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2013年5月20日 第5回生涯現役社会の実現に向けた就労のあり方に関する検討会

○日時

平成25年5月20日(月)


○場所

厚生労働省専用第22会議室


○議題

報告書(案)についての議論

○議事

○大橋座長 ただいまから、第5回生涯現役社会の実現に向けた就労の在り方に関する検討会を開催いたします。本日の出欠状況を報告させていただきます。本日は、全員が御出席です。
 それでは議事に入ります。本日は、これまでの議論を踏まえて事務局で報告書の骨子案を作成しましたので、骨子案について議論を行いたいと思います。骨子案の内容について、事務局から説明をお願いいたします。
○中山高齢者雇用対策課長 それでは骨子案の内容について説明いたしますが、その前に、資料2で、前回の議論での御指摘事項を復習しておきたいと思いますので御覧ください。3つほどのテーマを設定いたしまして、幅広く細かく議論をしていただいております。1点目の高齢者が活躍できる地域側のニーズについてですが、その掘り起こしの方法として、スポット的な仕事をルーチン化するという指摘が1つ目にありました。家事サポートについてのニーズの多さも指摘をされております。サービス関係では高齢者のヒューマンスキルが発揮できるのではないかという御指摘もいただいております。ホワイトカラー層の取り込みがうまくいってないという御指摘もありました。
 2番目のテーマの高齢者側のニーズですが、企業に在籍している間に、地域と高齢者をつなぐ仕組みが必要ではないかという指摘や、1つ飛ばしまして、地域のネットワークに引っ掛からない人をどのようにして拾うかという御議論もありました。その1つ上ですが、高齢者のマインドを変えるための取組みも必要ではないか。高齢者のマインドの関係では、生涯学習のところに入りますが、いきなり単純作業ではなく、生涯学習という学びをはさみ、動機づけをしてはどうかという御指摘とか、賃金だけではなく、やりがいといったものが報酬としての役割を果たすという点も、つなげる上で役立つのではないかという御指摘もありました。高齢者の傾向として、退職という節目にキャリアデベロップメントを考えてもらうことが必要ではないかという御指摘もいただいているところです。
 裏は、テーマの3として、今申し上げたニーズのマッチングを中心に御議論いただいたところです。ここでは江戸川区の例として、ヒアリングごとに来ていただいているかい援隊とシルバーの連携の話の御紹介がありました。また、そのシルバーについて、植木の剪定や襖張りといった固定的なイメージを変えていく必要があるという御指摘もありました。同じくシルバーの関係で、その会員の希望が把握できていないということで、十分な業務の掘り起こしができていないのではないかという話がありました。一方で、シルバーに対する需要に対して供給側が合わせていくべきではないかという御指摘もありました。
 マッチングの上でのプラットフォームについての御議論をいただいております。プラットフォームがあることによって、高齢者がどこに行けばいいか、何をしていいかが分かるという指摘が、一番上にありました。いくつか下の方にありますが、そこに行けば情報やイベントなど、何かが見つかるというようなものにすれば、高齢者も入りやすい、そういったことが必要になってくるという話もありました。また上の方に戻りまして、プラットフォームを作る上では場所、人材、資金、コーディネーターといったものが必要であること。いきなりプラットフォームを作るのではなく、既存のセンターや組織を使うことがいいのではないかという御指摘がありました。イギリスやオランダの例として、高齢者が高齢者や障害者を支えている。こういった考え方が大事ではないかということも指摘されております。
 それから地方自治体、この場合は市ですが、たくさんの意見が集まること、自治体はいろいろなニーズをつかんでいるということについての指摘もありました。社会福祉協議会やシルバー人材センター、地域包括支援センターが一体となってやることについての御指摘も出ております。コーディネーターについての御議論がありました。専門家とコーディネーターという人材が一体となって、プラットフォームを運営していってはどうかということ、コーディネーターをどのようにして発掘するか、あるいは養成するかといった御議論もあったところです。
 資料の1に沿い、第1回目から第3回目の御議論を踏まえ、事務方で用意させていただきました骨子案について説明させていただきます。各委員の所には、事前に御説明に伺っておりますが、それを更にコンパクトに簡略化しております。議論に資するために分かりやすくしたことが1つです。生涯現役社会全体に対する対応ということをはっきりさせることを踏まえ、若干の構成の変更等をさせていただいております。
 「はじめに」ですが、この検討会の検討の趣旨が書かれており、最初のパラグラフでは生涯現役社会を作っていくことが必要であるということ、2つ目のパラでは、高齢期でも企業で働き続けるといった選択肢の他に、地域社会で「居場所」と「出番」が得られ、地域課題解決の「支え手」となることが必要ではないかということが書かれております。
 現状と課題です。(1)では、就業構造の変化と就業率の低下について書かれております。1つ目のマルは、政策的効果により65歳までの雇用が進展してきたこと、その一方で、65歳以降の就業率は低下していることを指摘しております。2つ目のマルでは、65歳までについては高年齢者雇用安定法の改正により道筋が作られたところですが、70歳まで働ける企業は一部にとどまっていることを指摘しております。
 3つ目のマルは、65歳以上の高齢者の就業意欲は高いことを指摘しております。(2)として、核家族化により地域社会の担い手が必要になってきていることを書いております。その中で、高齢者は社会的資源として捉え、活用していく必要があることを指摘しております。(3)高齢化の現状、問題です。地方では既に高齢化が進展しておりますが、今後は都市部で急速に進むことを挙げております。(4)高齢者の高い就業意欲ということで、65歳以上までが9割、70歳以上まで7割といった数字をお示しております。また、その理由として、「生活の糧を得るため」といったものも多い一方、健康、生きがい、社会参加といったものも多いことが指摘されております。(5)地域における高齢者の就業・社会参加の機会が、一気通貫の形で、いろいろなものがそろっていることを示しております。企業型の雇用、あるいは起こすデベロップの方の起業、NPO型の雇用、更にはシルバー人材センターを通じた就業、有償ボランティア、無償ボランティア、生涯学習を通じた社会参加、こういったことを示した上で、高齢者が自分自身に合ったスタイルを選ぶことが重要ではないかということが書かれております。また、このような就労社会参加が、高齢者の健康確保、介護予防にもつながる点も、御指摘を踏まえて書いております。
 2点目の高齢者の就労・社会参加をめぐるニーズとマッチングということで、まず(1)では、高齢者側のニーズについてお示ししております。最初のマルは、高齢者の健康状態、就労能力、更に家庭状況といった事が異なることから、就労ニーズが多様であることを示しております。2つ目と3つ目のマルでは、高齢者を主に3つのカテゴリーに分けて書いております。1番目として、ある程度の年金を受給している者については短時間あるいは短期間、あるいは自宅から近い場所の就労を望む者が多いことを指摘しております。2番目は、年金受給者であっても経済的な理由で、年金受給開始年齢に到達後も現役世代と同様に働き続ける必要がある者がいること。3番目のカテゴリーとして、高度で専門的な知識や技術を有する者など、引き続き企業における就労を望む者がいることを指摘しております。
 次は先ほどのイギリス・オランダの所でも出てきましたが、高齢者が生活支援の担い手となり、高齢者が高齢者を支えることも期待されていることが書かれております。
 次は地域に出てくることを躊躇する高齢者です。きっかけの重要性が指摘されているところです。同じような文脈ですが、社会参加の動機づけ、賃金以外の価値をどのように示すか。先ほど、前回の御議論のところで御紹介しましたが、そういったことを書いております。更に、高齢者の意識を変えていくように、社会全体で気運を醸成していくことの必要性についても書いております。それから高齢者が自己有用感といったことを高めていくことの重要性も書かれております。
 (2)は地域社会のニーズです。全体としては地域課題の解決の支え手が不足をしている中で、どのような分野があるかということです。3ページ目の1つ目のマルでは、一人暮らし高齢者や、認知症等の高齢者が増加している中で、地域包括ケアシステムの構築が求められている。これは医療・介護・生活支援の一体的提供ですが、その中でも、特に高齢者の見守り・配食・外出支援といった生活支援については、地域全体で、担い手としてはボランティア、NPO、社会福祉法人、民間企業等、多様な主体が実施していくことができるのではないかと指摘されております。検討会の早い段階で出てきました互助・共助の考え方も示しております。民生委員、児童委員、ボランティア、防犯・防災などにおいて支え手となる人材が不足をしている点も、指摘されております。
 次は、高齢者の活躍の場をいかにして開拓をしていくかという点です。多様なニーズに対応していくということが、1つ目です。2つ目は、業務を切り分けて、いわゆる「ちょっとした仕事」とか、「スポット的な仕事」を見つけることも、就労機会の確保につながるであろうと。これも、前回の議論でいただいたところです。3つ目ですが、そういった周辺業務を切り出して、高齢者が担うことにより、現役世代の社員がより生産性の高い業務に集中的に専心できるのではないかといった効果についても、指摘しております。
 具体性のある話として、今の点について、例えばミスマッチが生じている産業とか、分野、企業も含めてそうですが、若者の雇用を補完するような形で、サービス産業あるいは早朝・夜間・休日等の閑散時間帯、あるいはその短時間勤務といったところで、高齢者が活躍できるのではないかということも書かれております。これも前回の議論にありましたが、高齢者の中にはヒューマンスキルとかコンセプチュアルスキルが豊かな人が多いということで、サービス業の分野で活躍する、あるいは職域を開発できるのではないかということが、指摘されております。次は有償・無償のボランティアといった社会参加の推進も有益であることが書かれております。これは、健康寿命の延伸、介護予防といった効果もあるということです。次は介護、生活支援、子育て支援、防犯・防災といった様々な分野で社会参加できる環境を整えていくことが重要という指摘もいただいております。
 その次は社会福祉協議会の動きです。近年は無償ボランティアだけではなく、住民参加型、在宅福祉サービス等の有償ボランティアといった対応も増えているという御指摘がありました。
 続いて地域社会のニーズと高齢者の社会参加ニーズのマッチングです。現状は必ずしも有効にマッチングができていないということ。その中で、コーディネーターが必要であり、コーディネーターとなる人材としては様々な地域活動等を行っている人など、地域においてネットワークを持っている人が考えられるのではないかということがありました。シルバー人材センターについては、定年退職前にホワイトカラーとして働いていた高齢者向けのものが余り無いという指摘がありました。高齢者自身が起業、あるいはNPOを立ち上げるといったことも有効ということです。
 生涯学習の一環として、地域社会に貢献することの社会的な価値等がその動機づけに役立つのではないかと、これも前回の議論で出てきたところです。この(3)については、若干ボリューム的にも少ないのですが、前回今までの議論で出てきたものがまださほど多くないこともあり、このような形になっております。
 続いて3番目、今後の生涯現役社会における就業・社会参加のあり方についての提言です。この点については、生涯現役社会の全体像を示した上で、地域における居場所、出番作りというものを位置づけさせていただいております。今後の高齢者雇用対策のあり方全体を示した上で、企業で働き続けることの他に、その地域へ戻っていくものがあるという流れにさせていただいております。最初に、今後の高齢者雇用対策のあり方ということで、65歳までの希望者全員の雇用については、高年齢者雇用安定法の改正により道筋がつけられたということですが、その一方で、高齢者の就労ニーズが多様であることから、雇用の場を企業にのみ求めることは限界に近付いており、企業における活躍の場ももちろん必要ですが、それとともに新しい高齢者の活用と活躍の場が必要になってきていることを、最初に書いております。その中で考えられる選択肢として、?、まず65歳を超えても更に企業で働き続ける。?に、「企業人」から「地域人」という言い方をしておりますが、介護・子育てなど地域社会で需要のある分野の支え手として働く。これはNPO、シルバー人材センター、社会福祉法人などがありますが、いろいろな形態が考えられるだろうということです。?が、大企業等で得た専門的な知識や技術、経験を地域の中小企業などにフィードバックをしていく担い手となるといった働き方もあるだろうということで、書いております。
 5ページ目ですが、企業で働き続けるところに対応しておりますが、企業内での高齢者の戦力化を図ること。これは?から?までのうちの?に対応するところですが、地域の経済団体等が高齢者の持つ専門知識や技術を活用できる地域の企業を掘り起こす。そうすることにより、専門知識、技術を有する高齢者がいかされるであろうことをお示ししております。それから企業が、定年退職予定者のマインドリセットや、キャリア再構築を支援することも必要であることを書いております。3つ目では、本格的な就労を望む者についてはハローワーク等において就職支援をしっかり行っていく必要があることを書いております。
 次が、今回のメインテーマでもありますが、地域人として、地域の支え手として働くための仕組みのあり方です。まず、退職前の高齢者本人の準備ということで、高齢者自身が退職前の段階から自らのライフデザインを考えることが必要である。その際、就労セミナーなどの本人のマインドリセットを後押しする取り組みも有用ではないかということを指摘しております。次がマッチングの関係で、プラットフォーム、コーディネーターの必要性、関係機関の連携強化ということが書かれております。地域には様々な団体等がある、シルバー人材センター、社会福祉協議会、地域包括支援センター、NPO等、様々ありまして、そのネットワークを構築することが必要であろうということです。それから、これらの関係機関の連携強化を行うために、情報共有のプラットフォームを作ること。更に、それらをマッチングさせていくコーディネーターの存在が必要であること。プラットフォームがあれば、どこに行けばいいか分かるという議論が前回ありましたが、そういった点を踏まえているものです。プラットフォームの役割・機能として、地域のニーズと高齢者のニーズを収集し、「見える化」する。それが関係機関の共有につながることが示されております。(2)では、地域の情報を一体的に集約する場の設定が求められていることが書かれております。
 6ページ目、これらの取組みを行う主体として、地域にある既存の施設を活用しつつということで書いております。これも、前回の議論等を踏まえております。プラットフォームが、高齢者がアクセスしやすい場所にあることが重要ではないかということを書いております。これは場所的なこともありますし、精神的にも近寄りやすいことも含まれております。
 コーディネーターの役割・機能です。3つほど大きな役割を分けております。?が高齢者に対してのもの、これはマインドリセットやキャリアデベロップメントの支援ということです。1つ目のポツとして、社会参加活動していない者に参加を促す、いわゆるアウトリーチ、企業退職者が地域に戻る際の橋渡し、退職後の仕事に対する意義づけ・動機づけ支援、前回の議論でも多数出てきたところです。
 具体的な仕事として、セミナーや研修会の開催ということです。2つ目の役割が、企業、NPO、ボランティア団体等に対する支援ということで、地域ニーズの発掘でありますとか、それを事業化していくノウハウの提供です。2つ目のポツとして、仕事の細切れ化というか、切り出しという議論がありましたが、その切り出し方の提案。更には、その関係機関のネットワークを作っていくということ。?が、これらの地域ニーズ、情報、地域資源、それと高齢者の社会参加ニーズのマッチングといった整理をしております。
 コーディネーターがこの事業の企画を行う際にはマーケティングの発想を持つことが重要ではないか、あるいはセグメンテーションやそれに基づくターゲティングといったものが必要ではないかということが指摘されております。コーディネーター1人ではなく、専門知識を持つ、具体的には商品開発であるとか、販路開拓、経理、こういったビジネス展開に必要とされる専門知識を持つ者がサポートしていくことが望ましいのではないか。そして、それは高齢者自身がその担い手となることもありうるだろうということが書かれております。コーディネーターの養成や発掘のあり方についての工夫が必要ではないか、ということが示されております。
 次は行政の役割ですが、都道府県、市町村については7ページ目です。市町村が把握している介護、生活支援、子育て、防犯・防災などの地域のニーズ、こういったものをプラットフォームやコーディネーターに対して情報・提供をすることが必要ではないかということです。それから行政が関与することで、地域住民に対して信頼と安心感を与えることができるということで、実施主体に対してうまく連携をしていく、またその働きかけが必要ではないかということ。更に資金の援助とか、活動場所の安価な提供といったことも、指摘されております。国の役割として好事例の収集提供、研修機会の提供があります。この研修機会は担当者、あるいはコーディネーターに対するものです。モデル的な取り組みを行う地域に対する様々な形での支援といったものが考えられるのではないかということです。
 それから先は代表的な各セクターの今後のあり方についてです。シルバー人材センターの更なる活用ということで、自治体や他の関係機関との連携・協働といったようなこと、高度な人材についてはハローワークの方で管理職・専門職であった人については別途支援が必要ではないかということが書かれております。
 社会福祉協議会の役割として、2つ目のマルにあるように、ボランティアに関する情報収集、提供に留まらず、ボランティア団体の立ち上げ支援、住民参加型福祉、在宅福祉サービスの活動の支援、その他、高齢者の社会参加に向けた環境整備が必要ではないかと。次のパラグラフでは、その社会福祉協議会とシルバー人材センター等の機関との相互の情報の共有や、連携の強化が重要であることが書かれております。地域包括センターについては、地域における介護保険外の生活支援の現状について把握をした上で、高齢者が参加できる生活上のメニューを地域で幅広く、きめ細かく生み出し、提供していくことも求められるのではないか。また、その機能を強化していくこと、いずれにしても各セクターでの連携強化が必要ではないかといったことが、指摘されたところです。以上、骨子の説明でした。
○大橋座長 どうもありがとうございました。これまでに十分議論していない点や、報告書に盛り込むべき項目等、御意見がありましたらお願いします。その他、何でも結構です。これは骨子だけ書いてあります。しかも、これまで討議された点が盛り込まれていますので、これから更にブラッシュアップしていくと、かなり大作になるのではないかと思うのです。その辺はすっきりと書くことが必要になってくるでしょうね。いかがでしょうか。
○藤井氏 まず1点。骨子ではなくて、これが本当の報告書になったときには、大きな考え方や視点というもの、理念や方針みたいなものを明確にされたほうがいいのではないかと思います。そのときに今、書いているようで書いていないのが、高齢者のためにという書き方の側面と、それがそもそも地域社会や日本全体にとって、という両方を達成していくという基本的な考え方が、1つにはあると思うのです。
 それから、これは明らかに書かれていないのですけれども、若者の雇用との関係では、若者の雇用の代替的なものではない、補完的なものということです。あるいは、これも前回議論があって、書かれていないと思うのですけれども、高齢者自身が若者の雇用をつくり出せるようになれば、世の中にとって一番いいことだと思うのです。ですから若者の雇用の代替的なものではなくて、補完的あるいは新たな雇用機会を創造できるようなものを目指すというのが2つ目だと思うのです。
 もう1つは、書かれてはいるのですけれども、基本的な理念という意味では、高齢者一人一人によって事情が違うし、価値観も違うし、生きてきた社会も違いますので、一人一人の価値観や考え方や技術に応じた出番を提供する。この中で議論してきたのは、そういう基本的な理念や考え方があったと思うのです。それがまずボーンとあったほうがいい。読まれる方は、この会議の話を聞いておられませんので、我々がどういうベースで議論をしたかというのが伝わりませんと、個別のことだけ見られて「ああだ、こうだ」となってもしようがないと思います。そういう基本的な視点みたいなものを入れていただければと思います。私が申し上げたのは、今までの議論にはそういうことが底流にあったような気がするので申し上げただけで、それだけではないかと思いますし、私が申し上げたことそのものが、今までの議論とずれているところがあるかもしれません。いずれにせよ、基本的な共有する視点はあったほうがいいのではないかと思います。
○大橋座長 今、藤井委員が言われたことが視点としていいのではないかと思いますが、どうですか。
○中山高齢者雇用対策課長 今回、「はじめに」の部分が非常にシンプルな形になっておりますけれども、御指摘いただいた点も踏まえて、恐らく次回に御提示できます。最終案文の中では、そういったことも盛り込む形にさせていただきたいと思っています。
○大橋座長 若者との関係とか、その辺は書きぶりがどうなるか、微妙なところはあるかと思いますけれども、基本は高齢者の「居場所」と「出番」を求めるということだと思います。そのほかにいかがでしょうか。
○志藤氏 私は割と最初からそれを言い続けているので、何度も繰り返すようで申し訳ございません。私たちが海外に日本のことを説明するときに、日本という国が今どういうことを考えて、どういう方向に向かおうとしているかをまず説明してから、高齢者がこういう状況にあるという文脈で説明をするのです。そこで私たちILCが使うのが、「高齢社会対策大綱」です。あらゆる省を超えて、日本という国が高齢社会にどう対応していくかということのベースだと、海外に説明します。
 非常に短いキーワードですけれども、昨年の「高齢社会対策大綱」で、高齢者自身が支えられる側から支える側へシフトして、高齢者自身の考えも社会全体の考え方も、そういうように変えていくべき時代を迎えているというようにうたってくださったことは、非常に大きなことだと思うのです。「高齢社会対策大綱」という言葉を出すか出さないかは別にして、日本の国がそういう方向に向かっているということは、はっきり明確に出してよろしいのではないかと思いながら、拝見しておりました。
○大橋座長 細かいことですが、例えば2ページの上から2番目のマル、(5)に「現在の地域での高齢者の就業・社会参加機会」で、地域での高齢者の活躍の場としては、企業型雇用やNPO型雇用をはじめ、シルバー人材センターを通じた起業があります。また1つのプラットフォームとして、高齢者派遣というのがあってもいいのではないか。意外に高齢者派遣の項が余り多くないのです。一方でスポット的な仕事を見つけるという話ですので、派遣も少し重要な役割を果たし得ると思います。
○藤井氏 今の座長の議論は、私もそのとおりだと思いながら聞いていました。派遣という性格になりますと、やはりテクニカルスキルがしっかりある人材が多くなると思うのです。5ページの最初のマルに、「高度で専門的な知識や技術を有する高齢者を活用するため、地域の経済団体等が、高齢者の持つ専門的知識や技術を活用できる地域企業掘り起こし、マッチングを行う」ということになっています。もちろん、これもすごく重要だと思うのですけれども、高度で専門的な知識や技術というのは、様々なものを指していると思うのです。例えば、ソニーやシャープなどがリストラをしたせいで、そういった人材が東アジアの国々に流れていくといったものから始まり、もうちょっと手作業的な、巧み的な技術まで、いろいろあると思うのです。こういったものが企業の自助努力だけできちんと発掘されて、労働市場として成り立っているかというと、必ずしもそうではないのではないかと思います。
 その際、座長がおっしゃったように、まずは派遣的なもの。特に高齢者の派遣的なものが、単に派遣という労働市場だけに任せておくだけではなくて、少し公的な役割を入れる。例えばリストラに遭われた中で、この研究は続けていきたいけれども、その企業では「不要だ」と言われて早めに退職した方々が、一気に起業でもしようという意思をお持ちであれば、それは成り立つかもしれないのですけれども、「まだ研究を続けたい」と言ったものに研究開発費があるかというとないわけです。これは職業安定局の仕事ではないと思うのですが、研究を続けるとか、あるいはそういったグループに対して当てはまるものの支援をするというのは、もうちょっと頭を捻ってもいい。
 先ほど、高齢者と雇用の問題をどう考えるかという基本的な考え方の中で、日本がどちらに行くかが重要だという話がありました。やはり今まで培ってきた技術立国である技術、高齢者がお持ちになっている技術というものをしっかり活用していくのだ、次世代に継承していくのだということを考えると、これがどこまで職業安定局の事業になるかは置いておいて、この辺りで多少他局との連携も含めて、できることはやっていく、連携してやっていけるものはやっていただくというのは、現に非常にニーズがあるのではないかと思います。
○澤岡氏 2点ございます。1点目は前回、少し申し上げたところです。例えば報告書が、実施するプラットフォームとなり得る団体の方々へのメッセージだとしますと、「商工会議所」という言葉をどこかに入れておかれたほうが、読まれた側も多分、うちもそういう機能が期待されているんだなということを届けるところで重要かと感じました。
 もう1つは、「生涯現役社会の実現に向けた就労のあり方に関する検討会」と銘打っている検討会の報告書ですので、3の提言でちょっと気になるのが、「社会参加」という言葉と「就労」という言葉です。検討会自体は「就労」と銘打っているのに、中を読んでいくと「就業」と「社会参加」という言葉がいろいろ登場してきて、何かぼやけてしまっているようなイメージを受けております。
 確かにボランティアとか、そういったことに関しても広く捉えていかなければいけないというスタンスであることは正しいと思うのですが、飽くまでもこの検討会がやろうとしていることは、生涯現役社会における就業です。それも、恐らく地域人としての地域の支え手という部分が、一番フォーカスする点です。委員として参加しているので、読むとそういうことが言いたいのだなと分かるのですが、一般の方がいきなり読まれると、そのメッセージが伝わっていないようなイメージを受けております。もう少し就業というもの、その中でも「地域人」としての「地域の支え手」としてという部分を、もっと明確に打ち出してしまってもいいのではないかと感じております。
○中山高齢者雇用対策課長 プラットフォームの商工会議所の件は、5ページで「地域の経済団体」という言い方をしています。経済団体というのは商工会議所に限らず、郡部では商工会もありますし、中小企業団体中央会の業種別という枠組もあるものですから、ここは特出ししていないのです。その辺はまた工夫させてください。
 社会参加と就労の概念は、もう少し整理する必要があるかと思いますが、地域における就業の形態が、具体的な就業もそうだけれども、その延長線上にボランティア、特に最近では無償だけではなくて有償ボランティアという、いわば無償ボランティアと就業の中間的な形態も増えてきているので、その辺の線引きが明確にできるかどうかということもあるわけです。そこは若干幅広に、関係機関が一体的になっていくという命題もあるものですから、そこら辺は必ずしも明確になっていないところがあります。いずれにしてもその点についても、また工夫をさせていただきたいと思います。
○原野氏 私も全体を読ませていただきました。結局、今も能力や経験を活かして、地域社会で頑張っている高齢の方というのは、たくさんいらっしゃるのです。急にこういうことが始まるわけでも何でもないので、例えば「はじめに」に、「更に」とか「一層」というスタンスが必要な気がします。自治体で仕事をしていますと、普段そういう方々と関わるものですから。しかし熟年者の方がますます増えてくるし、いろいろな課題も出てくるので、もっともっとそういうものをきちんと作っていかなければならないというスタンスが正しいのかなと思いました。
 よく分からないのは、この間、この御説明においでになった方にもお尋ねしたのですが、ターゲットにしているのは65~70歳ぐらいまでで、しかも、これから首都圏の周りにワッと出現するだろう、どちらかと言うと男性を見ているのか。国の報告書ですし、過疎地とかいろいろありますので、「全日本的」と言うと難しいのかもしれませんが、そこら辺の地域性が見えにくいのではないかと思いました。その2つをすごく感じます。
 住んでいる方が、その「地域の支え手」になるためにどうするかというところで、きっかけがとても大事だというのは、ここでもかなり議論になったことなのです。地域のために何がということを具体的に言うと、いろいろなことがたくさんあります。御自分の周りの毎朝の掃き掃除のときに、1m隣の家の前の掃き掃除をするのだって地域のためです。お互いが1m1mはみ出せば、きれいになってくるわけですから。そういうものから、いろいろな活動があるのです。ですから「地域の支え手」という言い方も、捉え方としてニュアンスでは何となく分かるけれども、具体的にどんなことかというのが、なかなか見えにくいのではないかと思いました。今は自分の感じたことを言っているだけです。
○長島氏 同感です。私もお邪魔したときに、お話したのです。男性で65歳以上の方でホワイトカラーっぽいというか、要はサラリーマンをずっとやり続けてしまった人が、地域に戻ったときにどうするのだろうという議論が中心なのか、あるいは都会の人ということなのか、そこが見えにくいと私も思いました。
 そのような中で、3ページに「高齢者の活躍の場の開拓」というのが出ています。その前の2ページの最後の「地域の課題解決の支え手が不足する中での高齢者」という所で、防災や防犯、ボランティア、子育て支援、介護とありますように、今までホワイトカラーでやっていた経験のある方に、サラリーマンでやっていたことを継続してやらせてあげようということではなくて、また新しく就職しなさいということを強要しているように、実は感じてしまっているのです。確かにその部分もあるので、その部分はその部分でいいと思うのですが、それプラスアルファー、地元に戻ってきたときに同じような仕事で、中小企業などで支援したり、働いたり、まちづくりなどに関与していったりといった要素を少し入れてあげないと、当事者たちが嫌になってしまうと言うのでしょうか。その方向性だけではない人たちが多いのではないかとも思いますので、そこは少し強めに入れたほうがいいかなと思いました。
 それから、この間もお話したのですけれども、3ページの7つ目のマルです。やはり気になるのが、早朝や休日はありだとしても、高齢者に深夜というのは、どうしても問題があるのではないかと思いました。若者のことを補完するのはいいのですけれども、朝早く起きてしまうから朝やってもらって、休日も同じだろうからやってもらうというのはありだとしても、夜は負担が多すぎるのではないかと思います。
 それから、ちょっと違う話になりますけれども、これは私がお話した所かなと思っているのです。5ページの4つ目のマルに、「就労のセミナーなどをマインドリセットすることが有用ではないか」というくだりがあります。この取組みは多分、企業でやっていない所はないほどやっていると思うのです。ですから先ほどのお話のとおり、「更に」ということで、このレベルだと多分地域には戻れないのです。もう一歩踏み込んだ形でのインターンシップをやらせるとか、いわば学生の就職支援と同じぐらいのレベルを考えていかないと、サラリーマンを40年やった人は地域に戻れないだろうと感じます。
 最後の8ページに、シルバーと社会福祉法人と包括センターという3つの機関の話が出ています。このくだりの中に、その支援機関同士が連携したらいいのではないかというお話が出てきます。前段で書いてある、プラットフォームへの参加を積極的にやりなさいということを、是非言っていただいたほうがいいのではないかと、読んでいて思いました。
○中山高齢者雇用対策課長 今、お二方から御指摘いただきました。ありがとうございました。ターゲットについては確かにおっしゃっているように、65~70歳層を中心の首都圏周辺の男性中心というのは、そのとおりです。ただ「男性だけ考えているのか」と言われても、なかなかつらいところがありますので、その辺は表現ぶり等を工夫しながら書かせていただきたいと思います。
 それから、ターゲットについて長島さんから御説明いただいた、ホワイトカラーが全て自己否定するような話ではないということについては、いくつか盛り込んでいるのですが、もうちょっとはっきりさせて分かるようにします。また、地域でまちづくりのようなことに貢献していくという視点は、確かに今まで余り出てきていないので、そこら辺も工夫させていただきます。
○藤井氏 今の話の前提で、今まで議論に出ていなかったことも含めて、資料1の最初のページの(3)です。細かいことから申し上げますと、(3)の2個目のマルで、「都市部では今後、高齢化が急速に進む」と書いてあるのですが、高齢化が急速に進む問題よりも、高齢者数が急速に増大するという問題だと思うのです。なおかつ、今のお話にあったような企業退職者といった問題だと思います。
 これは数字を見ないと分からないのですが、そうすると今までの高齢者像とは違う、厚生年金を持った人たちの退職者層かもしれない。その人たちがターゲットだというのであれば、今までのようにお金が欲しいというよりは、積極的な地域参加がしたい、そのときに自分がやってきたことを活かしたいけれども、社会の中ではなかなかすぐに再就職が見つからない中で、自分たちでNPOみたいなものを立ち上げてまちづくりの参加とか、自分たちのやりたいことを実現していくという要素を考えますと、自分たちでNPOをつくっていくとか、それを支援するというものも、もうちょっと明言して入ったほうが、読んでいる方にとっては伝わりやすいのではないかと感じました。
○山田氏 今の話にも関連します。高齢者がどういう就労形態を求めているかについては、2ページの大きな2、「高齢者の就労・社会参加をめぐるニーズとマッチング」で、先ほど3種類あるとおっしゃったのですけれども、仕事の種類については少し羅列的です。ひょっとしたら、ここはもう少し整理できるのではないですか。
 具体的には、以前にも発言させていただいたかもしれないのですけれども、今後、大量に引退してくる高齢者が対応できる仕事には3種類ある。書かれていることをどういうように仕分けるかですが、1つ目としては防犯・防災など、地域における公共財的なサービスです。これは誰かがセットしないと出てこない。みんなが必要とするけれども、誰かがセットしないと提供されないという種類のものが1つ目です。
 2つ目は、先ほど藤井先生からも御指摘がありましたように、生産性は高く、高い技能は活かせるけれども、地域に戻った場合には非常に細切れになっている仕事で、誰かが情報のようなものを取りまとめてやらないと、うまくマーケットに乗らないものが、多分2種類目の仕事だと思うのです。
 3種類目の仕事として考えられるのが、特に介護や育児の分野ですけれども、なかなか生産性が伸びていかない。要するに、一人で二人も三人も四人も面倒見られない。どんどん生産性が高くなって技術が高くなっても、提供されるサービスが伸びていかない種類の仕事です。要するに、生産性が伸びないということは賃金がなかなか伸びにくいと。だからこそ賃金が低く抑えられているから、絶対的な供給不足に陥ってしまうというような所です。
 高齢者の能力を見極めながら、どうやってこの3種類の仕事に結び付けていけばいいのかというのが、今後、もう少しブラッシュアップしていく中で構造を変えていく。もし可能であれば、この3種類の仕事を一体どういう所がコーディネートしていくべきかというようにしていけば、受取手も全体的にもう少し体系的なものになるのではないかと思います。
○中山高齢者雇用対策課長 御指摘いただいた2番目のカテゴリーとして、生産性は高いけれども、現状の地域では細切れになっていて、それを集約すればマーケットに乗っていくのではないかというお話がありましたけれども、どういった分野が想定されるのでしょうか。
○山田氏 例えば、会計とか国際的な取引に関して、大企業でいろいろな経験を積まれていた方が、中小企業だとそういった仕事は僅かにしか発生しない、そういう仕事を集約して携わることを想定しています。確か以前の回でも、そういった話が出ていたと思います。
○大橋座長 例えば介護などでも、どういう形で高齢者が参加することによって、若者の仕事がやりやすくなって、業界全体として効率が上がっていくかということについては大問題で、その辺までは議論を深めていませんよね。しかし、これからは非常に重要なテーマだと思います。
○山田氏 介護サービスとか育児サービスと一言で言っても、非常に高い技術が必要になって賃金も上がってくれる所と、そうではない、生活支援的な部分という所が分けられるかもしれない。その生活支援的な所では、やはり賃金が伸びにくいという状況が、どうしてもありますから、ひょっとしたら年金をもらっていて、生活もある程度成り立っていて、しかも社会的な貢献ということを理解している高齢者が、そこに就いていってくれるかもしれない、という希望を持っているわけです。先ほど深夜という話がありましたけれども、深夜の話や早朝の話というのは、多分なかなか生産性が伸びないから、賃金も伸びにくい状況の仕事の1つの例のつもりで、ここにお書きになっているのかもしれません。3番目については、そういったことがあり得るのではないかと考えております。
○志藤氏 今の山田先生のお話の補足みたいな感じです。先回も御報告申し上げましたけれども、イギリスとオランダで調査をしたときに、介護の分野でも日本的言い方をすると、生活支援的な部分はほとんどNPO、NGOです。私も厳密な区別と、お金がどのくらいかというところまでは厳密に言えないのですけれども、そういう所にほとんど担当してもらっているというのが実態です。それにはアプローチの仕方が両方あります。まだまだ力のある高齢者に働いてもらおうというアプローチと、財源的にそれを全部国のお金で見ることはできないから、その部分はなるべく税金を使わないで済むような形でのサービス提供にしようというアプローチです。その両方がマッチングして、そういう形での形態が中心になっているのです。
 その中でも日本人的に考えますと、特に高齢者の方が車の運転ができなくなる、だんだん外出が難しくなるというときに、サポートをして、何人かをまとめて車でどこかに送り届けるということは全然平気で、できる方は65歳を過ぎても当たり前にできるわけです。日本だと、そういうトランスポーテーションサービスというのは余り言われないのですけれども、海外では本当に言われるのです。考えてみたら日本でも、特に田舎の地域ではお店がなかったり、近くに買物に行ける場所のない地域というのは、案外都心にもたくさんあったりするので、そういうサービスも誰かがやってあげればいいことだと思います。
 生活支援の部分というのは、御飯を作ってお掃除をしてお洗濯をするという、単なる家事援助だけではない。これからはものすごくたくさん出てくる。高齢者像もどんどん変わってきていますから、映画も見に行きたいし、買物にも行きたいという方がどんどんいるわけです。そういう方をサポートできるようなサービスというのは、すごくたくさんあると思うのです。そういうところはどんどん出していけばいいのではないかと思っております。
○大橋座長 この辺の議論には、2つのストーリーがあります。生活支援的なサービスを高齢者にやってもらうという話と、例えば大企業などで高度な専門的な技術を修得した高齢者が、まだまだ中小企業ではない、十分に価値のある知識・技能を持っているので、それを活用するという話と、2つに分けて考えたほうが分かりやすいかもしれませんね。
 それから、整理についてです。1つは、就労と社会参加がどうなっているかというお話がありましたね。社会参加というのは、就労をも含むわけです。ただ、就労に含まれない社会参加というのもあると思うのです。ここでは就労やボランティアに入るきっかけとして社会参加、特に趣味などで地域のグループに参加するという話で出てきたという経緯がありますので、その辺が一緒に書かれているということだと思うのです。その辺はある程度、頭の中でしっかり区別したほうがいいかもしれませんね。
 もう1つは、既に現在も高齢者は活動しているのではないかというお話がありました。この検討会ではニーズの掘り起こしや、ニーズに対する対応という話がありましたので、どうしても新しく設立するような話が主になったかと思うのです。やはり既存のプラットフォームです。例えばシルバー人材センターとか、有償ボランティアとか、いろいろあると思うのです。それを維持・拡大することも、非常に重要なテーマだと思います。ただ、こういうプラットフォームを維持・拡大していくには、ある程度の収益と言うのですか、経済的な裏付けが必要なので、その辺をどうするか。人材の話も出ておりますけれども、資金的な裏付けとか、その辺が政策的に重要なテーマになるのではないかと思います。考え方としては新しくプラットフォームを作るときの話と、それを維持・拡大していくときの話というこの2つも、少し整理したほうがいいという気がします。
○藤井氏 座長がおっしゃったことで、就労と社会参加という線で言いますと、非常にシームレスだと思うのですが、雇用か雇用でないかという線が、明らかに法律上はあるわけです。通常ですと、最低賃金をもらう雇用でなければ雇用でないということになると思うのです。その唯一の例外が、障害者の雇用だと思います。私は事によっては最低賃金は要らないということになると、有償ボランティアという話になると思うのです。有償ボランティアになったらシルバー人材センターの世界、あるいは有償ボランティアの世界で相対でやってくださいと。これは法律の問題になってしまうので、良いか悪いかというのは置いておいて、相対でやるのは面倒だけれども、最低賃金まで要らないという方、現にそれぐらいで働いてもよい、それぐらいのほうがちょうどよいという方がいるグレーの部分があると、選択肢が非常に広がると思います。
 以前もここで申し上げたことですけれども、今の議論も「65~70歳」という言い方をされていますと働けなくなる、あるいは要介護になると、要支援になるとそこで終わりという前提があるような気がしてならないのです。しかし、その線というのも非常に切れ目がない世界で、いかに人の支援が必要になったとしても、一部介助が必要になったとしても、働くことを通じて社会に参加することは可能です。ところが今の法制度上は、なかなかやりにくい。
 例えばグループホームに入っておられる利用者が、ある一定程度、近所のお店で手伝うということをやっている所もあります。では、その方は手伝ったことに応じて何か報酬をもらえるかというと出してあげられない。「これがネックになるんです」とおっしゃる方がいらっしゃいます。「福祉的就労」という言葉のイメージがどうかは置いておいて、雇用か雇用でないかという線が、今の高齢者の出番を作るという意味で本当にいいのだろうかという気がしております。もし、その辺りまで議論することが可能なら、入れていただきたいと思います。
 もう1点は、座長のほうからプラットフォームの話がございました。座長がおっしゃっていることと外れてしまうのかもしれないのですが、プラットフォームを作る、あるいは拡大するからには、財源が必要だということだと思うのです。その財源はどのように出されるかは置いておいて、これまでですとその財源をどこがもらうのか、シルバー人材センターか、社協かという話になりがちだと思うのです。私は、そういう話ではないと思います。もう既に地域ごとに、かなりしっかりやっておられるシルバー人材センター、しっかりやっておられる社協、あるいは、そうでない地域もあるということですから、まずはいろいろな機関が協働しましょうという前提があって、どこが主に旗を振るか、どこがやるかというのは、いろいろあってもいいのではないかと思います。いろいろあって、どこがやられるかというのは自治体がきちんとお選びになるという形で、様々なパターンがあってもいいけれども、どこがやるという話ではなくて、いろいろな可能性はあるという話だろうと思います。
 今のハローワークの書き方というのは、どちらかというと腰が引けた形になっていると思うのです。こういう議論をしますと、既存の団体からいかに権限を取り上げるかという話ばかりになってしまいます。やはり既存のものをきちんと活用しようと。ハローワークも市場化テスト等々で奪われることばかり話していますけれども、今は障害者雇用等を通じて、個別のケース・バイ・ケースのマッチングをするということには、力を発揮しておられる所がかなりあると思うのです。延長で高齢者をやっておられる所もあるのではないかと思うのです。ハローワークは民間ではないから、そういうことをやるのは難しい、やれませんという話になってしまうのですが、そうではなくて、うちの地区ではハローワークが中心になってやりますというように、そこのハローワークのトップの方が判断したらできるようにするとか、持っているものをほかに出すだけではなくて、もうちょっといろいろなことができるようにする。あるいは、首長さんの判断等々もあると思いますけれども、地域に応じていろいろな所ができるようにしていただきたい。
 その関連で、大変細かいことですけれども、3ページの一番下に○がございますね。これは文章の問題にもなってしまうのですが、「現在、社会福祉協議会を通じて地域における社会福祉に関する活動が活発に進められているが」となっていて、「具体的内容はそれぞれの地域の実情に応じて多岐にわたっており、近年は無償ボランティアだけではなく」うんぬんとなっているのです。文章を書く上で我々は院生に、複文の「が」は余り使わないようにせよと指導しているのです。「bat」なのか「and」なのかがよく分かりません。「bat」にも読めてしまう。「bat」に読んでしまいますと、有償ボランティアをやっている社協もたくさんありますので、その辺りを勘案いただきたいということです。
 それと、最後に1点。先ほどお話のあった移動支援のことです。移動支援ということで、買物支援をおっしゃった部分に加えて、通院支援というのが地域では非常に重要です。特に田舎では重要になってきているわけです。その際、1つには一旦オーガナイズされると非常にうまく回りますけれども、オーガナイズする方がいないということです。過去にNPO等々で地域の助け合いの活動をされていたのが、介護保険制度で、多くが制度のサービス中心になってしまった。そういった所にもう一度、助け合いの場になっていただくということもあるのですが、現にない所は、やはり今から作っていただかなければいけない。それを誰がやるかというのは、いろいろあると思うのです。
 ただ、「買物支援」と言いましても、買物に行く先がないような地域もあります。私が知っている中では、例えば社協が月に何回か、あるいは週に何回か商店街の方にお願いして、1か所に集まれるような買物のスポットを作ります。そうすると近所のみんなと言いますか、広い地域のお年寄りが来ているので、話をしたり、喫茶店も開いたりしていると。このようにセットにしないと、単に買物というニーズだけではなくて、そういう知恵も使わなければいけないということもあります。
 この問題は、単に高齢者の雇用あるいは活躍の場と言うよりは、地域のニーズをどのように吸い上げて、どのような活動にしていくかという部分を担わなければいけません。今あるコーディネートをする機関、プラットフォーム、コーディネーターに関しては、そこの部分まで当然考えていないと思いますので、むしろ先ほど私が申し上げたNPOみたいなものを作って、そこで自分たちの場を見つけていかれる高齢者をどう支援するかです。NPOを組織していくとか、中間組織みたいなものを含めて、それを支援するようなものですね。そこで求められる機能が実はかなり多様で難しいものではないかと思います。
 今は田舎の話をしましたけれども、これから引退される都会の方というのは、恐らく若い者に使われるとか、若い者の補助をするといったことを好む方ばかりではございません。やはり自分たちでやりたいと。「自分たちでやりたい」と言う人は雇いたくないというのが、日本の企業の風土としてありますので、自分たちで立ち上げるからやりたいというところをどう支援するかというのも入れていただければと思います。
○中山高齢者雇用対策課長 今、座長をはじめ、藤井先生、山田先生にいろいろ御指摘を頂いたところです。御指摘いただいた点については1つずつ吟味をして整理をさせていただきますが、既存の施設を発展させていくことの必要性について後ろにも書いてありますが、そういったものがプラットフォームの受け皿となり得ることとともに、それぞれの主体もしっかり改革させた上で、機能を強化していくことの必要性も書いてありますので、そこら辺はもう少し複線的であることが分かりやすくする必要があろうかと考えています。
 年齢の関係で、先ほど65歳から上が中心となっているというお話をしておりますが、現実にはそれより早い段階で再就職する人もおられますし、自らの選択として新しい道に入っていくケースもありますので、少なくとも観念的には65歳以上に限定されているということではなくて、そこら辺が中心ではありますが、それより若い世代も対象とはなり得るという整理になろうかと考えています。
 それから、都市部を中心として考えていることは申し上げておりますが、もちろん都会、都市部の周辺の高齢化した住宅地を1つのターゲットとはしております。しかし、必ずしもその手法がそのエリアのみに限定されるものではないと考えておりますので、そういう意味ではこれも観念的にはもう少し広がりがあります。ただし、ターゲットとなっている所は遍く日本全国ではあっても、そこに全てが同じようにかかっていくわけではないと考えております。
○大橋座長 ここでは出てきていませんし、またこれを書いてほしいという意見ではありませんが、ずっと私が気になっているのは働く側のインセンティブの問題です。例えば、シルバー人材センターは請負ですね。派遣の方は雇用ですね。雇用関係と請負関係で、かなりインセンティブが違うのではないかという気がします。私のこれまでのシルバー人材センターとの関わりの中で、余りインセンティブを感じられない気がしています。というのは、庭の木の剪定を頼んだときに一度見に来てもらって、それから来る来ると言いながらほとんど来なくて、そのまま終わってほかの業者に頼むことになりましたし、家の近くで公道ではないですが、道路のタイル貼りのような、煉瓦貼りのようなことをやったのですが、きちんと煉瓦が置かれない。グーッと波打っていた。それを見てもらって、もう一遍やってくださいと言って担当者が来られて、「これは見るに堪えませんね」といってまた整理されていきましたが、そういうのを見ていると働く方のインセンティブは、どうなっているのだろうかというのがとても気になるところです。
 一方、派遣の方も最初はお手伝いでいいのですが、長くそれで続くのだろうか。確かに最初は社会参加という気持でいいですが、介護でも若い人が入ってきて、そのうちにバーンアウトしてしまうことをよく言われていますが、そういうインセンティブの問題は結構大事ではないかなと思いますが、その辺はこの検討会のテーマではないようです。先日シルバー人材センターの関係者が来られて、問題点を挙げておられましたね。その中でとても気になったのは、技能不足、熟練不足という項目がありましたが、多分ああいうのは本音だろうなと思って見ていました。余分なことかもしれません。いずれにしても、シルバー人材センターや派遣会社というのは、プラットフォームとしてこの分野でこれからコアになっていかなければいけないところなので、マネジメントや動機づけについて、ちょっと深めていく必要が今後はあるのかなという気がしています。
○志藤氏 今、先生がおっしゃってくださったので、2ページの2の(1)の下から3つ目や4つ目ぐらいの所がモチベーションをどう高めて出てきてもらうかとか、どういうインセンティブがあるかというようなところについて触れられている部分だと思いますが、私は最初から身も蓋もないのかもしれませんが、無理な方を無理に引っ張り出すことに余りエネルギーを注がないほうがいいのではないかなとずっと思っています。直感的にですが、とても積極的な方が1割いらっしゃるとしたら、言われたらやろうという方が3割ぐらい、あと3割ぐらいの方は余り言われてもやりたくない、絶対に嫌だという人が1割、2割はいらっしゃると思うので、ネガティブな気持の方にどうやってそれを掘り起こしてというところにエネルギーを使うよりは、積極的な方と言われたらやってみようという3割、4割ぐらいの方に出てきてもらうような取組のほうがむしろ効果があるような気がしますので、この部分に関しては余りここに力を入れなくてもいいかなと。それでいうと、取材に行ったオランダとかイギリスとか、私ではなくて直接担当した者が終わった後に率直な話を聞いたところ、いくらボランティアが盛んだと言われていても、絶対にやらない人というのははっきり分かれているわけで、そういう人たちに対しては余り取組はしていませんというようなお話があったと聞いております。以上です。
○大橋座長 今の比率は、普通の会社でも同じような比率があるので。
○志藤氏 どこでも基本的な比率は余り変わらないかもしれません。
○原野氏 行政をやっていると、今の志藤さんのような御意見というのは両面あります。何回かここに来てお話になった団体にもありましたが、奥さんは旦那さんがずっと家にいると邪魔なのです。そうすると、奥さんもストレスが溜まってどうしようもないから、どこか出ていってくれたほうがいいと。ですから、私は最初からあてにしないのではなくて、そういう方の声掛けは必要だと思います。その人がやるか、やらないかは別にしても、1回か2回は引っ張り出してみて、それでピタッと合って、そこから始まる人も確かにいる。駄目な人もいますが、それは必要なことなのだろうなと思っています。ですから、最初から諦めは良くないと思います。
 1つの例ですが、江戸川区では総合人生大学というのを地域デビューの1つとしてやっていますよということをこの間申し上げましたが、その大学というのは9月開校です。2年間やっていますが、「今の時期から定年後を地域で輝く」というチラシを作りまして、各世帯に撒いています。定年退職される方とか御主人の第二の人生のヒントを見付けたい方とか、適当に御夫婦で一緒に何かを始めたい方とか、まだ入学前にこんなことですよというのを幾つか御用意して、それで興味がある方は学生になっていただこうということで実際に今声掛けをやっていて、明後日も1つやるので私は行って見てみようかなと思っています。そういう仕掛けはやっていくことによって、最初から諦めないでいろいろな人に声を掛けたいと思っております。
 もう1つよろしいですか。先ほどからお話に出ていますが、コアなターゲットはターゲットとして、国のお立場からするとそこだけというわけにはいかないことがよく分かります。既存の団体等もいろいろあることを見ていると、既存の団体で何が今課題になっているかなというと、老人クラブですと今役員をやっている方は80代後半です。つまり、会長とかいう人。町会自治会も、役員は70代、80代は普通です。そういう方々が、脈々とずっと地域でおやりになっています。そうすると地域に帰ってきて、そこで自分のできることを何かお手伝いしたいと思っても、会社を辞めてもう1回地域の会社みたいな所に入っていくというのはとてもストレスが溜まって嫌なので、今ここでこういうふうに、いろいろなことをこれから熟練者、高齢者になって、地域で支え手となっていただく方々に対しては、私の言葉が足りないのかもしれませんが、そういう方にも定年があっていいのかなと。つまり、その人が80歳にも90歳にもなって、矍鑠とした元気な方もいらっしゃいますが、次に来る人たちにバトンタッチしていくというか、第一線から任せたというたすきを渡すみたいな部分がないと、また同じことができてしまう。硬直化して団塊の世代の方々は私の印象ですが、誰からか言われたものや既成のものよりも、自分たちで何か作り出していくことがあるので、ある意味ではこんなことは必要はないのではないかと。否定的なことで申し訳ないですが、放っておいても何かおやりになるのではないかなという思いもありますが、そういうことも必要のような気がします。
○澤岡氏 恐らく今コーディネーターと我々が今呼んでいる、人なのか組織なのかよく分かりませんが、そのコーディネーターに期待される職能としては第二の定年で「はい、さようなら」ではなくて、次に違う役割が用意されれば、そろそろ自分はここのステージは引き時かなと人は判断しやすいと思います。そういう意味では、コーディネーターにも次のステージをうまく用意してあげられるような、フレキシビリティといったものも何か期待されているのかなと。そこの中で、恐らく生涯を健康で意欲を持ち続けながら送れるという初めに書かれていることが、初めてそれで実現されるのかなと感じております。
 もう1点は、地域で就業社会参加の機会を作る「地域」が今回の検討会の1つの大きなキーワードだと思いますが、そういう意味で地域で働くこと、地域で社会参加することがどういう良いことがあるのかなと考えると、2ページの(5)では介護予防にもつながると書いてありますが、さらに言ってしまえば企業退職されて地域との縁がなかった方が就労で地域に関わることで、地域にソフトランディングしていける。さらにいえば、地域社会から埋没してしまう、社会的孤立や孤独死という言葉をここの中で使うのが適切かどうかは分かりませんが、そういったことにもつながっていくことが御高齢の方が地域に関わる、地域で就労する1つの意義づけなのかなと感じております。
 もう1点よろしいですか。プラットフォームについてですが、今までここの検討会でもお話には出てこなかったのですが、なんとなくプラットフォームと考えると、我々は場というものをイメージしているようなところだと思いますが、今回想定している方々が今の50代後半、60代前半、70代前半ぐらいの方を考えているようであれば、割とICTを普通に使われている方が多いかなと。そういう意味ではプラットフォームの構築や、情報の共有化、今、自治体でもオープンデータやオープンガバナンスという言葉が言われていますが、どこに入れ込むかは分かりませんが、ICTをうまく利活用してそれらの情報共有であったり、マッチングをうまく円滑に進めていくことをどこかに入れ込んでもいいのかなと。ただ、これは皆さんに御議論いただくお話なのかなと思いますが、なんとなく感じております。
○藤井氏 今、澤岡委員がおっしゃられたことの1つにコーディネーターのことがあって、それが原野委員のおっしゃっていたことにつながるのだなと思って聞いていました。コーディネーターの役割、機能が6ページに書かれていますが、いろいろなことが書かれていて、どういう人なのかというのが分かりにくいのですが、ただ原野委員がおっしゃっていたことは私が先ほど言ったことに通じ合っていて、どうも日本の社会というのは年嵩増して長くいると、どんどん偉くなっていく。偉くなって、下から見るとけむたくなっていく。定年というのがあって、いなくなってホッとしたみたいな部分が無きにしも非ずだと思いますが、そうではなくて、ちょうどキャリアディベロップメントという考え方の生涯成長していきましょうという話は、それではないと思います。長くいればいるほど偉くなるということではなくて、自分の持つ能力を生涯開発していこうという中で後輩たちにも使われる、相互に使い合うことさえあれば、恐らくけむたくないのではないかと。つまり、どうしても日本だと年齢で定年になってしまうのは背景にそういうのがあるのだとすれば、年齢による線引きというのは私は差別ではないかと思っている方ですから、むしろこのコーディネーターと言われる方々が定年前にいろいろインターンシップうんぬんがありますが、現に目の前のことを考えると定年前はどうするかですが、先ほど御指摘があったように企業でこういうことをやっていない所はないと思いますし、早い所になると入社時点からこういう話はしていると思います。生涯をかけての成長であって、自分が企業で働く地域社会としてどう関わる、地域で生活するということは若いときから考えてほしいし、高齢者として引退されるときもキャリアディベロップメントの発想で考えていただきたいということになると、話がいろいろごちゃごちゃしていますが、このコーディネーターはここに書いてあることを見ても、今厚労省の中で養成されているキャリア・コンサルタントのやっていることに近いことがイメージされているのではないかなと。あるいは結び付けるところでいうと、ソーシャルワーカー的なこともあるのではないかということを考えると、最後に「地域の中でその素質やネットワークを持つものを発掘し、育成していくことが必要である」ということですが、個々人の持っている人間力みたいなものに頼ることも重要ですが、今申し上げたようなことをきちんと体系的に勉強しておられるキャリア・コンサルタントというのは特に都会周辺では膨大に養成されているわけですから、そういう方々にプラスアルファの勉強をしていただく仕組みもあるのではないかと思います。このあたりは人のコンピテンシーに任せるよりは、私は体系的にある程度学んでいただくことによって、今議論していたややこしいあたりも、やる気のない人はもういいではないかというのはそのとおりだと思いますが、やる気とはいったい何かというのは実は難しい話だと思いますから、集団の力を使ったり、高齢者大学のお話をおっしゃっていましたが、私も品川区の高齢者大学の講師をやっていますが、同士たちを巡る集団の力は凄まじいもので、最初の時点ではシャンとしなかった男性のお年寄りが回を経るに従ってシャンとしてくるというものもありますし、そういうことをフル活用することがこのコーディネーターに求められるのだと思います。私は一応現に養成されてきて、キャリア・コンサルタントとは実は社会的に出番を余り与えてこなかったのではないかと思っていますので、これを機に使われたらいいのではないかなと見て思いました。以上です。
○大橋座長 そのほか、いかがですか。高齢者の定年という、大変きれい事ではいかないような問題が出てきていますが、確かに町内会を見ていると、いかにそこに長く住み着いているかというのが力の源泉のようで、だから新しく入ってきた人はなかなかそこに入れないということがある。結局町のいろいろなことを決めるのも、その人たちのグループで周りの取り巻きさんで決めてしまうということで、ちょっと入れないなと強く感じます。そういう点では、定年というのは確かに1つのやり方ですが、その定年を決めること自体がまた難しいという。
○原野氏 誤解があると思います。言葉が足りませんで、すみません。私は今回ここで議論されていて、いろいろな仕組みを作っていくことはとても大切なことだし、とても夢があって希望もありますし、良いことだと思っています。ただ、町中にある、地域にある組織体が、たまたまそういう現実がありますから、非常に乱暴な言い方でしたが、確かに私も年齢で切ってしまうというのは差別だと思っております。能力と体力は致し方ないですが、年齢は要らないと思っています。ただ、何かしらのそのポジションはそうで、次はと澤岡さんがおっしゃったような部分がうまく流れていけば、硬直化しないでこの仕組みが回転していくかなと思って発言させていただきました。そういうことです。
 もう1つよろしいですか。シルバー人材センターが先ほどから何回か話に出てきていますが、ここにも記述として書いていただいていて、私どもは非常に濃いつながりを持ちながら日々やっているものですから、7ページの「シルバー人材センターのさらなる活用」については、本当に特にマルの2番目が実現できるならばいいのですが、大丈夫ですかね。
○上田高齢者雇用事業室長 そこについては、こういう見解を持っています。確かにシルバー人材センターの業務は請負業務が主体になってやっていますが、実は雇用である派遣事業ができるようになっています。もう1つは、職業紹介事業ができるようになっています。これはどういうことかというと、高齢者の就業機会をいろいろやっていくと、どうしても請負事業とかをやっていく中では指揮命令が必須なものが出てきてしまって、法律上、請負では整理できないものが企業との関係で出てきます。そうすると、就業機会を失わないために派遣という形の手法を取って、契約をし直していくことが必要になってくる。そういう意味で、派遣事業ができるようになっている。
 もう1つ、職業紹介としてやる。ただ、シルバー人材センターが現実に行っている派遣と職業紹介というのは、規定はないですがあくまでも会員に対してやっていることです。したがって派遣といいましても、この会社といろいろ契約して、いろいろな人が行ったりしてやっていたけれども、会社側が「この人来てよ」と言われたときに職業紹介でやっていったりするケースも結構あります。これを現実に全部取っ払ってしまって、派遣とかを主体的にやっていくことも必要なのではないかと言われると、なかなか難しい問題はあります。
 特に国として見ると、昔、キャリ活センターといって、高齢者派遣を推奨している時代がありましたが、今年の3月現在でキャリ活センターはやめています。そこの理由の1つとして、高齢者に対する派遣業務というのが民間のところでかなり普及してきている。そういった中で、国とか行政がそこに関与していくのはいかがなものかと、一歩引いていったという整理があります。今の現状は、そのような形を考えながら高齢者の雇用を進めている。シルバー人材センターも今お話したような形で全部はできるようになっているけれども、基本的には請負でやる。できないものについては就業機会を失わないようにするために、そういう手法を取りながら機会を確保する整理でやっている。何も、派遣だけをやっていく、民間を圧迫するようなことにはならないようにしていかなくてはいけないのが今のやり方です。
○大橋座長 派遣の場合には、どういう形でどういう補助が出るのですか。これは雇用でしょう。
○上田高齢者雇用事業室長 シルバー人材センターのですか。
○大橋座長 はい。
○上田高齢者雇用事業室長 シルバー人材センターは何か補助をしているというわけではなくて、経理上も補助金とは別にしていますが、基本的に届出とかそういった母体として行政としての位置付けというのはありますので、派遣業務を行うに当たって届出だけでできるようになっています。届けた後については、全てほかの業者と同じように研修を受けたり、そういうことはやるようになっています。
○大橋座長 請負の場合には、かなり補助が出ていると聞きますが。
○上田高齢者雇用事業室長 シルバー人材センターの運営に対して、運営に対する補助として、補助金が各センターごとに出ています。最低線ということで出しております。
○大橋座長 もう1つ聞きたいのは派遣ですが、高齢者派遣は大企業が中心に展開されていて、中小企業には余りないのではないかと思いますが、その辺はいかがですか。
○上田高齢者雇用事業室長 難しいですね。高齢者とかと年齢で区切りながらやっている派遣は余りなくて、この間のかい援隊というのはなかなか珍しいケースだと思いますが、基本的には年齢が高い人も普通の派遣業者の中に入って、その業務を行っているケースが多いです。そういった人たちがかなりの割合で占めてきているところがあるということで減らしていったというか、国が直接はやらなくなっていった。いわゆる年齢でやる必要はないのではないかということです。
○大橋座長 一時、高齢者派遣の会社が結構できましたよね。それはだいぶ一般化したということですか。
○上田高齢者雇用事業室長 ここも微妙ですが、はっきりとした数字は持っていないですが、始めたころというのは高齢者派遣は高齢者だけでやってもうまくいかないのではないかというところで、できたけれども結構つぶれていったケースがあるようです。その中が今度は一般的に埋もれていってしまって、一般の中の派遣業務をやっていったときに、結構な割合の高齢者が実際の派遣業務に就いている。そういう中で、網羅できているという判断をしています。
○藤井氏 今のところをどうやるかというのは結構重要なことかと思っています。確かに民業圧迫は困りますが、委員長が質問していただけるかなと思っていたのですが、中小企業に対してニーズに足りているかというと足りていないのではないか。それから、働きたいという65歳以上の人たちに対して届いていないのではないか。本当の実態は分かりませんが、そう思ったときに、そこの部分は特に地域の雇用ですよね。これから丸の内に通うのではなくて、千葉に住んでおられる方は千葉で、地元で働いてくださいというマッチングはもっとやられていないのではないかと考えたときに、地域の仕事として例えば江戸川区は江戸川区がやるときに、どこかにお願いしますと。それはコンペですといったときに、シルバー人材センターと派遣会社がジョイントベンチャーでもやられて、そういった事業をやりますとか、そういう工夫をすればシルバー人材センターがやることに関して民業圧迫にならないと思います。ともかく手の届いていない分野があって、民間だけに任せていると手が届かないので、それもいずれ民間がやるようになったら民業圧迫と言われるかもしれませんが、何か呼び水的なことをシルバー人材センターや地域の力を活用して、派遣という形の労働市場が少し伸びるのではないかという気はします。
○大橋座長 期待されているようですので、よろしくお願いします。ほかにいかがでしょうか。次回は最終案が出てきますので、今のうちに何かお気づきの点があればどうぞ。厚労省ばかりではなくて、ほかの省からも出ていただいているようなので、御発言いただけたらお願いします。文科省はよろしいですか。内閣府の方は高齢社会対策担当ですが、いかがですか、よろしいですか。そのほか、委員の方からありませんか。事務局から何か。
○中山高齢者雇用対策課長 今日、多数頂いた御意見については事務方で整理をして、次回開催についてその前に各委員の先生方に御相談をさせていただきたいと考えております。
 次回のスケジュールは、当初は5月31日に日程を設定していましたが、その後の状況変化等によりまして6月10日の週に延期し、その間事務方でもしっかり調整ができるのではないかということもありまして、その週で現在調整させていただいております。そういった事情ですので御理解を賜りたく思います。
○大橋座長 本日の議事について、議事録を公開しても差し支えないと考えますが、御意見はありますか。よろしいですか。加筆・訂正されても結構です。
 これをもちまして、本日の検討会は終了させていただきます。どうも本日はお忙しい中、ありがとうございました。


(了)

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