ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(生活保護基準部会)> 第18回 社会保障審議会生活保護基準部会(2014年5月30日)




2014年5月30日 第18回 社会保障審議会生活保護基準部会

社会・援護局

○日時

平成26年5月30日(金)15:00~17:00


○場所

厚生労働省専用第14会議室


○出席者

駒村 康平 (部会長)
岩田 正美 (部会長代理)
阿部 彩 (委員)
岡部 卓 (委員)
栃本 一三郎 (委員)
園田 眞理子 (委員)
道中 隆 (委員)
宮本 みち子 (委員)
山田 篤裕 (委員)

○議題

住宅扶助について
その他

○議事


○駒村部会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから「第18回社会保障審議会生活保護基準部会」を開催いたします。

 まず、本日の委員の出席状況について、事務局より御報告をお願いいたします。

○大西保護課長 本日の委員の御出欠状況でございますけれども、宮本先生が少し遅れられて御到着されると伺っております。また、大竹先生から御欠席との御連絡をいただいております。

 また、大変恐縮でございますけれども、この後、岡田局長が遅れて参りますが、御容赦いただきたいと思います。

 それでは、部会長、議事進行をよろしくお願いいたします。

○駒村部会長 本日の議事に入りたいと思います。

 前回の部会では、事務局から住宅扶助の検証手法等について御報告いただいた上で、住宅扶助に関する論点や具体的な検証手法等について、御議論いただきました。また、冬季加算や有子世帯の扶助加算については、財政制度等審議会などにおける指摘を事務局から紹介していただいた上で御議論いただいたところです。

 本日は、住宅扶助について、前回の部会で出された御意見等を踏まえて、事務局で資料を作成いただいております。また、岩田先生からも資料が提出されておりますので、事務局、岩田先生からも御報告をいただいた上で、住宅扶助に関する論点や具体的な検証手法等について、さらに議論を深めたいと思います。

 それでは、まず、事務局より、資料1について御報告をお願いいたします。

○井上保護課長補佐 それでは、資料1の説明をさせていただきたいと思います。

 表紙をおめくりいただきまして、2ページ目に目次がございますけれども、本日は住宅扶助につきまして御議論をいただきたいと思っております。

 住宅扶助に関しましては、前回、委員の方々からいろいろ御意見をいただきましたので、前回の論点等のほかに、次のページから資料を整理させていただきましたので、まずは3ページをごらんいただきたいと思います。

 こちらは、住宅扶助に係る論点ということで、前回いただきました御議論を踏まえまして、前回、事務局で提示した各論点につきまして、主な発言をそれぞれブレークダウンしたものを載せております。

 論点1は、住宅扶助特別基準額(家賃)の水準ということで、一言で言いますと、現行の住宅扶助特別基準額の水準は妥当かということでございます。この大きな論点につきまして、次のページも含めまして、1~8まで関連する細かな論点、前回の委員の主な御発言、御意見などを載せております。

 今後、一般世帯の住宅に関するデータの特別集計ですとか、生活保護世帯のデータを得るために、この後、行う予定でございます生活保護世帯の住宅の居住の実態調査、そちらの調査を行うに当たりましても参考とさせていただきたいと考えておりますので、現時点で考えられます論点につきまして、今回記載した論点以外にもまだ何かあるかどうか、そういったことなど、この後、また御意見をいただければと思います。

 1は、特別基準額の妥当性を検証するに当たって、健康で文化的な最低限度の住生活を営むことができる住宅かどうかを見るための尺度としましては、住生活基本計画で定められている設備条件を含みます最低居住面積水準でよいかということ。

 ちなみに、※にありますけれども、実態としては、この後、資料が出てきますが、全国の民営借家では約3分の1の世帯で設備条件を含みます最低居住面積水準が未達成という状況にございます。

 2は、住生活基本計画の設備条件を含みます最低居住面積水準を仮に尺度として見た場合に、生活保護受給世帯で最低居住面積水準を満たしている世帯の割合はどの程度あるのかということ。

 3は、同じく住生活基本計画の最低居住面積水準を仮に尺度として見た場合、特別基準額は、健康で文化的な最低限度の住生活の確保といった観点と一般世帯の住宅水準との均衡の観点の2つの観点から、どの程度を妥当なものとすべきかということ。1で触れましたけれども、最低居住面積水準の達成状況を踏まえますと、特に未達成率が比較的多めと思われます低所得層の世帯との均衡も見ながら、特別基準額の妥当性を評価するということも必要ではないかということ。

 4は、特別基準額は、地域とか人数とか、どのような区分で設定することが妥当かということ。それと、検証の際には、現行の級地区分の区分けでよいかも含めて妥当性を見る必要があるのではないかということでございます。

 5は、生活保護受給世帯の家賃額は、一般世帯の近隣同種の家賃額と比べて高く設定されている場合があるのではないか。また、そういった家賃額に差が生じるのは、生活困窮者であるがゆえの特別な理由があるのではないかということ。

 6は、住宅扶助特別基準額は上限額のみを設定しているものですけれども、現に最低居住面積水準を達成していない世帯が一定割合あるということを踏まえますと、上限額の範囲内で、例えば床面積ですとか築年数とか、住宅の質に応じた基準額を設定することについてどう考えるか。必要に応じて上限額の範囲内で額を設定するやり方も考えられるのではないかということでございます。

 4ページに行きまして、7は、検証時点と検証結果を反映させる時点とではタイムラグが生じますので、それをどうするべきか。

 8は、検証に当たっては、民間の分析手法なども参考にしてはどうかということ。

 次の論点2は、改定方法についてでございます。低所得層の家賃動向と一般世帯の平均的家賃動向というのは異なる動きをするのではないかということ。

 論点3は、運用の関係ですけれども、ここは前回同様のままで置いております。

 論点4は、敷金・礼金・契約更新料などに係るものでございます。敷金・契約更新料等の水準は、地域の実態を反映したものとなっているかということ。

 最後のその他は悪質な貧困ビジネスについてでございまして、1は、住居以外に生活支援サービスなどを提供していて、住宅扶助の支給額に合理性がある事業者とそうでない事業者を分けて考えてはどうかということ。

 2は、そういった生活支援サービス利用料などは、住宅扶助とは別立ての給付としてはどうかということでございます。

 ここまでが前回意見を踏まえましてブレークダウンをした論点でございまして、次のページから、各論点に対応したペーパーを順につけております。

 5ページを見ていただきたいのですけれども、こちらのページは3ページの論点1に対応するものでございます。尺度としては住生活基本計画の最低居住面積水準でよいかということで、議論の材料としまして、真ん中あたりに基本計画での最低居住面積水準について記載しております。

 その基本計画では、次のスライドを見ていただきたいのですけれども、6ページでございます。こちらに該当部分の抜粋がございます。下の段の「別紙4 最低居住面積水準」の部分で「最低居住面積水準は、世帯人数に応じて、健康で文化的な住生活を営む基礎として必要不可欠な住宅の面積に関する水準である」とされております。それと「その面積は、別紙1の住宅性能水準の基本的機能を満たすことを前提に、以下のとおりとする」とされていて、基本的には単身者が25平米、2人以上世帯ですと「10平米×人数+10平米」とされております。その前提となる別紙1の住宅性能水準としまして、例えば上段の1の(1)の2にございますけれども、基本的には専用の台所、原則水洗トイレ、洗面所、浴室を確保するとされております。

 すみません。また5ページに戻っていただきまして、住生活基本計画の最低居住面積水準の○の2つ目でございますけれども、最低居住面積水準未達成の部分についての基本計画上の目標というのはどうなっているかといいますと「未達成率は早期に解消すること」という形で目標として掲げられております。

 それと、下の囲みは公営住宅の住戸基準でございます。「健康で文化的な生活を営むに足りる住宅」を整備することとなっております、公営住宅法に基づく公営住宅の住戸の基準というのは、公営住宅等整備基準におきまして、住宅を供給する地方公共団体が参酌すべき基準としまして以下のとおり示されております。「公営住宅の一戸の床面積の合計は、25平方メートル以上とする」ですとか、設備面でいいますと、台所、水洗トイレ、洗面設備、浴室などを設けるということになっております。

 7ページに行っていただきまして、最低居住面積水準は、単身世帯でいいますと、いきなり25平米となったわけではなくて、こちらの資料のように引き上げられてきたという経緯がございます。平成3年度からの第6期の5カ年計画では16平米、平成8年度からの第7期の計画では18平米、そして、現在の平成18年の閣議決定の住生活基本計画で25平米となったところでございます。

 参考までに、16平米と18平米の間取りのイメージ図を、当時の建設省の資料からそちらに載せております。18平米に変わったときには浴室が加わっております。

 8ページでございます。参考として、住宅・土地統計調査を使いまして、民営借家の最低居住面積水準の達成状況について調べてみたのがこちらでございます。設備等の条件を含む最低居住面積水準が未達成である世帯の割合というのは、こちらの表の左側のとおり、全国の民営借家の合計欄の総数で見てみますと、33.7%、約3分の1でございまして、同じく東京都では4割強という状況でございます。こういった状況もございますので、最低居住面積水準の尺度を用いて検証を行うとした場合には、一般世帯におけます実際の達成状況も踏まえて評価が必要ではないかというのがございます。

 続いて、9ページでございます。こちらも関連するデータでございますけれども、生活保護世帯では高齢単身世帯が最も多いということがございまして、住宅・土地統計調査で公表されているデータで65歳以上の単身世帯を表にしてみたものでございます。

65歳以上の単身世帯では、最低居住面積水準未達成の世帯の割合というのは、全国の民営借家の合計で56.8%、同じく東京都で61.1%となっております。ただ、面積だけに限って見ますと、最低居住面積水準の25平米以上を達成している世帯というのは73.7%。仮に右の欄にございます延べ床面積が20平米以上の世帯ということでちょっとハードルを下げますと、再掲欄にございますけれども、87.5%と高めになっている。その下には、参考として、先ほどと同じように間取りのイメージとして25平米と20平米の場合の間取りを載せております。

 続いて、10ページでございます。こちらからは「検証手法のイメージ」になります。委員の方の御意見を踏まえまして、先ほど御説明したような論点に係る検証を行うのに当たって、前回、資料でお示ししたイメージのほかに、次のような検証手法が考えられるのではないかということで御提示をさせていただいております。

 まずは、実態がどうなっているかということで、生活保護受給世帯で最低居住面積水準を満たしている世帯の割合はどの程度かというのを見るために、新たに行う予定にしております「生活保護世帯の居住実態に関する調査」でデータを集めて、世帯構成別に家賃階級別で平均家賃額ですとか、水準を満たす世帯割合、床面積、設備関係など、こちらにございますような表をつくって把握してみてはどうかというものでございます。

 なお、世帯人員とか地域別、どういった区分で集計をしていくかということにつきましては、ほかのイメージのページでも共通でございますので、この後出てきます13ページにまとめさせていただいておりますので、後ほど御説明をしたいと思います。

11ページでございます。こちらは、前のページで出てきました居住実態調査についてでございます。前回の御意見などを踏まえまして、少し概要を充実させております。調査時期は前回同様です。

 調査対象は、調査月に訪問計画に基づく家庭訪問の対象となっている世帯を対象としまして、訪問格付ごとにグループ化して、そちらにございますような割合で訪問格付グループごとに無作為抽出してはどうかと考えております。例えば毎月訪問する世帯の場合ですと12分の1の割合で抽出する。逆に、12カ月に1回、年1回訪問の世帯は1分の1抽出として、訪問頻度によりますばらつきをできるだけなくして調査を行いたいと考えております。調査対象世帯数は、この抽出方法でいきますと、保護受給世帯全体の12分の1の抽出率となりますので、市部で約12.6万世帯、郡部で約7,000世帯と推計されますので、地方でも一定のサンプル数を確保できるのではないかと思っております。

 調査項目は、いただいた御意見などを下線の部分として追加しております。敷金等及び契約更新料の額とか、(3)としまして、ケースワーカーの事務負担も考慮して、例えばさかのぼりを過去5年間として、その間の家賃額の変動の有無、変動ありの場合の額、(4)として、近隣同種の住宅の家賃と比較して高額な家賃が設定されている疑義があるか否か。疑義がある場合、合理的な理由はあるか。(5)は(3)とも連動しますけれども、保護開始時に家賃が変動したかを把握するために、保護開始時期ですとか、転居して物件が変わると家賃額も変わりますので、転居の有無も追加しております。(6)は無料低額宿泊所ですとか、法的位置づけのない施設などの場合に、こちらにございますような項目を追加する予定で考えております。

12ページの「検証手法のイメージ2」は、特別基準額の水準を考える際に、健康で文化的な最低限度の住生活の確保の観点と、一般世帯の住宅水準との均衡の観点から見まして、どの程度を妥当なものとすべきか。先ほどございました最低居住面積水準の達成状況を踏まえますと、特に低所得層との均衡という観点から特別基準額の妥当性を評価することも必要なのではないかということで、それを検討する材料として、下の表にございますような最低居住面積水準を満たす世帯と満たさない世帯に区分して、家賃額階級別に並べて、例えば水準を満たす世帯の中で、網かけをしております特別基準額が含まれる層、その層以下の家賃額で最低居住面積水準を確保できている世帯がどの程度あるか、一般世帯で水準を満たしていない世帯割合はどの程度あるか、特別基準額の含まれる層の住宅の質はどうなっているか、そういったことを見られるようなものを作成してはどうかというものでございます。それと、質を確保した上での低所得層、仮に年収300万円未満、単身ですと200万円未満としておりますけれども、その層ではどういった感じかということで、2つ目の網かけとして欄を設けております。

13ページは「検証手法のイメージ3」ということで、ほかの検証手法に共通のことですけれども、特別基準額をどういった区分で設定することが妥当か。また、調査世帯をどのようなカテゴリーで分類・検証すべきかということで、検証手法(案)の1にまずは現行の区分を書いております。現行では、特別基準額は都道府県・政令・中核市別、級地別、ただ、その級地が1・2級地の固まりと3級地の2区分になっている。世帯人数別で、こちらの世帯人数別も、単身と、2~6人という固まりと、7人以上という3区分になっています。

 2には、地域で家賃相場は大きく異なりますので、全国で同じ質の住宅水準を保障するということにした場合でも、やはり地域別に区分して検証・設定することが妥当ではないかと書いております。その際に、続きの矢印でございますけれども、サンプル数といった精度を考慮して区分する必要があるのではないかとか、現行制度の連続性などから現行の級地区分のカテゴリーを用いてはどうかとしております。ただし、現行の1・2級地と3級地という2区分の固まりにこだわらずに、例えば1~3級地の3区分にして検証してはどうかとしております。

 3は世帯人数についてでございます。人数に応じて必要な広さ、水準は異なりますし、家賃にもそれが影響するということで、世帯人員別に検証することが妥当ではと考えておりまして、その際は現行の3区分にこだわらずに、例えば1~6人の各世帯人数別、それと、7人以上という7区分で検証してはどうかとしております。

 4では、特別基準は上限額でございますので、その検証に当たっては、例えば低額な家賃で比較的良好な質を備えているのではないかと考えられます公営住宅等ではなくて、民営借家の賃貸物件に入居する場合の上限額という想定をして、民営借家のデータを用いて検証してみてはどうかということでございます。

 5は、検証手法に応じてどのような属性をコントロールしていくべきかということにつきましては、今後、個票データを特別集計していく中で試行錯誤を繰り返しながら、ここで示した区分について、統計的な精度に問題がないかを確認しながら改善を図っていく必要があるのではないかといったことを書いております。

 続いて、14ページの「検証手法のイメージ4」は生活保護受給世帯におけますプレミアムの検証の関係でございます。ここでは案-1~案-5まで提示させていただいております。

14ページの案-1は、生活保護受給世帯の家賃額は一般世帯の近隣同種の住宅家賃と比べて高く設定されている場合があるか。仮に1万円以上と今は入れさせていただいておりますけれども、ある場合は合理的な理由があるかといったこと、さらに、最低居住面積水準を満たしていなくて周辺より高い家賃設定がされている例があるのか、ないのか。そういったことをイメージとしてはこちらのような表にまとめてみてはということでございます。右の欄の合理的な理由の例示がこれでよいかとか、もっとふさわしい理由の例などもまた後で御意見をいただければと思います。

15ページでございます。案-2は、保護開始時や保護開始後に家賃の値上げがあるケースがあるのではないかということに対しまして、こちらにございますような表を作成してみてはどうかというものでございます。居住実態調査を行って、現場の事務負担も考慮して、例えば過去5年以内に保護開始した世帯を対象に、家賃階級別に保護開始後に値上げがあったか、その値上げ額の平均は幾らか、近隣と比べて高い値上げ幅という疑義があるか、そういったことをまとめてはどうかというものでございます。そして、転居のあり・なしで分けて集計してはと思っております。

 続いて、16ページの案-3は、質の切り口から家賃額を比較検証するために、例えばこちらの表にございますような面積、建築時期をある程度グループ化した上で、一般世帯と生活保護受給世帯の家賃額を比較できる表をつくってみてはどうかということでございます。単身世帯を例にしておりますけれども、上の表は水準を満たす住宅で、下の表は水準を満たさない住宅ということで、両者でどういった差があるかも見てはどうかということを考えております。

 上の囲みの3にございますけれども、検証に当たっては、調査時点にタイムラグがあるということを踏まえてやっていきたいと考えておりますが、そのタイムラグを埋める手法についても、この後、御意見をいただければと思います。

 それと、このページは、生保世帯であるがゆえの家賃差、そのプレミアムを見る検証手法案のページでございますので、上の囲みの4にございますけれども、例えば一般世帯と比較して家賃差があることに合理的な理由があるのであれば、ここの表を作成する際のデータから除外して、合理的な理由のない家賃差に絞って比較することも考えられるのではないかということを書かせていただいておりますけれども、この辺も後ほど御意見をいただければと思います。

 この3と4はこの後に出てきます案-4と5にも共通の事項となります。

17ページでございます。こちらは家賃額の切り口から見て、面積とか建築時期といった質がどう変わるのかを比較検証するために、こちらの表にございますような同じ家賃階級で面積とか建築時期をある程度グループ化した上で、一般世帯と生活保護受給世帯の質を比較できる表をつくってはどうかということでございます。今は床面積ですとか建築時期の刻みを○にしておりますけれども、この刻み方についても後ほど御意見をいただければと思います。それと、最低居住面積水準などにつきましては、面積水準が変遷してきたという経緯がございますので、表の一番下には、建築時期によって面積の規模に影響があるのかを見るために建築時期の切り口もつけております。この建築時期の刻み方も御意見をいただければと思います。

 右側にはこの表をグラフ化したイメージ図を載せております。図1は床面積別の家賃分布のグラフでございまして、床面積の刻みごとに家賃額の分布が一般世帯と生活保護受給世帯でどうなっているか、住宅扶助特別基準額がどの位置にあるかも見えるようにして比べるイメージを考えているということでございます。図2は、建築時期によって面積の分布はどうなっているかをグラフ化したイメージでございます。

 続きまして、18ページの案-5は回帰分析を用いた手法でございます。住宅・土地統計調査と生活保護世帯に行う予定の居住実態調査の個別データから、床面積、築年数などを説明変数とした家賃関数を推定しまして、一般世帯と生活保護世帯とで家賃額に違いがあるかどうかを見てはどうかというものでございます。その際、違いを検証するために、住宅・土地統計調査、一般世帯は0、生活保護の調査は1とするダミー変数を加えて式を推定して、差をあらわすダミー変数の係数を検証してはどうかということでございます。その際、下の(注)にございますけれども、2つの調査の時点が異なることによるタイムラグの影響が係数に含まれてくるということが、なお課題として残っていることに留意する必要があるということでございます。

19ページでございます。こちらは、前回、GIS(地理情報システム)につきまして御発言がございましたので、GISがどういうものか、国土地理院のホームページからその概要をつけさせていただいております。GISとは、システムに位置に関する情報を持ったデータを落とし込んで、電子地図上で視覚化してあらわして比較・分析をしやすくするもののようでございます。

 住宅扶助の検証に当たって、このGISを補足的に活用することの有効性ですとか、活用するとすればどのように活用するかについても、コスト面とか技術面に縛りはございますけれども、そういった点に留意しながら検討してみてはどうかということで載せさせていただいております。

20ページでございます。こちらは、先ほどのGISを活用して「見える化」を図りました介護保険のシステムの例をイメージが湧きやすいように添付させていただいております。住宅とは中身は直接関係ございません。

21ページを実際は見ていただきたいのですけれども、システムに必要な情報を落とし込んでおきますと、地図上で地域ごとにデータが色の濃淡などで表示されて、一目で比較・分析などができるというものでございます。例えば今、議論しております住宅関係でありましたら、地域別の家賃情報が入力されていれば、地域別に家賃額に応じた色分けで地図上に示されて、近隣家賃を比較しやすいといったことなどもあると思われます。

22ページは敷金・礼金、あるいは契約更新料などに関するものでございます。現状の取扱いの御紹介ということで、実施要領に書かれておりますことを記載しております。

 敷金等の額につきましては、転居あるいは保護開始時で敷金等を必要とする場合には、敷金等について住宅扶助特別基準額の3倍額の範囲で必要な額を認定できるとなっております。権利金、不動産手数料なども、必要やむを得ない場合は認定できるということになっております。ただ、敷金等の額が3倍額の範囲を超えて必要な地域もあるということで、自治体からの協議を受けて、自治体の実態を踏まえて、こちらの表にございます4倍額とか5倍額という特別基準の設定をしている自治体もあるということでございます。

 契約更新料等につきましては、必要な場合には特別基準額の範囲内で必要な額を設定できますけれども、こちらもこの範囲を超えて必要な地域もございまして、自治体からの協議を受けて、実態を踏まえて1.5倍額、2倍額という特別基準設定をしている自治体もあるという御紹介でございます。

23~24ページは、参考として、施設の居室部分の面積の一覧を作成してみたものでございます。施設は居室部分以外に一番右にございますような共用部分が多いという点がありますので、留意が必要ということでございます。

 以上が資料1に関する資料の説明でございます。

○駒村部会長 ありがとうございました。

 続きまして、岩田先生より、資料2について御報告をお願いいたします。

○岩田部会長代理 私からは、イギリスのハウジング・ベネフィットの中で、民間借家に適用する家賃基準の考え方が日本の場合の今回の検証にも何か役に立つことがあるのではないかということで、資料として提出いたしました。

 先ほどの説明で、今の非常にラフな世帯人員をもっと細かく見てみようとか、そういうことがありますので、もうクリアされている部分もあるとは思うのですけれども、イギリスの場合も、もちろんインカムサポートだけではなくて、低所得層全体に対する住宅扶助がありますので、施設などの、所謂ホテル・コスト部分も全部ハウジング・ベネフィットがベースになってつくられています。日本の場合も、今、期限つきですけれども、住宅確保給付金とか、そういうものも一応住宅扶助額が転用されておりますので、いずれ住宅扶助額の決め方がほかの制度にも波及していく可能性が非常に高いだろうと思いますので、どういう改定の仕方をするのかというのが非常に重要だと思っています。

 2ページ目からがイギリスのものなのですけれども、実はイギリスは、今、全体に手当類をものすごく圧縮・切り下げようという改革の最中にありまして、以前とは大分違っていたので驚いていますが、わかる範囲で報告させていただきます。イギリスのハウジング・ベネフィットは、例えばカウンシルハウジングとかソーシャルハウジングと言われる、いわゆる公営・準公営の住宅群とか、船に住んでいるとか、キャラバン生活をしているとか、下宿などいろいろな居住に対する手当を全部包含しているのですけれども、この公営住宅や例外的なケースは除いて、通常の民間借家へのハウジング・ベネフィットに焦点を当てますと、この基準は、それぞれの地方のLocal Housing Allowanceのレートを使うという方法に現在はなっています。なお、ほかの手当も含めて、合計額にキャップをかぶせるという、ことも導入されていますし、このLHA自体も最高額というのを、例えばイングランドならイングランドのレベルで決めています。

 これは毎年4月に改定されることになっていまして、光熱費は含めていません。ヒーティングの費用は別のベネフィットがあるので、これは家賃だけで適用されています。

 さっき言いましたような公営住宅とか特殊住宅は別の基準で決めています。

 イギリスの特徴は、こういうものを決めるときに、Valuation Office Agencyというのがありまして、そこに家賃計算とか情報収集をするRent Officerという専門の役人がいまして、そこで決めていくというやり方をしている点です。

 このほか、イギリスは今、稼働年齢層へのUniversal Creditというものへ全体が移行しつつあります。Universal Creditというのは、諸手当を包含したものになるようで、日本の生活保護みたいな感じになってしまうのですけれども、この中にハウジング・ベネフィットも入っていますので、きょうお話しする資料は、現時点のイギリス政府のホームページと、さっき言いましたValuation Office Agencyのホームページと、それから、ブリストルを例にとりましてLocal Housing Allowance rateを見ましたので、そのホームページに出ている本年4月時点の暫定的なものです。この後、何か変化があるかもしれませんし、私が読み間違えているところもあるかもしれませんので、何かありましたら後でまた訂正の報告をしたいと思います。

 まず、このLocal Housing Allowance rateは2つのことを前提としています。

 1つは、広域家賃市場Broad Rental Market Areaというエリアをセットをするのです。先ほど日本の場合も、都道府県と級地などの組み合わせでどういう地域設定をするかということが問題になるという御指摘がありましたけれども、この場合はRent Officerによって広域家賃市場の範囲を決めます。これは地理的に決めていきます。そこにありますように、ちょうどさっきの日本の住宅の望ましい決め方とよく似ているのですけれども、例えば病院に行くとか、教育を受けるとか、銀行に行くとか、ショッピングをするとか、交通移動手段を含めて、その範囲を決めます。これは行政地域と必ずしも一致しなくていいという考え方ですが、地方議会とRent Officerが相談をして決めます。これは2009年から導入されたそうです。

 もう一つは、今度は住宅カテゴリーをどう設定するかという点ですが、同居人数だけではなくて世帯構成と寝室の割り当てのセットでカテゴリーをつくっています。これはもう一回確認が必要だと思っているのですけれども、イギリスの場合、1寝室というのはワンルームという意味ではなくて、1寝室にリビングルームとキッチンとバスルームがつくという田の字型というか、そういうイメージだと思います。1つの寝室を割り当てる基準として、まず、カップルの場合は1つ、それから、16歳以上、つまり大人ということなのですけれども、カップル以外の16歳も1つ、それから、10~15歳の子供の場合は性別と数によって変わる。例えば女の子2人だったら1寝室でいい。男の子2人だったら1寝室でいいけれども、男と女だったら1寝室ずつという、イギリス的に言うと大人になる寸前です。10歳未満の場合は一緒でもいいという考え方なのですけれども、一応、性別と数を考慮して割り当てをするということです。

 それから、後にも書いてありますように、障害があったり、ケアが必要だという場合には、例えば夜、ケアラーが来てケアをするというような場合は、カップルであってもケアを要する人のための寝室は別にもう一つ割り当ててもいいという含みがあります。

 2番目が、この寝室という割り当てではないShared accommodation rateと言っていて、日本語ではどう訳したらいいかよくわからないのですけれども、シェア住宅の場合です。必ずしも宿泊所という意味ではなく、日本でも言われているシェア・ハウスのようなものだそうです。これは1室という考え方で、子供のいない夫婦の場合はこっちのレートが適用されます。それから、さっき言ったようなケアが必要な障害者などは除いて、34歳以下の単身者の場合はこのShared accommodation rateが適用されてしまいます。それから、35歳以上でshared homeを使って実際にそこにいるという場合もここが当てはめられます。35歳以上でShared accommodationなのだけれども、専用設備がある場合、自分の台所とかトイレとかがある場合は、上の1寝室の割り当て基準の家賃を適用するという決まりをRent Officerがつくります。

 4ページの図は、Rent Officerがこの2つの組み合わせで家賃の適合性を決めていくわけですけれども、住宅カテゴリーはシェア住宅を含めて5つになります。これは従来は7寝室ぐらいまであったのですけれども、圧縮されました。どんなに人数が増えても4寝室までしかもう出さないというかなり厳しい決め方なのですけれども、他方で、現在、広域賃貸市場の分類は細かく、イングランドレベルで約150ちょっとぐらいで決めているそうです。

 では、以上をどう具体的にやるかというと、これがRent Officerの仕事になるのですけれども、さっきの5つの住宅カテゴリーごとに広域賃貸市場における実勢家賃を収集します。これは6ページにあるフォームで収集するのですけれども、、家主、不動産業者、借家人から提供を受けます。こういう提供をしてくださいというお願いを出します。

 それから、もう一つ、イギリスの場合は1977年に民間借家家賃法をつくって、そこでフェア・レントという考え方を持っているそうで、その登録をさせているそうです。今、5~6万以上のフェア・レントの登録があって、これで最大家賃を規制していくというか、あまり家賃が高くなるのを規制していくと書いてあります。こういう情報を収集して実勢家賃を低いほうから高いほうに並べて、現在、第3十分位の家賃を基準にするか、既存のレートの1%アップのいずれか安いほうを基準とするという決め方をしています。少し前まではミッドポイントという第5十分位を使っていたそうなのですけれども、今は第3十分位です。どうしてそうなったかというのは書いていないので、わからないのですが。

 7ページ以降に、具体的にこういうものも全部出ています。

 ちなみに、自分がどのぐらいの住宅手当をもらえるかは、HP上に計算式がありまして、そこに自分の家の地域、家族人員、家族構成、所得、貯金というのを全部入れていきますと、自動的にあなたは対象になって幾らもらえるというのが出てきます。ブリストルの広域家賃市場の例でいいますと、7ページがsharedで1寝室という場合です。これを1,216ケース集めているそうで、最小家賃から最大家賃まであって、ちょうど緑の三角形があるところが第3十分位ということで、そのレートが週66.7ポンドということです。これはちょっと合わないのですけれども、合わないのはキャップがかぶせられているので、高いのは縮められていくということだそうです。

 8ページに、普通の借家の場合の1寝室、2寝室、3寝室、4寝室のそれぞれのケースの第3十分位が出ています。週116.53ポンドから、一番高くて233ポンドぐらいまでです。

10ページが2011年4月からの変更だそうですけれども、さっき言いましたように、4寝室しか認めないということと、設定上限(キャップ)を導入しまして、例えば1週間の値段では1寝室で250とか、4寝室で400ということです。このブリストルの例で見ると、4寝室でも233なので、大分低いので上限にはかからないですけれども、ロンドンなどの場合は、もしかすると、こっちのキャップをかけられて第3十分位より低くなってしまう可能性もあるということが書かれています。

 このようにちょっと厳しくなっているのですけれども、一応、ある一定の地域の民間の家賃マーケットにおける実勢家賃が収集されていて、それと、住宅カテゴリーの設定というのがあって、その両方を合わせて基準額が計算されている。これをやる専門の人がいるということです。

 住宅カテゴリーは、さっき言いましたように、家族の数だけではなくて性別、年齢が考慮されています。ただ、若年単身者への適用が非常に厳しくなっているという印象です。それから、4人以上についても厳しくなっています。具体的にこういうことをどうやったのかよくわからないのですけれども、家族員の死亡がもしもあったら、カップルで住んでいて1人になったような場合、16歳以上ですから1寝室だったらいいのですけれども、場合によって、減額をするか引っ越しするかという選択が迫られる可能性もなくはないということです。

 それから、第3十分位に合理的な根拠があるかどうかというのも、今、私が調べた限りでは不明です。

 ちょっと書いていないのですけれども、一つ申し上げておくと、イギリスのハウジング・ベネフィットは、さっき言いましたように、日本で言う生活扶助に当たるインカムサポートとか、Job Seeker's Allowanceの居室のない部分とか、無拠出の年金、これらのいわゆる社会扶助にすべて連動してきます。またそれより少し上の低所得層にも出すわけです。前者についてですが、仮にインカムサポートから脱出したとしますと、このハウジング・ベネフィットはそれにくっついているので、では、それもだめになるかというと、ハウジング・ベネフィットはインカムサポートが終了しても、その後4週間維持されていきます。つまり、そこで切ってしまわないのです。ハウジング・ベネフィットが維持されていて、ホームレス化を防ぐといいますか、今のところ、いきなり全部切ってしまわないことになっていまして、やはり住宅それ自体がいろいろなものの基礎であるということがあるので、そのようになっているそうです。

 以上です。

○駒村部会長 どうもありがとうございました。

 今、2つの資料がございました。資料1は、前半部分の3ページ、4ページが前回の議論を踏まえてということで、それ以降は資料もしくは集計に関する考え方やデータ収集に関する構成になっています。

 では、最初に、資料1に関して御意見とか御質問をいただければ。

 山田委員、お願いいたします。

○山田委員 前回の議論を反映して、これから何をやるかという論点を非常に細かくまとめていただきまして、ありがとうございます。

 そうした上で、まず大前提をお伺いしたいのですけれども、前回、財政審の資料などがいろいろと出てきておりまして、その中で、私も戻った後にいろいろと調べてみますと、例えば経済財政諮問会議の第6回が4月22日に行われた中で、生活保護が財務省の資料として出てきている。

 その中で非常に気になったのは、こういう記述が実際にあるのですけれども「平成27年4月に施行される生活困窮者自立支援法は、生活保護制度の見直しと一体で、生活保護に頼らない自立を促進するものであり」、ここが重要なのですが「その財源は生活保護制度のさらなる見直しにより確保する必要がある」と。ちょっと気になるのは、厚生労働省の中の部会ですので、こうした政府間のやりとりがいろいろと背景にあると思うのですけれども、これとは別途考えるべきものだというのが、これから進めるべき大前提としてまず押さえておかなくてはいけないという点であります。

 以上が大前提で、そうした前提にみんなが立っているという上で細かい話をしていきたいと思うのですけれども、幾つか今回の資料では、例えば3ページの下に「6上限額の範囲内で床面積や築年数など住宅の質に応じた基準額を設定することについてどう考えるか」とあります。また、5ページの上のブルーの囲いでは、※としてわざわざ「全国の民営借家では、約1/3の世帯で、最低居住面積水準(設備条件を含む。)が未達成の状況にある」とありまして、さらにこれを受けまして、8ページの青い枠囲いでは「最低居住面積水準の尺度を用いて検証する際は、一般世帯における実際の達成状況も踏まえて評価が必要ではないか」ということで、前回よりずっとミニマムをどう考えるのかという話が出ていたと思います。

 きょうの資料の8ページ、枠囲いの下を見ますと、今、説明していただいたところでは、確かに「最低居住面積水準未満又は設備等の条件を満たしていない世帯」は、全国総数で見ると33.7%になっております。ただ、これを詳細に見ますと、1人世帯でこの数値が40.2%ということで、これが引っ張っているわけです。民営借家でも特に質の低い部分は1人世帯の民営借家に集中している可能性を考える必要があって、さらに、2人~5人を見ると満たしていないのは25%、逆に4分の3は満たしていると言えるわけです。

 そういう考え方が引用できるかどうか、また議論はあると思うのですけれども、生保世帯で特定の耐久消費財の保有が認められるかどうかというのは、7割以上の世帯が有しているかどうかが基準だということを考えれば、少なくとも7割以上が満たしているわけですから、2人~5人世帯については最低居住面積水準で考えていってもいいのではないかとも読めるのではないかということで、こうした達成状況をよくよく見ると、最低居住面積水準を下回るところで何か尺度を作成するということについては、やはりいろいろと慎重であるべきではないかというのが、これからいろいろとデータをもとに議論していくことになると思いますけれども、一つコメントとして申し上げておきたいと思います。

 私からはとりあえず以上です。

○駒村部会長 2つお話があって、前半部分は、部会としてどういう姿勢なのかということですが、財政審議会等々の議論でそういうものがあったので、事務局はどういう心構えで考えているのでしょうか。

 2つ目は、前回から非常に重要な最低居住面積水準と、それから、ここに書いてあるように、いわゆるバランス論的な議論と、どちらに意識を重く持つのかというお話だと思います。

 事務局から何かございますか。

○大西保護課長 まず、1つ目の重いお問いかけでございます。新法、生活困窮者自立支援法は来年4月施行でございますけれども、厳しい財政状況の中で、これに向けて厚生労働省としても必要な財源を用意していくことが大きな前提になっております。

 そういう中で、私どもとしましては、全体で3兆8,000億円、国費だけで見てもその4分の3ある中で運営をさせていただいて、基本的にはさまざまな就労自立支援の取り組み、特に最近は長年ずっと高齢者の受給世帯が増えてきておりますけれども、そういう方々の予備群といいますか、その手前の世代で就労自立支援にどんどん取り組んで自立していただく。また、完全脱却ではなくても、さまざまな活動に取り組んでいただく。それがその方々の社会的な自立、生活習慣の自立といったプラスの面があるわけでございますが、そういう取り組みを通じて増収ということにつながってくる要素もございます。それ自体もまた全体の財源の捻出といいますか、財政の好転につながっていく部分もあると思います。そういうものも兼ね合わせまして、もちろん現時点で御検討をお願いしております住宅扶助がそれの対象外という意味ではございません。こういう全体の中で、さまざまな検討努力をして、政府・財政当局との間で議論をさせていただきたいと思います。基準部会におきましては、客観的なそれぞれのテーマに関します御検証、御議論をお続けいただくといいますか、お力をいただければと思っております。

 2点目につきましては、先ほどの資料でも御説明を差し上げておりますけれども、最低居住面積水準とはいかなる位置づけなのかということで、それは国交省さんを中心におまとめいただいたものでございますが、世帯人数に応じまして、健康で文化的な住生活を営む基礎として必要不可欠な面積水準である。それに向けて早期に進めていくべきものであるという位置づけをされておることは確かでございます。そういう位置づけを十分私どもも、また、この場でも認識いただきながら、御議論を進めていただくことがまず基本だと考えております。

 片や、その割合、パーセントをどう見るか、受けとめるかというのもまたあるわけでございますけれども、一般低所得の世帯の方々との均衡といいますものは、前回、生活扶助基準で御検証いただいたところでもございますし、その視点も全く考えなくていいというわけにはなかなかまいらないところもございます。それは現時点で何か一定の結論をいただくということではなく、実際にデータが上がってきて、それをごらんいただきながら分析・整理いただく中で、並行して、実際のところ、どれぐらいが妥当なところなのか、今後も引き続き予断を持たずに御議論いただければと思っております。ただ、この最低居住面積水準の重みといいますものは私どもも十分認識をしておるところでございます。

 以上でございます。

○駒村部会長 データに基づいて客観的に分析していくというのが当部会のポジションであると。それから、岩田先生からもお話がありましたけれども、恐らく住宅扶助を考えるべき居住水準とはどうあるべきなのか、それは現状どうなのかというのを把握して分析するのは初めてなので、岩田先生からも御報告があったように、いろいろな角度から多様にアプローチしていこうというのが当部会のポジションではないかと思います。

 ほかの委員はいかがでしょうか。

 では、岡部委員、園田委員、阿部委員で後ほどその順序で行きますので、よろしくお願いします。

 ○岡部委員 山田委員が述べられた大前提の話について、生活保護制度は、最低生活を下回った世帯に対し国が責任を持って給付すると規定しています。この点については、生活保護制度が制定されたとき、政府とりわけ旧厚生省の高官が言明しています。財政的な制約等があるため最低生活費を下回った世帯に対して給付しないという考えには立たない、またしてはいけないと述べています。今、お話が出ました生活困窮者自立支援法、あるいは子どもの貧困対策法に財源の支出が出るため生活保護費を減額する考え方には立たないということで整理をするのが妥当であります。現行の生活保護法の制定時の考えを踏襲するととっていますが、政策の方針転換があるということならば、そのことについての御議論をしていただきたいと考えます。考え方としてはこれまでの考えを踏襲と私は理解をしています。

○駒村部会長 ありがとうございます。

 園田先生も手を挙げておられましたね。

○園田委員 今回、検証するというときに、先ほどの岩田先生のお話とか、前々回、私がアメリカの公正家賃はどう求めているかというような、そもそも本当に住宅の水準に対してマーケットの家賃がどうなっているかをわかった上で、そもそもから住宅扶助を見直していこうとしているのか。

 別に揚げ足をとるわけではないのですが、12ページとか17ページの表のつくり方を見ると、現行の住宅扶助が妥当かどうか、多過ぎないか、少な過ぎないかを検証しようとしているようにも見えます。検証を行うにしても、2つの筋があると思うのですけれども、今年とか来年の予算のところで、現行の扶助が多過ぎるのか、少な過ぎるのか、とりあえずチェックしてみようという検証なのでしょうか。両方の筋が垣間見られて、今回はどちらに軸足を置くのか、同等に扱うのかというあたりははっきりしておいたほうがいいのではないかと思ったのが1点目です。

 2つ目は、先ほど山田委員も御指摘になった点なのですけれども、きょう、私が資料を提供してつけ加えていただいたのですが、図面で見るとわかりやすいと思うので、7ページを見てください。実は現行の最低居住面積水準の1人25平米以上というものが出てきたのは、何回も申し上げているように、2006年からなのです。7ページの左側、最低16平米以上を1人の面積とするというのが1976年に初めて決まって、1995年まではこれが日本の単身世帯の最低の水準でした。それから、7ページの右側が1996年~2005年までです。ですから、割と最近まで18平米以上が最低基準でした。

 先ほどの山田委員の御指摘の部分で、単身の設備も加えた最低居住面積の達成率がなぜ低いのかというと、最低基準の面積をいきなり25平米に上げたということと、設備面では風呂が無い場合や、水洗トイレがない場合も水準以下になります。水洗トイレは下水道の整備率とも関係しているのですけれども、多分、水洗トイレと浴室のところでアウトになって、そこの部分が未満率として高く出てきているのだと思うのです。ですから、その設備の水準をどう考えるのか、より具体的に言うと、そういう問題があるのではないかと思います。

 あともう1点、17ページの案-4については、13ページに書いてあるように、本当にそもそもに立ち返って住宅・土地統計調査で調べた場合と、今回特別に調査をする生保世帯で調べた場合どうなるのかというときに、住宅の水準については、やはり床面積が基準になると思いますが、今、図面で申し上げたように面積分類は16平米未満のもの、それから、2005年まで使っていた18平米以上25平米未満のもの、25平米以上、次が2人世帯だと30平米、40平米、50平米で、4人家族で60平米という形で分類して集計する必要があります。もう一つ、日本の住宅は、持ち家の平均面積の水準と借家の平均面積の水準が各国と比べてすごく乖離しているというのがあります。実は借家専用に建てられた住宅は、50平米を超えるものというのは極めて少ないのです。これからものすごく空き家が増えていくと、持ち家が賃貸化してくるという現象は起きつつあるのですけれども、借家専用につくられたもので60平米を超えるというものは、公営住宅とか、あるいは昔の公団、今のURがつくったものとか、ごくごく限られているので、その辺が留意事項だろうというのが1点です。

 それから、もう一つ、建築時期の区分についてだけコメントしておきたいのですが、一つは1981年以前のものです。これは耐震性の問題で生命の安全性にかかわる部分ですので、1981年6月以前に建築確認をとったものについては、耐震診断を受けない限り、現行の水準を満たしているかどうかわからないのです。先ほどの面積の推移からいうと、1982~1995年までに建築されたものは最低面積が16平米の時代です。それから、1986~2005年までが、1人世帯の場合、最低が18平米の時代です。そして、2006年以降と、そういう区分でチェックをすれば、住宅の質の問題とその家賃がどういうことなのかというのは、かなりエビデンスとして使える分析ができるのではないかと思います。

 以上です。

○駒村部会長 ありがとうございます。あるべきなのか、現行はどうなのかというふうに議論を進めるのかというのは非常に重要な御指摘なのと、幾つかの留意事項があったと思います。

 阿部委員も先ほど手が挙がっていましたね。お願いします。

○阿部委員 まず、山田委員がおっしゃった2点について、繰り返しになりますけれども、私の意見を申し上げさせていただきます。

 1つは、やはり私たちは、憲法25条で保障する健康で文化的な生活をするためにはどのような住居が必要で、そのためには幾ら必要かということを議論するために、この部会に座っているものですから、財政的な状況がどうのこうのということは考慮されるべきではないと私は考えます。

 2点目は、健康で文化的な住生活を営むにはどのような住居が必要かという点は、国交省さんが出されました最低居住面積水準というのは、科学的な根拠に基づいて住宅の専門家の方々がつくったものです。これはいわゆる絶対的基準なのです。それを相対的に決められるかというのは、国交省さんではそういった決め方をしているわけではないわけですし、私たちは住宅の専門家でも医学の専門でもないので、それ以外のものをつくることはできないという点を申し上げたいと思います。だからといって、この水準を全て100%達成していなければいけないというわけではございませんけれども、基準、住宅の質という点からすれば、私たちにとっては、これ以外のものを出すことはできないと思います。

 3点目が新しいところなのですが、まず第一に、生活保護受給者の方々がどのようなお住まいに住んでいるのかということを把握することが一番重要かと思います。それは、最低居住面積をどれぐらい満たしているかということだけではなくて、まず気になっているのが、何となく私たちは、ホームレスの方々が生活保護を受けるときみたいに、一時的宿泊所みたいなところで、今、住居がない状況から新しく住居を探してそこに住むのだというイメージを持っていますけれども、では、そのような方々は生活保護の受給者の中にどれぐらいいるのか。

 実際に生活保護の受給者の方々の半数が高齢者であるということを考えると、むしろ、今までの住居に住んでいらっしゃる可能性が高いのではないかなと思います。そうしたときには、やはり高齢者の方々の生活とか、もちろん、それ以外の人たちもそうですけれども、そこから動くということは、自立という観念から、また、そこで生活を何十年も営んできたという観点から、望ましいことなのかということも考えなければいけないわけです。

 ですので、どのような基準を設定するにしても、今いる人たちを動かすという観点でやるのか、それともこれから入ってくる人たちの基準なのかというところは把握しなければいけないわけで、生活保護にかかっている方々のうち、どれぐらいの人たちが今の住居に住んでいらっしゃるのか。これは居住年数と保護年数を比べればわかるはずですので、そのような情報もぜひこの調査の中でとっていただきたい。また、新規の保護開始世帯の中で、どれぐらいの世帯の方々が、開始の時点で住居がなくて新しく住居を設定することになったのかということも、恐らく行政データからわかると思いますので、調べていただきたいと思います。

 今の被保護の世帯の方々がどういう住居に住んでいるかということをまず把握しないと、これは保護基準と違いまして毎月新しく来るものではなくて、恐らくそこに住んでいる方々の話ですので、そんなに簡単に基準を変えて引っ越しができるという状況ではないということを申し上げたいと思います。

 以上3点です。

○駒村部会長 後半の部分については、調査を7~8でやりますので、阿部委員の今の御指摘は、調査項目に今のような視点を入れておかなければいけないということですよね。

○阿部委員 はい。

○駒村部会長 それから、9ページで、一応、事務局は、65歳以上単身とフォーカスしているということは、阿部委員のおっしゃるようなところがボリューム層だと見ているからフォーカスしているという理解なのでしょうか。その辺はまた後でもし補足があれば加えてもらいたいと思います。

 ほかに。

 では、道中委員、お願いします。

○道中委員 先ほど来の理念的なお話は全く同感でございます。ただ、実態面はそれとは随分と違っていると言わざるを得ません。住宅のあり方として、岩田先生から御提示いただいたこともありますし、住居に関しては千差万別な生活実態があります。こうした状況の中で要支援者をターゲットとした貧困ビジネスが浮かび上がってきます。こうした事象についてしっかりと押さえておく必要があります。今後、支援を必要とされる高齢者が施設にも入れない、入院もできない、さりとて在宅も難しいという状況が出てくることが懸念されます。どうも不良住宅群の空き家といったところにフローした層や、特にどこにも入れないという単身高齢者などの社会的弱者は、貧困ビジネスのターゲットになりかねないということがあります。

 例えば財政審でお出しになっているように、20%ほど家賃が高どまりという指摘もありますけれども、それはもっと社会的・経済的な影響として、制度から毀れ落ちた人々を対象とした貧困ビジネスの存在があります。納税者側から見ると、何をやっているのだと、我々の税金がきちんと使われていないのではないかという不信感もあるということなので、それに対する何らかの対処が必要だということであります。貧困ビジネスを生業としているような人たちに対しては、近傍家賃、実勢価格をきちんとデータをもって示し、適正化誘導して不当な利得の部分を是正する必要があるだろうと考えます。そういった意味では、今回のこういった実態調査によるデータに基づいて検証していく作業は、重要な作業であろうと思います。

集合住宅群の中で一人で生活されている不良住宅が多くあります。私が自治体でケースワーカーをしていたころは「ハーモニカ住宅」と言いまして、ハーモニカのように上と下があって、そこにそれぞれ独立した世帯が入っておりました。そんな悪質不良な住宅がまだまだたくさんあります。貧困ビジネスはそういうところを安く買い上げて、そこにみんな集めて生活保護を申請させ、保護を受給させるという実態が散見されているのです。

一方、ある自治体の調査によりますと、認知症対応型グループホームとか有料老人ホーム、あるいはサービス付き高齢者住宅、ほかには法定外施設という形で調査している。法定外住宅というのは一体何なのだということになりますが、これは各法の制度に乗っかっていない施設のことを法定外施設という形でくくっているわけです。そこが大体13%ぐらい出てきているのです。だから、今回の調査は、ここも調査対象として入るようなものをデザインしていただくことが必要ではないかということです。

 要するに、何のために調査するのか、何を調べるのか、調べた結果どうなるのか、ということをアウトカムで考えておかなければいけないわけであります。アウトカムに合理的な理由があればどうなのだと、なければどうするのだということで、繰り返しますが、貧困ビジネスとしてそういった人たちが生業としているということであれば、今後そこは何か方法として、例えば現物給付の工夫でありますとか、契約行為をどうするかとか、あるいは基準をどうするかとか、さまざまな対応があるのかなと考えます。

 そういった意味から集合住宅群の高齢者の方々に少しウエートを置いていただくということが大切であると考えます。福祉の現場では11ページの単身高齢者世帯も6カ月に1回訪問、12カ月に1回訪問ということですが、単身高齢者の場合は訪問格付が非常に低いのです。それよりも現役の稼働世帯層に力を一番注いでいるというのが現在の実施機関の実態なのです。ですから、高齢者については、経済給付に加えてもうそれ以上プラスで家庭訪問するということはあまり期待できないという実態がありますし、サンプリング数は随分落ちてくるだろうと考えますので、ぜひもう少しサンプリングの数量などの工夫をしていただきたいと思います。

 同じく11ページのところの調査項目(案)のところの(4)あたりですけれども、これを具体的にケースワーカーに判断を求めるというのは、なかなか判断しづらい部分があるのかなと考えられます。何らかのサジェスチョンをして、そこに※をつけるとか、何か導入が必要な部分があるのかなと考えます。

 以上です。

○駒村部会長 単身低所得要介護の人が増えてくるので、そこが貧困ビジネスのほうに行ってしまって妙なことにならないようにという問題意識の中で、施設と住宅というのはそんなにきれいに分かれるものではなくて、その辺をちゃんとキャッチできるのか、この調査法で大丈夫でしょうかというコメントという理解でよろしいですか。

○道中委員 そうですね。このデータに基づく何らかの指針がお示しできれば、現場は非常に助かるということになります。

○駒村部会長 マニュアルみたいなものを多分つくられると思うので、今の道中先生のコメントに関してどうお答えして、特定のグループが、特に単身高齢のグループが落ちていかないように工夫をしてもらいたいということだと思います。

 岩田先生、お願いいたします。

○岩田部会長代理 今の道中委員の御意見に関連してですけれども、介護に関しては完全に地域ケア型に転換しようとしていることになりますけれども、現在の生活保護の単身世帯の多くは70歳以上がまたどんどん増えているということを考えますと、高齢者に関しては、単身だけではなくてカップルであっても、例えば入浴車が入れるかとか、車椅子で出入りできるかとか、そういう在宅サービスがそもそもそこに入れるか。東京のすごい昔の木賃アパートベルト地帯が残存しているところなどは、道が狭かったり、細い路地から、玄関の上がり口がちょっと高かったりして、多分そういうのは入れないだろうなと思われるようなところがあります。

 それから、もしも自宅にお風呂がない場合に、お風呂屋さんまでの距離とか、そういうことも、生活保護調査の場合はチェック項目に入れていただくといいかなと思います。

 もう1点は、同じ単身についてなのですが、前回の御議論にも出ていたと思うのですけれども、先ほど園田先生がおっしゃったように、住宅・土地統計調査を一般として、生活保護を生活保護として比較する場合の一般という考え方なのです。そもそも借家に住んでいる場合に、年齢が若く、まだ未婚でこれから結婚する、あるいは結婚したばかりでまだ子供はないという形で、従来、住宅すごろくと言って、だんだんそこから持ち家に上がっていくようなプロセスの場合の借家という意味と、中高年あるいは高齢になっても借家に住まざるを得ないという借家と2つある。

 それからもう一つ、さっき言った非常に例外的に50平米以上の借家、例えば外国人の社員が日本に赴任するときに貸すとか、非常に特殊な借家というのはあると思うのですが、それはそもそも非常にレアケースなのです。上と下を除くと言ったら変ですけれども、つまり、下も切りがない。日本の場合、そこの質の誘導基準みたいなものをつくっているのですが、実際にそういう住宅がまだあるということも事実で、新しくてもすごく壁が薄くて全部音が聞こえてしまうというような住宅がよくありますけれども、ああいうものもたくさんあって、質のコントロールが全然なされていない。今、家余り現象の中で、質の問題が初めてきちんと出てきたと思うのです。

 9ページのようなものは私は非常に歓迎したいと思うのですけれども、ところが、実際にやってみると、特に一般の単身が満たしていない。そうすると、生保は単身が多いですから、単身生保もそれに連動しなさいということになってしまうのか。つまり、一般のほうで満たしていない、あるいは満たしていない度合いが非常に高いようなものを参照すべきなのかどうかという問題がもう一つ出てきはしないか。

 もちろん現実にホームレスになるよりは屋根があったほうがいいに決まっていますので、どこかの折り合いというのは必要だと思いますけれども、生活保護の場合、家賃で居住の質をコントロールしていくという役割を果たし得るのかどうかがすごく大きな問題になっていくと思うのです。つまり、こんなひどい設備でこの家賃は出せませんよと大家さんに交渉することができるかどうかということが問題で、ただ安くしてそういうひどいところに住めばいいかというと、大災害とか火事とかがあったときは厚労省挙げて謝らなければならないかもしれないので、そのリスクをもう一つ考えていくということです。

 特に単身は、住宅政策の中でこれまでほとんど単身というイメージをきちんと考えてこなかったのではないかと思うのです。公営住宅もみんな家族ですので。だから、単身のところを生活保護のところでどう整理して、質と家賃を見合わせて考えていくかということが今回ある程度できていくと、こういうものの参照基準としてはいいものになっていくのではないかと思うのです。一般に引っ張られ過ぎない。もちろん全く考慮しないということはあり得ないと私は思いますけれども、あまりに引っ張られてしまうと、単身で悪いわけですから、その悪いところが生活保護に全部はね返ってきて、したがって、住宅扶助を下げろということになる。そういうことが非常にまずいのではないかと思います。

○駒村部会長 ありがとうございます。

 では、栃本先生。

○栃本委員 先ほど財政審というか、財政関係のことでの言及がそれぞれの委員の方々からありましたけれども、もともとこの基準部会というのは、生活扶助であるとか、その他もろもろについて客観的に見るということが使命なので、したがって、議論は財政状態がどうこうで、それによって行政がするものでは全くないので、そういう意味では本当に淡々と調べるということに尽きると思うのです。

 その上で、前期の基準部会でも申し上げたように、前期では生活扶助というのを中心にしたわけなのだけれども、生活扶助と住宅扶助は根本的に違う。生活扶助から枝分かれして住宅扶助ができたわけで、それなりの理由があって今日もそうなのです。しかも、他の生活扶助の基準額等については、全消の調査であるとか、その他もろもろのデータを検証作業という形で、世帯であるとか年齢とかで、ある種加工というか、展開して組み立てていく。

 それに比べて、前から申し上げているように、住宅扶助は、上限額というとあれなのだけれども、その額を全部使い切るとか、そういうものではないのですよね。したがって、実際にどういうところを選んで、どういうことでコンシューマー側というか、決定する人はしている。ただし、プロバイダー側は、前回の議論にもあったように、高い額を設定してしまったり、額を上乗せしたり、いろいろなことがあるということなのだけれども、少なくとも被保護者の主体としては、自分で選んでとっているということが極めて重要なので、そういう意味では、繰り返しになりますが、検証作業を行うこの基準部会では、住宅扶助について検証することの重要さというのはすごく大きいのです。

 前回、財政関係の比較表があって、住宅扶助について理解が足りないのではないかという話がありましたけれども、だけど、理解が足りないというのは、要するに、実際の額は違いますよという話だった。そのことは逆に言えば、住宅扶助についての額を検討する水準とか、そういうものを見る場合に、まさにそれと同じロジックで、住宅扶助の額であるとか、そういうもののあり方について考えなければいけないということになるわけです。つまり、繰り返しになるけれども、上限額いっぱい使うというものではないわけだから、その中で選択しているということです。これが1点です。

 もう一つは、それぞれの級地であるとかで最大限その額を全部使ってという形ではないわけなので、実際にそれよりも少ない額である場合があるわけですよね。そうではない場合もあるかもしれませんが、それを調べていく中で、先ほど最低居住面積が25平米という議論がありましたけれども、被保護者の方は、最低居住面積が25平米であるとか、そういうことは知らないでしょうけれども、それでもやはり自分で選んでいるということ。

 もう一つは、一般の借家を借りている人たちでも基準を満たさないものがあって、そのこと自身は問題だけれども、現実のそういう世帯との比較というか、それとの対応関係で見ていくことが必要だとするなら、25平米だけで見るのが果たして妥当かどうかというのがあると思うのです。25で見るのはいいですよ。それは一つの目安になるかもしれないけれども。

 したがって、どのぐらいの面積かというのはいろいろあるかもしれないけれども、現に一般世帯の方々は、実際に25平米以下のところに住んでいるわけです。それを引き上げなければいけないというのが政策だと思うし、国土交通省を初め、社会保障政策とか社会政策の観点でやらなければいけないことだけれども、ここは生活保護の基準についての議論をする部会だから、そういう意味では、一般世帯との均衡できちんと見るということも極めて重要なので、その場合、25平米で見るのもいいのだけれども、やはりもっと実態を反映する、均衡との関係で見るということも大切なのではないかということをまず申し上げておきたいということです。

 それ以外もあるのです。あと7つぐらいあるのだけれども、今まで1つも発言していないから、一応、1つだけにしておきましょうか。ほかに言っておきましょうか。もっと細かいこともあるのです。

○駒村部会長 たくさんあるのですね。

○栃本委員 たくさんある。

○駒村部会長 7つお話しすると、どのぐらい時間はかかりますか。

○栃本委員 簡にして要を得るです。

○駒村部会長 では、7つをぱっとお話しいただければ。そんなに時間もなくなってきましたので。

○栃本委員 ケースワーカーの方々に対して調査を行うという部分があったと思うのですけれども、その際、たしか1万円を超える額でというのがあったと思うのです。近隣の家賃相場に比べて1万円を目処にというか、そういう基準でもって、それより高いところに住んでいると思われる人についてはどうこうというのがたしかあったと思うのです。1万円というのは、なるほど、前の資料であったように、そういう指摘を受けたということで、そのときのあちらの指摘が1万円だということではあるのだけれども、だからといって1万円を基準にすることが妥当かどうかという疑問があります。

 もう一つ、それは厳密に言うと6,000円だとか5,800円だとか、そんなことをワーカーが調べるのは難しい。だから、そういう意味では、むしろ1万円とかそういう区切りではなくて、ふだんお仕事をされているケースワーカーの方々が、明らかに地域の実際の価格よりも高いと思われるものがあるのかどうか程度のものにすべきで、1万円という形で設定することがアンケート調査でいいかどうかというのは非常に疑問であるということです。

 それ以外にも、あともう一つ、先ほど岩田先生がファシリティーみたいな、つまり、面積も重要なのだけれども、面積以外に、例えば高齢者とか障害者の方々が住む場合に、前回出た資料として、一般世帯の家賃・住宅の質に関するデータは住宅・土地統計調査でとるわけですよね。それを使うわけだけれども、いわゆる設備関係の部分で水洗トイレがあるかとか、その他もろもろあるのですが、提出されたきょうの資料だと4つしかとっていないということなのだけれども、それはよくない。後でなぜ4つしかとらないのだということになりかねません。なおかつ、高齢者がこれからふえるとか、そういうことを考えたら、そもそもこちらの前回出た住宅・土地統計調査における面積以外のところでは、高齢者のための設備等を選択することになっています。こういうものもきちんととらないと、後々、その調査の効用というか、使い勝手というとあれなのだけれども、それがきいてこないので、それをぜひやっていただきたい。

 あと、公営住宅とか、そういうものを省いて借家だけを比較してというのが、17ページかな、どこかにあったでしょう。

○駒村部会長 皆さん、わかっていると思いますので。

○栃本委員 僕だけか。何ページ。

○井上保護課長補佐 13ページの4のところです。

○栃本委員 13ページで民間借家だけを選んでという形になっているのだけれども、果たしてそれが妥当かどうか。もちろんサラリーマンというのは別です。だけど、公営住宅とか、そういうものをなぜ省かなければいけないのかというのがあります。やはりそれも入れて比較するべきではないかということです。

 もう一つは、合理的な理由がないもののみを選んで調査するとなっていて、合理的な理由があるものは省くと書いてあったように記憶しているのですが。

○駒村部会長 それはどこですか。

○井上保護課長補佐 多分16ページの上の囲みの4だと思います。

○栃本委員 16ページの4は「生活保護受給世帯において、家賃額が一般世帯と比較して高いことに合理的な理由がある場合は、除外して比較することも考えられる」というのだけれども、合理的なものと合理的でないものを分けてデータとして出す意味がよくわからない。つまり、合理的な理由があるものも含めて、除外しないでデータをとったほうが、データとしてはきちっとした形になると思います。

○駒村部会長 それはデータのとり方ではなくて、集計方法ですか。

○栃本委員 集計方法か。それはできるのですね。わかりました。

○駒村部会長 両方やるのではないかと思います。よろしいですか。

 岡部委員、手が挙がっていましたので。

○岡部委員 手短にお話しします。3ページの箇所です。これは考え方を示していると理解しています。それでよいかどうかの確認です。

 1つ目は、住宅扶助は住のミニマムを保障する。

 2つ目は、住宅そのもののコストを住宅扶助で出す。

 3番目としては、現在の住宅扶助は、住宅のマーケットに任されていることが非常に大きい。そこで今回、住宅扶助の設定が住宅の適正価格かどうかを調査していく。そうすると、国の示す住宅の政策的なミニマムである最低居住水準を基礎に考えるのがよいかと思いますが、住宅扶助基準を満たしていない、上限額の設定でいくと適正価格になっているかどうかということの調査になります。私個人としては、住宅扶助基準が居住水準を満たしていない中で上限額を積極的に出す必要はない。また上限額の設定そのものがこれでよいかどうか検討する必要がある。

 それはなぜか。道中委員が述べていますが、貧困ビジネスの問題で、対人サービスコストとか、いろいろな要素を入れて住宅扶助を設定することについて、住宅扶助の性格づけを非常に曖昧なものにしている。要するに、住宅が最低限の居住水準を満たしているかどうかということでコストを出すべきではないか。そうすると、それ以外の要素を入れたところはまた別立てで考えてはどうか。

 2つ目は小さい話ですけれども、11ページの調査の対象の設定について訪問格付で調査対象を設定することになっています。私の理解では、12カ月に1回訪問する世帯というのは病院や施設での訪問格付で、居宅ではない。ここでは、住宅扶助が設定されていれば入所・入院をしている世帯に対しても訪問するという理解でよいのかどうか。そこは技術的な話なので、分けて考えたほうがよいかと考えます。その他ありますが、時間の制約もありますのでこの件だけにしておきます。

○駒村部会長 ほかはいかがでしょう。

 では、宮本先生を先に、道中先生ということで、そろそろまとめに入りたいと思いますので、簡潔にお願いできればと思います。

 すみません。宮本先生、お願いします。

○宮本委員 どうもすみません。私は一言ですけれども、11ページの調査に関して、もしかすると、さっき岩田先生が言われたことにかかわるかと思いますが、単身高齢で生保を受けている方の一つの懸念というのは、どんな状態のところに入っても、もう価格の交渉もできないし、例えば普通の感覚だったら修理を要求すべきところを一言もそれを言えないとか、要するに、一人で住んでいるがために、そのニーズを誰かが代弁して交渉するという状況がないままに放置される可能性が非常にあるということです。ケースワーカーが訪問して、家族が果たすような機能をケースワーカーが果たしてくれればいいのかもしれませんけれども、条件交渉したり要求をするようなことができているかが重要ではないかということが第1点です。

 もう一つは、家賃と食費と光熱水費が一緒くたになっているような料金がありますよね。低額宿泊所などがそうなのですけれども、その場合に、家賃としては幾ら、食費としては幾ら、これが妥当な価格設定になっているのかどうなのかということがあって、例えば家賃はかなり低いけれども、食費のところで、質がひどいのに食費という形で要求しているというようなことはしばしばあると思いますので、そのあたりの区分と妥当性を把握する必要があるのではないかということでございます。

 以上です。

○駒村部会長 では、道中委員、お願いします。

○道中委員 宮本先生のおっしゃるような部分は、確かに高齢者にとって終の住みかですので、ほかの行き場がない。高齢の方というのは、転居したいと思ってもなかなか行動ができないという部分があると思います。

 前回もお話をしたのですけれども、要するに、価格を決めるという際に、店子側としては、言いなりというのはおかしいですが、牽制作用があまり働いていないということなのです。要するに牽制作用がないわけで、あくまでも福祉事務所が払うわけですから、被保護者には負担感は全くないわけです。ワーカーになりますと、自立したときには必ず家賃は御自分で払わなければならないから、それなりのということでいろいろなサジェスチョンはあるのですけれども、先ほど栃本先生からもお話があったように、当の店子にとっては、自分で積極的にそういう条件を選んでいくというプロセスがあまり機能していないのです。ほとんどウイン・ウインの関係、ハッピー・ハッピーの関係になって、被保護者としては自ら負担して払うお金ではないわけですから、財政審の言っているようなやや高どまりになっているのではないかということが指摘されます。そういった内容のものがどう反映されるかということも今回の調査で少し客観化できるものと考えます。

 以上です。

○駒村部会長 最後に、山田委員、お願いします。ほかの委員はよろしいですか。

 では、山田委員の後に園田委員、それで終わりだと思います。

○山田委員 すみません。最後に、テクニカルな点を簡潔に。

 1点目は、この生活保護受給者に対する調査なのですけれども、今し方からずっと議論が上がっていますように、特に11ページの(6)のサービスの内容と、もう一つは、14ページのところにも出ていますけれども、合理的な理由の選択肢です。これは、調査前の小テスト、プリテストなどを行って、その他につけるのが非常に多くて、結局、何が何だかわからないとならないように、事前によくプリテストの段階で選択肢を工夫していただきたいというのが一つです。

 もう一つは、今度は実際に検証手法のイメージで、13ページだと、今、3区分でどうかということで、もちろんサンプルサイズにもよりますけれども、1級地に関しては1、2という形で2つに分割してもよいのではないかということと、あと、岩田先生から御提起がありましたように、要するに、実際にデータが集まった後の話ですが、家賃市場の地域的な領域をどう定めるのかについては、きょうの御報告で新たに考えなくてはいけないと思いました。

 あと、岩田先生の御報告に対する質問なのですけれども、イギリスの場合には地域住宅給付金という形で定められているのですが、住宅の質というのはどうなっているのでしょうか。わかる範囲で教えていただきたいと思います。日本の場合にはかなりいろいろなものが中に詰まっていて、最低基準を満たさないものが詰まっているようなイメージですけれども、イギリスの場合にはどうなっているのかということについて、もし御存じであれば教えていただきたいと思います。

 私からは以上です。

○駒村部会長 園田先生、先に御質問、御意見をお願いします。

○園田委員 意見が1つと質問が1点です。

 意見は、今回、本当に住んでいる人の実態を聞くということなのですが、日本では家主さんが直接貸すという例はすごく少ないと思うのです。ですから、賃貸住宅の管理業をやっている協会とか、家主さんの全国賃貸住宅経営者協会というのがありますので、そこに実態を聞けば、生活保護の方に対してどういう対応をしているかということとか、商習慣である礼金・敷金は地域によって全然違うので、そういうことについては、もうそこにきちんと整理されている情報がある可能性があるので、ぜひそういうヒアリングをやる必要があるのではないかというのが1点です。

 2点目は、先ほど道中委員が御指摘になった貧困ビジネスということについての質問なのですけれども、住所地の名寄せと、特に介護保険だと居宅介護のどこの事業所を利用しているかという名寄せと、医療保険のどういう医療機関にかかっているのかという名寄せは、同じ厚労省の中ですればかなりグレーというのはわかるのではないかと素人的に思ったのですが、それはわからないものなのでしょうか。

○駒村部会長 そういうシステムはどうですか。

○大西保護課長 今、直感的に、ちょっと自信がございませんが、そこまでの完璧なシステムにはなっていないと思います。

○駒村部会長 なかなかそういうシステムは、今のところはないと。

○古都審議官 介護保険の被保険者データは市町村が持っていて、厚生省は介護保険として幾らどう使ったかというデータは頂きます。、末端まで行けば、確かに介護保険の被保険者の住所とかがわかるかもしれませんが、それをさらに、医療は市町村国保になっていたり、高齢者医療制度は広域自治体がやっているとかでばらばらになっているので、名寄せをやるためには、もう一回システムをつくってデータを集めてやるというひと手間かけないと難しいかもしれません。

○駒村部会長 あるいは番号制度が動けば。

○古都審議官 番号制度ができたら、ひょっとしたら、そういう議論はあるかもしれません。

○駒村部会長 では、栃本先生を最後にしましょう。お願いします。あと、岩田先生から先ほどの山田先生のお答えを、これも簡潔に。

 栃本先生、どうぞ。

○栃本委員 検証作業をするときに、年間収入300万円未満、単身の場合は200万円未満という形で、そのイメージとしての一般世帯、生活保護受給世帯と比較表をつくるというのですが。

○駒村部会長 それは何ページですか。

○栃本委員 例えば12ページなどがそうですけれども、年間収入300万円未満、単身の場合は200万円未満と設定した理由というのはどういう意味でしたか。それをちょっと教えてください。

○井上保護課長補佐 通常、一般低所得世帯ということで第1十分位とかを使っていたかと思うのですけれども、この全消の調査ではそうやってきれいに年間の収入別で十分位に並べることができなかったので、下の欄外の※にございますように、2人以上世帯における年間収入300万円未満の割合が12.8%ということで、きれいに10%というわけではないのですが、第1十分位に近い年収の区切りということで、暫定で仮に300万円未満で区切らせていただいております。

○栃本委員 わかりました。

○駒村部会長 この辺はまたデータを見ながらの集計作業の中でいろいろ検討させていただくということになると思います。

 岩田先生、すみません、先ほどの山田先生の。

○岩田部会長代理 さっきもちょっと申し上げましたように、イギリスの場合、住宅というのはワンベッドルームだけではなくて、プラス、トイレとお風呂場のバスルームと、キッチンと小さな食堂、それと、リビングルームというセットで考えているのが普通だと思います。ただ、今回調べたらShared accommodationの話がかなり出ているので、低所得層のためにどういう感じのものをそう言っているのか、もう一回調べてみますけれども、基本的には、英国は70年代にやはり住宅の質規制と家賃規制を一応きちんとやっているという前提ではあります。ただ、下宿やベッドシットのように例外はいろいろあるので、その辺はあらためて聞いてみたいと思いますけれども、日本の場合はあまりにも多様なので、他方では、さっき言ったように、一般に合わせるというと、一般の劣悪さに一緒に引っ張られて、生活保護へ劣悪さを増幅させる手段になってしまうという可能性もある。だから、さっき言ったように、こんなにひどいのに最高額を取るのはひどいねといって下げてしまうと、今度はそのひどいものがオーソライズされてしまうという難しさがあると思うのです。

 それと、一つだけ、生活保護調査のときに、さっきの住宅の選択の問題とかかわっているのですけれども、もしもわかれば、保護開始がどういう形でなされたのか。救急搬送で病院で開始とか、施設で開始とか、宿泊所で開始とか、あるいは実施機関の移管だったという場合とか、住宅の選択にどのぐらい福祉事務所が関与していいのかという問題があると思います。

 もう一つ、さっき園田先生がおっしゃったように、不動産屋さんの問題で直接家主と交渉することはまずあり得ない。現実には、生活保護者でもいいよという不動産屋さんがいたとすると、みんながその不動産屋さんを利用しますという感じになって、良心的な不動産屋さんもいれば、もしかすると、家主と結託してひどいところを紹介しているのもあるかもしれないし、わからないのですけれども、すごく難しい問題は、あまり理想論を言い過ぎて住むところがなくなってしまうのも困る。だけど、家賃を下げて、あまりひどいところに住むというのも、これはもっと困るという、そのあたりをどうコントロールするか。それらは、生活保護の実施決定をしたり、移管をしたりする、福祉事務所とも関係しているので、調査する場合はぜひその辺を聞いていただければと思います。

○駒村部会長 ありがとうございます。

 ちょっと時間も押していますので。

○栃本委員 ちょっと1分以内。

○駒村部会長 どうぞ。

○栃本委員 1848年の公衆衛生法によって最低基準をきちんとしていくということになって、社会政策上、住宅というのは極めて重要だというのは共通した理解だと思うのです。それは基本としなければいけない。それで、さっきお話しした面積というのもあるのだけれども、やはり住宅の設備の部分をよくよくきちんと見てもらわないといけないということを繰り返し申し上げておきます。

 それで、つくっていただいた資料の一番最後で、いわゆる生活保護施設だけではないのだけれども、救護施設だとか更生施設の入所施設系列と、一番最後のページの有料老人ホームや軽費老人ホームとの比較がありますよね。これも実は設備との関係で見なければいけないのだけれども、それのいい悪いは別として、これらの面積も見ていただきたい。それは狭ければいいということを言っているのではありません。だけど、やはりこういうものを見ながら検討するべきだということです。

 繰り返しになるけれども、最低基準として面積も重要ですが、やはりそれではない部分もよくよく徹底的にというか、十分データとしてとっていただきたい。それが今後きいてくると思うので、ぜひお願いしたいと思います。

○駒村部会長 では、きょうは一わたりしたので、今後の進め方について御議論したいと思います。

 きょう、ずっと議論がありましたように、やはり実際のデータを見ないとなかなか議論が進まない状況になっていると思います。データをどう集計していくか、見ていくかということについては、試行錯誤的な作業、極めて技術的な細かい作業が必要となってきます。

 御提案なのですけれども、当部会のうちの何人かを構成員とする作業班を設置させていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○栃本委員 また喋って申しわけないのだけれども、園田委員もいらっしゃるし、ぜひそういうのを進めていただいて、技術的なこととか、かなり子細な検討をぜひやっていただきたいなということです。大賛成です。

○駒村部会長 ほかに御意見はありますでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、作業班の構成の人選は私に一任していただきたいと思いますけれども、よろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

○駒村部会長 次に、作業班を公開するかしないかについてですけれども、非常に細かい作業をさまざまな角度から繰り返していくことになると思いますが、公開するか、非公開にするかについてはいかがでしょうか。特段、御意見は。

 性格的には、統計的な意味合いとか、どういう属性をコントロールすべきなのかとかが出てきます。その作業の過程というのは、極めていろいろなものを組み合わせたり、トライをしていくことになります。きょう、議論がありましたように、いろいろな角度から見ていかなければいけないと思います。客観的な検証を必要としている中で、こういう組み合わせをするとこうなるということになって、作業過程のものがひとり歩きしてしまうと、非常に議論が阻害されてしまったり、心配される方もいるかと思いますけれども、そういう意味では、この作業班の議論あるいはプロセス自体は非公開にさせていただいて、その後、適宜、作業の状況については委員に御報告する、あるいは作業の進展状況によっては、作業班ではない委員の方からお話を聞いたり、オブザーバーという形で参加していただくような形もあるかと思います。そして、作業の結果は、適宜、部会で報告して、集計したものについてはオープンにしていくというやり方もあるのではないかなと思っておりますけれども、この辺、事務局としてはいかがでしょうか。

○大西保護課長 厚生労働省の審議会等会合の公開に関する指針というものがございまして、公開することによりまして例えば市場に影響を及ぼすなど、国民の皆様の誤解や憶測を招いたり、不当に国民の皆様の間に混乱を生じさせたりするおそれがあるといった場合、そのほか幾つか例示がございますけれども、そういう場合には非公開とするという判断もあり得るとされておりますので、その都度判断ということにもなろうかと思いますが、技術的な多様な作業を行っていただく作業班自体は非公開で運営していただきまして、検討結果、経過をこの基準部会に報告をいただくというような形によって、公開性を担保していただく形もあり得ると思っております。

○駒村部会長 居住実態の調査についても、きょうの議論を踏まえていただいて、事務局でまた原案を作業部会にも出していただくという理解でよろしいですか。

○井上保護課長補佐 そうですね。きょう、この実態調査についても、皆さんからいろいろ御意見をいただきましたので、その意見を踏まえまして、必要に応じて随時相談しながら、調査の設計をした上で実施をさせていただきたいと思います。調査結果につきましては、こちらの部会に報告をさせていただくということで考えております。

○駒村部会長 あと、園田先生からきょうお話があったヒアリングについては、部会でやるという判断と、あと、作業部会でその手がかりをいただくというやり方もあると思いますけれども、これもまたそちらのほうで考える。どうしましょうか。

○大西保護課長 ヒアリングにつきましても、両方のやり方があると思いますので、今後の運営の運び方につきまして、また御相談を部会長にさせていただきたいと思っております。

 るる御発言をいただきまして、全くコメントしないままに終わってしまうのも恐縮なので、長くなりますが、引き続きコメントを差し上げたいと思います。

 岡部先生からは一番の大前提というお言葉をいただきまして、それはもう本当におっしゃるとおりでございまして、それをたがえるようなことのないように担当省庁として頑張っていきたいと思っております。

 園田先生からは、大きなあるべき方向という話と短期的な一定の結果と、どっちを求めるのだというようなお問いかけがありましたが、今、ここでどちらか片方ということではなくて、やはり大きな方向性も含めまして、万般の御議論をいただきたいと思っております。また具体のデータを見て御検討をいただく中で、一定の中長期的な目標と当面の課題という仕分けの考え方の整理もお願いをすることが必要になる場面が出てくるかもしれないと思っております。

 また、阿部先生からは、国交省さんがつくられておる基準以外に、この基準部会で新たに別の基準をつくることがあり得るのかというお問いかけがありましたけれども、厚生労働省のこの基準部会として別途一定の線を引くようなものが必要だとは私も思っておりませんし、できるとも思っておりません。

 また、新しい基準をつくったら、すぐそれが引っ越しを強要するというか、お願いせざるを得ないことになるのかどうかというお問いかけがございましたけれども、基準額が変わったからといって引っ越しを強制・強要するような形は、よくない考え方だと思っております。

 あと、道中先生からは、ケースワーカーさんの現場の調査が円滑に進むようなガイドライン的なもの、マニュアル的なものが必要ではないかというお言葉がございましたけれども、これはおっしゃるとおりでございまして、工夫をしていきたいと思っております。

 栃本先生の、コンシューマー、プロバイダーの関係があって、ほかの基準や扶助とはまた性格が異なるということは、おっしゃるとおりだと考えております。

 あと、公営住宅を省いて借家だけ比較というのはいかがなものかという御指摘もございましたけれども、これは特別基準額自体が上限額という設定でございまして、前々回の資料だと思いますが、公営住宅の関係は上限額に張りついているということはほとんどないという状況でございまして、そういう意味では、調査対象から省かせていただいても問題ないと考えております。

 宮本先生からは、単身高齢者の中で、なかなか御自分に交渉や折衝のお力がない方々のことをどう考えるのかということに絡めまして、るる御指摘がございましたけれども、今回の調査は、前に「たまゆら」の火災事件がございまして、それを受けまして全国実態調査を一度かけたことがございます。平成22年の事件で、23年に一定の取りまとめをして公表させていただいたものでございますけれども、今回の調査は全数ではなくて一定期間で調査する対象ということで、そういう意味ではサンプルは絞られるわけですけれども、それに続く一定の調査にも位置づけられるものとなるのではないかなと思っておりまして、その中で、基準の検討だけではなくて、さまざまな施策の材料として生かさせていただける部分も出てくるのではないかと思っております。

 取り急ぎ以上でございます。どうか今後ともよろしく御指導をお願いいたします。

○駒村部会長 居住実態については、きょう、いろいろ議論がありましたので、7月、8月に入ってしまいますが、事務局でこれを早々に反映させたものを進めていただきたい。またこれも作業部会等々にも、あるいは御発言した委員の先生方にも確認していただきたいと思います。

 それから、きょうも議論がありましたけれども、実際のデータを見てみないと始まりませんので、住宅・土地統計調査の特別集計を行う環境が整った段階で、作業班でこれまで行った検証手法の案を踏まえて試行錯誤の作業を行っていただき、ある程度その作業が取りまとまってきた段階で当部会に報告いただき、それをもとにしてまた議論をしていきたいと思います。

 あと、前回、御議論をいただいた有子世帯の扶助加算や冬季加算については、今回、資料は特にありませんが、前回欠席の委員もいらっしゃいましたので、この点について御発言される方はいらっしゃいますでしょうか。

 前回、宮本先生は御欠席でしたが、ございますか。よろしいですか。

○宮本委員 はい。

○駒村部会長 よろしいでしょうか。この議論もまた今後続けていこうと思います。

 私の不手際で10分ほどオーバーしてしまいましたけれども、きょうの審議はこれで終わりにしたいと思います。

 最後に、次回の開催について、事務局から連絡をお願いいたします。

○井上保護課長補佐 次回の部会の日程は未定でございますので、追って調整をさせていただきたいと思います。

 それと、作業班につきましては、特別集計によります作業ができる環境が整いました段階で、構成員となった皆様と日程調整をさせていただきますので、よろしくお願いしたいと思います。

○駒村部会長 それでは、本日の議論は以上にさせていただきます。御多忙の中、大変ありがとうございました。

 


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(生活保護基準部会)> 第18回 社会保障審議会生活保護基準部会(2014年5月30日)

ページの先頭へ戻る