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2014年10月16日 第4回保健師に係る研修のあり方等に関する検討会 議事録

健康局

○日時

平成26年10月16日(木)
15:00~17:00


○場所

厚生労働省共用第9会議室(19階)


○議題

1 管理期及び統括的な役割を担う保健師の研修のあり方等について
2 その他

○議事

○村嶋座長 では、始めていいということでございますので、皆さん、おそろいですし、5分ほど早いですが、始めさせていただきます。

 「保健師に係る研修のあり方等に関する検討会」は、日がたつにつれてとても重要な検討会だなと思います。成果を出して、次のより国民の健康に資することができるようになることを期待しております。

 きょうは第4回なので、始めさせていただきます。

 では、事務局のほうから出席状況と配付資料の確認をお願いいたします。

○保健指導専門官 まず、本日の出席状況ですが、佐藤構成員から御欠席の旨御連絡をいただいているところです。

 次に、配付資料の確認をさせていただきます。

 まず、議事次第がありまして、おめくりいただきまして座席表がございます。

 資料1。

 資料2「本日の論点(案)」

 資料3が藤原構成員からの御提出資料になっております。

 資料4が中板構成員からの御提出資料になっております。

 資料5が清田構成員からの御提出資料になっております。

 後につけてある1枚紙で、資料6として「今後の検討の進め方(修正案)」。

 最後、資料7で「これまでの議論の整理(中間とりまとめ骨子案)」になっております。

 ほか、構成員のみですが、中板構成員資料の別添として、横の紙でこのようなものが配付されております。こちらにつきましては、検討会終了後に回収させていただきます。

 以上でございます。資料に不足や落丁等がございましたら、お知らせください。大丈夫でしょうか。

 では、以上をもちましてマスコミの方は、カメラをおさめていただきますよう、御協力のほどをお願いいたします。

○村嶋座長 それでは早々、本日の議事に入りたいと思います。

 まず、事務局より資料1、2について御説明をお願いします。

○保健指導専門官 では、資料1と資料2につきまして、御説明をさせていただきたいと思います。

 資料1ですが、検討の主な意見という形でまとめさせていただいておりますものです。

 斜線字の部分が前回の検討会による御意見として、追記して記載されております。

 まず「系統的な研修体系の必要性」では、目標となる安定的なモデルがないと、目指すべきキャリアパスが描けず、保健師のモチベーションが維持できないでありますとか、研修がシステム化されて、明示されていることが望まれるということ、1ページ目の最後ですが、管理職になりたい保健師もスペシャリストを目指す保健師もいることから、多様なパターンの中からモデルを示すことの意味合いが大きいのではないかという御意見をいただいているところです。

 おめくりいただきまして、2ページ「各期における課題等について」で、斜線の部分を少し説明させていただきます。

 後段部分のところでは、県、保健所、市、それぞれの役割についての御意見をさまざまに頂戴したところです。

 3ページ目の上のところは、保健師の場合も新任期、中堅期等々、それぞれの課題があって、能力があることと、民間企業で職位が上がっていくに従って求められる力の層化と根本的なところは一致するのではないかという御意見もいただいたところです。

 おめくりいただきまして4ページ目ですが、前回、産休、育休のあたりを御議論いただいたところでして、産休、育休中のキャリアの継続支援であるとか、民間企業における取り組み等に関しての御意見をいただいたところです。

 中堅期の保健師に求められる能力に関しましては、現行課題を見出し、発案し、企画していく能力であるとか、事業の優先度をつける能力が必要であるために、保健師自身が納得できる考えを見つけて、自分のものとして健康課題を捉え、明らかにする能力が必要であるということ。また、中堅期以上の保健師には、自分で考えて、それを確認する機会、またそれを評価してもらう機会が必要であって、研修がその機会と位置づけられるとよいのではないかという御意見をいただいたところです。

 「統括的な役割を担う保健師、管理期」においての御意見ですが、5ページ目の上段の部分になります。中堅期や管理期になると、基本的な能力に加えまして、指導力や人材育成、管理能力が加わるというような御意見ですとか、地域保健においても健康課題自体が劇的に変わっている中で、第一線の保健師には変革する力が求められているという御意見をいただいたところです。

 5ページ目の下の部分ですけれども、主に県立大学等々の連携の仕方というあたりで御意見をいただいたところです。

 大学側の保健師の現任教育にかかわる効果としては、大学側にとっては具体的に現場の実践、方法論等の研究につながるとか、大学の社会貢献、地域貢献という役割があるので、それを自治体及び大学側がそれぞれに活用すると、ウイン・ウインの関係が築けるのではないかという御意見をいただいたところです。

 また、6ページ目の中段から少し下のところですが、県立大学等や地元リソースをどのように活用されているのか、連携状況等のデータを収集することで、実態を踏まえたより深い議論ができるのではないかという御意見もいただいたところです。

 あと、6ページ目の後段部分に関しましては、市や保健所との連携のあり方の中で、どのように研修を深めていくかということを御意見いただいたところでございます。

 資料1に関しましては、説明以外にも貴重な御意見をいただいたところですので、また追記してある部分を御確認いただければと思います。

 続きまして、資料2「本日の論点(案)」につきまして、御説明させていただきます。下のほうに○で1を囲ってあるものになります。

 まず「本日の論点(案)」ですが「管理期の研修のあり方等について」ということで、管理期の保健師が全て管理職であるとは限らず、どのような対象設定とするのかを整理する必要があるのではないかということ。

 また、2番として、管理職になるためのキャリアパスと、現場での実践力を育成するためのルートとは別に考える必要があるのではないかということになります。

 続きまして「統括的な役割を担う保健師の研修のあり方等について」ということで、1としては、統括的な役割とは具体的にどのようなものか。また、その役割を果たすためには組織の中でどのように位置づけられることが必要か。

 2としては、統括的な役割を果たすためには、どのような能力を身につけることが求められるか。

 続きまして「保健師の研修の考え方等について」ということで、前回もお示ししている論点になりますが、1番として、体系的な研修体系の構築に向けて、保健師の実践力を階層化して整理し、各期においてどのような能力を獲得していくことが求められるか整理する必要があるのではないか。

 2としまして、研修を効果的に実施するためには、県立大学等の教育機関を含めた関係団体と地方公共団体との間でどのような役割分担・連携が考えられるか。

 3としまして、産休や育休を取得している保健師のキャリア継続支援を推進するためには、どのような方法や体系が考えられるか。

 資料2につきましては、以上になります。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 ただいまの御説明に対して御質問や御意見等いかがでしょうか。

 特によろしゅうございますでしょうか。

 そうしたら、きょうは3人の構成員から御説明がありますので、特に今、御質問がなければ、次に進んでもよろしゅうございますでしょうか。

 きょうは、最初の論点のところにもありますように、管理期と統括的な役割という意味で、本当に大事なところでございます。

 では、構成員の説明の最初、藤原構成員「統括保健師に関する調査報告より」についてお願いします。

○藤原構成員 では、資料3をごらんください。

 全国保健師長会で行いました、統括保健師に関する調査ということで、きょうの御議論のベースラインになるような情報提供ということで、御理解をいただきたいと思います。

 全国保健師長会自体は、自治体に所属する係長等以上の管理的な立場にある保健師の加入している団体で、会員数が全国で5,000人ほどいる状況でございます。

都道府県は職位に沿ってある程度の役割規定みたいなことが明確な部分が多いのですが、市町村に関しましては、組織機構の違いですとか、業務の分担の仕方ですとか、それによってかなり状況が違うということがございます。保健師長会自身は会員が統括保健師である方がかなりの割合で含まれているのですが、そのあたりの実態をきちんと把握しておくべきだということで、このような調査をさせていただいたということでございます。

 「調査の概要」資料3の下のほうになりますが、アンケート調査という形でさせていただきました。これは指針が出る前でございましたので、統括保健師の定義もこちらに書いてありますような「様々な部署の課題を組織横断的に検討し、市町村の政策の中で、健康づくり事業が推進できるように中心的役割を果たす保健師」それから「まちづくりの視点から政策に反映した活動が可能となるように体制が整えられる保健師」ということで、ある一定の共通理解のもとにこの調査をしてございます。

 この実態を把握して、配置が進む要因ですとか、そのあたりのことを分析していくために、調査を実施してございます。

 調査期間は平成2412月ということで、調査自治体と書いてございますが、実際は自治体に所属する会員に対して調査をしてございますので、自治体の総意としてのお答えではなくて、それぞれの自治体に所属している会員が現状をどのように把握して、現状認識をしているかというところで調査をしておりますので、その辺だけ御留意ください。

 それぞれ会員の市町村数ですとか、回答数はこちらにお示ししたとおりでございます。

 右側に移りまして「1 統括保健師配置状況」でございますけれども、お答えのありました319の市町村の中で、約半数の自治体に統括的役割を担う保健師を配置しています。

 左側のグラフのほうで「いる(組織上の定めあり)」と書いてございますが、これが2番目の●にございますとおり、事務分掌等のある程度の組織上の定めがある統括保健師が8.2%ということで、1割未満という状況でございました。

 実際のところは、組織上の定めはないけれども、統括的役割を担う保健師がいると回答している市町村も合わせますと、約半数というところでございます。

 右側のところでは「統括保健師の配置は組織上の定めがあるべきだと思うか」ということに関しましては、85%の市町村の保健師が必要だと回答しております。

 下に移りまして「2 人口規模別統括保健師の配置状況」でございますが、市町村の人口の規模別に分けまして、配置状況ということでデータをとってございます。

 赤で示してある「いる」というのが、先ほどの「いる(組織上の定めあり)」というところと一致をいたします。黄色のところが上の「統括的役割を担う保健師」がいるというところと一致いたします。

 人口20万以上の自治体はやはり統括保健師・統括的役割を担う保健師両方とも合わせて全体の7割近くに統括保健師がいるという状況でございます。ただ、人口20万以下の自治体では、配置のないところが約半数あるという状況がございました。

 おめくりいただきまして「3 統括保健師配置の必要性」に関しましては、319全部の自治体を調査しましたところでは「必要性を感じる」というお答えを出していただいたところが85%「必要性を感じない」と回答したところが13.8%、44市町村ございましたが、その内訳を右側の円グラフにお示ししてございますが、組織命令系統に合わないですとか、保健師数自体が少ないので統括という役割を改めて置かなくてもよいというところ、分散配置されていないのでそういう役割をとる必要がないというところがございました。

 「4 統括保健師の役職名(職位)」がどういうところになっているかということでございますが、下のほうが組織上の定めがある統括保健師、上のところが組織上の定めはないが、統括的役割を担う保健師がいるという市町村でございます。

 下の組織上の定めがあるというところは、明らかに部長職ですとか職位の高い方の割合が一定程度多くなってございます。統括的役割を担う保健師がいる自治体では、要は位置づけがないところでは、課長級と係長級が主になっている実態がございます。

 右側の上に行きまして「5 統括保健師の配置理由」でございますけれども、保健師自体がぜひ置いていただきたいという要望によるところももちろんあったのですが、両方とも黄色の部分を御参照いただければと思いますが、上司によって部局の組織運営上必要だということが認識された自治体では、それが配置に結びついているというのが、組織上の定めがあるなしに関わらず、同じような状況があると見ていただけるかと思います。

 注目すべきは、都道府県の指導や研修による働きかけも一定の成果につながっているというところがございます。

 「6 統括保健師の配置場所」は、組織上の定めがないところに関してどういうところにいるのかというところを調査してございまして、保健部門を中心とした配置になっております。

 おめくりいただきまして「7 統括保健師が果たすべき役割」でございますが、組織上の定めがあるなしにかかわらず、統括的役割を果たしている保健師がいるところに聞いております。

 果たすべき役割としては「人材育成」「業務調整」「政策立案」というところが期待されているところでございます。

 左側の青いほうが組織上の定めがある、右側の赤いほうが組織上の定めはないが配置があるというところでございます。

 「ジョブローテーション」ですとか「採用計画」など人事配置に関することにも役割を果たすべきだと考えられていることが見ていただけるかと思います。

 下の8番でございますが、実際に統括的保健師が果たしている役割はどうかを聞いてございます。

 同じく左側が組織上の定めがある青いグラフ、右側の赤いほうが組織上の定めはないが配置があるというところでございます。

 組織上の位置づけが明確にあるほうが「人材育成」ですとか「政策立案」の役割を果たすことができているということが見ていただけるかと思います。調整関係の業務は位置づけがあるなしにかかわらず、非常に実際必要な部分でございますので、役割を果たしているというところ。それから「ジョブローテーション」ですとか「採用計画」等人事にかかわる部分は、全体的には実際に果たしている役割としては低率だというところがございます。

 最後、右側に行きまして「9 果たすべき役割と実態の比較」でございますけれども、159全部を比較してみたところ、果たすべき役割と実際に果たしている役割のギャップがどこが大きいかということでございますけれども、やはり「政策立案」でありますとか「採用計画」「ジョブローテーション」等、政策のことですとか人事のことに関しての関与が非常に低率になっておる。実際の業務に役立つような保健師業務に係る役割は果たせているという現状が見ていただけるかと思います。

 この調査自体は、平成24年に行っておりますので、指針がまだ出される前でございました。なので、指針が今回、出されたことによりまして、各市町村でもまた変化が出てくるかと思いますので、改めて実態等は把握していく必要があるとは認識しております。

 御報告は以上でございます。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 ちょっと時間があるので、今の説明に対して御質問とか御意見とか感想とかございますか。

 曽根構成員、どうぞ。

○曽根構成員 調査方法について質問なのですが、これは個人に対して調査をしたのだけれども、回答はその市町村を代表した回答ということで理解していいのですか。

○藤原構成員 会員全員に調査しているのではなく、市町村を代表してある代表者に調査し、同じ自治体から複数回答が来ないようにしております。

○曽根構成員 もう一つ質問ですが、中身で、統括保健師の定めがあるというのは、具体的にはどういうところにどのように書かれているということですか。

○藤原構成員 事務分掌上に、例えば保健師業務に関する統括などとか、この役職・組織の業務が明確に記載されているということです。

○曽根構成員 その場合は、誰かが人事異動の際に役割を与えるということになるのですか。決めるのは誰なのかというところはいかがでしょうか。

○藤原構成員 事務分掌自体は組織の中で決定されます。

○曽根構成員 つまり、定めがある場合もない場合も、いずれの場合もその人が統括的な役割を果たすと決めるのは誰なのですか。

○藤原構成員 組織上の定めがある場合は通常そのポジションでありますとか、組織の業務がということですので、そこの保健師の課長なり係長になりにその業務がついてくるということだと思いますが。

○曽根構成員 それは人事異動と一緒に変わるということですか。

○藤原構成員 通常、事務分掌でそこに定まっていれば充て職になりますので、異動すれば着任したものがその仕事をやるとううことです。

○曽根構成員 では、定めがない場合の統括保健師というのは充て職ではないので、それは誰がどのように決めるのでしょうか。

○藤原構成員 それに関しては、実態を細かくまだ調査ができてございませんので。

○村嶋座長 よろしいですか。

 どうぞ。

○永江構成員 1点ほど。この統括保健師が果たしている役割の中で、人材育成とか採用計画までずっとあるのですが、いわゆる組織横断的な調整機能的な役割というのは、この回答の中には対外調整のところに入っていますか。

○藤原構成員 組織が異なるセクションですとか、他機関ですとか、そういうことになると対外調整になるかと思いますけれども、組織内の業務調整という横断的な総合調整みたいな話ですと業務調整に多分入っているのだと思います。

○村嶋座長 よろしいでしょうか。

 とても統括保健師とは大事なのだけれども、位置づけられているときとそうでないときとあって、微妙だなと思いました。

 ありがとうございます。

 では、中板構成員のほうから、お願いいたします。

○中板構成員 私のほうからは、日本看護協会で取り組んでおります研修と統括保健師の考え方を少しお話しさせていただこうと思います。

 まず、きょうの資料の中の最後の意見から説明させていただき、その後、意見が出た背景などをお話しさせていただこうと思います。

26ページ「意見」というところです。4点ほど挙げております。まず1点目が、保健師としてのキャリアパス制度の導入をそろそろ検討してもいいのではないかと考えているということです。

 キャリアパスというのは、例えば給与体系ですとか、人事制度、キャリア形成のための研修といったことが構成要素になるわけですけれども、こういったことも含めて考えていかなければならないのではないかと思っているということが1点。

 こちらは、キャリアパス制度を導入している一般企業等を含めて、目的意識がはっきりしてくるので、自分のキャリア実現に向けての夢を追いかけやすくなると考えます。目的意識がはっきりと刺激されて、いわゆる他職種、事務官に対しても、保健師の活動の理解を促すことにもつながっていくのではないかと考えております。

 キャリアパス制度ができれば、保健師の活動やその意義が可視化されることになりますので、保健師の活動が見えにくいと言われる中で、役割が明確になるという効果もあると思っております。

 それと、標準的なキャリアパスで、いわゆるマネジメント部門でキャリア形成していく人と、保健師活動そのものの実践のエキスパートを目指していきたいと、それはいろいろなパスがあるのではないかなと思っております。そういったいろいろな道筋も含めて検討していく、その中でのラダーを一段階ずつ上がっていけるようなクライテリアというか判断基準を明確にしていく研修プログラムが必要なのではないかと思っているということです。

 3点目ですけれども、キャリアパス制度を導入していくことによって、モチベーションを維持する、あるいは向上してくことにつながるということは一般的に言われていることですが、そのインセンティブが担保される必要があります。人事制度、給与体系と連動していくことが不可欠なのではないかと思っているということです。

 もう一点、最後、統括保健師のことですが、統括保健師は事前に統括保健師に関する研修を受講することが条件となるのが望ましいのではないかと考えております。これもキャリアパスの中のラダーの一環になっていくのではないかと思っておりますけれども、研修受講をしたということが1つ、自分が統括保健師として機能していく覚悟と役割認識という責任の強化にもつながるのではないかと考えております。

 こういう意見を出させていただいた背景について、説明をさせていただきます。

 最初のスライドに戻っていただきまして、3ページ、保健師の成長イメージということで、一例として出させていただいております。現在、全体的には新任期が1年~5年、それから、ここを中堅期としてまとめている自治体もありますし、分けているところももちろんあると思うのですが、分けているほうを採用させていただくと、中堅前期、中堅中期、中堅後期という形で、その後、統括保健師を入れて、管理的な保健師という形で一旦、書かせていただいております。けれど、日本看護協会のほうで、統括保健師の研修のプログラムを検討しながらつくっていくときに、この枠組みについては、非常におさめどころに迷ったというのがあります。

 それは、新任期、中堅期、それぞれ、このようなイメージの形で書かれてはいますけれども、実はこれは5年~9年、10年~14年、15年~19年ということで、要するに経験年数を積むという、求職や退職など辞めなければ中堅期になるというものです。時間がたてば、自然と中堅期になり、やめなければ自然と管理期になるという、階段を一段一段自分として確実に自分の中で自己昇華をしながら上っていくというよりは、働き続けていれば知らない間に管理期になるというような位置づけの中に、統括保健師というものの研修プログラムをどう位置づけたらいいのかというのは非常に悩ましいと感じました。

 統括保健師は、指針でしっかりと書いていただいてありますように、いわゆる組織横断していく、そして、健康課題を組織の中でしっかりと提言し、それに見合った活動計画を立てていくという、その政策提言をしていく集約者になるというのが一番の機能ですので、やはりそういう機能を持ったということで、1つのある意味、統括保健師だけはパスに近いものがあるのかなと考えております。全体の現状の中でどう位置づけるかというのは、あえてここに置いておりますが、管理的保健師の後ろなのか、中堅後期と重なるのかということも含めて、非常におさまりどころに悩んだというのが1点あります。

 スライドの4ページ目ですけれども、統括保健師の位置づけに関する考え方として、ラインの機能と、行政の組織はラインが常套ですが、スタッフ機能というものももちろんありまして、統括保健師がどの位置がいいのかについてもかなり検討はさせていただきましたが「『統括保健師』の役割・機能」と書かれている地域の健康課題の明確化、自分の自治体として今、何を一番優先すべきなのかといったことと、部所横断的な調整がそのためにできるということが1つの機能でして、これはまさに自治体の住民の健康に寄与することが第一命題ですので、これを一番に挙げております。

 そのための条件として保健師の人材育成、配置の2つを挙げておりますが、一番の機能を生かすためには、どの位置に統括保健師がいるのがベストなのかということについては、ラインなのか、スタッフなのかということについては、自治体の人口規模、組織体制によって違うなということは、研修をさせていただいて実感しているところです。

 研修に参加された方たちの状況を見ますと、人口規模が少ないところについては、ライン上の課長が統括保健師も兼務するというか、という形が一番とられている。それは保健師の数も決して多くないので、課長もいて、統括もいてというよりは、課長が統括保健師としての機能も果たす。それでも人口規模によってそういった配置も可能であるということで、例えば政令市あるいは20万以上など人口などが大きくなってくると、課長が統括の保健師の横軸の組織横断も担うというのは非常に無理があります。そういったところについてはスタッフ機能として課長の下に課長補佐的な方が統括保健師になっているといった実態が見られておりました。

 組織が大きくなって、職位が上がれば、当然のことながら、課長の事務分掌は課を統括するという、ある意味一言で済んでしまう話であって、課を統括するということと、統括保健師の組織横断というのは、若干そこがずれてきます。自治体ごとにそこは話し合いをしていく必要があるのかなと思っております。

 次のスライドですけれども新任期あるいは中堅期が何となく過ぎて、何となく研修もいろいろ受けたけれども、果たして研修を受けたことによって実践をきちんと自分の中で、確認作業ができているのかという点です。確認作業ができたことが実践につながっているかというと、なかなかそうではなくて、研修は受けたけれどもという状況がある中で、ラダーをある程度意識しながら厚生労働省保健指導室の助言もいただきながら受けながら体系をつくってまいりました。

 今、実際に行っているのが、新任期については保健指導ミーティング、中堅期については中堅期コンサルテーションプログラム、統括については統括保健師人材育成プログラムという形で用意してあります。

 これは、下の6枚目のスライドではそれぞれ「新任期」「中堅期」「中堅後期~統括」ということで整理させていただいておりますので、また詳しくは見ていただければと思います。新任期の到達目標あるいは中堅期の到達目標、管理期の到達目標というのは、これまでもたくさん厚生科研あるいは保健指導室から出されている報告書等々で既にまとめられております。

 その中でとても重要な新任期については、しっかりととにかく個別支援を判断して活動が展開できることを中心に据えて、新任期については家族の話を聞き、状況を医学的な側面、生活関連の側面から情報を統合して判断し、判断をしたことを踏まえた上で援助計画が立てられ、その援助計画に沿って援助行動ができて、成果を評価できるという、一連の流れが新任期のときにはしっかりと獲得していただきたいということで、保健指導ミーティングは実施させていただいています。

 中堅期につきましては、中堅期コンサルテーションプログラムで、こちらは新任期で個別のところはしっかりとマスターしたことを踏まえた上で、今度は個別を積み上げながら、地域としての課題とは何かということを整理していくということで、PDCAサイクルをある程度、自分の担当する活動の中で回せるということを、かなり丁寧な形でするということを目標に設定させていただいております。

 そうなりますと、新任期の個別の支援をしっかりとできるということがマスターされ、PDCAで活動を回していくことも中堅期の中でマスターし、さらに、経験を重ねた上で、新任期、中堅期にマスターしたことを今度は管理期については指導がしっかりとできるということと、統括はさらに、指導ができるというよりも、そういったことがきちんとできるような環境を保健師の間で整えて、意見を出してきたことを集約し、それを保健師の外の組織の中に還元していくという、あるいは提案していくという、どちらかというと統括は、保健師内向きではなくて、組織の中での役割が非常に大きくなるかなと、ラダーで考えていくと思っております。

 次のスライドはトピックス的なことなので、これはまたごらんになっていただければと思います。

 ということで、キャリアパスがないとラダーもないという感じだと思うのですけれども、そこを保健師としてしっかり上がっていく研修体系と、それから、この緑のスライドのように、トピックス的にそれぞれの時代のニーズに合わせた業務のスキルアップといったところの機能別というのも別個にはあるのかなと思っております。

 次からのスライドは、その具体的な内容ですのでざっと飛ばしていただいて、事前に配付されておりますので、見ていただいたということで飛ばさせていただきたいと思います。

 大分飛びまして25ページ、課題のところですけれども、これまでお話をさせていただいたように、研修受講に対する動機づけがどうしても弱い。これは、研修受講したからといって、それが組織の中での業績あるいは行政評価に何ら影響しないというのが現状ではないかと思っておりますし、保健師自身が受講した研修を、組織内のものにしていくという道筋が整っていない。個人で研修を受けた、推薦されて時間内に研修を受けに来ているわけですが、それを組織に戻ったときに、みんなのものとして共有し、さらに、組織のものとして還元していくという道筋は、自治体ごとあるいは人によるといった状況で、組織内合意が薄いかなということ。何度も申し上げますけれども、研修を受けた人も受けない人も、日々の活動において、表面的には余り変わりはないと感じてしまいやすいといったこともあるかと。

 例えば地域診断については、いろんな要望があって、いろんなところで中堅期などには地域診断1つの研修というのはかなり多く設定されていると思いますけれども、しかしながら、研修終了後の地域診断において、自信が自分の中でついたか、あるいは、研修を利用して再度地域の中でもう一度地域診断をしてみたかということについては、なかなかそこが結びついていないのかなということがあります。このように考えますと、1つの研修を受講するという動機づけが、受けなければといった鬼気迫った動機づけが弱いのではないかと思っているということです。

 また、中堅期のコンサルテーションプログラムですとか、新任期の保健指導ミーティングを実施している際にも、ファシリテーターやコンサルタントといった形で、先輩あるいはOBOGの方にお願いをするわけなのですが、私たちからすれば、非常に頼りにしたい人たちをある意味選択して、お願いをしております。しかしながら、先ほどから言っているようなクライテリア、判断基準があって確保するという形が、要するに他者評価がない中で研修を受けてきていますので、皆さん、それぞれ自信がないといったことを言われて、なかなか自信を持って後輩に伝えること、伝承が難しくなってきているのではないかと考えています。

 また、研修受講が人事とは結びついていないということです。

 こういった課題を解決していくためには、キャリアパス制度、キャリアパスを描いていく上での判断基準を明確にして、自分が研修を受けたことによって、自分は例えば地域診断については自信を持っていいのだという、ある意味パスをしっかりと提供するという形がそろそろ必要なのではないかと考えているということです。

 以上です。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 ちょうど時間ですので、御質問もあるかと思いますが、次に清田構成員に。

 せっかく配付してあるので、こちら何かありますか。

○中板構成員 簡単になのですけれども、これは、これは47都道府県の各都道府県看護協会職能委員長にそれぞれ調査をしていただいていますので、調査の仕方が職能委員長によって違います。現在、ブロックごとの会議が進んでおりますが、関東甲信越と東海北陸のブロックが終了しました。そちらでの意見を聞いていますと、皆さんそれぞれ市町村に電話をされて、市町村から聞き取りをされているという状況で、統括保健師がいるのか、事務分掌はあるのかということを聞いていただいております。

 今回、統括保健師はかなりしばりをかけて調べさせて頂いています。事務分掌がある場合、または、組織横断している、要するに、自分の課だったら自分の課を超えている、自分の係だったら自分の係を超えていわゆるミーティング等を実施しているという、非常に限定した形で聞いていただいております。

 全部数で言うと1,741の市町村のうち、そのようなかなり限定した形で統括保健師が1人いますということで答えていただいているのが464自治体でして、464自治体ですが、統括保健師の人数は489人ということで、ダブルカウント、2人というところもありますが、2人のところについてはどちらが本当の統括ですかということも聞いていて、それは星印がついているというとこになっております。

 事務分掌も、先ほどの曽根構成員からの御質問もありましたが、大方はその所属の部長に了解をとって、部長にこのような形でというか、部長が提案されている場合もありますしということで、事務分掌は書かれているところでした。

 実際に事務分掌があるのは、まだ464市町村のうち125で、まだないというところが243ですので、事務分掌はまだのところが多いですね。

 しかしながら、時間がないのでよく見ていただければと思いますが、保健師全体の統括、あるいは総括、あるいは保健師の取りまとめの部分です。例えば三重県などの事例でいくと、保健師の専門職の育成研修に関すること、分散配置保健師の連携の推進に関すること、地域全体の健康課題の明確化と効果的な保健活動の推進に関することといった形で、かなり指針を活用していただいているなという自治体も見えてきております。

 それから、部署のところも、保健衛生部門に一番保健師が多いですし、集約するにはいいかなと思いますが、保健衛生部門以外にも福祉、地域包括支援センターのところに課長が行っている、その課長が統括になっているという自治体も中にはまだございます。

 現在、これらについては精査もしており、公表には承諾も必要ですので、今回は経過ということで報告させていただきます。

 以上です。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 では、いろいろ御質問もあるかと思いますし、私も聞きたいと思うことはあるのですが、清田構成員にお願いいたします。

○清田構成員 それでは、資料5、本日配付させていただいております、北九州市から実践の報告としまして「『キャリアパス』構築のプロセスと課題」を報告させていただきます。

 下のほうに小さくページ数がございますので、それで説明させていただきます。

 北九州市の紹介を簡単にさせていただきますが、政令指定都市で7つの行政区がございまして、人口は平成2210月1日現在で約98万人でございます。

 資料3ページですが、ここで北九州市の保健師の配置状況を説明させていただきます。

 正規の保健師が156名いまして、行政区が7つと先ほど言いましたが、市役所と区役所で構成されていますが、市役所が企画部門の組織で、区役所が住民サービスの部門です。市役所のほうは、4局9部13課に分かれまして、30名の保健師が配置されております。そして、区役所のほうが住民サービス部門ですが、7つの行政区それぞれに1つずつの課がありまして、126の保健師が配置されております。

 ここの係を見ていただければ、地域保健係といいますのが、保健師が地域担当制で業務をしている部署です。あとは、括弧に書いていますが、精神を担当しています精神保健福祉相談の保健師と、地域包括支援センターの保健師がいます。本市は、直営で地域包括支援センターを設置しておりますので、正規保健師が配置されております。

 4ページに移りまして、ここで北九州市の保健師の目指すべきキャリアパスと研修の内容を説明させていただきます。

 4ページと5ページであわせて1つのものです。まず4ページで説明させていただきます。

 まず、一番下に「希望する階級別割合」を書いています。これは、平成23年2月に作成して、現在も活用しているものですが、その時点では現在より保健師は20名少なかった状況の中で、課長ポストが一時期ない時期でございました。そのときは、部長ゼロ課長ゼロという配置の中ですが、まず希望する階級別割合として、部長1、課長4ということを望みまして、私どものキャリアパスを構築しようと思っていました。

 まず真ん中が、キャリアパスで、右側が、上に書いてあるとおりその段階で習得したい項目、左側がそれを習得するために必要な研修体系を書いているものです。

 まず、真ん中のキャリアパスのスタートは、入職時になります。このときの条件としまして、点々のところに書いてありますが、「対人保健サービスを経験できる職場」に配置をするということ。それともう一つは「同職種が複数いる部署」に配置するということを条件としまして、入職を考えております。そのときには、入職する場所は区役所の保健福祉課の地域保健係、地域を担当する部署に置く。そこに3年間置いて、そこで習得をしていきたい内容は、行政職としての基本的能力をつけたい。

 そのためには、左側にあります研修体系としましては、下から読んでいくことになるのですが、プリセプターが日常的かつ直接的な指導を担当していく。

 その上に書いてある研修ですが、下線を引いているものは事務官も含めた研修でして、職員研修所という市職員全体を担当しているところで実施しているものが下線で引いている部分、引いていないのが保健師特有の研修として書いていますが、まだやりたいのだけれどもできていないというものには※印をつけております。

 新人に関しましては、事務職と共に新規採用職員研修がありますし、また、新規採用職員の指導者研修があります。そして、新任保健師研修をまだ実施していないのですが、業務別研修は開催しているという状況です。

 また、採用2年時研修は事務職含めて全体で行われているというものです。

 さらに上に上がっていくのが、めくっていただいて5ページ、それにつながるものなのですが、その後4年間は、これはまたはで組み合わせるのですが、本庁、市役所に配置されるか、または人事交流として他の局で学ぶか、または同じヘルス部門、地域を担当する部門で継続されるか、さらに、地域包括支援センターに行くか、その道筋はどれでもいいのではないかという分かれ道を準備しております。

 この段階での身につけたい能力としましては、企画調整能力、専門能力をこの段階で、さらには、地域保健の活動能力や個別支援能力もこの段階では身につけていきたい。研修体系は、そういう意味では中堅の研修からプリセプター研修もこの段階で受けたいと、左手で書いているものです。

 さらに上に上がっていきますと、今度は5年間、係長のもとで動く主任なのですが、主任を5年間経験したい。北九州市はこの主任になる段階で、試験制ですので、みんな試験を受けて、この段階へ頑張って上がろうよという流れになります。この段階では、横に3つ並べておりますので、5年間で複数いければと思っていまして、区役所の地域保健係か、精神担当かというところを書いているものです。ここでは、より専門能力、行政能力を身につけていきたい。

 その後の、上にさらに上がりまして、今度は係長ですが、係長は12年を経験したい。12年間ですので、このときに市役所と、区の統括支援センターといいますのが地域包括支援センターをバックアップする機関として本市で準備しておりますので、そこの係長として配置または地域保健係の係長。

 さらに上がりますと、今度は課長職として8年間本庁か区役所か。

 さらに、6年間部長職を区役所でやる。こういうことを目指したいということを書いているものです。

 当初、これを企画したときに比べますと、課長職ができたわけで、位置が確保できたのですが、まだ部長までの確保はできておりません。

 このキャリアパスを作成するときの考え方を6ページ目に書いております。目指すべきキャリアパスや研修を作成する上で何を私たちが考えたかというところなのですが、1つ目は、キャリアパスの確立については、部長、課長になるための理想的な配置として保健師のキャリアパスを確立して、しっかりと部長、課長になれるように育成を図りたいのだということです。

 (1)にあるように、職員時に区役所の地域保健係や地域包括支援センター、本庁、他局を経験したい。係長になったときには、同じく地域保健係や統括支援センター、本庁を経験したいと、ここは大切だと考えています。

 プリセプターについては、新人においては必須であるし、主任クラスの保健師が指導を担当していきたい。

 3つ目は、課長、部長の配置をしっかりと確立したいということを考えていました。

 また、4つ目は、階層別研修を充実させていきたい。

 5つ目は「精神保健福祉相談員の位置づけと明確化」と書いていますが、この役割は、このときは職員級が配置されていたのですが、保健師からしますと主任級、さらには係長級が配置されないと、この役割は果たせないという思いがあって、キャリアパスをつくっていたところがあります。

 7ページ目は、キャリアパスを私どもがつくる背景を説明させていただきたいと思います。

 北九州市の経営プランですが、平成2012月に先ほどのキャリアパスに先立って経営プランが作成されております。将来的に厳しい財政状況の中の経営方針ですが、その中に、3つ目の○に書いていますとおり、少数精鋭の組織づくり、また、多様な経験を持つ人材や専門分野に強い人材の登用というところが本市の経営プランとして掲げられております。

 その経営プランを受けまして出されたのが、その下の人材育成基本方針です。それが平成21年2月に策定されまして、市としましては、今後の限られた行財政資源で、市民ニーズに的確に対応していくために、職員の育成や職員自身の能力開発などの人材育成を推進するための基本的な方針として、3つ目の○にあるとおりに、まず「能力開発」の研修など、また「能力の実践」のOJT、そして「実践の評価」人事考課を人材育成の一連のサイクルで捉えて人事部門、研修部門、職場が一体となって取り組むということの基本方針が掲げられております。

 次の8ページ目に書いてありますのが、北九州市の人材育成基本方針の中にあります、事務官も含めた研修体系がこのようなもので、職員研修の中の職場外研修、そして、基本研修の中にあります階層別研修と、階層別の研修が準備されておりまして、ここに書かれているのは全て実行されております。

 さらに、9ページ目に移ります。今回、キャリアパスをつくった目的のところをもう少し説明させていただきたいのですが、先ほどの北九州市の人材育成基本方針を受けて、保健福祉局ではこのような保健福祉関連専門職種のあり方の作成に着手しました。

 この目的は、各専門職の自覚形成と、人材を少数精鋭という方針が出されましたので、その中でどうやって専門職を確保するかという課題の中で、保健福祉局としてこれを作成して、採用計画にあわせて人事に提出し、技術職の採用に必要性の理解を深めるという目的を掲げております。

 対象の中に保健師も入っております。

 この「はじめに」と書いている文章の中身が問題提起としてわかりやすいので、ここに挙げさせていただいたのですが、限られた人員の中、施策の企画、立案、実施が担当できる専門職員を効果的に配置する必要がある。(事務職定数を減らしてでも、専門職の採用を増やし、適材的所に配置することによって、結果的に現状よりもスリムな運営が可能となる)しかしながら、各職種に、明確な将来像(キャリアパス)、効果的な人材育成がないため、モチベーションが上がらず、管理監督者となるための育成(教育)もできていないため、政策決定を担うポスト(部課長)に配置できる人材は極めて少ない。というように、手厳しい問題提起からスタートしたものでした。

10ページ目に移ります。保健師に関しましては、まず住民サービスを提供する保健師がどうあるべきかという観点に立とうということで「区役所保健師のあり方」を作成することといたしました。

 まずは、キャリアパスをつくる前に、項目の1にありますとおり「保健師の果たすべき役割と業務」に今、どんな課題があって、何の見直しが必要なのかというところの業務の見直しから行ってきました。

 その中で、四角の中に書いていますのは、業務検討の中でまとめられた保健師の配置とか人材育成についての課題でした。

 1つ目は、例えば生活習慣病予防や重症化予防、育児支援や虐待予防ということを検討している上では、地域担当保健師の効果的な配置がより必要であるという見直しや、保健師の業務を包括的・効果的に推進するためには、保健師業務を統括することが必要だということは、業務の見直しの中から出てきました。

 また、住民主体の健康づくりを進める上では、1人の保健師が2つの小学校区を担当とすることを基本としないと、実践が厳しいということ。

 また、地域包括支援センターの業務とか精神保健福祉業務というのは、単なる地域担当保健師が一時的にぽんと飛ばされるような意識の中では人材育成にならないということで、保健師のキャリアパスに欠かせない業務としてしっかりと配置すべきだという課題が出てきました。

 そのような業務の見直しをした上で、3の「人材育成システムおよび基本的な人材配置案(採用から退職まで)」というのを作成したことは、先ほどのキャリアパスにつながっております。

11ページのほうで、作成の時期とか期間なのですが、実際、平成22年5月に局の総務の事務官からワーキングリーダーだった私のほうに、保健師のあり方の作成依頼がありまして、5月中に市役所内にある保健師係長と協議をして、各業務の課題をまとめて、あるべき姿をまとめて、国や市の方向性を踏まえて優先度の検討をしました。大体1カ月間で原案を作成して、それをさらに区役所の係長や精神の担当者等で見直しし、8月には専門職種のあり方のほうに提出して、まとめて、あり方が作成されました。

 平成23年2月には、それが保健福祉局総務から人事課に提出されたという流れがあります。

 さらには、11月にはこれを全保健師に周知しようということで、区役所の保健福祉課長宛てに通知して、全保健師に情報提供しているものです。

12ページに移りますと、作成体制なのですが、今回の平成22年に作成に着手する前に、平成20年から作成が行われておりました。ちょうど経営方針が出されたころから、保健福祉局としても人材のあり方を検討していたわけなのですが、これを出してなぜこのときできなかったかというものなのですが、局長・部長のもとの各補職の課長たちで構成されたワーキングをつくったのですが、この課長たちはそれぞれ業務を持っている中で、保健師の検討も複数の課長がしたわけなのですが、業務の取りまとめはできるのですが、横断的な集約まではこの時点ではいきませんでした。そのために、人材育成のあり方についてもまとめることが難しかったというのがこの時点でした。課長職の中に保健師もいなかったという実情もあったかと思います。

13ページに移りますと、今回の体制なのですが、平成22年5月には見直されまして、専門職ごとのワーキングリーダーが設置されました。保健師に関しましては、私自身が係長職だったのですが、ワーキングリーダーとなりましてスタートされました。

 まずは、ワーキングメンバーに、先ほど申し上げたとおりに、市役所の係長を集めてまず原案をつくったという流れでした。

14ページに移りますと、作成の段階を説明させていただきます。

 作成の1段階目、市の保健師の業務内容・課題を情報収集するということです。多部署に配置されている各保健師係長が、それぞれ自分が担当している業務の現状、課題についてまとめて情報収集するわけなのですが、この1段階目は多分野、多部署に配置されている実態のありました以前からしておりました。

 2段階は、キャリアパスの考え方を理解して、業務課題を見直す中で、人材育成、とキャリアパスが一体になることが、組織の対応能力を向上させるということの認識したところです。平成20年、先ほどの第1弾のワーキングメンバーができたときに、初めてキャリアパスという考え方を私たちが理解した段階でした。

 3段階目に、平成22年のときに、横断的な考え方を入れまして、さらに、厚生労働省や各検討会による文献で、包括的な検討をしようということで、横断的なライフステージ別や業務別のまとめをしました。次の4段階目に行ったときには、このときは市や局の運営方針を踏まえまして、言ってみれば保健師自身も市の行財政改革を理解した上で、企画や事務という点でも行財政を理解して、それを保健師自身の人材育成に反映させるべきだという考えを入れた上で、本庁の事務を学べるような人員配置、ジョブローテを考え、キャリアパスを積んでいくということを考えていった結果が先ほどのものです。

 素案ができた後は、5段目では、さらにほかの職種とのすり合わせや、幹部のほうに提供し、調整して、オーソライズをしていく段階。

 6段目では、実践をしていく。人事に提出したり、区役所みんなで共有するということです。

 今後の修正なのですが、来年修正を考えているわけで、本年度末になるかもしれませんが、どうしてこの時期かといいますと、ちょうど地域包括ケアシステムの新たな大きな変換点が今、行われておりますので、地域福祉計画も含めての大きな変換点です。保健師自身もまた改めて考えるべきではないかなということは、他職種も含めて変換点ではないかという議論を今、しているところです。

15ページは、もともとキャリアパスをつくることに至った問題点ですけれども、先ほどの考え方の裏返しになっているものなのですが、私どもが問題と当初考えていましたのが、部長、課長になるための効果的な人員配置自体がされていないのではないか。問題提起として事務方から管理職になるような人材が少ないと言われたわけですが、私どもからすると、そのような研修人材育成をされていないと、しっかりと育ててほしいという思いがまず問題点の1つ目にありました。

 2つ目は、新人育成は、私たち自身の振り返りとしてもっと効果的にしなければいけない。

 3つ目は、役職に、育ててもらった上では私たちもしっかりやりたいという思いがあるのだと、政令指定都市並みにしっかり北九州市にも配置してほしいのだということの問題意識。

 4つ目は、そういう管理職もできるような研修体系になっていないという思い。そして、研修を統括する担当課が、以前はあったのに、必要がないという意見もあって、今はないではないか。

 5つ目は、精神保健福祉相談員は非常に大変なのに、一時期は資格がないという時期があったわけなのですが、それをどう解決していくのかという、問題意識がありました。

 そういう意識を持って、16ページ、次にやったことは、キャリアラダーをまずつくってみようということで、階段状のどの段階で何を習得していけば将来的に部長までいけるのかというところを自分たちで考えたキャリアラダーからキャリアパスに位置づけていったものです。

 最後に、17ページの課題なのですが、現在、キャリアパスをつくって、課題だと感じておりますのが、まず、キャリア形成をしたからには、それをしっかりとジョブローテのほうにつなげていって、OJTが行えるような環境をつくっていきたいと思っているわけなのですが、1点目のジョブローテに関してはまだ十分ではない。達成していっているのですが、まだ完全ではないというのが1つめ。

 2つ目は、研修体系ですが、これも先ほどのように、まだ実施していないところがありますので、十分ではない。

 3つ目の○はこれからなので、ぜひ私たちのモチベーションのためにやりたい。自己申告制度がございますが、その中には、一人一人の保健師がしっかり自分の将来像を描けるように、キャリアパスを理解して、共有して、熱意や意識につなげていきたい。それを行うこと自身は保健師自身の責任、業務を果たすという住民への責任を果たすことになるのではないかと考えているところです。

 以上です。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 もともと考えていらして、市の経営というものができて、このように上手に乗られて、いろいろな思いをここに入れられたというのがよくわかりました。

 訂正があるということでございますので、藤原構成員のほうから言っていただいていいですか。

○藤原構成員 申しわけありません。張りつけてあるグラフが違っておりまして、今、新しいものをお手元にお配りしておりますが、7番と8番のところのグラフは同じデータが上と下に入ってしまっていまして、元のグラフの張りつけミスだと思います。

 「7 統括保健師が果たすべき役割」のデータが差しかわっておりますので、先ほどと比べていただいて、かなり果たすべき役割に関しては高率にいろいろなことが期待されているのが見ていただけると思います。

 申しわけございませんでした。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 では、藤原構成員も含めて、中板構成員、清田構成員に対する御質問をどうぞ、お願いいたします。

 研修と人事とが、北九州はちゃんと結びつくようになったのですかね。

○清田構成員 そうですね。実際には保健師に特化したところはまだ十分ではないのですが、市全体ではそれが前提であるということです。

○村嶋座長 そうすると、ここのどこで研修を受けたら次にどのようになるというのが、保健師のラダーが一応市としてもちゃんと位置づいて考えられるようになったという感じですか。

○清田構成員 そうですね。これを局としても人事としても理解していただいているという段階です。

○村嶋座長 人事の中に保健師がいるわけではないですね。資料を提供なさって、それで人事もそれを考慮して、その人のステップアップを考えていくという。

○清田構成員 人事の中には保健師がおりませんので、保健福祉局がこれをつくった背景には、人事が事務官で構成されているからこそ、しっかり技術職の必要性を提示し、理解していただかないと、技術職の人材確保は難しいと、少数精鋭と同じように削減されたのでは、保健福祉局は実行できないという思いがあったという状況です。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 永江構成員、どうぞ。

○永江構成員 中板構成員と清田構成員に質問があるのですけれども、まず、中板構成員のほうなのですが、県と協会との役割分担ということがすごく重要かなという気もしておりまして、この看護協会の研修制度は本当にラダー的になされているという意味ではすごいなと思うのですが、ただ、そういった意味でキャリアを育てるとか、キャリア候補を育てるとか、次期統括者という形で考えていくと、県が行っている研修体系の中にどう組み込んでいくのか、そのような県としての位置づけが一緒に入っていくと、人材育成という意味ではタイアップといいますか、役割分担も含めてできていったらいいのではないかと思うのですが、そういった意味では、各都道府県の看護協会の中で、県とタイアップしているところというのは、少ないような気もするのですが、そういったところの背景でもし、何か整理されているところがあれば、お聞かせ願いたいということ。

 それと、北九州市さんのほうでは、8ページに北九州市の人材育成基本方針による研修体系がございますけれども、キャリアパスという形で考えていくと、ここの組織、研修体系はあくまでも組織人としての人材育成という受けとめになるわけなのですが、ここの中に専門職の研修というのがきちんと位置づけられれば、その専門職の研修も、統括までラダー的に入っていれば、最終的にはそれを受講した人はある程度部長職までいけますよと認識してもらえるところにつながるのではないかなと思うのですが、そのあたりのところは今の段階ではどのような状況なのでしょうか。

○村嶋座長 どちらからでも。

 まず、清田構成員のほうから。

○清田構成員 8ページ目にありますのは、保健師を含めた北九州市職員全員で受ける研修体系なのですが、それに加えて、確かに永江構成員がおっしゃられるとおり、私たちはそれだけでは足りないと思っていまして、例えば4ページ目の左側の研修体系の下線がない部分ですね。下線部分が先ほどの事務官含めての研修体系です。下線がないところが、保健師に特化したところの研修が必要だと考えるところで、これはプラスしていきたいということで、思っているところです。さらに、残念ながら、※印はまだ実行できていないというところです。

 私どもが考えていますのは、階層別の北九州市職員全員が受ける研修に、プラスアルファこういう保健師に特化したところの研修を加えて、それを踏まえた上で、職位がだんだん上がっていくということをやりたいと思っています。

 これを人事にも提出していますので、私どものほうもこれを人事にも理解してもらっていると思うので、あとはどう実践をしていくかというところで、今、できるところに着手しているという状況です。

○村嶋座長 いいですか。

 では、中板構成員。

○中板構成員 県と都道府県の看護協会との連携についてです。新任期の保健指導ミーティングと中堅期コンサルテーションプログラムですが、残念ながら都道府県の看護協会が両方を担うということは非常に人材的にかなり難しくて、どちらかを選択しているという感じにとっていただいたほうがいいかなと思っています。

 保健指導ミーティングについては、これまでもほとんど、例えば看護協会、21番のスライドでいえば、青森、宮城、富山、長野、愛知、鳥取、熊本が今まで実施したことがないですが、そのほかはほとんど実施をしています。実際にこの白塗りの日本看護協会の保健指導ミーティングは実施していないけれども、これは要するにお金の受け渡しがあるところなので、受け渡しがないところについて、方法論だけはそのまま利用して実施していますということで、保健指導ミーティングに関しては、ほとんどの都道府県が何らかの形で実施している。なぜこれで実施しやすいかというと、これは1日コースなのです。しかも、対象が新任期ですから、行政の新任期についてはなぜ1日にしているかということについては、行政で新任期についてはほとんど100%やられているということがありますから、これは補完的な部分で実施している。

 そういう意味で、看護協会のいいところは、そこに産業ですとか、委託の地域包括支援センターですとか、そういったかなり1年目から非常に1人配置で、1人孤独に就業されている方たちをカバーするという意味で、保健指導ミーティングは非常にいいかなと思っております。

 中堅期コンサルテーションプログラムについてです。こちらは、プログラムをみていただければわかるように、6カ月コースで、しかもいわゆる集合研修とOff-JTOJTを重ね重ねしながら実施している研修ですので、都道府県の看護協会が実施するとなると、先ほど言いましたように、コンサルタントをお願いするというところからぶつかってしまうということがあります。コンサルタントの育成については日本看護協会のほうで育成という形はしていますけれども、育成というか、理解していただいて協力していただくということです。

 ただ、滋賀県ですとか、いくつかの件はこの参考資料に出させていただいたように、スライドの17、滋賀県の研修体系は、県の研修体系の中に中堅期を入れていただいているという形なので、大方は県の研修の中の一環として、県から委託を受けて実施をしているというところが、今、実施している9県はそういう状況です。

 あとの都道府県は今、一生懸命研修のあり方、方法の可能性などを探っている状態です。私としては、看護協会独自でやるというよりも、県と協力し合って、県からの委託の形をとりながら実施のほうが、継続あるいは受講生の成果を現場に戻しやすいということも踏まえて、できる限り看護協会単独開催よりは、県との協力体制をと考えています。そういった点についてもお願いしている関係もあって、全ての都道府県の看護協会で実施という形にはまだ至ってはいないという状況だと思います。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 この県との関係という意味では、保健医療科学院とやっていらっしゃるのは、県からの派遣の人もあれば、だんだんそれは減って、個人でいらしているような感じでしょうか。

○曽根構成員 保健医療科学院の研修受講者は基本的には自治体からの推薦で来ています。全て都道府県あるいは保健所設置市からの派遣という形で来ていますので、個人として来ているのではないということです。

○村嶋座長 そうすると、派遣になると、県に戻って、県の中でちゃんと保健医療科学院の研修を受けたことが位置づけられて、キャリアにつながっていると。

○曽根構成員 そうではないかとは思います。ただ、保健医療科学院の研修は、前にも申し上げたかもしれませんが、受けるのは1人だけですけれども、帰って学んだことを同僚の同じ立場にある保健師に伝えたり、あるいは市町村との関係にいろいろ生かしていただくというところを目指しています。ただ単に、個人がスキルアップするだけではなくて、個人のスキルアップとともに自治体全体のアップを狙っているというところで、それが自治体からの派遣という意味だと理解しています。

○村嶋座長 自治体のレベルアップにつながるということと、人事にそれが反映されるというところの保障というか。

○曽根構成員 そのあたりは国の研修機関としては基本的にそれぞれの自治体のお考えがあるのではないかと考えています。

○村嶋座長 ただ、反映させてくださいとおっしゃることは可能だけれども、今のところ、そういうことはおっしゃってはいないという。

○曽根構成員 そのあたり私たち研修機関の立場で言うべきことなのかというのはなかなか難しいところであると思います。

○村嶋座長 わかりました。そこら辺が、企業が出される場合にはちゃんと位置づけるということで、出していらっしゃるということですね。

○座間構成員 そうですね。あと、お聞かせいただいていて、単純な質問があります。キャリアパスをつくって、最後は統括職になっていく人がいるということは、企業にもあります。統括になるのに適している人、もしくは専門的な分野で、保健師としての専門性の中で活躍する人とキャリアが別れた際に、本人の希望もあると思いますが、職場の上司がしっかり適正を見極めることを同時にしっかりやることが1つ大きなファクターになると思います。

 研修の体系図は大事ですが、加えて、職場の日々の仕事の中での評価や、フィードバックを積み重ねていかないと、ある年代になって急に、あなた統括に向いています、あなた向いていませんと言われても、なかなか腹に落ちていかない。

 企業では、半期ベースで評価をして、賃金に反映していく制度の中でフィードバックしていきます。日々の職場でどういう仕事に向いているか、向いていないかというフィードバックや評価がどのように行われて、機能しているかが、キャリアの考え方の両輪として必要だと思うことが、私は聞いていて一番関心事ですね。

○村嶋座長 その人の適性ですね。

○座間構成員 はい。それは、ありスパンで見極めようという仕組みがあるか、見極められる人材をどのように育てていくかがキーになっていくと思います。

○村嶋座長 いかがでしょうか。

 個人的なところでもいいですが。

○藤原構成員 一自治体の実態からの発言になって申しわけないのですが、実際、人事考課が毎年実施されていく中で、例えば横浜市では保健師のキャリアラダー等の専門能力項目をある程度人事考課に活用してもらうことはやっとシステム化ができたのですが、キャリアラダー自体はある程度10年目ぐらいまでの初任期の人たちの想定でつくっておりまして、中堅期以降の人たちのキャリアラダーはできていないので、行政職員としての評価はできますが、専門職としての評価をしっかりする仕組みが整っている訳ではありません。

 要は、上司が必ずしも保健師でないような状況で、専門的にどういう価値がある仕事ができているかということを正確に見るシステムがないですね。ですから、ある程度統括的な役割をする人が例えば全保健師の面談でもして、どういう業務をしているかといったことを、きちんと組織的に見極めていって、それが人事考課につながるようなシステムづくりまでできれば、そんなことができるのだと思いますが、実施は難しい状況です。現実、自治体の中でもラインの課長職、部長職となっているのは、行政職員としての結果をきちんと出した人たちがそういうポジションに就いているのですが、保健師として保健業務の中でかなり成果を上げていても、行政職としてきちんと見せられるような評価に結びつかないと、なかなかライン職はとれない実情もあると思います。

 今の自治体組織の中で、必ずしも専門能力とか専門的な価値の高い仕事を正確に判断して評価できるようなシステムができるような体制も難しい状況で、統括保健師の配置という仕組みの中で、どう具体化できるのかということは課題かと思っております。

 あと、管理期になる、要は、保健師としての上級者と、組織の中で保健政策自体をうまく回していくための能力が必ずしも一致はしない。でも、それは組織の行政人としての教育と、保健師としての上級職の教育を足し算すればできるものではないのではないかというのは、実態として感じているところです。保健師としてのベースも高めるような管理期の研修も必要ですし、行政職としての上級者の研修も必要なのですが、保健政策をきちんとできるような、統合したようなものを教育されるようなプラスアルファがないと、保健師だけの力と行政職としての力だけでは、今、かなり複雑化して総合化するような施策を進める中では、すごく難しいなと思っています。

○村嶋座長 どうぞ。

○中板構成員 おっしゃったとおりだと思うのですけれども、評価者が事務官ということは、まだかなりあると思いますので、そういう意味でもキャリアパスというものを可視化して、表面化させることは重要だと考えています。保健師としてのエキスパートというのはこういうことができる人なのだと、マネジメントを目指す人はこういうことができる人なのだと、少なくとも今、藤原構成員がおっしゃったように、マネジメントのほうを目指す方は、保健師としての能力は多少欠乏していてもいいのかという、そういうことではなくて、まさにベースラインとしての地域を見るとか、個別を見るとか、そういったベースラインは獲得している人が、さらにマネジメントのほうを目指すかという、自分の希望がまずあるかなと。

 その希望と組織としての見立てが合致するかについては、いろいろずれもあるでしょうけれども、座間構成員がおっしゃったように、その半年ごととか1年ごととかにパスをかざしながら確認をしていく中で、適しているのはこちらではないかとか、そういったことも話し合いをしていく。キャリア形成に向けて話し合いができるという措置として、キャリアパスはあったほうがいいのではないかと思っているので、これまでもそのラダーもあったわけなのですけれども、それが人事に通用していたかというと、そこはクエスチョンです。

 北九州市ですとか横浜市というのは政令市で、そういう意味では組織体系としても明確で、北九州市などは本当にラッキーで、事務官からそういった案を出されたという、必要なのではないかということを言われたというのは、まさにそのチャンスだったなとは思いますので、ほかの自治体は多分そういうのはないところが圧倒的ですから、パスの必要性と、パスというもののある一定のモデルはつくった上で、自治体がそれをどう活用できるかということを考えられるようにしていけたらいいのではないかと思うわけです。

○村嶋座長 いいでしょうか。

 清田構成員、何かつけ加えはありますか。いいですか。

 宮崎だとか、東京だとか、何かこの人がこういうポジションにふさわしいというような、今、座間構成員が考えられた、どういうスパンでどう見きわめて、だれが見きわめるとか、そういうことについてはどんな感じでしょうか。あるとかないとか、全くないとか。

○田中構成員 宮崎県の場合は、キャリアラダーもキャリアパスもまだでき上がっていないし、保健師自体がそこの必要性を認識できていないし、そこに対しての検討もまだ進んでいないので、今から必要なのだというところを認識しているところです。だから、本当にしなくてはいけないことがいっぱいあるというところが現状ですね。

 あと、評価については、業務の進捗状況とか計画性であるとか、そういうところの業務評価とか、人事評価とかはするのですけれども、それが保健師の専門性でどうなのかというところの評価まではできていないのが現状です。

○村嶋座長 専門性の評価と、人事というか能力的なといいますかラインとしての評価と、両方つくっていかないといけない、今はまだ何もないというところが大部分ではないか。

 東京23区などはどうですか。

○高橋構成員 統括保健師というポストを持っている区が、私が想像していた以上に少ないようで、そういう役割がありそうな方はいらっしゃるのですけれども、実際部を超えてしまうと手が出せない、口も出せないというところが多いように聞いています。

 実際、うちの区でもそろそろそういったことを考えないといけないなと思って、今もいろいろお話を伺っていました。

立場が上になるに従って、研修に出にくくなってしまうというので、研修を必修にしてほしいという声が随分あるのです。では、必修にしたらそれを直接人事に生かせる、ポストに生かせるような仕組みができるといいなという声もあるのですけれども、自動的になるということではもちろん意味がないので、そういう自主的に受けるという意欲を育てるといいますか、そういう形で研修を受けるように持っていく。そして、研修の機会を豊富に整え、環境づくりをしていくということの両方をやっていって、その上で専門的な能力を上げていくとともに、組織人としての行政職とか管理職とか、そういう立場での能力も同時に育てていくような研修が必要なのだと思うのです。

 今、どなたかおっしゃったように、それぞれ研修を別々に受けてもなかなかうまくいかないということももちろんそうなのかなと思うのですが、そこはどうでしょうか。現場で一緒にやりながら、いろいろな上司と意見を戦わせながら、現場でそういった力をつけていくしかないのかなと思っています。

 分散配置されてしまっていて、全体が見えなくなっている。どこを見つめて仕事をしていったらいいのかわからなくなっているという状況の中では、そういう形で、統括的な役割を果たす保健師というのは絶対今の時代、だなと思っていますので、こういう方向で研修も進めていただければと思います。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 改めて、この検討会の重要性を御指摘いただいたように思います。

 3人の構成員に対する御質問等はもう。

○保健指導室長 ちょっとよろしいでしょうか。

○村嶋座長 どうぞ。

○保健指導室長 事務局からで恐縮でございます。

 私どもの課長がちょっと他の用務で退席いたしまして、これは聞いておいてほしいということを言い残しておりまして、ちょっと質問させていただきます。

 清田構成員に御質問なのですが、先ほどキャリアパスをおつくりになるに当たって、人材育成の必要性を保健師みずから感じていうことをおっしゃったのですけれども、こういったキャリアパスという形でまとめるという発想は、保健師がお考えになったのか、それとも、どなたか別なところからこんな提案があったのか、そのあたりをお聞かせいただきたい。

 それから、ほかの職種についても検討されていると思うのですけれども、ほかの職種についても同様のキャリアパスといったものをお持ちなのかどうかといったことについて、お教えいただきたいと思います。

○村嶋座長 この清田構成員の14ページの「7-4 作成の方法」みたいなところが、私もすごいなと思ったのですけれども、これを本当に保健師さんだけで全部自分たちでお考えになったのだろうか、それとも、誰かガイドがあったのだろうかと思いました。

○清田構成員 段階の2番なのですけれども、これは保健師からの発案ではありません。平成20年に、事務の課長たちがワーキングメンバーとして構成されていたときに、そのころの上司の事務官から、キャリアパスという考え方があるということを初めて聞いて、キャリアパスをつくっていかなければならないというような意識づけをいただいたのがスタートでした。キャリアパスとは何だろうということを考え出したのは、そういう意味では平成20年の上司の事務官からの発案があってからのことです。

 改めてそれを学ばせていただくと、いろいろなところにキャリアパスの考え方があって、非常に重要であるということがわかってまいりました。保健師自身から出てくるものではなかなかなくて、人材育成の強い思いの人から学びの言葉をいただかないと理解していない内容だったと思います。それが1点目。

 2つ目は、キャリアパスはある程度職員の人数を確保されないとできないという理解もありました。私どもの自治体の規模からいうと、40人ほどの職種を確保できないと、ジョブローテを体系的にすること、そして、それをキャリアパスとして位置づけていくところが難しいと思っています。

 専門職で私どもの自治体で40人以上いるのは保健師以外おりませんで、ほかの職種ではキャリアパスまでが構成できないという現実があります。

 以上です。

○村嶋座長 よろしいですか。

 ありがとうございます。

 では、曽根構成員。

○曽根構成員 中板構成員と清田構成員の発表なのですけれども、例えば清田構成員の4ページのラダーがあると、全員が全員そういうラダーを上っていけるわけではないときに、モチベーションはもちろん上がるところがあるけれども、年齢が上がっていくにつれてモチベーションが下がってしまう人たちはいないのかというところを1つお尋ねします。

 それから、こういうラダーをつくっていくときに、先ほどの人数と関係するのですけれども、年齢階層ごとの採用人数がある程度均一でないと、ラダーが構成しづらいと思うのですが、そのあたりはいかがでしょうか。

○村嶋座長 どうぞ。

○清田構成員 モチベーションに関しては、正しい理解をする必要があると思います。単なるステップアップをする人が偉いようなイメージではそういうことになるかとは思うのですけれども、これを作成するときに保健師みんなで話したのは、保健師集団、保健師職能として、私たちがどのような団体に発展していきたいかというところの話し合いをしてきています。

 そして、そういう話をしてくると、係長の中でもキャリアパスは絶対必要なのだと口々に今、出るわけなのですけれども、その係長たちが全員課長職に上がるかというと、そうではなく、課長にならないまま退職を迎えている係長もいるわけなのですが、自分たちがなれなかったがっかり感というよりも、全体を見据えた上で、自分の役割、位置づけを認識するためには重要な形であって、さらに、次世代につなぐための大切なパスという形づくりなのだという理解をしています。

 そして、各世代の採用数ですけれども、確かに毎年毎年同じ人数かというとそうではないのですが、今のところ、余り影響はないのは、例えばある年は1人や2人、翌年も1人や2人がずっと10年間ぐらい続いて、その次が10人ぐらいがずっと続くというような、長期スパンの偏差があると厳しいと思うのですが、1年、2年単位で上下する点は前後で相殺されるという状況があります。

 以上です。

○村嶋座長 ありがとうございます。

40人あればできるということで、130人だとかなり乗りやすいということですね。

 田中構成員、何かありますか。どうぞ。

○田中構成員 宮崎県の場合は、保健師自身がキャリアパスの必要性の認識を深めていかないといけないというところがあるのですけれども、清田構成員の「6-1 キャリアパス構築の目的」というところで「各専門職の自覚形成」と上がっているのですが、この取り組みに当たって、特に自覚形成により効果があった取り組みというところがあれば、教えていただければと思います。

○村嶋座長 お願いします。

○清田構成員 私たちが管理職にもなるのだという責任感をみんなで話し合えたということは大きかったかと思います。管理職になるということは、言ってみれば保健師自身がしっかりと企画もし、責任も果たしていくのだということの意思表示、自覚であるということにつながっています。

 そして、先ほどと重なりますが、キャリアパスをつくる上では、自分たちでも必ず部長職、課長職ができたときにはみんなでその体系を応援しますということを言ったわけなので、そういう意味では、保健師が一枚岩になったように見えるというような評価もいただいているところがあります。そして、何よりも、次世代のことをみんなが、人材育成の大切さを自覚するようになったということがあったと思います。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 こういうキャリアパスを考えることは、その職種を伸ばすのだなと、組織として大人になるのだなというような印象を持ちながらお伺いをいたしました。

 まだ御質問あるかもしれないのですが、次に移りたいと思います。

 資料6、事務局から御説明をお願いいたします。

○保健指導室長 それでは、資料6を説明させていただきます。「今後の検討会の進め方(修正案)」ということでお示しをさせていただいております。

 当初、この検討会をスタートさせましたときには、今年度中に取りまとめを行うということで開かせていただいておりましたが、1年間結論までには延ばさせていただきたいと思っております。

 その背景といたしましては、昨年度、保健師活動指針の改訂版を示させていただきましたけれども、その中で、各自治体における研修体制の構築というものを示させていただいております。恐らく、現在、多くの自治体で、本日も御議論いただいておりますけれども、研修体制の構築に向けた取り組みというものが進んでいる段階ではないかと承知をしております。

 こうした中で、この検討会で研修のあり方を検討させていただいておりますけれども、各自治体で研修体制の構築をさらに推進させるためには、この検討会の成果ということで、例えば保健師が習得すべき能力の整理でありますとか、それから、研修プログラムの例というような、具体的なものを検討会の成果という形で示させていただくことが望ましいのではないかと考えております。

 また、今年度、厚生労働科学研究におきましても、保健師の人材育成に係るプログラム開発等に関する研究というものをスタートさせておりまして、その成果もこの検討会で活用させていただきまして、さきに述べましたような具体的な内容を盛り込んだ成果物をこの検討会では目指したいと考えております。

 今年度内に取りまとめをするということにいたしますと、そういった内容を盛り込むのがちょっと十分ではなくなるということを考えておりまして、当初の予定から1年間延長させていただいて、平成27年度中に検討会の最終まとめをさせていただきたいと考えております。

 一方で、今年中は、これまでの御議論いただいた内容を整理させていただきまして、保健師の研修体制構築に向けた課題の整理と、今後、その課題を深めていく方向性というものを、中間取りまとめという形で示させていただきたいと考えているところでございます。

 具体的なスケジュールといたしましては、資料6にお示ししたとおりでございまして、本日、これから資料7を御説明させていただきますけれども、これまでの議論の整理をさせていただきまして、中間取りまとめの骨子案という形で示させていただきまして、第5回、次回の検討会では、その中間取りまとめの案を示させていただいて、御議論いただきたいと思っております。

 そして、先ほど申し上げました内容について深めるという時期を経まして、来年秋ごろを目途に考えておりますけれども、検討会を再開させていただきまして、来年度中を目途に最終取りまとめという進め方としたいと考えております。

 資料6の説明と今後の進め方につきまして、御説明は以上でございます。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 中間取りまとめにしたいということでございます。今後の進め方について、御意見いかがでしょうか。御意見ありませんでしょうか。

 理由が示されております。基本的にはよろしいでしょうか。

 ただ、実質1年延びると、その分各自治体での浸透がおくれると困るということですので、各自治体できちっと浸透させていただくように、今回、中間取りまとめをして、それを世の中に大きく発信すると、この方向だということを言って、各自治体もそのつもりで予算どりもしていただけるような形にするということですね。

○保健指導室長 中間取りまとめにつきましても、次回御議論いただきまして、その後、まとまって「案」がとれたものを広くお知らせしたいと考えております。

○村嶋座長 ということで、中間取りまとめがとても大事になります。それでよろしゅうございますでしょうか。

 では、中間取りまとめの案、資料7について、御説明をお願いいたします。

○保健指導専門官 では、引き続きまして、資料7を説明させていただきたいと思います。

 先ほど、島田のほうからも説明させていただきましたように、保健師の研修体系構築に向けた課題の整理と今後の方向性という形で、中間取りまとめという形で出させていただきたいと思います。

 では、骨子案という形で説明させていただきます。

 大きく「1.保健師の研修に係る現状と課題」というものと「2.体系的な研修体制の構築」で「3.今後の議論の進め方」ということで、大まかな項目を設けているところです。

 「1.保健師の研修に係る現状と課題」に関しましては「(1)保健師をめぐる地域保健関連施策等の動向」のあたりで、昨年度発出しました指針でありますとか、保健師活動をめぐるさまざまな背景のところを記載させていただきたいと考えております。

 「(2)保健師の人材育成に係る現状と課題」ということです。まず、業務内容や配置の変化による、保健師に求められる資質がどのように影響しているかというあたりですとか、自治体における保健師の人材育成指針等の策定状況、また、新任期、中堅期、管理期及び統括的な役割を担う保健師の人材育成の実情などを記載させていただきたいと思っております。

 あと、御議論いただいたことを踏まえまして、研修体制と人事管理との関連づけの必要性であるとか、保健師以外の職員を対象とした研修との関連性、先ほどの行政職としての研修との関連性のあたりですとか、産休、育休取得者のキャリア継続というようなあたりで、現状と課題を記載させていただきたいと考えているところです。

 また、現状と課題を踏まえまして、2番としては、検討会の大きな目的の1つでもありましたような、体系的な研修体制の構築というところで、必要性を方向づけたいと考えております。

 「(1)各自治体における体系的な研修体制の構築の必要性」ということを、御議論を踏まえて記載させていただきたいと考えております。

 「(2)既存の研修事業の位置づけの明確化と見直しの必要性」ということですが、保健師を対象とした既存の研修事業の実施状況であるとか、自治体の実情、保健師のニーズに即した研修事業のあり方のあたりを記載させていただきたいと思っております。

 「(3)保健師の研修における関係機関等の連携のあり方」というあたりで御議論いただきました、県と市町村との連携、大学、教育機関と自治体との連携、また、関係団体等が実施する研修をどのように活用するかというあたりでまとめていきたいと考えております。

 資料7の説明に関しましては、以上です。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 御質問や御意見、御要望等いかがでしょうか。

 高橋構成員、お願いします。

○高橋構成員 この取りまとめの中にぜひ入れていただきたいと思っていることがあるのですけれども、多分、さまざまな制度改正等による活動の変化というあたり、最初の背景的なところだと思うのですけれども、地域保健法が平成9年に全面施行されまして、保健師の活動のあり方が大きく変わったと思うのです。身近なサービスが市町村に行って、県型の保健所は、専門的、広域的なところにかなり分断されました。これは保健所のあり方にもかかわる非常に大きな問題ではあるのですが、やはり保健師の働き方の問題でもありますので、そういった大きなことがあったということがまずあって、それが現在までいろいろな問題を引き起こしているということもあると思うのです。

 最初のときに私、言ったかと思うのですが、県型保健所と市町村の保健師との交流研修であるとか、その後いろいろな方から市町村と一体化した研修も必要であるとか、御意見が出ていたと思うのですけれども、そのあたりはぜひ入れていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 市町村の求めに応じてというのは、待っているのではなくて、必要性を感じて、ニーズを掘り起こしながらどんどんやっていくのだというようなことを含めて、人事交流も含めてなのですかね。研修ですので、少なくとも合同研修ぐらいはということですね。

 中板構成員、お願いします。

○中板構成員 今、高橋構成員がおっしゃったのはもっともなのですけれども、要するに、業務分担制になり、あるいは分散配置になりという中で、統括あるいはキャリアパスというものが今後展開していくことになれば、その背景としては、いわゆる今の地域課題が単課あるいは1つの係では解決し切れないという、まさに全庁舎内で一体化しないとできないこと、そういう健康課題があるのだということ、地域包括にしても、自殺対策にしても、生活習慣病対策にしても、本当に1つの係がやればいいという話ではなくて、横断しなければならないという背景があるということは、背景の中に1つ入れていただきたいと思います。

 それと、研修体系を考えていくに当たっては、今回、基礎調査の結果を見ないとわからないですが、少なくとも22年のときは、30歳未満で50%弱が四大卒なのです。本当に25歳未満でいくと、ほぼ四大卒なわけですね。そのように考えていくと、四大卒の方たちで今、まさに20代半ばぐらいの方たちとお話をしていると、自分がこの行政の中でどういう仕事をしながら、次はどういうことをしていったらいいのか、あるいはどのようになっていくと自分はいいのか、あるいは自分はこれから先どうなっていけるのかという、そういった道筋がないですねということはよく聞かれるので、それはやはり今の若い世代の方たち、あるいは大卒かどうかというのはわかりませんが、そうなると、道筋というのは必要なのだなと思いますので、保健師の配置の年齢層とか、その方たちが保健師の免許を取ってきた背景とか、そういったことも研修体系とは非常に重要かなと思いますので、その辺も書いていただけるとありがたいなと思いました。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 永江構成員、どうぞ。

○永江構成員 残念ながら、管理職を希望する保健師というのは、中堅期では、調査の結果、1割程度だったのです。そういうことを考えていくと、いかに新人期から意識化させていくのかと、そういう意味でのキャリアパスの重要性ということはあると思いますので、そういった背景のところも含めて考えて、少し論点整理のところで組み入れていただけたらと思っております。

 本日の論点整理の中の議論、保健師の研修の考え方というところがあるのですが、最近、保健師のアイデンティティーが若干変化してきているのではないかなと考えております。そういった意味では、これからどのような形で研修の体系を組むのかといったときに、大きくは3つぐらい、各機能、能力獲得に向けてどのように研修を組み込んでいくのかという、今、ここにある新任期、中堅期、管理期という整備の仕方もあると思うのですが、もう一方では、保健師に必要な公衆衛生看護管理機能が、新人期から始まっていますし、日本看護協会の調査の結果が平成15年ぐらいに出されているのですが、管理機能というのが物すごく今、現実的に見ていて、不十分な状況が感じられます。そういった意味では、改めて、保健師に必要な公衆衛生看護管理機能を基盤に、各期の保健師に実践力をどのような形で発揮させていくのかという整理の仕方があるのではないかということ。

 もう一点は、平成22年に保健師助産師看護師法が改正されたときに、保健師にこれから求められる能力というのが、養成校の指定規則の改正とともに手引きで出てきているわけなのですが、それに出された5つの能力を少し大事に基盤にしていきながら、研修体系をどう考えていくのかという、研修体系の、これからの議論になろうかと思うのですが、少しそのあたりも議論の中身として今後に向けてということで出していただけたらと思います。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 そういう意味では、この検討会は中堅期から管理期、統括のことを主に扱うということだったのですが、新任期が1~5年で、それもそのときの研修が割とケースワークといいますか、個人といいますか、ケースマネジメントといいますか、そこのところに焦点が当たった研修が、どうしても1~5年のときには中心に置かれている。逆に、本当に新任期が1~5年まででいいのかとか、最初のころにそういう議論があったと思うのですが、そのときにどのように保健師の専門性の根っこを植えつけていくのかと、新任期のところのあり方も本当はちょっと触れないと、中堅期、管理期に育たないのではないかというような問題提起ではないかと思います。

 済みませんが、そのところを少し含みながら、新任期の定義やそのときの育て方が次に生きるというようなことも含めて、盛り込んでいただければと思います。これは永江構成員の御意見を受けて、今までの流れの中で、私も希望として申し上げます。

 ほかにいかがでしょうか。

 どうぞ。

○藤原構成員 資料2で配られた、本日の論点の上から2つ目のところにもちょっと関連してくるのですけれども、今回、キャリアパスのことが非常に大事なので、その辺のところに論点が集中していますが、全員が全員管理職になるわけではない、だけれども、ある一定になったら、後はそのまま仕事をすればいいのかということではなくて、要は、保健師として熟練した仕事をきちんと展開していくための管理期の人たちのこともきちんと押さえてあげる必要があり、やはりプレーヤーとして成熟して、きちんと技術を提供していくことが向いている方もたくさんいらっしゃいますので、そういう方に関してもモチベーションを保ち、組織としても活用できるような研修体制を考えていくことが大事なのではないかと思いますので、体系的な研修体制の構築の中に、そのあたりのところも入れていただけるとありがたいです。

 もう一つは、キャリアパスを積んで管理職になった後、その人たちが成長していくためのものも必要なのではないかと思っておりまして、それぞれの自治体でリーダーになった後に、要は、先ほどもお話の中で出てきましたが、今、保健政策は総合的にやらなければいけないものだと思いますが、自治体の仕事というと、どちらかというと縦割りで済むことが多い中で、こういう発想で物事を進めるリーダーというのは組織の中で教育していくのはかなり難しい部分がございます。

 保健行政をどう捉えて、それをリーダーとして進めていくか、例えば保健行政を今後どう発展させていくのかとか、施策をどう捉えて、それを組織の理論と公衆衛生の理論をどう組み合わせてやっていくのかといったところをきちんと教えていただくようなコースができるとありがたいと思います。自治体の統括のリーダーになってしまうと、本当にそれぞれが相談し合うしか、ニーズに合った教育のシステムが今、ない現状です。ですから、例えば保健医療科学院の保健所長研修であるとか福祉事務所長研修のように、市町村等自治体のリーダーの保健師がきちんとプログラムを受けられることが重要と考えます。今後の研修体系の構築では、保健医療科学院単なる関係団体の1つではないと思っておりますので、ぜひその辺をお願いできればと思っております。

○村嶋座長 国の研修として位置づけていただきたいという御意見だと思います。

 また、管理期のときに、ラインの管理者と、成熟期という表現があるのではないかと、専門職としての成熟した保健師の専門性のスキルの発揮みたいな、よく現場にもミリ単位で厚さの違いがわかるような方っていらっしゃいますね。そういう成熟者の役割もあるのではないかというのもあるのではないかということだと思います。

 どうぞ。

○中板構成員 キャリアパスというのは、職位をとるだけの話ではなくて、課長、部長になっていくという道筋という話ではなくて、いわゆるキャリアパスというのは、道筋とか、自分が今後どういう仕事につき、どういうことを頑張れば、どのようになれるのかといった、自分なりの道筋を明確にしていける、あるいは組織的に理解してもらえる、組織にきちんとそれが表明できるという道筋を明確にした人材育成制度の1つだと思うのです。

 だから、その中に、先ほどからいっているように、マネジメントに向いている人はマネジメントに向かう。もちろんキャリアを積んで管理期として現場でまさに保健師のスペシャリストとして、地域の住民としっかりと向き合えて、後輩のモデルになれるような道筋をたどれる人。もちろん、両方必要であって、その両方をきちんと描いていくことが重要ではないかと思い、それが両方あるということが、保健師ならではのキャリアパスかなとは思っています。

○村嶋座長 どうぞ。

○曽根構成員 これまでのお話を聞いていて、用語や概念の整理がまだ不十分だと感じました。管理期なのか、管理職期なのか、シニアなのか、成熟なのか、あるいは、キャリアパスとは何かというのが、若干それぞれで自治体と日本看護協会の間でも違うので、そのあたりのきちんとした整理をそろそろしてもいいのではないかと思います。

 例えば今回の中間まとめでは、これはこのように定義をして、これから議論を進めていきましょうという概念整理を1回きちんとやるべきだと思います。統括保健師もそうなのですが、それぞれに考えて、概念がさまざまだと、議論がぐるぐる回ってなかなか前に進まないと思いますので、そろそろ最終的な概念整理、これからはこういきますというのを準備してもいいのではないかなと思います。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 そういう意味では、こういきますというところの、中間取りまとめのトーンですけれども、必要性というところをずっと並べるのか、それとも、こうすべきだとは言いにくいのでしょうけれども、こうあるのが望ましいというような、一歩踏み込んだ表現にするのかというところも1つ課題かなと思います。

 これは並べられているのが必要性でございますね。必要性を認識して次に1歩動くためには、こういう方向があるとか、こういう方向が望ましいというところをもう一歩踏み込んで書いていただけるといいのかなというのを、今の曽根構成員の御意見を受けながら、感じました。

 あと、人事への位置づけというところが最初から出てきているのですが「研修体系と人事管理との関連づけの必要性」ですね。ここら辺もぜひ深めて書いていただければいいかなと思いました。

 ほかに、資料7について、御意見等。

○保健指導室長 今の点ですけれども、中間取りまとめの位置づけとしましては、先ほど申し上げました肉づけについては、これから1年ぐらいかけて、厚生科学研究ですとか、いろいろ先生方に今まで御説明いただいた内容などもありますので、そういったものを踏まえて、少し議論を踏まえて肉づけのような形でしていきたいと思っておりますので、基本的には今、出てきた課題を整理し、その方向づけについて述べられる部分は述べるという位置づけかなと思っております。ですので、結論づけられるものもあるかもわかりませんけれども、余りまだ今の時点では結論的なものをばっちり書き込めるというものがそんなに多くはないのかなというのが事務局の認識でございます。

 その中で「べき」なのか、あるいは「してはいかが」かというトーンなのかというところなのですけれども、恐らく課題によって、一律「べき」と書くものにもならないと思いますし、こうではいかがかというトーンよりももうちょっと書き込めるものもあるのかなと思いますので、今までいただいた御意見ですとか、いろいろなデータなどを踏まえながら、その辺は書き分けるような形で提案をまずさせていただければと思っております。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 どうぞ。

○曽根構成員 年度内に中間取りまとめをして、秋に再開するわけですね。今後の議論の進め方の中に入れるのかもしれませんが、その間、何もしないでいると、再開時に結局また同じ議論を繰り返すことになってしまいかねないので、その間に何を研究班やそれぞれの団体がすべきなのかということも、どこかに書き込んで、休止期間中にそれぞれがやるべきことをやらなくてはいけないということを自する必要があると思います。

○村嶋座長 そうですね。そういう意味では、今まで出していただいた中で、御本人たちと、この中で出たものとして、活用していいのかという資料、人様の資料ということになるのですが、そこら辺の出し方みたいなものはどのような扱いになるのですかね。

○保健指導室長 今の時点で明らかに、例えば厚生労働科学研究というのは施策に資するものということが大前提で御検討いただいているものなので、もちろん御了解をいただく必要はありますが、活用させていただくことは基本的にできるかなと思っております。

 その他、いろいろな位置づけの、あるいはレベルのと言いますか、どういう検討体制かというのを含めて、資料があるかと思うので、なるべく今まで世に出ているもので、関連するようなものは、広く活用させていただくというほうがいいかなと、事務局としては方向性としては思っております。個別の調整がこの短期間に全て整うかというと、必ずしもそうではないところもあるかなと思いますので、ある程度の方向性を書かせていただいて、個別の調整は後ほどまた個別にさせていただくというものも出てくるかなと考えております。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 資料7に関して、特にほかにつけ加えはよろしいでしょうか。

 私のほうでの意見はこれまででございます。

 今までいただきました御意見や御議論、御発表を踏まえて、この資料7の骨子に沿って、今の御意見を踏まえて、委員の皆様に中間取りまとめの内容を一度御確認いただいて、また年末の会議を迎えるということでございます。

 本日の議論はここまでとしたいと思いますので、事務局から連絡事項等お願いいたします。

○保健指導専門官 事務局より連絡事項です。

 次回の開催は別途御連絡をさせていただきます。

 なお、中板構成員ご提出資料に関しましては、お持ち帰りにならずにテーブルに残していただきますよう、お願いいたします。

 事務局からは以上です。

○村嶋座長 では、長時間の御議論どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

健康局がん対策・健康増進課 保健指導室
代表:03-5253-1111
内線:2392

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