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2014年7月10日 平成26年度第2回発がん性評価ワーキンググループ 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

○日時

平成26年7月10日(木)13:30~


○場所

財務省(合同庁舎4号館)12階1211会議室


○議事

 

○大淵環境改善室長補佐 若林先生がまだお見えになっておりませんが、定刻になりましたので、ただいまから第2回発がん性評価ワーキンググループを開催いたします。本日はお忙しい中、また暑い中、お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。以下の進行については、西川先生にお願いいたします。

○西川座長 議事に入る前に、事務局より議事次第と資料の確認をお願いいたします。

○大淵環境改善室長補佐 まず、議事次第の確認をいたします。今日は大きく2つの議題に分かれておりまして、(1)の議題としては「リスク評価の候補物質について」ということです。こちらは主には事務局からの説明になります。(2)が本日のメインの議題になりまして、「平成26年度の既存情報による発がん性評価について」ということで、アとして「発がん性評価の進め方について」、イとして「個別物質の発がん性評価について」ということで、本日は5物質の試行的な評価を予定しております。

 資料の確認ですが、資料番号の付いていない資料から確認します。委員の先生から追加でいただいた資料ということで、A43枚物で発がん性調査の通し番号「C-1001」と書いてある資料は、後ほど小野寺先生の御説明で使う資料です。その下がToxicologic Pathologyと記載してある文献で、C-1101の物質の関係で、西川先生から配布をするようにと御連絡があったものです

 続きまして、資料番号が付いている、事務局であらかじめ用意した資料です。基本的には、見やすくするために資料ごとにホッチキス止めをしております。まず資料1-1。次に資料1-2-丸数字1-アから資料1-2-丸数字3でひとまとめです。A41枚物で資料1-3。同じくA41枚物で資料1-4。資料1-5-丸数字1は両面印刷になっており、裏側は資料1-5-丸数字2となっております。資料1-6-丸数字1、そして右端にある通しページの7ページからが資料1-6-丸数字2です。資料1-7は、A4の横向き1枚です。資料1-8が本日の議論の中心になる資料かと思いますが、1枚目に5物質の一覧表があり、その後に、各物質の個票、少ないものではA41枚、多いものは数枚にわたるものを付けておりまして、右下に通しページを付けておりますので、後ほど説明するときには通しページを使っていただければと存じます。資料2A41枚物。参考資料1A41枚。参考資料2A41枚です。

 傍聴者には以上の資料までですが、それ以外に先生方の参考資料ということで、資料番号なし、机上配布という資料、A41枚物と、A3サイズの資料1-5-丸数字1と資料1-5-丸数字2の両面の印刷になっております。資料1-5-丸数字1と丸数字2は、先ほど見ていただいた小さいサイズの資料の中にも同じものが入っておりますが、文字が小さくて見づらいので、拡大したものも入れておりますので、見やすいほうを御覧いただければと思います。

 議事に入る前に少し補足をさせていただきますと、資料番号なしと書いてある資料、「発がん性試験(吸入ばく露)の実施予定と評価予定」を説明いたします。前回の会議が終わった後に、今後の試験のスケジュールはどのようになっているのだろうかという御質問もいただきましたので、参考という形で作らせていただきました。物質としては、ここには2-ブロモプロパンとナノの酸化チタンのことを記載しております。試験は、どちらの物質もラットの通常の長期試験と、もう1つは遺伝子改変マウスを使った中期試験を予定しております。

 補足が必要なのは、下の酸化チタンでして、前回514日に開催した第1回ワーキングの中では、「酸化チタンはラットの長期試験のみ行って、マウス関係の試験は発がん性試験データがあるので、やらなくていい」という話で終わったのですが、その後、確認したところ、マウスについては、物質の投与期間が短かいなど、それだけで判断するにはデータが不十分であることがわかりました。このため、「酸化チタンについても遺伝子改変マウスの試験をやる必要がある」ということについて、先生方にメールでご確認をいただき、そのように軌道修正をしたところです。

A4の紙の裏側は、もうちょっと分かりやすく時間軸、平成25年度から平成32年度と、年度も入れた形のものを作っております。かなり先までのスケジュールになっておりますので、実際には予算がきちんと取れるかどうか、そういうところで少し変わってくることもあるかもしれませんが、今段階で思い描いているイメージとしてはこのような形で、発がん性試験の場合でいけば、ラットは2週間試験、13週間試験、そして2年間の試験という順番で行って、標本作製なり観察をして報告書を作成し、その後、最終的な評価は有害性評価小検討会で行うということです。遺伝子改変マウスについては、予備試験、本試験、標本作製、報告書作成で、最終的な評価は発がん性評価ワーキンググループで行う予定です。

 また、遺伝子改変マウスの試験は今まで私どもで実績がありませんでしたので、平成27年度から平成28年度にかけて、バックグラウンドデータの取得試験を組み込む予定にしております。試験はこのような形で予定しておりますので、実際のデータの評価は大分先になりますが、承知しておいていただければと存じます。資料確認が長くなりましたが、以上です。

○西川座長 資料はよろしいでしょうか。本日の議題に入ります。議題(1)「リスク評価の候補物質について」、事務局より説明をお願いいたします。

○大淵環境改善室長補佐 資料1-1、資料1-2を使って説明いたします。

資料1-1「職場で使用する化学物質の発がん性評価基準骨子」です。こちらは昨年度、平成25年度のワーキングで御議論いただきまして、それによって修正した修正版です。簡単に復習をさせていただきますが、「職場で使用する化学物質の発がん性のスクリーニングに当たって、関係機関等の発がん性評価区分、及び既存の発がん性試験の結果等から、下記の1に該当する物質は、スクリーニングの対象から除外し、労働安全衛生法の特別規則の対象とするか否かの判断材料として行うリスク評価の対象物質の候補とする。また、これらのうち、下記の2に該当する物質については、長期発がん性試験の対象物質の候補とする」ということで、資料の表面、裏面のうち、表面だけ説明いたします。「リスク評価対象物質の候補とすべきもの」ということで、(1)として、「以下のものを評価の対象物質の候補とする」ということです。補足しますと、リスク評価それ自体は、このワーキングの上位の会議でリスク評価検討会がありましてそこで評価作業をしますが、「どんな物質についてリスク評価をすべきか」という議論については、それとは別の企画検討会がありまして、企画検討会に対して、私どもワーキンググループから、「この物質を候補としたらどうか」という材料を提供するといった役割分担となっております。

 具体的にどんな物質がリスク評価の候補物質になるかということですが、丸数字1として「国際がん研究機関(IARC)の発がん性評価区分の12Bに分類されているもの」、丸数字2として「IARCの発がん性評価区分で12Bに分類されていないが」ということで、ア「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律、いわゆる化審法の一般化学物質等に関するスクリーニング評価において、発がん性クラスが1又は2と評価されたもの」、イ「他の関係機関等の発がん性評価区分、又は既存の発がん性に関する試験の結果等から、専門家によりIARC評価区分の12Bに相当すると判断されたもの」、丸数字3として「既存の短期・中期発がん性試験又は他の発がん性に関する試験で陽性の結果が得られ、専門家によりヒトへの発がんの可能性があると判断されたもの」、こういったものをリスク評価の候補に考えます。

 具体的には、ここで出てきたIARC以外の他の機関の具体的なものとして、(2)に日本産業衛生学会、米国のACGIH、米国のEPA、米国のNTPEUということで、5種類を書いております。こういうものから情報を得て、リスク評価に進めるべきかどうかといったことを、このワーキングで整理をしていくということです。

3ページから8ページの参考として付けている資料ですが、3ページは「主要な機関の発がん性評価の分類基準」ということで、最初にGHSの分類、その隣にIARCEU、日本産業衛生学会、ACGIHEPAEPAは時代に応じて3区分)、最後にNTPということで、それぞれの評価基準がどうなっているかで、IARC1はそのほかの機関と比べると、どのぐらいの位置に当たるのかといったことも、この表で見られる形になっております。

 参考の2番目、別紙25ページからです。IARCについては、特に重要なところですあり、発がん性評価の基準の詳細もIARCのモノグラフの中で「PREAMBLE」がありますので、これとその日本語訳を併記しております。こちらも参考資料です。これが資料1-1です。

 この基準に従って、具体的にどういう物質がリスク評価の候補物質になるかということで、続いて説明いたします。資料1-2の関係の資料です。資料1-2-丸数字1-アから順に見てまいります。資料1-2-丸数字1-アでは、リスク評価候補物質のグループの中でいくと、「化審法のスクリーニング評価における発がん性クラスが1又は2の物質」を記載しております。化審法で一般化学物質のスクリーニング評価を順次行っておりますが、この資料では1ページから2ページにかけて、平成231月の化学物質調査会の検討結果の資料、2ページの(2)として平成241月の資料からの抜粋、(3)として平成247月の資料からの抜粋という形で表を付けました。この後も順次、評価は進んでおりますが、この資料では平成247月の評価までとなっておりまして、この資料の中で化審法の発がん性の分類をどうしたかというのは、表の左から4つ目の項目です。「発がん性クラス」と書いてある所に、化審法上の発がん性の評価を書いてありますが、2又は1の数字が書いてある物質を選んでおりまし。IARCでいうと12Bに相当するものを化審法では発がん性クラスの1ないしは2と位置付けていると理解しております。

 この中から私どものリスク評価のほうへどういう物質を持っていくかということなのですが、IARCでの発がん性評価が12A2Bといった物質については、従来から評価を進めておりましたので、IARCでは3となっている、あるいはIARCでの分類がないようなものをまずはピックアップしました。更にリスク評価の際には関係する事業場に、「この物質について、年間の取扱い量はどのぐらいですか」とか「どういった作業内容がありますか」とかいうことを、ばく露作業報告として提出してもらうのですが、報告の対象とするためには化学物質の安全データシート、SDSの交付対象になっている必要があるということで、そのような物質についても、この表の中でチェックをしております。

最終的にリスク評価に進める、候補物質となり得るものとしては、IARC12Bでなく、かつSDS交付対象といった物質を、この表の右から2番目の欄に●で印を付けております。●をずっと拾っていただくと、トータルでは11物質ありますが、このうち1つの物質については2回出てまいります。具体的には(2)の平成24127日の表で、一番下にフルフラールがあるのですが、(3)の表で下から3番目にもう1回フルフラールが出てまいりますので、重複物質を除外すると、トータル10物質ということになります。

 それら10物質について、もう少し詳しい情報をということで、通しページの5ページから9ページまでに、物理・化学的性質、用途、製造量、発がん性評価区分、その他の有害性、許容濃度、あるいは備考として法令等の規制状況なども書いた資料を用意しております。今後これらの10物質については、何らかのタイミングで企画検討会に提示して、リスク評価の対象とするかどうかを決めていただくことを予定しております。

11ページに飛びますが、11ページ以降は化審法のリスク評価の話とはちょっと別で、私どものほうでやった文献調査の結果を整理した資料になっております。。平成25年度の文献調査は大きく2括りでやっておりまして、1つめとして11ページから14ページには、平成23年度に医薬食品局で文献調査をしたものをベースに、更にこちらで整理してピックアップした物質を。2つめとして15ページには化審法で一般化学物質の届出が平成22年度に行われた物質のうち、ばく露クラスがクラス5及びクラス外(クラスについては数字の少ないほど、ばく露の危険が高い)の物質に関するものです。クラス5、クラス外の物質についての文献調査を平成25年度にやっておりまして、それの中からリスク評価の候補になるものをピックアップした資料が15ページということです。

11ページに戻って、この資料でピックアップしている物質が大きく2グループに分かれています。最初の小さめの表ですが、IARCのみ評価があって、そのIARCの評価が12Bに該当するようなものということで、14物質を掲げております。ただし、この14物質のうち2物質、具体的には硝酸コバルト・六水和物と硫酸コバルト・七水和物は、既にコバルト化合物がリスク評価を終えて、特定化学物質障害予防規則の特別管理物質ということで、発がん性の観点から規制済みですので、改めてリスク評価をやる必要はなく、残りが12物質ということです。これが候補になり得るということです。

 大きく2グループ目は、その表の下から3分の1ぐらいの所にありますが、IARC、ほかの機関の両方の評価があって、かつIARC12B、ほかの機関もIARC12B相当の評価をしているという物質です。こちらは物質数は多めで、この表の中にトータルで19物質書いてあります。ただ、こちらでピックアップした19物質のうち9物質、一酸化ニッケル、三酸化二ヒ素とか書いてありますが、こういった物質については既に特別管理物質として規制済みのため、リスク評価が不要ですので、残り10物質がリスク評価の候補になります。

15ページの表は、IARC、ほかの機関の両方の評価があって、IARC12B相当、ほかの機関の評価がIARC12B相当のものということで、計8物質がリストアップされております。

11ページから15ページに掲げた物質については、今すぐにという形ではありませんが、いずれかの時点で企画検討会に提示をして、リスク評価の対象とすべきかどうか、議論する必要があると考えております。リスク評価の候補物質については以上です。私の説明は以上ですが、室長の角田から、若干補足をいたします。

○角田化学物質評価室長 今の説明のとおりなのですが、特にスクリーニング評価の資料、資料1-2-丸数字1-アについては、真ん中辺に「規制状況又は有害物ばく露作業報告実施年」という欄がありますが、ここの欄から左の部分は前回、資料で出しているものです。それは資料1-1の丸数字2のア、「化審法のスクリーニング評価において、発がん性クラスが1又は2と評価されたもの」ということで、IARC12Bに該当しないものということで整理したものですので、前回出した資料について、IARCの発がん性評価、SDSの状況などを踏まえて、その後、若干データを整理したものです。来週また企画検討会がありますので、そこで御意見を伺おうかとも考えております。以上です。

○西川座長 ただいまの説明について、御意見、御質問等ありましたらお願いいたします。ないようですので、次に、リスク評価の候補物質については、事務局案のとおりといたします。

○津田委員 テトラフルオロエチレン(TFE)、テフロンの原材料となるので、この前のIARCで評価されて、グループ2Aとなりました。強力な発がん物質です。テフロンを作るときの原材料だそうです。

○角田化学物質評価室長 物質名をもう一度。

○津田委員 テトラフルオロエチレン。この6月の、ボリューム110で評価されました。Lancet Oncologyに出ていると思います。2Aの評価は、ヒトに対してある程度のデータが必要ですが、TFEはラット・マウス、両性多臓器に多種の悪性腫瘍を発生させる強力な発がん物質であり、ヒトではinadequate(不十分)の証拠で、2A評価になりました。

○角田化学物質評価室長 2Aの前は評価は。

○津田委員 3か2Bであったと思います。

○角田化学物質評価室長 3かもしれません。

○津田委員 というのは、それはたった1つデータがありまして、NTPToxicology Programで唯一手に入る2年もので、吸入試験です。ですから、それが出る前はデータはなかったと思います。

○西川座長 今回2Aになったということですね。

○津田委員 そうです。

○西川座長 ですから、それ以前の評価が3であったかどうか確認していただいて。

○津田委員 あったとしても32Bです。だけど強力な発がん物質です。

○西川座長 いや、3であって、今回2Aであれば、候補になり得るかなと思いますね。

○津田委員 候補になりますね。

○西川座長 ですから、とりあえず確認をしていただいて決めたいと思います。どうもありがとうございます。

○大淵環境改善室長補佐 ありがとうございます。

○西川座長 ほかによろしいですか。

○吉田委員 ピントがずれているかもしれないのですが、資料1-2の候補物質の419、クロロタロニルは農薬なので、WHOのほうで既にリスク評価が行われているのではないかと思うのですが。発がん性も含めて、全ての毒性のプロファイルなり、食品から入るだけかもしれませんが、419番です。

○角田化学物質評価室長 2ページの上から7行目の所ですね。

○西川座長 これはSDSの交付対象ではないのでと、確かそういう説明だったのですね。

○角田化学物質評価室長 はい。

○西川座長 ほかはよろしいでしょうか。先ほど津田先生から指摘のあった物質について確認した上で、候補物質とするかを決めたいと思います。それ以外は事務局案のとおりといたします。

 続きまして、議題(2)の「平成26年度の既存情報による発がん性評価について」、事務局から説明をお願いいたします。

○大淵環境改善室長補佐 説明いたします。その前に、今見ていただいた横長の資料1-2-丸数字1-アで、1か所だけミスの訂正をさせていただきます。1ページの表の一番左の所は、指定No.あるいは二No.が書いてあるのですが、それの1063、表の下から14番目にベンゼンがあります。この表の中で、ベンゼンの段をずっと右側に見ていくと、一番右側に○が入っていると思うのです。「規制はあるが特別管理物質非該当」となっていますが、ベンゼンは発がん性の物質ということで、既に厳重な管理がされて、特別管理物質となっております。ここの○は資料のミスです。ホームページ掲載等のときには訂正した上で載せますが、お手元の資料のベンゼンの一番右の○は削除しておいていただければと存じます。申し訳ございません。

 議論の続きで、資料1-3「既存の発がん性情報を活用した発がん性の評価の進め方について()」ということで、こちらは前回もお示しした資料でして、大きな変更はありませんが、今後評価すべき物質の数が、事務局のカウントをもう一度行ったところ、当初予定より少し減りまして、135125物質と直しております。2(3)の上から2行目で、「計135物質」と書いてある所を「125物質」に直しております。

 これだけの数の物質を評価するわけですが、全部の物質を合議性でやることは難しいので、最初はまず試行的に5物質を合議性でやっていただいて、それ以降の物質については先生方に資料をお送りして、文書で回答をもらうようなイメージを現在持っているところです。そういった書面審査を行うため、本日の目的としては、先生方の評価の際の物差しの摺り合わせ、あるいは評価の手順の摺り合わせをさせていただければと思っております。

 資料1-4ですが、これは前回入っていない、今回からの新しい資料です。「既存情報による発がん性評価のうち、専門家による発がん性評価の基本的な考え方()」ということで、こちらは専門家に評価していただくときのやり方を、物質を大きく5つのグループに分けて、それぞれの手順を記載しました。5つの区分は、1として「IARCのみ発がん性分類があり、その分類が12B以外、かつ、IARCの評価書未記載の文献があるもの」。2として「他機関のみ発がん性分類があり、その分類がIARC12B相当」。3として「他機関のみ発がん性分類があり、その分類がIARC12B相当以外、かつ、当該機関の評価書に未記載の文献がある場合」。4として「IARC・他機関の両方の発がん性分類があり、IARCの分類が12B以外、他の機関の分類がIARC12B相当」。5として「IARC・他機関の両方の発がん性分類があり、IARCの分類が12B以外、他機関の分類がIARC12B相当以外、かつ、これらの機関の評価書未記載の文献あり」ということで、5グループに分けております。

 ちょっと分かりづらいのですが、それを具体的に評価のスキームとして見ると、資料1-32ページの表で少し網掛けをしてある部分、ここが今のそれぞれの5分類に対応するところです。IARCを含め、関係機関の分類がどういう状況にあるかということと、文献調査をして、評価書に載っていないような文献があるかどうかという確認をして、その上でどこに属するか。もうリスク評価をする必要がないようなもの、ワーキングでリスク評価をするもの、情報が少ないので、もうそれ以上作業ができないようなもの、そのように整理をして、その中でワーキンググループでの評価の実施をすべきというグループに該当するものをここで網掛けをしております。網掛けの場所は5か所ありますが、それが資料1-4で説明したところにそれぞれ相当してまいります。

5グループに分けた上で、具体的にどんな手順で評価をするかということで、かなり共通部分が多いので、まず1で説明をいたします。資料1-41ページですが、1IARCのみ発がん性の分類があって、その分類が12B以外で、かつ、IARCの評価書には載っていないような新しい文献があるようなときですが、手順の丸数字1として、「評価書未記載文献の公表時期が、IARCの評価時期より新しいか否かを確認する」ということで、もし未記載文献が新しい場合には、次の丸数字2へ、未記載文献が古い場合には、そこで検討不要ということです。丸数字2として「未記載文献の信頼性を確認した上で、『発がん性あり』を示唆するか否かを確認する。文献に信頼性がない場合は、もうそれ以上の検討は不要。文献に信頼性があり、発がん性ありを示唆する場合は次の丸数字3へ、文献に信頼性があって、発がん性ありを示唆しない場合は、もうそれで検討不要」ということです。丸数字3として「IARCの評価書に未記載文献を加味した場合に、IARC12Bに相当するか否かを判断する」ということです。

 次の345はかなり似た書き方になっております。ちょっと違うところが2でして、「他機関のみ発がん性分類があり、その分類がIARC12B相当」と。ですから、IARCは評価がなくて、他機関のみが分類があるというケースで、かつ、他機関の評価がIARCと比べれば12B相当になっているという場合です。この場合の作業の方法としては、他機関の評価書の内容に大きな問題がないか否かを確認し、「問題なし」と評価される場合に、IARC12Bに相当すると判断するということです。ただし書も書かせていただきましたが、今回、私どもが他機関と言っている所には、EUも入るのですが、EUの場合には発がん性の分類は出しても、具体的な評価書を公表しておりませんので、もし他機関がEUのみである場合には、それ以上このワーキンググループでの評価をすることはできない、議論することはできないということになります。

 事務局では、前回の第1回目のワーキンググループ以降、このような案を作って先生方にお送りするとともに、試行的評価として、ここに書いてある1から5までに該当するものを、先生方お一人当たり1物質ずつ、トータル5物質を御覧いただくという形をとりました。本日の評価対象物質ですが、5物質それ自体は資料1-7、あるいは資料1-8の表紙に5物質を書いてありますが、どんな形で物質が選ばれているかというところをもう少し補足いたします。

 「平成25年度の文献調査の結果概要」が資料1-5です。丸数字1と丸数字2、表裏に分けてありますが、丸数字1が平成23年度の医薬食品局の文献調査結果を活用した詳細評価、丸数字2が平成22年度の化審法のばく露が「クラス5」、あるいは「クラス外」に分類されている物質について文献調査したものということでまとめております。この中で、丸数字1の平成23年度の医薬食品局の結果を活用した評価から見ていくと、一番右側の欄で網掛けをしてあるものが、ワーキンググループで作業が必要なものですが、それぞれ書いてあります。一番上の塗ってある枠は、IARC12B以外で、他の機関については評価がありませんというもので、かつ、文献調査をすると、IARCの評価書には載っていないような文献がありましたと。この表ではそういったものが12物質ありますということを示しております。そのほか、2番目の網掛けの所がトータル11物質、3つ目の網掛けの所がトータル33物質、4つ目の網掛けがトータル6物質、5つ目の網掛けがトータル16物質となっております。今回はこのような評価になっており、網掛けのしてある物質を全部足し合わせると、そのページの一番下にある「発がん性評価WGでの評価が必要な物質」ということで、少し大きな字で「計78物質」と記載してあります。

 同じような形で進めたのが丸数字2、裏側のページです。こちらは網掛けをしてある5か所は22物質、10物質、9物質、4物質、2物質となっていて、そのトータルは下に書いてある計47物質ということです。先ほど見た78物質、今見た47物質が、これからワーキンググループで評価をやっていくべき物質ということになります。

 具体的に本日御議論いただく物質が資料1-7、資料1-85物質です。今申し上げた74物質、それから47物質はどのような物質か、今日は議論いたしませんが、資料としては資料1-6に丸数字1と丸数字2に分けて、それぞれ記載しているところです。今後については、先ほど説明した資料1-4、先生方が見ていただくときの進め方のルール、もし何か不具合があれば、これからの議論の中で更に修正をしていきたいと思いますが、基本的には資料1-4のやり方に従って、事前に先生方に文献等を御覧いただいておりますので、御覧いただいた結果を踏まえて小野寺先生から順に、担当物質について御説明をしていただいて、それについて全員の先生でディスカッションをしていくと。そのような流れで本日は進めていただければと思っております。以上です。

○西川座長 ただいまの説明について、御意見、御質問等ありましたらお願いいたします。特に御意見がないようですので、発がん性評価の進め方については、とりあえず事務局案のとおりに進めたいと思います。

 続きまして、個別物質の評価を行います。本日は5物質について、試行的な評価を行います。まず、事務局から議論の進め方について説明し、その後、担当の先生方から1物質ずつ説明していただきます。

○大淵環境改善室長補佐 進め方は事務局から申し上げたとおりですので、小野寺先生から順に説明していただければと存じます。

 資料1-8の作りだけ確認させていただきます。1ページに5物質の一覧表を載せています。先生方のお名前を左に書かせていただいておりまして、順番が小野寺先生、津田先生、西川先生、吉田先生、若林先生です。関係する資料は、先生方のお名前の順番のとおりで、3ページ以降につづってありまして、右肩に物質の番号、小野寺先生の場合でいけば、C-1001を記載しています。小野寺先生担当の物質の場合ですと、7ページまでがその関係の資料で、津田先生担当のC-10729ページ目から資料が始まっています。西川先生担当物質は11ページから始まっています。吉田先生担当物質は13ページから、若林先生担当物質は17ページから始まっております。

 御議論いただくときの追加の資料ということで、冒頭で紹介させていただいた小野寺先生に取りまとめていただいた資料、西川先生からは文献を配布するように御指示がありましたので、それを御用意しておりますので、各先生方が御説明のときには、資料1-8、追加の文献等を使って頂ければと思います。

 最終的に、御評価いただいた物質がIARC12B相当と言えるかどうかの判断をしていただくというのが、この会議の目的です。

○西川座長 1物質当たり10分程度で、説明と議論を行います。最初に小野寺委員から説明をお願いいたします。

○小野寺委員 資料1-41から5まで御説明がありましたが、1から55人に振り分けたのだと思います。トップバッターの私としては、資料1-8に書いてあるように、IARCのみの発がん性分類があって、IARC12B以外、「評価書未記入の文献あり」ということで、資料1-8の次のページを見ていただければ分かるのですが、2「発がん性分類」の所で、IARC3で、ほかのところの分類が全部「×」で、発がん性はありません。

 ということで、それ以後は付録というか、資料をお渡ししましたのは、発がん性を示したものをまとめたものです。これを説明いたしますと、通し番号がC-1001CAS番号が51-013-6のピペロニルブトキシドです。IARCのクラス3として分けた年代が1987年でしたので、それ以降に出された文献を見ました。番号が振ってあるように、1番の文献は1997年ですから、IARCが評価した10年以降になりますから対象になります。

 ということで、この1番の文献がマウスで行われた試験でありまして、「マウスでの発がん性あり」という評価です。この内容としては、CD-1マウスを雌雄に0.61.2%混餌して52週間投与しました。雌は高濃度の1.2%のみなのですが、雄はその下の0.6%から肝がんが発生しています。それで、この文献の結論は、「マウスでの発がん性あり、ただし性差がある」ということが記載されています。

 これに関しては、お渡しした資料の3枚目にこの文献の表が載っています。中段より少し下に、「Hepatocellular adenoma and carcinoma」ということで、発生頻度が書いてあります。雄においては、コントロールが2%に対して、0.6%では25%、1.2%では79%と、用量反応性に増加しています。雌においては、コントロール0.6%は0に対して、1.2%においては54%と、高率に発生しているというのが、この評価書の文献の結果です。

2番目は1994年に同じ場所で行われましたが、今度は雄だけで行っています。濃度は0.61.2%と同じで、投与期間も52週と一緒です。がんの発生率は、0.6%では11%、高濃度では52%です。このときの結論も、「雄マウスに対して肝発がん性あり」という結果を出しています。

 そのときの文献が次の裏です。このときは雄だけなので1つの表です。下段のカラムで、コントロールにおいてはhepatocellular adenoma and carcinoma1例の1.9%ですが、0.6では24%、1.2%では74%という用量相関をもって増えていまして、雄マウスに対して肝がんの発がん性ありとした結果です。

3番目は1994年で、これも新しいものです。文献は一番後ろに載っています。F344ラットに、混餌で0.61.22.43用量投与しています。上段は雄、下段は雌です。上段の途中の線を引いている3段か4段上の所に、hepatocellular adenoma and carcinomaがありまして、コントロールと0.6%では0ですが、1.2%では80%、2.4%に至っては100%です。ただし、このときの動物数が、生きていた動物が15匹という少ない数で、15匹中12匹、25匹中25匹ということなので、こういう数になっています。雌においても発生しているのですが、下段の一本線の3段か4段上ですが、4例の16%、24例の92%です。このときには、雌雄を問わず、「ラット肝に発がん性あり」という評価をしています。4番は古い文献なので該当しません。

5番の文献は1998年、SDラットに混餌で2年間投与しています。このときには雌雄で肝重量の増加を伴った過形成、甲状腺の肥大も認められたのですが、発がん性はなしとの結論です。6番目も発がん性はなしという結論ですので、除外しました。78IARC評価以前の古い文献だったので対象としませんでした。

 ということで、今までの中で、マウスで2つの試験、ラットの2つの試験で11なのですが、これを「発がん性あり」とするかどうかということに関しては、2Bとするまでいくのかどうか不明で私の考えからすれば、EU3に値するのかなと思います。動物でのデータはあるが、これがすぐに人に外挿するというのは難しい。それで、これを2Bにすべきかどうかどうかということで、皆さんの御意見を聞きたいのです。

○西川座長 今の説明は、IARC1987年にグループ3と評価して以降、評価に値する文献が4つあったと。その中で、マウス及びラットに対して、肝発がん性が認められたという文献があったということです。それを踏まえて、IARC12Bに相当するかどうかについては、どちらかというと該当しないという御意見、その辺りがよく分からなかったのですが。

○吉田委員 このPDOについてはWHO1992年、急性参照用量が2001年に設定されています。また、2006年にEPAでも評価が終了していると思うのですが、それにおいても、EPANTPと同じ試験を評価していますので、ほぼ小野寺委員の言ったとおりだと思うので、CYP2Dinducerですので、ゲッ歯類での発がんは、liver tumorとか、thyroideffectがあるというのも、全てCYPinducerとしては合致しておりますので、ゲッ歯類ではliver tumorは出たかもしれないけれども、ヒトには外挿しないと私は考えます。EPAもチェックされたほうが、2006年ですので、よろしいかと思います。

○西川座長 EPA2006年の評価書には当たっていませんね、残念ながら。

○小野寺委員 資料に入っていないですね。

○西川座長 事務局の説明では、EPAの評価書も評価対象にするという話でしたね。

○大淵環境改善室長補佐 EUは評価書がないということですが、EPAは評価対象に入ります。

○西川座長 もし2006年にEPAがそのような評価をしているのであれば。

○小野寺委員 今回の資料に入ってくるべきですよね。

○西川座長 それを見ていないので、それを確認してから評価したいと思いますが、よろしいですか。

○吉田委員 できましたら、WHOIARCより後にハザード評価をしておりますので。

○西川座長 できれば、吉田委員からもその情報を提供いただけると。

○吉田委員 後でメールで、WHOEPAの資料は送ります。

○大淵環境改善室長補佐 はい。

○西川座長 その記載が正しければ、12Bには相当しないというような評価をしているということですか。

○吉田委員 ゲッ歯類には発がん性ありとしていると思います。リスク評価上では、グループCが、EPAの発がん性の所に記載があります。

○西川座長 単純に考えると、ラット、マウスで肝発がん性がありという事実はあると思うのですが、津田先生、こういう場合はIARCはどのように評価をするのですか。

○津田委員 2種の動物でsufficient evidenceである場合は2Bになります。

○西川座長 そのように私も思いますけれどもね。

○津田委員 それで雌雄にまたがるということです。incidenceがぎりぎりでも、統計的有意であったら、それはそれで決まります。

○西川座長 そうですよね。

○吉田委員 恐らくIARCのこの評価から既に20年以上たっていて、かなり発がんのメカニズムが分かってきたと思うのですが、これはヒトでの発がん評価だとすると、これが薬物代謝酵素誘導だということが明らかであれば、現在はヒトへの発がん性は。

○津田委員 いや、分かっていないのでは。

○吉田委員 IARCの分類に全て従うということなのですか。

○西川座長 それに順じて評価するということですね。

○吉田委員 ヒトへの発がん性は、現在の科学レベルではほぼ外挿されないという形になったとしても、IARCのほうを重視するということになりますか。そこをまずお聞きしておかないと、現在だったら違うかもしれませんが、IARCの分類は比較的以前に行われたものが多いので。私どものも、実をいうとそういうものに当てはまってしまうものですから。

○津田委員 腫瘍ができるのはラット、マウスでは明らかなので。

○吉田委員 肝肥大もあります。

○西川座長 それは別のものとして。

○小野寺委員 ですから、さっき説明していましたように、マウス、ラットで発がんして、実験には性差があるとか、ラットでもF344は発生するけれどもSDは発生しないとか、しかし発生したポジティブのデータはあるのです。

○西川座長 先ほど表があったように。

○小野寺委員 それを高いと判断するかしないかは、委員の御意見を伺い判断したいと思います。

○津田委員 ヒトに外挿する場合、すなわちGroup1になるかどうかということは、ヒトでの事例が必要です。また、ヒトに対してある程度ばく露事例がある場合は、2Aになります。

 今のような議論になると、この発がん経路は絶対にヒトに起きないということが確実に認められれば再評価になります。そして3に落ちるわけですが、例えばサッカリンがそうです。発がん性の強さではないですが、ある証拠に対してその正確度を示す材料がなかったということになるのです。マウス、ラットにサッカリンで膀胱がんができたというのは、膀胱内での結晶の形成によるものであって、ヒト間には起こらないことがはっきりと分かったために、サッカリンは2Aから3に落ちたはずなのです。これも、それに当てはまるかどうかということなのです。

○小野寺委員 今回、私が見て評価したのは、与えられた資料だけなので、例えば吉田委員が言いましたように、WHOEPAでその後の評価をしたというのは、ここには載っていませんので、その内容というのは全然見ていないわけです。

 それと、メカニズム的なところで、先ほども言いましたように、発がん性が動物であったといっても、それからのいろいろな研究などで、そのメカニズムが解明され、それが例えば代謝などでヒトには外挿できないとか、津田先生が言いましたように、発がん原因が分かって、ヒトには外挿できないというsufficientなきちんとしたデータがあれば、それは動物で発がん性が認められてもヒトには外挿しない、動物のみであるという結論を付けると思います。ただ、それをここでどこまで追及して言及するかだと思うのです。

○西川座長 ヒトへ外挿できるかどうかのメカニズムまで追及するとしたら、明らかなエビデンスがあればそうですが、なければ。

○小野寺委員 それと、明らかなというよりも、それだけの文献に当たらないと、最新のデータなどにまで当たらないと、その結論はでないと思います。

○西川座長 メカニズムの所見は結構あるのですよ。農工大の三森先生などがよくやっています。だけれども、結論として、それがゲッ歯類特異的ということにはなっていないのです。だから、ヒトに外挿可能という判断の基にIARCの基準を準用して評価していくしかしようがないと思いますけれどもね。

○吉田委員 1点だけ確認させてください。リスク評価というのは、3番目に大切なexposureが入ります。ここではexposureをしないということは、hazard characterizationの評価をするということでよろしいのですね。exposureはここでは評価はしないわけですから、リスク評価の3つ目はないので、2つ目までだというように認識して、評価をすればよろしいのですね。ここではhazard characterizationで、リスク評価ではないのですね。

○大淵環境改善室長補佐 そうです。リスク評価は別の会議でやります。私どもは労働者がターゲットなので、リスク評価では、実際の労働現場でのばく露がどうなっているのかを調べて、そのレベルと物質自体の危なさのレベルとを比べて、労働現場で問題があるかないかの評価を行っています。

○西川座長 そもそもワーキンググループが有害性小検討会の一部という位置付けなのですよね。

○大淵環境改善室長補佐 はい。

○吉田委員 IARCの基準でするとしましても、どこかに1つこの委員会としてのコメントが入れられるような脚注というか、ノートを加えていただいてもよろしいのではないかと思います。次に送るときに、この委員会はこう考えたということを、コンセンサスがあった場合はあるといいと思います。

○西川座長 初めての試みですが、できるだけそのような意見をどこかに記載するような方向で検討していただければと思います。

 取りあえず、目の前にある資料だけを見れば、IARC2Bあるいは2Aにも相当するようなものだと思うのですが、先ほど吉田委員からありましたような、EPAとかWHOの資料を確認しつつ評価をしていきたいと思います。

○大淵環境改善室長補佐 EPAWHOの資料については、吉田先生から入手し、委員の皆様にメールか何かでお送りしてという感じでしょうか。

○西川座長 そのようにお願いします。

○大淵環境改善室長補佐 分かりました。

○西川座長 小野寺委員、ありがとうございました。続いて、2つ目の物質について津田先生から説明をお願いします。

○津田委員 一番指標になるのはNTPです。少し古いのですが、その時点ではラットに肝発がん性があるということです。コントロールが50分の2、又は4に対して49分の8と倍ぐらいです。非常に弱いながら発がん性があります。雌にはない、マウスには雌雄ともにない。そのことは、KluweRoeという人が、肝発がん性に対して似たような実験を行っているのですが、いずれにしてもIARCの分類からいけば3です。

○西川座長 このクロロベンゼンについては、1986年にEPAの評価があって、1996年にACGIHの評価が出ているということです。それ以降、文献的に評価に値いするものは出てきていないということですよね。

○津田委員 この後の1985年のものは手に入るのですか。

○大淵環境改善室長補佐 はい。

○津田委員 NTPが最初にあるのは1985年で、これ以後はないですね。

○西川座長 そうですね。

○大淵環境改善室長補佐 文献の関係を補足しないといけないのですが、今回の作業ですとIARC以外のところで12B相当レベルの評価が出ている場合に、それ以外の文献の有無の調査をしていませんで、その評価書の範囲で御検討いただくというルールにさせていただきました。IARC12B相当の情報がない場合には、それ以外の文献も見て比べてみましょうということで、今回の物質は、12B相当と思われるような評価が出ていましたので、その内容が妥当かどうかという観点なので、ほかの文献があるかどうかは調べておりません。

○津田委員 12に当たるというのはどの文献でしょうか。

○大淵環境改善室長補佐 ACGIHA3が、IARCでいうところの2B相当。

○津田委員 何を根拠に言っているのですか。

○大淵環境改善室長補佐 資料1-1の通しページの3から4ページに、「主要な機関の発がん性評価の分類基準」というものがあります。最初はGHSで、その次はIARCが書いてありますが、ほかの機関もそこに横並びにしております。このクロロベンゼンの場合には、ACGIHA3と評価されておりまして、ACGIHは、資料1-14ページの最初の所にありますが、A3IARCと比べるとおおむね2B相当になるのかなというところで、IARCの評価はないけれども、ACGIH2B相当の評価をしているので、先生方に御議論していただこうということで、今回の対象にしております。

○津田委員 この資料だけでいうと、IARCではsufficient evidenceというのは、2種の動物、原則として雌雄に発がん性がないと2に入りません。それ以下ですと3です。

○西川座長 ラットでneoplastic noduleが増えたという。

○津田委員 少し増えていて、それだけです。

○西川座長 それを2Bにするかどうかというのは、ACGIHIARC2B相当というような評価をしている。

○津田委員 そういうことですか。

○西川座長 そうだと思います。

○津田委員 頂いたものの4ページですが、2Bを読んでいただければ分かりますが、「sufficient evidence of carcinogenicity in experimental animals」ということなのです。sufficient evidenceというのは、雄雌、しかもGLP対応です。種間にわたるのだから、ラット、マウスです。ラットだけ、マウスだけというデータがあった場合は、2に入りません。

○吉田委員 同じ腫瘍は。

○津田委員 IARCでは腫瘍の場所は余り特定しません。それからいうと、どうしても3しかないのです。雄のラットに発がんしただけです。sufficientになりません。

○西川座長 雄ラットだけに肝腫瘍が増えたということですね。

○津田委員 この表現でいうと、limitedということになります。データのサマリーとして。

○西川座長 そのような判断をするのが適当なように思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。

○津田委員 ほかに出てくれば上がりますが、この弱い発がん物質の試験を繰り返す研究者や施設があるのかということになります。よほどたくさんばく露があるとか、大量に生産され使われているという話は別ですが。体積コントロールが2で、4になったぐらいです。すごく弱い。

○西川座長 頻度はコントロールが50分の48%に対して、high doseでは49分の8ですから、倍です。

○津田委員 その成分ではないです。negative dataは確実なのですが、IARCではハザード評価だけをするのであって安全性評価ではありませんから、ネガティブを重視して、こちらはどうのこうのという分類ではないので、飽くまでも発がんに対して証拠が十分にあるかどうかということで評価するので、この場合は3しかないです。

○西川座長 雌ラットにはないし、雌雄のマウスにもないとなっています。取りあえず、この物質は12Bに該当しないという評価をしますが、よろしいですか。

(異議なし)

○西川座長 そのようにしたいと思います。

 次は私の担当です。Allyl Glycidyl Etherという物質で、1990年にACGIHA4という評価がなされています。A4というのは、IARC12B相当以外の評価であるということです。ただし、それ以降に新しい文献が1つ出てきていましたので、それについて検討したということです。

 その文献というのが、資料1-811ページに概略が記載されています。その文献を本日の配布資料として、机上に置きました。Toxicologic Pathology1992年にパブリッシュされたものです。

 見ていただきたいのは、その論文の418ページのTableローマ数字1です。これはラットのデータで、Olfactory epithelium、嗅粘膜上皮に雄で1例、Respiratoryの上皮でも散発的にadenoma等が出ていますが、これはこの論文では有意なものとは見ておりません。

 一方、419ページのTableローマ数字2に、マウスのデータがあります。ここに雄雌のデータがあるわけですが、一番下の呼吸上皮のadenomaが、雄の高用量群で3匹、対照群で0、雌でも同じ腫瘍が高用量で1例、対照で0という所見から、発がん性についてはsome evidenceがあるという評価をしております。これも非常に悩ましいところです。私としては、2Bとしてもいいのかなという気はするのですが、正直言って自信はありません。御意見をお願いいたします。

○津田委員 腫瘍はできているのですか。

○西川座長 腫瘍はできています。

○津田委員 どこですか。

○西川座長 これです。

○吉田委員 恐らくこのデータからいきますとHyperplasia、特にマウスでは雌雄ともに呼吸上皮に出ているということですが、炎症も非常に強く出ていて、恐らくゲッ歯類は鼻腔の薬物代謝酵素誘導がありますので、そういうものだと思いますが、メカニズムということでないのであれば、ラットの。ただ、肺にはできていないのですよね。

○西川座長 肺にはできていません。

○吉田委員 だから、呼吸のそういうことだろうと思いますが、このデータからいうと、腫瘍が増えたということは事実です。ただ、メカニズムは遺伝毒性というよりも、関係ないようなもので。

○西川座長 と思います。

○小野寺委員 コントロールもゼロなわけで、これは何もないとは言えない。

○吉田委員 過形成です。

○津田委員 有意差は出ていないですよね。

○西川座長 恐らく有意差は付いていないですか。

○吉田委員 付いていますね。

○西川座長 腫瘍そのものではなくて、過形成等には付いていますね。

○吉田委員 3例と1例ですね。

○西川座長 ええ、微妙ですね。

○吉田委員 先ほどMetaplasiaを前がん病変と思いましたが、adenoma自体は増えていないと思いますと、先ほど先生がおっしゃいましたsomeというのは、非常に重要で、有意差がもっと増えていないものは、IARCだととられない可能性が高いのではないかと推察するのですが。

○西川座長 有意差は絶対的なもの。一応議論にはなりますが、珍しい腫瘍の場合は。非常に珍しい腫瘍ですと。それはプレアンブルに書いてあります。

○津田委員 そういうときは、例えば前がん病変とか、hyperplasia、過形成も含めてですが、そういう前がん病変みたいなものは、加味しないのですか。

○西川座長 前がん病変も、肝臓ですとenzyme altered fociは入れます。

○小野寺委員 Metaplasiaもそうですが、用量相関性に増えているような傾向がありますね。

○津田委員 だけれども、毒性学的に化生や過形成を起こすでしょう。

○小野寺委員 コントロールにはないですね。

○津田委員 それはそうですが、腫瘍に関係ない、炎症性のhyperplasiaは結構起こすでしょう。

○吉田委員 それもありますね。

○小野寺委員 刺激性に起因するということですかね、可能性としては。

○西川座長 鼻ですからね、直接ばく露している。結構難しいですね。

○津田委員 これはそのままでいきますと、2にはなりません。3ですね。

○西川座長 IARC評価に準ずるということで、多数決というか、意見を聞いてから決まるからそうではなくて、私なら3に手を上げます。この会議の議事録は作るのでしたか。

○大淵環境改善室長補佐 速記していただいたのものをベースにした議事録は、ホームページに公開します。一物質ずつの評価については資料の形で公開します。先ほどもありましたが、評価自体を数字(たとえば、12B相当)で書く部分だけでなく、コメントも載せるような形の整理を、したほうがいいかいと思っております。

○西川座長 意見が分かれるようなところは、何か付記するような形にしていただければと思います。

○大淵環境改善室長補佐 12B相当には当たらないということで、右側にそのコメントに当たるものを書くとか、整理の仕方は後ほど考えたいと思います。

○津田委員 Hyperplasiaは前がん病変として、きちんと位置付けされていれば、それは重視します。

○吉田委員 6ページのFig.3hyperplasia、前がん病変としてのhyperplasiaで、Fig.6metaplasia、ここの矢印の所です。metaplasiaには余りatypicalな感じは受けないので、本当にメタ、刺激による可能性もありますが、ここのfocal hyperplasiaは適切な診断ではないかなと思います。

○西川座長 結構しっかりとしていますね。

○吉田委員 でも、腫瘍というように。

○若林委員 HyperplasiaとかAdenomadefinitionが国によって異なって、それで困るようなケースというのは、津田先生、IARCの会議に出られていて感じられることはないですか。

○津田委員 あっても、ワーキンググループの病理のグループで、それを吟味して決めてしまいます。

○若林委員 現地の論文を信じるしかないですよね。

○津田委員 信じないこともたまにあります。そのときのワーキンググループが、その専門家できちんとしていれば、そこで判断します。それをplenaryで発表して、みんなが信用すれば、それで決まります。

 これはだけれども、ラットのほうは出ていなくて、マウスのほうだけですから、2にはなりません。

○吉田委員 今回、NIHSNTPプログラムの人たちで見ていますから、ある程度はpathologistとしては、クオリティは悪くないと思います。

○津田委員 NTPからといっても。ラットには出ていないのですが、呼吸上皮のpapillary adenomasquamous cell carcinomaを足すと、02にはなりますよね。全くラットにもないというわけでもないような、しかもmetaplasiaは投与群で明らかに増えていますよね。過形成もそうですね、ラット。大丈夫ですか?

○吉田委員 過形成で、そこでとどまっているということは、ある意味では重視すべきではないかと思うのです。これだけ、ほとんどの個体にdegeneration、そのほかのものが起きておりますから、どうなのでしょうか。

 ラットの場合は、どちらかというと呼吸上皮ではなくて、奥のほうのolfactoryぐらいまでのmetaplasiaも起きていますから、かなり炎症は広範囲に、鼻腔全体に広がっているようにも思えるので。

○西川座長 取りあえずIARCの評価に準じて、このケースは12Bに相当しないという評価をしたいと思います。ありがとうございました。

 続きまして、吉田委員です。説明をお願いいたします。

○吉田委員 ヒドロキノンです。13ページです。こちらはIARC1999年に、ACGIH2008年に比較的新しい評価が行われています。ただ、IARC以降、新たに頂いた資料から加えられた文献というのは2つだけで、そのうちの1つのMcGregorらによるものは、レビューということで、特に新しいデータではありません。

IARCの評価は、いろいろプロモーション試験が多く行われているのですが、ほとんどのものに明らかなプロモーション作用はないということで、IARCはグループ3にしています。ヒトのcohort studyも行われていて、ヒトでもクリアなinadequate evidenceしかヒトにはないということで、実験動物でもlimited data evidenceということで、3にしております。

 その後のACGIHの評価も、ほぼそれに準じているのですが、ほぼ評価は同じなのですが、こちらについてはA3ということで、こちらはIARCのような、例えば2種とかGLPという括りをしていないのではないかと思います。

 もう1つの新しいデータが2001年にLauという方から、Eker ratを使って、雄だけで40匹の試験が行われていますが、これはハイドロキノンそのものを投与したのではなく、active metaboliteTGHQを投与しております。そうしますと、腎臓の腫瘍が増えたというデータがあります。ただ、これは片性なので、IARCの基準からいくと難しいのではないか。

 もともとラットの雄で、2年間の長期実験で腎臓の腫瘍が増えたというのが、片性だけに、このヒドロキノンはNTPでは認められているのですが、これについてはレビューの2007年では、非常にこれは慢性腎症が激しく、慢性腎症が激しい固体にしか腎臓は出ていないということで、恐らく慢性腎症が亢進したことによって起きる腎臓の腫瘍だろうという解説になっていたかと思います。そのほかに肝臓の腫瘍等も出ておりますが、これも先ほど津田先生に教えていただいた基準をどれも満たすものではないということで、IARCは非常にクリアな基準をしていると思います。

 私としては、IARCの分類3のままではないかと思っております。特に、これを覆すようなエビデンスは今までに出ていないのではないかというのが、私のコメントです。

○西川座長 この物質はIARC及びその他の機関で評価がされていまして、IARCでは12B以外であるが、他機関ではIARC12B相当ということで、その他機関というのがACGIHということです。

IARCの評価が1999年、ACGIH2008年で、その間にどういう文献が出てきたかというのは、McGregorというのは分かったのですが。

○吉田委員 もう1つは、その上にあるLauという方で、例のEverittの論文になります。このEverittについては、active metaboliteを投与しているということ。

○西川座長 ですが、その新しい文献に基づいて、ACGIH12B相当という評価をしたわけですね。

○吉田委員 ただ、新しい文献かどうかは分かりません。これに基づいてというようなことは、1つのChronic and Carcinogenecityという所に、その文献が1つパラグラフがあるだけですので、あとは最後の所の評価として、「recommendation」という所に、A3だということが記載されているだけで、何に基づきという、この試験に基づきというようなことは記載されていません。

○西川座長 どうしたらいいか。

○津田委員 ACGIHとか、ほかのところのEPAとか、NIPとかいろいろなところで評価したものを。

○吉田委員 文献は2つしか違わないのです。その1つは先ほど申し上げたレビューです。もう1つは、エカーです。エカーというのは、ある意味では腎がんにものすごくなりやすい特殊な経緯ですので、実際にそれも片性で、両性はされていないようだし、もちろんGLP試験ということは、どうかというのはここからは拾えないのですが、私としてはIARC1999年という、かなり前ではありますが、IARCのこの書き方及び、なぜこれを3にしたかというほうが、よりクリアな結果ではないかと思います。ヒトに関することも、IARCの記載には書いてありましたが、こちらでは、ヒトに対することは頂いた資料には、ほとんど記載はございません。

○西川座長 ACGIHでは、評価をA3にしたということですか。その根拠というのは示さないものなのですか。

○吉田委員 恐らくChronic and Carcinogenicityの所で、長期試験で、片性であっても腫瘍が、多分ここはIARCのように2種とか、雌雄ともという基準がないのです。そういうことだと思うのです。だから、こちらはこちらでA3とされたのではないかと推察されるのですが、私はここのメンバーでもありませんし、基準が分かりませんので。そう思うと、IARCのほうがクリア。

○西川座長 クリアはいいのですが、より新しい評価をACGIHがしているわけですよね。

○吉田委員 ただ、新しいデータを基にしているなら、私もそれを使えばいいと思うのですが、むしろ。

○西川座長 しなければ一緒なのですが、IARCと評価は違うわけでしょう。

○吉田委員 IARCについてのコメントは、私が拝見した限りでは見付けることはできませんでした。

○津田委員 これはマウスだけでしょう。

○吉田委員 ラットですね。長期はラットとマウスで行われています。それはNTP試験ですね。もう1本ずつあったかと思います。

○津田委員 ハイドロキノンでしょう。

○吉田委員 はい。

○津田委員 NTPを見ていますが、腫瘍はマウスだけです。

○吉田委員 そういう意味ですね。はい、それはマウスだけです。

○津田委員 ラットに記載がないので、出ていないのです。マウスだけなら、2にはなりません。

○西川座長 混乱していますが、いろいろな評価の仕方で、IARCの評価があっても、他機関の評価が少し厳しい評価であれば、それを採用しないのか。あるいはIARCの評価を最優先するのか。どちらでしたか。

○大淵環境改善室長補佐 評価時期が、IARCよりも他機関のほうが後であれば他機関のものも見ます。ただし、先ほどもお話がありましたが、他機関のほうはIARCほど、何をもって発がん性ありとするかについて、たとえば、動物が2種類必要だとか、雌雄両方が必要だとか、細かい条件は付けていないと思います。この会議で評価するときには、IARCの基準に準拠して評価しましょうということでしたので、資料の1-1で各機関の分類の対応関係を横に並べてありますが、よくよく内容を見ると、必ずしもIARCとの厳密な対応関係ではないので、資料1-1の表はおおむねの比較表として御覧いただき、評価はIARCの基準に従っていただくこととします。たとえば、動物が1種類だけであったら2B相当にはならないというIARCのルールに照らして、そのような評価であれば、ここの会議でもそういう形になるかと思います。

○西川座長 なるほど。ですから、1番は、IARCの評価とそれ以降の他機関の評価の間で改めてその評価に採用すべきデータはなかったという捉え方ですね。したがって、元のIARCの評価、つまり12Bでないということにするということですね。分かりました。ちょっと頭の整理をさせていただきました。

 それでは最後に、若林先生から説明をお願いします。

○若林委員 私が担当したのは、【5】で、両方の発がん性分類、IARC12B以外、他機関もIARC12B相当以外の化合物として、対象物質はパラキシレンです。これに関しては、IARC1999年、EPA2003年、ACGIH1996年に評価をしています。いずれも12B以外のところにあります。しかし、ここでさらにその後、追加文献があるので、その追加文献を精査して、これは12B以外の評価が更にサポートされるのか、それともそれ以外の結果があるのかということが問題となっている物質です。

 実際に追加文献、2003年以降の文献と言うと、通し番号が1819ページの所で、右側の#345の、主に疫学研究が報告されています。実際には、2006年、2008年、2010年にそれぞれ疫学の文献が報告されています。いずれもがイタリアのグループがほぼ中心になって、イタリアのグループとかEUのグループ、又はIARCのグループ等が報告をしています。ソルベントのexposureと主にlymphomaとの関係です。この中での主な論点は、どうしてもベンゼンが中心になって、付則的にトルエンとキシレンが議論されています。ベンゼンは明らかにlymphoma等の発症リスクに関係しているだろうということですが、結果的には、トルエン、キシレンに関してはサジェスティブなデータは出るが、まだ完全に十分ではないという結論です。ましてや、疫学のアプローチですので、パラキシレンというものに関しては、全くコメントがされていないのが現状です。このようなことを考えると、パラキシレンに関しては、現在もIARCの分類では3に属するものであると考えられます。以上です。

○西川座長 ありがとうございます。最近の文献では疫学データが3つ出ているということで、キシレンについては明らかな関連性は認められていないということでしたね。

○若林委員 更に難しいのは、パラキシレンをどうするのかということなのですが、これらの疫学のデータでは、いわゆるキシレンとしてオルト、メタ、パラと全部を扱っていますので、パラキシレンはどうかということに関して、これらの文献はそれに触れていないので、それらを判定するのは極めて困難であるというのが現状です。

○西川座長 ありがとうございます。確かに、若林先生の担当はパラキシレンになっています。その評価をキシレン全体で評価していいかどうかという御質問でしたが、事務局いかがですか。

○大淵環境改善室長補佐 今ある文献としては、キシレンの生体オルトメタパラの、まとめた上の評価しかないということですね。

○若林委員 はい。

○大淵環境改善室長補佐 そうすると、この物質単独で「発がん性あり」云々ということをこの文献からは議論はできないということですね。

○若林委員 非常に取扱いが難しいことになりますね。

○大淵環境改善室長補佐 わかりました。

○若林委員 多分、オルト、メタ、パラで、遺伝毒性はそれぞれin vitroin vivoで多分陰性かと思います。ただ、疫学データからはそれらのものは分かりませんし、非常に判断が困ってしまうようなケースであると思います。

○西川座長 ちなみに、IARCEPAACGIHで評価されているのはパラキシレンに限ったものの評価でしょうか。これらの評価も、全体を評価したものであれば同じように評価すればいいかなと思いますが。多分そうではないでしょう、これ。ですから、取りあえずは、キシレン全体のデータを見て評価していくしか仕方がないと思うのです。あと、ヒトのデータですが、IARCですと結構これを重視するのですよね。サジェスティブということだったのですが、IARCではこういうデータをどう取り扱うかというのは、津田先生何か。

○若林委員 例えば、今、2006年の#4の「結果の概要」の所には書いてあると思いますが、odds ratioは下から2行目のキシレンが1.7です。

○西川座長 そうですね。

○若林委員 はい。

○西川座長 で、トルエンは1.8

○若林委員 1.8

○西川座長 余り変わらないですね。

○若林委員 そうです。ですが、ほかのものに関して、必ずそれがまたいつでもキシレンが増加しているかというと、そうでもないケースもありますし。

○西川座長 今の文献だと、ちなみにベンゼンはodds ratio1.6ですね。

○若林委員 はい。

○西川座長 そうだと、キシレンのほうが上ということです。難しいですね、これは。

○若林委員 ただ、私はこの3つを見たのですが、疫学全体でキシレンが本当にlymphomaに関係しているかどうかということに関してはもう少し疫学のデータをmeta-analysisしないと分からないと思うのです。少なくとも、私は3つからしか今、判断していませんので。

○西川座長 なるほど。

○若林委員 ここで結論を言うことは少し控えさせてもらったほうがいいと思います。

○西川座長 結論にはもう少し時間を掛けて解析しないといけないということですね。ほかに御意見ございますか。津田先生、このようなデータがIARCに出てきたら、これはヒトに対する発がん性を直接評価するような。

○津田委員 これ、ずれているから見ていないでしょ。これは1999年でしょう。

○若林委員 そうです。

○津田委員 その後で出てきているから、これはもうIARCでは見ていないから。

○西川座長 見ていないでしょう。

○津田委員 はい。

○西川座長 ですから質問は、こういうデータが出てきた場合IARCはどのような取り扱いをするのでしょうかということです。

○津田委員 一番重視するのはヒトのデータです。

○西川座長 ですよね。

○津田委員 はい。動物は、その場合はもう動物のデータは全然関係ありませんから。

○西川座長 そういう意味では、これは可能性があるという、そういうことを示唆するような。

○津田委員 いえ、これは瘍学の人に解析してもらわないと。また瘍学の評価グループがいまして、きちんと解析をした結果、それが、sufficient evidenceかどうかという判定になればGroup1になります。

○西川座長 なるほど。

○津田委員 ただし、なかなか1つのヒトに対するデータではなりません。2つ以上きちんとした信用のある施設と研究者によるデータがあれば1になります。

○西川座長 ということは、我々は実験が専門なので。

○津田委員 それはそうですよね。

○西川座長 素人と我々は言えないかもしれませんが、そういう意味ではこういうデータに対応するような。

○津田委員 そこをどこまで重視するかです。

○西川座長 専門の方が必要なのでしょうかね。あるいはまた。

○津田委員 いや、労働衛生の先生にコメントを頂いてからそこで考えるほうがいいと思います。これだけではちょっと分からないです、元の論文なりデータを見ないと。

○小野寺委員 論文の中まで我々が追い掛けていくのですか。

○津田委員 ですから、労働衛生の先生方がまた別のグループで見えるので、しっかり見ていただいてそちらで決めていただくとなります。決めるなり、我々にアドバイスを頂くと。動物実験からは判断ができません。

○若林委員 動物実験ではネガティブです。

○津田委員 そうですね。ですから、もう我々としては手の下しようがありません。

○西川座長 そうすると、有害性の検討会では大前先生とかお見えになるので、少しそういう方々に御意見を頂くというのがいいかもしれませんね。ちょっと専門と離れたような領域ですので、余りはっきりしたことは言えないというのは正直なところです。

○大淵環境改善室長補佐 今後のほかの物質の評価のときも、動物実験の結果が中心の評価のときにはこのメンバーの先生方にお願いできても、疫学データが中心の評価のときにはこのメンバーだと少し難しいという感じでしょうか。

○津田委員 無理です。

○西川座長 という意見もありますので、少しその辺り慎重に。

○大淵環境改善室長補佐 分かりました。進め方も含めてちょっと事務局でも。

○津田委員 私は駄目です。

○大淵環境改善室長補佐 検討させていただきます。すみません、ありがとうございます。

○西川座長 では、そのように。取りあえずこれは消す、評価を下すべきなのでしょうか。できないですね。ちょっと今、専門外ということもあって評価をできない、ペンディングという形にしたいと思って。

○小野寺委員 パラだけなのかどうかというところをしっかりしないと。

○西川座長 それを含めて。

○吉田委員 混合物でしょ。

○小野寺委員 混合物。

○西川座長 オルト、メタ、パラ含めてでしょ。

○若林委員 それから、資料1-6-丸数字1の5ページの所の表の一番下の所に、今度はオルトがあります。o-Xyleneというのがあります。

○大淵環境改善室長補佐 はい、あります。

○若林委員 その更に上にはm-Xyleneもありますので、これらのものを個別にやっていくのは動物実験でしかできないのではないかという気がするのです。

○西川座長 多分それも併せて少し検討をお願いできればと思います。

○大淵環境改善室長補佐 ありがとうございます。

○西川座長 ということで、いくつかペンディングとしたものもありましたが、取りあえず、以上で試行的評価の5物質の評価が終了しました。

 次に、議題3「その他」について事務局から説明をお願いします。

○大淵環境改善室長補佐 それでは、その他、今後の予定ということで資料2を御覧ください。まず、今後の会議の予定なのですが、先生方に日程調整をした段階では、第3回として724日をセットさせていただいているのですが、本日の御議論で、一応5物質について試行的な評価をしていただいて、まだもう少し資料を集める必要のあるものもありますが、もう1724日に開くかどうか、あるいは、あとは細かい所なのでメールでのやり取りで対応させていただいてよろしいか、そこをまず御相談したいと思うのです。

○西川座長 次回、取りあえず724日を予定していますが、開く必要があるかどうかについて御意見をお願いします。

○小野寺委員 724日は始め午前中の予定だったので参加可能でしたが、それが午後に変更なったので、午後から予定が既に入っているので。

○大淵環境改善室長補佐 はい。

○西川座長 241時半からですね。小野寺委員は欠席と。

○吉田委員 できればメールベースで。

○大淵環境改善室長補佐 メールベースで、はい。

○西川座長 メールでという声が。

○若林委員 吉田先生にやや反対の意見です。例えば、私が扱ったようなものに関しては、このグループで判断しないで疫学のグループに渡すとか、というようなコンセンサスが今この5つのグループの中でできていれば次の会議は開く必要はないと思いますが、それができていないような感じがするので。

○大淵環境改善室長補佐 そうですね。伺った内容からすると、少なくとも追加データが疫学のものオンリーであれば、この会議のメンバーではなくて疫学の先生のほうに御相談させていただくようなやり方がよろしいと思いますし、あと、場合によっては、疫学のデータもあるし動物実験のデータもあるとかという場合にはどうさせていただくのがいいかとか、やり方はもう少し工夫というかルールを作っていかなければいけないかという感じはしています。

○津田委員 だけれど、発がん性と言えば、疫学で発がん性があるのでしたら大変なことですね。

○大淵環境改善室長補佐 はい。

○小野寺委員 それで評価は終了ですか。

○津田委員 ですから滅多にないでしょ。

○大淵環境改善室長補佐 そうですね。

○小野寺委員 確認なのですが。1つは、IARC以外の所の評価機関で評価されたものはどこまで重視するかというのと、あと、我々が見るべき資料というのは評価資料だけでいいのか、それ以上に当たるべきなのか、提出された範囲内でやるのかというところを決めていただかないと困ります。例えば不足の文献まで探すのは、無理です。ですから、原則私としては、手元に頂いた資料の中においてどう評価するかというところの判断ならできると思うのですが。

○西川座長 それが原則で、たまたまそれ以外の資料があったというのであれば、別に無視するのではなくて、参考にしつつということでいかがですか。重要な資料があるにもかかわらず、それを見て見ないふりをするというのはやはりまずいと思うのです。

○小野寺委員 その辺の判断が、評価書以外のものをどこまで検索するか。

○西川座長 評価書、文献。

○小野寺委員 今回資料を頂きましたが、抜けていてもっと検索して検討するとか、今日の事例もありましたね。

○西川座長 はい。

○小野寺委員 この1-8の資料あり、判断する人たちの評価書として入っていない文献に関してはどこまで我々が探すか。評価書にあるというだけで。

○西川座長 ですから、たまたま見つけたというのは、積極的に探さなければ見つからないわけですので、それは、事務局に整理していただいた資料に基づいてやるというのが原則だと思うのですが。

○大淵環境改善室長補佐 そうですね。たまたまというか、御自分で何か関わられていて、その文献をもともと知っていたとかということであればそれを排除する必要はないかと思うのですが、積極的に別の文献を探すというところまでやっていただく必要はないかと考えています。

○西川座長 という整理でお願いしたいと思います。

○津田委員 ただ、文献を探しても、雑誌によっては抄録だけで中身を、PDFを取ろうとすると金を出せとくるでしょ。

○大淵環境改善室長補佐 はい。

○津田委員 そういう場合はどうするのですか。いや、金を出すのがいやという意味ではなくて、なかなか取れないですね。

○西川座長 少し早めにするとか。

○津田委員 するとやはり、こちらのお役所で取ってくださって、そしてPDFで送っていただくとか、そういうふうにしないと、私もこれ取れなくて困ったのです。

○西川座長 早目にそういう文献が見つかれば、事務局にお願いしてフルのデータを入手していただくという手はあると思うのです。

○津田委員 その都度払えば取れるので。30万ぐらい取られる。

○大淵環境改善室長補佐 文献調査のための委託事業というのがあるので、そこの委託先のほうに頼んで、この文献を取ってほしい、ということであれば可能かと思います。

○津田委員 やはりアブストラクトだけでは分からないことはいっぱいあるし、アブストラクトでは数値が出ていないものがいっぱいあるわけで、そうすると、こちらでも判断できない。そういうことがあるので、やはり、論文そのものの表を見て、結果を見てから判断するべきなので、文献を見る必要があるときはPDFを付けてくださると有り難いです。

○小野寺委員 私が頂いた資料、CDの中には全部フルで入っていましたが。

○西川座長 数は少ないけれども入っていましたね。ですから、そういう意味では、事務局がきちんと整理して準備されていると思いますので。もし何か抜けている文献がありましたら、事前に事務局に連絡していただいて、出来るだけ皆さんに目を通していただくということにしたいと思います。

○大淵環境改善室長補佐 724日のほうはどうしますか。会議はなしにして、その代わり今後の進め方について、今日出た問題点をもう少し事務局で整理をして、こういうことでよろしいかというような進め方も含めて先生方にまたメールで御相談をさせていただくと。やり方がきちんと決まった段階で実際の物質の審査依頼をさせていただくという、そのようなイメージでよろしいでしょうか。

○西川座長 津田先生、よろしいですか。

○津田委員 結構ですよ。

○大淵環境改善室長補佐 それで、今日やってみて資料の。

○若林委員 よく西川先生と相談をして。

○大淵環境改善室長補佐 はい、分かりました。今日の資料の中で、1-4の関係で少し御相談させていただきたいのです。先生方に作業をしていただくときに、事務局で作ったルールですが、この中で、例えば1の丸数字1の所です。評価書未記載文献の公表時期が、例えばIARCの評価時期と比べて新しいか古いかと、こういうところについては機械的に見れる事項ですので、今後の方針は、この辺りまでは少なくても事務局で作業をした上で、先生方に作業をしていただくのは丸数字2以降の所。例えば、文献の信頼性というのはなかなか事務局では判断しづらいですし、それから、データの評価として発がん性が有りなのか無しなのかとかは、事務局では判断しかねますので、その辺は先生方にお願いし、丸数字1の機械的にできる部分については事務局で振り分けをさせていただき、先生方に評価をお願いする物質をできるだけ減らした上で作業を依頼したいと思いますが、そのようなことでよろしいでしょうか。

○西川座長 はい、それでいいと思います。ただ、丸数字1についても、論文の刊行年と評価の年が一緒の場合はその論文を参考にしていない場合もあるのです、間に合わなくて。

○大淵環境改善室長補佐 同じ年で、はい。

○西川座長 その辺りを事務局で注意して検討していただければと思います。

○大淵環境改善室長補佐 はい。

○西川座長 以上ですか。取りあえず、724日の会議はなしということでよろしいでしょうか。はい。

○角田化学物質評価室長 先ほど話に出たのですが、今日、いろいろな御議論が出て、先ほどの12B相当の考え方とか、あと、疫学との関係とか、文献の把握について、基本的にはこちらからきちんとお送りしたものの範囲でやるとか、そういう少しクリアになっていない部分があってそれで御相談したということもあるので、例えば、こういう資料の1-4を少し再整理するとか、今の議論が明確になるような形で整理をしたいと思います。

○西川座長 はい。

○津田委員 IARCに関しては搆(かまえ)さんがかなりきちんと整理して配られたと思います。どこかのページから取れるはずです。

○西川座長 よろしいですか。ほかになければ、これで終了してよろしいですか。

○大淵環境改善室長補佐 はい。

○西川座長 それでは、以上で、本日の発がん性評価ワーキンググループを閉会とさせていただきます。お忙しいところ御参集いただきまして、本日はどうもお疲れ様でした。ありがとうございました。


(了)

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