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2014年9月5日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

○日時

平成26年9月5日(金)15:00~


○場所

厚生労働省専用第12会議室


○出席者

出席委員(17名)五十音順

○新 井 洋 由、 庵 原 俊 昭、 奥 田 真 弘、 川 上 純 一、
  川 崎 ナ ナ、 菊 池     嘉、 清 田    浩、 佐 藤 俊 哉、 
  鈴 木 邦 彦、 関 水 和 久、 田 島 優 子、 中 島 恵 美、
  濱 口    功、 福 山    哲、 前 崎 繁 文、 増 井    徹、
◎吉 田 茂 昭
(注) ◎部会長 ○部会長代理
他参考人1名

欠席委員(4名)

大槻 マミ太郎、 田 村 友 秀、 半 田    誠、 山 本 一 彦

行政機関出席者

神 田  裕 二 (医薬食品局長)
成 田  昌 稔 (大臣官房審議官)
森    和 彦 (審査管理課長)
宇 津     忍 (安全対策課長)
矢 守  隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
俵 木 登美子 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
山 田  雅 信 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
武 田  康 久 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○審査管理課長 薬事・食品衛生審議会の医薬品第二部会を開催させていただきたいと思います。本日は、先生方、お忙しい中、またこのようにむし暑い所でお集まりいただきまして、本当にありがとうございます。本日の委員の出席についてですが、大槻委員、田村委員、半田委員、山本委員より御欠席との御連絡をいただいております。また、菊池委員より、1時間ほど遅れていらっしゃるとの御連絡を事前にいただいております。現在のところ、当部会委員数21名のうち16名の委員の御出席をいただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。

 なお、本日は議題の中での「その他」の事項の議題1について、高知県・高知市病院企業団立高知医療センター副院長・腫瘍内科長の島田安博先生に参考人としていらしていただいております。また、医薬食品局長の神田については、所用により少々遅れて参加させていただきます。それでは吉田部会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。

○吉田部会長 では、本日の審議に入ります。まず、事務局から配布資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについての報告をお願いします。

○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日席上に議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布しております。また、議事次第に記載の資料1~15については、あらかじめお送りさせていただいております。このほか、資料16「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料17「専門委員リスト」、資料18「競合品目・競合企業リスト」、資料19「佐藤委員からの御質問」、資料20「資料の誤記の訂正について」、資料21「高含料アセトアミノフェン製剤の対応について」を配布しております。

 続きまして、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて、御報告いたします。資料18の1ページを御覧ください。ヴァクセムヒブ水性懸濁注ですが、本品目は「インフルエンザ菌b型による感染症の予防」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 2ページを御覧ください。ブイフェンド錠50mg他3剤ですが、本品目は「深在性真菌感染症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 3ページを御覧ください。マブキャンパス点滴静注30mgですが、本品目は「再発又は難治性の慢性リンパ性白血病」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 4ページを御覧ください。バニヘップカプセル150mgですが、本品目は「C型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 5ページを御覧ください。ボシュリフ錠100mgですが、本品目は「前治療薬に抵抗性又は不耐容の慢性骨髄性白血病」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 6ページを御覧ください。ザノサー点滴静注用1gですが、本品目は「膵・消化管神経内分泌腫瘍」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 7ページを御覧ください。パノビノスタット乳酸塩ですが、本品目は「再発又は難治性の多発性骨髄腫」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 8ページを御覧ください。MK-3475ですが、本品目は「悪性黒色腫」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 9ページを御覧ください。ペグインターフェロン アルファ-2b(遺伝子組換え)ですが、本品目は「悪性黒色腫における術後補助療法」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上です。

○吉田部会長 ただ今の事務局からの説明に特段の御意見等ございますか。ないようですので、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆様の御了解を得たものといたします。

 それでは、委員からの申し出状況について報告をお願いします。

○事務局 各委員からの申し出状況については次のとおりです。議題1「ヴァクセムヒブ水性懸濁注」及び議題10「生物学的製剤基準の一部改正」、退室委員、庵原委員。議決には参加しない委員、田島委員。議題2「ブイフェンド錠」、退室委員なし。議決には参加しない委員、庵原委員、清田委員、 前崎 委員。議題3「マブキャンパス点滴静注」、退室委員、関水委員。議決には参加しない委員、庵原委員、清田委員、前 委員。議題4「バニヘップカプセル」、退室委員なし。議決には参加しない委員、庵原委員、奥田委員、前 委員。議題5「ボシュリフ錠」、退室委員なし。議決には参加しない委員、庵原委員、清田委員、前 委員。議題6「ザノサー点滴静注用」、退室委員なし。議決には参加しない委員、庵原委員、清田委員、前 委員。議題7「パノビノスタット乳酸塩」、退室委員なし。議決には参加しない委員なし。議題8「MK-3475」、退室委員なし。議決には参加しない委員、奥田委員、前 委員。議題9「ペグインターフェロン アルファ-2b(遺伝子組換え)」、退室委員なし。議決には参加しない委員、奥田委員、前 委員。以上です。

○吉田部会長 今の事務局からの説明に特段の御意見等ございますか。ないようですので、皆様には御確認いただいたものとし、議事に入りたいと思います。

 本日は、審議事項10議題、報告事項が4議題、その他の事項が1議題となっております。参考人にいらしていただいている関係上、その他の事項1を最初に御確認いただき、他は議題順で進めたいと思います。それでは、その他の事項の議題1について、事務局からの説明をお願いします。

○事務局 資料15に基づき御説明します。「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において公知申請を行うことが適当と判断された適応外薬の事前評価」について、オキサリプラチンの説明をいたします。まず、検討会議での経緯を説明いたします。

 1ページを御覧ください。今回、事前評価される要望である切除不能進行再発胃癌に対するオキサリプラチン130mg/ 平方メートル の3週間ごと投与の適用について、医学薬学上公知と判断されましたが、本邦で行われた臨床試験などに関する検討会議での議論を踏まえ、適正使用のための情報提供を実施する予定にしております。詳細については後ほど説明したいと思います。

 本剤の医療上の必要性については、4ページに記載しております。治癒切除不能進行・再発胃癌は、全生存期間の中央値が1113か月と予後が不良であることから、適応疾病の重篤性は「ア、生命に重大な影響がある疾患(致死的な疾患)」に該当すると判断されました。要望された効能・効果については18ページです。欧州で進行・再発胃癌に対して承認されていること、続いて32ページ、米国のガイドラインにおいて、オキサリプラチンを含むレジメンが進行・再発胃癌患者に対して推奨されていること等から、医療上の有用性は、「ウ、欧米において標準的療法に位置づけられている」に該当すると判断されました。

 本剤の公知該当性については、資料の36ページを御覧ください。本剤の有効性については、海外で実施された無作為化比較試験のREAL-2試験において、シスプラチンを含む併用療法レジメンに対する本剤を含む併用療法レジメンの非劣性が示されており、実臨床においてもシスプラチンの代替として使用されています。また、本邦において海外と比較して遜色ない治療成績が得られております。

 さらに、安全性については海外臨床試験において認められた主な有害事象は、いずれも国内添付文書で既に注意喚起されている事象であり、本邦においても既承認の効能・効果、つまり結腸・直腸癌に対し、本剤130mg/ 平方メートル の3週間ごと投与が承認されており、日本における当該用法・用量の安全性情報が蓄積されていることから、がん化学療法に精通した医師により適切に副作用が管理されることであれば、本剤の安全性は管理可能と判断されました。以上より本剤の有効性及び安全性は医学薬学上公知と判断可能であるとされました。

 次に、効能・効果及び用法・用量についてです。資料の3940ページを御覧ください。海外のREAL-2試験において有用性が示されていること、本邦における他の適用での安全性が確認されていること等を踏まえ、効能・効果は治癒切除不能な進行・再発の胃癌とすること。用法・用量は他の抗悪性腫瘍剤との併用において、本薬130mg/ 平方メートル を3週間ごと投与とすることが適切と判断されました。

 最後に、冒頭で申し上げました適正使用のための情報提供について御説明したいと思います。1ページにお戻りください。本邦における胃癌に対するキードラックであるS-1の投与強度を維持することを重視し、また結腸・直腸癌の治験で、血小板減少の遷延が認められたことから、本邦で既に行われていたシスプラチンに対する非劣性試験では慎重な投与を講ずることとして100mg/ 平方メートル の投与が選択され、結果として、有効性に関する仮説が検証されませんでした。このような結果も踏まえて、検討会議では130mg/ 平方メートル での使用に当たっては、適正使用のための情報提供が必要であるとされました。

 そこで、製造販売業者及び要望者である日本胃癌学会から提供された対応策を実施することが妥当と判断されたところです。具体的には、製造販売業者からは資材等により、日本胃癌学会からは45ページにありますステートメントにより、他癌種での有害事象の種類と頻度や減量基準等の情報提供を行うこととなっております。以上より、本剤は公知申請を行うことが適当であると判断されたものです。

 続きまして、本議題については事前に佐藤委員より御意見をいただいております。読み上げます。検討会議の論点は2点あり、1点目はREAL-2試験で、5-FU/カペシタビン又は5-FU/エピルビシンとの併用下で、シスプラチンとオキサリプラチンとの非劣性が検証されたこと。

2点目は、日本でのSOX P III相試験において、幾つか問題点はあるものの、オキサリプラチンとS-1の併用(SOXレジメン)とシスプラチンとS-1の併用(SPレジメン)はほぼ同等と考えられることから、切除不能な進行・再発胃癌患者に対する本薬(オキサリプラチン)の有効性は、他の抗悪性腫瘍薬との併用下において医学薬学上公知と判断可能と考えるとされています。

 このうち、最初の点については、欧米の各種ガイドラインにも記載があり、オーストラリアではこの効能で承認されていることから、これを「公知」と判断することに異論はありません、と同意をいただいております。

 2点目については、そもそも欧米ではS-1はほとんど用いられておらず、報告書でも「したがって、本邦における治癒切除不能進行・再発例に対する一次化学療法は、SPIRITS試験に基づいてSPレジメンが広く用いられており、海外のREAL-2試験で用いられたエピルビシンはほとんど用いられていない」と述べられているように、S-1を併用したレジメンも含めて「公知」であるとは判断できないのではないでしょうか。

 さらに、REAL-2試験でのオキサリプラチンの用量は130mg/ 平方メートル であるのに対し、SOXレジメンでの用量は、安全性の観点からオキサリプラチンを減量した100mg/ 平方メートル が使用されており、この点からも報告書40ページの用法・用量のB法の「オキサリプラチンとして130mg/ 平方メートル 」が「公知」であるとの判断が妥当であるとは考えられませんでした、という御意見をいただいております。

 事務局から説明させていただきます。佐藤委員の御指摘の点は、正に未承認薬・適応外薬検討会において議論となった点です。本剤については、本年4月22日に行われた第19回検討会議と、本年7月11日に行われた第20回検討会議の2回にわたり、構成員の方々に議論をしていただきました。もともとの経緯から説明しますと、REAL-2試験という海外の試験から公知としようとしたのですが、実際に国内で胃癌臨床試験SOX P III相試験が始まっていたことから、この結果も見て、その後に評価をしましょうという流れになった次第です。

 本年4月22日に行われた第19回の検討会議においては、海外REAL-2試験でオキサリプラチンとシスプラチンの非劣性が示されており、シスプラチンからオキサリプラチンへ置き換えが可能であること、オーストラリアで胃癌の効能・効果で承認されていること、結腸・直腸癌に対して130mg/ 平方メートル の用量で十分使用実績があり、再審査期間が終了していること、国内で行われた胃癌第III相SOX試験、これは用量が100mg/ 平方メートル において幾つか問題点はあるものの、SOXレジメンとSPレジメンは臨床的にはほぼ同等と考えられるというような議論が行われ、今回のようなケースは自動的に公知というわけではなく、その中身を見てケースバイケースで判断していくことになりました。

 このような流れで「公知」と判断した場合に、佐藤委員が2点目で御指摘しているような点が問題になってまいります。SOXレジメンのみならず、45ページの学会ステートメントでもありますようにCapeOX、つまりゼロックスレジメンのことですが、などにも用いられることから、検討会議においては先ほどの流れで公知と考えるのですが、十分な安全対策を講じることを確認した上で公知としようという流れになり、1ページの下にあるように、安全対策の方針、つまり製造販売業者からは資料等により、要望者である日本胃癌学会からは、日本癌治療学会、日本消化器外科学会、日本臨床腫瘍学会の協力を得て、45ページのようなステートメントを発出することで、これまでオキサリプラチン130mg/ 平方メートル で使用されている他癌種ですが、併用療法及び有害事象の種類と頻度やそれに伴う減量基準などの情報提供を行い、周知徹底するという方針を検討会議で御確認いただき、その上で「公知」という判断を検討会議の総意として判断していただいたという経過です。説明は以上です。どうぞよろしくお願いいたします。

○吉田部会長 ただ今の事務局の説明に、島田先生、何か追加あるいはコメントをいただけますか。

○島田参考人 それでは臨床上の必要性について追加をさせていただきます。先ほど御紹介ありましたように、海外での比較試験があること、それから海外のオーソリティーが承認をしていること、教科書等に記載があるという条件が、この公知申請の一つの条件であったかと思います。我々日本の現場の臨床として非常に重要なものは、今、患者さんが非常に高齢化をしております。そして胃癌特有に腹水がある患者さん等が結構いらっしゃって、シスプラチンの投与ができない患者さんというのがかなりの割合でいらっしゃる。そういう方は、現状では5-FU系の単剤投与とかタキソールという、それも基本的に単剤になる状況がありまして、そのようなポピュレーションに対して是非ともオキサリプラチンをシスプラチンの代替薬として使用したいという希望があります。それが一番臨床上の希望として大きいところだと思います。

○吉田部会長 以上の説明がありましたが、佐藤先生、いかがですか。

○佐藤委員 私のコメントに書きましたように、5-FU/カペシタビン又は5-FUエピルビシンとの併用に関して公知であると認めることは、全くそのとおりだと思います。ただ、SOXに関しては、これも含めて公知とするのはちょっと公知の枠を超えているのではないかと思うのですが、その点についてはいかがですか。

○吉田部会長 ではどうぞ、島田先生。

○島田参考人 そこに関しても先生おっしゃるとおりだと思います。ただ、この適応外の考え方として、根拠になりましたREAL-2も、エピルビシンを含めた3剤の治療法が同等であるということ、その中に含まれている比較において、シスプラチンとオキサリプラチンが同等であろう、臨床的に同等であるという解釈をもって、代替可能と考えられております。結果的には、そのレジメンごとに公知という見方をしていきますと、なかなかその細かい投与量が不整合になる場合があります。したがいまして、このオキサリプラチンの案件に関しては、ある程度の想定されるレジメン、それから最大投与量を意識した上で、この薬剤が胃癌に有効であるかどうかというところで、公知であるかどうかという考えでいかないと、なかなか難しいと思います。

 当然、先生がおっしゃるように、S-1とオキサリプラチンの十分なデータはありませんし、比較試験で生存における有効性は、ある意味では否定をされておりますので、強く使うことを言えないのは事実だと思います。やはり日本の臨床を考えますと、多くの場合S-1がベースになっておりますので、使える環境を作っていただいた後に、現場の医師がいろいろ工夫をしてやっていくということ。それに対して、申請者でなくて、要望をした学会であります日本胃癌学会を中心にして、きちっとした対応をコントロールすると言ったら言い過ぎかもしれないのですが、提案をして、できるだけきちっと使っていただくとしていくところが、現実的な対応の限界かと考えております。

○吉田部会長 いかがですか。

○佐藤委員 事務局に伺いたいのですが、このSOXのフェーズIII試験の公表状況を教えてください。

○事務局 論文で既に公表されております。

○佐藤委員 どういうところにですか。

○事務局 もう既にパブリッシュされております。

○佐藤委員 どちらですか。少なくともこの資料では、胃癌学会での発表としか書かれていませんでしたけど。

○島田参考人 私が伺っているのは、先ほど先生おっしゃったように、今年の3月の胃癌学会で公表されております。それはPFS(無増悪生存期間)だけではなくて、OS(全生存期間)を含めた最終解析で、以前報告されましたRFS(無再発生存期間)での非劣性が確認されたということに加えて、OSを追加で解析したら、統計学的に非劣性は言えなかったというデータです。ただ、論文ベースには今いろいろアプライをしているようですが、最終的なアクセプトにはなっていないと、数箇月前には聞いております。その後の状況はちょっと分かっておりません。

○佐藤委員 事務局、いかがですか。

○事務局 学会報告があるということで、確かにこちらの方でもパブリッシュの方向に向かっていて、アプライしているというところを掴んでおります。

○佐藤委員 分かりました。それで、日本国内の学会で発表したレジメンが公知であるというのは、さすがにちょっと言い過ぎじゃないのですか。

○島田参考人 公知をどう考えるかということが非常に難しいところだと思いますけれども、試験の規模から言いましても、REAL-2500例、500例で、ツーバイツーで500例、500例であります。今回は700例規模の試験をやって、本来はこの時点で生存曲線を直接見ていただくと非常に説得力あると思うのですが、結果的に統計的に駄目だったということです。学会で見せていただいたときには見事に重なっているということで、専門学会であり、この要望学会である胃癌学会の中では臨床的にはほぼ同じだと考えております。そして、この試験の規模、それから精度においては十分、本来は海外に対して発信できる部分であると思いますが、日本の論文というのは海外からはなかなか評価されるのが難しい状況がまだございます。そういうこともあって、なかなかアクセプトされていない部分があるかとは思っております。

○佐藤委員 島田先生がおっしゃることは非常によく分かるのですが、やはりその公知というものはきちんとピアレビューされた雑誌に出たもので、それが広くあまねく知れ渡っているというのが公知の条件だと思うのです。ただ、先ほど島田先生がおっしゃったように、この薬の行く所に、高齢者の方でシスプラチンが使えない方に使いたいという要望があるというのは、非常によく分かります。私の考えとしましては、もちろん島田先生はじめ、それから検討会議ワーキンググループでSOXレジメンはSPレジメンとほぼ同等であるという御意見もありますし、私も第19回の検討会議の議事録を読ませていただいたのですが、国立がん研究センターの藤原先生もそのことをサポートするような発言をされていましたので、これについては企業のヤクルトに、このSOX試験に基づいて、SOXレジメンを承認申請させて、そしてその点について機構及びこの第二部会で審議するというのが一番適切ではないかと思うのですけれども、その点いかがでしょうか。

○審査管理課長 今日のこの御報告は、一応検討会議での御報告をいただいた事前評価についてこの部会で御案内するという目的です。当然そこでそれに対する御評価というのがまた出るということでありますので、公知というのにかなり無理があるという御指摘は、こういう検討会議で検討する案件がずっとたくさんやってきている中で次第に難しいものが出てきているという現状を如実に表しているということでもあります。ですので、この部会でいただいた御意見を、オキサリプラチンを製造販売しているヤクルトに伝えて、申請をする際のやり方についてはしっかり指導させていただいて、審査をきちんとやった上でこの部会で最終的に評価いただくことはもともと予定されていることでありますので、そのような格好で処理をさせていただきたいと考えております。

○佐藤委員 確認をさせていただきたいのですが、今のは事前評価を認めて、機構で最終的な資料を作ってという話ですか。

○審査管理課長 基本的には、この事前評価のレポートをこの部会にお出しをして、その後でオキサリプラチン自体について申請をさせないといけないので、その申請に対する審査をして、この部会でまたチェックをいただくということです。

○佐藤委員 そういうことですね。それだと、今日から保険で使えることになってしまいますね。

○審査管理課長 はい。

○佐藤委員 SOXに関しては、それを私は非常に危惧しているのですけれども。やはりSOXに関しては申請企業に、SOXのところだけ申請させて、それは100mgで承認すべきだと思います。

○吉田部会長 委員の先生方に分かりにくかったかもしれませんが、公知の部分というのはFU系薬剤とオキサリプラチンの併用部分に関してということなのです。ところが、FU系薬剤にはいろいろ種類があって、カベシタビンが基本的にはヨーロッパ、アメリカで使われているのに対して、日本ではS-1がメインになっている。しかし厳密に言えば、FU系薬剤の1個1個については別な薬なのではないか。だから、カペシタビンのデータが公知だからといって、それを拡大解釈するのは問題ではないかという議論なのです。

 これに対して、すでにヤクルトの臨床試験で、ほぼ同様のパワーを示しているデータもあるので、そこと考え合わせると、カペシタビンだから、S-1だからということで、それほど大きな違いはないのではないか。だから、公知申請したいというのが胃癌学会の考え方なのですね。これを承認した場合に何かとんでもないことが起こるかというと、そんな事態は特に想定されないと私も思いますが、佐藤先生はそもそも筋が違う話なので、受けられないのではないかということを仰っています。問題は門前払いをするかどうかですが、ここで承認した場合、今後どういう流れになって、臨床現場でどういうふうな使い方をされるのでしょうか。例えば明日から使えるかもしれないという佐藤先生のお話もありましたが。

○審査管理課長 基本的にはヤクルトの方からの申請がされて、それをPMDAの新薬5部で内容精査して、その上でこの部会にも上げてくる格好になると思うのですが、今既に言われていることは一応安全対策上の特段の注意というのが既に盛り込まれるようになっております。それに対する学会としての対応としても、一応概略は上がっているのですが、よりそれを具体化したものとして精査をして、それについて、いわゆるリスク管理計画というのを、当然これも必要とするものですので、そこの中に具体的なリスク管理の手立てというのを明確に書いて、それを公表し、それに従ってフォローされる形になって、この場に上がってくると見込まれます。その場において、また御議論いただければと考えております。ただ、その間保険で使えるという部分についての御懸念が示されているということも十分理解いたしますので、これについてヤクルト側に対してもこういう部会での御議論御指摘があることをしっかり伝えて、慎重に対応するようにと言うことはできるかと思います。

○吉田部会長 結局、今日の議題にも幾つかありますが、要するに未承認薬検討会議から審査申請が行われ、この部会で承認した場合、その後は機構の審査が開始され、いろいろな試験成績やその他のデータを全部集めて評価し、問題がなければ本申請となって再度この部会で検討することになるということですね。佐藤先生、それを見た上で、最終的な判断をするということでいかがですか。

○佐藤委員 先ほど申しましたように、私、基本的にはこのSOX療法に関しては公知の範囲内で申請を許可するというのは反対で、やはり通常の薬事申請のトラックに則ってやるべきだと思います。先ほどから参考人の島田先生もおっしゃられていますし、今森課長も、慎重に対応させるように企業に指示するとおっしゃっていますので、その点を含めてこのSOX療法に関してはくれぐれも慎重にしていただくことを条件に、承認することは差し支えないと思います。

○吉田部会長 公知とされているそれだけの部分ではなくて、補強するような何か成績なり何なり、あるいは国内での試験の成績とかが示されれば、それなりに理解できるところも出てくると思うのですけどね。通常の公知申請だと、例えば日本のデータがなくてもいいことになってしまうのだけど、この場合、既にデータが用意されているので、そういうことには多分ならないと思います。ですから、取りあえず今回は承認して、機構の方と審査資料を整理して頂いた上で、データの詳細を皆さんに見て頂く。その上でやはり公知でこれはきついのではないかとか、あるいはこれだったら公知との合わせ技で何とかなるかもしれないとか、そういう判断でいったらどうかと思うのですが、いかがですか。よろしいですか。ほかに御意見ございますか。それでは、意見もないようですので、本議題については御確認いただいたものといたします。先ほど申しましたように、再度申請が上がってきますので、そのときの議論にしたいと思います。

 それでは審議事項の議題の1に移りたいと思います。島田先生、ありがとうございました。なお、庵原先生におかれましては利益相反に関する申し出に基づき、議題1の審議の間、別室で御待機いただくことにいたします。

                                 ( 庵原委員退室)

○吉田部会長 それでは議題1及び議題10について、医薬品機構からの概要説明をお願いします。

○機構 議題1、資料番号1、ヴァクセムヒブ水性懸濁注の製造販売承認の可否等について、機構から御説明いたします。

 本剤は、ヘモフィルス・インフルエンザ菌b型、通称「ヒブ」による感染症の予防を目的とするワクチンです。本剤の有効成分は、ヒブの莢膜多糖体にキャリアタンパク質として無毒性変異ジフテリア毒素を結合したものであり、アジュバントとしてリン酸アルミニウムが添加されています。本剤は、1995年にイタリアで承認されて以来、2014年6月時点において11か国で承認を取得しており、今般、国内臨床試験成績等に基づき承認申請がなされました。本剤の専門協議に御参加いただいた委員は、資料番号17にお示しした7名の委員です。

 審査の概略について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。

有効性について、審査報告書17ページの表4-4を御覧ください。ヒブの莢膜多糖体を構成するポリリボシルリビトールリン酸、略して「PRP」に対する抗体価が、ヒブ感染症の発症予防に必要とされる1.0μg/mL以上となることが、ヒブワクチンの標準的な免疫原性の評価指標として広く用いられています。本剤の国内第III相臨床試験においても、抗PRP抗体価1.0μg/mL以上の被験者の割合である抗体保有率が評価されました。その結果、本剤を接種する前には6.1%であった抗体保有率が、本剤を3回接種した後には99.3%まで上昇し、既承認の類薬であるアクトヒブに対して非劣性であることが検証されました。以上から、本剤の有効性は期待できるものと判断しています。

 安全性について、審査報告書18ページの表4-721ページの表4-8を御覧ください。本剤接種後の注射部位の局所反応の発現割合は、アクトヒブ接種後に比べて高かったものの、本剤接種後の局所反応の重症度はいずれも軽度のものが多く、全例で回復が認められています。全身性の反応を含む副反応の発現割合は、本剤接種後とアクトヒブ接種後で大きな違いはありませんでした。なお、両群ともに重篤な副反応の発現はありませんでした。以上から、本剤の安全性は忍容可能であると判断しています。

 製造販売後の検討事項について、審査報告書30ページからの「4.医薬品リスク管理計画()」の項を御覧ください。31ページの表4に使用成績調査の骨子()をお示ししています。本使用成績調査では、使用実態下における安全性プロファイルの確認を目的として、2,000例の乳幼児を対象に、有害事象の発現状況や同時接種ワクチンの情報を収集する予定です。

 以上の審査の結果、インフルエンザ菌b型による感染症の予防を効能・効果として、本剤を承認して差し支えないと判断しました。本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、生物由来製品に該当すると判断いたしました。なお、薬事分科会には報告を予定しています。

また、本剤の承認に伴い、議題10の生物学的製剤基準の一部改正において、資料番号10にお示ししている内容が新たな条として追加される予定です。併せて御審議くださいますようお願いいたします。

 本品目について、委員より事前に頂いた質問について御説明いたします。川 委員から事前に承認申請書の記載について御指摘を頂いていますので、こちらは適切に記載を整備する等、対応させていただきます。

 当日配布資料19の1ページを御覧ください。佐藤委員から御意見を頂いた点について御説明いたします。本剤の局所反応の発現割合がアクトヒブに比べて25%程度高いことは、佐藤委員御指摘のとおりです。局所反応についての審査の経緯について説明いたしますと、アジュバントとして添加されているリン酸アルミニウムによって、本剤の局所反応の発現割合がアクトヒブに比べて高くなったものと推測されます。リン酸アルミニウムは、既承認ワクチンにおいても使用実績のある添加物であり、局所反応として観察された注射部位の紅斑、腫張、硬結及び疼痛というものは、ワクチン接種後にはよく見られる典型的な副反応です。

 本剤接種後の局所反応について審査報告書21ページにお示ししたとおり、詳細に検討したところ、一般的なワクチンと同様に本剤による局所反応が重篤化したものはなく、全例で回復しました。このことから、本剤の局所反応は臨床的に注視する必要性は低いと判断しました。この点も含めて専門協議で議論し、本剤の安全性は忍容可能な範囲のものであり、アクトヒブと同様にヒブワクチンの選択肢の一つとして臨床的に意義はあり、承認することは問題ないと結論いたしました。

○事務局 佐藤委員より頂いている御質問に対して、ワクチン供給の面から追加の御説明をさせていただきたいと思います。予防接種法の規定に基づき予防接種に関する基本的な計画を定めています。この基本的な計画の中にワクチンの生産体制及び流通体制という項があり、その中に「安定供給及び価格の観点から、同種のワクチンが複数のワクチン製造業者より供給されることが望ましい」との記載があります。本剤につきましては、これまでの機構の説明にありますように有効性が期待でき、安全性についても忍容可能と考えられる製剤ですので、本剤を承認することは差し支えないのではないかと考えています。

 最後に、当日配布資料20について御説明させていただきます。事前に本剤の部会資料をお送りしているところですが、こちらをお送りした後に申請者より、お配りしている資料の承認申請書に誤記があったとの申し出がありました。この申し出内容について確認したところ、誤記であることが明らかであったことから、修正が必要な箇所を資料20としてお配りしたところです。申請者に対しては、このような事態を二度と起こさないように、再発防止策を講じるよう指導しているところです。事務局からの説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○吉田部会長 佐藤先生、いかがですか。

○佐藤委員 あとの供給のところは置いておくとしても、既にほかのワクチンで使われているアジュバントで、ほかのワクチンでは副反応が見られるということですけれども、既に承認されているワクチンで副反応が非常に少ないものがあるのに、それをわざわざ承認する理由にはなっていないですね。

○機構 そこに関しては、社会的に予防接種を行う上で接種の機会を作っていくという方針の下、許容はできるのではないかと考えております。まず、局所反応につきましては、繰り返しの説明になってしまいますが、ワクチンの局所反応はどうしても起きてしまうものであり、数値の高さはあるものの、忍容性という視点で検討しております。局所反応というのは決して危険な副反応ではなく、腫れとか痛みなど炎症反応に伴う症状です。局所に起きる反応という表現のとおり、全身の機能に影響を及ぼすことはありませんし、一般的には1週間程度で回復していく症状ですから、この点については大きな問題にはならないのではないかということで、専門委員にも御議論いただき、忍容可能な範囲のものであるという結論に至っています。

○佐藤委員 いいのですが、要するに順番が逆だったということですね。本来、このワクチンが先に承認されているべきものであって、アクトヒブが後からできたものだということですね。そういう説明なら分かるのですが、今の説明ではよく分かりませんでした。

 最近、ワクチンの反応については世間から非常に注目を集めているところですので、この点について、今、添付文書案のところでは、このワクチンの局所反応の頻度しか書いていないのですが、CCT-001試験の本剤群とアクトヒブの局所反応の結果は記載した上で、それでも、なおかつ機構としては、局所反応がこれだけあるけれども実際の使用には問題なく、忍容可能だということを付け加えていただければいいのではないかと思います。

○機構 添付文書では通常、類薬との安全性の比較結果までは掲載しておりません。情報提供の形はいろいろありますので、比較結果を適切に情報提供可能な方法を検討させていただければと思います。ありがとうございます。

○佐藤委員 お願いします。

○吉田部会長 私も佐藤先生と同じような印象を持っていて、例えば局所反応が少なくてメリットがあるからとか、要するに新しく開発されたのだったら、前より何かいいことがあっていいのではないかと思うのです。そういう意味では、確かに積極的に推したいという感じがしないわけですが、先ほど説明がありましたように、予防接種法にもあるように、できるだけたくさんのワクチンを安定的に供給したいという国の方針であるならば、これは仕方がないと思います。そういえば、ワクチンというのは現場での臨床比較試験みたいなものがないですね。例えば競合品が二つあると、新しいワクチンが出たときに前のワクチンと打ち分けて非劣性を見るとか、そういうことはしないものなのですか。

○機構 今回のように国内でワクチンがすでにあり、時期がずれて同一目的の薬剤が申請されたことがない状況でしたので、国内のワクチンで既承認類薬との非劣性試験を主要な試験として実施しての申請は、本剤が初めてになります。今後は、こういう形の申請承認も増えてくると思います。

○吉田部会長 そういう形で示してもらえれば、もっと分かりやすくていいのではないかと思います。法律のことはしょうがないとして、要するに委員の先生方が混乱しないように、あるいは分かりやすくなるように、例えば申請書類あるいは臨床の方のデータについても工夫をしていただければと思います。

○審査管理課長 ただ今の御議論で、これは審査管理課の方で対応させていただきたいと思っていますが、局所反応が既承認のものより頻度が高いということがあって、それが局所にとどまらないで全身的に出るような事態になることの潜在的な可能性、リスクをどう考えるかを、佐藤委員が御指摘になっているということだとすれば、それはリスク管理計画の中に潜在的な可能性やリスクということで明記し、それについてもきちんと情報収集するという方策も、ひとつ考えられるのではないかと思います。そのようなことも要するに監視を怠らずに対応し、なおかつ添付文書あるいはそれに付随する情報提供資材に、こういう比較試験の成績をきちんと付け、現場は承知の上で接種をやってくださいというふうにしていくことで、このものの存在の本当の価値を慎重に見出していくようにしてはどうかと思います。

○吉田部会長 そうですね。蟻の一穴ということもありますので慎重にお願いしたいと思います。ほかに御意見はございますか。

○関水委員 今の御説明で、非接種の群では6.1%の1μg/mL以上の抗体価とおっしゃいましたが、このデータはどこにあるのですか。

○機構 審査報告書には記載していませんが、CTD1.8の添付文書()を御覧いただくのが一番早いと思います。

○関水委員 私がちょっと疑うのは、このワクチンを接種したことによって、抗体価がないものが上がったということを評価できるエビデンスは、どこにあるのですか。

○機構 CTD 1.8に添付文書()がありまして、5ページの右下辺りに臨床成績という項があります。

○関水委員 ただし、これは申請者によるあれですね。きちんと最初の表の所にそういうことは書いた方がいいと思います。

○機構 接種前のベースラインの状態というのを、審査報告書に書くべきとの御意見でしょうか。

○関水委員 そうです。この本剤が原因となって1.0μg/mLとか、期待される必要な状況が生まれたということが、この審査報告書であると我々は納得できるわけです。

○機構 参考にさせていただきます。ありがとうございます。

○濱口委員 報告書の29ページを見ていただきたいのですが、審査報告()の表1です。海外製造販売後に報告された死亡例ということでa~jまで挙げてあります。これが1995年にイタリアで承認された後からの累積で、これだけの数と考えていいのですか。そのときに、かなり国が偏っていると思うのです。11か国とおっしゃっていましたが、そこから上がってきているわけではなく、一部の国から幾つか上がってきているということです。アメリカ及びヨーロッパの医薬品庁からは、承認を受けていないということも書いてあったと思いますが、そこら辺も含めて、このデータがどのくらい全てを網羅しているのか。それとも一部だけしか網羅していないのか教えていただければと思います。

○機構 説明させていただきます。29ページの表1の情報は1995年の承認開始からのデータで、どこかで区切っているということではありません。1995年から1,500万ドーズほど出荷していて、その中で集まってきた報告ということです。報告例と言いましても報告があった例ですので、因果関係が否定されているものも含め、報告を全て集めてきたのがこの一覧表という形になっています。また、副反応報告には、接種したワクチンの販売名が分からなくなってしまっている報告も紛れ込んできています。というのは、ヒブワクチンは本剤だけでなく世界には複数社のヒブワクチンが存在しています。どの社のヒブワクチンか不明な報告を集めないというわけではなく、ヒブワクチンであるという情報が得られた報告も含め広く収集し検討を行った表となっています。したがって、本剤が承認を受けていない国からも報告は上がってきているということで、承認国以外の地域も含めて情報収集されています。

 最後に、国に偏りがあるのではないかという点ですが、実際に韓国と中国は最近になって出荷数が増加していますので、その出荷数の増加に伴って報告数も多めになっているという状況です。

○濱口委員 日本からの副反応報告というのは、最近、きっちりとなされていると思います。そうしたときにアクトヒブだけでなく、同時接種したときに起こってくる重篤な副反応も、数的に言うと、ここに挙げられているより多い印象です。それはこの表には入れていないとなるわけですかね。アクトヒブは一応承認されて販売されているけれども、国内において上がってきている副反応報告のデータは、ここには入っていないということですか。

○機構 国内におけるアクトヒブの情報は、この表には入っていません。

○濱口委員 数からすると、ちょっと少ないのかという気がします。このデータが販売者の方に提出してもらった書類だということが、この中に書いてあったと思いますが、もう1回、データとしてよく調べていただいてもいいのかという印象です。

 その上でお聞きしたいのは、先ほど局所反応の話がありました。若干、ヴァクセムヒブの方が強いのではないかということがありましたが、例えばそういった同時接種をしたときに、この新しいワクチンが、アクトヒブと同程度の重篤反応を起こす可能性は低いと把握していいのか知りたいのです。これでは販売名が書いていないので、どのぐらいの比率で重篤なことが起こっているのか起こっていないのか、よく分からない。もしお分かりであれば教えていただきたいと思います。

○機構 重篤な事象になってしまいますと、アクトヒブも本剤も非常に頻度が低い情報になってきます。また、製造販売後の情報は、業者の集め方であったり、各国によっていろいろ違ってきますので、正確に本剤とアクトヒブが平等に流通していて、報告が精度よく上がってきているという状況には今はありません。ですので、一概に重篤な有害事象が上がってきている頻度がアクトヒブと比べてどうかという情報は、現在、入手できていません。国内で販売を開始した後、仮に予防接種に採用された場合は、予防接種の報告制度は両方に対して均等にかかりますので、そのあたりで販売数が重ねられてくると少しはそのようなデータが得られてくる可能性はあるのではないかと思います。

○濱口委員 海外では1990年代からかなり使われているわけです。ですから、国内のデータをこれから取りますということでなく、もし予見できるのであれば、安全だということをそのデータをもって言っていただければと思っています。

○吉田部会長 これは、武田薬品がどれぐらい関与しているのですか。

○機構 武田薬品は国内の製造販売のみです。

○吉田部会長 であれば、先生方のおっしゃるように海外の死亡例のデータ集積が不十分である可能性もあります。武田薬品の方でもう少しきちんと調べてくださいと言ったら出てくる可能性はありますか。

○機構 はい。国内販売が開始されれば、海外の情報も含めて収集はすると思いますので伝えたいと思います。

○機構 補足させていただきます。武田薬品に関しては、こちらの方からも、この死亡例を含めてどういう情報が取れているのかということは審査の中で要求してまいりました。その結果がこの審査報告になりますので、当然、もう一度確認はさせていただきますが、現状としては武田が持っている最大のデータであると認識しています。

○吉田部会長 これが全てであるかどうかは分からないのですね。武田が押さえているデータとしては10例だということでしょ。

○機構 もちろん、ノバルティスの情報を武田が要求して得られたものを我々に提示しているということですので、ノバルティスが持っているデータと理解しています。

○吉田部会長 よろしいですか。ほかにございますか。御意見がないようですので議決に入りたいと思います。なお、田島委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので承認を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。別室で御待機されている庵原委員をお呼びください。

                                 ( 庵原委員入室)

○吉田部会長 議題2につきまして、事務局からの説明をお願いします。

○機構 議題2、資料番号2、医薬品ブイフェンド錠50mg他の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明いたします。

 本剤の有効成分であるボリコナゾールは、トリアゾール系抗真菌薬であり、真菌の細胞膜合成を阻害することで抗真菌活性を示します。本邦では、錠剤及び注射剤が重症又は難治性真菌感染症を効能・効果として、成人の用法・用量で承認されています。平成22年4月27日に開催された、第3回「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において、本剤の小児適応に関して検討が行われ、これを踏まえ、易感染状態の日本人小児患者に対する国内試験が実施されました。今般、当該成績等に基づいて、小児に対する用法・用量の追加に係る製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。

 なお、海外では、本剤は本年6月時点で、深在性真菌症の治療薬として103の国及び地域で販売されており、このうち小児適応は欧州等79以上の国及び地域で承認されています。本申請の専門委員としては、資料番号17に記載の4名の委員を指名しました。

 審査内容について、臨床成績を中心に説明させていただきます。審査報告書29ページの下の図4を御覧ください。この図は、日本人小児患者を対象とした国内試験の薬物動態の結果を示しており、左が静脈内投与、右が経口投与の図となっています。欧州で承認されている小児用法・用量が投与され、黒塗りの三角印で示した日本人小児のAUCは、箱ひげ図で示した外国人小児のAUCの推定値の範囲内にあることから、国内外の小児においてボリコナゾールの薬物動態に大きな差異はないと判断いたしました。

30ページの図5を御覧ください。この図は、日本人成人患者を対象としたPPK解析により、成人の用法・用量で13日間投与した際の定常状態のAUCを推定し、そのAUCと、日本人小児患者を対象にした国内試験で得られたAUCとを比較した図になります。左が静脈内投与、右が経口投与の図です。この結果、日本人小児は日本人成人とほぼ同様のAUCが得られることが示されました。

 以上のような薬物動態の解析結果などから、欧州の小児における承認用法・用量を日本人小児患者に投与することで、重症又は難治性真菌感染症患者に対し、ボリコナゾールの有効性は期待できると判断いたしました。

 次に安全性についてですが、審査報告書34ページ、表22を御覧ください。この表は、日本人小児患者を対象とした国内試験における有害事象及び副作用の発現状況を示しています。この表にあるとおり、小児で認められた有害事象は成人で既知のものであり、小児において発現割合が高くなる傾向は認められず、日本人小児患者での安全性プロファイルは日本人成人患者と同様であり、小児に特有な有害事象による安全性上の懸念はないと判断いたしました。

 以上の審査を踏まえ、機構は、小児の重症又は難治性真菌感染症に対する本剤の用法・用量を承認して差し支えないとの結論に達し、本医薬品第二部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は、新用量医薬品としての申請であることから、再審査期間は4年間と設定することが適切と判断しています。なお、薬事分科会には報告を予定しています。以上、よろしく御審議のほどお願いいたします。

○吉田部会長 ありがとうございました。委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。

○前 委員 ボリコナゾールの血中濃度は、小児ではかなりばらつきが出るということを臨床試験の中で聞いているのですが、特に静注用製剤に関しては上限の設定がしてありません。ドライシロップと経口剤は設定してありますが、安全性の点から静注用製剤については上限を設定しなくてもよろしいのでしょうか。

○機構 同様の御指摘を、専門協議で専門委員からも頂きました。申請者と協議したところ、静注投与される患者は重篤な状態であり、投与に制限をかけてしまうような上限用量を設定することは必ずしも適切ではないだろうという考えがあった一方で、上限用量を設定せずに増量することは、望ましくないだろうという議論がありましたので、増量後、3日間は患者の様子を見ることで投与量の適切性を判断することとし、上限なく増量されていくことがないように添付文書上で注意喚起しているところです。

○前 委員 ボリコナゾールの血中濃度は、現在は保険診療で測定ができるので、可能であれば測定すべきと考えます。臨床効果が無効の時は増量するとされていますが、血中濃度が十分で無効の場合と血中濃度が不十分で無効の場合は違うと考えます。その点からも血中濃度を測定して不十分であれば増量して臨床効果が期待できますが、十分な血中濃度の時に増量すると副作用が出現しやすくなるため、血中濃度を測定してから増量することが望ましいと考えます。以前は血中濃度測定が一般的でなかったし、保険適用もありませんでしたが、現在は月に1回であれば血中濃度を測定できますから、増量する際には、血中濃度を測定して行う方が宜しいかと思うのですが、いかがでしょうか。

○機構 TDMに関しては、添付文書でもTDMでボリコナゾールの濃度を測定することが望ましい旨は記載しています。また、申請者は、目標とする血中濃度及び安全性の観点から超えてはいけないだろうと思われる血中濃度に関しては、資材の中で情報提供すると述べていますので、そういう形で適正使用を進めることは可能と考えています。

○前 委員 血中濃度測定に関する文章が以前の添付文書よりちょっと後ろの方に書いてあり、以前の添付文書では使用上の注意に括弧書きされていました。もう少し血中濃度測定を行ってから増量することが望ましいと考えるともう少し見やすいところに記載していただいた方が良いと思います。

○機構 現在、用法・用量に関連する使用上の注意の4番に入っているのですが、もう少し位置を見やすいところにということで検討させていただきたいと思います。

○前 委員 もう1点、皮膚癌のことですが、ボリコナゾールを成人に使うときには年余にわたって使うということは多分ないと思います。慢性アスペルギルス症でも数か月の単位だと思いますが、小児で特に先天性の疾患であれば年余に使うことがあるかもしれません。そうすると、かなり長期間の投与になり皮膚癌の危険性が高くなると考えます。添付文書では長期投与のときの皮膚癌に注意すると書いてありますが、長期投与というのは数年間ぐらいのニュアンスではないかと思います。海外の報告では50か月の例もありますが、その点からも皮膚癌については、特に小児に投与されることになれば、より慎重に見た方が良いと考えます。日本でも皮膚癌が起こり得る可能性を注意喚起すべきと考えます。

○機構 御指摘ありがとうございます。情報提供の仕方については、申請者と協議した上で決定させていただきたいと思います。あと、皮膚癌が起こるか起こらないかというところを、調査した方がいいという御指摘についてですが、今回、本剤の真菌感染症の治療に対する申請となっています。今後、より長期間の投与が想定される真菌感染症の予防に対する効能が追加された際に、そちらの製造販売後調査の中で調査していくことが可能かどうかも含めて、検討させていただきたいと思っています。

○前 委員 よろしくお願いします。

○関水委員 本剤の有効性について、別に治療効果が示されているわけではないですね。治療効果というのは体内動態とMICから治療効果が推定されると、これで審査報告書として十分であるとする根拠というのは何かあるのですか。別に臨床上の治療有効性は全く示されていませんね。

○吉田部会長 未承認薬・適応外薬検討会議で申請されたということは、いわゆる教科書的なデータとして、先ほどの公知の話になりますが、公知として既に小児のデータがあるという前提になりますから、ここで改めて我が国で有効性のデータを取らなくても、世界中で証明されているという解釈になるのだろうと思いますが。

○関水委員 私が違和感を覚えるのは、この審査報告書にそういうことを書くべきなのではないですか。全く書いていないのですが、そういう類似の作用メカニズムで抗真菌薬としてあるものがあって、AUCですか、そういうものから、あるいはMICから治療効果が十分認められることは明らかであると書いてあればいいのですが、それを書いていないものですから。

○吉田部会長 その手の類のデータが載っていないですね。

○関水委員 データはないのだと思います。

○吉田部会長 通常であれば、ガイドラインではこういうふうになっているとか、例えば教科書にこういうデータがありますというのが出ているのですが、確かに有効性に関するデータの表示がありませんね。どこかに書いてありますか。

○機構 教科書等で推奨されているような旨は、審査報告書に記載していません。機構の評価としては、審査報告書の36ページに書きましたように「機構は、以下のように考える」というところで、先ほど先生がおっしゃったことと同じにはなると思いますが、成人と小児の真菌感染症の病態、原因菌の種類、感受性及び薬物動態のプロファイルが大きく異ならないというところで、海外で承認されている用法・用量で日本人の小児も効果が期待できると判断しています。

○吉田部会長 関水先生がおっしゃっているのは、報告書としてちょっと不完全ではないかということなのです。例えばそういうデータを引用してここへ載せるとか、ガイドラインの一節を載せるとかすれば分かりやすいのではないかと。今直せというわけではないでしょうけれども、そういう形で丁寧に作ってあげたらいいのではないかと思います。

○関水委員 そのとおりで、一般に感染症治療薬についてこのような報告書が承認されて公表されると、MICとAUCで有効性が示されたことになると錯覚する人が出てくると思います。実際にそういうことで承認されている薬が一般にあるじゃないかという議論が非常に流布するので、是非、御注意をお願いしたい。

○吉田部会長 ほかに、ございますか。

○菊池委員 これはpoor metabolizerとか、結構、頻度は居るのではないですか。これはいかがなのでしょうか。

○機構 審査報告書の35ページの表23に、国内試験で小児と成人におけるCYP2C19遺伝子型の割合をそれぞれ示しています。poor metabolizerは小児では10%弱、成人では2割程度ということになります。

○菊池委員 ですから、これが普通の薬からしたらpoor metabolizerとか多い気がしますけど、そうでもないですか。

○機構 日本人は比較的多いと理解しています。

○菊池委員 ですから、この注意喚起は要りませんか。特別高くなってしまう人、この外れ値として扱っている人がいますけど、実臨床の場で副作用が強く出たりする人が多分いると思うので、成人で通ってしまっていますからあれですが、2割いるということはかなり高い比率だと思います。そこら辺の注意喚起は要らないでしょうか。

○機構 審査の中で、poor metabolizerと、そうでない人の薬物動態の比較を行っており、poor metabolizerの人も薬物動態は高くなるのですが、その場合でも特に有害事象の発現頻度が高くなるとか、重篤な有害事象が発現するといったことは認められていませんので、大きな懸念があるとは現時点で判断していません。血中濃度が高くなるという事実に関しては、添付文書の薬物動態の項にも示しているところです。

○吉田部会長 要するにpoor metabolizerだったから、血中濃度が上がったからといって、有害事象がドンと出ているわけではないということを言いたいのですね。

○機構 はい、そうです。

○吉田部会長 分かりました。ですから、そこを調べてから投与しろという話にはならないと。

○機構 そうです。

○吉田部会長 ほかに、ございますか。

○奥田委員 小児への臨床試験が、ドライシロップ剤中心に行われていると思いますが、承認の方では錠剤にも同じようにmg/kg単位での承認が記載されているわけですけれども、ドライシロップ剤と錠剤をすり潰して投与した場合の比較というか、錠剤で適用を設定した根拠について教えていただきたいのですけれども。

○機構 ドライシロップ剤と錠剤で生物学的同等性試験が実施されていて、両剤の生物学的同等性が示されています。

○奥田委員 これは、錠剤とドライシロップ剤を健康成人で比較したということですね。小児に投与する場合は錠剤のまま投与できないので、普通はすり潰してということが想定されますけれども、そういう比較をされているのですか。

○機構 錠剤をすり潰した状態での比較は行われていません。すり潰して服用することを想定しておりません。

○奥田委員 ただ、この添付文書だと、mg/kgで錠剤に書かれているということは、すり潰して投与するということですね。

○機構 通常、錠剤ですと、すり潰すというよりも、容れ目刻みで階段状に上がっていくということになると思います。

○奥田委員 実際の錠剤、50mg錠の設定で、8mg/kgでの設定で錠剤は投与が可能なのでしょうか。多分、実臨床上はそういう判断でなくて、すり潰しの粉砕調剤の上で投与というのが大部分になるのではないかと思います。ただ、実際にこういう苦い薬が、ドライシロップ剤があるのに錠剤で使われるかどうかという問題は別にあると思いますけれども。

○機構 臨床の使用実態としては、錠剤の服用が適する体重の小児に関しては錠剤を服用していただく。そうでない小児に対してはドライシロップが推奨されるものだろうと理解しています。

○吉田部会長 今の薬理試験のときのプロトコールとか何か資料はないのですか。錠剤を服用させるとかドライシロップを使うというふうに決めていないのですか。

○機構 基本的にはドライシロップです。

○吉田部会長 それが原則なのでしょう。

○機構 はい。

○吉田部会長 なので、このデータはほとんどドライシロップでやっているということ。

○奥田委員 ドライシロップのデータで試験をしているけれども、小児適用については錠剤にも同じように追加されているので。

○吉田部会長 そこの整合性はどうなのだということですね。

○奥田委員 それの根拠はどうなのでしょうかということです。

○機構 先ほど申しましたように、すり潰していない錠剤とドライシロップで生物学的に同等性が示されています。現場で錠剤を服用する際に、すり潰して服用することを想定はしていません。錠剤とドライシロップの投与による暴露量は薬物動態的につながっていますので、同様の暴露量が得られる用法・用量が設定されていると考えています。

○庵原委員 関連ですが、それだと「錠剤はすり潰しては用いない」と1行入れた方が、誤解がないのではないですか。

○機構 基本的に、どの医薬品も錠剤をすり潰して飲むということは品質、有効性及び安全性が保証できないので、そういうことは現場ではあり得ないだろうということで全て書いていないというのが実情です。

○庵原委員 現場では往々にして行われているのです。特に小児科領域ではそういう薬が結構あるのです。逆に言うと、これはドライシロップ剤があるので錠剤を使うのではなく、ドライシロップを優先的に使いなさいという文章で表現することは可能なのですか。

○機構 資材とかそういうものであれば、そういったような注意喚起はできるのではないかと考えています。

○吉田部会長 錠剤とドライシロップで、血中濃度とか変わってくるのですか。

○機構 変わらないというデータは取っています。

○吉田部会長 変わらないというデータはあるのですか。

○機構 あります。

○吉田部会長 だったら、何が問題なのかよく分からなくなってきますが。

○奥田委員 先ほどの繰り返しですが、錠剤とドライシロップで比較しているのは、錠剤を丸ごと潰さないで比較した試験はしていると。生物学的同等性試験はそういう設定をするにしても、実際、現場ではすり潰して投与されることが往々にしてというか、かなりしばしばあるので、そういう設定でドライシロップと同等性が比較できるのでしょうか、検証しているのでしょうかということが今回の質問の根本にあります。

○吉田部会長 そこは、まだ検証されていないのですね。

○機構 検証はされていません。また、すり潰すことも想定はしていません。

○吉田部会長 想定はしなければいけないということなのですね。それほど違いますか。

○奥田委員 別の薬の例で言えば、粉薬と錠剤とで生物学的同等性に違いがあると言われている薬が過去にはあるので、そういう試験はしてもいいのかというか、必要なデータの一つかと思います。

○審査管理課長 今、奥田委員から御指摘いただいて、現実に臨床現場で製剤を使うときに、錠剤を砕いて使うような使い方があるのだということも踏まえると、小児での用量調節をする際に、実際にどうやるのかということを想定して、どこまでデータの担保があるのかということを整理する必要があるのではないかと、こういうお話だと理解いたします。こういった小児用量の開発をする際に、あらゆるシチュエーションにおけるそういうデータを全部取るというところまで、なかなか手が及ばないのも現実としてあります。今回のこの用法・用量の書き方は、ボリコナゾールとしてはこういう使い方ができますということで、成人、小児それぞれについて推奨される用量を書いてあることを、まずは御理解いただきたいと思います。12歳以上の小児のところになりますと、これは恐らく錠剤を使う前提で用法・用量が書かれているように見てとれます。

 ただ、問題は2~12歳のところのきめ細かな用量調節をするところが、これだと多分、ドライシロップ剤でないと無理でしょうと明らかに思われるけれども、もし錠剤を使おうと思ったらどうなってしまうのか心配だというお話ということだと思います。

○吉田部会長 分かりました。ただ、これは公知申請じゃないですか。ということは、要するに欧米でどう使われているか調べれば分かるということになります。錠剤に対して潰して使っている場合もあるだろうから、使われていて何も問題がなければそれはそれでもいいし、もしなければ、錠剤を潰した場合の有効性についてはデータがないと書くとか、そういう格好で一番分かりやすい。その辺を調べてみてと言ったら、ファイザーですから調べられるのではないですか。その実態を教えてくれと。それで問題ないということなら、そのデータを教えてくれと、その結果を奥田先生の方に伝えていただくということでどうでしょう。それとも、実際にそういう使い方をしているデータがないということなのですか。

○機構 恐らく実際の現場ですり潰したときと、すり潰さないで普通に飲んだときを比べて調査したものというのは、ないのではないかというふうに思います。会社自体もすり潰して飲んでいただくことを推奨しているわけではないと思いますので。

○吉田部会長 そしたら、「錠剤のまま服用するのが望ましい」と1文入れてもらえば、それでは駄目ですか。

○奥田委員 このボリコナゾールに関しての解決策としては、それはあり得るかもしれませんが、世の中にはいろいろな薬があるので、そういうところの影響はまた別に考えなければいけないと思います。

○吉田部会長 つまり、小児への適用の際には、全てそういう但し書が必要になるということですね。先ほども申しましたように、基本的に世界中で使われている薬ですから、もし砕くか何かで大きく違うようなことが起こっていれば既に問題になっているでしょうし、そういった意味で、これまで問題になっていないということはあまり関係ないのではないかとは思うけれども、その辺の情報収集と、もしできなかった場合、小児の適応に際しては錠剤で飲むようにという指示を、特に上げるということにしておいてもらったらいいと。それでいいですか。

○機構 はい。

○吉田部会長 では、そういうことにさせていただきます。ほかにございますか。ないようですので議決に入りたいと思います。なお、庵原委員、清田委員、前 委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので承認を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。

 それでは議題3に移ります。関水委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議題3の審議の間、別室で御待機いただくことといたします。

                                 ( 関水委員退室)

○吉田部会長 それでは議題3について、機構からの概要説明をお願いします。

○機構 議題3、資料番号3、医薬品マブキャンパス点滴静注30mgの製造販売承認の可否等について、説明いたします。本剤の有効成分であるアレムツズマブ(遺伝子組換え)は、ヒトCD52に対する免疫グロブリンIgG1サブクラスのヒト化モノクローナル抗体であり、慢性リンパ性白血病(以下CLL)細胞の細胞膜に発現するCD52と結合し、主にCLL細胞に対して抗体依存性細胞傷害活性及び補体依存性細胞傷害活性を誘導することで、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられています。

 なお、本剤は、平成24年7月の当医薬品第二部会での審議を経て、希少疾病用医薬品に指定されております。また、平成19年1月に開催された第11回未承認薬使用問題検討会議において、CLLに対する治験が早期に開始されるべきと判断され、厚生労働省から申請者に対して開発要請がなされております。平成26年5月時点において、本剤はCLLに関する適応にて、3か国で承認されています。

 本品目の専門協議に参加いただいた専門委員は、資料17のとおり9名の委員です。以下、臨床試験成績を中心に本剤の承認審査の概要を説明いたします。

 今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、初発のCLL患者を対象とした海外第III相試験及び再発又は難治性のCLL患者を対象とした国内第I相試験の成績が提出されました。有効性については、審査報告書34ページの下から14行目以降及び71ページの本文の上から11行目以降に示すように、初発のCLL患者を対象に本剤の有効性及び安全性を検討した第III相試験の結果、主要評価項目とされた独立判定による無増悪生存期間について、chlorambucil群に対する本剤群の優越性が検証されたことなどから、CLL患者に対して本剤の有効性は示されたと判断しました。

 安全性については、本剤の使用において注意すべき有害事象としては、審査報告書36ページの下から10行目以降、71ページの下から15行目以降に示すように、infusion reaction、感染症、自己免疫性溶血性貧血及び自己免疫性血小板減少症を含む免疫障害、血液毒性、出血、心臓障害、腫瘍崩壊症候群、B型肝炎ウイルスの再活性化、並びに進行性多巣性白質脳症が認められています。これらの有害事象については、造血器悪性腫瘍の治療に十分な知識と経験を持つ医師によって、有害事象の観察や管理、本剤の休薬・減量・投与中止等の適切な対応がなされるのであれば、本剤は忍容可能と判断しました。ただし、日本人における検討症例は限られており、審査報告書58ページ下から5行目以降、74ページ下から16行目以降に示すように、本剤を使用した全ての症例を対象として、製造販売後調査の実施が必要であると判断し、承認条件としております。

 以上のような審査の結果、機構は、本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は、希少疾病用医薬品に指定されていることから、再審査期間を10年とすることが適当であると判断いたしました。また、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、生物由来製品に該当すると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○吉田部会長 委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。

○新井部会長代理 一つは審査報告書15ページ、CD52です。本薬の作用機序についてです。GPI結合型の糖タンパクで12アミノ酸と書いてありますが、どう考えても12アミノ酸のわけはないと思いますが。CD52のタンパクのアミノ酸の数をおっしゃっているのですか。

○機構 この12アミノ酸に関しては誤りではなく、12アミノ酸で正しいことを確認しております。

○新井部会長代理 CD52が本当に12アミノ酸ですか。

○機構 この分子の機能はまだはっきりは分かっていないのですが、全長翻訳されるともっと、はっきり覚えていませんが、50アミノ酸ぐらいはあるのですが、膜状に出てくるものとしては、切断されて12アミノ酸ぐらいのものが出てくることが報告されています。

○新井部会長代理 何か向こうの報告書にも12アミノ酸と書いてあるので、しかし、12アミノ酸のGPIタンパクはあり得ますか。調べてみてもいいですが、間違いないですか。

○機構 その点については、15ページの下に記載してあるジャーナルの内容も含めて確認をしておりますので、間違いないかと思います。

○新井部会長代理 分かりました。それともう一つは、マウスの実験だと思いますが、ヒトCD52を入れたトランスジェニックマウスでこの抗体を投与したときの作用として、サイトカインがかなり、量が分からないのですが、少なくともTNF、IL-6、IL-10などのそういったサイトカインが出るという報告があって、ヒトではどうなのか。さらに先ほど説明があったinfusion reactionでいろいろなサイトカインに起因するのではないかと思うような副作用が見られるということで、実際にマウスでこういうものが見られたら、ヒトでも当然調べるのではないかと思いますが、それはどうなのでしょうか。

○機構 審査報告書の39ページ、御指摘のようにinfusion reactionについては、臨床試験でも発現が認められていることは確認しております。

○新井部会長代理 ですからサイトカインが出ているのかどうかです。CD52抗体を投与した人において、マウスでは上がっているというデータ、ヒト化したもので上がっているというデータがある中で、何でヒトでは分からないのかと思うのが。中には少し危険そうなサイトカインもあると思うので、そのレベルも少し分からないです。それに基づいた副作用なのかと思うようなものも見られるので、何でヒトのデータがその辺は取らなくていいのかがよく分からないのです。CD52が直接リンパ球を活性化するとは思いませんが、何が起こるかは本当のことは分からないと思いますので、その辺は何で見なかったのかと。マウスだけは見たのに、実際にヒトに投与した場合に見なかったのかというのは、少し気にはなるのです。

○機構 今回の臨床試験ではサイトカインの測定はなされておりません。その点については今後の課題だと考えております。

○新井部会長代理 ほかにもCD52の抗体の医薬はありましたか。

○機構 CD52抗体については、この品目が初めてです。

○新井部会長代理 そうするとやはりそういった予想できない副作用、反応と言いますか、それが十分考えられると思うので、結構マウスの実験では割とまずそうなサイトカインも出ているので、それがヒトだと。出なければ余り上がらなければ全然問題ないと思いますが。何でマウスで出るのが分かっていながら、ヒトでやらないのかというのが気になるのです。

○機構 今回、サイトカインを測定しなかった経緯は今すぐには分からないのですが、御指摘いただいた点については重要な御指摘だと思いますので、今後、製造販売後において引き続き情報収集するように企業に連絡したいと思います。今後何か新しい情報が得られたら、適切に医療現場に提供するようにしたいと思います。

○吉田部会長 サノフィだったら。

○新井部会長代理 十分できると思います。

○吉田部会長 市販後調査の際に、投与患者におけるサイトカインの動向を何例かは調べてほしいという注文を出しておいて欲しいということでよろしいですか。

○新井部会長代理 そうですね。

○吉田部会長 では、そういうことで対応いただければと思います。ほかにございますか。

○菊池委員 日本人に対して、国内は第I相しかしていないのですね。それは大丈夫なのでしょうか。

○機構 この領域は希少疾病ということもあり、今回、経緯としては審査報告書の5ページに記載したように、2007年1月に開催された未承認薬使用問題検討会議で御議論いただき、少なくとも日本人での忍容性の確認は必要だろうというアドバイスもあり、今回はこのような形の承認申請になっております。

○吉田部会長 ということです。ほかにございますか。よろしいでしょうか。特に御意見はないようですので、議決に入りたいと思います。なお、庵原委員、清田委員、前 委員におかれては、利益相反に関する申し出に基づいて、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。御異論がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とします。別室で待機されている関水委員をお呼びください。

                                 ( 関水委員入室)

○吉田部会長 それでは議題4について、事務局から概要説明をお願いします。

○機構 議題4、資料4、医薬品バニヘップカプセル150mgの製造販売承認の可否等について御説明します。本剤の有効成分のバニプレビルはC型肝炎ウイルス(以下、「HCV」)NS3/4Aセリンプロテアーゼを阻害することにより、抗ウイルス活性を示すと考えられています。本剤は、ペグインターフェロン及びリバビリンと併用投与する薬剤として、今般、MSD株式会社により製造販売承認申請が行われました。なお、本剤については、日本のみで開発が行われています。本申請の専門委員としては、資料17に記載の10名の委員を指名しました。

 審査内容について、臨床試験成績を中心に説明します。有効性について、審査報告書40ページにある二つの表のうち、上の表25です。未治療患者を対象とした国内第III相試験における主要評価項目は、投与終了24週後のHCV RNAの持続陰性化率(以下、「SVR24率」)としています。このSVR24率について、本剤を12週投与した群では83.7%、本剤を24週投与した群では84.5%、本剤を投与しないプラセボ群、すなわち、ペグインターフェロン及びリバビリンの2剤併用のみでは55.1%であり、プラセボ群に対する本剤とペグインターフェロン及びリバビリンとの3剤併用投与レジメンの優越性が検証されました。審査報告書41ページの一番下の行です。前治療再燃患者を対象とした国内第III相試験では、本剤を12週投与した群のSVR24率は92.0%。本剤を24週投与した群では96.2%でした。

 次は、審査報告書43ページの3)日本人C型慢性肝炎患者を対象とした国内第III相試験の項の7行目です。前治療無効患者を対象とした国内第III相試験では、本剤を24週投与した群のSVR24率は61.9%でした。以上より、本剤、ペグインターフェロン及びリバビリンの3剤併用投与レジメンの有効性は期待できると判断しました。

 次は安全性です。審査報告書48ページにある2つの表のうち、表32です。この表では、3つの国内第III相試験において、本剤を12週又は24週投与した群でプラセボ群に比べて5%以上発現割合が高かった事象をまとめております。胃腸障害が本剤投与群で多く認められていますが、これらのほとんどが軽度であり、被験者の大多数では、定期的な経過観察及び対症療法などの適切な対応により、投与継続は可能であったことから、本剤投与中は胃腸障害の発現に注意しながら、本剤、ペグインターフェロン及びリバビリンの3剤併用投与レジメンを行うことは可能と判断しました。なお、胃腸障害の発現については、製造販売後も引き続き情報集収する予定です。

 以上の審査を踏まえ、機構は、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本医薬品第二部会で御審議いただくことが適当と判断しました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会には報告を予定しております。

 なお、川 委員より承認申請書に関する御指摘がございました。承認申請書中の「バニプレビル標準品」との記載が正確ではないのではないかという御指摘を事前にいただいております。こちらについて確認したところ、「バニプレビル標準品」ではなく、「標準物質」との記載が正確と考えておりますので、申請者に適切に指示したいと思います。以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○吉田部会長 川 委員、いかがですか。

○川 委員 たくさんの箇所で使われていると思いますので、よろしくお願いいたします。

○吉田部会長 それではほかの委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。

○佐藤委員 前治療無効の患者さんについての国内の第III相試験ですが、24週の併用投与でしか実施されていないのですが、12週時点でのSVR率は分かりますか。

○機構 前治療無効患者を対象にした045試験では12週投与群は設定されていないため、本剤を12週投与した後に、ウイルスが一定期間持続して陰性化した率、つまりSVR率は不明です。

○佐藤委員 そうではなくて、SVR24率ではなくて、12週時点でのSVR率です。

○機構 投与12週時点での陰性化率は95.2%となっております。

○吉田部会長 よろしいですか。

○佐藤委員 12週では駄目なのですか。

○機構 12週時点で95%という陰性化率が認められていますが、そこで投与をやめてどの程度SVR24率が得られるかという情報は、先ほども申しましたように、12週の投与群を設定しておりませんので、今のデータから12週投与が適切だと判断することは困難と考えております。

○佐藤委員 その12週時点でSVRを達成できた人の中で、95%いて、それが24週までいくと62%になるわけですね。どういう方がSVRを達成できていないのかの情報はありますか。それが分かれば、例えば、12週時点までで十分なのかどうかという情報を多少は得られるような気がするのですけれども。そもそもから言うと、何でこの前治療無効の方たちは24週しかやっていないのかということになるのですが。

○機構 12週で陰性化していて、その後SVRが得られなかった被験者の理由は、ブレイクスルーという、耐性変異が入っていることが主な理由です。なぜ12週投与群を設定しないのかは、開発当時の話に遡ってしまうのですが、当時、先行して開発されていたのが、現在、市販されているテラプレビルです。テラプレビルが同様の前治療無効の患者に対して、テラプレビルが12週、ペグインターフェロン及びリバビリンが24週という投与期間で臨床試験を実施したところ、40%弱程度の成績しか得られておりませんでした。この成績を申請者も重く受け止め、12週よりも長い投与期間が前治療無効患者には適切だろうという考えのもとで、24週間投与とし、12週間投与を設定しなかったと考えております。

○吉田部会長 045試験のSVR12率というのは、全員が測定しているのですか。

○機構 全員、測定しております。

○吉田部会長 そうするとそれが90何%から61%まで落ちるわけですか。そうではないですね。

○審査管理課長 少し誤解があるといけないのですが、その時点における陰性化している率というのは高いのですが、その後、半年間ずっと陰性が続いてくれないとSVRと言わないので。

○佐藤委員 24週までということですか。

○審査管理課長 24週まで引っ張って、その後、半年間ずっと見ていき、そこでも陰性であるというのが60%という率なのです。ですから12週の時点は途中経過なので、その瞬間では90何%陰性化しても。

○吉田部会長 それはそうです。

○佐藤委員 ですから先ほどおっしゃるのは、90何%から62%まで落ちている、30%の人にどういう特徴があるのかを伺ったのですけれども。分かりました。

○吉田部会長 ほかにございますか。

○関水委員 今、説明があったSVR24がこの薬の指標として最もなのかどうかという観点から伺いますが、結局、調べられた患者さんはどうなったかという指標はここにはないのですか。

○機構 投与終了して24週間継続してウイルスが陰性化している状態であれば、その後再燃というものは、ほぼ間違いなく起こらないだろうというのが、世界中のデータから示されておりまして、それを基に世界中で広く使用されている評価項目だと考えておりますので。その他、適した指標があるのではないかという、回答にはなっていないかもしれませんが、少なくともこの評価項目は適切なものだと考えております。

○関水委員 それをどこかに書くことはできないのですか。SVR24と書いてあるから、それで評価すれば統計学的に有意差があると。ここまでは非常にクリアですが、ですから本当に患者さんは治ったのだろうかと一般人は質問するわけですが、ですからSVR24というのが確かに客観的な指標として非常に重要なのだというのは、38ページの注113に書いてあるだけなのです。こういう文章は専門家が見ればもう非常にクリアで、評価できるというには少し説明不足だと思うのです。今おっしゃられたことをここの文書に書くことは難しいのですか。

○機構 主要評価項目の適切性、妥当性というものを少し盛り込んでおくということでしょうか。

○関水委員 今、この文章で駄目だと私は言うつもりはありませんが、是非、分かりやすい、一般の人に、私などには全く分からないですね。これでこの抗ウイルス薬が効果があるというのは、私レベルではもう全く分からないのです。

○機構 分かりました。御指摘を踏まえ、どのような形で盛り込めるかも含めて、機構で検討したいと思います。

○吉田部会長 よろしいですか。ほかにございますか。

○佐藤委員 以前、シメプレビルの審査のときに、テラビック、テラプレビルからの切替えとか、切替えがうまくいかなかった人についてのデータを集められないかを伺いましたが、その際にほかにも抗ウイルス薬が予定されていて、たぶん学会レベルなどで対応することになるだろうというお話でしたが、その後、例えばこの薬が承認されたとして、何か使用状況、耐性があったときに切り替えるなど、そういうことに関する情報を学会レベルで調べる動きは今あるのでしょうか。

○機構 申し訳ありません。そこの情報は掴んでおりません。申請者を経由して確認したいと思います。

○佐藤委員 お願いします。

○吉田部会長 よろしくお願いします。ほかにございますか。よろしいですか。では御意見もないようですので、議決に入りたいと思います。なお庵原委員、奥田委員、前 委員におかれましては利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告とします。

 それでは議題5に移ります。議題5について機構からの概要説明をお願いします。

○機構 議題5、資料番号5、ボシュリフ錠100mgの製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。本剤の有効成分であるボスチニブ水和物は、慢性骨髄性白血病(以下、CML)細胞の増殖に関与している融合タンパクであるBcr-AblのAblチロシンキナーゼを阻害すること等により、CML細胞の増殖を抑制すると考えられております。

 今般、本剤は、前治療薬に抵抗性又は不耐容のCMLを効能・効果として承認申請されました。本剤は、平成26年5月時点において、CMLに係る効能・効果にて、35か国で承認されております。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料17にありますとおり8名の委員です。

 以下、臨床試験成績を中心に、承認審査の概要を説明いたします。有効性については、審査報告書45ページ下から23行目以降、及び93ページ上から13行目以降にお示ししますように、前治療に抵抗性又は不耐容のCMLが対象とされた国内第I/II相試験及び海外第I/II相試験において、慢性期のCML患者における3次治療として本剤を投与することにより細胞遺伝学的寛解が得られたこと等から、本剤の一定の有効性は示されたと判断いたしました。

 安全性については、本剤の使用において注意すべき有害事象としては、審査報告書49ページ下から10行目以降、及び93ページ下から7行目以降に示しますように、骨髄抑制、心臓障害、浮腫・体液貯留、胸水・心嚢液貯留、出血、過敏反応、感染症、肝機能障害、発疹、胃腸障害、膵炎・リパーゼ増加、間質性肺疾患、腎不全、肺高血圧症及び腫瘍崩壊症候群が認められております。これらの有害事象については、造血器腫瘍に対する化学療法に十分な知識、経験を持つ医師による慎重な観察と適切な処置により、忍容は可能と判断いたしました。ただし、日本人における検討症例は限られており、審査報告書97ページ、本文上から4行目以降に示しますように、製造販売後には、目標症例数700例、観察期間を24週とする調査の実施が必要であると判断し、申請者に指示しております。

 以上のような審査の結果、機構は「前治療薬に抵抗性又は不耐容の慢性骨髄性白血病」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は、希少疾病用医薬品に指定されていることから、再審査期間は10年、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、また生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。本剤の製造販売承認の可否等について、御審議のほどよろしくお願いいたします。

 なお、事前に佐藤委員から、審査報告書47ページ上から5行目に記載したニロチニブの試験名について分かりづらい旨の御指摘がありましたので、御指摘のとおりに適切に修正をさせていただきます。以上です。

○吉田部会長 佐藤先生、いかがですか。よろしいですか。それでは、ほかの委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。

○菊池委員 これも、国内試験が少ないような気がするのですが、いかがでしょうか。

○機構 今回、国内の臨床試験成績としては、既治療のCML患者が60数名なのですが、本薬の有効性が期待できると判断している治療対象は、グリベックを使われて、更にセカンドラインのニロチニブ、ダサチニブを使われて、それでも治療効果が得られていないラストラインの患者になろうかと思います。そういった治療薬の限られた患者を対象にしておりますので、例数は少ないのですが、提出された試験成績から有効性は期待できるものと考えております。

○菊池委員 分かりました。ちょっといじわるなのですが、そうすると効かないときに500mgから600mgに上げる根拠のようなものも、全部日本人にも有効だろうというような考え方なのですか。

○機構 増量の適切性については、審査の過程で確認をしております。審査報告書の72ページ、表が二つありまして下辺りのパラグラフからの記載ですが、国内で実施されたB1871007試験において1例で600mgへの増量が確認されており、600mgへ増量後にCCyRに達した症例でした。

○吉田部会長 よろしいですか。要するに、開発の経緯が分かりにくいのですよ。どういうことかというと、最初に第III相試験としてイマチニブとヘッド・トゥ・ヘッドでやって勝てなかった。しかし、何かいいところがないかと探していったら、イマチニブが効かなくなってから投与しても本薬が効いてくることが分かったと。そこで、耐性例を対象とした戦略に変更しているのです。なので、抵抗性や耐性についての有効性を認めてほしいという話になっているのです。ほかにありますか。ところで、Bcr-Ablキナーゼ阻害薬はこれで何品目ですか。

○機構 4品目です。

○吉田部会長 要するに、同じ方向で開発していると、同じような薬が次々と出てきているということなのですね。そのうちに、いろいろと優劣が定まってくるのだろうと思いますが、とりあえずは臨床成績から見ると耐性、抵抗性になっても有効例が出ているのは事実です。そういったところで有効性を認めてもよさそうですが、よろしいですか。それでは、御意見もないようですので、議決に入ります。

 なお、庵原委員、清田委員、前 委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告いたします。

 それでは、議題6について事務局から説明をお願いします。

○機構 議題6、資料番号6、医薬品ザノサー点滴静注用1gの製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。本剤の有効成分であるストレプトゾシンは、ニトロソウレア系抗悪性腫瘍剤であり、膵島細胞等に発現するグルコーストランスポーター2を介して細胞に取り込まれた後、DNAをアルキル化し、DNAの合成を阻害することにより、腫瘍増殖を抑制すると考えられています。今般、本剤は、膵・消化管神経内分泌腫瘍を効能・効果として承認申請されました。なお、本剤は、平成2310月の当医薬品第二部会での審議を経て、希少疾病用医薬品に指定されております。

 また、平成22年4月に開催された第3回医療上の必要性が高い未承認薬・適応外薬検討会議において、医療上の必要性が高いと判断され、同年5月に厚生労働省から申請者に対して、当該効能・効果に係る開発要請がなされております。

 平成26年6月時点において、本剤は膵・消化管神経内分泌腫瘍に関する適応にて、5か国で承認されております。本品目の専門協議に参加をいただいた専門委員は、資料19にありますとおり5名の委員です。以下、臨床試験成績を中心に本剤の承認審査の概要を説明いたします。

 今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国内第I/II相試験が提出されました。有効性については、審査報告書23ページ下から7行目以降、及び40ページ上から13行目以降に示しますように、本剤は、国際的な教科書及び診療ガイドラインにおいて、切除不能な膵・消化管神経内分泌腫瘍に対する標準的な治療の一つとして確立していること、並びに切除不能な膵・消化管神経内分泌腫瘍を対象に、本剤の有効性及び安全性を検討した国内第I/II相試験の結果、奏効例が認められていることから、膵・消化管神経内分泌腫瘍に対する本剤の有効性は期待できると判断いたしました。

 安全性について、本剤の使用時に注意すべき有害事象としては、審査報告書25ページ下から19行目以降、及び40ページ下から13行目以降に示しますように、腎障害、肝障害、骨髄抑制、悪心・嘔吐及び耐糖能異常が認められております。これらの有害事象については、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師によって、本剤の安全性プロファイルについて十分理解した上で、有害事象の観察や管理、本剤の投与中止等の適切な対応がなされるのであれば、本剤は忍容可能であると判断いたしました。ただし、日本人における検討症例は限られていること等から、審査報告書38ページ下から13行目以降、及び42ページ上から17行目以降に示しますように、本剤を使用した全ての患者を対象とした製造販売後調査を実施するとともに、消化管神経内分泌腫瘍患者に対する本剤の有効性に関する情報についても、製造販売後調査により収集することが適切と判断し、申請者に指示しております。

 以上のような審査の結果、機構は「膵・消化管神経内分泌腫瘍」を効能・効果として本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は、希少疾病用医薬品に指定されていることから、再審査期間を10年とすることが適当であり、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

 なお、事前に佐藤委員から審査報告書の25ページ上から14行目に記載のある、奏効率の95%信頼区間が4.35%ではなく、正確には4.33%ではないかとの御指摘がありました。当該部分については御指摘のとおりですので、適切に修正いたします。御指摘いただきまして、ありがとうございます。

○吉田部会長 それでは、委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。これは未承認薬検討会からの推薦で上がってきたものですが、この薬自体は、私の学生時代ぐらいに開発されており、こういった膵内分泌腫瘍の薬として知られてはいたのですが、日本では全く治験が行われず、長い間、使えなかったという背景があります。

○関水委員 DNAをアルキル化してDNA合成を止めて、それが癌の腫瘍増殖を抑制するというものが薬になるというのは、これは明らかに危険性があるわけですね。その点については、何か考察されているのですか。例えば、メチルヨードは制癌剤になるかということについては、一般に薬学の授業レベルですので、そういうものはかなり難しいものだと一般的に考えられるわけですが、なぜこれがDNAをアルキル化するようなもので、これが特別に制癌剤として有効であるという何か基本的な理念というか、コンセプトはあるのですか。

○機構 本剤はアルキル化剤で、通常のDNAを阻害する抗癌剤の一つの種類と考えております。委員から御指摘いただいたように、本剤はDNAを阻害する薬剤であり、それに伴うような有害事象が販売後に出現する可能性は非常に高いと思っておりますので、日本人でのデータは少ないですが、海外の臨床試験データも合わせて市販後に製販後調査も合わせて情報提供させていただきたいと思います。

○関水委員 私が伺いたいのは、これは制癌剤というテアングであって、DNA合成を阻害するというメカニズムはよく分かるけれども、当然変異剤であり、恐らくは発がん効果があるわけです。一般には、そういうものは使うのは難しいという一般常識がある中で、これが認められるべきだという何かそういう記述はこの報告書にはないと思いますが、実際に治った事例があるということ以外には何もないのですか。

○機構 二次発癌に関してですが、それを確認する目的もありまして、この国内第I/II相試験を実施しております。この試験の中では、そういった事象が認められませんでしたが、そういった事象が今後起きてくる可能性はありますので、製造販売後調査において情報収集をしていくことになろうかと思います。

○吉田部会長 先生がおっしゃるように、抗癌剤は発癌剤でもありますので、小児がんの化学療法患者では、例えば成人後に発がんするという症例もあります。この種の発がん作用に関しては、エトポシドなどの抗癌剤がよく知られていると思います。従って、小児の化学療法で寛解した場合、常にこうしたリスクはありますが、それは、毒を以て毒を制するというやり方しか選択肢がないから、というのが現状です。ところで、この薬の最大の特徴ですが、審査報告書の10ページにありますように、ほとんどが膵島に集まります。こういう類の薬は他には例がないものですから、未承認薬検討会でもそういった意味で、リスクはあっても膵島内分泌腫瘍を適応として承認してほしいと言ってきたのだと思います。ほかによろしいですか。

○奥田委員 今の質問に関連するのですが、臓器特異性がグルコーストランスポーター2で規定されているというお話で、GLUT2に関しては腎臓にも発現しているというデータがあると思うのですが、特に腎臓での発がん性が高いという調査といいますか、これまでの海外の実績もあると思うのですが、その中での疫学的な情報若しくは、今後の調査の中でそのようなところに特化したような調査をする予定はないでしょうか。

○吉田部会長 悪性腫瘍の場合、一般に予後がよくないので、長期間のフォローアップがききません。小児がんのような治癒後の長期生存例が相当数得られないと、臨床的な発がん性は証明できません。ですから、大人の癌の場合はそういった意味で長期の影響がどうなっているかを明らかにすることができないのです。今のことに関して、他に御意見はありますか。

○機構 審査報告書の16ページの一番下の()がん原性試験とありますが、そこで申請者に確認しており、海外で約30年以上の臨床投与経験がありますが、その中では二次発がんが問題となっていないことは確認をしております。今後についても、もちろん国内でも同様に調査を継続していきますので、そういった情報が収集されれば注意喚起をしていく必要があるとは考えております。

○関水委員 今おっしゃられたことは、ちょっと不思議に思うのです。つまり、アルキル化剤というのは腫瘍形成をポジティブに支持しますね。そういうことを起こすということはよく分かっているわけで、そういうことが分かっているものについて、この物質が膵臓に集まれば、当然膵臓癌はできると思うのですよ。ところが、それはそういうことがないということが問題となっていないというような発言のように受け取られるのですが、そのことは実際には正しくないということが明らかだと思うのですよ。つまり、DNAをアルキル化して、この薬剤によってアルキル化された場合には発がんが起こらないというような理屈はないと思うのですが。ですから、二次発がんが問題になっていないというのは、もっとその前に患者が亡くなるというようなことが考えられるのだと思うのですが、いかがですか。

○機構 委員が御指摘のとおり、二次発がんの可能性がゼロだと考えているわけではなく、今のところ、現時点では臨床使用において大きな問題になっているという状況ではないと説明させていただいたところです。当然、今後臨床使用上の問題となる可能性がないと言い切れるわけではありませんので、そういった安全性の情報を収集する目的も含めて、全例調査を製販後に予定しておりますので、二次発がんの情報は引き続き収集してまいりたいと考えております。

○吉田部会長 一般的に薬剤で二次発がんするには、やはり10年から20年といった時間がかかりますし、抗がん剤の場合、その間ずっと持続的に投与するわけではありません。そういうことで言うと、臨床的に因果関係を証明することはかなり難しい作業になります。少なくとも、治療後何十年レベルで長期間生きていてくれないことには薬の影響が本当にあるかどうか、人間では分からない。しかし、ラットなどでは既に発がん性があることが分かっていますので、そういったことはもちろん告知して治療していくことになります。

 私が気がかりなのは、この薬の適応になる膵・消化管の内分泌腫瘍が、普通は小病変が多いので、外科治療の適応になってしまい、化学療法しかないという転移例が、ほとんどいないということです。ここにも書いてありますが、世界中で800例ぐらいしかないということは、日本でも本当に少ないと思います。ですから、そういった意味で、10例、20例集めるのにも相当な時間がかかるかもしれませんし、それをマネージする申請者や調査体制などを応援するようなことをやっていかないと、多分4、5例やってあとはそのままということにもなりかねません。それでは困るので、先ほどからいろいろな御指摘を頂いたことも含めて、市販後にきちんとフォローできるような環境づくりをよろしくお願いしたいと思います。ほかにありますか。

○菊池委員 この薬は珍しいというか、Dailyで使うと500mg/ 平方メートル で5日間、そのあと37日間休薬ですので、単純に計算すると2,500mg/ 平方メートル ですね。Weeklyで使う方は、毎週1,000mg/ 平方メートル 使うので7,000mg/ 平方メートル 使うと。そうすると、3倍ぐらいWeeklyの方が強いと。量的には、同じ42日間、6週間でそれだけ使うようになっていますね。この説明の文を見ますと、Dailyの方の効果は書かれていますが、Weeklyの方の効果は何か曖昧な感じがします。もちろん、Dailyの効果はあると読み取れているのですが、Weeklyの方が大丈夫だという根拠はここから読み取れなかった気がしますが、いかがでしょうか。

○機構 今回試験の中ではWeekly投与が用いられていたのですが、設定した基準としては、海外においてDailyWeeklyと両方の投与法が承認されており、海外ガイドラインにおいてもどちらを優先すべきといった情報がないということで、設定しております。実際に、このWeekly投与法においては、奏効例が6例中1例に認められておりますので、有効性は奏効例もいたことも合わせて期待ができるのではないかと考えております。

○菊池委員 分かりました。それから、添付文書を見ますと、すごく珍しい使い方なのですが、減量の注意の仕方や逆に増量することがすごく難しく、これぐらいのスタディーからこういう指示が出てきたこと自体が何か不思議に思うのですが、それはいかがでしょうか。

○機構 添付文書に書いてあります休薬減量基準というのは、今回実施された国内第I/II相試験の減量基準を用いており、日本人での有効性、安全性はこの基準のデータしかありませんので、現状はこれを周知していこうと考えております。

○菊池委員 分かりました。

○吉田部会長 よろしいでしょうか。ほかにありますか。ないようですので、議決に入ります。なお、庵原委員、清田委員、前 委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは、議題7に移ります。議題7、8、9は希少疾病用医薬品ですので、時間も押していることもあり、まとめて説明をお願いします。

○事務局 議題7、8、9を連続して3つ説明し、まとめて指定の可否について御審議いただければと思います。審議事項議題7、資料7、パノビノスタット乳酸塩を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、機構からの評価報告書に沿って事務局より説明いたします。評価報告書のタブをお開きください。申請者はノバルティス ファーマ株式会社、予定される効能・効果は「再発又は難治性の多発性骨髄腫」となります。希少疾病用医薬品の指定要件について、順に説明いたします。まず「対象者数」ですが、現在の多発性骨髄腫の総患者数は、約1万4,000人程度と報告されております。

 次に、「医療上の必要性」について、再発又は難治性の多発性骨髄腫に対する治療法は、ボルテゾミブ、サリドマイド、レナリドミドを含む多剤併用化学療法を中心として行われますが、いずれの治療法によっても根治せず、半数以上の患者が1年以内に再発・進行を繰り返すことから、医療上の必要性は高いと考えております。

 最後に、「開発の可能性」については、国際共同第III相試験が実施され、主要評価項目である無増悪生存期間について、プラセボ群と比較して本剤群で有意な延長がみられております。また国内においては、今後第II相試験の実施が計画されていることなどから、本剤の開発の可能性は高いと考えております。以上より、本剤は希少疾病用医薬品の指定要件を満たすものと判断しております。

 続いて、審疑事項議題8、資料8、MK-3475を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、機構からの評価報告書に沿って事務局より説明いたします。2枚目の緑の紙が評価報告書になっておりますので、お開きください。申請者はMSD株式会社、予定される効能・効果は「悪性黒色腫」となります。希少疾病用医薬品の指定要件について、順に説明いたします。まず「対象者数」ですが、2011年の厚生労働省の患者調査によると、悪性黒色腫の総患者数は約5,000人とされております。

 次に、「医療上の必要性」について、悪性黒色腫は極めて予後不良であり、根治切除不能な場合は化学療法が行われております。本邦で適応を持つ医薬品として、ダカルバジン、シクロホスファミド水和物、インターフェロン ベータ及びニボルマブがありますが、いずれの薬剤も現時点では奏効率により一定の有効性が示されているもののみであることから、本剤の開発に対する医療上の必要性は高いと考えております。

 最後に、「開発の可能性」については、海外において第I相試験が実施され、化学療法に未治療及び既治療患者での本剤の奏効が認められています。現在、化学療法抵抗性患者を対象とした第II相試験及び化学療法未治療患者を対象とした第III相試験を実施中です。本邦では、悪性黒色腫を含む進行固形癌患者を対象とした第I相試験を実施中であり、切除不能又は転移性悪性黒色腫を対象とした第I相試験も計画中です。□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□。以上より、本剤は希少疾病用医薬品の指定要件を満たすものと判断しております。

 続いて、審議事項議題9、資料9、ペグインターフェロン アルファ-2b(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、機構からの評価報告書に沿って事務局より説明いたします。こちらもタブが付いておりませんので、資料の2枚目の緑紙以降の評価報告書をお開きください。申請者はMSD株式会社、予定される効能・効果は「悪性黒色腫における術後補助療法」となります。指定要件について、順に説明いたします。まず「対象者数」ですが、先ほどと同様、現在の悪性黒色腫の総患者数は約5,000人程度であり、外科的切除及び術後補助療法の対象となる患者数は、更に限定されます。

 次に、「医療上の必要性」について、悪性黒色腫は極めて予後不良な疾患であり、第一選択としての原発巣の外科的切除とともに、再発・転移の予防を目的とした術後補助療法が実施されておりますが、現在、本邦では、悪性黒色腫に対する術後補助療法に用いられている薬剤は極めて限定的であることから、本剤の開発に対する医療上の必要性は高いと考えております。

 最後に、「開発の可能性」については、海外において第III相試験が実施された結果、観察群に対する無再発生存期間の有意な延長が認められ、本試験結果により、米国で「StageIIIの悪性黒色腫における術後補除療法」の適応で承認されております。また、本邦においても第I相試験が実施されていることから、本剤の開発の可能性は高いと考えております。以上から、本剤は希少疾病用医薬品の指定要件を満たすものと判断しております。3品目合わせて、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○吉田部会長 議題7、8、9の3剤とも、対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性については、きちんと条件を満足していると思いますが、委員の先生方からの御意見、御質問はありますか。特段ないようですので、議決に入ります。なお、奥田委員、前 委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくものといたします。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは、報告事項に移ります。事務局から説明をお願いします。

○事務局 報告事項議題1、医薬品テラビック錠250mgの製造販売承認事項一部変更承認について、報告いたします。本剤の有効成分であるテラプレビルは、C型肝炎ウイルスの複製に必須であるNS3/4Aプロテアーゼに対する選択的阻害剤です。本邦では、genotype1のC型慢性肝炎患者を対象とした国内臨床試験成績に基づき、genotype1のC型慢性肝炎患者のうち、血中のHCV RNA量が高値の未治療患者、又はインターフェロン製剤の単独療法又はリバビリンとの併用療法で無効であった、あるいは再燃した患者でのウイルス血症の改善を効能・効果として、20119月に承認されております。

 今般、genotype2のC型慢性肝炎患者のうち、前治療無効患者、及び前治療再燃患者を対象とした国内第III相試験が実施されており、本剤をペグインターフェロン及びリバビリンと併用する投与レジメンの有効性が示されたことから、製造販売承認事項一部変更承認申請がなされております。

 機構における審査の結果、資料番号11に記載されております効能・効果及び用法・用量にて、承認して差し支えないと判断いたしましたので、御報告いたします。

 続いて、議題2、医療用医薬品の再審査結果について、御報告いたします。資料番号は、12-112-2で、こちらはいずれも医薬品再審査確認等結果通知書です。資料12-1は、一般的名称は「イベルメクチン」、販売名は「ストロメクトール錠3mg」、資料12-2は、一般的名称は「トスフロキサシントシル酸塩水和物」、販売名は「オゼックス点眼液0.3%及びトスフロ点眼液0.3%」です。こちらの品目について、製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査等に基づいて、再審査申請が行われ、審査の結果薬事法第14条第2項第3号に掲げられております承認拒否事由のいずれにも該当しないこと。すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要性がない「カテゴリー1」と判定されたものです。

 続いて、資料13を御覧ください。報告事項議題3、優先審査指定品目の審査結果について御報告いたします。優先審査の取扱いについては、資料の2ページに概要を示しております。この制度は、薬事法第14条第7項の規定に基づき、希少疾病用医薬品やその他医療上特に必要性が高いと認められる品目を指定し、ほかの品目に優先して審査を行うものです。その指定に当たっては、適応疾病の重篤性、医療上の有用性を総合的に評価して判断されるものです。

 資料の1ページにお戻りください。対象品目は、販売名ダクルインザ錠60mg、スンベプラカプセル100mg。一般名は、ダクラタスビル塩酸塩、アスナプレビルです。申請者は、ブリストル・マイヤーズ株式会社です。記載のようなセログループ1のC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善に係る効能・効果で承認申請がなされております。

 事前に取りまとめられました機構の評価報告書に基づき、当該薬剤の優先審査の該当性について説明いたします。資料の10ページの下段、「総合判断」の項を御覧ください。適応疾患の重篤性については、C型慢性肝炎及びC型代償性肝硬変は、治療を行わない場合、最終的には肝不全や肝細胞癌に至る可能性のある疾患で、当該疾患は、分類アの「生命に重大な影響がある疾患」である、に該当すると判断されております。

 次に、医療上の有用性ですが、これまでに実施された国内臨床試験の結果を踏まえますと、HCV genotype1b感染患者において、インターフェロンを含む既存の治療法より優れた有用性を示す可能性があることから、当該薬剤は、分類イの「有効性、安全性、肉体的、精神的な患者負担の観点から、医療上の有用性が既存の治療法、予防法若しくは診断法より優れている」ことに該当すると判断されております。

 以上を踏まえ、当該薬剤は優先審査品目に該当すると判断いたしました。当該薬剤の承認の可否については、今後機構での審査を経た後に、改めてこの部会で御審議いただく予定となっております。

 続いて、報告事項議題4、医療用医薬品の承認条件の解除について説明いたします。資料14になります。カロナール細粒20%他16品目に係る承認条件に係る審査報告書です。1ページを御覧ください。アセトアミノフェンを有効成分とする医薬品カロナール細粒20%は、平成23年1月に鎮痛領域における用法・用量の追加及び、変形性関節症の効能・効果追加が承認されており、2ページ上段に示しました肝障害の発現状況を確認するための特定使用成績調査に関する承認条件が付されております。

 今般、承認取得者であります昭和薬品化工株式会社ほか4社から、調査に係る報告書が提出されており、機構において審査されましたので御報告いたします。2、3ページを御覧ください。報告された調査については、高用量の本剤が投与された患者を対象に、レトロスペクティブな調査で目標症例数は500例、観察期間は最大1年間とされており、調査票が収集された735例のうち、安全性解析対象703例の調査結果がまとめられております。

 安全性については、5ページの3)の安全性を御覧ください。ALT値の上昇、肝機能異常について、施設基準値上限の3倍を超えるALT値の上昇は、安全性解析対象の703例中3.1%。また、10ページ下段にありますように、肝機能異常については10.8%認められております。

 以上の結果について、これまでに得られております治験のとおり、本剤の投与量の増加に伴い、ALT値の上昇の発現率は増加する傾向は認められたものの、その発現率は高いものではなく、臨床上大きな問題となる肝障害の懸念は示唆されていないと考えております。しかしながら、アセトアミノフェンを含むほかの製剤との併用及び併用による過量投与が認められていることから、13ページ中段に示しますとおり、添付文書の改訂を行い、適正使用に関する、更なる注意喚起を行う必要があると判断いたしました。

 以上を踏まえ、本剤の肝障害に対する特定使用成績調査に関する承認条件の内容については、確認できたものと判断しております。

 続いて、アセトアミノフェンを1錠中500mg含む高含量の製剤の取扱いについて御報告をいたします。当日配布資料としてお配りしております資料21を御覧ください。アセトアミノフェンの高含量製剤については、平成20年7月25日に、より低含量の200mg錠、300mg錠等の「変形性関節症」の効能の追加及び最大用量の変更に合わせて、剤型追加として申請されており、平成221129日に本医薬品第二部会に報告され、承認に向けて準備がされておりました。しかし、平成23年1月13日に、米国FDAがアセトアミノフェン製剤の処方せん薬に対して、1錠当たりの配合上限を325mgに制限し、添付文書において重篤な肝障害に関する警告の記載を行うとの措置を発表したことを受け、本邦においては、適正使用のための安全対策等について、更に慎重な検討が必要として、高含量製剤の承認は保留としておりました。

 今般、先ほどの承認条件の見直しの所においても触れましたが、高含量で長期間継続して投与された症例を対象にした特定使用成績調査が提出されたことから、肝障害と関連のあるとされる高用量での投与、それからほかのアセトアミノフェン製剤との併用との観点から確認をしたところ、2の「特定使用成績調査の内容」になりますが、既承認のアセトアミノフェン製剤の安全性について大きな問題はないが、ほかのアセトアミノフェン製剤との併用例が25例、3.6%が確認され、このうちアセトアミノフェンの投与量が1日4,000mgを超える例が4例、0.6%確認されております。ただし、いずれの症例も医師の処方に基づく感冒などによる短期間の併用で、重篤な肝障害が発現した症例はありませんでした。

 以上より、現時点において安全性に特段の問題がないと考えられますので、3の「高用量製剤に対する対応」において箇条書きとして記載しておりますとおり、併用による過量投与に対する注意喚起を行うため、使用上の注意を表のとおり改訂するなど、適正使用に対して更なる注意喚起及び安全対策を行うとともに、500mg製剤についても今後承認に向けた手続を進めることを考えておりますので、御報告いたします。以上です。

○吉田部会長 委員の先生方からの御質問がありましたら、お願いします。テラビックの一変、カテゴリー1の再審査結果、C型肝炎薬の優先審査の件と、アセトアミノフェンの医療用医薬品の承認条件についてです。アセトアミノフェンも、1,000mgというのも出ている国もあるらしいのですが、よろしいですか。特段御意見がないようですので、報告事項については御確認いただいたものといたします。本日の議題は以上ですが、事務局から何か報告はありますか。

○事務局 次回の部会については、1027()午後1時から開催させていただく予定ですので、どうぞよろしくお願いいたします。

○吉田部会長 それでは、本日はこれにて終了といたします。長時間、御苦労さまでした。


(了)

連絡先:医薬食品局 審査管理課 課長補佐 井本(内線2746)

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