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令和3年1月20日 第1回「大麻等の薬物対策のあり方検討会」 議事録

医薬・生活衛生局

○日時

令和3年1月20日(水)13:00~15:00

 

○場所 

TKP新橋カンファレンスセンター ホール15E
(東京都千代田区内幸町1丁目3-1 幸ビルディング)
 

○議題 

「薬物対策の現状と課題」
 

○議事録

○事務局  それでは、定刻となりましたので、ただいまから第1回「大麻等の薬物対策のあり方検討会」を開催させていただきます。
 委員の先生方には、大変御多用のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。
 本検討会におけるカメラ撮りにつきましては、冒頭のみでお願いいたします。冒頭の挨拶が終了した後、撮影担当の方には御退席いただく予定でございます。
 それでは、委員の先生方につきまして、事務局から五十音順にお名前を御紹介させていただきます。
 太田達也委員。
 岡﨑重人委員。
 小林篤子委員。
 嶋根卓也委員。
 鈴木勉委員。
 □□委員。
 藤野彰委員。
 舩田正彦委員。
 堀尾貴将委員。
 松本俊彦委員。
 □□委員。
 和田清委員。
 以上の12名の方々です。
 本日は、12名全ての委員の先生方に御出席をいただいており、□□委員と□□委員におかれましては本日ウェブ形式で御参加いただいております。
 また、□□委員におかれましてはただいまいらっしゃいましたので、以上12名で進行させていただきます。
 また、本日の議事はお配りしている次第に沿って進めさせていただきます。
 続いて、事務局から検討会につきまして連絡事項を申し上げます。
 本日は、新型コロナウイルス感染症対策のため、会議室における対面形式とウェブ形式を併用して本検討会を進めさせていただきます。
 また、検討会を開始する前に、本検討会の公開・非公開の取扱いについて御説明いたします。
 本検討会につきましては公開とさせていただきますが、新型コロナウイルス感染症対策のため、一般の方の会場への入場を制限し、報道機関の方のみ入場とさせていただいております。
 検討会の議事録の公開につきましては、委員の先生方は議事録に出席者として掲載されますが、発言者氏名を公にすることで発言者などに対して外部からの圧力や干渉、危害が及ぶおそれが生じることから、発表者氏名を除いた議事録を公開することとしておりますので、あらかじめ御了承いただきたいと存じます。
 厚生労働省全体の取組といたしまして、審議会などのペーパーレス化を進めております。本日は、ペーパーレスでの検討会開催とさせていただきますので、検討会資料はお手元のタブレットを操作して御覧いただくことになります。操作等で御不明点などがございましたら、適宜事務局などがサポートいたしますのでよろしくお願いいたします。
 最後に、審議中に御意見、御質問される委員の方々にお知らせいたします。
 まず、会場にお越しになって御参加いただいている委員におかれましては、挙手していただき、御自身のお名前と発言したい旨を御発言いただきますようお願い申し上げます。
 また、卓上にウェブ形式に使用するZoomがございますが、御発言の際は卓上のマイクを御利用いただき、Zoomのマイクにつきましては消音のまま御使用いただきますようお願い申し上げます。
 また、ウェブで御参加いただいている委員におかれましては、まず御自身のお名前と発言したい旨を御発言いただきますようお願い申し上げます。
 その後、座長から順に発言者を御指名いたしますので、御発言いただく際はZoomのマイクが消音になっていることを確認の上、御発言をお願いいたします。
 なお、発言者が多くなり、音声のみでの判別が難しいほど混雑した際は、一度皆様の御発言を控えていただき、発言したい委員につきましてはメッセージにお名前と御発言がある旨を記入していただきますようお願いいたします。
 事務局、または座長からお願いをする場合がありますので、何とぞよろしくお願いいたします。その場合には、記入をされたメッセージに応じて座長より発言者を御指名させていただきます。
 それでは、検討会の開会に当たり、厚生労働省医薬・生活衛生局長の鎌田から御挨拶申し上げます。
○局長  皆さん、こんにちは。厚生労働省医薬・生活衛生局長の鎌田でございます。こうした設営でございますので、着席して御挨拶申し上げます。
 第1回「大麻等の薬物対策のあり方検討会」を開催するに至りました。本日、御参集の皆様方には、日頃から薬物行政の推進につきまして格別の御高配を賜っております。この場をお借りして、厚く御礼申し上げます。
 御案内のとおり、我が国における薬物行政につきましては、戦後制定された薬物四法を基本といたしまして、取締りを始めとする各種施策を実施しているところでございます。その結果、我が国の薬物の生涯経験率は2%程度であり、諸外国が20%~40%であることと比較して著しく低くなっていることなど、薬物対策として高い成果を上げているということでございます。
 他方、最近は大麻事犯が増加し、特に若年層における大麻乱用が拡大しているとともに、大麻ワックスなど、人体への影響が高い製品の乱用が拡大してございます。また、覚醒剤事犯の再犯率も増加しているといった問題がございます。
 このように、我が国の薬物情勢は依然として憂慮すべき状況にあるということが言えると思います。
 昨今、医療技術の進展などを踏まえまして、諸外国におきましては大麻を使用した医薬品が上市されているとともに、世界保健機構や国連麻薬委員会におきまして、大麻の医療用途への活用に向けた議論が進められているところでございます。
 こうした社会状況の変化や国際的な動向を踏まえまして、大麻などの違法な薬物の乱用についてはしっかりと取締りを行いつつ、また、医療への活用が期待されるものについては適切な対応を進めつつ、再乱用防止対策や依存症対策を進める必要があると考えております。そうしたことから、この「大麻等の薬物対策のあり方検討会」を開催することといたしたところでございます。
 本検討会におきましては、大麻をはじめとした薬物の有害性や人体に与える影響を分かりやすくお示ししながら、有識者の皆様方に様々な角度から御議論いただき、今後のより効果的かつ適切な薬物対策の推進に生かしてまいる所存でございます。
 忌憚のない活発な御議論を期待いたしまして、私の挨拶とさせていただきます。
○事務局  本検討会におけるカメラ撮りは、ここまでとさせていただきます。撮影の御担当者の方は、御退席をお願いいたします。
 (カメラ退席)
○事務局  続きまして、事務局の紹介につきましては卓上、あるいはタブレットの座席表をもって代えさせていただきます。
 次に、本検討会の座長の選出に移らせていただきます。座長につきましては、薬事・食品衛生審議会の委員、同指定薬物部会の部会長及び依存性薬物検討会の座長などを務められております鈴木勉先生にお願いしたいと考えておりますが、よろしいでしょうか。
 (首肯する委員あり)
○事務局  そうしましたら、本検討会の座長を鈴木先生にお願いいたします。
 鈴木先生、以降の議事の進行をよろしくお願いいたします。
○鈴木座長  それでは、議事の進行を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 まず、座長代理の選出をさせていただきます。座長代理につきましては、国際的な御知見が豊富で、現在麻薬・覚せい剤乱用防止センターの理事長を務めておられて、広報啓発活動に取り組んでおられる藤野彰先生を御推薦したいと思いますけれども、いかがでしょうか。
 (首肯する委員あり)
○鈴木座長  ありがとうございます。
 それでは、藤野先生よろしくお願いいたします。
 それでは、議題に移りたいと思います。本日の議題は「薬物対策の現状と課題」であります。監視指導・麻薬対策課長から説明をお願いいたします。
○監視指導・麻薬対策課長  それでは、私のほうから資料に基づいて御説明させていただきます。
 その前に、配付資料の確認でございますが、お手元のタブレット、01第1回検討会議事次第、02第1回検討会資料セット版、03第1回検討会座席表、04検討会委員名簿となっておりますが、よろしいでしょうか。
 それでは、02のセット版とありますが、第1回検討会資料に沿って私のほうから御説明させていただきます。
 本日、第1回ということですので、皆様方にとっては大変基本的な資料ということになるかもしれませんが、初回ということもございますので、少し基本的なことを含め、お話をさせていただければと考えております。30分程度で簡潔に御説明申し上げたいと思いますが、多少お時間をいただければと考えております。
 まずページをおめくりいただきまして、「薬物対策の現状と課題」ということで2ページですが、「薬物事犯検挙人員の推移」です。
 赤い折れ線グラフが全検挙人員ということで1万3,860人、これにつきましては横ばいではあるのですが、青い線の覚醒剤事犯の検挙人員が44年ぶりに1万人を下回るということで8,730人になっています。
 一方で、緑の折れ線グラフ、下のほうでございますが、大麻事犯の検挙人員、これは6年連続で増加して過去最多ということで4,570人になっています。
 3ページが「薬物押収量の推移」となっております。覚醒剤押収量につきましては、前年より大幅に増加して2,649.7キロということで初めて2トンを超えました。また、乾燥大麻押収量、コカイン押収量、ともに増加しているという状況です。
これはいろいろ原因があると思うのですが、輸入量が増加しているということもあろうかと思いますし、一方で最後にお時間があれば御紹介させていただきますが、各省庁連携して捜査、押収に取り組んだことの成果として押収量や摘発が増えているということもあろうかと考えています。
 4ページは「大麻事犯の検挙人員及び30歳未満の割合」ということで、先ほど申し上げましたとおり大麻事犯は6年連続で増加しているのですが、30歳未満の検挙人員も6年連続増加して、これも過去最多を更新しています。
 30歳未満の占める割合が57%ということになっておりますが、これはどういうことかというと、昨年は53.3%、一昨年は47.2%ということで、要すると昨年から、大麻事犯の半分以上が、30歳未満の若年者になっているということです。
 5ページですが、「薬物密輸入事犯検挙人員の推移」ということで、当然ですが、先ほど申しましたとおり押収量も増えているとともに検挙人員のほうも非常に増えてきています。
 次に、6ページです。これにつきましては、「各国(G7)における違法薬物の生涯経験率(%)の比較」ということで、各国とも青色の部分、大麻の生涯経験率が最も多くなっていますが、日本における違法薬物の生涯経験率は諸外国と比較して低く、特に大麻につきましては、欧米では20%~40%台であるのに対し、日本では1.8%と圧倒的に低い状況です。
 これにつきましては、本日御出席いただいている委員の研究から資料として作成させていただいたものでございます。
 次に、7ページです。同じく薬物の生涯経験率ですが、今度は我が国の比較ということでして、これは薬物使用に関する全国住民調査ということで、これも委員の研究を参考に資料を作成させていただいたものですが、御覧のとおり大麻の生涯経験率は調査開始から現在までの間で過去最高記録ということで、左側の下の部分が平成19年は0.8%であったのが、今年につきましては赤枠のところですが、1.8%と非常に増えてきています。
 右側に推計値ということで生涯経験者数及び過去1年間の経験者数の推計値ということで掲げていますが、先ほど日本は欧米に比べて非常に低いということで御説明申し上げましたけれども、低いといっても1.8%という数字は、生涯経験者数でいいますと大麻は約161万人、過去1年間の経験者数にしましても約9.2万人ということで、決して少ない数ではないということが見て取れます。
 8ページです。こうした状況を踏まえて、薬物乱用対策推進会議、議長は厚生労働大臣ですが、政府全体で薬物乱用対策に取り組んでいまして、今、右側の赤字にあるとおり、「第五次薬物乱用防止五か年戦略」ということで取り組んでいます。左側のところに庶務として、厚生労働省とありますが、そのほか、警察庁、法務省、財務省、文部科学省、国土交通省、海上保安庁ですが、本日はウェブ出席を含め、全ての省庁にご参加いただいています。
 9ページですが、「第五次薬物乱用防止五か年戦略」の概要です。「5つの目標」ということで、目標1は青少年を中心とした広報・啓発を通じた薬物乱用未然防止、目標2は適切な治療と効果的な社会復帰支援による再乱用防止、目標3は取締りの徹底ですとか薬物の流通阻止、目標4が水際対策の徹底による薬物の密輸入阻止、目標5が国際連携・協力を通じた薬物乱用防止ということで、5つの柱を立てまして、政府一丸となって薬物乱用防止対策に取り組んでいるということです。
 次に、10ページから「薬物関連法制の現状と課題」ということで御説明させていただきます。
 11ページ、「乱用薬物の種類・作用」ということで、まず我が国における薬物対策に関係する法律としましては、右側にあるとおり、覚醒剤取締法、麻薬及び向精神薬取締法、大麻取締法、あへん法、いわゆる薬物四法から構成されていまして、それに加えて指定薬物をいわゆる薬機法で取締りをしているということです。
 これにつきましては、左にありますとおり、興奮作用、幻覚作用、抑制作用と、当然乱用薬物にもいろいろな作用がありますが、それぞれに応じて整理をしたものがこの表です。
 12ページ以降は、今、表で紹介した薬物についてそれぞれ詳細な資料をつけさせていただきましたが、時間の関係上、簡単に御説明させていただきます。
 「覚醒剤」でございますが、強い精神依存がありまして、規制されている物質は「アンフェタミン」と「メタンフェタミン」のみということで、作用については一番下にございますとおり非常に多様な興奮、不眠、多動、幻覚・幻聴、妄想、猜疑心等々があるということです。
 次に、13ページが「大麻(マリファナ)」です。3つ目のところにございますとおり、有害成分THCが脳内カンナビノイド受容体に結合して神経回路を阻害したり、軽度の身体依存もございます。あとは、最近では例えばBHO(ブタンハニーオイル)のようなTHC濃度が非常に高いものが出てきているということが特徴です。
 作用としましては、認知機能、記憶等の障害、知覚の変容等がありますが、これにつきましては、次回、第2回の検討会で詳しく御説明をさせていただきます。
 14ページが「ヘロイン」、15ページが「コカイン」、16ページが「MDMA」ということで資料としてつけていますので、後ほど御覧になっていただければと思います。
 17ページですが、「乱用薬物の種類とその影響」ということで、これも本日御出席の委員の研究から資料として作成をさせていただいたものです。乱用薬物の種類として、左の抑制作用があるものとして、例えばあへん類ですとヘロインとかモルヒネでございますが、精神依存、身体依存、耐性、これが非常に強いということでプラスが3になっています。
 少し下のほうに、大麻がありますが、これは精神依存はプラス、身体依存はプラスマイナスということですが、耐性、催幻覚、精神毒性ということがプラスになっていまして、今、申し上げましたヘロイン、モルヒネに比較すれば少ないということは言えるわけですが、一方で少なからず精神依存、身体依存、耐性、催幻覚、精神毒性があるということです。
 また、下のほうには興奮作用があるものということで、コカインですとかアンフェタミン類、MDMAとか覚醒剤ですが、これは精神依存が非常に強いですとか、精神毒性も非常に強いという特徴があるということで、申し上げるまでもないことではありますが、ここに記載のあるいずれの薬物も、乱用することによって、精神、身体に対する影響があるということです。
 18ページの資料ですが、国として危険ドラッグ対策として指定薬物あるいは麻薬ということで指定をしているわけですが、右側に危険ドラッグとございまして、指定薬物に該当する成分を指定薬物に指定をするということで、これは平成18年からでございますが、薬機法で規制をしているところです。
 また、一番左ですが、これらのうち麻薬に該当する成分を麻薬に指定するということで、麻薬というものを指定しているところです。これらは、それぞれ薬食審の指定薬物部会ですとか、依存性薬物検討会で、座長ですとか委員にも御出席いただいて、指定の作業をしているということです。
 19ページです。「薬物犯罪の主な法定刑の比較一覧表」ですが、簡単に法定刑の現状を紹介させていただきます。
 この資料の左から「ヘロイン」「その他の麻薬」「向精神薬」「大麻」「あへん」「覚醒剤」、その他ありますが、それぞれ法定刑を比較したものです。分かりやすいところとして、上から2段目の「所持」ですとか、上から3段目の「使用」ということで少し御紹介をさせていただきます。
 まず、「所持 譲渡 譲受」ということで、ヘロインは10年以下の懲役になっております。また、覚醒剤も10年以下の懲役ということです。
 次に、ヘロイン以外の麻薬です。左から2番目のその他の麻薬につきましては7年以下の懲役、またはあへんも7年以下の懲役になっています。真ん中の大麻につきましては、所持ですが、5年以下の懲役となっております。向精神薬は、3年以下の懲役ということです。
 したがいまして、簡単に申し上げますと、より有害なものをより重く、後ほど御説明申し上げますが、スケジュール規制が高いものにつきましては、より長い懲役刑を科しているということです。
 また、使用のほうも今、申し上げました所持とほとんど同じようなスキームになっておりまして、ヘロイン、覚醒剤が10年以下、その他の麻薬、あへんが7年以下ということでございますが、大麻については使用罪がないということです。これは、制定当初、栽培農家が吸引してしまうとか、さまざまな理由があって使用罪を設けなかったという経緯があるわけですが、これについては現在も使用罪がないという取扱いになっています。
 その隣の向精神薬ですが、一般的に医薬品として使用されるということで使用罪を設けていないということですが、現行法では、このような法定刑の体系になっているということの御紹介でございます。
 20ページに移りますと、覚醒剤取締法と大麻取締法に係る科刑状況ということで、今、申し上げましたとおり法定刑ではそれぞれ覚醒剤が単純所持ですと10年以下の懲役、大麻ですと単純所持で5年以下の懲役となっていますが、実際の科刑状況がどうなっているのかということをお示しした資料です。
 ただ、これは営利目的とか、全て一緒くたにしている資料ですので、必ずしも全て正確に傾向を把握できていない面もありますが、おおむねの傾向として、覚醒剤取締法は1年以上2年未満の刑が科されたものが最も多いということですが、2年以上3年以下というのも結構あるということです。
 一方、大麻取締法につきましては6月以上1年未満の刑が科されたものが最も多いということで、法定刑にも差があるわけですが、実際の科刑状況でもこういった差が見て取れるということです。
 次に、21ページです。「大麻取締法上の大麻について」ということで、御案内のとおり右上にあります大麻取締法の条文第1条でございますが、この法律で「「大麻」とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除く。」ということで、いわゆる部位規制ということで少々分かりにくい条文になっているのですが、左側の規制対象外とある青い部分、「種子」、「成熟した茎」のうち樹脂を除いた部分です。赤い部分が規制対象で、「花穂」ですとか「葉・未成熟の茎」「成熟した茎から分離した樹脂」「根」ということです。
 一方で、黄色の部分、右側にあります「大麻に含まれる主な成分」ということで、THCとCBDというものがありまして、THCは幻覚等の精神作用を示す成分であって、化学合成されたものは麻薬として規制されています。
 一方で、CBDは物質としては規制されておりませんが、こうしたTHCとかCBDというものは御案内のとおり1960年代くらいからこのような物質があるということが分かってきたわけですが、今も運用上はTHCが含有されているか否かで規制対象とするか、しないかということで判断をしています。
 それで、一番下ですが、「大麻取締法上、「樹脂」の定義が定められておらず、規制対象が不明瞭との指摘がある。」ということもありますし、このような「部位規制」というものは我が国独自の規制の方法ですので、この辺りをどう考えるかということも一つ課題ではないかと考えています。
 次に22ページですが、「大麻から製造された医薬品について」ということで、昨今、大麻から製造された医薬品というものが出てきておりまして、1つはEpidiolexということで、イギリスのGWファーマシューティカルズ社が開発した薬品で、「大麻草」を原料とした経口液剤というものです。
 「承認までの経過」ですが、平成30年6月にてんかん症候群であるレノックス・ガストー症候群とドラベ症候群の治療薬としてFDAで承認されたということです。また、令和元年9月には欧州委員会で承認をされ、令和2年8月にはFDAで結節性硬化症の治療薬としても承認をされたということです。
 一方、「日本の状況」ということですが、このように「Epidiolex」は大麻草から抽出されたものでして、大麻取締法に基づく大麻製品ですので、輸入は原則禁止ですし、またその受施用等も禁止です。
 ただ、大麻から製造された医薬品の国内での治験については、現行の大麻取締法でも可能でして、これは大麻研究者免許を持っているお医者さんの方が個人輸入して自らの研究をするということであれば使用ができるということです。
 以上、簡単にではございますが、法律的な論点について御説明させていただきました。
 続きまして、23ページからは「国際的な動向」ということです。昨今、様々な国際的な動きがありますので、紹介させていただきます。
 まず、24ページです。「国際機関の構成」ということでして、まず国連の麻薬の機関として一番真ん中の麻薬委員会、いわゆるCNDがございます。53の委員国で構成され、WHOの通告・勧告に基づいて審議を行う機関です。
 一方で青い部分ですが、1961年の麻薬単一条約によって設置された機関として国際麻薬統制委員会、いわゆるINCBがありまして、条約の履行を監視する機関であり、CNDに助言をするという機関でございます。こちらの機関の事務局に今日、御出席いただいている委員も事務局次長ということでお勤めになられていました。
 次に、25ページです。大麻に関する最近の国際情勢についてをまとめた資料です。
 まず、「大麻に関するWHO勧告」ということで、今ほど申し上げましたとおり、CNDというのはWHOの通告・勧告に基づいて審議を行うということになっていますが、WHOから大麻に関する6つの勧告というものがなされまして、これについて昨年の12月に採決が行われました。この採決は、6つの勧告のうち1つの勧告、「大麻から製造された医薬品に医療用の有用性が認められたことに基づき、条約上の大麻の規制のカテゴリーを変更する」という内容の勧告が可決をされました。
 もう少し詳しく申し上げますと、括弧の中に書いてありますが、大麻というのは条約でスケジュールⅠということで、「乱用のおそれがあり、悪影響を及ぼす物質」と、スケジュールⅣということで「特に危険で医療用途がない物質」というカテゴリーで規制されていたのですが、海外の一部の国で今ほども少し申し上げましたとおり、大麻から製造された医薬品に医療上の有用性が認められるということで、スケジュールⅣから外してはどうだということで、これが可決されました。
 ⅠとⅣの規制内容というのは、同じです。後ほど詳しく申し上げますが、引き続き規制については同様の規制ということになっております。
 今ほど申し上げましたのは医療用の取扱いということですが、一方で嗜好用についても動きがあります。真ん中の「米国の動き」ということで、アメリカ合衆国では嗜好用の大麻というのは禁止になっているのですが、州法で認められているところがございまして、今15ございますが、このうち4州は昨年の11月の住民投票で新たに嗜好用途での使用が合法化されました。
 また、アメリカ合衆国全体でも、昨年の12月に「大麻の嗜好用途での使用を合法化する連邦法案」というものが下院で可決されたということでして、米国では一定の動きがあるということです。
 また、一番下のニュージーランドでも大麻の嗜好用途での使用合法化法案というものに国民投票が実施をされたということですが、これにつきましては結果として否決されたという状況です。
 26ページでございます。これはおさらいみたいなものですが、スケジュールというものは何ぞやということでして、1961年の麻薬に関する単一条約ですが、スケジュールⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳということで、Ⅳが一番上になって分かりにくいところもあるのですが、Ⅰの中にⅣがあるということで、このスケジュールⅣの中に右上にありますように大麻ですとか、麻薬のうちヘロインが位置づけられている、これまで位置づけられていたということです。
 27ページですが、繰り返しになりますが、「大麻に関するWHO勧告」ということが1つ可決されたということで、概要については先ほど申し上げましたとおり、スケジュールⅣから外すということですが、スケジュールⅠでは引き続き規制されるので、大麻の規制内容には変更はないということです。
 参考までに、投票結果ですが、賛成27か国、反対25か国、棄権1か国ということで、非常に僅差の採決でした。
 我が国につきましては、反対ということで投票いたしました。理由としましては、「大麻の規制が緩和されたとの誤解を招き、大麻の乱用を助長するおそれがあるため」ということでして、内容自体というよりは、誤解を招くのではないかという懸念をもって反対投票をさせていただきました。
 反対国では同様の意見も見られる状況ではございますが、いずれにせよ結果としては可決をされたということです。
 次に、28ページです。「可決されたWHO勧告による変更点について」ということで、今まで医療上の有用性がないと整理されていた大麻、大麻樹脂が、医療上の有用性があるという整理になって、その区分からは削除されたということで、スケジュールⅣにはヘロイン等が残っているだけになっているという状況です。
 29ページです。今ほどの御説明は医療用ということではあるのですが、一方で嗜好用の大麻について、嗜好用大麻を合法化した国に対してINCBが2018年の年次報告書においてカナダですとかウルグアイですとか、あるいはアメリカの一部の州、これが嗜好用が認められている全ての国、地域ですが、これについて条約に違反していることについての懸念というものを表明しておりますので、紹介をさせていただきます。
 まず1つ目は、「医療目的以外での大麻使用の合法化は、条約の普遍的履行、公衆衛生、福祉、条約締結国への挑戦である」と言っております。
 2つ目は、「大麻の合法化は、麻薬単一条約と麻薬新条約に違反する」、3つ目は、「大麻合法化は他の締約国を追随させ、その正当化のための根拠となりかねない」、4つ目は、「大麻合法化を擁護する人々は未成年者の保護を主張するが、未成年者へ大麻を販売する例が多数認められる」、5つ目は、「医療用途以外での大麻使用が増えると、公衆衛生への悪影響が増加する」、6つ目は、「医療目的以外の大麻使用の合法化は、条約を遵守する隣国における条約の履行を困難にする」ということで、INCBのほうでもこうした懸念を表明されているということで、総じて医療用途については国際的に使用が進められている一方で、嗜好用というものはINCBからこのような見解が示されているとおり、積極的に解禁されているという状況では全くないということです。
 次に、30ページから「麻薬取締部の現状と課題」ということで、せっかくの機会ですから少し麻薬取締部について御紹介をさせていただきます。
 まず、31ページです。「地方厚生局麻薬取締部の概要」とありますが、これは厚生労働省の地方厚生局というところの一つの部として設置されており、全国で7局1支局1支所3分室から構成されています。
 右上の定員ですが、300人以下くらいを行ったり来たりということで、平成25年から26年にかけて約30人の定員増ということです。これは、危険ドラッグが非常に問題化したときに定員の大幅増が図られたところで、その後、国全体の定員削減の中で少しずつ減っていきましたが、最近では薬物乱用の現状にかんがみ、定員を戻しつつあるということで、来年度も1人増の296人ということで、ようやく26年度の水準まで戻したということです。
 職務については御覧のとおりですが、厚生労働省にあるということですから、司法警察職員としての麻薬事犯の取締り、いわゆる「捜査」活動以外にも「国際協力」とか「正規麻薬等の不正流通防止」、あるいは「薬物乱用防止の啓発活動」「再乱用防止・中毒者対策」「鑑定」など、幅広く取り組んでいるというのが一つの特徴です。
 32ページです。昨今、大麻事犯が増加していることに伴いまして、麻取部でも大麻取締りの強化をしておりまして、特に栽培器具販売業者の取締りということで、左下にございますが、「大麻の不正栽培に使われることを知りながら、栽培器具を販売し、栽培方法を教示する業者」ということが判明しておりましたので、同業者に対する集中的な取締りを実施しまして一定の成果を上げています。
 次に、33ページです。冒頭に申し上げましたとおり、密輸も非常に増えていますので、密輸に対しての取締り強化ということで、昨年4月に関東、近畿に「密輸対策課」というものを設置して、関係各省と連携をして積極的にCD、コントロールドデリバリー捜査などを実施して水際対策を実施しています。
 次に34ページですが、最近の麻取部の密輸事犯の検挙事例ということで、昨年1月に、カナダから冷凍エビを装った段ボール20箱に覚醒剤240キロを隠匿して密輸入したカナダ人を検挙しました。覚醒剤が約240キロということで、かなりの量を押収したということで、これも先ほど冒頭に申し上げました押収量の増加につながっているということです。
 次に、35ページです。「関係機関間における協力捜査事例」ということで、平成29年に海上保安庁に寄せられた情報を基に、警察、税関、麻取部、海上保安庁で合同捜査体制をしいて内偵をした結果、1トンを超える覚醒剤を押収したということで、冒頭申し上げましたとおり、関係省庁の連携により大きな成果が現れているということです。
 最後に、「海外捜査機関との連携事例」です。多少古い事案ですけれども、平成24年、オーストラリア連邦警察からの情報で捜査を開始して、ロードローラーに隠匿されていた覚醒剤約108キロを摘発したという事例です。
 資料の説明は大変雑駁で恐縮ですが、以上になりますが、本日は第1回ということもございましたので、比較的基本的な現在の状況ですとか課題、対策等について御説明をさせていただきました。
 私からは、以上でございます。
○鈴木座長  ありがとうございました。
 それでは、質疑応答に入りたいと思いますけれども、本日の議題について委員の先生方からお一人ずつ御質問、御意見をいただきたいと思います。
 まず、最初に□□先生からお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○□□委員  ありがとうございます。□□です。
 まず、この綿密な資料を監視指導・麻薬対策課長以下、職員の方々が作られたことに対してお礼を申し上げたいと思います。正確で綿密に作ってありまして、私はもともと国連の職員ですけれども、国連その他の国際機関についてもその説明は語弊がないようにきちんと書いてありますので、誠にありがたいと思います。お礼申し上げます。
 私は、先ほど資料にも出てきましたINCBの事務局に23年ばかりおりました。国連職員として、ウィーンに通算25年余り、その間5年ほどタイに赴任していたのですけれども、その間ずっと気になっていたことがあります。それは何かというと、先ほどこの資料にもいろいろ詳しく正確に御説明がありましたが、日本を含めて世界のいろいろな国で間違った情報、誤った情報、十分ではない情報が広まっているということです。
 その一つに、先ほど監視指導・麻薬対策課長の御説明にありました先月の麻薬委員会での決定について、報道を見る限り、間違いではないのですけれども、知らない人が読むと、これは国連が規制を緩めたんだ、どんどん緩くなっているんだ、国連も認めたんだと見る人が多いのではないかという気がしました。乱用防止活動に関わっている、私を御存じの方からすぐに連絡があったりしました。ですから、正確な情報を検証する、我々はここで、これだけじゃないですけれども、検証できる事実をきちんと把握して、その上で議論を進め、それが一般に伝わることが必要だというふうに考えております。
 もう一つ、例えば大麻の使用です。これは、次回以降に詳しくお話があると思いますが、世界の潮流はこういうふうだと言われたとしても、必ずしも正確ではないわけです。それが、間違って十分ではない形で伝わっていく。その結果、間違った判断がまた一般に広がってしまう。大麻の合法化が進んでいるというのは限られた国のことです。先ほどINCBの年次報告書の話がありましたけれども、1961年条約には14条という条項があり、違反国に対してはINCBが対話に入ることができる。
 資料に「対話に入る」とありましたが、これは最終的な段階に至るまで条約上公表されないので「対話に入る」と書いてあるだけですけれども、実際にINCBが条約違反に対処している時期が続いているわけです。
 したがって、現時点では質問ではないのですけれども、あくまでも検証できる事実をできる限り検証してこの会議が進んでいくべきだと考えていましたので、コメントさせていただきました。
 以上です。
○鈴木座長  ありがとうございます。特に質問というのは、よろしいですか。
○□□委員  はい。
○鈴木座長  では、次は□□先生のほうに回っていただきたいと思います。
○□□委員  □□でございます。
 私は、危険ドラッグを始めといたします、いわゆる成分分析の仕事をしておりますので、その観点からこの検討会に情報提供等できれば幸いと考えております。
 大麻につきましては、特に精神作用を示すΔ9-THC、それからCBDというところが主要な成分になると思うのですが、特にΔ9-THCが精神作用を示すということで規制対象になるというのは妥当であると考えています。
 一方でCBDの扱い、先ほど御説明にもありましたが、いわゆるCBD製剤ということで医療用に使われる可能性があるということであると、今後、我が国でCBD製剤の利用というものがスムーズに進むような体制作りというものも検討する必要があるのかなと思いました。
 それから、いわゆる大麻につきましては海外での規制の緩和というものが進んでいるということがよく分かったのですが、実際どんなルールかというところの情報も踏まえて議論が必要ということだと思いました。やはり年齢制限があるというところは非常に重要で、若い方が使うべきではないというメッセージになっているのかなというふうに感じました。
 あとは、今後の課題としては生体内から実際そういう規制されている物質の検出などはどうなっているのかというあたりも情報をいただければ、この検討会はより充実したものになるのではないか。今回の御説明をお聞きした内容に関するコメントです。
 以上です。
○鈴木座長  ありがとうございます。
 続きまして、□□先生お願いいたします。
○□□委員  □□でございます。よろしくお願いいたします。
 私のほうからは、法律上の規制のあり方についてコメントさせていただきます。
 今の薬物の規制体系は、今の御説明にもありましたけれども、有害な物質というところに着目して規制をしている麻向法とか覚醒剤取締法というものに対して、大麻取締法というのは植物に着目をして規制をしているということです。これはいろいろな経緯があるわけですけれども、大麻取締法の制定後に大麻の有害作用がTHCだということが判明してきた。そのため、物質に着目した規制とすることも可能ですし、実際の規制上も物質に着目している部分があるところですが、植物に着目した大麻取締法というのはそのままの枠組みで維持されているという状態が長く続いてきたというのが今の規制の状況だと思います。
 そういう薬物法の規制体系として、物質に着目した規制というのと、植物に着目した規制というのがある意味、混在をしているというところで、THCで合成であれば麻向法になるし、大麻植物由来であれば大麻取締法というふうに、同じTHCという物質に対する規制というのが股裂き状態になっているということで、取締り上の問題や、規制体系としての苦しさが出てきているというのが現状かなと思っています。
 先ほどもありましたけれども、実際の取締りは、大麻についてもTHCが入っているかという物質に着目している部分があるということですので、そういう実態に合わせて、そこに適合する形で薬物規制法というものを整理して適応関係を明確にするということは重要ではないかと思っております。
 こういう整理を通じて、大麻取締法では、古い法律でもありますし、想定していなかった大麻植物由来の医薬品というものについても適切な規制の枠組みの中に入れていって、医薬品として必要なのであれば、そういった医薬品の製造販売が日本でも可能になるようにするというところも重要かと思っております。
 また、海外での大麻に関する規制との関係では、今日の資料の6ページなどにありましたけれども、違法薬物の使用状況、使用割合、文化、生活様式、そういった背景が異なるところですので、そういったものを踏まえて、わが国でどうするべきかを、慎重に検討していく必要があると思っています。
 最後に、これは大麻に限りませんが、やはり薬物については乱用防止とか再乱用防止というところが非常に重要で、今日の五か年戦略のところにもありましたけれども、教育とか啓発、それから社会復帰のための支援とか、そういった努力がされているところだと理解をしています。
 こういう取組というのは継続して充実させていくことが重要なのですが、薬物の乱用とか再乱用というのは、ある意味、薬物の使用に走らざるを得ないような状況に社会の中で置かれてしまっている方たちが一定数存在するという社会全体としての問題というのをはらんでいるように思います。
 ですので、そういう問題への取組、対応も含めて、広い視野で取るべき対応というものを決めていくべきではないかと思っているところでございます。
 特に今日、質問はありませんが、コメントとして申し上げました。
○鈴木座長  ありがとうございました。
 それでは、続きまして□□先生お願いいたします。
○□□委員  □□と申します。
 私は、精神科医師として医療機関における薬物の問題、患者さんたちの実態調査をしたり、それから薬物依存症の治療法の開発をしたり、普及、均てん化、何よりも自分自身が臨床医として薬物依存症の治療に従事しています。
 自分自身が、多くの薬物依存症の患者さんの治療や回復支援に携わる中でいつも問題になるのは、やはり患者さんたちにとって最初の逮捕はもしかすると治療のきっかけになるかもしれないけれども、その後の逮捕というのは、実は薬物の問題でというよりは、社会から排除されていくことによってどんどん回復が難しくなり、薬物がやめにくい状況になっているということをいつも痛切に感じております。
 現在の国際的な様々な薬物規制法の根拠となっている、実効性のある最初の条約、1961年の麻薬に関する単一条約の前文には、なぜ法と刑罰をもって薬物を規制するのかという理由が書いてあります。御承知かと思いますけれども、「人類の健康と福祉に思いをいたし……」ということが書いてあるんですね。
 ところが、もしかすると逆にその規制みたいなものが人類の健康や福祉を阻害する状況がないのかということも、国際的には最近ではつとに声が上がっているところでございます。
 それに比べると、日本はまだまだ遅れているのですが、そうはいってもというふうに最近感じる出来事がございました。多分、今回会議に出られている先生方は既に拝見されている方もいるかと思いますが、昨年の12月に刊行されました法務省の令和2年度犯罪白書を御覧になったでしょうか。その犯罪白書では、久しぶりに薬物特集ということをかなりのページを割いてやっているんです。
 前回、たしか薬物特集をやられたのは平成7年だと思います。そのときの記述と比較してほしいんです。法務省の司法機関でも回復支援や処遇のこと、それから精神保健福祉センターや医療機関のこと、僭越ではありますが、私自身が開発をしたSMARPPのことなどにも相当な紙幅を割いて記述しているんです。だから、国内の中でも新しいムーブメントが起きているということは知ってほしいと思います。
 その中で、これも御承知かと思いますが、平成28年から刑の一部執行猶予制度が施行されて、刑務所を早目に出た方たちが定期的に保護観察所に出頭しながらプログラムを受けています。その際に、唾液検査と薬物検査もしているんですね。その唾液検査というのは、実は覚醒剤だけではなく大麻も調べられちゃうんです。だから、もしかすると新たな規制ができることによって、保護観察中の方たちの再度収監されるリスクが急激に高まるという可能性もやはり我々は考慮に入れてこの議論をしていかなければいけないと思います。
 最後ですけれども、実は様々な薬物規制に関わる委員会に出ていて、いつももどかしく思うことがあります。議論は、しばしば細胞レベル、動物レベルの話なんですね。人間でどうなのだろうか、臨床医学からはどういう健康被害の報告があるのかということなんですね。
 率直に申し上げて、大麻に関する臨床医学的な研究は非常に少ないです。かつては、海外でも研究がしにくい状況があったということがありますが、最近になってかなりいろいろな論文が出てきています。
 しかし、その結果を見てみると、何とも微妙だなというふうに、なかなか断定的なことが言いづらいというところがあるなと思っています。
 そして、日本国内で見てみますと、これまた驚くほど少ないんですね。率直に申し上げて、我が国の精神科医は大麻の健康被害や精神障害に関して十分な知見はない状況です。だから、我々はこういった知見をしっかりと集めて、何ゆえ大麻に関して規制をしなければいけないのかということをしっかりと確認しながら進めていくことが必要なんじゃないかというふうに私は思います。
 一応、私からは以上です。
○鈴木座長  ありがとうございました。
 続きまして、□□先生お願いいたします。
○□□委員  □□と申します。
 丁寧な資料と説明、ありがとうございます。地方庁ですので、どうしても国際的な動向がちょっと弱いというところで勉強になりました。ありがとうございます。
 私の仕事なのですけれども、麻薬の診療施設への立入検査とか、薬物乱用防止の普及啓発、または実際に薬物関係の許認可ですね。麻薬の施用者とか、大麻研究者の免許等を行っております。
 そういった実務を行っている中で、やはり規制とか、今回の議題とちょっと違うかもしれませんが、免許申請の在り方等、幾つか課題があるとは思っております。
 私としましては、実際にそういった免許事務とか現場で立入調査を行っている地方庁、都道府県の立場から、今回の検討会では意見等を述べさせていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。
 以上でございます。
○鈴木座長  ありがとうございました。
 続きまして、□□先生お願いします。
○□□委員  □□でございます。私は医師をやっております。
 今回、特に質問はないのですが、私なりに考えていること、期待していることを少し述べさせていただきたいと思います。
 まず、何人かの委員の方も言われていましたが、大麻というと簡単に、大麻はいいか、悪いかみたいな論調で世の中では論じられることが非常に多くて、どうも私はそれになじまないんですね。
 というのは、皆さん御存じのように、大麻というのはあくまでも植物ですね。しかも、カンナビノイドといわれる成分だけでも100種類以上あるようですし、それ以外の成分を合わせればどのくらいなのでしょうか。1,000を超えるのでしょうか、1,000くらいなのでしょうか。
 要するに、薬物としてそんなに数多くの物質を含んでいる植物総体が大麻なのでして、当然その成分の中には人間にとって悪いものもあれば、場合によってはいいものもあるかも分からない。他の委員の先生も言われたように、まさに成分から考えていく。必要なものは使い、悪いものは使ってはだめだという考え方の下で大麻を考えていく必要があるかなとずっと思っています。
 いろいろなものを含んだもの総体が大麻でして、総体と見たときにどう考えるか、植物をどう考えるかということになってくるかなというのがありますので、今回もその成分というものを非常に重要視して考えていったほうがいいのではなかろうかと個人的には思っています。
 それから、今日の資料等を見させていただいて、担当課はどうしても薬物の管理、流通管理を専門とする担当課だと思います。
 ただ、問題は、私は医者ですから常々言い続けているのは、使うのは人間なので、やはり人間の問題として考えていく必要があるわけです。そうなってくると、大麻中毒者ですね。これは、麻薬及び向精神薬取締法に基づけば麻薬中毒者に該当するわけですね。そうなってくると、麻薬及び向精神薬取締法に基づいて医療的対応が法で決められている。
 ところが、その実態はどうなっているのかという問題がずっとあると思います。
 その一方で、精神保健福祉法という法律がありまして、いわゆる精神障害者という定義があります。その中に、薬物依存症者というのが入っているわけですね。麻薬及び向精神薬取締法でいう中毒者というのは、現在の言葉でいえば依存症者だと思います。これは、間違いないです。厚労省もそういう説明を出していますから。
 そうなってくると、いわゆる薬物依存症者に対する対応、特に大麻の場合には2つの法律がダブっているんですね。そういう意味では、その辺の整合性、きちんと対応をこの際やはり整理していくことが非常に必要かと思っています。
 もう一つは、ヨーロッパあるいは北米を中心に大麻というものがそれなりに社会の中に認知されているわけではないんでしょうけれども、随分使われていまして、国によっては2か国がいわゆる嗜好品として認めている。アメリカの州でも、そういうところが増えている。カナダも、それに近い。そういう状況を考えるときに個人的に思うのが、古い話ですが、日本統治下の台湾というのをいつも私は考えてしまうんですね。
 要するに、台湾というのは日本統治下のときには、最初はあへんがものすごく使われていたようですね。そこで、日本がとった措置というのは、あへんの漸禁政策というものですが、まずあへんに依存している方々を登録させて、登録した人間には有償であへんを政府側が買わせる。その人たちだけに認める。それで、少しずつそういう人たちを減らしていく。供給量も減らしていくという政策を取るということで始めたわけですね。
 ところが、何とそれをやっているうちにその収益が予想以上に大きかった。台湾の国家財政のかなりの部分を賄えるほど、お金が入ってくる。そうすると、当時の日本側はそれに目がくらんで、中毒者を減らすと称しながら稼ぎたいという方向に変わってしまうんですね。そうすると、台湾の国民たちが怒りまして、話が違うじゃないかということで、台湾サイドは頑張って日本が敗戦するまでの間に最後の頃には事実上の漸禁政策を貫いて、世界で初めてあへんの事実上の撲滅に成功した国です。日本政府は、最初は考えはよかったのでしょうが、途中からお金に目がくらんでしまった。
 昨今の欧米の状況を見ていますと、台湾での日本の経験をぐっと圧縮したみたいな感じで、余りにもその乱用が広まり過ぎているのでどうしようもないということで、何らかの対策をと言いながら、結局政府サイドが大麻を一元化することによる経済的な上がりを期待してしまっている。個人的には、そんな気がして仕方ありません。
 そういうことで、これは報道の方々にぜひお願いしたいのだけれども、安易に合法だとか、いいとか悪いとか、そんな話ではなくて、これは恐らく次回かその後にここでも報告されるのでしょうけれども、本日出席されている□□先生と同時に、その筆頭著者として富山先生という先生が書かれておりますが、北米での大麻の規制について実際に現地に行かれて調べられた詳細な資料もあるので、簡単に合法と言い切れるのかどうか。そういうことも、この場で確認しながら検討していっていただければと思います。そういうことで、よろしくお願いしたいと思います。
 以上です。
○鈴木座長  ありがとうございました。
 それでは、□□先生のほうからお願いしたいと思います。
○□□委員  □□でございます。オンラインでの参加とさせていただいております。よろしくお願いいたします。
 私は、刑事政策と、それから被害者学という分野を専攻しておりまして、薬物の問題を主として研究しているわけではないのですけれども、犯罪や犯罪者に対する刑事法的な対応について、例えば犯罪者に対しどのような処罰の在り方が適当であるかとか、どのように再犯を防止するか、どのように社会復帰させるのかということを法制度の観点から研究しております。
 それで、薬物に対する日本における対応について私が普段感じておりますことは、先ほど説明にありましたように、日本ではほとんどの規制薬物の所持や使用、大麻の場合、使用は入っていないわけでありますけれども、犯罪として規制されております。
 そのために、検挙された犯罪者に対してはほとんど起訴するという運用になっておりますけれども、その後の処罰がどうなっているかといいますと、かなりのものが全部執行猶予になっております。覚醒剤でさえも40%近くが全部執行猶予になるとか、それから大麻などについては90%くらいが全部執行猶予になっていて、しかも初犯の場合には保護観察もつかない全部執行猶予になっています。
 そのために、その後、再乱用といいますか、再使用に至って、刑事手続に乗ってしまうというように、規制薬物の使用を犯罪として扱うという部分が非常に強くて、その後の再乱用が再犯になるわけでありますけれども、それをどういうふうに防ぐかという処遇や治療のほうにつなげていくという仕組みは非常に弱いと思っております。
 例えば、全部執行猶予でもう少し保護観察をつけるとか、今は一部執行猶予という新しい制度ができましたし、実刑になった場合は刑務所の中での処遇とかもありますけれども、その後、仮釈放になった後も保護観察が非常に短く、数か月とか、それくらいのフォローアップしかできない法制度になっているなど、再犯や再使用を防ぐ上での法制度に制約があって、犯罪者として扱われた薬物の依存者等が再乱用しなくて済むように社会復帰させていく上での刑事司法の在り方に非常に弱い部分があると考えております。
 従いまして、どのように刑事手続から治療ないしは社会復帰に向けていくのかというところが今後の大きな課題であろうと思っております。
 それで、まず今日お話を伺った上での感想と、あとは1つだけ質問がございますけれども、近年、日本の社会では若者を中心としてではありますが、大麻は安全であるとか、たばこより害がないとか、それから海外では合法化に向かっているとか、そういった間違った言説が広がっていて、これが近年の大麻の乱用に拍車をかけているように思われます。
 そこで、まずこういった大麻とか、もしくはその一定の成分の危険性ということについて、医学的ないしは科学的な見地からまずきちんと明らかにして、そしてその結果を社会に対して適切に示していくことが必要であると思っております。
 先ほど□□先生のほうから、余り研究成果が日本にはないというお話がありました。次回以降にいろいろ御紹介や議論が行われるのかもしれませんが、1つお聞きしたいと思っていること、特に医師の方にお聞きしたいと思っていることは、大麻ないしはその一定の成分の危険性、有害性について、医学的な観点からは異論なく認められているのでしょうか。どこが、どういうふうに危険だという点については異論なく認められているのかということについて御知見をいただければと思っております。そういうところをきちんと社会に示すことによって、大麻は害がないんだというような主張に対してきちんと説明をしていくことができるのではないかと思っております。
 それから、大麻取締法という法規でありますけれども、これはもともと大麻の栽培者とか、大麻栽培の規制というものを目的としているわけでありますが、近年日本では大麻の乱用も広がってきておりますし、今日お話がありましたように医学の分野でも医療用の大麻が治療薬として認可される国が出てきているということでありますから、大麻取締法という法律の目的とか規制対象が、大麻の乱用とか医療目的の使用といったような今日の状況と符合していないように思われます。そこで、今後大麻の乱用やその防止、医療目的の使用といった状況に合った法規にしていく必要があるのではないかと思っております。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
○鈴木座長  ありがとうございます。
 そうしましたら、□□先生と□□先生からお答えいただければと思います。
○□□委員  では、私からですが、昨年、私が71例の大麻関連の精神障害の研究の論文を出したのですけれども、それ以前は国内でこれまで論文が5つしかないんです。全部日本語で、しかも1例とか、最大6例とか、とても少ない。これをもってエビデンスということは、とても言えない状況なんです。それで、私どもは全国の精神科病院で治療を受けている薬物関連の患者さんたちの悉皆的な調査をやっています。もちろん、大麻関連の患者さんたちもいます。
 ただ、検挙者の数とか、近年の検挙者の増加に比べると、精神科医療機関を訪れる人は非常に少ないし、その増え方もわずかなんです。そういう意味では、大麻で困っている人たちが少ないのか、あるいは医療アクセスが非常に悪いのかどうか分からないんだけれども、医療の現場でそうしょっちゅうあるケースではないということなんです。
 もちろんメインの薬物は覚醒剤だけれども、大麻も使うという方もいますし、それから大麻取締法で捕まった方が保釈中にいわば公判までの間、治療プログラムに参加される方もいます。
 ただ、本当にその方たちは皮肉な話、非常に健康というか、大麻を使うこと以外は健康だったり、それからまた薬物依存症の回復プログラムがどうしても覚醒剤の依存症をメインにしているので、そんなふうに薬に振り回される感じではないんですよねということで、なかなか治療プログラムにぴたっとはまらないというところがあります。
 ただ、別に私は大麻が安全だと言っているつもりではございません。まず1つ、我々の研究からもTHCの濃度が高く含まれる薬物を長く使っている方は、やはり依存症の状態になる方が多い。なる傾向、可能性があるということが分かっています。
 ただ、幻覚・妄想に関しては、たくさん使ったから出るというわけではどうもなさそうだというふうな結果が出ています。そういう意味では、アルコールやたばこも有効成分が高濃度なものを長く使っていれば依存症になるリスクが高いので、やはり嗜好品ですから一定の依存性はあって、一定の健康被害はあるのだろうとなっています。
 海外ではたくさん研究があるのですけれども、恐らく一番引用されるものとして2016年と2019年にJAMAというアメリカ精神学会が出している『JAMA Psychiatry』という雑誌に2つの論文が出ています。
 一つは、2016年のほうは全米の疫学調査の論文なのですけれども、これで分かっているのは、ざっと分析すると大麻が様々なメンタルヘルスの問題と関係があるかもしれない。でも、さらに多変量をかけて多変量分析をしてみると、精神疾患と関連しているかどうかは分からないけれども、大麻を使用しているとニコチンやアルコールの依存症の発症リスクが上がるというふうな結果が出ている。
 それから、2019年の『JAMA Psychiatry』の論文では、大麻を使うことが精神障害の発症を誘発するかどうか、全年齢では分からないけれども、18歳未満の若年者に関しては数年後の鬱状態とか、あるいは死にたいと感じたり、自殺未遂をしたりという自殺傾向とどうも関連があるという結果が出ています。
 こんなところが、現時点における医学的なエビデンスなのかなと思っています。
○鈴木座長  ありがとうございました。
 □□先生、お願いします。
○□□委員  これは、とにかく日本国内を見た場合には、純粋に大麻だけの使用者でいわゆる精神医療に乗ってくる方というのはほとんどいないと考えても言い過ぎではないと思います。それだけ、医療サイドではデータがないんです。
 □□先生たちがされた調査は七十数例だったと思いますけれども、よく集められたなと思う反面、やはりそこに集められた症例も大麻だけというわけではないですね。ほとんどの人が、ほかの薬物をやっているわけです。そうなってくると、そのデータも純粋に大麻だけのものとはなかなか見づらいところもあるので、本当に日本の場合には医学的なデータがないと言わざるを得ない。それが、この薬物問題の厄介さです。
 薬物依存症者のデータは、乱用者が少なければ少ないほどデータもないんです。だから、我々自身も困るのですけれども、海外から学ぶしかありません。ほかの国を見た場合、やはり大麻を使うと人によって違いもあるので厄介なのですが、意識の変容ということがかなりの頻度で最初は起きる。これは、どの成分が原因かと言われれば、Δ9(デルタナイン)のTHCというものが原因の物質であろうというのは世界の共通項だろうと思います。だから、THCというものが非常に好ましくない作用の親分格と考えていいと私は思っています。
 同時に、ここのところよく言われている医療用大麻というのは、CBDというカンナビジオール、ダイオールというものが、どうやら何らかの疾患に対して使えるのではないかという知見です。この流れも、世界の共通項ではないかと思います。国内では全くと言って良いほどデータがありませんので、国外でのデータ、知見を日本は参考にして考えていくしかないかなというところでしょうか。
 それともう一つ、これはずっと昔から言われてきていることで経験則ですが、大麻というものは、それ自体では、いわゆる精神病を引き起こす力というのがどうも弱そうだが、大麻を使っていると、そのうち害が強い薬物を使う確率が高くなるということで、ゲートウェイドラッグという言い方をしますが、これも世界の通説だろうと思います。エビデンスもあります。
 以上です。
○鈴木座長  ありがとうございました。
 □□先生、これでよろしいでしょうか。どうぞ。
○□□委員  今日は余り深く議論する日ではないかもしれませんが、1つだけ確認させていただきたいと思います。
 なかなか評価が難しい面もあるというお話でしたけれども、先ほど出てまいりました麻薬単一条約の中で、これまで大麻がカテゴリーのⅣになっていました。この定義は、Ⅰの中でも特に危険で、あとは医療用の有用性がないとかというところは今変わりつつあるというお話でしたけれども、特に危険ということになっていたというのは、なぜそういうカテゴリーになっていたのか、これは背景があるのでしょうか。もし厚労省の方か、もしくはどなたか御存じであれば教えていただきたいと思っております。
○鈴木座長  よろしいですか。
○事務局  事務局から、簡単に申し上げます。
 皆様御承知のとおり、麻薬の単一条約、大麻はスケジュールⅣで規制されておりますけれども、これは日本の法規ではないのですが、これは当時、大麻が規制されたときに乱用以外の用途がなかったからスケジュールⅣとして規制されていたものです。
 ところが、昨今、監視指導・麻薬対策課長から説明申し上げましたけれども、近年、大麻から作られた医薬品ですね。これは嗜好用の大麻ではなくてきちんとした医薬品ですけれども、こうしたものが世の中で何種類か出てきておりまして、本日Epidiolexというものをお示しさせていただきましたが、こういったものが出てきて世界的に使われるという状況になってきたので、WHOから勧告されてこうしたスケジュール性を見直したものと考えています。
○□□委員  お願いいたします。
○鈴木座長  □□先生、お願いします。
○□□委員  私などがいろいろな書籍で調べた範囲では、その書籍自体にバイアスがあると言われるとそうかもしれないのですが、基本的には当時、メキシコ人やプエルトリコの方たちの生活文化みたいなものが白人社会の中で非常に嫌悪感情を持たれて、そういう意味では少し人種差別的なところがあってアメリカはかなり規制が強まった。それで、単一条約のときにも大麻をかなりアメリカが一生懸命ねじ込んだというふうに複数の文献には書いてあります。
 もっとも、それが本当に事実かどうかに関しては、また検証が必要だと思いますが。
○鈴木座長  では、□□先生お願いします。
○□□委員  ありがとうございます。
 今の付表Ⅳに関する件は、先ほど事務局から御説明があったとおりだと思います。
 ただ、先ほど1961年条約は「初めての」というコメントがどなたかからあったかと思いますが、それは必ずしも正確ではなくて、1912年に初めての条約ができて、1925年の国際あへん条約で既にカンナビス・サティバ・エルが規制されております。その頃から、最終的に1961年条約の前のそれまでの条約をまとめたのが単一条約なのですけれども、先ほど御説明があったように医療用に使われていない、したがって、危険性というよりは医療用に必要ないものは使わないようにしましょうというのが付表Ⅳの目的です。その中には、例えばヘロインも入っているわけです。
 それで、今ちょっと話が別の角度からになりますけれども、ヘロインを医療に使ってはいけないかというと、そんなことはなくて、使うことはできるわけです。実際に、ヘロインについてもごく少量ですけれども、古いイギリスのスクールで学ばれた先生方はまだ使っておられるはずです。したがって、医療用に使えるようにとの理由で大麻を付表Ⅳから外したことで、大麻の規制が緩和されたかのような、正確でない印象を一般に与える可能性は、我々も考えておかなければいけないと思っています。
 以上です。
○鈴木座長  □□先生、よろしいでしょうか。
○□□委員  はい。
○鈴木座長  ありがとうございました。
 それでは、続きまして□□先生のほうからお願いいたします。
○□□委員  はじめまして。□□です。よろしくお願いします。
 いろいろな資料を見させていただいて、まず私はダルクという依存症の方たちがともに生活をしたり、通ってくる場所で働いています。私自身も、当事者です。2004年に私はダルクに入所をして、現在は理事長として管理だったり、一緒にプログラムをやったりということをさせていただいています。
 それで、今回のこの検討の在り方というのがどのようなことをこれから決めていくのかというのはまだ分からないとは思うのですけれども、ダルクに来る方たちでも依存症と一言で言っても千差万別で、大麻単体で来られる依存症者という方は本当に見たことがないに等しいくらい稀有な方たちです。
 他剤、覚醒剤がエンドポイントになっていて、最終的な契機となってダルクに来られる。先ほど他の委員のコメントからもありましたけれども、刑の一部執行猶予制度を利用してダルクへの利用があるというような方たちもいらっしゃいますが、果たして大麻、マリファナというか、そういうマリファナアディクションというものが医療だったり、司法のレールに乗せることが本当に正しいのかというのも私の中では疑問があります。
 それは、ほとんどが諸外国、特に欧米とかだったらヘロインとか、そういうものが大きな問題になっていて、そのためのプログラムとして開発されたTCだったり、その中にあるプログラムですね。依存症治療プログラムですが、もともと自助グループというものがAAという自助グループから始まって、NAとか、GAとか、発端がアメリカなので、アメリカ国内にはコカインアノニマスだとか、メタンフェタミンアノニマスだとか、もちろんマリファナアノニマスというものもあるのですけれども、単一なユーザーの方たちが本当に依存症、アディクションとして生活に困っているのか、医療が必要なのか。そこら辺に、私はちょっと疑問があります。
 今でもそうですけれども、全員が全員、では逮捕されてしまったからそのレールに乗せる必要があるのか。そこで、もう少し日本国民としてその人がどういうふうな暮らしをしていて、バックグラウンドはとか、なかなか難しいと思うのですが、その人をどうやって国や行政機関として支えていくかというのが、私はダルクという場所で働いていて、少しずつ変わりはありますが、その人というのを見ていない部分は多く感じてしまうことがあります。
 ですから、自分自身が薬から離れて、お酒からも離れて今、生活をさせていただいていますけれども、それだけが薬物を使用していた方たちの正解でもないとは思っていますし、それ以外のたくさんの人生やライフスタイルがあって、様々な多様性を持った人たちがこの日本という場所にも住んでいるというふうには感じています。
 それで、1つ質問があったんですけれども、WHOの今回あった国連の見解、大麻合法化した国に対する国連の見解というところで、私も国連とかINCBとかにうといのであれなのですけれども、国連の加盟国全体の総意、コンセンサスが取れた見解なのか、INCBという13名の委員により構成された条約履行を監視している方たちの見解なのか、これがちょっと分からなかったので御質問させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
○鈴木座長  では、□□先生お願いします。
○□□委員  ありがとうございます。
 この御質問に関してですけれども、この資料の29ページに出していただいている部分に関する限りはINCBの見解です。INCBというのは、麻薬に関する単一条約に基づいて、各国が条約の規定を履行しているかどうかを監視し、一緒に是正していくという機能を持っていますから、現行の麻薬に関する単一条約、このケースに関しては1988年の条約も関連してきますが、その現行の規定に鑑みるとこの判断であるということです。
 あとは、世界でいろんな国がどのように考えているかについては、例えば麻薬委員会の議事録を見ても賛成する国、そうでない国というのはあって、麻薬委員会の構成が世界の国の意見を反映しているかどうかというのはまた別な話です。少なくとも麻薬委員会でも賛否両論がある分野であるということです。
 それで、このケースに関してはINCBの条約に基づく権限義務に基づいた見解だということです。したがって、まだ違反国との対話が続いているはずです。ありがとうございました。
○鈴木座長  よろしいでしょうか。
○□□委員  では、細かいことになってしまいますが、大麻を合法化した国に対するINCBの見解というのが題名になるという感じなのでしょうか。国連の見解なんですか。
○監視指導・麻薬対策課長  INCBという組織の見解です。
○□□委員  組織見解というような形ですか。ありがとうございました。
○鈴木座長  ありがとうございました。
 それでは、続きまして□□先生のほうからお願いいたします。
○□□委員  □□と申します。
 普段は、主に司法の分野で原稿を書いているのですけれども、7年前に危険ドラッグが大きな問題になったときには厚生労働省を担当しておりました。ここにいらっしゃる先生の何人かにも、取材で伺ったことがあります。
 今回、メディアの立場から正確な情報提供や発信が必要だと思い、この場所にいさせていただいております。
 私の基本的な考え方ですが、先ほどの御説明の中で、日本は欧米に比べて薬物の生涯経験率が非常に低い、これは別に大麻だけではなく、違法薬物の生涯経験率が非常に低いのだという御説明がありましたけれども、この環境を今後も守っていきたいと思っています。
 その上で、大麻に関して言うと、先ほど来、話題になっていますけれども、有害性や悪影響についての発信力というか、そもそもエビデンスがないのかもしれないのですが、それが圧倒的に足りないと感じています。これまで大麻の検挙者が増えているということで、対策の強化をという社説を何回か書いていますけれども、大麻が覚醒剤のような強いドラッグの入り口になっている。ゲートウェイドラッグなんだというようなことは、調べるとたくさん出てくるのですが、大麻そのものがどの程度、どのように有害なのかということが分からないことが、すごく隔靴掻痒感としてありました。
 この点については、今日だけではなくて次回以降も引き続き御説明頂き、議論するということですので、そこに期待したいと思っているのですけれども、若者に蔓延している現状を何とかしたいなら、その恐ろしさとか有害性というのを社会で共有する必要があり、データに基づいて説得力があるものでないと広がらないのではないかと思います。
 ですから、例えばよく言われているように、酒と大麻の併用は危ないんだとか、若者、特に未成年の脳とか体の発達における影響があるのかとか、大麻が原因の事件や事故が起きているのかとか、そういうことをもうちょっと具体的にお示しいただく必要があるのではないかと思います。
 若者が興味本位で薬物に手を出してしまうということは恐らくあって、それは怖いから覚醒剤とかにいきなり手を出すということはしないんだけれども、ネットで調べて大丈夫そうだということであれば手を出しやすいというのは当たり前かなという気がするんです。今は本当にネットで簡単に商品も手に入ってしまいますし、警察庁の調査で、8割が危険性の認識がなかったというような調査結果もあったと思います。そもそも海外での合法化が進んでいる中で、留学先で使ったことがあるという人も多いと思うので、大丈夫そうだという引力に負けない強い発信力が必要で、それにはデータが不可欠ではないかと思っています。
 あとは、大麻を使う人が、使用罪があるかないかということまで意識しているかどうかは分かりませんけれども、大麻を使っても罪にならないというように誤解している人もいるのではないかと思っています。先ほど使用罪がないことの理由を簡単に御説明いただきましたが、1つ質問で、昭和二十何年の制定時に使用罪がないということについて国会などで議論した経緯があるのかどうかということと、その後、これまでにその点について改正の機運のようなものはあったのかということを教えていただきたいです。
 あとは、使用罪を設けた場合ですけれども、栽培農家の方などの誤認逮捕が起きる可能性がないのかということや、検出の技術はどうなっているのかというようなことも捜査の現場の方から分かれば教えていただきたいと思います。
 あとは、私は全く知りませんでしたけれども、先ほど□□先生のほうから保護観察中の人が再収監されてしまうリスクもあるというような話もありましたので、その点も含めて議論が必要かと思います。
 それから、質問ばかりで申し訳ないのですけれども、嗜好目的の使用を解禁した諸外国の実態というのも、もし分かれば教えていただきたいと思います。政府にお金が入ってくるからというような面も否めないというお話も先ほどありましたけれども、合法化で流通を透明化しようと思ったが結局はできていないとか、若者は使用禁止という形で合法化したんだけれども、若者が結局入手してしまっているというような報道もありますので、その辺がどうなっているのかが知りたいと思います。
 最後に、今まで私は興味本位で気軽に使ってしまうということを防ぐためにはどうしたらいいかという観点からの話をさせていただいたのですけれども、先ほど来、□□先生始め皆さんがおっしゃっている一旦、手を出してしまった人がその後どうするのかというようなこともすごく大事だと思っています。薬物に手を出してしまった人を排除するということではなくて、その人たちをどのように処遇していくのかというような視点からも、これは厚労省を離れて法務省が考えなければいけないところも含まれるかもしれないのですけれども、規制一辺倒ということではなく、そのあたりまで議論を広げていければいいなと思っています。
 以上です。
○鈴木座長  ありがとうございました。今後の議論の内容も大分入っていると思いますけれども、今日お答えしておいたほうが良い点だけお願いいたします。
○監視指導・麻薬対策課長  まず、使用罪がない理由でございますが、先ほど少し申し上げましたが、幾つか制定当初の経緯があったと聞いております。使用罪を制定する議論がこれまであったのかどうかということですが、そういった議論というか、例えば国会議員の方からそういう問題提起があったということはございます。
 また、使用罪について、国会で質問があったということがございます。また次回、きちんと資料にして整理して御提出させていただきたいと思いますが、国会で使用罪がない理由について質問がありまして、担当の政府参考人から、国際条約上、使用罪を置くことが求められていないこと、多くの先進国で使用罪は制定していないこと、受動喫煙や麻農家の農作業における麻酔いなど、刑罰をもって臨むのは不適切な場合があることということで御答弁申し上げたという経緯はございます。
 時代背景もいろいろ変わっておりますので、そこをどう考えるかということはございますが、これまでの経緯ということでの事実関係はそういうことでございます。
 あとは、海外での嗜好用が認められている国の使用実態ということでございますが、これについては次回、資料にして御説明させていただきたいと思っていますが、実際にカナダとか、アメリカのコロラド州とか、交通事故が増えているとか、□□先生に御研究いただいていることを整理して御紹介させていただきたいと考えています。
○事務局  例えば大麻を使用したことが今は罪になっていませんが、これが仮に罪になったときに、それを使っていない人が同じ罪に問われるということは誤認逮捕のようなことを生みますので、そこがないように、関係省庁とも相談しながら検討していく必要があるかと思います。
○鈴木座長  よろしいでしょうか。
○□□委員  はい。
○鈴木座長  ありがとうございます。
 それでは、続きまして□□先生お願いします。
○□□委員  よろしくお願いします。□□と申します。
 普段は薬物乱用依存に関する疫学研究を担当しております。専門は、公衆衛生でございます。
 公衆衛生とか疫学の役割というのは、全体像を捉えるということが目的でして、国内における薬物乱用依存の現状、動向を把握していくということを普段の仕事でやらせていただいております。その観点から、私のほうからは3点コメントというか、要望をお伝えしたいと思います。
 まず、資料の7ページに監視指導・麻薬対策課長のほうから御紹介がありました全国住民調査ですね。これは、もともと□□先生を中心にやられてきて、私がここ数年はバトンタッチをしてやらせていただいております。この話なのですが、この数字の受け止め方ですね。生涯経験者数が161万人ということが報告されております。
 ただ、日本の場合は違法薬物の経験を自己申告で答えてもらっているという状況がありますので、正直に答えたくない。レポートバイアスというふうに専門的には言いますが、回答にバイアスがかかっている可能性があると思ってこの数字を捉えるべきだと私は考えております。
 では、実際にどれくらいなのかというところなのですが、あくまでもこの161万人というのは最低値ですね。こういった推計値を出すときには95%信頼区間といって、統計学的にこの数字とこの数字の間に真の値が95%の確率であるでしょうという数値の幅を算出することができます。それによると、上限値が生涯経験でいうと202万人、下限値が119万人ということになります。
 一方、過去1年の経験ですが、下限値が1.6万人で、上限値が17万人ということになります。ですので、こういったレポートバイアスということを踏まえて物事の実態を捉えていくことが大事であると思います。つまり、大麻の使用経験に一定のレポートバイアスがあるとすれば、真の値は実際に観測されている値より高い可能性があるということです。
 また、指標なのですが、G7で各国の比較をしております資料の6ページですけれども、生涯経験率で比較するというよりは、もっと直近の経験で本来は比較すべきだということが国際的には言われています。
 というのも、生涯経験率というのは過去の経験も含みますので、必ずしも現在の状況を反映した情報とは限りません。直近の経験としては過去1年の経験率で比較するというのがスタンダードです。日本の場合、非常にそこが少ないので、なかなか統計学的に意味がある数字が出てこないのですが、より現在の乱用状況を反映したデータとしては過去1年経験率ということになります。
 それから、資料の7ページのところでコカインが横ばいというような報告があったのですが、私は、コカインの使用者は増加傾向にあると考えております。かつては、コカインの使用者は統計誤差範囲内で推計ができないくらい少なかったのですが、過去3回の調査でぽんぽんと数字が上がってきておりまして、かなり使用者が増えているという状況があります。これが1点目です。
 2点目ですが、今回は大麻を中心とした検討会が行われるということなのですが、冒頭の検挙者数のところでも書いてあるとおり、やはり若い人が多いわけですね。したがって、これまで報告されているエビデンスで割と信頼性が高いものをふまえると、早い年齢で大麻を使い始めた人、そして大麻の使用頻度が高い人は依存症になるリスクが高くなるということが報告されています。こうした文献は、米国のNIDAのレポートでも繰り返し引用されています。
 それで、私どもはこの住民調査だけではなく、いわゆる青少年を対象とした調査も実施しておりまして、全国の中学生も対象とした調査をかなり大規模に行っております。前回の調査は約7万人の中学生に回答いただいているのですが、これによる生涯経験率が0.3%ということです。0.3%というのは、先ほどの住民調査と比較すると少ないように思われますが、約300人に1人という割合ですね。それで、大麻の少年が逮捕されたりしますと、メディア等ではすごくそこをセンセーショナルに報じられることが多いのですが、こういった実態を踏まえると、中規模クラスの中学校ですと300人くらい全校生徒がいますよね。ですので、全国どの学校でもそういった大麻の問題を抱えている子たちがいてもおかしくない。
 そういった子たちを見てみると、大麻だけではなくて、例えば交友関係とか、家庭環境に様々な複雑な問題を抱えているような子たちもいるということが分かってきています。ですので、ぜひ青少年への対策についても議論していっていただきたい。これは要望ですけれども、それを2点目とさせていただきたいと思っています。
 具体的には、これまでは文部科学省中心にいわゆる一次予防、手を出させないための予防教育が中心であったわけですが、これからは大麻に手を出してしまっている子たちに対する支援についても考えていくことが重要だと思います。今日は文部科学省の方もこの会議に御参加いただいていますので、そういったものを一緒に考えていきたいと、希望としてお伝えします。
 最後に3点目なのですが、後半で資料の28ページです。単一条約の中のカテゴリーでいいますと、一番下のカテゴリーⅢ番を御覧いただきたいと思うのですけれども、「コデインの製剤等」という表記があります。その横に「乱用のおそれがなく、悪影響を及ぼさない物質の製剤」と書いてあります。一方、□□先生を中心にやられている全国の病院調査がございます。いわゆる精神科医療を受診して入院、通院されている物質使用障害、アルコールを除く方ですね。過去1年以内にそういった使用があるという人たちに限って見ますと、一番多いのは覚醒剤、2番目が処方薬、3番目が市販薬なんです。鎮咳去痰薬ですとか総合感冒薬といったものに、例えばジヒドロコデインといったものが含まれています。ですので、単一条約と照らし合わせてみますと、コデインの製剤について、我が国では乱用のおそれがあるわけです。
 今回は大麻を中心とした検討会なのかもしれませんけれども、ぜひそこの市販薬の問題の対策についても議論をしていきたいと個人的には思っています。例えば、市販薬を売る側ですね。薬局とかドラッグストアでは販売個数の制限をしたり、使用目的を確認したりとか、様々なことをやっていますけれども、ドラッグストアとか薬局の数というのはコンビニエンスストアの数よりも多くてどこでもあるわけです。ですから、なかなか根本的な解決に至っていないという現状があります。この市販薬の問題についても、ぜひ議論をしていただければということで、3点目とさせていただきます。
 私からは、以上です。ありがとうございました。
○鈴木座長  ありがとうございました。お答えは必要ですか。
○□□委員  希望を申し上げただけで、答えは要りません。
○鈴木座長  そうしましたら、今後議論していくことにします。ありがとうございました。
 それでは、続きまして□□先生のほうからお願いいたします。
○□□委員  □□と申します。
 今回、この会に企業から参加させていただいておりますが、正直申しまして実は大麻に関しては全く素人でございます。
 今回、この検討会というのは非常に意義があるなと私が思っていますのは、先ほど□□先生のほうからもございましたけれども、若い人たちが興味本位で大麻というものを使う。□□先生によりますと、これはゲートウェイドラッグになり得ることから非常に危険だとのことです。
 委員の中からいくつか御意見がございましたとおり、これを使うと非常に危険だといった目に見えるデータがなくて、法律に従わないで、この人は罰せられましたよとなっても、現実にその人が身体的不都合が起きてどうなったかというふうなことが余り報道されないということもあり、単に興味本位で使用されてしまう現実があるように思います。しかも法律で大麻使用のところに罰則がなく、その理由として過去よりいろんな経緯があったというのは先ほどお聞きしました。そういった部分についても法の穴みたいなところがあるといったところを議論しないといけないのだろうと思います。
 私が一般人として非常に危惧していますのは、産業用大麻というのは当然今までどおり使われることは容認されるべきとして、他に嗜好大麻というのと医療大麻という用語がございます。この前、□□先生の本を読ませていただいたときに、大麻系医薬品という用語があったんです。大麻系医薬品と医療大麻というのはちょっと意味合いがどうも違うようでございまして、海外で例えば嗜好目的でも医薬品の有効性が認められるもの、適用があるようなものについては医療大麻という言い方をされている。そういったことを勉強していくと、やはり大麻イコール娯楽品、医薬品といったことで、海外では医薬品で認められているんだから日本でも使えるじゃないかと、擁護派、推進派の方がどうも声を大にして言っているような気がして仕方ないんです。
 それで、今日お示しのあった、海外で認められているCBDの医薬品といったものについてこの検討会で協議されることになろうかと思います。私はこういったものについてデータも含めてエビデンスを皆さんできちんと見直して、きちんと治験をする。例えばデータとして集める。それを、日本として医薬品で認めるかどうかというのは今後の議論として必要と思います。また大麻系医薬品に対して開発・販売等に手を挙げる企業があるかどうかも分かりません。
 ただし、そういったものが今後例えばオーファンドラッグとして、または本当に希少な病気の方を助けるものになるのだとすれば、その開発、販売に対してブレーキを踏むものでもないなと思います。
 法的にきちんとした枠組みが決められると、逆に興味本位で使われる人も少なくなるのではないか。ある意味、罰則がきちんと設けられることで使用していい悪いの白黒がはっきりするのではないか。私は、そのような考え方を持っています。
 ですので、今回この検討会に出させていただくことで、その辺のことが皆さんと議論をして明らかになっていくいい機会だと思っていますので、いろんな意見を出させていただきたいと思います。
 それで、1つ質問といいますか、7ページで先ほど□□先生のほうから御説明のあった部分で、大麻の生涯経験率が過去1年間、覚醒剤、コカイン、危険ドラッグに比べると非常に多いということですね。それで、これは日本でのみ経験されたのか、よくありますのが、留学生が留学した先で友達が使っていたので経験したとか、それも含められるのかというところで、日本のみでの経験なのか、海外も含めてなのかというあたりは教えていただきたいところでございます。
 私からは、以上です。
○鈴木座長  それでは、□□先生からただいまの質問に対してお答えいただけますか。
○□□委員  お答えします。私どもの調査では、使用した場所については調査項目に入っておりませんので、海外の使用も含まれる可能性はございます。そのようなことがございまして、今後の調査におきましては使用している場所ですとか、例えば入手経路などについても調査項目に含めるかどうかということを現在検討しているところでございます。ちょうど来年度が調査年ということになりますので、そういった情報を今後提供できるようにしていきたいというふうに準備をしているところです。
○□□委員  どうもありがとうございます。
○鈴木座長  ありがとうございました。
 それでは、委員の先生方ありがとうございました。ほかに追加とか、委員の方々からございませんか。
 では、本日予定されておりました議題は以上となりますが、最後に事務局から何かございますでしょうか。
○事務局  次回以降の日程につきましては、正式に決まりましたら御連絡をさせていただきたいと思いますが、次回については委員からも御意見、御質問がございました大麻の健康に与える影響等を中心に御議論いただいて、次の次あたりで医療用麻薬ですとか、再乱用防止とか、そういったことを中心に御議論いただければと考えています。
 私からは、以上です。
○鈴木座長  ありがとうございました。
 ちょうど定刻の15時でございます。それでは、以上をもちまして第1回「大麻等の薬物対策のあり方検討会」を閉会いたします。
 御協力、誠にありがとうございました。
 

(了)

医薬・生活衛生局 監視指導・麻薬対策課
直通:03-3595-2436

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