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2014年8月21日 独立行政法人評価委員会調査研究部会(第68回) 議事録

政策統括官付政策評価官室

○日時

平成26年8月21日(木)9:43~12:32


○場所

厚生労働省専用第23会議室(6階)


○出席者

酒井部会長、金倉部会長代理、定本委員、清水委員、田宮委員、中村委員、丸山委員

○議事

(以下、議事録)

○酒井部会長

 定刻になりましたので、ただいまから第68回厚生労働省独立行政法人評価委員会調査研究部会を開催いたします。委員の皆様方、大変暑い中、またお忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。

 本日は、馬場委員が御欠席です。今日は議題がたくさんありますので、要領良く、いつものように成果が上がる形で進めたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは本日の議事について、事務局から御説明ください。

 

○政策評価官室長補佐

 本日の議事について御説明いたします。本日の議事は、お手元の議事次第のとおり、本部会3法人の平成25年度財務諸表の承認、本部会3法人の平成25年度業務実績に係る総合評価、国立健康・栄養研究所、医薬基盤研究所の中期目標期間の業務実績評価(暫定評価)及び組織・業務全般の見直し(当初案)などを行うこととしております。

 まず、それぞれの内容について簡単にご説明させていただきますと、「財務諸表の承認」については、通則法第38条の規定に基づくものであり、独立行政法人の毎事業年度の財務諸表の主務大臣による承認に際して、通則法第38条第3項の規定により、あらかじめ評価委員会の御意見を賜るものです。後ほど、本部会の財務担当委員の清水委員から、事前に実施しております法人へのヒアリング結果等を御報告いただき、それを踏まえ御意見を賜ります。

 続いて、平成25年度業務実績に係る「総合評価」についてです。こちらは、前回の個別評価において、委員の皆様方に御記入いただいた評定及び評定理由を踏まえまして、起草委員に起草いただいた評価書()について、御審議いただくこととしております。なお、委員の皆様に御記入いただいた評定及び本部会の評定については、本日、「評価結果集計表」という資料で整理させていただき、お手元に配布しておりますので、適宜、御参照いただければと思います。

 次に「暫定評価」についてです。こちらは、後ほど御説明させていただく中期目標期間終了時における「組織・業務全般の見直し」や「次期中期目標等の策定」に評価結果を反映させることを目的として、本年度が中期目標期間の最終年度に当たる法人の平成22年度から平成25年度までの業務実績について評価を行うものです。

 最後に、「組織・業務全般の見直し当初案」についてです。こちらは通則法第35条の規定を根拠とし、平成1581日に閣議決定された「中期目標期間終了時における独立行政法人の組織・業務全般の見直しについて」に基づき行うものでありまして、通則法第35条では、中期目標期間の終了時において、法人の業務を継続させる必要性、組織の在り方その他その組織及び業務の全般にわたる検討を主務大臣が行い、その結果に基づき所要の措置を講じるものとされており、主務大臣が当該検討を行うに当たっては、通則法第35条第2項の規定により、あらかじめ評価委員会の意見を聴かなければならないとされておりますので、本日、組織・業務全般の見直しに係る当初案について本部会の御意見を賜ることとしています。

 なお、暫定評価、組織・業務全般の見直し当初案につきましては、本部会での御議論を踏まえ、今月26日開催予定の委員会総会の決議をもって最終的に決定される事項となっています。このほかに、「役員の退職金に係る業務勘案率の決定」についても、本日、御審議いただくこととしています。事務局からは以上です。

 

○酒井部会長

 今日はいろいろありますので、早速、議事に入ります。よろしくお願いいたします。

 はじめに、労働安全衛生総合研究所の平成25年度財務諸表について審議いたします。財務担当の清水委員から御報告をお願いします。

 

○清水委員

 先日、個別に財務内容についてお伺いし、提出された計算書類について私のほうでレビューさせていただきました。その結果について、簡単にコメントを差し上げたいと思いますのでよろしくお願いします。

 まず、全体的な姿ですが、利益の計上は平成25年度1,500万円でした。この内容は前年度の1,900万円とほぼ同様の金額で、問題ないと判断しました。経費の節減についてですが、平成22年度を基準として、中期目標期間の数値目標を一般管理費はマイナス15%、事業費はマイナス5%としていますが、この目標に対して一般管理費は既に25.9%の削減が行われており、事業費についてもマイナス8%となっており、目標は達成されている状況です。人件費については毎年度1%以上の削減目標を掲げております。これは予算に対し毎年1%を削減するという目標ですが、この目標もクリアしています。ただ、実績ベースで見ると、人件費は前年度よりも若干上がっているという結果になっていますので、この点については、今後、人件費が抑制されるように御留意いただきたいと考え、コメントいたしました。

 研究費については、目標として外部研究資金の確保を大きな目標に掲げています。これについては、3分の1を外部資金によって確保することを目標にしているわけですが、今年度は18.7%で、前年度を見ると前年度も18.6%で、ほぼ同等の割合の外部資金の獲得ができていますけれども、目標に対しては到達していないということです。外部資金を獲得するというのは諸々の外部の事情もありますので、そう簡単なことではないと思いますが、今後、目標に向かって努力していただければと思っております。

 ラスパイレス指数は、研究員については92、事務・技術職については100.6で問題はないと考えておりますが、事務・技術職については100を少しだけ超えているということで、今後上がっていかないように御努力、御配慮いただければと思います。

 財務内容の前提とすべき運営管理の状況、内部統制の状況につきましては、監事からの特別な指摘事項はありません。内部統制も良好に作用して、適正に作られた決算書であると理解しています。以上、私からのコメントです。

 

○酒井部会長

 どうもありがとうございます。委員の皆様、ただいま御報告いただいた財務諸表について、御意見、御質問等がありましたらお願いします。よろしいでしょうか。

 ありがとうございます。それでは、修正意見はないようですので、労働安全衛生総合研究所の平成25年度財務諸表については、今、清水委員から御報告があった資料1-1の意見書()のとおり、本部会として了承したいと思います。

 それでは、次の議題の労働安全衛生総合研究所の総合評価について審議いたします。この件については、起草委員を代表して私から報告いたします。よろしくお願いします。

 資料1-3を御覧ください。ここに平成25年度の業務実績の評価結果をまとめてあります。構成を見ていただれければお分かりのように、「1.平成25年度業務実績について」として、(1)評価の視点、(2)平成25年度業務実績全般の評価、2ページの下段以降に「2.具体的な評価内容」を記載しました。ただ、時間がありませんので、2ページ以降の具体的な評価内容については説明は割愛させていただき、1ページの真ん中以降にある全般の評価の説明を聞いていただきながら、個別内容についても確認いただければと思います。

 まず、先ほど配られた別添の10「独立行政法人労働安全衛生総合研究所の個別項目の評価結果」を見ていただくと、評価結果の4番の「労働安全衛生に関する法令、国内外の基準制定・改定への科学技術的貢献」、6番の「インターネット等による研究成果情報の発信」、9番の「労働災害の原因の調査等の実施」、12番の「研究協力の促進」、この4項目について「S」評価になっています。大変すばらしい、この辺のところが今現在安衛研の皆さんが非常に力を入れ、かつ実績の挙がっているところだと思います。それと、「B」評価は私の個人的な見解では決して悪い評価だとは思っていませんが、今、清水委員から報告があったとおり、15番の「運営費交付金以外の収入の確保」の所の「B」が少し個人的には気になっています。それは先ほど清水委員の御報告のとおりだと思っています。

 安衛研にとっては、今年度の平成25年度は第2期中期目標期間の3年目に当たります。中期目標の折り返し地点となる平成25年度の評価に当たっては、私たち評価委員としては4点ほど気を使ったつもりです。1点目は、旧産業安全研究所と旧産業医学総合研究所の統合効果の発揮を通じた業務の質の向上が、これまでと比べて格段の前進があるかどうか。2点目として、安衛研のミッションからして、労働現場のニーズ、行政の政策課題を踏まえた重点的な研究実施が順調に進んでいるかどうか。3点目として、これは清水委員から既に御報告がありましたが、業務運営の効率化、財務内容の改善がどうかということ。そして、御案内のように、労働者健康福祉機構との統合が既にスケジュールに上がっているので、年度評価とは直接関係しませんが、より意味のある統合になっていただきたいという評価委員たちの思いで、若干その辺についても意見を述べさせていただきました。

 先ほど申し上げたとおり、中身的にはこの資料1-3がそのまま外に出ますので、「てにをは」を含めて委員の皆様たちには見ていただきたいわけです。1ページの真ん中から2ページにかけてのことを少し掻い摘んで御説明いたします。研究業務の実施については、研究員自らによる現場への訪問や、これまで関係が希薄であった第三次産業関係の団体とも新たに情報交換を始められるということで、多面的なニーズの把握と業務への反映に努められ、内部・外部の研究評価を通じ的確な目標設定をすることによって、制度改正やガイドラインの見直しに直結する研究成果を挙げていることは非常に高く評価できると考えています。この辺のところが「S」評価にもつながっていると思います。平成25年度に、典型的には介護労働分野の研究に見られるように、産業安全のアプローチと労働衛生のアプローチの統合効果を意図したプロジェクト研究が実際に成果を挙げているので、こういうことを今後のプロジェクト研究の更なる推進として期待したいと思っています。また、その研究成果については、インターネット等により発信するとともに、国際学術誌「Industrial Health」は、確かここで評価をさせていただいたときは暫定で0.8ということでしたが、その後1.045という高いインパクトファクターが与えられています。これは大変すばらしいことだと思っています。そのほか、和文学術誌「労働安全衛生研究」などの掲載論文を研究所ホームページに掲載するなどにより、目標を大幅に上回る水準のアクセス件数を得ています。これも非常に評価が高いところに当たります。

 次に、安衛研の特徴のある研究ですが、厚生労働省からの依頼に基づき実施している労働災害の原因調査、これは毎年非常に評価が高いところですが、平成25年度においても幾多の労働災害の原因調査を行っていて、特に、大変痛ましい事故でしたが、岡山県倉敷市の海底トンネルの崩壊水没災害を始めとして、行政ニーズに応じて年間17件実施するとともに、災害調査等の報告書の大多数が労働基準監督署等において再発防止のための指導や送検・公判維持のための資料として活用されていることは、高く評価できると思います。また、単に行政ニーズに応えているだけではなく、労働災害調査をすることによって、安衛研の技術的な進歩であるとか、研究的な意味合いもあることが、その後の調査で私たちの所に送っていただいます。その辺の中身については3ページに具体的に記述していますので、後で御確認いただけたらと思います。

 業務の実施体制については、理事長のリーダーシップの下に、清瀬・登戸両地区が一体となって業務を推進していることは、いろいろなエビデンスで私たちに示していただいたと思います。機動的かつ効率的な業務運営体制の確立が図られるとともに、随意契約の見直し等に取り組み、目標を大幅に上回る経費節減を達成したと思います。運営費交付金以外の収入の確保については、件数、合計金額ともに前年度と同じような実績を上げられて努力の跡はよく分かりますが、数値目標の達成には至っていませんので、是非、今後とも外部研究資金の獲得額の向上に向けて、より一層積極的に取り組むことを期待いたします。このことは、単に外部資金を獲得してくれというだけの意味合いではなく、プロジェクト研究であるとか、特に基盤研究を、どういうリソースで効率的に実践するかの戦略として考えていただき実績を上げることが重要なのではないかと思います。

 これらを踏まえると、平成25年度の業務実績については、大幅な経費削減を図りつつ、効率的な業務運営体制の確立を行い、労働現場や行政のニーズを把握した上で労働安全衛生施策に直結する質の高い研究を実施し、その成果を普及するためインターネット等を経由して情報発信し、また、労働災害の原因の調査等の実施に高い実績を上げて多くの社会的貢献を行ったと評価できるのではないかと思います。これは、研究所の目的である「職場における労働者の安全及び健康の確保」に資するものであって、高い水準で業務を実施したものと評価できると考えています。

 今後のことですが、国内の事業場労使やメーカー、関係諸団体等による安全衛生活動の推進に資する調査研究等の業務を引き続き実施するとともに、労働者健康福祉機構との統合に向けて、やはり安衛研は我が国における労働安全衛生行政の国際戦略上大変重要な役割を占めていると考え、特に、労働安全衛生領域のナショナルセンターとして戦略的な業務運営に積極的に努めることによって、一層今後も存在感のある研究所として継続的な活動を続けられることを期待しているものです。このことを付け加えて、総合評価の報告とさせていただきます。

 委員の皆様方から御意見なり補足がありましたらお願いします。いかがでしょうか。特に起草委員である中村委員、田宮委員、いかがですか。

 

○中村委員

 非常によくまとめられていると思っております。

 

○酒井部会長

 ありがとうございます。

 

○田宮委員

 統合については、酒井先生のメッセージどおりに是非頑張っていただきたいと思っています。

 

○酒井部会長

 よろしいでしょうか。ありがとうございます。

 修正意見がないようですので、労働安全衛生総合研究所の評価について、本部会として決定させていただきます。今後、もし誤字脱字や事実誤認などにより修正が必要な場合には、私に御一任いただければと思います。

 それでは、続いて、役員の退職がありましたので、退職役員の在任期間中の職務等について、法人から御説明いただきます。よろしくお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 恐縮ですが、まず事務局から導入部分を御説明した上で、法人から詳細を御説明いただければと思います。

 まず、独立行政法人の役員の退職金について御説明します。参考資料11518ページにある別添9と別添10も併せて御参照ください。独立行政法人の役員の退職金については、平成151219日に閣議決定された「独立行政法人、特殊法人及び認可法人の役員の退職金について」により、在職期間に応じて算出した額に、独立行政法人評価委員会が0.0から2.0の範囲内で業績に応じて決定する「業績勘案率」を乗じた金額とされています。

 本日は、本年331日付けで退職した労働安全衛生総合研究所の役員1名に係る業績勘案率について、法人から本委員会委員長宛てに算定の依頼がなされたため、本委員会で平成16330日に決定した「独立行政法人の役員の退職金に係る業績勘案率の決定方法について」に基づき、事務局が業績勘案率案を試算しましたので、その試算結果について御審議いただくこととしています。

 なお、本日決定した業績勘案率については、後日、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会に通知し、同委員会から意見が附され、再審議が必要な場合には、本部会において改めて御審議いただくこととなり、意見がない又は意見が附されたものの再審議が必要ないと認められる場合には、事務局から部会長に報告し、最終決定させていただく流れとなります。

 また、本議題の配布資料1-5については、参考資料119ページの別添11にあるとおり、厚生労働省独立行政法人評価委員会の会議の公開に関する規程の第2条第1号の規定に該当するため非公開としていますので、机上に配布している資料のうち、退職金見込額等の個人情報については御発言いただかないようお願いします。また、委員限り資料については、本部会終了後に回収しますので、持ち帰らずに机上にそのままにして御退席いただくようお願いします。

 それでは、試算した業績勘案率案について、資料1-5に沿って御説明します。役員の退職金に係る業績勘案率は、先ほど御説明した評価委員会として定めた方法に従い計算を進めていきます。前田理事長については、理事としての在職期間が平成2041日から平成21331日まで、理事長としての在職期間が平成2141日から平成26331日までの合計72か月となります。平成20年度から平成25年度までの6年間の年度評価の結果について、各年度の夏の評価委員会で委員の皆様方に付けていただいた「SABCD」の評価を数値化し、まずはその平均を取ります。評価の数値化については、参考資料1の別添1016ページの表1にあるように、「S」は2.0、「A」は1.5、「B」は1.0に換算して平均値を出していきます。その結果については、資料1-5の別添2のとおりとなっています。さらに、参考資料の16ページの表2にあるように、この平均値が1.5以上の場合は1.50.511.49の場合は1.00.5以下の場合は0.5という数値に置き換えます。今回の場合は、資料1-52.の表のとおり平成20年度が1.48、平成21年度が1.44、平成22年度が1.56、平成23年度が1.45、平成24年度が1.50、平成25年度が1.53となっていますので、平成20年度、21年度、23年度の3年度は1.0という数値に置き換え、平成22年度、24年度、25年度の3年度は1.5という数値に置き換えます。これらに各年度の在籍月数を掛けて、資料1-52.(2)にある計算式のとおり、在職期間72か月分の加重平均を算出した結果、業績勘案率は1.3となります。

 続いて、役員の在職期間における目的積立金の状況と、退職役員に係る職責事項について勘案します。今回の場合は目的積立金は積んでおらず、また職責事項についても法人からは特に申出はありませんでしたので、過去の厚生労働省の所管法人の業績勘案率の実績と比較考慮して、最終的には業績勘案率案を1.0と試算しています。事務局からは以上です。

 続いて、退職役員の在任期間中の担当職務等について、法人から説明をお願いします。

 

○労働安全衛生総合研究所総務部長

 前理事長の前田の略歴を御紹介します。前田は、昭和48年に労働省の産業安全研究所に採用され、産業安全分野の研究に携わってきました。平成154月には機械システム安全研究グループの担当部長、また平成184月には電気安全研究グループの担当部長を経て、平成20年に研究担当の理事として就任し、理事長の補佐をするとともに研究業務全般を牽引してきました。平成214月には理事長に就任して、前中期計画期間中の2年間、それから本中期計画期間中の3年間、計5年間理事長を勤め上げ、研究業務の推進に努力してきまして、本年3月に退職しました。略歴は以上です。

 

○酒井部会長

 ありがとうございます。それでは、ただいま御説明がありました役員の退職金に係る業績勘案率について、御意見、御質問がございますでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、修正意見はないようですので、申請があった役員の退職金に係る業績勘案率については、原案どおり決めさせていただきます。

 それでは、労働安全衛生総合研究所の審議は以上となりますが、最後に理事長から一言頂ければと思います。

 

○労働安全衛生総合研究所理事長

 この度は、私どもの研究所の平成25年度の財務諸表及び業務実績に関して丁寧に御審議いただきまして、誠にありがとうございます。特に、私どものミッションに基づく活動に関しては高く評価していただき、本当にうれしく思っています。ただし、ナショナルセンターとして戦略的な業務運営に努めるということ、それから、研究資金の3分の1以上を外部研究資金によって獲得するという重い課題も頂いています。ただ、先ほど酒井部会長からも非常に示唆に富む御意見も頂いていますので、本日決定した意見書及び評価書を、研究所を更に強化発展させるための指針として活用していきたいと考えています。本当にどうもありがとうございました。

 

○酒井部会長

 ありがとうございました。それでは、法人及び法人所管課の入替えで5分ほど時間を取らせていただきます。

(法人及び法人所管課入替え)

 

○酒井部会長

 それでは、国立健康・栄養研究所の平成25年度財務諸表について審議いたします。財務担当の清水委員から御報告をお願いいたします。

 

○清水委員

 財務担当をしております清水です。先日、別途日程を設けて財務内容について御意見を伺い、私のほうで更に財務書類についてレビューした結果を、簡単にコメントしたいと思います。

 全体の姿は、当期の総利益については8,900万円を計上しております。この8,900万円の中身は、人件費の運営費交付金に係る収益化を期間進行により実施している結果、収益による計上額と実際の人件費との差額が約6,500万円生じており、8,900万円のうちのかなり大きな金額が期間進行基準による収益化により生じたもので、利益については、全体として効率的な運営を行った結果と判断し、問題ないものと考えています。

 個別の中身についてです。経費節減の努力については、中期目標期間の目標値として、平成22年度を基準とし、一般管理費10%以上、業務経費5%以上、人件費について5%以上の削減を目標として掲げています。実績を見ていくと、一般管理費については88.4%で10%以上の削減が達成され、業務経費については75.5%という相当大きな削減となっており、人件費についても80.9%で、3つの費用項目について全て目標を達成していると評価しています。

 次に、ラスパイレス指数は97.4であり、これについても問題のない水準と考えています。

 共同・受託研究については平成24年度の23件、5,2881,000円に対して、平成25年度は30件、7,1585,000円と増加し、外部資金の獲得も9,9666,000円で、研究資金の中で占めるウエイトが54.39%となっており、目標としている50%を達成しています。

 したがいまして、財務の内容については、特に問題はないものと考えています。財務の数字をまとめるに当たり、内部統制がどうかという視点についてもお話を伺い、監事の評価も伺って、特に問題がないということでしたので、財務の内容については、適正であると判断しました。

 

○酒井部会長

 ありがとうございました。ただいま御報告いただいた平成25年度の財務諸表について、御意見、御質問はございますか。

 ありがとうございます。それでは修正意見がないようなので、国立健康・栄養研究所の平成25年度財務諸表については、資料2-1の意見書()のとおり、本部会として了承したいと思います。

 続いて、総合評価について審議します。起草委員を代表して定本委員から評価書()について御報告をお願いします。

 

○定本委員

 国立健康・栄養研究所の平成25年度業務実績の評価概要について、ポイントを絞り御報告申し上げます。お手元の資料2-3の平成25年度の業務実績の評価結果()を御覧ください。

 最初に、平成25年度業務実績全般の評価です。当該研究所は、国民の健康の保持及び増進に関する調査研究並びに国民の栄養その他国民の食生活に関する調査及び研究を行うことにより、公衆衛生の向上及び増進を図ることを目的にしています。平成25年度は第3期中期目標期間の3年目で、順調に年度計画を達成しており、また研究所の目的に資する活動を進めていると認められます。調査研究に関する事項、法律に基づく業務、社会・行政ニーズ、国際協力等に関する事項、情報発信の推進に関する事項、業務運営の改善及び効率化に関する事項等について、それぞれの業務を適正に達成していると認められます。

 続いて各事項についてです。調査研究は、各研究部・センターが相互に連携しながら、生活習慣病予防対策、国民の健康づくり施策に科学的根拠を提供するための研究を重点的に行い、大きな成果を出していると評価できます。身体活動量、運動量、体力の基準の妥当性の検討のための大規模介入研究、運動と食事の併用効果に関する知見、全ゲノム関連解析による新規の遺伝子の探索や関連遺伝子の機能解明など、生活習慣病における遺伝・環境リスクの相互作用の解明に資する研究において成果を挙げていると評価できます。

 また、国民健康・栄養調査のデータを活用した研究によって、加齢とともに増加する貧血の頻度は、男女別にそのリスクを低下させられることを明らかにしたことなども評価できます。さらに、「健康食品」を対象とした食品成分の有効性評価及び健康影響評価に関する調査研究では着実にエビデンスを蓄積しており、また医薬品の併用による相互作用の研究など優れた基礎研究の成果が出ていて、社会的ニーズに応える成果と評価できます。今後も引き続きこれらの研究の進捗と展開に大いに期待いたします。

 続いて、法律に基づく業務や国際協力等についてです。健康増進法に基づく国民健康・栄養調査については、客対数が前年度の4倍にもかかわらず正確かつ効率的に行われたこと、研究成果の公表については、原著論文数や論文引用度等において数値目標を達成していること、国際協力については、WHO協力センターに正式に承認されたこと、情報発信についてはホームページへの年間アクセス件数、健康食品の安全性・有効性情報へのアクセス数、ともに目標を大幅に超える成果を収めたことは、高く評価できます。今後も、国際協力における活動や正確なデータに基づく効果的な情報発信に期待しております。

 業務運営の改善及び効率化に関しては、重点業務に対応した人員配置などや民間企業や大学等との人材交流に積極的に取り組まれており評価できます。業務運営の効率化に向けて中期計画の各経費の削減目標を既に達成していること、また財務内容の改善においては外部資金による研究費の導入や共同・受託研究及び寄付研究が目標値を上回る実績を達成していることは、高く評価できます。しかしながら、今後は、経費削減等により、調査・研究の質の低下が起きないよう配慮した業務運営をお願いしたいと思います。

 以上のように、国立健康・栄養研究所の平成25年度の業務実績は、中期目標に基づく年度計画を達成し、研究所の目的に沿った業務を適正に実施したと評価いたします。最後に、当該研究所の調査研究は、国民の健康に密接に結び付くものであり、国民の期待も大きいので、今後も引き続き正確かつスピード感のある取組を望み、平成25年度の業務実績の評価結果に係る報告といたします。以上です。よろしくお願いいたします。

 

○酒井部会長

 ありがとうございます。それでは、ただいま御報告いただいた評価書()について、御意見、御質問をお願いいたします。

 

○中村委員

 全体的な評価については、依存はありません。ただ、表現で、1ページの(2)2番目の段落に「第3期中期計画においては」とありますが、「おいては」という表現は、「この計画に対してこういったことを述べています」ということが予想されるわけです。しかし、その後の表現は、計画に対してどうであったということですので、適切な表現にしたほうが良いと思います。例えば「計画に対しては云々」となれば、文章のつながりがいいいと思います。御検討ください。

 もう1点ですが、集計表等も含めて「S」ないし「A」が多いのですから、我々としては高く評価していると思います。しかし、3ページで「ただし、以下の点について留意し、今後のさらなる改善と効率化を期待する」との記述があります。ここの表現ですが、評価に対して何か不足で改善あるいは効率化が必要だと言っているのでしょうか。集計表を見た上でこの文章を読むのならば問題は生じないでしょうが、そうではなく、単にこの文章だけ見ると、1234については不足なので改善するべきだと取られかねないと思います。この辺は少し検討していただければと思います。

 

○酒井部会長

 定本委員、若しくは起草委員の皆さん、いかがでしょうか。

 

○定本委員

 委員長と御相談しながら、少し訂正して分かりやすくするという方向で取りまとめさせていただくことでお願いしたいと思います。

 

○中村委員

 前提に、集計表が非常に高い水準にあるので、十分だとした上で、「更なる発展のために」ということでしたら了解しますが、この文章だけですと何か不足があると取られかねないので、そうではないということが伝わるようにお願いしたいと思います。

 

○定本委員

 マイナスイメージではないような形で。

 

○中村委員

 はい、そうですね。よろしくお願いします。

 

○定本委員

 はい、承知いたしました。

 

○酒井部会長

 御指摘の1つ目の「中期計画においては」という表現ではなく「対しては」というところは、中村委員の御指摘でよろしいと思います。

 

○中村委員

 はい。

 

○酒井部会長

 実は3ページの所を事前に読んだときに、評価そのものと、委員の個別の意見が評価表に書かれていますが、そういうものを見て取ってこのように書かれたのかと勝手に思っておりました。

 

○定本委員

 そのとおりです。

 

○酒井部会長

 そうなのですね。そういう趣旨だということで、評価として何か問題があるということではなく、より発展的に、こういう意見があり、それを取りまとめてこのようにしていただいたというように。

 

○中村委員

 そうですね。取りまとめとしては全て高い水準であると評価は得ている、更なる発展のためにこのような意見があったという形でまとめていただければ、前向きになると思います。

 

○酒井部会長

 そういう趣旨で、起草委員の皆さんと少し相談させていただくことでよろしいですか。ほかにいかがですか。よろしいでしょうか。そのようなことで、今、中村委員から要望が出ましたが、そのような点も配慮しながら確定させていただきたいと思います。この後のところは起草委員の先生方と私との間で決めるということで御了解ください。この評価書()については、まとまったと理解させていただきたいと思います。

 次の議題に入ります。次は、先ほど前段のところで評価室長補佐から説明があったとおり、中期目標期間の業務実績、いわゆる暫定評価について審議いたします。最初に法人から御説明いただき、その後、定本委員から起草していただいた暫定評価書()について御報告いただき、その後に質疑応答をしたいと思います。それでは、法人から御説明お願いします。

 

○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹

 研究企画評価主幹の清水です。よろしくお願いします。お手元の資料2-5に暫定評価シートの説明用の資料があります。これは暫定評価シートにシェーマを加えて簡単に記したものです。これに従い説明をします。

1ページの下は当研究所の「事業概要」を示しています。研究に関しては、重点調査研究3課題が中期目標の中で定められています。その下の健康増進法に基づく業務としては、国民健康・栄養調査の集計業務と特別用途食品等の表示許可等に係る試験業務があります。その他、国際協力・産学連携、情報発信、栄養情報担当者(NR)制度があります。以上が当研究所の事業概要です。

2ページです。評価項目に従い簡単に申し上げます。評価項目1「生活習慣病予防のための運動と食事の併用効果に関する研究」です。3つの重点調査研究の1点目です。主な研究実績として5点挙げています。中期目標期間中の2013年に身体活動基準と、指針の改定が行われましたが、策定に向け文献をレビューし、基準で示された身体活動量などの妥当性を評価するために大規模介入試験を継続的に実施しています。追跡により、身体活動介入による運動継続の効果や腰痛有訴率の低下、また、横断調査により身体活動及び食事摂取基準と腹囲の関係などを明らかにしています。

3ページです。二重標識水法及びヒューマンカロリメーターによりエネルギー必要量の推定を行っています。生活習慣病発症の遺伝、環境リスクの相互作用の解明としては、全ゲノム関連解析により2型糖尿病関連遺伝子を発見しています。

4ページです。生活習慣病のテーラーメード予防法の開発に資する科学的根拠の提示としては、糖尿病関連遺伝子であるIRS-1IRS-2Tcf7l2について、糖尿病発症における機序をモデル動物で解明しました。

4ページの下からは重点項目の2点目で、評価項目2「日本人の食生活の多様化と健康への影響、及び食生活の改善施策に関する栄養疫学的研究」です。5ページにあるように、食事摂取基準2015年版の策定へ向けての取組として、系統的レビューや日本人で不足しているエビデンス創出のため、国民健康・栄養調査の複数年データを用いての再解析を実施しています。また、食事摂取基準2010年版について英文概要のホームページ公開などを行っています。

6ページです。国民健康・栄養調査に関しては、「健康日本21」の最終評価のための解析や、国民健康・栄養調査の活用に関する技術的支援、プール解析などを行ってきました。

6ページの下から評価項目3「「健康食品」を対象とした食品成分の有効性評価及び健康影響評価に関する調査研究」で、重点項目3点目です。機能性を有する食品の有用性と安全性の評価として、疾病モデル動物において健康食品素材であるレスペラトロールの評価や医薬品との相互作用の検討などを行ってきています。また、食品に含まれる微量栄養素の生理機能の評価や抗酸化物質の健康影響評価についても行っています。

8ページです。当研究所がホームページで公開している健康食品の安全性・有効性に関するデータベースへのアクセス件数を示していますが、現在、年間511万件、1日当たり14,000件のアクセス件数となっています。

8ページの下は、評価項目4「研究所の研究能力の向上及び食育推進のための調査研究」です。研究能力の向上として、若手育成型の科学研究費補助金や外部資金の獲得に努めています。食育については、毎年、食育推進全国大会に参加し、展示やアンケート調査などを行っています。

9ページです。評価項目5「論文、学会発表等の促進」です。論文、学会発表については、中期目標期間内に400本の論文、1,000回の口頭発表を目標としていますが、累積で論文316報、口頭発表598回となっています。論文については、おおむね今年度で目標の400件程度になると思われますし口頭発表はおおむね年間200件の実績となっています。

 下は、評価項目6です。講演会の開催、オープンハウスに関してですが、一般公開セミナーは天候が悪いときも含めて多くの御参加をいただいています。オープンハウスについても昨年は400名以上の御参加をいただきました。

10ページは評価項目7で研究実施体制等の整備です。法律に基づく業務や重点調査研究の担当部門に重点的な配置を行い、効率的な研究・業務の実施を図っています。連携大学院については現在10大学まで増えています。

10ページの下からは評価項目8「健康増進法に基づく業務に関する事項を達成するための措置」です。これには国民健康・栄養調査の集計業務と分析業務があります。国民健康・栄養調査については、セミナー開催、調査ソフトの改訂を行い、確実かつ効率的な集計報告に努めているところです。分析試験については、特別用途食品等の表示許可等に係る分析試験の結果を2か月以内に報告しています。また、分析精度や分析法の改良にも取り組んでいます。

12ページの評価項目9は、社会・行政ニーズへの対応です。関連団体等と毎年意見交換を実施し、ニーズの把握に努めています。

 評価項目10です。国際協力、産学連携については、これまでWHO指定研究協力センターの認定に向け取り組んできましたが、本年3月に「栄養と身体活動に関するWHO協力センター」として正式に認定されました。

13ページの評価項目11は、栄養情報担当者(NR)制度についてです。栄養情報担当者は累計で5,675名が認定されています。同制度については、平成277月までに一般社団法人日本臨床栄養協会への移管を完了することになっており移籍を進めているところです。有資格者が不利益等を被らないよう配慮しつつ、移管完了に向け着実に取り組んでいきたいと考えています。

14ページの評価項目12の情報発信の推進については、ホームページの見直しを行い、デザインを新しくするとともに、情報環境の変化を考慮してFacebookTwitterなどによる情報発信を開始しました。ホームページアクセス件数の目標は300万件程度ですが、400万件を超えるまでになりました。研究所の活動内容や成果を紹介する「健康・栄養ニュース」の配信希望者も年を追って増加しています。

 評価項目13の運営体制の改善に関しては、「幹部会議」や「運営会議」により意思決定や情報共有を図るとともに、研究部門については、研究企画委員会を開催し部門連携や企画・立案を行うとともに、セミナーを開催して研究成果の相互理解を図っています。

15ページの評価項目14は、研究・業務組織の最適化です。「WHO-CC推進プロジェクトチーム」や「震災被災者健康・栄養プロジェクトチーム」といった組織の設定、また、必要に応じた研究室の再構成や強化を図っています。

 評価項目15です。職員の人事の適正化については、公募による任期付きの研究員を採用し、またワークライフバランスへの配慮からフレックスタイム制の活用をしているところです。

16ページの評価項目16、事務等の効率化・合理化に関しては、各種システム改良などにより効率化を進めていします。

 評価項目17、評価の充実については、内部評価のフレームワークを示していますが、外部評価委員会、独法評価委員会等について、このような手順で対応をしています。

17ページの評価項目18は、業務運営の効率化です。一般管理費、人件費、業務費について対平成22年度削減率はそれぞれ11.6%、19.1%、24.5%で、中期目標の削減率を達成しています。

 評価項目19の外部資金その他自己収入については、研究資金の外部資金比率は徐々に高まってきており、平成25年度で54.39%と目標である50%を達成しています。

18ページの評価項目20の経費の抑制、評価項目21のセキュリティの確保については、お示ししているような各種の取組を行ってきています。以上です。よろしくお願いします。

 

○酒井部会長

 ありがとうございます。続きまして、定本委員から起草していただいた暫定評価書()について御説明をお願いします。

 

○定本委員

 お手元の資料2-6の暫定評価結果()を御覧ください。

 国立健康・栄養研究所の中期目標期間は平成23年度から平成27年度の5年間となっていますが、先の通常国会で、独立行政法人国立健康・栄養研究所と独立行政法人医薬基盤研究所を統合する独立行政法人医薬基盤・健康・栄養研究所法が成立し、平成274月に新しい法人となる見込みであることから、平成26年度を最終年度として、平成23年度から平成25年度の3年間について暫定評価を実施するものであり、平成25年度までの業務実績評価について説明いたします。

 まず、(1)「評価の視点」です。当該研究所の業績評価に当たっては、研究所の設立目的に基づき、同研究所の業績が国民の健康の保持・増進に役立つものとなっているかという観点から評価を行うものとしました。

(2)「中期計画期間の業務実績全般の評価」についてです。当委員会においては、平成23年度から平成25年度の3年間における業務が、研究所のミッションに照らし、どの程度寄与するものであったか、学術的成果の評価及び調査結果などの国民の健康増進施策への有効性、業務の効率性の観点から、適正に業務を実施をしたかなどの視点に立って評価を行ってきました。

 その結果、平成23年度から平成25年度までの3年間の評価期間の全般については、適正に業務を行ってきたものと評価できるとしています。

 次に、具体的事項について説明します。研究の成果としては「健康づくりのための運動基準2006」で示され身体活動量、運動量、体力の基準の妥当性について検討をするためのコホート研究を継続し、研究成果を出すとともに、これまでのこの分野研究のエビデンスの分析などにより、国の2013年の「健康づくりのための身体活動指針」(アクティブガイド)の策定に寄与しています。また、研究は遺伝子解析研究にまでわたり、新規の2型糖尿病感受性遺伝子の同定など、成果が挙がっています。栄養疫学的研究においても食事摂取基準の策定に資する研究が行われています。このような研究をはじめ、生活習慣病の予防と国民の健康増進につながる多くの成果が挙がっているものと評価します。

 国民の関心の高い「健康食品」については、安全性・有効性について信頼性が高いデータを提供するなど、国民の期待に応えているものと高く評価しています。また、健康増進法に基づく法定業務である「国民健康・栄養調査の集計業務」は、毎年、正確かつ効率的に集計できていることを高く評価しています。さらに、特別用途表示の許可に関わる試験業務は適切に実施されていると評価します。

 研究成果の公表については、インパクトファクターの高い原著論文の採択数や論文引用度などから見て、数値目標を達成すると同時に質も高い水準にあるものと評価しています。国際協力については、平成263月にWHO協力センターとして指定され、今後の活動にも更に期待を寄せています。

 研究・業務の運営については重点業務へ対応した人員配置や組織の見直しにより効率的に行われ、相互に協力・連携しながら研究を進めたことを評価しています。また、民間企業や大学などからの研究員の受入れ及び研究者の派遣などは高い水準で行われており、研究所の活性化の取組は評価しています。

 情報発信については、ホームページへのアクセス件数や健康食品の安全性・有効性情報データベースへのアクセス件数に見られるように、目標を大幅に超えてアクセスされているということで高く評価しています。

 さらに、経費の節減に関して、数値目標の達成、外部資金獲得の目標達成など、効率的・効果的な運営がされており、この点においても評価しています。なお、そのほかの具体的な評価内容の報告については割愛させていただきますが、それぞれの事項については、おおむね高い評価としています。

 当該研究所の業績全般については、全体的に高く評価できますが、取り分け、国の政策への寄与、開かれた研究所である点及び情報発信の推進については、今後も引き続き推進していただくことを強く望みます。

 最後に、来年の最終評価に向けて、国の独立行政法人である利点を生かし、最大限の成果を挙げるとともに、次の中期目標のテーマにつなげていくことを期待して、国立健康・栄養研究所の暫定評価に係る報告とします。以上です。

 

○酒井部会長

 ありがとうございました。それでは、ただいま御報告いただいた暫定評価書()について御意見、御質問等をよろしくお願いします。いかがでしょうか。

 個人的な関心ですが、この中期目標期間の3年なり4年の個別項目に対して、先ほど御説明していただいたように、結果を非常に分かりやすくまとめていただいたと思います。SAB評価ですが、3年なり4年の平均値を取ってABCにしていますよね。これが皆さんたちの研究活動の34年の実感と、このように年度ごとの評価の平均値を取ってこの期間の評価であるとすることについては、皆さんの実感は一致するものですか。

 

○国立健康・栄養研究所理事長

 私が直感的にお答えします。実際に担当している研究者の直感と私の考えは違うと思いますが、一般的にはより直近の成果に影響される傾向にあると思います。

 

○酒井部会長

 そうですね。

 

○国立健康・栄養研究所理事長

 前半が非常に悪くても、最後が良ければいいとの判断でいいかと思いますが、年度ごとにそれぞれ着実にこなしているかという観点で、一応平均を示しています。

 

○酒井部会長

 そうですね。

 

○国立健康・栄養研究所理事長

 これはいかように変更されてもよろしいかと思います。

 

○酒井部会長

 ありがとうございます。参考にさせていただきます。ほかはいかがでしょうか。

 

○酒井部会長

 よろしいでしょうか、ありがとうございます。特段の修正の御意見が委員の皆様からありませんので、中期目標期間の業務実績については、本部会として了承します。この後、誤字脱字や明らかな事実誤認等により修正が必要になった場合には、私に御一任させていただきたいと思います。

 それでは、最後に法人の理事長から一言頂ければと思います。よろしくお願いします。

 

○国立健康・栄養研究所理事長

 膨大な資料をお読みいただいて、御丁寧に評価をいただいて本当にありがとうございます。先生方から頂いた建設的な御意見、御指摘を謙虚に受け止めて、研究部門あるいは事務部門の業務に反映させて、残り僅かですが、意欲を高めたいと思います。ありがとうございました。

 

○酒井部会長

 それでは、国立健康・栄養研究所の評価について終わりたいと思います。ありがとうございます。

(法人及び法人所管課入替え)

 

○酒井部会長

 それでは最初に、医薬基盤研究所の平成25年度財務諸表について審議します。財務担当の清水委員から御報告をお願いします

 

○清水委員

 財務内容については、先日、別途日程をお取りいただき、担当の方に御説明を受け、私のほうでも財務処理についてレビューさせていただきました。その結果を簡単にコメントとして述べさせていただきます。

 医薬基盤研究所には3つの勘定があります。1つは、開発振興勘定です。これについては21,100万円の当期利益が計上されています。研究振興勘定については190万円の利益が計上されています。承継勘定については70万円の利益が計上されています。それぞれの勘定で利益が計上されているということで、全体的な財務運営については問題がないものと判断しています。

 個別の中身です。目標に掲げられている経費の削減については、中期目標期間の目標値として、一般管理費は平成22年度の予算額に対して15%の削減を目標に掲げています。それに対して、平成25年度の予算額は、平成22年度に対して88.8%の予算となっており、この予算に対応する実績は101.4%。実績ベースで見ると、予算に対して1.4%の超過になっているのですが、目標と比較すると88.8%の予算設定をしていますので、その限りでは、目標に大きく近づいてきていると判断しています。

 事業費についても、平成22年度予算に対して6.2%の削減を目標に掲げています。平成25年度の予算は、平成22年度に対して94.6%となっており、実績は予算に対して99.1%となっています。この事業費についても、目標に近づいており、経費削減は着実に進んでいるものと判断いたしました。

 人件費についてです。人件費は、平成17年度の基準額に対して、平成25年度の決算では13.5%単純には削減されていますが、この年度の「創薬支援戦略室」の設置を考慮に入れると、実質的には25.1%の人件費の削減がされているものと判断させていただきました。したがって、人件費削減については非常に大きな削減が実現されていると判断しています。

 ラスパイレス指数ですが、これは研究員が95.1です。前年が93.7で、前年を若干上回ったのですが100を切っているということで、特に問題はないと考えています。事務職員ですが、これは去年の109.5に対して、今年度は111.3と若干指数が上がっています。理由について伺い、資料を見せていただきましたが、事務職員については、定型業務についてラスパイレス対象外の非常勤職員等の活用により人件費を抑制した結果、管理職の割合が高くなったことなどが要因として挙げられ、その結果、指数が高くなったということです。ではありますが、やはりラスパイレス指数はなるべく下げていっていただく努力が必要です。この指数を下げていくに当たっては、人材の確保にも配慮しつつ、無理のない形で努力を継続いただきたいと考えています。

 次に、研究振興勘定と承継勘定の繰越欠損金の問題です。研究勘定については65億円程度の繰越欠損金、承継勘定については254億円程度の繰越欠損金となっています。中身については、それぞれの勘定で、当年度190万円、あるいは承継勘定のほうで700万円と利益を計上していますので、若干ではありますが縮小はしています。これだけの大きな金額を今後解消していくのは非常に難しい話とは思いますけれども、引き続き、研究振興勘定については既採択案件の実用化を進めていただいて縮小に努めていただきたいと思いますし、また、承継勘定についても、研究成果の実用化あるいは収益化を進めていただいて、少しでも欠損金の縮小ができるような努力をしていただければと考えています。

 次に、競争的研究資金、受託研究費、あるいは共同研究費等の獲得状況です。昨年、194,200万円を獲得している実績に対して、今年度は17100万円の金額ということで減少しています。これについては、自己収入の獲得に今後も継続的な努力をしていただければと思っています。

 以上が内容ですが、財務内容を支えていく運営の方法として、内部統制が基本的にきちんとしているかどうかという視点についてもお話を伺い、監事の意見等を参考に判断させてもらった結果、内部統制については特に問題がないものと判断させていただきました。以上、簡単ではありますが、財務のコメントとして御報告いたしました。

 

○酒井部会長

 ありがとうございました。ただいまの御報告について、御意見、御質問はありますか。よろしいでしょうか。特段の委員からの修正意見がありませんので、医薬基盤研究所の平成25年度財務諸表については、資料3-1の意見書()のとおり、本部会として了承します。ありがとうございます。

 引き続き、医薬基盤研究所の総合評価について審議いたします。金倉委員から、起草していただいた評価書案について御報告をお願いします。

 

○金倉部会長代理

 医薬基盤研究所の平成25年度の業務実績について、ポイントを絞って報告いたします。資料3-3「独立行政法人医薬基盤研究所の平成25年度の業務実績の評価結果()」を御覧ください。

 まず、「評価の視点」についてです。当該研究所の目的は、基盤的技術研究、生物資源研究、研究開発振興の事業を行うことにより製薬企業や大学などにおける創薬研究を支援し、画期的な医薬品などの研究開発を促進することです。業績評価に当たっては、当該研究所が提供するそれらの事業が、中長期的に医薬品などの研究開発に役立つものとなっているかという観点から評価を行っております。

 「平成25年度業務実績全般の評価」についてです。創薬支援戦略室を設置し、創薬支援ネットワークの運営に取り組んだこと、パラインフルエンザ2型ウイルスベクターを利用して作製した、粘膜免疫誘導型ワクチンの開発を進めていること、希少疾病用の医薬品等の開発振興事業において、レベルの高い助言が適切に行われていることなどを考慮し、全般的に適切に業務を実施したと評価できるとしております。

 「具体的な評価内容」に関しては、(1)「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する措置について」ですが、A「全体的事項」を御覧ください。戦略的事業展開については、先に述べたとおり、オールジャパンでの創薬支援体制である創薬支援ネットワークの本部機能を担う創薬支援戦略室を設置し、その運営に当該研究所全体を挙げて取り組んでいること、特許出願数が目標を大きく上回る水準であることなどから、高く評価するとしております。

 適切な事業運営に向けた取組については、コンプライアンス、倫理の保持に関する取組や外部有識者による評価が適切に実施されているということから、評価するとしております。なお、研修については、受講を義務付ける等、今後の一層の取組を期待したいと思います。

 続いて、B「個別的事項」についてです。基盤的技術研究については、マラリアワクチンの新規核酸アジュバント候補としてヒト型CpG-ODNを開発し、第1相試験を開始したことなどから、高く評価するとしております。

 生物資源研究に関しては、生物資源の収集、供給などが着実に実施されていること、新たな生物資源の開発などが適切に実施されていることなどから、評価するとしております。

 薬用植物については、圃場栽培では5年ほど要する栽培を、1年足らずに短縮できる水耕栽培によるオタネニンジンの成育を成功させたことなどから、高く評価するとしております。

 霊長類については、先に述べた結核ワクチンの開発だけではなく、医科学研究用霊長類の開発、供給などで、目標を上回る成果を挙げたことなどから、高く評価するとしております。

 基礎研究推進事業については、実用化が見込まれる研究プロジェクトが5割に、治験の段階まで進んだ研究プロジェクトが10件に達したこなどから、評価するとしております。

 希少疾病用の医薬品等開発振興事業については、助成金交付にとどまらず、先に述べたレベルの高い適切な指導、助言により開発促進に貢献していることなどから、高く評価するとしております。

 実用化研究支援事業などは、指導、助言などを適切に行い、承認取得が1件、承認申請が1件と、成果が挙がっていることから、評価するとしております。

 創薬支援については、有望なシーズの情報収集・調査等のための体制や、創薬支援ネットワークの連携体制が整備されていること、多面的で実践的な目利き評価、助言などが適切に行われていることから、高く評価するとしております。今後の更なる活動を期待しております。

(2)「業務運営の効率化に関する措置について」は、理事の常勤化、理事長特任補佐の設置など、理事長を支援するスタッフの充実が図られていることから、評価するとしております。

(3)「財務内容の改善等」については、想定外の案件により、一般管理費は予算額に対して僅かな増が見られるものの、事業費は適切に減となっていること、総人件費も目標を大きく上回る削減を達成していることから、評価するとしております。

(4)「その他業務運営に関する措置について」は、人事の透明性が確保されていること、テニュア制度が適切に運用されていることから、評価するとしております。

(5)「評価委員会が厳正に評価する事項及び政・独委の評価の視点等への対応について」ですが、「1財務状況」については、承継勘定で254億円、研究振興勘定で65億円の繰越欠損金が発生しています。繰越欠損金減少に向けた継続性のある指導、助言を行うこととしました。引き続き、繰越欠損金の縮小に努めることを期待しております。

 「2保有資産の管理・運用等」については、事務・事業の見直しの基本方針に沿った措置が適切に行われていると認められます。

 「3組織体制・人件費管理」については、総人件費が数値目標を上回って達成しており、評価するとしております。なお、事務職員のラスパイレス指数については、調査対象職員が極めて少数であること等の要因によるものではありますが、高い水準にあることから、今後も人材の確保に配慮しつつ、指数の改善に努めていただくことを期待しております。

 「4事業費の冗費の点検」及び「5契約」については、様々な努力をしていると認められます。「6内部統制」については特に問題のない旨、監事意見が出されております。

 「7事務事業の見直し等」については、他法人と共同で実施していた細胞分譲事業を、平成25年度から当該研究所が行うこととなっていたところ、前年度比117%の分譲が行われている等、事業の円滑な移管が行われたと認められます。駆け足になりましたが、以上が医薬基盤研究所の平成25年度の業務実績の評価結果の概要です。

 

○酒井部会長

 ありがとうございました。ただいま御報告、御説明いただいた評価書案について、御意見、御質問をよろしくお願いします。

 

○中村委員

 中身については全くこのとおりであって、集計表の高い評価を反映した文言になっていると思います。

 資料3-31ページの(2)に「全体としては」とまとめてあるのですが、「当該研究所の目的である画期的な医薬品等の開発支援に資するものであり、適切に業務を実施したと評価する」と。「適切に業務を実施したと評価した」というのはB評価になるわけです。一方、以下の記述では、「高く評価する」という表現がありますので、単に「適切に業務を実施した」だけではなく、例えば「適切に、かつ、高い水準で業務を実施した」というような、後ろの文言と合うような表現を少し入れていただければと思います。

 

○金倉部会長代理

 ありがとうございます。それでは、「適切に、しかも高い水準に業務を実施したと評価する」というふうに訂正させていただきます。

 

○酒井部会長

 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、今、中村委員が御指摘の点を一部修正をして、業務実績評価について評価書案を決定したいと思います。

 次の議題です。中期目標期間の業務実績評価、いわゆる暫定評価について審議いたします。まずは法人のほうから御説明ください。

 

 ○医薬基盤研究所戦略企画部長

 医薬基盤研究所の平成22年度から平成25年度までの暫定評価について、資料3-5を用いて説明させていただきます。

2ページです。評価項目1、「1.戦略的な事業の展開」の(1)「社会的ニーズ及び厚生労働省の政策課題を踏まえた戦略的事業展開」と、(2)「研究成果の普及及びその促進」についてです。(1)の1にあるように、内閣府主宰の産学官連携功労者表彰を3年連続で受賞するなど、優れた研究成果が得られたことと、(2)の2にあるような、質の高い論文が数値目標を上回って多数掲載されていることなどから、平成22年度から平成25年度までの毎年度、S評価を頂いております。なお、暫定評価については、評価欄の一番右にあるように、4年間の平均から算出していますが、S評価となります。以下、各評価項目の暫定評価については、同様に算定したものを示しております。

3ページです。評価項目21.(3)「外部との交流と共同研究の推進」、(4)「研究基盤・研究環境の整備と研究者の育成」についてです。(3)にあるように、共同研究などが積極的に行われていること、(4)にあるように、3重点分野への研究の重点化等が行われていることなどから、毎年度A評価を頂いており、暫定評価はAとなります。なお、共同研究などのデータについては、この資料の49ページにありますので、後ほど御参照ください。

4ページです。評価項目3の「2.適切な事業運営に向けた取組」の(1)「コンプライアンス、倫理の保持等」、(2)「無駄な支出の削減・業務効率化の体制整備」などについてです。(1)の1にあるように、不正行為などの防止に関する措置が適切に取られていること、また、(2)にあるように、支出の削減などが適切に行われていることなどから、毎年度A評価を頂いており、暫定評価はAとなります。なお、支出の削減等のデータについては4748ページにありますので、後ほど御参照ください。

5ページです。評価項目42.(3)「外部有識者による評価の実施・反映」、(4)「情報公開の促進」についてです。(3)にあるように、外部有識者による評価が適切に行われていること、(4)にあるように、監査などが適切に行われ、その結果の公表が適切に行われていることなどから、平成22年度、平成23年度はB評価、平成24年度、平成25年度はA評価を頂いており、暫定評価はAとなります。

6ページです。評価項目5の「1.基盤的技術研究」の(1)「次世代ワクチンの研究開発」についてです。(1)の2にあるように、アジュバントの研究が進み、また、34にあるように、それを用いたワクチンの開発が進むなど、優れた成果を挙げていることなどから、平成22年度はA評価を、それ以降はS評価を頂いており、暫定評価はSとなります。

7ページです。評価項目61.(2)「医薬品等の毒性等評価系構築に向けた基盤的研究」については、(2)の1~4にあるように、ES/iPS細胞に関する研究が進んでいることなどから、毎年度S評価を頂いており、暫定評価はSとなります。

8ページです。評価項目71.(3)「難病治療等に関する基盤的研究」についてです。(3)の1~6にあるように、難病治療のための創薬の標的となり得る物質などについて研究が進んでいることなどから、平成22年度はS評価、それ以降はA評価を頂いており、暫定評価はAとなります。

9ページです。評価項目8の「2.生物資源研究」の(1)「難病・疾患資源研究」についてです。こちらは試料の収集や提供数等が目標を上回るなど、バンク事業が適切に行われていることなどから、毎年度A評価を頂いており、暫定評価はAとなっております。

10ページです。評価項目92.(2)「薬用植物」についてです。12にあるように、薬用植物の資源化などが適切に行われていること、カンゾウなどについて、新規の栽培方法など開発したことなどから、平成22年度にA評価を、それ以降はS評価を頂いており、暫定評価はSとなります。

11ページです。評価項目102.(3)「霊長類」についてです。1にあるように、カニクイザルの高度に清浄化されたSPF化や、資源化が適切に行われていること、2にあるように、霊長類などを用いた研究が進んでいることなどから、平成25年度はS評価を、それ以外はA評価を頂いており、暫定評価はSとなります。

12ページです。評価項目11の「3.研究開発振興」の(1)「基礎研究推進事業」については、「事業体制」の中に記述があるように、プログラムディレクター、プログラムオフィサーを用いた適切な管理を行ったこと、「成果創出」の欄の、特に赤字の所にあるように、支援した研究プロジェクトの成果が数値目標を上回っていることなどから、平成24年度はS評価を、それ以外はA評価を頂いており、暫定評価はAとなります。

13ページです。評価項目123.(2)「希少疾病用医薬品等開発振興事業」についてです。上のほうの赤字の所に記載があるように、助成した品目のうち多くが、製造販売承認を取得していること、一番下にあるように、説明会の実施により、制度の周知に努めていることなどから、平成22年度、平成23年度はA評価、平成24年度、平成25年度はS評価を頂いており、暫定評価はAとなります。

14ページです。評価項目133.(3)「実用化研究支援事業及び承継事業」についてです。「暫定評価期間の実績」の欄にあるように、外部の専門家やプログラムオフィサーによる指導・助言が適切に行われていること、また、一番下の赤字の所に記載がありますが、収益が見込まれる案件数が目標数値を上回っていることなどから、平成22年度にB評価を頂いておりますが、それ以外はA評価を頂いており、暫定評価はAとなります。

15ページです。平成25年度に新設された評価項目14の「4.創薬支援」についてです。ここに記載があるように、創薬に向けた支援事業などが積極的に行われていることなどから、平成25年度はS評価を頂いております。こちらの暫定評価ですが、新規項目のため、年度評価と同じSとなります。

16ページです。評価項目15の「1.機動的かつ効率的な業務運営」についてです。1に掲げているように、理事長の経営判断が迅速に反映される体制が整っていること、2に挙げているように、研究を管理、支援する体制が適切に機能していることなどから、毎年度A評価を頂いており、暫定評価はAとなります。

17ページです。評価項目16の「2.業務運営の効率化に伴う経費節減等」についてです。おおむね目標に沿って適切な削減が行われていることなどから、毎年度A評価を頂いており、暫定評価はAとなります。

18ページです。評価項目17の第3から第6の予算、収支計画、資金計画などについて個別の説明は省かせていただきますが、この項目については、予算の範囲内で適切に予算の執行が行われていることなどから、平成23年度はB評価、それ以外の年度はA評価を頂いており、こちらは暫定評価はB評価となります。

19ページです。評価項目18、第7の「その他省令で定める業務運営に関する事項」については、任期付き採用を原則として、一部でテニュア・トラック制を導入したことなどから、毎年度A評価を頂いており、暫定評価はAとなります。

20ページ以降については参考資料となります。御説明した内容の裏付資料などが添付されていますが、時間の関係もありますので、後ほど御覧いただければと思います。以上です。

 

○酒井部会長

 続いて、金倉委員から、起草していただいた暫定評価書案について御説明をお願いします。

 

○金倉部会長代理

 資料3-6です。医薬基盤研究所の中期目標期間、平成22年度から平成25年度の業務実績について御説明します。

 中期目標期間は平成224月から平成263月の業務実績についてですが、「評価の視点」は、医薬基盤研究所の目的は基盤的技術研究、生物資源研究、研究開発振興の3事業を行うことにより、製薬企業や大学等における創薬研究を支援し、最新の生命科学の成果や最先端の技術を活用した画期的な医薬品等の研究開発を促進することであり、また、新たに創薬支援業務を開始いたしました。

 業績評価に当たっては、統合効果も発揮しつつ、こうした目的等に基づき、中長期的に医薬品等の研究開発に役立つものとなっているかどうかという観点から評価を行ったものです。

 「中期目標期間の業務実績全般の評価」について御説明いたします。医薬基盤研究所の業務により得られた成果について、当該研究所の目的に照らし、どの程度寄与するものであったか、また、効率性、有効性等の観点から、適正に業務を実施したか等の視点に立って評価を行った結果、中期目標期間全般については次のとおり、適正に業務を実施してきたと評価できます。

 「具体的な評価内容」について説明いたします。(1)「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項」について、まず、A「全体的事項」について説明します。

 戦略的事業展開についてですが、社会的ニーズ及び厚生労働省の政策課題を踏まえた戦略的事業展開については、大規模トキシコゲノミクスデータベースを活用した、新規安全性バイオマーカーの開発、薬用植物の人工水耕栽培及びヒトiPS細胞から分化誘導した肝臓細胞の製品化について、内閣府の産学官連携功労者表彰を3年連続で受賞していること、外部研究評価を活用した研究費の配分等、戦略的な事業運営を行っていることから、高く評価できます。

 研究成果の普及及びその促進については、査読付き論文発表数が各年度とも中期計画における目標を上回っており、また、インパクトファクター2以上のものが各年度とも6割以上と、質的にも高い水準にあること、研究所一般公開の開催等により、研究成果の一般の人々への公開に努めていること、特許出願数が中期計画における目標を大きく上回っていること等から、高く評価できます。

 外部研究者との交流と共同研究の促進の推進については、民間企業等との共同研究や、受託研究が順調に増加、進展していること、連携大学院の推進に積極的に取り組んでいること等から、評価できます。

 研究基盤・研究環境の整備と研究者の育成については、年々、所内の情報交換と部門間の連携強化が図られていること等から、評価できます。

 適切な事業運営に向けた取組については、コンプライアンス、倫理の保持等、無駄な支出の削減、業務効率化の体制整備については内部統制の整備を行っていること、人事評価の活用等を通じて取組を進めていること等から、評価できます。

 外部有識者による評価の実施・反映、情報公開の促進については、外部の専門家による研究評価を適切に行っていること、希少疾病治験ウェブの充実を図っていること等から、評価できます。

B「個別的事項」について説明いたします。まず、「基盤的技術研究」の説明ですが、次世代ワクチンの研究開発については、核酸アジュバントを用いたマラリアワクチンの医師主導治験を実施するところまで進んでいること、DDS機能を付加した第2世代の核酸アジュバントの開発に成功していること等、複数の大きな成果を挙げたこと等から、高く評価できます。

 医薬品等の毒性等評価系構築に向けた基盤的研究については、ヒトiPS細胞から肝臓細胞への高効率分化誘導技術を構築し、世界初のヒトiPS細胞由来の肝臓細胞の製品化に成功し、産学官連携功労者表彰を受賞したこと等から、高く評価できます。

 難病治療等に関する基盤的研究については、難治性がん克服が期待されるサイトカインシグナル伝達阻害分子を用いた新規抗がん剤等の開発がPMDAの薬事戦略相談まで進む等の研究の進捗が見られることから、高く評価できます。

 以上のように、中期目標・中期計画に対して、目覚しい成果を挙げていると評価できます。

 次に「生物資源研究」について説明いたします。難病資源、培養細胞、実験用小動物については、資源の収集・供給、疾患実験動物の系統維持、凍結胚保存等に関し、中期計画の数値目標を上回る開発、収集件数を達成していること等から、評価できます。

 薬用植物については、世界初のカンゾウの人工水耕栽培に成功し、産学官連携功労者表彰を受賞したこと、薬用植物に関連する各種情報及び含有成分等の詳細情報を網羅的に閲覧できる薬用植物総合情報データベースの構築、公開及び拡充を行ったこと等から、高く評価できます。

 霊長類については、SPFサル等の医科学研究用霊長類の開発・供給等で、中期計画を大きく上回る成果を挙げたこと、ヒトパラインフルエンザ2型ウイルスを用いた粘膜免疫誘導型結核ワクチンについては、実用化を目指して開発が進んでいること等から、高く評価できます。

 以上のように、中期目標・計画を上回る十分な成果を挙げていると評価ができると思います。

 次に、「研究開発振興」について説明いたします。基礎研究推進事業については、PDPO及び外部有識者を積極的に活用し、適切な評価体制を整備したこと等により、実用化が見込まれる研究プロジェクトの創出及び論文数の増加等、医薬品・医療機器の実用化に向けた成果が創出されていること等から、評価できます。

 希少疾病用医薬品等開発振興事業については、POを活用し、適切な指導、助言を行うことにより、希少・難治性疾患に対する医薬品及び医療機器が着実に製品化されていること、極めて患者数の少ないウルトラオーファンに対する開発支援を充実強化していること等から、高く評価できます。

 実用化研究支援事業では、承認取得1件を含め、事業者に収益が得られた案件が確保されたこと、承継事業については、出資法人に収益が得られたこと等、適切な指導・助言を行うことにより成果を挙げていること等から、評価できます。また、両事業に係る繰越欠損金について、解消計画を策定し、その解消に向けた取組を進めており、今後とも、繰越欠損金の減少に向けて努力することを期待します。

 続いて、「創薬支援」について説明いたします。有望なシーズの情報収集・調査や評価・支援を行う創薬シーズの選定を行うための体制が確立されていること、創薬支援ネットワークの連携体制について整備されていること、多面的で実践的な目利き評価、指導、助言等が適切に行われていること等から、高く評価できます。個別事項は以上となります。

(2)「業務運営の効率化に関する措置について」は、理事長のトップマネジメントによる迅速な方針決定の下に、適切な業務運営が行われていること、「理念」と「使命」を制定したこと等から、評価できます。業務運営の効率化に伴う経費削減等に関しては、総人件費改革への取組についても目標を大きく上回る削減を達成していること等から、評価できます。

(3)「財務内容の改善等について」は、中期目標・中期計画に基づいて適正に実施されています。各年度における予算を踏まえ、一層の経費削減策を実施してきた結果、年度によっては、想定外の事業を実施するために決算額が予算額を上回る年度もあったものの、調達コストの削減等を行うことにより、全体として中期計画の節減目標を達成するよう期待したいと思います。

(4)「その他業務運営に関する措置について」は、人事について透明性が確保されていること、平成24年度からプロジェクトリーダーを対象に導入されたテニュア制度が適切に運用されていること等から、評価できます。

 以上のように、中期目標・中期計画に沿った成果を挙げていると評価できます。以上です。

 

○酒井部会長

 ありがとうございました。ただいまの法人からの御報告並びに起草委員の皆さんの御報告、御説明に御意見、御質問はありますか。

 

○中村委員

2ページの3行目です。先ほどと同じで、「中期目標期間全般については、次のとおり、適正に業務を実施してきた」と。これも平成25年度のものに合わせたほうがよろしいのではないかと思います。

 

○金倉部会長代理

 了解いたしました。先ほどと同じように訂正させていただきます。

 

○酒井部会長

 ほかの御質問、御意見はいかがですか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。ただいまも1か所小さな修正が入りましたが、基本的には御報告いただいたことで部会の意見としてまとめさせていただきます。

 先ほど言い忘れてしまいましたが、この後に誤字脱字、事実誤認などの修正があった場合には、私に一任させていただきたいと思っております。

 最後に、理事長から一言頂ければと思います。

 

○医薬基盤研究所理事長

 医薬基盤研究所の米田でございます。本日は平成25年度の財務並びに業務実績について御評価いただきまして、どうもありがとうございます。私どもの研究所は、今年が第2期中期計画の最終年度ということで、過去4年間の業績を踏まえて暫定評価を頂き、どうもありがとうございました。各項目について、非常に高い評価をしていただいたと、本当にうれしく思っております。

 私どもは、昨年度、平成25年度に創薬支援戦略室、それから、創薬支援スクリーニングセンターが立ち上がり、更に日本における創薬の責務を担うべきチャンス、更に飛躍できるチャンスを与えていただいたと思っております。

 毎年、評価委員の先生方には、非常に貴重な御助言、御意見を頂戴していると思っております。中期計画は今年で最終年度ということで、あと7か月ほどしか残っておりませんが、頂いた御助言を更に吟味して、来年度以降、更に発展できるよう、飛躍できるよう、今年も充実した1年にしたいと思っておりますので、どうぞこれからもよろしく御支援をお願いしたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

 

○酒井部会長

 それでは、これで医薬基盤研究所の評価について終了いたします。もう1つ議題がありますが、説明者の入れ替えがありますので、しばらくお待ちください。

(法人及び法人所管課入替え)

 

○酒井部会長

 それでは、医薬基盤研究所並びに国立健康・栄養研究所の組織・業務全般の見直しの当初案について、審議したいと思います。最初に事務局から説明し、その後に法人所管課より説明をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 「組織・業務全般の見直し」については、会議の冒頭で御説明させていただいたとおり、通則法第35条の規定により、中期目標期間の終了時において、法人の業務を継続させる必要性、組織の在り方その他その組織及び業務の全般にわたる検討を主務大臣が行い、その結果に基づき、所要の措置を講じるものです。主務大臣が当該検討を行うに当たっては、通則法第35条第2項の規定により、あらかじめ評価委員会の意見を聴かなければならないとされておりますので、本日、組織・業務全般の見直しに係る当初案について、本部会において御審議いただくこととしております。

 なお、本日、御審議いただく両法人については、本年5月に成立した「独立行政法人医薬基盤研究所法の一部を改正する法律」に基づき、平成274月より統合することが予定されております。このため、本日はまず両法人の統合について、法人所管課から御報告させていただいた後、引き続き中期目標期間の終了時の見直しに係る当初案について御説明させていただき、委員の皆様から御意見を賜りたいと思います。それでは、法人所管課から説明をお願いします。

 

○大臣官房厚生科学課長

 私から医薬基盤研究所と国立健康・栄養研究所の統合等について御説明いたします。資料4-11ページです。まず法律の概要を示しております。独法改革に関する閣議決定や、日本再興戦略に基づく「新たな医療分野の研究開発体制」を踏まえ、医薬基盤研究所と国立健康・栄養研究所を統合し、医療品及び健康・栄養に関する研究等を実施する独立行政法人とするものです。※の1番目ですが、この両法人の統合により、医薬品等に関する専門性と食品・栄養等に関する専門性の融合が図られ、生活習慣病対策への応用や、医薬品と食品の相互作用による研究の促進の効果が期待されます。

 改正の概要です。新法人の名称は「独立行政法人医薬基盤・健康・栄養研究所」とし、主たる事務所の所在地は大阪府としております。新法人は、現在の医薬基盤研と健康・栄養研の業務を基本的に引き継ぐこととしており、医薬基盤研の研究開発に係る研究費の配分や評価業務及び創薬支援業務については、独立行政法人日本医療研究開発機構法に基づき設置される新法人へ移管することになっています。施行の期日は平成2741日を予定しています。新しくできる日本医療研究開発機構も同日に設立予定です。

2ページです。左が健栄研と基盤研の現在の業務で、右が新しく統合した組織です。国民の健康の保持及び増進に関する調査及び研究や、健康増進法に基づく業務については、そのまま引き継ぐこととしております。医薬基盤研の業務の医薬品等の基盤的技術研究や難病・疾患資源研究、創薬支援スクリーニング、医薬品等の開発振興の中の希少疾病用医薬品・医療機器の開発支援等についてはこちらに移行しますが、アカデミアへの研究支援や創薬支援については、新しくできる日本医療研究開発機構に引き継ぐということです。

3ページです。新しく統合される法人における具体的方策の中身として3つ示しています。1つ目は、健康・栄養に係る我が国の公衆衛生推進のためのエビデンスの構築や、医薬品・食品の信頼性の確保、医薬品開発に共通的なプラットホームの確立を目指すなど、公的機関ならではのインハウス研究を着実に推進していく体制を構築するということです。

2つ目は、組織体制の見直しを図ることです。総務部門や企画・立案部門の体制整備、分かれている大阪と東京の連携を図るためのITの活用と体制の強化などにより、効率的な運営を実現させていきます。

3つ目は、2つの研究所が一緒になるので、シナジー効果を最大限発揮するための共同研究を実施するとしています。

4ページは、2つの研究所の統合によるシナジー効果の例です。右の2つの欄はそれぞれの研究所の強みですが、その強みを生かして、掲げている3つのテーマ、医薬品と食品の相互作用に関する研究、生活習慣病の新しい予防法に関する研究、健康に関する機能性表示食品の品質評価について例示しています。

 次に、資料4-2-1「独立行政法人医薬基盤研究所の組織・業務全般の見直しの当初案」です。1ページは、「中期目標期間の主な取組と成果の概要」です。先ほども御説明しましたが、「事務・事業の見直し」については、平成23年度に実用化研究支援事業の廃止、平成25年度にはヒューマンサイエンス振興財団と共同で実施していたバンク事業を単独で実施する体制を作り、平成25年度からは創薬支援ネットワークの本部機能としての創薬支援及び抗体・人工核酸のスクリーニング等を開示を始めています。2番目が、「組織・運営の見直し」です。2つ目の○の、薬用植物資源研究センター筑波研究部和歌山圃場を平成24年度に廃止しております。3番目として、「主な成果」を掲げています。産官学連携功労者表彰を3年連続受賞ということで、世界初が2つあり、カンゾウの人工水耕栽培の実現、ヒトiPS細胞から初めて肝臓細胞の製品化を図りました。3つ目の○ですが、希少疾病用医薬品の開発で22品目が新たに製造販売承認を獲得しています。

2ページは「事務及び事業の見直し当初案」です。基盤的技術研究及び生物資源研究は、健康・医療戦略を踏まえ、世界最高水準の医療の提供に寄与する革新的な医薬品等の開発に資するよう事業を実施するということです。まず1点目は、新たにできる日本医療研究開発機構や、理研、産総研と連携して創薬支援ネットワークの中核を担い、革新的な医薬品の創出を目指すために創薬支援スクリーニングセンターを中心として、抗体・人工核酸等のスクリーニングや疾患モデル動物等の提供など、創薬技術の支援を行うとしています。

2点目は、創薬を目指した実践的な研究、ワクチンや難病・希少疾病等を対象とした基盤的技術研究、スクリーニング技術や新規の生物資源の開発など、創薬支援技術の開発に取り組むとしております。

3ページです。創薬支援ネットワークにおいて中核を担うとともに、自ら行う創薬技術研究や創薬技術支援について、企業、アカデミア、医療機関と連携を図ること。また、統合によるシナジー効果を最大限発揮するため、医薬品と食品の相互作用に関する研究、生活習慣病の新しい予防法に関する研究、健康に関する機能性表示食品の品質評価をしていくということです。

4ページは、研究開発振興です。希少疾病用医薬品等開発振興事業については、患者数が極めて限られる希少疾病用医薬品、いわゆるウルトラオーファンドラッグに対する支援の強化、相談業務の充実を図ること。実用化研究支援事業のこれまで採択された案件のフォロー、成果の創出などや継承事業についても、引き続き適切に取り組むこと。

5ページです。組織形態の見直しについては、平成2741日から統合することにしていますが、統合に当たり、総務部門、企画・立案部門を合理化しつつ、両研究所を総合的に運営する本部機能を確立し、研究者自らが行う創薬技術研究と技術支援を一体的に行うことができる体制を整備するとしております。

6ページです。業務運営体制については先ほどと同じですが、電子化の推進ということで、テレビ会議やメール会議等を更に活用するとともに、IT環境を整備すること。財務内容の改善の見直しとして、保有資産の見直しは、平成23年度をもって廃止した和歌山圃場については土地建物を不要財産として現物で国庫納付するため関係機関と協議を進めること。自己収入の増大ということで、競争的研究資金、受託研究等の獲得に向けた取組を積極的に行います。

 次に、資料4-2-2「独立行政法人国立健康・栄養研究所の組織・業務全般の見直し当初案」です。1ページは「中期目標期間の主な取組と成果の概要」です。「事務・事業の見直し」ですが、平成25年度に特別用途食品の表示許可試験及び収去試験に係る役割分担の見直し、表示許可試験手数料の見直しをしています。また、栄養情報担当者(NR)認定制度の廃止を平成277月に予定しています。

 これまでの「主な成果」です。重点分野ですが、生活習慣病予防のための運動と食事の併用効果に関する研究については、「身体活動基準・指針2013」の策定などの成果があります。2つ目は、日本人の食生活の多様化と健康への影響に関する栄養疫学的研究についても、御覧のとおりです。3つ目の、「健康食品」を対象とした食品成分の有効性評価及び健康影響評価に関する調査研究については、ダイエット関連食品成分の安全性評価を実施しております。また、情報の発信、国際協力ということで、WHO研究センターの指定を受けています。

2ページからは、「事務及び事業の見直しのポイント」です。1は、国の生活習慣病対策等の施策としてより効果的な反映が見込まれる研究ということで、先ほど申した重点3分野の研究については、健康医療戦略を踏まえ、一部、研究計画等を見直しした上で、引き続き研究を実施したいということ。2つ目は、シナジー効果です。3つ目は、国の公衆衛生施策に寄与する研究者を育成するため、課題克服、エビデンス創出等を目指した若手研究者たちによる関連研究領域の基礎的・独創的・萌芽的研究を実施していきます。

3ページは、事務及び事業の見直しのポイントの2で、健康増進法に基づく業務です。大黒柱の国民健康・栄養調査の集計業務については、引き続き実施します。特別用途表示、これは乳幼児や妊婦、病者などの特別な用途のものですが、そういった表示の許可試験・収去試験業務を確実に実施するため体制の確保・強化を行うとともに、分析技術の確立した試験については、登録試験機関における検査の精度管理に引き続き努めていく。また、民間の試験機関が実施することが可能となった栄養表示に係る収去試験については、消費者庁の検討状況を踏まえつつ、業務の重点化を図りたいということです。

4ページの3国際協力・産学連携等対外的な業務は、WHOのコラボリティセンターとして、アジア地域を中心に国際協力活動を推進していく。また、産学連携による大学や企業等との共同研究や受託研究等を引き続き推進し、食育についても研究・普及啓発活動を引き続き実施していくということです。

5ページは、4栄養情報担当者(NR)制度についてです。平成246月をもって終了し、一般社団法人日本臨床栄養協会の「NR・サプリメントアドバイザー」制度に移管することになっておりますが、既存のNR資格者に対しては、3年間の更新期間(平成277月に完了)までに順次移管を予定しております。

6ページは、来年4月に統合することで事務部門の合理化を図ることと、7ページですが、運営体制の整備、電子化の推進などを図るということです。財務内容の改善のポイントは、自己収入の増大として、競争的資金、受託研究等の獲得に向けた取組を積極的に行います。

 資料4-3-1、資料4-3-2に、それぞれ研究所ごとの見直し当初案整理表を付けています。以上です。

 

○酒井部会長

 ありがとうございます。ただいま御説明の、組織・業務全般の見直し当初案について、委員の皆様方から御意見、御質問等がありましたらお願いします。

 

○金倉部会長代理

 日本医療研究開発機構と基盤研との関係は、どのような住み分けをするのか、決まっているのですか。

 

○酒井部会長

 よろしくお願いします。

 

○大臣官房厚生科学課長

 新しくできる機構のほうですが、はっきり言えば、こちらは研究費を配分するということです。しかも臨床の実用化を図るような研究を目利きして、そちらの研究者に研究費を配るものです。併せていろいろな創薬支援をやっていくことで、正に基盤研のこれまでやってきた業務と密接に関連してやっていくということで、いろいろな人的交流も図りながら総合的にやっていきたいということです。

 

○金倉部会長代理

 「創薬支援ネットワークの中核を担う」というのは、従来どおりの役割を担いながらということになるのですか。

 

○大臣官房厚生科学課長

 そういうことでございます。

 

○酒井部会長

 よろしいでしょうか。ほかにいかがですか。

 

○田宮委員

 栄養という非常に人のbehaviorにも関係する部分が大きいものと、医薬基盤という基礎的な部分が中心の研究所が一緒になるということが、どのようになるか私も期待半分、危惧半分みたいな感じで伺っています。特に具体的にお聞きしたいのは、例えばシナジー例として本日挙げていただいている3つの例は、割とどれもバイオロジカルな医薬品と食品の相互作用、制御メカニズム、成分分析などです。そうなると、今まで栄養研はもともと基礎的な部分と、ヒトの疫学的な大きな栄養についての部分、運動や、栄養の実践などの行動科学的な部分の両方があったわけです。栄養研が担っていたそちらの後者の部分も非常に大きいので、シナジーを意識するばかりに、そこが少なくなってしまうようなことがないように頑張っていただきたいという気持ちです。

 もう1点です。私は基盤研は余りよく分からないのですが、薬を服薬する行動とか、そういうのはどこかほかの研究所がやっているのか。例えば、ポリファーマシーという現状などは日本のデータは余り無いのです。こんなにいろいろな人が薬をたくさん取っているということは、逆に栄養研がもっていたヒトの疫学に対する今までの考え方とか、技術とか、ノウハウとかが生きるのではないかなと思ったりもします。バイオロジカルな面とヒトの疫学的な面の両方のシナジーを発揮するように意識していただければと思います。その辺をお伺いします。

 

○酒井部会長

 今の辺りについては、共通してた意見を評価委員は持っているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

 

○大臣官房厚生科学課長

 おっしゃるとおりでして、ヒトの疫学研究など、それから「健康日本21」に関する様々な栄養研がやってきたことは引き続き一生懸命やるとともに、今、田宮委員が言われたポリファーマシーというか、薬をたくさん取っていることについても、やっていく必要があると思っております。

 

○田宮委員

 分担的には、そういうことをやる医薬系の研究所というのは、どこかほかにあるのでしょうか。医薬基盤研は基礎的な創薬開発が中心だったと思うので、ちょっとそれとは異なっていますよね。意外とないかもしれないということですよね。

 

○医薬基盤研究所戦略企画部長

 薬については、個々の薬の評価はかなり確立されているのですが、では、それを何種類飲んだときにどうなるかという部分は、確かに日本全体として手がついていない部分ではあります。

 

○田宮委員

 ないですよね。是非、その辺をシナジー効果でやっていただければと思います。

 

○酒井部会長

 個人的な意見です。当初案として、資料4-13ページに「法人の統合における具体的方策について」とあって、インハウス研究の推進を強く打ち出しいます。そしてシナジー効果として、田宮委員が質問されたようなことが確かにあります。インハウス研究をこのような形で一層強めていくことは何の異議もなく賛成ですが、課長もおっしゃったような疫学であるとか、生活習慣に関する実践的な研究、さらに公衆衛生に関する国民教育とか、人材育成など公衆衛生上の水準の向上に資する優れた実績を栄養研はたくさん持っておられるので、統合するときの具体策としてそうしたことを掲載できないか検討いただけると有り難いと思いました。

 

○大臣官房厚生科学課長

 公衆衛生の水準を上げてきた、それと評価もしてきたのが栄養研ですので、そういったところは大きく掲げたいと考えています。

 

○酒井部会長

 その辺について、定本委員、丸山委員は何か御意見がありますか。

 

○定本委員

 運営の効率化のポイントとして、電子化の推進ということで、シナジー効果を出すようなメディアの活用とか、IT環境を整備するというようなことがありますが、医薬基盤研究所、国立健康・栄養研究所、それぞれにおいてもやはり実験器具を使った研究部分等があって、この辺りが電子化の推進やIT環境を整備することによって、本当にシナジー効果ができていくのだろうか、次の世代を担っていくこの研究者たちの育成に資するような体制ができるのかどうか、という点に非常に疑問を感じておりますので、この電子化の推進だけではなく、合理化されるときに配慮が必要かと思います。

 それと、国立健康・栄養研究所の部分は東京に残るということで、平成25年度の実績評価の所でも書かれていますが、全て機器類等が非常に古くなっているという具体的な指摘もありますので、そのような所に力が入らなくて、IT環境を整備するような効率化のポイントで押さえられてしまうと、先ほど申し上げた経費の合理化という波にのまれて、本来のシナジーの効果が損なわれるのではないかと非常に懸念しております。御検討と御高配を頂ければと思っております。

 

○丸山委員

 今、定本先生がおっしゃられたこととほぼ同様のことですが、地理的に、空間的に大阪と東京はやはり極めて遠いと思います。確かに様々なツールを使うことによって情報交換は可能になるとは思いますけれども、地理的に極めて遠い場所にあるということで、やはり業務が明確に分担化されることが生じやすくなるだろうと思います。そうすると、資料4-12ページの図にあるような業務分担は当然されるでしょうが、合併したことによって生じた成果が、これまで健康・栄養研究所が担っていたような国民の生活や生命に直接直結するような部分、日常的な生活に対して研究成果が反映されるべき部分で、情報が発信され、かつ具体的に展開されるにはどのような道筋が立てられているのか。

 要するに、これまで2つの研究所がされていた世界的に非常に評価の高い成果を挙げていたものが、合併したことによって、それぞれより良い状況にどのようになってくるのかがイメージしにくいような状況なのです。国民に確実に成果が反映され、国民というよりも世界にその成果が発信されて、ここで出された成果、業績が世界で使われて、正に世界平和に貢献できるような日本からの情報発信ができるというようなことが見える道筋を立てていただけると、非常に有り難いと感じております。時間がないので、早くそれを示していただかないと、私どもとしては、ただ分断されるというイメージが強く感じられると思います。よろしくお願いいたします。

 

○酒井部会長

 今の両委員の御指摘、御質問も含めて、何かコメントはありますか。

 

○大臣官房厚生科学課長

 両委員の御指摘、本当に身につまされるというか、応えたところです。合併してよかったと、そして、国民の皆さん、また世界にいろいろな日本発のエビデンスがより発信できるということで、世界の皆さんに使っていただけるような体制を、この合併によってより積極的に押し出そうということの道筋を今後考えたいと思います。本当にありがとうございます。

 

○酒井部会長

 今、審議していただいていますが、説明資料も含めて資料が幾つか出ていますが、本日ここで委員の皆さんたちに最終的に御意見を賜るのは、資料4-2-1と資料4-2-2ですが、もう一度ここにあるものを見て御意見を頂ければと思います。中村委員、何かありますか。

 

○中村委員

 研究者にとっては、シナジー効果とかありますが、それぞれ自分の研究領域をそのような目で意識をするということは領域が広がる可能性もあるので、これがプラスの方向に作用し、成果が表れることを期待しております。くれぐれも研究者にとって不利益にならないような配慮をいただければ有り難いと思います。

 

○酒井部会長

 ありがとうございます。清水委員、運営の効率化の見直しとか、財務内容の改善の見直し等を含めて、何か御意見があればお願いします。

 

○清水委員

 統合されることは法律上の既定の路線ということでお伺いしました。まず1つは、単純に統合されて、今の資金的な規模での予算というのがどうなのであろうかがあります。統合されて資金量が減るのか。あるいは活動のベースで、共同的な活動が行われるということになると、活動が増えるというということはお金が掛かるということなので、そうすると、そこのところが見えてこないと成果がでるかどうか分からないのです。求められているのは、やはり共同的な形でシナジー効果を立てて、当然成果を出していくことですので、そうすると具体的な活動でどういうお金を必要とするかが見えてきて、その部分が確保されるかどうかということが重要だと思います。

 それから、運営の世界で言うと、例えば間接的なコストと言って、今、国のどこの独立行政法人も間接的な、いわゆるコスト削減の形で動いているのですが、実は研究を支援するような業務がその中に眠っているというか、見えない状態になっていると思うのです。そうすると、日本の場合は財務の見せ方は形態別に見せるので、そこは非常に見にくいのですが、実際に統合したときに、単純に例えば1つの組織にして、事務組織みたいなものを相当大幅に削っていくということになると、その中にいわゆる研究を支援しているような業務があったときに、大きなダメージを受ける可能性もあるのです。その辺のところは業務の流れをきちんとした業務フローみたいなもので見ていって、その中に含まれる業務、機能を把握し、それを課題として認識させて、そこがなくならないような業務評価をしないと、統合のときは結構危ないと思います。

 ただ、求められるのは飽くまでも成果を大きくするわけですから、与えられた資金を最大限活用して、成果をどんどん大きくしていくという意味の効率を求めていただくことになると思います。限られたお金の中で、それを削減するのではないのです。むしろ、それによってどうやって最大の効果を出すかという活動につなげていくかということなので、もろもろの計画、あるいは業務の見直しをされるときに、そのような視点で、きちんとした主張をしていっていただければと思います。以上です。

 

○酒井部会長

 ありがとうございます。非常に有意義な御意見だったと思います。あと、この資料4-2の1と2ですが、1で医薬基盤研究所の見直し当初案としてはよく分かりますし、2の健康・栄養研の見直し当初案は、委員から出ていた意見もそこそこ取り入れられていると思いますが、しかし、少なくとも統合を前提にして、両者、新しい研究所としてどうかというと、委員から出ているような質問なり御意見があると思いますので、今度の総会での報告の仕方も含めて、この辺をどのように整理していけばいいか、若しくはどう修正されていくかという方針をお聞かせください。

 

○大臣官房厚生科学課長

 本日いただいた御意見を踏まえて修正を図り、統合することによる様々な成果、最大限に活動するとか、様々に発信していくとか、そのようなことも書き入れて、再度、御説明させていただきます。

 

○酒井部会長

 そうですか、分かりました。今、課長からそのような意見ですので、金倉委員、全体的に、総括的な御意見をまとめたようなものはございますか。

 

○金倉部会長代理

 それぞれの領域で機能していたものが、余り削がれることなく、更に発展するような組織になることを願っております。是非とも、御協力いただければと思います。歴史的に言うと、統合によってうまくいかない場合が結構多いので、その辺は御配慮いただいて、強化していただければ有り難いと思います。以上です。

 

○酒井部会長

 ありがとうございます。今後の日程については後で事務局から説明があると思いますが、826日の総会の場での対応もありますので、椎葉課長から先ほどありましたが、それをどのように委員の皆様方に短期間ですが見ていただいて、最終的には事務局と私との間でまとめたいと思っておりますが、その前に、修正案というか、新しい案を委員の皆さんに一応見ていただきたいと思っております。その日程で進めていただければと思います。よろしくお願いします。よろしいでしょうか。

 法人の皆様方、何か御発言ありますでしょうか。

 

○医薬基盤研究所理事長

 一言だけ。医薬基盤研究所はもともと10年前に出来上がるときに幾つかの研究所が統合され、霊長類センターとか、薬用植物センターとかがくっ付いた形でスタートしております。10年経過しました今、正にそのセンターが有効に活用された研究が今回も高く評価していただいておりますので、その経験を生かすことで、今回の統合も将来前向きに評価していただけるように是非していきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○酒井部会長

 よろしいでしょうか。それでは、長時間にわたってありがとうございました。少し修正等の作業を引き続き進めたいと思います。これで本日の議事は以上ですが、事務局から今後の予定等について連絡をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 本日御審議いただいた本部会3法人の平成25年度の業務実績の評価結果、いわゆる総合評価については、頂いた御意見を踏まえ必要な修正を加えた上で、法人及び総務省政策評価・独立行政法人評価委員会へ通知するとともに、公表させていただきます。また、委員の皆様には、後日、最終確定版をお送りいたします。

 続いて、国立健康・栄養研究所、医薬基盤研究所、それぞれの法人の暫定評価書については、今月26日開催予定の委員会総会の審議に附された後、決定することになります。こちらについても、委員の皆様には、後日、最終的に確定した暫定評価書をお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。

 なお、正委員の皆様方におかれましては、今月26日の火曜日14時から、厚労省9階省議室において、第36回独立行政法人評価委員会総会が予定されておりますので、御出席いただきますよう、よろしくお願いいたします。

 また、先ほど御議論のあった国立健康・栄養研究所、医薬基盤研究所の「組織・業務全般の見直し当初案」についても、826日開催予定の委員会総会における審議後、厚生労働大臣から総務省政策評価・独立行政法人評価委員会へ通知され、その後、総務省の政・独委で審議が行われて、再度、本年の12月に、「組織・業務全般の見直し案」として、本部会及び委員会総会において御審議いただくことを予定しております。

 最後に、本日配布した資料の送付を御希望される場合は、事務局より送付いたしますので、机上にそのままにして御退席いただきますようお願いします。事務局からは以上です。

 

○酒井部会長

 調査研究部会の審議は以上となります。長時間にわたって熱心に、また皆様方からいろいろな御説明をありがとうございました。それでは、本日の部会を終了させていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

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