2012年11月30日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録
日時
平成24年11月30日(金)15:00~
場所
厚生労働省共用第8会議室
出席者
出席委員(13名)五十音順
加藤総夫、 佐藤 田鶴子、 佐藤 雄一郎、 鈴木邦彦、
手島玲子、 豊見雅文、 野田光彦、 林邦彦、
檜山行雄、 古川漸、 ◎松井陽、○松木則夫、
山田清文
(注) ◎部会長 ○部会長代理
欠席委員(7名)五十音順
木村剛、 千葉勉、 成冨博章、 西澤理、
増井徹、 村田美穂、 本橋伸高
行政機関出席者
平山佳伸 (大臣官房審議官)
赤川治郎 (審査管理課長)
俵木 登美子 (安全対策課長)
矢守隆夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
森和彦 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
三宅真二 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)
加藤総夫、 佐藤 田鶴子、 佐藤 雄一郎、 鈴木邦彦、
手島玲子、 豊見雅文、 野田光彦、 林邦彦、
檜山行雄、 古川漸、 ◎松井陽、○松木則夫、
山田清文
(注) ◎部会長 ○部会長代理
欠席委員(7名)五十音順
木村剛、 千葉勉、 成冨博章、 西澤理、
増井徹、 村田美穂、 本橋伸高
行政機関出席者
平山佳伸 (大臣官房審議官)
赤川治郎 (審査管理課長)
俵木 登美子 (安全対策課長)
矢守隆夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
森和彦 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
三宅真二 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)
議題
1 医薬品ニュープロパッチ 2.25mg、同パッチ4.5mg、同パッチ9mg及び同パッチ13.5mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について
2 医薬品エリキュース錠2.5mg及び同錠5mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について
3 医療用医薬品の再審査結果について
詳細は資料へ
2 医薬品エリキュース錠2.5mg及び同錠5mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について
3 医療用医薬品の再審査結果について
詳細は資料へ
議事
○審査管理課長 定刻になりましたので、「薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会」を開催させていただきます。
本日はお忙しい中御参集いただき、ありがとうございます。
本日の委員の出席についてですが、木村委員、千葉委員、成冨委員、西沢委員、増井委員、村田委員、本橋委員より御欠席との御連絡をいただいております。
現在のところ、鈴木委員が遅れていらっしゃいますが、当部会委員数20名のうち、12名の委員の御出席をいただいていますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。
それでは松井部会長、以後の進行をお願いいたします。
○松井部会長 本日の審議に入ります。まず、事務局から配付資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告してください。
○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。本日、席上に議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布しております。議事次第に記載されている資料1~資料12をあらかじめお送りさせていただいています。このほか、資料13「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料14「専門委員リスト」、資料15「競合品目・競合企業リスト」を配布しております。
続きまして、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて、御報告させていただきます。資料15を御覧ください。
1ページ、「ニュープロパッチ」です。本品目は「パーキンソン病」及び「中等度から高度の特発性レストレスレッグス症候群」を予定効能・効果としており、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
2ページ、「エリキュース錠」です。本品目は「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制」を予定効能・効果としており、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
3ページ、「ライゾデグ注フレックスタッチ」及び「ペンフィル」です。本品目は「インスリン療法が適応となる糖尿病」を予定効能・効果としており、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
4ページ、「アクトネル錠」及び「ベネット錠」です。本品目は「骨粗鬆症」を予定効能・効果としており、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
5ページ、「ホスリボン配合顆粒」です。本品目は「低リン血症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。
6ページ、「コレアジン錠」です。本品目は「ハンチントン病に伴う舞踏運動」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。
7ページ、「ミニリンメルトOD錠」です。本品目は「中枢性尿崩症」を予定効能・効果としており、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
8ページ、「シナカルセト塩酸塩」です。本品目は「副甲状腺癌及び難治性原発性副甲状腺機能亢進症に伴う高カルシウム血症」を予定効能・効果としており、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
9ページ、「BMN110」です。本品目は「ムコ多糖症IVA型」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。以上でございます。
○松井部会長 ありがとうございます。ただ今の説明につきまして、何か御質問はございますか。
よろしいでしょうか。特に御意見がないようでしたら、本部会の競合品目・競合企業リストについて、皆さんの了解を得たものといたします。
それでは委員からの申出状況について報告してください。
○事務局 議題1「ニュープロパッチ」、退室委員なし、議決には参加しない委員、松木委員、山田委員です。
議題2「エリキュース」、退室委員なし、議決には参加しない委員なしです。
議題3「ライゾデグ」、退室委員なし、議決には参加しない委員、野田委員です。
議題4「アクトネル」、退室委員なし、議決には参加しない委員、野田委員です。
議題5「ホリスボン」、退室委員なし、議決には参加しない委員なしです。
議題6「コレアジン」、退室委員なし、議決には参加しない委員なしです。
議題7「ミニリンメルト」、退室委員は野田委員、議決には参加しない委員なしです。
議題8「シナカルセト」、退室委員なし、議決には参加しない委員、野田委員、山田委員です。
議題9「BMN110」、退室委員なし、議決には参加しない委員なしです。以上です。
○松井部会長 ありがとうございます。本日は審議事項9議題、報告事項3議題です。早速、審議事項議題1について、医薬品医療機器総合機構から概要説明をお願いします。
○機構 審議事項議題1、資料1「医薬品ニュープロパッチ2.25mg、同パッチ4.5mg、同パッチ9mg及び同パッチ13.5mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より御説明させていただきます。
まず、審査報告書4ページから御覧ください。本薬の申請効能・効果であるパーキンソン病とレストレスレッグス症候群(RLS)は、いずれもドパミン神経系の機能低下が関与する疾患であり、本薬はドパミン受容体の刺激作用を介して、各疾患への有効性を示すことが期待されます。
本薬は、経口投与では初回通過効果の影響を受けやすい一方、皮膚からの吸収効率が高く経皮投与に適していたこと等から、貼付剤としての開発が進められ、2012年9月の時点で、パーキンソン病の効能・効果に対し、欧米を含む54の国又は地域、RLSの効能・効果に対しては、35の国又は地域で承認されております。
本邦では大塚製薬株式会社により開発され、2011年12月に国内での申請が行われました。
本品目の審査に関して、専門委員として資料14に記載している委員が指名されました。
本品目の審査の概略について、説明させていただきます。なお、本品目につきましては、先ほど申し上げたように、パーキンソン病とRLSという二つの効能が同時に申請されているため、まずパーキンソン病、次にRLSという順に御説明させていただきます。
パーキンソン病の有効性については、審査報告書50ページ「国内L-dopa非併用第II/III相試験」の項を御覧ください。L-dopaを服用していない早期のパーキンソン病患者を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験が実施され、パーキンソン病患者の日常生活動作の障害の程度を評価するUPDRS partIIのスコアと、同じくパーキンソン病患者における運動能力障害の程度を評価するUPDRS partIIIのスコアの合計点の変化量が、主要評価項目として評価されました。結果は審査報告書51ページ表P4に示していますとおり、投与12週後の変化量において、プラセボに対する本剤の優越性が示されました。
同じく、審査報告書51ページ下段「国内L-dopa併用第III相試験」の項を御覧ください。本試験では、プラセボに加え、既承認のドパミンアゴニストであるロピニロールを対照群とし、二重盲検並行群間比較試験として実施されました。本試験の主要評価項目は、UPDRS partIII合計点の変化量とされ、結果は53ページ表P6にお示ししています。本試験において、プラセボ群に対する本薬群の優越性が認められ、また、既承認のロピニロール群に対する本剤群の非劣性が確認されました。
以上の成績から、L-dopa非併用の早期パーキンソン病患者及び、L-dopaを併用している進行期のパーキンソン病患者いずれにおいても本剤の有効性が示され、またその有効性はロピニロールに劣らないものが期待できると判断しました。
安全性については、審査報告書51ページ表P5及び53ページ表P7を御覧ください。各臨床試験において、プラセボ群と比べて、悪心・嘔吐、傾眠といったドパミンアゴニストで特徴的な有害事象が多く認められましたが、表P7にお示ししますように、ロピニロール群と比較して、本剤群でこれらの事象が特に発現率が高くなるという傾向は認められませんでした。
また、プラセボ群やロピニロール群と比べて、適用部位反応の発現が本剤群で多く認められましたが、これらの事象の多くは軽度から中等度であり、投与の継続は可能であったこと、適用部位反応により投与中止に至った症例では、全例が中止後に回復が確認されていること等から、許容可能なリスクであると判断いたしました。しかしながら、本剤群の適用部位の有害事象の発現率は明らかにプラセボ群より多く、本剤の有効成分に起因すると考えられることから、皮膚障害を避けるための使用方法として、添付文書の「用法・用量に関連する使用上の注意(1)」の記載や、添付文書2ページ「重要な基本的注意(7)」に記載しているように、同一の部位に連続して貼らないことや、皮膚症状が表れたら適切な対応をとることという注意喚起が必要と考えます。
以上より、添付文書の注意等に基づき適正に使用されれば、承認の可否に影響するような重大な懸念は認められないと判断しました。
本剤のパーキンソン病治療における臨床的位置付けについて、説明させていただきます。審査報告書58ページの中段を御覧ください。本剤はパーキンソン病患者に対して、既存のドパミンアゴニストと同様の有効性が期待できることから、既存のドパミンアゴニストと同じ臨床的位置付けで、新たな治療選択肢として使用可能な薬剤であると考えます。また、貼付剤である本剤は、経口製剤が服用困難な患者への投与が容易になるというメリットも期待できることから、臨床現場に本剤を提供する意義があり、効能・効果は「パーキンソン病」とすることが適当と判断しました。
本剤の用法・用量については、審査報告書67ページからの「用法・用量について」の項を御覧ください。67ページから69ページにかけて、申請用法・用量の妥当性が検討されております。基本的にパーキンソン病患者を対象とした国内臨床試験は、いずれも4.5mgから投与を開始し、36mgを上限として1週間ごとに4.5mgずつ漸増するという方法で実施され、その用法・用量において有効性及び安全性が確認されたことから、申請時用法の開始用量、漸増方法及び最大用量は妥当と判断しました。
また、本剤の貼付部位について、申請時用法・用量の貼付部位と、国内臨床試験で設定された貼付部位は同一のものが採用されており、それらの貼付部位において使用した際の有効性及び安全性が確認され、また試験において、剥がし忘れなどに起因する問題も認められなかったことなどから、貼付部位は申請時のとおり、腹部、側腹部、上腕部、肩、大腿部及び臀部の6箇所を含めることが妥当と判断しました。
なお、本剤は先ほど申し上げたように、皮膚刺激を避けるために、投与箇所を毎回変更する必要があることから、前日貼付したパッチを剥がし忘れ、そのまま本剤が投与されることのないよう、添付文書の「重要な基本的注意(8)」で注意喚起するとともに、患者向けの「お薬カレンダー」なども活用して、前日どの部位に貼付し、またその前日のパッチを新しいパッチを貼る前に剥がしたかというチェックをする欄を設けるなどして、剥がし忘れ回避のための方策を徹底するよう申請者に指示しました。
製造販売後調査について、審査報告書71ページを御覧ください。パーキンソン病の使用成績調査においては、使用実態下における長期投与時の安全性・有効性を確認することを目的とした調査を実施し、本剤の投与状況、ドパミン受容体作動薬に特徴的な副作用及び適用部位反応の発現状況等について、情報収集を行う予定です。また、審査報告書102ページに記載されておりますように、パーキンソン病の運動症状の日内変動に対する本剤の影響を調査するため、別途、特定使用成績調査も実施する予定です。ここまでがパーキンソン病の説明となります。
次にRLSにおける有効性及び安全性について、説明させていただきます。まず有効性について、審査報告書75ページ表R3を御覧ください。国内第III相試験として、特発性RLS患者を対象とした無作為化二重盲検並行群間比較試験が実施されました。主要評価項目である最終評価時におけるIRLS合計スコア(こちらのスコアはRLS症状をスコア化したものとなります)のこちらのベースラインからの変化量について、4.5mg群及び6.75mg群ともに、プラセボとの差95%信頼区間上限がゼロを下回り、プラセボ群に対する本剤の優越性が示されました。また、77ページの表R5にお示ししますように、国内継続長期投与試験の投与52週後においても、ベースラインと比較してIRLS合計スコアの減少は維持されていました。
次に安全性について、審査報告書84ページ表R13を御覧ください。パーキンソン病と比較すると、特発性RLSでは悪心が高頻度に認められました。その悪心について検討した結果ですが、94ページ表R25を御覧ください。こちらは国内臨床試験で投与1週目における消化器系有害事象の発現状況を示しておりますが、開始用量を2.25mgとした国内第III相試験における消化器系有害事象の発現割合が比較的低かったことから、この結果を踏まえ、十分に消化器症状に注意をする必要はあるものの、開始用量を2.25mgとすることによって、これらの事象の発現リスクを軽減することは可能と判断しました。また、RLSでは、ドパミンアゴニストに起因すると考えられるRLS症状の悪化及び発現時期が早期化するというaugmentationという特有の事象が報告されています。審査報告書89ページ表R20及び表R21を御覧ください。こちらは国内外の継続長期投与試験におけるaugmentationの発現状況を示していますが、継続投与期間を5年とした海外試験の9.0mg群において多く発現し、また初回発現までの期間も短いという傾向が認められました。9.0mgは本邦におけるRLSの臨床用量ではありませんが、患者の状態を慎重に観察しながら、可能な限り低用量を投与することが必要と考えております。
また、そのほかの有害事象として、頭痛、傾眠、浮動性めまいなどの発現が認められていますが、いずれも軽度又は中等度であり、現時点で臨床的に大きな問題となる可能性は低いと考えております。なお、製造販売後調査につきましては、審査報告書104ページに記載していますように、RLS患者を対象とした調査をパーキンソン病の調査とは別途実施し、使用実態下における安全性と有効性を調査する予定です。
以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会において御審議いただくことが適当であると判断しました。原薬及び製剤はいずれも劇薬に該当し、生物由来製品又は特定生物由来製品には該当せず、再審査期間は8年であることが適当と判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。
また、事前に豊見委員と檜山委員より御質問をいただいておりますので、この場でその御質問についても御説明させていただきます。
まず豊見委員より、審査報告書70ページに記載されている、用法・用量に関連する使用上の注意の記載になりますが、こちらはもともと申請時、「14日間以内に同一箇所への貼付は避けること」という記載を、審査の過程において「連続して同じ場所に貼付しない旨」に変更したことについて、添付文書ではこの注意の理由を「皮膚刺激を避けるため」となっており、目に見える皮膚反応さえなければ2箇所交互に貼り替えてもいいように読める。当初の「14日間以内に・・」の記載の趣旨は吸収が高まり過ぎる可能性を懸念してのことではないかという御指摘をいただきました。
御指摘のとおり、この注意喚起には、皮膚刺激を避けるということに加えて、貼付剤の連続投与により皮膚のバリアー機能が低下した場合、血中濃度増加のリスクがあるため、それを避ける目的もあると考えております。ただ、ヒトに本剤を同一部位に連続して貼付したとき、あるいは2箇所交互に連続して投与したときの血中濃度の変化を検討した明確なデータというものが、今回得られておりませんが、一方で、貼付部位を腹部の内側又は外側の2箇所だけとした反復投与試験や、「前日の貼付部位とは違う部位に貼付する」という規定のみで実施された国内臨床試験では、特に反復投与による血中濃度の上昇を示唆するような問題は認められていなかったことから、正常な皮膚であれば交互の投与も可能ではないかと推察されます。ただし、基本的にはより多くの投与可能な箇所がある場合は、潜在的なリスクを回避するためにも、患者の状況に応じてできるだけ多くの投与箇所を使ってローテーションして貼り替えをしていただくことが望ましいと考えておりますので、投与箇所のローテーションの方法や考え方については、先ほども御説明した患者向けの資材の「お薬カレンダー」やそのほかの情報提供資材も用いて適正使用に努めるよう、こちらも企業に指示したいと思います。
また、もう1点、豊見委員より、こちらは申請企業への御要望という形で、本剤は1週間ごとに増量していくことから、低用量のパッチは普通1人7枚しか使用されないこととなり、そういった使われ方を考慮すると、今回の最低包装が1箱70枚というのは大きすぎるのではないかという御指摘もいただきました。
この点については、まず、本剤は仮に箱を開けた場合でも、製剤見本にもお示ししていますように、1枚ごとにパウチ包装されているため、この時点での安定性は確認されていると考えます。また、パーキンソン病の効能と違って、RLSの効能では、維持用量が4.5~6.75mgと、低用量の製剤も維持用量として使われることになるので、一概に最低包装が今の時点で大きすぎるとも言えないと考えますが、御指摘いただいた点は企業にも伝達させていただきます。
続いて、檜山委員より2点御質問いただいております。まず、安定性試験の試験項目となっていた結晶化率について、結晶の析出が認められた場合はどの程度の値を示すのか。また、本剤で結晶化が認められた場合は、どの程度放出性が低下するのかという御質問をいただいております。
1点目について、今回資料中に提出された安定性試験では、全て結晶の析出を抑えるための□□工程が実施された市販予定製剤が用いられており、いずれのロットでも結晶化が認められなかったため、今回提出されたデータでは、結晶化率はゼロとなっております。したがいまして、市販予定製剤の結晶の析出が認められた場合の結晶化率というものが、恒常的に結晶化が基本的に起こらないよう管理されているため、今回提出されたデータからは不明となっております。
2点目の結晶化した場合の放出性の低下がどの程度かという点についても、先ほど御説明したように、本剤では結晶化は認められなかったため、本剤が結晶化した場合に、実際にどの程度放出性が低下するかを検討したデータは提出されておりませんでした。そこで、参考として海外製剤を用いた検討ですが、こちらで結晶が析出した場合の検討結果を企業に確認しましたところ、結晶化率が□%となった場合に、放出率が約□%低下する傾向があるということが確認されております。以上となります。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○松井部会長 貼付剤をパーキンソン病又はRLSに用いた場合についての話題でした。この貼付剤は、13.5mgのものは思ったよりもかなり大きいものだということに御注目いただきたいと思いますが、まず豊見委員、御質問に対していかがでしょうか。
○豊見委員 結構です。
○松井部会長 檜山委員はいかがでしょうか。
○檜山委員 結構です。
○松井部会長 それでは、そのほかの点につきまして、御質疑をお願いします。
○佐藤(田)委員 投与開始して臨床的な効果があるというのは、先ほどの50ページにあるように、UPDRS partII、partIIIの合計点のスコアなどを臨床的にはどのようにチェックされるのでしょうか。例えば何カ月に1回投与してなどがあると思いますが、どのように行うのでしょうか。また、それを行った際に、臨床症状も軽快してきた場合、エンドポイントは、あくまでも投与する主治医の判定で決めるのだと思います。そうなったときに、この薬は漸減して止めていかなければいけないので、貼った状態で1日置きなどの状況をチェックをして、よければ止めていくというので、その残りの効果がある時期でチェックをしていることになると思うので、小さなオーバーラップかもしれませんが、その辺の判定はどのように考えたらいいのでしょうか。
○松井部会長 二つの御質問があったと思いますが、いかがでしょうか。
○機構 まず、UPDRS partIIやpartIIIの評価を具体的にどう行っているかということで、試験での評価頻度は、恐らく4週ごと、あるいはそれより少し開けた間隔で、最終的に一旦の評価は12週後あるいは16週後に行われていて、また、その評価の方法としては、例えばUPDRS partIIですと、会話や嚥下状態、着衣、入浴、歩行などといった確認項目があって、それぞれ患者にインタビューを行ってスコアを付け、そのスコアが高得点になるほど症状が重いということになります。partIIIも同じように、いくつかの運動機能症状に関する項目に、そういった質問を基に、あるいは実際に患者の状態を見てスコアを付けていって評価しているという現状です。
増量の基準については、御指摘のように、基本的には医師が患者の状態を判断して、例えば臨床試験では増量によってこれ以上効果が得られないと思われた場合、あるいはパーキンソン病の症状がほとんど消失してしまって、これ以上増量が必要でないと判断された場合などが、その時点の用量で一旦維持するという形になっています。
○松井部会長 漸減をしていく場合についての質問ですよ。
○機構 漸減につきましては、御指摘のように、添付文書ですと用法・用量に関連する使用上の注意にも書かれておりますが、悪性症候群などを防ぐために、1日4.5mgずつ減らしていって、基本的にゼロにする形になっております。基本的に、投与を中止するかどうかというのは、恐らくどちらかというと、症状が消えたからといって投与をやめるわけではなくて、投与をしているからこそ症状が抑えられているので、副作用が出たときに、そういったやめるという判断がなされると思われます。ですので、その症状が消えるかどうかを確認しつつ、1日置きに貼った状態で評価をして、最終的にはやめるという判断がなされると思います。
○佐藤(田)委員 やり方は分かりましたが、現実的には、恐らくエンドポイントは、ずっと維持量で続けて投与するということになりそうですか。
○機構 進行性の疾患ですので、基本的には投与し続けていただくことになると思います。
○佐藤(田)委員 分かりました。
○松井部会長 ほかにいかがでしょうか。
○加藤委員 RLSのaugmentationのことについてお尋ねします。augmentationの可能性があるということが報告されていますが、まず一つは、観察をしてaugmentationが見いだされたときには減量若しくは中止をするようにと書いてあるのですが、一つまず伺いたいのは、このaugmentationというのは、減量を中止したときに改善されるという可能性があるのかどうか、それに関してのエビデンスがあるのかどうかを伺いたいです。というのは、この症状をもって病院にかかって、資料によると半年ぐらい連続して投与された後にやっとaugmentationが出てくるというと、医療に対する信頼関係という面でも、それで悪化するということは非常にまずいことだと思いますし、そのときに中止あるいは減量したときに、戻るのか戻らないのかということについてエビデンスがないと、患者としても非常に不安だと思うのですが、これについてエビデンスがあれば教えていただきたいと思います。
それから、多様なaugmentation、例えば発現時間が徐々に早期化するとか、ほかの部位も出てくるとか、多様な発現様式があるようですので、それをどうやって患者の申出で捉えていくのかということに対して、体制はどうなっているか。この2点を伺いたいと思います。
○機構 まず、augmentationを中止すれば寛解するのかどうかというところは、本剤の臨床試験の中で、明確にそういったところまでの評価はされておりません。ただ、審査報告書にも書いておりますように、海外臨床試験において認められたもので、5年間というかなり長期で、用量自体もかなり高用量のところで発現しているものでして、日本では推奨用量は低用量のところで維持していくように、それからaugmentationの発現に関しては、事前にきちんと患者に説明をした上で、慎重に増量するようにということで注意喚起をしますので、発現する可能性というのは、恐らくそれほど高くないのではないかということは、現時点で推測はしております。
○加藤委員 そうすると、用量は抑えているので海外の試験よりも可能性は低いということで、発現する可能性は低いとは言いながら、一応、添付文書の「重要な基本的な注意」で、augmentationが起こることがあると書いてあった場合に、患者としては、治療するつもりで来院したところ、「これを貼っていたところ急に増悪したと、そのときに、それをやめれば戻るかどうかも分からない」という状態で、この薬を始めましょうと言われるのは、たとえ用量的にほとんど起きないと言われても、不安な面がかなりあり、治療に対する不信感を抱かれるのではないかと思います。その辺はエビデンスをもってきちんと説明するなり、そういうリスクをふまえた上で、治療を受けていただくということを説明して納得していただくとか、何かそういうことが必要かと思います。
○松井部会長 いかがでしょうか、先ほどエビデンスはないと言われたのですか。
○機構 こちらの薬剤を中止したときに、augmentationが消えるという明確な臨床試験のようなものはないのですが、一般にレストレスレッグスの治療の中でaugmentationに関しては、臨床的意義のあるaugmentationが起きた場合に、薬剤を変更するといった治療アルゴリズムが存在しまして、それを医療現場に対する資材の中では適切に情報提供をさせていただく予定としております。それで、基本的にはaugmentationは患者の方で懸念されるような場合には、医師の方でそういった適切な処置が行われると考えております。
○加藤委員 それは十分に説明して、医師と患者の間の信頼関係を損なわないように、納得していただいた上で治療を進められるような情報提供が必要だと思いますので、よろしくお願いします。後、できればエビデンスを集められるようにした方がよろしいのではないかと思います。
○機構 引き続き情報に関しては収集するように、申請者に伝えたいと思います。
○松井部会長 ありがとうございます。他にございますか。
○手島委員 パーキンソン病の有害事象の件で1点お尋ねします。53ページ表P7にありますように、この薬物を投与した場合に適用部位反応が高いという報告がありました。こういう皮膚に貼るパッチ剤の場合に皮膚反応が起きるというのは気になるのですが、こういう適用部位反応の中で、感作性によって引き起こされている症例というのは、ほとんどないと考えてよろしいでしょうか。また、市販後調査では、適用部位反応について調査するとあるのですが、感作性についても調査をされるということはございますか。
○機構 基本的に、試験で認められた適用部位反応はほとんど軽度で、かゆみ、異常感、少し赤みがかるという、貼付部位の変色というもので、感作性については毒性試験で検討されておりまして、否定されていると考えます。適用部位反応については、製造販売後調査においても、発現状況や、投与量、面積が多く貼られた方が発現が大きくなるのかといった関係も、まだ現時点では明らかにはなっておりませんので、投与量と適用部位反応の発現状況といった情報も、製造販売後調査では収集する予定です。
○松井部会長 よろしいですか。他にはいかがですか。
○松木部会長代理 副作用の表記方法なのですが、注目すべき有害事象というところは、審査報告書だと例数だけになるのですが、例えば54ページの上の部分や、ほかのところも注目すべき有害事象になると例数だけで、ほかは全部パーセントが書いてあるのですが、これは何か意味のある書き方なのですか。
○機構 こちらについては、少し分かりにくい書き方で申し訳ございません。母数が前のページに書かれているので、記載をクリアにするために、こちらでは例数のみを記載しておりましたが、情報の正確性を期すという点では、パーセントでも記載すべきであったとも考えます。申し訳ございません。
○松木部会長代理 そうすると、3行目のところですが、幻覚・妄想等は18例と書いてあって、例数が前のページのものだとすると、有害事象は5%以上のものになると思うのですが、P7にはそれが載っていないのはなぜですか。53ページの「いずれかの群で発現割合が5%以上であった有害事象」というのに相当すると思うのですが。
○機構 こちらの18例というのは、幻覚・妄想という個別の有害事象ではなくて、複数のそれに類する有害事象の合計となっておりますので、そういった事象を合計すると18例ということになります。表に示している個別有害事象になりますと、また若干その発現率というものは変化してきますので、若干こういった食い違いが出てきます。
○松木部会長代理 いや、これが幾つの複合なのかよく分からないけれども、9例と9例でも、両方とも5%以上になると思うのですが。55ページの中程の11例というのも、5%には該当しないということで、前の表には載ってこないということですか。
○機構 個別有害事象ベースでは、少なくとも5%以上の発現は確認されておりません。
○松木部会長代理 更に聞くと、これが一番聞きたかったところなのですが、58ページの中程の「注目すべき有害事象」で、突発的睡眠が7例になっています。これは5%にはなっていないのですが、添付文書2ページ4.副作用の「(1)重大な副作用」のところに、突発的睡眠は1%未満となっているのです。これはどの値を取っているのかがよく分からないのですが、この値を使うなら1%未満ということは言えないと思うので、どういう値で出てきているのかがよく分からないです。
○機構 7例のところは、母数が320例ですので、恐らく7例では5%以上には該当しないと思います。
○松木部会長代理 5%はいいのですが、添付文書の副作用の1%未満のところです。
○機構 そちらは、安全性評価対象となった臨床試験全てを合計とした母数の中で、突発的睡眠がみられた事象の計算ということになっておりますので、その場合ですと1%未満という計算になります。
○松木部会長代理 全部をトータルしてということですか。それでいいのですか。
○松井部会長 今までの表示も、そういうやり方をしてきたということですね。
○機構 基本的にはその患者を対象とした、短期間のプラセボ対照試験、あるいは長期投与試験を含めてということです。
○松井部会長 よろしいですか。他にござませんか。
ないようでしたら議決に入ります。松木委員、山田委員におかれましては利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮ください。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。
ありがとうございます。承認を「可」として、薬事分科会に報告いたします。議題2に移ります。お願いします。
○機構 審議事項議題2、資料2「医薬品エリキュース錠2.5mg及び同錠5mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
審査報告書3ページを御覧ください。本剤の有効成分アピキサバンは、米国ブリストル・マイヤーズ スクイブ社が創製した活性型血液凝固第X因子(Xa)阻害薬であり、Xaを選択的かつ可逆的に阻害することにより血栓形成を阻害する、経口投与可能な薬剤です。
本邦では、2006年より本薬の臨床開発が開始され、今般、日本も参加した国際共同第III相試験の成績を主要な根拠として製造販売承認申請されました。なお、本剤は、海外において「股関節全置換術、膝関節全置換術施行患者における静脈血栓症の発症抑制」の効能・効果で既に承認されております。今回の申請効能・効果については、2011年9月に米国及び欧州で承認申請されており、先週、欧州で承認されたとの情報を得ております。
本品目の審査に関して、専門委員として資料14に記載されている委員が指名されました。
審査の概略について、国際共同第III相試験の成績を中心に御説明します。審査報告書53ページ下を御覧ください。国内外の非弁膜症性心房細動患者18,201例を対象とした国際共同第III相試験は、有効性についてワルファリンに対する本薬の非劣性を検証することを目的とした二重盲検並行群間比較試験です。
本薬の用法・用量は、通常用量が5mg、1日2回とされ、80歳以上、体重60kg以下、血清クレアチニン1.5mg/dL以上の三つの条件のうち二つ以上に該当する患者は、2.5mg、1日2回とされました。ワルファリンは、各地域の投与実態に沿って基本的にPT-INRが2.0~3.0となるように投与量が調節され、70歳以上の日本人患者では2.0~2.6となるように投与量が調節されました。
有効性について御説明します。審査報告書56ページ、図3を御覧ください。有効性の主要評価項目は、脳卒中又は全身性塞栓症の初発までの期間とされ、これら複合イベントの累積発現率をKaplan-Meier曲線で示すと、図3のとおりでした。複合イベントの発現率は、試験全体では本薬群で1.27%/年、ワルファリン群で1.60%/年であり、本薬のワルファリンに対する非劣性が検証されました。
次に、安全性について御説明します。審査報告書57ページ、表14を御覧ください。安全性の主要評価項目は、国際血栓止血学会(ISTH)基準による大出血の初発までの期間とされ、初発までの期間も考慮した発現率は、試験全体では本薬群で2.13%/年、ワルファリン群で3.09%/年でした。
本試験における日本人部分集団の成績について御説明します。有効性の成績については、審査報告書61ページの上、表18を御覧ください。本試験に組み入れられた日本人症例数は336例と非常に限られており、試験全体の成績との類似性を判断するのは限界があるものの、得られた成績の範囲内では、有効性評価項目などについて、本薬群とワルファリン群の関係という視点からは、試験全体と日本人部分集団の成績に大きな齟齬は認められず、試験全体で認められた成績と矛盾しない本薬の有効性は、日本人においても期待できるものと判断しました。出血の発現頻度については、審査報告書61ページ表19を御覧ください。こちらについても、出血性イベントについて本薬群とワルファリン群との関係という視点からは大きな齟齬は認められず、本薬の安全性が日本人で特別劣るようなことはないと判断しました。
以上の試験成績より、本薬が日本人非弁膜症性心房細動患者における脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制に用いる抗凝固薬の選択肢の一つとなる可能性は示されているものと判断しました。
効能・効果については、審査報告書98ページ「(2)本薬の効能・効果及び投与対象について」を御覧ください。本剤の効能・効果は、既承認の類薬であるプラザキサカプセルやイグザレルト錠と同じく、「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制」とすることが妥当と判断しました。
審査報告書100ページ「1)出血について」を御覧ください。本薬による出血リスクに関連して、本薬投与開始後は診察時に各種の出血の症状の発現に配慮した定期的な診察・検査等を行うことが重要であり、出血が発現した場合は、本薬の投薬を中止する等の速やかな対応が必要であると判断しました。また、本薬の薬効をモニタリングする適切な指標がなく、抗凝固作用を中和する薬剤もないことに十分留意して、例えば、出血リスクが非常に高い患者では本剤を選択しないといった選択も考慮することを含め、本剤の投与対象を適切に選択する必要があることを医療現場に周知徹底することが重要と考えました。
製造販売後の調査計画等については、審査報告書103ページ「(6)製造販売後調査等について」を御覧ください。
製造販売後調査において、使用実態下における出血関連有害事象全体の発現率とともに、事象の内訳や重症度、投与量及びリスクとなる背景因子との関係を検討できる情報を収集する必要があると考えました。また、低用量投与患者での背景因子、安全性及び有効性に関する情報、腎機能障害患者、高齢患者、低体重患者、抗血小板薬併用患者における安全性に関する情報、本剤の中止時や他の抗凝固薬との切替え時の安全性及び有効性に関する情報を収集する必要があると考えました。申請者は、これらの情報を収集するために調査予定例数を5,500例とし、このうち低用量投与患者を1,000例確保するという特定使用成績調査を計画しており、申請者の方針は妥当と判断しました。
以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会において御審議いただくことが適当であると判断しました。本剤の再審査期間は8年とすることが適当であると判断しております。また、原体及び製剤は毒薬又は劇薬に該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。また、薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質疑をお願いします。
○佐藤(田)委員 「本薬の安全性について」のところで、出血についてお伺いします。私の専門分野は歯科・口腔外科ですので、投与する側ではなく、使っている患者が来られます。多職種連携でそういう情報が入ってきて、そちらを理解した上で抜歯などが行われれば良いのですが、抜歯に限らず、局所麻酔をして神経を抜く、生活歯髄切断とか抜髄という処置をすることもあります。それは局所麻酔をすると、その部分は止血していますが、神経を抜くと、小さな穴ですが、そこからの出血が、どんなに蓋をしても止まらないという状況が起こるのです。そのような処置、抜歯や歯科での局所の出血に対して、ここの添付文書を見ると、こういう書きぶりが当たり前になっています。私は以前この薬が膝関節の交換手術の後に使われていたことを失念していたので、そのときの添付文書がどうだったか分からないのですが、添付文書2ページに書かれているように、ワルファリンはINR値を調べてこのぐらいだから大丈夫ということで対応できるのですが、この薬についてはINR値も指標にならないということで、あくまでも局所の出血状況によって状態を見るという判定ですね。そうなると、2.重要な基本的注意の「(9)待機的手術・侵襲的手術を実施する患者では」、とありますが、抜歯なり出血をするような処置をするときには、このようにしてほしいということを患者にもよく理解させて、別な説明書を持たせるといったことをしていただいた方が安全ではないかと思います。ワルファリンについては、どの程度でやれるというところまでのガイドラインができてきたのですが、こういう薬についてはINR値が指標にもならないので、歯科に限ったことではなく、別科の小手術もあるかと思いますが、その辺の注意点を多職種連携で、主治医でない方の所での出血の見方ということがありますので、何か工夫していただけるのかというところを、お答えいただきたいと思います。
○機構 下肢手術での適応ですが、これは欧州でのみ承認されておりますので、まだ本邦では承認されておりません。本邦では、こちらの適応症が初めてです。
佐藤先生より御指摘いただいた手術のことですが、添付文書の記載ですと、どうしてもこのような形にはなってしまうのですが、患者への情報提供資材ということで、特に歯の治療や手術のときに、本剤を服用している患者はどうしても出血が止まりにくくなってしまうということがあるので、その場合には十分担当医師に相談するようにという情報提供資材も配ることを予定しておりますので、そちらで患者へ情報を差し上げて、その患者でそういったことが起きた場合には、必ず担当の医師の先生方に相談するようにということをお伝えするような形にはしております。
○佐藤(田)委員 追加ですが、そのときに待機治療というか、止めておいて行うときに、逆に塞栓が起こってはいけないということで、ヘパリン療法の準備もしなさいと、こうなると、一般の歯科臨床医では行えないので、それについての併記も歯科医療担当者に全般的に流していただかないと、患者が増えるのか使用が増えるのか分かりませんが、かなり広がっていくように思います。その辺は、事前に注意をお願いしたいと思います。
○機構 今、御指摘いただいた点については申請者にも指導して、提供できる資材等もより良い情報提供になるように、こちらも指導させていただきたいと思います。
○松井部会長 他にはいかがでしょうか。
○山田委員 添付文書(案)について質問します。国際共同治験の結果、やり方によってこのように決まったと思いますが、80歳以上、体重60kg以下、クレアチニン量が1.5mg/dL以上では1日2回投与ということですが、ほかのところではクレアチニンクリアランスで注意をするようにと書いてあるのに、ここだけそのように書いてあると、臨床では非常に分かりにくいかと思います。類薬のリバーロキサバンでは、常にクレアチニンクリアランスと書いてあって、しかももう少し丁寧に書いてあるような気がします。例えば、本剤の使用上の注意では、クレアチニンクリアランスと書いてありますが、15~50mLの場合には注意するようにと、慎重投与ということだけで特に指示がないのです。類薬の場合には、どうしても必要ならこうしなさいということがもう少し丁寧に書いてあるかと思います。これは、過量投与になった場合の対処がないとか、そういうことから非常に重要ではないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
○機構 ただ今御指摘いただいた点について、今回の減量投与の規定については、国際共同試験で規定された方法として、体重と年齢と血清クレアチニンの値の三つのうち二つが該当する患者で減量投与と規定されてしまったので、これ以外の方法で減量するといった場合に、逆に有効性が担保できるのかという問題点もありますので、今こちらから推奨できる方法としては、添付文書に記載した方法で検討していただくことになるかと思います。
慎重投与ついては、こちらもクレアチニンクリアランスでやっているのですが、クレアチニンクリアランスで腎機能を分けたときの評価が出てきて、その中で一つだけであれば減量投与はしなくても、有効性・安全性のリスク・ベネフィットのバランスから投与はできそうだということは分かりますが、潜在的にどうしても出血のリスクが高いと考えられるので、慎重投与の形でさせていただいております。こちらから、例えばこの人であれば2.5mgというほかの用法・用量を推奨することができないので、今のところこういった記載としております。
○山田委員 もう少しどうしたらいいかということまで書いてあると、過量投与になった場合の拮抗薬がないということは、使う所では非常に不安があるかと感じます。特に類薬ではそういうことがもう少ししっかり書いてあるものですから、その点が少し気になりました。
もう一つ、類薬のリバーロキサバンには、潰瘍性消化管障害がある場合には適切な予防措置をとることとありますが、出血のことを考慮してかと思いますが、その点が本剤にはありません。それは、臨床試験でなかったから書かなくてもよいということなのでしょうか。
○機構 御指摘のありましたリバーロキサバンについては、用法・用量に関連する使用上の注意に「減量投与を考慮する」とありますが、こちらの試験においても腎機能障害のある患者は1日1回減量するということで、減量投与の規定の範囲がリバーロキサバンと本剤では違うので、本剤は本剤の試験でやった規定を書かせていただいております。
もう一つの消化管出血についてですが、もともと出血が起こった際に適切な処置をしてほしいということについては、添付文書(案)3ページ、2.重要な基本的注意の(1)に、ひどく出血が起きた際の注意喚起についても記載しています。消化管出血についても、例えばプラザキサですと明らかに多かったということですし、イグザレルトもやや多かったということもありますが、本薬の場合そこまで顕著ではなかったので、その辺の差もあって記載もそれぞれの注意喚起に合わせたものになっております。
○松井部会長 先ほど山田先生が御指摘のクレアチニンクリアランスに関しては、血清クレアチニン1.5mg/dL以上あった場合には、主治医は当然クリアランスを出さなければいけないことになるのだと思います。
○山田委員 他剤のときには、例えば2.5mg以上にしなさいぐらいまで書いてありましたので、その辺がもう少し明確になっているといいかと思いました。
○松井部会長 私も、もっともだと思います。ほかにありませんか。
それでは、議決に入ります。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議ありませんか。
御異議ないものと認めて、承認を「可」とし、薬事分科会に報告します。議題3に移ります。
○機構 審議事項議題3、資料3「医薬品ライゾデク配合注フレックスタッチ及び同配合注ペンフィルの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び毒薬又は劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
本剤は、持効型インスリンアナログであるインスリン デグルデク(遺伝子組換え)と超速効型インスリンアナログであるインスリン アスパルト(遺伝子組換え)が、7対3のモル比で配合された注射剤です。有効成分の一つであるインスリン デグルデク(遺伝子組換え)については、本年9月に本邦で承認されております。持効性を示す機序は、投与後に皮下組織で6量体が多数連なった構造として存在し、単量体が徐々に解離することで、投与部位から緩徐にかつ持続的に血中に吸収されることによります。もう一つの有効成分であるインスリン アスパルト(遺伝子組換え)については、2001年10月に本邦で承認されております。速効性を示す機序は、2量体形成を阻害する性質を有することにより、投与後、皮下組織において6量体から単量体へと解離して、速やかに血中に移行することによります。
本邦においては、超速効型画分の比率が本剤と同程度の混合型インスリンアナログとして、ノボラピッド30ミックス注が2003年8月に、ヒューマログミックス25注が2003年3月に承認されております。
本剤については、2012年10月現在、欧州、米国及びその他10か国で審査中です。
本品目の専門協議では、資料14に示す先生方を専門委員として指名させていただいております。
以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に御説明します。
有効性については、審査報告書40ページ表40を御覧ください。2型糖尿病患者を対象に、本剤を1日2回投与した国際共同第III相試験である3597試験において、主要評価項目とされたHbA1c変化量について、BIAsp30群と表記したノボラピッド30ミックス注群に対する本剤群の非劣性が示されました。次に、45ページ表47を御覧ください。2型糖尿病患者を対象に、本剤を1日1回投与した国内第III相試験である3896試験においても、主要評価項目とされたHbA1c変化量について、グラルギン群に対する本剤群の非劣性が示されました。
安全性については、3597試験及び3896試験における有害事象及び副作用の発現状況、58ページ~69ページに記載しましたように、低血糖、アレルギー反応、注射部位反応、新生物、心血管系リスク、抗体産生等について検討した結果から、本剤の安全性は許容可能と判断しました。
製造販売後調査については、88ページ「(5)製造販売後調査について」を御覧ください。低血糖症、注射部位反応等の安全性に関する情報や1型糖尿病患者における安全性及び有効性、他のインスリンから本剤への切替え時の安全性及び有効性に関する情報が収集される予定です。
以上のとおり、機構での審査の結果、「インスリン療法が適応となる糖尿病」を効能・効果として、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断しました。本剤の再審査期間については、インスリン デグルデク(遺伝子組換え)を有効成分とするトレシーバ注の再審査期間と合致するよう、トレシーバ注の残余期間とすることが適当であると判断しております。なお、原体及び製剤ともに劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございます。委員の先生方から御質疑をお願いいたします。
○野田委員 この薬剤の添付文書の効能・効果ですが、今、御説明があったように、インスリン療法が適応となる糖尿病ということです。御承知のように、糖尿病には2型、1型があるわけですが、1型に関しての記載を添付文書で見ると、5ページの3-1に、本剤の1日1回食直前投与に加え、他の2回の食事の直前にノボラピッド注を投与する投与方法を検証したという記載があります。
基本的にこの添付文書の記載は、審査報告書73ページの上から3行目にある「1型糖尿病患者におけるBasal-Bolus療法又は混合型インスリンから本配合剤1日1回投与とアスパルト1日2回併用への切替えにおいて安全性上の懸念は見られなかった」という記載をベースに書かれています。そして、その段落の最後にあるように、Basal-Bolus療法を実施中の患者で、本配合剤の1日2回投与又は本配合剤1日2回とアスパルトの併用投与に切り替えることは、臨床試験において検討を行っていないことから、1日2回への切替えは推奨できないということになるわけです。それを受けて機構のほうでも、2段落目の5行目に「Basal-Bolus療法を実施中の患者に対する1日2回投与への切替えを推奨しない旨は適切と考える」と書いていますが、このことが添付文書に反映されていないと思います。私も糖尿病の方を多く診ていますが、1型の場合は基本的にBasal-Bolusなので、この点を反映して、1型あるいはインスリン依存状態にある患者では、原則として1日1回投与とするといった記載が必要なのではないでしょうか。本薬剤は3対7という固定割合になっていますが、これを2回投与すると、1日を通じての血糖のコントロールが得にくいだろうと思うのですが、このあたりはいかがでしょうか。
○機構 1日2回投与というのは、よほど食後のインスリンの部分とBasal部分が合致した患者でない限り、基本難しいと機構としても思っております。ただ、そういう患者がもしいた場合にできないかと言われると、そこはその患者の状態に応じて医師の裁量の範囲で判断していただく方が適当と考え、1型糖尿病患者について1日1回投与のみにするとの限定した記載にしなくてもよいのではないかと考えました。ただ、既存の混合型製剤とは異なり、本剤では1型糖尿病患者に1日1回投与の検討はされているので、そちらについては添付文書上で情報提供をすることにしております。
○野田委員 医師の裁量とおっしゃいましたが、特に専門家であればあるほど、2回投与と裁量する人はいないと思うのです。したがって、一般の先生方が1型に2回投与して良いのだという感覚でお使いになると、かなり夜間低血糖が起きると思うのです。比率が3対7に決まっているので、これをどのように調節しても、相当に超速効型を使わないと超速効型成分が不足になります。超速効型が不十分な状態で食後血糖を合わせようとすると、夜間の低血糖が起きると思われますし、逆に夜間の低血糖が起きないようにして、他の1回の超速効型で全体を調節しようとすると、その超速効型投与の後に低血糖が起きる時間帯が生じると思うので、こういった点は医師の裁量を超えていると思うのです。「原則として」といった表現が添付文書上にもときどきありますが、それなら私はかまわないと思いますし、そういった辺りが妥当だろうというのが添付文書を拝見したときの私の考えです。
○機構 そもそも1型糖尿病患者においては、先生がおっしゃるように、本剤というよりはBasal-Bolus療法が基本と考えているので、1型糖尿病患者には頻回投与が困難な患者とか、何かの事情がない限りは本剤はあまり使われないのではないかと想定しております。
○野田委員 そうなると、この効能・効果を「1型糖尿病ないしはインスリン依存状態にある患者を除く」としないと、矛盾が生じてくると思うのです。
○機構 こちらについては、インスリン製剤全般にインスリン療法が適応となる糖尿病としており、先生のおっしゃる御意見も理解しておりますが、混合型製剤とあえて違う効能・効果というか、混合型製剤を含めたインスリン製剤全般と異なるものにしてしまったときに、かえって現場の混乱があるのではないかと考えております。
○野田委員 これまでの混合型製剤とはかなり意味合いが違うと思うのです。非常に切れ味の良いもの同士二つを合わせていますので2型であれば自己のインスリン等でそれを補償できる可能性がありますが、1型だと外から投与したインスリンに一義的に依存して血糖値が動くので、非常に安全性に懸念があると思います。
○松井部会長 低血糖のリスクがあるということですか。
○機構 1型糖尿病患者には基本的にはBasal-Bolus療法とは考えていますが、こちらについても専門協議で1型糖尿病患者に使われるという状況はどうでしょうかと先生方に御意見を伺ったところ、程度の弱い1型糖尿病患者においても使えるかもしれないということで、試してみたいと思う先生はいらっしゃるのではないかという御意見をいただいております。
○野田委員 それは緩徐進行1型糖尿病などの場合で、そのような場合もないことはないですが、パーセンテージは少ないです。その場合は基本的に「原則として」という記載の外と考えてもいいと思うのです。現在の表現で一般的に認めた場合に、インスリン治療に不慣れな先生がお使いになりますと、かなり低血糖の懸念があるように思います。
○松井部会長 この委員会としては、専門の先生が低血糖の危険があるのではないかという御意見を出されたときに、可として良いでしょうかという議決を強行するのは、私は二の足を踏むのですが。
○審査第一部長 御指摘ありがとうございます。補足しますと、現在の超速効型と、今回のデグルデクではありませんが、持続型の混合製剤ということでノボラピッド30ミックス注フレックスペンが出ておりますが、資料1.07で、表1.7-1の同種・同効品一覧の5ページを見ると、インスリンアスパルト(遺伝子組換え)のところにノボラピッド30ミックス注フレックスペンとあります。これが同様に超速効型と持続型を混ぜたものです。そこで効能・効果を見ると、現時点ではインスリン療法が適応となる糖尿病ということで、1型、2型も含めた形になっていることは事実です。ただ、野田先生が御指摘のように、今回の持効型が更にフラットになっているという特徴もありますので、他の製剤との添付文書上の並びはありますが、添付文書に記載するか資材等でやるかどうかも含めて、更なる情報提供ができないかどうかは検討したいと思います。
○野田委員 資材の段階を越えていると思うのです。また、先ほど御指摘のノボラピッド30ミックス注フレックスペンは、相手方が中間型なのです。ですから、大分状況が違うのではないかと思います。
○機構 確認させていただきたいのですが、先生の御意見としては、安全に使用するために、使用上の注意等で、原則としてインスリン依存状態でない方とインスリン依存状態にある患者での投与方法を別に記載すれば、安全に使えるのではないかという御指摘でよろしいでしょうか。
○野田委員 そのように思います。1型であってもインスリン分泌が少し残っている人もいますので、この辺りはかなり難しいのですが、インスリン依存状態にある患者では原則として1回投与するという文言ですかね。
○松井部会長 文言の訂正でよろしいというお考えですか。
○野田委員 私としては、1型も例外的に緩徐進行型などもありますが、「完成された1型、あるいはほかの病態であってもインスリン依存状態にある方では、原則として1日1回投与とする」という文言が入っていれば良いのではないかと思います。この表現は少し長いですが、文言の訂正で可能だと思います。
○機構 申請者と、そのように注意喚起するように検討させていただきます。
○松井部会長 申請者と検討した結果を、また報告していただくという意味ですか。
○機構 検討した結果をもう一度報告ということですね。分かりました。
○松井部会長 それでよろしいですか。
○野田委員 私は、その文言があれば現状でも良いのではないかと思っていましたが。
○松井部会長 分かりました。もし、ほかに反対がなければ、検討した上で報告してもらうということでお願いします。ほかに御意見はありますか。今の点はよろしいですか。
○審査第一部長 確認させていただきますと、1日1回投与ということを注意書きに書き込むということでよろしいですか。
○野田委員 2型の場合は2回投与もあり得ると思います。
○審査第一部長 1型については1日1回、分かりました。そのように記載いたします。
○松井部会長 お願いします。ほかに御意見はありますか。よろしいでしょうか。
それでは、今の野田委員の御指摘の点について文章を変更するということで、議決に入ります。なお、野田委員におかれましては利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。この議案について、承認を可としてよろしいでしょうか。
異議なしと認めます。承認を「可」として、薬事分科会に報告いたします。議題4に移ります。
○機構 審議事項議題4、資料4「医薬品アクトネル錠75mg及びベネット錠75mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
本剤は、ビスホスホネート系薬剤であるリセドロン酸ナトリウム水和物を有効成分として含有する製剤であり、本邦において1回2.5mg、1日1回連日投与製剤であるアクトネル錠2.5mg及びベネット錠2.5mgが2002年1月に、1回17.5mg、週1回投与製剤であるアクトネル錠17.5mg及びベネット錠17.5mgが2007年4月に「骨粗鬆症」を効能・効果として承認されています。ビスホスホネート系薬剤は、経口投与時に食物中のカルシウム等とキレートを形成するために、消化管からの吸収が妨げられることがあること、食道等の上部消化管に滞留した場合に粘膜刺激性が懸念されることから、服薬後少なくとも30分は横にならず、水以外の飲食や他の薬剤の経口摂取も避ける等の制約があります。このような服薬時の煩雑な制約が、良好な服薬継続率の維持を困難にしていると考えられています。本邦の医療現場においては、連日投与製剤と比べて週1回投与製剤が汎用されるようになり、服薬継続率に一定の改善がみられているものの、必ずしも十分とは言えず、服薬継続率の更なる改善が必要と考えられています。
以上のような背景から、本薬の月1回投与製剤の開発が行われ、今般、承認申請が行われました。海外において、本薬は「閉経後骨粗鬆症及びステロイド性骨粗鬆症」を効能・効果として、92か国で承認されています。
本品目の専門協議では、資料14に示す先生方を専門委員として指名させていただいております。
以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明します。有効性については、審査報告書13及び14ページを御覧ください。表4及び図1に示しましたように、日本人退行期骨粗鬆症患者を対象とした第III相骨密度比較試験において、1回75mg、月1回投与の1回2.5mg連日投与に対する腰椎平均骨密度変化率について非劣性が検証されました。
安全性については、18ページ~24ページ「(3)安全性について」の項を御覧ください。胃腸障害、顎骨壊死・顎骨骨髄炎、心房細動、非定型の大腿骨骨折、血中カルシウムの減少、急性期反応に関連する有害事象等について個別に評価した結果、大きな問題はみられていないことから、本剤の安全性は許容可能と判断しています。
製造販売後調査については、審査報告書30ページ「(4)製造販売後調査の計画について」の項を御覧ください。目標症例数2,500例、観察期間12か月の特定使用成績調査及び目標症例数500例、観察期間3年間の特定使用成績調査を実施し、上部消化管障害、顎骨壊死・顎骨骨髄炎、心房細動、非定型の大腿骨骨折、筋及び骨格系の疼痛、食道癌、肝機能障害・黄疸の安全性に係る情報、腎機能障害患者、高齢者及び男性患者における安全性や有効性に係る情報が収集される予定です。
以上のとおり、機構での審査の結果、「骨粗鬆症」を効能・効果として本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断しました。本剤の再審査期間は4年、製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございます。御質疑をお願いします。いかがでしょうか。
特に問題はありませんか。もし特段の御意見がなければ議決に入りますが、よろしいでしょうか。
それでは、議決に入ります。なお、野田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を「可」として、薬事分科会に報告いたします。それでは、議題5に移ります。
○機構 審議事項議題5、資料5「医薬品ホスリボン配合顆粒の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
低リン血症は、腸管からのリン吸収の低下、腎臓からのリン排泄の亢進等により起こるものであり、慢性化すると最終的に骨の石灰化障害を引き起こします。低リン血症に対する治療としては、リンの補充が基本となりますが、長期にわたるリンの投与が必要である、くる病・骨軟化症を来す低リン血症の治療に適した経口リン製剤は、本邦において現在承認されておらず、院内製剤等が使用されております。
このような状況を受け、日本小児腎臓病学会、日本内分泌学会及び難治性疾患克服研究事業のホルモン受容機構異常に関する調査研究班より、低リン血症に対する要望書が提出され、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議での検討を経て、平成22年5月21日付けで申請者に対し、厚生労働省から開発要請が行われ、ホスリボン配合顆粒(以下、「本剤」)の開発に至りました。
本剤は、平成24年3月19日付けで「くる病・骨軟化症を伴う低リン血症」を予定される対象疾病として、希少疾病用医薬品に指定されております。なお、海外にも経口リン酸製剤はありますが、本剤は海外において発売されておりません。
本品目の専門協議では、本日の配付資料14に示す専門委員を指定させていただきました。
以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に御説明します。
主な臨床試験成績として、原発性低リン血症性くる病患者を対象とした国内第III相試験1試験の成績、及び申請者が関連学会等の協力を得て実施したFanconi症候群及び腫瘍性骨軟化症に関する使用実態調査の結果、並びに両疾患と未熟児くる病に関する国内外の成書及び公表論文が提出されております。
有効性に関してですが、報告書9ページの図1を御覧ください。第III相試験において、原発性低リン血症性くる病患者の16例に本剤を投与したところ、観察期に比べ、本剤投与後に血清リン濃度が上昇し、その後、患者の状態に応じて適宜増減しながら投与することで、期間を通しておおむね3mg/dL以上で推移しました。また、血清ALP値も維持される傾向で推移しました。
次に、報告書9ページ~10ページを御覧ください。Fanconi症候群及び腫瘍性骨軟化症に関して、院内製剤等の経口リン製剤の服用歴のある患者を対象とした使用実態調査の結果を記載しております。また、報告書11ページからは、Fanconi症候群、腫瘍性骨軟化症及び未熟児くる病についての成書及び治療指針、並びに公表論文の記載内容を示しております。以上を検討し、成書等についてこれらの疾患の治療においてリン等の補充をすることにより有効性が期待できることを確認しました。
以上より、機構はリンの補充が必要とされる原発性低リン血症性くる病、Fanconi症候群、腫瘍性骨軟化症及び未熟児くる病等のくる病・骨軟化症を来す低リン血症に対し、経口リン製剤である本剤の有効性は期待できると考えました。
安全性に関してですが、報告書8ページ、表6を御覧ください。第III相試験における有害事象の発現状況をお示ししております。
第III相試験において、本剤の使用において特に注意が必要となる事象は認められず、安全性に関しては許容可能と考えました。なお、本剤の添付文書における使用上の注意についてですが、報告書30ページを御覧ください。本剤と有効成分及びその比率が同一の腸管洗浄剤であるビジクリア配合錠では、急性腎不全、急性リン酸腎症が報告されております。本剤の投与対象患者や用法・用量は、ビジクリア配合錠とは異なるものの、本剤の投与にあたっても腎機能に注意が必要であることから、特に腎不全、リン酸腎症の発現のリスクが高い重度の腎機能障害を有する患者に投与する場合には、本剤の投与が適切と判断される場合にのみ使用する旨を添付文書の「警告」及び「効能・効果に関連する使用上の注意」の項に記載し、腎機能障害のある患者は「慎重投与」とすることが適切と考えました。また、本剤を投与した経験は極めて限られていることから、製造販売後調査では、全例を対象として本剤投与時の安全性情報を収集していく必要があると考えました。
以上、機構での審査の結果、低リン血症に対する本剤の有効性は示され、安全性は許容可能と考えられたことから、本剤を承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断しました。なお、本剤は希少疾病用医薬品であるため、再審査期間は10年、原体及び製剤はいずれも毒薬及び劇薬に該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないとすることが適当であると判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。
また、審査報告書及び1.8添付文書(案)の記載に誤記がありましたので、訂正をさせていただきます。
審査報告書21ページ上から7行目、及び1.8添付文書(案)の、使用上の注意「1.慎重投与」の(3)ナトリウム摂取制限を要する患者の項に、本剤1包中のナトリウム含有量を「74mg」と記載しておりますが、正しくは「94mg」です。また、1日摂取量も、正しくは「282~2,820mg」となります。なお、この訂正による審査結果の変更はありません。以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質疑をお願いします。
○松木部会長代理 この開発を依頼するときにも、ナトリウム塩として開発してくださいということで依頼したのでしょうか。当然ナトリウムを減らした方がいい患者も想定されると思いますが、外国の例だとカリウムを使っている例もあると思いますが。
○機構 本剤の開発にあたっては、腸管洗浄剤であるビジクリア配合錠の製造販売業者に開発要請がされました。ビジクリア配合錠がナトリウム塩になっております。電解質補正液ですとカリウム塩の製剤がありますが、カリウムは腎機能の悪い患者などでは使いにくい場合があるので、ビジクリア配合錠と同様のナトリウム塩が今回開発されました。
○松井部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは議決に入ります。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議がないものと認めます。承認を「可」として、薬事分科会に報告いたします。それでは、議題6に移ります。
○機構 審議事項議題6、資料6-1「医薬品コレアジン錠12.5mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
本申請の対象疾患であるハンチントン病は、常染色体優性遺伝様式のポリグルタミン病の代表的疾患の一つで、舞踏運動を主体とする不随意運動、精神症状及び認知障害を主症状とし、進行すると死亡に至る進行性神経変性疾患です。特に舞踏症状は、歩行及び姿勢の悪化、嚥下障害、社会的孤立といった社会生活への障害の原因とされています。現在、ハンチントン病の進行を止める薬剤はないため、不随意運動及び精神症状等に対する対症療法が行われております。本邦では舞踏運動に対する対症療法として、ペルフェナジン、ハロペリドール等のドパミン受容体遮断薬がいずれも適応外で用いられております。なお、本邦におけるハンチントン病患者数は、平成22年度で約800人と推定されております。
本剤の有効成分であるテトラベナジンは、□□□□□□□□□社により開発されたモノアミン小胞トランスポーターtype2阻害剤であり、海外では1971年に英国及びアイルランドで器質性中枢神経障害に伴う運動障害(ハンチントン病等)の適応で承認されて以降、欧州等で市販され、米国においては2008年に「ハンチントン病に伴う舞踏運動」の効能・効果で承認されております。本邦においては、2008年12月に開催された未承認薬使用問題検討会議において、早期に治験が開始されるべきとされ、20□年□月から臨床試験が開始され、今般、有効性及び安全性が確認されたとして製造販売承認申請が行われました。なお、本剤は2009年10月に未承認薬開発支援事業による支援品目に選定されております。
本申請の専門委員として、資料14に記載されている10名の専門委員を指名しております。
審査内容について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。まず、有効性については、審査報告書34ページからを御覧ください。国内臨床試験として、舞踏運動を有するハンチントン病患者を対象とした非盲検非対照試験が実施されました。主要評価項目はハンチントン病統一評価尺度のうちの極限時の舞踏運動合計スコアの最終評価時におけるベースラインからの変化量とされ、35ページ表17に示したように、ベースラインと比較して統計学的に有意な減少は認められました。一方、舞踏運動以外の運動機能及び日常生活機能への本剤の影響も評価しておりますが、こちらは43ページ表25を御覧ください。こちらに示したように、歩行、生活機能評価、自立度ではベースラインと比較して変化は認められませんでした。
以上の結果を踏まえ、本剤の効能・効果を「ハンチントン病にともなう舞踏運動」と設定することは適切と判断しました。
次に安全性について説明いたします。審査報告書47ページ表31を御覧ください。本剤投与時に有害事象として、その作用機序であるモノアミン枯渇作用に起因する抑うつ症状発現の可能性が想定されますが、国内臨床試験において21.7%、海外プラセボ対照試験の本剤群においても22.2%、海外長期継続投与試験において41.4%にうつ病関連の有害事象の発現が認められております。また、49ページ表35を御覧ください。こちらに示したように、国内外臨床試験においてうつ病の既往及び抗うつ薬の併用がある集団では、うつ病関連の有害事象の発現割合が高かったことから、本剤の投与により抑うつ症状が悪化する可能性があることが考えられました。したがって、機構は、患者背景等も含めたリスク・ベネフィットを慎重に考慮した上で本剤の投与を開始すること、投与中においてもその継続の適切性を定期的に判断すること、抑うつ症状等の病態の推移を注意深く観察することが必要であり、添付文書及び適正使用に関する資材等を用いて、医療従事者、患者及びその家族に対して十分な情報提供を行う必要があると考えております。
最後に審査報告書57ページ「(8)製造販売後調査の計画」を御覧ください。国内臨床試験で検討された症例数は限られていることを踏まえると、製造販売後には投与患者全例を対象とする使用成績調査を実施することが必要と考えております。
以上の審査を踏まえ、製造販売後の全投与症例を対象とした使用成績調査の実施を承認条件として付した上で、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は新有効成分含有医薬品であり、また希少疾病用医薬品であることから再審査期間は10年、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございます。委員の先生方から御質疑をお願いします。
○松木部会長代理 本剤に直接は関係しないのですが、表現として、ハンチントン舞踏病は患者さんに失礼だということで入れなくなったのですが、症状として相変わらず舞踏運動とか、舞踏症というのが入っているのが少し気になります。例えば、これを「不随意運動」とかに置き換えることは問題なのでしょうか。
○機構 今回の有効性を評価したのは、不随意運動の中でも舞踏運動のみですので、そういった意味で効能・効果としては「ハンチントン病にともなう舞踏運動」とすることが適切と考えております。
○佐藤(田)委員 先ほど、この本薬の服用によってデプレッションになってくる可能性がかなり高いから、事前にその傾向がありそうであれば投与のことを考えましょうとおっしゃったのですが、この疾患自体が40歳前後から起こってくると、デプレッシブになってくるのが、普通の方でもちょうどこの年代層から起こってくる可能性は頻度としては高いと思いますが、それとの相関、この薬自体がデプレッシブになるような要因を持っているのでしょうか。概略で結構ですから教えてください。
○機構 一般的に抑うつ症状が現われるような年代との関連性というのは、明確な答えは持ち合わせておりませんが、ハンチントン病の疾患自体も進行に伴ってうつ症状を発症することはあります。本剤自体の作用機序としてモノアミンを枯渇するというところ、そのために過去には、動物等では本剤を投与することによって、うつ病のモデルを作成していた経緯もあります。したがいまして、本剤の作用機序からうつ症状が発現する可能性は高いと推測しております。ただ、疾患の進行に伴って症状が出てくるところもありますので、厳密に薬剤のせいなのか、疾患の進行のせいなのかというところは鑑別ができないところがありますので、やはり、患者さんの症状を観察していただいて、うつ症状が強ければ、本剤の中止を検討していただくことが重要になってくるかと思います。
○松井部会長 よろしいですか。ほかにはございますか。
特にありませんか。それでは議決に入ります。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議はありませんか。
御異議はないようですので、承認を「可」として薬事分科会に報告いたします。それでは議題7に移ります。野田委員におかれましては、別室で御待機をお願いいたします。
── 野田委員退室 ──
○松井部会長 それでは議題7について、医薬品医療機器総合機構から概要説明をお願いします。
○機構 審議事項議題7、資料7「医薬品ミニリンメルトOD錠60μgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び毒薬又は劇薬の否定の要否について、並びにミニリンメルトOD錠120μg及び同OD錠240μgの製造販売承認事項一部変更承認の可否について」、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
まず審査報告書3ページから4ページを御覧ください。本剤は、アルギニン・バソプレシン誘導体であるデスモプレシン酢酸塩水和物を有効成分とする口腔内崩壊錠であり、腎集合管のバソプレシンV2受容体に作用し、水の再吸収を促進することにより、尿濃縮機能の低下を改善する薬剤です。
本剤の有効成分であるデスモプレシン酢酸塩水和物は、1984年以降、経鼻製剤や普通錠として世界各国で、中枢性尿崩症や夜尿症の効能・効果で承認されています。また、デスモプレシン口腔内崩壊錠である本剤は、中枢性尿崩症、夜尿症や夜間頻尿の効能・効果で、2012年9月時点で欧州を含む70以上の国又は地域で承認されています。
本邦では、デスモプレシン経鼻製剤が1978年に、中枢性尿崩症の効能・効果で、2003年に夜尿症の効能・効果で承認され、更に2012年3月には本剤の120及び240μg製剤が、夜尿症の治療薬として承認されました。一方、中枢性尿崩症の効能・効果で承認されているデスモプレシン製剤は、経鼻製剤のみでした。
このような状況もあり、経口投与が可能な本剤の中枢性尿崩症への適応は、2010年4月27日開催の「第3回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において、医療上の必要性が高いと評価され、2010年5月21日に厚生労働省より開発要請がなされました。本剤について、フェリング・ファーマ株式会社により、中枢性尿崩症患者を対象とした国内臨床試験が2011年から開始され、今般、国内外の本剤の臨床試験成績に基づき製造販売承認申請がなされました。
本剤の審査に関して、専門委員として資料14に記載されている委員が指名されました。
本剤の臨床試験成績につきまして、説明させていただきます。
有効性について、審査報告書7ページ~8ページ、国内第III相試験の項を御覧ください。本試験では、デスモプレシン経鼻製剤により中枢性尿崩症がコントロールされている患者を対象として、デスモプレシン経鼻製剤から本剤への切替え前後での有効性を比較することを目的として実施されました。本剤の開始用量は1回60μg、1日3回投与とされ、その後、入院下での用量調節期間に1回60μg、1日1回投与から、1回240μg1日3回投与の範囲で維持用量を決定しました。その後、外来治療期間において維持用量を投与する計画とされました。
審査報告書9ページの表にお示ししたとおり、主要評価項目とされた「治験薬投与開始4週後の24時間尿量のベースラインからの変化量」及び副次評価項目とされた「治験薬投与4週間後の尿浸透圧、尿比重のベースラインからの変化量」の結果に加えて、個々の症例における尿量、尿浸透圧、尿比重等の経過も確認した結果、当該試験で検討された対象患者及び用法・用量の範囲内においては、本剤は、デスモプレシン経鼻製剤使用時と同程度の抗利尿作用及び多尿のコントロール能を示したものと判断いたしました。
続いて、安全性について説明いたします。審査報告書9ページの上段を御覧ください。国内第III相試験における本剤投与時の有害事象の発現割合は40.0%であり、最も発現頻度が高かった有害事象は低ナトリウム血症でした。低ナトリウム血症につきましては、審査報告書12ページ「(3)安全性について」の項を御覧ください。国内第III相試験におきまして、デスモプレシン経鼻製剤から本剤への切替え後の早期に、デスモプレシンの薬理作用に起因する有害事象である低ナトリウム血症の発現が散見されました。その理由として、デスモプレシン経鼻製剤の投与から一律に本剤60μg、1日3回投与へ切替えられたことが原因と考えられました。
以上を踏まえて、本剤を低用量から開始し慎重に用量調節を行うよう、添付文書(案)「用法・用量に関連する使用上の注意」にて注意喚起を行うことが適切と判断いたしました。なお、低ナトリウム血症は、厳格に水分管理をすることによりコントロール可能であることから、本剤の添付文書(案)では、デスモプレシン経鼻製剤と同様の水分管理に関する注意喚起が記載されております。
用法・用量につきまして、審査報告書14ページから18ページ「(5)用法・用量について」の項を御覧ください。本剤の通常用法・用量は、国内第III相試験及び長期継続投与試験において、実際に投与された用法・用量の範囲を踏まえ、1回60~120μgを1日1回~3回投与することが適切と判断いたしました。また、上限用量につきまして、日本人の中枢性尿崩症患者を対象とした臨床試験では、本剤を1回240μgで投与した経験はないものの、日本人健康成人男性を対象とした国内臨床試験及び中枢性尿崩症と同様に本剤の抗利尿作用に基づき症状が改善する夜尿症患者を対象とした国内臨床試験においては、1回投与量として240μgまで忍容性が確認されておりました。また、本剤の半減期は短く、反復投与による血漿中濃度の蓄積性は懸念されていないこと、及び海外で承認されている1日投与量の上限が720μgであることを踏まえて、本剤の投与量の上限として1回投与量は240μgまで、1日あたりの投与量は720μgを超えないことと設定し、当該用量を超える投与を行わないよう規定することは適切であると判断しました。
続いて、製造販売後調査につきまして、審査報告書23ページ「6.製造販売後調査について」の項を御覧ください。本剤を日本人中枢性尿崩症患者に投与した経験は極めて少なく、更に中枢性尿崩症の治療に関しデスモプレシン製剤の前治療がなされていない患者(以下「新規治療例」と略させていただきます)及び高用量使用例に関して、国内臨床試験での投与経験がなく、また小児での投与経験も限られていることから、これらの症例の情報を収集する必要があると判断しました。
このような状況も踏まえ、申請者より調査予定症例数として400例が収集されるまでは、全症例を対象とした使用成績調査を実施する計画が提出されました。当該調査において、新規治療例及び高用量使用例での情報及び小児等での情報のほか、経鼻製剤から本剤への切替え例における用法・用量、低ナトリウム血症の発現状況、本剤の中止例等に関する情報を収集し、必要に応じて臨床現場に情報提供をする予定です。
以上のような検討を行った結果、本剤を「中枢性尿崩症」の効能・効果で承認して差し支えないとの結論に至り、医薬品第一部会において御審議いただくことが適当であると判断しました。本剤60μg錠は劇薬に該当し、生物由来製品又は特定生物由来製品には該当しないと判断しております。また、本剤の再審査期間は、既承認効能・効果の再審査期間終了までの残余期間とすることが適当であると判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○松井部会長 委員の先生方から御質疑をお願いします。お気付きのように、口腔内崩壊錠というのがあります。いかがでしょうか。
○豊見委員 この添付文書の用法・用量に関する使用上の注意の2番と3番を説明されたので分かるのですが、実際、どうしたらいいのかとなりそうな記載だと思うのです。用法・用量に対する本剤を食後投与から食前投与に変更した場合、投与後に高くなり、有害事象の発現リスクが上昇する可能性がある。食直後投与では有効性が得られない場合があると書いてあるので、現実問題、食後30分なら30分でいいのでは思うのですが、読んだときに、曖昧な表現だと思います。こうしたら悪いし、こうしたら有効でないしという、この二つを足してみるとこういう表現になってしまうのですね。非常に服薬指導のしにくいところがあるなと思いました。例えば、実際入院して効果を見ながらというのでしたら分からないでもないのですが、そうでない場合には、現実問題として少し難しいと思ってしまいます。
○松井部会長 ただ今の豊見委員の御質問に対していかがでしょうか。
○機構 先生御指摘のように、本剤の食事の影響に関する注意喚起をどのように行うことが一番適切かについては、こちらも検討し、また専門協議でも論点になりました。この食事の影響を踏まえて、一律に用法・用量で食前または食後といった具体的な規定をしようかとも検討したのですが、実際、今回の臨床試験で各症例の本剤投与のタイミングと食事のタイミングの詳細を確認したところ、食事のタイミングとともに本剤を飲んでいるということではなくて、その患者さんの症状が悪いときや、個々の症例の症状の一番反応性が必要とされるとか、そういったところで投与が優先されておりまして、食事、投与のタイミングを具体的に規定することは困難な状況でした。
先生から少し御説明いただきましたが、この薬は基本的に入院下で用量調節が行われて、維持用量を決定するように添付文書でも注意喚起はされております。まず、適切な用法・用量を医師の観察の下で十分に決定して、その上で本剤の食事の影響も留意して、例えば、食後投与で飲んでいた患者さんが急に空腹時に飲み変えてしまったときに、曝露量が急激に上昇してしまいますので、そういったところも留意点として御考慮いただく情報提供として書かせていただいた次第です。
○松井部会長 いかがですか。よろしいですか。なかなか一律に書くことは難しいということです。
○古川委員 審査報告書17ページ、成人と子どもが同じ量で行ったという記載ですが、そこにいろいろな、それなりの説明が書いてあって、それなりには理解できます。しかし、子どもと成人が同じ量で、要するに経鼻製剤では日本では違っていたわけですが、外国では経鼻の方も、ほとんど子どもも大人も同じように使っていたということで、今回、この薬に関しては大人と同じ量に設定をしたということが書いてあるにもかかわらず、添付文書3ページ「小児等への投与」のところ、小児に対し60μgより低用量の投与が必要な場合にはデスモプレシン経鼻製剤使用と、少し言葉がずれているような気がするのですが、その辺はいかがですか。
○機構 小児に対する用量につきましては、今回、実施した臨床試験で個々の症例を確認したところ、小児だからといって低用量を投与されていたわけではなく、成人と小児で同用量が投与されていたという結果が実際に得られております。経鼻製剤につきましては、先生御指摘のとおり、小児では用量が成人より低用量に設定されているのですが、過去の臨床試験を見ますと、6歳未満の症例も含めて試験が実施されていたようです。それに対して、今回実施した臨床試験は6歳以上の小児を対象とされておりますので、6歳以上の小児で、安全性にも問題ない患者に対しては、一律に低用量とすべきと設定する根拠がない状況でしたので、基本的には成人と同じ用量で投与することで差し支えないと判断しました。
ただし、小児の項におきましては、本剤に関しては6歳未満の投与の経験はありませんので、そういった注意喚起、並びに、場合によっては症例の反応性によっては60μgでは多過ぎるという懸念を専門協議でもいただきましたので、その低用量が必要な患者さんがいる場合には、低用量がある経鼻製剤を考慮することという意味合いを込めて、小児の項に記載させていただいた状況です。
○古川委員 ですから、最初の方には60μgよりも低用量の投与が云々ということが書いてなくて、「小児の投与」というところで、1番は6歳以上の子どものことを指していますね。先ほどの6歳未満の子どもは、60μgよりも低用量という意味ではないですね。これは6歳以上の子どもに対して、大人と同じ量でいいのだと最初に言っておきながら、「小児等への投与」というところで、少ない量の子どもがいる場合があるといった書き方ですね。これは2箇所にわたって投与する量のことが書かれているのは、分かりにくい気がします。
○松井部会長 いかがですか。
○機構 補足させていただきます。小児に対して、先ほども申しましたが、現場の先生方の感覚として、小児では経鼻製剤での経験で、本剤の60μgと概ね同じと考えられる曝露量よりも低い用量で、その患者さんにとっては十分な作用が出ている人もいるとのことです。今回の臨床試験、あるいは海外の臨床試験の中で、そういう方々は入っていなかったのですが、そういう人もいます。この剤は60μg、1日1回というのは最小の用量ですから、そういう人に60μgをあえて投与する必要はないだろうということで、これより低用量の投与が可能な、スプレー製剤で投与してもらう。先生方の御経験の中で、こういった背景の小児の患者さんであれば、スプレー剤であれば何μgからいくという相場観があって、それが本剤の60μg換算より低そうであればスプレー剤を選択してくださいという、当たり前のことと言えば当たり前のことですが、専門協議で特別御指摘もいただいたこともあり、あえて小児への注意喚起として書いたということです。
○古川委員 私が聞いたのは、用法・用量のところに少し付け加えられないのですかということです。最初のところに「大人も小児も60μgから120μg」と書いておいて、それだけを読むとそれを使いますよね。後の方で少し効き過ぎたらしいと、よく読んでみると、60μgを使わない場合は噴霧を使うようにというのは不自然ではないか、もしそういうことを喚起するのであれば、「用法・用量」のところにもう少し明記できないかということです。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○機構 追加でお答えいたします。添付文書1ページの、先生が御指摘の部分を御覧いただくと、1回60~120μgを1日1回から3回というのは、通常用量、「通常」と書いてあって、一応3行目に「適宜増減する」という記載があります。添付文書の文法みたいで申し訳ないのですが、通常用量から適宜増減するという中に、減量のことも書いてあるのですが、60μgよりも減量ということも一応考慮する中で、小児ではスプレー製剤の使用ということも派生して出てくるという感じです。今、言った場所に書いてあるのですが、確かに先生がおっしゃるように場所が離れておりますので、ここについてはもう少しリンクさせて、小児での投与が分かりやすいように工夫させていただきたいと思います。ありがとうございました。
○松井部会長 よろしいですか。
○古川委員 そのようにしていただけると有り難いです。下の「用法・用量に関する使用上の注意」とか、その辺に入れていただいてもいいと思うのです。後ろの方にあると、最初は使っていいようなことを書いてあるのが、後になって、よく見たらそれは少ない量から注意すべきだという話ですので、最初に喚起していただきたいと思います。
○松井部会長 よろしくお願いいたします。
○審査第二部長 今、先生が御指摘をいただいた方向で、例えば、「用法・用量に関する使用上の注意」のところといった、近いところに書く工夫をさせていただきたいと思います。
○松井部会長 ありがとうございます。ほかにございますか。
それでは、議決に入ります。本議題につきまして承認を可としてよろしいですか。
ありがとうございます。御異議はないようですので承認を「可」として、薬事分科会に報告いたします。野田先生に入ってもらってください。
── 野田委員入室 ──
○松井部会長 それでは議題8に移ります。医薬品医療機器総合機構からお願いします。
○事務局 審議事項議題8、資料8「シナカルセト塩酸塩を希少疾病用医薬品として指定することの可否について」、事務局より御説明いたします。
資料については、資料のタグの二つ目「総合機構による評価報告書」を中心に御説明します。
1ページ、申請者は協和発酵キリン株式会社、予定される効能・効果は「副甲状腺癌及び難治性原発性副甲状腺機能亢進症に伴う高カルシウム血症」です。以下、希少疾病用医薬品の指定の3要件について、資料に沿って御説明します。
まず、対象患者数と疾患背景について御説明します。1ページ中程から下、副甲状腺癌や原発性副甲状腺機能亢進症では、副甲状腺ホルモンが過剰分泌されることによって、高カルシウム血症、骨病変、腎結石等の種々の異常を来たします。
この治療としては、第一選択としては、副甲状腺摘出手術が選択されることが多くありますが、合併症等の問題で、手術不能な方や、手術後に再発するような難治性の患者さんもいらっしゃいます。これらの患者さんでは重度の高カルシウム血症を呈し、生命の危険に脅かされる場合があり、場合によっては死に至る可能性もあります。
患者数については、1ページ下から2ページにかけてになります。平成22年に実施された関係医学会の評議員に対するアンケートによりますと、過去5年以内に手術が施行された副甲状腺癌で、外科的治療が困難な高カルシウム血症を呈した患者さんが8名、同様に、過去5年以内の難治性原発性副甲状腺機能亢進症に伴う高カルシウム血症を呈した患者さんは38名でした。この結果から申請対象である患者数については、それぞれ年間数名程度と推測されますので、5万人未満の要件が満たすものと考えられます。
続きまして、医療上の必要性について、2ページ中程からになります。本疾病については、既存の承認された医薬品ではございません。対症療法として、高カルシウム血症には重度のクリーゼの場合には、尿中へのカルシウム排泄を目的としている大量輸液やビスホスホネート製剤の投与等が行われておりますが、いずれもあくまでも対症療法としての対象になります。
一方、本剤は副甲状腺ホルモンの過剰分泌を抑制するため、長期的な血中カルシウム濃度のコントロールが可能となります。これらのことから、本薬の医療上の必要性は高いものと考えられます。
続きまして、開発の可能性についてです。既に本剤は他の効能で承認がされている医薬品で、作用機序も既承認のものと同様ですので、今回予定される効能・効果においても同様の有効性は期待できると考えられます。また、海外でも既に50数か国で承認されており、臨床開発についても現在国内で第III相試験が実施中であることから、本剤の開発の可能性はあると考えられます。以上の3点から、本剤は希少疾病用医薬品の指定要件を満たすものと判断しております。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございます。御質疑をお願いいたします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。特段の御意見はありませんか。
それでは、議題8につきまして議決に入ります。なお、野田委員、山田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮ください。本議題につきまして、指定を可としてよろしいですか。
ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を「可」として、薬事分科会に報告いたします。それでは議題9に移ってください。お願いします。
○事務局 続きまして、審議事項議題9、資料9「BMN110を希少疾病用医薬品として指定することの可否について」、事務局より御説明いたします。
資料の方は先ほどと同様に、資料9の二つ目のタブの総合機構による評価報告書に沿って御説明します。
申請者はバイオマリン・ファーマシューティカル社、予定される効能・効果は「ムコ多糖症IVA型」となります。資料に沿って、希少疾病用医薬品の指定に係る3要件について御説明します。
まず対象者患者数と疾患の背景について御説明します。機構からの報告書1ページ中程から下になります。ムコ多糖症IVA型は、ライソゾーム病の一種であり、グリコサミノグリカンであるケタラン硫酸の分解に必要な酵素が欠損する常染色体性劣性遺伝性疾患です。これにより全身の複数の組織、器官にケタラン硫酸が蓄積され、身体機能や持久力の低下等が起こり、早期死亡につながる重篤な疾患です。
患者数につきましては、1ページ下から2ページにかけてになります。ムコ多糖症IVA型は稀な疾患であり、文献で報告された発症率や国内での疫学調査から推計すると、国内の患者数は20人程度と推定され、5万人未満という指定の要件については満たすものと考えられます。
続いて2点目、医療上の必要性については、報告書2ページになります。ムコ多糖症IVA型には標準治療はなく、いくつかある対症療法も十分な効果が期待できるものではございません。本剤は、ケタラン硫酸の分解に必要な酵素を遺伝子組換え技術により製造したものであり、本剤の投与により必要な酵素が補充されることで患部組織におけるケタラン硫酸の代謝が促進され、症状が改善されることが期待されます。このように欠損している酵素を外部から補う酵素補充療法はファブリー病等、ほかのライソゾーム病でも有効な治療法であり、本剤の医療上の必要性は高いものと考えられます。
最後に3点目、開発の可能性については、本剤は既に海外で第I、II相試験が実施されており、また第III相試験もこれから実施される予定です。本邦における開発については、第III相試験が国際共同試験となっており、この中に日本人の患者さんが組み入れられる予定になっておりますので、本剤の開発の可能性はあるものと考えられます。以上から、本剤は希少疾病用医薬品の指定要件を満たすものと判断しております。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございます。モルキオ病と言われた疾患です。委員の皆様から御意見、御質問はございますか。
よろしいでしょうか。このBMN110を希少疾病用医薬品として指定することの可否につきまして、議決に入ります。本議題につきまして、指定を可としてよろしいですか。
ありがとうございます。御異議はないようですので、指定を「可」として、薬事分科会に報告します。次からは報告事項です。一連の報告事項を報告してください。
○事務局 報告事項議題1、資料10「医薬品ラディオガルダーゼカプセル500mgの製造販売承認事項一部変更承認について」です。
現在、本剤は「放射性セシウムによる体内汚染の軽減」の効能・効果で承認をされております。今般、日本メジフィジックスより、タリウム及びタリウム化合物による中毒の効能を追加する新効能薬品としての製造販売承認事項一部変更承認申請がなされたところです。
医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断したところです。
続いて、報告事項議題2、資料11「医薬品ミカムロ配合錠BPの製造販売承認について」です。
本剤は、アンジオテンシンII受容体拮抗薬であるテルミサルタン80mgと、カルシウム拮抗薬であるアムロジピン5mgを有効成分とした配合剤で、いずれも「高血圧症」の効能・効果で既に承認されている各単剤をそれぞれの用法・用量の範囲内の量含有する降圧薬です。今般、日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社から、テルミサルタン40mg及びアムロジピン5mgを含有する既承認の配合剤「ミカムロ配合錠AP」に加えて、テルミサルタンの配合量が異なる本剤を追加する製造販売承認申請がなされたところです。
医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断したところです。
報告事項議題3、資料12-1~12-3、「医療用医薬品の再審査結果について(アゼルニジピン)(スマトリプタン)(スマトリプタンコハク酸塩)」です。
資料12-1は、販売名「カルブロック錠8mg及び同錠16mg」、資料12-2は、販売名「イミグラン点鼻液20」です。資料12-3は、販売名「イミグラン錠50」です。これらの品目につきまして、製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、承認拒否事由のいずれにも該当しない、効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はない「カテゴリー1」と判断したところです。説明は以上です。
○松井部会長 ありがとうございます。委員の先生方から御質問、御意見はございますか。
○鈴木委員 2番のミカロム配合錠BPは新薬ではないということですが、配合の比率は何種類もあると思うのです。こういう変更は新薬には当たらないという原則は確立されているのでしょうか。どういう場合に新薬になるのか、どういう場合にならないのか、教えていただけますか。
○機構 今回の配合錠は、新医療用配合剤の扱いではなく、既に出ているミカムロ配合錠APの剤型追加ということになります。
○松井部会長 この点については、以前にも問題になって、また改めて文書にしましたね。審査管理課長、よろしいですか。
○審査管理課長 既にあるものでの組合せは、同一のものの用量が違うものということです。特に扱いについては「備考」にあるように、取扱い区分については機構から説明がありましたが、新用量医薬品及び剤型追加に係る医薬品という取扱い区分になるということです。
○松井部会長 よろしいですか。
○鈴木委員 要するに、今回は新薬にはならないということですね。わかりました。
○豊見委員 この1枚目にあるのは誤記ですか。成分分量のところで「40」と書かれております。資料11の4番です。
○機構 資料11「4.成分分量」のところですが、御指摘のとおり、「テルミサルタン40mg」となっておりますが、こちらは誤記で、正式には「テルミサルタン80mg」です。40のほうが、今出ているミカムロ配合錠APです。申し訳ございませんでした。
○松井部会長 よろしいでしょうか。ほかにはございませんか。
○松木部会長代理 配合のことですが、容量の変更といっても、同じ比率で2倍にするとか、それとは少し違って、配合比率が変わるわけですね。ですから、やはりその根拠というものはある程度必要ではないかと思うのですが。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○機構 根拠というところは、配合剤の中では何を示さなくてはいけないかというところは決まっております。その組合せで投与したときに、確かに臨床試験で効果が単剤のときよりも上回るというのを示さなくてはいけないとなっております。ということで、この剤につきましても、2本臨床試験を行って、今回の場合はテルミサルタン80mgで効果が不十分な患者さんで、本剤を投与して確かに効果が上がりましたというところと、テルミサルタン40mg、アミロジピン5mgに対して、統計学的に有意ではないのですが、上回る成績が出ているというところをもって、この配合剤を承認する根拠と考えて、今回審査いたしました。
○松井部会長 よろしいですか。ほかにはございますか。
○加藤委員 資料12-2のスマトリプタンについて伺います。イミグラン点鼻液です。資料を拝見していて、7ページに「重大な措置、海外からの情報」の欄があり、8ページに「他の1件は」とあります。アメリカにおいて思春期患者に有効性が証明できなかったため、FDAは承認しないということが、再審査期間中にありましたと記述されています。それに対する答えとして、本剤は成人適応のみを有するため、特別な措置を講じる必要はないということです。添付文書を見ても、成人適応のみを有するという明確な表現が見当たらないです。用法・用量で「通常成人には」という表現があって、小児に対しては安全性が確立していない、高齢者には慎重投与があるという記述です。片頭痛を訴える患者さんの中でも思春期の患者さんはかなり適応の対象となり得ると思うのですが、思春期に関して有効性は証明できていないことについて、それをどういうふうに考えるか添付文書だけからは読み取れないように思うのですが、いかがでしょうか。
○機構 添付文書においては読み取れないというのは御指摘のとおり、通常、成人にはという用法・用量を適応に記載しているところをもって、小児に使える用法・用量としては規定されていないので、基本的には成人の適応のみを有する薬と捉えていただくことしかないのです。
海外において、そういった有効性が証明されなかったことに関しては、あくまで海外のデータということで捉えており、日本で有効性が示されなかったデータがあった場合には、もちろん情報提供はたとえ適応を有さなくても出していかなくてはいけないというのは認識しています。海外において有効性が示されたり、示されなかったりというのを適宜添付文書に反映することは現状では行っていませんので、その扱いの並びで今回は不要と判断しました。
○松井部会長 今の回答でよろしいですか。
○加藤委員 実際のいろいろな臨床試験の成績として、日本人対象のデータでは、思春期症例に対しての有効性は実際には何かデータがあるのでしょうか。
○機構 点鼻液に関しては、そういった日本での思春期のデータはございません。ただ、今回イミグラン錠の方で再審査期間が延長したことに伴って、小児の用法・用量について使われている実態があるので、そこについては明らかにしてくださいという指示に基づきまして、イミグラン錠の錠剤の方で治験として実施された結果はあります。それは今回報告書に記載されているように、残念ながらプラセボに対して有意差が認められませんでしたので、小児の用法・用量を申請することには至らなかったのですが、その点に関してはイミグラン錠の方では、日本での治験の成績に基づく情報提供を現在検討中です。
○松井部会長 そのことについてもし許されるならば、小児科の医者の立場としてお答えすべきだろうと思うので発言しますが、いつまでもこのままではいけないと、日本人の子どもに対する薬のエビデンスを伴った情報を整備しなければいけないと思います。このままで置いてはいけない。
○佐藤(雄)委員 再審査報告書5ページのところで、特別な背景を有する患者の中で小児について検討されていて、安全性解析対象としては、7歳から14歳までの46例となっていますが、有効性解析対象症例の方は何歳から何歳までの何例でしょうか。
○機構 資料何番の5ページですか。
○佐藤(雄)委員 資料12-2です。6ページの「小児」のところです。
○松井部会長 「15歳未満」のところですか。
○佐藤(雄)委員 はい。
○松井部会長 それで御質問は。
○佐藤(雄)委員 安全性のところは「7歳から14歳までの46例」と書いてあるのですが、有効性のところが何歳から何歳までの何例か、私は見つけられないものですから、お伺いいたしました。
○機構 その点に関しては、今の報告書には記載しておりません。今、7歳から14歳まで46例収集されて、そのうち1例が有効性解析対象症例から除外されているようですが、今、手元に資料がありませんので、除外された1例が何歳だったかというのは分かりません。恐らく範囲としてはそんなに変わらない範囲であろうとは思うのですが、詳細については今お答えすることはできないのです。
○佐藤(雄)委員 大体同じ母数だと思ってよろしいですね。
○機構 はい、同じです。1例有効性解析対象から除外されているのみです。
○松井部会長 ありがとうございます。ほかにはございますか。
それでは、報告事項につきましては御確認いただいたということにしてよろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、本日の議題は以上です。事務局から何か連絡はありますか。
○事務局 1点目は、来年1月に薬事・食品衛生審議会の改選が予定されております。また、正式に改めて御連絡をさせていただく予定です。よろしくお願いいたします。
2点目は、改選後になりますが、来年の2月7日(木)午後3時から、次回の部会を予定しております。よろしくお願いいたします。
(了)
- 備考
- 本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。
照会先
医薬食品局
審査管理課 課長補佐 野村(内線2746)