうか。

○澤邉委員  221 行目ですが、蚊媒介性感染症に関する幅広い知識や研究成果についてですが、ここにやはり「蚊の専門家」という文言を入れていただくわけにはいかないでしょうか。これですと、感染症だけということになり、御存じのように衛生動物学会や医学領域の中からも、かなり衰退している分野ですので、ここに少し入れていただけると蚊や昆虫といったまた違う専門家も必要であるということを言っていただいたほうがいいと思うのですが、いかがでしょうか。

○大石委員長 いかがでしょうか。

○福島結核感染症課長補佐 これ以外の部分にも、蚊媒介性感染症や媒介蚊に関するという文言が何回も出てきますので、統一させていただくような形にしたいと思います。

○大石委員長 よろしいですね。「基本的考え方」については、よろしいでしょうか。よろしければ、小見出しの「都道府県等及び市町村における蚊媒介性感染症に関する人材の養成」については、 228 行から 230 行はいかがでしょうか。澤邉委員、いかがでしょうか。全国的な自治体の研修となると、なかなか負荷が大きいものなりますが。

○澤邉委員 これは、研修すれば人材が養成できるかというと全くそうではなく、やはり受け皿の問題がありますので、その辺りをここに盛り込むことは難しいのだろうと思います。毎回毎回、数多くの人に研修をして、それで終わるかといつも思っています。少し前向きな表現にしていただけると有り難いのですが。

○大石委員長 事務局、いかがでしょうか。

○感染症情報管理室長 正に昨年の夏、この人材が余りいらっしゃらなかったことが、蚊の対策が必要な病気の感染症の流行時に重要だなということを、我々は認識をした上で、このような表現をさせていただいたところです。なかなか文言を書いたから、人材ができるというところではないのですが、その辺りを来年度に向けた形で実行できることはしていきたいとは考えているところです。この表現についても、もう少し気持ちが出るような形を考えられればなと思っております。

○大石委員長 よろしいでしょうか。そうしましたら、小見出し「三 国による支援」、 233 行から 234 行については、いかがでしょうか。この辺りは、大曲委員、御意見はありませんか。

○大曲委員 主に診断治療と予防に関わる者の立場からの発言となります。基本的なところの啓発は、これから必要になると思います。このような書きぶりで教育や啓発の必要性をお書きいただければ、我々ももちろん協力できますし、学会でも御協力いただけると思いますので、そういった意味では非常にサポーティブではないかと思っております。

○大石委員長 そうしましたら、次に「第八 国際的な連携」に入ります。「基本的考え方」、 231 行から 241 行については、いかがでしょうか。

○高崎委員 国際的なということになると、どうしても世界保健機関というものが頭にくるのですが、デングの流行地を考えますと、日本は WPRO (世界保健機関西太平洋事務局)に所属しているので、どうしても SEARO (東南アジア事務局)の国のタイやインドネシアが入ってこないと。しかも、今回も非常にお世話になった台湾が当然入ってこないというところもありますので、「連携を強化し」のあとに、例えば独自のシステム構築を含めた情報交換等をとか、何かそういうものも少し入れ込んでおいていただいたほうがいいのではないかと思います。

○大石委員長 大変建設的な御意見をありがとうごこさいます。事務局、よろしいでしょうか。

○感染症情報管理室長 少し工夫させていただこうと思います。

○大石委員長 ほかはありませんか。よろしいですか。では、小見出し二に行きます。「諸外国との情報交換の推進」については、いかがでしょうか。 243 行から 245 行。

○松井委員 東京オリンピックに向けて、日本がこれだけ頑張っているという、こちらからの積極的な情報発信というところも入れたほうがいいのではないかと思います。

○大石委員長 事務局、いかがでしょうか。

○福島結核感染症課長補佐 情報交換の所に発信も含めていたつもりなのですが、そこがもう少しはっきり分かるように記載したいと思います。

○大石委員長 ほかは、ありませんか。それでは、最後の小見出しの「国際機関への協力」、 247 行から 252 行については、いかがでしょうか。よろしいようでしたら、本日御議論いただいた内容に基づき、再度事務局に指針案の修正をしていただきます。次回、第 3 回会議で更に検討した上で、本委員会としての最終案を取りまとめたいと思います。

 それでは、議題 2 「その他」ですが、事務局から何かありますか。

○梅木結核感染症課長補佐 特に予定はありません。

○大石委員長 それでは、委員の先生方からも特にありませんか。追加のコメント、御意見がありましたら、承りますが。ないようですので、それでは本日の議事は以上で終了いたします。その他、事務局から連絡事項はありますか。

○梅木結核感染症課長補佐 次回の第 3 回委員会は、 2 18 日の開催を予定しております。

○大石委員長 それでは、本日はこれで終了いたします。長時間、御協力ありがとうございました。


(了)

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