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2014年10月3日 第1回ストレスチェック制度に関わる情報管理及び不利益取扱い等に関する検討会 議事録

労働基準局安全衛生部労働衛生課産業保健支援室

○日時

平成26年10月3日(金)15:30~17:30


○場所

労働委員会会館 講堂


○出席者

検討会参集者(50音順、敬称略)

相澤 好治 岡田 邦夫 川上 憲人
黒木 宣夫 砂押 以久子 高松 和夫
増田 将史 松原 稔 三柴 丈典
道永 麻里

厚生労働省

土屋 喜久 (安全衛生部長) 美濃 芳郎 (計画課長)
泉 陽子 (労働衛生課長) 井上 仁 (産業保健支援室長)
中村 宇一 (産業保健支援室長補佐) 寺島 友子 (中央労働衛生専門官)

○議題

(1)ストレスチェック制度に関わる情報管理及び不利益取扱いについて
(2)その他

○議事

○産業保健支援室長補佐 遅れてくる委員もおりますが定刻となりましたので、ただいまより、「第1回ストレスチェック制度に関わる情報管理及び不利益取扱い等に関する検討会」を開催いたします。

 カメラ撮影は、ここまででお願いします。

 本日はお忙しい中お集まりいただきまして、大変ありがとうございました。本日は第1回の会議なので、委員の皆さんの御紹介を簡単にさせていただきます。相澤委員、松原委員、高松委員、岡田委員、川上委員、黒木委員、道永委員、三柴委員、砂押委員、増田委員です。

 事務局側のメンバーも御紹介させていただきます。土屋安全衛生部長、美濃計画課長、泉労働衛生課長、井上産業保健支援室長、寺島専門官になります。私は補佐をやっております中村と申します。よろしくお願いします。

 開会に当たりまして、始めに安全衛生部長より、簡単に御挨拶を申し上げたいと思います。

○安全衛生部長 この検討会を開催するに当たり大変お忙しい中、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。御案内のとおり、通常国会で成立しました労働安全衛生法の一部改正の、特に主要な改正項目の一つとして、このストレスチェック制度がありまして、来年の121日の施行を目指して準備をさせていただいているところです。

 既に御存じのとおり、この制度は、働いている方々、御本人の気付きを促す、あるいは職場環境の改善を図っていく。そういった意味での一次予防の観点を主として制度化をしたものですが、今日はたくさんの傍聴者の方々がお集まりのように、非常に社会的な関心も強い、そういう状況になっております。

 既にこの夏までの検討会で実施方法についていろいろ御議論を頂き今日、御報告を申し上げます中間取りまとめもしていただいていますが、何よりももっとこれを具体的に制度化していくにあたり、企業の実際の人事労務管理との兼ね合いをどうするか、あるいは制度の中にも入っている不利益取扱いについての考え方をどのようにまとめるか。非常に多岐にわたる問題が非常に山積をまだしている状況です。今日お集まりの皆様方には、是非、今申し上げたような点を中心に、この制度が現場の実態に即したものになりますように、より効果的な良い制度になりますように議論を深めていただければと思っております。大変限られた時間の中ではございますが、是非、精力的な御議論を頂きおまとめいただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○産業保健支援室長補佐 それでは続きまして、座長の選出を行いたいと思います。事務局として相澤先生に座長をお願いしたいと思いますが、委員の皆様いかがでしょうか。

                                   (異議なし)

○産業保健支援室長補佐 ありがとうございます。相澤先生、どうぞよろしくお願いします。座長席のほうに御移動よろしくお願いします。

 今後の議事進行については、相澤先生、よろしくお願いします。

○相澤座長 御指名を頂きましたので座長を務めさせていただきます。相澤でございます。よろしくお願いします。今、部長からございましたように、センシティブな問題がいくつかございますので、皆様方の御熱心な討議により、良いものを作っていきたいと思います。よろしくお願いします。

 それでは本日の議題に入る前に、事務局のほうから本日の資料の確認と今後の議論の進め方について説明をお願いします。

○産業保健支援室長補佐 まず、資料の確認をさせていただきたいと思います。本日第1回で多めに資料を付けております。資料1は検討会開催要綱、資料2は検討会の議論の進め方、資料3は本日から御議論いただきたいと思っております検討会2の論点について、資料4はより具体的な検討会2の論点(1回検討会)です。

 参考資料1はストレスチェック制度の概要の資料、参考資料2-1は具体的な条文の資料、参考資料2-2は国会で決議された附帯決議の資料、参考資料3は専門検討会の中間取りまとめ、参考資料4は今行われているストレスチェックの例として、ストレス簡易調査票の項目、参考資料5は労働安全衛生基本調査の概要、参考資料6は企業に対して行ったアンケートの結果、参考資料7EAPの外部機関に対して行った調査結果のまとめ、参考資料8は個人情報保護法の概要、参考資料9はその中で特に雇用管理分野における個人情報保護のガイドライン、参考資料10は、更にそのうち、健康情報を取り扱うに当っての留意事項(通達)、参考資料11は今回の法案に関する守秘義務の条文を抜粋して集めた資料です。

 続いて今後の議論の進め方を資料2に基づいて簡単に御説明をします。こちらの資料左側に検討会1、右側に検討会2。この検討会は2になります。ストレスチェック制度に関し具体的なストレスチェックのやり方や面接指導のやり方について検討会1で議論しまして、こちらの検討会で情報管理とか不利益取扱いに関する議論をお願いしたいと思っております。本日103日第1回について、この中でストレスチェックの部分に関しての御議論をお願いしたいと思っています。

 次回以降の予定は、第2回にはストレスチェック結果を踏まえた面接指導についての議論をお願いします。第3回は不利益取扱いをどのように防げるかの議論をお願いします。4回、5回で年内ぐらいに議論をまとめていただければと思っています。以上であります。

○相澤座長 ありがとうございました。資料と今後の進め方について御説明いただきました。何か御質問はありますか。よろしいですか。ありがとうございます。

 本日の議題に入ります。ただいま御説明いただいた議論の進め方に沿って進めて行きたいと思います。各論点の議論に入る前に事務局のほうで、ストレスチェックの現状について企業やEAP機関に対して、アンケート調査を実施し、取りまとめておりますので、そちらの御説明をお願いします。

○産業保健支援室長補佐 それでは参考資料の57までを使って簡単に御説明したいと思います。

 参考資料5です。政府のほうで定期的に行っている労働安全衛生調査で、先日取りまとめられたものです。この中でメンタルヘルス関係の部分を抜粋し、今回の議論の参考として付けています。簡単に内容を説明すると、1ページ真ん中にあるように、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合です。今回の平成25年の結果を見ると全体で60%。年々割合が上がっています。

2ページの下の部分で、メンタルヘルス対策の中でも今どれぐらいの企業でストレスチェックを行われているかの結果です。全体の平均を取ると15.8%になっております。規模の大きい事業所であれば5割、6割になっているところです。今回ストレスチェックの義務化の対象となっている50人以上は、現在のところ2割程度の状況になっていることになります。

3ページを御覧ください。ストレスチェックをどのようなやり方をしているかを聞いております。最初のグラフはストレスチェックの実施時期です。定期健康診断と一緒にやっているかを聞いております。大体6割強が定期健康診断とは別にやっている。ストレスチェックを実施した後に医師による面談をやっているかについてで、4割ぐらいが医師による面談を実施している。下のグラフで、面談を誰がやるかで、およそ3割ぐらいは産業医が実施している。それ以外に産業医以外の医師・保健師・看護師がやっているという結果です。

4ページ面談後に事後措置を講じているかどうかの調査の結果ですが、全体で見ると7割ほどが措置を実施していることになっており、その下の真ん中のグラフでは、事後措置の内容として最も多いのは「時間外労働の制限」です。以上のまとめたものがその下のグラフで、対策に取り組んでいるところは6割の中で、ストレスチェックを実施しているのは16%。更にその上で、面談を実施しているところが6%。事後措置までやっているところは4.5%というのが現状の取組です。

 参考資料6です。実際にストレスチェックをやっている企業にどのようなやり方をしているかを細かく調査をするために御協力いただき、12社から回答を頂き、それを取りまとめたものです。順に紹介すると、ストレスチェックの目的で見ると、多くの企業が個人のストレス評価と集団のストレス評価。両方を目的としてやっている結果になっています。

 ストレスチェックの受診率です。大体この調査に御協力いただいた企業は、かなりの割合で受診をしている状況です。更にその下を見ると、ストレスチェックを自社で実施している企業と外部に実施を委託している企業と両方があります。どちらも企画自体は、自社でやっているところが多いという結果です。

 次のページで、この企画にどのような方が携わるかです。産業医が多くのところは中心になってやっており、人事部門も関与しているところもあります。4番目で具体的に何を使ってやっているかで、どのようなやり方かの点ですが、今回、国が標準として示す、職業性ストレス簡易調査票を使っている企業もあれば、それとは別に独自に外部機関が提供している調査票を使っているところもあり、現状としてはまちまちの結果です。

 面接指導の対象とする高ストレス者をどう絞り込むかで、このストレスチェックの評価係数から機械的に判定しているところが多くを占めていた。判定基準としてはその下の一定割合の方を上から選んでいるところが多かったことになります。

3ページで、先ほどの全国調査と同じような結果ですが、健康診断とは別に年1回実施している企業がほとんどです。オンラインと調査票の両方使っているところが非常に多いです。

 今度は、ストレスチェック結果の取扱いになりますが、個々人の結果を事業者のほうに戻してるという企業は1社もありませんでした。結果の保管は外部委託している企業では、外部委託先で保管。自社でやっているところは、自社で保管が基本になっております。外部に委託している企業の中でも自社でも保管しているところもありました。

6番目、ストレスチェックの結果を踏まえ面談等の保健指導をやっているかどうかで、大体半数ぐらいのところで実施しており、特にストレスチェックの実施を外部に委託している企業でも自社で保健指導はやっている例もあります。

 最後のページで、保健指導の対象者をどのように選んでいるかで、最も多かった5社で並んでおりますが、希望者全員にやっている。高ストレスと判定されたうちの希望者にやっているところが共に多かった結果になっております。保健指導を誰がやっているかで、産業医が最も多く、心理職もかなり幅広く面談に関わっていることが分かりました。

 最後の集団的な分析で、集団的分析は全ての企業において行われておりました。集団的な分析をどのくらいの規模でやっているかは、一番下の表を見ると10人程度、5人程度というかなり小さい規模で実施しているところが多かった結果になっております。

 参考資料7です。企業に対してストレスチェックなどのサービスを提供しているEAPの機関に対するアンケート調査の結果です。一番始めの、どのようなサービスを提供しているかの質問に対する回答として、ストレスチェック、メンタルヘルスに関する相談カウンセリングをやっているところが多かった。ストレスチェックに関してどのようなことをやっているか、ストレスチェック実施そのもの。ストレスチェック結果を踏まえた相談カウンセリング。組織分析・集団分析を踏まえた研修が主なサービス内容になっていたことが分かりました。。

 次のページです。外部のサービス提供機関は、医療職はどのような体制になっているかで併せて調べておりますが、多くの機関で医師、その中でも精神科医、産業医資格を持った医師が関わっているところが多い。更に下にいくと、他の医療職、保健師・看護師・精神保健福祉士、心理職で見てみると、最も多いのが心理職、精神保健福祉士もいるところも多いですが、逆に保健師・看護師といった方々は少ない結果に出ております。

3ページです。ストレスチェックどのような調査票を用いているかで、独自に自社で開発した調査票を使っているところ。先ほど御紹介した職業性ストレス簡易調査票を使っているところもありました。高ストレス者の判定基準は、ストレス反応が高い方を選んでいるところもあれば、ストレス反応だけではなく、ストレスとなる要因、それから周囲にサポートがあるかどうかを考え選定しているところも多いです。具体的な判定基準について、「その他の方法」も多いですが、一定の割合を高ストレス者として認める、若しくは基準点でやっているところも多い結果になっています。

4ページです。オンラインと紙を併用しているところが多い。健康診断とは別に年に1回実施しているところが多い結果になっております。受検率も9割以上のところが多い。最後の4番で、今度は情報管理について今日、御議論いただく内容とも関係しますが、結果をどこまで提供しているかについては、本人のみ提供というところ、全員分、企業の産業保健スタッフまで提供しているところも多いという結果になっており、1機関は、人事部門にも渡しているところもありました。

5ページのストレスチェックの結果を産業保健スタッフや人事部門に提供する際に本人の同意を取っているかも聞いております。多くの機関で個別に同意を取るというよりは、文書・口答・ウェブ上等で説明書きをした上で提供しているところが最も多かったことになっております。その次に、書面で同意を取っているところもありました。

 結果の保存をどうしているかで、ほぼ全ての機関でサービス機関のほうで保存している。最も多い保存期間は5年保存になっておりました。下の5番、ストレスチェック後の対応状況で、心理職、保健師などによるカウンセリングを実施しているところは全ての機関で実施しており、希望者全員若しくは、高ストレス者のうちの希望者のところが多い結果になっております。

 心理職、保健師によるカウンセリングの結果を医師に話をしたほうがいいのではないかとなった場合は、どうしているかで、最も多かったのは、産業医に情報提供する。若しくは専門医療機関を紹介する。カウンセリングや面談を受けにこない方への働きかけ約半数のところで電話、メール等により行われている。カウンセリングや面談の結果を事業者に提供しているかで、本人の同意が取れた場合に産業保健スタッフに提供しているところ。本人の同意が取れた場合に、人事部門に提供しているのが共に多かったということになっております。

 最後に、組織分析をどのような単位で行っているかで、10人単位でやっているところが最も多い。その結果は、人事部門、若しくは産業保健スタッフに提供されていることになっております。今日の議論の参考にしていただければと思います。

○相澤座長 ありがとうございました。現状について企業のほうとEAPの調査を御紹介いただきました。川上先生が見られたので、皆様に御挨拶を。

○川上委員 すみません、場所が分からなくなって迷っておりました。大変会議に遅れてごめんなさい。よろしくお願いいたします。

○相澤座長 それでは、論点の議論に入りたいと思います。資料34でしょうか、本日議論していただきたい論点について、事務局で取りまとめておられますので、説明をお願いいたします。

○産業保健支援室長 それでは、私のほうから資料4に沿いまして、説明をさせていただきたいと思います。本日については、ストレスチェックについての議論ということにさせていただきたいと思います。事務局で取りまとめましたので、これに沿って、後ほど御議論いただければと思います。

 まず、ストレスチェックの受検についての論点です。事業者が受検の有無の把握をどこまでするかという問題です。1つ目の○です。事業者はストレスチェックを実施する義務があります。労働者がストレスチェックを受けたかどうか。受検したかどうかを事業者が把握するのは問題がないのではないか。それから2つ目ですが、事業者として、労働者に対して受けるように勧奨するような場合について、どのようなことに留意が必要かです。

2つ目にストレスチェックの実施主体の論点です。ストレスチェックについては、本人の同意がない限り、事業者に提供してはならないと規定しているわけです。こういった趣旨に鑑みますと、ストレスチェックの実施者を事業者が兼ねるということは、想定し得ないということから、事業者は実施者、ストレスチェックを実施する者になることはできないという整理でよいかということです。安衛法に基づく「事業者」の定義となりますと、事業者は法人の企業であれば、当該法人、法人の代表者ではないということですので、この場合の事業者の範囲について、このストレスチェックについて、具体的に整理する必要があるのではないか。ストレスチェックの結果を労働者の同意なく、事業者に伝えてはならないという理由については、それをもって人事上の不利益取扱いにつながることを防ぐという目的があるということです。

 例えば、次のような整理ができないかということで、事務局で整理案として示しております。医師、保健師などであっても、職務上人事に関する業務を担当しておって、個々の労働者の労働条件や処遇などについて、判断権限を有する者については、このストレスチェック制度について、事業者と見なして、ストレスチェックの実施者とはなれないものとする。このような整理について、御議論いただければと思っております。

 それから、ストレスチェックの実施の事務、個人の調査票をデータ入力したり、あるいは、結果の出力をするというようなことを行う業務の者についても、実施者になれないでいいかということです。場合によっては、人事を担当する者についても、実施の事務に関わることは可能かどうかが1つの論点になろうかと思います。

 派遣労働者についてです。派遣労働者については、ストレスチェックの実施や同意の取得については、法律上派遣元事業者の義務になりますが、派遣元の事業者から、依頼などにより、派遣先でストレスチェックを実施することが可能かどうかが1つの論点です。次ページ、もう1つ、結果を派遣元事業者への提供に関する同意の確認も、派遣先で併せて行うことでいいか。これも議論いただければと思います。

3つ目として、ストレスチェックの結果の取扱いの論点です。事業者への提供は労働者の同意がなくできませんが、その労働者の同意の取得の方法です。ストレスチェックの結果を事業者に提供することについて、同意の取り方、次に書かれます4点くらいの方法があるのではないかと考えております。これ以外にも考え得るものがあるかどうかですが、1つ目として、ストレスチェックの実施前に労働者全員に対して同意の有無を確認する方法。2つ目として、ストレスチェックの実施時に同意の有無を確認する方法。例えば、ストレスチェック提出の際に直接確認する。調査票に同意の有無を記載させる。そういった方法があろうかと思います。

3つ目として、実施をした後、結果を本人に通知しますが、通知するとき、あるいは通知後に全員に対して、又は面接指導の対象者に対して同意の有無を確認する方法。4つ目として、ストレスチェックの段階では同意の有無を確認しないで、労働者の面接指導の申し出をもって、結果の提供に同意されたものと見なす方法。こういった4つくらいの方法があるのではないかと考えております。この辺りで、同意の取得の観点から、問題がないかどうか。この辺を御議論いただければと思います。

 面接指導に至る前の段階で法定外の取組として、高ストレスであると判定された労働者に対して、保健師や心理職などによる保健指導が企業によっては行われているようです。そういった結果について、事業者に提供することについては、どう考えるべきかということも1つあろうかと思います。ただ、そもそも事業者がストレスチェックの結果をどこまで把握すべきか。高ストレスと判定されないような者についての結果を事業者として、把握する必要があるかどうかも、1つ議論になろうかと思います。

 結果の提供を同意しないような労働者に対して、事業者として同意をするようにと働きかけることについては、どう考えるべきかも1つ考えるべき点であろうと思っております。

 事業者に提供するに当たっての同意取得のタイミングがあります。同意の有無の確認について、ストレスチェックの実施のつど、毎回必要とするべきか。それとも、例えば今後2年間は同意しますというような、一定期間まとめて確認とすることが可能とすべきかどうか。この辺りも御議論いただければと思います。

3ページ目は、医師、保健師等の実施者から、事業者への結果の提供の方法です。結果の提供に同意した労働者について、実施者として事業者にどこまでの情報を提供すべきかです。ストレスチェックの結果については、病名など、そういったものが書かれているものではありません。そのまま提供ということもあり得るのではないかと考えております。それから、ストレスチェックの実施を外部機関に委託している場合は、結果について産業保健スタッフを通じて事業者に提供するのが望ましいのではないかと考えておりますが、この辺りはどうかです。

 ストレスチェックの保存方法です。ストレスチェックの実施の状況については、事業者として義務付けがかかっていますので、記録させておく必要は考えておりますが、その場合に何を記録させておくか。保存期間はどの程度とする必要があるかが1つ論点として挙っております。それから、個々人の結果について、誰がどのように保存するべきか。本人の同意がない限り、事業者には行きませんので、実施者に保存させるという考え方でいいか。保存期間はどの程度にするかです。

 実施者である医師や保健師の方が個人で保存することが困難な場合については、保存を他者へ委託することができるかどうか。あとは所属する部署で保管することも可能かどうか。そのほか留意すべき点があるかどうかです。それから、事業者への結果の提供に同意した場合について、事業者にその情報を保存させておく必要があるかどうか。また、派遣労働者については派遣先が実施した場合、個々人のストレスチェックの結果は、派遣先のストレスチェックの実施者が保有するということになります。その派遣先の実施者が保存するということでいいかどうか。このような論点があると思っております。

 ストレスチェック結果の活用に関する論点です。個人の結果の活用として、同意をすると、事業者に結果が把握されるわけです。事業者がこの結果を元に、必要な就業上の措置を講じるということが適切かどうか。そのストレスチェックの結果のみで就業上の措置を講じることが適切かどうかの点です。

4ページ目に移ります。面接指導に至る前の段階で、法定外の取組として、保健師、心理職による保健指導が行われた場合、その結果を元に、医師による面接指導に移る前に、その結果を元に必要な就業上の措置を講じることが適切かどうか。それから、本人同意により、結果を事業者が把握した場合に、その結果をどこまで共有ができるのか。その本人の上司、同僚まで共有することができるか。労働組合などや、衛生委員会に共有することはどうか。共有するとした場合、その情報はどこまで確保すればいいかも1つの論点にかかると思います。

 こういった個人の結果の取扱いについて、事業所の衛生委員会等で審議して、ルールを決めておく必要があるのではないか。それから、例えば外部の機関に実施を委託している場合などにおいて、その結果を外部機関などの実施者から、企業内の産業保健スタッフに提供することについては、可能であるかどうかも1つの議論になると思います。それから、面接指導前に保健師や心理職による保健指導を行う場合があります。そういった場合に、ストレスチェックの結果を実施者から保健指導を行う保健師、心理職等の方に、提供するのがいいのか悪いのかも1つあろうかと思います。

 集団的な結果の活用です。ストレスチェックを実施した際に、集団的な分析も職場関係の改善のために必要です。そういった集団的な分析結果であれば、同意なく、事業者が把握することができるということで、いいかどうかの点が1つあります。それから、こういった分析結果ですが、小人数の場合は、個人が特定されるようなおそれがある場合、基準を設定する必要があるかどうか。例えば、5人以上の場合が可能であるか。10人以上が可能であるとか、そういったどのような基準が考えられるかです。それから、こういった分析のやり方、あるいは結果の取扱いについて、企業としての方針を定めて、何らかの方法で労働者に事前に通知、周知しておくことが必要であうかと思いますが、この辺りはどうかです。また、集団的な分析結果について、どこまで共有できるか。全労働者に共有すべきか。管理職くらいにするのか。労働組合あるいは衛生委員会にするかです。共有に際して、何らかの制限なり、加工なりということの必要があるか。この辺りは議論になろうかと思います。

 本日の論点については以上です。

○相澤座長 今、御説明いただいたとおり論点が大変たくさんありますので、一つ一つ逐次議論していきます。後、1時間15分しかありませんので、今日は申し訳ないのですが30分ほど延長することを覚悟しながら議論していただければと思います。それでも少し時間が足りないかもしれません。1ページの(1)のストレスチェックの受検です。これについて2つ○がありますが、1つ目は、事業者はストレスチェックの履行状況を確認するために、労働者がストレスチェックを受けたかどうかを把握することは問題ないかどうかですが、いかがですか。

○高松委員 連合の高松です。制度の詳細の検討に入っていただくことは結構ですが、冒頭、委員の方に労働側のスタンスを述べてよろしいですか。

○相澤座長 はい。

○高松委員 先ほど事務局から説明がありましたが、改正法では、ストレスチェックの実施が事業者に義務づけられた一方、従業員50人未満の事業場については当分の間努力義務になりました。しかし労働側としては、ストレスチェックは本来、全ての労働者を対象として実施していくべきだ、というスタンスを持っていますので、本検討会におきましても、50人未満の事業場で実施していくことが可能となるよう議論を進めていただきたい。具体的に言うと、人数規模の少ない事業場も視野に置いて、将来的に汎用することを含め議論いただければ有り難いと思います。よろしくお願いします。

○相澤座長 了解しました。これからそれで逐次進めてよろしいですか。事業者の履行状況を確認するため、受けたかどうかを把握することについて、いかがですか。

○松原委員 ストレスチェックの受検有無を事業者が把握することについて意見を申し上げたいと思います。ストレスチェック受診は、先ほど労働側委員から発言があったとおり、全ての事業場で実施されるべきであり、受診率100%を目指し事業者には全ての労働者が受診できる環境整備をお願いしたいと思っています。労働組合としても、労働者に対しストレスチェックの意義を周知していきたいと考えています。

 本検討会では、中間取りまとめにもありますが、労働者には検査を受ける義務がないことについて、議論いただく必要があると思っています。労働者の中には、ストレスチェックを希望しない方がいることも当然想定されますので、希望しないことを理由に労働者に対する不利益取扱いがあってはならないですし、労働者のプライバシーは保護されるべきと考えています。こうした事業者の厳格な運用が担保された上で、事業者は労働者のストレスチェック受検有無を把握すべきと考えています。

○相澤座長 不利益な取扱いがないという前提で実態を把握するということですね。よろしいですか。

○砂押委員 法的に述べたいと思います。事業者といいますのは、種々解釈は成り立つと思われますが、通説的な見解に立ち、ここは労基法第10条の事業主ということで検討したいと考えるわけです。「実施者」という言い方は、医師などが実施するという意味からいうと、法律上、あくまでも事業者に実施を義務付けるものであって、法の名宛人は事業者であり、事業者が義務を負う形を採っています。  そうすると、事業者に課せられたストレスチェック実施の義務内容はどこまでかということですが、そこら辺は解釈となりますが、恐らくただストレスチェックを実施すればいいという義務では義務を履行したことにはならないと考えられ、適切に義務が履行されていることまでもが義務内容と考えるべきだと思います。誰が受けたか、そして受けていない人に対して、強制はいけませんが、説明し、納得させ、受けさせるというところまでが、事業者が負っている配慮義務などもありますから、そこまでやるのが義務内容ではないかと考えるのです。

 検査結果に関しては、医師等と労働者本人が共有する情報であり、この情報に関しては、66条の102項ですか、本人の同意なくして事業者に伝えてはならない、となっているし、また、医師等も刑法上守秘義務を負っているので、当然、第三者である事業者に対して本人同意なくそれを伝えることはできないと考えるので、この情報に関しては医師も事業者に伝えられないし、また、事業者も医師に対して、出せと要請することは禁止されますが、それ以前の同条1項のストレスチェックの実施の部分に関しては、本人同意を要するということが特に定められていないので、事業者はストレスチェックが適正に実施されているか積極的に関与し、そして労働者が受検するよう積極的に勧めるという義務を負っていると解されるのではないかと思います。

 ですから、従業者と事業者の関係で、第104条の事務に従事した者が労働者の秘密を漏らしてはならないという規定は、66条の102項の部分については、事業者に対して漏らしてはならないということになるでしょうが、同条1項に係るストレスチェック実施状況の把握の部分については、法定健診などと同様に事業者に伝達できるものと考えることができるのではないかと思います。

○相澤座長 先のほうまで話が入っていますが、これについては、実施したか、しないかについては、そういう意味ではむしろ事業者は知らなきゃいけないということと同じですね。それについて異論のある方はおられますか。

○岡田委員 今の御発言に対して、事業者は、どれだけの方がストレスチェックを受けたかという数は把握してもいいのですよね。誰がということまでは特定されるということですか。

○砂押委員 そこは解釈にもよりますが、誰が受けたかも把握することは可能だと思います。

○岡田委員 それは実施者は把握してもいいと思うのですが、事業主は誰が受けたか把握するというのは、同意しない場合は、そこまでは、名前までは提示するのですか。

○砂押委員 これは実施に当たる人は従業員ですよね。

○岡田委員 はい。もちろん産業医とか、医師とか、もしかしたらEAPの機関ですよね。

○砂押委員 産業医とか、医師に確認することになるのですか。この制度設計をうまく把握できていないのかもしれませんが、事業者が自己の従業員に対してストレスチェックを事務としてやることを命ずるわけですよね。そして、事務担当の従業員が労働者たちに、事業者が受けろと言っていますと。ストレスチェックを広く受けるようにとお知らせするわけですよね。そうすると、受けたいと思った労働者は事務を担当する従業員に、「受けます」という感じになるわけですよね。そう考えると、従業員に対して「受けます」と言った情報は、当然に雇用主である事業者に対して行くことにはなります。

○高松委員 参考資料1にチャートが記載されています。事業者は従業員50人以上の場合に義務を負うわけですが、医師や保健師がストレスチェックを実施した場合には当然、事業者に義務があるわけですから、ストレスチェックを受けていないことで労働者が不利益を被らない限りは、何人、どなたが受けたかを事業主が知らないと、これは100%になるかどうかも分からないので、そこはその範囲で担保されれば、当然ここに書いてあるとおりに問題はないのではないかと思うのです。

○三柴委員 結論から申し上げると、この論点については、受けたかどうかを受検情報と呼ぶとすると、事業者には氏名まで含めてまず伝えられるべきだと考えます。問題は、一般従業員に対する伝達ですが、彼らに対しては、実施者である医師、その他の専門職が基本的に情報管理して、あとは加工情報なり、必要な部署に伝えるなりという形で、一定の管理、フィルターが掛かったほうがいいのではないかと私は考えています。

 今回、この検討会では非常に多岐にわたる論点が示されています。詰めなければいけない法解釈もあると思いますが、私は、情報管理について踏まえるべき原則は、企業規模を問わず5点あると理解しています。

1つは、安心して受検してもらう条件づくりです。これは、第66条の10の第2項を含めた新しい制度の趣旨を踏まえるとか、第104条に今回の制度を絡められているから、その趣旨を踏まえること。2つ目は、それと同時に実効的な産業精神保健を確保することです。3点目は、既存の法規や法理論、法理論というとプライバシー権などが該当しますが、こういったものとの整合性を図ることです。既存の法規というと、安全衛生法、個人情報保護法、刑法、保助看法、憲法、民法、これらを踏まえた行政解釈とか、いろいろあるわけですが、こういったものとの整合性を考えないといけない。4点目は現実的な実行可能性。5点目は、検査を受ける受検者以外の方の利益を確保すること。例えば、部門責任者は検査結果を踏まえて、あなたの管理が良いとか、悪いとかいう話になる可能性があるから、そういうところの利益も確保を考えなくてはいけないということです。その前提でこの論点、まず1点目の論点について申し上げれば、先ほどお伝えたとおりに考えております。

○増田委員 今回、私は使用者側の代表として参加しており、その点をまずお見知りおきいただければと思います。1つ目の論点ですが、使用者側としては、余りにもがんじがらめで、やりにくいものになると、よろしくないかと思いますので、円滑な実施という観点でをお願いしたいと思います。事業者側が把握できないとなると、特にストレスチェックを外部委託した場合、何件実施されたか分からないと、完全にブラックボックスになってしまい、外部委託したときの料金が、適正なものになっているかどうか確認できないことになります。使用者側としては、そういうことも懸念されるのではないかと思います。今、高松委員、松原委員、三柴委員からも実効性についてのお話がございましたが、その辺が担保される前提として、会社側に実施状況、実施人数等が伝えられないと、そもそも円滑な運営に至らないのではないかという点を申し上げたいと思います。

○相澤座長 ここで結論を1つずつ出していくと進めないので、大体の御意見は、受けたか受けないかは把握すべきだということだと思います。進めてよろしいですか。

 次に、ストレスチェックの実施主体ということで、これは幾つかあるので、上のほうからお願いします。ストレスチェックの実施者を事業者が兼ねることは想定できないということです。例えば、下のほうにありますが、医師とか保健師が実施主体になるわけですが、それが事業者として実施することはよくないということで、そういうことでよろしいですか。

○高松委員 私もそう思います。

○相澤座長 次の○も、この場合もそうですね。「人事上の不利益取扱いにつながることを防ぐ目的があること」ですので、今申し上げたことと同じことですね。よろしいですね。

3番目の○が、これは少し問題かと思いますが、ストレスチェックの実施の事務に携わる者について、同様の整理でよいか。というのは、先ほど高松委員からも話がありましたが、小さい事業所の場合は、実施の事務を行う人が人事担当者である可能性も出てくることだと思いますが、それについてはどう考えていくかということで、いかがですか。

○高松委員 私は、これについては反対です。先ほどの議論にもありましたが、ストレスチェックの実施の主体、あるいは事務の区分が難しい中で、労働者がストレスチェックを受けることを躊躇する可能性があるのではないか。何があるのかというと、人事のご担当が入っていらっしゃる場合が考えられますが、人事の立場の方が入ることは、できるだけ避けるのがよろしいのではないかと思います。

○相澤座長 どういう方がやるかも問題になってくるのですが。

○高松委員 やはり医師、保健師等に全部お任せするのが正しいと思います。

○相澤座長 小さい事業所で保健師さんなどが。

○高松委員 その場合にも外部のお願いしている先生がいらっしゃいます。

○相澤座長 ということですが。

○黒木委員 これは2番目の件ですが、「実施者となれない事業者の範囲」ということで、医師、保健師などであっても、職務上、人事に関する業務を担当していると。これは具体的には、例えばどういうことを考えればいいのですか。

○相澤座長 医療機関ではないですか。医療機関で理事長をやっている人が産業医を。

○黒木委員 いや、病院長は駄目だけれども、例えば副院長とか、健康管理担当とか、それだったらいいのかということに。これはちょっと私は疑問なのですね。

○相澤座長 確かにいろいろ問題が、開業している人とか、診療所とか、そういうものがあります。

○産業保健支援室長補佐 事務局から補足しますと、イメージしているのは、例えば副院長だから駄目とかということではなくて、その方が人事権をどのぐらい持っているかというところで判断すべきかということです。人事権も、例えば自分の部下とかではなくて、会社全体の人事に関わる人事権を持つ立場にある方かどうかということで、御議論いただければと思います。

○黒木委員 分かりました。その人事権は、例えばどの範囲をいうのですか。

○産業保健支援室長補佐 そこはなかなか難しくて、そこの線引きも含めて御議論ください。

○相澤座長 早めにやってしまってあれですが。結構デリケートな問題が出てくるのですが、どうですかね。

○道永委員 私はこれを伺ったときには、パッと、病院長が産業医だったら、その産業医はストレスチェックには関われないと、そういう単純に考えてしまったのです。日本医師会で勤務医の勤務環境改善ということで、今ワークショップとかをやっています。ワークショップで事例というかロールプレーみたいな感じでやるときがあるのですが、そのときには、例えば整形外科の先生が、メンタルで不調になってというときに、どこに相談するかみたいなところがあるのです。そうなると、人事権は医長とか院長が持っているので、そこに話が直接行ってしまうと、やはり「休みなさい」とか、逆のパワハラみたいな感じになるので、人事権という言葉は医療機関にとってはすごく難しいと思います。人事課とか、そういったものはまずないので、だから労務とかをやっている人が関わるのならまだいいのです。だから、人を動かすことができる人は、絶対に携わってはいけないと思います。

○黒木委員 そうすると、例えば所属の課長とか、部長とか、それは確かに人事権を持っているけれども、そのほかの病院の中の違う所であれば、部長であっても人事権はなくなるわけですよね。そうすると、人事権をどう考えるのか。それから、大学だと、これはまた医学部との関係だったりとか、やはり複雑になってくるので、ここはどう考えればいいのかと思っていたのですが。

○三柴委員 ここでの大目的は、先ほど申し上げたところに照らせば、安心して受検していただくということになるので、その趣旨に照らして区々多様な、様々な組織がある中で、その組織ではどういう方が担当すると人事に関わるから、要は受検者が受けにくくなってしまうかということを判断していく。その意味では、正直、ある程度事例の蓄積が必要ではないかと思います。もっとも、法的には、例えば労基法の第41条の第2号などは、管理監督者の労働時間の適用除外を定めていますが、ああいった制度も組織に応じていろいろ実態があるので、それに応じて判断してくださいということになっています。だから、そういったことに照らして判断していけばいいのではないかと理解しています。

○相澤座長 これについては御意見ありませんか。少し深く考えないとあれかもしれないですね。

3つ目の○です。人事を担当する者についても実施の事務に携わることが可能かどうか。これは少しまずいという高松委員ですが、これについてはいかがですか。

○増田委員 ここに書かれている「人事を担当する者」の範囲が、どうなっているかを確認したいのですが。

○産業保健支援室長補佐 先ほど御議論いただいた、正に実施者となれるかどうかと同じ範囲を一応想定しておりますので、権限もない、ただ人事の仕事に従事しているだけの人は省いているイメージです。

○増田委員 私のように人事に所属する常勤の産業医の場合は、どうなりますか。

○産業保健支援室長補佐 結局、その方が人事そのものにどう関わっていらっしゃるかという実態判断をしていくしかないのかというイメージはあります。

○相澤座長 直接人事に関わるということで、余り好ましくはないということですかね。

○高松委員 法の趣旨や、附帯決議にもあるとおり、労働者個人が特定されずにストレスの状況をチェックしていくことが大前提ですから、そういう意味では、内部の方が関わることを避けることが望ましいのではないかと思います。

○黒木委員 確かにそうですが、そうすると、組織の中でこのメンタルチェックをやって、それから、高ストレス者を判断して、判定して、産業医の面談に申し入れると。受診勧奨をするとか、そういうときに全部外部委託という形になってしまいますよね。そうすると、それは本当に望ましいかどうかは、また検討しなくてはいけないと思うのです。基本的には組織の中でやっていくことも企業によってはあるかもしれないし、それは、またちょっと、全て外部というのはまずいかという気がするのです。

○高松委員 先生がおっしゃっている内容は、具体的にはどうなのでしょうか、産業医の先生を使うという意味での内部という意味であれば、そのようなやり方はあると思います。

○黒木委員 いや、そういう意味ではなく。

○高松委員 ない場合ですね。産業医の先生は守秘義務がありますから、産業医の先生から人事に情報が漏れるという話にはならないと思いますので、そういう意味では、いま議論している人事とは、いわゆる人事部といわれる労働者の処遇などに関わる部署のことであり、産業医の先生を指して言っているわけでは全くありません。

○黒木委員 人事部に所属しているとか、先ほど話がありましたが、それの組織を少し形を変えるとか、そういうことが望ましいということですか。

○高松委員 それは、たまたま増田先生が人事部にご所属だということです。だからといって、人事的な側面と産業医的な側面で守秘義務を守らなくても良いということは、当然あり得ないはずですから、私は人事部に所属されていることを余り気にせずに産業医の先生という立場で進めていただければよろしいと思いますが、いかがですか。

○岡田委員 私はもともと人事部の産業医で、統括として、グループ会社も担当していました。産業医が人事部に属していても産業医は独立性を持ちっていますので、刑法上の守秘義務を課せられていますので、人事部からこの情報はどうですかと言っても、開示することはまずありませんし、漏らすこともありません。それをしないと、働いている方との信頼関係が全く崩壊してしまうので、まずその心配はありませんので、そこは産業医を信頼していただかないと、これはどうしても前へ進まないのではないかと。

 むしろ産業医は、職場を巡視して職場の状況を分かっていますから、本人が虚偽の申告をしたときに、すぐ分かるわけです。過重労働の面接があった後にストレスチェックをして、ストレスがないなどということはあり得ないわけで、それは私からもう一度「本当ですか」ということを聞いて、きちっとストレスの状況を把握できるわけですから、むしろ先生がおっしゃるように、内部の人間がきちっと状況を把握して、職場の環境も見てチェックするほうが、望ましいのではないかと思います。

○三柴委員 結論的に、今の岡田先生の御意見に賛成です。要は、想定されている実施者は、医療と心理と福祉の専門家になっているわけです。ただ、職場事情に詳しくないと、検査の設計もできないという趣旨で、産業医のような方が望ましいと想定されているように思います。いずれにせよ、国家資格をお持ちの方が前提になっているので、おっしゃるように、守秘義務は掛かっている。だけど、内部事情に詳しいと、そこでバランスが取られていると思いますので、岡先生のおっしゃるとおりだと私も思います。

○道永委員 実施主体そのものは今おっしゃったとおりですが、ここの3つ目の○は、入力をしたりとか、あと、結果を出力したりとか、そういったことなので、それについて人事を担当している人はまずいのではないかと私は解釈しているのです。実際にストレスチェックが紙ベースであろうとオンラインであろうと、それに携わるのは医師あるいは保健師等ですが、実際の事務をやる人が、同じ身内の中で、先ほど先生がおっしゃいましたが、小さい企業の中で、「あっ、何とかさんはこんなに点数が高いんだ」みたいなことが入ってしまったとき、それがどこかで漏れる可能性がある。そこが問題なので、先ほどおっしゃったみたいに実際に、たとえ事務であっても、恐らく産業医がどこまでやっているか分かりませんが、このような事務は恐らくやらないですよね。だから、そこをうまく、きちくと文章にしないといけないのかと思います。

○岡田委員 ペーパーベースの場合はそうかも分かりません。大企業の場合はほとんどウエブでやっているから、全く人事の方が関知することなく情報がそのままダイレクトに産業医に入ってきて、その人の画面に出てくるわけです。したがって、人事が関与できることはありませんし、その情報にアクセスすれば、誰がアクセスしたかは私どもはシステムで分かるようになっていますから、漏えいしたとしても、誰が漏えいしたかは分かるので、恐らく大企業は大丈夫だと思います。ただ、先ほどお話申し上げた50人未満になってくると、ペーパーベースでやる場合に、恐らく外部に委託すれば非常にうまくいくのでしょうが、これを内部でやる場合には、今、先生がおっしゃったようなリスクはかなりあるようには思います。

○相澤座長 確かに製造業とか、そういった会社の中のネットワークがない所がほとんどですので、難しいですね。今までの議論で何かありますか。一応、ケース・バイ・ケースでなかなか難しいかもしれないけれども、人事に関与するような方の関与はなるべく避けたほうがいいという御意見だと思います。

4番目の○で、提供のことですが、実施と結果の提供に係る同意の取得は派遣元事業者の義務ですが、派遣先の事業者がストレスチェックを実施することは可能かどうかです。これはどうですか。

○黒木委員 職場環境改善というか、一次予防をまず第一と認識しているわけですから、派遣労働者は、できればその働いている事業場で、ストレスチェックを受けるのがやはり望ましいかなと思います。

○高松委員 私も同感でございます。特に働いている場所で、ストレスチェックを受けることが大事だと思います。その際に、その派遣元の事業者から派遣先の事業者へはいつもきっちりと委託契約を取り交わすことと、守秘義務の問題についてもしっかりとその派遣元と派遣先がそのところを事前に確認した上で行っていただければ、是非ストレスチェックは派遣先でやっていただくべきだと思っています。

○岡田委員 1点だけ確認ですけれども。長時間労働の面接については派遣元がやることになっておりますけれども、これについては派遣先でやるということであれば、長時間労働は派遣元の産業医であり、ストレスチェックについては派遣先の産業医がするということになれば、この乖離は今後どう解決していけばいいのかはちょっと御議論していただきたいと思います。

○砂押委員 法的には派遣元が雇用主で、派遣先は指揮命令権しかなくて、雇用主ではありません。本来的には派遣元が行うべきではありますけれども、ただ受検は任意ですので、強制がないので、派遣先で実施しますよということで、本人が受けたいということで、派遣先もそれでいいですよということになれば、全く何の問題もないわけです。ただ、派遣先が派遣労働者に対するストレスチェック実施義務を負っているかというと、派遣先が法的な義務を負っているのは自己の雇用する従業員だけという感じになります。

 そうすると、派遣元が雇用主として本来負うべき責任ががどうなるのかという問題と、派遣労働者が任意に受けたストレスチェックにより派遣先が得た情報の派遣元への流通がどうなるのかという問題が生じることになります。後者に限って言いますと、これは第三者提供になってしまいますよね。そうしますと、派遣先で本人に同意を求めて、事業主にそれを伝達していいかということにならないと、そこで勝手に連携をして、あるいは派遣契約の中でそれを織り込んで契約上派遣先と派遣元が契約を結んだとしても、やはりこの情報に限っていえば派遣元が本人にとっては第三者になるので、そこは同意が要る問題となってしまうのではないかと思います。

○三柴委員 すみません、情報管理の専門家に私が申し上げるべきではないのですが。例えば、個人情報保護法に則るのであれば、要は情報管理の委託契約を派遣元と派遣先の間で結んでおけば、第23条第4項に基づき両者一体の扱いとなって、両者間での情報のやりとりは第三者提供には当たらないというルートがありませんか。

○砂押委員 本来の派遣契約とは別に委託契約を結ぶということですね。委託先としてしまうということですね。そうすれば、その第三者は避けられるかもしれません。その代わり、ちゃんと派遣契約を結ぶときに委託契約も同時に結んでおかないと、委託者というふうにならない。確かに委託契約を別途結べば、その第三者提供の問題はクリアできるのかもしれません。でも、そこまでやるのかなという問題が出てきますけれども。

○産業保健支援室長補佐 今の法律上の解釈をどうしているかということを御紹介させていただきます。一般健康診断についても派遣元に義務がかかっています。ただ、今の法律の解釈上はその派遣元と派遣先で、派遣元が派遣先に実施を委託します、という契約を結べば、派遣先でやってよいという解釈にしておりまして、同じような解釈ができないかというのが1つ論点としてある。今の情報管理の話で申し上げますと、派遣先がやると言っても、やるのは実施者でして、結局本人が同意しない限りは派遣先事業者にもいきませんので、そこは派遣先が実施したからいきなり派遣先事業者が情報を持つということではないかなと思います。

○相澤座長 よろしいでしょうか。長時間労働についてはまた御検討いただけるということですね。それでは2ページ目の最後の○ですが、「その場合、ストレスチェック結果の事業者への提供に関する同意の有無」、これは委託があればいいということですね。個人の同意は必要ないということですか、先ほどの御意見ですと。

○高松委員 委託契約をされる際に、同意確認も派遣先で行うということでよろしいのではないでしょうか。

○相澤座長 はい、法律的に問題はないですか。

○三柴委員 問題ないと思います。先ほどの長時間労働の制度との絡みになりますけれども、結局たとえ法定健診であっても外部に委託するということはできているわけで、これは法的に整理がついているわけですよね。ですから、私見では長時間労働面接についても派遣元が負う安衛法上の責任を委託先に代行させること自体、理論的にはできるのではないかと思うのです。ですから、このケースではそのストレス検査をどちらがやるほうが実態にかなっているかと、正に産業精神保健の実効性にかなうかという最初に申し上げたところとの絡みで考えるべきだろうと思います。

○岡田委員 今の御意見ですと、例えば派遣従業員の場合、派遣先の有害業務に関る健康診断、ストレスチェックというのは最終的にはすべて派遣元の産業医にフィードバックされて、そこから事業主に対して意見を述べるということになるのでしょうか。その派遣先の産業医が全責任を持って、その従業員に対する指揮命令権というのは当然ないわけですから、派遣元の事業主が派遣事業に対して指揮命令権というか就業上に関する、若しくは健康管理に際しての措置というのは取らないといけないと思うのです。つまり、派遣をやめるとかですね。そうすると、元々は派遣元がそういう指揮命令権を持っているということを考えれば、派遣元の産業医が最終的に就業に関する意見を派遣元事業者に述べる立場になるのではないでしょうか。この点はいかがでしょうか。

○三柴委員 すみません、ちょっと検討させてください。

○砂押委員 そうですね。

○岡田委員 そうすると、その情報のやり取りは最終的にはまた派遣元の産業医に戻して共有して、それで本人を呼んで就業に関わる措置を講じないといけないということが起こってくるはずなのです。私どもも派遣労働に際しては有害業務、例えば有機溶剤の健診をした場合は、総合的な就業上の措置については派遣元産業医の意見を聴くことという形で返しているわけですね。その点を考えると、このストレスチェックという取扱いに関してはどのような取扱いをしたらいいのかというのはちょっと迷うところなのです。この点はいかがでしょうか。

○産業保健支援室長補佐 ちょっと誤解があるようですので御説明させていただきます。安衛法上の派遣元と派遣先の考え方は、今、先生がおっしゃったような有害業務の健診とかは派遣元ではなくて派遣先のほうに義務がかかっております。ですので、そもそも一応基本的な義務というのは措置も含めて派遣先にかかっています。今回御議論いただいているストレスチェックや一般健診などは派遣元のほうにかかっておりますので、それを派遣先でできるようなうまい融通のしかたがあるかという、そういう観点かと思います。

○岡田委員 逆に今の御意見だと、派遣先の産業医が有害業務の健診をやりますよね。なおかつストレスチェックもやるわけですね。

○産業保健支援室長補佐 依頼があればです。

○岡田委員 そうすると、そのデータはその従業員の方に対して就業上の措置を講ずるのは、派遣先の産業医ではないですよね。

○産業保健支援室長補佐 有害業務については派遣先なのですけれども、ストレスチェックについては派遣元のほうになります。

○岡田委員 そうですね。そうすると、そのデータはまた返さなければなりませんよね。そこの産業医が実施したとしても、そのデータだけは。そうするとまた返して、そこの産業医が派遣元の事業主に意見を述べるということになりますよね。

○産業保健支援室長補佐 そうですね。

○岡田委員 それは情報がどんどんやり取り、あちこちに流れていきますけれど、それはかまわないということですね。

○産業保健支援室長補佐 はい。

○川上委員 今の御議論ですが、基本的には今の話は委託してあげたということですから、派遣元から派遣先に。ですので3ページの上から2番目の○のところに、委託のケースについてやはり産業医を通じて事業者に提供するのが望ましいのではないか、と書いてあるので、ここで解決できるのではないかという気がしますけれど。

○岡田委員 過重労働との兼ね合いで、ちょっと。

○相澤座長 今回は一次予防が主なのですね。働いている環境を良くするということが目的なので、派遣先がやったほうがそういった意味ではいいと思いますね。

○砂押委員 先ほどの委託契約と考えてしまうと、正に委託している側の派遣元に情報が戻ってきて、そこの産業医というので話は法的にはスムーズにいく感じがするのですが、現実問題として長く派遣先などで働いている場合に、指揮命令権が派遣先にありますので、その人がひどい指揮命令をしてストレスをどんどん溜めたり、環境をすごく悪くしているというのは、派遣先ですよね。

 あまりこうなると法的ではないのですけれど、派遣元と派遣先の力関係を考えますと、圧倒的に派遣先が強いわけで、派遣元というのは実際には何も言えないわけですよね。そういうことを考えますと、先ほど三柴先生がおっしゃるように、実態で労働者が働きやすくなることをどうするかを念頭に考えますと、むしろ派遣先で就業状況を改善するという観点では、そちらの産業医がもっと積極的に関与してその職場環境を良くすることが、実際にはそこのほうが実効的なのかなと思います。そうなると、それを法的にどう構成するかをちょっと考えなくてはならない問題なのではないかなと思います。

○相澤座長 特殊健診も恐らくそういうことですね。環境のことがよく分かっていないと一緒にはできないということだと思うのです。

○産業保健支援室長補佐 今の先生の御議論は、そもそも派遣元でいいのかという御議論もあると思うのですが、法律上派遣元に整理されているのです。ただ、先生がおっしゃったような問題は出てくると思いますので、どううまく派遣先と派遣元で連携していくかという、その運用の工夫の仕方をちょっと考えるのかなというイメージで聞いておりました。

○相澤座長 ありがとうございました。この件はよろしいでしょうか。それでは次に進ませていただきます。2ページ目(3)の「ストレスチェック結果の取扱い」で、事業者への提供に当たって、労働者の同意を取得する方法です。どのような方法がいいかということで、ここに1~4まであります。これ以外にももしかするとあるかもしれませんけれども、どれが適当かどうか御議論いただきたいと思います。

○松原委員 事前の同意確認に当たってなのですけれども、まず大事なのは労働者個人の意思が適切に反映されるべきということです。集団的に同意を取ってしまうとか、労働者が一定期間その意思を示さなければ同意をしたとみなすとか、そのような同意の取り方は当然できないと思っております。そういうことを考えると、ここに書いてある1~4でレベル感を見てみると、同意の有無の確認タイミングについては、3や4に記載をされているストレスチェックの結果通知後や、面接指導の申出のタイミングというような、労働者の意向がきちんと尊重できるタイミングにしていくのが適切なのではないかと考えています。

○増田委員 今の松原委員の御意見とは真逆なのですが、私はこの1~4の1つに絞らないといけないのであれば別ですが、どの方法でもいいと思います。5番目として、労使協議に基づく包括同意取得というのも選択肢として挙げていいのではないかと思います。もちろんその不利益取扱いの観点から適切ではないかという向きもあるかと思うのですが、そもそもストレスチェックは労働者に受検が義務付けられておりませんし、どうしても嫌であれば、それを回避する選択肢が労働者側には残されていますので、実施側の負担を減らす観点では、選択肢として挙げていただければと思っております。

○松原委員 受診を労働者が選択できるのですが、ここの議論は事業者への提供に当たっての同意なので、そこはまた明確に区別して、判断をしたほうがいいと、私は思いました。

○砂押委員 かなりセンシティブなプライバシー情報となりますので、その自己がどの情報を他者に伝えるかという重要な問題がかかわってきて、プライバシー内容が明確でない段階での同意というのは、本当にプライバシー情報を伝えようという同意というようにちょっとみなせないのではないでしょうか。やはりあくまでもその結果通知後に自己が情報の内容を把握し、この情報を伝えるというその意思が必要なのではないかと思いますので、事前ではなく、その内容を知った上で自分がどう判断するかという自己決定の観点からも、3、4の辺りが妥当なのではないかと思います。

○高松委員 私も全く砂押先生と松原委員と同じです。職場風土などの問題もあり、労働者が拒否しづらいような職場風土にあるというケースも考えられますし、そういうケースでこそストレスが発生しやすいので、同意については十分に配慮いただければいいかなと思っております。以上です。

○砂押委員 同意に関してなのですけれども、労働法では労働者の同意というのは普通の一般的な同意とは違い、「ノー」と言えない状況が労働者の置かれた立場なので、労働者の同意の判断については事項によっていろいろ濃淡をつけ区別して判断されています。例えば賃金債権の放棄などの同意については、単に「イエス」と言っただけでは同意とはみなされなくて、その人がこの状況だと「イエス」と言ったことに、合理的な理由が客観的にあると考えられる場合に限り同意があったとみなされます。一般的な場合の同意より厳しく判断されているのです。ここでの問題もプライバシーという基本的人権に係る問題を伝えるかどうかの同意なので、やはり自己がちゃんと理解した上で伝えるという、そういう本心の同意というところまで求めるべきではないかなと思います。

○産業保健支援室長補佐 ちょっと1点だけ補足します。先ほど増田委員からもありましたが、その包括的同意もあり得るのではないかというお話だったんですけれども、今回の法律の条文の書き方を見ていただきますと、あらかじめ当該検査を受けた労働者の同意を得ないで結果を提供してはならないということです。法律の条文の解釈上、包括同意というのはそもそも想定されていないということになりますので、個別同意の取り方をどうするかという御議論をいただければと考えております。

○三柴委員 今回、第66条の10の第2項で定められた労働者の検査情報の取扱いというのは極めて厳しいものです。要はかなりハイストレスだから、第三者にも事業者等にも情報提供するという方法も、法政策論的にはあり得る中で、そういうものも一切駄目である、シャットアウトするという前提、それほど労働者に安心して受検していただくと、そうすることで産業精神保健の実効性を確保するというところを重視しているので、成立した法律との関係でも、やはりここは個別にかつ、同意するならばする情報の内容が明確であるという状況で取り扱うべきであろう。そうすると、3、4というようなところになるだろうと思います。

○相澤座長 そうすると3か4ですね。1か2はちょっと問題があるということで。包括的な同意もちょっとまずいということで。どうしますか、3と4のどちらを加えるとか、そこまでやりますか。いいですか。

 そうしましたら、○の2番目ですね。これは高ストレスと判定された労働者に対して、保健師、心理職等による保健指導が、これは法定外の取組ですが、その結果の事業者への提供についてはどのように取り扱うべきかというところです。これは行われたという前提ですね。

○松原委員 法定外の取組だということでありまして、高ストレスですぐに何らかの対応をしなければならないという、そういうケースなのだと思いますけれども。ただ、こういう状況であったとしても、結果が事業者に提供された場合には、労働者本人の同意なしに、結果が事業者側に伝わってしまうことと同義になってしまうことを考えておかなければいけないと思います。ただ、そうは言っても、万が一、本当に何もしないのか、ということもありますので、本人の同意については最大限に尊重するした上で、ルール作りみたいなこと、一定の配慮はしておかないといけないと思います。

○相澤座長 本人の同意が得られれば、事業者に伝えてもいいということですね。いかがでしょうか。

○黒木委員 これは結果を通知して、産業医の面接指導を勧奨するというその前の段階ですね。そうすると、どういうことを想定されているのか、この「保健師、心理職等による保健指導が行われた場合」というのは何か緊急性があるとかそういうことではなくて、必ず産業医に相談したり、その結果としてということなのでしょうか。

○産業保健支援室長補佐 一応ここで想定しておりますのは、実は多くの企業にヒアリングをしたときに、全部初めから医師の面談を受けさせるのではなくて、まずは保健師なり心理職なりが会っていますというところが非常に多かったので、それを想定した論点になります。

○黒木委員 そうすると、その次の段階としては事業者というよりも、むしろ産業医には相談がいくということを考えればいいわけですね。

○相澤座長 そこで終わってしまう場合はないですね。

○産業保健支援室長補佐 ないと思います。

○岡田委員 私どもも、もう既に、元の企業ではやっておりましたけれども、高ストレスの場合は産業保健スタッフが入っていって産業医に連絡をしてもらって、健康相談という形で産業医が対応して紹介状を書くなり、産業医の意見として就業に関する意見を会社に出すという形です。迅速に対応しなければいけない場合は、医師の面接指導を受けるまでもなく、やらないといけない問題だと思いますので、その場合は意見書を出して初めて本人にそのときに承諾をもらって会社に提出するという形であれば、別に問題はないのではないのでしょうか。

○黒木委員 会社に提出するとは何をですか。

○岡田委員 高ストレスと判定されますよね。それで保健師、心理職が相談に乗りますよね、極めて深刻な状態であるという場合は直ちに産業医に連絡をして、産業医はその場で面談をして紹介状を書くなり、就業に関する意見書を直ちに発行するということで、本人の承諾をもらって、事態が深刻にならないように意見書を提出して、予防的措置を取るというのが一般的な考え方かなと思います。

○川上委員 私の整理のために申し上げますが、この部分は法定外の取組になっていますので、基本的にはこの健康づくりの指針に書かれているように、安全衛生委員会等で健康情報の取扱いについて決め事をした上でこういうプログラムを実施していて、そこに書かれたような形での個人情報の取扱いになりますので、これはそういう指針に準じるというようなことでよいような気がします。指針というのは、心の健康づくり指針ですね。

○高松委員 少し整理させていただきたいのですが。「ストレスチェックの結果の取扱い」という項目です。その中での事業者への提供ということですので、これはあくまで法的に見ればストレスチェック制度としては、御本人の同意を得た上でないと事業者には情報提供できないということが大前提のはずです。その上で面談をしていくという流れを、あえてこの件に関してだけ、そのルールを外すという趣旨が全く分からないです。あくまで本人同意が前提という法の趣旨に基づくべきだろうと私は思います。

○増田委員 まず、ちょっと本筋から外れるのですが、心理職等による保健指導というのはちょっと表現が適切ではないのではないかと思います。保健指導は保健師の名称独占が規定されているので、心理職による保健指導という表現はあり得ないのではないかと思います。本筋の議論ではありませんが、まずはその点を指摘させていただきます。

 そして緊急性が高い場合についてはあまり議論の余地がなくて、会社に伝えればいいのではないかと思います。緊急性がない場合につきまして、保健師、心理職等、これは恐らく企業に属することが想定された上での記載だと思うのですが、その場合は保健師、心理職が知った情報は会社が知った情報と扱われて安全配慮義務が発生することになります。日本ヒューレット・パッカード事件の判例なども確かそのような主旨だったと思います。ですので、法定外であろうとなかろうと、保健指導が行われて把握してしまった結果については、会社に安全配慮義務が発生することになりますので、基本的には提供される形で情報のルールの整理ということをやらないといけないかなと思います。

 これは緊急性があるという場合の議論が先ほど主体を占めていたと思いましたので、そうではなくて緊急性がない場合であっても、伝える仕組みにしておく必要があるのではないかと思います。端的には法定外の保健指導の実施前に「会社側に提供しますよ」という形で事前に説明するとか、あるいは川上委員が先ほどおっしゃられたようなルール策定で、整理されて然るべき問題ではないかと考えます。何が気になったかと言いますと、日本ヒューレット・パッカード事件の場合は確かそれほど緊急性があると判断されていなかったのだけれども、結局後で会社の責任が追及されたということだったかと思いますので、そのような整理が必要かと思います。

○三柴委員 これは結構難しい問題だと思います。まず「法定外の取組として」としていただいているのですけれども、別の考え方も恐らくあって、それとの平仄も考えないといけないと思うのです。つまり、1つは、まさにストレス検査の精度を高めるために面談をやるのだと考えるのであれば、その場合はこれまでの議論どおり、要は同意なくして提供なしとなります。

 他方で、ストレス検査を産業医がやって、その産業医がそのまま法定健診で問診しましたと。そのときに検査結果を踏まえて問診を実施したという場合、その結果は問診結果として事業者にいくということになります。ですから、どちらに近づける考え方もとれるわけですけれども、一般的には川上先生が言われたようにメンタルヘルス指針、あるいはその前提になった中災防の委員会の報告書に書かれたガイドラインと言いますか、その情報取扱いルールで対応すればいいと思います。情報加工、本人同意、産業医による管理。あとは安全衛生委員会等によるルール作りですね。

 けれども、法的にもっとクリティカルな状況になった場合においては、増田先生が言われたように、日本ヒューレットパッカード事件や結構前の電々公社帯広電報電話局事件、富士電機EC事件などの判例を踏まえて、要は合理性のある根拠規定、就業規則規定があって、実施自体でみても、これはもう情報を漏らしても仕方がないかというようなところが担保されるかというところで、個別に判断していくことになるのではないかと思います。

○砂押委員 法定外というところがちょっと気になるのですけれども、法定健診は個人情報とかプライバシーの観点から非常に例外的な特別で、当然に事業者に情報がいくことを前提としていますので、一般法である個人情報保護が適用にならず、特別法である安衛法が適用になるということです。

 情報がいくというのは、法的にいいのですけれども、法定外については法的なバックがないので、一般法に落とすことになってしまいます。法定外としてしまうと、やはり本人同意なく個人情報を伝えることができないことになってしまいます。今、三柴先生がおっしゃったように、法定健診の項目の中に落とし込んで、法定健診として問診という形にしてしまえば、法的問題はクリアできるかもしれません。法定健診の一部ということで配慮することはできると思うのです。

 あと、甚だしく病状が悪くて、自己の状態が分かっておらず同意ができない人もいると思うのです。そういう場合には、個人情報保護法の第23条の第三者提供の例外として、本人の身体とか生命などの例外がありますので、それに該当する可能性があると思うのです。そうしますと、もう個人情報とか言っているより、その人の生命の上ですから、そういう例外としてそれは伝えることはできると思うのですが、ただそれは誰が判断するかという問題にもなってきますが、

 とりあえず、法定外とするのであれば、基本的には同意が要ることになってしまうのではないかと思います。○相澤座長 まだ検討する事項がありますので、少し前に進めさせていただいてよろしいでしょうか。意見が出たということで。

○高松委員 いろいろと御意見はあると思うのですが、このセクションで、これを入れるのが馴染むのか馴染まないのかという意味で考えると、その緊急性の問題で始まるのであれば違う場面で扱ったほうがよろしいのではないかと思います。

○相澤座長 ありがとうございます。では、次に進みます。次の○は、面接対象外の人についての結果を事業者が把握する必要があるかどうかということです。いかがでしょうか。面接対象外の問題です。しなくていいですかね。しなくていいという声が聞こえました。よろしいですね。

 次です。同意しない労働者に対して、事業者が同意するように働き掛けることについてはどう考えるか。これは法律問題ですか。

○高松委員 これは、あくまで強制的とならないことが大前提だと考えます。書き方が非常に曖昧な気がするのですが、どのレベルまでかという点はありますが、強要しないことを大前提に、あるいは労働者本人の意思だということを明確にするような文書にしていただければ有り難いと思います。

○相澤座長 勧めるというようなことだと思いますが、もちろん余り強制はできないですね。

○松原委員 この話の前提になるのかもしれませんが、ストレスチェックに関する苦情などが発生したときに、苦情処理機関である相談窓口をきちんと設置しておくことが必要ではないかと思っております。ぜひ検討を深めていただければと思っております。

 ここの論点と少し外れるかもしれないのですが、もしかしたらここ以外に発言する機会がないかもしれないと思ったので発言します。同意を取った後に「やはり私は不同意に変えたい」というケースが出てくるのではないか、そういったときの情報の取扱いをどうするのかということも、きちんと考えておかなければいけないと思っております。

○川上委員 これでこの部分を終わるようでしたら、ここには書いていないのですが、産業医としては、緊急時における産業医の責任範囲が少し気になっております。例えば、この場合で産業医がストレスチェックを実施し、高ストレスの値を持った方を見つける。ただし、御本人に働き掛けてもそれは事業者には言いたくない、同意が取れないという状況で何か事件が起きた場合、産業医がどの程度まで責任を取るべきかということについて、非常に懸念が高まっております。この点をどこかで検討いただくとうれしいのですが。

○相澤座長 それは次回ということでよろしいでしょうか。

 次に移ります。事業者への提供に当たっての同意取得のタイミングです。その都度必要とすべきか、あるいは一定期間まとめて確認することを可能とするか。一定期間というのは何年間かということですが、いかがでしょうか。

○高松委員 今おっしゃいました、一定期間は複数年という意味でしょうか。

○産業保健支援室長補佐 これは両方あると思っていまして、例えば年に何回もやっている企業は、その何回分という取り方もあると思うのです。ただ、これは先ほどの議論の流れでは余りないかなというイメージはあるのですが、御議論いただければと思います。

○高松委員 そういうことであれば、労働者の意思が、一定期間、何回も何年も、ずっと変わらないという担保をどうやって取り得るのかという意味では非常に難しい話ですので、実施の都度、同意を取るべきだと私は思います。

○相澤座長 ありがとうございます。では3ページに移ります。「実施者から事業者への結果の提供方法」です。実施者は事業者にどこまで情報を提供すべきかどうか。ストレスチェックの点数や判定結果等、あるいは3つのあれがありますので、その各々の傾向などをどこまでやるかということ。2つ目の○は、「外部委託している場合は、同意した労働者のストレスチェックの結果は産業医等の産業保健スタッフを通じて事業者に提供することが望ましい」と。少し内容が違いますので最初のところの、どこまで事業者に提供すべきかどうか。これはどうでしょうか。

○高松委員 中間取りまとめには簡易調査票の57項目が入っていますが、このレベルは共通のものであり、57項目の内容までは提供してよいと思います。それ以上の内容は、事業者独自の内容であり判断が難しいと考えます。

○相澤座長 点数や判定だけでいいということだと思うのですが。

○黒木委員 あくまでも集団分析のところはいいのではないかと思います。

○相澤座長 いや。

○黒木委員 ということではないのですか。個人の、ということですか。

○相澤座長 事業者に実施者が提供するときの内容です。どの程度の内容かということですよね。プロフィールですよね、同僚の支援や仕事場のあれとか、自覚症状なのかとか、そういう細かいところまでやるのかどうかということだと思うのです。

○産業保健支援室長補佐 少し補足します。イメージとしては、個人のプロフィールは、例えば診断書のように病名などを書いているものではなく、何点という点数が出てきて、ストレスの度合いが高いか低いかというものを、そのまま渡すかどうかという話なのです。本人同意が前提なので、一応、事務局側の提案としては、そこまではいいのではないかという提案をさせていただいているという趣旨です。

○黒木委員 結果ということですね。

○産業保健支援室長補佐 はい、結果です。

○相澤座長 結果がそのままある程度という内容についてはいいですね。どういうふうに対応するか、また知らない段階ですから。

2番目です。外部委託の場合に事業者に伝える場合、産業保健スタッフを通じて提供することが望ましいかどうか。いかがでしょうか。

○高松委員 そうしていただければ一番有り難いです。先ほど川上先生がおっしゃったような、産業医の先生の責任の問題など、いろいろな項目を絡めた上で最終確認をされるのだと思いますが、こうしていただければ望ましいと思います。

○相澤座長 原則的にはそのほうが望ましいと。よろしいですね。ありがとうございます。

 ストレスチェックの結果の保存方法です。事業者に実施状況を記録させていく必要があるのではないか、何を記録させておくか、保存期間はどの程度か、ということですが。

○砂押委員 これは医師がやりますよね。医師が持っていた情報をどのように保存するかという意味になってくるのですか。

○相澤座長 そうですね。「事業者に」と書いていますね。

○産業保健支援室長補佐 趣旨としては、医師が持っている結果は2つ目の○のほうです。上のほうにあるのは、例えば、ストレスチェックを何月何日に実施しましたとか、何人受けましたとか、そういう情報をイメージしているものです。

○砂押委員 これに関しては、事業者が知ることが前提となっている情報となりますので、一般的な健康情報の管理と同等になるのではないでしょうか。

○相澤座長 医療記録は5年間ということですから、5年間とかですかね。

○三柴委員 現状、安衛法上の法定健診の結果や、医療機関によるカルテの保存期間は5年ですよね。ただし、この検査は医療情報ではない、心理面を中心とする検査であり、その他の要素も複合的に含むものだと。いずれにしても医療的な情報ではないということになると、5年に対して、もう少し軽減してもいいのではないか。例えば3年などというラインがあり得ると思います。

○道永委員 実施状況だから。

○相澤座長 受検者が何人いたか、要面接者が何人いたとか、そういうことです。

○三柴委員 すみません、少し先走って申し上げてしまったかもしれません。実施者がストレスチェックの結果を保存する期間について、今申し上げたことをお伝えしようと思ったのですが、仮に保存義務を課す点で合意があれば、それとの平仄を考えてもいいのではないかという趣旨です。

○相澤座長 2つ目の○のほうと同じということですね。

○三柴委員 はい。

○増田委員 実施状況の記録の1つ目の○ですよね。

○相澤座長 はい。

○増田委員 保存義務を課すのであれば、では何のために残すのでしょうか。そもそも、確かこれは法律の条文上は保存義務が課せられていたところではなかったかと思いますし、例えば、会社の100人中50人が受けましたとか、70人が受けましたとか、○月×日に実施しました等々、わざわざ義務を課してまで残す必要があるのかとも思うのです。残すのであれば、何のために残すのでしょうか。

○産業保健支援室長補佐 ここは、残すかどうか、義務付けるかどうかも含めて論点ということで御議論いただければと思うのですが、一応、実施したことの記録を残しておくという趣旨で論点として上げております。例えば何の記録も残っていないとなると、やったか、やっていないのかすら確認できないという状況になりますので、そういう趣旨での論点になります。

○高松委員 中村室長補佐がおっしゃったように、今の話だけであれば、一番最初の、事業者による受検の有無の把握に対したところだと思うのです。そういう意味では記録をしっかりと残すべきだと思います。どれだけの数の労働者が受けているか、事業者の義務としてきちんと実施しているかということの確認になると思います。

○相澤座長 この点は増田委員はいかがですか。

○増田委員 残すことの意義は分かるのですが、義務を課すところまでやる必要があるのかと思います。

○相澤座長 法律的には先ほどと同じようにするということですから、残したほうがいいということですね。

○三柴委員 そうですね。今回の法律は、罰則は付いておりませんが、ただ、行政の監督指導の対象にはなってくるわけなので、実施のチェックができなければ法律としてどうかということにまで、極論なりますので。

○相澤座長 という御意見です。

○川上委員 記録させるほうがよいと私も思いますが、何を記録させるかについては、実施した期日や人数にとどめるのでよいのではないかと思います。先ほど、事業者は受検者の個人名を入手しても構わないことになりましたが、そこまで保存する必要はないような気がいたします。

○砂押委員 私も同感です。法律上の義務があるので、義務を実施したという証拠は必要なわけです。実施したという状況さえ分かれば、あとの状況については特にいいのではないかと思います。

○三柴委員 今の労基法の109条では、労働者名簿、賃金台帳、雇入れ、解雇、災害補償、賃金、その他については、重要な書類を3年間保存せよとなっています。

○相澤座長 3年間ですね。ありがとうございます。

2つ目の○の、先ほど三柴委員が言われた、ストレスチェックの結果を誰がどのように保存すべきかどうかということで、これもデリケートなところです。実施者に保存させるという考え方でよろしいかどうか。先ほどおっしゃったのは、そういうことですね。

○三柴委員 はい。

○相澤座長 健康管理スタッフがやると。よろしいですか。

○高松委員 実施者にしていただきたいと思います。もし他者に保存させる場合であっても、やはり労働者のプライバシーだけは必ず保護することは担保してほしいと思います。

○相澤座長 3番目です。それが自社の産業医、保健師である場合は、実施者個人でなく、当該産業医、保健師が所属する部署で保管することも可能とするかどうか。個人では大変だからということでしょう。

○川上委員 個人は困りますね。

○増田委員 これはしょうがないです。

○川上委員 そうですね、個人で産業医が保管していくのは避けたいと思います。

○相澤座長 所属する部署というのは、健康管理室のような所ですかね。

○産業保健支援室長補佐 ここの論点を補足します。例えば、先ほど増田先生がおっしゃったように、産業医が人事課に所属している場合に、では人事課で保管していいのかなどという問題が出てくるのではないかということで、論点として挙げさせていただきました。

○相澤座長 人事課で、実際は見られないような形で、ということですかね。よろしいですね。高松委員、よろしいですか。

○高松委員 先ほど議論がありましたが、いわゆる人事に関わる方への情報遮断が担保されていればよろしいと思います。

○相澤座長 それから、4つ目の○です。労働者が事業者への結果の提供に同意した場合は、事業者が結果に関する情報を保有することになるわけです。事業者にその情報を保存させておく必要があるかどうか。同意した場合に、事業者が保存する義務があるかどうか。

○砂押委員 三柴先生がおっしゃったように、労基法109条がここにかかってくるのではないですか。ですから3年間。

○相澤座長 3年間保存。

○三柴委員 そうです。

○相澤座長 事業者が保存する義務があると。

○三柴委員 はい。109条が直接適用されるかは別として、平仄を考えれば3年が妥当だろうと思います。

○相澤座長 ありがとうございます。最後です。派遣労働者についての、先ほども御議論があった件です。派遣先の実施者が保有することになるわけですが、実施者が結果を保存するということでよいかどうか。派遣先の実施者が結果を保存するということでよろしいでしょうか。

○高松委員 法の趣旨であるプライバシーの保護と、不利益取扱いがないことを担保していただければよろしいと思います。

○相澤座長 これはよろしいですね。派遣元はいいですね。保存は派遣先の実施者がすると。ありがとうございます。

 それでは(4)に移ります。ストレスチェックの結果の活用法で、個人の結果の活用法です。1つ目の○が、同意したことによって個人のストレスチェックを把握した場合、事業者がこの結果を基に、例えば高ストレスと判定された者に対して、必要な就業上の措置を講じることは適切か。

○高松委員 ここは先ほどの別件とも絡んでくるのではないかと思うのですが、私は専門家ではございませんが、ストレスチェック制度のルールから斟酌すれば、その医師面談をされた後ということが大前提だと申し上げておきたいと思います。

○相澤座長 面談の後に個人のあれを聴いて、同意を得た上で事業者にその結果を還元するという意味ですね。その上での就業上の措置ということですね。

○産業保健支援室長補佐 ここの論点を補足します。一応、法律の流れは、ストレスチェックをやって面接指導につなげて措置ということなのですが、例えば、面接指導にはつなげずに、高ストレスだと分かっただけで、何か企業側で措置をしてしまうことがいいのかどうかは、医師の先生方の御意見も伺いたかったのです。

○相澤座長 それは危ないのではないですか。

○黒木委員 危ないですね。

○増田委員 産業医としましては、当然、まず産業医の面談につなげます。それで、産業医に診てもらって意見を聴いて対応することになります。血圧が高いから即出勤停止などということがないのと同じ話になると思っております。

○相澤座長 ほかに御意見はいかがでしょうか。三柴委員いかがですか。

○三柴委員 産業医と絡む。

○相澤座長 絡んでやるということですね。

○三柴委員 今、中村補佐からお話があったように、66条の103項との関係でも、それから、一般にこれまでの労働裁判で出されてきた考え方、示されてきた考え方に照らしても、何か就業上の措置を講じるのであれば、それが差別に当たらないように、民主性ですね、本人を含めて関係者の意見を聴く。それから、専門家の意見を聴くという意味での専門性。この2つは担保すべきだと。そうすると、方向性としては産業医の面接指導をきちんと受けていただくことが望ましいと思うので、いきなり措置ではなくて、基本的には、ポンチ絵で示されたルートに乗せるほうが、面接指導へのルートに乗せるほうがいいと思います。

○相澤座長 高ストレスだけでは好ましくないということです。

4ページの1番目です。法定外の取組の保健師さん、心理職等の保健指導が行われた場合、その結果を基に、必要な就業上の措置を講じることは適切かということです。これはまずいわけですね。産業医の面談の後にやるということでよろしいでしょうね。

2番目は、同意したことによって事業者が把握した場合、その結果をほかの者にどこまで共有できるか。これもまたデリケートなことですが。就業上の措置に必要な範囲で、職場の上司や同僚と共有することはどうか。労働組合あるいは衛生委員会と共有することはどうか。これも非常に問題なところですが、いかがでしょうか。

○増田委員 産業医の面談の結果に基づく措置・対応についての共有が必要であって、生データの共有が必要とされる場面ではないと考えます。

○相澤座長 ストレスチェックの結果をそのまま使うことはまずいということですね。それはよろしいですか。高松委員いかがでしょうか。

○高松委員 これをしてしまうと、せっかくこの段階まで労働者のプライバシーを担保してきたことが、増田先生もおっしゃったような形で情報が漏れてしまいますので、これはよろしくないと思います。

○相澤座長 ありがとうございます。3番目、結果を必要な範囲で共有するに当たって、情報は適切に加工する必要があるかどうか。どこまで加工すれば共有できるか。これは加工したほうがいいということですが、どこまでが適切かと。

○黒木委員 これを伝える内容はどこになるのでしょうか。

○産業保健支援室長補佐 これは上の論点からの続きです。そもそもストレスチェック結果を伝えないということであれば、この論点はなくなると思っております。

○相澤座長 それでは4番目、個人のストレスチェックの結果の取扱い(利用目的、共有の方法等)について、衛生委員会等で審議した上で決める必要があるのではないか。これもよさそうですかね。いかがでしょうか。

○砂押委員 やはりルールを決めておく必要があり、それを情報取得のときに、そのルールを明確にしておくというのは、個人情報保護法15条、18条などでも規定されていますので、そこは労働者に対しても明確にすべきところではないかと思います。

○相澤座長 御異議はありませんか。

○川上委員 質問ですが、労働安全衛生法に基づいて行われるストレスチェックの上に、更にそうやって何か、取得されるデータの扱いについて説明を加える必要があるのですか。

○砂押委員 情報取得に当たるので、やはりそうだと思うのです。この法に基づいて集めますよ、取得しますよ、そして、これはこういうことに使い、この部署のこの範囲で情報提供し、この範囲でやります、ということは、やはりあらかじめ言う必要があって、それを、そうではない範囲で利用すれば、16条ですが、目的外利用になってくるので、利用も、その範囲に限られることになると思います。だからこそ安心して受けられるということにもなってくるのではないでしょうか。

○川上委員 法によって行われているこの制度の説明を、従業員にきちんとしなさいということですかね。

○三柴委員 そうですね、どこを見るかという問題だと思うのです。これもまた冒頭に申し上げたとおりですが、安衛法上の制度であることを重視すると、やはり情報の適切な利用を通じて健康管理を実現することが重要になります。その延長で、今回新しい制度として出来たので、その制度の趣旨をくみ取って、使うべき情報は適切に使うというところまでは、一般法の規制から外れるというか、ある程度特別に考えていいところだと思うのです。ですから、特に説明をその上に求めるうんぬんについては、原則としては、私は要らないのではないかと思います。

○高松委員 事務局に質問ですが、ここで言う個人のストレスチェック結果というのは何を定義していらっしゃるのですか。

○産業保健支援室長補佐 先ほどから出ている、個人のそれぞれのプロフィールなどの結果です。

○高松委員 個人のものですか。

○産業保健支援室長補佐 個人のものです。

○高松委員 個人のものであれば、この2つ目の項目でノーと言った内容と絡んでくるのではないかと思うのです。要は、ここについても論議の必要があるのかと考えています。例えば、集団的な結果を活用するとかであれば分かるのですが、これはあくまで個人のストレスチェックの結果という場合には、ここに当てはまらない項目だと思いますし、仮に当てはまるとしても、衛生委員会で対応を決めること自体、かなり、それぞれの差異が大きいですから、これは認めるべきではないと思うのです。

○相澤座長 認めるべきでないと。衛生委員会で審議すべき内容ではないということですか。

○高松委員 そう思います。

○三柴委員 一言だけ追加させていただくと、もしプライバシーが気になるということであれば、要は匿名にして、こういう案件ではどういうふうに対応すべきかという審議の仕方もあると思うのです。

○高松委員 三柴先生がおっしゃるような方法であればあり得るなと思ったのですが、個人のものということになると、私はやるべきではないと思っていましたので、そういう発言をさせていただきました。

○産業保健支援室長補佐 少し言い方が悪かったのかもしれませんが、一応、今の議論であれば、個々人の結果をどう扱うかの一般的なルールを決めておくべきかどうかという論点ではないかと思っております。要は、個々人の結果を衛生委員会に出すとか出さないとかという話ではなくて、ということです。

○労働衛生課長 もう一言補足します。個人の結果をどう扱うかの一般的なルールは、ここの議論をもとに指針なりにしていきますが、その事業所で具体的にどんな形で誰が扱うのかと、そういった基本的なルールを事業所ごとに審議していただく必要があるかどうかという論点です。

○相澤座長 ありそうな感じがするのですが。

○高松委員 できたら、今のお話の雛形を事務局から資料で御提示いただけませんか。申し訳ないのですが、私のほうでちょっとイメージが涌かないのです。

○相澤座長 では、次回までに少し考えていただいて。

○高松委員 すみません、お手間をお掛けします。

○相澤座長 ありがとうございます。次に、企業内の産業医、保健師等のスタッフ以外の者がストレスチェックの実施をしている場合、ストレスチェックの結果を実施者が企業内の産業医スタッフに提供することについてはどうか。これはよろしいですか。

○産業保健支援室長補佐 少し分かりにくいので補足します。冒頭に御説明したEAPへのアンケートなどの話に関係するのですが、実際に外部機関が本人の同意を取らずに、産業医まで渡している事案が多かったので、それは本当にいいのかどうかということで論点として上げさせていただきました。

○相澤座長 実施者でない人が産業医に渡すということですか。

○産業保健支援室長補佐 外部に委託して、本人の同意を取らずに産業医まで返してしまうということです。個人情報保護法に反するのではないかと思いながら聞いていたのですが、そこの論点の整理をお願いできればと思います。

○川上委員 論点整理になるか分かりませんが、産業医と外部の実施者の連携は非常に大事だとは思いますが、今のようなケースでは、やはり産業医が外部機関に委託しているわけですから、委託契約をきちんと結んだ上で、従業員に対しては、産業医は本来の実施者なのだと、これは委託しているだけなのだということを明示した上で実施するという条件がないと、ちょっと難しいのではないかと思います。

○相澤座長 その上ではいいわけですね。

○川上委員 そうですね、それはもう委託契約の上なのでいいと思います。

○三柴委員 結論的に、川上先生がおっしゃるとおりだと思います。あえて補足させて頂くと、川上先生がおっしゃるケースは、実施者が企業内の産業医であって、法的には企業は委託元となるが、実務的には産業医からの委託先が外部であるという扱いになると思うのです。

 あともう1つ情報管理の担保、特にプライバシー保護の担保としてあり得るのは、委託先で行われた検査結果について、元の産業医に伝えることについて本人から同意を得るという方法もあり得ると思います。今の段階で、その2つのルートだけ思い付きました。

○相澤座長 分かりました。それはよろしいですね。一応、そういった条件を付けて、いいということです。

 最後です。集団的な結果の活用で、1つ目の○が、集団的な分析であれば、労働者の同意がなくても事業者が把握することができるという整理で問題ないかどうか。これは個人ではなくて集団としての場合は問題ないですね。よろしいですか。

○高松委員 本人が特定されないということであればよいと考えます。

○相澤座長 次に出てきますが、少人数である場合は、個人が特定されるおそれがあることから、例えば10人以上などという話がありましたが、基準が考えられるかどうかということです。特定されるおそれがある場合があるので、基準が必要かどうか。いかがでしょうか。

○川上委員 基準は必要だとは思います。これまでの集団的な分析結果では、マニュアルには「20人以上」と書いてあり、その下に、「できるだけ10人以上」にしましょうというので、この辺りが目安だとは思っています。

○黒木委員 10人だと少なくないですか。

○川上委員 部署別の分析をし始めると、小さな部がありまして、なかなか研究できないことがあって。

○黒木委員 小さな部署は少し工夫して、部でやるとか。

○川上委員 そうですね、現場で10人ぐらいでうまく回っているという現状と、それから、20人だと少し歯がゆい感じがするという実践的な感覚です。

○黒木委員 少ないと、全体的に職場の負荷が高く出る可能性がある。

○川上委員 それはあるとも思いますが、私の経験を申し上げたというところです。

○黒木委員 そこは少し疑問が。

○相澤座長 基準は必要だろうということですね。ありがとうございます。

3番目は、その集団的な分析の取扱いに関する企業の方針について、何らかの方法で労働者に事前に周知しておく必要があるかどうか。

○松原委員 活用方法について少し意見を述べます。これまでの中間まとめの中でも、ストレスチェックの結果については、職場環境の改善に生かすような取組が必要だという観点もあるのですが、やはり実施をされたことによって、何が私たち労働者にメリットがあるのだという観点で言えば、やはり何かが変わって、改善に向かわなければいけないということだと思いますので、何のためにストレスチェックを実施するのかということは、まず労働者に対しきちんと伝えておいて、あとはどういう場面で使うのか。例えば私どもの労働組合の立場で言えば、労使協議会を開催し、過重労働対策だとか、パワハラ対策だとか、セクハラ対策などに対応していきましょうとか、それから、全体的な職場改善を図る取組などにつながることが見えてくると、ストレスチェックを受ける労働者も、「それだったら私も理解をして同意しましょう」ということにもつながるのではないかと思います。そういう観点も御考慮いただければと思っております。

○相澤座長 そうですね、事前に活用法、目的などをきちんと労働者の方に知らせるということですね。よろしいですね。

 最後です。分析結果をどこまで共有できるか。どこまでその結果を知らせるかということです。いかがでしょうか。

○黒木委員 要するに全員でもいいわけですよね。

○産業保健支援室長補佐 ここについて特に事務局としてこうすべきだということがあるわけではないのですが、今、どういう意見があるかを御紹介します。1つは、個人を特定されないので制限は要らないのではないかという意見もあれば、例えば何とか課のストレスの度合いはこうでした、となると、そこの課の課長にとっては非常に機微な情報なのではないか。ですので、例えばその結果を一覧にして全労働者に周知するなどというのは問題ではないか、といったような御意見もありました。そういった点について御議論いただければと思います。

○岡田委員 基本的には部課長に対しては、自分のところの課がストレス度がどうかということは周知しますし、局長レベルや部長には、それぞれの課がどう分布しているかは通知するようにしているのです。そうしないと、今御意見があったように、全部の課を出すと、課長同士で「おまえのところの課はストレスが強い」などと問題になりますので、それは出さない。課ごとで、ストレスが高ければ対応すると。その部長は、それぞれの課が、どこがストレスが高いのかといって、人事対応も含めて、過重労働があるのか、人が足りないのかということも含めて対応するということで、それは共有しなければいけない。さらに、人事担当の取締役は全部を見るという形で、情報の提供については限定しておくべきだろうと思います。そうしないと、今言ったような問題が起こってきますので。

○黒木委員 出し方にもよるのではないですか。もう少しマスで出すとか。

○岡田委員 全体としては出すのです。例えば、会社としてはどうなのか。

○黒木委員 会社としては、あるいはもっと大きく。

○岡田委員 はい、出します。でも、それぞれの課ごと出すと。

○黒木委員 細かくはまずいと。

○岡田委員 ちょっとまずいと思います。

○黒木委員 確かに。

○川上委員 一般的な原則ですので、先ほど冒頭に三柴先生が受検者以外の利益の確保のことを言われていましたので、そういう受検者以外の利益の確保を考慮して、社内で適切なルールを作ることを提案したらどうかと思います。

○相澤座長 受検者以外の方のルールを。

○川上委員 そうですね。職場の上司の方にとって不利益にならないような出し方を、社内で考えて行うという。衛生委員会になるかもしれませんが。

○相澤座長 先ほどのは個人ですが、これは衛生委員会でやらなければいけませんね。

 本日は意見の出しっぱなしのような形にもなりましたが、次回にまとめていただいて、反省というか、見直すこともできるかと思います。大変御熱心な御意見をいただきましてありがとうございました。事務局から次回の予定等をお願いします。

○産業保健支援室長補佐 本日は熱心に御議論いただきましてありがとうございました。本日いただいた御意見は次回までにまとめて、次回の議論につなげていくようにしたいと思います。

 次回は1024日の15時半から開催いたします。各委員の皆様方には、事務局から改めて正式に開催案内をお送りいたしますのでよろしくお願いいたします。本日の議事録については、各委員に御確認いただいた上で公開することとさせていただきます。

 本日はこれまでにいたします。どうもありがとうございました。


(了)

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