ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(安全衛生分科会)> 第85回労働政策審議会安全衛生分科会(2014年9月16日)




2014年9月16日 第85回労働政策審議会安全衛生分科会

労働基準局安全衛生部計画課

○日時

平成26年9月16日(火)10:00~


○場所

厚生労働省 省議室(中央合同庁舎第5号館9階)


○出席者

委員:五十音順、敬称略

明石祐二、犬飼米男、小畑明、栗林正巳、城内博、新谷信幸、鈴木睦、角田透、土橋律、中澤喜美、中村聡子、中村節雄、半沢美幸、三柴丈典、田久氏(勝野委員代理)、山岸氏(岡本委員代理)

事務局:

土屋喜久 (安全衛生部長)
美濃芳郎 (計画課長)
田中敏章 (安全課長)
泉陽子 (労働衛生課長)
森戸和美 (化学物質対策課長)
濱本和孝 (環境改善室長)
安達栄 (調査官)

○議題

(1)労働安全衛生法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令案要綱、労働安全衛生法施行令等の一部を改正する政令案要綱及び労働安全衛生法の一部を改正する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備に関する省令案要綱について(諮問)
(2)労働安全衛生法関係手数料令及び作業環境測定法施行令の一部を改正する政令案要綱について(諮問)
(3)その他(報告事項など)

○議事

○土橋分科会長 定刻になりましたので、ただ今から「第 85 回労働政策審議会安全衛生分科会」を開催致します。本日の出欠状況ですが、公益代表では桑野委員、水島委員、山口委員、労働者代表では勝野委員、辻委員、縄野委員、使用者代表では岡本委員が欠席されております。なお、勝野委員の代理として、全国建設労働組合総連合の田久様、岡本委員の代理として、 JFE スチール株式会社の山岸様が出席されております。

 それでは議事に移ります。本日の議題は、諮問が 2 件と、その他報告事項となっております。一つ目の議題「労働安全衛生法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令案要綱、労働安全衛生法施行令等の一部を改正する政令案要綱及び労働安全衛生法の一部を改正する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備に関する省令案要綱について」の諮問について事務局から説明をお願いします。

○美濃計画課長 ただ今、分科会長からお話がありました要綱につきましては、資料 1-1 としてお配りしております。

 それでは、資料 1-2 に基づき、「労働安全衛生法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令案要綱」について御説明します。労働安全衛生法の一部を改正する法律の附則第一条において、改正法の施行期日はその内容ごとに、公布の日 ( 平成 26 6 25 ) から起算してそれぞれ 6 か月、 1 年、 1 6 か月又は 2 年を超えない範囲内において政令で定める日とされております。本政令案では、公布の日からそれぞれ 6 か月以内、 1 年以内又は 1 6 か月以内に施行することとされている内容について施行期日を定めるものです。

 具体的な施行期日としては、改正内容の (6) 88 条第 1 項に基づく届出の廃止、及び (7) 電動ファン付き呼吸用保護具の型式検定については平成 26 12 1 日、 (3) 受動喫煙防止措置の努力義務、 (4) 重大な労働災害を繰り返す企業への対応、及び (5) 外国に立地する検査機関の登録については平成 27 6 1 日、さらに、 (2) ストレスチェック及び面接指導の実施については平成 27 12 1 日とするものです。なお、 (1) 化学物質のリスクアセスメントの実施については法律の公布の日から 2 年を超えない範囲で別途定める予定としております。

 施行スケジュールとしては、資料 1-2 の裏面をご覧ください。こちらのようなスケジュールとなる予定です。

 続いて、「労働安全衛生法施行令等の一部を改正する政令案要綱及び労働安全衛生法の一部を改正する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備に関する省令案要綱」についてです。資料 1-3 に基づき御説明申し上げます。第 186 回通常国会において成立しました労働安全衛生法の一部を改正する法律の施行に伴い、関係政令及び関係省令の整備を行うものです。なお、省令は、本年 12 1 日施行の「電動ファン付き呼吸用保護具」と「法第 88 条第 1 項の届出廃止」に係る内容のみとなっております。

 まず、政令案の主な改正内容についてです。 (1) 労働安全衛生法施行令の一部改正です。これは、外国の登録検査・検定機関の適正な運営の確保のため必要に応じ実施する立入検査を行う場合、当該機関は、厚生労働省職員が立入検査を実施する事務所の所在地に出張するのに要する旅費の額に相当する額を負担するものとする。 (2) 労働安全衛生法関係手数料令の一部改正です。こちらは、電動ファン付き呼吸用保護具の型式検定 ( 国が実施する場合 ) の手数料を定めるものです。具体的には新規検定 1 件につき 38 9,300 円、更新検定 1 件につき 2 2,100 円とするものです。

 資料 1-3 の裏面の別紙をご覧ください。「型式検定の実施主体と手数料について」です。型式検定については、原則として登録型式検定機関が実施することとされております。この場合の手数料は、登録型式検定機関自らが業務規程により定めることとなっております。ただし、登録の申請がない、業務を休廃止しているなどにより、登録型式検定機関が不在の場合には、代わりに厚生労働大臣 ( ) が自ら検定を実施することとされております。この場合の手数料は、政令 ( 手数料令 ) で定められています。

 続きまして、省令案の主な改正内容についてです。機械等検定規則の一部改正は、電動ファン付き呼吸用保護具の型式検定に関する手続等について定めるものです。具体的には、登録型式検定機関の登録の区分として、電動ファン付き呼吸用保護具の区分を追加する。新規検定を受けようとする者が型式検定実施者に提出すべき物とその数を定める。新規検定を行う場所を型式検定実施者の所在地とする。型式検定申請者が有すべき検査設備及び工作責任者を定める。型式検定合格証の有効期間を 5 年とする。型式検定合格標章の表示方法として、面体等ごとに見やすい箇所に付すべきことを定めるものです。

2 点目は、その他所要の規定の整備です。具体的には、改正法により建設物等の設置等に係る事前の届出 ( 法第 88 条第 1 ) が廃止されることに伴う関係規定の削除等の所要の改正を行うものです。施行期日ですけれども、政令案については平成 27 6 1 日です。ただし、電動ファン付き呼吸用保護具の関係と法第 88 条第 1 項の届出廃止の関係は、平成 26 12 1 日施行の予定です。省令案につきましては平成 26 12 1 日施行の予定です。以上です、よろしくお願い申し上げます。

○土橋分科会長 ただいまの説明につきまして審議をお願い致します、質問等はありますでしょうか。

○犬飼委員 電動ファン付き呼吸用保護具の型式検定での手数料なのですが、ここに記載されていますように、国が実施する場合は新規検定 1 件につき 38 9,300 円、更新検定が 1 件につき 2 2,100 円ということです。国以外の登録型式の検定機関が実施した場合には、手数料はどの位の金額になると想定していらっしゃるのか、確認したいと思います。

○濱本環境改善室長 環境改善室長です。今回、お示ししましたのは国が実施する場合ということで、国の積算基準に従い人件費あるいは物件費等を見積ったものです。登録型式検定機関が実施する場合は、当然その型式検定機関の人件費単価等がありますので、それぞれの機関が必要な経費を適切に積算して、業務規程で定めて登録するという形になっています。それぞれの機関の状況によるものですから、一概にどれ位になるということにつきましては、今お答えはできませんが、そういった形で積算いたしまして業務規程に定めて届出、登録をするという形です。

○犬飼委員 こうしたことで電動ファン付き呼吸用保護具の検定が行われますから、性能が公的に確認されるということで、ここはいいのですが、労働者の安全を確保していくためには、使用する段階において、例えばフィルターが定期的に交換されているかなど、性能が確実に発揮されなければならないと思います。

 特に、こうした保護具は健康被害に直結するものですから、使用段階での実態把握・指導については、厚生労働省の責任において、しっかりと進めていただきたいということを要望申し上げます。

○土橋分科会長 ほかにいかがでしょうか。

○明石委員 参考までに伺いたいのですが、外国に立地する検査機関の登録のところで、ボイラーなどの輸入状況が分かれば教えてください。

○田中安全課長 安全課長の田中です。外国からの輸入ボイラー等につきましては、都道府県労働局長、又は登録・製造時等検査機関での使用検査を受けなければならないというのが現在のシステムです。そういった情報に基づき、平成 23 年から平成 25 年までの過去 3 年間において輸入されたボイラー又は第一種圧力容器の検査実績を見ますと、ボイラーが大体年間 10 件程度、率で申し上げると、 1 2 %程度になります。第一種圧力容器は、ちょっと件数が増えて年間 200 件程度、大体 7 %程度のシェアを占めているという状況です。

○土橋分科会長 ほかにいかがでしょうか。

○新谷委員 諮問案件ですので、労働側の意見を申し上げたいと思っています。先ほどの犬飼委員の要望も含めてですけれども、今回の諮問内容については、労働安全衛生法の改正内容を踏まえたものであり、我々としては妥当であると考えています。資料 1-2 に記載されていますように、今後、五月雨式に順次施行されていくわけですが、労働者の健康と生命を守る労働安全衛生法が着実に施行されるよう、必要な事項について本分科会で十分審議をして、政令・省令案を作成するように事務局にはお願いしておきたいと思います。

 また、本日提案されております資料 1-3 の内容については、十分に周知していただいた上で施行をお願いしたいという要望を申し上げ、労働側として本諮問案件について了承したいと思います。以上です。

○土橋分科会長 ほかに御意見等ありますでしょうか、よろしいでしょうか。それでは、「労働安全衛生法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令案要綱、労働安全衛生法施行令等の一部を改正する政令案要綱及び労働安全衛生法の一部を改正する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備に関する省令案要綱について」の諮問につきまして、当分科会として妥当と認めることとしてよろしいでしょうか。

                 ( 異議なし )

○土橋分科会長 ありがとうございます。それでは、当分科会として妥当と答申いたします。事務局においては手続きをよろしくお願い致します。

 次の議題に移ります。議題 (2) 「労働安全衛生法関係手数料令及び作業環境測定法施行令の一部を改正する政令案要綱について」の諮問について、まず事務局から説明をお願いします。

○美濃計画課長 「労働安全衛生法関係手数料令及び作業環境測定法施行令の一部を改正する政令案要綱」については、資料 2-1 としてお配りしています。

 資料 2-2 に基づいて御説明申し上げます。労働安全・労働衛生コンサルタント及び作業環境測定士の登録手数料の引下げに関するものです。まず、改正の趣旨は、厚生労働省独立行政法人・公益法人等整理合理化委員会におきまして、指定機関が行う事務 ( 指定事務 ) の手数料につきまして、その額を適正なものとすべき旨を指摘されたところです。

 これを受け、外部の有識者で構成されます安全衛生関係指定制度運営評価会議を開催し、各種指定事務の手数料が適正であるかどうかについて、指定機関の収支状況等を踏まえて評価を行っていただきました。

 評価結果につきましては、別紙 (3 ページ ) 1. 趣旨に「平成 26 年度からの適正な手数料額について意見を取りまとめた」とあります。手数料額について、基本的な考え方としては、「現在の収支状況及び受験者数等に基づき今後 3 年程度の受験者及び登録者一人当たりのコストを推計し、現行の手数料との乖離度が平均して概ね 10 %を超えるものについては、均衡する水準に改訂することが適当である」とあります。

10 ページが、労働安全衛生関係の試験・登録手数料の見直しについての概要を取りまとめたものです。ここにありますように、労働安全・衛生コンサルタントと作業環境測定士の登録手数料について実際に要する費用と手数料額との乖離が起きたため、均衡する水準に改定することが適当とされた次第です。

 資料 2-2 1 ページ目にお戻りください。今ご覧いただいた結果を踏まえて実費を勘案した適正な手数料額に改定するものです。なお、登録制度の現状としては、労働安全・労働衛生コンサルタントや作業環境測定士となるためには、指定登録機関に申請して、登録を受ける必要があります。また、登録手数料の乖離度としては労働安全・労働衛生コンサルタントが約 36 %、作業環境測定士が約 28 %となっております。

 続いて、改正の内容です。労働安全・労働衛生コンサルタントの登録手数料について、現行 3 万円から 2 万円に引き下げるものです。これにより、先ほどの乖離度は約 3 %となります。また、作業環境測定士の登録手数料につきましては、 2 5,800 円から 2 万円に引き下げるものです。これにより乖離度は約 7 %となります。施行期日は、直近で予定されている試験合格発表に間に合うように、公布の日から施行する予定としております。以上です、よろしくお願い申し上げます。

○土橋分科会長 ただ今の説明につきまして御質問、御発言等ありますでしょうか。

○新谷委員 これも諮問案件ですので、労働側として意見を申し上げたいと思います。この内容につきましては、労働側も委員として参画をさせていただきました運営評価会議の評価内容を踏まえたものですので、これを妥当として受け止めたいと思っております。労働側としては本件について了承したいと思っています、以上です。

○土橋分科会長 ほかにいかがでしょうか、よろしいでしょうか。それでは、「労働安全衛生法関係手数料令及び作業環境測定法施行令の一部を改正する政令案要綱について」の諮問について、当分科会として妥当と認めることとしてよろしいでしょうか。

                 ( 異議なし )

○土橋分科会長 ありがとうございます。それでは、当分科会として妥当と答申いたします。事務局においては、手続きをよろしくお願いいたします。最後の議題 (3) の「その他」について、報告事項があるとのことですので、事務局から説明をお願いします。

○美濃計画課長 「労働災害のない職場づくりに向けた緊急対策」の実施と、平成 26 年度「全国労働衛生週間」の実施について、一括して御報告します。まず、資料 3-1 をご覧ください。厚生労働省におきましては、平成 26 年度上半期の死亡災害の大幅な増加を受けて、労働災害のない職場づくりに向けた緊急対策を実施することとしました。平成 26 1 月~ 6 月の労働災害発生状況 ( 速報値 ) は、死亡者数は対前年比 19.4 (71 ) の増加、休業 4 日以上の死傷者数については対前年比 3.6 (1,625 ) の増加となっております。

緊急対策の柱は 2 点あります。 1 点目は、業界団体などに対する労働災害防止に向けた緊急要請です。経済活動の一層の活発化が見込まれる中で、労働災害の発生が懸念されることを受けて、産業界全体 ( 250 の団体 ) に対して、企業の安全衛生活動の総点検と労使・関係者が一体となった労働災害防止活動の実施を要請した次第です。さらに、特に労働災害が増加している業種、具体的には製造業、建設業、陸上貨物運送事業、第三次産業である小売業、社会福祉施設、飲食店に対して、労働災害防止のための具体的な取組内容を示し、その確実な実施を要請しております。

2 点目は、都道府県労働局、労働基準監督署における指導です。都道府県労働局と労働基準監督署におきまして、労働災害防止団体等と連携した安全パトロールを実施するほか、事業場が自ら実施した安全点検の結果などを踏まえた指導等を実施するということです。この点に関しては、 8 1 日開催の全国健康安全主務課長会議において、都道府県労働局の健康安全主務課長の参集を求めて指示をしたところです。

 具体的な労働災害の発生状況のポイントと具体的な取組については、資料 3-1 2 3 ページをご覧ください。こちらのとおりとなっております。さらに資料 3-1 7 ページの中段以降をご覧ください。具体的な緊急要請の内容については、こちらにあるように、安心して働くことができる職場づくりについては、働く方の安全と健康の確保はもとより、人材を確保・養成し、企業活動を活性化する上でも、大きなメリットをもたらします。そうした観点からも、安全衛生活動の総点検、事業場の安全管理体制の充実、さらに、雇入れ時教育の徹底など、効果的な安全衛生教育の実施に取り組んでいただきたいということです。

 資料 3-2 をご覧ください。そうした状況の中で「みんなで進める職場の改善 心とからだの健康管理」をスローガンとして、平成 26 年度「全国労働衛生週間」を 10 月に実施することとしております。具体的には、毎年 10 1 日から 7 日までを本週間、 9 1 日から 30 日までを準備期間としております。先ほど御説明した緊急要請も行った状況で、この機会を捉えて、労働者の健康が確保された職場の実現を目指して取り組んでいただきたいと考えている次第です。

○土橋分科会長 ただいまの説明について質問、発言等はありますか。

○犬飼委員 平成 26 年上半期の労働災害発生について、死亡者数、休業 4 日以上の死傷者数ともに対前年と比較して増加したというのは、正に緊急事態であって、これは大きな問題であると受け止めなければならないと思っています。

 こうした状況を受けて、政府より「労働災害のない職場づくりに向けた緊急要請」を出されたことについては評価したいと思います。連合でも、今回の緊急要請を踏まえて、構成組織に対しては労使協議の促進、安全衛生対策の実施状況のチェックなどを進めること、また、地方連合会に対しては、都道府県労働局への対応によって、労働災害防止に向けた取組を強化することなどを要請して、労働組合の安全衛生対策活動が活性化するよう現在、取組を進めているところです。

 政府が示した今回の緊急対策では 2 つ柱があって、 1 つは資料 3-1 にあるように、業界団体などに対する労働災害防止に向けた緊急要請。いま 1 つが、都道府県労働局及び基準監督署による指導となっていますが、これらの対策が現場で確実に実行されることが一番重要であると思っています。要請することが単なる目標ではありませんので、要請に沿った取組が現場で確実に実行されて、初めて目的が実行されることになると思いますが、資料 3-1 2 ページ以降に、具体的な取組として縷々記載はされております。具体的な取組の実施状況について、どのように検証・評価をされていくのか。また、当分科会等でその報告がなされるのかなどについて事務局のお考えを伺いたいと思います。

○土橋分科会長 事務局からお願いします。

○田中安全課長 今回、 250 を超える団体に対していろいろお願いをしたところですが、団体の規模等も様々であることから、取組内容の報告を一律には求めることまでは想定しておりませんが、状況に改善が見られない場合等については、関係団体に災害増加の背景要因や、それに対して講じてきた対策等についてお聞きして、改めて災害防止対策の徹底を求めることとしたいと考えております。

 また、各都道府県労働局の状況については、組織としての対応の中で随時、状況を把握している状況です。また、そういったことを確認した上で、こちらの分科会にもいろいろ御相談させていただきながら、効果的な対策につなげていきたいと考えております。

○犬飼委員 今、非常に多くの対象があるのでということもありました。また、「改善が見られない場合は」という言葉もありましたが、改善が見られない場合だけではなく、もし功を奏した良い取組や好事例についても、やはりそれは点検・評価をしていかないといけないと思いますので、是非、取組の充実につなげるために、点検・評価を確実にしていただいて、その方法をいかしていく方向で是非よろしくお願いします。

○土橋分科会長 ほかにいかがですか。

○小畑委員 資料 3-1 3 ページ、 9 ページに記載されている「陸上貨物運送事業」について申し上げます。安全対策には、荷主側でしか行うことができないことがあるというのが現実問題としてあります。「荷役作業の安全対策ガイドライン」では、荷主側が実施すべき

事項が具体的に記載されていますので、その意味では、ガイドラインの周知及び実効性を高める取組が極めて重要になると思っております。

 国交省は荷主側を指導・監督する立場にはありませんので、労働安全衛生の監督行政権限を持っている厚労省が国交省と連携して、荷主、運送事業者、それぞれに対してガイドラインの内容が徹底されるように指導強化をしていただきたいと思います。

 これまでの資料を拝見しますと、荷主の施設内で発生する労災事故が全体の 7 割です。現場の実態から申し上げると、繰り返し訪問する荷主であれば、そこは慣れた場所なので基本的に事故は起こらないです。初めて行く荷主の所でこういう事故が起きやすく、しかも、荷主先での積み込み、あるいは取り下ろしといったことが、行ってみなければ、あるのか、ないのか分からないというケースが多いのです。したがって、国交省は契約の書面化を義務付けており、運送引受書の基本様式を定め、積み込み先、取り下ろし先の場所、担当者、連絡先を記載することになっています。

 同様に厚労省の安全対策ガイドラインでも、安全作業連絡書を定めています。この中で、積み込み、取りおろし作業を荷主がやるのか、運送事業者がやるのか、あるいは共同で行うのか、これを記載するようになっています。

12 次防の実施状況を見ますと、国交省のモデル運送契約書の周知、あるいは荷主に対する講習会、また、この間の事業団体に対する緊急要請先を先ほど御説明いただきましたが、そういったものを行っておられますので、それによって「モデル契約書」「安全作業連絡書」が活用されるように、これまで以上に、この取組を推進いただいて実効性を高めていただきたいと思います。

○土橋分科会長 事務局から何かありますか。よろしいですか。

○田中安全課長 今回の緊急要請の中でも、陸上貨物運送事業については、非常に災害の増加率が高いということで、国交省と連携を取りながら、今、御説明いただいた荷主対策について積極的に取り組むよう、今回の場合は陸上貨物運送事業者だけではなく、やはり第三次産業が個別に配達した荷を下ろす場所が一番多いということで、そういった分野の業者に対して、事業者団体を通じて、今回の緊急要請の中で、より一層取り組んでいただくようお願いしているところです。引き続き周知に努めたいと考えております。

○土橋分科会長 ほかにいかがですか。

○半沢委員 第三次産業について意見を申し上げます。前回の安全衛生分科会においても、 12 次防の実施状況におきまして、 2013 年度の第三次産業の休業 4 日以上の死傷者数は、社会福祉施設と飲食店では依然として増加し、小売業でも 2.2 %の減少に留まっており、 2017 年までに 20 %減という目標を見据えますと、改善が小幅である状況であり、更なる取組強化が必要であると労働側委員より指摘をさせていただきました。しかし、御報告を頂いた 2014 年上期においても、死傷者数が増加しており、これまでの取組の効果が数値に表われていないと感じております。このことは誠に遺憾であると思っております。

 資料 3-1 7 ページに、緊急要請文がありますが、 2 番においては、事業場の安全管理体制の充実について触れられています。昨年 12 月の労働政策審議会の建議、「今後の労働安全衛生対策について」の中では、安全管理者、または安全衛生推進者の選任が労働安全衛生法で義務付けられていない業種における安全衛生管理体制の在り方について、改めて検討することが適当であるという文言を盛り込んでいただきました。

 労働安全衛生法で、安全管理者と安全衛生推進者の選任が義務付けられていない、いわゆる第 3 号業種における安全管理体制の強化について、速やかに検討を行い、所要の措置を講ずるべきではないかと感じるところです。本来、安全衛生管理体制の強化は、業種や規模を問わない共通の課題であり、あらゆる業種規模の全事業所において、安全管理者と安全衛生推進者を選任し、安全衛生委員会を設置していく必要があると考えていることについても改めて申し上げます。以上です。

○三柴委員 ただいま半沢委員から御発言があったところを踏まえて、せっかくの機会ですので、一言だけ、特に経営側の委員の方にお願い申し上げます。この機会に改めて企業として安全衛生を重視する姿勢を再確認していただければ有り難く存じます。

 具体的には、必ずしも労使の立場にとらわれずに、安全衛生を推進する方を、できれば専任で置いていただくことであったり、あるいはトップマネジメントか、それに近い立場の決定権を持つ方々に積極的に関与していただくことであったり、あるいはベテランで職場事情に詳しい方々、時には歯止めになるような耳の痛いこともおっしゃるような方を大切にされ、職場の安全衛生を推進して頂くということを、この機会に改めてお願い申し上げます。

○土橋分科会長 ほかにいかがですか。

○田久様 ( 勝野委員代理 )  私のほうからは、建設、特に今回死亡率が最も増加をしているという点から、厚労省でも分析されており、増加の要因として技能熟練者が逼迫しているとか、経験不足の人間が入ってきているということで、そのとおりかなと思います。

 その中で、全建総連の構成団体でも、同じように労災事故の調査をさせていただきました。ここには労働者だけではなく、一人親方や中小事業主も含めて、現場で働いている方の数字も入っています。これは 2013 年ですが、全体で昨年は 30 人だったのが、今年は 43 人と約 1.5 倍に増えています。しかし、休業 4 日以上を見ますと、実は死傷災害の場合は、前年より 777 人減っているということも含めますと、評価を分析した中での、この間の人手不足による現場の安全管理の低調が、こういった重篤な事故につながっていると。実際の件数は上半期は増えておりますが、昨年は減っているという、全建総連の構成団体のところではそういう結果も出ているということで、やはりその点はすごく気になるものです。

 特に現場全体ということになると、労働者ということではなく、やはり一人親方や事業主といった方々も一緒に働いている中で、報告をもらっている中では 69 %が一人親方、事業主の数字になっています。昨年初めて、厚労省から一人親方の死亡事故の数字が出されましたが、そういった数字から見ても、労働者に比べて 1.3 倍から 1.5 倍ぐらいの数字で事故の率が高くなっているということが考えられます。そういう意味では、今回緊急に出された要請内容は、本当に構成団体の現場で働く人たちにとっては意識を高めたものになって、すごく良かったという評価をしたいと思います。特にチェックリストに関しても、構成団体では、これを是非使って、公労使含めて一緒になって現場を見て、現場から変えていこうということも訴えているところです。そういうことでは、特に現場から何かをしていくところでは、今 1 つになって事故を減らしていかなくては、特に建設産業はこれから大変な時期を迎えると言われておりますので、こういった部分ではこれを機に、建設産業全体でものごとを考えて、きちんとした労働安全衛生について考えていくことを改めて訴えたいし、要請もしていきたいと思います。以上です。

○土橋分科会長 ほかにいかがですか。

○明石委員 使用者団体として何もしていないわけではありません。この要請文を頂いたときに当会の傘下企業、業種団体には紙を配っており、安全衛生対策について 3 つの案件が記載されていますので、その徹底をお願いしているところです。

 先日来、安全衛生管理者、安全衛生推進者について新たに検討を、ということを言っていますが、これは今年の 3 月にガイドラインが示されており、本年度から、各労働局が各事業場に向けて対策を促しているところだと思います。拙速するのではなく、きちんとした対策を行った上で、それがどのくらい効果を上げたのかなどの検証をきちんと行った上で、必要な対策を考えていくべきだと思います。

○土橋分科会長 ほかにありますか。

○鈴木委員 先ほどの犬飼委員の御質問に対しての返答に関してですが、この緊急要請は 8 5 日にされています。 8 月の労働災害の速報値がもうじき出るかと思います。 1 か月で養成の評価ができるかどうかは分かりませんが、その結果を受けてまたアクションなり、フォローなりをするような強い気持ちがあるのかどうかお聞きしたいと思います。

○田中安全課長  1 月から 8 月までの労働災害の発生状況については、今日何とか間に合わせて集計を進めたところです。死亡災害については、速報値ベースでは 618 人で、対前年比は 7.9 %の増加となりました。要請時の災害発生状況から 11.5 ポイント増加幅が狭まったところです。また、休業 4 日以上の死傷災害においても、 6 7,007 人で、対前年比では 1.8 %の増加となり、こちらについても要請時の災害発生状況、 6 月までの値に比べて 1.48 ポイントの増加幅が狭まったということで、関係団体の皆様方の御協力もあり、かなり効果が出てきたのかなと感じております。ほかの要因もありますので、一概にはまだ言えないとは思いますが、数字的にはそのような状況です。

○土橋分科会長 ほかにありますか。それでは「労働災害のない職場づくりに向けた緊急対策の実施」と「平成 26 年度全国労働衛生週間の実施」について報告を受けたということで、事務局からの議題は以上になります。その他、何かありますか。

 これで全ての議題を終了しました。本日も熱心な御議論をありがとうございました。最後に事務局から連絡事項をお願いします。

○美濃計画課長 本日も熱心に御議論いただきまして感謝申し上げます。御了解いただいた諮問案件については、早急に所要の手続きを進めさせていただきたいと思います。次回の分科会の日程については、追って御連絡させていただきます。以上です。

○土橋分科会長 それでは、本日の分科会はこれで終了します。なお、議事録の署名については、労働者代表委員は新谷委員、使用者代表委員は中村聡子委員にお願いします。よろしくお願いいたします。本日はお忙しい中をありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(安全衛生分科会)> 第85回労働政策審議会安全衛生分科会(2014年9月16日)

ページの先頭へ戻る