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2014年12月2日 第13回肝炎治療戦略会議 議事録

健康局疾病対策課肝炎対策推進室

○日時

平成26年12月2日(火)15:00~16:00


○場所

厚生労働省(中央合同庁舎5号館) 共用第8会議室(19階)


○出席者

岡上 武 (大阪府済生会吹田病院総長)
熊田 博光 (国家公務員共済組合連合会虎の門病院分院長)
坪内 博仁 (鹿児島市立病院長)
林 紀夫 (関西労災病院院長)
脇田 隆字 (国立感染症研究所ウイルス第二部長)
泉 並木 (武蔵野赤十字病院副院長)
八橋 弘 (国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター研究部長)

○議題

(1)ウイルス性肝疾患に対する治療法について
(2)その他

○議事

○久永肝炎医療専門官 定刻でございますので、ただいまより第13回「肝炎治療戦略会議」を開催させていただきます。

 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 本日は、7名の委員に御参集いただいております。

 それでは、議事に入ります前に配付資料の確認をさせていただきます。

 まず、議事次第と配付資料一覧、座席表がございます。

 資料1として「ウイルス性肝疾患に対する治療法に関する検討について」。

 資料2として「C型慢性肝炎に対するバニプレビルの有効性、安全性等について」。

 資料3として「C型慢性肝炎に対するプロテアーゼ阻害剤を含む3剤併用療法の再治療に関する有効性等について(案)」。

 参考資料1として「肝炎治療戦略会議開催要領」。

 参考資料2として「(参考1)テラプレビル(テラビック錠)の添付文書における【効能・効果】に係る承認事項の変更について」「(参考2)現行の肝炎治療特別促進事業における3剤併用療法の認定基準」となっています。

 配付資料は以上でございます。

 不足等はございませんでしょうか、何かございましたら事務局へお申し出いただきたいと思います。

 なお、会議中に写真撮影、ビデオ撮影及び録音をすることはできませんので、御承知おきください。

 ここからの議事の進行は林座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○林座長 それでは、議事の進行を進めさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、本日の議事に入らせていただきたいと思います。

 本日の議事の1番目でございますが「ウイルス性肝疾患に対する治療法について」でございます。どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 まず、事務局のほうからウイルス性肝疾患に対する治療法に関する検討について」について、御説明をよろしくお願いいたします。

 どうぞ。

○鈴木肝炎対策推進室長 それでは、資料1をごらんください。「ウイルス性肝疾患に対する治療法に関する検討について」というものです。

 今回の検討でございますが、1125日にバニプレビルが薬価の収載となっております。これは3剤併用療法で使いますお薬となるわけですが、これが保険適用となりした。

 9月19日、前回の戦略会議の直後でございますが、同様に3剤併用療法で使いますテラプレビルの薬事承認事項の一部が変更承認されております。このことによりましてプロテアーゼ阻害剤からの再治療が、このテラプレビルというものも可能となっております。

 薬事上、保険上は、各プロテアーゼ阻害剤につきまして、それぞれの治療に向けての再治療が可能となっているところでございます。

 現在、我々どもの実施しております、肝疾患治療特別促進事業では、プロテアーゼ阻害剤を含みます3剤併用療法の助成回数を原則1回としております。テラプレビルを含む3剤併用療法のある者に対する、シメプレビルを用いた再治療の必要性が判断された場合に限りまして、助成可能という記載となっております。

 したがいまして、検討事項といたしまして、今回プロテアーゼ阻害剤を含む、3剤併用療法の再治療に関しまして、バニプレビル、テラプレビル、シメプレビルという3つのお薬がそろってまいりましたので、この医療費助成の取り扱いについて、検討していただければと考えております。

 以上です。

○林座長 ありがとうございました。

 何か、御質問ございますでしょうか。

 少し、テラプレビルの添付文書の変更がございましたので、3剤併用療法の記載が少し変わってまいりますが、最後に少し御提案がございますけれども、この段階で何か御質問ございますでしょうか、よろしいでしょうか。

 それでは、続きまして「C型慢性肝炎に対するバニプレビルの有効性・安全性等について」、八橋先生のほうから、どうぞ御説明をよろしくお願いいたします。

○八橋委員 よろしくお願いいたします。

 バニプレビルの開発試験の成績を御紹介するとともに、後半は3剤併用療法での再治療について問題提起を行いたいと思います。

 まず、資料のスライドを見ていただきたいと思います。

PP

 現在、使用可能なプロテアーゼ阻害剤は3種類ございます。

2011年にテラプレビルが承認され、2013年にシメプレビル、ことしの11月にバニプレビルが承認されたという状況です。これは3つのプロテアーゼ阻害剤の構造式です。テラプレビルは線状構造、第二世代のシメプレビルとバニプレビルは環状構造になっている点が大きな違いになります。

 こういうMacrocyclic、環状構造を呈したものは、ウイルスとの結合親和性が高まり、抗ウイルス効果が強く、副作用が軽減されるということが報告されています。

PP

 バニプレビルの国内試験成績ですが、治療法は、初回治療例と再燃例ではバニプレビル300mg1日2回を12週間とともに、週1回のペグインターフェロンα—2bとリバビリン等の3剤併用が12週、残り後半12週間がペグインターフェロンとリバビリンの2剤です。一方、前治療無効例に関しては、バニプレビル治療期間は12週ではなく24週間で開発治験が行われました。

 著効率は初回治療例83.7%、再燃例は92%、前治療無効例は61,9%という成績でした。

PP

 ただ、前治療再燃例と前治療無効例を、前治療の反応性からもう少し細かく分析しますと、前治療再燃例の著効率はオーバーオールでは92%ですが、前治療後再燃例、一度ウイルスが陰性化した方は100%治癒しています。一方、前治療時に、治療途中でウイルスが陽性となったブレークスルーの症例では著効率66.7%でした。

 前治療無効例の場合も、ウイルスは陰性化しないけれども12週までに2Log下がったような部分反応例では76.9%、2Log未満の症例では55.2%の著効率でした。再燃例、無効例ともに前治療の反応性をより細かく見ることで、より高い著効率が期待できる集団を選択できるのではないかと思います。

PP

 安全性に関してですが、基本はペグインターフェロンやリバビリンとほぼ同じであります。中に重篤な副作用発現例とか中止例がございますが、偶発的なものばかりで、バニプレビルによるものというものは極めて少ないと考えられ、基本はペグインターフェロンやリバビリンとほぼ同等の安全性と考えられています。

PP

 ただ、もう少し副作用の内容を細かく見てみますと、恐らく唯一といっていいかと思うのですが、消化器症状、悪心がペグインターフェロンとリバビリンの2剤併用例よりも、バニプレビル3剤併用例で高い傾向が見られます。しかし、それ以外の副作用に関しては、基本的に2群間で副作用の出現頻度には差がないのではないかと考えています。

 貧血の程度とか発疹の程度も、バニプレビル投与群で高度に出現するということはみられませんでした。

PP

 悪心、嘔吐という消化器症状が出るというのが、バニプレビル3剤併用例の1つの特徴ですが、半数近くが治療開始2週間以内に出現しています。実際、私たちは5例のバニプレビル3剤併用例の使用経験がございますが、ナウゼリンとかプリンぺランという制吐剤を早目に使うことで、十分コントロールできるかと考えています。

PP

 バニプレビル3剤併用治療の1つの特徴としては、初回治療例、前治療再燃例、前治療無効例、いずれもブレークスルー率が極めて低いということです。再燃率も初回治療例、前治療再燃例では10%未満でした。前治療無効例の再燃率は35%ですが、これが何と比べるのか、なかなか難しいところですが、従来報告されたものよりは低い印象がございます。

 いずれにしても、バニプレビルで一度血中のウイルスが陰性化すると、ブレークスルーや再燃する症例は少ないというのが、1つの特徴ではないかと言われています。

PP

 バニプレビル3剤併用治療では、ペグインターフェロンとリバビリンを使いますので、IL28Bの遺伝子多型、いわゆるインターフェロンの感受性の影響を受けます。

 これはDuke SNPでの分類になりますが、メジャーホモの症例の著効率は、初回治療例92.2%、前治療再燃例94.4%、前治療無効例も5例中5例、100%でした。IL28がメジャーホモの方、インターフェロンの感受性がある症例には、90%以上の著効が期待できるのではないかということが示されています。

PP

 以上「バニプレビル国内第三相試験のまとめ」についてですが、第2世代プロテアーゼ阻害剤であり、前治療無効例に対しては24週間の併用投与が可能な治療法であります。

SVR24、著効率ですけれども、初回治療例は83.7%、前治療再燃例は92%、前治療無効例61.9%、Relapse例とかPartial例で、100%と76.9%という成績です。

 治療期間中のブレークスルー率は0~2.4%、治療中のウイルス陰性化率は95.2100%、再燃率は8~35%で、オーバーオールとしては優れた抗ウイルス効果を示したということであります。

 安全面に関しては、ペグインターフェロンとリバビリン併用とほぼ同等であり、高度の貧血、高度の皮疹、高度の高ビリルビン血症も開発治験の中では報告されていないということです。

PP

 ここからが私の考えですが、日本人は大体4人のうち3人の方でインターフェロンに感受性がある遺伝子を持っていると言われています。

 ペグインターフェロンとリバビリンの時点では、このインターフェロンが効くタイプでは71%、効きにくいタイプでは22%の著効率でした。バニプレビル3剤併用治療もインターフェロンベースの治療法と位置付けると、事前にIL28Bの遺伝子多型を測定した上で治療を導入すると、インターフェロンが効くタイプでバニプレビル3剤併用治療は、初回治療例、再燃例、無効例のいずれも90%以上の著効率という成績ですので、IL28Bがメジャーホモのタイプにバニプレビルを導入することで、高い治癒率が期待できるのではないかと考えています。

PP

 いくつかあるプロテアーゼ阻害剤の中で、バニプレビル3剤併用治療の1つの特徴は、前治療無効例に対してバニプレビルの24週間併用が可能である点、IL28Bメジャーホモであれば90%以上の著効率が期待できるのではないかという点であり、この2点がペグインターフェロン、リバビリン、バニプレビルの3剤併用療法の位置づけと考えています。

 

PP

 後半に関して、「3剤併用療法の再治療について」部分的ではありますが、今までのデータと問題点を指摘したいと思います。

PP

 テラプレビル、シメプレビル、バニプレビル、現在3つの薬剤、治療法が保険診療上、可能であり、助成制度下での治療が可能です。薬事上、保険上はテラプレビルを先に、再治療をシメプレビル、逆も可能ですし、この3つのお薬の中で相互に再治療することは可能になっています。

 ただ、再治療の妥当性に関しては、いろいろなことを考えるべきと思います。

PP

いわゆるDAAs direct-acting antiviral agent 、C型肝炎ウイルスに特異的なお薬の求められる条件として、3つのことが言われています。

 1番としてはPotency、強い抗ウイルス効果を持ったお薬であること。

 2番目として、薬剤耐性を獲得しにくい薬であること、No resistanceであること。

3番目に、感染細胞からウイルスが、HCVが排除される、というこれらの3つの条件を満たしたお薬が望ましいということが言われています。

PP

 そのような状況下では、従来のペグインターフェロンとリバビリンでは全く問題にならなかった薬剤耐性ということが、DAAs治療では新たな問題となります。

 我々はRAVs   resistance-associated variants と呼んでいますが、治療前から存在する薬剤耐性のウイルスについて説明します。C型肝炎ウイルスは、変異をおこしながら増殖し続ける多様性を持ったRNAウイルスであり、半減期も3時間で1個のウイルスの寿命としては極めて短く、そのような環境下で増殖と消失を繰り返しているウイルスであります。

 それで、プロテアーゼ阻害剤を単独で用いると、DAAs,PI(Protease inhibitor)に感受性のあるウイルスは、どんどん駆逐されますが、薬が効かないウイルスが仮に存在した場合、そのウイルスだけが選択されて残ります。さらに治療途中から耐性ウイルスは増殖能力を獲得して一度減少したウイルスが増加すると言われています。このような病態を十分考慮した上で、上手くウイルスを排除させる為の治療戦略としては、抗ウイルス剤は単剤ではなく2剤、3剤を併用すべきとか、インターフェロンを併用すべきという作戦となります。

PP

 幾つかのお薬がございますが、プロテアーゼ阻害剤は少なくとも第1世代のテラプレビルと、第2世代のバニプレビルとシメプレビル、アスナプレビルが現在日本で使われています。

現在この3つのプロテアーゼ阻害剤の薬の間では、相互的には再治療ができるようになっています。ただ、仮に再治療を行う場合には、この耐性部位が共通しているものは、少なくとも十分な抗ウイルス効果は期待できない可能性が高いと私は考えています。

 プロテアーゼ阻害剤、DAAsを用いた治療では、新しい治療法を積み重ねればいいということではなくて、過去の治療歴、使用薬剤を把握した上で、事前に十分抗ウイルス効果が期待できる症例であることを予測し、また治療のタイミングもよく考慮した上で、再治療を行うべきと私は考えています。

 以上であります。

○林座長 どうもありがとうございました。

 御質問はございますでしょうか。

 バニプレビルの臨床試験の成績と、きょうの後の話にも少し関係するのですけれども、少し問題になる点を御紹介いただきましたが、よろしゅうございますでしょうか。

 どうもありがとうございました。

 それでは、次でございますけれども、以上のことがございまして、次に事務局のほうから御提案がございます。

 資料3でございますけれども、事務局のほうからよろしくお願いいたします。

○鈴木肝炎対策推進室長 それでは、資料3について説明をさせていただきます。

 まず、この資料3の一番最後の「対応方針(案)」のほうから申し上げます。

 この3剤併用療法の助成回数を原則1回とすること。それから、3剤併用療法の治療歴のある者については、他のプロテアーゼ阻害剤を用いた再治療を行うことが適切であると判断される場合に限り、改めて助成の対象とすることができるという対応案をとりたいと考えています。

 その前提といたしまして、前に戻っていただきまして「はじめに」というところでございますが、肝臓学会が作成していますガイドラインでは、セログループ1のC型慢性肝炎に関して、インターフェロン製剤単独あるいはプロテアーゼ阻害剤、ペグインターフェロン、リバビリンの3剤併用療法による治療が推奨されております。

 その中で、平成23年にテラプレビル、平成25年にシメプレビル、平成261125日にバニプレビルが薬価収載されております。また、テラプレビルにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、平成26年9月19日に薬事承認の一部事項が変更されております。

 このことで、我々どもの今の対応というものでございますが、この3剤によるセログループ1の治療の適用に従い、未治療患者、インターフェロンを含む治療法に無効または再燃となった患者という形になっております。

 プロテアーゼ阻害剤を含む3剤併用療法の既治療患者への投与につきましては、添付文書にも実は記載がございまして、インターフェロンを含む治療法のうち、他のプロテアーゼ阻害剤による、既治療例に対する投与経験がないという記載がされております。このことに関しまして、先ほどの八橋先生の話にもありましたように、十分な知識・経験を持つ医師が十分考慮して判断する必要があるという形で、お薬のほうは書かれております。

 有効性、有害性も、先ほどの対応案を検討する上でということで、何点か申し上げさせていただきます。

 テラプレビル、シメプレビル、バニプレビルともに、この3剤併用療法の既治療例に対する治療成績は、明らかになっているとは言えない状態だと考えております。

 3剤併用療法が不成功になった症例では、プロテアーゼ阻害剤の薬剤感受性を低下させる、耐性変異が高頻度に発現していることが確認されております。ただ、変異株ウイルスが治療後、時間経過とともに減少して、検出されなくなるという報告も一方であることは事実でございます。

In vitroの検討では、各薬剤における耐性プロファイルが異なります。このことから、有効性が期待できることは可能性があるという形でございます。また、有害事象を理由に治療を中止した場合に、他のプロテアーゼ阻害剤を含む3剤併用療法レジメンにより、有効性が期待できる可能性があるという指摘もございます。

 非常に曖昧な表現ではございますが、こういったわからないところもございますので、我々どもの「対応方針(案)」を再度申し上げますが、3剤併用療法の助成回数は原則1回として、その治療歴のある者につきまして、こういった治療を行うことが適切だと判断される場合に限りまして、改めて助成の対象とすることができるという若干幅の広い読み方の対応で、肝臓の専門医の方々の判断に委ねさせていただくという案となっております。

 御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○林座長 ありがとうございました。

 何か、御質問ございますでしょうか。

 少しわかりにくい内容なのですけれども、今回のバニプレビルが承認をされまして、テラプレビルも9月に薬事承認の変更がなされております。ただ、3種類の3剤併用療法がございますが、先ほどの八橋先生のお話のように再治療でも、誰でも原則上使える状況にはあるのですが、実際問題それほど使えるわけではないのでございますけれども、そこの整理を事務局のほうがしたいということで、今回御提案いただいたのが一番最後に書いております、2つの文章でございます。

 いかがでございましょうか、どうぞ。

○八橋委員 私は、これらの記載は妥当な表現だと思います。

 再治療を全く許可しないというわけではなくて、PI3剤治療は原則1回のみとする。ただ、いろいろなことを考慮した上で、治る可能性があると専門医が判断すれば、それは可能としていることから、適切な表現だと思います。

○林座長 文章上、最後の「改めて助成の対象とすることができる」というのは十分御理解いただけますかね。

 八橋先生が御発言いただいた内容で私も十分ですが、「改めて助成の対象とすることができる」という文章でよろしければそのままお決めいただきますが、それだけはちょっと気になる点です。

○八橋委員 あとは、都道府県の審査会で審査するということですね。

○泉委員 これは「改めて」と書いてある理由は、ほかのプロテアーゼ阻害剤を使って、続けてプロテアーゼ阻害剤ではできないという意味ですよね。

○林座長 そういう意味ではなくて、原則1回とするとしているので、もしどうしてもその人が再治療をしたいときについては、各都道府県で助成を認めておりますので、そこで改めて助成の対象として、お認めいただきたいということでございます。

 それから、どの程度間をあけるということは一切考慮されておりません。だから、対象者がおればもう一度3剤併用が単にできるというだけだとお考えいただければいいと思います。

 熊田先生、よろしゅうございますかね。

○熊田座長代理 今、わかっているのは、テラプレビルでだめだった人にシメプレビルを使って、もうSVR12まではうちも15例も来ていますから、これはいい。

 だけれども、シメプレビルをやってだめな人にバニプレビルというデータは、世界中どこもないですからこのくらいの文章しか、ほかにないのではないかと思うのです。

 ですから、もう本当にプロがやって価値があるということは、そのときは認めますということで、それは都道府県の判断でいいのではないかと思うのです。

○林座長 少数例ということはあるのですけれども、これはもう今さら臨床試験をするようなことでもございませんし、多くのデータが出てくる可能性もございませんので、この程度の文章でどうしても必要な場合については、お認めをさせていただくという表現になっておりますけれども、よろしゅうございますでしょうか。

(委員首肯)

○林座長 それでは、このままの文章でお認めいただいたということにさせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

 これ以外に、何か御提案、御質問等はございますでしょうか。

○岡上委員 肝臓専門医とはいえ、全員がウイルス肝炎の治療に精通しているわけではなく、今回の件に関し彼らから多分いろいろ質問されると思うのです。

 その際に、事前に耐性株の有無を調べて今回の治療を行うか否かを決めれば医療経済面も含めて有意義と思うのですが、以前の治療で著効が得られなかったので新しい治療法が出たから、一度試みてみようとすると、事前に耐性株(D168)の検査を行わずに治療すれば無駄になる可能性があります。

 耐性株の件は保険適応外ですので、付記としてPEG/RBV/SMVで著効が得られなかった例に本治療を行い場合には事前にD168耐性株の有無を調べることが望ましいと記載しては如何でしょうか。

○林座長 この文書は、各都道府県に行くのですけれども、実は各都道府県の助成の文書は違う表現になっています。今のところ、各都道府県の文書と実際に上がってきた申請を各都道府県の委員会が拒否している場合もありますので、そこで何とかうまく調整が図れています。

 先生がおっしゃるように、この文書がそのままいくとちょっと問題になると思いますが、各都道府県ではこのままの文書になるところとならないところがありますね。

○大座室長補佐 座長ご指摘のとおりです。

○林座長 だから、肝臓を専門にしてわかっている人だと、先ほどの八橋先生のお話のように、恐らく調べてから投与すると思うのですが、岡上先生がおっしゃるように、何も考えずにこの文書だけごらんになって、やってみようかという人が出てくる可能性はもちろんあると思います。

 どうぞ。

○鈴木肝炎対策推進室長 当然、この審査といったところが、専門医の皆さんが担当することはあると思いますので、まさしくその部分を専門性という形で委ねようというものでございます。

 ですので、先ほど学会のガイドライン等のことも話しましたが、学会サイドからもしっかりとした教育というものは引き続きしていただきながら、こういったものをやっていただければなと考えております。

○岡上委員 御存じと思いますが、その審査する方が肝臓の専門の方ばかりではなく、かつ都道府県によっては本当の意味の肝臓の専門医がほとんどいないという現状があります。

○林座長 何か、この文章でつけ足すか。

○岡上委員 例えば「検査するのが好ましい」というのはだめでしょうか。

○林座長 調べて、治療が適正であるとするときについては、そういうのは可能だとは思います。

○岡上委員 保険で認可されていないと記載は無理でしょうか。

○林座長 保険が認可されていないですからね。

 ガイドライン上は、その耐性のケースについては記載ができるのですけれども、医療助成上のところは記載ができないということになっています。

 どうぞ。

○八橋委員 実は、再治療に関しては、現時点でも、まだ学会のガイドラインにも明確に記載されていません。今後、学会のガイドライン委員会でDAAs既治療例に対する再治療に関しては検討いただくべきかと思います。また拠点病院に関しては、拠点病院間の合同会議もやっていますので、その中で情報交換とか再治療に関する研修会もおこなうなど、拠点病院同士で密に連携をとるということで対処するしかないと思います。

○林座長 どうぞ。

○鈴木肝炎対策推進室長 ちょうど1月に、また70カ所の拠点病院を集めた会議がございますので、今、いただいたような御意見とか、この戦略会議の報告という形でお伝えさせていただく形で、今、八橋先生がおっしゃったような形のところに向けて、取り組んでいきたいなと考えます。

○林座長 各都道府県に諮ってからでも文章を書けますので、1月の会議でそういうことを各都道府県に言っていただくと、都道府県ではそういう記載項目を載せられる可能性が大きいとは思っておりますが、それでよろしゅうございますか。

(委員首肯)

○林座長 岡上先生がおっしゃるように、確かに単にやってみようというところが出てくるかもわからないと思います。

 恐れ入りますけれども、その拠点病院の会議のときに、そのことについても御報告いただきたいと思っています。

 ほかに、御意見ございませんか。

 なければ、非常に早くて申しわけございませんが、これで会議を終わらせていただきたいと思います。

 本日は、どうもありがとうございました。


(了)
<本件に関する問い合わせ先>

健康局疾病対策課肝炎対策推進室

新川智之: 代表電話: 03-5253-1111(内線2948 )

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