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2014年6月18日 第1回目安制度のあり方に関する全員協議会 議事録

労働基準局

○日時

平成26年6月18日(水)
10:15~11:15


○場所

厚生労働省12階専用第12会議室


○出席者

【公益委員】

仁田会長、土田委員、中窪委員、藤村委員

【労働者委員】

木住野委員、須田委員、田村委員、冨田委員、萩原委員、松田委員

【使用者委員】

小林委員、高橋委員、中西委員、吉岡委員、渡辺委員

【事務局】

古都大臣官房審議官、里見大臣官房参事官(併)賃金時間室長
辻主任中央賃金指導官、久富副主任中央賃金指導官、小泉賃金時間室長補佐

○議題

目安制度のあり方について

○議事

○仁田会長 それでは、皆様、これより第1回の目安制度のあり方に関する全員協議会を開催いたしたいと思います。

 先ほどの第40回中央最低賃金審議会におきまして、目安制度のあり方に関する全員協議会が設けられました。まず、本日以降の全員協議会の公開について御相談をしたいと思います。

 中央最低賃金審議会運営規程第7条第2項を準用いたします同規程第7条第3項に基づきまして、議事録は原則公開としておりますが、会議については「率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがある場合」等に該当いたしますことから、同規程第6条を全員協議会においても準用することといたしまして、従前から非公開としております。

 今回もこの方針でいきたいと思っておりますが、よろしゅうございましょうか。

(異議なし)

○仁田会長 では、非公開ということにいたします。

 本日は第1回の全員協議会でありますので、これまでの中央最低賃金審議会における目安制度に関する検討の経過等につきまして、お互いに理解を深めたいと考えております。

 まず、目安制度に関する検討の経過等について、事務局から簡単に御説明をいただいてから議論を行いたいと思います。それでは、説明方、よろしくお願いいたします。


○小泉室長補佐 それでは、説明のほうをさせていただきたいと思います。お手元にある第1回目安制度のあり方に関する全員協議会資料の1番から5番につきましては、これまでの地域別最低賃金と目安制度の検討の状況をまとめたものになります。資料No.1の「地域別最低賃金と目安制度」を中心に御説明させていただきたいと思います。

 資料No.1の構成といたしましては、「目安制度創設まで」、「目安制度に基づく地域別最低賃金審議」、「目安制度のあり方に関する検討の経過」の3部構成となっております。

 最初に、目安制度創設までの経緯を簡単に御説明させていただきます。1ページから2ページの1番から9番まで、最低賃金にかかわる情勢について記載しておりますけれども、この流れを受けまして、昭和50年5月、労働大臣から最低賃金のあり方について諮問が行われております。

 諮問を受けた中央最低賃金審議会では、小委員会を設け、検討が重ねられております。検討の中では、最低賃金が都道府県ごとに決定されてきたという経緯から、全国的な整合性に欠けるのではないかといったことや、各都道府県相互間の比較を重視するといった事情により、改定作業が遅れるなどの問題があるなどの指摘が出ていたようです。

 このため、小委員会では、検討すべき課題とその方向性について、中間報告としてまとめています。それが2ページの10番、四角枠で囲った部分になります。地域別最低賃金の決定方式については、何らかの改善を図る必要があるのではないか、最低賃金の決定において、中央最低賃金審議会の積極的機能を発揮する方向について検討することが適当なのではないか、といった内容となっております。

 その後、小委員会では、この報告の内容に沿って検討が進められております。昭和52年の3月と9月に小委員会報告を取りまとめるとともに、その内容を踏まえ、中央最低賃金審議会は昭和5212月に、今後の最低賃金制度のあり方について答申を出しております。それが11番の四角枠で囲った部分になります。

 答申の概略といたしましては、3ページの真ん中のロの部分になります。地域別最低賃金につきましては、中央最低賃金審議会は、毎年、47都道府県を幾つかのランクに分け、最低賃金額の改定について目安を提示するものとする、目安は一定時期までに示すものとする、目安の提示は昭和53年度より行うものとする、などを内容としています。ここで整理された考え方が現在の目安制度につながっているところです。

 昭和52年の答申を受けまして、昭和53年度の目安について、昭和53年5月に労働大臣から中央最低賃金審議会に対して諮問がなされています。諮問を受けた審議会は小委員会を設置することとしまして、目安そのものを検討する第1小委員会と、表示単位期間などの問題を検討する第2小委員会に分かれ、検討が進められております。

 その結果として、第1小委員会では目安の基本的考え方と、昭和53年度の目安額について報告がまとめられております。具体的には、3ページの12番の(1)の部分になります。

 従来の地域別最低賃金額の改定が中小企業の春季賃上げ状況と密接に関連していることに注目し、本年度の目安についてもこの関係を考慮し、引き上げ率は、消費者物価上昇率を下回らないようにする必要があるとの判断がなされています。また、昭和53年の春季賃上げ状況及び労働省が実施していた特別賃金調査の結果を検討して、目安を作成するという内容になっています。

 以上が目安制度の創設まででございます。

 続いて、4ページの「II 目安制度に基づく地域別最低賃金審議」について御説明いたします。

  「2 目安の決定状況」について御覧ください。昭和53年度から昭和55年度までの3年間については「目安」が決定されており、昭和56年度以降については労使の主張に隔たりがあったことから、全会一致での目安額の決定には至っておりません。このため、昭和56年度以降については、公益委員の考え方を「公益委員見解」として地方最低賃金審議会に示す形がとられております。

 また、目安制度発足以来、47都道府県を4つのランクに分け、ランクごとに地域別最低賃金の引き上げ額を提示しています。その状況は14ページの資料No.4-(1)を御覧ください。「地域別最低賃金額改定の目安(公益委員見解)の推移」とある資料になります。

 平成14年度からは時間額で示しておりますが、率で見た場合の数字が表の額の下の括弧に書いてあります。引き上げ率の最高は昭和55年度の7.0%、最低は平成15年度の0.0%となっております。

 平成14年度と平成16年度と平成21年度につきましては、現行の水準を基本として、引き上げ額の目安は示さないことが適当とされております。なお、平成20年度以降は生活保護との乖離解消を図る観点から目安の提示方法が異なっているため、下にあります2に示しております。

 次に、地域別最低賃金の決定状況です。15ページの資料No.4-(2)を御覧ください。目安制度発足以来の地域別最低賃金の加重平均額と引き上げ率の推移を見たものになっております。

 平成25年度については、全国加重平均は時間額で764円、引き上げ率では2.0%となっております。日額と時間額ということで、正確な比較はできないのですけれども、引き上げ率については昭和55年度の7.04%が最高となっております。

 各都道府県の状況については、次の16ページの資料No.4-(3)からになっております。これは各ランクで示しておりまして、平成7年、平成12年、平成16年、平成23年にランクの入れかえが行われております。

 ランクが移動した県につきましては、それまでに属していたランクでも載せております。例えば、17ページを御覧いただければと思います。17ページの中央になりますが、滋賀県は平成6年までCランクであったのですけれども、平成7年以降はBランクということで、Bランク、Cランクの両方に記載しております。Bランクでは下から6つ目、Cランクでは上から4つ目に記載がございます。

 次に、22ページの資料No.4-(4)を御覧ください。こちらは地域別最低賃金額の最高額と最低額の格差の推移を見たものになります。

 最高額を100としたときの最低額の割合を示したものが格差B/A掛ける100となっております。この数字が低いほうが最高と最低の格差があることを意味しています。平成13年度までは日額表示となっています。平成14年度以降は時間額に変更しているので、単純な比較はできませんけれども、平成25年度については東京都と最低額県で見た場合、76.4%という数字になっております。

 次の23ページの資料No.4-(5)を御覧ください。目安と地域別最低賃金改定額との関係の推移を示しております。

 目安と同額の改定額であった都道府県の数は、最高は昭和62年度の45、最低は平成16年度の3となっています。なお、直近の平成25年度については、6地域で目安どおりとなっております。

 次の24ページは、各都道府県において決定した地域別最低賃金額と目安額との差を10年度分示したものになっております。

 例えば、平成25年度の列を御覧いただきますと、愛知県がプラス3となっております。平成25年度のAランクの目安額は19円であり、愛知県の地域別最低賃金は22円で決定されているため、プラス3ということになっております。なお、数字が空欄となっている箇所については、地域別最低賃金額が目安額と同額で決定されているということです。

 次の25ページは、地域別最低賃金審議会における採決状況の10年度分の表になります。

 左上にありますが、無印が全会一致、●が使用者側反対、黒と白が半々となっているマルが使用者側一部反対、▲が労働者側反対、黒と白が半々となっている三角が労働者側一部反対ということになっております。

 続きまして、目安制度のあり方に関するこれまでの検討経緯について御説明します。お戻りいただきまして、5ページを御覧ください。「III 目安制度のあり方に関する検討の経過」から御説明いたします。

 なお、説明では触れませんが、検討の経過における労働者側、使用者側の主張について記載したものが26ページからの資料No.5となっております。

 昭和55年度の目安に関する小委員会では、目安の形態について議論がなされました。使用者側から下位のランクのアップ率を低くすべきということ、ランク区分を見直して、Dランクを二分し、5ランクとすることが主張されています。これに対して労働者側からは、目安はランクごとに最低賃金の絶対額を示すべきであって、そうでなければ各ランクの同額の引き上げ額とすべきとの主張がなされています。最終的には、前年同様の形態で目安が示されることになっています。

 昭和56年、昭和57年についても、労使各側から同様の主張がなされました。

 これを受けまして、審議会で議論がなされ、昭和57年度の目安に関する小委員会において、「目安制度の運用について、目安の地域区分、表示方法、賃金実態調査の方法等を基本的に検討することが望ましい」との公益委員の考えが労使各側の了解を得たことにより全員協議会が設置され、今後の目安制度のあり方について議論をすることが決定されております。

 全員協議会での検討は昭和57年7月に開始され、当初予定されていた検討項目の他に、各都道府県の地域別最低賃金の水準の問題や、地域別最低賃金の改正審議の長期化防止の問題もあわせて議論することとされています。

 昭和58年度の目安の提示及び地方最低賃金審議会における改正審議までに中間報告を取りまとめるべく審議が重ねられたわけですが、結局、労使の主張に隔たりが大きく、中間報告を取りまとめることはできませんでした。これらの事項については、当面、審議を棚上げにし、その後の情勢の変化を待つことになりました。

 目安制度のあり方に関する検討は、昭和59年から昭和62年についてはなされていませんでしたが、昭和63年7月に昭和63年度の目安について答申を行うに際し、再び目安制度のあり方に関する全員協議会を設けることが決定され、平成元年2月から検討が始まりました。

 6ページを御覧ください。この全員協議会では、参考資料の改善、表示方法、表示単位期間、ランク区分の4点が主として議論されています。

 (3)になりますが、平成元年11月に取りまとめられ、中央最低賃金審議会で了承された全員協議会報告では、参考資料については、適正な水準と全国的整合性の確保を重視する観点から改善に努めるとされております。また、表示方法では今後検討するということになり、平成2年度から具体化が図られるように努めるとされております。

 目安制度のあり方に関する全員協議会は、平成元年の報告後も審議が継続されておりましたが、データ処理の問題など専門的な内容であったこともあり、専門委員会を設けて議論が進められています。このときは、目安の表示方法、金額審議の参考資料の整備・充実などを中心に議論が進められています。

 こうした経緯を踏まえて、4番の(3)の四角枠で囲った部分になりますけれども、平成2年4月に小委員会報告が取りまとめられ、この報告書を全員協議会報告とするとともに、この年の5月の中央最低賃金審議会で了承されております。

 平成2年の全員協議会報告以降、目安制度のあり方についての検討は一時休止されていたわけですけれども、平成4年度の目安を審議する際に労働者側から、全員協議会を設けて検討すべきとの問題意識の表明がなされています。これを受けまして、この年の12月に中央最低賃金審議会において、現行の目安制度の枠組みの中で改善を図るという観点から、その検討事項を目安の決め方と参考資料、表示単位期間、表示方法、ランク区分などとして、全員協議会で2年程度をめどに検討していくことが了承されております。

 全員協議会における検討は、平成5年3月から開始され、過去の議論の整理、労使からの意見表明など、10回にわたり検討がなされています。それが7ページの(3)の四角枠で囲った部分になります。平成6年5月に中間報告の取りまとめが行われており、中央最低賃金審議会において了承がなされております。

 その内容は、今後の目安の決定方式として、パート労働者の賃金水準とそのウェイトの変化、男女構成の変化、就労日数の増減を反映した方式とすることが望ましいこと、ランク区分、表示方法、表示単位については、さらに検討を行うこととされております。また、これらの検討事項については、平成7年度の目安審議をめどに取りまとめを行っていくことが適当とされております。

 平成6年度の目安審議の終了後、検討が再開され、平成7年4月に取りまとめられた全員協議会報告が、同じページの(4)の四角枠で囲った部分になります。ランク区分及び表示方法については、各都道府県の経済実態に基づき、各ランクへの振り分けの見直しを行うとともに、見直し後のランクで目安を示すことになりました。

 なお、各都道府県の経済実態をどのように把握するかについては20の指標が示されており、このうち所得・消費に関する指標を5つ、給与に関する指標を10、企業経営に関する指標を5つということで、それぞれの指標については原則として直近5年間の数値の平均値を使用することが合意されております。

 また、ランク数については従来どおり4区分、表示方法についてもランクごとの引き上げ額による表示方法を用いることとされておりますが、目安額の算定については従来、各ランク中間値方式をとっていたところを単純平均値方式とすることが合意されています。

 また、ランク区分については5年ごとに20の指標を総合的に指数化した総合指数に基づいて見直しを行うことも合意されております。

 さらに、ランク区分以外の事項も含め、今後おおむね5年ごとに見直しを行うことが適当とされております。

 これについて、全員協議会は平成7年4月に報告を取りまとめ、中央最低賃金審議会において了承されております。

 次の8ページに移りますが、平成7年の全員協議会の後、平成11年4月に再び全員協議会が設置され、検討がなされております。ランク区分の見直し、表示単位期間、表示方法、参考資料のあり方などが議題となっております。

 6番の(3)にありますように、平成12年3月に中間報告という形でランク区分などの見直しを行い、表示単位期間など、議論が難しい問題については12月の報告までにまとめるという形がとられております。

 中間報告においては、ランク数は従来どおり4ランクで、必要最小限の入れかえが行われております。

 また、経済情勢などを踏まえた目安の決定のあり方として、賃金改定状況調査結果を重要な参考資料とした上で、状況等を総合的に勘案して目安を審議し、決定していくことが必要という結論になっております。

 平成12年度の目安審議を挟み、再び全員協議会が開かれております。ここでは残された課題の表示単位期間や表示方法、また、参考資料のあり方について議論がなされております。この結果が同じページの(4)の四角枠の部分になります。表示単位期間については、報告において、時間額単独方式への一本化がまとめられています。

 また、表示方法については、報告において、現行どおりランクごとの引き上げ額表示とすることでまとめられて、参考資料については一層の整備・充実を図ることが適当であるとされております。

 表示単位期間については、時間額単独方式へ一本化することとされましたが、日額と時間額との関係をどうするかといった課題があったので、平成13年4月に時間額表示問題全員協議会が設置されております。これが9ページの7番の部分になります。

 この時間額表示問題全員協議会において、地域別最低賃金額の時間額単独方式への移行に当たっての条件整備について検討がなされ、目安については平成14年度から時間額で表示することが適当という結論がなされております。地域別最低賃金においても時間額単独方式への移行という流れになっております。

 続きまして、再び表示方法及びランク区分のあり方、賃金改定状況調査等参考資料のあり方などについて検討がなされた全員協議会について御説明いたします。平成1510月に設置され、平成1612月に報告として取りまとめられております。

 9ページの8番の(3)の四角枠部分になります。ランク数は従来と同様4つとすることが適当とされ、各ランクへの都道府県への振り分けは従来と同様の考え方に基づいて行うことが適当とされました。

 改定審議のあり方については、社会経済情勢を踏まえ時宜にかなった改定を行う必要性や、労使の意思疎通の観点から、毎年目安を示すことが適当とされました。

 最後に、平成21年に設置された全員協議会について御説明いたします。10ページの9番の(3)の四角枠の部分になります。主に表示方法及びランク区分のあり方、賃金改定状況調査等参考資料のあり方、生活保護と最低賃金との乖離解消方法、目安審議のあり方の4つの議題について議論がなされ、平成23年2月に報告が取りまとめられました。

 表示方法及びランク制度については、当面は維持することが適当とされつつも、ランク設定のあり方については引き続き検討することが適当とされております。

 賃金改定状況調査等の参考資料については、短期間に調査結果の集計が求められるという賃金改定状況調査の性格も考慮し、当面は現行の方法を維持することが適当とされつつも、調査対象事業所の選定について引き続き検討することとされました。また、第4表については、一般労働者・短時間労働者別について表示することとなりました。

 生活保護と最低賃金については、当面は現行の乖離解消方法を維持するとともに、解消すべき生活保護との乖離額が年々変動し得るという問題については、引き続き対応を検討することが適当とされました。

 目安審議のあり方については、公労使三者が、その真摯な話し合いを通じて、法の原則及び目安制度をもとにするとともに、それらの趣旨や経緯を踏まえ、時々の事情を総合的に勘案して行うというあり方の重要性については、改めて確認するとの合意を得るに至りました。

 最後に、ランク区分の見直しについては、平成28年度以後の目安の審議において新しいランク区分を用いることが適当とされております。

 以上、駆け足ではありますが、私からの説明となります。


○仁田会長 どうもありがとうございました。

 御質問・御意見等がありますれば、お出しいただければと思います。

 よろしゅうございますか。

 それでは、次に今後の進め方につきましてお諮りしたいと思います。事務局のほうに進め方の案を用意してもらっておりますので、それを説明していただいてから議論をしたいと思います。それでは、説明をお願いいたします。


○里見参事官 それでは、事務局より、資料No.6に基づきまして御説明申し上げます。とじてある資料の32ページ目、一番最後のページでございます。資料No.6「目安制度のあり方に関する全員協議会の今後の進め方(案)」を御覧ください。事務局の案として整理させていただいたものでございます。

 まずは、検討事項及び今後の進め方について、御議論いただいてはどうかと思っております。今後については、今年度の目安審議が入ってまいりますので、その期間には一旦中断をさせていただき、また再開した後にはそれまでの議論を踏まえまして、検討事項について必要があれば再整理を行った上で、以降の議論を深めていただくというようなことで考えております。

 その後、従前の全員協議会の場では、労使の御見解をいただくといった場面も設けているようでございまして、今回もそれは必要に応じて考えさせていただければと思っております。そうした御検討を経て、遅くとも平成27年度中をめどに取りまとめをできればと考えているところでございます。

 どうぞよろしくお願いいたします。


○仁田会長 それでは、ただ今御説明いただいた進め方について、御質問・御意見等はございますでしょうか。

 よろしいですか。

 よろしいようでしたら、基本的にこの事務局案に沿った形で議論を進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

 続きまして、参考資料1という形で表示されておりますけれども、事務局のほうから改正最低賃金法の運用状況についての御説明をいただきたいと思います。


○里見参事官 それでは、事務局より改正最低賃金法の運用状況について御説明申し上げます。資料が大部にわたっておりますので、私から全般の、この趣旨について御説明申し上げた上で、パーツごとに御説明申し上げます。

 まず、この改正最低賃金法でございますが、平成20年7月に施行されましてから5年超が経過したところでございます。昨年8月の中央最低賃金審議会において、高橋委員より、改正最低賃金法の附則第10条にございます「政府は、この法律の施行後5年を目途として、この法律の規定による改正後の規定の施行の状況等を勘案し、新法の規定に基づく規制のあり方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」との規定への対応について御指摘がございました。

 その際、私から、改正後にどのような施行状況にあったのか、あるいは改正事項についてどういった推移、経過があったのかということを把握し、中央最低賃金審議会にも御説明するとしておりましたので、今般御説明させていただきたいと考えております。

 平成19年に改正された最低賃金法においては、さまざまな事項に関する改正がなされたものでありますが、この場が目安制度のあり方に関する全員協議会であることから、まずは平成20年以降の目安審議で議論されることになった生活保護に係る施策との整合性について御説明したいと思います。

 生活保護に係る施策との整合性については、中央最低賃金審議会で決定された比較方法に基づき、乖離額の縮小が図られ、参考資料1の4枚目にありますとおり、当初あった乖離額は、この5年で大きく縮小してまいりました。比較を行うに当たっての要素の一つである生活扶助基準額については、平成25年8月より3年をかけて、見直しを行うこととなっておりますが、平成26年度はこの見直し分に加え、消費税引き上げなどに伴う物価上昇などを反映した生活扶助基準額の見直しを行っております。この点について、社会・援護局保護課より説明いたします。

 その後、他の改正事項の状況、特に附則第10条では、新法の規制について規定されていることから、これに主に該当する事項について御説明いたします。

 では、まずは保護課から御説明申し上げます。


○大西社会・援護局保護課長 社会・援護局保護課長でございます。お時間をいただきまして、今般の生活扶助基準の見直しにつきまして御説明さしあげたいと思います。お手元の資料ですが、右上に(参考)と書いております「生活扶助基準の適正化等の基本的考え方」という、横長のスライド5ページ目からになります。

 生活扶助基準の見直しにつきましては、5年に1度、一般低所得世帯の方々の消費実態との均衡が適切に図られているか検証をすることとなっておりまして、直近では平成25年1月に取りまとめられました社会保障審議会の生活保護基準部会における検証結果などを踏まえまして、お手元の資料のとおりでございますけれども、適正化等の考え方という資料に記載しておりますとおり、平成25年8月より段階的に大きく3つの考え方に基づきまして見直しを実施しているところでございます。

 まず、具体的に1つ目の考え方としましては、生活保護基準部会で検証いただきました結果を踏まえまして、年齢・世帯人員・地域差の3要素によりまして、制度内の「歪み」の調整を行いました。

 2点目は、前回の検証が平成19年でございましたけれども、その検証の結果も踏まえまして結論としては平成20年は据え置きといたしましたので、それ以降の物価の動向を今回勘案し、反映することといたしております。

 3点目でございますけれども、今回の見直しでは激変緩和の観点から手当てをしておりまして、平成24年度基準、見直し前の基準からの増減幅をプラスマイナス最大10%の限度内におさめることといたしました。さらに、これを3年程度かけまして3段階で段階的に実施することといたしております。

 これが5年に1度の検証を踏まえました、3段階施行の考え方でございます。

 これに加えまして、1ページおめくりいただきますけれども、平成26年度の生活扶助基準額の改定につきまして御説明さしあげたいと思います。

 平成26年度の基準額につきましては、以下の2つの考えに基づきまして改定を行ったところでございます。

 1つ目は、先ほどのページにございましたとおり、平成25年8月からの3年程度、3段階にかけて行っております改定につきまして、その2回目、2年目の見直しを行うということでございます。この見直しにつきましては、年齢・世帯人員・地域差によりまして、制度内の「歪み」、スケールメリットのきき方などを調整するということをしておりますので、世帯構成などによりまして上がり下がりの影響額はさまざまとなっております。

 これに加えまして、2.でございますけれども、平成26年4月からは消費税率の引き上げもございました。そういうことへも対応するために、毎年度、国民の消費動向等を政府経済見通しの数字などを総合的に勘案いたしまして、この1.のもともと予定しております3段階の2段階目の見直しに加えまして、プラス2.9%の改定を行うこととしたところでございます。こちらは世帯類型などにかかわらず、全世帯一律2.9%のプラスをさせていただいております。

 このため、平成26年度の改定額につきましては、世帯構成などによりまして、平成25年8月の見直し後の基準額と比べまして、若干下がる世帯もあれば、上がる世帯もあるという状況となっているところでございます。

 また、12歳から19歳の単身世帯の改定状況につきまして、もう一枚おめくりいただいたところに資料を添付してございます。先ほどのような考え方を踏まえて改定いたしました、1219歳の単身世帯の平成26年度基準額でございます。

 「2.改定状況」の左側の表でございますけれども、生活保護は全国を6区分の級地に分けて額を定めさせていただいているわけですが、平成25年8月の時点と平成26年度の基準額の差額をお示ししております。

 個人単位でかかります食費とか衣類費などを中心とします経費を1類と申しますけれども、その1類経費と、世帯単位で共通にかかる経費を補塡する意味合いの2類の経費を合計いたしました額を平成25年8月と平成26年度で比較いたしますと、1級地-1から2級地-1までは若干のマイナス、2級地-2から3級地-2までは若干のプラスという形で、マイナスとプラスが半々の改定という形になっております。

 この他、冬季に増加する需要にかかります経費を補塡する趣旨でございます冬季加算や期末一時扶助につきましては、全級地でプラス改定となっております。

 なお、来年度の基準額につきましては、本年末の予算編成過程におきまして、先ほど申し上げました3段階の適正化の3段階目の内容に加えまして、また改めまして、国民の消費動向などを見通した数字を総合勘案して定めさせていただくことになろうかと思っております。

 雑駁でございますが、以上でございます。


○仁田会長 どうもありがとうございました。

 ただ今の御説明につきまして、御質問・御意見等はございますでしょうか。

 私からよろしいでしょうか。ただ今の資料の中で、2枚目のところで2.の【+2.9%】という数字の御説明がございましたけれども、これは具体的には国民の消費動向等を総合勘案というふうに書いてありますが、どのような形で算出されたのか、お考えをお聞かせいただければと存じます。


○大西社会・援護局保護課長 恐れ入ります。言葉が足りませんでした。

 毎年の改定につきましては、国民の消費動向を踏まえるということで、今回は消費税も上がりましたので、それも当然織り込まれる、政府経済見通しでどういう数字を出されるかということでございましたけれども、政府経済見通しの民間最終消費支出の見通しの数字が2.8でございました。

 それに合わせまして、消費税引き上げが実際どれぐらい物価に影響するのかということでいきますと、105分の108という割り算をいたしますと、2.8幾つという小数点にわたる数字になりますが、そういうあたりを総合的に勘案いたしまして2.9ということで、財政当局と御相談の上で定めさせていただいた次第でございます。


○仁田会長 どうもありがとうございました。

 他にはいかがでございますか。

 どうぞ。


○小林委員 資料とはちょっと関係ないのですけれども、この生活扶助の関係でいきますと、今、社会保障審議会のほうで住宅扶助費の見直しというものが行われていると伺っておりますが、その辺の状況について若干御説明願えればありがたいです。


○大西社会・援護局保護課長 生活保護は8扶助ございまして、生活扶助の中に幾つか加算などもございます。これらにつきまして、社会保障審議会の生活保護基準部会で順次検証していく必要があるという確認がされております。

 また、政府全体といたしましても、昨年の骨太の方針におきまして、生活扶助はその時点で見直し・適正化をさせていただいていたところでございますけれども、引き続き他の加算・扶助も見直していくべきということになっておりまして、次のテーマは住宅扶助を中心に御検証いただきたいということでお願いをしております。

 昨年の秋から今年にかけまして、都合3回、基本的な御議論をいただいてきております。住宅扶助につきましては、家賃の上限額を地域ごとに定めさせていただきまして、その上限の範囲内で、実際に契約してお支払いされる家賃分を給付するという枠組みになっております。

 これにつきましても、先ほど申し上げました基本的考え方でございますが、一般低所得者の方々の消費水準、この場合は家賃水準などを参照しながら、適切な水準に見直す必要があるのではないかということが基本的な論点ということで、実際には総務省さんのほうで5年に1度、全国の家賃等の実態を把握する大規模な調査、住宅・土地統計というものをとられております。

 そういうデータを借り出しまして、また統計の分析作業などをお願いしまして、検証いただくということで、そういう作業にこれから入っていきたいというところまで来ているというのが現在の状況でございます。


○小林委員 その見直しの結論が出るのは、いつぐらいを目途にしているのか、教えていただけますか。


○大西社会・援護局保護課長 一定の結論が出ましたら、来年度の予算編成に反映させていただければということで、11月下旬なり12月上旬なりを目指して作業を一当たりお願いできればということを5月16日の基準部会で御相談差し上げ、一応、共有いただいたところでございます。


○仁田会長 よろしゅうございますか。

 他にはいかがでございましょうか。

 それでは、他にないようでしたら、次の話題のほうに移ってまいりたいと思います。


○久富副主任中央賃金指導官 それでは、資料を1枚おめくりいただきまして「改正最低賃金法の運用状況について」と題した資料について御説明をさせていただきます。

 改正最低賃金法におきましては、先ほど参事官から御説明いたしましたとおり、附則第10条におきまして、いわゆる見直し条項が設けられております。この見直し条項につきましては、平成9年3月28日に閣議決定されました規制緩和推進計画の再改定についてにおきまして、法律により新たな制度を創設して規制の新設を行うものについては、各省庁はその趣旨・目的等に照らして適当としないものを除き、当該法律に一定期間経過後、当該規制の見直しを行う旨の条項、これを見直し条項といいますけれども、それを盛り込むものとするとされたことを踏まえまして、他の法律と同様に、改正最低賃金法においても盛り込まれたものでございます。

 改正最低賃金法におきましては、規制の新設に該当するものとして3つの条項があると考えておりまして、本日はその運用状況について御説明させていただきます。

 「1.減額特例について(第7条)」です。

 まず「(1)改正の趣旨」について御説明いたしますと、平成19年の法改正以前は、本規定は最低賃金の適用除外についての許可規定であり、通達によって、支払い下限額を個別に定める運用がなされていましたものの、最低賃金に達しない賃金を支払うことが認められることとなり、最低賃金法による罰則も適用されないものであった。

 しかし、最低賃金のセーフティーネットとしての機能を強化する観点から、最低賃金の適用対象をなるべく広範囲とすることが望ましく、減額措置が可能であるならば、適用除外とするよりも減額した最低賃金を適用したほうが労働者の保護に資することから改正されたということになっております。

 この減額特例の改正につきましては、規制の新設には該当するものではありますけれども、許可基準については改正前と改正後では内容は変えておりませんですし、また、許可基準に満たない場合の罰則の適用についても、その効果というものは改正前・改正後については変わりありませんので、実質的には改正前と改正後では制度の内容というものは大きな変わりはないと考えております。

 次にページを1枚おめくりいただきまして「(2)改正後の状況」といたしまして、減額特例の許可件数の推移について資料を準備いたしました。改正前の適用除外許可及び改正後の減額特例許可の件数の推移はこのとおりでございまして、改正前の許可が失効して切りかえが行われました平成21年度を除いて、おおむね改正前、そして改正後も同水準で許可が行われているという状況にございます。

 続きまして「2.派遣労働者に適用される最低賃金について(第13条及び第18条)」について御説明させていただきます。

 まず「(1)改正の趣旨」でございますが、ここに書いてありますとおり、平成19年の法改正以前は、派遣労働者については派遣元の地域・事業について決定された最低賃金が適用されておりました。しかし、この取り扱いにつきましては、派遣労働者は派遣先の他の労働者と同じ場所で同じ者から指揮命令を受けて働いているにもかかわらず、派遣先の事業場の地域別最低賃金が適用されないという問題がございました。このため、派遣労働者につきましては、現に指揮命令を受けて業務に従事しているのが派遣先であり、賃金の決定に際しては、どこでどういう仕事をしているかを重視すべきであるという観点から、改正法におきましては、派遣労働者に対して派遣先の事業場の地域・事業について決定された最低賃金を適用することになったものでございます。

  「(2)改正後の状況」につきましては、表2に記載しているとおりで、まず派遣労働者数の推移につきましては、平成21年度以降は減少傾向にございます。

 資料を1枚めくっていただきまして、労働者派遣事業における最低賃金法第4条、改正前は第5条でございましたけれども、その違反件数の推移ですが、平成18年から平成24年まで、少数ではございますが、違反事業場が存在している状況にございます。

 続きまして、最後に「3.申告規定について(第34条)」を御説明させていただきます。

 まず「(1)改正の趣旨」でございますけれども、労働基準法、労働安全衛生法、これらのいわゆる労働基準関係法令におきましては、法違反について労働者が監督機関に申告できる旨の規定と、あと、申告したことを理由とする不利益取り扱いを禁止する規定が設けられておりますが、最低賃金法にはこのような規定がなかったもので、平成19年の法改正におきまして、労働基準法、労働安全衛生法と同様に申告等に関する規定を置いたものでございます。

  「(2)改正後の状況」につきましては、次のページの表4が最低賃金の履行確保を主眼とする監督指導。これは大体、最低賃金が改定された後の第4四半期ごろに監督指導を実施しておりまして、おおむね1万件から1万3,000件程度の監督指導を実施しております。違反事業場につきましては、監督実施件数の1割程度が毎年、違反の事業場として指摘をしているところでございます。

 また、表5の関係でございますけれども、法改正以後の最低賃金法違反に関する申告処理状況につきましては、おおむね1,000件から3,000件程度の申告がございまして、うち40%ほどにつきましては、違反として指摘をさせていただいているという状況でございます。

 説明につきましては以上でございます。


○仁田会長 どうもありがとうございました。

 ただ今の御説明について、何か御質問・御意見等はございますでしょうか。

 どうぞ。


○田村委員 済みません、一番最後に説明を受けました表5で40%程度の違反があるということで、傾向とか、例えば業種とか、地域特性とかがもしあるようなら教えていただきたいですし、外国人労働者の関係とかがもしあれば、その辺もぜひ教えていただきたいと思います。


○久富副主任中央賃金指導官 最低賃金に関する違反というものは、全国的に満遍なく違反があるという感じで、どこの地域のみ多いという傾向はみられないと考えています。


○仁田会長 どうぞ。


○田村委員 2ページで御説明いただきました、減額特例の許可件数等々が出ていますけれども、前の制度がそのまま移行した形なのでということの御説明であったと思いますが、もし減額のパーセントがわかれば、最低どれくらいあったのか、もしわかれば教えていただきたいというのが1つです。

 もう一点は、4ページで御説明いただきました法律の関係で、監督機関への申告が34条の関係でございますけれども、不利益取り扱いをしてはならないということであったのですが、不利益取り扱いをした場合の使用者への罰則等々はどういうぐあいになっているのか、教えてください。


○辻主任中央賃金指導官 まず、どの程度の減額率なのかという御質問でございます。実は定期的に統計をとっているわけではございませんが、平成23年に障害者の関係でデータを収集しております。

 それについて御説明を申し上げますと、減額率が50%以下、つまり最低賃金の50%以上で許可をしている事案については全体の91.3%というのが、これは平成18年度のデータでございまして、同様に平成23年度で申し上げますと、減額率が50%以下が88.4%となっております。平成18年度と平成23年度と比較しまして、ほぼ同様の減額率で運用がされていると考えております。


○久富副主任中央賃金指導官 2つ目の御質問ですけれども、第34条第2項違反に関する罰則ですが、これは第39条に罰則規定が設けられておりまして、第34条第2項の規定に違反した者は6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処するという規定が置かれております。


○仁田会長 よろしいですか。

 他に何か御質問等はございますでしょうか。

 よろしゅうございますか。

 それでは、その他、何かこの際、問題提起といいますか、議論したいということがございますれば、御意見等をお出しいただければと思います。

 よろしいですか。

 それでは、他に御質問等がないということでございますれば、次回の全員協議会の日程についてなのですけれども、事務局のほうで日程調整をしていただいて、追って連絡をしていただきたいという方式にさせていただければと思います。その議題につきましては、全員協議会の検討事項等についての議論をしていただくというふうに予定していただければと思います。

 それでは、これをもちまして本日の全員協議会を終了させていただきます。本日の議事録の署名は、須田委員と高橋委員にお願いをいたしたいと思います。

 それでは、暑い中、どうも御苦労さまでございました。これにて終了といたします。

 


(了)
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