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2014年7月14日 平成26年度第1回化学物質のリスク評価に係る企画検討会 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

○日時

平成26年7月14日(月) 15:30~


○場所

中央合同庁舎4号館1階108会議室


○議事

○岸化学物質評価室長補佐 御出席予定の名古屋先生が、まだ来られておりませんが、定刻になりましたので、ただいまから平成26年度「第1回化学物質のリスク評価に係る企画検討会」を実施いたします。本日は大変お忙しい中、またお暑い中を御参集いただきまして、誠にありがとうございます。それでは櫻井先生に座長をお願いし、以降の議事進行をよろしくお願いいたします。

○櫻井座長 議事進行を務めますので、よろしくお願いいたします。まず最初に、事務局から今日の議事予定、資料の確認をお願いいたします。

○岸化学物質評価室長補佐 本日の資料は3つの固まりでお配りしております。まず1つは、企画検討会の議事次第と配布資料一覧、あとは資料関係をつづったもの、参考資料をつづったものとなっております。

 「議事次第」ですが、本日の議事は「平成27年有害物ばく露作業報告対象物質の選定について」と「その他」の2つを議事としています。

 まず資料関係で、通しページで1ページから資料1「平成27年度有害物ばく露作業報告対象物質の選定について()」、5ページから資料2「平成27年有害物ばく露作業報告対象物質の情報」、15ページから資料3-1「パブコメによる候補物質の意見提出状況」、17ページの資料3-21-ブロモプロパンに関する情報」、19ページから資料4「化審法スクリーニング評価における発がん性クラスが1又は2の物質概要」となっております。

 参考資料は、1ページから参考資料1「化学物質のリスク評価に係る企画検討会開催要綱及び参集者名簿」、3ページから参考資料2「リスク評価の推進体制等について」、7ページの参考資料3「リスク評価対象物質・案件の選定の考え方」、9ページから参考資料4-1「有害物ばく露作業報告制度及びこれまでの選定経緯・対象物質について」、19ページから参考資料4-2「有害物ばく露報告対象物質の選定等(過去3年間)」、21ページから参考資料5「これまでのリスク評価の進捗状況一覧」、27ページから参考資料6「労働者の健康障害防止にかかる化学物質のリスク評価方針(平成26年度)について」、31ページから参考資料7「平成26年度のリスクコミュニケーションの進め方」、33ページの参考資料9「平成27年有害物ばく露作業報告対象物質の選定等(概要図)」、35ページからは参考資料10「リスク評価物質選定参考資料」、41ページの参考資料11「発がん性評価基準(平成25年度第2WG後修正版)」となっています。

 あと参考資料8「「有害物ばく露作業報告」の手引(平成27年報告版)」はパンフレットで、委員の皆様方に別途配布しております。資料については以上です。

○櫻井座長 お手元にそろっていますでしょうか。大丈夫のようですね。それでは、本日の議事に入ります。議題1について、事務局から説明をお願いします。

○角田化学物質評価室長 それでは、資料1から御説明いたします。資料1「平成27年有害物ばく露作業報告対象物質の選定について()」です。1「有害物ばく露作業報告について」の(1)「目的」ですが、厚労省労働基準局においては、平成18年度より、職場で使用される化学物質のリスク評価を行い、労働安全衛生法の特別規則等による規制の対象への追加の要否を判定しています。リスク評価に当たっては、既存の有害性情報を整理するとともに、職場における労働者の化学物質へのばく露の状況を調査し、両者を比較することにより、労働者の健康障害に係るリスクを判断しています。

 このうち、労働者のばく露状況の調査のためには、対象とする化学物質の製造・取扱の状況を網羅的に把握する必要があることから、労働安全衛生法第100条及び労働安全衛生規則第95条の6の規定によって、対象化学物質を年間500kg以上製造・取扱を行う事業場は、対象化学物質の用途、労働者が行う作業の種類、製造・取扱量、対象化学物質の物理的性状、温度等を報告しなければならないとしております。

(2)「対象化学物質の選定と有害物ばく露作業報告のスケジュール」です。リスク評価の対象とし有害物ばく露作業報告を求める化学物質は、報告の対象期間(112)の前年に告示を行い、翌年の13月が報告の提出期間となります。今回選定する物質は、本年中の12月までに告示をして、平成27年の112月が報告の対象期間、平成28年の13月が報告の提出期間となっております。

(3)「有害物ばく露作業報告提出後のスケジュール」です。提出された情報をもとに、コントロール・バンディング手法等を用いて、労働者のばく露が大きい可能性がある事業場を抽出し、初期リスク評価のために労働者のばく露濃度の測定等を行います。この結果、高いばく露が見られる事業場があった場合には、その調査結果等をもとに、高いばく露の可能性のある用途や作業の特定等を行って詳細リスク評価のための調査を行います。今回選定する物質は、平成28年度以降に初期リスク評価のための調査を行います。

(4)「その他」です。有害物ばく露作業報告は、労働安全衛生法に基づき事業者に提出の義務を課すものであるため、同法第57条の2の規定に基づき交付が義務づけられている文書(SDS)によって、事業者が譲渡・提供を受ける際に名称を知ることができる物質を対象としています。以上が概略です。

 参考資料23ページの1「リスク評価の推進体制」です。御承知のとおり、こうした企画検討会で、リスク評価方針の検討、毎年度のリスク評価対象物質の選定、リスク評価の周知・徹底等の方策の検討ということでリスクコミュニケーション等を実施しています。この「毎年度のリスク評価対象物質の選定」というのが本日の検討です。そのあと、リスク評価検討会の有害性評価と、ばく露評価小検討会がありまして、規制等が必要とされた物質については、化学物質の健康障害防止措置に係る検討会を行います。

4ページは「リスク評価制度の概要」ですが、ばく露評価と有害性評価、そして国によるリスク評価を行うというフローをまとめています。本日の検討は、5ページの「リスク評価対象物質・案件の選定手順」ということで、候補の募集なりを行い、企画検討会で7月に検討し、12月に対象物質の指定告示を発出して、翌年112月が報告対象期間、翌々年の13月が報告期間となっています。

 その次に参考資料37ページからありますが、これも選定の基本的な考え方ですので、併せて御説明いたします。1.として、今後のリスク評価の対象物件・案件については、次の(1)(3)のいずれかに該当するものの中から選定するということで、昨年、一部修正しておりますが、そこで御確認いただいたものです。

(1)ヒトに対する重篤な有害性を有する又は、有するおそれのある化学物質・案件として以下に該当するものということで、ア、イの2つを書いております。アは、有害性にかかる次の()()の情報において、以下の丸数字1~丸数字5に掲げる重篤な有害性があるか、又はあることが示唆される化学物質・案件ということで、()国際機関又は政府の有害性にかかる分類・情報、()国内外の産業衛生にかかる学会等における有害性にかかる分類・情報、()国内外の主要な学術誌に掲載された論文、()国が実施した吸入ばく露試験、国に届け出られた有害性調査の結果。重篤な有害性として、丸数字1発がん性、丸数字2生殖毒性、丸数字3神経毒性、丸数字4ヒトの生体で蓄積性があり、蓄積することにより疾病を発生する毒性、丸数字5その他ヒトに対して非可逆性の障害を発生させる毒性となっています。なお、有害性の程度が低く、かつ当該物質の物理的性状から見てばく露程度が低いと判断されるもの(ガス、粉じん、ミスト以外の性状のもの)については、リスク評価の対象から除外して差し支えないものとするということです。

 イは、労働に伴う疾病に関する次の()()の情報において、化学物質による疾病が増加し、又は増加するおそれが示唆される化学物質・案件ということで、()労働災害の発生等にかかる情報、()大学、医療機関、試験研究機関等に所属する有識者からの疾病の発生にかかる情報です。

(2)国内における健康障害防止措置等に関する次のア、イの情報において、当該措置について問題が生じている又は生じるおそれが示唆される化学物質・案件ということで、アとして、労働安全衛生にかかる行政機関からの情報、イは、労働安全衛生団体等からの情報ということです。

(3)国内において、有害性にかかる懸念・不安が広がっているものとして、次のア、イに該当する化学物質・案件。アは、パブリックコメントその他でリスク評価の要望が多かったもの、イは、マスコミ等において取り上げられる頻度が顕著に増加したもの。当該条件に該当するものについては、有害性評価を先行して実施し、労働者等に対して正確な情報提供を行うこととする。ただし、(1)に該当するものはこの限りではない。

2.として、以下の(1)(2)に該当する場合にあっては、対象物質・案件から除外するものとする、ただし、対策の見直しが必要なものについてはこの限りではない。量の関係で、(1)国内における製造又は取扱いがない場合や僅かである場合、製造し、又は取扱う事業場数の把握が困難な場合にあっては、製造・輸入量を指標として判断することができるということです。(2)既に法令等により適切な対策が講じられている場合。

3.として、リスク評価の効果的・効率的な推進のため、リスク評価対象物質・案件数を絞り込む場合にあっては、ヒトに対する有害性の確度の高いもの、有害性の程度、物理的性状等からみたリスクの高いもの及び対象物質を取り扱う事業場、労働者数からみた影響度の大きいものの中から、専門家の意見を踏まえ、選定するものとする。

4.SDSについての規定を書いています。労働安全衛生法においてSDSの交付又は表示の対象物質となっていないため、事業者が取り扱った製品に対象物質が含まれているか否かを確認できない場合等、ばく露調査を実施する上で、支障が生じるものについては、SDSの交付の対象又は表示の対象となった段階で、リスク評価の対象とすることとする。ただし、上記1.(3)に該当する場合、有害性にかかる懸念・不安が広がり、正確な情報を提供することが必要な場合にあっては、有害性評価を先行して実施し、情報の提供を行うこととする。

 こうしたルールに基づいて、資料1に戻って、2のリスク評価対象物質を選定していったというところです。

 資料12ページです。2(1)「平成20年度までの選定物質」。リスク評価は重篤な健康障害を引き起こすおそれのある化学物質を対象としているが、平成20年度までは発がん性に着目し、IARCの発がん性評価で12Bの区分となっている物質等を選定し、御覧のように平成18年度19年度、20年度に選定をしてきております。これらの物質は大部分がリスク評価を終了しております。合計79物質のうち、74物質がリスク評価終了又は有害物ばく露作業報告の提出がなしです。

(2)「平成2123年の選定物質」。この期間は発がん性に限らず、重篤な健康障害のおそれのある化学物質を対象として選定しております。着目した有害性の種類ごとの選定物質数は以下のとおりで、発がん性物質は6物質、生殖毒性は18物質、神経毒性は32物質、その他が2物質。この他にナノマテリアル5物質があります。複数の種類の有害性から選定した物質があるので、上記の物質数の合計と全体の物質数は異なっておりますが、このように選定してきたというところです。

 このうち平成21年選定物質は、平成23年度から初期リスク評価のためのばく露実態調査を開始し、現在までに2物質がリスク評価を終了しています。合計49物質のうち、残り46物質を今後評価していく必要があります。

(3)「平成24年の選定物質」。平成2613月に報告が出てきたものですが、次のとおり発がん性に着目した選定及びナノマテリアルを選定しました。丸数字1有機溶剤中毒予防規則の対象物質のうち、発がん性のおそれのある11物質、丸数字2上記丸数字1以外でがん原性指針を公表している3物質、丸数字3発がんのおそれのある芳香族アミン1物質、丸数字4ナノマテリアル1物質、それから、以前に告示をして報告がなかったもの丸数字5再告示物質1物質、全部で17物質です。

(4)「平成25年の選定物質」。昨年7月のこの検討会で御検討いただいたものですが、次のとおり発がん性又は生殖毒性・神経毒性に着目した選定を行ったということで、3ページです。丸数字1IARCにおいて発がん性区分で「1」、「2A」、又は「2B」となっている13物質。この中には有機則の対象物質のうち、発がん性のおそれのある1物質を含んでおります。丸数字2国が実施した発がん性試験の結果において発がん性が示唆される1物質。丸数字3生殖毒性または神経毒性でGHS区分が1である12物質。そのように整理をして対象としてきたというのが、これまでの経緯です。

 詳細の御説明はしませんが、参考資料の通しページの9ページに参考資料4-1があり、今申し上げた選定経緯は概要でしたが、何を選定したかという実際の物質名を入れた資料を17ページまでまとめております。それから19ページの参考資料4-2は、直近3年間の選定物質をまとめたものですので、御参考にしていただければと思います。

 資料1に戻り、3ページの3「平成26年の選定物質(平成27年有害物ばく露作業報告対象物質)について()」を御説明したいと思います。大変恐縮ですが、参考資料933ページも併せて御覧いただきますと、ここに全体像をまとめてあります。左から「発がん性」、「生殖毒性・神経毒性」、「海外における知見」、「パブコメによる提案」、「再告示」ということで、大体こういった観点で全体を整理しており、それに対応する物質として、それぞれのところで具体的な物質名をまとめています。

 今のところ案としては、合計で26物質となっていますが、できれば少し絞り込みを御相談したいと考えております。それと上のフロー図は、先ほどもありましたとおり、平成2612月までに告示をして、平成2813月に報告が出て、リスク評価に行くという流れです。

33ページの一番下に点線の四角で囲っている部分があります。これは発がん性評価ワーキンググループの検討状況が企画検討会とも関わるものですから、併せて御報告をしておきたいと思います。

 ○の1つ目は、平成26年度中期発がん性試験の対象物質の検討です。これは前回の36日の企画検討会で中期の発がん性試験の候補物質として6つの物質を選定し、別に次候補ということで2物質をお諮りしまして、最終的に候補6物質と次候補2物質ということで決まったわけですが、発がん性評価ワーキングが514日にあり、その場でそれについて併せて確認・検討していただき、企画検討会で選定された候補6物質について実施するという形で決定しました。それが1つ目の御報告です。

 それから2つ目の○は、リスク評価対象物質の候補(企画検討会に諮るもの)ということで、発がん性評価WGにおいても、発がん性の観点からリスク評価の対象物質とするものについての検討を行い、それを企画検討会に候補として提案するという形になっておりますので、それの検討を実施しました。具体的には、クロポツが2つありますが、1つ目の・は、中期発がん試験で陽性のものということで、平成25年度は2物質実施したわけですが、いずれも陰性でしたので、リスク評価の対象にはならないということになりました。

2つ目の・は、IARCの発がん性分類で12Bに該当しないが、リスク評価の対象とすべきものということで検討している項目があり、これは参考資料の最後の41ページの参考資料11で、発がん性WGでどのように評価をしていくかの骨子がまとめてあります。この中で、1「リスク評価対象物質の候補とすべきもの」の(1)として、以下に該当する物質については、リスク評価の対象物質の候補とし、発がん性のスクリーニングの対象から除外するということで、丸数字1国際がん研究機関(IARC)の発がん性評価区分の12Bに分類されているもの、これは今までも、本日の御提案でも、既に12Bのものということで提案をさせていただいております。

 丸数字2は、アとして、IARCの発がん性評価区分で12Bに分類されていないが、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)の一般化学物質等に関するスクリーニング評価において、発がん性クラスが1又は2と評価されたもの。イとして、他の関係機関等の発がん性評価区分、又は既存の発がん性に関する試験の結果等から、専門家によりIARCの評価区分の12Bに相当すると判断されたもの。IARC12Bに分類されていないのですが、このアとイが検討対象とするとされておりまして、アについて整理したものを、本日、候補ということで御説明したいと考えています。イについては、引き続き発がん性WGの委員の先生方に、いろいろ既存文献等を御検討していただいておりますので、これも並行して動いていると御理解していただければと思います。

 先ほどのフロー図の参考資料9に戻っていただきますと、下の2つ目の○が、今、御説明したところです。

 資料13ページに戻って、「平成26年の選定物質」というところで御説明いたします。(1)国際機関又は政府の有害性にかかる分類・情報において、発がん性があるか、又はあることが示唆される物質。ア、WHO/IARCにおいて、発がん性評価が12A又は2Bとなっているもの、許容濃度等は設定されていないというものです。これについて、丸数字1ニトリロ三酢酸(2B)、丸数字2ブロモジクロロメタン(2B)という2物質を整理しております。これの選定の手順は、IARC12A2Bはかなりの項目がありますが、その中から化学物質を選び、そのうち特化則で既に規制済みのものもありますので、そういった規制済みのものを除きます。残った未規制のものの中から、SDSがないとなかなか把握が難しいということで、SDSが交付義務になっているものを選んで、更にその中から、実際に生産量をチェックして、化審法なり化管法のデータで生産量等があるものということで、NITEの情報提供システムがありますので、そちらでチェックをして、データがあるものについて整理をしました。そうすると、残るのがこのニトリロ三酢酸とブロモジクロロメタンになりました。

 この物質については、資料2で表にして整理しておりますが、1番が「ニトリロ三酢酸」です。構造式は左端に御覧のとおりです。物理・化学的性質は無臭、白色の結晶性粉末。融点は230235℃、沸点は167℃で、以下、蒸気圧等を書いています。用途は、工業用洗剤・洗浄剤のビルダー(洗浄力を増す働きを持つ添加物)、硬水軟化剤やキレート剤として使われておりまして、平成23年度の排出量は87kgです。発がん性の評価区分等がIARCのモノグラフ73で、2B、ヒトに対して発がんの可能性があるということです。NTPRで、ヒト発がん性があると合理的に予測される物質となっています。許容濃度等については、日本産業衛生学会、ACGIHともに未設定となっています。備考として、化審法の優先評価化学物質、安衛令別表第9SDS義務化の対象物質となっています。PRTR(化管法)1種指定化学物質です。

 もう1つの物質「ブロモジクロロメタン」は無色の液体で、融点が-55℃、沸点は88℃前後です。水中の有機物質が浄水処理過程で消毒のために加えられる塩素剤と反応して生じるトリハロメタン類の一種です。排出量は60tというデータがあります。IARCでは2BEPAB2NTPRという分類になっています。許容濃度等は産衛学会、ACGIHともに未設定です。備考は、別表第9SDS交付対象物質、PRTR法では第1種指定化学物質です。この2つが発がん性のアの部分です。

 資料13ページに戻っていただきますと、イの部分は発がん性評価WGの検討において候補物質とされたものの中からの選定ということです。資料4を見ますと、これが先ほど発がんのWGでリストとして整理して御確認いただいたものですが、化審法のスクリーニング評価において発がん性クラスが1又は2の物質ということです。ただ、この物質の中にはIARC12Bというランクのものもかなり入っており、むしろそちらのほうが多いという状況ですので、その中からIARCの発がん性分類がないもの、あるいはIARC3というのもありますので、そういうものをピックアップしてみたものがこの表です。以下、10物質ほどありますが、まずチオ尿素から御説明させていただきます。

 「チオ尿素」は白色結晶又は粉末で、ウレタン樹脂原料、医薬・染料・界面活性剤・殺鼠剤・金属防錆製剤ということで使われています。評価としては、IARC3で分類できないという評価、EUでは3NTPではR、日本産衛学会では2Bと評価されています。その他の有害性としては、皮膚感作性、特定標的臓器・全身毒性、反復ばく露(甲状腺)。このような物質です。

2番は「Tert-ブチル=メチル=エーテル」です。特徴的な臭気のある無色の液体で、ガソリンのオクタン価向上剤といったものに使われております。製造・輸入数量もかなり多い。IARC3ですが、ACGIHA3です。吸引性呼吸器有害性がGHSで区分1になっています。

3番は「フルフラール」です。無色~黄色の液体で、フラン樹脂原料、ブタジエン抽出溶剤、潤滑油精製、医薬品原料。製造・輸入数量は1,000t以上2,000t未満。IARC3EU3ACGIHA3という評価になっています。特定標的臓器・全身毒性としては、単回ばく露(呼吸器、肝臓)、反復ばく露(呼吸器)となっておりまして、許容濃度は産衛学会とACGIHでこのように設定されており、経皮吸収があるものということで整理されております。

4番はイソホロン、「1,5,5-トリメチル-1-シクロヘキセン-3-オン」ですが、特徴的な臭気のある無色の液体で、塗料や農薬原料、溶剤ということで、EU3ACGIHA3EPACという評価になっています。ACGIHで御覧のとおり許容濃度が設定されています。

5番が「o-クレゾール」です。用途はエポキシ樹脂・農薬・酸化防止剤・可塑剤・フェノール樹脂合成原料、電線ワニス溶剤、消毒液等で使われており、EPACの評価、ACGIHA4という評価になっています。皮膚腐食性・刺激性、眼に対する重篤な損傷・眼刺激性。特定標的臓器・全身毒性としては、反復ばく露で心臓、中枢神経系、肝臓、腎臓、呼吸器といったものが書かれております。産衛学会、ACGIHでは御覧のとおり許容濃度が設定されております。これは第2種有機溶剤に該当しております。

6番が「シクロヘキサノン」です。これも有機溶剤ですが、溶剤、カプロラクタム(合成樹脂・ナイロン原料)の原料。製造・輸入数量もかなり大きな量になっています。ACGIHA3という評価です。皮膚感作性、特定標的臓器・全身毒性は、単回ばく露が呼吸器系、反復ばく露が中枢神経系、骨となっています。産衛学会とACGIHで許容濃度が設定されています。

7番が「テトラヒドロフラン」です。これも第2種有機溶剤になっておりまして、用途は合成樹脂・塗料・接着剤溶剤、医薬・農薬製造反応溶媒。製造・輸入数量が32,590tで、これも多い実態にあります。EU3の評価、EPAは発がん性を示唆する物質、suggestiveということでSという評価、ACGIHA3という評価です。反復ばく露で肝臓、腎臓、神経系に毒性があるということです。許容濃度も両機関で設定されております。

8番が「2-ブトキシエタノール」です。これは塗料、印刷インキ、染料、農薬溶剤に用いられており、製造・輸入数量が27,000tほどあります。IARCでは3ですが、ACGIHA3となっています。特定標的臓器・全身毒性は、単回ばく露で中枢神経系、血液、肝臓、腎臓になっています。産衛学会は未設定ですが、ACGIHは御覧のとおり20ppmと許容濃度が設定されています。

9番が「フルフリルアルコール」です。フラン樹脂原料、樹脂変性剤、溶剤ということで、製造・輸入数量が8,000t以上9,000t未満です。EU3の評価になっています。反復ばく露では呼吸器に対して毒性があるということです。産衛学会は5ppmACGIHTWA10ppmという許容濃度が設定されております。

 最後は「2,2'-ジクロロジエチルエーテル」です。油脂類の溶剤や有機合成中間体、くん蒸剤。IARC3EU3の評価で、EPAB2ACGIHA4で分類できないという評価です。急性毒性は吸入と蒸気、特定標的臓器・全身毒性は単回ばく露で呼吸器に毒性があるというところです。産衛学会とACGIHで許容濃度が設定されています。

 ざっとで恐縮でしたが、資料4の、発がん性クラスが化審法のスクリーニング評価で1又は2で、IARCでは12B以外、SDS交付対象ということになりますと、大体この10物質ぐらいということになりましたので、これを企画検討会に御報告をしているというところです。ただ、これは10物質ということで、かなり多いので、全体的な数をそれほど大きく設定することはなかなかできない部分がありますので、幾つかこの中から選定をしたいと考えております。それから既に有機溶剤の規制が入っているものも先ほどありましたが、既存のもので既に規制が入っているものについては、今回の案の中からは除く方向にしたらどうだろうかとうことです。この中で比較的ほかの機関の評価が多いもの、1番のチオ尿素、これはEUNTPと産衛学会の評価があり、あと4番のイソホロンはEUACGIHEPAの評価がありますので、1番と4番を対象にしたらどうであろうかというのが事務局の整理です。

 資料13ページのイに戻っていただきますと、発がん性評価WGの検討において、候補物質とされたものの中からの選定ということで、「チオ尿素」と「イソホロン」をまとめて書いています。

 説明が長くなって恐縮でしたが、発がんに関しての説明は今のところまでですので、よろしければ一旦ここで説明を切らせていただきまして、発がんを中心に御審議いただければと思います。

○櫻井座長 全体ですともっと数が多くなりますので、まずは発がんについてです。事務局で整理をして、取りあえず4つの物質を案として出していただいておりますが、いかがでしょうか。御質問、御意見がありましたら、どうぞ御自由に御発言をよろしくお願いいたします。

○吉田委員 ニトリロ三酢酸を対象にされるということですが、これは有機の酸ですので、例えばナトリウム塩とかカリウム塩とか、塩としても存在するかと思います。その辺の区別は何か付けておられるのですか。塩は除いて酸のみという扱いで、今回は考えておられるということでよろしいでしょうか。

○櫻井座長 ニトリロ三酢酸をテーマにしていらっしゃるのですね。

○吉田委員 酸ですので、塩としても存在するのではないかと思います。塩も含めての扱いなのか、カルボン酸だけなのかということだけ、お聞かせいただければと思います。

○角田化学物質評価室長 考えておりましたのは、SDSもニトリロ三酢酸という形になっておりましたので、その物質に絞り込んでいたのですが、また御意見等があれば、それを踏まえて考えたいと思います。

○吉田委員 そこは特にないのですが、有害性が三酢酸でなされているということであれば、それで対象にしていただいたほうがいいかと思います。念のために確認させていただいたということです。

○櫻井座長 分かりました。有害性評価それ自体が塩ではなく、ニトリロ酢酸でなされているとしたら、それでいいだろうという御意見ですね。そのほかにいかがでしょうか。

○石井委員 理解不足なのかもしれないのですが、今挙がっている物質について、許容濃度のないものがあります。今の段階で許容濃度がないということは、特に支障はないのでしょうか。だんだん評価が進んで数値が決まれば、事業者の方々は便利だと思うのですが、今の段階では特に支障はありませんか。

 それからもう1点です。「用途及び製造量等」の資料2の中で排出量とありますが、この排出量はどう考えたらいいのでしょうか。恐らくPRTRの指定化学物質の排出量から出てきていると思いますが、排出量とばく露と関係があるのでしょうか。この2点を教えていただきたいと思います。

○角田化学物質評価室長 まず1つ目の許容濃度の関係です。許容濃度が設定されていないものについても、評価値を設定して評価しないといけません。その場合、評価値の設定方法のルールが決めてあり、ACGIHや産衛学会で許容濃度がないものについては、ほかの機関の値、また、動物実験のNOAEL等で設定した水準で評価値を設定する、といったルールが決められております。ですから、それに基づいて対応していくということで、特に支障はないと考えております。昨年度も一部、許容濃度が設定されていないものも告示の対象としております。

 データを取るときに製造なり輸入のデータというのは、ある程度は生産の実態を反映しているとは思うのですが、そうしたデータがないものについては、PRTRのほうで排出量ということでデータを取っております。実際に使われている量を直接的に反映するものではないのですが、それがあればある程度、製造も取扱いもあるだろうという前提の下に、こういったデータも活用しながら判断しているというもので、この中にも入れさせていただいています。

○石井委員 PRTRの対象指定化学物質を決める際に、製造量のランク付けがされ、それがハザードデータとしてCHRIPの中で公表されていると思います。バンドになっていたかと思うのですが、そういったものを利用したほうがいいのではないかと感じたので、質問しました。

○角田化学物質評価室長 データ自体は先ほども触れましたとおり、CHRIPのデータから拾っています。基本的に化審法の一般化学物質の製造・輸入数量のあるものについては、それを使っているのですが、それがないものについてはPRTRの排出・移動量ということで、そのデータを持ってきています。

○櫻井座長 それだけで決定するわけではないのですが、当面はそれをある程度の参考資料として使っているということです。いかがでしょうか。特にありませんか。発がん性のある物質についてアとイと、それぞれ2物質ずつ候補になっております。前の2物質については、IARC12A又は2Bで、過去に許容濃度が設定されているものは既に検討課題として済んでいるので、設定されていないもので残っているものが挙がってきているわけです。未規制でSDSがあって、生産量も一定量あるものということで挙がっています。イのほうはWG10物質のうち、当面は2つ、先ほど御説明のあったような基準で案として出していただいております。これではなくてこれということは特にないようですが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

○櫻井座長 それでは(1)の、発がん性があるか、又はあることが示唆される物質として、案として挙げていただいた4物質を、今回の当検討会の案としてお認めいただいたということで決めさせていただきます。ありがとうございました。それでは2番目として、まずは生殖毒性だけをやりますか。

○角田化学物質評価室長 資料23番と4番が生殖毒性についてです。この物質を選んだ経緯は、神経毒性とも関わる部分で、参考資料の35ページを御覧いただければと思います。この資料は36日の企画検討会で、今こういった形で整理をしていますということでお示したものと同じものです。この中で左上に「SDS対象物質(633物質)から、既に法令措置されているもの、リスク評価実施済、27年度報告対象物質としたものを除いたもののうち、GHS分類において、生殖毒性、神経毒性が「区分1」の物質一覧」ということで、86物質を整理しています。

 この左から2番目の「物質名」と書いてある所に、色が塗ってあるものがあります。これが生殖毒性と神経毒性について、今回案にしているものです。生殖毒性は今、案として2つ出ております。35ページの56番の2-イミダゾリジンチオンが生殖毒性です。もう1つが38ページの一番下で、色が塗ってあるベノミルというのが生殖毒性です。こういった整理をして、この中から抜いてきているものです。

 先ほどの資料2の横長の表に戻ってください。まず3番「2-イミダゾリジンチオン」というのは、アミン臭の白色~淡緑色の固体で、融点が203204℃、沸点が347.18℃です。有機ゴム薬品(加硫捉進剤)として使われております。製造・輸入数量については、1,000t未満となっております。これは発がん性のほうですが、IARCではヒトに対する発がん性が分類できないということと、NTPRということで、ヒト発がん性があると合理的に予測される物質ということになっております。その他の有害性ですが、皮膚感作性と生殖毒性がGHSの区分1です。あと、特定標的臓器・全身毒性は反復ばく露で甲状腺に有害性がある、毒性があるということが分かっております。それから産衛学会、ACGIHでは、許容濃度は未設定となっております。

 次の6ページ、生殖毒性の2つ目の「ベノミル」です。名前が長いので、正式名は省略いたします。特異臭のある白色の固体で融点が140℃、農薬として使われているものです。排出量の推計は114(平成23年度)になっております。発がんは「情報なし」と書いてありますが、右の所にACGIHA3となっておりますので、ACGIHA3の評価というのを訂正させていただきます。その他の有害性としては皮膚感作性、生殖細胞変異原性、生殖毒性が確認されて、GHS区分が区分1となっております。産衛学会では許容濃度は未設定ですが、ACGIHではTWA1mg/m3 で設定されております。安衛令の別表第9436号で、SDS交付対象物質になっております。以上が生殖毒性の2物質です。この2つについて御提案をしているところです。

○櫻井座長 説明がありましたが、いかがでしょうか。これは2物質について、案として出していただいております。

○角田化学物質評価室長 参考資料10で、ほかにも生殖毒性の欄が区分1となっているものもあるのですが、それはデータで生産・輸入量が確認できないので、そういうものは除いて整理をしております。その結果、この2つを選んでいるところです。

○櫻井座長 そうすると、生産・輸入量と確認できないようなものを除くと、今の段階ではこの2つに限定されてしまっているわけですね。

○角田化学物質評価室長 はい。

○櫻井座長 特に御異存はないようですが、よろしいでしょうか。それでは、この2つの物質については原案どおり、当委員会の結論とさせていただくということでよろしいでしょうか。

(異議なし)

○櫻井座長 では、そのようにさせていただきます。続いて神経毒性について、よろしくお願いします。

○角田化学物質評価室長 資料2の表で、5番以下が神経毒性になっております。まず5番の「アリルアルコール」です。アリルグリシジルエーテル、エピクロロヒドリンの有機合成原料ということで使われております。あと、ジアリルフタレート樹脂・医薬・香料・難燃化剤などの原料としても使われており、排出量は4.4t、刺激臭のある無色の液体です。発がん性はACGIHA4です。有害性は急性毒性で、特定標的臓器・全身毒性として、単回ばく露は中枢神経系が入っております。反復ばく露は腎臓と肝臓となっております。産衛学会、ACGIHで許容濃度が設定されております。

6番が「エチル-パラ-ニトロフェニルチオノベンゼンホスホネイト」ということで、「EPN」と言われております。構造式にありますとおり、有機リン系の殺虫剤です。排出量は62t、発がん性は飛ばして、有害性が急性毒性(吸入:粉じん、ミスト)、特定標的臓器・全身毒性が、単回ばく露も反復ばく露も神経系となっております。許容濃度はACGIHで御覧の水準で設定されております。

7番が「オクタン」です。これは特異臭のある液体で石油中に含まれているものです。標準燃料・オクタン価測定試薬ということで利用されており、製造・輸入数量は5,000t以上6,000t未満です。特定標的臓器・全身毒性は単回ばく露が中枢神経系、吸引性呼吸器の有害性ということです。産衛学会、ACGIHともに300ppmで許容濃度が設定されております。

8番が「クロロピクリン」です。刺激臭があり、僅かに油状、無色の液体で、農薬として使われております。燻蒸剤などでよく使われております。土壌の線虫などを駆除するために地中に薬剤を注入し、上にビニールシートを掛けたりという形で殺菌・殺虫に使われております。有害性は急性毒性で、吸入:蒸気、眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性、特定標的臓器・全身毒性としては、反復ばく露は中枢神経系ですが、単回ばく露も反復ばく露も両方とも神経系というのが規定されております。産衛学会とACGIHでは、0.1ppmで許容濃度が設定されております。

9番が「ジスルホトン」です。これも有機リン系の殺虫剤です。特異臭のある無色、油状液体で、排出量は132tです。その他の有害性としては急性毒性(経口、経皮、吸入:粉じん、ミスト)、特定標的臓器・全身毒性で、単回ばく露も反復ばく露も神経系で毒性が確認されております。許容濃度等は、日本産衛学会では未設定ですが、ACGIHではTWA0.05mg/m3 で設定されております。

10番の「マラチオン」も、かなり広く使われている有機リン系の農薬です。特有の臭気のある無色の液体で、農薬(殺虫剤)として使われており、排出量は118tです。有害性は皮膚感作性、特定標的臓器・全身毒性、単回ばく露は神経系で、GHS区分が1です。産衛学会とACGIHで、それぞれ許容濃度が設定されております。経皮吸収についても言及されているところです。

11番は「しょう脳」です。これは特徴臭のある無色又は白色の固体ということで、セルロイドやフィルムの可塑剤などに使われております。製造・輸入量が100t以上1,000t未満という、経産省の実態調査のデータです。有害性については単回ばく露が中枢神経系、反復ばく露が神経系、肝臓ということで、GHS区分が1となっております。許容濃度ですが、産衛学会は未設定、ACGIHではTWA2ppmということで設定されております。

 次が12番の「チオりん酸O,O-ジエチル-O-(3,5,6-トリクロロ-2-ピリジル)」、別名「クロルピリホス」です。これも有機リン系の農薬(殺虫剤)です。排出量は74t、有害性については特定標的臓器・全身毒性、単回ばく露が神経系、反復ばく露が神経系と副腎ということで、GHS分類が区分1です。許容濃度はACGIHのほうで、TWA0.1mg/m3 ということで設定されております。

13番が「フェニトロチオン」で、これも有機リン系の農薬です。淡黄色透明の液体で、融点が3.4℃、排出量が501tです。その他の有害性ですが、単回ばく露、反復ばく露ともに神経系で、GHS分類が区分1となっております。産衛学会では経皮吸収ということで、許容濃度が1mg/m3 と設定されております。

14番の「フェンチオン」も、有機リン系の農薬です。その他の有害性ですが、これも単回ばく露、反復ばく露で神経系への毒性が、GHS分類が区分1となっております。性状は液体で、僅かににんにく臭のある無色~黄色の液体です。

15番が「テトラメチルチウラムジスルフィド」、別名「チウラム」です。これも農薬(殺菌剤)として使われております。それから有機ゴム薬品(加硫捉進剤)にも使われており、製造・輸入数量は1,000t以上2,000t未満です。その他の有害性の欄ですが、皮膚感作性、生殖細胞変異原性、特定標的臓器・全身毒性は単回ばく露が神経系、反復ばく露が甲状腺と肝臓となっております。産衛学会、ACGIHともに許容濃度が設定されております。

 次が16番の「カルバリル」です。無臭の白色結晶で、農薬(殺虫剤)として使われており、排出量は76t、発がん性評価が、EUはランク3となっております。その他の有害性ですが、特定標的臓器・全身毒性、単回ばく露が神経系ということで、GHS分類が区分1です。産衛学会、ACGIHともに許容濃度が設定されております。

17番が「フェノチアジン」です。微臭の黄色結晶で、重合抑制剤や酸化防止剤として活用されているものです。製造・輸入数量は1,000t以上2,000t未満、有害性としては特定標的臓器・全身毒性が単回ばく露ですと肝臓、腎臓、血液、神経系、循環器系です。許容濃度は、ACGIHTWAが設定されております。

18番は「ほう酸ナトリウム」です。これは十水和物です。白色結晶又は結晶性粉末ということで、ほうろう鉄器・ガラス・陶磁器・顔料原料、コンデンサー用電極材といったものに使われており、排出量は4,440tです。これはほう素化合物としての量です。その他の有害性は、特定標的臓器・全身毒性で単回ばく露は腎臓、神経系、呼吸器、反復ばく露についても同じで、神経系が入っております。許容濃度等ですが、産衛学会は未設定、ACGIHTWA2mg/m3 、その他御覧のとおりに設定されております。

 神経毒性の最後が19番の「メチルヒドラジン」です。特異臭のある無色吸湿性液体ということで、農薬・医薬中間体、高分子添加剤、写真薬などで利用されております。製造・輸入数量は1,000t未満となっております。ACGIHではA3の評価になっております。その他の有害性ですが、急性毒性は吸入:蒸気、特定標的臓器・全身毒性は単回ばく露が血液、神経系、反復ばく露が血液、肝臓、腎臓、呼吸器、副腎という形になっております。許容濃度については、ACGIHTWAが設定されております。以上が神経毒性の候補である物質、全部で15物質を御説明いたしました。

○櫻井座長 なお、先ほど2物質を加えておりますので、全体の数がちょっと多いのではないかと言っておられたように思いますが、いかがでしょうか。

○角田化学物質評価室長 神経毒性は15物質ありますが、発がんの分を若干追加したこともあり、従来とほぼ同様、全体で大体20物質と考えておりまして、それに基づきますと、神経毒性の中から幾つか減らすことが可能であれば、そういうことも御検討いただければと思っております。数量的なところで御報告いたしますと、例えば神経毒性の5番のアリルアルコールの排出量が4.4tとなっております。あと、100t以下ぐらいのものを少しピックアップしますと、6番が62t、12番が74t、14番が62t、16番が76tとなっておりますので、この辺りの中から若干絞り込みができればと、事務局としては考えております。

○櫻井座長 そういう含みもあるのですが、いかがでしょうか。御質問、御意見を頂けたらと思います。

○吉田委員 お示しされた物質には、有機リン系の農薬が結構あるかと思います。有機リン系の農薬を幾つかに絞って、今回は落とすというのも可能かと思います。

○角田化学物質評価室長 そこは考えてはいなかったのですが、要するに同じような性質のものであるという御判断で。

○吉田委員 いずれも神経毒性という感じでしょうか。

○角田化学物質評価室長 そういう御意見が出れば、そういうことも御検討いただければと思います。

○吉田委員 16番のカルバリルはカルバメート系の農薬であって、有機リン系ではないので、もし今後のことも考えるのであれば、逆にやってもいいのかなという感じを私は持ちました。

○櫻井座長 カルバリル系ですね。何番でしたか。

○角田化学物質評価室長 16番です。

○吉田委員 16番がカルバメート系で、あと有機リン系のものが幾つかあったので、傾向を見るという意味では、幾つか落としてもいいのかなということです。

○櫻井座長 そうしますと先ほどのは100t未満、76tだから、もしかしたら少ないほうではないかということでしたら、カルバリルはそうであっても、これは入れておいたほうが良さそうだということですね。そうしますと14番の62tのフェンチオンとか、12番のクロルピリホス辺りは少な目ですので、これらを除くということも考えられますね。

○角田化学物質評価室長 6070t台ということで4つ挙げたうち、御指摘のカルバリルを除いて、みんな有機リン系の農薬です。

○石井委員 今回は農薬が多いですが、用途が割合特定できる農薬のようなものは、事業所も特定しやすいものなのでしょうか。

 あと、農薬は比較的管理されているとよく言われますが、管理されている情報を共有化するようなことは、今後お考えでしょうか。公開されていないような農薬に関する情報もあるかと思います。その辺はどうお考えでしょうか。

○角田化学物質評価室長 事業所が特定できるかどうかという1つ目の御質問は、もちろん用途が農薬でないほかの部分もある場合はともかく、主に農薬で製造販売しているものであれば、扱っている所もかなり特定されてくるかとは思います。

 それから、農薬としての管理状況の共有ですが、農薬のデータベース等の情報自体は、今は余り共有まではいっておりません。ただ、農薬のデータもかなり公開されて、どういう物質があるとか、どういう所で作っておられるというデータベースが農水のほうでありますので、そちらのほうともいろいろと情報を緊密にして、もし、こういう形で選定していくということになれば、情報を十分に把握してみたいと思っています。

○石井委員 有害性情報などは、企業データも結構あるのではないかと思います。そういったものが使えるのと使えないのでは、大分変わってくる可能性があるのではないかと思いましたので、質問をしました。

○櫻井座長 農薬の場合、年間500kg以上の取扱いというと、大体がメーカーか製剤、それ自体を作るか製剤化する所というように、比較的限定されると思います。

○山口委員 殺虫剤の用途がありますので、農業、畜産業などで大量に扱っている所はないのですか。そうすると、そうしたところが、一番ばく露が大きいと思われます。

○櫻井座長 まとめて使う所があるかないか、やはり調べる意味では意義がありますか。

○山口委員 基本的に散布するわけですから。大量に使う所がなければ問題無いと思われますが、そこが多分、一番ばく露が大きいことが推定されます。

○櫻井座長 ばく露という点では、使用する所のほうが問題であり得るわけですね。

○山口委員 作る側は大体沸点が高い粉体が多いですよね。ですから、ばく露はほとんど心配ないような気がするのですけれども、製剤、混合して更に農薬を作っている所から、使用する所が比較的ばく露が大きいことが推定されます。大量に使っている所として、どちらかというと川中、川下のほうが、ばく露が大きいと思われます。

○櫻井座長 農業だとそれぞれ小さいですから、年間の使用量も500kgはいかないと思うのです。

○山口委員 それは500kgないと思います。

○櫻井座長 当然それも問題だけれども、当面は外れてしまうのですが。

○山口委員 どういったものなのかは調査をすればわかるのでは。

○宮川委員 今、用途の話が出ましたが、昨年か一昨年の実態調査で、確かDDVPのばく露が比較的高かったような記憶がります。あれは製剤を作るときにマットに浸み込ませるという所もあったようで、ですから作っている上流のほうというか中間ぐらいであったので、その辺りでどういう形で使うかによってばく露が少し違うとすると、そのタイプ分けをしていただけるとよいと思います。今、化学物質の種類ごとに、カーバメイトか有機リンかという話がありましたが、実際に使うときの使い方で製造者にとってのばく露も違ってくる可能性があるのではないかという気がします。

○岸化学物質評価室長補佐 DDVPは蒸散させるための製剤です。樹脂に練り込んで吊すことで、自然に蒸発するという形態の殺虫剤ですので、製造している所での取扱いで高いばく露が認められたということで、今、特化物に入れるよう、改正作業を行っているところです。

○櫻井座長 ここに出ている幾つかは、かなり農薬が多いのです。例えば、100t未満というと4種類ぐらいありますよね。カルバリルが1つで、そのほかに3種類ぐらいありますが、どれを取り上げるかとか、これは似ているから当面やめておこうとか、そういう判断ができれば、そういう判断をしたいとは思いますけれども。

○角田化学物質評価室長 例えば、先ほど4つ申し上げたもののうち、カルバリルを除く3つについて、ちょっと少ないからということで落とすことと合わせて、5番のアリルアルコールも4.4tという、かなり少ないものです。9番、10番も100tを若干超えてはいるのですが、両方有機リン系ですので、100t前後以下ということであれば、数が若干減ることにはなっても、絞込みの対象にすることもあり得るかと思うのです。

○櫻井座長 当面はそれを全部外してしまって、次年度以降に回すということもあるでしょうから構わないかもしれませんね。4.4tですから、アリルアルコールの排出量は少ないですね。その他の有害性の所で、単回ばく露で中枢神経系になっているけれども、反復ばく露では中枢神経系というのが挙がってこないのです。そういうものがかなりあるのですが、それも余り重要ではないかもしれない。例えば農薬などは急性で全部中枢神経系があって、慢性のほう、反復ばく露のほうでは抜けているものがかなりあるのです。多分、反復でもあるに違いないと思うけれども、抜けているのです。それは毒性区分が1ではなく、2としたがっているのかもしれません。ここでは1を入れていますので抜けてくるわけです。

 しかし、相対的にどう考えたらいいのかという感じです。アリルアルコールは反復ばく露だと中枢神経が出ていないから、腎臓と肝臓だけが挙がってきている。今、我々はどちらかと言えば中枢神経を優先的に調べようとしているという点からいくと、排出量も少ないし、慢性の反復ばく露でも中枢神経系がないから、まずアリルアルコールは除くということにしましょうか。それはそれでよろしいですか。

○山口委員 そもそも少ないですから。

○櫻井座長 あとは事務局のほうで排出量を1つの参考基準と考えて、100t前後のものを除くというと。

○吉田委員 今お話された132tとか118tの有機リン系の2物質を除きますと、有機リン系で残るのが13番のフェニトロチオン1つになってしまいます。逆に1つだと、先ほど宮川先生が言われたように、いろいろな物性というか傾向を見るには、データとしては不足なのかなという感じがします。もし可能であれば、やはりもう1物質ぐらいあってもいいかなという感じがします。

○櫻井座長 そうですね。そうしたらどれがいいでしょうか。

○角田化学物質評価室長 そうすると70t台以下のものは落とすとして、9番と10番のジスルホトンとマラチオンを落とすのではなく、この辺から何かを入れるということですか。

○櫻井座長 そうです。

○角田化学物質評価室長 そうすると、それほど大きく変わりはありませんが、多いほうとか。

○櫻井座長 9番と10番のうちのどちらかを採用するとしたら、反復ばく露のほうで神経系が出ていますから9番でしょうか。マラチオンのほうがどちらかと言うと低毒性で、許容濃度が高い。では9番を採用して、それ以外の有機リン剤は今回は外すという案になりそうですが、それでいかがでしょうか。

○向澤委員 13番は残すのですか。

○櫻井座長 フェニトロチオンは多いので残します。フェニトロチオンとジスルホトンです。

○角田化学物質評価室長 確認させていただきます。アリルアルコール以下が神経毒性ですが、まずアリルアルコール削除、次の6番も削除、7番○、8番○、9番○、10番削除、11番○、12番×、13番○、14番×、15番○、16番○、17番、18番、19番は○です。

○櫻井座長 そうすると、物質の数としては神経毒性物質が10物質で間違いないですね。そういうことでよろしければ、そのようにさせていただきます。ありがとうございました。続いて再告示物質ですか。

○角田化学物質評価室長 (3)の「海外における知見、パブリックコメント等を踏まえた選定物質」ですが、資料が間違っております。「1,-2ブロモプロパン」となっていますが、2を取っていただき、「1-ブロモプロパン」です。

 資料3115ページを御覧ください。パブコメを平成26620日から平成2677日まで実施し、それに対して出てきた御意見です。1-ブロモプロパンについて2件の御意見が出てきました。読み上げます。

1-ブロモプロパンはリスク評価すべき物質であると考えます。基本的なデータはお持ちだと思います。ご存知と思いますが、「規制がない。即ちこれは安全である。」という販売方法を取られています。問題なのは需要家の方々がそれを鵜呑みにして問題意識無く使用されている点です。どの程度の濃度で使用されているかの認識が無い需要家もおられるようです。事故が起こる前にお考えいただくべきと思います。」

1-ブロモプロパンは、米国の国家毒性プログラム(NTP)において、発がん性物質に分類されている。米国労働安全衛生局(OSHA)は、国立労働安全衛生研究所(NIOSH)と共に、20138月に、労働者の1-ブロモプロパンへのばく露から守るためのハザード警告を発表している。また、米国産業衛生専門家会議(ACGIH)1-ブロモプロパンの8時間ばく露限界値を0.1ppmと定め、更に発がん性に関して、A3「確認された動物発がん性因子であるが、ヒトへの関連は不明」としている。一方、欧州においては、CLP規則附属書ローマ数字6において、1-ブロモプロパンの生殖毒性は、EUで調和化された分類として、区分1Bに分類されている。更に、その生殖毒性により、REACH規則書附属書14の候補物質(いわゆるSVHC)及び附属書17に指定されている。これら米国及び欧州の、1-ブロモプロパンに関する有害性評価は、「リスク評価対象物質・案件の選定の考え方」の、「()国際機関又は政府の有害性にかかる分類・情報」であり、「1.発がん性」及び「2.生殖毒性」の条件を十分満たすものと考えられる。しかしながら現在日本においては、「1-ブロモプロパンによる労働災害防止について」(平成25919日付け、基安化発09191)が公表されているのみで、労働者の1-ブロモプロパンへのばく露に関して十分な注意喚起や使用制限等が行われていない状況にある。洗浄作業において塩素系の溶剤から、他の溶剤への代替が勧められているが、臭素系の溶剤もその候補となると考えられる。1-ブロモプロパンは、安衛法第57条の1及び第57条の2で、表示及び通知が義務付けられている物質ではなく、また、有機則及び特化則等で規制される物質でないことから、国によるリスク評価の対象物質とされない可能性が高い。また、安衛法等で規制されないことから、“法対応が不要の物質”と誤解され、作業現場において、塩素系の溶剤から積極的に代替され、使用量が増化することも容易に推定できる。1-ブロモプロパンは、今後使用量が増加する可能性が高く、またハザードの高い物質であると考えられることから、早急な対策を希望します。」

 資料の17ページを御覧ください。「1-ブロモプロパン」に関する情報をまとめております。構造式は左のとおりです。無色の液体、融点-110℃、沸点71℃、蒸気圧13.3kPa。医薬・農薬原料、製造・輸入数量は4,000t以上5,000t未満、排出量は1,162tです。発がん性はACGIHA3です。その他の有害性は、特定標的臓器・全身毒性が反復ばく露で中枢神経系、GHS分類が1です。許容濃度は、日本産業衛生学会が0.5ppmACGIH0.1ppmとなっております。PRTR法では第1種指定化学物質です。安衛法では、SDS義務ではありませんが、安全データシート交付対象物質で努力義務という形になっております。

 これについて、パブコメでこのような御意見が出てきましたので、資料1(3)「海外における知見、パブリックコメント等を踏まえた選定物質」として項目に挙げております。先ほどの資料の中にもありましたが、海外における規制動向の御紹介をしたときに、1-ブロモプロパンについてもこの企画検討会で御報告させていただき、追ってSDSなりの対象ということで検討する必要があるということで整理されたところです。SDSでない場合は、ユーザーが含有成分を把握していない場合もあり得るので、先ほど冒頭で御説明した選定の考え方の所では、事業者が当該物質を取り扱ったのかを確認できない場合はSDSの交付対象となった段階でリスク評価を行うことにしていますが、パブコメの中でも言及されていましたが、平成25919日に「1-ブロモプロパンによる労働災害防止について」として、私どもから周知文書を発しまして、急性及び慢性の各種健康影響を生ずる可能性があることから、労働安全衛生規則第24条の15に基づく安全データシートを入手する等を指導しておりますので、ユーザーへのSDSの交付も一定程度の浸透はしていると考えられます。SDS交付義務はありませんが、今回、有害性ばく露作業報告の対象としてはどうかを御提案させていただきたいと思います。

○櫻井座長 事実上、その点はSDSを参照して判断できると考えられるということで、今回、有害物ばく露作業報告の対象とする案として事務局から提出していただいておりますが、いかがでしょうか。特段、問題ないと思いますが。

 では、そのようにするという結論にさせていただきます。

○角田化学物質評価室長 もう1件ここにまとめているものがあるので御紹介させていただきます。資料3116ページです。

「リスク評価対象物質の選定に対する候補物質の提案ではございませんが、選定物質の評価後公表される際の名称の付け方に対し意見申し上げます。本年3月に実施された「平成25年度化学物質のリスク評価に係るリスクコミュニケーション」において化学物質評価室長より、『労働安全衛生法等により規制が必要とされる化学物質等の選定は公開済みの審議会資料やリスク評価書等に記載された化学物質より行われるため、既制済みの化学物質等の選定理由に関する情報は公開情報より入手可能である』と報告され、規制対象物質は審議会資料やリスク評価書等で危険有害性の根拠が明示された化学物質のみであることを示されました。しかしながら、審議会資料やリスク評価書等で評価された化学物質の範囲以上の化学物質等が、総称名での指定により法令規制対象となっています。例えば、金属化合物では法令規制対象とされる根拠が類似化合物から選ばれた数~十数例しか示されていないにもかかわらず、総称により一連の化学物質類全てが法令規制対象になっている場合です。よって、今後リスク評価対象物質とする候補物質の選定がなされ、リスク評価後規制対象となる化学物質の名称は、リスク評価済みの範囲に限定する名称となるようにお願いいたします。実際、「コバルト及びその無機化合物」では無機化合物に限定された名称へ変更されました。また、既に法令による規制がなされている化学物質類につきましても、リスク評価書等によって評価が完了しリスクが明らかとなっている範囲に限定する名称への変更や規制範囲の条件を付加することによる限定化を望みます。以上、よろしくお願い申し上げます。」

 そのような御意見です。選定物質についての御意見ではありませんが、選定に関係することで御紹介させていただいております。

 事務局としては、化学物質のリスク評価において、発がん性などの一定の有害性があるものについて、有害物ばく露作業報告の対象として製造取扱い状況を把握し、ばく露実態調査を経て、リスクの高いものについて規制対象としておりますので、有害性が確認された物質についてリスク評価、規制対象とすることが基本であるということは当然のことだと考えております。ただ、金属化合物などの場合で、当該金属元素やイオン等に由来する有害性があるということで、当該化合物を一括して取扱う合理的な理由があると判断されれば、そういうものは化合物全体を規制対象としていることはあるかと思います。

 あと、ばく露作業報告の対象物質として化合物の総称を指定する場合、現在はばく露実態調査やその事前調査の中で個別の化合物名を把握してばく露実態調査をやっておりますが、その前の段階の有害物ばく露作業報告の中で、具体的な化合物の化学物質名を記載して把握できれば、ばく露実態調査の計画段階で具体的な化学物質名が把握ができ、より効果的な評価ができるのではないかと考えております。

 現在の作業報告の様式においても、作業内容等に応じて「対象物質の名称」を記載する項目はありますので、化合物の総称を指定する場合が出てくれば、「対象物質の名称」に具体的な化合物の名称を記載することをお願いし、それを徹底できるようにパンフレット等に記載したいと事務局として考えております。

パブコメでは、選定に直接的にも間接的にもあまり関係ない御意見がもう1件ありましたが、それについては割愛させていただきます。

○櫻井座長 いかがでしょうか。何か御質問、御意見等ありますでしょうか。それではよろしいですか。そうすると、残るのは再告示物質ですね。

○角田化学物質評価室長 再告示物質は4つあります。資料2の表の12ページのデカボランから4つです。まず、「デカボラン」です。一番右に書いてあるとおり、平成23年の1回目の報告では、実際に提出がなかったということで、再度告示して確認するということです。以下も同じです。「デカボラン」は刺激臭のある無色~白色結晶で、触媒、ロケット燃料、酸化剤、ゴム加硫剤、還元剤として使われています。急性毒性は吸入:蒸気ですが、特定標的臓器全身毒性として、単回、反復とも中枢神経系が区分1となっております。平成21年にリスク評価対象物質に選定されたときもこの神経毒性を踏まえて選定されております。ACGIHで許容濃度が設定されております。

 「ペンタボラン」は、刺激臭のある無色の液体で、ホウ素イオン注入用、ミサイル推進薬原料として使われております。急性毒性は吸入:蒸気、眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性があります。単回ばく露、反復ばく露ともに中枢神経系に毒性がある評価で区分1です。ACGIHTWAが設定されています。これも神経毒性を踏まえて平成21年に選定されたものです。

 「ジボラン」ですが、特徴的な臭気のある無色の圧縮性ガスです。半導体ガス用、不純物拡散剤、イオン注入用で、有害性については、急性毒性、皮膚腐食性/刺激性、眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性です。特定標的臓器・全身毒性で、反復ばく露で神経系への毒性が書かれています。単回も反復も呼吸器系と書いてありますが、平成22年に強い肺障害性があるということで提案されている物質です。

 「イソシアン酸メチル」は、刺激臭のある揮発性の無色の液体で、医薬・農薬中間体として使われています。急性毒性(経皮)、急性毒性(吸入:蒸気)、眼に対する重篤な損傷性、呼吸器感作性、皮膚感作性、生殖毒性もあります。特定標的臓器・全身毒性は単回ばく露で呼吸器系ということで、平成23年に選定されておりましたが、その際に専門家の御提案で、生殖毒性もあり、インドで化学工場の事故があって多数の死傷者が出たことで分かるように、非常に毒性が強いので選定された経緯があります。この4つについて再告示し、再度、確認するということです。説明は以上です。

○櫻井座長 ただいまの御説明の内容についていかがでしょうか。特段の御質問、御異議等ありませんでしょうか。

 それではないようですので、以上で、再告示物質の4物質についてもばく露作業報告の対象とする結論にさせていただきます。

 以上をまとめると、発がん性が4物質、生殖毒性が2物質、神経毒性が10物質、再告示物質は4物質で、以上20物質となると思います。

○角田化学物質評価室長 海外における知見・パブコメの物質が1つです。

○櫻井座長 21物質を有害物ばく露作業報告の対象としていただくことにしたいと思います。

 以上で、本日の主な議題は終了いたしました。どうもありがとうございました。

○角田化学物質評価室長 今回、再整理したものはまた表等に整理をし、先生方にお送りしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○櫻井座長 それでは、議題2「その他」に入ります。事務局から説明をお願いします。

○岸化学物質評価室長補佐 平成25年度のリスク評価物質のリスク評価状況について簡単に御報告いたします。現在の状況ですが、本年度からは年度前半と後半の年2回に分けてリスク評価を行い、そのうち年度前半の第1回目については、現在リスク評価を行っているところです。現在までに初期リスク評価対象物質である5物質についての検討を終え、平成26715日に詳細リスク評価の対象となっている3物質の検討を行うこととしております。この3物質は、酸化チタンのナノ粒子、リフラクトリーセラミックファイバー、ナフタレンです。先に検討を終了した初期リスク評価の5物質のうち、エチレンクロロヒドリリンと、グルタルアルデヒド、タリウム及びその水溶性化合物、オルト-フェニレンジアミンの4物質については、ばく露濃度が評価値を超えているために詳細評価に移行することとしております。一方、メタクリロニトリルについては、リスクが高いと言えないことから、事業者の自主的な管理の徹底を指導することとしております。以上、現在の状況を御報告させていただきました。

 次回の企画検討会ですが、来年の年度末3月頃に開催する予定としておりますので、また年明け頃に日程調整の御連絡をさせていただきたいと思います。

○櫻井座長 ただいま簡単な報告がありましたが、何か御質問ありますでしょうか。特にないようですので、検討会を閉会させていただきます。本日は、どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室
(電話番号)03(5253)1111(内線5511)

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