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2014年10月31日 第11回社会保障審議会企業年金部会議事録

年金局企業年金国民年金基金課

○日時

平成26年10月31日(金)15:00~16:21


○場所

全国都市会館(3階第2会議室)


○出席者

山崎部会長、森戸部会長代理、井戸委員、臼杵委員、小林委員、白波瀬委員、鈴木委員、高崎委員、半沢委員、平川委員、村瀬オブザーバー

○議題

(1)ライフコースの多様化への対応について
(2)その他

○議事

○山崎部会長

 定刻になりましたので、ただいまより、第11回「社会保障審議会企業年金部会」を開催いたします。 お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございました。

 本日、山本委員から御欠席の連絡をいただいております。

 御欠席いただきました委員の方が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。

なお、臼杵委員は御出席の予定ですので、間もなくお見えになるものと思います。

それでは、議事に入らせていただきます。カメラの方はここで退室をお願いいたします。

 

(カメラ退室)

 

○山崎部会長

 まずは事務局から資料の確認をお願いいたします。

 

○内山課長

 それでは、資料の確認をさせていただきます。

 本日の資料といたしましては、

 資料1   前回部会で各委員からいただいた御意見

資料2   ライフコースの多様化への対応

 これは前回の資料と内容は同じものでございます。

 参考資料1 社会保障審議会企業年金部会委員名簿

 参考資料2 企業年金部会の今後の進め方

不足等ございましたら、事務局にお申しつけいただければ幸いでございます。

 

○山崎部会長

 ありがとうございます。本日は「ライフコースの多様化への対応」、「その他」を主な議題といたします。

なお、本日は2時間の予定としておりますが、前回に引き続いての議論でもありますので、議論の状況によっては早目に終わることがあるかと思いますので、よろしくお願いいたします。

それでは、議題の「ライフコースの多様化への対応」に入りたいと思います。

議論に入る前に、まず、前回の部会における委員の皆様よりいただいた意見について、事務局より紹介していただきます。これを踏まえ、前回に続き「ライフコースの多様化への対応」について、委員の皆様方より御意見等を頂戴したいと思います。

それでは、事務局より説明をお願いいたします。

 

○内山課長

 それでは、資料1「前回部会で各委員からいただいた御意見」を1枚おめくりいただきたいと思います。これは前回部会での御発言やペーパーで御意見をいただいたものを事務局で適宜要約をさせていただいたものでございます。

まず、1つ目の論点ですが、個人型DCの適用範囲のあり方に関する御意見ということで、

・ 方向性に賛成、選択肢として議論すべき

・ 全ての者が対象になれば、制度がわかやすくなる

・ 全ての国民が老後所得確保のための税制優遇枠を持ち、その枠は企業年金で埋めても自助努力で埋めてもよいという形を基本とすべき

・ その場合、企業年金がない場合の拠出限度額は、一律4万円ではなく2万円+5.5万円にすべき

・ 税優遇を全ての者に広げると、個人型DCの掛金を支払うことが難しい者との格差の拡大に繋がる懸念があることから、慎重な議論が必要

といった御意見をいただいたところでございます。

2つ目ですけれども、適用範囲のあり方に関する論点のうち、特に第3号被保険者に係る適用範囲のあり方に関する御意見でございます。

・ 公的年金との総合的な議論は必要だが、積極的に議論すべき。

・ 第3号に留まる一事不再議とならないようにすべき

・ 第3号のDC掛金を世帯主から所得控除できるようできないか

・ 第3号の場合、実際には使われない可能性もある。第2号と世帯で合算して拠出枠を活用することができないか

といったような御意見をいただいたところでございます。

おめくりいただきまして、現行の個人型DCの課題に関する御意見でございます。

・ 制度普及にはわかりやすさが絶対条件。広報活動を重視する必要

・ 制度の仕組みや手続が煩雑で個人の負担が大きい

・ 第3号の加入資格の問題は、企業型DCで女性の加入率が低い実態にも、影響している

・ そもそも非正規労働者に関するDB・企業型DCの規約の加入者範囲については見直しが必要

次に、マッチング拠出のあり方に関する御意見でございます。

・ 適用拡大を実施した場合に、マッチング拠出の税制優遇枠を個人型DCで使用することに賛成。ただし、引き続き企業型のスキームを使用できるようにすることが望ましい

・ 実質的に老後の所得を確保するという観点からは、マッチング拠出を事業主が拠出した額までとする制限は不要ではないか

という御意見がございました。

最後に、ポータビリティの拡充に関する御意見でございますけれども、

・ ローコストで潤滑にできるようにする必要

・ ポータビリティを全て可能にするということであれば賛成

・ 企業年金連合会を通じてDC資産をDBへ移換することは可能か

・ 退職一時金の受け入れも検討すべきではないか

・ 方向性に異論はないが、移換資産の受け入れや計算方法について規制を設けるか否かについて検討が必要

・ポータビリティの課題については、個人型DCの拡充により対応できるのではないか

といったような御意見をいただいたところでございます。

なお、1点だけデータ的なもので事務局から補足をさせていただきたいと思ってございます。先ほどの御意見の中に「女性の加入率」というところが出てまいりましたけれども、実際男女の企業型DCにどのぐらいの割合で入られているかという実際の数字を少し補足として申し上げたいと想います。

24年の数字ですけれども、厚年被保険者(2号の被保険者)の数、男性は2,228万人、女性は1,244万人おられます。この中で企業型DCに入られている方は男性が355万人、女性が87万人ということでございますので、率で割りますと男性が16%、女性は7%ということでかなり差があるという状況でございます。

以上でございます。

 

○山崎部会長

ありがとうございます。

それでは、ただいま事務局より説明していただいた前回の部会における各委員からの御意見も踏まえ、委員の皆様から御意見等ございましたら、頂戴いたします。井戸委員。

 

○井戸委員

ありがとうございます。「現行の個人型DCの課題」のところなのですが、前回も広報活動を重視するのが必要と発言させていただいたのですが、どんなライフスタイルでも継続できることというのと、シンプルにというのが広報活動にもとても影響すると思うのです。お客様の生の声をお聞きすると、どうやって選んで入ったらいいのかというのがよくわからないという声が非常に多くて、国基連さんと金融機関さんがもう少し協力してやっていただけたらというふうに思います。国基連さんのホームページを拝見しますと、個人型DCの金融機関にリンクが張ってあるのですけれども、たくさんあって、金融機関全てが手数料とか商品のところにすぐにリンクしているという、情報公開してないところもあるのですね。加入する場合、手数料と商品比較というのが絶対大事なので、ポータルサイトみたいなものがあればわかりやすく浸透していくのではないかと思っています。

 

○山崎部会長

事務局からどうぞ。

 

○内山課長

 前回も御意見いただいたところですけれども、少し御意見も踏まえまして、わかりやすい広報ができるように、これから少し工夫をしてみたいと思っています。

 

○山崎部会長

ほかにいかがでしょうか。半沢委員。

 

○半沢委員

ありがとうございます。第3号被保険者に関してですけれども、「第3号に留まるインセンティブとならないようにすべき」とまとめていただいております。繰り返しになるのですが、現状の制度のまま個人型DCの対象とすべきなのかということについては問題意識を持っているところです。この件については、年金部会でも議論されているテーマでありますので、社会保険の適用範囲を広げていくことが重要なのではないかと思うところです。

以上です。

 

○山崎部会長

 ほかに、白波瀬委員。

 

○白波瀬委員

 ありがとうございます。今、社会保険の適用範囲ということもあったのですけれども、特に女性の年金について少し感想めいたことを申し上げると、まず2ページ目のところにも、企業型DCの加入率が低いという事実もあるのですけれども、これは全てリンクしているというか、女性の働き方自体の話、つまりマスでいうと、パートタイマーが多かったりするので、まさしく適用範囲の問題も絡んできますし、第3号被保険者の問題については、基本的には私は個人型DCというところで、そちらのほうに転換したほうが何でいいかというと、それぞれの人たちが、私のイメージの中で個人勘定持っているような感じなのですね。ただ、そこにだれのお金で拠出するかというのは、結局、世帯でという非常に似たことがここでも書いてあるのですが、夫に別に保険料を払ってもらってもいいのですね。

今の3号の方の制度になると、制度間調整があって、そこの中でいろんな、だれがもらって、だれが出してという構図自体が非常にあやふやになるという問題が1つあるかもしれなくて、ただ、そこの中で、第3号被保険者の経済的な状況自体、あるいは世帯の状況自体も非常にそこの中で格差がありますので、一律に個人型というのも3号をなくして転換というわけにはなかなかいかないのかもしれないのですけれども、いろんな生き方なり、前回も言いましたけれども、働き方でも、ずっと働かない人はすごく少ないわけですから、原則、行く方向としては、個人型でそれぞれ個人勘定を持ちつつ、保険料を払う段階では、もちろん世帯の概念で実質的には動いていくというのが現実的なのではないかと思います。

以上です。

 

○山崎部会長

 これに関連して、ほかに御意見ありますか。よろしいですか。

 事務局から何かございますか。

 

○内山課長

 3号のあり方につきましては、公的年金のほう、御指摘のとおり、あす以降、また年金部会でも議題の1つとして挙がってございますので、そこについては、さらに議論が進むと思ってございます。

 また、「3号に留まるインセンティブとならないように」という御指摘、前回もいただいたところですけれども、影響は全くゼロとは言い切れないかもしれませんが、国民年金では3号でなくなり、1号や2号に行けば保険料の負担が発生することになりますので、そういう意味で就業抑制効果があるといった指摘もされているわけでございますが、今回の場合は3号に個人型DCの加入を認めて掛金拠出をできるようにするかどうかという議論ですので、3号から1号、2号に移っても、掛金拠出をすること自体は変わらなくて、新たな負担が発生するわけではありませんので、そういう意味では公的年金の議論とは少し違うといったことも考えてございます。

 

○山崎部会長

そのほか、いかがでしょうか。小林委員。

 

○小林委員

 先ほどの井戸委員の御意見にも共通しますが、前回も申し上げましたように、個人の自助努力を促すという方向性は良いと思います。ただし、個人型DCを普及・拡大させるためには2点必要な事項があると思います。1つは自助努力をすることの必要性や重要性についての意識醸成が、特に若いうちから必要なのではないかということ。もう一点は、前回も申し上げたのですが、制度の仕組み・手続の複雑さや、選択可能な商品、コスト等の面で、企業型に比べるとかなり優位性が低いプランも中にはありますので、加入者の利便性の向上や負担の軽減にも配慮が必要ではないでしょうか。そういった意味では、行政からの働き掛けや、運営管理機関をはじめとする関係者の尽力も必要ではないかと考えています。

 

○山崎部会長

 鈴木委員。

 

○鈴木委員

 意見というよりも質問なのですけれども、きょういただいたペーパーで、たまたま前回森戸部会長代理と臼杵委員がお休みで、そのときにペーパー出されたのが意見に出ているのですけれども、両方に書かれていることに対して質問なのですけれども、私は基本的に森戸委員、臼杵委員が言われているところの3つの「全ての国民が老後所得確保のための税制優遇枠を持ち、その枠は企業年金で埋めても自助努力で埋めてもよいという形を基本とすべき」というのには大賛成でございますが、そのときに臼杵委員が、次のページでしたか、マッチングのところで、「運用拡を実施した場合に、マッチング拠出の税制優遇枠を個人型DCで使用することに賛成」、それ以下なのですけれども、「ただし、引き続き企業型スキームを使用できるようにすることが望ましい」。違う、ここではなかった。済みません。どこでしたか。個人型に枠を拡大、持っていくことができる、マッチングの。どこの下でしたか。

 

○白波瀬委員

 最初の3つ目の「・」があって、その下ではないですか、2つ下の。

 

○鈴木委員

 3つ目の「・」の下は、私が言った意見で、済みません、それではなくて、マッチングで使われない枠を個人型に持っていくべきだというのがどこかにありますね。適用拡大実施、これですね。「マッチング拠出の税制優遇枠を個人型DCで使用することに賛成」。この意味は、私が前に書いた、例えば企業年金のない従業員には、5.5万円+2万円を個人型の枠に持ってきたらどうか。さらに言うと、DBしかない企業の授業員については、5.5万円の半分の27,5002万円を個人型の枠に持ってきてもいいと、そういう理解でよろしいですか。要は5.5万円という枠がありますねと。全然使ってなかったら、5.5万円は全部自分で使います。+2万円があります。DBしかなかったら、27,500円は全部自分が使います。2万円がありますと。通常のマッチングであれば、旧型のDCがあるときにはマッチングの枠が残っているときは、その残っている枠+2万円、そういう理解でよろしいのですか。

 

○山崎部会長

臼杵委員、どうぞ。

 

○臼杵委員

 理想論というか、今回の御提案をさらにもしかしたら超えてしまうのかもしれないのですけれども、私自身は、理想としては、例えば年間100万なのか60万なのかわかりませんけれども、それぞれが枠を持っていて、まずDBDCの企業拠出で埋めていき、残っていれば個人が出せる。ずっと昔から、私、これは言っていて、カナダはかなりそれに近い方式なのですけれども、それがいいと、まず原則論というか理想論としては思います。

今回の場合にそれをどうすればいいかというのは少し悩ましいところで、私はここに書いたのは、マッチングという考え方が、今、企業拠出>個人拠出とかという条件を変えるのが難しいのであれば、55,000円は55,000円で企業の拠出枠として、あと2万円を個人が乗せられるということでもいいのではないかとここでは思っています。

以上です。

 

○鈴木委員

 わかりました。私も前段の臼杵委員の、カナダなのかどうか、知りませんけれども、考えには賛成ですし、森戸委員の御意見も多分同じことですね。

 

○森戸部会長代理 

前半はそうです。

 

○鈴木委員

わかりました。

 

○井戸委員

 質問なのですけれども。

 

○山崎部会長

 井戸委員。

 

○井戸委員

 ありがとうございます。個人型DCと企業型DCと2つになってくると、口座はどうなるのですか。企業型の口座と個人型の口座と、今、2つあるところがあると、本人がわからなくなってしまうので、口座の問題も一緒に議論していただけるとありがたいと思います。

 

○山崎部会長

臼杵委員、どうぞ、うなずいておられたので。

 

○臼杵委員

 それは、こういうふうにしていくと、だんだん実際にどうやっていくかという話が問題になって、多分運営管理機関で、これが本当にうまく管理できるのかとか、今度マイナンバーという仕組みができるようですけれども、それを使って、どこまで残高、ここで余しているのは幾らだと管理できるのか、そこの技術的な問題はむしろこれからきちんと詰めていかなければいけないと思いますけれども。

 

○山崎部会長

事務局のほうでお考えになっていることがあれば。

 

○内山課長

 企業型と個人型とになると通常は2つの口座になると想定されます。そこがマッチング拠出であれば確かに1つの口座でいいというところはあるかと思います。先ほど来御意見いただいていますように、確かに個人の枠と企業の枠を一緒にするというのも行き方としてはあるのだと思いますけれども、今の段階で申し上げますと、まず税制上は、企業は損金算入で個人は所得控除という税の体系、優遇を受ける主体も違いますし、何よりも管理をどうするか。企業の情報と個人の情報を突き合わせなければいけないという、実際上と事務手続や情報管理のところが1つ課題で、先ほど来出ておりますように、例えばマイナンバーのような制度が整備されると、そこのところはもう少し工夫のしようがあるのかなと思っています。

また、確かに実際マッチング拠出で1つの口座になっていて、仮に個人型ということになると、2つの口座になるということだと思いますけれども、そうしたところというのは、今、例えばマッチング拠出を、個人型を仮に加入者を広げるとしたら、そこに整理をするということも1つの行き方かと思いますけれども、その場合に、例えば一定期間は加入者がマッチング拠出と個人型DCと選択できるような、そんなような経過措置も1つ考えていく必要があるのかなということも考えてございます。

 

○山崎部会長

 臼杵委員。

 

○臼杵委員

 今、経過措置ということをおっしゃっていただいたので、少し緩和されるのかもしれませんけれども、例えば企業型と個人型の同じ商品をまとめて運用したいと思う人もいるでしょう。同じ商品で、同じ運管でというときに、企業でやっている運営管理機関あるいは運用機関と個人でやっているのとうまく合算というか、そこがきっちりできるかどうかという点は、そこにそのことを書いたような気がしたのですけれども、「引き続き企業型のスキームを使用できるようにすることが望ましい」というのは、一応そういう意図で書いたつもりです。

 

○山崎部会長

村瀬理事長、お願いします。

 

○村瀬理事長

 前回、最後のときに私が申し上げたと思うのですが、今回の個人型DCの検討に当たって、1つは、既に企業年金、DBDCの対象者である約1,660万人、企業にお勤めになっているけれども、企業年金の対象になっていない方、この方々を一緒にまとめられているわけです。一番大事なことは何かというと、企業年金に入れない約1,800万人の方が現在の2万3千円の枠でもなぜ入らないのか、その人たちにどう対応していったらいいかということをもう少し突き詰める必要があるのだろう。

一方、現在、企業年金にかにゅうされている方々については、特に企業型DCの場合、一番苦労されているのは何かというと投資教育の問題です。個人型DCの場合、投資教育の問題をどうするのか。今の考え方では多分なかなかできないですから、自分が勉強することしかないのだろうと思いますけれども、そこの整理ももう少ししっかりしないと、口座自体を一緒にする、しない以前の問題として、思想の問題でやっていただく必要があると思います。特に企業年金のDBDCの採用企業について、個人型DCが使えるようになるということは何かというと、その部分に多分公的年金の縮小分を含めて、ある程度補完できるスキームを考えたいという意向が入っているのだろうと思うのです。そうすると、個人型DCに企業年金の部分を含めて移行するような制度設計をしたら大変なことになると思うのですね。そこの制度設計の仕組みについても、すごく影響があるのだろうということで、そこら辺はもう少し丁寧に制度の意見を、先ほどの枠組みで運営の方法も含めてお出しにならないと、方向は正しいのですが、なかなか納得感が得られないのではなかろうかという気がします。

 

○山崎部会長

 事務局から。

 

○内山課長

 先ほど来出ております、例えば投資教育の課題につきましては、また11月以降そういう回も設けさせていただきたいと思いますので、さらに御議論いただきたいと思っています。

それから、現在のところは、まだ大枠での御議論いただいていますけれども、さらに細かい設計ないし、そういうものは必要になってくると思いますので、そういうところにつきましては、さらに事務局としても、もう少し詰めていきたいと考えています。

 

○山崎部会長

 ほかにいかがでしょうか。鈴木委員。

 

○鈴木委員

先ほど事務局から、企業型の掛金は損金で、個人型は所得控除だというのがよくわからないのですけれども、つまり所得であっても企業にしたら損金ですね。だから、それはどちらにしろ、同じことだと思いますし、私がこのスキームを賛成するのは、先ほど村瀬理事長の話もありましたけれども、どうして企業型をやってくれない企業があるのかという中に、特に中小企業等で事務負担に耐えられないとかそういう話が現実にあるわけですね。そういうところは、フラットに考えれば、その分は給料で払っているから、ということが現実にあるわけですね。あるいはこれは大企業でもやられていますけれども、現実に前払退職金にされているところもあるわけですね。それは企業にとったら、企業型の掛金であろうと、前払いの退職金であろうと、給与であろうと、みんな損金ですね。だから、そこが税の取り扱いが違うというのは私には理解できないのですけれども、だから、本当の公平性という観点から言うと、企業はやってくれない、そういう従業員のためには、このスキームは非常にいいというふうに思っていますし、同額の枠を、だから与えるべきだという理解です。

 

○山崎部会長

 ほかにいかがでしょうか。特になければ、次に移りますが、よろしいでしょうか。

 それでは「ライフコースの多様化への対応」につきましては、おおむね方向性については御了解いただけたように思います。なお、今後さらに詰める課題があるということも認識を共有していると思います。

さて、この9月より「中小企業向けの取組」、「一般企業向けの取組」等、特に税制に関連する論点を中心に議論を行ってまいりました。

政府部内における年末の税制改正の議論に向けて、税制に関する議題について、委員の皆様よりいただいた前回までの意見等を踏まえまして、事務局として一定の整理をしたということでございます。

事務局より資料の配付をお願いいたします。

(事務局より委員机上に資料を配付)

それでは、事務局より資料について、説明をお願いいたします。

 

○内山課長

 7月におまとめいただきました検討課題に沿いまして、9月から個別の論点を順次御議論いただいてきたところでございます。優先して御議論いただきました税制と関係する項目につきましては、本日のところ、ライフコースのところをもって、おおむね一通りの御議論いただいたのではないかと考えてございます。先ほども申し上げましたとおり、次回11月以降は、運用資産選択やガバナンスなどについて、引き続き御議論いただきたいと考えてございますけれども、今、お配りした紙のとおり、これまでの税制関係の項目について方向性を一通り整理させていただいたものでございます。

ペーパーをごらんいただきますと、「これまでの部会議論を踏まえた方向性(税制関連項目)」ということで書いてございます。

まず、1点目でございますけれども、中小企業のところで御議論いただきました「個人型DCへの小規模事業主掛金納期不正どの創設」でございます。これは企業年金の実施が困難な小規模事業主について個人型DCへの事業主による追加拠出を可能とするものでございます。

2点目でございますけれども、「DCの拠出限度額の年単位化」ということで、現在、月単位で設定されていますDCの拠出限度額を年単位とするということ。

3点目でございますけれども「個人型DCの加入可能範囲及び拠出限度額の見直し」。前回、今回と御議論いただきましたように、企業の経営状況や、個人の就労形態、離転職に左右されずに自助努力を支援する観点から、企業年金加入者・公務員等共済加入者・第3号被保険者について個人型DCへの加入を可能とする。併せて、個人型DCの拠出限度額について改めて設定をするということでございます。

4点目でございますけれども、「企業型DCのマッチング拠出の見直し」ということで、個人拠出の仕組みである企業型DCのマッチング拠出については、同じく個人拠出の仕組みである個人型DCが加入範囲の拡大がかないましたら、そこに整理・統合していくということでございます。

5点目でございますけれども、「企業年金等のポータビリティの拡充」ということで、就労形態が多様化する中、加入者の選択肢を拡大し、老後所得確保に向けた自助努力の環境を向上させるため(DBDC、中退協)といった制度間のポータビリティが確保されていな部分について、ニーズを踏まえつつ、ポータビリティを拡充してはどうかということでございます。

「※」のところで書いていますけれども、その他制度改善に伴い税制上の措置を講ずる必要がある項目、これはまた現行制度の改善や小規模な手直しといったようなことを想定しておりますが、そうしたものについても併せて検討したということです。

」の2つ目でございますけれども、DBの安定的な運営のため、企業の恣意的な掛金拠出とならない範囲で、柔軟な掛金拠出や積立不足への事前の備えを可能とする「DBの拠出弾力化」については、これは法律改正事項でございませんので、来年度以降に措置をさせていただきたいといった考えでございます。

なお、中小企業退職金共済制度(中退協)とのポータビリティの拡充については、社会保障審議会企業年金部会とは別に、労働政策審議会の議論が必要ということでございます。

もう一つ、これまで御議論いただきましたが、「継続的な議論が必要な項目」としてございますのは、DBDCの拠出時・給付時の仕組みのあり方、例えば拠出限度額、中途引き出し、支給開始年齢等といったことでございますけれども、そうしたものにつきましては、少し継続的な議論が必要ということですので、来年度以降改めてこの部会で検討することとさせていただきたいと思ってございます。

今、申し上げたような方向性に沿いまして、先ほど御意見もいただきましたけれども、事務局としてもさらに詳細な検討を進めさせていただくとともに、税制当局とも事務的な調整を進めていきたいと考えてございます。

以上、御報告でございます。

 

○山崎部会長

 ありがとうございました。

資料につきましては、本日の議論を踏まえて、さらに修正が必要だとは思いますが、委員の皆様から特段の意見等がございましたら、頂戴いたします。半沢委員。

 

○半沢委員

済みません。先ほど言えばよかったのですが、「企業年金等のポータビリティの拡充」の部分について、現状、確定給付型の企業年金間の資産移換については、規約で認めている場合のみ可能というようなことがございます。前回も申し上げましたが、仕組み上は可能だけれども規約上できない、というような課題もありますので、こういったところの促進も併せてお願いしたいと思います。

また、企業型DCに関して、ポータビリティについてはいろいろな場面が考えられますが、例えば運営管理機関の業務撤退であるとか、企業再編など、労働者の責によらないような場合については、資産移換手数料や情報の提供、また手続、こういったものは運営管理機関や事業主が責任を持って対処していただきたいと思っております。

それから、この資料で1つ質問なのですけれども、この四角囲みの下の「」の2番目のところに「『DBの拠出弾力化』については、法改正を要しないことから、来年度に措置」と書いてあります。この拠出弾力化について、ちょっと目立たないというか、DBの優先度が低い印象を受けるわけですが、法改正が必要でないとすれば、逆に、早く措置できるのではないかという気もするわけです。上のほうの法改正が必要なDCの部分、必要でないDBの部分の、施行までのスケジュール感について教えていただけるとありがたいと思います。

 

○山崎部会長

 お願いします。

 

○内山課長

それでは、まずスケジュール感ですけれども、これまで9月から個別の論点を御議論いただきまして、また11月以降も先ほどお話しましたように、運用資産選択ですとか、ガバナンスといった御議論をいただきまして、これまで年末ないし年明け早々に議論の整理をしていただきたいということを申し上げているところでございます。また、その議論の整理も踏まえまして、必要に応じて法律改正を検討するということも申し上げているところでございます。仮に来年の通常国会に法改正を提出する場合を考えますと、これまで法案の一般的なスケジュール感で申し上げますと、早くてその年の春から夏にその法案が設立していくということになりますと、各企業や金融機関などの準備、政省令などの整備、そういったことも考えますと、仮に来年の通常国会に法改正案を提出することとした場合でも、早くて施行は再来年の春ないしそれ以降ということになるのが1つの一般的な形かと思ってございます。

そういう意味で、もちろん今の御意見のような、できるところはというのもあると思いますけれども、まだ運用資産選択や投資教育、ガバナンスといったところの議論も残っておりますので、ばらばらと手当てをするのではなくて、年末年始までに議論を進めさせていただいた上で、それを整理した上で、今回の改正を考えさせていただければと思ってございます。

また、その前にいただきましたDB受け入れの規約の件でございますけれども、確かにDB間のポータビリティにつきましては、当然、今、法制度上はできることになっているわけでございますけれども、御指摘のとおり、受け手側のDBでどのように受け入れるかといったような規約を整備していく必要があると思います。実際に規約を整備されているDBもありますけれども、整備されてないDBもあるのが現実でございます。この受け入れ方は当然各企業の退職給付全体の設計にもかかわることかと思いますし、今、申し上げましたように、積極的に受け入れることができるように規約整備に取り組んでおられる企業もございますので、これは御指摘のとおり、今後の1つの課題なのかと考えてございます。

また企業型DCの手数料につきましても、現状では企業の97.5%が運営手数料等については企業が持たれている現状にありますので、また、今の状況も踏まえて、各企業で取り組んでいただく課題ではないかと考えてございます。

 

○山崎部会長

 半沢委員。

 

○半沢委員

 済みません、ちょっとよくわからなかったのが、スケジュール感のところで、法改正が必要なものについては、平成28年の4月以降の施行になってくるというようなお話だったと思います。DBの拠出弾力化の、法改正の必要でない部分についての施行はどのようになってくるのでしょうか。

 

○内山課長

済みません、少し言葉足らずだったかと思いますけれども、要はまだ運用資産選択、その他の議論もありますので、それも踏まえまして、法改正が必要な事項の施行時期と合わせて一体的に整理をさせていただければと思っています。

 

○山崎部会長

 ほかに、白波瀬委員。

 

○白波瀬委員

ありがとうございます。多分、私がしっかり理解してないからだと思うのですけれども、5つ目最後の「企業年金等のポータビリティの拡充」というところなのですけれども、私、全部出席していたわけではないのですが、私の理解では、どちらかというと、少なくともDBDCについてはなかなか統合が難しくて、それぞれの制度をそれとしておきながら、できるだけ移行障壁を下げていくというか、ポータビリティというと、イメージするのが制度間でどういうふうに、あっちへ行ったり、こっちへ行ったりできますかということなのですが、究極的には私はライフサイクルというか働き方の多様化ということになると、いろんなメニューが前にあって、個人がいろんな働き方をして、それでどういうメニューをもらえますかというときに、違ったメニューのものをとる場合の、言ったように、ある程度の、全然自由にというわけにはいかないと思うのですけれども、それぞれの財源のシステムというのがあるので。だけど、ポータビリティの拡充といったときに、私のイメージでは、制度間の違いを統合する方向にいるかのようなイメージもちょっと受けたので、そのあたりの区別というか、こういう形でポータビリティの拡充というのが、みんな方向性として一致したのかどうかというのは私の中で見えなかったのです。

そういう意味で、森戸委員がおっしゃったみたいに、違うものが両方で同じ次元であるというよりも、そこにもう一つ、個人型DCみたいな形で、共通みたいなものがあって、そことの連携のところで、個人にとってはいろんなメニューがもらえるみたいな、そういう設計なのかなと少し思ったので、言葉の問題なのですけれども、「ポータビリティの拡充」といったときに、説明をお願いしたいと思います。

 

○山崎部会長

 事務局からお願いします。

 

○内山課長 

ポータビリティと申しますのは、それぞれの制度で、要は年金の掛金をためていくといいますか、そういう年金資産ができるわけですので、その資産をまさに制度が移ったとき、例えば、今、DBをやられている企業からDCの企業に移ったときに、その資産を新しいDCのところに持ち運べるという意味でございます。そういう意味で、前回からお話していますのは、今、制度間で持ち運べない制度間というのが法律上あるということでございますので、そうしたところについては、原則として、法制度上のしばり、法制度上持っていけるというのをシャットアウトしていることをなくしていってはどうかということでございます。

また、さらにその上で、先ほど半沢委員からもございましたように、法制度上とは別に、実際に持っていけるかという意味では、受け入れ側の整備ももう一段、法律の後に必要になってくるということでございます。

 

○山崎部会長

 鈴木委員。

 

○鈴木委員

 今、お示しいただいた方向性については賛成であります。継続的な議論が必要な項目はもう少し時間をかけてやるべきだと思うので、この整理で賛成でございます。ただ、継続的な議論が必要な項目の中で、例えば中途引き出しというのがありますね。これは前回これの議論をしたときに、DCイコールフッティングで、DBについても60歳まで引き下ろさないようにしてはどうか、そういう御提案があって、私はDBDCは違うと。DCは引き出せないけれども、権利は、受給権は確定しているけれども、解散すれば、DBはその後の財政状況によってはもらえたはずの金額がもらえないことが起こり得ますので、あるいは減額もできるわけです。

だからDBについては、今の状況の中で反対だということを申し上げたのですけれども、仮にこの上の四角の今回やろうとしていることが実現すれば、DBの一時金もDCの個人の枠に全員にあるということですから、それに持っていくことが可能になりますね。そうするとDBに残りたい人はもちろん残ってもいいのですけれども、私は強制的に残すのがまずいと言っているわけで、残りたい人は残ってもいいのですけれども、個人型のDCに行くのか、どちらかを選びなさいというのであれば、そこで一応権利はDCにと確定するので、そういうことで言うと、中途引き出しを60歳までというか、老後の資金まで据え置けというのも望ましい方向としてあるのではないか。

ただ、現実には、今、退職金の振り替えとして採用している企業が多いので、すぐにといってもなかなか現実には難しいかもしれませんけれども、どこかの御提案にあったかと思われますが、例えば新入社員から、そういうふうにやっていくと。今後はこの金額は老後の資金ですと考えてくださいというふうにやっていくというのはあるかなと思います。ですから上の四角の実現の収入は、下の四角の方向性も少し変わってくるところがあるなということが1つ。

それから、これは前から同じ話を繰り返して恐縮なのですけれども、ある人から、おまえの言っていることはよくわからないと言われたので、もう一度言いたいのですけれども、きょう出されている資料で、資料2のライフコースのところの31ページに、公務員の「年金払いの退職給付」というのがありますね。これを例にとって説明するとわかってもらえるかなと思ったので説明したいのですけれども、この公務員の年金払いの退職給付というところが、事務局からずっと出されている今回の企業年金の枠組みとして、こういった企業年金がいいのではないですかというふうに考えられますね。つまり中途で退職金としては払えないし、年金だし、老後の資金で限定だしということですね。

私は公的年金の補完としての年金について、この方向性については賛成ですと申し上げているわけです。しかし公務員には別途これ以外にも退職金ありますねと。それは退職時に一時金として受け取れる退職金ありますねと。公務員の退職金は国がバックにあるので、国が倒産しない限り払われるでしょう。しかし民間の退職金は必ずしも保全されていませんよねと。民間の退職金を事前積立するときに、この公務員のような給付設計を強制するというのは、それはちょっとないのではないですかと。ただ、税には差があってもしようがないですねということを申し上げています。

退職金のニーズは、公務員も廃止してないのだから、民間もそれはあるわけですね。だから、そこの部分を事前に積み立てて保全させる、そういう仕組みは、これは国としては支援すべきだというふうに思っているということを再三申し上げています。

以上です。

 

○山崎部会長

 よろしいですか、事務局として。

 

○内山課長

 はい。

 

○山崎部会長

 臼杵委員。

 

○臼杵委員

 済みません。前回も休みまして、今回もちょっと遅刻してしまって申し訳ありません。脳みそがまだきっちり回転してなかったので、半分蒸し返しになって申し訳ないのですけれども、こちらの一枚紙で言うと「○」の3つ目と4つ目、先ほど鈴木委員がおっしゃったこととも関係するのですが、とりあえず個人型の拠出上限額というのは、御提案のあった金額で、今、4万円と2万円で考えておられると、そういう理解でよろしいでしょうか。

 

○内山課長

現在のところは、前回の御提案だと1つの選択肢の中心として検討を進めています。

 

○臼杵委員

 それはどういう根拠で4万円と2万円なのでしたか。

 

○内山課長

資料2の46ページに4万円と2万円の1つの例として、こうした考え方もどうかということで出しているものであります。要は企業型DCの8割の方の平均掛金額を満たす水準として考えられるのではないかということが1つの例として考えているわけでございますけれども、もちろんこのあたりというのは、1つの例として、こういう考え方もありますし、場合によってはほかの考え方ができることもあると思っています。前回からお示ししていますのは、46ページにありますような、企業型DCの加入者の平均掛金額というような考え方が1つできないかということで書いているものであります。

 

○臼杵委員

わかりました。ちょっと思ったのは、先ほど鈴木委員がおっしゃったように、企業型がないのであれば55,000円とその半額で、財務省との交渉事ですから、通るからどうかわからないですけれども、そういう考え方もそんなにおかしな考え方ではないのかと思ったというのが1点です。

それから、これも、今、鈴木委員がおっしゃったことと関係するのですけれども、脱退一時金を仮にDBからもらった場合に、それを個人型DCに受け入れるようなこともお考えだという理解でよろしいのですか。

 

○内山課長

 現行ではDBからDCでも、脱退一時金相当額を持って行けることは今できていますので、そういうものを中心に想定をした。

 

○臼杵委員

これは企業型DCということでしたか、個人型でも行けるのでしたか。

 

○内山委員

 済みません。資料2の63ページに整理をしていますけれども、一番上の欄で、DBからであれば、DBでも、企業型のDCでも個人型のDCでも行けまして、企業型DC、個人型DCに行くときには脱退一時金相当額の移換をするという仕組みになっております。

 

○臼杵委員

それは、そうすると上限額はそのときはないということですか。

 

○内山課長

 はい。

 

○臼杵委員

 そうすると、これは今のすぐの課題なのかどうかわかりませんけれども、いつも申し上げていることでありますが、企業が退職一時金を年金制度に移していると個人型DCに入れられるけれども、企業がそれをやってくれてないと、何もそういうことができないと、そこの問題は残るのかなと。そのときに、これは今後の課題かもしれませんけれども、そういうふうに思います。

 

○山崎部会長

平川委員。

 

○平川委員

 方向性が示されているわけでありますけれども、1つ目の「小規模事業主掛金納付制度の創設」について、企業年金の実施が困難な小規模事業主といった形で「事業主による追加拠出を可能とする」となっています。「実施が困難な」という定義であるとか、「小規模事業主」という定義について、今のところ考えているところがあればお聞かせ願いたいと思います。

それから、3つ目の「○」の「個人型DCの加入可能範囲及び拠出限度額の見直し」のところですけれども、基本的には、先ほど言いました4万円と2万円といった方向で考えているようでありますが、企業が個人拠出2万円を超える拠出を行うという方向で誘導していくのが筋ではないかと考えています。それをどう誘導するかというのは、また別途検討してもらえればいいのではないかと思います。なかなか難しいと思いますが、できればよろしくお願いしたいと思います。

それから、「企業型DCのマッチング拠出の見直し」のところです。これについては「個人型DCに整理・統合」となっていますけれども、実務上どういった課題があるのでしょうか。先ほど来いろいろな課題が出されておりますが、実務上の課題がわかりましたら示していただければと思います。いずれにしましても、個人型DCについてこういう方向が出されているわけでありますけれども、安易に企業が、企業年金をやめて個人型DCを活用するといったインセンティブが働かないような形が必要と考えているところであります。基本的にはDBもしくは企業型DCを普及させていくという大原則は明確に打ち出し続けるべきではないかと考えているところであります。

以上です。

 

○山崎部会長

 ほかにございますでしょうか。小林委員。

 

○小林委員

 3点申し上げたいと思います。まずマッチング拠出についてですが、企業型のマッチング拠出について「個人型のDCに整理・統合」と提案されています。御承知のように、マッチング拠出が開始されて2年が経過しますが、個人型DCと同程度の数の加入者が既に制度を利用されている実態があるということですので、既に導入されている企業や加入者に不利益が生じないように十分配慮していただきたいと思います。したがって、個人型DCへの整理・統合を進めるとしても、個人型DCの加入者の対象の範囲や、拠出限度額等について十分な裕度が確保されることが大前提だと思います。

2点目は、少し細かい点かもしれませんが、DCの拠出限度額の年単位化についてです。これは、確認とお願いになりますが、掛金の拠出だけではなく、納付についても、現状月単位のみとなっていますので、DBとのイコールフッティングという観点も含めて、DBと同じように、年1回以上定期的に収める旨の規定に改めていただきたいと思います。現行のDC掛金納付については、実務的な制約が非常に厳しいと思っております。運営の効率化や、事務負担の軽減も期待できると思いますので、ぜひ御検討をお願いしたいと思います。

最後の3点目ですが、「継続的に議論が必要な項目」として整理されている内容について、今回は、かなり大きな枠組み変更を伴う御提案が、この秋になって初めて提示されたこともあり、経団連の中でも議論が十分深まっていないという状況がございます。関係者の受けとめもさまざまでして、繰り返し申し上げておりますが、特にDB年金の関係者の方からは、制度の後退ではないかという反応が強く返ってきているという実態もございます。来年度以降、引き続き議論を続けるに当たっては、現状の実態を十分踏まえた上で、どのようにすれば企業年金の普及・拡大につながるのかという、将来像を打ち出していくことが必要なのではないかと考えております。

以上です。

 

○山崎部会長

 どうぞ、事務局から。

 

○内山課長

 平川委員、小林委員からいただいた御意見、少しお話しさせていただきますと、まず、小規模事業主掛金納付制度につきましては、9月の段階でもお話しましたように、企業年金を個々の企業でなかなか難しいというような中小企業対策向けということでございますので、部会の資料でも、100人以下の企業に限定をして実施することを想定してございます。

次に個人型DCの企業の拠出水準についての御意見もございましたが、企業の拠出水準自体につきましては、当然DCも含めた退職給付水準の全体について、労使の合意のもとで決められているものだと思いますので、行政サイドということではなくて、各企業で決めていっていただくことかと思ってございます。

それから、平川委員からもございましたし、小林委員からも、現にマッチング拠出をされている方の不利益にはならないようにというお話がございました。先ほどもお話しましたように、例えば口座が2つになるとか、あるいは小林委員がおっしゃられたように、今、最大、企業型DCの拠出限度額が5.5万円あるわけですので、そういう意味ではマッチング拠出も最大では2.75万円掛けられるということでございます。そうしたところにつきましては、仮にこういう仕組みを導入した場合でも円滑な移行ができるようなことは考えないといけないと思っておりまして、先ほど口座のところでもお話をしましたように、今、マッチング拠出を実施している企業につきましては、例えば一定期間は加入者がマッチング拠出と個人型DCのどちらかを選択できるようにするといったような経過措置を設けるなど、少し工夫が必要ではないかと考えてございます。

あと、年単位化につきましては、納付のところも基本的にいただいたような御意見の方向で改善・努力をしてみたいと思ってございますし、最後にいただきました大きな枠組み変更、また引き続き議論するときについても、当然皆様の御意見も踏まえつつ、最大の目標は企業年金の普及・拡大ということかと思いますので、そうした御意見を丁寧にお聞きしながら、さらに進めていきたいと考えてございます。

 

○山崎部会長

 ほかに。村瀬理事長、お願いします。

 

○村瀬理事長

 確認なのですけれども、今回の税制関連項目の要望なのですが、今まで企業団体から税制改正要望が出ているわけだと思うのですが、一応、対財務省等々の関係では、今回の「企業年金部会において制度のあり方の検討を行っており、その結果を踏まえて」という文言が入っておりまして、具体的な案が出ていません。今回どちらかといいますと、個人型DCを中心とした税制改正要望ですけれども、各団体からの要望には、既存のDBDC制度における改善要望も入っていたと思うのですが、その分との関連はどう考えられているのか、確認をしたいのが1点。

2点目に、将来に向けて個人型DCを本当に拡大していくということであれば、定額の金額ではなくて、当然ライフステージに合わせて、若いころたくさん年金のためにためようというのは無理ですから、40歳、50歳になってから年金の金額を増やそうとしていくわけです。そうすると年齢別の対象金額を変えるとか、もう少し議論をしていい余地もあるのではなかろうか、こんな気がしております。

 

○山崎部会長

 事務局からお願いします。

 

○内山課長

 今まで関係の団体からさまざまな御要望をいただいてございます。その中でも当然現行DCにつきましても、例えば拠出限度額の引き上げを中心に御要望いただいているところでございますけれども、今までこの部会でも御議論いただきましたように、拠出限度額あるいは率というところは、いろいろな御意見をいただいたところでございますので、そこについては、引き続き御議論していただければと思ってございます。

DBにつきましても幾つか御要望をいただいていましたけれども、先ほど四角の下の「」の2つ目で申し上げましたように、拠出の弾力化というところについては、今後努力をしていきたいと思ってございます。

 

○山崎部会長

 森戸部会長代理、お願いします。

 

○森戸部会長代理

 3点ぐらいありますけれども、1つ目は確認ですが、これは方向性の1つ目で、小規模事業主についてですが、「個人型DCへの事業主による追加拠出を可能とする」と。他方で、4つ目では「企業型DCのマッチングの見直し」で、企業型DCの今やっているマッチングは、個人型DCのほうに行くということは、小規模事業主の個人型DCのほうは、ある意味、企業のお金と個人のお金を一緒にするのを認めるけれども、4つ目は分けるということですね。それは小規模事業主だからということだと思いますけれども、恐らく税制要望のときの理屈として、4つ目できちんと分けましたといっても、1つ目は一緒なのですねという話になり得るかなと思って、そこの理論武装というか、それが少し要るのかなというのが1つ思いました。それが1点目。

2つ目は、これは小林委員がおっしゃったことほぼそのままですけれども、4つ目の「企業型DCのマッチング拠出の見直し」というのは、いわゆる経過措置で、今、せっかくやっている人に不利益にならないようにという措置が必要だというのは言うまでもないですし、まさに今の話と同じことですけれども、結局、今のマッチングの形で、企業が出しているお金と自分のお金と足して、それを一緒に同じ運用したいと思っている人も、今後はわざわざ別口座に分かれて全く同じ運用する口座を2つ、企業分と個人分と持っているみたいなことになるということかと思うので、実質、形式的に分かれているだけならいいけれども、一応別だから、もしかして手数料も両方かかるのかなとか、いろいろ考えたりするのですけれども、まだまだ検討の余地はあるのかなというふうにも思います。

それから、3つ目は、とはいえ、いろいろ議論ができるところありますが、先ほど臼杵委員の質問にもありましたが、脱退一時金を個人型DCに上限なく受け入れるというような方向が考えられているとすれば、ある意味、ロールオーバーIRA的なというのですか、まさに先ほど白波瀬委員もおっしゃっていましたけれども、ポータビリティのツールとして使えるような形で個人型DCがより拡充していくということだと思いますし、まさに今いろいろ出ている方向は、個人型DCを、労働者に限らず国民の老後所得保障のベースになる制度にしようという方向だというふうにも言えるのかなと思いますので、いろいろ問題点とか議論しなければいけないことがありますけれども、今後、全国民にフェアな制度にしていくにはどうしたらいいかという議論の出発点、そのステップなのかなというふうには感じました。

その際、鈴木委員おっしゃっていたように、他方で退職金制度という日本の人事管理なり、雇用のあり方に根づいた、それなりの機能を持った制度もありますので、退職金制度との関係もにらみつつ——私は鈴木委員が言っていることはよくわかりました、しょっちゅう聞いているからかもしれないですけれども——先ほどの公務員との比較なども非常にいいポイントだったと思いますので、退職金制度は退職金制度としてどのようにしていくかということを考えつつ、しかし個人型DCをベースとしたような老後所得保障制度のあり方みたいなのを考える方向が少し出てきたのかなということで期待はするところではあります。

以上です。

 

○山崎部会長

鈴木委員、どうぞ。

 

○鈴木委員

 このマッチングの話なのですけれども、私は一貫して、この方向には反対なのですけれども、つまりマッチングを個人の枠のほうに寄せるという考えには反対なのですけれども、それは先ほどから何回も言っているように、森戸部会長代理の、先ほどのペーパーにもありますように、限度額を企業拠出で埋めるか、所得で埋めるかというのは、区別することがほとんど意味がないと思っているのですね。少しマニアックな話になって恐縮ですけれども、現実に起こっていることは、例えば給与の一部を前払い退職金制度に振り替えて、前払い退職金制度を受け取るか、DCに入れるかというのを本人に選択させる。だから給与を一たん前払い退職金制度に振り替えて、前払い退職金として受け取れば給与ですから、それは変わらないわけですね。DCの掛金として入れればそれはDCの拠出になりますね。それは企業型なのです。

そういうことが現実にあるので、企業拠出なのか、給与から所得控除なのかというのは意味がないのです。つまり企業にとってみれば、掛金で払おうが、前払い退職金で払おうが、DCの掛金で払おうが、給与で払おうが、何で払おうが全部損金ですね。前払い退職金になったものを受け取ったら給与ですし、DCに入れたら所得控除、ごめんなさい、所得にならない。所得控除というか、初めから所得にならないわけです。何のためにというか、企業型のマッチング拠出と、所得控除と企業の拠出を分けることにどういう意味があるのか。税がだめだというのであれば、何でなんですかねというのが素朴にわからないのですけれども。

 

○内山課長

 当然、企業にとっては、損金といえは損金かもしれませんけれども、個人の拠出で考えたときには当然税の中でも小規模共済等掛金の控除でいく場合もありますし、生命保険料控除でいく場合もあるということでありますので、それぞれの制度によって、今、そうした税制上の優遇措置というのが差がある状況にありますので、そうしたところは1つ違うところではないかと考えています。

 

○山崎部会長

森戸部会長代理。

 

○森戸部会長代理

私は鈴木委員の御意見に基本的には賛成なのですけれども、ただ、今、恐らく鈴木委員が提示されている疑問点というのは、社会保険料の事業主拠出と労働者拠出は経済学的に見れば同じものだろうという議論と同じで、多分経済学的な意味は同じなのですけれども、恐らく法的に違う意味なものにしてしまっているのだと思うのですよ。なので、今、違う扱いしているから、それを前提にというか、ある意味法律が余計なことをしているのかもしれないのですけれども、多分本当は同じ性質なもの違う名前にして、違う整理をしているという現実があるので、こういう議論をしないといけないのかなと、今伺っていて思っていたのですけれども、済みません、余計なことですけれども。

 

○鈴木委員

 今のお話、大変よくわかりました。

 

○山崎部会長

半沢委員。

 

○半沢委員

 済みません、いろいろな御意見を伺っていて、きょう主に個人型DCの話が多かったせいもあるのですけれども、だんだんと不安になってまいりました。基本的には企業年金の発展に資するということで、ここで議論していると思っておりまして、個人型DCについては、これまでの位置づけとすれば企業年金を受けられないような場合や、そういった場合にも同じような公平性の観点から、というもので創設されたという理解であります。個人型DCの話ばかりしているからかもしれませんけれども、先ほどお答えはいただいたのですが、あくまでも企業年金という、従業員と企業も含めた共助の部分、この部分を発展させていくということを前提としながら、この議論をしているのだということは確認したいと思っています。事務局からも、ぜひそういうお考えだということを改めて伺えるとありがたいと思っています。そういう意味においては、先ほど「個人型DCへの小規模事業主掛金納付制度の創設」というところがありましたけれども、企業年金の発展が大前提とすれば、企業年金の実施が本当に困難な場合にのみ対象となるべきではないかと思っています。そこはどういう線を引くかわかりませんけれども、その原則は外れないでいただきたいと思います。今、一生懸命企業年金の運営を行っている企業に対して、少し違ったメッセージが与えられるようになると、現在の企業年金を普及・発展させていくという私たちの議論とは外れてくるのではないかという心配をしているところです。

 

○山崎部会長

 確認したいということですので。

 

○内山課長

 そういう意味では、済みません、今、お配りした一枚の紙は税制に直接関係をするところでございます。ここに例えば載ってないものであれば、これまで御議論いただいたものでもハイブリット型というところは、ここに直接載ってないわけでございますけれども、例えばDBDCそれぞれのDB側からの工夫、あるいはDC側からの工夫を含めて、ハイブリット型のものも考えていくというのもこの部会でおおむね方向性は一致しているかと思いますので、そういうものも併せて検討を進めたいと思っています。

そういう意味では、先ほど来申し上げていますように、きょうは税制に直接関係する項目だけを出しておりますけれども、また年末ないし年明けの議論の整理のときには、ここには載ってございませんけれども、例えばハイブリットのDBの工夫のようなものも、当然その対象になってくるかと思ってございます。

また、これまでの議論でも御紹介していますけれども、基本的には企業年金のカバー率、企業年金の普及・拡大というのが検討課題の中でも一番大きなところということですので、そういうものプラス、前回からは個人の自助努力の仕組みも企業年金の普及・拡大の工夫を前提にしながら御議論いただいているということでございますので、そういう意味では、委員が御指摘しているような方向性で議論を今までしてきたと思っています。

 

○山崎部会長

 ほかにございますでしょうか。よろしいですか。

 それでは、ほかに御意見がないようでございますので、税制に関する今後の方向性につきましては、この資料をベースとして、本日、委員の皆様よりいただいた意見を十分に踏まえ、必要な調整を税務当局と進めていただきますよう、私からもお願いいたします。

それでは、予定の時間には達しておりませんが、本日の審議につきましては、そろそろ終了とさせていただきます。次回の開催について事務局より連絡はありますでしょうか。

 

○内山課長

 ありがとうございました。次回の部会の開催日時、またいつもどおりでございますけれども、事務局から各委員の御都合をお伺いした上で、正式な御案内をお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。

 

○山崎部会長

 ありがとうございました。それでは、本日の審議は終了いたします。どうもお疲れさまでした。


(了)

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