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2014年8月7日 独立行政法人評価委員会高度専門医療研究部会(第30回) 議事録

政策統括官付政策評価官室

○日時

平成26年8月7日(木)12:54~14:59


○場所

厚生労働省専用第22会議室(18階)


○出席者

内山部会長代理、祖父江委員、福井委員、藤川委員、三好委員、花井委員

○議事

(以下、議事録)

○内山部会長代理

 定刻前ではございますが、定員にも達していますので独立行政法人評価委員会高度専門医療研究部会を開催いたします。委員の皆様方におかれましてはお忙しい中、お集まりいただき誠にありがとうございました。

 本日は永井部会長が御欠席ですので、部会長代理、私、内山が議事を進行いたします。そのほか、斎藤委員、本田委員が御欠席です。

 それでは本日の議事等につきまして事務局から説明をお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 それでは本日の議事について御説明いたします。本日の議事はお手元の議事次第にございますとおり、国立精神・神経医療研究センターの平成25年度業務実績に係る個別評価でございます。なお、委員の皆様方には前回までと同様、評定記入用紙のほうにSDまでの評定とその理由を記入しながら議事を進めていただくことになります。

 法人におかれましては自己評定で「S」を付けた項目につきましては、なぜそのように判断をされたのかという理由を明確に御説明願います。また、本日、時間内に評定の記入が終わらない場合につきましては資料をお持ち帰り評価いただくか、あるいはメールでの提出も可能となっておりますが、その場合につきましては811日月曜日までに提出をお願いいたします。

 事務局からは以上でございます。

 

○内山部会長代理

 それでは議事に入ります。最初に理事長から御挨拶と平成25年度における業務実績のポイントをお願いいたします。

 

○国立精神・神経医療研究センター理事長

 国立精神・神経医療研究センターの理事長を務めております樋口と申します。よろしくお願いいたします。

 本日は大変お暑い中、私どものためにこの委員会を開催していただきまして心から御礼を申し上げます。

 では、早速時間が限られておりますので、私のほうからは平成25年度の業務実績の概要という形で若干お話をさせていただきます。

 お手元にあります資料の1-1を開いていただきたいと思いますが、1ページ目、2ページ目は毎回、掲載させていただいておりまして、時間の関係でここは今回は割愛をさせていただきまして3ページ目に入りたいと思います。ここでは主に平成25年度の業務実績の中で、私どもが自己評価においてSを付けさせていただいたところについて、どのようなことを根拠として、どのような点が目標を大幅に上回ったかというところについて、掻い摘んで説明をさせていただきたいと思います。

 まず、研究・開発のところで、(1)臨床を志向した研究・開発の推進というところでございます。それの2ポツ目を御覧いただきたいのですが、トランスレーショナル・メディカルセンター、TMCにおいて、バイオリソースの収集を、これは継続的に行ってきておりまして、バイオリソースの登録献体数は病院の臨床検査部保存の髄液を研究利用のインフォームドコンセントをとって登録するなどということで、平成24年度に1,310件であったものが2倍以上の3,230件と大幅に増加させることができました。中でも精神疾患患者さんの前向きバイオリソースに関しましては平成24年度が42件に対しまして10倍の475件と増加をいたしました。

 それから(2)でございます。病院における研究・開発の推進ということで、これは3ポツ目を御覧いただきたいのですが、これは前年度にFirst In Human試験を行った多発性硬化症治療薬、OCHについては前年度御報告いたしましたが、そのときは健常者を対象とした試験を始めたわけでございますが、これを終了いたしまして患者を対象とした試験を平成25年度は開始することができました。

 新たなFirst In Human試験として更に日本新薬との筋ジストロフィー治療薬(エクソン53スキップ)について医師主導治験を開始いたしました。センターとしては、これが2件目のFirst In Humanの試験でございます。

 それから(3)ですが、戦略的・重点的な研究・開発の推進ということで、これに関しましては(1)3ポツ目、筋ジストロフィー患者の登録、これはRemudyと申しておりますが、この類型の登録数が1,076件だったのが1,274件ということで希少疾患及び難病患者の登録を推進することができました。このRemudyのデータ解析によりまして筋ジストロフィー患者のステロイド治療薬の長期効果を立証することができました。筋ジストロフィー研究においては、この患者登録制度を活用しました、これが世界初の臨床研究ということが言えると思います。

 それから4ページにございます一番下の情報発信の項目をS評価とさせていただいておりますが、これに関しましては3ポツ目の積極的な情報発信による広報活動によって、センターに関する報道記事掲載数が、平成24年度は406件であったものが1,451件と大幅に増加をいたしました。

 更に次ページの5ページ目ですが、「政策提言、その他医療政策の推進」という項目でして、これもSとさせていただいておりますが、いろいろあるのですけれども、この中でも代表的なものとして2つ目のポツですが、今、メディア等でもしょっちゅう出てまいります危険ドラッグ、指定薬物について、その依存性とか細胞毒性を評価して、私どもの研究所のほうからデータを提出いたしました。国策としての薬物使用の禁止及び制限についての提案を行ってきたところでございます。

 その他、たくさんございますけれども、時間の関係で、ごく限られたところだけ御紹介いたしました。中身については、これからそれぞれの部署のほうから説明をさせていただきたいと思います。以上でございます。

 

○内山部会長代理

 それでは、4つのグループごとに国立精神・神経医療研究センターの個別評価を行っていきます。

 まずグループ1、評価項目13について評価します。所要時間は法人の説明10分、質疑と評定の記入に15分の合計25分です。それでは、法人から「平成25年度の業務実績」と「自己評価」について説明をお願いします。

 

○国立精神・神経医療研究センター神経研究所長

 神経研究所の高坂でございます。グループ1について御説明申し上げます。資料1-3が評価シートになっていますが、169ページという非常に膨大な量がここのグループ1の評価基準になった、評価対象になっています。1-3を使ったらとても時間が足りませんので、概要として資料1-2を用意させていただいています。これを御覧いただきながら聞いていただければ有り難いと思います。ここでは評価項目が3つありまして、「臨床を志向した研究・開発の推進」、「病院における研究・開発の推進」、「担当領域の特性を踏まえた戦略的かつ重点的な研究・開発の推進」です。まず、評価項目の1「臨床を施行した研究・開発の推進」ですが、先ほど総長が申しましたように、私どもこの臨床研究においては、バイオリソースが非常に大切であるということで、収集、保存、あるいは利活用を進めているところです。これについて、例えば凍結筋、髄液等のことをお話しましたが、これに加えて、昨年度後半より、精神疾患患者のいわゆる前向きコホートによるバイオリソース、これは血液とDNAですけれども、これを集めることにしています。その結果、25年度については、475件集まり、今は500件を越えていますが、非常に大幅な検体を集めることができたということです。もう1つは、リコール(髄液)をいろいろな患者さんから集めているのですが、その病院の臨床検査部で、余剰検体をたくさん持っていました。約2,000検体ぐらいのを、全ての方に一応、これを研究使用させていただくかどうかについて、再同意を得るためのお手紙を差し上げて、そのうち、1,000人ぐらいの患者様から、いいですよというお返事を頂きました。余剰検体のリコール(髄液)が飛躍的に伸びました。それが次のページの左下のグラフに書いてありますように、バイオリソースの登録検体としては、24年度から25年度にかけて飛躍的に数を増やすことができたということです。現在、アカデミアを中心に共同研究が進められているところです。

 次の2ポツとしては、治験・臨床研究の実施体制を整備しました。次の評価項目の2でもお話をいたしますが、この臨床研究は治験を実施するために、それを直接遂行する人たちのグループといったものが非常に大事でありまして、そのために病院に臨床研究推進部というものを設置して、臨床研究の実施を促進した、加速したということです。その結果として、2ページに【数値目標】治験実施症例数がありますが、症例数自身も24年度に比べてかなり増えてきています。ちょっとページが飛んで申し訳ありませんが、5ページ目の左下に、今度は実際に行った臨床研究の治験の実施件数を書いていますが、これも年々増加して、平成25年度では実施件数として212件と飛躍的に伸ばすことができ、これもそういった実施体制の強化によるものであろうと思います。

 もう1つ特筆すべきは、IBIC、いわゆる脳病態統合イメージングセンターにおいて、PET製剤を使っていますが、このホットラボをGMP化することができたことにより、治験等も受けられるようになったということで、現在このPET製剤を使って、臨床研究、あるいは治験が更に推進できるようになったということです。

 それから、こうした制度整備により、3.で、研究所と病院との共同研究が益々推進をされてきたということです。1つは先ほど総長が申し上げましたように、医師主導治験、MSですが、それに加えてNMO、視神経脊髄炎等のトシリズマブの効果の検討といった臨床研究も進めていますし、先ほどの核酸医薬品を使った筋ジスの治療といったFirst In Humanも動いたということです。もう1つ大事な点は、知財です。これは2ページの一番右下の図で、年々知財の申請件数が増えているということがお分かりいただけるかと思います。これはあくまでも審査した結果、NCNP、我々のセンターがそれを継承して特許出願をした件数のみです。

 次のページにこの特許で代表例をお示ししていますが、これはバイオマーカー、私たちのサンプルを使ってバイオリソースを使って、実際に統合失調症でどういうバイオマーカーとなり得る分子が動いているかを検討したものです。これは統合失調症をさし当たり10例、健常者の10例のリコール(髄液)を使って、プロテオーム解析をやった結果、その中から24候補ぐらいが、これは少し動いているようであるということが分かりました。その結果、それを更にELISAによって多検体での再現性を検証した結果、19分子について、明らかに統合失調症患者で何らかの動きをしていることが明らかになりました。右下にありますように、統合失調症で上がっているか下がっているか。あるいは、統合失調症の重症度と関連をしている可能性がある。統合失調症における認知機能と相関している分子といったものが19分子できまして、今、これは特許出願中です。こういういろいろな成果を出すことができまして、私どもは胸を張って「S」であるというように思った次第です。

 次の項目は4ページの、評価項目2「病院における研究・開発の推進」です。一番と少しオーバーラップしていますけれども、病院における臨床研究というのは何といっても医師主導治験・多施設共同臨床研究を実施していくことが最も大事な使命です。その研究を推進するために、病院の中に臨床研究推進部というものを置いて、加速をしたということです。この臨床研究推進部は、臨床研究推進室と計画段階から調整・管理を行う、研究管理・調整室というものから構成されており、それぞれに専門家を配置し、この臨床研究推進部の機能を高めたということです。特に臨床研究推進室には、PMDAから人に来ていただく、あるいは国立病院機構から人に来ていただくということで、非常に高い能力を持った方に室長あるいは副室長になっていただいています。こういうことで1つは体制整備を強化したということです。

 もう1つの体制整備としては、臨床研究の推進のためには質のいい臨床研究を行う、そのためにはプロトコールをしっかりつくらなければいけないということですが、そのために、臨床、非臨床、生物統計等の専門家から構成をされる、プロトコール・レビュー委員会というものを設置して、当センターでやっている臨床研究あるいは治験のプロトコールをリファインさせるというようなことも行い、相当質の高い臨床研究を推進できるようになったということです。

 それからもう1つ大切なことは、社会的に見てもこういった臨床研究というのは、倫理性・透明性を確保する必要があるということです。このためには、2.にありますように、最近非常に大事なのは利益相反のマネジメントでして、これについては更にその機能を強化するために、弁護士の先生に外部委員として加わっていただいたことと、従前は事後申告だったのですが、昨年度からは事前申告及び随時申告にしていただいて、その都度適切にCOI、利益相反マネジメントを行うという体制を取らせていただきました。こういったことをやっていまして、結果としてその右下にありますように、臨床研究の先ほどお示ししましたように数が増えたりあるいはセンターとして初のFirst In Human2つ動いたという画期的なことがありました。こういうことから私たちは、やはり「S」を付けていいのではないかという自己採点をさせていただいた次第です。

 評価項目3「担当領域の特性を踏まえた研究開発」ですが、45ページ辺りからだーっと書いてあります。まず、数だけ見ていただきますと、6ページの原著論文・総説等の数は、一番右側の平成25年度において、英文の論文が300と、昨年は少し落ち込んだのですが、かなり回復をさせていただきました。論文・総説トータルで見ましても626件、英文としては327件という相当な数を確保することができたということです。これは部会長からよく言われていましたサイテーション、引用件数はどうなのかということで、下にそのグラフがありますが、25年度はこれはトムソンロイターのウェブオブサイエンスのデータですが、25年度に出したその年であるにもかかわらず、216件の引用がもう既に行われているということで、質の高さがうかがわれるのではないかと考えています。実際にはどういったものが出版されているかというと4563ページにありますが、代表的なものだけを御説明したいと思います。1つ私たちが発見したのは、LOX-1というタンパク、これはlectin-Like oxidized Low-density lipoprotein receptor-1、受容体の一種ですが、このタンパクが虚血脳の中でどのくらいの範囲で障害を受けているかどうかというマーカーになるということを見つけたわけです。それに加えて、これは動物実験ですが、このLOX-1の抗体をネズミに投与すると虚血の範囲が縮小したという、非常に興味深いデータが取れました。これは実際にこのLOX-1がいいバイオマーカーになるかについては、今、ヒトを使った臨床研究を開始したところです。もしこれがネズミと同じような動きをするということになると、抗体療法が視野に入ってくるわけで、非常に私たちは臨床応用の展開を期待しているものです。

 次は、NMO、視神経脊髄炎ですが、これは以前からアクアポリン4に達する抗体が悪さをして、脱髄等を起こすことが知られています。このアクアポリン4の抗体はプラズマブラストという細胞が作るのですが、プラズマブラストは血液で同定をされたものです。ところが、この論文において、患者さんのリコール(髄液)の中でもプラズマブラストが検出されたということで、益々プラズマブラストから産生をされるこの抗体がNMOの病態に深く関係していることを示す論文として非常に重要なものです。こうした治験に基づいて、現在は先ほどちょっと言いました、トシリズマブという抗体、IL6の受容体に対する抗体を使った臨床研究が今始まっていて、予備的な結果としてはかなり効果があるということが分かってきています。

 最後の9ページは、総長が申しましたように、神経・筋疾患患者さん登録をしています、これはRemudyと呼んでいるシステムを持っていまして、このRemudyに登録をされている患者さんを使って、実際にステロイド療法が効果があるかどうかを検討した、世界初めての報告になります。その結果、ステロイドを使っている患者さんにおいて、歩行可能期間が11か月延長しているという、非常に貴重なデータを報告することができました。

5ページに戻りますが、こうしたデータに加え、もう1つは均てん化に着目した研究において、睡眠薬の適正な使用と、いつ止めたらいいかというための診療ガイドラインを作成し、あるいは、統合失調症患者の抗精神病薬をいかに減らしていくかというようなガイドラインを作成したということで、現場の診療にとって非常に役立つ研究であると私たちも考えています。このように、いろいろな多分野において、いい研究開発ができたのではないかということで、項目3についても自己評価として「S」を付けさせていただいた次第です。以上です。

 

○内山部会長代理

 ありがとうございました。委員の皆様は、評定記入用紙の評価項目13に評定結果及び評定理由の記入をお願いいたします。御質問等がありましたら適宜御発言をお願いいたします。

 

○藤川委員

 御説明ありがとうございました。幾つか教えていただきたいのですが、4ページの臨床研究推進部の設置ということで、臨床研究推進室と研究管理・調整室の2つを設置したということですが、この規模はどのぐらいなのかを教えていただきたいのが1点。

2点目は、倫理性・透明性の確保を図るということで、事後申告から事前及び随時にしたということで、事後の場合は、今まで随時ではなくてある程度一定の期間を決めて、そこまでに事後的に報告しろという形だったものを、いつでも事前にやれという形に変えたという理解でよろしいのかどうか。

 それから先ほど、5ページのグラフと2ページの左下のグラフに関して御説明いただいたのですが、ちょっと関連性がどうなっているのかがよく分からないので、どちらも治験実証症例とか、臨床研究治験実施件数と書いてあるのですが、この関係がよく分からなかったので教えてください。

 

○国立精神・神経医療研究センター神経研究所長

 件数というのは、何回治験を行ったかというその実施した件数です。もともとのページの前のほうは、実際の症例の患者さんを何人そこに組み込んでやったか、簡単に言うとその患者数になります。

 臨床研究推進室と研究管理・調整室の規模ですが、専任の方については、必ずしも多くはありません。はっきり申しますと、34人です。ところが、その下に書いていますように、例えば臨床研究コーディネーター(CRC)、こうした所は常時10人以上、これは半分ぐらいが非常勤の方もいらっしゃいますけれども、常時10人以上が配置しています。それぞれの室で、恐らく20人ぐらいですか、よく分かりませんがそのぐらいの数はそれぞれいらっしゃるのではないかと。実際にTMCのほうから数についてお願いします。

 

○国立精神・神経医療研究センタートランスレーショナル・メディカルセンター長 

TMCセンター長から、補足の説明をさせていただきます。見ていただく資料としまして、資料1-3の厚いものがあります。その31ページの4-(1)に書いていますが、臨床研究推進部には大きく2つの組織がありまして、臨床研究推進室と調整室です。推進室は従来の治験管理室が移行したものです。推進室には、今御説明があったスタッフ4名に加えて、常勤のCRC10名以上います。その数については同じ資料1-332ページ、5の所に治験中核病院という記載がありますが、そこに臨床研究コーディネーターを常時10名以上と書いています。

2番目の調整室については、医療機関のネットワーク等を作り、臨床研究や臨床試験を更に進めるための部門で、こちらには常勤の者はやはり23名です。しかし、CRCその他の非常勤の方を充当して、機能を充実させようとしているところです。

 

○国立精神・神経医療研究センター神経研究所長

 御質問いただきました利益相反ですが、従前は、今おっしゃったように年度途中か若しくは終わりのほうにその1年間にどういったものを、お金を貰ったかそうしたことについて申告をしていただいたということですが、審査をしたときにはもう既に終わっていたということがありまして、これはまずいということで、事前申告というのは、4月にその1年間にどういうことが予想されるかという予定も含めて、きちんと申告をしていただくという、ほぼ決まっています。それをまず出していただいて、その途中途中で、例えばA企業から受託研究があったとか、随時そういう変化があったときには、その都度その件について申告をしていただいてマネジメントを行う、そういうシステムに変更したということです。

 

○祖父江委員

 どうもありがとうございました。非常にアクティブにやっておられて、中には非常にいい結果が出ているものもあるかというように感じました。2つ教えていただきたいのですが、1つは、バイオリソースの収集・保存というのは、飛躍的に数が増えているということで非常に結構だと思うのですが、これは確かナショナルセンター6つで共同してやっておられるというプロジェクトだったと思うのですが。

 

○国立精神・神経医療研究センター神経研究所長

 そのとおりです。

 

○祖父江委員

 現在の症例数というか、検体数を集めているという段階だと思いますが、将来どういう形のものを目指すのか。例えばナショナルセンター外にも、あるいは企業との関係とか、この利用勝手をどう考えておられるかというところを。あるいはそれがどれぐらいのタームで実現したいと思っているのか、これは横の関係もあるかと思いますので、その辺をちょっと、もしプランがあれば教えていただけますか。

 

○国立精神・神経医療研究センター神経研究所長

 今おっしゃった6ナショナルセンターバイオバンクネットワークでも非常に大事なテーマになっていまして、本当であれば、今現在からすぐにでもアカデミア若しくは企業にもフリーにお配りして使っていただくことが理想的ではあります。ただ、我々は患者さん情報という貴重なものを負荷していますので、そう簡単にそういった情報を出すことはできないということで、さし当たって6ナショナル詳細については、共同研究ベースでお出しすると。

 

○祖父江委員

 ナショナルセンターの中で。

 

○国立精神・神経医療研究センター神経研究所長

 いえいえ、アカデミアともです。

 

○祖父江委員

 そうですか。

 

○国立精神・神経医療研究センター神経研究所長

 アカデミアの場合には、今は無償でお出しをすることを決めているのですが、企業との共同研究の場合には、やはりなにがしかのランニングコスト的なものは頂く必要があるだろうということを今、議論しています。

 それから将来的なことを言いますと、先生がおっしゃったように、当然これは広く使っていただいてなんぼの世界ですから、そうしたことを模索しています。そのために、まず、国立国際医療研究センターに置いている中央バイオバンクにカタログデータベースを整備したものを全部公開をしていまして、ここは広く人にアクセスをしていただいています。その中でもかなり一般的な試料もあります。例えば血液やコモンディジースとか、そうしたものをそろそろ一般に出していいのではないかという議論もあり、今後、5年間の間にそれを整備しようと、今はちょうど6ナショナルバイオバンクのネットワークの中で、これから5年後にどう展開していくかというワーキンググループを作ったばかりです。その中で、企業に出すときには対価をいくらにするかも含めてしっかり議論をして、5年後にはやっていきたい。もう1つは、BBJです。オールジャパン体制を取るために文科省管轄のBBJとの連携といったものを今年度から始めたところです。

 

○祖父江委員

  もう1つ、Remudyのことについて触れられたのですが、こういう形のレジストリーとしては日本ではというか、世界的にも非常に大きなプロットタイプを作っていると思いまして、これはリーディングプロジェクトかなと思っているのですが、今の質問と同じような形になりますが、多分、これは幾つかのこれをやることによって何をやるのかという目的があるかと思うのですが、それがなかなかいつもおっしゃらないので、何のためにこれをやっているのかという、治験のレジストレーションを通観して集められるというそういうことがまず大事だと思うのです。多分幾つかの目標をもってやっておられると思いますが、そこの辺を教えていただきたいのが1つ。

 それから、ステロイドの長期効果の立証とおっしゃったのですが、これはステロイドを介入的に使った群と使わない群とで、介入研究という意味というように理解していいですか。

 

○国立精神・神経医療研究センター神経研究所長

 介入ではないのですが、TMCRemudyの生みの親がここにおりますので、今の研究も含めて、武田から解説させていただきたいと思います。

 

○祖父江委員

 まず、介入かどうかという所です。

 

○国立精神・神経医療研究センタートランスレーショナル・メディカルセンター長

 御指名がありましたのでお答えしたいと思います。これは、介入試験ではありませんで、後方視的にこれまでの臨床情報をまとめたものです。Remudyの目的としては、大事なポイントを御指摘されましたが、2つあると思います。1つは、臨床試験、あるいは臨床研究を行っていく場合の患者さんのリクルートの基礎になるデータを提供すること。

 もう1つがナチュラルヒストリー(患者さんの自然歴)です。Remudyは必ず遺伝子診断ができていますけれども、簡便なものですが臨床情報が入っていまして、しかも毎年更新するタイプのものです。更に、本人が登録しているのですが、その臨床情報を使いますと、今回、お示ししたように、ナチュラルヒストリーのスタディーをすることができます。調査の規模が、日本屈指ですし、少なくとも出した段階では世界トップのサイズでした。現在、レジストリーをウェブ化していますので、筋ジストロフィーをスタートとして、ほかの神経難病に発展させることができればと考えています。

 

○祖父江委員

 そうしますと、立証という言葉がちょっとミスリードみたいな感じで、レトロスペクティブに分けたときにそういうことが見られたということですので、論理の展開からいうと、これは介入研究の次に立案していただいて、そこで立証していただくという論理展開になるのではないのかなという気がしたので、この立証という言葉がちょっときついかなという気がしましたので、一言だけ。

 

○国立精神・神経医療研究センタートランスレーショナル・メディカルセンター長

 先生の御指摘のとおりであると思います。「立証」とした側の気持ちとしましては、後方視的な研究でエビデンスを提出し、これを下に、現在登録していらっしゃる患者さんに詳しいアンケート調査をお送りして、投与量、投与期間、投与方法等について調査を行っていまして、更にエビデンスを追求することができれば、将来前向きの試験を行うことを考えています。その場合に、もう一歩進んで「立証」という言葉が使えると思っています。

 

○三好委員

 評価項目24ページ目ですが、一応、これは評定「S」になっているのですが、臨床研究体制を充実化するためにいろいろな施策をされたと。そのこと自体は画期的で想定外でも何でもないわけで、なぜSになったのかは下のほうに、First In Human試験が2件実施できたということだけなので、それではちょっとS評価は弱いかなと感じたものですから、なぜSかというところをもう一度御説明いただければ有り難いのですが。

 

○国立精神・神経医療研究センター神経研究所長

5ページに載せていますように、First In Humanは最も難しい治験に入るのですが、その総数として臨床研究か企業治験、医師主導治験といったものの数を見ていただきますと、件数は21年度に比べて非常に飛躍的に増えて、昨年度に比べても非常に増えてきていると。こうした企業治験あるいは臨床研究を推進するためには、やはり病院の機能として体制を整備することがとても重要な課題だと私たちは認識しています。まずそこのところをしっかりと手を付けるということです。これは人の手当ても含めて、体制整備は非常に難しい問題を含んでいます。そうしたものをきちんとやり通したと、その結果として数が増えてきたということで、今後これは123年後と見ていただくと、恐らくこの数がどんどん増えていくように今、準備を整えたということです。こうした体制整備は私たちにとっては誉めていただけるかなというように考えています。

 

○三好委員

 矢継ぎ早にいろいろなシステム、体制をつくられて、それはそれで素晴らしく評価させていただいているのですが。そこと、S評価はある程度結果の世界になってしまうので、それによって何か飛躍的に、結果として素晴らしいことがあったとか、そういうのが分かりやすく、理解できなかったものですから。

 

○国立精神・神経医療研究センター理事(病院長)

 病院長の水澤と申します。御質問ありがとうございました。私は4月に着任しまして、まだ新米でございますけれども、大学でいろいろ治験とかも携わってまいりました。ここでまずびっくりしたことは、治験を中心とする多くの臨床研究が非常にスムーズに行われているということです。今、委員からの御意見があったところですが、First In Humanの治験をやるというのはなかなか本当に大変なことでありまして、ナースも医師も含めてもまだまだ十分ではない人数で、非常に工夫をして、少ない人数をうまく配置してやっているというのが私の実感です。ちょっと中立的な立場で印象を述べさせていただきました。

 

○花井委員

 すみません、4ページに「プロトコル・レビュー委員会」と書いてあるのですが、これはIRBと同じようなことを前捌きでやるようにも見えるのですが、実際には、例えばプロトコールを作る段階で相談するのか、できた段階でIRBを出す前にそれが前捌き的にここが評価するのか、どういうファンクションになるのですか。

 

○国立精神・神経医療研究センター神経研究所長

 前捌きです。IRBあるいは臨床倫理審査委員会にこれをかける前に、予めこれに目を通して、ある程度しっかりとしたプロトコールを作成して、臨床研究の申請書を書かせると。それから審査に入りますので、わりとしっかりしたものが最近は審査会に出てきているとそういう体制整備です。

 

○花井委員

 例えば今、臨床研究推進部とかそこがわりとしっかりしている所は、その段階で大体前捌きするのですが、事務的なものを含めて、そこでも若干そういうことをやっている所もあるけれども、これはそこのプロトコールについて独自にそれをもっとちゃんとやるという、そういう理解でいいですか。

 

○国立精神・神経医療研究センター神経研究所長

 はい、現在はそういうことです。いずれ倫理審査委員会のほうで事前倫理審査委員会というのが前にあります。それでわりとしっかり見ていくのですが、いずれは恐らくプロトコール・レビューと事前倫理審査委員会というのが1つになって、全体の構想とプロトコールをしっかり見ていくということになろうかと思います。

 

○花井委員

 ここで専門家がIRBにもちゃんといれば。同じような人材かなとちょっと思ったもので、違うのですね。

 

○国立精神・神経医療研究センター神経研究所長

 はい、これは違います。

 

○花井委員

 はい、すみません。

 

○祖父江委員

 今、先生がおっしゃったように、これはここに書いてあるように、医師主導治験とかオーブンのシーズに関する治験あるいは臨床研究を組み立てていく上でのプロトコールをこの専門家の間で議論するというように理解していたのですが。企業のも。

 

○国立精神・神経医療研究センター神経研究所長

 それプラス、企業からの受託臨床研究、わりと規模が小さいものも含めてオープン試験のようなものも含めてですね。

 

○祖父江委員

 そういうものも含めてここで議論をという体制ですか。

 

○国立精神・神経医療研究センター神経研究所長

 はい、そうです。

 

○国立精神・神経医療研究センター理事長

 企業治験は違います。

 

○祖父江委員

 企業治験は入っていませんね。

 

○国立精神・神経医療研究センター神経研究所長

 はい、入っていません。

 

○祖父江委員

 はい、分かりました。

 

○福井委員

 今の点ですけれども、これは研究管理・調整室が行うような専門的なノウハウをプロトコール・レビュー委員会でも同じように提供するというようにも読めます。役割は違うのでしょうか。

 

○国立精神・神経医療研究センター神経研究所長

 研究管理調整室というのは実際に臨床研究が始まったり、治験を推進する場合に、例えば患者さんと相談窓口を受けたり、いろいろな企業との調整を行ったりという事務的なことを、実質的なことを行っていくのがこちらです。最初の申請段階、支援というのは、これとは少し組織的に分けなければいけないわけです。そういう意味で、少し支援ということも含めたプロトコール・レビュー委員会というのをお考えいただければよろしいかと思います。

 

○福井委員

 はい、結構です。

 

○国立精神・神経医療研究センター理事(病院長)

 今、御議論いただいたのは医師主導治験等の非常に本格的な臨床研究ですけれども、私がこちらに来て驚いたことの1つは、病院のほうにも臨床研究推進委員会というのがありまして、例えばOTPTの方々も含めて、臨床研究をどんどん進める文化ができているというか、非常に多くの申請があります。それは今後、日本では基礎研究はいいけれども、臨床研究は乏しいと言われている現状をよくしていく上ではとても大事と感じています。

 

○内山部会長代理

 臨床研究をしっかりやっておられることがよく分かりました。臨床研究部をつくられたときに、医師等を増員されていますが、もともとそのような枠を多少残しておられたのか、あるいは、スクラップ&ビルドでそうしたものを振り替えられたのか、お聞かせいただけますか。

 

○国立精神・神経医療研究センター理事長

 基本的にはスクラップ&ビルドあるいは優秀な人材が先にあれば、先にビルドをして、あとからスクラップという、いずれにしても全体の総枠を、病院でそれが実際の診療点数として評価されるようなものは別ですけれども、この部分というのは、生産性というか、コストにつながりませんので、そういうところについては、基本的にはスクラップ&ビルドということで、場合によっては研究所のほうのスタッフの一部をこちらのほうに切り替えてという、そういう工夫をやってつけてきています。

 

○内山部会長代理

 それではグループ2、評価項目46について評価いたします。所要時間は、法人の説明10分、質疑と評定の記入に15分の合計25分です。それでは法人から平成25年度の業務実績と自己評定について説明をお願いします。

 

○国立精神・神経医療研究センター理事(病院長)

 それでは病院長の水澤から説明いたします。本資料は資料1-370106ページにわたる大部のものです。資料1-2のカラーの1015ページの表を使って説明いたします

 資料1-1、医療の提供、病院の機能のうちの臨床研究等のほうは研究のほうで御説明をいただきました。残った部分の医療の提供に関しては、資料1-1-4を見ていただくと、評価項目46に当たりますが、3つの柱を我々は立てております。

1.高度先駆的医療、標準化に資する医療の提供。2.患者の視点に立った良質かつ安心な医療の提供。3.その他医療政策の一環として、センターで実施すべき医療の提供ということで、各々についてこれから御説明いたします。

 資料1-210ページ、高度先駆的医療の提供については、ここに幾つかの実例を挙げております。例えば光トポグラフィ、NIRSを用いた検査ですが、うつ症状等の鑑別診断の補助について、平成21年度~平成25年度に至る数を見ていただくと、確実に飛躍的に増えていることがお分かりいただけるかと思います。

 ちなみにこれが保険収載された背景には、当病院、研究所の力が非常に大きく、保険収載の条件として、センターにおいて研修を受けることが義務付けられております。

2番目に挙げたがミトコンドリア病の遺伝子診断です。ミトコンドリア病は御存じのように、神経症状以外の症状も含めて、きわめて広範囲のスペクトラムの症状を出す疾患で、遺伝子診断が非常に重要です。我々はミトコンドリア遺伝子並びに核遺伝子の両方について、非常に高度な診断ができるシステムを整えており、その件数が着実に増えている状況です。

3番目の薬物血中濃度動態モニターについてはパーキンソン病が中心ですが、それに基づいて、非常にきめ細かな治療をすることで、薬物による調整が非常にうまくいくようになりました。例えば、すぐにDBS等の手術が選択されるのを減らせる状況も出ているではないかと推測しております。この件数が非常に増えております。

4番目が、当センターで有名ですが、認知行動療法(CBT)でございます。認知行動療法センターと協力して、通院患者さん、入院患者さんにCBTを提供しております。次は、専門疾病センターを作り、高度先駆的な医療を提供していることがあげられます。これについては、これまで6つのセンターを運営しており、新たに統合失調症の早期診断・治療センターの新設を行いました。その下に書いてあるように、そういう統合失調症に関する認知機能改善プログラムを実施して、就労支援等の支援を行うことにより、例えば就職した方の数を見ると、平成23年、平成24年、平成25年と着実にこれが増えており、大きな成果だと感じております。

 次のページに、具体的な専門疾病センターのリストがあります。病院と研究所といった組織を横串で横断的に結び付けるものとして、こういうセンターを作りまして、基礎と臨床を融合的に結びつけ臨床研究を推進しております。多発性硬化症センターでは、OCHの医師主導治験を行っておりますし、NMOに対するトシリズマブの臨床研究も進めております。筋疾患センターは、本センターの最も古くから研究を進めているところで、国際的にも非常に有名ですが、これもFirst In Humanで、エクソンスキッピングの治験を行っております。さらに筋ジストロフィー臨床試験ネットワークを運営しております。てんかんセンターについては、希少難治性てんかんのレジストリーを構築し、疫学調査や地域連携システムを推進しておりますし、市民啓発の活動も活発に行っております。

 パーキンソン病並びに運動障害の疾患センターについてご説明します。パーキンソン病に伴う姿勢異常というのは、薬物がなかなか効かないということで非常に問題になっております。そのときに障害を受けている原因筋を同定する方法を見い出して、それを治療する方法を開発して、実際にその治療を行っており、これは大変喜ばれております。その下のパーキンソン病臨床研究支援チーム、Japan Parkinson disease Invetigation Supportの略JParisですが、このユニークな点は、患者さんに参加していただいて、臨床研究をサポートしていただく組織です。これも入会したいという人が数多く来ております。

 また地域精神科モデル医療センターについては、在宅支援室、多職種のアウトリーチ活動を行って、介入効果を研究して、厚生労働省の政策決定等に役立てていただいております。デイケア室、認知機能リハビリと就労支援を行って、実際に就労できた方の数が着実に増えるという成果を上げております。

 睡眠障害センターについては、研究所に睡眠研究の有名な研究室がありますが、病院のほうでも専門外来を設置して、実際に睡眠薬の減量等目的とする認知行動療法等を実施して成果を上げております。また、オンライン上でのいろいろな睡眠障害の診断や研究に役立てるようなプラットホームを公開しております。

 新しく作った統合失調症早期診断・治療センターについては、多職種チームによる医療の提供と、患者さんから積極的に参加していただく、患者さんに手帳を用いた形での患者主体の医療を実践する工夫をしております。下に絵が載っておりますが、「EDICS NOTE」という患者手帳です。臨床研究の推進について、統合失調症でも進めており、発症早期の患者さんをレジストリーして、治験等を進める準備をしております。右に絵があり、統合失調症早期診断・治療センターを取り巻くように、臨床研究推進部、専門外来、地域連携室、精神科リハビリテーション等、病院の施設が協力し研究所と連携して治験を進める体制となっております。

 評価項目5、患者の視点に立った良質かつ安心できる医療の提供ということで、患者参加型医療の推進については、先ほど説明した患者手帳などがその典型です。入院時から地域ケアを見通した医療の提供については、地域医療連携推進のために登録医療機関制度を活用していますが、登録されている医療機関が125施設から358施設と確実に著明に増加していると思います。また、メンタルケアモデル開発ナショナルプロジェクトの一環として、慢性期となった精神疾患の患者さんについて、継続的な医療をフォローアップできるように「連絡ノート」を作って、それをフォローアップの中心としてシステムを開発しております。また、院外の保健所等と連携を行って、訪問看護を進めておりますが、この件数も平成25年度は3,000件を超える状況で、スタッフが常に増えているわけではないのですが、このように活動が活発化しております。

 最後の点ですが、多職種のアウトリーチ活動を行っており、デイケアセンターに就労支援専門スタッフを配置して、先ほど申し上げた就労支援を行っておりますし、このことにより、これを利用する前後で入院の回数や、入院の日数が飛躍的に改善しております。例えば、平均入院日数は160日から23日に、飛躍的に減るなどの効果を上げていると判断しております。

 次のページでは少し数字を挙げておりますが、セカンドオピニオン外来の実施数、多職種のケースカンファレンスの実施件数、紹介率、逆紹介率、医療安全あるいは感染症対策研修会の回数等については計画の数を超えて達成できているかと思います。

 評価項目615ページ、その他医療政策の一環として、センターで実施すべき医療の提供です。まず、医療観察法の対象者への医療の提供については、多職種協働ケアプログラムアプローチを行っており、計画では100件でしたが、2倍を超える268件、入院患者さんの全例を対象としてこれを行っております。医療観察法における透析等、身体合併症のある方の治療についても、当センターが唯一診療可能な施設としてこれを実施しております。また、指定通院医療機関として厚生労働省に提案した重層的・包括的多職種チーム医療モデルについて通院医療を提供して、これについては4名の方に実施できております。また、重度心身障害児の方々も入院していますが、レスパイト入院、家族の方々が少し休むことができるということですが、その入院の受入数も平成24年度と比べても倍増に近い数字で増えております。その下にまとめておりますが、医療観察法の病棟として日本で最初にできて、我が国最大の病床を持っており、今申し上げたような対応をして、我が国の医療観察法対象医療の牽引をしているということで、この点も評価していただけるものと感じております。以上です。

 

○内山部会長代理

 委員の皆様は、評定記入用紙の評価項目46に評定結果及び評定理由の記入をお願いします。御質問等ありましたら適宜御発言をお願いします。

 

○花井委員

13ページの2、いわゆる平均入院日数が激減しているところですが、これは額面どおり受け取って、例えば、瞬間最大風速的とかそういうことではなく、やはりこのような支援体制を充実させたことが活きたという理解でよろしいですか。

 

○国立精神・神経医療研究センター理事(病院長)

 支援体制を充実させたファクターが一番大きいと感じております。

 

○祖父江委員

 全体に絡むかもしれませんが、前から専門疾病センターを立ち上げられて、今回また統合失調症のセンターを立ち上げられたということで、神経、あるいは精神疾患のモデル型の臨床取組が進められていると思いますが、これを神経に限ると、センターとしてどこまでをカバーするかということですが、先生が御専門の統合失調や運動理論、リハビリ、どちらかというと少し専門的に扱っておられない領域が、これは結構広いのであると思うのです。選択と集中という観点で、恐らく重点的に解決すべき問題を立てられてやっておられると思いますが、その辺のポリシーがもしあればお伺いしたいと思います。

 

○国立精神・神経医療研究センター理事(病院長)

 私は着任後間もないので、もしかしたら補足していただくといいかもしれませんが、今、先生がおっしゃったとおりで、例えば運動失調症のほうはまだ扱っている数も少ないと思います。ただ先ほどのセンターでパーキンソン病・運動障害となっていたように、ムーブメント・ディスオーダという形で通常まとめて扱われます。パーキンソンニズムも、小脳障害による運動失調症もまとめて扱われており、実際、多系統萎縮症(MSA)という病気がありますが、パーキンソン病を扱っていることからMSAの患者さんも多いのです。すなわち、MSAPのパーキンソンニズムを呈する方が多いのですが、当然ながら失調症状も出現しますので、実は小脳失調症にも対応しています。ただ、医師の数が限られておりますので、やはり選択と集中ということで今は限られておりますが、運動失調症などにも広げていけると思っております。先ほどのRemudyの話のときにもあったと思いますが、他の神経難病のほうにも広げていくべきと思って努力はしておりますが、こういう所で評価をしていただかないとなかなかできないかもしれません。

 

○祖父江委員

 一般論で話をしているものですから、広げていこうとされているのか、あるいは選択と集中で問題解決型でやろうとされているのか、その辺の切り分けがどうなのかと思ったものですから。一般的な話で申し訳ありません。

 

○国立精神・神経医療研究センター理事長

 先生の御指摘のとおり、私どものナショナルセンターとしてやるべきことは何かということと関係があると思います。私どものような所でなければできないから患者さんが実際に集まってこられる、こういう領域に関しては臨床研究がまだまだ必要ですし、基礎研究と臨床が両方存在しているナショナルセンターでやるべきことというのは、やはり、ある程度フォーカスを絞っていく必要があると思います。ここに掲げているものは、外側から見ていただいても、これはナショナルセンターでしっかりやってもらったほうがいいねというものかと思います。それ以上、どんどん拡大していくということではなく、そういったコンセプトに合うものに限定されていくだろうと思います。

 

○花井委員

 先ほどの点もそうですが、統合失調症早期診断・治療センターで患者手帳などを開発して、患者さん型医療を推進すると書いてありますが、これはもう実際に進められているとすれば、結構これはかなりアウトカムに相当結果が出ているわりに自己評定Aというのは、少し控えめかなと思うのですが。日数についても、目標を相当多く上回っていて、1だけがまだできたところなので、アウトカムが出ていないので控えめなAを付けられたのかと思ったのですが、その辺りはどうなのですか。

 

○国立精神・神経医療研究センター理事(病院長)

 その辺はASかという議論はあったと思います。これは実際やっていて事実です。例えば、分厚いほうの資料に書いてあるのですが、関連することとして医療観察法の病棟が2つあります。33床ずつで合計66床です。これは法律で病院長が参加してカンファランスをしなければいけないシステムになっています。私は神経内科医なので精神科のことは非常に新鮮なのですが、観察病棟の患者さんというのは、本当に最重症というか、法律に触れることをした方です。そういう方々が治療で治って地域に出て行かれる。家、あるいはアパートに戻って生活されているのを沢山拝見して、大変感激しております。実際こういうことに活かされております。正に多職種でアプローチしていかないと地域には戻れないという印象を持っております。

 

○国立精神・神経医療研究センター理事長

 今の御質問に関して言いますと、これは平成2512月に設置して約半年とまだ短い期間であり、実際には具体的に動いてはいるわけですが、そのアウトカムを評価するにはまだ短いのではないかというところで控えめにと考えております。今、院長が申し上げたのは、医療観察法病棟のことですので、これとは少し違うのですが、中身としては統合失調症に対する多職種による医療を提供するという意味では、医療観察法でこれまでやってきたことをここに反映させていこうという意味で院長が説明を加えたところと御理解ください。

 

○内山部会長代理

 よろしいでしょうか。続いてグループ3、評価項目79について評価します。所用時間はこれまでと同様です。法人から説明をお願いします。

 

○国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所長(企画戦略室長)

 精神保健研究所の福田と申します。資料1-2を用いて評価項目710について御説明いたします。16ページ、項目7の「人材育成」です。大きく2つの点について御説明をしますが、1つは精神・神経疾患等の医療・研究における専門家の養成の部分です。こちらはそういう基礎的な能力を磨き上げる。そのために作られているTMCの研修制度で、こちらでは18回の研修会を開催しております。特に平成25年度についてはこれからいわゆる本物の専門家になっていくために必要な知識・技能に焦点を当て、新たに3つの研修会を開催しております。1つは臨床研究のプロトコール、その計画書のブラッシュアップ。もう1つは研究を進めるに当たって、計画するに当たって、基礎となるいわゆるメタ・アナリシスの手法についての研修。さらにはEBM手法を活用する方法について新たに研修会を開催し、若手専門家の育成に務めております。

 もう1つの2.は各種モデル的研修・講習の実施です。これも例年御説明しており、17ページにその内訳を示しております。基本的に例年同様の骨格で徐々に充実が図られている内容です。16ページに戻り、そういう実務者・指導者に対する研修など、モデル的研修の実施について、それぞれ中期計画における目標とその実績を比べたものを下に示しております。基本的に計画を確実に上回る形で、またその内容についても適宜更新が図られて充実をしているという評価をしており、自己評定としてはAと評価しております。

 続いて評価項目8です。医療の均てん化と情報の収集・発信ということで資料18ページです。こちらも大きく2点を御説明します。1つは均てん化をしていく意味で、適切なやり取りを進める意味でもネットワークの構築。そしてその医療の均てん化を進めることに重点を置いております。1つは先ほどからお話がありますので、細かい点は省略しますが、筋ジストロフィー臨床試験ネットワークの拡充ということで、加入施設が確実に増加をする中、Remudyと連携して多施設共同の臨床研究を実施する体制、そして具体的な実施を進めているものです。

 それから平成25年度は事実上、新規的な位置付けになりますが、自殺予防対策のネットワークである、「コンソーシアム準備会」を立ち上げております。これは平成248月に政府の自殺予防対策大綱が見直しされたわけですが、その際、見直しに当たって技術的な提言をするということで、関係学会に急遽お集まりいただき協力をいただきました。このコンソーシアム準備会はそういうエビデンスを関係学会と日ごろからきちっと共有しながら問題点を抽出して、現場と研究に反映させようという目的で、これを常設的な学会との連携の場の形で位置付けようということで準備をしております。実質的には平成252月に準備会が発足して、平成25年度中の活動としては、関係学会66学会が協力の意向を示しており、そのほか職能団体などの9協力団体がこの準備会で一緒にやっていこうという形で今、進められております。

2.は情報の収集・発信ということで、2番目のポツです。積極的な情報発信による広報活動により、報道記事の掲載数が大きく増加しているということです。広報体制、支援体制を充実・強化したのは平成23年度からですが、その中で平成24年度から平成25年度も3倍ぐらいの報道件数の増加になっています。これは背景的には共同通信等との関係も非常に密にして、地方の新聞にもかなり関係記事が丁寧な形で掲載される状況が平成25年度の特色としてあったと理解しております。

 それから私ども精神・神経医療研究センターということで、字を見れば何をやっているのか何となく分かるのですが、具体的に何を本当にやっているのかがなかなか見えにくいということで、病院、そして研究所を併せた形でのセンター全体の分かりやすい年報を新しい試みとして作成しました。これはスーパー専門家やスーパー素人さんというよりは何らかの形でこういう分野に関係のあるような方々に、きちっと内容を理解していただくことを目的としており、ホームページにも公表しております。

19ページ、市民公開講座の一例で、このように社会的または医療的・福祉的に関心の高いテーマについて、この市民公開講座を実施しております。

20ページ、先ほど申し上げましたが、報道件数以外にホームページのアクセス数ということで、20ページの右側、平成24年度にホームページのアクセス数、特に医療従事者向け、専門家向けのホームページの部分が非常に伸びて、ここを評価していただき、昨年度はS評価をいただいておりますが、その辺の動向が平成25年度はどうなるかでしたが、引き続き堅実に、着実にこういうアクセス数も伸びております。こちらはNCNPでやっているさまざまな政策とタイアップした研修、マニュアルの発信、技術的支援などを、ホームページを通じて着実に発信しており、そういうところが関係者の聞き及ぶところになり、ホームページが1つの情報共有のツールとして、着実なものになってきたのかなと考えております。

 続いて21ページ、評価項目9です。国への政策提言、その他我が国の医療政策の推進等です。これについては主に1.国への政策提言、その他我が国の医療政策の推進等です。これについては1.国への政策提言について御説明します。先ほどから幾つか御説明がありますが、例えば、1の一番下のポツですが、いわゆる精神医療における薬の使い方。また高齢社会になり、世の中になかなか眠れないという人が増えてきたり、社会のストレスで眠れないという中での睡眠薬の処方といったものについて、さまざまな議論がなされる中で、その実態の把握と適切なエビデンスに基づいたガイドラインというものを提供しております。これについては診療報酬への反映、その他医療行政に着実に反映されている状況にあります。

 また先ほどお話がありましたが、多職種でアウトリーチをする、訪問するということ。要するに地域生活の中で着実に療養と社会復帰、そして社会参加を図っていただく。そういう体制づくりということで、この病院と研究所において共同で研究をしてきた成果とエビデンスをお示しして、こちらについてもそういう内容を実際の医療の現場の中で、より提供しやすくなるように、前回の診療報酬の改定の中でも事実上のマイナス改定ですので、点数は付いていないのですが、重要な項目として報酬項目の中にきちっと位置付けられたということで、大きな成果があったと考えております。

 それから一番上のポツ、いわゆる災害の関係。これについては具体的な活動要領などについて研究成果を踏まえて、厚生労働省の要綱、通知に反映されている状況です。また、冒頭、総長からの御説明にもありましたが、危険ドラッグについては、平成24年度は薬物の包括指定の枠組みについて御提案をして、法改正、そして具体的な薬物の指定の仕方の見直しにつながったということです。また現在、非常に問題がさらに大きくなっていますが、そういった危険ドラッグの使用実態についても初めて全国調査を実施しており、そういった内容についても今、国会の閉会中審査もあったわけですが、その内容についても非常に国会の議論の中で吟味をされて、今後の対策に生かされると予想しております。

 具体的な事例で御説明すると、22ページ、これは災害の部分ですが、NCNPの枠組みとしては、1つは平時の体制整備のために必要なものをエビデンスと情報提供をして、それを厚生労働省が制度として位置付けている。マニュアルを作ったり、そのためにマニュアルを実際に活用して研修を行っております。実際にオペレーションをするに当たっては情報の収集と共有が重要になるので、災害時の情報の収集と共有するシステムについても開発をし、実際の研修においてその有用性や改善点を見い出して、バージョンアップを図っております。それぞれの活動において、具体的に使うツールの開発と共有化が必要となりますが、1つの例としてWHO等が開発しているPFAPsychological First  Aidと言って、「こころの辛さ」というものを和らげる、そういったツールがあるわけですが、これをWHOや国連大学、世界銀行などと連携して、国内にあっては自衛隊等、それから国際社会においては国際遠隔研修などを用いて、そういった体制整備を進めている状況です。

 最後になりますが、23ページ、危険ドラッグの取組です。先ほど申し上げましたが、1つは実態把握、そして基礎研究、そして臨床研究の形で進めていますが、基礎研究は包括指定ということで、平成24年の法改正等で生かされ、その後も平成25年の物質の追加などで反映をされている状況です。実態把握については先ほど申し上げましたが、使用実態を初めて調査し、1つの内容として危険ドラッグの危険性の知識の周知が低いことが調査でも分かったということで、そういった点についてさまざまな場において啓発活動が急務であるということが、先の閉会中審査でしたが、危険ドラッグの関連の国会審議でも指摘がありました。

 もう1つは、危険ドラッグそのものとは必ずしも直接関係はないわけですが、薬物依存になった場合、その後の社会復帰のための治療法の開発についても、開発を行い、現在均てん化も進めております。現在まだ全国で50か所ぐらいしかきちんとできる所がないということで、これも早急に整備すべきだということも先ほどの国会でも指摘があったということです。このように国への政策提言関係については、病院と連携したさまざまな活動を通じ、また実態調査などを通じて、厚生労働省等への政策提言を行い、それが具体的な対策に確実に結び付いているということで、自己評定としてはSということで評価をさせていただいております。説明は以上でございます。

 

○内山部会長代理

 委員の皆さまは評定記入用紙の評価項目79に評定結果及び評定理由の記入をお願いします。御質問等がありましたら、適宜、御発言をお願いします。

 

○福井委員

 評価項目の8についてのコメントです。ほかの所ではガイドラインの話は出てきておりましたが、評価項目8にいろいろ疾患についてのガイドライン作成にセンターがどれくらい貢献したかが分かるといいのではないかと思います。

 

○国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所長(企画戦略室長)

 ありがとうございます。ほかのところで御説明がありましたが、睡眠薬の使用ガイドライン、統合失調症の治療薬の減薬のプログラム、そういったところは今年度の成果として、具体的には診療報酬などにも反映されております。そういった点も書き加えながら、充実した内容にしていきたいと思います。

 

○国立精神・神経医療研究センター理事長

 ガイドラインについてはこれまでかなりの領域に渡って、特に厚労省からの研究委託費がありました頃、それによって各領域のガイドラインは一応作ってまいりました。それがまたリニューアルをしなければならない時期にもそろそろ来ておりますので、その都度それは取り上げて新しいエビデンスを加えながら改訂していきたいと思っております。

 

○福井委員

 もう1つ、危険ドラッグについて。23ページで全国住民調査において調査されたということですが、この調査自体はセンターとして行っているものなのでしょうか。それとも厚生労働省が行っているもので、部分的にデータの解析をされたということなのでしょうか。

 

○国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所長(企画戦略室長)

 これは厚生労働省の科学研究費の中で、薬物の実態調査を2年に1度やりますという枠組みがありまして、そういった中に新たに項目として追加して行っているものです。

 

○福井委員

 そうですか。いろいろニュースから、新しい危険ドラッグとイタチごっこだというのが我々のイメージで、この1,267種類を指定しても駄目だということなのでしょうか。ほとんどカバーされていて、政策的には取締りが可能だということなのでしょうか。

 

○国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所長(企画戦略室長)

 正直に申し上げると、これだけでは解決にはならないのですけれども、今の薬事法と関係法令の仕組みが、使用禁止になっているものについて取締りができる形になっているので、そういう意味ではまず、対象物質をきちっと決めないといけない。ただそれを1つひとつ決めているというのは、もう余りにも時間も手間もかかるということで、ここは化学物質の基本構造が同じようなものについて、一部を変更することで、とても危険になったりするので、そういった意味合いにおいて包括指定をしているということです。実際は使われた薬をきちっと、それがどの薬なのかを、薬物なのかということを検証する体制がとても遅れており、実際に症状があって何かおかしいという方について、それがそういった危険ドラッグを使ったが故かどうかということが、迅速に判断できないところがあります。そういった検証体制をどうやって作るかについても、今、この前の国会でも議論されています。いろいろな所を手当てしないといけないのですが、入口の部分をきちっとこちらでは手当てしているという、そういうように御理解いただければよろしいかと思います。

 

○祖父江委員

 人材育成のところですが、前にもお聞きしたかと思いますが、いろいろなレベルの人材を育成することがあるのだと思いますが、私の個人的な印象ではここにも書いてありますが、臨床研究者など非常にハイレベルなプロフェッショナルを育成する場であってほしいなと思っているのですが、最近の専門制度でいろいろ各学会との間で専門制度が動いています。そうするとどういうビジョンで、例えば、専門医制度との関係。どういうランクの人たちを育成しようとしているのかというような、何かビジョンがどういう形で今は考えられているのかをお聞きできるとありがたいなと思います。これは水沢先生かもしれませんが。

 

○国立精神・神経医療研究センター理事(病院長)

 これは前にも聞かれたような感じもしますが、例えば、うちの場合では精神科、脳外科、神経内科、小児神経といったところの専門医制度、学会で言うと持っている方がいると思います。例えば、その中で神経内科を取ってみると、先生はよく御存じですが、内科学会との関係、内科専門医との関係が出てくるので、やはり専門医の修練の仕方はこれから少し変わってくるということで、検討しなければいけないということで、似たところとしては長寿医療センターが似ていまして、先日、御質問いただいた後に、病院長とお話をして、協力してやっていきましょうということです。そしてやはり地域でとなります。ですから長寿なら名古屋大学とやるなど、我々では東京地区の大学や大きな総合病院とやるなどといったことをこれから進めなければいけないですねと。ナショナルセンターなど、場合によっては国立病院なども含めて連携してやりましょうというところまでは来てはいます。それは学会です。

 もう1つあると思いますが、先生がおっしゃっていた臨床研究等ができるような医師を作るということで、我々は今、話したようないろいろなレジデントの方がいらっしゃいますが、そういう方々に16ページに書いてあるように、クリニカルリサーチがきちんとできるようなトレーニングをするということで、普通の単純な病院のレジデントではなくて、臨床研究ができるような研究者を含めて作るということで、存在意義を考えておりますので、そこを是非、御評価いただければと思っております。

 

○藤川委員

 確か昨年は評価委員会がある頃に、てんかんなどの問題で事故が多かったような気がするのですが、その辺りは今年は余り出てこないのですが。ただ重大な事故が頻発していたような気がするので、その辺りの対応はどうされているかをお聞きしたいです。あとはやはり危険ドラッグの問題については、余りにも始終起きる話で、しかもインパクトも大きいということで、あえて1ページ割いて御記載していただいていますが、一般国民からすれば、もっといろいろやってもらえないのかなとすら思うのです。まだまだこれからというところなのか、出口が見えないという不安が非常にあるので、その辺りをもう少し安心できるような材料をいただけるとありがたいなと思います。

 

○国立精神・神経医療研究センター理事(病院長)

 てんかんのことは先ほど11ページにてんかんセンターのことが少しですが載っております。本文に詳しく書いておりますが、市民公開講座の内容として、今、お話いただいたような自動車運転のときの道交法の改正があったわけですが、それをどう運用するかに関して、まだいろいろな微調整の部分もありまして、このてんかんセンターも関係しております。ただ基本的には関連学会、てんかん学会、日本神経学会、それから認知症学会など、そういうところが共同で方針を出して、アカデミア、あるいは医療のほうからとしてはそれを検察、警察に意見を述べる形で学会からの意見を出しております。そこに我々てんかんセンターの関連のものが多く含まれておりますので、センターの意見もそこに反映されていると理解しております。

 

○国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所長(企画戦略室長)

 てんかんのほうは今、お話がありましたように資料11ページに、市民に向けては市民公開講座ということで、昨年度も確か2回ぐらいやっていると記憶しております。それから今、お話がありましたように、先頃開催されておりました精神・神経学会でも大変注目を浴びたテーマとして、てんかんの部分があります。やはり薬の関係、治療の関係、それから今度は本人の社会活動の関係。さらには医療者の責任という問題があります。そういうさまざまな観点から今、議論がされていると承知しております。そこの中身については私どものそれぞれの部署もいろいろな形で関与しております。

 それから危険ドラッグは、1つは検証する方法が現在、非常に手薄になっております。今、危険ドラッグについて国の機関としてどういう薬物を使っているのかがきちっと分かるのが、私どものセンターの薬物依存研究部、それからもう1つは医薬・食品研究所が厚生労働省にあり、ここで細々とやっているのが現状です。こういう点についても先の国会の閉会中審査でも議論になっており、担当局長は充実を含めて考えると答弁をしている状況です。

 

○福井委員

21ページの国際貢献についてです。人数だけからはそれほど多いとは思われないのですが、皆さん長期間の研修に来られるのでしょうか。平成25年度で28名の研修生や研究者を受け入れたということですが。

 

○国立精神・神経医療研究センタートランスレーショナル・メディカルセンター長

 ただいまの御質問については、TMCセンター長からお答え申し上げます。ほとんどの場合は研究所で研修生として受け入れています。多くの研修生は長期間、ほぼ年間に渡って滞在していただく、客員研究員などの名目の方でして、決して、1日だけ見学に来られた方を記載しているわけではありません。補助資料として、こちらでリストを持っております。

 

○花井委員

21ページの政策提言、先ほどもありましたが、睡眠薬等の処方を健保団体から33万人で調べたという、これは国からの研究班などそういう形でしょうか。大変な逆風があったわけで、これもそのときにこういうデータ、エビデンスがあることによって、診療報酬を切り込んだということなので、是非、こういうことはもっとやってほしいと思います。あとは抗うつ剤なども同様の問題があり、そこもきちんとエビデンスがあると。何か少しやるととてつもない圧力の逆風が吹いて、なかなかならない。やはりエビデンスベースでこういう医療政策を決めるためにも、是非、お願いしたいという希望です。これはやはり国がやってくれという話ですか。

 

○国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所長(企画戦略室長)

 これは厚生労働科学研究費と私どもの開発費をうまく活用しながら、いわゆるレセプトデータを中心として分析をしたというものです。

 

○花井委員

 また是非、これからもお願いします。

 

○国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所長(企画戦略室長)

 こちらこそよろしくお願いします。

 

○内山部会長代理

 ほかによろしいでしょうか。

 

○国立精神・神経医療研究センタートランスレーショナル・メディカルセンター長

 先ほど福井委員からガイドラインで御質問がありましたので、追加させて頂きます。睡眠については記載がありましたが、出版がこの5月になっておりましたので、記載しておりませんが、神経学会、小児神経学会と、筋ジストロフィー研究班が協力して、筋ジストロフィーに対する診療ガイドラインを出版することができております。

 

○内山部会長代理

 ありがとうございました。続いてグループ4、評価項目1014について評価をいたします。所要時間はこれまでの各項目と同じです。それでは、法人から説明をお願いします。

 

○国立精神・神経医療研究センター企画経営部長

 企画経営部長の野村です。よろしくお願いします。項目1014について、引き続き資料1-2を使って御説明します。

24ページ、項目10です。効率的な業務運営体制等ということで、12と2つ大きく切り分けています。効率的な業務運営体制の構築では、特命事項を担う副院長の役割分担の見直しというのを1つ挙げました。昨年、特命副院長にいわゆる経営改善と臨床研究、その2つの部分をもっていただいたのですが、実効上、これには、臨床研究における経営改善と病床利用率の向上を考える経営には相反する部分があると。安全な臨床研究をやろうとすると、診療科としてはマンパワーをある程度集めるわけですので、患者数としてはできるだけ少なくなったほうがいいというような心理が当然のこととして働きます。一方で、経営改善で言えば、病床利用率等を最大効率的に運用するほうが当然のごとく効率は上がるということで、背反する所を一人に任せるのは苦しめるだけだろうということで、今回新たにそこを切り分けたということです。そうすることで、お互いに問題が起きている、あるいは、First In Humanでできるだけ安全にということを考えると、過剰に反応してしまうと、ややもすると入院患者をほとんどなくしてやればいいのではないかみたいな極論も出てくるということで、両者の考えを整理し最適化を図るということで、特命副院長をそれぞれ担当を分けたということです。その下の事務部門の見直しでは、いわゆる事務の後補充をしないということで、人件費を含めた改善を行っている。ここの下に給与計算の、いわゆる外部委託、アウトソーシングの準備ということが書かれていますが、平成26年度に契約を行い既に一部実行に移されています。

 2ガバナンスの強化等ですが、ここに書いてあるように、監事による施設長の面談、各リーダーと言われるところへの面談で、そこの意識なり何なり、今困っていることは何なのか、今どのようなことを部下、職員と共有し求めているのかみたいなことを監事、監査室も含めて行っています。下の、高度先駆的医療の推進で、医療安全の体制強化、医療安全のことではインシデントレポート、アクシデントレポート。インシデントレポートですと、当センター病院の場合、やはり大体200前後のレポートが毎月挙がってきます。報告ベースの内容が多岐にわたるので、同じ転倒でも、それが病室なのかトイレなのか廊下なのか、あるいはリハビリの場所なのかということで、それぞれの起こっている主因ごとに違ってきます。ですから、ただ転倒で何件ありましたというような報告ではデータとして蓄積されず分析もされない、対策もおざなりになってしまうということで、できるだけそういうデータをまともに細かく分析できるようにしようということで、医療安全管理室に非常勤1名を置いてそのデータ管理を今させています。それが、今言ったような内容で分析が進むと、アウトカムとして有効な防護策がまた生まれてくるであろうと考えています。

25ページ、評価項目11の効率化による収支改善と電子化の推進です。こちらでは、平成25年度の財務状況を左のほうに挙げました。下のほうですが、経常収支率98.4%、総収支率98.4%ということで、平成24年度は経常収支率が97.9%、総収支率が97.8%でしたので、若干ではありますが微増しています。右側のキャッシュ・フロー計算書ですが、下からの4番で、資金の増加額、いわゆるキャッシュの増加ですが、32,900万円キャッシュとしては増えています。

26ページ、経常収支の推移で表にまとめています。真ん中の太枠の所に平成25年度の決算額がありますが、経常収支ではマイナス22,000万円ということでマイナス経常。ここでは、経常収支率、こちらは、毎年ある程度確実に上がってきている、もう少しだというところを見ていただければと思います。今回、平成25年度が前年度より改善した理由、あるいは下回った理由を左右にそれぞれ整理しました。左の改善した主な要因は、やはり診療収入で、うち精神科救急入院料1、これは一般の三次救急、救命救急センターみたいなものです。精神科としての救急ではこれ以上のものはないというようなところを取っていると。それで収益は11,600万。

 先ほど、精神科の在院日数についてお話がありましたが、うちの精神科は4つの病棟があります。1つの病棟がスーパー救急と呼ばれるもの。残りは、その次のタイプのものなのですが、これは、施設基準上は全て40日を下回るというものです。ですから、4つ全てを合計して平均したとしても、平均在院日数は40日を下回っているという状況です。

 計画を下回った主な要因、右側です。やはり、大きな要因は入院の患者数を確保できなかったということで、実績としては399.3人ということでした。ちなみに平成24年度は404人でしたので、約5人前年度でマイナスだった。当センター病院は、11人当たりの診療点数が、入院ですと4,400点、5人累計で足らなかったということになると約8,000万円の減収、対前年度で入院患者数で8,000万円不足していたという状況です。目標が88.5%ですので、まだ3%ほど足りないのですが、この下回る要因というものは、各年度各シーズンによって違うのですが、大きく大体の傾向を見ると、感染対策であったり、医師の人事異動であったり、いわゆる大型の連休、あるいはハッピーマンデーの3連休、あるいは医学会の開催でその診療科が手薄になるとか、そういうことがばらつきの原因になっています。毎年いろいろな対策を打ってそれを手当てしてきているわけですが、今年度は、特に4月の大きな人事異動に対応したところに着眼をして、各診療科にお願いをし、そして今現在うまくいっています。5月の大型連休についても、コメディカルの検査、あるいはリハビリ、そういう診療日を増やして、医療サービスの質を継続しつつ患者数も確保するということで、4月から7月までで、累計1日平均患者数が410名ということで、病床利用率としては87.6%が現在進行形で推移しています。新院長になってセンター病院の職員の意識改革も進んでいることもあります。計画の病床利用率88.5%ももう一息というところまできました。

27ページ、ここでは医業収支の推移ということで、セグメントで医業収支を取り上げています。医業収支でみると、太枠の所ですが、平成25年度の決算では1.9%の黒で、黒字化できています。この医業収支の黒字化を最大化して安定化させ、そしてセンター全体の収支の改善を図りたいと思っています。その下、2の一般管理費です。数値目標も15%以上の縮減とありましたが、大きくしのぐ25.6%縮減をしています。

28ページ、材料費の縮減。これも、医療材料の在庫を院外在庫方式にしたのが昨年、平成24年度でした。今年度は、医薬品についても不必要な在庫を極力持たないように縮減を図っています。ということで、順次暫減しています。下の4医業未収金対策です。平成24年度に引き続き縮減を図っていて、安定して小さくなっています。

29ページ、収入の確保の主な取組です。先ほど申し上げた精神科救急入院料1、あるいは退院調整加算、こういうものを施設基準としては取っています。診療報酬のいわゆる審査減の査定率ですが、平成25年度においても0.3%の、通常医療機関が目指す0.3%をやっと下回ることができて、大体この辺で安定してきています。6下です、電子化の推進では、先ほどから出ている、いわゆるRemudyのその登録が、今度はインターネット経由でウェブで患者情報登録システムを稼働させたということで、30施設に上る、毎年1回内容を変えないといけないので、その人たちの労務の軽減を図って迅速な集計ができるようにしました。

30ページ、法令遵守等内部統制の適切な構築です。上段の内部監査の組織ですが、監査室と監査法人が連携して実地監査、また実地検査を行っています。内容については、右のコラムのほうに、たくさんありますが、実務に立って、現場に直接介入をし、そして現物を見ながら、ヒアリングをしながら行っているので、現場で起こっている問題とか考え方とかそういうことについても丁寧に実施されています。左に行くと、契約審査委員会、これは外部の有識者、弁護士の方にも入っていただき、事前Checkというものに重点を置いています。その次は契約業務です。これは一般競争入札を基本として行っていく。左のほうでは、その後、契約監視委員会で、結果はどうだということで事後Checkも働いています。右は内部統制です。関係監査法人とも連携して各種の監査を実施しています。下では、先ほどから利益相反、これは平成255月には既に、利益相反の申告を出させ、そして委員会が動いているということです。その下に、研究費の不正使用防止の体制ということで、ちょっと読ませていただきます。「財団法人から交付された研究費に関しても、規程を改正し、事務委任にすべき研究費に位置付け、説明会等で周知。発注後の納品を行う職員を専任の係とし、発注担当と納品検収担当を明確に分離」ということで、日本全国に3,000を超える財団等があります。小口の100万~200万円、あるいは300万円程度の研究費ですので、私的な財団ですので委任経理を行う間接経費というものは付いていません。ですから、100万や200万、そういったトライをしてそれがきたとしても、従前は、全部を全部委任経理で受けるというこちらの体制も整いませんでしたが、昨年から、うちは全部それを受けるのだと、要するに、研究費をもらう以上、研究者が個人通帳や何かで経理をするということは一切行わないということです。その代わり、そこの部分の経費は全部センターが負うことになるわけですが、そういう体制をとったということです。検収係というのは、通常、発注している人間が検収するのが普通なのですが、それについても、完全に分けろという方式が文科、あるいは厚労、そういう所で不正防止のガイドラインも出していますので、それを先んじてそういう体制をとったということです。

 項目1331ページでまとめています。「予算収支計画及び資金計画等」ということで、寄付及び受諾研究等の受入れ、いわゆる外部資金の獲得状況について表にまとめました。前年度に引き続き努力をしています。右の欄には、特に治験用のPET製剤を作るホットラボ、先ほども出ていましたが、GMP基準で適合させるようにこの工事を行い、いわゆる先行投資をここでは行っているということです。短期借入金、重要財産の処分等の計画はありません。

32ページ、評価項目14、人事その他の事項です。人事システムの最適化、これは独法以降できているわけですが、引き続き、この現状のシステムで良い人材を採っていって、ということになると思います。2点目は、良質な医療の提供、効率的な提供のための取組で、看護師確保で職場満足度調査の実施ということでこちらのほうを取り上げます。満足度調査を行った中には、本人の希望、どのようなことを考えている、どのようなことを思っているのか、みたいなところも看護部では吸い上げて、そういうものを自己満足の向上に役立てていき、あるいは、将来のスキルアップに役立てたりということで、結果としての離職防止を図っているということです。

33ページ、3アクションプランの実行。これはいわゆる年度計画ですので、企画経営部で取りまとめて、各部・室単位で意見を集約し、実行、ミッションを進めていくというわけですが、理事会、あるいは毎月のほかの管理診療会議等いろいろな所で進捗状況を報告し、理事長以下幹部にも情報を共有して指示を受け、月次決算を行っていますので、その状況の中で進めています。

 4分かりやすい国民目線の情報開示については、両者とも、先ほど情報発進の所で重複していますので割愛いたします。以上です。

 

○内山部会長代理

 ありがとうございました。委員の皆様は評定記入用紙の評価項目1014に評定結果及び評定理由の記入をお願いします。御質問等ありましたら適宜御発言をお願いします。

 

○三好委員

26ページ、経常収支の推移ですが、一応、平成25年度もマイナスで収支率98.4%。来年はどういう予定。今年も計画は100を超えていたのですが、来年も2億ぐらいのマイナスですから結構な額なので、見通しが取れるのかどうか。そうすると、もちろん来年度だけで中期全体がプラスになることは考えにくいのですが、いずれにしても、根本的に来年何かやる必要があるのではないかという気もするのですが、中期をずっとやられてきて、基本的にどこに気を付けなければならないとか、そういう構造的な問題があるのではないかという気もしなくもないのですが、その辺の感触だけ教えてください。

 

○国立精神・神経医療研究センター企画経営部長

 御質問ありがとうございます。26ページで、委員の御指摘のとおり100%になっていないと。その大きな理由として、先ほど申し上げたように、3億からの入院患者数の減があったというところと、下のほうには、いわゆる20%以上の電気料金の引上げであったり、ガス料金の引上げであったりということも当然のこととしてコストとして上がってきています。退職金についても、前年度約1億の増加ということもあり、そういう不測のこともあって22,000万の赤字となっています。

 一方、先ほど、今年の4月から7月までの間で実効上410人ということで、10人前年度ベースで今既に増加しているわけですが、点数的にいけば、これで10人がずっと行った場合には16,000万、単純にそこだけで上がるということです。費用についても、左のほうに、いわゆる一般の先ほどの経費率であり材料費でも随分縮減していますが、かなり大きなものについては、既に委託契約の中身から全部を見直して、今年度、大きく見直そうとしているのは保守料です。大型の保守というのは、先生方も御存じだと思いますが、大きな医療機器ですと年間1億とか2億とかいうのが出てきてしまいます。うちもMRIが、3テスラが3台あったり、ほかの機械も当然CTなどありますので、大きないわゆる保守絡みで考えると、年間でNCNP全体で5億、これを何とか10%、20%縮減できれば5,000万から1億ということを目標にして、今、調整をしているところです。ですから、経費については、正直申し上げて、かなりの部分をもう既にやり切っているので、これ以上経費を落とせるかというと、今、玉として考えているのがそういう保守についてもということです。

 ただ、一方で、その保守というのは、万一の場合には、保守のグレードを下げると突発的な大きな代償は、当然部品代とか大きな物について負担がいつ出るか分からないというようなリスクは当然のことである。ですから、経費については、うまくいってそこから下がっていくのが精一杯。収入については、やはり、医業収入をしっかりと上げて、先ほど、次の医業セグメントで挙げているように、101.9%、102%ですが、これを大体105%前後で安定をさせ、そしてその次には、それに合わせた、今度は贅肉とは言いません、余分な肉をどれだけ切っていくかということが求められていくのかとは思っています。少しお答えしづらい面もありますので、要は、しっかりとした安定した収入源を確保した上で、それでもなおかつ駄目だというのであれば、そこはもっとある程度削減をする場所を今度は考えなければいけませんねということだと思います。

 

○内山部会長代理

 ありがとうございました。今のお話ですと、病床稼動率が上がったということですね。その前提と言いますか、それがそのまま反映されるためには、診療報酬請求額の単価はほぼ同じであったということですか。

 

○国立精神・神経医療研究センター企画経営部長

 はい。

 

○内山部会長代理

 それから、平均在院日数もほぼ同じであるということでしょうか。

 

○国立精神・神経医療研究センター企画経営部長

 はい。うちの特性として、先ほど申し上げた精神の4つの病棟というのは、基本的に在院日数40日という縛りがあるので、それを延ばすという話になるのは有り得ないということです。一般のほうは障害者病棟が2つあるので、そこは基本的には在院日数は余り関係がないのですが、全体として短期の方も増えているので、病床を利用率は上げて、できるだけ短いほうが基本料金はやはり高くなるので、そちらのほうが有意義である。いわゆる、短期のレスパイトみたいなものを多く受入れ稼動実績を上げていくと基本点数が高いということです。

 

○藤川委員

 なかなか打つ手が難しいというのはよく分かるのですが、逆に、また設備投資のようなもので控えているものがないかどうかを少し教えていただきたいと思います。電力料はどこも皆さん上がって非常に苦労されていますので、これはもう差別化されない問題だと思います。

 それから、29ページで、Remudyですか、これをインターネット経由で登録できるようにしたと、利便性が非常に上がったというのはあると思うのですが、逆に、その下にも書いてあるセキュリティ面で気を付けている部分もあるのだと思いますが、その辺りの説明を少ししていただけると有り難いのでお願いします。

 

○国立精神・神経医療研究センター企画経営部長

 設備投資を先に私のほうで、よろしいですか。現状、設備投資の御質問です。財政等融資の借入の予定はありませんが、今、当センターとして動いているのは、いわゆる治験病棟の整備。治験病棟は、今、2南病棟で筋ジスを主に診ている病棟です。筋ジスというのは、大体そこで40床で、これは、その病棟について療養介護事業ということで事業体として40床を登録し、その中で筋ジスの患者たちを預かっていきますよというものです。残りの10床については一般病床そのままです。そこの一般病床10床の中を治験病棟化し、そして、臨床研究を行うような、いわゆるFirst In Humanも含めて、そこに集約化していこうという工事の入札を行っているのですが、なかなか業者が来ていない。予算の投資規模でいけば大体4,000万から5,000万ですが、昨今の予定価格の4,000万、5,000万というのが大体20%近くまで上がることがありますので、取りあえず今は大体5,000万ぐらいの投資を考えてあります。これも全部医業資金の今回の自己資金で考えています。

 もう1つ、来年度の頭に完成するであろうものとして、スペクトをもう1台増設を考えています。こちらについては、治験がスペクトを使った画像の治験を控えていることのバックヤードと言うか、その稼動の見込みが控えていますので、そのようなことも含めて強化をしていきたいということで、今、大きな建物に関するもの、医療機器に関するものについては以上それだけです。

 

○国立精神・神経医療研究センタートランスレーショナル・メディカルセンター長

 御質問がありました、患者登録制度をインターネットを用いて行うことに関してお答えさせて頂きます。インターネットを介する場合のメリットは、これまで筋ジスにおいて確立したシステムをプロトタイプとしてほかの疾患に応用できることにあります。逆に、デメリットとしては、個人情報をどのように管理するかということになります。その点に関しては、平成25年度の補正予算を頂いたので、有力な先端的企業と協力をして専用のソフトを開発しています。また、平成26年度の予算においては、優先的に患者登録制度を運用することを認めていただいたので、ソフトの運用に関しても個人情報の保護に気を付けて行っていきたいと考えています。これまでのところ、紙ベースでやっていた筋ジスの登録システムをインターネットに移すことを試行しています。

 

○祖父江委員

 特に研究所関係ですと、やはり外部資金をどんどん増やしていくのが非常に生命線になってくると思うのです。全体としては、受託研究費などを含めると微増だと思うのですが、外部資金が少し長期的に見ると余り増えていないのですが、この辺をどう、何か隠し球みたいなものがあって今後やれるのかどうかということと、その1つ横にPETGMP基準でいろいろメーカーを呼び込めそうだというお話が少し出ていますが、これがどのぐらい効果的な予想なのかというのをお聞かせ願えると有り難いと思います。

 

○国立・神経医療研究センター神経研究所長

 その外部資金の導入が、おっしゃるとおり非常に大事で、資料を多分添付していたと思うのです。比較的私どもは、厚労省以外に文科省、それから旧科学技術庁、そこら辺からの資金が入ってはきているのです。もともとかなりの獲得額をしていたものですから、それを更に増やすということは非常に難しい状況にあります。特に昨今、日本医療研究開発機構のほうに予算がまわされていったりということで獲得が難しかった状況にあります。ただ、本当に日本医療研究開発機構が動き始めて、トップダウン方式の研究が動くようになった暁には、重点研究課題にセンターが相当該当していますので、また外部資金をしっかり取っていけるのではないかという見込みを立てています。

 それから、PETGMP化のホットラボ、今現在、少し会社名は申し上げられないのですが、2社もう既に外国の企業が申込みをしていて、それだけでも年間大体16,000万ぐらいの、現実は実際どこまでいくのかは知らないのですが、そういった見積りは出してきていますので、それは期待をしています。

 

○祖父江委員

 多分、タウンイメージは社会的に非常に呼び込みができるのではないかと、今が時期だと思いますので、是非期待しております。

 

○国立・神経医療研究センター神経研究所長

 おっしゃるとおりで、もう1社来ています。

 

○内山部会長代理

 ほかにございませんでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、以上で、国立精神・神経医療研究センターに係る個別評価は終了です。本日の議事は以上となります。事務局から、今後の流れと次回の開催等について連絡をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 それでは、今後の流れについて御説明します。評定記入用紙の全ての項目に評定等の記入が終わっている場合は、部会終了後に回収しますので、机上に置いたままお帰りください。また、記入が終わっていない場合については、冒頭申し上げたとおり、評定記入用紙をお持ち帰りいただいて評価いただくか、あるいは、本日メールのほうで評定記入用紙の電子媒体をお送りいたしますので、そちらに御記入の上、811日、月曜日までに事務局のほうに提出をお願いします。

 次に、次回の開催予定です。次回は821日水曜日、14時~、場所は厚生労働省6階の専用第23会議室です。議題は、「国立がん研究センター、国立精神・神経医療研究センター、国立長寿医療研究センター、国立生育医療研究センターの4法人に係る平成25年度の業務実績に係る総合評価、中期目標期間の暫定評価、平成25年の財務諸表の承認等について」審議を行う予定としています。

 最後に、本日配布した資料の送付を希望する場合については、事務局から郵送しますので、机上に置いたままお帰りいただきますようお願いします。事務局からは以上です。

 

○内山部会長代理

 それでは、本日は以上とさせていただきます。長時間にわたり熱心な御審議を頂きありがとうございました。


(了)

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