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2014年10月8日 第6回厚生科学審議会感染症部会

健康局結核感染症課

○日時

平成26年10月8日(水)10:00〜12:00


○場所

厚生労働省 専用第22会議室(18階)


○議題

(1)デング熱等、蚊媒介性感染症の対策について
(2)その他

○議事

梅木課長補佐 定刻より少し早いのですが、始めさせていただきたいと思います。

 ただいまより、第6回「厚生科学審議会感染症部会」を開催いたします。

 開会に当たりまして、新村健康局長より御挨拶を申し上げます。

○健康局長 委員の皆様方あるいは参考人の皆様方には、急な開催にもかかわらず、御多用の中、御出席いただきまして、まことにありがとうございます。

 また、日ごろより感染症対策の推進につきまして御指導を賜り、厚く御礼を申し上げます。

 皆様、御存じのとおり、昨今、西アフリカではエボラ出血熱が流行しております。また、約70年ぶりの国内でのデング熱感染患者の発生など、感染症への注目が高まっているところです。特にデング熱につきましては、本年8月末からきのうまでの時点で157名の国内感染例が確認されております。

 本日は、我が国でデング熱の感染が発生したことについて、衛生昆虫学、ウイルス学、疫学のそれぞれの専門の方に御発表いただくとともに、蚊媒介性感染症対応の今後のあり方について御議論いただくこととしております。

 各委員の皆様方におかれましては、活発な御意見をいただきますよう、お願いいたしまして挨拶とさせていただきます。本日はよろしくお願い申し上げます。

○梅木課長補佐 初めに、委員の出席状況を御報告いたします。

 本日は、大石委員、小野寺委員、北村委員、桑村委員より御欠席の連絡をいただいております。

 また、本日は参考人として、国立感染症研究所の感染症疫学センター第一室室長の松井珠乃参考人、同じくウイルス第一部第二室長の高崎智彦参考人、同じく昆虫医科学部部長の澤邉京子参考人に御出席いただいております。

 現時点で定足数以上の委員に御出席いただいておりますので、会議が成立しますことを報告いたします。

 ここからは、渡邉部会長に議事をお願いいたします。

○渡邉部会長 おはようございます。

 では、まず議事に先立ちまして、事務局より資料等の確認をお願いいたします。

○梅木課長補佐 それでは、お手元の資料、議事次第、配付資料一覧のほか、資料1−1から1−5まで、参考資料1から2まで御用意しております。

 配付資料一覧と照らして、不足の資料がございましたら事務局にお申しつけください。

 申しわけありませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。

(報道関係者退出)

○渡邉部会長 では、議事に入る前に本日の議題の確認をしたいと思います。

 本日の議題ですが、議題1として「デング熱等、蚊媒介性感染症の対策について」。議題2「その他」としてのエボラ出血熱の報告を行い、議論したいと思います。皆様の円滑なる議事進行に御協力のほど、よろしくお願いいたします。

 まず、議題1「デング熱等、蚊媒介性感染症の対策について」でありますが、きょうは先ほど事務局より御紹介がありました3人の方々を参考人として迎えております。参考人の先生方には10分程度の発表をいただきまして、その後、質疑としてまとめて10分ぐらいの時間をとりたいと思いますので、そのときに皆さんのほうから質疑をお受けしたいと思います。

 質疑応答後に、蚊媒介性感染症に関する小委員会の設置につきまして、御審議をいただきたいと思います。

 では、まず松井参考人のほうから資料1−1に基づいて、説明をお願いいたします。

○松井参考人 感染症疫学センターの松井でございます。資料に基づいて簡単に御報告させていただきます。

 目次ですけれども、

 「1.デング熱とは?」

 「2.ドイツ人デング熱症例の探知と『デング熱国内感染事例発生時の対応・対策の手引き』の作成」

 「3.デング熱国内感染症例の疫学情報」

 「4.まとめと課題」です。

 次のページでございます。「1.デング熱とは?」というところです。

 病型分類を示します。デングウイルス感染症は、蚊媒介性の急性熱性感染症でございまして、感染症法のもとでは4類の全数報告疾患です。

 無症候性のものが50%〜80%程度あると言われています。症候性のものは比較的軽症に経過するデング熱と、血小板減少、血管透過性 亢進等を呈しますデング出血熱に分かれます。デング出血熱は、ショック症状を伴うデングショック症候群とその他に分かれます。

2009年のWHOガイドラインにおきましては、デングショック症候群に重篤な出血や重症な臓器障害を伴うものをあわせまして重症デングと呼称しております。

 次のスライドです。

 典型的なデング熱症例の経過を示します。発熱が数日間見られ、その後軽快いたします。軽快中に白血球の減少、血小板の減少が認められることがあります。

 血漿漏出を伴わない場合は、ヘマトクリット値は正常に経過します。病気の初期には、ウイルス血症が認められ、またIgMが次第に上昇してくるという経過をとります。

 2点目「ドイツ人デング熱症例の探知と『デング熱国内感染事例発生時の対応・対策の手引き』の作成」について御紹介いたします。

 ドイツ人のデング熱症例につきましては、昨年の9月に発生し、ことしの1月、ユーロサーベイランス等に報告が上がっております。

 患者さんは51歳女性、生来健康です。昨年の8月19日〜8月31日、成田便を使って日本国内に渡航して来られています。これはフランクフルトからの直行便でございました。

 国内の旅程ですけれども、長野県の上田、山梨県の笛吹、広島、京都、東京とめぐられておられます。旅程につきましては、ユーロサーベイランスのほうに詳細がございません。ProMedからの引用となっております。

 帰国後3日目の9月3日に発熱、最高体温40℃・嘔気など、また紅斑丘疹性発疹を伴うようになり、9月9日にベルリンの医療機関に入院されておられます。

 検査所見を示しますが、IgM陽性、NS1抗原陽性等があり、デング熱と診断されています。RT-PCRは陰性でした。中和試験において、デングウイルス2型の感染と確定されています。

 潜伏期中の行動を見てみますと、潜伏期3日〜14日というところにしますと、左側に発症日をゼロとしてマイナスで数字を示してございますけれども、大体の日本の旅程がこの潜伏期以内に入るということになります。

 ユーロサーベイランスの論文におきましては、本人が複数回、笛吹でのブドウ狩り中に蚊に刺されたと訴えがあったことなどから、このブドウ狩り中に感染した可能性が最も高いが、成田空港やその他の場所での感染も否定できないと結論されています。

 このドイツ人事例の発生を受けまして「デング熱の対応・対策の手引きの作成」に取りかかったところでございます。平成25年度、高崎班での検討となりました。作成に当たりましては、東京都の関係の皆様方にも御意見を複数回いただいております。

 疫学調査のポイントとしましては「推定感染地の絞り込み」それから感染拡大のリスクの評価をどうやっていくかということがメーンのポイントでございました。

 「推定感染地の絞り込み」につきましては、潜伏期を発症前3〜7日といたしまして、その期間における症例の屋外での行動歴を聞くこと、また、探知された症例の屋外活動に同行していた方、同居家族の中に症状がないかどうかということを確認すること、また、ほかに症例が探知してきた場合は、その症例の行動歴との照合を行うことなどにより、推定感染地を絞り込むという手引きの内容にしております。ただし、当初はハワイの事例等を学びまして、なかなか推定感染地を絞り込むことが難しいのではないかということも想定した手引きとなっておりました。

 「感染拡大リスクの評価」につきましては、推定感染場所が絞り込めた場合はそこの状況を確認し、感染拡大リスクの評価を行うこと、また、症例がウイルス血症時期、発症前の1日〜発症後5日目までの期間の行動歴や蚊の刺咬歴等を検討しまして、感染拡大リスクを評価していこうという内容になっておりました。

 次のスライドでございます。対応・対策の手引きに入っております想定例としての模式図です。

 時間経過は、左から右のほうに流れていきます。症例Aというのが真ん中にあるのですが、初発例、探知された症例としております。

 症例Aの発症前を振り返りまして、屋外活動をした行動場所を推定感染地、地点Xとしております。地点Xとするには、地点Xに関連した症例が複数出ていることが必要です。例えば屋外活動の同行者であったり、また、それとは関係なく症例が見つかってきたような場合はその屋外活動の場所が地点X、推定感染地となります。今回の事例におきましては、代々木公園がいわゆる地点Xに該当すると考えます。

 初発例が、時間経過が過ぎていく中でウイルス血症の時期に滞在した場所を地点Yとします。これは、症例の立ち寄り先ですから複数あることが多いと思います。その立ち寄り先等における蚊の刺咬の状況によっては関連の症例が出てくることがあるということです。

 今回の事例でいきますと、後で出てきます新宿中央公園などは、このつなぐ症例が見つかっておりませんが、地点Yであり、かつ複数の症例が発生してきたことから地点Xになったと想定しております。

 続きまして3点目「デング熱国内感染症例の疫学情報」これは6日の11時現在で締めております。

 まず、発症日別の報告数を示します。横軸が発症日です。8月1日〜9月末まで日付が入っております。縦軸は報告数です。

 ブルーで示しておりますのが「代々木公園またはその他周辺のみ」と書いておりますが、これらの地点を推定感染地とする症例の発症日をブルーのバーで示しております。新宿中央公園を推定感染地と考えられる症例が黄色で示されております。「その他・不明」につきましては、複数の公園を訪れた方々などが入っています。

 このように、最も早い症例は8月12日の発症でございました。8月の後半から9月の初めにかけまして、1つの山のようなものを形成した後、現在、症例数は減少しております。

 直近では、いわゆるブルーで示しております「その他・不明」という症例の割合が相対的に多くなっています。

 次のスライドに「その他の疫学情報」を示します。

 年齢群の特徴ですが、男女別を見ていただきますと、大体20代までは男女ほぼ同数と見ていいと思われますけれども、特に50代以降の年代におきましては、男性の症例が多くなっております。

 居住地情報ですけれども、東京都が最も多く症例報告をしておられまして、あとは埼玉、神奈川、千葉等の関東圏、その他全国にまたがっています。代々木公園等で曝露された方が居住地に戻られた後に診断されたという症例がほとんどでございます。

 次のスライドには「推定曝露日別報告数」を示します。

 推定曝露日といたしましては「代々木公園または周辺のみ」を上段に「新宿中央公園のみ」を下段に示しておりますが、これらの公園、地域に曝露が1日だけしかなかった方だけをとっていますということで、症例の一部となっております。

 代々木公園または周辺のみに1日だけ曝露された方々を見てみますと、最も早い曝露は、探知された症例の中では8月4日となっております。

 新宿中央公園につきましては、8月25日から症例が出ています。先ほど申し上げましたとおり、全部の症例が含まれているわけではございません。

 ここに掲載しました75例のうち、発症日のわかる72例から算出した潜伏期は、中央値が6日、範囲が2〜13日となっておりました。

 ここまでは厚生労働省発表に基づく症例からの疫学情報のまとめです。

 次に出てまいりますのは、感染症発生動向調査10月1日現在の症例の情報のまとめでございます。

 臨床症状といたしましては「2日以上続く発熱」が約9割、それ以外の発熱を含めますと、発熱があった患者さんは100%でした。その他、頭痛、発疹等が認められています。筋肉痛、関節痛等につきましては、重複ないように集計いたしますと、症例のうちの64%の方がこれらの症状を認めていました。TOURNIQUETテスト陽性、腹水等が認められたという症例はごく少数でございました。

 続きまして「検査所見のまとめ」、こちらも感染症発生動向調査からの情報でございます。

 血小板減少につきましては、10万以下を示した症例が約半数、それ以外の血小板減少も含めますと、79%の患者さんが血小板減少を認めています。白血球減少については、約8割の患者さんに認めました。

 感染症発生動向調査上のデング出血熱の届出基準の、2〜7日持続する発熱、血管透過性の亢進、10万以下の血小板減少、出血傾向の4つ全てを満たす症例は一例報告されておりますけれども、先ほど申し上げましたWHOガイドライン2009年における重症デングの定義を満たすものではありませんでした。

 最後に参考としまして「感染地別診断週別報告数」を示しております。2014年の感染症発生動向調査のデータです。

 黄色で示しておりますのが国外感染例、ブルーが国内感染例です。国外感染例は比較的コンスタントに毎週報告されているのが見てとれます。先ほど来、申し上げております国内感染の患者さんの急速な増加などをこのグラフの上で見ていただけると思います。

 続きまして「まとめと課題」です。

 「まとめ」、ドイツ人事例の発生を受けて対応についての準備を進めている中での事例の発生でありました。

 2点目、代々木公園及びその周辺という限られた地域で、短期間に多数の症例の集積が認められ、ヒトスジシマカを主媒介蚊とする地域においては、まれな事例でありました。

 3点目、代々木公園関連の症例はピークを越えましたが、推定感染地不明の事例報告が東京都等から継続しております。

WHOガイドライン2009年による重症デングの症例は、国内感染事例では探知されていません。

 最後に「疫学調査の課題と対応」を、予定も含めてまとめております。

 1点目は、代々木公園及びその周辺地域における感染リスク要因の検討が必要だろうと考えております。これにつきましては、1回しか曝露されていない方は比較的情報収集がシンプルでございますので、そのような症例などについて活動内容、時間帯・場所などの追加調査を予定しております。

 2点目、推定感染地の絞り込み・感染拡大の評価の手法の検討、これにつきましては、自治体による行動歴調査の現状の情報収集を予定しております。

 3点目につきましては、輸入症例に対する対応と国内発生例との整合性についての検討が必要であると思われます。

 以上です。

○渡邉部会長 ありがとうございます。

 続きまして、資料1−2に基づきまして、高崎参考人からお願いいたします。

○高崎参考人 おはようございます。

 「デングウイルスの検査法と遺伝子解析」について、御報告します。

 最初、何もないのはあれなので「ハワイ(20012002)に学ぼう!」というのを入れていますが、実はヒトスジシマカによるデング熱の流行というのは、それほど歴史的に多くなくて、このハワイの事例とか台湾北部の事例ということでありまして、今回の日本の事例は、ある意味希少な流行であるということであります。

 デング熱の検査法というのは、発熱して大体熱がある間というのはウイルス学的な検査法がとれます。それには、ウイルス遺伝子の検出ということでPCR、それからウイルス分離、それと遺伝子解析と言うことができます。

 発熱中は血中にウイルスが存在するということが多い。もう一つ、非構造蛋白抗原、NS1と書いてあるのですが、これは本来はウイルスの構造を形成するものではなくて、ウイルスの構造をつくるための蛋白、ウイルスの蛋白です。これが蚊の細胞であり、人の細胞の中でふえるわけですが、哺乳類の細胞をつくる場合に、過剰に産生されたNS1が細胞外に出るという特徴があります。これで抗原を検出すると、ウイルス血症が起きた、なくなった後も検出できるという利点があります。NS1抗原検出というのは、デングウイルス1、2、3、4の型別はわからないのですが、そういう利点がありますということです。

 熱が下がるころに、下がりかけ出しますと、IgM抗体が上がってきて抗体検査で検査ができる。このウイルスの遺伝子検出とNS1抗原検出とIgM抗体を組み合わせるとかなりの診断の信頼性が出てくるということです。

 3枚目のスライドで見てみますと、それを図で書きますと、ウイルス血症が発病前3日ぐらいだろうなと思いますが、主に感染蚊をつくるというのは前日かそのもう一日前ぐらいですね。上がってきて、発熱して5日目から1週間近くでウイルス血症が消えていく。ややおくれてNS1抗原が出るのですが、これが長い人の場合は発病後14日ぐらいまで検出できることがあります。IgM抗体は、最近感度が上がっていますが、3日目4日目ぐらいから上がりだして、その後おくれて1週間目ぐらいからIgG抗体あるいは中和抗体が上がってくるというパターンだけです。

 4枚目のスライドですが「デングウイルスの構造 NS1抗原とは」というところを見ていただきますと、紫色のところが構造遺伝子、その後、非構造蛋白の遺伝をつくる遺伝子があって、この中にそういうウイルスをつくるポリメラーゼとか、そういうものがあるわけですけれども、NS1は非構造蛋白ですが、哺乳類の細胞では細胞外に放出されるという、ちょっと特異な抗原になっております。

 ウイルス遺伝子の解析に移りまして、5番のほうを見ていただきますと、デングウイルスは1型〜4型の血清型に分類されます。さらにデングウイルス1型というものの中に5つの遺伝子型、遺伝子解析により分類できます。

 今回の日本のウイルス流行株は、デングウイルス1型の遺伝子I型に分類されます。14-100Jという、横にちょっと大きくしたところですが、1例目の代々木の株でありました。これはジーンバンクに登録してオープンになっています。E領域だけですね。

14-181Jというのが静岡県の症例でありまして、24塩基がE領域で違うというものなのですが、これぐらいクラスターとしては離れて見えてきます。昔、戦争中に日本の患者さんから分泌されました望月株ですが、これも一応Jのタイプ、遺伝子I型に入るのですが、大分離れている。ただ、このウイルスは大分マウスの脳で継代を続けた後の遺伝子ですので、少しそういう変異が入っている可能性はあります。

 6枚目を見ていただきますと、感染研でE領域13株、全遺伝子領域、解析を終えたのが4株終了しています。代々木株のほうを拡大してみますと、近いのは、これ13というのは、実は2013年の中国の広州、Guangzhouですね。広東の株が近いということになってきます。しかし、これはあくまで去年の株であります。少し離れますが、それにも近いのがインドネシアのバリの、これは2010年の株になります。

 もう一つの静岡県のほうは、どちらかというと台湾の株に近いのですが、台湾以外にタイの株もあって、台湾も輸入症例がかなりありますから、ひょっとするとタイと台湾の間につながりがあるかもしれませんが、こういうところで、それもしかし、ことしの株ではありません。D1/Taiwanというのは、これは去年の株ですね。

 推定感染場所、13株についていきますと、代々木公園、千葉市、静岡県、隅田公園、西宮市ということになってまいります。

 ということですが、実は中国のほうの情報によりますと、広州、広東のほうがかなり広いですから、ことしの流行株はやはりデング1型ですが、2型も検出されています。1型の中の遺伝子型を見ますと、遺伝子I型とIV型とV型が流行しているということでありまして、日本と比べるとはるかに広くて患者の数も多いということです。もう一つは、向こうでもヒトスジシマカによる流行地がかなりあるということの情報をきのう、いただいています。

 次に「全遺伝子領域の解析・比較」をやった部分ですが、代々木株ですね、このLC002828というのがジーンバンクという遺伝子情報のところに登録した番号です。千葉株は全遺伝子領域で2カ所の塩基置換があるのですが、アミノ酸配列に直しますと100%一致するというところで、基本的には同じ由来に基づく株だろうというところで、塩基置換はそれでもやはり少しは起こっているということがわかりました。

 次に8枚目「マレーシア渡航歴のある西宮市の事例について」ですが、デング熱潜伏期間内、一応12日〜14日の間にマレーシアに渡航歴があったというところなのですが、帰国後、市内の通学と市内のバイトと、市外には出ていない。9月20日というのはちょっと訂正があって、22日になっていますね。よく聞き取りますと、22日だそうです。夕方バイトに行くため連続8カ所蚊に刺されたということで、これはちょっとイエカの刺し方とは違うなということがわかるのですが、9月28日、突然の高熱を発症して近医を受診して、最終的に白血球500、血小板2万台まで下がっています。ウイルス遺伝子をE領域でやってみますと代々木株と100%一致しました。潜伏期を考えますと、普通教科書的には3〜7ですので、発病後これが8日ではなくて6日になりますので、6日前の9月22日に感染蚊に刺された可能性が高いと考えられました。国内で飛び火して感染蚊が生じたということが考えられます。

 ということで最後のまとめに入りますが、NS1の抗原検出キットは、ウイルスの血清型1〜4型というものの型別は判定できないのですが、血中からウイルスが検出できなくなっても検出できるということで、非常にそういう面では有用です。

 昨年のドイツ人の症例は、デングウイルス2型感染であったと、ことしの静岡の別の株というものも出ているということを考慮しますと、来年の夏も輸入症例から国内流行が発生する可能性というのは十分にあって、診断体制を強化する必要があると考えられます。

 もう一つ、西宮市の「国内飛び火」事例疑いから、迅速な症例探知と患者の行動調査というのは必要であるということです。

 以上です。

○渡邉部会長 ありがとうございます。

 続きまして、資料1−3に基づきまして、澤邉参考人からお願いいたします。

○澤邉参考人 昆虫医科学部の澤邉と申します。よろしくお願いいたします。

 私たちの昆虫医科学部は、今般の国内で発生したデング熱流行に対して、媒介蚊対策に協力をしてきました。それを御紹介いたします。

 まず、デング熱媒介蚊の特徴、世界的にはネッタイシマカとヒトスジシマカが媒介蚊になっております。我が国にはヒトスジシマカしかおりません。少し、この対比させた特徴を御紹介したいと思います。

 まず生息地ですが、この右側のほうに、ちょっと小さくて申しわけありませんが地図があります。ヒトスジシマカの分布域は熱帯地方から温帯地域まで分布しています。この右の上のほうの地図ですが、小さく緑色のスポットがあると思いますが、これは侵入して定着したということです。

 ネッタイシマカにおきましては、熱帯地方から温帯ではなくて、今度は亜熱帯まで分布しています。下のほうの地図の色がついているところです。

 活動の場所というのは、ヒトスジシマカは主に野外で活動し、ヒトを吸血します。それに対してネッタイシマカは、野外というよりも、むしろ屋内に侵入してきてヒトを吸血します。吸血嗜好は、ネッタイシマカはヒトが非常に好んで刺咬するのに対して、ヒトスジシマカは野外で活動しますので、野外にいる哺乳動物、あるいはヘビとかカエルとか両生爬虫類も好んで吸血をします。ということで、日和見的と書かせていただきました。

 また、デング熱の流行はこういった特徴から、ネッタイシマカは非常に大規模になって何万人、何十万人というレベルになるのに対して、ヒトスジシマカでは非常に小規模で、表の下のほうにもありますが100人とか何十人というレベルでおさまっております。

 また、冬期に対する適応としては、ヒトスジシマカは冬になると死亡しますけれども、卵で休眠し越冬をします。それに対して、ネッタイシマカは熱帯地方では1年中生息していますが、例えば温帯地域に連れてきますと成虫は死んでしまいまして、そして卵で越冬もしませんので、言いかえると、室内で環境のいいところに卵が産みつけられると、国内、日本でも発生する可能性がある、定着をする可能性があるということが言えます。

 デングウイルスの蚊体内での増殖に関しては、ヒトスジシマカ、ネッタイシマカもほとんど同じような特徴を示します。

 下のほうの表には、ヒトスジシマカによるデング熱の流行の例を挙げました。

 例えば先ほど高崎先生のほうから紹介がありましたハワイにおきましては、2002年にマウイ島では82名、全体で117 名という報道もありましたけれども、この状態はネッタイシマカは常在しておりません。ヒトスジシマカは2002年、その年の近くに侵入してきて定着をしたと考えられます

 また、フランスでは2010年と2013年に、これは南部のほうですが1名と2名という、非常に小規模の感染が起きています。この場所におきましてもネッタイシマカはおりませんで、ヒトスジシマカが近年侵入してきて定着をしてきたという特徴を示しております。

 また、日本に近いところでは台湾の例がよく例に出されますけれども、この台北市と新北市と書いてありましたけれども、北部のほうでは日本とほとんど同じ環境で、ヒトスジシマカが常在しています。ここはほとんど毎年のように北部のほうでも流行があるわけですが、この規模としてはことしの例ですが37名、29名と日本の例よりも非常に少ない感染者数が報告されています。

 シンガポールとフィリピン、中国などは、これは非常に大流行が起きていますが、この環境はヒトスジシマカもいるけれどもネッタイシマカがいると、両方存在するという地域です。

 このような地域と比較をしまして、日本はネッタイシマカは常在しておりませんで、ヒトスジシマカは昔から常在しているという特徴があり、この近年侵入してきたようなハワイやフランス、ヨーロッパなどとは明らかに環境的には異なるということで、世界的に見ても非常に珍しいというか初めての例である。ヒトスジシマカがデング熱を媒介したという例としては初めての例と言っても過言ではないと思っております。

 次の3枚目のスライドをお願いします。

 先ほどから、松井先生、高崎先生もお話しになりましたけれども、平成25年度の高崎班の研究事業として、このように媒介蚊対策というところでフローチャートを作成して準備をしておりました。

 これを簡単に説明しますと、まず感染者が起きて特定されたということになります。そうしますと、この対策を行う対象エリアを決定して、その調査・対策をするチームを編成します。これは各自治体によって異なりますので、その所管局というふうに書かせていただいております。基本的には幼虫対策と成虫対策ということを行います。項目はここに書いたとおりです。

 そして、調査をしてリスク評価をするわけですけれども、右下に書きましたように、例えば幼虫の多いところ、成虫の多いところといったものをマップ上に色つけをするなりしてわかるようにしてリスク評価を行う。大体この作業は半日程度で終わらせて、午前中で終わったら午後からは殺虫剤散布に向かう、もしくは前日の夕方に終わらせて翌日の午前中から殺虫剤散布もしくはそれにかわるような対策を講じるということを下のほうで書いております。

 この防除対策は10月下旬まで、これはヒトスジシマカの活動が本州では10月末もしくは気温によっては11月初めまで活動が見られるということで、少なくとも10月下旬までは継続して行ったほうがよろしいのではないかという案をここでしております。

 次に4ページ目ですが、4月末にこの地方自治体向けの案というものを作成し、報告書としてつけました。それから4月21日には、東京都とガイドラインにこの案の内容の議論を行いまして、早いうちに机上訓練を行ったほうがいいということで検討を行いました。

 しかし、その後、なかなか日程調節がうまくいきませんでしたので、机上訓練を行いませんでしたけれども、8月27日、28日に西宮市で媒介蚊対策に関する実地演習ということを行いました。それがこの地図であります。

 右上のほうに西宮市の地図を載せておりますが、この色つけしたところ、真ん中が公園で感染者が出たという想定です。周りには住宅地A、Bというものがあります。

 当初、このヒトスジシマカの活動範囲が50100 メートルと少し狭く設定しておりましたので、半径50メートルを防除対象とした場合にはどうだろうかということでこの予行演習をやったわけです。その左の下のほうにこの結果をお示ししますが、この赤で囲ったところが半径50メートルの範囲です。

 そこには幼虫の発生源は余りなくて、成虫の密度は中程度であります。このピンクで示したところです。緑色も少し発生が見られるというところです。

 しかし、半径50メートルよりも外側の住宅地にちょっと目を向けてみますと、幼虫発生源が集中しているところがあり、そして成虫密度の高いところがあるということで、8月27日、これは東京、代々木公園で感染したらしいという1例目が報告された日とちょうど重なってしまったわけですが、この日にこういう結果を得ることができました。

 ここでまとめとしては、防除対象とする範囲や起点は、調査地の環境によって変える必要がある。この地点で50メートルでいいところもあるし、もっと広くとらなければいけないという場所もあるということが、ここの予行演習からわかってきました。

 次の5枚目をお願いします。

 そこで8月27日にデング熱国内症例1例目が報道されました。その後、8月28日代々木公園を初めとしてオリンピックセンター、新宿中央公園、以下公園を中心として明治神宮外苑ですね、9月7日あたりまで自治体からの要請に協力をいたしました。

9月9日以降は、公園ももちろん相談、それから協力の要請があったのですが、下のほうに書いてあるのは、公園とはまた違った環境で学校や民家が多く含まれるような場所というところでも要請がありましたので、対策に協力をいたしました。

 ちょっと赤で*をつけたところですが、9月9日には都内の19区と新宿御苑の担当者、合計53名になりましたけれども、その方たちに参加していただいて外堀公園において8分間捕集法、私たちが緊急時に蚊の密度を調査するときには、最もよいだろうと推奨している方法ですが、この8分間捕集法の指導を行いました。

 6枚目に移ります。

 そのときに、媒介蚊対策において助言した内容というものをここに書かせていただきました。

 まず最初には、殺虫剤を散布するということが、今回、緊急時でしたので常に想定されていました。そこで散布前に必ず成虫密度の調査をすると、これは8分間捕集法で行う。その密度により、蚊に刺されるリスクを評価する。そして殺虫剤の処理をする範囲や方法を決定する。殺虫剤を処理した後には、必ず成虫密度の調査を行って効果判定を行う。そして、これらの結果から次の対策を検討する。次の対策というのは、1回の殺虫剤散布でいいのか、また次が必要なのか、そして幼虫対策をどうするかといったことを、これらの調査によって決定をしていただきたいということを助言いたしました。

 注意点としましては、このときに既にCDCトラップのほうがいいという自治体さんはもちろんありました。しかし、そのトラップによる捕集数は8分間捕集法に比べて非常に劣る。10分の1とか、もっと劣るかもしれません。そういった調査結果を私たちも持っておりますので、そういうことも含めて、また、1日CDCトラップによる蚊の捕集を行うわけですので、調査結果が出るまでにまた時間がかかります。こういうこともありますので、緊急時の調査としては8分間捕集法を行ってほしいということを助言しました。

 また、当時ウイルス陽性蚊というものを検出して殺虫剤を散布する、しないという根拠にされているところももちろんありましたが、この場合にはウイルス検出結果を得るまでにさらに時間がかかりますので、殺虫剤の散布に際しては、成虫密度の高い場所を優先したほうがよろしいと、多くの場合はウイルス保有蚊がいる場所と成虫密度の高い場所は一致しますので、そういう観点からウイルス検査を行わずとも殺虫剤散布を行ったほうがいいとも助言をいたしました。

 それから、殺虫剤散布のやり方ですけれども、これは自治体さんが契約しているいろいろな業者さんとのやりとりもありますが、その地形や植生、例えば明治神宮さんは希少植物がたくさんあるということで、ある程度制限をしてほしいということもありましたし、それ以外の要望等ももちろんありますので、地形や植生等によって柔軟に散布方法を変えるべきだということも助言をいたしました。

 次をお願いします。

 7枚目に、ある都内の公園において対策を行いましたので、その結果を少し御紹介いたします。

 まず、8月後半に殺虫剤を散布するという報告を受けましたところがありましたので、事前に調査をしましたところ、雌の密度としては35、合計です。平均トラップ当たり2.9でした。これは8分間捕集法ですけれども、2.9でした。

 ところが、その日の午後に殺虫剤を散布した翌日、調査をしますと、どうもふえているところがあるという、余り効果がなかったのではないかという結果が得られておりました。

 ここでは2回目の散布が予定されておりましたので、その2回目のときにも私たち事前に調査をいたしました。その結果がこの数字です。この数字がA86とか、B3925とか非常に多く捕集されるところがありましたので、このような地点を中心としてA、B、C、Dこの4カ所にも殺虫剤を処理したほうがいいのではないかと助言をいたしました。

 ここは、自治体さんのほうで殺虫剤散布後の調査を行っておられましたので、私たちはこれ以降関与しておりません。

 次の8枚目のスライドですが、これは全く公園というわけではなくて、共同施設、利用施設がある、人がそこに泊まっていると、宿泊施設があるところです。

 この環境的には、緑があるところと建物があるところ、それから人が多く運動をするところとかいろいろあるわけですが、ここの四角で囲んだ中に数値を書いておりますが、これが殺虫剤を散布する前の成虫の密度です。そこで2桁あるようなところはやはり多いということで、この丸で囲んだところを中心に、優先をして殺虫剤を散布してほしいということを助言いたしました。

 その殺虫剤散布前は、79雌、14地点で平均5.6捕集されたわけですが、翌日処理後に調査をしたところ全てゼロという非常によい結果が得られております。

 この殺虫剤散布のやり方、それから調査をして実際にまくといった、そういった対策の方法ということを、ここでは非常に効果的であったということがわかりました。

 次の9枚目ですが、ここはまた先ほどの公園、施設とは違って、全くの住宅地です。ここで自治体のほうから希望されたことは、患者さんが刺されたとされる場所が特定されることがないことを強く希望されました。

 住宅地におきましては、ここだけではなくて、それ以外に私たちが経験したところでも、全て患者さんのお宅が特定されるのは好ましくないということで、半径 100メートルとか50メートルというくくりではなくて、より広く、もっと広い場所を対象としたほうがいいのだろうというふうに、この調査から考えるようになりました

 実際には、半径100メートル、150メートルとこの円で書いておりますけれども、この中にお寺がたくさんあり、また、小学校や公園というものも含まれますので、この公共施設は外せないだろうということをその現場に行って初めてわかりました。

 そこで、この半径150メートルの円が含まれる街区と呼んでおりますけれども、この街区、道で区切られるような、町内ですね、この赤の、ちょっと手書きで書きましたけれども現場に行きまして、この赤のところを殺虫剤を散布する対象としましょうと、その場で決定をいたしました。

 これは、患者さんのお宅が特定されないということももちろんありますし、また、隣のお宅が処理されるのに、なぜ自分のところをやっていただけないのかという住民の声も多く聞かれましたので、やはりこれは円で区切るのではなく、この街区、道路で区切ったほうがよりいいのだろうと思いました。

 ここの結果も、殺虫剤を処理する前は平均14.2と、かなり高い密度でありましたが、処理した後は平均0.8と、多いところは多少ありましたけれども、非常によい結果が得られております。

 このように公園、施設があるところ、一般の住宅地といろいろな場所を経験して、来年に向けた蚊対策スケジュールということを考えてみました。

10枚目のスライドをお願いします。

 現在できることをここに書いております。

 まず、南西諸島におきましては、九州・本州よりも多少年平均気温が高く、台湾に近いということもありますので、成虫対策としましては、やはり周年行ったほうがいいのではないかと思っております。

 この方法としましては、8分間捕集法というのは緊急時で優先される方法ですけれども、定期的にやるということになると非常に手間もかかる、経験も必要ということになりますので、従来より行われているCDCトラップによる捕集・調査でもよいのではないかというふうに助言をしております。また、南西諸島におきましては、ネッタイシマカの侵入にも注意をしたほうがいいと思います。

 幼虫対策としましては、これは全国的に同じことですが、発生源の除去と清掃ということを行っていただきたいと思っております。

 九州から本州、南西諸島を除く地域におきましては、現時点10月いっぱいにできることは、この定点調査を継続して行う。そして、幼虫対策は発生源の除去と清掃を行うということです。

11月に入りますと、ほぼヒトスジシマカの活動がなくなってきますので、今度は成虫対策としては次の年の発生の潜み場所を少なくするために樹木の剪定、これは一般的に冬の間に行われていると思いますので、その枝の形とか、少しそこら辺も考慮しながら剪定をしていただければいいのではないかと思います。

 幼虫対策としては現時点で雨水マスの調査を行い、そこに水が入っているかどうかということを調査していただきたい。今の時点で水が入っている状態であれば、夏場になると必ず水がたまって幼虫の発生源になることは当然であります。

 また、冬場には、放置された人容器の除去と清掃、ごみ置き場等の清掃などを積極的に行っていただければと思います。

 4月に入りますと、今度は越冬から起きてきた幼虫が活動し始めますので、完全には冬場の対策でも幼虫の発生源を抑えることはできないことはわかっておりますので、もし幼虫の発生した雨水マスがあれば、そこにはIGRを含めた薬剤を投与する、もしくは水抜き等の対策を実施していただきたいということです。

 5月に入りますと、今度は成虫が活動してきますので、今、継続している定点調査を開始するということになります。

 それから7月、8月の間は成虫対策としては下草刈りをして成虫の潜む場所をなるべくなくす、それか幼虫対策としては、これはお願いですけれども、自治体が主導として住民参加による幼虫発生源の除去と清掃というものを一度もしくは二度計画をされたらよろしいのではないかと思います。

 この夏場にまた、ことしと同様にデング熱患者が発生した場合は、ことし行ったように8分間の捕集法による成虫密度調査を実施し、リスク評価を行い、適切な媒介蚊対策を実施するということを繰り返し行うことになります。

 最後に、ことしの「媒介蚊対策のまとめと今後の課題」ということで箇条書きにさせていただきました。

 まず1番目としまして「約70年ぶりのデング熱国内発生事例に対して、媒介蚊対策にあたる関係者の知識と技術が十分ではなかった」ということが反省点として挙げられます。

 また、調査・対策を行う上での情報、これは個人情報も含めてですが、共有の徹底が必要であると思います。

 3番目としては、これは成果としてお話しできることですが「適切に媒介蚊対策を施せば、成虫密度は下がること」が確認されております。

 このような反省点、いい点、結果を含めまして、今後「感染症媒介昆虫類に対する知識と理解を深める」ことが必要であると考えております。

 これに対しては、各自治体に知識と経験、経験がある方は既におられないというところもあるかと思いますが、そういった知識のある人材を配置していただきたい。担当者への啓発と教育が必要であります。そのために、媒介蚊に関する講習や研修の機会を私たちのほうではふやしていきたいと思っております。

 また、住民への情報発信に努め、蚊媒介性感染症に対する理解を深めるということが重要であると考えます。

 以上です。

○渡邉部会長 ありがとうございます。

 続きまして、事務局より資料1−4に基づいて、お願いいたします。

○福島課長補佐 それでは、事務局のほうから資料1−4の前半の部分に基づきまして、「デング熱国内感染事例に関する厚生労働省の対応について」御説明させていただきます。

 まずデングに触れる前に、感染症法に基づきまして、厚生労働省がこれまで蚊媒介性の感染症について、とってまいりました対応について御説明させていただきます。

 スライド番号2のほうをごらんください。

 まず、1999年に感染症法が制定されましたときに、デング熱、マラリア、日本脳炎、この3つの蚊媒介性感染症が「(旧)四類感染症」として指定されています。ここで「(旧)」としておりますのは、この四類感染症が現在の四類感染症とちょっと体系が異なるものですから「(旧)」とさせていただいております。

 これによりまして、患者の全数報告のほうを義務づけまして、これら3つの蚊媒介性感染症につきまして発生動向を把握できるようにいたしました。

 続く2002年、感染症法の政令を改正いたしまして、ウエストナイル熱の米国での流行拡大を受けまして、この疾病を四類感染症に指定いたしました。

 さらに2003年、感染症法の改正を行いましたときに、新たな感染症の類型といたしまして、現在の「(新)四類感染症」を創設いたしまして、蚊媒介性感染症につきまして、積極的疫学調査の実施、また蚊の駆除等の措置を適用できることといたしました。

 また、動物の輸入届出制度を新たに創設いたしました。この動物の輸入届出制度と申しますのは、家畜・家禽を除く全ての哺乳類、鳥類につきまして、輸入者にその都度、厚生労働省の検疫所のほうに届け出を提出させることになっておりまして、その際に輸出国政府が発行した衛生証明書を添付することとなっております。

 鳥類につきましてはウエストナイル熱、ウエストナイル熱は鳥と蚊の間で感染のサイクルが回りますので、このウエストナイル熱の国内への侵入を防ぐという観点から、鳥類は輸出時にウエストナイル熱の臨床症状を示していないこと、これをこの衛生証明書の要件に指定いたしました。

 続きまして2011年、これも感染症法の政令を改正いたしまして、チクングニア熱、これはデング熱と同様にヤブカ類が媒介する感染症でございますが、このチクングニア熱が近年、東南アジア等の地域で感染が広がっていること、それを受けて輸入症例、帰国者での症例の増加が見受けられることから、このチクングニア熱を四類感染症に指定いたしました。

 そのほか、感染症法と直接は関係ございませんが、私ども厚生労働省のほうでは「ウエストナイル熱等に係る関係省庁連絡会議」というものを毎年、2002年から開催しておりまして、これは厚生労働省のほかに国内で蚊媒介性の感染症が発生したときに連携が必要となると考えられる関係省庁、例えば環境省さんですとか農林水産省さんですとか、このような関係省庁の御担当者の方をお招きして、毎年、蚊媒介性感染症に関する最新の知識を学んだり意見交換等を行う場を設けておりまして、ことしも7月に開催をしております。

 続きまして、スライドの3に御参考といたしまして、感染症法で指定されております「主な蚊媒介性感染症の届出状況」をお示ししております。

 この中で2013年までのデータを示しておりますが、このうち日本脳炎を除き全て輸入症例となっております。デングにつきましては一番左にございますが、増減はございますけれども近年は大体200症例ぐらいで推移しております。

 それからチクングニアは、先ほど申し上げましたように2011年に四類感染症に指定されておりますが、毎年大体十数件程度の発生が報告されております。

 続きまして、スライド4に基づきまして、これまでの先生方の御説明と重複する部分もございますが、今回のデング熱の国内感染事例に関しまして、厚生労働省がとりました対応について御説明させていただきます。

 まず、本年1月10日にドイツ人旅行者の方、この方は昨年の8月に日本を旅行された方ですが、この方が日本国内でデング熱に感染した疑いがあるということがドイツのロベルト・コッホ研究所から報告されたことを受けまして、全国の自治体を通じまして医療機関に向けて、このような事例がございましたという情報提供をするとともに、このような輸入患者さんを契機として国内での感染が発生しないように、患者さんが蚊に刺されないように注意喚起をお願いいたしました。

 同時に、デング熱に関するファクトシート及び一般の方向け、医療従事者向けのQ&Aを策定いたしまして、これも同時に公開をしております。

 この後、先ほど御説明がありましたように、高崎先生が代表を務められます厚生労働科学研究班等におきまして、デング熱の国内感染症例発生時の疫学調査の実施方法や、蚊対策等につきまして、私ども厚生労働省の担当者も参加し、また、東京都の御協力も得ながら「デング熱国内感染事例発生時の対応・対策の手引き」の案を策定していただいております。

 また、臨床医の方に向けて「診療ガイドライン」の案を作成したほか、国内感染事例を積極的に探知するために幾つかの医療機関には研究的にデング熱の迅速診断キット、これは先ほど御説明がありましたNS1抗原検査キットでございますが、こちらのほうも配布されております。

 このような中、8月27日、デング熱の国内感染症例が確認されたことを受けまして、この事案の公表をするとともに「デング熱診療ガイドライン」及び「デング熱の対応・対策の手引き」これはまだ策定中でございましたので暫定版ではございましたが、こちらを配布するとともにファクトシート、Q&A、これについても改定したものを全国の自治体のほうに配布させていただいております。

 その後もガイドライン・手引書につきましては随時改訂を加えていただきまして、診療ガイドラインについては9月3日と16日、自治体向けの手引きについては9月12日に改めて配布をしております。

 続く9月6日、こちら土曜日でございましたが、緊急的に東京都それから東京23区特別区・関係機関の方々に御参加をいただきまして、厚生労働省が主催した緊急対策会議を開催いたしました。

 こちらの中で皆さんと意見交換をさせていただきまして、今後の対策として住民への注意喚起それからウイルス血症期の患者さんが蚊に刺された場合の対応等、今後の対策について合意を得ております。

 続きまして、9月7日〜9日の間に渋谷区及び隣接の6特別区と連携いたしまして、9つの公園において蚊のウイルス保有調査を実施していただいております。この結果は全て陰性でございました。

 また、9日には19の区の担当者の方を対象として、感染研の先生方に講師になっていただき、蚊の捕集法等に関する講習会を実施しております。また、9月中旬には迅速診断キット、NS1抗原検出キットでございますが、こちらを全国の地方衛生研究所のほうに配布させていただいております。

 続きまして、スライド5でございますが、今回の事例を踏まえまして浮かび上がってきた「蚊媒介性感染症に関する現状と近年の主な課題」でございます。

 まず最初に、感染症法上では、蚊媒介性感染症として現在デング熱のほかにウエストナイル熱、黄熱、チクングニア熱と、ここに挙げているような感染症が指定されております。

 ただし、近年、実際に国内での感染事例が報告されておりましたのは日本脳炎のみでございました。このような中、蚊媒介性感染症であるデング熱が、ことし8月末、約70年ぶりに国内感染が確認され、これまでに160名近くの感染症例が確認されております。

 これら今回の経験から明らかになってきましたのは、蚊媒介性感染症のまん延防止のためには、まず「1.平時からの蚊対策」「2.患者の的確な診断と適切な医療の提供」「3.迅速な発生動向の把握」「4.発生時の的確な蚊対策」これらのような対策が重要であるということがわかってまいりましたが、近年は感染症対策の一環として、平時及び国内発生時の蚊対策を行うことがまれとなってきている現状がございます。そのため、各自治体におきましても、蚊対策の知見ですとか経験が乏しくなってきている場合等があり、蚊媒介性感染症対策の充実が喫緊の課題となってきていると考えております。

 事務局からは以上です。

渡邉部会長 ありがとうございます。

 4名の方に報告をいただきました。皆さんのほうから御質問等がありましたら受け付けたいと思います。よろしくお願いします。

 どうぞ、澁谷先生。

○澁谷委員 ありがとうございました。

 まず資料1−3で澤邉参考人にお願いをしたいと思いますが、スライド10のところで「来季に向けた対策のスケジュール(具体案)」というものがあるのですが、ここで例えば自治体がこういうものを考えようとしたときに、この定点の頻度といいますか、あるいは先ほどの例だとお寺とか公園が出ているのですけれども、どんなメッシュにするのか、どのぐらいの数こういった観察をすればいいのかというところを一つ教えていただきたいと思います。

○澤邉参考人 これは自治体さんがどのくらいやれるかということにもかかってくるでしょうし、私たちが考えたところでは、利用頻度が高いところ、例えば今回の場合だと代々木公園など人がたくさん集まるところ、ただ何十カ所もというと、定点の周年を通した、ほとんど周年に近いような調査ですので、やれないことももちろんあると思いますので、数カ所に絞って、その幾つかの公園の数カ所ということでできる範囲で、大きい自治体、小さい自治体でもちろんあると思いますので、その自治体さんの許容範囲の中で設定していただければと思います。

 一つ考えられるのは、保健所なり市役所なり、そういった役所の方たちが実際に毎日でも行き来できるようなところ、保健所の一角にかけるとか、公園も人がよく利用するところを定点とするとか、そういう選定の仕方が妥当かと思っております。

○澁谷委員 ありがとうございます。

 それからもう一つ、資料1−2の2のところで「デング熱検査法の実際」というスライドで、抗体検査、NS1の抗原検出は比較的長く、後のほうでも拾えるということなのですが、今、全国の都道府県、地方衛生研究所で、デング熱のこの検査をどの程度、どこの自治体でもどの抗原・抗体の検査もできるのか、今どんな状況になっているのかということを、どなたか教えていただければと思います。

○渡邉部会長 調先生、いかがですか。

○調委員 先ほど厚生労働省のほうから説明ありましたけれども、9月中旬にNS1抗原検出キットを配布していただきましたので、全国の地方衛生研究所でNS1抗原の検出ができるようになっております。

 デング熱の場合は、発症から7日目ぐらいまでは初感染の場合、 90%の感度でNS1抗原の検出によって診断できるということが言われております。

PCR で検出可能な時期はウイルス血症の期間の5日間ぐらいですので、あとの2日発症日から5日〜7日の間はNS1抗原キットのほうが検出されると、実際にそういうケースがあったと聞いております。

 2回目以降の感染では、恐らくウイルス量が減るので、NS1抗原キットでの検出感度は6080%になると言われていますけれども、日本の場合、恐らくほとんどは初感染ですので、NS1抗原キットの検出が有効だと思っています。

 以上です。

○澁谷委員 ありがとうございました。

○渡邉部会長 では、小森先生。

○小森委員 ありがとうございます。

 ちょっと3点、ごく簡単なお返事で結構ですが、1点目は高崎先生のところで、これまでの輸入症例等で遺伝子解析がどうであったかということを教えていただきたいと思います。

 2点目は澤邉参考人に、昆虫の住めない環境は人間にとっても優しくないということで、先進国である米国のハワイ州あるいはフランス等で、蚊に対する対策はその後どうされたのかということ。

 3点目は、迅速診断キットは今、地衛研にだけ備えられているわけですが、薬事承認等の見通しについて、スペキュレーションでも結構ですが、どうなのかということを事務局にお願いしたいと思います。

○渡邉部会長 まず高崎先生それから澤邉先生、それから事務局と。

○高崎参考人 遺伝子解析は、毎年海外から来たものに関して、同じところから例えばバリからいっぱい返ってくるのは全部やっているわけではないですが、ここというところはやっています。

 我々のほうで、例えばドイツと同じような立場で、コートジボワールではやっているぞとか、タンザニアではやっているぞという情報を提供しております。あとは台湾とかそれこそ中国とかフィリピンもそうですが、分類したウイルスの遺伝子情報の交換などもやっています。

○小森委員 ありがとうございます。

 これまでのは今回の株とは全く違うタイプであったという理解でよろしいでしょうか。

高崎参考人 そうですね。我々の解析した中には今回と全く一致するものはありません。

○小森委員 ありがとうございます。

○澤邉参考人 ハワイとフランスなどでの媒介蚊の対策についてですが、ハワイにおいては観光地であるということもあって、侵入してきて患者さんがふえたというときには徹底して殺虫剤の散布をし、また忌避剤を配り、徹底したクリーンアップキャンペーンというものを行いました。その後、蚊の数としては減ってはいますけれども、なくなってはいないという状況です。

 それからフランスにおきましても、患者さんが発生したときは徹底してやったということを聞いておりますが、その後はそれほど蚊の密度は高くないけれども定着をしているということです。

 一方、シンガポールなでは、このネッタイシマカになりますけれども本当に徹底して、台湾もそうですが殺虫剤を散布して撲滅をしております。ですけれども、今度は反対に殺虫剤を使い過ぎて抵抗性が出てきたりということで、それほど蚊の数は減っていないという状況にあります。

○感染症情報管理室長 NS1抗原キットの薬事のほうですけれども、見通し、いつぐらいにというのはちょっと今、お話しできる状況ではございません。

○渡邉部会長 岡部先生、どうぞ。

○岡部委員 今のにも関連するのですが、確かにデング熱は一人一人の患者さんにとってはそんなにリスクの高いものではないのですけれども、N数が多くなってくる可能性というのを考えなければいけないし、公衆衛生上の対策もあるので、診断キットも、私の知見ですが厚労省より緊急の配布があったりまたPCR検査も大体どこの衛生研究所でもできますけれども、蚊のシーズンに発熱のある患者さんを全部衛生研究所で検査するというのは、これは実際的ではない。しかし、臨床現場においてはやはり患者さんに対する鑑別診断であるとか、あるいはN数がふえた場合の重症化ということを考えるならば検査を行える環境であった方が良い。やはりもう少し、今まだちょっと承認の見通しが立っていないというようなお話がありましたけれども、そういう検査診断体制が臨床現場で迅速にできるというようなことを、ぜひ工夫をしていただければと思うのです。

 それは一つは、デング熱以外にも国際感染症というのはいろいろあるので、それの侵入の一つに対してもきちんと対応ができるという、臨床現場でそのことができるということは、やはり患者さんに対してすぐに反映ができるつまり良質の医療につながるということなので、ぜひ整備を進めていただきたいと思います。

○渡邉部会長 井上課長。

○結核感染症課長 結核感染症課長でございます。

 ただいま小森委員、岡部委員から御指摘をいただきました、医療機関において、臨床現場においてデング熱それからそのほかの海外由来の感染症を正しく診断できる体制を整備するべきということは、公衆衛生の向上のために私ども事務局としても重要な事項であると考えております。当課としても、来年の夏のシーズンに向けてできる限りの対応をしてまいります。

 以上でございます。

○渡邉部会長 ありがとうございます。

 今の小森委員、岡部委員から出ましたように、やはり診断が正しくできるというのは一番重要なことでありますので、薬事承認のほうに向けて厚労省としても努力していただくということを感染症部会の合意としたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 どうぞ、中山委員。

○中山委員 澤邉先生にお尋ねしたいのですが、今、小中学校の教育現場ではビオトープといって池をつくって周りの自然の環境を整え子供たちが自然と触れあう環境をつくるというのが非常に教育的に評価されているのですが、当然そこには池があり、自然の環境を残すような形にしておりますので、そういうところで蚊の対策というのはどのように考えていったらよろしいのか教えていただきたいと思います。

○澤邉参考人 ちょっときょう、お話しすることを忘れていましたけれども、発生源というものの場所を、ちょっと写真をお示ししたと思うのですが、最後の10枚目の写真になりますけれども、今回のデング熱の対策ということで考えますと、ヒトスジシマカの発生源というのは、ここに書いてあるように小さな水域なのですね。ですから、ビオトープのような池とか噴水があるような大きな池とかプールとかといったものには発生しません。ゼロとは言いがたいですけれども、恐らくしません。ですから、ビオトープを心配されるよりも、こういったプラスチックの容器が放っておかれるとか、工具箱がそのまま残されているとか、そういったところをきれいにするということが重要であると思います。

 あと、雨水マスなんかは道路とか学校の周りなんかもたくさんありますので、そこは幼虫対策としてこれから常時対策を行うということを考えられたらいいと思います。

○澤邉参考人 ほかに御質問。

 廣田委員、どうぞ。

○廣田委員 松井先生にちょっとお伺いいたします。

 スライド番号の11番ですね。これは結局、届け出されたケースの発症日にさかのぼってこのグラフが書かれているので、一見、厚労省の発表がおくれたように見えるのだろうと、これは言わずもがなと思うのですけれども、発症から受診まで、受診から診断まではどんなふうに日にちがたっているのでしょうか。

○松井参考人 先生、それはまとめておりますが、今、手元に持っておりません。後日お知らせしたいと思います。

○渡邉部会長 前田先生、どうぞ。

○前田委員 済みません、今の関連ですけれども、このエピカーブを見ますと、やはり20日以前にこの初期の発生が同定されていれば、その後の、恐らく27日に入ってくるころに発症した方に対する感染が防げたのではないかと考えているのですが、ただ、その20日前に東京都内で発生したと報告されたものを見ますと、7例あるのですが、7例中6例が実はその発症直後に受診されているのですね。だけどそこではデング熱という診断に至らずに第一例が報告されるまでそのまま経過してしまったということでございます。もしこの国内でもデング熱の発症があり得るというインフォメーションが医療機関にいっていたり、あるいはNS1抗原が通常の医療機関で使われる体制になっていれば、ひょっとしたらこの20日前の時点で発生が探知されて、その後の発生がかなり防げたのではないかと思っています。

 残念ながら29日ごろに発生を探知しても、既にその時点で新宿中央公園等々に既に波及しておりますので、感染拡大阻止は不可能だったということで、やはり医療機関が早期に探知、あるいは本人が蚊に刺されることを自覚して、そこで申し出て探知されるというのが非常に重要だったのではないかと思っております。

○渡邉部会長 ありがとうございました。

 ほかにございますか。

 岡部先生、どうぞ。

○岡部委員 些細な質問で申しわけないのですけれども、高崎先生に教えていただきたいのですが、高崎先生の資料1−2でスライド8のところで、マレーシアの渡航歴のところの3番目で、この方がバイトに行くために着がえて連続8カ所蚊に刺されたといったときに、先生が、これはイエカと違うなという印象を先生は持ったとおっしゃったのですけれども、そこの意味をちょっと教えていただければと思うのです。

○高崎参考人 まず時間的に夕方であるということと、連続8カ所刺されたというのは、ヒトスジシマカというかヤブカの系統は割とそういう少し刺してまた離れて、また刺すということが多いのですが、イエカの場合は1回刺し出すとじっくり満腹になるまで吸血するという性格があるということで、ヒトスジシマカのほうが確率が高いかなと思ったということです。

○渡邉部会長 ほかにございませんか。

 蒔田委員、どうぞ。

○蒔田委員 済みません、澤邉先生に御質問なのですけれども、先ほど蚊の発生のほうの対策を進めていく必要があるというお話の中で、シンガポールのほうでは耐性が出てくる蚊もいるというところでは、今後、自治体のほうに示される対策案の中に、どの程度の薬剤をどの程度散布していくような必要性があるかというところもお示しいただけるのでしょうか。

○澤邉参考人 シンガポールは、先ほどもお話ししましたがネッタイシマカなわけですね。ネッタイシマカに対しては、何十回ぐらいやると耐性が出てくるというデータを私たち持っておりますけれども、ヒトスジシマカに関しては世界的にそういう報告がありません。ですから、それは今、私たちがまさに研究班でやろうとしているところなのですが、そういう数字が出ましたら、それはもちろんお示ししたいと思っております。

○渡邉部会長 今の関連なのですが、蚊の、あるいは特定の遺伝子の変異で耐性になるのだと思うのですが、結構そういうのは発生しやすい、蚊の中ではミューテーションが起こりやすいのですか。そういうわけでもない。

○澤邉参考人 ミューテーションは起こりやすいのですけれども、室内実験をする場合には選抜をしていきます。大量の薬剤をかけてかけて選抜をしてということは、何世代目にこのくらいの殺虫剤抵抗性がふえると、遺伝子レベルでもわかる、バイオアッセイでもわかるということを実験をするのですが、そのデータがそのままフィールドに生かされるかというと、ちょっと違うかもしれません。ただ、そういう基礎的なデータはとれると思います。

○渡邉部会長 その発生地域、アジアの地域で、耐性の分布というのは大分異なるのですか。

○澤邉参考人 そうですね。今のところアジアのネッタイシマカに関する情報を集めておりますけれども、全体的にやはり殺虫剤抵抗性の遺伝子は広まっているという報告があります。

○渡邉部会長 ほかに御質問等ありましたら。

 味澤委員、どうぞ。

○味澤委員 蚊を駆除するということも非常に大事だと思うのですけれども、蚊に刺されないためには蚊よけ薬を塗るということも大事です。私もタイに行ったときにデング熱になると恥ずかしいと思いまして、行って最初にやったことは向こうの高濃度の蚊よけクリームを、ちょっと高かったのですけれども買いました。こういった塗り薬の導入も少し考えていただいたほうが良いと思います。

○渡邉部会長 厚労省、何かお考えありますか。

○感染症情報管理室長 蚊に刺されないように注意しましょうという呼びかけ、まずはそこのところを今回、大分力を入れて、一番基本的なところなのですが、させてもらいました。

 そのほかに、どういう方法が有効なのかというものはいろいろな御意見も踏まえながらちょっと今後、先生方と検討を進められればと考えております。

○渡邉部会長 山田先生、どうぞ。

○山田委員 今の御質問に関連するのですが、その蚊に刺されないようにという注意は、国内で、多分代々木公園とかそういうところに行く人たちは今はやっているんだと思うのです。ところが、これは感染症ですから、感染源は海外から人がかかって持ってくるわけで、やはり海外の流行地へ出かけていく人たちに対しての教育・啓発をもう少し真剣に、例えば成田空港へ行って検疫所のブースへ行ってもほとんど人影がないというのを何度も目撃していますので、検疫所の所長さんにもそういうお話をしたことがあるのですが、今、努力されているということですけれども、そこのところにすごく力を入れて、やはり持ち込むリスクをなるたけ小さくするということが必要なのではないかなと思うのですけれども。

○渡邉部会長 ありがとうございます。重要な提案かなと思います。

 厚労省のほうから何かコメントありますか。よろしいですか。

○感染症情報管理室長 実は従前より、なかなか目につきにくいところがあるかなという反省がございますが、毎年ポスター等で外国に行く方向けの御案内をさせていただいております。それから、休みになるシーズン、夏休みの前それからお正月の休みの前等には、厚生労働省の結核感染症課から海外旅行者向けの注意みたいなものでホームページ、メルマガ等でお話はさせていただいているところなのです。今後とも一層、注意喚起のほうをできるように考えたいと思います。

○渡邉部会長 よろしくお願いいたします。

 前田先生、どうぞ。

○前田委員 全国衛生部長会、少し意見を聞きまして、全体集約をしたわけではないのですが、幾つか要望がございましたので、そのお話をさせていただきます。

 1点目は、先ほどからお話がありましたMS1抗原キットの保険収載について要望するというものでございます。

 2点目としては、サーベイランスでございますとか発生前の駆除あるいは発生後の対応につきましては、対応する人員等も限られていることから効果的な方法について、検討いただきたいということでございます。

 3点目としまして、これは感染症法上の問題ですが、今回蚊対策の対象となった場所には、先ほどの御報告にもありましたが、公園だけではなく神社ですとか仏閣ですとか、私有地ですとかさまざまございまして、こういうところには事前の予防的な駆除の義務というのはございません。感染症法上は、いわゆる保健医療施設については感染症の発生予防努力義務が定められていますが、こういうところにはそういう義務はないということであります。保健所が指示するのもあくまでも法の27条に基づいてで病原体に汚染された、あるいはその疑いがあるとなった場合のみとなっております。今後どのような形でこうした行政が所管する施設以外のところについての事前の駆除を行うかということが課題だと思っております。

 また、新宿中央公園、大体8万平米ほどあるのですが、これは1回駆除を行っていただいて50万〜80万ぐらいかかったということでございます。これを発生予防のために頻回に実施するとなると相当な費用負担になります。こうした費用負担にどう対処していくのかということも含めましてぜひ御検討いただければと思っております。

 以上でございます。

○渡邉部会長 ありがとうございます。

 多くの御意見が出たと思うのですが、続く議題ともちょっと関係しますけれども、皆さんのこの御意見を踏まえながら、今後どういう対策をするのかというところの案を厚労省のほうからまず示していただければと思います。

○福島課長補佐 それでは、今後、蚊媒介性感染症についてどのような対応をとっていくべきか、事務局の御提案を資料1−4の後半部分、スライド番号で言いますと7番からの部分に基づきまして御説明・御提案させていただきます。

 まず、スライド7番「『蚊媒介性感染症に関する特定感染症予防指針』の策定について」でございますが、こちら感染症法の第11条に「特定感染症予防指針」という項がございまして、そちらをちょっと読み上げますけれども「厚生労働大臣は、感染症のうち特に総合的に予防のための施策を推進する必要があるものとして、厚生労働省で定めるものについて、当該感染症にかかる原因の究明、発生の予防及びまん延の防止、医療の提供、研究開発の推進、国際的な連携、その他当該感染症に応じた予防の総合的な推進を図るための指針を作成し、公表するものとする」という条項がございます。

 今回の蚊媒介性感染症、特に国内に生息する蚊が、ヒトスジシマカ等が伝播し得るデング熱、チクングニア熱等の感染症につきまして、感染症対策を統一的に進めるためにこの特定感染症予防指針の策定をしてはいかがかと考えております。この指針の概要案につきましては、下に事務局の案として、あくまで例示でございますが示してございます。

 「当該感染症に係る原因の究明」ですとか「発生の予防及びまん延の防止」は先ほど申し上げたように感染症法の中に規定されている大項目なのですけれども、具体的には原因の究明として積極的疫学調査の実施による迅速・正確な情報の収集及び解析それから予防及びまん延の防止として、平時からの蚊対策、それから蚊の発生を防止するですとか、蚊に刺されないですとか、そういった予防策に関する国民への普及啓発。それから国内感染事例が発生した場合の蚊対策。

 医療の提供といたしまして、早期発見・治療のため診療ガイドライン等医療機関への情報提供の実施。それから研究開発の推進といたしまして、診断検査法の開発と普及、ワクチン治療薬の開発等。国際的な連携といたしまして、世界保健機関WHO等との国際機関との連携、その他、といったような内容を含めてはいかがかと考えています。

 仮に、この特定感染症予防指針の策定へ御了解をいただけるといたしましたら、続きましてスライド番号8番でございますが、この特定感染症予防指針の策定に当たりまして、「蚊媒介性感染症に関する小委員会(仮称)」これは仮称でございますが、これをこの感染症部会の下に設置してはいかがかと考えております。その際の委員の構成としましては、そちらに案を示しておりますが、感染症学、ウイルス学、疫学、衛生昆虫学、医学、臨床医の方、それから地方自治体の方、リスクコミュニケーション等こういった専門家の方に御参加いただいてはいかがかと考えております。

 この小委員会の設置をする場合の設置要綱案を資料1−5としてお示ししております。こちらをごらんください。

 資料1−5「厚生科学審議会感染症部会 蚊媒介性感染症に関する小委員会の設置について(案)」ということで設置要綱案をお示ししております。

 「1 設置の趣旨」につきましては、きょうこれまでにもいろいろ御議論がありましたので割愛いたしますが、最後のパラグラフ「このため」の後でございますが、蚊が媒介する感染症の発生の予防及びまん延の防止に向けた今後の対策を検討するため、厚生科学審議会感染症部会運営細則、こちら参考資料1として、この運営細則を添付しておりますが、こちらの第1条に基づき、厚生科学審議会感染症部会の下に「蚊媒介性感染症に関する小委員会」を設置する。

 「2 委員」委員会の委員長は、厚生科学審議会感染症部会運営細則第3条に基づき、厚生科学審議会感染症部会長の指名する者とする。

 「3 委員会」委員会の運営は、厚生科学審議会令、厚生科学審議会運営規程及び厚生科学審議会感染症部会運営細則に定めるところによるほか、この決定の定めるところによる。この決定というのはこの設置要綱案のことでございます。それから委員会の庶務は、厚生労働省健康局結核感染症課が行う。

 こういった設置要綱案を御提案させていただきたいと思います。

 スライド番号9でございますが、この小委員会を設置して特定感染症予防指針を策定する場合の検討のスケジュールについてでございますが、まず10月にこの小委員会の設置が認められましたら、この後、平成26年度の下半期を使いまして、小委員会を数回開催し、小委員会案を取りまとめていただき、これを感染症部会に報告していただきます。

 また、感染症部会でこの小委案を検討・了承していただいた後に、厚生労働省のほうで指針案を策定いたしましてパブリックコメントを実施し、平成27年3月中を目途に指針を告示・適用する、このようなスケジュールを考えております。

 部会の先生方には、まずこの「蚊媒介性感染症に関する特定感染症予防指針」を策定することについて、それから策定する場合、この感染症部会の下に小委員会を設置することについて、また、この小委員会を設置する際、この資料1のほうにお示ししております設置要綱案で問題ないかどうか、この点について御審議いただければと思います。

 以上です。

○渡邉部会長 ありがとうございます。

 今後、海外に行く方が人数もふえてくるだろうし、2020年に向かって日本に来られる海外の方の数もふえていくことも予想されますので、そういう意味ではデングの国内発生例が今後、来年以降も発生するリスクというのは少なくはないと、ふえる可能性も多いという状況において、やはりこういう感染症予防指針等を決めて、そして国としての方策を示していくというのは非常に重要なことだと思います。

 先ほど事務局から説明がありました、この予防指針の策定及びその委員会の設置、その点に関しての御意見等がありましたら、こういうことを議論したほうがいいだろうというようなコメントがありましたら、よろしくお願いいたします。

 よろしいでしょうか。

(首肯する委員あり)

○渡邉部会長 ありがとうございます。

 皆さんの承認といたしまして、部会としてこのような小委員会を設けて、特定予防指針の策定についての案をつくっていただくということで、今後進めていきたいと思いますので、その人選等に関しましては、部会長の一任ということでよろしくお願いいたします。

 続きまして、次の議題で「その他」に入りたいと思います。

 事務局のほうからお願いいたします。

○難波江課長補佐 お手元資料2をごらんください。エボラ出血熱に関する発生状況などを報告させていただきます。

 まず2ページ目「エボラ出血熱基本情報」でございますが、釈迦に説法で恐縮でございますけれども、エボラ出血熱は過去にアフリカ中央部で発生しまして、ことし西アフリカで流行しているという状況でございます。致命率は90%に及ぶこともあるという疾患でございます。

 「感染様式」でございますが、発症した患者の体液等に触れた場合に感染する接触感染でございまして、感染した動物、死体や生肉への接触、その生肉を食することによっても感染が成立するというものでございます。

 潜伏期間は2日〜21日とされておりまして、症状は突然の発熱、頭痛、倦怠感、筋肉痛、咽頭痛等を呈しまして嘔吐、下痢、内臓機能の低下などが見られまして、進行すると出血などの症状が出る疾患となっております。

 「予防法・治療法」でございますが、現在ワクチンは存在せず、対症療法のみの対応となっております。流行地域に立ち入らないことが重要でございまして、患者に直接触れること、動物の死体への接近・摂食、肉を食べることなどを避けていただく必要がございます。

 次のページでございますが、現在の患者の発生状況でございまして、10月3日現在で西アフリカ5カ国、それからコンゴ、アメリカで1例報告がございましたが、7,492例の患者数の報告がございまして、死亡者数が3,439となっております。これ以外にスペインのほうでも、入院で看護されていた方の1名の感染の報告がその後ございます。

 「これまでの経緯と国際社会の対応」でございますが、3月21日にギニア保健省がWHOに対しましてエボラの発生を報告しておりまして、その後の疫学調査では去年の12月に最初の事例、子供の症例でございましたが、これが初発例であろうということが判明しております。

 8月8日には、WHOが「国際的に懸念される公衆の保健上の緊急事態(PHEIC)」Public Health Emergency of International Concernというものを宣言いたしております。

 また、8月11日にはWHOが「第1回未承認薬使用に関する倫理委員会」というものを開催いたしまして、現在のところエボラに有効性が明らかとなっている薬というものはないわけでございますが、さまざまな薬が開発中ということで、こういった開発中の薬につきまして、実験的治療を行うことに対して、倫理的に許容され、実際に使用する場合の具体的基準などについて、さらに検討を行うということとされました。

 8月28日には、WHOが国際的な対応を強化するため「EBORA RESPONSE ROADMAP」を発行しまして、また、9月にはこの未承認薬の検討会を再度開催し、回復患者の血清を用いた治療を最優先することで合意いたしております。

 また、9月16日には、米国が西アフリカに3,000人米軍を派遣すると発表しまして、その後さらに1,000人を追加するという発表もいたしております。

 また、国連安保理においても緊急の決議を採択しまして、西アフリカ、ガーナになりますが、この「UNMEER」というミッションを設置することを決定いたしております。

 また、日本の対応としましては、23日に外務大臣が最大23人の専門家を派遣する用意があるということを表明し、また、25日には国連総会において総理が新たに4000万ドルの支援、合計で4500万ドルになりますが、支援をすることを表明いたしております。

 また、先ほどのCDC、米国の症例につきましてCDCが発表しております。

 5ページ目でございますが、我が国の国内体制としましては、エボラ出血熱は1976年、40年ぐらい前に報告された疾患で、既に検疫法の検疫感染症それから感染症法上の一類感染症に定められているところでございますが、検疫の体制を今般の流行におきまして強化いたしまして、まず出入国者には注意喚起を実施しまして、日ごろから実施しているサーモグラフィーの体温測定に加えて、複数カ国語のポスターや検疫官による呼びかけなどを行いまして、これは症状の有無にかかわらず過去21日にこの発生国に滞在した方については申し出てくださいというお願いをしております。このお願いにつきましては、航空会社に対しても機内アナウンスをしていただくよう依頼をしているところでございます。

 それから、滞在などが確認できました法人につきましては、企業や団体などを通じまして情報提供それから帰国時の検疫所への申し出をお願いしているところでございます。

 また、医療体制につきましても、国内で既に特定感染症指定医療機関(3機関)それから第一種感染症指定医療機関(44機関)の医療機関が整備されているところでございます。

 全国の自治体に対しまして、初動対応のフローチャートをいうものをお示しして、対応の再確認を8月に一度お願いし、今般のアメリカの症例を受けまして、再度、先週の金曜日にも確認をお願いしたところでございます。

 また、厚労省のホームページにエボラ専用ページを設けまして、情報提供を行っているところでございます。

 それから、お手元参考資料2をごらんいただければと思います。

 先ほど申しましたとおり、現在エボラに対して有効性が証明され、また、どこかの国で承認されているという薬はないわけでございますが、実際に日本人で感染者が出た場合、どのような治療を行うべきか、なかなか現場にその診断をされた主治医のみ単独の判断では現在その情報も限られているということでございまして、そういうものをサポートする体制といたしまして、国のほうにこの専門の会議というものを設けまして、実際に発生した場合には専門家にお集まりいただきまして、そのときに得られている最新の情報に基づきまして、その未承認薬の使用も含めて、その妥当性とか方法等を検討いただきまして、その主治医に対して助言をするというような会議を開催することを予定しております。参考資料2はその開催要綱になります。

 事務局からは以上です。

○渡邉部会長 ありがとうございます。

 今の事務局からの報告について、御質問等がありましたらお願いいたします。

○廣田委員 これは質問というわけではありませんので、答えにくかったら答えていただかないで結構です。ワクチンが存在しないと、さらっと日本では言われるわけですけれども、諸外国では政府の研究機関とかワクチンメーカーが一緒になって既に一生懸命開発しようとしているわけですよね。何で日本ではそんな動きがないのか、ワクチンに関する製造販売の承認システムとかが通常の医薬品と比べて余り理解されていない、あるいは硬直しているというような批判もありますし、果敢にワクチンの開発というような動きが全くないような感じで、非常に残念に思っております。

 以上です。

○渡邉部会長 これは事務局でよろしいですか。

○廣田委員 質問ではありませんけれども、もし何かお答えいただけるならそれは結構でございますが。

○渡邉部会長 よろしいですか、特に。

○難波江課長補佐 2つお話があるかと思います。1つはエボラに対する薬なりワクチンなりということで、世界中で現在において承認されている薬、ワクチンはないという状況でございます。ただ、薬については、幾つか動物レベルでの有効性の報告があるというものがございまして、実際には例えばアメリカ、カナダで開発されたモノクローナル抗体治療薬、これにつきましてはアメリカの患者さんなどに投与されたという報告がございます。

 それから日本のメーカーが開発している抗インフルエンザ薬、これについても動物実験で一定程度効果が見られたということで、実際にフランスなどで治療されている患者さんに使われたという報告がございます。そのほか、幾つかの候補薬がありまして、WHOのほうでもそういったものの使用についての検討が進められているという状況でございます。

 エボラワクチンにつきまして、諸外国で今2つのワクチンの候補というものが治験を開始するというような話が入っております。カナダの開発したもの、それからアメリカ、あと海外のメーカーがかかわったものがございます。日本の中でも研究レベルでこういったワクチンの開発を行っているという話は聞いておりますが、まだそこまで至っていないという状況です。

 そういったエボラに対しての薬・ワクチンについての状況というお話と、もう一方、ワクチンそのものの日本における開発というものにつきましては、先生よく御存じのとおり、1980年代ぐらいまでは日本で開発されたワクチン、例えば水痘ワクチン、百日咳ワクチンこういったものが今も世界で使われているという状況でございましたが、その後いわゆるワクチンギャップと言われるような中でワクチンの開発自体、日本で余り進められなくなってきたという状況がございました。

 ただ、ここ5年間、その予防接種の制度のさまざまな改正などが行われまして、昨年度にいわゆる日本版ACIPというワクチンの分科会ができ、その中で研究開発を主に議論する部会が設けられ、今後、日本で開発を進めていくべきワクチンというものが6つほどリストアップされ、今はそういった開発を推進する体制が以前よりはよくなってきているという状況にあるということでございます。

 以上でございます。

○渡邉部会長 ありがとうございます。

 岡部先生、どうぞ。

○岡部委員 お願いがあるのですけれども、多分水面下でいろいろやってはいるのだろうと思うのですが、海外で感染した邦人、日本人をどうするのか。それから、多分派遣はされるのでしょうけれども、その派遣された方が向こうで感染したときにどういうことをやるのかというようなことを、恐らく議論はあるのでしょうけれども、こういうところではぜひ、そういうことについても話を進めていただきたいというお願いと、もう一点は、ここにエボラ出血熱に対する我が国の国内体制で、検疫と医療提供体制はあるのですけれども、先ほどワクチンのことや何かもありましたが、やはり研究体制の整備ということをきちんとやっていかないと、実際の基本的な対応の基礎的なことができないと思うので、やはりそれについては診断あるいは研究、せっかく日本で開発したものが使えるかどうかというのを海外で研究をやらなければいけないという状況、これを何とか議論をすすめていただきたいと思います。

○渡邉部会長 事務局、今のに対してレスポンスは。

○結核感染症課長 結核感染症課長でございます。

 岡部委員のただいまの御指摘に関しまして、現状を簡単に御報告いたします。

 まず一点目、エボラ出血熱、西アフリカ流行地で邦人が感染した場合の対応の準備ということですが、これは実際には関係省庁が連絡し合ってそうした準備は内々には進めているところでございます。

 現実には既に米国、フランス、英国、スペインといった欧米諸国におきまして、自国の国籍を持つ方が現地で感染した場合に、感染した方を現地に搬送して母国で治療するといった事例がそれぞれ報告されているところでございます。

 日本の場合には、流行地にどこに何人邦人がいるということも把握をして定期的に状況も我々連絡を受けている中で、万が一ということが起こった場合には欧米の先進事例にならって、どうしたオペレーションをとるかということは内部で検討を進めているという状況でございます。

 2点目の、こうした一類病原体あるいは一類の感染症、一種の病原体、一類の感染症の研究体制というものを国内で整えるべきという御指摘、これは恐らくそうした病原体を取り扱うことができるラボラトリーをしっかり整備をするべきだという御意見だと受けとめております。

 私ども、こうした御意見は現在、各方面からいただいておりまして、そうした御意見を踏まえて、しかるべき研究体制を整えるにはどうしたらいいかということをこれまでも検討してまいりましたが、これまでの検討にも増して、次のステップに進めて検討を進めている最中でございます。

 以上でございます。

○渡邉部会長 ありがとうございます。

 よろしいですか。

 小森先生、どうぞ。

○小森委員 岡部委員と基本的には同じ趣旨で、既に検討を始めていらっしゃると思うのですが、国民的な関心事も極めて高いと思うのですね。そういった西アフリカ地区で発症した方が本邦人でいらした場合に、国内で治療するのかどうか等、さまざまな憶測等が飛び交っていると思います。そういったことについてどこに報告してどこで議論、まさにこの感染症部会だと理解をしておりますので、もう少し詳細なオープンな姿勢というのが求められているのではないかなと思いますので、その点について、ぜひ積極的な体制等をお願いしたいということが1点。

 また、国際貢献がこれで十分であるのか、それから1つの企業の問題なので議論になかなか難しい面があると思いますけれども、やはりファビピラビルの取り扱い等については、フランスあるいはアメリカの対応等について、さまざまな報道がなされているところであります。1企業ということでありますけれども、我が国としてどういう対応をとっていくのかということについても、ある程度やはり国民に対するアナウンスメントあるいはアセスメント、議論ということもあっていいのだろうと思いますので、そのあたりのことについてコメントをいただければと思います。

○渡邉部会長 これは課長。

○結核感染症課長 御指摘ありがとうございます。

 幾つかの点、具体的に申し上げますと、流行地で邦人が感染した場合の国内への搬送を含めた対応について、それから日本の流行地に対する支援策について、それから実際に日本の企業がパテントを持っている医薬品でエボラ出血熱に対して有効である可能性が高い、実際に投与された事例もある医薬品の用い方について、こうした点については、これは広く国民も関心を持っている事項であるので、この感染症部会においても情報は提供して事務局のほうから報告をするとともに、この場での意見を議論するべきではないかという御指摘と承りました。

 それぞれについて、まだ検討中の事項が幾つかございますので、こうした議論が一旦進捗をし、整った段階でどのような形で感染症部会にも御報告をし、御議論させていただくかということを事務局のほうで検討させていただければと思います。御指摘ありがとうございました。

○渡邉部会長 小森先生、岡部先生が言われるように、やはり国民が非常にこれに関して不安を持って、いろいろなうわさ等がインターネット等で飛び交っている状況だと思いますので、やはり1つの安心材料としても国がこういう形でやるんだという方向性を示すことは非常に重要なことだと思いますので、よろしく検討のほうをお願いいたします。

 ほかに御質問。

 菅原委員、どうぞ。

○菅原委員 今の御検討されている中に当然入っているのかと思いますが、一類感染症を受け入れる医療施設の体制の問題なのですけれども、病院がこうやって3機関、44機関指定されていましても、一類感染症を受け入れた経験がございませんので、今回初めて具体化してきたというような状況かと思います。

 それぞれの病院が本当にきちんとした設備で受け入れることができるのかどうかということも、改めて今回きちんと見直す必要があるのではないかと思います。

○渡邉部会長 結核感染症課長。

○結核感染症課長 御指摘ありがとうございます。

 今、御指摘のように国内で一種、こうした感染症を取り扱うことができる施設というのは3施設プラス44施設、既に指定は受けているところでございますが、いまだにエボラ出血熱を初め、一種の感染症を治療した経験、国内ではないというのも過去の事実でございます。

 私ども、現状ではこの3施設プラス44施設の中で特に、状況にもよりますが、恐らくはここが一番最初の受け入れ先になるであろうと想定をされます施設の医療者とは既に連絡をとっておりまして、現実に受け入れる場合にはどういう手順で、それから実際には薬事承認されていない試験的な治療法を使う際には、どのような手順でそうした治療薬を用いるかということを含めて内々には検討しているところでございます。これは、3施設プラス44施設合計47施設全体でしているわけではございませんが、最も受け入れる可能性が高い施設との間では、そうした調整は行っているところでございます。

 以上でございます。

○渡邉部会長 ありがとうございます。

 この参考資料2の「一類感染症の治療に関する専門家会議」これは感染症部会の下にあるわけではなくて、独立の委員会ですよね。

○難波江課長補佐 はい、そうです。

○渡邉部会長 この結果に関しては、感染症部会等にも報告はされることになる予定でしょうか。

○難波江課長補佐 はい、個々の症例を扱う可能性がございますので、基本は非公開ですが、概要という形では公表させていただければと考えております。

○渡邉部会長 味澤先生、どうぞ。

○味澤委員 私は今、一類感染症の病院から離れたのですが、前にいた駒込病院では、3年前ぐらい前にエボラのシミュレーションの訓練を行いました。それ以外にもいろいろな一類感染症を想定して、毎年訓練はやっておりました。そういう地道な訓練がいざというときに大事なのではないかなと思いますので、その点、全国にある各第一種感染症指定医療機関もそういうふうになさるようにご指導よろしくお願いします。

○渡邉部会長 山田先生、どうぞ。

○山田委員 エボラもそうなのですけれども、こういうエマージングディジーズみたいなものというのは、一旦発生すれば日本に来ると皆さん恐れられるわけですが、そちらも問題だと思うのだけれども、やはり発生源ですね、そこの対応が今回の場合は国際社会の援助が入るのが遅くて、こんな事態になったと言われていると思うのですね。しかも現時点でも、お金も人も足りない、特に医療関係者。1人の人を治療するために3人ぐらいのスタッフが要ると言われているのですけれども、そこが全く足りていないと言われている。

 そうなると、こういうような事態のときに日本ができる国際協力ですか、そこの部分が非常に重要だと思うのですが、日本に来たときに、結局診ることのできるお医者さんが少ないというようなのを、逆に積極的にこういう事態が起こったときにディスパッチしていくようなシステムがきちんとできていれば、世界で経験を積んだ方たちが日本にいると、そういう人たちが世界で何か起こってもすぐに行くことができるし、また、日本国内でそういうものが来たときにも対応ができるというように私は思うので、ぜひそういう外に目を向けた対策、これは国内対策にもつながるわけですから、その辺も議論していただければと思います。

○渡邉部会長 実際に今、何人かが行かれているのだと思うのですけれども、今後の予定とかなんかもあるのですか。

○結核感染症課長 結核感染症課長でございます。

 御指摘ありがとうございます。今回の西アフリカにおけるエボラ出血熱の流行に際しましては、日本からは経済的な支援それから物資の支援に加えて、実際に人を送るということもしているわけでございます。これは、WHOの枠組みの中で日本人の医療機関に勤務をしている臨床医、感染症の専門家が合計3名、延べ4回現地で医療支援を行っているということがございました。ただ、これ以外にも国境なき医師団等とNGOベースで日本人の医療スタッフが現地で活動したという報告も受けているところでございます。

 今後とも、こうしたWHOの枠組みの中での日本人の臨床医療専門家あるいは疫学あるいはラボラトリーの専門家の派遣に関しましては、要請に応じて検討していく余地が十分にあるだろうとは考えているところでございますし、それは今、御指摘のとおり万が一、日本に感染が入ってきた場合の国内の備えという意味からも非常に重要なことであると考えております。

 以上でございます。

○渡邉部会長 ありがとうございます。

 賀来先生、どうぞ。

○賀来委員 東北大の賀来ですけれども、今の御指摘、非常に重要だと思います。

 まず、感染症の専門学会である、日本感染症学会、日本環境感染学会、日本化学療法学会、日本臨床微生物学会では、1113日に緊急セミナーを開催することになっています。全国から約千名近い方が東京に集まって、エボラ出血熱およびデング熱に関する最新情報を共有化することになっています。また、今、お話しがありましたように、東北大学の私たちのグループも積極的に支援していく予定になっており、今後、専門家のグループの中でもそういう方向で積極的に支援をしていくとの議論となっていくと思います。厚生労働省のほうでいろいろな対応をなさっていると思いますが、専門家のグループの中でもそういったことに積極的に支援をしていきたいと思っております。

○渡邉部会長 ありがとうございます。

 厚労省としては、そういう専門家グループとのコミュニケーションというかインタラクションは何か今後予定はあるのでしょうか。

○難波江課長補佐 山田委員御指摘のような経験を積むということが非常に重要だと、我々の考えとしましても、10年以上にわたり一類感染症研修というものを結核感染症課が実施してまいりまして、毎年、海外のそういった感染症が発生している地域に、全国の主にその一類感染症、一種の病院の先生方を派遣するという事業をやってまいりました。

 今回の発生を受けまして、そういう人たち、それから研究班でやっていただいた先生方を中心にお声がけをしまして、派遣が可能かどうかということをお聞きし、可能な方につきまして、今WHOのほうにそういった方々の履歴書などを提出して、WHOのほうでそのニーズとその方々の履歴等を確認して、ぜひこの人にという話があった方に対して行っていただくという対応をとっておりまして、現在もその作業はオンゴーイングで続いているところでございます。

○渡邉部会長 日本としてやるという意味では、今の感染症学会との連携というのも一つ重要なポイントなのではないかとも思いますので、学会等が厚労省とうまくタイアップして、日本チームとして国際貢献すると、そうすると目に見えた貢献をするというのは必要なのかと思うのですね。統一が取れない形でやって感染してしまうということが起こると、これはせっかくやっても逆効果になるので、その辺のことはやはり厚労省と一緒にやられたほうがよいのかなとは思います。

 前田先生、どうぞ。

○前田委員 この中にあるアメリカの症例ですけれども、診断を受けるまでにかなり多数の接触者と健康観察者が出ているという状況でございます。日本ではそういうことはないかとは思うのですが、一応そういう事態に備えて、このエボラ患者が発生した際の積極的疫学調査のマニュアル等、CDCの翻訳でも何でも結構ですので、ぜひ、あらかじめ自治体に配布をしていただければと思います。

 基本的に健康観察だということでありますが、やはり、いざ発生したときにはそういうマニュアル等がありませんと、なかなか迅速な対応ができませんので、ぜひその点よろしくお願いしたいと思います。

○渡邉部会長 マニュアル等の件に関しては計画は何か。

○感染症情報管理室長 そのようなことを、感染研の専門家の先生方とかねてより話し合ってきているところでございます。引き続き、なるべく早くそういったことを進められるようにしたいと思っております。

○渡邉部会長 ありがとうございます。

 ほかにございますか。

 非常に皆さん、エボラのこの件に関しては関心が深いことと思います。日本に入ってこないことに越したことはないのですが、アメリカ等では入っていますので、我が国に入らないという完全なる保証はない状況ですので、何か起こった場合には迅速に対応できるシステムを構築しておくことが重要かと思います。

 その件に関しては、もちろん厚労省が中心になって行うわけですが、ぜひこの感染症部会の先生方もいろいろな意味でのコメント及びアドバイスをしていただければと思います。

 きょうは、ちょうど時間になりましたので、この会はこれで終わりにしたいと思いますが、事務局のほうで連絡事項がありましたら、お願いいたします。

○梅木課長補佐 次回の開催につきましては、日程調整の上、御連絡を差し上げます。

 事務局としては以上です。

○渡邉部会長 本日はこれで終了いたします。

 長時間にわたり、ありがとうございました。


(了)

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